09/10/29 第15回厚生科学審議会感染症分科会結核部会議事録 第15回 厚生科学審議会感染症分科会結核部会 議事録 日時:平成21年10月29日(木)10:00 〜12:04 場所:金融庁(中央合同庁舎7号館)9階 共用会議室2(904) 1.開会 2.議題  (1)厚生科学審議会感染症分科会結核部会長の選出について  (2)結核登録票に係る活動性分類等について  (3)今後の結核医療のあり方について  (4)その他 3.閉会 ○江浪補佐 それでは、定刻より若干早い時間でございますが、委員の皆様もおそろ いですので、これから第15回「厚生科学審議会感染症分科会結核部会」を開催いた したいと思います。  委員の皆様には御多忙中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございま す。私は健康局結核感染症課で課長補佐をしております江浪でございます。しばらく の間、進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  本日は平成21年度に入り、初めての部会の開催でございます。また、委員の改選 後初めての開催になりますので、改めて委員の皆様を御紹介いたしたいと思います。  国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長、坂谷委員でございます。  所沢ロイヤル病院、深山委員でございます。  読売新聞東京本社、南委員でございます。  慶応義塾大学総合政策学部、青木委員でございます。  社団法人日本医師会、飯沼委員でございます。  結核予防会結核研究所、加藤委員でございます。  済生会横浜市東部病院、川城委員でございます。  独立行政法人国立病院機構東広島医療センター、重藤委員でございます。  中央区保健所、東海林委員でございます。  菅沼三田診療所、菅沼委員でございます。  一橋大学大学院、高橋委員でございます。  埼玉県川口保健所、丹野委員は本日御欠席でございます。  それでは、本部会の開催に当たりまして、上田健康局長よりごあいさつを申し上げ ます。 ○上田局長 健康局長の上田でございます。今日は第15回の厚生科学審議会感染症 分科会結核部会ということで、御出席誠にありがとうございます。  御存じのように、今は新型インフルエンザ対策でいろいろ手をとられておりまして、 皆様方にも新型インフルエンザ対策に御理解と御協力をいただいております。結核と は異なりますけれども、この場を借りて御礼を申し上げます。また、そういうことも ございまして、本部会の開催が大変遅れてきたということをおわびしたいと思います。  言うまでもなく、我が国の結核の状況でございますけれども、関係者の御尽力によ りまして患者数が大幅に減少するなど、これまで飛躍的に改善はしてきたわけでござ います。しかしながら、結核は平成20年の1年間でも約2万5,000人の新規患者が発 生するという状態でございまして、我が国におきまして主要な感染症でございます。 世界的に見ても結核は中蔓延国として我が国は位置づけられているところでござい ます。  結核患者が減少する一方で、結核を診療できる先生方や医療機関が減少するなど、 地域によっては結核医療体制の確保が難しい状況になってきております。また、近年 は抗結核薬に耐性を有する多剤耐性結核菌の発生や、都市部における若者の感染など、 新たな課題もございます。こういうことで、昨年2月に本部会で御審議いただきまし た結核医療の基準について、本年2月に最新の知見や状況の変化に対応した改正を行 ったところでございます。  私どもといたしましては、結核を取り巻く状況の変化や新たな課題に対処するため、 地方自治体や関係団体と連携を図りながら、結核対策を一層推進していきたいと考え ております。  本日は結核登録票に係る活動分類等についてと、今後の結核医療の在り方について 御議論、御審議をいただくことになっております。これらの重要事項について、皆様 方の大局的かつ専門的な御意見をいただければと思っているところでございます。  私ごとになりますけれども、以前にもお話をしたかもしれませんが、もともと私は 結核療養所から医者の仕事をスタートしておりまして、大阪のあいりん地区の検診な ども手伝いましたが、ああいうところでは診査会をやっていると、レントゲンを見て いると名前は違うんだけれども、同じレントゲンが出てくるんです。名前が違って同 じレントゲンですから同じ人なんですが、三重にも四重にも登録している人があると いうこともございました。いろんなことがあるわけでございまして、この登録票の扱 いの問題というのは本当に昔から、30年以上前から大きな問題でございまして、我々 としても的確に患者さん、あるいは回復者が管理されるような仕組みが必要ではない かと思っています。  一方で、結核医療の在り方についても御議論いただくんですが、やはり先ほど申し 上げましたように、全体の中で国として結核医療をどうしていくかという大きな方向 性があって、その中で地域でどのように維持をしていくかということが重要ではない かと思っておりますので、そういうことで今日はよろしくお願いいたしまして、簡単 でございますけれども、私のごあいさつと御礼に代えさせていただきます。どうぞよ ろしくお願い申し上げます。 ○江浪補佐 それでは、開会に先立ちまして委員の出欠状況の報告をさせていただき ます。  本日の出欠状況でございますが、先ほども御紹介申し上げましたとおり、丹野委員 から御欠席の御連絡をいただいておりますので、現在の部会委員総数12名のうち、 11名の御出席をいただいておりまして、出席委員が過半数に達しておりますので、本 日の部会が成立していますことを御報告いたします。  また、本日の部会には審議の関係でお二人、参考人として御出席をいただいており ます。御紹介申し上げます。  結核予防会複十字病院、吉山先生でございます。  独立行政法人国立病院機構和歌山病院副院長、駿田先生でございます。  次に、事務局の職員を紹介いたします。  本年7月に結核感染症課長に就任いたしました、福島でございます。  結核感染症課、中崎補佐でございます。  本年5月より結核感染症課に赴任しております、水野専門官でございます。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を見ていただきます と、まず議事次第がございまして、その後に資料一覧がございます。資料一覧にござ いますとおり、本日は資料がたくさんあります。  資料1−1「結核登録票に係る活動性分類等について」。  資料1−2「結核治療終了後の再発発見のための効率的な経過観察の検討」。  資料2−1「今後の結核医療のあり方について<論点>」。  資料2−2「『感染症指定医療機関の指定状況に関する調査』及び『結核医療及び 結核病床に関する調査』の結果の概要」。  資料2−3「ユニット化病床の調査について」。  資料2−4「アンケート調査に基づく結核患者収容モデル病床の運営上の問題点 (概要)」。  資料2−5「平成20年度厚生科学研究『罹患構造の変化に対応した結核対策の構 築に関する研究』分担研究『罹患構造の変化に対応した医療のあり方』」。  資料2−6「和歌山県における地域連携について」。  資料2−7「結核医療提供体制について」。  参考資料1、参考資料2、参考資料3がございます。  本日追加の資料といたしまして、1枚紙の「集団医療から個別医療への転換Ver.3」 というものをお手元にお配りしております。もし資料に不足などございましたら、事 務局までお知らせください。  それでは、議題に入らせていただきます。まず議題の1番目でございますけれども、 厚生科学審議会令第6条3項に「部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により 選出する」という規定がございます。どなたか御推薦があればお願いいたします。 ○加藤委員 坂谷委員を推薦いたしたいと思います。 ○江浪補佐 ありがとうございます。ほかに御推薦される方はいらっしゃいませんで しょうか。  いらっしゃらないようですので、坂谷委員を部会長として承認することに御異議ご ざいませんでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○江浪補佐 皆様に御承認いただきましたので、坂谷委員には部会長席へ御移動をお 願いいたします。 (坂谷委員、部会長席へ移動) ○江浪補佐 それでは、これより後の部会の議事進行につきましては、坂谷部会長に お願いいたします。 ○坂谷部会長 このたび部会長を仰せつかりました坂谷でございます。どうぞよろし くお願いをいたします。今日はタイトでありますので、ごあいさつ的なものをはぶか せていただきます。  議事の進行に移りますが、審議会令第6条第5項に「部会長に事故がある時には、 当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、そ の職務を代理する」とございます。この部会長代理につきましては、加藤委員にお願 いしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 ○加藤委員 よろしくお願いいたします。 ○坂谷部会長 それでは、本日の会議の進行でございますが、お手元の議事次第によ って進めてまいります。先ほど申しましたようにタイトな時間配分になってございま すので、どうぞ円滑な議事に御協力をよろしくお願いを申し上げます。  議題2でございます。「結核登録票に係る活動性分類等について」でございますが、 事務局より御説明を願います。 ○江浪補佐 お手元の資料1−1をごらんください。「結核登録票に係る活動性分類 等について」でございます。  まず現状でございますけれども、感染症法におきましては「保健所長は、結核登録 票を備え、これに、その管轄する区域内に居住する結核患者及び厚生労働省令で定め る結核回復者に関する事項を記録しなければならない」としております。  また「厚生労働省令で定める結核回復者」につきましては、感染症法の施行規則に よりまして「結核医療を必要としないと認められてから3年以内の者その他結核再発 のおそれが著しいと認められる者」と規定されております。  前回の結核部会におきまして、この課題につきまして御議論いただきまして、その 議論の概要を2.にまとめております。  1点目でございますけれども、平成19年6月から届出基準に位置づけられました 「潜在性結核感染症」を活動性分類の区分に追加することにつきましては「潜在性結 核感染症」を区分に追加するという御議論であったと思います。  1枚おめくりいただきまして、結核治療終了後の再発患者の早期発見を目的とした 経過観察の実施方法につきまして、前回の議論におきましては治療後の経過観察期間 は現行では3年以内となっておりますけれども、すべての登録者の経過観察を3年で 行うことは現実的な負担も大きくなり、登録者も治療状況によって既に2年で行って いるところもある。結核対策の重点化・効率化の観点からは、経過観察期間を短縮す ることが望ましいのではないか。ただし、経過観察の期間については、治療後の再発 率に関するデータとその検討が必要ではないかという御議論だったと思います。  経過観察の実施間隔につきましては、現状では1年に1回となっておりますけれど も、医療機関におきます経過観察の頻度を勘案すれば、6か月に1回とした方がいい のではないかという御議論がございました。  経過観察の実施主体につきましては、医療機関における治療後の経過観察を目的と した、外来診療で代替されている場合が多くなっているということでございますけれ ども、これは現在の枠組みでも実施可能でありまして、検査の重複などの無駄が起こ らないよう、保健所と医療機関の連携を図ることが必要ではないかという御議論がご ざいました。  医療機関において十分な経過観察が行われていない方につきましては、保健所が積 極的に関わる必要があるのではないかという御議論もございました。  これらの前回の議題を踏まえまして、今回の検討課題でございますけれども、まず 治療終了後の再発患者の早期発見を目的としました経過観察の実施方法につきまし て、治療後の経過観察期間につきましては、現行では「結核医療を必要としないと認 められてから3年以内」としておりますけれども、これを2年とすることは妥当かと いう検討課題がございます。  経過観察の実施間隔に関しましては、現行では「最近1年以内の病状に関する診断 結果が得られない者」とされておりますけれども、経過観察から外れた人々をなるべ く早く把握するために「最近6か月以内に病状に関する診断結果が得られない者」と することが考えられるかどうかということがございます。なお、その際に病状確認の 頻度が増えることによりまして、保健所の業務量が増えることにつきましてどのよう に考えるかという課題がございます。  2点目、治療終了後の再発患者の早期発見を目的としました経過観察の実施場所に つきまして、前回の御議論を踏まえまして、今後ここに挙げましたことを関係機関へ 周知していくということでよいかということでございます。  経過観察の実施主体につきましては、医療機関における治療後の経過観察を目的と した外来受診で代替されている場合には、検査の重複などの無駄が起こらないよう、 保健所と医療機関の連携を図ること。  医療機関における治療後の経過観察が行われていない者については、保健所は経過 観察を実施することということでございます。  1枚おめくりいただきまして「結核再発のおそれが著しいと認められる者」につい てでございます。  平成7年の通知におきましては「結核再発のおそれが著しいと認められる者」につ いて定義がされてございますけれども、現行の平成17年の通知におきましては定義 がなく、これを明確化するべきではないかという論点がございます。  その下に参考として書いておりますけれども、平成7年の通知の定義におきまして 「結核再発のおそれが著しいと認められる者」とは、再発例、受療状況が不規則だっ た者、薬剤耐性のあった者、糖尿病・塵肺、人工透析患者、副腎皮質ホルモン剤使用 患者、その他の免疫抑制要因を持ったもの、その他保健所長が必要と認める者をいう と定義がされております。  現行の平成17年通知におきましては、この結核再発のおそれが著しいと認められ る者の経過観察期間が定められていないわけでございますけれども、この期間につき ましては保健所長が、結核再発のおそれが著しいと認められる者ではないと判断した ときに削除するということでよいか、ということが論点としてございます。  これらの資料の参考資料として、感染症法の一部の抜粋、施行規則の抜粋を参考1 として5ページに付けております。  参考2「活動性分類等について」。平成17年の通知につきまして6ページから付け ております。  参考3に平成17年の「活動性分類の運用について(抄)」を添付しておりまして、 その内容のサマリーを最後の10ページに付けております。  以上でございます。 ○坂谷部会長 江浪さん、ありがとうございました。  最初に潜在性結核症の活動性分類の区分の追加につきまして、これについては前回 にも議論をいたしましたが、粛々と追加いただくことでよろしいかと思います。  それでは、事務局からただいまの説明のように5つの検討課題が出されてございま すが、そのうちで治療終了後の再発患者の早期発見を目的といたしました経過観察の 実施方法において、1点目の治療後の経過観察の期間、2点目の経過観察の実施の間 隔を議論するに当たりましては、治療終了後の再発発見のための効率的な経過観察の 検討につきまして、複十字病院の吉山参考人より説明をいただいた後に議論に入りた いと存じます。吉山先生、どうぞよろしくお願いをいたします。 ○吉山参考人 資料1−2をごらんください。  結核の治療終了後の再発率につきましては、文献的なものが6個ございます。うち 1〜3までは母数となる患者数がはっきりしているコホートであり、文献4〜6とい うのは今年の結核病学会で報告されました、病院及び保健所において再発した例から 見て、過去いつごろに治療したということから、何か月あるいは何年経ったところで 再発している例が多いかという報告となります。  1〜6すべての文献におきまして治療終了後早期の再発が多く、1年以内が最も多 く、1年から2年、2年から3年、3年から4年と、時が経るにつれて再発患者数が 減ってきていることがわかります。  文献1〜3で母数がわかる集団を見てみますと、再発率が2%程度となっておりま すけれども、一部3%という報告もございます。これは2年以内に大体2%で、それ 以降も含めますと2ないし3%で、それ以降も含めますと若干上がるという数字とな っております。ですので、2年目までの場合と3年目の場合で大きな段階的な変化が あるということではございませんけれども、徐徐に再発率は減っていく。どこかで線 引きをする必要があるということかと存じます。  複十字病院における再発につきましても同じでございます。  潜在結核感染者についての再発ですけれども、これは日本では余りデータがござい ませんで、米国のデータとなります。3ページにあります表の特に下の方、ツベルク リン陽性のみと書かれているところをごらんいただきたいと思います。現在ですと日 本の患者さんでも潜在結核感染症と診断された方については、イソニコチン酸ヒドラ ジドの投与がかなり行われております。ですので、ツベルクリン反応陽性のみの下の 「INH投与」と書かれているところが、実際の患者の状況かと思いますけれども、 潜在結核感染治療後1年目の発病がややありますが、2年目以降はほぼ同じ数字で、 これは8年経っても余り変わらない数字となっております。  続きまして、結核発病の治療終了後の方に戻ります。治療終了後の再発発見のため の経過観察の実施制度ですけれども、これにつきましては複十字病院ではこうしてい るという報告になりますが、初めの1年間は3か月ごと、2年目は6か月ごとに診て おります。そうしますと、この間に再発が確認されている例のうち、半分強の24例 中15例は経過観察によって発見されており、残りの9例が有症状受診によって見つ かっている例でございます。  1回当たりの検診でどれだけ患者さんが見つかっているかということなんですけ れども、複十字病院で1年目に経過観察をされた方は1,000人余り、2年目が800人 余りでございます。  1年に4回で再発率が全部で2%、1年目が100人年当たり2、2年目が100人年 当たり0.1なんですけれども、そのうちの約半分ぐらいが検診発見ですので、1年目 が100人年当たり1程度で、それが4回の検診によってわかっていますので、1回当 たりの検診で見つかるのが100人年当たり0.3程度、つまり0.3%程度となります。  この数字はほかの検診と比べてみますとどうかというと、年齢別で若い人の定期検 診が終了となった根拠が、定期検診で見つかる患者さんが10万当たり10、つまり 0.01%ないし0.02%であるということから定期検診が終了となっております。それに 比べるとかなり高いんですけれども、そのほか現在推奨されているハイリスク者に対 する検診、例えばホームレスといった者に対する検診などを見てみますと、これは 2001年にホームレスあるいは外国人などに対する検診などを集計したことがござい まして、そのときのデータですけれども、飯場、住所不定者などでの患者発見率が1% を超える。外国人が0.6%、寝たきりの老人が0.1%という数字がございます。  ですので、0.3%という発見率はハイリスク者に対する検診などに比べまして、若干 低めではありますけれども、その中でも寝たきり老人などに比べると高いということ となります。  以上でございます。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。  吉山先生、普通の患者の観察期間、間隔につきまして、どういう数字を御提唱とい うか、御自身ではお考えになりますか。 ○吉山参考人 観察期間につきましては経過年数とともに減少していくこと。それか ら、経過年数とともに減少していくと、もしも検診を行っても発見率が下がりますの で、間隔を空けないといけなくなってしまう。ところが、逆に間隔を空けますとその 合間の有症状受診で見つかる患者さんが増えてしまいますので、検診で見つかる患者 数はそれほど増えないということを考えますと、2年間で妥当ではないかなと考えて おります。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。1点目と2点目、経過観察期間を幾らに定め るか、それから、その実施の間隔をどのぐらいにするか。これにつきまして本部会の 意向をまとめたいと思います。どうぞ先生方から今の吉山先生のデータを基にしまし て、御意見を出していただきましたらよろしいかと思います。いかがでしょうか。  前回の本会では大体現在のところ3年と定めておりますが、現実には2年間で済ま せている実態が大きい。その代り、今、吉山先生がおっしゃいましたように間隔を短 めにいたしましょうか、1年に1遍を半年に1遍でよかろうではなかろうかという議 論があったと思いますけれども、それを踏まえまして御意見を伺いたいと思います。 加藤先生、何かございますか。 ○加藤委員 今、吉山委員の御説明のとおり、御呈示の2年というのは合理性がある のではないかと思いますし、6か月に1遍というのは医療機関もありますし、病状不 明のものを早く察知できるという観点からも妥当ではないかと思います。 ○坂谷部会長 加藤先生、間隔につきましても半年でよろしゅうございますか。 ○加藤委員 議論のもう一点としては、病状を把握する方法の問題をもう少し考えな ければいけない。これは保健所の業務量との問題で考えなければいけない部分がある かと思いますけれども、やはり見つけるための間隔という観点からは、それでよろし いのではないかと思います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。前回の本会では1年に1遍を半年に1遍にす ることによって、保健所さんの業務量が倍になるわけですけれども、それに耐え得る かどうかという話がありましたが、保健所の先生方から御意見を伺いたいと思います。 いかがでしょうか。東海林先生、どうぞ。 ○東海林委員 全体の数も減ってきているということと、1年ですともし1回抜けて しまえば2年、3年となってしまうことがあります。業務量もきちんとやるというこ とが決まっていれば、そんなに多くはないと思いますので、2年、半年に1遍できち んとやった方がいいと思います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。ほかの方々はいかがですか。保健所さん以外 でも勿論結構です。川城先生、どうぞ。 ○川城委員 私は2年でよろしいんだと思うんですけれども、こういう議論をすると きというのは、コスト・エフィシェンシーの考え方のデータが全然出ていないんです。 つまり横軸に治療後の年数をとって、縦軸に再発率で漸減していくから、ずっとやれ ばやるほどよいわけです。明確なんです。  それを3年を2年に短くしようというときに、では何でなのか。0.01%発見率とい う物差しで健康診断のときは切ったということでしたね。そういう材料もあるけれど も、感覚的に2年でいいのではないかというときに、何か1つ裏づけとして3年と決 めておいて、これを本当に全うするためには保健所はこれだけのことをしなければな らない。実際にはできなくても2年の保健所がたくさん出ているという議論とか、そ の辺の要するにレイバーの問題とかコストの問題とか、それのバランスで決めること の性質も含まれているのではないかとちらっと思ったんです。 ○坂谷部会長 川城委員の御意見でありますけれども、いかがでしょうか。参考人の 方から何かデータを踏まえて御意見ないですか。 ○吉山参考人 実を言いますと、2年が終わった後3年目に1回やった検診から、ど れだけ見つかったという病院の方からは全くデータがなくて、保健所からのデータが あれば非常にありがたいなとは思うんですけれども、私が関わっている保健所などで は3年目は余りきちんとやられていないことが多くて、データの出しようがないとい うのが現状だと思います。もし東海林先生の方から御反論がありましたら、済みませ ん、お願いいたします。  ですので、データがないところでの議論になりますので、完全に印象とならざるを 得ないというのが私の考えでございます。 ○坂谷部会長 長年経過観察をする方が発見率が上がるのは勿論のことですけれど も、今の吉山先生のデータのとおり、たかだか0.3%程度の範囲のことである。それ から、現実に3年と規定されていますが、2年でほぼ終了している保健所さんが大部 分であると承知しておりますけれども、正確な数字というのは上がっておりますでし ょうか。吉山先生、何か持っておられますか。 ○吉山参考人 2年目から3年目の患者発見率自体はスタディ2でわかりますけれ ども、それは数がかなり少ないところなので幅が非常に大きいということで、ほかの 検証に耐え得ないかなと思えます。 ○坂谷部会長 川城先生、日本全体を見回して、率の正確な数字は問題なんですけれ ども、3年の規定を2年でほぼ終了しておられる保健所さんが大部分であるというこ とでありますが、1年短くしたことによる悪影響はごらんのとおり出ていないと理解 をしているわけであります。 ○川城委員 事実も3年までやればいいことはわかっているんだけれども、実際上で きなくて、現実はこうなっている面があるんです。大部分の保健所さんが2年でやっ ている。ですから、それが1つの証みたいなものなのではないかと思います。 ○坂谷部会長 おっしゃるとおりでありまして、現実の方が先行しているというか、 3年の規定が現実には2年間になっているので、規定の方を現実に合わせましょうと いう言い方もできるかと思います。  いかがでしょうか。特に保健所さんの委員の方から御異存がなければ、まず観察の 期間は2年といたしましょうということの提案を、この部会でとりまとめたいと思い ます。御異存はございませんでしょうか。  それでは、観察期間は2年間にいたしましたけれども、発見率を上げるために6か 月に1遍の実施間隔にいたしましょうかということでありますが、これも御提案を申 し上げるわけですけれども、いかがでしょうか。東海林委員から御発言がありました ように倍に増えますけれども、業務量としてはそれほどのことはなかろうと。ただ川 城委員が申されたように、コストがいかがかということですが、コストの点に関しま して東海林委員から何か御追加の御発言はないでしょうか。 ○東海林委員 やはり担当する保健師の人件費になってきますが、これは日常の業務 の中で全部呼び込んでいることになりますので、コストが特段急に増えるはないので はないかと思います。ただ、実際に連絡を取り合うとか、そういう業務が多少増えて くるかもしれませんが、きちんとできる体制であれば余り問題はないと思います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。加藤委員、どうぞ。 ○加藤委員 現在、病状確認の方法として、保健所自体が管理検診をするか、あるい は医療機関紹介によって医療機関から書面で連絡をとる必要があると思うんですけ れども、ここは例えば保健師さんが結核回復者のところへ行って、私は一月前にちゃ んと病院に行って検診を受けて、異常がないと言われた者を記録としてとることで代 わることができれば、業務量は大分減るのかなと思うんですが、そこら辺については 是非そんな形でできれば経費的にも合理的になるのかなと考えるところです。 ○坂谷部会長 加藤委員と東海林委員から話がありましたように、連絡を密にとるこ とが必要なこととして出てまいるかもしれません。3点目の論点とも関係するわけで すけれども、多分皆様方の御意見では2年間に短くいたしましたが、6か月ごとの間 隔で経過観察をいたしましょうということについて、それほどの御異存はなかろうか と思います。そういうふうに提言をしてもよろしゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○坂谷部会長 ありがとうございます。それでは、1点目と2点目はそういうふうに 決したと考えます。  3点目でございますが、治療終了後の再発患者の早期発見を目的といたしました、 経過観察の実施場所についてでございます。関係機関への周知を行うことという表現 で徹底をいたしたい。すなわち、医療機関で行う部分につきまして十分利用させてい ただきまして、保健所さんはそれを確認することによって経過観察を行うことにする ということでございます。御議論を願います。  これも現実には、規定では保健所さんが全例について自前でやられるのが本筋かも しれませんが、現実には治療をいたしました医療機関でもって経過観察をいたしてお るのが普通であると思います。それを正しく密に保健所さんの方が確認をされること によって、経過観察とするという内容でございます。これにつきましても前回のこの 部会でも議論をいたしたわけでありますが、前回以上のお話がございますでしょうか。 よろしゅうございますか。加藤先生、いかがでしょうか。 ○加藤委員 そういうことでよろしいかと思います。 ○坂谷部会長 重藤先生、どうぞ。 ○重藤委員 細かいことなんですが、普通御自身で受診されましたら保険診療ですね。 保健所からの検診で広島県は委託になっておりますが、それだと御本人の負担はない ということなので、その辺の不公平感というか、そういうのが出る可能性があると思 います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。菅沼委員、どうぞ。 ○菅沼委員 今の重藤委員のことに関してですけれども、最初に保険診療で請求をし ても、結核であるということで、後から補助していただくというシステムはないんで しょうか。 ○坂谷部会長 これはどこに聞きましたらいいですかね。江浪補佐、どうぞ。 ○江浪補佐 結核患者さんに関しましては費用負担というものがございますけれど も、基本的には治療されて回復している方ということですので、そこに関しましては 通常の保険診療の中になります。 ○坂谷部会長 ということでありますね。 ○菅沼委員 そうしますと、やはり不公平というのは仕方がないことになるんですね。 ○坂谷部会長 何か是正の方法はありますでしょうか。ちょっと問題点が残ったとい うのは、こういうことでしょうか。医療機関は治療が終わった後で受診されるときに は御本人の負担になる。普通の保険を使うことになる。保健所さんでそれを受ける場 合には、公費負担であることになりますね。それを踏まえて重藤委員からは何か御提 案はありますか。 ○重藤委員 例えば受診された後に保健所から依頼があって情報提供をした場合に は、払い戻しのような形で平等にするとか、手間の方がコストがかかるような気がし ますけれども、そういうシステム上の建前はあった方がいいのではないかと思います。 ○坂谷部会長 という問題です。菅沼委員、どうぞ。 ○菅沼委員 やはり保険診療とか検診などに関しては、非常に平等性が前に打ち出さ れておりますので、できましたらその方向でやっていった方がよろしいのではないか なと考えます。 ○坂谷部会長 もう一度おっしゃってください。 ○菅沼委員 いろいろ保険診療とか健康診断に関して、いろんな方面から言われてい ることは平等性なんです。ですので、やはりこういう面で同じ立場の方が、保健所へ 行けばただだけど、何か症状があれば保険でやってもいいのかなと思うんですが、一 応検診に来てみたいなところだった場合に少し個人負担があるということは、やはり 不平等であるようには感じますので、後からそういうのを保健所に請求すれば還付さ れるというのは、確かにとても手続は面倒くさいとは思うんですけれども、そういう 道はあってもいいかなという気がいたします。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。現実には2つに分かれていて、大部分が診療 機関で診ていただいておって、それを保健所さんがデータとして利用していると思う んです。保健所さんで自前で検診を受けられている方は少ないと思うんですけれども、 現実にこれまた1番目、2番目と同じように、問題は別に生じているとは伺っており ません。ですから、現実で今うまくいっていると思うんですが、深く掘り下げてみる とそういう問題が残っているということだと思います。  解決の点はありますけれども、現実に今やられているように医療機関での検診を十 分利用して、保健所さんが密に連絡をとりあって利用して健診のデータとするという ことは、それをひっくり返す、覆すほどのことではないであろうかと考えますけれど も、いかがでしょうか。 ○菅沼委員 別にそういう意味ではないです。 ○坂谷部会長 加藤委員、どうぞ。 ○加藤委員 実際にやっているところの話の方が多分正確だと思うんですけれども、 既に保健所の中ではエックス線業務は完全に自前で廃止して委託しているところが あると思いますので、そういうところですと、恐らく受診券方式というようなことを しているのではないかと思いますので、その形ですと問題はある程度解決できるかな と思います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしょうか。高橋 委員、どうぞ。 ○高橋委員 去年全然参加できていなくて、議論の経緯が少しわかっていなくて申し 上げるのは大変申し訳ないんですが、今のいわゆる保健所が医療機関でやっていらっ しゃるところの、検査のデータを利用できるという法的な根拠はどういうところにあ るんでしょうか。ちょっと教えていただきたいんですけれども。 ○坂谷部会長 事務局から御説明を願います。 ○江浪補佐 今回参考としてお配りしております、資料1−1の参考1を見ていただ ければと思います。  5ページでございますけれども、そこに感染症法の抜粋が出ておりまして、第53 条の12が結核登録票に関すること、第53条の13が精密検査に係ることでございま す。  第53条の13には「保健所長は、結核登録票に登録されている者に対して、結核の 予防又は医療上必要があると認めるときは、エックス線検査その他厚生労働省令で定 める方法による精密検査を行うものとする」となっております。ですので、結核の予 防または医療上必要があると認めるときに限りまして、直接精密検査を行うことにさ れていますので、そこの判断に際して医療機関との連携をとっているというものかと 思います。 ○坂谷部会長 という御説明ですけれども、高橋委員、いかがでしょうか。 ○高橋委員 ですから、本来患者さんは使われることを想定しないで受診されている わけですね。要するに医療機関に受診するときには、この精密検査に変えることを認 識されないで受診されているはずだと思うんです。 ○江浪補佐 実際に医療機関の方で結核の患者さんを外来で診られた治療の後に、医 療の一環としましてその後、フォローアップの形で保険診療の中で再診をされている という実態が恐らくございます。  一方で保健所におきましては法律上、精密検査などを行うということをされている ときに、前回の部会での議論では現実的に医療機関の方で、ある程度保険診療の中で フォローアップの検査をされているというときに、更に保健所の方がこういった法律 に基づく精密検査を実施するというよりは、そこは両方がやるというよりは連携を強 めて、医療機関の方で実質的なフォローアップをされているということであれば、そ れを保健所の精密検査として活用するという形が考えられるのではないかという御 意見だったと思います。 ○高橋委員 要するに個人情報保護の観点から、本人同意とかそういう問題がなくて いいのかという話をお聞きしたかったんです。 ○坂谷部会長 川城委員、どうぞ。 ○川城委員 病院が個人情報をどう守るかというのは、どういう場合には使わせてい ただきますよと玄関に張り出してあって、その中に公的な医療に関しては入っている と私は思います。  それは暗記してこなかったから、準備してこなかったから確答はできませんけれど も、恐らく感染症法によって必要とされた場合には、あなたの個人情報をそれぞれの 公的機関に出すこともあり得ますということは断わってあって、すべての病院がそう ではないかと思うんですが、坂谷先生、どうですか。 ○坂谷部会長 委員長ですから意見を申し上げるのは何かと思いますけれども、まず 医療上で治療が終わった後、医学的に経過観察が必要であるからということで患者さ んに申し入れて、年に1遍ないし半年に1遍来ていただいているわけであります。こ れは治療に必要ではなくて経過観察ということを申し上げて来ていただいています。  それから、今、川城委員がおっしゃった個人情報、医学的な情報でありますが、行 政的に必要がある場合には院外にデータを出しますということは、川城委員がおっし ゃったように病院には掲げてございますし、それが合意実施されているものと理解し て通常やっておりますが、いかがでしょうか。 ○高橋委員 法律家なものですからうるさいことを言って済みません。要するにデー タを統計的に利用することに対する同意と、個人で症状がないということのデータと して、診察のポイントとして利用するというのは次元が違うと思います。つまり、個 人名を除外して研究データとして使うことに対する同意と、こうやって私が結核にか かっている。再発する可能性があるかどうかということについて受診したことの結果 を、精密検査という形で利用するという同意は、ちょっと同意の性格が違うのではな いかと思いますが、その辺はいかがなんでしょうか。 ○福島課長 事務局から。多分そこは明示的に確かに書いていないと思います。参考 1の第53条の12をごらんいただきますと、保健所長は結核登録票を備え、省令で定 める回復者に関する事項を記録しなければいけないというところから、回復者に関す る情報の把握というのが出てくると解するべきかと思いますが、確かに明示的に医療 機関側が提供できる規定があるというのは、例えば診断した場合であるとか入退院の 場合は53条の10とか11で書いてあるわけですが、12条のところでは明示的に書い ていないことからすれば、先生の御指摘のところは議論が出てくるんだと思います。  ただ、実態的に53条の12に基づき従来から記録をしなければいけないということ から、従来から保健所長がそれに基づく業務として、医療機関の管理者ないしは医師 に対して情報提供を求めている。ただ、その際にも勿論個人情報保護については十分 な配慮が必要なわけで、本人の同意なしに届出がされるというのは、個人情報保護の 観点からは議論があるところだと思います。そういう面では本人の同意の下に提供い ただくものと、私どもは理解をしてございます。 ○坂谷部会長 東海林委員、どうぞ。 ○東海林委員 実際は患者さんに接する場合、家族もそうなんですが、あなたの病状 と経過を観察するためには病院と連絡をとりますので、情報提供あるいは提供をして もらう場合もありますということを、保健所としては、本人に説明しております。た だ、それを明文化しているかどうかというところと、きちんとなっているかというの はまた別かもしれませんが、そういう中で実際に同意されているということです。 ○坂谷部会長 ということでありますけれども。 ○高橋委員 ですから、ルール化してちゃんとした方がいいのではないでしょうかと いうことを申し上げておりますので、こういう連携を明文で打ち出されるのであれば、 各医療機関にこういう形で同意をとってくださいということを、通知か何かでお出し いただいた方がどれもちゃんとして、その上で本人同意をしっかりしていただいて使 うという形をとっていただいた方が、個人情報は最近うるさいですので、いろんなと ころから横やりを言われなくて済むのではないかということを申し上げております。 ○坂谷部会長 問題点は患者さんに無断でその情報を保健所に通知する、流すという ことはいけないということでありますね。 ○高橋委員 同意をきちんととった上で流した方が、世間の合意は得られやすいでし ょうという話です。 ○坂谷部会長 もっともでございます。ありがとうございました。  5点目に入ります。結核再発のおそれが著しいと認められる者の定義でございます。 これについて検討しなければなりません。いかがでしょうか。御意見をお願いいたし ます。  事務局から御説明で具体的なクライテリアが書かれておりましたけれども、これで よろしいかどうかということあります。4ページの参考の部分で、活動性分類の運用 について「結核再発のおそれが著しい者と認められる者」云々の部分でございます。 それから、このものにつきましては保健所長が結核再発のおそれが著しいと認められ る者ではないと判断したときに、経過観察から削除することでよいかどうか、この2 点でございます。  まず定義ですね。再発の恐れが著しいと認められる者の定義が5行にわたって書か れておりますが、これでいかがかという提案であります。重藤委員、何か御意見あり ませんでしょうか。 ○重藤委員 認められる者の中に、前半の薬剤耐性ですとか塵肺ですとか、そういう 方々は確かにここに入れるべきでしょうが、あとは人工透析、副腎皮質ホルモン剤使 用患者さんは主治医ががっちりと診ているその中で、どこまで保健所が関わるかとい う問題はあると思います。ですから、後の再発の恐れが著しいと認められる者ではな いと判断できない方もあるわけですけれども、その他も主治医でちゃんと経過観察が できるから外しましょうというケースも、あってもいいかなと思いました。 ○坂谷部会長 行政上の経過観察の対象にするかどうかということでありまして、医 学的にどうかということと裏表でありますけれども、行政的にこう定めるかどうかと いうことですが、参考人でおいでいただいた駿田委員、いかがでしょうか。 ○駿田委員 ただ、例えば糖尿病であっても塵肺であっても、必ずしも主治医が結核 のフォローができているかというのは、非常に問題もたくさんあるかなという現状で、 文言の問題になるので難しいですけれども、先ほどの重藤先生の御意見でいくと、問 題があるところも出てくるのかなと思います。 ○坂谷部会長 それで両方とも保健所長が必要と認める者、保健所長が判断したとき にと書かれておるんですけれども、東海林委員から御意見はございますか。 ○東海林委員 実際大変難しい話で、臨床をやられている先生の意見というのは大変 参考になるということになると思います。実際は所長が独断で決めるというのもなか なか難しいので、結局感染症の審査会等の先生方の考えを十分聞いた上で、判断して いるということが現実だと思っています。私は所長が必要ないと決めることはなかな か難しいところがあると思っています。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。ほかの委員からいかがでしょうか。現実には 書類上は保健所長が責任をとることになっていますが、審査会での十分な議論及び実 際に経過を観察していただいている、診療していただいている医療機関と密接なコン タクトをもって、最終的には高橋委員がおっしゃったように、患者さんの同意を得て 決定していくものであると現場では理解していると考えますけれども、いかがでしょ うか。これは削るべきであるという文言でありますとか、根本的に間違っているとい う御意見があったら、是非ともお聞かせ願いたいですけれども、いかがでしょうか。  問題点は指摘をされましたけれども、4点目の結論といたしましては、4ページの 参考に掲げられております定義を採択いたしたいと思います。それから、5点目の結 論といたしましては、これまた保健所長が御自身で考えられるわけではないんですが、 関係医療機関、審査会、患者さんの合意の下に判断するという内容であるという理解 の下に延長し、もう必要がなくなったと判断したときに削除をするという方向性でや りたいと考えます。いかがでございましょうか。御異論はないと思いますので、そう いうふうに確認をさせていただいたと思います。  それでは、事務局から提案されました5つの検討課題につきましては、それぞれ結 論が出たと考えます。これを部会として5つの点につきまして了承をしたいと考えま す。  続きまして、議題3でございます。今後の結核医療のあり方について議論をいたし たいと思います。  御存じのように日本の結核はたかだか60年、70年前には死亡者数が15万人、発病 者数が56万人という時代がございました。国民にとりましてコモンディジーズであ りましたし、だれでもどこでも治療が受けられるという時代でございました。それが 官民挙げて各界の努力の下に減少に努めまして、現在のような中蔓延国に至ったわけ でございますけれども、若者の合併症のない疾患から老人の合併症の多い疾患へと移 ってまいりました。  地域差が出てまいりましたし、外国人の結核というのも問題になってきております。 医療費の減少で結核医療に投入されるお金が、昔の大量に患者がおりましたときに費 やされていたお金に比べると、患者数の減少に見合わないほど少なくなっているとか、 いろいろな問題が出ております。  基本的に入院治療、隔離治療が主体でございましたが、それも患者を集団として取 り扱う病棟単位の施設、病床というコンセプトで成り立っておりました日本の結核医 療でありますが、個別のオーダーメードの治療、合併症の治療も一緒に行われないと いけない治療、病棟単位ではなくて病床単位での施設運営と病床管理という治療とい う考えに変わってきておりますけれども、在り方についての議論が十分はなされてこ なかった嫌いがございます。  それを踏まえて国といたしまして、今後の結核医療の在り方について大方針を立て ないといけないステージに来ておるわけでございます。そういう大きな重いテーマで ございますが、この部会で議論をする必要がいよいよ出てきたということでございま す。  それでは、今後の医療の在り方につきまして、論点を事務局から整理して説明をお 願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○江浪補佐 それでは、資料2−1に基づきまして御説明をさせていただきます。  1枚おめくりいただきまして3ページに、参考1としてこれまでこの部会におきま して2回、結核医療の在り方につきまして御議論いただいているわけですけれども、 その要約を載せております。「1.結核医療の現状」「2.結核入院医療の提供体制」 「3.結核入院医療のための法的設備」の3点御議論いただいております。  これらの議論を踏まえまして、今後の結核医療の在り方について御議論いただく際 の論点を資料2−1としてお示しをしております。  1枚目「1.結核入院医療の提供体制について」ということでございますけれども、 結核入院医療を提供する体制といたしまして、現状で病棟単位での結核病床、ユニッ ト化病床、モデル病床がございますが、これらにつきまして、これらの体制の長所と 短所を御議論いただきまして、そういったものを踏まえて今後の結核医療において、 これらの体制というものをどう位置づけていくのか、どういう役割分担を行うのかを 御議論いただく必要があると考えております。  例えば平均在院数約70日であります現在の入院医療を考慮した場合に、必要な療 養環境というものは何か。あるいは将来的な展望についてどう考えるかということで ございます。  また、結核病床の施設基準についてどのように考えるかということがございます。 これは先ほどの1点目の論点とも少し関わりますけれども、例えば感染防止のための 施設基準についてどう考えるか。中長期的入院のための療養環境を配慮した施設基準 について、どのように考えるかということでございます。  今後の感染症病床と結核病床の役割分担、連携についてどう考えるかという論点も あるかと思います。結核病床以外の感染症病床につきまして、結核患者さんに入って いただくような病床として利用することは考えられるか。医療法上の結核病床と感染 症病床の取扱いについて、どう考えるかということでございます。  2点目でございますけれども、入院医療以外の部分もございますが「地域連携につ いて」ということでございます。適切な結核医療の確保を目的としました地域連携の 推進のために、どのような取組みを行うべきかということでございます。例えば地域 連携パスというものがございますけれども、そういったものを例えば全面的に導入し ていくことが可能なのかどうか。あるいは医療機関、薬局、社会福祉施設などの連携 への参画というものを、どのように促していくべきかというようなことでございます。  結核を診療できる医療従事者の育成のために、どのような地域連携の取組みが必要 か、あるいは一般住民への普及啓発というものを、地域連携によってどう強化するこ とができるかという論点もあるかということでございます。  1枚おめくりいただきまして、3つ目の点でございますが「今後の結核医療提供体 制について」ということでございますけれども、これらのような議論を踏まえまして、 今後の結核医療提供体制について、どう再構築をしていくかを御議論いただく必要が ございます。  現在の医療提供体制は、病棟単位での医療提供体制というものが中心でございます けれども、それからどういうふうに今後の形に切り替えていくことが考えられるのか。 全国的な結核医療のレベルを維持するために、どのような広域的なネットワークの構 築が必要か。また、結核の専門医の育成、結核医療に必要な調査・研究をどのように 推進していくかということでございます。  これまで蓄積しているデータ以外に、今後議論を進める上でどういう根拠が現在足 りないのかということもありましたら、そういったところを御議論いただければと思 っております。  参考1は先ほど御説明しました議論の要約でございまして、参考2といたしまして、 論点1で結核入院医療の提供体制が幾つかあると御説明しておりますけれども、その 資料を参考2として付けております。  結核病床という医療法上の区分で提供されている入院医療というものに、病棟単位 で提供されているもの。あるいはユニット化病床と言っておりますけれども、一般病 床と結核病床を合わせて1病棟という形で提供されているものがございます。また、 一般病床または精神病床の中で特例的にモデル病床という形で結核の治療が必要で、 更にほかの合併症を持つという方のみが入院できる病床というものが、今あるという ことでございます。  それぞれの資料につきまして、別添1としまして「病院の病床種別ごとの主な基準 一覧」として5ページに付けておりますし、別添2にユニット化病床に関します資料 を付けております。別添3はモデル病床と言っておりますけれども、結核病床以外の 病床で結核患者さんを入れることができる病床に関します情報を、添付させていただ いております。  参考3には結核病床の基準病床数の算定について、これも少し現状の病床数を考え る際に議論の参考になるかなということで、今、必要な結核病床数というのをどう算 出しているかということを、参考3ということで添付しております。  以上でございます。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。事務局から要領よく説明がございました。  今、説明がございましたように、前回のこの件につきましてのまとめにおきまして は、病床数の実態を見て、病床数減少の理由について現状の把握をすることが必要と いうことでございました。あらあら御説明がありましたが、これにつきまして2つの 調査の報告がございますので、「感染症指定医療機関の指定状況に関する調査」及び 「結核医療及び結核病床に関する調査」の詳細につきまして、事務局より再度御説明 をお願いいたします。 ○水野専門官 結核の医療の現状を把握するために、2つの調査を行っております。 資料2−2をごらんください。  まず1つ目の調査でございますが「感染症指定医療機関の指定状況に関する調査」 というものを行わせていただきました。方法ですけれども、感染症指定医療機関の指 定状況及び稼働病床数の実態を把握するために、平成21年6月末現在の状況につい て、都道府県に対して調査を行っております。また、結核病床においてユニット化さ れた病床数の調査も併せて行っております。  結果でございますが、次のページの表1をごらんください。左から許可病床を有す る医療機関数、うち稼働病床を有する医療機関数、許可病床数、うち稼働病床数とな っておりまして、それぞれに感染症病床、結核病床、モデル病床について出ておりま す。特に結核について稼働病床を有する医療機関数を見てみますと、都道府県内に既 に1医療機関のみであるところが7か所ございます。  次に許可病床数、稼働病床数を見てみますと、結核については許可病床数8,433床、 稼働病床数、ここでは現に患者がいなくても稼働できる状態にある病床を含んでおり ますけれども、それが5,876床となっております。  表2は次のページにございますが、これは2005年の患者数で推計されました必要 病床数を示しております。これは出典といたしまして吉山参考人の研究から出させて いただいております。  2005年の患者数で推計されました必要病床数を示しておりますけれども、現在の平 均在院日数が約70日であることを考えますと、入院60日と仮定した場合の大目計算 で、合計4,335床は必要結核病床数となっております。また、都道府県ごとに結核稼 働病床数と必要病床数を比較した場合、稼働病床数が必要病床数より少なくなってい る都道府県が11か所ございます。  ただし、11か所というのはモデル病床数を全く考慮していない数でございまして、 もし結核とモデル病床の合計稼働病床数と比較しますと、必要病床数より少なくなっ ている都道府県は9か所となります。  表2の2005年の総病床数、これは結核許可病床数でございますけれども、表1の 結核許可病床数、つまり2005年と2009年を比較しますと、全体で2,358床の減少と なっております。33都道府県で許可病床数は減少となっております。  最後に表1に戻りまして、ユニット化された病床数が一番右にございますけれども、 全国で795床となっております。  続いて2つ目の調査でございますが、結核医療及び結核病床に関する調査について 御説明させていただきます。こちらは都道府県を対象にユニット化病床やモデル病床 など、結核病床や結核医療に関する、ごらんになっている項目の質問について、自由 記載方式でアンケートを行ったものでございます。  結果でございますが、以下にまとめてありますような回答がございました。  ユニット化についてでございますけれども、ユニット化病棟を持つ25都道府県の うち15か所から回答があって、その他2か所から回答がありました。利点としては 病床利用率の改善、経営の効率化、看護師の効率的配置が挙げられておりました。な お、ユニット化には何らかの財政的支援が必要との指摘がございました。懸念として は院内感染リスクの増加、多様な患者の看護が必要になることや、院内感染対策が加 わることによるスタッフ業務の煩雑化、診療体制の専門性が欠如する可能性、一般病 棟との平均在院日数合算による診療報酬への影響が挙げられてございます。  2番目はモデル病床についてでございますけれども、モデル病床のある29都道府 県から回答がございました。他病院からの合併症患者の受入れなど、モデル病床を十 分に有効利用できていない。病院側の都合もあり、必ずしも需要に応じられない現状 があるとの回答がございました。また、モデル病床を利用するための症例条件が厳し いのも一因であり、特に精神病床においては患者がいない、専門医がいない等の理由 で利用率が低くなる傾向にあるとの御意見がございました。  3番目については管内の結核病病床の配置の現状、過不足等の問題点、または展望 についてでございますが、これは全都道府県から回答がございました。患者減少に従 って不採算、病床利用率低下が深刻化しまして、病床縮小・廃止または休床により結 核病床が減少傾向にあるとの意見が多数ありました。これによる病床の地域的偏在と 医療アクセスの悪化、更に将来的な病床不足を危惧するとの意見がございまして、一 部では病床不足により入院待ちが生じる現状も見られるとの意見もございました。  解決策として診療報酬、国庫補助等による検討、モデル病床症例条件の緩和、感染 症病床を利用可能とするための法整備などの要望が挙げられております。  4番目に管内の結核医療を支える医療スタッフの不足の問題についてでございま すが、これも全都道府県から回答があり、全体の約6割の自治体が結核医療を支える 医療スタッフの不足があると回答しております。そのうち約8割の自治体が専門医を 含む結核を診療できる医師不足の現状があると回答しております。また、全体の約3 割の自治体が医師、看護師の不足による患者の受入困難、休床、病床廃止などを経験 しているとの回答がございました。なお、地方においては結核に限らず、医師・看護 師不足がもともと背景にある地域もあるとの御指摘もございました。  5番目は新型インフルエンザ発生時における新型インフルエンザ感染者の結核病 床での受入れについてですけれども、これは全都道府県から回答がございましたが、 1自治体のみ受入実績があるとありました。それ以外は実績がないとの回答、または 言及がありませんでした。  大体半数以上の自治体が新型インフルエンザの結核病床への受入れに課題がある ということを言っております。主な理由としては、結核患者と新型インフルエンザ患 者を院内感染予防上、同区域内で扱うことが困難であることが挙げられているという ことがあります。これに対して特定の病院に結核患者を集約させる、施設整備やスタ ッフ研修の充実を図るなどの対応をとっているとの回答もございました。一方で、結 核病床での受入れは事実上難しいと考える。または想定しないという回答もございま した。  6はその他で、今後の結核医療や結核医療を巡る問題点等についてでございますが、 これはごらんになっているような御意見がありました。大体その前に述べた意見と同 様な意見が出ております。  以上でございます。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。広範なデータでありますが、要領よく水野 さんから説明がございました。議論につきましては範囲が広いことから3つの論点に 分けて議論をすべきであると考えます。  まず入院医療の提供体制につきまして、2番目には地域医療連携につきまして、最 後に2つの議論を踏まえまして、今後の結核医療提供体制について総括してやるとい うことであります。それぞれにつきまして説明がありましたが、事務局からの御説明、 それから、そのデータを出されました吉山参考人に対して、何かデータにつきまして 御質問はございませんでしょうか。お受けしたいと思います。  前もって配って読んできていただいているはずなんですけれども、この場で御質問 がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございま すか。  「アンケート調査に基づく結核患者収容モデルの病床の運営上の問題点」について、 特に加藤委員から御報告をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○加藤委員 資料2−4をごらんください。これは私どもの伊藤が調べたものですけ れども、私も共同研究者として関わってございます。平成18年にモデル事業をやっ ている医療機関に対して郵送によるアンケート調査を実施しました。回収率が57%と 若干低くなっております。  設備に陰圧になっているところが84%でそれなりの数があります。あるいは殺菌/ 除菌施設等につきましては31%程度ということであります。モデル内の浴室、シャワ ーも80数%あるいは63%で、半数以上のところはそれぞれのクリニック内に持って います。医師については7割が専門医であります。  運営上の問題としては、るる書いてございますけれども、まとめますと経営上の問 題として空床率が高い、結核患者診療の過重労働、人件費の問題、診療報酬が低い問 題、結核患者の受入態勢の問題といったことが経営上の問題であります。それから、 感染対策手技の問題、看護上の問題、看護の知識の問題、医療の質の問題ということ で、医療、看護等の技術的な問題に関わるところが幾つか指摘されています。  更に設備上の問題としては感染対策設備の問題、患者さんに対するアメニティ、こ れは狭い部屋ですので、なかなか長期入院は適していないといった問題、近隣の病室 等の感染リスクといった問題が指摘されておりますけれども、モデル病床、一般病院 あるいは結核患者を診療する可能性については、条件がそろえば可能というところが 3割あるいは4割ということで、これは今後一般病床の中で結核患者を収容するため の参考資料として、使えるのではないかと思っているところであります。  以上です。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。  それから、事務局からユニット化の病床の調査について、先ほどもあらあら御説明 がございましたけれども、調査結果について水野さんから御報告を願います。 ○水野専門官 資料2−3をごらんください。ユニット化病床の調査についてでござ います。  これの目的ですが、ユニット化病床について、入院患者の療養環境への影響や院内 感染リスク増加の懸念もあることから、今後の入院医療の在り方におけるユニット化 病床の位置づけを検討するための、現状把握を目的として行っております。  方法でございますが、合計203床をユニット化病床として持つ国立病院機構の12 病院の見取り図を提供いただき、スペース、アメニティ、隔離設備に関する情報の抽 出を行いました。また、見取り図から読み取ることが困難な点については、別途国立 病院機構から聞取りを行っていただきました。  結果については次ページの表1に示してございます。  結核病床数、また内訳の個室数、2床室数、4床室数は12病院それぞれでござい ます。  陰圧設備の状況については区域単位と部屋単位の設置がございますが、いずれも陰 圧設備を設置している状況です。  結核病床区域と一般病床区域の境界につきましては、二重扉構造になっている、つ まり扉の間に前室が設けてある出入り口の構造を示しております。これは結核病床区 域の病棟の構造により、それぞれになっております。  結核病床区域の状況でございますが、浴室、トイレ、食堂・談話室などの設備の設 置状況を示しております。スペース、アメニティを含めた療養環境はさまざまである ことが見受けられます。特にトイレ、浴室の設置状況に関しては、個室にある場合と ない場合があって、個室に限らず設置されている場合もございます。共有スペースに ついては、必ずしも結核病床区域に設置されているわけではないということがわかり ます。  スタッフステーションについては大体のところが一般病床区域にあり、結核病床区 域への経路が病棟の構造によって近いところもあれば、比較的遠いところもあるとい うところでございます。ユニット化病床については結核患者収容モデル事業実施要領 があるモデル病床、モデル区域とは違いまして、医療法上の施設基準以上の規定は今 のところ特にはないというのが現状でございます。  以上です。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。続きまして、もう一つの大きな問題は合併症 のある患者をいかに入院診療やるかということでありまして、重藤委員からアンケー ト調査につきまして御説明をお願いします。 ○重藤委員 合併症につきましては資料2−5です。アンケート調査なんですが、自 分自身でいろいろ問題点を経験しまして、そこをよそではどうなのかという調査なん ですけれども、一番問題になりましたのが透析ですとか出産ですとか、かなり専門的 な医師が要る、機器が要るというものに困っているところがやはり多い。  別の問題が認知症でありますとか、アルコール依存症でありますとか、かなり精神 科医療が必要な状況ということで、そこへの対応を皆さん困っておられて、かなり遠 くの方に移送したり紹介したりという状況がある。しかも、精神科疾患につきまして はモデル病床がかなり利用されていますが、その他の透析でありますとか出産という のは、とりあえず何とか出産してからという状況で、緊急避難的に一般病院、結核病 室でないところで何とか対応していただいている部分が、かなりあるという実態が明 らかになりました。  最後のまとめの部分だけお話しますけれども、合併症への対応を優先した病床整備 がどうしても要るのではないか。ここでは出ておりませんが、例えば急性の心筋梗塞 で飛び込まれた方が結核であったという場合に、どのように対応するかというと、今 ですと結核病床で対応する。では、結核病床の医師、看護師は何でもできなければい けないという状況にあるわけですが、そうではなくて、重篤な合併症を治療する専門 のところで結核の治療が必要であれば、結核専門医が援助するという形態が理想であ ると思います。  2番目に、これらはかなり対応できている地域もあるという印象でしたけれども、 非常に困っていて、何とか対応しているけれども、何とかしてくれという自由意見が いろいろありましたが、そういう部分が多いということです。  以上です。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。合併症の問題、患者数が減りましたことに よって1病棟を維持しづらいような状況の中でユニット化でありますとか、モデル病 床であるとか、そういうことが考えられて実現化しておるんですけれども、それぞれ にも問題がございます。  まず入院医療の提供体制について3つのお話がありましたけれども、この点に関し まして結核入院医療の提供体制についての御議論を願いたい。御意見をちょうだいし たいと思います。施設の管理責任者の1人であります川城委員から、何か御意見はご ざいませんでしょうか。 ○川城委員 一番先ということなんですけれども、モデル病床というのは日本全体で 何床あるかということを知りたかったんですが、資料2−4の4ページの伊藤先生の 論文のTable1にある数字なんでしょうか。Number of model-beds 30と書いてありま すけれども、30床なんでしょうか。 ○江浪補佐 今回お配りしています資料の中で、資料2−2をごらんください。感染 症指定医療機関の指定状況に関する調査というものです。表1をごらんいただきます と、表の左が許可病床を有する医療機関数、次に許可病床数、うち稼働病床数となっ てございます。許可病床数、稼働病床数の中を感染症病床、結核病床、モデル病床と 分けております。 ○川城委員 モデル病床は全体として72つくってあるわけですね。ベッド数でいく と371ベッドということでいいんですか。 ○江浪補佐 そうです。そのうち稼働していないところもございますので、稼働病床 数で数えると342床でございます。 ○川城委員 実際にこのベッドに毎日結核の患者さんが入っているわけではないん ですね。漏れ聞くところによると、これは入っていない場合には病院側としては個室 利用ができるという伏線があると思うんです。というのは、病院側の都合により十分 な利用ができなかったということがありました。結局実際はどうなっているか知りた かったのは、別の言葉で言えば、モデル病床は持っているんだけれども、今日は感染 症でない普通の患者さんが個室利用しているから、外から結核患者さんの要望があっ ても取れないという現実がかなりあるのかな、ないのかなということが、私は外側の 人間として知りたかったんです。 ○坂谷部会長 いかがでしょうか。モデル病床が結核診療のために使われているかど うかということですけれども、何か情報として事務局あるいは委員の方々で、現状は こうだという御意見があったらお願いします。  川城委員がおっしゃった実際に使われていない理由の中には、結核患者も入れられ るように整備したものであるけれども、現実に患者が出ましたときに、それを診療す る側として専門的な医者がいない、ナースもいないということで、結核専門病院へ回 してしまう、自前の施設のモデル病床が使われていないという面もあろうかと思いま す。 ○川城委員 医者がいないとかナースの数が足りないからという以前に、部屋を使っ ているからというのもあるのではないか。 ○坂谷部会長 それもあろうかと思います。だから有料個室的に使われることが、便 利使いをされているということかもしれません。いかがでしょうか。もう一度戻りま す。  入院医療の在り方ということでモデル病床、ユニット化が考えられたわけですけれ ども、それが十分機能しているかどうか。それを大々的に取り入れていっていいかと いうことです。重藤委員、何か御意見ありませんか。 ○重藤委員 広島県の場合、モデル病床を持つ施設が4施設ということになって、稼 働病床を持っているのも4施設になっていますが、モデル病床を持っているうち実際 に患者さんを普通に診ているのは2施設だけで、ほかは全く診ているという話を聞き ません。一応診られるという返事ではあるんでしょうけれども、実際には結核を診ら れる医師はいないと思います。それから、多分看護の方がかなり拒否的だとか、そう いう事情もあると思います。 ○坂谷部会長 川城委員、いかがでしょうか。現場からはそういう声です。駿田参考 人、和歌山ではどうでしょうか。 ○駿田参考人 重藤先生がおっしゃったように、和歌山県でも稼働8となっています けれども、全く結核患者さんは入院されていないと思います。県の方に聞きますと、 やはり専門家がいないのでということで、そこで診る前にうちの方に紹介されてくる というのがほとんどというか、全例ではないかと思います。 ○坂谷部会長 モデル病床についてはそういうことですが、ユニット化の病床につい ては先生は御意見いかがですか。 ○駿田参考人 うちの病院も平成18年から、もともと55床1病棟単位だったのが、 20床の結核病床と一般病床に分けまして運営しているんですけれども、たまたまうち の病院が非常にシミュレーションとかもうまくいきまして、なんとかやれている状況 なんですが、先ほど指摘されているように、やはり平均在院日数等のカウントに関し ましては、非常にぎりぎりの状況で毎月やっていますので、その辺が外されるだけで も一般病床の運営が、かなり余裕を持ってできるようになります。ユニット化がいい のかどうかというのはこれからの御議論だと思いますけれども、ユニット化をもし進 めるのであれば、このところが解決しないと新しい病院はなかなか参入しにくい部分 も多いのかなと思います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。重藤委員、ユニット化については何か御意見 ありますか。 ○重藤委員 東広島医療センターもユニット化を予定しておりますけれども、20床で 維持するつもりですが、既に今、排菌のある患者さんは5名です。ユニット化であっ ても、要するに将来的に考えて感染症に対応できるように、全部個室でそれぞれの換 気を持ったユニット化というのを考えていかないと、その次の段階で無駄になると思 います。 ○坂谷部会長 という推進的な御意見が出ました。加藤委員から御意見を賜りたいと 思います。 ○加藤委員 今、御指摘のとおりで、これから多分10年、20年経つと患者の減少だ けでも半分くらいの数になる。あるいは今後新しい検査技術、知見、新薬が出てくる ようなことがあれば、更に可能な限り入院期間を短くするというのが筋だと思います。 そういった場合には入院病床はもっと少なくて済むようになるということを考えま すと、やはり現時点では1つの方策として重要かと思いますけれども、将来的なこと を考えたらやはりそれに対応できるような形、病室というのが先ではないかと思いま す。 ○坂谷部会長 ということでございます。ほかの保健所代表さんとか、ほかの領域の 方々でユニット化、モデル病床につきまして何かお考え、御意見はございませんでし ょうか。東海林委員、どうぞ。 ○東海林委員 都内も結核病床が減って、いざ患者さんをどこかにお願いしようと思 うと結構遠い地域に行ったり、家族の方がそこまでいいのかどうかというのがありま すので、なるべく地域に病床があればと考えているところです。  ユニット化ということで、今回新型インフルエンザでも感染するのではないかとい う危険があるので、個室対応や陰圧対応が出来るろころが地域としては大変助かりま す。 ○坂谷部会長 ほかの委員の方々はいかがでしょうか。菅沼委員、どうぞ。 ○菅沼委員 専門外ですので的外れなこともあるのかもしれないんですけれども、や はり一番初めに部会長がおっしゃったように、これからは老人の非常にたくさんの合 併症を持った方々から結核が出てくることを、想定していく必要があると思います。 前にこの委員会で結核病院を見学もさせていただいたんですけれども、やはり今まで は1病棟でやっているとか、若い人向けの感じで結核だけを持っている人に対応して いて、重藤委員がずっとお話をしていらっしゃるように、非常にたくさんの合併症を 持ったときにどこで診るかということが、もっと増えていく気がいたします。  それですので、やはりユニット化して、それぞれ1個室で、どちらが診るかという ことは重症度などに関係すると思うんですが、やはりがんなんかと合併してしまった 場合にはがん専門の方が診て、インターネットの遠隔診療でお互いの情報を交換しな がらやっていく方向に持っていくのが、これからの結核の診方ではないかなという気 がいたします。  もう一つ、今、新型インフルエンザはそれほどまだ重症化はしておりませんけれど も、非常に強毒性のものがはやった場合に、やはり結核だけに分けないで、感染症の 専門で胸部を一番診られる結核の先生方も、一緒に連携して協力をしていただけるよ うな、今、見ますと結核病棟に入れるのは困るという意見もあるという話ですが、何 かそういうものに対応できるような形で生き残っていくというのは必要でないかな と、部外者ですが感じております。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。モデル病床とユニット化の話が出ましたが、 もう一つ二種感染症の感染症病床というのがありますけれども、あれは法的に結核の 患者は扱えないことになっていますが、それも問題点の1つになろうかと思います。  今、方々からお話がありましたように、今までは結核を診る病院と、結核以外の疾 患を診る病院と分かれておったわけですけれども、これからはユニット化でありまし ょうとも、モデル病床でありましょうとも、総合病院の中で結核の患者も診ていくと いう方向性を探るステージに来ているんだろうと思っております。  ユニット化は重藤委員がおっしゃいましたように、将来にはそれも成り立たなくな るはずでありますけれども、トランジェントに現在のつなぎとして、そういう存在も あり得るということだろうと思います。  データとして水野専門官から説明のありました膨大な表の中で、ユニット化を取り 入れている施設としましてはNHO、各自治体の公的病院が主でありまして、採算を 度外視してといいますか、お金のことを余り考えないで済むような施設が取り入れら れているという事実もあろうかと読ませていただきました。事務局で今の議論を整理 の上、次回の部会で御報告をいただけましたらありがたいと思います。  勝手に締めくくってしまいましたけれども、川城委員からどうぞ。 ○川城委員 モデル病床に戻るんですけれども、モデル病床が始まったとき私はすご く期待したんです。  何を期待したかというと、今もずっと問題になっている結核を診ることができるお 医者さん、これは特別なことではないと思うんです。普通の医者ができるべきなので あって、それを何とかしようというので今、坂谷先生の言葉で言えば総合病院という か、普通の病院の中にそういう機能のある病室をつくろうということで始まったんだ けれども、平成4年から始まって15年ぐらい経った今、やはり余り利用されていな いではないかということで、そこはやはり大いに反省して、当初の目的のお医者さん を育てるんだということをやるように、指導あるいは誘導をしていただきたいと思う ことが1つ。  それから、やはり重藤先生がおっしゃったように、いろんな合併症がある患者さん を診るときに、結核だというとすぐアレルギーになるんです。ですから、病院の中に あるというより、もっと細かく言って各診療科の中に感染症対応の病室を持つべきな んです。例えばAcute MIが来たときに、それで両方の力が必要なときには、循環器 のベッドの中で陰圧室があるようにしておいて、そこで共同して診るとするべきだと、 これからの病院の誘導はそちらだと私は思います。ということを2つ今、付け加えさ せてください。 ○坂谷部会長 川城委員、ありがとうございました。ただ、一般病院の中につくるに 当たりましては人権問題も関係あると思いますが、院内感染対策を十分やった上での ことだということは言わずもがなのことだと思います。  もう一度まとめます。今の議論を整理していただいて、事務局でお願いをいたした いと思います。  続きまして、地域医療連携について話を移したいと思います。地域医療連携は、昔 は患者がたくさんおったときには当たり前のことでありましたけれども、現在は専門 家が特殊化してしまっていて、地域医療連携が十分に行われていない嫌いがございま す。先進的に行われている地域から2つの事例を報告いたしたいと思います。  まず広島県における現状を重藤委員から御説明を願います。 ○重藤委員 手短にさせていただきます。  入院治療を行った後の退院に際して、どこで治療するかという問題がありますけれ ども、私どもの施設では、かなり遠くから来る患者さんもいらっしゃいまして、そう いう場合に紹介すると、その後にいろいろ問題が起きているという情報が、DOTS カンファレンスなんかをするうちに保健師さんから上がってきたわけです。  そういうことで、結局治療終了まで結核専門医の目が通って、きちっとしたいわゆ るパスというものを、広めていかなければいけないのではないかということで、尾道 市医師会は地域連携で非常に先進的なことをしていましたので、声をかけましたら本 当にするりとできまして、試行しているというところです。  これはなるべく簡単にということで、ごくシンプルなものなんですけれども、それ に関連しまして今、看護面での連携も進めております。院内の治療では院内のクリテ ィカルパスができておりますけれども、その後、治療終了までということになります と、ある意味保健所に引き継ぐんですが、それが途切れるということで、それを保健 所と連絡をし合って1冊にしようと。  それから、治療終了までというよりも、治療終了後いつ管理検診のようなものがあ りますよとか、そこまでの情報を入れてしまおうという方向で今、完成させる方向に 行っています。  そうしますと先ほど気がついたんですけれども、管理検診が何月ごろありますよ、 来てください。もしくはそのときに同意書をとっておくとか、もしも医療機関に来ら れたらこうですよと、そういうものも全部とじ込んでしまえば非常にいいなと思いま した。  ただ、これがすべての地域でうまくいくかというと、県内では3つ医療機関があり ますが、ほかの2つの医療機関は市にありますので、最後まで自分の施設で見てしま うということで、余り地域連携パスには乗り気でないという現状があります。一応こ れは広島県の方でこのようなものがありますけれども、どうですかという会議を開い ていただきましたので、少しずつ治療終了まできちんとした一連のパスでやっていこ うという動きは広まっています。  以上です。 ○坂谷部会長 広島県での事例でございます。  続きまして、割合うまくいっておると思われるもう一つの代表であります、和歌山 県における地域医療連携パスにつきまして、和歌山病院の副院長の駿田参考人より説 明を願います。 ○駿田参考人 和歌山県は南北に長いということと、やはり結核専門医は勿論のこと、 呼吸器専門医も少ない中で、先ほども御議論ありましたように高齢者が多く、その中 で入院期間が全国と比べても短くなっているという特徴がありまして、退院後継続し て治療終了まで診られるということをどうしていくかという中で、やはり医療連携が 非常に大切になってきております。  ポイントとしてはDOTSカンファレンスとかコホート検討会等で、関係者が継続 的な連携をとっていくというのが1つと、もう一つは先ほどから出ていますパスを、 1つのツールとして用いていくということ。地域連携の取組みのポイントとしては、 その2つだと思います。その2つを継続していくために、定期的に協議会とかワーキ ング等、その都度名前は変わりますが、関係者が集まって情報交換をしているという 状況であります。  パスにつきましては6冊ほどサンプルを持ってきたんですけれども、少ないのでも しあれだったら回していただくか、後で見ていただくかでよろしいんですが、このパ スの特徴は患者さん自身が持参する手帳型であるということで、治療開始から終了ま での流れを患者さん自身もパスとして理解できる。関わる関係者もそれぞれの時点で 自分たちの行うべきことがわかっているということと、記録もそこになされるという ことで、日記のような形とか、服薬手帳という形も全部盛り込まれているということ です。  現在、和歌山県も一部の地域での試用段階ということで、平成19年2月から21年 8月までで66名使用されている中で、パスなのでバリアンス分析等の課題は多々あ るのも間違いないんですけれども、もともとうちの病院と保健所が始めたパスではあ りますが、使用病院は現在5病院、診療所も4施設となって、転院患者さんについて もそのまま継続して使用されているということで、治療終了とか治癒完了までの1つ の大きなツールになっているのではないかということと、こういうものを作成し運用 していく中で、いろんな形でいろんな方々と情報交換するという、いわゆるヒューマ ンネットワークの形成には、パスを立ち上げ、運用していくというところでいろいろ、 そういう意味でのツールにもなっているのではないかと思います。  以上です。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。専門家だけが関与する病気になりつつあるん ですけれども、そうではないのである。やはり地域医療連携ということで、すべての 医学的な診療の力を合わせて対応すべきことであり、それが患者への対応でもあるし、 患者数をこれから減らしていく、それから、地域での伝染を防ぐために必要だと思い ます。  地域医療連携を進めるに当たって、パスと地域DOTSというのが必要だと思われ ますが、それが外来で突然始まるのではなくて、入院中のDOTSもちゃんとやって いくことが地域医療連携にもつながる。確実な治療完遂にもつながると私は思います けれども、駿田先生、どう思われますか。 ○駿田参考人 もともとの構築とすれば、DOTSカンファレンスという形で3病院 と保健所が連携を取り始めるところから、こういうパスもでき上がってきていますの で、入院の立場からすれば退院基準などの遂行ということと、患者さんの指導、地域 DOTSを最後まで遂行するということで、それがパスの中心になっているかなと思 います。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。地域医療連携に関しましては保健所さん、医 師会の先生方が主に関わってくることでございます。東海林委員と飯沼委員からそれ ぞれ御意見をいただきたいと思います。 ○東海林委員 大変先駆的ないいものを見せてもらったと思っています。現状では医 療機関との連携がかなり進んでいますから、問題があれば退院前にお話を伺いに行っ たり、地域にどうやって帰ってもらおうかということはやっているわけですけれども、 これまでだと地域連携パスというと、何か非常に難しそうなことをイメージしたんで すが、今回の和歌山県の例を見ると大変参考になって、ここの例ではこういうことを やっていると思うんですが、改めてこれを参考にできるかなと思っています。  やはり患者さんは退院したらどうなるんだろうとか、今後どうなるのか大変心配し ているので、きちんと先を見せた方が安心して医療に結び付けられるし、地域でもD OTSなどいろいろフォローがうまくいってきて、患者さんとの信頼関係も強まるの ではないかと考えています。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。地域医療を担っておられる医師会の先生方を 代表しまして、飯沼委員から御意見をお願いします。結核に関する地域医療連携でご ざいます。 ○飯沼委員 結核に限らず、こういう地域連携は非常に大事で、何も申し上げること はありませんけれども、これが当たり前だという雰囲気を皆さんでつくっていかなけ ればならないと思うし、結核に罹患した人はそれなりに一生の計画も狂っているわけ ですから、そこら辺も十分に地域でサポートする体制を一緒に考えていって、そうい う方向にも行くのが大切かと思います。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。ほかの委員の方々はいかがでしょうか。地 域医療連携に関しまして、ほかの御意見をちょうだいしたいと思いますが、よろしゅ うございますか。  端折っておりますけれども、2つの事例を基にしまして御意見が出ました。これに つきまして何かそれを進めるために、こういうことを調査すべきである、研究すべき であるという御意見がありましたら、この機会にどうぞお願いしたいと思います。地 域医療連携を進めるために何かございませんか。加藤委員から何か御提案ありますで しょうか。 ○加藤委員 この地域連携のみではないんですけれども、やはり地域によって非常に 状況が違うと思いますので、各都道府県単位あるいは医療圏単位でどういった実態に なっているか、あるいはそれぞれの地域でも問題がきっとあると思いますので、そこ ら辺はやはり障害が何かを明らかにする必要があるのではないか。 ○坂谷部会長 そうですね。どういうことがネックになって、地域医療連携が進まな いかということを調べることが必要かもしれません。それから、南委員は所用でお出 になりましたけれども、マスコミにも頑張っていただいて、正確な知識と情報を国民 に知らしめていただきたい。妙な偏見を抱かないようにということは、マスコミの力 に頼ることが多いと考えております。  どうぞ事務局の方で今日の議論をまとめていただきまして、次回の御報告を願えれ ば幸いだと思います。  最後に今までの議論を踏まえまして、将来の日本の医療体制モデルの提言を考えた いと思う次第でございます。加藤委員から、そのモデルの一端をお示しいただくこと にしてございます。加藤先生、よろしくお願いします。 ○加藤委員 資料2−7をごらんください。最初に海外の状況を若干書いていますけ れども、ポイントは2点と考えています。  1つは医療のレベルあるいは医療の専門性をどう保つかということで、各国いろい ろ工夫しているということです。  イギリスは一般家庭医の紹介で国立病院の専門的な二次医療として、結核医療が実 施されている。  オランダでは入院医療機関が2か所に集約されています。  ドイツを見ますと結核は呼吸器科医が診る、あるいは退院後も呼吸器科の専門医が 診ることになっています。  ニューヨークへ行きますと、自分の医療保険を持っている人は一般医療機関と書い ていますけれども、実は大学病院のような専門機関です。医療保険を持っていない人 は市のchest clinicとありますが、実際は結核を診る専門のクリニックに近いところ で診られています。  ニュージャージーですと21のcountyの中に6か所Regional chest clinic、結核の専 門の施設があって、ここを中心に地域連携がある程度行われると見ていいかと思いま す。  ノルウェーは患者数も少なくなって、多剤耐性が全国5か所ということで、非常に 高度に集約された形で医療を提供されているということです。  2つ目のポイントは医療体制あるいは施設がどうなっているかということで、イギ リスは、これは大学病院なんですけれども、感染症病棟の中に陰圧病棟ということで、 結核のみならず、空気感染をする疾患を管理する病室ということで設定されています。  ニューヨークですけれども、Bellevue病院という結核専門病院ですが、アメニティ がそれなりにきちっと用意をされている。  オランダ、ドイツでも長期入院施設は、アメニティがそれなりにちゃんと充実して いるということであります。  ニュージャージーでは大学病院に行きますと、先ほど川城委員のお話のとおり、す べての病棟に5室ほど陰圧病室がある。一般病院はどうかというと、病院の承認条件 に各病棟に陰圧室を持っていることが条件になっているということで、結核にこだわ らず空気感染をする疾患を管理する病室ということで、発想を転換する時期ではない かと見てまいりました。  その上で今後の体制ということでるる書いていますけれども、今、議論されたこと ですので、6ページにモデルがございます。中心になるのは都道府県レベルの拠点病 院ということで、現在の国立病院機構等が役割を担うのではないかと思いますけれど も、多剤耐性、副作用など管理が大変な結核患者、勿論そこには標準治療を行う患者 さんも入ってくるであろうということです。これも地域によっては1か所あるいは2 か所ということで、それぞれのアレンジが必要だということだと思います。  その下の地域あるいは二次医療圏という単位でいきますと、地域基幹病院がアクセ スの便から考えて標準医療をある程度担うことがあるかもしれませんし、合併症対応 はそういうところでやっていただく。二種感染症指定医療機関の中でも管理をできる ようにする。精神病院については勿論モデル病床事業の形で管理していただくという ことです。それに当たっては開業医、一般病院に菌陰性化後の受入先がないと、なか なか入院期間が長くなってしまうというのもありますので、どうしても入院期間が長 くなる患者さんに対しては療養病床という考え方もあるのかなということでありま す。  こういった県単位で今、駿田参考人からお話がありました地域連携ネットワーク体 制をとる。その上には国レベルで、非常に少ないんですけれども、高度の医療を提供 する専門施設、特に多剤耐性の手術を行うというのは、恐らく日本全国でも年間10 とか20という数があるかないかということですから、高度の集約施設が必要だと思 います。  今後患者が少なくなるに当たって、診療経験のないところに対する技術支援という のが非常に大事で、医師に対する研修も大事なんですけれども、必要になったときに いつでも支援が得られるという体制がなければ、実際は診療経験がないところは受け 入れられないことになると思いますし、それなりの経験があるところでも、多剤耐性 といった高度のレベルが必要になるものについては、国レベルあるいは地域の拠点病 院からの支援が得られるといった体制が必要ではないかと思います。  次のところに結核医療の類型ということで、高度専門医療機関、都道府県レベルの 専門医療機関ということで、ここに小児結核を入れていますけれども、実際はこの小 児結核患者数は非常に少ないですが、発生してから入院できないといった事例が既に 起きています。都道府県レベルでもし万が一起きたというところに対しては、用意し なければいけないだろうと思います。  先ほどから出ている合併症医療、標準的医療、長期医療、前々回の議論でありまし た拘束下医療についても、今後の課題としてここに挙げさせていただいているところ であります。  簡単ですが、以上でございます。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。それから、もう一つ外国人結核が残ると思い ますが、それにつきましても小児結核で例を挙げていただきましたけれども、問題点 として残っていると思います。  加藤先生にしっかり考えていただいて、このページにありますような(案)を御提 示いただきました。広く日本の結核医療体制を新しく組み直していく必要があること に関しまして、加藤先生のお話をたたき台にしまして御議論を願いたいと思います。 全体的なことですね。  勿論この中には人権問題も入るわけですけれども、各委員から御意見を賜りたいと 思います。今日おいでいただいておりますけれども、御発言がございませんでした青 木委員、深山委員、いかがでしょうか。何か御意見がございましたらお願いします。 ○深山委員 結核の専門病院でなくても、例えば第二種感染症指定医療機関なんかに は感染症医とか呼吸器科医がいて、陰圧室も持っていて十分に診断診療が可能だと思 うんですけれども、お部屋がすごく狭くて、あそこに長期間入院させられるとなると、 ちょっと気の毒かなといった構造上の問題点を感じました。そのほかはとてもいろい ろお勉強になってよかったと、自分自身は思っています。ありがとうございました。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。青木委員からよろしくお願いします。 ○青木委員 地域連携などにつきまして、法的にどういう障害があるのか、あるいは 余り明確でないけれども、慣行で行われていることがあるのか、今後のことを考えて 何を明確化していかなければならないのかということを、今日の資料を基に考えてみ たいと思います。ありがとうございました。 ○坂谷部会長 ありがとうございます。今、深山委員からお話がありましたが、日本 では結核というのは呼吸器疾患の1つとしてとらえられてきた歴史がありまして、諸 外国のように全体の感染症がもろもろある、その中の1つととらえられてきていない 歴史があります。ですから、感染症病床を管理するのは結核以外の感染症を診る人た ちが、主になって働いている部署である嫌いがございます。  端的に言いますと結核研究所複十字病院がありまして、それとは別に結核以外のこ とを専門にやる感染症研究所というのが2つあるというのが、日本の現状を象徴的に 表していると思っている次第なんですが、感染症であって、そのうちの大事な感染症 の1つとして結核があると見ていくべきであろうと私も考えております。  医療提供体制全体につきまして、そのほかの委員の方々から是非ともこの機会にと いうことでありましたら、御意見をちょうだいいたしたい。川城先生、いかがでしょ うか。 ○川城委員 付け加えることはないんですけれども、今日最後に配っていただいたA 4横紙の低蔓延期における医療の提供体制についてと、今、加藤先生の資料の6ペー ジはかなり同じ内容であって、これからの日本の結核医療の提供の仕方をまとめてあ って、すばらしくいいと思います。この方向に向かって是非努力していただきたいと 思うんですが、結局合併症があったときの問題が一番大きいんです。  これは結核だけではなくて、よく話題になるのは統合失調症の人がお産をするとき はどうするんだとか、そういうようなことから日本では始まっているので、その一部 に統合失調症の人の肺結核の排菌患者で、感染性がある場合はどうするんだという問 題があると私は理解します。  すべてのお医者さんが基本的なところは何でもできると、医者全体が反省期に入っ ていると思うんです。つまり、1階が総合的な普通のことができる医者であって、2 階が専門性であるということになると、1階がなくて2階だけで旗を振っている状況 があるので、是非1階のところをやらないと、こういう問題は全部解決しないのでは ないかとつくづく日ごろ毎日思っております。 ○坂谷部会長 高橋委員から、人権に関して何か是非とも考慮しないといけない点と いうことで話がありましたら、お願いします。 ○高橋委員 先ほど感染症の中でというお話もあったんですが、やはり慢性の病気で すので、先ほども深山先生からありましたけれども、やはり長期医療に伴うある種の アメニティの話とか、更にはある種の行動のコントロールの可能性とか、その辺は少 し今後も考えていかなければいけないのではないかと思いました。 ○坂谷部会長 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。  ありがとうございました。端折って急いだ部分もございますけれども、必要な議論 は出たように思います。事務局の方で今日の議論を整理の上、次回の部会で御報告を いただきたいと思います。  これですべての議題を終えることができました。事務局から伝達事項、次回の日程 などにつきまして報告をお願いいたします。 ○江浪補佐 本日御議論いただきました活動性分類などに関する議論につきまして は、今後事務局におきまして、感染症法の施行規則に定められております結核回復者 の範囲を見直すとともに、先ほど個人情報の話もございましたけれども、通知の中で そういったものも対応していくということで、検討させていただきたいと考えており ます。  今後の部会の日時と議題などにつきましては、追って事務局の方から御連絡をさせ ていただきます。  以上でございます。 ○坂谷部会長 ありがとうございました。定刻を3、4分ほど延長しておりますけれ ども、何とかおさまることができました。時間がまいりましたので、これで本日の部 会を閉会にいたしたいと思います。本日は皆様方お忙しい中、誠にありがとうござい ました。御協力に感謝いたします。 (照会先) 厚生労働省健康局結核感染症課 TEL:03−5253−1111 (内線2381)