09/11/06 第145回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録          第145回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成21年11月6日(金)9:00〜13:02 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 小林麻理委員 庄司洋子委員 白石小百合委員       森田朗委員 小林剛委員(代 貝谷) 白川修二委員 中島圭子委員(代 篠原)        勝村久司委員 北村光一委員 伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員       邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       北村善明専門委員 坂本すが専門委員        <関係者ヒアリング出席者>       池ノ上 克 宮崎大学医学部生殖発達医学講座産婦人科学分野 教授       海野 信也 北里大学医学部産婦人科学 教授       楠田 聡  東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門 教授 田村 正徳 埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター長       島崎 修次 杏林大学医学部救急医学講座 教授       菅井 桂雄 日本救急医学会保険委員会 委員       桑原 正彦 日本小児科医会 副会長       山田 至康 順天堂大学浦安病院救急・災害講座 教授       <事務局>       外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○関係者ヒアリングについて       ○初・再診料について       ○認知症対策について       ○その他 (5)議事内容 ○遠藤小委員長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第145回中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会を開催したいと思います。  まず、本日の出席状況について御報告をいたします。  本日は、牛丸委員、高橋委員が御欠席です。また、森田委員が遅れる旨の連絡を受けて おります。  また、小林剛委員の代理で全国健康保険協会の貝谷伸さんが、また、中島委員の代理で 連合の篠原淳子さんがお見えになっておられます。  それでは、議事に移ります。  まず、関係者ヒアリングについてを議題とさせていただきます。周産期救急医療に関す る関係者ヒアリングにつきましては、現場の状況を診療報酬に反映させるべく、中医協と しては初めての試みではありますけれども、現場の先生方からヒアリングをするというこ とを提案いたしまして、9月30日の本小委員会においてその実施を御了解いただいたと いう経緯がございます。  本日は、その4つの分野からお二人ずつ合計8名の方にお越しいただきました。先生方 には、早朝よりありがとうございます。  順次御紹介をいたします。  周産期産科につきましては、池ノ上克先生、宮崎大学医学部生殖発達医学講座産婦人科 学分野の教授でいらっしゃいます。よろしくお願いします。続きまして、同じく海野信也 先生であります。北里大学医学部産婦人科学教授でいらっしゃいます。よろしくお願いし ます。周産期新生児の分野で、楠田聡先生でいらっしゃいます。東京女子医科大学母子総 合医療センター新生児部門教授でいらっしゃいます。よろしくお願いします。田村正徳埼 玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター長でいらっしゃいます。よろし くお願いします。救急(成人)のほうでは、島崎修次先生でいらっしゃいます。杏林大学 医学部救急医学講座教授。引き続きまして、菅井桂雄日本救急医学会保険委員会委員でい らっしゃいます。救急(小児)でございますけれども、桑原正彦日本小児科医会副会長で いらっしゃいます。続きまして、山田至康順天堂大学浦安病院救急・災害講座の先生でい らっしゃいます。よろしくお願いいたします。  ヒアリングの進め方でございますけれども、各分野それぞれ1名の方から御説明をいた だきまして、その後、一括して質疑を行いたいと思います。また、円滑な議事運営の観点 から、説明の時間はお一人15分程度ということでお願いしたいと思います。  それでは、まず産科医療に関しまして海野先生からお願いいたします。よろしくお願い します。 ○海野氏  北里大学、海野でございます。今日は、こういう発表の機会を与えていただきまして本 当にありがとうございます。資料に即してお話し申し上げたいと思いますが、この資料、 最初の17ページほどがパワーポイントの資料としてつくりました内容でございまして、 それから、その後ろのほうに日本産科婦人科学会から保険局にあてまして、今年の6月1 日に提出いたしました平成22年度診療報酬改定に関する要望書というものがございます ので、こちらを資料として使わせていただきますのでよろしくお願いいたします。  それでは、最初の資料のほうからお話し申し上げます。  1ページ目下段ですが、全体としての私どもの願いと申しますか、それを申し上げます と、とにかく産科の医療提供体制を確保するということの現状が非常に危機的状況にある ということで、幾つかの局面がございますので、その辺についてそれを何とかしていただ くことをお願いしたいということです。  特に、3項目ございます。分娩施設の減少が続いておって、これが社会一般の方々の大 きな不安の種になっているということです。これに関しましては、病院・診療所、及び産 婦人科医の分娩取り扱いからの撤退というものがずっと続いております。これを何とか防 ぐ施策の実施をお願いしたいということです。  それから、これは産婦人科に限りません。病院の現場が、医師も看護スタッフもそうで すけれども、働き続けることの困難な状況に陥っております。これを、勤務条件の改善、 勤務内容の適正な評価につながる施策というものの実施をお願いしたい。特に、医師・ス タッフの生涯にわたる継続的就労ということを含めてのキャリアパスを考慮した施策の実 施をお願いしたいということです。  それから、先般、大きな社会的問題となりました周産期救急医療提供体制の問題がござ います。こちらの安定的確保と充実ということに直結するような施策の実施をお願いした いということが大枠でございます。  次のページをお願いします。分娩施設の減少の実情を御説明申し上げます。上段のグラ フですけれども、分娩施設、現在、おおむね病院で1,200カ所、診療所で1,600 カ所ということで、これは1993年の状態から見ますと大幅に減少しているということ が御理解いただけると思いますが、これは年間出生数の減少速度よりもずっと速い速度で、 その分だけお産する方が分娩施設を探すのに困る状況になっているという実情がございま す。  下段ですが、これは病院と診療所でどのぐらいの分娩を取り扱っているかということの 年次数字ですが、ごらんいただきますと分かりますが、過去十数年間にわたりまして下段 のほうの診療所の出生数はほとんど変わらない。施設数は減っているわけですが。病院の 出生数は20%前後減少しております。つまり、全体で減少しているということと、診療 所と病院のバランス、特に病院の現場での分娩の取り扱いというのに支障が生じている事 態になっているということが御理解いただけるかと思います。  次のページをお願いいたします。これは、今度は医師数のほうですが、産婦人科医師数 と出生数とがどういう形で推移しているかということの過去15年ほどのデータですが、 分娩施設と同様、産婦人科医の減少の速度が分娩数の減少の速度を上回っているというこ とが御理解いただけると思います。産婦人科は非常に、全体としてこの30年ほどずっと 不人気でございまして、医師全体に占める産婦人科医の割合は一貫して減少しております。 これは下段のグラフです。既にもう4%を切るという現状になっておりまして、私ども現 場の実感といたしましては、産婦人科医、そんな10%は要らないと思うんですけれども 6%は要ると思っておりまして、そこに至るための施策が必要だろうというふうに考えて おります。これは、医師全体の数の問題ももちろんございますが、絶対数的に、今年間3 00人強が産婦人科医になっておりますが、とても足りないと。500人ぐらいの状態が 10年ぐらい続かないと、とてもじゃないけれども現場はもたないというのが現状でござ います。  そのもたないということの実情を示しております次のページから、産婦人科医の病院勤 務医の長時間勤務の実態ということで、昨年度に産科婦人科学会で調査を行いました。そ のデータを少しお示しいたします。これは、実際に調査いたしますと外科系、外科、心臓 外科、脳外科含めましてどの診療科でもほとんど同じようなデータになると思っておりま す。ですから、産婦人科は特別というわけじゃないですが、産婦人科はちょっと当直の数 が多いという、その問題がありまして、それが多少影響しているかもしれません。  ごらんいただきますと分かりますが、この上段、当直体制のある一般病院というくくり で、年齢層別に月間の病院内にいた時間、出退勤時間を調査いたしまして在院時間を調査 いたしましたところ、年齢も問わずと申し上げていいと思いますけれども、300時間を 超えるような非常に長時間の病院内の在院実態があるということが分かると思います。  下段は、大学病院のデータです。大学病院に関しましては、大学病院内にいるのも長時 間なんですが、それに加えてアルバイト収入で生活している部分もございますので、非常 勤施設での在院時間を加えるとさらに長時間の実態がございます。これで、生活を支える とともに、地域医療を支援していると、地域の医療機関の人手不足もそこで補っていると いうところがあるわけでございます。  次のページをお願いいたします。こちらは、上段、当直体制のない一般病院のデータで すが、ない病院というところは、これみんな分娩取り扱いをしている病院なんですが、こ れではお産のときに必ず呼ばれるという状況です。ですから、この月間オンコール時間と いうのがございますが、これは要するに必ず拘束されているというところで、こういう状 況が産婦人科の病院勤務医の実情なんだということを御理解いただきたいと思います。  それで、その下段、これは、今女性医師の問題が私どもの非常に中心的な課題にもなっ ておりますが、その女性医師と男性医師の在院時間の分布を当直体制のある一般病院、総 体的に比較的規模が大きいと言える病院で比較したものでございます。いずれにしても、 勤務を続けることができている医師に関しては長時間の在院で仕事をしてもらっていると いうのが実態です。  ですが、ちょっと女性のほうの、この丸で囲んだところをごらんいただきますと、30代 から40代にかけて在院時間が若干減少し、ばらつきが大きくなるという傾向が認められ ております。これは、ある程度多様な勤務実態ということが反映しているものと思われま すが、これは勤務できている医師ということで、こういう状況だということになります。  次のページをお願いいたします。女性医師の問題の話ですが、これ上段が日本産科婦人 科学会の学会員数の年齢別、性別の分布を示しております。こちらごらんいただくと分か りますが、産婦人科医というのはほぼ例外なく学会員であると考えていただいて結構です し、非医師の学会員は極めて少数であるということも御理解ください。この上でごらんい ただきますと、女性医師が40代からそれより若い年代で一貫して増加して、一方で、男 性の医師数は減少しているということが御理解いただけると思います。それで、下段で示 しますように、20代では60%から70%というのが女性医師であるというのが、今の 産婦人科医の実情でございます。若ければ若いほど女性が多いということになります。全 体に女性医師はふえております。  次のページをごらんください。これは科別で一応示してみたんですが、女性医師の割合 が年齢層別でどうであるかということですが、ほかの女性医師が比較的多い小児科、眼科、 麻酔科等、今20代で50%ぐらいがなっています。が、産婦人科はそれに比べるとちょ っと突出している状況にあるということが御理解いただけると思いますが、じゃこれらの 女性医師が実際に働き続けることができているのかということが下段です。  これは一昨年に日本産科婦人科学会で調査をいたしまして、5年目まで、10年目まで、 15年目までのそれぞれの医師が今どこで働いているかということを調査したということ になります。そうしますと、分娩取り扱い施設に勤務している医師というのが、男性の場 合には15年目でも大体80%ぐらい勤務していると。これは開業医かもしれませんし病 院かもしれませんけれども、とにかくいずれにしてもそういう状況ですが、女性に関しま しては、年を経るに従って分娩取り扱い施設をやめていくということになります。それで、 大体15年で50%ぐらいになるということです。これは、分娩取り扱い施設の特に病院 の実情と申しますのは、先ほど申し上げたような勤務実態でございますので、ここで働き 続けることができていないということが明白になっているということになります。  それで、これは今10年目、15年目の人たちがどう働いているかということですが、 次のページ、これは新しく専門医になった、これは6年目の医師です。6年目の産婦人科 専門医になった医師たちに、今どこで働いていますかということと、5年後に希望する就 労形態は何ですかということを質問しました。そうしますと、上段、今どこで働いている かということでいえば、大学病院であったり分娩取り扱い施設病院であったりする者が多 いというのは、今そういうことは御理解いただけると思うんですが、5年後の状況を見ま すと、女性医師で病院または診療所で非常勤またはパート勤務を希望するという医師が激 増いたします。これは、もうこの状況で5年先まで働くことは無理だと、それではとても やっていけないということを現場の人間たちも分かっていると。ちょっと非常に恐ろしい 話ですけれども、そのつもりでいるのかもしれないということを示しているものであると 思います。  次のページですが、これ上段は産婦人科医会の調査でして、女性医師が周産期センター 等でどのぐらい働いているかということ、現状では30%強、病院と名のつくところが女性 医師ということになります。それで、この下段、これは、性別は関係なく産婦人科医がど こで働いているかということの調査ですが、年齢による分布ですが、病院、大学病院、診 療所でこういう形で働いております。言うまでもないことですが、大学病院、病院の現場 は若い医師で支えられておりまして、これから、既にその大部分は女性医師ですし、その 割合はどんどんふえていくというのが今の状況であるということです。それで、そこが働 き続けられる状況にないということが今の危機の根本的な状況なんだということを御理解 いただきたいと思います。  次のページ。今、この危機の展開というところで、背景の部分を御説明申し上げました。 それで、実際どういう形で壊れてくるかということですが、現に分娩取り扱いの施設が減 少して分娩難民と言われる方たちが発生している地域が、私のいる神奈川県なんかもそう ですが、あります。それが、今後さらに増加するということになるかもしれない。  それから、あともう一つは基幹病院のハイリスク救急症例受け入れ。これも病院がやっ ているわけですね。病院の現場はそういう現場であるということですので、そこも人が減 ってくると、それはもう症例の受け入れの回避または撤退ということが起こってくるだろ うと。実際にいろんなことで起きているのかもしれないということはお感じいただけると 思います。  この崩壊をどうやって回避するかということですが、一つは、まずは産婦人科医をふや すしかないというのがございます。それで、私ども学会でもとにかく新規専攻医をふやそ うということで、学生、研修医たちへの働きかけを強めておりまして、それなりの効果は、 少しずつは上がってきております。  ただ、その先生たちが実際に30代、40代で現場を支えてくれるようになるまで、今 はまだ研修医、学生の段階ですから15年とかかかるわけです。それで、その間支える人 たちのいうのは既にもう産婦人科医になっている、先ほどのグラフの真っ赤になっていた 部分ですけれども、あの先生たちが働き続けてくれない限りは無理だと。10年後には彼 らが産婦人科の病院や大学の指導的立場でやってもらえる状況にならなければ無理だとい うことは明らかだということになります。  ですから、医療という観点で申しますと、医師、医療機関の分娩からの撤退という現実 がございますが、これの撤退を何とか防ぐための施策が必要だと。その下段、ちょっと大 げさですが、デススパイラルとかを示すとすれば、新人をふやそうとしても若い人たちは 病院の現場を見ております。それで、ここで自分が働き続けられるかということを、一生 の仕事として選べるかということを考えます。それで、分娩の現場からの撤退ということ が現に起きていると。それが分娩施設の減少を招いているということになります。  その次のページ。脱却方法の具体的な策、これはもう既にいろいろ言われていることで す。これ一つですべてが解決することはとてもございませんが、とにかくできることを少 しずつでもやって、それでこの流れをとめる必要があるかと思います。それによって何と か、この先とにかく5年、10年は悪化する一方だというのはもう目に見えているわけで すが、中で状況を何とか現実の医療提供を確保していきたいというのが現場の考えでござ います。  次のページをごらんください。こちらは学会の要望書のことになりますが、最も優先し てお願いしたいことは、この下段に書きました勤務環境確保加算ということでございます。 これは、とにかく医療の現場を、病院の現場を合法的な状態にしていただきたいと。合法 化に誘導していただきたいと。この労働基準法とかというものが全く適用されていないよ うなこの現場を、少なくとも三六協定を結んで、どんな特例を用いてもいいですが結んで、 それで時間外を認定して、その時間外手当をきちんと払ってください。  どうせ人は足りないんで、もう過重労働を避けがたいんですね。医療提供を確保しよう とすれば。ただ、それを実際にどういう形でやっているか把握しないとどれだけ足りない かも分かりませんし、実際にどれだけ足りないか分からないところで医師をふやす議論を しているのが今の実情だというのも確かだと思いますので、それをやる必要は絶対にある ということを申し上げたいと思います。  それで、あと、産科救急の部分、ちょっと時間があれなんですが、これは母体救命救急 に関する部分を何とかして充実させるための加算をお願いしたいということと、これはこ れから新生児の先生、救急の先生がおっしゃられると思うんですが、救急医療、周産期医 療は基本的に今の体系の中では赤字体質です。それで、病院はそれを国や自治体からの補 助金で埋め合わせて何とか運用していると。これですと病院は収益が上がりませんので、 充実させるためのインセンティブが働かないということが起こる。  それで、前回の診療報酬改定で病院勤務医の負担軽減を緊急課題として位置付けていた だいて施策を講じていただきました。その中の一つに、ハイリスク分娩管理加算というも のがございまして、舛添大臣は何とかこれで現場の先生、分娩手当などの形で報酬に充て るようということをおっしゃいましたし、実際に、その局長通知の中にも労働環境の改善 策を講じられたい等の旨の記載がございます。舛添大臣は記者会見で、これはとにかく待 遇改善、処遇をよくする、診療報酬が上がった分はお医者さんたちにきちんと配分すると いうことをお願いしたいということをおっしゃっておられました。また、医政局の医療計 画推進指導官も公式の場でそういうふうにおっしゃいました。  ですが、実際にこの16枚目の下段に、現場への反映状況という、日本産婦人科医会の 本年度のデータがございます。この下のほう、文字が小さくて申しわけありませんが、ハ イリスク加算の還元というところがあります。ここが62の総合周産期母子医療センター、 当然ハイリスク加算を算定すべき施設ですが、実際に算定しているのは44施設です。7 0%です。30%は算定していません。それで、その中でハイリスク加算の還元があると いうところは14%です。病院全体でいえば8%しか還元されていないということで、正 直言って不十分なんです。  ということで、何とか、この算定されないというのがなぜ起こるかといいますと、次の ページですが、この負担軽減に対する体制に関する要件がございまして、病院勤務医の勤 務時間を把握しなさいということがございました。これをやると、労働基準監督署に必ず 上げられるということが病院では分かっておりますので、これはできませんと病院の事務 は言っております。ということで、算定を中止する病院が続出しているというのが現実で す。  お願いしたいのは、施策はもう本当にやっていただきたいんですが、この縦割り行政の 中でアクセルとブレーキを同時に踏まれると現場はやっぱり動かないです。それで、今回 の20年度の改訂の施策はアクセルを踏んでいただいたんだと思うんですが、ちょっとう まくギアが入っていないような気がするということで、うまくそこを調整していただいた 上で、何とか病院の現場が適正な勤務環境で適正な処遇を行えるようになるように、今現 実は全くそうではないということを御理解いただきたいと思います。  すみません、以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして新生児医療に関しまして楠田先生お願いいたします。 ○楠田氏  よろしくお願いします。私の資料は、その次の新生児医療の現状と課題ということにな っておりますので、この資料に沿って説明をさせていただきます。前半はパワーポイント のスライドで、後半は新生児搬送に関する追加資料ということになります。  まず最初に、我々新生児医療をやっている者にとって、周産期医療というのは世間一般 で大きく取り上げられることが最近ここのところ多いんですけれども、どういうものがこ ういう新生児医療をやっているかというのを御存じの方は多いと思うんですけれども、最 初に説明させていただいて、それから本題に入りたいと思います。  周産期医療というのは、もちろん妊娠、出産、新生児というのを扱うわけですけれども、 実際の妊娠の多くの場合はそれほどリスクがなくてローリスクというふうに呼ばれており まして、そういうローリスクの妊婦さんからローリスクの新生児が生まれてくる。こうい う場合は、それほど多くの医療介入を必要としないわけですけれども、実際には90%ぐ らいで、残りの10%ぐらいというのは母体、胎児に何らかのリスクがある。そういう方 から当然ハイリスクの子どもが生まれる。あるいは、妊婦さんにリスクがなかったとして も、何らかの突然のことで新生児にリスクがあるということでありますので、そういう分 野を扱うのが特に周産期救急と呼ばれるところで、その中の新生児医療をやっているのが、 我々新生児科医が相当するわけですけれども、実はほとんどが、小児科医がこれを担って いるという、そういう状況です。  次に、ページをめくっていただきまして、それからNICUというのはどういうものか というと、これは今言いました新生児のハイリスクの子どもを扱うと。ですから、母体の 異常、あるいは胎児の異常を扱うMFICUと、それから、小児の救急患者を扱うPIC Uと、それから、母体が何らかの合併症を持ったときに治療を担当するICUというのが ありますけれども、NICUというのはあくまで先ほどのハイリスクの新生児を扱う、そ ういう病棟だということになります。  まず、最初、日本の新生児医療の現状を少し御紹介させていただきます。  次のページの上の段、低出生体重児の出生率というグラフなんですけれども、御存じの ように日本の出生数はその一番上ですけれども減っていると。ただ、その中で低出生体重 児の出生数、それから出生率というのは年を追うごとにふえておりまして、過去20年こ れをプロットしておりますけれども、ずっと上昇傾向にあると。事実、その下の極低出生 体重、中でも非常にリスクの高い小さな子どもたちの出生数の絶対数をこれはあらわして おりますけれども、1980年代に比べるともう数千人の単位でふえているということで、 どうも日本では小さな子どもがふえていると、そういう状態なんです。  次、ページをめくっていただきまして、一方、これは周産期医療の評価の指標でありま す新生児死亡率、あるいは周産期死亡率はどうかというと、これは明らかに経年的に減っ ていっているわけですね。途中、周産期死亡率だけ定義が変更されておりますので上昇し ていますけれども、基本的には経年的に減っていっていると。その下の、今の早産児と低 出生体重児の出生率、それから新生児死亡率というのを同時にプロットしますとこういう 関係にあります。低出生体重児はふえている。それから、早産児もふえている。ところが、 新生児死亡率が減っているということで、我が国ではハイリスクの新生児がふえていると いう状況にあるわけですけれども、幸いそういう子どもたちの死亡率は減っているので、 新生児医療としてはかなり進歩しているということがうかがえます。  次を見ていただきますと、今のは我が国のデータなんですけれども、これを国際的に比 較するとどうかというのが右上のスライドでして、一応OECDで、その中でも比較的医 療整備が進んでおります国をプロットしておりますけれども、左の乳児死亡率、1歳未満 の死亡率ですと、大体1980年から90年代にかけてこのOECDの中では一番低くな ってきたと。その右、新生児死亡率ですけれども、乳児死亡率の2分の1は新生児死亡率 ですので、新生児死亡率を見てみるとやはり同じように80年ぐらいから世界で一番低く なっているということで、我が国の乳児死亡率がよくなった多くの、あるいは最大の要因 は新生児死亡率が低くなった。しかも、新生児死亡率、2004年のデータになりますけ れども、明らかにこの右に書いてあります先進国と呼ばれる国の中でもぬきんでて新生児 死亡率は低くなっているということで、大きな進歩がこれでうかがえるということになり ます。  こういう進歩をもたらしたものは、いろんな医療技術の進歩もありますけれども、実は その下に書いてあります周産期医療ネットワークの整備というのが非常に大きな要因を占 めておりまして、これは平成8年から周産期医療対策整備事業として始められたものです けれども、こういうネットワークを形成するというのが、こういう新生児死亡率が国際的 にもぬきんでるほど低くなった、大きな後押しになったというふうに考えております。  次を見ていただきまして、平均寿命と新生児死亡率の関係ということで、同じくOEC Dのデータを比較しておりますけれども、これは横軸が新生児死亡率、縦軸が男性の平均 寿命と出ておりますけれども、御存じのように日本は長寿国、男女とも平均寿命は長いと いうふうに言われておりますけれども、実は平均寿命というのは生まれた新生児の平均余 命ですので、もちろんいろんな医療施設が充実することは平均寿命につながりますけれど も、実は新生児死亡率が低いというのも大きく平均寿命を長くしているというか、こうい う結果につながっておりますので、我々としては、日本の平均寿命の長い要因の一つに新 生児死亡率が低いというのが大きくかかわっているだろうというふうに考えております。  その下で、要するに、言いたかったことは、新生児医療は社会に、我々としては大きく 貢献しているのではないかというふうに考えておりますけれども、ただ、残念ながら少し そうとは言っておれなくて危機的状況に置かれているのではないかというのが今日の趣旨 になります。  次のページ。どのような危機的状況かというと、実はNICUそのものが不足している。 それと、そこで働く新生児科医が不足している。双子の課題、双子の問題というかこの2 つが大きく絡まりまして、この2つが危機的状況をつくっているというふうに考えており ます。  その典型例が、昨年東京都で発生しました母体搬送の受け入れ不可例ということになり ますけれども、このときに多くの施設が、NICUが満床であるということで母体搬送が 受け入れられなかったということで、どうもNICUが需要に見合っていないのではない かということが考えられます。  次をめくっていただきまして、ということで、NICUが本当に不足しているのかとい うのが昨年厚労省のほうでも緊急調査がされましたけれども、まず最初は自治体のほうで NICUが不足しているか充足しているかというのをお聞きしたところ、22の自治体で はやはり不足しているという回答が得られました。その下が同じく厚労省の調査なんです けれども、具体的に母体搬送、あるいは新生児搬送が受け入れられなかった場合のその原 因はどういうところにありますかというのを回答していただいた結果なんですけれども、 上が新生児搬送で、受け入れられなかった理由の95.2%はNICUが満床であると。 それから、その下、母体搬送が受け入れられなかったケースの理由なんですけれども、こ れもやはり92.5%が、NICUが満床で受けられなかったということで、どうもやは りNICUは不足しているだろうということが分かります。  そうすると、どうして不足したかということを当然検討しなきゃいけないわけですけれ ども、次のページ、大きくNICUが不足する理由3つ挙げておりますけれども、1つは 需要の増加。これはもうハイリスク児がふえている。それから、予後がよくなったために より多くの子どもたちが治療の対象になっている。それから、NICUの利用効率が少し 下がっているのではないか。これは長期入院児の問題があります。それから、必ずしもベ ッドがあったとしてもそれが稼働していない。スタッフ不足だと。そういうことで、稼働 していない病床があるのではないかという、この3つが大きく我々としては影響している という結論に達しました。  まず最初の需要の増加ですけれども、その下のハイリスク新生児の増加、平成6年と1 7年の母子保健統計を比較しておりますけれども、低出生体重児の出生率、先ほど言いま したように平成6年7.1%、平成17年9.5%ということで明らかにふえている。一 方、一番下の新生児死亡率ですけれども、これも先ほど申し上げましたとおり明らかに減 っているということで、やはりリスクを抱えた子どもがどうもふえているというのがNI CUの不足を招いている最大の原因だろうということが言えます。  次のページに行っていただきまして、NICUの利用効率の低下ということになります。 これは、長期入院児がやはりNICUを退院することができなくて、およそ三、四%の割 合で12カ月以上入院されている方がいらっしゃるということで、こういう子どもたちが いらっしゃるベッドというのはもちろん新たな入院を受け入れることができませんので、 NICUの利用効率の低下につながっていると。  次のページを見ていただきますと、こういう子どもたちは本来1年以上入院するのでは なくて、おうちに帰るということが本当は理想的な形態だというふうに考えるわけですけ れども、残念ながら在宅医療というのはいろんな意味で困難な状況にあります。それはコ ーディネートする人材、乳児の訪問看護、あるいは乳児の在宅支援が、できるような施設 が不足している。あるいは、一度おうちに帰ったお子さんが緊急に悪くなったときに受け 入れる施設も、必ずしも十分ではない。  それから、家族はもうずっと365日24時間在宅医療を続けるわけですから、そうい う家族に対するレスパイトを受けるような重心施設も不足しているということで、やはり 在宅医療に移行しないという課題があります。  それから、3つ目の課題ですけれども、これは稼働していない病床ですね。やはりスタ ッフがいない、あるいは、この後お話しされると思うんですけれども、小児救急を充実さ せるためにはやはり我々新生児科医といえども小児科医の一部ですので、どちらかを優先 しないとだめだということになると、本当の意味のNICUが維持できなくなると。ある いは院内出世児というのはいつも我々の施設としてはいつ生まれるか分からないので、そ のためにある程度あけておかないといけない、そういう空床が必要だということで病床と して不足する。  ということで、ページをめくっていただきますと、NICUが不足する理由、最大の原 因はやはりハイリスク児が近年我が国では増加したというところが多くて、その後、今言 いました長期入院の子ども、あるいは稼働できない病床、こういうものが、NICUが不 足する大きな要因であるというふうに考えております。  その下のNICUの必要数ということで、これも厚生労働省の研究班、19年度の報告 書ですけれども、以前平成6年に試算したときは1,000出生で2床必要だろうという ふうに考えておりましたけれども、19年の研究班の結果では1,000出生に3床必要 だということで、やはり1.5倍必要だと、そういう状況になっております。  次の課題であります新生児科医の不足であります。病床も不足している、新生児科医も 不足している。次のページを見ていただきまして、その下ですけれども、まず新生児病床 を増床する意思はありますかというのを全国の施設の長に聞いたところ、病院管理者もふ やしたいという結果を多くいただきました。  次をめくっていただきまして、そうすると、ふやしたいけれどもふやせない理由は何で すかというのをお聞きしたとろ、やはり看護師の確保、それから医師の確保。一番最大の 要因は医師の確保であったんですけれども、どうも新生児科医を確保するのが難しいとい うことで、病床をふやしたいけれども現実にはなかなかふやせないという、そういう状況 が分かりました。  そうすると、どうして新生児科医が少ないのかというと、やはりこれはその勤務実態、 勤務の現状が大きく影響していると思うんです。その下は勤務実態を調査したものなんで すけれども、平均月6回当直をし、それから当直明けの8割以上が連続勤務をしていると。 だから、40時間を超える勤務をしている人もいるということで、やはり新生児科医の労 働環境は余りよくないと。  それから、次のページ、新生児搬送。これは我々にとっては非常に重要な、新生児の予 後をよくするという意味では重要な業務なんですけれども、なかなかこれは大変なことで、 その下に、これは長野県立こども病院の新生児搬送の様子を書いてありますけれども、依 頼があれば、まず病院から新生児科医と看護師が専用の救急車に乗って分娩施設に向かい 立ち会いをし、それからいろんな処置をし、それから自分のところの病院に戻ってくる場 合もありますし、あるいはもっと遠くの、自分のところの病院のNICUが満床のために さらに遠い病院に三角搬送と呼ばれるような搬送をしないといけない。これは動くNIC Uと呼ばれておりますけれども、重症の子どもを運ぶという、非常に大変な業務でありま すので、これも新生児科医の業務の中では大きなウエートを占めているということになり ます。  それから、次のページをめくっていただきまして、小児救急との両立が必ずしもできな い。これは小児救急医療体制を整備するというのは重要なことですので、それを整備する ためにはNICUと小児救急と両方やっている施設にとれば両方、完璧にやるというのは 今のところなかなか難しいので、そういう意味でNICUの運営をあきらめて小児救急を 選択する病院も出てくると。そうなれば、さらに新生児を担当する医者が減ってくるとい う、そういう状況になります。  したがいまして、新生児科医が不足する。これの原因はやっぱり新生児科医の労働環境 が過酷なために不足し、それがさらに過酷な勤務になるという、先ほどの海野先生のお話 と同じスパイラルをつくっているということになるのではないかというふうに考えます。  ということで、そうするとどういうことが必要か。残りの時間を使いまして、それを改 善する方法を我々として提案していきたいと思います。  まず、必要なことは、必要な対策を2つ書いておりますけれども、NICU運営のバッ クアップ、それから、新生児科医の待遇改善。この2つに尽きると思います。  その下に、まず診療報酬上のNICU運営のバックアップということが書いております けれども、これは少しのバックアップではなかなか難しくて大幅にバックアップをしてい ただかないと非常に難しい。  どういうことかというと、まず、NICUが経済的に運営できるだけの診療報酬上の評 価が必要だと。それから、NICUと小児救急がやはり役割分担できるような、そういう NICUが必要だと。それから、現在NICUを退院しますと、その後NICUに再入院 してもNICU加算料というのは算定できませんけれども、子どものことですので急変す ることがよくあるので、我々よく退室後もNICUに入れる場合が多いわけですけれども、 そういう場合でもやはりNICU加算の算定が必要だろう。それから、回復病床に行きま すと、これはもう集中治療室ではありませんのでかなり保険診療としては評価が下がりま すけれども、これもNICU全体を運営するという意味では非常に足かせになっている。  それから、NICUから、先ほど長期入院の子どもたちがやはりスムーズに移行できる ようなものでやはり支援が必要だろうし、それから、NICUが満床でよく依頼があった ときには、我々満床でもさらにもう1床、子どもさんをお受けすることはあるんですけれ ども、その場合、NICUの保険算定というのはすべてのNICUの保険算定がなくなる 場合もありますので、そういうものに対しても何らかの緩和策が必要だろうというふうに 考えております。  次のページ。そうすると、NICU運営が経費的にどうかというのを実は東京都で試算 したデータがありまして、これは東京都の周産期医療体制整備のPT報告書というのがあ りまして、東京都の病院を調査したところ、NICU1床当たり年間やはり現在の補助金 を使いましても745万円の赤字という、そういうデータが出ております。  それから、もう一つは、新生児科医に対する待遇改善ですね。どういうことかというと、 先ほど言いました新生児の勤務内容、搬送、立ち会い、あるいは入院を受け入れる、こう いうことに応じてやはりそれなりに新生児科医にも何らかの診療報酬が支払われるような 仕組みというのは、新生児科医の立ち去りを恐らく防止する方向につながるというふうに 思います。  ページをめくっていただきまして、これがもう少し総論的なお話のまとめになりますけ れども、今お話ししてきたのはあくまで診療報酬上でのお話をしてきましたけれども、将 来の改善策としては、NICU増床のためにはやはりそういう補助金の問題、診療報酬の 問題。それから、大規模施設への集約化、それから地域で役割分担を図るということがN ICUの増床に必要でしょうし、新生児科医をふやすためにはやはり標榜科としての新生 児科というのも必要でしょうし、それから大学病院でNICUを整備して学生教育という のも重要でしょうし、勤務時間に即した報酬、それから他職種との連携、こういうものが すべて相まって今の危機的状況を解決するのではないかというふうに考えております。  その下、とは言いましても、私は日本全体の医療の課題の中の星がついております新生 児医療のところだけを御説明しましたけれども、新生児医療の問題というのは周産期医療 の課題でもありますし、当然これは救急医療全体の、成人のあるいは小児の医療の課題で もありますし、病院運営という意味でも大きな課題でありますので、この新生児医療も含 めてこういうものが解決しないと、こういう救急医療、病院というのがなかなか成り立た ないというふうに考えております。  それで、最後ページめくっていただきまして謝辞です。これは時間の関係がありますの で省かせていただきますけれども、こういう本当に貴重な機会を本日与えていただきまし てありがとうございました。  以上です。 ○遠藤小委員長  楠田先生、ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、成人の救急医療につきまして島崎先生、よろしくお願いし ます。 ○島崎氏  島崎です。一応、総論的な救急医療にかかわるところを島崎が話しまして、最後、5分 ほどで各論的な要望を菅井先生に話していただきます。  資料の1枚目の下段ですけれども、救急患者が年間500万件を超えるような状況下で 社会的要因、患者側の問題あるいは医療機関側の問題、いろいろあるんですけれども、基 本的には、医療機関側が現在対応の限界に来ているという状況だというように思います。 先ほど話がありましたけれども、もともと不採算部門のところを数少ない救急にかかわる 医師たちが何とかやってきたのが、ここに来て限界が来たということでございます。  次のページを見ていただきますと、これはいわゆるたらい回しと言われるんですが、実 際には救急受入医療機関側の受入不能状態ということなんですけれども、1万4,000 件、大体3.6%が5回以上のコールで病院が見つからない、あるいは30分以上現場で 立ち往生するというような状況になっております。  次のページをお願いいたしますが、4枚目の下ですけれども、救急医療の受入機関の状 況なんですけれども、これを見ていただきますと入院を要する二次救急医療機関が大体5 年間で80病院ぐらい閉鎖に追い込まれているというような状況です。二次救急医療機関 は、入院を要する一般救急患者を受け入れる医療機関で、数としても最も多くて、ある意 味、救急医療体制の中核を担っていると思いますが、そこが減ってきているということで、 原因として一般に言われているのは救急をやるメリットがないということで、ペイできな いとか、あるいは夜中に起きて働く医師を一般病院のほうが大学病院に求めても、大学病 院でも医師が不足しているというような状況、あるいは医療訴訟の危機のみが高いという ようなことが理由として挙げられていると思います。ちなみに、二次救急医療機関で月平 均大体500例の救急患者を受け入れている大都市の典型的な二次救急医療機関が、大体 月250万円から300万円ぐらいの赤を累積しているということでございます。  次のページをお願いいたします。これは二次救急医療機関の受入状況を見たものなんで すけれども、外来と入院、実際、二次救急医療機関に来る患者を見たものですが、一番右 端の平均を見ていただきますと、85%ぐらいは実は外来で帰れる患者が来ていまして、 入院が余りないということになっております。本来、入院治療を行うための医療機関とし て位置付けられて、そのために救急入院用のベッドを空床あけてマンパワーもつけて待っ ていても、なかなか患者がそういう意味での救急入院できずに外来が処理できるというよ うなところがあって、ペイできない大きな一因にもなっているというように思います。  下の段ですが、これはいわゆる受入不能状態で、救急現場で11回以上の事案の各診療 科あるいは救命センター事例等を含めて見たものですが、どの病態別あるいは救命センタ ー等を見ても、結局昼間はけっこう受け入れられておるんですが、時間外に救急患者が受 け入れできないような状況になっているということで、休日夜間の診療体系等の報酬も見 直す必要があるなというように思っております。  次のページでして、これは救急隊からの情報で、受け入れができない、どういう患者が 断られているかというデータなんですけれども、大体全国的にほぼ共通いたしております。 急性のアルコール中毒、それから精神疾患を抱えた患者、精神疾患だけじゃなしに、精神 疾患を抱えた患者さんがけがをしたというような状態だとかなり受け入れが困難になりま す。それから、いろんなところをけがしている、あるいはいろんな症状を持っているとい うような患者さん、それから、いわゆる慢性的な薬物中毒、それから認知症、こういう状 況になって、これは結局こういう患者さんは、地域で最終受入医療機関として機能しなさ いという救命救急センターに、こういう患者さんが比較的軽くても来てしまうということ で、一般二次病院あるいは一次救急で処理し得るような患者さんのしわ寄せが、最終的に 救命救急センターまで来てしまっているというような状況になっております。  こういう状況を何とかしたいということで、下のページに書いていますような消防法の 一部改正がこの5月に行われまして、それはこういう状況の中で救急の現場の搬送と、そ れから受入医療機関側のより密接な連携をとることをこの法律で求めております。これは 非常に画期的だと思うんですけれども、総務省と厚生労働省が共管というんですか、共同 管理で、この法律のもとで運営するという形をとるようになっております。  次のページで、その法律のもとで搬送先が速やかに決定しない場合は、例えばコーディ ネーターシステムを導入して、その中でコーディネーターが医療機関等に連絡をとって行 うとか、あるいは差し当たっての受け入れ医療機関をまず応急的に決めて、夜間が受け入 れにくいということですからオーバーナイトだけでも診て、昼間、その後の治療の病院に 回すとか、そういう形をとってやりなさいということがリコメンドされております。  実施基準を設けて受入医療機関の選定をきっちりして、従来の軽症、中等症、重症、一 次、二次、三次というようなシステムだけじゃなしに、例えばTPAができる病院、頭だ けができる脳神経科の病院だと、ほかの重症は診られないけれどもそれだけに、1つの疾 患、病態に特化すると、心筋梗塞にしても脳神経疾患にしても、一つの重症を診ることが できるというような病院をそれぞれ手挙げで選んで、従来型の救急の一次、二次、三次の システムの縦糸に横糸を結びつけるような格好で医療機関を選定してやっていくというよ うなシステムを今後考えていく、現在考えておるところということになります。  下のページは、先ほど言いました二次救急医療機関が閉鎖したりあるいは、これは総務 省のデータですが、処置困難等の理由で二次救急医療機関が受け入れにくい。そのしわ寄 せが三次の救命センターに来ている。三次は、地域の最終受入医療機関として機能しない と救命センターの要件を果たせませんから、そういう意味では比較的軽い患者も受け入れ てしまう。そうしますと、救命センターが満床になる。比較的軽い患者が先に入って、そ の後すぐに重症が入ってきた場合でもその患者を断らざるを得ない。かなりの率で断る救 命センターは、けっこう患者は入れているんですけれども、断る理由として、実際にはそ ういう軽い患者が入ってしまったためにベッドがなくなっているというような状況です。  三次は、大体届出が30床ぐらいの救命センターが多いわけですけれども、そこから出 口として療養型病院等へきっちり出て行ってくれればいいんですけれども、例えば気管切 開があるとか、あるいは胃ろうをつくっているとか、あるいは人工呼吸器がついていると かMRSAがあるというようなことになると、なかなか出口になる病院が受け取ってくれ ない。療養型病院は数が少ない上にどんどん減っているということで、ふん詰まりの状態 が救命センターに来ているということが言えます。非常に回転が悪くなっているというこ となんですが、最終受入医療機関ですから届出病床数以上に患者を受け取って、30床の ところを1人、2人、31床、32床と患者をとると、何とその三十数名分すべての救急 入院料がだめになっちゃうんですね。地域のためを思って患者をとると、病院へ、救命セ ンターへ入った患者のその一、二名が救急救命入院料じゃなしに全部がだめになるような システム。とても考えられないような。救急患者を数以上に受け取るなというようなこと が規制されています。それも非常に問題があろうかなというように思います。  そういう中で、もともと不採算部門で、ちなみに典型的な都内の救命センターで、大体 1,500名から2,000名ぐらいの重症だけを受け取っている救命センターの1カ月 の平均の赤字が大体2,500万円ぐらいになります。これ、そこの二十数床の診療科の 常にワースト3ぐらいに入っているというような状況で、病院としては救命センターとし て地域に協力したいんだけれども、基本的にそういう状況だと協力できないというような ことが病院の中で言われて、非常に救命センターとしては肩身が狭い状況だということに なります。  ちなみに、今言った2,500万円ぐらいの赤ですと、大体100円稼ぐのに130円 ぐらいを要するというような状況になります。  それから、DPCをほとんど多くの病院でやっておりますけれども、DPCは診断のつ いた患者をその診断に従って治療していって診療報酬を受け取るというようなシステムな んですけれども、もともと原因不明で患者が運ばれてきて、症状で意識不明だとか胸が痛 い、胸が痛いといってもあらゆる病気が、おなかの病気も頭の病気も、それから当然心筋 梗塞等も含めていろんなものが入りますが、それを全部ルールアウトして、ではやはり胆 のう炎の重症だというような話になってくると、それまでの検査等を含めてDPCに全く 合わないんですね。ですから、やっぱり急性期、特に救命センター等を含む急性期の患者 を診ているところでDPCは、これは諸外国も含めてですが、合っておりません。診断名 もきっちりした診断名が症状別で来ますから合わないということで、外国はどうしている かというと、日本と同じようにある種補助金的なことでのりしろをつくっているわけです けれども、それは病名を適当に後で変えたりとか非常に不健康だと私は思っております。 そういうことになっております。  次のページを見ていただきますと、これは救命センターへ照会があった患者の何%が入 るかということで、これごらんになると分かると思いますが、右下の平均照会数の約9 3%を救命センターは受け入れております。これはかなりの高い率だと思いますが。救命 センターはいろんな診療科の患者が来るわけですけれども、それを必死で最後のとりでで 引き受けているというような状況で、救命センターが断ると最終的に行く場所がなくなる ということを、救命センターで働く先生方もよく承知しておりまして、何とかとろうとい うことで、こういう形で救急患者を届出数以上にとったり、あるいはそういうものに対す る支援がぜひとも必要だなというように思っております。  その下の医師の勤務時間、当直の回数等は、先ほどのお話にありましたように、救急、 外科、産婦人科、脳神経外科の1週間の実務時間が、救急ですと74時間、労基法の倍で すよね。こういう形で働いていると。左側、これは夜中寝ずに働く診療科が上から順番に 大体並んでおりますけれども、極めて労働環境が悪いというように言えると思います。そ ういう意味での救急で働く先生方への支援が、直接的な支援も含めて必要だというように 思います。  当直料が現在、時間外の5時〜9時で1万円ですかね。少し今度上がりますかね。1万 8,000円に上がりますが、1万円ですと時間給に直しますと625円です。コンビニ の従業員が、今都内ですと1,000円ぐらいもらっていると思いますが、それが1万円 が1万8,000円ぐらいになるらしいんですが、それでようやく時給1,000円ぐら いになりまして、コンビニの従業員と同じぐらいの当直料になるというような状況でござ います。  次のページですが、これは救急に興味のある若い研修医って非常に多いんですね。とこ ろが、実際救急の現場で労働環境等を見たり、あるいは院内でのそういう不採算性を見て いますと、とてもここでは働けないというようなことが、卒後臨床研修の後、自分が専門 としたい診療科に反映されていまして、救急は下のピンクのところにあるような状況で、 正当に評価されていないというようなことをひっくるめて、救急のマンパワーが非常に少 ない。我々としては、今後救急の専門医の養成、確保が非常に重要だなというように思っ ております。  救急の専門医が年間、厚労省の試算ですと4,300人必要だということになるんです が、ほかの診療科と比べて非常に数としてはオーダーが1つ違うぐらい少ないんですが、 それでも今、2,300人ぐらいしかいませんので、実際の需要の半分ぐらいしか満たし ていないというような状況でございます。  最後に、そういう状況の中で、その下に書いていますような具体的な診療報酬上の評価 を菅井先生、ちょっとお願いします。 ○菅井氏  今の先生の総論を受けまして、救急医学会として救急医療に必要な診療報酬上の評価に つき、具体的な要望項目を提示いたします。  まず、救命救急入院料についてです。医療計画で定める救命救急センターについては、 届出病床以上の患者を受け入れた場合についても算定を認めるというもので、救命救急セ ンターでの受け入れ困難事案解消のためであります。  次はDPCの扱いですが、重症患者は最初の3日から5日間に高額の医療資源を投入す る必要があるため、すべてDPCとすると出来高払いに比べて低額になり、医療機関の持 ち出しが多くなる。例えば最初の3日から5日は出来高払いとし、その後DPCを適用す るような方向にする。これは、救命救急センター、二次救命医療機関への支援の充実のた めであります。  次は、救急医療管理加算。救急医療管理加算の対象を拡大するものです。現在、重症患 者を病院群輪番制の当番日に受け入れた場合のみ算定されますが、今後は救急車により救 急患者を受け入れた場合に軽症であっても算定可能にする。さらに当番日でなくても算定 できるようにするもので、主として二次救命医療機関への支援の充実が目的であります。  次に、救急医療管理加算です。高度救命救急センターが救急患者を受け入れた場合に加 算されることとし、高度救命救急センターへの支援の充実が目的です。  次に、救急医療管理加算(救急医体制加算)です。救急医として経験1年以上の医師が 救急診療を担当している場合加算されるというもので、救急医への支援充実が目的であり ます。  次に、救急医療管理加算(受け入れ促進加算)です。地域医療計画上規定される受け入 れ困難事案を確実に受け入れる医療機関、または管制塔機能病院として位置付けられる医 療機関の場合に算定できるという最後の砦の支援目的です。  次に、救急支援医療機関加算。管制塔病院や救命救急センターと連携している支援医療 機関が、管制塔機能病院等から患者を受け入れた場合、算定します。管制塔支援病院への 支援及び医療機関間の連携の強化が目的です。  次に、急性期入院加算の復活。平成16年度改定時に存在していた急性期入院加算(紹 介率、平均在院日数等を指標とする)を復活する。これにより、救急車搬入患者を積極的 に受け入れる医療機関が評価され、二次救急医療機関を中心とした救急医療機関への支援 の充実と、救急患者の受け入れ促進につながることが期待されます。  次に、夜間・休日救急加算の増額です。夜間・休日の加算を現行の2から3倍にするこ とにより、救急医療機関への軽症患者の集中の適正化、及び初期救急機能の向上が期待さ れます。  次に、電話再診料の夜間救急加算ですが、これは開業医、かかりつけ医に対してのもの であります。患者に準夜帯または24時間対応可能な電話番号を付与しており、夜間から 深夜に患者からの診療相談に対して助言・指導した場合に算定できるというものです。し かし、救急医療機関への受診を指示した場合は算定できません。これは、救急医療機関へ の軽症患者集中を適正化し、初期救急機能の向上を目指すものであります。  次に、救急医療管理加算。解釈の追加です。7日以内であれば、転院搬送後、他院で継 続して診療する場合を対象に加えるということです。後方ベッドの確保促進のためです。  最後に、初診料の加算。救急外来において胸痛、ぜんそく、アナフィラキシー等鑑別及 び処置治療に時間と手間を要する疾患を診療する場合に加算可能とするものです。緊急な 救急患者のうち、外来ベッドで長時間経過観察の必要な患者に対する、入院に準じた加算 の創設を要望するものであります。  以上、12項目の要望を提出いたしました。これらの要望が受け入れられれば、救急に 積極的な医療機関の赤字は解消され、医療従事者の仕事環境が改善され、立ち去り型サボ タージュなどという現象がなくなり、本来やりがいのある仕事であった救急医療における 若手の医師、看護師、コメディカルの人材確保が可能となり、ひいては、患者、国民全体 が適切な救急医療を受けられる体制づくりに一歩でも近づけることを期待しております。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、引き続きまして、小児救急医療に関しまして、山田先生、よろしくお願いし ます。 ○山田氏  山田でございます。今日は説明の機会をお与えいただきましてありがとうございます。  小児救急というのは非常に広く、以前10月30日に小児医療等の評価というのをこの 会で一応検討なさっていますので、それも含めてお話をさせていただきたいと思います。  まず、レジュメを見ていただきたいですが、救急医療機関の分類ということで、日本独 特の一次、二次、三次というような骨組みができております。そして、ここに新たに#8 000番、#7119、さらには現在インフルエンザの重症等に関係しまして救命救急の ネットワークが全国でできております。こういった状態が大きな概略かと思います。  次を見ていただきたいですが、小児救急をめぐる医療政策とその社会的背景を示してお りますが、救急告示制度から始まって、救急対策事業実施要綱、さらには電話相談、そし て、これはPICUの問題、いろんな施策がとられていますが、まだ十分ではない現状が ございます。  そして、小児救急医療の崩壊が叫ばれておりますが、その原因というのはその下のとこ ろに示しております。保護者のニーズにこたえるマンパワーが医療側にないこと。不採算 のために病院小児科の廃止・縮小が認められる。さらに、全般的な救急、特に外傷を含む 救急に対応できていないということ。そして、小児の救急医療は地域のメディカル・コン トロールと連動していないと。これも大きな問題で、病院以前の問題としてこういうこと が挙がっております。そして、若手医師に対する教育システムがないと。ただこれをやり なさいと、小児科医療をしていればいいというようなことで、一つの統一的なそういった システムがないということ。それには、後で申しますようにいろんな保険診療報酬の問題 とか、そして、救急全体の科の中での協力。小児科と救急診療科の協力・連携。こういっ た問題とか、カリキュラム、さらにはMC協議会への参加。いろいろ課題があります。  そして、これは少し古いんですが、兵庫県で約5,000名の保護者に対するアンケー トをいたしました。見ていただいたらお分かりかと思いますが、60%以上が夜間の受診。 我慢ができないと。よく言われますコンビニ感覚で受診をするという。そして、子どもの 診療は小児科医を望むということが圧倒的に多く見られます。過剰な専門医志向というこ とがあるかと思います。  そして、システムを充実させればさせるほど、下のグラフを見ていただければと思いま すが、兵庫県のデータを10年とりました。そうすると、どんどん数がふえます。いわゆ る我々は掘り起こしと言っていますが、数がふえてくる。ただ、それをある程度きっちり としていくと頭打ちになる。大体、地域の小児人口の30%が年間の受診件数だというふ うに言われます。これは、全国で少し違います。  こういった状況を受けて、小児科医はどうかと。先ほどから皆さん産婦人科医、新生児 科医、救急医、いろいろ御報告があったと思うので簡単に説明はとどめますが、これは産 科医と比較して申しわけありませんが、小児科医数は少しふえてきております。そして、 勤務医も少しふえている。  ただ、この内容が、下にありますように、勤務医から開業医へのシフトが1つあると。 もう一つは、女性医師の増加が非常にあると。いわゆる産休や育休の問題が出てきます。 いわゆる救急医療に従事するマンパワーが圧倒的に少なくなっていると。見かけ上はそう ではないですが、これは実質的には非常に少なくなっている。そしてさらに、病院の数を 見ていきますと、このように見ていただくと病院の小児科が減って開業の小児科がふえて きているということが分かるかと思います。  さらに、次のこういったことで小児科医の労務環境は非常に悪いと。米国では、男性で は50時間前後、女性では40時間ですが、日本では61時間、小児科医は労働している ということ。  さらに、もう一つ、病院の形態、病床数と、そしてそこに従事する小児科の医師数を見 てみますと、10床以下の小規模な小児科が大半を占めている。また、小児科医が2名以 下の非常に小さな病院が、これも過半数を占めていると。7名以上いてシフト制が組める 病院は、たかだか16%しかないということがうかがえるかと思います。この小さな規模 の病院は、小児入院管理料も非常に下位のものしかとれません。非常に経営的にも苦しい ということがうかがえます。  次のページを見ていただくと、これは日本とイギリスの比較ですが、もう一目瞭然です ので、これもこれ以上申し上げません。非常に小さな施設が日本では多い。日本の常識は 世界には通用しないということが分かります。  こういった中で、小児科医は仕事にやりがいを感じるかというと、たかだか2割強ぐら いしか感じていないと。もう本当にくたくたになっているということで、このままでは小 児科の危機であるということがこの調査から明らかになってまいりました。  そして、次のページを見ていただくと、今は、小児科のボランティアと書いていますが 善意で当直体制の中で対応している。そして、36時間、次明けても普通に日勤をしなき ゃいけない。当直はあくまでも副業として、そして本業は日勤帯である。やれどもやれど も同じような生活が続いてくる。そして、受診患者の95%が軽症であると。そして、新 たなスキルアップ、いろんな手技、知識が身になかなかつかない。さらに、患者は非常に 身勝手な方が多い。こういったことがあって、いわゆる燃え尽きて逃散ということが小児 科の中でも起こってきております。  それで、何とかしなきゃいけないということで、5年ほど前から小児科学会が集約化、 重点化ということを考えて、下の図式にありますように地域小児科センター病院と、さら にその上の中核病院をつくって、右のほうにありますような集約化と、そして労働条件の 充実と改善ということを目標に、こういった構想をいたしました。ただし、全国ではまだ これは実質的には余り進んでおりません。  次のページを見ていただくと、じゃ実情はどうなのかということですが、初期救急がど うか、夜間急病診療所はどうかというより、もっと今非常にホットな話題になっています 豊能の小児急病センター。これは箕面市に大きなこういう施設をつくりました。今まで、 二次病院に約5万人の患者が集中していたのが、こういった大規模な施設をつくることに よって、それが7,000人に減った。二次病院の負担はかなり少なくなりました。これ は、大阪大学と千里の国立循環器病センターと、そして医師会の先生方が努力なさってこ ういうことになってきました。そして、患者教育に努めた結果、トータルの数もふえない で抑制されているといういい効果が出てきました。  ただし、これは北摂のところの地域は非常に充実しましたが、泉南の地域、そういった ところが軒並みに医師が不足して、ドミノ倒しというような非常に厳しい状況が起こって まいりました。  豊能のここにありますように診療報酬、これは山本先生からいただいたデータですが、 推移を見ます。やはり赤字もまた出てきております。一時は非常にいいと言われていまし たが、かなり厳しい状況もあるということを御認識いただければと思います。  そして、もう一つ初期医療でいいという制度が地域連携小児夜間・休日診療。これは非 常に地域の開業医の先生方が病院へ執務して、そこで共同で治療に当たろうということで、 目で見える地域連携を、病診連携をするという意味で非常にいい、おまけにそれに対する 300点、500点という点数がつきます。これはかなり充実してきて、もう420カ所 こういったことが行われています。  ただし、ここに挙げていますように山口や大分や宮崎では300点のほうが急増してい て、いわゆる在宅輪番のところもこれをとらえているところがあるので、運用上のきっち りとした評価が必要になってくるかと思います。  続きまして、小児の二次救急医療ですが、ここに挙がっていますように非常に整備され ているという濃い茶色のところを見ていただきますと、太平洋ベルト地帯とか二次医療圏 で見ますと県庁所在地とかそういったところだけで、まだこの輪番制は十分役を果たして いない。補助金がつかない地域もあると。いろんな二次救にも問題があると。  さらに、次に三次救急はそれじゃどうだろうということで、これ19年度に日本救急医 学会が調査いたしましたが、一次から三次、ないしは二次から三次に対応しているという 施設が86%ありますが、その内容としてはまだまだ十分ではありません。24時間対応 しているのが87%、看護師によるトリアージ、後でトリアージも触れさせていただきま すが、たかだか2割だということです。  そして、その内容で見ますと、救命センターというのはあくまで成人であって、小児は せいぜい外傷、中毒等だけで、その比率を下のグラフ左上に示しております。総受診患者 数で16%ぐらい、入院は11%、救急車の搬送は5%、ICUに入られる方は2%、心 配停止のCPAは2.3%と、非常に比率としては少ないです。そして、ICUに入院さ れる患者数は、上にありますように年間で約20名足らずと、非常に少数です。そして、 ICUがありますかという質問には、救命センター内にはたかだか7.2%しかないと。 その病床数はほとんどが1床だと。というのは、非常に救命センターには、今は子どもは なじまないという。内科的な救急と外傷を含む全体の救急と分けられてしまっている。こ こが一つ大きなこれからの課題かというふうに思います。  そして次のページ、これは朝日新聞の昨年の11月26日の記事ですが「貧弱 子ども の事故救急」というふうに1歳から4歳の死亡率が非常にOECD加盟30カ国の中で2 1位ときわだって悪い。この矢印の先は1歳から4歳の死亡率ですが、これはもう皆さん 認識のことと思います。東京都も昨日のNHKのニュースで言っておりましたように、重 症小児の搬送体制を充実させようということが注目されています。  実際の数を見ていただくと、下のグラフにありますように、日本は1歳から4歳の死亡 が1.2と。ルクセンブルク、カナダ、フィンランドは1を切っております。これは世界 21位。一方、先ほど楠田先生からお話がありましたように、新生児死亡は出生1,00 0当たり1.8と、OECDのみならず世界で1位です。この差がどこにあるのかという ことをやはり検討しなきゃいけない。  いろいろ検討いたしますと、1つは、1歳から4歳の死亡は小さな施設で十分な集中治 療を受けることなく亡くなっている。これには、やはりPICU、小児のICU、専用の ICU、NICUじゃなしにPICUの設置が必要である。そして、メディカル・コント ロールの中に、これは十分小児の救急を盛り込んでいかなきゃいけないということが分か ります。  その後の3枚の図は、これはそのエビデンスであって、これは厚生労働省の厚生労働科 学研究で調べたデータですが、一病院当たりの死亡が1人というような小さな施設で約半 数が亡くなっているということがうかがえます。さらに、交通事故や溺水、転落、こうい った外因性の疾患ですら、その他の小児科、いわゆる中核病院で一番大きな規模の病院、 さらに地域の基幹病院、そういったところよりもそれ以外の小児科で亡くなっている場合 が非常に多いということが分かります。さらに、次のグラフを見ていただければ、救命救 急センターで亡くなる比率が外因性のものであっても半数以下であるということがうかが えます。  これから見えてきたことは、1歳から4歳の小児死亡は小さな施設で十分な集中治療を 受けることなく亡くなっていると。そして、PICUの設置、メディカル・コントロール が必要であると。外傷をはじめ外因系の疾患にも対応できるシステムが必要であると。こ ういった新たなシステムがここから必要ではないかということが見えてまいります。  それを受けて、今年の3月から5月末に厚労省が重篤小児患者に対する救急医療体制の 検討会というのを立ち上げました。これは結論だけをここで記載させていただきましたが、 小児救急患者の搬送システム、そして、さらには救命救急センターの整備、これは超急性 期、本当に重篤な患者が発生したときに、まずそれに対応するのは救命センターで、たく さんのベッドは要りません。調査からも1床か2床あったらよく、そこでまず初期対応を きっちりする。そのまま治療が可能だったらそれでもいいが、できない場合は、さらに小 児専門病院、いわゆる小児病院へ搬送すると。小児救命救急センター、これ仮称ですがこ ういったものが必要なんじゃないかということが言われております。さらに、PICUの 数の検討というぐあいに出されております。  これに含めて、先ほどから出ております出口問題。救命センターがいっぱいになるので、 さらにそれをどういうふうにしたらいいのかと。今年調査いたしましたのでは、回答率か ら言いまして、それほど、62%の回答率で246名の長期の患者さんが全部小児病棟に 入院しているということで、日本全体では500名以上の患者がいる。その問題も改善し ていかなきゃいけない。  そして、集中治療学会が2008年に調査をいたしましたところでは、PICUはたか だか120床、集中治療専門医が37名ほどしかいないと。これは、米国では小児人口2 万人に1床、これは、EUでは4万人に1床と、日本は控え目に4万人に1床としますと 487床必要である。今の数との開きを見ていただければ、まだまだ足りないということ が分かるかと思います。  そして、先ほどからお話ししていますように超急性期と急性期の連携を図るためには、 PICUには1型と2型が必要であると考えます。1型というのは、大規模であって大体 6床から十数床までにわたる小児病院におけるPICU。そして、2型というのは、救命 救急センターで1床から2床でもいいわけですが、小児の救急、成人の救急医療と連携を 図って、まずそこで対応するのが必要です。こういうふうなPICUが必要だということ が分かります。  ちょっとその下は静岡県立こども病院が非常にヘリ搬送を2機体制でうまくされていま す。ちょっとこれパワーポイントなので、実際はいろいろ動くわけですが、順天堂静岡病 院と聖隷三方原病院から患者をPICUに集めている。非常にこれ治療成績がいいものを 報告されています。非常に今マスコミにも注目されているシステムかと思います。  続きまして、先ほどの連携ですが、これはもう搬送を前提として2種類のPICUが補 完し合うというような形で、ワンセットで考えていく必要があるんではないかというふう に考えています。  そして、もう一つ、少ない人員をいかに有効に、そして診療の質を上げるためにはトリ アージというものが必要になってくるかということで、トリアージを挙げさせていただき ました。患者が医療機関を、特に病院を受診した場合、そしてトリアージが入ってインプ ット、スループット、アウトプットというように分けて考えると、トリアージというのは 医学的重症度に沿った診療順位を決めるものである。そして、これはガイドラインに基づ いたきっちりとした客観的なものでなければいけない。さらに、これは病院内においては 看護師と医師のトリアージというチーム医療がここから出てくるということがうかがえる かと思います。  次のページの上には、カナダのトリアージの、これは5段階ですが、非常に客観的な電 子トリアージになっています。1歳から17歳、17歳以上で分ければ、いろんな主訴が 出てきます。そこに入れると、小児では呼吸数や心拍数が非常に年齢によって違います。 それも全部加味したトリアージが瞬時にできるというようなシステムがあります。  下の一つの図を見ていただければと思いますが、最初看護トリアージが入って4段階な いしは5段階に評価をする。そして、それをもう一度医師が患者評価ということで、それ に基づいて医療情報を共有しながら見ていき、それで診断・治療。これ一つのシームレス の流れがトリアージであって、トリアージというのは、非常に今後有効で、欧米諸国では ほとんど導入がされています。これからの一つの新しいツールになるのではないかと思い ます。  そして、最後、救命センターで一つの教育カリキュラムを共有する必要があるのではな いかと思います。実際、小児救急を担っているのは小児科医が主体だと言われますが、外 傷系は救急医が診ています。そういったものと、さらに集中治療になった場合は集中治療 医が診ています。小児外科も、最近は小児救急委員会というのをつくって外傷を診ようと いう動きがあります。こういったところに一つの共通言語、一つの共通的なものがないと いけないということで、小児救急医学会では小児救急医療の教育・研修の目標、一つのガ イドライン、これだけは研修してほしいというものをつくりました。さらに、これに基づ くテキストをこの10月の末に発刊しました。そういったことで、一つの共通のものをつ くっていこうという動きがあります  これからの動向ですが、第1段階、第2段階、第3段階というふうに挙げさせていただ きました。小児科学会を中心に集約化・重点化を進めていると。ただし、これはあくまで も小児科救急であって、さらに外傷や中毒を入れた小児救急になっていかなければいけな いということで、これは北九州市立八幡病院や成育医療センターがされています。さらに、 ER型の救命センターで外傷を習得した上で小児をやっていくようなシステムが必要かと いうふうに思います。これは小児救急専門医というような人たちがやっていければ一番い いかと思います。  そして、小児救急をめぐる新たな動きといたしましては、小児病院の集約化、さらに救 命救急センターの連携と。これは都立の小児総合医療センター、静岡県立こども病院、こ ういったものがあります。さらに、救命救急センターへのPICUの設置。目下本当にイ ンフルエンザによる重篤患者の対応施設間のネットワーク、そして重症者の登録制、これ は全国で起こり始めています。さらには、電話相談の#8000、#7119、こういっ たこと。ドクターヘリと、こういったものが新たな動きかと思います。  千葉県においては、具体例を示しましたが、救命センターと小児科の基幹病院が千葉県 小児科医会のホームページの上にサイトをつくって、ウエブで患者の空床報告、並びに患 者受診情報を交換しようということが実際に進み始めました。  その下に実例ですが、施設を書いて、そして通常の呼吸管理ができる施設、さらに特殊 管理をする最重症の対応、ARDSと急性脳症、急性心筋炎と、それを10歳以上か以下 に分けてこういうふうに情報を共有しようというシステムが、実際の運用は11月中旬で すが、こういったことが行われてきています。  以上をまとめますと、小児では一次、二次救急と三次救急がともに重要である。これは 車の両輪だと思いますが、重篤小児への対応のためにPICUの普及が重要であると。小 児の教育カリキュラムを確立し、成人と連携の上で外傷、集中治療にも取り組む必要があ ると。救急外来における看護師によるトリアージは医療の質、チーム医療の点からも有用 である。救急医療は成人も小児も危機を迎えているということが言えるかと思います。  そして、あと、具体的な要望書は後ろを見ていただければと思いますが、小児科学会の 横田会長、小児科医会の保科会長からの要望書が後ろにつけてあります。そして、救急関 連では小児救急、地域連携医療の評価というのが2ページに挙げております。  そして、小児医療の要望事項といたしましては最重点要望事項、ここにたくさんの項目 が挙がっています。こういった項目を小児の入院管理をきっちりとお願いしたいというよ うなこと、さらには小児科の外来診療並びに乳幼児の栄養指導。これは救急と小児医療と いうのはなかなか区分ってしがたいというところが…… ○遠藤小委員長  山田先生、かなり時間をオーバーしておりますので手短にお願いします。 ○山田氏  わかりました。  あとは、重点要望事項ということと要望事項ということで挙げておりますので、御参考 いただければと思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  どうもありがとうございました。  現場の御意見をお話しいただきまして、今後の診療報酬の決定に非常に参考になったか と思いますけれども、ただいまの4分野の御報告ですけれども、御質問、御意見がありま したらお受けしたいと思います。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  各科とも非常に深刻な状況であるということを改めて認識させられましたが、特に産婦 人科、小児科、あと麻酔科、眼科もそうだそうですが、女性医師が非常にふえているとい うことですけれども、今言ったような、先生方がおっしゃったような対策に加えて、女性 医師が出産、子育てなんかをしながら勤務が継続できる体制をとらないと、恐らく今言っ たような体制やお金だけの問題だけではないと思うんですけれども、その辺はどのように、 例えばフランスの子育て支援とかいいますけれども、お金だけじゃなくて、フランスの場 合は実際に保育とかそういったものも非常に充実しているので、私がさきに訪れた病院で も、急性期の医師も看護師もみんな子育てしながら勤務を続けているということをおっし ゃって、周りはみんなびっくりしたんですけれども、そういったことを例えば医師とかそ ういった科の、あるいは夜勤をする看護師とかそういったことを最優先に取り組むような 体制が整わないと、お金とか報酬だけでは解決しないような気がするんですけれども、現 場の先生方はどんなふうにお考えでしょうか。 ○遠藤小委員長  直接診療報酬に関連する話ではありませんけれども、重要な課題としての御質問だと思 うのですけれども、どの分野の先生に。 ○鈴木委員  産婦人科が特に。 ○遠藤小委員長  それでは、海野先生、よろしいですか。海野先生、よろしくお願いします。 ○海野氏  先生のおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、現実に現場は例えば当直体制を組んで 医療提供を続けねばならないと。それで、できる人は産婦人科の医療は産婦人科医しかで きませんし、事実上。小児科は小児科医しかできないと。かわりはいない。そうすると、 実際に非常にそれができるかどうか分からないような状況に、男女構成も含めてこれから の年齢構成も含めてなろうとしている中で、なお続けるためにどうするかということを考 えなきゃならない。  もちろん、その先生たちが続けられるための環境を整備していただくのも重要ですが、 だけど、それと同時に今続ける必要がありますので、ですから、それでやめられちゃうと おしまいですというのが、一遍病院をやめて開業された先生がまた病院に戻ることはめっ たなことではございませんので、ですから、それを続けるためのインセンティブが必要で あると。やめないためのインセンティブが必要ですし、続けるためのインセンティブがな いとみんなやめていくというのが現実だということを御理解いただきたいというふうに思 います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  鈴木委員、よろしいでしょうか。  では嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  実は、この答えは私がするのが一番いいと思っているんですけれども、なぜかというと、 私は管理者であり現場の医師でありますので。  今、海野先生がおっしゃったように一度やめたらなかなか看護師さんもそうなんですけ れども戻ってこないんですね。そのときに、雇用形態が今何時間以上でないと正規職員に なれないという法律がありますので、それを何とかすれば、例えばうちでは仙台から、仙 台にも、お嫁に行っちゃったというか結婚して移った産婦人科のお医者さんを、1日4時 間しか働かないんですけれども、座布団というか退職金をつけた正規職員として雇うと。 そうするとやめないで続けることができるんですね。  ですから、そういうような制度の整備もやっぱり管理者は、私は今は学部長なのでその 辺できるんですけれども、管理者がきちんとその辺をやれば、今、海野先生がおっしゃっ たような、やめないというインセンティブ以外の制度で補えるんじゃないかというふうに 思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  委員のほうから回答が出たということでありますけれども、ほかにございますか。関連 してでも結構です。どうぞ。 ○池ノ上氏  池ノ上です。今、嘉山先生がおっしゃっていただいたように、女性医師が、海野先生の 資料にもありますように、産婦人科医は30代の前半ごろから急速にふえているんですね。 ですから、この人たちがこれからそういう対象に直接かかわってくると思います。ですか ら、今その制度をしっかりつくっていただければ、近々追いつくことができるんではない か。今、タイミングとしては非常に重要な時期だと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今日は各学会の重鎮というかトップの方、または一番困っているという科の方々に来て いただいたと思うんですが、外科も大変なので、それをまず一言。どういうふうに選ばれ たのか、ほかの科もみんな大変なんですけれども、一番下の0.86の外科が一番減って いるわけです。 ○遠藤小委員長  まず、前回これをどういうふうにして選んだのかということですが、検討課題に周産期 と救急の話がありましたが、非常に重要だということで選びました。今後対象をどうする かということについては、非常にタイトスケジュールなので、どうするかまだちょっと決 めておりません。  しかし、外科は極めて重要だと思っておりますので、前回、今後議論するという内容の 中に技術の評価ということの項目があったかと思いますけれども、これはどちらかという と手術料のことを前提にしておりますので、恐らくその議論として外科の話が出てくるだ ろうと思います。しかも、2号側委員の中にお二人外科医がいらっしゃるということでも ありますので、それなりの御意見は出るかなと思っております。しかし、外科でもヒアリ ングをやるべきだという意見があればまたスケジュールも考慮しながら検討したいと思い ます。   ○邉見委員  わかりました。  それで、ちょっと救急の先生方にお聞きしたいんですが、DPCは我々最低24時間を 丸めでなく、例えば意識消失の患者が来た場合、一番簡単なものは低血糖ですね。ブドウ 糖を打てば戻るわけですが、しかし、脳卒中とかいろんな重篤な病気を調べて除外してで ないと診断がつかないわけですね。そうすると、CT、MRIはじめみんな持ち出しにな るわけですね。  我々は、小山先生と一緒に病院団体協議会としては最低24時間を出来高は外出し、で きれば48時間と言っているわけですね。例えば当日夜遅く来た場合はレセプトでは2日 間になりますので、5日間というのはちょっと長いような気がするんですが、どうでしょ うか。 ○遠藤小委員長  島崎先生、お願いします。 ○島崎氏  島崎ですが、5日間というか、私自身は救急患者が入院しますと救急重症加算というの がつくんですね。救命センターに入ると。それが1週間なんですよ。私は1週間つけてほ しいなと思っているんですけれども、5日間じゃなしに3日間、一応歩み寄るというよう な感じで、少なくとも2日、3日は診断がつかないまま症状で対応して治療していくとい うことが続きますので、5日間ぐらいは一応考えているんですけれども、まあ3日でもい いかなというような気はいたします。 ○遠藤小委員長  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  わかりました。 ○遠藤小委員長  じゃ嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  それも私が答えを持っていますのでお答えしますと、例えば邉見先生、脳卒中ですと患 者さんにとっての急性期というのは、医学的に2週間なんですね。それはどういうことか というと、脳圧が上がって、その脳圧が落ちつくまでが急性期ですから、本来はDPCの 考え方を患者さん中心にすれば、やはり2週間は急性期というふうに規定しないと適切な 医療ができないんです。今、私のこの目の前にDPCの問題というスライドがあるんです けれども、それが一つです。  もう一つは、やっぱり救急で来た場合には重症が多いので、重症ですと三次救急は、そ の場合にはある病名をつけた後で、これは遠藤会長、医療費に関係するのでお話しさせて いただきますが、合併症の治療費が全く取れないというふうになっているんです。肺炎を 合併すれば脳卒中で取れないんですね。それが全部赤になるので、その辺も救急の場合は、 今日ほとんど山田先生が全部医師へのインセンティブ、ドクター費に近いことをおっしゃ っていただいたんですけれども、それ以外にDPCでも救急の問題はあるんですよ。 ○遠藤小委員長  島崎先生、どうぞ。 ○島崎氏  DPCに関して今おっしゃったようなことでかなり出来高との差が開いていますので、 重症患者を診れば診るほどその差が開いてくるんですね。そうすると、医療現場でどうい うことが起こるかというと、ある程度の重症になってくると、あきらめが昔と比べてずっ と早くなっています。治療を放棄するとは言わないんですけれども、DPCの中で治療で きるところで治療をしてくださいよというような、何となく病院全体の暗黙のプレッシャ ーみたいなのがありまして、比較的軽症患者をたくさん受け入れて診たほうがいいような 雰囲気があるので、その辺のところを私は非常に問題だなというように思っております。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  DPCの話は、基本的にDPCの議論のときにまたお話をさせていただきたいと思いま すけれども、いかがでしょう、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  長くなるのもそうなんですが、2日ぐらいで診断がついてから転院というのがよくある んですね。うちは断るなと、救急患者は自分の親や子どもと思えと全部受けていますと、 よそが断って、姫路とか高砂とか町3つ、4つ越えて来る患者さんがおるわけですね。診 断がついたら、治療の前に近くの病院に帰ってしまうわけです。そうすると、みんな持ち 出しなんですね。ですから、市民病院だからよその町の市民は受け入れるなと、うちの若 手の医師は言うわけです。院長は市民の税金を無駄遣いしていると言われても、実際計算 したらそうなってしまっているんです。たくさんの例がそうありますので、やっぱり初め の二、三日で退院したりしてしまう人が、初期の資源の投入量だけはペイしていただくよ うにしないと、収容困難というほうにインセンティブがつくだろうというふうに思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、1号側のほうで、勝村委員、お待たせしました。 ○勝村委員  まず最初に、今日はいろいろと教えていただきありがとうございました。  特に、自分も委員になってからずっと一貫して周産期医療とか救急医療というのは市民 感覚的に非常に価値が高いと思われるのに、医療関係者に聞くと不採算になっているとい うことで、ここはやっぱり何とかしたいと思っているところの方々に集まっていただいて、 また、これまでは、皆さんの声は要望書みたいな形で厚労省に出していただいていたのを、 間接的に僕らが聞いていたようなことはあったのでしょうけれども、今回は、直接聞く機 会を与えていただけたというやり方についても非常にありがたかったかなと思っています。  僕としては、基本的に今日いただいたお話は全部もちろん市民感覚的に共感できる話ば かりですし、これまでもその方向で前回、前々回の改定の際に、この場の議論の雰囲気も 全体としてそういう雰囲気だったんですが、にもかかわらずやはりまだ全く解決していな いということは、ダイナミックさに欠けた、それというのもやはり外枠の総額というもの の限界がありますからできなかった。今回こそは、本当に救急は収益が低いというような 常識が覆るぐらいのことができればいいなという立場で少し質問させていただきたいと思 います。一つは、そうやっていろいろその方向に進めていくことが大事だと思うんですが、 いろんなことをするとテクニカルな面で思わぬ副作用が出てしまったりすることはないか というところから、やはり患者の立場としては慎重にしていければいいなと思うんですけ れども、例えば帝王切開とかをたくさんするようなハイリスクを扱う医療機関に手厚くす ることによって、その人たちが、しんどいけれどもそのお金で我慢するというよりは、手 厚くすることによってそこに人が集まり、いい医療ができるというふうになっていってほ しいと思うんですけれども、例えば帝王切開をする件数に合わせてお金を支払うという形 では、必要以上に帝王切開がふえてしまうというようなことが起こらないか危惧されたり もするわけで、何かそのあたりの心配がないようにするために、結果として、もう少しテ クニカル的にうまい方法で、全体的に帝王切開の件数だけの指標じゃなしに、結果として そういうハイリスクを扱う医療機関が手厚くなるというようなテクニカルな方法はないも のかなということと、新生児の小児科のほうでは、救急でDPCでは赤字になるので最初 の3日間ぐらいは出来高にできないかということに関しても、そのあたりのDPCの額を ふやすとか、DPCの仕組みを変えるというようなテクニカルなやり方を用いて、出来高 でやればやるほど収益が増えるというよりは、結果としてその現場にいてる人たちが生き 生きと仕事ができて収益も上がるという、価値が高いんだからそれに応じて収益を上げる という形を、何か別の方法で副作用の心配の少ない形でやれる方法というのはないのかな という感じがするんですけれども、もしそのあたり何か御教示いただければと思うのです が。 ○遠藤小委員長  海野先生、よろしいでしょうか。 ○海野氏  先生、今御指摘の部分というのは、産婦人科学会の優先要望の勤務環境確保加算に係る 部分だと思うんですが、これは非常に、まず基本は全部の診療科で、全体にとにかくきち んと働いている先生たちの働きを病院として評価してほしいと。それを、今全然ただ働き していますよということですし、それが違反であるということで労働基準監督署の指導が 入っている病院はいっぱいありますし、裁判になっているところもあるわけですね。です から、それはもう厚生労働省も認識されていることなので、ですから、でもそこを改善す るのに医療提供を確保しながらそれを改善しようとすれば、今もう違法状態ですから、そ の状況を何とかみんなで改善していくという方向での一つの提案としてこれを出させてい ただいたということです。  それで、ただ、そうすると、もうめちゃくちゃ金額が大きくなるので、こんなの財源な いよと言われそうな気もこの時点では、政権交代前ですからしておりましたので、もし、 産科だけで議論するとすれば、その場合には、産科の場合は保険診療の部分が少なめにな って、帝王切開のところしかほとんどないというようなことがあって、それでこういうこ とを一応書かせていただいたということで、本心は、とにかく全体のことでまず中医協で 御議論いただければ本当にありがたいということでございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  勝村委員、よろしいですか。 ○勝村委員  では、小児科のほうも。 ○遠藤小委員長  それでは、小児科のほう、よろしくお願いします。 ○楠田氏  多分診療報酬全体の問題にかなりかかわってくると思うんですけれども、診療報酬とい うもの自身が、例えば小児・新生児というのは通常使う薬剤は少ない。だけれども手がか かるという、そういう状況なんですね。そういうことに対しては、なかなか診療報酬上で はそれを前面に出すことが少ないので、それでNICUに関しては加算だとかそういうこ とでお願いしておりますけれども、今その加算をつけた、あるいはいろんなものをつけた としても、やはりその結果が最終的にDPCの点数に反映されるということで、今の診療 報酬の点数ごとにDPCの点数をつくりますと、使う薬品は少ないけれども手のかかると いう子どもの、あるいは新生児に対してどうしてもそれなりの評価ができないということ で、我々とすればどちらかといえばやはり使う医薬品というよりは手のかかる程度、要す るに小さくなればなるほど手がかかりますので、そういうものに変更していただいて、そ の結果が診療報酬あるいはDPCに反映されるというのが一番評価方法としてはいいとい うふうに思いますので、そういう考え方を少し、我々の立場からすれば、全体的にそうい う出来高の考え方が手のかかりぐあいだというふうに見ていただければというふうに考え ております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  勝村委員、よろしいですか。  じゃ、お願いします。 ○田村氏  勝村先生、非常にいいことをおっしゃっていただきまして、ありがとうございます。  我々も、インセンティブのことも申し上げましたけれども、それは特別な手当をつけて ほしいと言うことではなくて、新生児の労働を労働基準法に従ってきちんと正当に評価し てほしいということです。でも一番の現場の問題はやはり過重労働ですから、先生のおっ しゃるとおりインセンティブつくることによって医師や看護師が集まることが保証される ことが大事ですね。  今の保険改訂でお願いしたいのは、保険で幾ら点数だけが上がってもそれだけでは、病 院にはお金が入るかもしれませんけれども、今病院でもNICU経営が非常に厳しいです から、それが必ずしも現場にフィードバックされるとは限りません。例えば総合周産期セ ンターの整備指針は10月に改訂されて、その中では総合周産期センターにNICUが1 6床以上あるところ、これは非常に厳しい患者さんをいっぱい扱っているところになりま すけれども、そこに対してはNICUの当直医は2人が望ましいというふうに、新しく明 記されました。  ところが、1人当直のところを2人当直にしたからといって、保険点数が上がらなけれ ば経営者としてはそう簡単にはなかなか受け入れてくれないわけです。  我々から見ますと、集約化されたNICUの中で非常に重症な患者さんを当直医が1人 で一晩じゅう走り回って診ているよりも、2人の当直医がお互い協力し合ったり、ベテラ ンの医師が若手を指導できるので、労働が半分になるだけではなくて、若手でも安心して 仕事ができるということでより人が集まりやすくなり、2人当直体制は貴重な人材確保に も繋がることは、実証されているわけです。  ですから、新生児担当医を確保するという観点からも、厚生労働省の指導で「2人当直 は望ましい」とする以上は、きちんと保険制度でも2人当直にした場合には、人員をふや しただけのことがペイされるような保険の増点にしていただければと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  どうぞ。 ○桑原氏  開業小児科医が多い日本小児科医会の立場でお話をさせていただきます。  私の話は資料の中に入っておりますので、お読みいただきたいと思いますけれども、今 二次医療、三次医療の厳しいところを支援するために、初期の医療を私たちが受け持って いると思っておりますけれども、ただ、日本小児科医会のメンバーは6,500人でござ いますが、その中のいわゆる開業医会員というのは3,500人ぐらいしかいません。し かも大都市に偏在しておりまして、中山間、過疎の地域にはほとんど在住しておりません。 なぜかといいますと、それは小児科単独の医療では開業が成り立たないからでございます。 子どもが少ない。子弟の教育もできない。家族がぶつぶつ言う。  ですから、そこのところをしっかり支援していただかないと、小児科医の不足というの はいつまでたっても解決しない。数だけふやせばいいというわけではございません。偏在 のところをしっかり直していただきたいというのがお願いでございます。  もう一つは、二次医療を充実させあるいは支援するためにいろんな施策をやっていただ きました。例えば、小児科の日曜日の休日の、あるいは日直当番医制度。地域においては、 この地域の小児科の開業医をあけて日曜日はやるんだよということで、それぞれ補助金を いただいてやっております。さらに、今年のようなインフルエンザの暴発のときにはさら にもう1軒あけてくださいねといって小児科の開業医をあけてもらっています。そういう ふうなことをやっておりますと、非常にくたびれてしまう。  つまり、小児科医は何とか職業としての責任もありますし、そういう義務を負って生ま れてきておりますので、やりますけれども、コメディカルの方々は、家庭もあるしなかな かそれをお手伝いができなくなってしまって、その医療機関自体が成り立たなくなってし まうわけです。したがって、二次病院の小児科勤務医の先生方の過重労働の問題も大事で すけれども、開業小児科医の労働というのもかなりハードであるということも御認識いた だきたいと思っております。  そのために、例えば非常に努力をして二次医療に協力する、あるいは病院の小児科に応 援をしてあげるという開業小児科医の先生方には、何か付加点数を診療の中でつけてあげ て、そんな仕組みがあると、かなり開業小児科医も頑張って働こうという気持ち、インセ ンティブが働くのではないかというふうなことを考えております。  どうかよろしくお願いいたします。 ○遠藤小委員長  桑原先生、ありがとうございました。  それでは、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  ありがとうございます。  さらにあともう2つ、本当はもっといろいろと教えていただきたいのですけれども2つ だけ絞って質問させていただきたいのですが、1つは、1歳から4歳の子どもの死亡率が 高いという記事、僕も読んで非常に関心を持って、この報道のもとになった論文というの も取り寄せて読ませてもらったんですけれども、統計的な比較であってあくまでも疫学調 査的にはできていないという感じを論文を読んでも分かったんですが、1歳から4歳の子 どもが肺炎という病名で死んでいる子が海外に比べてとても多いということがも分かりま した。小児・新生児のほうを見せてもらっても、低体重の子が非常にふえて未熟児の医療 とか非常に大変な中されているんだなということが分かりましたけれども、昨年、この中 医協でも脳性麻痺の子どものための産科医療補償制度という保険というかそういうのもこ こでも話が出されたんですけれども、やはり重度の脳性麻痺の子どもが肺炎で1歳から4 歳ぐらいで亡くなるということのケースと、もちろん救急医療がその3歳ぐらいの子で行 き先がなくなってというような事件も聞くわけですが、その死亡率以外に脳性麻痺の子ど もというのがどんな状況なのかというのが、もし海外と比べてとか過去と比べてみたいな ものが何かあって、それがどの程度今の小児科・新生児科の人たちにとってどういう状況 になっているのか、病床にとってどうなのかということが、もし分かれば教えていただき たいのが1つと、もう一つは、新生児科というのが小児科とは違って非常に大事な科なん だというような話があったと思うんですけれども、その新生児科が標榜できるようにとい うような話があったんですけれども、これについては昨年でしたか、病理についてここの 中医協の場でも議論があったと思うんですけれども、もしかしたらそういうことをずっと 要望されてきたけれども、なぜか実現しないということなのか、この間の新生児科という のがこれからは非常に低体重児の子もふえてきて非常に大事だということであるならば、 それを標榜できるようにすることの意味とか経緯とかについてもう少し詳しく教えていた だければと思うのですが。 ○遠藤小委員長  そうしますと、周産期の新生児及び救急小児と両方の先生ということになりますか。そ れでは、手短によろしくお願いいたします。  それでは、楠田先生、よろしくお願いします。 ○楠田氏  それでは、まず標榜科のほうを先にお答えさせていただきますけれども、標榜科に関し ましては、我々の基本になる学会のほうから要望をさせていただいております。そのよう に、我々としては実現するように、ほかの関係学会も含めて協力をいただいておりますの で、再度その標榜科に関しましては改めて正式な要望を出したいというふうに考えており ます。ですから、我々としては近いうちに実現させていただければというふうに考えてお ります。  それから、1〜4歳の死亡のことなんですけれども、実はこれは私の属しておりました 研究班ともかかわりますので少しコメントさせていただきますけれども、1〜4歳の子供 の死亡の中には、やはりおっしゃられましたように周産期の病態、例えば低出生体重児だ とか、あるいは新生児仮死だとか、そういう周産期の病態をそのまま持ったままで1〜4 歳で亡くなる方もかなり多くはございます。  そういう子どもたちが、おうちであるいはどこかの医療機関で十分治療を受ける機会な く亡くなられているかどうかというのを、本当は一症例ずつすべて詳細に決めないとだめ なんですけれども、現在そういう作業を実は我々はやっておりまして、まだちょっと結論 をお話しすることはできませんけれども、先ほど言われました肺炎の中に基礎疾患がある 子どもというのはかなりいらっしゃいまして、日本では肺炎の疾患で亡くなる方というの は諸外国に比べて突出しておりますので、やはりこれは医療機関での緊急の受け入れ態勢 の問題、あるいは一度入院してからの小児の医療の専門家の不足というのがかなり影響し ているのではないかというふうに考えておりますので、御指摘のとおりそこに改善の余地 があるというふうに考えております。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  山田先生、何かございますか。よろしくお願いします。 ○山田氏  楠田先生のことを補足させていただきますが、それは小児科学会の救急委員会でいろい ろまた検討させていただいたんですが、それをキャリーオーバーしているのも割り引いて もほんの0.何%死亡率が上がるだけで、ほとんど大きな要因ではないということが中間 報告で出ております。  あとはまた検討ということになります。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、手を挙げられた順番で鈴木先生からどうぞ。 ○鈴木委員  幼児の死亡率が世界的にとても高いというのは、新生児死亡率がこれだけ低いのにどう してかと思うんですけれども、全体に対する死亡率ですから事故率そのものが、我が国の ように、日本は交通事故なんかも多いですから、高いというようなことは言えないんでし ょうか。治療の問題以前に。 ○遠藤小委員長  どなたが。山田先生。 ○山田氏  先ほど、この中にも示しておりますが、事故だけが際立って高いというわけじゃなしに、 やはり自宅で亡くなっておられる方もかなりありますので、全体的には病院以前の体制、 病院選定、及び病院で受け取ったときの態勢が一番大きな要因じゃないかというふうに考 えております。 ○鈴木委員  ですから、病院以前の体制というとちょっと医療以前というかその問題も大きいのかと ちょっと思いまして、医療だけを充実させても解決しないのかなという気がちょっとした んです。 ○山田氏  そうですね。先ほどお話ししましたように、各県ではメディカル・コントロールという 協議会があるんですが、そこに小児科医が入っていっていないんですね。  それともう一つは、小児病院等の大きな施設も救命救急センターにはないので、そこへ は搬送されないわけなんですね。そういったものがひとつあるということです。 ○遠藤小委員長  桑原先生、関連してですね。お願いします。 ○桑原氏  今の1〜4歳の事故ですけれども、子どもの特性もあると思いますけれども、なぜ日本 がということになりますと、やはり日本は子育てをする環境になっていない。つまり、例 えば子ども部屋にコンセントが手の届くところにあったり、あるいは角のとがったイスが、 あるいは机が置いてあったりします。そういうふうな社会風潮の或いは、いろんな方面か らの産業の整備が必要ではないかと思うのです。それを整備しながら、一方では事故を起 こした子どもは、なんとか、医療で、ということが必要だと思います。 ○鈴木委員  そうですね。私も両方要因になるのかなと思いました。ありがとうございました。 ○遠藤小委員長  わかりました。関連してということで、それでは、楠田先生、お願いします。 ○楠田氏  実は我々1〜4歳死亡の小票を見ておりますので、それでお話しさせていただきますけ れども、おっしゃるとおりやはり医療以前の問題で、小児の事故ですね。これは例えば日 本だけお風呂で溺水を起こすとか、あるいは交通事故で親と一緒に歩いていたのに歩道が ないために飛び出して亡くなったとか、そういういわゆる医療以前の問題がかなりありま すので、それはやはり日本で社会を充実させることでプリベンタブルだと思うんですね。  一方、やはり医療のほうにもかなり問題がありまして、既に議論になっておりますよう に、小さな病院で重症の子どもを診るというのはそれなりのリスクがありますので、そう いう子どもたちが重症度に合わせて適切に早くそういう病院に運ばれるというのが重要だ というふうに思います。  それから、新生児のことに関しましては、新生児の疾患をもっていた子どもが1〜4歳 で亡くなることが多いんですけれども、議論が先ほども出ていましたように、それは本当 にごく一部ですので、それをもって1〜4歳が日本で高いという説明には決してつながら ないというふうに考えます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  先ほどの桑原先生の意見にもう大賛成です。大都市の小児科がたくさんおる病院はまだ しも、田舎の病院では数名でやっております。そうすると、どうしても地域の開業の先生 方のお力をかりないと、年末年始とかゴールデンウイークとかはとても手が回りません。 当院も昨年の年末年始、大晦日とお正月は近くの先生に、育児休暇をとった女性医師と急 に燃え尽きた小児科部長がおりまして、穴があいてしまいましたので輪番制がいけなくな りました。そのときにお世話になって、それを診療報酬の中からどないかしようと思うん ですが、いろんな縛りがありまして、5人以上の医師が入っていないといけないとか、算 定要件と施設基準でかなりみんなだめになるんですね。だから、ぜひ現実的にやっている 人たちに何かお返しができるようなことをしてほしいと、診療報酬改定では思っています。  それから、もう一つ言わせていただきますと、もう小児は初めから物も言いませんし、 大人と違って技術たくさん要るわけです。それなのに、薬とかそういうものは昔のものの 時代の点数で、医師は医療を成り立たせなくてはいけないとなるから、田舎では小児科専 業の開業医はいないということになりますので、やはり物より技、技よりシステムと、こ ういうふうな診療報酬体系に変えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思 います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  桑原先生、手短にお願いいたします。 ○桑原氏  ありがとうございます。もう一つ聞かせてください。  私は#8000小児救急電話相談をやっておりますが、この中でいろんな内容の保護者 からのお話が出てまいりますが、本当に自分のお子さんに関する健康については知らない、 治療の仕方も対応の仕方も分からない。しかし、これはちゃんと教育の中で教えてあげな ければいけないということは、本当に学校教育から始めなきゃいけないことであろうと思 いますが、今の二次病院に駆けつける育児不安のお子さんたちが全体の救急の患者さんの 80%から90%というデータが出ておりまして、我々#8000にかかる電話相談もほ とんど、今晩はいいよ、あした診察受けたらどうですかというのが85%ぐらいございま す。  したがって、ここは、やはりこれは、お金はつかないかもしれないのですけれども、何 とか国全体で盛り上げていただく必要があるんではないかと思います。  ありがとうございました。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。 ○嘉山委員  会長、ちょっとさっきから手を挙げているんで。 ○遠藤小委員長  順番に行きましたので。嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  私、さっきから先生に封じられているんじゃないかと。当てられていないんですけれど も。最初からずっと手を挙げているんです、先生。角度が悪いから、ちょっと、今度、角 度あの辺にしてもらいたいですけれども。  各先生方にシステミックに、サイエンティフィックにちょっと質問したいと思います。  まず、海野先生、最後にさせていただきますが、NICUが一番問題はさっきから議論 の律速はたった一つです。NICUが埋まっていると。なぜ埋まっているのか、それを教 えていただきたい。つまり、NICUに重症で入って、その後が多分詰まっているんじゃ ないかと思うんですね。その辺のことを皆さん社会の方は知らないので、どうしてNIC Uは詰まっているんだろうと、医者が詰めておくのかと、点数と関係あるのかと、これも 医療費に関係するので、その辺をちょっとまず一つ。  2番目は、島崎先生に、今度救急なんですけれども、救急は救急医が非常に大変だとい うのは私、大学の救急部長ですから、実際に今でも救急をやっていますからよく分かるん ですが、救急医が今足りないというときに、ほかの科も応援していると思うんですね。そ ういう科も疲弊してきているのかどうかを聞きたい。  あと、3番目に、桑原先生はもう非常にコモンセンスのある格調高いお話を伺ったので、 先生には質問はございません。先生のおっしゃるとおりが現実だと思います。  山田先生にお聞きしたいんですが、日本の1歳から4歳までの死亡率が高いのは地区・ 地域によってまず差があるのかどうか。  それからあと、先生のようなお考えでやると、日本の小児科医療は崩壊します。なぜか というと、それでなくても小児科医が少ないところに、さらにまたフラグメンテーション の部をつくるというのは、東京の小児科はやっていけるかもしれませんが、ほかでそれが 理念として通じるのかどうか、非常に疑問だと思います。今、日本の小児科医療も、特に 最近取り上げられたので、この1歳から4歳が、非常に死亡率が高いというようなことが 一点取り上げられていますが、そのほかの医療は世界1位の医療レベルを保っているわけ ですよ。それを壊すような、ある一点でぼんとやると壊れちゃうことがありますので、そ のことをちょっとお聞きしたいと思います。  最後、海野先生なんですけれども、海野先生が一番ポイントをおっしゃったと思うんで すが、委員の先生方もあるいはマスメディアの方々も、今日お話を聞いていて分かったと 思うんですけれども、思考の転換をここでしなきゃいけないと。つまり、今まで日本の医 療費をずっと2,200億円ずつ削ってきて、そして、その中で遠藤会長も非常に御苦労 されて、何とかいい医療をというような医療費の配分をしてきましたが、海野先生のお話 で皆さんお分かりになったと思います。  要するに、不採算部門は、例えば大学ですと運営費交付金、私学助成金、それからあと、 厚生労働省補助金、そういうので医療費以外で補ってきたんですよ。それで、やっと日本 の世界トップの医療を保ってきたんですね。それで、あと、地域の自治体病院では、これ は税金です。県の税金あるいは市の税金、そういうものをつぎ込んでやっとやってきた。 ここで政権がかわったので、北村委員には申しわけないんですけれども決めるのは政権で すから、国民ですから、経団連が医療のことを決めるわけではありませんので、決定権は ありませんから、国民が決めるんですから、ここでやはり思考の転換をすべきだというふ うに海野先生はお考えでしょうか。  最後に、委員の先生方、今日の参考人の先生方の皆さんに聞きたいんですけれども、や はり今危機的な状況にある部門に一番のカンフル剤は、当面ですよ、まだ医師がふえない んですから、医師がふえるのには時間がかかりますから、やはり医師の本当の天職感を与 えるためにドクターズフィーという、ドクターズフィーという言葉はいいんですけれども、 直接行くような、先ほど田村先生もおっしゃっていましたが、それがやはり一番、一番で はなくても効果は間違いなくあるというふうにお考えかどうか、その5点をお聞きしたい と思います。 ○遠藤小委員長  時間の制約もありますので、ただいま5つの御質問、嘉山委員から出ましたので、答え られる範囲で結構ですが、お答えいただければと思いますけれども。 ○楠田氏  じゃ最初に、どうしてNICUが満床か。それは、多分、入り口と中身と出口の問題が あると思いますけれども、それはいろいろ検討した結果は圧倒的に入り口、要するにハイ リスクの新生児の絶対数がふえているというのが最大の要因で、中身とすればやっぱり新 生児科医がいないために、幾ら箱物をつくっても動かない病床もある。あるいはなかなか その後退院できない子どももありますけれども、全体に占める割合が非常に少なくて、ほ とんどの原因はやはりハイリスク新生児の絶対数がふえたというふうに考えていただいた らと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  じゃ、お願いします。 ○田村氏  ちょっと追加ですけれども、入院してくる患者さんが増えただけではなくて、以前では 助からなかった様なより未熟で、より重度な子どもが助けられるようになったわけです。 より未熟で小さい子どもほどNICUでの入院期間が長くなります。例えば500g未満、 24週未満ぐらいの赤ちゃんでも今では半分以上が助けられる時代になっていますけれど も、そういった子どもはNICUから退院するまで半年以上かかります。昔ですと、そう いう赤ちゃんは数日で死んでいました。  ですから、入り口の数がふえただけじゃなくて、重症な子どもたちが助かるようになっ たかわりに入院期間が非常に長くなったということがNICUの満床状況の一因です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  島崎先生、お願いします。 ○島崎氏  今の嘉山先生のお話で救急部門の先生と、それから他科の先生の応援も疲弊しているの かどうかということなんですけれども、救命センターを救急の専門医だけで動かしている ところと、それから病院全体で、オールホスピタルで応援しているところと両方あるんで すけれども、救急の専門医だけで応援していますとどうしても、先ほど言いましたように 需要の半分ぐらいしか数がありませんので、結局どういうことが起こるかというと、地方 の救命センターは救急の専門医が1名あるいは2名で運営する、要件が救命センター運営 の専門医は2名必要ということで、結局2名と。それが、全国の200幾つの救命センタ ーの3分の1ぐらいが1人か2人の専門医しかおりません。  そうしますと、どういうことが起こるかというと、病院全体としてそこを応援せざるを 得ない。各科も応援体制に入ってくるんですけれども、自分の診療科の患者を診ながら、 あるいは自分の診療科の当直をしながら救命センターも応援するという、非常にいびつな 格好になります。どうしてもバーンドアウトして、各診療から手を引かざるを得ない。  そうすると、管理職、あるいは院長は地域の医療に貢献するためにということで必死に 各診療科を説得するんですが、その説得が成功する救命センターは何とかやっていってい る。だけれども、説得できないと、あるいは非常に忙しいと、結局地域医療に貢献するた めに救命センターを動かすと、病院全体の医師がやめていってしまうというような非常に 変な形になっているのが現状です。  そういう意味では、そのトップの救急に対する思い入れが、特に地域、そこの救命セン ターの運営に非常に大きく影響しているというように思いますが、その旗を振って地域の 救命センターを地域のために貢献してくれといっても、その背景にあるものが何もないま まで走れ走れじゃ、とても走れないんで、その辺が非常に大きな問題かなというような気 がしています。 ○嘉山委員  ありがとうございます。  会長、これはやっぱり医療費に関係するので、例えば救急センターというので何人以上 いなきゃいけないとかそういうふうな制限をしてしまうと、地域ではやはり崩壊してしま うんですね。それがやはり医療費を考える場合に非常に大事な今お答えを先生にしていた だけたと思います。ありがとうございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  次は、山田先生、よろしくお願いします。 ○山田氏  かなり厳しい御意見をいただいたんですけれども、1つ地域格差なんですが、当然少し 地域格差はあります。今ちょっとその詳しいデータは持っておりませんが、ベースとして は、大きな変化はありません。  それと、三次救急がどうなのか。このままだと小児医療が崩壊してしまうというような 御意見だったと思うんですが、これは短期的なものと中長期とやはり見なきゃいけないと。 私が申し上げたのは中長期のことなんですね。  日本というのは、今までこういうふうにして小児医療、その中で救急医療がなされてき たんですけれども、もうそれは本当に手いっぱいになっているんですね。だけど、全体と して救急医療の中で小児の本当の、いわゆる医学的救急も対応しなきゃいけないんじゃな いかと。そういうことをベースにしてお話しさせていただいたので、まさに今インフルエ ンザの重症の合併症が起きてきたときに、個々の施設は個々で対応していたんじゃいけな いと。やはり小児といってもゼロ歳から15歳までいますので、大きい子どもは院内での 連携が当然必要になってくる。救急と一緒にやらなきゃいけないと。そういうふうな院内 の連携。  そして、もう一つ、そういうことによっていわゆる集中治療の充実というのはこれから 絶対していかなきゃいけない。そのためには、一つのいわゆるくくりが必要なので、それ は小児の救急の専門をこれから推進していかなきゃいけないんじゃないかと。  もう一つは、教育的な観点から見ましても、いわゆる小児科だけでの内科的疾患を対応 するだけじゃなしに、ダイナミックなものを日本にも導入していくべきで、今までずっと 小児科という垣根の中でのことだったんですが、それを一回取り払ってもいいんではない かと。そういう視点でお話をさせていただきました。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。 ○嘉山委員  長期であればいいんですけれども、今短期でそれをやると完全に崩壊しますので、フラ グメンテーションは急にはやらないほうがいいと思います。 ○山田氏  ありがとうございます。 ○遠藤小委員長  どうぞ。 ○田村氏  嘉山委員の先ほどの御質問ですけれども、PICUがある県とそれがない県で死亡率の 差があるかということですけれども、これは実は私、日本…… ○嘉山委員  そうじゃなくて、県によって死亡率が違うか。あるなしじゃなくて、地区によって違う のかどうかと、それだけです。 ○田村氏  それは非常に大事なポイントです。私は2003年に日本集中治療学会の新生児・小児 集中治療委員会の委員長として全国調査して、小児ICUが独立単位である県とそうじゃ ない県で小児の死亡率を比較調査した結果では、1歳から4歳の死亡率は小児ICUがあ る県のほうが有意に低いという結果が出ております。  ですから、小児ICUがあるということは非常に…… ○嘉山委員  ということは、それは小児科の一般の先生のトリアージの能力がないということですか。 ○田村氏  いや、そうじゃありません。小児ICUがあるということが重症の小児の救命向上に貢 献するということです。小児ICUがあることによって、1歳から4歳の子どもの死亡率 は有意に下げられるという、そういうデータです。 ○嘉山委員  そういう専門の病院で助かる疾患名は何ですか。 ○田村氏  やっぱり事故を含んだ呼吸循環不全になると思います。 ○嘉山委員  事故。 ○田村氏  事故です。小児の不慮の事故です。先ほど議論になっていました…… ○嘉山委員  すると、小児科の問題ではなくて外傷ですね、そうすると。事故というのは。 ○田村氏  いや、外傷とは限りません。溺水とか誤嚥などそういうものも含めています。日本では 交通事故だけでなく、お風呂の溺水などの家庭内事故で多くの子どもが毎年亡くなってい ます。我々の試算では、山田先生がおっしゃるように人口4万人に1カ所の小児ICUを つくって、それでアメリカ並みの小児ICUの機能が発揮されたとすれば、日本で毎年1 歳から4歳の子どもだけで500人の子どもが助かるだろうという試算も出ています。 ○嘉山委員  ということは、原因をなくすことがやっぱり一方では大事なことですね。ただ、病院の 体制だけじゃなくてね。 ○田村氏  そういうことも大事です。それには非常に時間がかかりますが、医療体制としては、小 児ICUをつくるだけで1歳から4歳までの日本の子どもの死亡率は有意に下げられると。 ○嘉山委員  でも、北海道で何カ所できますか、先生。北海道で運ぶといったら大変ですよ。 ○田村氏  いや、だから、それは…… ○嘉山委員  医療費に反映させるときに…… ○遠藤小委員長  嘉山委員、御主張はよくわかりますが、全体のスケジュールが決まっておりますので。  では、もう一つ質問が残っていましたね。海野先生にお答えいただく内容がありました ので。 ○海野氏  非常に大きな御質問を受けてしまったんですが、私の考えは、現場でずっとおります。 それで、産婦人科学会では繰り返して、とにかく現場で働いている人間の現に働いた内容 をきちんと評価していただきたいと。それを評価することによってこそ、初めてどれだけ 足りないのか、どこが充足してどこが足りていないのかということも客観的に分かるよう になりますよということを申し上げておりまして、前回の診療報酬改定のときにもハイリ スク分娩管理加算に関しまして非常な御配慮をいただいたということになると思うんです が、先ほどいろいろ要件がついて結局とれないんだという話がありましたが、そういうこ とが現に起きていることも確かですし、実際にこれを算定する、結局アクセルとブレーキ が両方かかってしまっているようなことが、前回の改定の実際の運用の中では起きたとい うことは事実でございます。  それで、診療報酬の議論の中で、これは医療機関に払う金額を決めるだけで、それが医 療機関でそれをどういうふうにするのかというのは、我々には権限がないんだというお話 は繰り返して厚労省の方からも伺っているんですが、医療が現に行われているのは診察室 であり、オペ室であり、そういう現場でございます。要するに院長室で行われているわけ ではありません。  昔、医療機関の規模が小さくて、実際に院長が医療を行うとか、そういうような関係の 中で行われている中ではそれで済んでいたと思います。全然問題なかったと思うんですが、 今のように巨大化された医療機関で、集約的な高度な医療をそれぞれの分野で行わなきゃ いけないような状況、それぞれの分野のことを院長が把握をとてもできないような状況の 中でそれをやろうという場合、やはり現場をとにかく、医師のインセンティブといいます か、その士気を高めることがどうしても必要になっているというふうに御理解いただきた いと私は思っております。  それで、政府も診療報酬をふやそうということでお考えのようですけれども、お願いは、 とにかく全体の方針を明確にしていただいて、それに沿って、それは中医協の場もそうだ と思いますし、保険医局も医政局もそれから労働基準監督局もみんな国全体で、それをこ の方向で行くんだということで、それで進んでいただきたいということですね。  そうじゃないと、やっぱり現場はこれで保険医療機関取り壊されたら終わりだとか思い ますから、それは動かないということが起こってしまうということで、その方針を明確に していただいた上で、それぞれやっていただければというのが私どもの願いでございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  あと、最後の嘉山委員の質問で、ドクターズフィー、すなわち直接保険者から診療報酬 が医師に行くような、そういう仕組みに対してどう思うかということ。これは、人数が8 名もいらっしゃいますので、各分野お一人ずつで結構ですのでお考えをお教えください。 ○池ノ上氏  池ノ上です。私は、やはりそういう直接ドクターズフィーはぜひ必要だと考えます。そ れで、勤務医、特に周産期センターの勤務医のインセンティブが高くなる。そうすると、 先ほど楠田先生の話にもありましたように、妊娠の9割は正常であると。我々宮崎県のデ ータは、8割がそうなんです。それは、センターに行かないで一次施設、開業医の先生の ところでやっていただいて十分なんですね。それを十分やっていただけるためには、周産 期センターが24時間すべてのハイリスクを受け入れるというシステムをつくる。そのた めには、やはり勤務医にインセンティブを与えるということは、非常に重要だというふう に思います。 ○遠藤小委員長  それでは、周産期新生児のほうで楠田先生、お願いします。 ○楠田氏  多少そういう話は私の発表の中でも行いましたけれども、やはりそういう働く者に対す る正当な評価というのは必要だと思いますので、ドクターズフィーと呼べばいいのか分か りませんけれども、そういうものが個人に行くというのは重要だと思います。  ただ、それで、例えば少ない新生児科医がふえるかというと、それはまた別の問題で、 それはやはりいろんな医学教育だとか、新生児医療のいろんな重要性だとか、そういうも のを含めてふやすべきものであって、ドクターズフィーが必要ではありますけれども、そ れはやはり立ち去りを防ぐものであって、根本的にドクターズフィーが解決する手段では ないというふうに考えております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、救急の成人のほうで島崎先生、お願いします。 ○島崎氏  ぜひ、必要だと思います。アメリカのDPCは、DPCとドクターズフィーというのを 分けていますよね。日本は恐らく、概念としてはDPCの中にそれも入っているような格 好だと思うんですけれども、現場がやはり正当に評価されるような形で、何らかの直接の ドクターズフィー、あるいはその診療科へのフィー、病院全体の運営としての収入よりも もうちょっと下のほうに、各診療科、あるいはもちろん働いた各ドクターが一番いいんで すけれども、何らかの格好でそれが評価されるようなシステムにしないと、病院の中での、 同じように当直して一晩寝ている診療科と一晩起きている診療科が同じ報酬だというのは どう考えてもおかしい。  ですから、その診療の実態、例えば夜ですと治療に要した時間にかかわるものに応じた フィーとか、何らかの格好で現場が評価されるようなシステムがぜひ必要だというように 思います。 ○遠藤小委員長  では、救急小児のほうでどなたか。じゃ山田先生、お願いします。 ○山田氏  実際に公的補助として、東京なんかでは、ある区からは病院に小児救急をやっていると ころにはもう補助が来ております。そういった人のモチベーションというのはやはりかな り、ないところに比べると高いと。  ただ、先ほどから楠田先生がおっしゃっているように、それが根本的なものではないけ れども、今はやはりそれが絶対必要であると。さらに、プラスアルファとしていかに評価 してやるかと。この評価というのは医療においては非常に大事なので、それをまた検討し ていく必要があるかと思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、北村委員、お待たせいたしました。どうぞ。 ○北村(光)委員  小児医療について、ちょっと情緒的な話になってしまうのかもしれませんけれども、N ICUがなぜ不足する、あるいは在宅医療が困難な状況というような話を伺って、例えば 現在医療体制と後方対応、例えば家庭も含めた後方対応というのは、例えばリハビリだと か介護だとかということもございますけれども、その中でも特にNICUから出ようとす る小児の重篤な方の家庭の対応というのが大変難しいという話を伺いました。お母さん、 親御さんを教育しようにも、なかなか親御さんそのものもそれになかなか対応しようと思 っても、気持ちはあるんだけれども対応できない。NICUで見させていただいたのは3 00gの赤ちゃんが、それも心臓の手術をして、そして1年、2年と。それで、お母さん は下手すると誕生日しか会えない。  というのは、これは一番重篤な例でしょうけれども、そういうのを伺っていて、現場で の先生方あるいは医療に携わる方々の御苦労、それからそれを何とか克服するいろいろな 対応をこれから考える上でも、きっとその医療体制と家庭の在り方とか、後方対応につい て日本人がとか家庭がどう対応したらいいのかとか、桑原先生がおっしゃっておられまし たけれども、何かそういうところで、ここに書いてある3つか4つの、地域でのそういう 施設が不足とか、家族への支援の不足とか書いてございますが、何かこういうことで実現 しそうな具体例というのがおありでしょうか。 ○遠藤小委員長  これはどなたに……田村先生。 ○田村氏  ありがとうございます。  今、NICUの中に長期入院している子どもたちで退院できないというお子さんの中に は、重症仮死等で重度のハンディキャップを持っている方がおられます。  ただ、勝村先生がおっしゃっていましたけれども、そういう子どもが、未熟児はふえて いますけれども、小児医療全体としては脳性麻痺の患者数は新生児医療の発達に伴ってふ えてはいません。それは、新生児医療の発達に伴って成熟した赤ちゃんの分娩体制等がし っかりしてきていますので。ただ、現実問題として重篤な仮死などで障害を持った赤ちゃ んでおうちに帰れない方がおられて、今は全国の重心児の療育施設がほとんど満床ですか ら、特に人工呼吸やいろいろ手がかかるお子さんは、もう4年、5年待ってもなかなか入 所出来ません。  結局そうしますと、NICUの中に長期入院の患者さんは在宅にお返しするしかないと 考えます。御家族も在宅を希望される方が多いんです。だけども、実際は在宅に移行でき る方は全体の4分の1か5分の1しかありません。我々から見て医学的に帰れるにもかか わらず在宅に移りたくないと言う場合にお母さんがあげる一番の大きな理由は、レスパイ トが保障されないことです。おうちで見るのはいいけれども、お母さんが体調が悪いとき やおうちでだれかが倒れたときに子どもを預ける、そういうレスパイト入院が保証されな い。その次の問題として、おうちに帰った後に、患児が急変したときに対応する体制が保 証されていないことがあげられます。  成人では介護保険や訪問看護ステーションや在宅支援診療所が全国に整備されています。 ところが、子ども用の訪問看護ステーションや小さい子どものための在宅支援診療所とい うのは全国でも非常に少ない状況です。そうしますと、おうちに帰った途端に多くの家庭 でお母さんにすべての負担がかかってしまうわけです。普通であれば病院の中で看護師さ んやリハビリ士がやっている気道吸引とか、呼吸リハビリテーションとか、胃カテーテル を通じて栄養剤や薬を注入するとかの業務を24時間365日休むことなく全部背負って いるお母さんを支えるためにも、レスパイトという言葉は保険には似合わないと思います から、在宅医療支援のための管理料という形で入院するということを保証してあげてほし いとおもいます。更には、小児科施設で在宅で人工呼吸器が装着されたお子さんが急変し た時や定期検査などで入院するときには、ちゃんとその部屋に看護師さんを24時間配置 できるぐらいの保険点数には上げていただかないとただでさえ大変な小児科病棟では受け 入れをしてもらえません。  その2点をぜひここでお願いしたいと思っております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  どうぞ。桑原先生、どうぞ。 ○桑原氏  NICUで障害を不幸にも持ってしまったお子さんたちは、家族も本人も自宅で普通の 生活で暮らしたいと思っているわけです。ところが、今のお話のように地域に帰しても障 害児を看護する看護師さんが訪問看護ステーションにはいない。そして、支援するサポー ターとしてのヘルパーさんも、こんな小さな子どもはと言って断ってしまう。そうすると、 お母さん方は一人で見なきゃいけない。さらに、開業小児科医も余りこういうものを扱っ たことがありませんのでちょっと躊躇するというようなことがありまして、平成13年か ら16年、厚生科研で鴨下班というのが立ち上がりまして、こういうNICUの焦げつき といったらちょっと悪い言葉ですが、そういう方々を地域に帰してノーマライゼーション の気持ちで、社会で育てられないかということをやって、今、例えば広島県もそういう試 みをやっておりますけれども。  特別支援学校という養護学校が改名しましたけれども、そこではかなり医療的ケアがで きるようになりました。したがって、かなり重症化したお子さんも吸引なり酸素吸入なり で通常の教育が受けられるようになってきました。ところが、それから先なんです。高校 を卒業してからの社会の受け入れが全く整備されていない。ですから、自立できない。自 分で食っていけない。そこのところもやはりきちっと直していただかないといけないと思 っています。  ありがとうございました。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  1号側の方で、じゃ貝谷さん、どうぞ。 ○小林(剛)委員(代 貝谷氏)  貝谷でございます。  今日は周産期、救急、各先生方、本当にどうもありがとうございました。  海野先生の資料で、前回の改定でブレーキとアクセルを一緒に踏むような改正というよ うなコメントがございました。例としては、ハイリスク分娩管理加算その他が入っており ますけれども、全体的にこういう評価なのか、実際に点数がつけられたけれども、現場で はなかなか、進まないというものにどういうものがあるのかについて少しお話をいただき たい。あとは、救急で同じように前回改定幾つかの項目ございました。勤務医負担の軽減 ということで、前回改定でも医療クラークの話もございました。いろんな意味で、この改 定はよかった、あるいはこの改定はもう少しこういうところがネックだというコメントが あればお伺いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  それでは、海野先生からお願いいたします。 ○海野氏  私の資料の後ろのほうの現場への反映状況という細かい表がございますけれども、これ が一応の私どもの把握なんですが、ハイリスク分娩管理加算をはじめとする周産期に対す る非常に手厚いあれに関して、実際病院は大変ありがたい。それで、その分収入は必ずふ えておりますし、そこで何とかしようというふうにやれている部分ももちろんございます。 それで、確かにほかに補助金のあれもあるんですけれども、その分娩手当等の形でその交 渉を何とかしようというふうな対応のできている病院もあります。  ですけど、やはり流れ的にはここでどうしても滞ってしまうなという部分が、せっかく お金が流れ始めたのにという、それも中医協の御配慮もあって流れ始めたのにというのが、 そこが非常に私ども残念で、そこをまた何とかいい考えがないかなということなんですけ れども、その要件の話で申しますと、結局、実際にちゃんと現場が算定できて現場が改善 できて、それで物事がちゃんと、患者の受け入れもよくなっていくということをやっぱり 目標に、その要件も非常によく考えていただく必要があるということで、この前のときの 要件は、実際にはこれはこのままでは運用されていないんですが、もう少し御検討いただ く必要はあったかなというのが私どもの印象でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  救急についてはどなたがお話しされますでしょうか。じゃ島崎先生、お願いします。 ○島崎氏  もともと、先ほどから申し上げていますように不採算性のところで、それなりに少しず つ少しずつは上げていっていただいております。例えば救命救急加算でありますとか救急 搬送診療料ですかね、そういうのは上げていっていただいているんですけれども、やはり 言っちゃ何なんですが、現場では焼け石に水のような感じでなかなか、少しずつは上がっ ているんですけれども、まだまだ道が遠いというような感じがあります。  今回の我々出しております中では、それがある程度認められますとかなりのところ現場 への説明もできますし、そういう感じがいたしますけれども。確かに上げていただいて、 それなりのことはこうなったよというのを現場に言うと、ああそうですかという感じはあ るんですけれども。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  貝谷さん、よろしいですか。 ○小林(剛)委員(代 貝谷氏)  わかりました。ありがとうございます。  今日はいずれも従来からいわゆる不採算医療と言われている分野の先生方に来ていただ いたわけです。今日お聞きして非常によく分かりましたのは、特に救急、あるいは先ほど 小児のほうのお話もありましたが、現場では、先ほどの東京都の助成の話もございますし、 地域のいろんな助成、いわば社会システムをうまく改良することによって現場の負担感と いうのが少しずつ軽減されている面もうかがえたかなと思います。  そういう意味では、この中医協での診療報酬の議論と、それから、特にこの分野では税 財源、補助金もうまく組み合わせて、いずれも単独では難しいと思いますけれども、両方 相まっての対応が必要かなというような感想を持ちました。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  恐らくまだ御質問、御意見あるかと思いますけれども、当初予定していた時間をほぼ1 時間オーバーしておりまして、ヒアリングの先生方の御予定もございますので、本日のヒ アリングはこのぐらいにしたいと思います。大変貴重な……。では鈴木委員、手短にお願 いします。 ○鈴木委員  すみません。山田先生、ちょっと、非常に御努力されているのは分かるんですけれども、 この文章の中で、小さな施設で十分な集中治療を受けることなく亡くなっているというふ うに、一生懸命診ている地域の医療機関を非常に見下したようなという、非常にそうとも 受け取れかねないような文章が入っておりますので、それはぜひ、小さな施設というのは どういう施設なのか、そして、できればそういう表現はおやめいただけたほうが連携体制 をとっていくにもよろしいかと思います。 ○山田氏  ありがとうございます。今後また検討させていただきます。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。  今後の診療報酬改定の上で大変貴重な情報を得たというふうに理解しております。中医 協を代表いたしまして、8名の先生方には心よりお礼申し上げたいと思います。どうもあ りがとうございました。 〔ヒアリング関係者退席〕 ○遠藤小委員長  引き続きまして、初・再診料についてということですが、ずっと続けてやってまいりま したので、5分ぐらい休憩を入れたほうがよいかと思います。どうでしょうか、44分ぐ らいから開始するという形にしましょう。 午前11時39分 休憩 午前11時48分 再開 ○遠藤小委員長  それでは、委員の皆様おそろいですので、引き続き審議に移りたいと思います。  初・再診料についてを議題といたします。  嘉山委員から関連資料が提出されておりますので、嘉山委員から説明をお願いしたいと 思います。 ○嘉山委員  前回申し上げましたが、国民に正しい情報を提示して、そして議論するのがこの中医協 だと思っていますので、前回厚生労働省のほうから出てきた開業の先生方の所得ですね。 翌日、日本経済新聞から1.7倍というような見出しで出ておりましたが、ああいうこと でいろんな議論をしても実態と離れているということで、私は、これは日本医師会がつく ったデータですが、これはもっともなことだと思っています。あれには、この表の右側の 四角にありますように、院長退職、要するに退職金ですね。社会保険料とか税金とか借入 金とかそういうものを引かれていないものが厚生労働省のほうで出していますので、ちょ っと誤解を生むんではないかというふうに思いますので、この会でもしも出すんであれば、 厚生労働省としてはこういうものも含めた実態を出していただきたいということで、これ を出させていただきました。  それで、こういうことを前提にして、今日の初診料、再診料の議論もされるのがよいの ではないかと思って、会長の許可を得て出させていただきました。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  従来より個人の診療所についての収入、所得の問題というのはこういうことがあるんだ ということが随分議論になっているということで、今回そういうことで診療所につきまし ても、医療法人は別枠でとったという経緯があるということだけは伝えておきたいと思い ます。  はい、どうぞ。白川委員。 ○白川委員  嘉山委員からの資料を昨日ちょうだいいたしましたけれども、これは2年前に日本医師 会がまとめた資料の一部というふうに理解をしておりますけれども、質問したかったのは、 この数字自体は日本医師会の発表でございますのでそれはいいんですが、先日発表されま した医療経済実態調査についての診療側の見解といいますか、それはこれとは別に出ると いうふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。 ○安達委員  会長。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  嘉山委員と同じ趣旨でございますが、今の白川委員の御質問もございますので、時間が 押しておりますけれどもほんのしばらくお時間をちょうだいして、その件を申し上げたい と思います。  従来ですと、日本医師会の委員がおりましたけれども、今回はおりません。それで、日 本医師会の日医総研をはじめの機能として、分析したものを昨日日本医師会は記者会見で 発表しております。日本医師会の意向としては、診療委員の先生方の皆様にも日本医師会 からお送りをさせていただくということでございます。また、政務三役にもお届けをする ということでございます。  まとめだけ、本当に簡単に御紹介しますが、従来から申し上げておりますけれども、経 済実態調査で経年比較は行えないだろうと。メディアスとも乖離するという点が1点。そ れから、2番目は、以前から要望を申し上げておりますが、経年比較をやるということが 必要であることは言うまでもないので、改定年の前年の1年と後の1年、2年の計算デー タがあるほうが解析はしやすいということであります。それから、3番目は、病院も個人 医療機関もともに損益分岐点が非常に高い。93から95%になるということでございま す。それから、4番目、国公立病院の赤字要因についても解析をしております。最後に、 マスコミの皆さんは一番恐らく注目されるのはこういうところかと思いますが、よく個人 開業医と勤務医の皆さんの給与の差額。今、嘉山先生からも御紹介がありました1.7倍 というようなことについて、日本医師会としては基本的に勤務医の皆さんの給与が低いと 思っているということを申し上げておりますので、およそ二十三、四ページになるものが それぞれの委員のもとに日本医師会のほうから発送されるということで、お目通しを願い たいということを1点申し上げたいと思います。  そのこととは別に、今回、私が地域の医師を代表する委員だという認識で御選定をいた だいたと思っておりますので、私自身の見解というのを別に述べさせていただきたいと思 います。  京都府医師会というのは4,700の会員がおります。その半数以上が加入するメーリ ングリストを立ち上げております。勤務医の皆さんも入っておられます。病院との連携メ ーリングリストもあります。今度の発表につきましては、勤務医の皆さんからは特にコメ ントはありませんでしたが、個人診療所の開設者、いわゆる開業医は、非常に多数の書き 込みをしました。その論調はたった一つでございます。この数字はどこの病院の数字なん だと。どこの個人医療機関の数字なんだということでございます。つまり、我々が理解し ている地区医師会あるいは市医師会、府全体で実感している数字に比べると非常に乖離が ある。一言でいうと、非常に高い数字だろうという認識があるということでございます。  同じように、私は日本臨床内科医会にも加入しておりまして、社会保険・介護保険委員 会の委員長を務めておりますが、そこのメーリングリストも同様の趣旨であります。  これは、今回に限ったことではありません。実態調査というものの数値と、我々の地域 で診療している個人医療機関の医師の実感として感じているものとに非常に大きな乖離が あるということでございます。  そのことはなぜかということを1点申し上げます。恐らく今回の実調も回収率は50% ぐらいだったはずだと思いますが、個人医療機関というのはさまざまでございまして、開 設してからの年数もありますし、個々の医師の能力というものもございますけれども、一 般に言えば、収益がある程度上がるようになってくる。そうすると、人件費等の雇用や薬 剤・材料等の購入等々、非常に経理内容も複雑になってまいりますので、基本的には年収 の多い医療機関は大半がその経理内容の処理というものを税理士さんにお願いしておりま す。今回新たに分割されました法人医療機関も、一般的に言えば法人化する個人医療機関 のメリットというのは収益が高くなっているところの部分でございます。当然、ここも税 理士さんに会計処理をお願いしているということになると思います。  実調の調査票をいただきましたときに、これをその助けをなくして個人の医師で診療の 合間に書くというのは大変な労力でございまして、一言で申し上げますと、ですから、全 体の個人医療機関の収益の中で比較的に高いものだけが回答の中に入っている。そういう 回収のところのバイアスがあるんではないかというのが、我々の印象でございます。  ただ、印象だけ申し上げましても、一方にこういう数字が出ている。日本医師会のほう の分析というのは、この出た数字そのものを受けとめて淡々と分析をしているわけでござ いますけれども、それ以前にこの印象があることについて、遠藤先生が以前からおっしゃ います、エビデンスに基づいて議論をしようとおっしゃることであれば、それを出す方法 はあると思います。  事務局の方、よろしければメモをとってください。  まずは、客体にバイアスがかかっているかどうか。客体選定そのものにバイアスがかか っているかどうか。それは、客体に選んだ個人医療機関の月間のレセプト枚数を全部調べ ていただければ分かると思います。法定の公的な価格の中で診療をやっておりますので、 基本的には個人医療機関の収益というのは、レセプト枚数とほぼ相関いたします。だから、 どの辺の枚数のグループをどれだけ選んだのか。これがまず、選定のところでのバイアス のかかりぐあいというものを見る指標になると思います。  2番目です。回答を寄せた個人医療機関のいわゆる総診療報酬、何月でも結構ですが、 1カ月の総診療報酬。それを、回答を寄せた医療機関ごとのレセプト枚数で割ってくださ い。そうすると、その医療機関のレセプト1枚当たりの点数が出ます。これがなぜ必要か といいますと、それをその個人医療機関のそれぞれの標榜診療科のレセプトの平均点数と 比べてください。この平均点数は、厚労省の指導要綱の中にあるうちの高点数指導として の集団的個別指導、この医療機関を拾い上げるために各都道府県で、それぞれの都道府県 のそれぞれの診療科の1枚のレセプト当たりの平均点数と比べて高い医療機関を選び出し て、その上位8%を指導対象にするということになっているわけでありますから、旧社会 保険事務局、現在地方厚生局に移管していると思いますが、そこに必ずデータはあります。  これをやっていただきたい理由は一つでありまして、バイアスのかかっている特殊な医 療機関は、当然統計からは外さないと平均値に影響を与えるということでございます。  何を申し上げているかといいますと、かなり基幹的な役割をしている医療機関で勤務を しておられた先生が、高い診療技術を持って開業され、例えば重症潰瘍性大腸炎における 血漿交換療法等々でございます。そういうところは、そういうことが必要な患者さんが集 中されますし、その技術点数は高いですから、平均に比べて1枚当たりのレセプトの点数 というのはかなり高くなると思う。こういうものは、統計学的な処理によって中央値から 大きく外れるものは統計の処理から除外しないと、実態調査というならば正確なデータが 出ないだろうということであります。  最後です。3点目でございますが、各都道府県の社会保険のほうの審査委員会、国保の ほうの国保連合会の審査委員会。ここには、その都道府県の個人医療機関の各診療科の1 カ月の総請求点数というものがデータとしてあるはずであります。それがなければメディ アスはつくれないと思いますので。  もう一方では、それぞれの審査委員会には、それぞれの個人医療機関の診療科ごとの請 求をしてきている医療機関総数というのも分かるはずでございます。  各都道府県の個人医療機関のそれぞれの診療科の総請求点数を、請求をしている医療機 関の総数で割ってください。平均が出ます。それと、今回50%の回答をした医療機関の 収益とを比べてください。プロットしたときには、平均値より上にたくさんのプロットが 落ちるのではないかと。エビデンスを出すというならそういうことでございます。  ここまで本当はやらないと、医療機関経済実態調査というのは実態調査ではないのでは ないかと。なぜ我々の感覚とこんなにずれるのか。これは、今回だけではございません。 ずっと以前からそうでございまして、いわば我々個人医療機関はもう半ばあきらめている というか、またこのわけの分からない実態と乖離した数字が出たという印象を持ちながら、 この発表を常々眺めているわけでございます。  しかしながら、この数字はこれから括弧の、特に、今日の初・再診料もそうでございま しょうが、診療点数の配分を決めるときに大きなベースになる可能性がありますので、そ うであればどれぐらいのバイアスがかかり実態はどうなのかということが分かるようなデ ータにしていただかないと議論ができないのではないかというふうに思っております。  それが私どもの見解でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  白川委員の御質問に対して、まず日本医師会として医療経済実態調査の分析した結果な のかというお話でありますが、それは文書にしてお送りするということだと…… ○白川委員  いえ、私の質問はそうではございませんで、前回まで確かに日本医師会が見解を出して おりましたけれども、今日いただいたこれは診療側の意見、これだけですかという、これ 以降はないんですかということが御質問です。 ○遠藤小委員長  それについては、先ほど安達委員から発言があったので、それ以降どういうふうにされ るかというのはまだ、つまり2号側委員としてどういうふうにするのかということについ てはまだ…… ○安達委員  日本医師会はこれお送りしますので、後の議論のときにこのデータというのは必要な場 合には、これを使って私が申し上げる場合もございますでしょう。  それから、それとは別に地域の医師の実感としての今のデータの必要性ということを申 し上げました。つまり、それについてもやはりそういう意見を申し上げさせていただくこ とになると思います。 ○遠藤小委員長  後者の代表性の問題についてまた議論しますので、まず白川委員の御発言、つまり、そ れについて2号側はどういうお答えをするのかという質問でありますので、西澤委員どう ぞ。 ○西澤委員  すみません、今回の調査に対するコメントをどうするかということでよろしいですね。  今、2号側全体で統一はなかなか難しいので、それぞれということになっています。私 たちのほうでは、病院団体としてまとめて出すのを今予定しております。今相談中でござ います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  歯科医師会を代表しても、前回のこの実態調査のデータが出たところでお話し申し上げ ましたが、きちっと分析して、この場にその見解を出したいということを考えております。  ですから、会長にどの段階でそういう場が設けられるかということをあらかじめお教え いただければ、その場に分析した内容、我々の考え方を示したいというふうに考えており ます。 ○遠藤小委員長  スケジュールを調整しながら早めに検討したいと思います。  そういう回答で白川委員、よろしいでしょうか。 ○白川委員  結構でございます。 ○遠藤小委員長  それで、実は安達委員から別の提案が出されているわけでありまして、これについて少 し皆様の御意見をお聞きしたいと思います。医療経済実態調査につきまして、前回は診療 所につきましても医療法人を別途集計することにしたわけでありますけれども、安達委員 の周辺情報からすると実態と乖離している。しかも、どちらかというと収益の多いところ が医療法人になっている可能性があるので、代表性に問題があるのではないかということ で、幾つかのその代表性を見る上でのチェックをしてほしいという提案が出されたという わけであります。  それについて、これ事務局の作業ということになるかもしれませんが、そういうことを やる必要があるかないかということについてお諮りしたいと思います。  そういう対応でよろしいですね。 ○安達委員  ありがとうございます。それで結構でございます。 ○遠藤小委員長  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  ちょっと口頭の御説明だったので、私も安達委員がおっしゃっていることを100%理 解したわけではないんですけれども、前回のこの場で申し上げましたとおり、私どもの医 療実態調査の分析結果をこの場で御説明したいと。我々の考え方を御説明したいというふ うに思っておりますので、その席で、ただいま安達委員が御指摘になったことも含めて詳 細に、もう一度御説明いただかないとよく理解できないものですから。 ○遠藤小委員長  そうですね、わかりました。突然のご提案ですので。 ○安達委員  まず、事務局は控えていられると思うし、私が申し上げていることは分かっていただい ていると思いますが、要は、私は地域の医師会のメンバーの皆さんの実態の印象を申し上 げました。しかし、これは印象だけでございます。一方、実調というのは、きちっと計数 処理をしたエビデンスとしてのデータでございます。それについて私は、まずデータ集積 のところでバイアスがかかっている可能性が高いんではないかということを御指摘させて いただきました。ただし、これも印象でございます。推論でございます。  ですから、それをエビデンスとして出す方法はあるということを今御説明したわけでご ざいますので、これはやっていただければ私が申し上げたことが合っているのかどうかと いうことは出てまいりますし、出てきた数字が違っているなら、私の申し上げていること は間違っているわけでございますので、そこのところをはっきりさせていただいたほうが いいということを今申し上げたわけでございます。 ○遠藤小委員長  よろしいですか。 ○白川委員  はい。 ○遠藤小委員長  そうしましたら、趣旨はよく分かったんですが中身について十分理解できないところが ありますので。検証の仕方等々についてですね。ということであれば、お考えは一応お聞 きしましたので、どういうことをしたいのかということを問題意識も含めて文書にして提 出していただいて、それを審議するという形にしたほうがよろしいような気がしますけれ ども、いかがですか。御趣旨は分かりました。 ○安達委員  文書にしたほうがよろしければ、次回でもよろしいんでしょうか。  出させていただきます。 ○嘉山委員  会長。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  私は病院協会とかそういう組織ではないので、何を言いたかったかというと、外口局長 が医政局長のときに、皆さん思い出してください。去年の5月まで日本では厚労省は医者 が余っていると言っていたんです。それは、どうしてそういうふうな印象が国民にできた かというと、こういうデータに基づいてみんな印象づけられたんですよ。  私が言いたいことは、今日これを出したのは、内容はどうのこうのなんていうのは、私 は分からないんですけれども、これ例えば院長退職引当金というのは全然書いていないの で、これは物事を判断するのに非常にフェアじゃないと。この協議会が間違った判断を下 す可能性があるので、これからちゃんと佐藤課長には判断できるようなきちっとしたデー タを出してほしいという趣旨です。  あのときも医師の勤労時間が、外口局長が医政局長のときに厚生労働省から出てきたデ ータは週47時間です。今日出てきたようなあんな数字は出てきていません。  ですから、白川委員ももうこの辺で頭を切りかえて、自分の損得ではなくて国民のため に実態をちゃんと把握して、それで議論するという姿勢を私はとっていただきたいと思っ て、こういうデータを出したんです。中身が云々ではありません。  会長、そこは御理解願いたいというふうに思います。 ○遠藤小委員長  そういう御趣旨だということは分かります。  ただ、1点だけ申し上げますと、医療経済実態調査の中で一般診療所、個人というのが ありまして、その中でまさしく損益差額のところですけれども、注釈の中に個人立の一般 診療所の損益差額からは開設者の報酬となる部分以外に、建物、施設、設備について現在 物の価値以上の改造を行うための内部資金に充てられたと考えられる云々ということが書 かれてはいるのですが。 ○嘉山委員  建物はあるんですけれども…… ○遠藤小委員長  それ以外が十分ではないということですか。 ○嘉山委員  ええ、退職金が書いていませんね。ですから、退職金はやっぱり書く必要があると思い ます。常識的に思うんですが。ですから、何かものを誘導するようなデータを厚生労働省 が出してはいかんよということを言っているんです。 ○遠藤小委員長  これについて、何か1号側、御意見ありますか。  どうぞ。 ○白川委員  別に私、この資料の中身について意見を言っているつもりはございませんで、これは2 年前に日本医師会が開業医と勤務医の所得差というのは、医療経済実態調査ほど差は開い ていないんだよというときに使った資料というふうに承知をしております。  ですから、これの中身について云々するというつもりはございませんで、いろんな御意 見あるでしょうから、それは機会を見て病院協会、歯科医師会も資料を出されるというこ とですので、我々としても意見を申し上げたいと、こう言っているだけの話なんですが。 ○遠藤小委員長  わかりました。この議論は延々と続いてきた議論でありますし、これぐらいにしていた だいて。そういう意味で、今回は同じような会計基準をとる医療法人をとったわけであり ますが、先ほど安達委員から、医療法人は診療所を代表していないんではないかという趣 旨のお話があって、その辺の検証を要求されているという、こういう道筋でありますので、 また今後の議論にしたいと思います。  どうぞ、渡辺委員。 ○渡辺委員  今後それを行うときに、できましたら、これはあくまでも平均値だけなんですよね。こ の分布をぜひ、特に収支差額等もろもろなんですけれども、その分布を出していただきま すと、本当に平均値が代表しているのかどうかという姿が見えてくると思いますので、例 えば最頻値とかそういうものをこの場に出していただければ。 ○遠藤小委員長  分布については出しておりませんけれども、当然、そういうことは議論になるだろうと 私は思いましたので、中央値も出すように指示してありますので、既に計算はある程度進 んでいると思います。いずれそれも出していただくことになります。  それでは、事務局からの資料が出ておりますので、それについてもし説明が必要であれ ば簡略にお願いしたいと思います。 ○事務局(佐藤医療課長)  これまで同様、中医協の診−2という本体の資料と、それからそれに参考資料がついて おります。  御記憶のとおり、初・再診に関する話は、今年の春ですけれども一度やりましたし、そ の以前、つまり去年にもやっておりますので、それからの変更点や、あるいは変更点はな いけれども重要だと思われるところに絞ってお話をいたします。  参考資料から先にごらんください。今回お話するところは基本診療料という中でも初・ 再診料、赤枠で囲っていますが、そこに絞って御議論いただきます。  それから、次のページ、2と3ですけれども、初診料、再診料・外来管理加算と、上の 段と下の段と書き分けておりますが、要するに、いろいろな時代的な背景があって、診療 所と病院とで初診料が分かれたり、あるいはある時期統一されたりということがあるとい うことを御理解ください。  それから、その下の段ですけれども、再診料の場合も甲表、乙表の時代に始まりまして 病院と診療所で分かれ、分かれた中でもある程度点差が縮まったりしながら経過をしてき ているということ。それから、少し下の段という感じになるんですけれども、外来管理加 算が新設されて、それ以来どういう経過で来ているかというところをごらんいただければ と思います。  次のページにまいります。スライドの4番になるわけですけれども、初・再診料には幾 つかの加算があります。先ほど小児科の先生のお話がありましたが、乳幼児や小児科とい うことに着目をして加算がついている場合、それから、時間帯、例えば休日や深夜にやっ ていただける、時間外にやっていただける、あるいは前回やりましたけれども夜間・早朝 等加算のような特別な加算、時間に着目をした加算があるということでございます。  それから、5ページ目では、ちょっとまた特別に外来管理加算にだけ限定して御説明を しておりますが、ここにごらんいただきますように一定の処置や検査、リハビリテーショ ンを必要としない患者に対してそれらの行為を行わずに計画的な医学管理を行った場合に 再診料に加算されるもの。1回52点ということになります。  それから、その下にありますように20年度の診療報酬改定ではおおむね5分という時 間要件が入ったということです。  スライド6以下は、一般的な医療費の動向、その中で入院外、つまり外来がどういう位 置付けにあるのか、それから初・再診料がどういう位置付けにあるのか、それは病院と診 療所でどう違うのかということを書き並べたものですので、ごらんいただくだけにします。  また、13ページからは、今度は診療所の診療科別に1人1日当たりの医療費がどうな のか。それから、1施設当たりの医療費がどうなのかということを並べております。  それから、14ページのスライドですが、今いろいろ御議論がありましたけれども、平 成21年度の医療経済実態調査で出てきたデータを、1施設当たりの医業・介護収益、費 用、それから1施設当たりの損益率ということでお示しをしております。  以下、時間が限られておりますし、また、一度御高覧いただいた内容が含まれておりま すので、資料での説明は以上とします。  それで、もう一度本体に戻っていただきますが、1ページ目の第1はおおむね御説明し ましたので省略をいたします。  第2の診療報酬上の評価ですが、改めて御確認いただきたいことはその枠囲いの中にあ りますけれども、初診料、再診料の中には、ここに書きましたような処置や検査、基本的 な診察、検査、処置が含まれているということ。  それから、次のページをめくっていただきますと、診療に当たって基本的な医療の提供 に必要な人的、物的コストが含まれているという形になっております。  それから、2番目ですけれども、初診につきましては先ほども申しましたように病院と 診療所で同一の評価となっております。ただし、再診に関しましては、一般病床200以 上の病院では外来診療料という評価になっていまして、それ以外の病院、診療所とは違う 評価をしております。点数についてはごらんのとおりです。  それから、先般来、社会医療診療行為別調査の結果もあわせて参考につけております。 ごらんいただきますように、平成19年の算定回数、実施件数、それから20年の実施件 数、算定回数と並べております。これだけだとなかなか、多いのか少ないのかというのが 分かりづらいと思いますので、社会医療診療行為別調査の入院外のレセプト全件数も念の ためつけております。  この間も申し上げましたが、改めて申し上げておきますと、社会医療診療行為別調査と いうのはやっぱり抽出調査でございますので、どうしてもある年はある特定の医療機関の レセプトがたくさんとられる。あるいはそうじゃないということがありますので、単純に 数字を見比べていただいて5%ふえた、10%ふえたというのは難しいので、おおよその 目安ということで御理解をください。  それから、3ページ目ですけれども、先ほどたくさん加算等があると申しましたが、こ の中では夜間・早朝等加算が新設されましたので、これだけ抜き出しましてちょっとごら んいただいております。同様に社会医療診療行為別調査をごらんいただいておりますが、 初診料の算定回数から見てみますと、ざっと簡単に計算してみますと初診料の中で、夜 間・早朝等加算の割合は4%ぐらい、それから再診料全体の中で、同様に夜間・早朝等加 算がある割合は2.5%程度ということになっています。  4番目で外来管理加算についてですが、先ほども申し上げましたように時間の概念を入 れたということが1つと、病院と診療所の点数、それぞれ47、57点だったんですけれ ども、それぞれを調整いたしまして一致させ52点にしたということです。  それから、次のページになりますが、次のページはちょっとおわびを申し上げなければ いけません。4ページですけれども、恐らく1枚紙で初・再診料の資料の訂正というもの が入っていると思います。数字も含めて間違っておりましたので、この訂正のほうもごら んいただきながらと思います。  外来管理加算の算定要件がこういうことになりまして、算定回数ですけれども、そこに ごらんいただきますように外来管理加算3,515万回余であったものが、平成20年に は3,233万回となっております。ごらんいただきますように、再診料が病院診療所で それぞれこういう形になっておりますので、私どものほうでざっと、先ほども申しました けれども、目安ですけれども、目安で計算してみましたが、病院と診療所を合わせた再診 料の約56%に相当するところで外来管理加算が算定されておりました。これが平成19 年です。  一方、平成20年の3,233万回というのは、1,427万と6,258万を合わせ ましたもののざっと42%ということですから、これが正しい数字かどうかというのはま た御検討いただくとしましても、以前は再診のうちのおおよそ50%強、56%ぐらい算 定できていたものが、20年では42%程度になっているということでございます。  それから、今度は4ページの5、それから5ページにかけてですけれども、ちょっとま た違った話ですけれども、医師による診断と適切な指導があれば必ずしも医師等の医療従 事者による高度な技術を要せず、患者本人または家人により行うことが可能な処置につい ては、基本診療料に含めて評価を行ったということでございまして、皮膚科軟膏処置、眼 処置、耳処置、鼻処置、この4つを挙げております。  それから、最後に論点になりますけれども、今申し上げましたような病院と診療所の役 割分担がある中で、初・再診料というのが時代的な変遷をたどってきているわけですが、 これについてどうお考えいただくかということです。  それから、各診療科が担う役割と、初・再診料における評価。これは先ほどの論点でい うと、5番で書きましたようなポイントと絡むんですけれども、これについてどう考える か。それから、ちょっと順番は説明の順番とは逆になりますけれども、外来管理加算につ いて、診療報酬上の評価をどう考えるかという3点をとりあえず書いております。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、ただいまの御報告に関連してもしなくても結構でありますので、初・再診に 関連することであれば結構ですから、御意見、御質問ございますでしょうか。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  1つ、前から時々言っているんですが、複数科受診ですね。再診料の中の。病院という のは多数の診療科がありますね。例えば指を切った人が来て外科で診たと。その後、何か 胸が苦しいからというので循環器内科へ行ったと。行った場合に、2つ目のところはカル テもつくって診察もしたけれども何ももらえないという場合があるわけですね。これは気 のきいた人だったら心電図をとったり何かするわけですが、もう忙しいから、それは血を 見てどきどきしているんだろうといって帰してしまって、その方が不幸にして心筋梗塞で あって自宅で死んでしまったと。極端な例ですよ。これはあった話じゃないですけれども。 そうしたら、訴えられたら病院は負けます。お金をもらっていない人にお金を払うことに なりますね。こういうことはやはり非常に科学的な根拠のない、エビデンスに基づかない 医療費抑制策のための診療で、循環器の先生、ほかの例えば小児科と皮膚科とか、耳鼻科 と小児科とかいっぱいあるわけですね。これをぜひ考えていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  初診料については、複数科受診した場合には、前と比べると減額されましたけれどもつ きますが、再診料についてはつかないということの理解でよろしいわけですね。だから、 それは適切ではないのではないかと、こういう御意見でございます。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  ちょっとこの話に直接関係はないんですけれども、昨日の精神医療のときにも発言する かどうかちょっと迷っていたんですが、議論の進め方についてなんですけれども、以前に 遠藤委員長のほうからいろいろ論点を、課題のキーワードを入れてもらったものが配布さ れて、それを順に進めてきていると思うんですけれども、後でこの問題に関してはまた後 日やりますというような話があったりなかったりということもあったりするので確認なん ですけれども、とりあえずこの順番でこれまでの経緯をまとめていただいて論点を整理し ていただいてということで進めてもらっていて、非常に形としてはいいと思うんですけれ ども、今後どういう形で進んでいくのか。つまり、今どの程度質問をしておくべきなのか、 どんどんと意見を言っていくべきなのかどうかという感じで、大体のちょっとイメージを 教えていただきたいのですが。 ○遠藤小委員長  勝村委員からは、従来から、要するにスケジュールですね。テーマとスケジュールにつ いておおよそ分かることについて事前に出しておいてほしいという御意見で、各ほかの委 員からもそうだというようなあれがありましたので、これ事務方としては、多少不確実な ことがありますけれども、ある程度のことは可能だと思いますので、事務局、何かありま すか、その辺について。  医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  前回、遠藤会長からこういう項目を御議論してはどうかというメモをいただきましたの で、そのメモを残された期間と申しますか、ずばり言いますと改定率が出るような時期ま での間に一通りは御議論いただきたいと思いまして、ざっとで申し上げますとカレンダー なんかをにらみながらやりますと12月18日金曜日までの間の水・金をほとんど全部つ ぶして、そして、それで少なくともどんな項目についても一回はやるということでやれる かどうかということで当てはめております。  そういう中で、朝9時から始めていただいたり、今日ももう1時ぐらいまでになりそう ですけれども、時間的にも4時間ぐらいはとっていただいたりということでやっていただ いております。  それから、これを今日突然振られましたので私が言っていいのかどうか分かりませんけ れども、会長と時々お話をしている中では、これは特に重要だよねということは言葉の 端々からうかがえますので、例えば入院基本料であるとか、今日ヒアリングのありました 産科、小児科というところはとても重要でしょうから計算してみると2回、3回となって いますから…… ○遠藤小委員長  わかりました。 ○事務局(佐藤医療課長)  幾つかの分野については3回ぐらいやる。  それから、18日までの流れでいうと一、二回は、ちょっと適切な言い方かどうか分か りませんけれども、落穂拾いの議論ができるぐらいの、ぎりぎりではありますけれどもタ イミングでスケジュールを立てているということです。 ○遠藤小委員長  わかりました。  ということでありますので、皆様方の御要望はよく分かります。例えば初・再診の話は 何回あるんだ、今回が最後だったら今言っておかなきゃいけないではないかと、こういう 議論ですね。しかし、テーマの重要性も多分ばらつきもありますので、少し私のほうでも 考えさせていただいて、残っている枠はそれほどないわけなので、どういうふうに張りつ けたらいいか、事務局と相談して原案を練ってみたいと思います。ある程度まとまった段 階でまた皆さんにそれをお見せするという形になります。  ただ、本日もそうですけれども、当初の予想よりは大体後ろへ押しております。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  それに関連してちょっと発言をさせていただきたいんですが、論点ということで3点、 4点と出ているんですけれども、以前も会長からもちょっと御発言があったやに記憶して おりますけれども、もう少し踏み込んだ論点の書き方をしていただけないと、ちょっと一 般的な話で、また最初から、例えば論点の1の、病院と診療所の役割分担と初・再診料に おける評価についてどう考えるかという書き方をされますと、本当にまた一から始めると いうことになるかと思うんですけれども、過去、この件についてはもう1年も2年も、2 年はかかっていないかもしれませんが、随分議論を積み重ねてきていると思いますので、 さらに突っ込んで、どこに問題意識を持ってほしいといったらおかしいですけれども、お 持ちなのか。我々はもっと違う問題意識があるかもしれませんので、それはそれでまたそ の場で提示をしますけれども、少し踏み込んだ論点の書き方を今後していただくと議論が 進みやすいのかなというふうに考えますので。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。論点については、物によってはもうこのレベルで書いてもおの ずと議論する内容がもう絞られているというものと、やはりもう少し具体的に書いていた だかないと、書いた内容がよく分からないというものとあると思います。  ただ、今回の論点についてはこの3つの論点だけでいいかどうかは別として、比較的読 めば何となく分かるかなという感じがしまして、病院と診療所の役割分担と初・再診料に おける評価ということになりますと、初診料においては同額にしたわけですけれども、再 診料については差があるわけで、それはどうなのか。それは機能の評価から見てどうなの かという、どう考えますかということを多分書いてあるんだと思いますし、各診療科ごと の初・再診、これはすべて各診療科ごと同じなんですけれども、それでいいのかどうかと いうような問題を多分ここでは言わんとしているんだと思いますし、外来管理加算につい ては検証部会等でも問題点も指摘されておりますので、今後どうするかということを議論 したらどうかという趣旨だと私は理解をしたわけでありますが、もちろんそれを制約する ものではありませんから、もっと幅広い視点から御議論いただいても構わないと思います。  それでは、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  確かに時間ない中でこういうことを言うのもどうかと思いますが、今回の論点も分かり ます。その前に次回改定がかなりのプラス改定だということを期待して申し上げます。こ の診療報酬の評価で初・再診料に含まれるものということで、1ページ目のことは分かり ますが、2ページ目の(2)ですが、この基本的な医療の提供に必要な人的・物的コスト と書いてあります。これは今までも何回か議論したんですが、なかなかこれをきちっと評 価はしてもらえていないということで、一度これに関する資料の提出と、議論をしていた だければと思います。  簡単に言いますと、従事者の人件費というと、外来を担当する医師がいて看護師がいて、 それから事務員がいます。それと、物的コストとしては施設整備費、光熱費等々含めたも のもございますし、そういうもので単純に計算すると、とても今の点数だと赤字になるの は当たり前ということになります。  そのすべてをコストに見合ったものということになるとなかなか無理でございますが、 一度そういうことも頭に入れながらこの論点の議論をしなければ、ちょっと変な議論にな ると思いますので、できればそのあたりの資料も出していただければと思います。私たち のほうで少しそういうふうなことを調査したのもございますので、一回出させていただこ うと思っています。 ○遠藤小委員長  費用についての調査をされたということですか。 ○西澤委員  数年前に病院団体のほうで、例えば病院の場合、外来の場合は患者40人に医師1人と か、それから患者30人に看護師1人とかという規定がございますし、それから、いろん な設備等経費で外来にかかわるものを一度数年前に出していますので、そういうものがも し必要であれば出させてもらおうと思います。 ○遠藤小委員長  初・再診という医療行為に対するコストの計算をされているというわけですね。事務局 としてはそういう資料はお持ちではないと考えてよろしいですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  現時点では持っておりません。 ○遠藤小委員長  そういうことだと思いますので、それは参考になるかと思いますので、お出しいただく ことはよろしいかと思いますので、初・再診の議論のときに出していただければと思って おります。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  私の病院の外来は毎月赤字でございまして、外来って決して、特に病院の外来は、収支 はよくありません。ですから、そういう病院独特の縛りみたいなものがあるとすれば、そ ういったものをどのようにしていったらいいか、西澤先生の御意見も含めて検討していた だければと思います。  それともう一つ、私が開業医の先生とか病院の先生なんかに聞いてみると、今やっぱり 患者さんの自己負担が非常に高くなってきていますから、非常にコストに対する意識も敏 感になっておりまして、1つは、病院と診療所に再診料に差があるということで、患者さ んがやっぱりより、厚労省の意向とは逆に安いほうに行くということも起こっているとい うふうに先生方はおっしゃっています。ですから、病院の先生は病院から診療所に紹介し ても安い病院に戻ってきてしまう。あるいは診療所の先生から言わせると、より安い病院 に行ってしまうと。そういうふうな現象も起きているということを、統計をとったわけで はありませんがお話として聞いておりますので、そういう意味では、再診料に差があると いうのが問題になるかと思うし、一方では、全体として医療費が安いわけですから、もし 同一という方向に改定するということであれば、低いほうが高いほうに合わせるというふ うな考え方が一つあるのではないかなというふうに思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。 ○安達委員  会長。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  すみません。今の鈴木先生のお話にまず一つコメントをさせていただきたいんですが、 例の外来再診料が病院のほうが安いので、つまり、個人診療所と病院の外来再診料の点数 差をつけたのは、医療機関のビヘービアのインセンティブをつけようとして、つまり、病 院で余り外来を頑張ってもそう点数にはなりませんよ、だから、入院に特化しなさいと。 そのかわり個人診療所は外来で頑張りなさい、そういう意味合いがあったということは以 前からお聞きします。  ところが、患者さんのビヘービアは逆になるということで、一時私ども、私どもという のは、これは日本医師会の診療報酬検討委員会としてもですが、患者さんの選択によって 全く最初に期待したものと逆の結果が出てしまうことがあるんだというふうに理解してお りました。  ところが、実はよくよく考えて見ますと、71点と60点ですね、今。110円ですね。 3割負担しても33円ですね。この差で個人医療機関へ行くか病院へ行くかということは、 恐らく患者さんのビヘービアは今私どもないんだと思っておりまして、例えば逆に病院の 外来再診料が100点だったとしても、やはり患者さん方の病院集中はとまらないのでは ないかと。患者さん方は、むしろ入院登録というようなつもりで病院外来を選択されてい るケースが圧倒的に多分多いんだろうと。これも都市と郡部で違うんですけれども、都市 部は特にそうだろうということがあると思います。  1点、この議論で確認させていただきたいんですけれども、私はこの会議に初めて寄せ ていただきますが、昨年の5月改定が終わった後、佐藤課長にかわられる以前に原課長が この中医協で、この再診料の病診格差について、個人医療機関の再診料にはいわゆる開設 時の施設フィーみたいなものがそこに入っていると。病院の開設フィーについては、もち ろん病院全体の箱の中で外来スペースは小さいですけれども、主としてそれは入院基本料 や医学管理料で配慮していると、そういうふうな説明をされたということを私は伺ってい るんですが、それは正しいんでしょうか。その私の記憶というのは合っておりますか。ま ず記憶そのものが。 ○遠藤小委員長  申しわけありません、私は全く記憶にないんですが、どなたか記憶ありますか。  課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  今調べておりますが、その間に一般的なことで申しますと、恐らくそういうことになる と思います。外来中心でやっていただいている診療所では、初・再診料の中にこの2ペー ジ目の(2)に書いてあるように施設整備等が入るでしょう。それから、一方で、病院に ついては、先ほど複数科受診の話を邉見委員から御質問がありましたけれども、そういう 事例にも見られるようにどちらかというと、この中医協の中の議論でもそうでしたけれど も、病院は基本的に入院でという流れだということで進んできたと承知しますから、そう すると、むしろ初・再診料よりも入院基本料の本体のほうにそういうコストが積まれてい るという理解なんだろうと思います。  それから、ちょっと先ほどの西澤委員の質問に対して余り簡単に答え過ぎたので、一言 だけ申し上げておきますと、先ほど調査を持ち合わせていないと申しましたが、それは初 診料、再診料と1対1で対応するような形で光熱費、その他人件費をとっていないという だけでありまして、一般的な光熱費、人件費がどのぐらいであるかというのは、先ほどか ら何度も議論になっておりますように医療経済実態調査でとっておりますので、そこでは 分かってくるということになると思います。  それから、病院につきましては、試行ではありますけれども部門別収支計算の中でかな り丁寧にとっておりますから、全く持っていないということではないんだろうと思います。 ○遠藤小委員長  西澤委員、先ほどの西澤委員の調査というのは初診料、再診料に関するコスト調査とい うことでよろしいんですね。 ○西澤委員  ええ、そういうことです。 ○遠藤小委員長  そういう意味では、厚労省はそう細かくはとっていないということであります。  2号側が多かったので、ちょっとこちらを先に。 ○北村(光)委員  今の中で1つだけ。今の課長がおっしゃった基本的な医療の物的コスト云々、これが入 っているということは、この文章のとおりなんでしょうか。これは病院も診療所も双方の 初・再診料に入っているという考え方ですか。 ○遠藤小委員長  事務局、いかがでしょう。 ○事務局(佐藤医療課長)  おおむねそのとおりです。 ○北村(光)委員  わかりました。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、お待たせしました。 ○嘉山委員  それじゃ4つほど質問させていただきたいんですが、これは医者としての立場と国民と しての立場で不思議だなと思うことがあるのでちょっと質問させていただきますが、まず、 資料の1枚目の入院基本料なんですが、これは我々文部科学省であれば何か予算を組むと きに積算をもちろん積み上げて、それでお金を決めるわけですが、これは遠藤会長も大学 の教授ですからお分かりだと思うんですけれども、この中身が、病棟の種別、看護配置、 平均在院日数等になっているんですが、先ほどから非常にピンチな、脳外科もピンチなん ですけれども、医療全体がピンチなんですが、ドクターズフィーとも関係するんですけれ ども、医師の技術料とかそういうものは入っているのか、中身がよく、「等」で書いてあ るので分からないんですが、どういう積算の原則を使っているのか教えていただきたいの が1つ。  それから、2番目の質問は、グラフの6です。6のスライドの医療費の動向のところで、 病院が入院料4.8兆円、それから診療所が7.6兆円というふうに書いてあるんですけ れども、これだと何となく開業の先生のほうがたくさん使っているように見えるんですが、 これはやっぱりどちらかというとこういうことも必要なんですけれども、実は内科系では どのぐらいだとか外科系ではどのぐらい入院料がかかっているんだとかというようなこと が今の医療現場を救うことのデータになりますので、そういう切り口がないのかどうかと いうことです。  それからあと、病院と診療所を分けても余り意味がないので。なぜかというと、やっぱ り地域連携とか医療連携で、勤務医がいて開業医がいて、開業医がいて勤務医がいるとい うようなことで連携をやっていますので、どちらかを削るとかいうのにこれは使うべきで はないんじゃないかと思います。  それから、その中で4.8兆円と7.6兆円と書いてありますけれども、救急なんかで はこの病院、診療所の中でなかなか医療費が見えないところがありますので、例えば全身 やけどの患者のガーゼとか点滴のチューブなんていうのは救急でやればやるほど赤字にな る原因は、この点数表の項目にあってこういうふうになっているんじゃないかと思います ので、そこの中身を見せていただきたいと思います。  それから、4番目の質問なんですけれども、5分間ルールというのは、私、大学にいて びっくりしたんですけれども、そういうのができたというので外来のルールですね。自然 科学を相手にしている、人間を相手にしている、その外来の話し合いをするわけですね。 まず病歴をとらなきゃなりませんし、あるいは再来であれば結果をお話しすると。フォロ ーアップですから。それで、時間で制限するというのは、非常に患者さんをばかにしてい るのか、国民をばかにしているのかという感じがして、このルールは何とかならないのか というような感じがしていますが、その4つをちょっと教えていただきたい。  なぜかというと、私、外来で30秒でももう、例えば私が良性の脳腫瘍を手術して、患 者さん何しに来るかというと、再発があるかどうかだけを聞きに来るんですよ。あとは元 気でやっていいよというのは30秒かかりません、信頼関係があれば。ところが、初めて の患者さんですとやっぱり30分とか40分かかる場合もあります。  ですから、自然科学を相手にしているわけですから、5分間というようなまるで人頭税 のような、人間を扱う医療の中で、こういう概念を持ってくるのは非常に非人道的な気が するんですが、いかがでしょうか。  その4つをちょっと教えていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  教えていただきたい対象は事務局ということですね。 ○嘉山委員  まず、入院の中身ですね。入院基本料の中身。 ○遠藤小委員長  わかりました。入院基本料については、実はまだ、今日は初・再診だけなので。 ○嘉山委員  じゃ再診の5分でも結構です。5分でも構いません。 ○遠藤小委員長  入院基本料というのが何に対応されているのかということですね。 ○嘉山委員  積算でいうと、どういうふうな積算をされているのか。医師の技術料がこれに入ってい るのか。 ○遠藤小委員長  積算ということは多分していないと思うんですが、基本的に何に対応しているかという 概念的なものをどういうふうに厚労省としては考えているのかと、こういうことだと思い ます。 ○嘉山委員  プリンシプルを教えてほしい。 ○事務局(佐藤医療課長)  厚労省というよりは、診療報酬点数表の中でどう考えられてきたかということですが、 このスライドの一番目の入院基本料の中に、実は1行目に書いてあるんですけれども、歴 史的には入院時医学管理料という項目がありまして、医学管理、これは医師が恐らく無形 の形で行う技術的な部分、もちろんコメディカルもありましょうけれども管理をする部分、 それから、看護そのものの部分、それから、療養環境と書いていますが、昔は室料という 形にしておりまして、大きくはこの3つから成っているということです。したがいまして、 技術料のかなりの部分もこの中に入っていると言えます。  また、別途、来週以降御議論いただきますが、検査や処置や、あるいは手術が典型でし ょうけれども、個別に重要な項目については別途算定されている部分もあると。これが全 体です。  まず、そこだけお答えすればいいでしょうか。 ○遠藤小委員長  よろしいですか。 ○嘉山委員  ですから、まさに佐藤君が答えたとおりで、今の医療崩壊を招いたのはそこなんですよ。 つまり、医師の技術料が余りにも、あなたは算定したとは言っているけれども、低いため に、先ほど来た先生方がおっしゃったように医師が立ち去り型になって崩壊したんです。  ですから、この入院加算料にきちんと目に見える形で、余りにも、医師の技術料を評価 しているとはいっても実は書けないぐらいに低いということが証明されたというふうに思 います。それは、これからこの中医協で挙げていかなきゃいけないというのは私の意見で す。中医協は決めるところだというふうに会長がおっしゃったんで。 ○遠藤小委員長  したがいまして、入院基本料についてはまた別途議論するときがありますので、そのと きにまた御発言ください。  あと、2番目の質問、何でしたっけ。 ○嘉山委員  やっぱり同じように病院と診療所を分けているので、どちらかといえば先ほどの御意見 と同じなんですが、地域連携をやっているので、開業の先生と病院とに余りきつく分けな いほうがいいのではないかと。医療行為で分けてほしい。 ○遠藤小委員長  それはここでの議論をどう展開するかという話になりますので、そういうふうに受け取 らせていただきます。事務局に何か質問することはありますか。 ○嘉山委員  だから、医療行為で分けられませんか。外科系だとか内科系だとか。だから、一番の本 当は、みんな国民もすっきりするし我々もすっきりするのはモチベーションを持てるのは、 医療行為について点数をつけてくれれば非常にクリアなんですよ。何とか加算だとか何と か補助金だとか、絆創膏を張るようなことではなくて医療行為を評価してもらえれば医者 もみんな頑張るし、それから患者さんも納得、国民も納得するんですよ。それをなぜこの 中医協は今までやってこなかった。それがこの医療崩壊をつくった一番の原因ですよ。 ○遠藤小委員長  わかりました。データとして要するに医療行為のある分類ごとで…… ○嘉山委員  そうです。外科系だとか内科系だとか切り口がないのかと。 ○遠藤小委員長  そういうようなまとめ方が可能かどうかということであります。いかがでしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  事務局が決めたというより、これまで中医協を含めて診療報酬点数の議論の中で決まっ てきたことなんでしょうけれども、ある程度行為が明確であって、しかも、それに一定程 度の能力や技術が必要というものについては、私は以前申し上げたかと思いますけれども、 大ざっぱに数えても4,000項目ぐらいありまして、その中には技術を評価したものが ございます。それが十分かどうかというのは置くとします。  ここでいいます入院基本料の中に一部技術が入っているだろうと申しましたのは、明確 ではないもの、例えばコメディカルでもいいんですが、病棟に患者さんを何回か見にいく だとか、あるいは血圧をはかっただとか、そういう個々の技術や処置等明確にできないも のについても包括化されて入院基本料に入っているというわけですから、むしろ、日本の 診療報酬は出来高で、個々の技術や処置や検査については、何度も繰り返しますが個々の 点数の設定が妥当かどうかということは別としまして、かなり丁寧に細かく点数が設定さ れていると言えます。 ○遠藤小委員長  質問の意図とちょっとずれていたような印象なんですが、要するに医療費を全体として、 ここでは入院とか外来を分けているので、それを医療行為の分類ごとにどれぐらい医療費 が使われていたかというのが分かりますかという話なんです。 ○嘉山委員  そうです。 ○事務局(佐藤医療課長)  それはもう社会医療診療行為別調査できっちり丁寧に出せますので、そこでごらんいた だければと思います。すみませんでした。私は入院基本料の中に一部技術が入っているん だが、その中の技術がとり出して点数みたいなものになるかという御質問かと勘違いをい たしました。 ○嘉山委員  でも、今、佐藤課長は非常にいいことをおっしゃって、日本は出来高なんですね。DP Cはやめるんですね。あなた今そう言ったんだよ。 ○事務局(佐藤医療課長)  DPCは、大きく分けて包括部分と出来高がありまして、手術や大きな検査・処置につ いては出来高でとられておりまして、その点数表で設定されています。  また、DPCの計算をする場合にも、必ず出来高の場合でどういう点数になるかという のを考慮した上で病院から二重にデータをいただいて、それで突き合わせをしながら点数 設定をしているということです。 ○嘉山委員  それは分かっています。ただ、入院基本料は出来高だというような、基本がとおっしゃ ったので、じゃDPCは基本ではないんですねということでいいんですね。 ○遠藤小委員長  その辺のところはまた今後の議論ということにいたして、まだ質問が残っておりました か。 ○嘉山委員  あと、5分。再診の。 ○遠藤小委員長  それでは、一つだけ私のほうから質問があります。先ほど社会医療行為別で医療行為別 の医療費は出せるとおっしゃいましたけれども、例えば入院などもそれで出せるわけです か。何の病気で入院していたらば…… ○事務局(佐藤医療課長)  病名ですか。 ○遠藤小委員長  というか、外科で入院している場合とそうでない場合とかいうような場合は分けられる のですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  診療科名では出てまいりませんで、病名では出すことができます。 ○遠藤小委員長  それでよろしいわけですか。 ○嘉山委員  外科系で。内科系とかですね。さらに、それの内訳ですね。 ○遠藤小委員長  つまり、入院しているところもちゃんと医療費の中で分けられるのかどうかと。それを ちょっと懸念したものですから、問題ないのであれば結構なんですけれども。 ○嘉山委員  いや、先生、結局、不採算部門というのはそこなんですよ。不採算になっているのは、 例えば救急で来てガーゼを急に使わなきゃいけなかったとか、そんなのは全然入っていな いんですよ。ですから、皆さん赤字だ、赤字だとさっきおっしゃったのは。そこをこの中 医協できちっとやってあげないと、手当てしないと、ドクターへのインセンティブととも に物品もそこで計算しないとだめなんです。ですから、そういう切り口をしないとディス カッションできない。 ○遠藤小委員長  わかりました。私の質問に対して多分お答えがあると思いますので、課長、お願いしま す。 ○事務局(佐藤医療課長)  2つありまして、社会医療診療行為別調査の中で、繰り返しますように標榜診療科ごと の点数の算定状況というのは分かりませんので、繰り返しになりますがICDに基づく疾 病コードごとの点数ということになります。  それから2つ目は、後段で嘉山先生がおっしゃった話は部門別収支計算につながる話で ありまして、これはもう私が申し上げるまでもなく、過去、中医協の中でも5カ年にわた って御議論いただいたんですけれども、やっぱり部門別収支計算をルーチンと申しますか、 どこの病院でもやっていただくまでには、まだまだ調査の内容とか方法とか検討しなけれ ばいけないということで、今年も御検討いただいているという状況であります。 ○遠藤小委員長  あと、5分ルールの話でいらっしゃいますね。これはどちらかというと中医協で決めた 議論でありますので、5分ルールを決めたのは、再診料の引き下げと、それから外来管理 加算のどちらをするかというような議論に最終的になったというような経緯があって、最 終的には再診料を引き下げずにこちらのほうをやったということでありまして、ただ、検 証部会で検証はしております。その結果、さまざまな意見が患者さんのほうからあるいは 医療現場から出ておりますので、今後それを含めた検討をすると、どうするかということ については検討項目になると思っております。  よろしいですか。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  初診・再診料で診療側からも意見が出たんですけれども、私どもの考え方は同一の医療 サービスを受けた場合は同一の料金にすべきだというのが基本でございまして、したがっ て、病院と診療所で再診料が違うというのは、私どもとしては納得いかないというのが基 本でございます。  ただ、おっしゃるとおり政策誘導的に病院のほうに外来が集中しないようにという政策 があったのは承知をしておりますので、今後どうするかということについては、初診料、 再診料だけではなくて外来管理加算も含めてトータルで考えるという方向ではないかとい うふうに思っております。  嘉山先生からは、5分という縛りはおかしいじゃないかという御指摘は、私自身も時間 で縛るのはいかがかとは思いますが、逆に患者側からいうと何もなかったのに管理料を取 られちゃうという苦情も我々は受けておりまして、基本的には懇切丁寧な説明をする、あ るいは治療計画を御説明いただくという趣旨が生かされれば、余り時間にこだわっている つもりはございません。 ○嘉山委員  先生、あの…… ○白川委員  すみません、まだ意見の途中でございますのでちょっとすみませんが。  それから、2つ目は、14ページ、15ページに入院外の診療所の診療科別医療費が出 ておりまして、これ診療所でございまして、病院のほうはなかなか、今の佐藤課長の話で はないですが、専門科別の分析は難しいのが現状だと思いますけれども、少なくともこれ で見ますと、14ページの右の表でいきますと、最も危機感が高い小児科とか外科とか産 婦人科の利益率が余り高くないと。2年前の診療報酬改定でも大分手を打ったんですけれ ども、正確に比較したわけではないですけれども、余り効果があらわれていないのかなと 思いまして、再診料・外来管理加算のときは、この辺をちょっと考慮してやらなきゃいけ ないなという気はしておりますが、一方では、その下の15ページを見ますと、やはり診 療科によって初診料、再診料の占める割合が大きく異なっているものですから、非常に複 雑なマトリックスになると思いますけれども、これを何か解決する手だてを我々としても 議論していかなきゃいけないのかなというふうに感じております。今のところは感じだけ でございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  診療科ごとに議論をする必要があるのではないかというご意見ですね。初・再診及びそ の外来管理加算を含めて。そのときには収益率という問題と、もう一つは初・再診料ある いは外来管理加算料が総収入に占める比率、それぞれが診療科ごとに違いますので、その 2つの視点から見ながら検討する必要があるのではないかという、そういう白川委員の御 発言だったわけです。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  まずは白川委員が最初におっしゃいましたが、同じサービスで格差があるのは変だねと。 診療をお受けになる方からしたらそうでしょうね。ですから、さっきのことを私は確認さ せていただいたわけでございまして、病診の医療における役割のすみ分けということの誘 導的な意味があってつけた格差なのか、それ以外に格差の理由があるのかということが、 まず議論の出発点として必要であろうということは思います。  ただ、いつもほかにも、これに限りませんが、これはどうなっているんですかというと、 これはその点数で考慮しました、入っています、入っていますとずっと御説明を我々は受 けてきているわけですけれども、現場で実感ないんですよね。だから、そういう話をして も堂々めぐりになりそうなという感じはずっとしておりまして、今回の政権の方針の中で 医療費の積み上げということをされるんだろうと私は信じておりますので、そうなのであ れば、統一すればいいのではないですかと私は思います。  ただ、一つ条件があるのは、低いほうを高いほうに合わせてくださいと、それだけでご ざいます。つまり、診療所にとってもこれを下げていただくということの論拠、根拠とい うのはない。つまり、片一方を上げて、片一方を下げて真ん中で落としましょうという話 ではないだろうということをまず思っておりますということが1つです。  もう一つ言わせていただきますが、外来管理加算の5分要件でございますが、これを両 担規則に変えたというのは、私は非常に変な話だとずっと感じております。つまり、診療 のやり方について、療養の担当規則にそこから医師の診療行為について御指示を受けると いうのは、非常に我々にとってはある意味不快な話でもございます。  それから、5分間という話で一番対象に恐らくされていたのは、実際には世に言われる 無診投薬というものの実態なんではないかと思うんです。これは、我々からいうと無診投 薬というのは、非常にこれもつらい言われ方でございまして、つまり我々が、込んでいる からあなたは今度は、安定しているしお薬だけでいいよなんていうことを患者さんに言う ことは一切ございません。これはすべて患者さんからの要請で、忙しくてどうしても来ら れないんだけれども、変わりはありませんからお薬だけくださいというのが臨床現場の実 態でございますから。我々から言えば未受診投薬要請なんだということでございます。  その中で、今回のルールの設定で私が一番変に思っておりますのは、結果としていわゆ る無診投薬にしても5分間に関してもこれを算定しない場合と、算定した場合と、この管 理料というのは計画的医学管理について考えたもの。  ですから、さっき白川委員が何もしていないのにとおっしゃいましたが、それは我々が というか国全体が患者さん方に説明しないといけないのかも分からないけれども、医師が 頭の中で一生懸命考え計画を立て、そういうことの技術料でございますので、つまりは、 診療の結果について、例えば我々が民事裁判上問われるであろう刑事的な責任も含めて、 そこに対する技術料でございますから。  ということは、これを今回の22年度の改定でそれを取っていい場合と取っていけない 場合というのを2つつくったんですよね。社会通念としたら、取っていい場合と取ってい けない場合と2つつくるということは、当然取らなかった場合には責任は軽減されなけれ ばならないわけであります。技術料の対価ということであれば。しかし、そのことについ ては一切の議論をここではされてはいない。それが国家の統制の点数の中でやるわけです から、それを非常に不合理に思っております。  それから、無診投薬についてはさっき申し上げました。未受診投薬要請でございます。 このほうが、我々からいうとリスクは高いわけです。その結果に対して問われる技術料で すから。ということなのであれば、患者さんのインセンティブを誘導するということも考 えれば、むしろ未受診投薬のほうの点数設定を高くすることでそういうことをされないよ うにするということも一つの方法だというふうに考えますし、そのほうが我々の高くなっ ているリスクに対する保障としても正しいんではないか。原理原則的にいえば、外来管理 加算、5分間要件についてはこういう話だろうと思います。  というわけで、結論としては、当然撤廃していただきたい。これは政権公約でもありま すので、撤廃してまずしっかりもとに戻していただきたい。そう私は考えております。 ○遠藤小委員長  嘉山委員。 ○嘉山委員  白川委員には御理解願いたいんですが、私は現場を知っている人間として意見を言って います。5分間が今一番問題になるのはインフルエンザです。新型インフルエンザで、今 もう患者さんがどんどん山のように小児科なり内科に行っていて、5分ルールなんていう のをやっていると、もう患者さん待ち切れないというようなことがあって大混乱が起きま すので、これは先生には御理解願いたいんですが、私は現場の声として何とか理解してい ただきたいと思って5分間ルールは外してほしいと。外さなければならないと。現場が混 乱するということで御理解願いたいというふうに思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  1号側、何か御意見ございますか。あるいはもう少し議論をして、ある程度まとまった 段階で御発言いただくという、そういうスタンスととらえてよろしいですか。  それでは、本日は2号側のほうからいろいろと御意見が出たということでありますが、 もう13時になりまして、もう一つ認知症対策というのがあるんですが、これはさすがに これからやるということはできないと思いますので、認知症対策についてはまた後日とい うことにして、本日は初・再診料のキックオフのような話でありましたけれども、重要な 観点でありますので、今後また、本日の御議論を踏まえまして審議を続けていきたいと思 います。  本日の基本小委はこれで終了したいと思います。  何か事務局のほうからございますでしょうか。 ○事務局(佐藤医療課長)  次回は11月11日を予定しております。  以上です。 ○遠藤小委員長  それでは、皆さん、長時間どうもありがとうございました。  これにて、基本問題小委、閉会にしたいと思います。ありがとうございます。         【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)