09/11/18 第151回中央社会保険医療協議会総会議事録 09/11/18 中央社会保険医療協議会          第151回総会議事録 (1)日時  平成21年11月18日(水)9:00〜10:29 (2)場所  はあといん乃木坂 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 森田朗委員       小林剛委員 白川修二委員 中島圭子委員 勝村久司委員 北村光一委員          高橋健二委員(代理 清水)伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員       邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       藤原忠彦専門委員 北村善明専門委員 坂本すが専門委員        住友雅人専門委員       <事務局>       外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        渡辺保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 医療経済実態調査に係る意見について       ○ その他 (5)議事内容  ○遠藤会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより第151回中央社会保険医療協議会総 会を開催いたします。  まず、委員の出席状況でございますが、本日は高橋委員の代理で全日本海員組合の清水 保さんがお見えになっておられます。なお、保険局長は公務のため遅れて出席される旨の 連絡を受けております。あと、藤原専門委員がまだ御着席でありませんが、恐らく遅れて いらっしゃるということだと思います。  それでは、具体的な議事に移る前に事務局から報告があるということでありますので事 務局よろしくお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  お手元に資料がありますが、社会保障審議会の医療保険部会が開催されましたので御案 内申し上げます。  まず、資料にありますように委員名簿、米印が新任の方、三角印は再任ということで選 任されましたのでよろしくお願いをいたします。  また、資料3という形になっていますが、これは11月16日に医療保険部会が開催さ れたときの資料3ということでお示しをしておりますが、いわゆる基本方針というものを 策定していただくに当たりまして、平成22年度の診療報酬改定の視点等についてという ことで、ここにありますように2ページにわたっていますが1枚ものが、それから資料4 という形で提出をされております。また、その際ここで資料5という形になりますが後期 高齢者医療制度にかかわる関連する診療報酬について、こういう形で資料を提出して議論 を進めていただいております。  通例に倣いますと、これをもとに基本方針が策定されて改定率が提示される前に医療保 険部会、さらには医療部会との意見は集約されて基本方針として提出されるものと思われ ます。  報告は以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、議題に移りたいと思います。まず、医療経済実態調査に関する意見について 議題といたします。これに関連しまして事務局から資料が提出されておりますので、説明 をお願いしたいと思います。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  お手元の資料の中医協総−1と書いてございます資料をごらんいただきたいと思います。  10月30日に本総会におきまして実調を御報告して以来、委員の先生方から幾つかの 追加の集計あるいはデータについての御要請がございましたので、本日はそれに関連した 資料を用意してございます。  まず、お手元の総−1の1ページ目、2ページ目でございますが、これは実調データは 通常平均値を用いてございますが、これまでの議論の中で分布ないしは中央値をというこ とがございましたので、ここでは分布のほうは時間の関係もございましてできませんでし たので、主だった中央値をとっております。  1ページ目はまず、損益状況につきまして一般病院、一般診療所の入院収益のないもの、 歯科診療所、保険薬局につきましてそれぞれサンプル数の多いところでの医療収益ないし は損益差額等についての中央値を載せております。  その下は職種別の平均給与で、こちらのほうは一般病院、一般診療所につきまして、こ れもサンプル数が比較的多いところで院長、医師の給与をとっております。  それから、2ページ目でございますけれども、こちらのほうは一般診療所の診療科別の 損益状況ということで、入院収益なしの診療所で個人、医療法人のそれぞれの診療科につ いて実調では平均値をお出ししておりましたが、こちらでは中央値もあわせて出しており ます。  全体的に見まして、やはり中央値のほうが平均値よりも若干低い傾向にあるということ が見てとれるかと思います。  それから続きまして、3ページ目以降は先般安達委員のほうから御指摘のありました点 につきまして資料を御用意させていただきました。  収入に当たる収益の実調の平均とそれからメディアス、これは医療保険の医療費でござ いますが、こちらのほうの全体の動向との比較です。まず3ページ目は年間データにつき まして今回の実調とそれから平成20年度のメディアスをそれぞれ病院、診療所、歯科診療 所、保険薬局について比較をしております。  これを見ましても若干実調のほうが高いというところはございますが、ただ何点か留意 点がございまして、そこの注にもございますように、まず注2というところにございます が、医療経済実態調査のほうでは一般病院の収益には、公害医療とか、労災とか、そうい ったものが含まれておりまして、今の調査設計上ではこれが分離できないので、それを含 めたデータでございますが、メディアスのほうにはこういった項目は計上されていないと いうことがございます。  それから、実調のほうは一般病院と特定機能病院は集計を別にしておりますけれども、 メディアスのほうの医科病院の集計に含まれているということ。  それから、保険薬局につきましては、実調は調査のサンプルをとる段階で1カ月の調剤 報酬明細書の取り扱い件数が300以上の薬局ということで、比較的大きいところを対象 とするということで層化を行っておりますので、その点がメディアスとサンプルのとり方 が違うというところには御留意いただきたいと思います。  それから続きまして、次の4ページ目でございますが、これも同じようにメディアスと の比較ということで留意点は先ほど申し上げたところと同じでございますが、今回の調査、 それから前回の調査につきましてそれぞれ単月データとその6月のメディアスを比較して おります。  それから、続きまして5ページでございますが、これも先般安達委員から御指摘ござい ました医療経済実態調査の中で一般診療所の院外処方ありというものの比率と、それから 全国的な比率の比較をということでございましたが、まず実調のほうは今回の単月データ でございますが、一般診療所1,047のうち院外処方ありの施設数が772ということ で、施設ベースで申しますと73.7%ということでございました。  ただ、一般的に院外処方率、全体的な動向を見ますときは下の参考にございます社会医 療診療行為別調査の処方料と処方せん料の算定回数に占める処方せん料の算定回数割合と いうことで通常見ておりまして、平成20年度で申しますと例えば診療所では55.1%と なっております。  ただ、このデータは施設数ベースではございませんので、今申し上げた実調データとの 比較ということでやや古いデータになってしまいますが、医療施設調査のほうの平成17年、 医療施設調査は3年に1回の調査でございまして、現在公表できる最新のものがこれとい うことでちょっと古くなってしまいますけれども、これとの比較ということで載せており ます。  ちなみに、実調のほうの施設数ベースの院外処方ありの率でございますが、今回は73. 7%でございましたが、前回19年6月は66%、それからもう一つ前の17年6月は6 1.6%でございました。  それから、続きましてその下の参考資料というのをごらんいただきたいと思います。  これにつきましては例年この時期にこういった実態調査を踏まえましての改定率の御議 論いただくときの参考資料として出させていただいているものでございまして、平成20 年度、前回の診療報酬改定以降の賃金、物価の動向ということでございます。  賃金のほうは人事院勧告のデータを通常とっておりまして、賞与込みの全体の2年間の 増減率がマイナス2.4%、物価につきましては消費者物価指数ということで21年度は 9月までの実績の平均値でございますが、2年間の増減率がマイナス0.5%ということ でございます。  それから、その裏をごらんいただきまして、これは国民医療費、平成19年度34兆1, 360億円の内訳ということでございますが、特にこの場での御議論との関係から申しま すと、右から2つ目の国民医療費の分配というところでございまして、ここの数字はパー センテージでございますが入院医療費が36.9%、入院外医療費が38.2%、それぞ れの病院診療所の内訳はそこにあるとおりでございます。それから、歯科診療が7.3%、 薬局調剤が15.0%というような状況になってございます。  事務局からの報告は以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいまの説明につきましての御質問もあるかと思いますけれども、何名かの委員の方 から資料が出されておりますので、これらの御説明をいただいた上でまとめて質疑をした いというふうに思います。  それでは、白川委員より資料を提出されておりますので、御説明をお願いしたいと思い ます。 ○白川委員  それでは、私どもが第17回の医療経済実態調査の中身を分析をいたしましたので報告 させていただきます。  構成としては、1ページ目に全体のポイントをまとめておりまして、2ページ目以降は 調査結果の数値をグラフにしたということ、それから一部のグラフにつきましては経年変 化を見たということでございます。御承知のとおり経年変化のほうは6月単月の分しかで きないわけでございますので、それを中心にしたということでございます。 それぞれグラフの下にコメントを書かせていただいております。  本日は時間が限られておりますので、恐縮でございますが1ページ目の主な分析結果と いうところだけを説明させていただきたいと思います。  全体としては最初の行でございますが、一般診療所、歯科診療所及び保険薬局は減益傾 向にあるものの黒字、一般病院(全体)は赤字ということでございますが、病院につきま しては19年6月に比べて改善が見られると。なお、損益差額率の値を見ると年間と6月 単月のデータに大きな差はなかったということでございます。  次に病院のことでございますが、一般病院は機能別に見るとばらつきはあるものの全体 的には赤字、損益差額率ではマイナス4.5%という数字でございます。  ただ、19年度がマイナス5.0%ということでございますので若干は改善しておりま す。特に赤字幅が大きかったのは子供病院ですけれども、これは大幅に赤字幅が縮小した ということでございます。  それから、一般病院の開設者別に見ますと、医療法人、国立、社会保険関係法人及び個 人は黒字ですけれども、依然として公立病院の赤字幅は大きく給与費の構成比率が高くな っています。後ろのほうに書いておりますけれども、国公立を除く損益差額率で見ますと、 全体はマイナス4.5%ですが国公立を除く損益差額率はマイナス0.7%という数字が 出ております。  次に、一般病院の入院基本料別に見ますと、15対1は黒字、7対1、10対1、13 対1はいずれも赤字で、ここには書いておりませんが、特に10対1のところが損益差額 率マイナス7.4%ということで最も差額率が悪いという結果でございました。療養病床 60%以上の病院は経年的に黒字、療養病床なしの病院は赤字という結果でございます。  次に、診療所のほうでございますが、一般診療所の個人と医療法人は減益傾向ではござ いますが黒字は確保していると。参考までに損益差額を括弧書きで付してございます。  それから、一般診療所の個人を診療科別に見ると眼科、皮膚科、精神科は平均に比べる と高い数値、逆に内科、外科、産婦人科が損益差額率が低くなっているということでござ いました。  一般診療所の医療法人のほうでございますが、皮膚科、産婦人科、眼科が高い数値で、 精神科、耳鼻咽喉科、小児科が損益差額率は低いという結果でございます。  診療所・保険薬局につきましては、平成19年6月と比べると減益であるが黒字は維持 しているという数字でございました。  私どもの結果、分析は以上でございます。今後の診療報酬改定に当たっては、こうした 実態を踏まえて議論させていただきたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  引き続きまして、西澤委員から資料提出がありますので御説明お願いします。 ○西澤委員  私の出したものは第一段といたしまして、とりあえず総論的といいましょうか、そのよ うな意見だけを今回述べさせていただきます。  また、いろいろな病院団体でも各自今やっておりますのでいずれまたもっと詳しいもの と思っております。  まず、今回の実調における病院の状況についてでございますが、まずこれは事務局が説 明したものを抜き出しただけでございますが、集計1、すなわち介護収益が2%未満のと ころでは前回のマイナス5.0%から今回はマイナス4.5%とほぼ変わらなく赤字であ るということ。  それから、一般病院の国公立を除いた損益差額においても前回のマイナス0.2%から マイナス0.7%へと変わらず赤字だということでございます。  また、今回より税引き後の損益差額が集計されておりまして、医療法人を見ますと総損 益差額1.7%だったものが税引き後では0.2%ということで、ほぼ利益がないという 状況になっております。  また、集計2の結果、これは全医療機関でございますが、これも前回と比べると損益差 額マイナス4.1%から今回はマイナス3.7%とほぼ変わらず赤字であると。  それから、一般病院で国公立を除いたところでは前回の0.4%から0.2%と横ばい で、ほぼ利益はないという状況でございます。  3番目には機能別の集計結果でございますが、DPC対象病院が今回、前回に比べると マイナス1.3%からマイナス5.2%と悪化していることが見てとれます。また、回復 リハも前回マイナス0.3%から今回マイナス2.6%と悪化しております。  それから、亜急性期入院医療管理料算定病院におきましては、マイナス6.3%から今 回はマイナス4.7%と若干改善しているが赤字であることは変わらない。国公立を除い た損益差額においても前回の0.1%から今回はマイナス4.2%と赤字で転落している ということでございます。  それから、一般病棟入院基本料別ではこれは7対1、10対1、13対1、15対1を 見ますと、15対1だけが黒字でございますが、それ以外は全部赤字と、とりわけ10対 1がマイナス7.4%と経営状況が一番悪いという結果が出ております。  次、一般病院100床当たりの損益差額では全体で前回のマイナス5.0%から今回は マイナス4.5%と変わらず赤字であって、国公立を除く全体においても前回のマイナス 0.2%から今回はマイナス0.7%と同じく赤字だという結果でございます。  また、損益率の分布のグラフでは、国公立を除く一般病院ではゼロ%以上から10%未 満が最も多く、続いてマイナス10%以上からゼロ%未満が多いということで、医療法人 では3.2%の病院がマイナス30%未満であり、経営が成り立つ状況ではない病院もあ るという実態が見てとれます。  次のページにいきます。  直近の事業年度の集計においてでございますが、集計1における一般病院の損益状況に つきましては全体でマイナス4.4%、国公立を除くとマイナス1.0%である。集計2 においては一般病院の損益状況については全体でマイナス3.5%、国公立を除くとプラ スの0.1%である。  それから、分布のグラフでは国公立を除くとゼロ%から10%未満が最も多いという結 果でございます。  また、事業年度集計のほうが単月集計と比べて若干赤字幅が大きいという結果が出てお ります。特に、医療法人の損益差額におきましては単月でプラスの2.1%が事業年度で は1.4%という差が出ております。  以上まとめますと、一般病院は前回と変わらず基本的には赤字だという結果でございま す。税引き後の総損益差額を見ると民間病院はもう微々たる利益ということで、最終的に はほぼゼロ%で利益がないという状況でございます。  それから、DPC対象病院の損益が悪化しておるということ。それから、回復リハと亜 急性期入院医療管理料の算定病院も悪化して赤字だという結果でございます。  入院基本料別では15対1以外はすべて赤字、10対1が最も悪いという結果でござい ます。  事業年度集計においても一般病院は単月集計と同じく全体的に赤字基調であるという結 果が出ております。  このような結果を総合いたしますと、この結果ではやはり病院の経営状況は非常に悪い ということが示されておりまして、すべての病院の底上げが必要、すなわち入院基本料の 大幅な増額を、今回はしていただかなければならないんじゃないかなというふうな考えで おります。  また、事業年度集計と単月集計を見ますと事業年度集計のほうが赤字幅が大きいが、こ れは事業年度集計と単月集計の違いと見るよりも、単月集計は平成21年度6月、すなわ ち診療報酬改定が終わった1年後の単月、それから事業年度集計というのはほとんどの医 療法人の会計年度が4月から3月でございますから、これは改定直後の20年度の状況を 示しているんじゃないかなと思います。そういうことではやはり改定直後の年度とその次 の年度では、差があるのではないかなということを想像いたしますと、改定による影響を 正確に把握するためにはやはり調査を毎年行うということが必要ではないかなと考えてお ります。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  御提案までいただいたということでありますが、引き続きまして渡辺委員から資料が出 されておりますので、渡辺委員御説明お願いします。 ○渡辺委員  それでは、日本歯科医師会でまとめました今回の調査に対する見解を述べたいと思いま す。この内容は歯科診療所の個人立の診療所についての状況の分析でございます。  初めに1ページからですが、今回初めて年間ベースの調査も実施されました。これは今 までの協議の結果実施されたわけですが、これを評価したいと思います。なお、本日は中 央値も出されておりましたが、中央値を見ますと平均値より低いところに中央値があると いうことで、全体の診療所あるいはほかのものもそうでしょうけれども、平均値より低い ところに多く分布しているということが本日示されたのかなというふうに考えております。  さて、歯科診療所はほとんど無床診療所であります。経営規模としてはユニット台数が その数値をあらわすと思います。調査年によってこれは変わることがありますが、ほぼ3 台という形でありますので、これまでの過年度行われた調査結果との比較というのは、そ のまま経年的な経営状態の変化というふうに考えておりますので、その点についても述べ たいと思います。  なお、歯科診療所の損益差額ということでありますが、これはすべての個人立の診療所 に共通なことですが、今までも何回か説明もありましたけれども、一般の法人の勤務者の 給与と比較するという場合には、損益差額の中には多くの調査に計上されない項目が含ま れている。それを今回もう少しはっきりと出してみました。  ちなみに、1番として退職金相当分の積み立てがあること、さらに法定福利費相当です がこうした年金・健保料と、これは基本的には法人にお勤めの場合の勤務歯科医の場合は、 その半分は法人から支払われて、個人の場合にはその半分を支払うという形ですね、しか し個人の場合にはそれを全額自分で負担をするという形になって、そこに差があるでしょ うということであります。  それから、調査表の中にも記載がありましたが、こうした建物、設備の改築あるいは新 しい機器をそろえるということで交換すると、そうしたときの費用も入りますし、借入金 の返済もそこからしていかなければいけないと、あるいは自己資本を投資している場合は 逸失利益の補てんを考える必要がありますし、それからすべての点においてリスクをすべ て院長がそれを背負っておるという状況にあるということであります。  また、労働時間も問題になったときがありましたけれども、診療時間以外にもこのよう な経営全般についての時間、あるいは地域医療、保健活動のための時間等があるというこ とも考慮すべきではないかと思います。  さて2ページ以降、まず2ページは本調査の中から抜き出してありますけれども、この 中で事業年の集計を平均月1カ月当たりという形で12分にした数値も記載してあります。 これについても次の3ページであわせて考えていきたいというふうに思います。  まず、単月調査でありますけれども、医業収益全体または保険にかかわる収益も増加で ありましたけれども、当然改定の結果あるいはこの中で歯科用貴金属が引き上げがされて おります。その影響が大きく出ております。  さらに、メディアスの直近の公開されましたデータ等によりますと、21年6月の受診 延べ日数、いわゆる患者さんが多く来ていたという結果が出ているということも影響あっ たというふうに考えております。  一方、費用の点では非常に8.4%と大きく伸びました。その結果、損益差額は前回よ りも2.2%減になったという状況であります。  さて、年間集計と比較した場合は、次の表を見ていただくとお分かりのように、いずれ の項目も減でありますけれども、特に損益差額が7.4%と減になっているという内容に なっております。  この中で、どうしてこういうことが考えられるかというと、次に米印といいますかマー クがありますが、6月は従来から私たち主張しておりますが歯の衛生週間がございまして、 大変国民の皆様の歯科に対する認識が非常に高まっている時期であります。そういうこと で歯科医療にとっては需要の高まる特殊な月であるということが言えると考えております。  それから、年間データの構成をずっと見てまいりますと、費用の点で構成比率が高くな っております。これはどうしても単月調査ですと漏れがちな費用が、年間調査ですと正確 にそのまま計上されてくる、そういう結果じゃないかということで、その結果が損益差額 として、結果的に年間集計のほうが低いというデータになったのではないかというふうに 考えております。  続きまして、当初申し上げました経年的な流れを踏まえて申し上げたいと思います。  表3でありますが、これは第12回を一つのベースとしてありますけれども、過去にさ かのぼって第13回から17回までの5回分をずっと一覧で並べてあります。医業収益は 毎回、前4回はずっと下がってきております。今回初めて上がったところであります。特 に保険はその下がりが大きく今回はこれだけ上がっていますが、その5回分をトータルし てみますと、医業収益は12.5%のマイナスになっております。伸び率の累計でござい ます。  保険診療収益については約15%、14.9%の累計のマイナスになっている。医業の 費用につきましてはマイナス11.7%でありまして、結果的に収益差額の累計は11. 9%のマイナスになっているという状況であります。  特に、ここで私たちとしては上の表で費用の点を見てみますと、第13回、5.9%、 続いて4.6%、11%と、大きく費用を削減してまいりました。収入が伸びない中で何 としてでも経営を守らなきゃいけないという立場から費用の削減を図ってまいりましたが、 それも限界に来まして前回16年では1.4%増、さらに今回は先ほどの材料費の高騰、 あるいは新しい材料をやはり患者さんのために新規のものを購入しあるいは機器を購入し てす。安定・安心の、そして安全な医療を提供するというために費用が上がってきたとい うことで、経営努力といいますか経費削減も限界に来ているという状態を示しているとい うことでありまして、その結果収益差額のこの5回の累計はマイナス11.9%という結 果を示しているということでございます。  次の5ページの中は今の結果を言葉で説明したものでございます。  そこで、一つ当初申し上げました5番目に書いてあります損益差額の中に含まれるもの として、先ほどお話ししました4項目、1から4までありますけれども、この中で2番目 の法定福利費相当のところなんですけれども、先ほど申しましたように年金あるいは健康 保険料等を、所得の上限はありますけれどもほぼ25%程度で、それが法人の場合には半 分が法人、半分が御自身、そういう意味で2分の1を掛けるそういう説明のための2分の 1であります。個人立の場合にはそれが全額ですという意味合いですので、掛ける2分の 1というところの御理解をそのようにお願いしたいというふうに思います。  その他、最後に書いてありますけれども、単月分の損益差額の120万、そして事業年 度でいきますと111万ちょっとでありますけれども、それからこの1から4を引いてい きますと、これは一般病院に勤務されている歯科医師の給与107万、これを下回ってき ます。そして、またこれは歯科診療所の勤務歯科医の給与にも近づいていくという、そう いうレベルにあるということを御理解いただきたいと思います。  さて、次のページに参考資料として国民医療費からのデータをグラフにしたものであり ますけれども、歯科が過去一つのピークを迎えたのが平成8年でありまして、このとき2 兆5,430億円ということでございましたけれども、このときの構成比率は8.9%あ りましたけれども、この12年間にずっともう2兆5,000億台を推移してまいりまし て、結果的に19年では、国民医療費に占める割合は7.3%まで落ちてきたという状況 であります。  結果的に国民歯科医療費はこの間1.7%減少したという実態があります。こうした状 況の中でまとめでありますが、歯科診療所は患者さんの安全・安心の歯科医療の安定提供 に努力を続けてまいりましたが、医療費削減の中でそういう政策の中で合理化や費用の削 減にはもう限界に達してきたという状況でありまして、先ほど申しましたように患者さん のよりよい、そして安全な安心できる診療提供をするための費用がもはやそれが伸びてい くという状況にあるということであります。そういうことで最後に書いてありますけれど も、こうした質の高い歯科医療の提供を患者さんにしていくために歯科診療報酬体系の機 能的な改善と強化が不可欠でございます。次期診療報酬改定においては適切な評価と十分 な財源の確保が求められるというふうに考えております。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、三浦委員よろしくお願いいたします。 ○三浦委員  それでは、第17回の医療経済実態調査の結果につきまして、日本薬剤師会の見解を申 し述べさせていただきます。  1枚めくっていただきまして、保険薬局の費用構成についてでございますが、保険薬局 の費用のうち医薬品等購入費、薬剤料、材料ですが、これが約7割を占めております。1 回の処方せんにおける投与日数の長期化などの影響もございまして、年々医薬品の購入費 の占める割合が増加しております。損益差額は全体平均ではプラスを示してございますが、 その割合は減少をしておりまして改善傾向は見られていないというふうに考えております。  1枚めくっていただきまして、考察でございますが医薬品等の購入費の増加によりまし て、給与費や収支差を圧迫していることがうかがえると考えおります。特に、給与費につ きましては従事薬剤師数の削減によって効率化を図るということが大変難しいというふう に考えております。これは処方せんの取り扱い枚数が1日平均40枚を超えると薬剤師を 1名ふやさなければいけないという現実がございます。それで、実際問題としては開設者 の給料を減らすなどして対応をしているというふうに考えております。  また、一方では処方せん1枚当たりの調剤医療費が1枚当たりの処方せん医療費、この 下のほうのグラフにもございますが、技術料の実額が若干ふえてはおりますが、この構成 割合が減少をしております。  もう一つ、後発医薬品の使用促進の取り組みに伴いまして、後発医薬品の備蓄品目数が 実はかなり増加しております。先発品から後発品への変更をした後も、先発品がなくなる というわけではありませんで、その先発品もまた在庫になって備蓄品目が増加して、それ も医薬品購入費がまた増加する一因になっているというふうに考えおります。  それと処方日数がふえておるということは、1回に用意しておく在庫の1品目の数とい いますか、量も増加しているという傾向にあって、実は倉庫が満杯になっているというの が現状であります。  全体といたしましては、さらに規模の小さい薬局については一層経営的に苦しくなって いるというふうに感じております。  日本薬剤師会の見解としては以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいま事務局からどちらかというと宿題返しといったような内容の御報告がありまし て、それ以外に4名の委員から御説明があったわけでありますけれども、ただいまの資料 の内容及び医療経済実態調査そのものの結果を踏まえてで結構でございますけれども、御 議論いただきたいと思います。どなたでも結構でございます。  はい、安達委員どうぞ。 ○安達委員  前回、非常に素朴な疑問を申し上げさせていただきました。実調は簡単に言えば収益の 多いところが回答しやすいんではないだろうかということで、その理由として収益の多い ところは経理処理等を公認会計士さん等に頼んでいるから回答しやすいんではないかと、 そういうことを申し上げたわけでございます。  一つ、まず事務局に御質問なんですけれども、1ページ目の真ん中の欄の特に医療法人 のところで中央値と平均値が随分違うんですけれども、この解釈は私が漠然とした印象で 申し上げたことをある程度あらわしていると考えていいということなんでしょうか。 ○遠藤会長  事務局の…… ○安達委員  データを読む上での解釈として、私は素直に見るとそう見えてしまうんですけれども、 それでよろしいですかということでございます。 ○遠藤会長  それでは、事務局お願いいたします。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  平均値と中央値ということでございますので、平均値のほうが確かに御指摘のようにか なり高くなっておりますが、これは非常に高いところの数が多い、あるいは数カ所のとこ ろで非常に高い値があって平均値を引き上げているということではないかと思います。 ○安達委員  ありがとうございます。  それで、この議論やって今回のデータでは結論出ないと思いますけれども、本当にこう いう解析しようと思えばもちろんのこと、標準偏差あるいは区間設定、ヒストグラム等々 非常にたくさんの分析手法を使わないといけないと思いますけれども、そういうことをや っているよりはと思いますので、この出していただいた数値に対してまず感謝を申し上げ ますが、ですからなおのことでありますけれども、日本医師会としてもということを従来 から申し上げてきたとおりでございまして、先ほど西澤委員の御意見もありましたけれど も、本当はやれるんならば改定をやる前の1年と改定をやった後の1年、これを診療報酬 の低いところと真ん中あたりと高いところというふうな、適正な配分で定点をとって比べ ていくということが、一番いい方法なんではないかなということを意見としては申し上げ させていただきたいというふうに思います。  それから、すみません、今日午後に日本医師会記者会見をいたしまして、毎年お出しし ておりますTKCの会からのデータの分析を公表させていただきます。でありますので、 この分を資料提供として私からの資料で次回に出させていただくということを御了承いた だきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○遠藤会長  結構でございます。 ○安達委員  その中の象徴的なことを1つだけ申し上げます。  これはTKCで頼んでいる、つまり公認会計士さんのところに頼んでいる医療機関のデ ータでございます。法人の医療機関の収支差というのの平均値というのは政府実調のこの データとほとんど変わりません、数字的に。つまり頼んでいるところは高いんだろうとい うことを私は申し上げたわけで、そういうことではないのかなというふうに思っておりま す、ということでございます。  それから会長、もう一つだけ白川委員に御質問させていただいてよろしゅうございます か。 ○遠藤会長  結構です。  白川委員からの解析の最初のページですか、下から2つ目の丸、診療科ごとの数値が確 かに高い低いが出てございますけれども、これはもう既に資料としてお出しさせていただ いた日医の分析でも指摘をしておりまして、恐らく白川委員のところでも同じようなお考 えだと思うんですけれども、ここは非常に客体数が少なくて客観的データとして、これで このままこうもってやっていいかどうかと、診療報酬改定を、いうことについて一定の制 限が加わるのではないかと私は思うんですけれども、その点はどういうふうに思っていら っしゃいますでしょう。 ○遠藤会長  白川委員お願いいたします。 ○白川委員  特に、一般診療所の回答率が非常に低いということは私どもも問題意識を持っておりま して、ちょっと説明を省きましたが13ページに次回調査に向けた意見ということを書い ておりますけれども、その3番目に有効回答率が低かったということで、次回この辺は改 善すべきではないかという問題提起もさせていただいております。確かに診療科別に見る と回答数が少ないということは認識はしております。ただ、数字は出ておるものですから、 私どもはこういう解釈をしたということでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは、一言だけ私、挟ませていただきますと、この診療科別の収支の問題というの は以前からも議論になっておりまして、非常に重要な課題ではあるのですけれども、まず 診療科別でとれるというのは、診療所の場合は主たる診療科ということでとれるわけなん ですが、ただし今おっしゃられましたように要するにサンプル数が少ないということで細 かく分けますと少なくなってしまうので、場合によっては過去のデータなども見ながら高 いところはかなり高いねという、そういう多少大ざっぱな議論をしていくしかないのかな ということです。  それから、病院と診療所ではやっている内容が同じ外科であっても違いますから病院は 病院でやはり診療科別の収支を調べなければいけないわけですけれども、これも過去調べ たわけでありますけれども、なかなか間接費の配賦等々が大変で病院の負担があるという ことで回収率が低い。そのような調査を調査専門組織のコスト分科会でやっておりますけ れども、そこでの調査を少し簡便型の調査にしてそして回収率を上げる、つまり病院の負 担を減らして回収率を上げようということが決まっておりますので、そのような形の調査 が実行されるということです。  以上でございます。  それでは、鈴木委員どうぞ。 ○鈴木委員  同じく白川委員の分析に対してなんですが、1ページの下からやっぱり2番目のところ ですけれども、よく眼科、皮膚科、整形ですか、それが収益が高くてという話が出るんで すが、これを見ますと眼科、皮膚科は確かに個人、医療法人とも高いんですが、精神科は 個人で高くて法人で低い、あるいは産婦人科は個人で低くて医療法人で高いという非常に 解釈が難しいデータが出ておりますので、要するにサンプル数が少ないということもある んでしょうが、ということはこれは皮膚科、眼科も同じだと思うんですよね。ですから、 これをもって収益が高いからけしからんみたいな言い方は、ちょっとやっぱり言いにくい んではないのかなという気がするんですけれども、いかがでしょうか。 ○遠藤会長  白川委員への御質問ということですね。はい、白川委員どうぞ。 ○白川委員  私どもは何も収益が高いからけしからんと言っているつもりは全くございませ。10ペ ージにグラフをつけておりますが、このグラフに基づいてこういう結果でしたというポイ ントをまとめただけでございまして、高いからけしからんとか低いから上げるべきだとい う議論は一切しておりません。 ○鈴木委員  ただそうじゃないとしても、じゃやっぱりこのデータ余り当てにならないなというふう には思いませんか。そういうところを見て結果として。 ○白川委員  いえ、そんなことは思いません。10ページの表は経年もずっと入れたグラフになって おりまして、15年から21年までで見ておりますので、今年だけ変だというふうには感 じておりません。ただ、先ほど安達委員からの御質問にお答えしたとおり、サンプル数が 少ないことは問題だというふうには思っております。 ○鈴木委員  要するに何か言うには都合がいいところだけは言えないということで、全体に分析する 場合、やはりそういう矛盾するところの説明もつかないと思うんで、その辺はこれは白川 委員に言っているばかりじゃありませんけれども、ぜひ何か言う場合にはそういった矛盾 点と思われるようなところもちゃんと説明をしていただかないと、都合がいいところだけ は使えないなと、私はこのデータを見て正直思ったというところでございます。 ○遠藤会長  はい、白川委員どうぞ。 ○白川委員  矛盾に思ったからここに書いているのであって、別に矛盾があるというふうにもちろん 書いておりませんが、したがって御指摘のとおり個人と医療法人で差があると、診療科別 の収益差額について差があるということをここに書いているわけでございまして、別に意 図的にどうこうというつもりは全くございません。 ○鈴木委員  いやいや、別にそんなようなつもりで言ったわけじゃありませんが、要するに私には説 明がつかないんですよね、個人と医療法人で逆転するみたいな現象は、産婦人科と精神科 医において。ですから何かそれは別に白川委員に言っているわけじゃないんですけれども、 そのようなばらつきの出るデータとして考えるべきではないのかなという気がいたします。 ○遠藤会長  わかりました。いずれ診療科間のバランスの問題というのは議論せざるを得ないと思い ますので、そのときにどういうようなデータに基づくのかと、そういう議論の中で今のよ うなお話をまたしていただくということでしたいと思います。  それでは、嘉山委員どうぞ。 ○嘉山委員  私は先生方の意見のやりとりを聞いておりまして、中医協がやはり今までのとおりパイ の取り合いの根拠になるデータを出して、それで議論を進めてきたなというのがよく分か りました。  やはり現在の医療崩壊の例えば厚生労働省も明言しておりますが、科の偏在ですとか地 域の医療崩壊が起きているというのは、こういうふうな例えば整形が黒字が多いとかそう いうことではないんですね。若い医師に聞きますと、やはり自分の労働、白川委員が非常 にすばらしいことを前回もおっしゃっていましたが、業務内容に対して評価されているか どうかということがあって、それで科の偏在も起きているんですよ。つまり、自分がやっ た努力があるいは非常に高い技術が評価されないと。  医者の間で、今日は後半に私紹介させていただきますが、要するに業務内容で医療費を 分けていけばよかったのに、ある都合の恣意的なデータで今回は整形が高いから削るとか、 そういうふうなことをやっていくとやはり科の偏在が起きるということを申し上げたいと 思います。  それからあともう一つ、私素朴に非常に疑問なのは医療という社会で、どの社会でもそ うですけれども、これはマスメディアでも何でもそうでしょうけれども、赤字の部門があ るというのが、なぜ赤字の部門があって医療が成り立っているんだろうという疑問を、や っぱりここで大きく立場を、立場というか国民の目線から赤字の業界で国民が医療を受け なきゃいけないという、そういう状況をやはり考えなきゃいけないときじゃないかなとい うふうな感想を持ちました。  これが今の先生方の意見の交わした中で根本的なところをやっぱりもう一度見直そうと いう。 ○遠藤会長  御意見承りました。  先ほど来お手を挙げている方で、それでは邉見委員どうぞ。 ○邉見委員  まず、調査の方法なんですが、先ほど西澤委員もおっしゃいましたように改定の前の年 の6月であればかなりいろんな対応ができるわけですね。4月からの改定で6月にすぐ例 えば診療情報管理士を雇うとか、そういうことはもう年度予算でしたら12月の予算案で 地方自治体などは決まっておりますので、ほとんど対応ができないものがたくさんあるの で、やはり2年に1回でなくまず単月であっても毎年やるというのが1つと。  それから、やっぱり中川前委員がおっしゃっていたように、やっぱり定点がもう少し多 くないと、なかなか実質的な変動というのが分からないんじゃないかなというふうに思い ます。それが調査に関する私の考えです。  それから、もう一つはどの委員の資料と意見にもありましたが、同じ調査を見解を述べ ているわけですから当然ですが、10対1の診療報酬がマイナス7.4%というのが一番 悪いという病院の実態ですが、7対1は特定機能病院とか県庁所在地とか政令指定都市に あるような看護師や人的資源に恵まれたところですね、どちらかというと恵まれたところ です。  10対1は中小の5万とか10万都市にあるようなところでの病院ですね。そうすると、 そういうところはやはりなかなかいろんな意味で人的なものもありますし、地方財政の厳 しいとかいろんなことでなかなかうまくいかないというふうなことがあって、ここが地域 医療の大きな拠点になっていることが多いので、ここはやっぱりよく焦点を当てて議論し なくてはいけないんじゃないかと私は思います。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  今の邉見委員のお話に直接関係がおありになる方から優先したいと思います。白川委員 どうぞ。 ○白川委員  今の邉見先生のお話については、私どもも10対1というのは非常に損益差額率が悪い ものですから、病院の経営の苦しさというのがそこに一番あらわれているのかなという感 じはしております。  ただ気になりますのは前回もちょっと議論になりましたけれども、本日の西澤委員提出 資料のまとめのところに、入院基本料の大幅な増額が必須であるというふうに書かれてお りまして、そのときも少し意見を申し上げたんですけれども、加算とかいろいろなことを 含めて病院の経営の苦しいところは考えていくということで、すべて入院基本料でという のは私どもはそうは思っておりません。例えば10対1が厳しいのであればそこをどうす るかという議論をさせていただきたいし、そういうめり張りをつけることが必要ではない かなと、繰り返しになりますが申し上げておきたいというふうに思います。 ○遠藤会長  この種の話はもはや実調の分析の話を超えた話になってます。前回のお話でありました ように診療報酬というのはある程度整ったところに高い点数をつけましょうという、加算 にしてもそういう発想でやってしかも全国一律でやっているということなので、中には地 方でリソースの少ないようなところは努力をしてもなかなか達成できないというところも あるではないかという御指摘だったわけですね。  それは大体の方々は御納得されたと思うのですが、その改善の方法として入院基本料一 律引き上げというのが適切なのかどうかというところが、今後の議論になるところだと思 います。  西澤委員、関係があれば簡潔にお願いします。 ○西澤委員  私が入院基本料を増額ということを言いましたが、実は今回診療報酬を上げる際すべて の財源をこれに充てろということは言っておりません。とりあえず診療報酬が上がった分 の一部といいましょうか、何割かをこれにしていただきたい。確かに10対1とか7対1 とか15対1で差はあるんですけれども、各医療機関においてもその病院においても看護 基準というのは常に変わるわけでございますから、そこをどこを上げてどこを下げてじゃ なくて、すべてのところをまず上げないと今の病院医療は崩壊してしまうということです。 まず診療報酬上がったうちの何割かをそこに充ててくれと、そのほかの財源で白川委員が 言ったようにめり張りをつけたらいかがですかとそういう御提案でございますので、具体 的には今後またさせていただきます。 ○遠藤会長  わかりました。今後また議論をすることになると思います。  それから、実調の調査のことで御提案が2つありました。これはこれまでの議論もあっ たことだと思いますけれども、1つは定点をふやしたらどうかという話ともう一つは毎年 やったらどうかという話でありますので、これについては検討をしたいと思いますので、 調査実施小委員会の開催は、通常改定があった2年目に調査をしますので比較的遅く開催 したと思いますけれども、改定があって比較的早い段階で一度開いてみて、毎年やるとい うことであるならば少し早めにやらなければいけませんので。毎年やるということについ て例えば予算上の問題とかそういう問題で何か事務局ありますか。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  少なくとも現時点のことを正直に申し上げますと、現時点はおおむね2年に1回という ことで予算をとっておりますので、例えば来年調査をするというようなことは今の予算か らはできないという状況ではございます。 ○遠藤会長  わかりました。そういう問題もあるということですが、簡便にして低コストでやるとか いう方法はあるのかもしれませんが、また御議論したいと思います。  それでは、先ほどの手を挙げた順番でどちらが早かったかな、それでは住友専門委員ど うぞ。 ○住友専門委員  白川委員にちょっとお尋ねしたいのでございますが、今回の機能別集計等に歯科大学病 院についての分析はされていない、ここには出ていないんですが、それはどのようになっ ていますか。まず、それをお聞きしたいんです。 ○遠藤会長  白川委員。 ○白川委員  大変申しわけございません。歯科大学病院について、全く分析をしておりませんので大 変申しわけございません。 ○住友専門委員  今回の調査でも歯科大学病院が出ております。機能別の中に入っています。現在29の 歯科大学・歯学部があって、大体33だと思いましたが附属病院を持っております。これ らは大変な赤字経営です。それを授業料収入で補ったりいろんな努力をしているわけです。 やはり教育という意味もあって今後出ていく若い人たち、それからそこで先進の医療をや っている人たち、こういう人たちがいらっしゃいまして、ここをどのような形で今後考え ていただくか、我々も努力をしていかなければいけないところでございますが、ぜひ今回 データ出ていますので分析をお願いをしておきたいと、かように思っております。お願い でございます。 ○遠藤会長  御意見として承りました。ありがとうございます。  それでは、安達委員どうぞ。 ○安達委員  すみません、単純な御提案を1つ忘れましたので追加させていただきたいと思っただけ でございますが、今回のようなことで私はどうしても実調のサンプルの取りまとめのとこ ろ、つまり回答率のところでバイアスがかかるんではないかということを申し上げたわけ で、どういう形でやるかはいろいろ改善するとして、回答した医療機関に経理処理を公認 会計士等に委任しているかどうか、これはイエス、ノーでたった1欄でございますから、 それぐらいは入れておいていただいたほうが、ある程度そういう取りまとめの回答のとこ ろでのバイアスのかかり方を判断する材料になるんではないかということの御提案をさせ ていただきたいと思います。 ○遠藤会長  わかりました。では、調査実施小委が行われるときにまた改めて、そこでは質問表の中 身についても議論いたします。それに関連して1つなんですが、診療所で経理処理を税理 士さんには頼まないというのはどのぐらいあるものなんですか。 ○安達委員  先生、実数を計算したことはございません、正確に申し上げますと。大体TKCの全国 会のデータ、これは金曜日に資料出させていただきますけれども、個人診療所の分で6,600 診療所ぐらいが回答しております。だから、個人診療所の今数字から言うと8%ぐらいで すかね、回答した数は、ということでございますね。  平成19年に日本医師会が、プレリミナリーに4都道府県ぐらい、つまり都市部といわ ゆる地方という4都道府県を選んで会員調査をしておりますけれども、そこでも平均のい わゆる収益差額の2,000万円以上というのはたしか13.6%ぐらいの施設だという ふうに思いますので、TKCの回答、これは全員してくれるわけじゃなくて拒絶される方 もいらっしゃいますから、もう大体それが近い数字なのかなというふうに思っております。 ○遠藤会長  お尋ねしましたのは個人診療所ぐらいの収益があるところであれば、ほとんど税理士さ んは頼んでいるんではないかということで。 ○安達委員  いえいえ、先生それは例えば私の例を申し上げますと、私は今開業して21年目に入っ ておりますが、税理士さんにお願いするようになったのはほぼ10年前からです。つまり 最初の10年間は全く自分の作業でやっておりました。 ○遠藤会長  わかりました。ありがとうございます。  嘉山委員、関連で。 ○嘉山委員  質問なんですけれども、厚生労働省が出してきた参考資料なんですが、今財務省が物価 が下がっているからということでいろんなことを統計出していますが、医療の中でも要す るに人件費はかなり下がっていると、これは間違いないんですけれども、物価というんで あれば医薬品と医療機械の値段が総額で財務省が言っている物価が下がっているというの と、どのくらい差があるのかそれともパラレルなのかパラレルでないのか、そこをちょっ と出していただかないと総枠の医療費が分からないのでどういうふうに記述をしていいの か、財務省がそう言っていますからちょっとお願いしたいと思います、次回でも。これは お願いです。 ○遠藤会長  わかります。要するに、ここに出しているデータというのは日本全体の状況なわけです けれども、医療市場を考えますとまずマンパワーであればこれは資格職業ですから、しか も供給が制限されていますので、どうしても今のような状態ですと労働市場は比較的タイ トな状態ですからなかなか賃金水準も下がらない可能性もあるだろうということ。  それから、薬についても公定価格ですね、医療材料なので。したがってそれらが平均的 な物価水準とどういう関係で変化しているのかというのを知っておきたいと、こういう御 意見だったと思いますので可能な限りということで結構なのですが、これはできますか。  それでは、事務局どうぞ。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  薬価と材料につきまして御指摘のとおりまさに公定価格でございますが、物価といいま すか、まさに市場でどう売買されているかということとの比較につきましては、薬価調査、 材料価格調査を現在やってございますので、その結果というのが今月下旬ぐらいにこちら に報告させていただくということで、それと物価の動きなどを見比べていただくというこ とではないかと思います。 ○遠藤会長  ものについてはそういう意味で、公定比較であるがゆえに比較的容易に分かるというこ とでありますが、それだけでよろしいですか。 ○嘉山委員  今の政権がものから人へということなので、その辺をちょっと知ってみたいと思ったん です。正確なデータを出していただければと思います。 ○遠藤会長  じゃ、小林委員どうぞ。 ○小林(剛)委員  内容はよく吟味しなくてはいけないということでありますが、実調の結果を参考にしな がらこれから議論を進めていかなければと思っております。今の関連で参考資料として2 0年度改定以降の賃金、物価の動向と、物価の問題については今話がございましたのでそ の結果についてはまた見てからということになると思いますが、賃金については2年間の 増減率はマイナス2.4%ということで、これはこういった賃金だとか物価の動向、それ から資料によりますと医療費の半分は人件費が占めているということでありますので、診 療報酬の全体、について考える上では、ぜひこういったものも配慮して考えていく必要が あるのではないかと考えております。 ○遠藤会長  それでは、清水さんどうぞ。 ○高橋委員(代 清水氏)  ありがとうございます。  今、賃金の動向についてお話がございましたので関連して発言させていただきたいと思 います。  賃金については以前から人事院勧告のデータを出しているということで、これはこれで 結構だと思いますが、直近のトレンドがどうなっているのかということについて若干補足 させていただきたいと思います。  厚生労働省が調査されているもので毎月勤労統計調査というものがございます。それに よりますと大体2007年は1年を通じて対前年同月比で横ばい、これは2008年の3 月くらいまでは横ばいで推移してきたと思います。2008年の4月から急激に悪化して おりまして、2008年の12月にはもう対前年でマイナス2%を超えると、今年のたし か3月、4月には3%マイナスというところまで落ち込んできております。  その後、一進一退ございますけれども反転するという感じではございませんし、さらに 悪化をするということが懸念されておりますので、そういった直近の動向についても十分 思いをいたしながら議論を進めていく必要があるだろうというふうに思います。  以上です。 ○遠藤会長  そうしますと、ただいまのお話は厚労省のデータでありますから、その直近のものもこ こで出してほしいという、そういう御要求だというふうに受けとめてよろしいですか。 ○清水代理  要求ではございません。 ○遠藤会長  わかりました。  一号側でただいまのデータを出してもらったほうがよろしいと思われる方はいらっしゃ いますか。わかりました。こちらで判断させていただきます。  それでは、先ほどお手を挙げた鈴木委員どうぞ。 ○鈴木委員  賃金動向を踏まえて病院のあるいは医療機関の賃金を下げたらどうかと受け取られかね ないようなお話なんですが、人事院勧告これは実施する機関とかあるいは参考にする機関 はそれでいいと思うんですが、そういった公立、公的なところってもともと給料が高いと ころでございまして、我々医療法人、民間中小病院とか低い人件費で通常でもそういう公 的病院とそういう意味での官民格差がありまして、非常に人員確保に苦労しているところ でございますので、少し物価動向が下がったから賃金を下げますよということはおいそれ とは、専門職の集まりでございますので、もともと民間は低いので公的がちょっと下げて も我々に比べたらはるかにまだ高いんで、そういうことはおいそれとできない状況にある というのが我々の業界の特殊性といえば特殊性だと思うんですが、そういう状況は御理解 いただきたいというふうに思います。 ○遠藤会長  白川委員どうぞ。 ○白川委員  今の鈴木委員の議論に反論するわけではないんですけれども、私どもが問題意識を持っ ておりますのは賃金、物価、ここには出ておりませんが御存じのとおり失業率が高いとか 経済成長率が低迷しているとか、そういう経済環境、社会環境の中で診療報酬だけを上げ るということについては、私どもは反対の立場でございまして、その辺につきましては機 会を見て一号側の意見書を出させていただきたいというふうに思っております。 ○遠藤会長  それでは、意見書をいずれかの段階で出していただくということでよろしくお願いいた します。  それでは、安達委員どうぞ。 ○安達委員  このお話は多分永遠のじゃないのかもしれないけれども積年の課題でございますよね。 つまり武見元日医会長のときから、いわゆる一定職の一般労働者の方々と医師の賃金の格 差はどのぐらいが妥当だと考えるかというような議論に始まりまして、でありますので現 状我々が今鈴木委員が申し上げましたことは、看護師職にしてもPTにしても医師の数に してもクラークにしても、そういうものを病院職として雇用しようとしていくと、全体が 赤字基調が特に病院には強いということは現状あるわけでございますから、ここで結論が 私は出る話ではないのではないかということを申し上げたいわけで、国民の皆さんが医療 を受ける立場で医療を担う者全般に対しての収益、給与というものがどのぐらいが妥当だ と最終的に御判断なるかというような話でございまして、その議論を単純にやってしまう とポピュリズム的に言えば何でもいいものをできるだけ安くという話になるんで、そうで はない議論がこれ以外の場所でも必要なのではないかと、私はそう思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  北村委員、すみませんちょっとバランスをとりながらやりたいので北村委員どうぞ。 ○北村(光)委員  ただいまの議論なんですけれども、何回も白川委員のほうからも申し上げておりますけ れども、私どもも今現在置かれている診療医療の問題点というのは私どもも勉強させてい ただいているつもりですので、やはり是正すべきところは是正していかなければならない んじゃないのかなという基本姿勢は持っております。  一方、今ここに賃金とか失業問題とかさまざまな社会問題が出てきておりますけれども、 結局負担するところは患者さんであり健保とか企業でございまして、そういうところが大 変厳しいことになっておりますので、そういうところも先生方に念頭に置いていただけれ ばというお話だろうと思います。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  嘉山委員どうぞ。 ○嘉山委員  二号側というか一号も二号もないというようなお話はしたんですけれども、現場を預か っている我々としては、国民が要求するあるいは国民が求めている質の医療をいかに担保 するかというのが我々の仕事だというふうに思っております。  したがいまして、支払い側としては今の医療費、社会情勢から考えると上げるのはいか がなものかというような前提でございましたが、基本的に日本の医療はもともと医療費が 国民が要求している医療の質と比べると非常に低いんですね、まずは。ですから、それを 流れでもって下げるというのは非常に私は国民に対して医療の質を保証できるかどうか非 常に不安になりますので、今話し合ったんですけれども我々としては我々の先生方お出し になるというのでまとめて日本の医療をどうしたら確保できるかという観点で意見を出さ せていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  ぜひよろしくお願いします。  じゃ、西澤委員手短にお願いします。 ○西澤委員  1つの現象だけ申し上げます。  今、医療のほうにも実は介護職がおります。御存じのように介護保険では報酬が上がっ たが、それでも足りないということで今介護職員処遇改善交付金が出ています。でも、医 療機関にいる介護職には出ておりません。すなわち、医療現場では国民に対して質の高い 医療介護提供しようと思ってもやはり人が集まらないんですよね。給与も低い、上げるた めの報酬はついていないんですよね。それで国民に対して本当に国民が望んでいる質の高 い医療、介護は提供できない状況にあります。  それから、今不況で確かにほかの業界不況だということは分かっておりますし失業者も 出ております。ところが、一部のマスコミ報道で見たんですが、そういう方々が仕事を探 していても介護職にはつかない。あんなに安くてきつい仕事にはつけないと、そういう状 況にあるんですよ。ですから、もうちょっと報酬上げて職員の処遇改善をしなければ日本 の医療介護は崩壊するんです、しかけているんです。介護職だけじゃないんです。すべて 医療職がそうなんです。そういう現状を踏まえて一度考えていただきたいと思っておりま す。 ○遠藤会長  わかりました。  勝村委員どうぞ。 ○勝村委員  話をもとに戻してしまうようで申しわけないんですけれども、次回以降の経済実態調査 の在り方とか回答率の話はちょっと出ていたので、1つ事務局に質問なんですけれども、 ちょっと調べたら分かるのかもしれないんですが、一般診療所の回答率だけが50%を切 っていて有効回答率が44%というのは出ているんですけれども、この44%のさらに内 訳は分かるんですか。つまり一般診療所のうちの個人の回答率とか、一般診療所の診療科 別とか一般診療所の法人の回答率みたいなのはすぐに出るんですかね。 ○遠藤会長  それは大至急必要ですか、調べれば当然分かると思いますが。 ○勝村委員  出るんですね。だから、今日出ているそんな話と回答率で関連性があるのかどうか、ち ょっとやっぱり気になるなと思うんですけど。 ○遠藤会長  今の話…… ○勝村委員  それぞれの間で大きな格差があるのかないのかを確認できたらと思うのですけれど。 ○遠藤会長  ですから個人、法人立、あるいは診療科別との回答率ということですか。 ○勝村委員  サンプル数が少ないという話も出ているんで、もしそこに大きな以外があるのかどうか ということですが。 ○遠藤会長  わかりました。これはすぐには難しいですね。ですので、これは早急に書面で出してい ただくということでそういう対応でよろしいですか。 ○勝村委員  もし無理なく出していただけるようならばちょっと見せていただけたらなと思います。 ○遠藤会長  事務局どうでしょう、お願いします。 ○事務局(渡辺保険医療企画調査室長)  個人、法人の別であれば、回答したところはいずれもそれぞれ500ぐらいなんですが、 実際送ったところとの比率というのは今手元にはないんですが、ちょっと再集計をお時間 をいただければできるかと。 ○遠藤会長  では勝村委員、そのような対応をさせていただきます。  本日、まだ御発言されていない方でお話しされたいという方はいらっしゃいますか。  はい、では伊藤委員どうぞ。 ○伊藤委員  診療報酬のお話でありますけれども、まず1つ目でありますが、今お話をいただいてお ります中で嘉山先生がおっしゃるとおりですと思っております。  ただ、今の私ども支払い側としましても崩壊のすべてを本当に診療報酬で持っていいの か持つべきなのか、本来はもう少し病院の中でやっていく中で例えば会議であるとか多く の病院を維持していくために多くのものが費やされておると思うんですね、いわゆるバッ クヤードのものが。  ここのところは私は実はもうこれは補助金の段階ではないかなと思うんですね。地域の 病院としてやはり基幹病院としてやっていただく、ここまで診療報酬で持ってしまうとい うのは非常にこれは多分地域間格差というのはもっと出てくるんではないかなというぐあ いに思っております。  これはもう少し大きなバックグランドのあるところでどこまでこれから診療報酬で持っ ていく、これは今回の改定は間に合わないかもしれませんが、僕はそういう基本的な考え 方を持っておりますし、適切なやっぱり診療に対してはしっかりとした報酬を出していく、 ただ例えば10対1の公立病院の場合には非常に効率が悪くて、これはやっぱり医療を提 供するときに非常に人件費がかかってしまう、それには実際にその病院を支えている会議 があったりいろんなこれはもう勤務医の先生方、医療職の皆さんには大変負担がかかって いるというぐあいに思っているんですね。これはやはり地域で持っていくべきではないだ ろうかなということを思っております。  それから2つ目、これはちょっと御質問させていただきたいんですが、実は渡辺先生の ほうに御質問させていただきたいんですけれども、先生のほうから出していただきました 資料のまとめの中で中段に「結果として歯科医療は崩壊の危機にあると言わざるを得な い」ということをおっしゃっていますが、今このデータを見させていただく限りそれから いわゆるちまたで私どもが患者が歯科難民になっているかと言われるとそうではなくて、 前の先生方に努力していただきました医療崩壊とはちょっと違うんでありますが、もしこ れがどういう兆候になって見えるのか、例えば先ほど住友専門委員が言われた歯科大学が 非常につらい状況にあるということなのか、果たしてそれとも歯科医師がちょっと過剰に なっているのか、そのあたりはどういう分析をされているのか、ちょっとそこのあたりを 教えていただけるとありがたいと思います。 ○遠藤会長  それでは渡辺委員、先ほどお手も挙げられましたので、今の御回答も含めて簡潔にお願 いします。 ○渡辺委員  御質問ありがとうございます。  一つには患者さんに安定提供しなきゃいけない。ほとんどが98%ぐらいでしょうか、 個人立歯科診療所が、歯科医療を提供しているんですね。ですから、大学あるいは病院歯 科等の役割も当然あるんですけれども、多くの部分が個人で支えているというところであ ります。ですから、この経緯が少しでも赤字でもとんでもないことでありまして、これは すべて個人が持つわけですからきちっとした経営が成り立たなければいけない。  先ほどもお話ししましたように収入がどんどん下がっていく中で、何としてもそこを保 つために、経費の削減も限度まで先ほどパーセントをお示ししましたように削減をしてま いりました。そういう中でようやく現状を保っているということであります。それも一般 の同じ歯科医の仲間で病院に務めている方のところからすると、私たちももう病院の勤務 医になりたいぐらい逆に思うような状態というのが現状なんですね。それが1つです。  それから、ちょっとお話しありました需給の問題も当然ございます。これは別の面での 問題かと思ってます。解決には別の方向からの解決が必要かと思っておりますけれども当 然それもございます。  それから、新しい材料とか新しい機械等いい医療を提供しようと思って購入しようとし ましても、とてもじゃないけれどももうそれができない、難しい状態にあります。実際に そういうものがものによりましては、インプラント等におきましても、これは保険で対応 じゃない部分で患者さんに提供するというそういう状況があります。私たちというのは基 本的に、できるだけ患者さんにこの保険の中での提供を考えていきたいと思っているんで すが、それがとても難しい状態があります。でも少しずつは保険の中に入ってきているそ ういう状況ありますけれども、それをさらに進めるためにも今の状況では厳しいというの がその点でございます。  それから、あと白川委員のほうから御提供いただいたデータの中で損益差額率のグラフ が出ております。率だけで見ますと歯科の部分が率は高いんですけれども、それは先ほど お話ししましたように収入が下がる中で懸命に経営安定を図るための経費削減、いわゆる 合理化を進めた結果、率が高くなっている。そういうことですので、このグラフだけごら んになるとあっというふうに思われるかもしれませんですけれども、そういう点でござい ます。  それから、くしくも白川委員で出された経年的な中に13年の調査からと私たちのと同 じく13年からというんで5回分のが出ておりますけれども、こういう中でも先ほど示し たように年々合理化、経費節減ということをやってまいりましたけれども、今言いました ように新しい材料、新しい機械の購入は非常に難しくなっているというのが現状です。  ところが、それを実はまだ正確なデータでありませんが、ある報道によりますと歯科業 界、メーカーとかあるいは材料界とかそうしたところの、要するに売り上げが一時ずっと 下がってまいりました。それは私たちの考え方と同じなんですね。余り…… ○遠藤会長  渡辺委員、手短にお願いします。 ○渡辺委員  はい、わかりました。下がってきていましたが、ここのところ少し伸びが出てきたのが 今回の調査に出ているように費用の伸びが出てきたというのに一致しているのかなと、そ ういう状況もございます。  以上です。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  それでは中島委員どうぞ。 ○中島委員  すみません。私も皆様の議論とダブりますけれども、先ほど西澤先生がおっしゃった医 療・介護の崩壊、それからやはり非常に人材確保のところが厳しい現状だと十分に理解を しておりますし危機感を持っております。  また、地域格差というのがなかなか診療報酬の中では評価をしにくいという構造になっ ていることも問題だなというふうに思っておりますけれども、何が言いたいかといいます と、問題はじゃその診療報酬という守備範囲だけで本当に解決できるんだろうかというこ とを、伊藤委員もおっしゃいましたけれども思っておりまして、そこをどういうふうに切 り分けていくのがいいのかなと。基本的な問題になってしまいますけれども問題意識がご ざいますので一応指摘をさせていただきたいと思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  診療報酬と補助金の問題というのはここでもたびたび出ている話でありますが、ただこ こでの議論をしたときに基本的に補助金はどうあるべきかというのは、中医協としての決 定事項ではないという、制約条件の中での議論をせざるを得ないということなので、ここ はもう診療報酬ではなく補助金でというようなことがなかなか言い切れないというところ が一つあるので。  それからもう一つ中島委員がおっしゃられましたように、地域の事情を反映したような 診療報酬の在り方というのは、これまでは基本的にはやってこなかったということなので すが、いろいろとお話も出ておるわけですので診療報酬に地域の格差というものをどう反 映させるのかということを議論するかどうかについてもお諮りしたいと思っておりますの で、また御意見ちょうだいできればと思っております。  本日の議論、幾らやってもなかなか終わりはないのですけれども、非常に中医協らしい 議論ができたと思います。いろいろと御意見もありましたので、引き続きこの議論は続け ますので本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。事務局が宿題が少し出てお りますので対応のほどよろしくお願いします。  安達委員どうぞ。 ○安達委員  すみません、その他でお願いでございます。  資料提出をもう一つ次回にさせていただきたいということをお願い申し上げます。本日 の記者会見で日本医師会は先ほどのTKCのデータと同時に、今般事業仕分けについての 基本的見解というものも出させていただきますので、この資料をお出しさせていただきた い。  私は個人的には非常に一言で言うと不満、不快ということでございまして、財政と社会 保障というのは常に引っ張り合う関係にある中で、財政的な意見だけが全面に出て最終的 には最後のほうで仕分け人の方が、これをやらないんなら中医協は世間から後ろ指を指さ れるというようなことまで御発言なっているということに関しては、そこまで言われます と、私は個人診療所の立場で何でこんなに苦労して中医協の委員をお引き受けしたかとい う気がいたしまして、大変遺憾に思っておりますけれども、そういう感情は感情でござい ましてそれを冷静に申し上げているのが日本医師会の資料でございますので、当然私の意 見全部入っておりますのでぜひ提出をさせていただきたいということをお願い申し上げま す。 ○遠藤会長  提出は結構でございますのでしかるべきときにお願いいたします。 ○嘉山委員  会長、最後に一言。 ○遠藤会長  嘉山委員どうぞ。 ○嘉山委員  先ほど、伊藤委員が非常にいいことをおっしゃっていただいたんで、私最後につけ加え させていただきたいんですが、今年の6月18日に財務省の医療検討委員会のレポートが あります。そのレポートで何が言われているかというと、今後日本の医療、国民が必要と する医療のディマンド、つまり需要はふえるんだから医療費総額もふやすのは当然だと、 だからそのときにやっぱり自浄作用というか、伊藤委員がおっしゃったような努力もしな さいというようなことをはっきりとレポートに書かれておりますので、先生方もそのこと を、何しろ需要がふえているのにそこにかける費用を減らせばそれは崩壊するのは自然で す、社会的には。ですからそこをお考えになって御理解願えればというふうに思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  じゃ、手短にお願いします、勝村委員。 ○勝村委員  つけ加えで僕も一言なんですけれども、伊藤委員とか中島委員がおっしゃったことは本 当にすごく大事なことで、先ほど住友専門委員からも歯科大学の話とか出てきましたけれ ども、診療報酬でどれだけ見るのか、教育の部分に関してはどうしていくのかというグラ ンドデザインがあって、それぞれに税金をどう使っていく、保険料ではどれを見ていくと いう部分をどこかで整理していかなきゃいけない。  でも、会長がおっしゃるように中医協の範疇ではないかもしれないんだけれども、中医 協の範疇ではない診療報酬全体の引き上げ幅に関しても一応意見具申を出したりすること を考え合わせますと、やはり中医協としては精いっぱい議論はしているけれども、本来こ ういうことは中医協の診療報酬というよりは別の枠組みのお金の使い方で何とかならない ものかというようなことも、もしまとまるならばまとめて意見具申として出せたほうが、 中医協としてはよりよい議論ができるだろうということをちょっと感想として申し上げで おきます。 ○遠藤会長  要するにそういう意見具申は当然できるわけでありますけれども、基本的にその種の議 論をするのは別な審議会であろうというふうには理解しておりますが、ただ意見具申はで きます。  もう一つ我々の置かれている状況は限られた時間の中で診療報酬をどうするかというこ とがまずありますので、優先順位としてはまずそちらのほうに時間をかけたいというのが 私の意見でありまして、一段落ついてからまたそういうようなことをまとめて意見具申を するということは十二分にできるというふうに思っております。  それではこれをもちまして、総会は終了したいと思いますが事務局から何かございます か。 ○事務局(佐藤医療課長)  次回は11月の下旬を予定しております。判明次第また連絡を差し上げます。 ○遠藤会長  よろしくお願いいたします。  それでは、本日の総会はこれにて終了いたしたいと思います。次、基本小委があります けれども、そうしましたら40分から開始ということで10分間休憩をおきたいと思いま す。       【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)