09/11/26 第139回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第139回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成21年11月26日(木)9:00〜 2 場所  厚生労働省専用第21会議室(17階) 3 出席者   委員   公益委員 :鎌田委員、柴田委員、清家委員        労働者代表:小山委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:秋山委員、市川委員、高橋委員   事務局  森山職業安定局長、山田職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        鈴木派遣・請負労働企画官、大塚需給調整事業課長補佐、        小園需給調整事業課長補佐、小野寺需給調整事業課長補佐、        高西需給調整事業課長補佐、鶴谷需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)今後の労働者派遣制度の在り方について       (2)その他 ○清家部会長 定刻になりましたので、ただいまから第139回労働政策審議会職業安定分科会労 働力需給制度部会を開催いたします。本日は全員のご出席をいただいております。本日は、最初 は公開で、今後の労働者派遣制度の在り方についてご議論いただきます。その後、一般労働者派 遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行いま す。この際は、許可の審査につきまして、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うこと から、これに関しては公開することにより特定の者に不当な利益を与え、又は不利益を及ぼすお それがあるという場合に該当いたしますため非公開とさせていただきます。傍聴されている方に は、この許可の諮問の審議が始まる前にご退席いただくことになりますので、あらかじめご了承 ください。  早速議事に入ります。最初の議題は「今後の労働者派遣制度の在り方について」です。前回は、 11月20日の第138回部会で、事務局で整理していただいた論点のうち論点8までをご議論いた だきました。論点9と論点10は積み残しになっておりましたので、本日はまず論点9「罰則」及 び論点10「法律の名称・施行期日・その他の事項関係」の2つの論点についてご議論いただきま す。  論点9の罰則については、前回の部会で長谷川委員より、他法令との比較がわかる資料を提出 してほしいというご要望がありましたので、事務局に用意していただきました。事務局より、こ の資料について説明をお願いいたします。 ○大塚補佐 長谷川委員から要求のありました資料については、参考資料1として2枚の紙にま とめております。1枚目は、労働関係の法律において、行為者に対する罰則と法人に対する罰則 の両罰規程のうち、最も重い罰則を挙げております。労働基準法におきます、労働者に強制労働 をさせた場合については、行為者に対しては1年以上10年以下の懲役、又は20万円以上300万 円以下の罰金。法人に対する罰則につきましては20万円以上300万円以下の罰金。これを見ます と、法人に対する罰則についての上限は100万円ないし300万円というのが相場観かという感じ です。  2枚目は、労働関係以外の法律において、無免許ないしは無許可で事業を行った場合の両罰規 程について並べております。例えば、保険業法の免許を受けないで保険業を営んだ場合について は、行為者に対しては3年以下の懲役又は300万円以下の罰金。法人に対しては300万円以下の 罰金。ものによっては下の2つですけれども、貸金業法や建設業法の場合に、無登録・無許可で 業を営んだ場合について、法人に対しては最高1億円以下の罰金とあります。1億円だったり、 300万円だったりというようなかたちで多少ばらつきの勘があります。以上です。 ○清家部会長 長谷川委員、よろしいですか。 ○長谷川委員 はい。 ○清家部会長 それでは論点9の罰則、及び論点10の法律の名称・施行期日・その他の事項につ いてご意見を伺います。 ○古市委員 本当は論点9からいくのでしょうが、論点10の名称についてです。前の会で、法律 の名称については法技術上の問題だからあまりこだわらなくてもいいのではないかという意見も ありましたが、私は名が体を現すといいますか、名称はそういう意味で内実を現すものだと思い ますので、「労働者保護」という言葉を是非入れてほしいと思います。 ○市川委員 私は、すべての項目について同じことだと思っております。そういう観点から前回 は発言を控えさせていただきました。ここに挙がっている10の論点は、いずれも既に昨年、鎌田 委員を筆頭にした学識経験者の研究会による報告書でほぼ網羅されている論点で、それを基に平 成20年の閣法ができました。まさにこの場で労使の調整をした結果、平成20年の閣法ができて いるということです。私は、7月の研究会の報告書、そして平成20年の閣法を支持するわけで、 それ以上のことを追加的に重ねる必要は全くないと思っております。ぎりぎりの労使の調整の結 果が、平成20年の閣法ですので、それに加える必要は全くないと思っておりますので、すべての 項目について、私は平成20年の閣法の内容でいきたいと思っております。 ○秋山委員 論点9の罰則に関してですが、違反行為に関して罰則は強化されるべきだと考えて おります。いま説明がありましたように、いままでの労働基準法などの労働法に対して、今回の 三党案が20万円以上3億円の罰金という桁外れに重い罰金になっています。その辺は、ほかの法 律との均衡を図る必要があると考えています。 ○小山委員 先ほど市川委員から、前回の閣法と研究会報告と言われました。そもそも今回のこ の部会での諮問というのは、昨年のリーマン・ショック以降の雇用問題がまさに社会的問題とし て大きくクローズアップされ、そこで働く労働者の生存権まで脅かすような状況になったことを 踏まえ、この部会として審議をしてきました。根本的にこれまで欠けていた労働者保護という観 点を、この派遣法の中で明確に整理していくというのが、この部会が開催されている役割だろう と思いますので、あくまでその観点での取りまとめ、いよいよそういう段階になってこようかと 思いますので、よろしくお願いいたします。 ○高橋委員 罰則に関しては、先ほど秋山委員もおっしゃいましたとおり、他の労働関係との整 合性を十分に考えていく必要があるのではないかと思います。また法律の目線についても、まさ にどういう内容なのか。名は体を呈するというご発言もございましたとおり、どういう改正内容 によるかによって、名称も自ずと決まってくるもので、まず名称ありきということではないので はないかという気がいたします。 ○長谷川委員 労働者から見た場合に、罰則は強いほうがいいと思います。ただ、全体的なバラ ンスをどうとるかです。今回議論してきたみなし規程、要するに違法な派遣があった場合の、派 遣先の責任について、今回みなし規程を議論しているわけです。みなし規程がどういう形ででき るのかということとのバランスではないかと思っています。だから、罰則についてはもう一回最 終的に検討することでどうだろうかと考えています。  法律の名称については、私も最初のときに申し上げましたけれども、名称を変えるとか、目的 を変えるといっても全部変えるわけではないので、そこも全体的な出来上がりの中で、もう一回 名称と目的のところを戻るということでどうかと思います。  施行期日をどうするかというのも、最後の出来上がりで、直ちにできるものと、ある意味では 経過措置を置かなければいけないものが出てくるのではないかと思います。これも、どういう出 来上がりになるかによって、直ちにできるものと、ある程度経過措置を置かなければいけないも のということは考えておかなければいけないのかと思います。この辺は、全体的な出来上がり具 合と判断しています。 ○秋山委員 施行期日については、いま長谷川委員がおっしゃったように、内容がまだ不明であ りますので、いまの段階でコメントはできません。 ○清家部会長 論点9と論点10について、労使双方からいろいろご意見をいただきました。いま 長谷川委員からお話がありましたように、これからも少し議論していきますので、全体の議論の 中で、また改めてこの辺についても議論させていただきます。  今回の調査審議に当たって、各論点について一通り各委員からご意見をいただきました。労使 で意見が一致した論点もありました。しかし、なお意見の隔りが見られる論点も多く残っており ます。そこで、本日は残りの時間を使って、それらについてご議論をお願いいたします。前回の 部会において、使用者代表の高橋委員より、登録型派遣、製造業務派遣など、労使の意見に隔り の大きな論点については、今後議論を進めていく上で、参考となる資料を用意してほしいという 要望がありました。これを受けて、公益委員の間で相談させていただきました結果、今回は登録 型派遣、製造業務派遣、そして違法派遣への対処、いわゆるみなし雇用のところですが、この3 つの論点について、まずはこれまでの労使の意見を一旦整理してみてはどうかということになり、 本日事務局より配っていただいております資料No.1を作成いたしました。今回ご議論いただくに 当たり、これを参考にしていただければと思っております。まず事務局よりこの資料の内容につ いて説明をお願いいたします。 ○大塚補佐 資料No.1です。登録型派遣については1「禁止の是非について」、2「禁止の例外等に ついて」、3「その他」の3つの構成になっております。1番目の禁止の是非について、1番目と2 番目の*では、禁止するとした場合の趣旨について書いてあります。3番目以降の*では、禁止 した場合の問題点を挙げております。禁止するとした場合の趣旨として、1つ目は雇用の不安定 性や、派遣切りが起こったことが問題なのではないか。2番目は、派遣契約期間と労働契約期間 が一致する登録型派遣は、本来の派遣の趣旨と合致しないのではないか。問題点としては、派遣 を望む人のニーズに対応できなくなる、失業者の増大につながる、中小企業が人材を確保できな くなる、採用までに相当の時間がかかるので需要の即応ができない、諸外国においては認められ ている、派遣会社自体の職員の雇用も失われる、といったことが問題点としてこれまで議論に出 てきたかと思います。  2番の禁止の例外等については、禁止する場合の理屈や趣旨と裏腹の関係にあろうかと思いま すが、それぞれ例外の考え方、論点を7つ掲げております。それぞれの項目について、例外とし た場合の考え方についても一言ずつ触れております。1番目の専門26業務については三党案でも 例外とされています。2番目の育児休業等の代替要員派遣についても、同様に三党案では例外と されております。3番目は紹介予定派遣、4番目は高年齢者派遣です。5番目は、そもそも派遣制 度が臨時的、一時的な労働力の需給調整という目的を持っているものですので、一定の利用目的 による派遣というものも例外とすることが考えられるのではないかということ。例えば、フラン スにおいては休暇中の労働者の代替や、一時的な業務量の増加など、一定の事由に制限している ような例もあります。6番目は、昨年来の派遣切りが問題の端緒であるならば、そこでの問題が 少なく、労働者のニーズもあるような派遣を例外とすべきどうかということも論点になります。7 番目は、中小企業に対する派遣を例外とすべきかどうかという論点です。  3番目のその他として、即禁止としないやり方もあるのではないかということ。1つ目は、昨年 の政府法案にも入っておりました常用化の促進措置。2つ目は、現在指針に定めておりますよう な、損害賠償を定める規程を法律に格上げするようなこと。これらが論点として考えられるので はないか。三党案では、登録型派遣の禁止について、常用雇用のみとするといった表現になって おりますけれども、この常用については期間の定めのない雇用にするということも論点として考 えられます。さらには、いまのご議論にもありましたけれども、施行期日をどうするかという問 題もあります。  2番目の製造業務派遣についても、構成としては登録型派遣と同じようにしております。1番目 の禁止の是非については、1番目から4番目の*が、禁止するとした場合の趣旨・考え方です。5 番目以降の*は、禁止した場合の問題点です。禁止する場合の趣旨ですが、1つ目は登録型派遣 と同様に、雇用の不安定性や、派遣切りが起こったことが問題なので禁止すべきといった考え方 があります。  2番目からはちょっと視点が違うのですけれども、1つはものづくりの現場力が落ちたために、 製造業務への派遣は禁止すべきという考え方。あるいは3つ目にありますように、高度熟練技術 の継承の一助となるもの以外は禁止すべきといった考え方もあります。さらに、製造業では労災 が多発しており、問題なので禁止すべきといった考え方もあろうかとあります。  5番目以降の問題点の*は、大体登録型派遣と共通のものを掲げておりますけれども、下から3 つ目については製造業務派遣独自のものとして、これまでのご意見にありましたものを掲げてお ります。禁止されると海外に生産拠点を移す動きにつながることが懸念されるというものです。  2番目の禁止の例外等についても先ほど述べたのと同じように、禁止の趣旨と裏腹の関係にな ろうかと思います。1番目の専門業務、あるいは専門職については、高度熟練技術の継承や、労 災の防止の一助となることが期待されることから、例外とすべきかという論点が考えられます。 なお、三党合意や、民主党の政策インデックスでは専門業務、民主党のマニフェスト本文では専 門職とされていたところです。専門職の場合には、例えば一定の資格を検討することも考えられ ると思います。  2番目の育児休業代替、3番目の紹介予定派遣、4番目の高年齢者派遣については登録型派遣と 同様です。5番目は1番目とは切り口が違うのですけれども、常用型派遣については、雇用の安 定性が認められることから例外とすべきかという考え方もあり得るかと思います。6番目は、中 小企業に対する派遣を例外とすべきかどうかです。3番のその他については登録型派遣と同様で す。  3枚目で、違法派遣への対処については、昨年の法案提出までの労使で合意した事項として、 違法派遣は是正すべきであって、その是正に当たっては、派遣先での直接雇用を推進していくと いうことで、政府法案では勧告制度が盛り込まれたところです。1番目の違法派遣の是正の方法 に関してが、今回の主な論点になろうかと思います。研究会報告では4つでしたが、それをさら に細かく6つに分類しております。1番目は、研究会報告の1番目と同様に、雇用関係の成立そ のものをみなすようなやり方。2番目は、それの変形ですが、三党案にありますように、派遣労 働者の通告により、派遣元から派遣先への雇用関係の移転をみなすというやり方です。3つ目は、 研究会報告の2番目と同様ですが、派遣先から労働契約が申し込まれたものとみなすやり方です。 4つ目、5つ目は、いずれも労働契約の申込み義務を課すパターンですが、民事効ありと、民事効 なしの両パターンを書いてあります。民事効ありの場合には、派遣労働者が、行政勧告を待たず して裁判で争うことも可能になります。最後の*は、派遣先による労働契約申込みを行政が勧告 するというパターンで、昨年の政府法案と同様ですけれども、この行政の勧告については、その 他の方法と組み合わせることが可能と考えております。  2番目の、違法派遣の態様に関して、1番目から4番目の*については、昨年の政府法案で成立 したものと一緒です。最後の5番目に括弧書きで書いてありますのは、三党案では登録型派遣の 原則禁止というのが謳われておりますので、これが盛り込まれたならば、それの違反についても、 違法派遣の一態様になり得るということで、三党案に位置づけられております。  3番目には、みなし規程の問題点について列挙してあります。1つ目はそもそも論ですけれども、 契約自由の原則等との関係の整理です。2つ目は、違法派遣についての判断は誰が行うかという ことで、第三者が判定する仕組みとすべきではないか、そうしないといたずらに紛争が増えてし まうのではないか。3つ目は、いつの時期に、どのような内容の労働契約が成立したのかを明確 にすることが必要ということになります。特に、派遣元と派遣先との就業規則等での労働条件が 異なっている場合に、その整合性をどう保つのかということ。三党案では、期間制限違反の場合 には、労働者の一方的な意思表示により、無期雇用に転化できるということになっていますが、 そういうことはおかしいのではないかというご意見もありました。  派遣労働者の意思をどのように反映させるべきかということも論点になり得まして、1つは法 律の効果の発生に、派遣労働者の意思を要件にすることがそもそも妥当なのかどうか。また、派 遣先に雇用されたくない労働者について、退職の自由だけでは不十分ではないかということ。最 後は先ほど長谷川委員からご発言がありましたが、罰則の強化との関係の整理が必要ではないか ということです。  次に、本日、平成20年度の労働者派遣事業報告の集計結果の速報について記者発表しておりま す。参考資料2にその記者発表を付けておりますので、ご審議の際の参考にしていただければと 思います。併せて参考資料3では、平成20年6月1日現在での、各態様における数字を載せてお りますので、こちらも併せてご審議の際に参考にしていただければと思います。以上です。 ○清家部会長 いま3つの論点について説明をいただきましたが、1つ目の登録型派遣について、 労使と公益の意見の交換をしていただきます。ただいまの事務局からの説明をまとめました公益 委員より補足があればお願いいたします。まず鎌田委員からお願いいたします。 ○鎌田委員 登録型派遣について、私から補足的な意見を述べさせていただきます。登録型派遣 に関しては、これまでの議論の中で、原則禁止を主張する労働者側委員と、それに反対する使用 者側委員との間で意見の対立がありました。禁止をすることが、憲法やILO条約に違反するとの 主張も見られたところであります。しかしながら、派遣はもともと法律で禁止されてきたもので あり、憲法違反などの問題は生じないと考えております。  とはいえ、現行法では認められている派遣を禁止するとなれば、相応の理由が必要となります。 これまでの部会での議論において、禁止の理由として派遣切りなど、具体的な議論も出てきてお りましたが、いままでの議論を見ておりますと、製造業務派遣が中心でありました。登録型派遣 には、製造業務派遣もありますが、事務派遣や、運輸、倉庫等もありますので、どのような問題 が生じていたのかは業務によって異なり、臨時的・一時的な労働需要などのニーズの高い業務も あるので、そのような点を含めて議論したほうがよいと考え、今回お示しした資料を作成したも のです。先ほどの論点案の、最初の登録型についての2の禁止の例外等についての6つ目につい ては、そういう趣旨で書いたものです。 ○清家部会長 柴田委員お願いいたします。 ○柴田委員 既に労使双方から、施行期日をどうするのかという議論が出ておりますが、この点 についてきちんと一回整理すべきなのかと思っております。派遣労働者は、通常の労働者に比べ て複雑、かつ弱い立場にありますから、雇用の安定とその権利を守ることが重要だと思います。 とりわけスキルが低くて、エンプロイアビリティの低い労働者については、むしろ禁止措置が今 回の中でも流れとして見えてくるのではないかと思います。  一方でここにも書いてありますように、派遣禁止を反対するという立場からは、失業の増大な どいろいろな問題が生ずるということになっております。例えば、禁止するとしても、一定期間 施行期間をずらしていくようなことや、あるいはいろいろな企業規模による段階的な施行により、 失業の増大といったマイナス面を緩和することができるのかどうか、ということを議論してみた らどうかと考えています。  そこで事務局に質問なのですが、施行期日については、三党案やマニフェストでどのように整 理されているのかをお聞きします。それから、労働法令では段階的に施行したり、企業規模に応 じて一定の猶予をするような立法令があると思うのですが、今回もそのような法制とすることが できるのかどうか。  もう1点言わせていただきますと、先ほど申し上げましたように、単純労働などの弱い立場の 人は禁止するということだとしても、禁止の例外等についてということを併せて考えていく必要 があると思っています。というのも、派遣業が果たしてきた雇用調整機能のプラス面もきちんと 考えていかないと、日本経済の発展を阻害してしまうことが考えられます。先ほど鎌田委員にも おっしゃっていただきましたが、いろいろな種類の派遣があって、今回は派遣労働者の派遣切り が問題になった対象は、主に製造業務派遣だと考えています。  一方で高橋委員からも、前々からお話が出ているように、派遣労働者の多様な働き方を実現す るというプラス側面は、範囲は限定的であったかもしれませんけれどもあったと思います。実際 に私の周りで、派遣で働いている方も、家庭の事情であったり、会社に拘束されたくない、人間 関係が難しいので、本当に働きたい会社を探したいというニーズがあることは確かです。確かに これも長期的になっていけば、労働者保護の観点から問題が出てきます。とは言いながら、やは り雇用調整機能として、日本経済の中で果たしてきたプラス側面は整理しておくべきだと考えて います。  先ほどの禁止の例外等の6つ目の趣旨はということで、鎌田委員にもおっしゃっていただきま したが、もし禁止するとしても、議論の中ではニーズのある労働者を例外という形で、ニーズの ある労働者本人が望み、かつ強くてこの派遣にきちんと馴染むような者がいるとしたら、どうい う人なのかという整理も必要かと考えています。 ○清家部会長 事務局から何かありますか。 ○鈴木需給調整事業課長 柴田委員のご発言の中に質問が2点ありました。1点目として、三党 案とか三党合意の中で、施行期日はどうなっているかということです。三党合意とマニフェスト には施行期日は明示してありません。唯一ありますのは三党案です。今年三党で衆議院に出され た法案の中では、製造業務派遣と登録型派遣については、公布の日から起算して3年を超えない 範囲内において政令で定める日から原則禁止を施行するということになっております。参考まで に申し上げます。  2点目の、段階的な施行等の例はこれまでにあるのか、今回それができるのかということです。 これに最も関連するものとしては、派遣の平成11年改正で、原則自由化したネガティブリスト化 のときに、製造業務を含め、本則では原則自由化しました。ただし、附則の中で激変緩和の観点 から当分の間、製造業務については禁止をするという措置を採り、具体的には平成15年改正でそ の附則を削除し、平成16年3月から施行しました。その際も、当初は通常の場合でしたら、派遣 可能期間は最大3年であるのを、平成19年3月までは1年に限るという経過措置をさらに設けて 施行した前例があります。  一般的な例としては、63年に改正した労働基準法では、週40時間に時短していくときに、規 模と業種の進捗状況を見ながら、段階的に10年余かけて施行していった例もあります。中小企業 などで、一定の期間激変緩和措置から猶予するという立法例もいくつかありますので、こういう ものを参考にしていただいて、もし必要であれば段階的施行とか猶予ということを設けること自 体は可能かと考えております。 ○清家部会長 それでは、登録型派遣に関して自由にご意見をいただきます。 ○市川委員 登録型派遣と製造業務派遣というのは非常に密接な関係があると思っておりますの で、製造業務派遣のところでまとめて意見を申し上げます。 ○小山委員 登録型派遣についてですが、今回の議論は物の製造業務のところが中心になってい るかと思います。前回の法改正の前の議論の中でも、そこのところは日々派遣みたいなことが問 題になっていたものですから、登録型派遣についてのかなり突っ込んだ議論が欠けていたのでは ないかと思うのです。  最大の問題は、派遣とはそもそも何なのか、あるいはそこで働く労働者の雇用契約とは一体何 なのか。派遣契約がイコール雇用契約の期間になってしまうというのは、そこに労働者の意思が 全く働かないわけです。契約内容がある意味で明確になっていない、いつまでこの場で働けるの か、もっと働きたいけれどもどうなるのか、これが一方的に使用者側に委ねられることになって しまう。このことが、労働者保護の観点、あるいは労働者の基本的な対等契約の原則からも外れ る行為になりかねないのではないかという問題点をずっと持ってきたと思います。登録型派遣の 仕組み自体に大きな問題があったわけですから、このことを完全に禁止していくという方向での 議論を是非していただきたいと思います。  それから、中小企業は例外というご意見を市川委員も言われるけれども、例外とは言っていな いのか、大変だと言っているわけですね。 ○市川委員 私は言っていないですよ、勘違いです。 ○小山委員 言っていないですね。中小企業は大変だということは言っていますよね。 ○市川委員 そうです。 ○小山委員 中小企業が大変だというのは、それは大変なのです。私どもは中小企業の職場の労 働組合が多く結集参加をしております。ただ、この法律は職場での働き方の、職場での派遣労働 者の保護、あるいは派遣労働者の権利という観点からいったら、大企業で働こうと、中小企業で 働こうと、このことは関係のない話でありまして、労働者の働き方の問題でありますから、企業 規模を例外の考慮にするというのは全く的外れな議論だろうと思いますので、そのことは申し上 げておきます。 ○古市委員 いまのご発言と基本的に趣旨は同じなのですが、中小企業を例外扱いするというこ とは、今回の議論は派遣労働者の保護があまりにもなおざりにされていたことが問題になって、 労働者保護をどのようにしようか、という観点から議論されているわけです。一般的に言って中 小企業の労働者、中小企業に派遣されている労働者は、労働者保護がより行き渡っていないと考 えられます。そこを例外扱いするということは、劣悪な労働者保護の状況にある人を放置するこ とに結果としてなりますので、中小企業に対する派遣を例外とすべきということについては適切 ではないと思います。 ○秋山委員 登録型派遣ですけれども、昨年来、登録型派遣は一般事務などが多く23.6%という ことですが、問題は起きていないと考えています。26業務の専門のところだけ残してはというご 意見もありますけれども、一般事務のように、特に専門性がないような人たちの行き場がなくな ってしまうのではないかと考えています。  中小企業を特別扱いするべきではないとおっしゃっていますけれども、企業の側から言います と、本当にいまは中小企業は生き延びるのが大変で、必死になっています。人材の確保、仕事の 確保、そのために割ける人員がないのが実情です。そこで仕事が来たときに、すぐにその仕事に 対応できるようにするためにも、派遣制度の中で人材を確保するというのが、中小企業にとって は本当に死活問題になっております。  登録型派遣で働いている方の半数は、登録型派遣を選んで働いている方であるという数字も出 ています。その労働者にとっても職探しに時間を割くとか、必要なときに仕事をしたいという要 望もありますので、原則禁止というのは、そういう道を閉ざすものではないかと考えております。 ○高橋委員 本日まとめていただきました資料、ありがとうございます。登録型派遣の禁止の是 非のところで、禁止する主張として2点を最初の*2つでまとめていただいています。既に柴田 委員をはじめご意見をいただいておりますとおり、最初の*に関しては、昨年秋のリーマン・シ ョック以降、登録型派遣に限って、極めて雇用が不安定化したとか、派遣切りというのは是非い わゆる「派遣切り」というふうに次回以降はそのようにしていただければと思います。2番の禁 止の例外等の6番目の*はそうしていただいておりますが、ここはなぜかわかりませんけれども 突然書かれていますのでちょっと違和感があります。  私は、派遣の中途解約に伴う解雇ということを考えておりますけれども、そうしたことが登録 型派遣、即ち製造業務以外の一般の所で頻発したのかどうかということについては、それを明ら かにする具体的な事象はなかったのではないかと思っています。そうだからこそ禁止だというよ うな、最初の*の建て付けにはかなり無理があるのではないかと思っています。  さらに2番目ですが、これはかねてより長谷川委員が主張されていることをまとめていただい たのだと思いますけれども、これはそもそも論です。そもそも論だから禁止なのかというご主張 です。これに関してですけれども、非常に難しい論点であろうかと思います。私としては、やは り実態を重視した議論をしていく必要があるのではないかと、やはり登録型派遣制度というのは、 既に我が国の労働市場において定着した制度であるという点を十分に踏まえて、そもそも論でお かしいから直ちに禁止だという展開というのはよろしくないのではないかと思っています。  登録型派遣というのも就労形態の選択肢の1つです。これを選択する、働き方の選択肢の1つ として選ばれる方にはさまざまな動機があると思います。そういう中で、新しい数字では24万人 の方々が働いているということです。そうした就労形態の1つの選択肢を閉じることは非常に乱 暴な議論なのではないかと思います。短期間において、登録型派遣ほど臨時的・一時的な需給調 整機能として優れた制度はほかにないのではないかと思っています。問題があるとすれば、それ は制度を直していけばいい話です。その制度の持つメリットはあるわけですので、そのメリット を活かしながら、デメリットの部分については制度の見直しをしていく対応こそが望ましいので はないかと思います。  私個人的には、キャリアのワンステップとして登録型派遣で働きながら、次の仕事を探してい く、あるいは時間の関係でフルタイムは難しい、あるいは一時的に時間があるのでちょっと働き たい、あるいは学生のアルバイトとして素速く仕事を見つけたい、いろいろな動機、労働需要の ニーズがあるわけですので、それに制度として応えられるようにしていく、他方で労働側委員が ご指摘されているように、なかなかスキルが向上しないということであるならば、例えばこれは あくまで私見ですけれども、いま業界団体にご努力をいただいておりますけれども、さらに努力 をしていただき、スキルアップを望む方については、さらなる職業訓練の実施等を行っていただ いて、スキルを高めていただくような方策を講じ、それに対して政府も支援していく。あるいは スキルアッププログラムに関しては、行政も積極的に関与して、より良いエンプロイアビリティ を高めていけるようなプログラム作りをしていただくような対応こそが望まれるのではないかと 思います。 ○長谷川委員 前回の派遣法改正の議論は、その前の改正のフォローアップをずっとやっていま した。調査をしたり、いろいろな業界団体とか、労働のヒアリングをしながら、どういうフォロ ーアップをすればいいのかという議論をずっと続けていました。そういうところに日雇派遣の問 題が起きてきて、日雇派遣についてはどうするかという議論を優先して行った、というのが前回 の改正の議論でした。  そのときに労働側は、登録型派遣についても問題があると。しかし今日の状況の中で、日雇派 遣を優先させなければいけないので、今回は日雇派遣について優先的に議論しましょうというこ とで、労働側は登録型派遣についても引き続き検討しましょうという意見を述べて終わったのが 前回の正しい解釈です。私も委員だったので記憶しています。  今回は何が違っているかというと、リーマン・ショック以降の日本の経済のこういう状況の中 で、ほとんどの人が予測しなかったスピードで雇用調整が、派遣労働者のところで集中的に行わ れて、派遣労働の問題が、ある意味ではもともと持っていたのですけれども、それが全部露呈し たということだと思うのです。選挙があって、民主党がマニフェストで、派遣労働者の問題につ いて、登録型派遣禁止とか、製造業派遣禁止ということを掲げて選挙を勝って政府になりました。 今回、大臣からそういう状況の中で登録型派遣や製造業派遣について議論をしてほしいという要 請が来たのだと思います。  国民は何を選択したかというと、生活第一と、それからマニフェストにあった労働問題でいえ ば、派遣問題のことを選択したのだと思います。私どもは、そこのところを真摯に受け止めなが ら、そうは言ってもどういう見直しが必要なのかという、その議論の時間軸だけはきっちり押さ えておく必要があるのではないかということを1点申し上げます。  労働側から言えば、前回も登録型派遣のことを言っています。私どもは2007年に、派遣法に対 する考え方を取りまとめたのですが、そのときはまだ日雇派遣のところまでは踏み込んでいませ んでした。このときの私どもの認識は、派遣というのはすごく大きな問題を孕んでいると。その 問題は何かということは、登録型派遣だということをこの当時から言ってきました。審議会で私 も言ったのですけれども、派遣労働者の声として、雇用が不安定である、将来の見通しが立たな い、収入が不安定である、解雇や雇い止めが不安、正社員になれない、契約が細切れで先の見通 しが立たない、経済的に安心な老後の生活を持てない、生活費を賄う収入を得られない、派遣の ため社会に認めてもらえない、経験や能力に応じて時給をアップしてほしい、通勤交通費を支給 してほしい、という派遣労働者の声があるということを、連合はこの間ずっと労働相談で言われ てきました。  こういう声は、派遣労働者のヒアリングのときにもあって、派遣の問題はこういうことだとい うことを、私どもはいろいろな会議のときにこういうことを確認しながらきました。登録型派遣 に対して一切の問題がないというわけではなくて、登録型派遣のところにかなり大きな問題を孕 んでいるということは、このときから私どもは主張していました。製造業派遣だけが問題ではな いのです。派遣をよく見たときに何が問題かといったら、登録型派遣のところだということは、 このときから私は指摘してきたと思っています。  登録型派遣について、今回議論するということは、あのときの最後に登録型派遣について引き 続き検討してほしいと言ったことが、この間の経済的な状況の中で露呈したのだな、だからこの ことをやるのだなということで、この問題についてはちゃんと向き合うことが必要なのではない か、という大前提を少し申し上げておきます。このことをちゃんと認識しないと、派遣は何も問 題がないのですよと言ったら何も改善しないです。やはり派遣は何か問題を孕んでいるので、そ の問題は何かということを整理しながら、それをどのように改善したらいいのかということが重 要なのではないかと思います。  本日もいろいろなコメントがされておりますけれども、いまも言いましたけれども登録型とい うのは不安定なのです。契約と雇用期間は全く一緒、細切れであると先ほども言いましたけれど も、このことは登録型の最たるものですから、ここのところについて何らかの手当てが必要なの ではないか。そういう意味では登録型派遣を禁止するということは非常に重要だと思います。登 録型派遣を禁止して、雇用の安定を図ることは重要なのではないか。  それから、前にも議論しましたけれども、日本の派遣法は1985年に作ったときから他の国とは ちょっと違うのです。他の国は、派遣で働いて、正規社員になっていく登竜門なのです。でも、 日本の派遣はそのようになっていますか、なっていないではないですか。派遣で働いたら、ずっ と派遣ではないですか。現に市川委員が、派遣労働者に企業は訓練などできないとここで言った はずですよ。皆さんも企業の代表者だから言ってほしいのですけれども、派遣先の企業が、本当 に6カ月働いた派遣労働者を正社員として雇うのですか、雇った人はどのぐらいいるのですか、 ないではないですか。そうすると、派遣から正社員になるという話だって、ヨーロッパやアメリ カとは違う形になっているのです。  やはりそこは違うなと。派遣というのは、一時的・臨時的なものなのだということは、もとも と派遣法を作るときにそこは確認しているわけですから、そういうものだということをきっちり 認識しておいたほうがいいと言っておきます。そうだとすると、労働者の雇用の安定をどう図る のかということであれば、非常に問題を孕んでいる登録はやめたほうがいいです。  もともと、1999年までは一般業務の登録型はなかったのです。それでは1998年まではどうや ってやっていたのですか。私もずっと現場で働いていましたけれども、臨時的・一時的に必要な 人を確保していました。夏とか冬の繁忙期になれば、臨時的・一時的な人が必要ですから、そう いう人を有期で確保していました。1999年以降何が起きたのかということと、1999年以降の一般 業務の登録型を解禁したことで、結果的に日雇派遣が起きたり、リーマン・ショック以降経済が ドンッといったときに、我が国では派遣労働者がいちばん被害を被ったのは事実ではないですか。 そういう意味では、登録型派遣は問題だから、ここは禁止するというのは、いま社会から要請さ れているのではないかと思います。  よくわからないので事務局にお聞きしますが、今回派遣禁止の例外のところで、5番目の「一 定の利用目的による派遣」というのはどういうことなのか。次の「労働者のニーズもある派遣」 というところですが、労働者のニーズがないとは言いませんよ、やはり派遣を選んでいる人もい ます。特に女性のところで、男性と同じように働くのはいやだ、夜の10時、11時まで残業をさ せられるのはいやだ、土曜日も日曜日も出勤させられるのはいやだという人が、派遣だと残業し なくてもいいから、割り切れるからといって働くというニーズもあります。でも、それが派遣と いう働き方を選択することなのかどうなのか。そうだとすれば、ワーク・ライフ・バランスでや ればいいのですから、別の選択もあるわけです。だから、この労働者のニーズというのは何なの か。派遣で働きたいという労働者がゼロだとは思っていませんけれども、ここに書いてある労働 者のニーズというのは何なのかをお聞きします。 ○鈴木課長 今回は公益側委員とご相談しながら取りまとめておりますので、公益側委員のご意 見もお伺いしたいと思います。5点目の、「一定の利用目的による派遣」については、もともと我 が国の派遣制度自体が、先ほど長谷川委員もおっしゃられたように、臨時的・一時的な需要に対 応するものということです。そういう原点に立ち返って、登録型については純粋に臨時的・一時 的とか休業代替といった、フランスの法制にあるようなところであれば、これはもともとの趣旨 に沿っているものでありますので、こういう例外もあり得るのではないかということで、ここは 選択肢の1つとしてご提示させていただきました。  6番目の「ニーズ」についてはいろいろな調査にもありますとおり、例えば自分がやりたい仕 事のみをやりたい、やりたい時間・曜日のみに働きたいという労働者の希望が労働者調査などを やると一定程度出てまいります。こういうものは、通常の直接雇用の短期雇用とか、非正規でも そういうニーズは持続されるわけです。特に派遣については、例えばこの仕事だけをやりたいと いうようなときに、直用だとほかの仕事をさせられるけれども、派遣だとそういうのは断れる、 選択できる。残業についても直用だと断りにくいけれども、派遣だと断りやすい。このような声 もあると聞いておりますので、そういう意味でのニーズがあるものについては、労働者側のメリ ットがあるということと、それ以外のデメリットを比較して、メリットがデメリットを上回るよ うなものについては、選択肢として例外とすることもあり得るのではないかというご提案をここ に書いたということです。 ○長谷川委員 臨時的・一時的な労働力の需給調整ということですが、本来派遣というのはこう いうものだったのですが、そうでないところに発展してしまっているから扱いがすごく難しいの です。「一定の利用目的による派遣」というのは、臨時的・一時的というのはどの業種でも出てく るのではないかと思うのです。夏の繁忙期、冬の繁忙期だけだと言ったらすべての業種でそうい うのが出てくるのではないか。そうすると、一定の利用目的で、一時的・臨時的ということだと 全部ここのところに入ってくるのではないかという気がするのですがどうなのですか。 ○鈴木課長 確かにニーズにはいろいろあろうかと思いますので、入り得るとは思います。ただ、 もし仮に例外とするにしても、その中のどこの部分をどうするかというところをここに議論の素 材として書かせていただいているというご理解でお願いいたします。 ○長谷川委員 私も育児休業の代替要員はわかります。産前産後プラス育休のところだからほぼ 1年というのはそうだと思うのです。高齢者雇用のところは、必ずしも5年となっていなくて、1 年ごとにやっている所もあるので、そういうのもあるのかと思うのです。それ以外の「一定の利 用目的」だとか、「労働者のニーズ」というのは、臨時的・一時的にはわからないわけではないの だけれど、限りなくこれで広がるのではないかと私は懸念します。そうすると、登録型派遣禁止 と言いながら、例外のところでいっぱい出てくるのかなという感じもするのです。だから、ここ は非常に予想がつかないという感じがします。 ○市川委員 私の発言を引用した所がありましたので申し上げたいのですが、私は職業訓練を否 定するつもりは全くないのです。むしろ職業訓練はどんどんやってくれと。どんどんやって、派 遣労働者もスキルを身に付け、正社員にチャレンジをしていただきたい。そういうことを申し上 げているわけで、それに反して技能士に対する補助制度等々を、事業仕分けで予算を削減するよ うなことは是非やらないでほしいというのが私の主張です。  それから、派遣から正社員になっている人はいないのではないかと。これは前々回私がご紹介 しましたように、3年間で20万人の派遣労働者が正社員になっていますと、こういう統計があり ますと申し上げたはずで、内閣府の統計だったと思いますが、決してゼロではないということは 認識していただきたいと思います。  また、リーマン・ショックでドーンといったときに、確かに派遣の方々が影響を受けたという ことはありますが、正社員の方々でもかなりの方々が影響を受けておられます。それだけのイン パクトのあるショックであったのだということは、まさに100年に1度と言われる程度の大きな ショックであったと、そこに残念ながら派遣の方々も巻き込まれたということではないかと思い ます。  それから、マニフェストのことをおっしゃられました。マニフェストとは何ですかと。これは 派遣の問題だけではなくて、それこそ子ども手当であるとか高速道路の無料化であるとか、いろ いろなものを引っくるめてマニフェストが出来上がっているわけで、この選挙の結果だけを見て 派遣の禁止について国民の支持があったと捉えるのは、私は早計ではないかと思っております。 本当に国民の支持を得るのであれば、派遣についてだけの国民投票をしなければわかりません。 マニフェストとは何ですかと、イタリア語なのです。「Manifestare」は動詞です。「Manifestare」 というのは意見を表明するということなのです。ですから、それを出した当人がこういうことで すと、こういうふうにやりたいのですという意見の表明は大いにやっていただいて結構なのです。 ところが、それで国民全部の支持があったと考えるのは早計ではないかなと思っております。ま さにこの審議会がそのために国民の代表として、使用者の代表として、労働者の代表として、あ るいは公益の代表として議論を深めていくと。この場で審議を重ねるべきだと。そのためには時 間的なこともよく考えていただかないと、年末までに法案を何とかまとめなければいけないとお っしゃる方々もおられます。しかし、この10項目にしても、もっと議論を尽くさないと結論が出 ないような大事な問題を、単に政治的な理由から年末までとお尻を切られて、月に2回、3回と 議論をしても、まだ審議の時間としては非常に足りないと思っておりますので、お尻を切ったよ うな審議の形で早急に取りまとめることについては、私は反対です。 ○秋山委員 最初に派遣法ができたのは1985年と聞いておりますが、そこから24年間いろいろ な変遷を経て、いまここに来ているわけです。その間法律を遵守して派遣会社もできましたし、 それを受け入れる企業もそれに対応して変化してきたわけです。働く人の意識もその間この法律 の下で変わって、自分の働き方を選んだり、そういうことができるようになってきたわけです。 その歴史があるにもかかわらず、いま市川委員がおっしゃったように早急にこの問題をまとめて、 登録型派遣も禁止、製造業派遣も禁止ということをやるのは拙速な感じがします。いま出ている ようないろいろな問題があるのだったら、それをもう少し個別にもっと検討して、労働者側も使 用者側も派遣会社も、その方たちの意見をもって広く出していただいて、検討して解決していく べきではないかと思います。派遣会社の方も、7万社日本にあるわけで、その方たちの経営とか 雇用の損失も考えられるわけですし、そんなに早急に結論を出すべき問題ではないと思います。 ○高橋委員 長谷川委員の先ほどのお話を聞いていて、何点か若干違和感を感じざるを得ないと ころがあるので、あえて申し上げたいと思います。我々は別に登録型派遣が全く問題ないのだと、 何もしなくてもいいのだみたいに聞こえたのですが、そんなことは全く思っておりません。 ○長谷川委員 登録型派遣は何が問題だったのかと仰っているではないですか。事実を言ってく ださいよ。高橋委員はそう仰るけれど、あとの2人は違うと言っていますよ。 ○高橋委員 私はそう思っているので、私的には違和感を感じざるを得ない。要するに、完ぺき な制度だとは決して思っておりませんし、制度をより良くしていくためにこの審議会があると認 識しておりますので、そこは是非ご理解をいただきたいというのが1点です。  先ほど市川委員もご指摘されましたが、一切採用していないのだということではなくて、労働 力調査、20年調査ですが、3年間に派遣労働者として働かれていた方が20万人正社員として働い ていると。客観的な事実で、もともとの派遣労働者の規模200万人弱から考えて、20万人の方が 正社員になっている。これは見方によっては少ないと見られるかもしれませんが、かなりの数の 方が正社員として採用されていると。これは厳然たる事実です。加えて、その中の一部ではある と思いますが、紹介予定派遣が認められて、いま3万人を超える方々が紹介予定派遣を通じて正 社員の道へ行くと。これがだんだん増えてきているということで、全く採用していないのだみた いなことでもないと思っております。  かねがね長谷川委員のご意見は傾聴に値するところが多いのですが、1つどうしても登録型に 関して首を傾げてしまうのは、長谷川委員のイメージされている労働者像が特定の労働者を主に 考えていらっしゃるのではないかと。もし間違えていたらご訂正いただきたいと思いますが、フ ルタイムで働くことを希望し、就職氷河期等の影響もあって、意に反して派遣就労を選択せざる を得なかった方を強く意識されたご意見のような気がします。他方で、私はかねてから申し上げ ておりますが、派遣就労を選択されている方は必ずしもそういう方々だけではありません。制度 を考えていくときにはいろいろな労働者の方々を想定し、多様な労働者のニーズを踏まえて制度 設計をしていくことが基本ではないかと。意に反して派遣就労を続けざるを得ない方々に対して は、登録型派遣を禁止ということではなくて、そういう方々のキャリア形成のために何ができる のかを議論していく方向が正しいのではないかと思わざるを得ません。 ○長谷川委員 ここで派遣労働者のヒアリングをやったとき、派遣労働者の人たちがおっしゃっ たのは、私が先ほど述べたような話です。私どもの47都道府県の中央連合会に相談を持ち込まれ ているのも、こういう案件です。労働審判にも派遣労働者の訴えが提起されているのも、こうい う問題です。地方労働委員会に持ち込まれている派遣労働者の問題もこういう問題です。地方の 労働局に持ち込まれているのもこのような案件です。そうすると、私たちはどういう労働者を見 るかと言えば、そういう所に相談に来られたとか、そういうことをさまざまな提起をしている労 働者像を見るのは、私は当然だと思うのです。  ただ、現に私どもで組織している所にそうでない労働者もいるので、そのことについてどうこ う言うつもりはありません。ただ、派遣労働者で問題を起こしていないのは期間の定めのない雇 用で雇われていたり、常用雇用で雇われていて派遣元がしっかりしているような所であって、登 録派遣で働いている人のものでは、私が言ったような多くの問題を抱えているのだと思うのです。 だから、日雇派遣についても改正に向けた議論をしてきましたし、この間派遣労働者のフォロー アップもずっと続けてやってきたわけです。だから、どこに問題があるのかについて、今回は登 録型派遣と製造業派遣というところで問題があるのでやりましょうということなので、私はその 問題をやる必要があるのではないかと思います。全部ゼロだってありますよ。  正規の労働者を雇ったというのは、ちょうど製造業派遣が3年ルールの所で3年のフィニッシ ュにかかっていたのです。3年のフィニッシュにかかっている所は直雇用で雇うということで、 正規の労働者に雇う準備をずっとしていたときで、そういう意味では09年問題というのは結構言 われていて、09年度に向かってみんな正規労働者を雇うという、そのときの処遇をどうしようか とか、そういうことも全部企業が準備したときにこういう状況が起こってきたわけです。基本的 に労働者は正規の労働者で雇われたいと、働きたいと、このニーズは大きいと思います。中には 私は1日4時間でいいとか、6時間でいいとか、1週間に3日でいいと言う人もいますから、そう いう人がゼロだとは言っていません。しかし、大多数の労働者ということを考えたときに何を望 んでいるかといえば、正規労働者で雇われたいということがすごく強いのではないかと。それは いろいろなアンケートを見れば出てくると思います。  それと、私は雇用就労形態の多様化を否定する気も何もないですよ。雇用就労形態の多様化を 言うのだったらば、雇用の安定だとか均等処遇だとか、そういうことをやって格差をなくすと。 もう1つ、雇用の基本は期間の定めのない雇用と、かつ直接雇用だと思うのです。だから、派遣 法は何で職安法第44条から特出ししたかといったら、基本的には直雇用なのだけれど、間接雇用 はこの場合ですよと、派遣はそういう例外を作ったわけですから、なぜ例外を作ったかという法 の趣旨を、いつでもきっちりと見ておくことは必要なのではないかと思います。  高橋委員の意見は、私はいつもごもっともだと思いながら、でも違うなと思いながら、共通す るところと違うところを自分なりに理解しています。ただ、使用者の方でみんな3人一緒かとい うと、聞いているとどうも違うなと思うので、そこを指摘したわけです。 ○清家部会長 今日は少しほかの論点も議論したいと思います。製造派遣の問題も登録型の問題 と関連しますので、併せて製造派遣のほうに議論を展開していきたいと思います。2つ目の製造 業務派遣についても、できましたら先ほど事務局からご説明いただいたように、公益委員の鎌田 委員、柴田委員から補足をお願いしたいと思います。 ○鎌田委員 それでは、製造業務派遣について、私から補足的な意見を述べたいと思います。こ れまでの議論で明らかになりましたように、製造業については派遣切りが多く行われたり、労災 の発生が多いなど、さまざまな問題点が指摘されているため、他の業務と異なる特殊な業務とし てその派遣を禁止すべきかどうかが議論となるわけです。雇用の不安定さが問題であり、これを 禁止すべきという趣旨であれば、雇用の安定性が認められる常用型派遣を例外とするという議論 もあり得ると思いますし、他方で三党案のように高度熟練技術の継承の一助となるもの以外を禁 止するという趣旨であれば、専門業務または専門職を例外とするという議論もあり得ます。  これまでの部会の議論では、専門職をどのように設定すべきかという議論はなされておらず、 民主党マニフェストにある専門職と三党案の専門業務とは意味合いも異なるものと思われますが、 いずれにしても、当部会としては専門職としてどのようなものが考えられるかについても議論を しておく必要があると思います。例えば、一定の資格を例外とすることも考えられると思います し、本日の資料にも示しましたが、これについてどう考えるか、労使双方の委員にご議論いただ ければと思います。 ○柴田委員 これまでにお話が出てきたことで、先ほど段階的運用ということで労働側に一刀両 断だったのですが、一方で製造業派遣ではいままでの部会の中で中小企業は本当に人材確保がで きなくなって、業務が立ち行かなくなるという深刻な問題が確かにありました。一方で、労働側 からは労働者保護という観点で言えば中小企業も何もないのだというお話があって、それはそれ なりに両方とも納得性があるものだったのですが、とは言っても業が立ち行かなくなる、経済が 駄目になるというところで、ゴールは同じだとしても、製造業派遣という禁止のゴールに向かっ て一定期間中小企業で猶予を持つということは、現実的な対応なのかなということもあるので、 改めて使用者側からもそのことについてお話を伺えればいいなと思っています。  これもそうなのですが、製造業派遣を禁止しますと言ったときに、全部禁止するかと。いま鎌 田委員のお話もありましたが、実は強くて熟練の人たちだったら、そんなにひどい目に会わない ということがもしあれば、そういった資格みたいなものはきちんと整理して例外とすることは本 当に考えられないだろうかという話です。もちろん、ここで前提となるのは、単純労働でいつま で経っても弱い立場の派遣で、能力もアップできなくて、ずっとその位置に留まっているような ワーキング・プアになるような人は保護すべきだと思いますが、そういう人にならないような専 門職とか技能者をもし例外として確保できるとしたら、それはどういう資格なのかということで、 これは事務局にもお聞きしたいのですが、どういう資格が考えられるのか。国家資格としてどん なものがあるのか、あるいは業界団体や個々の企業でどんな技能検定みたいなものがあるのか、 そういったものについて事務局で把握しておられるもの、あるいは使用者側としてどんなものを 想定しておられるかも、併せてお聞きできたらと思います。 ○清家部会長 事務局からお願いします。 ○鈴木課長 柴田委員の最後のご質問ですが、国家資格でいくつか専門職的な資格を認定してい るケースがあります。1つのジャンルは、例えばボイラー技士とか電気工事士とか、その資格を 有していないと安全衛生的に危険なので、国家で資格を認定して、それ以外の方は作業に従事し てはいけないという資格があります。例えば、いま申し上げた電気工事士とかボイラー技士、ガ ス溶接技士、危険物取扱士等々があります。  それとはまた違ったジャンルで、いわゆる独占資格ではありませんが、技能の程度を国家が認 定して公証するということで、「技能検定制度」というものがあります。これは技能士という資格 が得られ、例えば1級から3級ぐらいまで段階的に区分された資格があります。この中では、製 造業務の関係であれば機械加工、バネ加工、電気機器組立て、電子機器組立て等々があります。  いまのは国家資格ですが、民間でもいくつか資格がありまして、例えば公益法人である業界団 体などで検定制度を設けているものがあります。例えば、木材加工などはこのジャンルです。さ らに多く見られるのが民間の社内検定で、これは各民間企業ごとにそれぞれの資格制度を設け、 それを職業等に反映していくというものがあって、これを国家として認定するという制度もあり ます。 ○柴田委員 ありがとうございます。 ○清家部会長 それでは、ご議論いただきたいと思います。 ○市川委員 ようやく順番がまいりましたので、今日事務局のお許しをいただいて、「製造派遣適 正化パッケージ(案)」というものを、私のクレジットで1枚紙を出しております。まさに労側か らもご指摘がありましたように、いまこういう議論をしているのが、昨年末のいわゆる派遣切り、 派遣村といった事態が二度と起きないようにということであることは、私も認識としては共通で す。ただ、そのために何をしたらいいかとなってきますと、製造派遣原則禁止とか登録型派遣原 則禁止、これは答になっていないと私は思います。なぜなら、これによって何も悪いことをして いない多くの中小企業、何も悪いことをしていない多くの派遣労働者が失業に追い込まれる事態 を惹起するからです。これは劇薬です。劇薬の副作用、これは非常に大きな副作用があります。 したがって、これは大臣の諮問に対する答にはなっていないと思います。まさに労側もいま言わ れましたように、労働の多様化については特に否定はされないということならば、これによって 原則禁止ということによって影響を受ける方がおられるとすれば、これは諮問の回答にはなって いないと思っております。  例外ということで専門職の議論もありましたが、いま課長からもありましたように、ボイラー 技士とか技能士といった資格はありますが、中小企業で製造派遣を実際に使っている現場を私も 見てきましたが、決してそういう資格のある人ではないのです。実態をよく踏まえて議論をして いただかないと、こういう専門職という区切りで例外を設けるとすれば、いま現在中小企業で活 躍していただいている製造派遣の方々は全滅になります。これは非常に大きな副作用があるとい うことで、専門職で何とか救おうという考えは、大企業は別かもしれませんが、中小企業にとっ ては何の意味もない。全滅になるということです。  では、一体どうしたらいいのか、ということになるわけですが、私も決して現状のままでいい と言うつもりはありません。手を打つべきところは手を打つことが必要だと思っております。2. ですが、いちばん問題なのは、派遣契約の契約期間があるにもかかわらず中途で解除するという 事態が、昨年末の惹起した事態だと思っております。その際に、どうしても派遣の方々を契約に 反しても手放さざるを得ないというときに、一体何をしたらいいのかというルールをきちんと明 確化する。すでに3月にこの部会でも議論をして、指針で損害賠償をきちんとしなさいというル ールが出されたわけですが、必要であればそういうものをきちんと法律に書く。法律に書いた上 で、悪質な違反者については例えば派遣受入禁止、ここで初めて禁止というのが出てくるはずな のです。最初から一律禁止、原則禁止というのは、国家権力の濫用であると思います。刑法の世 界では罪刑法定主義というのがあります。これはかつて気ままな国王、気ままな女王が「その者 の首をはねよ」と、よくアニメに出てきます。ハートの女王というのがありますが、そういうこ とと同じことをやろうとしているのではないですかと。罪刑法定主義というのは、どういうこと をやったらどういう罪になり、どういう罪を犯したならどういう罰則が与えられるか、それを事 前に法律で明確化しておくべきだと。これが罪刑法定主義の考え方です。今回やろうとしている ことは、そうしたことを事前にきちんと明示せぬままに、バサッと首を切ることと同じではない かなと。  また、1つの例えとしては、アフガンなどで米軍の空爆がありますが、テロリストのアジトを 狙って空爆をする。ところが、実際には誤爆であって、罪もない民間人が死傷することがありま すが、そういう空爆における誤爆みたいなものなのです。罪もない多くの中小企業、罪もない多 くの派遣労働者が被害を被る。中小企業にとっては、場合によっては死刑宣告になるわけです。 仕事がこれでは受けられないということで、会社が倒産に追い込まれる。あるいは懲役というこ とだと思います。別の例えで言えば、交通事故死が多発していると。したがって、自動車を禁止 しましょうというのと同じなのです。自動車禁止というのは、21世紀の世界において全く無望な 暴論です。それと同じことをいまやろうとしているのだということを、私は訴えたいと思います。 したがって、どういうことが違反になるかというルールを事前に明確化した上で、悪質な違反者 について受入禁止にするというやり方が最適であると思っております。  雇用者責任がないではないかというお話もありました。その対策としましては、派遣元責任者 講習を国家試験にすることを私は提案したいと思います。国家試験にすることによって、とにか く試験に受からなければいけないですから、この分厚い業務取扱要領をきちんとマスターしなけ ればいけないという義務を、派遣元、すなわち人材派遣会社には課す必要があると思っておりま す。そこでも、試験で合格したにもかかわらず悪質な違反行為をした者については、免許を取り 消すといった措置が考えられるのではないかと。いま7万とか8万の派遣事業者がおります。こ れについては、この部会でまさに許可の諮問をやっておりますが、いまのやり方が本当によろし いのでしょうか、という疑問を私は提起したいと思っております。一定の財産要件とか、免責要 件をクリアしてさえいれば許可が下ろされるということで、本当にいいのでしょうか。雇用者責 任を全うさせるためには、きちんと国家試験をやり、それで試験の更新をするとか、違反したら 免許を取り消すというようなきちんとした形を取るべきではないかということで、これは許可制 度について大幅に仕組みを変えるべきであるという提案です。  派遣先については、一部の大企業が非常にドライな対応をしたために、昨年末の事態を惹起し たということです。派遣先についての責任者講習は、いま義務化されておりません。全く任意に、 民間団体が無料セミナーをやるのでいらっしゃいという程度です。これをきちんと法律上義務化 をする。これはさすがに国家試験とはいかないと思いますので、義務化をして、とにかく講習を きちんと受ける。それで派遣先責任者としてはどういう行動を取らなければいけないかについて、 きちんと認識してもらうことが必要ではないかと思っております。  5.ですが、これは先ほど高橋委員からもお話がありましたように、業界による自主規制という ことで、相当程度いまの問題は解決できるのではないかと。なおかつ、法律でいろいろなものを 決めようとすると、いろいろ副作用が出てくる。それを業界の自主規制という形で、もっと業界 団体を支援し、強化することによって、相当派遣についてのトラブルは変わってくるのではない かと思っております。この自主規制の中には、行政に対するこのようにしてくれという要請もあ り得ると考えております。これは日雇いの例ですが、選挙の看板を立てることについて、各自治 体が派遣会社に発注をするわけですが、それが競争入札でやられているのです。競争入札でやり ますと、小規模の派遣会社がダンピングをして入札をする。したがって、いちばん安いからとい うことで、そこに仕事がいくと。いちばん安い金額ですから、派遣労働者の手取りは最低賃金ギ リギリという事態になるわけです。  また、一部週刊誌においては、厚労省自体も年金のコールセンターの方々も派遣で雇っておら れると聞いておりますが、これも競争入札でやっているがために、非常に低料金の派遣契約を結 んでいるといったことが出ておりました。こういう競争入札というやり方についても、非常に大 きな問題があると思っております。そういうことに対して、行政に対しても業界団体が、こうい うやり方はまずいのでこうしてくれと、きちんと言うべきだと思っております。派遣事業者の中 には、机1つで儲けてやろうという方々もおられるやに聞いております。そういった方々は、責 任者講習の国家試験化で相当淘汰できるのではないかと。7万社、8万社というのは、諸外国に比 べても多すぎると思うのです。もう少しきちんと派遣業務ができるような大手の派遣会社を中心 に、業界としてきちんとチームプレーを取っていただくことで、相当程度の問題は解決できるの ではないかと思います。  6.〜8.は書いてあるとおりです。何よりも景気対策によって仕事を増やすと。中小企業はいま 仕事がなくて困っているということです。景気対策をやることによって、派遣についての事情も 大きく変わるのではないかと考えております。以上です。 ○清家部会長 今日はできるだけみなしのところまで議論をしたいと思いますので、よろしくお 願いします。3つの論点のうちの2つ目と3つ目も合わせて議論をしていただきたいと思います。 ○小山委員 製造業務の派遣に対してですが、これもいろいろ申し上げてきましたから、これ以 上特に申し上げることはありません。ただ、改めて強調しておきたいのは、物の製造業務の派遣 を解禁したのは一体いつだったのか。2004年3月でしたっけ。 ○鈴木課長 2005年です。 ○小山委員 2005年実施ですね。ということは、5年も経過をしていないという状況です。とい うことは、それ以前は物の製造業務は派遣という働き方なしで、中小企業も含めて日本の製造業 はずっと成り立っていたということです。この間、2005年以降はどういう時代かというと、非常 に急激に景気が回復していった時代です。特に製造業などは、過去最高の生産量、あるいは利益 という状況の中で、急拡大をした時期であったということです。その反動が昨年来たわけですが、 そのことを改めて申し上げておきたいと思います。  例外とした場合ということですが、市川委員からは専門職的なところではそういう需要がない というお話でしたから、そういうことなのかなと。気になるのは、常用型と言った場合、常用型 というのは何を指して常用型というのだろうかと。前にも少し申し上げましたが、普通の人が「常 用型」と聞いてイメージするのは、期間の定めのない労働契約が結ばれているということだろう と思いますし、私もそう思っております。 ○市川委員 昔は派遣なくしてやっていたではないか、というご指摘がありました。昔と今と、 例えば10年ぐらい前と比べて、産業構造あるいはサプライチェーンが大きく変容しております。 いまは在庫を持たない。在庫を持たないために、かつては親会社から中小企業が3カ月ほど前に 生産計画の説明があったと。その3カ月の期間にアルバイト等々で人手を確保することができま した。しかし、いまは在庫がありませんから、直ちに製品を作り、納めろということで、全く人 集めをする余裕がないということなのです。したがって、在庫を持たない、Just in time、ある いは看板方式ということが、日本のサプライチェーンの中で全く標準装備になってきてしまった 現在、派遣に頼らずして中小企業の業務はできない。私たちは本当にその日暮らしでやっている のですということを、ある金属加工中小企業から聞いてまいりましたので、ご紹介します。 ○秋山委員 1つだけ労側にお聞きしたいのですが、いま製造業派遣とか、登録派遣も含めて、 やめた場合に、大体それに該当する46万人の人たちの雇用の安定が図られると、今の経済情勢の 中でお考えなのでしょうか。 ○小山委員 物の製造業務の派遣は、数字はあとで、もし把握できているところがあったら言っ ていただければと思いますが、私の知っている限り、多くの所はほとんどいなくなりました。失 業してしまったのです。ですから、この問題が起こったわけです。派遣という形態があるから雇 用が生まれるのではなくて、そこに仕事があるから雇用が生まれるのであって、あとは雇用形態 をどうするかということです。ですから、そのことだけで派遣という制度がなくなったら失業者 が溢れるみたいなことは、現実の経済構造から言ってあり得ないことです。ただ、一時的な一定 期間の猶予がないと、直ちに明日からと言ったら確かにこういう問題は発生するかもしれません。 ですから、そんな所は一定の猶予期間を持つ必要は当然あるだろうと思います。 ○市川委員 どうも小山委員のお話をお伺いしていると、大企業のお話をされているのではない かなと思います。私は中小企業を何社も見て回っておりますが、確かに規模は小さいのです。派 遣労働者の数として10人とか60人とか、規模の小さい所。そういった所は、現に製造派遣、登 録型派遣の方々を活用しておられます。そういう所がなくなったと、いまおっしゃったでしょう。 だから、それは違いますよと、現にありますよということを私は申し上げたい。 ○小山委員 人数のデータがあったら教えてください。 ○鈴木課長 先ほど、2004年(平成16年)3月から適用ということで、1年言い間違えました。  いまのデータですが、いわゆるリーマン・ショック後の数字は平成21年度の業務統計が出てこ ないとわかりませんが、大手の製造派遣の会社に聞いても、業績が6割減で、派遣労働者を6割 ぐらい減らしましたという話を聞くこともありまして、大体そのぐらいが業界の標準的ないまの 減産量かなと思っています。そうなりますと、参考資料3でお配りしましたように、平成20年6 月の数字、これはリーマン・ショック前の数字になりますが、これがたぶん製造派遣のピークの 数字で、56万人おられます。これが6割減でも、20数万人はいまだに派遣労働者として製造派遣 はいらっしゃる。これは、例えば昨年来の私どものハローワークの調査でも、派遣労働者のいわ ゆる派遣切りについては10数万人とありますが、56万がいまゼロになっているかというと、た ぶんそうではなくて、20〜30万の間ぐらいの数はいまだにいらっしゃるのではないかと推測して おります。 ○長谷川委員 秋山委員に少し頭の体操をしてほしいのですが、仕事があれば、仕事があったと きに派遣でその仕事を処理するのか、それとも直雇用の労働者で処理するのか、その違いだけだ と思うのです。だから、何も派遣元から労働者を供給してもらうという、それがなくなったから この仕事がなくなると。だから、秋山委員の所でお仕事をやっていると思うのですが、その仕事 を直雇用の正社員でやるのか、直雇用の有期でやるのか、派遣でやるのかの違いで、おそらく仕 事がなくなればどちらも解雇される、それだけなのです。だから、派遣がなくなったから失業す るというのは全然違う。この間もそういうことをおっしゃっていましたが、そこだけは頭の体操 を是非やってほしいなと思います。 ○秋山委員 私が申し上げたいのは、派遣で働いている方たちが雇用がなくなった場合に、いま 日本の97%ある中小企業がそういう人たちを正社員として雇えるかとか、派遣会社も常用派遣と して雇い入れられるかという余力が、いまの経済情勢の中ではないのではないのかなと思って申 し上げたのです。 ○長谷川委員 09年問題というのがあって、製造業の派遣は3年したらそのまま引き続きできな くなると。私はよく小山委員の所に、中小企業のことがわからないと言われると困るので、よく 彼の職場に行ったのですが、そのときに中小企業は09年のときに直雇用にする準備をしていたの です。3年ルールでそのまま製造派遣を受け入れられないので、そのときに直雇用しようと。ス キルも弱くなってきているし、ものづくりの現場力が落ちてきたので、どうも危ないなというの で、みんなが直雇用の準備をしていたときだったのです。そういう意味では、派遣労働者が直雇 用になっていくというのは、あのときの09年のところがあればそこでシフトしていたのではない かと思うので、そこは企業も、その代わりどういう処遇をすればいいのかを結構労使で協議して いましたので、私はある一定の経過措置を取れば、お互い軟着陸はすると。日本人はものすごい 知恵と経験があるので、そこは軟着陸できると思っています。 ○市川委員 いま直雇用であればいいのではないかというお話でしたが、私が縷々申し上げてい るように、クリスマスケーキの例も出しました。リンゴの例も出しました。そういう季節性のあ るものは当然あるわけで、それを人手が要らないときは10人程度、人手が要るときは60人まで チームの中で増やしますと。そういう非常に激しい状況、あるいはゲーム機などは非常にギャッ プが大きいと聞いておりますが、そういうギャップの激しいところで、直雇用で60人のレベルま でずっと雇えるかというと、中小企業には無理なのです。そこは派遣に頼らざるを得ないのです ということを申し上げたいのと、直雇用で、アルバイトもそうなのですが、ハローワークに要請 しても、中小企業の場合には会社の知名度がありませんから、なかなか人が集まらないのです。 それが悩みなのです。そういう個々の小さな中小企業ではできない採用を、派遣会社が何十社分 もまとめて横串でグサッと刺して、派遣会社がまとめて採用し、健康診断もする、保険も払う、 手続をすると。こういうことをまとめてやってくれるという派遣会社の機能は、中小企業にとっ ては非常に有効な、ありがたい組織であると考えております。仕事がなければ人手は要らなくな ってしまう。それはまさにおっしゃるとおりで、だからこそ、私のパッケージでは景気対策とい うことを入れております。 ○高橋委員 1言だけ、私もみなし雇用についても十分議論したいので、製造派遣についていろ いろ申し上げたいのですが、2点だけ指摘させていただきます。本日お出しいただいた資料の1 番の「禁止の是非について」の上2つの*について、簡単にコメントします。先ほど来2009年問 題のことがありましたが、2004年の解禁以降、企業は2009年問題を抱えてどうしようかと、い ま働いていらっしゃる方々をどういう形でつないでいこうかということが議論になっておりまし たので、雇用の不安定さがずっと2004年からあったのかというとそれは疑問で、逆だったのでは ないかという気がしております。  また、いわゆる派遣切りのところですが、これは100年に1度と形容されるように、世界全体 が大幅な需要減と、誰もが予測し得なかったことを背景にして起きたということは、改めて認識 しておく必要があると思います。ただ、さはさりながら、中途解約ということが起こって、それ とともに解雇というのは非常に遺憾だったわけで、これに関しては禁止ではなくて別途の対応が あるだろうと、かねてから申し上げています。  2番目の指摘ですが、ものづくりの現場力が落ちたため、製造業派遣の禁止ということですが、 私に言わせれば、ものづくりの現場力を今後とも深めていくためには、日本でものづくりを継続 していく。これこそが現場力を高めていく最も必要なことではないかと思っております。2002年 の景気拡大以降、工場立地については国内回帰の現象が顕著に現れてきたことが、統計でも確認 されております。いま新興国が勃興している中で、また隣国、中国、GDP世界2位に間もなくな ると思いますが、巨大な市場が起きてくるわけです。その際に、資源小国たる我が国が今後とも ものづくりの基本を我が国で行うためには、私は製造派遣を禁止したからそれだけの理由で海外 に行くということを申し上げるつもりはありませんが、こうしたことを禁止することによって、 それも企業の背中を後押しする1つの要素になり得てしまうと。これを非常に危惧しております。 ○長谷川委員 みなしなのですが、私の頭の中に、いまみなしのいくつかのパターンがあるので す。1つは違法なというか、2に書いてありますように禁止業務とか無許可とか、いわゆる偽装行 為とか、そういう所から派遣労働者を受け入れた場合に、派遣先に雇用があったとみなすという みなし規定を入れるべきだと思っています。私は罰則強化よりもこちらのほうがいいと思ってい るのです。  今日の1のところに書いてある派遣労働者の通告により、派遣元から派遣先への雇用関係の移 転をみなすというやり方と、派遣先から労働契約が申し込まれたとみなすというやり方と、派遣 先に労働契約を申し込む義務を課すというのと、派遣先に労働契約申込義務を課す民事効ありと いう4つの違いは、どういうところが違うのかをお聞きしたいのです。特に、派遣先に労働契約 申込義務を課すというのを、この義務を課して「民事効あり」と書いてありますが、義務を課し て民事効ありというのは、その労働者が派遣先との雇用関係が成立して、派遣先の労働者となる ときの民事効果は、前回も言いましたが、私は損害賠償しかないのではないかと。民事効を課す というのは損害賠償だけしかなくて、派遣先の労働者となり得るのかどうなのか、ここがよくわ からないのです。  また、1のところにある派遣先と派遣労働者間の雇用関係の成立そのものをみなすというやり 方だと、もしかしたら自動的に違法派遣があったときに雇用関係が成立したとみなされるので、 対象の労働者の意思はどうなのかという議論があるのです。そのとき、私は労働者がいやだった ら退職すればいいのだから、そこで労働者の意思が確認できるのではないかと考えているのです が、その辺はどう考えているのか教えてください。  3つについて教えてください。雇用関係の成立がみなすというのと、労働者の通告と、派遣先 から労働契約が申し込まれたとみなすというやり方、この3つはどこがどう違っているのか、少 し事務局で整理したものがあれば教えてほしいのです。 ○鈴木課長 制度の設計の仕方によってバリエーションがいくつかあるかと思いますが、典型的 なものでご説明します。いちばん上の*ですが、これは違法派遣が起こったときに、その瞬間に派 遣労働者と派遣先の間で新規の雇用契約、この内容はいろいろあろうかと思いますが、通常であ れば、ドイツ、フランス型であれば、もともと派遣元と結んでいたような契約と同内容のものが そこで新規に成立するという形です。その間に、基本的には労働者の意思は介在せずに、自動的 に成立するというものかと思います。  2つ目が、労働者の通告を契機にしておりますから、これは労働者の意思をみなしの要件とし て、もともと派遣元にあった契約が派遣先に一方当事者が移転すると。ですから、これはもとも とあった契約の残りの部分、例えば1年契約であったら、6カ月経過していたら、残りの6カ月 部分の契約が派遣元と結ばれていたものが派遣先に移転すると。ですから、これは新規に結ばれ るというよりも、もとからあったものが移っていくというものかと思います。  3番目、ポツで言うと4つ目ですが、申込み義務を課すということでやりますと、これは雇用 関係が成立するのではなく、申込みという契約締結に至る一定の行為を義務化して、これが履行 された場合に、次に派遣労働者が申込みを受諾するという行為があって、そこで初めて契約が成 立するというものです。ですから、上の2つが派遣の契約成立自体がみなされるのに対して、い ちばん下は派遣元・派遣先と派遣労働者の行為があって契約が成立するものです。  いちばん下の「民事効あり」の部分で、損害賠償しか駄目なのではないかということですが、 前回鎌田委員からもあったかと思いますが、損害賠償のみではなく、これは申込み義務というこ とですので、これの不履行については民事効ありの場合は裁判で申込みの履行を促す判決、申込 めという判決が得られ、それに対して労働者が応諾することによって契約が成立するということ です。最終的には地位確認と同じような効果は裁判で獲得できるものと考えております。 ○長谷川委員 地位確認と違うのではないですか、申込み義務だと。みなしは、上3つは地位確 認の訴訟だと思うのです。みなしは地位確認の訴訟になると思うのですが、4つ目は裁判所が派 遣先に申し込めと言うのだから、申し込むか申し込まないか、裁判所はおそらく申し込めと言う だけしかないのではないですか。地位確認ではないと思うのですが。 ○鈴木課長 地位確認ではありません。あくまでも義務の履行請求を容認すると。それの強制方 法はいくつかあろうかと思いますが、申込み義務を履行せよという判決が出るということです。 ○鎌田委員 補足なのですが、実は研究会でそれのやや細かな技術論を議論したのですが、いわ ば履行請求のあり方の問題なのです。いま課長も言いましたように、いわゆる地位確認ではない ですね。それはそのとおりなのです。ただ、履行請求のやり方においても、1つは申込みをしな さいという義務を間接強制のような形で強制するというやり方と、そもそも派遣先の申込みの意 思表示を判決において認定するというやり方もあるのです。そうすると、登記などと同じなので すが、それは判決において申込みの意思表示をしたものとしますから、労働者のほうもそれに応 じることになるわけですから、非常に地位確認に近い判断も可能ではないかと思っています。そ ういった議論が研究会の中でもありました。 ○長谷川委員 上の1〜3だと、派遣先から労働契約が申し込まれたとみなすにも、これも派遣契 約の成立をみなすとしてしまえば、この3つはどれも地位確認でできるのかなと。でも、派遣先 から労働契約が申し込まれたとみなすというのも、これだけでは地位確認にならないですよね。 例えば地位確認の訴訟をした場合に、労働審判か通常の訴訟に行った場合に、地位確認でやると すれば、1か2だと地位確認の訴訟、地位確認でということになるのではないのかなと。 ○鈴木課長 3番で、例えば申し込まれたとみなされているので、みなされた申込みに対して受 諾をして、受諾をしているのだから地位があると、それを確認するという訴訟の仕方はあるかと 思います。 ○長谷川委員 いろいろ出してもらって検討できたので、ありがとうございましたなのですが、 私はどちらかというと、そういう意味ではいちばん最初に言った派遣先・派遣労働者の雇用関係 の成立そのものをみなすという、こちらのみなしのほうが比較的わかりやすいかなと。ただ、会 社分割、労働契約承継法のときに労働者の意思はどうなのだということがいまでも残っているわ けです。だから、労働者の意思はいやだったら退職するということで、むしろかえって1番のと ころのほうが制度設計しやすいのかなと。あとは時期の話、契約の成立がいつの時期かというの と、契約内容をどういう内容にするのかという、それを法文化すれば、こちらのほうがわかりや すいのかなと思っているのですが、どうでしょうか。 ○高橋委員 今日の資料で、いみじくも3の最初の*で私の主張を、前回したことも書いていただ きましたが、違法な状態だからといって、憲法で保証されている経済活動の自由から発生する契 約自由の原則や採用の自由を無視していいのかということにはならないと、そもそも考えており ます。その上で、違法派遣の対応に関してというところで4つほど*があります。禁止業務への派 遣受入れ等の4つですが、果たして派遣先だけに責任があるのでしょうか。当然派遣元会社のほ うが、自己が雇用する労働者の方を禁止業務に派遣しているかどうか、自分の会社がそもそも無 許可・無届けなのか、あるいは期間制限を超えているか超えていないか、それは派遣元企業がい ちばんよくわかっている話ですし、こうした違法派遣が生じた場合に派遣先だけが責任を追うの でしょうか。派遣元にも相当程度の責任があると思います。そうであるならば、一刻も早い違法 状態の解消をせねばなりません。そうだとしても、今回これに関しては罰金を導入ということも 提案されておりますので、閣法でありました1番のいちばん下の*の行政勧告に加えて罰金を導入 し、さらに必要があれば企業名公表といった形で、派遣元には直ちに良質な派遣先への紹介を義 務づけるという対応こそが実態を踏まえた対応なのではないかと思います。 ○長谷川委員 これだけ抜出しにされると、このみなしだけが派遣法の中ですごくでかい話にな るだけで、全体的に見ればこの規定はそんなに主たるところではなくて、要するに不法行為です ね。不法行為というか、もともとしてはいけない禁止業務ですね。禁止業務の派遣を受け入れて しまったとか、無許可・無届けの派遣業者から受け入れてしまったとか、偽装請負の場合とここ に4つぐらい書いてありますが、おそらくこれだと思うのです。これ以上に膨れ上がることはな いわけで、こういうときにみなし規定を使うという話だと思います。本来は普通にやっていれば これには当たらないわけですので、だから普通にやっていればいいのです。普通でないそういう ことをやったときにはみなし規定を使うと。派遣先に労働者の雇用関係が成立したものとみなす ということで、あとはみなし規定の問題点の*の3つ目で、いつどのような内容で成立したのかと いうのが重要なので、ここはこの中で議論すればいいと思います。時期をいつにするのか、どう いう内容が派遣先に移転するのか、全部なのか、いままで持っている契約そのものなのか、それ とももっと違うものをするのか、そこの議論をすればいいのではないかなと思います。  次の4つ目のところで、退職の自由だけでは不十分ではないかということで、有期契約は双務 契約なので、労働者が勝手に退職できるかということですが、有期契約の場合の労働者の退職と いうのは、重大なことがあればそこは契約解除できるわけで、ある意味では使用者が移るわけで すから、そういうことに当てはまるのではないかと。したがって、ここは労働者の意思は退職す るということで、私は十分対応できるのではないかと思うので、できたら1のところで制度設計 していただければと思います。 ○清家部会長 ありがとうございました。今日は許可の諮問もありますので、今日の議論の部分 はここまでとさせていただきたいと思います。今日の3つの論点についても、まだだいぶ労使の 間ではご意見が分かれているところがあるかと思います。一方スケジュールとしては、政府とし て次期の通常国会、1月の後半に開かれるかと思いますが、通常国会での改正法案の提出を目指 していくということで、厚生労働大臣からも諮問されているということですので、我々としてそ のスケジュールに合わせるためには、できるだけ年末までに部会としての取りまとめを行う必要 があると思います。もちろん私どもとしても十分な議論の時間を取りたいと思っておりますので、 これはあくまでもいまのスケジュールでいくとそうなるということです。  そのために、できれば次回以降は本日までの委員の皆様の意見を踏まえて、いずれにしても取 りまとめはしなければいけませんので、取りまとめに向けた議論を行っていきたいと考えており ますので、その点をご理解いただいた上でまた次回以降議論を続けたいと思いますが、よろしい でしょうか。 (異議なし) ○清家部会長 ありがとうございました。そのようにさせていただきます。  少し時間が押してしまいましたが、次に「一般労働者派遣事業の許可」の諮問に移りたいと思 いますので、冒頭に申し上げましたように、傍聴されている方につきましてはここでご退席をお 願いします。また、森山職業安定局長、山田職業安定局次長につきましてもここでご退席をされ ますので、よろしくお願いします。           (傍聴者・局長・次長退席) ○清家部会長 事務局から何かございますか。 ○大塚補佐 次回の部会につきましては日程調整中でございますので、追って事務局より連絡さ せていただきます。 ○清家部会長 それでは、そのようにさせていただきます。  以上をもちまして、第139回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名委員は、使用 者代表は秋山委員、労働者代表は小山委員にお願いします。どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)