09/09/24 第5回厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録 第5回 厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の見直し に関する専門委員会 ○日時 平成21年9月24日(木)17:00〜 ○場所 経済産業省別館(10階)1014共用会議室 ○出席者 【委員】永井委員長、位田委員、梅澤委員、高坂委員、澤委員、鹿野委員 中内委員、中畑委員、本田委員、町野委員、水澤委員、武藤委員 山口委員 【参考人】山中伸弥参考人、石井康彦参考人 【事務局】井本補佐、田邊専門官、秦健一郎 ○議事 1)「iPS細胞研究についての文部科学省の取組」について 2)「iPS細胞による再生医療の課題」について 3)「ヒト幹細胞臨床研究と細胞組織加工医薬品開発」について 4)その他 ○永井委員長 それでは、定刻となりましたので、第5回ヒト幹細胞臨床研究指針の見直 しに関する専門委員会を始めさせていただきたいと思います。まず事務局から、本日の出 席者の確認をお願いいたします。 ○事務局 委員の先生方におかれましては、ご多忙なところご出席いただき、誠にありが とうございます。お手元の委員名簿をご覧ください。本日の出席を確認させていただきま す。本日は、西川委員、佐藤委員がご欠席とのご連絡をいただいておりまして、まだ皆様 そろってはいませんが、全委員15名のうち13名の委員にご出席をいただく予定となって おります。過半数は超えておりまして、本会議は成立していることをご報告申し上げます。 ○永井委員長 ありがとうございます。それでは、配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 次に、配付資料についてご説明いたします。議事次第にございますように、議 事次第、座席表、委員名簿、資料1、資料2と、資料3は(1)から(3)までございます。資 料4と資料5、資料6、そして、ドッチファイルにまとめられている参考資料1から8につ いては、机上のみにご用意しております。過不足等がありましたらお知らせいただきます よう、お願いいたします。 ○永井委員長 ありがとうございます。前回の第4回委員会では、幹細胞研究に関する海 外動向について、医薬基盤研究所の古江−楠田美保先生からご講演いただいています。ま た、「細胞・組織を利用した医療機器又は医薬品の品質および安全性の確保について」鹿野 委員からご説明をいただきまして、それぞれ意見交換を行っていただきました。今回は、 さらにヒト幹細胞を用いる臨床研究に関しまして、iPS細胞の研究の現状についてご理解 いただき、さらに議論を深めたいということで、委員会を進めていきたいと思います。ま ず、今日の議論の進め方につきまして、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局 前回の委員会では、海外のES細胞の研究動向と、細胞組織加工医薬品の品質・ 安全性確保のための確認申請に関して意見交換を行っていただきました。主な意見につき ましては、資料1にまとめさせていただいています。  資料1をご覧ください。新たなご意見といたしまして、「対象疾患について」ですが癌の 細胞免疫療法、いわゆる細胞療法といわれたものが、ヒト幹指針の対象に含まれるかどう かという議論も一度してみたほうがいい、とご意見が出されました。  2番目の「施設基準について」は、特にES細胞を使用することを考えるときには、幹細 胞の樹立・調製の機関と使用機関の2つの機関がありまして、いろいろな臨床研究の形態 が起こり得るといったことも検討が必要であろうと。  3番目の「細胞の安全性について」という段階では、ヒト幹細胞の特に調製に関して、 治験薬GMPの水準をみたすレベルではなく、実際ある程度のラインを引き、安全を保つた めの臨床研究を行っているのが現状であろう。現状に合わせた指針を作っていかなければ いけない、というご意見がありました。  ほかに、ES細胞などについては、特に海外のものを使うようなことを前提とすると、さ らに厳密な議論をしなければいけないだろう。指針に必要な加工の規制の部分はQ&Aに詳 しく書き込んでいっていただきたい、といったご意見が出されていました。  4番目の「臨床研究の審査について」は、臨床研究から治験にスムーズに移行できるよ うな体制をつくっていただきたいといったご意見。また、実際、臨床研究の審査段階では、 客観性を保つこととデータを遡って確認できることが重要であり、そういったことを指針 上も考えていかなければいけないといったご意見がありました。動物実験については、疾 患モデルが無い場合もあり、その点はケースバイケースになるであろうということです。  資料2は、前回の論点となりましたインフォームド・コンセントの形について、特にま とめさせていただいています。1頁目は、他のいくつかのヒト幹指針以外の指針と並べて まとめています。2頁目については、薬事法に関係する通知、省令についてのインフォー ムド・コンセントをまとめています。  簡単に説明させていただきます。1枚目は、上から順番に、インフォームド・コンセン トを受ける人と説明をされる人というのはどういった人が行っているか、ということを書 いています。そして、その説明される方の資格が必要かどうかといったことを記載してい ます。下の2つは、説明を受ける人、あとは、実際のその手続の形について書いています。  現行のヒト幹指針については、インフォームド・コンセントの形態は、採取するときと、 移植・投与するときと、それぞれ別々にインフォームド・コンセントをとるという形にな っています。実際に説明する人と、インフォームド・コンセントを受けるという人は、同 じ人が現実的には行っていまして、その説明者となる人は原則として医師でなければなら ないと限定しています。また、採取をする場合には、ごく一部の場合は、(医師に限らず研 究者、研究責任者が指示した者とすることができる。)という記載になっています。実際に は、ほかの臨床研究指針や遺伝子治療の指針に関しましては、インフォームド・コンセン トを受ける人、説明者などはお示しした内容になっています。  特殊な記載部分としましては、ESの樹立・分配の基礎研究指針ですが、インフォームド・ コンセントを受ける人と説明する人が別になっています。胚を採取する施設がインフォー ムド・コンセントを受ける形になっていますが、実際に説明をするのは別の機関である樹 立機関が行うという、倫理性を保つための形になっています。  2枚目になります。左側にはヒト幹細胞の臨床研究指針が書いてあります。真ん中には 1314号通知、右側にGCP省令が並んでいます。基本的には、インフォームド・コンセント を受ける人と説明する人というのは同一です。説明する方が医師であるという限定につい ては、こちらのGCP省令でみられ、治験を行う際の説明者の資格という部分が医師に限定 されているという形になっています。被説明者、手続きなどは基本的にはほとんど同一の 内容であると認識していただければと思います。  次は、資料3になりますが、本日は特にiPS細胞研究、ロードマップの策定につきまし て、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課の石井課長からご説明をいただき、そのあ とに、iPS細胞を用いる研究の現状などにつきまして、京都大学のiPS細胞研究センター 長、山中先生にご講演をいただきます。それぞれのご講演のあとに意見交換をいただけれ ばと存じます。  議事の3番目としましては、ヒト幹細胞臨床研究の審査について山口委員からご講演を いただきまして、今回の指針の改正における審査のあり方について、ご議論をいただきた く存じます。  最後に、前回に引き続きまして、これまでの検討概要について、まとめを用いて議論の 整理を行っていただきたいと思います。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。まず、いま事務局からご説明がありました資料1と 資料2について、ご確認あるいはご意見があれば伺いたいと思います。いかがでしょうか。 私から、資料2で、読んでいてわからなくなるところがあります。IC、インフォームド・ コンセントを受けるというのは、その同意書を受け取る人という意味ですね。それが、こ の書き方で通じるのでしょうか。 ○位田委員 基本的に「インフォームド・コンセントを受ける」という表現をずっと使っ ていると思います。「受け取る」という言い方は、たぶんしていないと思います。要するに、 説明をしたら同意を受けるという。当然、対面で説明して同意をしてもらうものですから、 いくつかの指針では「受ける」という表現になっていると思います。 ○永井委員長 説明を受ける。インフォームド・コンセントを受ける。同じ「受ける」で も違うわけですね。 ○位田委員 そうですね。研究をする側が説明をする、提供者のほうから同意を受けると いう関係になっているので、提供者の側は説明を確かに受けますが、それは説明を本当に 受けるというか、「受け取る」ではないです。 ○水澤委員 我々は説明するほうの側なので、被説明者のほうを「受ける」と思いがちで すが、同意を受けるということなのですね。 ○位田委員 はい。これは、ゲノムの指針を作ったときに、どういうふうに言うかという 議論がありまして、研究をする側は、説明をして同意を取る、取得するという言い方をよ くされるのですが、同意をするのは提供者本人だと。そうすると、提供者が同意をしたも のを研究者側は受ける、受け取ると言えばわかりやすいかもしれませんが、受けるという 立場にあるので、保護するべき提供者本人を主体として考えて、研究者側がそれを受ける という表現に落ち着いた経緯があります。 ○永井委員長 それから、もう1点、「説明者」のところですが、現行ヒト幹細胞指針では 「説明者は説明者である」となります。定義をするのに、その定義すべき内容で語ってし まうのがよいのか。説明者の定義をするのには、「説明者である」というのは、わからない のではないでしょうか。下をよく読むと書いてあるのですが、ここの表現をどうしたらよ ろしいか。あるいは「研究責任者が指示した者が説明者になる」とか「研究責任者が指示 した医師」と表現するのでしょうか。 ○水澤委員 「研究者等」ではどうですか。 ○永井委員長 非常に曖昧ですね。 ○町野委員 「説明者」というのは、ヒト幹細胞の指針がこういう言葉を使っているとい うだけの意味ですよね。したがって、鉤括弧か何かで囲っておくより仕方ないのではない でしょうか。それで、その詳しい内容、資格について下に記載があると。指針の中では「説 明者」という言葉を使い、2つ飛んだ次のところでは「採取を行う者」となっていますか ら、これは法令といいますか、その言葉を使っただけで、定義ではないのですよね。こう いう言葉を当てていますという、そういう趣旨ですね。 ○事務局 はい、そのような意味です。 ○永井委員長 「指針における責任者」と書かないと、どういう意味かわからなくなる。 ○町野委員 GCPの省令では「治療責任医師等」という定義になっているという話ですよ ね。 ○永井委員長 これは事務局とご相談させていただいて、少し表現を変えるかもしれませ ん。 ○町野委員 ICを受ける者というのは、コンセントのところに重点があるわけですから、 日本語の並びとしては「同意を受ける人」と書くべきなのに、ICというのが独り歩きして、 言葉がずっと通用してしまっているので、こういうことになっている。普通から見ると、 かえってわかりにくい言葉になっている。しかし、いままで使ってきたのですから仕方な いでしょう。 ○位田委員 ESの指針の部分で、提供医療機関がICを受ける人になっていますが、これ は名宛人が提供医療機関もしくは医療機関の長なので、実際に提供医療機関が同意を受け る立場で面接するわけではないと思います。ちょっとここの表記の仕方が違うかなと思い ます。 ○永井委員長 どういう表記がよろしいでしょうか。 ○位田委員 ちょっと見てみないとわかりませんが、樹立の場合は受けるのは研究者でし たっけ。実際に提供者と説明をする人がいて、説明をして、そのあとでサインをしてもら って、それを受け取るというのは、実際に説明をした人ですよね。 ○石井課長 最終的に受け取るのは、提供医療機関の長になります。 ○位田委員 ですから、実際に提供医療機関の長がそこへ出てくるという話ではありませ んよね。文書の宛名は提供医療機関の長だけれども。ですから、実際に現場では、樹立の ほうは研究者が説明をするのでしたね。 ○石井課長 説明書は、ここにありますように、指名する者が説明をすると。樹立機関の ほうです。 ○位田委員 研究者がやるという形なので、研究者に同意書を渡して、その宛名は機関の 長であるという形ですね。 ○町野委員 受ける人というのは、別に対面で手を出して取るという意味ではありません。 最終的に受信した人という意味ですから、私はこれでいいだろうと思います。 ○位田委員 それぞれの指針の書き方のニュアンスが少しずつ違うのですよね。 ○永井委員長 より適切な表現がある場合には、ご連絡いただけますか。そのほかはよろ しいでしょうか。このヒト幹細胞臨床研究指針の改正に基づくインフォームド・コンセン トに関する議論のまとめについては、次回また提示させていただくということにしたいと 思います。  それでは、次の議題です。文部科学省が今年6月にiPS細胞研究ロードマップを作成し まして、研究の目標を設定するということで研究推進を図ってこられたわけですが、この iPS研究についての文部科学省の取組につきまして、文部科学省研究振興局ライフサイエ ンス課の石井課長から、10分程度でご説明をお願いしたいと思います。今日はありがとう ございます。どうぞよろしくお願いします。   ○石井課長 文部科学省ライフサイエンス課長の石井です。本日は、ヒト幹細胞を用いる 臨床研究に関する指針の見直しの検討にあたりまして、いまご紹介がありましたように、 本年6月に文部科学省で取りまとめましたiPS細胞研究ロードマップを中心としまして、 文部科学省としての取組を、資料3-(1)に沿って、ご説明させていただきます。iPS細胞研 究の現状については、後ほど山中先生からご説明があるということですので、私のほうか らは、文部科学省の施策の状況を中心に、あとは今後の課題ということになろうかと思い ますが、ご説明させていただきたいと思います。  1頁目ですが、「iPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略改訂版」ということで、本年の 1月に取りまとめたものです。これは、平成19年11月の山中先生のiPS細胞樹立の成功の お話を受けまして、12月に総合戦略として取りまとめました。その後、本年の1月に、そ の後の状況を踏まえて改訂したものが、この資料にある総合戦略の改訂版です。  総合戦略におきましては、1の「体制整備に関する取組」にありますように、文部科学 省の中で、幹細胞・再生医学戦略作業部会を設置しまして、研究の振興方策の検討を継続 して行っているほか、「文部科学省iPS細胞等研究ネットワーク」を構築しまして、iPS細 胞研究を総合的に推進しているところです。また、2の「新たな制度等に関する取組」と いうことですが、これは各省共通で内閣府を中心に行っていただいていますが、先端医療 開発特区の活用における実用化の促進を図るほか、倫理面の配慮などもここで検討を行っ ているところです。3の「研究の推進及び社会還元に関する取組」としましては、JST戦略 的創造研究推進事業等を通じまして、基礎研究を支援するとともに、再生医療を実現化す ることによる研究の加速を行っているところです。これについては後ほど詳しくご説明さ せていただきます。また、そのほかにも4の「研究環境整備に関する取組」、5の「知的財 産に関する取組」等も行っているところです。  2頁は、いまお話しました「iPS細胞研究に対するこれまでの文部科学省の取組」をまと めたものです。上のほうに「基礎研究」「前臨床研究」「臨床研究」と年次別に書いてあり ます。また、下のほうには「基盤整備」と書いてありますが、iPS細胞が樹立された当時 は、体性幹細胞、それからES細胞を用いた再生医療の研究が行われていまして、文部科学 省でも、再生医療実現化プロジェクトの第I期ということで、基礎研究に重心を置いて実 施されていたところです。その後、平成19年のiPS細胞樹立という新たな知見によりまし て、研究が大きく加速されまして、文部科学省としての取組も、基礎研究を引き続き実施 するとともに、平成20年、21年から、それらの成果を踏まえた前臨床研究、臨床研究を 目指した研究の実施の準備が進められているところです。  3頁の資料は、「iPS細胞研究ロードマップ」です。本年6月に、総合戦略の具体化とい うことで策定したものです。このロードマップは、これまでのiPS細胞等の研究を一層加 速させるために、文部科学省として研究資金の大幅な拡充を図ってきたことを踏まえまし て、どのような成果の達成を目指しているのかを説明することが必要であるという認識に 立って策定したものです。  ロードマップは、実際に研究を実施されている研究者のほか、研究の実施状況を把握し ているプログラム・ディレクター、ここにおられる高坂先生にプログラム・ディレクター をお願いしています、それから、プログラム・オフィサー、さらには、科学技術審議会の ライフサイエンス委員会の有識者の方々にもご意見をお聞きして、目標を設定したもので す。  目標1の基礎研究は、iPS細胞の初期化の分子メカニズムの解明などを5年以内に達成 するという目標を挙げています。  目標2は、標準iPS細胞の作製と供給、いわゆる標準化ですが、3年以内に高品質でリ スクの少ないiPS細胞を国内外に安価かつ同条件で配付する体制を構築するなどの目標を 設定しています。  目標3は、疾患研究、創薬のための患者由来のiPS細胞の作製・評価、さらにはバンク の構築ということで、疾患を持つ患者の細胞から疾患の特徴を有するiPS細胞を作製し、 その細胞を目的の細胞組織に分化誘導しまして、疾患の発症や治療方法の研究等に使用す るということです。これについては、2年以内に疾患研究用のiPS細胞の作製方法の確立 を行い、その後、評価方法を確立し、疾患特異的iPS細胞バンクの整備を行うということ で、その後、国内外の研究者への配付を行うことを目標としているということです。  目標4は、iPS細胞から分化誘導された細胞組織を用いた細胞組織移植等の治療技術、 いわゆる再生医療についての目標を書いています。現在、多数の機関で、iPS細胞から身 体のさまざまな細胞組織への分化誘導・精製を行う基礎研究が実施されているところです。 進捗には違いはあるというものの、多くの成果が上がってきていると伺っています。この 中でいいますと、3番目の網膜色素上皮細胞は、基礎研究で非常に進捗が見られていると 聞いていまして、近々前臨床試験に入るべく準備を進めているという状況です。このほか にも、心筋、中枢神経系、角膜などはかなり前臨床研究に近いところまできていると伺っ ています。これらについても、早期に前臨床研究に入るべく研究を進めているということ です。その他の研究についても、これは実際に研究をやられている方が、前臨床研究にい くまでのステップをどう見るかということで、慎重に見られている方、また非常に前向き に設定されている方もおり、若干統一がとれていないと言われているところはありますが、 それぞれ進捗が見られているものを挙げているということです。  4頁は、こういったロードマップに沿って文部科学省が実施している「再生医療実現化 プロジェクト」の全体像です。プログラム・ディレクターの高坂先生に全体を見ていただ くことになっていまして、4つの拠点を置いて研究を進めるとともに、そのほか分担機関 11機関で研究を行っているということです。4つの拠点は、山中先生の京都大学のほか、 中内先生の東京大学、岡野先生の慶應大学、笹井先生の理化学研究所です。この4つの拠 点を中心に、iPS細胞の拠点として集中的に研究を行うとともに、分担機関で分化誘導等 を行います。また、このほかにも、理化学研究所の筑波にあるバイオリソースセンターで、 iPS細胞の分配を行うという、いわゆるバンクの機能を持った研究を進めているところで す。そして、これらの研究機関全体で、文部科学省iPS細胞等研究ネットワークとして、 iPS細胞の分配、知的財産、研究成果の取扱いに関しての共通ルールに基づく一体的運用 を行いまして、研究を効率的に進められる体制をつくっているところです。  5頁は、いま言ったものを少し整理をして書いたものです。1つは、樹立されたES細胞・ iPS細胞につきまして、研究を行うのみならず、これを理研のバイオリソースセンターを 通して研究者に提供するということで、これらについては、文部科学省の関係以外の再生 医療研究にも当然提供するような体制をとっています。それから、疾患特異的iPS細胞を 患者さんの体細胞から樹立しまして、これも疾患研究などに提供するとしています。この ほか、ちょっとiPS細胞とは異なりますが、臍帯血由来の幹細胞についても、研究用のバ ンクを再生医療実現化プロジェクトの第I期から行っていまして、これらについての提供 も行っているところです。  6頁は、文部科学省の平成22年度以降の取組です。概算要求などについて若干不透明な ところはありますが、概算要求に当たって私どものほうでまとめた資料を用いてご説明さ せていただきますと、大きく3つ柱があります。従来からやっているものは左側に書いて ありますが、再生医療実現化プロジェクトとして、iPS細胞の樹立・提供、細胞の標準化、 細胞誘導の技術講習会といったiPS細胞技術プラットフォームのほか、各研究拠点での研 究、個別研究事業実施機関での11課題、11機関で研究を行っているものと、理化学研究 所の神戸研究所における研究、理化学研究所の筑波バイオリソースセンターの研究です。 これらが従来から行っているものですが、平成22年度は、その中で3点、大きな拡充また は新規を立てています。 1つ目は「拡充」と書いてあるところですが、再生医療の実現 化や創薬等の産業応用のためのiPS細胞の評価系の開発ということでして、標準的なiPS 細胞と定義されるための要件の規格化、分化誘導をして得た目的細胞の特性、品質や純度 を評価・確認する技術開発といったものを中心に行うということです。  2つ目が今回のご検討といちばん関係あるものですが、iPS細胞等前臨床研究加速プログ ラムというものがあります。これは本年度、平成21年度の補正予算の中で、先ほど言った 4つの拠点で前臨床のための設備整備を行っているものです。これは、各研究機関すべて で前臨床の設備を整備すると非常に効率的ではないということで、4つの拠点で設備を整 備し、もちろん4つの拠点での研究もそうですが、それ以外の個別研究実施機関の前臨床 研究を進めるようにということで設備整備を行っています。これらについて平成22年度か ら前臨床研究が始められる体制を整えて、22年度から実施するというのが、このプログラ ムです。  3番目が、iPS細胞バンクの構築ということです。これは、理化学研究所のバイオリソー スセンターで、これも平成21年度の補正予算でバンクの施設の整備を行い、この中でiPS 細胞、さらには疾患特異的のiPS細胞の整備を行いまして、これらを提供するということ を行うということです。  7頁は、平成22年度の前臨床研究加速プログラムですが、いま言いましたように4つの 拠点、京都大学、慶應大学、東京大学、理化学研究所の4つの拠点で設備整備を行い、こ の加速プログラムを実施する、この4つの拠点と個別研究実施機関11機関が共同して前臨 床研究を実施できるように支援をするというのが、このプログラムの中心です。京都大学 では、マウス、カニクイザルを用いた、パーキンソン病等神経変性疾患に関する前臨床研 究などが実施できる体制をつくっているところです。慶應大学では、マウス、マーモセッ トを用いた、脊髄損傷など、さまざまな前臨床研究を行う準備を進めています。東京大学 では、マウス、ウサギ等を用いた、骨・軟骨疾患・血液疾患、循環器疾患に関する前臨床 研究を行う体制を整備しています。理化学研究所では、マウス、ウサギ、カニクイザルを 用いた、網膜変性疾患などに関する前臨床研究の準備を行っています。  これらの21年度の予算で整備した設備を、この4拠点の研究以外に、右側にあります個 別研究事業実施機関、これは組織細胞ごとに書いてありますが、東北大学、名古屋市立大 学、熊本大学等々いろいろありますが、こういったところの研究の進捗に合わせて、中型 動物以上の実験、前臨床試験をこの4つの拠点で行うということで準備をしているところ です。  以上が、私ども文部科学省の再生医療の取組です。この再生医療研究については、この 数年で著しい進捗が見られていると考えています。ロードマップを策定しましたのも、こ の成果を社会に還元するために加速を行っているところですし、そのためには、関連する 規制、ここでご検討いただく指針の整備というのが、非常に重要であると文部科学省とし ても考えています。特に、ES細胞、iPS細胞については、まだ指針に入っていないという ことですので、是非早急に取り入れていただきたいと考えています。一方で、安全性の確 保という重要な問題があることも十分認識しています。これらについては、議論の過程で さまざまな課題などが出てくれば、技術的に必要なことがあれば、私どもの研究の中でそ ういったデータを取得するといったこともやらなければいけないと思っていますし、そう いった取組を是非これからもやっていきたいと考えています。  ただ、一方で、前臨床研究を始めると言いましたが、これは何の目標もなくやるわけで はなくて、いずれ臨床研究を行うに当たって必要な要件をきちんと意識してやらなければ いけないと思っています。こういったところについては、そういったものを見ながら取り 組んでいきたいと考えています。  それから、もう1点お願いがあります。ES細胞の件です。いまiPS細胞についてお話し ましたが、私どものプロジェクトでは、もちろんES細胞も併せて行っています。当然、iPS のベースになっているのはES細胞のこれまでやってきた研究でして、日本では、いま、京 都大学が樹立した5つのES細胞、そのほかにも海外から輸入した細胞を使って研究を行っ ています。ES細胞は、もうご承知だと思いますが、受精胚という生命の萌芽を滅失すると いうことを伴うことから、先ほど話題になりましたESの指針の中でも、できる限り大事に 扱うといいますか、無闇に樹立するのではなくて、できたES細胞を有効に使えるようにと いうことで、これはきちんと審査を通った機関に対する提供を義務づけるという、非常に 厳しい、樹立機関の裁量というのはない形で樹立をさせるというやり方をとっています。  これは、ある意味やむを得ないと思っていますが、一方で、その受精胚の提供者に、議 論がありましたインフォームド・コンセントが出てきます。いまの指針の中では、研究の ための利用、臨床というのは前提になっていなくて、基礎研究のためのインフォームド・ コンセントをとっているということです。  一方で、いま樹立を目指していろいろな取組をしている機関があります。こういった機 関については、基礎研究のための樹立を目指していますが、これは、仮に臨床研究等で使 えるということになれば、もちろん、そういったインフォームド・コンセントをとること が可能ではないかと思っています。そのためには、この場でインフォームド・コンセント についての方針などが見えれば、それらに沿ったインフォームド・コンセントに各機関で 取り組むことが可能ではないかと思っています。もちろん、指針が整備されるまでは有効 ではないのかもしれませんが、仮に方針が決められれば、それを前提にしたインフォーム ド・コンセントなどを行うことが可能ではないか。これは受精胚を使う研究ですので、も し間に合うのであれば、可能な限り広く使えるように、受精胚を滅失させるときに使える 範囲をなるべく広くするということが非常に重要ではないかと思っています。是非、その 検討の順番といったものもご配慮いただければありがたいと思っています。私からは以上 です。 ○永井委員長 ありがとうございました。それでは委員の皆さんからご意見を伺いたいと 思います。いかがでしょうか。私から1つ。あとで山中先生のお話にもあるかもしれませ んが、安全性ですね。特にiPSの安全性について、どこかで重点的に研究されているので しょうか。 ○石井課長 いま実施されているのは基礎研究が中心で、そういった中で、いかにその未 分化細胞を取り除くかといった研究は当然やっております。iPS細胞の場合、腫瘍化とい う大きな問題がありますので、そういった点については、各機関それぞれがやっておりま す。さらに、さまざまな問題等が生じてくるのはたぶん今後、前臨床研究などで出てくる かと考えております。 ○永井委員長 いかがでしょうか。 ○位田委員 iPS細胞バンクは研究用のバンクですよね。 ○石井課長 はい。 ○位田委員 実際に臨床研究に使うときのiPS細胞というのは、また新たに作製するとい う、そういう方向になるのでしょうか。 ○石井課長 私どもでやっているのはあくまでも研究用のバンクのみでして、臍帯血のと きから研究用に限ってバンクを使っております。これは提供者に対しても、あくまでも研 究用ということで同意を得てやっております。iPS細胞についても、いまは基本的には研 究用のみでして、今後具体的に臨床研究ができるようになった段階で。これはどこが整備 するかという問題もあろうかと思いますが、考えていく課題だと思います。iPS細胞の場 合はES細胞と違って、受精胚の滅失というのが伴いませんので、その段階できちんとした、 その安全性の見通しを得た方法で樹立することで、バンクをつくることは可能だと考えて おります。 ○位田委員 そうすると、いまは研究用のバンクで、今後臨床の段階が見えてきた場合に は、別の臨床用のバンクもつくる、ある意味では2種類つくるということですか。 ○石井課長 いまのところ私どものほうではそのように考えております。 ○位田委員 研究用に作ったiPS細胞を臨床に応用するというか、利用するということは 考えていないわけですか。 ○石井課長 いまの段階で樹立したiPS細胞が、すぐ臨床に使える技術レベルにあるかど うかということも含めて評価が必要だと思いますし、いまの段階ではそこが、使える状況 にあるという判断には至っていないということから、基本的には、これは研究用で十分だ ろうと考えております。 ○位田委員 石井課長にお聞きするのが適当かどうかわかりませんが、実際に臨床で病気 の治療に使う段階になれば、例えば10年後になるのかもしれませんが、患者個人個人から iPS細胞を作って臨床に使うのか、それとも、臨床研究ではなくて臨床用のiPS細胞のバ ンクをつくって、そこから、例えばHLAタイプを合わせながらやっていくのか、どちらの 方向を考えているのですか。 ○石井課長 後ほど山中先生から詳しいお話があると思いますが、iPS細胞の利点として 言われましたのは、本人の細胞からiPS細胞を樹立すれば、拒絶反応がない医療ができる という利点。これは、クローン胚からできたES細胞でも同じことが言われておりました。 ただ、一方で、iPS細胞を1人に1つ作るというのが、時間の問題とコストの問題等を考 えたときに、果たしてこれが、医療として現実に使えるかという問題も別途あります。し ばしば言われていることですが、脊髄損傷の患者の医療に、本人のiPS細胞を使おうと思 うと、治療を、いちばんいい時期にできるタイミングを失してしまうといった問題も指摘 されております。そういった意味で今後、これは医療のあり方ですので、私どもはどちら がいいということは考えておりませんが、山中先生のほうから、いま検討されているよう なお話として、HLA型を考慮して、ある一定数のiPS細胞を樹立することによって、かな りの方に免疫拒絶の少ない移植が、可能になるのではないかというようなお話を承ってお ります。 ○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。この将来のタイムスケジュールは、何か根拠は あるのですか。 ○石井課長 根拠という意味で言いますと、私どもが決めるにあたってお話を伺ったのは、 各研究をやられている方々と、その研究を見ていただいている高坂先生をはじめプログラ ム関係者、ライフサイエンス委員の先生方。ただ、必ずしも1人ひとりの方が研究の一つ ひとつのところを全部、細かく課題を把握しているということではないかもしれませんし、 もう1つ大きな問題としてありますのは、前臨床研究、臨床研究でどういう課題が出てく るかということも、まだはっきりわからない点があります。  そういう前提で各研究をやられている方々がどういう目標を置いてやるのか。これは、 多額な資金を提供して研究を行っている以上、やはり現実的に見せられる、なるべく早い 目標を設定しようとしたことですので、若干、その研究の状況という唯一の根拠をもとに、 不確定な要因を考慮した上で、設定した目標だとお考えいただければと思います。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。 ○石井課長 高坂先生、何かあれば。 ○高坂委員 全くおっしゃったとおりで、これは、まず個々の研究者にこういったロード マップを書かせて、それをまとめたものですが、やはり研究者によって多少の温度差があ ることも事実です。ただし、いま石井課長が言われましたように、多額の税金を使ってや っておりますので、最終目標はしっかり意識をして研究をしていただきたいということで、 こういったロードマップを作成しましたが、おおむね皆さんの理解としては、5年後ぐら いには、前臨床研究までもっていけるようにしたいというお考えではないかと思います。 しかし実際に臨床研究までいくかどうかは、まだ疾患ごとに少しばらつきがあると考えて います。 ○永井委員長 次に伺う山中先生のお話とも関係があるかと思いますので、また後ほど一 緒にご議論いただくということで、山中先生から「iPS細胞による再生医療の課題」とい うことでご講演をお願いしたいと思います。今日はお忙しいところありがとうございまし た。 ○山中参考人 京都大学iPS細胞研究センターの山中です。iPS細胞による再生医療の課 題を、簡単にまとめましたのでご紹介します。  2頁です。ES細胞とiPS細胞は非常によく似た細胞ですが樹立方法は大きく異なります。 ES細胞は胚、内部細胞塊の細胞を培養することによって、エピゲノムの変化をもたらして 樹立される多能性幹細胞です。一方、iPS細胞は由来が体細胞で4因子、3因子等の誘導因 子を遺伝子導入等すること及び数週間の体外での培養によって、エピゲノムの再構築をも たらして樹立される多能性幹細胞です。  3頁です。ES細胞は由来は胚で樹立方法も体外による培養ということで、バリエーショ ンはありますが基本的には1種類です。1つの胚から樹立できないことも多いですし、で きても1株ES細胞ができたらいいほうだと思います。一方iPS細胞は、まずオリジンが皮 膚細胞、血液細胞、肝臓や胃、臍帯血等のさまざまな可能性がありますし、誘導方法もレ トロウイルス、プラスミド、蛋白質などさまざまな誘導方法があります。また、1回の実 験で数十株のiPS細胞株ができるということで、ES細胞に比べて非常に多様、日本だけで すでに何株のiPS細胞ができているかも把握できない、私の研究室だけでも、最低でも数 百のヒトのiPS細胞がすでに樹立されています。  4頁です。ES細胞と比べた場合のiPS細胞の長所と短所。再生医療に用いる場合から考 えた長所と短所ですが、長所はヒト胚を用いないこと、成人より樹立可能ということで、 患者由来のiPS細胞ができること、また、先ほどもご紹介しましたが、多数の株が簡単に 樹立できるということが長所と考えられます。一方、短所としてはいまのところ遺伝子操 作、遺伝子導入が必要であること。また、体細胞からのエピゲノム再構築で作製するので、 ES細胞に比べてより広汎と言いますか、かなり大規模なエピゲノムの再構築が必要である ということがあります。それに関連して安全面での課題が、ES細胞よりハードルが高いと いうことが挙げられます。  5頁です。安全面での課題という点では腫瘍原性ということが最大、ほとんどこの腫瘍 原性に尽きると思いますが、iPS細胞に関しては、患者に移植した後に2種類の腫瘍を心 配する必要があります。1つ目は、遺伝子導入を行いますため、その導入した遺伝子によ って発生する腫瘍です。2つ目は、これはES細胞と共通する部分ですが、分化誘導後に残 存している未分化細胞によって奇形腫、テラトーマができてしまうということがあります。 この2つの腫瘍を明確に区別してディスカッションする必要があると考えられます。  6頁です。誘導因子による腫瘍ですが、これは2年以上前に、iPS細胞を初期胚に移植す ることによって、ES細胞と同様にキメラマウスが誕生する。さらに次世代にも伝わって、 全身がiPS細胞に由来するマウスを効率よく作ることができます。しかし、ES細胞の場合 はそういうことは起こらないのですが、iPS細胞から作ったキメラマウスやその子孫にお いては高頻度、50%以上の頻度で腫瘍が起こります。これはテラトーマではない腫瘍とい うことを報告しております。  7頁です。これはiPS細胞からできたキメラマウスの長期、30週間の成績です。最初は レトロウイルスという、ゲノムに取り込まれる方法でできたiPS-4Fというのは4因子、Myc を含む4因子でできたiPS細胞であり、これに由来するキメラマウスでは、黒のいちばん 上の線ですが、30週齢で腫瘍を中心とする原因で80%以上のマウスが死んでしまうという ことがわかっております。しかし、同じ黒でもMycを用いない、残りの3因子で作ったiPS 細胞に由来するマウスの場合は、レトロウイルスを用いているので他の3因子は染色体に 取り込まれているけれど、そのような高い腫瘍の発生率や死亡率は認めないということが わかっております。一方、赤はレトロウイルスとは違うプラスミドで作ったiPS細胞によ るキメラマウスの成績です。Int(+)と書いてあるのはプラスミドを使ったにもかかわらず Integration、染色体に取り込まれた場合であって、この場合はレトロウイルスと同じよう に高い腫瘍の発生率を示しますが、いちばん下のIntegrationがなかった、プラスミドが 染色体に取り込まれずに、一過性発現に終わったiPS細胞に由来するマウスの場合は4Fで すから、Mycを用いたにもかかわらず腫瘍の高い発生率はなかったということが観察され ています。  8頁です。このことから誘導遺伝子による腫瘍は、Mycを使わなければレトロウイルスを 使っていても大丈夫、高い危険性はない、IntegrationがなければMycを使っても高い発 生率はないということが、先ほどは30週でしたが、より長い2年近くの観察でもわかって おります。  9頁です。これはもう1つの腫瘍である残存未分化細胞による奇形腫、神経細胞とか心 筋細胞に分化した後も、もし未分化なES細胞やiPS細胞が残っていたら、それを患者に移 植した後に、その未分化細胞の部分がバッと増えてテラトーマができるという危険性です。 これはES細胞とiPS細胞に共通ですが、この点もiPS細胞はES細胞よりも危険性が高い ということがわかっております。  10頁です。ES細胞2株とiPS細胞10株について3回ずつ実験を行いましたが、ある方 法で徹底的に分化誘導させたあとに、一体どれぐらいの未分化細胞が残っているかという ことを縦軸に示しております。そうするとES細胞2株の場合は、3カ月実験を行いました が、未分化細胞はほとんど残らないということで、この程度だったらテラトーマを作らな いということもわかっております。ですから安全性の意味から○を付けておりますが、iPS 細胞の場合は、10株のうちES細胞に近い成績を示したのは2株のみで、残りの8株につい ては分化誘導したあとも、大部分は分化するのですが、数千個程度の未分化細胞が残って しまう、これらのものを移植するとテラトーマができるということがわかっております。  11頁です。残存未分化細胞による奇形腫ですが、iPS細胞については株間でのばらつき が非常に大きく、それは、今日はデータの詳細はお示ししませんが、どの細胞からiPS細 胞を作ったかというオリジンや、どういう方法で作ったかという誘導方法によって、大き く影響されるということがわかっております。また、このようなばらつきというのは、ES 細胞に比べて広汎なエピゲノムの再構築が必要である、ということから生じるばらつきで はないかと考えております。  12頁です。このiPS細胞を将来、再生医療に使う場合として自家移植と他家移植が想定 され、12頁はまず自家移植ですが、これは患者本人の体細胞からiPS細胞を作るというこ とで、長所としては、まず、本人の細胞だから拒絶反応が起こらないだろうということ、 それから、自家移植ということで現行の幹細胞指針にほぼ準拠しているのではないかと考 えられます。しかし問題点は、先ほどもご指摘がありましたが、特にGMP規格での樹立と なりますと費用がかかる、時間もiPS細胞の樹立には最低でも2カ月かかりますし、分化 誘導にも2カ月程度かかりますので、脊損等の急性期の移植が必要なものについては、時 間的に間に合わないという問題点があります。また、先ほどご紹介しましたように、iPS 細胞は大量に1回の実験で複数の株ができまして、その株間で未分化細胞の残存といった 安全性の程度にかなりばらつきがありますので、患者1人ひとりからiPS細胞を作ってそ の安全性を確認するとなりますと、どうしても安全性確認が限定的となる可能性がありま す。  13頁です。京都大学では再生医療用のiPS細胞バンクというのも想定しております。先 ほどライフサイエンス課の石井課長からもお話がありましたが、現時点ではまだ早すぎて このようなものはできませんが、今後、数年の間にどのオリジンから作るのがいちばんい いか、どの作製方法がいちばんいいのかということを決定して、数年以内に開始したいと 考えております。ボランティアのドナーの方から、iPS細胞を樹立しまして、最適のオリ ジン、最適の方法で樹立して、徹底的に品質管理していちばん安全な株を選ぶ。これは中 辻憲夫先生たちの試算で、HLA型3座ホモの方を50名、ユニークなパターンを同定します と、日本人の90%を3座の完全マッチでカバーできるということがわかっております。私 たちはすでにHLA型3座ホモの方を数名、日本人でいちばん多いタイプの方を見つけてお りますが、その人からiPS細胞を作ると、日本人の20%がカバーできるということもわか っておりますので、なんとかこういったものを5年以内に完成したいと考えております。 他家移植の場合、次の14頁になります。   14頁です。他家移植の場合の長所と問題点ですが、長所としては、HLAホモ50種類で日 本人90%ということで、リーズナブルなバンクの大きさで可能だということ、時間や医療 費の節約がはかれるのではないかということ、さらに、50名からのiPS細胞ということで、 数が比較的少ないですし、あらかじめ作れるということで、より厳密な安全性の確認がで きるのではないかということが、長所として挙げられます。問題点としては、現行の指針 では非対応と考えられます。他家移植ですから当然未知の感染症ということになります。 HLAホモということで何らかの、HLAホモの場合というのはどうしても、わりとヒトの移動 が少ない地域に多いという傾向にもあります。それは、さまざまな遺伝性疾患もホモにな っている可能性も考えられますので、予期しないような遺伝疾患が潜んでいる可能性もあ ります。  それから安全性の確認という点では、iPS細胞での安全性の確認ももちろん必要ですが、 最終的には最終産物、移植する細胞の評価・安全性を確認する必要があります。バンクと なりますと、さまざまな疾患に適用されますので、どの際も多系統の最終産物を評価する 必要が心筋とか、神経につきましても、神経幹細胞とか、ドーパミン産生細胞とかも、さ まざまな可能性がありますので、これも実用上は問題点になると考えております。  15頁は、最後のまとめです。iPS細胞採取の課題としましては、現時点では技術的にま だ未熟でして、最適の作製法も決まっておりません。作製法というのはオリジン、どの細 胞から作るのがいいのか。それからどの誘導法がいいのか、どの因子がいいのかというこ とも決まっておりませんし、さらには多数の株が簡単に出来てしまいますので、どうやっ てその安全性を評価するのかという検証方法さえ、まだ確立していないのが現状です。し かし、これは国内外での急速な研究の進展を考えますと、数年で解決する技術的な問題で はないかというふうに予測しております。  したがいまして、数年後には、そういう再生医療への応用を真剣に議論しないといけな くなるのではないかということも予想されています。その場合、その後に問題になるのは GMPへの対応です。一体どこまでやればGMPとして認められるのか。iPS細胞の場合は、ま ず体細胞を採取する。そのあと、それを加工してiPS細胞を作る。さらに加工したiPS細 胞を加工して最終産物を作るという三段階がありますので、いちばん最初から、例えば血 清はウシの血清は使ってはいけないのか、どこからGMPに対応したらいいのか、というよ うないろいろな問題もあります。今日も話題の中心でした自家移植が望ましいのか、HLA ホモによる他家移植が望ましいのかということも、重要な検討課題であると考えておりま す。以上です。 ○永井委員長 ありがとうございました。それではご質問、ご意見をお願いいたします。 ○水澤委員 安全性のところで、8頁で誘導遺伝子による腫瘍に関してMycとIntegration がありましたが、7頁を見ますと、これゼロにはなっていないのですよね。 ○山中参考人 ゼロになっていません。 ○水澤委員 これ、どの程度だったら安全で、どの程度というのはあるのでしょうか。 ○山中参考人 それは難しいところでして、2年間の長期観察でコントロールマウスです ね。何もしていないマウスと有意差は認めないのですが、しかし、有意差はないのですが、 ながめているとやはりiPSの死亡率のほうが上、いくらやっても有意差は出ないのですが 上なので、完全に安全というふうには言いきれないというのはあると思います。ですから、 これらについては、さらに慎重な検討は必要ではないかと。 ○永井委員長 つまりワイルドタイプのマウスでも10%ぐらいの遺伝腫瘍発生があり得 るということでしょうか。 ○山中参考人 ある程度たちますと、必ず死んでいきます、腫瘍もできます。また比べた のが本当に正常のネズミが大部分でしたので、ES細胞から作ったキメラマウスというのが いちばんいいコントロールだったと思うのですが、それが実験のデザインのミスでそうい うコントロールがありませんでしたので、もう一度やるには2年間かかってしまうという 状況もありまして、そこは確かに有意差があるだけでは本当に大丈夫ということは言いき れないところはあります。 ○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。 ○梅澤委員 14頁のHLAホモ50種類で日本人90%という意味を完全に理解できなかった ので、もう一度教えていただけますか。 ○山中参考人 これも私たちの試算はありませんで、去年に中辻憲夫先生たちがネイチャ ー・バイオテクノロジーに報告された試算でございますが、HLAをA、B、DRの3座がホモ の方を50人というのは、異なるパターンのホモの方を50人見つけることができたら、日 本人の90%は3座が完全にマッチします。ただ、それ以上は50人からいくら増やしても、 もちろん稀なものばかりになってきますから、いくら頑張っても90%からはなかなか増え ない。残りの10%というのはこれでは他家ではカバーできない。それから同じ試算の中で この50種類のユニークなホモの方を見つけるのに、一体何人の日本人を調べたらいいかと いう試算がされていて、それは2万人程度ではないかという試算がございました。 ○澤委員 いまのことですがHLA型3座ホモで、臓器とか組織によると思うのですが、免 疫抑制剤は要らないのですか。必ず要るのですか。 ○山中参考人 いや、やはりそれはマイナーなものは使う必要があるのではないか。ほか のところは一致していませんし、それから3座と言いましても遺伝子型まで一致している わけではございませんので。 ○澤委員 それは神経とかほかの組織でもだいぶ変わってくるのでしょうけれども。 ○山中参考人 ケースバイケースでかなり変わってくると予想されます。 ○中畑委員 先ほどの腫瘍形成のほうで、これはキメラマウスで腫瘍形成の成績なわけで すが、実際はこのiPSから誘導した細胞を移植したときに、移植したあとに起るかどうか ということが1つ大きな問題だと思うのですが、実際このiPS細胞を何らかの形で、例え ば免疫不全動物などに移植をして、テラトーマではなくて、腫瘍形成というのが実際に起 こった例というのはあるのかないのか、私、しっかりとした情報を持っていないのですが、 その辺はいかがですか。テラトーマとはまた、移植をして腫瘍が起こるかどうかというの は、ちょっと次元が違うような気もするのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○山中参考人 それにつきましては、いまのところデータはございません。ただ、確率論 的には、マウスで実験を行っている限りは、移植する細胞の数が100万個程度でございま すので、その中からテラトーマではない、いわゆる何らかの遺伝子、癌原遺伝子等の活性 化により起こるような腫瘍が生じる可能性というのは限りなく低いので、マウスを使って いる限りは、なかなかその安全性というのは立証できないのではないかなと。やはり大型 動物で相当数を移植するか、若しくはマウスでやるのでしたら、何千匹という数を行わな いかぎり、またマウスの寿命が2年でございますので、ヒトの場合はもちろん移植をする とそれ以上残存いたしますので、その辺はジェロン社の場合のFDAで行われた議論がその まま適用されてしまうと思うのですが、完全にリスクをゼロにするということは不可能で はないかと思われます。そのリスクとベネフィットの関係で、どこかで前に行くのだった ら、いかないと駄目ではないかと考えられます。  ○中内委員 10頁のところ、これはヒトのデータとマウスのiPS細胞のデータのどちらで すか。 ○山中参考人 これはマウスのiPS細胞の結果でございまして、現在ヒトのiPS細胞でも 同じ、全く同じようにはいかないのですが、検討を進めております。マウスがこれだけば らつきますから、ヒトは均一であると考えるのはあまりに楽観的すぎますので、ヒトも同 じようなばらつきがあるという前提でいま評価方法を開発しているところです。 ○中内委員 これは全部サイレンシングが起こっていることを確認したiPS細胞を使って いますか。 ○山中参考人 そうですね。よくサイレンシングがされています。ただPCRを回すとゼロ ではございませんので、この中にはIntegrationの無いiPS細胞はございませんが、 Integrationの無いiPS細胞はどうなのかというのを、いま調べているところです。 ○山口委員 いちばんの本質的なところは再プログラム化したことによる腫瘍形成性とい うのが、課題として残ってくるのではないかと思います。そういう意味では先ほどの7頁 の実験でコントロールとして、たぶんESのデータを持っている所はたくさんあると思いま すので、近いデータ、またIntegrationはないけれども、再プログラム化した細胞がどの ぐらい腫瘍形成があるかということを、正常なES細胞を入れたものと比べるというのは、 ある意味では非常に重要なデータかもしれないと思います。いかがでしょうか。 ○山中参考人 そうですね。時間はかかってもきちんと出す必要があるデータになります。 ほかの方も何らかのデータをお持ちだと思うのですが、論文になっているのが少ないよう で、その辺は何とかして入手したいと思います。 ○山口委員 まだ、iPS標準樹立化というのは最終的には確定していないとのことですね。 最終的にはどういうやり方でやったときに標準化を行うかだと思うのです。その話ともう 1つ、現行指針で非対応となっているところというのは、例えば樹立方法でしょうか。遺 伝子関与を加えるから遺伝子治療の適用はあるからというふうなこと、それとも全くいま のヒト幹細胞は他家を認めていないという意味ですか。 ○山中参考人 私の理解はバンクになりますと何ていうか、むしろ今日ここで教えていた だきたいのですが、バンクになってしまうと製品のような、私の理解では対応していない という理解だったのです。 ○山口委員 例えばヒト幹細胞でなくても、例えば現行の1314号の薬事法の指針でも、株 化したものを使うことも可能だと思うのです。ただし遺伝子改変されている部分は、遺伝 子改変された部分をちゃんと適用しないといけない。そこの部分がかかるだけで対応はで きているのではないかなという気はしてはいます。 ○山中参考人 わかりました。その辺は私ちょっと勉強不足のところがございますので、 また確認します。 ○山口委員 もう1つ、あるところまではもちろん造腫瘍化を検討はしないといけないと は思うのですが、あるところから先になると、先ほど、ご説明されていましたように、動 物実験だけでも確認できない。例えば増える細胞数に限定がある。マウスではできないし、 大動物になったからといって、必ずそうなっているとは思われないのです。あともう1つ はヒトでのレトロを使ったフランスとイギリスの遺伝子治療の例でも、やはり腫瘍化には 4年とか5年かかるわけです。したがって、リスク、ベネフィットの関係があると思うの です。ある治療を行う時ですと、例えば脊損治療をするときにこれだけのリスクがあると いう、そのバランスで治療の選択をしていくことがあるのだろうと思います。  あとはそういう重篤な疾患に関して言えば、 ちゃんとしたフォローアップをきちんとし て、どのような事象が起きるかをきちんとフォローアップすることによって、こういうリ スクがあるけれども受けるか、というインフォームド・コンセントをやっていくべき時期 にきているのではないかと思うのです。 ○山中参考人 ある時期からはそうなってくると思います。それともう1つは、いくら調 べても安全性というのは完璧には担保できませんので、変なことが起こったときにそれを 除去するような仕組みを細胞に、いわゆる自殺遺伝子等を入れておくとか何か、そういう セーフティガードのような工夫が最終的には必要になるかもしれない。   ○山口委員 そうですね。繁殖力と異常増殖性がみられた時に細胞死を誘導する経路を組 み合わせるようになってくる。 ○山中参考人 はい。 ○永井委員長 最近、遺伝子導入ではなくて、タンパクでiPSを樹立できるという報告が あるようですが、その場合には腫瘍形成性というのは、あまり高くないのでしょうか。 ○山中参考人 いままだそういった、本当にそういうのが出来たという論文が少しずつ出 ている段階でして、私たちもIntegrationのないiPS細胞というのは、いま複数樹立して いますが、これからそれを評価していく。ただ、ヒトのiPS細胞の場合は、評価がなかな か難しい。例えばキメラマウスを作るわけにもいかないですし、ですから並行して同じ方 法で作ったマウスのIntegrationのiPS細胞のデータはもちろん蓄積していきますが、ヒ トのiPS細胞は先ほど中畑先生が言われたように、分化誘導したものをマウスなりより大 型の動物に移植して観察するしかいまのところ手がないように思われますので、非常に時 間はかかってしまいます。 ○位田委員 ES細胞のときはマウスでやって、それからもっと大きなアカゲザルとか、マ ーモセットとかでやって、それからヒトにといういくつかの段階を踏んでES細胞を作れと いう話があったのですが、iPSの場合はマウスの話でよくわかったのですが、マウスでや ったことがすぐにヒトに直結するというか、つまり霊長類の段階を経なくてもいいのかと いうのがちょっと私疑問に思っているのです。 ○山中参考人 その点はESとiPSで同じではないか。ケースバイケースでサルと大型動物 を使った前臨床試験が必須な場合もあると思いますが、ジェロン社の脊損の場合は齧歯類 でしか効果も安全性も見ておりませんし、サルで脊損の大量にモデルを作って、前臨床試 験を行うということに対し、アメリカなどはおそらく非常にそっちの反対も大きいのでは ないかと思われますから、それは非常に難しい問題があると思います。 ○永井委員長 エピゲノムだけの変化なのか、リプログラミングの過程で何かゲノムに変 化が起こらないかという懸念もあると思うのですが、そこはいかがでしょうか。 ○山中参考人 それは非常に大事な問題点でございまして、いま文科省も経産省もそうい うiPSの標準化を目指した研究が進行しておりまして、その中でゲノムの状況をきちんと 判断することが重要な課題に挙げられています。ただ、これも長期培養で元の細胞と比べ て何もゲノム変化が起こってないということは、ほぼ奇跡と思われますので、それもどこ までをカットするかという問題は、やはりあるのではないかと思います。 ○永井委員長 ほかにどなたかご意見がありますか。 ○武藤委員 専門的な質問ではないのですが、最初に先生のお仕事が新聞で紹介されて、 かなりいろいろな方がiPS細胞という言葉を知って、それから先生もあちこちでご講演を されて、いろいろな期待の声をお聞きになっていたと思うのです。いまそれからしばらく 時間が経たれてみて、社会での先生のそのご研究に対する理解とか認知というのは、先生 の中ではどのように変わってきたというふうにお感じですか。 ○山中参考人 社会もそうですが、特に脊髄損傷の患者さんとか、1型糖尿病等の患者さ んの中でどう思われているかということがまず大切だと思います。そこはかなり正しく理 解していただいているのではないか。これが来年にでも何かの治療になるとか、また、い ま車椅子の脊損の方の治療に使えるのではないかとか、そういうことはどちらもいまの段 階では残念ながら間違いなのですが、そういうことはかなりきちんと患者の方及びご家族 の方には理解していただけるのではないか。  連休前の土曜日にも日本せきずい基金の10周年記念の講演会がございましたが、その中 でもやはりそういうことは感じました。当初はもうすぐにでもというような何か、患者さ んご本人からたくさん「私の治療に使ってください」というメールとか手紙をいただきま したが、最近はそういうのはもうほとんどこなくなりましたので、だいぶ正しく認識され ているのではないかと考えています。 ○山口委員 最後のほうを先ほどちょっとご説明いただいたのですが、GMPの対応、たぶ んこれはどういうふうな成功、最終的にヒトに使うまではやっておく必要があるかという ご趣旨だと思うのですが、いまされているのは例えばGMPの対応であるか。おそらく感染 因子の問題、これはきちんとやっておかないといけないだろうと思うのです。途中で入っ てしまった以上はもう抜けませんので。それ以外に例えば先ほどウシ血清を使ってはいけ ないかどうかとか、その辺に関しては当然薬事法でもウシ血清を使ったケースもございま すし、そういう使うものが規定されているわけではないような気がするのです。むしろこ の感染因子だけはどうしようもないので、その辺の対応をきちんとされて、どこかから、 ここのスタート地点を決めていただければいいのかなという気がしています。 ○山中参考人 わかりました。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。時間の都合もありますので、議題の3に移りたいと 思います。「ヒト幹細胞臨床研究と細胞組織加工医薬品開発」につきまして、山口委員から ご説明をお願いしたいと思います。 ○山口委員 時間がございませんのでかなり端折りながら説明させていただきます。ヒト 幹細胞臨床研究の今回の指針の改正で、どういう点が問題になるべきか、それからどうい うことを解説したり、あるいはわかりやすくすることによって、例えば今日の要約にもあ りましたように、例えばヒト幹細胞臨床研究の指針でやった研究が薬事法にシームレスに 入っていけるか、その観点からいくつかの点について、私なりの提案をさせていただけれ ばと思います。  3頁目は臨床研究と薬事法との類似点と相違点です。類似点に関して言えば、そこで赤 で書いているところ、例えば新たな治療法を開発するだとか、安全性や品質の確認という のは厚生労働大臣がその下にあるように、求めますので、この辺については逆にいうと共 通していって当然なはずです。インフォームド・コンセントなどについても、本来当然共 通しているはずだろうというふうに考えられるわけです。  4頁、それでは臨床研究で、例えばどういうふうな将来的な発展があるかということな のですが、たぶん2つのパスウェイがあるのではないか。1つは先進医療として開発して いく。それは薬事法ではなく、医師法の中でずっとやっていくというスタイルと、それか ら臨床研究の得られた成果を、より広く有用な治療法として開発するために薬事法のほう に入っていく、この2つのパスウェイがあるのだろう。薬事法のほうに入っていく利点と しては、臨床研究の成果を広く一般に普及させるし、その代わり「製法の一定性の確保」 とか「品質規格の設定」により、有効性・安全性をどこで治療を受けても、同じ治療を受 けられるということを確立していく必要があるのだろう。このためにシームレスにいくた めには、黄色のところで書きましたように、製法とか品質評価等に関する技術的な要件は、 統一していただかないといけないのではないか。例えば実施計画書の内容についても、よ りシームレスでいくような内容にしておく必要があるのではないかと思います。  5頁、いまのことを図で書いたものです。グリーンで書いた臨床研究から特定の医療機 関で実施する先進医療等という方向に進む場合と、臨床研究の成果をさらに薬事法にいく には確認申請を、これは何度もこの会議で出てきていますので、もう説明の必要はないか と思いますが、確認申請から治験、あるいは治験の第一相から第三相にいって承認申請と いうパスウェイをとるルートです。ひょっとしたら将来的には臨床研究の成果を治験の第 何相かのところに入っていくという、こういうパスウェイができるかもしれませんが、現 行ではそれはあり得ないということになるかと思います。むしろあるとしたら、臨床研究 のところの承認を受けたものが確認申請にそのままスムースにいけるというパスウェイで はないかというふうに思われます。  このような前提のもとに、次の「ヒト幹細胞臨床研究の計画書と確認申請書」というの は、どういう構成になっているかを説明させていただければと思います。これはどういう ことかというと、薬事法を見ていただくと、どのような構成になっていて、薬事法の審査 をするとわかりやすくできているのです。その点を使うのは、1つの大きなメリットでは ないかということで、説明させていただければと思います。  ヒト幹細胞臨床研究指針では、旧の薬事法の1314号を引用している。この薬事法の1314 号が改正されたわけですが、改正部分は取り込んでいく必要があるだろうと考えられます。  薬事法の特徴は資料がきちんと整理されている。その資料が整理されているものをこの 図で書いてあるのですが、これは例えば「承認申請書」というふうに書かれているところ、 ピンクの下を見ていただければわかりやすいかと思います。こういう承認申請のときは、 階層性になっていまして、この階層性は次の頁のいちばん上に、いわゆる承認申請書と、 薬事法でここだけはきちんと守らないといけない。法的に規制がかかる部分。それからあ と審査をする上で、こういうふうに審査をしているとわかりやすいのでということで書か れている概要の部分があります。  概要の下に、それぞれの概要が引用しているところの素データがあります。素データと いうのは、本の厚みの漫画で書いてありますが、例えば承認申請書というのはこの数十頁 から多いものでも100頁にいくことはない。わりと短いものですべてのエッセンスが書か れています。概要に関して言えば200〜400頁の、例えばバイオ医薬品などでもそのぐらい の概要版があります。その概要版を読んでいると、どういう経緯で開発したことから、特 性解析から、非臨床、臨床までがすべて1つの中でわかりやすく書かれている。  そのときに例えば一つのバイオ医薬品の中では、ダンボールが数個入ってくるようなす ごい量の素データがあるのです。そのデータを引用しながら評価ができる。ですから、そ の審査をするときに非常に効率的に審査ができるようになっています。申請というのは承 認申請のときですから確認申請とは必要とされるデータは大きく違います。これは臨床治 験を開始するときに、確認申請をやるわけですが、確認申請の資料というのは、それをこ のようなデータの整理方法を準用しています。それが9頁にあります。まず、様式でどの ように書かれて。あとで説明しますが、ここの部分でヒト幹での申請資料と似ているとこ ろと似ていないところがあります。確認申請ではこれから治験を初めますから、まだ臨床 データはないわけです。臨床データはないのですが、品質特性解析や開発の経緯、特性解 析、品質管理方法などが書かれています。それの素データが下のほうにあります。  もう1つは非臨床試験で、安全性とか薬効とかいろいろ有効性を立証するための動物実 験のデータなどが非臨床の部分です。これもサマライズした形で書いてあって、素データ が下にあって、それを引用しながら読めるという形をとっています。  10頁、ヒト幹細胞臨床研究の審査をこれまで2年半やってきたわけですが、その間で、 もう少し書いたほうがわかりやすいのではないかと私が思っているところを、これからの 2、3枚の頁で説明させていただきます。ヒト幹細胞の臨床研究のグリーンで書かれている ところですが、実施計画書というのが前に数頁あります。その後ろにさまざまな臨床の目 的・意義とかそういうもの。それからあと添付資料が階層性ではなくて、並列性に書かれ ているデータがあるのです。ですから相互に運用しにくい状況になっています。すべてを 見ないといけないという形になっています。それと確認申請の申請書類が、そういう意味 では構成の違いがあります。確認申請と同じにしないといけないという意味ではないので すが、非常にそれがわかりやすいという点でのメリットをちょっと感じていただければと 思っています。  11頁に実際の計画書の構成というのはどうなっているかということなのです。これは細 かいので全部を見る必要はないかと思いますが、それぞれ例えば初めにインフォームド・ コンセントの問題から製造方法、安全性評価、品質評価というそれぞれが、例えば計画書 の別添か別紙か添付資料かと、いろいろなところに幅広く点在しているわけです。そうい う意味ではすべてを読まないかぎりは、わかりにくいというところがあります。  1314号の部分に関する製法に関するところの比較を書いたのが12頁です。ここは何を 見ていただきたいかというと、製法からそういうところに関して言えば、すべて横同士で 合わせることができる。ただし、例えばそれぞれ製法の品質管理とかについては書き込み 方がずいぶん違う。例えば特性解析とか品質管理に関していえば、ヒト幹のほうはほとん ど内容について書かれていないことから、どこまで書いていいかが、わかりにくいような 内容になっているのではないかと感じています。  13頁、もう1つは別の話なのですが、実際にこういうふうなヒト幹細胞の臨床開発をや っていくためには、一定の規格設定は初めにやっておかないといけないのではないか、そ のことを説明したいためにここを書いています。どういうことかというと、例えば開発ス テージを上がっていくといろいろ製法を変えたり、あるいは規格設定をより最適化してい く必要があるのですが、最終的にはある範囲におさまっていく。その範囲におさまってい けば今度はどういうことかというと、その範囲におさまっている細胞治療の製品を使うか ぎりは同じ臨床効果、安全性が担保されている。規格設定というのは、そういうふうに作 っていくものですから、その範囲を最終的には決めていくことが、非常に重要になってく るのではないかというふうに考えられるわけです。  14頁からが今回の私の提案なのです。15頁、「ヒト幹細胞臨床研究指針改正に当たって 考慮すべき点」として、まず最初にありますのは1314号の指針の内容が改訂された。その 内容の改訂されたのはどこかを説明させていただきます。もう1つは2番目のところです。 これまでの実験計画を通じて感じている問題点の解決をこの際やれればいいのではないか と考えております。実施計画書の作成要領をもう少し改訂したほうがいいのではないか。 先ほど言いましたように、概要と添付資料と生データ、あるいはSOPなどが非常に並列的 になっている。それを引用しやすい形にしたほうが、より審査をする側も作る側もわかり やすいのではないかと思います。必要に応じて実施が望ましい具体例を示すことが逆に言 うとこれはリクワイアメントだと思われると、かえって厳しくなったというふうに批判を 浴びるのですが、ここのところはそうではなくて、わかりやすくするという意味で、改正 をしたほうがいいのではないかと思っています。  もう1つは確認申請へのシームレスな移行を可能にするためには、臨床研究の成果を治 験にやるためには幹細胞の“製法が同一”あるいは“品質が同等”と、こういうようなも のを担保していかないと、臨床研究でやられた製法あるいはその規格設定と、つづいて治 験でやるときに全く違えば、これは同一の規制をかけるわけにはいかない。もう一度やっ ていただかなければいけなくなるわけで、そこの点はやはり同等同一にしないといけない のではないかというふうに思うわけです。  17頁、まず1314号の改訂がありましたと言いましたが、それのどんなところが改訂さ れたかというと、自己と同種で1314号の改正というのはどういうポイントがあるかという と、まず自己由来と同種由来を分けて書いてある。これはいくつか同種の場合と自己の場 合で必要な項目が違う。ですからわかりやすくするという意味でこれを書き分けたわけで す。もう1つは全体を見直してわかりやすい記載の書き方にした。もう1つは旧1314号は 承認申請と、承認申請でやることを書き込んでいたのですが、承認申請とこれから治験を 始めるという確認申請のところはやはり分けて、治験を始めるに当たっては臨床開発の進 展に従って整備していく要件があるわけですから、承認申請の段階で分けられる要件とは 違うのだろう。ですから、確認申請のときには実際にヒトでやるための最低限の安全性、 あるいは規格設定の暫定版などは必要になるけれども、それはそれ以降に改正されていく べきものであろうとしています。  それについて漫画的に書いたのが18頁です。例えばインフォームド・コンセントの問題 は、これは治験が始まってもそれは変わっていくものではないのだろうと考えます。あと、 安全性に関してウイルスの否定とか、感染因子の否定などというのは、たぶん最初から、 わりときちんとやっていかないといけない。これは1314号改訂のときでも感染因子の安全 性に関しては、きちんと担保するべきだということで、そのことが書かれています。  一方、その製造方法については、例えば実際にヒトに投与し始めて、もう少しより最適 化する必要があった場合に、逆にもう一度戻って基礎データを取り直したりするわけです ね。そういうふうな臨床開発のステージに応じて、そのデータを整備していくということ を書き込んでいます。これは日本だけがそういう特殊なことをやっているわけではなくて、 アメリカのFDAの人も、臨床開発ステージに応じて、それは整備していけばいいのだと。 臨床開発ステージに応じて、先ほどライフサイエンス課の課長のお話にありましたように、 臨床開発をしながら、今度は非臨床もやっているわけです。ですからそういうところは当 然あっていい。だけど、最終的なステージ、要するに効能を開発するときには、もう確定 していかなければいけないのだと、そういうふうなステージごとに考えればいいのではな いかと考えられるわけです。  そう考えたときに、ヒト幹細胞の指針で改訂されたところが、特にどういうところかと いうことで、ヒト幹細胞で改訂指針をどのように引用していけばいいのかについては、19 頁から順番に書いています。19頁に書いているのは、それぞれの指針の対応版です。幹細 胞のときの指針と同種あるいは自己の指針がどういう対応関係になっているか。書いてい る項目としては合っているわけですね。ただし、実際に書かれている内容に関して言えば、 20頁、例えばヒト幹細胞の採取から採取段階の安全性対策、この辺に関しては、ヒト幹細 胞のところにどういうふうに書いてあるかというと、旧の1314号を引用して書かれている。 さらに、改訂された1314号ではそのドッチファイルがありますが、例えばヒトの自己指針 では4頁から9頁、採取から製法のこういうステージについては、詳しくというようなこ とが例示されて書いている。  もう1つ、現行ではヒト幹細胞の調整段階の安全対策、品質管理システムや細菌、真菌、 ウイルス等の汚染の危険性の排除ということで、1314号を引用しているところは、21頁に 書いてあるだけあります。実際に今度は1314号の改訂版の自己・同種指針に関していけば、 22頁に書いていますように、それぞれの8頁から13頁、それぞれの9頁から12頁と、4 頁から5頁ぐらいにわたって、リクワイアメントではなくてこういうふうな例示として書 かれていると考えていただければいいと思うのです。ですからこういうことを書き込むこ とによって、逆に申請者がわかりやすくなるのではないか。  これが最終的な話になりますが、そういうふうな書き方をすることによって、23頁に書 きましたが、ヒト幹細胞臨床研究の指針の改訂ということで、より指針の中で具体的に書 いたほうが、わかりやすい部分は書いたほうがいいのではないか。例えば製法とか特性解 析、品質管理のやり方についてわかりやすく書く。それから被験者の安全性を確保した上 で、臨床研究を通じて最適化を目指すというところも、やはり書き込んであげる必要があ る。最初からこういうことをやらないといけないとなると、最初から規格設定をこういう ふうにやらないといけないという誤解を与える。むしろそうではないのだということ。こ れは逆に言うと、その臨床ステージに応じてよりバージョンアップをしていけばいい。そ うすることによって、申請者にとっても適切なガイダンスを提供するし、逆にその審査を する側としても、審査が非常に効率的になるのではないかと考えられるわけです。  そのことでもう1つの波及効果として、将来的な薬事法の開発を目指すには、製法や品 質特性の同等性を求められることを書き込むこと。これはQ&Aで書くのか、指針に書き込 むのか、これは私にもいま答えはないのです。そうすることで情報をちゃんと提供するこ とによって、医薬品開発を目指す場合に、シームレスな移行が可能になるのではないかと 考えられます。以上でございます。 ○永井委員長 ありがとうございました。ご質問はいかがでしょうか。 ○中畑委員 前回の幹細胞指針を作るとき実際に必要な。できるだけ薬事法に準拠する形 で、特に細胞の安全性を担保するということでは、できるだけ治験にはならないけれども、 その前の段階だけれども、細胞としてはできるだけ安全性を保証としようということで作 ったわけですが、1314号通知をどの程度その中に入れるかということで、かなり議論があ って、もう少し入れ込んだほうがいいという話もあったのですが、まあ、指針という格好 ですので、一応1314号を引用するというような形で、実際、具体的な内容をしっかり書き 込んではいないのですが、確かに先生が言われるように、書き込んだほうがわかりやすい かもしれませんが、指針としてはそのぶん非常に長くなりますので、そこをどうするかと いうこと。あとシームレスにしてこの臨床研究で得られたデータが、またその治験にも生 かされるという、それは非常にいいことです。それは前のときにもそういう議論はありま したし、やはり形はできるだけ今度の新しく改正された1314に沿うような形でしっかりそ こを書き込むか、あるいは引用かは別にして、できるだけシームレスにいくような形の指 針に今度改正できればと思います。 ○永井委員長 暫定規格でもいいわけですね。 ○山口委員 そうです。暫定規格で例えば治験を始める前に、この樹状細胞のいくつかの 発現量を測定しますが、その測定したデータ、初めはこのぐらいの範囲である。実際にそ の治験をやっていくと、効果があるのはこのぐらいのポピュレーションのときに初めて効 果がある。もう少し広ければあまり効果がないものも出てくるとすると、ここに規格設定 を狭めていく必要があるわけです。逆に言うと、この測定をきちんとやっておかなければ、 その最終的なゴールは見えてこないわけで、こういうような規格設定を最初にしておくの が、やはり必要になってくるのだろうと思うのです。 ○澤委員 この今日、山口先生が提示された話は、私もこの委員会のいちばん最初のとき にお話申し上げて、是非ヒト幹細胞の指針と治験との連続性が、ヒト幹細胞を遵守する臨 床研究者側にとっても非常に重要だろうということで、まさにこういうふうにシームレス に移行するというご提案は私も大賛成です。先ほど中畑先生がおっしゃったことも重要で す。  私も1314号の委員もさせていただいているので、あの改訂のときにも非常に詳細な、行 間の読み方ですよね。それをうまくするには、委員をさせていただいてそれを初めて勉強 させていただいたようなところがありました。おそらくヒト幹細胞を申請する側から見た ら、やはり素人的なところで、これを遵守しろということに、かなりギャップですね。で すから、そこをうまく指導するような形で、先生がおっしゃった重要なのはステージ度で、 臨床試験のステージごとにステップアップしていって、最終的にうまく確認申請につなが るような形がいちばんいいのだろう。そのときの申請をする側のガイドラインではあって も、うまく指導していくような感じがいいのかなという気がするのですが、難しいとは思 うのです。あまり最初からハードルがガーンと高いのもあれですし。 ○山口委員 それはたぶん急にハードルが高くなったときですね。この委員会の目的とし ては、ハードルは高くするつもりはく、むしろわかりやすくするにはどうしたらいいかと いうことだと思います。 ○澤委員 だからミニマムリクワイアメントと、最終的に確認申請にいく場合とのステー ジ的なところが、読めるような形のガイドラインであればいいという気はするのです。 ○鹿野委員 私、1314号通知の改訂に当たっては、前回もちょっとご紹介しましたが、Q &Aを作らせていただいます。また、最近、確認申請資料作成要領というものを作り、間 もなく事務連絡で出していただけるかなという状況です。これらもある程度は利用、応用 していただけるかなと思います。業界等には一部ご意見をいただくのでお渡しはしている のですが、間もなく一般にも公表します。 ○山口委員 ヒト幹でも読みやすいように書き換えないといけないですよね。 ○鹿野委員 そうですね。これを応用した形でやっていただき、それから実際に確認申請 に移っていく、シームレスに移るというステップがどうなるのかは、これからのご検討な のかもしれないのですが、おそらく医薬品の開発に移行していくという研究もあれば、い や、そこまではいかないよと、研究段階としてデータを取るにとどめたいというのと両方 あると思うのですね。そうすると、両方が生かせるようにするには、確認申請で1314号通 知で求めている部分のここまでは同じように求めるが、そこから先については、やはり確 認申請にして別途やるような形にして分けるというのを、ある程度目安を付けて分けてお いたほうが、臨床研究としては、やりやすいようなイメージがあります。 ○本田委員 素人なのでトンチンカンなことを言うのかもしれませんが、5頁の図ですご くわかりやすかったのですが、わからないなと思ったのは、基本的に臨床研究とかと将来 的な治験に結びつくようなシームレスな関係にしていくというのは私も大賛成で、逆に私 は一般の患者の1人としては、もちろん被験者保護の部分は安全性とか担保はきっちりし てほしいのだけれども、一方で無駄な時間と費用を費やさないで、早くみんなが使えるよ うな形にもっていってほしいというのは強く願っているので、それがやりやすい方向にま とめるということには、是非お願いしたいと思っています。  もう1つ、ただ、この臨床研究から治験に、臨床研究データの承認申請資料として利用 可能性とか、将来的課題と書いてあるのですが、薬とかはもうデータとか使えるようにな っている部分が、結構あるのではないかなと思っていますが、この分野はまた全然違う法 整備で、そういうことを今後考えていかなければいけないということなのですか。 ○山口委員 臨床研究データのときにはGCPに則ってやっていなければ、それは評価でき ないわけですね。そこは逆に言うと行政的な話になってしまうと、私にもよくわからない のですね。 ○本田委員 将来そういうことも別の形で、そういう法整備なり整備をしなければいけな いということ。 ○山口委員 バイパスしていくようなケースでは、そこを読めないかぎりはいけないわけ ですよね。だからそれは新たな制度の枠組みが必要になるのだろうというふうに私は思っ ています。 ○位田委員 非常にわかりやすいご説明をいただいてクリアになったのですが、先生がお 考えになったのは、いままでの体性幹細胞の臨床研究が中心で、ESとか、つまりこれから 話題にするというか、入れ込もうとしているES細胞とかiPS細胞の場合には、いまおっし ゃったようなところには、まだいっていない段階じゃないかなと思うのです。そのシーム レスと言われたときに、ものによって程度というか、研究の程度が違うというときに、そ のシームレスをうまくやらないと、何かドカッと上がってしまうような気がするのです。 ○山口委員 入れて話そうかと思ったのですが、ややこしくなるのでやめたのです。例え ばFDAはES細胞、iPS細胞といって、いまのGTPの中で全部規制しようとしているわけで すね。ですからその要件がプラスアルファされていくだけであって、最終製品の評価とい うのは、逆に言うとiPS細胞でもES細胞でも変わらないのだろうと考えているようです。 ただ、その開発段階で長期に培養することによって、その安全性の評価とか、例えば遺伝 子導入することによるその造腫瘍性の問題点、それからES細胞の場合ではテラトーマを形 成する不純細胞、未分化細胞の評価とか、その辺がプラスアルファされていくのだろうと 思うのですね。そのプラスアルファされていく部分は、いまのヒト幹細胞のところで考え れば、ヒト幹細胞にプラスアルファしていけば、たぶんそれは作っていけるのだろうとい うふうに私自身は思っているのです。 ○位田委員 そうするとES細胞とかiPS細胞の場合に、これからまだいろいろ研究が展開 していくので、まだわからない部分もあるのではないかと思うのです。展開した結果、ま た新しい何か要素が出てくる。 ○山口委員 そうです。やっておられる方と議論しないといけないのだろうと思うのです ね。 ○位田委員 その場合に現段階で、例えば今年とか来年とかにこれを改訂する場合に、ど こまで書いて、あとはもう少し展開が行われてから、また書き込むというふうにするのか。 先生がおっしゃったように、わかりやすくいろいろなことを書き込むと、長くなるのはも ちろんのことながら、非常にはっきりさせるために、今度はESとかiPSを中に入れ込むと きに、ちょっとバリアが高くなるような感じになるのではないかなと思うのですが。 ○山口委員 これは適切な答かどうかはわからないのですが、自己の細胞のガイドライン を作ってから同種のガイドラインを作ったのですね。同種のガイドラインは他人だから HLAの問題とかございますよね。そういうようなものを評価する場合に、すべてについて 書き換えないといけないかと思ったのですが、その場合に、実際には3カ所ぐらいをプラ スアルファするだけで、自己から同種にいけたわけですね。  だから今度、例えばESに関していえば、長期にわたるESの樹立から分化させるまでの ところはかなり長期にわたるでしょうから、その辺をどう書き込むかという問題点は残る のですが、今度、樹立した細胞から例えば株化細胞というのが同種のところに書いてある のですが、そこからの評価は同じになるはずなのです。ですからESの株化細胞までの樹立 は、ESの指針のほうで書いていただかないといけないと思うのですが、そこからあとの臨 床応用に関していえば、ヒト幹でも私は読めるのではないかと思っています。 ○位田委員 そのプラスアルファをする部分は、例えば前臨床がまだ5年後とかいう話で すので、いま書き込んでおくということではなくて、その臨床研究がある程度目に見えた 時点で、プラスアルファするという可能性もあります。 ○山口委員 先ほど石井課長のご説明もあったのですが、前臨床研究をいまやるとしても、 それはどの細胞であっても逆に同じような、未分化のものに関する前臨床研究はあまりな いはずですよね。要するにそこのものでヒトに投与するわけではなくて、ヒトに投与する ものを評価するわけですから、ある分化させた細胞、機能細胞になったものを評価するは ずなので、そこの評価というのは、ESからきたとして評価方法は同じであろうと思うので すね。むしろそこにきた細胞がその評価に値する細胞かどうかはやはりES、iPS特有にや らないといけないのだろうと思うのです。評価方法がES、iPSだから変わるということは、 例えば造腫瘍性に関してはもちろん違うのでしょうけれども、それ以外のところは、例え ばコンセプトを確立するところは一緒ではないかと思うのです。 ○永井委員長 時間の関係でまたお気づきの点がございましたら事務局までお申出いただ ければと思います。これまで3回にわたりまして審査のあり方、規制のあり方について勉 強をしてきたわけですが、さらにおりを見て検討をしたいと思います。  最後に前回に続いて、これまでの検討の概要のまとめですが、できればいくつかの点に ついてはとりまとめを行いたいと思いますので、事務局からご説明をお願いいたします。 ○事務局 資料6を用いましてご説明させていただきます。特に2.の「検討事項について のまとめ」について検討していただきたいと考えています。1番の指針の適用範囲と2番 のヒト幹細胞の定義につきましては、前回説明をしておりますので、3番目の3頁目、対 象疾患等についてから説明させていただきます。  四角の枠で囲んでいるのは現行の指針の内容です。その次に書かれていますのは皆様の ご意見を伺いまして内容を一部訂正したものですが、対象疾患などについては、まだあま り議論がなされていませんので、ほとんど同じ内容のものが書かれています。議論の一部 で出た内容としては、先ほども一部出ましたが、疾患対象などについてもハードルが一部 高い。一般的な治療にはなかなか使いづらい。一般的な疾患にはなかなか対象になりづら いという問題点も少しあるといったことはありまして、それにより研究が遅れている可能 性があるのではないかといったご意見もございました。  また、逆に今度は新規の幹細胞治療を行うといった場合には、少数の細胞を使うとか、 または治療後の経過観察、または安全確認がはっきりできる疾患ではないといけない、と いった疾患もごく限られたものになるのではないかといったご意見がなされております。 そこで考え方としましては、ある程度広い範囲のヒト幹細胞治療を対象とするような形で、 疾患を取りまとめていったほうがいいのではないか。そのうち一部の、新規のヒト幹細胞 などの使用を開始するという研究に関してはかなり厳しく、対象疾患や推奨される治療・ 安全性を確認される方法などを細則として書く、またはQ&Aとして書いていくような方向 にすべきではないかと考えています。 ○永井委員長 いまのところで何かご意見があれば、いかがですか。 ○中内委員 第2回の委員会で「少数の細胞移植で効果と安全性が予測される疾患を対象 とする」というのは、これはこれでわかるのですが、逆に言うと、それほど対象疾患を絞 る必要は全くないのではないかと思います。どうでしょうか。これを入れてしまうと、か なりのものが出来なくなってしまう可能性があると思います。少数の細胞を移植する、少 数の細胞で移植の治療効果が出るということは、例えば増殖能や分化能が高い細胞かもし れないので、むしろ逆に危険になる可能性もあると思いますので、特に入れる必要はない ように私は思います。 ○永井委員長 少数の細胞というのが、意外と主観が入るところもありますね。これを入 れる必要はないのではないかということですか。 ○中内委員 はい。 ○永井委員長 それはよろしいでしょうか。あまり、これにこだわる必要性はない。トー タルとしての安全性、有効性とリスクとの関係、そこは踏まえないといけないわけです。 ほかにいかがでしょうか。別に、今日でこの文章が決定するわけではありません。大体、 こういう考え方であるということで取りまとめを行いたいと思います。 ○中畑委員 「まとめ」のところの新規のヒト幹細胞、具体的に言うと今回対象にするES 細胞とかiPS細胞ということを、新規の細胞という読み方でよろしいのでしょうか。 ○永井委員長 よろしいでしょうか。もし山中先生、石井課長、何かご意見ありましたら おっしゃっていただければと思います。では、4のほうのご説明をお願いします。 ○事務局 4.「ヒト幹細胞などの調製について」、下のほうにカッコで書いています。(1) から、「基本的にはヒト幹細胞などを加工することを調製という。」については特に変わり はありません。ただ、「加工」という言葉の内容について、下記に示すように「細胞本来の 性質を改変する操作」というような定義を明らかにしていかなければ、わかりづらくなる だろうという指摘がありました。  それ以下の(2)については、特に変更はありません。そこで、○のほうに書いていますけ れども、現在の「調製期間の基準についての治験薬GMP基準の準拠を求める」といったこ とは、現在の臨床研究ではあまりそぐわないであろうというご意見が多数ありました。 ○永井委員長 ここ、誤字がありますね。どういうように読んだらよろしいのですか。「記 載されている児内容」。 ○事務局 一字間違えています。「記載されている内容からも、また臨床研究としてそぐわ ない場合も多い」と訂正させていただきます。実際には、臨床研究を行うに当たって特に 大事なこととしては、製品の取り違えを防止する。交差汚染を防ぐ方策など基本的な事項 をしっかりと書き込んでいくべきで、施設要件などの基準等はあまり詳しく考えていかな いほうがいいだろうといったご意見がありました。  考え方としては調製機関の要件、現在書いてあります「医薬品の臨床試験の実施に関す る省令」第17条の第1項、いわゆる「治験薬GMP」といった言葉を使うのではなくて、以 下の内容、7頁の(5)をご覧ください。このような内容にしてはいかがでしょうかという提 言をしています。実際には、これは先ほどの「医薬品の臨床試験実施の基準」からを一部 改変したものでして、調製期間の基準としては「品質の確保のために必要な構造設備を備 え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている細胞調製施設を備えている こと」という文章に改めていく方向で、十分ではないかといったことを考えています。 ○永井委員長 この点についていかがでしょうか。 ○位田委員 質問ですが、第3回の委員会の意見と第4回の意見というのは多分対立して いると思います。第4回の意見のほうで行くと理解していいのですか、4頁に黒丸と青丸 とがありますけれども。 ○事務局 第3回のご意見で出た内容と第4回とでは、だいぶ似たようなところがあるの でというのは、上のほうに書いてありますのは、以前の旧治験薬GMP基準にはだいぶ厳し いような感じの考え方がありました。その下の意味としては新治験薬GMP基準にみられる、 最低限のものだけを求めていけばいいだろうという概念です。多少、新旧の指針の違いが ありますが、大体同じようなご意見かと思います。それに従い、今回提案させていただく 内容としては、基本的な考え方として、品質確保のために必要な最低限の構造設備を備え る、あとはしっかりした管理基準がされているということが、わかっていればいいだろう という、治験薬GMPという語句ではなくて内容を取り込んだと考えていただければよろし いです。 ○中畑委員 「内容を記載する」ということには依存はありません。先ほど山口先生の説 明があったような、アメリカでは「臨床研究」と「臨床試験」の分け方はないわけで、両 方とも全く、FDAで全て審査をするという格好になっています。前回のときにもありまし たが、日本もできるだけ共通の形を作っていこうということで、先ほど山口先生が言われ たような、最初からシームレスに行くような形のほうが、いいのではないかというご提案 をされたと思っています。そういう趣旨からすると、やはり改正1314号通知に準拠するよ うな形でやっていくとか、ある一定の方向性を出さないとまずいのではないかと思います。 ○永井委員長 例えばデータの管理とか、こういうものを研究者だけが管理していてよい のかという問題があります。その辺、かなり透明性を高めておいたほうがいいのではない か。そうすると、シームレスに移行できるわけですね。この辺の書きぶりについては、も うちょっと議論させていただくこととして、おおよその方向性としてはこういうことで、 さらに細かい記載が必要になるかもしれないと思います。その次は6頁でしょうか。 ○事務局 6頁、5.「ヒト幹細胞臨床研究の研究機関の基準について」がだいぶ長く書い てあります。そこの部分、皆様のご意見を簡単にまとめたところが7頁目になっています。 実施機関の基準としては、「臨床研究をスムースに行いうる体制を作っていくことが必要で あろう」といったご意見がありました。2番目として、先ほどからも議論のあるところで すが、「臨床研究の開始時から医薬品等の品質及び安全性に関する基準のレベルを一律に求 めるものではなく、臨床試験の過程で改善しうる柔軟性があったほうがいいだろう」。先ほ どからご意見がありますように、ある程度のしっかりした基準は必要だろうと認識してい ます。4番目、「採取を行う機関と移植又は投与をする機関については医療機関であり、治 療を行うための能力を有する医師・歯科医師などの研究者を有していること」、これについ ては特に変わりはありません。最後の5番目が問題になると思います。調製機関の基準を 先ほどのご意見では、しっかりと書き込んでいこうというように、今回は理解しています。  次になりますけれども、ほかにご意見が出ている中としては調製機関、または採取、移 植又は投与する研究機関については、現在、厚生労働省で別に行っています「再生医療に おける制度的枠組みに関する検討会」で議論した内容などを反映させていこうと考えてい ます。次回以降の会議でまた、これはご紹介させていただきたいと考えています。  提案としては、先ほども言いましたが「再生医療の枠組み検討会」の概要を提示させて いただき、そちらの提案などをもとに、本委員会でもさらに検討を追加していきたいと考 えています。 ○永井委員長 「学会から提案したい」というのは、再生医療学会が候補になると思いま す。それ以外にはどういう学会が提言できるのでしょうか。 ○事務局 幹細胞治療もだいぶ含まれていますので、輸血学会もしくは造血細胞移植学会 などの学会とも相談をしながらすすめていきたいと考えています。 ○永井委員長 山中先生、いま、iPS細胞に関する学会では、どこがいちばんアクティブ に発言されているのでしょうか。 ○山中参考人 国内だとやはり再生医療学会になると思います。基礎的なことは分子生物 学会などもやっていますが、ちょっとそぐわないと思います。 ○永井委員長 ここの書きぶりについてはよろしいでしょうか。 ○高坂委員 先ほどから伺っておりまして、例えば、先ほどの「対象疾患」のところでも そうなのですが、第2回、あるいは第3回の委員会で議論されたことというように書いて あって案が出ています。これにちょっと違和感を覚えるのです。第2回とか第1回は特に 割と総論的な話をさせていただいた、これからどういう方向で議論すればいいかというこ とをお話したはずなのです。こういう特化したことについてあまり深く議論はしていない はずなのです。やはり、いまの指針でどういったところを改正すればいいか、まず焦点を 絞っていただいて、それについてもう1回きちんと議論するという機会がないと。 ○永井委員長 これで確定ということではなくて、こういう問題点というか、1つの考え 方を提示しています。最終的には全体像を見ないとわかりませんね。 ○高坂委員 それはわかるのですが、先ほどの1314号など、折角いい話をしていただいた ので、そういったものを取り入れる見本みたいなものを、現行の指針のどこをどう取り入 れて直していけばいいかという、1つのたたき台というものが、全体がきちんと出ていく ためには、個々のものを少し議論しないといけないと思います。 ○永井委員長 私の理解では、まだたたき台の台が出てきているぐらいではないかと思い ます。とにかく、1回全体像を出して、それがたたき台になるのではないかと思います。 ○高坂委員 現時点で(案)みたいなものが出てくるというのは。 ○永井委員長 案というのは必ずしも適切ではないかもしれません。視点という程度では ないかと思います。そういうことでよろしいのですか。これが案になるのですか。 ○事務局 これは素案と考えていただいて、このような考えで指針を見直していきたいと いうことを示しているもので、まずたたき台の一歩前の段階を作っているという解釈をし ていただければ。 ○中畑委員 一応、前の指針のどこをどう変える必要があるか。今回、その指針を改正す るにあたって、1つの問題は前の指針は採取・調製機関と実際に移植をする機関ができる だけ同一である。もし、万が一、細胞を調製する機関が別のところの場合は、研究者がそ こに赴いて細胞を調製して持ち帰ってやるという、ちょっと特殊な状況を作ったわけです。 今回はやはり細胞をきっちり調製する機関というのは、ES細胞やiPS細胞を考えれば別の 機関ということになりますので、その辺の前と明らかに違うところを鮮明にさせていく必 要があると思います。だから、どこがどう問題かをまず最初にクリアにしたほうが、いい のではないかと思います。私は高坂先生の意見に賛成です。 ○永井委員長 別に、これが最終案ということではありません。是非、これからももっと 議論を深めたいと思います。全体像がなかなか見えないと問題点もわからないところもあ ろうかと思います。いまはまだ、パーツを出している段階だとお考えいただければと思い ます。事務局から続いて最後の案、8頁についていかがでしょうか。 ○事務局 6.「ヒト幹細胞臨床研究の有効性と安全性について」はたびたび皆様からご意 見をいただいています。特に(2)として、「対象疾患に対するヒト幹細胞治療の利益が不利 益を上回ると予測されなければならない」そういったものが特に対象となるというご意見 がありました。この中で特にご意見をいただきたいのは動物実験に関しまして、疾患モデ ルがないような疾患もあり、一概に必要かどうかを判断できないところもあります。個々 の研究において、そういった検討をしていかなければいけないといった内容もあり、現在 のヒト幹では動物実験を基本的には行うという形になっていますけれども、是非、ご意見 をいただきたいと思っています。基本的な原則を前回の委員会でお示ししましたが、また 再度、後日提示させていただきます。そういった基本的な原則をしっかりと表記していき、 臨床研究の段階や疾患対象などについて、様々な異なった形態を考えて記載していかなけ ればいけないと考えています。 ○永井委員長 疾病モデルがない場合にどうするのか、この点はいかがでしょうか。 ○山口委員 ちょっと提案させていただいたところもあると思うのですが、1314号のほう でも必ずしも疾病モデルがあるわけではないのです。努力をしないでいいということはも ちろん書いていません。あればもちろん適用して、評価をしていただくのですが、そのこ とによりものすごく開発が延びてしまえば、臨床試験の開発がすごく延びてしまうわけで す。それが良いのかどうかという判断を、必要とすべき時期に来ているのではないかと思 います。 ○永井委員長 それは個別に対応すればいかがでしょう。 ○山口委員 個別に考えていけばいいのではないかと思います。ただ、「しなければならな い」という前提ではないということは、どこかでアナウンスしたほうがいいのではないか という気がします。 ○永井委員長 その点はいかがでしょうか。位田先生、倫理的なところでいかがでしょう か。 ○位田委員 すべての疾病で必ず疾患モデルが作られるかどうかというのはよくわかりま せん。作りやすいのもあるでしょうし、そうでないものもあるでしょう。実際にできない ものもあり得る。それぞれに対応した形で、臨床研究をどうするかを議論しないといけな いと思います。それをどこまで、どういうように書き込むかという問題はもちろんあるの ですが。疾患モデルがない疾病だからだめだというわけにはいかないと思います。基本は、 やはり患者をできるだけ早く助けるということですから、そのためにどこまでやれるかと いうことで、考えればいいのではないかと思います。 ○永井委員長 おおよそ、このような方向性で検討していくということでよろしいでしょ うか。今日は時間もあまりなくて申し訳ありませんでした。一応、これまでの事務局から のご説明に対して、おおよその方向としてご理解いただいているということにしたいと思 います。また、今後、この委員会でもさらに検討されると思いますし、お気づきの点があ りましたら、お申し出いただければと思います。今日のところはまた整理し、次回以降、 さらにご説明、あるいはご議論いただきたいと思います。事務局から何かありますか。 ○事務局 本日はお忙しい中をご参加いただき、ありがとうございました。本日、いただ きましたご意見につきましては整理をさせていただき、改めてご提示をさせていただきた いと考えています。  次回の委員会ですが、10月26日(月)の開催予定とさせていただいています。詳細に ついては追ってご連絡いたします。 ○位田委員 事務局にお願いなのですが、いままでいろいろな資料が出てきていて、見た いなと思うときに机上にないのです。出来れば、いままでの資料もこれと別のファイルで 置いておいていただくと、「あの時、このような話があったな」というのが思い出せていい と思うのですが。私、基本的に科学的なことはわからないことばかりなので。例えば、今 日のスライドのコピーなどでも置いておいていただくと、翻って見て、もう1回考え直す ことができやすいかなと思います。お手数を取るかと思いますが、考えていただければと 思います。 ○永井委員長 よろしくお願いいたします。本日の専門委員会は終了させていただきます。 特に山中先生、石井課長にはお忙しいところありがとうございました。どうもありがとう ございました。 照会先 医政局研究開発振興課 田邊(2545)