09/11/25 第152回中央社会保険医療協議会総会議事録 09/11/25 中央社会保険医療協議会          第152回総会議事録 (1)日時  平成21年11月25日(水)9:00〜10:15 (2)場所  全国都市会館 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 森田朗委員       小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員 北村光一委員          高橋健二委員(代理 清水) 伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       北村善明専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員       <事務局>       外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 平成22年度診療報酬改定について       ○ その他 (5)議事内容 ○遠藤会長  それでは、委員の皆様おそろいでありますので、ただいまから第152回中央社会保険医 療協議会総会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況でございますが、本日は藤原専門委員が御欠席との報告を受けて おります。また、高橋委員の代理で、全日本海員組合の清水保さんがお見えになっておら れます。  それでは、議事に入ります。  まず、「平成22年度診療報酬改定について」を議題といたします。1号側、2号側委員 連名で、それぞれ診療報酬の改定に関する意見書が私あてに提出されておりますので、そ の説明をお願いしたいと思います。  それでは、1号側委員より資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いしま す。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  それでは、私から1号側の診療報酬改定に関する基本的な考え方を発表させていただき ます。短い文章ですので、読み上げることで発表に代えさせていただきます。1号側委員7 名の合意の文書でございます。  1段落目です。  我が国は、近年、急速な人口の高齢化、疾病構造の変化、医療ニーズの高度化等により、 医療費は増高傾向にあり、国民皆保険体制の維持と医療保険制度の安定的な運営の確保が 極めて重要な課題となっている。社会経済情勢をみると、景気や雇用情勢の未曾有の悪化 により失業率は過去最悪の水準で推移し、賃金、物価も低下するなど、国民生活は非常に 厳しい状況にある。こうした状況は保険料収入の減少をもたらし、また、高齢者医療制度 の支援金・納付金の過重な負担と相まって、保険運営の財政基盤にも深刻な打撃を及ぼし ている。  このような社会経済情勢や国民負担、さらにはいまだかつてない厳しい状況にある保険 者財政等を踏まえれば、平成22年度診療報酬改定においては、保険料引き上げに直結する ような診療報酬の引上げを行う環境にはないと言わざるを得ない。医療保険制度、ひいて は国民皆保険制度を安定的に堅持していくという視点で捉えれば、さらなる患者負担や保 険料負担は極めて厳しく、財源確保、負担の在り方なども含め、国民に理解、納得が得ら れるような対応が求められる。  他方、病院勤務医や看護師などが置かれている状況や医療提供体制の地域間・診療科間 の偏在など、医療現場の厳しい実態に鑑みると、必要度の高い医療に対しては大胆かつ重 点的な評価を行う一方、限られた財源を効率的かつ効果的に配分するよう見直していくこ とが不可欠である。  具体的には、産科・小児科・救急等急性期を中心とした医療には、制度・予算上の措置 との役割分担を明確にした上で、診療報酬上においても財源を重点的に配分し、勤務医等 の負担軽減に確実につながる評価を行うほか、在宅医療の充実等、地域における医療連携 体制の強化等を評価すべきである。また、患者の視点に立って、医療の効率化を推進して いくとともに、再診料の統一を含めた病院・診療所の格差是正、包括払いの推進、後発医 薬品のさらなる使用促進等を図るべきである。このほか、イノベーションの評価も考慮し た薬価及び医療材料の価格の適正化等も図っていく必要がある。  さらに、改定に当たっては、診療報酬改定結果検証部会や調査専門組織の報告書、医療 経済実態調査等の結果を考慮に入れるとともに、患者の視点、納得性の観点から、診療報 酬体系の簡素・合理化、医療保険実務のIT化等も推進すべきである。なお、個別項目に ついては、今後の審議の進捗状況も踏まえ、改めて意見を提示することとしたい。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、2号側の資料の説明をお願いしたいと思います。  西澤委員、お願いいたします。 ○西澤委員  それでは、私が2号側の意見を申し上げたいと思います。2号側は7名で検討いたしま して、スムーズに合意に至りましたので、発表させていただきます。 平成22年度診療報酬改定に対する診療側委員の意見  政府による継続的な社会保障費の抑制策により、診療報酬は平成14年度から平成20年度 まで4回連続でマイナス改定を強いられた。  その中で、平成20年度改定は医師確保対策として病院勤務医の負担軽減策などを「緊急 課題」と位置付け、重点評価されたが、2,200億円抑制する方針(「経済財政運営の基本 方針」(骨太方針)が撤回されなかったために引き上げ財源はわずかなものとなり、その 結果、診療所の財源から削った分を病院に移譲するという異例の事態となった。  しかし、この対応は緊急課題の解消には十分とは言えないものであり、また、勤務医対 策もごく一部の急性期大病院にのみ資源配分がなされ、地域の救急医療・二次医療を担う 地域中核病院、地方の医療の根幹を支える民間病院およびその勤務医に対しては、救済の 手が差し伸べられず、病院はもちろん、地域医療を支える診療所、歯科診療所、薬局の経 営もさらに厳しい状況にある。  国民・患者が望む安心・安全で良質な医療を安定的に提供していくことは、医療提供者 の重大な責務である。今日の医療崩壊の主たる原因が上記のマイナス改定にあることは衆 目の一致するところである。これを改善し、医療再生を図るためには、根拠に基づいた適 切な技術評価を反映した診療報酬改定が必要である。  国民の生命および健康を守るために、平成22年診療報酬改定に当たっては、過去のマイ ナス改定を回復し、病院の入院基本料を初めとする診療報酬の大幅な引上げによる医療費 全体の底上げを強く求めるものである。 以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  次に、医療経済実態調査に関連しまして、事務局から資料が出されておりますので、説 明をお願いします。 ○渡辺保険医療企画調査室長  保険医療企画調査室長でございます。お手元の中医協総−1の資料でございますが、前 回の総会の際に勝村委員から、一般診療所の開設者別の回答状況というお求めがありまし たので、まとめさせていただいたものです。  そこにございますとおり、個人39.5%、医療法人49.1%、その他56.8%ということでご ざいます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、ただいま御説明のありました資料等を踏まえまして、御意見を承りたいと思 いますので、御自由にどうぞ。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  おまとめいただいたのが白川委員のところだから、白川委員にお尋ねしたらいいのかと 思うんですけれども、我々は、この意見書にも書かせていただきましたとおり、今日の医 療崩壊というのは、引き続いた診療報酬のマイナス改定が原因の大きな一つだろうという ふうに理解をしております。特に診療報酬本体についても、2回にわたって大幅に引き下 げて、前回わずかにプラスにはしましたけれども、これで足りてないことは当初から分か っていた。  そして、その後のメディアスでも分かっているというふうに思いますが、医療崩壊の主 たる原因の一つがこういうマイナス改定の連続によって起こったのだということについて は、支払い側の皆樣方はどういうふうに理解しておられるか、我々は「衆目の一致すると ころだ」と書いたんですが、支払い側の皆様方は「衆目」の中には入られないということ なのかどうか、それをまず基本的な根本的な理解の在り方としてお伺いしたいと思います。 ○遠藤会長  それでは、白川委員、よろしいですか。 ○白川委員  はい。 ○遠藤会長  では、白川委員、どうぞ。 ○白川委員  安達委員の御質問は医療費本体のお話だというふうに理解いたしますけれども、私ども が一方で考えなければいけないのは、いわゆる自然増が毎年3%台あるということですの で、それを考慮して診療報酬の引き上げ、引き下げを考慮しなければいけないという認識 でございます。  答えになっているかどうかわかりませんが、そのことで診療報酬の本体の引き下げが2 回にわたって行われたということが、今回、診療側が主張しております医療崩壊というこ とに直接的に結びついたという認識はありません。ただ、重点的な資源配分について制約 があった、あるいは、結果として十分に反映されなかったと、資源配分が重点的なところ に十分に配分されてなかったという認識は持っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  ちょっと残念な言葉をいろいろ伺ったように思うんですけれども、重点的に配分しない といけないところがあるというところでは、少なくとも我々と同様の認識をしていただい ているんだということで、それを内部のつけ替えだけで済む話なのかどうかということに ついては、我々は、後でTKCのデータも簡単に御説明させていただきますけれども、疑 問を持っているということが1つでありまして、こういう結論にならざるを得ないのが、 前段にお書きになったような、いわゆる健康保険組合等々の財政運用の逼迫というのがあ ると。それは我々も重々承知をしております。  つまり、中医協が我々請求側と1号、お支払いいただく側と両方でやっている意味は基 本的にそこにあるわけで、政権をとられた後のまだ内閣が決まる前の党の枢要のポストに おられる方が、そんなところで闇取引をやっているみたいなことをどこかでおっしゃった ということも仄聞いたしますけれども、これは大変な誤解だろうと思います。公開でやっ ておりますし、両方がいる意味は、どちらが成り立たなくても皆保険制度は壊れるからで ございまして、そこのところの認識としては、両方でやることは正しい。  そうすると健康保険組合の財政運用の逼迫ということがあるから引き上げられない環境 にあるという制約がある中で言えば、重点配分をしなければならないところはあるけれど も、それは全体を上げずに内部配分でやれと、そういうお考えになっているというふうに 私は理解いたしましたが、本来であれば、全体を引き上げておいて、その上で健康保険組 合のほうの財政的逼迫があるのであれば、それは国策的にそれを補完するというふうな要 求になるのが正しいのではないのかなと、そう思いますけれども、いかがでしょうか。 ○遠藤会長  1号側の方でどなたでも結構ですけれども、御意見がおありになればお答えください。 特になければ。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  私どもの意見書で書いておりますのは、確かに保険者の財政が逼迫しているということ も一つですけれども、国民生活が逼迫している中で患者負担もふえるということになりま すし、保険料の引き上げということになりますと、その負担もふえます。そういう認識で おりまして、単に保険者財政云々という話だけではございません。今、安達委員がおっし ゃるとおり、政府の財政援助を仰げばという御指摘もございましたけれども、それは私ど もも保険財政の悪化についてもいろいろな手立てで、お願いすべきところはお願いをした り、あるいは、加入者に御負担願わなければいけないところは御負担願ったりという努力 はしております。しかし、健保組合で言えば過去最大の赤字になるという状況でございま して、それも私どもの主張の大きな立脚点ということにはなっております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  重ねて最後に申し上げますが、保険料の値上げをしなくても、政策的な財政投入があれ ばいい話ではないかということを私は申し上げたわけでございまして。この間、保険組合 の財政が、後期高齢者制度の出発に伴って、後期高齢者医療制度の支援金しか、ここに書 いてないですけど、本当はこれに伴って改変された前期高齢者の調整金のほうの負担も大 変大きいんだろうというふうに思っておりますし、そういうことで、協会健保へ変わって いかれる組合もある。  そこのところが、国家の方針として、今回の政権交代が医療を充実させると、先進国並 みの水準に上げるということを公約されたということの中には、単純に診療報酬の医療費 を上げるということだけではなくて、当然それを運用していく健康保険組合の財政体制に 対する補強・補完ということも含むのでなければ、政権公約とは言えないわけでございま すから、当然含んでいるというふうな理解で一致するということが必要なのではないかと 私は思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  1号側の意見で一つお聞きしたいんですけれども、4つ目の○、「具体的には」と書い てあるところは評価すべきだと、診療報酬を上げるべきだというのを列記していると思い ます。ここのところだけでかなりのことを評価してくださっているのはありがたいんです が、ここの項目をすべて評価するためにはどれぐらい医療費を上げればいいか。ほかの下 げるところは後で聞きますが、ここの部分だけでどの程度の診療報酬アップだと、そちら の要望どおりの提供体制になるのか、その数字をちょっとお聞かせ願いたいと思います。 ○遠藤会長  数字というお話ですけれども、どこまでお答えできるかですが。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  数字的な検討はもちろんしておりません。私どもはそういうデータもまだいただいてお りませんし、御質問されても何パーセント必要だというふうには今お答えできない状況で す。ただ、方向としてはこういう方向を目指すべきだという私どもの主張でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  わかりました。先日の医療部会である委員の方がおっしゃったと思いますが、ここを評 価すべきと書くと国民は期待すると。片方では、国民の負担を含めた覚悟とかそういうも のも同時に出さなければならないということを一人の委員の方がおっしゃっておりました。 それなしでは国民は、このようにすべてよくなるんだと思うだけで、自分たちが負担とか 責任をその分負わなければならないということをメッセージで出さなければ片手落ちで、 国民は期待だけ持ってしまうということですので、このようなことを申し上げるのであれ ば、必ずそこには国民の方にもそれなりの負担をしていただく、はっきり言えば診療報酬 はこれだけ上がるのでその分の応分の負担はしていただくということも同時に、1号側と してもメッセージを出すべきではないかと私はそのように思います。 ○遠藤会長  ただいまの西澤委員のコメントに対して何かありますか。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  すみません、私ばかりの発言で恐縮でございますが、安達委員と西澤委員の御発言に対 して、若干反論させていただきたいと思います。  確かに民主党政権になって診療報酬についてもマニフェストに言及があるのは理解をし ております。ただ、民主党政権は国民の視点とか生活者を大切にしたいんだというふうな 政策目標をお持ちだと伺っておりますので、私どもは医療は国民生活にとって非常に重要 なものだと認識しておりますけれども、医療以外の生活も皆さんあるわけですので、そち らの所得が減ったり、失業率が高まったり、そういう状況の中で医療の分野だけ負担をふ やすということは、我々支払側としては違うのではないかという趣旨で、この意見書をま とめております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  白川委員の意見にほとんど同じなんですけれども、私、産業界を見ておりまして、現時 点での産業界、国民の皆様、あるいは従業員の方々、今は生活が大変でございます。もち ろん経済の状況も。ここで議論させていただいていますので、医療に携わる関係の御苦労 が大変なこともよく分かります。ですから、これから改定についていろいろ議論をさせて いただきながら、日本の国、経済社会の中で医療の世界だけが突出するとか、ひとつ独立 するというわけにはいかないと思いますので、全体を考えながらこれから議論をさせてい ただきたい。そういう時の気持としてこういう気持を我々は持っていますよということを 申し上げさせていただきました。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、先ほど来手を挙げおられます嘉山委員、どうぞ。  それでは、鈴木委員、どうぞ ○鈴木委員  1号側の委員のお話を聞いていますと、前回までの改定の時の意見と変わらないような 気がするんですが、なぜ今回政権交代が起きたのか。日本の社会の在り方を変えていこう ということだと思うんです。確かに経済的に今厳しい状況にありますが、だからこそ医療 や介護や教育や転職支援みたいな社会のセーフティネットを確立させて、社会の安定を図 って、今、混乱した、格差の広がった社会から、そういうセーフティネットを確立した上 での経済上の競争、そういった社会に変えていこうという大きな過渡期にあると思います。  ですから、厳しい経済状況は承知の上ですが、我々、上げてくれというよりも、過去に 下げられて医療崩壊に至っている、その部分を回復してほしいということを言っているわ けです。あるデータによりますと、我々の経営状況は、1981年を100とすると、今は30 年前に比べても97〜98というような指標が出ているようでありまして、経営努力によって 成り立っている状況であります。他の産業と違うところは人件費を抑制しにくい。我々民間 は特に公立に比べて人件費をかなり抑え、経営努力をしてやっておりますので、そういった ものに対する合理化とか人件費の抑制というのはなかなかしにくい分野でありますので、ぜ ひセーフティネットを確立して、これからの新しい社会をつくっていくという観点で考えて いただきたい。介護は一部、介護報酬の引き上げにより雇用情勢の改善等もあって、介護分 野においては一息ついたようですが、ぜひ医療分野もそういった形で、引き上げによって社 会のセーフティネットとしての役割が果たせるように、診療側の委員の御理解を賜りたいと 考えております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  物価というのは何となく社会、世論の方々は理解しやすいと思うんですが、健康という のは物価とはジャンルが全く違うと私は思います。例えば世の中が不景気になっても必要 なものは必要だと思います。社会保障費が上がったら国が滅びるというのは1980年代に出 ましたけれども、実はスウェーデンとかオランダというところは、経済も世界で3位、4 位、5位です、そういうところでも社会保障費がすごく高いんですね。ですから、これは お国がやることで、我々が決めることではないんですけれども、支払い側の方々が、今、 収入が少ないというのは十分分かりますけれども、物価等の点で言いますと、1981年を同 じように物価と医療費を100としますと、1996年は医療費は107までしか上がってないん で すね。その時の物価は160です。  もしもそういうお考えでずっといらっしゃるんであれば、2000年前後ですけれども、物 価が1.6倍になっている時に医療費は1.1倍しか上がっていない。その時に上げているかと いうと、そういう論理は使っていません。現在でも物価はもちろん下がっていますが、一 昨年、08年ですけれども、医療費は97まで下がっているんですよ。97というのは1981年 と 比べてです。ところが、物価は、1981年の100と比べて142になっておりますので、数字 の 上でも今までは物価とパラレルではなかったということが1つですね。  それから、先ほどもお話しましたように、社会の中で物価が下がっていても必要なもの は経済、需要も生むし、内需も生むと思うので、この前の参考人の薬業界のお話にもござ いましたように、ここをきちっとしておけば。今まで減らされてきていたので、健全化す るという意味で、金額にしますと、次回金曜日に数字をお話しますが、大体4,000億円か ら6,000億円ないと医療崩壊は防げません。患者さんの立場に立って、世界各国でやられ ている普通の医療をやるために大体4,000億円から6,000億円が必要だというふうにつけ 加 えさせていただきます。  それは資料として出させていただきますが、それが、この4年間2,200億円ずつ削れて きても、2年前に戻るだけなんですね。そのぐらいのことをしないと国民の医療は守れま せん。私たちが一番ほしがっているのは、我々の給料ではなくて、人です。余りにも職場 環境が厳しすぎるので、それを防ぐためにも、雇用が増大しますので、2年前に戻るくら いの金額は必要だというふうに考えております。  以上です。 ○遠藤会長  小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  背景については、ここの基本的な考え方の1段目、2段目に書いてございますが、経済 情勢、国民経済の非常な疲弊、こういった中で私どもとしても財政運営を考えていかなけ ればいけないということでございます。協会けんぽについて申し上げますと、中小企業の 加入者の健康保険でありまして、現行の平均保険料率が8.2%ですが、どんどん給料が引 き下がって、したがって保険料収入が非常に減っているということで、今の状況で行きま すと、22年度の保険料率というのは9.9%、健康保険法の上限の10%にほぼはりつかざる を得ない。今の国庫補助は暫定で引き下げられた13%ですが、さっき安達委員からお話が ありましたように、これを本則に戻していただきたい、本則16.4%から20%ということで、 そういった要望もしております。  そういったいろんなことをやりながら、財政運営の安定を考えていかなければいけない ということでやっておりまして、診療報酬というのはニュートラルで考えております。診 療報酬が改定になりますと、これがさらに上がるといった状況もございますので、その中 で医療をどういうふうに考えていかなければいけないのか、あるいは国民皆保険をどうや って維持していかなければいけないのか、そういうことを考えていくためには、今の状況 では重点的にメリハリつけた配分をしていかなければいけないのではないかと、基本的な 考えを申し上げさせていただいたということでございます。 ○遠藤会長  それでは、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  1号側の意見もよくわかりますし。ちょっと我々の意見を言わせていただきますと、こ の前、4回のマイナス改定でトータルしますと大体7〜8%マイナスになっております。 これが今の日本の医療を非常に窮屈にし、かつ、地方なんかでは崩壊と言われているよう な現象、あるいは、ある一部の診療科は、これはまた別の原因もありますけれども、マイ ナス改定が大きな原因であったということは皆さんもおわかりだろうと思うんですね。  ただ、田舎のお年寄りなんかは国保3割とかで、お薬代が高いとか窓口でいろいろ言っ ているのも、私、現場におりますので、よくわかります。中医協は、今回、意見を両方が 出したというのを、お互いの立場もありますけれども、公費ということ、先ほど2号側か ら何人かの方がおっしゃっていますが、公費も含めての医療費アップということで歩み寄 って、中医協としての意見を具申すると、国に対してお願いすると、そういうふうな意見 ではどうでしょうか。 ○遠藤会長  「どうでしょうか」ということですから、御質問ということでありますね。もし今のコ メントに対して何かお考えがあれば、1号側から御意見を承りたいと思いますけれども、 急な質問でありますので……。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  公費投入を要求するという意味でございますか。 ○邉見委員  中医協は診療報酬の改定率を変える権利はないけれども、そういうふうな要望はできる というふうに会長先生はおっしゃいましたので、そういうような方向で1号、2号が合意 できるということであれば、今の健康保険、あるいは、支払い側の経済状態では診療報酬 のみでは無理だと、できれば中立的ぐらいだというのであれば、そういうふうな国の施策 も含めて診療報酬のアップをというふうにですね、であれば合意ができるのではないかと いうふうな提案なんですけれども。急に言って失礼しました。 ○遠藤会長  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  私どもは、再三申し上げているとおり、保険者の財政は必要であれば国にも補助を要請 するということで今も動いておりますけれども、一方で、これも申し上げているとおり、 患者負担という問題がございますので、その負担増は、患者と言いますか、我々にとって みれば加入者にお願いする状況にないという認識でございますので。前半部分は、邉見委 員のおっしゃるとおりかもしれませんが、後半部分はちょっとそれでは解決はつかないの かなというふうに思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  白川委員が今おっしゃった患者負担の話、その前に今現在の経済状況がという御意見を 頂戴しましたけれども、それについては、先ほどから我々申し上げてますとおり、平成14 年からのマイナス改定の影響の回復ということが必要だということを申し上げているので、 現在の経済状況だけで判断するというのはつらいものがあるということが一つでございま す。  それから、患者負担の、今、白川委員がおっしゃいましたことは大変大事だろう、それ はまさしく現在の経済状況の中での医療にかかる自己負担の話ですので、そう思いますけ れども、先日、山井政務官が同じことをおっしゃいました、「診療報酬を上げると患者さ んの自己負担がふえるんですよね」と。私は以前から民主党の皆様方とはしょっちゅう議 論をさせていただいて、申し上げているんですけれども、政務官には「残念なお言葉をお 伺いしました」とお答えをいたしました。  そもそも世界の保険機構の中で自己負担が3割というのは本当に保険の体をなしている のかという議論は以前からずっとあるわけで、本当は自己負担2割へ戻すということが正 しいのではないですかと。そのための財政負担については、当然、国庫の出動が必要でし ょうということであって、医療崩壊を防ぐためには診療報酬は上げなければいけない部分 がある。それ全部ではないけれども、それを上げないとだめな部分が確実にある。だけど、 それが患者さんの自己負担であったり健保組合の財政状況であったりで上げられないとい うことだったら、結局それは堂々巡りでどこへ結論を持っていけばいいかという話であり ますから。  そうではなくて、国策を変えるということなら、そういうことも含めて検討されるべき 話で、診療報酬を上げて3割自己負担で、患者の負担が上がるという話は、積年の課題で ある3割を2割へ戻すということの議論とセットにして議論していただくべきではないの でしょうかということを政務官に申し上げましたし、それが政権交代の意味ではございま せんかということも申し上げました。  あわせて言いますと、この10年間で日本の国債の発行高は257兆円ぐらいに多分なると 思います。そのうち、社会保障費の増加はわずか7兆円でございます。社会保障費の伸び が日本の国債の赤字発行高をふやしているとはとても言えない、大きな間違った考え方だ ろうというふうに思います。そういうところの政策を転換する、国の財政を見直す、組み 換えると、そうおっしゃったのが、この政権交代の本幹でありますから、そういうところ をしっかりやっていただいた上で、患者負担等々の議論も一緒にあわせてするべきなので はないかと、そういう私は思います。 ○遠藤会長  御意見ということでありますが。  それでは、渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  ただいまの安達委員の患者負担、そして、今話題になっております組合サイドとしての 加入者の負担増というお話でございますが、健保料はちょっと置きましても、現場での診 療にかかった時の3割負担というのは、あの3割が導入された時に診療側は一生懸命その 反対の、患者負担がふえれば早期に診療を受けて、早く発見して早く治療するとかえって 医療費が安くなるんですよという話の中で、強く反対運動をしてまいりましたけれども、 結局、医療費抑えのためでしょうか、3割が導入されてしまいまして、非常に残念なこと なので、今この中医協の場でどうこうということではなく、今後ともこの問題は私たちは きちっと提示して、国民の皆様方にも訴えていかなければいけないだろうと、歯科界とし ても常にそういうことを考えております。  それで、本日の医療側、診療側の代表の意見の中で追加を申し上げますと、改定のこと がお話されておりますけれども、5回の改定、7.8%ぐらいでしょうか、マイナスになっ ていましたね。しかし、歯科の場合にはそれの倍近い、診療報酬の収入は15%ほど下がっ ています。これは18日の中医協の実態調査で分析を示したとおりであります。さらに、平 成元年まで20年さかのぼってみたらどうかと申しますと、収支差額で申しますと、この間 に68%まで下がっている、31%ダウンしている状態で、大変厳しい経営状態の中で、経営 努力はしているんですが、患者さんに新しい技術を提供するというのが、そのための新し い機械、新しく開発された機械等を導入するというのが非常に困難な状態の中で、何とか 患者さんに良質な医療を提供しようということでやっておりますけれども、そういう状況 もございますので、2号側委員としてまとめたこの方法を御了承いただきたいというのが 私たちの希望でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  今日は1号側と2号側の意見をお聞きするということで、公益としては発言は控えよう かなと思っていたのですが、今、意見交換の中でお話したほうがいいかと思うことが出て きましたので、発言させていただきます。  最近、財務省も診療報酬の引き上げをしないというか、方針を出したようですけれども、 財務省は財務省で一つの考え方というか、財政というスタンスで主張しているので、それ はそれでわかると思います。私は財政学が専門なものですから、お話をするのですが、財 政的制約というのは重要だと思います。ただ、私は財政学をやりながらも社会保障、医療 とかその他非常に重要だと思っていますので、財政制約の中でも最善の医療をどうしたら いいかというふうに考えていく。それがここで行われているわけです。ただ、財政の状況 を無視することはできない。  そうした時に、今日の議論で、例えば診療報酬の引き上げだけでなく、公費の要求もし ましょうという話が出てきましたが、確かに医療の面でそれはけっこうなことだと思いま すけれども、その時に公費というのは別にどこに財源があるわけではない。そうした時に 社会保険料を引き上げないとするならば、当然税にいくだろう。租税をもし引き上げない とすると、他の予算項目から回してこなければならない。したがって、この議論をする時 にはそこまでの負担とか、あるいは、他の資源をこっちへ持ってくるということまで頭に 置いて議論しないと、単に要求するだけでは財務省に勝てないと言いますか、財政の状況 はこういう状況なんですから。  それで、増税という形で負担の増加を求めるならば、当然、国民は、先ほど議論が出ま したように、一方で痛みを感ずるだろう。それがありながらも医療というのは重要である と、その辺で話をしていかなければいけないだろうと思うのです。この辺は、両者、今、 意見交換が行われておりますけれども、私としては単に公費という話だけではなくて、財 源としてそこに当然負担がいくんだと。あるいは、お話があったように、予算項目の組み 換えとか、そういうこともあるんだと、それを頭に置いて議論していただきたい。安易に 公費、公費というような形でしてほしくない。財政に携わる者としてはそこに念を押して いただきたいというふうに希望いたします。 ○邉見委員  ちょっと関連で。 ○遠藤会長  関連で、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  私が公費ということを申し上げたので、ちょっとつけ加えさせていただきますと、今の 病院医療、地域医療の崩壊というのは、本当にぎりぎりでとどまっているような気がする んですね。ここで何かしなくては恐らく戻らないだろうと、戻るのにかなり長くかかるだ ろうと思いますので、私もいろんなことを考えて、唐突というか、笑われるかもわかりま せんが、例えば医療宝くじとか、医療トトカルチョ、何でもいいですから、なりふり構わ ずに医療費の財源を国民も考えるような分かりやすいものですね、消費税とかそういう税 だけでなく、道路宝くじとか過去にいっぱいあったわけですね、そういうことも含めて考 えるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  では、嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  公益代表としての今の牛丸委員の御意見ですが、お金で買えない安心がお金を生むこと は幾らでもあるんですよ。財政で全部押し切ってきたので、こういうふうな医療の崩壊が 起きたということを、財政学者としてはやはり今まで何度も、僕も本を読みましたけれど も、健康を得た時の安心感というのはお金だけではないと思うので、財政のことも考えて ほしいというよりは、ものにというよりは、表面上の計算でいけばマイナスかもしれない けれども、あるところでは一見赤字のように見えても、それによって得られる安心感、国 民の安定性ということでは、かえって財政的には上回るという予測を財政学者がしてこな かったから、こういうふうになったのではないかと私は思うんですが。  財政学者の御専門の方にそういうことを聞いて失礼かもしれませんが、私自身、現場に いるのでそういう感じがしているんですよ。私たちはお金で医療をやってきません、やっ てきてないです、お金では。ただし、CTもMRIもお薬も、医は仁術でなくて、ただで くれるわけではないんですよ。我々は経済の中にいるのでそういうところにはお金を払わ なければいけないんですね。ですから、財政学だけですべて社会保障のことを語るととん でもないことになるのではないかなと思うんですが。 ○牛丸委員  ちょっと誤解があるようで。私、財政学が専門ですけれども、いわゆる財政学をやって いるだけの人間とは違うというふうに理解していただきたい。先ほども申し上げましたよ うに、医療を含めまして社会保障の重要性は十分心得ております。今、先生おっしゃった ように、お金では買えないものの重要性も理解しております。だからこそお金を使わなけ ればならない。しかし、現実には使うお金というのはどこかから持ってこなければならな いわけです。それをいかに納得していただくかと、こういうことまで出さなければいけな いということなんです。  これだけのお金しかないからやめますよという話ではなくて、こういう重要性があるな らば、何らかの形で負担を求めるとか、あるいは、それをやらないと出てきませんよと。 財政のサイドからポンポンときますから、そういうことを申し上げているのです。 ○嘉山委員  はい、わかりました。ただ、先ほど物価とのあれをお話しましたけれども、財政で言え ば、81年からこれはマイナスなんですよ。ですから、お金がないわけではなくて、健全化 するという意味で、私としては、さっき4,000億円から5,000億円という話をしましたけれ ども、それは需要があるんですから、幾ら財政学に云々といっても、それを一緒のジャン ルにしてしまうのはおかしいのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。 ○牛丸委員  私、公益ですから、あまりいろいろ言ってはいけないようなので、公益でありながら、 個人的意見を申し上げすぎたようですので、この辺で。 ○遠藤会長  では、安達委員、どうぞ。 ○安達委員  私も公費と申し上げましたので。決してそんな安易つもりで申し上げたつもりはござい ません。1つは、先ほどの社会保障費と国債発行額のお話をさせていただきました。それ から、特に前政権において財政的見地が非常に強かったわけで、医療費、社会保障費とい うのは単なる国家の経費としての議論が非常に強かったと。そこに政権交代の意味がある のではないか。国家の財政を見直して組み換えるとおっしゃっているんですから、それを しっかりやっていただきたい。やる理由はあるだろうと。厚生労働白書ですら、昨年度版 は初めて医療・社会保障の経済波及効果も出されましたし、雇用促進効果も出されました。 非常に高いものであることは事実であります。  加えて、医療が健康を回復することによって社会的生産力の回復になると。それに対す る社会経済への寄与というのも一定の分野では既に計算方式は成り立っております。そう いう意味で、外需依存型の日本経済機構が今大きな分岐点にきている中で、改めて積年の 課題であった内需拡大ということのツールとしても、ここへの国家予算の投下というのは 重要な意味があるのではないか、そういうことも全部踏まえて公費ということを申し上げ ておりますので、金がなければ国の税金を持ってくればいいと、そんな単純な発想で申し 上げたわけではございません。 ○遠藤会長  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  財政学者の方にもいろいろいらっしゃると思うんですけれども、例えば神野先生みたい な方は社会保障はもっと充実すべきだというようなことをおっしゃっていますし、保険料 率に関しても、我が国の保険料は、私も経営者ですから保険料率が上がってもらうと困る 部分はあるんですが、我が国の保険料率はまだまだ、社会保険方式をとっているドイツ、 フランスとかと比べて低いのではないでしょうか。フランスは特に企業側の負担の割合が 高いし、ドイツも確か合わせて労使で14.9%、企業側で7%ですか。ですから、我が国の 保険医療負担はまだまだ低い。決して世界的に見て高くないと。ただし、法人税率が高い ので、そういったものはありますが、保険料率としてはまだ決して高い部類には入らない というふうに考えております。  また、公費ということですが、具体的な財源はと言われると、こんなことを言っていい のかどうかわかりませんけれども、たばこ税等が検討されていますけれども、そういうの は国民にも非常に分かりやすい財源ではないのかなというふうに考えております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  では、伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤委員  私も、再三申し上げておりますが、私ども、実例で申しますと、小さな町でありますが、 440床の病院を持っておりまして、大変な赤字を出しております。もちろん市からの繰入 もいたしておりますけれども、はっきり申し上げますと、近隣の市町村からは一切の応援 はないわけでありまして、結局持ち出しているというのが現状であります。多分どこの町 もそういう形だと思っております。  支払い側としましても、経済情勢はこういう厳しい情勢があるということは、2号側の 先生方にもお分かりいただけるかと思っておりますが、公的な資金というのか、いわゆる 地方交付税の中でも救急を担っていただけるところ、そしてまた、これは公民問わずだと 思っておりますけれども、そういうところにいわゆる安全性を保つために大変な会議をさ れたりとか、これはバックヤードの場面で、診療の表には出てこない場面を、ここまでを 診療報酬でみるというのは難しい問題がたくさんあると思います。また、先進医療をやっ ていただけるところは当然違う形の応援があってしかるべきではなかろうかなというぐあ いに思っております。  これは、公的資金ということでいくならば、私は地方交付税の中で、地域の中のある一 定のところは医療のほうに公的な医療に携わる、公民問わず、そういうところへ交付税か らのある程度の措置が必要ではなかろうかなと。決して病院が立地しているところだけで やるわけではなく、まさに地域の医療を担っているわけでありますので、地域からの応援 という形のものを、どこかでだれかが旗を振らなければいけないと思っておりますが、総 務省あたりがしっかりと地方交付税の分担金の中でやっていかれるのが普通の話ではない かなと思っております。これは余裕というよりも、税金の振り分け方の大きな場面であり まして、ここは中医協で、診療報酬のお話でありますので、ここで医療の全部をというの は今の情勢の中では無理があるという気はいたしております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  1号側で何か御意見ありますか。2号側がいろいろと御意見を述べておられるようです けれども。今ないのであれば、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今の伊藤委員の意見は全く賛成です。だから、そちらの検討を早くしてくだされば、こ こでも議論が変わると思いますが、残念ながら今はそちらのほうの補助とかいろんなもの がありませんので、私たちの収入としてはこの診療報酬しかないわけですから、とりあえ ず今を生き延びると言いましょうか、国民に対して責任を持つということでは、診療報酬 で今回はきちっと議論しなければならない。同時に、早く伊藤委員の言うようなことを片 方でしていただければこちらの議論も変わると思うので、ぜひ伊藤委員が旗を振って、よ ろしくお願いしたいと思います。 ○遠藤会長  では、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  ちょっと観点が違うかもしれないんですけれども、18年改定、20年改定といろいろ議論 あったのを一言で言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、私としては、当時から救 急とか周産期、ハイリスク、地域医療、そういうところに重点的にシフトしていくという 感じが、ダイナミックなものにしていく必要があるのではないかということをお願いして きたんだけれども、どちらかというと2号側の皆さんからは広く浅くというか、同じよう に大きくしていくんだという形のほうが強かったと僕は思っているんです。  前にもお話させていただきましたけれども、例えばデコボコがある形のものが、今も医 学生なんかと時々話をすると、皆さんのほうがよく医学生とはおつき合いをされているで しょうけれども、皮膚科の診療所に行きたいとか、お産をせずに婦人科のクリニックを開 業したいとか、そういう方向にいっているような面も確かにあるわけで、僕としては医療 崩壊とかなくしていくために、そういうところにデコボコの形をそのまま相似形で大きく するとデコボコの格差が拡大してしまうので、メリハリをつけるという部分をお願いした いなと思ってきていた経緯があります。  その中で、今回の意見で、これも短い文章なのでどういうことか分からないですけれど も、全体の底上げというと広く浅く、何となく全体が大きくなれば、今しんどいところ、 今大変なところも楽になるという発想よりは、全体が大きくなればなれるに越したことは ないんですけれども、ダイナミックに同じように比例的に大きくするのではなくて、今、 特に例えば医学生たちが本当は必要なのにあまりなろうとしてくれないところにもっと価 値を置いていくんだというような、そういう御意見ではなしに、これを広く浅く同じよう に比例配分していくために必要なんだということなんでしょうか。今、本当に大事な救急 とかハイリスクというところにたくさんお金を入れてシフトしても、それでも足らないん だという御主張なのか。全体的に全部、皮膚科の開業であれ、眼科の開業であれ、全部を 同じように大きくしていかなければいけない、だからお金が足りないとおっしゃっている のかという点ではいかがなんでしょうか。 ○遠藤会長  初めて1号から2号の方について質問が出ましたので。重要な御指摘です。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  まず1つ言いますけれども、学生が診療科を選ぶ時にはお金だけで動いているわけでは ありません。そのことは御理解いただければと思います。それ以外のいろんな要因があり ます。だから、そこら辺も総合的に考えないと診療科を選ぶ方向性は変わらないと思いま す。それはまず置いといていただいて。  それから、重点的につけても、例えば今回もありますが、三次救急とか、そういうとこ ろにだけお金をつければよくなるかというと、ほかのところは疲弊しているから、三次救 急からの受入れ先がないとかいうことがありまして。医療というのは、それぞれいろんな 機能を持っている医療機関があり、連携してやっているんですね。その1カ所だけに入れ てもほかのところが疲弊するとうまくいかないんですよ。ですから、全体的な底上げをし ないと今の医療崩壊はとまらないと。  まず底上げをしていただいて、その上に重点的に、おっしゃるように救急とか産科、小 児科、勤務医の疲弊しているところはさらに厚くやると、そういうふうな二段構えです。 ですから、決して広く浅くだけなんて考えていません。今の医療提供体制、世界に冠たる 医療提供体制を守るために私たちはどうしたらいいか、そういう視点で考えているという ことをぜひ御理解いただければと思います。 ○遠藤会長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  会長から金曜日にしろと言われたんですが、金曜日よりは今日のほうがよかったかもし れませんけれども、医療の成り立ちというのは、今、西澤先生おっしゃったように、大学 を含めた勤務医、それから、介護も含めて、それから、診療所の開業の先生、それはワン セットなんですね。そのどこが傷んでも、今、世界で21位ですけど、金曜日に証明します けれども、実は29位です、日本の医療費は。あれはごまかしがあったんですね。その数字 を今度出します。  そういう中で、勝村委員のおっしゃることはもっともだと思うんですけれども、今、全 部がボトムなんですよ。ですから、今、西澤委員がおっしゃったように、まずボトムのと ころを何とか支えて、その後で、例えば楽してというようなところが、そういう意味だと 思います、勝村委員がおっしゃったのは、そこは修正しなければならない。というのは、 我々医療側がガバナンスをもって自浄作用をしていくというのは当然だと思います。でな ければ、国民に対して我々が今日言っていることは全く説得力がなくなりますので、我々 は自浄作用をやるつもりです。  ただし、金曜日にお話しますけれども、開業の先生も元は勤務医なんですよ。40、50ま で勤務医で働いて、そして開業になっている先生なので、同じ医師という流れではキャリ アパスとは一緒なんですよ。私は今、大学で最先端をやっていますけれども、私の弟子も 開業をしていますし、勤務医もいます、学生ももちろん教えています。彼らを見ていると、 どこが欠けても全部崩壊してしまう。それはボトムだからこそ、今、1号側はここでお話 をさせていただいているのであって。  白川委員と小林委員のおっしゃることはもっともでありまして、これは国が決めること だと私は思うので、中医協としては国民を守るためには、削るのはぎりぎりまできている というふうに1号側もお書きになっているので、この辺で合意ができるのではないかなと いうふうに思っています。ですから、勝村委員、我々も自浄作用をしていきますので、そ こは御理解願いたいと思います。 ○遠藤会長  では、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  ありがとうございました。僕の印象としては、これまで広く浅くという御主張をされて いた、そう言ってしまうとちょっと語弊があるんですけれども、今回、政権交代があった ので、今回こそダイナミックに、本当に困っている、地域医療も、僕は三次だけと言って いるのではなくて、救急の体制全体とかを本当に厚くするんだとか、そういうところをダ イナミックにやれるチャンスだと思っているので。にもかかわらず、医療費全体の底上げ をというふうに書いてあったので、これが広く浅くという意味ではないというお話をお聞 きできたのでよかったと思います。 ○遠藤会長  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  これからいよいよこの話し合いが佳境に入っていくわけで、今日はそのスタートなわけ ですけれども、中医協というのを考えてみますと、医療に関係するすべての当事者が集ま って本当に議論をしあうと。一方通行の議論ではなくて、何かを話せば相手の方から反論 がきたり賛意を示したりという、非常に生きた論議ができる場で、大変すばらしいあれだ と思います。ですから、それだけにマクロの問題を背景にしながら、診療報酬の問題を論 議するというのも当然必要なので。  私、考えますのに、先ほどちょっと財源の話が出ましたけれども、これから診療報酬の 論議をする時に、私たち、頭の中にどうしても財源の問題というのは出てくると思うんで すね、必ず。その時に私が自分の立場で思っている最善の財源というのは、内需拡大によ る経済の活性化ももちろんそうですけれども、付加価値を高めて、付加価値から利益を得 る、それが日本の国の収入でしかないので、そこのところをこれから求めていくのが最善 の財源論議だというふうに、私の立場ではそう思っております。 ○遠藤会長  それでは、手短に、邉見委員。 ○邉見委員  そのためには、まず健康な肉体、心身が要るんですね。それに、いい教育をして、科学 技術立国というのが平成維新というか、今後の日本の生きる道だろうというふうに思って います。ぜひ健康、医療というのを頭の一番先に置いていただきたい。 ○遠藤会長  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  まず私は食べるのが先かなというふうに(笑)……。 ○遠藤会長  では、森田委員、手短に。 ○森田委員  公益委員の立場ですので、それをわきまえて発言させていただきたいと思います。  先ほど牛丸委員の御発言に対していろいろありましたけれども、私が中医協の発信する メッセージとして重要な意味を持つと思っておりますのは、今までのお話ですと、1号側 はこれ以上ふやしたくないと、そして2号側は足りないと。したがって、公費でもって埋 めるべきだという御主張だったと思いますけれども、それは確かにここで非常に合議を得 やすいところだと思うし、それについての妥当性についてとやかく申し上げるつもりはご ざいませんけれども、これを外にメッセージとして発信した時、今の財政状況の中で限ら れた財源の取り合いになっているわけです。  いろいろなところが公費で最後は面倒みてくれと言っておりますし、私も大学におりま すけれども、大学のほうも、教育費は運営費交付金を減らすな、ふやせ、科学研究費をふ やせという主張をしておりますし、公共事業関係にしても、建設業を支えるためにはそれ が必要だと。刷新会議におきましては、そういうところから、無駄があるから、無駄を減 らしてそれを捻出しようといっていろいろな事項に上げたら、自分たちが必要だと思って いるところが無駄だと指摘されて反発が起こっているところだと思います。  何を申し上げたいかと言いますと、そうした中で医療費が本当に必要であるということ であるならば、そうしたほかの主張に対して対抗できるだけのきちっとした理論武装をし て、メッセージを発信することが重要ではないか。牛丸委員の御意見、先ほどちょっとお 話した時もそういう趣旨でございますので、財政事情を考慮してどうこうというよりも、 そうした中で説得力ある形でメッセージを出しませんと、ほかからと同じように、みんな 公費につけを回すというふうなメッセージとして受け取られますと、せっかくのここでの 議論が無になる可能性もあると、それを申し上げたかったということです。 ○遠藤会長  ちょうど公益委員の発言がありましたので、これをもちまして、一通りの御意見を承っ たということにしたいと思います。  本日、両側から意見書が提出されておりまして、またそれに伴う意見が出されておりま す。これにつきましては、平成20年度の時と同じような扱いをしたいと思っております。 最終的には厚生労働大臣への審議経過の報告という形で出させていただきます。その中に 「診療報酬の改定についての考え方」ということを一つ入れますので、そこでただいまの 御意見あるいは意見書の内容を載せるという形にしたいと思います。  本日は、診療報酬以外の話にもかなり広がっていったので、それをどこら辺まで載せる かというところはまたお諮りしなければいけないわけですが、診療報酬改定、改定率につ いては、意見の一致も今のところは見られていないというふうに理解いたしますが、これ は事務局の協力も得ながら、私中心に公益委員がとりまとめさせていただきまして、次回 以降の総会でまた皆様にお諮りいたしますので、そこでまた審議をしていただきたいと思 います。  ただ、これは改定率が決まる前に発信しなければ、意味がありませんので、時間的には あまり余裕がないということになりますので、そういう意味ではひとまず公益委員預かり という形にさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤会長  ありがとうございます。  では、そのように対応させていただきます。  次にその他でありますけれども、安達委員から資料が提出されております。  安達委員、何かありますか。 ○安達委員  前回お願い申し上げましたとおり、例年のことでございますが、日本医師会はTKCの 医療経営指標に基づく診療報酬収益等の実態の調査をいたしまして、その概要を公表いた しましたので、資料として提供させていただきますということでございます。  簡単に申し上げますが、以前から申し上げておりますとおり、日本医師会はTKCのデ ータのほうが定点観測であると、毎年やっているということ。そして、客体数が多い。今 回も病院823、診療所6,400余りでございます。そういう点での信頼度が高いということを 申し上げております。もちろん、前回の委員会で私が説明させていただきましたように、 これも税理士さんにお願いできている診療報酬の総額が高い医療機関にある程度変依した データであることは事実でございますが、経営実態調査が診療報酬改定の医療経営に及ぼ す影響を見るという点から言うと、定点観測であることが望ましいし、客体数が多いほう が望ましいことは当然でございまして、そういうデータであるということを主張している わけでございます。  その中で全体として、保険診療収入は、病院が1.5%増、診療所が0.3%増ということに なっておりますし、事業仕分けにも使われました実調データの中で、個々の診療所の多く で非常に伸びているところがあるという御指摘がありましたけれども、実調のデータはい ずれも40とか60という客体数のものでございます。それに比べて客体数の多いこの定点観 測では必ずしもそういう数字が出ない。その中でも特に対象医療機関数の少ないものにつ いては、統計的評価を私ども日本医師会としても保留をしておりますという取扱いにして おります。  最後に、損益分岐点が病院も診療所もほぼ95%という点に到達しておりますという点で、 先ほどの御議論にありましたが、ボトム全体が沈んでいるわけでございまして。損益分岐 点95%というのは、水の中でようやく鼻だけ水面上に出しているというような状況だろう というふうに理解をしております。特に診療所における損益分岐点については、前の医療 課長でありました原課長からは、「役員報酬を見直せば下がるだろう」というような御指 摘もいただいて、大きな議論をさせていただいたところでございますけれども、実際の額 の議論はまた時間がかかりますので、後ほど必要な時に申し上げます。  この間、この定点調査では役員報酬というのはほとんど伸びておりません。固定費は伸 びておりますが、それが損益分岐点を悪化させておりますが、その大半の原因は従業員給 与であります。これが病院、診療所ともに前年に比べて2.5%という増でございまして、 この辺が損益分岐点を悪化させている一つの大きな要因であるということも、結論として は言わせていただいております。  詳細はお手元の資料にございますので、どうぞお目通しをいただいて、私どもとしては、 医療機関の経済実態を見るというのであれば、毎年やって、定点観測が望ましいだろうと いう従来からの主張そのとおりだと思いますので、ここでも繰り返させていただきたいと 思います。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  資料の御説明でありましたが、何かどうしても質問があるという方。  小林委員、どうぞ。 ○小林(麻)委員  質問というか、先ほど大変重大な議論が行われたわけなんですけれども、限られた財源 の中で医療崩壊を防ぐためにそれだけの財源が必要だということを論証しなければいけな いと思うんですね。今、安達委員からTKCの動態分析が出されたわけなんですけれども、 先ほど来から平成14年からのマイナス改定の影響ということがございました。ですから、 これは2008年4月から2009年3月期決算でございますので、ぜひ平成14年からどのぐら い 悪化しているのかということをお出しいただけると大変参考になると思いますので、お願 いしたいと思うんですが。 ○安達委員  はい。総研の仕事でございますので、確かに先生おっしゃるとおりで、ぜひお出しした いと思います。14年からありましたかね。実は日本医師会がTKCのデータを使うように なったのは、中医協で医療機関の経営状況のデータを出してこんなに悪いんだと言ったら、 そんなに客体数の少ないデータで何の議論ができるかと一蹴されたという記憶があって。 それは青柳副会長の時代でございますが、それからTKCの皆さんにお願いをしてこうい うデータをとるようになっています。それがちょうど平成14年ごろの外科再診料逓減制の 議論のあたりのところだったと思いますので、さかのぼれる限りさかのぼって、お出しで きるものであればやらせてみたいと思いますので、後ほどまたお時間いただければと思い ます。 ○遠藤会長  ほかによろしいですか。  ありがとうございました。  それでは、本日の総会はこれにて…… ○牛丸委員  ちょっとよろしいですか。 ○遠藤会長  では、手短にお願いします。 ○牛丸委員  すみません、お時間とりまして。事務局にちょっと確認させていただきたいことがあり ます。新聞記事についてなんですが、11月20日、それから、本日11月25日、2回、日経 新 聞に記事が出ました。もしごらんになってないならば今日お返事いただかなくても結構で すけれども、確認させていただきたい点が2点あります。  11月20日は薬価部会がありましたけれども、その前の朝刊に薬価維持特例制度について の記事が出ました。その中で「厚労省は来年4月の薬価改定で特例措置を導入したい意向 で」という文章があります。私としては厚生労働省がそれなりのお考えを持つことはいい と思うんです。ただ、ここに書かれているような導入したい意向であるのかどうかと、こ れが1つですね。それから、今日25日に、今議論されましたけれども、「厚生労働省の方 針として診療報酬増額要求」という記事が出ました。これも厚生労働省でお決めになった ものなのかと。これがまず1点。  2点目は、もしそれは全然知らない、勝手に日経新聞が書いているというなら、それで 終りですけれども、もしそうならば、さっきも言いましたように、厚生労働省がお考えを 持つことはいいんですが、この中医協との関係をどうお考えになっているかということで す。今もすごくいい議論ができました、1号、2号。いい医療を目指している、双方。で すから、中医協というのは非常に重要な組織だと思っております。実は20日の薬価専門部 会の最後で、遠藤会長からこの特例措置に関しては今後継続審議と。なぜ今なのか、費用 のこと、薬剤費の推移、この制度を導入したことによって目的がどの程度達成できるかと いうことを示す資料を示してほしいと。そして、その上でまた決めようということでまだ 決まってないわけですね。  それから、今日も、前回、1号、2号からいろいろ意見を出してくださいと、それを踏 まえて意見具申をしますということで、今行われました。ですから、そういうことで中医 協としては両方ともに関して非常にいい議論をしていると、そのことと厚生労働省の関係 と言いますか、中医協に対してどういう位置付けがあるのかと、その点をお聞かせいただ きたいと思います。  最初に言いましたように、もしその記事を確認していないならば、今日お答えいただか なくても結構です。  以上です。 ○遠藤会長  それでは、記事ですね、薬価の話と改定率の話であります。それでは、医療課長、どう ぞ。 ○佐藤医療課長  記事については今日はネット版で確認しただけですので、そのネット版の範囲内ですけ れども、「厚生労働省は本体部分で約3%を引き上げるよう求める方針を固めた」と書い てありますが、これは私どもというか、少なくとも医療課や保険局で何かこういう発信を したということではありませんので、厚生労働省と一口に言ってもいろいろなところでい ろいろな人がおっしゃるでしょうし、また、いろんなネットワークをお持ちの中で、ニュ ースソースをお持ちの中で新聞報道がなされるんでしょうから、そういう意味で、私ども も記事は承知しておりますけれども、それがどういう場面でどういうプロセスの中で御発 言になったのかは承知はしておりません。 ○遠藤会長  ですから、それは厚生労働省の方針なのかどうかというようなこと。 ○唐澤審議官  たまにしゃべらせていただきます。厚生労働省としては、組織として決めるということ は、大臣まで決裁をとって物事を決定するということですので、そういうことをしたとい うことはございません。これは中医協で、薬価の話も改定幅の話も政府全体で閣議決定す ることでございますので、最終的な決定は。そういう決定をしたということはございませ ん。ただ、決定をする過程で、保険局以外にももちろんいろんな関係の責任者がそれぞれ おられますので、そうしたいろいろな発言をされているということはございますけれども、 決めているということではございませんということを申し上げたいと思います。  それから、薬価の話を含めて新しいものも決めていただくためには、この中医協でよく 御議論をしていただいて、牛丸先生からも御指摘がありましたように、いい御意見の交換 をしていただいていますので、それを反映した形でこれから御検討いただきたいというふ うに思っております。  それからもう1点だけつけ加えさせていただきますと、どういう形で報道されるか、こ れは報道機関の自由ですので、そこについては私ども何も申し上げられませんけれども、 事実関係はそういうこと。それから、余計なことでございますけれども、報道機関として は、中医協のあるタイミングで記事を書いてくれているということもございますので、そ の辺も御考慮いただければと思います。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  牛丸委員、よろしいですか。 ○牛丸委員  はい。 ○嘉山委員  会長、いいですか。 ○遠藤会長  では、手短に。嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  今の報道のことなんですけれども、どの組織だって、例えば一流企業であれば広報を通 してくれと言って、統一見解を出すのが、そこが責任とるのが当たり前だと思うんですけ れども、日本という国は「政府高官」とか、そういう名前で世論を操作するような記事が 時々出ているような気がするので。審議官としてはその辺は、新聞が勝手に書くんじゃな いんですよ、やっぱりだれかがリークしているわけで、その辺は広報を通して。一流会社 だったらみんな広報通してくださいと言っていますよ。それを、一番大事な国家がそうい うことでよろしいのかというのは私は非常に疑問だと思っているんですが、いかがでしょ うか。 ○審議官  これは私、お答えしようにも難しいところなんですが、ニュースの記事がどういう経過 で書かれたか、私はそれについてコメントはできません。 ○嘉山委員  会長、欧米ではこれは完全に署名記事で書くんですよ。それは当然のことなんですよね。 これは署名もないんですよね。それで、こういうふうなことを書いて、厚生省としては記 者が書いたんだというのでは、この社会はただデマ攻撃でも通じてしまう可能性があるの ではないかと僕は非常に危惧するんですが。その辺は、厚生省審議官としてこれからはき ちんと統一見解というのをまとめますよということを言ってもらわないと。例えば、イン フルエンザの今度のことでも現場ではすごい混乱したんですよ。1回打ち、2回打ちで。  会長、ちょっと待ってください。これは大事なことなんですよ。日本の大本営発表をし て、だれも責任とらなかった戦前と同じことが今行われているのではないかと私は非常に 危惧しているので、ここは大事な問題です。私見でも結構ですから。 ○審議官  完全に私見です。私も広報室長をやりましたし、保険局の総務課長もしておりましたが、 私が総務課長をしておりました時には、今回そうするということではありませんよ、例え ば診療報酬に関するある報道がございますと、それについては「固めた」という表現のお 話でございましたので、内容を精査した上で抗議をしたこともございます。それは記事の 内容を見て、報道の自由と密接に関連する問題ですので、よく検討をして判断して。もち ろん役所としてもその内容について、事実の誤認でありますとか、あるいは、強い誤解が 生ずるようなことにつきましては、必要な対応をとることももちろんございます。  以上です。 ○遠藤会長  私見ということですよね。  政府の広報に関しての強い意見が出たということであります。その辺のところは事務局 としても受けとめていただきたいと思います。  それでは、中医協総会はこれにて終了したいと思いますけれども、次回の日程等につき まして、事務局から何かございますか。 ○佐藤医療課長  12月上旬を予定しております。決定次第また連絡させていただきます。 ○遠藤会長  それでは、本日の総会はこれにて閉会といたしますが、基本小委がこの次にありますの で、10分休憩の後、25分から基本小委を開始したいと思いますので、よろしくお願いいた します。         【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)