09/09/18 平成21年9月18日中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録          第141回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成21年9月18日(金)9:00〜9:49 (2)場所  全国都市会館 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 小林麻理委員 庄司洋子委員 白石小百合委員       森田朗委員 対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 高橋健二委員(代 清水) 伊藤文郎委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本すが専門委員        <参考人>       池上直己慢性期入院医療の包括評価調査分科会長        <事務局>       外口保険局長 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官 磯部薬剤管理官       上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会から の報告について       ○ DPCについて        ・ DPCからの退出について       ○その他 (5)議事内容  ○遠藤小委員長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第141回中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会を開催したいと思います。  まず、本日の出席状況について御報告をいたします。  本日は牛丸委員が御欠席です。  また、高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになっておられます。  なお、審議官は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  次に、厚生労働省におきまして異動がありましたので、事務局より紹介をお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  9月7日付けの異動がございましたので、紹介させていただきます。渡辺由美子保険局 医療課保険医療企画調査室長でございます。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。  それでは議事に入ります。  初めに、慢性期入院医療の包括評価調査分科会から報告書が提出されておりますので、 御報告をいただきたいと思います。  本日は、同分科会の池上分科会長に出席をいただいておりますので、分科会長から御説 明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○池上分科会長  おはようございます。分科会長の池上でございます。  お手元の資料診−1をごらんになっていただければと存じます。  時間の関係で、この報告書の31ページ「調査結果のまとめ」というところをごらんにな っていただければと存じます。  時間の関係で、この「調査結果のまとめ」と「今後の課題」というところを中心に述べさせ ていただきますので、お分かりにくい点等は、もし御質問があれば、また後ほどお願いで きればと存じます。  それでは、31ページのところ、上の[1]のところから御説明申し上げますと、「施設特 性調査・患者特性調査」については、20年度慢性期調査、これは医療課で行いまして、 18年度慢性期調査、いずれも同じ手法を踏襲した結果であります。全体のサンプルは1 8年度慢性期調査と同規模であったが、経年変化の検討に必要な、平成18年度と平成2 0年度の両方の調査に参加した病院数は、24病院にとどまりました。  また、2番目に「レセプト調査・コスト調査」をしましたが、レセプト調査については1 8年度と同様、レセプトの収集とコストの階梯式配賦を行った。経年変化の検討に必要な 共通病院は、10病院にとどまった。  3番目の「タイムスタディ調査」については、今回は行いませんでした。したがって、正 確なコストの把握は、20年度調査においては対応できてきておりません。  次に「調査結果の分析」としまして、[1]の「患者分類と診療報酬請求について」、(ア) 医療区分・ADL区分の構成比と経年変化、これは5ページをごらんになっていただけれ ばと存じます。  5ページの下のほうの図表4、共通24病院の変化をごらんになっていただくと、病院 の療養病床では医療区分1、医療区分2、医療区分3の構成比はほぼ3対5対2であって、 そして、医療区分1が5%程度減少し、医療区分3が4%ほど増加しています。  またもとの32ページに移っていただきまして、時間の関係で32ページ中ほどの[2]の 「病院と診療所の医療療養病床における機能について」、まず病院における機能につきま しては、医療療養病棟へ入院(転入)については患者の約3分の2が一般病床からの転院・ 転棟であり、また退院(転棟)については自宅退院と死亡退院がそれぞれ4分の1を占め ています。  次に「診療所の医療療養病床の機能」については、有床診療所については、入院患者の約 3分の1が自宅からの入院であり、退院患者の約半数が自宅に退院するという結果であり ます。  以上の説明にとどまらせていただきまして、ページをめくっていただきまして33ペー ジ、「病院の収支について」は、費用の変化としては、患者1日当たり費用については、人 件費及び材料費が増加する一方で委託費が減少した結果、平成18年度より微増し、「2 0年度慢性期調査」の共通10病院の集計結果は1万7,840円であった。  ただし、患者分類ごとの患者1日当たりの費用は、前述のとおり、「18年度慢性期調 査」の結果を外挿しており、参考値であります。  続いて、「収入の経年変化」につきましては、医療療養病床の患者分類ごとの収入の推計 を平成18年度と比較すると、入院基本料は減少したものの、入院基本料等加算・出来高 部分・リハビリテーションの収入が増加し、結果として各区分において収入は増加してい た。なお、これには保険外収入は含まれておりません。  その結果、(ウ)の「収支差の状況と経年変化」につきまして、患者分類ごとの収入・ 費用差を推計したところ、平成18年度に比較して患者分類ごとの収支差は大きな変化は 認められなかった。  これは14ページをごらんになっていただきますと、14ページの図表19でございま して、左側が14ページ図表19で、同じように20年度と18年度を比較してございま すが、医療区分1においては赤字であることは続いておりますが、わずかですが収支差額 が縮小している傾向が全体的に見られます。  戻っていただきまして33ページの下の「提供されている医療サービスの質について」、 前回調査と共通した病院について見ますと、全体的な傾向としてはQI(Quality  Indicator)という質をはかる指標で見ますと、大きな変動は認められませんでした。そ の結果は23から24ページに示されて、このような質の評価を図る指標として、痛みの ある患者はどのくらいいるか、褥瘡の患者はどのくらいいるか、身体抑制などを比較した ものでございますが、特に大きな割合の変化はありませんで、そして御参考までに、24 ページに、最大値で身体抑制が80%あるいは100%の病院について確認しましたとこ ろ、確かにそのような態様であったという御返答をいただいております。  もとに戻りまして、34ページ、これは2つ目の調査である「平成20年度一般病棟で 提供される医療に実態調査」でございます。  調査手法としては、患者特定調査・施設特性調査について、「20年度慢性期調査」と ほぼ同様の調査手法を用いた。実質的に全調査に相当する規模で協力依頼を行ったもの、 最終的に分析対象を行い得たのは13:1病棟を有する施設の約5%、724病院のうち の33病院、15:1病棟を有する施設が約3%、1,421病院中の47病院でありま した。  それで、その結果を分析しますと、(2)の[1]の「在院日数の患者数の比較」をしますと、 13:1病棟、15:1病棟において、「91日以上入院患者」は約2割おり、医療療養病 棟の患者と比較して、医療区分を適用した場合、医療区分2が多いという点では類似して いたが、医療区分3の割合は32・3%であり、医療療養病棟の19.7%に比して高い 値であった。また、医療区分採用項目については、24時間持続点滴や中心静脈栄養等を 実施している者の割合が医療療養病棟より相対的に高かった。  次に、[2]の「在院日数による医療サービスの提供状況の比較」としましては、「91日以 上入院患者」に係る検体検査や単純X線写真撮影の実施状況は、医療療養病棟に比して多 かった。むしろ、90日以内の患者の実施状況に近い頻度で実施されていた。また、過去 7日間に当該病棟において9種類以上の薬剤を使用した患者の頻度についても、同様の結 果であった。  一応まとめは以上とさせていただきまして、ページをめくっていただいて36ページ 「今後の課題」についてでございます。  この基本問題小委員会から短期的な課題として付託された事項につきまして、まず (1)「患者分類の妥当性について」でございますが、現在の9分類の基本骨格の妥当性は 20年度調査においても維持されていると考えられます。  次に、(2)「各医療機関における分類の適切性」につきましては、この問題点としまし ては、この中ほどの段にあります「しかしながら、「20年度慢性期調査」では、診療報酬 請求時に求められる種々の細かな要件に要する資料の提出は求められておらず、」つまり 調査のデザインにおいて求められてないため、患者特性調査に基づく分類の結果と診療報 酬請求時の分類の結果とが一致しているかどうかの確認ができないため、現行の調査内容 あるいは方式では検証できないと判断しました。  次、めくっていただきまして(3)「提供されている医療サービスの質ついて」につき ましては、[2]のところで、分科会として提唱したQIの変動及び経年的変化を確認しまし た。今後QIに関してさらに正確な評価を行うため、サンプル数を増加さして患者の重症 度を考慮した評価を行う必要があります。  そのためにどうしたらいいかという具体的な方法でございますけれども、途中飛ばしま して[4]をごらんになっていただければと存じます。  [4]において、当分科会は、この質の評価という本課題の検証に当たり、患者特性調査を 用いるよりも、むしろレセプトに添付される「評価票」を利用するほうが有効であると考 える。  その際、(ア)該当項目への記載を必須とする、(イ)レセプトへの添付を必須とする の2点について、「調査票」の運用の変更を提案する。  続きまして、反対側のページ、「中・長期的課題とされた事項について」これはすべて 読み上げさせていただきます。  本課題の検討にあたっては、慢性期医療の定義・範囲を明確にしておく必要がある が、現時点では、さしあたり一般病床の一部から介護保険施設の一部までが想定され る。当面は、このうちの一般病床に係る部分から検討することとした。  本年度の分科会においては、医療課が平成20年度末に実施していた「平成20年 度一般病棟で提供される医療の実態調査」を利用して分析した。この調査によると、 13:1病棟及び15:1病棟における「91日以上入院患者」は、現在の医療療養病 棟に入院している患者と比べて、医療区分3の割合が相対的に高いこと等については 異なっていたが、医療区分2が多いという点では類似していた。  対象施設の協力が十分得られなかった等の問題点はあるものの、13:1病棟及び 15:1病棟の入院患者や提供されている医療サービスに関する実態調査はこれまで に実施されておらず、今回の調査によって初めて一定の結果が得られたものと考えら れる。  来年度以降、医療療養病床と機能が近接している病床等を含め、慢性期の状態像が 描けるよう、新たな横断的調査を実施する必要があり、この際には、中医協基本問題 小委員会と相談しながら、調査設計の段階から慎重に議論を進めていくべきである。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。非常に情報量の多い調査を簡潔に御説明いただきまして、あり がとうございます。  事務局で何か補足ありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  ただいま分科会長から療養病床における9分類の基本骨格の妥当性は維持されている という報告がありましたので、今般開催されました分科会の最大の目的の1つは達成した ものと考えております。  なお、今回の調査に係る手続きや方法について、分科会長をはじめ分科会の各委員から 幾つかの御指摘、御意見をいただきましたので、今後調査を行う場合には十分注意したい と思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ただいま分科会長 から御報告いただきました内容、あるいは直接ご報告されなかった 部分で報告書の中に載っている内容、あるいは事務局からのコメント、これらにつきまし て御質問、御意見ございますでしょうか。藤原委員どうぞ。 ○藤原委員 14ページをお願いします。  先ほど御説明ありましたけれども、医療区分1について、平成20年度は18年度より 若干改善している、わずかですけれども。しかし、これを見てみますと、点数が低くてコ ストに見合ってないのが明らかではないかと思います。この値づけについて、これは医療 政策的な判断でこのような値づけが行われたかどうか、その辺をまず確認したいと思いま す。  それから、全体で評価するというようなことも聞きましたけれども、全体で評価すると いう場合であったら、小規模施設とかでは非常にばらつきが多くてマイナス要因になり得 るので、その辺のところの判断はどうされていたのか、2点をまずお聞きしたいと思いま すけれども。 ○遠藤小委員長  私のほうからちょっと確認ですけれども、医療区分1の点数は最終的には中医協で決め たわけでありますので、そのお聞きしたいというのは、どちらへ向かっている話なのか。 つまり、原案として中医協に提出した事務局に向かっているのか、あるいは中医協で決め た経緯について知りたいということなのか、その辺はっきりさせてください。 ○藤原委員  まず事務局のほうで私が言った政策的な判断がもともとあったのでこういうふうな値づ けになったということの理解でよろしいのかどうかということを確認をしたいということ です。普通ならばそれぞれの費用に見合ったコストがつくはずなんですけれども、それが 医療区分だけ見てみますとマイナスだということは、この表を見てもはっきり分かるわけ ですから、その辺のところをどういうふうに病院を経営する場合考えていったらいいのか、 その最初のスタートのところを教えていただきたいと思います。 ○遠藤小委員長  そうしますと、中医協での議論というときには、たたき台が出てきて、それに対する議 論が行われたわけでありますから、そのたたき台をつくったそのときの考え方についてと、 そういう質問でよろしいですね。それではそれについてお答えいただきます。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長でございます。  私どもが記憶いたしますところでは、まず、当時の物の考え方といたしましては、軽症 の方、医療必要度の低い方はできる限りそれにふさわしい施設、例えば介護系の施設のよ うなところでケアをしていただくのがよろしいのだろうという発想が一般的にあると思い ます。またさらに、この平成20年度の診療報酬の時期においては、介護療養病床はもち ろんのこと、医療療養病床についても一定程度再編ないし転換という動きがあったと承知 をしておりますので、その観点に立ちますと、医療区分の1、あるいはADLの区分が著 しくいいといいますか、グループの方については、医療療養病床よりはそれ以外の施設で のケア、療養というものが想定されたものと思います。そういう意味である程度政策的な 点数づけがなされたという部分はあろうかと思います。  それから、2つ目の理由といたしましては、病院であれクリニックであれ、そうですけ れども、個々の部門別、例えば診療科別にすべて黒字といいますか、収益がないといけな いとか、あるいは入院、外来別に見たときに、あるいは手術とかいうふうに項目別に見た ときも、それぞれすべての部門で常に黒字でなければならないということもないのかもし れないというふうに考えておりまして、そういう意味では医療区分1、2、3がバランス よく患者さんが入っていらっしゃるとするならば、現時点ではこれだけで病院全体が赤字、 療養病床全体が赤字になるということではないのだろうと思います。そういうことが総合 的に勘案された上で、当時はこういう点数がつき、こういう図表19のような結果が出た ものと承知しております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  藤原委員、一言、実はただいま議論していることは、この報告についてのことでありま すので、今後療養病床の点数をどうするかという議論にはまだ踏み込んでおりませんので、 その辺のところをわきまえた上でのご質問にしていただきたいと思いますけれども。どう ぞ。 ○藤原委員  わかりました。  それで、今の事務局の説明でよくわかったのですけれども、ということは、医療政策が 絡んでこういった低い点数、値づけが行われたということでございますので、今後として は、ふやすという方向になれば方向転換ということも考えなければいけないということだ ろうというふうに理解したわけです。  それから、恐らく今後の議論に大変必要になると思うのですけれども、全体で黒字であ ればオーケーだというような考え方のもとに行われたと思うのですけれども、やはり今回 の、地域で医療施設が足らない、医療崩壊に近いような状態が起こっているという状況を 考えると、これは小規模が今まで対応していたところが大きな要因の一つになっているの ではないか、こういった全体で黒字であればよいということは、要するに大きな施設では ある程度対応できるけれども、小さな施設ではなかなか対応できないということだと思い ます。例えば有床診においてそういった地域のニーズに対してやっていたのだけれども、 そこのところが全然採算が取れない、そこで有床診がどんどん減ってきているという状況 もありますので、もう少し個々に見合ったコスト、値づけをすべきではないかと思います。 そういったことをちょっと。 ○遠藤小委員長  今後当然療養病床についても点数の議論があるわけですけれども、そのときにそういう ようなご意見があったということを記録しておきたいと思います。  ただいまのに関連して、18年改訂に関与されていた方等々でもし一言御意見があれば 承りたいと思いますけれども、ないようであれば、本日の御説明いただいた内容について、 一般的な御意見、御質問で結構ですけれども。何かございますか。竹嶋委員どうぞ。 ○竹嶋委員  詳細に調査いただきました結果を御報告いただいてありがたいのですが、池上委員長も 御説明になりましたけれども、やはり実態調査のサンプルが少なかったですね。例えば3 4ページのところに数字が出ておりますが、最終的に分析対象を行われたのは13:1病 棟で約5%、それから15:1病棟で約3%となっています。このあたりのところの、な ぜかというようなことを一番最後のところ、38ページに御指摘で、十分に協力が得られ なかったと。それで最後に、実施する回数をふやすという、そういうことも含めて、調査 設計の段階から慎重に議論を進めていくべきであるというお結びになっておられます。推 定の域で結構でございますけれども、少なかったというのはどういうところに問題があっ たように思われますか。 ○遠藤小委員長  池上委員長どうぞ。 ○池上分科会長  それに関しては25ページをごらんになっていただけますか。今サンプルが少ないとい う御指摘は、一般病棟における調査についてと承りまして、一般病棟における分析できた 施設が最終的には、25ページのDの有効回答数欄にありますように33施設と47施設 にとどまっている。これは調査の協力をお願いした施設が少ないわけではなく、ほぼこの 13:1病棟を有する施設、15:1病棟を有する施設の全数に近い施設に協力依頼を行 いましたが、そのうち協力に御同意いただけたのがBで、1割以下になってしまったわけ です。その中で適切に回答いただいて分析できたのがさらに4分の1ぐらい減ってしまい まして、最終的にはこのような施設にとどまった状況でございます。  したがって、なかなかこうした施設からの有効な回答をいただくことは今後とも難しい かと存じますので、今のところ、ある結果に基づいてある程度を分析せざるを得ないとい うように考えております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  竹嶋委員がおっしゃられたことは、一般病床からはそれほど低いレスポンスしかないと いう理由は、推測の域で構いませんけれども、どういうことが考えられるのでしょうか、 そういった趣旨ではないかと思いますけれども。もし何かお考えがあれば。 ○竹嶋委員  推測で結構です。 ○池上分科会長  なかなか調査の御負担が大きいのではないかと思いますし、また時期的にも、年度末と いう時期もあるのですけれども、ただ全体的にこのような病院は比較的中小規模でござい ますので、それだけの陣容を病院として対応できることが難しかったのではないかと、あ くまでも推測でございますけれども、推測しているところでございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかにございますか。対馬委員どうぞ。 ○対馬委員  大変よく調査していただいて、またわかりやすい資料で御説明していただきまして、あ りがとうございます。  2点ほど、患者の立場から見てちょっと気になるなというところについてお伺いします。  1つは24ページのはずれ値、標準偏差の2倍以上というところでですが、この身体抑 制とか尿路感染症について、実態は確かにここに示されているとおりなんでしょうけれど も、それに対してどういった見方をすればいいのか、ないしはどういった議論があったの かというのが1つです。  それからもう1つは、30ページ、検査・投薬の実施状況ですけれども、これは13: 1及び15:1病棟ですから、対象やデータが少ないということなのかもしれませんけれ ども、一番下の投薬をみると、90日を超えている場合には、90日以内よりも多剤が投 与されている。さらに医療療養病床と比べると、非常に乖離がある。また、検査等につい ても医療療養病床に比べて多いような感じがするのです。このあたりについてもどういっ た議論なり、ないしは評価なりがされているのか、お伺いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  それでは分科会長よろしくお願いします。 ○池上分科会長  まず、24ページのはずれ値の病院に関しては、このように確認して、施設側の回答は 図表35に記されているとおりでございます。  それで、身体抑制が仮に80%あったとしても、治療ケアの確認リストということに沿 った治療ケアが行われているかどうかを病院側に確認することを求めていまして、それは 20年度改定から治療ケアの確認リストにこのように、例えば身体抑制なり尿路感染があ った患者については、その治療ケアの確認リストに沿ったケアが行われていることを病院 側に求めている次第であります。  したがって、それに沿ったケアが行われているなら、直ちにこれが問題であるわけでは ないのですけれども、残念ながら今回の調査からは、治療ケアの確認リストに沿ったケア が行われているかどうかについての確認はできておりません。したがって今後の課題とし て残されております。  次に、30ページについては、これは2つ見方がございまして、患者の特性が一般病棟 と療養病棟とで違うかもしれない。それを裏付ける該当項目の割合は違っているところも ありまして、他方では療養病棟では包括化されていますので、検査や薬に関しては包括の 範囲にあるのに対して、一般病棟では出来高となっておりますから、それも病院として考 えられるわけでございます。そのいずれかがどのくらいの割合かということについては私 どもでは分かりませんでした。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ちょっと補足いたします。  対馬委員が御質問された後段の部分につきましては、恐らく一般病床の中においても9 0日を超えると薬剤投与量がふえているというようなことがあらわれているので、そうい うようなことについて分科会の中で何がしかの見解が示されたのかどうかということの御 確認だったのではないかと理解しましたが、そんなことでよろしいのでしょうか。それに ついてはいかがでしょうか。30ページです。 ○池上分科会長  ですから、これは1つはそもそも慢性とは何かということの議論が分科会でありまして、 これは慢性病を持っているというのであれば、大部分の高齢の患者さんは持っていますの で、病態において慢性というわけではなくて、入院期間ということから既定できるのかど うかという議論がありまして、入院期間をこの場合は91日以上ということでいった次第 でございます。  どうも十分お答えにならなかったですか。   ○遠藤小委員長  いえいえ、ありがとうございます。  ほかにございますか。それでは西澤委員どうぞ。 ○西澤委員  今の発表を聞きまして、非常にきちっとした報告書でありがたいと思っております。当 然この慢性期医療に関する議論というのはここでするわけなので、この中医協でする議論 のために、それに資する調査検討ということで、それに十分値する資料だと考えています。  特に私、この中で感じたのは、QIの考え方をしっかり、今後取り入れていくべきだと いうことを提言されておりまして、それを踏まえて今度中医協のほうでそのような議論は していけるかなと思います。  また、医療療養病床だけじゃなくて、もっと横断的にということで、今回は13:1、 15:1の調査もしていただいたのですが、そのような病院では今までこういう調査は慣 れていないということもあって、データ数が少ないということで、これだけでは少し物を 言いづらいと思っております。これからは客体をふやすとともに、もっと広く、一般病床 のこういう対象病棟もありますが、やはり片方では介護保険施設も入れながら、両方を見 ながらの調査をしていって、その中で慢性期入院医療とはどういうものかというのを浮か び上がらせるといいましょうか、そういうこともしていただけるとありがたいと思ってお ります。  以上、印象でございますけれども。 ○遠藤小委員長  御意見ありがとうございます。  山本委員どうぞ。 ○山本委員 先ほど対馬委員から御指摘があった薬剤の件でありますけれども、そもそも 多剤投与が多いという老人に関しては調査があって、極めて問題点が多いという指摘が既 にされています。また、今回の調査も分かりやすくつくっていただいたこと、大変ありが たく思っております。反面、初めてのことですし、数も少ないので、これだけから判断す るのはなかなか容易ではないのかもしれませんが、多剤投与の例が、13:1も15:1 も療養病床ともに、大変多いという結果で、加えて9種類という数も多い。薬剤数がふえ ていくと副作用等が大きくなるという過去の報告からしますと、なるべく少ない量の医薬 品を使って、効果や副作用等をモニターしながら、適切に治療していくということも大事 な観点だろうと思います。3つの病床でそれぞれの専門家がそれなりに協力しながらチー ム医療を進めていって、病棟の中で適切に医薬品を使っていくというようなことが今後進 められなくては、相変わらず多剤投与が進むということになりますので、医薬品が包括で あれ出来高であれ、必要かつ最小限で最善の数を出すような努力が必要だろうと思ってい ます。今後の調査の中でこうした点を浮き立たせ、それができるような体制を組んでいく ことに資するような報告をお願いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。貴重な御意見と承りました。  ほかにございますか。藤原委員どうぞ。 ○藤原委員  38ページですが、先ほど池上先生のほうから説明されました。中・長期課題とされた 事項について、中段のほうですけれども、一般病棟、医療療養病床と比べて医療区分3の 割合が相対的に高いこと等については異なっていたが、医療区分2が多いという点では類 似していたということが書いてあります。  これは今後の方向性を暗示されて書かれているのかどうか、その辺のところを確認した いのですが、27ページを見てみますと、これは一般病棟と、中段と下の段が形としては 似ているのですが、医療区分3をよく見てみると、実際には医療区分3に内容差といいま すか、1.5倍以上の差があるわけで、しかもその内容を見てみますと、28ページの中 で、「医療区分採用項目の該当状況」、24時間持続点滴であるとか、あるいは12の項 目の中心静脈栄養を実施、あるいは肺炎に対する治療、こういったのを見てみますと、一 般病床と療養病床とはかなり中身に差がある。先ほどから検査あるいは投薬についても話 がありましたけれども、一般病床で多いのは、まさに一般病床の機能がちゃんと果たされ ているからかと思うのですが、話を少し元に戻しまして、今後の方向性を言われているの かどうか、そこのところを少し確認したいと思いますけれども。 ○遠藤小委員長  分科会長、ご質問の趣旨はよろしいですか。確認をいたしますか。 ○池上分科会長  いや、これは粛々と調査結果を報告したまででございますので、今後の方向性について はこの基本問題小委員会で御議論いただければと存じます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。そういうことであります。  膨大なデータでありますので、ほかにもいろいろなことがあるかと思いますけれども、 これはまた、今日御報告が直接なかったものもありますので、しっかりお読みいただきま して、もし内容の不明なところがあれば事務局に問い合わせるなりをして、今後の療養病 床の値づけに関しての貴重な資料にしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。  それからまた、分科会からも提案がされているものもありますので、それをどう扱うか ということについても、また基本小委で少し議論をしていきたいというふうに思っており ます。  分科会長、何かコメントございますか。   ○池上分科会長  特に37ページの下に書いてある[4]のところでございますけれども、この調査の在り方 について、評価票の利用が有効と考えておりますので、ぜひこの線に沿って御検討いただ ければと存じます。  以上でございます。ありがとうございました。 ○遠藤小委員長  ありがとうございました。それでは、池上分科会長におかれましては長時間どうもあり がとうございました。 〔池上分科会長退席〕 ○遠藤小委員長  それでは療養病床に関しましての審議はこのあたりにいたしまして、引き続きまして 「DPCからの退出について」を議題といたしたいと思います。  事務局から資料が出されておりますので、説明をお願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。  それでは、総−4と診−2と書いた資料について御議論いただきたいと思いますが、そ の前にちょっと経緯というか、その辺を御説明させていただきたいと思いますので、その すぐ後ろに参考資料というのがございます。6月3日に基本問題小委のほうに提出させて いただいて御同意いただいた資料でございます。「DPC対象病院への参加及び退出のル ール等について(案)」というものでございます。  これの、最初は参加のことについて書いてございますが、1枚おめくりいただきまして 2ページ目の中ほどのやや下のところに、「DPC対象病院から退出する場合」というのが ございます。6月にこちらについての御議論をいただきましたが、まず(1)番として、 「退出の要件」としては、そのすぐ上のほうに書いてございます基準のいずれかを満たせな くなった場合ということでございます。  その手続きでございますが、この基準のいずれかを満たせなくなった場合、速やかに厚 生労働省に報告して退出する。なお、ア、イ、ウについては猶予期間を設けるということ になってございます。  それから、3ページでございますが、このように基準を満たさない場合に退出というこ となんですけれども、そのほかにDPC対象病院の基準を満たしていても、改定の5カ月 前までにその理由等を添えて厚生労働省に届出を行えば、当該診療報酬改定の前年度末に 退出することができるという、ここまでが原則でございます。  その次に、黒い四角で囲ってございますが、「なお、特別の理由があり、当該診療報酬 改定の前年度末以外に、緊急にDPC対象病院から退出する必要がある場合は、退出の認 否について、中医協において判断する。」となってございます。  そのすぐ下に特別の理由の例として2つほど書いてございますが、今この四角の中に囲 いました「中医協において判断する。」という、この部分についての手続きを事務局のほ うで(案)として作成しましたので、それについて本日ご審議いただきたいということでご ざいます。  資料の総−4、診−2と書いた1枚紙のほうにお戻りいただきたいと思います。「緊急 にDPC対象病院から退出する必要がある場合の中央社会保険医療協議会における手続き について」ということでございまして、先ほどの黒い四角で囲ってあったところでござい ます。「特別の理由があり、」ということで、改定の前年度末以外に、緊急に対象病院か ら退出する必要がある場合、退出の可否については中央社会保険医療協議会において判断 することとなっているという、具体的な内容についてはその下に書いてございます。  まず、こちらで「審査会の設置及びメンバー構成」ということで、基本問題小委員会の もとに「DPC退出審査会(仮称)」を設置する。」  「審査会のメンバー構成は支払側2名、診療側2名、公益側3名、全体で7名とす る。」ということでございます。  続きまして、2番でございますが、「DPC退出審査会(仮称)の運用方法」ということで、 (1)「基本問題小委員会から審査会へ、退出の可否の審査・決定を委任」ということ でございまして、つまり、この審査・決定について、この審査会のほうで最終決定まで してしまうという、そういう案でございます。  (2)「審査会は原則非公開」ということでございますが、理由として2つ挙げられて おります。   [1]「当該医療機関の経営状況等、機微な情報を取り扱うため」、[2]「公平かつ中立な 審議に支障を及ぼすおそれがあるため」ということでございます。  (3)「審査会は、専門的見地からの退出の可否を審査・決定し、審査結果を基本問題 小委員会へ報告」ということでございまして、繰り返しになりますが、この審査会で決定 してしまって、基本問題小委員会については、その案を挙げて議論していただくというこ とではなくて、あくまで報告ということでございます。  (4)「審査結果は、基本問題小委員会へ報告する前に当該医療機関に通知」  (5)「当該医療機関は、審査会の審査結果に不服がある場合、1回に限り「不服意見 書」を提出できる」ということでございます。  そして(6)「希望があれば当該医療機関の責任者からヒアリングを実施」するというこ とでございます。  3番としまして、「不服意見書が提出された場合」でございます。  まず、「審査会で再審査を行い、審査結果を基本問題小委員会へ報告」ということにな ってございます。「再審査結果は、基本問題小委員会へ報告する前に当該医療機関に通知」 ということで、不服意見書が提出された場合に、1回だけ再審査が行われるという、そう いうことでございます。  説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  特別な理由で退出をする場合の対応方法について、具体的な案として事務局から出され たわけであります。御質問、御意見ございますでしょうか。  ポイントは、審査・決定を委任するということと、原則非公開というところだと思いま すけれども、それぞれについての理由も今説明されたわけでありますが、いかがでござい ましょうか。  特に御質問もないようであれば、本件につきましては小委員会として承認するというこ とでよろしゅうございますか。 〔「はい」と呼ぶ者あり〕 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。それでは、説明のありました件につきましては小委員会として 承認したいと思います。  それでは、本日の小委員会につきましてはこれにて閉会したいと思います。  次回の日程等につきまして事務局から何かありますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  次回の開催日時は未定でございますが、決定次第また連絡をさせていただきます。よろ しくお願いします。 ○遠藤小委員長  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会としたします。ありがとうございました。         【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)