09/11/16 第34回社会保障審議会医療保険部会議事録     第34回社会保障審議会医療保険部会 議事次第                   日 時:平成21年11月16日(月) 16:00〜18:00                   場 所:全国都市会館 2階ホールA                      (東京都千代田区平河町2−4−2) ○糠谷議長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第34回「社会保障審議会医 療保険部会」を開催いたします。委員の皆様には、本日御多忙の折、お集まりをいただき、 御礼を申し上げます。  まず、委員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。磯部委員、大内委員、 坂本委員、西村委員が御退任になりました。それに伴い、新たに全国骨髄バンク推進連絡協 議会会長の大谷貴子委員、静岡県立大学大学院看護学研究科教授の紙屋克子委員、諫早医師 会会長の高原晶委員、早稲田大学法学学術院教授の和田仁孝委員が就任されておられます。  議事に入ります前に、本日は足立政務官がお見えですので、ごあいさついただきたいと思 います。なお、政務官は公務のため、途中で退席されますので、御了知ください。  それでは、どうぞ。 ○足立政務官 皆さん、こんにちは。以降は座って、マイクで済みません。本日はお集まり いただきましてまことにありがとうございます。厚生労働大臣政務官の足立信也でございま す。  皆様方には、普段あるいは以前からこの国の医療保険制度をどうしていかれるのか、ある いは診療報酬改定の見直しの基本方針等策定に携わっていただいております。まことにあり がとうございます。更に先ほど御紹介ありましたように、新たな委員が加わって、また多面 的、多角的な方向から検討していただけるものと私は確信しております。  先週、かなり話題になりました事業仕分けの中で、診療報酬のことが取り上げられており ました。制度そのものを仕分けの対象にしていいのかどうかという根本的な問題はまた別な 問題として、あの中で提示された資料を私は質問、疑問を1つ投げかけたことがございます。  それは、特に病院というよりも、診療所の方で総収入がイコール診療報酬というふうにと らえられている。収入の中には勿論診療報酬の部分は大きいですけれども、それ以外にも他 の事業あるいは自由診療の部分、公費負担の部分、いろいろあるわけです。それをちょっと 意図的かどうかは別として、そのようなとらえ方をされているのはその資料も多少間違いが あるのではないかと。ということは、この国の世界に冠たる国民皆保険制度を守るために、 今、私が申し上げたような内容が果たしてこのままの比率で推移していっていいのかという ようなことが重大な問題になるのではないかと私自身はとらえております。是非ともその辺 りの議論をしていただきたいと思っています。  特に今日は協会けんぽですね、昨今の経済事情も含めて今後財政的にかなり厳しいところ が提示されると思います。この議論、そして更にその次には来年度の診療報酬改定に向けた 基本方針の考え方というものが出てくるのだと思います。一部報道でありますけれども、 我々政務三役としても、どのような方針で臨んでいくかということを、基本方針をやはり考 えなければいけないと。本来はそれに基づいて皆様方に議論していただくのが正しいやり方 かもしれませんが、時間的制約もあって、これはこの審議会の部会の中でしっかり議論して いただく。我々も我々の考え方を用意させていただくというような姿勢で臨みたいなと、そ のように思っております。  先ほど世界に冠たると申し上げましたけれども、この国民皆保険のシステムをいかに継続、 持続させて、我々が守っていくのかと。将来世代の安心感、将来に対する安心感をいかに担 保していくのかと。そのようなことが本来のこの会の目的であり、そして果たすべき役割だ と、そのように認識しておりますので、どうか闊達な御意見をお願いしたい。そして、方針 としておまとめいただきたいと思っております。  どうかよろしくお願いします。 ○糠谷議長 政務官、どうもありがとうございました。  それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は岩月委員、岩村委員、岡 崎委員、神田委員、見坊委員、斉藤委員、柴田委員、山本委員、横尾委員より欠席の連絡を いただいております。また、樋口委員は若干おくれているようでございます。  続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。岩月委員の代 理として安部参考人、見坊委員の代理として斉藤参考人、斉藤委員の代理として藤原参考人、 横尾委員の代理として馬場参考人の御出席につき、御承認をいただければと思いますが、い かがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○糠谷議長 それでは、そのように取り計らわせていただきます。 (報道関係者退室) ○糠谷議長 それでは、議事に入らせていただきます。  まず、協会けんぽの財政状況等についてを議題といたします。初めに、小林委員より協会 けんぽの収支状況について御説明いただき、その後事務局より協会けんぽの財政問題につい ての資料の説明をお願いいたします。  それでは、小林委員お願いいたします。 ○小林委員 協会けんぽの小林でございます。協会けんぽの財政状況についてご説明申し上 げます。  資料1は協会けんぽの収支のイメージです。一番左が20年度の決算、これは既に公表済 みで、前半が4月〜9月が政管健保の時代の数字、それから10月〜今年の3月、これは後 半ですけれども協会けんぽになってからの数字ということで、通年、通期の合算した数字で す。この20年度の決算につきましては、単年度収支の差は赤字2,290億円、準備金残高1,539 億円になっております。  今年度の状況についてですが、左の(A)は8月の推計時であります。これに対して真ん 中は直近状況の見直しということで、10月の推計時ですけれど、中小企業をめぐる極めて 厳しい経営環境を反映いたしまして保険料収入は更に大きく下がり、医療費の増加傾向など も加わりまして、見込み以上に医療費支出が増え、単年度収支はマイナス4,600億円、準備 金はマイナス3,100億円ということで、近く準備金が枯渇し、今年度中に3,100億円の借り 入れを行わなければいけない状況にございます。  22年度についてですが、これは既に10月に発表しております。これも左が8月推計で、 真ん中が10月の推計です。  2ページ目をごらんいただきます。国庫補助率が現行の暫定補助率13%のままですと、 現行の平均の保険料率8.2%は3月で改定した場合が9.5%に、仮に9月改定した場合は、 10.8%に上昇と、更に引き上げを行わざるを得ない見通しになっております。  被保険者の方の賃金は、3ページ目の資料3をごらんいただきたいと思います。例年です と、平均標準報酬月額は7月、8月に上がって、9月が大幅に増加するというパターンであ りますけれども、今年度については、8月の推計時点で4月が平均標準報酬月額28万3,000 円、これが10月の推計では7月の平均標準報酬月額28万1,000円と下がっております。10 月の推計のときは、8月、9月と横ばいで見た結果がこの8.2%から9.5%に引き上げざるを 得ないということでしたが、9月が更に下がるという例年では見られない下降を続けている 状況にあり、また新型インフルエンザの流行もありまして、収支をめぐるさらなる状況悪化 を受けて、22年度の保険料率がどうなるか、更にこの10月の推計時以上に平均標準報酬月 額が下がっているということで、現在精査をしており、近く公表する予定でおります。  保険財政が大変厳しく、保険料負担引き上げが避けられない中で、現金給付の見直しがで きないかということで、傷病手当金や出産手当金に係る不正受給防止のための審査強化策や 給付水準見直しを私どもの運営委員会において議論しております。議論を踏まえまして、近 く厚生労働省に要望する予定であります。しかし、現下の財政状況に比べると、この財政効 果は限定的なレベルであり、協会けんぽへの国庫補助について健康保険法附則で定められた 暫定補助率13%から法律本則上の補助率16.4%〜20%に引き上げるよう、国に強くお願い しておりまして、この実現を図らなければならないと考えております。  以上でございます。 ○糠谷議長 それでは、どうぞ。 ○吉田課長 保険課長でございます。引き続きまして、今後この点について御議論をいただ く資料として、お手元の資料2を用意させていただいておりますので、簡単に御紹介をさせ ていただこうかと思います。  今、小林委員の方から御説明ございましたような協会けんぽの財政状況の中、今後大幅な 保険料の引き上げというものが必要になるとしても、その上で家計へのさらなる負担という ことになりますので、それをどのように緩和をするかということを厚生労働省としては問題 意識を持ってございます。  その上で、そこに参考として3点ほど、それぞれ少し毛色の違うものもございますけれど も、掲げさせていただきましたものは、今後この医療保険部会において御議論をいただくに 際しまして、厚生労働省の方針というふうに申し上げることはできません。まだそういう段 階ではないと思いますけれども、過去のけんぽ法改正時の経緯でございますとか、関係の検 討会などにおける御議論を踏まえまして、この御議論をいただくに当たっての考えられる選 択肢としてまとめさせていただいているものでございます。  1つ目は、今小林委員からもございましたように、国庫補助率の引き上げということが選 択肢にならないか。そこにも今ございましたように、現在附則において当分の間とされてお ります13%の補助率につきましては、先日の改めました来年度の概算要求におきまして、 引き上げを時効要求ということで、財政当局において要求をし、政府内において年末までの 予算編成過程において議論をいただくようお願いしているところでございます。  2つ目といたしまして、足元、先ほど御報告ありましたように3,100と現時点において見 込まれる悪化、今後場合によってはその後の財政状況に応じて拡大することもあろうかと思 いますけれども、これにつきましては中期的な財政計画による財政比率というものを求めな がら、まず来年度の上げ幅について圧縮、抑制を図ることが考えられないかと、そういう選 択肢でございます。勿論22年度の単年度収支というものについての均衡はある程度必要、 重要ではないかということをこの項目といたしましては書かせていただいております。  3点目につきましては、被用者保険内の費用負担のあり方の見直しということで、現在例 えば被用者保険各制度から加入者数に応じて御負担をいただいております後期高齢者医療 制度に対する拠出金などなどにつきまして、被用者保険制度内において退職者医療給付金、 退職者給付の拠出金のように、例えば総報酬で案分するというようなやり方、各保険者の負 担能力に見合った負担ということが考えられないかということを選択肢として提示をさせ ていただいております。  資料の2枚目は、今、申し上げましたことの参考として、関係の条文あるいは特に3番目 につきまして、これまでの検討会における委員の方々の御発言、とりまとめについて整理を してございますので、御参照をいただければと思います。  簡単ですが、以上でございます。 ○糠谷議長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの説明等につきまして、皆様方御質問、御意見等がございましたらお 願いをいたします。  それでは、対馬委員。 ○対馬委員 協会けんぽの財政問題ということですけれども、これはどういうことなのでし ょうか。つまり協会けんぽも厳しいことは今の御説明でよくわかっているわけですけれども、 保険者ということでありますと、私ども健保組合もこれまで創設以来初めてという、本当に 解散が相次いでいると、こういった大変厳しい状況なのですね。市町村、国保の方ですけれ ども、こちらも大変厳しい状況にあるのではないかというふうに思うのですけれども、その 辺りについての説明は全くないというのはどういうことなのでしょうか。 ○糠谷議長 それでは、保険課長どうぞ。 ○吉田課長 本日もう一つの議題でございます診療報酬の基本方針などの関係もございま して省略をさせていただき、大変御無礼を申し上げましたが、配付をさせていただいており ますお手元の資料の後ろの方に参考資料として、1、2、3、この夏から今日までにかけて まとめていただいております協会けんぽの決算についてが参考資料の2、また対馬委員御案 内の健康保険組合の関係の決算を健康保険組合連合会さんの方でおまとめいただきました 資料が参考資料の2、また同じく被用者保険という意味では船員保険の関係についての資料 が3ということで用意をさせていただいております。  一つひとつこのような形で御紹介することは時間の関係上、御議論をいただく時間をとる べくはしょらせていただこうかと思いますが、御指摘ございましたように、参考資料の2で 健康保険組合の決算状況について拝見をするに非常に厳しい状況だという認識については 我々も同意見でございます。 ○糠谷議長 それでは、どうぞ。 ○対馬委員 私ども、今日、新聞ごらんになった方、お気づきになられたかもしれませんけ れども、19日に全国大会、4,000名規模で国際フォーラムで行いますが、大変な赤字でござ いますけれども、一般紙全面広告に、「未来に感謝される改革を「今」。」と、意見広告を出 させていただいたのですけれども、そういう意味で改革が必要であると。また、特に高齢者 医療制度についての改革が非常に重要であるということは、私どもも肝に銘じていますし、 またこれからやっていかなくてはいけないというふうに思っているのですけれども、先ほど の御説明の協会けんぽの選択肢、国庫補助率の引き上げでありますとか、複数年度での対応、 これはまさしく協会けんぽの問題といいますか、協会けんぽと厚労省なり、そういった関係 方面で議論していけばいい問題と思います。  それから、3点目の被用者保険内の費用負担のあり方の見直しということですけれども、 これはどういう意味合いなのでしょうか。つまり高齢者医療制度の問題だということであり ますと、今月の30日に高齢者医療制度改革会議がございまして、私も委員の一人として出 させていただくことになっているのですけれども、そこで議論されるべき話だろうというふ うに思います。、いや、そうではなく、何しろ協会けんぽは厳しいので、緊急避難というこ とで、制度的な高齢者医療制度の問題とは別に今回対応を図ることが必要なのだということ になりますと、私どもとしては2年前、ちょうど2年前の今ぐらいですけれども、国庫負担 の肩がわり問題がありました。非常に国の財政が厳しいので、協会けんぽに対する国庫負担 を引き上げて、それに対して健保組合から出していただけないかという協会けんぽの国庫負 担の肩がわり問題ということがまさにその再現なのだろうかと、こういうふうにも思うので すけれども、その点はいかがでしょうか。 ○糠谷議長 それでは、保険課長から。 ○吉田課長 まず、今対馬委員からお話ございましたように、本日のお手元の資料、少し先 の資料6に高齢者医療制度改革会議についての資料を載せてございます。後ほどお時間あれ ば、これについても御報告をいたしますが、高齢者医療制度をめぐる議論につきましては、 この改革会議から、まさに関係者の方々に幅広く御議論をいただくということを予定をして いるところでございます。  ただ、大臣もいろいろなところで申し上げておられますように、やはり制度の議論をし、 準備をし、施行するまでにある程度の廃止後の制度について一定の期間を要するというふう に私ども事務局としては認識をしているところでございます。その中で、現在のこの高齢者 医療制度の中における被用者保険間での負担ということにつきましても、例えば拠出金につ いてこの資料の中にもこれまでの御指摘として掲げましたように加入者割になっていると いうような形における、財政力のばらつきのある各保険者の方々に対して、負担が本当に均 衡になっているだろうかということにつきましては、これまでのこの医療制度をめぐる議論 においても幾つか御指摘があったというふうに思っておりますので、現行制度における課題 の1つという認識を同時に持っております。  そういう意味では、勿論今後この改革会議において関係者の方々から幅広い高齢者医療制 度をめぐる御議論始まろうかと思いますが、現下の協会けんぽの状況などをかんがみまする に、この制度の廃止、高齢者医療制度の廃止、見直しまでの間においても可能な限り私ども として実質的な負担能力に見合った費用負担のあり方というものが考えられないだろうか ということを選択肢の1つとして御議論をいただけないかということで今日は提示をさせ ていただいておりますので、種々御議論をいただければというふうに思っております。 ○対馬委員 簡単に。 ○糠谷議長 どうぞ。 ○対馬委員 意見を2つほど、ごく簡単にさせていただきます。  私ども非常に厳しいということを申し上げましたけれども、数字だけちょっと申し上げま すと、20年度、先ほど協会けんぽさんの場合ですと、赤字が2,290億円ということがござい ましたけれども、私どものそれは3,060億円、約1,000億円規模の協会けんぽ以上の赤字だ ということであります。  それから、21年度、先ほど4,600億円の赤字というお話でしたけれども、私どもとしては 6,150億円というまさに2年連続のいまだかつてない大赤字、そういう中においてこういう ことなのだろうかというのが1つ。  それから、もう一つは2年前の話をさせていただきましたけれども、そのときにはまだい わゆる政管健保の時代でございまして、協会けんぽは、まさに保険者として民間に生まれ変 わって、自主自立、それから保険者機能を発揮していきたいと、こういうことで大変御努力 されているというのは聞いておるわけですけれども、そういった協会けんぽさんにとっても 被用者保険内のということですから、恐らく健保組合をあてにされているのだと思いますけ れども、そういったことをこういった提案されるということは大変不本意なのではないかな と、こういうふうにも思いますけれども、この辺りは意見でございます。 ○糠谷議長 それでは、逢見委員どうぞ。 ○逢見委員 連合の逢見ですが、私協会けんぽの加入者の1人でございまして、この運営委 員にも入っております。  先ほど小林理事長から説明ありました協会けんぽの財政問題については、現在協会けんぽ の運営委員会でも大変大きな問題としてとらえられております。特に一番財政悪化した大き な要因は保険料収入が相当下がっているということでありまして、先般の運営委員会では9 月の標準報酬の定時改定で、通年であれば9月のときには上がるはずなのですけれども、速 報値ですが、それが下がっているというデータが示されまして、もしそれが確定の数字とい うことになると、現在の見通しが更に悪化する再改定、再見直しをしなければいけなくなる ような財政状況になっております。大変厳しいところに来ていると思います。  それが保険給付費とか、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、そういったものの負担は そのまま来ているわけでございまして、そういう意味で保険料引き上げはある意味もう避け られないということなのですが、ただやはり家計の負担ということを考えると、今家計の消 費動向などを見ても非常に冷え込んでいると。こういうところに更に大きな家計負担を強い ることになると、世帯が中小企業で働いている人たちが圧倒的に多いという協会けんぽの実 態考えますと、余り過度な保険料負担を強いるということはできないだろうということで、 それを緩和するためにどういう手段が考えられるかということで現在検討しておりますが、 やはりまずは国庫補助率の今日の資料2では引き上げと書いてございますが、引き上げとい うことではなくて、後の文書にもありますけれども、今は暫定で当分の間ということでの附 則の国庫負担になっておりますが、これを国庫負担を本則に戻してほしいということを言っ ているわけで、特にこういう財政が逼迫しているときには、当然本則に戻した御負担という ことになってしかるべきというふうに思っていまして、これはお願いということではなくて、 当然そういうことがきちんといえる筋のものではないかと思っております。  それから、複数年度での対応ということについても、今回の景気の落ち込みというのは 100年に1度かどうかわかりませんけれども、非常に異常な事態の中で落ち込んでいるわけ ですから、これを単年度でバランスさせるということではなくて、一定の複数年度の中で収 支の均衡を考える必要があるのではないかということです。  それから、被用者保険内の費用負担、被用者保険内の財政調整は、これは対馬委員もちょ っと触れたところでございますが、前回の政管健保の時代に国庫負担の肩がわりということ で、健保組合や共済組合から財政支出というものは当時の前政権の政府与党から示されて、 それが廃案になったという経緯がございまして、この議論の経緯、要するに肩がわりすると。 本来国がやるべきことを被用者健保間で肩がわりするという考え方は1度廃案になってい るわけですから、それを蒸し返すような議論はすべきではないと思います。  ただ、後期高齢者医療の支援金の算定が現在は加入者人数での案分と。いわゆる頭割りに なっているわけですが、これを例えば標準報酬額に応じた案分方式への変更ということであ れば、これは1つの財政調整ともいえるわけでありまして、特にこの標準報酬の一般的に低 い協会けんぽにとっては、そういう部分で多少負担の調整になり得るということで、これは 後期高齢者制度を将来廃止するということが現在の政権の方針だと思いますが、それまでの 措置としても、この支援金の算定の変更ということは選択肢としてあり得るのではないかと いうふうに思っております。 ○糠谷議長 そのほかに、それでは岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 経済が厳しい状況の中で、国民みんなさまざまな支出を切り詰めているわけな のですけれども、やはり医療は切り詰めるわけにはいかないわけなので、収入は下がっても 支出は出ていくということで、保険料率一定ですと収入に見合って保険料の方は下がってい くのですけれども、そうすると赤字になるということですが、この状況の下でやはり医療費 削るわけにはいかないということを国民に理解していただいて、保険料は各制度、いずれも 上げていかざるを得ないのではないのかというふうに今も考えております。それが基本線で あって、その方針でまずは理解を求めるということが必要なのかなというふうに思います。  勿論その負担が増えるということで、家計は大変だということはあるのですけれども、医 療保険の方で景気対策をやるというのもなかなか難しい話でありますから、それは政府の別 のところでしっかり景気対策をやっていただくということで、医療保険の側はかかっている 医療費をまず確実に払って、しかもその財政が、各制度が行き詰まらないようにするという ことで考えていくのでいいのではないかというふうに思います。  考えられる選択肢は勿論それぞれごもっともな面もありますが、ただ最初の国庫補助率の 引き上げに関しましては、来年度の予算編成の状況を見ますと、もう事項要求になっている ものが入るという可能性は極めて低いように思いますので、この部会でこういう意見を出す というのはいいと思いますけれども、実現可能性は極めて低いという認識の下でやはり運営 していかなければいけないのかなというふうに思います。  3番目の方の費用負担のあり方の見直しは既に御意見も出ていまして、私も基本的なライ ンは同じなのですけれども、たまたまその後ろの方に高齢者医療制度に関する検討会の資料 が出ていまして、私この検討会のメンバーだったのですけれども、どこかの財政の国庫補助 のつけ回しをするためにこういうことをするということではなくて、この考え方自体は各制 度によって、その保険料率なりこの費用負担の比率なりが違うということが、やはりその公 平性を欠いて納得は得られにくいのではないのかという面から、これはその財政状況がどう であれ、よいときであれ、悪いときであれ、やらなければいけない課題として書かれている ものなので、今回前の国庫補助の肩がわりのときに出されたようなのと同じような理屈づけ でこういうのを使うのではなくて、これはこれの制度を手直しするという目的で取り組むべ き課題だということを申し上げたいと思います。  以上です。 ○糠谷議長 斉藤委員の参考人の方ですね、どうぞ。 ○藤原参考人 藤原でございます。ありがとうございます。  協会けんぽさんのこの収支を見ますと、保険料収入の落ち込みも確かにそうなのですけれ ども、やはり前期高齢者納付金、それから後期高齢者の拠出金というのが20年度2兆2,500 億、21年度2兆6,000億、22年度2兆6,700億と、これはどんどん増えていくという状況に なっています。特に21年度、非常に大きく上がっているということもこの財政収支の悪化 に大きく貢献したのではないか。貢献というか、影響したのではないかというふうに思いま す。  したがいまして、先ほどの岩本先生のお話はもっともではございますけれども、やはり高 齢者医療制度とこの負担のあり方、拠出の仕方というのは、やはりセットで議論すべきとい うのが私どもの考え方でございます。  以上でございます。 ○糠谷議長 ほかに御意見等ございますでしょうか。  もし特にほかに御意見等ございませんでしたら、本日のところはこの議題はこれまでとい うことにさせていただきたいと思います。  よろしければ、それでは次の議題に入らせていただきたいと思います。  次の議題は、平成22年度診療報酬改定に向けた検討についてでございます。前回は基本 方針に盛り込むべき基本的な視点、救急、産科等の体制強化、勤務医の負担軽減等について 重点的に御議論をいただきましたが、基本方針策定までの時間も限られており、次回にはと りまとめの案を提示をしたいというふうに考えております。そういう意味で、今回は論点に なり得ると考えられる事項について、可能な限り出していただくように事務局にお願いをし ております。  また、本日は後期高齢者の診療報酬についても御議論をいただくこととしておりますが、 後期高齢者医療制度については新たな制度のあり方について、別途検討の場を設けて議論が 行われることになりましたので、あわせて御説明をお願いしたいと思います。  それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。多くの委員にできる限り御発言を いただくため、説明は簡潔にお願いしたいと思います。  それでは、事務局お願いします。 ○佐藤課長 診療報酬と申しますか、医療課関連の資料は資料の3から5まで、それから参 考資料で申しますと参考資料の4から8まで、これが医療課関連と申しますか、中医協関連 の資料となっております。  今日は新任の方もおられますので、簡単に過去の経緯に触れておきますが、まず参考資料 の6からごらんください。参考資料の6が第32回と33回の社会保障審議会の医療保険部会 におけます各委員の発言の要旨でございまして、テーマごとに再整理、再構築をして、それ ぞれごとに日付と、それから御発言された委員のお名前を書いております。  それから、参考資料の7の方は、今度はお間違いのないようにお願いしますが、医療部会 の方でございまして、第8回と第9回目の医療部会の方の各委員の発言要旨でございまして、 これもおおむね同じような構造で発言者のお名前と発言の時期を再構築をしたものでござ います。  そういう意味で、医療保険部会、医療部会とも既にもう2回開催をして、診療報酬に関す る議論ということでは3回目になります。そこで、今日、資料3、4で準備をいたしました ものは、今の参考資料であった発言をもう一回再整理をして再構築をして、骨子のような形 で御提示をしているということになります。  まず、資料の3の方から説明いたします。資料の3は、改定にかかわる視点、方向性とい う中で、どういうところを重点的にやっていくかということになります。1ページ目にあり ますように、基本認識重点課題というところで、(1)から(5)まで書いております。まず、重点 的な課題ですけれども、(2)のゴシックと下線で引きましたけれども、恐らく平成22年度の 診療報酬改定においても、救急や産科、小児、外科等の医療の再建や病院勤務医の負担の軽 減ということが改定の重点課題になるのでしょうということが書いております。  それから、(3)でございますけれども、これまでも補助金の問題等々御発言がありましたけ れども、改定に当たっては、地域特性の配慮や使途の特定といった補助金の役割との分担に ついても十分に踏まえるべきであったという意見があったと記憶しております。  それから、その場合の基本的な方向ですけれども、イとしまして、地域医療が危機的な状 況にある中、やはり医療費の配分の見直しではなくて、医療費の底上げを行うことにより対 応すべきだという意見がある一方で、冒頭にも意見がありましたけれども、保険財政が極め て厳しいという状況の中で、医療費全体を引き上げる状況にはないのだと。したがって、限 られた財源の中で医療費の配分の大幅な見直しを行うことにより対応すべきだという意見 があったところです。このような中で、次期診療報酬改定の基本的な方向についてどのよう にやるべきか御議論いただきたいと思っております。  なお、これに関連しまして、実は去る11日にございました行政刷新会議のワーキンググ ループの模様についても御報告させていただきます。この件につきましては、冒頭足立政務 官からもお話がありましたが、繰り返しも含めて事務局からの説明でございます。ここでは 診療報酬や薬価、それから入院時の食費、居住費等について議論が行われました。私どもの 承知するところでは、この議論につきましては今後行政刷新会議の本会議というところに報 告をされまして、恐らくは最終的な意見がとりまとめられるものだろうと承知しております。 また、恐らくは来年度の予算編成の過程においても考慮がされるものだろうというふうに思 います。  ワーキンググループの状況ですけれども、新聞等でも御存じかとは思いますが、かいつま んで申しますと、まず診療報酬について、ワーキンググループの結論を申しますと病院と診 療所の診療報酬の配分を見直すべきだということが1点。  それから、2点目としまして、収入が高い診療科の診療報酬の配分を見直すべきと。ここ では、診療所を念頭に置いてこういうとりまとめが行われる。  それから、医薬品でございますけれども、同様に結論としましては、まず1つ目が後発品 のある先発品の薬価については、これを引き下げるべきだと。ただし、引き下げの方向につ いては今後議論するべきと。一方、市販品類似薬、市販でも売っているような薬について保 険収載されているわけですけれども、こういうものについては保険給付の対象外とすべきだ と。ただし、具体的に何を対象外とするのか、その範囲については今後議論が必要というと りまとめがなされました。  また、薬価と関連する部分として、保険医療材料ですが、これについても内外価格差の見 直しをしていくべきだという意見でした。  それから、診療報酬の項目とは直接関係しない部分ですが、入院の際の食費あるいは居住 費については、一般病床における入院も食材料費のみでなく、調理コストも負担すべきとい う意見がありましたし、これを踏まえてワーキンググループの結論としては見直しを行うべ きという形でとりまとめられました。  また、これもやはり中医協や診療報酬の議論とは直接関係しませんけれども、審査支払機 関のあり方などについても議論が行われたところです。繰り返しになりますが、このワーキ ンググループの結果は恐らく行政刷新会議の本会議で報告、議論されまして、予算編成の過 程で検討はされていくことになると思いますので、御紹介いたします。  もう一度、資料3の今度は2ページ目に戻りますけれども、2ページ目が今の重点的課題 につながる視点ということであります。どういう視点で改定を行っていくべきかということ ですが、先ほど重点的課題といたしました救急、産科は勿論のこととして、充実が求められ る領域というものを適切に評価していく視点が重要だろうということでございます。  一方で、医療というのは単に提供をするというだけではなくて、国民や患者さんのニーズ あるいは要求の水準というものが変化しておりますので、そうしたことも踏まえていく。例 えば患者から見てわかりやすく納得できて、しかも安心、安全で生活の質にも配慮した医療 を実現する視点ということがやはり入るべきだろうと思われます。また、在宅やあるいは在 宅における質の高い医療ということも言われておりますので、介護も含めて機能分化と連携 が重要でございましょう。そうした中で、こういう連携を通じて質が高くて効率的な医療を 実現する視点が視点の1つになるのではないかと思われます。  また一方で、先ほどの刷新会議の後発医薬品の話ではありませんけれども、効率化の余地 があると思われる領域もあるでしょうから、そうしたところを適正化する視点というところ が述べられております。  資料の4に入ります。ここでは、適宜参考資料の4や5をごらんになりながらということ になると思います。これまで出ました意見をもとに構築してみると、こういうような視点と 方向になるだろうということです。資料4ですが、重点課題関係では救急、産科、小児、外 科等の医療の再建ということで、(1)から(5)まで、すべてを読み上げることはしませんけれど も、有床診療所も含めた地域連携による救急患者の受け入れ、小児や妊産婦等を含めた救急 患者を受け入れる医療機関に対する評価など5つが並んでおります。  また、病院勤務医の負担軽減策ということで、コメディカルとの共働、ともに働く共働み たいなものを含めたものあるいは医療クラークの配置の促進などによる医師の業務、本来行 うべき業務を少なくしてあげる取り組み、こういったことの評価ではないかと思います。  それから、重点は重点としまして、4つの視点ということで、1つ目は充実が求められる 領域を適切に評価していく視点ということで、精神科、歯科医療、それからイノベーション の評価というのが意見としては上がってまいりました。  それから、1ページの下の方に米印をつけておりますが、これ実はこれまでの医療部会、 医療保険部会の意見の中ではありませんでしたけれども、社会的な要請や社会的な御意見 等々を踏まえると、次のようなポイントが残っているように思いますということで、丸で4 つ書いております。がん医療、認知症に関するもの、それから次のページで新型インフルエ ンザ等感染症対策、そして肝炎対策、この4つについては御議論はいただいていないのです が、恐らく社会的な要請から考えると非常に重要だろうと思われます。  それから、2ページの(2)ですけれども、安心、安全、生活の質ということで、医療の 透明化、わかりやすさということ、それから医療安全対策とつながります。  それから、先ほどの説明にもありましたように、医療と介護の機能分化や連携という部分 です。この中には回復期リハビリテーションのように、リハビリテーションなどの機能の強 化という部分もあります。  それから、在宅ものと言われます在宅医療あるいは在宅歯科医療の推進というものもあり ます。  それから、一部重複をいたしますが、医療職種間の連携の推進というものが重要だと思わ れます。  (4)はもう見ていただいたとおりですけれども、医薬品や医療材料にかかわる市場実勢 価格の反映あるいは内外価格差の是正あるいは後発医薬品の使用促進といったようなのが 重要になるのではないかと思われます。  先ほども申しましたように、参考資料の4は、恐らく重要と思われますけれども、これま で必ずしも十分には御議論いただかなかったような領域について、今日はもう御説明はいた しませんけれども、精神保健が1ページから4ページまで、がん対策が5ページから6ペー ジ、認知症が7ページから8ページ、肝炎が9ページ、未承認薬が10ページということで 資料をつけております。  それから、今度は資料の5をお開きください。実は後期高齢者医療制度、後ほど高齢者医 療課長からも御説明いたしますが、後期高齢者医療制度そのものについても一定の見直しを するという方向性が示されておりますけれども、そうした中で御記憶かと思いますけれども、 資料5の(3)にありますように、この制度の創設に伴いまして、高齢者の診療報酬のあり方に ついても御検討をいただきまして、後期高齢者診療料を創設するなど、後期高齢者にある程 度焦点を絞りました診療報酬の項目というものを設定をいたしました。しかしながら、(4)に ございますように、年齢による差別ではないかあるいは必要な医療が受けられなくなるので はないかというふうな指摘を受けたところでございます。  また、中医協の中に検証部会という部会を設けまして、先般の診療報酬の項目を検討しま したときにも、検証部会の中では後期高齢者診療料の活用が必ずしも進んでいないという実 態も明らかになりました。  このような中で、6に書きましたように75歳以上という年齢に着目した診療報酬の体系 につきましては、先般の長妻大臣の国会答弁にもありましたように、後期高齢者医療制度本 体の見直し、後ほど高齢者医療課長が御説明すると思いますが、後期高齢者医療制度本体の 見直しに先行して、次期改定において廃止をすることとした上で対応したいと考えておりま すので、この点について御議論いただきたいと考えております。  なお、廃止と申しましても、幾つかのやり方があろうかと思いまして、具体的には中医協 で御議論いただきますが、完全にその項目を廃止してしまうというのもありましょうし、年 齢による区分、年齢にのみ着目をして、年齢で区分をして、そして診療報酬を設定するとい うのではなくて、むしろ若年層にも広げるという形もありましょうし、また項目そのものの 要件や中身というものをもう少し大胆に変えてしまうという意味での廃止もありましょう が、幾つかのパターンがありますが、いずれにしても現行のような姿での診療報酬体系につ いては廃止をするという方向で、中医協においても議論したいと思っております。それで、 医療課の方からは以上でございます。  失礼しました。参考資料の5がありますので、せっかくの機会ですから御紹介をさせてい ただきます。参考資料の5の1ページ目から2ページ目をお開きいただきたいのですが、先 ほども申しましたように、後期高齢者医療制度に関連して、年齢に着目をして設定をした診 療報酬というのは、ここにごらんいただけますように都合17項目ございます。そして、3 ページ目以降にそれぞれの点数についての概要をお示ししておりますのでごらんいただけ ればと存じます。  私の方からは以上でございます。 ○吉岡課長 続きまして、資料の6でございます。高齢者医療課長でございます。  資料6につきましては、先日6日の日に決定、発表させていただいた資料です。趣旨にご ざいますように、現内閣といたしましては、この後期高齢者医療制度を廃止をするというこ とで、その廃止後の新たな制度の具体的なあり方についての検討を行うために、厚労大臣主 宰によります高齢者医療制度改革会議というものを開催することにしたところであります。  御参集いただく方々でございますが、資料にあります19人の方々でございます。直接関 係する団体から9名の方々、それから現在の後期高齢者医療制度、高齢者の方々の意見を聞 かなかったことが問題だという御指摘をいただいておりますので、高齢者の代表の方4人、 それから有識者の方6人ということで御議論いただくことにしております。  また、この会議の開催にあわせまして、3にございます検討に当たっての基本的な考え方 というものを公表させていただいております。後期高齢者医療制度を廃止するということ。 それから、マニフェストの中で、地域保険としての一元的な運用を図るということを将来的 な方向性として掲げておりますので、その第1段階として高齢者のための制度を構築すると いうこと。それから、年齢で区分するという問題を解消する制度とする。また、市町村国保 などの負担増に十分配慮する。それから、高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なもの にならないようにする。更には市町村国保の広域化につながる見直しを行うという、以上6 原則をもとに御議論をいただくということにしているところであります。  大臣が国会でも申しておりますように、1期4年の中で新しい制度に移行するという、そ うした前提の下でこれから議論をしていただくことにしております。今後、会議の議論の進 捗に応じまして、この医療保険部会にも御報告をさせていただきたいと考えておりますので、 よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○糠谷議長 御説明はそれでいいですか。  それでは、御意見のおありの方どうぞ。  それでは、大谷委員。 ○大谷委員 私は患者なのですけれども、今までの、今回が初めてですのでこれから勉強さ せていただくことが多々あるのですけれども、患者の視点に立った話ではないなと最初に直 感いたしました。がん医療の推進ということも掲げておられますし、また患者から見てわか りやすく納得でき、安心、安全で生活の質にも配慮した医療を実現するというふうにいって いただいていますが、今日の新聞ですが、今日、皆様にお手元にお配りいたしました、カラ ーで刷ってまいりました。けさの毎日新聞にこういうものが出ました。もう当初から心配を しておりまして、今年の7月に、舛添前大臣のときに、いずれこういうことが、この殺人ま ではちょっと予想はしておりませんでしたけれども、薬代が払えなくて、いずれ静かなる自 殺が始まるだろうと予想しておりました。殺害が起こってしまいました。  少しでも医療費の軽減をしていただくために署名を集めたのです。私たちの署名の目的は、 例えば新聞の横にも書いてありますけれども、自己負担が月1万円以内で済む特定疾病、後 期長期疾病は人工透析をしている慢性腎不全、血友病、一部のここでHIVなどの方々の3 つしかなく、選ばれる線引きも不透明だと書いてありますが、これを要請をしておりました。 本当にこれだけの金額のお金を払える人たちがなかなかなくて、困っております。  これは白血病に限っていっておりましてこれでして、ほかのがんの人たちも大変苦しんで いるというふうに聞いております。白血病に関しても、私がたまたま今回全国骨髄バンク推 進連絡協議会ということで、肩書を持ってここに参りましたので、今回に関しましては白血 病に関して一言言わせていただこうと思って、原稿を持ってまいりました。ついでに骨髄バ ンクでしか、移植でしか助からない命がある中で、そこにも書いておりますように、モデル ケースなのですけれども、提供者の方を4人検査し、移植が成立した場合の費用が1人18 万9,000円かかります。例えば極端な話で、32人提供者の可能性の方が見つかりました。ど んどん、どんどん検査していくのですけれども、どの方も提供に至りませんで、金額的には 莫大なお支払いをされて、それでいて残念ながらそのチャンスに恵まれなかったという方を 知っています。残るは費用負担だけで、御遺族の方は大変な思いをされました。  今日はたまたま今朝この事件も起こりましたし、骨髄バンクのことも皆さんに御存じして いただければと思って持ってまいりました。是非患者さんの負担軽減に関して、1項目入れ ていただきまして、このがん治療に対して、白血病並び例えば乳がん、子宮がん、卵巣がん、 さまざまな胃がん、肺がんいろいろありますけれども、そんな患者さんたちの負担軽減を1 つの提言の中に盛り込んでいただけるよう御議論いただきたいと願っております。 ○糠谷議長 ほかに。  それでは説明ですね。どうぞ。 ○吉田議長 保険課長でございます。今の医院からの御提案につきましては、まさにこの部 会において御議論をいただくべくというふうに思いますが、御議論いただく前提としての事 実関係、若干御説明だけさせていただきます。  2つございます。2つ目の骨髄バンクについて、ここに今日資料をいただいたことにつき ましては、これはこの問題として御議論いただくべきものかというふうに思います。  1つ目の薬代が高いことによるこのような、この新聞を拝見する限り痛ましい事件だとい うふうに個人的には思いますけれども、このような事案をどう取り上げるかということにつ いてでございます。  医療保険制度そのもの、御案内のように一定の患者負担が月額、私どもから言えば8万円 余がふえた、該当した場合には高額療養という仕組みございますし、それが複数回、多数回 の該当、1年間で4回という該当に当たった場合には、その負担額を軽減するなどなど、こ れまでのいろいろの仕組みは設けてございます。個別に患者さんの負担がどのように発生し ているのかということについては多々ございますので、その辺り丁寧に見ていかなければな らないかと思いますけれども、この高額療養制度につきましては、これまでも今回の政権の マニフェストにもございますように、長期的に長くかかっている方についての負担を軽減す るという趣旨でありますので、今後どのような形で負担が生じているのかというその負担の 水準でございますとか、あるいはどのように軽減を対象するのか。ここでグリベックという 薬から1つの患者さんの増が御指摘いただいているところでございますが、いろいろな形で これまでも患者さんの負担について御主張を伺っておりますので、その辺りをどのように整 理をしていくのかということも含めて、頭の体操、議論をしていただかなければならないか なというふうに思っております。  いずれにいたしましても、負担の現状あるいは医療保険財政と。これは給付ということは 負担がついてまいりますので、その負担をどのように考えるかということもあわせて御議論 をいただければというふうに思いますし、また事務局の方に御提案いただければ、事務局と しても並行して政務三役の方の御指示をいただきながら議論をしてまいりたいというふう に思っております。 ○糠谷議長 それでは、藤原委員。 ○藤原委員 2点ほど意見を述べさせていただきます。  まず、この基本認識、重点課題等のところでの(2)でございますけれども、これは視点の1 つとして大きなポイントだという認識は持っておりますけれども、ただここにはもっと多角 的、複眼的な視点が今後必要ではないかなと考えております。といいますのも、過去の改定 で、これはそれなりの評価をされてきました。しかし、それにもかかわらず実際に医師の不 足、医師の地域偏在であるとか、あるいは科の偏在、そういったことは解消できていないと いう認識を持っております。また、20年度の改定結果検証部会でも調査が行われましたけ れども、病院勤務医の負担軽減につながっているかどうかという点においてもやはり明確な ものは出ていなかったというふうに認識しております。  そこで、平成15年の3月28日に健康保険法の一部改正がございまして、これは閣議決定 されたものですけれども、このときに医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針 というのが示されましたが、その中で医療技術の適正の評価、つまりドクターフィー的要素 という考え方がはっきり示されたわけですけれども、この基本方針に基づいて今後の方向性 をもっと考えていくべきではないのかなという思いを持っております。といいますのも、ド クターフィーのない我が国において、この医師の技術料アップという思いで診療報酬を上げ ても勤務医にそれがそれなりに還元されていないというところがあります。ドクターフィー そのものは日本では制度的に困難ですが、ドクターフィー的な要素、これを勘案したものを もう少し打ち出せないのか。そうしたら、今の申し上げました科の偏在あるいは地域偏在な どを是正できる一つの手段となる、つまり勤務医自身にもこういった対応は効いてくるとい うことも考えられるかと思います。勿論ここは本当に慎重な議論が必要なところだと思いま す。今回の改定には恐らく間に合わないだろうと思います。しかしながら、コスト分科会調 査等でもそれなりの調査も出ておりますし、精緻なものができてきつつあるのではないかな と。この日本においてもそういうものが出てきつつあるというふうに思っておりますので、 今後是非とも検討していただきたいなと思っております。  それから、(4)のことでございますけれども、先ほど足立政務官も言われましたけれども、 医療費の配分の件、これは事業仕分けの中でも出てまいりました。この件は毎度のように出 てくるのですけれども、前回もこのことが問題になりまして、外来管理加算を通じての想定 外の見直しが行われました。病院勤務医と診療所の院長といいますか、法人診療所の院長の 給与の差というのは資料では1.7倍程度と出ておりますけれども、これが本当に適切なのか どうか。適切でないとしたら、どの程度が適切なのか、そこのところをもう少し我々にも納 得できる形にしていただきたいなと思っております。実際に法人診療所の経営者ということ になりますと、経営としてのリスクも伴います。また、管理責任もあるわけであります。そ して、病院のように通常かわりの医師はおりませんから、交代もできないというような状況 にあります。  それから、この給与の比較の中で問題となるのは、病院勤務医と開業医の年齢差について も十分な考慮がされずに比較されていると。最近私共の調査で新規開業医の方々の開業の年 齢を見てみますと、41.3歳でありました。病院勤務医を経過して多くは開業医になっており、 その診療所開設者の平均年齢は59,4歳で、それなりに給与の問題もそこには反映されてし かるべきかなと。だから、単純に比較はできないのではないかというふうに思っております。 退職金の積立もはっきり言えばあてのない話であります。  それから、よく労働時間が問題にされますけれども、日本医師会の2007年10月の調査で は、40歳以上では診療所医師のほうがいずれも長いという結果です。勤務、労働時間です けれども、確かに病院勤務医の過重労働が指摘されておりますけれども、診療所医師の労働 時間も同じぐらいか、むしろ長いような、調査ではそういう結果ができているということも 承知していただきたいと思います。その中身といいますのは、診療時間だけではなくて、開 業医は地域医療の活動、例えば学校医であるとか園医であるとか、あるいは産業医、平日に は夜間診療所当番で出ていったり、あるいは介護保険の審査会等々行っているわけでありま す。そういったことを勘案しますと、それほどその差はないのではないかというふうな認識 を持っております。また、病院の勤務医の先生方の給与についても、他職種に比較したら少 ないというふうに思っております。  もう一点、日本医師会としてTKCの医業経営指標について申し述べたいと思いますが、 TKCというのは御承知の方も多いと思いますけれども、TKC全国会というのがありまし て、会員約1万1,000名で、税理士、公認会計士のネットワークで、会計士等も利用して集 積した関与先の財務データを公表しております。そのデータによりますと、民間病院781 施設、民間診療所3,705施設を対象にして計算したところ、2008年度の損益分岐点比率は病 院が94.4%、診療所が95%でありました。言いたいのは病院だけでなく、小回りの効く診 療所も今は非常に危機的な状況にあるということであります。  特に昨今問題となるのは、人口減少地域の医療が崩壊してきているということであります。 開業医、特に若い医師が地域に帰れない。これは安定的経営ができないことが1つの大きな 要因になっていると思います。身近なところで医療が受けられない、これが地域の人たちと しては医療崩壊として映るということは十分考えられるところであります。  ちなみに一般診療所の増加率、これは無床・有床をあわせたものですが、これをちょっと 見てみますと、最近は著しく減ってきているという状況にあります。結論的に言いますと配 分の見直しというのではなくて、適正な評価を、全体の底上げをお願いしたいというふうに 考えております。  以上です。 ○糠谷議長 どうぞ。 ○高原委員 その無償診療所の開業医の高原でございます。  まず、マスコミの方と厚労省の方にもお願いしたいんですけれども、開業医で勤務医を経 験していない開業医いないのです。私も20年ぐらいしてからやってきています。勤務医の やはりきつさもわかっているし、逆に開業医になった方が楽になるかというと、そうでもな いというふうな形もよくわかっています。ただただ年収だけの対立軸だけで文句を言うと、 今度は藤原先生がおっしゃったように、勤務医だけではなくて、開業医も恐らく立ち去り、 もう夜出てこない。そんなだったらもうだれも来ませんというような形にもなるかもしれま せん。  逆に、今うちの医師会では、例えば小児科の基幹病院のドクターがバーンアウトしました ので、そこの病院の中に近くの開業医が全員入っていって、小児科の医療を開業医と勤務医 と、そしてそこの病院と行政と一緒に助け合っているという、そういうふうな形をとってい るわけです。だから、余りにもその開業医と勤務医の、それのお金だけで差を見るのはちょ っとよしてほしいと思います。とりあえずここだけです。  それから、あと2点あります。後発品の使用のことに関してですけれども、実際のところ 私ら開業医の2世代目ですので、初めにおやじから引き継いだときにはこんな薬使っていい のかな、よくわからんなという薬がいっぱいあったわけです。ところが、一旦使ってみます と、当時は院内処方でしたので、やはり自分たちの購入でもお金がかかると。御存じのよう に購入するときは消費税がかかります。しかし、出す時には消費税が取れません。薬の医薬 品だけでございます。そういうようなことがありまして、やはりこちらも一番お金がかから なく、そして患者さんにもお金が余りかからないと。そして、ほぼ有効ならそれでいいだろ うという形で、ジェネリックを個人的にはよく使っております。でも、やはりほかの状況と か、いろんな状況で信頼できないという先生もいらっしゃることも確かです。そうしたらど うしたらいいかというと、もうジェネリックやめてしまえばいいのですよ。先発品をそのま まいって、10年経ったら先発品ぽんと下げて、ジェネリック必要なくて、ジェネリックの 今の値段ぐらいに先発品を下げたらどうかとか、いつも二重の問題であります。名前も患者 さんたちにわかりにくいです、2つ薬があると。3つ、4つですけれども。ここら辺のこと は、昔、京大の学生に言ったことありますけれども、そのときは開業医の方から言ってくれ と言われました。ジェネリック、後発品使えというよりも、先発を後発品に変えるような形 で、もう値段の体系を変えたらどうかと思います。  あと一丁忘れましたので、また後から申し上げます。  以上です。 ○糠谷議長 それでは、事務局何かありますか。どうぞ。 ○伊藤課長 失礼いたします。医療課の保険医療企画調査室長でございます。  先ほど藤原委員等から医師の給与についての御指摘がございましたので、関連資料がござ いますのでちょっと御紹介をさせていただきます。本日お配りしております資料の中に参考 資料の8というのがございまして、これは中医協の調査でございますけれども、医療経済実 態調査というのがございます。この中に医療機関等調査というのがございまして、これに関 連した数値ということであろうかと思います。  今の御発言に関連しましては、2点ほど事務局の方から指摘をさせていただきたいと思い ますが、まず1点目としまして、この医療経済実態調査につきましては、中医協の調査とい うことで、先般も中医協に報告しておりますが、これはあくまでも医療機関の経営状態を見 るということが大きな目的でございます。診療報酬というのは、あくまでも医師個人ではな くて、医療機関に支払われるものでございますので、その診療報酬の受け手としての医療機 関の平均的な経営実態を見るということが主でございます。  したがいまして、お手元の資料の御説明はいたしませんけれども、例えば1枚おめくりい ただきまして、2ページ以降のところでも一般病院あるいは一般診療所等々につきまして、 その収支状況を見ているということでございまして、中医協ではこの点を中心に御報告をさ せていただいております。  ただいま御指摘のありました給与につきましては、これは前回の調査から参考数値という ことでとっておりまして、具体的にはこの参考資料の8の11ページから一般病院、それか ら診療所等々につきまして、それぞれの各職種の平均給与というものをとっております。た だ、ただいまも御指摘がありましたように、給与の比較ということには当然年齢の差という こともございますし、それから従来一般診療所のうち個人の診療所につきましては、収支差 をもってこの開設者の給与というような報道がなされがちであったということもありまし て、実は先般の刷新会議でも、そういった報道に基づいた給与の問題に集中したような議論 がございましたので、その点につきましては、私の方から客観的なデータとして給与の比較 には年齢が必要であるということ、それから個人診療所の収支差についての内訳というもの についての考え方の御説明をさせていただいております。  したがいまして、厚生労働省としてはあくまでも医療経済実態調査というのは医療機関の 収支状況を見るというのが主目的で、給与というのはあくまでも参考数値と考えております が、報道等では給与の問題が取り上げられるので、ややそういった誤解を生んでいるのでは ないかというふうに思っています。  以上でございます。 ○糠谷議長 それでは、補足ですか。 ○磯部管理官 薬剤管理官でございますが、ジェネリックの御意見もございましたので、少 し事実関係を御説明したいと思うのですが、まさしく高原先生の御指摘については、後ほど 中医協でも平成11年ごろにまさしく先発品、特許が切れた後の先発医薬品と後発医薬品を 同じ額にしてはどうかということで、もう大激論を実はやってきております。その中では、 結局先発医薬品と後発医薬品、どうもいろいろ役割が違うと。ただやはり先発医薬品、先発 医薬メーカーについては、特に情報提供をかなりしっかりやって、そういう体制を結局はM Rをどれだけ置くかというような話になっていくわけでございますけれども、そういう体制、 本省の体制、そういうものをきちっとやって、いわゆる成分のセーフティーマネジャーとし ての役割をきちっとやることによって成り立っていくのだということで、なかなか同じ価格 にできないということで、もうさんざんぱら議論をした結果、同じ価格にはできないけれど も、先発医薬品をもう少し下げられないかということで、特例引き下げというルールができ たのが経過でございます。  先般の行政刷新会議におきましても、まさしく先生がおっしゃったような論点での議論を いたしまして、その中ではいわゆる先発医薬品を下げていったらいいのか、それともジェネ リックの推進をしていったらいいのか、どっちがいいのだろうかといういろいろ議論をしま したけれども、結論的にはなかなか両方決め切れなかったというのが行政刷新会議でもそう いう形でございます。  実は諸外国を見てまいりますと、どの国も欧米の先進諸国すべてでございますが、やはり ジェネリックの方がどうしても安くできると。いわゆるジェネリックメーカーの方のコスト 構造を見ますと、ほぼ生産に特化したメーカーもございますので、先発メーカーの場合、ど うしても新薬創生というのがメインでございますので、そのための人員ですとか、給与ベー スもかなり違ってくるということもございますので、ジェネリックメーカーの方がかなり安 くつくれるということもございまして、特許が切れた後はかなりドラスティックにジェネリ ックに置き換わっていくというのがアメリカでもあり、ヨーロッパの多くの国がそういう状 況でございます。  そんなことも踏まえていきますと、日本でも先発医薬品がそもそも下がっていないかどう かということも御議論がありましたので、中医協と私どもいろいろ調べまして、諸外国との 引き下げ率もいろいろ検証いたしましたけれども、日本は欧米と比べても先発医薬品につい ては後発値段が大きく下がっているという状況などもございまして、そういう状況を見ます と、私どもとしてはジェネリックへの置き換えを進めていく政策が基本的には大事ではない かというふうに思っておるところでございます。 ○糠谷議長 それでは、ほかに。  樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 診療報酬改定の視点等と方向について、いろいろよくおまとめくださいまして ありがとうございました。  この点に関してなのですけれども、私は夏から加えていただきました。まだ3回目か4回 目の新米でございます。ですから、とんちんかんなことを申し上げるかもしれませんけれど も、最初に伺いましたときに、このテーマについてやはり何か委員さんの中でも飛び交って いる意見がというか、主流を占めているのが選択と集中という言葉に代表されるような御意 見が多かったと思っております。この言葉について、概念提起とかそういうことがどういう ことなのかよくわかりませんけれども、私はやはり医療、特にこれからの高齢社会における 入り口と出口というのはどうしても地域中心になります。地域から産科、小児科が消えてい く状況で、何が子育て支援か、少子化対策かと思いますし、高齢者にとっては地域の医療が どこにいても保障されなければいけないと思いますし、その意味で私はあえて乱暴な言葉だ と思いましたけれども、何回目かのときに選択と集中、これも1つの理念としてわかると。 だとしたら、もう一つこの社会保障、医療などについては、分散と公平というキーワードが あってしかるべきではないかと申し上げました。  それで、2、3回の議論のうちに今日見ましたら、医療部会の方でも、いつでも医療が得 られるというところに、どこでもという言葉を入れてほしいという委員さんの言葉がござい まして、おお、これはだんだん、分散というのは悪い意味での分散ではございませんで、ど こにいても一定の日本国民として、一定程度の適切な医療が受けられるという意味で言って いるわけでございまして、そうするとやはり2年として選択と集中、これもよくわかります。 ただただばらまくだけでお金をいい金という議論がよくわかりますし、それから効率という のも確かにそのとおりだと思いますけれども、日本でやはり日本国民として医療を受ける公 平と分散という言葉をもうちょっと何と言ったらいいでしょうか、地域適正配分と言った方 がいいのかもしれませんけれども、そういうこととのバランスをいつの間にかこの言葉が抜 けてしまっていますけれども、どっちの方向へこの政権といいましょうか、この審議会の報 酬改定の方向性としては、この2つの間にバランスをとれと。言わず語らずでバランスをと れとおっしゃるのでありましょうか。これは質問です。  それから2番目、私は患者というか利用者、普通の市民の立場でございますけれども、家 族に勤務医がおりますので、確かにもうちょっと給料上げてくれないかなと思っている1人、 ハードであり、そう思っている1人ではございますけれども、昨今の議論が開業医か勤務医 かとなっているようなのは、これはむしろ利用者、患者としていかがなものかと思っており ます。確かに日本は病院の在院日数が長い。ですから、できるだけ早く、欧米並みに早く退 院させよう、それもよくわかります。私などはもうつい最近でございますけれども、物すご い大手術して、昔だったら2か月ぐらい置いてくれたらしいのですけれども、なんと23日 目にもう青竹持って追い出されんばかりに退院させられまして、今に至っているのです。し かし、そうなったときに、私はまだほかの点が元気ですし、家族がおりますからよろしゅう ございますけれども、早く退院させるのはいいのですよ。それは病院というのはすごくお金 かかりますから。でも、やはり在宅の医療をしてくれるかかりつけ医といいましょうか、地 域の受け皿となる医療がなかったら、特に高齢者なんかやっていけないです。  ですから、そういう意味でこの3番目の論点に、これは私なども介護との連携をと申し上 げたことが少し取り入れていただいたのかと思いますけれども、3番目の重点に医療と介護 の機能分化と連携の推進等を通じてと書いていただいたことはとてもうれしいと思うので すけれども、特に多田富雄先生がもうリハビリテーションの期間の短縮について、げんげん せつせつの御文章というべき抗議をなさっていらっしゃいましたけれども、私も心臓リハビ リを受けまして、もう打ち切られまして、まだやりたいのに残念だったなと思いましたけれ ども、でも介護保険の要支援にひっかかりまして、受け継いでくれるのですけれども、その 間が余りにも断絶しているのです。何というか、話し合いもほとんどないし、医療と介護認 定とが非常に何か離れていて、どうぞこういうことの連続性、特に重点課題3のところに立 ちまして、是非リハビリテーションの連続性、その他を御議論いただきたいと思います。  最後でございます。この診療報酬の改定の中に、一般論、多数派でくくれる一般論と、そ れから今骨髄バンクの委員の方のお話聞いていてつくづく思ったのですけれども、やはりう っかりすると漏れていく少数派の問題と、これは是非バランスをとって、大勢は多数派でい いのですけれども、しかし少数派の方の悩みをこぼれないようにやっていただきたいなと思 っております。  以上です。 ○糠谷議長 事務局特別に何かということはありませんですね。 ○樋口委員 特に、要望でございます。 ○糠谷議長 それでは、どうぞ。 ○和田委員 では、私の方がどうも一般的なお話になるかと思いますので。  今までのお話伺っていて、今、樋口先生とか大谷さんとかおっしゃったことなんかは本当 に必要なことだと思うのですけれども、しかしまた同時に先立つものをどうするのかという のが先ほどの協会けんぽとか、保険の側の財政状況を見ますと、こちらを何とか考えないと 無尽蔵にあるというわけではないということなので、そこで今日の資料の視点等、基本認識、 重点課題等のそこの(4)のイとロという両論が書かれているわけです。これは総額を増やして いくというようなお話と、それから見直しをしていくという2つですけれども、もう一回ち ょっと考えますと、これは恐らく対立することではなくて、両方が恐らく相乗効果を持たせ るということが必要ではないのかと。  つまり、やはりある程度限られた先ほどのような状況の中で、パイをどう大きくしていく かという議論、これはもうどうしても考えざるを得ないと。そうすると、国民の側にも一定 の応分の負担をしていただくということは、これ持ち出さざるを得ませんし、それから国か らの補助というふうなことも、これもやはり実現性はどうかともかく、それはやはり必須の ことに、手厚いことをしようと思えば当然なってくるわけですね。  ところが、それをしようと思えばやはり国民の側からの理解といいますか、受け入れられ るような形でなければならないと。そう考えたときには、やはり今度は診療報酬内部でのバ ランシングといいますか、そこら辺りが国民の目から見てやはり適正と思えるのかどうかと いうふうなことを考えていく必要があるのだろうと。  先ほどから皆さんおっしゃっているように、僕も病院単位、診療所というふうな形での対 立軸で考えるのは本当に問題があると思うのですけれども、例えば患者の側の目から見れば 同じサービスであるにもかかわらず再診料が違うというふうなことは、逆に患者の受診行動 をドライブするというような、ネガティブな影響もあると思います。そういうことは病診と いう形での構図の中で是正していくということは1つの方向としてあり得ると思います。  ただ、今までのお話もありますように、病院の先生の中でも5時になればちゃんと帰られ る先生もいらっしゃれば、診療所の先生でも本当にもう休みもなく働いておられる先生方も いらっしゃると。それから、診療科間のバランスのお話もさっきありましたけれども、その 辺りやはりきめ細かく見ていかないといけない。診療所か病院かというふうな構図ではなく て、それぞれの医療従事者の方々の、先ほどドクターフィーというような話もありますけれ ども、そういうふうなきめ細かにその人たちが本当に労力を負担しているところにちゃんと 手当をしていると。そういうことであれば恐らく国民の側も一定の理解もできてくるのでは ないかと。あるいは実現性はともかく、この中で、もうこのパイではどうしようもないのだ ということは、むしろ明らかにこの医療保険部会としてはこういうふうに今考えているのだ ということを、それ自体を書くこともひとつ国民に対しては理解を求めて、一定の何らかの より大きなパズルの中でのパイを増やすという方向にもつなげていくというようなことも 考えていいのではないかというふうに思います。 ○糠谷議長 それでは、対馬委員どうぞ。 ○対馬委員 2点ほどお話しさせていただきたいのですけれども、1つは資料ナンバー3の 診療報酬改定の視点ですけれども、基本認識の最初の(1)、(2)、(3)、この辺りはある意味もっ ともではあるのですけれども、ただここは先ほどどなたか指摘をされましたけれども、国民 の状況というところもちょっと視点が薄いのではないかという感じがします。医療保険部会 ですから、医療保険を取り巻く経済状況などの視点が必要だと思うのですね。何を言いたい かというと、例えば失業率が過去最悪でありますとか、賃金物価が下がっているなど国民は 本当に困った状況にあるわけです。医療提供体制だけがという感じで書かれていますので、 そこはちょっと全体的な目で見る必要があるのだろうと。  それから、この(1)の3行目のところの、我が国の医療は危機的な状況にあることだけをい うのであれば、我が国の保険財政も大変厳しい状況だと言いたいところなのですね。ですか ら、この辺りはやはり産科、小児科、救急等、急性期医療を中心にして危機的な状況に置か れているということであれば全く異論はないところであります。これが1点です。  あともう一点は、資料ナンバー5の後期高齢者医療制度に係る診療報酬の問題は、廃止す るということで、それはそれで理解するが、これまでいろんな経緯があります。ただこれは 医療保険部会長に大変御尽力いただいて、後期高齢者医療のあり方に関する特別部会では、 大変いい議論をしていただいたのですね。 ○糠谷議長 私も最後には言おうと思っていたのですけれども。 ○対馬委員 やはりそうですね。本当にいい議論をしていただきまして、例えば高齢者とい うのは総合的に見なくてはいけないとか、あと継続的に見なくてはいけないなど、本当にい い議論だったと思います。それを受けて医療保険部会、医療部会でもその特別部会の議論を 十分尊重し中医協に投げかけたのです。  それで、当時は私も中医協の委員で、そういった視点というのは確かにそのとおりだと思 って改定したんですが、ちょうど後期高齢者医療制度の施行に伴う周知の不十分が招いた誤 解のある中で、非常にある意味不幸な立場に置かれたと思うのです。ですから、一旦廃止し て、例えば高齢者も75歳で切らずに65歳でもいいかもしれない、また、特定健診や昔の老 健制度のように40歳という考え方もあるかもしれないという議論をもう一度この場でやっ ていただければ大変ありがたいと思います。 ○糠谷議長 それでは、紙屋委員。その次お願いします。 ○紙屋委員 ありがとうございます。  先ほど樋口先生の後に続けて発言させていただければ、私大変ありがたかったなと思いま すが、看護職の立場からお話しさせていただきたいと思いますけれども、基本認識の改定の 視点の2のところに、(2)の患者から見てわかりやすく納得でき、安心、安全、生活物質配慮 した医療を実現するというふうに、割と言葉はずっと使われていますけれども、本当に具体 的にはどうなのかというと、看護の立場から見て十分ではないなというふうに思っておりま す。何を私が発言させていただきたいかといいますと、病院の中での看護職は 最大集団でございます。この最大集団である看護職にもっと活躍の場を与えていただきたい と。そして、それは患者さんのQOLに貢献できますし、また医療費の削減にも貢献できる と実は内心自負しております。  例えばQOLの観点からいいますと、急性期から、最近在院日数が短くなりましたが、ベ ッドサイドでのナースが急性期からのリハビリテーション看護を丁寧に実践すれば、廃用症 候群を予防できますし、廃用症候群を予防できればリハビリテーションの専門のPTの方た ちがかかわる期間を短くすることができます。更にはよい状態で患者さんを地域、在宅に、 退院させてあげることができますので、是非看護の視点からこのような診療報酬の改定にも 目を向けていただきたいのですが、実は我々看護職も診療報酬1点10円の点数化を長年希 望してまいりましたが、どうも議論はパイが定まっていれば、我々が要求すればどこかが弾 き飛ばされるというような中では随分つらい立場になりますので、しかしながら患者さんの QOLということを考え、あるいは高齢者も含めてですが、考えてみますと、地域に患者さ んが在宅なり施設なりに行かれるときに、先ほど樋口委員もおっしゃっていましたが、その 間がすっかり抜けてしまうんですね。そういうときに、我々が海外でナースたちが行ってい る非常に担うべき方法、ナースインホームというのがありますので、これを是非モデル事業 として取り上げていただければ、私どもは患者さんのQOLに貢献し、また医療費削減にも 最大集団である我々貢献できる余地は随分大きいのではないかと思っておりますので、意見 を言わせていただきました。 ○糠谷議長 では、見坊委員の参考人の方。 (足立政務官退室) ○斉藤参考人 ありがとうございます。  視点と方向についての中の4つの視点、その中に患者から見てわかりやすく納得できる医 療を実現、これを入れていただきまして本当に大変ありがたいと思っております。その1つ 目に医療の透明化、わかりやすさの推進、これは大変大事なことを書いていただいたと思っ ております。  このことで関連して申し上げますのが、資料5の後期高齢者医療制度にかかわる診療報酬 についてでございます。最後のところで、今回の制度見直しに先行してこの診療報酬体系の 廃止を含めた見直しをしたいという御提案でございます。先ほど関連資料の中に、これにか かわる具体的な診療項目が17項目あると、こういう説明がございました。大変評判の悪い 後期高齢者診療料でありますとか、終末期相談支援料ということがよく報道もされ、我々も 承知しておりますけれども、この終末期相談支援料に加算まであったのかということは初め て今回の資料で知りました。更に、薬害の情報の提供の加算を後期高齢者に限定してしなけ ればいけないのか。また、後期高齢者の退院時の薬剤情報の提供も同じでありまして、これ は何も後期高齢者ということに限定して考える必要のないものまで、この17項目の中に含 まれているのではないかということを実は初めて知りました。  最初に戻って、医療の透明化、わかりやすさを推進するということは、まさしくそのこと を言っているわけでありまして、どういうふうに判断するかという問題は広く透明、そして わかりやすい説明になって初めて判断が可能なものというふうに思いますので、今後の高齢 者医療制度の改革会議におきましても、この点は最重点にしていただきたい。特にこの制度 を利用する、また制度を理解しなければならない高齢者がこれからますます増えてまいりま すので、皆様がどんな立派な制度だとおっしゃられても、それを使う側が理解しなければ、 今回のような問題にやはりなるのだろうというふうに思います。  例えばそのかかりつけ医の問題も、かかりつけ医は大変大事だということを繰り返し私ど もの組織でも理解をし、高齢者の共通の理解に努めようとしてまいりました。しかし、かか りつけ医というのと包括医療という話が一緒くたにされることではないはずでありまして、 しかもかかりつけ医が何も後期高齢者に限定して必要なわけではなく、おしなべてそれは必 要だというふうに私ども理解をしております。この辺がどうもすべてを明らかにしない中で、 言葉だけが先行するようなことが今回高齢者の方々が十分に制度に対して理解する前にガ ードを固めてしまったということではないかなというふうに思いますので、繰り返しこのよ うなことのないように、次の会議ではしっかりと御議論いただきたいということでございま す。  次にもう一点、これはお尋ねをしたいのでございますが、先般事業仕分けがございまして、 先ほど御報告があったわけでありますが、年末の予算編成のところまでのお話がございまし た。しかし、その後年末の予算編成ですべてが決まるわけではございませんで、特に診療報 酬にかかる問題は、その後どういうプロセスを経て意思決定していくのか、その辺の確認を させていただきたい。  もう一点は、今インターネット上で資料の提供、当日の事業仕分けのときの資料提供がさ れておりますけれども、あれですべてなのか。すべてではないのか。そのことがよくわから ないものですから、もしすべてでないとすれば、この部会におきましても、事業仕分けのと きに配付されたものを次回で結構でございますのでお示しをいただければありがたいと思 います。  以上であります。 ○糠谷議長 それでは、岩月委員の参考人の方。 ○安部参考人 ありがとうございます。  私の方からは資料4にあります(2)の病院・医院勤務医の負担軽減の中の(1)にございま す看護師や薬剤師等という文言がございますので、その点についてお話をさせていただきた いと。それからもう一点、イノベーションの評価というところについても若干触れてみたい と思っております。  まず、病院薬剤師に関しましては、皆さん余り顔を見たことがないのかもしれませんが、 病院勤務の薬剤師というのは、これまで主にどちらかというと医薬品の管理ですとか調剤と いういわゆるバックヤードの役割を担ってきたわけでありますが、近年ではこの基本的な役 割に加えまして、医師の処方設計に対する情報支援ですとか、投薬する際のプロトコルを医 師と一緒に共同して作成する。それから、抗がん剤、抗リウマチ薬のような、患者さんに事 前に十分な情報提供をしなければならない役割、それから血中濃度とか副作用のモニタリン グの設計を医師に提案する、こういった医師の治療に対する支援業務というのが非常に重要 な役割となってきているわけであります。こうした連携を行うことによりまして、医療の質 や患者さんの安心、それから満足というものを向上させると同時に、勤務医師の負担を軽減 することにもつながるのではないかと考えております。  現在がん、感染制御、緩和薬物治療、その他8分野におきまして薬剤師が専門薬剤師の育 成が進んでおりまして、一部の病棟ではより高度な支援が実施されているという現状がござ います。一例を挙げますと、抗凝固薬という、ワーファリンというお薬があるわけですけれ ども、これの投与設計は非常に難しくございまして、治療の結果に大きな影響等及ぼすわけ ですけれども、医師と薬剤師が共同して投与設計法を作成して、そのプロトコルによって処 方量を調整したと、そういったことをやった結果、出血脳萎縮という大変危ないリスクの副 作用を軽減することができたというふうな報告もございます。  このようなことから、医療機関の病棟における薬剤師の増員というのが大変重要ではない かと。また、医師の軽減負担が、それが増員によって可能になるのではないかと考えており ます。  また、薬剤師の増員を担保する診療報酬上の評価につきましては、薬剤師の個別行為に対 する評価とともに、いつでも多くの病棟で支援業務が行えるような体制に着目した評価とい うものも考える必要があるのではないかというふうに考えております。  もう一点、今日の資料の参考資料の4の10ページにもございますけれども、問題はござ いますが、我が国では世界に冠たる長寿国を実現しているわけでありますが、一方ではドラ ッグラグですとか、未承認薬適用外使用という問題が医薬品の中では存在しております。そ のためにこの資料4にございますように、関連学会ですとか患者団体の方が個別の問題解決 を図る御努力をなさっていると承知しておりますが、しかし本来は診療報酬の基盤となって おります薬価基準制度の仕組みとして、未承認薬ですとか適用外使用などの問題が生じにく い制度というものを検討することが必要であると考えております。  イノベーションの評価、医薬品のイノベーションという意味では考えますと、国民にとっ て必要不可欠、有用な新薬開発ですとか、適用症の拡大に対応するためのインセンティブを どのような仕組みで確保するかということも非常に重要な視点であると考えています。  以上であります。 ○糠谷議長 では、大分たくさんに、まだ御発言がなかった方は。  それでは、どうぞ。 ○佐藤課長 部会長、お答えを先にしなくていいですか。 ○糠谷議長 それでは、簡単にやってください。 ○佐藤課長 先ほど見坊委員から御質問がありましたように、その点だけ簡単にお答えして みますと、予算編成と並行して改定率が決まりますが、それ以降は1月からは中医協の中で、 もう少し詳しい診療報酬の項目やその点数設定について議論があり、必要に応じて地方公聴 会やパブリックコメント、そして最終的には厚生労働大臣からの諮問、そして答申というス ケジュールになっておりまして、恐らく諮問から答申までが1月の中旬から2月中旬になる だろうと思います。  それから、先ほど刷新会議において出てきたものはすべてか、今日私の方から報告したも のですべてかという御質問でしたが、基本的にはすべてでございます。ただし丁寧に説明を したのは、今日の基本方針に関係する部分だけでございました。次回以降、部会長とも相談 しまして、必要があればこれ以外の部分、例えば審査支払機関のあり方についてとか、ある いは療養費の話についても必要があれば一覧の形ででも御提示できるかもしれません。  以上です。 ○糠谷議長 では、どうぞ。  渡辺委員。 ○渡辺委員 ありがとうございます。  私は前々からこの会に出させていただいております。この過去2回の会議の発言の中での、 歯科を代表しての発言を御理解いただいて、この充実を求められる領域というところで、歯 科医療の充実と、こういうふうにお認めいただいたことにありがたく思います。  国民への安全で安心できる歯科医療を安定的に提供するという、そういう立場から申し上 げたいと思いますが、前にもお話ししましたけれども、歯科医療はまさに国民、患者さんの 生きがいとそれから生活そのものを支える医療というふうに考えております。その結果は、 患者さんのQOLを高める結果になり、そういうことでこの充実を図る上では、歯をどれだ けいかに残すかというそういう技術あるいはお口の機能をどれだけ回復し、高めることがで きるか。そして、維持することができるかという、そういう技術を非常に重点的に評価し、 この充実を図る必要があると考えているところです。  そして、視点の2の患者さんから見てわかりやすく納得でき、安全、安心、生活の質に配 慮した医療というところで、4番目に重症化の予防というのがございます。これはすべての 医療の現場において重要なことだと思っておりますが、歯科においてもライフステージに沿 った検診を的確にやることによって、最小限の治療で間に合うわけですね。重症化してから ではなかなか手間もかかる、費用もかかる、患者さんも何度も通わなければならないわけで す。そういうことで、定期的なライフステージそれぞれに応じた検診というのは非常に重要 だということを考えておりますので。そうした意味で、その予防が図れれば、患者さんのQ OLは高くなると同時に、結果的には医療費の節減にもかかわってくるというふうに思って おります。  そしてもう一つ、最後と申しますか、3番目の(3)のところで在宅医療、在宅歯科医療 の推進というところで、もう何回かお話も出ておりますけれども、高齢社会の中で、在宅で の療養の方々、またあるいは介護、要介護の方々、そうした人たちに対するこの在宅での医 療、歯科医療、これは非常にこれからも更に進めなければいけないと。これに当たっては、 ここに書いてあります在宅医療、在宅歯科医療、それぞれ独立しつつも連携を強く図ること。 結果的には介護とも連携を図るということが非常に重要だと思っておりますので、そうした 機能連携を図るということを重点的に進めていくことが必要ではないかというふうに考え ております。  最後になりますと、ある著名な方が「食べることは生きることである」という、そういう お話をされて、まさにそのとおりでして、本当に食べることなくして生きることはないとい うことだと思っております。御理解いただいておりますことを感謝すると同時に、ますます の歯科医療の充実が国民のQOLを高める結果につながるという認識をしているところで ございます。  以上です。 ○糠谷議長 それでは、たくさんおられるのでなるべく簡潔に。  それではそちらから、簡潔にお願いします。 ○藤原参考人 ありがとうございます。簡潔に申し上げます。  対馬委員がおっしゃった1点目、2点目、いずれも賛成でございます。紙屋委員がおっし ゃった意見も非常に賛成しております。  それから、やはり連携、地域医療計画とか、医療機関同士の連携という点も重視した改定 というものを是非やっていただきたいということでございます。  それからもう一つ、イノベーションのところは、これは薬価、それから医療材料、いずれ もなのですけれども、やはり後発品等の価格とのバランスというのも大事なのですけれども、 同時にイノベーションの評価もしていきながら、両方で評価していただくということが大事 なのではないかなというふうに思っております。  それから、回復期のリハビリテーションの機能強化についてテーマが上がっておりますけ れども、これにつきましては是非アウトカムの評価というものを視点に入れていただいて診 療報酬に反映していただきたいと思っております。  以上でございます。 ○糠谷議長 それでは、岩本委員ですか。どうぞ。 ○岩本委員 先ほどジェネリックの議論があったのですけれども、ちょっと私もわからない 点があるので質問させていただきたいのですけれども、資料4の視点と方向について、その 最後の方にその分に関して後発医薬品の使用促進という項目が上がっているのですけれど も、ここの目的としては、薬剤費の節約という視点があるということなのですけれども、そ の手段としてこれがあるということは、基本的にはその新発薬の方が後発薬よりも高いとい う、その薬価の差を前提にした議論になっているわけなのですけれども、先ほど議論があり ましたように、特許が切れれば同じ価格にしてしまえという話であれば、逆に後発医薬品が なくなって、先発医薬品の使用促進という、そういった解決の仕方もあり得る話ですし、そ れから新発薬の価格を下げるということでも薬剤費を下げるということも実現できるわけ なので、こういう書き方で項目立てていくということは、その新発薬と後発薬の薬価の差に は、現在の状態を前提とした議論に絞っていくというか、そこだけを対象にしているという ふうな書き方にも読めるわけなのですけれども、過去の経緯で激論があったという話があっ たんですけれども、そのいろいろの状況全部変わりましたし、政権も変わったことなので、 もう一遍激論をするという、そういう気持ちがあればこういう項目立てでない書き方として 手段を探るということもあり得るのかなと思ったのですけれども、これでいく場合には、も うその話はないということなんでしょうか。 ○糠谷議長 それでは、どうぞ。 ○磯部管理官 薬剤管理官でございます。  今の御指摘については、特に(2)の方でございますが、医薬品の市場実勢価格の反映等とい うのがございまして、市場実勢価格の反映もするとともに、それ以上どうしていくのかとい う視点も、先ほど行政刷新会議のお話もさせていただきましたけれども、その部分での御議 論かなと思っております。  ただ一方、私どもは基本は特許が切れた後は後発医薬品の使用促進を進めていくことはい いだろうと思っていて、私どもの方ではそういうふうに思ってはおりますけれども、当然先 発医薬品の価格というものが適切だろうかということについても、当然御議論はあろうかと も思いますので、その点についてはその(2)の方での御議論だというふうに思っておるところ でございます。 ○糠谷議長 よろしいですか。  それでは、逢見委員いかがですか。 ○逢見委員 まず、基本認識につきましては、対馬委員も触れられたことでございますが、 先ほどの議題で協会けんぽの財政状況の問題がございましたように、特に私どもがカバーし ている勤労者所得というのはずっと落ち込んでいるわけで、これは過去の景気回復期におい ても賃金が上昇しなかったと。今回の景気の悪化の中で、かなり賃金水準が落ち込んでいる と。それから、その中で低所得者というのが非常に増えてきているという、そういう家計の 状況というのは、やはり保険財政に大きな影響を与えているわけですから、そういう部分も 基本認識として踏まえる必要があるだろうというふうに思います。  その上で、この重点課題あるいは4つの視点ということで、幾つか申し上げたいと思いま すが、1つは勤務医の負担軽減につきまして、これは重要な視点であると思います。ただ、 急性期病棟の看護師につきましても、やはり長時間過重労働という問題が出てきております ので、勤務医だけではなくて、看護師についての負担軽減措置ということも配慮すべきだと 思います。  それから、4つの視点の中で充実が求められる領域を適切に評価していく視点というのが ございます。これも非常に重要だと思います。例えば周産期医療、それから新生児集中治療 室の充実、こうしたことを支援する施設については適正な評価ということも必要だと思いま す。それから、急性期医療や新型インフルエンザ等の感染症対策として、受け入れ患者の優 先順位をつけるトリアージ、こういったことも重要ではないかと。特にこれから新型インフ ルエンザの患者が急増することも予想されるわけですから、こうした専任者配置についての 評価なども検討すべきではないかと思います。  それから、参考資料4で、未承認薬適用外薬の問題について資料が載っておりますが、海 外で使用が認められている抗がん剤あるいは難病薬が日本国内で使用できない医薬品にな っていると。こうしたところについて、早期承認、保険適用という強い要望が患者さんから も出されておりますので、こうした医療上必要な医薬品の未承認、未適用の早期解消に資す るような薬価制度ということも検討すべきだと思います。  それから、後期高齢者の問題について、今日の示された資料でも、75歳以上という年齢 に着目した診療報酬体系については、本体の見直しに先行して廃止するという方向が示され ておりますが、これはそのとおりだというふうに思います。例えば終末期相談支援料などは 別に、後期高齢者だけが終末を迎えるわけではないのであって、こうした点について年齢の 制限を外して、すべての年齢に適用するなどの見直しを検討すべきだというふうに思います。  以上です。 ○糠谷議長 それでは、時間も押してまいりましたが、大体よろしゅうございますか、この 案件につきましては。  それでは、簡単にお願いいたします。 ○藤原委員 ちょっと触れられていないところで、これは資料4の2ページのところなんで すが、がん医療の推進ということについて、これは引き続き化学療法であるとか放射線療法 の評価をしていただきたいと思います。また、緩和ケアの研修会あるいは術前・術後のリハ というのは大変重要でございますので、こういったものをしっかり評価してほしいというこ とと、もう一点はがん登録について、これは診療報酬の範疇に入るかどうか微妙なところだ と思いますけれども、この辺りもできれば評価の対象に入れる、この辺を考えていただきた いなと思います。  もう一点は、認知症医療の推進でございますけれども、これはやはり早期発見、早期治療 というのが非常に重要だと思います。長谷川式簡易知能評価スケールとかいうのがあります けれども、これは一般開業医レベルでも潜在している認知症の方を見つける非常に簡便な方 法でございますけれども、また一定の評価が得られておりますけれども、こういったものを 今丸めの状況にありますが手間がかかりますし、個別的ではありますが、関連でいえば、こ れを評価の対象に加えていただきたいなと思います。  それから、認知症というととかく箱物に目がいきがちなのですけれども、そうではなくて、 もう少し地域の中小病院との連携とか、そういったことをしっかりできうるような配慮も必 要だろうと思います。  それと同時に、訪問看護ステーションについて、これはこの項目の中でひとつ充実が求め られる領域という中で加えていただきたいと。在宅医療にあるいは認知症対策としても非常 に重要な視点だろうと思っておりますので、これを加えていただければというふうに思いま す。  以上です。 ○糠谷議長 それでは、もしほかに特段なければ、では簡単にお願いします。 ○紙屋委員 ありがとうございます。  先ほどちょっとあせって、最後にはナーシングホームのモデル事業なんて飛躍的な発言を させていただきましたが、根拠なく自負しているのではなくて、恐らく看護に関する情報は 余りお持ちでない委員の先生方が多いのではないかと思いますので、幾つかの看護会が用意 しております専門看護師、認定看護師について御紹介して、感染とか褥瘡などについては既 に評価いただいておりますけれども、糖尿病の専門看護師、それから小児のトリアージの専 門にしようとする看護職、それから脳卒中リハビリテーション看護師の認定が教育始まりま したし、精神科もがん専門看護師等、既に看護会はそういう準備を進めておりますので、是 非今後の診療報酬改定に入れていただければと思っております。 ○糠谷議長 ありがとうございました。  それでは、よろしければ診療報酬改定の基本方針に関する本日の議論は終了したいと思い ます。何かあるんですか。簡単にやってくださいね。 ○佐藤課長 もうごくごく簡単に。資料4の1ページ目の下から2ページ目にかけての米印 の部分ですが、今、藤原委員から言及がございましたけれども、次のページにかけては言及 ございませんでしたので、時間も限られておりますが、事務局の方にメモでも結構ですので、 次回までにお寄せいただければ幸いです。  よろしくお願いします。 ○糠谷議長 それでは、もしよろしければ診療報酬改定の基本方針に関する議論は終了した いと思います。  次回は、本日各委員から出された御意見も踏まえた診療報酬改定の基本方針のとりまとめ 案について御議論をいただきたいと思います。  それから、事務局のシナリオによりますと、高齢者医療制度改革会議について御質問等あ る方がございましたらよろしくお願いしますと、こうなっていますが、特に高齢者医療制度 改革会議についての御質問等ございますか。  もしなければ、先ほどちょっとお話がございましたので、私から1つだけ御質問をしたい と思うのですが、私、後期高齢者医療の特別部会長をやらせていただいて、それでこういう ものがその結果としてできてきたわけで、いろいろ問題があるのはそれで結構なんですが、 厚生労働省はどういうふうにお考えになっているのか。悪の権化みたいに言われているわけ ではないけれども、批判ばっかりというのは、事務局大変なのはわかっていますが、余りや はりそういう部会を取り仕切った人間が医療保険部会長をやっているというのは、やはり余 り感心したことではないと私も思います。ということで、ちょっとどういうふうに事務局お 考えになっているかというのは、本当はもう対でやろうと思ったのですが、せっかく先ほど お話が出たので、最後ちょっとお話を伺いたいと思うのです。 ○神田課長 御指摘の特別部会につきましては、20年4月の改定におきまして、19年の秋 に特別部会としての考え方というのをおまとめいただいた部分で、その中で高齢者の特性で すとか、先ほどもお話ございましたように、高齢者の方については病気だけではなくて、総 合的に見ていかなければならないとか、認知症の問題があるとか、それから避けられない死 という問題がありますということで、先ほど申し上げたような後期高齢者診療所の中で総合 的に見ていってありますとか、終末期の相談支援料ができたと、そういう経緯があるわけで ございます。  私どもとしては、おまとめいただいた特別部会の特性ですとか、在宅医療の中で連携を図 っていく必要があるとか、退院時調整が必要だと、そういったことについては方向性として、 それが間違っているということではないと思いますけれども、ただ私どもの代理も申し上げ ておりますけれども、年齢で区切った報酬を評価したということが先ほど老人クラブの方の 御発言にもありましたけれども、本当に必要であれば年齢で区切らずに若い方にも評価すべ き項目もあったのではないかと。それから、年齢だけで区切って、必ずしも十分に検証した 結果でいいますと、例えば後期高齢者診療料のように、目的としては総合的に見るというこ とでありましたけれども、実態的には十分評価されていない項目もあるということを踏まえ て、全体としてその年齢で区切るという評価を見直しをして、必要があるものについては若 い方にも評価をする、あるいは全体として効果が出ていないとか、目的が達成できないもの については廃止をするということで考えられないのかということで、おまとめいただいた方 向性の中で在宅医療の充実ですとか、退院調整とか、その連携ですとかいうことを生かしな がら、年齢だけで区切る報酬の評価というものを変えられないかという考え方で、今日出さ せていただいている資料はそういう観点からの御提案ということで御理解いただきたいな と思います。 ○糠谷議長 いいですけれども。 ○唐澤審議官 私、後期高齢者の特別部会を部会長にお願いしたときの保険局の総務課長で ございますので、我々も責任の一端がございますので一言申し上げさせていただきたいと思 います。  先ほど対馬委員からもお話ございましたように、高齢者の特別部会は大変深い、生活に密 着した議論をしていただきました。これは川越先生、それから野中博先生、それからその北 海道のソーシャルワーカーをやっていただいております田村先生なども参考人として御意 見をいただいたりして、非常に深く御議論をいただきました。ただ、最終的にその議論の中 身を正しく伝えられなかったところにつきましては、私ども事務局の責任であると考えてお ります。  ただ、その特別部会の議論につきましては、大変価値のあるものでございますので、その 議論は更に将来に生かしていただきたいと考えております。  以上です。 ○糠谷議長 余計なことを申し上げて御迷惑をおかけをいたしました。  それでは、もしよろしければ本日の議論はこれまでとさせていただきたいと思います。  簡単に。 ○吉田課長 事務的な点、1点だけ御報告をさせていただきます。  本日の参考資料の3の中に、船員保険制度についての20年度の決算を入れさせていただ いておりますが、今後の話として、船員保険制度につきましては平成19年に雇用保険制度 の改正の一環として、従来の総合的な健康保険制度、総合的な社会保険制度、言わば機能分 化をいたしまして、来年の1月1日から労災保険、あるいは雇用保険につきましては一般保 険の中で、残りました疾病と職務上の災害補償の上乗せ部分につきましては、独自の新たな 船員保険制度として、社会保険庁が運営しておりましたところから協会けんぽの方に保険者 を移して今後運営をするという形で準備を進めております。  制度改正に当たりましては、この部会でも御議論いただきましたが、その後少し間があい ているものの、その後順調に今進んでおるということで、この1月1日から新しい船員保険 制度になることをこの際に御報告をさせていただきます。  以上です。 ○糠谷議長 ありがとうございました。  それでは、予定の時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきます。  次回は11月25日16時から、本日と同じ全国都市会館で開催を予定しております。本日 は御多忙の折、お集まりをいただきましてありがとうございました。  これで閉会といたします。                                        (了)                            【照会先】                             保険局総務課企画調査係                             03(5253)1111                             (内線3218) 1