09/10/09 化学物質のリスク評価検討会の「第2回ばく露評価小検討会」議事録 化学物質のリスク評価検討会の「第2回ばく露評価小検討会」 日時 平成21年10月9日(金) 14:00〜 場所 経済産業省別館10階1038号会議室          (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部               化学物質対策課化学物質評価室 井上 〒100−8916 東京都千代田区霞が関1−2−2                TEL 03-5253-1111(内線5518)                 FAX 03-3502-1598 ○井上労働衛生専門官 ただいまから第2回ばく露評価小検討会を開催させていただきま す。本日は、大変お忙しい中をご参集いただきまして誠にありがとうございます。前回の第 1回検討会以降事務局に異動がありましたのでご紹介いたします。化学物質対策課長が榎本 から半田に、環境改善室長が半田から亀澤に替わりました。委員の方々は全員出席となって おります。以降の議事進行は名古屋座長にお願いいたします。 ○名古屋座長 資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○井上労働衛生専門官 資料1「平成21年度リスク評価の進捗状況」、参考1「平成21年 度ばく露実態調査の対象事業場選定方針及び調査方針」、参考2「労働者の有害物によるば く露評価ガイドライン(案)」、資料2「ばく露実態調査対象物質の測定分析法(案)」、資料 3-1「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」、資料3-2「リスク評価対象物質リスト」、 参考3「リスク評価対象物質・案件の選定手順」、資料4「今後の予定」です。 ○名古屋座長 議題に入ります。「平成21年度のばく露実態調査対象物質の測定分析法」 について検討を行います。測定分析の検討に先立ちまして、資料1に書かれていますように、 「リスク評価の進捗状況」ということで事務局から報告をいただきます。 ○井上労働衛生専門官 資料1「平成21年度リスク評価の進捗状況」についてご説明いた します。1頁は、平成21年1〜3月にばく露作業報告の対象物質といたしました20物質に ついての進捗状況です。こちらについては18物質について報告があり、報告がなかったの は2物質です。この18物質のうち、平成21年度は、初期リスク評価に着手する物質とし て7物質、アクリル酸エチル、アセトアルデヒド、インジウム及びその化合物、エチルベン ゼン、カテコール、コバルト及びその化合物(塩化及び硫酸コバルトを除く)、酢酸ビニル の7物質です。こちらについては、今年度に有害性評価を行うとともに、ばく露調査を行う 予定にしております。  ばく露調査の内容ですが、報告があった物質のうちの、調査の内訳、その割合を整理して おります。こちらについては、年度内に初期リスク評価を行い、次年度以降は詳細リスク評 価に移行する、もしくは終了という位置づけにさせていただいております。  真ん中の報告があった18物質のうち、残り11物質については有害性評価のみ実施とい うことで、アンチモン及びその化合物、キシリジン、酸化チタン、1,3-ジクロロプロペン、 ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト、ナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、 パラ-ジクロロベンゼン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、ヘキサクロロエタン。括弧内につい ては、ばく露作業報告で上がってきた件数です。このうち、報告件数が1件しかなかった 20番のヘキサクロロエタンを除き、次年度以降のばく露調査予定、そして初期リスク評価 予定と位置づけております。  下の報告のなかった2物質については、本年度は有害性情報の収集を行うということで、 テトラニトロメタンと4-ビニルシクロヘキセンジオキシドです。こちらについては、有害 性評価11物質のうち、20番のヘキサクロロエタンは報告件数が1件しかなかったというこ とですので、新たな報告スキームの中で再度、もしくは新たに報告を求めることを次年度以 降に予定しております。1頁については以上です。  2頁の(その2)です。先ほどの平成21年の報告対象物質に代わり、こちらはその1年 前の平成20年1〜3月にばく露作業報告の対象物質であった44物質の調査状況です。この うち報告があった物が24件、なかった物が20件です。報告のありました24物質のうち、 平成20年度中に初期評価が済んだ物が20物質、有害性評価まで実施した物が4物質です。  初期評価済み20物質の中で、平成21年度に詳細なリスク評価に移行する物質として7 物質を掲げております。2-クロロ-1,3-ブタジエン、酸化プロピレン、1,4-ジクロロ-2-ブテ ン、2,4-ジニトロトルエン、ジメチルヒドラジン、1,3-プロパンスルトン。下線を引いてお りますが、コバルト化合物(塩化及び硫酸コバルト)です。これらについては、今年度中に 追加調査を行うということで、追加調査の四角の中は、平成20年度に初期評価を行った物 の件数と、今回追加で調査する件数との数を整理しております。  この中には特殊な用途として、酸化プロピレンの場合は試薬、研究用途、合成補助剤など の報告が上がっています。塩化及び硫酸コバルトに限るコバルト化合物については、試薬、 医薬品原料、触媒、乾燥確認紙、酸化防止剤といった特殊な用途が確認されています。この 7物質については、下線を引きましたコバルト化合物も含め、詳細リスク評価に今年度中に 移行することにしております。このコバルト化合物については、先ほどご覧いただきました 1頁の(その1)に出てくる、平成21年度に初期リスク評価に着手するコバルト及びその 化合物で、塩化及び硫酸コバルトを除く物と、最終的にはこの詳細リスク評価で評価をまと めて行う必要も出てくるという判断から、最終的な詳細評価については次年度以降という位 置づけにさせていただきました。  (その2)の、平成20年度に初期評価を行った20物質のうち、詳細に進まない13物質 については、今年度に評価が終了という位置づけになります。  報告がありました24物質のうち、有害性評価のみ行いました4物質については、平成21 年度は初期リスク評価に着手いたします。オルトニトロアニソール、4-クロロ-2-メチルア ニリン及びその塩酸塩、1,2-ジブロモエタン、フェニルヒドラジンの4物質については、今 年度中にばく露調査を行うということで、事業場数がいまの段階では1〜2という状況です。 こちらについては、初期リスク評価を年度内に行い、次年度以降は詳細リスク評価に移行又 は終了ということで考えております。  いちばん下のところですが、報告がなかった20物質についてはご覧のとおりで、今年度 は有害性とばく露情報の収集を行うということです。下線を引いた物質については、産業界 からばく露情報の提供をいただき、年度内の情報収集を引き続き図っていくということで考 えております。引き続き情報収集も行い、年度内に終了する物、また次年度以降に初期リス ク評価に移行する予定の物ということで整理させていただきました。資料1については以上 です。  参考1「平成21年度ばく露実態調査の対象事業場選定方針及び調査方針」については、 前回の第1回検討会でお出しした資料ですので、中身についての説明は省略させていただき ます。  参考2「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン(案)」については、今月13日ま でパブリックコメントを実施しておりまして、参考としてお付けしたものです。資料1、参 考1、参考2の説明は以上です。 ○名古屋座長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。 (その2)の特殊用途のところで、20物質のうちの追加のところで7物質あります。特殊 用途のところで、3のところは試薬で、7は試薬とか書いてありますが、1は何かわかるの ですか。1、1と書いてありますが、これも特殊用途なのでしょう。たぶん、特殊用途だか らいいのかと思うのですけれども。あまり偏った用途で使われてなかったら、外す可能性が ありますが、何か特別な使われ方をするのかと思ったのです。 ○島田化学物質評価室長 これは、昨年度の詳細リスク評価の方針の中で、事業場に特別な 扱いをしてほしいというものに対して、特殊用途を提出してくださいということでしたので、 必ずしも特殊用途になるかどうかはまだ判別されておりません。いずれにしても、中身をこ の場でご紹介し、ご配慮いただけるようにするという方式の中で出てきたものです。 ○名古屋座長 考え方とすると、ホルムアルデヒドのように、いっぱい使っている所とそう でない所と、特殊な所がこういう所であるということで考えればいいのですね。 ○島田化学物質評価室長 特にホルムアルデヒドのときに、規制の段階になりまして特殊な 配慮が必要であると言われたものですから、いまの段階からそれを把握しましょうというこ とです。 ○井上労働衛生専門官 補足させていただきます。いま座長からご質問のありました2物質 については、業界団体のほうから情報収集があったもので、ラベルの貼り換えということで、 事業場においては特殊な用途と考えているということでご報告をいただいております。2物 質とも、試薬でラベルの貼り換えということです。 ○名古屋座長 2頁のところで、ばく露調査、初期評価をやる事業場が1とか2しかないの ですけれども、これは増える可能性はあるのですか。 ○島田化学物質評価室長 報告の段階ではその件数しか出てきていないということです。た ぶん500kg以上の使用量がある所は限定的であるということだと思います。これについて は去年ガイドラインをおまとめいただきましたので、仮に500kg以上の場合には報告があ りませんので、その場合には業界のほうに相談をさせていただき、追加事業場を出していた だくような調整をさせていただくことにいたします。 ○名古屋座長 母集団がある程度ガイドラインで決まっていて、あまり少ないとそれによっ て決められてしまうと、決まってしまったときに、後に波及したときに困ってしまう可能性 があるので、できるだけという形ではないかと思います。 ○島田化学物質評価室長 補足させていただきますと、いまの資料の1頁のところで、特に (5)のエチルベンゼンについては、報告が9,724件というように1万件に近くなっていますが、 これはガソリンスタンドで使われているということです。ガソリンスタンドが全部これの対 象になるということで、報告のほうは業界のご協力のもとに大量に上がってまいりました。 ただ、調査自身は、どちらかといえばステレオタイプというか、同じような作業をされてい るということですので、ガイドラインにまとめた調査件数、報告に対する調査の割合という ものからすると非常に低くなっていて、そこにありますように0%となっております。一応 代表的なものを5件拾えるという状況ですし、またガソリンスタンドということで、作業に もそんなに特殊性がないということですので、この5件の調査をもって、代表的な例にした いと思っております。 ○名古屋座長 わかりました。 ○島田化学物質評価室長 もう1点は、(その2)の資料の詳細リスク評価、これはばく露 が高かった事例ということですが、(5)の2,4-ジニトロトルエンについては、実は追加的な調 査事業場については、特に業界のほうから情報が示されなかったということですので、ガイ ドラインとの関係では件数がちょっと少なくなっております。そういうことで、引き続き努 力させていただいて、追加事業場を選定させていただくか、あるいは報告のあった事業場が 8ありますので、この中から協力をいただけるような所に、追加的な調査をかけさせていた だくようにいたします。 ○名古屋座長 よろしくお願いいたします。追跡がゼロだと、そのまま初期評価は同じにな ってしまいます。このような形で今年は進めますよということですが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○名古屋座長 ありがとうございました。次は、「平成21年度ばく露実態調査対象物質の 測定分析方法について」ということで、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○井上労働衛生専門官 資料2「ばく露実態調査対象物質の測定分析法(案)」についてご 説明いたします。前回の会議では、ここに掲げた物質を含みまして、平成21年度に有害性 評価及びばく露評価を予定している物質として、前回7物質をすべて挙げております。また、 平成20年度の分ですが、有害性評価のみを実施し、平成21年度にばく露評価を予定して いる物質として4物質ともに物質名を挙げさせていただきました。前回の検討会の中で、一 部検討と言われたもの、又は前回の資料の中では挙げていなかった物質を再度整理し、新た に測定を開始する物質のうち、承認されていない物に限った資料にしております。  まず、平成21年度に有害性評価、ばく露評価を予定している物質で、測定分析法の承認 を受けていない物質として、残り4物質あります。1つ目はアセトアルデヒドです。こちら は、後ほどの資料でご説明いたします。シックハウスに係る検討会を、厚生労働省の医薬食 品局のほうで行っていて、そこで示されたガイドラインでの測定方法を準用するということ でお示しさせていただいております。  2つ目のアンチモンについては、前回の資料に掲げておりませんでした。これは、事前調 査のみを実施するということでばく露評価の中に入れて、ここに掲載させていただきました。 アンチモンについては、今後検討が必要な部分があるため、今回資料の添付はできていませ ん。  3つ目のインジウムについては、前回リン化インジウムに係る測定分析法をお示しいたし まして、前回の検討会の中で、化合物によって溶媒等が変わってくることについての検討の ところを指摘されたこともあり、まだ承認をしかるべくされていないという位置づけで、再 掲させていただきました。  4つ目のカテコールは、前回資料はお出しいたしましたが、まだ検討が必要であるという ことから、今回資料は載せておりません。  次は、平成20年度に有害性評価のみを実施し、平成21年度にばく露評価を予定してい る物質で、承認を受けていない物質ということで、前回4物質掲げております。そのうちフ ェニルヒドラジンについては、今後検討が必要であるという判断から、今回、物質としては 掲げておりますけれども、資料のほうは付けていない状況です。  1頁は、アセトアルデヒドの標準測定分析法です。こちらについては、平成14年2月8 日「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書」の中で示された、アセ トアルデヒド測定法、ホルムアルデヒドの標準的測定法を用いて測定するということについ て、準用させていただくことを考えております。  2〜32頁については、その検討会の中で中間報告書としてまとめられた、室内空気中化学 物質の測定マニュアルです。関係する部分を簡単にご紹介いたします。  こちらの測定マニュアルは4頁の「1.目的及び適用範囲について」が示されております。 これは、旧厚生省が作成いたしました、化学物質の室内空気濃度指針値が満たされているか どうかを厳密に判定するための標準的な方法を定めたものであって、対象となる揮発性有機 化合物は、ホルムアルデヒドなどである。新築住宅、居住住宅では異なる空気の採取法を使 用する。新築住宅法では室内空気中の揮発性有機化合物の最大濃度を推定するためのもので ある。居住住宅法は居住、また平常時における揮発性有機化合物の存在量、ばく露量を推定 するためのものである。ということで、目的、適用範囲が示されております。  4頁の「2.測定時刻及び場所について」ということで、5頁にかけて、新築住宅の測定に おいては、30分換気後に対象室内を5時間以上密閉し、その後概ね30分間空気を採取する。 採取の時刻は午後2〜3時ごろに設定することが望ましい。また、換気については窓、扉、 建具、備付品の扉等のすべてを開いて行い、密閉中は外気に面した開口部は閉鎖する。すべ ての操作中常時換気システムを有している場合は稼働させてよい。このシステムに必要な開 口部は閉鎖の必要がない。居住住宅の測定においては、日常生活を営みながら空気を24時 間採取する。  真ん中のところに、試料採取は室内で居間、寝室、及び外気1カ所の計3カ所で行う。室 内にあっては部屋の中央付近の少なくとも壁から1m以上離した高さ1.2〜1.5mの位置を 設定する。室外では外壁と空調給排気口から2〜5m離した、室内の測定高さと同等の高さ の所を設定する。  5頁の「3.試料の採取について」のところから6頁にかけて、試料の採取は、標準的測定 法の試料採取の頁(ホルムアルデヒドなど)に従って、室内2カ所、外気1カ所について2 回ずつ採取する。同時にトラベルブランクも同様に持ち運ぶ。  <解説>の中に、ホルムアルデヒドとVOCについて触れております。ここでは、関係す る1)のホルムアルデヒドの部分についてご説明いたします。解説に沿って読みますと、「採 取装置は測定対象物質と分析の際に採用する方法によって異なる。各箇所の採取は平衡して 行っても、連続して行ってもよい」ということが示されています。ホルムアルデヒドの試料 採取装置の一例として、空気からオゾンスクラバー、捕集管、流量計、ポンプ、ガスメータ ーという装置の一例が示されております。基本的には、捕集管、流量計、ポンプ、ガスメー ターの順に接続する。各機器の間の接続はテフロンチューブ等を用いる。捕集管でホルムア ルデヒドを実際にトラップし、流量計で流速をコントロール、ガスメーターで流量を計測す ることになる。オゾンの共存についてはホルムアルデヒドの捕集剤への吸着に悪影響を及ぼ すので、装着してもよいが、通常は必要でない。オゾンをトラップするとスクラバーの温度 が下がるので、湿度によっては水分の凝集をまねく。このため、スクラバー部分は室温より やや高い温度に保温する必要がある。  本文中では居住住宅の場合ですが、試料採取装置の捕集管は重連になっているということ で、日常生活の試料採取装置の一例を示しております。こちらについては、24時間という 長時間採取を行うため、破過を考慮しているということです。  7頁の「4.ブランク試験について」です。トラベルブランク試験としては、試料の採取に 際し密栓した捕集管を、試料採取操作を除いて試料採取管と同様に持ち運び取り扱うと書か れています。操作ブランク試験としては、未使用の捕集管について一連の分析操作を行って 値を求めることが示されております。  8頁以降については記録事項で、測定記録シートなり採取状況情報などのシートが示され ています。  17頁の「6.分析」に、分析操作は標準的測定法の記載に従ってそれぞれ行う、というこ とが示されております。こちらについては、ホルムアルデヒドに係る記載が出ておりますの で、簡単にご説明させていただきます。  実験室における分析操作については、「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法」に詳 しいのでこれに従って行うということで、何点かについての解説の1つとして、18頁にか けて測定原理に触れております。こちらについては、空気中ホルムアルデヒドは、DNPH (2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン)捕集剤に吸着すると共に誘導体化させる。これをアセ トニトリルで溶出させ、高速液体クロマトグラフで測定するということが示されております。  試験溶液の調製。新築住宅については、試料採取の終わった捕集管に注射筒を装着し、注 射筒にアセトニトリル5mlを入れ、毎分1ml程度の流速でアセトニトリルを滴下しヒドラ ゾンを溶出する溶出液を5mlの全量フラスコ又は目盛り付き試験管に受ける。アセトニト リルで標線に合わせる。これを分析用試料溶液とする。こういったことが示されております。  (3)外気については、試料採取の終わった捕集管に注射筒を装着し、この注射筒にアセト ニトリル5mlを入れる、というようなことが同様に調製として示されています。  ここの枠外のところですが、それぞれ調製法は異なっているわけですけれども、これは最 終溶液濃度を考慮して設定されているということ。居住住宅の2管目については、基本的に 破過確認試験であって、ここで検出された場合は濃度計算で別途考慮しなければならないと いうことが示されております。  濃度測定と検出下限値、定量下限値の関係ですが、ホルムアルデヒドの濃度は、下記の濃 度算出式により求めるということで、濃度算出式が示されています。また検出下限値、定量 下限値については、同一ロットの未使用捕集管について分析操作を行い、ホルムアルデヒド のブランクを求めるということ。濃度算出式について以下示されています。  19頁の真ん中は、保湿度補正です。室温が20℃に満たない場合には、以下に示された式 により補正を行うことを推奨すると示されています。  以上少し細かくなってしまいましたが、シックハウスの検討会の中で示された、ホルムア ルデヒドの標準的測定方法を使った部分についてご紹介させていただきました。  資料の1頁に戻りまして、アセトアルデヒドの標準測定分析法については、ホルムアルデ ヒドの標準的測定法を用いて測定するということで、細かくなってしまいましたが先ほどご 説明させていただきました。これに、以下の追補事項を加えるということで、標準物質とし て、アセトアルデヒド2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンを用いる、標準原液、標準溶液、検 量線作成用の標準系列はアセトアルデヒドも同様に混合してよい、紫外線の吸収検出器の検 出波長は360nmを使用する、必要に応じて標準物質とリテンションタイム、吸収スペクト ルの確認によって定性、定量を行うということです。アセトアルデヒドの標準的測定分析法 (案)については以上を考えております。  33頁と34頁については前回もお示しいたしましたインジウムに係る標準測定分析法と いうことで、その前の年に調査をいたしましたリン化インジウムの標準測定分析法を、ばく 露実態調査で採用予定のものということで、作業環境測定と個人ばく露測定のものを、前回 同様に掲載させていただきました。駆け足でしたが、資料のご説明は以上です。 ○名古屋座長 ただいまの説明についてご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。 室内の測定方法を、そのまま作業現場に持ってきて、この方法でやりなさいという形で測定 するということですか。 ○島田化学物質評価室長 座長がおっしゃるとおり、これはあくまでも注射器等を用いて、 定点で採取をするという方法です。実際に我々がお使いいただいているのは、個人ばく露測 定ということですので、それ専用のサンプラーを使うということです。実際には、平成18 年度にホルムアルデヒドを評価対象物質にして、そのときには個人ばく露測定を行っており ますので、そのときの状況を中災防のほうからご説明をいただいて、これをどのようにアレ ンジしているのかということを合わせて補足させていただきます。 ○名古屋座長 室内の濃度はものすごく低いから、Tenaxなどの低濃度対応の固体捕集を 使うとオーバーフローしてしまって、結局破過が起こってしまう部分がある。作業環境は、 室内に比べてもう少し濃度が高いからちょっと違うかなと。分析はそうなのだけれども、サ ンプリングとか時間とかいろいろ考えると、ちょっとオーバーフローしそうな気がしたので す。棗田さんに聞けばいいのかな。 ○棗田課長補佐(中災防) ホルムアルデヒドの実態調査は、既に平成18年に終了してお ります。その際にもDNPHでやっているのですけれども、特にオーバーフローしているよ うなデータはなかったです。ですから、サンプリング方法としてはそんなに問題はないのか という感じがいたします。アセトニトリルに関しては、我々のほうも準用できるというふう に基本的にここで書いてあるので、同じDNPH法でやるということを決めてはいるのです けれども、もしこういうところで多少直線性というよりは、そういうところで確認が必要で あれば、ここのところは逆に我々のほうで再度確認したものをやるという形でも結構かと思 います。 ○名古屋座長 報告が提出されたときに、分析法も付いてくるから、そこで確認すればいい ということですね。 ○棗田課長補佐 はい、そういう形で私どものほうの分析のほうに指示を出しますので、こ この部分のところを補足したデータを出せると思います。 ○花井委員 もう議論が終わっている話なのかもしれないのですが、1つ確認させていただ きます。アンチモンとかインジウムという物質名で挙がっていて、例としてはリン化インジ ウムが具体的に挙がっています。アンチモンとかインジウムすべてを対象にして評価して、 それで合計を見るというような議論でいままで来ているわけですか。 ○島田化学物質評価室長 いままでは、分けられれば化学種ごとに分けて分析をさせていた だいている部分もあります。分けられない場合はニッケルなどで例がありますが、総量とし てどのぐらいばく露しているか。例えば、水酸化ニッケルがどのぐらいあるとか、硫酸ニッ ケルがどのぐらいあるか。鉱山などで、あるいは精練の所では必ずしも分けられない部分が あるということでしたので、そういう場合には化学種を込みで、全量としてニッケル量を測 っているような場合もあります。アンチモン、インジウムについては、さらに検討をさせて いただいている状況ですので、花井先生のご指摘を踏まえて、その辺りはしっかり見せてい ただいて、その上でご報告させていただこうと思います。 ○花井委員 いわゆるスペーシエーションというか、そういう化学種をはっきりさせて評価 するというか、できるところはそのようにやる必要があると思うのです。それは、有害性も いろいろな物がある中で、特に危ない物とか、あるいは大量に使っているものとか、そのよ うにやっていかないと、全体でやっていると結局何だかわからなくなってしまうのではない かという気がするのです。 ○島田化学物質評価室長 前回は特にニッケルを評価していただき、その上で規制をかけさ せていただいたところでは、いまのような問題が確かにいちばん大きな問題となっておりま す。その辺りは、できるだけそういう化学種ごとに求められるように、それから規制につい ても当然差を付けて、化学種ごとの毒性に応じた対応がとれるようにということで心がけて いきたいと思います。 ○花井委員 そういう意味では、リン化インジウムというのが、1つの具体的なターゲット になり得るということですか。 ○島田化学物質評価室長 リン化インジウムの場合には、いちばん毒性が強いということで、 IARCのほうから、がんのレベルが高いと言われたものですから、優先的に評価させていた だきました。我が国において、液晶なりその辺りの工程で出てくる物は必ずしもリン化イン ジウムではなくて、その他の物が多いということもありますので、追加でその他の物質につ いても評価をさせていただいているところです。できるだけ化学種を分けてということを進 めたいと思います。 ○名古屋座長 でも、ここで分析するときにはインジウムと書いてあるのだけれども、この 分析はリン化インジウムだから、結局ターゲットはそこだと。一応インジウムでは、トータ ルとしてACGIHで出ているのだけれども、ここではリン化インジウムに固定して分析する と考えてよろしいのですか。 ○島田化学物質評価室長 リン化インジウムの測定手法は事前に固めていただきまして、そ れをほかのインジウム化学種に応用するときに、果たして同様の手法がとれるかどうかとい うご検討をいただきます。 ○棗田課長補佐 インジウム化合物については、化学種によって溶ける酸が違います。いま はある程度検討が終わっていまして、ほぼほとんどの物ができることはわかっているのです けれども、ただ花井委員がおっしゃっているような、分別定量をするにはサンプル量が少な いということがあります。これがNITEでやられているような、大量に24時間採気した場 合ならば、確かに分別の定量ができます。いまのところ、我々の8時間ぐらいのばく露でや るには、ちょっとサンプル量が少なすぎて、分別して定量するというのは難しい状況です。  逆に、実際の作業で使っている物が固定できれば、それというふうには言えるのですけれ ども、先ほどの島田室長のお話にもありましたように、鉱石等になってしまいますと、例え ば熱した場合には酸化になってしまって、それ以外にも別途種のインジウムが存在しますの で、そういうものはトータルインジウムとしてしかいまのところ評価ができない形になって います。 ○名古屋座長 例えば、酸によって分解したら、それはある程度識別できるのですか。 ○棗田課長補佐 そうです。ですから一般的というか、いくつかの論文上の検討をいまうち でもしているのですけれども、溶かす順番を変えることによって、溶ける物が変わるので、 そういう形でインジウムの場合は分別できると一応言われています。我々が論文で調べた範 囲と、基礎的な実験をやった限りでは量が少なすぎて、ミリグラムとは言わないですけれど も、少なくとも0.何ミリグラムとか、それぐらい取れていないと難しいということです。 ○名古屋座長 もしそれができるのだったら、ポンプが1つあっても、枝分かれして2つの サンプラーを付ければ2サンプル取れます。そこのところで取った物を酸で分ければ、2種 類についてはできるかなと。ポンプの流量さえ確保できれば、入ってくる流量は調整できる から、2ケースに分けても、そんなにイレギュラーなく取れます。そうしたら、そこのとこ ろは酸で分別すれば、段階的な酸ではなくて、そこで前処理で分けてしまえば、ある程度2 種類はできる。1つならいいのだけれども、もし2種類あったときに分別するとしたら、そ れも可能かなと思ったのです。 ○棗田課長補佐 種が固定できていて、はっきりわかっている物に関しては可能だと思うの です。先ほどのように何になってしまっているのかよく分からないようなところだとちょっ と難しいです。 ○名古屋座長 定性分析も難しいからね。定性分析をやればすぐに種はわかります。 ○島田化学物質評価室長 それと併せて、報告の段階で、事業場においてどういう物質を使 っているかということで、それぞれ事業場のほうから報告を上げていただいておりますので、 そういう分析法ではなくて、実際の事業場の申告及び工程を見れば、多少分別した形で、ど のぐらいの濃度が出ている、その物質が何かということも特定できると思います。 ○名古屋座長 わかりました。 ○花井委員 分けて分析できればいいのですけれども、できなくても、その現場で何が問題 か。ばく露の状況とかを考えると、問題になるのは何かというのがはっきりしていれば、問 題でないようなところを分ける必要はないと思うのです。それは有害性の情報がどのぐらい あるかということとも関係してきて、いくらばく露のほうで分けて細かく見ても、有害性を 全部まとめて測っていたら全然意味がないですから。その状況に応じて何が問題かというの をはっきりさせて、そこを分析するという立場なのだと思うのです。 ○名古屋座長 分析するときにもそういう注意が必要だけれども、サンプリングの際にもそ れなりの注意が必要だということです。 ○内山委員 個人ばく露量のときに、アセトアルデヒドは呼気の影響を随分受けると思うの です。個人ばく露のサンプラーの位置というのは、普通は呼吸の位置にしなさいというのだ ろうと思うのです。例えば、労働者が前の日にお酒を飲んできたらたぶん高くなってしまう と思うのです。その辺の工夫といいますか、誰に付けて、その方が前の日にお酒を飲んでい ないかとか、飲んでいるとかはチェックしておいていただくことが大事です。測定の場所は どうなのでしょうか。個人ばく露量はここで決まっているから、それは変えないほうがいい ですか。 ○名古屋座長 どうなのでしょうか。 ○内山委員 どのぐらい影響があるかわからないのですけれども、一般的にやる個人ばく露 量の場合、なるべく......する場所の近くにしなさいとか。息を吹きかけたら、それだけで随 分変わってしまいます。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃる部分は、シックハウスのときにも、ここに用意させて いただいた資料1の☆にも書いてありますが、アセトアルデヒドが人体からも発生すると。 特にアルコールの代謝によって出てくるものが結構あるということなので、その辺りは気を つけさせていただくなり、いま内山委員からもお話がありましたように、前の日に飲まない ような形でお話をしていただくとか。 ○内山委員 厚労省のときも、寝室で測るときに、前の日にご主人がお酒を飲んで帰ってき たら全然違ってしまうという議論をしていました。生活しながらのときにね。 ○名古屋座長 ちょっと工夫してください。 ○内山委員 異常値が出たときに説明ができるようにしておく。 ○棗田課長補佐 前の日に飲まないでくださいというのは、ちょっと難しいかもしれません が、飲酒の確認は簡単にできると思いますので、これはうちのほうから測定者に指示をして、 個人サンプラーの記録のところに記載させるようにします。 ○名古屋座長 ばく露濃度の測定と分析のところで、ほかにございますか。 (特に発言なし) ○名古屋座長 そうしましたら、中災防には、いまの先生方のご意見を参考にしていただい て、測定をよろしくお願いいたします。資料2はこれで終わらせていただきます。  次は、「リスク評価対象物質・案件の測定結果について」ということで、資料3-1の説明 を事務局からお願いいたします。 ○長山情報管理官 資料3-1と資料3-2、それから参考3の選定手順の3つについてご説明 いたします。資料3-1は報告事項です。9月15日に第2回企画検討会が開かれ、リスク評 価対象物質・案件の選定を行いました。そこにおいて策定されたものを報告させていただき ます。  資料3-1は、第2回企画検討会において、物質・案件を選ぶときの考え方として、どうい うやり方で絞っていくかを議論して策定されたものです。9月15日のバージョンとは若干 違いまして、本日の資料は9月15日の議論を踏まえて、その後文言を若干修正させていた だいた最終版ということでお示しさせていただいております。  資料3-1の1枚目、2枚目は文章で書いてありますけれども、選定の考え方です。3枚目 に別添ということで、選定基準の概念図があります。これが1枚目、2枚目の文章で書いて あるものを図で表したものになっております。4枚目、5枚目は参考ということで付けさせ ていただきました。9月15日の企画検討会の中でも、この辺りを議論していただきました。 選定の考え方に当たって、いままでのリスク評価の対象と、今回こういう考え方に変えるに 当たって、どういう違いを考慮しながら考えていきましょうというために、そういう考え方 の参考となるものとしてセットで用意させていただきました。  1枚目から説明させていただきます。選定の考え方です。1番は、選定に当たってどうい う範囲からそもそも考えていくか、母集団というか、どういう所から選定していくかを書い ております。  (1)ヒトに対する重篤な有害性を有する、又は有するおそれのある化学物質・案件として、 ということで選んでいただきます。アとして、国際機関の情報とか、そういう有害性に係る 各種情報の中において、以下の(1)〜(5)にある発がん性、生殖毒性、神経毒性といった重篤な 有害性がある、又はあることが示唆される化学物質・案件をまずは対象の範囲としてはどう かということで書いてあります。  イとして、労働に伴う疾病に関する情報ということで、労働災害の発生に係る情報とか、 各種大学、医療機関等、疾病に係る有識者の情報の中から可能性のあるものを範囲としてい きましょうということが書いてあります。  (2)でその他の情報として、次のア、イということで、安全衛生に係る行政機関からの情 報とか、安全衛生関係の団体からの情報といったものから、問題が生じている、又は生じる おそれが示唆されるものを考えていきましょうということです。  (3)として、有害性に係る懸念・不安が広がっているものということで、パブリックコメ ントとか、近年マスコミ等で取り上げられるようなものからも広く考えていきましょうとい うことで、概ねこういうものの範囲から考えていきましょうというのが1番になっておりま す。  2頁に2番として、ここからは絞り方になります。なお、以下の(1)(2)に該当する場合は 除外するということです。(1)としては、国内において把握している中で、製造とか取扱い がないとか、わずかであるということが既に把握されているようなものについては外しても 差し支えないのではないか。(2)として、既に法令等により適切な対策が講じられている場 合ということで、特化則とか、有機則といった形でかなりコントロールされているものにつ いては除外していいのではないかということが書かれています。  3番として、そういうものの物質数・案件数といっても、母数としてもある程度の数があ ると思いますので、その中で評価の円滑な推進のために、こういうものを絞り込む場合に当 たって、専門家の意見を踏まえ、有害性の確度の高いもの、国際機関が言っているのかどう かといった確度の高いものであるとか、有害性の程度とか、物理的な性状、ガスとかミスト とか、吸い込みやすいものなのかどうかというものを考える。使われ方として、対象物質を 取り扱う事業場の数や状況、取り扱う労働者の数といったものから、影響度の大きいものと いった観点から優先度を考えながら選定していくということが書かれています。  4番は「なお」ということで、対象としてはMSDSの交付物質という形でやっていく。 今回も提案の中で、MSDSで対象となっていないものをご提案いただいたものもあるので すけれども、そういうものについてはどうしても今後ばく露の作業報告を求めるときに、 MSDSがないと、なかなか事業場自体が取扱いの把握が難しいということなので、やはり 交付されたものを対象とする。今回提案のあったもののうち、MSDSが整備されていない ものについては、MSDSが作成された段階で、改めてまた検討を行うという形で検討会の 場でも議論されております。  但し書きとして、上記1の(3)、先ほどパブリックコメントとかマスコミ等といったとこ ろでの懸念物質ということですが、そういうものに該当する場合について、正確な情報を提 供する必要があるものについては、有害性の評価を先行して実施し、情報の提供を行うこと も必要なのではないかということで書いております。  1〜4のような考え方、図にすると3頁になりますが、1番の中である程度の提案数、有 識者等からいただいた中から9月15日の検討会の中で、2番、3番の観点等も含めて絞り、 最終的にいちばん下の「リスク評価対象」とピンクで書いてある所ですが、こういったもの を選定していったということを、9月15日に行ってまいりました。  その選定の結果について報告しますと、資料3-2を付けています。今回はこの考え方に沿 っていろいろと調整したところ、トータルとして22物質の選定を行った状況になっていま す。詳しい説明は省略しますが、そういった会議の場で、MSDS対象物質になっているか どうか、その物質について有害性の情報、生殖毒性や神経毒性がそういったGHS等でどう いった区分になっているのか、物性としてガスか液状か、使用量、こういった物質について はこういう所でかなり使われていて、そういった意味では使われ方としても評価したほうが よいのではないかなど、用途等も考慮しながら、22物質について選定を行ったところです。  次に参考資料3に移ります。今回、選定を行い、選定手順でまいりますと、真ん中辺りに ありますが、9月15日「第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会」において議論し、 リスク評価の対象物質を選定していきました。  今後のスケジュールとしては、対象物質の選定に基づき告示の準備を行っており、安衛法 規則第95条の6「有害物ばく露作業報告」、これの対象となる物について告示を年末までに 示すという形で考えています。  その後のスケージュールは、先ほど参考資料でありましたとおり、ばく露評価のガイドラ インの案をやっていますが、そちらのガイドラインを踏まえ、スケジュールとしては、平成 22年の年明けから、暦での1月から12月の期間において、500kg以上使った所の1年間の 記録を取っていただき、500kg以上超えたものについては、その翌年、平成23年1月から 3月まで、その期間において報告をしていただくという段取りで進めていきたいと考えてい ます。その報告を受けて、平成23年度4月から、その報告を踏まえてリスク評価を行って いくという形で進めたい、ということで考えていることを報告します。 ○名古屋座長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問等、何かありますか。  わかる範囲でいいのですが、ここの22物質は最終的にリスク評価の対象物質ですよね。 ○長山情報管理官 はい。 ○名古屋座長 委員会にはたぶんもっとたくさんの物質が上がってきていると思うのです が、どのぐらいの中から選ばれてしまうわけですか教えてください。数が多ければいいとい うものではないのですが。 ○長山情報管理官 9月15日の委員会としては、物質・案件としては44案件がありました。 その他の意見では2つの意見と。物質・案件としては44という形で上がっています。あと、 当日、その中で個別の物質としては10物質選定されました。あと1案件が選定され、その 1案件が国際機関等において既に生殖毒性、神経毒性に分類されて、その中で特に有害性の 高いとされている案件ということで、そういったものの中から、それもかなり数はあるので、 その中から優先的に評価する必要があるものという形で、専門家とも調整しながら選んだ物 質12物質という形で、合わせると22物質になっています。また、44案件のうち、物とし てはかなり必要性はあるけれどもまだMSDSが整備されていないので、整備された段階で 再度検討というものも何件かあるという状況になっています。 ○名古屋座長 わかりました。44から22というと、選ぶほうが大変ですね。 ○花井委員 ご説明の最初のころに、従来のものに少し変更を加えてこうなったという表現 があったように聞いたのですが、そういう理解でよろしいですか。従来のものというか。 ○長山情報管理官 資料3-1の4・5頁に記載されておりますが、平成18年度から21年度 までについては、リスク評価の対象物質の選定に当たり、主に発がん性、IARCの中で特に 有害性の高いもの、グループ1から始まって2Aとなって、平成21年までについては IARC2Bのグループまでやってきたという形で、発がん性を主に選定してきたこととなっ ています。  そういった形で4年間選定してまいりまして、MSDS物質のうちIARCで評価されてい るものについては、かなり終わってきている状況です。次に、その他の毒性についても考慮 する必要があるのではないかということで、生殖毒性、神経毒性、その他の毒性についても、 選定に当たって考えていきましょうということで、4頁でいうと右側に図があり丸がありま すが、「これまでのリスク評価対象」として、上のほうの発がん性の部分で、主に今までは 評価してきたというところですが、そこを毒性についても少し広げていくという形で考えて います。あと、左下にありますが、確からしさとしてはまだ低いですが、そういった不安と か懸念があるものについては、情報提供の対象として加えていきましょうとか、そういった ところで、従来よりは「発がん性」という1軸というよりは、いろいろなファクターが少し 広がった形で選定要件を変えてきたという経緯となっています。 ○花井委員 この図のイメージで理解すればいいということですね。 ○長山情報管理官 そうです。 ○花井委員 わかりました。もう1つですが、最後の(3)の「パブリックコメントその他で リスク評価の要望が高かったもの」「マスコミ等において取り上げられる頻度が高いもの」 というのは、今回の議論の中で具体的には何か例が出てきたのですか。 ○長山情報管理官 この中では、9月15日はパブリックコメントも1通、その中に3つ入 っていましたので、3件出てきています。パブリックコメントの中では、物質としては1件、 アンチモン及びその化合物ですが、1件パブリックコメントとして提案がありました。その 他のご意見として2件、リスク評価の選定の仕方、評価のあり方についてのご提案がありま した。その他の意見は、検討会で紹介しました。物質としてアンチモン及びその化合物の提 案をいただいたのですが、それについてはちょうど平成21年度有害リスク評価実施中の案 件でしたので、その場ではIARC2Bにも入っているものですので、今回、新規のこれには 入っておらず、評価中という形で終わっています。 ○名古屋座長 そうすると、2Bのものは、314のリフラクトリ-セラミックファイバーを除 けば全部終わった、これだけ残っていたと。 ○長山情報管理官 たぶん、これでほぼあらかたは終わっているかと。 ○名古屋座長 あとはよろしいですか。こういう形で選定されてきたという経緯の報告いた だきましたが、よろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 いまご紹介をしましたのは、企画検討会で結論を見たもので、報 告ということです。ここでやるのは、そういった意味で対象が発がん性のみならず、生殖毒 性、神経毒性というところまで拡大して検討の対象にしましょうということで、今回入った 44物質のいくつかの物については、生殖毒性、神経毒性というところの根拠でやっている ものです。  昨年度、一昨年度に評価をした結果、報告がまだ上げられていないものについても、実は この44物質に含まれていまして、それは昨年度、ばく露の調査の中で報告がなかなか上が らない理由をご検討いただきました。これは、この席の名古屋座長、圓藤委員にも入ってい ただきましたが、そういったものについては報告のスタイルが変わったということで、でき るだけ報告が出やすいようにということになりましたので、そういったものも加えています。  その上で、またこの場でご議論いただきたいと思ったのは、こういったものをばく露評価 をしていく、あるいはばく露実態調査をしていく際に、多少配慮すべき事項があるのではな いかということです。それは、例えば引き続き重金属みたいなものも入ってきているし、実 際には保護具などを使って作業されている場合に、実際の気中濃度、作業環境の測定なり、 個人ばく露でうまく測れないものも中にはあるようなことを聞いています。  ばく露の今後の方向として、こういった新たな物質が出てくる中で、何か懸念があったり、 こういうやり方をしたらいいのではないかというご助言があれば、我々はそういったものを 踏まえて対応していきたいと思っています。その辺りで、もしよろしければ、ばく露小検討 会の立場からご検討いただければと思っています。 ○名古屋座長 例えば資料の中にも、ばく露のほかに生物学的半減期、この辺の話もという ことですね。 ○圓藤委員 リスク評価対象リストなども見たのですが、有機溶剤みたいな経皮吸収の強い ものもあるし、生物学的モニタリングみたいな評価方法があってもいいのではないかと思い ます。どのぐらい体に入っているかは、現場によっては必ずしもサンプリングができない場 合もあるということも聞いていますし、作業者の生体試料でばく露を見る方法もあるし、実 際に産衛やACGIH、DFGでも生物学的許容値を決めている物質があるので、そういうの を使うのも一法ではないかと思います。 ○名古屋座長 確かにばく露とは違って、皮膚から入ってくるものはばく露ではフォローで きない部分はあるから、そうするとそれの強いものだとしたら、生体影響になってきてイレ ギュラーする可能性はありますね。皆さん、この辺のご意見がありましたら、どうぞ。これ をやることも多々ある。分析はたぶんそうだと。この手法は、たぶん尿を採ることになるか と思うのです。やったことがないので分からないのですが、いつ採るか、ばく露してからど のぐらいの時間で採るか、代謝などいろいろ考えなければいけないと、採る時間は違ってく るのですか。 ○圓藤委員 いま、いろいろな手法ができてきて、先日、新しい機器を導入することがあっ て検討会に行ってきたのですが、例えば、実際に現場としてまだ代謝がわかってない物質、 そういう物質でもこういう原物質を入れることによって、いまフェーズI、すなわち酸化酵 素、そのあとのフェーズIIの代謝酵素はみんなリストされていて、それらを組み合わせるこ とによって代謝物の推定ができるのです。そういうのを使って実際に作業者の尿を測れば、 そこに合致するものがある。そういう意味で言ったら、ばく露のいままでの既知論文を調べ るだけではなくて、新たな物質について代謝物の推定をすることができて、さらに作業者尿 で確認ができるという作業は可能だと思います。その濃度を測って、一般的にはばく露モニ タリング結果と照合する。合わないものをどうするかというのは難しいのですが、主原因は 経皮吸収ではないかと考えられます。それと生体影響との関係ですね。 ○名古屋座長 評価の濃度がある物質もありますよね。 ○圓藤委員 既にこのリストの中に評価済み物質があります。ただ、評価がない物質につい ても、新たに作ることが可能ということです。 ○花井委員 ご提案は、こういう事業者から出すいろいろな報告など、そういうものにも、 そういうバイオモニタリングのデータを付けたらどうですか、付けませんかという、あるい は付けるべきであると、そういうご意見ですか。 ○圓藤委員 いや、1つの方法としてそういう検討をしてはどうですかということなので、 環境中の測定ができなければ、他のやり方でどのぐらいのばく露があるかを推定する方法が あってもいいのではないかと。 ○花井委員 モニタリングのデータと室内の濃度の定量的な議論は、前にいろいろ議論され ているのがありますよね。ですから、選んだ対象物質の中で既にそういうモデルがちゃんと できているものは、それは使ったほうがいいと思いますが、新しいものに対してそれをやり ましょうとなると、かなり研究的なところからやらなくてはいけないから、それはそれでま た別の。 ○圓藤委員 そうです。それは将来に置いておく。 ○花井委員 将来に置いておくというか、方向としてはわかりますが、ではすぐこれでやり ましょうというのは、少し大変になってしまうのではないかという気がします。 ○圓藤委員 そうですね。 ○原委員 本当に特異的な事例が起これば、研究......も考えられる。そういったときに採用 すべきで、とりあえず研究を1年、2年かけないと駄目だと思うので、今後の課題というふ うに位置づけられたらと思うのです。 ○圓藤委員 もちろんそうです。あるものについては、できる。 ○原委員 そうですね。 ○島田化学物質評価室長 事務局から質問ですが、いま生物学的モニタリングなどのデータ は、先進事例であるとACGIHなどはBEIという形で、それに関する指標値をいくつかの 物質で作っておられると思います。原委員、産衛学会もお作りになっているのですね。 ○原委員 そうです。 ○島田化学物質評価室長 そういうものの物質は、特に一般的な作業環境測定とか、あるい は個人ばく露で取った環境中の気中濃度みたいなものではなく、別の手法で取ったほうが、 そういうことが必要だということでお作りになっていただいているのですか。 ○原委員 産衛の場合は、基本的に許容濃度に相当する、例えば尿中代謝物濃度はどれぐら いであって、尿中代謝物濃度で規制する場合には、許容濃度に相当する値で規制しましょう という考え方です。 ○圓藤委員 もう1つは、有害影響の出る濃度と2つの考え方があります。もう1つ、今そ れだけでは必ずしもドーズ-レスポンスが書けないものがいっぱいあるので、それについて は2008年のドイツが発表したみたいにバックグラウンド値(普通の人のレベル)はこのぐ らいで、そのレベルを超えているということは或る程度のばく露がありますよという考え方 を使ってはどうかというのがあるのです。今までは、きちんとしたドーズ-レスポンスがな いと作れないというところがあり、なかなか両方集まってくるとは限らない。ですから、あ る程度曖昧な数値だけれども、1つとしては、このぐらいの目安だったらばく露が多そうだ という考え方、もう1つは、バックグラウンド値を超えたらばく露がありますよというのも 入れたらどうか、というのが最近のドイツの考え方です。だから、産衛などもデータによっ てはそういう考え方をしてもいいのではないかと思っています。それは今後、産衛の許容濃 度委員会の考えることですが。化学物質によってはなかなかデータが集まらないものがある のです。 ○内山委員 チャレンジングな部分もあるのですね。 ○名古屋座長 そうですね。 ○内山委員 将来的にはおそらくそういう方向に進むのだと思うのだけれども、これはこう いう委員会で、例えばこういう研究が必要ですということはどんどん発信していいと思うの です。それに対して、例えば厚労省が厚生科学研究費の重点項目の中に、有害物のバイオモ ニタリングの手法開発などという1項目を設けていただければ、どんどん応募してくるので す。何をやっていいかわからないというか、やるからには相当な予算がかかるので、厚労省 としては将来はこういう方向に持っていきたい、こういう研究をやってほしいということが あれば。いままでは指名にするといろいろ問題があるのですが、厚生科学研究費の重点項目 の中に、今後はこういうことを少し重点にしたいということを化学物質評価指数のほうから 出せば、いくつかリストに載りますよね。そうすれば、それにご興味のある教室や研究者は 応募しだす。それによって、これをまた我々は利用するということになれば。 ○名古屋座長 すぐにというわけにはいきません。これもたぶん重要な指摘で、これからそ ういう時代が来るのかもしれないので、これは事務局と圓藤委員のほうでどう検討するか相 談していただいて。ただ、この委員会だけではなくて、もう1つ有害評価小検討委員会があ るので、そこと合わせていかないと、手法だけではなくて、対象物質をどうするかという話 がありますので。そこでうまく協力して、事務局でまとめていただければありがたいかと思 います。 ○島田化学物質評価室長 圓藤委員とご相談をし、その上で事務局で情報収集をして、また この場で報告をするということでよろしいですか。 ○名古屋座長 いいと思います。 ○圓藤委員 よろしくお願いします。 ○名古屋座長 昔、管理濃度委員会のときもそういうのがあって、例えば砒素やカドミとい う形のもの、食物から入ってきて、体の中に蓄積されていると。それで今度は環境中の濃度 が高いと、それをオーバーフローしてしまう。だから、それを加味して管理濃度をもう少し 低くしていいかなと、医師から意見が出たことがあるのです。でも、それはやめましょうと いう話にしている。何となくそういう時代が近づいてきているのかと、いまの意見を聞きな がら感じました。でも大切なことだと思いますので、事務局で圓藤委員と話し合って、あと はまた、もう1つの有害評価委員会と抱き合わせでいろいろ事務局で検討してみていただけ れば、ありがたいかと思います。 ○島田化学物質評価室長 事務局としても、実はニッケルの規制の段階で、気中濃度を測っ て高い段階で、それが本当に人に影響があるのかというのは、むしろ生物学的な尿中の量な ど、そういったものを測るべきということを、実は企業から指摘をいただいており、確かに 作業環境をきれいにすることは重要だけれども、それができない場合に保護具を利用されて いる方がいらっしゃると。保護具のことについては、単純に気中濃度だけ測ると考慮されな いという状況になるのではないかというご指摘をいただいており、そういう意味で、どうも 企業側からそういうニーズがあるようです。 ○名古屋座長 わかりました。いずれにしても重要な指摘ですので、事務局と圓藤委員のほ うで検討していただければありがたいかと思います。  いまのこの所に関しては、それでよろしいですか。そうすると、まだ時間がありますが、 ほかに何か検討しておくことはありますか。                 (特に発言なし) ○名古屋座長 そうすると、平成22年度には、有害物質ばく露報告書があると思いますの で、これを踏まえてばく露調査を進めていくことになると思います。あとは、分析方法の策 定が必要なものがあった場合、これはあらかじめ本検討委員会でお願いする形になりますよ ね。とりあえず、予定した議題は終わっていますが、何かありますか。資料3まで行きまし たが、よろしいですか。 ○棗田課長補佐 1つだけ、いまこの22物質のリストを見せていただいて、あとスケジュ ールを見た場合に、ほとんどの物質がおそらく測定分析法が現状はないと思われるのですが、 このスケジュールでいくと、リスク評価をやるまでにおそらく1年間の猶予しかなくて、 22物質の測定法の検討をするとなると、いままでの中災防に単純に出すという手法では難 しいのではないのかと正直感じるのですが、その辺のところで年度をずらしても少しやって いくのか、それとも、ここの測定法の開発の部分について、もう少し何か別の手段を取って いくのか、できれば、ここを少し今後検討していただけるとありがたいと思っているのです が。 ○島田化学物質評価室長 私どもの説明の言葉足らずで、いままでは次年度に評価すべき物 質を前の年に選定している状況でしたが、前回の少量製造の昨年、今年の6月まで進めてき ていただいたもので、今後やるべき物質を有害物ばく露作業報告に載せて、数年間報告を取 りましょうという方向で考え方が変わってきているので、今年の評価がすぐ評価対象物質に なったから来年やるということではなくて、その報告を継続的に取りつつ、いま棗田課長補 佐のご指摘のあった測定法や有害性の評価の状況を勘案して、毎年度このうちのいくつかを やっていく形に変わっているので、無理のない形で進める状況です。 ○名古屋座長 これはCASナンバーがなくてできないというわけではなくて、あるのだけ れども、その分析方法の回収率をいろいろ考えて、ちゃんとした分析になるかの確認が必要 と考えていいのですか。そうでもないのですか。 ○棗田課長補佐 はっきりはわからないのですが、全くない、いままで検討をされたことが ないものもおそらくあると思います。例えば単純に取ってきて、一般的に作られている会社 などでやられているのは、生をそのまま、例えば原子吸光やガスクロなどにそのまま打って しまうので、そういった分析は簡単にできると思うのですが、大体いちばん問題になるのが サンプリングの部分で、先生がおっしゃられているミッドレッドのサンプラーを使うのか、 たぶんその辺の検討を含めると、おそらくほとんどの物質は、NIOSHなどのを見ていない のではっきりはわからないのですが、どれぐらい元データがあるのかはいまのところわから ないですが、丸っきり見たことがない物質が、かなりあるのではないかとは思うのですが。 ○名古屋座長 要するに分析法だけではなくて、そちらの問題が結構あるということですね。 だから、定量かけていろいろあると、何時間取ったらいいかとか、作業の時間を考えるとと いうことですよね。 ○棗田課長補佐 はい。 ○名古屋座長 それは大変かと思います。でも、いま室長が言われたように、少し余裕があ るみたいですので、いい分析方法で目的に合った測定をしていただければありがたいと思い ます。よろしいですか。あと、何か考えているところはありますか。 ○圓藤委員 この22物質は、みな500kg以上ということですか。 ○島田化学物質評価室長 報告の段階では、当然、500kg以上のものしか報告に上がらない ことを前提に考えています。ただ、それ以下のものであっても、必要があれば業界、その他 の情報から調査をさせていただくようにお願いをするという方向にしたいと思います。 ○圓藤委員 この物質をリストしたときには、生産量は見ているのですか。 ○島田化学物質評価室長 はい。一定の生産量で、500kgということではなくて最低でも数 トンぐらいはあるものを選別しています。 ○名古屋座長 よろしいですか。本日予定されていた議題は終わります。今後の予定という ことで、これは事務局、資料4で説明をよろしくお願いします。 ○井上労働衛生専門官 資料4「今後の予定」です。本日の第2回ばく露評価小検討会を踏 まえて、第3回ばく露評価小検討会を12月11日(金)に予定しています。議事について は、「ばく露評価ガイドラインについて」ということです。第4回については平成22年2 月ごろ、第5回については同じく3月ごろ、第6回については有害性評価小検討会との合同 開催を考えていますが、平成22年3月ごろを予定しているところです。 ○名古屋座長 よろしいですか。若干というよりもうんと早いのですが、意見が進みました ので、これで第2回ばく露評価小検討会を閉会します。どうもご苦労さまでした。ありがと うございました。 2