09/11/25 平成21年度第1回薬事・食品衛生審議会取扱技術基準等調査会議事 第1回 薬事・食品衛生審議会取扱技術基準等調査会議事録 日時 平成21年11月25日(水) 17:00〜18:00 場所 経済産業省別館1042号会議室 ○事務局  ただ今より、平成21年度第1回取扱技術基準等調査会を開催します。本会議 は公開で行わせていただいています。開催に当たり、化学物質安全対策室長の 山本より御挨拶を申し上げます。 ○化学物質安全対策室長  委員の先生方には、お忙しいところ、遅い時間にお集まりいただきまして、 ありがとうございます。  本日は第1回の調査会ということになっていますけれども、今年の1月に薬 事・食品衛生審議会委員の改選がございまして、本日お集まりの全ての委員の 先生方に、この調査会に初めて就任していただくということで、ありがとうご ざいます。  この調査会は、後ほど、どういう調査会かということについては説明がござ いますけれども、薬事・食品衛生審議会の中の毒物劇物部会という部会に属し ている調査会でありまして、この部会の中には、毒物劇物調査会と本日の取扱 技術基準等に関する調査会の2つの調査会がございます。毒物劇物の調査会に ついては、毒物劇物の指定について議論をしていただくことになっております けれども、この取扱技術基準等調査会については、文字どおり、毒物劇物の取 扱いに関する基準を審議していただきながら、運搬に関する基準、その他諸々 の基準について議論をしていただくことになっています。  この調査会は本日第1回の会議になっておりますが、平成15年度から6年間 開店休業の状態で議論がなかったのですけれども、久し振りに取扱基準に関す る見直しが必要なものが出てきましたので、本日御議論をしていただくことに なります。委員の任期は2年なのですが、今まで何代かの委員の方は、委員に 任命されても会議がなかったという状態になっており、一方、今回御就任いた だいた委員の方々には、1年目にして会議があるということですので、よろしく お願いいたします。  毒物・劇物に関しては、改めて申し上げることもないと思いますけれども、 いろいろなところで使われておりまして、運搬その他の取扱いに関しては、厳 重な管理がなされているところでありますけれども、最近の化学技術の進展、 その他の状況に照らして、取扱基準などについても、見直しをしていく必要が あるということでありますので、本日の御議論を踏まえて、我々の方でも、安 全対策に万全を期してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○事務局  次に各委員の先生方の御紹介に移ります。6年振りの開催ということもありま して、全員の御紹介をさせていただきます。五十音順でまいります。  日本大学大学院工学研究科医療・福祉工学専攻教授の城内博先生です。明治 薬科大学分析化学教室准教授の兎川忠靖先生です。社団法人日本化学工業協会 常務理事の豊田耕二先生です。国立医薬品食品衛生研究所環境衛生化学部長の 西村哲治先生です。東京理科大学基礎工学部教授の福田博先生です。横浜国立 大学大学院環境情報研究院教授の三宅淳巳先生です。  本日は6名の御出席をいただいています。名簿も付いていますが、そのほか に3名の先生が構成員となっていまして、社団法人東京都トラック協会常務理 事の福澤吉矩先生、静岡県立大学薬学部教授の出川雅邦先生、国立医薬品食品 衛生研究所安全情報部第四室長の森田健先生の3名の先生からは、御欠席の連 絡をいただいております。  本日は四アルキル鉛を含有する製剤の運搬容器の国際整合化について、御審 議いただく予定としています。議題の内容を考慮し、事務局より城内委員を座 長に指名させていただきます。よろしくお願いします。  それから審議の公開についてですが、今回の会合については、委員の自由な 発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、 または個人の秘密、企業の知的財産等が開示され、特定の者に不当な利益また は不利益をもたらすおそれがある場合の、いずれにも該当しないものと思われ ますので、公開とさせていただきます。以降の議事進行については、座長の城 内先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○城内座長  城内と申します。よろしくお願いします。私が国連の危険物輸送及びGHS の専門家委員会に出席していることもあって、座長に指名されたのだと思いま すが、どうぞよろしくお願いします。事務局から配付資料の御説明をお願いし ます。 ○室長補佐  机上に用意しました配付資料を御覧ください。一番上に議事次第がありまし て、その次に座席表と委員名簿です。今回の検討用の資料として、資料1から 資料3、参考資料1から参考資料4です。  資料1「四アルキル鉛を含有する製剤の運搬容器の国際整合化に関する検討」、 資料2「四アルキル鉛について」、資料3「運搬容器の比較及び適用規程の検討 について」、参考資料1「取扱技術基準等調査会における審議事項について」、参 考資料2「毒物及び劇物取締法における運搬に関する基準体系図」、参考資料3 は法令の「参照条文(毒物及び劇物取締法関係)」、参考資料4は委員及び事務局 のみの配布で、「危険物輸送に関する勧告モデル規則第15改訂版(抜粋)」です。 以上です。 ○城内座長  先ほど室長からも話がありましたが、私も含め委員の先生方が初めてという ことですので、この調査会の目的、あるいは今日どのようなことを審議するか のバックグラウンド等、概要を事務局から御説明をお願いします。 ○事務局  この調査会における審議事項について簡単に御説明します。参考資料1「取扱 技術基準等検討会における審議事項について」を御覧ください。1.に記載のと おりですが、本調査会の審議事項については、毒物及び劇物取締法の規定に基 づき、毒物又は劇物の運搬、貯蔵その他の取扱いについて、技術上の基準の調 査審議を行うものです。具体的には、運搬容器、運搬方法、貯蔵に関する構造・ 設備、応急措置に関する基準や廃棄の方法などについて、これまで審議を行い、 政省令や局長通知などで基準を策定してまいりました。  それぞれの基準策定の経緯については、2.に記載しています。直近では平成 15年度ということで、実に6年度前に開催されておりまして、そのときは毒物 及び劇物を長距離にわたって運搬するときの運転要員の確保に関する基準につ いて、及び、毒物及び劇物の運搬容器について、国際海事機関の認めた国際海 上危険物輸送規定に適合するポータブルタンクを国内で受け入れることについ て、審議を行っています。 ○城内座長  議題に入ります。「四アルキル鉛を含有する製剤の運搬に関する技術上の基準 の改正について」です。議題の説明をお願いします。 ○事務局  資料1「四アルキル鉛を含有する製剤の運搬容器の国際整合化に関する検討」 を御覧ください。1.に記載してありますが、可燃性、爆発性、毒性等を有する、 いわゆる危険物の輸送については、国際的な基準があり、国連によって危険物 の輸送に関する勧告が策定されています。現在16版が最新となっており、それ ぞれの危険物に対して、容器の性能、運搬する際の基準などの規則が記載され ています。  この勧告が基となり、国際海事機関という国連の専門機関が、海上輸送上の 規程を策定し、さらにそれを受けて、国土交通省所管の船舶安全法の関連法令 によって、日本国内の海上輸送を規定しています。即ち、海上輸送については、 日本においても国連の基準に対応している状況です。  一方、毒物及び劇物取締法における状況です。2.を御覧ください。毒物及び 劇物の運搬容器に関する基準については、法律において、政令で技術上の基準 を定めることができるとされています。政令には、四アルキル鉛を含有する製 剤、無機シアン化合物、弗化水素の3種類の製剤について、運搬する場合の容 器についての基準が定められています。このうち無機シアン化合物と弗化水素 については、平成14年と平成16年に基準の改正が行われ、国連容器に対応し ています。  他方、四アルキル鉛を含有する製剤については、これまで日本工業規格(JIS) に規定するドラム缶しか認められておらず、国際基準に合致する容器に対応し ておりませんでした。今般、海外から国連容器で輸入があった際にドラム缶に 移し換える手間や安全上の問題などを鑑み、国連容器で輸入した際にそのまま 国内輸送ができるようにした方がいいと考えられたため、今回、国連基準に合 致する四アルキル鉛を含有する製剤の運搬容器を国内においても使えるように 検討を行っていただくものです。  参考資料2を説明します。こちらは、現行の毒物及び劇物取締法における運 搬容器に関する基準の概要です。まず、法律で運搬等について技術上の基準を 定めることができるとされており、これを受けて毒物及び劇物取締法施行令の 第40条の2「容器の基準」で、四アルキル鉛、無機シアン、弗化水素について、 使用可能な容器が規定されています。こちらは平成14年、平成16年に本調査 会で審議を行い、さらに省令で規定していますが、毒物及び劇物取締法施行規 則「容器の基準の特例」ということで、無機シアンと弗化水素については国連 容器を使用可能にしています。  政令で定めているのは容器の基準だけではなくて、充填率や容器への表示な ど、容器の使い方の基準を定めています。第40条の4では、容器の積載方法の 規定、40条の5では、同乗者、標識、備え付けなければならない保護具の規定 もあります。  四アルキル鉛、無機シアン化合物、弗化水素以外の運搬容器については政令 ではなくて、局長通知で基準が策定されています。具体的には、過去に4つの 通知を出して、それぞれの基準を定めています。以上が毒物及び劇物取締法に おける運搬容器の基準の概要です。  今回御審議いただくのは、四アルキル鉛を含有する製剤の容器の基準につい て、国連容器を使用可能とできるか否かということです。その結果、国連容器 の使用が可能であるという結論になれば、充填率、積載の状態、運搬方法等の 基準について、御審議いただきます。  資料2「四アルキル鉛について」について説明します。四アルキル鉛とはどの ような物質かと申しますと、毒物及び劇物取締法でいう特定毒物に該当します。 特定毒物は毒性が強いため、通常の毒物劇物よりも強い規制がかかっており、 具体的には、特定の人しか所持してはならないとなっています。さらに、用途 や使用者も限定されていて、学術研究目的以外ですと、石油精製業者によるア ンチノック剤としてのガソリンへの混入で、ガソリンの性能を上げるために使 われることのみが認められています。  2.に国内における使用実態を記載しています。石油精製業者のガソリンへの 混入のみが認められていて、輸入量は年間8トンです。用途について、ガソリ ンへの混入と申し上げましたが、自動車ガソリンとしては、日本国内では一般 の自動車にはこのようなものは入っておらず、航空ガソリンとして一部使用さ れています。  3.は運送に関する適用法令です。四アルキル鉛を含有する製剤、アンチノッ ク剤については、国際基準においては、海上輸送は国際海事機関の規定に従う ことになっていて、航空輸送については国際民間航空機関の技術指針の規定に 従うとなっています。ただし、これは少しでも漏れたら非常に危険な毒物です ので、実際には航空輸送はできないことになっていると聞いています。  こちらは国連番合で1649という番号が割り当てられていまして、品名は Antiknock Motor Fuel、直訳すると自動車燃料用のアンチノック剤となります が、実際には航空燃料用途も含みます。区分は6.1で、毒物のカテゴリーに含 まれています。容器等級は1で、非常に高い毒性危険を有する物質及び混合物 という分類がされています。  一方、この国際規制を受けて、国内規制はどうなっているかと言いますと、 陸上規制は、消防法と毒劇法の規定に従うとなっています。海上規制について は船舶安全法の規定に従い、こちらは国際基準に合致しています。海上輸送は、 日本の領海内でも国連容器による輸送が可能となっています。航空規制は航空 法の規定に従うということですが、危険な物質ですので実際には航空輸送は禁 止されています。  以上から、実際に輸入される場合には海上輸送ということで、船で輸入され ます。そこから陸上輸送に移ると、消防法、毒劇法の規定がかかります。消防 法上は移動タンク、いわゆるタンクローリーのようなものに国連容器を積載で きる規定になっているのですが、毒劇法がネックとなって、現在はドラム缶に よる輸送しか認められておらず、国連容器を運べない状況になっています。こ のため、今般毒劇法を改正し、国連容器が運べるかどうかを御審議いただくこ ととしています。 ○城内座長  今、バックグラウンドから、こういうことで改正したいということの御説明 がありました。国内法と国連の勧告等との摺合せは簡単そうで簡単ではなくて、 非常に込み入った問題もあるのですが、御質問、御意見等があればお願いしま す。 ○兎川委員  平成14年と平成16年の基準の改正のとき、なぜ四アルキル鉛だけが残され たのでしょうか。 ○事務局  過去の議事録を見たところ、他国からの輸出に係る障壁をなくしていこうと いう要望が、ある団体からあり、その際に無機シアンと弗化水素は需要がある ので、そちらは国連容器を認めようとなったということです。要望を受けて審 議をして、ほぼ問題がないということで改正を行ったのですが、そのときに四 アルキル鉛は要望に乗っていなかったということです。 ○豊田委員  現在毒劇法がネックで、ドラム缶での運搬ですが、それが今度ポータブルに なるということですが、現状使っているドラム缶に加えて、ポータブルも認め られるという解釈でいいのですか。 ○事務局  そういうことです。ドラム缶はドラム缶で、従来どおり認められます。 ○城内座長  外国からポータブルで入って来たときに、例えば1社に行って、それはポー タブルタンクのまま使われるのか、そこでまたドラム缶への積換えというのは あり得るのでしょうか。 ○事務局  法的な扱いでは、アンチノック剤の状態では四アルキル鉛を含有する製剤と なっていまして、輸入業者によって輸入されたアンチノック剤は石油精製業者 に搬入されます。アンチノック剤はガソリンに混入されて鉛含有ガソリンにな りますが、鉛含有ガソリンは四アルキル鉛を含有する製剤ではないということ で、法的には特定毒物ではないという解釈になり、別の規制がかかります。有 鉛ガソリンになった段階で、ドラム缶でなければならないという規定はかかっ ていません。 ○福田委員  兎川先生の質問の関連ですが、今回も要望があって審議をするのですか。 ○三宅委員  今回取り上げることになったのは、事業者や業界からの要望があったという ことなのですね。 ○事務局  はい。国連容器で輸入された際に、毒劇法が障壁となって国内輸送がそのま まではできない。そういう不整合があることを受けてやることになりました。 ○豊田委員  PFOSの議論のときに、航空用の、こういった内燃のPFOSが入っていて、特に 民間航空は問題ないのですが、戦闘機に特殊に使われていることがあったので すが、これも戦闘機などに使われて、自衛隊や米軍は法的な網が曖昧になって いるということはないのでしょうか。例外になっていることはないかというこ とです。民間はこれで法の網は被ると思うのですが、戦闘機用のアンチノック 剤。お調べいただいて、問題なければいいと思うのですが。 ○事務局  例えば軍用に使われる場合など、特殊な場合。 ○豊田委員  戦闘機用のみに特殊に使うということで、それは法の網としてはどうなって いるのだという議論になったものですから。 ○事務局  分かりました。そちらは確認します。 ○城内座長  それは、つまりこの問題だけではなくて、毒劇法がどこまでかかるかという 問題ですね。 ○豊田委員  先ほど述べた特殊な用途について、適用除外等がないかどうかという意味で す。。 ○城内座長  今回の調査会での、運搬容器にポータブルが適すかどうかというのとは少し 関係が違うかもしれませんが。 ○豊田委員  ポータブルが適当となった際に、先の特殊なケースがあった場合、適用を受 けるかどうか調査願えたらという意味です。 ○城内座長  分かりましたら調べていただきたいと思います。そのほかにございますか。 よろしいですか。次の資料の説明をお願いします。 ○事務局  資料3「運搬容器の比較及び適用規定の検討について」を説明します。四アル キル鉛を含有する製剤のうち、航空燃料用途も含む自動車燃料用のアンチノッ ク剤の輸送については、国連容器としてポータブルタンクが規定されています。 ポータブルタンクにはいくつかの種類や厳しい条件があり、アンチノック剤に 対しては「T14」という要件が付されています。  ポータブルタンクについて簡単に御説明します。ポータブルタンクというの は、危険物の輸送を目的とした複合輸送タンクのことで、胴体のほかに、危険 物輸送に必要な付属装備や周りの構造設備を含んでいるものと解されています。 その構造設備を取り外すことなく荷役できなければならないとか、安全装置を 有し満載時に吊上げができなければならないとか、車両や船舶に積載できるよ うに設計されていなければならないとか、こういった条件を満たしたものが、 ポータブルタンクとして認められます。「認められる」というのは、ポータブル タンクを設計・製造した場合には、各国の所管官庁が承認した機関で、ポータ ブルタンクとして使えるという承認を得なければならない手続きになっている ということです。  3.でポータブルタンクの要件のT14について説明します。ポータブルタンク は輸送する物質ごとにいくつか種類がありますが、特定の物質の輸送に使うポ ータブルタンクについては、より厳しい条件が課せられています。T14という規 定は、最小試験圧力が通常のポータブルタンクよりも高く設定されています。 胴体板厚もより厚く設定されています。圧力安全装置は、内部が異常に加圧さ れたときに容器自体が破裂するのではなく、安全装置だけが破裂するという装 置を意味し、それもきちんと承認されたものを備えることという規定もありま す。さらに、底部の開口部が禁止されています。もし底部開口部があるとどう なるかというと、底部の開口部に若干でも緩みがあると、容器から液体がどん どん漏れ出て、液面が開口部を下回るまで流れ続ける。非常に危険な物質に対 してそれは許されませんので、底部に開口部があることは禁止されています。 このように、通常のポータブルタンクの要件に加えて厳しい条件が課せられて います。  アンチノック剤の輸送にはさらに特別な要件が定められていて、充填率は 50℃において95%までと規定されています。通常ですと、97%とか98%まで認 められています。それから、物質を輸送する際には自蔵式の呼吸具、いわゆる 酸素ボンベが付いているような、それだけで外気を吸わずに呼吸が可能な呼吸 具がなければならないという要件が課されています。  委員の方のみ配付していますが、参考資料4は国連のモデル規則の和訳にな っています。3ページ目をご覧頂くと、国連の危険物のリストの中では、左端に 記載されている「1649」という番号のところに自動車燃料用のアンチノック剤 が規定されています。ずっと横の欄を見ていただくと、ポータブルタンクの要 件が規定されていて、要件がT14、それから特別要件としてTP2、TP13という規 定があります。これらの条件を満たすポータブルタンクであれば輸送が可能だ とされています。  4ページ目に、T14の要件が書いてあります。圧力安全装置の規定については、 6.7.2.8.3の規定を参照するとなっていまして、この規定は5ページに記載して います。T14に付随するべき圧力安全装置の要件として、所管官庁に承認された 安全装置を備えなければならないと記載されています。  さらに、個別要件のTP2とTP13は6ページに記載しています。こちらは充填 率に関する規定と、呼吸具を備えなければならないという規定を設けています。 これらがアンチノック剤を運ぶ際の国連の基準です。これを前提に資料3に戻 っていただければと思います。  ご参考として、資料3の2ページ目に、具体的に想定されているポータブル タンクの説明書を添付しました。写真にある「1649」というのは、アンチノッ ク剤用のポータブルタンクということです。写真のタンクは、容積が5kl、高さ 約2m、横幅約3m、奥行きが約2mです。  これらのポータブルタンクに関する規定を御覧いただいた上で、最初に御審 議いただきたいのは、現行の日本工業規格に規定されているドラム缶と比較し まして、安全性の観点から、ポータブルタンクでの輸送が問題ないかどうかと いう点です。4.に、現行輸送可能なドラム缶、及びポータブルタンクの主な性 能、輸送の規定についてまとめています。こちらを御覧になっていただいた上 で、ドラム缶と同等以上の安全性を担保できることを御確認いただいて、御審 議いただきたいと思います。  上から順に、資料3の4.について御説明します。まず容器の容量です。JIS に規定するドラム缶は、円柱状で、概ね200lくらいです。それに対して、国連 規定上、ポータブルタンクの大きさの制限はありませんが、概ね2×3×2mぐら いで、5klぐらいのタンクになります。  側壁の厚さについては、ドラム缶が1mmから1.6mmであるのに対し、ポータ ブルタンクは6mm以上となっています。  充填率については、ドラム缶そのものの規格には何%までしか詰められない ということはないのですが、毒劇法上、四アルキル鉛を詰めるときは90%まで とされています。法の規定上は、10%以上の空間が残されていることという規 定になっています。一方、国連の規定については、50℃で95%となっていて、 通常のポータブルタンクよりは厳しい要件が課されています。50℃というのは、 輸送中に温度が上昇することによる熱膨張率を勘案していることによります。  圧力安全装置については、ドラム缶は特に安全装置の規定はありません。ポ ータブルタンクについては、承認されたものを付けることという規定がありま す。  底部開口部については、ドラム缶そのものには規定はありません。そもそも ドラム缶は天地を逆さまに置くことができる形状ですが、毒劇法においては、 四アルキル鉛を運ぶときだけは、必ず口金を上に置くことと規定しています。 国連の規定としては、ポータブルタンクの底部開口部は禁止です。  ドラム缶の試験項目は、気密試験、耐圧試験が行われます。また、ドラム缶 は輸送中に転がって落ちることが想定されますので、1.8mの高さから落下させ、 著しい変形や漏れのないことを確認します。さらに、ドラム缶は積み重ねるこ とができるので、積み重ね試験が行われます。ポータブルタンクに関しては、 積み重ねる前提にはなっていませんし、落ちるようなものでもないので、落下 試験や積み重ね試験はありませんが、それに対応するものとして、付属装置の 作動試験として、吊上げができるか、車両に積載できるとか、付属装置がしっ かりしているかが確認されます。輸送可能物質については、毒劇法上は、ドラ ム缶であれば四アルキル鉛を含有する製剤を何でも運べることになっています が、国連の規定上は、このポータブルタンクに対応するのはアンチノック剤の みとなっています。  これらを比較していただいて、アンチノック剤を運ぶ場合、ポータブルタン クでも十分に安全だと事務局では考えていますので、御審議をお願いします。 ○城内座長  まず、容器について、ポータブルタンクを使用しても良いかどうかですが、 いかがでしょうか。 ○西村委員  容器自身の問題ではないかもしれませんが、製造時には安全性は保証されて いると思いますが、繰り返し使用したときの補修について教えていただければ と思います。 ○事務局  数字が手元にないのですが、何年かに1回検査を行います。そこで規定に適 合しないものは、使用できなくなります。 ○西村委員  きちんと規定されて、使用されているということですね。 ○事務局  はい。 ○福田委員  ポータブルタンクについて、高さ2,100mm、幅が2,900mmとお話がありました が、本体部分は円筒形でしょうか、小判形というか。結構圧力が高いものです から、付属の何かが付いて、横幅が2,900mmになっているのなら話は分かるの ですが、あまり断面を楕円形にしないのが普通なのですが。 ○事務局  そうですね… ○福田委員  結構です。私の感じだと、ポータブルタンクの方がものすごく丈夫だと思う のです。これは審議をしなければいけないのでしょうけれども、構造的には圧 倒的に丈夫であると判断します。 ○事務局  容器本体部分は円形に見えますが、曲率がどこまであるのかは数字がありま せん。内圧は6barまでは最低でも耐えるように試験が行われています。 ○城内座長  そのほかにございますか。ポータブルタンクを輸送の容器として認めてもよ ろしいでしょうか。よろしければ承認可、として報告とさせていただきます。  次の「規定の適用の検討」の御説明をお願いします。 ○事務局  資料3の5.で、現行のドラム缶の輸送時に適用される規定と、それをポータ ブルタンクに適用した場合の比較の表です。容器の性能としては、基本的にド ラム缶と同等以上の性能があると今し方ご結論をいただきましたが、ポータブ ルタンクであればどのような運び方をしてもいいということは認められないと 考えていますので、実際に運ぶ場合には、ドラム缶と同じような条件で輸送す る。即ち、基本的にドラム缶と同じような規定を準用することを考えています。 ただし、国連基準が存在する規定とか、国連容器の形や特性に鑑み、ここまで は必要ないだろうという規定については、適用除外とできるものと考えますの で、その可否を御審議いただきます。  上から順に説明申し上げます。ドラム缶で運ぶ場合には、現行の毒劇法で10% 以上の空間が残されていることという規定があり、先ほどは充填率という言葉 で説明させていただきました。それに対してポータブルタンクは、国連の基準 ですと、50℃で5%以上の空間が残されていることとなっています。95%まで充 填できることを前提に設計されているのがポータブルタンクで、これを満たし ていないものは承認されないということですので、こちらは10%にこだわらず、 国連の基準に合わせて、50℃において5%以上の空間という規定でいいものと考 えています。  ドラム缶の口金が締められていることという規定については、ドラム缶の口 金を開口部と読み替えて準用して差し支えないと考えています。また、ドラム 缶ごとに、その内容が四アルキル鉛を含有する製剤である旨の表示がなされて いることが必要です。こちらは国内で輸送するものですから、それは日本語で 表示することが必要ではないかと考えていて、ドラム缶の規定を準用していい ものと考えています。  ドラム缶の場合には、厚いむしろが敷かれていることという規定があります。 ドラム缶による輸送時、中身が漏れ出したときにむしろである程度吸収する意 味合いがありますが、国連容器の場合は、コンテナとか、外側の付属設備がき ちんと付いているので、その下にむしろを敷くというのは防御性能上も現実的 ではないことから、こちらは適用する必要はないと考えています。  ドラム缶の口金が上位にあるように置かれていることという規定については、 ポータブルタンクは逆さまにできるような形状ではないのですが、これも準用 していいと考えています。あと積み重ねられることも前提でありませんが、積 み重ねられていないことという規定も準用していいのではないかと考えていま す。落下し、転倒し、破損することのないよう積載されていることという規定 も準用していいと思います。  積載装置を備える車両については、車両にコンテナごと載せて運ぶわけです が、積載装置の幅、長さを超えて積載することは認められないということで、 こちらも準用して構わないと考えています。混載を認めないということですが、 四アルキル鉛を含有する製剤の容器と、空容器以外を混載しないことになって います。こちらも準用して差し支えないと考えています。 ○城内座長  いかがでしょうか。 ○西村委員  資料3の2ページ目の写真は1例だと思うのですが、このポータブルタンク というのは常に2つで、対で使われるものなのでしょうか。たまたまこれが2 つの写真なのでしょうか。  あと、横に防壁のようなものがありますが、これを実際に移すときに、そこ のまま動かすのか、たまたまこの写真に写っているのでしょうか。この写真で すと、2つをクロスして動かないようにしているのですが、1つの場合にはどう やって積載するのかなという疑問があったものですから、もし分かればその辺 を教えていただければと思います。安全性に疑問を持ったわけではなく、教え ていただければということでしたので結構です。 ○福田委員  積載に関しては2個でも1個でも構わないと思います。私も詳しくは知りま せんが、我々は「アシ」と呼んでいるのですが、写真に見えますようにタンク 自体に台が付いています。ですからむしろは要りません。それから、コンテナ あるいはトラックの台に斜めにワイヤーというかロープよりも丈夫なもので留 めていますので、そこは全く問題ないと思います。 ○西村委員  この両端にあるのが、コンテナの。そういうわけではないですか。 ○福田委員  外側は何を意味しているのかがよく分かりませんが、タンクローリーなどは、 タンク自体に対してトラックで防壁は付けていないのですが、危険毒物は運ん でいるので、それと同じレベルあるいはそれ以上の性能を有していると判断し ています。 ○三宅委員  議論のポイントとしては、現行の規定で定められているドラム缶と比較して、 同等以上の安全性が担保できれば良しとするということでいいわけですね。 ○事務局  そうです。 ○三宅委員  このT14云々という話ではなくて、あくまでも現行との比較ですね。 ○事務局  そうです。ポータブルタンクであればどのような運び方をしてもいいとはな らないと思いますが、現行で規定されている基準について、準用すべきものは 準用するのが妥当だと考えています。 ○三宅委員  先生方からは、材料の強度的には十分だろうというお話がありましたが、輸 送の途中で火災に巻き込まれることがあった場合に、内圧が上がってくる。今 回の場合は、50℃で5%と規定されているわけですが、現行の10%に対して5% にしているのは、ポータブルタンクのT14に95%という数字があるからだと思 いますが、内圧が上がったときには安全装置が作動する。あと肉圧が6mm以上 ということも含めて、そこでカバーしているという解釈でいいのですか。 ○事務局  そうなります。かなり高い圧力で圧力試験をやっていますし、圧力安全装置 もありますし、側壁が厚いということで、95%まで詰めても大丈夫だと考えて います。 ○福田委員  一つ気になるのですが、今は輸入だけのようですが、仮に輸出するとなると ドラム缶では運べないという認識でいいのですね。 ○事務局  国内にある間はドラム缶による輸送も認めるということなのですが、輸出先 国にも規制があるとは思うのですが、少なくとも国内にあるうちはドラム缶に よる輸送も認める、ポータブルタンクとドラム缶とどちらも認めるという趣旨 に考えています。 ○城内座長  資料3のカバーページのいちばん下に、「本物質を輸送する場合には、自蔵式 呼吸具」とあります。普通は「自給式」だと思うのですが、「自蔵式」という言 葉が使われているのかどうか、私は分からないのですが。 ○事務局  私も確認したのですが、自蔵式呼吸器というものもあるようでして、酸素ボ ンベで空気を吸って、外気を吸わずに呼吸ができるものでした。この名称で売 っているところもあるということです。 ○城内座長  それなら結構です。労働安全衛生などですと、大体自給式と訳すようなので 伺いました。それがあれば結構です。  今の表で、40条の3の表示のところは、海外から送られて来るときは、国連 危険物輸送勧告に基づいたIMOの規定で表示がなされてくるわけですが、これ が国内でトラックに積み込まれるときは、毒劇法の表示をプラスして動くとい うことですね。 ○事務局  そうです。実際には日本語の表示が付かなければいけないと考えています。 ○城内座長  もう1点確認したいのですが、今の40条の4のいちばん下の「混載されてい ないこと」というのは、確かにこの方が確実に安全だと思うのですが、混載は されないだろうとは思いますが、これだけ頑丈なものなら混載されても大丈夫 ではないかという気もするのですが、それは実際問題としてはどうなのでしょ うか。つまり、ここまでちゃんと準用すると書かなければいけないのか、適用 除外でもいいのかなという気もするのですが、その辺が分からなかったので伺 いました。こうあるべきだという意見ではないのです。 ○福田委員  これ年間8トンというと、1回に輸入するとして、これだけですよね。 ○城内座長  そうですね。だから心配ないとは思いますけれども。結構です。 ○福田委員  国内の石油精製業者は、各社航空用ガソリンを造っていると理解してよろし いのでしょうか。つまり、どこかの業者が8トン輸入して、それを1トンずつ 配るのでしょうか。 ○事務局  納入先までは把握していません。8トンは1社に納入するとは聞いているので すが、その流通先までは把握しておりません。すみません。 ○豊田委員  中身がそういうものですので、用途はかなり限定されているのではないでし ょうか。 ○城内座長  よろしいでしょうか。次に40条の5をお願いします。 ○事務局  40条の5は容器を離れて、運搬方法の規定になっています。年間8トンの輸 入で、車で輸送するということなので、どこまで意味があるかという点はあり ますが、ドラム缶の場合には鉄道で輸送する場合が規定されています。有がい 貨車という、雨が降ったときに吹きさらしにならないもので運ばなければなら ないとなっています。現実には鉄道輸送する需要はないと認識していますが、 こちらも準用することを考えています。  今度は車両で運搬する場合です。疲労が蓄積するくらい長時間の運転をする 場合には、交代要員を付けなさいという規定があります。こちらは容器とは離 れてドライバーの疲労の問題ですので、準用することを考えています。同じよ うに車両の場合で、「毒」の標識を掲げることという規定がありますが、これも 表示するべきと考えています。それから、防毒マスクなど、必要な保護具が規 定されていますので、この規定も準用することと考えています。ドライバーや 車に事故が起こった際の応急の措置ですが、漏出した場合、ばく露した場合に はどうするという書面を備え付けなければならないとなっています。この辺り は容器というより、運び方、ドライバー、車両上の問題と思いますので、全部 準用でよいと考えています。 ○城内座長  4つ目の有機ガス用防毒マスクと、先ほどの自蔵式呼吸具というのは、必ずし も中身は一緒ではないのですが、整合を取る必要はないでしょうか。 ○事務局  少なくとも、現行はドラム缶でもそれで大丈夫だとなっていますので、自蔵 式という国連上の規定はありましたが、現行の国内の輸送のやり方を考えると、 そこまでを要求するものではないのかなとは考えています。 ○城内座長  国連の輸送の勧告の方は表には出ないということですね。つまり、40条の5 が要件としては表に出るということですね。 ○事務局  そういうことになります。 ○城内座長  先生方から御質問、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。それで は事務局案として、6.に書かれていることでよろしいですかということなので すが、ポータブルタンクを使用するに当たっての具体的な容器または法の仕様、 積載の様態、運搬方法について施行令の条文としては、このようになるという ことですけれども、これでよろしいでしょうか。御意見等はございませんでし ょうか。ほかによろしければ承認可、として報告とさせていただきます。  事務局から何かございますか。 ○事務局  ありがとうございました。本日御審議いただき、御了承いただきました事項 については、後日薬事・食品衛生審議会の毒物劇物部会を開催しまして、御審 議いただく予定です。また、議事録につきまして、先生方に後日確認をさせて いただいた上で、ホームページにて公開する予定にしていますので、また送ら せていただいて、確認を事務的にさせていただきたいと思いますので、そちら もよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。 ○城内座長  今日の審議はこれで終了します。皆さん、ご協力ありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局化学物質安全対策室 電話 03−5253−1111(内線2798)