09/09/14 第17回労働政策審議会雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会議事録 第17回労働政策審議会職業安定分科会 雇用対策基本問題部会港湾労働専門委員会 1 日 時:平成21年9月14日(月) 14:00〜 2 場 所:厚生労働省 職業安定局第1会議室 3 出席者:   【委員】(公益代表)征矢座長、田付委員、土井委員       (労働者代表)伊藤委員、糸谷委員、鈴木委員       (使用者代表)田村委員、中谷委員、花島委員   【事務局】山田職業安定局次長、志村建設・港湾対策室長、        高松建設港湾対策室補佐、   【オブザーバー】国土交通省港湾局 若林港湾経済課長           高田危機管理室長 4 議 題:港湾雇用安定等計画の施行状況等について(公開) ○征矢座長 第17回の「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会港湾労働専 門委員会」を開催いたします。最初に本日の委員の出欠状況でありますが、本日は全員が出 席でございます。  前回、第16回専門委員会が開催されて以降、委員に異動がありましたのでご紹介いたし ます。参考資料1に最新の「港湾労働専門委員会名簿」がございますが、平成21年7月3 日付で久保委員に代わり田村和男委員が本専門委員会の使用者代表委員として新たに就任 されました。一言、ご挨拶をお願いします。 ○田村委員 田村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○征矢座長 次に厚生労働省職業安定局の幹部の異動がございましたので、事務局からご紹 介お願いします。  ○高松補佐 前回の専門委員会開催以降に人事異動がありましたので紹介させていただき ます。厚生労働省職業安定局次長、山田でございます。 ○山田次長 よろしくお願いいたします。 ○高松建設・港湾対策室長補佐 室長補佐の高松でございます。よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○征矢座長 それでは議事に入ります。  本日の議題は「港湾雇用安定等計画の施行状況等について」であります。これはご承知の とおり、昨年とりまとめました港湾労働専門委員会報告書において、新港湾計画の進捗状況 の点検等を行う場を定期的に設定した上で、新港湾計画の実現を図っていくことが重要であ るとされたことを踏まえまして議論を行うことといたしたものでございます。  それではまず、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○高松補佐 それでは資料の説明をさせていただきます。配付資料、お手元に3種類用意し ております。  配付資料1として港湾雇用安定等計画の概要。配付資料2として平成22年度予算概算要 求の概要。資料3として港湾雇用安定等計画の施行状況等についてです。参考資料1から4 までについては議論の参考にお手元に配付したものでございます。  まず、配付資料1、計画の概要から説明いたします。港湾雇用安定等計画は昨年度に当委 員会における議論を経まして3月16日付で厚生労働省告示第87号として告示されており ます。1、計画の基本的考え方としまして、計画のねらい、背景と課題、期間。2、港湾労 働者の雇用の動向に関する事項としまして、港湾運送量の動向、雇用の動向が示されており ます。1の(1)計画のねらいといたしまして、この計画は六大港における港湾労働者に係る 労働力需給調整、雇用改善、能力の開発・向上に関し、国、都府県、センター、事業主及び 事業主団体が講ずべき措置の指針を示すものであり、計画の期間につきましては平成21年 度から25年度までであることが示されております。  3、労働力需給調整の目標に関する事項。(1)労働力需給調整の目標として、港湾における 荷役作業については常用労働者による対応を原則とし、企業外労働力については港湾労働者 派遣制度による対応を原則とすることについて徹底を図り、常用化の更なる推進、雇用の安 定に一層努めるとされております。  (2)労働力需給調整に関して講ずべき措置が示されております。イ 国及び都府県が講ずる 措置として1つ目に港湾労働法の趣旨、目的の更なる周知徹底、2つ目に港湾労働者派遣制 度の適正な運営・有効活用の促進等、3つ目、事業主が求める人材と日雇労働者が有する技 能・経験等のマッチングが円滑に図られるよう、公共職業安定所の機能の充実・強化を図る。 4つ目に人付きリースの抜本的な解消を目標として、港湾派遣の活用促進、個別指導の拡充 等を引き続き行いつつ、人付きリースの実態調査を行った上で具体的解決策を検討、実施す る。5つ目に遵法意識の一層の高揚、雇用秩序連絡会議の積極的開催、港湾労働者からの申 告への迅速な対応、効果的な現場パトロール立入検査の実施等による違法就労の防止。また、 労働者派遣法、職業安定法事例への是正指導、防止の徹底、6つ目に公共職業安定所の紹介 による必要な労働力の確保などの8事項が示されております。  ロ センターが講ずる措置といたしまして、港湾派遣に関して業務の具体的内容、求めら れる技能等に関するあっせん申込み内容をきめ細やかに収集・確認の上であっせん先に対し て情報提供を行うなど、あっせん機能の充実・強化を行うなどとされております。  次にハ 事業主及び事業主団体が講ずる措置といたしまして、1つ目に直接雇用の日雇労 働者の利用が例外的となるよう努める。2つ目に人付きリースの抜本的解消に向け、引き続 き目標達成に努める。また、人付きリースの実態調査に積極的に協力する。3つ目に届出、 報告等の手続の適正実施。4つ目に港湾派遣に関して具体的な業務内容を必要とされる技能 等の具体的かつ詳細な情報を積極的に提供し、センターが行うあっせんに協力するなど、5 つの事項が示されております。  次に4、港湾労働者の雇用改善・能力開発を促進するための方策に関する事項でございま す。(1)雇用改善を促進するための方策としまして、国が講ずる措置として、1つ目に我が 国の港湾における国際競争力を確保する観点から、人的資源の有効活用が図られるよう、港 湾労働者の福利厚生の在り方について検討を行い、実施可能なものから順次対応する。2つ 目に関係法令に定める労働条件の基準の遵守の更なる徹底、労働災害防止計画の推進等。3 つ目に違法就労の防止の観点から、港湾労働法の適用関係を明らかにし、運用の斉一化、周 知徹底を図るとされております。  次にセンターが講ずる措置としまして、雇用管理者研修、雇用管理の改善に関する相談、 その他の援助を実施。事業主等が講ずる措置といたしまして、日常・夜間荷役が継続的に行 われる場合には労使間の協議に基づき、所定外労働時間の削減等、適切な雇用管理を図るほ か、港湾災防の活動を通じ、事業主が協力して労働安全衛生対策を講ずる等労働環境の整備 に努めることが示されております。  (2)能力開発を促進するための方策でございます。まず、国が講ずる措置といたしまして、 1つ目に公共職業能力開発施設における港湾労働を取り巻く環境の変化によるニーズの変 化に的確に対応した職業訓練の効率的な実施、事業主が行う教育訓練の支援、促進。2つ目 の○ですがガントリークレーン等の革新荷役機械に係る教育訓練の仕組みの検討、3つ目に 各港湾いずれでも必要な知識、技能に関する一般的な研修の実施機会の拡大が示されており ます。  次にセンターが講ずる措置としまして、港湾技能研修センターにおけるニーズの変化に的 確に対応した技能労働者の育成、港湾労働者に対する相談、援助や各種報酬の実施、事業主 に対する同センターの利用の促進等。次に事業主が講ずる措置としまして、港湾労働者の職 業生活の全期間を通じた段階的かつ体系的な教育訓練を行うよう配慮するとされておりま す。  5、港湾労働者派遣事業の適正な運営を確保するための方策に関する事項でございます。 (1)国が講ずる措置としまして、1つ目に港湾労働者派遣制度の適正な運営を確保するため の指導、制度の趣旨の徹底、2つ目に実施状況の的確な把握、港湾労働者からの申告に対す る迅速な対応、現場パトロール、立入検査の実施等を通じた制度の適正運営。3つ目にセン ターが行う業務について必要な指導、助言が示されております。  (2)センターが講ずる措置としましてあっせん機能の充実・強化。あっせんに係る要請の 内容の詳細な確認、派遣元責任者研修の実施、事業主、港湾労働者等に対する港湾労働者派 遣制度に関する相談その他の援助を行う。  (3)事業主及び事業主団体が講ずる措置といたしまして、センターが行うあっせんへの協 力、自己の営む事業に付随した派遣事業の実施、適正な派遣料金、派遣就業の日数の上限等 の遵守など、制度の趣旨に沿った活用等が示されております。  配付資料1については以上でございます。  次に配付資料2です。  平成22年度予算概算要求の概要(港湾労働者関係)です。ただいまご説明いたしました 計画を推進する内容の予算を盛り込んで財務省に対して概算要求をしております。  I、一般会計です。こちらでは港湾労働者証作成経費や現場立入検査、港湾雇用秩序連絡 会議等に係る経費としまして約1,400万円を要求しております。次にII、特別会計で約4 億1,800万円を要求しております。1、港湾労働者就労確保支援事業(委託費)といたしま して約1億6,400万円を要求しております。この内容としましては(1)港湾労働者に係る新 たな労働環境に関する検討等の推進として約1,600万円を要求しております。これは計画に も盛り込まれておりますが、我が国の港湾における国際競争力を確保する観点から人的資源 の有効活用が図られるよう、港湾労働者に係る新たな労働環境について全般的な検討等を進 めるための経費でございます。  (2)港湾運送事業主及び港湾労働者に対する相談援助。各種講習事業費といたしまして約1 億4,800万円を要求しております。こちらは港湾労働者の雇用の安定の確保を目的として、 我が国の港湾運送事業において質の高い労働者の確保・養成及び雇用管理の改善が図られる よう、港湾運送事業主や港湾労働者に対する相談援助及び各種講習の実施等の事業を実施す るための経費です。  この内、新規事項、港湾労働者雇用改善アドバイザーの設置といたしまして約2,400万円 を要求しております。こちらは「労働条件をはじめとする雇用環境問題」、「違法就労問題」、 「労使関係に係る課題(アスベスト問題等)」に関しまして、各港湾における固有の事情等 を踏まえつつ、個々の港湾労働者に対して相談・援助を行うためにアドバイザーを設置する ものでございます。  2、港湾労働者派遣事業対策費(交付金)としまして約2億5,400万円を要求しておりま す。こちらは港湾労働法に基づく指定法人が港湾労働者派遣事業に係る労働者派遣契約の締 結についてのあっせんの業務や、雇用管理者研修、派遣元責任者研修等の港湾労働者の雇用 の安定を図るための業務を行うのに必要な経費を交付するものです。  配付資料2につきましては以上でございます。  次に配付資料3、港湾雇用安定等計画の施行状況等について、計画の施行状況を示します 各種の最新のデータ等につきまして提出させていただいております。こちらをざっとご説明 申し上げます。4頁です。こちらが六大港における港湾運送量推移で、直近は平成18年度 のデータです。船舶積卸量で見ますと6億7,000万トンとなっております。次に5頁です。 ただいまの船舶積卸量の内、このグレーの棒グラフですがコンテナによるものが4億3,900 万トンでありまして、全体の65.5%がコンテナによる輸送となっております。  次に6頁です。六大港における常用港湾労働者数の推移です。平成20年度末で約3万 3,000人でございます。各月を見ますと増加傾向にあるということがわかります。  次に8頁です。(5)六大港における港湾労働者の就労状況の推移ということで、平成20年 度、直近のデータは表の下のほうの太線の枠内にございます。この中で、月平均で見ますと 就労延べ日数が約56万3,000人日、いちばん左の欄です。この内、企業常用労働者が、54 万9,000人日、それから港湾労働者派遣が約2,000人日、日雇が約1万2,000人日ございま す。割合で言いますと、そのいちばん右の端で常用が97.5%、派遣が0.4%、日雇が2.2% でございます。この内、派遣をみていただきますと昨年の秋以降の前年同月比がマイナスと △が付いている状況となっております。  次に11頁です。港湾派遣の新規許可事業所数でございます。現在、許可を受けている事 業所数は290となっております。  次に15頁でございます。ここから労働条件の関係のデータでございます。まず、港湾運 送業の入職率・離職率を15頁の棒グラフで示しております。それぞれ入職率が13.2%、離 職率が9.2%となっております。  次に16頁です。給与額、労働時間の推移です。まず、労働時間につきましては港湾労働 者は折線グラフの■のグラフです。直近平成20年で月実労働時間はいちばん上の折線グラ フの数字ですが198時間、その内、所定労働時間につきましては折線グラフのいちばん下 の数字ですが154時間となっております。次に賃金ですが下の棒グラフで示しています。 いちばん濃い色の棒グラフが港湾労働者でございますが、こちらで38万9,700円となって おります。  次に18頁です。労災の関係のデータです。まず、死亡者数につきましては港湾運送業、 棒グラフのほうの数字ですが平成20年で9人ということになっております。  次に19頁、休業4日以上の死傷者数です。こちらは平成20年、港湾運送業で290人と なってございます。  次に20頁、度数率です。こちらは労働災害発生の頻度を示す資料です。港湾運送業は太 線の折線グラフで示しておりますが、1.63となっております。  次に21頁ですが、強度率、労働災害の重さの程度を表す資料でございます。直近で港湾 運送業は0.48となっております。  次に22頁、千人率、こちらは労働者千人当たりの死傷者数でございます。港湾荷役では 6.7となっております。  次に23頁です。ここからが雇用秩序維持の関係のデータでございます。雇用管理者につ きましては現在、港湾運送事業の事業者数は1,027でして、この100%で届出が行われてい る状況にあります。  次に24頁です。現場パトロール、事業所訪問指導・立入検査の実施状況でございます。 平成20年度、全国計でみますと現場パトロール、上の表のいちばん右下の数字です。平成 20年度で603回、2,097事業所に対して行われております。  次に訪問指導・立入検査、下の表のいちばん右下、訪問指導・立入検査は676回、1,236 事業所に対して行っております。  次に28頁で、いわゆる人付きリースの状況でございます。直近の平成20年度第IV四半 期の月平均でみますと六大港の合計の小型リフト借受台数、いちばん上の太線の枠のところ のいちばん右下の数字がございますが、1万7,325台となっておりまして、この内、運転手 付きのものが真ん中の太線の枠のいちばん右下、816台でございます。それを割合といたし ますと表のいちばん右下の数字で、4.7%というのが人付きリースの割合となってございま す。  次に34頁に飛びます。ここまでは計画の施行状況ということで六大港に関する資料が中 心でございましたが、5、その他といたしまして世界と日本の港湾の状況を示す資料を入れ させていただいております。まず、世界の港湾の状況を示すものとしてコンテナ貨物取扱量 の世界・日本の上位10港を示しております。1位はシンガポール港で約2,800万TEUで以 下、中国、韓国と1,000万TEUを超える港湾が続いておりまして、この内、日本について は東京が24位で約400万TEU、以下横浜が28位、名古屋が35位と続いております。  次に35頁です。日本の全国の港湾の状況といたしまして、全国の船舶積卸量が直近、平 成18年度のデータで、表のいちばん左下の数字ですが、全国で約14億3,000万トン、こ の内、六大港が約6億7,000万トンで47%、地方港が約7億6,000万トンで53%となって おります。  次に36頁です。こちらは六大港・地方港における船舶積卸量の推移でございます。平成 10年度以降のデータですが、このような推移を辿っております。  次に37頁です。港湾常用労働者数です。全国の港湾常用労働者数が右下の数字でござい ます。約5万2,000人であります。この内、六大港が約2万8,000人で全体の54%、地方 港が約2万4,000人で46%となっております。  次に38頁です。六大港・地方港における港湾常用労働者数の推移でございます。平成10 年度以降、このような数字を辿っている状況でございます。  次に39頁でございます。こちらは参考といたしまして港別の船舶積卸量のランキングを 入れております。  次に40頁からでございます。ここからは最近の雇用状況と雇用対策の状況についての資 料を入れております。まず、失業率と有効求人倍率です。平成21年7月直近の有効求人倍 率はグラフの右下部分にございますが、0.42倍となっております。完全失業率はグラフの 右上の部分5.7%でございまして、完全失業者数は359万人となっております。  次に42頁です。雇用対策の状況といたしまして雇用調整助成金等の状況を示しておりま す。この表の右が平成21年度ですが、その直近の数字、7月分の速報で全国で8万3,000 事業所、約243万人を対象とした計画の届出がされておりまして、各月をみますとご覧の とおり、月を追って増加している状況です。  次に43頁です。各月の支給決定の状況でございます。直近7月、右が平成21年度でご ざいます。その直近の数字でみますと、約6万4,000事業所の約255万人を対象として支 給決定がなされております。  以上が雇調金等の全体の状況でございますが次の44頁が、港湾運送事業者の雇調金等の 状況、活用状況でございます。こちら、速報値で数字が変わり得るものですが、表の右半分 に支給決定件数がございます。平成20年度ですと9事業所で2,654人を対象とした支給決 定がなされておりまして、平成21年度に入りますと下から2行目のところが平成21年の4 月から7月までの数字ですが237事業所、3万2,967人を対象に支給決定がなされていると いう、こういう状況にございます。  次に45〜47頁までにつきましては、参考といたしまして雇用調整助成金等の概要をそれ ぞれ入れております。  また、最後の48頁につきましては雇用調整助成金等における新型インフルエンザの発生、 感染拡大に伴う特例の創設というプレスリリース資料を参考として入れさせていただいて おります。  資料の説明は以上でございます。 ○征矢座長 それでは本件についてご質問あるいはご意見等がありましたらご発言いただ きたいと思います。 ○糸谷委員 この資料の数字の説明を受けましたが、去年の計画策定のときに話したように、 5年間というのは長いというのは、この数字を見ても、直近の本当の当月、前月などの数字 ならばまたこれがガラっと変わるのです。ですから5年はやはり長いというのが正直な実感 です。1年でこんなに変わってしまったなど、少しひどいと言えば、かつてないような状況 もあるのでしょうが、やはり5年は長いからやっていただいてよかったなと私はつくづく感 じます。 ○鈴木委員 配付資料3の10頁。少なくても平成17年度以降17年、18年、19年、20年 この辺を見ても六大港のほとんどの港で職業安定所の紹介というのはゼロです。結局は日雇 を使うにしても直接日雇ということになっているわけです。そこで今度の計画の中では、少 し踏み込んでそれぞれ当時の委員会で調査したものでも、港によってどういう技能の労働者 を使用しているか。東京港で言えば青果関係、横浜で言えば自動車のドライバー関係という 比率が高いというのがあり、それぞれの港に合った個別の実情を勘案した日雇紹介方法。そ れとやはり技能的なミスマッチがあるわけです。配付資料1の2頁にも書いてあるように、 (2)のイの6つ目の○、公共職業安定所のところ、事業主が求める人材と日雇労働者が有 する技能・経験等のマッチング。つまりそれは事業主が使用している日雇労働者の技能を掌 握しないと紹介できないわけです。ですからできればその辺は確かに日雇なり人付きリース はこの不況の中で減ってきていますけれども、そこをもう少し踏み込んで、職業安定所に指 導しながら事業主を回って歩いて、使用している日雇労働者の技能状況を職安が掌握できる ような、できれば職安にそういう人たちの技能労働者の登録、ある程度掌握して名前を把握 をして、職安が紹介できるような方式を是非踏み込んでやっていただきたいと思うのです。  これは大事なところなのです。私は横浜出身ですから、横浜の日雇労働者がどうして膨ら んでいるかというと、自動車専用船なのです。ドライバーなのです。1日24時間のうちに 2船、3船と転船すると、同じ労働者が2倍、3倍になるのです。だからボリューム、同じ 人間が1日24時間働いたにしても、転船することによりこれは倍に膨らんできているので す。だからそういう意味では縮小していく上でもそういうドライバーというのはある程度特 定されていますから、そして使用する船会社というのも大体限定されていますので、この技 能のマッチングというのでは可能かなと思っています。東京のほうはわからないですが、是 非、業界の皆さんとも相談していただいて、具体的に秩序をもって紹介ができるように努力 していただきたいなと思います。 ○志村室長 いまの鈴木委員のご指摘に関しては、日雇労働者の直接雇用のマッチング、安 定所の職安の機能の話など、人付きリースの実態調査も含めて、特に鈴木委員のご指摘のよ うにいろいろとまさに職業安定行政、職業紹介のプロセスというものを港湾労働者のあっせ んということについて、現代的な状況も踏まえて少し整理する。いま本省でいろいろ企画的 な作業、あとは実際に労働局、港の職安という一線の実態の聞き合わせと、そういった点も 含めて、あとは随時担当者会議を年に2回ぐらいやっているわけですが、そういうところで の問題提起も含めていま鋭意作業しているという状況です。まだ成案的な、こういうプロセ スでやっていくというものをお示しできる状況ではないのですが、そういうような方向で取 り組んでいきたいと考えております。 ○伊藤委員 いま室長からもお話がありましたが、今日の配付資料を見ると、数値のいろい ろな説明がありましたが、実際に労働行政としてどこまでこの計画に基づいて実施をしてい るのかというところをむしろ私どもはいちばん知りたいわけです。ですから先ほど鈴木委員 が申したように、それぞれ各港によって雇用の状況は違っておりますので、業者間からのヒ アリング等々を行って、それにいちばんマッチングした形のやり方を考えていくのだという ことがこの計画の中でも言われていたことですので、いま計画がスタートして数カ月ですか ら、全部のヒアリングが終わったなどという話にはなっていないだろうとは思いますけれど も、そういう努力をしている点、あるいは中間報告的に何かその点で問題があったようなこ とがあれば、是非ご報告いただきたいなと思います。先ほど糸谷委員も言いましたが、雇用 情勢がここまで悪化しているので、なかなか求人開拓のような話にはすぐ結びつかないのだ ろうとは思いますが、そういう形で職安行政を進めていくということを計画に当たって表明 を受けておりますので、その辺の中間的な取組みの報告などがいただければなと思っており ます。  またもう1点、例えば安全教育などの問題については、港湾災防協会とも協力をして、安 全教育を進めるという話をしておりましたので、その点に関しても例えば、具体的にいまは こういう形でというようにはできないですが、例えばそういう形の申入れなり、災防協会と の話合いの進め方など、そういうような点も含めて、取組み状況なり考え方があればご説明 いただきたいなと思っております。 ○志村室長 2点ご指摘いただきましたが、このようないまの日雇の実態調査、あるいは職 業紹介のプロセス、リエンジニアリングというか見直しのようなものについてのボトルネッ クというものがあるのかというようなご指摘があったと思いますが、いまのところ大きなも のはありません。ただ港の職安ということで見た場合には、やはりここ数年来はいろいろ一 般の派遣問題、グッドウィルの問題などがありました。港湾の雇用秩序を守っていく、まさ にそれは所見で探知して是正していくという作業であり、港湾のパトロールにしてもそれが 中心であったというようなことでもありますので、これからはそういう意味ではいろいろそ ういう要素を増やしていくというようなことで、たぶんそこは一線の職員からそういう情報 が逐一上がってくるなど、また組合サイドにしても、使用者サイドにしてもしっかり実情を 聞き、もう少し突っ込んだ施策提案につながるような環境づくりからまず取り組んでいかな ければいけないと考えております。  2番目のところの安全教育では、やはり労災補償問題もそうですが、事故が起ってから対 応が進んでいくというような、非常に厳しい事情なのですが、特に昨年度は9月にはしけの 大きな事故がありました。要請の場ではいろいろ外国船員の問題も絡んで、ご承知のように 国交省さんとの領域もあり、労働基準行政の中でどのようにやっていくかということで、対 応等いろいろあり、国交省さんとも、特に港湾局を通じて海事局さんともいろいろお話をし ております。最近はこの8日に国交省さんも、この9月の事故だけではないのですが、いわ ゆる運行中の船舶だけではなく停泊中の、そしてまさに荷役作業も絡むような領域で少し事 故が多発しているではないかという、これは港湾荷役だけに限った話ではありません。だか らそういうことで私も9月8日に若林課長と一緒に会議に出席しましたが、昔からそうです が、いま港湾には専門的、きちんと企業の熟練した慣れた労働力だけではなく、経験の浅い 労働者も含めていろいろな人が対応しています。そういうところにもわかるような安全教育。 荷主の団体さんもいらっしゃいましたし、まさに港湾災防も入っていました。そういうよう なことがやはり議論されておりました。ですからここの職安の審議会だけではなく、そうい うところの関係者との検討の場もあります。そういうところでうまく活かせるものは活かし て、当然こちらの港湾労働行政としてしっかり、この計画で求められている安全教育で方向 性を出していければどうかなと考えております。 ○征矢座長 ほかにございませんか。 ○糸谷委員 いまの安全教育の問題がとても大きいのですが、港湾労働者の安全確保の点で は、六大港だけには留まらないのです。ここの概要には全然書いてないのですが、要するに 港労法の適用対象の話は労使の意見がまとまっていないからということで、業界の皆さんは 反発するかもわかりませんが、目的は一緒だということは是非理解してほしいと思います。 だからこの後どうなるか行政の考え方として、労使の話がまとまればそれでいいと言わんば かりの話が前回あったのですが、労使だけでその話がまとまらないよりも、港湾労働者全体 が同じ課題を抱えているという、全部ではないですがそういう分析は是非していただいて適 用拡大について、どういう形でできるのか。これは1回できてしまったら5年間はいじれな い中で、労使が話し合えばできるという話でもないのでしょうから、その辺は是非検討して いっていただきたいと思います。全港全職種というと漠然としますが、港湾に働くいろいろ な職種の人を適用対象とするのが望ましいと思っています。これはこの計画を定めるときも 座長はよくご存じだろうけれども、これは組合だから言わせていただくのですが、私どもの 組合はみんなその気が、そうあるべきだという意見があって、ここで言わなければ言える所 がないのです。業界のみなさんにも要求は出していますが、なかなか当該の事業者さんも今 日は見えていないけれども、六大港以外の事業者の人はなかなか理解していただけないので す。そういうものだということを行政サイドは是非理解していただきたいと思います。 ○伊藤委員 要望と言うか、配付資料の2で概算要求に関して説明がありました。これは私 どもがこの間の計画を巡る議論の中でいろいろ話した点を含めて、新規事業として予算の要 求をしていることに関して、非常にありがたいことだと思っております。特に港湾労働者の 新たな労働環境に関する検討になれば、ソフトの問題、福利厚生の問題を含めていろいろ検 討をしていただけるということで期待をしております。また港湾労働者雇用改善アドバイザ ーの設置ということで、いままでは事業者向きのアドバイザーがありましたが、今回の中身 を見ると労働条件をはじめ、雇用環境問題、違法就労問題、アスベスト問題などいろいろな 問題が提起されており、かなり労働者に目を向けたアドバイザーなのではないかと理解して おります。そういう意味からするとこういう問題を労働組合としていままで取り組んできた 経過もありますし、そのアドバイザーの人選に当たっては労働組合側とも話合いをしていた だけるようなことをしていただければ大変ありがたいかなと思っておりますので、期待と要 望ということで発言をさせていただきました。 ○志村室長 補佐からも概算要求の説明をさせました。まさに新たな港湾5年計画がスター トした直後の予算要求です。総額的にはご覧のように雇用保険の特会ということで、雇用保 険の特会というのはやはり雇用維持ということで、多くの予算を使っていくという中で財政 的に厳しいです。なかなか予算の拡大の方面での要求は厳しいところですが、新しい要素に ついては在来の要素を整理してまでも要求していこうということです。この港湾労働者に係 る新たな労働環境に関する検討については、まさに国土交通省さんが進めているスーパー中 枢港湾というものの中、いろいろな社会実験も含めていろいろやっておられるとお聞きして おります。そういう中で少しリンクするような、特に新たな時代における港湾人材の活用の あり方、それはいろいろなインフラ的な検討も含めてもし予算が認められましたら、しっか り検討を進めていき、少し指針、ガイドラインたるもののようなものも含めて、何かできた らなという期待も込めて予算要求しております。  港湾労働者雇用改善アドバイザーの設置については、これまでも主な減少要因の参考のと ころにある港湾雇用管理アドバイザーを豊橋に全部置いていました。。港湾技能センターが 置いてある所に配置しいているということですので、どちらかと言うと能力開発的なアドバ イザーみたいなもので、それは事業主に対するアドバイザーです。これだけ港湾計画の中で 違法な就労問題、あるいは直接労使関係に係る難しい課題、個々の労働者あるいは地方でい ろいろ雇用管理を実施しているところの下にまで絡んで調整、あるいは個々の労働者にイン フォームしていかなければいけないということもあり、やはりそういった面での予算的な根 拠、裏打ちを持っていきたいということもあります。またこれも財政当局に説明をしている 最中です。そういう背景をもってやっているということです。以上です。 ○中谷委員 この前の専門部会の最後のときに、雇用調整金の早期の適用をお願いして、今 日データが出ております。我々専業者は現在非常に困っており、ガタガタになっております から非常に厳しい状態なのです。雇用調整金をいただいているお陰で、幸い常用労働者の雇 用問題というのは起こっていないと思います。そういうことで頑張れるという背景は雇用調 整金が大きいので、今後ともこの辺はよろしくご配慮を続けていただきたいと思います。御 礼とお願いを申し上げたいと思います。 ○鈴木委員 今日伊藤委員がご指摘したように、6カ月経ってどのような進捗状況かという のがないので計画に対する議論がしにくいのです。しかし折角、港湾経済課の課長の方が来 ていますから、日本の港湾がいまどのようなポジションにあって何を解決しなければならな いか、どのような対応が求められているのか、その辺を時間を借りて意見交換をしたいなと も感じているのです。よろしいでしょうか。 ○征矢座長 課長がよろしければどうぞ。 ○若林港湾経済課長 そろそろ来るのではないかと思っておりました。現状はリーマンショ ック以来の未曾有の状況はまだ基本的には続いていると言っていいと思います。報道などで は底を打った、アメリカは景気回復の兆しなどという話は出ている。何となく光明が見えて いるのではないかなと思うのですが、光が我々の港を照らして暖めているということはまだ ないという状況かと思っております。その中でいま先ほど室長からお話があったように、ス ーパー中枢港湾という形でできるだけ日本国内の荷をスパ中に集中させて、荷を多くしてそ れによってコストを下げて渡船から抜港されないようにしようという施策を取っているわ けですが、実はそのトランスシップ率という言い方をするのですが、日本発の荷物が例えば ヨーロッパ、アメリカなどに行くときに、韓国、中国などを経由せずに直接行く率なのです が、それに関してはまだトランスシップ率が上昇している状況です。伸び方はだんだん上昇 は終わってきている。 ○鈴木委員 トランスシップ率、経由して行く率が増えていますね。 ○若林港湾経済課長 増えていますが、伸び率からいくとようやく下げ止まったというか、 トランスシップが収まりつつあるのではないかという見方も可能ではないかと思っており ます。現在スパ中は平成14年にスタートして平成22年度が最終目標の年度になっており ます。ということはいまは21年度ですから来年度なのです。そろそろ私どももスパ中の総 括をしていかなければいけないなと思っております。コスト削減に3割、リードタイム1 日、輸入の場合には1日ということをやらせていただいておりますが、それがどれくらい達 成しそうなのかという辺りをこの秋ぐらいからそろそろ勉強を始めていって、何が達成して 何が足りなかったのかをよく見ながら、これ以上もう日本の荷物をほかの所に持っていかれ てはたまったものではないですから、我々としての職域もきちんと確保しなければいけない ですから、そういう観点からも次に打つべき手を是非考えていきたい、もうその時期に来た なという状況です。まだ、途半ばきて日が暮れてまだ途なお遠しという感じのような気がい たします。すみませんがそのような感じの話になってしまいます。 ○鈴木委員 そうなのです。むしろトランスシップ率が留まったというよりは、いまここに 来て日本経済が特に落ち込んだということもある。去年までは例えばアジアから北米向けと いうのは日本は7%ぐらいまではキープしていましたね。いまは5%台でしょう。中国・香 港で6割、日本が2番目で、韓国、台湾と続いたのが、韓国、台湾にも抜かれて4番目です ね。それでもう5.何パーセントと別なものが近づいてきています。そういう中でいま現場 で起きてきているのが、トランスシップとは、日本の抜港なのです。もう基幹航路の。この 機会を利用して抜港するという。いま事前協議で出てきているのがそうです。それだけなら いいのですが、いままで釜山・上海などを経由していっていたものが、フィーダー輸送とい うか、そこからのトランスシップ、経由さえもなしにして、いままで中国航路、韓国航路が 日本の港に寄りながら来たところで、かき集めていくコースです。こういう動きにいまなっ てきているのです。それほど日本の港が魅力がなくなってきているわけです。だからいまま でと違ったもう国際競争力がどうかというよりは、どのようにして日本の港に船を寄せて、 そして効率的な荷役体制を敷いてサービスを提供するか。国際競争力というよりは効率的な サービスの提供、安定的な港湾労働の提供、この辺を議論していかないと。単なるスパ中、 国際競争力のためのスパ中ということでは済まないような気がしています。だから議論をも う少し踏み込んで、空想を言うのではなく、現実に立って議論を深めていく必要があるので はないかなと思っています。 ○若林港湾経済課長 鈴木さんのおっしゃるとおりで、いま中国経済がどんどん伸びている こともあり、中国近辺の荷動きが非常に多くなっています。そうすると例えば、いま韓国船 がほとんど日本からのフィーダーで、釜山で捨てる。船なども場合によっては日本で荷を集 めるよりも中国でやったほうが儲かるので、そちらにいってしまう可能性もあるわけなので す。逆に言うとどうなるかというと、日本からのフィーダー、私どもがいちばん嫌っている あのフィーダーでさえ、韓国船主が高い値段で、要は現に高い値段では受けないよという所 が出てきています。そうなってくると港の競争力もさはさりながら、経済そのものの競争力 も非常に大きな痛手を被ることになるわけですから、少なくとも日本の港の利便性をどれだ け、我々は日本産業を支えているという自負を持っていますから、いまおっしゃったように 効率化をよくした上でどのようなサービスを提供していくべきなのか。また港の経営者とし てきちんとしてお客様を見ていくのかということを考えていかなければいけない話ではな いかと思います。基本的に日本の産業構造をどうするかの話は、各々の会社、メーカーさん が戦略をもって描かれていって然るべきだと思いますが、彼らにしてみれば日本の国内の雇 用をおとしめてまで、海外に展開していくことはないわけです。そういうことを起こさせな いようにするような、インフラの提供をハードだけでなくソフトも含めてやっていかないと、 これは五十年の計、百年の計を誤る話になるのではないかということも、いまスパ中の現状 を把握していますけれども、出てくるのではないかなと思っています。 ○鈴木委員 そのときにやはり利便性ということになれば、やはり港というのは船会社にし ても荷主にしてもいつでも必要なときに、差別なく作業をしてくれるというスタイルを作ら なくてはならないわけです。この港湾の中の受皿を。港に大きな船を寄せつけるというだけ ではなく。港湾の中での受皿づくりということになるわけです。ということは行政をやって いる24時間体制、実際に港、現場は動いているのです。それが交替性が効かないなどいろ いろあるわけで、そして一極体制だから夜に入ってくると割増料金で、そこは差別化して扱 っているわけです。本来船会社から見れば、何時に入ろうが、たまたま地球の地軸の関係で 入る時間、タイミングが違うわけだから、そうしたら同じように24時間のうち何時に入っ ても同じようなサービスが提供できる。その代りそれに対応する労働者の確保が安定的にさ れている。そしてそれにふさわしい料金立てというか、それができているという、こういう スタイルを作っていかなければならないと思うのです。それは事業者が個別にできないです。 やはりそこは行政が、今度の計画の中にも共同受注、共同就労ということも出ています。そ れから港湾総事業の規制緩和をしたときも、規模の拡大でしょう。港湾事業の規模の拡大を 図っていくというのが目的になっているわけだから。あれは新規参入で競争力を激しくする ということではないのです。むしろ港湾事業者の規模を高めて、そしていま言ったようなも のに対応できる労働力の確保・サービスが目的になっているわけです。そうだとすればやは り事業者が個別に自ら進んでそういうことをするというのはできないわけだから、行政とし て政策誘導をどのようにしていくのか。この辺を箱物を作るのに相当の金を投資するのであ れば、事業者の政策誘導をするのにも投資をして、そしてやはりいつでもどういうタイミン グでもできる体制をつくっていく。そういう議論もしていかないといけない。これではます ます日本が衰退していくような感じがするのです。あまりにもバラバラというか、理念がな いという、そんな感じを受けるのです。これは縦割り行政の弊害なのか何なのかわかりませ んが、折角省の違いを越えて議論する場があるので、できればこれからそういう場づくりも お互い連携してつくっていただきたいなと思います。 ○若林港湾経済課長 非常に志村室長にはいろいろな場をつくっていただいていますし、や はり縦割りというのはいくらなくしても残っているなというのは感じるのです。私どもの役 所でも、某統合省庁もようやくです。ようやく普通の会話があまり気にしないでもう1つの 建設省サイドと話ができるようになってきた段階です。10年以上経っています。そのよう な状況ですから、ただ港湾局も港だけに閉じこもっている必要はなく、荷主の人などにも話 に行く、どのようなことを彼らが求めているか。逆に私どもはどういうことをやらなければ いけないのか。好き勝手に24時間開けていてくださいと言うかもしれないけれども、それ はコストがあるのですと。それはわかってもらわなければいけないし、そういう会話がやは り必要なので、そのときに荷主のところに行くから経産省がはっきりしなくてはいけないと いうわけでもないし、あまりそこらは捕らわれないでやっていかないとまずいなというふう に思っています。  荷主サイドからの反応は、非常にインフラに対する反応は結構強いものがありまして、そ こは大変期待度が高いということだと思います。我々としても、いまどういう立場で、どれ ぐらいのコストがかかる話なのですよというのを説明しながらやっているという状況なの です。逆に、産業構造の改革の話も合わせて議論をしていったほうがいいのではないかと思 うことはあります。そこは、だから鈴木さんがおっしゃる、いわゆる縦割りが残っていると ころと感じる次第です。だいぶ要らないことを言っていますね。 ○糸谷委員 適用対象者の話に戻るのですが、別にすごくいいわけではないのですが、この 概要の3頁にも能力開発の問題に言及しているわけですね。また、こちらの予算概算要求の 中でも、港湾労働者に労働環境に関する検討会とか、国際重要港における、これは六大港な のか、その他かはわからないですが、いずれにしてもこのような能力開発だとか、安全教育 とかは、この特定の六大港の港湾労働者だけではないのです。ただ、この金の出所になる法 律はもうできているわけだから、六大港ということになっていますけれども、この種のもの はみんな全国の港湾労働者なり、この港湾労働法の適用対象の職種の人たちだけではないの です。この辺はやはり今後どうあるべきかというのは是非考えていただきたいということが 1つです。  やはり能力開発促進するということで、ここにいろいろ書いてあって。建設・港湾の関係 なのか、その他の、これ縦割りと言ったら変ですが、たぶん職業安定の関係だと思うのです が、港湾労働者の技能、技術能力を高度化するということで、別のほうの港湾労働安定協会 で主催してやっていますが、この辺も関連するなら、是非縦割りを廃して一緒にやっていく べきだと。あれは別々ですか、安定協会は室長のところではないのでしょう。 ○志村室長 いやいや、港湾安定協会はまさに当室の関係です。 ○糸谷委員 それが委託事業でやっているから、全然こちらに聞こえてこないのです。 ○志村室長 聞こえてこないというのは、内容とか議論とかいうことでしょうか。 ○糸谷委員 中身はそこでやっているのだからいいのだけれども、どういうルートできてい るか、私はわからないで、安定協会から指名されてやっているので。その中身、内容を検討 することを頼まれているからね。ですから、あのときにも言ったのですよ。ここでも、この ぐらいの予算だけれども、例えば豊橋の技能センターが陳腐化してきたと、機械類がね。 ○志村室長 時間は経っていますね。 ○糸谷委員 現実に言われているわけです。だから、それをチェンジするような大規模な予 算獲得のための話なのか、単なる話合いなのかというのが見えてこない。 ○志村室長 高度化委員会ですね。 ○糸谷委員 どうせなら、ここでもその種の話がもっと出れば意識が明確になるし、取り組 みやすいというのはある。やはりこのぐらいの当座はこの財政状況だからこのぐらいですよ と言われれば、ここでもあれば、向こうでも話がある。土井先生いらっしゃいますけど、土 井先生が座長なのだけれどね。それが、これとリンクしているならこれはこれで、予算規模 からいけば大したことないなとは思いますけどね。 ○志村室長 その豊橋のセンターと通じた港湾技能の問題ということなのですが、実際に豊 橋の機材、昭和60年代の最初ですから問題もあります。そういったようなものの今後どう していくかということも根底にあった議論だと思います。ただ、それも含めて当面港湾労働 の中で必要とされる技能のあり方というのを議論するのが、まず最初です。その中で、個別 いろいろ財政要求を求めるいろいろなことに、できるのかどうかという、そういう検証とい うのはまたあった上で、個別のいろいろ予算措置とか、そういったものについての検討とい うのがなされるわけです。それはたぶん順を追って、対応されるべきものなのかと考えてい ます。  あと縦割りというか、たぶんそこのところはそこでの議論については、ちゃんとこちらの 建設・港湾対策室、当局のほうもしっかり議論を把握してやっておりますので、いわゆる外 で指摘されているような縦割的な実態はないものと認識しています。 ○糸谷委員 それならば、今度は逆に若林課長のほうに話がいくのですけれど、いつも話は しているのですが、施設を作るのにそれなりの国家財政を使ってやっていると。これはそこ を機能させるための港湾労働者のいまのようなものはこちらサイドでやるのだと。だけど、 現実にその施設はここの予算で、それだけ十分なものができるかというと、ここはいま言っ たように、それは非常に厳しいものがあると。もう昭和60年代の初めに建てたものがまだ 現役で。それはそれで十分有効活用はできるけれども、現実には自分たちが働きに職場に行 ったときに、その機械の能力と、教わってきた能力との差が非常に激しくなってきている。 そういった意味では、それこそ縦割りを廃して、施設を作るだけのお金を、そういうものを うまく機能させるための予算として、いくばくか割こうというのが、常に課長にお願いして いることはそこなのです。そういったものはやはりここは両省が出てられるから、私も話し やすいのですけれど、そういったことがあれば、そういったちょっと予算の食うものもでき る。手順というか、そういうものを教育するためのプログラムはこちらサイドで考えるとか、 その辺やはり連携しないと。施設もこちらもといっても、結局この予算にはあがれない。 1,000万や2,000万の話ではできない。これがあるのです。是非その辺はよろしく頼みます。 ○土井委員 私も、その港湾労働研修高度化委員会、糸谷委員と深く一緒にやらせていただ いたのですね。いままでもずっと厚生労働省、国土交通省、特に若林課長のところとずっと 話しながら、両省の協力を得て進んでおります。これからも委員会に、例えば両省から来て もらうということが可能な仕組みになっていますので、是非糸谷委員からも、ここで呼んで ほしいというときは、是非お声をおかけいただければ。 ○糸谷委員 安定協会だからね、あそこはワンクッションあるのでね。 ○土井委員 一応そういうコミュニケーション議論は可能になっていますので、ご遠慮なく、 後ほど。 ○糸谷委員 はい、よろしくお願いします。 ○若林港湾経済課長 土井先生からも矢の催促の話も、後でまた。 ○糸谷委員 本来ターミナルを作るのなら、その種のものを円滑に運用できるような技能と いうのは、ターミナルを作る人のほうが責任が重いのではないかと思うのです。そのターミ ナルを作って、使ってくださいよと言うだけで終わりではなくて、うまく使えるように新し い機械をこのぐらいの性能のものを設置しますという計画があったら、そういうその種の難 しい高度な技能が必要なものは、そこでも訓練しますとか言えるようなものも同時に必要で はないかということを言っています。それはもちろん志村室長のところとも相談しながらや るというのは、いま言ったように、教育訓練する講師だとか、そういうものはこちらがプロ だろうしということで、連携は当然必要だろうなと。対象労働者も、そうなると全国ですか ら、せっかく良いものを作ったって、六大港だけよというわけにはいかないと思うのです。 ○中谷委員 いまも安定協会の話が出ていましたけれども。 ○糸谷委員 ええ、どうも申しわけございません。 ○中谷委員 安定協会も、いまの豊橋の設備が古くなってきているということはよくわかっ ています。ガントリーもぼちぼち考えないといかんのと違うかという話ももちろん出ていま す。先日、大阪の港湾局のガントリーが、スーパー中枢港で古いのが余ってきたわけです。 それを引っ張ってこれないかということも検討したのですが、やはり移転費用等が漠大なも のですから、それはちょっと無理だなということで、やらなかったのです。シュミレーター の導入とか、とにかくやれることは考えていこうということにはなっています。研修に来る 人も、六大港だけではなしにむしろガントリーは現状は地方港の人が多いです。あんまり六 大港はそういうのは港で研修ができているのか、むしろ地方港の人のほうが多いというのが 実情です。そういうことですから、いろいろ安定協会としても考えてはいっておりますから、 ちょっと説明だけさせていただきました。 ○征矢座長 ほかにございませんか。 ○鈴木委員 折角危機管理室の室長が来ていますので、ここでも500万で港湾労働者証の 作成経費、港湾労働者の作業するときの労働者証、常用労働者の労働者証は国が全部面倒を 見てくれているのです。ところが、港に入る出入りの港湾保安の関係で、全国共通カードを 生体認証で作ろうということになっているのですが、折角国の予算を使うのに二重にやるの であれば、労働者証を通行証とうまくリンクさせて、合体させるようなことができないのか どうか。そこは一緒に、意外とIDチップの中にいろいろなことを入れる機能があるから、 結構可能だと思うのです。表面上の労働者が持っている技能なり、携わる作業の職種を見え るように明示することと同時に、出入管理の通行証にも兼務できるように是非調整してやっ てください。 ○志村室長 いずれにしてもちゃんと調整していく必要があるということは、そうでありま す。そうでありますが、ここの400万に関しては取りあえずアナログの、職安関係の機材 整備ということの400万でして、大いに連携するための400万ということではありません。 ただ、やはりICといっても、職安側の業務プロセスをそうした登録管理に合わせた形に換 えられるものかとか、いろいろな面からの検証の必要性がありますので、そこのところは引 き続き検証の過程に入っています。これについては、いわゆるうちの在来の業務の見直しで す。ただ、この国交省さんが進められているID施策の動向については、常に担当者レベル で情報を交換させていただいていることをご報告させていただきます。 ○鈴木委員 我々から見ると、なりすまし防止ができるのです、特に日雇労働者なんかで。 横浜港で起きた密輸事件というのは、正式の通行証をもらっているのでしょう。横浜市なん かは、ビジター以外はね。私ももらっているのですが、写真入りです。写真入りで、しっか りした免許証と同じような中身なのです。やはり、そういうなりすましの防止をしていくと なると、労働者に対するなりすましというのは、どちらかというと日雇労働で入ってきやす いわけですからね。そこをうまくチェックできるように、是非連携して、無駄な国家財政を 使わないようにしてください。 ○高田危機管理室長 どうもありがとうございます。今日はたまたま厚生労働省さんのご好 意により、私オブザーバーとして参加させていただいています。まさに参加させていただい たので、いまおっしゃっていただいたような、そういうカードのどうやって連携するかとい うような話を随時させていただいたという一環で、どのような港湾労働者証についても考え ておられるかとか、あるいは先ほどおっしゃったなりすまし防止という点についても、どの ように私どもがやっている施策をいかにうまく有効に使っていただくかということも含め て出ているものですから、引き続きいまご指摘の点を踏まえまして、また厚生労働省さんと 連携を深めていければと思いますので、よろしくお願いします。 ○鈴木委員 お願いします。 ○田村委員 私、業者側ということで、使用者側として初めて本日参加させていただいたわ けですけれども、まず雇用安定等の計画とその状況等について、これだけまとめていただい て、大変なご支援をいただいているということで、まず御礼を申し上げたいと思っておりま す。  それと、いただいたこの資料の中から、直近の7月を見ても、5.7%と完全失業率が非常 に高いということで、もちろん雇用情勢が悪化していることの指標になっているわけですが、 これはひとえに、いまのお話が出たように、港の絶対量の貨物が減っているということが最 大の要因です。その絶対量が減ったことによって、貨物がなければ船が寄らないという現象 が起きているわけです。日本の港湾にある港湾業者、港湾事業者すべて大変な状況の中にあ るということです。同じように、労働組合さんの雇用についても、完全に縮小傾向がずっと 続いてきているということの中で、どう雇用増大を図るかということは、もうこれは抜本的 なことを考えないと難しいのです。これはさて置いても、国からの助成金等いただいて、何 とか雇用安定を継続していく方針を立てたということで、今回もこの平成21年から5カ年 ということで、期限を区切っているわけです。確かに1年ごとに年がえらい速く回転してい るわけですから、状況もかなり変化してきているということですので、なるべく細かい形で、 こういう会を持てたらいいのかなと思っています。我々業者としては、港湾労働法の適用に よって実施している各種事業については、特に、この度政権交代ということで新たな体制に なって、今後も港湾労働者に関わる雇用の改善や能力開発や能力の向上とか、港湾労働者の 派遣事業の運営による労働力の需給調整、こういうのがいちばん大事になってくると思うの です。この需給調整を図ることが、我が国の経済発展と、ひいては豊かな国民生活の実現に 究めて重要な役割を果たすということになると思いますので、引き続き強力に事業推進をし ていただきたいと、かように思っています。  それから、細かいことになるのであまり言えないのでしょうけれども、予算概算で平成 22年度の一般会計、特別会計こういう形で是非お願いしたいと思っています。港湾運送事 業主及び港湾労働者に対する相談援助、各種講習事業費、この中で自由になるものはなかな かないのでしょうけれども、当面事業者、組合もそうだと思いますが、この場で言っていい のかどうかわかりませんが、やはりアスベスト問題というのはかなり大きいものですから、 このアスベスト問題に割くことができるような予算がつく、あるいはどこか使えるような形 になれば助かるなと思っていますので、その辺は難しいのでしょうけれども、そう感じてお ります。 ○志村室長 アスベストの問題につきましては、なかなか過去の行政の対応の問題とかいろ いろ含めて幅広の論点、問題点が多うございますので、審議会の場とは別に、本年の7月3 日アスベスト協議の場を国交省さんも入っていただき開催いたしました。そこで、主に労働 基準局のほうも労災、安全衛生みんな担当者を含めて、現在持っている知見を一応披露し、 説明させていただきました。今後、どういうふうにやっていくかということについてですが、 正直申し上げて、この平成22年度予算の中でアスベスト対応ということで、ストレートに そうであると評価されるものは1つもございません。アスベスト問題で、過去のアスベスト ばく露の問題について、将来退職した労働者や現役の労働者を含めてどういった健康問題が 生じてくるかについての対応についてはいろいろまた考えていかなくてはいけないことの 認識をしていることは申し上げさせていただきたいと思います。 ○山田次長 1つ補足です。さっきおっしゃったように、政権が代わって、これから政策決 定の仕組みというものがどうなっていくのかというのは、我々も非常に不安を感じていると ころです。今日の議論をお聞きしていても、現場の労使の声というものをしっかりと受けと めながら政策決定をしていく仕組みというものは、やはりどういう状況の中でも重要なこと ではないかと思っています。16日には新しい大臣も決まり、いろいろとこれからのことに ついてご相談をしていくことになろうと思いますが、我々としては労働行政に関わることに ついては、やはり労使が入った審議会の中で、しっかりと政策決定の仕組みを担保していく ことが重要ではないかということを新しい大臣にも申し上げたいと思っています。皆さま方 におかれましても、そういった意味で、引き続きいろいろお力添えをいただきたいと思って います。 ○糸谷委員 アスベスト問題を田村委員のほうから話されたので、私もお話させていただき たいのです。ここのところ全駐労と近鉄の店子のテナントで入っていた人が裁判で判決が出 て、5,000何百万と7,000何百万ですね。  我々サイドできちっとした判決をもらうような裁判はまだ起こされてないのですが、あれ がおおよそ前例にはなると思うのです。そういった意味で、国のそういう確かに当時の知見 に基づいて適切に対応したと言われると、返す言葉ないのですが、裁判になれば嫌でもどう なるか。今度は、たぶん最初は港湾の事業者にくるわけですね。それを、あとどう対応する か。  若林課長にも聞いてほしいのですが、事業者としては当然運送事業の引受義務に基づいて やったと。あの当時、危ないという認識はもちろん厚生労働省も示してないから、一般人は わからない中でやって、結果として健康に対する保障の責任だけが残ってしまったと。これ は誰がどうだとはいまさら言えないので、知見云々言われると弱いのですが、やはりそこは 国がひとつ大きな立場でやってもらうように、新しい政権の中にそういう問題がありますよ ということはきちっと言ってほしいのです。それをどうこうするのは政治の問題だと思うの です。だから、我々が労使がこうやって言っているということを、きちっと新しい政治の担 う人たちに伝えていただく。我々は、それをやってほしいということは、労使は立場が若干 違ってもそれぞれの立場から政治に対して働きかけを行っていきます。こういう問題があり ますと、今日の審議会の目的もそうですし、そういう方向をどうするかということは政治が 判断するなり、行政がそれをサジェスションするなりあるでしょうけれども、問題はここに あるということは指摘されていますというぐらいはつないでほしいと思います。我々は別に 宇宙人でも何でもないですから、国民だから、国民がこういうことを考えていると。その種 の産業に携わった者としての狭い意見かもわからないけれども、そういう問題があるという ことは、是非お願いしたいと。 ○征矢座長 ほかにございませんか。よろしいですか。  本日は以上で委員会を終了させていただきたいと思います。最後に、事務局からお願いし ます。 ○高松補佐 特にありません。 ○征矢座長 鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員 最後に、私は今回で、企業定年もありましてリタイアするのです。それでいろ いろ失礼なこと発言したり何かしたかもしれませんが、特に若林課長と志村室長さんには場 外で乱闘まではいきませんでしたが、大変激しい言葉も発したような感じをしています。そ れも役柄ですので、勘弁していただいて、これからのそれぞれの立場というよりは、日本の 港湾なり、それを支える本事業、港湾労働をどうするかという高い見地から議論を深めてい ただきたいと思います。本当に大変お世話になりました。ありがとうございます。 ○征矢座長 最後ですが、本日の会議に関する議事録の署名委員については労働者代表は伊 藤委員、使用者代表は田村委員です。本日は、お忙しいところをどうもありがとうございま した。                                     (以上) 照会先                                    厚生労働省職業安定局建設・港湾対策室                     港湾労働係  山口・宮下                    〒100−8916 千代田区霞が関1−2−2                    TEL:03−5253−1111(内線5802)                       03−3502−6777(直通)                    FAX:03−3502−0516