09/11/16 第6回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 第6回議事録 日時:2009年11月16日(月)  9:45〜11:55 場所:経済産業省別館 1012号会議室 出席者:  委員   大日向委員長、飯塚委員、市原委員、川崎委員、木原委員   駒村委員、榊原委員、佐久間委員、佐藤委員、高橋委員   椋野委員、吉田昌哉委員、吉田正幸委員   岩渕委員、庄司委員(少子化対策特別部会)  事務局   香取審議官、朝川少子化対策企画室長、田中保育課長補佐   高木少子化対策企画室長補佐 議題:   新たな次世代育成支援のための保育制度について 等 配付資料:  資料1    第1回(8/5)〜第5回(11/6)における委員等から出された主な議論  参考資料1  佐久間委員提出資料  参考資料2  佐藤委員提出資料  参考資料3  椋野委員提出資料 議事: ○大日向委員長  おはようございます。定刻になりましたので、ただ今から「第6回保育第一専門委員会」 を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては、お忙しいところをお集まりください まして、ありがとうございます。  議事に入ります前に、事務局より、委員の出席に関するご報告と資料のご確認をお願いい たします。 ○朝川少子化対策企画室長  まず、委員の出席状況でございますが、本日は岩村委員、柏女委員から都合により欠席と のご連絡をいただいております。榊原委員はまもなく到着されると思います。ご出席いただ いております委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。ま た、本日は、少子化対策特別部会から岩渕委員、庄司委員が出席されています。また本日は、 同じ時間帯に行政刷新会議の事業仕分けが保育関係で行われる予定となっておりまして、事 務局体制が必ずしも十分でないことをお詫び申し上げます。  続きまして、お手元に配布させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に議事次第がございまして、それから資料1として「第1回(8/5)〜第5回(11/6)におけ る委員等から出された主な議論」という資料、参考資料1としまして佐久間委員のご提出資 料、参考資料2として佐藤委員のご提出資料、参考資料3として椋野委員のご提出資料を配 布させていただいております。もし、不足等がございましたら、事務局の方にお声を掛けて いただければと思います。  以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。本日はまず事務局より 資料1に基づきましてご説明をいただきます。その後、皆さまにご議論をお願いいたします。  それでは事務局、資料のご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料1をお開きいただきまして、簡単に説明いたします。この資料はこの夏8 月から専門委員会を立ち上げさせていただいて、5回ほど保育第一専門委員会を開かせてい ただいておりますが、その場において、事務局からテーマごとに論点をご提示申し上げ、そ れに対して委員からいただいた意見を項目ごとに整理させていただいたものです。最初の3 ページで項目ごとの目次の形で項目だけを載せたものがございますので、全体の流れはそち らで把握していただければと思います。  4ページ目でございます。表の見方でございますけれども、それぞれ大項目を、この4ペ ージ目であれば「保育対象範囲について」としておりまして、左側の「項目」というところ でその小項目を幾つか挙げております。右側の「論点及び意見」という欄につきましては、 太字のところが事務局からそれぞれの会で提示させていただきました論点や考え方を書い ておりまして、その下に、それぞれそれに関連する委員のご意見を整理させていただいてい ます。  中身について、ざっと振り返る意味でご説明申し上げます。まず最初の保育対象範囲につ きましては、その「基本的な考え方」のところで、一つ目の四角にありますとおり、社会全 体で支援する観点から、すべての子どもを念頭に置いて保障を考えていきましょうというこ と。二つ目の四角のところで、働き方の多様化などの中で、柔軟な保育の保障が必要である という論点を提示申し上げているところでございます。  5ページ目でございますが、項目としましては「保護者の就労を要件とする場合について」 ということで、特に二つ目の四角にありますとおり、現行では対応しきれていないニーズに ついて、利用者の意向を踏まえながら、認可保育所における対応を拡大するとともに、多様 な給付メニューを制度的に考えていく必要があるのではないかという論点を提示している ところでございます。  次に6ページ目でございますが、大きい二つ目の項目は「保育利用までの具体的な流れに ついて」、少し具体的に整理してみてご議論いただいたところでございます。ステージを認 定の申請の段階から五つぐらいに分けてご議論いただいたわけですが、一つ目の市町村への 認定の申請のところでは、まず市町村が情報提供や相談支援をしっかりするという論点でご ざいます。ここにつきましては、多数の委員の方からいわゆるコーディネートの機能であり ますとか相談支援の機能、あるいはソーシャルワーカーの配置、苦情解決の機関の設置とい うようなご意見をいただいているところでございます。  7ページ目でございますが、申請の次の段階で「市町村が認定」する段階、さらに三つ目 が認定を受けた「利用者が保育所等に申込み」をする段階についてです。この申込みにつき ましては、一つ目の四角にありますとおり、できるだけ早期にどこの保育所等を利用できる かが決まるような仕組みにすべきではないかという提示をさせていただいて、具体的には、 例えば4月の入所の場合や育児休業明けの場合など、ある程度早めに決まるような仕組み。 あるいは育児休業の場合であれば、年度途中でも入れるような予約の仕組みといったことを ご議論いただいたところでございます。  次のページの[3]-2のところは、供給量が十分でない待機児童がいるような場合について の市町村の認定について、自然体で市町村が認定して、その後当事者同士で公的保育契約を 結ぶとなりますと、若干混乱が予想されますので、そのような混乱を回避する仕組みの例と して、二つのイメージ例をご提示申し上げています。イメージ例1は、比較的待機児童が多 くない場合のイメージとして、まず第一希望の保育所には直接申込んでいただいて、第二希 望以降も紙に書いて提出していただいて対応するようなイメージ。イメージ例2の待機児童 がたくさんいるような場合については、市町村あるいは市町村が関与した連絡協議会に申込 みをしていただいて、市町村あるいは連絡協議会が斡旋するというような対応についてご提 示申し上げたところでございます。  [3]-3では、供給量が十分ある場合は原則形の対応を基本に考えてよろしいのではないか ということをご提示申し上げたところでございます。  9ページ目の[3]-5のところで、基本的にこの新しい保育の仕組みが完成型ということで考 えますと、供給量も十分になっている場合で考えましても、摩擦的には希望する保育サービ スが必ずしも最初から利用できるわけではないといった場合に、利用開始まで多様なメニュ ーの中から補完利用できるような仕組みといったことも考えていく必要があるのではない かということをご提示申し上げているところでございます。  一番下の[4]のところは第4ステージで、申込みを受けた保育所が受入れについて決定する 場面ですが、そこにつきましては、その受入れ決定が客観的な基準で行われて、さらに受入 れ結果についても公表して透明性を高めて公平性を担保しようという論点についてでござ います。  1ページおおめくりいただいて、10ページ目は最後のステージですが、当事者同士で公 的保育契約を締結していただく段階につきましては、市町村の公的関与の一つとして契約書 のひな形を提示する。あるいは公的保育契約の適正な利用に関して、市町村が指導・助言す るというような仕組みをご提示申し上げているところでございます。  次の11ページ目が、大きい三つ目の論点として「優先的に利用確保されるべき子どもに ついて」、具体的にどのような仕組みで利用確保していくかをご議論いただいたところです。 ここでは、[1]〜[3]にありますとおり、幾つかのパターン、類型が考えられるのではないかと いうことで、一番強い対応の類型が、市町村は認定するに際して受入れ可能な保育所等を斡 旋して、保育所等はその斡旋を受けたら受け入れるという、比較的措置に近いイメージのパ ターンです。二つ目は、優先受入れ枠のようなものを保育所等で設けておいていただくとい うこと。三つは、一番緩やかな対応として、保育所等が受入決定の客観的な基準を定めるに 際して、優先受入義務の子どもについて優先的に取扱うという基準を定めておいていただく という対応案を提示したところでございます。  12ページ目では、それぞれのケースごとにどの類型が基本かということを議論いただい て、虐待事例のケースについては「[1]」の一番強い類型でどうでしょうかということをご提 示申し上げているところです。一つ目の丸にありますとおり、既に現行制度では保育につい て措置という仕組みはなくなっておりますが、虐待事例のケースについては措置を復活させ ることを検討すべきであるというような意見もいただいているところです。  13ページ目では、母子家庭および父子家庭につきましては「[3]」の類型でどうでしょう かと。さらに、「市町村が個別に判断する類型」というものもあるのではないかということ を議論していただいております。その下は、必ずしも優先的な受入確保されない子どもにつ いて、「何らかの順位付け」をするかどうかという論点については、少なくとも需要が供給 を上回っている場合においては「何らかの順位付け」は、その保育所の受入決定の順位付け として要るのではないか。その順位付けを行う際に、詳細な順位付けまでは行わず、大くく りの制度にすることが適当ではないかという論点の提示をして、これについては比較的両論 があったと思います。  14ページ、15ページ目につきましては、大きい項目として、まず「利用保障の範囲につ いて」、3歳未満児と3歳以上児について分けてご議論いただきましたが、3歳未満児につ きましては、まず1日当たりで「長時間」と「短時間」に大きく区分してはどうかというこ とをご提示申し上げ、これにつきまして15ページ目のところで、例えば一つ目の丸で「定 型保育」「非定型保育」「随時型保育」という三つぐらいの分類がよいのではないかというご 意見もあり、三つ目の丸にありますとおり、6時間程度以内であれば今の一時保育で対応す るということで、通常保育と一時保育という区分でよいのではないかというご意見、あるい は真ん中辺りにありますが、開所時間・開所日数について、週6日、土曜日の扱いも考えた 方がよいのではないかというご意見、一番下のところで、6時間という長さについて、もう 少し議論が必要であるという意見をいただいているところです。  それから、16ページ目の、この項目の一番下、このページでいきますと真ん中辺りの四 角でございますが、週当たりの日数についても2区分にしてはどうかという論点の提示をし ているところでございます。3歳以上児につきましては、幼児教育期である等の事情を勘案 すると、特段週当たりで区分する必要はないのではないか。あるいは1日当たりについても 子どもの生活の連続性等について考えると、基本的には区分が難しいのではないかという論 点の提示をしているところでございます。  17ページ目の五つ目の項目「その他」ということで、その一つ目は弟妹が生まれたとき の育児休業取得について、兄姉の取扱いについてご議論いただいたところで、その下は「障 害児について」ご議論いただいたところですが、障害児につきましては一つ目、二つ目の丸 にありますとおり、保護者が就労していない場合の障害児といったケースについても保育の 仕組みの方で保障していくことが重要ではないかというご意見をいただいていることと、下 から二つ目の丸にありますような障害児については財政的な支援とセットで議論する必要 があるであろうというご意見などが出されているところでございます。  次に、18ページ目の六つ目の項目としまして「保育に関する費用保障の仕組みについて」 でございます。まず一つ目の項目は、当事者同士の公的保育契約を出発点とした仕組みとい ったことを基本に考えていく必要があるだろうということでございますが、これともう一つ 下の論点として、市町村から利用者に費用保障することが基本ではないかという事務局から の論点提示につきましては、市町村と保育所の関係が曖昧いになるのではないかというご懸 念が幾つか示されているということ。それに対して、一方で19ページ目の二つ目の丸にあ りますとおり、法的には現在も個人給付であって、この新しい保育の仕組みにすることによ って市町村と保育所の関係が曖昧になるということではないのではないかということ。それ とはまた別に、三つ目の丸にありますとおり、資金の性格が変わることにより、使途制限が できなくなるのではないかというご懸念。これについては、その二つ下の丸にありますとお り、どのように適正な事業運営に対して規制をかけるかという問題なので、この使途制限の 問題というのは、利用者に対して給付をする仕組みにするのかどうかという給付の仕方の問 題とは別の問題ではないかというご意見をいただいているところでございます。  さらに20ページ目でございますが、同じ論点に関連しまして一番上の丸ですが、直接個 人に対する金銭給付になると、職員の体制などの保育所側の事情が単価設定上、考慮できな くなるのではないかというご懸念をいただいているところですが、それに対しては、その一 つ下の丸のところで、これも費用の支払い方の問題と単価の設定の問題は分けて考えること ができるであろうというご意見をいただいているところです。  その下の項目は、関連しまして「法定代理受領」にしてはどうかと。そうすることによっ て、保育所への直接費用保障と同等の仕組みになるであろうという論点の提示をさせていた だいているところについては、例えば、この四つ目の丸にありますが、代理受領として、代 理受領は実態としては現物給付であって、法的テクニックとして代理受領という形を採るの で、利用者の目から見たときは、例えば医療保健の現物給付と変わらないのではないかとい うご意見をいただいているところでございます。  次に、これも関連しまして21ページ目の「保育料の納付」について、事務局からの論点 提示としましては、費用の徴収・納付は当事者である保育所が行うのが基本ではないかとい う論点提示につきましては、一つ目の丸に代表されますように、やはり保育料は市町村が徴 収すべきではないかというご意見が複数出されているところでございます。それに対しては、 このページの一番下の丸ですが、徴収の問題については、なぜ保育だけが特別なのか。市町 村の責任であって徴収も市町村がやれという議論は、論理が飛躍しているのではないかとい うご意見も出されているところでございます。その上で、22ページの一つ目の四角の最後 の辺りですが、いずれにしても保育料の滞納があった場合の対応ということを考えておく必 要があるだろうということで、市町村が利用者から保育料の納付に関与する仕組みも検討す る必要があるのではないかという論点の提示をさせていただいているところです。  大きい7番目の「利用者負担のあり方について」は、第1次報告での整理、公定価格や月 額単価設定といったことをあらためて論点提示をさせていただいているところですが、これ につきましては、23ページ目の二つ目の丸にありますとおり、現行の家計に与える影響を 考慮した年齢別の額の徴収の仕組みを維持することが適切であるとか、あるいは三つ目の丸 で、現行の4割負担である利用者負担を他制度と同様に引き下げる必要があるのではないか、 充実したサービス付加については応分の価格設定ということも考える必要があるのではな いか、あるいは、その二つ下の丸で、支払いは利用した時間のみにすべきではないかという、 いろいろな意見をいただいているところでございます。  次に、23ページの下のところで、「標準的な利用保障の範囲の区分に応じた利用者負担の あり方」につきましては、24ページ目の、この項目の下から三つ目の丸にありますように、 これに関連して単価設定についてご意見をいただいておりまして、単価設定は2階建てのよ うな形で最低基準が保障されるようなものプラス利用者補助に利用者の利用に応じた補助 を加算したような組み合わせができないかというようなご意見もいただいているところで ございます。  その一つ下の「標準的な利用保障を超えて保育サービスを利用する場合」についても少し ご議論いただいているところでございます。  次に、25ページ目の大きい8番目の項目「保育の質の向上について」でございますが、 まず、ここは基本的な考え方について当方から、この保育の質というのは大きく四つの要素 から成るのではないかということで、物理的環境、保育者の配置、保育内容、保育者の資質・ 専門性といったことを挙げております。これに対する意見としまして、基本的視点として出 していただいたものが四つありまして、幼児期の教育への投資は、社会的・経済的効果をも たらす。あるいは障害児・被虐待などの事例の増加への対応が必要である。三つ目は保護者 支援の強化が必要である。四つ目は保育士不足の解消のため長く続けられる環境づくりと待 遇の向上といった視点で考えていく必要があるのではないかというご意見をいただいてお ります。  その上で「面積基準」、次のページの「職員の配置基準」等の各個別項目についてご議論 いただいておりますが、職員の配置基準のところでは、例えば二つ目の四角のところで、8 時間保育を前提とした配置でありながら、実際の利用時間は開所時間の11時間となってい るというご議論があるということをご紹介し、それに応じたご意見もいただいていること。  さらに、その下の項目「地方分権」は、この新しい保育の仕組みの流れの中とは少し異質 な項目ですが、現在、地方分権改革推進委員会から第3次勧告をいただいておりますので、 それについても多様なご意見を出していただいたところでございます。  29ページ目は、各論として「多様な保育サービスにおける最低基準」や「保育内容」な ど。保育の質を支える論点については30ページ目「保育士の位置付け」、「保育士の量・質 の確保、計画的な養成」といった項目についてご議論いただいております。その中でも、 31ページ目で「保育士の量・質の確保、計画的な養成」のところで、ステップアップの仕 組みを考えていく必要があるのではないかという論点につきましては、これも幾つか多様な 意見をいただいておりますが、一つ目は労働市場政策という観点から、保育所で働く職員の 適正な賃金水準というとことも考えていく必要があるのではないかというご意見、あるいは 三つ目の丸で、保育士不足の解消のため長く続けられる環境づくりと待遇の向上を図る必要 があるのではないかというご意見、あるいは32ページ目の一番上の丸のところで、どのよ うなキャリア形成と処遇をセットにすれば保育士の能力を一番生かせるのかという議論が 必要であるというご意見と併せて、質・量をマクロで確保できているのか、できるのかとい ったことを踏まえて議論する必要があるというご意見。さらに、いくら専門的な資格をつく っても、事業者や施設の側から需要がないと駄目なので、そういったことを踏まえて議論す る必要があるというご意見もいただいているところでございます。  33ページ目では「指導監督」に関しましてのご意見としまして、一つ目の丸でございま すが、仮に指定権者を都道府県とした場合に、市町村が事業者に対して指導監督していく権 限をどのように担保していくかというご意見もいただいています。さらに、三つ目の丸で公 的保育契約を結ぶ当事者である保護者と保育所との間で、保育の内容をめぐる意見の違いや 苦情の処理体制についても少し考えた方がよいのではないかというご意見もいただいてお ります。  その下の項目「評価」としましては、特に第三者評価について内容の充実を図っていくべ き、あるいは見直していくべきといった意見もいただいているところでございます。  その他、「情報公表」などについても論点を提示して、若干のご意見をいただいていると ころでございます。  資料の説明は、以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、ここから委員の皆さまに意見交換をお願いしたいと 思いますが、本日の内容は分量もございますので、幾つかのブロックに分けてご議論をいた だきたいと思います。恐縮ですが、もう一度「目次」に戻っていただけますでしょうか。内 容的に1〜5番は「保育対象範囲」「保育利用までの具体的な流れ」「優先的に利用確保され るべき子ども」「利用補償の範囲」「その他の受入れ決定における論点」となっております。 ここまでを一つの固まりとさせていただければと思います。その次のブロックが6番と7 番、こちらは「保育に関する費用保障の仕組み」「利用者負担のあり方」です。そして最後 に8番の「保育の質の向上」という三つの区分けを考えてみましたが、この3ブロックに分 けてご議論いただくということで、よろしいでしょうか。  よろしいですか。それでは、最初のブロック1〜5番ですが、どなたからでもご意見をい ただきたいと思いますが、せっかくお手元に皆様のこれまでのご意見をまとめていただきま したので、できれば、この資料の「○ページの○○に関するコメント」だということを言っ ていただくとわかりやすいと思います。  それでは、第1ブロックについて、どうぞご意見をお願いいたします。  高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員  前回の専門委員会で元気がなかったものですから、今日は張り切ってまいりたいと思いま す。冒頭で、ここは議事録から削除してもらってもよいと思いますけれども、行政刷新会議 の事業仕分けで、先般こども未来財団のことの内容で、たまたま見ておりまして、こども未 来財団がどうという以前に、あんなに激しい議論をしているのだなということで、局長も審 議官も、さぞストレスがたまっていらっしゃるのではないかと察するところでございますが、 聞けば明日は保育園の運営費負担金ということでございます。今日の話も気になるわけでご ざいますけれども、ぜひ、しっかりと実態をご説明いただければありがたいと思っています。 これは余談でした。  まず今、委員長が言われましたように1〜5番ということで、その中で、繰り返しになり ますけれども、7ページの細かいところばかりの繰り返しですが、これは実際の例もありま すので繰り返し説明しますが、7ページの[3]「利用者が保育所等に申込み」のところで、例 えば3歳未満児の入所率を上げていかなければいけないという状況の中で、一方で産前・産 後休暇、育児休業制度の普及があって、産休明け・育休明けの入所の確保がある程度しっか りできているということは、保護者、利用者にとってはとても安心感があるのではないかと 思っています。実際に前回、飯塚委員から難しいという指摘もありましたが、実際にそれを 行っている自治体もあるわけですので、そこのところは何か工夫をしながら枠を取っていく ことは、恐らくそんなに長い期間を考えなくても施策のやり方によってはすぐにでもできる のではないかという気がしています。とりあえず1点だけです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。駒村委員、お願いいたします。 ○駒村委員  確認ですけれども、11ページの「優先的に利用確保されるべき子ども」の中で、例えば こういうケースはどうなるのか。親の一方が障害があったり、あるいは長期に体調を崩して いる場合は、優先的な人たちに入るのでしょうか。こういうケースは優先的な類型となるの かどうなのかを確認させてください。 ○朝川少子化対策企画室長  今回、典型的な例として挙げたのは、虐待の事例とひとり親家庭の事例の二つを典型的な 事例として挙げましたが、資料でいきますと13ページ目の母子家庭・父子家庭の一つ下の 項目に「市町村が個別に判断する類型」という論点提示をしていまして、こういう虐待のケ ース、母子家庭・父子家庭のケースに準じて、その家庭や地域の実情に応じて扱うことが適 当と想定される場合については市町村が個別に判断をして、同じように優先の類型に入れる ことを考えてはどうかと申し上げていますので、今おっしゃいましたような親の片方が非常 に重い障害であって、ひとり親家庭と同視できるような状態であれば、市町村の個別判断で 同様に扱っていただくことは考えられると思います。 ○大日向委員長  他にいかがでしょうか。飯塚委員、お願いいたします。 ○飯塚委員  今の話は実際にどのように行っているかということですが、全く同じケースはないのです が、確かにご両親がご病気というケースは実際にあります。その方の病状にもよるのですが、 かなり深刻で入院とか、極端な話、両親とも入院となるとご親戚に預けていただくとか、そ ういういろいろな手立てをやっていただく中で、どうしてもそういう方がいらっしゃらない となると児童養護施設ということもあるでしょうし、保育所に入所させるという前提は、夜 に誰かが見なければいけないというところがあると思います。その辺の確保をある程度でき た上で保育所に入所が可能ということであれば、ある程度優先順位を上げて入所させている というのが現状ですが、保育所以外の時間帯についての見極めもかなり必要になってくるの かなと。実際に要保護児童対策地域協議会等でもそういう議論をした部分はありますが、ど うしても夜に見られないケースは児童養護施等も視野に入ってくるところはあると思いま す。 ○大日向委員長  ありがとうございました。吉田昌哉委員、お願いいたします。 ○吉田昌哉委員  同じく11ページ以降の「優先的に利用確保されるべき子どもについて」の点ですが、今 回の新しい仕組みの中では、市町村は例外なく利用者に対して利用保障をしていく。現制度 に問題のあった利用者と保育所の間もきちんと対面的な関係ができた。前回そういう点では 市と保育所の関係が弱体化するという発言をして、今回のペーパーにもそういう意見が幾つ かあります。そういう点で優先的に利用が確保されるべき、ここでは被虐待児、母子家庭・ 父子家庭の子どもという項目が挙がっているのですが、優先的に扱うべきではなくても障害 を持った子ども、または低所得世帯の子どもなど、保育所から敬遠されがちな子どもに対し ても利用保障をしていくという点で、市町村の役割が重要であると考えています。前回、金 払いの仕組みと市町村権限の仕組みは別である、市町村の権限もきちんと法律で仕組みをつ くっていくことは可能であると朝川室長また香取審議官からお答えがあったのですが、そう いう意味ではすべての保育を必要とする子どもが、もちろんその中では優先的に受入れるべ き子どもが入ってくるのですが、そういう子どもたちに対して利用保障をしていく上で、住 民に一番近い市町村の役割というものが重要になってくると思います。その点は優先受入れ 以外にもすべての点でかかわってくることかもしれませんが、市町村の権限を新しい仕組み の中ではしっかりとつくっていくべきだと考えています。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。ただ今のご意見ですが、低所得世帯、障害児の問題は13ページ の一番下のところに、何らかのコーディネート機能を設けるとありますが、これはもう少し 踏み込んでというご意見ですか。そこに市町村の何らかの。 ○吉田昌哉委員  はい。市町村関与です。 ○大日向委員長  市町村関与をということですね。わかりました。ありがとうございます。他に、いかがで しょうか。佐久間委員、お願いいたします。 ○佐久間委員  私も7ページ目の利用者が保育所に申し込みをするときということで、何年か前といって も数年前は産前・産後休暇、育児休業制度が非常に充実してきていて、1歳後半から2歳児 の待機児童が非常に多くて申し込みがそこに多かったという現状から、今はまさに0歳1 歳に、また下の年齢に下がってきている。育児休業制度は恐らく充実してきているのに、保 育園に入れないことから、0歳の方が入りやすいという流れが今、起こっていると思います。 次年度に向けて保育園は見学希望者の対応に追われる毎日という状況です。そういう中で、 育休復帰ができるかというのは非常に重要な観点で、できるだけ早期に入れるか入れないか が決まっていくというのは保護者にとっては非常に重要な視点だろうと思います。しかし、 育児休業というのは4月復帰とは限りませんので、そこの枠を確保していくためには全体的 な量の拡大と、そこの枠を保育園で例えば0歳1歳と空けておこうとすると、そこに対する 職員の配置は急にはできませんので、一定程度の職員の配置をしておくことが必要になるこ とも含めて、単価の設定などでぜひ考慮していただきたいと思っています。また自治体によ って違うかと思いますが、一度入所すると最初に今は就労しているからといって途中で就労 体系が変更になってもそのまま継続されている場合もたくさんあります。9ページの公平・ 公正な情報公開をしていくことが、入所のときだけではなく、もしかすると途中であっても 必要なことなのかなと感じるところです。 ○大日向委員長  ありがとうございました。木原委員、お願いいたします。 ○木原委員  今の入所の育休明けですが、私どもは現実的には4月に大体、育休明けの時期を言っても らうのです。予約とまではいかないけれども、そこで安定して育児休業ができるようにとい う配慮が絶対に必要だろうと思うので、保育園側も8月、10月、12月にどのような形にな ってくるかがイメージができますから体制も敷きやすいと思います。ぜひ予約制というので しょうか、育休明けのものはぜひ制度化した方が良いと思います。  8ページに対応イメージ例1と2があります。1はあまり需要と供給が激しく落差がない 所だと思いますが、対応イメージ例の2については、ぜひ実現してほしいと思っています。 利用者にとっては非常によいわけですので、一気にわかるわけですから。第1希望に行って 駄目だったら第2希望に行って、第2も駄目だったら第3ということではなくて、集中した ところで、連絡協議会と書いていますが、そういうところを設置して、現行でもこういう形 で連絡協議会で選考、優先順位を付けている所があるという事例がありますので、ぜひ新し い仕組みにはこういうことを、いわゆる需要がオーバーしている所、供給を上回っている地 域に、ぜひここを挙げていただきたいと思います。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  私も保育の入所時期の予約、申込みのことについて少し今の状況などをお話ししたいと思 います。先ほど佐久間委員からもお話がありましたが、現在、非常に待機児童が多いという ことで、育児休職から復帰する際に短時間勤務を使って復帰しようとすると、入所決定に係 わるポイントが低くなり、待機児童になってしまうため、フルタイムにならざるを得ない。 しかも0歳児のときにフルタイムで復帰する社員が非常に増えてきています。本来であれば 短時間勤務を取りながらという希望があるのですが、保育園の設備が追いついていないとい うこともありまして、ぜひそういったことを踏まえると、短時間勤務であっても利用できる ような量の確保と、申し込みのしやすさと予約の確かさも考えていただきたいと思います。  予約ですが、一方で短時間勤務で復帰して働いている社員が通常勤務に移行していく際、 どのタイミングで保育園の保育時間が延ばせるのかが、実は申込みをしてから決定するまで の期間と決定してから実際に時間が延びるまでが2週間程度しかないという保育園が多い と聞いています。つまり、保育時間を長くするという申込みをしていて、それからしかるべ きタイミングでオーケーですという返事が来て、実際に伸びる。長くできるのが2週間くら いだとすると、実際に会社で通常勤務に戻れる時期というのは2週間後に柔軟に対応できる かというと、そこは職場の中の人員計画等もあって対応しきれないということもあり、そう なると本人は通常勤務になりたいと思っていても、短時間勤務が実は長く続くという現状も ありまして、保育の時間の延長に関してもスムーズな予約ができるような柔軟な仕組みもぜ ひご検討いただきたいと思います。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。一つおたずねしてよろしいですか。復職時の短時間勤務は通常ど れぐらいの勤務を希望する方が多いのですか。 ○川崎委員  これは広く一般的勤務形態というよりは、弊社の勤務制度からすると6時間が一番多くな っています。制度的には4時間という短いものもありますが、4時間では仕事も満足にでき ないので、やりにくいということがあると思いますので6時間が一番多いです。 ○大日向委員長  ありがとうございました。市原委員、お待たせしてすみません。お願いいたします。 ○市原委員  今の議論の関連ですが、地域で就労している方が保育サービスを求めるという状況の中で は、先ほど佐久間委員からもありましたが、低年齢児が非常に多くなっている。それも育児 休業制度の拡大とどうリンクしているかの分析も、さらに今後必要になるのではないかと思 います。また、三鷹市の例で申し上げますと、地域で一定の規模を持つ企業や医療機関、そ うした企業の従業員の方が保育サービスを求め、保育が受けられる、可能になる方について は就労が継続し、万が一待機児童に回ってしまう場合は育児休業の延長などの制度利用がで きるかどうかにそのご家庭のその後の経済的な面、また家族状況が大きく左右されてしまう という状況があります。そこで、三鷹市では市内の一定の企業と子育てに関しての情報共有 をより積極的に図る中で、例えば市内の企業や医療機関と情報共有する中で、いかに企業に とっての離職率を下げ、また企業の人的な活力を継続するかということで、例えばの方向性 として事業所内保育施設、また地域の子育て支援にどれだけ企業や医療機関が貢献するかに よって、市の独自の補助やサポートを企業・医療機関に対してするという試みを次年度以降 について今検討しているのですが、行政だけで問題を解決することは非常に難しいところが ありますので、地域の資源また活力とどう連携をして地域の子育て環境を維持・改善してい くか。そうした視点を非常に強く今、我々は問題意識として持っていることをご紹介したい と思って報告しました。 ○大日向委員長  ありがとうございました。高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員  質問です。8ページの「需要が供給を上回っている場合の市町村の認定」のところですが、 例えば対応イメージ例の2で「申請書類を市町村又は市町村が関与した連絡協議会」と書か れている。これはこのまま平で読んで、市町村でもよいし、連絡協議会でもよいという理解 でよろしいでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  そういうものとして書いております。 ○大日向委員長  椋野委員、お願いいたします。 ○椋野委員  少し戻るのですが、先ほど吉田昌哉委員が言われた障害や低所得世帯の子どもについてで すが、公的保障のある仕組みですから、どんな保育所であっても企業立であっても、そうい う子どもを嫌がることは当然あってはならないということで、そこは当然だと思います。公 的保障のある仕組みを考えているので、最低限というか当然皆が守るべきことを議論してい るので、私はそれ以上ここで深い議論をするつもりはないのですが、ただ、保育所には企業 立もあるし社会福祉法人立もありますので、嫌がるというのはとんでもない話で、当然皆が すべき配慮があって、プラス恐らく社会福祉法人立の保育所であればさらに福祉的配慮をな さるだろうし、なさることを期待してもよいだろうと思っています。ということを、最後の 論点整理になってきているので、ここでこれ以上突っ込んで議論をする必要はないのですが、 そういう主体別の求めるべき水準の違いもあり得るということだけ申し上げておきたいと 思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。飯塚委員、お願いします。 ○飯塚委員  育児休業復帰の関係の話が結構多かったので、私どもは今度の18日水曜日から、平成22 年度の継続の児童の受付けを行うということで、まさしく受付けのシーズンですが、現状で は先週も問い合わせが多くて、その中でも育児休業の部分の問い合わせは非常に多いという 印象を持ちます。具体的には年度途中での入所について、非常に皆さまが不安をお持ちにな っている状況で、そういうこともあって実際に在宅で育児をしているのですが継続で保育所 に入所したいという希望のお客さまも非常に多いところです。私どもとしても原則育児休業 の休業の趣旨は多分在宅で育児をしていただくという目的でお休みを取っているところで すので、一般論といいますか私どもでいえば「保育に欠ける」状態ではないと判断せざるを 得ないのですが、一方で中途入所ですと入りづらいという現状もある中で、何とかしていた だけないかという話は確かに多いという現状があると思います。根本的には議論にもありま したとおり、保育所の定員の拡大をある程度図る中で解決していかなければならないという のは私どもも十分認識しているところですが、高橋委員からも話がありましたとおり、問題 があるから解決しないというわけではないので、解決に向けて私どもも進めていきたいと思 いますが、ここでご紹介したのは、それと同じレベルといいますか、同じような点数といい ますか、評価で転入でフルタイムで働かれている方が例えば事前に連絡をしてきて、「鷲宮 町で保育所が空いていればマンションを契約しようと思っているのです」というお問い合わ せも何件かいただいているのです。そういうこともありまして、育児休業だから優先すると いうことではなくて、そういう転入の方である程度働いていらっしゃる方も多分同じような 位置付けというか、例えばその一定の枠を確保することも必要だと思いまして、ここに掲載 した意見を言ったということです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。最初のブロックでは他にいかがでしょうか。佐藤委員、お願いい 5します。 ○佐藤委員  17ページの「弟妹の育児休業取得に際しての兄姉の取扱い」のところの発言の中で「育 児休業中の保育利用を1歳6か月まで認めている市町村もかなりありますが」という、そこ のところにプラスして、「子ども主体の保育の保障」という面からもここを継続利用が認め られるようにすればよいと付け加えたいと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。第1ブロックはこの辺りでよろしいですか。  それでは、次のブロックに進めたいと思います。目次でいいますと6番「保育に関する費 用保障」と7番「利用者負担のあり方」です。どうぞお願いします。  飯塚委員、お願いいたしします。 ○飯塚委員  これは事務局の方に確認も含めてですが、私も特にお金の流れ、個人給付、法定代理給付 ということでシフトするということで、この議論をしていたときは民間をベースに私も考え ていたのですが、電車での帰り道でひたすら考えながら、実際にこれを市町村に当てはめて みるとどうだろうというところを非常に疑問に思ったのです。現在、市町村ではこのように 特定な財源として保育の費用というのは保障されていないというのは語弊がある言い方か もしれませんが、交付税措置という形になっているのです。交付税措置というのが曲者とい う言い方をしてよいのかどうかよくわからないのですが、専門的な話で申し訳ないのですが、 交付税措置は事業仕分けでも話がありましたが、いろいろと制度が複雑で、単純にいえば基 準財政需要額と基準財政支出額の差を交付税という形で市町村に交付するということにな っています。これはすべての市町村が一定の割合で交付されるわけではなく、財政の豊かな ところは不交付団体という交付されない団体もありますし、財政が乏しい団体にはより一定 の割り増しなど、いろいろなものがあって交付される仕組みになっています。現状の場合、 測定単位として保育所の運営という部分については一応あるのですが、これが市町村によっ ては満額きているところもあるでしょうし、そうでないところもあるという実際に格差が出 ているという状況です。これを個人給付、個人に対して支払う法定代理給付ということにな ると、現状ですと交付税の中で、市町村の努力によって恐らく今は社会福祉法人の定額、保 育運営費の委託料の、例えば120人規模でしたらその同額で運営していない団体は多いと 思います。かなり努力してそれよりも下回った金額でやられていると思います。実際に交付 税というのは一般財源と特定財源と考えられたのですが、一般財源というのは何に使っても よいというお金ですので、これは私ども市町村では国でいう財務省に当たる財政当局との折 衝の中である程度予算を確保するという流れで、私どもも金曜日にそのヒアリングをやった のですが、そういう流れの中でこの定額が実際に付きにくい現状があるのです。一般財源に しているのでこれで我慢してくれという中で今運営をしている中で、こういう形になった場 合に、個人の積み上げでその一定の金額が決まるとなった場合、不交付団体も含めてそれは 交付税措置であっても確保すべきものではない。民間に行けば一定の金額がもらえて、市町 村だと一般財源にされているからこれで我慢してくださいと。実際に個人が受取る額が少な くなってしまう恐れがあるのが課題になるというところです。この一般財源という仕組みが 非常に財政当局では自由に使えるお金だろうという一方ではそういう議論なので、できれば 特定財源という形でやっていただければこういうことが担保できるのかなという気がした のですが。 ○大日向委員長  事務局、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  制度の仕組み方で影響を受けるところはあると思いますが、今の段階で一般論として申し 上げれば、他制度の例で申し上げますと、介護保険でも同じような事情がありまして、公立 の何らかの施設をやっている場合と民間がやっている場合とで差があるかというと、差はな いのです。要するに単価設定について差はないので、利用して費用の請求が連合会を通じて 市町村にきますと同じ単価で個人ごとに支払うことになりますので、それを新しい保育の仕 組みに引き直して考えれば、それは公立の保育所だから低い単価で支払うことにはなりませ んので、仮に財源が公立分が市町村の一般財源であるとしても、そこは市町村側に財政負担 としては社会福祉法人立などと同じ単価で支払う義務が法律上かかるということになりま すから、財源は一般財源であっても、特定財源と同じように義務的に財政負担をしなければ いけない仕組みになると思います。だからこそ、この新しい仕組みの導入が必要だという要 素もあります。要するに今のこの話は、公立保育所に限らずですが、市町村がやはり財政当 局の事情でどうしても給付を抑えがちになるところ、そういうことが可能な仕組みになって いるのを、むしろこの新しい保育の仕組みにすることによって、義務的に市町村の財政当局 もお金を出さざるを得ない、それも決まった単価で出さざるを得ないという仕組みを確立す ることによって、保育の供給も安定的に増えていくことにねらいがありますので、まさに今 おっしゃったような仕組みをつくるということです。 ○飯塚委員  それは何か法定化というか、法律とまではいかないかもしれませんが、何かで明文化され るご予定があるのですか。 ○朝川少子化対策企画室長  要するに、法律の仕組みとしては、市町村が最終的に費用の支払いをするという条文が入 るわけです。そのときに、当然保育の決まった単価で支払いをしなければいけないという義 務の規定がありますので、それをもって担保するということになります。 ○大日向委員長  木原委員お願いいたします。 ○木原委員  今のお話で、私はずっと気になっていて、公立が非正規化したり、大変になってきたりし て、地方財政は非常に厳しいので、では公立はどうなるのかなと思っています。ひょっとし て国庫負担金制度に変わってしまうのか、特定財源に変わってしまうのかと。でないと、こ の新しい仕組みは民間だけでするわけにはいかないわけですから、そういう意味では、私は 今、地方分権のこの大きな流れで、そちら側から逆の流れが起きないかと、非常に心配して います。ただ、私は今の公私合わせた保育園の実態、中身の水準をやはり上げていくべきだ と思いますし、ぜひこの仕組みを早く実現させることが必要だと、今、室長のお話を聞いて いて一層思いました。ですから、ぜひ早急に進められるような形を考えていただけたらと思 います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。 ○香取審議官 今のお話ですが、誤解を恐れずに申し上げると、一般財源で事業を行うということと、今回 の制度のように、保育なら保育、保育園以外も含めて広い意味での保育について何らかの形 で一定の財源を用意して、その中からきちんと費用を払っていく。つまりそれは、その保育 に関する国なら国のレベル、あるいは自治体なら自治体のレベルで、特定の必要な財源を確 保してその財源でサービスを提供するという仕組みをつくるということですから、両者は制 度的には相容れないことになります。例えば市町村立の病院というものがあります。どうや って病院の会計が成り立っているかというと、病院は診療を行いますから、診療報酬という のが普通の民間病院と同じように費用として保険から支払われるわけです。その費用で基本 的には病院の経営が成り立つので、病院としては自分が行った医療に見合った報酬が医療保 険制度によってまかなわれる。もちろんいろいろ、赤字補填があるとか何らかの政策医療を やることで補助金が入るということもありますが、基本的には民間の病院と同じように、診 療に対して報酬が支払われるという形になります。この場合でも、基本的には公立の保育所 であっても民間の保育所であっても、一定の定員で一定の子どもたちをお預かりしてサービ スを提供する。それに基本的には同じ基準で得られた費用が支払われる。そのお金はこうい った制度の中で担保された形で返ってくることになるので、それを交付税経由で払うという のは、なくはないのかもしれませんけれども、交付税というお金の本質的な性格から考える と、やはりそこは矛盾することになります。つまり、一般財源化の形のままで公立の制度を こちらへ持ってくるということは恐らくできないので、そこは手当てをすることになると思 います。 ○大日向委員長  椋野委員お願いいたします。 ○椋野委員  「利用者負担のあり方について」、お配りいただいた資料ですと、22ページからの所です。 参考資料3として私のペーパーを今日配付してくださっているので、それも併せて見ていた だければと思いますが、論点整理の中では23ページに「経済的に厳しい若年層の子育て家 庭が多いことをふまえ、現行の4割負担である利用者負担を他制度と同様に引き下げる必要 がある」とあります。どちらかの保育事業団体が出しておられた意見だと思います。報告書 をまとめるのではなく、少子化対策部会、あるいは政治的判断の材料に資するという観点で 論点整理をするのだと伺いましたので、財源が厳しい状況ではありますが、考え方として私 もこの利用者負担の所を書かせていただきました。  4割というのですけれども、これは平均なわけです。普通は4割というと、医療の2割と か3割、介護の1割に比べたくなるのですけれど、平均というと、医療は高額療養費制度が ありますから15%ですし、介護は7%。そうすると、それに比べて格段に高いわけです。 介護の1割に比べるべきものは何かというと、保育になると100%になるのです。所得の高 い人は最大100%が自己負担ですから、これは極めて高い。どうしてこういうことになって いるのだろうと考えたわけですけれども、つまり児童の養護は恐らく本来親が行うべきであ って、それができない場合に公的に行うということでできてきたのだろう。だからこそ保育 に欠ける場合なのだろうと思うわけです。したがって、その費用は本来児童を養護すべき親 が全額負担すべきであると。保育に欠けていれば、保育はするけれども、親が本来やるべき ことなのだから費用はいただきますよと。ただし負担能力がない、負担能力が十分でない場 合には、それは取れないわけですから負担能力に応じて費用を徴収する。逆に言うと負担能 力に応じて公的に費用を負担すると。恐らくそういうことなのだろうと思います。そうでな いと、この今の仕組みは理解できない。高所得であれば100%ですし、平均でも4割と極め て高い。そうすると、もともと低所得者対策であればそういうことですが、今の保育の現状 とは、考え方が大分違っていると思います。私は保育も、医療や介護と同様に普遍的に国民 に保障すべきサービスだと考えます。だから所得が高いからといって使わせない、それはな いですけれど、100%費用をいただくというようなものではない。所得にかかわらず誰でも 利用でき、所得にかかわらず誰でもが大きな負担感なく一定率の負担で利用できるようにす べきだと考えています。ですから私は定率負担であるべきだと思っています。もちろん、定 率負担にすると低所得者が利用できないということが起きますから、それは当然低所得者に 対して減免措置というのはあり得る。あり得るというか講ずるべきだと思います。ただ、高 所得だからといって100%取るのはおかしいだろう。保育は普遍的に保障すべきサービスだ と考えているというのが第1点です。財源が非常に厳しいときですから、こういう意見を言 ってまとめるのは難しいと思うのですが、論点としてはぜひ出しておきたいと思っています。 それが一つ目。低所得者減免措置を伴う定率負担であるべきだと考えているのが一つ目です。  その後に書いているのは、残業時間に対応する保育サービスで、これはおまとめいただい たものの25ページの辺りです。低所得で長時間勤務を余儀なくされている親に、通常の時 間より重い利用者負担を課すようなことはすべきでない。これはもう既に申し上げました。 働き方の見直しはまだ途上なわけですから。ただそのときも、企業負担を考えてはどうかと いうご意見が他の委員の方からありましたので、通常時間と異なる費用負担を考えるのであ れば、財源を事業主の拠出に求めて、残業の多い事業主は拠出率を引き上げることによって 働き方の見直しを進めるというインセンティブを与える。例えば、労災保険で労災を起こす と拠出率が引き上げられるというのと同じような仕組みを考えてはどうだろうかと。これも すぐにできることかどうかというのはありますが、少なくとも利用者負担を高めることによ って、残業をさせないということは成り立たない。高めるのであれば事業主負担であり、、 長時間労働を余儀なくされている方に、より高い利用者負担を求めるようなことはすべきで ない。そういう方は低所得であったりする方も多いのですから。というのが、私の利用者負 担についての意見の二つ目です。  それから、おまとめいただいた論点整理の23〜24ページ辺りに「標準的な利用保障の範 囲の区分に応じた利用者負担のあり方」として委員の意見がまとめられているのですけれど も、これも前回の議論のときに申し上げたのですが、どうも利用者負担ではなく、ここに書 かれていることは事業者に対する費用の支払い方ではないだろうかと思います。例えば一つ 目の丸の、保育所の運営費のほとんどが人件費であり、短時間だから半分とか3分の2とい うわけにはいかないと。事業者としてはそうでしょう。そのとおりにするかどうかは別とし て、運営費の公的負担についてはそうおっしゃることもわかります。ただ、これを利用者に 求めますか。保育所の運営費のほとんどが人件費だから、短時間だからまけるなんてしませ んよとか、3分の2にはしませんよとか、そういうご趣旨ではないと思いますので、ここは 誤解を招くので論点整理のあり方を変えていただきたい。この中にはもしかしたら利用者負 担の話も入っているかもしれませんけれども、そこはぜひ整理をして変えていただきたいと 思います。  私の意見としては一貫して、利用しないところを取るということはないだろうということ です。例えば週4日利用の人から6日分取るというのもおかしいと思うし、週4日というこ とで申し込んでいたけれども例えば風邪で熱が出て受入れてくれなくて休みますというと きに、その費用をいただくというのもおかしい。今日の提出のペーパーにも書いていますけ れども、勝手にわがままで休むのだったら別ですけれども、やむを得ない理由で行かせられ なくて休んでいるのに、その費用を払えというのは、いわば100%のキャンセル料のような 話です。民間の営利企業だって、そうする所もありますけれども、それだったら今回はいい ですというところも結構あるような世界だと思います。利用者負担と事業者への運営費の払 い方がどうも一緒に議論されたので、恐らくその意見が出てきたのだと思います。そこは一 応切り離して考えるべきだろう。風邪で保育所に行けなかったら有給休暇が使えるところと、 休むとお金が入らない働き方をしている方もあるだろうし、走り回ってベビーシッターに高 いお金を払う方もあるかもしれない。そういうときのベビーシッター代は公的に出していた だけるようになるとよいと思いますけれど、いろいろな事情があると思うので、どうするか というのをここで議論する必要はないと思うのですが、議論が混乱しないようにそこは分け ていただきたい。利用者負担と事業者への払い方は整理をしていただきたいと思います。  それともう一つ、整理の仕方で少し気になったのが、例えば18ぺージ、19ページ辺りで、 法律論で事業者の方がご心配されていろいろご質問されて、それに対して委員長代理や行政 が、法律的にはこういうことですよとご説明された。それを並列のように書いていると、ま るで両論あるように読めてしまうのです。これは法律家が集まって議論しているところだっ たら両論はあり得ると思うのですけれど、現場の方がこうなったらこのような法律解釈にな るのではないかというご懸念でご質問をされ、それについて法律的にはそうではないですよ というお答えがあったものは、両論的に読まれないようにわかるように書いた方が、これを 材料としてご議論される方にとって混乱を招かないので、併せてお願いしたいと思います。 長くなって恐縮です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。まとめ方に関して、法律的に誤解のないような書き方が必要だと おっしゃるご指摘はそのとおりで、考えさせていただきたいと思います。  それから、利用者負担と事業運営費の支払いの所も書き分ける必要があるということです が、それもそのとおりかと思います。最初にご提案された利用者負担の、低所得者層に減免 措置は伴うけれども定率負担であるべきというところに関してですが、実はこのまとめの最 初の4ページ目で、保育対象範囲という点ではすべての子どもを念頭に置いて保育ニーズを 保障するということから出発しているわけです。こういう最初の書き方ですと、すっと通る のですが、具体的に利用者負担となると、今、椋野委員が提案されたような非常に重要なポ イントにかかわってきますので、ここに関してどうぞご意見をいただければと思います。 ○佐藤委員  今のご意見ですけれども、ここにペーパーで書かれているように児童の養護は本来、親が 行う。でもこの国で子どもたちが生まれることを子どもたちは選ぶことはできませんし、何 よりも児童福祉法の第2条の中に「保護者とともに国および地方公共団体がその育成に責任 を負う」となっているわけです。その責任の果たし方として個々の仕組みがあるような気が するのです。ですから、これが本来100%、全額負担するものであるという考え方には私は 賛成できません。それから何よりも、日本でも批准して今年で15年になる「子どもの権利 条約」というものがあるのですが、子どもの権利条約でも、子どもの最善の利益を保障する ことが、この国でも、それから世界のためにもなることなのだと。ましてや私たちはこの国 の未来にお金を使うこと、その財源確保が前提であるというこの仕組みのことを話してきた と思います。ですから、そこのところは、確かにおっしゃるように、例えば利用者負担がと ても重いと感じられる方たちには減免措置は当然ですけれど、そうでない子どもたちも一定 の仕組みとして、この国が社会保障として費用を負担するのは当たり前のことではないかと 私は思います。 ○香取審議官  議論が噛み合っていないような気がするので、あえて少し議論を単純化して申し上げると、 今の児童福祉法の考え方、あるいは児童福祉にかかわらず、いわゆる福祉といわれている制 度の基本的なものの考え方は、今椋野委員がおっしゃったとおりの考え方です。基本的には、 社会の中で自分の力でできることは自分でやっていただくと。できない人、あるいは社会 的・経済的な理由で十分にそれができない人について、公的な手助けをするというのが基本 の考え方です。したがって、例えば「保育に欠ける」子どもであるとか、常時介護を要する 老人、そういう人については行政の側がきちんと面倒を見る責任があるという構成を取りま すから、行政の側にいわばその義務が発生する。それを行政側が果たすべきツールとして措 置というものが存在する。措置すべき義務が行政の側にある。そういう、困った人が世の中 に放置されている状態を作ってはいけないという形で行政が責任を負うという構成を取っ ています。したがって、まさに椋野委員がおっしゃったように、サービスというか、もはや サービスではなくて行政が措置すべきことなので、利用している人たちは措置の客体という 考え方になるのです。ですから、費用は基本的にはその本人が負担できるのであれば負担さ せるし、そうでない人は公費で責任を負うという構成になります。先ほど委員長がおっしゃ ったように、社会的なサービスで行うという意味はまさに「できる人は自分でやってね、そ うでない人は行政が責任を持って面倒を見る」ではなくて、社会全体として、いわば普通に、 医療保険や介護保険のように、そういうことが必要な人についてはサービスが等しく利用で きる状態をつくる。そのための制度をつくるのが、恐らくここで言う「社会的に支える」と いうことの意味だと思います。実はこの問題は、この制度を維持するための財源を誰がどの ように負担するのかということに関係する非常に重要な論点だと思います。そういったすべ ての人のサービスである、普遍的なサービスであるということは、お金持ちも貧乏人もみん なが使うわけで、いわゆる低所得者対策として行われるものではありませんので、みんなが サービスを利用する。みんながサービスを利用するものを、いわばお互いに、それぞれの役 割と責任に応じて、財源を出し合って拠出してお金をつくって、それでみんなでサービスを 利用するという構成になるわけなので、いわゆる低所得者の一部負担を、利用者減免をする とか何とかという問題とは別に、その制度全体の財源をそういう形で持つということになる のだと思います。ですから、利用する人にはそれぞれある一定の需要が発生すればサービス を利用できる法的な地位というか権利が与えられる。それが、言うところの社会的な制度と して、あるいは社会化されたサービスとして保育のサービスを保障するという意味になるの だろうと思います。最初に書いてあることがまさに、ここで言う「社会的に支援する」とい うのは恐らくそういう意味で書かれているのだろう。その意味で言いますと、まさに子ども の立場からすれば、すべての子どもが育つために必要なサービスが社会的に保障される。そ れについて、それぞれの当事者が責任を持つと。まさにそういうことになるのだと思います。 ○高橋委員  椋野委員に確認ですけれども、委員のおっしゃっているのは、今、保育所の保育費用の利 用者負担は4割と他業種に比べても非常に高いと。確かに所得の高い人はよく3歳以上児で 見られるように、ほとんど徴収基準額に近いお金での保育料で、そういった意味では100% 負担となっていると。ですから、財源が非常にここは伴うわけですけれども、これは基本的 に一律的にもう少し下げるべきだという理解でよろしいでしょうか。 ○大日向委員長  私も椋野委員に一つ確認したいのですが、椋野委員がお出しくださったペーパー、あるい はご発言は、先ほど佐藤委員が受け取られたのとは若干違うのではないかと思いますが、そ の辺りも含めてご確認いただければ。 ○椋野委員  私は佐藤委員のおっしゃったことがよくわからなかったのですけれども、サービスは所得 にかかわらず利用できる。でも今、費用は所得の高い人は100%ということになっている。 これはおかしいでしょうというのが私の言いたいことなのです。定率であるべきだと。その 定率を2割にするのか1割にするのか。介護並びなら1割だし、医療並びなら3割でしょう。 そこをどうするのかというのはありますが、1割なり2割なり3割にして、今の平均でやる のだったら4割ということもあるかもしれない。そこは財源とのかかわりですけれど、それ でも払えない低所得の方は、当然減免をするという仕組みが、本来この新しい保育の仕組み から出てくる利用者負担のあり方だろうと思います。ただ、財源をどこに求めるかは、この 委員会で議論する範囲を恐らく超えていますし、それはとにかくお金を確保するというだけ ではなく、誰が負担するかということと非常にかかわることですので、利用者負担というと ころだけで申し上げれば定率にして、低所得者はその率よりも低い、払える額にするという ことです。それでお答えになりましたでしょうか。 ○佐藤委員  すみません。誤解していました。前段の部分は撤回させていただきます。ただし、児童の 養護については、本来親が行うべきであるということについては、第一義的というのならわ かりますけれど、やはりここのところは親だけではなくて当然のごとく社会全体がカバーし ていくということだけはもう一度確認させていただきます。 ○大日向委員長  この専門委員会も特別部会の議論も、その点を前提としているかと思います。椋野委員も 現状の問題点をご指摘になった上で、新たな仕組みをつくろうというご提案だと思います。 繰り返しになりますが、この委員会の、あるいは部会のそもそもの前提は社会みんなで子ど もの健やかな育ちを保障しようということですので。  他にいかがでしょうか。佐久間委員、お願いいたします。 ○佐久間委員  今のお話とは少し論点が違いますが、保育に関する費用保障について、公的保育契約にな ったり利用者に対する費用保障、また法定代理受領の仕組みというのは、私も市町村が今は 認可保育園をつくっていくことを財源の問題で抑えられているという現状もある中、早くこ の制度に変わっていき、量的な拡大もされていけばよいと思っております。賛成の意見です。  一つ19ページのところで、その仕組みになったときに「利用者補助により資金の性格が 全く変わってしまい、使途制限がかけられないのではないか」というご意見があったり、使 途制限の話はこの仕組みとは別の問題であるというようなご回答もあった中で、私は本日ペ ーパーも出させていただいておりますが、民間事業者として保育事業を行っていき、この社 会の中で一人でも多くの子どもたちに保育のサービスを提供していきたいと思っている事 業者として、現在も複数の園、現在は22園ですけれども、園を運営しております。日々、 量的・質的な向上を目指して行っている中で、私たちの本部の機能も非常に大きくなってお ります。複数園を運営するがゆえに採用や研修、また次の園の開発というようなところに本 部の役割があるわけですけれども、そうやって行っていくときにこの使途制限というのが非 常に私たちにとってはネックになるというか、障壁になっているのも事実です。ご議論はい ろいろあるかと思いますが、ぜひ量的・質的な向上を目指していく中で、企業という法人格 もこの保育制度の中に参入しているところですので、使途制限の問題というのは外されてい けばよいと思っていることを一言お伝えしておきたいと思います。 ○大日向委員長  飯塚委員お願いいたします。 ○飯塚委員  今の話は、株式会社からの論理だと多分そういうことだろうと思いますけれども、多分こ こで押さえなくてはならないのは、税金を投入しているというところなのです。税金を投入 しているということは、背後に住民がいるわけで、やはり何にでも使ってよいということで 住民のご理解が得られるかというのは非常に難しいところがある。私どもは市町村の立場で すが、やはり税金の使い途については常に住民に使途をご理解いただけるかどうかを念頭に 置いてやっているつもりです。若干これを読ませていただきましたけれども、例えば株主に 還元されるというお話もありましたが、そういうものに実際に納税者のご理解が得られるか と考えたときに、どうなのだろうと思うところがあります。納税者の理解が得られる範囲で やられるということについては良いと思いますけれども、やはりそこはある程度納税者のこ とも踏まえながら議論していく必要があると思います。 ○大日向委員長  では、佐久間委員に先に答えていただいた後、川崎委員でよろしいですか。 ○佐久間委員  飯塚委員のおっしゃることも私としては非常によくわかるところです。ただ、株式会社と いう法人格として考えたときに、不用意にお金を何にでも使っていくということは確かに違 うと思いますけれども、「配当」という言葉があったり、使途の制限ということがあります けれども、より効率的に、そして質を高めてまたこの事業に投資をしていくということ考え たときに、そこを一つ、もしかしたらある程度の制限が付くのかもしれませんが、考えてい ただきたいと思っております。 ○大日向委員長  今のことに関してでしたら、先に駒村委員、どうぞ。 ○駒村委員  今の議論は今後ももう少しやった方が良い部分だと思います。税金が財源だからといって、 ではその払った後のお金まで制約することになると、やはり参入は非常にやりづらいだろう と思います。ただ一方で、使途制限について全くないということになると、株式配当という ことですから株式市場からそれなりのプレッシャーがあって、無理な利益を出そうとする結 果、保育サービスという質が形式的には守っているけれども、よく見えない観測できないと ころでサービスの切り下げが発生する可能性もありますから、何らかの縛りや質が下がる可 能性がある部分については、そのように経費の使い方について公開するような何らかの縛り は残しておいて、多分ゼロか1かという議論ではないと思います。この辺りは妙な設計をす ると、妙なエッセンスが働きますので、慎重に議論した方がよいと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。ただ今のご指摘は、多分前回も議論があった点かと思います。使 途制限を掛けるかどうかは適正な事業運営に対して規制をどのように法的に枠付けするか の問題だというご意見でしたが、さらに今いただいたご意見を補足として書き込ませていた だくということでよろしいでしょうか。  それではお待たせいたしました、川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  すみません。違う論点になるのですけれども、先ほど少し残業時間帯に対応する保育料の ところで、そこが通常時間帯と異なる費用負担であれば事業所負担でというようなご発言が 椋野委員からありました。この中では25ページに該当しますか。費用負担のところです。 ここの論点整理の中では、直接、事業所拠出という文言は明言されていないと認識しており ますけれども、今、企業としても時間外はできるだけ減らしていこう、従業員の健康を考え ても残業の少ない働き方ということで見直しを進めているわけですけれども、残業が多いと いう場合は、かなり個別の事象によるもので、職場の中だけを見ていくと、現実的には例え ば育児休職をする人の穴埋めのために残業をしたり、短時間勤務で帰る人のための穴埋めで 残業が発生することも否めないわけです。そこで一律で残業が増えているから事業所負担と いう発想自体は少し慎重にご判断いただきたいと思います。この部分の財源をどうするのか という議論が当然あろうかと思いますけれども、事業所側の事情によるものだけではないと も考えられますので、今後議論になるのであれば、そういったところを踏まえていただきた いというお願いです。 ○大日向委員長  佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  22ページの「利用者負担のあり方」の第1次報告での整理の中です。以前も若干触れた のですが、「公定価格」という表現は改めるべきだと思います。保育はモノとして価格を与 えてそれで買い取っていただくものではなく、むしろ保護者と共同して健やかに育てる営み だと思っています。そこには「価格」という文言は合わないのではないかと。「保育の費用」 を今まで使っているものですから、「保育の費用」はわかるのですけれども、「価格」という 表現は何となく物に対する対価があるという意味合いが強いので、この表現は改めるべきだ と思います。 ○大日向委員長  今の点について、事務局から。 ○朝川少子化対策企画室長  第1次報告でも使っておりますが、今でも保育単価という単価の価は価格の価なのです。 そこまでこだわる言葉遣いではないと我々は認識しているのですが、おっしゃることは非常 によくわかります。だからといって、ここで価格という言葉を使わないで、仮に費用と置き 換えても、それで言葉が通じにくくなるなどの問題がありますので、そこは価格という言葉 を使わせていただけたら助かります。 ○大日向委員長  香取審議官が「価格」で駄目ならば何がよいでしょうかとおっしゃっていますが。 ○香取審議官  では、報酬ですか。 ○佐藤委員  これまでも「保育費用」を使っていましたけれども。行政が出している保育単価や単価表 というのはわかりますけれども。 ○香取審議官  医療も価格ですよね。介護も価格です。今のご議論は、サービスの性格ということはある のかもしれませんが、一定のサービスと言ってもよいですし、一定のなにがしかの労務提供 することに対して費用が支払われているわけですから、その費用を自由に決めるのか、それ とも一定のルールに基づいて公定で決めるのかという議論をしているのです。価格という表 現が気持ち悪いという気持ちはわかりますが、例えば、これを法律で書くことになったとき、 あるいは個々の保育所の経営やファイナンスということで、きちんと費用が支払われる、支 払われないというように考えれば、それは自由価格か公定価格かということになるわけです。 そういう意味で公定価格にしますと言っているわけですから。価格という表現がもしお気に 召さないのであれば、他の制度でいえば、例えば介護や医療は「報酬」という言葉を使って いますから、公定の報酬などと書くことになると思います。「報酬」も対価であることには 変わりないので、別にこれで保育のサービスの有り様をおとしめていることにはならないの ではないかと思いますけれども。 ○大日向委員長  よろしいでしょうか。保育の問題というのは、クールにドライに詰めていくべき部分と、 子どもの育ちを見守る、親を支えるという温かいハートでやるべき部分の両方あるというこ とだと思います。  それでは、時間も残り少なくなりました。後者の本来あった質というところにも踏み込ん で、議論を移していただければ思います。ページで言いますと25ページ以降のところです。 ご意見をお願いいたします。  高橋委員、お願いいたします。 ○高橋委員  保育の質の向上について前回あまり私は発言しなかったのですけれども、これは佐藤委員 からも前回別のペーパーで出ていたと思いますが、日本保育協会としても、最低基準につい ては、ここはやはり最低基準であり、見直しについては反対している立場です。この度は待 機児童の関係で都市部に限ってというようなこともありましたが、そこも実際のところ、都 市部であればあるほど、実は最低基準よりももう少し上乗せしている基準があるという実態 がありますので、果たしてそこで最低基準をと言ってもどうなのかということを少し考えて いたのです。しかし、基本的にやはり最低基準というものは、本当に最低だと認識しており ますので、そこはきちんと守るべきだということを申し上げておきます。  それから保育士の資格については、人材確保などの観点から保育士の資格について、椋野 委員の資料にも若干あるので先走って恐縮ですけれども、一定の保育研修を受けた者でとい うこともあります。かつて准保育士のような考え方があったわけですけれども、ここについ て非常に慎重であるべきだと申しますのは、保育の内容の職務基準があまり明確な形で出て おりません。では具体的に、仮に保育士が幾つかあった場合に、同じ保育の仕事をすると非 常に危うい可能性もある。具体的に申しますと、例えば私どもの事例では、与薬については 常勤しか対応しないことにしております。そういったことも含めた幅広い保育内容の職務基 準も併せていかないと、もし保育士の資格について考えるのであれば、そういったところも ぜひ考えてやっていただきたいと思います。  それから配置基準については、ここも27ページの2番目の四角の二つ目の丸に書いてあ るとおりで、保育室の8時間の保育時間と開所時間の11時間の整合性を取ることも含めて、 11時間であるとするならば、11時間の開所時間の中できちんと40時間労働が確保できる ような形で検討していただきたい。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。保育資格に関して、椋野委員はペーパーに書いておられますが、 先ほどは言及されませんでしたが。お願いいたします。 ○椋野委員  参考資料3の先ほど見ていただいたペーパーで、保育サービスの質について意見を申し上 げます。今、認可保育所でさえ保育に従事している人がすべて保育士というわけではないわ けです。配置基準としては保育士がいるわけですけれども、先ほどの8時間、11時間の問 題もあり、いろいろとそれ以外の方を入れているのが実態だと私は認識しています。まして 認可外保育所や家庭的保育、つどいの広場、ファミリー・サポート・センター、ベビーシッ ターでは、看護師や保育士も入っていますけれども、それ以外の方も多く従事しています。 新しい仕組みで保障される保育サービスに従事する者は、全部保育士と言いたいところです けれども、それでは多分回らないので、少なくとも一定の保育研修を受けた者とすべきだと。 今、慎重論があって、そのように研修を作ると、保育士ではなくその人で良いということに なることを多分ご心配されたのではないかと思いますけれども、そうではなくて、今、資格 を要求していないところに「少なくとも研修を受けた者」ということをすべきだと考えてお ります。  前回、事務局から配布された参考資料を見せていただいて、保育士資格取得の実務経験ル ートで、児童福祉施設での経験しか認めていないようですけれども、施設に限る必要はない と思います。この研修を終了して、施設型ではないものも含めて多様な保育サービスに従事 した者が試験を受けて保育士資格を得る流れをつくっていってはどうだろうかと。これによ り、例えば特段の専門的職業能力を持たないひとり親家庭の母親が、まずは自分の子どもと 一緒につどいの広場のような所に行って、そこで報酬をもらって仕事を手伝い始めて、その キャリアがカウントされて保育士資格を得る。そして職業的自立をしていく。これはイメー ジとして「例えば」ですけれども、そのような流れ。保育士か保育士以外か、それも児童福 祉施設での実務経験しかカウントしないのではなく、いろいろな方が研修を受けて入ってこ られて、保育士へとキャリアを高めていく。保育士になった後のキャリアの話もあると思い ますが、私はまずは認可外の保育所など認可保育所以外の質の向上が一貫して一番気になっ ているところですので、それを考えると保育士ではない方にも研修を求め、その方たちにキ ャリアアップのインセンティブを持ってもらうようなルートを考えてはどうだろうかとい うことが一つ目です。  保育士の配置基準は前回ほとんど議論がなかったので意見を入れましたけれども、本日は たくさん事業者団体から意見が出ているので、(2)は特段申し上げません。実態に合ってい ないところは、当然保育のニーズが深化・多様化し、それに応じて今やっているわけなので、 その実態に合った配置基準をすべきだということです。  認可外保育所の質をどうやって上げていくかということですけれども、認可基準を満たし てもらって認可保育所になるのが良いわけです。しかし、それに向けて、そうするにはお金 が要るわけですから、そうなるまでの間、認可基準を満たしていなくても少しでも質を高め るためにどうしたらよいだろうかということです。これはあくまで待機児童である、認可保 育所が使えない方が使った場合、あるいは認可保育所のサービスでは対応できない夜間など に認可外保育所を利用した場合に、費用保障の対象とする仕組みを、これもいろいろとご懸 念はあろうかと思いますけれども、やはり入れていく。その場合に条件を付けて、質を上げ る計画をきちんと出させる、一定の期間の間に認可保育所になるようにさせるなど、いろい ろとあるとは思います。それは詰めていけばよいと思いますが、とにかく認可外保育所はお 金がないから質の改善ができない、質の改善ができないから認可保育所になれないというこ とが悪循環しているのだと思いますので、それでもあまりひどいところは出せないですけれ ども、一定の質が担保された認可外保育所を、必要性が認定されていないという意味ではな くて、認定されているけれども、認可保育所を利用できない者が利用した場合に費用保障の 対象とする仕組みも入れる必要があると考えています。細かい仕組みについてはいろいろと 詰める必要があると思います。  それから前回議論になった最低基準の地方移譲の問題ですけれども、なぜこれほど地方に 移譲されると切り下げられるとみんな心配するのかというところで、確かに現行だとそうだ ろうということになります。それは財源の問題からです。本当はやはり実態をよく見た所が 決めるのがよいと思います。だから、移譲は財源が保障された新たな保育の仕組みの創設と 同時とすべきだと考えます。財源がないから切り下げになるという心配があるので、きちん とした新たな保育の仕組みと同時に移譲する。それから、仮に自治体において条例で国の標 準や基準と異なるものとすることを認める場合に、もちろん住民の代表の議会にかかるわけ ですけれども、議員がみんな保育の現場を知っているわけではないというか、どちらかと言 えば知らない方が多いのではないかと思いますので、そこはやはり当該自治体の利用者、事 業者、子育て支援関係者、専門家などで構成される委員会でまず検討して、整理して、そし て最終的には条例ですから議会でということ。何か現行どおりでただ駄目だと言うのではな くて、このような仕組みであれば可能だということも地方分権が流れであるとすれば考えて はどうかということです。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。吉田正幸委員、お願いいたします。 ○吉田正幸委員  質の話の前に一つだけ要望です。先ほど公定価格のお話は、多分、法定代理受領というこ とが感情的には面白くないのだろうと思います。ここは制度設計の議論をしている場であり ますので、一般の方に何かペーパーを出してという話ではないので、そこは良い意味であま り感情で言葉の善し悪しの価値判断をしない議論をしていただきたい。  それから使途制限についても、関連した部分がありますので私も後で申し上げますが、主 として使途制限の問題は保育第二専門委員会の方だろうと思っておりますので、そことうま くつながるような形で表現していただければと思います。  ここからが本題ですが、最低基準については前回も申し上げたように、最低基準だけで保 育の質を担保しているわけではない。ただ、誤解のないように言っておきますが、私もかね てから最低基準はむしろもっとレベルアップすべきだということを申し上げております。し かし、それが仮に今の最低基準が何とか守れたとしても、あるいは今の地方分権の流れの中 で仮に何らかの見直しがあった場合であっても、やはり保育の質の確保、それから質の向上 はきちんとしなくてはいけない。それができるような仕組みを総合的に考えるべきだろうと いうことが私の一番の主張です。質を下げないセーフティネットをどのように具体的に制度 設計するのか。そして逆に質を上げるようなインセンティブを、これも制度としてどのよう に位置付けるのかということをやはり考える必要があるだろうと思います。その部分で評価 のシステムも有効に組み合わせるべきであろうし、これは技術的にあり得るかどうかはわか りませんが、例えば職員の質ベースで言うと、離職率や処遇あるいは最低基準で担保した配 置以上の配置をしていればプラスのインセンティブを何か制度で設計するなど、そのような 具体的なアイデアをいかに盛り込めるかというところが実はポイントではないかと思って います。  もう1点だけ申し上げます。これは細かい話ではなくマクロな視点になりますが、先ほど 香取審議官も少しおっしゃった部分です。そもそも戦後に児童福祉法ができて、ある種の救 貧対策的なウェルフェアとしてできたわけです。しかし今、すべての子どもの最善の利益と いうことで、このウェル・ビーイングの方向で制度の設計をし直さないといけない。その際 に最近特にいわれている「子どもの貧困」の問題という視点も大事だろうと私は思っている わけです。それはもちろん、低所得家庭やひとり親家庭が重要ではありますが、それにとど まらずにもっと幅広い意味で、子どもの貧困に関する視点を、もう少し仕組みの中でうまく 質に絡めて生かすことができないかということです。一つは、例えば質の高い幼児教育や保 育が行われれば、ある程度貧困な状態にある子どもも、その後の育ちがかなり保障されると いうことで貧困を越えていける。そういう意味での質ということをもっと突き詰めて考える べきだろうと思っております。以上です。 ○大日向委員長  佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  保育の質の維持向上については全国保育協議会で意見書を出させていただきましたので、 それをご覧いただければと思います。前回も言いましたけれども、たとえ保育の質を支えて いる環境の中の「物的環境」が、一部の地域であっても、これが下げられていくということ に対しては遺憾の意を表明させていただきたいと思います。  それから質を向上させるためには、厚生労働省で出しました保育所保育指針の質の向上に 対するアクション・プログラムの実現化をぜひ図っていただきたいと思います。  配置基準については、例えば実際に保育士の配置がされていたとしても、平成10年から 短時間保育士の導入という通知が入っているのです。そういう意味では、例えば子どもたち が11時間いる中で1日8時間の常勤職員ではなく、例えばパートの1日4時間の人を複数 導入すれば、それが常勤職員と同じだという換算の仕方。これは最低基準の基準上の定数の 一部に加えてもよいということが、この弾力化をしたことによって、実際にかなりの人数が 入ってきてしまっているのです。非常勤の非正規、あるいは非正規の常勤職員までいるよう な状態の中で、この質の向上を図っていくのは、現場とすればかなり危うくなっている状況 があります。ましてや前回も出ましたように研修をさせていく、質の向上のために研修が必 要だとすれば、その研修をしているときの代替職員の確保も課題となっていくことだと思い ますし、それから、前回もそうですけれども、男性保育士が定着することは難しい。そのよ うなキャリアプランなり何なりをと言いましたけれども、私も男性保育士でしたので、男性 であれ女性であれ、一定の保育をしていくための地位向上ができるような仕組みが必要であ って、男性保育士に偏ったような判断をされるのはどうかと思います。  質の向上については、第三者評価についての基準の見直しを全国保育協議会でも平成18 年に厚生労働省に提出しています。何とか保育の内容をきちんと判断できるような評価基準 にしていただければということです。  保育士の研修体系や所長の研修体系については全国保育協議会の方でも研修体系のプロ グラムを作って、何とかそれを履修しながら、質を向上していくことをしておりますので、 そこも参照していただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○大日向委員長  あとお二方のお手が挙がっています。順番はどちらですか。飯塚委員、市原委員の順で。 時間も残り少なくなりました。この2人でよろしいですか。では、あと榊原委員、川崎委員 で。 ○飯塚委員  では、簡単に。椋野委員のご意見に私も非常に感銘を受けました。認可外保育所を待機児 童が利用した場合に費用保障の対象にと。まさしく私どももこれがやりたのですけれども、 今は財源ができなくて、一般的な補助を町単独で上乗せでやっているのですが、なかなか認 可外保育所になかなか十分な費用保障ができていないところがあって、この辺りを法的に整 備していただくと大変ありがたいとは思っております。  後は地方移譲の関係ですけれども、地方があまり信用ないというか、ガバナンスが効いて いないと思われているのかわかりませんが、確かにこれは切り下げに直結するような議論も あるのだろうと思いますけれども、それほど地方にしても不利益になるような取扱いを簡単 に議会の議員が議決されるとは到底私どもの感覚でも思えないのです。ですから、これを出 して、「はい、議決です」という市町村が一体どれだけあるのだろうということは正直なと ころあります。むしろ、やはり現場としては、これも技術的な話なのですけれども、確か今 は定員の130%ぐらいまで受入れができるようになっていたと思いますけれども、125%以 上を2年連続か何かをすると都道府県の指導の対象になる。施設整備をやるなど、いろいろ と縛りが出てくるので、120%ぐらいに抑えているのがどこの市町村でも現状だと思います。 ですから、その辺りの辺の枠を少し勧告で取り除いていただいて、一時的には130%までい ってしまうかもしれないですし、125%までいってしまうかもしれないですけれども、それ は量的拡大を並行してやることによって、その辺りを解決するツールにできればよいと思っ ている市町村がむしろ多いのではないかという感想を持ったところです。 ○市原委員  全体的なことですが、この新たな保育制度を確立するに当たって、まず本日の前段でもあ りましたけれども、保育サービスの対象となる子どもたちの範囲をどうするか、保育メニュ ーを多様化するか。つまり保育サービスの供給量をいかに増大させていくかということと、 対してこの8番目の保育の質の向上があると私はとらえています。保育の質の向上の中に、 基準の問題または人材育成等を含めて、この8番の項目というのは非常に市町村や保育現場 の実力や真価が問われる部分だと考えます。そういう意味で、新たな保育制度そのものにつ きましては、すべての市町村と保育園の運営をする社会福祉法人や企業が確実に対応できる、 そして持続可能な制度として設計することが重要だと思います。また、新たな保育制度も、 より制度の変化が利用者にとって可視化できるような成果を導き出す仕掛けをつくり、子ど もの成長発達を保障する上で、利用者が確実に成果・充足感を得られるようなことを目指し て制度設計に取り組むことが重要だと考えます。 ○川崎委員  私は31ページのステップアップと処遇の改善の関連に関してですけれども、保育士の処 遇の改善ということは就業継続であったり、保育士になる人材を増やしていくというところ でも意味があると考えますが、これを資格とリンクさせていくのは少しいかがなものかと考 えます。というのは、資格ということになってくると、ある程度資格が上がっていくという ことは、専門的なスキルを身に付けていく。しかも、その専門的なスキルは初段階のものと 上位のものについてはかなり差があるということが前提になってくると思います。しかし、 それに伴った実際の保育の現場が、どのようなものがあるのかということを踏まえて慎重に 考えていく必要があるのではないかと思いますので、処遇の改善と資格ということは安易に セットにしない方がよいのではないかということが意見です。 ○大日向委員長  では最後に榊原委員、お願いいたします。 ○榊原委員  あらためて論点を整理していただいて眺めたときに気が付くことが、利用者目線に立った 論点の整理のあり方をもう少し入れた方がよいということでした。この専門委員会の中で事 業者の方が多いので当たり前と言えば当たり前ですけれども、事業者目線の議論がこれまで 中心になされてきていて、果たして利用者にとって本当に不安が無く、安心して子育てがで きるサポートとしての保育システムになっているのかという洗い出しをもう一度ほしいと 思いました。その際に例えば、第1希望に入れなかったときや、夜間が必要な人というよう なこれまでの定型にはまらないような人、提供されているサービス量から漏れてしまった人 たちのニーズをくみ取るためにもという意味ですけれども、コーディネート機能を明確にど この市町村にもきちんと位置付けることが必要ではないかと。そこで自分の希望の利用が今 は利用できない、本当はこういった新たなサービスがほしいといったような相談。例えば手 引きしてもらって保育ママや認可外などという一時的な利用から、さらに安定的なその保育 の組み込まれた生活が設計できるのかという手引きができるような専門家の設置と、それか らその情報収集の、情報収集というのは、行政にとっての情報収集の窓口になるような部門 というものが一つあると、行政にとってもさらに足らないサービスのどこを強化していくべ きなのか、どういった事業者間のコーディネートをしていけばよいのかという気付きにもな るはずなので、そういった機能を一つ、合わせて設けることが必要ではないかと思いました。 これまでの保育のシステムの中で、最も欠けていたと思うのが、利用者の事情をくみ取るシ ステムが、どこにもなかったことだと思います。それがここまでのひどい待機児童の放置で あるとか、社会状況がこれだけ変化したのに、それに対応した保育システムになかなか成れ なかった。そのギャップをつくっていたと思いますので、ぜひここも必要だということです。  それからもう一つが、新しい子どもの育ちを社会全体で支えるシステムを新しくつくると いうときに、中心に据えるべきは子どもの利益、子どもたちが育つ環境を社会が責任を持っ て用意するという考え方で、それはもちろんこの中にも入っているのですけれども、制度全 体にまだ少し落ちていない気がしまして、その観点からも私は椋野委員が提出していただい たペーパーの中の、特に利用者負担の所の第1パラグラフや第2パラグラフそれから最後の パラグラフなどを支持しています。  しかし、若干補強させていただくと、保育も医療や介護と同様に普遍的に国民に保障すべ きサービスであると書いていらっしゃいます。ここの考え方に賛成なのですけれども、その ときの国民というのは、保護者だけではなく、子どもに保障するという視点が、大変必要で あると思っています。その場合、親の状況にかかわらず、すべての子どもに等しく安心して 育つような環境を、社会は提供する責任があるからだというところに立ち返ることができる ような観点が必要だと思います。そういった観点に立てば、親の状況がどうであれ、誰もが 一定の負担で保育にあずかることができる。子どもの利益を等しく保障するためというとこ ろに立てば、こういった考え方に、さほど矛盾なく進んでいくことができるのではないかと 思っています。  それから、例えば残業の多い事業者には、拠出率を引き上げるインセンティブを設けるべ きではないかというのは、実は私も考えていました。それは、子持ち従業員に残業を課して いる事業者というよりは、残業量の多い事業所全体とする方がよりフェアだろうと思ってい ます。というのは、日本が非常に子どもを産み育てにくい社会になっているという事情の一 つが、子どもを既に持っている人も持っていない人も、本当は孫の手伝いをしたくてもでき ない人もみんな含めて、残業が多かったり、長時間労働が多かったりという今の働かせ方・ 働き方にもあると考えると、できれば残業や深夜労働が多い事業者は、子どもを育てやすい 社会をつくるという今の流れに反している。だから、高い負荷を求めたいという考え方でい けば、理解も得られるのではないかと思いました。 ○大日向委員長  ありがとうございました。庄司委員は、ご発言がありませんが、よろしいですか。  本日は、保育専門委員会として、これまで皆さまにいただいたご意見を事務局がまとめて くださいました。最後に、榊原委員がおっしゃったように、利用者がわかりやすい目線でま とめるということは、大変大事だと思います。本日のまとめは、専門委員会の委員の皆さま が出してくださったものをまとめていただいたわけですが、新たな保育の仕組みの創設を、 社会全体にわかっていただくために、利用者だけでなく、現場で保育をしている先生方にも わかりやすく、さらには必要に応じて、地方分権、あるいは事業仕分けの方にもわかってい ただけるような、まとめ方というのは難しいですか。お願いできますか。  それでは、今日言い尽くせない点は、いつものように文書で事務局までお寄せいただきた いと思います。次回の日程について、最後に事務局からお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は、誠にありがとうございました。次回の日程については、12月4日金曜日、16時 からで、場所については事務局より追ってご連絡させていただきます。お忙しいところ恐縮 ですが、ご出席いただきますよう、よろしくお願いします。 ○大日向委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係