09/10/02 第98回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第98回労働政策審議会雇用均等分科会 第98回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2009年10月2日(金) 10:00〜11:30 場所:厚生労働省 専用第21会議室 出席者:  公益代表委員   林分科会長、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員、山川委員  労働者代表委員   石川委員、小林委員、齊藤委員、冨高委員、山口委員  使用者代表委員   川崎委員、瀬戸委員、中西委員、山本委員、遠藤代理(布山委員)  厚生労働省   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長、堀井総務課調査官   定塚職業家庭両立課長、宮本育児・介護休業推進室長、吉本雇用均等政策課長 美濃短時間・在宅労働課長、西村均等業務指導室長 議題:   1. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の     改正を踏まえた省令・指針の改正について   2. その他 配付資料:   No.1 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法     律の改正を踏まえた省令・指針の主な改正事項について(案)   No.2 女子差別撤廃条約実施状況報告に対する最終見解 議事: ○林分科会長  定刻になりましたので、ただ今から「第98回労働政策審議会雇用均等分科会」を開 催いたします。本日は布山委員が欠席で、その代理として社団法人日本経済団体連合 会の労働政策本部主幹の遠藤氏が出席されています。また、山本委員からは遅れると の連絡をいただいています。  本日の議題に入る前に、事務局において人事異動がありましたので、一言ご挨拶を いただきたいと思います。 ○宮本育児・介護休業推進室長  9月24日付で育児・介護休業推進室長に異動になりました宮本でございます。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は「育児休業、介護休業等育児 又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正を踏まえた省令・指針の改正に ついて」です。まず、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉 に関する法律の改正を踏まえた省令・指針の主な改正事項について(案)」のうち、 「省令事項」について事務局から説明をお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、お手元の資料No.1をご覧いただきたいと思いますが、本日のNo.1関係で、 No.1の他に「別紙」、それから「参考資料」と3点ご用意していますので、ご確認いた だければと思います。  まず、資料No.1の1ページ目から説明させていただきます。「省令事項」の第1点は 「配偶者の範囲の見直し」で、従来、法律あるいは省令で、配偶者については「事実 上婚姻関係と同様の事情にある者」を含んでいる場合と含んでいない場合がありまし たけれども、「含む」ということで統一させていただきたいと考えています。  2番は「育児休業の再度取得要件等の見直し」です。こちらは、下の点線で囲みまし た箱の中に、建議の該当部分を書いています。建議に至る過程の中で、皆さまにご審 議いただき、結論が出たものです。この内容を踏まえて、まず(1)ですが、再度取得 要件等に(1)「子が負傷、疾病等により2週間以上の期間にわたり世話が必要となった 場合」と(2)「保育所に入所申請を行ったが当面入所できない場合」を加えるというも のです。また、同時に(2)ですが、申出は原則として1か月前までですが、開始予定日 の1週間前までとする特例があります。この特例の対象として、上記の(1)と(2)を加え るというものです。  次の3番は「育児休業の申出事項等の見直し」ということで、まず1点目は「事業主 が当該事実を証明する書類の提出を求めることができる対象に、子の出産予定日を加 える」というものです。また(2)ですが、パパ・ママ育休プラスにより1歳を超えて育 児休業をする場合には、その開始予定日が配偶者の育児休業の初日以後であることが 必要なので、この事実を申出事項に加えるとともに、事業主が求めることができる書 類の対象に加えるというものです。次のページをご覧いただきまして、(3)ですが、 申出後開始予定日までに生じた場合には育児休業申出がされなかったものとみなされ る事由という規定があります。この規定に、パパ・ママ育休プラスにより1歳を超え て育児休業をする場合において配偶者が育児休業をしなかった場合を加えるというも のです。  次の4番は「育児休業申出書等」の取扱い、また、それに対する「事業主による休 業期間等の書面の明示」です。1点目ですが、育児休業申出等の方法として、現行で は書面と定められています。今回は、書面に加えまして、他法令の状況また実務の実 態等を踏まえて、事業主が適当と認める場合はファックス又は電子メール等による送 信を認めるとしています。ただし、括弧書きの中にありますけれども、「労働者及び 事業主が書面として打ち出せるものに限る」ということで、画面上だけで消えてしま うものではなく、あくまでも書面として打ち出せるものということを考えています。 また、「電子メール等」の「等」というのは、各企業内でパソコン上のブラウザに入 力する場合を想定しています。また、(2)のその他の措置についても同様です。(3)は 前回の審議会でご紹介しましたとおり、国会審議の折に議論され、附帯決議とされた 事項です。事業主は、育児休業申出書、開始・終了予定日の変更申出書による申出な らびに申出の撤回がされた場合には、速やかに、「申出を受けた旨」および「休業開 始予定日及び休業終了予定日」また「休業を拒む場合」がありますが、その場合にあ っては、その旨及び理由を労働者に通知しなければならないという規定を新たに置く というものです。この場合の通知については、上記の(1)と同様ですが、書面の交付 または労働者が希望する場合には、ファックス・電子メールによる送信を認める。た だし、「労働者が書面として打ち出せるものに限る」としています。なお、この場合 は電子メール等の「等」は付けていません。事業主から労働者に通知するものという 性格から、先ほど申し上げたブラウザ等は想定していません。(4)ですが、介護休業 においても今、申し上げた点について「育児休業と同様とする」というものです。 (5)ですが、育児休業の申出が1か月前までに行われなかった場合には、事業主が休業 開始予定日を指定できることになっています。こちらも現行では書面と規定されてい ますが、「労働者が希望する場合はファックス又は電子メールによる送信」を加える というものです。  次の5番は、労使協定により育児休業申出等を拒むことができる労働者及び時間外 労働の制限の請求の対象とならない労働者の範囲の見直しです。こちらは法律上、 専業主婦除外規定を削除しましたので、同様に省令でも削除するということです。 また、(2)は(1)の場合の類似の場合ということで、内縁の妻等が専業主婦等である場 合という規定がありますが、こちらも削除するというものです。  次のページの6番は、子の看護休暇の取得事由の見直しで、こちらは下の枠の中の 建議にありますように、「子に予防接種を受けさせること」また「健康診断を受診さ せること」を加える。これらを申出事項および事業主が事実を証明することができる 書類の提出を求めることができる事項に加えるというものです。  7番は、短期の介護休暇のことです。こちらは新設の休暇で、「世話の範囲」を省 令で定めることとしています。世話の範囲としては、(1)対象家族の介護、(2)対象家族 の通院等の付き添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続の代 行その他の対象家族に必要な世話、を規定するというものです。  次のページの8番は「介護休暇における申出の方法等」ということで、介護休業あ るいは子の看護休暇の従来の規定を参考として規定しています。(1)は、申出時に事 業主に対して明らかにする申出事項です。(2)は、「事業主は、労働者に対して、事 実を証明することができる書類の提出を求めることができる」とするもの。また、 (3)ですが、子の看護休暇と同様に、「労使協定により週の所定労働日数が2日以下の 者を除外できること」、またその「必要な手続等は協定の定めるところによること、 を規定する」というものです。  9番は、労使協定により所定外労働の制限の請求ができないものとすることができ る労働者の範囲です。こちらは、「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者とする」 としています。  10番は「所定外労働の制限の請求の方法」です。こちらも、他の措置を参考とし て規定しています。(1)が、申出事項。(2)は、事業主が「事実を証明することができ る書類の提出を求めることができる」こと。また、(3)では「請求に係る子が出生した ときは、速やかに事業主に書面で通知しなければならない」としています。  次のページの11番は「所定外労働の制限の終了事由等」で、請求後請求開始日まで の間に生じた場合に請求がされなかったものとみなす事由として、他の制度と同等の 事由を規定することを考えています。また、(2)では「制限期間の終了事由として、 これらを準用する」としています。  12番以降は、短時間勤務の措置です。短時間勤務の措置の対象外となる所定労働時 間が短い労働者の範囲として、「一日の所定労働時間が6時間以下の労働者とする」 としています。  13番は、労使協定により対象外となる労働者の範囲で、「一週間の所定労働日数が 2日以下の労働者」としています。  14番ですが、短時間勤務措置の内容について、省令で規定するものとしては、 「一日の所定労働時間を6時間とする措置」を必ず含んでいただくとしています。  15番は、労使協定により短時間勤務の措置の対象外となった労働者に対する代替措 置、始業時刻、変更等の措置の内容です。こちらは、次のページの建議の中にありま すが、代替措置としては「現行の育介法第23条の選択的措置義務のうち他の措置(所 定外労働の免除を除く)を講ずることを義務付ける」としていますので、その内容の 規定を置くこととしています。  16番の「調停に係る手続」ですが、この手続きについては、「男女雇用機会均等法 等と同様の手続きを定める」としています。  17番では「その他所要の規定の整備」をするとしています。  省令に関しては、以上です。 ○林分科会長  省令についての今のご説明について、何かご質問・ご意見等がありましたらお願い します。石川委員。 ○石川委員  省令2の部分ですが、確認させてください。保育所等に入所申請を行ったが当面入 所できない場合に関して、親族が子どもを養育していたが、その養育が受けられな くなった場合も該当するという理解でよろしいでしょうか。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  ご質問のとおりです。後ろの建議の中に書いてありますが、「長期にわたる子ども の疾病が発覚した場合や、現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事 情により新たに保育所等に入所申請を行ったが当面入所できない場合」ということを 想定していまして、この「等」は建議に至る過程の議論の中でも明確に出ていました が、親族等が子どもを養育していて、その養育が受けられなくなった場合などを含む とされています。なお、省令においては、上記の2の(1)の(2)「保育所に入所申請を行 ったが当面入所できない場合」を要件として押さえるとしています。 ○林分科会長  遠藤代理。 ○遠藤代理  1点、質問させてください。「パパ・ママ育休プラス」にかかわることですが、資 料No.1の1ページ目の一番下の所に「事業主が当該事実を証明する書類の提出を求める ことができる」と書かれていますが、例えば想定し得る証明書というのは、どのよう なものが考えられるのでしょうか。 ○定塚職業家庭両立課長  どのような書類を考えるかということは、また通知等にも例示として示したいと考 えていますが、現段階で想定していますのは、例えば配偶者の育児休業取得の申出書 の写しや、その申出書に対して事業主が通知した通知書の写しなどを想定しています。 ○林分科会長  その他には、ありませんか。齊藤委員。 ○齊藤委員  省令9のところですが、前にもこの場で何度かお話しさせていただいています。 「所定外労働の制限の請求ができないものとすることができる労働者の範囲」で、 「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者とする」ということですが、そもそも所定 労働日数が2日以下の労働者に所定外労働をさせること自体がおかしいと考えていま すので、これは対象とすべきで、この所定外労働の制限の請求ができる人の対象に すべきと考えています。現実的に、一つの企業では2日であっても、複数の企業で働 かざるを得ない労働者もいますので、結果的に週6日働いていても、このように週2日 以下の労働者ということで、請求ができないものとされてしまいますと、実際には週 6日働いていても、この所定外労働の制限の請求ができない労働者として、その労働 者にとって負担が大きくなるということを考えても、この部分については削除してい ただきたいと考えます。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  この点については、建議に至る過程の中でも議論が出されまして、最終的には建議 に改正部分が盛り込まれなかったという経緯があり、事務局としては、2日以下の労働 者は労使協定により除外可能としています。なお、育児・介護休業法の他の制度、他 の措置においても、2日以下については、協定により除外可能あるいは一部は法令に より除外としているところで、全体的なバランスということもあるかと思います。 ○林分科会長  冨高委員。 ○冨高委員  省令14について2点ほど確認させていただきたいと思います。まず、省令では「一 日の所定労働時間を6時間とする措置」と規定していますけれども、この短縮する時 間の単位ですが、30分単位、1時間単位等も認めるということですかということが、 まず1点です。  そして、設定方法ですが、始業時間を遅くする、そして終業時間を早める、始終 業の双方で労働時間を短縮する等、措置を必要とする労働者の決定を優先するという ことでよろしいですかというこの2点について、確認させていただきたいと思います。 ○定塚職業家庭両立課長  省令においては、まずここに規定してあるとおり「一日6時間勤務」というコース、 こちらを必ず設けていただくということを法令上の最低限として要求しているもの です。その上で、労使が合意で、あるいは事業主の判断で、その他の選択肢を設ける ということは可能ですので、今申し上げたような30分単位、1時間単位で短くすると いうような方法、あるいは6時間だけではなく、6時間と4時間という選択肢を設ける のは、法律以上のこととして、労使合意あるいは事業主のご判断で自由に設定してい ただくとしています。  また、お話にあったような始業時間を遅くする、終業時間を早める、あるいは朝・ 晩の両方を短縮するというのは、労働者によってご希望が違う場合はあると思います。 こちらもどのような方法で6時間まで短縮していくかということは、企業内の労使合意 あるいは使用者の判断で行っていただくことを想定しています。 ○林分科会長  よろしいですか。齊藤委員。 ○齊藤委員  6番の「子の看護休暇の取得事由の見直し」に2点、子どもの予防接種と健康診断の 受診と書いてあるのですが、昨今、新型インフルエンザの問題が出てきまして、保育 所等が閉鎖される場合などが出てくると思います。その場合には、これは予防接種自 体を疾病の予防ということで考えていると思いますので、それと同じようにここの看 護休暇の取得事由に含めてもよいのではないかと考えるのですが、その辺のところは どのようなお考えでしょうか。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  こちらの「省令事項」の中では、あくまでも予防接種と健康診断ということですの で、例えば新型インフルエンザの予防接種ということになれば、これは休暇の対象と なり得ると思いますけれども、そうではなく、単に「保育所の閉鎖で保育所に行けな いため」というのは、ここでの取得事由に当たらないと考えています。なお、新型イ ンフルエンザで保育所等が閉鎖された場合などについては、できるだけ事業主にご配 慮いただきたいと、これは我々からも呼び掛けをしていきたいと思っています。 ○林分科会長  他に、ご質問・ご意見がありますか。  ないようでしたら、「省令事項」についてはここまでとしまして、次に「指針事項」 について、事務局から説明をお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、今見ていただいていた資料の7ページ以降をご覧いただきたいと思いま す。7ページの「指針事項」というところです。  まず、「指針事項」の1点目としては、「子の看護休暇」について、現行の指針の 中で、制度の弾力的な利用を可能とするようにということを記述しています。今回は、 その例示として、さらに時間単位または半日単位での取得を認めることを明記するこ とを考えています。これは、審議会の中でも議論がありましたし、また国会等でも指 摘があった事項です。  2番目は、新設の介護の短期休暇です。こちらについては、指針で基本的には子の 看護休暇で従来規定していました指針の内容を規定するとしています。1点目はあら かじめ休暇の制度が導入され、規則が定められるべきものであること、2点目が、証 明書類の提出を求める場合には、「事後の提出を可能とする等、労働者に過重な負担 を求めることにならないよう配慮すること」で、3点目が、「時間単位又は半日単位 での取得を認めることなど制度の弾力的な利用が可能となるよう配慮すること」とい う点です。  また、次の所定外労働の制限・免除に関する事項ですが、こちらも「あらかじめ制 度が導入され、規則が定められるべきものであること」また「制度の弾力的な利用が 可能となるよう配慮すること」の2点を規定するとしています。  4番は「所定労働時間の短縮措置」短時間勤務のことです。また、「育児休業に準ず る措置又は始業時間変更等の措置に関する事項」で、「労働者が措置の適用を容易に 受けられるようにするため、あらかじめ、措置の対象者の待遇に関する事項を定め、 これを労働者に周知させるための措置を講ずるように配慮すること」ということ。 また、「労働者が就業しつつ子を養育することを実質的に容易にする内容のものとす ることに配慮すること」ということです。次のページの3点目は法律上の規定で、業 務の性質または業務の実施体制に照らして、短時間勤務の措置を講ずることが困難な 業務の場合には、労使協定により免除することができる、対象としないことができる という規定があります。この「困難な業務」についての例を掲げています。「例えば、 次に掲げるものが該当すること。なお、次に掲げる業務は例示であり、これら以外は 困難な業務に該当しないものではなく、また、これらであれば困難な業務に該当する ものではないこと」と明示しています。ア)として「業務の性質に照らして、制度の 対象とすることが困難な業務」として、国際路線のキャビンアテンダントの業務。 イ)としては「業務の実施体制に照らして制度の対象とすることが困難な業務」とい うことで、労働者が少ない事務所・事業所において、当該業務に従事しうる労働者数 が著しく少ない業務。ウ)としては「業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対 象とすることが困難な業務」として、「流れ作業方式による製造業務」「交替制勤務 による製造業務」「個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の 労働者では代替が困難な営業業務」としています。なお、ここに掲げた業務について は、建議に至る過程の中で、当審議会において資料を出し、ご議論いただき、概ねの 同意を得た事項と考えています。  5番は「不利益な取扱いの禁止」です。こちらについては、まず不利益取扱いの禁 止の対象に、法令上、介護休暇や短時間の勤務措置等が加えられたということを受け まして、指針にもこれらの措置を対象として加えています。(2)で「別紙参照」とし ています。別紙をご覧いただきたいと思います。別紙として「『不利益取扱に関する 指針』比較表」を用意させていただいています。右側が現行の均等法の指針です。 左側が育児介護休業法の現行のものに改正案ということで、下線部分で今回改正を考 えている案を記述しているものです。建議において「『均等法』における取扱も踏ま え、育介法の趣旨、目的に照らして必要な見直しを行うことが適当である」とされて いますので、今回このような比較表を用意させていただいているものです。  まず、1点目は左側のヘです。「労働者が希望する期間を超えて、その意に反して 所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限又は所定労働時間の短縮措置等 を適用すること」。これは、労働者が希望する期間以上に、その意に反してこうした 措置を適用することは、上のホに「自宅待機を命ずること」とありますが、休業期間 を超えて自宅待機を命ずることと同様の不利益取扱であると考え、ヘの記載を新たに 置いたものです。  また、その三つ下のリです。「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行う こと」という点は、従来の育児・介護休業法では記載がありませんでしたが、男女雇 用機会均等法では記述がありますので、今回追加しているものです。  以上の1ページ目が「解雇その他不利益な取扱いとなる行為」の例示でございます けれども、次のページ以降にはこのような例示を踏まえまして、解雇その他不利益取 扱いに該当するか否かについては、次の事項を勘案して判断することということで、 幾つかの事項を定めています。  まず、今回の改正点3番目のハでございます。こちらは、「減給をし、又は賞与等 において不利益な算定を行うこと」に該当することということで記述しておりまして、 従来は休業を念頭に置いて記述しておりましたが、今回はその他の休暇あるいは短時 間勤務が加わるということで、そちらも記述に加えたものでございます。考え方とし ては、従来から休業した期間は日割りで算定対象期間から専ら控除すること等専ら働 かなかったものとして取り扱うことは不利益な取扱いには該当しないが、それを超え て働かなかったものとして取り扱うことは「不利益な算定」に該当することという考 え方を採っておりましたが、今回もその考え方を踏襲しております。ただ、「短時間」 という考え方が入りますので、(イ)の6行目にございますとおり「現に短縮された時間 の総和に相当する日数は日割りで算定対象期間から控除すること等専ら当該育児休業 等により労務を提供しなかった期間は働かなかったものとして取り扱うことは、不利 益な取扱いには該当しないが、そうした時間の総和に相当する日数を超えて働かなか ったものとして取り扱うことは、『不利益な算定』に該当すること」としています。 この考え方については、概ね右側の欄の均等法と同等であると考えています。  次の3ページの(ロ)「実際には労務の不提供が生じていないにもかかわらず、育児休 業等の申出等をしたことのみをもって、賃金又は賞与若しくは退職金を減額すること」 でございますが、こちらは育児休業の申出を、実際には休業を取得していない時点で もあるにもかかわらず、賃金・賞与若しくは退職金を減額すること。あるいは、過去 しばらくの間、例えば3年前に育児休業を取ったことを理由に減額すること等を想定 しております。右側の均等法の欄でいきますと、(1)のところにございます「実際には 労務の不提供や労働能率の低下が生じていないにもかかわらず、女性労働者が、妊娠 し、出産し、又は労働基準法に基づく産前休業の請求等をしたことをのみをもって、 賃金又は賞与若しくは退職金を減額すること」に相当する部分でございます。なお、 均等法の右側の欄の(3)でございますが、均等法の場合には、妊娠あるいは産前産後休 業中の取扱いについて同じ期間休業した疾病等と比較しております。育児・介護休業 法については疾病等との比較は取り入れておりません。これは、均等法は妊娠と疾病 を比較するに適当な状況があるということ。また、育児休業法の場合は長期の休業ほ かさまざまな措置がございますので、このような措置について、そもそも論から不利 益な取扱いとは何であるかということを考えて訂正することがふさわしいと考えたこ とによるものです。  次のニは、新たに置きました「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行う こと」に該当する例でございます。(イ)としては「育児休業又は介護休業した労働者 について、休業期間を超える一定期間昇進・昇格の選考対象としない人事評価制度と すること」。(ロ)としては、「実際には労務の不提供が生じていないにもかかわらず、 育児休業等の申出等をしたことのみをもって、当該育児休業等の申出等をしていない 者よりも不利に評価すること」でございます。まず、(ロ)は上の欄の(ロ)と同様のも のでございます。均等法にも右側の(1)に同様の規定がございます。次に、ニの(イ)で ございますが、こちらは恐縮ですけれども、別の参考資料をご覧いただきたいと思い ます。「三(三)のニの具体例について」ということで参考資料を用意しております。 上の四角の中が今申し上げた指針の勘案事項の部分でございます。この(イ)でござい ますが、(イ)により、不可とする制度の例としては、1番目の丸のような例を想定し ております。こちらは例えば「3年連続一定以上の評価であること」ということを昇 格の要件としている企業におきまして、2010年は休業しておりませんでしたので評価 が付きました。2011年も評価が付きました。2012年は休業したために評価を付けませ んでしたという場合、2013年については3年連続の3年目と取り扱うということであれ ばよろしいのですが、取り扱わないということで、2013年については評価をするにも かかわらず、2012年の休業が入ったことによって3年連続という期間をリセットして再 スタートするということを制度として設けている場合を考えております。このような 制度を設けている企業においては、1年間休業期間を取っているにもかかわらず、昇進 ・昇格の対象としての取扱いについては3年遅れてしまうという結果が生じますので、 このようなことについては(イ)の中で「不利益な評価を行うことに該当すること」と 判断されると想定しております。  次の丸でございますが、(イ)については休業期間を超える一定期間昇進・昇格の選 考対象としないとしております。この「一定期間」については、例えばこちらに書い てありますような期間のことを考えております。いずれにせよ、どのような期間を選 考対象としないかどうかということは制度の合理性、公平性を勘案して判断する必要 があると考えております。まず、(1)の例は休業期間が16か月で複数の評価期間にまた がる場合でございます。通常企業内の評価時期は年に1回の場合が多く、評価期間は その前の1年間ということが多く行われています。この場合、16か月が年度にまたがる 場合は2回の評価の有無欄で−が付いていますけれども、評価されない場合が想定され るところでございます。(2)は評価期間より休業期間が短い場合に生ずる期間でござい ます。例えば休業が7か月あるいは8か月、9か月という場合に、休業期間を含む評価期 間の次の評価時点、この場合ですと2011年4月の下に−が付いていますけれど、この評 価時点では評価をしないということが生じる場合がございます。このような場合には、 (1)の休業期間を超える一定期間ということで不利益には当たらないと判断される可能 性があるという例示でございます。以上が(三)のニの説明でございます。  恐縮ですが、もう一度「不利益取扱に関する指針」比較表の3ページのホに戻ってい ただきたいと思います。ホは「配置の変更が不利益な取扱いに該当するか否か」とい う点でございます。この点については、配置の変更前後の賃金その他の労働条件、通 勤事情、影響等諸般の事情について総合的に比較考慮の上、判断すべきものであるが、 例えば、通常の人事異動のルールからは十分に説明できない職務又は就業の場所の変 更を行うことにより、当該労働者に相当程度経済的又は精神的な不利益を生じさせる ことは、「不利益な配置の変更に」該当すること。これが従来記載してあるものでご ざいます。今回、追加したものは「また」以降でございまして、短時間勤務措置の適 用についてその措置の対象となる業務に従事していた労働者を、その申出をした日か ら適用終了予定日までの間に、労使協定で短時間勤務の対象外としている業務に転換 させることは「不利益な配置の変更」に該当する可能性が高いとしているものでござ います。  以上が指針の比較表に該当する部分でございます。  恐れ入りますが、再度資料No.1の8ページに戻っていただきたいと思います。6番の 「派遣労働者に関する留意事項」でございます。こちらは「派遣労働者として就業す るものについては、労働契約関係派遣元と派遣労働者との間にあるため、派遣元は、 当該労働者に対し、法の規定に基づく措置を適切に講ずる責任があることに留意する こと、を加える」ということとしております。派遣労働者については、一定の範囲で 本法の適用があるところでございまして、従来から派遣元についてはこの措置を適切 に講ずる責任があったわけでございますけれども、あらためて留意事項ということで 新設させていただいたところでございます。  7番は「その他所要の規定の整備」でございます。  指針の説明は以上でございます。 ○林分科会長  指針事項につきましての事務局の説明を踏まえて、質問・ご意見等がありましたら お願いいたします。 ○石川委員  指針2の(2)の介護休暇の申出方法について質問をお願いします。子の看護休暇では 申出方法を省令で定め、指針で証明書の提出を事後で可と定め、かつ通達で口頭での 申出も可能と定めております。介護休暇も同様という理解でよろしいでしょうか。 ○定塚職業家庭両立課長  今、7ページの指針事項の2の(2)でご説明しましたとおり、指針においては「証明 書類の提出を求める場合には事後の提出を可能とする等、労働者に過重な負担を求め ることにならないよう配慮すること」という内容の定めを置かせていただきたいと考 えております。これは子の看護休暇と同様に、介護休暇の場合は当日あるいは前日に 急に休暇を取得しなくてはいけないという事態が発生される場合も想定されますので、 このような規定を指針に置かせていただきたいと考えております。 ○林分科会長  齊藤委員。 ○齊藤委員  指針の4番の(3)で、所定労働時間の短縮措置の労使協定による対象除外についての 例示が記載してありますが、例えば流れ作業や交代勤務でもシフトの組み方で現実的 に短時間勤務を制度化している事業所はありまして、こちらに記載してあることによ って現在制度化してあるところが、制度化から外される可能性もあるということもあ ります。また、イ)の「労働者が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働 者数が著しく少ない業務」という記載がありますが、この記載により中小企業が対象 外と誤解されかねないと恐れております。このような誤解を生みやすい業務に関して は、掲示すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。 ○林分科会長  事務局お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  今、ご指摘ありましたとおり、例えば(3)のア)・イ)・ウ)に掲げている業務であっ ても、実際にはそれぞれの事業所の状況、まさに業務の性質と業務の実施体制に応じ て既に短時間勤務をしているという場合、あるいはまだしていなくても短時間勤務が 可能であるという職場も当然たくさんあると思いますし、そのことは皆さまご理解さ れていることと思っております。ただ、この指針では、法律の業務の性質や実施体制 に照らして短時間勤務を講ずることが困難な業務として労使で判断いただいて社内で 決めていただくという場合の何らかのメルクマールがないと無制限に広がりかねない。 また、何を対象としてよいのかわからないということになりかねないものですから、 昨年の審議会でも議論されまして、ある程度労使の皆さまで共通認識があると思われ る部分を例示したものでございます。もちろんご指摘のとおり、ここに掲げる業務が 全て該当しないというものではございませんので、その点についてはこの柱書きでも なお書きで、これは例示であるというものを明示しているところでもございますし、 行政としてもこれからPRしていく上で、これがそのまま各企業に当てはまるものでは ないということは、きちんとPRしていきたいと思っております。 ○林分科会長  冨高委員。 ○冨高委員  今のご説明の中にもあったとおり、あらためて労働者側としましては周知の部分と いうところで決して誤解が生まれないようにしていただきたいと思います。齊藤委員 からもありましたが、今まで対象としていたにもかかわらず、この例示をもってして 対象から外すというような不利益変更がないように、リーフレットの作成などで十分 わかりやすい周知を心がけていただきたいと考えております。 ○林分科会長  その他に、ご意見等はございませんか。瀬戸委員。 ○瀬戸委員  参考資料のご説明で、二つ目の丸の(イ)の「一定期間」について、(1)・(2)の例示が ありまして、評価の有無の−で評価をしないとの記載がありますけれども、このケース の場合には不利益な取扱いに当たらないとご説明いただいたのか。先ほどお聞きした ときには、不利益な取扱いに「当たらない場合もある」というご説明だったかと思い ますが、そこの確認をさせていただければと思います。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  先ほど申し上げたとおりです。(1)・(2)の場合には、「不利益に当たらない場合も ある」と考えております。各企業によって評価の仕方がまちまちなものですから、企 業の中では評価期間を原則として1年に1回であるけれども、さまざまな調整を普段か ら常時行っているという場合も想定されます。そうした場合には、他の方については 調整をしているけれども育児休業者については調整をしないということですと、いか がなものかと思う場合もございます。(1)・(2)でお示ししている例は、このような場 合で一定期間ということで、ある程度休業期間を超えても合理的な期間として、この 間は昇進・昇格の選考対象としないということはあり得るということを示したもので ございます。そのようなことから「例えば、次のような期間が考えられる」の後に 「制度の合理性、公平性を勘案して判断する必要がある」という一文を付け加えさせ ていただいております。 ○林分科会長  他に、ご意見はございませんか。小林委員。 ○小林委員  指針事項の8ページの5「不利益な取扱いの禁止」ですが、具体的に言いますと別紙 の4ページに赤字では書かれていないのですが、均等法にある「産前産後休業からの 復帰に当たって、原職又は原職相当職に就けないこと」の左側が空欄になっているこ とについて、意見があります。私は、この育児・介護休業法の見直しの目的は育児と 仕事の両立を男女ともに少子化対策の観点からしていると理解しているのですが、話 し合いをしている以上、周知したときには取得率が上がるようにしたいと願っており ます。取得率が上がるためには、取りにくい理由・取れない理由を取り除いていかな ければいけないと思いますけれども、その点でこの左側にもぜひ、赤字で同じ項目が 入るとよいと思っております。建議の段階で議論があったということは聞いておりま すが、新メンバーですのでご容赦いただきたいのですが、例えば職場で出産した女性 が赤ちゃんを連れて出てくる場合がありまして、そのときに回りの方々から「いつ戻 ってくるの」、「早く戻ってきてね」などはよくある言葉ですけれども、出産し復帰 を待っている女性にとっては非常に勇気付けられるものであって、育児に対しても仕 事に対しても力が湧く言葉であります。私の職場で二つ事例があります。一つ目は1年 間育児休業を取った女性が半年ぐらい経った時点から復帰に対して、自分の戻るとこ ろがどこかわからなくて不安だという相談を受けました。基本的に同じ職場なので大 丈夫だと言いますと大変安心してもらい、残りの期間を育児に集中でき、復帰して今 も頑張っています。もう一人の女性は、自分の席が無くなってしまうのがものすごく 不安だということで産前産後休業で復帰してしまいました。子どもが保育園に入れな かったものですから、無認可の保育園に預けていて経済的にも負担を強いられている 状態で今も頑張っています。そのような事例があります。建議の段階でお話があった ということは十分伺っているのですけれども、やはりずっと働いてきて、いったんわ き道と言っては何ですが、出産で離れるときに元の場所に戻れる往復ラインを育児休 業につくってあげるべきなのではないかと強く感じますので、あらためて意見として 申し上げさせていただきます。 ○林分科会長  事務局お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  ご意見いただきましたように、育児休業からの復帰であってもできるだけ同じ職場 に原職あるいは原職相当職に復帰することが望ましいということはあろうかと思いま す。そのようなことでご紹介したいのは、緑色のパンフレットの83ページの現行の指 針の7の(1)の現行の育児・介護休業法の指針の中でも「育児休業及び介護休業後に おいては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているもの であることに配慮すること」という記述を置いています。この意味としては、原職・ 原職相当職復帰が多く行われているということに配慮してくださいと事業主にお願い しているものでございます。ただ、今回の不利益取扱いの部分の中では今、ご指摘が ありましたとおり、比較表でいいますと4ページの均等法では(3)で「産前産後休業か らの復帰に当たって、原職又は原職相当職に就けないこと」と書いてありますけれど も、左側の育児・介護休業法では書いていないということがございます。指針の構造 としては前のページの下に、左側であればホ、右側であればヘに記載しておりまして、 原則のルールとしては配置の変更について、通常の人事異動のルールからは十分に説 明できない職務又は就業の場所の変更を行うことにより、相当程度不利益を生じさせ ることは「不利益な配置の変更」であると申し上げております。さらに、その例示と いうことで均等法では次のページに(1)〜(3)を例示している一方で、育児・介護休業法 では例示をしていない。特に(1)(2)は妊娠に係るものですが、(3)については規定をして いないという違いが出ているところでございます。これは育児休業の場合には「望ま しい」ということはあるものの、休業期間が産前産後休業に比べて非常に長いことな どを想定すると、原職・原職相当職復帰を法律の最低ラインである不利益取扱いの指 針に定めることは難しいのではないかと考えていることによるものでございます。 ○林分科会長  よろしいですか。もう一度、小林委員。 ○小林委員  私が、この不利益取扱いに入れてほしいと希望するのは個々の労働者の利益のため ではなく、少子化対策というのは他のものとは別で、どこの企業に勤めていても出産 した女性は守られなければいけないという思いからです。企業にはいろいろな企業が ありますから女性の仕事に対してとても前向きな企業もあれば、若干取組が遅れてい る企業もあります。すべての出産した女性が安心して育児休業を取れるようにという 気持ちで発言させていただきましたので、今おっしゃったところが配慮があるという ことであればそれで理解をしようかと思っています。 ○林分科会長  他に、ご質問・ご意見がございますか。 ○川崎委員  不利益取扱いに関してですが、「昇進・昇格人事考課において不利益な評価を行う こと」という文言が育児・介護休業法にも均等法に倣って入っていくところは整合性 がとれていくのだろうと思いますが、参考の例示にも書いていただいていますけれど も、企業によって人事の評価の仕組みはかなり個別になってきますので、事例を紹介 する場合は非常にわかりやすいようなことに留意していただきたいと思います。例え ば(イ)の制度の例示で、2013年を3年目として扱わないということの前提条件の昇格要 件を書いていただいていますが、ここも含めて、どの企業が見てもすぐにわかるよう に工夫していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  今のご指摘を踏まえて、できるだけわかりやすく実態に即して、皆さまにわかるよ うな周知を工夫したいと思いますし、また今回はこのような形で例示させていただい ておりますが、各企業あるいは各労使の中で好事例がありましたら、私どもの方でも どんどんご紹介させていただきたいと思っております。 ○林分科会長  他に、ご意見はございますか。中西委員どうぞ。 ○中西委員  中小企業の立場といたしまして申し上げたいことがございます。改正法におきまし ては、施行期日が3段階に定められております。第3次の施行に当たっては改正内容の 一部について100人以下の企業は公布から3年以内に施行とされております。これにつ きまして、必ず最長の3年間を守っていただきたいとお願いしたいと思います。100年 に一度と言われております金融危機の影響により、経済情勢は急速に悪化いたしまし て雇用情勢も過去最悪を記録しております状況におきまして、大変厳しい経営を強い られています今日の中小企業の現状につきまして、ご理解いただきたいと存じます。  このような中で、育児・介護休業制度という新たな義務が追加される、とりわけ我 々中小企業にとりまして、対応が困難になることを大変懸念しています。もとより、 少子高齢化への対策を進めることについては賛成です。国が責任をもって実効ある対 策を行っていただきたいと考えています。また、我々中小企業にも、その義務がある と考えています。そのためにも、特に中小企業がスムーズな対応を行えるように準備 期間は多く取っていただきたいと思いますし、中小企業が両立支援に積極的に取り組 めるような支援の拡充も併せてお願いしたいと存じます。どうぞよろしくご理解のほ ど、お願い申し上げます。 ○定塚職業家庭両立課長  今のご意見ですけれども、100人以下の労働者を雇用する事業主については、「公布 の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日に施行する」とされて いるところで、具体的にいつにするかは、今後政令を定めるときに検討するわけです が、ご意見も踏まえまして、今後検討させていただきたいと思っています。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  今、中小企業の立場ということでご意見がありましたが、私たち働く者としては少 し対立するような意見ですが、「3年を超えない」ということで猶予がありますが、私 たちとしては3年を待たずに、できるだけ早い段階で中小企業においても、育児・介護 休業法の改正の内容が施行されることを望んでいます。審議会の中でも意見を言わせ ていただきましたし、議論になったところでありますが、この両立支援、子育て支援 という視点でいえば、先進的な企業で働いている方は、既にこのような状況になって いるわけですが、先ほど小林委員も申し上げましたが、私たちはむしろ、どのような 企業で働いていても当然、受けられる労働環境だと考えています。すべての中小企業 においてこの施行の措置が難しいということではなくて、既に取り組んでいる中小企 業も多くあると聞いています。ぜひ、経済環境に左右されることなく、この子育て環 境あるいは両立支援、両立環境が整備されるように、中小企業の皆さまにもご努力い ただきたいと思います。 ○定塚職業家庭両立課長  今、ご意見がありましたとおり、法律上の期限がいつからということとは別に、先ほ ど中西委員からもあったかと思いますが、中小企業にもなるべく早く取り組んでいただ きたいと我々も思っていますので、各種支援措置・助成措置も用意しています。いろい ろなアドバイスを申し上げながら、中小企業の取組が進むように心掛けてまいりたいと 思います。 ○林分科会長  それでは、他に発言がないようでしたら、議題1についてはこれで終わりたいと思い ます。 ○佐藤委員  一つ確認と、一つお願いです。お願いの件は8ページの派遣労働者のところですが、 現行法でいえば私はこれでよいと思いますが、これから派遣労働法の改正も予定されて いますので、派遣労働者の育児休業や短時間勤務が今回措置義務化されますから、派遣 として働く方の短時間勤務の措置義務は、派遣元に措置しようということになると思い ますが、実態としては、派遣先が短時間勤務で受け入れてくれないと、実際上無理です よね。例えば派遣先の社員が短時間勤務の措置されているところに派遣されている方が、 派遣先に派遣元がお願いして、短時間勤務は駄目ですというと、多分派遣元は他を探せ という話になると思いますが、派遣先の社員の場合は、今の職場で措置できるかどうか で判断するのです。他の職場まで探せというルールではない。ただ、派遣の場合は他を 探すのは実際上難しいと思いますので、今回の派遣法改正のときに、局は違いますが山 川先生がいらっしゃいますので、派遣として働く人たちの両立支援のあり方をどうする かも含めて、ぜひ派遣法改正の中で議論していただきたいというお願いです。現行法で はこれで仕方がないと思います。  確認は、不利益扱いのところです。今回の昇進・昇格の人事考課ですが、給与の方は 減給・賞与等の不利益扱いですが、難しいのは昇給・賞与の人事評価です。これは実は 読めるようで読めないので。例えば評価というのは、昇進・昇格の部分と、昇給・賞与 の部分の評価があって、現行で均等法もそうなっていますので、実は減給不利益しかな くて、昇給や賞与の人事評価をどうするのかを解釈でやれるのかどうかわかりませんが、 ご検討いただければ。これで読むのは結構難しいと思っています。 ○定塚職業家庭両立課長  1点目についてはご意見があったということで受け止めさせていただきます。不利益 取扱いの指針については今、佐藤委員からもご指摘がありましたとおり、これはあくま で例示であって、その他にも不利益取扱いの場面も多々出てまいりますので、今おっし ゃった面も含めて、どのような点が不利益なのかを、実際に均等室には個々の案件をも って労働者あるいは事業主の方がご相談にこられますので、そのような案件を集積しな がら、我々も考えていきたいと思います。 ○林分科会長  では、省令・指針につきましてはここで終了しまして、本日の議論を踏まえまして 、事務局において省令・指針案を作成していただきたいと思います。次回の分科会にそ の指針案をかけていただきたいと思います。  続きまして、議題2「その他」としまして、事務局より「女子差別撤廃条約実施状況 報告に関する最終見解」について、報告をお願いします。 ○堀井総務課調査官  総務課調査官の堀井でございます。それでは、配布資料No.2をお開きいただきたいと 思います。昨年の8月にこの雇用均等分科会におきまして、女子差別撤廃条約の実施状 況の第6回政府報告について参考配布、説明をさせていただいたところです。本年の7月 23日にニューヨークの国連本部で開催された女子差別撤廃委員会で、日本の第6回報告が 審議されました。そして日本時間の去る8月18日に委員会の最終見解が公表されたという 状況です。先般、仮訳ができましたので、本日これを配布させていただいて説明したい と思います。ただ、この資料No.2でお配りしたものは最終見解の全体ということで、厚生 労働省の所管事項以外も含むものです。既に委員の皆さまにはご案内のように、女子差 別撤廃条約は非常にその射程が広くて、その最終見解の内容も多岐に渡るという状況に なっています。  雇用に関しては11ページの46パラグラフです。例えばこの46パラグラフの中では、委 員会から労働市場における事実上の男女平等の実現を優先すること、あるいは妊娠・出 産による女性の違法解雇の実施を防止する措置、また、垂直的・水平的職務分離を撤廃 し、性別に基づく男女間の賃金格差を是正するために、具体的措置を講じる、といった ことが盛り込まれて、勧告するということで要請されています。  また、次の部分で有効な実施と監視体制の整備、あるいはこのパラグラフの下から2行 目ですが、官民双方の雇用の分野におけるセクシュアル・ハラスメントを含む女性差別 に対して、制裁措置を設けることを奨励するという中身も盛り込まれています。  また、家庭と仕事の両立の関係はパラグラフ48。その同じページの下のところです。 この中では、例えば3行目ですが、男女の家庭及び職場での責務の両立を支援する取組の 拡充、あるいは1ページおめくりいただいて、12ページの1行目にあります、保育施設の 提供と手ごろな料金設定の拡充、そして、男性の育児休業取得を奨励する取組の強化と いった内容が盛り込まれています。  また、この最終報告は前回2003年に最終見解が出されていまして、今回の2009年のも のは、例えば健康に関する項目、説明は省略しますが、そのような項目が新たに盛り込 まれているなどの特徴が見受けられます。  さらに、ページでいいますと、最後の14ページをご覧いただきたいと思います。通常 この条約に基づきます政府の報告は、4年に1回程度提出しているところですが、今回は 事項によって新たに2年以内の報告を求めるという項目があります。この14ページで申し 上げますと、59パラグラフで「最終見解のフォローアップ」という項目がありますが、 この中で18及び28パラグラフに含まれる勧告の実施に関する書面での情報提供を2年以内 にということが盛り込まれています。ちなみに、パラグラフ18は民法改正に関するもの ですが、28につきましてはページで申し上げますと、6ページの上から二つ目の28パラグ ラフの中で、項目としては「暫定的特別措置」という項目です。パラグラフ28の最後の 方から、学界の女性を含め、女性の雇用及び政治的・公的活動への女性の参画に関する 分野に重点を置き、かつあらゆるレベルでの意思決定過程への女性の参画を拡大するた めの数値目標とスケジュールを設定した暫定的特別措置を導入するよう要請するという 形になっています。このような項目については、2年以内にフォローアップということで、 先んじて報告を提出するというのが特徴的であると思います。今後、これは厚生労働省 の所管部分のみならず、政府各省庁の所管部分も含めて、各項目で要請されている内容 についての精査を行いまして、その必要に応じて対応を講じていくことになると考えて います。  また今回、分科会でお配りした趣旨にも絡むのですが、最後の14ページの58パラグラ フですが、「周知」という項目がありまして、委員会からこの最終見解を日本国内で広 く周知させることを要請しています。このようなこともありますので、私どもとしても、 いろいろな機会を捉えて、この最終見解の内容についての周知を図っていきたいと考え ています。私からの説明は、以上です。 ○林分科会長  このセダウCEDAWの最終見解について、ご意見・ご質問等がありましたら、お願いしま す。山口委員。 ○山口委員  内容自体はこの場で議論をするものではないかと思いますが、日本では今までこのセ ダウCEDAWの存在自体もなかなか国内的には知らされることもなく、大変有意義で重要 な会議ですが、非常に国民的な関心度が低かったということが、この58パラグラフにつ ながっていると思います。今回は80名を超えるNGO女性団体の方たちが、直接ニューヨ ークのセダウCEDAWに参加して傍聴行動をしたということがニュースで取り扱われたり、 新聞記事になったりで、少し関心度が上がっていると思います。先ほど全体的に国全体 でこの内容について精査して今後の対応を進めるということを調査官から伺って、大い に期待するところです。同時に、もともとは均等法の成り立ちの大きな基になっている 女子差別撤退条約そのものを、もっと日本全体で重く受け止めるような方向に私どもも 進めますし、国としても進めていただきたいという要望です。 ○林分科会長  今のお気持ちは皆共通ではないかと思いますが、特にご意見としてお伺いしておくと いうことにとどめたいと思います。これは審議ということではないので、他にご質問等 がなければ、本日の議事はこれで終了したいと思います。  最後に、本日の署名委員は山口委員と中西委員にお願いしたいと思います。どうもお 忙しい中、ありがとうございました。これで終了とします。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)