09/09/30 第27回社会保障審議会少子化対策特別部会議事録 日時:2009年9月30日(水) 17:00〜19:00 場所:中央合同庁舎4号館 共用108会議室 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、岩村委員、内海委員、駒村委員   佐藤委員、篠原委員、庄司委員、杉山委員、宮島委員、山縣委員   吉田委員  参考人(オブザーバー)   社団法人日本経済団体連合会経済政策本部長   藤原参考人(高尾委員代理)  参考人(ヒアリング)   NPO法人フローレンス 代表理事          駒崎 弘樹参考人   全国病児保育協議会会長              木野 稔参考人   全国病児保育協議会副会長     稲見 誠参考人  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   杉上虐待防止対策室長、朝川少子化対策企画室長   定塚職業家庭両立課長、真野育成環境課長   依田児童手当管理室長、今里保育課長、宮嵜母子保健課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について  ・病児・病後児保育について 等 配付資料:  資料1-1  駒崎参考人提出資料(1)  資料1-2  駒崎参考人提出資料(2)  資料2   木野参考人提出資料  資料3   病児・病後児保育について 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から「第27回社会保障審議会少子化対策特別部会」を開 催いたします。委員の皆さまにおかれましては、お忙しい中お集まりくださいまして、あり がとうございます。  会議に先立ちまして、事務局より、資料確認と委員の出席状況に関して報告をお願いいた します。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配布させていただいております資料の確認をさせていただきます。最 初に議事次第がございまして、その下に資料1-1としまして駒崎参考人から提出していただ いた「NPO法人フローレンス」と下の方に書いてある資料、その下に資料1-2としまして 同じく駒崎参考人から提出していただいた資料で新聞記事の資料、その下に資料2としまし て木野参考人からご提出いただきました「病児保育事業の現状と課題」と書いてあります資 料、その下に資料3としまして「病児・病後児保育について」と書いてある資料を配布させ ていただいております。もし、不足等がありましたら、事務局へお声掛けいただければと思 います。  委員の出席状況でございますが、本日は大石委員、清原委員、高尾委員、野呂委員、山本 委員から都合により欠席とのご連絡をいただいております。駒村委員は、まもなく到着され ると思います。それから、駒村委員、庄司委員は途中で退席される予定と伺っております。 なお、本日ご欠席の高尾委員の代理としまして、社団法人日本経済団体連合会経済政策本部 長の藤原清明参考人にご出席いただいております。ご出席いただいております委員の皆さま 方は定足数を超えておりますので、会議は成立しております。  次に、本日参考人として本部会にご出席いただいております有識者のご紹介をさせていた だきます。  まず、NPO法人フローレンスの代表理事をしておられます駒崎弘樹参考人でございます。  次に、全国病児保育協議会の会長をしておられます木野 稔参考人でございます。  同じく、全国病児保育協議会の副会長をしておられます稲見 誠参考人でございます。  それから、駒崎参考人は途中で退席される予定と伺っております。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議事に入ります前に、本日ご欠席の高尾委員の代理としてご出 席いただいております社団法人日本経済団体連合会の藤原清明参考人の出席についてお諮 りいたします。  ご異議はありませんでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、最初に病児・病 後児保育について駒崎参考人からご説明をいただきまして、皆さまにご議論をお願いいたし ます。次に、病児・病後児保育について木野参考人からご説明いただき、さらに事務局より 説明をいただいた上で、皆さまにご議論いただきたいと思います。  それでは、まずNPO法人フローレンス代表理事の駒崎参考人より、15分程度でご説明を お願いいたします。 ○駒崎参考人  皆さま、こんにちは。ただ今ご紹介にあずかりましたNPO法人フローレンス代表理事の 駒崎と申します。これから15分間で、私どもがしている病児保育の仕組みについて、それ から、一体どのような病児保育の仕組みがこの日本に求められているのかという話を、駆け 足でしたいと思っております。こちらのスライドでお話しさせていただきたいと思いますが、 皆さまのお手元にも全く同じものがございますので、それをご覧ください。  まず、簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。私は現在30歳ですが、これを 始めたのが6年前です。母がベビーシッターをしていたときに、母が受け持っていた双子の 子どもの母親が、子どもが熱を出したので看病して会社を休んだら、その会社から解雇され てしまったという話を聞きまして、非常に不公正だなと思ったことがきっかけでした。子ど もが熱を出すのは当たり前のことですし、親が看病してあげるのも親として当たり前のこと にもかかわらず、それで職を失ってしまうというのは、世界第2位の経済大国にしては非常 に恥ずかしいことではないかと思いまして、これを何とかしたいというところからフリータ ーになって、このNPOを立ち上げたというきっかけがございます。  この病児保育問題は、「保育の闇」などというニックネームが付いているように、非常に 社会的な取組が遅れております。この病児保育は病気の子どもを預かるということで、一般 的には非常に重い症状の子どもを預かるという印象があるのですが、風邪や発熱など軽度の 突発的な状況で子どもを預かってケアすることです。本当に重い症状の子どもは病院に入院 しますので、その手前で、保育園に行けないけれども元気だよという子どもを預かるという 理解をしていただければと思います。  さまざまなデータで裏付けされているように、病児保育というのは非常にニーズが高い。 裏を返せば困っている方が多いという現状です。しかしながら、実際に厚生労働省が補助金 を出して全国に病児保育の施設をつくっている状況ではありますが、こうした施設は全国的 にも非常に少ない。この資料では1,100か所となっていましたが、これは多分保育園で少し 体調の悪い児童を預かるというのも入れて、つまり体調不良型も入れて1,100か所だと思い ます。実際にこのような医療機関併設型であるとか、そういったプロパーの病児保育の施設 は640程度だと認識しております。ですから、保育園全体が2万4,000か所あるのに比べ て非常に少ない数しかないと認識しています。これが、なぜ増えないかというのは、後で全 国病児保育協議会の皆さまがお話しされると思うので、私からは何も申し上げませんが、私 は基本的に補助金に問題があると考えます。  このように国の仕組みがうまく作動していない状況において、何か民間でできないかと考 えまして、私どもがやり始めましたのが施設を持たない非施設型という仕組みでございます。 そしてお金のいただき方を共済型にいたしました、どのような仕組みかといいますと、この ように困っている働く親御さんがいらっしゃった場合に、私どものオフィスにご連絡いただ きまして、私どもは地域に「こどもレスキュー隊」という子育て経験のある方々、あるいは 保育経験のある方々をネットワークしまして、この方々が子どものところへ駆けつけます。 レスキューに行きます。そして子どもをタクシーに乗せて、この子どもの地域のかかりつけ の医師、その子どもをよく診ている医師のもとへ搬送し、医師が「預かっても大丈夫だよ」 というゴーサインを出してくださったら、こどもレスキュー隊員の家あるいはその子どもの 家で預かるという仕組みです。つまり、何かしらの施設を造るのではなくて、既にある家を 施設にして預かる仕組みになっております。また、預かっているときのリスクも存在します ので、地域の小児科医の方々に提携医になってもらいまして、預かっているときに電話等で アドバイスをいただけるという仕組みを作りました。  お金のいただき方は、月々、月会費を払っていただきまして、その月会費を払っている方 は月1回まで無料といういただき方です。普通は1時間いくらというベビーシッターのよう な仕組みにするところですが、病児保育は非常に手間暇がかかる割に採算性がとりにくいと ころがありましたので、使わないで月会費を掛け捨てて無駄にしている人もいるけれども、 たくさん使う人の利用料をそこで補っているという共済的な仕組みを使って、一人一人の負 担を減らしているというような工夫をしております。お金のいただき方は共済型です。使わ なければ月会費は下がっていきまして、使えば上がるという方向でやらせていただいており ます。  これが現場の様子です。このような形で、子どもを預かっております。  このような仕組みを2005年4月から東京都江東区、中央区で始めまして、現在東京23 区に広がりをみせておりますし。来月からは千葉県浦安市、来年度からは神奈川県に展開し ていく予定になっております。また、フローレンスで勤めてくれた人が大阪にのれん分けと いう形で、大阪にフローレンスのようなNPOを立ち上げてやっていこうということを今、 しています。少しずつ全国に広げていくというようなことを民間非営利ベースでやらせてい ただいています。  ここまでが、私が何をしているのかという事業の説明でしたけれども、私が現場から考え る現状の病児保育の業界の問題点は、主に三つあると思います。一つが施設補助金の問題で す。そして二つ目が施設の委託対象に柔軟性が欠けているという問題です。三つ目が非施設 型を厚生労働省もファミリー・サポート・センター事業として委託しておられますが、そこ には大きな問題がありますよという三つの問題です。  個別に説明しますと、まず施設の補助金が非常に少ないということです。これは現状の補 助金額ですが、のべ預かり子ども件数に応じて補助額が決まります。そうすると、これを今 の東京都平均の数字を当てはめると、今年度の補助金改定によって事実上、補助額が切り下 げられてしまっている状況になっています。年間700万円程度で施設を運営しなくてはい けない状況になっておりますので、今年度の初めに厚生労働省は少しおかしいのではないで すかということを申し上げまして、変えていただいたのです。変えていただいたのですけれ ども、それでもなお、この補助額は下がっている状況になりますので、このままいくと多く の施設は、ただでさえ少ない補助金をさらに切り下げられてしまうという問題を抱えてしま います。これが問題の一つ目です。  もう一つは、委託対象の問題です。今、厚生労働省は医院併設型で施設をどんどん造ろう としていますが、小児科にとってはとても重い事業です。実際に受診とか子どもを診ること をしながら全く別の病児保育という事業をしなければならないということで、かなり重い事 業を小児科に課しているという状況になっています。  三つ目の問題は、ファミリー・サポート・センターに180万円を付けて病児保育をやっ てもらおうということを厚生労働省は考えておられるのですが、まず補助額自体が非常に少 ない。180万円では人1人を雇えません。それで病児保育もやってほしいというのは、なか なか無理があるのではないかということです。それから、そもそもファミリー・サポート・ センター事業というのは善意を前提にして、空いた2時間、3時間を使って預かってくださ いというマッチングの仕組みです。しかし、病児保育は朝から夕方まで10時間近くずっと 預かり続けるということで、マッチングの範囲を超えています。どこかの事業所がしっかり 責任を持ってリスクマネジメントをして、ようやく成り立つようなヘビーな事業です。です から、それをファミリー・サポート・センターに軽く委託してしまうということが、どれだ け危険なことか、おわかりいただけると思います。  さて、それに対する対案を考えました。まず補助テーブルを見直してくださいというのが 一つ。二つ目は委託対象をもっと広げましょうということ。最後に、もちろん今のファミリ ー・サポート・センター事業をやめろとは言いません。しかし多くの事業者が参入できるよ うに、非施設型病児保育の範囲を広げていってはどうでしょうかという提案です。  まず補助テーブルはこのようにしましょうということで、基礎補助がまずあって、そこへ 成果補助が乗る2階建ての補助システムにしていこうではないですかということです。エク セルを使って一生懸命このような形で補助テーブルを作ってみました。東京都の平均値を当 てはめてみますと、現状の840万円から1千万円の補助に上がりますので、1千万円あれば 施設型の人たちも今は9割が赤字という状況ですけれども、かなり改善されるのではないか と思います。そうすると全体が上がってしまうと思われるかもしれませんが、全体の補助枠 は変わらない、もしくは微減でこの施策は実行できます。これをシミュレーション・計算し てみたのですけれども、これは東京都のデータですが、現状の補助総額が5億1,700万円で すが、それが今の補助金改悪によって3億8,000万円にまで下がってしまいます。しかし、 フローレンス試案の補助テーブルを実施することによって5億1,400万円程度で実現でき ることになります。これはなぜかと言いますと、ほとんど稼働していない4割の施設があり ますので、そのような所の補助金は厳しく切っていき、そしてしっかり真面目にやっている 施設に対しては手厚くというようにメリハリを付けることによって同じ補助金で、より大き なパフォーマンスを実行できると考えているためです。補助テーブルをこのようにしましょ うということです。さらに、開設初年度は知名度も低いので固定にしてあげて、次年度から は実績を見ていきましょうということなどが追加ルールで考えられます。  また、施設の委託対象は今、病院か保育園に限ってしまっているのですが、これは非常に もったいないことです。病院が直接運営しなくても、病院がNPOと組んで委託するという ことは十分可能なのです。その実例を今年の7月からやってみました。どういうことかとい いますと、品川区にある酒寄医院という小児科の2階に病児保育の施設を造ったのですけれ ども、この運営はNPOフローレンスが委託されています。つまり、これまでなら品川区か ら酒寄医院で、酒寄医院が運営しなければいけなかったところを、酒寄医院からNPOに再 委託して、NPOが運営等の責任をすべて取るという形でこの新しい病児保育施設「まちか ど保健室しながわ」は運営されています。これによって何が良いかというと、医師は診察す るだけでよいのです。診察して預かる保育士をマネジメントしなければいけない。あるいは 看護師をマネジメントしなければいけない。保育士が辞めた。労務管理などという面倒なこ とはNPOのような業者に委託できるということで、負担が非常に少ない形で病児保育施設 が運営できます。つまり、運営の主体を病院や保育園という形で厚生労働省が縛ってしまう のではなくて、広げることによってさまざまなコラボレーションが可能になります。それに よって病児保育施設への参入障壁が下がり増えていくことが考えられるわけです。  さらに、ファミリー・サポート・センターにそのまま委託するのもよいのですが、ファミ リー・サポート・センターだけでなく、多くのベビーシッター企業あるいはフローレンスの ような保育をやっているNPOもあります。そのような所がしっかり担い手になるようにし た方がコストがかからないのではないかと思います。1例を挙げますと、「病児保育バウチ ャー」というものを東京都千代田区が実施しています。このように、ファミリー・サポート・ センターに定額をポンと何百万円かのお金を渡してしまうのではなくて、市民・区民が使っ た分の一部を補助しますよという形にした方がコストは少なくて済むし、かつ使われた分だ け税金が使われますので、無駄金を事業所に払わなくて済むことになります。ですから、こ のような病児保育バウチャーのようなものをうまく活用しながら、既にあるNPOやベビー シッター会社の参入を促すというような方向で考えられれば、より大きな効果が見込めるの ではないかと思います。  施設型病児保育の補助金を改定し、非施設型を振興することによって、この病児保育の網 の目が広がっていき、多くの病児保育運営者が出てきて病児保育が当たり前の社会的インフ ラになっていく。当たり前の社会的インフラになっていけば、それだけ両立というものが簡 単になっていきます。そして、子育てと仕事の両立をしやすい日本社会につながっていくと 思いますので、厚生労働省の皆さま、そして委員の皆さま、ぜひこの件を前向きにご検討い ただけたらと思います。今日は、ありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。通常ですと、ご出席参考人のご説明をすべてお聞きしてからま とめて質疑応答をいたしますが、駒崎参考人はこの後にご予定があるということで、ただ今 のご説明に対して皆さまからご質問をいただきたいと思います。お時間は、これから20分、 17時40分までは大丈夫ということですので、ご質問は幾つかまとめていただければと思い ます。どうぞよろしくお願いいたします。  では杉山委員、お願いいたします。 ○杉山委員  申し訳ありません。途中からの入室でしたので前段の方でお話があったかもしれないので すが、それはご容赦ください。  幾つかありまして、一つは駒崎さんが事業を立ち上げた当時から頑張っておられるご様子 を見させていただいていて、本当によくぞここまで頑張って来られたなと思っております。 特に非施設型は、やはりこれからは病児保育を進める上では大事なポイントだろうと思って いるのですが、なかなか広がらない理由と、それから、どうしても医師等はご心配されるこ とが多いと思います。その部分のリスクをどのように対処していけば非施設型は進んでいく だろうかという辺りのアドバイスをいただければと思います。  それから、保険方式を使っていらっしゃるということで、月の負担はどれぐらいなのか。 具体的な数字を上げていただければと思います。  あと、これは残念な話ですが、今、駒崎参考人は特に補助金の辺りでお考えということで すが、私としては、できれば一番望ましいのは、子どもが病気のときはご両親のどちらかが 仕事を休んで子どもを看るのが理想だろうと思いますが、それがかなわないので病児保育が あると認識しています。その関係からいうと、国がこれを進めるというよりは企業がもっと 負担するべきではないかと思っています。その辺りのお考えをお聞かせいただければと思い ます。以上です。 ○大日向部会長  他に、ご質問はいかがでしょうか。  では佐藤委員、それから篠原委員の順にお願いいたします。 ○佐藤委員  施設型か非施設型かといったときに、保育園に通っている方の病気の発生というのは、そ れほど多くはないですよね。そうすると、もともと施設型がなじまないのか。病児保育をや るのは施設型よりも非施設型の方が良いのではないかという気もしないでもないのです。そ れについてです。  もう一つは、今の杉山委員の話にもあったのですが、確かにご両親が休まれるのが良いの ですが、その日は普通は休めないですよね。ですから、利用される方は、その日は預けるけ れども次の日は休む。一般的にはこうなるであろうと。もちろん休むのですが、朝熱を出し て、その日休むというのは難しいだろう。でも次の日は休めるのであればもちろん休む方が 良いのですけれども、利用者はどのような状況で使われているのかを教えていただければと 思います。 ○篠原委員  本日はどうもありがとうございました。今、二人の委員からもいろいろ話があって、やは り母親も父親も自分が休んで子どもを看たいと思っているけれども、残念ながらそのような 状況にないので、このようなサポートが必要だということは理解しておりますし、やはりこ のような病児・病後児保育のサポートは何らかの手だてをしなければいけないと思っており ます。  その中で、父親・母親にとって大きな応援団の一つかなと思っているのですけれども、私 が質問したかったのは、「こどもレスキュー隊」の皆さんの雇用関係といいますか、例えば 何人ぐらい常駐しているとか、どこかへ電話をすればすぐ来てくれるとか、その辺りのとこ ろを少しお話しいただければと思います。 ○大日向部会長  とりあえず、質問は庄司委員それから内海委員で一度切らせていただきます。 ○庄司委員  大変貴重なご報告をありがとうございます。かねがね、この領域は非常に展開が難しいと いう中で、特徴ある新しい考え方でやってこられて、ものすごく多くの人が関心を持ってい ると思います。  今の何人もの委員のご質問の中に私自身の質問もかなり含まれていますので、それに補 足・追加させていただくことになりますが、病児と病後児、他にも体調不良児というのもあ りますが、特に病児・病後児について、多分今までのご経験の中で少し違う局面があるので はないかと思います。特に私の感じからすると、病後児というのは保育園の子どもの親は皆 同じように定型的に悩むものとしてあると思います。そういうことと病児とで、何か違った 考え方でシステム的にも対応するということがあり得るのか。例えば医師中心の、特に医院 併設の所でないと難しいとか、病後児の場合はある程度定型的に推移することが考えられる ので対応しやすいとか。例えば施設型と今の在宅で機能分担とか。何かそのようなお考えが あるのかどうか、少しお尋ねしてみたいと思います。  他にもありますが、時間のこともありますので。 ○大日向部会長  すみません。では、内海委員。 ○内海委員  ありがとうございました。今まで「こどもレスキュー隊」で派遣された子どもののべ人数 と、それから何かトラブル。それと保育園のように母親たちが働いている間預かるわけです から、食事や服薬、スタッフのスキルトレーニングとか、その辺は会費を払えば本当にすべ てこのようにいくのか。かかりつけ医がいつも休んでいないわけではないので、その連携は 確かに行われているのか。提携小児科医というのは、私は23区内ですけれど、そんなに広 がりがあってどれぐらいの件数が提携しているのか。その辺のところをお聞かせいただけま すか。 ○大日向部会長  たくさん出ましたが、この辺りでよろしいでしょうか。  私も一つだけ。今の内海委員のものに追加して、レスキュー隊の方々をどのように募集さ れていて、どのような形で応募があって、研修をどうしていらっしゃるのかをお答えいただ ければと思います。  たくさん出て申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。 ○駒崎参考人  的を射たご質問をありがとうございます。まず、施設は病児保育になじまないのではない かという佐藤委員からのご質問ですが、この領域は何十年か前に施設を立ち上げられた先人 の方々があって、積み重ねられてきた領域だと思いますので、そういった意味で施設か非施 設かという二者択一ではなくて、両方がどのように連携していくのかという新しいフェーズ にそろそろいかなくてはいけないのではないかと私は感じています。実際に施設定員4で5 人目はどうするのだといったときに、では施設がカバーにいくとか、あるいは非施設でなか なか預かりづらい重度の子どもを施設に運んであげるとか、さまざまな形のシナジーを実は 埋める可能性があると思っています。しかし、残念ながら施設の業界と非施設の業界とは、 そこまで連携してはいません。それは厚生労働省の部署が違うということももちろんありま すし、またカルチャーが違ったりということもありまして、なかなか両者の融合はできてい ません。ただ、私どもは品川区と港区から病児保育の施設を運営委託されて、自分の団体内 でそれを今、実験的に試しています。例えば品川区で病児保育だ、「まちかど保健室しなが わ」がいっぱいだ。そのようなときに、では私どものレスキューで預かりますというような ことは実験して成果は出しています。非常に大きな成果を得ています。ですから、今後の病 児保育業界は両者の融合と連携、そして新たなインフラづくりというのが新しいテーマでは ないかと個人的には思っています。  そして、利用者の方の状況の質問がありました。今、東京23区で900世帯程度の働く親 御さんに対して大体のべ3,600回、つまり3,600人の子どもをお預かりしています。幸いな ことに事故は一度もありませんでした。ただ、病院に運ばざるを得なかったような事例とい うのはあります。例えば熱性けいれん、いわゆるひきつけを起こしてしまった状況において、 すぐに親御さんに連絡をとって大きな病院に搬送したことは4回ほどありました。そうした 状況の中で、リスクマネジメントには最大限の注意を払いながらやらせていただいておりま す。この利用者はどのような方かといいますと、基本的にはお二人とも働いている方。ある いは学生と働いている方のカップルです。大体月会費平均が7,000円程度です。使わなけれ ばどんどん下がっていきますし、使っていけば上がっていくという仕組みになっています。 ただ、この7,000円という額も、両方の方が働いていれば負担はそこまで大きくはないので すが、ひとり親家庭にとっては、かなり重い負担になってしまいます。私たちも利用料金、 この月会費を下げてあげたいのですが、補助が1円も入っていませんので、自分たちできち んと経済的に自立していかなければいけません。しかし、ひとり親の方々に対しては安価な 月会費を提供したいと思いましたので、ひとり親パックという新しいサービスを始めました。 これは月1,000円を払っていただければ、普通のフローレンスのパッケージと同じようなサ ービスを提供するというものです。これはもちろん赤字なので、原資はどうしているのかと いいますと、寄付をいただいています。月々1,000円を払ってくれる寄付会員が8人いれば、 1人のひとり親世帯を救えるということで、全国に対して寄付会員、私たちはサポート隊員 と呼んでいますが、その方々を募集しました。現在大体180人くらいのサポート隊員が集 まって、それのおかげで大体50世帯ぐらいのひとり親の方に安価なひとり親パックを提供 できています。この辺に関して、再配分施策に関しては、今はそういった寄付を頼らなくて はいけない状況ですが、ここで補助やあるいはさまざまな何らかの公的な資金等が入れられ れば、もちろん料金は下げられ、多くの人を助けられるのではないかと思っています。  「こどもレスキュー隊員」の雇用関係について、ご質問がありました。私たちの「こども レスキュー隊員」は大体36名程度いるのですが、そのうちの3分の1はケアビルダーとい うフルタイムの保育士です。つまり病児保育があってもなくても月給を払っている人です。 この人たちはもちろん正社員として雇用しています。そして残りの二十数人の方たちは、地 域レスキュー隊員といいまして、シフトをあげてもらって、そのシフトに入ったときに、仕 事があったら仕事を振りますよという登録型の仕組みですが、これは通常のベビーシッター 会社が、それに対して請負という形を採るのに対して、私たちはパート契約をして、しっか りと労働保険等は払っています。ということで、その三十数名に関しては雇用している状況 です。給料に関しては、地域レスキュー隊員は900円から1,300円までレスキューの出動 数に応じて上がっていきます。また、ケアビルダーに関しては、17万円からステップアッ プしていく形を採っています  また、レスキュー隊員の募集策はどのようにされているのかを大日向部会長からいただい たのですが、これはとても悩ましいことで、今はどちらかというと需要の方が多い状況で、 供給のラインをつくっていくのはかなり難しい現状です。ただ、最近は知名度が上がってき たことで、インターネット等を通じて申し込んでくださる方が増えてきました。携帯・PC のホームページを見て申し込んでくださる方が増えてきているのは喜ばしいことです。  また、非施設型病児保育が広がらない理由ということをご指摘いただきましたが、これは 話すと長いのですが、一時厚生労働省で緊急サポートネットワーク事業を制度化していただ き全国でやられたのですが、それが3年で中止されているというバックグラウンドがありま す。そこからファミリー・サポート・センターに非施設型をやってもらう形での政策の推移 があるという状況で、広がらないというよりも今は試行錯誤の段階ではないかと思っていま す。できればこの試行錯誤において、私ども民間でノウハウ等が貯まっていますので、ぜひ 厚生労働省だけでお考えになるのではなくて、民間の事業者等のノウハウ等も使っていただ き政策化していただければ、より広がる仕組みが全国でつくれるのではないかということは 確信しています。  またリスクに関してですが、おっしゃるとおり非施設型はマンツーマンですので、大きな リスクを預かりにおいて抱えています。そうしたときに、私たちは提携医と提携を結んでい まして、何かあったらすぐに医師に電話で相談できる体制を採っています。それをリスクヘ ッジとしています。もちろん保険等にも入っていますし、また預かる前に必ず医師に搬送し て医師のゴーが出たときにお預かりするということでリスクマネジメントしている次第で す。  また、内海委員から、食事や服薬といったものをいただいたのですが、全部お話をすると かなりパンフレット1冊分の情報量をお伝えしなくてはいけないので、簡単にお伝えします と、食事に関しては親御さんに簡単に作っておいていただいて、それを電子レンジで温めて あげるといった形を採っています。服薬に関してもなるべく親御さんに朝飲ませていただき ますが、難しい場合においては私どもが親御さんに許可をいただいて、書面の許可をいただ いて投薬するという形を採らせていただいています。  そのような形で両親の負担がないような形でやっているのですが、最後に、本当だったら 親が休んだ方が良いのではないかという杉山委員のご意見ですが、もちろん休める利用者に 関しては、実際のところ休んでくださっています。というのも、先ほど佐藤委員におっしゃ っていただいたように、初日は自分が休むけれども2日連続は厳しいといった場合に、フロ ーレンス。あるいは病児保育施設もいっぱいだ。ではといって、親御さんはさまざまな選択 肢をもって、その中でなんとか一生懸命やりくりをしているということですので、決してう ば捨て山よろしく、熱を出した子どもをぽんと気軽に預けて、「はい、さようなら」という親 御さんはほとんどいないと断言できます。ですから、もちろん企業に対してはワーク・ライ フ・バランス施策等を強く訴えていき、子育てしやすい職場環境をつくっていただきながら、 しかし同時にセーフティネットがあってこそ、この両立支援が完成するのではないかと思い ますので、この両輪でいきたいと思っています。実際に私どもはワーク・ライフ・バランス のコンサルティングを主にお金のない中小企業に対して行っています。そういったところで 職場を変えながら、しかし本当に困ったときはセーフティネットがあるという状況をつくる ことが、この病児保育問題の解決につながっていくと個人的には思っています。皆さん鋭い ご質問等を、本当にありがとうございます。 ○大日向部会長  丁寧なお答えをいただきまして、ありがとうございます。1点だけまだお答えいただいて いないのは、レスキュー隊の方々に何か資格を設けていらっしゃるのか。研修はどうしてい らっしゃるのかということです。 ○駒崎参考人  すみません。お伝えし忘れてしまいました。レスキュー隊員の方々は新卒の方から67歳 までいまして、元保育士、元看護師、元保健師、元幼稚園の先生あるいは子育て経験のみの 方がさまざまいらっしゃいますので、有資格というのは基本的には問うていません。保育経 験もしくは子育て経験のある方ということで条件化しています。その上で、面接させていた だいて、彼、彼女がしっかりとした適性をもっているかを見て、さらに合格した場合、仮合 格ですが、実際に現場に出てもらって保育をさせて、その保育がしっかりしたものであるか を同僚たちに見てもらって、その中で本当にできるようだったら入っていただくということ ですので、10人申し込んでいただいて実際に現場でいけるのは1人というくらいの狭き門 になります。資格にこだわらないのは、資格があるから良い保育ができるというわけでは必 ずしもないということが、やってみてわかったことでしたので、そこは子育て経験にまで広 げて、「あなたの子育て経験が立派な資格です」ということで、子育て経験のある方にも自 信を持って社会貢献していただくことを標榜してやらせていただいています。ただ、ここで 入っていただいて現場に出ておしまいということで質は担保されませんので、毎週ケース会 議をやって、常に研鑽して継続的に研修していただくことをして初めて質が担保できるとい うことで、最初の導入研修そして継続的な研修を行わせていただいています。 ○大日向部会長  1点細かいことで恐縮ですが、仮採用をした後に現場とおっしゃった、その現場とは何で すか。 ○駒崎参考人  現場は病児保育の現場です。基本的に私どもは実習に重きを置いていまして、先輩レスキ ュー隊員とともに病児保育をして、先輩の様子を見ながら、あるいは先輩にウォッチされな がら病児保育をして慣れていき、自信が出るまで2人一組で行ってやってもらうことをして います。 ○大日向部会長  わかりました。ありがとうございます。 ○庄司委員  すみません、病児・病後児についての何かお感じになっていることがあれば、お時間の許 す限りで。 ○杉山委員  それと財源の話も。 ○駒崎参考人  わかりました。病児・病後児という話ですが、これは医師がどうおっしゃるかわからない のですが、実際私どもは港区で病後児保育施設をしていますが、病児は来ます。そして病後 児もすぐに病児になりますし、病児を預かっていて実は病後児であったということも多々あ ります。ですから、これは医療用語というよりも行政用語だと思いますので、あまり関係な いと思っています。私どもは病児保育ということで言葉を統一してやっています。  財源というのは私どもの財源ですか。それとも国家の。 ○杉山委員  補助金なのか、もしくは企業等の負担をお願いした方が、わかりやすいというか。 ○駒崎参考人  基本的には、これは福祉というか自由競争、完全な市場というのはそぐわないと思ってい ますので、何らかの公的資金が入るのは歓迎です。しかし、公的資金の入り方は非常に問題 です。と申しますのも、病児保育の施設に一括で840万円という形で渡してしまうと、ほ とんど稼動していない施設に対しても一生懸命頑張っている施設と同じだけの公的資金が 入ってしまいますので、それはある程度成果に応じた形、つまり今のような形を採っていた だいた方が良いかと思います。今の水準では非常に低いので、少し上げなくてはいけないと 思います。また、非施設型に関しても何らかの形で、それが補助の形を採ってもよいのかも しれないし、またバウチャーやクーポンのような形を採ってもよいのかもしれません。いず れにせよ、何らかの公的資金が入る必要がありますが、入り方は成果に応じてあるべきであ る。そうでなければ財源、補助も税金ですので、国民の税金を無駄にしないためにも、成果 に連動した形の補助が望ましいと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。まだあるかと思いますが、予定時間は大丈夫ですか。 ○駒崎参考人  大丈夫です。 ○大日向部会長  では、宮島委員。 ○宮島委員  1点だけ。先ほど行政の推移をご覧になっていたとおっしゃっていたのですが、緊急サポ ートネットワーク事業からファミリー・サポート・センター事業の形に変わった部分に関し ては、どのようにお考えでしょうか。つまり、前の制度をどう評価されていて、今度の現状 ファミリー・サポート・センター事業の問題点は先ほどもおっしゃったのですが、どのよう にご覧になっているのでしょうか。 ○駒崎参考人  まず、緊急サポートネットワーク事業は補助の仕方が成果と連動していないので、頑張っ ているところも年間13人しか預かっていないような団体にも同等の補助が出ていたという のが問題でしょうということです。あとは、基本的に厚生労働省が助成財団でしたか、何か 外郭団体に投げて、そこから各事業者に出していたのですが、そこに全くノウハウがなかっ たので、基本的に受けた事業者もとても困ってしまうということもありますので、そうした ノウハウのない外郭団体に丸投げして事業をするのはいかがなものだろうと思いました。で すから、緊急サポートネットワーク事業が改まるというのはよかったと思ったのですが、そ れでそのままファミリー・サポート・センター事業にえいっとくっつけるのは、何だなとい うのは思いました。「何だな」というのは、先ほどのように180万円あげるからやってよと いうのはさすがに難しくて、もう少ししっかりとした財源を付けないとリスクは非常に高い ので、しっかりとしたスタッフが少なくとも2、3名のチームでかっちりやるというものを 下支えするくらいの補助がないとできませんということと、ファミリー・サポート・センタ ー事業そのものの性質がマッチングですので、10時間預かることを許容する人がどれだけ いるのかということと、例えいたとしてもその人にしっかりバックアップのシステムを作っ てあげないと、なかなかリスクが高いまま、何かあったらマッチングしただけですよという ことで、責任を逃げられるかといったらそんなことはないので、しっかりとそこはほとんど 別事業だと思って、体制をつくっていく必要があると思っています。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか。予定の時間を過ぎましたが、駒崎参考人におかれましては貴重なご 意見をいただきまして、どうも本日はありがとうございました。  それでは、次に全国病児保育協議会会長の木野参考人より、20分程度でご説明をよろし くお願いします。 ○木野参考人  全国病児保育協議会の木野です。本日はこういう機会を与えていただきましてありがとう ございます。資料にあります図を少しスライドにしていますので、スライドを説明しながら、 お話しさせていただきます。  私ども全国病児保育協議会は平成3年に厚生省の研究班の調査研究を行う受け皿として 結成されました。当初は14施設でしたが、現在423の施設で運営しています。会員の8割 近くが医療機関併設型で、先ほどから話にある施設型の医療機関併設型が多いです。  当協議会では会員施設事業所の連携、そして事業に関する協議・調査研究・広報などを行 っていますが、一番主なものは事業従事者の研鑽です。全国病児保育研究大会を毎年開催し ていまして、今年は千葉で行いました。その他、各県支部、ブロック研修会を行っています。  次に、私どもの病児保育の理念です。少子高齢社会の現代日本において、子育てで最も親 が困難を感じるのは子どもが病気のときです。子どもが病気をすると、親は非常に不安に陥 ります。親とともに看病を手助けしながら保育の適否や保育形態の選択について、子どもの 利益を最善にする方法を講じるシステムが必要となります。  病児保育とは、単に子どもが病気のときに、保護者に代わって子どもの世話をすることを 意味しているわけではありません。子どもは、健康なときはもとより病気のときでも、身体 的にも精神的にも、発達のニーズを満たされるべくケアされなければいけないと考えていま す。  病児保育事業は、子どもの立場を代弁する専門家、医師、看護師、保育士、栄養士等が、 子どもの健康と幸福を守るためにあらゆる世話を行う、子育てのセーフティネットの役割を 担っていると考えています。  病児保育事業の歴史と施設の推移を図1に示します。長らくエンゼルプラン・新エンゼル プランの中で、乳幼児健康支援一時預かり事業として、母子保健課の主管で事業が展開され ました。病院・診療所における病児保育、それから派遣型、訪問型、保育所における病後児 保育、さらには平成19年から保育園自園型という形態があり、非常に多様な受け皿がある というのが一つの混乱の元かもしれません。平成20年度から保育課に移管され、「病児対 応型」、「病後児対応型」、「体調不良児対応型」の三つの形に再編されました。その間、補助 金の方式も非常にめまぐるしく変わり、施設数としては平成21年度末目標数の1,500には まだ届かない状況です。図2に病児保育事業実施数と協議会の加盟割合を示しますが、先ほ ど申しましたように、当協議会で医療機関併設型が非常に多く、保育所型の加盟率は半分以 下です。  病児保育事業の現状と問題点につきまして、平成20年度国庫補助ベース病児・病後児保 育事業実施状況及び当協議会が今年行いました全国病児保育施設の利用実績及び運営状況。 それから私どもの施設がある大阪市と病院併設型病児保育室の利用状況と稼動実態につき まして報告します。  図3は厚生労働省からいただいた平成20年度末の国庫ベースの事業実施状況の一覧です。 体調不良児型は除いています。全国に展開しておりますが、東京都、大阪府、福岡が突出し ており、病後児保育型が病児対応型の1.5倍の数になっています。体調不良児型を除くと平 成20年度末で845です。  当協議会が行いました平成20年度病児保育利用実績調査を図4,5に示します。197施 設から回答があり、定員4〜5名の中規模がほとんどです。また定員6〜9の大規模、10名 以上の特大規模もあります。年間利用実績と施設数をグラフに示しますが、年間600人以 上、1,000人以上、2,000人以上という利用実績の高いところもある一方、600人以下が半 分あり、中央値は538人になっています。稼働日数は280日です。図6は、病児保育実績 の大きい事業所の全国分布を見た図ですが、左の方は、黒が平成20年度実績で1,000人以 上預かった事業所が存在する県。グレーの部分が600人以上という、いわゆる実績のある 事業所はどの県にあるかという図です。右には平成20年度の国庫補助ベースでの病児対応 型が存在しない県を記していますが、対比して見ていただきますとわかりますように、病児 対応型が存在しない県には利用実績が大きいところは存在しないという関係になっていま す。図7に医療機関との連携の有無と隔離室の有無を示します。調査施設のほとんどは医療 機関併設型ですので、医師との連携は92%であります。医師との連携といいますのは、診 察をして病児保育を利用してもらうということです。また、隔離室についても85%は有し ているということです。図8は、利用できる対象児別の施設数ですが、ほとんどの場合、所 在地の市内及び市外とも園児であろうがなかろうが、いわゆる全員登録の上、預かっている というところが多かったです。また給食についても、図9の状況についても、すべての給食 を提供しているところが最も多く、一部保護者持参というところもありました。図10に示 しますように、1日当たりに徴収する利用料金は、ほとんどが2,000円。3,000円未満です。 病児保育の施設型では、利用の予約を受け付けますが、予約をしても当日キャンセルされる 方が非常に多いです。その場合のキャンセル料を徴収するかどうかですが、図11に示しま すように、ほとんどの施設はキャンセル料を徴収していません。また病児保育事業を対象と した保険には93%が加入していました。年間約6万円程度です。図12は補助金の金額です が、調査しました平成19年度および20年度の補助金は600〜800万円未満が一番多く、中 には補助を地方で上乗せ負担して、1,000万円、2,000万円以上というところもあります。 また平成19年度から20年度では補助金の増額が見られています。図13は運営収支ですが、 黒字は4%。おおむね0が32%。赤字が64%でした。赤字金額は図14のように、100万円、 200万円、300万円が多かったです。赤字の主たる原因としては人件費です。図15では、 赤字の割合を地域別及び規模別に見たわけですが、政令指定都市のある都市部、それ以外の 地方都市を比べてみますと、赤字のある割合は変わりませんでした。一方、定員規模により まして、小規模から大規模、特大規模と分けますと、規模が大きくなるにつれて、赤字の割 合が増えていました。  図16では大阪市の状況を示しますが、大阪市では平成20年度は25施設の病児保育があ ります。その内20が病後児対応型で、残りが病児対応型です。実績を見ますと、1施設の 平均利用実績は病後児が208、病児保育が831と、1施設当たり病児対応型の方が4倍ほど 多く預かっていることがわかります。  ここからは私どもの施設の状況です。図17に、月間稼動状況を示していますが、季節変 動と年次変動が、流行状況にもよりますが、非常に大きいことがわかります。月によっては 60人前後で、多いところでは120人前後と倍近くになります。病児保育は登録をしながら 利用していただくのですが、毎年新規登録者は350人ほどおられます。しかし350人登録 されて、その年度内に利用されるのは40%程度です。いわゆる登録をして利用されない方 が多いということです。図18に年齢別の利用者数を示します。1歳、2歳、3歳、4歳、5 歳が多いのですが、乳児も6歳以上も預かっています。図19は1回当たりの利用日数です。 1日という方がほとんどで、平均1.4日です。図20は1日当たりの利用人数です。当施設 は定員4ですが、3〜4人のところが多い一方、0のときもあれば、7人預かるところもある ということです。病児保育利用者の約半数は、翌日も利用したいということで予約をされる のですが、図21に示しますように、当日キャンセルをされる方が約30%あります。キャン セル率が高いことも特徴です。実際の病児保育室での保育風景で、隔離室を置きながら行っ ています。  まとめです。全国病児保育協議会において、会員病児保育施設の実態を調査しました。医 療機関併設型で中規模施設が多かったです。年間利用実績は中央値538人、開設日280日 でした。国庫補助で病児対応型事業所が存在しない県には、実績600人以上の利用実績を 有する施設は存在しませんでした。一方、実績1,000人以上の大規模事業所は、東北、北海 道以外の各地に存在し、都市部の人口過密地とは限りませんでした。調査したほとんどで医 師との連携があり、隔離室を有していました。また給食提供等十分な受入体制を整えている 施設においても定員からみた年間稼働率は約50%でありました。年間の収支は64%が赤字 であり、赤字の主たる原因は人件費でした。赤字の割合は、地方と都市部で差はなく、施設 規模が大きくなるほど大きくなる傾向でありました。大阪市では平成20年度に8,279人の 利用がありましたが、「病児対応型」と「病後児対応型」では1施設当たりの利用実績数に 4倍以上の差がありました。大阪市内にある私ども病院併設型病児保育室における稼動実態 では、季節変動および感染症の流行状況の影響を受けて利用は増減し、日々の利用数は0 のときから、定員の倍近くまで受け入れるときもありました。新規登録者数は、毎年約350 人ありますが、年度内に利用するのは40%弱でありました。乳児から学童まで預かってお りますが、1〜4歳の幼児の利用が多く、平均1.4日の利用日数がありました。利用者の約 半数は翌日の利用を予約しましたが、その3分の1は当日に利用をキャンセルしておりまし た。  保育所型の、いわゆる病後児対応の問題点でありますけれども、受け入れる病状に制約が あります。保育所により38℃、あるいは39℃の体温で受け入可能な線を引いております。 また「医療機関併設型」と異なり、医師との連携が不十分であります。常勤看護師が必ずし も配置されていない所もありまして、利用実績が乏しい施設が多いです。  「医療機関併設」の病児対応型の問題点は先ほどからも出ておりますが、人件費も賄えず、 赤字経営を余儀なくされております。また本事業が児童福祉法で福祉事業とされているにも かかわらず、医療機関は福祉施設と認められておらず、利用料や補助金に消費税がかかるな ど税制面で優遇されていません。その結果、必要性が高くても、施設が増えません。  病児・病後児保育事業における問題点ですが、「病児対応型」、「病後児対応型」、「体調不 良時対応型」など多様な形態があり、利用と安全性の確保に混乱が生じております。補助金 額が少なく、多くの施設が赤字経営を強いられています。本年度から実情にそぐわない出来 高払いとなりまして、さらに補助金が減り、このままでは存続できない施設が多くあります。 社会的共通認識と理解が乏しく、利用者のニーズにも応えられず、事業運営の理念が全うさ れていません。  「要望」でありますが、補助金は、基本部分として人件費を考慮し最低でも700万円以 上は必要であります。さらに、実績は大規模になるほど赤字額が増えますので、実績に応じ た加算をすべきと思われます。本事業は子育て家庭に対する国のセーフティネットであるこ とを明確にし、利用料はできればこれまで通りの1日2,000円に抑制しておいてほしいと思 います。最後に、本事業の実施施設を医療の専門性を有した子育て支援センター、社会福祉 施設として位置付けること、その上で社会的な理解が得られる仕組みができることを願って おります。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは続きまして、事務局から「病児・病後児保育について」 のご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料3をお開きいただきまして、簡潔に現状を中心にご説明いたしますが、ま ず一番上の箱の外に、委員の皆さまの資料では黄色い所に書いたものがございます。議論の 前提としまして、当部会でも繰り返し、病児・病後児保育について、このことが議論されて きているわけですが、まずはこの働き方の見直しを進める必要があるということを前提に置 きながら、一方で、保護者が休暇を取得できないという現実も非常にまだ多い現状でござい ますので、そのときに通常の保育所における対応あるいは特別な病児・病後児保育サービス の充実について検討する必要があるという問題認識でございます。  「1.現行制度の概要」は、既に参考人のお話にありましたように、(1)は三つの類型があ るということでございます。1枚おめくりいただきまして、「実施箇所数」については右下 に箱がございますが、欄外に体調不良児型の通常保育所が319か所とありまして、病児、 病後児対応型がそれぞれ表のとおり、それぞれの施設類型ごとにあるという状況です。「利 用の仕組み」につきましては、左下にポンチ絵がございますが、まずは医師の診断を受けて いただいて、その後、病児・病後児の施設に利用申込をして利用するという段取りになって おります。  1枚おめくりいただきまして、「体調不良児対応型」につきましては、これは通常の保育 所で引き続き発熱した場合に預かるというものですが、基本的には「体調不良児対応型」を 行わない場合には、少し発熱したらお帰りいただくところを、ある程度まではお預かりする という流れ図がここに書いてありますが、オレンジ色の所は、ある程度のところまではお預 かりして、もし症状が悪化したらやはりお迎えに来ていただくということでございます。  4ページ目は、これも参考人のご発言の中で何回かご紹介がありましたけれども、ファミ リー・サポート・センター事業において、病児・病後児の預かり事業をやっておりますとい うことで、今年度から市町村単位で取組んでいただいておりますファミリー・サポート・セン ター事業において新しく病児・病後児の預かり事業を開始しております。これまでは、二つ 目の丸にありますとおり、都道府県単位で国の事業として緊急サポートネットワーク事業を やっておりましたが、それはいったん廃止することにしまして、市町村事業であるファミリ ー・サポート・センター事業に移行し、移行期間は2年間おいてあるという状況でございます。 実施状況は、右下にありますとおり、今年度は49市区町村でやっていただいております。  1枚おめくりいただいて5ページ目です。「現状と課題」としまして、幾つか整理してあ ります。まず、一つ目の丸は、通常の保育所を利用している子どもの数は200万人を超え るわけですが、その200万人のすべての子どもに利用可能性はあり、一方で実施箇所数は 「体調不良児対応型」を含めて1,164か所で非常に少ない状況にとどまっております。現実 には病児・病後児保育は子育て世帯が就労継続する上で非常にニーズが高いサービスになっ ており、セーフティネットとして重要な役割を果たしておりますので、実施箇所数の拡充は 不可欠な課題であるという認識でございます。これは※印で書いてありますが、次世代育成 支援法に基づいて、すべての市区町村に行動計画をつくっていただく枠組みがございますが、 来年度から後期の行動計画である新しい5か年計画が始まりますが、その計画づくりを今、 進めていっていただいている中で、新しい病児・病後児保育の発生数の数値目標も定めてい ただくべく、国からも参酌標準を示しながら取り組んでいただいている最中でございます。 箱囲みの「参考1」は、昨年度私どもで行いました100市区町村ぐらいをピックアップして 緊急ニーズ調査をした中で、病児・病後児保育のニーズを聞いている部分がございまして、 約3分の2ぐらいの保護者から「通常の保育所に預けられないことがあった」という回答が ありました。どれぐらい年間で利用したいと思っているかという意向については、年間8 日ぐらいという回答がございます。また、同じ調査で「参考2」にありますとおり、利用し たい、あるいは足りていないと思う保育サービスは何ですかと聞いた質問項目については、 認可保育所とほぼ並んだ割合のニーズがあるという状況でございます。  1枚おめくりいただきまして6ページ目でございますが、これも参考人のご発言の中で触 れていただいているところでもございますが、この病児・病後児保育は、子どもが病気にな った場合に必要になるというサービスの特性上、利用者数の変動が大きいということがあり ます。従って、安定的な経営が難しいという問題がございます。これは、先ほどのご紹介で もありましたとおり、多くの施設が赤字になっているということもあり、箇所数が伸びない 一因として挙げられると思います。最近の推移は下の表のとおりでございます。二つ目の丸 は、駒崎参考人からのご提案にもありましたが、このように実施箇所数の少ない中でNPO による非施設型の訪問型の取組等について、一定程度の利用がございまして、施設型の受け 皿の不足を補っている状況ですが、これは正面から利用の所には公費の補助が入っていない という状況でございます。一番下は、幾つかまとめて書いていますが、病後・病後児の状態 に応じ、通常の保育所あるいは特別な病児・病後児保育サービスそれぞれの受け皿のあり方 を少し検討する必要がある。さらには地域の実情に応じた基盤整備のあり方、これは地方に 行きますと一市町村にそれぞれに病児・病後児施設型が設けられるかというと必ずしも そ うではないのではないかということも含めて、基盤整備のあり方を考える必要がある。その 次は、量的拡大が進みやすいような費用保障のあり方ですが、これは、どうしても赤字体質 になってしまうというところについて、どのような費用保障を考えていったらよいのかとい うような論点で、さらには利用者へのサービス利用保障のあり方ですが、これはどのように 利用者に対して保障していくのか、個人給付構成でいくのか、それとも施設に対する支払補 助という形でいくのか、そのようなことなどについて、実情を踏まえた検討をさらに行って いく必要があるのではないかとさせていただいております。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、以上の参考人および事務局からの説明を受けまして、 皆さまにご質問も含めて、これからご議論をお願いしたいと思います。  佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  全国病児保育協議会の方に、感想と質問なのですけれど、感想は、登録されていて利用す る人が4割ぐらいであると、予約してかつキャンセルが結構多いということですが、私はこ れは良いことだと思います。利用しなくて済めば良いわけですから。親は心配していますか ら。登録して利用しない、あるいは予約して利用しなくて済んだわけですから、これは良い ことなのではないかと思います。要するにこれが問題だということが、どうかなというのが 私の感想です。病児保育ですから、利用しないで済めば一番良いのではないかと思います。 ただ、親は心配ですので、いざというときに利用できるようにしておこうと思うのは当たり 前ではないか。それを前提に考えるべきだと思います。これが感想です。  もう一つ感想ですが、稼働率50%ですけれども、多分定員は4人とか5人が多いという お話ですけれども、当然5割になる仕組みなのです。そう思います。つまり定員4人、5人 で、あるときは1人とか2人しか預からない。あとは7人、8人のときは断わるわけですよ ね。預かれないわけですから。本来はこの中で当然5割になってしまうわけです。本来7、 8人のときに預かれて、1、2人になって年間通じて例えば100人になる。もともとこうい う仕組みなのですから、今のままでは稼働率5割は当然なのです。そういう中で、つまり稼 働率が5割、定員が4人、5人で、人を確保しては当然赤字になる仕組みだと思います。そ のような中でどうするかを考えるしかないのです。そうすると一つは、例えば施設が5人の ところで多ければ広域で調整するか、あとは施設型と連携するか、あるいはもともと定員と しては4人、5人だけれども固定的にいる人は少なめにして、例えば駒崎参考人が言われた 登録型の形でやるか、これしかないのです。ですから、5割だから問題だというよりは、も ともとそういう仕組みなのだと思います。つまり、常に同じように病気になる子どもがいる わけではないのです。そのような前提で設計するしかないのではないかと思います。ですか ら、施設と施設を連携するか、もともと人件費を5人の定員に合わせた固定的に雇うことを 減らすしかない仕組みでやるか、あるいは広域でやるかだと思います。その辺はどのように お考えですか。 ○木野参考人  ありがとうございます。今、感想を述べられましたけれども、私も全く同感であります。 キャンセルというのは、子どもを家でみることができたか、それとも病状が良くなって復帰 されたかということです。しかし、一方運営面からみると、どのようにキャンセルを受けて いるかというと、朝の7時半に電話がかかってきます。そして予約を取ってありますから、 その次のキャンセル待ちのところに電話連絡をして、また受入れるといった、いわゆる事務 的な対応に非常な問題があるということです。キャンセル自体に問題があると言っているわ けではございません。また、登録者のうちの40%しか利用されない。これも私は非常に良 いことだと思います。登録されない方の意見を聞きますと、いざとなれば利用できるという ことで、登録しているだけで安心という方がおられます。ただ、いざとなれば利用できない ということもあるわけです。そのようにキャンセルや流行が増えますと、定員を超えなけれ ばいけないときがあるのです。今、定員を超えて預かることができないと言われましたけれ ども、現在は定員制度がなくなりましたが、私どもは2対1の保育看護でやっております。 ですから、保育士、看護師を手当てできて、スペースさえあれば倍ぐらい扱うことができま す。しかし、隔離をしなければいけない疾患もありますし、非常にそれこそ多様性がありま すので、常に定員を超えて預かることはできません。ですから、定員を中心として考えます と、佐藤委員が言われましたように非常に人員の手当てをしないとやっていけないのは、こ れは構造的なものであると思います。また、キャンセル自体は、実際には子どもにとっては 本当にそれが良いのかどうかわかりません。一人一人追っているわけではございませんので、 熱が下がれば保育所も預かってくれるから、行ってしまったという方もおられるかもしれま せん。それは追跡調査しないといけないかもしれません。大体子どもの病気というのは1日 で治るというのはあまりないのです。よろしいですか。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、杉山委員お願いします。 ○杉山委員  ありがとうございます。保育所併設型のことが12ページにあるのですが、保育園に子ど もを通わせている親の場合ですと、多分そこの保育所で病後児をみてもらった方が安心だろ うと思いますが、そこはなかなか増えてこないという実情があるようで、特に気になったの は「医師との連携が不十分」というのは一体どういうことなのかと思います。  それから、例えば医師の人件費を保育所から払うということは結構難しいといいますか、 医師の人件費は高いと思うので、その部分のネックもあるのかなと思うので、その辺りを説 明していただければということ。  それから非施設型はリスクを横に置いておけば、施設の部分のこともありますので、もう 少し増えても良いのではないかと思いますけれども、その部分で課題として考えていらっし ゃるのはどういうことなのかという部分。  もう1点が、勉強不足で申し訳ないのですけれども、例えばすっと持病を持っている子ど もとか、投薬が毎日必要であるとか、そのような子どもたちに対しては通常はどのようなケ アを保育所と医師の方でおやりになっているのかを教えていただければと思います。  もう1点。最後は駒崎参考人にもお伺いした点ですけれども、例えば駒崎参考人のNPO 法人フローレンスの場合ですと、月7,000円を両親が負担されているということなのですが、 その7,000円を企業が直接負担するとか、そのような形でもう少しワーク・ライフ・バラン スに寄与するという意味でも、国の補助金ばかりではなくて、いろいろなところから財源を 集めていく仕組みがあってもよいのではないかと思いますが、その辺りをどのようにお考え なのか、教えていただければと思います。以上です。 ○大日向部会長  お答えいただいて、よろしいですか。 ○木野参考人  まず、普段通っている保育所の方が良いのではないかと、いわゆる保育所型の病後児保育 の方が安心するのではないかという話ですけれども、病後という話を先ほどしておりまして、 病後児ということで預かる疾患に制限を付けますと利用が少なくなる。ですから、保育所で も病児を預かる仕組みができればよいということで、数年前に研究班でシステム案を出して いるのです。保育所で病児保育をする。それには先ほど言われましたように医師の連携とい いますか、これは嘱託医ではなくて、いわゆる協力医師が必要です。嘱託医というのは現在 では連携は残念ながらほとんどありません。健診のときのみ関わる方も多いですし、嘱託医 にすべてをお任せすることはできませんので、病児を保育所で預かる場合には必ず協力する 医師が必要なわけです。その医師の手当てが出ない。本来は病児保育型でも医療機関型でも 医師の手当てを出してほしいのですけれども、一時期140万円ぐらいという話が出たので すけれども、それも消えてしまいました。ですから、医師との連携は非常に大事なのですけ れども、現在のところ補助金の上では出ていないということであります。  それから、慢性疾患のことも言われましたけれども、慢性疾患に限らず障害児すべて、こ れは研修を受けないとなかなかできるものではありません。普段は、一般の保育園に現在通 われている方もおられます。一般の保育園に通われている方が病気になられたということで 病児保育室で預かるわけです。ということは、一般の保育園でもそのような慢性疾患の方、 障害を持っている方に手当てが必要であるということです。保育所保育指針の改定もござい ましたけれども、一般の保育園でもやはり嘱託医がもう少しかかわれるようなシステムが必 要ではないかと考えております。  企業のことですけれども、大企業ばかりであればよいのですけれども、利用される方の半 数近くが中小企業、パートの方もおられます。ですから、各事業所に対して企業の資金をど のように手当てするかということは非常に難しいと思います。ですから、国レベルで考えて いただくことになると思います。  あと、非施設型との連携は、医師との連携がうまくできれば可能だと思います。しかし、 現在は今、申しましたように保育所での医師の連携もまだままならないときに、非施設型と うまく連携できるのかについては少し不安には思います。 ○稲見参考人  全国病児保育協議会副会長の稲見と申します。私はこのような会合には初めて出たのです けれども、今までもちろんいろいろな討議があったと思いますけれども、私たちがなぜ施設 型をやっているのか、それも2対1をやっているか、つまり2対1保育というのはかなり手 厚い保育なのです。それは子どもの目から見た必要性を考えているわけです。この病児保育 室というのは、やはり社会福祉事業なのです。企業には私は馴染まないと思います。ですか ら、これが会社からお金を取ってくる、駒崎参考人のような方法を採る、けれどもそこには 子どもの目というのが全然入っていないのではないでしょうか。私たちは保育士と看護師が 常にいて、そこに医師が必ず連携した、子どもにとって一番安全で、病気の子どもにとって 楽しくて、親が看るのが当然なのですけれども、それは正論なのですけれども、どうしても 親が看られないことがあります。そういうときに次善の策として子どもに一番良いものは、 私たちが今やっている病児保育だと思っております。  ですから、赤字になるのは当然だとおっしゃいますけれども、私たちはもうこれで5年、 10年、毎年400万円、500万円の赤字を出しているわけです。けれども、子どものことを 考えれば、やはり私ももう少し頑張ろうと思いますし、できれば国はやはりそういう所に援 助を出してほしいと思っております。 ○大日向部会長  他にいかがでしょうか。内海委員、どうぞ。 ○内海委員  ありがとうございました。私も小児科医ですけれども、病児保育をやっている先生たちは、 見るに見かねて赤字を出してやっているのが現状です。見るに見かねてです。このようなこ とをしないで済むなら、忙しいのですから、小児科医療に専念したいのです。けれども見る に見かねて目の前に来ている親子が困っているので。必要だと思いますよね。利用者の数を 見ても1.4日。本当に緊急避難的に預かっているのです。  それで国として、企業もそうかもしれないけれども、全体として必要だと思うのであれば、 小児科がなぜ赤字を背負ってまでやるのをそのままに放置しておくのかと私は思います。こ のままでいくのであれば、一ボランティア的な小児科医が一生懸命質を上げて、この間病児 保育に私も出席させていただきましたけれども、本当に大きな規模で広がったな、一生懸命 やっている人がいるのだということを実感しました。実際、病児保育を医療施設型でやると、 いろいろな所から患者さんがいらっしゃるのですけれども、かかりつけ医の子どもがいらっ しゃることも多いのです。そうすると慣れ親しんだスタッフの所で、慣れ親しんだ先生がそ ばにいるということで、子どもたちの気持ちも安定して、親が看るべきだという正論の次に、 一番安心して子どもたちが健やかに過ごしている病児保育の実態も私は見学しました。  ところが、非施設型だと誰が来るのかわからないのです。それで連れ回されて、そこで密 室で2人でいるということが、子どもの気持ちにとってどうなのか。親は安心するかもしれ ないけれども、もの言わぬ子どもはどう思っているのか。補完的に非施設型がどうしても必 要な場合もあるでしょうけれども、それよりもむしろ小児科が併設で安心して赤字を抱え込 まないでできるシステムをつくらなければいけない時代なのかと私は思います。もちろん親 が看ることが大前提で、看護休暇などもほしいのですけれども、一日ぐらいなら緊急には職 場も大変でしょうから、使い方を見てみると今のところ良心的に使われているということで、 これはやはり私は仲間が赤字を背負ってこのようなことをするから、国が進めないのだとい つも怒っているのですけれども、やはり見かねて、しかも地方の医師の中にはたくさんのス タッフを雇って土地もあってという余裕があるのでやっていますけれど、東京ではスタッフ も1人か2人しか雇っていませんし、そこで赤字を背負ってやることはとても困難なのです。 ですから、そういう意味では、お金を注ぎ込んで企業に働き手を出している、小児科医は子 どもを守りながら雇用支援もやっているわけです。このようなばかなシステムと言いますか、 良いシステムをこのまま放って置けば、ばかなシステムになってしまうし、支えてくれれば 素晴らしい次世代育成支援になります。多分ヨーロッパ諸国では導入されていないし、アメ リカも導入していないと思います。ですから、進んでいる良いシステムにするには国の肩入 れが必要であるし、このまま放置しておけば恥ずかしいシステムだということになりかねな い。そこを今まで私は病児保育の医師たちには「やるからよ」と言ってきたのですが、とて も大きな規模に広がっておりますし、病児保育で過ごしている子どもたち、救われている親 たちの現状を見ると、これは大きな力で動かしてほしいと切に願う次第であります。 ○大日向部会長  そういたしますと、先ほどのNPOのような非施設型の病児・病後児保育はどうお考えに なるのですか。 ○内海委員  小児科で特化するにも、小児科の診療所も限度がありますので、そこを補完するためには 必要かと思います。ただ、システムと医師がどうかかわるのか、本当に大丈夫なのか、スキ ルのこと、子どもたち、利用している親の本音はどうなのか。その辺をもう少し探ってみた いと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、山縣委員、それから宮島委員、岩渕部会長代理もご意 見ということで、続いて3人にお願いします。 ○山縣委員  ありがとうございました、参考人に2点、国に二つの質問をしたいのですけれども。参考 人には佐藤委員の広域型の云々というところに関連してですが、430の会員のうち、130が 事実上広域型の複数自治体にまたがる事業展開をしているという数字、3分の1弱と出てい ますけれども、その際に契約は複数自治体としておられるのか。複数自治体で契約している 場合に、定員はどうなっているのかを教えていただきたい。一つだけが正規契約で、あとは 飛び込み利用といいますか一般利用になっているのか、そういうことになっているのかとい うことの質問です。  それから2点目は、スタッフはどうされているのか。看護師中心なのか保育士中心なのか、 それは保育室に専従なのか、いわゆる看護師であれば、利用者がなければ、病棟勤務等を兼 務しているのか。その辺を教えていただきたいというのが二つ目の質問になります。  それから国には、今の参考人への質問に関連して、定員を分割して複数自治体でこの事業 を行うことが可能なのかどうか。言っている意味がわかりますか。複数自治体と契約すると 考えた場合に、8人にもならない4人のままで2づつの契約でその形で按分して出すような ことは今の制度上可能なのかどうかというのが質問です。  2点目は、これは今日の流れにそぐわないのかもしれませんが、いただいた参考資料にも ありますように、この病児保育その他のところも関係してくるのですが、財源が児童手当の 事業主負担になって、相当占めておりますよね。ここが新しい体制の中では恐らく子ども手 当ができたら児童手当はなくなるだろうし、そうすると財源で事業主負担という発想は残る のか残らないのか、そこをもしわかれば教えていただきたい。 ○大日向部会長  先に木野参考人にお答えいただいてよろしいですか。 ○木野参考人  ありがとうございます。広域で預かっている場合が3分の1ほどあるわけですけれども、 申し訳ございませんが、契約につきましては全部調べたわけではありませんので、ほとんど の場合は契約なしで、利用料に差を付けて預かっているのが実状ではないかと思います。  それから、医療機関にはもちろん看護師がおりますので、いわゆる兼務をしている場合も あります。必ず専属ということではなく、兼務している場合もあります。ただ、預かってい るときには専属ということになっております。よろしいでしょうか。 ○大日向部会長  事務局からはまた後でお答えいただいて。よろしいですか、では、お願いいたします。 ○今里保育課長  複数の自治体という形で実施されているというお話ですけれども、これは私どもから見ま すと、あくまで実施している市町村は一つということです。ただ、そのときに実際問題とし て他の市町村と提携されるなどして、そちらの市町村の子どもも預かっているということは あるかと思います。その場合は利用料をどこからどう取るか、市町村が負担する部分をどう するかについて、市町村の間で取り決めを結ぶことになると思いますので、私ども政府から 見ますと、一つの所で実施しているという形になるかと思いますので、おっしゃったような ところについては、特にと思うのですが。 ○山縣委員  質問がずれた可能性があります。A自治体とB自治体がそれぞれ契約を結ぶ。ですからA 自治体を通じてではなく、同時に結ぶことができないかと。そういう意味です。いわゆる市 町村外にある病院と契約を結べるかどうか。単純に結べるのであれば別に問題なく、2か所 でやっているということになると思います。合わせて1か所分の仕組みということがあり得 るのかどうかと聞いているのです。少し質問がわかりづらくて、すみません。 ○今里保育課長  現時点のやり方では、そのような形は想定しておりません。 ○山縣委員  わかりました。 ○大日向部会長  児童手当との関係で、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  現在、この病児・病後児の財源が何かといえば、今、山縣委員がおっしゃったとおり、児 童手当勘定です。要するに事業主拠出金でいただいている財源でやっている事業なので、そ のとおりです。しかし、今後の子ども手当制度の設計がどうなるか、現時点ではよくわから ないところがありますので何とも言えないわけですが、いずれにしてもこの病児・病後児保 育事業は重要な事業ですので、そのための支援はしていく必要があると考えております。 ○宮島委員  参考人と事務局の両方にお尋ねしたいことがあります。まず参考人に。会の中で、今、か なりの部分を医療機関が担われているということで、これだけの赤字の中で本当にやってい ただいているのだということをあらためて感じるのですけれども、広い意味で見て、小児科 医の方々にきっといろいろなご負担が広がっていて、そもそも医療そのものも、今小児科が 減っているなど、いろいろな問題を耳にするわけです。その中で例えば補助金を増やしたと しても本当に小児科の方々で担っていけるのか。今は病児保育の数がものすごく少なくて、 多分理想どおりに広げるとすれば、やはりものすごい数を増やす必要があると思いますけれ ども、本当に担っていける方法なのか。例えば皆さまから見て、もっと参入する度合いとい いますか、どれぐらいの組織・形ならば参入が可能なのか。先ほどお二人の間で非施設型に 対するのご意見に若干の差があったように思いまして、どれぐらいの条件、どれぐらいの参 入が可能だと思われますか。  あと、現状でファミリー・サポート・センター事業にいっている委託も、やはり数が今ど うしても足りないというところで考えたことだと思いますけれども、それに関してどのよう なお考えを持っているかをお尋ねしたいと思います。  事務局の方には、緊急サポートネットワーク事業からファミリー・サポート・センター事 業に移行しようとしたところで、現状うまくいっているのか、時限装置を設けたものの、や はり幾つかの都道府県では撤退されたり、参入に足踏みしている自治体も多いと聞きます。 ファミリー・サポート・センター事業そのものが全部の自治体にあるわけでもないので、こ の方向性でうまくいくと見ておられるのか、その辺りをお伺いしたいと思います。 ○木野参考人  それでは、まず私から。ご質問がありました小児科医の参入はこれから増えるのかですけ れども、まず赤字であれば制限があるのは当然のことですが、小児科医はこれで儲けようと いう気はもちろん全然ありません。ただ、小児科医は最近の疾病構造の変化、あるいは子ど もを育てる環境の変化から、育児支援をしたい。いろいろな育児支援の仕方があります。け れども、小児科医として、いわゆる自分の技量を使ってできる部分として病児保育というの は非常に大きな部分を占めています。ですから、やりたいけれども、赤字と聞いて手が出な いという方もたくさんおられます。それから、これは小児科医の立場で申し上げますけれど も、私どもとしては決して保育所型の病児保育を否定しているのではないです。やはり保育 所型の病後児保育も必要なのです。ですから、それこそ小児科医だけが負担して全部やると いうことではなく、小児科医がやっている医療機関併設型の病児保育、それから保育所型の 病児保育、それから体調不良時型ですか、一般の保育園との連携です。いわゆるセンターに なるのは医療機関併設型だと思いますけれども、その連携の仕方がうまくいけば小児科医だ けに負担がかかることはまずないと思います。そのように思っております。 ○宮島委員  非施設型に関しても連携がうまくいけばと。 ○木野参考人  まず施設型がきちんと連携できないのに、その間に非施設型を入れますと大きな混乱が生 じると思います。  それからファミリー・サポート・センター事業につきましては、あまり私はわかりません。 ○稲見参考人  すみません。私も派遣型ファミリー・サポート・センター事業についてはあまり詳しい情 報がわかりません。これは個人的な見解かもしれませんけれども、1対1の密室の保育で本 当に大丈夫なのかと。私たちは患者が1人しかいなくても、できるだけ2人のスタッフを置 くようにしています。やはり1対1保育は少し怖いと考えています。それから、やはり看護 師と保育士が2人いるということが肝ではないかと思います。保育園型の利用率がなぜ少な いかと言いますと、結局看護師が責任を持たされるわけです。そうすると38度以上の熱が ある子どもは預かりませんということになってしまうわけです。38度でも突発性発疹とい う病気などは全く元気ですし、ほとんど合併症もないですし、預かれるのですけれども、熱 だけで決めてしまう。けれども、それは無理もないのです。私たちでさえ、この子は大丈夫 かなと思うような子どもを預かるわけです。それから、「病児」と「病後児」という言葉が ありますが、あれは全く意味がないと考えます。その境目は誰にもわからないわけです。  実は世田谷区で、ある保育園併設型の利用率がとても低くて、最初は病児を8人定員です ると言っていたのが、実際は病後児になって、しかも2、3人しか利用がない。何とかしな くてはということで、私はいろいろやって、それこそ世田谷区でヒアリングしたのですけれ ども、やはり看護婦が耐えられなくて辞めてしまうのです。やはりその責任を看護婦に負わ せているところにまず問題がある。  それから医師との連携といいましても、先ほど木野参考人が言ったように、保育園のいわ ゆる嘱託医はそこには全然関係ないわけです。そうすると新たに近所の医師に連携してもら うわけですれども、連携といってもやはり名前だけの所が多いです。今回、世田谷のある近 所の医師が、では私が回診に行くと。私どもの病後児保育というのは、いつも回診するわけ です。回診といいますか、1回は医師が大丈夫かなと顔を見に行くわけです。もちろん看護 師もいますけれども、医者も見に行きます。今度世田谷のある企業がやっている病後児保育 施設では、ある医師が1日1回回診に行くということで、今度は保育園型の病児保育室にし ていこうとされております。すみません。ファミリー・サポート・センター事業について情 報がないです。 ○大日向部会長  宮島委員のご質問に対するお答えに関連して聞きたいのですけれども、事務局にお答えい ただければ。病児・病後児保育というのは、皆さまおっしゃっているとおり、本当に子ども のためを考えたら親が休めた方がよい。しかし、やはりそうは言っても、緊急の用事やニー ズもあるから、そこを何とか補っていくことを考えているわけです。いろいろな類型があり ますが、そこで今、木野参考人が施設型の間でも連携が取れないのに、施設型と非施設型と の間の連携は難しいとおっしゃったけれども、どの辺りが一番ネックなのか。やはり本当に ニーズに合わせて広げていくためには、慣れた家で子どもが病後や少し軽い病気のときに、 先ほどのフローレンスのような方が来てくださって、家で看てもらうのも非常に安心した環 境だと考えられるだろう。そこに小児科医との連携が地域の中にあったら、非常に広域に広 がっていくだろうというご説明が先ほどの参考人のご説明だったのですが、その連携がなぜ 難しいのか、お教えいただけますか。 ○木野参考人  ありがとうございます。非常に難しいと思います。といいますのは、現状は先ほどから出 ていますように、一般の保育園で健康管理をどのようにしているかということで、嘱託医制 度があるわけです。ところが、嘱託医と保育園の連携が本当にうまくいっているかというと 少し疑問なのです。といいますのは、専門でやっている嘱託医がどれだけいるのかという実 態もよくわかりません。そこで本当に病気の子どもを預かるという場合に、やはり医師が診 察をして指示をした上で、実際に医療を行う、保育を行うということが始まるわけですけれ ども、保育施設で医師がかかわれるシステムが今はないのです。ですから、まずそれを作っ ていただけたら。医療機関はもちろん医師がおります。ところが、保育所できちんと医師が 連携できるようなシステムが本来必要だと思います。これは病児保育に限らないと思います。 ですから、その部分がきちんとできれば、病児保育の連携ができると思います。といいます のは、病児保育を連携しようというのではなく、一般の保育園での子どもの健康管理をどの ようにするかという問題につながっていくわけです。ですから、本当に緊急時に一時的に預 かるという部分であれば、先ほどの駒崎参考人の部分も、もちろん利用できるかもしれない ですけれども、それをベースにしてしまうのは少し危険ではないかと。本来のベースは、子 どもは病気をしながら大きくなっていく。普段の保育所生活の中でも健康管理が必要である という視点から、連携というものを考えないと、なかなか一足飛びに病気の緊急時の避難的 なことで連携するのはなかなか難しいのではないかと私は感じています。お答えになってい ないかもしれませんけれど。 ○稲見参考人  もし私がどこかの子育てサポートの会社に連携医になってくださいと頼まれたとします。 どこかの家庭で預かっている、診たこともない患者を預かっている。預かっている人のスキ ルがどれぐらいあるかもわからないというときに、私はとても連携医にはなれません。 ○大日向部会長  あまり細かい議論をしてもいけないと思っています。診たこともない子どもではないと思 います。地域でかかりつけの医師と連携するというようなご説明だった思いますが、あまり ここは深入りしないようにします。  では、先ほどの事務局からのお返事をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  宮島委員からありました緊急サポートネットワーク事業からファミリー・サポート・セン ター事業に移ったけれども、その方向でうまく行くのかというご質問でした。事務局の資料 3の14ページをご覧いただきたいと思います。「緊急サポートネットワーク事業」というこ とで、これまで数年間、この14ページの左下の事業を行ってまいりました。これは昨年度 限りで廃止という形にいたしまして、右側の平成21年度の「ファミリー・サポート・セン ター事業」の中に、もう一つ別事業の形で、「病児・緊急対応強化モデル事業」を付けてお ります。なお、経過措置ということで、右下にあります基盤整備事業という形で、従来緊急 サポートネットワーク事業を実施していたけれども、すぐにはファミリー・サポート・セン ター事業で病児・緊急対応強化モデル事業を起こせない地域については、この基盤整備事業 で従来の緊急サポートネットワーク事業と同様の預かりを実施しながら移行の途を探ると いうことにしております。  なぜ、緊急サポートネットワーク事業でなく、このような形にしたかという点についてで すが、先ほど駒崎参考人からも若干ご発言があったのですが、緊急サポートネットワーク事 業は国が実施主体で、国から40の各県一つずつの民間団体に直接委託する事業でした。こ れで各県一つの団体に県内各地域に広げていっていただきたいということで取り組みをお 願いしていたのですが、実際にふたを開けてみると、県内全域に広げるということを一民間 団体の力でやっていただくということが大変難しかったということがあります。従いまして、 全国の団体の中には、一部非常によく活動されていた団体もあったのですけれども、中には 1,000万円程度の委託費を受けながら、病児保育の活動の件数が年間50件以下、あるいは 30件以下という団体も多かったということがありました。  もう一つは、国からの直の委託ということで、どうしても地域の市町村との関係が十分に 構築できない部分がありましたが、やはり病児保育の一環ですので、市町村主体の事業に切 り換えることが適当だと考えた次第です。そうしたことから病児・緊急対応強化モデル事業 ということで開始しておりますが、欄外に※印で注書きがありますが、ファミリー・サポー ト・センター事業を実施している団体と別団体に委託して実施することも可能ということに してありますので、実際に始めていただいている団体は、直営の場合もあります。また従来 のファミリー・サポート・センター事業の受託団体が実施している場合もある。また従来、 緊急サポートネットワーク事業をやっていた団体、あるいは別の病児を専門として行う団体 が受託している場合もある。その受託の仕方も先ほどご質問があったようなケースで、幾つ かの市町村から一つのNPO法人団体が複数受託しているというケースもあります。という ことで、今のところどのような団体が受託するか、それから幾つの市町村がまとまって運営 していくかということもさまざまな状況で、現在モデル事業という形で実施しておりますの で、この自由な形式で市町村にやってみていただくことで、うまくいけばそのままにしたい と思っておりますし、やっていく中で、こういう問題があるということが出てくれば、また そこのところはある程度ガイドラインを設けるということなどでの対応をしていきたいと 思っております。ただ、現在は先ほどご紹介したように、四十数か所しかないという状況で すので、まずはもう少し多くの市町村に取り組んでいただくということを働き掛けていきた いと思っているところです。 ○佐藤委員  伺っていて、少しわからないところがありました。施設型の連携が難しいというところも 少しわからないです。それは置いておいて、非施設と施設の連携の点だったら、施設が望ま しいというようなお話だったので、伺いたいのは子どもの病気もいろいろですよね。どのレ ベルで議論するかでも違うと思いますけれども、保育園では預かってもらえない、ただし病 院に連れて行って診てもらって、親が休めれば自宅で看ていてもよい状態の子どもを考えた ときに、けれども、本人は休みで明日ならば休めるけれども今日はどうしても行かなければ いけないということがありますよね。当然明日からは休む。もちろん明日からは当然休むけ れども、今日はどうしても自分が行かなければやれない仕事だと。こうしたときに、例えば 非施設型にお願いするのが問題なのかどうかです。それだと子どもが困る、施設型でなけれ ばいけないと言われるのが私はよくわからないのです。普通は休めれば母親が看ているわけ です。それが一つです。  もう一つは、そういう子どもをすべて施設型でといったら稼働率100%は絶対に無理です。 よほど広域にしない限り、常に100%になるということはあり得ません。それは定員を常に うまくやるか、年間を見て定員をオーバーするか少ないか、年間で稼働率100%になる。施 設の場合は当然稼働率100%にならないです。ですから、そうすると広域にするか。他方で そういった広域は無理です。あるいは必要な看護師等について固定化させないで必要に応じ て雇える仕組みしかないのです。そうすると、どうするかというと、どうしても施設型と非 施設型を連携すると考えるしかないと思います。当然、空きがあるにしても私は余分に施設 を造ればよいと思いますけれども、それはなかなか難しいだろうということです。 ○木野参考人  非施設型が問題だと言っているわけではございません。ただ、施設型で行っていることが どういうことであるかということです。施設型で行っていますのは、保育看護をやっている わけです。病気の子どもの治療をしているわけではありません。保育をしているわけです。 ○佐藤委員  私がそう言ったではないですか。施設型が立派なことをやっているのは否定しない。非施 設型がいけないのですか。良くないと言われたので聞いたのです。そうではないのですね。 それならばよいです。 ○稲見参考人  私はただ派遣型の危険性を言ったのです。施設型の方がより望ましいでしょうと。それは 想像力を駆使すれば当然わかることだと思います。それから、定員うんぬんというのはあま り意味がないです。100%にする必要はないと私たちは思っていますから。もちろん定員は 100%にならないです。 ○木野参考人  定員制の考え方は無くなりました。ですから、定員稼働率100%のところで補助金を考え るのは間違っているということです。その辺りは同感です。 ○大日向部会長  杉山委員、どうぞ。 ○杉山委員  ありがとうございます。稲見参考人が非施設型は少し危険だとおっしゃったのですけれど も、ファミリー・サポート・センター事業のことをよくご存じないと先ほどおっしゃったの が少し気になりました。その辺りを教えていただければということが1点です。  それから、ここの議論をもう少し進めていくためには、私はどうして病児保育が必要と思 うかというと、今、数が足りないから、このために仕事を辞めざるを得ない人がいるからだ と思っていて、その人たちが仕事を辞めざるを得なくならないか、続けていけるのかという 議論を一生懸命にやらなくてはいけないと思っております。ですから、まずは当面緊急度が 高いわけですから、理想を言う前に今必要なことをやるのと同時に、委員方がおっしゃるよ うな理想の形に近づけるためにはどうしたらよいのかという2パターンで考えていくしか ないのではないか。とにかく仕事を辞めざるを得ない女性を減らしたいということに尽きま すので、そこの部分を委員方もぜひご一緒に考えていただけたらと思っております。  もう1点、事務局に聞きたいのは、企業の人はこの議論をどのようにご覧になっているの かということです。病児保育を増やしてほしいというだけで済むことだと私は思っていませ ん。そこの部分をどのようにお考えなのか問題意識をお伺いしたいと思います。以上です。 ○稲見参考人  すみません。派遣型うんぬんに関しまして、私は普通の派遣型のことを念頭に置いており ます。ファミリー・サポート・センター事業は、私は勉強していませんのでよくわかりませ ん。申し訳ございません。  それから、今、杉山委員がおっしゃったこの会の終局的な目的は就労支援なのですか。 ○杉山委員  違います。 ○稲見参考人  今、そうおっしゃいませんでしたか。 ○朝川少子化対策企画室長  すみません。まずこの会がやろうとしていますのは、議論の発端は少子化の状況が厳しい ことを踏まえて、一昨年末に政府レベルでのまとめがされていまして、一つは働き方の見直 しを本気で進めていきましょうという柱を立て、もう一つは働き方の見直しを補完関係の下 に、サービスの充実も必要ですと。そのサービスの中には通常の保育所もあるし、このよう な病児保育もあるし、それ以外のものもあるということでまとまっています。従って、車の 両輪で両方をやっていきましょうということになっています。  この病児・病後児のことについて申し上げれば、本日の事務局の資料3の1ページ目の冒 頭に書かせていただきましたとおり、まずは働き方の見直しを進める必要があるという前提 は崩してはいけないということだと思いますが、一方で特に働いていらっしゃる保護者の皆 さま方のニーズは通常保育と同じぐらいのニーズがあると調査をすると出てきます。やはり 働き方の見直しも重要ですけれどもサービスが必要だという現実を見据えながら、では今そ こが足りていない状況をどう改善していくのか、施設型を中心としながらも、今そこだけで 対応できていないところは訪問型も組み合わせることはどうでしょうかという投げ掛けを 今回させていただいていると理解していただけたらと思います。 ○吉田委員  少し視点を変えまして、一つは今回の次世代育成支援のキーワードである連続性という視 点からみて、先ほどのデータで就学前児童と小学校の学童で利用率がだいぶ違うということ でしたが、就学前は一般的には保育所でという対応で、小学校の場合はもちろん小学校です。 所管は教育委員会で保育所の所管と違う。その辺りのことも含めて連続性の視点からすると、 当然小学校でも発熱したり、病気の状態になると思いますが、その辺りの違いがどのように あるのか、その辺りに何か課題があるのかということが1点です。  もう一つは、日本全国でやったとして普遍性という視点で、資料の5ページに地域分布が ありまして、これは明らかに西高東低だと思います。この西高東低の地域分布からすると、 国だけではなくて、この財源構成が事業主拠出金と県市町村。どうなるかは別としても、一 方で地方自治体、都道府県、市町村にも何か課題があるのではないか。本日の議論の中で地 方自治体の問題がほとんど出ていなかったものですから、地方自治体レベルで何か課題があ るのかという辺りをお聞かせ願えますか。 ○木野参考人  まず、いわゆる連続性ということで、乳児から幼児そして学童期といくわけですけれども、 預かっている子どもたちの疾患名は、ほとんどの場合は感染症です。ですから、大体1歳過 ぎから、4歳、5歳ぐらいまでが一番感染症にかかりやすいときで、その差が出ているので はないかと思われます。それから、6歳以上小学校低学年まで預かるようにはしております けれども、その部分がいわゆる子どもたちが自分で病状を訴えることができる部分と、やは り周りの視点が必要な部分とで、年齢は本当に四つぐらいしか違わないですけれども一番差 が付くところですので、そのような事情があるとご理解いただきたいと思います。  地方自治体のことですけれども、ご存じのとおり、西高東低ですけれども、やはり自治体 によっては病児保育を熱心に推進しなかった所もあります。ようやく全国的に広がってきた というのはこの数年です。私ども全国病児保育協議会会員の中でも、一向に補助を受けられ ないという施設もたくさんありました。しかし、ようやく全国的に広がってきたというとこ ろですので、やはり地方自治体の考え方にも差はあります。よろしいでしょうか。 ○大日向部会長  そろそろ。 ○吉田委員  何をどう変えてほしかったか。何かありますか。 ○木野参考人  本来の国の事業に上乗せして、地方自治体で地方の事情に合わせて上乗せしていただきた いと思います。 ○大日向部会長  よろしいでしょうか。時間が残り少なくなりました。先ほどから岩渕部会長代理が時間が 残ったら発言したいとおっしゃっていました。どうぞ。 ○岩渕部会長代理  病児保育をほとんどボランティア精神でやっていただいているということにとても感動 いたしましたけれども、聞き捨てならぬことがありまして、その補助金に消費税がかかって いるというお話がありました。これはいかに何でも、これは行政の仕事だと思いますが、財 務省と掛け合って尻をたたいてでも、もしその辺りが事実ならば少なくとも免税措置ぐらい はやらないと、こういった努力に報いることができないのではないかと思いますので、この 年末の税制改正か何かで、一つ実りのある結果を出していただきたいということが1点です。  それからもう一つ。先ほどから企業の努力あるいは見方というものが話題になっておりま すけれども、もうお帰りになったので言うのも何ですが、NPO法人フローレンスが実はベ ビーシッター事業をやっていらっしゃいまして、財団法人こども未来財団が今年度から認可 の審査もやるようになります。それを少し手伝っているものですから、そこの中で、NPO 法人フローレンスのようなNPOタイプで共済型でしかも会費を取っていて、しかもベビー シッターの場合ですと1回確か1,700円というような個別の支払体系になっている中でな じむのかということで随分議論をしたのですが、やはりこの病児保育に対するニーズが非常 に強いということもあって、月のうち1回目の利用についてはベビーシッター事業として補 助金を出そうということになって、そこのところの限度管理というのは制度管理をきちんと しようということで、ついこの間そういう意味でいいますと認可したというような事情がご ざいます。  もともと、ベビーシッター事業については児童手当勘定からのお金も出ているという意味 でいえば、それは企業の負担もこれありということでございますが、ご案内のとおり、子ど も手当の導入でその辺りがどうなるか全く見通しがつかない。それ以前に財団法人こども未 来財団がいつまであるのかも訳がわからないということでございますので、そのベビーシッ ター事業でそういうところに手当てするということも工夫の仕方として「あり」だとは思っ たのですが。しかし、これから先どうなるかわからない、あっという間につぶれてしまうと いうような状況になりますと大変残念なことでございますので、何らかの形で形を変えても 支援の体制を整えていただきたいということを行政の方にお願いしておきます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。この部会の議論の立ち位置については、先ほど室長から再度確 認いただいたとおりでございます。働き方の見直しを車の両輪の一方では進めつつ、親がど うしてもやはり保育できない事情があったときに子どもの最善の利益を考えながら、どうや って一番親のニーズ、子どものニーズに合った多様なサービスを提供できるかということは 病児・病後児保育にかかわらず、この部会が議論していることに共通の点ではないかと思い ます。  病児・病後児保育に関しましては、施設型と非施設型などいろいろあろうかと思いますが、 私は病児・病後児保育は実は症状も多様ですし、どうやって地域を上げて施設を中心としな がら最善の提供ができるかという議論をもう少し深めていく必要があろうかと思います。こ の問題に関しては今日1日ということではございません。継続審議ということになりますよ ね。室長、そうですね。  それも含めまして、今後の日程等につきまして、事務局からご説明いただければと思いま す。 ○朝川少子化対策企画室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては、10月13日火曜日の 17時から、厚生労働省9階の省議室で予定しております。引き続き、新たな制度体系の設 計についてのご議論をお願いしたいと考えておりますが、テーマは少なくとも1回は病児・ 病後児保育から離れまして、まだやっておりません「すべての子育て家庭に対する支援につ いて」を主に念頭に置いて議論をしていただきたいと考えております。お忙しいところ恐縮 でございますが、ご出席いただきますよう、よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  この病児・病後児保育については、次回ではないのですが、また何かあるときには必ず復 活させて議論を続けていきたいと思います。  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)