09/11/17 第5回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 (第5回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第二専門委員会 第5回議事録 日時:2009年11月17日(火) 15:00〜17:00 場所:厚生労働省 共用第8会議室 出席者:  委員   岩渕委員長、安藤委員、岡委員、坂崎委員、篠原委員   庄司委員、須貝委員、菅原委員、鍋島委員、西田委員   前田委員、宮島委員、山口委員   吉田委員(少子化対策特別部会)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、今里保育課長   朝川少子化対策企画室長、海老少子化対策企画室長補佐 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について 等 配付資料:   資料1  第1回(8/6)〜第4回(10/30)における委員等から出された主な議論  事務局提出参考資料  地方分権改革推進委員会第3次勧告(地方要望分)に対する       厚生労働省の対応方針について  参考資料1-1、1-2   菅原委員提出資料  参考資料2       西田委員提出資料  参考資料3       委員からお求めのあった資料 議事: ○岩渕委員長  定刻になりましたので、ただ今から「第5回保育第二専門委員会」を開催いたします。委 員の皆さま方には、本日ご多用のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうござい ます。  議事に入ります前に、事務局より委員の出席に関する報告と資料の確認をお願いします。 ○今里保育課長  それでは、まず委員の出席状況でございますが、本日は山縣委員長代理から都合により欠 席とのご連絡をいただいております。また、宮島委員は遅れると伺っております。なお、ご 出席いただいています委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立しており ます。また、本日は少子化対策特別部会から吉田委員が出席されています。  続きまして、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に議事次第がございまして、資料1として、横長の本委員会の「第1回(8/6)〜第4回 (10/30)における委員等から出された主な議論」という資料がございます。それから、参考 資料1-1として菅原委員提出資料の縦長のもの、参考資料1-2は同じく菅原委員から提出い ただいた横長の資料ですが、これは前回提出資料でございます。参考資料2として西田委員 ご提出の「『参入の仕組み』に対する全保協の考え方」という資料がございます。参考資料 3といたしまして、前回山縣委員長代理からお求めのあった資料ということで、センター方 式による預かり保育や休日保育、病児・病後児保育を実施している例という資料を準備して おります。以上をお手元に配布させていただいておりますので、不足等がございましたら、 お申出いただければと思います。  また本日は、資料とは別に事務局より11月4日に記者発表されました「地方分権改革推 進委員会第3次勧告(地方要望分)に対する厚生労働省の対応方針について」という資料を配 布させていただいております。  以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思います。  まず、事務局より資料1についての説明を聴取し、皆さまにご議論いただきたいと思いま す。  それでは事務局より、よろしくお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料1をお開きください。こちらは保育第二専門委員会で夏以降にご議論いた だきました4回分の内容をテーマごとに整理した資料でございます。最初の表裏の1枚は目 次に相当しますので、全体を概観するのにお使いください。  3ページでございます。まず、表の見方ですけれども、大きい1番として「多様なサービ ス類型について」とありますが、このような大項目が幾つかありまして、その中で、左側の 「項目」という欄は、その大項目の中の小項目を幾つか分けて書いております。右側の欄に 太字で書いておりますのが事務局側の提示した論点や課題でございます。その下に明朝体で 書いてありますのが委員からご発言いただいたものを整理したものです。  まず一つ目の項目は「多様なサービス類型について」ということで、最初の小項目は「基 本的な考え方」ということで、事務局から提示させていただいたのは4点、「例外ない公的 保育の保障」ということで、一つ目は「すべての子どもに」ということです。二つ目は、潜 在ニーズに対応できるような仕組み、三つ目は多様なニーズに対応できる仕組み、四つ目は 人口減少地域においても必要な保育サービスが提供できるような仕組みということです。  その上で、「公的保育サービスに必要な観点」として、質の確保を図りながら、量的拡大 を図るということで、現在の認可外保育施設も含め、最低基準を満たした事業者を新制度の 費用の支払いの対象にすることを基本とするということを提示申し上げたところです。これ につきましては、その下のところで「公的保育サービスに必要な観点は」ということで、3 点ほどにまとめた指摘をいただいているところでございます。  4ページ目の上から二つ目の丸ですが、この点に関しまして「定型的保育サービス」と「非 定型的保育サービス」について明確な線引きができない部分が出てきているということと、 そもそも定型的保育サービスについても幾つかのパターンが必要ではないかというご意見。 さらに、認可保育所の機能を拡大する方向で考えるとともに、既にあるインフラの活用、多 様な主体によるサービスがあってもよいのではないかという意見が出ています。  その下は、多様なニーズが出てきているということで、それに対応して多様なサービス類 型を公的保育サービスとして位置付ける必要があるのではないかということ。ここにつきま しては、その一つ下の丸のところで、山縣委員長代理から「多様なニーズが存在し、それに 対応していくことが必要というのは共通認識であった」とまとめていただいているところで ございます。  次の論点「多様なサービス類型の必要性」では、一定の客観的基準を満たした施設を対象 にするということ。さらに、家庭的保育、小規模保育、分園等の活用が必要だということ。 また、検討課題としまして自治体単独施設について、どうしていくか。もう一つは、基準を 下回る施設利用者についての公平性の確保をどうしていくかといった課題があることを提 示したものでございます。  次の5ページ目は、その多様なニーズへの対応の幾つかのパターンとして、まず一つ目が 「家庭的保育サービス」についてご議論いただいたところです。これについては、1ページ おめくりいただいて6ページ目でございますが、点線の外の一つ目の丸でございますが、保 育者2人以上の体制を確保すべきであるというご意見。さらにもう一つ下では、認可保育所 所との連携強化を図る必要があるというご意見をいただいています。7ページ目で今のこと と関連しますが「家庭的保育者が複数集まって実施する仕組みが考えられるのではないか」 という論点を提示したところにつきましては、そこに四つありますように、幾つか多様な意 見をいただいているという状況でございます。  二つ目の各論であります「小規模保育サービス」につきましては、事務局のところは省略 しまして、一つ目の丸ですが、この小規模保育というのは過疎地域対策と待機児童対策の両 方に期待されるのではないかというご意見などをいただいているところでございます。  8ページ目ですが、三つ目は「短時間勤務等」というニーズへの対応、四つ目は「早朝・ 夜間・休日保育」への対応ということです。この早朝・夜間帯の、特に夜間帯につきまして は、9ページ目のところで両論の意見が出されておりますが、一つは、一つ目の丸で現実に ニーズが存在する以上、その質の確保を図っていく必要があるというご意見。一方、二つ目 の丸の2行目の辺りで、夜間保育が必要となるような働き方をさせないというワーク・ライ フ・バランスを優先させるべきであるというご意見も出ているところです。三つ目の丸は、 実施する場合に早朝・夜間帯というのは昼間よりも個別的ケアを必要とするので、手厚い人 員配置・環境整備が要るというご意見をいただいております。  五つ目の「事業所内保育施設」につきましては、公的保育サービスの一つとして位置付け るべきではないか。ただ、一方で福利厚生という側面に留意が必要という論点提示をして、 それぞれについてご意見をいただいているという状況です。  10ページ目は(5)に関連して「住所地以外の保育サービス利用」についてという論点提示 をしまして、(7)は「人口減少地域における対応」ということです。ここはたくさんの意見を いただいておりますが、一つ目の四角に関連しまして、一つ目の丸で小規模施設を考えると きは経営が成り立つような配慮が必要であるというご意見。さらに三つ目の丸で、現在は認 定こども園が10名で保育として認められているということも参考に、定員引き下げを考え てはどうかというご意見。へき地保育所につきましては、その財政支援の強化を図る必要が あるというご意見をいただいております。多機能型につきましては11ページ目でございま すが、一つめの丸で多機能型を積極的に導入可能な制度にするというご意見と、三つ目の丸 で過疎地においては小規模型よりも多機能型の認定こども園というのがよいのではないか というご意見。一方で四つ目の丸では、逆に幼稚園がない地域では保育所を多機能とするこ とで、必ずしも認定こども園にする必要はないのではないかというご意見も出ているところ でございます。  関連して「認定こども園の活用」につきまして幾つかご意見をいただいておりまして、一 つ目の丸は地方の状況を考えると、幼稚園、認定こども園を含めた就学前施策全体で考える 必要があるのではないか。さらに都市部では、より積極的な支援を幼稚園側にしていくべき ではないかというご意見が出されております。三つ目の丸では、認定こども園について認可 されていない幼稚園機能・保育所機能部分について、財政支援が不十分であるということも 意見として出されているところでございます。  「一時預かり」につきましては、それに関連して次の12ページ目で「訪問系サービスの 位置付け」をどうするかという論点がありまして、ここにつきましては一つ目の丸で、保育 所保育は集団保育なので、一定人数が集まらないとできないという特性があるので、休日・ 夜間保育等の人数が集まりにくいようなものについては、ベビーシッターやファミリー・サ ポート・センターなどについても多様な類型の一類型として位置付けるべきというご意見が あり、ベビーシッターはフルタイムの雇用を支えるのは難しい。認可のフルタイムの代わり にはならないというご意見も一方ではいただいているところでございます。  「その他」のところでは、例えば二つ目の丸の認可と事前規制にプラスして事後チェック・ 質を重視した評価も併せて考えていくべきというご意見。さらに一番下の丸のところでは、 長時間・夜間保育などについては、より家庭的な雰囲気づくりやそのための人を置いて手厚 く対応するなどの工夫が要るというご意見をいただいているところでございます。以上が一 つ目の「多様なサービス類型について」ということについてです。  13ページ目からは大きい2番として「参入の仕組みについて」です。「基本的な考え方」 のところは、同様に「すべての子どもに例外ない保育を保障」していくということを基本に 考えるということでございますが、その一つ下の項目「指定の仕組みの必要性」のところは、 事務局からは他制度と同様に「都道府県による指定」という仕組みが要るのではないかとい う論点提示をしているところでございます。一つ目の丸でいただいている意見として、指定 というのはあくまでも公的保育事業を実施する事業所であるということを認めるものであ って、その指定の仕方については事業類型ごとにいろいろな指定要件が出てくるということ。 このようなことは、この回の議論のときに確認できたのではないかと山縣委員長代理にまと めていただいている部分でございます。  次に14ページですが、それに関連して「指定と認可の関係」についてでございますが、 事務局から提示した論点としましては、一つ目の四角の最後のところで、認可保育所の仕組 みは存置しながら「指定」の仕組みを設けるということを言いつつ、二つ目の四角のところ で、客観的基準を満たした「指定」のみの保育所という類型もあり得るのではないかという 提示をしているところでございます。これにつきましては一つ目の丸で、基本的な考え方と して認可施設への移行を目指すのが基本であろうというご意見があり、関連して、15ペー ジ目の上から二つ目の丸の2行目のところで認可化を図るためにも「指定」の仕組みを前提 とするのであれば、認可保育所の社会的役割とその評価をする必要があるというご意見をい ただいております。  「指定」という制度を設けるとして、その際の「指定基準の考え方」について、事務局か らは考慮事項を3点ほど提示しているところでございます。一つは、一定の客観的な基準で あるということ。二つ目は、サービス量が十分に確保できる基準であるということ。三つ目 は供給過多による弊害を回避できるということ。そのような考慮要素があるということを提 示しました。それにつきましては、一つ目の丸の特に2段落目ですが「過剰に供給されない ように」といった視点も含め、都市部・過疎地域それぞれの事情に応じた整備計画を定める ことにより、対応が可能となるのではないかというご意見をいただいております。さらに下 から二つ目で、過疎対策として「指定」された事業者がいない地域ができないよう、公的保 育の保障ができる仕組みを考えるべきであるという意見をいただいております。  次に16ページ目ですが、「認可保育所が果たすべき役割の整理」ということで、「指定」 のみの類型というものがあり得るということも踏まえて、社会福祉事業としての認可保育所 が果たすべき役割を整理して、その評価を検討すべきであるという論点ですが、これにつき ましては、社会福祉事業を担う認可保育所は地域の子育ての核・担い手としての役割がある。 その担うべき役割をしっかりと評価しながら、利用者側にもわかる仕組みとする必要がある というご意見をいただいております。  その下の二つの項目につきましては、きちんと公的保育サービスが確保されるように一定 の規制をかけていく必要があるのではないかという論点で、その一つ目の論点は、やむを得 ず休廃止する場合においても、1か月前の届出を義務付ける等の一定の義務を課することが 必要であるという論点です。  もう一つは、休廃止時に利用者のサービスがきちんと継続するように、他の事業者に引き 継ぐという事業者側への義務付けと、市町村も一定の必要な役割を果たすべきであるという 論点を提示したところでございます。  次に、17ページ目は「運営費の使途制限」についてでございます。これにつきましては、 一つ目の四角のところで、保育サービスの特性を考えると、運営費の使途については一定の 規制が必要ではないかという論点を提示した上で、その規制の考え方として三つの考慮すべ き要素を挙げさせていただいたところでございます。これにつきましては、一方で二つ目の 丸にありますように公的なお金が入る以上は、何らかの使途制限をすべきであるというご意 見。それに対しましては三つ目、四つ目のところが典型ですが、余剰金は経営者の創意工夫 やコスト削減の努力で生まれる性質のものであり、さらに広がりを持った運用をするために 使途制限は撤廃すべきであるというご意見。関連して四つ目の丸では、配当も含めた使途制 限については、多様なサービス事業者参入を阻むものであるので、撤廃すべきであるという ご意見がございます。  次に18ページ目ですが、運営費の使途制限をするとして、その範囲をどうするかという 論点でございます。ここについては、まず一つ目の丸にありますように、事業ごとに会計区 分することについては、それほど異論はないであろうというご意見をいただいております。 区分経理以外の話としましては、三つ目の丸で、公的給付であるということから、福祉事業 以外に使途は認めるべきでないというご意見がある一方、その下で、福祉事業といっても附 帯する研究事業のようなものはどうするのか。行政が的確に区分するのは難しいのではない かというご意見があります。五つ目の丸はでは、認可であれ、認可外であれ、本来必要なの は運営に当たっての情報公開と、そこに対する丁寧な監査による質の確保といったことでは ないかというご意見が出されています。  「配当」につきましては、すべき、すべきでないという両方の意見が出されているところ でございます。  19ページ目は「会計処理について」、社会福祉法人会計を企業に求めていることについて、 事務局側からの提示は、法人種別ごとの会計処理を求めた上で、必要な経費への支出を担保 するために必要な書類の作成を求めるということが考えられるのではないかという論点提 示をしているところでございます。  資料1は以上でございますが、関連で、宿題としていただいている参考資料3「委員から お求めのあった資料」をお開きください。どのような資料かということを簡単にご紹介申し 上げます。  1ページ目では、幼稚園の預かり保育でセンター方式を採用している例として、徳島県美 馬市の例を挙げさせていただいております。こちらには幼稚園が幾つかあるわけですが、そ の中で四つの園が指定されて、そこをセンターとして午後の預かりについては周りの幼稚園 に通っている子どもをこのセンターに集約するという事業を行っている例でございます。4 番に四つの園が書いてありますが、その下に※印がありますけれども、マイクロバスなどで 子どもを集めてくる際に、預かり保育担当職員がバスに乗ってセンター園に連れていくとい うような工夫をされているということです。2ページ目は、午後はこのようなスケジュール ですという例でございます。  3ページ目の二つ目は千葉県浦安市の例ですが、こちらは純粋にセンター型というよりも、 夏期休業中、長期休暇中について普段通っている幼稚園が開いてない場合に、ある幼稚園に 集約して対応する例として出させていただいております。ここで左側の真ん中辺りにありま す「一時利用」というものが夏期休暇中だけ朝から夕方まで預かるという例でございます。  4ページ目は夜間保育所の例を幾つか出させていただいておりますが、これはセンターに 集約する例というよりも、保育時間をどのように柔軟に対応しているかということの参考の 資料です。夜間保育所Aについては基本的な登園時間は10時までと2行目に書いてありま すが、10時までに登園となっていますが、括弧書きにありますように最終的には保護者と の話し合いで柔軟に対応されています。夜間保育所Bのところを見ていただきますと、登 園時間は一応9時〜11時までと定まっておりますが、こちらも保護者の状況に応じて前後 させているようでございます。夜間保育所Cについても、登園時間は11時ということにな っておりますが、こちらも保護者の状況に応じて前後するという取扱いになっているという ことでございます。  5ページ目は、休日保育をセンター型で実施している例ということで、例の一つ目は休日 保育を市内1か所で実施する例で、対象児童は市内の認可保育所に在籍している8か月以上 の児童ということで、利用方法としては、利用する日の5日前までに休日保育を実施して保 育所に直接電話・Eメールで予約する。初めて利用する際は面接が必要であるということで す。  例2は複数の個所で実施している例でございますが、これも認可保育所に在籍していて、 離乳食が完了した子どもを対象に、利用方法としては通常通っている保育所から必要な書類 を入手して、書いた書類を休日保育の保育所に提出する。その際、児童を連れて申請書を提 出する。具体的な日にちは、その休日保育を実施している保育所と調整して利用するという 例でございます。  最後は「病児・病後児保育」をセンター型で実施している例でございますが、こちらも利 用するための条件は、市内保育所を利用していること。事前に登録を済ませていること等の 条件がかかった上での利用になっているということと、利用手順としては、年度ごとに事前 の申込みをして、その申込みについては、医師の診断書を添える。利用当日には、利用日ご とに利用申請書と診療情報提供書を施設に提出するという手順で利用するという例でござ います。  説明は以上でございます。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。ただ今の説明を受けまして、委員の皆さまに意見交換をお願い したいと思います。資料でいきますと、1番の「多様なサービス類型について」と2番の「参 入の仕組みについて」の大きく二つに分かれておりますので、まず「多様なサービス類型に ついて」について、ご議論をいただいて、しかる後に「参入の仕組みについて」に入りたい と思います。  それでは「多様なサービス類型について」、どなたからでも結構ですので、今、事務局か ら説明のあった内容についての質問その他を含めまして、ご意見を伺いたいと思います。ど うぞ。 ○庄司委員  すみません。出席が十分でなかったので、意見を申し上げる機会がなかった分、少し意見 を申し上げるとともに、質問もさせていただきます。多様なサービス類型ということで、一 定の議論が重ねられて、だんだん整理がされてきたことは本当によかったと思いますし、そ れから今日、事務局からご用意いただいて最後にご説明のあった資料なども大変参考になり、 このような形で、いろいろな状況が進んできているということは大変強く実感します。いろ いろある中で、特に今回はご意見も既に出ているのですけれども、ぜひ、こういう方向でと 考えていただきたいことを1点、強調させていただきます。  家庭的保育サービスですが、これは幾つかの所では既に相当の歴史といいますか実績があ りますけれども、しかしその後、近年あまり伸びないといいますか、それにはそれなりの理 由があると思いますが、私は家庭的保育サービスの良さというものを十分感じてはおります。 ただ、やはり公的な保育サービスとして位置付けるとなりますと、原則はやはり1人で保育 するということは好ましくないということを確認していただいた方が良いのではないかと 思います。既にそのような意見はだいぶ出ているようですけれども。やはり一つは、もちろ んリスクといいますか、1人で幼い子どもを、特に複数名を保育していくというような形に は、いろいろな場合が生じて、リスクも伴う。それも一つ大きな要素ですが、もう一つ、こ れは伸びない一つの理由だと思いますけれども、この保育をする人の職場と考えた場合に、 公的保育サービスが1人職場としてあるというのは、やはり原則は認めない方が良い。つま り例外的にそのようなことをせざるを得ないような地域が出てきたときに、どうなのかとい うことはあると思いますけれども、一般的に言えば、特に機会的に何人かの家庭的保育の担 当者がまとまるとか2人組むなどということは非常に難しいと思いますが、アシスタントが 付く場合もあるだろうし、いろいろな場合があると思いますが、原則はやはり複数でという こと。そのことがどれぐらい議論として、何人かの方が意見をおっしゃっていることはわか るのですけれども、私はそのような方向でさらにきちんと詰める必要がありはしないかと思 っています。  訪問系の方でいえば、ベビーシッターやファミリーサポートなどは完全に1人職場という よりは、一定の組織があって、そこできちんと指導も受けられるし、評価もされる。あるい は自分自身の成長のために、いろいろな機会が与えられる。そのことがとても大事だと思い ます。ですから、家庭的保育はどちらかというと本当に個人の自営業のような形で、頑張っ て良い保育をしてくださっている方はあるのですけれども、それを公的保育という形にする には、相当にきちんとした議論が必要だというのが1点です。長くなって申し訳ありません でした。 ○岩渕委員長  他に。 ○坂崎委員  坂崎です。3点、お願いいたします。今日の資料でいうと、まず9ページの「多様なニー ズへの対応」の「住所地以外の保育サービス利用」です。本来は住所地以外の保育サービス の利用は特例とすべきということが基本だと思いますが、次の「人口減少地域における対応」 とも少しかかわるのですが、今、一般に田舎といわれる所の働き場所というのは、例えばサ ラリーマンであれば、ある中心地の市へ。市でなければ企業がないわけですから、町村の方々 が市へ働きにいくということが、例えば私の住む青森県のような所では普通にあるわけです。 そうすると、保育所が自分の住んでいる所よりも働き場所の方が良いという場合もあります ので、これを一定地の特例とする形ではなくて、柔軟に今のような形で進めてくださればと 思います。これが一つです。  続きまして、(7)の「人口減少地域における多様なニーズ」ですが、小規模であったり多機 能型の認定こども園ということがあったり、たくさんの意見があります。これらはその地方 でそういう考え方ができるような仕組みでよいのだと思いますが、一つは特に幼稚園がない 地域における保育所に求められる機能ということを考えれば、それは認定こども園だと思い ますし、本当の意味での教育的なことを3、4、5歳児に望んでいる方々もいるのではない かということが一つと、特に働き方の関係なので、ここは人口減少地域におけることばかり ではないかもしれませんが、第一次産業的な感じで、朝が非常に早い所とか、そういう第一 次産業に対応したような仕組みをここの人口減少地域のニーズとして少し考えてくだされ ばと思います。  もう一つは事務局への質問ですが、このような形でたくさんのニーズが今回対応として出 ているのですが、保育第一専門委員会の方にかかわるのですが、延長保育というものを今回 は違う形に、何といいますか、スライド式のような形にしたら良いのではないかといった段 階で、例えば前回山口委員がおっしゃったように、東京では随分そういう延長保育的な要望 がたくさんあるし、それは地域でも、私たちのところでいうと、農業等お日様が出ている分 は延長保育の要望がとても高い。そのようなことを考えていくと、延長保育への対応がここ の専門委員会とは違いますけれども、どのように考えていくことが正しいのでしょうか。こ の三つです。二つは要望で、一つは延長保育をどのように考えていくのかを教えてください。 ○朝川少子化対策企画室長  保育第一専門委員会で幾つか意見が出されていますが、まず第1次報告のベースで考え方 を申し上げますと、今は保育所の開所時間が7時〜18時など、保育所ごとに決まっていて、 そこから外れている時間帯、早朝と夕方以降が延長保育ということですが、第1次報告で提 案していますのは、子どもに着目して1日当たり11時間なら11時間を保障するとしたら、 そこの範囲はいわゆる通常保育であり、11時間を超えている部分が今でいう延長保育のよ うな位置付けになるであろうと。そのときに、11時間より長い部分について、どこまで公 費、公的な財源で助成する対象にするかというのは今後の議論ということになっているのが 第1次報告の姿です。  それに対して、保育第一専門委員会で出されている意見は、もう少し働き方の現状を踏ま えて、あるいは母子家庭のダブルワークのような状況も踏まえて考えれば、そのように11 時間で区切らないで、長さについてもう少し柔軟に。そもそもこの通常保育といいましょう か公的保育といいましょうか、日中の保育の延長線上の対応をもう少し長く時間を取って、 原則型の対応をすべきではないかというご意見も出されているところです。最終的にどのよ うな姿にするかは決まってないところですが、第1次報告でイメージしているのは、先ほど 私が申し上げたような形ですが、それに対しては今のような異論があるという状況です。 ○香取審議官  今の質問は、二つを分けて考えなければいけない。これは保育第一専門委員会でも議論し たときに申し上げたのですが、今、朝川少子化対策企画室長からお答え申し上げたのは、サ ービス保障をするときに例えば11時間、8時間でも10時間でも11時間でもよいのですが、 一定のサービスを利用者に保障すると考えたときに、それを上回って延長して利用する、 13時間、14時間、超過勤務した場合であるとか、そういう場合のいわば11時間を超える 部分を対利用者との関係でどのような形で保障するのかという話と、もう一つは事業者側と して開始時間をどのように設定して、例えば7時なら7時、8時なら8時というルールを決 めて、それより以降、開所している時間を、事業所側の業態としていわば延長保育時間とか 延長開所時間という形で整理をするのかということ。実はこの二つは問題が少し違っていて、 例えば極端な例を言えば3交替で工場で働いている人を考えて、昼の12時から夜の20時 まで働く人にとっては、例えば11時から21時まで預けるというのは立派な普通の9時間、 10時間の利用になるわけですが、事業所側からすると21時まで開けているわけなので、例 えば超過勤務手当てその他の人の配置を考えれば、そこは事業所としては延長時間を開所し ていることになります。つまり利用者にとって、いわゆる延長をどう考えるかということと、 事業者側の事業の形態を考えたときに、早朝・夜間の開所について、しかも職員配置その他 コストのかかるところなり、人のシフトの仕方が違ってきますので、そこをどう見るのかと いうのを、恐らく別に、二つのフェーズで議論しなければいけない。  後者の問題については、例の11時間開所と8時間で標準的に労働時間を切っていること との関係で、きちんとした開所時間に見合った配置をという基準の話とも関係してきますの で、後者はどちらかというと費用の支払いのときに、事業者に対する費用の支払いをどう考 えるかということになるので、そこは議論としては分けて整理をしないといけないと思って おります。 ○岩渕委員長  坂崎委員、よろしいですか。 ○坂崎委員  付け加えてもう一つ。たくさんの保育所がある場所であれば、ある保育園がこれで後半の 方は延長でという形で対応ができると思いますけれども、地域に一つしかない保育所だと、 それらの対応をたとえ60人でも50人でも多い時間を対応しなければならない。利用者か らすると11時間使うことは非常に正しい。ところが事業主はそれを何とかしようと思うと、 今の仕組みの何らかの形でないと対応ができないということがあるので、そこのことはよく お考えくださればと思います。 ○岩渕委員長  関連して。どうぞ。 ○庄司委員  先ほどおたずねしておこうと思ったのを、うっかりしていました。家庭的保育サービスの ことなのですが、私はこの多様なニーズに対してということでは家庭的保育サービスと小規 模保育サービスの中で、特に小規模保育は地域によってはぜひとも必要で、これは拡大して いく期待がむしろされていると思います。けれども、家庭的保育に関しては量的拡大の受け 皿と、それから多様なニーズへの対応という二つが挙げられていますけれど、本当に今まで の認可保育所の不足とか、そういう認可保育所の保育を代替するものとして位置付けるのか、 それとももう少し多様なニーズに、むしろフルタイムの毎日というのとは少し違う保育サー ビスとして位置付けるのかによっては、随分違ってくると思います。特に今、認可保育所な どが非常に長時間に対応できているのは、当然複数の保育士がシフト勤務で、早出から遅出 まで非常に複雑な勤務をしているからなのです。家庭的保育も、フルタイム雇用に対応する ようなイメージで提案してきておられるのかどうか、その辺のところは議論があったのか、 おたずねしてみたいと思いました。 ○朝川少子化対策企画室長  そうですね、そこまで具体的な議論はあまりされなかったような気がします。例えば、家 庭的保育を1人でやっていらっしゃる場合を考えると、雇用されてないので労働時間の規制 はかからないかもしれませんけれども、そうは言っても8時間が通常の限度だとすると、フ ルタイムの人の預りとして8時間は短すぎるのです。どこかの自治体の例を見ると家庭的保 育は8時間だということになっていましたので、そうすると、やはりそういう事例でいくと フルタイムの代替には素直には当てはまらない気はします。ただ、特に3歳未満の需要が大 きいことと、一方で家庭的保育は3歳未満に特にマッチするサービスであるということを考 えると、単純に多様なサービス類型の一つであるというだけでなく、やはり量的な拡大の一 つの要素としても考えていけたらと。それは市町村のバックアップとかいろいろなバックア ップとセットで考えていけたらというのが一応の基本的な考え方だと思います。 ○岩渕委員長  よろしいですか。どうぞ。 ○香取審議官  先ほども少し申し上げたと思いますが、家庭的保育にも恐らくいろいろな形態がこれから もあり得るだろうし、あるだろうと思いますが、何といいますか、今ほとんどの場合は1 人でやられている場合が多いわけですけれども、1人で何人かの子どもを預かるという形態 を考えた場合でも、一定のクオリティ・コントロールなり何なりをするということになるの で、緊急時の代替であるとか、受け渡しなどを、自治体なり何なりの側で形をつくって提供 するという形を恐らく実際には考えていくことになるのだと思います。  それから、もう一つは家庭的保育、これはベビーシッターもそうですが、総体としてのサ ービスニーズに対応するという考え方からいえば、ある程度、合わせ技全体で、多様なサー ビス全体でサービスの需要に対応するという意味でいえば、今のサービスの不足部分を補う という意味で量的な部分もありますが、ご指摘があったように、サービスの形態の違い、集 団保育と個別保育の違いであるとか、そういったいわばサービスの形態の違いにより、質が 違うというと少し語弊がありますが、違う類型のサービスということになるので、多様な類 型というのはニーズ側、つまり働く側、母親の側の就労形態などが多様であることと同時に、 サービスの提供の形態として、集団型の保育、個別型の保育、訪問型の保育といったような 幾つかの選択肢を用意するという意味での、多様なサービスということでもあると思ってお ります。 ○岩渕委員長  よろしいですか。他の委員の皆さまも、どなたかがおっしゃった意見に対する賛成・反対 も含めてご発言いただいても一向に構いませんので、一つよろしく。はいどうぞ。 ○安藤委員  今いろいろ考えていたのですけれども、家庭的保育のことです。1人でするから切り捨て てしまうというのは少し乱暴な気がいたします。といいますのは、やはり3歳未満の子ども は専業主婦の方たちが多く育てているわけですけれども、その方たちの就労化ということを 進めていけば、当然0、1、2歳という子どもたちの保育ニーズの顕在化は目に見えている わけです。その中で、保護者の方たちは最初から多くの中での集団生活を望まないといいま すか、やはり家庭的な形で育てたいという方たちもいらっしゃると思います。そのときに家 庭的保育者が1人だからということになれば、それは危険性もあろうかと思います。ただ、 前回の小規模類型でも一つ図があって、なかなかあの図はわかりづらかったのですけれども、 例えば家庭的保育者が3人、4人と集まってNPO法人等をつくって、それで皆で管理して いこうとか、そういったことは十分アイデアとして出てくるし、そういったことを助成して いけば、先ほど審議官が言われましたけれども、きちんとしたクオリティ・コントロールを していくという前提の中で、そういうアイデアといいますか、そういう仕組みが出来上がっ ていくのではないかと考えております。 ○岩渕委員長  はい、どうぞ。 ○山口委員  家庭的保育が良いとか悪いとかいう以前に、先ほど庄司委員からご指摘があったように、 このようなサービスを必要としていることを前提に考えても、ではなぜこれが現実に伸びて いないのか。それから今、安藤委員がおっしゃったように、3人、4人が集まってという意 見もあるわけですが、東京都などでもそういったものに取り組んで、認証保育所や認可と保 育ママがタイアップしてというような案を持って、それに対しての助成金を付けるようなこ ともやろうとしていたわけですが、それが全然進んでいない。では、どこにあるのかという ことを考えますと、サービスの提供者側にそういうニーズがないか、もしくはそういった提 供者があまりいないのではないか。そういったことも前提に考えないと、ここでどのような 議論をしても、ではこういうサービスを増やそうといっても、手を挙げてくれる事業者がい なかったら何の意味もない議論になってしまうと思います。その辺の、なぜ増えないのかと いうところの精査も事務局にはお願いしたいと考えます。 ○岩渕委員長  今の段階で特にありませんか。 ○朝川少子化対策企画室長  一応、同様のご指摘は何回か前に受けまして、一応そのときに事務局が幾つかの自治体な ど、有識者も含めなぜ伸びないのかということをヒアリングして、少しまとめたものがござ います。これで必ずしも十分ではないと思いますが、そのときの感触ですと、やはり家庭的 保育者のなり手として、いきなり毎日8時間やるのは躊躇する人が多いという声が多かった ように記憶しております。その他にもいろいろな要因、バックアップが必ずしも十分でない などの要因があったと思います。そういったものをまとめたものが6ページ目に一応ありま す。 ○岩渕委員長  なお、局長は退席されましたけれども、仕分けに呼び出されております。決して当委員会 を軽視しているわけではございません。代わって審議官が全面的に受けて立つとおっしゃっ ていますので、遠慮なくどうぞ。どなたでも。 ○岡委員  この件も、前に委員会の中で話が出たときに吉田委員からの話もあったと思いますけれど も、家庭的保育のガイドラインを策定するプロセスの中でも繰り返し述べられてきたことの 一つには、実際に例えば家庭的保育を事業者として始めたときに、子どもが絶えず確保でき るかどうかで、事業として成り立ち得るのかという問題も当然あるわけです。つまり、開い たはよいけれども子どもが来なければ、お金が入ってこなければ実際には運営していけない という問題があって、そういう意味で言うとそのことをきちんと保障していくような仕組み が整備されていなければ当然続いてはいかないだろうと。  それから繰り返し述べられたように、質の担保を図っていくためには、ガイドライン策定 の委員会の中では、やはり保育士という専門の資格を求めていくことが望ましいということ。 実は先ほど地方分権改革推進委員会に関する対応ということで出されてきた中には、本当に わずかな部分でしか標準で従うべき形のものにはならないとなったときに、ではその家庭的 な保育の条件の整備を、どのような形で考えていくのかが同時に問われる。つまり、一方で はそのことが外されるという状況の中で、先ほど言った密室性、それからどのようなで運営 していくのかという、運営の整備だとか質の整備だとかがどのような形で担保されるのかと いうことを平行してやらないと、これをそのまま自治体の中に投げ込んでしまってよいとい う話では恐らくないでしょうし、ガイドラインの策定の検討の中でもしきりと出てきたのは、 もちろん事前の研修、なるための研修、開始のための研修だけではなく、実際に始めた後の フォローアップの研修ということを絶えずやるというような仕掛け・仕組みにしなければお かしいでしょうし、あるいは連携保育所等とのつながりのことをどうつくるのかをきちんと 考えなければいけないということは何度となく繰り返し述べられていた話だと思いますの で、このような時期だからこそ改めてそのことは指摘させていただければと思います。 ○岩渕委員長  詳しい説明をありがとうございました。他にいかがですか。 ○篠原委員  そんなに大きなことではないのですけれども、8ページ、9ページ目に、「早朝・夜間・ 休日保育」という項目で、夜間について特に述べられているということなので、やはり休日 保育も必要なのではないかということを1点申し上げたいと思います。働いている、子育て をされている父母が、例えば雇用形態によっては日曜日に出勤をせざるを得ないとか、休日 出勤という意味ではなくて、違う曜日にお休みを取るという働き方をされている方も、中に は多くいらっしゃることになりますので、ぜひこの休日の保育も、保育をしていく上では非 常に重要な部分だと思います。そういうことがあるということも、この中には必要である、 この休日保育も必ず多様な保育の中にはきちんと入れていくべきだという意見を入れてい ただけたらと思います。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。他によろしいですか。 ○宮島委員  今のご意見に付け加えまして、病児保育も、いろいろな考え方はあると思いますけれども、 現場とか実際に働いていらっしゃる方を考えると、病気の間ずっと預ける意味の病児保育で はなくてリスクヘッジのための病児保育、何かあったときの病児保育はやはりものすごくニ ーズが高いと思います。ですが、こちらにも書いてあるように、仕組み方がものすごく難し い。もともと健康的に不安があって、普通よりも手をかけなくてはいけなくて、かつ、いつ 発生するかわからないという対象で、仕組み方が大変なだけに、そこに対しても本当に真っ 正面から取り組む必要があります。どんな形が子どもにとっても一番適切で、そして親にと ってもどうにもならない状態を少しでも救える形になるのかということは、これも真剣に取 り組む一つとして挙げておいていただければと思います。 ○岩渕委員長  昨日の保育第一専門委員会でも、やはり子どもの視点をもう少しという意見が出ていまし た。討論するテーマは多少違っておりますけれども、原則としてそういったところももう少 しという感じが私自身もいたしております。他にいかがでしょう。 ○岡委員  今の病児保育の問題とも絡みますし、夜間や休日という、いわゆる通常預かる、例えばセ ンター型のお話の資料も今日事務局で出していただいたのですけれども、やはりそれを必要 とする親や家庭があるという現実は受け止める必要があって、その部分に関しては結局より 高い、例えば補助なり何なりを付けることを前提にするということへ踏み込んでいく必要が あると思っています。特に、例えば病児・病後児に関して、なかなかそれが伸びないという 形もあるのでしょうが、ファミリー・サポート・センターの事業としてそれを進めていくよ うなときに、いわゆる互助システムという形に対してリスクの高いものを推進していくとい うことでよいのか。つまり善意の中に乗っていったときに、何かあったときの担保はどこで どう取るのだということを、個人の善意の中に委ねるというのは仕組みとしてはとても危険 だと私は思っております。ですから、そのことを本当に必要とされているという状況が、一 方では繰り返しこの中にも出ているように働き方の見直しということも当然あるわけです けれども、そのことを本当に必要とするのであれば、そのために必要な措置、具体的に言え ば仕組みやお金をきちんと付けていく体制にしていくべきだろうと思っています。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○山口委員  ここでは、今、岡委員がおっしゃったように、必要なものはそれなりの措置をしていくと いうような議論が大筋だとは思います。けれども、そんなことは十数年前から話し合われて きたことにもかかわらず、ではどうして休日保育、病児保育は最近の問題ですけれど、病児 保育や延長保育が伸びないのか。それを考えたときに、私はやはりインセンティブ等の仕組 みにあると思っています。例えば延長保育の場合ですと、事業者が善意で延長保育をやって あげたい、2時間やってあげたい、夜間やってあげたいという善意をもって取り組んだとし ます。そこで頑張って、いただいた助成金よりも少しでも安く上げた場合、この場合はいた だいた分の残りの部分、過剰な部分は、行政に返さなければいけない。そうすると、事業者 としては一生懸命努力していろいろな仕組みを考えて、善意でやるわけなのでしょうけれど、 それで事業を提供した。でも、何もやってない人と全く変わらないという、そういうインセ ンティブの仕組みが全くないのですね。病児保育に関して言いますと、事業者のほとんどが 赤字ですから、これは完全にボランティア以上のもので、持出しでやっているわけです。こ ういった仕組みを改めない限りは、この特別保育というものが進むとは思えない。保育事業 者すべての方が、本当に福祉のことだけを考えてやっていただけるのであれば、もっともっ と進んでいったはずです。そうではないから全然これが進んでいないわけです。ということ で、このインセンティブの仕組みをもう少し議論していかないと、どんなに必要だという議 論をしても、このサービスは進まないと思います。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○坂崎委員  延長保育に関して言うと、この間、山口委員のおっしゃった東京はそうかもしれませんけ れど、全国的に見ると全く違うと思います。それは昨日、厚生労働省が仕分けの作業のとき に説明していますからここでは言いませんけれども、延長保育は社会福祉法人を中心として 平成9年からずっと伸びてきたということにより、基本的には相当の額になっているのだと 思います。今はそのことではなくて、休日保育のことで一つ事務局に確かめたいのですが、 土曜日保育をどのように考えているのかということが一つと、もしも土曜日保育を休日保育 として扱うのであれば、今よりも利用者の負担が多くなる仕組みでは決してないと考えた方 が良いのでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  詳しくは決まってないというか提示していないのですが、基本的な考え方は週40時間労 働制を前提に考えると、1日8時間であれば5日労働であろうと。そうすると、それを原則 形として考えると、土曜日も働いている人はきっとどこか平日に休んでいらっしゃるはずな ので、土曜日の分は通常の枠の中にはまっているので、それを活用して保育を利用していた だくというのが個人に着目した給付の仕組みです。先ほど審議官が申し上げましたとおり、 保育所、受入れる側の考え方としては、それはそういう利用をした人についての費用の支払 いが土曜日分行われますので、それで対応していただくということですから、月曜日から土 曜日までは基本的にそういう通常の枠組みの中で対応していただくのが原則ではないかと 考えております。ですから、日曜日とは別に、やはり月〜金曜と接近して考えた方が良いの ではないかというのが今の考え方です。 ○岩渕委員長  よろしいですか。 ○坂崎委員  よくわからないけれど。 ○香取審議官  基本的に制度設計の議論というか制度をどうするかという議論なので、先ほどの延長保育 の支払いの話やインセンティブの話もそうですが、基本は子どもを預けて一定のサービスを 必要としている人のニーズがあって、そのニーズは別に9時〜17時でもないし、月〜金で もないし、フルタイムばかりでもない。いろいろな人がいる。夜間に働いている人もいると いうことを考えれば、一応すべての時間帯に何らかのサービスが社会的には存在していると いう現実があって、その現実をどのようにいろいろな我々が今持っているサービス、あるい は新しいサービス形態を開発しながら受け止める形をつくっていくかというのが基本の考 え方で、その考え方と今の現実のサービスの対応を考えると、こういう部分が例えば非常に 硬直的であるとか、こういうサービスが弱いのでここは増やした方がよいとか、そういうこ とで議論が多分出来上がってきているところだと思います。ですから、先ほどの繰り返しに なりますが、まずニーズに対応できるサービスの形を考える。次は、そのサービスが提供で きるようなサービスの類型あるいはその事業体ごとの事業モデルといいますか、もちろんそ れは経営がきちんとできるということも含めた一つのサービスのモデルをつくっていくと いう考え方になると思います。  例えば他の事業の例で言えば障害とか老人、デイサービスセンターというものもあります が、デイサービスも昔は9時にお迎えに行って16時に帰るというスタイルでしたが、当然 利用する人によって時間帯がずれてきますので、今はかなり早い段階から迎えに行く。ある いは遅くまでいるということになるので、デイサービスは送迎を付けますので、送迎時間が ずれて送迎車が何回も出入りをするという形態になってきます。そういう形態になることを 前提に人の配置であるとか、あるいは送迎の体制についての基準をつくって報酬を決めてい くという形で、実際にサービスを利用する人の形態に合わせて事業を変えていく。それが機 能するような人の配置や報酬を考えるというように議論は組み立ち上がっていくのだと思 います。  そうすると、先ほどの例で言えば通常保育と延長保育を別々のものとして組み合わせてサ ービスをつくると考えるのか。もっと一体のものとして一人一人は8時間、10時間ですが、 事業体としてはもう少し長い開所で、いわば一体のサービスとして考えて報酬を考えるのか。 それはどういうサービス形態を、通常保育と延長の形だけがアプリオリに存在しているわけ ではなくて、休日もそうですが休日として立てるのか。全体のサービスの中でそういう事業 体なりサービス形態ごとに考えるのか。それはいわば仕組み方の問題になりますので、それ は具体の制度設計のときに、それで現実に人が回るのか、ファイナンスが回るのかと考えて 報酬を決めていくということに、議論としてはそういう議論の仕方になると思います。 ○岩渕委員長  よろしいでしょうか。 ○岡委員  確認ですが、そのときに子どもの側の視点からいったときに、仮に1日に13時間も15 時間も18時間もというような時間を長くいるということは、つまり利用の時間うんぬん、 つまり大人の側の働き方や事業者側の運営の問題としては、それが例えば通常部分か延長な のかという仕切りがあったとしても、子どもが例えば朝起きて夜寝て行くという基本的な生 活リズムを獲得していくという発達上のプロセスの中で求められていくという観点を無視 するわけにはいかないという議論が当然その中に入るでしょうし、例えば先ほどの地方分権 改革推進委員会の中でも申し上げたのは、当然延長が長時間になればなるほど、単なる配置 基準の問題だけではなくて、クラスの中にどれくらいの人数がいてよいものなのかという規 模の問題です。学校なのか家庭なのかという状況を考えていったときに、子どもの側からの 視点を考えていったときにどうなのでしょうかという議論を併せて考えていくということ は、当然仕掛けや仕組みをつくっていくときには大事な議論だということは、確認ですが、 そういう理解は持っていてよろしいということですよね。 ○岩渕委員長  うなずいております。他にございますか。また後で戻っても一向に構いませんし、まだ議 論の時間がありますので、それではとりあえず二つ目のテーマ、「参入の仕組みについて」 に移りたいと思います。これも、どなたからでもどうぞ。 ○庄司委員  たびたびすみません。質問をしたいと思います。今回この参入の仕組みの中で初めの方に 出てきている「指定の仕組み」は非常に重要なところだと思いますので、質問をする機会が なかったのでここでします。  14ページの一番下の囲みのところに、これはこの「指定」という言ってみればアイデアと いいますか、この提案があったときに最初から言われてきたことですが、「認可」というのが 都道府県の裁量権があるために、実際に基準を満たしている場合でも認可されないというこ とが起こっているのが、この供給量の不足の中では非常に重大なので、これを導入していく という説明があったと思います。一体どれぐらいの自治体でこういうことが起こっているの かとか、仮に認可基準に達しているものをきちんとそれぞれの都道府県が認可していれば、 一体どれぐらい不足が緩和されるのかとか、そういうことがある程度、そんなに厳密でなく てもよろしいので、東京などが国基準よりも上乗せしているために国の基準を満たしていて も認可されない。その代わりに今度は認証という一定の基準でそちらの保育園が増えていく という現象が起きていることは承知していますが、それ以外の道府県で一体どのようなこと が起こっているのか。そもそもこの提案の発端になったように見えるところをおたずねして おきたいと思います。  というのは、もう一方で、この考え方はそれぞれのサービスについての一定の基準を設け るということで、それは本当に必要なことなのでよくわかるのですが、いわゆる定型的な保 育、これまで認可保育園が提供してきたような保育については指定基準というのが、例えば 現状よりも緩和されるとか下げられれば、これは供給量の不足を認可の基準を満たしている のにこういうことが起こっているからこれが必要というのとは、また違った形で独り歩きし ないかという心配を正直言ってしています。つまり、地方分権改革推進委員会でも出てきて いるように都道府県レベルでいろいろな基準をつくっていくとなりますと、結果的にはこの 指定制というのが保育所のこれまで日本の国全体として守ってきた水準を全体に緩めて実 際に質を下げていくような勢いにつながらないかということを疑り深く心配していますの で、その辺について少し事務局の方でお考えを示していただけたらと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  まず最後の方のご質問からですが、指定制度を導入しようという理由の一つは、第1次報 告のときは今、庄司委員の議論のところは我々の方でもはっきりしていなかったところです が、今回の秋の議論では少しそこをはっきりさせまして、多様なサービスメニューがある以 上は、多様な事業形態があるでしょうと。そうすると指定する類型というのが幾つかある。 そのためには給付対象の事業者を見極める横割りの仕組みが要るということで、それはお金 払いの基準としての指定という仕組みが要るという、そこをはっきりさせたところです。従 って、今はどちらかというと認可保育所の通常保育というものしかないという状況ですが、 それ以外のサービス類型を考えていったときに、それぞれ違った基準のそれぞれのサービス の対応に応じた基準の指定サービス類型が出来上がるということです。戻って通常保育とい われているところについて、その指定制度を考えたときに、そこはあくまでも今の最低基準 の水準で指定の類型を設けましょうということを第1次報告でも確認していますし、秋以降 の議論でもそう申し上げていますので、そこで質の切り下げを図ろうという意図はありませ んので、そこは押さえておきたいところだと思います。  前段のご質問に戻りますと、「指定」と「認可」の関係で「認可」に裁量性があるから「指定」 が必要なのですと言っている。そういう要素も確かにありまして、それはまさに14ページ でいうと下の「指定の認可の関係」のところで論じているのですが、ではどれくらい認可の 裁量性で排除されているものがあるかというのは、排除される類型が多分幾つかあり得て、 おっしゃいましたように東京の認証保育所のように、東京都の場合は認可基準そのものを上 乗せしているというよりも、運用上厳しくなっているということですが、ですから認証保育 所でも認可基準を満たしているものがあって、しかしそこは認可されていないということで す。そういう類型と、そうではなくて、いわく言い難い申込みの前で止まってしまうという ことです。市町村を経由して認可の申請が出てくるというのが一般的運用なのです。そうす ると、市町村に相談する段階でふるいにかけられてしまうという例が多くあるように私は把 握しています。特にそれは認定こども園をつくろうという話が各地域であるわけですが、そ のときに保育所の認可がなかなか下りずに認定こども園がつくれないという話も多々聞く ところですし、要するにそれは量的に把握することが難しい事情による認可の裁量性が働い ているということだと思います。 ○香取審議官  これは前回も少し話をしたのですが、「指定」という行為がなぜ必要かということは一つは 今、室長から申し上げたことがあるのですが、もう一つは保育所のことだけ考えていると、 ほとんど社会福祉法人なのであまりイメージされないのですが、例えばさまざまな保育サー ビスの類型、家庭的保育も含めて形態を考えるとすると、主体となる法人の類型がさまざま な類型のサービスが存在するということになります。そうすると、社会福祉法人は都道府県 なり何なりが法人の認可をする。法人に対しての一定のかなり強い指導監督権限があって、 法人の改編も含めて介入できることになっているのですが、NPO法人はそういう形にはな っていない。株式会社や財団法人、公益法人。今回、公益法人は1階と2階に分かれますが、 それぞれ法人類型ごとに法人本体に対する関与の程度が違っているということになると、一 方で多様な法人形態はいわばイコール・フッティングで一定の参入を認めるというルールに なるとすると、現実に新しくできた制度としてこういうレベルのサービスが保障されていれ ば基本的には、あるいはこのサービスのレベルが保障されていなければこの制度の中ではプ レイしてもらっては困るという共通のルールが必要になる。従ってそれは一つはサービス類 型ごとにそういうものが必要だということと、もう一つは同じサービスの中でも法人主体に よって規制が違ってくるので、法人に対する関与とは別にそういう共通のルールが必要だと いうこと。これは例えば医療保険でも医療法人の認可のスキームとは別に当然指定医療機関 のスキームを持っていますし、介護でもあるいは障害でも同じ形になっているということで す。  もう一つは、これは今回の第3次勧告との関係でいうと若干議論になるところかもしれま せんが、例えば介護保険でも医療保険でもそうですが、指定基準というのは基本的には全国 共通。つまりこの制度の中に入れるかどうかという基準なので、少なくとも参入段階で守ら れるべき水準、この制度の中でプレイできるルールというのはでこぼこするのは普通考えら れませんし、当然客観的に例えば保育の場合でいえば最低基準という考え方があるとするな らば、最低基準を下回る指定基準でつくられるということは論理的に考えられないので、そ れができるときは最低基準そのものが下がってくるということになるので、そこは最低基準 というのは制度的にその制度のスキームをどうするのかとは関係なく、守られるべき水準と して決められるものですから、それはそれとして別のところで決まってくるものであって、 それに基づいて決まるということになると思います。従来は、この種の制度の切り替えをし たときに、サービス水準を切り下げて水準をつくった例というのは私は聞いたことがないの で、むしろ新しい制度をつくるときにその制度の中で公的な費用をもって利用者に保障をす るサービス。そして必要な水準はどこかということはむしろそこで一から議論することにな るので、このことと今回の第3次勧告の議論とが直接リンクするというのは基本的にはない と感じています。 ○岩渕委員長  いかがですか。どうぞ。 ○菅原委員  13ページに「利用者の立場から公的サービスの対象となることが区別できる仕組み」と いう文言が出てきます。事務局が出された案です。利用者が区別できる具体的な仕組みの中 身というのは現在どういうことを考えておられるのか。  もう一つは15ページに出てきますが、前の委員の質問と関連してくるかと思いますが、 「供給過多による弊害を回避できる」仕組みという言葉が出てきます。そうしますと、論理 的に考えまして指定制度が仮に出たとしても待機児童がいる場所について、例えば時限的に 双方が考えられてもよろしいのではないかというのは私の前からの考えです。供給過多とい うことは過疎地域、人口減少地域には指定制度というのは必要ないということをある意味で 意味しているのではないかと読んでいて、短絡的かもしれませんが実はそういう気がしてい ます。あえて待機児童がいない地域に供給過多という言葉を使いながら指定制度を広げてし まうことは、東京都における認証保育所の二の舞いを踏んでしまうのではないかという気が します。ですから、あくまでもこれは最低基準なりきちんとした基準を守った上で、いろい ろな事情があって認可できないところには指定制度を認めて広げていくことはあってもよ ろしいのではないか。あくまでも原則は先ほども朝川室長が説明されたいろいろ認可条件を 満たしているけれども認可できないというのは、指定制度を設定する問題とは別の問題とし て解決すべきではないかという印象を持っているのです。その辺のところをあえて質の低下 につながる恐れのあるダブルスタンダード的なシステムになる可能性のある指定制度をあ えて全国的に広げる必要はないということを質問を兼ねてお聞きしたいと思っているので す。 ○朝川少子化対策企画室長  まず一つ目の話は単純なことを私どもは申し上げているつもりです。13ページ目の公的 保育サービスの対象となることが区別できる仕組みというのは、要するに指定されれば指定 事業者になりますので、指定を受けなければ指定事業者を名乗れませんので、そういう意味 で看板に指定事業者と掲げれば「ここは対象ですね、ここのサービスを受ければ公的助成を 受けられるのですね」ということがわかるということを意味しています。要するに、指定事 業者でなければ看板を掲げられないということです。  15ページ目の「供給過多による弊害を回避できること」との関連で、指定制度が地方に 要らないのではないかということについては幾つかありますが、一つは一般的に都会でない といわれている地方でも、認可の裁量性が働いている実例は私は現実にあると感じています ので、認可の裁量性の問題は都心部だけの問題ではないというのが現状認識です。さはさり ながら、本当に過疎地で供給量が足りないということは多分ないのですが、今回の新しい保 育の仕組みの一つは通常保育というところだけを考えているのではなくて、多様なサービス で、田舎であれば小規模サービスのようなもの、多機能のようなもの、あるいは家庭的保育 もそうですが考えますので、要するにそういうものまで供給過多になっている可能性はあま りないのです。あくまでも「指定」というのは技術的なテクニックの問題ですので、お金の 払いの対象となる事業者かどうかを見極めるそのための手法の一つなので、田舎だからその 見極めの手法が要らないということにはならないのではないかというのが私どもの認識で す。  ですから、ご懸念は要するに指定制度になると水準が下がるのではないかというのが根っ こにあるはずなので、そのようなことのために導入するものではないということをご理解し ていただくしかないのですが、ここで「供給過多による弊害を回避できること」と申し上げ ているのは、通常保育について、そうは言っても十分な量がある所があるわけです。特に児 童人口が減少し始めていますので、そういった所に無秩序に客観的基準だけを満たしている からどんどん事業者が入ってくるというのは一般的には想定されませんが、そういうことが あると世の中を混乱させるだけですので、そこは何らかの他制度で総量規制的なものが設け られていることを参考に、そういった仕組みも併せて考えたらどうかという提案をしている ということですので、全国共通にお金払いの基準である「指定」という仕組みは技術的なも のですので、それは導入した上で地方で供給過多になる弊害を避けるためにはその仕組みを プラスして入れるという方が制度としては合理的ではないかと思います。  ○岩渕委員長  これについて、他の方はいかがですか。 ○菅原委員  もう一つよろしいですか。そういう考え方をするならば、例えば指定制度ということをあ る意味で正しく活用するならば、先ほど言っている家庭的保育であるとかそういう個別の事 業があります。そういうところを行政がきちんと指定した指定的事業にしようという使い方 をした方がはっきりするのではないか。一般的に保育所自体まで「指定」というものを広げ る必要はないのではないか。都市部以外はです。そういう一つの発想もありえるのではない か。いわゆる個別事業をきちんと行政なり国が公的に指定したのですよというシステムの方 が、まだすっきりする印象を持っているのですが、いかがでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  最終的にねらっているところはほぼ似ていると思うのですが、それを法律の制度としてど う表現するかの違いだと思いますが、ある地域にだけ「指定」という仕組みを導入するとい うのは、逆にそれは地方をないがしろにする危険もありますし、そもそも良くないことだと 思います。それ以前に「指定」の仕組みというのは、そんなに皆さんが気にされるほど水準 を下げる効果があるものではなくて、単にお金払いの線引きをする基準でしかないので、そ ういうものを全国統一的に導入しないということの方が違和感があるので、地方に供給過多 の問題があるのであれば「指定」という仕組みを使った上で、そこに歯止めをかける方がよ いのではないかということです。 ○岩渕委員長  これについてはいかがですか。坂崎委員。 ○坂崎委員  最初に朝川室長がおっしゃった地方の中都市、小都市でも、現実的に庄司委員の話に少し かかわるのですが、地方では保育所を増やすことによって、財政を圧迫することによって保 育所が建たないというのが現実です。ですから、保育に欠ける子どもたちがいるのだけれど も、そういうところが地方にあるのが現実だと思います。一つは基本的には性善説に基づい て物事は考えるのですから、おっしゃることはよくわかります。私は供給過多の所にいるの で、ほとんどおっしゃる指定の意味が、逆の意味として話はわかりません。私たちのような 地域はそういうものは必要ないとしか考えられない。ただ、ここのところで言うことでいつ も指定制度の今おっしゃった多様なサービスの中で現実的に非常に足りないのは0〜2歳児 ではないのでしょうか。3、4、5歳児はほとんどが幼稚園と保育所に入っている現状ではな いでしょうか。ですから、認可外のところにある程度の補助をしたり、未満児保育所創設の 対応することによって相当できるので、そういうことを含めて「指定」と考えるわけですか。 そのことを本当は質問をしようと思っていたのです。   ○朝川少子化対策企画室長  まさに体制としてはそういうことだと思いますが、3歳未満のところのニーズが非常にこ れからも高まりますし、そこの量的拡大が非常に重要なのです。従って、実態面からいえば 指定の仕組みで供給を増やそうということは3歳未満児がほぼ該当するのです。ただ、3〜 5歳が全く意味がないかというと、3〜5歳のところも女性の就業率が上がってくると幼稚 園で預かり保育をしていればよいのですが、しかも時間帯もそれなりの時間帯までやってく れればよいのですが、そこだけで対応できないものがあるとしたら保育ニーズは内数ではあ るけれども拡大していくので、そこについてもある程度の対応は必要であるということだと 思います。圧倒的には3歳未満の話だと思いますが、3〜5歳でも全く関係のない話ではな いということだと思います。 ○坂崎委員  認定こども園の例ですけれども、認定こども園が確かに財政的な面で非常に増えないこと はよくわかるのですが、幼稚園部門が0〜2歳の保育を行うことが非常に難しいというのが 一つの側面です。その3歳未満児の保育をするという仕組みを相当質的に考えないと、よく よく考えてあげないとただ預かるというか、そういう保育の質を下げたことになりかねない。 また年齢が小さくなればなるほど集団も含めた形の個別な対応が非常に難しいので、そこの 質的なことも何とか考えてくれればと思います。以上です。 ○山口委員  今、指定制にする理由というか地方が認可をしない理由の中に大事なものをお忘れではな いかと思いますので付け加えておきますと、例えば今から5年か6年くらい前に当社で日本 のすべての自治体にアンケート調査を取りました。直接行ったり電話でお話を聞きました。 当時で99%の自治体が「株式会社は認めない」という回答でした。今でも90%くらいはそ ういう状況ではないかと思います。例えば、あまり具体的なことをいうと差し障りがあるか もしれませんが、私が社会福祉法人をつくって理事長をやっている京都のある市ですが、こ こも当初は株式会社でもその市はよいということだったのですが、府の方がどうしても株式 会社は駄目だということで、市長から「何とか山口さん、寄付をして社会福祉法人をつくっ てくれないか」ということで、1億1,000万円という大金を借金をしてつくりました。名古 屋市も同じような状況です。今ちょうどやっているのが八尾市にもありますが、ここにおい ては社会福祉法人がどこも応募してくれない。ついては、あなたのところでやってほしいが 社会福祉法人でやってくれと。これが現実なのです。ですから、指定制というのは私の感覚 でいうと少しでもそういう恣意性を排除するためには必要だと考えています。 ○岩渕委員長  他はいかがですか。 ○岡委員  やはり繰り返しになってしまうのですけれども、お金払いの基準とか、今言った関与の問 題を考えるときに、法人のあり方の問題としてそれぞれが違っているのだから共通の基準を というのはよくわかったのですが、だからなおのことですが、お金払いで指定されていれば、 保育の業務に携われるのであれば、認可を取ることのインセンティブをどう働かせるのかを、 本気で仕組みとしてより高い基準、つまり認可基準を持っていなければ認可されなかったと いうことにはお金の理由ももちろんあるだけではなくて、それこそ地域主権、それぞれの自 治体でより高いものに戦後何十年も変えてこなかった状況が必ずしも良いわけではないか ら、より高い条件や基準の中で保育所を認可していきましょうということが働かなかったか といえば、そのようなことはないのだろうと思われたときに、いわゆる認可のインセンティ ブを取っていくということをどうやって仕掛け、仕組みとしてつくるのかということは考え ていかないと、ではお金払いで指定だけ取れれば良いという話になりかねないという危惧は 持ちます。 ○朝川少子化対策企画室長  基本的にはおっしゃるとおりだと思いますが、関連してまさに重要なのは、認可の固有の 役割が何なのかということは、これから新しい保育の仕組みをつくる上でよく考えていかな ければいけないところです。それは社会福祉事業として税制の優遇もあってやるものなので、 認可を得ない事業者と全く同じことをやってもらっているのでは税制優遇の意味がなくな ってしまうので、それはむしろ付加して、より多くの役割を担っていただくことを何か考え なければいけないということが一つです。  もう一つが今、岡委員がおっしゃったように、できる限り多くの事業者が認可に移行して いただけるようなインセンティブ付けのようなものを別途何か考えていく必要もあるとい うことだと思います。 ○岩渕委員長  いかがですか。どうぞ。 ○菅原委員  まさに指定制度というのは参入の問題と直結する問題だろうと最初からとらえているの です。確か平成13年に企業を含むすべての法人格を持った団体が保育の事業に参入できる ことになりました。私が不思議に思いますのは、幼稚園なり、医療なりには未だに株式会社 等は参入されていない。それは、やはり基本的には先ほどから出ている保育の質との関係で はいわゆる教育基本法で保育所の保育についてもきちんと教育ということが位置付けられ ているわけです。まさに児童福祉法の最低基準の中にも養護と教育ということが明確にされ たと。そのような議論の基本的な問題を我々はどこか忘れているのではないかという気がし てならないのです。他の福祉事業の中にすべて株式会社が入ってはならないということは申 し上げませんけれども、やはり医療や教育に係るところに入ってくることに私は最初から非 常に疑念を持っているということが一つです。  そういうことであれば、やはり最低基準を含めて当然条件を統一することが非常に大事な ことです。それから保育第一専門委員会でも先日議論になったようですけれども、いわゆる 資金の使途についてすべて自由化するという発言も出ているようですけれども、それでよろ しいのかということです。やはり少なくとも子どもたちの育ちのために補助した、あるいは 公的なお金が、例えば利潤なり、配当なりに回っていくことを前提に議論して良いのかどう なのかということを私は少し固いようですけれども、その辺のところをきちんとしないとこ の指定の問題も実は本当に意味は出てこないのではないかと思います。ですから、やはり私 は平成13年に残念ながら子どもの世界にも株式が参入することを法的に認めてしまった以 上、後はやはりきちんと使途制限等で厳格な基準なり、一つのあり方を決めるべきではない かと。それはやはり配当や他の事業には回せない。確か前回のこの会議で山口委員がおっし ゃっていましたけれども、私は研究所や教育のための調査など、そのような公益的な公共的 な事業はきちんと使途のあり方を明確にした上で大いに使ってもよいと思います。繰り返し ますけれども、やはり他の事業や配当ということはやはりきちんと教育という視点に立った 場合は、私はどこかで制限なり一定の考え方を示すことが大事なのではないかと。こればか り繰り返し言っているようですけれども、検討の上ぜひ入れていただきたいと思います。 ○篠原委員  今、使途制限の話が出てきたので、それに関連してでもよろしいでしょうか。17ページ のところに「運営費の使途制限」の話が出てきて、ここの中で皆さまのご意見がいろいろと 出ています。例えば撤廃すべき、そうではなくきちんと掛けるべきだというように、いろい ろな意見があるわけですけれども、どうも私のイメージが今一つ湧かないという部分もあり ます。これは前に21回目の審議会のときに、姿ということで、現行の姿と新しい保育と市 場原理に基づくという一覧表を頭の中に入れながら、いろいろとイメージをかき立ててはい るのですけれども、今一つ、一定の規制が必要で、どうやって規制を掛けていくのかという イメージが湧かないところがありますので、そこのところをもう一度、どのようなことが考 えられるのかでも結構ですので、そこのところからまず教えていただければ。 ○朝川少子化対策企画室長  使途制限ですか。 ○篠原委員  はい。一定の規制が必要という「規制」はどのようなものかということです。 ○朝川少子化対策企画室長  これはまだ決まっていませんので、あり得るものを申し上げるしかありませんが。全く何 も規制を掛けないのが一番緩いやり方ですが、一定の規制が必要だと言っている以上、何か 規制をするとして次にあり得るのは、区分経理するところまでは皆さま大体了解されている と思いますので、保育の会計から法人本部にお金を出すときに、例えば一定の限度を設ける というような規制の仕方が、緩やかな規制の仕方としてはあり得るだろうと思います。もう 少しきつく考えれば、これは厳密に保育の事業以外には使っては駄目ですという規制の仕方 もありますし、もう少し幅の広い福祉の分野までであれば使ってもよいと。その場合はお金 を追いかけていく仕組みをセットで考えなければいけないのですけれども、そのような規制 の仕方も場合によってはあると思います。従って、緩やかに規制するのであれば、法人本部 にお金を入れる際に、ある程度上限を設けるなど、何らかの制限を掛けるというようなやり 方があり得るとは思います。 ○篠原委員  ありがとうございます。やはり労働者の賃金水準というようなことに非常に影響がありま すので、やはり何らかの制限を掛けるべきではないかということです。  あとは少し具体的なことが1点ですけれども、保育事業に参入してきたときに、例えば保 育料を滞納してしまった場合には、どのような形が考えられるのか。例としてそのような場 合に、市町村と利用者、保育園の関係という三者の関係を考えたときに、どのようにしてい くのかというところは、多分これから論議をしていくということだと思いますけれども、そ の辺りは。 ○朝川少子化対策企画室長  保育料を滞納したときですが、そもそも保育料の徴収を保育所がやるのか、市町村がやる のかは、保育第一専門委員会でまだ最終的な合意がないところですが、仮に事務局が提案し ている保育所が徴収することにしたときに、保護者が滞納したときにどうするかは、第1 次報告では滞納があってもそれは親が滞納しているのであって、子どもの福祉が害されては いけないので、やはり基本的には滞納があるから退所させることは好ましくない、認めない ということが基本だという考え方であったと思います。  ただ、そうすると、その事業者に穴が空いてしまうので、その穴の分をどうするかが問題 になるということです。それはやはり何か市町村の関与が要るのではないかと。穴が空かな いようにする関与か、穴が空いてしまったときの関与かは別にして、何らかの関与が必要で しょうと。ここから先は蛇足のような話ですけれども、事業者の類型によって、法人類型か もしれませんし、認可か認可でないかの類型かもしれませんが、滞納があったときの対応に よって、取扱いが異なるように制度を仕組むということが場合によってはあり得るのです。 場合によってはあり得るというだけで、基本はないようにした方がよいのですけれども、今 の認定こども園は厳密に言うと、滞納があったら退所を認めている運用がされていますので、 同じ認可保育所であってもそのように取扱いが違ったりする仕組みがあります。論理的には 同じ保育の仕組みの中で事業者によって取扱いを変えるということはあり得る。ただ基本は、 やはり滞納があっても退所させないということではないかと思います。 ○岩渕委員長  よろしいですか。では、山口委員。 ○山口委員  先ほど菅原委員から、この制度、公的資金は子どものためにあるべきだと。まず、子ども を考えてこの制度を考えるべきだとおっしゃいました。本当にそのとおりだと思います。繰 り返しこの保育の問題で語られている公的資金というのは、子どもと保護者のためにある。 これに100%私は同意いたします。しかし、仮にそれが本心であれば、その提供主体は誰で あってもよいわけです。本当に子どもと保護者のためになるような事業者であれば、それは 株式会社であろうが、NPO法人であろうが、社会福祉法人であろうが何でもよいわけです。 もしそれを前提とするのであれば、今の地方自治体が恣意的に裁量権に行使しているような やり方を排除して、すべて第三者の委員を入れて公募で、その中で一番優良な事業者を選べ ばよいのです。本当に子どもと保護者のためを考えるのであればそうすべきです。しかし、 どうも今までの議論を聞いていますと、子どもたちよりもその事業主体が一体どこであるの かといった議論ばかりされている。我々事業者は単に間接的な当事者に過ぎないのです。本 当の当事者は子どもと保護者です。そのような視点を持って議論するのであれば、違う結論 が出るのではないかと私は思います。 ○香取審議官  少し議論が錯綜しているようなので。まず使途制限の議論の大前提は、先ほどの指定の話 と関係しますが、この新しくできる制度で要求している、つまり指定の前提となっているサ ービスの内容・水準が安定的に供給できている、サービスが担保できているのが大前提であ ります。それを損ねるようなことをすれば、お金の使い方がどうであろうが、どこから出て いようが、基本的には指定は取り消される、退出していただくことが大前提です。  その上で、使途制限の議論というのは、前回もそう思ったのですが、どうも先ほどからや や議論が情緒的ではないかという気がしています。もちろん使途制限が必要かどうかという 議論は、それはそれでもちろんあるのですが、出所が税金であるから、子どものためになる、 ならないなどという議論ではなくて、制度としてどのような考え方に立つかというようにぜ ひお考えいただきたいと思います。要は制度の側からすると、一定の費用の支払いをして、 制度が求める必要なサービスの水準がそこできちんと確保されることが担保されていると いうことが大前提になるわけです。その上で、さらにそれぞれの法人の運営形態や、あるい は法人の類型によって、それぞれ違う規制が掛かっていますから、その規制との関係でどの ような整理をするかということになると思います。  例えば公共事業で道路やダムを造っている会社があります。あれは丸ごと税金です。企業 が受注して一定の公共事業をするわけですから、お金は税金なわけです。もちろん入札も掛 けて必要な費用を最低限の費用で落とすわけですけれども、ゼネコンは株式会社なので当然 利益も出しますし、配当もしているわけです。あるいは日本にはあまりありませんが、防衛 産業や軍需産業のように、基本的に取引相手が国しかないところで、例えば一定の兵器や防 衛武器を開発して物品を納入する形。つまり税金で公共サービスや公的な物品を調達して事 業を行っている民間企業は幾らでもあるわけです。その場合に、もちろんそのような企業に はいろいろな規制が掛かります。情報の開示をしてはいけない、あるいは事業の内容につい ても一定の規制が掛かっていますが、民間企業に対して配当の禁止を掛けているかというと、 そのような企業では掛けていない。医療の場合には別の観点から配当禁止を掛けているわけ ですが、恐らく根元のお金が税金かどうかということではなく、制度として必要なサービス がきちんと保障できるかどうか、あるいはそれぞれの事業者の努力で良いサービスが生まれ てくるようなインセンティブが湧くかどうか、あるいは社会福祉法人の場合でも内部留保で 再投資ということがあるので、そのような財源調達もいわばその利益の中で行っているわけ ですから、そのようなことも含めて安定的な事業運営、あるいは安定的にサービスがきちん と保障できるのかどうかという観点から、どのような使途制限の仕方が合理的かと。あるい は、しないのが合理的結論ということもあるのかもしれません。そのような議論になるので はないかと思います。  前回の資料でも出しましたが、一法人一施設というところだと非常に話が簡単ですけれど も、ただ例えば複数の保育所を経営している法人があるという場合に、当然本部会計とそれ ぞれの施設会計の関係が出てくる。あるいは老人福祉事業や障害者の事業などの他の事業を 併せ持って行うような事業の場合はどうか。さらに言うと、大きい法人になると、ある部分 を独立させている、例えば食材の調達については別の部門を持っている所もありますし、場 合によってはそこの部分を切り離して株式会社の子会社を作ってそこで調達するような形 を取っているような企業もあります。そこまでになってくると、社会福祉法人でも一種の非 営利ではない部分を持っていたりすることもあります。病院や特別養護老人ホームなどで、 例えば有料で駐車場を付帯事業で持っている。もちろん普通は収益は上がらないのですが、 例えばその部分を整備するために費用を出す場合にそれが出せるか出せないかということ。 やはりいろいろなケースが出てくるので、要は何を守るために、あるいはどのようなルール を担保するために使途制限を掛けるのかということを少し考えて議論していただきたいと 思います。 ○岩渕委員長  菅原委員。 ○菅原委員  今おっしゃったことをすべて私自身は間違いだとは私は思っていません。私の申し上げた いことは、確かに道路工事なり、ダム工事なり、いろいろなケースにも公的資金が流れてい ます。ですから、そのような企業は自由に使っているではないか、あるいは自由に使えるシ ステムになっているではないかと。それは正しいと思います。ただ、私が申し上げたいこと は、情緒的な面も確かにあるかと思いますけれども、例えば医療や今言った学校法人は、き ちんとそのようなところから保護されて守られている。それは私の情緒的な解釈で言えば、 やはり学校の場合は子どもの教育であり、そこからなにがしかの余剰金を作って、例えば他 の商売に回すということは倫理的にも認め難いというか、情緒的にもあまり良いことではな いかという判断があるのではないかと。ただ、医療の場合も、患者にいく費用をある意味で は削って余剰金を作って、例えば他の商売に回すということになると、これも倫理的にもあ まり認め難い。保育の場合もまさに日本の将来を担う、あるいは日本の未来を担う子どもた ちのものを、そういうところに例えば使ってもよいのかということを非常に疑問に思ってい ます。なぜかと申しますと、平成13年に残念ですけれども、すべての法人格を持った団体 が保育所経営に参入できることになり、もう10年近くになりますから、実はそのことは一 言も否定していないのです。これもある意味ではやむを得ない事態だろうと。その中で一定 のルールはきちんと守った方がよろしいのではないかと申し上げたい。以上です。 ○岩渕委員長  どうぞ。 ○宮島委員  適切なサービスのために本当に国民が納得するようなお金の使われ方をしているかとい うところが一番大事だと思います。私どもメディアとして最近、政権に関する世論調査をし ましても、やはり将来の財源に対する不安は国民の間で大きく、あのマニフェストを掲げた 民主党に対してでさえもマニフェストを全部やらなくてもよいから赤字を膨大にしない方 がよいという意見の人の比率の方が高いほど、国民の中には財源に対する心配があると思い ます。今、事業仕分けがどうなっているのか見ますと、やり方などはともかくとして、国民 は大雑把なザルではなく、もっとディテールまできちんとお金が効率的に使えているかとい うところに対しても目が厳しいと思います。ですから、政策をやっているのがどのような事 業体かということを越えて、本当に目的のためになっているかというところを見ているのだ と思います。そういう意味で言えば、使途制限そのものに対してということよりは、例えば ある株式会社が保育で不当に儲けを出して、そこでその事業体としてあり得ないほどの配当 を出したら、そのお金の流れ方は非常に問題だと思います。しかし、例えば経済原理として 金融機関でお金を借りて調達する利子と同じぐらいの配当のレベルは、ある意味で株式会社 の経営である以上はシステムとして必要なのかなという気持ちもあります。というのは、そ れを否定してしまったら株式会社の参入ということに対して、いくら口ではどうぞと言って も、全く拒否しているように見えてしまうのではないか、そもそも多様な参入を進めること を私たちが打ち出している意味を現実的には損ねてしまうかもしれないと思うのです。  一方で、今の事業仕分けを見て思いますのは、たとえ子どものためであっても、国民の目 は厳しい。ここに定価1万円のおもちゃがあります。それをそのまま1万円で買うことに対 してはもう国民の目は厳しいのではないかと思います。今までは子どものためだったら、そ れは1万円で買うということはもしかしたら良かったのかもしれないけれども、今そこにさ まざまな効率化のインセンティブを働かせ、それを調達するのに、いろいろな購入先の比較 をさせるなどの努力をしなければ納得されない。例えば公務員の出張の航空券の選択に関し ても厳しい目が向けられるような現状にある中で、そうした本来必要なものを担保するため でも、きちんとしっかりとしたお金の使い方をされているかということに対して国民の目が 厳しいのです。それは株式会社の配当に対してもそうですけれども、施設が子どものためだ ったら多少コスト高でも何をしてもよいということにはなっていないと最近の国民の意識 を見て思います。ですから、使途制限の何が絶対に駄目で、何が絶対によいかという位置付 けよりも、本来求めるべきは、利用者が必要なだけの質と量のサービスを良い形のお金の使 い方で国がシステムもしくは制度として手に入れるためには、どういう形がいいのか。何が 大事な縛りで、何が必要ではない縛りかという頭の整理の仕方を私はしたいと思います。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。時間も迫ってきております。また次回も議論できますので、こ こで本日ご発言のない方を優先したいと思います。 ○西田委員  全国保育協議会です。時間がないということですので手短に。まず、この参入といいます か、この供給体は子どもの最善の利益を基にして組織するということが確認できたのではな いかと思っております。  社会福祉法人は今まで使途制限だけでなく、監督ということで非常に制限を受けてきてい る法人です。今後、多様な供給体が出てきたときに社会福祉法人のあり方のところまで言及 されるのかどうなのかということが課題かと思います。  それから、直接は関係ありませんけれども、私ども認可保育所が参入の阻止をしているの ではないかというようなニュアンスがあるのです。というのは、今週の週刊誌にとんでもな い記事が載っておりました。東京の公立の保育士の平均年収が800万円だという記事で、 そのことをもって参入を阻止しているのが既存の認可保育所、公立保育所と社会福祉法人立 の保育所であると。このように言われている記事を書かれているわけです。私どもは非常に 心外で反発しているところですけれども、この専門委員会に私どもが3月に出しました2 万1,000か所の保育所の実態調査を基にして課題を挙げさせていただいております。従いま して、認可保育所が持っている課題はこのようなものであって、私どもがこのようなことを しているということを広く国民に訴えてきているつもりでいるのですが、まだこのような記 事が載るということ自体について、厚生労働省も正しい情報を世間に広めていただきたいと お願い申し上げたいと思います。以上です。 ○岩渕委員長  他に。どうぞ。 ○前田委員  基本だけ確認させていただきたいのですけれども。これまでは「保育に欠ける」という要 件の人だけに公的保育をサービスする前提で、通常保育いわゆる今の認可保育所制度がある わけですが、多様なサービスが必要だという議論であったように、これまでの「保育に欠け る」という基準を超えた保育が必要だと思う子どもたち、特に0歳、1歳、2歳の人たちに 非定型的な保育を保障しよう、公的な保育所を保障しようと。そのためには現状の認可保育 所の通常保育や保育に欠ける保育を前提とした仕組みだけでは供給が足りないですから、新 たな指定制度をつくって幅広く多様な供給をしようと。ですから、それは現行の認可保育所 制度を否定するものではないですし、経費を切り下げて質の低い保育を供給保障するのでは ない。それぞれがニーズに応じて、かつ宮島委員がおっしゃったとおり、経費的にも効率的 で柔軟で、財源が限られているのが現実ですので、今の資源を生かしたような新しい制度を つくろうということと、それを導入するには1日も早くやらなければならない。理想を追い 求めていてはいつまでも議論が終わらないですから。実際に待機児童はいますし、私が申し 上げたように保育に欠けない人が就労証明書を偽造してまでも保育所に子どもを預けたい というニーズがあり、実際に保育に欠ける人の席を奪っているわけです。そのような現状を 見ても、新しい何かの非定型的な保育を保障する仕組みを導入することが必要であろうと。 そのための議論をしているということで、よろしいわけですね。 ○岩渕委員長  大きくうなずいておりますが、他にご発言がない方でよろしいですか。いかがですか。そ れでは最後に吉田正幸委員に一言。 ○吉田正幸委員(部会)  時間の関係で駆け足で申し上げます。一つは先ほどの使途制限の件ですが、これは私は香 取審議官と全く同感で、始めに使途制限から考えていくという発想ではなく、保育の質をき ちんと担保するために、そのような意味の公費の使い方をどううまくコントロールするかと いう発想が基本だろうと思います。ただ、これも私も少し情緒的なことを申し上げると、現 在の保育所の公費は、利用者の保育料もいったん市町村に入って税と合わせて公費として、 いわゆる民間保育所の場合、委託費として出ていますから100%公費です。これはわかるの ですが、今回の新しい仕組みになると法定代理受領の部分のお金プラス市町村が保育料を徴 収するかどうかは別として、公的保育契約で利用者の利用料は保育所が制度上は一応直接い ただくと。これはそういう意味では公費ではないわけです。そうすると、税をベースとした 公費と事業収入である保育料とは当然性格が違うだろう。それは当然、使途制限のあり方に は影響があってしかるべきだろう。公費は当然サポート・アンド・コントロールだと私は思 っていますが、そうでない部分のお金の使い方というのは、ここは今の仕組みに比べると議 論の余地があるだろうと。ここはきちんと整理しなければいけないと思っています。  もう一つは、先ほどから出ていたD週刊誌と言っておきますが、私も過激だと思います し、団体名も間違っておりますが、変な話ですが、ではあれは100%うそを書いているかと いうと、残念ながら、そうではないということです。東京の、例えば乳児1人当たり30万 円、50万円かかっているというのは、ほぼ正確な数字だと思っています。  何が言いたいかというと、先ほどの指定制の問題ですが、例えば認定こども園の場合に、 実際にある県は認定基準をすべて満たしていても、例えば学校法人立の幼稚園が幼稚園型を 目指したときに、県の認定基準を100%クリアしていても、認定基準には書いていないけれ ども、その地域の保育所団体の会長のハンコがないと認定しないという県があるやに聞いて います。これは参入阻止の例ではなくて、私が心配しているのは、指定制も認可とは根本的 に仕組みが違うとは思いますが、指定制にそのようなインフォーマルな運用で指定をしない ということがあり得ないようにしなければいけないと思っているので、そのことは確認して おきたいというのが、もう1点でございます。  それから最後に、今日じつは議論が出なくて残念でしたが、私は「認可」であろうと「指 定」であろうと、基本の保育の質から考えていけばそういう「認可」「指定」の違いではな くて、いずれについても外形的な事前規制だけではなくて、事後規制あるいは事後チェック を入れて、そこに必要な監査あるいは再審査、徹底した情報公開、プロセスとアウトカムの 第三者評価など、そこをきちんと押さえるということは明確にしておきたいと思います。  以上です。 ○岩渕委員長  ありがとうございました。それでは、本日はこの辺りにしたいと思います。限られた時間 の中で、多岐にわたる検討事項をお願いいたしましたので、言い足りない点などもあるかと 思います。言い尽くせなかったご意見等につきましては、文書で事務局までお寄せいただき たいと思います。  それでは、事務局から次回の日程についてお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回は、11月24日火曜日10時から。場所は、中 央合同庁舎第4号館1階の108会議室を予定しております。お忙しいところ恐縮でござい ますが、ご出席いただきますようお願いいたします。 ○岩渕委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)