09/11/13 第1回心臓移植の基準等に関する作業班議事録              第1回心臓移植の基準等に関する作業班 日時 平成21年11月13日(金)                         13:00〜        場所 経済産業省別館1111会議室 ○大竹補佐(事務局) 定刻より少し早いようですが、皆様お揃いですので、ただいまか ら「第1回心臓移植の基準等に関する作業班」を開催いたします。本日、班員の先生方に おかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございま す。本作業班は、先の国会で「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律」が成立し たことを受けまして、改正法の施行に当たり、心臓移植におけるレシピエントの選択基準、 そしてドナー適応基準等を検討することを目的として、設置させていただいております。 本日は第1回目の会議でありますので、班員の先生方のご紹介を簡単にさせていただきま す。  北里大学教授の和泉徹先生ですが、本日はご欠席の返事をいただいております。まず、 国立循環器病センター名誉総長の北村惣一郎先生です。続きまして、東邦大学医療センタ ー大森病院教授の佐地勉先生です。続きまして、国立感染症研究所部長の佐多徹太郎先生 です。東京女子医科大学教授の中西敏雄先生です。大阪大学副部長の福嶌教偉先生です。 東京大学准教授の村上新先生です。ありがとうございました。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。臓器移植対策室長の峯村でございま す。 ○峯村室長 峯村でございます。今日はお忙しいところ、ご参加いただきまして、ありが とうございます。よろしくお願いいたします。 ○大竹補佐 竹内補佐でございます。長岡補佐でございます。井原主査でございます。私 は大竹と申します。どうぞ、よろしくお願いします。  第1回目の会議でありますので、当班の班長ですが、事務局といたしましては、北村先 生にお願いしたいと思っておりますが、皆様方、よろしいでしょうか。  それでは北村先生、班長をよろしくお願いいたします。また報道のカメラの方は、いら っしゃいましたら、ここでご退席をお願いいたします。以降の議事を北村班長にお願いい たします。 ○北村班長 第1回目の心臓班の作業班を開催したいと思います。よろしくお願いいたし ます。初めに事務局から各資料についての確認をお願いしたいと思います。 ○大竹補佐 お手元にあります議事次第によりまして、資料の確認をさせていただきます。 まず議事次第、班員名簿があります。資料1としまして、「臓器の移植に関する法律の一部 を改正する法律の概要」という法律のご説明の資料があります。資料2-1といたしまして、 「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会について」。資料2-2は「改正法の施行に向 けた検討課題及び検討体制について」。資料3は、親族への優先提供について記載した資料 です。  また資料4については、「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」、資料5は、 「心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」として示しております。資料6 は「心臓臓器提供者(ドナー)適応基準の法改正に係る主なご意見」、また資料7につきま しては、心肺同時臓器提供者の適応基準についてのご意見ということで、お示ししており ます。  続きまして、参考資料が1〜7まであります。さらに本日配付いたしました資料といたし まして、日本循環器学会から、臓器移植委員会の永井良三委員長、また臓器移植対策室の 峯村室長に対しまして、要望書をいただいておりますので添付しております。こちらは内 容は全く同じものですが宛先が違うので、2部ご用意いたしました。また、お手元にファ イルで「審議会作業班参考資料」があります。こちらは主に法律の事項につきまして、こ れまでのもの、それから改正法につきまして記載したものです。大変恐縮ですが、本資料 につきましては、お持ち帰りにならずに机の上に置いていただければと思います。よろし くお願いいたします。以上です。 ○北村班長 ありがとうございました。お手元の資料につきましてはよろしいでしょうか。 早速、議事に入らせていただきたいと思います。本作業班の位置づけということをご説明 いただきましたところですが、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会が審議してい るのはご存じのとおりです。そして、作業班では各臓器における移植の専門的な観点から 検討に必要な事項について議論をお願いすることになります。まず、今回の法改正の概要 を、皆様ご存じかもしれませんが、当作業班が何を担うかということを、また今後の議論 を行うに際しての留意点なども含めてご説明いただきますが、既にご存じのように法律の 専門家による作業班等が行われておりますので、その進行状態も踏まえて、事務局よりご 説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○大竹補佐 それでは資料1から3につきまして、ご説明させていただきます。まず資料 1につきまして「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の概要」ということで、 ご説明いたします。資料1の2枚目、こちらは簡単に表として示したものですが、臓器移 植に関する法律の現行法と改正法の比較表です。今回の改正点は5点大きな点があります。 まず1点目ですが、「親族に対する優先提供」、本日、中心にご議論いただくところなので すが、現行法では「当面見合わせる」とガイドラインにあります。改正法におきましては 「臓器の優先提供を認める」というように記載されておりまして、施行日が来年の1月17 日となっております。  2点目ですが、「脳死判定・臓器摘出の要件」としまして、現行法では、本人の生前の書 面による意思表示があり、ということが前提となっておりますが、改正法におきまして変 わった点は、2つ目の○で、本人の意思が不明であり、家族の書面による承諾があること。 本人の意思が不明であった場合にも、脳死判定・摘出ができるということが記載されてお ります。  「小児の取扱い」ですが、これまでは15歳以上の者の意思表示を有効とすると記載され ておりましたが、改正法におきましては、年齢に関わりなしとなっております。  「被虐待児への対応」としまして、現行では規定がないのですが、今後は虐待を受けて 死亡した児童から臓器が提供されることのないよう適切に対応するという記載がなされて おります。  また、「普及・啓発活動等」としまして、これまで規定のなかったものが、改正法では、 運転免許証等への意思表示の記載を可能にする等の施策を行っていくと記載しております。 最後の4点につきましては、施行が1年後ということで、来年の7月17日となっておりま す。  資料2です。こうした改正法を受けまして、私どもでは資料2-1の3頁にありますとお り、様々な委員会等を通じて、施行の準備に取りかかっているわけです。資料2-1の3頁 に簡単に図示したものがあります。いちばん右に「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植 委員会」という審議会がありまして、月に1回ほど9月以来開かせていただいております。 いちばん左にありますとおり、この委員会におきまして「主な検討課題」が示された次第 です。いちばん上がI「親族への優先提供」ということで、親族の範囲と優先提供意思の 取扱い、あっせん手続き等を議論すべき点としてあげております。それから、II「小児か らの臓器提供」ということで、小児の脳死判定基準、また被虐待児の取扱い、こうしたこ とが検討課題として挙げられました。  さらにはIII「本人意思が不明の場合」、意思表示しないことについての確認ですとか、有 効な意思表示ができない者の取扱い。IVとして「普及啓発等」、特に意思表示のカードにつ いて、また登録システム、さらには普及啓発の方法、内容について、これから議論されて いく次第です。   Vですが、「臓器移植の実施に係る課題」としまして、1つ目の○に「ドナー適応基準、 レシピエント選択基準について」というのがあります。ここが臓器毎の作業班でご議論を いただくところでして、本日、心臓について、ここのご議論をしていただきたいと思って おります。  また真ん中に「検討体制」というのがありまして、いま申し上げた課題をこうした体制 で行っていくということが決定されました。いちばん上が「臓器提供に係る意思表示・小 児からの臓器提供に関する作業班」を組ませていただきまして、主に法律の専門家の先生 方からなる作業班で、親族の範囲、15歳未満の者の拒否の意思表示についてご議論をいた だいているところです。これまでに3回開かせていただきました。  また2つ目は「普及啓発に関する作業班」としまして、先ほど申し上げたような課題を 検討していただきます。さらには、当班の位置づけであります「臓器毎による作業班」、こ れは7つの臓器毎によりまして、班を設置していますが、ドナーの適応基準、レシピエン トの選択基準について、ご議論いただきたいと考えています。また「厚生労働科学研究費 研究班」ですが、こちらの中で小児の脳死判定基準と、提供施設の体制整備、さらには虐 待を受けた児童への対策等について、ご議論、ご検討をしていただいているところです。  同じ資料の1枚目に「今回の法律改正を受けた対応」というスケジュールがあります。 先ほど申し上げたとおり、今年の7月17日に改正法が交付されまして、来年1月より親族 優先提供に係る部分から順次施行となるというスケジュールになっております。施行日は 1月17日、ここは親族優先提供に係る部分でして、それ以外の部分が7月17日から施行と いうことになります。また、こうしたスケジュールにおきまして、年内にも、親族優先提 供の実施に必要な事項について、ガイドライン等の改正が必要となってくるということで す。最後の○にありますが、改正に当たっては、臓器移植委員会等における専門家のご議 論をいただくとともに、パブリックコメントを経た上で、施行をしていくためのガイドラ イン、また省令を決定いただくということになっております。  資料2-1の2頁ですが、「第二十六回臓器移植委員会の議事概要」をお示ししております。 これは先ほどご紹介した臓器移植委員会でのご議論なのですが、9月15日に初めての委員 会を開催させていただきました。その中で、いまご紹介したような課題が示されたところ であります。3つ目の○ですが、親族への優先提供、小児からの臓器提供、普及啓発等の 課題を、今後作業班において検討を行う際に留意すべきと考える点について、各委員から ご意見をいただきました。この委員会の審議の過程で、親族優先提供の対象となる「親族」 の範囲につきまして、国会における提案者の答弁を尊重し、「親子と配偶者」とすべきとの ご意見が出された次第です。また最後の○ですが、今後は臓器移植委員会のご意見を踏ま えつつ、作業班において詳細な検討をし、ガイドライン案を作成し、再び臓器移植委員会 に報告するという手はずになっております。以上が資料2-1のご説明です。  続きまして、資料2-2についてご説明いたしますが、こちらも大体同じような内容でし て、先ほどご紹介した検討課題一覧表になっております。また、いちばん下に本作業班で ご議論いただく内容が記載されております。  資料3ですが、まず資料3-1につきましては「親族への優先提供について」、これまで課 題に上ったことをご紹介しております。まず1は、親族に臓器の優先提供を認める規定が どのようになっているか、これは第6条の2でお示ししているのですが、「移植術に使用さ れるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しよう とする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書 面により表示することができる」、このように法律に親族優先のことが記載されております。  また、これに至る過程にどのような議論が国会であったかということを、2に示してお ります。代表的なものを2つお示しいたしましたが、まず1点目、平成21年5月27日の 衆議院厚生労働委員会における、河野太郎議員の答弁です。下から3行目から読ませてい ただきます。「親子及び配偶者に対しては親族の優先提供を認めることということで、かな り厳しい枠をはめて、その中に限り優先提供をこれは心情を考えて認める」というような ご発言がありました。  2点目、これは同じく7月7日の参議院の厚生労働委員会ですが、山内康一議員から、 最後の5行目からですが、「A案におきましては、親族への優先提供の意思表示の規定を設 けることとしておりますが、この場合におきましても、その意思表示を踏まえた上で、最 終的には血液型が適応するかなどの条件に照らし合わせて順位が判定されることになると 想定しており、決して順位の判定が恣意的に行われることはないと認識しております」と いうご答弁をいただいております。  続きまして、資料3-2ですが、こちらは先んじて行われた作業班における議論をご紹介 したいと思っております。こちらは「臓器提供に係る意思表示・小児からの臓器提供等に 関する作業班」で、法律の先生方が中心となり、また参考人としまして医療従事者も加わ りまして、取扱いについて議論された内容です。その結果としまして、2つ目の○にあり ますとおり、「親族への優先提供の意思がある場合、レシピエント選択において優先順位の 第1位として取り扱うこと」とされました。これを基本とし、臓器毎の作業班において検 討を行うこととなりました。こうしたことを受けて、10月29日に肝臓、そして先週は肺 について作業班を開催させていただいたところです。その際には、親族を優先順位の第1 位として取り扱うことと決定されました。  また下の段は、この作業班における主なご意見を簡単にご紹介しております。優先提供 を受ける親族は、予め、レシピエント登録されていることを前提とすべきである、という ご議論がなされました。2点目は、親族優先は、レシピエント選択基準の優先順位の第1 位とするのが妥当ではないか、というご意見をいただいております。また、法律に規定さ れており、医学的緊急度などよりも優先されると解釈する。さらには、同時移植希望者よ りも単独での移植を希望する親族が優先されると解釈する。5点目、虚血許容時間の位置 づけは、臓器毎の作業班において検討を行ってはどうか。最後は、先ほどご議論をさせて いただきましたが、親族への優先提供に伴いまして、移植を必要とする方の親族に対する 心理的な影響、特に生体移植の行えない心臓移植における、親族の自殺の誘発について、 懸念が示された次第です。以上、資料1〜3をご説明いたしました。 ○北村班長 ありがとうございました。ただいまの部分は、心臓に特化した部分だけでは ありませんが、総論的な親族提供の臓器提供への問題点をいろいろ議論されてきた経緯も 含めてご説明いただきました。  時間に制限がありますが、しばらく、いまお話しいただいた問題点と、心臓移植にある 程度限定していただかなければいけないと思いますが、この班ではそれとの関連について、 お手元に提供していただきました循環器学会からの提案書もありますが、この説明は、読 んでもらったらよろしいですか。 ○大竹補佐 それでは簡単にご紹介させていただきます。こちらは、10月27日付で循環 器学会理事長、心臓移植委員会から提出されたものです。下段にありますとおり、「心臓は 個体唯一の臓器であり、移植可能な他の臓器と異なり生体移植は不可能な臓器であり」と。 こういう前提をいただいて、「このことから、心臓の提供は提供者の死亡を前提とします。 今回の改正臓器移植法に記載がある『親族への優先提供の意思表示』条項を心臓に関して も適応すると、当該親族の自殺や自殺関与、及び同意殺人など、こうした殺人の罪に抵触 する事案、あるいは類似の事案の発生を招く恐れがあると危惧しています」と。  要望事項としては、この条項の適応から、心臓移植に関しては除外し、心臓は親族への 優先提供があり得ないことを明示することを要望する次第であります、このようなご要望 がなされました。 ○北村班長 本日ご欠席の和泉委員がもしご出席ならば、こういうことを主張されるのか とも推測申し上げますが、これも含めて、心臓について特段ご意見がほかの方々からあれ ば、お伺いしたいと思います。  この提案書は親委員会にも行っているわけで、あるいは法律家に投げ掛けられた時に、 法律家の作業班では、何かご意見はありましたか。 ○峯村室長(事務局) 臓器移植対策室長の峯村です。今回の報告書の内容を踏まえて、 先日11月2日に開催されました臓器移植委員会において、親委員会になりますが、その場 で永井委員長から、循環器学会から要望が来ている旨、その点について委員、関係の作業 班において検討していただきたいと、問題提起がされています。ただ、法律の作業班の中 では、具体的にこれについて深い議論はされてはいないと理解しています。 ○北村班長 大変重い課題ですが、心臓移植については、この法律で決定された、親族へ の優先提供を除外することが可能なのかどうか。つまり、最上級にある法律で決定してい る以上、これを受け入れた形において、どのような形でこれの趣旨を反映させることがで きるか、ちょっと班長としては、やはり心臓だけこれを除外せよというこのご意見につい ては、なかなか難しさがあるのではないかと考えます。  さすれば、この趣旨をいかに、心臓移植において反映させることができるかということ も踏まえて、ご意見があればいただきたいと思います。大変重い問題で、議論したらきり がないぐらいだと思いますので、簡潔にちょっとずつやりましょうか。 ○福嶌班員 大阪大学の福嶌です。私どもは実際に小児の移植を担当する科となる者とし て、その親の自殺の問題を提起されたこととなると思います。ここに書かれているような 犯罪性のある死亡、子どものための自殺は本来除外されるべきであることをきっちりと、 その登録のタイミングでお話することがいちばん重要であって、そういうことがあったら 提供できないと子どもの親・家族に伝えておくということが1つです。  もう1つ重要なことは、親族なしで移植後のケアを誰がするのかを、我々子どもを管理 している者として見た場合に、母親がいなくなったら、これは管理できないわけです。と いうことは、移植後のケアができないということですから、自殺することの意味を感じな いわけです。ですから、私の考えですが、心臓は除外しなくても、十分に除外する方法は できるのではないかと思います。  あと、全く私の心情の問題ですが、これは逆に言いますと、もし何らかのことで母親が 脳死になった時に提供できるという唯一の権利です。母親が何もしてあげられない自分の 子どもに対してできる権利は残しておいてあげたいのは、実際に子どもを見ている人間の 立場の意見です。 ○北村班長 ほかにありますか。 ○中西班員 質問ですが、この中にガイドラインの資料はありますか。 ○峯村室長 お手元の冊子の中に、参考資料3で現行のガイドラインは示しています。た だ、今回の優先提供に関するガイドラインの案文については調整中で、今日現在で、まだ パブリックコメントに掛ける段階には至っておりません。したがって、お示ししてあるの は現行のガイドラインになります。 ○北村班長 おっしゃるとおりで、いま福嶌委員が言われたように、脳死が親族内に偶発 的に生じた場合、その優先権限を除外してしまうと、権利が得られないということ。これ はやはり大きな問題になると思います。自殺という、わざと起こった場合の問題をいかに 除外するだけで、偶発的に起こる可能性のほうがむしろ多いでしょう。その場合に親族が 得られる法的権限を無視するために、除外するのは難しいと言わざるを得ないのではない かと思いますが、その辺り、心臓移植の親という感じで子どもさんを見ておられる中西委 員、佐地委員、ご意見はありますか。 ○佐地班員 私は火曜日の肺のほうにも参加させていただいて、それは肺では一応承諾が 得られたと思います。あとは、やはりUNOSとかEuro Transplant、アジアの諸国で、いま どういう状況で受け入れられているかが分かりましたら、ちょっと教えていただきたいの です。 ○北村班長 こういう法律をもっているのは世界には現在ないですね。 ○福嶌班員 世界で初めての法律ですね。 ○北村班長 はい。ただ、アメリカでは、小児の優先がちょっとあるみたいです。 ○福嶌班員 小児から小児ですか。 ○峯村室長 私どもで把握している範囲では、指定という形で申し上げますと、アメリカ のUNOSの基準と、お隣の韓国で親族への優先提供の規定があると伺っています。アメリカ の場合においては、親族ということではなくて、ある特定の方を指定ができるという仕組 みになっています。その際、人種の別を望む指定、例えば、ある特定の人種にあげないで ほしいというような指定はできないという取扱いになっていると伺っています。お隣の韓 国は、親族優先提供の場合、除外の仕方がどうなっているかという点は詳しい情報は持ち 合わせていませんが。 ○福嶌班員 韓国も親族ですか。 ○峯村室長 一応、親族と伺っています。 ○佐地班員 その場合は、サイズの問題がありますので、親子より同胞のほうが可能性が 高いのではないですか。 ○北村班長 同胞間は親族と認められていないですね。それは別作業のほうと親の審議会 のほうで、それを受け入れる形になってきているので、我々としては、同胞間はなしとい う形において。 ○中西班員 それは、まだ決まったわけではありませんよね。 ○北村班長 まだパブリックコメントが残っていますから、決まってはいないのかもしれ ません。 ○峯村室長 ガイドラインについては、パブリックコメントとしてお掛けする案をいま調 整中で、その後、国民の意見を聞くパブリックコメントを掛けて、また、委員会での議論 を経て、最終的には省内の政務三役のご了解を得た上で、決定する手続きになります。い ま、まだその策定作業中で、決定したわけではありません。 ○中西班員 それは第一親等、配偶者と親子は、この法律がありますので、しょうがない かと思いますが、同胞になると、もう一つの法律の条項で、虐待を可及的に防げという法 律の条項がありますので、やはりそちらのほうにかかってくると思います。  同胞というのは、やはり虐待につながりかねないと。特に、例えば新しい配偶者に子ど もがいたと、我が子と比べた時にはどうかということもありますし、そうすると、やはり 虐待につながる。もう一つの法律もありますので、やはり同胞というのはいかがなものか と思います。 ○大竹補佐 確認ですが、いま「同胞」とおっしゃられたのは兄弟のことですか。 ○中西班員 兄弟です。 ○峯村室長 親族の範囲として兄弟の取扱いをどうするかというご議論ということでよろ しいですか。 ○中西班員 それは大きな問題ですが、第一親等に限るということであれば、私は仕方が ないかと思います。 ○福嶌班員 兄弟の血族ということですよね。ですから、養子縁組も特別養子縁組以外は 認めないということなので、たしか継母の子というのは入らないという条件ですね。 ○峯村室長 連れ子は入らないです。 ○中西班員 もし同胞でも入らないですよね。ただ、やはり兄弟間でもあり得るかもしれ ない。 ○北村班長 これは心臓に限ったことではありませんが、特に生体間の移植は行い得ない 心臓において特に問題になる点だという形で循環器学会からも出てきているのだと思いま す。いわゆる恣意的な脳死、故意的な脳死からの臓器提供を押さえながら、偶発的なもの は法的権限として親族に認めると。その親族のあり方については、この委員会のマターで はありませんので、現時点での進行している形でご理解いただいた上で、お話しいただき たいと思います。  それは配偶者間と親子の関係の人で、連れ子とかそういったものは除こうというのが法 律家たちの意見ですので、その範囲において、何らかの心臓移植についての自殺防御策、 いわゆる恣意的な脳死の状況をどう省くか、例えば刑事事件になるような被虐待児のよう な問題の場合は除外するということになっていますが、そのほかの刑事事件になるものは 除外するとか、偶発的なものでないということが分かるようなものは除外するとか、そう いうのは特に心臓の項で、ガイドラインの中に書き込む、あるいはもっと高くして厚生労 働省令の中に書き込んでもらいたいという意見が皆さんにあるのか、ないのか。 ○福嶌班員 親族優先の意思表示をどういう形ですることに決まるかが、やはりポイント だと思いますが、子どもさんを登録した時点で多分、親がどうするかという話になってく ると思うのです。そこで、その優先の意味合いと、こういう時は提供できないということ を、ある程度、やはり子どもの主治医が責任をもって説明することが重要なのではないか と思います。あと、システム上そういうものもできないことを明示してあげることも大事 だと思います。 ○北村班長 明記するほうがよろしいというご意見ですね。 ○福嶌班員 そういうことです。そういうことはできないということは明記していただく ことが大事だと思います。 ○北村班長 他臓器のほうには書き込まなくても、心臓においては作ってほしいものがあ るのかという質問ですので。 ○福嶌班員 ほかの臓器でもいるのではないですか。そういう話は出ていませんか。 ○北村班長 いるかもしれませんが、生体間の移植が行われる部門もありますので、恣意 的に脳死を作るのは大変難しい医学的状況かもしれませんし、それをやるよりは生体間で 移植が行われるようにも考えますが。とにかく、ここでどのような形にしてやるのか決定 はできないにしても、皆さんのご意見としては、何らか心臓についてはそれを防御するよ うな一文、例えば、「刑事的な問題の場合は、それは認められなくなりますよ」とかいうも のを、啓発とか普及活動の中で述べるだけではなくて、ガイドラインの中にそういう warning、警告を書き込んでもらいたいというご意見があれば、事務局で、どうできるのか を検討してもらいます。  そういうものは、いらないという意見であれば、和泉先生がおられたら、意見は変わる かもしれませんが、ご出席になれば、主張されるかもしれません。 ○福嶌班員 入れておいたほうが説明はしやすいですね。文章を見せて、法律上こうなっ ているから、そんなことはしないでくださいということは、多分、提示はできると思いま す。 ○中西班員 ガイドラインに必要だと思います。 ○北村班長 思いますね。それでは、今日は、どのような形でできるのか私も事務局も明 確にできないと思いますので、とにかく心臓移植については、他の臓器移植と多少異なっ ても、「心臓については」という項目として、ここの懸念されている和泉委員からのものを、 何らかの形で起こらないようにすることが可能かどうかのご検討を、事務局にお願いした いという形で、委員の方々、よろしいですか。それを、ひとつ事務局に宿題と言いますか、 検討課題として、心臓移植の作業班から出すという形でよろしいですか。 ○大竹補佐 はい、かしこまりました。作業班の意見として承りまして、また、おそらく 心臓のみでなく、他臓器のほうからも、これを踏まえてご議論いただくことがあろうかと 思いますので、事務局で、どのような整理ができるか検討させていただきます。 ○北村班長 考えられるすべてを挙げることは不可能だと思いますが、そういう恣意的な ものについては、やはり防御したいのは各委員のご意見のようですので、よろしくお願い いたします。時間の都合がありますので、この件は一応いまのような形として、事務局に 更なる検討、あるいは他の臓器部門での検討も踏まえてお願いしたいと思います。  次は、もっと心臓に特化したところのレシピエントの選択基準について、親族提供を優 先するという立場において変える必要があるのかと、親族優先でなくて、子どもの移植が 始まることにおいて変える必要があるのかも含めていただいても結構ですが、特に今回は 親族優先をどう取り扱うかに重点をおかしていただきたいと思います。資料の説明を引き 続きお願いします。 ○大竹補佐 「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」として、資料4に沿って ご説明させていただきます。資料4が選択基準(案)として事務局から示させていただい たものです。朱書きで書かせていただいたものが、新たに付け加える必要があるのではな いかと思った点です。レシピエント基準については、まずは適合条件があり、それから優 先順位という項目になっています。  1の「適合条件」です。(6)「虚血許容時間」については、「臓器提供者(ドナー)の心 臓を摘出してから4時間以内に血流再開することが望ましい」という記載があります。こ れに関しては、これまで「優先順位」に入っていたものを「適合条件」に引き上げさせて いただきました。また、括りとして、「4時間以内に血流再開すること」となっていたので すが、手術によってさまざまな状況が考えられることから、「ことが望ましい」という一文 を入れさせていただきました。あとは特に変わりはありません。  また、2の「優先順位」については、親族優先の規定を置いて、「優先順位は、以下の順 に勘案して決定する」として、1頁のいちばん下に(1)「優先すべき親族」を入れさせてい ただきました。  ほかは、医学的緊急度、ABO式血液型、待機期間です。また、3の「具体的選択方法」に ついても変わりはありません。  資料5についてご説明させていただきます。こちらは「心肺同時移植希望者(レシピエ ント)選択基準(案)」です。こちらも、「適合条件」に関しては、虚血許容時間について 記載させていただきました。こちらも同様の記載となっています。  また、2の「優先順位」について、(1)の「優先すべき親族」という点で、「当該親族を 優先する」をいちばん最初にもってこさせていただきました。  (2)、(3)については、心肺同時移植者との関係を記載したものです。こちらは文章が大 変分かりづらい点もあるかと思いますので、参考資料1を同時にご覧いただければと思い ます。参考資料1については、このような横の表となっていますが、まずは資料5の文章 を読ませていただきます。(2)「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準で選ばれた移植 希望者(レシピエント)が心肺同時移植の待機者である場合であって、かつ、臓器提供者 (ドナー)から心臓及び両肺の提供があった場合には、当該待機者が肺移植待機リストで 下位であっても、当該待機者に優先的に心臓及び両肺を同時に配分する」、これがいままで のルールで、新たに「ただし、肺移植待機リストで選択された移植希望者(レシピエント) が優先すべき親族の場合はこの限りでない」ということになっています。  こちらの模式図で示しますと、参考資料1の1にありますとおり、これまでは、心臓で 待機リストの1番、肺で3番であった場合でも、これは心肺同時の待機者が優先的に提供 がされたということで、aに○が付いています。しかしながら、今回、親族優先の概念が 入ったことから、今後の案として、矢印の右側に示させていただきましたとおり、同時移 植希望者がいる場合にあっても、単独希望者が親族であった場合、具体的にはbさんにな るのですが、この方が親族に該当する場合には、1位として、この方に提供されることに なっています。  資料5の(3)は、この下の段の図をご説明しています。心臓移植希望者の取扱いについて、 これまでは肺が1位で心臓が3位であった場合であっても、心肺同時である場合には優先 的に心臓及び肺を同時に配分するとなっていたのですが、今後の案としては、優先すべき 親族が心臓の待機リストの1位であった場合には、単独であっても、この方に優先的にい くことになっています。この点を、ただし書きで添えさせていただきました。  資料5の3頁をご覧いただきますと、附則について、いままで記載されていなかったの ですが、「基準全般については、今後の移植医療の定着及び移植実績の評価を踏まえ、適宜 見直すこととする」という一文を入れさせていただきました。以上です。 ○北村班長 ありがとうございました。いまご説明いただきまして、まず、心肺について は、肺の部会が既にこの会に先行して行われています。それもあとでちょっと付け加えて いただいて検討したいと思います。  まず、心臓の資料4に戻っていただいて、赤で書いてあるところは、「虚血許容時間」が 優先順位になっていたのを、「優先すべき親族」を第1項目に上げていきますので、適合条 件に移す。4時間でいいのかどうかという問題もいろいろありますし、この小児全般の移 植も含めてでも結構だと思いますが、ご意見を伺いたいと思います。  まず、許容時間の4時間を、いまこの法律が変わった時期に5時間に延ばすとかいう必 要性を感じますか。これは、あくまでも「望ましい」ですので、現実にも非常にマージナ ルドナーと言いまして、心機能がボーダーラインで、しかも非常に遠隔地からの搬送が必 要な場合には、メディカルコンサルタント等の判断によって、そのレシピエント側の施設 に、「お受けになりますか」ということを聞いておられるそうです。その判断で、患者さん をレシピエントを持っている病院の医師の意見を踏まえた上で判断しているということで す。「望ましい」という形であれば、世界的にも共通の4時間がいい成績が出ているので、 5時間でも、6時間でもできるのですが、やはり成績を見ていくと、やはり4時間までがい ちばんいいという結果になるという形で、「望ましい」となっているわけです。これは、こ のままでよろしいですか。これを答えられるのは村上先生と福嶌先生ぐらいだと思います が、村上先生、よろしいですか。 ○村上班員 ただ、小児の場合、ドナーが小児であると許容時間が少し長くても成績には 差が出ないというのもコロンビアから出てきていますので、例えば、「ドナーが小児の場合 はこの限りではない」とかいう文を付けるかどうかと。 ○福嶌班員 「望ましい」にしてもらったのは、そういうことからだったのです。前は「す ること」だったのですが、「望ましい」になっているので、6時間でもいいのです。 ○北村班長 「望ましい」に変えていただいて、その代わりに、適合条件に移したという 形になっています。 ○福嶌班員 米国ロマリンダ医大に留学していた時に私も10時間の保存をやっていまし たので。子どもなら問題はないということで、それはいいのではないかと思います。10時 間以上かかることというのは、多分、日本の場合ないのではないかなと思います。 ○井原主査(事務局) 基本的には、臓器移植法に則って制度が運用される時に、臓器毎 に大体許容される虚血許容時間が、具体的に心臓であれば4時間、肺であれば8時間など 示されて、それに間に合うように搬送時間もそれより短く設定しようということで、ネッ トワークで常にタイムスケジュールを組んでいただいております。  実際、これまでの心臓の移植のケースの場合、臓器が提供施設から出発して到着するま で平均1時間半程度で到着するようにということで行われています。原則的に、今回、「望 ましい」と変えたのは、手術ですので、それぞれ難易度等も異なると思いますので、それ に合わせて少し柔軟に対応できるようにということで、こういう記載にさせていただきま した。 ○福嶌班員 この許容時間を作ったひとつの経緯は、交通機関を何とかしたいと、できる だけ早く運びたいというのを目的に作った条項なものですから、これは短いほうが多分い いのではないかと考えています。長く書くと、それなら一般民間機を使ったらいいのでは ないかという話に、実はなってしまうものですから、やはり早いのがいいのに越したこと がないので。 ○北村班長 ただ、私がちょっと気になったのは、例えば、これをメディカルコンサルタ ント、あるいはネットワークの作業に任した場合に、医学的理由で親族には提供できませ んという理由に、5時間かかるからという理由が出てきた場合に、どういう説明責任を、 誰が負うのかというのは。 ○福嶌班員 移植施設が患者さんを持っているわけですから、それは移植施設ですよね。 ○北村班長 メディカルコンサルタントの質問を受けて、患者さんを見ている施設が判断 してもらわなければ仕方がないのですね。 ○福嶌班員 はい。 ○北村班長 ですから、その時に、親族の患者さんをもっている人が得られないというと ころで、例えば、異議を唱えた場合の説明責任を、親族の患者さんを見ている病院が断っ たという形にならなければいけないわけですね。 ○福嶌班員 そうです。ですから、血液型とか、相手に対する抗体をもっているとか医学 的理由と同じ扱いになってきますので。 ○北村班長 これをこのまま置いても、そこのところが明確であればよろしいのですね。 ほかのところも皆、最終的には、その適合した患者さんについてネットワークから、通達 を受けた所が受けるか受けないかの最終判断をしているわけですから、親族優先がきても、 医学的理由でやめる場合には、その施設の責任において行うべきです。 ○井原主査 あくまでもこの選択基準自体が、ドナーの方が発生した場合に、順番に移植 をされるかどうかを聞くための順位づけの基準になりますので、この選択基準で1位にな った方が必ず移植手術を受けなければいけないということではありません。あくまでも、 それはその患者さま、レシピエントとなり得る方の医学的な状況を、主治医の先生とよく ご相談していただいた上で決定するものだと考えています。 ○北村班長 親族が危険を冒してでも、もうこれ以上待てないから、第1位にやってくれ という強い希望があった場合は、認めざるを得ないですね。 ○福嶌班員 その施設が認めたら、それはやるかもしれないですね。 ○井原主査 基準ではなくて、医学的な判断ということで、医療行為の安全性等を十分に ご相談いただくのではないでしょうか。 ○北村班長 分かりました。そうしたら、この(6)を「望ましい」という形で、適合条件に 入れることはご了解いただけますか。よろしいですか。 (了解) ○北村班長 ありがとうございました。それでは、原案どおり、「望ましい」として書き込 んでいただくことにいたします。優先順位の1番には、「優先すべき親族」という項目がそ こに入るという形です。  そのほかの各委員の方々から予めのご意見もいただいた中で、上の黒字のままになって いる部分で変えるべきところがありますか。例えば、優先すべき親族には、適合条件のい ちばん上に書いてあるABO型の血液型でも、「適合(compatible)の待機者も候補者として考 慮する」、これも親族優先に入れてよろしいですね。サイズは、実際はもっと範囲が広く行 われていますが、「望ましい」ですが、「小児である場合は、この限りではない」と書いて あるのです。これもこのままでよろしいですか。 ○福嶌班員 いままでもしておりますから。 ○北村班長 この辺は主に村上先生と福嶌先生の意見をお願いしたいと思います。  もちろん、クロスマッチのほうも最近はいろいろな抗体、薬も出てきていますから、広 がってはいるとは思いますが、「確認する」とか「省略することができる」とか曖昧さを残 していますが、この辺りも「現場の医師たちの総合判断に基づく」というところに委ねら れていますが、法律が変わっても、そこはよろしいですね。  CMVも陰性の臓器提供者が望ましいと書いてあって、いまもCMVのいろいろな治療も行 われて、実際は無視的に行っているところもあると思いますけれども、これは、いま法律 が変わったからといって、望ましいことは、やはり望ましいですね。 ○福嶌班員 (4)、(5)は始めからいらない文章なのですが。 ○中西班員 この選択基準はどのぐらいの縛りがあるのですか。ガイドラインはどこに入 ってくるのですか。 ○井原主査 局長通知です。 ○福嶌班員 このとおりにしなくてもいいわけですけれども。ただ、(1)については、いま まで守られてきたというのは事実です。(2)については、子どもの例で、いちばん体重差が あったのが3倍ですから、3倍までは移植がされています。 ○北村班長 それを、「小児である場合は、3倍まで認める」といちいち書かなくても「こ の限りではない」だけでよろしいですね、小児のほうが始まっても。 ○福嶌班員 施設ごとにやはり違いますし。 ○北村班長 ただ、そこにおいて、新しい法律との間でトラブルが発生した場合には、施 設側も十分な説明責任をもたなければいけません。  そうすると、いちばん最小の改正で、この選択基準については行ってよろしいですね。 ○村上班員 小児が始まって、ドナーとレシピエントの年齢バランスに関して追加する必 要があるかないかもご検討していただいたほうがいいと思います。 ○北村班長 それもご意見がありました。結局、私も、それをどうするかは気にはなって いたのですが、端的に言えば、小児の臓器提供があった場合には、その臓器を小児にある 程度優先的に考えてはどうかというご意見に近いものですね、村上先生。そういう仮定と、 いまのままのネットワークのシステムで言えば、待機時間と親族との優先が入って来るだ けで、小児の場合、特段の登録システムとかネットワークを変えていくような希望は、肝 臓とか肺ではないのです。けれど心臓においては、それをどう判断するかです。 ○福嶌班員 12歳ぐらいのドナーが大人に行ってしまうことが、やはり、かなり子どもを 持っている者としては辛いですし、提供される方も多分、子どもを意識して提供をされて おられますので、アメリカでは、結局、そのルールは認められてはいないのですが、日本 では、この機会に考えていただいてもいいかなと思います。  子どもの場合、人工心臓の問題もありますし、待てないということもありますので、も し可能ならば、ちょっとそういう案を考えてもと思います。 ○北村班長 肝臓移植は点数制をとっていますが、心臓はいままでは点数も何もなかった のですが、どうするのか。世界に何か見本になる例はありますか。 ○福嶌班員 アメリカでは6カ月未満がStatus1Aでいちばん高い点が付いていると思い ます。それよりちょっと大きい子についての差があまりないのです。 ○北村班長 肺はスコアリングシステムはありますね。 ○佐地班員 UNOSにあります。 ○福嶌班員 ただ、肺は体の大きさが優先されますから、小さい子は小さいほう。 ○佐地班員 たぶん肺は子どもは子どもということになると思うのです。 ○福嶌班員 はい。だから、12歳で40kgぐらいの人が大人に行ってしまうのか、それが 12〜13kgの子どもに行けるのかという話にこれはなってきますので。 ○北村班長 むしろ8歳以下、6歳以下などの場合は、大人にも渡すのに小さ過ぎるとか、 大人の心臓は入らないとかで、同じ年齢層にある程度マッチしてくるのですが、12〜13歳 といまおっしゃられた年ごろは、その代わり同じ待機レベルであれば逆に40歳の方からも もらえるわけですよね。しかし、その人がもしも55歳の人に12歳の心臓が行くというこ とについての、これは心情的な問題、科学的な問題、それは若い人の心臓のほうが長期生 存率がいいのです。 ○福嶌班員 これは明らかに予後がいいというデータが出ていますが、いただいた人の年 齢で予後は違うと。 ○北村班長 しかし、それをいまここで心臓に決めても、ネットワークが対応できるとは 限りません。これは大変難しいシステムになって、やはり点数ぐらいで順位を上げてもら えるということ以外はないですかね。 ○福嶌班員 順位を上げると、いつも子どもに名前がいきますよね。そうすると、時間的 に大変なので、子どもが出たときだけ順位を上げる点数の取り方かと思うのです。 ○北村班長 これは心臓だけに必要ですか、ほかの臓器は。 ○井原主査 今回の法改正を受けて、例えば年齢同士のマッチングであるとか、医学的緊 急度を取り入れるであるとか、今後、いまの基準をどのように変えていったらいいかとい う点ではご指摘をいただいています。ただ、今回の法改正によって、ドナーの数とレシピ エントとして待っていらっしゃる方の関係がどう変わっていくのかとか、そういった部分 を踏まえながら検討を行っていかないと、拙速にこれ自体をすぐ変えてしまうことがいい のかという点では、ご意見が分かれているのではないかと思っています。 ○北村班長 提供者側のご意向を推測しても、そういう何らかのシステムが欲しいという のは、中西委員も佐地委員もありますか。 ○中西班員 特に20kg以下ですと、補助循環がなかなか使いにくい、使えないというのが あるから、小児の提供者があった場合には小児に優先するような、システムが少し難しい かもわかりませんが、やはり点数になりますかね。そういうのがいいと思います。 ○北村班長 しかし、20kg以下だったらかえって明白でしょう。渡せるのにも、もらうの もある程度体が。 ○福嶌班員 渡すのももらうのもあれですね。問題は40kgぐらいの子なのです。 ○北村班長 そう、そう、そう。12、13、14、15裏と。 ○福嶌班員 いや、レシピエントが20kg以下だった場合です。だから、40kgの子どもか ら20kgに移植できますから、それを優先してあげられれば助けられますよね。 ○北村班長 それはどういうものを作ればいいですか。それは省令でできるのかね。 ○大竹補佐 省令ではなくてこの基準の中で。 ○北村班長 レコメンデーション。 ○大竹補佐 という形がふさわしいかどうかですね。果たしてそれが行政的な基準とかそ ういったもので規定するのがふさわしいのか、あるいはその状況を見ながら医学的判断を していくのがふさわしいかということだと思います。 ○福嶌班員 状況を見ながら医学的判断も、先に順番が来るから無理ですよね。ですから、 例えばドナーが15歳未満のときは子どもを優先するとかいうルールでいいのかと思うの です。 ○井原主査 現状は医学的緊急度と待機期間というものでやっていると。それは100何十 人の方が移植を待っている中でドナーが年間10件程度、というところでこういう基準にな っているので、今後、ドナーの方の数とレシピエントの方の数がどう変わっていくかとい う部分もあるとは思うのですが、この基準の中にそういった点をいまの時点で盛り込んだ ほうがいいかどうかということだと思います。 ○福嶌班員 ここで盛り込まないとたぶん盛り込めないと思います。いままでのUNOSがい い例で、私は向こうのカウンセラーも一緒にやっているのですが、何回UNOSに子供から子 供優先のルールを入れようとしても、蹴られたままで全然駄目なのです。ですから子ども の移植が可能になったところでルールを変えないと、これはたぶん変える方法はないので はないかと思うのですが、どう思われますか。 ○北村班長 どういう方法が取れますか。例えば、年齢差を制限して、しかし14歳の提供 者の心臓が25歳に行くことに対してはそれほど抵抗がないのか、あるいはそれが50歳を 超えたら抵抗があるのか、そういうのは大変。 ○福嶌班員 だから、子どもは子どもにしておいたほうがいいと思うのです。ですから、 15歳未満のドナーが出たときは15歳未満からまず探して、いなければ大人ということで どうかと思うのです。 ○佐地班員 プライオリティーを子どもに、あとは体重でいいのですよね。 ○福嶌班員 そうですね、あとは体重でやる、やらないは決めますから。40kgの子で10 何kgだったらこれはやめるし。 ○北村班長 それは、この班で素案を作って事務方に提供しないといけないと思うのです。 ほかの臓器と大きく違うので、心臓だけでそういうシステムを組んでくれというのであれ ば、早急に何らかの国民というか広く合意が得られる案に作り上げられるかと、時間制限 があるので。何か書けますか、福嶌委員は、村上委員も。 ○福嶌班員 いま言ったように、ドナーが15歳未満のときは15歳未満を優先するという だけでたぶんいいと思うのです。そうすると、15歳未満からまず1位から順々に上がって きますから。それで、15歳未満の登録者がいなければ、大人の1番。 ○北村班長 15歳未満の中であと体重とかを参考にして、15歳未満だけを15歳未満の待 機中のレシピエントがあればそれを優先的に考慮してもらう。それならネットワークは可 能と思うのですが。 ○福嶌班員 それ以上やるとたぶん。 ○北村班長 佐地先生はやはり子どもから子どもはこの機会に。 ○佐地班員 小児科のドクターがうるさいと思うのです。それにこだわっていたのです、 いままでに。 ○北村班長 それをしたほうが小児、多くの医師の集団も子どもたちのほうも理解しやす いかもしれませんね。 ○佐地班員 すんなりいきますね。 ○北村班長 中西委員も。 ○中西班員 そうですね。 ○北村班長 そうすれば、また1つの心臓特有の作業班の提案として、新しく7月1日か らの問題ですが、小児の15歳以下の提供の場合には、15歳以下のレシピエントの待機の 上から検討してもらうと。そして、なければもちろん使える範囲のところは大きさが関係 するからですが、15歳以上の年齢層にも広げると。それなら逆に、15歳以上の場合は、全 部いままでどおりでよいと。 ○中西班員 やはり予後が圧倒的に悪いですから。 ○福嶌班員 待機ができないというので、子どものほうが多いので、やはりちょっと察し ていただければ。 ○北村班長 心臓部会としては、15歳以下のご提供の場合には、15歳以下のレシピエント の待機順位の高いほうから検討してもらいたいと。その検討の合否は、最終責任は受ける 側の施設とその患者がおられる施設に基づいてもらうという形で、その中でも親族の優先 は同等である、ということが書き込めるかの検討をお願いしたいと。組み込んでいただき たいのがこの委員会の本音。 ○井原主査 Status1の年長の方がいても、Status2の15歳以下の方に提供するというこ とですか。 ○北村班長 Status1には関係なくしますか。 ○福嶌班員 ここで言うのはあれですが、拘束型心筋症という子どもの病例があり、これ はStatus1になると死んでしまうのです。絶対間に合わないので、2の間に移植しないと いけないのです。この子たちが大体20〜30kg前後ぐらいですから、その子たちに移植をさ せる方法も考えると、そういう方策がないと実は死んでしまう。 ○北村班長 しかし、拘束型とも限らないからね。 ○福嶌班員 もちろんそうです。でも、Status2が優先されてもいいのではないかと思う のですが。 ○北村班長 そこも問題ですね、それもはっきりしないと。 ○井原主査 その点が現在ネットワークに登録されている患者の中で、例えば20歳以上の 方が100名近く、30歳以上でも同等ぐらいの数字の方がいらっしゃるので、年齢と待機期 間と緊急度という点でどのような重み付けで公平なあっせん、公平な移植器官の提供を考 えたときに。 ○福嶌班員 これは公平というのは予後ということですよね。だから、子どものStatus2 と大人のStatus2と予後というのもこれは圧倒的に違うから、決して公平でないとは言え ないと思うのです。 ○井原主査 その点の同意を得ていただければ。 ○北村班長 それは医学会で、いま先生がおっしゃったレストリクティブなマイオパシー の場合には、Status2のときにやらねばということは、循環器学会あるいは小児循環器学 会の判定委員会で、Status1登録という形で認められればいいのであろうと思うので、 Status1を優先する形にしないといけないのではないか。15歳以下はStatusにも関係なし だとするか。 ○福嶌班員 いや、15歳以下の中では1がもちろん優先ですよ。私が言っているのは、1 がいなかったら2に行ってから大人という意味です。そういうことですよね。 ○北村班長 あくまで15歳以下は頑張ろうという。 ○福嶌班員 15歳以下は15歳で、そうです、あくまでもちょうど小児の人間が集まって いるので、そういう考えになりかねないかもしれませんが。 ○峯村室長 15歳未満ということでなく以下という。 ○福嶌班員 未満です。 ○峯村室長 未満ということですね。 ○福嶌班員 はい。 ○峯村室長 では14歳以下という扱いだということですね。 ○福嶌班員 そうです。 ○北村班長 今度、提供できるのは未満か。 ○福嶌班員 そうです。 ○北村班長 15歳以上は意思表示ができるのだから。 ○峯村室長 可能というところですね。 ○北村班長 そうですね、それと合わせなくてはいけないですよね。 ○峯村室長 今回、ご議論いただく主な内容としては、親族への優先提供という議論のお 願いをまずしたいと思っております。いまの医学的な基準はどうするかということについ て、7月、小児の移植の関係の本格施行を、またその限りの議論も別途しないといけない と思っており、小児の扱いについて、言わば小児優先というのでしょうか、いま申し上げ たとおり、ドナーが小児の方については、小児の方にまず優先的に提供すべきかどうかと いう点について、医学的知見も踏まえてもう少し議論をお願いできればと思うのですが、 もう一度小児の関係の施行のための検討もしないといけないと思っているので。 ○北村班長 そうですね。では、おっしゃるとおりですので。 ○中西班員 小児優先と親族優先のどちらを優先させるかと。 ○北村班長 それは親族優先ですね。 ○中西班員 親族が優先ですね。 ○峯村室長 そうです。 ○北村班長 そういう議論は、まだあとのほうに時間があるので、ほかの臓器との関係も、 心臓がそうするならということもあるかもしれませんよね。だから、できるだけ整合の取 れる形で検討しようということで頭に留めておいていただきたいと思います。  心肺移植に行きます。資料5です。これも肺臓の片肺の大きさなどがいろいろ書いてあ りますが、問題は心肺も虚血時間としては4時間以内が望ましいということ、優先順位で は親族を優先すると。ただし、先ほど参考資料1でご説明いただいたように、法律による 親族優先が、心臓1位の場合、肺1位の場合の優先よりも上に立つという形で認めるとい うことで、これはご異議ありませんね。よろしいですね。この場合もまた同じく子どもの 場合の話になる。 ○福嶌班員 子どもは子どもになると思います、体の大きさから。 ○北村班長 思いますね。これは余計に制限が強くなると思いますが、それでも15歳以下 の年齢はやはり難しいですよ。それも踏まえて先ほどの小児という特殊性の所はもう少し 時間をかけて検討するという形にしたいと思います。  次は、ドナーの適応基準ということで、資料6に入りますが、事務局からご説明いただ けますか。 ○大竹補佐 資料6、7に沿いまして説明します。こちらは、「臓器提供者(ドナー)適応 基準の法改正に係る主なご意見」として資料を作りました。ドナーの適応基準ですが、様々 なご意見をいただいている中、筋ジストロフィー症や代謝性疾患などを追記してはどうか と。これは慎重に取り扱うべきところ、あるいはそういった所に記載したらどうかという ご意見をいただいています。  3として、現在、「年齢:50歳以下が望ましい」という所に、「年齢についての下限を設 けるか」についても記載をした次第です。  資料7、こちらは心肺同時移植のドナーに係る部分です。こちらも朱書きで筋ジストロ フィーや代謝疾患についてのご意見、また年齢についてのご意見をいただいています。ま た、こちらは、先んじて行われた肺移植の基準等に関する作業班で検討されたこととして、 小児の肺の大きさの評価について、胸郭、予測肺活量の計算式を用いるというようなご意 見をいただいたので、括弧書きで記載しています。 ○北村班長 これは15歳未満の小児からの臓器提供が認められる、これもあとのほうで時 間の余裕が少しある問題かもしれませんが、この機会にいまご意見を賜りたいと思います。 例えば委員の予めのご意見では、筋ジストロフィーの疑い等を持っている患者等の、ドナ ーからの除外項目に入れてはどうかというのがありますが、一方、資料6の2の(1)には「心 疾患の既往」、(2)には「心電図、心エコー図などによる心疾患の所見」というのも入って いるわけです。こういった中、それから小児の場合でもカテコラミンの非常に大まかな形 でドパミン10μg/kg/minでも維持できない状態ということも書いてありますが、いままで は人工心臓の利用ができたわけですが、子どもの場合には非常に難しさもあるというのも 踏まえること。年齢も、ドナーの年齢は50歳以下が望ましいと書いてあるのを、何らかの 年齢を60歳まで引き上げるかどうかですが、我が国では脳死の判定後、判定中、判定前で も、脳の病気の方に心臓の検査をすることがなかなか難しい状況になりますので、冠動脈 疾患の除外をどうしていくかという問題があって、「50歳以下が望ましい」という形に設 けられたのだと思いますが、こういったことも踏まえて変えるべきかどうかご意見があれ ばどうぞ。 ○福嶌班員 筋ジストロフィーといってもすごく幅があるし、代謝性疾患も幅があるので、 現実にドナーとしてその心臓をいただくかどうかも、そのときの心機能を見ないと判断で きませんので、これを追記する意味合いがあまりないように私は思います。年齢について は、50歳以下が一応望ましいと言いながら50歳以上のドナーは7例移植されているし、 医学的に移植が可能であればします。ただ、医学的に冠動脈造影ができなければ、望まし いはどこかといったら50歳かというので、このままかと。あと、下限ですが、小さい子ど もはどうかと、これは全く要らないと思います。 ○北村班長 そうすると、このままでよろしいですか。 ○福嶌班員 と思います。 ○北村班長 村上先生、よろしいですか。 ○村上班員 私はレシピエントにも代謝性疾患等の基礎疾患をお持ちの場合に。 ○北村班長 それはHCV抗体が陽性やHTLV抗体陽性。 ○福嶌班員 そこは考えないといけないですね。 ○北村班長 これは「伴わないこととする」という、「望ましい」ではないのです。これは 以前も感染症の先生方とも、心臓部会でHCV抗体陽性の人から抗体陽性の人には認めたら いいのではないか、という意見をいくつかやったのですが、あれもそのままになってしま っていますね。現実はどうですか、そういう人の提供はいま。 ○福嶌班員 腎臓は腎臓、肝臓はもう行われています。 ○北村班長 行われていますよね。肝炎後の肝がんが行われていますからね。 ○福嶌班員 ただ、HTLVの場合はたぶんほぼ同じウイルスの可能性はあるのですが、HCV の場合にジェノムが違うと劇症肝炎化する可能性があるので、それでいま肝、腎もできた らジェノムをそろえるべきだという意見も検査委員会で出ているのです。ですから、その 辺の整合性さえ取れれば全部を除いてしまわなくてもいいかという気はします。心臓移植 を受ける患者はすごく予後の悪い疾患ですので、少しでも長引けばということは考えてい ます。 ○北村班長 全身性の活動性感染症も非常に幅広くて、なかなか。 ○福嶌班員 これも実際はグラム陽性球菌の敗血症であれば移植しているので、実際には やられています。ドナーとしては使っています。 ○北村班長 これをどうしますか。 ○村上班員 例えばレシピエントの方がダウン症であるとか、遺伝性疾患をお持ちである とか、代謝性疾患をお持ちであるとかという場合に、デンバーやコロンビアのガイドライ ンでは、心臓移植で上げられると推定される生命予後よりも、基礎疾患の生命予後が長け れば適応になると。そういう漠然とした表現ですが、それがすべてに当てはまるのではな いかと思うのです。 ○福嶌班員 それはレシピエントの話ですか。 ○村上班員 レシピエントの話です。 ○福嶌班員 これはドナーの話ですよ。 ○村上班員 いや、先ほど、すみません、レシピエントにちょっと話を戻して申し訳ない ですが。 ○北村班長 ずいぶん前の委員会でも文献も調べたのですが、肝炎もトランスミットする ことは間違いなくあるし、pos-transplantに肝炎が出てきたときの予後は悪いのです。し かし、そういう中でも何もできずのままよりは、それでもよいという考えもまた一方であ るので、前のときは抗体陽性者の場合は抗体陽性者だけで了解が取れた、希望があるなら ば、抗体陽性同士であれば認めてはどうかということになったと思うのです。しかし、こ れも今回の改正は法が変わったから、これを触るのは趣旨に違うかもしれませんが、これ は佐多先生、どうですか。 ○佐多班員 前の2002年のときにいろいろディスカッションがあって、そのときに腎臓と 肝臓だけは短期予後には影響しないというデータがあると。それならいいだろうというこ とです。ただ、ほかの臓器に関してはそういうデータがなかったのです。 ○福嶌班員 心臓のほうはありますが。 ○佐多班員 いや、そのあと出たかどうかはわからないですが、ちゃんと説明できる根拠 があればいいという結論だったと思います。ただ、その辺がいまだはっきりしていない、 あるいは2002年からずっとこの基準でやってきていると、ドナーがみんな除外されている と結果が出てこないのです。だから、日本国内でなくても、例えばアメリカのUNOSのデー タがあれば、そういう場合には考慮に値することだと判断できると思いますが、そういう データはあるのでしょうか。 ○福嶌班員 ありますが、2002年のときにも私は北村先生を通じて私はたぶん出したと思 うのですが。 ○佐多班員 どちらにしろHCV抗体陽性ということは、ウイルスがいない例もごくわずか あると思いますが、ほとんどウイルスはあるということだとすると、感染をトランスミッ トすることは間違いないので、そのときの予後が、例えば心臓移植のレシピエントにどれ だけ影響を与えるかということだと思います。感染症が原因で亡くなってしまっては意味 がないということだと思います。 ○北村班長 HCV抗体陽性者は、ほとんど生きたウイルスが残存している可能性はあるの ですかね。 ○佐多班員 普通7割ぐらいと言われていると思います。 ○北村班長 ですから、C型肝炎が臓器から伝搬する可能性は極めて高いですよね。 ○福嶌班員 心臓移植でもほとんどの症例で伝搬していることは確認されています。 ○北村班長 だから、それをマイナスの人に入れるのは医学的に認められないけれども、 抗体陽性者同士という場合は特例を設けるかということですね。 ○福嶌班員 もし討論が分かれるのであれば、今度の回に資料を出させていただいてもい いですか、また新しいデータもあるので。ただ、ジェノムまでそろえたというデータはあ りません。あと、日本でHCVで駄目になったのは、心臓はたぶん2件だけだと思うので、 もちろんマイナスからしか移植してないから、日本人のデータは一切ないということにな ります。 ○佐多班員 海外のデータでも十分説明できるデータがあって、皆さんが納得されればい いのかもしれません。 ○北村班長 事務局にお伺いしますが、これは特に新しい法律に基づいて、項目では少し 違う気がするのですが、こういうのも今回検討していいわけですか。 ○峯村室長 主に今回、作業班にお願いしている主要な検討の課題としては、法律改正に 基づく施行に向けた内容についてのご議論と。優先提供や小児の脳死、臓器摘出関係の議 論になるわけです。また、レシピエント選択基準とドナー選択基準で医学的な知見をもと に何らかの形で新たな内容にするという部分が必要だということであれば、それはこの作 業班でご議論できた上で我々のほうで検討することは差し支えないと思っています。 ○北村班長 そうしたら、これは少しそういう意見があったということで、まだ少し時間 的余裕がある来年の7月までに方向性が出れば、という形で記憶にとどめていただけます か。 ○大竹補佐 今日、ご提示いただいたものについては、また再度ご相談させていただきま す。 ○北村班長 その他HTLV-1抗体はどうですか。 ○福嶌班員 それも同じだと思います。 ○北村班長 これもある程度治せる、治る。しかし、これも両方がマッチするのは少ない でしょうがね。 ○福嶌班員 いや、九州地区はたぶんかなり多いと思います。 ○北村班長 九州は多いですかね。 ○福嶌班員 九州のレシピエントに早く渡るためにはという意味になりますが、九州のド ナーが出たときには当たる確率が非常に高くなるので、たぶんそれで予後は変わらないと 思います、心臓移植ということでですが。 ○北村班長 今回特に検討すべきことは、全身の活動性感染症は、非常に幅広くて絶対駄 目なものからそうでないものまで出てきているのだと思いますが、これも検討項目に入れ ますか。 ○福嶌班員 難しいですね。 ○北村班長 (1)ですね。(2)は、いまそうしたらHTLV-1抗体とHCV抗体。それなら、HBs 抗原も抗原陽性者同士ならいいのですか。 ○福嶌班員 HBsは駄目ですよね。B型は駄目だと思います。 ○北村班長 これは抗体ではなくて抗原です、抗原同士。 ○福嶌班員 抗原同士でも。 ○北村班長 両方、感染者だ。 ○福嶌班員 それは駄目です。 ○佐多班員 Bに関するデータはないと思います。 ○福嶌班員 どの臓器でもB型というデータがないのです。 ○北村班長 そうしたら、今度、どういうことを検討するべきかという意見で事務局にご 理解いただきたいのは、HTLV-1抗体、HCV抗体陽性者同士間のものをどうするかでよろし いかと。 ○福嶌班員 はい。 ○北村班長 いただいていた筋ジストロフィーのような場合も心疾患の既往とか、これで よろしいですかね。 ○福嶌班員 と思います。 ○北村班長 下限の年齢制限は要らないと、ゼロ歳でもご提供があれば検討させていただ きたいということでよろしいですね。 ○福嶌班員 12週までしか脳死判定はできないから、12週以上でないと。12週未満はそ ういう理由で。 ○北村班長 それは決まってしまったのですか。 ○福嶌班員 たぶんそうなりますよね。 ○峯村室長 脳死判定基準についてはいま研究班で議論しており、いま福嶌先生がお話に なった内容は、従前、厚生科学研究で竹内先生なりの研究等で、6歳未満の脳死判定の研 究の中で12週を除外していった内容で取りまとめされているわけですが、今回の法律の施 行を目指して研究を進めている脳死判定基準については、まだ検討中ということです。 ○福嶌班員 あえてここで作らないという意味ですか。 ○北村班長 臓器移植委員会で正式に12週以内の判定は不可能という結論になれば、自動 的にこちらにはその下限が入ってくるということですね。ですから、現時点ではここでは 作らないと、それでよろしいですか。 ○中西班員 全身性の活動性感染症という場合、例えば新型インフルエンザで脳症になっ たと。 ○福嶌班員 それはないです。それはドナーとして駄目です。 ○中西班員 でも、それは予後的にはインフルエンザなんてすぐ治ってしまうから、よほ どHCVなどよりも予後はいいのではないですか。 ○福嶌班員 インフルエンザから移植して死んだ人がいるのです。海外のデータであるの で、それはたぶん移植にはならないし、インフルエンザの場合、心筋症になる可能性もあ りますから。 ○中西班員 確率的にはそうですね。 ○福嶌班員 一応、これはこの間、移植学会が出したガイドラインは、ドナーがインフル エンザ疑いは移植をしないと。 ○北村班長 これはアメリカからも出ていますね。 ○福嶌班員 アメリカの所からも出ているから、たぶんそれはそうだと思います。ただ、 グラムポジティブで菌血症だけでそれほど強い感染症でないと、要するに活動性をどこま で取るかですが、そういう場合は当然、心臓移植はできるので、それはいままでも移植さ れています。 ○北村班長 あそこは書き込んでおいて、特殊な場合においては医師の判断や医学的判断 を検討してもらってもいいですね。 ○福嶌班員 慎重のほうに入れてもいいのかもしれないですね。 ○佐多班員 基準のうち、1番、2番、3番という記載のしかたは、いろいろな臓器の移植 があるところでなるべく統一的な記載のほうが混乱が少ないというのが1つ理由で、そう いう意味では1番は絶対禁忌みたいなニュアンスでまとめて、2番目は相対禁忌というこ とで書かれています。ただ、それぞれの臓器の特性とかによっては予後に影響がない場合 は、相対禁忌に落とすとかした全体的な流れでやっていると思うので、個別に検討される のは結構ですが、変えるときの理由をそれなりに皆さんに納得できる理由にしておいたほ うが、やりやすいと思います。そこだけはご検討いただきたいと思います。 ○福嶌班員 各臓器という話のときに、腎臓、膵臓はQOLを維持するための移植なので、 血中に菌がいたらその時点でやめるという判断なのです。肝、肺、心については、劇症肝 炎も含めてそちらの予後のほうが悪い可能性があるので、治癒可能な菌血症は移植しても いいという判断で動いている、どちらも活動性の感染症ではあるのですが。 ○佐多班員 そこまで細かな理由を挙げて認めたとか、そういうことではなかったのです。 全体として活動性の場合はできるだけ避ける、そういうことですね。 ○福嶌班員 そういうことですよね。そこで絶対禁忌のほうに行ってしまっているので、 そこがあれかと。だから、それをいま触っていろいろ細かくやるのか、これは行けると思 ったら医学的判断でやらせていただけるのかというところだとは思うのですが。 ○佐多班員 いままで移動したのはHCVだけだったと思います。もしそこをさらにいじる とすれば、ほかの臓器の基準も全部いじらなくてはいけなくなる。だから、1個1個具体 的な検討をして積み上げていくことになってしまうのではないかと思います。 ○北村班長 この辺は肝移植や肺移植でも。 ○福嶌班員 1については現実に。 ○北村班長 例えば、肝移植ではHCVは除外されてきているし。 ○福嶌班員 星印は付いているのです。HCVからHCVはいいというふうに。 ○井原主査 肝臓の場合はHCV抗体陽性の方は慎重に適応を判断するとなっているので、 全身の活動性感染症などは、レシピエントへの伝播という部分で移植の安全性という観点 から禁忌の事項に入っています。個別事例で、例えばグラム陽性の菌血症であるが非常に 治癒の可能性があるとか、そういったもの、個別の事例の内容を考慮した上でこの基準全 体を変える必要があるのかという点について、佐多先生からご指摘はありましたが、変え るのであれば科学的根拠という点をお示ししていただいた上で、作業班でご議論いただけ ればと思っています。 ○北村班長 そうですね。また再び感染症の委員会を開いてもらわなくてはいけないのか もしれませんが。 ○中西班員 子どもがおそらくドナーになる方というのは、脳炎とか結構あるのではない でしょうか。ですから、それを除外したほうがいいのかどうかですね。 ○北村班長 急性期死の場合は除外せざるを得ないような気がしますが、それがいわゆる 脳死状態。 ○福嶌班員 子どもは脳炎のドナーが多いですからね。 ○北村班長 原疾患が治癒したと考えられる状況で脳死状態になっているという場合でし ょうね。 ○福嶌班員 このときは活動性かどうかという判断になってくるのですが。 ○中西班員 脳症で脳死になって、感染症が治まっているのであれば移植と。 ○北村班長 ここで「活動性」と書いてありますがね。H1N1インフルエンザの場合はほと んど急性期の死亡が多いですから、そういう場合は入らないのは明らかだと思いますが。 では、これについては、感染症の部門でHTLV-1やHCVについては、もう一度最近の根拠を 示した形で改めて検討していただけるかどうか、佐多先生のご意見を踏まえて決めていき たいと思うし、事務局においては、他の臓器との整合において、できる範囲がどれがいち ばんわかりやすいかも、またご検討いただきたいと思います。  資料7の心肺同時移植の場合のドナー適応基準ですが、これも上に書いてあるのは心臓 と一緒でよろしいですね。いまの所まで一緒で、下のほうに赤で書いてある「肺移植の基 準等に関する作業班において検討。小児の肺の大きさの評価について、胸郭の測定を行う、 予測肺活量の計算式を用いる」、肺の適応基準にはこのように細々と書いてあるのですか。 みんな数値が書いてあるのですね。 ○井原主査 この点については、先日行われた肺移植の基準等に関する作業班において別 途また検討いただく形になっています。 ○大竹補佐 これはまだ正式決定ではなくペンディングという形で括弧しました。 ○北村班長 これについては、肺移植のほうにある程度お任せしてもいいのかもしれませ んが。 ○福嶌班員 それでいいと思います。 ○北村班長 そうしたら、これについてはこの赤の部分は、上の2つは心臓と一緒でよろ しいですね。大体ここでいくつかの問題と今後のあり方を事務方にお願いしたところです が、これはまたもう1回ぐらいは開いていただかないといけないでしょうね。事務方と私 だけというのはいけないと思うしね。それは時期的にはお任せしたいと思うし、来年7月 までにやらなくてはいけない部門と、その辺は優先順位は付けていただきたいと思います。 ほかにご意見、全体を通してでも、これはやるべきとかポイントがありましたら是非。思 っていたよりも時間が早くスムースに行き、少し残っていますので、ご意見を伺います。 ○佐地班員 優先提供に関しては、すべての臓器同じ、膵臓も消化器も全部同じですか。 ○峯村室長 はい。 ○佐地班員 あと、施行後の見直しの予定というか、2年、3年とか。 ○峯村室長 現行法は附則の2条ですか、3年後の見直し規定は制定当初に設けられてい たわけですが、今回の改正法においては見直し規定は条文上設けられていません。 ○福嶌班員 法律について施行細則はいつでも変えられるわけですが。 ○佐地班員 そうすると、例えば1年とか3年とか不定期というか、そういうことですよ ね。UNOSなどでも突如ポッと変わったりはしますね。 ○峯村室長 ガイドラインなり省令なり、その点については、ここはまた必要性があれば 見直しについて検討することは可能と考えています。 ○村上班員 レシピエントのことですが、先天性心疾患で何度も治療を受けてこられたあ との心不全の方は、同等というか、そういった患者に関する特別な条項はあまり設けなく てよろしいということですか。 ○福嶌班員 それは心臓移植の適応評価委員会の検討事項になるので、日循での話になる ので、ここでは討論することではないと思うのですが。先ほどから先生がずっとおっしゃ っておられるのは、ここはドナーが出たときにどうレシピエントを選ぶかという話であっ て、どういう方を登録するかは、これは日本循環器学会あるいは合同委員会のお話になる ので、ここで討論されることではないかもしれません。 ○北村班長 村上委員のご質問はそういうことですか。 ○福嶌班員 そういうことですね。レシピエントとして登録できるかどうかのお話ですよ ね。 ○村上班員 はい、それを考える場所がどこかであればいいと思うのですが。 ○北村班長 適応についてですか。 ○村上班員 私が心配したのは、治療成績は当然落ちると思うし。 ○福嶌班員 日本循環器学会の委員会に来たら、たぶん駄目と言われるのではないかと思 うのですが。ですから、そこの委員会で、別の話になって申し訳ないです。小児が今度入 ってまいりますので、日本で移植する場合にこの小児を登録していいかどうかが今後討論 になってまいります。実はここにいる4人も、みんな日本小児循環器学会の移植委員会の 委員ですが、そこである程度の意見を持ち合って、日本循環器学会にこういう患者を登録 してほしいということで要望は出せると思うので、我々の会で討論を、是非、先生に意見 を言っていただいてですね。 ○中西班員 小児循環器学会で定める疾患となっているので。 ○福嶌班員 疾患となっているので、1月の会議のときに、先生。 ○村上班員 はい。 ○北村班長 それは医学会でやっていただける範囲で、あとは結果を、厚生労働省なりが OKしていただいたら、それでいいことだと思います。ほかにご意見はありませんか。事務 方からまたご連絡とか何かありますか。 ○大竹補佐 本日、小児間の移植について、また感染症について、ご意見をご提示いただ いたので、私どものほうでも検討を進め、また必要に応じて会を開催してご相談申し上げ たいと思っています。また、本日、レシピエント基準またドナー基準について、特に親族 優先の点についてご了承いただいたものを我々で案として盛り込み、座長、また皆様方に ご提示の上、臓器移植対策委員会に提示し、報告したいと思っています。事務局からは以 上です。 ○北村班長 よろしいですか。3つほどいろいろ事務方と他と整合性、あるいはこちらか らの意見として、ほかの委員会にも投げかけていただきたいということを申し上げました。 本日はどうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室  代表 : 03(5253)1111  内線 : 2366 ・ 2365