09/09/11 第4回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会議事録 第4回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会議事録  日時:平成21年9月11日(金)9:30〜10:29  場所:金融庁9階 共用会議室−1  出席委員:葛原分科会長、飯野(靖)委員、井上委員、岩谷委員、加藤委員、       坂谷委員、白阪委員、寺本委員、原委員、本江委員、松島委員、       八橋オブザーバー ○藤井企画課長  それでは、定刻になりましたので、ただ今から第4回疾病・障害認定審査会身体障害認 定分科会を開催いたします。  私、社会・援護局障害保健福祉部で企画課長をしております藤井でございます。どうぞ よろしくお願いいたします。  委員の先生におかれましては、大変お忙しいところ、お集まりをいただきまして本当に ありがとうございます。  冒頭に当たりまして、本日、お集まりいただきましたこの会議の趣旨を簡単にご説明さ せていただきますと、本分科会はお手元の参考資料1にございますように、従来、自治体 からの障害認定に係る疑義についての諮問機関としての役割を担っていただいているわけ でございますけれども、こうした中で、昨年10月より行ってまいりました肝機能障害の評 価に関する検討会といったものがございましたが、ここにおきまして肝臓機能障害のうち、 身体障害として位置付けられるものがあるといった、そういった報告を受けました。  これを踏まえまして、事務局のほうで検討会のメンバーでいらっしゃった肝臓の専門家 の先生方と相談をしながら、認定基準等について案を取りまとめさせていただきましたけ れども、本日、この会議におきましては、これらの案につきましてご説明をさせていただ き、ご審議をいただきたいというふうに考えているものでございます。  なお、本会は全委員の過半数の出席をもって成立することとされておりますけれども、 本日は17名の委員中11名のご出席でございまして、本日の分科会は成立しておりますこと をご報告をさせていただきます。  それでは、開催に当たりまして障害保健福祉部長の木倉よりご挨拶を申し上げます。 ○木倉障害保健福祉部長  おはようございます。  本日は早朝よりお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。  今、お話がありましたように、本日のご審議いただきます件に関しましては、昨年8月 になりますでしょうか、薬害肝炎の訴訟をめぐりましての大臣協議ということをやらせて いただいておりますけれども、その大臣協議におきましてウイルス性肝炎に起因します肝 機能障害、これを身体障害として位置付けることができるだろうか、これをきちんと検討 する、という大臣からの発言がありました。  これを受けまして昨年10月以来、肝機能障害の評価に関する検討会において、身体障害 者福祉法におきます位置付けというものをどう考えていけるのか、ということについての 検討の場を持たせていただきました。その場には、岩谷先生、原先生、また、八橋先生に もご出席をいただきながら、検討をこの8月まで続けていただいたということでございま す。今日、ご報告申し上げます検討の結果を報告書としておまとめいただきまして、それ を踏まえまして、さらにご相談をさせていただきながら、運用していきます場合の認定の 基準、認定の要領、診断書の様式等々につきまして、案をまとめさせていただいたという ふうな経緯でございます。  本日はそれをご報告していただきますとともに、また、ご審議をいただき、さらなるご 指摘をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○藤井企画課長  それでは、続きまして本日、ご出席いただいております委員の皆様のご紹介をさせてい ただきたいと存じます。お手元の資料1といたしまして、名簿を添付させていただいてお りますので、お名前のみご紹介をさせていただきます。  まず、あいうえお順でご紹介いたしますが、飯野靖彦委員でいらっしゃいます。  井上美津子委員でいらっしゃいます。  岩谷力委員でいらっしゃいます。  加藤達夫委員でいらっしゃいます。  坂谷光則委員でいらっしゃいます。  葛原茂樹委員でいらっしゃいます。  白阪琢磨委員でいらっしゃいます。  寺本明委員でいらっしゃいます。  原茂子委員でいらっしゃいます。  本江純子委員でいらっしゃいます。  松島正浩委員でいらっしゃいます。  なお、本日は葛原分科会長のご了承を得まして、オブザーバーとして国立病院機構長崎 医療センターの八橋弘先生にご出席をいただいております。八橋先生は本日の議題に関し まして、肝機能障害の評価に関する検討会の構成員として、これまでご尽力をいただいた ところでございます。  続きまして、事務局のご紹介をさせていただきます。  まず、先ほどご挨拶申し上げましたが、障害保健福祉部長の木倉でございます。  企画課課長補佐の高城でございます。  同じく企画課課長補佐の石澤でございます。  それから、本日の議題に関しまして、事務局側といたしまして精神・障害保健課から、 福田課長、林久善課長補佐、林修一郎課長補佐が出席をしております。  なお、本分科会の会議は、疾病・障害認定審査会運営規程第5条第1項によりまして、 原則公開となっております。本分科会での審議内容は、厚生労働省のホームページに議事 録として掲載される予定でございますので、予めご了解くださいますようお願いをいたし ます。  それでは、以後の議事進行につきましては、葛原分科会長にお願いをいたします。 ○葛原分科会長  それでは、これからは私が分科会長として進行を進めさせていただきます。午前中には 終わる予定ですのでよろしくお願いいたします。  それでは、議事に入ります前に事務局のほうから資料の確認をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○藤井企画課長  それでは、本日、お配りをしております資料の確認をさせていただきます。  お手元の資料でございます、資料1が疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会委員及 びオブザーバー名簿、資料2が肝機能障害の評価に関する検討会報告書、資料3が身体障 害認定基準(案)について、資料4が身体障害認定要領(案)について、資料5が身体障 害者診断書・意見書(案)、資料6が疑義解釈(肝臓機能障害)(案)、資料7が身体障 害者福祉法第15条第2項の規定による医師の指定基準について(案)、それから加えまし て参考資料として1が身体障害認定分科会の概要について、2が身体障害認定基準等につ いてでございます。  以上、お手元にございますでしょうか。特段漏れているものはございませんでしょうか。 よろしゅうございますか。 ○葛原分科会長  それでは、本日の議事に入らせていただきます。  まず、初めに本日に議事につきまして、事務局のほうからご説明をお願いいたします。 ○藤井企画課長  本日の議事でございますが、まず、お手元の資料の中で、資料2の肝機能障害の評価に 関する検討会報告書から、資料3の身体障害認定基準(案)、資料4の身体障害認定要領 (案)、資料5の身体障害者診断書・意見書(案)、資料6の疑義解釈(案)、資料7の 医師の指定基準について(案)、これらにつきまして、事務局からまずご説明をさせてい ただきたいと存じます。その後にご審議をいただくことを予定しております。 ○葛原分科会長  どうもありがとうございました。  それでは、具体的に資料2から7につきまして、その中身について事務局のほうからご 説明をお願いいたします。 ○高城企画課課長補佐  企画課の高城のほうからご説明をさせていただきます。それでは、失礼ですが、座って ご説明させていただきます。  すみません、最初にご説明に入ります前に、本日の皆様の席上に配布しました配置図で ございますけれども、左手の原委員の下、松島委員、本江委員とございますけれども、こ ちらは私どものミスで松島委員と本江委員の位置が逆になっておりました。この場をかり てお詫び申し上げます。  それでは、早速ではございますけれども、資料につきましてご説明をさせていただきま す。  まず、初めに資料2といたしまして、肝機能障害の評価に関する検討会報告書、こちら のほうが先月の8月27日のほうでまとまりましたので、この概要につきましてご説明をさ せていただきます。  ページをめくっていただきまして、まず3ページをご覧ください。「はじめに」とござ います。これにつきましては、肝機能障害の評価に関する検討会の位置付け、趣旨でござ います。肝機能障害のうち、どのようなものが身体障害者福祉法における身体障害として 位置付けることが可能か、検討するために昨年10月に設置されたものでございます。本検 討会の中で肝機能障害のうち、身体障害として位置付けられるものがあるという結論を得 るとともに、その範囲、それから認定基準等についても検討を加えまして、7回にわたり 議論を行ってきた結果がまとまりましたので報告をするという趣旨でございます。  続きまして、次のページでございます。4ページ、5ページでございます。肝機能障害 の認定についてということでございます。  まず、範囲につきましてでございます。身体障害者福祉法におけるいわゆる身体障害の 定義、これにつきましては一定の機能障害、そして、それが永続することが見込まれる状 況であって、日常生活に支障を来たしているというものを従来、対象としております。  今回、検討の対象になりましたウイルス性肝炎等に由来する肝機能障害、これにつきま しては初期においては無症状、また、慢性肝炎、肝硬変に移行した場合であっても、治療 によって治癒または改善するという状況にございますが、重症化すると症状の進行が不可 逆性となるといった特徴がございます。  したがいまして、肝機能障害が重症化し、治療による症状の改善が見込めず、回復困難 になっているものについては、身体障害の範疇にしてもいいのではないかという考えでご ざいます。具体的には治療の実施もかかわらず、いわゆる肝機能障害の重症度分類で国際 的に使われておりますChild-Pugh分類、これによるグレードCの状態に一定期間あって、 回復困難なもの、これが相当するという考え方でございます。  参考までにChild-Pughの分類を載せております。肝性脳症、腹水、アルブミン値等の項 目につきまして、それぞれ1点から3点までのスコアがなされているというものでござい ます。この合計点数がいわゆる10点から15点に該当するもの、これにつきましてがグレー ドCと呼ばれる状況でございます。  続きまして、肝機能障害の原因でございます。事の端緒といたしましては、ウイルス性 肝炎についてということでございましたけれども、自己免疫性肝炎ですとか代謝性肝疾患 などなど、肝機能の原因としてあるわけでございますけれども、法における身体障害、こ れにつきましては原則として原因を問わないということとしておりますので、肝機能障害 についても同様の取り扱いとしたいという報告を受けております。  また、次のページでございます、肝機能障害につきましては、アルコール等の物質を継 続的に摂取することによって生じ、その摂取をやめれば改善が見込まれる場合もございま す。特にアルコール、これに起因するものについては生活習慣に依存したものでもござい ますので、一定期間の断酒、これを確認した上で認定したいという報告を得ております。  具体的な肝機能の認定基準でございます。まず、肝機能の認定に当たりましては肝機能 の検査所見と合わせまして、肝機能障害に起因して生じている日常生活活動の制限の状況、 これらを評価しようというものでございます。具体的には、先ほど触れましたChild-Pugh による評価を基本としまして、補完的な肝機能検査数値、病状に影響する病歴、日常生活 に影響する症状、これらを総合的に勘案することが適当だという報告でございます。また、 障害等級につきましては、1級、2級、3級、4級という扱いとすることが適当であると いう結論を得ております。具体的には次のページにございます案のとおりでございます。  それでは、6ページ、7ページをお開きください。認定基準の案が示されております。  障害等級につきまして、1級から4級につきましてでございます。1級につきましては、 肝臓機能の障害により、日常生活活動がほとんど不可能となっているもの、2級につきま しては、これらが極度に制限されるもの、3級につきましては、これらが著しく制限され るもの、4級につきましては、社会での日常生活活動が著しく制限されるものという区分 けでございます。  具体的に、これを身体障害の認定基準に当てはめますと、次のとおりということでござ います。まず、6ページから7ページにかかりまして、1級、2級、3級、4級、それか ら肝臓移植を行った者については、抗免疫療法を必要としなくなるまでは、1級として認 定するということになっております。この1級、2級、3級、4級につきましては、それ ぞれアとイという構成要素、このいずれにも該当するものが、1級、2級、3級、4級に なるものという考え方でございます。  まず、アに関係するものといたしましては7ページの表1、Child-Pugh分類にございま す肝性脳症、腹水等の項目のスコア、これを指しておるものでございまして、イにつきま しては表2、日常生活活動の制限等にございます補完的な肝機能診断といたしまして、ビ リルビン値、アンモニア濃度、血小板、また、症状に影響する病歴といたしまして、肝が ん治療の既往、細菌性腹膜炎治療の既往、食道静脈瘤治療の既往、ウイルスの持続的感染 などが挙げられております。さらに、日常生活活動に直接関係する症状といたしましては、 強い倦怠感、易疲労感または吐き気、嘔吐がある、有痛性けいれん、いわゆるこむら返り、 こういったものが認められる、こうしたものをそれぞれ1項目ずつ評価しようというもの でございます。  1級につきましてでございます。1級につきましては、まず、アといたしましてChild- Pughの合計点数が10点以上、これは1級から4級に共通してございます。これに加えまし て、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値、こういった検査所見、 これの1項目以上3点、いわゆるこちらで言いますとアルブミン値が2.8未満ですとか、プ ロトロンビン時間が40%未満であるとか、こういったものが3点なんでございますけれど も、これがあるということを要件としております。また、一定期間、こういう状況にある ものを評価するということでございまして、それぞれ3カ月以上の間隔を置いた検査で、 連続2回以上続いているということを要件としております。  続きまして、表2の評価でございます。これにつきましては表2のうち、補完的な肝機 能診断、それから症状に影響する病歴、この中で何か一つ該当した上で、全体として5項 目に該当するということを1級の要件といたしているところでございます。  次に2級でございます。これにつきましては、アの部分につきましては1級と同様でご ざいます。イにつきましては表2のうち、5項目を1級では要件としておりますけれども、 2級においては3項目以上でよろしいという扱いにしております。  続きまして3級でございます。3級につきましては、アにつきましては10点以上である ことを要件としておりますが、アルブミン値等の検査値、これが必ず入っていなくても10 点以上が続いておればいいという扱いにしております。イにつきましては2級と同様の扱 いでございます。  4級につきましては、アにつきましては3級と同じ扱いにしております。イにつきまし ては日常生活活動の制限、これが何か一つ当てはまればよろしいという考え方でございま す。  繰り返しになりますが、(2)の肝臓移植を行った者についての扱い、これにつきまし ては心臓ですとか腎臓の障害、これと同様の扱いということで1級認定でございます。  続きまして次のページをお願いいたします。8ページでございます。こうした認定に関 する留意事項でございます。  まず、第1といたしましてChild-Pughのスコア測定でございます。一定期間の症状、先 ほども申し上げましたが、3カ月以上の間隔を置いて基準を満たしてくださいということ でございます。なお書きにございます既に実施しました検査、これにつきましては最長6 カ月までさかのぼりを認めるというものでございまして、3カ月以前の検査結果を使用し てもよろしいのではないかという報告を受けております。  それから、治療してもなお回復困難であるということの確認でございますけれども、基 本的にこのスコアの判定については、内科的な治療を行っている状態で行いましょうとい うものでございます。また、アルコール、これによる影響を除いた状況において認定をす るために、診断時においては6カ月以上、アルコールを飲んでいない、摂取していないこ とを要件としたいというものでございます。  次の9ページでございます。肝機能障害に関する自立支援医療(育成医療・更生医療) でございます。  この考え方でございます。まず、第1の「○」にございますように、自立支援医療と言 われる更生医療、育成医療につきましては、その障害を除去・軽減できる手術などの治療 により、確実に効果が期待できるもの、これを対象としているところでございます。例と して例示を挙げさせていただきますと、他の内臓の機能障害、心臓ですとか腎臓におきま しては、開心術ですとか心臓の移植、心臓ペースメーカーの埋め込み、腎臓の移植などと これらの移植に伴う抗免疫療法、こういったものがいわゆる自立支援医療の対象として、 公費で対応しているところでございます。こういう考え方にございますので、肝機能障害 においては肝移植、それからこれに伴う医療、これを自立医療支援として行うことが適当 ではないかというご報告を得ているところでございます。  続きまして、次のページにつきましては、10ページにつきましてはこれまでの開催状況、 冒頭、部長等からご説明がありましたが、昨年10月から検討を重ねてまいりまして、先月 までの第7回の検討結果という位置付けでございます。それから、検討会の構成員の名簿 でございます。本日、ご出席いただいております岩谷先生、原先生を含みます8名の先生 方で審議をしていただきました。この中で、兼松先生、田中先生、林先生、八橋先生とい った者が肝臓の専門家としてご尽力をいただいた関係でございます。  以上で資料2の説明を終わらせていただきます。  引き続きまして、資料3、資料4という形で進んでいきたいと思っております。基本的 にはこちらの資料2、これを参考といたしまして事務局のほうで案を資料3以下、まとめ たところでございます。したがいまして、かなり重複するところがございます。重複する ところは割愛させていただきまして、要点のみ触れさせていただきながらご説明をさせて いただきたいと思います。  それでは、資料3でございます。(案)身体障害者認定基準でございます。  これにつきましては内蔵の機能障害と肝臓機能障害ということで、基本的にアにござい ます等級1に該当するものは、次の該当するものをいうというご説明でございますけれど も、こちらに書いてある内容は報告書の内容そのものでございます。ただし、(イ)のd にございます肝がん治療の既往というところにつきましては、原発性ということで肝がん の意義付けを明確にしているところでございます。また、イ、ウ、エ、オにつきましても、 報告書の内容を踏まえたものでございまして、特段、新たな表現、新しい項目の追加等は 行っておりません。また、表現の中で何月以上という報告書の中では3カ月ですとか6カ 月という部分がございましたけれども、こちらの基準の案につきましては、他の疾患の扱 いと並びで日にち単位での記載ということにしております。  続きまして資料4でございます。資料4、これは身体障害認定要領というものの案でご ざいます。これにつきましては若干いわゆる基準の部分を補足する内容となっております。  まず、診断書をどのように作成するのかということでございますけれども、身体障害者 診断書においては、疾患等により永続的に肝機能の著しい低下のある状態について、その 障害程度を認定するために必要な事項を記載するというような記載でございます。こうい った内容に基づいて、お医者様に意見を付していただくということになります。  障害名については、肝臓機能障害と記載していただくこととしたいと思います。また、 原因となった疾病・外傷名につきましては、できる限り正確な名称を記載していただきた いということでございます。例えば単に肝硬変という記載ではなくて、C型肝炎ウイルス による肝硬変等のように種類の明らかなものは、具体的に記載するということものでござ います。その他、参考となる経過・現症、総合所見等につきましては、他の疾患の並びの 書きぶりとなっております。  それから、(2)でございます。肝臓の機能障害の状況及び所見についてでございます。 肝臓機能障害の重症度について、いわゆるChild-Pughに基づいた評価の仕方、または日常 生活等の活動制限についての評価の仕方について、ここから少し詳しく書いてございます。 肝性脳症、腹水、アルブミン値等の各検査結果について、Child-Pughで点数を付してくだ さいと。それから、合計点数とアルブミン値等の検査値、これの3点に該当するのかどう かというのを記載していただくこととしております。  ここからが少し踏み込んだ内容となっております。肝性脳症につきましてはChild-Pugh においては、軽度、昏睡というような記載でございますけれども、これは具体的には犬山 シンポジウムというところで示されたガイドラインに沿って評価をしてくださいというこ とがございます。さらに腹水の評価といたしまして、現行におきましては、なし、軽度、 中等度以上というChild-Pughの分類でございますけれども、ここを超音波、体重の増減、 穿刺による排出量、これを勘案して見込まれる量が概ね1リットル以上を軽度、3リット ル以上を中等度以上という目安を記載してございます。  また、この重症度につきましては、90日以上180日以内の間隔を置いた連続する2回の検 査により評価してくださいというものでございまして、それぞれの結果を記載していただ くということでございます。なお書き以下につきましては次のページに飛びますけれども、 いわゆる前に行った検査結果を第1回の検査として活用して、差し支えないというもので ございます。  それから、アルコールについてでございます。肝臓機能障害、これを悪化させる因子で あるアルコール、これを180日以上やめているということによって、お医者様による確認を お願いしております。それから、それぞれの検査時において改善の可能性のある治療を継 続してやっていると。にもかかわらず、肝臓移植以外に改善が期待できないなど、こうい ったことについて医師による確認を行っていただくということでございます。  肝臓移植につきましては、実施日等を記載していただくこと、それから補完的な肝機能 診断等の扱いにつきまして、原発性肝がん等の治療の既往につきましては、医師による確 定診断を治療の既往としていただきたいということと、持続的感染の確認につきましては、 例えばB型であればHBs抗原検査、C型であればHCV-RNA検査によって確認してくださいと。 なお、持続的な感染の考え方としては、180日以上というものを意味しておりますよという 考え方ございます。  それから、期間、回数、症状等の確認、これは基本的に患者様の自覚的な症状によると ころも多うございますが、これについてはカルテに基づく医師の判断によっていただきた いということ、日、月の取り扱い、月に7日以上の考え方、これにつきましては従来の取 り扱いとなっております。  2番目、障害程度の認定についての留意点でございます。(1)については、認定は肝 機能を基本としまして、不全に基づく臨床症状、日常生活の活動の制限の程度によって行 ってくださいと。また、肝機能障害、臨床症状、治療の状況、日常生活の制限との間に極 端な不均衡等が認められる場合には、慎重な取り扱いをしていただきたいというものでご ざいます。また、患者様の訴えが重視される所見項目がございますので、患者様の主訴、 これは普段からの診察録の記載に努めていただきたいということでございます。肝臓移植 を行った者の障害程度の認定につきましては、現在の肝臓機能検査の結果にかかわらず、 抗免疫療法を実施しないと仮定した場合の状態で行うものであるという、ここの辺りは心 臓、腎臓の移植の考え方と同様の考え方でございます。(5)については、その他の疾患 についても書いてある注意点でございますので、ご参考までにご高覧いただければと思い ます。  続きまして資料5、これが実際に診断をしていただくお医者様にいただく意見書の中身 でございます。  まず、1枚目にございますのが総括表でございます。こちらのものは、特に肝臓だから という特殊なものはございませんで、各疾患に共通のものでつけていただくものでござい ます。  もう1ページめくっていただきまして、次が肝臓の部分についての今回の案でございま す。まず、肝臓機能障害の重症度、これにつきましてはいわゆるChild-Pughの分類に基づ いた内容を記載していただく。状況と点数をいつ検査したのかというのを記載していただ くというものでございます。その結果、3点項目、いわゆるアルブミン、プロトロンビン、 ビリルビンのものがどのぐらいあるのかというのを、それぞれの検査日において確認して いただくというものでございます。  それから、障害の変動に関与する因子といたしましては、アルコールの話、それから、 ちゃんと治療しているのかという話、ここをチェックしていただく。肝臓移植をやった者 については肝臓移植の実施をいつやったのか、抗免疫療法を実際、今、やっているのかど うか、この辺りをチェックしていただくというものでございます。  なお書きでございます。肝臓移植を実施した者は、1、2、4の記載は省略可能である という扱いにしております。すなわち、3だけ書いていただければよろしいですよという 取り扱いになっております。  4番目、補完的な肝機能診断、症状に影響する病歴、日常生活活動の制限というものに つきましては、先ほどご説明した内容につきまして、検査日で実際にその値をクリアして いるのかどうかの有無を書いていただくというものでございます。  続きまして、次々とで申しわけございません、資料6でございます。実際、こうした内 容につきまして、認定基準、要領、それから意見書というものを出していただくことにな るのでございますけれども、これらの運用に関する疑義解釈、Q&Aということでござい ます。  まず、第1でございます。障害となった原因を問わず、基準に該当すれば認定してよろ しいのかということでございます。これは重ねての説明になりますけれども、ウイルス以 外でも認定するということでございます。ただ、アルコールなんかの場合には、アルコー ル性の場合には特に一定期間の断酒というのに注意していただきたいということでござい ます。  それから、既に移植を受けている者につきまして、抗免疫療法の実施状況をもって認定 してよいかという扱いでございます。これにつきましては、移植を行った者は1級として 認定するということにしておりますので、そうしていただくというものでございます。  3番目でございます。実際に肝移植によって認定している等級の基準に該当しなくなっ た場合に、手帳の返還あるいは再認定、これが必要となるのかということでございます。 これにつきましては、移植後、抗免疫療法を継続実施している間、これにつきましては1 級として認定するということになっておりますので、再認定は要しないと考えております。 ただし、抗免疫療法を要しなくなった後に、改めて認定基準に該当する等級で再認定など を行うことは考えられますが、これらにつきましては患者様の状態などによりますので、 ケース・バイ・ケースで考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。  4番目、いわゆる3点項目の有無は、1回目と2回目の両方の検査結果が認定基準に該 当している必要があるのかということでございますけれども、これにつきましては当然、 両方で該当していることを要件としております。  5番目、肝性脳症、腹水、これはどの時点の状態によって判断するのかということでご ざいます。例えば腹水等につきましては、いったん例えば穿刺等で抜きますと、その次の 日なんかは全く空っぽというか、腹水がない状況なんていうのが想定されますので、また、 肝性脳症とかにつきましても継続して見られるのでございますけれども、治療等によって 非常に改善するということもございますけれども、治療による改善が一時的に見られるこ とがございますが、再燃するということも多いので、診断を行った日において慢性化して 見られている症状を評価していただくということで、検査日に限定せずに、診断時点で慢 性化している状況で評価してくださいという取り扱いにしております。  次のページでございます。積極的治療の実施というのは、どのようなことから判断した らよいかということでございます。これは医師の指示に基づいた受診ですとか外来の受診 ですとか、入院ですとか服薬、生活上の管理、指導、これをきちっと指示し、患者様がや っているかどうかという辺りで判断していただきたいと思います。  それから、B型、C型肝炎の持続的感染の有無、これは180日以上を意味するという規定 がございますけれども、この検査はそれぞれ180日をあけて実施しなければいけないのかと いうことでございますけれども、既存の症状というのがウイルスに起因しているというこ とが分かっているような場合には、2回、このために確認するということではなくて、直 近の1回の検査で確認されれば、それとみなしてよいという扱いにしております。  それから、B型、C型肝炎ウイルスの持続的感染の確認とあるが、他の型のウイルスの 感染は対象としないのかということでございますけれども、基本的には慢性化によってい わゆる肝硬変になるようなものというのは、B型、C型が典型的でございまして、現時点 においてはこれ以外はないだろうという考え方でございます。今後、新たな肝炎ウイルス、 持続的な感染を起こし、肝硬変などになっていくようなウイルスが出てくるような場合に は、その都度、検討してまいりたいという考え方でございます。  それから、強い倦怠感、易疲労感等の1日1時間以上ですとか、月7日以上というのは、 どのように解したらいいのかということでございます。これらにつきましては、そのよう な症状があったということが、診療録等に記載されているということをもって記載してい ただきたいと、評価していただきたいということでございます。したがいまして、平素か らこうした倦怠感ですとか嘔気、嘔吐、こむら返り、こういったものをしっかりとカルテ にとっておくことが必要というふうに考えております。  以上がQ&Aでございました。  最後でございます、資料7でございます。これにつきましては、実際、自治体様のほう でドクターに診断書を書いていただく際に、何でもということではなくて、一定の要件を もってお医者様にカルテの記載をお願いしているというところでございます。こちらの国 といたしましては、いわゆる地方自治法の規定に基づく技術的助言として、従来、示して いるものでございます。  参考までに、すみません、次のページをめくっていただきますと、こういう形で知らし めているわけでございます。都道府県知事様宛てに通知でもって医師の指定基準について というところでございます。具体的には最後のページにございますように、例えば視覚障 害の医療に関係のある診療科名である眼科、脳神経外科、神経内科ですとか、例えば腎臓 機能障害の医療に関係ある診療科名、内科、小児科云々、こういったものを一つのガイド ラインとして、自治体において判断していただくというものでございます。  こうした中で、肝臓機能障害につきましては、どういう診療科を持ったドクターに判断 していただくのが適当かという辺りでございます。例えば、これにつきましては内科、消 化器科、小児科、外科、小児外科、こういったものの診療科名を参考として、指定医とし て運用していただきたいというようなガイドラインをお示しする通知でございます。  大変長い説明となりましたが、事務局からの説明を終わらせていただきます。 ○葛原分科会長  どうもありがとうございました。  かなり盛りだくさんなので、今日、お聞きになっていてもなかなかフォローするのが大 変だったかもしれませんが、内容は全部つながっておりますので、一括して審議したいと 思います。ご意見いかがでしょうか……加藤委員、よろしくお願いします。 ○加藤委員  加藤でございます。これを拝見いたしまして、そもそも論からまいりますと、検討会で は果たして小児に対する概念があったか、なかったかということは、少し極めて疑問に感 じたところでございます。具体的に申し上げますと、Child-Pughの分類はそれでよろしい かと思いますが、その後に実際に基準とされておりますChild-Pughのところでもポイント が3つくわけでございますが、基準のところに入ってまいりますと、最も不可能であるこ とが腹水のところでございます。  この腹水の量をあえて数リットルと、こう書かれてございますけれども、私どもは生後 1カ月ぐらいから既に生体肝移植を数例行っているという現状がございまして、生体肝移 植はしてしまえば、この手帳をいただけるということになっておりますので、それは問題 ないと思いますが、そもそも論として腹水の量を1リットルとか3リットルということを 決めていること自体が、この検討会において小児科という患者の立場を果たして検討され ていたかどうかということを非常に疑問に感じております。  それは同じように報告の中で、社会での日常生活という言葉がございますが、これは、 1歳、2歳程度の者とは社会生活とは一般的には申しませんで、自宅生活ですとか通園生 活ですとか、通学生活ということでございますので、果たしてそれは社会的生活というこ とにくくられるかどうかということが極めて疑問のところでございます。  すなわち、全体として小児科に関する検討を十分にこの分科会でしていただき、腹水の 容量についてはChild-Pughの分類に従って行っていただきたい。すなわち、腹水があるか またはないかというところの辺でやっていただきませんと、例えば抜けといえば1リット ルでも抜けますが、直ちにショック死いたします。そういうことを意味しているものでご ざいますので、ここに腹水の数値を入れるということに対しましては、小児科医としては 反対でございます。  これは小児科医としての見解でございますが、質問とはちょっと立場を変えて失礼いた しますが、自立支援医療ということにおきまして公費で行うということですが、視点がち ょっと変わって大変失礼ですが、これは大変子どもを持つ親の立場としての意見ですが、 医療費とそれから治療費とこれに伴う検査料というもの等に関してましてはどのようなこ とになるのか、心臓手帳の1級を持っている方と同等になるのか、それは医療費は無料、 検査費も無料ということでございますので、それと同等になるのかどうかということを少 し確認させていただきたいと存じます。 ○葛原分科会長  どうもありがとうございました。  ご質問の内容は2点ございます。第1点は純粋に診断の基準の問題でございまして、特 に小児の腹水、体が小さい1歳、2歳児については、腹水量を基準にするのは適当でない ということが一つと、もう一つは障害の日常機能あるいは社会的な機能というときに、社 会的生活というのになじまない年齢をどうするかという、その2つの点ですね。  第2点は、厚労省のほうからお答えいただいたほうがいいと思うんですが、1級の扱い とか等級の扱いがほかの障害と同じような形になるのかどうかということです。恐らく後 のほうがお答えは簡単なんじゃないかと思うので、2点目の厚労省のほうからのお答えの ほうを先にしていただいて、あとは肝臓の内容について専門の方と検討委員の方が数名、 来ていらっしゃいますので、お答えいただくということにしたらと思います。では、まず 厚労省のほうからお願いいたします。 ○林(修)精神・障害保健課課長補佐  まず、医療費のことについてお尋ねがございました。身体障害者への医療費の助成の制 度というのはいろいろあるかと思うんですけれども、まず、この報告書に書かれている範 囲というのは9ページでございまして、自立支援医療(更生医療または育成医療)につい てということで、おまとめをいただいております。  これに関しましては、肝機能障害においては肝臓移植と、これに伴う医療を自立支援医 療とすることが適当であるという報告でございますので、肝臓移植であるとか抗免疫療法、 これに伴う医療が更生医療や育成医療の適用となりまして、例えば腎臓の透析であるとか 腎移植であるとか、そういったものと同じように国の制度として助成がなされるというこ とになります。自己負担については所得ごとに上限がございますし、また、1割以下の負 担になるということでございます。  1級であれば無料になるというお尋ねに関しましては、各都道府県あるいは市町村が単 独事業として行われている心身障害者の医療費助成制度のことをおっしゃっているものと 考えますが、これに関しましては国としてこうでなければならないということではござい ませんけれども、1級という重さに関しては、他の障害と同じものであるというふうに国 のほうでは考えております。 ○葛原分科会長  加藤先生、2点目の医療費に関する質問はそれでよろしゅうございますか。 ○加藤委員  ちょっとはっきりしませんでしたが、どこからどこまでが地方自治体任せで、どこから どこまでが国費任せなのでございますか。 ○林(修)精神・障害保健課課長補佐  これは肝臓に限らないことでございますけれども、肝臓移植とそれから抗免疫療法、そ れからこれに伴う医療というふうになりますので、肝臓移植にまつわる例えば入院費のよ うなものは国の制度となりますし、また、肝臓移植をされた方がその後、免疫抑制剤の投 与を受ける、これに関しても国の制度ということになります。これについては1級の手帳 を持っているということだけではなくて、市町村を通じて都道府県のほうに申請をしてい ただいて、個別に医療の必要性を判断してということになります。そこまでが国の制度と いうことになります。 ○加藤委員  自治体は。 ○林(修)精神・障害保健課課長補佐  自治体が多く持っていらっしゃる制度というのは、自治体によってまちまちではござい ますけれども、身体障害者手帳の1級、2級、自治体によってはもう少し広いところもあ りますけれども、その手帳を持っていると、マル障の医療券のようなものを配布をして、 それを持って病院に行くと、その障害に関係ある医療、ない医療にかかわらず、医療費の 助成をするという制度を持っていらっしゃるように伺っております。それについては各自 治体のご判断ということになります。 ○加藤委員  ありがとうございます。  肝移植の場合にはドナーに関する費用も含まれますか。 ○林(修)精神・障害保健課課長補佐  ドナーに関する医療も、レシピエントに関するレセプトにまとめて請求するということ になっておりますので、レセプト上、レシピエントのレセプトにくっついているものにつ いては、自立支援医療の範囲として含まれるということになります。 ○加藤委員  ありがとうございました。 ○葛原分科会長  そうしたら、今度は中身のほうの診断基準の件です。子どもの問題というのはちょっと 複雑だと思うので、先に大人のほうを先にご質問があったら片付けた後で、加藤先生のご 質問のほうに移りたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。  松島委員のほうからどうぞ。 ○松島委員  大人に関してほかのことでよろしゅうございますか。断酒について、お酒の問題なので すが、一応、断酒を確認した上で自己申告をされて、それを医者はどのようにして客観的 に180日間飲んでいないということを診断するんでしょうか。非常に難しい問題だと思うん ですが、いかがでしょうか。 ○葛原分科会長  私も実はそれが一番の疑問で先ほどお訊きしたのですが、案では医師の確認にとなって います。しかし、確認した内容が相手の言っていることがどこまで信用できるかというと 変ですけれども、実際にはお酒をなかなかやめられない人もいるということで、これは検 討委員会のほうで何か一致した見解はあったのでしょうか。要するに、医者が確認するの はどこまで確認すればいいかということですね。入院していれば簡単なんですが、日常生 活していらっしゃる方が申告した場合に、それを信じて書けということなのか、それとも きちっと確認できるまで見守れというと変ですが、そういう種類のご質問だと思うのです が。どうぞ、高城補佐。 ○高城企画課課長補佐  すみません、事務局のほうから、これまでの経緯なども含めましてちょっと簡単にご説 明させていただきたいのでございますが、アルコールにつきましては確かに対象として含 めるのかどうかという議論の中でまず出てきまして、いわゆる断酒というのをどう確認し たらいいのか、患者さんが例えば断酒会とか、そういったものに入っているというような ものをもって断酒と確認したらいいんじゃないかとか、いろんな意見が出てきたのでござ いますけれども、例えば家族のほうからも、そういう内容の発言をもらうとか、いろんな ことが出てきたのでございますけれども、最終的にはやはり患者さんとお医者さんの信頼 関係の中で確認した上でやるしかないのではないかと。  ただ、要するに実務上からもなかなか、そこについて本当にそうなのかというところま で確信をというか、ぎちぎちやるのがなかなか事務手続上というか、運用上、難しいので はないかというのもございまして、ただ、期間につきましては3カ月ぐらいでもいいので はないかとか、そういう議論もございましたけれども、3カ月ぐらいだとすぐやっぱり開 始しちゃう人もいるから、ここはしっかり6カ月とろうというところで議論がありました。 したがいまして、すみません、いろいろちょっといろんな話を盛り込んじゃいましたけれ ども、基本的には患者様とお医者様の信頼関係の中で確認をしていただいて、そこで事実、 やっていないというのであれば、これはもう認めざるを得ないかなと思っております。 ○葛原分科会長  それで納得されますかね。  どうぞ、八橋先生。 ○八橋オブザーバー  八橋です。患者さんがアルコールを飲んでいるのか否かをどのように診断するのかに関 しては、客観的な診断法、判別法はございません。基本的には患者さんのご申告とご家族 からの証言などを参考にして判断しているのが実情です。ただ、飲酒をされますとγ-GPT 高値のアルコールに固有な肝機能障害が出現します。またそのような状態で患者さんが病 院に入院されますと、入院とともに断酒せざるをえない状況となり、肝機能障害は改善し ます。要するに本当に持続的に断酒されている方は、血液検査上、AST値、ALT値、γ-GPT 値は、ほぼ正常の値を示します。AST値、ALT値、γ−GPT値の有意な上昇がある方の場合は、 飲酒を続けられているという医学的な判断は可能だと考えます。  一方で、完全に断酒をされた方、1年以上禁酒されても、肝硬変が完成した場合には、 腹水などの症状が消失せず日常生活が困難な、不可逆性の状態を呈する場合があります。 今回の認定では、そういう方は対象にしてよいと理解しています。一方、間欠的に飲酒さ れている方は、この対象の範疇には入らないように基準を設定したということでございま す。 ○葛原分科会長  現実的にはかなり皆さん困るだろうと思うので、例えばいろんな身体障害とか難病なん かのときにも、確認は自己申告なのか、家族によるのか、カルテで確認したかというよう な項目があるような診断書もありますけれども、多少、その辺のところをQ&Aか何かぐ らいで書いておかないと、恐らくお医者さんにしてみれば、申請者は飲んでいないと言っ ているけれども、自分では責任が持てないというようなご意見が出てくるだろうという、 そういうことだろうと思うんですね。  あと、何かこれに関してございますか。 ○八橋オブザーバー  持続的に断酒できているのかどうかに関して、誰がどのように判断するのかということ ですが、アルコール依存症の多くの方は精神科に併診されていますので、精神科のドクタ ーからコメントをいただこうかという議論が今までの検討会の中でもありました。ただ、 ご指摘のように、客観的に断酒していることをどのように証明するのかということに関し ては、幾つかの問題点があり、現実的には難しいところが多いと私も思います。 ○葛原分科会長  これに関して、あと何かご意見はございますか。恐らく実際の現場からは結構な問い合 わせがあることだろうと思うので、場合によっては幾つかの問題について、少しQ&A的 なものをおつくりいただいておいたほうがいいかもしれないなという気はしております。 それ以外にいかがでしょうか。  どうぞ、寺本委員。 ○寺本委員  脳神経外科の寺本ですが、肝性脳症のグレーディングですけれども、1、2と3、4、 5の間にはかなり明確に点数で差をつけているわけなんですけれども、2と3の間には客 観的な指標というのはあるんでしょうか。 ○葛原分科会長  いかがでしょうか、これは。 ○八橋オブザーバー  私の理解では、肝性脳症のIII度というのはいわゆる医療従事者の命令を聞かない、命令 に従えないということが基準となっています。一方、傾眠傾向とか注意力の低下というの はII度の段階にとどまります。要するに、ある程度の指示に従うことができなくなるとIII 度の段階になります。I度とII度の境界の判断は難しいのですが、II度とIII度の区別は、 日常診療ではそういうことを基準に判断しています。 ○寺本委員  そうすると、ジャパン・コーマスケールに基づいたら、どういうふうになりますか。 ○八橋オブザーバー  肝性脳症の重症度分類は、コーマスケールとは、必ずしも対応していないと思います。 ○葛原分科会長  寺本先生、ジャパン・コーマスケールは、脳卒中とか急性の病気や脳神経外科の病気の 意識障害にはいいと思うんですが、肝性脳症とか内科の病気が原因の代謝性疾患にはちょ っと向かないと僕は思いますね。 ○寺本委員  それはそれでよろしいんですけれども、2と3が明確に分かれるようだったら、それは 結構です。 ○葛原分科会長  犬山シンポのというのはどこかに資料がついていましたっけ。これはついていないんで したかね。ちょっと文中には出ていたような気がしましたが、そういうのも資料としてつ けておかれると、より分かりやすいかもしれないですね。  あと、いかがでしょうか。子どもでなくて大人の問題に関しては、あとはよろしゅうご ざいましょうか。  僕がちょっと神経内科の医者としてこれを読んでいますと、僕らが診る神経疾患の肝硬 変というとウイルソン病なんですね。ウイルソン病というのは、震えとか失調とか錐体外 路症状があり、既に肢体不自由という項目で身体障害申請を出している方がいらっしゃる んですが、実際は肝硬変を合併した方も結構いらっしゃるんですね。そういう場合の申請 はどうなるのか。2つ手帳が出るということはないんですよね。一つですよね。  しかも身体障害の場合に、例えば体幹失調と震えがあるとかいうと、障害が加わると障 害度が一つ上に上がるのですが、肝機能障害と肢体不自由の両方が重複している場合に、 足すというのはできないような形ですが、そういうのについてはもし何か問題が持ち上が ったときには、どういう対応になるのでしょうか。 ○高城企画課課長補佐  ただ今ご指摘のあった件でございますけれども、肝臓とかに限らず、いろんなところに またがったようなもの、疾患、重複という形での評価という仕方がございます。手帳につ きましては、それぞれ1個ずつ出るのではなくて一つでございます。主なものを一つ。た だ、そのほかに例えば今言った肢体不自由に肝機能障害なんかが加わっている場合には、 重複認定ということで等級もそれらの症状を勘案して決まるということでございます。 ○葛原分科会長  大人の問題については、これでよろしゅうございますかね。  では、これで一応大人のほうは終わったということで、後でまたございましたら、時間 があれば検討させていただくことにして、では、加藤先生のご質問のほうの子どもの基準 に移らせていただきます。腹水の問題が一つと、もう一つは社会的活動とか、日常活動も そうかもしれませんが、ちょっと大人の基準の中には入らないものがあるというご指摘で す。これはもしかしたら老年科のほうからも似たような問題が出てくるのではないかなと いう気もします。まず、特に子どもの問題に限ってはどなたか、もし検討された方で八橋 先生に、そこら辺について代表してまずお答えいただければ、議論が進めやすいと思うん ですが。 ○八橋オブザーバー  加藤先生のご指摘のとおり、小児の事例に関しては、今までの検討会では十分な審議が 行われていません。今回の案は成人例の肝機能障害を念頭にして作成しています。私も小 児の腹水の量の評価に関して、成人例で用いる1リットル、3リットルという量は適切で はないと考えます。ですから、この1リットル、3リットルという量は、あくまで成人例 の場合の目安であり、小児の場合には、別に追記が要るのではないかと考えています。  また、Child-Pugh分類は、腹部エコーとかCTなどの検査機器のない時代、今から30年 前に作成されたものです。その当時の腹水の量の評価方法としては、打診によって濁音界 の範囲を定めて、腹水量として軽度とか中等度とかを評価していたと考えられます。ただ、 現在、腹部エコーとかCTを用いると100CCとか200CC前後の量でも腹水ありと診断されま す。このような生理的な少量の腹水は健常人でも時々見られますが、腹部エコーとかCT を用いるとその量でも軽度の腹水と診断する可能性がありますので、Child-Pugh分類が作 成された30年前の基準に対応させるために、今回、あえて腹水軽度というのは成人例の場 合は1リットル、中等度は3リットルという目安を作成しました。Child-Pugh分類は、今 回の認定基準の中では基本骨格となるものです。公平な認定をおこなわなければいけない ことから、成人の場合は腹水の量をあえて具体的に提示したわけです。しかし、小児の場 合には、別途、小児としての妥当な目安を要領の方に記載するか、Q&Aの中に記載して 対応してはと考えます。 ○葛原分科会長  ということは、例えばこれは大人の場合であるというのを注意書きか何かで、むしろ文 章として入れておいたほうがいいということになりますね。 ○八橋オブザーバー  そうすべきだと思います。 ○葛原分科会長  小児に関しては別に定めるか、あるいは年齢とか体格に応じて考えるということなんで すかね。 ○八橋オブザーバー  それが適切だと思います。 ○葛原分科会長  もしかしたら老人の小柄な人なんかでも、似たような問題が出てくるかもしれないです が、いかがでしょう。 ○八橋オブザーバー  肝疾患患者さんの体重分布を調べたことがあるのですが、女性の患者さんの平均体重は 55キロ前後、男性は65キロ前後です。もちろん、女性でも40キロ以下の方もおられます。 確かに、40キロ以下の女性の方の腹水1リットルと80キロ以上の男性の方の腹水1リット ルは確かに違うと思います。平均的な体重を示した成人例での、あくまで目安ということ でご理解いただければと思います。 ○葛原分科会長  では、そういう形で文章をもうちょっと変えるということで、事務局のほうとそれから 肝臓のグループの方と、場合によっては私のほうに最終的に出していただいて、加藤先生 のご意見もお聞きしてということで腹水の問題は、加藤先生、そういう形でよろしゅうご ざいますかね。 ○加藤委員  ありがとうございます。 ○葛原分科会長  Child-Pugh分類が出されたのが1973年ですからやっとCTが出たころで、エコーはない ころでしょうから、原典に従えば、打診で決めるとでも書いておけば一番いいのでしょう が、今、打診ができる人が少なくなっていますから、それはちょっと無理かもしれないで すね。  さて次の問題は、日常生活、それから社会活動に関してです。2歳の子どもの社会的活 動は、ちゃんと遊べるかぐらいのことになっちゃうかと思うんですが、これに関してもど うでしょうか。ここに書いてあるのは大人の場合であるということをまずはっきり書いて おき、子どもに関してはそのときの成長段階での活動を勘案して判断するとか、ちょっと あいまいになるかもしれませんが…。加藤先生、子どもだと0歳から2歳、5歳、小学校、 中学、全部違うわけですね。発達年齢に従ってこんなことを書けばものすごくたくさん書 くことになりますね。 ○加藤委員  標準的な年齢において、標準的な行動ができる者を一定の正常者とみなすというような 判断でございます。 ○葛原分科会長  それができない場合は、児童の社会活動というのが障害されると考えるということにな るわけですね。 ○加藤委員  そのように想定しております。 ○葛原分科会長  では、これもちょっと一緒にこの案は成人の場合であるということと、それから小児、 乳児から児童まで入るかと思うんですが、に関しては、今、加藤先生がおっしゃったよう な形で判断するということで、多少、これも文章を追加あるいは変更という形で、ちょっ とこれを手直ししていただくということで、これはできたら事務局と加藤先生のほうと肝 臓専門家のほうとで少し文章を詰めていただいて、最終の案にするという形にしたいと思 うんですが、それでよろしいでしょうか……高城補佐どうぞ。 ○高城企画課課長補佐  すみません、先生のおっしゃることとか、現実的にはそういう問題があるということは 重々承知しております。これは事務局の理屈、へ理屈になるのかもしれませんけれども、 その他の疾患につきましてもいわゆる総括的な表現といたしましては、こういう形にさせ ていただいているところがございますので、肝臓のものについてだけ、特にそこの部分を 出すというのは難しいというふうに考えております。  例えば肢体不自由の障害認定というのがございます。この中では例えば脳性まひ、乳幼 児以前の脳病変による運動機能障害というものの評価というのがございますけれども、こ れは基本的にお子様を念頭に置いてつくっている基準でございます。ここの例えば書きぶ りといたしましても、例えば皆様の参考資料2というものの2ページ、3ページをご高覧 いただければありがたいのでございますけれども、ここで例えば4級とか5級とかを見て いただきますと、やはり社会での日常生活活動が著しく制限というような形で、社会での 生活ということで一つでくくっているというところがございますので、小児の部分だけ特 別に肝臓機能の部分について記載するのは、困難ではないかなというふうに考えておりま す。  基本的には、1級、2級、3級、4級の表現ぶりは、確かに社会生活というのが基本的 にはお子様の場合は在宅というものも含んでいくので、これを社会と言えるのかどうかと いうのはありますけれども、それは肝臓だけではなく、その他の疾患にも共通した課題で はございます。しかし、だから、そういう1級、2級、3級、4級の判断というのは、確 かに一つの表現ぶりとしてはこういう表現になりますけれども、基本的には基準の案で示 されているようなChild-Pughとあとは日常生活等の制限、これでもって評価することとい たしておりますので、その辺りの表現の反映というのは、ちょっとテクニック的には難し いというふうに考えておりますが。 ○葛原分科会長  どうぞ。 ○加藤委員  大枠で社会的ということを私が申し述べたことに含まれているということであれば、こ れに固執するものではございません。 ○葛原分科会長  要するに、これはその年齢層の日常生活活動、年齢層の社会活動というぐらいに解釈す れば、それでよろしいということですね。分かりました。そうしたら、2番目のほうの問 題はこれでクリアされたと考えます。1番目のほうの数値、リットルが入っているところ だけを少し変えて、これは大人に限定で、子どもの場合は具体的な数値を書かないとかと いう形で手直しすると、そういうことでよろしゅうございますね。  では、加藤先生から出されました3点のことに関しましては、肝臓のことの2点と、そ れから先ほどの林補佐からのご説明も含めて、加藤先生、これでよろしゅうございますか。 ○加藤委員  ありがとうございました。 ○葛原分科会長  あとは子どものことも含めて何かご意見はございますか。  白阪委員、どうぞ。 ○白阪委員  参考意見としてですが、免疫機能障害の場合には免疫不全の定義そのものが年齢によっ て違うこともありまして、13歳以上と13歳未満で申請用紙そのものが違ってございます。 ただ、今回のお話を聞いていますと、そこまでされる必要はないのではないかとは感じま した。ご参考までです。 ○葛原分科会長  岩谷委員、どうぞ。 ○岩谷委員  岩谷です。加藤先生が先ほど子どものことについておっしゃられましたけれども、実際 にある程度年齢を入れておいたほうがより親切かと思いますけれども。 ○葛原分科会長  加藤先生。 ○加藤委員  先ほども申し上げましたが、私どもはこれからも出てくると思いますが、生体肝移植を 行わなければならないような方は、生まれつき重症なアミノ酸代謝障害というものを持っ て生まれてきている方が多うございまして、私どもでは既にこの3年間で100例の生体肝移 植を行っているところでございます。したがいまして、あえて年齢を問えと言われれば0 歳児から、そしてお亡くなりになるのであれば、お亡くなりになるまでということになり ますので、0歳児から一生ということにさせていただきませんと、これは年齢で区切るも のではない。 ○岩谷委員  私が申し上げたのは社会生活とか、そういう問題は子どもの発達段階によってずっと違 いますので、ある程度、このぐらいのお子さんであればどれぐらいの遅れがあるとか、そ ういうようなことのほうがよろしいかと思いますけれども。 ○葛原分科会長  どうぞ。 ○加藤委員  手帳の点数を評価するときには、社会活動は入ってこないわけでございますから、余り そこのところは固執を私はしておりません。ただ、年齢ということをあえてお尋ねになる とすれば、0歳児からでございますということでございます。 ○葛原分科会長  岩谷先生は、どちらかというと小児というのは何歳以下をということでおっしゃったわ けですか。 ○岩谷委員  要するに児童福祉法では18歳ですよね。でも、実際問題は脳性まひなんかですと、3カ 月だって問題ははっきりしてきますが、おおよそ診断書を書く年齢は3歳とか、それぐら いで将来を予測して書いているわけですけれども、それでもいろんな問題があるわけです。 手帳の認定時期というのについては大変いろいろなご意見が寄せられておりまして、我々 もどうするのかというようなことをいつも議論しているのであります。ただ、この場合は 今度、年齢というのはかなりもっと若くても、0歳でもという話になってきますから、そ の辺がちょっとやっぱり何か具体的な説明が必要かなと、インストラクションが必要かな と思ったわけです。インストラクションと申しましょうか、一応の目安を示しておくとい うのが必要かと私はそう感じました。肢体不自由の認定ではかなり大きな問題になってい るわけですので、そういうことであります。 ○葛原分科会長  どうぞ。 ○加藤委員  一まとめにすれば年齢を問わずということでよろしいかと思います。 ○葛原分科会長  先ほどから問題になっているのは、一つは腹水の量が体格が小さいとき云々ということ で、どうなんですかね、例えばこれは成人で、小児の場合はそのときの年齢に応じてとい う以上に細かく書くと、かえって複雑になりますかね。八橋先生、いかがですかね。 ○八橋オブザーバー  これはあくまで平均的な成人例の目安であって、体格が小さい方とか小児例に関しては、 これに応じた量を目安に医者が判断するというふうな表現でいいのではないかと思います が。 ○葛原分科会長  岩谷先生、そこら辺の表現でいかがでしょうか。恐らく何歳で区切るということになる と、また、複雑になるんじゃないかという気もするんですね。 ○岩谷委員  ごめんなさい、私は区切ると言っているわけじゃありません。0歳からも認定対象には なるわけですから、身体障害の等級を決めるときに、これが日常生活活動の制限になるの か、それとも社会的な活動の制限になるのかって、そこの判断はやっぱり年齢によって違 ってくるだろうと思います。ですから、対象になる年齢は全年齢で、それはもちろんそう でございます。私は年齢によって認めるか、認めないかを決めろなんていうことは一切言 っておりません。 ○葛原分科会長  例えば、岩谷先生、具体的なご提案というのでこうしたらいいというのはございますか。 例えばさっきの日常生活活動とか社会日常活動というのも、例えば子どもの場合でも大人 でも年齢に応じた形での日常生活活動、その年齢なら当然できます、あるいは社会日常生 活活動ということで判断すればいいという形で先ほどまとめたんですが、今、先生がおっ しゃったことも、ここに書いてある内容で、今、言ったような解釈でやればよろしいとい うことでいいでしょうか。 ○岩谷委員  そうであります。ただ、日常生活活動という言葉が出てきて、それが分かりにくいとい うことであれば、脳性まひなんかでもそういうことはやっているわけですから、余り問題 はないかと思いますけれども、ただ、全く日常生活活動という言葉を余り聞き慣れない方 がいらっしゃるとすれば、乳児のときの日常生活活動は何だというような疑問は当然出て くると思います。だから、年齢によって日常生活活動ってこんなにものが違うんじゃない ですかということをお示ししてもいいんじゃないかというのが私の意見です。加藤先生と その辺はご相談いただければいいことだと思います。 ○葛原分科会長  先ほど資料7で示された内容には、身体障害手帳の医師の指定基準というのが、内科、 消化器外科、小児科、外科、小児外科という形になっていますので、多分、今、岩谷先生 がおっしゃったような乳児で肝移植が必要かとかどうかというのは、恐らく小児科とか小 児外科の先生が基本的には扱ってくださっているんじゃないかと思いますので、余り大き な問題がないような形でうまくいくんじゃないかと思います。もしそういう問題が出てき たら、また、担当課のほうでQ&Aとかでもって対応していただくという、そういうこと で、先生、よろしゅうございますかね。  では、どうもありがとうございました。  あと、いかがでしょうか。これですんなりいきましょうかね。  今日はこれが主な検討議題ですよね。まだ、そうしたらちょっと時間があるようなので すが、結構遠方からお越しいいただいた方もいらっしゃいますので、いろんなご質問があ ればぜひここでご検討ください。ここでやっておいていただいたほうが後の整理もしやす いので。  坂谷先生。 ○坂谷委員  今回の肝臓のことに限らないんですけれども、先ほどアルコール性の肝炎のときに、患 者さんが本当に断酒しているのかどうかということの確認をどうしてとるのかという話が ありましたが、身体障害の部分じゃないんですが、私が絡んでいる認定の作業があるんで すが、医者が書きます診断書のその程度は数字であらわされますわね。その数字が本当か というようなことが話題になったことがありまして、ある種の領域では診断書を書く医者 がうそを書くということが出てきております。だから、画像でありますとか、それから症 状、本人の訴えは理解ができるんですが、医者が診断書を書くときのデータの担保はどう するかということは、身体障害の領域においても問題にしていいんじゃなかろうかと思い ます。  それから、2点目、これはもう肝臓だけではないですが、今の話とちょっと絡みますけ れども、大体3カ月の間を置いて、その間にほぼ同じデータが得られるということが、そ れから、今回のウイルスの持続感染の指標として180日という6カ月という数字が出ていま すが、これの根拠はどこにあるのかということをちょっとお聞きをしたいと、こういうふ うに思います。 ○葛原分科会長  どうもありがとうございました。  簡単に答えられるのは3番目のご質問ですね。1番目と2番目はかなりモラルの問題も あって難しいかもしれません。期間を3カ月とか180日とした根拠というものに関しては、 恐らくそれなりのエビデンスか、根拠があるかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○八橋オブザーバー  ウイルスマーカーのことに関してですが、(6カ月以上の感染)というのを根拠にして いるのは、実はウイルス性慢性肝炎の定義が、6カ月間ウイルスマーカーが陽性である  を根拠にしていることから、そのような表記にしました。ただ、ワンポイントの測定でも、 総合的な判断で、持続的にHBs抗原陽性、HCV-RNA陽性ということが想定されるならば、必 ずしも6カ月以上の間隔を空けて2ポイント測定しなくてもよいとQ&Aに盛り込みまし た。6カ月以上を診断の根拠にしているのは、ウイルス性の慢性肝炎の定義がそのように なっているからです。仮に、急性のウイルス性肝障害、急性肝炎の場合には、これらのウ イルスマーカーは経過中に通常は6カ月以内に自然に消失します。それが急性肝炎の定義 となっています。6カ月以上か否かという点が、急性と慢性、一過性か持続性かの肝機能 障害の鑑別のポイントです。  一方、肝機能障害の程度の認定に関して、90日以上、3カ月間隔をもって、ある一定以 上の基準を満たすことという記述に関してですが、この間隔を6カ月にするか3カ月にす るか検討会での議論となりました。まず、ワンポイントの評価だと、急性の肝機能障害も 身体障害認定の対象者となりますので、ある一定期間をおいて2ポイントで評価、確認す るべきであろうと委員の間でコンセンサスが得られました。次にその間隔を3カ月にする べきか6カ月にするべきかで議論しました。その際に、認定の対象となるChild-Cという レベルの患者さんの病態というのは、時間的には少し差し迫った病態である場合も少なく ないことから、そのような患者さんを待たせずに早く認定してあげるべきという意見が大 勢となり、6カ月ではなく3カ月で認定してあげるべきという結論となりました。よって、 カルテ上、振り返って過去3カ月前のデータがある場合は、それを申請データとして用い てよく、その時点で申請を認めることも可能となっています。3カ月間隔という期間は、 このようにして決められました。  一方、アルコール性肝障害、飲酒に関しては3カ月間ではなく、厳しく6カ月間以上、 断酒をしていただくべきという意見が大勢でした。このような議論から、3カ月間と6カ 月間という2つの期間の設定がおこなわれたわけでございます。 ○葛原分科会長  期間のことに関しては、坂谷先生、今のご回答で大体ご理解いただけましたでしょうか。 よろしゅうございますか。 ○坂谷委員  慣例ではないでしょうけれども、行政が絡むそれが大体3カ月前後になっていますわね。 だから、それで不自由はないので不足はないんですけれども、大体3カ月でいいだろうと 決めた根拠は何だろうかと思ったものですから、それをお聞きしたかっただけなんです。 ○葛原分科会長  180日のほうは、もとのウイルス性肝炎の定義がそうなっているということのようですか ら、それで、あとは現在から3カ月でもいいし、過去3カ月ぐらい前にデータがあれば、 それでもいいという、とにかく3カ月間の前でも後でも確認できればいいということのよ うですから、それはそれでよろしいかと思います。  1番目のほうの問題というのは、ちょっとここで論議してもなかなか結論が出ないので、 これは先生がおっしゃったように医師のほうの問題があるかもしれませんが、もう一つは さっきのアルコールの180日とか、私どもは感覚障害でしびれとか痛みを扱っていますと、 100%自覚症状を信ずるしかないわけで、うそでなくても患者さんがそうおっしゃれば、そ のものを書くしかないような所見もあるんですね。  ですから、私がさっき患者さんの申告に基づくか、それとも家族に確認したか、検査デ ータで確認できるかとかいうような注釈をちょっと書かざるを得ないのかなと思ったのは、 自覚症状や自己申告でしか判断できないものであればこれは患者さんのほうの問題でしょ うし、医者がうそをつくのであれば、これは倫理のほうの問題かと思います。札幌の聴覚 障害での偽診断書問題などの事例を見ていますと、こういうお金や補助の絡む事案には必 ずついて回ることのようですね。厚労省のほうで何かご意見はございますか。 ○高城企画課課長補佐  今のは非常に難しゅうございます。これは障害認定のみならず、いわゆるいろんなもの の認定ですとかいうところでの自覚症状に重きを置いた認定基準のときにどこまで担保を とるのか、本当に研究事項だと思っております。いわゆる客観的な検査方法、だれが見て も要するに例えば画像でばっと分かるとか、血液検査をとってぱっと分かる、そういうも のをより重視すべきだとは思うんですけれども、そこの自覚的な症状の部分については、 基本的にはカルテに基づいた根拠を持った記載をしてくださいと言って周知して回るのが 限界かなという思いはございます。  ただ、検査の仕方とか、そういったものは日進月歩でございます。こんなに普及してき ていて客観的な検査があるのであれば、それによって判断されたいという取り扱いを事例 に応じて示すというのは、当然、やっていかなければいけないと思っておりますけれども、 今のようななかなかそういうスタンダード、客観的な検査のスタンダードというのがない 中で、行政的に全国一律に基準を示すというのは、非常に難しいというふうには思ってお ります。基本的には、カルテに基づいて記載してくださいという周知に努めるというとこ ろでございます。 ○葛原分科会長  似たようなご意見は、坂谷先生以外の方からも私は実は聞いています。ただし、この問 題はここで議論してもいかんともしがたいというところがございます。特に感覚障害は、 検査所見からは見えているはずだと言っても、ご本人が見えないとおっしゃれば、やっぱ り見えないと書くしかないんですね。CTでもいろんな誘発電位でも、検査が全部正常で も、本人が全く見えないとおっしゃれば見えていないと書くしかないわけです。札幌の例 の聴覚障害なんていうのもそれの典型だかもしれませんし、患者さんとお医者さんの利害 が一致したということかもしれませんが、ここら辺はむしろ患者さんのモラルとお医者さ んのモラルというのを喚起するしか、恐らく現時点では対応しようがないと思っています。  ほかの委員の先生方、何かこれに関してご意見はございますか。 ○飯野(靖)委員  やはり患者さん、医師の関係というのは非常に重要だし、倫理でも重要だと思うんです ね。ただ、こういう社会保障というのはやはり困っている人を助けるというのが基本だと 思いますので、それで障害の方が漏れるというのは問題ですから、広く制限するのではな くて、広く受け入れるというような考え方が僕は必要じゃないかなと思います。 ○葛原分科会長  私もそういうことで、やっぱり本当のことを言っている困っている人をとにかく救い上 げるという制度だということが前提だと思います。多少、プラスアルファのところ、プラ スかマイナスかは分かりませんけれども、出てくることに関しては、やはりモラルの喚起 で解決するしかないし、そういう努力をするということが現時点でできることだと思いま す。まだ、多少、時間がございますから、せっかくですから、何かこういうことについて、 こういうことができるんじゃないかということもあれば、ここでご意見をお伺いしたいと 思うんですが、何かございましょうか。どうぞ。 ○飯野(靖)委員  具体的にこの肝臓障害ですけれども、対象患者数が何人いて、どのくらいの予算がかか るか、それはもう考えているんでしょうか。 ○高城企画課課長補佐  なかなか詳しい詳細なデータというのはございませんけれども、概ね対象者につきまし ては、もしこれがご了承いただきまして運用していくとなると、実際に当てはめてどのぐ らいなのかというのはありますけれども、つかみで言いますと、大体3万人から5万人ぐ らいが対象になるのではないかというふうに考えております。  それに伴う種々の費用がどうなのかというのは、試算が非常に難しゅうございます。例 えば手帳を受けて福祉的なサービスを受ける人もいるでしょうし、医療費、要するに自立 支援医療という形で受ける人もいるでしょうし、ただ、そこは非常にいろんな制度がござ います。医療費につきましても基本的には100万円かかりましたと、そのうち保険が7割き きますと。100万円で7割で自己負担額30万ですかというと、こちらの制度を置いておても、 通常、所得に応じていろいろありますけれども、8万円が上限になっているので、その辺 は要するに公費で、別の制度でまたカバーされるわけでございます。あとは実際にどれだ けのものをいわゆるこちらの自立支援なり、そういったもので見るのかというのは非常に 試算が難しゅうございます、ケース・バイ・ケースでございますので。  そういう中で一例を示せば、例えば肝移植を行うような方、これはある病院での例とい うことで少しデータをいただいたもので、それぞれケースごとに合併症ですとか、いろい ろあるから医療費には幅があるかと思いますけれども、肝移植をした方なんかは初年度は 大体1,000万円ぐらいはお金が丸々ですよ、保険がきくとか自己負担分だけじゃなくて、医 療費全体としてそのぐらいかかるのではないかというようなことを聞いております。また、 抗免疫療法だけを実施している人も、たしか月に医療費丸々で大体10万円とか、そのくら いはかかっているんじゃないかというところでございます。その分、制度がいろいろござ いますので、事、これをやってどのくらいなのかというのは、非常にちょっとお示しする のは難しいという状況でございます。 ○葛原分科会長  あと、いかがでしょうか。  肝移植の後に抗免疫療法をもうやめるということは、現実にはあるんですか。ここにや めた時点で判断すると書いてありましたけれども。 ○八橋オブザーバー  肝臓移植に関しては、ほかの臓器の移植例に比較しますと、免疫抑制剤から離脱できる 例は、あるように聞いています。そのような症例が多いわけではないようですが、離脱可 能な症例はあるとお聞きしています。 ○飯野(靖)委員  臓器移植ネットワークで東日本支部長をやっていますので、肝移植については先ほど先 生がおっしゃったように、免疫寛容の状態になる可能性があります。ですから、僕もちょ っとここで免疫抑制薬でどうして切ったのかなという気もするんですけれども、肝移植す れば全て認めてあげて、広くしたほうがいいかなということは考えていたんですけれども、 このままでも大丈夫かなというふうに。 ○葛原分科会長  絶対数はそんなに多くないということでしょうか。  そろそろ論議はここでやめたいと思いますので、どうしても言っておきたいということ はございませんか。よろしゅうございますか。  ということでしたら、そろそろ論議も出尽くしたようですから、全体としては本日ご説 明いただきました肝機能障害の障害程度等級、肝臓機能障害に係る諸通知ということで、 たくさん資料もございましたけれども、この身体障害認定分科会として了承したというこ とでまとめさせていただいてよろしゅうございますね。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○葛原分科会長  一部、さっき加藤先生のご質問のあったことは、ペンディングのことでChild-Pughの部 分を少し手直しするということが残った状態で了承していただくということで、よろしく お願いしたいと思います。  では、どうもこれで全員一致で了承ということで、本日の一番の大きな仕事は終わりま した。どうもありがとうございました。それでは、肝機能障害の障害程度等級、それから 肝臓機能障害に係る諸通知ということについて、身体障害認定分科会として了承いたしま したということで結論にしたいと思います。  今後はこれを受けまして、身体障害者福祉法施行令、それから身体障害者福祉法施行規 則の改正等、来春からの施行に向けての手続が進められてまいりますが、施行準備段階に おける細かい文言修正、先ほども申しましたけれども、そういうことに関しまして私と事 務局、それから肝臓のグループ、それから、今、ご質問があった加藤先生なんかのほうに 一任していただくということで最終案を詰めまして、それで、これから最終案を決めて来 春からの施行にしたいということで、これでご了承いただけますでしょうか。よろしゅう ございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○葛原分科会長  どうもありがとうございました。  それでは、私のほうでやることは多分、今日はこれで終わりだと思いますが、事務局の ほうから何かございましょうか。 ○藤井企画課長  本当にありがとうございました。  一つだけ、本日、これで身体障害認定分科会として肝臓機能障害の障害程度等級等が了 承されたということでございますので、今後、施行令等々の改正後でございますが、本分 科会に肝臓の先生の委員の委嘱等を速やかに行ってまいりたいと思っております。これに つきましては委員の皆様、特段、ご異論はございませんでしょうか。 ○葛原分科会長  今度は委員を肝臓のほうに少し広げるということですか。 ○藤井企画課長  そうです。 ○葛原分科会長  分かりました。よろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○葛原分科会長  では、異議なしということです。 ○藤井企画課長  ありがとうございます。  では、本日は本当に大変ご多望の中、ご審議をいただきましてありがとうございました。 分科会長からもございましたように、今後、来春を目途に施行令等の改正等の手続を進め てまいりたいと考えております。  事務局からは以上でございます。ありがとうございました。 ○葛原分科会長  これで終わりにしたいんですが、よろしゅうございますか。遠方から来て何も言わなか ったのでちょっと帰れないというような方はございませんでしょうか。  それでは、実は今日は11時半までの予定にしておったんですが、ちょっと早目ですけれ ども、ご意見がないようですから、これで終わりにしたいと思います。非常に活発なご議 論をいただいて、非常にいい内容になったんじゃないかと思いますけれども、どうもあり がとうございました。これにて終了いたします。 (了)                  照会先 〔疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会事務局〕       〒100-8916 千代田区霞が関1-2-2       厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部       企画課指導係       TEL 03-5253-1111(内線 3029)    FAX 03-3502-0892