09/09/29 第3回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会議事録 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 (第3回) 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 社会保障審議会少子化対策特別部会 保育第一専門委員会 第3回議事録 日時:2009年9月29日(火) 17:00〜19:00 場所:中央合同庁舎第4号館 共用108会議室 出席者:  委員   大日向委員長、飯塚委員、市原委員、柏女委員川崎委員   木原委員、駒村委員、榊原委員、佐久間委員、佐藤委員   高橋委員、椋野委員、吉田昌哉委員   岩渕委員、内海委員、庄司委員(少子化対策特別部会)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策室長 議題: 新たな次世代育成支援のための保育制度について     ・保育の必要性の判断〜公的保育契約(2) 等 配付資料:   資料1-1  保育の必要性の判断〜公的保育契約(2)   資料1-2  保育の必要性の判断〜公的保育契約(2) 参考資料  参考資料1  佐久間委員提出資料  参考資料2  木原委員提出資料  参考資料3  佐藤委員提出資料  参考資料4  吉田正幸委員提出資料 議事: ○大日向委員長  定刻になりましたので、ただ今から「第3回保育第一専門委員会」を開催いたします。委 員の皆さま方には、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。  議事に入ります前に、事務局より、委員の出席に関する報告と資料の確認をお願いいたし ます。 ○今里保育課長  まず、委員の出席状況でございますが、本日は岩村委員と吉田正幸委員から、都合により 欠席とのご連絡をいただいております。また、駒村委員は途中で退席される予定と伺ってお ります。  なお、ご出席いただいています委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成 立しております。  また、本日は少子化対策特別部会から内海委員、庄司委員が出席され、遅れていらっしゃ るようですけれども、岩渕委員もご出席の予定でございます。  続きまして、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 議事次第がございまして、それから資料1-1「保育の必要性の判断〜公的保育契約(2)、資料 1-2としてその参考資料。参考資料1としまして佐久間委員の提出資料「第2回保育第一専 門委員会を受けての意見」、参考資料2としまして少子化対策特別部会保育第一専門委員会 への提案」という木原委員の提出資料、参考資料3としまして「保育の必要性の判断〜公的 保育契約に対する全保協の考え方」という佐藤委員の提出資料、参考資料4としまして吉田 正幸委員の「新たな保育の仕組みについての意見」という提出資料をお手元に配付させてい ただいております。それから、審議の参考としまして、特に資料番号は振っておりませんけ れども、第2回保育第一専門委員会の資料を一綴りにしたものをお手元に配布させていただ いております。もし、不足等がございましたら、事務局の方にお声をかけていただければと 思います。  以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。本日は、まず事務局か ら資料1-1および資料1-2につきまして説明を伺いたいと思います。その後、皆さまにご議 論いただきたいと思います。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策室長  それでは、資料1-1を説明いたします。1ページ目ですが、今日ご議論いただきたいテー マは、大きく二つございます。一つ目は前回、認定から実際に公的保育契約に至る流れにつ いてのご議論をいただいていることろですが、その中で「優先的に利用確保されるべき子ど もについて」は、特に前回はまだ十分な資料を提出していませんでしたので、そこの部分に ついてでございます。  (1)で、まず保障の仕組みについて「基本的な考え方」を少し書いていますが、第1次報 告ではどのように整理されているかと申しますと、母子家庭や虐待の事例等の優先的な利用 を確保すべき子どもについて、市町村において保育の必要性の認定を行う際に併せて判断す る。それを「優先受入義務」と称しておりました。現行制度では、第1次報告をまとめるに 当たりましても見ていただいておりますが、虐待事例の子どもとひとり親家庭の児童につい ては、保育の必要性が高いものとして、母子及び寡婦福祉法や虐待防止法あるいは通知によ って優先的に取扱うとされています。  資料1-2の8ページをご覧ください。そのような法律や通知の取扱いを受けて、各市町村 では実際にどのような取扱いになっているかを見ていただきます。8ページ目に横浜市の現 在の選考基準の例を挙げております。まず、虐待のケースがどうなっているかですが、8ペ ージ目の左の箱の下の方に「10.その他」とありますが、ここが虐待の事例が該当する部分 かと思います。これは「A(※2)」ということで、※2というのは、一番下を見ていただくと 「Aランクかつ2ランクアップ相当として選考します」ということですので、Aにプラスが 二つ付くというようなことで、他のケースを見てもAにプラスが二つ付く例は見られませ んので、最優先される取扱いになるということです。一方、一番上の「1」の就労家庭の状 況を見ますと、月20日以上かつ1日8時間以上のフルタイムの場合はAランクですが、だ んだん短くなるとB、C、Dとランクが下がっていくわけですけれども、その右側の「ラン クアップ項目」を見ていただくと、[1]〜[4]は各項目1ランクずつランクアップすると書いて あります。[1]は「ひとり親世帯等」と書いてありますので、例えば保護者がフルタイムで働 いていればAに一つプラスが付く。その下であればBがAになり、CがBになるというこ とで、虐待のケースとは少し違って、完全に優先するというよりは少し優先度が高められる という取扱いになっているようでございます。さらに下の方に「9.ひとり親世帯等」があり ますが、例えば「1」でC、Dというランクであった場合に、ひとり親世帯が求職活動を行 うことによって自立の促進が図られると判断される場合にはAが付くというような、別に 優先する要素もあるという状況のようでございます。  もう1枚おめくりいただきまして、札幌市の例も基本的には同様の取扱いになっておりま して、虐待ケースについては7番の一番下ですが、999点という点が付くということでござ いますので、これはとにかく優先であるということになっているようです。一方、一番上の 就労家庭の項目で見ますと、父母ともにフルタイムであれば100点プラス100点で200点 になって、それがひとり親世帯の例えば母子家庭であれば、ここで100点付いて、右側の 「保育の調整基準」で、一番上に「ひとり親世帯」は110点とありますので合計210点に なるということです。従って、両親ともフルタイムの働き方が200点ですから、ひとり親 のフルタイムの方優先されますが、ひとり親世帯の母親の働き方がパートタイム就労であれ ば80点が付いてプラス110点ですので190点となり、両親がフルタイムの共働きよりも少 しランクが下がるという取扱いになっておりますので、横浜市と同様にひとり親世帯につい ては優先度は高められますけれども完全に優先ではないという取扱いになっております。  資料1-1の1ページに戻っていただきまして一番下の丸ですが、今、見ていただきました ように現状の認可保育所において、横浜市や札幌市という比較的需要が多い市町村を中心に、 入所選考の基準において、母子家庭の子どもや虐待のケースについてはフルタイム就労家庭 の子ども等と同様に高い順位付けがされている状況でございます。  1枚おめくりいただいて2ページ目でございますが、この優先的に利用確保すべき子ども について、どのような仕組みを考えるかということについてでございます。その仕組みとし て三つほど、[1]〜[3]のように複数の類型が考えられるということで整理をしてみたものです。 まず一つ目の[1]は、市町村が優先的に認定するとともに、個別に受入可能な保育所等の斡旋 もするということです。市町村から斡旋を受けた保育所は優先受入義務を踏まえて定員の弾 力化の活用等によって、とにかく受け入れていただくということで、比較的強い仕組みでご ざいます。  [2]は、それ以外の方法として、例えばひとり親家庭の子どもについて優先枠のようなもの を各保育所で一定数設けていただいて、その優先枠のところには、それ以外の普通の子ども については、空いていても入らないように枠を設けておくという仕組みでございます。  [3]は、もう少しソフトな手法として、保育所等が受入決定をする際の客観的な基準は、そ れぞれの保育所で決めていただくことになりますが、「何らかの順位付け」を行う際に、優 先的に利用確保すべき子ども、母子家庭の子ども等については高順位として取扱っていただ く。各保育所の選考基準において優先的に取扱っていただくというような類型もあり得るだ ろうということで、三つのパターンを列挙してみたところでございます。  1ページおめくりいただいて3ページ目は、どの類型に当てはめるかを考えるに際して、 少し留意点を整理しているものでございます。一つ目の丸の一つ目のポツは、この新しい保 育の仕組みでは、すべての子どもに何らかの公的な保育を保障しましょうということで、質 の確保された公的保育の提供体制確保責務を市町村に課し、希望するサービスが仮に利用で きない間は、多様なサービスメニューから補完利用できるようにするということで考えれば、 どこかの保育所・保育サービスが利用できる状況になれば、この優先受入れの話は入れるか 入れないかという問題ではなくて、どこの保育所を利用するか、できるかという問題になり ますので、少し性格が変わってくるというのが一つでございます。二つ目は、あまりこの優 先的な受入れの対象範囲を広げてしまいますと、そうでない通常のケースについて選択が狭 まってしまうということにも留意が必要であるということ。三つ目は、現行制度においても 先ほど横浜市と札幌市の例を見ていただきましたとおり、ひとり親家庭の子どもについては、 フルタイム就労家庭の子どもと比較すると、ほぼ同様な順位付けで、若干優先されることが あるという位置付けになっていることも踏まえる必要があるということ。従いまして、対象 となる子どもの類型に応じて優先の仕組みの類型、先ほどのページの[1]〜[3]の組み合わせを 考えることが適当ではないかということです。  実際に4ページで当てはめを考えておりますけれども、まず虐待事例の子どもにつきまし ては、虐待防止の観点から速やかに、また確実に保育所等の利用ができるようにすべきと考 えられますので、先ほどのページの[1]、一番強い類型で対応することが基本ではないかとい うことでございます。二つ目のひとり親家庭の子どもにつきましては、[1]も[2]も比較的その 及ぼす効果が強いことを踏まえますと、[3]の類型を基本に考えることが、現行制度との連続 性を考えても[3]の類型が基本ではないかとしています。  基本はこの二つの類型を念頭に置けばよろしいかと思いますが、それ以外に虐待事例やひ とり親家庭に準じるようなケースが個別には出てくると思います。その場合は市町村が個別 に判断していただいて、さらに[1]〜[3]の強さに応じて、個別ケースの内容に応じてどれを活 用するかを決めていただいてはどうかということでございます。  次に、5ページ目でございますが、以上が市町村が認定において優先すべき子どもを認定 するという枠組みの話でございましたが、5ページ目はそうではない、市町村が認定はしな いけれども、残された子どもの間で優先関係を付けるのか付けないのか。付けるとしてどの ように付けるのかという話でございます。  一つ目の丸にございますとおり、これは基本的には待機児がいるような場合、需要が供給 を上回っているような場合について考えるということかと思いますけれども、その際の優先 的に利用確保すべき子ども以外の子どもについては、親の働き方や子どもの置かれた状況な ど、いろいろな状況が組み合わさってそれぞれのケースが存在することになりますので、そ うしますと、すべての個々の事情をあらかじめ決めて選考基準を定めることは難しいという こともございますので、そのようなことを踏まえて「何らかの順位付け」を行うことが、そ もそも適当かどうかという論点があろうかと思います。さらに、仮に何らかの優先順位付け を行う場合に、あまり詳細な順位設定よりも大くくりの制度の方がよいのではないか。括弧 書きにありますように、例えばフルタイム勤務者の子どもとパートタイム勤務者の子どもを 考えたときに、フルタイムの方を優先するというぐらいの大くくりの制度が良いのではない かということでございます。  二つ目は、仮に「何らかの順位付け」を行う場合の手続の話でございますが、保育所が受 入決定の客観的な基準を定めることになりますが、その際のガイドラインを市町村が示すと いうことでどうかと。そのガイドラインを示した上で、[1]、[2]これは前回の議論で、待機児 童がいるいないで保育所が選考するのか市町村あるいは連絡協議会が斡旋するのかはケー スが分かれるということを少し議論していただきましたが、それに応じて保育所が受入決定 を行う場合については、保育所が客観的基準を定める際には市町村が定めるガイドラインに 則って定めていただく。さらに、実際にどのように受入れたか、その結果を公表する仕組み を設けたらどうかということでございます。[2]は市町村あるいは市町村が関与した連絡協議 会を活用する場合については、市町村のガイドラインに則った判断を行い、その斡旋の結果 を公表する仕組みを設けたらどうかということでございます。  参考資料の14ページには他制度の例を挙げております。これは指定介護老人福祉施設、 特別養護老人ホームの例ですが、原則形は特別養護老人ホームと要介護者の間で契約を結ぶ ことになっていて、特別養護老人ホームの場合も需要が非常に大きいケースが多いので、そ の順位付けをどうするかを定めているものですが、まず症例の基準の方で介護の必要性の程 度や家族の状況を勘案して必要性が高い者を優先的に入所させるということが書かれ、その 上で具体的に優先入所に係る指針につきましては、自治体と関係団体が協議して共同で指針 を策定した上で入所者を決定するという取扱いが示されているところでございます。さらに、 この老人介護の場合は、下の「備考」にありますとおり、このような契約で利用することが 難しい、やむを得ない事由がある場合については市町村が措置をするという仕組みが併せて 残されている仕組みになっています。これは他制度でも何らかの優先順位付けをしている例 があるというものでございます。  資料1-1に戻っていただきまして、5ページ目の一番下の丸ですが、一方で、供給が十分 あるような場合でも、これも前回少し議論をしていただきましたけれども、休日・夜間など ニーズが限られているので受入れ体制も限られているような場合ですが、例えば休日保育に ついて考えたときに、休日保育をやっている所でなければ困る子どもは、やはりそこを優先 しなければ、他の保育所では対応できないことになりますので、そこは優先してもよいので はないか。あるいは兄弟姉妹が同時に利用を希望する場合は優先してもよいのではないか。 そのような幾つかの類型を除いては、原則としてその保育所で定める受入決定においては 「何らかの順位付け」は設けないということで良いかどうかといった論点があるということ でございます。以上が一つ目の大きいくくりでございます。  次の6ページ以降は二つ目のテーマであります「利用保障の範囲について」ということで ございます。まず、基本的考え方として、第1次報告での整理を少しまとめて書いています が、利用者ごとに保障の上限量を決めましょうと。その際、例えば週当たり、あまり細かく ならないように2〜3区分程度、しかも月単位で判断しましょうということになっていまし た。その保障上限量が具体的にどれぐらいの時間かを決めるのは、働き方の見直しが同時に 進められるべきであることを踏まえながら、就労時間と通勤時間を加味して、さらに、子ど もの生活の連続性にも配慮して決めましょうということになっていました。  三つ目のポツは、ここでいう「利用保障の範囲」を超えて利用するような場合、残業など でそのような利用をする場合の財政支援のあり方については、するかしないかを含めて、さ らに検討することになっていました。仮に、何らかの一定の支援をする場合には、働き方の 見直しを含めて負担のあり方も併せて検討するという整理がされています。  その上で、7ページ目に3歳未満とと3歳以上の場合を分けて書いております。まず3歳 未満の場合についてですけれども、1日当たりの標準的な利用保障の範囲を考えますと、保 護者がフルタイムの就労の場合で考えますと、8時間労働で昼休みが1時間程度入って9時 間拘束されるとして、往き帰りの通勤時間も加味すれば大体11時間程度の保障を考える一 方で、パートタイムなど短時間の働き方の人の、例えば6時間程度。そのような「長時間」 と「短時間」に区分することが一つ考えられます。その区分について市町村が認定するとい うことでございます。実際この区分の意味は、利用者が長時間なら長時間という認定を受け ましたら、その範囲内で現実に必要な量のサービスを利用していただく。別に11時間利用 してくださいということではなくて、必要な分だけ利用していただくことになります。  二つ目の丸は、「長時間」「短時間」の区分の認定を、どのようにするかということですが、 基本は保護者の働き方などを踏まえながら行うことが適当だと思いますが、働き方も流動的 なところもありますし、例えば就労証明書だけではわからない残業があるということもあり 得ますので、できる限り利用者の希望が尊重されることが適当ではないかということです。  三つ目は「長時間」か「短時間」かによって何が異なってくるかといえば、公的な保障額 も異なるとともに、利用者負担額も異なる。短時間の人であれば、利用者負担額もそれに応 じた形で低くなるという仕組みではないかということでございます。  四つ目の丸は、標準的な利用保障の範囲、例えば長時間の人であれば11時間ですが、そ の11時間を超えて保育サービスを利用する場合の支援、例えば13時間利用したいという 人がいたときに、その2時間分をどうするかですが、それについては、公的な保障の仕方、 逆から見れば利用者が負担すべき程度あるいは範囲については、その11時間の範囲のもの とは区別して考えることが適当ではないか。例えば2時間分については利用者の負担額を高 く設定するとか、あるいは全額利用者負担にするということもあり得ますけれども、何らか の支援をするのであれば利用者負担額を高くすることで区別することが考えられるという ことです。  一番下の丸は1週間当たりの日数についてですけれども、標準的な利用保障の範囲として は、例えば「週3日以上と2日以下」あるいは「4日以上と3日以下」で区分するというこ とが考えられ、市町村がその旨の認定をするということで、3歳未満については「1日当た り」と「1週間当たり」の二つの区分をすると、ここでは書いております。  1枚おめくりいただいて、3歳以上の子どもについてですけれども、3歳以上の子どもに ついては、少し状況が異なるのではないかということで書いています。まず、子どもの生活 の連続性への配慮が特別に3歳以上の子どもについては必要になってくるということと、集 団保育の性格が強く出てくるということ。さらに、幼稚園と共通した幼児教育という性格も 出てくるということ。さらには子どもの大半は認可保育所か幼稚園に毎日通っている現実が ありますので、それらを勘案しますと、例えば週3日以上と週2日以内に分けない方が適当 ではないかということでございます。例えば保護者が週2日の働き方だとしても、毎日通う ことを考えれば平日週5日分は保障することを考えた方が良いのではないかということで ございます。  二つ目の丸は1日当たりの標準的な利用保障の範囲についてですけれども、保護者が勤務 する時間帯によって、子どもの生活の連続性等に配慮された適切な保育が確保されないとい うことにならないように配慮が必要ではないか。下のグラフは全国社会福祉協議会の方でや っていただいた研究事業の中のデータで、3歳以上の子どもについての一日の保育の流れが 書いてあるものです。これを見ますと、大体9時〜12時は設定保育ということで、集団保 育の時間になっておりますので、仮に保護者が昼ぐらいから働き始める場合でも、この設定 保育に間に合うように登園していただく必要性も出てくるケースがありますので、そのよう なことも含めて考えた場合に、1日当たりを短時間と長時間で区分することが良いのかどう か。3歳未満の子どもと違って、その辺の配慮が要るのではないかという論点でございます。  最後のページに「その他」ということで個別論点を二つ挙げておりますが、一つは、下の 子どもが生まれたときに保護者が育児休業を取る場合の扱いですけれども、上の子どもが3 歳以上の場合は子どもの生活の連続性や集団保育の性格を強く有する年齢であることを考 えますと、1回保育所を退所して幼稚園に行くということではなくて、引き続き同じ保育所 にいられるようにすべきではないかということを書いています。一方、上の子どもが3歳未 満の場合は、すべての子育て家庭に保障される一時預かりの利用も考えられますので、これ は市町村によって現状でも取扱いが異なっていると思います。3歳未満でも保育所に入れる という取扱いをしている市町村もありますので、それらを踏まえる必要がありますが、3歳 以上とは少し状況が違いますので、区別して考える必要があるということでございます。  二つ目の丸は、もし3歳未満の場合で1回退所した場合に、育児休業明けに保育所を再利 用したい、同じ保育所に入りたいという場合は、優先してもよいのではないかということで ございます。  最後は「障害児について」と書いてありますが、これについては参考資料の15ページを お開きください。これは昨年12月に同じ社会保障審議会の障害者部会の方で報告書が取り まとめられています。その中で「障害児支援」という項目がありまして、16ページに「イ. 就学前の支援」という項目があります。ここで1行目を見ていただきますと、「障害のある 子どもとない子どもができるだけ共に過ごしていけるようにしていくことが大切である」と いうご指摘があったり、その下の丸にありますとおり、「障害児の専門機関が保育所等を巡 回支援していくことにより、保育所等での受入れを促進するとともに、これまで障害児通園 施設等に通っていた子どもが円滑に保育所等に通えるようにしていくべきである」というよ うに、一般施策である保育所の利用が、障害児であってもできるだけ可能なように進めてい ったらどうかというまとめがされているところでございます。これらも踏まえて、この障害 児のところについての論点としては、保護者が就労していないケースの障害児は、現行では 原則「保育に欠けない」という取扱いになっておりますが、そのような子どもが新しい保育 の仕組みにおいて利用可能にするのかしないのか。あるいは、障害児のデイサービスに通っ ている子どもが週2日、3日保育所へも通えるようにすることを可とするのかしないのかと いった論点もありますが、このような障害者部会の報告書なども踏まえて、どのように考え たら良いのかご議論いただきたいと思います。  以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。本日は保育の必要性の判断から公的保育契約に至るまでの流れ に関しまして、前回の、第2回専門委員会に続きましてご議論をお願いしたいと思います。 ただ今、事務局からご説明いただきました資料に基づきまして、これから19時ぐらいを目 途に皆さまに意見交換をお願いしたいと思います。できましたら、、「優先的に利用確保され るべき子どもについて」と、その次の二つ目の「利用保障の範囲について」との二つに分け てご議論いただければと思います。  それでは、どなたからでも。よろしくお願いいたします。高橋委員お願いいたします。 ○高橋委員  日本保育協会の高橋です。ペーパーを出しておりませんので真っ先に手を挙げさせていた だきました。今、委員長からありましたように、「優先的に利用確保されるべき子どもにつ いて」ということと、それから「利用保障の範囲について」ということで、若干意見を述べ させていただきたいと思っています。まず2ページ目の「優先的に利用確保されるべき子ど もについて」ですけれども、ここのところはひとり親や虐待、それからいろいろな意味での 緊急枠といったものも含めて枠を作ることは可能ではないか。そもそも供給量が足りなけれ ばそういった枠は作れませんので、供給量を増やして枠を作ることが一義的には必要ではな いかと思っています。  それから5ページ目の「優先的に利用確保されない子どもの保育利用に対する『何らかの 順位付け』について」ですけれども、一つ目の丸のところはやはり順位付けが必要ではない かと思っています。ここのところは細かく基準を決めておかないと、保護者からの苦情の際 に多分説明がしづらいのではないかという気がします。わが福山市では実は4月1日付の場 合は約90%が第1希望の保育所に入っておりまして、残りの10%を第2希望・第3希望の 保育所で調整しているということです。年度途中においては約80%が第1希望の保育所に 入って、残りの20%を第2希望・第3希望などで調整しているわけです。中には絶対に第 1希望でなければいけないと待つ方もいらっしゃいますが、要は希望どおりに入れなかった 場合に第2希望・第3希望の調整をする際に、順位付けをきちんとしておかないと、なかな か難しいのではないかという気がしています。  それから5ページの二つ目の丸の[1]と[2]の関係ですが、今、事務局からご説明がありまし たので、やや理解はできたのですが、なかなかイメージできませんでした。[1]は保育所など が受入れ決定を行う場合に、あらかじめガイドラインに則った客観的な基準を定め、実際の 受入れ結果などを公表する仕組みということで、ここは恐らく市町村が示したガイドライン に則って保育所が基準を決めるのだなと理解したのですけれども。あとは[2]のことも含めて、 この公表という仕組みが今はないわけですけれども、なぜ公表しなければならないのか、ま た何を公表するのだろうということをもう一度確認の意味でお伺いしたいという疑問点が ございます。  それから「利用保障の範囲について」のところで、7ページの一つ目の丸ですけれども、 ここは仮に、例えばということですが、現在でも6時間程度以内の保育は一時保育で対応し ている現状があり、わざわざ別の区分を設けなくても一時保育の拡充で随分可能になる部分 があるのではないかという気がしております。  二つ目の丸の後段の部分で、解釈の間違いがあったら申し訳ないのですけれども、「でき る限り利用者の希望が尊重されることが適当」ということですが、ここのところは3歳未満 児ということで、0歳児であろうと1歳児であろうと、やはり子どもたちにとっては基本的 生活習慣の確立であったり、子どもたちの生活リズムを構築していく意味でも、ある意味で 午前中を中心としたコアな活動部分を外して保護者の都合によるというか、そういった希望 だけが優先されて時間がずれていくということは、子どもたちの発達にとっては避けなけれ ばならないのではないかという気がしています。それから、これは現実的な場面を思い浮か べるとどうなのかと思うわけですけれども、仮に3歳以上と3歳未満児の兄弟姉妹がいた場 合に、3歳以上の上の子どもの利用保障の範囲の区分は設けず、3歳未満の下の兄弟姉妹が いて、仮にその子どもが短時間とした場合、現場ではどういう保育の状況になるのか。3歳 未満児の短時間の場合は、その短時間が終わった段階で母親が迎えにきて、上の子どもだけ は保育園で保育をするのか。あまりよくイメージが湧かないのですけれども、分けるとなる とそういうことになるのか。イメージが非常に難しい気がしております。  この3歳未満児の長時間と短時間の位置付けですけれども、今現在は長時間、フルタイム といわれているところの保育と違ったというか、別枠の部分で一時保育なり特定の保育をや っているわけですけれども、仮にこれを並列的に考えられた場合に、例えば定員が100あ ったとすると、11時間の長時間が70%として、短時間の6時間が仮に30%ですよとなると 非常に困る。やはり、ここのところは短時間の利用が並列的に取り扱われるようになります と、利用保育所の運営費も当然減額になりますので、そういう意味では3対1、6対1とい う職員配置の状況の中で職員の安定、また継続した雇用が非常に困難になる可能性があると 危惧しております。さらに申しますと、そもそも現在の運営費の算定は、朝はだんだんと子 どもの数が増えていって、夕方はだんだんと子どもの数が減っていく山形理論になっている わけです。けれども、最近は山形がだんだん台形に近い状況になってきておりますので、現 在の運営費で職員の週40時間の労働というのは非常に厳しい現実がございます。そもそも 長時間と短時間というふうに区分することもあるわけですけれども、それ以前に長時間、い わゆる11時間の部分での解消がきちんとできるといいましょうか、そういったことを併せ て考えていくのも必要ではないかという気がしております。すみません、あまりまとまった 意見になりませんでしたけれども、以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。利用保障の範囲にまで及んでご意見をいただきましたが、とりあ えず「優先的に利用確保されるべき子どもについて」のところでひとまずご議論をいただい ておこうと思います。今、高橋委員から、なぜ公表するのか、何を公表すべきなのかという ことについてご質問がありましたが、いかがでしょうか。 ○朝川少子化対策企画室長  まず趣旨は今と違いまして、今は全部市町村が決める仕組みになっていますけれども、今 回の新しい保育の仕組みは、利用者の決定の部分は待機児童がいる場合は斡旋が入るかもし れませんが、原則は保育所で決めることになりますので、その際、やはり利用者側からする と透明性の確保が求められるということだと思います。客観的基準は、実際そういうことに はならないと思いますけれども、万が一生じてはいけませんということで、客観的基準は定 めたけれどももしかしたらその基準どおりに決定していないかもしれないという恐れは透 明性が確保されていないとありますので、そういう意味で、きちんと客観的な基準どおりに 入所決定をしましたということがわかるように、公表した方が良いであろうと、趣旨はそう いうことです。では、何を公表するかというところについては、その趣旨が達成されるよう な内容のものを今後よく考えていくということだと思いますけれども、客観的基準に則って 選考された、入れた・入れなかったということについての、それがわかるようなものの公表 だということを念頭に置いています。 ○大日向委員長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。他にいかがでしょうか。飯塚委員お願いい たします。 ○飯塚委員  「優先的に利用確保されるべき子どもについて」ですが、これは今ご説明いただいた部分 につきましては、既に実際に市町村では行われている話でございまして、これを明文化と言 いますか文章化するとこういうことになるのだろうと。特段変更ということでなく実際やら れていることを文章化しているのかなと思ったところです。それで若干、補足と言っては何 なのですけれども、例えば虐待事例などで実際にどのようにやっているかということです。 大体、市町村に今、要保護児童対策地域協議会、要対協と呼ばれているものがあるのですが、 ここで虐待かどうか、重大なケースかどうかという判定をしているのです。この中で、例え ば私どもの町では保育所の入所で見守る、父母から子どもを引き離さないで在宅支援を行い ながら、昼間はなるべく親元に置かないで第三者的なところに置いて見守った方が良いとい う判断があるケースと、児童相談所に一時保護するケースとなど、いろいろなケースの中で どのような選択肢が良いかと議論をしているところです。仮に在宅支援、保育所での見守り が必要だという判断になれば保育担当課に話をして、こういうことなので保育所に入所させ てほしいということで、それを受けて保育所に優先的に入所させるという手続きを行ってい るということです。その中で、横浜市や札幌市でありましたとおり、私どもで言うと児童相 談所の通知、札幌市の方で根拠がございましたけれども児童福祉法26条1項4号での通知 を一筆入れていただいて、それをもって優先的に入所させているという状況になっておりま す。この要保護児童対策地域協議会という機関がコーディネート的な役割を果たしている状 況になっているということです。  これに一つ、市町村、現場の立場で言わせていただくならば、例えば障害児の受入れと同 時に財政支援をセットでお考えいただかないと、なかなか受入れる側は難しいところがござ います。これは申し上げにくいのですけれども、国の方の補助金の制度がなくて、私ども埼 玉県の場合は県の単独の補助で、1人月に確か4万円で受けています。それは障害児の方で した。すみません。それは後で話をしたいと思います。  母子家庭につきましても、私どもも優先順位を高くしていますけれども、虐待ほど高くは ないという状況です。あと、現状で3ページの(2)で「優先的に利用確保されるべき子ども の対象範囲と優先の仕組みの類型について」ということですが、これにつきましてもポツの 2番目、あまり対象範囲を広げすぎますと「対象範囲以外の子どもに関し、できる限り希望 する保育所等の選択することが制限される」ということは、前々から実は私どもも議論があ ったので、一応児童相談所から一筆入れてもらうことで実際には制限をかけている。虐待で もかなり幅が広いのです。「泣き声通報」のようなことから、顔など見えるところにかなり 傷があるようなケースとか、さまざまなケースがありますので、それをどこで線引きするか は私どもも苦慮しているところですけれども、それについてはあまり広げすぎないようにと いうことで、現場サイドとしても工夫をしながらやっているという状況でございます。まと まりませんけれども、以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは佐久間委員、お願いいたします。 ○佐久間委員  「優先的に利用確保されるべき子どもについて」ということで、虐待の事例と母子家庭、 ひとり親家庭ということがありましたが、虐待についてはやはり優先すべきことだろうと私 も思います。ただ、これを市町村がどこの保育園に入ってくるのかというところの斡旋・決 定までしていくべきではないかと思います。それぞれの保育園の受入れの人数にもかかわる と思っていまして、障害を持つ子どもとは違って加配などはないのかもしれませんが、やは り虐待の子どもは保護者へのケアや子どもへのケアが非常に重要だと思いますので、何人も 同じ保育園にというところは調整していただく必要があるのではないかと思います。一方、 母子家庭というかひとり親家庭については、確かに優先すべき事例だと私も思いますが、私 どもが運営している保育園の中では、例えば60名定員で半数ぐらいがひとり親家庭という 場合もあります。時期であったりエリアによって増減しますが、フルタイムで二人とも働か れている方も保育園に入りたいという非常に高い要望がある中で、どこまで優先的にしてい くのかは考慮が必要だと思いますので、報告書の中にありました自治体、市町村の考慮すべ き優先順位というところで、ひとり親家庭の中でも、どういう場合は優先順位を上げていく などの考慮をしていく必要があると感じました。 また、公平性というか、優先順位を何で付けていくかということですけれども、待機児童が 多い中では、もしかしたら一つの園にたくさんの応募があるかもしれないという中で、では 誰を選んだのかというのは非常に難しい問題が起きてくるだろうと思っていまして、そこに やはり透明性・公平性は必要だろうと思います。そのときに、何らかの基準を設け、どの園 もその基準に則ってやっていくほうが待機児童が多いときには良いのではないかと思いま す。ただ、それは供給が上回っていって、園を選べるという理想的な状態になったときには、 各園の判断基準があってもよいのではないかと思っています。段階を踏んでいくべきではな いかと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。木原委員お願いいたします。 ○木原委員  優先利用については2ページにあります三つ。我々は定員枠というものを持っていました けれども、この2ページにあります三つの仕組みを組み合わせればよいと思います。次の3 ページで、私にはわからないのでお聞かせいただきたいのですが、上の丸の1番目のポツで す。「希望する保育サービスの利用開始までの間は、多様なサービスメニューの中から利用 者が補完利用できるように」、これは家庭的保育などを指していると思いますが、そういう ことなのでしょうか。  それから次の4ページでは、私ども全国私立保育園連盟としては、今こういうことをやろ うと思っています。了解であります。特に虐待児童については本当に最優先していかなけれ ばいけないという話です。先ほど事例で出されました札幌市なり横浜市のような合理的な尺 度があれば一番良いと思いました。  それから5ページの順位付けですが、実は需要が多くて供給が下回るところについては、 二つ目の丸の[2]です。私たちは今こういう形で行っています。保護者が一番心配するのは、 第1希望に行って駄目だったら、また一から手続きして第2希望に行かなければいけないと いうことが非常に混乱してくるのではないかということがありましたので、[2]の連絡協議会 等が行って利用調整というか、そういうことをしてほしいと思っていますし、現に埼玉県の 市町村ほとんどでされている。市町村なり地域の民生委員等を含めて、選考委員会という形 としていらっしゃるそうですから、ぜひそういうことを生かしてほしいと思います。以上で す。 ○大日向委員長  今、ご質問いただいたところについて、まず事務局から先にお答えいただきたいと思いま す。 ○朝川少子化対策企画室長  3ページ目の一つ目のポツの2行目からの「多様なサービスメニューの中から利用者が補 完利用できるように」という中身は何かというお話だったと思いますが、中身はこれからの 議論ですので、どこまで入れるのかというのはまさにこれから第二専門委員会の議論なども 踏まえながら決めていく必要があるわけですが、家庭的保育などは典型例として考えられる ものです。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは駒村委員、それから吉田委員の順でよろしいでしょうか。 ○駒村委員  すみません、途中で退室させていただきますので、お時間をください。新しい制度は以前 も申し上げたように、現行制度よりも皆さまに納得してもらう制度にしてもらわなければい けないという意味では、やはりこの優先順位については特に、多分現場でも父母の皆さまが 非常に神経質になってくる部分だと思います。そういう意味では、先ほどから議論がありま すように、透明性と公平性と、あと煩雑性がなるべくないようなという基準で決めていくし かないのだろうと思います。  その上で、少し戻りまして、障害児と虐待事例のケースですけれども、これは先ほども飯 塚委員から議論がありましたように財政的支援、障害児については財政的支援をつくりなが ら義務にしてもらう。この場合、必ず受けてもらうわけですから、義務といっても断った場 合はペナルティを伴うような厳しいものであってもよいのではないかと思います。  優先的に利用を確保されない子どもについてですけれども、5ページの[1]の大くくりの制 度では、今も議論がありましたように混乱が起きるような感じがしますので、やはり何らか の順位付けをしていくべきだろうと思います。この際にはもう一つ、最後の「供給が需要を 上回っている場合」についても順位付けは要らないのかどうかということですけれども、こ の順位付けというのは要するにある園に希望者がオーバーした場合に優先順位を付けると ともに、やはりどこまで保育所側が選べるかということの自由度も決まってくると思います ので、この最後の部分、5ページの3番目の丸ですけれども、これも地域全体では超過供給 であっても、個別に対して優先順位のガイドラインのようなものが必要ないと言ってよいの かどうかは、やや疑問が残ります。要するに、保育所側にどれくらい自由度があるかという ことにかかわると思います。また、母子家庭・父子家庭については、私はまだどれぐらい優 先順位を付けるべきかは保留したいという気持ちでおります。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それではただ今のご質問に対して、吉田委員にはちょっとお待ち いただいて、事務局から、先にお答えいただけますか。 ○朝川少子化対策企画室長  割り込んで申し訳ありません。最後の一つ前の、今の駒村委員のご指摘の5ページ目の一 番下の丸についてです。私の説明が不十分なのですが、「何らかの順位付け」を設けないと いうことは例えば抽選になるということで、要するに客観的基準は定めるわけです。客観的 基準の中で順位付けがなくなっている世界については抽選にしますとか、これが良いかどう かは別にして早い者順にしますとか、何かそういう基準は設けた上で順位付けはしないとい うことで書いています。 ○大日向委員長  よろしいでしょうか。それでは吉田委員、それから市原委員の順にお願いいたします。 ○吉田昌哉委員  順位付けにつきまして、5ページの最初の丸では「例えば」ということで「フルタイム勤 務者の子どもと短時間勤務者の子ども」ではフルタイムの方が上位にいくべきではないかと いうことが書かれています。短時間勤務労働者でも保育が利用できるというのは非常に良い 考えだと思っていまして、ぜひ実現していきたいと考えているのですが、現状では横浜市の 例を取っても札幌市の例を取っても、フルタイムの方が上位についている。ただ、ほとんど の場合は母親だと思いますが、今そういう就業の状態にいない人たちが就業する場合、なか なかフルタイム労働がないのが現実だと思います。また世帯の所得を増大させていくという 点からも、政策として誘導すべきことは、まずは失業・非就業状態の人をフルタイムの3 分の1でも2分の1でも、そういうパートタイムの労働でもよいから就業状態に移行してい くというのが政策として誘導または支援していくことだと考えています。だからといって、 フルタイムよりもパートタイムの方が上位にくるべきかということもまだ考えていないの ですが、ただ、パートタイム労働者でもフルタイムと同じぐらいの優先順位で利用できるよ うな工夫といいますか、そういう配慮が必要ではないかと考えています。以上です。 ○市原委員  資料の4ページに当たるのですけれども、ここで優先すべき対象の子どもの類型というこ とで虐待、母子家庭、父子家庭と書かれております。こちらにつきましては、先ほど飯塚委 員からも自治体の立場での意見がありましたけれども、三鷹市においても虐待ケース、また はひとり親ケースについては入所に向けての優先度を保つとともに、またその背景にある、 例えば虐待ケースなどですと、地域の虐待ケースの家庭をどのようにサポートするか、そう した地域のサポート体制を整えた上で、そのサポートの一環としての保育所入所という形態 を重視しているという現状です。それから、ひとり親家庭につきましても、やはりひとり親 で子どもを育てる上での生活支援、それから就労支援が必要であればそうした働きかけも同 時進行的に行っていく中での保育所入所の優先度を保つという扱いをしているところです。  そしてもう一つ、これは質問させていただきたい部分ですが、4ページのハ)の「市町村 が個別に判断する類型」としまして、「虐待事例又は母子家庭及び父子家庭に準じて」と書 かれていますが、例えば生活保護世帯の扱いについては「市町村が個別に判断する類型」の 中に含まれる概念かどうかを確認したいと思います。といいますのは、三鷹市においては生 活保護の世帯の自立を促し、そしてまた自立成長に貢献するために保育所入所については優 先分を設けているということ、また横浜市の入所基準などを見ますと、生活保護世帯への配 慮も見られます。そういう自治体は多いと思いますので、その辺の扱いについて確認させて いただきたいと思います。  それから5ページです。先ほどの皆さまの議論の中でも多々出ていますけれども、「何ら かの順位付け」の部分です。こちらにつきましては冒頭に高橋委員からありましたように、 実際の受入れ結果の公表の意義ということでのご質問もありましたけれども、実際にはこれ は、保育所入所に結び付かなかった入所希望者からは、なぜ自分が入れなかったか、どうし て枠から外れたかということの説明を求められるケースが非常に多く、この辺については各 市町村が説明責任を果たすのに苦慮しているところだと思います。その辺が保育所サイドで 説明責任を果たす役割を負う形になったときに、やはり説明するための理由、順位付けの根 拠、また納得できるだけの理論武装をするためのガイドラインといったものは必ず必要にな ると思いますが、そうしたものはここの記載では、市町村が地域の実情を勘案し、「何らか の順位付け」に関するガイドラインを示すという記述があります。そうした意味で保育所が 説明責任を果たしていくとすれば、より具体的、個別明確なガイドラインとして何かしら示 していくことになると、それを突き詰めていくと今回の横浜市、札幌市が設けている入所基 準にだんだん近づいていくのではないかという感覚を、ご説明を伺っていて得たところです。 以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。今のことに関して、まず事務局からお答えいただいて、それか ら佐藤委員、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  質問がまず1点ありまして、生活保護世帯についてどうするかですが、低所得家庭一般に ついて考えて、そこを優先類型に入れるかと言われれば、それは今回そこまではしない方が 良いのではないかということで、印字でイ)、ロ)には入れていないわけです。その上で生活 保護世帯だけに着目してどうするかというのは、もう少し検討が要るかもしれませんが、横 浜市の例は確かに優先されていますし、三鷹市も優先されているということです。あと我々 が外形的に見る限りにおいて、優先を明確にしていないところもあるようなので、それも踏 まえながら検討しておく必要はあると思います。  もう一つは、ガイドラインをどんどんやっていくと、やはり今の選考基準と同じになるの ではないかという点です。先ほど駒村委員は大まかなものではいけないのではないかとおっ しゃっていましたが、最終形というか、出来上がりの姿を考えれば、エリアで待機児童が基 本的にいなくなるという姿で考えれば、今の横浜市ほどの細かい基準は要らなくなるのでは ないかということを前提に考えております。現状で待機児童が何百人もいるという状況の自 治体であれば、やはりそれは何らかの細かいガイドラインが要るということでしょうから、 当座は今の選考基準に近いものになると思います。ただ、それは今の時点で考えても自治体 によってだいぶ状況が違いますので、待機児童がいないような地域で細かい基準は要らない と思いますので、そういう意味で大枠の国の基準でよいのではないかと提示しているところ です。 ○大日向委員長  では佐藤委員。榊原委員もお手を挙げられましたか。では、佐藤委員、榊原委員の順でお 願いいたします。 ○佐藤委員  前回の委員会の後、全国保育協議会としましても、今回参考資料を出したのですが、説明 の時間を設けていただけなかったので、そこから今の優先的にと委員長から求められたとこ ろに該当するところで意見を述べさせていただきます。まず、市町村の関与があった上での 2者の利用契約の仕方は、やはり全体として確保していただきたいと思っております。前回 の委員会で、利用者が保育所等へ申し込み、保育所等が選考という手続きでは、市町村が関 与しない場合が生じてします。ですから、今回の優先利用でいくと、「市町村が利用を確保 すべき子どもを認定するとともに」という斡旋の部分が一番強いと思われるのですが、いず れのパターンにしましても市町村が関与した利用の仕方を優先していただければと思って おります。  それから前回、椋野委員からも出たように、何らかの選定をする場合、必要性の判断をす る場合には、例えば介護保険でいうケアマネジャーのような方たちが、保護者の就労だけで はなく、子どもの保育の必要性も含めたコーディネート機能を持ったケアマネジャーのよう な方が必要だと思います。  それから「優先的に利用される」ところで、幾つか類型が書かれた中の[1]のところで、「保 育所等は、優先受入義務を踏まえて、定員の弾力化の活用等により」と書かれているのです が、これについて私たちは、例えば緊急性の必要性が高い子どもたちが申し込んできたとき に、やはり保育所が定員とは別にここの部分は確保するべきではないかと思っております。 今のような弾力運営というような、柔軟にというのでしょうか、ただし書きでするようなも のではなく、定員とは別枠で優先的に利用する人たちの受入れ枠を確保する必要があるので はないかと思っております。いずれにしても、例えば優先受入れができなかった場合、ある いは優先受入れの対象でない方たちが申請したものの選考から漏れた場合の苦情解決なり、 そのような申立てができるような機関の設置もやはり必要ではないかと思っております。と りあえずは、そこのところまで。 ○大日向委員長  それでは榊原委員。その次に柏女委員の順番でお願いいたします。 ○榊原委員  ありがとうございます。簡単に2点だけ。一つ目は1ページ目に「母子家庭」という言葉 と「母子家庭及び父子家庭」と出てきているのですが、これは今後「母子家庭」と「父子家 庭」を分けて議論していかなければいけないのかということを伺いたいと思いました。かつ て、20〜40年前に女性が労働市場でほとんど正社員になれない時代に、母子家庭と父子家 庭の置かれている状況は相当違っていたと思いますが、今は男性もこれだけ不安定な雇用環 境に置かれている中で、「母子家庭」「父子家庭」と分ける意味はさほどない。むしろ、ひと り親家庭として普遍的な一つの形態としてきちんと扱っていくことが必要ではないかと思 いました。必要ないのであれば、ひとり親家庭というくくり方にしていった方がよいのでは という点です。その場合に、ひとり親家庭というのは、やはりこれだけ核家族が極まってい る今の日本の社会の中では、相当の負担がある。昼間に誰に預けるということだけでなく、 いろいろなところで負担を抱えているというところをやはりきちんと見ていく必要がある。 昼間は9〜17時の簡単な事務作業をしているけれども、それだけでは子どもの教育費が捻 出できないからということで、例えばダブルワークで夜はラーメン屋さんで働いている、飲 食店で働いているという方の例は幾つも耳にしています。そういう方の保育の必要性という のは多分就労証明などからは入ってこない。いろいろなところで負担を持っているというこ とを勘案した上で、ひとり親家庭の人たちの優先順位を考える必要があると思います。  もう一つは5ページ目のところで、先ほどから議論になっている斡旋結果の公表の点です。 これは保育に関心のある保護者側にニーズが非常にあるだろうということももちろんそう ですし、またこれから保育の大きな制度改革に、相当国民全体から支援、富を調達して投入 していくというところで、国民全体の理解を得ていくというときにも、やはり公平できちん とした透明性の確保されたシステムで運営されていることを示していく必要が恐らくある はずです。信頼性を担保する部分の公表というものは入れ込んでいく必要があると思ってお ります。 ○大日向委員長  柏女委員の順番ですが、駒村委員はお帰りをお急ぎになりますよね。 ○駒村委員  すみません、では一言だけ言わせていただきます。今の「母子家庭」「父子家庭」のとこ ろですが、榊原委員がおっしゃるように「ひとり親家庭」という考え方もあると思いますけ れども、一方ではまだ違う部分もあると思っております。この辺の実態がどうなっているの かをきちんと見た上で、母子家庭と父子家庭を分けて考えていく必要があるのかどうかを確 認した方が良いと思います。やはり母子家庭の実態を見ますと、学歴的にも資格的にもかな りハンディキャップがあるということが実証研究で確認されています。では、父子家庭の場 合はどうなっているかよくわからない部分がまだあって、私はまだそのデータを見ていない のですが、やはりかなり賃金率も低いということもありまして、労働時間もかなり長い状況 もありますので、父子家庭の方もかなり状況が悪いのかもしれません。この辺が同じような 状況なのかどうか、一くくりにできるようなものなのかどうかはデータレベルでチェックを した上で議論を進めた方が良いのではないかと思います。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。お待たせいたしました。柏女委員、お願いいたします。 ○柏女委員  基本的にこれまでのご意見に異論はないのですけれども、2ページの「市町村が優先的に 利用確保すべき子どもを認定する」ということですが、これはとても大事なことです。これ はまさに公助の視点だろうと思います。子どもの最善の利益の視点からということで考えて いかなければならないと思っていて、例えばひとり親家庭であっても、利用しなかった場合 に子どもにどのような影響が及ぶかという視点がとても大事なのではないかと思います。こ れは英国の児童法の中に子どもの最善の利益を判断する基準の一つとして、そのサービスを 利用しなかった場合に子どもにどのような影響が及ぶのか、そこをしっかりと考えて判断す べきだという判断根拠が挙がっておりますけれども、やはりそのような視点を基準の中に入 れていく必要があるのではないかと思います。  もう一つは、その場合に受入れ可能な保育所等を、例えば虐待等の場合に斡旋するという ことです。これはとても大事なことですが、斡旋だけではなく、その保護者に対して利用を 勧奨するという、つまり保育所を利用することを勧めるという、現在もありますけれども勧 告するという仕組みもしっかりと担保しておくことが大事ではないかと思います。その場合 に、今度は保育料が未納になる可能性が高いわけです。そのような場合の対応ですが、保育 料の徴収権者がどこになるのかは、まだこれからの議論ということで伺っておりますけれど も、保育料が未納になった場合の対応などについても考えておかなければならないだろうと 思います。  それからもう一つは、虐待があって保育所を利用する場合と同時に、保育所を利用してい るうちに虐待が発生するという問題もありますので、その場合の市町村の関与ということも しっかりと。今、要保護児童対策地域協議会の話が出ておりまして、私も要保護児童対策地 域協議会をしっかりと活用することが大事だと思いますが、そうした基点も併せて補完的に 設けておくことが大事なのではないかと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。 では、川崎委員お願いいたします。 ○川崎委員  それでは、簡単に2点だけお話ししたいと思います。1点目は「優先的に利用を確保すべ き」ということで、虐待とひとり親家庭で、それぞれ仕組みを作ってというところはこれで よろしいかと思います。2点目として、5ページの優先的に利用確保されない子どもに対し ての「何らかの順位付け」ということで、各委員からいろいろなご意見が出ていると思いま すし、また、現状の保育環境の中で待機児童が多いということを前提とした発言もあろうか と思います。しかし、今回の議論が将来形でほぼ待機児童がないという形を目指したといっ たときの姿を議論すると考えた場合に、あまりここの中での過重な仕組みを作っていくとい うようなことは慎重に判断するべきではないかと思います。まして待機児童がほとんどいな いような県も既にあるわけです。そういったことも踏まえると、今後の影響を考えても、過 重な仕組みをつくることについては、慎重な議論が必要ではないかと思います。この2点で す。 ○大日向委員長  ありがとうございます。では飯塚委員。 ○飯塚委員  1点だけ言い忘れたので。5ページの優先的に利用確保されない子どもの保育利用の順位 付けということですが、二つほど案的なものが示されていると思います。実際にこれは保育 所を市町村に置き換えると、市町村で二つのケース、横浜市と私どもにもございますけれど も、基準を設けてそれに則ってやるケースと、それに加えて私どもは実際に[2]に近いのです けれども、保育所入所選考委員会というものを非常勤特別職という非常勤の地方公務員の位 置付けで、民生児童委員や地域の代表といった方になっていただいて、その中で合議制で選 考を実際に行っているのです。両方に触れて、実は私どもは合併協議をしていて、どちらの 方法を採るかという議論をしたのです。そのときに実は[2]に非常に問題があるということが ありまして、この連絡協議会あるいは私どもの選考委員会になりますと、個人情報を扱う性 質上、この会は非公開にせざるを得ないのです。そうすると、透明性や公平性の確保が、委 員の中で議論の内容がなかなか公開しづらいという側面がある。そうすると、この[1]ですと、 横浜市的なものが私どもにもありますけれども、点数で明確化されれば、「あなたは何点で す。今回の選考は何点までの人しか入れませんでしたから、あなたはその点数より低かった ので、今回は入れませんでした」ということを明確にお示しできるので、説明責任を果たす 上でも非常に合理的手法だと判断して、実は[1]を採用することにいたしました。今はこの基 準は公表していないのですけれども、これをきちんと公表して、透明性、公平性を確保して やっていこうということになったのです。ですから、私個人的には[1]の手法。どのような基 準づくりをするかということがありますけれども、やはり密室の中で行われる議論よりは、 このようにきちんと基準を示してその中でやっていく方がやはり透明性、公平性を確保する という観点では良い手法だと思っているところです。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、「優先的に利用確保されるべき子どもについて」の議 論は、この辺りでよろしいでしょうか。  それでは、簡単にお願いいたします。 ○佐藤委員  すみません。そこのところで一つだけ。前回の委員会の中で、事務局から定員割れ、待機 児童の話をされたと思いますが、その後の報道機関の発表で、横浜市は今年の4月段階で 1,290人の待機児童がいながら、同じ時期に定員割れが1,503人あった。本当は受け皿があ ったのに、ある一定の保育所に申し込んでいて、申し込んでいない保育所が定員割れ。総枠 でいくと横浜市全体の中では、すべてを受入れる可能性があったのに、ある意味では受入れ 保育所と利用申込者とのミスマッチでというデータが出ていたのですが、この辺の裏付けは 取っていませんが、もしそうだとすれば、この議論はいつまでたっても消えていかないので はないかと思います。市町村単位の定員割れ、あるいは待機児童という数ではなく、個々の 保育所の需要と供給のバランスだけで判断されていくと、いつまでたってもここの仕組みと いうのは、かなり難しいのではないかと思います。この辺はいかがでしょうか。 ○大日向委員長  横浜市の状況について、事務局からご説明いただいてよろしいでしょうか。 ○今里保育課長  横浜市の状況につきましては、そのような報道があったことは承知しておりますが、特段 こちらからそれを確認しているわけではありません。ただ、今の横浜市の場合には、ご案内 のように非常に大きな市で、今、佐藤委員のご指摘のように確かに市全体で見たときに待機 児童がいるかどうかは、必ずしもここで供給が需要を上回っているか、あるいは需要が供給 を上回っているかということと、1対1で対応するものではないと考えております。すなわ ち地区で考えて、その中でリーズナブルに通うことができるような中での供給の体制を提供 する責務があるということですから、そういう範囲内で考えることではないかと思っており ます。 ○大日向委員長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。優先的に利用確保されるべき子どもにつき ましては、虐待事例の子ども、それから母子家庭、父子家庭と分けるか、ひとり親家庭とし てくくるかは議論が分かれたところではありますが、いずれにいたしましても資料1-1の2 ページにまとめていただいたような3類型がありました。対象となる子どもの類型に応じて、 3類型を組み合わせて考えることが適当ということに関しては、皆さまのご意見は大方合意 されたように承りました。今日はご欠席ですけれども、吉田委員のペーパーの中に、ひとり 親家庭について単純に共働き家庭より優先性が常に高いとは言い切れないケースもあって、 共働き家庭であっても父母が長時間、不定期就労や夜間勤務をしている場合もあるという細 かい例も丁寧に見ていくことが必要だと思います。  一方で、優先的に利用確保されない子どもの保育利用に対する「何らかの順位付け」に関 しまして、これはある程度順位付けを設けるとしても、あまりがんじがらめではなく、大く くりの制度にしつつ、市町村が関与した形で公表する仕組みを、個人情報の扱いはもちろん 大事にしつつということですが、進めていくことに関しても大方合意されたのではないかと 思います。この点に関して連絡協議会が良いのか、ケアマネジャー的なかかわりが良いのか、 また吉田委員はワンストップ・サービス的なところで利用者が迷わないようなものというよ うなご提案もあったかと思います。このような細かい議論は残しておりますけれども、優先 的に利用確保されるべき子どもについてのご議論はひとまず終わりということにさせてい ただきます。  次に、「利用保障の範囲について」にご意見を移していただけければと思います。先ほど 高橋委員からここに関しても既にご意見をいただいておりますが、他の委員からもご意見を いただきたいと思います。椋野委員、お願いいたします。 ○椋野委員  利用保障の範囲で超過勤務の扱いですけれども、例えば6ページの「当該時間を超える利 用」のところです。「当該時間」というのは、就労時間と通勤に要する時間。典型的には8 時間プラス1時間のお休みプラス通勤時間2時間で11時間というご説明がありましたが、 それを超える「利用(超過勤務等に伴う利用)に対する財政支援のあり方についてはさらに検 討する」ということで、「働き方の見直しの観点も踏まえ」とあります。しかし、働き方の 見直しはまだ途上で、先ほど榊原委員からひとり親のダブルワークのお話もありましたけれ ども、超過勤務をするかしないかを自由に働く個人が選べる状態ではなく、データがもしあ ればお示しいただきたいのですが、かなりの方が超過勤務をしているであろうと思われます ので、その部分について財政支援しない、あるいは財政支援を減らす、あるいは利用保障を しないということについてはいかがかと思います。実態を見た方が良いと思いますけれども、 やはりまだ超過勤務も含めて利用保障しないと安心して子育てができない状況だろうと思 いますので、先ほどの「待機児童がいなくなったときを考えて」と同じように、残業も全く 個人が自由にするしないを言える状況になったら、これでもよいのかもしれませんが、今の 段階ではここはやはりきちんと利用保障をすべきだろうと思います。  あと、低所得の方に対する配慮をどうするかということがありますけれども、仮に超過勤 務のところの利用負担を高くするというようなことであれば、低所得であり、ダブルワーク をしたり、駒村委員が言われた長時間労働をせざるを得ない方に対して、そのような方々の 経済的負担が高まるということになりかねませんので、ここはぜひ実態を見た議論をしてい ただきたいと思います。  あともう一つ。これは質問ですけれども、例えばこの書きぶりでは、3歳以上の子どもの 場合は1日当たり短時間勤務の方でも、あるいは週2日の方でも、要するに週5日11時間 を保障するというようにご説明は聞こえたのですけれども、もちろん子どもの生活の連続性 があるのですが、一方でやはり親とともに過ごす時間というのも重要だろうと思います。親 と一緒に過ごせるのに11時間保育を保障する、あるいは定型保育の時間にはいらっしゃい ということがいいのか、以前よく長時間保育の弊害の議論もありましたが、私はその部分が 専門でないので、3歳以上の子どもならばやはり親と共に過ごすより生活の連続性を優先し て考えるべきかどうかというところを教えていただければ。あるいは研究を事務局の方で把 握しておられれば教えていただきたいと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  まず後段のご質問に関してですが、これは少し論点がずれるかもしれませんが、数はそれ ほどありませんけれども、夜間保育をやっていらっしゃる保育所がどういう対応をされてい るのか研究書などを見ますと、結構まちまちになっています。要するに午後からでもよいと いう保育所もあれば、やはり小学校に上がる前段階として、子どもの生活のリズムとして午 前中からという話もあるようで、午前中から来てくださいと言っているところもあるようで す。要するに、夜間保育所をやっている所でも対応が分かれているようですので、そこはな かなか一概に決めつけるわけにはいかないのではないかという問題認識の下、決めつけられ ないのであれば、長く保障しておいたらどうかというのが8ページ目で何となく言わんとし ているところです。仮に11時間という枠しかない、要するに短時間という類型を設けなく ても、短くても別によいわけです。実際の利用はその範囲内で利用すればよいのです。そこ は現場ごと、あるいは利用者の希望といったところでの判断が可能なように、長く取ってお くことも考えた方がよいのではないかと。結論を書いていないのですけれどもそういう趣旨 で書いているものです。  あと、質問ではありませんでしたので、私から申し上げるのは適切ではないかもしれませ んが、前段のところについてはおっしゃることは非常によくわかりますが、一方で公的な財 源を活用して制度的に保障する範囲を考えるという話ですので、どこまでも保障できれば、 もしかしたらそれでよいのかもしれませんが、公的な財源を活用する上で、どこに力点を置 いて保障するかという観点も含めて、どの範囲にすべきかということを考えております。 ○大日向委員長  よろしいでしょうか。 ○香取審議官  少し補足しますと、例えば11時間を超える部分を保障するかしないかという議論でいう と、先ほどから議論になっている子どもの最善の利益という立場から考えると、仮にそこの 部分に公的保育サービスを提供しないで子どもに何が起こるか考えれば、恐らくそれは何が しかの保障をする。そういうことになると思います。そこから先、財源的にどのような保障 の仕方をするかという議論になると、例えば長時間労働をしなければいけないような労働環 境にある人の経済状況をどう考えるかということが一方であって、それなりに保障するべき だという議論もあります。また、他方で、今、事務局から答えたように、では青天井で、例 えば15時間、17時間と延々と保障し続けるのかという議論もあって、そこは正直、なかな か難しいところかなと。ただ、費用負担の問題をどうするかとは別に、現実にそこで必要な サービスを提供しなければ、結局、私的保育あるいは二重保育といったことが起こることに なります。従って、保障をどうするかという観点で言えば、何がしかの保障をしていくこと が必要だろう。基本的にはそういうことで、財源的にどうするかはまだ少し議論があって、 全体のバランスを考えての議論かと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございました。それでは、柏女委員、お願いいたします。 ○柏女委員  2点あるのですけれども、1点は今の香取審議官のご意見にも関連するのですが、上限を 決めるべきなのか、範囲として決めるべきなのか、そこはとても悩ましい感じがしていて、 上限を規定した場合に、利用量だけでやるのか、あるいは日にちも入れるのか。つまり、5 日間で55時間とやるのか。その辺のところが私は判断がつかないのですが、モラルハザー ドを生んでしまう危険性をかなり感じています。例えば週上限55時間であれば、通勤も入 れて9時間で済む場合は、5日間通ったとしても45時間なわけで、土曜日に家事をまとめ てすることは当然あり得るわけです。そのときに土曜日に保育所を利用することもあり得る わけですが、そこをどう考えたらよいのかという視点です。必要な方もいらっしゃるでしょ うし、そうでない方もいらっしゃることもあって、非常に悩ましいという思いがあります。 結論がなくて申し訳ないのですが、そういう思いがしています。統計を取っていないのでこ れは感覚ですが、保育の供給量が多い地区は、私の感覚で申し訳ないのですが、土曜日の午 前・午後もかなり子どもたちが保育所にいる。供給量が足りない所は、土曜日のところもそ んなに利用していない。つまり、保護者と事業者が力関係になっている感じがしています。 確定ではないので、はっきりとは申し上げられないのですが。  それともう1点ですが、これは「その他」の部分の障害児の部分について今、申し上げて よろしいでしょうか。障害児については障害児の見直しの検討に携わった経験から、一つは 可能であればというか、ノーマライゼーションの視点から、保護者が就労していない障害を 持った子どもたちであったとしても、可能な限り健常な子どもたちと一緒に受け入れられる 体制を整えていくことが、原則的には大事だろうと思っています。その上で、バランスがあ って、一つは子どもにとって必要な社会資源がない所がありますので、例えば児童デイサー ビスだとか、そうした障害関係のサービスが全くない地区があります。前回も申し上げまし たが、私は石川県の職員で、今日も石川県から来たのですが、能登地区には児童デイサービ スは1か所もありません。そうすると幼稚園もあまりありませんので、保育所が受けるとい う形になります。そういう場合には、保護者が就労していないということであったとしても、 障害をもった子どもたちの利益という点から、保障していくことが大事ではないかと思いま す。それ以外に、例えば幼稚園や児童デイサービスなどのサービスがたくさんある場合は、 子どもの利益の視点から総合的に判断をするというところかと思っています。そうした取り 決めというか基準などが必要になるのかなと思いました。以上2点です。 ○大日向委員長  飯塚委員、お願いいたします。 ○飯塚委員  確認を含めてですが、先ほどから出ている利用量の関係で、11時間を超える部分につい ては別に考えることが適当と書かれていたと思いますが、基本的には一時的に決めるのは、 11時間までの利用量を決める。現行の制度ではいわゆる延長の部分はオプションの部分で、 私どもの町では私立の保育園で実施しているのですが、直接契約をしているのです。必要な 金額を負担している。国庫も入りますが、次世代育成支援対策交付金、延長保育促進事業と いうメニューがあるのですが、その中を活用して、一定の金額を補助金として交付している というスキームだと思いますが、全く新しいものになるのでしょうか。この辺はこれから検 討していくということで、運営費の範囲でまかなうのか。補助金自体が今の議論でなくなっ て一括交付金という話もあるようですが、補助金というスキームになるのかを、今後議論し ていくのでしょうか。これは質問です。  先ほど障害児の話があって、私はフライングして申し上げたのですが、障害児の部分につ いては、受入れは私どもとしても積極的にしているところですが、どうしてもセットで議論 しなくてはならないのが財政支援の部分になります。先ほどご紹介しましたが、埼玉県の場 合は、手帳を取得している方について、1人当たり4万円ほどを県の単独の補助で。申し訳 ないのですが、国庫は入っていないのですが単独の補助をいただいて園に交付している状況 ですが、どうしてもそれだとまかないきれない。1人加配するとなると、それ相応の金額が 必要になってくるので、とても経営的に難しい課題が。ハードルが高いという指摘は、実は 財務の方からもかなり言われていますので、どうしてもその辺の議論が、財政的な支援とセ ットで議論していかなければいけない課題と思っていることと、逆に柏女委員から先ほど児 童デイサービスの話が出ましたが、私どもの所で児童デイサービスの施設も民間でありまし て、そちらとうまく併せて活用している方が多いのですが、児童デイサービスの方は、私ど もの基準では認定されると月14日以内、週3回程度で1割負担で今は運用されているよう ですが、障害の担当の職員の話を聞きますと、預かり保育的な側面が非常に強くなって、本 来の療育的な通園施設という目的とは若干違ってきた使われ方をしている傾向が若干見受 けられるそうです。それを今後是正していきたいという話もあったのですが、私個人の意見 とすれば、保育所の待機の状況もありますので、当面は少し弾力的に運用していただければ と。保育所も使えて、児童デイサービスで預かり程度では若干目的から外れるかもしれませ んが、どちらかで何らかの形で昼間子どもの面倒を見ていられる施設に預けられる体制を、 保育所ももちろんそうですが、児童デイサービスも含めてやっていくことが必要だと思って いるところです。以上です。 ○大日向委員長  それでは、先ほどのご質問に事務局からお答えいただけますか。 ○朝川少子化対策企画室長  まず現行制度の延長保育は要するに11時間開所という時間帯の枠があって、朝の7時か ら夕方18時まであって、そこから外れた前後が延長保育となっていますが、この新しい仕 組みは時間帯で区別するのではなくて時間量で、例えば11時間なら11時間保障した、その 外をどうするかという話に、概念がまず変わるということです。従って、現行の延長保育と は少し変わりますという要素があります。そのときに、11時間の長さを超えたところを支 援するかどうかという議論をしていただきたい。支援するとして、どのような支援の仕方に するか。今、飯塚委員がおっしゃいましたように、利用量については相対で自由に決めて一 定の補助をするという仕組みも当然制度設計としてあり得るでしょうし、もう少し縛るとい う制度設計もあり得るでしょう。それは、これからまさに皆さま方に議論をしていただきな がらということになります。 ○大日向委員長  佐久間委員、お願いいたします。 ○佐久間委員  先ほどからの皆さまのご意見を聞きながら、そうだなと思うのですが、保育園だけに全て を求めていっても難しく、ワーク・ライフ・バランスという言葉が非常に盛んに言われてい ますが、働き方という観点もあわせた、両輪で考えていく必要があるのではないかと思いま す。ただ、まだまだそれが実現できていないので、きれいごとばかりは言えず、いろいろな 働き方をしなければいけないことも事実ですが。  「長時間」と「短時間」というところですが、「長時間」「短時間」というのは、11時間、6 時間というのが妥当なところかと思いますし、これ以上時間帯を短くとか長くというバージ ョンをつくるよりは、この中で保護者や子どもの生活に合わせて考えていくのが良いのでは ないかと思います。夜が遅いお仕事をされている方が、お昼の12時くらいから保育園に登 園されるのは、実はよくあるのですが、保育園側としては先ほど、連続性という話もありま したが、朝の活動から一緒にできるように登園をしていただきたいと保護者の方にはお願い をしていっています。しかし、伝え方も難しいですし、実現も難しいのも事実です。何が本 当に乳幼児期の中で大切なのかが、私自身も非常に悩むところで、保護者との時間を大切に するのも一つ観点としてありますが、就学していく子どもにとって、この乳幼児期の生活リ ズムが非常に重要であると思っています。3歳以上児をどうするかという話がありましたが、 ここについては私個人としては連続性を大切にして、時間帯を長く取っていただいて、その 中で個別の対応をしていくのが良いのではないかと感じた次第です。 ○大日向委員長  それでは川崎委員が先で、それから高橋委員の順でお願いいたします。 ○川崎委員  1点だけ申し上げます。3歳未満の子どもの保障量について、、7ページに、「長時間」が 11時間、「短時間」が6時間とありますが、、これは「例えば」なので、決定ではないという 前提で、少しこういうことも考慮してほしいということを発言したいと思います。今般、育 児介護休業法が改正され、これから3歳未満の子どもを持っている社員に対して、短時間勤 務を企業で導入することが義務付けられますというときですので、設定時間プラス通勤時間 を前提とした短時間設定を考えていく必要があるのではないかと考えます。つまり、6時間 という例を考えると、通勤時間を除くと、実稼働時間・実勤務時間が4時間になると思いま す。実際その企業の中での短時間勤務で、4時間を使う社員は現実的にかなり少ないのでは ないかと考えると、もう少し長めの時間設定の保育が必要になる。そうすると、通常勤務で ある長時間の場合の例えば11時間と、短時間についてはもう少し長めの時間設定を検討し ていただきたいと思います。今後、改正育児介護休業法の指針等で、短時間勤務について明 らかになってくると思いますが、整合性のある検討をぜひしていただきたいと思いますので、 よろしくお願いします。 ○大日向委員長  どうぞ、高橋委員。 ○高橋委員  私は冒頭から大フライングをしてしまいました。申し訳ございません。一つは冒頭に言い ましたことを確認したいのです。3歳未満児の「長時間」の部分と「短時間」が並列的に考え られるのかどうかです。  もう1点は、先ほど11時間なりの考え方がありましたが、そこは利用者の利用量に着目 してということのようですが、仮に11時間という利用量の算定を受けた場合に、極端な話 が7時〜18時でも9時〜20時でもよろしいわけですよね。しかし、そこのところは24時 間開けていればどのような利用のされ方をされようと、それは構わないと思いますが、そこ は早朝の概念がある以上、どこかで切るというか、基準を明確にしておかないと、早朝の概 念もないし、24時間するのが前提であれば構わないのですが、早朝・延長の考え方、また 夜間の考え方というのは、どこかで11時間の部分をとっておかないと、その前後という考 え方が出ないわけですし、延長保育制度が全くなくなるということですよね。11時間の前 後にしても構わないことになりますから。そこの2点だけを確認したい。「長時間」と「短時 間」が並列なのかどうなのかということと、今の11時間の考え方をもう一度、説明をお伺い したいと思います。以上です。 ○朝川少子化対策企画室長  まず冒頭におっしゃった3歳以上の子どもと3歳未満の子どもで、3歳以上の子どもがも し「長時間」で3歳未満の子どもが「短時間」であればおかしなことが起きるのではないかに ついてですが、一つは3歳以上というのは仮に長時間、別に決め打ちで言ってはいないので すが、仮に11時間という枠しか設けないとした場合、別に11時間利用してくださいと言っ ているわけではありません。その中で短時間利用してくださればよいので、そこは3歳未満 の子どもと3歳以上の子どもが一緒にいるのであれば、併せて利用していただければ。要す るに3歳未満の子どもが「短時間」だという認定を受けることは、それは働き方か何かの事 情で短時間で大丈夫だということだと思いますので、それは3歳以上の子どもも短く預けて いただければ基本はよろしいのではないかと思います。  後段の話は、まず開所時間に直目した延長保育というのは、概念上なくなると思いますが、 利用者に着目して11時間を超えた利用。先ほどの例でいくと13時間利用したい人につい ての2時間分は、今の言葉でいえば延長保育という給付が新しく設けられるのではないか。 設ける設けないということ自体が議論の対象ではありますが、設けるのであれば設けるとい うことですから、13時間利用している人は2時間分は延長保育の給付を受けるという考え 方です。確かにおっしゃいますとおり、7時〜18時と9時〜20時でいきますと同じ11時間 ですから、それは普通の標準的な利用保障の範囲内ということですので、それは延長とはな りませんが、もし11時間を超えるのであればそれは延長だという話です。では7時〜18時 と9時〜20時が同じでよいかという点につきましては、それは単価の具体的な設定の仕方 に問題は帰着すると思います。利用保障の上限といいますか、標準的な利用保障の範囲とい うのは、あくまでも時間の量でどれくらい保障するかということを今、議論していますので、 実際に深夜と早朝がどこの時間帯を指すかはこれからの議論だと思います。要するに人員体 制も恐らく違ってくるでしょうし、かかるコストが違うのであれば給付といいますか、補助 の単価も変わってくるのが当然だと思いますので、それは報酬設定の段階で考える話だと思 っています。 ○大日向委員長  榊原委員、お願いいたします。 ○榊原委員  今の利用の保障上限量の点ですが、大きな枠組みとして「長時間」と「短時間」と設定して 運営していくところに基本的に賛成です。ただ、私もそうですが、例えば毎日当たり前のよ うに深夜まで仕事をする業界にいて、そのような働き方を強いられている人が、これだけ多 くいる日本という国の中では、この保障の上限量を超える人には延長保育がどうしても必要 な人が相当まだいるであろうということを念頭に置いた議論をぜひしていただきたいと思 います。もちろんその働き方を肯定していくわけではなくて、それを変えていくという視点 も必要で、その際に延長保育や夜間保育の利用といったところの負担を一体社会でどう見て いくのかといったときに、そのような従業員の使い方をしている企業の責任は明らかにして 議論していくべき段階だろうと思っています。日本のようにこれだけ24時間サービスや深 夜サービスを当たり前にしている国は、先進国の中でも少数派のはずで、その際今エネルギ ー消費という点から、環境負荷にご迷惑をかけている視点が相当社会の中に出てきています が、労働者の稼動を24時間際限なくしていることで、社会や家族への負荷も相当かけてい るところを、企業はどう責任を負っていくのか。どのような協力の取り付け方、徴収の仕方 があるのか私にはわかりませんが、例えば雇用保険に上乗せするとか、深夜労働をしている 企業の協力の引き出し方も保育の中へ入れ込んでいけば、深夜の労働をどう考えるのかを企 業に再考を促すような効果もあるのではないかと期待しています。  もう一つが、3歳以上の子どもと3歳未満の子どものところで、24時間保育をやってい る保育園の話などを伺ってみると、特に女性で働く機会がないからといって夜間の飲食店で 働いている人たちが多いという話を聞くと、午前中の保育から必ず参加させなさいというと、 1日のうち一度も食事を一緒にできない子どもをつくってよいのかということになると気 がついたことがあります。その場合、3歳未満の子どもの場合は、私も本当は子どもの生活 のリズムはとても大切だということには、一も二もなく賛成なのですが、親との生活、かか わりを見て弾力的に考える必要があるだろうということ。ただし、3歳以上の子どもにとっ ては、就学前の大事な時期ということで、広い意味の就学前教育。集団のプログラムに皆で 参加するといったようなところの意味も込めて、より午前中の保育にきちんと参加させると いうところを位置付けていくという区分けがあってもよいのかなと思います。 ○大日向委員長  佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  先ほど短時間の時間などで川崎委員がおっしゃったことに私も同感ですが、もう一つ保育 者として子どものそばにいて3歳未満の子どもたちは当然特定の保育者と愛着行動をつく りながら生活時間を過ごしていくわけです。その中で6時間。例えばあなたは短時間ですよ といわれて、6時間というのが妥当なのかというと、私は短いと思っています。そういう意 味では、保護者の方たちの短時間勤務と、それから子どもにとっての育ちの保障の部分。愛 着行動も含めた育ちの部分からも、この短時間の例えば6時間は若干短いのではないか。  もう一つ語感ですが、認定証明書をいただく保護者の方たちが、「あなたは短時間よ」と言 われたときに、あまりよい感じはしないのではないか。「長時間」と「短時間」という語感を、 例えば「保育に欠ける」という文言を変えていただけるのであれば、この辺の表現も少し変 えていただくべきではないかという気がします。  もう一つ、「その他」の部分にありました育児休業中の子どもですが、現在平成14年の 保育課長の通知で、育児休業中の取得を1歳6か月まで認めている市町村もかなりあるので す。そういう意味では、この辺のところの判断ももう少し「保育に欠けないのだから」とい うものではなく、ここも継続利用が認められるような議論をしていただければと思います。 ○大日向委員長  6時間で短いということですと、何時間を想定されるのですか。 ○佐藤委員  私は、大体7時間から8時間は必要だと思います。 ○大日向委員長  そうですか・・・。川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  この財政支援のあり方についてのコメントですが、当該時間を超える、所定の時間を超え る分については当然何らかのコストが発生するわけで、負担のあり方は、当然働き方とセッ トになってまいりますし、保育園の利用は働き方とセットになってまいります。企業として もかなり子育て期の社員の働き方に関しては、いろいろな工夫をして残業をしないとか、ロ ーテーションの配置も含めて対応してきているわけですが、そのように努力している企業も あれば、なかなか難しい業種もあるのが現状です。このように企業の実情や対応がばらばら の中で、企業に対して一律のコスト負担を求めていくと、努力してもしなくても同じではな いかということになります。そうならないようなコスト負担のあり方も、ぜひ検討してもら いたいと思います。そういう意味では、国全体として働き方を見直していかなければならな い。もう一方で、子どもの健やかな成長も図っていかなければいけないということでは、一 つの団体というか企業でということではなくて、広く運動論としての働き方の見直しと成長 という観点からのコストのあり方、負担のあり方も議論していければよいと思います。少し 感想になりますが、以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。そろそろ終了の時間が迫ってまいりました。この利用保障の範囲 を決めることは今日1日では結論も十分出ませんし、議論も必ずしも尽くせていないと申し 上げた方がよいと思います。一つ確認しておきたいのは、私たちが議論をしているのは、何 人かの方がおっしゃったと思いますが、働き方の見直しと車の両輪で保育の制度改革を進め いかなくてはいけないということです。これは大前提です。ただ、一方で椋野委員がおっし ゃってくださったように、ワーク・ライフ・バランスもまだ途上の中で、本当に困惑して働 いている親たち、あるいは働かなければ生活ができない親たちをどう支えていくかについて も、喫緊課題としてしっかりと考えてみたいと思います。その場合に、今日の議論は、どう もかなり施設型の公的保育園を前提とした議論であったと思いますが、その点に関しては、 佐久間委員がご指摘くださったように、親がこれだけ多様な働き方をする時代になったとき に、公的な施設型の保育をベースとしながらも、もっと多様な保育の提供を考えてもよいの ではないかということを、もう少し議論していただきたいと思います。  それから「長時間」か「短時間」かという問題ですが、これは子どもの発達保障から考える となかなか難しいです。佐藤委員は6時間は保育者とのアタッチメントの形成からすると短 か過ぎるというご意見でした。アメリカのNICHD(米国国立小児健康・発達研究所)のデー タでは、長時間保育の線引きがたしか7時間前後だったように記憶しております。文化も異 なりますので、その是非は一概には言えませんが。3歳未満の子どもの保育者への愛着形成 に6時間が本当に短いかどうかということも、もう少し議論があろうかと思うところです。  また先ほど柏女委員がおっしゃったモラルハザードの問題も、私は働く親として胸が痛む 思いがいたします。親が仕事がないとき、休みのときになぜ預けるのかという保育園の先生 と親のせめぎ合いは、過去からずっと普遍的な課題だったわけです。そこがモラルハザード という言葉で整理できるのかどうか。確かに、仕事がないときは子どもと一緒にいたいと思 えるような親でありたいと思いつつ、一方でもう少しその辺りはゆとりをもって子育ても仕 事もしたいので保育園に預けたいと願うこともあるでしょう。かつては親と子の愛着の形成 から、長時間保育の是非が指摘され、迎えに遅れたり、仕事が休みのときに登園させること に厳しい眼差しが親に注がれてきましたが、その一方で、本日は保育者との愛着形成につい ての観点から保育時間の長短についての議論も出されました。なかなか難しい問題で、もう 少しご議論をいただきたいところです。さて、先ほど朝川室長が投げかけてくださった問題 に、私たちは十分に議論はしなかったのですが、11時間程度の保育をある程度標準とした ときのオーバー分2時間分の利用負担をどのように考えていくか。ここは所得制限などいろ いろな問題があると思いますが、利用者負担をどう設定するかによって、モラルハザードの 問題にもある程度、見通しがつく可能性はないのか、いずれにしろこの問題はまだまだご議 論はあろうかと思いますが、ちょうど予定した時間になりましたので、今日言い足りないと ころは、どうぞペーパーとして事務局にお出しいただければと思います。  この辺りで、次回の予定も含めて、事務局の方へお返ししたいと思います。 ○今里保育課長  本日は、誠にありがとうございました。  次回につきましては、10月19日月曜日16時から、場所は厚生労働省の共用第7会議室 を予定しております。お忙しいところ恐縮でございますが、ご出席いただきますよう、よろ しくお願いいたします。 ○大日向委員長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係