09/11/04 平成21年11月4日中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録 09/11/04 中央社会保険医療協議会          第144回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成21年11月4日(水)10:24〜12:54 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 森田朗委員       小林剛委員(代 貝谷) 白川修二委員 中島圭子委員        勝村久司委員 北村光一委員       伊藤文郎委員       安達秀樹委員 嘉山孝正委員 鈴木邦彦委員 西澤寛俊委員        邉見公雄委員 渡辺三雄委員 三浦洋嗣委員       北村善明専門委員 坂本すが専門委員        <参考人>       西岡清DPC評価分科会長        <事務局>       外口保険局長 唐澤審議官 佐藤医療課長 迫井医療課企画官        磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○DPCについて       ○病院勤務医の負担軽減について       ○精神医療について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤小委員長  それでは、委員の皆様全員御着席ですので、これから第144回中央社会保険医療協議 会診療報酬基本問題小委員会を開催したいと思います。  まず、本日の出席状況について御報告いたします。本日は高橋委員が御欠席です。また、 小林剛委員のかわりに貝谷さんが御出席されております。  それでは、議事に移ります。  まず、DPCについてを議題といたします。  DPCの議論につきましては、これまでもそうでありましたけれども、診療報酬調査専 門組織のDPC分科会と基本問題小委の間で連携しながら議論を進めてまいりました。現 在は、新たな機能評価係数をどのようなものにするかということで、DPC分科会のほう で集中的に御議論いただいておりまして、その経過を適宜御報告いただいているところで ありまして、本日も西岡分科会長からその経過について御報告をいただくことになってお ります。  それでは、西岡分科会長、よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  西岡でございます。どうぞよろしくお願いします。  DPCにおきまして調整係数の廃止及び新たな機能評価係数を設定するという作業を行 っております。  この考え方の基本でございますが、DPC制度を円滑導入するという観点から調整係数 が設定されました。その中でこの調整係数が持つ意味というものが、まず出来高から包括 制度へ移行する際の激変緩和ということで、前年度並みの収入を確保するということが一 つでございます。さらに、この調整係数の中には、重症患者への対応能力・高度医療提供 能力等、診断群分類に基づく評価のみでは対応できない病院機能が含まれているというこ とでございます。それを評価するという意味での役割を持っておりました。  平成20年12月17日の中医協基本問題小委員会の合意におきまして、1の役割、す なわち前年度並みの収入確保ということは段階的に廃止し、2の役割でございます診断群 分類に基づく評価のみでは対応できない病院機能の評価という役割を新たな機能評価係数 として評価することとされています。  今般、特別調査を行いました。これにつきまして御報告させていただきますが、この新 たな機能評価係数の項目を具体的に挙げましたところ、30を超える項目が出てまいりま した。その項目の設定の仕方の基本的な考え方は、お手元の資料、参考資料1にございま す7つの項目によっております。急性期医療を評価する、あるいは医療全体の質の向上を 期待できること、それから社会的に求められる機能、地域医療での貢献といった視点を考 えて項目を挙げました。  それを1枚めくっていただきますと、これはさらに絞り込むということで、絞り込みの ための考え方というものが次のページにございます。  その結果として、最終的には、その次のページにございます次期改定での導入が妥当と 考えられた項目が4項目ございます。これについては、この基本問題小委員会において、 それは妥当ではないかというお答えをいただいております。  さらに、次期改定での導入を検討するためにデータ分析が必要ではないかということで、 6つの項目が挙がっております。今回、特別調査をいたしましたのはこの6つの項目の右 欄の黒丸の項目でございます。救急に対するもの、それから診療ガイドラインに対するも の等について調査いたしております。特にそのときに救急医療あるいはチーム医療といっ たことが非常に重要であるということが指摘されております。  その結果が資料診−1−2で、これがすべてのデータをまとめ上げて集計したものでご ざいます。  それをグラフ化したものが診−1−3でございます。ここにグラフ化したものを出して ございます。これは、特に救急医療とチーム医療等についての資料でございます。これは 現時点では最終的なものではございませんで、さらにこの分析を継続いたしまして、そし てその分析結果につきましては、さらにこの基本問題小委員会のほうに報告させていただ きたいと考えてございます。グラフのほうの細かい御説明は省かせていただきます。  それから、これまでに報告させていただきました件のうちで一つ間違いが見つかりまし たので、それについて報告させていただきます。これは診−1−4のデータでございます。 ここで効率性指数、その裏側に複雑性指数というのがございます。これは、全病院の平均 在院日数というもので出すことになってございますが、実際には各施設の診断群分類に相 当する患者についての平均在院日数ということで処理してしまったということでございま す。それを修正いたしましたものがそれぞれのページの下の欄に出てございます。大きな 傾向としては特に変化はございませんが、ただ箱ひげ図の幅が少し広がったという傾向が 見られます。  私どもの現在行っておりますことの御報告は以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  事務局から補足はございますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  特にございません。 ○遠藤小委員長  それでは、せっかくこの調査もされておりますので、調査の中身についてと、その結果 についてどういうことが議論されているのかということについて、簡潔で結構ですけれど も、少し御説明いただくと議論の取っかかりができますので、よろしくお願いします。 ○西岡分科会長  ちょっと端折りまして、申しわけございません。  まず、グラフの資料診−1−3、新たな機能評価係数に係る特別調査というものでござ いますが、1枚めくっていただきますと、上のスライドのページの5のところに、救急車 搬送に関するデータが出てございます。この部分で救急車搬送の割合が、一次救急だけを やっておられるところ、あるいは一次から二次までやっておられるところ、一次から三次 までの救急を受けておられるところという形で分類しています。このグラフ上では差が出 てまいりまして、三次まで受けているところのほうが多く救急車の搬送を受けておられる ということでございます。  また、救急をどういう形でやっているかといったことを出してございます。これでは、 毎日救急をやっておられるところのほうが多く救急車を受け入れていただいているという ことになります。  また、次のページは、どういった形の体制をとっているかということを示してございま す。これでは、医師が専従の場合、あるいは専従でなく兼任の場合、それからオンコール 体制かどうかといったことでデータが出てきております。  看護師についても同じような傾向で出てございます。  それから、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技師などがどういった形で救 急を受け入れる体制をつくっているかといったことが、データとして出てまいりました。 これらで差がものすごく明らかに出てくるものに関しては、それをうまく使うことによっ て機能評価の係数になるのではないかと思っておりますが、平均値と中央値として差が出 てこないようなものにつきましても、各施設間での役割というものの中で差がございます ので、それについても係数として使えるかどうかといった形での取り組みをやりたいと考 えています。  そのほか、救急ではどのくらいの数の診療科を整えておられるかということ、それから 初期救急の患者さんの場合にどれぐらい救急車の搬送があるか、あるいは二次救急ではど うか、三次救急ではどうかといったことが出てございます。  それから、救急の場合にトリアージが必要になってまいりますので、このトリアージが どのような形で実施されているか。主として医師、それから看護師、医師と看護師両方と いったところがメインに行われているところでございます。  さらに、この診療の質ということで、診療ガイドラインにどのくらい準拠しているかと いうことを調査してございます。これに関して診療ガイドラインに準拠しているところが 非常に多く出てきているということでございます。  このガイドラインから外れるような形での症例をどうするかというのが25ページの場 合ですが、いろいろな病院内でのカンファレンスその他を行われているということが出て おります。これが平均在院日数に対してどのくらい関与しているかということですが、平 均在院日数から見ますと、これでは大きな差は出ておりません。  さらに、ガイドラインと同様に、クリニカルパスがDPCを導入いたしましてかなり多 く使われるようになってきております。これについても、同様の在院日数との関係等でど れぐらいの効果が出ているかということをグラフ化したものでございます。  それともう一つ、チーム医療ということで、どういった人員配置が行われているかとい うのが……。 ○嘉山委員  会長、ちょっとよろしいですか。 ○遠藤小委員長  はい。 ○嘉山委員  ずっとさっきの会議も、安達委員の質問は13分、そのほかの説明が45分なんです。 私は、西岡先生は学部長会議からよく存じ上げていて、尊敬している先生の一人なんです が、この資料はもう渡されているわけですから……。 ○遠藤小委員長  すみません。私が説明を促したので。 ○嘉山委員  ですから、それよりは、DPCの医療費を決めるのであれば、何が問題になっているか ということで議論をしたほうが、国民のためにはなると思うんです。ですから、そのこと を優先していただけないと、ただ座って説明を聞いているだけで、これはもう渡されてい て、見れば、ここで委員の先生方になっているようなIQがあれば分かることだと思いま すので、かいつまんでなら構わないんですが、このままでいくと何分説明を聞いていなけ ればならないのか分からないので、議論が全くできませんから。 ○遠藤小委員長  わかりました。多分西岡分科会長はその辺を斟酌されて御報告されなかったんだと思い ましたけれど、今回初めて調査報告が出てきたものですから、それを基本的に……。 ○嘉山委員  それはよく了解するんですけれども、今までの会の流れを見ていると、余りにも議論が なくて……。 ○遠藤小委員長  それは全く同感です。私は前回申し上げましたように、議論をできるだけ多くというこ とで……。 ○嘉山委員  ええ、先生がおっしゃったとおりです。ですから、西岡先生にはかいつまんでお願いし たいと思うんですが。 ○遠藤小委員長  もう終わりですね。クリニカルパスまで来ていますから。 ○西岡分科会長  はい、もう終わっているのですが、実際には、御質問をいただいたために、ごく簡単に 説明させていただきました。 ○遠藤小委員長  私の議事の運営の問題もありまして、いろいろと御迷惑をおかけしております。  それで、一つだけ私がお聞きしたいのは、今回この特別調査をした目的というのは、そ もそも6つの候補が使えるかどうかということを調べるためであったわけですけれども、 その辺のところで専門組織、分科会のほうではどのような議論、結論になったのか、そこ を簡単にお知らせいただけますか。 ○西岡分科会長  最初のときに申し上げましたように、うまく差が出ているものに関しましては、機能評 価係数の候補として採用させていただきたいと思っておりますが、差が出ていないものに 関しましても、これは縦軸と横軸のとり方によって差が出てくる可能性がございます。そ ういった意味での分析をさらに行いまして、それを機能評価係数のほうに挙げていきたい というのが、今の議論の傾向でございます。 ○遠藤小委員長  分かりました。そうすると、まだこれがというものに絞られているという状況ではない と理解してよろしいわけですね。 ○西岡分科会長  はい。 ○遠藤小委員長  分かりました。ありがとうございます。  事務局、何かつけ加えることはありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  特にございません。 ○遠藤小委員長  それでは、そのような形で今御報告がありました。新たな機能係数に何を採用するかと いう議論をしているわけでありますけれども、それに直接関係しない話でもDPCの話で あれば結構でございますから、皆さんの御意見、御質問をいただきたいと思います。では 嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  この調査を拝見しますと、大都会で医師が十分というか、日本は東京でも足りないんで すけれども、そういう状況の中でのデータをとっていて、いわゆる箱をつくって、それで DPCをやられているところはいい結果が出ているといったことになっていると思うんで すけれども、今の日本の医療の崩壊を防ぐためには、田舎というか、人口の少ないところ で医師も少ないところでということを考慮しないと、DPCの係数を決めるときに、さら に崩壊していく。政権がかわって、何しろ医療崩壊を食いとめたいというのが今の政権の 考えですから、その辺のところは西岡先生はどのように対応されるのでしょうか。  それからもう一つは、すごく手間がかかるようなものに対して、あるいは新たな医療を やらなければ、自然科学を相手にしているものですから、先生も大学にいらっしゃったん ですから、我々が自然科学を相手にしているときには、DPCではどうしても不採算部門 になってしまうところがあるんです。そうすると、日本の医療の萎縮が起きる。先ほど北 村委員からこれからバイオはどうなるんだということがありましたけれども、そのバイオ を我々はやりたいんですけれども、なかなかこういう制度的なものでやれないところもあ るんです。ですから、そういうことも含めて、例えば最先端というか、これから治験をや っていくとか、あるいは研究をやっていくとか、何も大学だけでなくて、ナショナルセン ターでも研究をやっていますので、そのようなことに関してのDPCは、かなり赤という か、不採算になっているんです。その辺のお考えはいかがでしょうか。つまり、日本の地 域医療を再生すること、それから自然科学を相手にしていて新たなことをやるときにこの DPCに関しては非常に問題があるところがあるんです。それはデータがありますけれど も、そういうことに関してお考えをお聞きしたいんですが。 ○遠藤小委員長  地方の問題と、それから高機能の医療についてということです。もし御意見があれば、 西岡先生、よろしくお願いします。 ○西岡分科会長  この集計された資料でございますが、これは全国の小さな病院も全部入っております。 DPCが今1,283病院ですか、それに広がってございますので、そのデータがすべて、 ここでは1,544のものが入っています。その中で、特に地域の場合にはどのようにす るかという議論も現在行っているところでございます。我々の分科会の中には地域御出身 の委員の方もおられまして、地域に手厚い形でできないかといったことで考えております。 その実際に関してはこの基本問題小委員会のほうでお決めいただくことになると思うんで すが、私たちとしては、DPCは非常にありがたいことに、これはデータがございますの で、データを出して、そのデータに基づいて行っていくといった提言をさせていただくと いうことが我々の役割です。  それから2つ目の御意見の先端医療に関しましては、先端医療が開発されるところでは、 別のところに先端医療の委員会がございますので、そこで御検討いただくということで、 そのもの自身がこの一般医療に入ってきましたときに、さらに分岐して、それに対して手 厚い医療費を出していただきたいということをお願いするのが私たちの役割と考えており ます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  では、嘉山委員、続けてどうぞ。 ○嘉山委員  現場の声をちょっと出させていただきますと、実際には、DPCをやれるようなデータ を出せるところは問題ないんです。ただし、方向性としては今DPCを日本全国にかけよ うとしているわけですから、これから入ってくるであろうというところでは困っていると ころもあるのではないかと思うんです。それからもう一つは、先生がおっしゃるような先 端のところでやるのは、先端のところでやりなさいというのではなくて、前の慶応の医学 部長の北島先生も今、内閣府で、要するにクリニカルリサーチが日本は非常に落ちている んです。クリニカルリサーチというのは、いわゆる一般の医療の中でも日常的にやってい かなければならない研究なんです。その研究がかなり落ちている。そのいい例が、医学界 の最高の雑誌であるニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに、昨年度と一 昨年度は、がんに関する日本のクリニカルリサーチはゼロです。これは我々としては大シ ョックだったんですけれども、それだけ現場が疲弊している。その疲弊しているのは一つ には人間的なもの、ソフトの面もあるんですけれども、ハードの面、つまり医療費がそう いうところにDPCで出ていっていない。したがって、そういうクリニカルリサーチ、つ まり動物実験ではない、人間を相手にしたリサーチができない。ですから、北村先生、人 間を相手にしたリサーチができないと、これは薬が開発できないんです。ですから、日本 の医療産業が今負けているのは、この人間を相手にしたリサーチができないからです。そ れの一つの足かせになっているものがDPCだと、現場では至る学会でそれが出ているん です。ですから、そのような医療費の配分をしないと日本が世界から取り残されていくと 思いますので、その辺は御配慮願いたいと思うんです。 ○遠藤小委員長  一つよろしいですか。御配慮といいますが、最終的に点数をどうするのかというのは我 々が決める話であります。今のお話は、クリニカルリサーチの一つの障害としてDPCの 支払方法が関係しているのだから、その辺を配慮したような形を考えるべきだという御提 案だと受けとめました。 ○嘉山委員  それは具体的に提案しろと言われればいつでもさせていただきますが、例えば脳卒中の 最先端のクリニカルリサーチは今全くとまっています。なぜかというと、例えば検査料一 つもDPCで丸めてやられていますから、その辺のことは変えていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  ただ、機能係数案の中で、既に妥当だと思われている項目には、明らかに高機能病院に は点数が取れるような内容のものも入っているわけです。たとえば、多様な診断群をカバ ーしているところには高い点数をつけましょうというのが一つ挙がっている。そういうと ころで比較的カバーをするというところがあるのですが、よりそれを明確にするべきだと いう御主張ですか。 ○嘉山委員  明確にして、さらに検証していただきたいんです。こういう制度設計をしたときに、日 本は大体シミュレーションしないんです。大体シミュレーションするのに都合のいいデー タしか使いませんから。そうではなくて、現場でやっている学会――学会に任せるのがい いかどうかは分かりませんけれども、現場をよく知っているところにシミュレーションを お願いするということにすれば、この制度は、制度設計がきちんと機能するかどうかが分 かるので、そのようなこともやっていただければと思います。やるべきだと思います。 ○遠藤小委員長  それでは、西岡分科会長、分科会の運営のスケジュールからいって、今のようなお話は 可能でしょうか。私見で結構でございます。 ○西岡分科会長  私見になりますと、すごく長いディスカッションになってしまうと思うんですが、先生 がおっしゃるのはもっともで、確かにいろいろなところで指摘されるところでございます。 私たちのところでは、DPCとして、実際には使われた医療費と、それからDPCでいた だいた医療費が既にデータとして全部ございます。その中でどれだけずれがあるか。マイ ナスの面があるか。その中で最もマイナス面が指摘されておりましたのが救急医療でござ います。それで、まずこの救急医療についてDPCとして何をやっていくかということを やっております。  それから、臨床研究に関しては、これはDPCだけで臨床研究が減ったとは私は決して 考えておりません。もっと大きな変化が大学にあったということを私は考えております。 この議論はちょっと別にさせていただけますでしょうか。これは先生とやると2、3時間 かかるかもしれませんので、申しわけございません。 ○遠藤小委員長  臨床研究が日本は後れているという話はいろいろなところで指摘される話ですが、ただ、 それは日本の医療体制、医療保険制度全体を含めた議論であって、DPCの問題とどこま で関連づけるかというところは議論のあるところだと思います。ただ、御指摘をいただい たということは承りましたので、今後の議論の中でまた深めていきたいと思います。よろ しいですか。 ○嘉山委員  最後に一言。そのようにマルチファクトリアルなことは間違いないのですけれども、D PCもその影響の全部とは言いませんが、一つですから、改善しなければいけないという ことです。 ○遠藤小委員長  わかりました。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  DPCはそもそも、私どもの感覚からしますと、前政権における医療費抑制政策の一環 として導入された気が強くいたします。厚労省は、質の向上と効率性が同時に達成されつ つあるといった評価をされているようですが、質の向上には基本的にコストがかかるとい うことを前提にしていただかないと、医療がどんどん荒廃してしまうと思います。私ども は地方の過疎地にある民間病院ですが、何とか頑張ってDPCを7月から取りましたけれ ども、9月の収支差益はたった12万円です。本当に朝から晩まで頑張っても1カ月に1 2万円しか病棟として利益が出ないなどという、もともとが安過ぎるのです。この調整係 数の廃止ということが言われていますが、新たな機能係数というのは高度医療とか救急医 療といったものをかなりやらないと上乗せされていかない。そうすると、今何とか頑張っ てDPCの病院になっている病院はもう大幅に減収になるということが予想されます。そ ういった地方の医療をさらに混乱させるようなことはやめてほしいと思いますので、ぜひ 新しい調整係数、それから機能係数、あるいは調整係数の廃止が行われても、普通にまと もにやっていれば経営が成り立つような、基本的な収支がとれる点数にしてほしいと、そ れを強く希望いたします。 ○遠藤小委員長  わかりました。  西岡分科会長、分科会でも似たような議論というのは随分されていると私は承知してお りますけれども、その辺について何かございますか。 ○西岡分科会長  私たちは、最終決定まで出すところではございませんので、それに向かっての提案とい うのをやってきているところでございます。例えば、これまでにも、今回はこの10項目 だけになっているのですが、それまでに挙がりました項目は35ぐらいあります。今回は 時間的に間に合わないということでこの10項目だけに絞らせていただいています。その 中に、例えば大学病院をどのようにしてくれるのかという意見もありました。そういった 議論も出て、特定機能病院の係数をもうちょっと上昇させるべきであるといったことも意 見として出ております。それから、地域での活動にうまく合うような形での機能評価係数 を引っ張り出せといったことも項目として挙がっておりますので、それらについてずっと 議論を続けているところでございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。そういう議論、高機能の病院を今後どうするのかという議論、 それから地方の病院をどうするのかという議論も十分議論されてきているということであ ります。  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  私は、大学の立場で先ほどお話ししたのではないんです。実は大学ではなくて、一般の 普通の病院でもクリニカルリサーチはきちんとやらなければいけないんです。日本の医療 のレベルが高いのは、普通の開業の先生も含めて、アカデミックバックグラウンドがある からなんです。ですから、大学だけのことを言っているわけではなくて、例えば、私は脳 卒中が専門なので、脳卒中で言えば、手術をしないでお薬を使っていたほうがずっと経営 的には3倍ぐらい楽なんです。ですから、本当に患者を助けようと思っている医者が疲弊 してしまうのは、頑張っても頑張ってもそれが医療費に反映されてこないので、それで疲 弊していくのです。それは、先生がおっしゃった救急もそうです。ですから、私が言った 話は大学だけではなくて、日本医療全体の問題なので、このDPCの考え方をもうちょっ と変えなければいけない時期に来ているのではないかなと思います。 ○遠藤小委員長  DPCの基本的な考え方云々というのはまさにこの基本小委の議論ということになりま す。時間がかなり限られてはいますけれども、ここでの議論ということになります。分科 会はテクニカルなことをお願いしています。その辺の役割分担があります。  ほかにございますでしょうか。貝谷さん、どうぞ。 ○小林(剛)委員(代理 貝谷氏)  1点だけ質問させてください。DPCそのものは、我々保険者や加入者の目から見まし て、医療の質の向上ということで、大変期待する声が大きいです。今回、検討項目の6項 目の中で、幾つか調査結果を出していただきましたけれども、医療の質に関しては公開の 点が1点入っていたかと思ういます。これについては今回の調査に入っていたのか、ある いは別途の対応を何か予定されているのか、お聞きしたいと思います。 ○遠藤小委員長  分科会長、よろしくお願いします。 ○西岡分科会長  この医療の質の評価に対する公開ということでございますが、これはこれまでにも少し ずつ毎年出しているんでございます。それをさらに進めて公開していこうという形で進ん でおります。その指標となるものをMDC調査班にお願いして提出していただいていると ころでございます。その指標が出てきましたら、それをデータといたしまして、毎回出し ておりますDPCの評価を分科会の報告書にも掲載していくという形にしたいと考えてお ります。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  はい、どうぞ。 ○小林(剛)委員(代理 貝谷氏)  残り少ない時間の中で今お話のようなこともやっていただきたいと思うんですけれども、 最終的に今回のDPCの見直しの中で、6項目は検討事項ということになっておりまして、 その辺の状況といいますか、要するに何とか項目になるのか、当面はなかなか難しいのか、 その辺の感じが、分科会の中での御議論が分かればありがたいと思いますが。 ○西岡分科会長  救急とか、それから救急に対する人員配置、あるいは全体のチーム医療の問題といった ものは、係数になる可能性があると思います。ただ、ガイドラインに準拠しているかどう かと、クリニカルパスに関してはどうかというのは、目下議論中でございまして、係数に なるかどうかというのをまだ検討しているところでございます。  そんなお答えでよろしいでしょうか。 ○遠藤小委員長  よろしいでしょうか。 ○小林(剛)委員(代理 貝谷氏)  すみません、最後の医療の質の公開の点は、同じような状況なんでしょうか。 ○西岡分科会長  質の公開は、これは本来は各施設がホームページ等で公開されていいのかとは思うんで すが、同じ基準のもとでDPCのデータをもとにした形でのものを私たちのほうから公開 していくという形で進めさせていただきたいと思っております。 ○遠藤小委員長  では、牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  特別調査に関しては別に質問はありませんが、先ほど診−1−4で修正というお話があ りまして、DPCを導入したことには幾つかの目的、意図があったと思います。そういう 意味でこの指標というのは非常に重要だと思います。たしか何回か前に私は質問させてい ただいたと思います。効率性指数はまだいいとして、複雑性指数がよく分からないし、こ の概念を的確にあらわすような名称を考えていただきたいというお願いをしましたが、そ の後そちらの組織では何かその辺について検討が行われているでしょうか。 ○西岡分科会長  これはまことに申しわけありません。この議論をさせていただきます。それとあとカバ ー率という名称とがあったのですが、委員の間ではこのままのほうが分かりやすいのでは ないかということで、また検討はさせていただきたいとは思っております。この複雑性指 数というのは、同じ患者を診ながら長く時間がかかるような患者さんを受け入れていらっ しゃる施設に対して評価しようということでございますが、それに対して名称を考えさせ ていただきます。 ○遠藤小委員長  なかなかまとまらないようであれば、要するに幾つか事務局でつくっていただいてここ に出していただいて、ここで決めますので、それほど大したことではありません。確かに 誤解を招くような、あるいは中身がよく分からないということは、もう随分議論されてお りますので、最終的に決まるまでに決めればいいと思います。もし御意見がまとまるよう であれば、そちらでまとめていただくということだと思います。よろしくお願いします。  ほかにございますか。安達委員、どうぞ。 ○安達委員  小林委員から、質の向上を期待するという御意見がありました。質の内容を公表すると いうお話が今あったんですけれども、前から問題なんだろうと思いますが、私は新任なの で、ここでどれぐらいまで議論されたか分かりませんけれども、伺っておりますと議論さ れた形跡は過去にもあると思いますが、要はこのDPCで平均在院日数を決めている。し かもそれをだんだん短縮していく傾向にこれまであった。その結果としてのいわゆる再発 率あるいは完治に至らないままの退院というものがけっこうふえているという実感は、我 々開業医にとっても、御紹介して診ていただいて患者さんが帰ってくる、その後の経過と いうものを見ていても確かにございます。その質の評価をするときに、いわゆる疾患によ っては難しいでしょうけれども、再発率あるいは悪化率というか、ではもう少し入院期間 があったらこういう再発は起こらなかったのかどうかと、これも難しいと思いますけれど も、本当はそれを評価しないと、医療を受ける人にとっては「私は治ったという実感はな いんだけれども、帰りなさいと言われた」という話は医療現場ではしばしばあるわけでご ざいます。これは、一つの非常に大きなDPCの平均在院日数としての欠点はそこにある のではないかと思いますので、質の評価としてそういうものを何か評価されることをお考 えになっていらっしゃるのかどうかということをお尋ねします。 ○遠藤小委員長  分科会でやられた調査では、DPCの経過をずっと追いかけております。その中で質の 評価ということで、転帰とか再入院率の変化はずっと追っていますただ、ここでの議論で は、それでは不十分だという議論もまた一方ではありました。何かこの辺について、分科 会長、ございますか。 ○西岡分科会長  これはもう繰り返された御議論でございますが、私たちのところでは、6週間以内の再 入院率というものを出してございます。その中身には再入院の理由というものを挙げてい ます。実際にはDPCが始まりましてから再入院率が高くなってきております。その内容 は何かといいますと、高くなっている部分は、化学療法の繰り返しとか放射線療法の繰り 返しが主でございます。その他の予期しない再入院というのはほとんど変わっておりませ ん。そういった意味で、実際にはがんの化学療法などに関しましては各施設の方々が非常 に効率的におやりになっておられるのでないかと考えております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。そのような形でこれまでも質の評価をしてきたということで す。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  今、がんのお話が出ましたが、確かに大学病院などでもそれは効率よくやってくださっ ているんです。これはDPCの直接の議論ではないかもしれませんけれども、そこでもう、 例えば抗がん剤の効果に限界が来たという医学的判断は当然ございます。そのときに、そ こで治療がとまるんです。あと受け皿は何があるのかと考えてみると、結局ホスピスしか ないんです。だけれども、ホスピスまでの距離というのは相当ありまして、その方の限ら れた生活、命というものをどういう受け皿でやるのかというのが全く今の日本の診療報酬 体系も含めた医療システムの中には欠落しているのではないか。そのところを非常に個人 的に頑張って請け負う療養施設等がごくわずかにございます。でありますので、そういう 療養施設は、例えば姫路市にある療養施設は、大阪の成人病センター等からも依頼を受け るといった状況になっております。これはどうしても考えないといけないことでありまし て、がんという宿命的なというか、最終的には生命に終わりがあるという疾患が見舞われ た方がその残りの部分をどれだけ生き生きと人間らしく生きられるかという点で、治療有 効が終了した後のホスピスまでの距離をどうするのかということは、ぜひどこかで議論さ れるべきだろうと感じております。 ○遠藤小委員長  重要な御指摘だと思います。DPCの議論ではないと思いますけれども、療養病床の中 で緩和ケアをどうするのか、そういった議論の一環になるのかなと思います。また御指摘 をいただきたいと思っております。  ほかにございますか。北村委員、どうぞ。 ○北村(光)委員  診−1−1に書いてありますとおり、平成20年12月17日の中医協の基本小委でこ のような決定がなされて、現在この具体的な検討が進められているわけですけれども、こ の減収補償的な調整係数が廃止され、これも激変緩和とおっしゃっているからには、激変 が起こるであろうという前提で考えられている。ですから、それを緩和する。そうすると、 その期間はどのぐらいなんだろうかとか、それから係数というのはどうなのか。そして、 その段階的な期間が終了した後、病院の経営というのは、やはりその病院の持つ機能のあ れによって、プラスになる病院もあれば、マイナスになってしまう病院もあるのか。ある いは、「新たな「機能評価係数」に関する基本的考え方」の6番に書いてあるとおり、プ ラスの係数を原則ということで、すべての病院がプラスになるのか。まず、これからの期 間がどのぐらい、いつごろ考えられるのか。これはやはり、いろいろな病院でDPCに変 更するのに大変時間がかかって、いろいろ大変なようですから、そういうことも考えると、 いつ決めて、いつごろからスタートするのか。それから、激変というのはどういうことな のかなといった疑問を持っております。 ○遠藤小委員長  実は半分以上、私も思っていることでありまして、これは非常に重要なことです。つま り、機能係数を何にするかということ以外に、今後どういう展開をしていくのかというこ とです。2年に一度DPCの価格が下がっています。調整係数というのはそれを補てんし ていますから、それがなくなれば、基本的には報酬が下がるということになるわけです。 診療報酬が下がらないということであれば、そこを機能係数でどこまで補償するかという 話になります。いろいろな影響があるものですから、本来その議論にも入っていかなけれ ばならない。それはここでやらなければいけない話ですが、大きな問題をまだ抱えている ということです。  せっかくその話が出たので、これは事務局にお聞きするほうがいいと思いますけれども、 まずは機能係数がいつごろ、ある程度分科会としてまとまった案として出てくるか。これ に対して、ただいま、また違った視点からの議論も出ていますから、ここでまた調整する 必要もあるのでお聞きします。と同時に、今後、例えば段階的といったら何年間するのか とか、さまざまな議論をやらなければいけませんので、その辺のスケジュール観をお聞き したいと思いますけれども、いかがでしょうか。課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長からお答えいたします。  今日お示しいただきましたが、調査の結果が出てから新たな機能評価係数を検討してい くという手順でしょうから、これで完璧ではありませんけれども、データを見ていただい たので、これをもとにいよいよ新たな機能評価係数の候補案が決まるだろうと思います。 そうしますと、早い段階でここにも御提示できるだろうと思います。  それから2つ目は、調整係数を段階的に廃止するといった場合の段階的をどうするかに ついては、分科会でも御議論いただくし、また最終的には基本小委でも御相談させていた だくことになるだろうと思います。 ○遠藤小委員長  という、なかなかいろいろな決めなければいけない案件が残っておりますので、できる だけ早く機能係数の素案をお出しいただければ、今度はこちらの議論が活発にできると思 いますので、その辺のところは大変申しわけありませんが、分科会としてよろしくお願い いたします。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今のステップですけれども、一番初めは平成22年を目途に調整係数を廃止するという ことになっていましたけれども、2つ目の、この調整係数には前年度の収入を補償する以 外のファクターがたくさんあるということをここでもお認めいただいて、それを調整係数 1回ではちょっと危ない、それが全部カバーできないのではないかということで、少なく とも2回というところまではいっているわけですが、2回でも危なければ3回と、いつま でというのはちょっと分かりにくいですけれども、現場の病院には、先ほど鈴木委員がお っしゃったように、いろいろなことで今もうぎりぎりとか、今でも赤字のところはいっぱ いあるわけです。だから、ぼんやりしていて赤字というのだったら当然かも分かりません が、ちゃんとやっても赤字というのはちょっとおかしいですから、その辺を考慮しながら この議論を進めていかなければいけないのではないかと思います。 ○遠藤小委員長  私もほぼ同じような考え方を持っております。  それでは、勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  先ほど質問されたのと同じことかもしれないんですが、ちょっと要望なんですけれども、 参考資料の、次期改定で導入が妥当と考えられた項目4つと、さらに検討すべきという6 項目ですけれども、次期改定での導入を検討するため、さらにデータ分析や追加の調査を 実施すべきとされた項目の6項目は、それぞれ、もし出来高であれば、患者の視点からす ると、やはり価値が高いというか、しっかりそれを評価していきたいと思うことがここに 並んでいると思いますの。なので、ちょっとテクニカルな調整係数について、いろいろ課 題があってそれらを検討されているところと理解しているのですけれども、限られた時間 ではありますけれど、何らかの形でこれらを評価できるような形をぜひお願いしたいとい うことが一つ目です。  もう一つの要望は、先ほど牛丸委員からもありましたけれども、前々回の改訂のときに、 患者の視点を重視していこうということで、かなり分かりにくい言葉づかいになっている 名称をできるだけ分かりやすい言葉に変えていこうということが言われていたのにもかか わらず、余りできてこなかったので、前回は、今度こそきちんと分かりやすい名称にしま しょうと言っていたけれども、やはりいま一つできなかったと思いますので、4年越し、 6年越しになってきていると思いますので、委員長がおっしゃられるように、今度の改定 に向けては、ちょっと暗号のようになってしまっている名称や言葉を事務局のレベルでで きるだけわかりやすい表現になるようにいろいろ変えていただけるものならお願いしたい なと思います。 ○遠藤小委員長  ネーミングについては、ここで皆さんからお聞きして決めてもよろしいわけです。最終 決定権はここにあるわけですから、そういうことで、少し考えてよさそうなアイデアは練 っていただくということであります。私も前からこの問題については申し上げておりまし たので。  ほかにございますか。よろしゅうございますか。  本日は調査報告をベースに御報告をいただいたわけでありますけれども、分科会のほう ではかなり積極的に議論していただいておりますけれども、時間もかなり迫ってきており ますので、できるだけ早い段階である程度おまとめいただけるような御努力をまたお願い したいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。  それでは、説明のあった件につきましては、小委員会として承認したということにさせ ていただきます。  西岡分科会長におかれましては、長時間、本当にどうもありがとうございました。 〔西岡分科会長退席〕 ○遠藤小委員長  続きまして、病院勤務医の負担軽減についてを議題といたします。  事務局から資料が出されておりますので、簡潔に説明をお願いいたします。 ○事務局(佐藤医療課長)  委員の方にはあらかじめ資料をお渡ししておりますので、ポイントを絞ってお話しいた します。前回同様、診−2という本体と参考資料とで構成されております。参考資料のほ うを先に御説明いたします。  ごらんいただけますように、病院勤務医の負担軽減には(1)、(2)、(3)の3つのフェーズが あるだろうと仮置きで分類しまして、今回は(2)病院内での役割分担というところを中心に 御議論いただきます。  めくっていただきまして、もう早速6番のスライドですけれども、ここでは、医師と看 護師の役割分担について、看護師の業務内容が変化してきているというイメージ図でござ います。また、その具体的な事例として、7番以降、化学療法、静脈注射、救急外来、そ れからずっといきましてインスリン調整といったところで看護師さんと医師とが協力・協 働しながらやっているという例でございます。  それから、14番のスライドからは医師と薬剤師の役割になりまして、チーム医療をや っていただいているということ、それから17番のスライドからは具体的な例として化学 療法に関する説明や副作用管理をしているということ、それから飛びまして19番、20 番のスライドは持参薬ということで、薬剤師が分担していただいている。  まとめが23番のスライドになりますが、これは医政局のチーム医療の推進に関する検 討会の資料から一部改変したまとめになっております。  次の24番のスライドからは医師と臨床検査技師との役割分担で、採血を中心に医師が 協力する。それから、次の28番のスライドが医師と臨床工学技師との役割分担で、人工 呼吸器の例で、適切な呼吸器設定の決定等をするというところになっております。  それから、スライドの30番以降は、さらに医療関係職と事務職員等の役割分担につい てですが、これは間接的に勤務医負担軽減に資する例ということです。33番のスライド を見ていただきたいと思うんですけれども、看護師にも看護補助者がつき、それに応じて 診療報酬で加算がつくということです。それから、実際に一般病棟の入院基本料算定病床 において看護要員がどう配置されているかということを示していまして、赤枠で囲ってい るところが看護補助者で、7対1、10対1においては看護補助加算は認められておりま せんけれども、実際上、患者100人に対してこれぐらいの看護補助者が配置されている という例です。  それから、次の34番、35番は、実際に看護補助者が行っている業務ということにな ります。  もう一度本体、診−2に戻っていただきます。今もう2ページ目の上のほうまで御説明 いたしましたので、第3の現行の診療報酬上の評価の概要にいきます。医療関係職が専門 性を生かして指導等を行う場合の評価について、褥瘡ハイリスク患者ケア加算から医療機 器安全管理料まで3つ書き並べております。  それから、2番目としまして、医師、看護師等の医療関係職と事務職員等との役割分担 についても評価しておりますということです。  3ページには、毎年まとめております届出医療機関数の表がございます。また、今般か らは、この間会長からもお話がありましたように、できる限り社会医療診療行為別調査を つけようということで、平成19年と20年の実施件数と算定回数を並べております。1 点だけ御注意いただききたいのは、先般社会医療診療行為別調査の特別分析をしていただ いたときもそうだったんですけれども、これは抽出調査をしていただいて、抽出調査をも とに全国レベルに数を伸ばすという操作をしておりますので、ある年にはたくさんレセプ トがとれたり、とれなかったりということかありますので、そのまま、例えば平成19年 と20年を見比べて、単純にふえた、減ったということは言えませんが、おおよその傾向 ということで御理解いただければと思います。  それから4ページですが、同様に、医師、看護師等の医療関係職と事務職員等との役割 分担ということで、A207−2、届出医療機関数、社会医療診療行為別調査の結果をお 示ししております。  それから5ページですけれども、平成20年度診療報酬改定において、病院勤務医の負 担軽減策の策定・周知を位置付けた。これは前回もお示ししたことですので、省略いたし ます。  第3の論点にいきますけれども、いずれにしましても、病院勤務医の負担軽減を図る観 点から、前回とは異なり、医師以外の医療関係職が担う役割について、診療報酬上の評価 をどう考えるかということ、それから事務職員等ということが、この病院勤務医の負担軽 減の2でございます。  説明は以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  事務局から出された論点としてはただいまの2点ということになりますけれども、これ につきまして御意見、御質問はございますか。  資料が嘉山委員から出ておりますので、どういう資料なのか、資料の説明をお願いしま す。 ○嘉山委員  他職種とどのようにシェアをするかという問題を述べる前に、御存じでしょうけれども、 まず皆さんに知っておいていただきたいのは、最後に配ったWHOの資料のほうから見て いただきたいんですけれども、これは新しい体制になってから最初に足立政務官が200 0年のとおっしゃったのですが、これがWHOのヘルスレポートで、ヘルスレベルからア クセス、それからあとお金、それを全部あれしたのが右側のオーバーオールですけれども、 これが世界1位である。  ただ、これは医療レベルではないといったことを言っていた方がいっぱいいらっしゃっ たのですが、次を見ていただくと、これが2009年度の、カナダがOECDのデータを 使って日本の医療を評価した結果であります。これで見ますと、足立政務官に教えてあげ ようと思っているんですけれども、ジャパンはまだナンバーワンです。これは、どなたか 御高名な方が、これは医療の質ではないとおっしゃったのですが、アメリカはこれは16 位です。  次のページを開いていただくと、日本はずっと1960年代までCだったのですけれど も、70年代から現代までずっとAランクで来ています。  その中身が最後のページになりますが、これはメディカルレベルをまさにあらわしてい て、例えば真ん中あたりにある糖尿病で亡くなる死亡率はAです。一番いいわけです。C が残念ながら呼吸器。これは多分たばこではないかと思うんですけれども、Cがたばこ以 外は、ほかの病気でも、ですからこれはメディカルレベルをあらわしているんですが、世 界一です。  2枚目のページに戻りますが、トータルのランキングが1位なんです。ですから、国民 がどのように日本の医療のことを思っているか分かりませんが、どうも情報によって、ホ テルの接遇が患者さんにとっては医療の質と勘違いしているところがあって、すぐに看護 婦さんが来てくれるとか、すぐに医者が来てくれるとか、それが医療の質だと思っている。 ところが、私は脳外科医ですけれども、外科の手術を見ても、私はがんセンターの運営委 員をやっていますけれども、アメリカと共同研究できないんです。日本の外科医のほうが ずっと上手で、深いリンパ節まで全部取れる。そのようなレベルだということをまず前提 に、これからお話しします。  次に、最初に回されたものを見てもらいたいんですけれども、皆さん御存じのように、 また北村先生からしかられるかもしれませんが、というよりは、日本はOECDの中でま だ21位です。それから、国内総生産に占める公財政支出学校教育費の割合も世界で26 位です。それから、高等教育費が次にありますけれども、これも下から3番か4番です。 だから、この国は明治以来教育と医療にお金をかけていないということです。こういう中 で日本は医療も教育もやっているんです。  医療の場合は、世界の平均に追いつくのに4兆円です。ですから、この前配った一万二 千何百円の2倍配れば、国民がセーフティーネットを得られる。高等教育も、今や東京大 学も完全にマレーシアの大学に負けるぐらいの設備しかない。ですから、これは東大だけ ではなくて、ですから北村先生は経団連の代表でお出になっていて、日本人はなぜノーベ ル賞を取れないかといったって、これはこのような基礎があるんです。この教育費で今年 もノーベル賞を取っているわけで、日本は本当によくやっていると思います。  それから、これからあとの話は、これは、私が最近つくったというか、最新のデータで すけれども、だれも持っていないと思います。病院のベッド当たりの医師数と看護師数と 事務職員の数です。要するにこういう中で医師がやっている仕事をシェアするということ が社会にどういう影響を及ぼすか。つまり、どういうことかというと、看護師さんだって 足りない状態、事務職員も足りない状態、そういう中でシェアする。看護師さんが本当に 大変になるということもあるし、医者が楽になればいいのかという問題でもないんです。 これは国民にとって、看護師さんがちょっと減っただけで死亡率は上がります。看護師さ んは非常に大事です。薬剤師さんも大事です。そういうことを含めた中でこのことを議論 しないと、とんでもないことになりますから。  それで、例えば医師の数を見ても、東大をはじめとした旧帝大、それから旧六というの は新潟、千葉、金沢とかというところで、新設というのは私どものところですが、あと私 立大学、それから民間病院、こういうところをベッド当たりで見てみますと、これはどう いうことでこのような差になっているかというと、最後に出ているものは循環器の病気だ と思いますけれども、これは難易度でもって配られているわけではないんです。ですから、 この辺のことも含めて、これが基礎データです。これを前提に、現場が分からない人間が ただ単に感想文でだれだれがやったらいいのではないかということを議論するのは、非常 に危険です。ですから、このデータをもとにして議論していただきたいというのが、私の 今日この情報を配った大きな理由なんです。会長、それを前提にディスカッションをお願 いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  ここに書かれている内容は、私もしばしば見るものもありますし、初めて見たものもあ りますが、基本的に、日本の医療費が過少であるということと、さまざまなリソースも少 ないということだと思います。私はそれに対しては非常に共感いたしますが、この中医協 の議論でできる議論というのはなかなか限られているわけであります。つまり、マンパワ ーをふやせという議論は、意見具申はできますけれども、なかなかここではできない。 ○嘉山委員  わかりました。学習院の教授の先生ともあろうお方がそういうことを言われるとは私は 思いませんでしたが、総合力でものを見ていかないで、近視眼的に見て……。いや、この 会のファンクションは何かということは分かっているつもりです。分かっていますが、そ れを非常に近視眼的に見て日本がやってきたからここまでがたがたになったので、私は、 このような知識を共有して、いろいろなものを考える土台をもって決定しないと、国民に とっていいシステムはできないのではないかと思って、先生、すみません、お話しさせて いただいたんですが、この会の機能は分かっています。 ○遠藤小委員長  わかりました。その確認だけになりますので。  白川委員、どうぞ。 ○白川委員  今、会長のおっしゃることもそうですし、私どもとしては、当日に急に資料が出されて、 これについて意見を述べるとか、あるいは、大変恐縮ですが、ベッド当たりの職員数など は、日本はベッドが多いからではないかという違う見方もできるわけです。したがいまし て、できましたら前日にでも資料をいただければ、我々は我々なりに中身を勉強して、意 見交換をさせていただきたいと。 ○嘉山委員  それは前から、会長の許可を取ってお渡しすることはできます。 ○遠藤小委員長  初めてであるということもありましたので、今回は、当日これでいいかと言われました ので、中を見まして、これは問題ないということでお配りしましたけれども、今後は生臭 い話になる場合もあり得るわけでありまして、そこでエビデンスベースで議論していきま すので、基本的には、双方できるだけ事前に渡していただきたいと思います。 ○嘉山委員  会長がそうおっしゃるのであれば、鏡でお返ししたいんですが、昨日私が来る前に事務 局から情報が来たぐらいで、我々だって反対に言えば、私は山形ですから、事務局から昨 日の朝の1時に出発間際に送ってきて、それで議論しろというのも非常に問題があるとこ ろだと思います。ですから、それは双方の問題であって、いい議論をするためだったら、 形式の問題ではなくて、もしも白川委員がそういうことをおっしゃるのであれば、このデ ータについて、ではこれは信じられないから次回議論をしようとか、そういうことで建設 的にやっていくほうがいいと思います。なぜかというと、事務局ですら私にこのデータを 送ってきたのは昨日の朝、出てくる前という状況ですから、いい議論をしたいのであれば、 時間もないので、非常に緊急のときがありますから、その場で出すということもやっぱり やむを得ないのではないか、形式論でやるべきではないというのが、私の考えです。 ○遠藤小委員長  白川委員、いかがですか。 ○白川委員  この中身についてこの場で議論するのは、特にOECD云々の話はいかがかなと思いま す。 ○嘉山委員  この中身……。 ○白川委員  先生、まだ私が意見を申し上げておりますので。ただ、原則として、会長がおっしゃる とおり、生臭い話もあるものですから、事前に資料をいただくようにしていただけないか というお願いをしているだけでございます。 ○遠藤小委員長  では、ちょっと私が引き取らせていただきます。これは会の運営の話になりますので。 基本的には、事前にお渡しいただく。それは前日であっても構いません。どうしても当日 でなければならないということはあるかもしれません。例えば、事前レクを聞いたらこの 議論はしなければいけないとなったといったこともあり得るかと思います。その場合は当 日であっても構いませんが、あくまでも原則としては事前にやるということでお願いした いと思います。双方それでよろしゅうございますか。  では、そういう形で今後よろしくお願いします。  嘉山委員から、非常に幅広い視点からの議論が必要だという指摘がありました。例えば 1対7というのは、急性期の病院に対しては非常にいい制度だったかもしれませんが、一 方で看護師さんの数は限られているわけでありますから、足りなくなっているところが出 てくる。そういう議論もあるわけですから、我々がこの点数をつけるときには、それによ って医療機関の行動様式がどう変わるか、それが全体にどういう影響を及ぼすのか、全体 のリソースの制約がどうなっているかということを視野の中に入れながらの議論というの は必要だし、それによって、場合によっては我々の権限外であっても意見具申をするとい うこともあり得るだろう。そういうことを嘉山委員はおっしゃっているのだと思います。 そういう視点で議論していくということについては、私も基本的には同意したいと思いま す。  そういう全体環境を把握しながら、今事務局から提示されている内容について議論して いきたいと思います。御意見はございますでしょうか。負担軽減、特にコメディカルなど との役割分担の話という形になっておりますが。どうぞ、嘉山委員。 ○嘉山委員  外口医政局長のときに、同じ日本の厚生労働省で「安心と希望の医療確保ビジョン」が まとまっているわけです。その中にこの問題も完全に入っていて、そのときに一番問題に なったのは、責任の所在です。つまり、事務でもいいんですけれども、看護師さんが何か 別な仕事をやった場合に、責任の所在が明確であること。まずそれが一番根本にないと、 シェアしても、国民が大変な目に遭う。そのときには、国民の理解を得た上でシェアすべ きであるという答申が出ています。ですから、私自身は、この中医協で安心と希望を持て るような国民の医療をするために医療費を決めるという基本方針で臨んでいるんですけれ ども、このシェアに関してはその責任の所在を明らかにしたいと思うんですが、事務局は 責任の所在を法的にどのように保証すると考えているんですか。 ○遠藤小委員長  それでは、医療課長でよろしいですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  私どものほうからお答えしていくと、今考えられております役割分担は、基本的には現 行の法律の範囲内で対応できるはずの業務に限られております。もしこれをさらに拡げる ということであれば、また別途医政局なりで御検討いただいて、その結果を踏まえて、ま たここで中医協として議論していただくという手順になるんだろうと思います。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、よろしいですか。 ○嘉山委員  そうすると、例えば褥瘡ハイリスク患者のチーム医療ということで、今日は2番をやる ということだったので、1番に褥瘡が出てきていますけれども、これは法的な範囲内とい うのは、具体的にどのようにシェアするんですか。看護師さんは何を請け負うわけですか。 ○遠藤小委員長  これは医療課長でいいですか。例えばそれを含めた形で実はもう一つ資料が出ておりま して、これは看護課長から一連の説明を簡単にしてもらおうというのがあったんですけれ ども、それと関連して今のお話をして……。 ○嘉山委員  先生、とにかくそれによって現場が非常に混乱するんです。もうぐちゃぐちゃになりま すから、ここは大事な会なので。 ○遠藤小委員長  わかりました。責任の所在の問題ですね。基本的に我々のここでの議論というのは、ス キルミックスで法律を変えようという話ではなくて、現行ルールでできる中でやりましょ うというものです。しかし、それであっても責任の所在を明確にしてほしいという御意見 ですね。それに対してははっきり答えていないという感じがしますので、それも含めて、 それでは看護課長、御説明いただきたい資料の内容と関連して、もし今のような話にお答 えできればお答えしていただきたいと思います。 ○事務局(野村看護課長)  看護課長の野村でございます。診−2−2の資料を使って、簡単に御説明させていただ きます。  院内助産所と助産師外来について御説明させていただきます。これは、看護課のほうで 推進しております中身でございます。院内助産所・助産師外来の定義につきましては、こ の資料の1ページにあるとおりでございます。正常経過の妊産婦さんに対して助産師が自 立して行うというものです。こういった対策の背景には、妊婦の多様なニーズ、そして医 師不足といったことがございます。  そして、次のページをおめくりいただけますでしょうか。こういった院内助産所・助産 師外来にはどのような効果があるのかということについて、今年の3月に行いましたシン ポジウムの資料に出てきたものでございます。妊産婦からは「時間をかけているので、非 常に話が聞きやすい」とか「安心してお産が迎えられる」等々の意見がございましたし、 また助産師からは「専門性が高められる」等のお話もございました。そしてまた医師から は「ハイリスク患者への治療に専念できる」といった御意見もございました。  そして、こういった院内助産所・助産師外来の普及について、看護課のほうでは、ここ の☆印にありますような中身について、上の2つは補助をつけて推進しているところでご ざいますし、それから、これは資料としてつけてございますが、ガイドラインを作成して その普及を図っているというところでございます。そして、シンポジウムも平成20年か ら毎年行っているところでございます。  5ページは、こういった動きを受けましてどのような推移かというところですが、わず かですけれども、ふえているということでございます。助産師外来が多いというのは、ま ずは助産師外来を開設し、その後院内助産所を開設するという動きだと聞いております。  そして、このようなことを行っている病院の事例をA病院ということで挙げております。 ここでは、経験6年以上のベテランの助産師6名で行っている。こういう助産師外来で連 続した院内助産というものをやっているということでございます。  次の最後のページでございますが、助産師外来での絵が下のほうについております。2 4週まではすべて医師が診察をし、その後、妊婦の選択によって助産師または医師が健診 をするといった体制をとっているということでございます。そして、院内助産については、 基本的には分娩に医師は立ち会わない、そして2名のベテランの助産師が対応するといっ たことを行っているということです。今現在は1カ月に15件のみ、その程度しか行われ ていない。これは、ベテラン助産師の体制といったことから、この程度のものが行われて いるということの事例でございます。  説明は以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  あなたは現場を全く分かっていない。どこが産科で疲弊しているかというと、正常分娩 の場所ではないんです。要するに、正常分娩は保険診療ではないから、正常分娩のところ は助産師さんが行ってそこは助けて、産科のお医者さんもそんなに疲弊していないんです。 ただし、リスクの高い、正常分娩ではない、例えば高齢で生まれてくる、あと今双子や三 つ子が多い。なぜかというと、人工授精が多いからです。昔の日本のお産とは全然違うん です。そのようなリスクの高い、つまり保険に入ってくるようなところは、そこでは助産 婦さんは嫌がります。なぜかというと、責任をとったときに、赤ちゃんが死んでしまった りしたら困るからです。非常にリスクが高い患者を扱う。その点数は非常に低いんです。 ですから、同じシェアするといっても、形だけシェアしたといっても、正常分娩を助産婦 さんがシェアしても、それは今の産科の現場の医療崩壊を助けることに何もならないとい うことは分かっていらっしゃって今言ったんですか。 ○遠藤小委員長  基本的には、これは院内助産の仕組みの説明をしたという立場で……。 ○嘉山委員  でも、先生、だってこれは勤務医の疲弊を助けるための医療体制であれば、今の説明で は説明にならないんです。疲弊しているところはどこかといったら、要するに保険でやら なければいけないリスクの高い、例えば300グラムの赤ちゃんを触らなければいけない。 そういうお産には助産師さんは触りませんから。 ○遠藤小委員長  はい、どうぞ。 ○北村(光)委員  私も先ほど嘉山先生がおっしゃられた質問と同じ質問をちょっとしたいと思うんです。 実は、勤務医の負担軽減というのは大変大事だと思うんですが、平成20年度の改定で事 務補助の改定が非常に評価されております。ですから、これからの診療報酬上の平成22 年度の改定を考える上で、あの診療報酬というのは事務クラークの方々を増員するために 使われたのかなと、私などは素人で考えるんです。そうしますと、これから議論する医師 ・看護師・看護補助の皆さんのこういう役割分担がまず法的にどうなっているのかなとい うのが一つと、もう一つは、診療報酬で改定が大変役に立つのであれば、私たちもその方 向で考えなければいけないと思いますけれども、どういう形で具体的に使われるのかなと いう素朴な質問なんです。  以上です。 ○遠藤小委員長  2つの御議論が出ています。嘉山委員の御指摘は、勤務医の負担軽減で産科で一番大変 なのはハイリスクなのだから、そこのところを議論する話だということです。これはまさ にこれから我々が議論するところになると思いますので、重要な御指摘をいただいており ます。また、我々は診療報酬を決めているわけですから、自由診療のところは基本的に対 象外ですから、そういう意味ではおのずとハイリスクの議論になると思います。と同時に、 メディカルクラークを含めた広い意味でのコメディカルの業務の法的な関係をまず明らか にしてほしいということです。さらに、それによって負担の軽減になるのかどうかという ところのエビデンスはどうなのかといったことだと思います。まず法的なというのは、先 ほど参考資料が出ています。これは看護師のケースですけれども、6枚目の「医師と看護 師の役割分担について」と書かれておりますものなど、まさに看護師がやってもいいとい うレベルの話だと思います。何か資料の中で、北村委員の御質問に答えられるものはあり ますか。事務局、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長です。看護師以外の職種も含めてだと、4番になると思います。この中では看 護補助者が余り細かく書いていないので、それは35とか36のスライドになるんだろう と思います。 ○遠藤小委員長  先ほど嘉山委員がおっしゃったのは、このように法的には分かれていたとしても、ハイ リスクなものに対しての責任の所在がはっきりしないということもあって、なかなか積極 的に進まない要因もあるのではないかと、そういう御趣旨でお話しされたわけですね。 ○嘉山委員  会長、いいですか。 ○遠藤小委員長  はい。 ○嘉山委員  まだ答えていないんですけれども、北村委員の質問にお答えしますと、例えば看護師さ んも、看護職のプロとしての仕事が今できなくなっています。ですから、先ほどのクラー クの問題は、クラークを入れたためにかなり楽になりました。これは本当に楽になりまし た。それは我々には目に見えないんですけれども、僕はドイツ留学なんですけれども、ド イツだと「それはおれの仕事だから触るな」というぐらいに職業がちゃんと分かれている んです。日本の看護師さんは、カルテを運んだり、試験管を運んだり、そういうことは若 い医者までやっています。そうやってほかの人の部分まで、本当なら給料を払わなくては いけないほかの仕事までやってしまっているのが、疲弊しているところの日本の医療の現 場なんです。ですから、北村委員の御質問に答えるとすれば、本当は職業かなと思われる ような運搬とか、それは目には見えないんですけれども、実はプロがやる仕事ではないこ とをやっていますので、これからも点数をつけていただいて医療費を投入していただけれ ば、現場はかなり楽になると思います。 ○遠藤小委員長  どうぞ、安達委員。 ○安達委員  病院の話を開業医の私がするのは変ですけれども、今の追加ですが、確かに楽になって おられます。ですが、今の点数だと、事務クラークを必要なだけ雇えるほどの点数はつい ていません。ですから、この配分を受けられた特定機能病院をはじめ、いわゆる基幹病院 が今回の病院支援の多くの点数を取れたわけですが、ほかの入院基本料のアップとか加算 点の分を回してクラークを雇っておられる。それが実態だと私は思います。そうすると、 本来の基本料で加点で上げてもらったところにその支援が使えないので、クラークがふえ た分は楽ですが、まだ十分に完全されていない。もう一つは、それより下位の地方の基幹 病院である、民主党がおっしゃる公立病院だけでなくて、民間病院も含めて、ここのとこ ろはこの加点を全部取れる要件を満たしていませんから、こちらには全部回っていない。 そちらの勤務医の数のほうが多い。依然として疲弊は多く残っている。そういう構図に今 なっているのだと理解するのが正しいと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今、いろいろな意見があったと思いますが、本当に医師不足、看護師不足の中でどうし たらいいかと。診療報酬だけではもう無理だということは、私、この間も申し上げたと思 います。ですから、それ以外の施策もぜひやっていただくということをやはり中医協から も発信していただきたい。その中でまた私たちは中医協委員としての役目、診療報酬上で 評価することによって医師あるいは看護師の負担軽減にならないかということを議論して いると思っております。今、安達委員からも、本当に病院の私たちの非常に大変なところ に対してもエールを送っていただいて、非常にありがたかったなと思っています。  それで、ここに書いてある論点は、そういうことから見ると、3番目の論点の1も2も、 ぜひこれはやっていただきたいと思いますので、今後事務局のほうには、時間も限られて おりますので、よりこれを具体的なもの、例えばこのようなところを評価したらどうかと、 もっと細かく出していただければありがたいなと思っております。片方では、今医療事務 作業補助者に関しましては、この間も今回も議論に出ていて、これは適用をもっと拡大し てもらいたい、それからもっとたくさん置けるようにしていただきたいということはあり ますので、これはよろしいかなと思います。片方では、ほかの職種でございますが、今日 いただいた参考資料で見ますと、やはり医師以外に看護職あるいは薬剤師さんあるいは臨 床検査技師、それぞれの役割分担でより勤務医が楽になるのではないかなと思われますの で、この辺は今別な検討会、ここに書いてありますチーム医療の推進に関する検討会でも 検討しておりますので、そちらもにらみながら、今の法の中でまだほかの職種ができるこ と、例えば、今医師がしていても、今の医師法あるいは保助看法の中で看護師がしても構 わない仕事があると思いますし、あるいは薬剤師ができる仕事があるのではないか。そう いうあたりは向こうの検討会で検討していると思いますので、それをにらみながら、こち らのほうで診療報酬の評価といった案を出していただければと思います。 ○遠藤小委員長  わかりました。 ○三浦委員  今、西澤委員からお話があったとおり、薬剤師も、先ほど説明が余りなかったのですが、 参考資料の病院勤務医負担軽減(2)の中のスライド16のところに書いてありますチーム医 療の推進というところで、薬物療法における医師の負担軽減においては、大きなサイクル の図になっておりますけれども、医薬品適正使用サイクルということでありますが、チー ム医療の中で、例えば病棟に行っても、ドクターと一緒に処方設計をしていく。これにつ いてはどうするかといったことも含めて、今後、医師の負担を軽減するためにも、我々は いろいろな意味で協力していきたいなと考えております。  それから、2枚ほどめくっていただきまして、スライド21の持参薬の現状という報告 にもありますけれども、実際に入院された患者さんは「どんなお薬を飲んでいますか」と 言われて持ってきたときにはたくさん持ってきて、過去に飲んでいたり、今飲んでいない 薬でも全部持ってくることが多いわけです。それをきちんと患者さんに説明した上で、現 状を聞いて、そして今現実にはどういう薬を服用していてどういう状況であるかというこ とをドクターと相談しながら、そしてドクターの負担軽減になればということで、現実に も行われておりますので、その辺もぜひ評価していただきたいと考えております。 ○遠藤小委員長  わかりました。  ほかに。どうぞ。 ○鈴木委員  院内助産所・助産師外来についての件なんですけれども、産科の医療をどうしていくか ということで、短期的、中期的、長期的だったり、いろいろな要因があったりということ で、いろいろなことをいろいろな観点からやっていくということで、今の議論を私が聞い ていて思ったのは、正常分娩であれば助産師さんが中心になってやっていくということで、 逆にお医者さんにはよりハイリスクや救急のほうに専念してもらえるといった方向も、一 つの方向としては、それがすべてできるようになるかどうか分かりませんけれども、やは り私は分担という意味では大事な観点かなと思いますので、これがいい形で進んでいると いうことであれば、私はこれはこれで進めていただけるようにと思っています。  以上です。 ○遠藤小委員長  どうぞ。 ○北村(善)専門委員  チーム医療について、今、三浦委員からもありましたとおり、病院には医師、薬剤師、 ナース以外に、メディカルスタッフとして十何種類ぐらいあります。その中でその役割分 担については、今いろいろな意味で問題点とかが出ております。今それを抽出している段 階だと思います。また、厚生労働省のチーム医療の推進に関する検討会の中でもその話が 出てきております。多分まだ多くのコメディカルについては抽出というか、そういう話は できていないと思いますけれども、今後そういう話ができてきたら、ぜひこういう場で問 題点を抽出して、役割分担についてお話しさせていただきたいと思っております。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いいたします。参加された新しい委員の業種でありますので、ひとつよろ しくお願いいたします。  どうぞ、嘉山委員。 ○嘉山委員  さっき薬剤師さんのことが出てきたんですが、日本のがんの医療が、中曽根総理大臣の ときに10カ年やったんですけれども、結果がほとんどゼロだった理由は、やはり抗がん 剤と放射線治療医の不足だったんです。日本ではこれからがんがどんどんふえてきますか ら、私は先生より4つ上ですから、先生より4年早くがんになるかもしれませんが、これ から団塊の世代は10年後にはがんの世代になります。そうなりますと、デマンドはすご くふえるのに、抗がん剤の専門の人がいない。ですから、うちでも、薬剤師さんに小児科 と外科の2つに入ってもらって抗がん剤を全部調剤してもらって、ベストの治療をやって いるんです。そうすると、最終的には医療費のコストも下がるんですけれども、そのとき についているこの中医協で決めているお金では、例えば薬剤師をそこに配置しているとき に来る補助金では、薬剤師さんをちゃんと雇えないんです。ですから、さっき安達先生が おっしゃったような、ほかからのお金を回して、ほかのコストを削って雇うといった矛盾 を起こしているんです。ですから、それを含めて、さっき北村委員がおっしゃったように、 やるのであればきちんと、そうすればお薬もちゃんと使えるし、患者さんも助かるので、 そのような手当てをしていただきたいと思います。  それからあと、このコワークをするときに一番大事なのは、看護師さんも、看護課長は 御存じのように、認定看護師を取るときに今いろいろな基準で大体150万円を取ってい ますね。あれは個人で看護師さんが持ち出しで教育を受けているわけです。それは全部国 民にいっているんです。だけれども、今のところ、それが看護師さん個人には全く反映さ れていないですね。そのようなことがあるので、私は前回の最初のときに言いましたよう に、ドクターズフィーを入れるということは、外口さんが医政局長のときにビジョンの会 でちゃんと決めて、書いてあることですから、それを今ここに持っていますから、まさか 縦社会でやらないでくださいね。同じ厚生労働省の中で、医政局と保険局が知らないよう では困るので、あれは柱としてつくったわけですから、ドクターズフィーをやれば、例え ば褥瘡の処置をした場合に、その医療行為についてドクターズフィーを幾らだと決めれば、 医師のモチベーションも上がるし、現場からは非常に……。医療崩壊はあと10年間は進 みます。なぜかといえば、医者の絶対数が足りないんです。ですから、その間を補うこと として、やはりドクターズフィーを入れるということを私は提案したいと思います。それ であと専門看護師、認定看護師の人たちにも、その看護行為に関しては、従来のように公 務員であれば年功序列の看護師さんの給料体系ではなくて、医療費の中でそういう特殊な 能力を認めるような、ナースフィーでもいいですけれども、そういうものを入れていかな いと、もう現場はもちませんよ。 ○遠藤小委員長  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  個々のものは今の検討会とか、あるいはドクターフィー、ナースフィーとなると、ちょ っと支払方式の根本的なものにも絡んできまして、今回の改定には間に合わないかも分か りません。 ○嘉山委員  それでは崩壊するよ。 ○邉見委員  私は、基本的には入院基本料につけるのが一番だろうとずっと思っております。そうす れば、全職種につくわけです。それが一番早くて、たちまちの出血をとめると思っており ます。当然、プロフェッショナルな職種ばかりですので、その人たちの評価、特に認定看 護師とか認定薬剤師、あるいは将来的には専門医あるいはチーム医療にもつけないといけ ないと思いますが、一つ一つやっていたらなかなか進まないような感じがしますので、も うマニフェストにあるように、1点幾らということのほうが間に合う。早くやらないと、 少しでも遅れてしまったりしたら、医療崩壊で大変なことになると思います。 ○遠藤小委員長  はい。どうぞ。 ○嘉山委員  それは、先生がおっしゃる入院基本料を上げるというのはいいんですけれども、保証が ないんです。明文化していなければ人間というのはなかなか実際に機能しないことが多い ですから、明文化しなければならないんです。先生は今ドクターフィーを基本的にはお認 めになっているので、認定看護師の特殊な能力もお認めになっているのであれば、明文化 しない限り社会は動かないんです。ですから、例えば、今1だったものを1.2にした場 合には、0.2上がったうちの0.1はドクターフィーにするとかということを明文化し ておく。でないと、病院の中で、それだといまだに概念はホスピタルフィーです。ドクタ ーフィーというのは違うんです。安達先生のところはホスピタルフィーがイコールドクタ ーフィーになるんですけれども、病院ですとホスピタルフィーとドクターフィーは違うん ですから、そこは明文化して書いておかないと、幾ら……。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、御主張はよく分かりました。ただし、それに対する反対の考え方も十分あり ます。例えば、ドクターズフィーは基本的にアメリカだけの話です。ヨーロッパでは日本 と同じような支払いの仕方をしているわけでありますし、いろいろな議論があるわけであ ります。しかも短期間で議論がつくかどうかというのは分かりませんので……。 ○嘉山委員  そうしたら、佐藤君にも言ってあるんですけれども、うちはまだ壊れていないんですけ れども、うちではそれに近いようなモデルケースをやっていますので、外口さんは御存じ ですけれども、今何しろ喫緊の課題の地域の医療崩壊と、あと外科系の崩壊とか、科の偏 在とか、そういうことを解決するには、この医療費でも大きな影響があるわけです。した がって、佐藤さんは第1回目のときに「先生、いずれしてください」とおっしゃっていた ので、一度プレゼンテーションを……。先生、それはいろいろな考えはありますけれども、 でもこの場で、また2年間改定がないんですから、その間さらに崩壊したら、この委員会 で責任をとれますか。 ○遠藤小委員長  ですから、ドクターズフィーをつくることが医療崩壊の特効薬だという考え方ではない 考えもあるわけですので、そういう意見を入れての議論をしなければいけないわけです。 ○嘉山委員  もちろんそうです。だけれども、ドクターズフィーも少しでも認めてやれば、医療崩壊 を食いとめられるわけだから、それを否定する人はいないですよ。ドクターズフィーを入 れるべきだということは去年の「安心と希望の医療確保ビジョン」では結論として出てい るわけですから、ドクターズフィーは絶対に医療崩壊を食いとめられるなどということは 出ていませんから、ですから、この医療費の中でそれを少しでも取り入れていくという姿 勢が僕は必要だと思います。 ○遠藤小委員長  限られた財源でありますから、どういう使い方をするのが、どういう支払い方をするの がベストかというところの議論をしているわけですので、ドクターズフィーを入れれば、 それはいいに決まっているわけです。しかし、ほかの使い方よりもいいかどうかというと ころを議論するのがある意味でここの議論になるわけです。ただ、その辺のプレゼンテー ションをされたいというお話ですが、何か実験的にやっておられるわけですか。 ○嘉山委員  ええ、もちろんやっています。 ○遠藤小委員長  というものがあれば、余り長い時間はとれませんけれども、いずれかの段階でその辺に ついて……。 ○嘉山委員  私がこんなに時間もないのにこの委員を受けたのは、そんなことを言ってはなんですけ れども、ここで改定しておかないと、2年後はもっとひどくなるからなんです。何とかし て医療崩壊を防ぎたいと思っていますので、それを先生方がどう思われるか、国民の前に 情報を出さないといけないので、その情報は出したいと思います。 ○遠藤小委員長  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  この立場は私が選任された立場でないので、誤解を生まないようにという意味では、余 り言いたくないんですが、ただ、今の議論に参加させていただこうとすると、私は日本医 師会の社会保険診療報酬委員会の委員長を2期にわたって務めているということを申し上 げざるを得ませんので、その立場からの発言だということで、私の選任理由とは別に考え ていただいて申し上げたいと思います。長い間、日本の医療費、診療報酬のつけ方の中に 非常にたくさんの包括があって、働く医師にとって、そのトータルの包括された点数の中 で、非常に細かいものから大きなものまで、どれだけが自分の技術料なのか、自分の技術 はどれだけ評価されているのかということは、本当に見えないで来ているわけです。その 中で、例えば虫垂炎の包括などをして、それがベトナムで手術するよりもひょっとしたら 安いかといった点数になって、そのときの現場の外科医の、もう笑い話とは言えない嘆き は何だったか。消毒ガーゼは患者さんにどこかで買って持ってきていただかないとやれな いのではないか。こういうのが現実なんです。ですから、今、嘉山先生が前提としてお示 しになりましたように、医師数も足りない、看護師数も足りないという中で、この医療崩 壊を食いとめるということは、医療現場に働く人間のモチベーションを上げるしかないわ けであります。モチベーションを上げるということは、あなたの技術はここに物と分離し てこのように評価しましたということを、全部やるのはすぐには難しいかもしれないけれ ども、1つでも、2つでも、3つでも、やれる部分は多く示す。ある意味では、それは点 数の多寡の問題ではないかもしれないわけです。働く者の医師としての自分の技術がこの 体系の中でここにこれだけ反映されているんだ、評価されているんだということの大きな 励み、そのモチベーションというものは無視できないわけでございまして、やれるものか ら少しでもその中へ入れていただいて、最終的には、時間をかけて全体をなるべくそうい う形に整えるという方向を出していただければと思います。 ○遠藤小委員長  わかりました。  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  ドクターフィーの話が出ましたが、そのような形をとらなくても、勤務医の収入をふや すという方法は、ヨーロッパでは、私がフランスとイギリスを見た範囲では、フランスで は、公立病院の医師で公務員であっても、医師のみはほかの病院で仕事ができる。それは 自分の収入になるわけです。そういった形で収入をふやせる。あるいはイギリスでは、公 営医療の国ですけれども、40時間以上勤務すれば、それ以外の時間には株式会社立の病 院に行って仕事ができる。私が6月に行った株式会社立の病院では、NHS、公立病院の 医師で、腕のいい外科医など、年間100万ポンド、1億5,000〜6,000万円以 上稼ぐ医師が20人はいます。190床の株式会社立の救急期病院です。そのような形で、 金銭的インセンティブも大事だと思いますので、保険の診療ではないところでも、実際に ヨーロッパでは優秀な勤務医をつなぎとめるためにそういったことを実際にやっています。 そういうことを日本でも検討したらいいのかなと思っております。 ○遠藤小委員長  了解いたしました。  1号側からちょっと何か御意見はありますか。どうぞ。 ○伊藤委員  例えば、今、嘉山先生がおっしゃられるとおり、勤務医のモチベーションを保つために ということは非常に大事だと思っております。ただ、これは診療報酬だけではなくて、経 営上の問題、例えば医業収益の何%を医療スタッフで分けるとかです。ただ、残念ながら 病院の経営が安定しておりませんので、これは、今の現状の中で病院の経営がいわゆる診 療報酬の段階でうまくいくように、そして全体の中でバランスよくとれるようにというこ とだと思うんです。  もう一つ、今この議論の中では、モチベーションといわゆる評価だけではなくて、現実 の例えば業務負担を軽減するにはどうしたらいいか。多少、例えば、診療報酬でいわゆる 国民の受診行動をどこかへ誘導できないか。医療崩壊の多くの中で、この前も出ておりま した。一般のそんなに大した病気ではないのに、いわゆる最高の三次医療機関にかかって しまう。これはまさに、そこはいつも24時間365日体制でやっておりますから、患者 にとりましてはそこへかかりたい。しかし、こうしたものを同じように評価していたので は、これはまさに崩壊してしまうわけでありますので、違った形の動線を持っていく。こ れは大事なことだと思っております。西澤先生がおっしゃられたように、これを診療報酬 だけですべて解決するというのは非常に難しいと思っております。一つには、各いわゆる 交付金であったりとか、地域の医療をどうやって持っていくか、まさに連携ということが 非常に大事だと思っております。一方で、診療報酬をどのようにしていくのかというのは、 大変乱暴な言い方かもしれませんが、例えば病院の診療報酬を今の点数の1.2倍にして、 開業医、いわゆる診療所の報酬を0.95掛けるとか、そういう乱暴な話がどこかで出て くるのかもしれませんけれども、これは全体のことも考えながらやっていただきませんと、 一方的にドクターフィーだけの話になってしまいますと、医療はドクターだけでなくて本 当にチームでやっているわけでありますので、これは一つ考え方としては、いろいろいろ なお話をしていただかないといけないと思うんです。 ○遠藤小委員長  はい。 ○嘉山委員  先生、そういう池に2個石を投げるような議論はやめてください。フォーカスがぼける んですよ。要するに、あることを決定するのに、一番違う方面から……。それは、先生の おっしゃっていることはすべて正しいですよ。ただし、今議論しているのは、ドクターズ フィーをちゃんと認めるかどうかという議論です。この一番いい典型が、熊本の水俣病の ときに、ある原因物質を熊本大学の先生が言ったときに、池で波紋が起きたという。それ で、そのときに決めておけば、5年間、また別の人が別の方面から別の石を投げた。そう したら、5年間患者さんがふえて、チッソも莫大なる5年分の補償金を払わなければいけ なくなった。先生がおっしゃることは正しいんですけれども、ドクターズフィーを議論し ているのであれば、池に2個投げるというのは、これは議論をずらすときの得意技なんで す。そうではなくて、今ドクターズフィーが医療崩壊を防ぐかどうかということを議論し ているのだから、先生のおっしゃることは正しい。だけれども、会長もその辺はちゃんと まとめていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  ですから、まず今回の話はチーム医療の話であったわけでありますので、そのチーム医 療の基本的なところで、もう少し具体的な案を事務局としてたたき台をつくってほしいと いう意見が出ました。それについては、そのように事務局にまずはお願いするということ でよろしゅうございますね。またそれをたたき台という形で議論したいと思いますが、事 務局はよろしいですか。 ○事務局(佐藤医療課長)  今の御指示は、要するに法的な問題も含めてチーム医療をどうするべきかという話でし ょうか。 ○遠藤小委員長  いや、そうではなくて、というよりも、もう少し具体的な話です。どこまでのことがで きたらどういう点数にするのかとか、西澤委員の御意見なのですけれども、どうぞ。 ○西澤委員  今の法の中でということで、この論点で考えてある2つのこと、すなわち、勤務医の負 担軽減を図る観点から、医師以外の関係職との役割分担について、例えば役割分担の中で このように役割分担して、こういうところに点数をつけたらどうか、すなわち評価したら どうかといったことをもっと具体的に出していただきたいということです。 ○遠藤小委員長  はい、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  今回の勤務医負担の項目に限りませんけれども、この論点というのは、私どもは余り議 論を先走るといけないだろうと思って書いているだけで、どの項目にかかわらず、もう少 し踏み込んだものは次とかその次とかにやりますし、そもそも勤務医負担については3回 目も予定しておりますので、またそういう中でも時間があれば提示していきたいと思って います。 ○遠藤小委員長  では、そのようなことでよろしゅうございますか。では、次回もう少し具体的なものと いうことで……。(「違う話ですが」と呼ぶ者あり)だめです、話を拡散させたくないの で、一応ここをまとめたいので。  それでは次に、ドクターズフィーという、要するに診療報酬を保険医療機関に支払うの ではなくて、全部もしくは一部を直接勤務医に払う方法。それは、先ほどの嘉山委員のお 話では、ナースであっても構わないではないかということですが、それは医療者のモチベ ーションを非常に高めることになるという御提案なんです。これについて今後中医協とし て議論するかどうか、ちょっとここで話をしたいと思います。当然、本日結論が出る話で はありませんが。どうぞ、事務局。 ○事務局(神田総務課長)  健康保険法上の仕組みといたしまして、診療報酬は保険医療機関、保険薬局に支払うと なっておりますので、保険医に直接払うということ自体については、法律改正をしないと そこは難しいと思っております。あくまでも法律上の枠組みとしては、機関である保険医 療機関と保険薬局に支払うとなっているということは、御理解いただく必要があると思い ます。 ○遠藤小委員長  そこを法律改正するための議論をする審議会としては、中医協がふさわしいのかどうか という意味だと思いますが、それはどうなんでしょうか。 ○事務局(神田総務課長)  医療保険制度の枠組み自体ということでいいますと、社会保障審議会の医療保険部会が ふさわしいということかと思います。基本的には、保険医療機関に支払われる診療報酬の 設定についての諮問答申あるいは建議ということが中医協のこの会の役割ではないかと思 います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  安達委員、どうぞ。 ○安達委員  一つだけ、お断りします。私が今、技術料とドクターフィーは分けた設定が望ましいと 申し上げたのは、嘉山先生の御意見はどうなのか分からないのですが、その技術料の部分 を勤務医の皆さんに直接払え、そういう体制にせよという意味ではございません。診療報 酬体系の支払方式の中で、技術料というものを明確に分けた設定にするという意味でござ いますので、私の意見については誤解されないようにお願いいたします。 ○遠藤小委員長  了解しました。今の議論は通常、中医協で出てきますけれども、ドクターフィー的なと いう言い方をしているので、そこのところをより具体的なということで……。 ○安達委員  強いて申し上げれば、物と技術という言い方、つまり、ドクターフィー的なというより も、はっきりと物と技術を分けようというほうが適切かと私どもは思います。 ○遠藤小委員長  嘉山委員はそういう意味ではないわけですね。 ○嘉山委員  簡単に言いますと、安達先生はドクターフィーそのものをもらっているんです。要する に、ホスピタルフィー、安達先生の医療行為がすべて自分になるのですから、これはドク ターフィーなんです。ところが、病院の場合には、私がどれだけ難しい手術をしようが、 どれだけやろうが、関係ないんです。給料しか払われない。そういうことです。ですから、 安達先生と同じようにしろとは言いませんけれども、もっと基本的には、マスメディアの 方がいらっしゃっているからお話しておきますが、東洋経済の発表によれば、日本の医師 は一流企業の社員と比べると、完全に生涯賃金では下です。ですから、私は単にお金が欲 しいと言っている問題ではなくて、モチベーションの話で、それが医療崩壊を防ぐんだと いうことです。 ○遠藤小委員長  それは了解しております。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  今ドクターフィーの話が出てきましたので、私は、診療報酬の点数そのものの基本的な 構成を考える中で、ドクターフィーとしてはドクターの時間的なタイムスタディーからし てこの点数が妥当でしょう、材料的にはこうでしょう、それからホスピタルフィーとして、 その病院なりを運営していく時間的なものからして、手術時間、処置時間からしてこうで しょうというところで、前からもそういう話は出ておりますけれども、本来そういう基本 なスタンスで今後点数そのものを決定していくという方向づけには私は賛成していきたい と思っております。 ○遠藤小委員長  それは支払方式は変えないということですね。 ○渡辺委員  それは、最終的な点数は、この手術をしたときに何点、この処置をしたときに何点とい う決定ですけれども、その中身を見たときに、ドクターのタイムスタディー的なものから してこのくらいの点数でしょう、材料もろもろを総合的に、この手術に対してとかという、 そういう処置、考え方というか……。 ○遠藤小委員長  配分の計算の仕方の仕組みとしてということであって、支払いを直接医師に払うという ことではないということですね。 ○渡辺委員  そうです。 ○遠藤小委員長  そこら辺をはっきりしておきたいと思いますので。 ○嘉山委員  先生、その例を私が今度紹介しますから。もうやっていますから。 ○遠藤小委員長  わかりました。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今、支払いというのは、保険医療機関に来るわけですけれども、私たち経営者としては、 全体のバランスを見ながら経営しています。例えば手術料にしても、医者の技術料だけで はなくて、それにかかわるいろいろな職種の技術料、それから物の費用等々が入っていま す。その中で私たちは考えてやっているということで、これは医者の分だとされてしまう と、例えばそこを全部医者に払ってしまうと、残りの収入では病院経営ができないという ことも考えられますので、それは経営者として考えなければならない。そういうことで、 チーム医療として組織としてやっている中で、余り混乱が起きるようなやり方はしてほし くない。問題なのは、全体的な医療費が低過ぎて、経営者が非常に苦労している。ドクタ ーにこれだけ払いたいと思っても払えないという中でやっているということで、やはり全 体的な底上げをしないと今の問題は解決しないのではないか。ある程度上げていただけれ ば、ドクターにきちんとした評価を私たちはできると思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  はい、どうぞ。 ○北村(光)委員  一言だけ。全く議論の内容は私もよく分かるんですけれども、最初に申し上げたとおり、 財源というのは無限ではありませんので、果たして診療報酬が万能なのかどうかというこ とも含めて、よく議論をさせていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  では、手短にお願いします。 ○嘉山委員  先生、お金は余りかかりません。次回に私がちゃんとシミュレートしたデータを出しま すから。 ○遠藤小委員長  先ほど事務方からも出てきましたけれども、法律改正をする審議会としては中医協は必 ずしも適切ではないだろうということがありましたけれども、どの審議会に向かっても中 医協としての意思を表示すること、意見具申することはできますので、ここでドクターズ フィーの議論をするべきでないと封鎖するつもりはないです。したがって、皆様がそうい う議論をやるべきだということであれば、嘉山先生も何か資料をお持ちだとおっしゃるの で、一回議論をしたいと思いますけれども、それについていかがでしょうか。白川委員、 どうぞ。 ○白川委員  私自身も、ドクターフィーと一言で言われてもイメージがわかないので、今の段階では 議論のしようがないんです。ドクターフィーを入れたから医師のモチベーションに影響す るのだろうと先生方はおっしゃるのですが、それも私はまだよく理解できておりません。 ちょっと時間的な問題も気になっております。病院の経営の問題とか、お医者さんのモラ ルの問題とか、所得の問題とか、いろいろ問題は多いかと思いますけれども、優先順位を つけざるを得ないのではないかなと思っておりまして、その中で、ドクターフィーの話に つきましては、もう少し後でじっくり時間のあるときに議論を深めるというやり方もある のかなと思っております。 ○遠藤小委員長  ドクターフィーの議論というのは、ここでやることは構わないけれども、優先順位から すれば、必ずしも高い優先順位ではないだろうという御意見です。  ほかにございますか。嘉山委員以外の方にお聞きしたいのですが、よろしいですか。で は、嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  優先順位が一番高いのがドクターフィーです。今の医療崩壊は、支払い側の問題ではな いですから、我々が医療を支えているのですから、我々から見て一番若い人が言うのはこ のドクターフィーのことです。つまり、自分の労働が対価として認められていないという のが今の一番の問題であって、ですから病院から立ち去っているんです。ですから、そこ は一番大事なところだと思います。 ○遠藤小委員長  それでは、嘉山委員、基本的には継続で審議させていただくことにします。ただ、それ をどの段階に入れるかということについては、私に預からせていただきます。よろしゅう ございますか。 〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤小委員長  では、そのような形にさせていただきたいと思います。  それでは、実はまだ残っておりまして、精神医療についてを議題としたいと思います。  事務局より資料が出されておりますから、説明してください。 ○事務局(佐藤医療課長)  時間は限られておりますが、精神はかなり重要な内容で、大部にわたっております。で きる限り簡潔に御説明いたします。  先ほどの病院勤務医負担軽減と同様に、本文は資料診−3、それから参考資料という形 でついております。本文ですけれども、精神は多いので、3部構成になっておりまして、 第1、地域生活への移行支援、それから患者の病態や治療内容に応じた評価、そして第3 としまして急性期医療という形になっております。資料も十分御説明している時間があり ませんので、手短にお話します。  基本は、スライドの1番目にありますように、障害部でまとめていただいております 「精神保健医療福祉の改革ビジョン」というものが平成16年9月からおおむね10年間 ということになっておりますが、その中間点である平成21年9月に、スライドの1、ス ライドの2にありますような形でまとめられております。ポイントだけ申しますと、通常 の医療と違いまして、予防あるいは介護とか、障害福祉サービスのような、いわゆる社会 福祉の部分とのつながりが非常に強い分野であるということは御承知のところだと思いま す。  少し飛ばしますけれども、スライドの9番をごらんください。患者数の内訳ですが、外 来患者数、入院患者数がこういう状態で増えているということです。  次のスライドは、ではそういう入院している患者さんの疾病別内訳はどういうことにな るかという棒グラフで、年次推移を示したものになります。それから、その下の精神疾患 外来患者の疾病別内訳を見ていただきますと、外来では躁うつ病などの気分障害やアルツ ハイマーが増加しているということです。  それから、長期入院だとよく言われますが、精神病床の平均在院日数も漸減していると いうのがスライドの12でございます。  それから、13番が入院期間別の入院患者数の年次推移、それから、14番が新入院患 者の残存曲線ということになります。  以下、障害福祉サービス利用、それから18、19のあたりは、どちらかというと福祉 的サービスになりますので、省略させていただきます。  それから、スライド版の図は見えづらいですけれども、次の22のあたりは薬の使い方 でして、統合失調症の患者に対して抗精神病薬の併用投与をどうやっているかということ ですが、日本は比較的2剤、3剤という多剤の併用が多いということが書かれております。  それから、24番のスライドは、一般救急と精神科救急の連携でございまして、自殺企 図みたいなことをされる患者さんの場合には精神科でのケアが必要だし、また逆に精神科 の患者さんであっても一般救急のケアが必要だということになります。  それから、28、29は、統合失調症の入院患者における身体合併症等を書いておりま す。  それから、先ほどから話をしておりますように、身体合併症というものが一つのテーマ になっているわけですが、30番のスライドにありますように、総合病院の精神科の病床 あるいは施設数は漸減傾向にあるということでございます。  もう一度本文に戻っていただきまして、2ページ目の第1の1はもう説明いたしました ので省略させていただきまして、以下、2ですけれども、現行の診療報酬上の評価で、精 神科の退院指導料があります。  それから、次の3ページですけれども、地域移行を推進する専門の部門を設置している ところにおいて、入院期間が5年を超える患者の数を直近の1年間5%以上減少させた場 合に、入院基本料等の加算を創設したということで、精神科地域移行実施加算を書いてお ります。  それから、その下ですけれども、精神科訪問看護・指導料。  次の4ページですけれども、社会復帰を目標とした精神科デイ・ケア。そこには平成2 0年6月審査分の社会医療診療行為別調査の算定件数を書いております。  論点としまして、長期入院患者が円滑に地域移行するためのさらなる支援、それから、 障害福祉サービスの充実の中で、医療とこうした精神科デイ・ケア等の診療報酬上の評価 についてどう考えるかということです。  それから、大きな枠組みの第2は、患者の病態や治療内容に応じた評価です。先ほども 申し上げましたので、1は省略して、2の現行の診療報酬上の評価ですが、通院や在宅精 神療法について評価をしているということです。  それから、次の6ページになりますが、非定型抗精神病薬による治療を行う場合につい て、その枠囲いの中にありますけれども、精神科救急入院料から精神療養病棟入院料まで の4つの基本入院料に加算をつけているということです。  それから、長期入院の問題ですと、精神療養病棟入院料がついているということになり ます。  それから、ちょっと毛色が違った話ですが、児童・思春期精神科入院医学管理加算の単 価を大幅に引き上げたということです。  論点は、薬剤治療と比較して効果が明らかな認知行動療法等についてどう評価していく のか。  それから、抗精神病薬の適切な選択について、診療報酬上どう評価するか。  児童・思春期における問題についてどう評価するか。これが第2でございます。  次が第3、急性期医療でございます。先ほども申し上げましたように、1番の現状と課 題にありますように、一般救急との連携が重要ということになっております。  現行の診療報酬上は、救急ということでは、精神科救急入院料が1と2の2つに分かれ たということです。  それから、8ページですが、その算定要件です。1と2で、1だけ書いております。  それから、新規入院患者や急性増悪した患者の治療を行う病棟として、精神科急性期治 療病棟入院料、総合病院等における身体合併症について、精神科救急・合併症入院料がつ いております。  それから、次の9ページですけれども、身体疾患への治療体制を確保している場合に、 精神科身体合併症管理加算があります。  論点は、救急搬送の受入体制の確保が課題となっている精神科救急についてどうするの か。身体合併症についてどう評価するか。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ただいまの説明につきまして、御意見、御質問ございますか。どうぞ、白川委員。 ○白川委員  精神医療の分野では、前回いろいろな改定を行ったということはよく理解できるのです が、その効果がどれぐらいあったのかという点がなかなかよく見えない部分でございます。 例えば、参考資料にいろいろと政府の目標とか実態分析とかが出ておりますけれども、8 ページに目標値が設定されておりまして、グラフが3つ出ております。これは平成17年、 18年までの資料なので、ここ最近のことは分かりませんが、残念ながらいずれも計画に 達する線に乗っているとは言えないように思います。それから、26ページの精神科救急 入院料届出施設で、56施設が届け出ているということのようですが、この地図を見てお りますと、1カ所もない府県もかなり目につきます。あるいは北海道で1カ所とか、これ でいいのかなという実態です。申し上げたいのは、前回の改定でどういう効果が出たのか ということを一度まとめていただきたいということと、現在の制度ではどこに問題がある のか、あるいはこの計画を達成するためにはこういう観点も必要だということがありまし たら、ちょっと踏み込んで御提示いただきたいというお願いでございます。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  なかなか精神医療はなじみがないということもありまして、今のような情報は非常に重 要かと思います。事務方として何かありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  御指示がありましたので、資料はできるだけ次回までに準備したいと思います。ただ、 何度も申しましたように、スライドの1や2で見ていただくと分かりますように、他の分 野と比べても、特に精神医療というのは、診療報酬で対応できる分野はそれなりに限られ ていると思われます。何度も申しましたが、公衆衛生的な予防あるいは福祉的な要素とか、 そういうことがありますので、診療報酬だけでこんなに改善しましたというところはなか なか難しいかもしれませんが、できる範囲で検討してみたいと思います。  それから、今日は精神・障害保健課長が参っておりますので、全体を通じて、目標値に 達していない理由や現行をどう考えるかについては、コメントを……。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いいたします。 ○事務局(福田精神・障害保健課長)  精神・障害保健課長でございます。  まず、精神障害者のいわゆる医療、それから福祉ということで、何が大きな課題かとい いますと、第一義的には、長期の入院の方々が諸外国に比べて多い。病院に入院されたま まの方の数自体も多い。一方で、医療とか福祉といったサービスが十分に満たされてくれ ば、退院が促進されて、地域において患者さんが医療サービスも受けながら、福祉の支え があって、みずからの力と判断で生活ができるようになるだろう。ここがそもそもの大き な問題意識のスタート点ということでございます。そういったことを精神保健福祉法等の 改正でずっと訴えてきているわけですけれども、厚生労働省が改革ビジョンということで、 そこの部分、いわゆる入院中心の医療から地域生活中心の生活へという形で方向性を出し た。これが時間的に言うと数年前ということでございます。それに沿った形で、診療報酬 のほうでも平成18年改定、そして平成20年改定で御支援をいただいているということ でございます。  その成果ということは、なかなか直近のデータも得にくいというところですけれども、 複合的な要素がございますので、地域での受け皿の問題、そして地域に出た患者さんをど のように医療が支援するのかといった問題のところがございます。ただ、お手元の資料で 12ページのスライドでもごらんいただけますように、例えば平均在院日数は、最近の数 字は必ずしも出ていないわけですけれども、下がってきているということ。それから、そ の下の部分ですけれども、入院患者につきましては、長期の入院患者さんの割合が下がっ てきているというところ。それから、14ページでは、新しい患者さんの残存率といいま しょうか、要はどのくらいの感じで退院が進んでいるかということですが、そういったと ころも、これも平成17年の数字ということですけれども、促進されつつあるということ でございます。  基本的には、先ほどもお話がございましたけれども、医療だけで進むという部分ではご ざいませんので、障害福祉サービスとあわせてという形になりますけれども、障害福祉サ ービスのほうも、お手元の17ページのスライドでも一部お示ししてございますが、退院 された患者さんの受け皿、それから日中の活動といった部分につきましても、徐々にでは ありますけれども、ふえてきているという実情にあるということです。具体的な数字の成 果については、まだどこまで出せるかというところが十分でない部分もございますが、そ ういった形で今いろいろな課題がありながら、徐々に進んできているということのみコメ ントさせていただきたいと思います。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  それでは、先ほど白川委員からありましたような内容について、可能な限り次回にでも 出していただければと思いますので、事務局のほうでよろしくお願いします。  ほかにございますか。何か診療側の方からありますか。それでは、安達委員、どうぞ。 ○安達委員  今回、体制がかわりまして、それで病院代表もいらっしゃるのですが、精神科の病床の 皆様方のこの論点に対する御意見、要望というものをだれがここで代表してお話しするの かということが非常に悩ましいんでございます。私は立場上、日本医師会の委員会を通じ まして、精神病協会のほうにはこの論点について御意見を伺うという立場で伺ってござい まして、それは全部あるんですけれども、それを全部申し上げてよろしいのかどうかとい うことですが。 ○遠藤小委員長  時間がかかるということですか。 ○安達委員  はい。論点が今日の資料でも全部入れると10項目ほどあると思いますので、それを簡 潔に申し上げて議事録にとどめていただくのがいいのか、あるいは申し上げたと同じこと であるという扱いならば、いただいている回答をまとめたものをお出しして、議事録とし て扱っていただければ……。 ○遠藤小委員長  それはだめです。議事録に残すには平場で発言していただくという形を基本的にしてお りますので、時間の制約もありますので、もしそのポイントだけを絞ったような形で御発 言できれば、お願いしたいと思いますが。 ○安達委員  では、ちょっとだけお時間を拝借します。  まず、地域生活への移行支援による長期入院の解消という論点で、長期入院患者等が円 滑に地域へ移行するためのさらなる支援について、診療報酬上の評価をどう考えるか。こ の論点1に対しては、現在設定の点数は5点ですが、これだと非常に低過ぎて、チームに 対するコストを反映できないという御意見でございます。  それから、2番目のデイ・ケアの診療報酬上の評価です。これについては、十分なデイ ・ケアができないとさらに再入院が多くなるというエビデンスはあるので、一定期間を超 えたらというデイ・ケアの日数制限というのがございます。それは排除していただいたほ うが実際にはいいのではないかという御意見でございます。  それから、患者の病態や治療内容に応じた評価という点で、論点が3つございます。そ のうち、認知行動療法等についての診療報酬上の評価、その設定そのものには賛成である ということです。ただ、付随して、そのほかにも精神科には、同日に実施すると専門療法 として算定できないものがある。特に認知症の行動療法については、そのほかのものと同 日算定がある可能性が高いので、同日算定を可能にしてほしいという御意見であります。  それから、2番目の抗精神薬の適切な選択について、診療報酬上の評価。実は、これは 精神科だけではなくて、内科にも7剤規制というのがございます。単剤化というのは、基 本的には目指す一番いい方向だと思いますけれども、臨床上、病態からしてそうはいかな いものは多々あるということで、単剤化あるいは少数薬剤化だけを評価するという設定に は賛成できませんという御意見であります。  それから、児童・思春期における発達障害や長期にわたり療養が必要な患者などの入院 医療の診療報酬上の評価です。これが実際に今、評価点数が650点でしたか、低くて、 病棟として経営上成立する評価をいただかないと、なかなかこれの運営ができないという ことでございます。あわせて、児童・思春期における患者の状態像はまだ十分に確立され たとは言えないという面もあるのではないか、つまり適応対象患者についてどう算定する かということの御意見であります。  最後に救急搬送についてです。救急搬送の受入体制の確保が課題となっている精神科救 急を担う医療機関において、診療報酬上の評価をどうするか。全国の精神科救急医療につ いて、民間のほとんどの病院が全国で輪番制を担っているというのが現状だということで ございまして、この輪番制についても評価をいただく必要があるのではないかという御意 見であります。  それから、身体合併症を有する方の診療報酬上の評価であります。これが多分一番難し いんだと思いますけれども、現在、総合機能を持っている病床では合併症を全ベッドの2 割程度しか受け入れていませんので、全ベッドを合併症の受け入れができる体制とするよ うな評価になっていただきたいということでございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  今、安達先生がおっしゃっていただいた日本精神病院協会の御意見ですが、本来ならば 西澤先生、私も参加しております病院団体の集合体であります日本病院団体協議会のほう が申し上げなければいけないんですが、ちょっと時間的なものがありまして、日本医師会 へ出たものを安達先生が代弁していただいたということで、全く同感でございますので、 つけ加えておきます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかに御意見はございますか。貝谷さん、どうぞ。 ○小林(剛)委員(代理 貝谷氏)  先ほど精神関係の御意見が御披露されましたけれども、その中で、今日の資料の診−3 の5ページ、患者の病態や治療内容に応じた評価というところで、少し教えていただきた いんですけれども、1の(2)の後段で、抗精神病薬の多剤・大量投与は、単剤投与と比 較したときに有効性が必ずしも明らかでない、あるいはむしろ副作用リスクが高まるとい う記述があるわけですけれども、先ほどの御意見ではどうも必ずしも単剤を目指すことは 賛成されないというお話なんですけれども、私どもは、この辺の医学的な意味での判断と いいますか、エビデンスが一体どういうことになっているのかということが、事実関係と してどういう前提なのかをまず確認した上で、そこを考えていく必要があるのではないか と思います。 ○遠藤小委員長  それでは、これは事務局にお答え願いたいと思います。 ○事務局(福田精神・障害保健課長)  精神・障害保健課長でございます。  この資料に書かれております多剤・大量処方についての副作用の件につきましては、先 ほどもお話し申し上げましたけれども、「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検 討会」で、専門の医師も入っている中で資料を提出させていただいて、そういう中で御議 論いただいて、もちろん、すべてが副作用のリスクが上がるというわけではないのですけ れども、副作用のリスクとか、併用の仕方、それから組み合わせの仕方によって副作用の リスクが上がってくるといったエビデンスが一方ではあるということが示されました。一 方で、そのときの議論としては、これは薬の合わせ方にもよるので、同じような効果を持 つような薬を、Aという薬がうまく効かないのでBという薬を足していくといった処方を したような場合に、では効果が上がるかといった点についても議論されまして、これにつ きましては効果が上がるということについて支持する根拠はないといった議論がなされた ところでございます。そういったことを含めて、全体とすると、最近の処方薬の進歩とい うことを踏まえて考えていった場合に、多数の薬を大量に投与していくといった実情が日 本ではまだ諸外国に比べて多い部分があるわけでございますけれども、そういったものも、 また最近のいろいろな動きも踏まえて、より適切な処方のほうに促していく必要があるの ではないか。そういった意味での御提言をいただいたということでございます。したがい まして、一概にこういうパターンだからこうなりますというものではないのですけれども、 そういったいろいろな文献上の事実があるということの中で、今後御議論いただく一つの 観点としてお示ししているということでございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  貝谷さん、どうでしょう。 ○小林(剛)委員(代理 貝谷氏)  スライドの22番は、統合失調症のケースだけの比較でありますけれども、日本が単剤 よりも圧倒的に多剤使用ということになっていることをうかがわせる資料だと思うんです。 こういうものを見ると、あるいは今御説明の国での専門的な検討会の中でそういう方向性 が出ているということであれば、個々の患者さんにとってはいろいろあると思いますが、 全体として今のような方向であれば、やはりこういうことに対して何らかの対応を今回診 療報酬上での検討の中に入れていくべきではないかと思います。すなわち、この資料を見 る限りでは、ディスインセンティブといいますか、そういう方向で何らかの工夫が必要で はないかなと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかに。鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  私は精神科医ではございませんが、精神科医の先生にお伺いしましたところ、多剤投与 に関しては、単剤に最近それなりのいい薬が出ているということですけれども、単価が高 いということもありまして、包括性で、精神科の医療も非常に安く医療費を抑えられてお りますので、そういった中で従来からの安い薬を使わざるを得ないということもあるとい った話を聞いております。  それと、最初の地域移行に関する話ですけれども、これも、移行しようと思っても、診 療報酬だけではなくて、受け皿がないということで、住む家がない、仕事がない、家族が 受け入れたがらない、とにかく行き場所がないということで、また障害者の手当などもあ るのですが、2級で8万円ぐらいでとても暮らせないということで、そういった問題もあ るという話を聞いております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  安達委員、先ほどお手を……。よろしいですか。 ○安達委員  鈴木委員がほとんどおっしゃっていただきましたので。実は、精神科のもう一つの問題 は、今の話でございます包括です。DPCと違って、横出しができません。どんどん最近 の新しい効果の卓越したお薬も開発されてまいりますけれども、それらの薬価が、さっき の薬価部会の話も含めてですが、けっこう高い。そうすると非常に使いにくい。これは、 精神科の入院の一番根本にある苦悩だろうと思います。その単剤を評価ということで他剤 にしたら、例えば内科の7剤投与のように減点するといった話にしていくのだとすると、 それができない状況、つまり新しい抗精神病薬なら1個でいけるものが、前のものだと2 つ3つ組み合わせなければならないという状況が背景にあるとすれば、その両方とも首ね っこを絞められると、どうしろというんだという話になるんだろうと思いますので、どち らか窓口はあけていただかなければならない。本当は、高価薬のほうを包括から横出しに して、より先進的な医療ができるというほうが、医療をお受けになる方にとってもいいの ではないかと思っております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  精神科についての医療崩壊は、急性期なんです。要するに、急性期の医療をやる精神科 の医者が、同じ精神科の中でも非常に減っている。これが現場では一番問題になっており ますので、この論点の3の(1)の救急搬送の受入体制の確保、ここに医療費を重点的に 入れないと、今までの先生方のお話は、お薬の使い方とか、いわゆる慢性期の患者さんの 管理なんですけれども、実際の現場で一番、精神科の医者が逃げてしまうというか、職場 を立ち去っているのは急性期です。この辺は御配慮願いたいと思います。 ○遠藤小委員長  いろいろと御意見を賜りました。  それでは、三浦委員、どうぞ。 ○三浦委員  今、多剤投与の話が出ていたので、そちらのお話でありますけれども、日本における精 神科の薬物療法では多剤投与が大変大きな問題であるという指摘は以前からあったと聞い ております。また、なるべく多剤投与を1種類に減らすといった方向性が今あると聞いて おりまして、薬剤師のほうから医師へ提案して単剤化へ取り組んでいくという症例が見受 けられるという報告を受けておりますので、その辺も今後、取り組みとしては、処方提案 を行った、そしてチーム医療としてのそういう方向性を評価していただければと考えてお ります。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いいたします。  それでは、本日は非常に多様な御意見を承りましたので、事務局には、本日の御意見を まとめていただきながら、それを参考にして、また新たな提案を出していただきたい。ま た、宿題も出ておりますので、その対応のほどよろしくお願いいたします。  それでは、時間もなくなってきておりますが、その他というのが実はありまして、これ は本小委員会で御指摘いただいた事項について資料を準備いたしましたので、説明をして いただきたいと思います。  まず、周産期救急医療等の関連資料について、事務局からお願いします。手短で結構で すので。 ○事務局(佐藤医療課長)  それでは、診−4本体と参考資料でございます。説明する前にちょっと1点だけ申し上 げておきますと、今日もそうですけれども、前回、それから前々回と宿題をたくさんいた だいておりまして、宿題だけで時間をとるというのもあれですから、この資料や本体はあ らかじめごらんいただいておりますので、今後は基本的には説明はしないということにし たいと思います。もちろん、ここはどうしても説明しておかなければならない非常に重要 なポイントは紹介させていただきますし、また御質問があれば受けるというスタイルでや りたいと思います。  そういうことで、今日の資料につきましては、基本的にコメントはございませんけれど も、1点だけ修正をお願いしたいと思います。めくっていただきまして、ページは振って いませんが、3枚目に「宿題資料3」と書いてありまして、そこに表があります。一番下 のところに「社会医療診療行為別調査」とあるのですけれども、その直上に「一般病棟 (7対1)」となっている行がありますけれども、「一般病棟」の後の「(7対1)」は 間違いでして、これは7対1入院基本料に限らず、10対1、13対1等、すべての一般 病棟入院基本料を算定している医療機関の数ですので、参考までに見てくださいというこ とでおつけしましたので、「(7対1)」の部分の削除をお願いします。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。  時間の節約のために、基本的に事前のレクで説明していただいて、あとはどうしても重 要な点のみコメントしていただくという形で進めたいと思いますけれども、よろしゅうご ざいますか。  何か御質問はありますか。よろしいですね。  それでは引き続きまして、看護職員の地域偏在について、坂本専門委員から資料が出て おりますので、これも手短でお願いいたします。 ○坂本専門委員  では説明させていただきます。  まとめとしましては、スライドの11をごらんください。看護職員の就業者数は約13 3万人でであり、1年間で1.3万人増加しているということです。  それから、第6次看護職員需給見通しでは、これはスライド4ですが、全体の不足傾向 は減少している。しかし、これは7対1の以前ですので、それにプラスして考えなければ いけないと思います。  それから、スライド5ですが、医師に比べて看護師の地域偏在は、多くのグラフでは出 ておりません。そういうことから、看護師はふえていると考えますが、一番大きな課題は、 スライド3にございますように、離職の問題であります。それから、これは本当にそうで あるというよりも、引き算で推定されている潜在看護職の数が55〜65万人と想定され ているところです。これらをどのように職場に復帰していただくかというところが大変大 きな問題となっております。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  では、引き続きまして。 ○坂本専門委員  それから、先ほど少し話題になりました専門看護師と認定看護師の表をスライドの25、 それから27、28につけております。それから、これからどのようにふえていくかとい うことを最後のスライド29につけておりますので、御参考にお願いいたします。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  何か御質問はありますか。では、鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  潜在看護師が多いということなんですが、一たん離職されますと、期間があけばあくほ ど、復帰された場合も仕事上いろいろな制約を受けるんです。例えば夜勤はやりたくない、 できないとか、土・日は休みたいとか、祝日は出たくないとか、そうすると病院としては 勤務体制を組むのに非常に苦労いたしますので、基本的には離職をできるだけしないよう にということと、これは診療報酬上の問題だけではありませんけれども、勤務を続けなが ら仕事と家庭が両立できるようなライフスタイルがとれるような体制に移行していかない と、女性の就労という問題とも絡みまして、これはなかなか解決しない問題だと考えてお ります。 ○遠藤小委員長  診療報酬の設定においてもそういう視点からの考察も必要だという御意見ですね。 ○鈴木委員  そうですね、もちろんできるの範囲で。 ○遠藤小委員長  嘉山委員、どうぞ。 ○嘉山委員  今の意見と全く同じなんですけれども、潜在看護師が戻れない大きな理由は、保育所が ないとか、社会的な問題ももちろんあるんですが、自信がないんです。このスピードで医 学が進歩している中で、もう技術に追いついていけないんです。もし診療報酬でやるとす れば、こういう経営者はすぐに夜勤を1人でやれと言うんです。ところが、それではだめ なんです。職業訓練をさせながら、医療費を払ってやって、そしてだれかつけないと、人 の命を預かっていますから、自信を持って夜できないんです。そうすると、潜在看護師は 戻ってきます。  もう一つは、日本看護協会や各都道府県の看護協会が、以前はちゃんと都道府県に、こ れは教育費ですと言っていたんですけれども、地方にそのお金を分散したら、今はそれが 教育費に使われていないんです。今から10年ぐらい前までは使われていたと思うんです けれども、そういうこともありますので、潜在看護師の教育の費用を医療費で、つまり病 院に払うということになると思いますけれども、職業訓練プラス人件費ですか、それをき ちんと手当てするのが……。うちでは今、大学でやっているんです。大学でリフレッシュ 教育で、看護師まで今始めましたから、医者はもうやっていますけれども、もう一回帰っ てくると、非常に効率がいいです。多分、離職者が多いのはそれですね、先生。 ○坂本専門委員  はい。潜在看護師の離職理由がスライド8に出ておりますので、参考にしていただきた いんですけれども、労働条件の問題が大きいということと、今、嘉山先生がおっしゃられ たように、責任の重さ、医療事故への不安というのが出ておりますので、何らかの形で考 えていただければと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。具体的な提案も含めて、ありがとうございます。  ほかにございますか。よろしゅうございますか。  それでは、その他につきましてもこれで終了したいと思います。  本日は、非常に活発な審議ができまして、非常によろしかったと思います。それでは、 本日の小委員会は、1時間ほど時間をオーバーしましたけれども、これにて閉会したいと 思います。  次回の日程等につきまして、事務局からお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  11月6日を予定しております。詳細は後ほどお知らせいたします。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございまし た。       【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)