09/11/02 第8回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会議事録 第8回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会 議事録 日時:2009年11月2日(月) 18:00〜20:10 場所:厚生労働省 専用第18〜21会議室(17階) 出席者:  委員   柏女委員長、松風委員、相澤委員、今田委員、大塩委員、大島委員   奥山委員、木ノ内委員、榊原委員、庄司委員、高田委員、豊岡委員   西澤委員、藤井委員、藤野委員、山縣委員、吉田委員  厚生労働省   香取審議官、藤原家庭福祉課長、杉上虐待防止対策室長、前河児童福祉専門官  オブザーバー   筒井孝子氏(国立保健医療科学院 福祉サービス部 福祉マネジメント室長) 議題:  1. 開会  2. (1)タイムスタディ調査の結果概況等    (2)児童福祉法改正の実施状況    (3)その他  3. 閉会 配布資料:  資料1-1 平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査       タイムスタディ調査 概要  資料1-2 タイムスタディ調査結果  資料2  平成20年児童福祉法改正関連事業等の実施状況  資料3  平成22年度家庭福祉対策関係予算概算要求の概要  参考資料1-1 「平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査」         アセスメント調査票(母子生活支援施設以外・就学前児童)  参考資料1-2 同(母子生活支援施設以外・就学後児童)  参考資料1-3 同(母子生活支援施設・就学前児童)  参考資料1-4 同(母子生活支援施設・就学後児童)  参考資料1-5 同(母子生活支援施設・世帯)  参考資料2  業務分類コード表(ケアコード表)  参考資料3  タイムスタディ調査票(他計式・自計式)  参考資料4  平成20年度社会的養護ニーズ把握調査概況  参考資料5  地方分権推進委員会第3次勧告(抄) 議事: ○藤原家庭福祉課長  定刻になりましたので、ただ今から第8回「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員 会」を開催させていただきます。委員の皆さま方におかれましては、お忙しいところ、また 本日は遅い時間になりましたが、お集まりいただきまして厚く御礼申し上げます。  本日の委員会には、予定では全委員にご出席いただくことになっておりますが、山縣委員 が少し遅れておられますが、もうすぐ到着されるのではないかと思います。また、前回に引 き続きまして、社会的養護における施設ケアに関する実態調査設計について、ご協力を得い ただいております国立保健医療科学院福祉サービス部福祉マネジメント室の筒井孝子室長 にご出席いただくことになっておりますが、少し遅れていらっしゃるという連絡がございま した。  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。柏女委員長、よろしくお願いいたし ます。 ○柏女委員長  皆さま、こんばんは。虐待防止月間が始まって、お忙しいところを夜分にお集まりいただ きまして、ありがとうございます。しかも、全員出席というご報告を今いただきまして、委 員の皆さま方の関心の高さを強く感じております。  前回が5月の開催でしたので、ほぼ半年ぶりということになるかと思いますが、今日はタ イムスタディの調査結果の報告等をいただいて、いわば中間的な取りまとめについて、例え ばクロスの仕方といったことについて、ご意見をいただく機会にさせていただければという ことで開催させていただきました。  最初に、お手元にお配りしております資料につきましての確認を、事務局からお願いした いと思います。 ○藤原家庭福祉課長  それでは、資料の確認をさせていただきます。まず資料1の枝番の1ということで「平成 20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査 タイムスタディ調査 概要」とい う表題のパワーポイントの資料がございます。資料1-2の「タイムスタディ調査結果」これ は若干分厚いものでございますが、その中には数表が多数収められている資料でございます。 資料2「平成20年児童福祉法改正関連事業等の実施状況」、資料3「平成22年度家庭福祉 対策関係予算概算要求の概要」という本体資料がございます。さらに、参考資料ということ になりますが、参考資料の枝番1〜5でございますけれども、平成20年度社会的養護にお ける施設ケアに関する実態調査のアセスメント調査票ということで、タイムスタディの際の アセスメント調査票でございます。また、参考資料2もタイムスタディの関連でございます が「業務分類のケアコード表」、参考資料3はタイムスタディの調査票でございます。また、 タイムスタディとは異なりますが、「平成20年度社会的養護ニーズ把握調査」を実施いた しましたので、その関係の概況ということで参考資料4を付けさせていただいております。 最後に参考資料5ということで「地方分権推進委員会の第3次勧告」の抜粋を付けさせてい ただいております。  なお、大塩委員からの提出資料として「母子生活支援施設における職員配置の公民比較」 を、藤野委員から「第63回全国児童養護施設長研究協議会 宮城大会宣言」を頂戴してお りまして、それぞれ配布させていただいております。  お手元に資料がない場合は、お知らせください。事務局よりお渡しいたします。資料の確 認は、以上でございます。 ○柏女委員長  皆さま、お手元にございますでしょうか。  それでは早速、討議に移っていきたいと思います。今日の議題は大きく二つありますけれ ども、事務局からのご説明を一括でいただいて、その上で討議の時間を約1時間ぐらい取れ ればと思います。大部の資料になりますので説明が長くなると思いますけれども、一括で報 告していただいて、その上でディスカッションをしてまいりたいと思います。  それでは、事務局から説明をお願いします。 ○前河専門官  児童福祉専門官の前河と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。タイムスタ ディ調査結果の概要につきまして説明させていただきます。お手元の資料1-1をご覧くださ い。資料1ページにつきましては、タイムスタディ調査の調査対象施設数および調査対象施 設の選定条件等について記載しております。それから、資料2ページの上の囲みにつきまし ては、調査の概要およびグループインタビューの内容と目的について記載しております。こ れらにつきましては、前回の専門委員会で既に提出している資料と同じ内容ですので、説明 は省略させていただきます。  次に、資料2ページの下の囲みの部分ですが、タイムスタディについての説明を記載して おります。タイムスタディ調査とは、ケアを提供している現場で「どういう職員」が「どの ような子どもに」「どのようなケアを」「どのくらい(時間)」提供しているのかを明らかにす ることを目的とした方法です。これらについて、子どもの状態の違いやケア形態の違い、ケ ア内容の違い等によって、どのようにケアの提供量が異なるかについて定量的に把握するた めの調査です。  3ページに移ります。「タイムスタディ調査結果分析の視点」について示しておりますが、 タイムスタディ調査によって得られた現状のケアの提供量の結果から、子どもの年齢や状態 に応じたケアの提供量を分析・検討し、平成19年度の調査や他の調査と併せて現状の要保 護児童にとって適切な施設類型のあり方の見直しや、人員配置基準の引き上げや措置費の算 定基準等の見直しを含めたケアの改善について検討していきます。  今回の集計項目のポイントといたしましては、まず子どもの状態の違いや家族状況の違い による子ども1人当たりのケアの提供量の比較を施設種別ごとに、また、各施設種別による 子ども1人当たりケアの提供量の比較。それから、ケア形態、職員配置の手厚さ別による子 ども1人当たりケアの提供量の比較です。※印を付けておりますが、タイムスタディ調査実 施時にケアの負担感についてもケアごとに記録していただいておりますが、これにつきまし ては現在集計中です。  次に、資料4ページをご覧ください。結果の説明に先立ちまして、上の囲みの部分ですが、 タイムスタディ調査におけるケアの方法と子ども1人当たりのケア時間の算出方法につい て、図を示しておりますので説明させていただきます。一番左側の図が「児童に複数の職員 が同時にケアを行った場合」です。児童Aの1人当たりケア時間は児童Aに対する職員X のケア時間と児童Aに対する職員Yのケア時間を足したものになります。また、真ん中の 図の「複数の児童に職員が同時にケアを行った場合」につきましては、児童Aの1人当た りケア時間は同時にケアを行った職員Xのケア時間を児童の数(この場合は2)で割ったもの になります。また、一番右側の図の「異なる複数のケアを複数の児童に職員が同時にケアを 行った場合」につきましては、児童Aの1人当たりケア時間は、職員Xの児童Aに対する ケアの種類(1)のケア時間をケアの種類数(2)で割ったものに職員Xの児童Aに対するケアの 種類(2)のケア時間をケアの種類数2で割り、さらに児童数2で割ったものを足したものです。  次に、下の囲みに「調査の種類と子ども1人当たりケア時間の算出方法」について示して おります。右上の「7日間タイムスタディ調査」は、自計式で付けていただいておりますが、 専門職種や施設長・事務職種等による子どもに対するケア時間について7で割ったもの。そ れから、右下の「2日間タイムスタディ調査」は、調査員が職員に1人ずつ付いて行う分で すが、これにつきましては直接ケア職種等によるケア時間を休日調査についてはその7分の 2を、平日調査についてはその7分の5を足して1日に換算して算出しております。今回、 2日間につきましては1日を平日、1日を休日としております。  では、資料5ページをご覧ください。これより調査結果のポイントについて説明させてい ただきます。この結果につきましては、取り急ぎ行いました第1次調査結果でございますの で、結果についての評価や分析については今後の作業になります。その際に必要な視点につ いて、ぜひご意見をいただきたいと考えております。この調査結果につきましては、時間の 関係ですべてについて説明することは難しいですので、資料1-2の表の集計を添付しており ますが、そのうち、子ども1人当たり総ケア時間について、概ね平均値を基準値として評価 項目間で統計的に有意差があった項目について抽出し、特徴的な傾向が出ていた結果につい てグラフ化して表記しております。本日は資料1-1のグラフで示したものを中心に説明を進 めさせていただきます。  では、児童養護施設における結果から始めたいと思います。資料5ページの下の囲みにつ きまして、まず、この資料1-1の見方について、(1)の「年齢別子ども1人当たりケア時間」 を説明させていただきます。なお、右肩に資料1-2のページ番号を付していますので、ご参 照いただければと思います。子どもの状態等についての評価項目別に子ども1人当たりの総 ケア時間を棒グラフと数値で示しておりますが、このグラフにつきましては子どもの年齢階 層ごとのケア時間を示しています。概ね平均値、評価項目が2項目の場合はどちらかを基準 値とし★印を付けておりますが、基準値と各評価項目間の子ども1人当たりのケア時間を比 較し検定を行った結果、統計的に有意差が見られたものについて*を付けております。*三 つが1%水準で有意、二つが5%水準で有意、一つが10%水準で有意傾向があることを示し ています。グラフの下に結果についての説明を記載しておりますが、※印のところについて は、統計的に有意差が見られたものについて表記しております。この児童養護施設の「年齢 別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、年齢が高くなるにつれてケア時間が短 くなっていますが、「18歳以上」でのみ「15〜18歳未満」より長くなっているという結果 になっております。  それでは、資料6ページをご覧ください。「入所期間別子ども1人当たりケア時間/日」 につきましては、「1か月未満」を除き、入所期間が短い(入所後間もない)ほど、ケア時間が 長くなっております。  次に、(3)の「家庭復帰の見通し状況別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、 家庭の復帰の見通しについて「判断困難な場合」に「見込みあり」の場合に比べてケア時間 が長くなっているという結果になっております。  次に、資料7ページをご覧ください。就学前児童にのみ身体、発育の状態を記録していた だいております。囲みの部分に「乳幼児身体発育曲線による分類」を示しておりますが、体 重がこの場合は90パーセンタイル以上(とても多い)場合に、標準範囲の場合よりケア時間 が長くなっているという結果になっております。その下の囲みは「情緒・行動上の特徴のレ ベル別子ども1人当たりケア時間/日」です。今日は参考資料としまして「アセスメント調 査票」を付けておりますが、このアセスメント調査票の3ページの問13に記載しておりま す。全体に情緒・行動上の特徴の問題が多くなるほど、ケア時間が長くなっていますが、就 学後児童において情緒・行動上の問題が少ない場合にケア時間が顕著に少なくなっていると いう結果になっております。  では、資料8ページをご覧ください。「被虐待体験の有無別子ども1人当たりケア時間/ 日」につきましては、被虐待体験の「疑い有り」の場合に「無し」に比べてケア時間が長く なっているという結果になっております。その下の「家族への支援の有無別子ども1人当た りケア時間/日」についてですが、この場合の「家族への支援の有無」というのは、下の囲 みに説明を記載しておりますが「当該児童の家族等に対する面接や家庭訪問など継続的な家 族支援の有無」ということです。この家族への支援「有り」の場合に「無し」に比べてケア 時間が長くなっているという結果になっています。  資料9ページをご覧ください。「不適切な養育を受けた子どもの行動」は参考資料1-2「ア セスメント調査票」の6〜7ページに掲載している既に標準化されたチェックリストですが、 この子ども1人当たりケア時間につきましては、「カットオフ値以上」すなわち専門的なケ アを要する状態にある場合に、そうではない場合に比べてケア時間が長くなっているという 結果になっています。  次は、その下の「ケアニーズの充足状況に関する評価別子ども1人当たりケア時間/日」 につきましては、これは施設職員が当該児童についてケアニーズがどの程度充足されている のかを評価したものですが、ケアニーズが「充足されている」と職員が感じている場合に、 ケア時間が最も短くなっているという結果になっております。  それでは、10ページに移ります。次からは乳児院における結果です。「家庭復帰の見通し 状況別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、「家庭復帰困難又は見通し無し」 が最もケア時間が長くなっています。その下の「出生時体重別子ども1人当たりケア時間/ 日」につきましては、出生時体重が標準範囲より少ない場合に、子ども1人当たりケア時間 が長くなっているという結果になっています。  資料11ページに移ります。「早産(在胎36週未満)の有無別子ども1人当たりケア時間/ 日」につきましては、「早産(在胎36週未満)」の場合に、ケア時間が長くなっています。次 の「哺乳・離乳食等の形態別子ども1人当たりケア時間/日」ですが、これは哺乳・離乳食 の形態が「ミルクに加え離乳食を開始している」場合に、他の「ミルクのみ」や「幼児食」 に比べてケア時間が最も長くなっているという結果になっています。  では、資料12ページをご覧ください。「身体、発育の状態別(身長)子ども1人当たりケア 時間/日」につきましては、身長が「75〜90パーセンタイル未満(やや高い)場合にケア時 間が最も短くなっているという結果になっています。次の「発達指数別子ども1人当たりケ ア時間/日」につきましては、発達指数が「軽度」の発達の遅れがある場合に、ケア時間が 最も長くなっており、次いで「正常範囲」の場合にケア時間が長くなっています。  資料13ページをご覧ください。これからが情緒障害児短期治療施設における結果です。 「年齢別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、「12〜15歳未満」の年齢層にお いてケア時間が最も短くなっています。その下の「男女別子ども1人当たりケア時間/日」 につきましては、「女児」の方が「男児」に比べてケア時間が長くなっています。  資料14ページをご覧ください。「家庭復帰の見通し状況別子ども1人当たりケア時間/ 日」につきましては、「家庭復帰困難又は見通し無し」の場合にケア時間が最も長くなって います。その下の「情緒・行動上の特徴のレベル別子ども1人当たりケア時間/日」につき ましては、情緒・行動上の特徴の問題が多い方がケア時間が長くなっているという結果にな っています。  次に、資料15ページをご覧ください。「家族への支援の有無別子ども1人当たりケア時 間/日」につきましては、家族への支援「有り」の方が「無し」に比べてケア時間が長くな っております。その下の「『不適切な養育を受けた子どもの行動チェックリスト(就学後児 童)』の評価レベル別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、「カットオフ値以上」 すなわち専門的なケアを要する状態にある方が、そうではない場合に比べて時間が長くなっ ております。  では、16ページをご覧ください。次は児童自立支援施設における結果です。「親の養育に 関する問題及び保護者対応の困難さの状況別子ども1人当たりケア時間/日」ですが、これ は参考資料1-2の3ページに掲載しております。これは親の養育に関する問題及び保護者対 応の困難性さが多い方がケア時間が長くなっているという結果になっています。下の「知能 指数別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、知能指数が「境界域」の場合にケ ア時間が最も長くなっています。  では、17ページをご覧ください。「定期的な通院の有無別子ども1人当たりケア時間/日」 につきましては、定期的な通院「有り」の場合に、「無し」に比べてケア時間が短くなって いるという結果になっています。  次に、母子生活支援施設の世帯の方についての結果です。「世帯児童数別1世帯当たりケ ア時間/日」につきましては、子どもの数が多くなるにつれて、ケア時間が長くなっていま す。  資料18ページをご覧ください。「母親の年齢階層別1世帯当たりケア時間/日」につき ましては、母親の年齢が「20〜24歳」という20代前半の場合にケア時間が最も長くなっ ています。その下の「主たる入所理由別1世帯当たりケア時間/日」につきましては、「児 童虐待」が主たる入所理由の場合に、ケア時間が最も長くなっているという結果になってい ます。  では、資料19ページに移ります。上の「母親の就業状況別1世帯当たりケア時間/日」 につきましては、母親が就業している場合にケア時間が短くなっているという結果になって います。その下が母親についての「情緒・行動上の特徴のレベル別1世帯当たりケア時間/ 日」ですが、これは資料1-5「アセスメント調査票・世帯票」の2ページの問8に掲載して いますが、この場合は母親の情緒・行動上の問題が多いほどケア時間が長くなっているとい う結果になっております。  資料20ページをご覧ください。同様に、母子関係についての「情緒・行動上の特徴のレ ベル別1世帯当たりケア時間/日」につきましては、これもアセスメント票の方に付けてお りますが、母子関係につきましても、情緒・行動上の問題が多いほどケア時間が長くなって いるという結果になっています。  その下の「ケアニーズの充足状況に関する評価別1世帯当たりケア時間/日」につきまし ては、ケアニーズが「充足されている」と職員が感じる場合にケア時間が最も短くなってい るという結果になっています。  次に、資料21ページをご覧ください。母子生活支援施設に入所している児童についての 結果です。「子どもの年齢別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、「6か月未満」 が他の年齢層に比べケア時間が長くなっています。その下の「親の養育に関する問題及び保 護者対応の困難さの状況別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、親の養育に関 する問題及び保護者対応の困難さが多い方がケア時間が長くなっています。  資料22ページをご覧ください。「身体、発育の状態別(体重)子ども1人当たりケア時間/ 日」につきましては、体重が「75〜90パーセンタイル以上」とやや多い場合に、標準範囲 に比べケア時間が短くなるという結果になっています。下の「知能指数又は発達指数別子ど も1人当たりケア時間/日」につきましては、知能指数または発達指数が「境界域」の場合 に、ケア時間が長くなっています。  資料23ページに移ります。「情緒・行動上の特徴のレベル別子ども1人当たりケア時間 /日」につきましては、児童の情緒・行動上の問題が多いほど、ケア時間が長くなっていま す。下の「被虐待体験の有無別子ども1人当たりケア時間/日」につきましては、被虐待体 験「有り」の方が「無し」に比べ、ケア時間が短くなっています。  資料24ページをご覧ください。「家族への支援有無別子ども1人当たりケア時間/日」 につきましては、家族への支援「有り」の方が「無し」に比べ、ケア時間が短くなっていま す。「養育問題のある子どもの行動チェックリスト」も既に標準化されたチェックリストで すが、この評価が「境界域(できるだけ特別なケアが必要)」である場合に、ケア時間が最も 長くなっているという結果になっています。以上がアセスメント結果とケア時間との関連の 結果です。  資料25ページに移ります。ここからは、施設環境別の状況についての結果です。上のグ ラフは「施設種別別子ども1人当たりケア時間/日」を示したものです。施設種別別による ケア時間は乳児院が最も多く、次いで情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童養 護施設の順になっています。下の方は、上のグラフを業務分類別に示したものです。業務分 類コードにつきましては、参考資料2にお付けしておりますが、今回の調査結果における業 務分類は大分類別としております。業務分類別に見ますと、どの施設種別でも「児童に直接 かかわらない業務」、「身の回りの世話」においてケア時間が長くなっております。「身の回 りの世話」と「愛着・コミュニケーション」で見ますと、乳児院が最も長く、次いで児童自 立支援施設、児童養護施設の順になっています。それから、「児童に直接かかわらない業務」 では、情緒障害児短期治療施設が最も長く、次いで乳児院、児童自立支援施設の順に長くな っています。  資料26ページをご覧ください。これは「施設種別別時間帯別子ども1人当たりケア時間」 のグラフです。時間帯別のケア時間を見ています。各施設種別で子ども1人当たりケア時間 が最も長くなっている時間帯は、乳児院と児童自立支援施設では「12時〜15時」、児童養 護施設と情緒障害児短期治療施設では「15時〜18時」となっています。乳児院では、他の 施設種別ではケア時間がほとんど見られない時間帯「0時〜3時」や「3時〜6時」におい ても1人当たりケア時間が20分程度見られます。この下のグラフは、施設種別ごとに時間 帯別のタイムスタディ調査をした際の実配置職員数です。各施設種別で実配置職員数が最も 多くなっている時間帯は、児童養護施設以外すべての施設種別で「12時〜15時」が最も多 く、児童養護施設では「15時〜18時」が最も多くなっています。実配置職員数について、 下の囲みで説明を付けておりますが、これは当該時間帯において、職員が児童に対してケア を実施した延べ時間数(休憩時間や仮眠・待機なども含む)を当該時間帯の時間数で除して求 めたものです。実配置職員数の算出には、2日間タイムスタディ調査でのデータのみを用い ています。ここは、資料の方が間違っておりまして、「単位:分」となっておりますが「単 位:人」ですので、ご訂正いただきたいと思います。  資料27ページをご覧ください。これは、児童養護施設における「ケア形態別子ども1人 当たりケア時間/日」です。「小舎・小規模」が189分、「大舎」が142分となっておりま して、子ども1人当たり47分のケア時間の差が見られます。これを業務分類ごとに示した ものが下のグラフです。業務分類で見ますと、「身の回りの世話」、「愛着・コミュニケーシ ョン」、「指導・相談、自立支援」、「家族や施設外資源との関係」、「児童に直接かかわらない 業務」において、「小舎・小規模」の方が「大舎」よりケア時間が長くなっているという結 果になっています。  最後のページですが、今後の分析の説明の前に、資料1-2にグループインタビューの結果 を示しておりますので、資料1-2の95ページをご覧ください。このグループインタビュー につきましては、施設種別ごと、児童養護施設につきましてはケア形態別に各施設から1〜 2名お集まりいただき、グループインタビューを行いましたが、主な意見について資料1-2 の95ページで表にまとめております。グループインタビューの目的については、資料1-1 の2ページに記載しておりますが、児童の臨床像とケア時間の多寡との関連性を明確にする こととしております。現在、タイムスタディについて第1次集計が済んだところで、グルー プインタビューの結果との関係の分析はまだできておりませんが、主な意見について表にま とめておりますので、それを説明させていただきます。表の見方についてですが、左側の上 から順に施設職員が当該施設に入所していることが不適切であると考えられる児童の特徴、 それから、施設職員が最もケア時間が長いと考えている児童の特徴、施設職員が最もケア時 間が短いと考えている児童の特徴について、右側に施設種別ごとに記載しております。結果 について、かいつまんでご説明しますと、当該施設に入所していることが不適切であると考 えられる主な特徴としましては、知的障害や発達障害等の障害がある場合。次に、精神疾患 や神経疾患等の疾患がある場合。それから、暴力や非行等の問題がある場合です。次に、最 もケア時間が長いと考えられる児童の特徴としましては、発達障害や発達の遅れ、身辺自立 度が低いなどの障害や能力に課題がある場合。それから、年齢が低い、入所期間が短いなど の年齢や入所期間の要因。それから、先天性疾患のある場合。それから、トラブルをよく起 こす等の問題行動がある場合、それからこれはアセスメントにはない項目として挙げられま したが、子どもの愛着要求が強いことが挙げられました。それから最もケア時間が短いと考 えられる児童につきましては、まず身辺自立ができていること、年齢が高いこと、入所期間 が長いなどの年齢や入所期間等の要因。それからアセスメントにはない項目として、手がか からない、コミュニケーションを求めない・苦手などの要因。または、クラブ活動等で園に いる時間が少ない場合、それから他の児童にケアの時間を取られることも挙げられています。  では、資料1-1の28ページをご覧いただきたいと思います。「今後の分析のポイント(素 案)」を示しております。今後の見直しの方向性ですが、施設類型の見直しにつきましては、 施設種別ごとの子どもの状態の違い、それから施設種別ごとのケア内容の違い、これはもう 少し中分類レベルでの分析を行うこと。それから同じ状態の子どもについて施設種別によっ てケア内容がどのように違うのか等について、分析が必要であると考えております。  次に、子どもの状態とケアの内容・時間の違いにつきましては、子どもの状態によるケア 内容・時間の違いですとか、これらに関してグループインタビューとの一致・不一致等につ いての分析が必要であると考えております。また、ケア形態の違いによるケアの違いにつき ましては、ケア形態ごとのケア内容の違いの中分類・小分類レベルでの分析や、同じ状態の 子どもについてケア形態が違う場合のケア内容の違いについての分析が必要だと考えてい ます。また、適切な人員配置つきましては、子どもの状態に応じた適切なケアの提供量・ケ アの内容の分析を行いまして、適正な配置について検討を行うことが必要であると考えてお ります。また、ケアの負担感に影響するアセスメント項目についての分析や、子ども1人当 たりケア時間とアセスメント評価項目との相関を見ることによって、ケア時間に影響する子 どもの状態等についての分析を行うことが必要と考えております。  これらの検討に必要なクロス集計について、下の囲みに「素案」として挙げておりますが、 今後施設機能の見直しに向けた検討や分析を行うために必要な視点や、分析内容について、 ぜひご意見をいただきたいと思っております。  私からの説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○柏女委員長  続けて、児童福祉法の改正その他について、お願いします。 ○藤原家庭福祉課長  続きまして、資料2をお開きください。「平成20年児童福祉法改正関連事業等の実施状 況」をお配りしています。児童福祉法の施行が4月でしたので、5月の本委員会の段階では 数字等のご報告ができませんでした。その後、家庭福祉課が自治体から把握した10月現在 の数字を、本日お配りしています。  1枚おめくりいただきますと、里親の関係の都道府県別の状況についてです。ご案内のよ うに、4月から養育里親、養子縁組里親という形で法律上の位置付けも変わりました。里親 の登録の内容がどのようになっているかという県別の数字を載せております。一番下の合計 欄をご覧いただきますと、総計の部分に登録数で7,326件、受託数は子どもの数ではなくて 里親の数ですが2,810件、その中のそれぞれの個別の内訳を、その右側に再掲として掲げて おります。養育里親のところをご覧いただきますと、登録数で4,448件、受託している里親 は2,260件という数字になるわけですが、一部、専門里親につきましては、他との関係で重 複計上になっています。「みなし養育里親」という言葉がここに出てきますが、これは児童 福祉法の改正法案の附則に経過規定というものがありまして、法律の施行の際に改正前の実 行法第6条の3に規定する里親である方については、施行から1年に限って、新法の養育里 親とみなすという規定がありまして、その経過規定を受けて養育里親という位置付けになっ ている方の数字です。総数の7,326件の登録数は、実は平成19年度末の調査の数字が7,934 件でしたので、それと比べますと登録数が減っているという数値になっています。受託数の 方は平成19年度末の数字が2,582件でしたので、今回の調査では2,810件ということで、 受託里親の数は増えているのですが、登録数の方は減っています。都道府県に事情を聞きま すと、ご高齢の里親が、この時期に登録をやめたという事情もあるようです。  1枚おめくりいただきますと、里親支援機関事業の実施状況についての表です。里親支援 機関事業自体は平成20年度から国の予算の事業として行っておりますが、この4月施行の 改正児童福祉法の中でも第11条第1項第2号に、「里親につき、その相談に応じ、必要な情 報の提供、助言、研修、その他の援助を行うこと」ということが、都道府県等の業務として 位置付けられました。そういう点で、私どもは非常に重要な事業であると考えておりますが、 現状では、国の里親支援機関事業を実施していただいている自治体数はまだ34という状況 です。里親支援機関事業につきましては、研修や啓発を行う「里親制度普及促進事業」と、 サロン事業や里親の訪問等を行って里親を支援する「里親委託推進支援事業」にメニューが 分かれていますが、それぞれにつきまして、委託をすることが可能になっておりまして、委 託の状況もこの資料の中でお示ししています。里親制度普及促進事業の上段の委託の状況を 見ますと、一番右側に「その他17」という比較的大きい数字がありますが、これは母子愛 育会に里親の研修を委託している自治体があるので、この部分の数字が大きくなっていると 聞いております。次のページでは、自治体ごとの養育里親の研修実施回数を一つの表にまと めています。  続きまして、次のページですが、里親ファミリーホーム、小規模住居型児童養育事業の実 施か所数についてですが、これも10月1日現在では、まだ届出手続中というところが7か 所ありまして、合わせて34か所となっています。  次のページの地域生活・自立支援事業は、そこに目的と内容を掲げておりますが、高年齢 児の支援ということで現在実施されている事業です。その概況を付けさせていただきました。  次のページは、自立援助ホームの関係の実施か所数です。10月1日現在で56か所です。 最後が、児童家庭支援センターの関係の数字で、77という数字が10月1日現在の状況です。 資料2の関係のご説明は以上です。  続きまして、資料3をお開きください。これは、平成22年度の家庭福祉関係の予算の概 算要求の概要をお示ししています。社会的養護の関係は1〜2ページ目です。後ほどご覧い ただければと思いますが、そこにありますように小規模化の推進、里親支援機関の推進、ま た、子どもの処遇の関係では自立応援(支援)費の創設ということで運転免許等の取得に関す る費用の支弁など、さらに以下ファミリーソーシャルワーカーなどにつきまして配置の拡充 等を概算要求の中で要求しているところです。  続きまして、参考資料5「地方分権推進委員会第3次勧告」の抜粋の資料につきまして、 説明させていただきます。横長の資料に第3次勧告の抜粋を文書で添付させていただきまし たのでお開きください。横長の資料で説明いたします。地方分権改革推進委員会の第3次勧 告は報道等でご案内かと思いますが、10月7日に勧告が出ています。その中で、「義務付け・ 枠付けの見直しと条例制定権の拡大」ということで、実際の「義務付けとは」、「枠付けとは」 というのは横長の資料の中段より少し下の※印のところに解説があります。「義務付けとは 地方自治体に一定の活動を義務付けること」、「枠付けとは地方自治体の活動について、手続、 基準等の枠付けを行うこと」という説明になりますが、この「義務付け」、「枠付け」につき まして、お手元の資料の右側の方に(a)、(b)、(c)と記載されていますが、三つの重点事項と いうことで具体的に892条項について見直しを講ずべしという勧告がなされました。この うち、全国知事会や全国市長会の提言等の要望が、この892条項のうち106条項入ってい ます。この中で、児童福祉法の関係をご案内しますと、お手元の資料の後ろの、ページ数が 通し番号になっていないので恐縮ですが、「別紙1」というパートの中のページ番号が1-1 から打ってありますが、その1-23をご覧ください。通し番号を付けておりませんので、ご 案内が不十分かと思いますが、1-23に児童福祉法の条項がございます。この表は、先ほど の表紙でいきますと、自治体の施設の公物に関する国の設置管理基準の見直しに関係する部 分でありまして、この中で児童福祉法の中の第35条第2項と書いてある部分は「都道府県 が設置する児童福祉施設の職員の資格」という説明になっておりますが、具体的には児童自 立支援施設の関係の項目です。都道府県が設置する児童自立支援施設に関しまして、施設の 外部委託が可能となるように、職員の身分規定を廃止するべきであると。現在この関係につ きましては、都道府県知事の補助機関である職員をもって施設の長・支援専門員等に充てる という政令の規定になっておりますが、これにつきまして全国知事会等の要望で職員の身分 規定の廃止ということがありまして、それがここの勧告につながっているという内容でござ います。  それから、先ほどの1-23の表に戻りますが、第45条の関係は児童福祉施設の設備・運 営規準を書いておりますが、いわゆる最低基準の関係でございます。これにつきましても、 廃止または条例委任という内容の勧告が出ています。地方分権の改革推進委員会の勧告につ きましては、勧告が最大限実現されるように内閣を挙げて速やかに取り組むという鳩山総理 の談話を受けまして、内閣府の地方主権推進の特命担当大臣から、地方要望分を中心に年内 に地方分権改革推進計画を作成し、速やかに実施できるものは精査の上、速やかに実現して ほしいという依頼が各大臣に対して来ています。現在、厚生労働省としましては、勧告全体 についての対応につきまして、政務三役のご指示も受けながら検討が行われているという状 況ですのでご報告いたします。  私からは以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。少し長くなりましたけれども、ポイントを絞ってご説明いただ きまして1時間を残すことができました。分けてもよいのですが、いろいろな施設種別もあ りますし、中身もかなりいろいろなところに渡っていますので、全体を通じてということに したいと思いますが、よろしいですか。特にご異論がなければ、全体を通じてのご質問・ご 意見などをいただければと思います。特に、事務局から話がありましたようにタイムスタデ ィ調査についての解釈やクロスの方法、今後の分析の方法等について、建設的なご意見をい ただければ幸いに思います。どなたからでも結構です。皆さんのお手が挙がりましたから、 順番に発言していただいて、なければ「ない」と言っていただいくこととしましょうか。で は、山縣委員から、今、特になければ「ない」と言っていただいて。 ○山縣委員  後に回してください。 ○柏女委員長  はい。それで結構です。では、その順番でお願いします。庄司委員、お願いします。 ○庄司委員  資料1-1に関してですが、細かいところではなく全体について伺いたいのですが、セルと いうか細分類したところのnの数が非常に小さいところが結構多いです。n=1でも、それ をそのまま考慮するのか、あるいはnが幾つぐらいだと検討の対象なるのか、その辺を教え ていただければと思います。 ○前河児童福祉専門官  一応、今回n数も含めて二つの評価項目についての検定を行っていますので、統計的な 検定を行った結果、有意差が出ているということにはなっているのです。ただ、かなりn 数が小さいものについては、少し全体を見ながら分析を進めた方が良いのかなとは思ってお ります。 ○柏女委員長  よろしいですか。では、吉田委員。 ○吉田委員  例えばですけれども、子どもの状態とケア内容の関係です。例えば今日の6ページにあり ますけれども、「家庭復帰の見通し状況別子ども1人当たりケア時間」でお話ししますと、 ここで「家庭復帰の見込み有り」、「無し」で載っていますけれども、ここで要するケア時間 のケアの中身です。どういうものがそれぞれの場合にかかっているのかという辺りの分析も やはり必要ではないか。他の項目に関しても同じように、もう一段踏み込んだ分析までして みると、実際の中身が見えてくるだろうと。そこは気がついたところです。今後の予定に入 っていますよね。 ○前河児童福祉専門官  はい。子どもの業務分類別に例で示しますと、今日の資料1-2の1ページをご覧いただけ たらと思います。今回、検定を行ったのは、総ケア時間を抽出しております。実は全体の検 定もしているのですが、かなり結果が多岐にわたりますので、グラフ化しているのは総ケア 時間だけに絞っている形になります。この業務分類別にも結果は出ております。まだそれに ついてのコメントなどは付けさせていただいていないのですが、これももちろん、今後の分 析の対象になると考えております。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、藤野委員。 ○藤野委員  全国児童養護施設協議会の宣言につきましては、また後にしまして、このタイムスタディ の結果ということで、一つは、例えば年齢別で18歳とか思春期の子どもたちにあまり時間 を費やしていないという形で出ていますけれども、それは当然で、こういう手法を取ります と、特に思春期の子どもは職員にべたべたしませんからそうなのですが、実際にはケアの大 変さというか、職員の負担感というか、そういうものからするとかなりのものがあるし、ま た荒れている施設はそこが荒れていると思います。  それから家庭復帰の見通し、それから虐待・被虐待の関係ですけれども、例えば家庭復帰 の見通しが「判断困難」というのに、たくさん時間がかかっている。これは当たり前です。 子どもは今、戦後の親のない子どもではなくて、施設の中でも親の方を向いている。いかに 虐待を受けようが何をしようが親の方を向いて生きているわけで、そこで揺れるということ だと思います。そこが、こういう形で出ていると私は思います。それと、これは当然こうい う傾向が出るのだというのは別にしまして、特に被虐待のところです。被虐待児のところで、 これも虐待「有り」の方が手がかかっていない。「疑い有り」の方が有意に手がかかってい る、手をかけざるを得ない状況になっている。これは先ほどと同じ理由で、家族とともに揺 れているという、そこなのだろうと思います。  それから「家族への支援の有無別子ども1人当たりケア時間」、これも「有り」の方が「無 し」よりも圧倒的に手がかかるということだと思います。今の施設は、そういう意味で、子 どものケアには親のケアがつきもの。つきものというか、むしろそちらの方がかなり大変で、 子どももそれによって振り回されているということがあると思います。その辺が、家庭復帰 を乳児院などの種別で比較してみましても、例えば乳児の場合ですと、親の影響がかなり直 接的なのです。そういう数字が出ています。それから、母子生活支援施設はまさに母子が一 緒に施設の中にいるわけですから、そこのところも有意にそのことが出ていると思います。 そういう意味で、全国児童養護施設協議会の大会宣言でも、要するに、今の施設がまさに戦 後の浮浪児といわれた戦災孤児の時代から、主体的にも客観的にもあまり変わっていないと いうか、そこが現実に入所している子どもとのギャップになって表れていると思います。で すから、そういう意味で我々としては、戦後の保護収容体制から子どもの養育にふさわしい 体制に、質的にも転換する必要があると思っているところです。その辺、今後クロス集計等 では、例えば面会の回数がどうであったとか、それから保護者との関係に対して、どの程度 施設が目を向けてやってきたか、そういうことをクロス集計してもらいたい。そういう点で は情緒障害児短期治療施設は、その辺はまさに意識的に、要するに保護者へのアプローチと 子どもへのアプローチ等をやっていますから数字には出ていると思います。ですから、先ほ どの18歳とか思春期の辺りの問題と、そこのところを、今後明らかにしていく必要がある のではないかと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。結果の解釈についてかなり踏み込んだ、現場の実情を踏まえた ご意見をいただいたと思うので、とても貴重なご意見だったと思います。  私から一つ確認をしたいのですけれども、今、藤野委員がおっしゃった、例えば子どもの ことで呼び出しがあって、学校の先生に会っている時間は、子どもへのケア時間には入って いないという理解でよろしいのでしょうか。 ○前河児童福祉専門官  いいえ。それも含めて全部入っているという形です。 ○柏女委員長  では、保護者と会っている場合も子どもへのケア時間に入っているのですね。 ○藤野委員  子ども以外の「その他」の時間がありましたね。そこにも入っていないですか。 ○前河児童福祉専門官  家族への支援というところに入っていたり、関係機関との連携というところに入っていた りする形になります。 ○柏女委員長  それは子どもへのケア時間には入ってないのですか。 ○前河児童福祉専門官  いいえ。全体を子ども1人当たりのケア時間としてカウントしております。 ○柏女委員長  わかりました。では、藤井委員どうぞ。 ○藤井委員  私からは二つほど質問をさせていただいて、1点は意見を言わせていただければと思いま す。一つは質問ですが、タイムスタディ調査の対象施設が、それぞれ施設種別がありますけ れども、児童養護施設が21か所と圧倒的に多いところが、どういう根拠でこういうことに なったのか。か所数が一緒で、先ほどnの話も出ましたけれども、nの数字を揃える必要は ないのかどうか。素朴な疑問です。  それから施設ごとの比較をしている、25ページ辺りからですか、施設種別別の業務分類 等がございますが、児童養護施設の場合は1人当たりに換算していくと時間数としてはかな り少ない時間になっていくという感じを受けます。これは子どもの人数で割るとこういう形 になるという結果なので、どう読めばよいかということですが、ケアの時間が少なくなって います。それは子どもにかけるべきケアの時間が足りない状態になっているという見方が可 能なのかどうか。実態がここに反映されているのかどうかがよくわからないところです。 ○柏女委員長  先にその二つを伺った方がよろしいですか。では、今の2点についての事務局のご回答を お願いします。 ○前河児童福祉専門官  施設数につきましては、できるだけ多くしたいということはあったのですが、全体の数の 問題もありまして、児童養護施設は全体の施設数も多いということで多くなっております。  それから、業務分類別の施設種別ごとのケア内容ということで、まだこちらでも、このケ ア時間が長いか短いかというところについては、評価までは行っておりません。全体の中で のざっとした結果について示したものになります。 ○柏女委員長  基本的に言えば、子ども1人当たりのケア時間ですから、職員の配置基準が高いほど、ケ ア時間は当然長くなるということでよろしいわけですよね。 ○前河児童福祉専門官  はい。 ○柏女委員長  職員の配置基準とケア時間はほぼ連動しているので、そういうことですね。では、ご意見 の方をお願いします。 ○藤井委員  最後のページで、今後の分析のポイントとクロス集計の分析に関する素案が出されており ます。今回の調査の目的は、ケアの質や量の確保が適切なのかどうかを調べるというところ が、主題としては大きくあったと思います。そういう意味で、今後の分析のポイントの「適 切な人員配置についての分析」という項目がポイントとしては1行でしか書かれていないの ですけれども、もう少し詳しく分析された方が良いという意見です。それと、その中身がク ロス集計分析に乗ってくるかと思ったのですが、クロスで考えられるときのテーマに挙がっ ていないところ、この辺をもう少し何とかしてほしいところです。 ○柏女委員長  これはご意見として。それとも、何か事務局の方でありますか。 ○前河児童福祉専門官  これらの結果を踏まえた形にして検討を進めたいという意向がありますが、十分表現でき ておりません。申し訳ございません。 ○柏女委員長  では、ご意見として踏まえていただければと思います。では西澤委員、お願いします。 ○西澤委員  非常にたくさんあるのですけれども。できる範囲でよいのですが。今、藤井委員がおっし ゃった点で、どういう分析をしたらこれが算出できるのかが見当がつかない。ここにあるデ ータ、いくらこれをこねくりまわしても出てこない。現状を押さえているだけだから。だか ら、何か基準を決めなければいけないので、何を基準にしようとしているのか、それが知り たい。あるデータから言うと、例えばこれが基準になるのかなと少し思っているのは、何で したか、たくさんあるので。  まず、データを精査して出してほしいのです。当たり前のデータまで出す必要はないとい うか、母親が仕事に行っていたら本人のケア時間は当然短くなるだろうという、そのような 当たり前のデータまで載っているので混乱するのです。何がポイントになるのか。例えば「ケ アニーズの充足状況」というのが、児童養護施設で見る限り「充足されている」もしくは「ほ とんど充足されている」子どもが152人で215人がされていないと、これはケアワーカー 側が感じているわけですよね。そうでしょう。この子どもは十分充足できていないというよ うな。そういう子どもの特徴が何で、要するに充足されていると感じている子どもと充足さ れていないと感じている子どもの差が何にあるのか。例えば被虐待体験であったり問題行動 の多さであったり、家族への支援であったり、いろいろあると思いますけれども、そうした ら、それをベースラインにして、みんなが充足されているとするにはどれぐらいの人員投下 をしなければいけないのかとか、何かそういうアイデアが欲しいのです。全く平のデータを 出されて、しかも藤野委員が言われたように解釈も付いていない。これがもし修士論文の中 間報告だったら私はダメを出します。解釈を出せと。これは一体どういう意味なのだという 解釈が出ないような中間報告などあり得ないです。そのようなことが多々見られるのです。  例えば、先ほど藤野委員も触れられたのですけれど、虐待の「疑い有り」の方が「有り」 と確定している子どもよりもなぜケア時間が長くなるのか。これはnの関係もあるかもし れないけれど、大いに疑問ですよね。そうなったら「疑い有り」の子どもたちの特徴とは何 なのかという擬似相関などを見なくてはいけない。ですから、裏で何かファクターが働いて いるのではないかとか、そういう分析は絶対必要なのに、それがされていなくてベタで出て きているというのは、これから何を検討するのかわからない。すみません。まくし立ててし まいました。  それから、そもそもこの基準値というのが何なのかよくわからなかったのです。私が聞き 漏らしたかもしれないのですけれども、基準値とは何ですか。 ○前河児童福祉専門官  基準値につきましては、各評価項目の平均値の値を基準値としていたり、または2項目間 の場合もありますので、その場合はどちらかを基準値としています。 ○西澤委員  待ってください。その基準値を決めて、例えば最初のものだったら「年齢別子ども1人当 たりケア時間」の基準値は、159時間を基準値にしたわけですね。 ○前河児童福祉専門官  159時間ではなく、159分ですね。年齢階層でいうと、平均が大体9〜12歳ということで、 そことの比較をしたということです。 ○西澤委員  それと、何で検定したのですか。平均の差の検定ですか。 ○前河児童福祉専門官  そうです。 ○西澤委員  それは統計的な分析としては駄目です。分散分析をかけないと。それは当たり前のノウハ ウ、イロハです。1フェーズで幾つかの量があるときに、それを1個ずつt検定をかけてい って、それで修士論文は通らないですよ。馬鹿かと言われます。私も統計屋ではないから、 その点については自信を持って「どうだ」と言えないけれど、それは統計屋に聞いてくださ い。そんな比較の仕方はありません。まず、分析のノウハウのイロハですから、この部分は 基本的に全くやり直しです。この有意差の意味がないですもの。  それから、先ほども話が出たnの量ですけれど、「あまりにも少ないのは」と前河児童福 祉専門官がおっしゃいましたけれども、それは統計的に間違っているのです。どれだけn が必要かは、どういう目的のどういう分析かがあれば出てきます。その場合に、nは幾つ以 上必要だと確定できます。それはあまりにも少ないからというような相対的な問題ではない のです。そういう点を考えても、この統計の分析は再度やり直しになる。そうしないと、こ こから何も読めないですから。もちろん統計はあくまでも一つの方法なので、それに頼らな いのだと言われればそれはそれまでですけれども。ただ、その2点です。統計の見直しをや るのかやらないのかを含めて検討いただきたいということと、それから先ほど申し上げた、 何を基準にするか。例えば必要な職員の数であるとか、そういったものを今後このデータを 使いながら分析していくのかという見通しを、多分、今言われても出ないと思うので、それ はとても大事なことだと思うので、ご検討いただきたいと思います。すみません。まくし立 てて。 ○柏女委員長  では、事務局からお願いします。 ○藤原家庭福祉課長  いろいろとありがとうございます。確かに統計の問題につきましては、以前いろいろご議 論いただいたときに、単に数字の結果だけを並べるのではなくて、なにがしか検定が必要だ というご指導もありましたので、今回そこは、不十分ではあるというご指摘をいただいてい ますけれども、事務局としてもテーマとして入れて取り組んだのですが、方法が未熟である という点につきましては、またこれはぜひご指摘いただいて、そこは改善します。  それから、これは藤井委員からのご質問にもかかわるところなのですが、人員配置につい ての分析をどう議論していくのかというときに、パワーポイントの最後のページに「今後の 分析のポイント(素案)」と書かせていただいておりますけれども、まだ煮詰めが足りないと いうご指摘でございます。この点につきましては、例えば先ほども藤野委員からありました けれども、ケアの細かい内容とケア時間と子どもの状態とをぶつけていって、そこにケアの 形態ですとか、また施設の種別、あと、実際にそれぞれ今回調査をさせていただきました施 設の職員配置のレベルがありますので、この辺を組み合わせて議論をしていく。例えばこの パワーポイントの素案の一番上に「施設類型の見直しに関連するデータの分析」という項目 がございますけれども、その三つ目の子どもの状態をある程度揃えた上でケアの内容の違い を見ていくとか、こういうかなり細かい掘り下げが必要だとは感じております。  本日は、そういう点で中間的なご報告という水準に達していないというご指摘であります が、当たり前の話が実は当たり前の話として数字として出てきたというのも、これは非常に 大事な話であると思っております。今回、たくさんの施設のご協力をいただいて取らせてい ただいたデータは、当たり前の話も含めて、数字としては出てきたということで、ここをぜ ひ議論の出発点ということで、お目通しいただきまして、今申し上げましたような分析の方 法論について、いろいろとまたご指導いただければというのが今日の特にお願いです。どう か、よろしくお願いします。 ○西澤委員  今のことについては誤解があるかもしれません。私の統計学の先生が、統計学というのは 普通では見えないものを見えさせるものであって、普通に見えるものにわざわざ統計を使う 必要はないと言っていました。統計学に関する基本的な考え方の違いだと思います。 ○柏女委員長  よろしいでしょうか。では、豊岡委員お願いします。 ○豊岡委員  今、虐待の「疑い有り」と虐待が「有り」というところでの疑問が皆さまから出ましたの で、私も全くそのとおりだと思います。ぜひ、お願いしたいのは、やはり虐待の子どもが置 かれている現状や施設の対応の困難さ、それから職員がケアをした時間だけで測れないもの が、多分あるのだろうという気がしています。いろいろとクロスをかけていただく中で、そ れが果たして見えてくるのかどうか。これもまた、わからないですけれども、やはり実感と してはあるものですから、ぜひお願いしたい。  それから、施設の職員には家族の支援ですとか、情緒障害、発達障害、行動上の問題、そ ういうところでご苦労いただいているわけですので、そこの実態が見えてくるような、そこ を明らかにするようなクロスをしていかなければいけないだろうと。どれとどれをかければ 出てくるのかはわかりませんけれども、そのようなことを感じました。これが1点です。  それから、自立支援施設のところでしたか、通院のところが少し気になったのですけれど も、通院「有り」の方が子どもの1人当たりのケア時間が短くなっているのは、通院をして いてその子どもが病院にかかっている間は、それは施設の職員はケアしていないでしょうけ れども、これがケア時間が短くて良いのかどうか非常に疑問です。以上です。 ○柏女委員長  そのときには行っていなかったから結果的に短くなってしまったということですよね。 ○前河児童福祉専門官  そうですね。今回のタイムスタディ調査は2日間の調査と、それ以外の家族への支援の業 務などを拾うために7日間も取っていだいているのですが、その間にケアがなければその分 が反映されないところもあると思いますので、十分そういうことに反映できていない数値も あるかと思います。 ○柏女委員長  それでは、高田委員お願いします。 ○高田委員  幾つもあるのですけれども、まず質問から。1日当たりのケア時間の中で、「児童に直接 かかわらない業務」という項目を挙げていらっしゃいますよね。その中に職員自身または施 設全般に関することというものがあって、その下位項目の中には実は休憩とかトイレという ものも入っているのですけれども、実際どこまでこの分析の中に使ったか。やはり休憩は省 いてよいのではないかという気はしています。それが1点。  それから「情緒・行動上の特徴」で1SDより大きいとか小さいとかというときの平均と か標準偏差の出し方で、全国調査した子ども全員を母集団として計算したのか、もしくは 元々何か基準があるのかよくわからないのですが、それを教えていただければと思います。 疑問点としてはそういうところです。  これは意見ですけれども、最後の分析のポイントで「子どもの状態とケアの内容」とか、 「子どもの状態」とおっしゃっているのですが、今回測られた中で子どもの状態を表わすア セスメント項目が幾つかあって、今の「情緒・行動上の特徴」とか、それから「不適切な養 育を受けた」子どもをアセスメントするとか、それから診断があるかないかとかというのが あるのですね。恐らく一つ一つ意味が違っていて、細かく見せてもらったところによると、 情緒障害児短期治療施設の自慢をするわけではないのですが、資料1-2の13ページの一番 上の統計で、児童養護施設の「精神疾患・神経障害の状況別子ども1人当たりケア時間」を 見ていただきますと、「診断有り又は疑い有り」が83人で、「無し」が286人です。1ペー ジめくっていただいて、「不適切な養育を受けた子どもの行動チェックリストの評価レベル 別子ども1人当たりケア時間」、これが「カットオフ値未満」が251人に対して「カットオ フ値以上」が56人です。これと全く同じような基準の表が、情緒障害児短期治療施設の場 合は45ページにあるのです。45ページの「精神疾患・精神障害の状況別子ども1人当たり ケア時間」で、「診断有り又は疑い有り」が、情緒障害児短期治療施設の場合は31人いて、 「無い」子どもが7人なのです。めくっていただきまして、先ほどの「カットオフ値未満」 の子どもが27人で、カットオフ値を超える子どもが11人という結果なのです。児童養護 施設の場合は診断のつく子どもが少なくて、当然カットオフ値を超える子どもも少ない。情 緒障害児短期治療施設の場合は診断のつく子どもが多いにもかかわらず、カットオフ値を超 える子どもが少ない。ということは、施設の中で落ち着いているという一つの傍証になると 思うのです。やはり施設のケアというのは、施設の中で問題を起こしている場合、子ども自 体の問題ということだけではなくて施設の状態も問題を誘発することもある。情緒障害児短 期治療施設では、施設支援の中で問題を起こしそうな可能性のある子どもも問題を起こさな いで済んでいる。そのための支援として何が必要かということを考えていくべきだと思いま す。そのようなことを考えますと、情緒障害児短期治療施設の中で「直接子どもにかかわら ない」時間はかなり多くなっていて、多分これはケースに対する会議や情報交換などという ことかと。よくわかりませんが、そのような気がしておりますので、そのようなところで一 つ一つの数字の表しているものをよく吟味して今後検討していただきたいと思います。  それから、先ほどのnが少ない場合に有意差が出てしまったときには、やはり後ろに隠 れている要因の可能性がかなり高く、偶然2人ともこれだったからというのがかなり高くな ってしまうので、そこは聞き取るなり何なりせざるを得ない感じがしております。  あとは、今のところは関連性だけを調べているので、因果関係をここから持っていくのは かなり難しいです。ですから、ぜひとも解釈するときには事情を知った人間を交えて、いろ いろな仮説を立てていただければと思います。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。ご質問もあるのですが、回答をいただいていると、これで今ま だ半分の方にご発言いただいていないのですが、もう既に半分の時間を過ぎてしまったので、 細かなことについてはそれぞれ確認していただく形にして、ご意見を中心にいただきたいと 思います。では松風委員、お願いいたします。 ○松風委員  私は二つお願いしたいと思います。まず、「家庭復帰の見通し状況別子ども1人当たりケ ア時間」とこの表の4ページを見たときに、先ほど藤野委員から判断が困難な子どもの揺れ のお話がありましたけれども、家庭復帰の判断困難な児童のケアの内容は「愛着・コミュニ ケーション」よりも「身の回りの世話」が大きく出ているのです。これはどういうことなの だろうと考えたときに、まずこの判断困難な児童の年齢を精査すべきではないかと。要する に、年齢の低い子どもで入所期間がまだ短い子どもで判断困難な場合は身の回りの世話に表 れてはないかと。ですから、要するにここでの違和感をもう少し分析していただきたい。児 童養護施設の場合は、年齢幅が非常に大きいわけです。そこで先ほどもお話がありましたよ うに、年齢による特性は非常に大きいと思いますので、その辺りを注意してご検討いただき たいということが1点です。  あとは、全体にも通じて言えることですが、例示といたしましては「年齢別子ども1人当 たりケア時間」です。このグラフでは平均値で比較されているのですけれども、この表を見 ますと、最小と最大の幅ないしは中央値と最大の幅の大きさに、非常に大きな内容が含まれ ているのではないかと私は読みました。この最大とは具体的にどのような児童で、どのよう なことがなされているのか。中央値と最大値の間にいる子どもたちは、どのような状況の子 どもたちなのか。または最小と中央値の間にいる子どもたちはどのような子どもたちで、ど のような内容のケアを受けているのかといった具体的な分析がそれぞれに必要なのではな いかと思いました。項目ごとにそのようなことを感じたところがたくさんありましたので、 具体的にその辺りをクロスするなり、またはヒアリングをするなりといったことで補完して いただきたいと思います。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。それでは、続いて榊原委員、お願いいたします。 ○榊原委員  私は統計の手法についてはわかりませんし、ここに紹介されている各種施設すべてについ て現状を詳しく把握しているわけではありません。ただ、子どもたちが今置かれている状況 を一刻も早く改善してあげるために、良いエビデンスが必要であるということを強く感じて おりまして、その手掛かりになるものがこの中にほしいと思っています。  この調査に私が期待していることは、ただ1点です。現状、子どもたちが受けているケア の量は、本当は必要としている潜在的なニーズにどれぐらい足りているのか、足りていない のかというギャップが、どこにどれぐらいあるのかということを知りたい。その思いで調査 を見せていただいているのですが、悪いですけれども、それが私には読み取れない。例えば 9ページの「ケアニーズの充足状況に関する」と、関心のある言葉が出てきていたのですけ れども、ではそのケアニーズの充足がどれぐらい足りているのか、足りていないのかという ギャップを示すような調査結果の出し方になっていないので、今、年齢別にどれぐらいのケ アが提供されています、被虐待や虐待なしなど、いろいろな要件の違いによって、どれぐら いのケアの量が提供されていますという現状が描かれていることはわかる。しかし、それは あるべき姿との距離がどれぐらいあるのかというところが全然見えてこない。悪いですけれ ども、これではエビデンスにならない。そこの問題意識を強く持って、ぜひ調査の結果の見 せ方に力を込めて、改めていただきたい。声の出せない子どもたちのために、役に立つ調査 にするために、ぜひその問題意識を強く持っていただきたいと思っています。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では木ノ内委員、お願いいたします。 ○木ノ内委員  中高生の調査を見ていますと、中高生のケアが短いと出ていましたけれども、先ほど藤野 委員からも出ていましたが、気苦労といいますか、里親であればどうだろうかと思うと、思 春期になるとなかなか帰ってこなかったり、気苦労があったりします。実は子どもへの思い のようなものがうまく出てくるとよいと思っているのですが、そういったものではなく労働 の時間の調査ですから、とても残念だと思います。帰ってこなければ夜もずっと待っていな ければいけないなど、里親でしたら子どもへの思いが果たして労働時間に入るのかどうかと いう問題もありますけれども、そのような考え方が大事だと思っております。  もう一つは里親の発表が資料2で出ています。登録数が実は7,000幾つかある。受託数が 2,000ぐらいしかない。いつもこの問題が、児童相談所がさぼっているのではないかなど、 いろいろと話題になりますけれども、委託が進まないのではなくて、実はこの登録数の中に はお休み中、例えば親の介護あるいは高齢になったなど、そういったことがあるので登録数 の中に現在はお休み中という数字をあらためてカウントしていただくと、どれだけ委託が進 んでいるのかという数字が明確になりますので、これは提案ですけれども、できれば登録数 の中には現在は少し待ってほしいという里親の数をカウントしていただきたいと思ってい ます。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。児童福祉法上の里親の数のことについてもご示唆いただきまし た。ありがとうございました。では奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  先ほどから出ているご意見と似ている部分があるのですけれども、どうも私はやはり通信 簿の1の中の争いをしているのではないかという不安が強くて、もし比べるのであれば同じ 形で通常の家庭か里親で調査をすべきだろうと思います。それと比べてみなければ、やはり 出てこない。いくら充足率などを細かく見ていったところで出てこないのではないかと思い ますので、その辺をぜひご検討いただきたいと思います。それでも、さらにあるのは実態で しかないので、これからどこへいくのかというのがわからないのです。やはり単なるグルー プインタビューだけではなくて、かなりこれに質的な調査を入れ込んでいかなければ、出て こないのではないかということも思いました。  それから、もっと基本的なところに戻りますと中間取りまとめがあって、そのためのエビ デンスということで始まったはずだと思いますので、いったん中間取りまとめにもう一度戻 って、何が必要でこれから何を導き出さなければいけないのかということを明確に出してい ただきたい。それがなくて、このようなものが出ましたと、ただ並んでいるだけでは、これ がどう子どもたちに生かされるのかというロードマップが見えてこないのです。  実際問題として里親でやった方がよいのではないかと言っているのは、先ほど実は西澤委 員がおっしゃったこととも絡むのですけれども、細かい分析をしていけばしていくほど、統 計上のnが細かくなっていってしまう。ですから、nが1だったり、2だったりというもの が出てきてしまう。本来、例えば私も倫理委員をやっているのですけれども、倫理委員会で 研究計画書を見せられたときに、この分析をするにはどのような分析をするのですか、それ にはnが幾つ必要なのですかということを相当やらなければ倫理委員会を通らないはずな のです。これで通ってしまっているとしたら、とんでもない話だと思います。それぐらいの レベルだと私も思います。  ですから、やはり原点に戻って、子どもたちのために中間取りまとめで私たちが考えたこ とのエビデンスとして一体何が必要なのか。そのためにこの結果がどう使えるのか、使えな いことがあったらどう足すのかという、もっと大きな枠組みで示していただきたいと思いま す。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では大島委員、お願いいたします。 ○大島委員  自立援助ホームは今回の調査対象施設ではなかったのですけれども、実際に調査したらど のような数字が出るのか興味を持ってこの結果を見ているのですが、ケアの内容や時間とい うことでだけでなく、私どもの仕事の中にはアフターケアのようなこと、あるいは今年の7 月に事故があったのですが、入所時に一番若手の職員が殴られてしまうという子どもの暴力 が出ました。何もやってないようで非常に精神的疲労といいますか、ストレスが非常にたま る職場だと実感しているのですが、それをどのように数量で表せるかということが、この調 査だけでは出てきていない感じがしております。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では、大塩委員、お願いいたします。 ○大塩委員  私からは4点、お願いいたします。まず1点目は資料1-1の母子生活支援施設の分類です。 ケアの形態によって2種類に分類してありますけれども、「本園のみ」と「本園及び小規模 分園」という形で分類してありますが、この「本園のみ」の上の段は定員20世帯のところ で、標準規模の母子生活支援施設です。次にあります「本園及び小規模分園」は標準型の 20世帯の施設と50世帯の大規模施設が一緒になっています。20世帯の施設と50世帯の施 設では職員配置も異なりますし、ケアの量も異なりますので、標準型20世帯の母子生活支 援施設と50世帯の大規模の施設と分類していただきたいというのが1点目です。  2点目は小規模分園型の母子生活支援施設、サテライトは本体施設でのケアを受け、自立 度が高まった世帯が地域での生活を始めるところですので、本体施設とはケアの量が全くこ となります。そこを区別して分類していただきたいことです。以上、ケアの量を出していた だくためには「標準型の母子生活支援施設」「大規模型の母子生活支援施設」と「小規模分 園型の母子生活支援施設」と3種類の施設で分類していただきたいというお願いです。  3点目は、私もグループインタビューに参加させていただきましたが、その中で出ていた ことだと思いますが、グループインタビューの結果の中で、資料1-2の最後の95ページの 「当該施設に入所していることが不適切」と考えられる児童(世帯)」とあり、母子生活支 援施設では「母親が知的障害で子どもも知的障害(母子分離が必要)」というところだけ出 ておりますが、確かグループインタビューの中では、「母親からのネグレクトや虐待のケー ス」も出ていたように記憶しております。そのことが如実に表れておりますのは、同じく資 料1-2のケア時間のところです。ケア時間では母子生活支援施設は一人当たりのケア時間の 最大と最小の差が非常に大きく、最大では800分です。同じく資料82ページ「施設種別子 ども1人あたりケア時間」では、母子生活支援施設の標準偏差は138分で、最小26分、最 大896分です。同じページの「施設種別ケア時間階級分別児童数」では「30〜60分未満」 が30世帯、その後「180〜210分未満」が5世帯、「240〜270分未満」が4世帯、最後の 「510分以上」までかなり長いケア時間を必要としている世帯があります。これで予想され ることはこれらのケア時間の長いケースでは多分虐待があったり、ネグレクトであったりと 職員が関わらなければならなかった世帯ではないかと予測されるのですが、このケア時間が 長くなっているところをきちんと分析していただきたいということです。  最後になりましたが4点目です。タイムスタディとは少し異なりますが、お手元にお配り してあります「母子生活支援施設における公民比較」という資料をご覧ください。この資料 の1ページの図表2、1施設当たりの職員配置の平均をご覧ください。一番下のグラフが公 設公営施設の職員配置です。平成8年から平成20年までの間に1人の職員も増えておりま せん。0.66人しか増えておりません。ところが一番上のグラフの民設民営の施設では同じ く平成8年から平成20年までの間に3.71人の職員が増えております。この差は児童福祉法 の最低基準が変わらず、その都度加算という形で、必要な職種の配置が行われているためで す。母子生活支援施設は戦後は屋根対策の施設でしたけれど、現在はDV被害者支援や児童 虐待防止などの対応しておりますので、その都度職員が加算され、民設民営施設では加算を 取り入れておりますけれども、それでも利用者のニーズにこたえるにはまだまだ足りない状 況です。公設公営の施設は公立ですから加算職員が配置されなかった、それにより平成8 年には1.95人の職員数の差が平成20年には5人の差に開いてしまった、ということです。 この5人の職員数の差はケアの差であり、利用者の方々へ適切なケアが提供しにくい、とい うことです。これは働いている職員の問題ばかりではなく、構造的な問題であると思われま す。本日は資料が出ておりませんけれども、5月の専門員会の中で「平成19年度実態調査 の中で、母子生活支援施設の公民格差」を出していただきたいとお願いしておりました。そ のデータと関連するものだと思いますので、分析していただくときに読み込んでいただきた いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。個別の資料をお使いいただきながらご意見をいただきました。 ありがとうございました。では今田委員、お願いいたします。 ○今田委員  何点かあります。一つには、例えば25ページで乳児院が子ども1人当たりのケア時間が 334分と6時間に満たないというのは率直な感覚としては納得し難いものがあるのではな いだろうかということです。  もう一つは、資料1-2の17ページを見ていただくとわかると思いますが、これはたまた ま乳児院の一番の乳児院たる年齢である3か月までの子どもが調査対象に入っていなかっ たということがあります。ぜひ、これは乳児院の柱ですので、再調査などの形での肉付けを していただきたいということです。  同じ表で、この6か月から1歳未満の子どもに手がかかるというのは当然のことで、これ はこれで納得できるのですが、例の年齢要件の変更がありまして、3歳以上のいわゆる年長 児の子どもが増えているのですが、ここの年齢にほぼ同じぐらいのケアの時間を要している ということが見えてまいります。恐らくこれは乳児院でなければ見づらい子どもが、年齢が 超過しているけれどもいるといったことで、かなり手がかかっていることの証左であろうと 思いますので、この質的な面について調査いただければ、なおありがたいという気がいたし ます。  もう1点は、26ページです。これは時間帯によってのケア時間ですけれども、これは先 ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、これは恐らく人手の分布と一致しているだけの 話だと思いますが、乳児院は多少は夜間のケア時間が延びていますけれども、例えば乳児で あれば、昼間も夜もほぼ同じような量的・質的ケアが恐らく要求されていると思います。こ れができていないマンパワーの面を垣間見られるのではないかと思います。従って、この時 間に本来やらなければいけないのにやらなかったものの調査。これが非常に浮かび上がって くるのではないか。今の乳児院の現状をここで示唆できるのではないかと考えております。 夜間の場合は見かけ上の時間は少なくなります。ただし、見ている人たちのストレスは、 SIDSもありますし、今のケアからいくと大体10分ごとのケアが必要とされています。1 人当たりがケアする子どもを見ると、10人を大幅に超えているだろうと思います。そこで 10分ごとに乳児の呼吸や脈拍などいろいろなものをチェックしておかなければ、何か起こ ったときに対応ができない状況ですので、これはどうしても夜の手薄さがいろいろな調査か ら出ているのではないかと思っております。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では、次をお願いいたします。 ○相澤委員  まず1点目はタイムスタディ調査の件です。やはり施設で子どもをケアするというのはグ ループでケアするわけで、グループの構成がどうなっているか。年齢、人数、実際にどのよ うな子どもがグループの中に入っているかという内容によって随分ケアの中身や内容が変 わってくる。どのようなグループが実は良いグループか。ここでいうと先ほど西澤委員がお っしゃったように、充足が図れるということから考えられるグループはどのようなグループ なのか、そのようなことが出せるクロス分析等ができればよい。それに対して、どれぐらい の人数の職員がかかわることが実は良いのか。少なくても駄目ですし、多過ぎても恐らく駄 目ではないかと思うわけです。そういう点が明らかになるようなことを少し考えていただけ るとありがたいということです。今回はタイムスタディ調査だけなので、前回は全数調査も 出ておりますので、全数調査と併せて何かそのようなことが言えるかどうか検討していただ けるとありがたいということが調査の件です。  もう1点は、先ほど「地方分権推進委員会第3次勧告(抄)」をご説明いただきましたけれ ども、この公設民営化の問題については平成18年3月に発表いただきました「児童自立支 援施設のあり方に関する研究会報告書」におきまして、やはり運営の民営化の検討を視野に 入れる場合については、少年非行対策のスタンスや責任や対応、二元化する場合の施設機能 維持・強化などの検討が必要であり、特に財政的基盤のあり方や現行と同等以上の支援の質 を確保するための人員的配置、公的支援、とりわけ運営の支障が生じた場合の設置者として の責任を持った回復サポート体制などについて研修が不可欠であるということが報告書に ありますように、全国児童自立支援施設協議会におきましても公設民営化が質の低下を招く のではないかと危惧しておりまして、公設公営原則を堅持することが必要であるという意見 が多く出されております。お答えいただける範囲で結構ですので、今後のこの第3次勧告 (抄)を受けての予定等についてお聞かせいただければと思っております。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。それは、最後でよろしいでしょうか。最後に事務局の方からこ れらのご意見を踏まえて、お考えをいただきたいと思います。では山縣委員。パスしてしま ってすみません。 ○山縣委員  先ほどは失礼いたしました。重複はほとんど抜きまして3点だけ感想と意見を言わせてく ださい。1点目は、意味的には連続的あるいは直線的に思われる項目が結果として、線形あ るいは正規分布的になっていないということに対して、いろいろな方のご意見があったと思 いますが、私も同様な感想を持っています。その辺を今後どう分析していくのか、他の要因 との関係で詰めていく必要があるだろうという思いを持っています。  2点目はあまり話題にならなかったのですが、どなたかお一人おっしゃいましたけれども、 児童に直接かかわらない業務で身の回りの世話が非常に突出して多い時間になっているの ですけれども、実はグループインタビューの方ではそういうこともあって、児童に直接かか わらない業務を少しコントロールしたインタビューを試みているのです。両者が必ずしも比 例的な関係になかったということもありましたので、中分類の分析の辺りでもその辺を少し 強化してみてはどうだろうかと思います。  3点目は、職員の実感と実際のタイムスタディによる時間にズレがあるというのは、かな りグループインタビューのところで明らかになっています。その辺が負担感といいますか、 時間に表れないものが恐らく背後にあるのではないかと思います。これは調査項目の中に負 担感も聞いておりますので、その辺も今回はそこがあまり出ていませんでしたけれども、負 担感がどのようなところから来ているのか、業務の中身から来ているのか、背景的なところ から来ているのか、その辺りも分析するともう少し意味合いがわかってくるのではないかと いう感想を持ちました。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。これで一当たりご意見を頂戴したわけです。もう時間があと数 分という形ですが、何かここだけはということは。では、木ノ内委員。 ○木ノ内委員  とても残念なことですが、このところ里親による虐待があるのです。そのようなことも含 めて里親の環境が孤立している。先ほどの資料2で見せていただきましたけれども、里親支 援機関の事業の実施状況ということで、自治体が34もあってすごいと思ったのですが、全 部または一部を委託している内訳を見ますと、専門里親の研修で母子愛育会に委託している、 後は里親会という里親サロンの委託だろうと思います。本格的な支援体制を例えば相談など ということで、ぜひ里親家庭が孤立しないようにということを、今年の4月からスタートは しているのですけれども、どうも遅々として進まない地域で、できるだけこちらから促進し ていただきたいと思っています。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では西澤委員、藤野委員は先ほどのこれも含めてということで。 では、西澤委員にお願いいたします。 ○西澤委員  まずは先ほど感情的になってしまいましたことを深くお詫び申し上げます。私が関与して いる施設でもこの調査を協力させてもらっていて、職員はすごい負担を強いられたので、そ こから出てきたデータが軽々に扱われるのは嫌だと思ったのです。  一つ提案ですが、やはり量的研究だけではどれぐらいの配置が必要かということは絶対に 無理だろうと思います。その部分はアクションリサーチや質的研究と言ったらよいのか、何 かもっとテーマを絞り込んだアクションリサーチのようなものをやっていくのか、あるいは フィールドスタディをやるのがよいのではないかと私は思っています。  事実関係で不適切な養育を受けた子どものチェックリストについては私が作ったので使 っていただけたらうれしいのですが、カットオフ値バージョンはもう古いので、今はt値換 算をするようになっています。厚生労働科学研究に出した段階ではカットオフ値を使ってい ましたが、あまり適当ではないということなので、t値の換算表については後で提供させて いただきたいと思います。事実関係でした。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では藤野委員、手短にお願いいたします。 ○藤野委員  時間がないのですが、先ほど言った虐待を受けた子ども、例えば児童相談所のアセスメン トで、きちんとあなたは虐待しているのだよと言って入所してくるのとそうでないのとは、 それを言わないと全然ごちゃごちゃになりますから、一つはその辺が表れていると思います。 それともう一つは時間の問題です。先ほど乳児院の今田委員が言われましたが、夜間のケア はもっとあるはずなのに、それができていない。これは5種別の時間でも、例えば職員の配 置が6〜9時。養育ということを考えたら6〜9時と18〜21時が一番必要だし手がかかる時 間帯なのです。ところが、どこが多いかというと9〜12時、12〜15時がどこも多いのです。 これは、引き継ぎ時間など職員配置と勤務時間の問題です。ですから、そういう意味ではこ の全国児童養護施設協議会の大会宣言でも、一つは虐待の連鎖の問題で、今の家庭を含めて 虐待の連鎖の結果として、かなり壊れているわけです。そのチャンピオンのような者が社会 的養護に入ってきているのです。ですから、そこはこの連鎖を断ち切ることが必要だという ことが一つと、社会的養護の戦後の保護収容から養育にふさわしい体制にしてほしいという こと。それから児童養護施設の小規模化と最低基準の改正を両輪にして何とかしてほしい。 それと措置制度は残してほしいということと、そういうことを書いています。それが数字と してこの分析の中で、ある程度出ているとは思いますが、その辺をきちんと数字化できれば よいと思っています。 ○柏女委員長  では奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  第3次勧告に関してですが、最低基準が県・市町村にいくということに関してですが、国 は子どもの権利条約を批准しているわけで、子どもの権利がきちんと守られることに関して は、国としてきちんと責任を取っていただきたい。それだけです。 ○柏女委員長  ありがとうございます。これに関連して先ほどもご質問がありましたので、最後のところ でご意見をお願いしたいと思います。庄司委員、短くお願いします。 ○庄司委員  今回の調査はタイムスタディであるので、これは現状の職員配置基準の中で、どういうケ アをしているかということだけなので、あるべき姿というのは絶対に出てこないはずです。 ですから、それをどうするか。里親を使えばよいのか。それとも私自身はもっと理論的な、 理論に基礎を置いたケアのあり方でよいのではないかと思うのですが、ここに「あるべき」 まで求めることは、原理的にできないと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。まだまだご意見があるのではないかと思いますが、一当たり全 員の方からご意見を頂戴しました。実態を示すこのタイムスタディ調査について、さまざま な分析の仕方、あるいは解釈、分析の視点などについてご意見を頂戴しました。多くの方々 の大変なご苦労によってこの調査ができていますので、詳細に現状を分析するという点では、 この調査を最大限活用していく必要があると思いますし、また前の全数調査とも絡めながら、 ぜひ詳細な分析をお願いしたいと思います。その上で、あるべき姿や実態を補足する質的な 面、あるいはフィールドスタディ、補足的な調査などについては、今後またご検討をいただ くような形でお願いしたいと思います。その他、さまざまなご意見が出ましたが、それらに ついて事務局の意見、地方分権改革の話なども含めて出ましたので、それらについての事務 局からのご意見をお願いできればと思います。 ○藤原家庭福祉課長  まず、分権の関係です。今日資料で説明をいたしました。現在、勧告を受けまして、内閣 府から各省に対して対応の調査が来ています。地方団体からの要望分については11月4日 が一応調査の回答期限になっていますが、先ほど申し上げましたように、現在厚生労働省と して勧告全体についてどう対応するかについて、政務三役の指示を受けながら検討している 状況です。質の維持の問題と地方分権をどのように整合性をもたせるかについて議論が行わ れています。  それから、今日はたくさんのご指摘をありがとうございました。私もこの調査は、先ほど ロードマップというご指摘もありましたが、特に再三「今後の分析のポイント(素案)」のと ころのペーパーに戻りますが、ここに書いてあるようなことをどのように立体的に組み合わ せたら議論の筋が出てくるのか。足りない部分は足りないということで付け足していかなく てはいけないと思っています。その中で、本日ご提示できていないところで、子どもの状態 は今回大変細かいデータを取らせていただきました。それから、ケアの内容も中分類、小分 類に入りますと相当細かく取らせていただいています。ここを突合した上で、これに施設の 類型の軸をどうはめてものを見るのかとか、施設のケアの形態、大舎・小舎というところを どのようにはめてものを見るのか。あと、職員の配置でここをどのようにものをはめて見る のか。こういうところを見ていくことが、現状のデータの中で何が足りないのかを見ていく 上で、このような目線が必要ではないかと私は今思っていますが、そこはいろいろご指導い ただければと思っています。  ただ、その上で、今回測れていないものがあるのではないかという議論があります。また 実際には先ほどデータの中でケアニーズの充足状況のグラフについてのご指摘等もありま したが、職員においてケアニーズが充足しているかしていないかを見るときに、職員として 大切なことなのだけれども手が及んでいない部分があるのではないかという疑いを持ちな がらこのデータを見ていかなければいけないと思っています。そういう点で、今日もご指摘 がありましたが、これだけでは分析できないというところについて、どのように補強してい くかという点について、またよろしくご指導いただければと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。私から一つお願いですが、今日たくさんのご意見が出ましたの で、今後分析を進めていくに当たって、それぞれの種別のプロもいらっしゃいますし、研究 のプロもいらっしゃるので、個別に意見を聞きながら分析を進めていって、あるいはこうい う解釈をしたいのだけれども合っているかどうか、それらについて個別に委員のご意見を伺 いながら進めていただくようにお願いしたいと思います。委員の方々には、これはどう考え たらよいのだろうかという個別の問い合わせがあったときに、ぜひ対応していただいてミス リードしていかないようにしておく必要があるのではないかと思いますが、そこはいかがで しょうか。ご協力いただけますでしょうか。奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  こういう問題をみんなでどうしようというときに、一人一人に聞かれても一人一人の頭で しか出てこない。それを何人かのグループでディスカッションすれば、さらに良いアイデア が出てくるときもありますので、例えば大学の先生方が何人かおられるので、そういう先生 方に集まっていただいてとか、現場の先生方には養護施設の場合には養護施設の方を入れて という形で、グループでやるようにしないと、良いアイデアが出てこないのではないかと思 います。 ○柏女委員長  わかりました。では、小委員会方式も含めて少し検討させていだく。あるいは検討してい ただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは時間になりま したので、今日はこの辺りで議事を終了したいと思います。  それでは次回の予定について、事務局からお願いします。 ○藤原家庭福祉課長  本日は長時間にわたり、ありがとうございました。本日いただきましたご意見も踏まえな がら、さらに分析を進めたいと思っています。次回の日程ですが、今現在ではまだ日程は未 定ということです。追ってご連絡・ご相談を差し上げたいと思います。以上です。 ○柏女委員長  それでは今日はこれで終了したいと思います。各委員におかれましては、遅い時間にお忙 しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係 連絡先  03−5253−1111(内線7888)