09/11/20 第149回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録 09/11/20 中央社会保険医療協議会          第149回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成21年11月20日(金)10:23〜13:05 (2)場所  グランドアーク半蔵門 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 森田朗委員       小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員 北村光一委員       高橋健二委員 伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員       邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       北村善明専門委員 坂本すが専門委員        <事務局>       外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 後発医薬品の使用促進について       ○ 療養病棟・有床診療所について       ○ その他 (5)議事内容 ○遠藤小委員長  それでは、時間になりましたので、ただいまより第149回中央社会保険医療協議会診 療報酬基本問題小委員会を開催いたします。  まず、本日の出席状況でございますけれども、森田委員が少し遅れて見えられる旨の連 絡を受けております。  それでは、議事に移ります。  まず、後発医薬品の使用促進についてを議題といたします。  事務局から資料が出ておりますので、それに基づいて説明をお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。私のほうから資料の説明を簡潔にさせていただきたいと思い ます。  診−1と参考資料の(1)と(2)とございますが、まず最初に参考資料(1)をごらんいただき た いと思います。  参考資料(1)にはいろいろございますけれども、スライドの2ページで、平成24年度ま でに後発医薬品のシェアを数量ベースで30%以上にということでございます。  3ページでございます。それを進めていくために、平成19年10月に後発医薬品の安 心使用促進アクションプログラムというものを立てまして、医療現場の皆様からいろいろ ある声、安定供給の問題とか、品質確保の問題とか、情報提供の問題とか、国とメーカー がやるべき仕事をはっきりさせまして、特にメーカーについては、目標設定もしていただ きまして、それがどのように進捗しているかも確認しながら、このようなアクションプロ グラムを実行しているというところでございます。  5ページでございます。現状、平成19年9月の薬価調査のデータでございますが、後 発医薬品の数量シェアは18.7%で、金額シェアは6.6%という状況でございます。  次の6ページは、社会医療診療行為別調査でございます。薬剤点数に占める後発医薬品 の点数の割合としまして、これは金額ベースということでございますが、平成20年度全 体総数で7.2%となっているところでございます。  その下の7ページは、5月に出ました中医協検証部会における主な評価ということでご ざいます。後発医薬品の使用の広がりが余り感じられないといったことで、結論として、 さらなる後発医薬品の信頼性向上に努め、後発品の使用促進をということでございます。  8ページは、平成21年度に実施しておりますジェネリックの使用促進策ということで、 一つが、9ページにもございますが、保険者において、ジェネリック医薬品希望カードの 配布とか、自己負担の差額のお知らせ、こういった取り組みについてもお願いしていると ころでございます。また、供給面では、地域で薬局の後発医薬品取扱いリストを作成し、 域内の医療機関で共有化する。また、まだまだ医療現場の皆様からいろいろな個別の製品 の品質についての懸念が寄せられておりますので、それについてきちんと確認する仕組み を設けて、その結果を公表する。それから、都道府県での後発医薬品使用促進協議会設置 等々のことをしているということでございます。  10ページ以降は、ジェネリック医薬品の品質確保等についてということです。品質の 審査や有効性・安全性の審査、特に健常人を使ったヒトでの血中濃度の比較試験で薬物動 態を見るといった試験も加えまして、また承認後については、審査の段階で確認されたも のがそれ以後もきちんとつくられているかどうかということで、定期的に都道府県の査察 も入りまして品質確保がなされているということでございまして、厚生労働省としては、 先発医薬品と後発医薬品との間で、品質、有効性・安全性に差異がないということで理解 しております。  続きまして、14ページ以降は、特に先ほどの新しい事業で後発医薬品の試験検査等の 実施による品質確保ということでございます。いろいろな医療現場の方々の声、それから いろいろな論文でそのような御指摘、それから実際に医薬品・医療機器総合機構を窓口と いたしまして、苦情のようないろいろの声をお聞きする。そういう形のものを集めまして、 国立医薬品食品衛生研究所におきましてジェネリック医薬品品質情報検討会というものを 設けまして、そういった問題についてデータを確認し、必要なものには試験検査などをや っているところでございます。  それで、実際に医薬品医療機器総合機構に寄せられました相談内容が15ページ以下に 書いてございます。医療関係者からのお話は非常に少なかったのですが、特にどういう事 例があったかということを18ページ、19ページに載せております。  続きまして、参考資料(2)の関係で、特に後ほど申し上げます論点に関係するデータを中 心にお話ししたいと思います。  まず3ページの図表17でございます。このデータでは、後発医薬品に変更できるもの が全体で68.5%ございました。それを母数といたしまして、68.5%を100%と して見ますと、後発医薬品に変更した処方せんが5.5%あったということでございます。  それから、後で論点でも出てまいりますが、後発医薬品に変更できなかった理由といた しましては、幾つかございますけれども、真ん中から下に「以下の理由により、後発医薬 品に変更できなかった先発医薬品が1品目でもある処方せん」ということで、「先発医薬 品の含量規格に対応した後発医薬品がなかったため」が15.5%でございます。これは、 薬価に載っていないものと在庫がないものの両方がまじっております。それから、「先発 医薬品の剤形に対応した後発医薬品がなかったため」ということで、OD錠というのは口 腔内崩壊錠という意味でございまして、水なしで飲める錠剤のことでございます。特に後 発品が出る前後で先発医薬品のこれがよく出てまいりますので、それだけについては特別 に集計しておりますが、4.5%と0.8%ということで、合わせまして5.3%がその 剤形の問題で変えられなかったというデータが出ております。  それから、5ページでございますけれども、薬局における後発医薬品の説明・調剤に関 する考え方ということでございまして、薬局のほうの御意見では、「備蓄増に伴う不良在 庫の拡大など、在庫管理の負担が大きいため」という理由が一番多くございました。その 次に、「近隣の医療機関が後発医薬品の使用に消極的なため」という御意見があったとこ ろでございます。  続きまして6ページでございます。説明をしなかった理由として、「なかなか説明する 時間がない」といった御意見が多いということです。  それから8ページ、図表51は、今後どのような条件が整えば薬局として後発医薬品へ の変更を進められるかということでございます。ここに書いてございますような「安定供 給の問題」とか、「品質保証が十分であることの周知徹底」とか、「患者の理解」とか、 それから、先ほどありましたけれども、「剤形・規格の違いに関わらずに銘柄変更調剤が できる環境の整備」や「調剤報酬上の一層の評価」といった御意見のあるところでござい ます。  続きまして、診療所・病院・医師調査の関係でございますが、10ページをごらんいた だきたいと思います。今後どのような対応が進めば施設として入院患者に対して後発医薬 品の使用を進めてもよいかとお伺いしたところ、ここに書いてございますように、同じよ うなことになっておりますが、「安定供給の問題」とか、「品質保証が十分であることの 周知徹底」とか、「診療報酬上の評価」とか、そういったことが御意見として挙げられて いるところでございます。  続きまして、13ページでございます。医師調査の関係で、なぜ「後発医薬品への変更 不可」欄に署名したのかという御意見をお伺いしたところ、一番多かったのが、「品質が 不安だから」、それから「患者からの強い要望があったから」、「副作用の違いを経験し たから」、「先発品を長く使用し信頼している」といったこと、また「薬局でどのような 薬剤に調剤されるか心配だから」といった理由が挙げられているところでございます。  14ページでございます。今後どのような対応がなされれば、医師の立場として後発医 薬品の処方を進めてもよいかということですが、そこに書いてございますように、「品質 保証の周知徹底」、「安定供給体制の確保」、「患者の理解」、それから「診療報酬上の 評価」といったものが挙げられているところでございます。  それから15ページは、患者調査の関係でございますが、後発医薬品の処方や調剤を頼 みやすくするために求める対応ということで、圧倒的に多い回答が「診察時に医師が説明 してくれたり、使用の意向を尋ねてくれること」、その次に「処方せん受付時に薬剤師が 尋ねてくれること」、これが2つの大きなものになってございます。  それから16ページ、最後ですが、使用経験がある患者さんに「後発医薬品をまた今後 も使いたい」という方が多くなっているということでございます。  それで、関係しまして診−1に戻っていただきまして、今の御説明で大体第1の関係と 第2の関係を御説明いたしまして、3ページでございます。最近の調剤医療費の関係で電 産処理分について発表しておりますが、5月号におきまして、既に後発医薬品調剤体制加 算については82%の薬局が取得している。ただし、薬局全体での数量ベースの調剤率は 18.4%にとどまっているという状況でございます。  4ページの上の3でございますが、本年度のDPC評価分科会における特別調査結果と いうことで、ジェネリックについてもヒアリングを行ったところ、病院内での後発医薬品 の使用を進める上で、薬剤部門が、品質、安定供給、安全性、情報提供の迅速性、他の大 学病院への納入実績等も考慮した上で、薬事委員会で採用申請を行い、病院内でどういう 薬を使っていくかということをきちんと議論して採用を決定するようなことをやられてい る病院では非常に多かったということが、ヒアリングの中からうかがわれたわけでござい ます。  次の第3、現行の診療報酬上の評価ということで、前回の改定におきまして、療養担当 規則の変更、処方せん様式の変更、それから処方せん料につきましては、平成20年度改 定以前は後発医薬品を含む処方せんについては2点の加算を行っていたということでござ います。  調剤の関係では、前回の改定で、後発医薬品の調剤に要するコストの負担にかんがみ、 処方せんベース30%以上の場合に加算の4点を入れていることがございます。  そのほか、6ページになりますけれども、後発医薬品調剤への2点の加算とか、患者さ んに情報提供をきちんとした場合についての10点の加算がございます。  6ページ、第4、論点ということでございます。先ほどの薬局における後発医薬品調剤 体制加算の状況を考えまして、その算定状況や数量ベースでの後発医薬品調剤率の状況を 含めまして、算定要件を含めた加算の在り方についてどう考えるかということでございま す。  続きまして、検証部会の調査結果から、在庫管理の負担とか、先発医薬品の含量規格や 剤形に対応した後発医薬品がないことから変えられないという御指摘があるわけでござい ます。こういったことを踏まえまして、「後発医薬品への変更不可」欄に署名等のない処 方せんを受け付けた薬局におきまして、7ページになりますけれども、変更調剤後の薬剤 料が変更前よりも少なくなること、また患者の同意を得ることを条件に、処方医に改めて 確認することなく、処方せんに記載された先発医薬品と含量規格が異なる後発医薬品の調 剤を認めることについてどう考えるかということでございます。具体的な事例を挙げてお りますが、例えば10mg錠1錠にかえて後発医薬品の5mg錠2錠を調剤するといったケー スでございます。  そのほか、(2)でございますけれども、別剤形のことで、ここに書いてございますよ うなカプセル剤から錠剤に変更とか、口腔内崩壊錠から普通錠に変更とか、このようなケ ースでも今の含量規格の違いと同じような対応についてどう考えるかということでござい ます。  3でございますけれども、薬剤料を包括外で出来高で算定している入院患者に対しまし て後発医薬品の使用を進めるために、先ほどDPCの分科会でもございましたけれども、 薬剤部門がこのような情報を収集・評価しまして、院内できちんと体制を組んで採用を決 定する体制を整え、また後発医薬品の備蓄品目数や割合が一定以上の場合に、診療報酬上 の評価をどのように考えるのかということがございます。  そのほか、先ほどの患者調査の結果からは、診療時に、医師が特に患者に対して説明し て、使用の意向を尋ねてくれることが、患者からいけば頼みやすいということで、そのよ うな取り組みを促す方策についてどう考えるか。  それから、もともといろいろございます信頼性を高める点で、まだまだ品質保証が十分 であることが周知徹底されていないとか、情報提供や安定供給体制の確保をちゃんとやっ てほしいとか、診療報酬とは直接関係はございませんけれども、こういった取り組みにつ いても御意見があれば伺いたいということで挙げさせていただいております。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  検証部会の結果が出ているわけでありますけれども、これは処方せんの様式が変わった ということもありまして、後発品への変更不可と記入されたものは余り多くなくて、そう でないものが7割弱あるということでありました。ただ、実際には薬局で変えられている かというと、その割合は非常に少ないと。ただし、薬局もそれなりの理由があって、在庫 コスト等々が非常に高くてといったことが理由になっているわけであります。こういう実 態を踏まえてどうするかということの御議論だと思いますので、御意見、御質問がおあり になる方は御自由にどうぞ。 ○安達委員  ちょっと基本的なことを申し上げます。参考資料(1)のスライド10ですが、これについ て細かい議論は後ほどさせていただきますけれども、最終的な結論として、厚生労働省と しての見解は、赤の矢印の下に書かれているように、「先発医薬品と後発医薬品との間で、 品質、有効性及び安全性に差異なし」と、これが厚生労働省の現在の後発品全体に対する 見解なわけですね。だとすると、論点の3や4は何で要るんですかという話でございます。 国家がちゃんと安全性を保証されるのならば、院内でわざわざその採用を決めるときにま た安全性・品質等について検討する体制、こんなものは要るのでしょうか。4のように、 医師がわざわざ患者さんに説明して、使用の意向を尋ねる、こんなことをする必要がある のでしょうか。ここが根本的な疑問なんですけれども。 ○遠藤小委員長  それでは、今のことに関して事務局としてお答えできることがあれば、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  安達委員のおっしゃることはごもっもとだと思っております。ただ、現実に我々として はこのように思ってジェネリックの使用促進を進めているわけでございますけれども、な かなか進まないという現状があるのも事実でございます。その中では、医師にも薬剤師に も、まだまだ品質について不安だ、どうなのかという御意見があるのも、今の現実の姿か と思っております。そういう中で、実際に後発品をきちんと進められているようなケース の病院については、先ほどDPCのお話もございましたけれども、こういう体制をやるこ とでかなり進めることができたという事例がございましたので、そういった実際の事例に 即しまして、こういったことを推進してはどうかという論点を挙げさせていただいた次第 であります。それからまた、患者さんのほうにもいろいろ御不安があろうかと思っており ますけれども、患者の調査のほうで、先ほど申し上げたように、医師なり薬剤師から尋ね てくれるとやりやすいという声もございましたので、このようなことを実際の問題として 挙げさせていただいたわけでございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  安達委員、よろしいでしょうか。 ○安達委員  ちょっと驚きますけれども、我々としては安全同等だと思っているのだが、漠たる不安 が社会にあるからそれを何とかしようというのは、それは行政的には変な話なんじゃない でしょうか。具体的に申し上げますと、参考資料(1)のスライド14、後発医薬品の試験検 査等の実施による品質確保、これは随分我々も申し上げてきて、論文の中には正しいもの も間違ったものもあるかもしれませんが、先発品と違うという論文が出てきたり、また現 場の医師が申し上げたり、薬局が申し上げたり、そういうもので必要なものは、ここであ る意味で品質の再検査を国家としてやる体制を整えたということになるわけでございます ね。これが施行されてまだ2年弱なのではないかと私は理解しておりますけれども、どの ぐらいの品目について意見が挙がってきて、そのうちどれぐらいの品目を検査されて、そ の結果としてはどういう結果になったのかということがもう少し広く周知されていかない と、今事務局がおっしゃった漠たる不安というのが、患者の方々にとっても、使う医師に とっても残ってしまうということなので、ここの体制強化が一番大事なんだと思うんです けれども、具体的には、ここで約2年弱でしょうか、どのような結果になったのかという のを教えていただけますか。 ○遠藤小委員長  これは保険局の所管ではないと思いますが、お答えできますでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のジェネリック医薬品品質情報検討会につきましては、これまでに3回開催されてお りまして、それの議事録、それからそのときの検討に当たった資料については、先ほどの 参考資料(1)のスライド14にジェネリック医薬品品質情報というURLを書いてございま すが、医薬品医療機器総合機構のホームページの中に掲載されております。それは今はま だ集計ができておりませんが、例えば第1回のジェネリック医薬品品質情報検討会につき ましては、平成19年9月から平成20年3月までの文献、学会発表、それから平成19 年度の医薬品医療機器総合機構の相談内容については、一応レビューをして、その中から は明らかに後発医薬品の品質に問題があることを示すものはないという評価をされたとい う結果が残っております。当時、その中でいろいろ指摘されたものとして、アマンタジン、 イオパミドールほか、全部で8品目について御指摘があって、確認したと。あとは問題は ないという後発医薬品ということでありますが、念のため議論するものとして、イトラコ ナゾールとクレメジンという薬がございます。そういったものについては深く検討しよう ということになりまして、第2回の検討会でも、どのようにやるかという議論がなされま して、イトラコナゾールとクレメジンについては、特にイトラコナゾールについては、再 度同一のプロトコールで生物学的同等性試験を実施しようということになってございます。 それから、クレメジンにつきましては、これは吸着炭製剤でございますけれども、もう一 度、一応3ロットにつきまして、いろいろと御指摘もあるものですから、確認する意味で、 国立医薬品食品衛生研究所を中心に、幾つかの、例えばインドールとかトリプトファンと かを指標にいたしまして、吸着曲線の作成をしようといったことが決まっております。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  すみません、ちょっとまとめて御質問を先にさせていただきたい。つまり、根本はさっ き申し上げたことでございまして、行政的に先発医薬品と後発医薬品は同等であり、安全 性に差異がないという結論なんだけれども、そこのところの理解が不十分だから進まない というのが一番大きな原因だと思いますので、まとめてお伺いしているのですけれども、 あと2つだけお伺いします。  一つは、アクションプランの中で後発メーカーについて、ロットごとに検査することが 義務付けられたと思うんですが、平成19年度中をめどにやれという形だったと思うんで すが、それはもう100%に近くやられているのかどうかという質問です。  もう一つは、これは保険局とは関係ありませんけれども、保険局医療課にも御相談が当 然あったはずのことだと思うのでお伺いしますけれども、平成20年3月に社会・援護局 援護課が各都道府県に通知を出されました。生活保護を受けている方たちについては、実 質上、ジェネリック医薬品の使用を強制しろというのに近い通知であり、これがやれない 場合には生活保護の認定の取り消しもあり得るといった通知をお出しになっておられます。 これは、生物学的同等性が完全に確保できるのなら、財政的見地からしてそんなにむちゃ な通知ではないと思いますけれども、4月になってでしたか、1カ月弱でその通知を撤回 されました。この撤回の理由は何ですか。つまり、生物学的同等性というものが完全に保 証できるのであれば、撤回する必要はあったのかどうかという観点からお伺いしているわ けでございますが。 ○遠藤小委員長  これは、薬剤管理官、お答え可能なものとそうでないものがあると思いますけれども、 可能なものをお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  最初に、参考資料(1)の3ページにございます品質確保のところでロットごとに製品試験 を実施ということでございますが、実はそもそもロットごとの製品試験につきましては、 GMPという、先ほど安達委員がおっしゃられた点でございますが、医薬品の製造管理・ 品質管理に関する基準というものの中で基本的には義務付けられているものでございます。 ここで、話がちょっと分かりにくくて恐縮でございますが、ただ、その試験結果を公表す ることまでは義務付けられておりませんで、その試験結果を公表していくということをど んどん進めていこうということがここの趣旨でございまして、ロットごとの試験について は既に法令で検査をすることが義務付けられております。  それから、2番目の生活保護との関係でございますが、これは社会・援護局の問題でご ざいますが、当時私も少し話を聞いておりましたので、その当時の話として知っている限 りで申し上げますと、あの通知では、原則として後発医薬品を生活保護の方には使うべし ということでございました。ただ、現状、それ以外の方につきましては、基本的には患者 さんの選択によって選ぶという形になってございまして、その不整合をどう考えるのかと いう御指摘があってあのような事態になったと私どもは聞いております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  今の安達委員の先発医薬品と後発医薬品の品質・有効性・安全性の議論ではないのです が、後発医薬品につきましては、自己負担が軽減されるという意味から、患者あるいは保 険の加入者にとっては非常にメリットがあります。私ども協会けんぽは加入者に対して今 年の9月に全国でアンケート調査をしたところ、ジェネリック医薬品がどういうものか知 っていたが、使ったことはないという人のうち約4割の方が、お医者さんや薬剤師さんか ら話がなかったので、なかなかこちらからは言い出しづらかったという結果でした。した がって、この4番の論点については、医師や薬剤師の方から話をしていただくことが、使 用促進という観点から非常に重要ではないか思われます。  それからもう1点、前回の改定のときに、療養担当規則で薬剤師の方には後発医薬品に ついて説明義務が規定されましたが、先ほどの資料の中でも、後発医薬品の説明・調剤に ついて「余り積極的に取り組んでいない」と回答された薬局の方が33.2%あったとあ ります。この結果、療養担当規則に記載されていることが現場では必ずしも十分実行され ていないのではないかと思います。療養担当規則に記載されていることが現場では必ずし も十分実行があがっていないことについて事務局はどう認識されておられるかお伺いした いと思います。 ○遠藤小委員長  では、関連ということで、安達委員。 ○安達委員  小林委員の御指摘に誤解があってはいけませんので申し上げておきますけれども、我々 医療側は、処方したくないと申し上げているわけではないんです。それはもう同じ観点で、 患者さんのお財布のことでございますから。そのベースメントはあくまでも同等性なのだ ということを申し上げていて、その同等性のアナウンスメントというものがきちんとやれ ているのかどうかという観点で申し上げております。例えば、たしかフランスでは政府が テレビコマーシャルを流していたと思うんです。そういうことで患者さん方が同等性につ いて不信感というものがなくなれば、積極的にそういうお申し出はあるだろうと思うとい うこと。  それから、協会健保も今回多分、たしか先発品と後発品の一般的な平均値の差額通知を お出しになりますね。これにも特に我々は反対ではございませんで、もちろん、協会健保 の財政を考えれば、おやりになることは当然だろうなと思っています。だけれども、すべ てのベースメントがその同等性の信頼感という問題なんだと。だから、一つだけ追加でお 聞きしますけれども、今事務局で、ロットごとのあれは法令で決まっていて、平成19年 度末をめどにということになっているのだとおっしゃったのですが、その結果として10 0%やれたのかということを私はお聞きしたので、そのお答えはいただいていないように 思うんですが。 ○遠藤小委員長  薬剤管理官、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  すみません、実はこれは毎年フォローアップされておりまして、聞いているはずでござ いますが、今ちょっと手元にそのフォローアップの結果は持ち合わせておりません。ただ、 全般的な話ですが、ここで書いたことは基本的にほぼすべて実行されたと聞いております ので、多分これについても既に実行されているものと思っておりますが、ちょっと今手元 に資料がございませんので、明確な答えができないことは申しわけございません。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  現場の視点から考えてみますと、どうしたらジェネリックの使用を促進できるかという と、まず使う側がジェネリックを使ったほうがメリットがあるという自覚を持ってやらな いとなかなか進まないのではないかと思うんですが、まずは品質は同等であることを確保 するということと、それからその周知徹底ということもあると思うんですけれども、あとは、 例えばDPCとかで我々の病床が出来高から包括になると、薬剤費はコストになるから、 一生懸命ジェネリックなどを入れてコストを下げようとするインセンティブが働きます。 患者さんの場合、幾ら私たちあるいは薬剤師さんが勧めたとしても、価格差が余りないと、 だったら今まで使っていたほうがいいということになってしまうんです。それと、薬価そ のものには差があっても、いろいろな調剤費などを入れていくと、そんなに違わなくなっ てしまうということもあったり、全部がジェネリックがあるものとは限らないし、結局2 つだけジェネリックに変えてもなかなか差が出ないということもあるし、大きく進めよう と思うのだったら、価格差をうんと広げるような、あるいはとにかく使う側にインセンテ ィブが働くような仕組みにしないと、ジェネリックの使用はなかなか進まないのではない か。無理やり我々にそれを促進させようとしても、価格差が余りない場合には、品質が同 等であるということですから、それはなかなか難しいのではないかという気がいたします。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  では、三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  先ほど小林委員からお話があったとおり、積極的でない理由という御質問があったかと 思いますけれども、このアンケートの調査は平成21年7月ということで、これが改正に なったのは平成20年4月ということです。それで、例えば私どもの薬局では事前に既に 御説明をしているということがまず1点あるのと、例えば風邪の患者さんがお見えになっ て、2種類くらい、せきどめと解熱剤が出ていたら、その症状を診たりして、また患者さ んがいっぱい待っている中で、どのくらい長い時間御説明をすればいいのかというのも実 際にはあるんです。その価格差がはっきり出るようなものであれば、もちろんきちんと御 説明します。ただ、変えても5日分の処方で後発品とほとんど差がない場合、時間的なこ ととか、総合的に勘案して御説明を避ける場合もあります。ただ、それが余り積極的でな いということに当たるかどうかはちょっと分かりませんけれども、その現場では幾つもの 理由があって患者様にお伝えしないということも実際にはあります。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  このジェネリックの問題で、うちの大学附属病院が邉見先生に、国策に反する大学病院 だと否定されたんですが、私は今から建設的なことをちょっとお話ししたいと思います。 まず、これを本当に進めるのであれば、民主党が言っているように、物から人へと、医療 費の無駄を省くという意味では、これは本当に支払い側も大事な問題だと思っていらっし ゃると思うんです。同じ機能、同じ性能であれば、値段が安いほうが医療費が下がります から、それはいいことです。その分を看護師さんとかクラークとか、人に振り分けるのが いちばんいいわけで、それがこの委員会の役割だと思うんです。これは質問したいんです けれども、本当に安全かどうかと皆さんが不安なのは、この国立医薬品食品衛生研究所で やっているチェックがエビデンスレベルでいうと、サイエンティフィックに今エビデンス レベルは1から5まであるんです。きちんとサイエンティフィックにランダマイズすると か、メタアナリシスをするといったことをすべてのジェネリックにおやりになっていると いうことが社会に知られれば、皆さん安心するんです。それが本当に、例えば一つの血圧 のお薬で、それに対するジェネリックは多分5つか6つか、もっとあると思うんです。そ れをすべてこの国立医薬品食品衛生研究所でエビデンスレベル1でやっているのか、それ をちょっと教えていただきたいというのが一つです。  もう一つは、このジェネリックをつくっている会社が日本に一体何社あって、その品質 を全部保証できるようなところもあるのか。ということは何が言いたいかというと、皆さ んはジェネリックと最初の製品が同じだと思っているでしょうけれども、製剤は全然違う わけです。今度のインフルエンザも、科学的にいいますと、アジュバントが輸入品には入 っています。日本製には入っていない。そういうものは同じ薬品でも違うんです。ですか ら、そこをきちんとおやりになっていれば、ジェネリックを使うようになると思います。 そこが公になっていないんです。そこをきちんと科学的にやっていただければ、使います。 山形大学は使わないと言って邉見先生にひどい目に遭ったんですけれども、(笑)今のよ うな理由が第1点です。  第2点は、今、鈴木委員がおっしゃったように、欧米では、先発医薬品はジェネリック が出た後に値段を下げません。なぜかというと、今言ったように製品が違うので、お金に 余裕のある方は、お金を払ってもいいから先発品を使ってくれと言うんです。あと、アメ リカの場合にはPMDAのような機構には日本の大体10倍の人数がいるんです。そうい う中で検査をしていますから、非常に信用度が高いんだと思います。それで値段も安い。 ですから進むんです。ですから、もしも進めるとしたら、私は今建設的というお話をしま したが、その2点をきちんとやっていただければ、これは自然にそのようになると思うん です。  まず私の質問にお答え願えれば……。 ○遠藤小委員長  では邉見委員、関連で、どうぞ。 ○邉見委員  関連といいますか、釈明です。DPCの評価分科会でヒアリングをやりました。その中 で、標準的な病院から著しく離れて後発品をたくさん使っているところと少ないところが 2病院ずつ選ばれました。その2病院の中に嘉山先生のところの病院がございました。来 られた人はお白州に呼ばれているような強度な緊張感があったのでそのようにとられたの かもわかりませんが、私自身は違うんです。先ほどの薬価部会でも言いましたように、今、 技術とか医療費が大変なときに、少しでも同じ効果あるいは安全性があるのであれば、医 療費をもっと技術とか、チーム医療とか、入院医療とか、救急医療とか、困っているとこ ろへ出すために、療養担当規則まで変えたんです。日本医師会も、平成18年改定までは ずっと反対していたわけです、後発品使用促進の、特に処方せんの変更などは。それを平 成20年改定で苦渋の選択で処方せん変更をのんだのですねと言ったら、そのときに日医 の常任理事の方もその委員会におられて、うなずいたわけです。だから、そこまでやって、 我々地方自治体でもものすごく苦労してやっているのだから、せめて、今は独立行政法人 ですが、国立大学なのだから、少しそういうことも御配慮いただきたいという意味での、 国策と言ったかどうか、ちょっとまだ議事録を見ていませんが、そういう意見ですので、 一度また御判断をよろしくお願いします。 ○遠藤小委員長  その話は了解しましたので、先ほどの話に戻りましょう。 ○嘉山委員  先ほどのクリエイティブな話のほうに戻っていただきたいんですが、質問を2つ。それ から、邉見先生はそうおっしゃいますが、大学というのは治験もしなければいけないし、 いろいろなことがあるんです。別にうちが一番びりではなくて、下にまだあと3大学あっ たわけですから、(笑)それも飛び抜けてうちが低かったわけではありません。その辺は、 先生、大学というのはいろいろな機能を持っていますから、御理解願います。 ○遠藤小委員長  それでは、事務局、お答えください。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  最初に、エビデンスレベルということです。今EBMの話で、エビデンスレベルもおっ しゃるとおり1から5までございますけれども、基本的にそのEBMのあれでいきますと、 新薬の場合については、当該有効成分がそもそもどのくらい有効性があるのかとか安全性 があるのかについて、例えばランダマイズド・コントロール・トライアルでどう見るのか とか、メタアナリシスでどうなのかというのは、まさしくEBMの議論で、どういうレベ ルでその成分としての有効性・安全性が検証されているのかということが確かに大きな問 題になろうかと思っております。ただ、ジェネリックの場合には、そういう意味でのエビ デンスという形ではなくて、いわゆる先発医薬品と同等と言えるかどうかということの保 証をしているということなんです。そういう意味では今のEBMの1から5に該当するよ うな形という軸とはちょっと違いまして、米国でも欧州でもそうなんですけれども、基本 的には薬物動態が一緒かどうかということを検証することによってその有効成分の新薬成 分との同等性を見ておりまして、当該成分がどのぐらい効果があるかどうかについては、 どっちかというと、特許期間中にほぼ評価を終わりまして、それは新薬としての評価でご ざいますが、それが確立したものについて、同等かどうかを検証するような試験をやるこ とによって見ておりますので、そういう意味でEBMの当て方の軸がちょっと違うと御認 識いただければと思います。ですから、現実に国立薬品食品衛生研究所でやっております のは、現場からの不安、懸念、指摘、いろいろございますので、特に品質についての試験、 品質が悪いのではないかとか、純度が悪いのではないかとか、それからどうも薬物動態の データがおかしいのではないかとか、そういうことについてデータを見直し、必要なもの は検証し直すということをやっているわけでございます。  それから、後発メーカーは、うちのほうで聞いておりますのは、100社以上、多くて も150社か、100社程度だと思いますけれども、そのぐらいのメーカーがございまし て、現実に厚生労働省の承認を得るためには、先ほど御説明したような品質の試験、それ から薬物動態の試験をすべてやりまして、そのデータが適切で同等性が認められるという ことをPMDAの審査を経まして、厚生労働省として承認しております。承認を受けた後 は、100社以上あるこの工場に対しまして、該当する都道府県の都道府県庁が定期的に 査察に入り、また問題があれば、それも公表するとともに、現時点では査察した結果につ いても公表するように努力しているところでございます。  以上です。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、手短にお願いします。 ○嘉山委員  いや、手短というよりは、間違っていることを言っていますので。 ○遠藤小委員長  そうですか。では、お願いします。 ○嘉山委員  新薬の場合でも、有害事象のランダマイズドクリニカルトライアルをやるのは世界の常 識です。例えば、同じ効能があっても、有害事情があるかないかで、抗がん剤が一番いい 例なんですけれども、同じ効果であれば、それによって有害事象があるほうを落とすとい うのは世界の常識であって、何もジェネリックでファーマコカイネティックス、つまり薬 物動態で血中濃度だけを見たってそれは意味がないのであって、安全性という意味では、 有害事象のエビデンスを出さなければ、我々は安心しないんです。私たちは国民の健康を 守っていますから、それがデータとして、有害事象も全く同じでしたというデータがジェ ネリックにあれば、我々は患者さんに使います。なぜかというと、さっき言ったように、 支払い側の値段が下がるわけですから。でも、今あなたが言ったのは、有害事象のことで はなくて効果ですね。効果ではないんです。我々が一番不安なのは、副作用が出た場合と か、そういう場合に問題なので、その有害事象のエビデンスレベルをきちんと出しなさい と、出していますかということを聞いているんです。 ○遠藤小委員長  薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  私が申し上げたかったことは、品質保証なりの見方が先発と後発ではちょっと違うと。 つまり、同等が言えるということは、先発医薬品に起こった効果とか有害事象の結果はそ のままジェネリックに当てはまるということを申し上げたかったわけです。科学的にそれ が言えるということを保証するということによって、先発医薬品で起こった有害事象、そ れから効能効果のレベル、これがそのままそっくりジェネリックに当てはまるということ を申し上げているわけです。そのようにして同等性試験と品質の確保でそれがつなげられ るようになったということを申し上げているわけで、そういう意味で、ジェネリックその ものにそのデータがなくても、それは先発薬品のそのデータをそのまま使えるということ、 これは欧米各国ともそのような判断でやっているということを申し上げたかったわけです。 ○遠藤小委員長  同等性の検査については、基本的には日本のやり方は欧米のやり方と同じだと理解して よろしいわけですね。薬剤管理官、どうですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  資料にございますように、そのとおりでございます。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  日本では新薬でさえも検討が非常に遅れているのに、ジェネリックはすごい数あるのに、 本当にきちんとやられているというエビデンスは何かありますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  実際には、嘉山委員のお話からいけば、特に安全性の件につきましては、もし副作用が 当該ジェネリックにあった場合については、薬事法で副作用を報告する義務がございます ので……。 ○嘉山委員  それは分かっています。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ですから、例えばその法令が守られていないメーカーがあったときに、それはどっちか というと法令違反として処分をどうするかという問題でございますが、これは医薬当局の ほうで見ておりますけれども、そういったことで実際に指導を受けたとか処分を受けたケ ースは特に聞いてはいないという状況でございます。 ○嘉山委員  2番目の質問なんですけれども、ジェネリックの値段。 ○遠藤小委員長  薬価については、薬価部会で議論しましょう。 ○嘉山委員  そうなんですか。では、推進できないという理由が薬価にあるので、それはどのように 決めているのか、ちょっと参考に教えてください。 ○遠藤小委員長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  日本のジェネリックの値段の決め方については、これも薬価部会でさんざん議論があり まして、昔は実は同じ価格をつけていた時期がございました。ただ、その後のいわゆる売 値がどうなのかをずっと調べていきますと、ジェネリックのほうが必ずかなり安く売って いるという実態がございまして、先発医薬品の価格から0.9掛け、0.8掛け、それで 現在は0.7掛けということになっていまして、それからまだ若干ジェネリックのほうが 下がる率が大きいものですから、現実には平均してみますと半額ぐらいの金額になってい るというのが全体的な姿でございます。 ○遠藤小委員長  よろしいですか。 ○嘉山委員  結局、推進できないのはジェネリックの値段が高いからです、我々現場としては。です から、それは支払い側も困ると思うんです。 ○遠藤小委員長  それはまた薬価部会で御提案いただければと思いますので。  1号側、どなたか手を挙げられておられましたが。では、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  私も、ジェネリック推進で5つの論点が挙がっていますけれども、そのうちの4番目が 一番大事ではないかと思います。患者からすれば、どの薬にジェネリックがあるのかとか、 ジェネリックがだんだん普及していく過程の中で、どの薬で普及が一番進んできているの かとか、そういう情報がないわけですから、とりあえず、まずジェネリックについて声を かけてもらうということ。だから、どんな治療でも何でもそうですけれども、選択肢があ るということを伝えてもらわない限り、自分から言い出すということはなかなかしんどい わけなので、ここの4番をぜひ一番肝にして徹底してほしいなということがあります。  それと、今の嘉山委員の話とも絡むのかもしれないんですけれども、鈴木委員とか三浦 委員のお話を聞いていると、現場では印象としてほとんど価格差がない、後発品を一生懸 命進めても余り値段が変わらないなというものがそんなにたくさんあるのだったら、後発 品を進めていく前提が崩れるような気がするんですけれども、僕らの印象としては、今は かなりというか、意味のある価格差になるんだと思ってやっているんですけれども、現場 の印象は違うんですか。 ○遠藤小委員長  ですから、それはおっしゃったように、大体5割ぐらいになっているだろうと。7掛け をしているわけですけれども、ジェネリックの薬価はその後下がりが速くて5割ぐらい。 ただし、若干調剤料が高くなって、加算があったりなどするわけです。だから、少し高く なるという話です。 ○勝村委員  薬の表だけで見たらそうかもしれないけれども、実際にたくさん処方したくなるような 薬には意外と価格差がないんだとか、そんなことはあるのかなと。 ○遠藤小委員長  三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  先ほど私は風邪薬を例に出したんですけれども、例えば、先ほど鎮咳剤と申しましたけ れども、リン酸ジメモルファンというものがアストミンということで出ているのですが、 実はこの後発品も6円10銭という同じ価格です。それから、先ほどイブプロフェンのお 話をちょっと解熱剤の頭に置いてしたのですが、そちらも、例えばブルフェンというのは 100mgで6円30銭かな。これが後発品だと5円50銭くらいということで、5日分出 ていても、説明する時間とか、患者さんの状態で、それを長い時間御説明していいのだろ うかということを総合的に判断して、この場合はちょっといいのかなと、このいい悪いは 別として、実際にそういう現場がありますというお話をちょっとさせていただきました。 もちろん、価格差がある場合には、それはきちんと説明する義務がありますので、説明さ せていただいていると理解しています。 ○遠藤小委員長  今のように価格差が非常に少ないというのは、要するに新薬のほうも急速に下がったと いうことを意味しているんですか。ルール上は7掛けにしているということになっている わけですけれども、どういうことなんですか。それでは、薬剤管理官、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のケースは、後発品が出てから大分期間がたっているものだと思います。つまり、2 年に1回の薬価改定をやっておりますし、それから後発品のある先発品を何とか特例引き 下げも含めて追加で引き下げをしたりとか、そういうことをこれまでずっとやってまいり ました。その結果、後発品がある先発品では大分安くなっているものが多いのも事実でご ざいます。その結果、実際にかなり年月がたちますと、今のはほぼ最低薬価ということだ と思いますけれども、最低薬価以上には一応下がりませんので、そこに両方張りついてし まうケースが出てくるということでございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。勝村委員、そういう事情もあるということでございました。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  今の勝村委員の御意見で、4番を肝にとおっしゃるんですけれども、我々はこれをやる ことはやぶさかではないのですけれども、あくまでもこの基本は、先ほどから申し上げて いますように、先ほどの副作用も含めてでしょうか、生物学的に同等であるということを きちんとアナウンスしておいていただかないと非常に大変でございまして、外来管理加算 の5分間要件ではないですが、「だけれども心配なんです」と患者さんが言われたら、ま たその説明を我々がやるのかという話でございまして、それは行政的施策としてちゃんと アナウンスしていただきたい。それがまず一つでございます。  もう一つは、それをやるとしても、これは調剤薬局も同じ問題を抱えていらっしゃいま すが、どうして一つの先発品に対してこんなにたくさんの後発品があるのか。例えばアム ロジンという先発品には20以上の後発品があると思います。その中の価格も、後発品間 で一番安いものと高いもので10倍以上の価格差があるのが現実だと。それで医療機関で 処方を出している場合、ではどれを選ぶのか。あるいは、調剤薬局へ行かれて、調剤薬局 もどれを何の基準で選ぶのか。これは本当に野放しというか、わけの分からない話で、少 しその辺を整理していただかないと、この4番を肝にと単純に言われても、大変難しいも のがいっぱいあるんだということを申し上げたいと思います。 ○遠藤小委員長  少し整理いたしますけれども、先ほどの同等性の確保ということについてもう少し国の ほうでもPRしてほしいということについては、大体御同意を得られていると思います。 ですから、ひとつそれはよろしくお願いしますということですが、今のご発言は勝村委員 の話と関連しますので、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  安達委員へのお答えなんですが、僕のイメージは、もちろんそれで品質が確保されたと しても、やはり違う薬なんですから、薬はそもそも同じ薬でも個人差があるわけですから、 副作用は必ずあって、出方が個人によって違うわけですから、そのあたりに関しては、だ からこそお医者さん、薬剤師さんにいろいろ診てもらうということで、それはそれでそう いう理解なんですけれども、僕が4番を肝にと言ったのは、必ず後発品を使うように説得 してほしいと言っているのではなくて、後発品という選択肢があるということを伝えてほ しいということです。その結果、それでも先発品がいいと言ったら、その上にさらに説明 してほしいと言っているのではなくて、最初にその薬に関しては在庫があるとか、ここに あるという、お医者さんであれ、薬剤師さんであれ、まずとりあえずの一言目が出される ということがすごく大事だということで、そこをぜひ徹底してほしいという趣旨なので、 その点は御理解いただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  アンケート調査の結果にも、余り理由がなくそれをやりたくない医師が一部にあるよう な数字があるんですけれども、基本的に我々臨床現場ではその話はしょっちゅうでござい ます。これだけ経済不況の中で患者さん方は自己負担のことについて非常に関心が高いわ けで、お尋ねもありますし、我々もお話をする。だから、あくまでもそのベースメントは 安全性の話で、そのお話を申し上げて、では安全性はどうなのかということを聞かれて、 またそれを説明して、しかもその十分なデータがない中で我々が御説明しなければならな い。これは調剤薬局も同じ状況である。これは改善していただかないということを今申し 上げたわけで、やることに全くやぶさかではございません。 ○遠藤小委員長  先ほど西澤委員がお手を挙げられていましたので。 ○西澤委員  この論点の中の1と2の意見ですけれども、まず薬局においてというところで、10mg 錠1錠を5mg錠2錠に変えることですが、これに反対するものではないんですけれども、 私たちとしては錠数をできるだけ少なくしたいという思いで出していますので、例えば調 剤薬局へ行ったときに、たまたまその日はないけれども、次回からはちゃんと10mg錠を そろえるといったことをしていただくことによって認めていいのではないかと思います。  それと一つ、意見の前に質問ですけれども、例えばある先発メーカーでカプセル剤から 錠剤に剤形変化したときに薬価は変わりますか。同じメーカーです。 ○遠藤小委員長  事務局、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  同じ先発メーカーでカプセルから錠剤にされたら、普通は同じ薬価にします。 ○西澤委員  ありがとうございます。ということなんですが、下にある口腔内崩壊錠、OD錠ですが、 例えば錠剤がOD錠になったときに薬価は変わるわけですね。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬価収載時は同じ薬価にいたします。ただ……。 ○西澤委員  ただ、特許……。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  実は、これは通常は特許はない製品でございます。特許が成立するようなものは大体新 薬になりますので、これは言ってみれば、先発メーカーの剤形追加といって、特許とか再 審査の生じない、同等のものという形で認められるものでございますので。 ○遠藤小委員長  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  わかりました。ということは、錠剤からカプセルへの変更と全く同じ扱いということで すね。それであれば、この辺も認めてよろしいんじゃないかなと思います。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  今の勝村委員のお話はもっともで、薬が違うわけですから。今お話を聞いていると、や っぱり有害事象に関しては検査をしていないということがあるので、ちょっとお尋ねした いんですけれども、例えば厚生労働省関係の国立病院でジェネリックをどういう種類のも のをどのくらい使っているか。それであれば、もう使っているので、副作用、安全性もあ る程度分かるので、それを一回出していただけませんかね。でないと、一つの薬に関して、 勝村委員がおっしゃったように、薬の性質が違うんですから、我々としても患者さんを守 るためになかなか……。 ○遠藤小委員長  わかりました。少なくとも、そういうデータがあるかどうかということは調べてもらっ て、それを出していただくと……。 ○嘉山委員  それが一番大事なんです、ジェネリックを進める上では。 ○遠藤小委員長  わかりました。  北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  今日議論を伺っていて、大変うれしく思ったというか、ジェネリックを使う、あるいは 促進することについては、ほぼ皆さんの意見が一致しているのではないのかなと私は感じ ました。これまでの議論から大きく前進できたのではないのかなと、私が勝手に思ってい るのかもしれませんけれども。ただ、安全性とか、さまざまの一部の問題点が指摘されて おりますので、例えば安達先生のおっしゃっている問題はもしかしたらアナウンスメント の問題なのかもしれないし、ですからそういうところを事務局と中医協全員でよく議論し て、問題点を整理して進めていったらいかがかなと感じました。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  論点1の関連ですが、先程安達委員から私ども協会が実施しているジェネリックの使用 促進についてのお話にちょっと触れていただきましたが、私どもは、さっきお話がありま したように、自己負担の軽減ということで今年の7月に広島で、先発医薬品からジェネリ ックに切りかえて使いますとこれだけ自己負担が下がりますというお知らせを加入者の皆 さんに通知しまして、その結果を今集計しております。その結果を踏まえて、来年1月か ら全国で順次実施していこうと考えております。広島で実施した際のアンケート調査で、 実際に薬局にお願いした人の3割の方が、薬局にジェネリックがなかったという理由で切 りかえができなかったという結果が出ております。先ほどのお話だと、一つの先発医薬品 にたくさんの後発医薬品がある。それから、薬局の在庫負担は非常に大変だといったいろ いろなことが前から言われております。そういった意味では、この論点1の薬局における 後発医薬品調剤体制加算については、薬局で在庫がない状況が減る結果につながるような 見直しをしていくことぜひが必要であると思います。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  今の御意見なんですけれども、それもそうなんでしょうけれども、もう少し整理してい ただかないと、何でこんなに雨後のタケノコのようにたくさんあるのかと。先発品の場合 は、例えばカルシウムブロッカー降圧剤にしても、その需要が大きいということになれば、 幾つかの会社はおつくりになりますけれども、そこで大体とまるわけです。つまり、シェ アが決まる。それから、作用の強度が違い、ロングアクティングかショートアクティング か、そういうところでシェアが決まってしまうと、あとはもうつくってもシェアはとれま せんから、そういうことでもう自主的にそれが決まってしまう。ところが、後発品のほう は、全く無節操にというか、全く制限なくどんどんできてくる。これで調剤薬局も我々も 困っているのは、調剤薬局にこういう加算をつけていただいたとしても、調剤薬局の場合 は、例えばA医療機関は先発品アムロジンの後発品のうちの1番を選んで処方してきた。 Bという医療機関はアムロジンの後発品の2番を選んで処方してきた。そこにまた変更不 可と、後発品を書いておいて変更不可などという処方せんが出てくるケースがある。そう すると、非常に在庫をふやさざるを得ない。個人医療機関で出している場合も同じでして、 例えば病院から退院してこられたときに、その病院が使っておられた先発品……。 ○遠藤小委員長  よく分かります。だから、その数が多過ぎるということをおっしゃりたいわけですね。 ○安達委員  ええ。それをどうにか整理できないのかということです。 ○遠藤小委員長  ただ、それは基本的にはある意味で参入障壁のようなものをつくるとか、そのような話 になりますので、これは少なくとも中医協の議論ではないと私は思います。そのことで、 このデータにも出ておりますけれども、変更不可の処方せんというのは比率的には少ない わけです。ただし、その中で、なかなか薬局で変えてもらう比率が少ないということの中 にはその在庫のコストが高いということがあるわけなので、そのコストはできるだけ下げ るといった意味合いで、例えば異なる名前であったとしても、ジェネリック間の代替調剤 を事実上認めるとか、いろいろな方策をこれまで考えてきているわけです。そういう対応 しか恐らく中医協の議論としてはできないだろうということだと思います。 ○安達委員  わかりました。 ○遠藤小委員長  では、ちょっと関連しますので、三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  先ほどの小林委員のお話ですが、例えば薬局で後発品の在庫を全先発品に対してそろえ ているというわけでは実際にないですので、これについての後発品をと言って在庫がない 場合、御説明した後に、後からお届けに上がるか、もしくは次回変更でよろしいですかと いったお話はさせていただくということは考えております。 ○遠藤小委員長  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  論点の3なんですが、ここにはそういった取り組みをする医療機関としては包括外で入 院料を算定している機関ということに限定されているのですが、これはどうしてそのよう に限定しているのかということをちょっと教えていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  では、事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  これについては、特にDPCの評価分科会でも同じような議論がございまして、実際に は薬を含めて包括払いの場合には、当然購入価も後発品のほうが安くなりますので、それ だけで十分インセンティブがついているという発想がございまして、それになおかつまた インセンティブをつけるかどうか、これはまた議論は当然あろうかと思いますけれども、 そういう意味で、特に効果が高いのは、いわゆる出来高払いの場合には、つまりどこから でも償還価格はその価格で来るわけでございますので、何らかのインセンティブがないと なかなか使いにくかろうということから、そこで特にこのインセンティブの議論があるの ではないかということでお書きしたわけでございます。 ○遠藤小委員長  鈴木委員。 ○鈴木委員  この議論を聞いていますと、医薬品が医療材料化してきているという気がしてきて、値 段がピンからキリまで出てきたということで、利益を最優先に考えれば一番安いものを買 えばいいし、その都度、その都度、そうではない考えのところもあるでしょうしというこ とになってくるのかなという気がいたします。例えばDPCを採用して、我々もそういっ たことでコストとしてできるだけ安くとは思うんですが、それでも品質をちゃんと確保す るために検討して一覧表を出すと、値段は本当に違うんです。一番安いものを選ぶ病院も あるかもしれないけれども、品質が保証されているとはいえ、我々が注目しているのは、 どういう病院で導入しているかということを薬剤課に調べてもらって、地域において基幹 となるような病院で採用されていると、ではいいのかなという感じで選んでいるんです。 そういうことも含めて、DPCであっても値段だけで決めているわけではないという意味 では、ぜひそういう取り組みをしている包括の病棟にも、そういう取り組みに対して報酬 上の評価というのは同等にお願いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  そうすると、DPCも同等ということですけれども、出来高であれば、ジェネリックを たくさんそろえていれば、このような高い評価をするということについては賛成という御 意見なわけですね。 ○鈴木委員  DPCではない、出来高ですね。 ○遠藤小委員長  もちろんそうです。 ○鈴木委員  それは一つのインセンティブにはなるでしょうが、DPCだって値段だけで決めている わけではないので、いろいろ努力をして選んでいるわけですから、その過程を評価してい ただければ、それこそ品質と価格はうまくいくようになると思います。 ○安達委員  最後に一つ御質問したいんですが、すべて安全性、同等性ということで私はずっと意見 を申し上げておりますので、先ほど参考資料(1)の14ページの検査の中で、問題ありとい うものになったところについては国立医薬品食品衛生研究所でチェックをされるわけです ね。先ほどクレメジンのお話が出ましたが、薬品名は忘れましたけれども、2つのものの 吸着度を見てみようということになっているという御説明だったんです。ただ、クレメジ ンについては、既に日本透析学会は、明らかにBUN値等の上昇等、悪化するというデー タを出していると思うんですけれども、そういう臨床データと、2つの品目だけに限定し てその吸着力を見たときと、その結果が乖離した場合には、どちらをとることになるんで すか。例えば、クレメジンの後発品はちゃんと吸着しますという結果が出たときです。 ○遠藤小委員長  事務局、お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  非常に難しい質問をいただきました。先ほどは2つしか事例を挙げませんでしたが、こ のホームページにも出ているのですが、そのほかにDL−β−アミノイソ酪酸とβ−イン ドール酢酸、全部で4つの物質の吸着度を見まして、その吸着曲線を作成しているという ことでございます。結局は、このような活性炭製剤の性能を見るときにどういう見方が一 番いいのかと。患者さんを使って見た場合に、患者さんの状態もいろいろ千差万別でござ いますので、そういったものをあわせてどのように評価するかという問題もあろうかと思 いますが、実際に最終的な精度の高いいわゆる性能を見るためには、このような一種のin vitroの試験になろうかと思いますが、そういうものが適切だろうとは思いますが、臨床 的に何か変だということについては、大きな要素として、どういう試験法で問題があるの かを調べていくことは大事だと思っております。また、それにはどういう試験法が一番適 切かということもこのジェネリック医薬品品質情報検討会では検討されるように聞いてお りまして、ちょっと細かいことまでは私も聞いておりませんけれども、そういうことも大 分検討はされているようでございます。 ○遠藤小委員長  はい、安達委員。 ○安達委員  最後に意見として申し上げさせていただきます。そこにある種の問題点が発生する可能 性があるということですが、このクレメジンの後発品というのは先発品に比べて活性炭製 剤の吸着力を持つところのポアのサイズが随分違うんだといったことまでデータが出てい るはずだと思います。それを、in vitroで特定の成分だけの吸着力を見て、それでいいか と。臨床的には、これは腸管内で糞便等にまじってこういう成分があるという状況の中で 吸着力を発揮するということでBUNを下げようということですから、それで臨床的には 明らかに悪化しているという結果が出ているということは、相当重きを置かれるべきであ ろうということを意見として申し上げておきます。 ○遠藤小委員長  重要な御意見として承ります。基本的にこれは、先ほど来のお話のように、同等性がど の程度確保されているかということに対して一部に疑義もあるので、その辺のところを十 二分にPRといいましょうか、広報していただきたい、あるいはその実態としても変えて いただきたいという御意見だったということだと思います。  いろいろと議論が本質的な議論になっているわけですが……。失礼しました。伊藤委員、 どうぞ。 ○伊藤委員  いろいろ議論いただきまして、いわゆる医療のトップランナーのところの影響というの は非常に大きいと思っております。特定機能病院のほうでも、以前に出していただきまし た資料の中では、ジェネリックの使用量がだんだんふえてきているということも伺ってお りますので、大変心強いと思っております。また一方、トップランナーには、嘉山先生が おっしゃられましたように、最先端の技術開発も当然必要であるわけでありますので、こ の兼ね合いが大変難しいかとは思いますが、これからの中で、今日診療側の皆さん方がそ うした意識を持って、少しジェネリックも、特にトップランナーのところは影響が大きい という意識を持っていただければ、かなり進むのではないかと僕は思っておりますので、 よろしくお願いしておきたいと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。トップランナー、つまり医師を育てているところでジェネリッ クというものに対して適切な教育をすると、使用に際して適正な使用が行われるのではな いかということかと思います。 ○嘉山委員  教育も大事なんですが、資料が、エビデンスがないと教育できませんので、そのエビデ ンスを厚生労働省が出していただきたい。 ○遠藤小委員長  先ほど来、その御主張はよく理解しました。  論点が出ておりますので、もう既に触れられたところもあるのですけれども、見ていき たいと思います。最初に論点の1です。これは、薬局でのジェネリックの使用がかなり限 られているという実態があるが、それはそれなりのコストもかかるということなので、こ の加算の在り方等についてどうするかということです。先ほど小林委員は、これはそうし てしかるべきではないかという御意見でありました。細かな要件等々については言及はあ りませんでしたけれども、在庫のコスト等々を考えれば、それなりの加算をつけてもいい のではないかということです。これについて何か御意見はありますか。  現状は、事務局、どうなっているんでしたか。これは上に載っていますね。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の後発医薬品調剤体制加算がどうなっているかということですか。 ○遠藤小委員長  はい。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  それは、資料の5ページに書いてございまして、現状は大体8割の薬局が算定している という状況でございます。 ○遠藤小委員長  点数をもっと上げるのか、あるいはまた別の要件をつけるのかといったことで、これを 議論していくかどうかということです。それでは、おおむねこういう形の議論を進めてい くという方向でよろしゅうございますか。  はい。  2つ目のところでありますけれども、ここには2つの事例が並んでおりまして、処方せ んに記載された先発医薬品とその含有規格が異なる場合にはどうか。2つ目の場合は、形 状が異なる場合にも認めるかどうかという話です。これは先ほど西澤委員が言及されたわ けですけれども、西澤委員は両方とも反対というお立場ですか。 ○西澤委員  いえ、条件つき賛成ということです。 ○遠藤小委員長  条件つき賛成ということで、つまり、こうすることによって、できるだけ在庫の負担と いいますか、在庫のリスク、品切れのリスクというものをなくそうということであります。 では、これも基本的に前向きな検討ということでよろしゅうございますか。  はい。ありがとうございます。  3番目につきましては、ただいまお話がありましたように、出来高評価をしている病院 においてはジェネリックを使っていたり、あるいはそのための委員会などを使うといった ことをやっている場合には、診療報酬上の評価を与えるという考え方。それに対して鈴木 委員は、さらにこれは包括であってもやるべきではないかということも含められたわけで すが、基本的にそういう方向で議論していく、そういう方向で細部を練っていくというこ とでよろしいかどうか、お諮りしたいと思いますが、よろしいですか。  はい。  4番につきましてはもう既に十分に議論がされましたので、あえて触れることはしませ ん。  以上、今まで事務局から出されていた4つについては、このような形で今後検討してい くということにさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。安達 委員、どうぞ。 ○安達委員  一つだけ確認させていただきます。2の(1)ですが、10mgで後発品が5mg錠しかな いときに5mg錠2錠でいいかということです。これは、当然承認された薬効が同じだとい う前提でないとまずい。つまり、適応病名がです。だから、成分は同じでも、例えばアー チストという降圧剤のカルシウム拮抗薬がありますが、2mg錠は心不全だけ適応なんです。 たしか5mg錠と10mg錠とがあると思いますが、そっちのほうは高血圧に適応だと。こん な話になってくると、審査上は査定が起こるといったこともあるので、これはあくまで適 応病名が同じものについてという限定のお話ですねということを確認させていただきたい と思います。 ○遠藤小委員長  それでは、原案提出の事務局にその辺を確認したいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  舌足らずで申しわけございませんが、安達委員のおっしゃるとおりでございます。その 点は、実際の用法・用量が違う別効能のものがあった場合に、ある当該規格は別効能だけ の効能の場合がございますので、そういったものは除外するということでございます。 ○遠藤小委員長  それは薬局薬剤師の段階でも分かるわけですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  添付文書に全部記載されておりますので、それは分かります。 ○遠藤小委員長  問題ないわけですね。わかりました。ありがとうございます。  では、この論点に述べられました1から4につきましては、そのような方向で今後議論 を深めていきたいと思います。5については、直接診療報酬上の問題ではありませんが、 重要な課題なので、またいつでも御意見を承りたいと思います。  それでは、後発品の問題はこれで終わりにしたいと思います。  引き続きまして、療養病棟・有床診療所についてを議題といたします。  事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  療養病棟についてが診−2−1で、それに関する参考資料、有床診療所についてが診− 2−2で、やはり参考資料がついております。時間がタイトでございますので、できる限 り簡潔に説明させていただきます。  まず、参考資料のほうから御説明いたしますが、療養病棟の1枚目のスライドをごらん ください。これはもう何度もお見せしているスライドですが、病院の機能に応じて病床の 種類があるわけですが、今回は赤い点線で囲まれた療養病棟と言われるオレンジの部分に ついて御議論をいただきます。ここは御存じのとおり、いわゆる包括で支払われる病棟と なっております。めくってください。  2番目と3番目のスライドは、歴史について書いてあります。スライドのつくり方にも よるのでしょうが、上の歴史は縦軸に時間が流れていって、3番目のスライドは右向きに 時間が流れていくので、ちょっとあれですが、3番目のスライドで簡単に御説明します。 歴史的に振り返りますと、昭和58年の老人保健法制定時に特例許可老人病院、それから 許可外老人病院というのが制定されたことにさかるぼるのですが、そこから紆余曲折と申 しますか、いろいろな動きがありまして、平成12年に介護保険の施行とともに療養病棟 入院基本料が新設され、またオレンジでかいていますが、介護療養病床も新設されたとい うこと。それから、直近の話題ですと、平成18年には療養病棟入院基本料に包括評価が 導入されたというところです。今日はこの平成18年以降の動きを中心に御説明していこ うと思っております。  4番目のスライドが最近の療養病床の推移でございまして、見ていただくようにふえて いるということです。  それから、その下が人口10万当たりの療養病床数で、やっぱり地域差があるようで、 九州や四国といったところにちょっと多いのでしょうか。病床自体はそういうことですし、 療養病床もおおむねその傾向に似ているように見てとれます。  次のスライドでございます。DPCの病院あるいは急性期の病院あるいは一般病院と言 われるところは基本的には急性期を引き受けるのでしょうが、医療療養病床あるいはそこ でピンク色でかきましたけれども、いわゆる介護保険が適用になっている居住系の施設と いうものにはどういう違いがあるのかということを一覧にしてみたのがこれです。ベッド 数がどのくらいなのか。それから1人当たりの床面積。だんだん居住系に近くなればなる ほど良好な療養環境、生活の場としての面が出てまいりますので、1人当たりの床面積も 広がっていくということです。それから、平均的な1人当たりの費用額については、そこ でごらんいただきますように、これは一つの例ですので、多少の上がり下がりはあるわけ ですけれども、当たり前のことですが、医療の密度が高いところでは1人当たりの費用額 は多くなり、生活中心のところでは低くなっております。それから、左側ほど医療の必要 度が高く、右側ほどむしろ生活のケアのほうが多くなってくるわけですので、医師や看護 職員や介護職員の密度も違ってくるということになります。  それで、7番目のスライドになりますが、平成18年に包括評価制度を導入した際に、 患者分類を行いまして、その患者分類に基づいて診療報酬も支払われるということになり ました。この7番目のスライドは、報告書より抜粋しておりまして、文章が多いのでなか なか見づらいんですけれども、平成18年度診療報酬改定で導入されて、平成20年度の 改定で部分的な修正が行われたということです。18年度調査においては、タイムスタデ ィ調査も含めましてかなり細かな調査が行われ、コスト面、それから収入面も含めて、か なり丁寧な調査を行ったということであります。  めくっていただきますと、8番のスライド、9番のスライドが医療区分、ADL区分と はどのように区分しているかというものでございまして、既に御承知の方が多いと思いま すので、今日は省略させていただきます。  そして、10番のスライドで見ていただきますように、実はADLの3区分と医療区分 の3区分を組み合わせますと、升目としては9つの升目ができるのですけれども、ここで は、診療報酬を支払うという段階になりますと、こういうAからEまでの5つの区分で支 払われます。ごらんいただきますように、一番安いところは入院基本料Eで750点、そ れに対して医療区分3、入院基本料Aのところは1,709点ということになっておりま す。  その下は年齢構成でございまして、これを見ていただきますと分かりますように、75 歳以上がおおむね70%から75%程度ありまして、65歳〜75歳未満を加えますと、 ほとんど80%から90%近い方が65歳以上ということになります。  12番のスライドですが、では医療区分1から3まで、それからADL区分1から3ま でで9区分に分けたときに、どういう患者さんが入っていらっしゃるかということですが、 これも先ほど申し上げました調査に基づいております。これは平成21年3月のデータで ございまして、慢性期分科会からの報告でもごらんいただいたので、もう既に御承知の委 員も多いかと思いますが、改めて御説明しますと、左側のオレンジ色の枠囲いの中に書い ていますように、医療区分1から3までの構成費は3対5対2という比です。つまり、1 0人患者さんがいるとすると、医療区分1は3人、2は5人、医療区分3は2人ぐらいと いうことになります。それから、9分類のうちでは、医療区分2でADL区分3のところ が最多ということになります。  それから、患者さんがどこから来てどこへ出ていったかということですが、自院や他院 から来ておられますが、意外に自宅や特養・老健に帰っていただく方も多いということが 見てとれます。  次のページ、14番と15番は、それぞれの患者さんの1人1日当たり費用と1人1日 当たり収入を書いております。それで、凡例が見づらいのですけれども、ブルーは18年 調査、赤が20年度調査。先ほども申し上げましたように、慢性期分科会において検討さ れた21年3月のデータになります。合計費用で見ますと、18年度と20年度は、結論 からいうと、オレンジの輪で囲んでいますように、20年度のほうが費用がかかったとい うことが見てとれます。一方、その下の図も見ていただきますと、収入合計、これもオレ ンジの輪をつけておりますけれども、収入も20年度のほうが多かったということになり ます。  そして、それらを総括的に一覧にしたのが16番のスライドになります。先ほどから何 度も申しておりますように、日本の病院の病床の費用とか収入というのは、必ずしも系統 的に算出する仕組みになっていないんですが、療養病棟や療養病床は比較的最近になって つくられたものですから、DPCの経験なども踏まえながら、こうやって収支差が分かる ようになっているわけです。これを見ていただきますと一見して分かりますように、赤い 数字で書いてありますが、医療区分1に属するところは、18年度調査と比べましても、 20年度調査において、やはりいわゆる赤字基調ということが言えます。一方、医療区分 2・3につきましては、18年度調査、20年度調査とさほど差はないということが言え ると思います。これももう既にこの委員会でも簡単に御報告があったところでございます。  ただし、この調査を行うに当たって、18年度の調査と20年度調査はともに抽出をや っているわけですけれども、たまたま共通に当たった10病院だけのデータでございます から、n数によるデータの信頼性ということに御注意いただいて御判断いただきたいと思 います。ただし、別途、慢性期医療療養協会の会長が分科会にも出ておられましたけれど も、彼らが独自に調査されたものとそれほどの差はないと聞いております。  17番のスライドはそれらをグラフにしたものでございます。省略させていただきます。  それから、18番、19番のスライドは、療養病床を有しない一般病院と療養病床60 %以上の一般病院を集計1同士で比べたものでございます。これは、医療経済実態調査か ら出てきたデータということです。ここでは、療養病床を有しない一般病院の中に国公立 が含まれておりまして、ここで単純に比較しても解釈がなかなか難しいので、スライドの 20番と21番に18番と19番の中から国公立を抜いたもので比較していただくことに しています。療養病床を有しない一般病院からも、それから60%以上ある一般病院から もそれぞれ国公立を除いてみますと、療養病床を有しない一般病院はマイナス680万5, 000円ということですけれども、療養病床60%以上では425万2,000円という ことです。集計2で見ても傾向は変わらないということが言えます。  それから、22番、23番のスライドは、もう既にお見せしましたので、とにかく救急 搬送が一般論としてふえているということを単純に書いただけですので、省略いたします。  それで、慢性期分科会の中での御意見にもありましたし、こういう療養病床を運営して いらっしゃる先生の中で、すべてではないと思いますけれども、療養病床で救急患者を受 け入れている場合があると聞いております。円グラフの中にもありますように、救急車に よって来られた救急患者を受け入れている割合というのはそう多くはございませんけれど も、これだけ救急車の出動台数がふえていて、またその後方の病床が足りないという中で、 一定の役割を果たせるのではないかというのが関係者の意見のようでございます。  25番のスライドは、そうしたことで3次救急病院と療養型病院が連携したような例を 東京と大阪で書いております。  それから、次の26番、27番のスライドは、また別な側面でございます。先ほどから 何度も申しておりますように、療養病棟・療養病床というのは、比較的新しく導入された 包括であり、新しい制度であるために、先ほどのように、収入と支出の差のみならず、い ろいろな要素が盛り込まれています。その中では、治療・ケアの内容の評価についても検 討されています。これは、健保連からの御提案等々もありまして、平成18年度の慢性期 分科会でQuality Indicator――QIを用いた医療の質の評価が提唱されまして、分科会 の中でも盛り込まれているわけです。  ここではQIの詳しい説明はいたしませんが、現状では、療養病棟・病床で診療報酬を 請求するような病棟においては、この調査を行って、その結果を評価票として取りまとめ て、具備しておくべきということになっております。それが27番目のスライドになりま す。個々の患者さんすべてについてチェックをする必要はありませんが、病棟でチェック をしまして、例えばADL区分1・2の患者における褥瘡が何人おられましたとか、それ から継続して入院している患者さんがどのくらいいらっしゃいますか、したがって割合は どのくらいですかといったことを書いて準備しておくということになります。先ほども申 し上げましたように、病棟単位で継続的な測定・評価を義務付けておりまして、こういう ものでモニタリングしてくださいと。ちょっと適当な言葉かどうか分かりませんけれども、 医療関係者の自覚を促すといった形になっております。現時点では本票の提出義務はない わけで、診療報酬請求の際にこれが添付されていないから、何か罰則があるとか、支払わ れないということはないのですが、こうしたデータはとっているという現状にあります。  それで、診−2−1に戻っていただきたいと思います。今申し上げましたように、第1 と第2についてはもう尽きておりますので、2ページ目ですけれども、早速、第3の現行 の診療報酬上の評価の概要のところにいきたいと思います。ここも、1、2につきまして はおおむね説明したところでございますけれども、具体的な点数設定については3ページ にあるとおりです。下線を引いておりますように、医療区分1は前回改定においては76 4点が750点になったこと、あるいは医療区分2のところも1,344点であったのが 1,320点になったこと。総じて申しますと、要するに単価が下がった。しかも、平成 21年3月の調査を見ても、医療区分1では赤字基調が目立つということで、多少御意見 をいただいているところでありますが、いずれにしましてもこういう状況にあります。  また、療養病棟入院基本料の届出医療機関数については、これだけで何と言えるか分か りませんけれども、やや漸減といったところでございましょうか。算定状況についてはそ の下になります。  それから、3番目になりますけれども、ADLの低下や、それに伴う長期臥床等の状態 にある患者さんについては、褥瘡の発症リスクが非常に高いということですから、ADL 得点が高く、褥瘡の発症リスクが高い患者に対しましては、患者さん単位で経時的・継続 的に褥瘡の発生割合等の測定を行っていることを評価して加算を創設しております。決し て高い金額ではありませんが、ADL区分3に該当する患者さんに対して褥瘡の発生割合 を患者単位で経時的・継続的に測定・評価し、その記録を診療録等に記載していることを 条件に、1日につき15点ということです。これは新しい制度で、算定状況はここにある とおりでございます。  さらに、将来的に医療の質による評価を行うことを目的として、病棟単位で治療・ケア の質を反映できる事項について継続的に測定・評価することを義務付けたということで、 直接に点数に結びつけているわけではないのですが、こういう形にしています。これは先 ほど申し上げましたとおりです。  論点は、これまでにも話してまいりましたが、現状の療養病棟の機能を考えた上で、現 行の点数設定、あるいは収支の状況等もありましたが、こうしたことをごらんいただいた 上でどうお考えいただくでしょうか。  それから、必ずしも多くはないわけですけれども、軽症・中等症の救急患者を受け入れ ている療養病棟もあるということをお伺いするので、これについてどう考えるのか。  それから、先ほど申し上げましたが、褥瘡の話ももちろんですが、現在Quality Indicatorの考え方に基づいて、データをとる仕組みがもうできておりますので、例えば、 点数にそのまま評価するかどうかというのは別としましても、こうしたものを診療報酬の 際に添付していただいて、クオリティーについても担保するということについてどうお考 えいただくか。これが療養病棟のほうでございます。  続きまして、有床診療所についても説明をさせていただきます。有床診療所、診−2− 2になります。これも参考資料のほうから説明させていただきます。  1番目のスライドは、よく聞く話ですが、ブルーでお示ししました無床、ベッドのない 一般診療所は、こういう形で漸増といいますか、増加しているわけですけれども、ベッド を持っている一般診療所は漸減傾向にあるということです。  めくっていただきますと、その現況ですけれども、今も申し上げました無床診療所は8 万8,485、それに対しまして有床診療所は9,638、そして療養病床ありが1,6 48、合計して1万1,286あるということになります。先ほど説明しました、有床診 療所の中に非常に小さなユニットとして療養病床を持っていらっしゃるところが1,64 8あるということになります。  病床規模ですが、御存じのように、有床診療所というのは20床未満、19床以下とい うことになるわけですけれども、1〜9床という非常に小さな単位のところも37%でし て、10〜19床というところが63%となっております。それから、先ほども申し上げ ましたが、その19床まで許可された病床の中で、さらに小さなユニットとして療養病床 を運営されているケースがあるわけですから、当然でしょうけれども、1〜9床というと ころは49%、10床以上というところが51%になっております。  その下は都道府県別の有床診療所の病床数です。これもある程度地域差があるようで、 九州、それから北海道といったところで有床診療所が多いということが見てとれます。  それから、4番目のスライドです。なかなか有床診療所というものがこういう場で議論 になることが少なかったので、ちょっと医療法上の話と診療報酬上の話ともあわせて整理 をして表にしてみました。まず一番上は診療所の一般病床。これは、単なる診療所ではな くて、いずれも有床診療所のことを念頭に置いて整理して、有床診療所の一般病床という ことになりますし、それから有床診療所で、先ほど申しました、さらにその中を区分して ユニットとして療養病床を置いているケースがあるのですが、それが上の表。それから、 その下は、「参考」という字が小さいので見えづらいんですけれども、参考として病院の 一般病床と病院の療養病床とを比べております。上のブルーとピンクの診療所の場合だけ で言いますと、医療法上は明確な人員配置がございませんで、診療報酬上、看護配置等に 着目して入院基本料が支払われるという仕組みになっております。一方、構造設備につい ては、医療法上明確な区分がありまして、1人部屋で6.3平米以上、2人部屋で4.3 平米以上といった基準があります。一方、診療所の療養病床につきましては、先ほどの療 養病棟・療養病床に基本的には倣う形になっておりますが、引用しつつも、人員配置につ いては医師1人等々、それから構造設備についてもこういう区分がつけられておりまして、 診療報酬上は、それに加配するということに着目して点数がつくということになっており ます。  5番目のスライドが、それらを点数でどうなのかということでお示ししたものでござい ます。有床診療所の入院基本料については、ごらんいただきますように、1と2、それに 小さなユニットである療養病床というのは全く別な観点で点数がつけられております。そ れで、ごらんいただきますと、7日以内は810点、640点というところですが、31 日を超えますと急速に点数が下がってまいりまして、しばしば話題になるのですが、有床 診療所入院基本料2になりますと、31日以上で280点、つまり2,800円というこ とですから、仮に小さなホテルと考えましても、非常に低廉な診療報酬で頑張っていただ いているということです。それから、有床診療所の療養病床入院基本料も、先ほどのスラ イドと見比べていただければと思いますが、有床診療所でやっているということでござい ますので、点数も低目の点数がついているということでございます。有床診療所入院基本 料の1と2の違いは、看護職員の数ということになります。それから、夜勤につきまして は、これは夜間看護配置加算を取った場合ということになります。  次をめくっていただきまして、ここからは有床診療所の特殊性を見ていただこうという ことでこういうものをつくってみましたが、有床診療所と一口に言いましても、幾つか特 徴的なことが言えると思います。まず、半分は内科であるということです。それから、1 3%が外科、同じぐらいで整形外科があり、これもよく知られているのですけれども、産 科・婦人科・産婦人科と呼ばれるところが17%、それから耳鼻科、眼科、泌尿器科、皮 膚科といったところも有床診療所として存在しているということでございます。  その下は、社会医療診療行為別調査で、ではその入院基本料を取っているところでどの くらいの期間入院していらっしゃるかというのをグラフにして見ています。一見して見て いただけますように、眼科とか産婦人科、耳鼻咽喉科といったところは7日以内の入院が 多いのに対しまして、整形外科とか外科とか内科といったところは7日以内は少なくて3 0日以上が多くなってくるということが見てとれると思います。つまり、有床診療所とい うのは、診療科にもばらつきがあるし、またその診療科によって、当たり前のことですが、 入院日数にも相当のばらつきがあるということが言えます。  8ページ目は、その1日当たりの点数で見たものです。これもn数が限られております ので、これだけで日本の有床診療所の状況をすべてあらわしているとは言えませんが、そ れでも、社会医療診療行為別調査でけっこう工夫をしまして、本当に患者さんを受け入れ ているところに限定して、つまり入院の点数を算定しているところに限ってデータをとっ ておりますので、そういうものでは事実の無床は除かれていて、少しずつはデータの精度 は上がっているとは思われますが、そういうことを割り引いて考えていただいたとして、 眼科とか耳鼻咽喉科というところで1日当たり点数が高くなり、それ以外のところはドン グリの背比べという感じになっていると思います。  それから、8番目のスライドでも申し上げましたように、9番目のスライドでも、それ ぞれあらわれてきているnの数が非常に小さいので、これだけを見て何か物が言えるとい う状況ではないのですが、医業収益・介護収益を入れて、そして介護費用を引いた損益の 差額は、オレンジ色の楕円で囲んだところということになります。  それから、10番目、11番目は、療養病棟に倣う感じで医療経済実態調査で比較して おります。ここは本来、病院でも有床診療所でも国公立を除いたデータを出せばよかった のですけれども、有床診療所の区分の中に国公立という区分がありませんので、全体で比 較しておりますが、一般病院の収支がこういう状態ですけれども、有床診療所ではわずか に表面上に浮上しているということです。  それから、無床と有床についても分けておりまして、入院診療収益なしがブルー、それ から入院診療収益ありが黄色となっております。  それから、診療所の医療療養病床の入退院の状況ですが、自宅や自院から来て、比較的 自宅や特養・老健に帰っていただくところが多いということです。  それから、13番のスライドは、先ほどとはちょっと違っているのですけれども、先ほ どは救命救急センターや救急部を退院した方の後方施設としての位置付けだったのですが、 ここではむしろ、軽症や中等症なのだけれども、特に軽症の方が中心だと思いますけれど も、救急車に乗っておいでになるケースについて、有床診療所が一定の貢献をされている というところを見ていただいているわけです。実数やパーセント自体はそう多くはありま せんが、救急車によるものも3%、それ以外の救急受け入れも5.8%、合わせますと1 0%近くはありますので、こういう面でも、意外と言ったら怒られますけれども、一定の 貢献はしているということだろうと思います。  参考資料は以上でございます。  本文の資料に戻っていただきますが、もう第1、第2については御説明しましたので、 2ページ目の第3からです。先ほど簡単に御説明しましたが、比較的低廉な入院基本料で やっていただいているということでございまして、2ページ目の一番下にありますように、 届出医療機関数は漸減傾向にあるということです。それから、先ほどもグラフでも説明し ましたので、算定状況については御説明いたしませんが、ここでは有床診療所ということ で一くくりにしておりますけれども、どの診療科を標榜されているかによって日数の区分 は相当違ってきますので、先ほどのグラフと考え合わせていただければと思います。  それから、有床診療所入院基本料については、繰り返し申し上げましたが、平成20年 の改定で幾つか新機軸も入れております。改定前は医師等配置加算ということで、医師2 名以上、看護職員10名以上、夜間看護職員1名以上という3つがクリアできて100点、 それから看護配置加算についてもこの基準がクリアできて15点ということだったのです けれども、医師等配置加算については、言ってみればこれを分解する形にしまして、2名 以上がクリアできれば60点、看護配置加算の10名以上がクリアできれば10点という ことで、分割して取れるようになった。逆に言うと、ちゃんとやっていたところでは10 0点が70点になったという考え方もありましょうが、このように分解して取りやすくし た。看護配置加算についても分割したということです。それから、夜間緊急体制確保加算 も新設したということです。  次をめくっていただきまして、それらの算定状況が次のページです。  それから、3番目は、有床診療所の中でさらに小さく分割されたユニットである療養病 床についてです。これも、先ほどの療養病棟に倣う形で、褥瘡発生ということに着目して、 褥瘡評価実施加算を創設しております。これも先ほどの療養病棟のところで説明しました が、15点ということになります。  最後に論点になります。各診療科が担う役割、つまり、有床診療所と一言で言いまして も、診療科によって状況がかなり違うということは分かっていただけたと思いますが、そ ういう中で有床診療所入院基本料における評価についてどう考えるかということです。  それから2つ目は、在宅医療及び介護施設の後方病床として機能していただいています が、特に療養病床についてはそういうことが言えると思いますが、それについてどうお考 えになりますか。  それから、必ずしも多くはありませんでしたけれども、8%程度あるいは9%程度は救 急車を含めた救急患者を受け入れていただいているのですが、そうした軽症を積極的に受 けてくれる身近な場所としての有床診療所をどう考えますか。  それから、有床診療所でも問題になってくるのは、夜間の対応、急変時の対応というこ とになりますが、手厚い人員配置を行っている有床診療所があるということで、こういう ところがコスト増の要因とも聞いておりますので、こうしたことについてどう考えるかと いうことです。  説明は以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、療養病床のほうから議論を進めていきたいと思います。事務局から論点が出 ておりますけれども、論点以外のことでも結構でございますし、論点の内容でも結構でご ざいますので、どなたか御発言があれば。鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  まず、療養病床についてです。資料の14番、15番をごらんいただくと分かると思う んですが、療養病床は収益が上がっているではないかと言う方もいらっしゃるかもしれま せんが、この収入から費用を引きますと、わずかに1ベッド当たり1日385円というこ とで、これでももうかっていると言われるのがある意味では日本の入院医療の貧困さを象 徴していると思います。  それはそれとしまして、論点についてですが、療養病床に関しては、私どもも含めて多 くの病院が療養病床を持っておりますが、日本慢性期医療協会というところがありまして、 私も会員になっていますので、そこのお話などをお聞きしますと、慢性期医療協会として は、療養病床の役割として、1番にあるような急性期医療、在宅医療、そのほか緩和ケア、 認知症、維持期リハ、難病といったことを挙げております。私も会員なのでいろいろな情 報が入ってくるんですけれども、2番、軽症・中等症の救急患者を受け入れている療養病 棟に対する評価についてどう考えるかということなんですけれども、そういう取り組みを されているということを聞きまして、私は療養病床でどうしてそういうことか可能なのか と非常に疑問に思いまして、そういう研修がございましたので、実際にやっている病院に 行って聞いてまいりました。その結果は、図の25番ですか、こういうところに一部載っ ているのですが、東京と大阪でやられたということなんですけれども、東京では実際には 1施設のみでごくわずかな例だと思いますが、大阪では10施設で、慢性期も33施設と いうことで、ある程度やられているということだったのですが、その大阪の実際に受け入 れている2病院の研修で話を聞いてまいりました。  大阪の場合にはある意味で特殊な事情があるということで、千里救命救急センターのよ うに、ICUしかない、救命救急センターのみの病院が4つあって、全国には10ぐらい しかないそうですが、そのうち4つが大阪にあって、そこでは通常ですと自分の病院の一 般病床に移すような方を別の病院に移さなければならないということで、そういう特別の 事情もあるといったことでした。ただ、お話を聞きますと、2つの病院のうちの1つは、 確かに医療療養病床で受け入れているのですが、実際には、院長の考え方は急性期病床の 考え方と同じで、療養病床で急性期治療をするんだということで、私が見るところでは、 かなり無理をしてやっていらっしゃるのかなという気がいたしまして、多分療養病床の多 いところは、療養病床の中にもそういう機能分化が起こってくるのかなという気がいたし ました。  もう一つの病院は、実際には、療養病床もありますが、その病院の中の一般病床で一旦受 け入れて、それから療養病床に行ける人は行くということでございました。私も、現 実的には日本中にそういうものを適用するということを考えますと、やはり地域の一 般の病床で受け入れるのが無理がなくいいのではないのかな、療養病床にはそれ以外の部 分の役割のほうがより多くあるのではないのかなという気がいたします。  ただ、療養病床の機能としてそのほかに、例えば高度急性期の病院に24時間体制でど んどん患者が送られてきて、その中には民間中小病院の一般病棟で診られるような患者さ んもかなりいらっしゃいますので、そういった患者さんを早期に地域のそういう中小病院 の一般病床、あるいは医療療養病床でも一部受け入れられるところもあるかもしれません が、そういったところにトリアージ的な感じで一旦受け入れていただいて、すぐそうい う適応ではないというか、地域の民間中小病院のようなところでも診られる患者さんは早 期に転院させていくようなシステムができますと、確かに高度急性期医療を担う病院にと っての負担軽減にはなるかなとは思います。  それともう一つは、以前にも出ましたけれども、在宅療養支援病院のような役割という のは療養病床を持っている病院には非常に向いていると思いますので、そういう方向で話 が進む分にはいいと思うんですが、救急の評価というのは、たしかこれは1日200点か の点数を要望していると思うんです。ですから、今のままでやると言っているわけではな いと思いますので、それだったら看護基準といったところも充実させている病床で受けた ほうがよろしいかと思いますので、メーンは一般病床あるいは急性期病床といったところ かなと思います。  また、3番に関しましては、この質的向上に取り組むということは非常に重要でござい ますので、これはぜひ療養病床でも評価していただければと考えております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  一つ確認ですが、2番については、むしろ一般病床のやることではないかというお話で あった。3番についても、現状そういうインデックスができているわけですけれども、そ れを使うかどうかはともかくとして、質的な評価を報酬に反映させるということは賛成で あるという理解でよろしいですか。 ○鈴木委員  質的評価を行うことはもちろん必要でありますし、それが評価に結びつくような方向に 進むというのは、必要な方向性ではないかなと思います。 ○遠藤小委員長  1番はどういうお考えですか。 ○鈴木委員  1番の役割は、ほかにも緩和ケア、認知症、維持期リハ、難病と言っているんです。そ の一つとして位置付けるという意味では、急性期病床というのがメーンにはならないと思 いますけれども、一つの役割としては……。 ○遠藤小委員長  ここは急性期病床というよりは、急性期医療の後方病院としてということではないんで すか。 ○鈴木委員  違うんです。「在宅医療及び介護施設の後方病床として」だから、これは急性期医療を 一つ挙げているんですね。 ○遠藤小委員長  事務局、ちょっと確認させてください。どういう意味でしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  先ほど私は説明のときにも申し上げたのですけれども、救命救急センターとか2次救急 をやっている病院で、例えば1日とか2日とか3日とか置いて、病状が……。 ○−−  「後方病床」にかかっていますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  かかっています。ですから、そういったところである程度もう診断もつきということで ……。 ○遠藤小委員長  簡単に言いますと、「急性期医療の後方病院として評価する」という読み方をしてよろ しいわけですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  そのとおりです。 ○遠藤小委員長  ということなんです。ですから、急性期病床としてということではなくて、その後方病 院としてやっていること。 ○鈴木委員  そうです。ですから、その一つとして……。 ○遠藤小委員長  さらにこれに加えて緩和ケアといったものも含めたらどうかという位置付けだと。 ○鈴木委員  それはその協会で言っているということです。 ○遠藤小委員長  そうですか。わかりました。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  この論点の3つですけれども、鈴木先生とほとんど同じなんですが、3番目のQIに関 しては、当然のことなので、これは進めていただきたいと思っております。  あと、まずその前に資料の24と25なんですが、例えば「療養病床における救急患者 の受入状況」と書いて、医療区分1と書いているのですが、医療区分1で救急というのは、 どうしてもイメージがわかないので、資料ではもうちょっと詳しいデータを出していただ きたいと思うんです。本当の意味での救急患者を本当に受け入れているかどうかというこ と、救急車で来たから救急患者とは限らないと思いますので、その辺の資料を出していた だきたい。  それから下のほうは、この大阪のネットワークで、「3次救急にミスマッチな患者が搬 送されたときに」、すなわちこれはどういう問題かというと、療養病床で論じるのではな くて、救急体制でどうして3次救急にミスマッチが行くかということです。要するに、2 次救急あるいは1次救急というところが今どんどんやめていっているので、全部そういう ところへ行ってしまう。そこのシステムを直すことのほうが大事であって、そこが直れば こういうミスマッチはなくなるわけですから、直接療養病床はあり得ないのではないかと 思っています。ミスマッチの患者、本来であれば3次救急に行かなくていい患者、療養病 床でいい患者が行くのであるから、それを療養病床で受け入れるのは当たり前だと思って おります。  それともう一つは、療養病床に受け入れているのではなくて、「慢性期病床をもつ病院 が受託」という表現はちょっといいかげんなので、先ほどの鈴木先生の言い方では、持っ ている病院の一般病床で受け入れている例もあるのではないかということですので、その あたりのデータも出していただかないと私たちは議論できないと思います。  そういうことで論点ですが、論点の1は、それぞれの病床区分に応じての機能分化をし て、それぞれの機能に合ったということですから、それは当然のことなので、これはよろ しいと思います。  それから2番目は、軽症・中等症の救急患者、ですから本当の意味での救急患者を受け 入れるのが療養病床かというと、役割が違うのではないかと思います。そういうことで、 実は先ほどの図の中に亜急性期入院医療管理料がありまして、私の記憶では、軽症・中等 症の救急患者の受け入れというのは亜急性期入院医療管理料のところではないか。だとす れば、そこと合わせて論じていただければと思います。同じような患者を亜急性期入院医 療管理料の一般病床と療養病床で診るということになれば、人員配置が全く違う中で、こ れはおかしいので、その辺はもうちょっと議論させていただく。ほかの機能のところと合 わせての議論だと思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  亜急性とも多少絡んでくる話になるので、その整理が必要だということと、1番目のと ころなのですけれども、ここの読み方、これは事務局に聞いたほうがいいかもしれないの ですけれども、今の西澤委員のお話の中では、このような後方機能があるということを書 いたのは、その機能ごとの評価が必要だというお話だったのですが、事務方がここに書か れた理由は、急性期医療の後方病床としての評価、それから在宅介護施設の評価では、違 う評価をしたほうがいいのではないかというニュアンスでしょうか。それとも、すべてこ の後方機能ということに着目しましょうという意味合い。私はそのように受け取ったので すが、その辺を確認したい。 ○事務局(佐藤医療課長)  後方機能に着目しようということです。ただし、スライドの中にもありますように、西 澤委員からはそれはちょっと違うのではないかと言われましたけれども、急性期医療その ものをやっているケースもないわけではないとか、あるいは急性期を短期間に離脱した方 の後方病床としての役割もあるだろうといった意味ですが、いずれにしても後方病床とい う役割が変わることはないと思っております。 ○遠藤小委員長  わかりました。ありがとうございました。確認まででした。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  ちょっと過去の経緯を知らないので教えていただきたいのですが。療養病床についての 参考資料の10番目のスライドに医療区分、ADL区分ごとの入院基本料の点数が書かれ てありますけれども、基本的には、私ども患者の立場に立てば、療養病床ですので、むし ろどれだけ医療関係者の手間がかかるか、どれだけ質の高い医療サービスを受けられるか、 また、ADLというのは生活という意味だと思いますけれども、当然ADL区分3に手厚 くという方向になっていると思います。しかし、医療区分3は、ADL区分が一本という 体系になっていますし、医療区分2でも2と3は一緒になっておりますけれども、それを 決められたときの経緯をちょっとお伺いしたいんです。 ○遠藤小委員長  18年度改定のときに、このとおりでいけば3掛ける3で9通りに分かれるはずですが、 実際にはADLが幾つか固まっているということなので、要するにこの点数を決めるとき の考え方ということでありますが。 ○事務局(佐藤医療課長)  この12番のスライドを見ていただきますと、例えば医療区分3のところを見ますと、 ADL区分1は1.5%、それでADL区分2が3.3%ということで、それに対してA DL区分3で医療区分3のところは15%ということでした。つまり、結論から言うと、 n数が少な過ぎて、医療区分の3をADLの区分で3分割するだけの、言ってみればエビ デンスというか、自信がなかったということになると思います。それで一本化されている。 また、ここはあくまでも病院であるということを考えれば、医療の必要度というものがこ れほど、医療区分3というのはかなり重い状態ですので、そうなると、医療区分というこ とに着目していいのではないかと、いろいろなことを総合的に勘案して統合されたと思わ れます。ですから、データがもっとたくさんとれて、もっともっと集まってくるようにな れば、ここが分割されるということもあるのかもしれません。 ○遠藤小委員長  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  今、西澤先生からも、質の向上が必要だ、それを評価すべきだという御意見があって、 私もそのとおりだと思うのです。ということは、特にADL区分について質の評価という ことでやっているわけですから、点数配分の在り方といいますか、その辺も含めてちょっ と検討しなければいけないのではないかと思っております。 ○遠藤小委員長  これは、慢性期の部会のほうからも何がしかのこの配分についての報告が出ていたと思 いますけれども、その辺も含めて、今の白川委員の御質問に対してお答えできればと思い ますが。 ○事務局(佐藤医療課長)  先ほどの答えと繰り返しでない部分だけ御説明します。スライドの8や9を見ていただ きますと、医療区分3というのは、疾患の状態でいうと、基本は常時監視・管理が必要な 状態ということでして、この医療処置を見ていただきましても、気管切開、気管内挿管、 あるいは胸腹腔洗浄とか、ADLがいい、悪いにかかわらず、慢性期で非常に重篤な状態 ということもありまして、ここでは医療区分に着目して分けてはいないわけですけれども、 何度も申しますように、今後データを集めて、もう少しデータ数が集まってくれば、ここ を分割するということもあるのかもしれませんが、何分この調査自体が非常に複雑で精緻 なデータなので、回収率も含めてなかなか協力が得られがたいというところもありまして、 現在では妥協的な案としてこのような点数の設定になっているということであります。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  まずデータを教えていただきたい。今の参考資料の12です。これは、平成21年3月 のデータとなっていて、区分1・2・3の比率が3対5対2になっている。18年以降は、 毎年というか、どうなんでしょうか。 ○遠藤小委員長  事務局に資料はありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  ちょっとお待ちください。手元にあります。ちょっと細かいんですが、データは確実に あります。いっぱいあるんですが、どれから説明しましょうか。ここでいいですか。読み 上げますと、医療区分1が32.2%、医療区分2が48.7%、医療区分3が19.0 %でありまして、おおむね3対5対2で、変化がないと言えると思います。ちなみに、こ れは改定に合わせて調査をするということにしておりまして、18年にやって、2年後の 20年に調査をやっているという経緯でございます。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  分かりました。付随してその次の意見なんですけれども、参考資料の16です。これは 最初から言われていたことで、この点数設定だと、医療区分1はどうやっても赤字になる んです。最初から赤字になることがほとんど分かっていた点数を設定するということが診 療報酬の点数のつけ方上あるのかという根本的な疑問でございます。つまり、医療機関の ビヘイビアとして赤字にしておくということは、そこをやるなという誘導なのであれば、 本当を言えば、医療区分1を消してこの受け皿をどこかにつくるということをやらないと いけない話なのではないか。それを区分2・3の黒字分で賄って、区分1の部分は赤字な んだけれども、面倒を見なさいと言われているのは、そもそも診療報酬の体系としては大 変おかしな形なのではないかという非常に原理原則的なことを申し上げるんですけれども。 ○遠藤小委員長  点数の問題として、これは昔から議論になっているところではありますけれども、医療 区分1の点数が低過ぎるのではないかという御意見です。  その他、御意見、御質問はありますか。では、坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本専門委員  療養型の論点がありますけれども、この療養型病院のメーンになるのは、医師も配置さ れておりますけれども、恐らく看護師だろうと思います。ただ、看護師がどのようなこと をしているかというのはなかなか見えないので、届出の義務はないけれども測定させてい るという褥瘡とか、誤嚥性肺炎とか、それから感染とか、そのようなものを明確に出すよ うにして、療養型のケアの部分の質を上げていくといった誘導は必要だろうと思います。  それから、恐らく退院ということに対しても、退院できない方もいらっしゃるみたいで すけれども、退院されていますので、それに対する努力をしている病院というのはけっこ うあると思うんですが、チームでそれらの退院支援をやっていることにおいての加算とい うのは、今のところはありますでしょうか。お幾らぐらいになりますでしょうか。 ○遠藤小委員長  では事務局、お願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  退院調整加算を2度ほどこの基本小委の中でも説明しましたが、そういう形で加算を設 けているということです。 ○坂本専門委員  お幾らぐらいですか。 ○遠藤小委員長  点数は幾らぐらいですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  点数は、療養病棟入院基本料等に算定している、要するに慢性に経過するような病棟・ 病床に入院しているような方については、退院支援計画作成加算として100点、ただし 入院中1回に限るということにしていますし、退院加算で100点ということです。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。坂本専門委員、よろしいですか。 ○坂本専門委員  私は、ここにもう少し力をというか、ポイントを置くべきだと思います。恐らくケアマ ネジャーさんとか、いろいろな方たちが入り込んでやっているというのも身内で経験しま したけれども、それがうまく効果を発揮しているかどうかということと、それからケアに 対してある意味では考えてポイントを置いていくべきだと思います。  それからもう1点、私は、軽症・中等症の救急患者さんを受け入れるのは、本当にこう いうところで救急がいいのかどうかということで機能的には大変難しいと思いますが、実 は余り病院がないところで見ますと、今回の新型インフルエンザのこともそうでしたけれ ども、若干療養型でもやってくださっているところがあって、それは大変ありがたかった と思っております。だから、大きな病院に行きたくないと思っていても、開業医の先生た ちがいらっしゃらないときにはそういうところでやってくれているというところは、住民 にとっては大変よかったと思っておりますので、機能的にはちょっと違うかも分かりませ んが、何らかの形でやっていらっしゃることについては少し考えてもいいのかなと思いま す。 ○遠藤小委員長  なるほど。積極的に進めるということではなくても、事実上やっているところに対して はそのコストに見合うような評価をしてもいいのではないかという御意見ですね。ありが とうございます。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  先ほどの意見の最終結論としての追加を言わせていただきたいんです。論点1に関連し まして、例えば、後方病床・病棟として機能が、その受け入れる患者さんが区分1に属す 場合には、それは療養病床としては経営上から言えば非常に困難なものを受け入れざるを 得ないという形になるわけで、そこに一定の制限がどうしてもかからざるを得ないという ことがあることを考えれば、後方病床としての役割を充実させるのであれば、区分1は、 もう少し配分を上げて経営的に赤字基調にならない形にしないと、本当に機能しないので はないかということを申し上げたかったわけでございます。 ○遠藤小委員長  御意見として承っておきます。  先ほど白川委員からの御指摘で、患者分類についての妥当性の話ですけれども、これは、 慢性期分科会の20年度の報告書が7ページに一応出ておりますので、7ページに少し患 者分類の妥当性についてということが書かれておりますので、この調査報告書及び、21 年度にも分科会からその分類についてはたしか報告があったように理解しておりますが、 その辺のところをまたもう一度ここへ出していただいて議論するということでいかがでし ょうか、白川委員。 ○白川委員  お願いいたします。 ○遠藤小委員長  そうしますと、論点につきまして少し整理をいたしますと、いろいろな論点は既に出て おりました。1番目については、先ほど団体からは、療養病床の機能の一つに緩和ケアと いうのも出ているというお話だったわけですが、それについては何か御意見はございます か。鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  たしか療養病床の機能ということで6つという場合には、急性期医療、在宅医療、緩和 ケア、認知症、維持期リハ、難病ということではなかったですか。後方病床というのは、 機能としてそういうことが前面に打ち出されているかどうか、私はそうではないという気 がしますけれども、要するに機能分化という意味では、緩和ケアには緩和ケアの病棟があ るわけだし、一定のレベルまでのというか、何でも一通りやれるということにはなります ね。ですから、そういう機能を評価するかどうかということだと思うんですけれども。  それと、地域によって療養病床の多いところと少ないところとありまして、多分こうい う議論は療養病床がかなりたくさんあるところの議論だと思うんですが、私どものところ のように一般病床も療養病床も非常に少ないところは、療養病床には非常に重度の方しか 入れないというか、ですから在宅復帰と言われましても非常に難しいです。ですから、介 護施設等では診られないような、一般病床でも診られないような方が長期にいらっしゃる ようなところ。それでも少しずつ、医療区分1に相当するような方は何とか特養といった ところに移れないかという努力を続けているという感じで、地域によってかなり違うとい うことはぜひ御理解いただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  了解いたしました。  そうしますと、論点1につきましては、大体御意見は賜ったということで、このような 方向でまた議論を進めていきたい。  また2番については、これはやはり一般病床が受け入れるべきだという意見と、現実に やっているところにはそれなりの評価をしたらいいのではないかといった議論が出たと。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  2番については、中長期的には機能として違うと思いますし、それは短期的に現状で今 何らかの評価が必要なのかということにおいても、地域で1次救急を輪番制で何とか担っ てもらっているとか、そういうところに入ってもらうという趣旨ならばいいと思うんです けれども、論点の1のほうで、救急医療を守るためにも後方病床を確保するということで ぜひ努力してほしいと言っていることともやや矛盾した話になるような気がするので、積 極的に評価するということに対しては私はちょっと違和感を感じるんですけれども。 ○遠藤小委員長  御意見として承っておきます。救急受け入れとの関連で、医療区分1の点数は引き上げ るべきだという御意見もあったということです。  3番目については、質を診療報酬上評価するということについてはおおむね合意が得ら れて、あとは方法と点数に関する議論になるだろうと思います。  あと、全体として、この医療区分の方式が適切なのかという御意見、あるいは医療区分 1が赤字という体質はおかしいのではないかという御意見が出ていますので、それらを含 めながら、また療養病床の話を進めていきたいと思います。  それでは引き続きまして、有床診療所のほうであります。これについても論点が4つ出 されておりますが、論点と関連しても、あるいは関連しなくても結構ですので、御意見を いただきたいと思います。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  この体制の変更の中で、だれがこれを代表して言えばいいのかという話なんですけれど も、日本医師会を通じまして有床診療所の皆様方からの要望というものをちょうだいして おりますので、それを一括して述べさせていただきます。  まず基本的に、この実態調査のデータについては、先ほど御説明がありましたが、n数 が非常に少なくて、TKC全国会のデータを出させていただきたいと前回お願い申し上げ ましたが、これは次の総会に資料として出させていただくということになっております。 そちらのほうでは、有床診の3割は赤字で、2割は経常利益が年間500万円未満といっ た数字でございまして、実態調査のデータとはかなり違うということを申し上げます。  それから、そもそも有床診の果たしている社会的役割は何なのかということについて明 確に言わせていただきたいということで、5つございます。1つは、地域医療の中で専門 医療、急性期医療を担い、病院の負担を軽減するということを夜間・休日の緊急時も含め て役割として果たしている実態があるということでございます。2番目は、地域の病院か らの早期退院患者を含めて、患者の受け皿として機能しているということです。3番目は、 地域の在宅医療の拠点診療所として、在宅医療の後方支援に病床を活用するという機能も 果たしております。4番目は、終末期医療などのニーズが高まる分野への取り組みを行っ ております。そして最後、これも特に大きな問題ですが、特に僻地・離島におきましては、 実質上他に病院がございませんので、唯一の入院施設としての機能を果たしているという こともあるということが、基本的な理解でございます。  そういう理解の中でこの論点についての要望でございますが、1番の入院基本料の逓減 制については、これは緩和していただく必要があるだろうと。先ほど見ていただきました が、31日を超えると280点などという点数になっておりまして、中長期の入院が特に 内科系や整形外科では多くなりますが、これでは非常に継続ができないといった実質上の 点数だろうと。この緩和はぜひお願いしたいということです。  2番目でございますが、今、有床診の約5割が在宅支援診療所の届出をしております。 ところが、そこで自院で診ている方が悪くなったときというのは、緊急入院診療加算が算 定できないという仕組みになっておりまして、これは治療の継続性という点では非常に問 題があるのではないか。もっと踏み込んで言わせていただければ、自院で診ているから軽 症の者を入れて加算を取るという、何か悪いことをするのではないかといってつけられた ような点数だと、感情的に言えばそういうこともございますが、実態に合わないだろうと いうことでございます。  それから、緊急の入院体制を確保するためということになりますと、24時間対応の有 床診療所が受け入れるためには適正な人員配置が必要でございますが、ここのところがぎ りぎりでございますので、調査の結果では、緊急入院の数が多い施設ほど経営状態が悪い というのが実態でございます。そこのところは基本料あるいは加算等で御考慮いただく必 要があるのではないか。  最後でございますが、手厚い看護配置を入院基本料で評価していただきたいということ です。今、有床診療所の看護配置は入院・外来一体でカウントしておりますけれども、実 際には、既存調査でも明らかなように、看護職員の約6割が入院の医療に従事しておりま す。ということになりますと、19人の入院の施設で平均11.6人の看護師が配置され ているという勘定になりまして、入院医療への従事は6.9人ぐらいになる。それは病院 の分類で言えば、旧分類で言うと3対1分類、現在の分類で言うと、夜勤の分がちょっと 違いますが、15対1分類に近いような看護師配置でございます。ということに比較いた しますと、それに対する基本料の評価が低いのではないかということが意見でございます ので、以上申し上げます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  入院基本料については、逓減制を撤廃という意見でよろしいわけですね。 ○安達委員  はい。 ○遠藤小委員長  わかりました。ありがとうございます。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  有床診が、特に病院が近くにない地域等で在宅医療あるいは療養病床的な役割や、ある いは救急病床としても機能しているということはよく理解していますし、日本の医療でも 非常に大きな役割を果たしていることは認識しております。したがいまして、ここで論点 に書かれているような方向で検討はしていくべきだと思っております。  ただ、ちょっと気になっていますのは、入院基本料の中で、先ほどの資料のスライド7 枚目を見ますと、確かに逓減制があるものですから、入院期間が短いほど収益率が高いと いうことになると、例えば眼科などを見ますと、かなりその比率が高くなっています。ま た、先ほど1日2,800円という金額も出ましたけれども、その辺のバランスがちょっ とおかしいのかなと感じますので、財政中立の場合でも、その配分の見直しということを やるべきではないかと感じます。   ○遠藤小委員長  各科バランスをちゃんと考えて調整するべきだということですね。ありがとうございま す。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  今、白川委員に非常に御理解いただく御発言をいただいて喜んでおります。  私どものような医療過疎の地域においては、合併前の一つの人口7,000〜8,00 0の町で唯一の入院医療機関が有床診療所でございます。私も1回伺ったことがあるんで すけれども、本当に毎日が泊まり込みで、家がその中に組み込まれていて、階段をおりると 病室みたいなところでもう何十年と頑張られていて、そこの先生は日曜日も毎週やるんで す。月曜日は休むんですけれども。ですから、日曜日の困っているときにはたくさん方が 来られる。最近は息子さんが来られて親子でやっていらっしゃいますけれども、そういう 地域医療を支えているところがある。一方では、我々の地域でも、脳外科とか糖尿病に特 化して、非常に高機能で、収益は多分上がっているんだと思うんですけれども、そういう ところもあるんです。ですから、二極分化という気がいたします。多分、眼科なども含め て、短期間の入院で高収益を上げているようなところは余り問題ないのかと思うんですけ れども、最初にお話しした地域医療を支えているようなところは、地域の高齢者の方とか をたくさん診ていますから、急性期の方もいらっしゃるんですけれども、中長期の入院の 方もたくさんいらっしゃって、そういう方に対しての報酬が、有床診の話になるとこの3 0日以上の280点というのが必ず出てきまして、今どき2,800円で泊まれるような ところはほかにあるんですかと、私もそれは少し安過ぎると思います。そこを中心に先生 方のお話を聞きますと、1カ月以上の入院のほうを少し下げ過ぎるということで、先ほど の白川委員のお話にもありましたけれども、配分の問題にもなるのか。あるいは、我々の 病院と同じですけれども、入院基本料のベースを上げていただき、かつそういった1カ月 以上の入院にもそれなりの点数が配分され、この280点といったことはちょっと是正し ていただければということが考えられるかと思います。それと、病院は2週間ですが、1 週間で下がるというのも、2週間ぐらいは見てほしいといった御意見もあると思いますの で、もうちょっと緩やかにということで、中期長期のほうにもある程度の配分を考えてい ただければ、そういった地域医療を守る有床診療所もやりやすくなるのではないかなと思 っております。 ○遠藤小委員長  わかりました。今のお話は、診療科間のバランスと同時に、病院と同時に、地域によっ て機能が違っているので、それを反映したような評価が必要なのではないかといった御意 見だったわけであります。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  先ほど安達委員から5つの有床診療所の機能のお話がありました。最後の僻地・離島は もちろんなんですが、皆さんメディアで御承知のように、夕張市立病院なども診療所にな ったんです、希望の杜診療所と。メディアでは村上先生が頑張っているのがよく出ますけ れども、かなり病院から診療所へダウンサイジングして、かつ同じぐらいのことをやって いるところもたくさんあるんです。それから、我々の地域でしたら、前回の地域連携クリ ニカルパスでも言いましたが、送る病院がないからこの有床診療所へお願いして、脳梗塞 の後の人でペグといいまして内視鏡的に胃瘻をつけたりした方をそこへお願いしているん です。だから、もう地域医療のネットワークとしてちゃんと入っているんです。病病連携 でなく、有床診療所が一つの役割をしていただいていますので、その辺のところは2,8 00円ではちょっとお気の毒というか、よくないのではないかなと、病院の仲間としては 思います。同じ患者さんを同じように診ていただいているわけですから、ぜひ御理解を賜 りたいと思います。 ○遠藤小委員長  病院はいろいろな意味で機能を分けてきた、機能分化について評価してきたという経緯 があるわけですが、診療所はそういうことを余りやってこなかった。有床診はかなり診療 科によっても地域によっても機能がばらついているという実態なので、それは適正評価し たほうがいいのではないかという御意見のように承ります。  ほかにどなたかいらっしゃいますか。それでは、中島委員、どうぞ。 ○中島委員  私も、今の邉見先生の御意見、それから鈴木先生の御意見に賛成でございます。今、病 院から有床の診療所にやむを得ずシフトせざるを得ない地域というのはたくさんあると思 っておりまして、その地域のセーフティーネットとしての機能というのはもう少し社会的 に評価してもいいのではないかと思いますし、現実問題として、そういうところほど28 0点というのは余りにも無理があるのではないかと思っております。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  では、嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  私も、20年前にやめていますけれども、そういうところに一緒に住んでいましたから、 有床診療所の実態は分かるんです。ただ、例えば脳外科で有床をやっているというのは、 脳外科という疾患の性質上、かえって患者さんにとって本当にいいのかなという気がして います。そこにはちょっとでこぼこをつけないと、確かに病院がないところで、支払い側 の委員の先生が言っていただいたことは本当にいいことなんですけれども、ただ、国民の 目から見て、例えば脳梗塞などで脳外科の患者がそういうところに行って大量の薬を使わ れて、現場の脳外科でまた別のもっと重症のものを診ている脳外科から見ると非常に問題 だという有床診療所もあると学会で聞いておりますので、そういうところは何とか、また 反対にそういうところは患者さんのためにもならないんです。そこはもうちょっと詳しく ……。先ほどの眼科のデータは出てきていたんですけれども、果たして脳外科を有床診療 所でやる意味があるのかということをちょっと疑問として提示したいと思います。 ○遠藤小委員長  それでは、勝村委員からいきましょうか。 ○勝村委員  僕も皆さんと同じ意見なんですけれども、僻地とかの人口の少ないところでの有床診療 所というのは、本当にすごく価値が高いんだと思います。だから、そういうところがきち んとやってもらえるというだけの価値を僕らは認めていく必要があると思いますが、一方 で、今、遠藤小委員長の言っておられることと同じだと思うんですけれども、中長期的に は、都市部などではそういう有床診療所が乱立するようなことになるよりは、一つのしっ かりした病院があるほうが、機能的にもいろいろ、僕ら患者の立場からしてもいいと思い ますので、そこのめり張りというものをきちんとやっていくということを僕もお願いした いと思います。 ○遠藤小委員長  それでは、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員   私も、今出た280点はあんまりだなと思いますので、若干上げていいと思います。た だ、病院との比較で言うと、診療所の場合は、入院・外来関係なく医師1人で診られる。 病院の場合は、外来患者40人に医師1人という規制がある。看護師も、診療所では両方 診られる。病院の場合は外来30人に1人看護師を置かなければならない。それから、看 護師比率も違う、ホスピタリティも違うとなれば、ここの280点は低いですけれども、 同じような計算法でいうと、もしかしたら病院の入院基本料のほうがもっと低い評価の可 能性がありますので、そこは整合性を持っていただければと思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  はい、わかりました。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  280点の話は、西澤委員がおっしゃるように、計算は難しいかと思います。しかし、 実態は、邉見委員がおっしゃったように、確かにここに受け入れていただいている方があ って、それで医師の配置、看護師の配置以前に、ロッジングフィルとしての2,800円 というのは余りにも安いのではないかと思いますし、基本的には、有床診の役割というも のの診療報酬上の取り扱いとして、かつては48時間までしか入院を認めないといった縛 りをつけたりしながら限定してきた時代がある。今それが今日的な意味で有床診の役割と いうものがある意味広がってきているという部分があるのではないかということも考えた 上での点数設定が要るのではないか。勝村委員は乱立とおっしゃったんですけれども、有 床診はどんどん減っているんです。成り立たないんです。ですから、これで乱立というこ とはあり得ないし、果たしている役割は、邉見委員がおっしゃったように、都市部におい ても確実に今出てきていますということを申し上げたいと思います。以前に、がん患者の 方の一定の化学療法等々の有効期限等が終わって、もうこれ以上やりようがないですとい うのは医学的判断としては残念ながら出てくるわけですが、その後ろがホスピスしかない という現状、これはやっぱりまずいので、そういうことの役割ということも含めた評価と いうものをしていかなければならないと思っております。 ○遠藤小委員長  では、勝村委員、一言どうぞ。 ○勝村委員  僕の言った趣旨は、過疎地における有床診療所は、非常に価値が高いからつけるんだけ れども、それを一律にやってしまって、結局中長期的に都市部でも非常に価値が高いとい う同じ扱いになってしまって、中長期的に都市部に有床診療所がふえるといったことにな ってほしくないので、めり張りをつけてほしいという趣旨ですので、現状の話ではないと いうことです。 ○遠藤小委員長  坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本専門委員  論点3の軽症・中等症の救急患者というところですけれども、本当に都会でも夜中に何 かあったときに大きな病院に行かなくてはいけない状況というのはけっこうあるわけで、 そして大きな病院に行くと、8割ぐらいは、今来なくていいのではないかと言われるよう な狭間にあるわけです。そういう意味では、有床診療所が減ってきているけれども、やは りこういう役割を認めていくというのが住民にとっては大変幸せなのかなと思います。  それからもう1点は、化学療法のお話が先ほどありましたけれども、化学療法の患者さ んで副作用があっても、がんの治療をしている一般病院にはほとんど入院させてもらえま せん。そうすると、その患者さんは、ひとりでおうちに帰って副作用と戦って食事もでき ないようなときに、この有床診療所で診てもらえてすごく助かったという話も聞きました ので、やはりある役割があると思うんです。そういう役割をきちんと認めていくというと ころが私は大事だと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。有床診は、毎回改定のときには議論になるわけですけれども、 恐らく今回改定のように、非常に多面的でかつ生産的な議論ができたのは初めてなのでは ないかと思います。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今の坂本専門委員の軽症・中等症の救急患者の件について申し上げますと、スライドの 3に都道府県別の有床診療所の病床数というのがあります。先ほど佐藤課長から、九州、 北海道、四国に多いと言われましたけれども、これはインフラ整備ができていないところ です。だから、余り遠くまで行けないんです。道路が悪いとか、公共の交通機関がないと か、いろいろな意味で。だから高知、鹿児島、北海道とかというのが多いので、こういう ところが、大都市の病院まで行けないから近くの有床診療所で頑張っていただいていると いう、ある意味で証拠みたいなものではないかなと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。そういう地域特性が非常にあるということですね。  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  ですから、もちろんこの有床の入院料を上げなければいけないというのは、私も上げた ほうがいいと思うんですけれども、福岡県などは病院がたくさんあるはずなのにすごく多 いんです。反対に私のいる山形などというのは、面積も大きいし、すごく少ないんです。 ここはどういう実態なのか。確かに、僕は頑張っている人がいるのはよく分かっているの で、基本料を上げなければいけないのは分かるんだけれども、のべつというのはちょっと おかしいのではないかなと思っているんです。この辺、なぜ福岡はこんなに多いのか。山 形は面積も大きいし、単位面積当たりでは医師の数は多分福岡のほうが多いと思うんです けれども。 ○遠藤小委員長  事務局に対する質問ですか。 ○安達委員  事務局にも確認してもらいたいんですが、今のをお答えになるときに。 ○遠藤小委員長  では、安達委員。 ○安達委員  各都道府県が医療圏ごとの病床設定をしていますね。それに有床診を前は入れていて、 今は外しているんだけれども、何かいろいろ制度変更があると思うんですけれども、そこ は今どうなっているんですか。 ○遠藤小委員長  それでは、事務局、お願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  平成18年6月に医療法の改正がありまして、そのときにいわゆる48時間条項という のが廃止になったのですが、それと同時に、新しい医療法においては、有床診療所を新規 に設置するときにはそれを病床としてカウントするということになりました。そういうこ とで20年4月から施行しましたから、20年4月以前と以降とで2次医療圏ごとの病床 数のカウントに入る、入らないということになったわけです。 ○遠藤小委員長  福岡が多いということについては、特段情報はないということですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  私は福岡の出身ですけれども、そういうことを考慮すると、憶測の範囲ですけれども、 恐らくある程度は人口10万人当たりの医師の多さと相関しているように思います。これ は憶測ですので、医療課長としてではなくて、福岡県出身者として、(笑)そのようにお 答えしたいと思います。 ○遠藤小委員長  そういう意味で非常に地方特性が反映されているということも実態であるということの 証左だと思いますので、まだまだ御意見はあるかと思いますけれども、本日は大変……。 どうぞ、初めての方は優先いたしますので……。 ○高橋委員  この有床診療所というものは、日本の地域の医療のみならず、医療を支えてきたという 実績が、これは当然ありますので、これはやはりそれなりの評価をしていかなければなら ないだろうと思っています。皆さんと同じ意見なんですが、先ほど来2,800円の問題 が論議されておりますけれども、これだけではなくて、一度洗いざらい、この有床診療所 というものに対してはちょっと検討を加えて、評価も若干なりとも上昇させないと、せっ かくの地域医療、特に先ほど来出ていますけれども、僻地の問題が非常に大きい問題にな るのではないかなと私は思っておりますので、そういう観点から評価を加えるべきだと思 っておりますので、意見として申し上げておきます。 ○遠藤小委員長  高橋委員、ありがとうございました。  では、いろいろな御意見を承りまして、極めて前向きな御意見を承りましたので、それ を踏まえまして、今後議論を進めていきたいと思います。  それでは、その他でございますけれども、安達委員から資料が提出されておりますので、 安達委員からコメントをお願いします。 ○安達委員  事業仕分けにつきまして、個人的には極めて遺憾ということも言わせていただきました けれども、冷静に日本医師会としてこのような考え方というものを取りまとめさせていた だきましたので、それを御高覧くださいということでございます。  これを細かく言うと時間をとりますので、お目通しいただきたいということでございま すけれども、全員の意見が一致したので見直しを行うと結論すると、見直しの例として、 収入が高い診療科の見直し、開業医・勤務医の平準化ということは、評価者の圧倒的な支 持があったために第2ワーキンググループの結論とするということになっておりますけれ ども、これについては我々は非常に多くの反論がございますということが一つでございま す。  それから、7ページ目をあけていただきまして、この政権に至りますまでの厚労関連の 民主党の皆様方の御発言というものが、大筋では診療報酬を引き上げないといけないとい うことで、一番代表的には、足立政務官が最近でもおっしゃっておられますが、2度のマ イナス改定をやってきたことが医療崩壊の元凶であることは明らかなので、それを回復さ せることがまず第一とおっしゃっている。その認識は我々としては非常に正しいと思いま すということを申し上げております。それと、嘉山委員からも御指摘がございましたが、 9ページ以下の提出資料に非常に大きな問題がある。この多くが財務省の財政制度等審議 会でお出しになった資料で、これについては日本医師会は、6月でしたか、財政制度等審 議会でヒアリングを受けております。つまり、意見のプレゼンテーションをさせていただ いております。そこでもそのデータはかなり偏っておりますということを申し上げている のでございますけれども、にもかかわらずまた同様の資料が出てきているというところに ついても大変大きな問題があるし、そういう資料に基づいて先ほど申し上げたような結論 が出てきているということにも大いに異議があるということを申し上げているということ でございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  日本医師会としての意見をかわりにここで述べていただいたということであります。  それでは、私のほから一つお話したいことがありますが、改定率に対する中医協として 意見具申の問題であります。もう既に医療経済実態調査が出ました段階でこの問題はいろ いろと御議論いただいているわけですけれども、中医協といたしましては、直接改定率に 関与することはできませんけれども、改定率に対して意見具申することができます。厚労 大臣に対して意見を進言するという形になります。例えば前回でありますと、1号側、2 号側からそれぞれ改定率に対する御意見をちょうだいして、ここで審議をいたしまして、 最終的には意見書という形でまとめまして、それを意見具申したという経緯があります。 もし今年もそのような形でやるということになりますと、時期的に早急にやりたいと思っ ております。もし今回やるとすれば、タイミング的には来週にでも1号側、2号側の御意 見をちょうだいいたしまして、ここで議論いたしまして、そして意見書をつくり上げて意 見具申をすることにしたいと思います。  そういう意味で、来週に総会を一度開きまして、1号、2号からの御意見をちょうだい して議論する場をつくりたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。1 号側、いかがでしょうか。 ○白川委員  私どもは、準備がもうほぼ終わっておりますので、来週で結構でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  2号側はいかがでしょうか。西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  すみません。急ですが、2号側でまとめて提出したいと思います。 ○遠藤小委員長  そうですか。ちょっと懸念がありましたのは、2号側でまとまった意見が出るかどうか というのがあったんですけれども、おまとめになって出されるということですね。 ○西澤委員  ええ。 ○遠藤小委員長  わかりました。 ○西澤委員  別々に……。 ○遠藤小委員長  いや、そういうことではなくて、かつては日本医師会がかなり中心になってまとめられ ていたようなので……。 ○西澤委員  間違いなくまとまった意見が出ますので、御懸念ないようにお願いいたします。 ○遠藤小委員長  わかりました。  それでは、来週、総会でぜひ議論したいと思います。ありがとうございます。  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会したいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局から何かありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  11月25日を予定しております。詳細が判明し次第、また連絡させていただきます。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。  それでは、これをもちまして小委員会を終わりにしたいと思います。どうもありがとう ございました。         【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)