09/09/07 第2回労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する懇談会議事録 第2回労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する懇談会          日時 平成21年9月7日(月)          15:30〜          場所 中央合同庁舎4号館1階108会議室 ○中央労働衛生専門官 本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうござ います。本日ですが、及川委員よりご欠席の旨を伺っていまして、江口委員からはご出席 と伺っていますが、定刻になりましたので、ただいまから第2回労働者に対する胸部エッ クス線検査の対象のあり方等に関する懇談会を開催します。  初めに、平野安全衛生部長より開催の挨拶をさせていただきます。 ○安全衛生部長 7月の末から安全衛生部長に就任しています平野です。よろしくお願い します。  本日は、大変お忙しい中、労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関す る懇談会にご参集いただきまして誠にありがとうございます。ご承知のとおり、行政を取 り巻く状況というものが大きく変わろうとしています。しかしながら、私どもが担当して います安全衛生行政につきましては、政権が変わってもその方向が変わるものではないと 考えています。先生方を初め、関係者のご理解とご協力のもと、これをよりいっそう進め ていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。  さて、この胸部エックス線検査につきましては、長い歴史を持っているわけですけれど も、本日ご参集の先生方を中心に平成17年より労働安全衛生法における胸部エックス線検 査等のあり方検討会において、ご検討をいただいてきた。それとともに、平成19年度には 相澤先生を主任研究者として、労働安全法に基づく胸部エックス線検査の労働者の健康管 理に対する有効性等の評価に関する調査研究を実施していただいています。  そして、これらの検討、調査、研究等を踏まえて労働者に対する胸部エックス線検査の 対象のあり方等について更にご検討いただくということで、今年の1月からこの懇談会を 開催させていただいています。  本日は、労働安全衛生総合研究所に設置されました「胸部エックス線検査を実施すべき 対象者の範囲に関する調査研究委員会」における調査研究の成果等も踏まえまして、更な るご議論をいただきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。 ○労働衛生課長 前回の懇談会から事務局に異動があり、主任中央じん肺診査医、中央労 働衛生専門官が交代しています。それぞれ自己紹介をお願いします。 ○主任中央じん肺診査医 7月24日付けで主任中央じん肺診査医を拝命しました桐生と申 します。よろしくお願いします。 ○中央労働衛生専門官 石井の後任としまして4月1日より中央労働衛生専門官を担って います清本と申します。よろしくお願いします。 ○中央労働衛生専門官 それでは、以後の進行につきましては、座長の相澤先生にお願い したいと思います。相澤先生、議事進行をよろしくお願いします。 ○相澤座長 相澤ですけれども、活発なご議論をいただきたいと思います。よろしくお願 いします。まず、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。よろ しくお願いします。 ○中央労働衛生専門官 まず、議事次第に記載しています配付資料を読み上げさせていた だきます。もし、資料がない等ありましたらご連絡のほどをよろしくお願いします。  資料1は、「『労働安全衛生法における胸部エックス線検査等のあり方検討会』報告書概 要」になります。資料2は、「第1回労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等 に関する懇談会の議事概要(案)」になります。資料3は、「『胸部エックス線検査を実施す べき対象者の範囲に関する調査研究委員会』における調査研究の概要案」になります。資 料4は、「胸部エックス線検査を実施すべき対象者の範囲に関する検討事項等」になります。 資料5は、「労働者に関する胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する懇談会の開催要 綱」になります。資料6は、同懇談会の参集者名簿になります。  参考資料1は、資料1に当たります「『労働安全衛生法における胸部エックス線検査等の あり方検討会』の報告書」そのものです。参考資料2は、先ほどご紹介がありましたよう に相澤先生が主任研究者をしていただきました「労働安全衛生法に基づく胸部エックス線 検査の労働者の健康管理に対する有効性等の評価に関する調査・研究」の報告書の抜粋に なります。参考資料3は、「労働安全衛生法に基づく健康診断の概要」で、特に法令関係を まとめたものになります。以上です。 ○相澤座長 資料はよろしいですか。  早速ですが、議事(1)、労働者に対する胸部エックス線検査の対象のあり方等について 事務局からご説明をお願いします。 ○中央労働衛生専門官 資料1ですが、平成18年に行われました労働安全衛生法における 胸部エックス線検査等のあり方検討会における報告書の概要になります。資料1は、第1 回懇談会でも資料として提出しました。簡単にご説明させていただきますと、労働安全衛 生法第66条の第1項に基づく、いわゆる一般健康診断において胸部エックス線等のあり方 について検討していますが、雇入時健診、それから海外派遣労働者に対する健康診断、特 定業務従事者に関する健康診断につきましては胸部エックス線検査は、従来どおり年齢を 問わず実施するということでご報告いただいています。  また、則第46条の結核健康診断につきましては、改正結核予防法において発病のおそれ があると診断された者は医療機関への受診を前提として当該規定が廃止されたことを受け、 労働安全法においても同趣旨の検査を廃止するということでご報告をいただいており、第 1回の懇談会でも各先生方にご了承いただきましたので、4月1日より廃止ということで施 行しています。  じん肺法に基づく健康診断における胸部エックス線検査ですが、これはじん肺健康診断 の中でも3年に1回実施するような方々が規定されていますが、従来、労働安全衛生法で 年に1回胸部エックス線検査を実施することを前提に、そういったじん肺法上の規定等の 体系になっておりますので、こういった方々については、労働安全衛生法の定期健康診断 で現行どおり毎年実施するということでご報告をいただいています。  続きまして裏面のところですが、定期健康診断における胸部エックス線検査につきまし ては、40歳以上を対象とすると。  2)ですが、40歳未満は医師の判断により省略可。ただし、有所見者等については省略 不可とするということです。3)ですが、ただし40歳になるまでは雇入れ時健診のあと5歳 ごとを目途に節目健診を行うとご報告をいただいています。  また、4)ですが、見直しの実施につきましては、特に見直しは現在の健康診断制度の大 きな変更であるため、労働者に対し、健康確保に対する不安が生じないように配慮する必 要があること。(2)、胸部エックス線検査による健康診断については国内外で種々の評価が あるため、胸部エックス線検査の労働者の健康管理に対する有効性を評価する必要がある こととされまして、特に平成18年の検討会の取りまとめ結果を明確に裏づけるエビデンス を今後さらに得る必要があるということで、その実施に当たっては調査・研究を行い、必 要な関係規則の見直しを行うことが適当であるとされたものでして、平成19年度の調査研 究に繋がったものです。以上、資料1について簡単にご説明させていただきました。  続きまして、資料2の第1回懇談会の議事概要です。これにつきましては、読み上げさ せていただきますと、経緯等につきまして報告書に基づいて委員にご確認いただいていま す。2の胸部エックス線検査の対象のあり方等に関する今後の検討事項について、定期健 康診断において、胸部エックス線検査を必ず実施すべき対象者としては、先ほど申し上げ ましたように40歳以上の者。40歳未満の者については、(イ)ですが、呼吸器疾患、循環 器疾患等に係る自覚症状若しくは他覚症状又はそれらの既往歴がある者というものです。  委員の意見としては、呼吸器系と明らかにわかるような自覚症状ではなく、レントゲン で映る疾患の既往や症状があった場合、医師が必要なものと判断すれば40歳未満でも実施 するべきではないかといったご意見も伺っています。  (ウ)につきましては、感染症法で毎年結核健康診断を実施しなければならない対象者 である学校、病院、社会福祉施設の労働者です。(エ)は、じん肺健診で3年に1回ごとに 実施する対象者です。(オ)は、40歳未満であっても5歳ごと、20歳、25歳、30歳及び35 歳の節目健診の対象者です。  続きまして、(2)の胸部エックス線検査の実施の必要性を更に検討すべき対象者として挙 げましたもので、(ア)結核につきましては委員の意見では、結核のリスクが高いグループ は、職種や外国人の問題を踏まえて一般的にはわかるものの、すべてを書き出すことは困 難であり、産業医等の協力を得、それぞれの事業所である程度判断するしかないのではな いかといったご意見をいただいています。また、外国に行った人、または、外国人のその ものの結核罹患率を考えると、胸部レントゲンの必要性があるのではないかといったご意 見もいただいています。(イ)の肺がんにつきましては、若年性の肺がんに関する体系的な レビューをする必要性がある。これは、特に年齢階級別の死亡率等は、10万人当たり数人 程度と低いというのはご承知のとおりだと思うのですけれども、そうではなくて、特にそ ういった若年者の肺がんであっても特定なグループについては明らかに肺がんのリスクが 高い等で、そういったグループ等が同定できるかどうか体系的なレビューをする必要があ るというものであったと理解しています。  続きまして、(ウ)の慢性閉塞性肺疾患ですけれども、40歳未満の者について、慢性閉 塞性肺疾患の検出を胸部エックス線写真で早期発見することは困難ではないかといったご 意見を伺っています。(エ)の循環器疾患ですが、無症状例で40歳未満の群については、 文献がある可能性は低いが、詳しく検討する課題として残しておくことになったと理解し ています。(オ)のその他の事項としては、時間外労働が月45時間以上の労働者と過重労 働があるような方について調査等をすべきではないか。また、レントゲン上所見があるよ うな方や既往歴があるような人について整理する必要があるのではないか。また、ナノマ テリアル等、人体による有害性がよくわかっていないものや行政の指導通達等の健診にな っているものについても検討するべきではないか。また、喫煙歴や受動喫煙についても調 査研究等をするべきではないかといったご意見を伺っております。(2)の結核健康診断は、 安衛則の第46条については廃止の方向で了解を得ています。(3)の雇入時健診、海外派遣 労働者健診、特定業務健診についても引き続き実施するということで了解を得ています。  第1回の懇談会が1月に行われたのですが、それぞれ課題として挙がった調査項目等に つきましては、労働安全衛生総合研究所に研究委員会を立ち上げて、そこの研究委員会で 調査研究をするといったことで調査研究の結果につきまして、第2回の懇談会で提示して さらなるご議論をいただくということで第1回のほうは終わっていたと理解しております。 以上です。 ○相澤座長 ありがとうございました。  第1回目の懇談会はだいぶ昔の話ですけれども、思い出していただいたと思います。内 容についてはよろしいですか。それでは、次のほうに進めてください。 ○中央労働衛生専門官 資料3ですが、先ほどご説明しました研究委員会で、特に第1回 の懇談会でご議論を踏まえて調査した項目等について、その結果等の概要をまとめた案で して、今後、研究委員会の委員の先生方に書きぶり等についてはご確認いただいたあと、 報告書としていただく予定のものです。  資料3は、また別途詳しく説明させていただきまして、次の資料4は第1回の懇談会で 検討事項案として提示させていただいたものですが、これにつきましてはそれを一部修正 して先ほどのご説明した研究委員会における調査項目等について追記したものです。今回 は、この資料4の検討事項等について資料3の研究委員会の調査検討の概要案を参考にご 議論をいただきながら、各検討項目について委員の先生方よりご意見をいただければと思 っています。 ○相澤座長 事務局からのご提案で、資料4が研究委員会の検討事項、まとめのような形 だと思いますけれども、資料3が研究委員会の概要ですので、資料4をこの懇談会の検討 事項として、ベースとしての資料3の研究委員会の概要をご検討いただく進め方でよろし いですか。ありがとうございます。そういう進め方でご説明をお願いします。 ○中央労働衛生専門官 資料3につきまして、説明させていただきます。資料3は、調査 研究の概要案でして、趣旨としましては、第1回懇談会において胸部エックス線検査を省 略すべきではないハイリスク層の範囲について、さらなる検討が必要とされた項目等に関 して、主として文献や既存データのレビューを行い、胸部エックス線検査の省略の判断基 準等を議論する際に必要となる基礎資料を提供するものです。  II.調査項目及び結果ですが、また資料4のときにも詳しく説明させていただきたいと思 っておりまして、調査項目についてご紹介したいと思います。1.「結核」ですが、(1)感染 症法で健康診断の実施を規定した業務以外で結核の感染リスクの高い業務についてはどう かといったものです。(2)ですが、結核罹患率が高い地域における事業場については、特に ハイリスク層の範囲等の検討が必要かといったものです。(3)結核発生率が高い海外地域に 勤務・滞在していた外国人労働者及び帰国労働者についてはどうか。  続きまして、2.肺がんのところは、特に40歳未満の若年者においてはどうか。それから、 3.その他の肺疾患等につきましては、特に慢性閉塞性肺疾患やサルコイドーシス、縦隔腫 瘍について検討しています。4.循環器疾患につきましては、若年者で自覚症状がないよう なものについて検討しています。5.その他ですが、(1)過重労働に関する点。(2)生活歴、 特に喫煙歴に関する点。(3)就業形態は、特に派遣や短時間労働等の特殊な就業形態の労働 者に関すること。(4)受動喫煙の職場について。(5)胸部エックス線検査が早期発見に有効 な呼吸器疾患が疑われる行政指導の健診について、その必要性の意義等について調査研究 等を行っています。資料3については、また資料4の各項目のところで、各箇所について 説明させていただきます。 ○相澤座長 おおざっぱにご説明いただいておりますので、まだ研究委員会のほうの先生 方に確認しておりませんので、その都度、ご意見いただければと思います。資料4のご説 明お願いします。 ○中央労働衛生専門官 検討事項ですが、(1)胸部エックス線検査の必要性が特に指摘され た対象者についてですが、40歳以上の労働者については、検討会報告書、研究班報告書に おいて胸部エックス線検査を必ず実施すべきとされています。また、以下の(ア)から(エ) の労働者についても行政検討会、厚生労働研究班において、40歳未満であっても胸部エッ クス線検査を必ず実施すべきとされていまして、研究委員会においてもさらなる文献等の 検索が不要とされたものです。この点については、特段議論等はないものと理解していま す。 ○相澤座長 検討事項の(1)については、(ア)から(エ)がありますが、これについてい かがですか。既に感染症法等で決められたものもありますし、自覚症状、他覚症状、既往 歴のあるもの、じん肺の対象者、節目健診については行うということで聞きました。よろ しいですか。  では、次をお願いします。 ○中央労働衛生専門官 続きまして、(2)胸部エックス線検査の実施の必要性を更に検討す べき対象者ですが、研究班報告書において、例えば結核のハイリスク者については事業者 が市町村に対して健診、受診の要請や助言を行うことが望ましい労働者について指摘され ています。それらの労働者を含め、労働安全衛生法における健康診断において胸部エック ス線検査を必ず実施すべき対象者及びその範囲について更に検討を行う必要があるのでは ないかと第1回懇談会のときに提案させていただきました。  (ア)の結核ですが、感染症法では結核菌にばく露される機会が多い職場及び必ずしも 結核に感染する危険が高くないものの、発症すれば二次感染を引き起こす危険が高い職種、 学校、病院、社会福祉施設に対して事業者が定期の結核健康診断を行うことを義務付けて います。昨今の労働環境や結核の発生状況を踏まえ、集団として結核感染のリスクが高い と考えられる不特定多数の顧客が出入りする職種、個人として結核感染のリスクが高いと 考えられる結核蔓延国からの労働者等、労働安全衛生法に基づき結核をターゲットとした 胸部エックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者等について検討する必要があるか、とし たものです。  資料4の2頁のイ)の業務についてですが、こちらは資料3の5頁を見ていただければ と思うのですが、結核の(1)に該当するところです。研究委員会においては、ハイリスク群、 またはデインジャー群である可能性が高いとされる職場や職種の業務について実施の必要 性を調査研究等しています。  資料3を読み上げさせていただきますと、5頁の(1)のところですが、「不特定多数の顧 客が出入りする施設において業務に従事する労働者」を中心に文献等の検索を行ったが、 結核の感染リスクが明らかに高いとする特定の業務を紹介した文献やデータは認められな かった。しかし、感染症法施行令第12条第1項で規定された業務以外の業務についても、 一般に結核の罹患の可能性が高いと考えられる多数の顧客と接触する場合等は、40歳未満 の労働者で集団感染事例が発生していることから、結核の感染リスクを高める場合がある と考えられることに留意が必要である、とされたものです。  では、イ)の「業務について」で一旦切らせていただきます。 ○相澤座長 ネットカフェとか、そういったところのリスクのある方が来られていること。 逆にまた、感染したときにほかの方に罹患をさせる可能性のあるようなところということ で、こういった論議になっていますけれども、委員の先生方もご確認いただいて、前回の 委員会でこういうことでよかったかどうかも含めてご意見いただきたいと思います。  留意が必要であるということで、きちんとした文献はないけれども、可能性としてはあ る。いかがですか。加藤先生、ここのところをずいぶん調べていただいていかがですか。 ○加藤委員 報告のあったとおりで、文献としては、なかなか見つかりにくいものであり ますし、例えば飯場等々の労働者というのは非常に結構、発症リスクが高いとされている のですけれども、なかなかデータとして調べてみると、それを明らかにするような形にな ってないということで、文献としてはなかなか見つけられないものだったのですけれども、 いまお話したとおり、1つネットカフェとかありますし、極めてハイリスク集団が長時間 滞在するような環境になれば感染率が高くなるかもしれないということで、具体的にどう するかということはこれからご検討いただくということで、調べた範囲ではそういうこと です。 ○相澤座長 よろしいですか。  それでは、2番目にいっていただきますか。地域ですね。 ○中央労働衛生専門官 事業場と地域の関係ですが、第1回懇談会でも取り上げられたよ うに、結核の罹患率の地域格差が大きく、大都市で高いことが明らかになっていることは 確認されており、研究委員会においても、さらなる文献等の検索は不要とされたものです。  資料3の5頁の(2)ですが、事業場の労働者の結核の感染リスクは、事業場と地域との関 わり合い、結核罹患率、地域の環境などによって異なると考えられるが、一般に結核罹患 率が高い地域における事業場での業務は、結核の感染リスクを高める場合があると考えら れることに留意が必要であるとされたというものです。 ○相澤座長 そこに小さく書いてありますが、大阪とか名古屋、東京の所が多く、長野が 非常に低いということで地域差はあるのですが、それは認められるのですが、これをどう するかということですね。なかなか難しい問題だと思いますが、それは確認されたという ことになりました。よろしいでしょうか。 ○坂谷委員 いま座長がおっしゃいましたように、地域によって5倍から6倍の差がある のです。それは事実ですが、それを安衛法でどのように扱うかということが、残ります。  それと(1)と関係するのですが、我々が掴んでいる事実として、医療従事者の中でも職種 によって発病率、感染率が違いまして、一般的に認められているのは、看護師はその地域 の一般市民の罹患率の倍程度の罹患率。それと人数としては少ないのですが、細菌学検査 室の技師、それから患者サイドにこの頃よく行きますOT、PTの理学療法士とかその辺が高 いのです。私が言うのもおかしいですが、加藤委員、病院での健康診断は、例えば私ども の所は結核患者を扱っておりますので年2回やっておりますが、年1回は安衛法による検 査で、もう1回は、いわゆる接触者健診として捉えるべきなのか、安衛法で発病率の高い ハイリスクグループですからという意味で年2遍と理解するべきか、どちらなのでしょう かね。 ○加藤委員 医療従事者等については、感染症法の中ですでに年1回の健診が規定されて いますので、これは安衛法と両方でということになりますね。 ○中央労働衛生専門官 最初の項目の所でご了承いただいたところの、感染症法で規定さ れた業務については、労働安全衛生法の定期健康診断も省略すべきではないということで、 よろしかったでしょうか。 ○坂谷委員 では、両方に跨っているのですね。1回のほうが、この懇談会で関係するほ うなのですね。わかりました。 ○相澤座長 いまは坂谷委員の所は2回やっておられるのですか。 ○坂谷委員 我々の機構の中でもきちんと決まってはいないのですが、施設の努力で、通 常は年1回は間違いないことなのですが、余裕のある施設は、年に2回やっているのです。 だけどその両方が、同じ規定によるというか、理由でやっているのではなくて、1回は安 衛法のことで、半年後のもう1回は安衛法によるものではなくて、感染症法が絡んだ検査 と。こういうように2回とるのですが、理由が違うのですね。  私どもの所及び複数の施設では、年2回のレントゲンを撮っております。 ○相澤座長 安衛法健診で1回やれば、法律的には。 ○坂谷委員 そうなのです。 ○相澤座長 特殊健診みたいな感じがします。それは任意でやっておられるということで すね。 ○坂谷委員 そう考えていただいていいと思います。 ○労働衛生課長 ちょっと1つ前に議論を戻すようで恐縮で、また後ほど少し今後の対応 等についてご説明しようかと思ったのですが今日は資料4で順番にやっていただいている わけですが、例えば先ほどの業務についてという項目であれば、これはなかなか文献とし ては明確な有意差があるようなものは見つからないのですが、各専門家の先生の危惧すべ きと言いますか、可能性があるという意味では十分に考えられるということです。  ただ、文献がないということを併せると、例えば調査研究委員会の留意が必要であると いうものをこの懇談会としてはこういう表現が限度かなというように言うか、もう少し行 政としては必要性を配慮すべきとか、その辺についてある程度の方向性のご意見をいただ ければと思います。  例えばいまの(2)ですと、これは発生率に関しては明確なデータがあるわけですから、当 然確率としては高いのではないか。そういう意味では(1)よりも少し必要性は高いとか、研 究委員会のこの表現を踏まえて、このままが限度、あるいはこれを踏まえると、もう少し 必要性がどれよりも多いとか、そういうこともいただければ、最終的な懇談会の報告書に、 その辺のニュアンスを案として提示できるかと思いますが、いかがでしょうか。ちょっと 難しいですが。 ○相澤座長 ちょっと難しい責任を痛感しますね。 ○労働衛生課長 委員会の結論を踏まえて、あとは事務局で表現は考えます。 ○相澤座長 委員会の報告書は、これでいいと。むしろ懇談会のほうのそれを見て、どう いうように考えるかということをご議論いただくと。資料4のほうに書き込むということ ですね。 ○労働衛生課長 そうですね、はい。 ○相澤座長 ということですが、そうしますと(1)に戻っていただいて、先ほど簡単にして しまったのですが、文献はないと。ただ可能性はあるので、集団感染の事例等があるので、 リスクが高まる場合があるということで留意が必要ということですが、これを今度行政の ほうはこれを受けて、実際に健診をするように進めていくかどうかということもやらなけ ればいけないということで、ご示唆をいただきたいということです。この程度の資料3の 文脈でよろしいかどうかということですが、これは加藤委員に資料をいただきましたが、 業種別に、この業種だったら健診をやらないといけないとか、そういうように言えるかど うかですね。あるいは、この程度に留意が必要ないにするかどうかと。何かご意見はござ いますでしょうか。 ○加藤委員 これは職種を業務として、明確にしていく必要がありますね。 ○労働衛生課長 業種を明確にするとなれば、文書で行政は通達なり、あるいは省令なり を書くわけですので、エビデンスが相当必要になりますね。ですからこの場合はないとい うことですので、例えばかなり低いレベルの行政的な対応で、医師が総合的に判断すると か、そういう対応を今後考えなければいけないというふうになりますので、この場合はい ずれにしても、特定するという作業はなかなか困難なのかなと。行政が事業主に示すとい う場合にはということで、そういう意味で、我々調査研究の概要案としてはこのぐらいの 表現なのかなということで、いま案を提示しているわけです。  また(2)のことで言えば、蔓延地域では必ずそういうことを確認する作業が必要であると か、省略を判断するときに、そういうことも行政としての指導というか、対応としてはあ るかもしれませんね。 ○坂谷委員 現実の問題として、事業主のほうから、我々の職種では下の項目に当たらな いと思われるからレントゲンの検査を省こうと思うが、それでよろしいかという問い合わ せがあったときに、どのようにその問い合わせの業種に関して、あるいは事業場に関して 返事をするのかということでしょうか。 ○労働衛生課長 その前段に、こういう業種あるいは業務によってはというときに、どの ような要素を加味して医師が判断するかということについて、どう示せるか、あるいは示 せないのか。それを例えばどのレベルの行政の文書かはわかりませんが、それを出したと きにいまのようなさらなるご質問がくるかもしれませんが、そこになるとまたちょっと難 しい話ですので、明確に示せるというのはない。まさに事業場の実態を考慮して考えてく ださい、というようなお返事をすることになるのかもしれませんね。 ○坂谷委員 ですが、事業場の現場では、困られると思いますね。いま労働者側はやって ほしいと言うかもしれません。事業主のほうでは必要がないというときに、その判断基準 をやはり求められる。健診屋さんに聞くということは、ないでしょう。 ○労働衛生課長 ですから、行政としてそこまで明確に態度を示せないものについては、 今回の懇談会としては、医師が判断するときに有力な要素として示すことはできないとい う結論になろうかと思いますね。 ○相澤座長 同じ業種でも環境が違う所もあるでしょうし、現場の状況を見ないとわから ないとは思いますので、この程度でよろしいですか。 ○今村委員 教えていただきたいのは、40歳未満で集団感染事例が発生しているというよ うなことについてのエビデンスというか、例えばそういうことがある程度の一定数の報告 があるからそこに書かれているということですよね。その辺はものすごくレアケースでた またまあるのか、ここまで留意するということが書いてあるということは、結構あるとい うことですか。それとも一度発生すると、やはり相当多くの感染者が出てきているからと いうことなのか、それはエビデンスにはならない、統計学的に処理されたものではないと いうことで、エビデンスがないという言い方になっているのだと思うのですが、その辺は いままでやってきている40歳未満の方の健診でレントゲンを撮っていたわけですから、そ ういうこととの関係というのはどうなのでしょうね。これだけ見てもよくわからない。 ○加藤委員 集団健診は、いま厚生労働省から定期的に報告がありまして、いちばん新し いのは7月末に平成19年末までの分が公表されました。その中で比較的特徴的なのは、娯 楽施設、パチンコ屋とあるのです。今年の場合には飲食店とか、そこら辺がちょっと目立 つ感じなのです。逆に学校みたいな所は、数が減っている様子なのです。学校が減ってい る理由は、接触者健診でクォンティフェロンを使うようになりましたので、感染の過剰診 断が減ったのが1つなのです。  一方、そういった多くの人が集まる所の感染が目立つようになった理由の1つとしては、 分子疫学的な調査の手法が、だいぶ行き渡ってくるようになってきた。いままで明確にな ってなかったところが、明確になってきているということです。  先ほどちょっとインターネットカフェの話をしましたが、パチンコ屋等もときどき報告 されているということで、過去10年くらいで集団感染に該当するものだけで6件あります。 それは背景として非常にハイリスクで、具体的にはホームレスや日雇い労働者とか、これ を一般罹患率の30倍とか100倍とか非常に高い罹患率のグループの人と長時間接するよ うな場においては、集団感染は起こり得ると、これは大体言えるのかと思うのです。それ を罹患率ということで、具体的にこれ以上という明確に示すのはなかなか難しいというこ とで、先ほど言っている表現として、「集団感染等々の報告がある」という言い方になって います。  ですから、具体的に言ってしまうと、何か非常にハイリスクのグループが長時間滞在す るような場、具体的にはパチンコ屋、インターネットカフェもそうですし、検査は少ない が、麻雀荘みたいな所もあるのです。それを全部書き出すのは非常に難しいものですから、 そういう意味では具体的に示すのは非常に難しいということですが、事実としてはそうい うことはだんだん明らかになりつつあると。それをどのように表現したらいいかというこ とを、ちょっといま悩んでいるところではあります。 ○今村委員 過去にこういう所にありましたという事実は事実として、それは出せるわけ ですよね。例えば私が産業医で、自分がその事業場の産業医になっていたときに、自分が 関わっているこういう業種というのは、ちょっとこういう視点に気をつけなきゃいけない のだという判断をする材料にはなるわけですよね。 ○加藤委員 そうですね。 ○今村委員 だからここでやりなさいということを業種を特別に指定できなくても、こう いう事例ではありましたので参考にしてくださいということは、書けるのではないですか。 ○加藤委員 そういうことです。その書きぶりの面が、確かにあろうと思います。 ○坂谷委員 よろしいですか。加藤委員がちょっとおっしゃいましたが、集団感染とは何 かということで、基準が変わってきているのです。いままではもちろんレントゲンを撮っ て影がありますとそれは発病者ですから別ですが、ツベルクリン反応で判断をして、20人 以上接触者の中で菌をもらったであろうとツベルクリン反応で判断されるベースがありま すと、集団感染事例というように言われていたのですが、同じ集団をクォンティフェロン という血液の反応で見ますと、ぐっとその陽性者が減るのです。だからツベルクリン反応 で判断すると集団感染事例になるのですが、クォンティフェロンでやると集団感染ではな いと、その辺のことがあります。でも、クォンティフェロンでやらないといけないという ことにはなっていないので問題なのですが、それはそれとして、今村委員がおっしゃいま したように、この職種ではこれぐらいの件数で集団感染と言われる事例があったというこ とを明らかにしておくというのは、それぞれの事業所が健康管理医が判断するときに参考 になるのは間違いないと、このように思われます。 ○労働衛生課長 今日はなかなか行政的な対応のあり方を簡潔な文章としていただくとい うのはやはり難しいと思いますので、こういうご議論をいただいた上で、後日懇談会の報 告としての書きぶりについては事務局から提案させていただいて、まとめていくというこ とで対応させていただければと思います。 ○相澤座長 そうすると、だいぶ気が楽になります。 ○土肥委員 これは省略項目の中に入れるという前提なのですか。つまりこの文章でいき ますと、検討事項の資料4の(1)の(ア)(イ)(ウ)(エ)については、以外のもので医師 が省略できるという場合は省略していいという文章という理解をしたらいいのですか。そ れとも、この人たちはやりなさいと書くつもりなのか。だいぶ先生方の感覚が違うかと思 うのですが、その点はよろしいですか。 ○労働衛生課長 そういう意味で言いますと、資料4の1枚目、13頁の(ア)から(エ) は、明確に示せて、ある程度省略すべきでないということですが、それ以外の項目につい ては、これはエビデンスによってちょっと対応が分かれるのではないかと思いますので、 省略すべきでないというものになるかもしれませんし、これ以外のもので省略可能だけれ ども、最終的には医師が総合的に。 ○土肥委員 判断するという文章の中の、その総合的に判断する例示は、こういうものが いいですよということを求められるというイメージですよね。 ○労働衛生課長 はい。残っているものは、大体そういうものになろうかと思います。 ○土肥委員 それともう1点だけ質問です。これは喀痰検査との関係性は胸部エックス線 がなくなった場合に、胸部エックス線は一定頻度なくなるということはわかるのですが、 それに併せて、1回目は出ておりませんので申し訳ございませんが、喀痰検査は胸部エッ クス線で問題がなければ省略できるという規定だと思うのですが、この点というのは関係 はどのように。確認だけさせていただきますが、どう考えておけばよろしいのでしょうか。 ○中央労働衛生専門官 それにつきましては胸部エックス線検査をあくまでも実施してい ただいて、その上で、喀痰検査の必要性を判断していただくという現行の体制は特に変わ っておりませんので、それにつきましては胸部エックス線検査をそもそも実施する必要性 がないとされたものです。 ○土肥委員 ないとされたものについては喀痰検査もする必要はないものだという認識を とる。法令解釈は、それでよろしかったですね。 ○中央労働衛生専門官 はい。 ○土肥委員 すみませんでした。 ○相澤座長 資料3の(1)は、こういった書きぶりでよろしいのではないかということだと 思います。ただ例示としてどういう形にするかはわかりませんが、集団発生があるような ことがあるということは、どこかで産業医にお知らせするような資料を提示していただき たいということです。  (2)につきましては、いかがでしょうか。地域によって結核罹患率が高い所の事業場では、 省略できないようなふうにするのか、あるいは留意が必要であるということで済むのか。 先ほどはこういうエビデンスはありますが、この地域だけでやるということも現実的には 難しいのかなというご意見だったと思いましたが、いかがでしょうか。何かご意見ござい ますか。大阪の中でもまた違うのだろうと思いますし、名古屋の中でも違うと思います。 ○加藤委員 大阪市では平均するとこういうことですが、区によって違いますし、(1)と絡 めて職種によっても違いますし、だから一概に言えることではないのです。 ○相澤座長 難しいでしょうね。それはこういった留意が必要であるという感じでよろし いでしょうか。それでは、(3)をお願いします。 ○中央労働衛生専門官 海外地域への勤務歴等につきましては、第1回懇談会において、 我が国における20歳代の結核罹患者のうち、約5人に1人が外国籍の者であることが示さ れていることから、研究委員会でのさらなる文献等の検索は、不要とされたものです。  帰国後等における定期健康診断における胸部エックス線検査については、海外地域の結 核罹患率、海外での勤務・滞在の状況、滞在期間、帰国後の年数等によって結核の感染リ スクが異なると考えられ、その必要性も一律ではないが、一般に結核罹患率が高い海外地 域における滞在歴は、結核の感染リスクを高める場合があると考えられることに留意が必 要であるとされた。  なお、海外派遣労働者については、労働安全衛生法の省令である安衛則第45条の第2項 に基づき、帰国後に業務に就かせる際には、胸部エックス線検査を実施しなければならな いとされているものです。 ○相澤座長 海外からの労働者の方と、日本人で海外に滞在する方と2つあると思います が、帰国後の定期健康診断は現在行われているわけですが、3カ月でしたかね。 ○中央労働衛生専門官 6カ月です。 ○相澤座長 ですから、もっと短い間の滞在の方は、もれてしまう可能性もあるわけです。 そういったことと、国によって結核の罹患率は違いますので、その差は確かにあるという ことはデータでわかっております。これをどのようにしていくかということですが、何か ご意見はございますでしょうか。  日本自体も結核の罹患率は高いということで、それを特別な配慮をするというのもまた 難しいという話も、研究委員会では出ました。(3)の書きぶりですが、加藤委員いかがでし ょうか。 ○加藤委員 日本に関係が深い国でも、例えば中国大陸の罹患率は、50万から100くらい です。韓国が88、フィリピンが280いくつという数字です。その中に最初の勤務した場合、 あるいは業務した場合、現地の人とどのくらい接するかというのは業務の内容によっても だいぶ違ってくると思うので、そういう意味でも報告数なりを一律に超えるのは、必ずし も言いがたいというのが、この指針であります。  確かに患者数のうちでは日本も罹患率は高いということですが、日本の場合は方向とし ては結核予防法で定期健康診断が基本的には65歳ということで効率化されて、基本的に定 期健康診断よりも、症状のある人を早く発見するというのが、基本的に患者発見の方法で すから、それを踏まえた上で、現状の日本の全体が定期健康診断をしなければいけないと いうことではないということですね。ですから、その中で省略できない、このような議論 をしているという理解だと思います。 ○相澤座長 議論がありましたが、いかがでしょうか。坂谷委員、何かございますか。 ○坂谷委員 いまは胸部レントゲン検査に関しての議論ですが、海外生活者に関しての出 張前の検査、それから帰ってきたときの検査は、レントゲンよりも、肩を持つわけではな いですが、QFTでやるほうが値打ちがあるというか意味があるのであって、レントゲン検 査はやっても悪くはないのですが、それで何がわかるかと。発病者、影がなかった人に影 が、帰ってきたときに出ているということがあれば、早期発見には結びつきますが、滞在 中に感染を受けたかどうかについてはわかりませんので、ちょっと片手落ちのような気が します。  いまのは雑談じゃない。逆に日本人がアメリカに行きますと、東海岸ではツベルクリン をやられて、日本人だと陽性と出て、感染していると判断されるわけです。ところが西海 岸のカリフォルニアでは、アジア人が多いのでBCGを打っているのが普通でして、ツ反が 陽性というのは当たり前ということで、判断は柔らかくなるのですが、逆の立場になると、 そういうことになるのです。レントゲン検査での判断は、アメリカではしてないはずです。 ○相澤座長 ほかにご意見ございませんか。 ○山口委員 先ほどの議論によりますと、たぶんガイドラインみたいな形で、こんな職種 はという感じで出すという、そういうイメージということなのですかね。 ○労働衛生課長 まだそこは事務局としては詰めておりませんが、何らかの参考資料は提 示しないと、混乱は起こると思います。 ○山口委員 もしもそうだとすると、やはり産業医の先生はかなり決断、判断をしなくて はいけない部分があって、その場合にこういう業種というような一般的なことのほかに、 その事業所で結核の発症があったらその後どうするかと、そういう中での経験事例の判断 がなされて、かなり貴重な材料になるのではないかなと思うのですが、その辺は加藤委員 いかがですか。 ○加藤委員 実際、具体的に発症はあったかということで。 ○山口委員 実際に自分の関係している従業員の中に結核の発症があったという場合に、 それが例えばそこから先に何年かは、毎年やはり若い人もやるべきなのですね。 ○労働衛生課長 発症があった場合は、これは基本的に保健所の管轄の中で接触健診をや ることになっていますから、基本的に保健所と事業場との相談で、必要があれば2年なら 2年おいて、多くの場合はまだ事業所健診を当てる場合がしばし多いのですが、そちらの ほうで受診が出る形になっています。 ○山口委員 その現在の制度での受診。 ○労働衛生課長 そうです。現在の制度です。 ○柚木委員 資料3の6頁に書いてあります海外派遣労働者について、「胸部エックス線検 査を実施しなければならない」とありますので、やはりこれは国際的に労働者が外国から 来るときに、やはりどこかで歯止めは必要かなという気持はするのですが。 ○相澤座長 最後の段落ですね。 ○柚木委員 だから是非海外派遣労働者としての扱いで、残してほしいなと。 ○相澤座長 これは言えることですね。海外派遣労働者、これは日本人でしょう、最後の 所は。 ○労働衛生課長 はい、帰国したときに。 ○相澤座長 これはそのとおり残してありますから、海外に行って帰ってきたときに。 ○柚木委員 そうすると、定期で健康診断のときの会社の海外派遣で賄えるような形で、 外国から来た人をそういうことでやると。 ○相澤座長 外国から来た人ですね。外国人労働者については、どうなっていますかね。 ○中央労働衛生専門官 基本的には雇入れ時健康診断の対象になるということで、胸部レ ントゲンは必須という。 ○相澤座長 労働者とか研修生ぐらいは、一応やることになっていますね。それは大丈夫 なのですね。  何か特別これについてアクションをしたほうがいいとか、あるいは書きぶりについて、 何かご意見はございますか。 ○加藤委員 ご参考のために、新入国健診をどうするかというのは、実は結核感染法のほ うでも検討されています。ヨーロッパ、欧米では健診が行われた国もあるのですが、欧米 における新入国健診の実態を、オランダやイギリスでは見直しをしているのです。健康率 とかそういう時期ですので、そういう方向も踏まえながら、検討していることなので。 ○村田委員 職種による、どうするかという問題は、結局省略するか、しないかという決 断を産業医の先生がされることになるわけです。そのときに、例えばこういう職種で集団 発生例がありましたよという例示を出されても、何かそれをやるか、やらないのかという 判断は、ものすごく難しいですね。やらなくてもよいというか、やるのが望ましいか、や るべきとかいろいろな例があるのですが、集団発生例が1例ありましたというのをポンと 出されてそれで判断しなさいといっても、なかなか難しいなと。省略していいと言われて いる中で自分はどう判断するのだろうと、非常に自分が産業医だったら悩むなあと思うの です。ですから、どういう形になるのですかね、というのをちょっと疑問に思っていたの です。 ○相澤座長 おっしゃるとおりなのですがね。まあ、その辺。 ○坂谷委員 産業医が困られるのは、もしやめたとき。それで自分が勤務の間にそれが発 生した場合に、責任を取らされるのではないかと、こういう話だと思います。ということ で、そのような可能性がゼロではないのだったら、やはり続けていこうかということにな るのではなかろうかと、このように思います。それでいいのかどうかと、こういうことで す。 ○今村委員 いまのは本当に難しい、悩ましい問題だと思うのですけれども、例えば事業 者の方はこれを省略できるのですよねと言われたときに、自分の判断としてこういうこと も考えうるから、やっておいたほうがいいのではないかという意味での説明の資料として は使えると思うのです。  結局その辺は産業医を受けていて、事業所の間とやり取りをしていても、例えば費用の ことを考える事業者さんであれば、なるべく余分なものはやりたくないなと考えると、省 略したい方向に持っていかれるでしょうし、いやいや、社員のことを考えて、できるもの だったらできるだけやりたいと思われればそれを進める。その辺の微妙な関係の中で、た ぶん産業医が悩ましく判断するのだろうなと思うのですが、ただ、強制的にやれとか省け と書けない以上は、しょうがないのかなと思います。 ○坂谷委員 そもそもレントゲン検査を含めるかどうかの最終責任は、やはり事業主にあ るのでしょうからね。それを省くときは、その責任は事業主側にあるのだということを明 確にすれば、産業医さんは楽になると思うのです。 ○労働衛生課長 いまのご発言のとおりですので、そこは改めてどういう形で明確にする かは置いといて、そういう対応であることは間違いないです。 ○相澤座長 ありがとうございます。結核については、いまの3点ですが、全般的にこう いった形でよろしいでしょうか。 ○坂谷委員 1つご質問。いまの話を踏まえまして、資料4の(1)に戻って、(ウ)のじん 肺健診の対象者もここに入っているのですけれども、資料4のあとにはじん肺の話は何も 出てこない。即ちじん肺健診の対象者に、結核の発病を合併する率がじん肺のない人より は多いということから、結核健診の目的でのレントゲン検査について、じん肺健診の対象 から外すべきではないと、こういうことで理解してよろしいですか。 ○相澤座長 これは所見者ですね。所見者ですから、所見者は3年に1回なので、その間 にじん肺が発生する可能性も全くないわけではないという、そういう意味なのですよね。 ○中央労働衛生専門官 3年に1回は二通りのパターンがありまして、現在粉じん作業に 従事しておりまして、じん肺所見がない方と、現在は粉じん作業から離れているのですが、 同じ雇用主に雇われていて、所見がある管理2の方が3年に1回実施ということになって おります。確かに所見がない方も3年に1回というスパンですので、その間にじん肺所見 が出た場合は、じん肺法に基づいて定期外健康診断を実施しましょうということになって いますし、また、3年に1回で、過去粉じん作業者で管理2の方は、当然じん肺所見があ りますので、結核の合併率が高いというところもありまして、安衛法で1年に1回やられ ることに基づいて、じん肺法の体系も3年に1回となっておりますので、その間の2年に ついて、安衛法の健診を外してしまうというのは、なかなか難しいということで。 ○坂谷委員 ということはじん肺の早期発見と、結核に関する早期発見と両方込めて、こ の対象者にはやるべきだと、こういうことと理解してよろしいですか。 ○中央労働衛生専門官 はい。 ○坂谷委員 わかりました。 ○今村委員 戻って申し訳ありません。罹患率の高い地域の「罹患率が高い」というのは これはどういう数値をもって言うのですか。平均値からこれだけずれたらというのは何か。 処理上の何か。 ○中央労働衛生専門官 国別のですか。 ○今村委員 つまり日本の平均値は19.8と出ていて、じゃあ20.5は高いのかといったら、 19.8よりは高いに決まっているけれども、有意に高いかどうかという、そういうふうに。 すみません、専門家ではないのでわからないのですが、明らかに50といったら高いよねと いうのはわかるのですけれども、そこはどのように考えるのですか。 ○中央労働衛生専門官 そこは加藤先生のほうにもいろいろとご相談させていただいて、 一律にある一定の数字以上の罹患率が高いと切れるようなものなのでしょうかといったと ころを少しご相談させていただいたのですが。 ○加藤委員 非常に難しい。いまは19.8なのですけれども、10年のときから反映してい るのです。そのとき12が高いといったときに、こういう議論なのです。そこは絶対値で示 さなければいけないという部分を持っているのですけれども、いまの段階で健診の必要が 高い数字というのはいくらかというのは、まず浮かばない。例えば外国でも新入国健診の 対象としては、オランダとかイギリスで40とか50なのです。日本でいまどのぐらいかと いうことになると、例えば外国人が50と設定した場合は、絶対そのほうが高いわけですよ。 そういうことというのは非常に。行政的には難しい判断になろうかということで、おっし ゃるとおりの話なのですけれども、それを明確に示すというのは難しいことだなという。 ○今村委員 よくわかりました。自分が産業医の立場でもし産業医の判断みたいな話にな ったときに、自分の産業医をしているエリアの数値が全国より高かったときに、これを高 いと考えるかどうかというのは、きっとわからないので悩むのかなと思ったのですが。 ○労働衛生課長 おそらく最終的にはどこかで目安となるものというのは、例えば日本全 体の平均値とか、それを併せて情報提供というか、提示しないと、確かに相当混乱してし まうと思います。 ○坂谷委員 地域によっても人口も違うわけですから、平均値が本当にいいのか、中央値 がいいのかわかりませんがね。 ○労働衛生課長 当面例えば健康局が目指しているような数値をもってするのかというの は、これからまた考えなければいけないと思います。 ○相澤座長 それでは先を急がせていただきます。資料3の6頁の肺がんのところをお願 いします。 ○中央労働衛生専門官 肺がんについてですが、健康増進法に基づき市町村が実施するが ん健診において、肺がん健診については40歳以上の者が対象とされているところです。労 働安全衛生法の健康診断において40歳未満であっても、肺がんをターゲットとした胸部エ ックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者等について、検討する必要があるかといったと ころで、研究委員会のほうでも、体系的なレビューのほうを江口先生を中心に実施してい ただいたところですが、40歳未満の若年者において、肺がんのリスクが高いとするグルー プ等に関する文献等は発見されず、疫学的特徴は認められなかったところです。 ○相澤座長 江口先生、よろしいでしょうか。 ○江口委員 結論的にはそういうことで、特に若年者に関して、同定されるような、指摘 されるようなリスク因子というのは、文献的には見つかりませんでした。ここに付けてあ る文献というのは、主に治療された肺がんの患者さんの年代別のもので、若年者に何か特 徴があるかというようなことですが、これについても様々なものが出ていますが、一律ど ういうリスクが若年者にあるのかというようなコンセンサスに至るようなものは出ていな いということだと思います。  健診の年報をいくつか見てみたのですが、39歳までの方で健診を受けておられる方の成 績というのは、あまりまとまったものが出ていなかったのですが、いくつか見てみると、 そういうものからは、少なくとも無症状で健診している39歳の年代までの人たちの集団、 例えば600例とか700例の集団では、肺がんの発見率が0であったというような報告が多 くて、結論的にいうと、ここに書いてあるような、疫学的な特徴は認められない。リスク 因子は認められないということだろうと思います。 ○相澤座長 ありがとうございました。比較的クリアカットにいった問題ですけれども、 これについて何かご意見ございますか。それでは、その他の肺疾患について、お願いしま す。 ○中央労働衛生専門官 これにつきましては慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、縦隔 腫瘍についてご検討いただいたところでございますが、特に40歳未満であっても、慢性閉 塞性肺疾患をターゲットとした胸部エックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者について 検討する必要があるかといったところで、慢性閉塞性肺疾患も含め、その他の肺疾患で結 核や肺がん以外のところを中心に、村田先生のほうに検討と調査等をしていただいたとこ ろですが、特には自他覚症状等がないような形で、慢性閉塞性肺疾患のリスクが高いとす る文献等は発見されなかったということで、疫学的特徴は認められなかったということで す。  また、サルコイドーシス、縦隔腫瘍については、40歳未満の若年者で無症状の者が胸部 エックス線検査で偶然発見される割合が高いことが示されましたけれども、いずれの疾患 も我が国においておよそ10万人に1人の罹患率と希な疾患であるということです。 ○相澤座長 ありがとうございました。村田先生、これについて。 ○村田委員 いま述べていただいたとおりなのですが、慢性閉塞性肺疾患に関して、喫煙 が低年齢化しておりますので、40歳未満でも頻度は低いですけれども、疾患を持っておら れる方はおられると思うのですが、たぶん胸部エックス線写真で引っかかるようなCOPD というのは、ある程度進行したCOPDですので、そうしますと症状が出てくると思いますし、 40歳未満を胸部写真でCOPDを引っかけるということは、あまり意味がないことではない かなと私は思います。文献的にはあまり引っかかりませんでした。  サルコイドーシスと縦隔腫瘍に関しては、これはこれ自身疾患としては若年者に多い疾 患で、かつ、半数ぐらいは症状があまりなく見つかる疾患ですので、その疾患を見つける という意味では、若年者の胸部写真というのは重要な意味を持ちますが、ただ、両方の疾 患とも頻度的にはいままでのがんや結核などと比べますと、10万人に1人ぐらいの割合で、 一応低い罹患率でありますので、そういう疾患に対して、それを意識的に対象とするかど うかということが問題になるのだろうと思います。以上です。 ○相澤座長 ありがとうございます。こういうことですが、先生方からご意見ございます でしょうか。 ○坂谷委員 同感です。若年性の肺気腫というのがあるのですが、これは煙草とは関係な いだろうと思います。それから、この年代で、男では抗酸菌類肉腫瘍、女性ではラム、こ れが希な疾患としてあるわけですが、これは職場の健診で見つけるものではないだろうと 思います。 ○相澤座長 ご賛同いただきました。ほかの先生方、よろしいでしょうか。ありがとうご ざいます。それでは4番目の循環器疾患についてお願いします。 ○中央労働衛生専門官 循環器疾患ですが、40歳未満の労働者において、循環器疾患をタ ーゲットとした胸部エックス線検査を毎年必ず実施すべき対象者等について検討する必要 があるかということですが、40歳未満の若年者においては、自他覚症状、既往歴がある者 を除き、特に循環器疾患のリスクが高いとする文献等は発見されず、疫学的特徴は認めら れない。なお、我が国における40歳未満の若年者で無症状であった、延べ約150万人に対 する調査結果、これは全国労働衛生団体連合会の提供のデータですが、胸部エックス線検 査で偶然発見される心血管系所見で、もっとも頻度が高い所見は心拡大であり、男性 0.17%、女性0.06%の所見率であったということです。これにつきましては、山口先生、 西村先生を中心に調査していただきました。 ○西村委員 結論については書いてあるとおりで、文献あるいは疫学的特徴は認められな かったということです。念のために談話会で山口先生からいただいた150万人のデータを 調べてみますと、心拡大ということで、男性0.17%、600人に1人ぐらい、女性は0.06%、 1,600人に1人ぐらい見つかるのですが、その方の属性が肥満があったとか、あるいは血 圧が少し高かったということは、この分析データではわからないわけですが、医学的な推 測をいたしますと、こういうグループで心拡大で引っかかりますのは、おそらく男性だと 肥満、あるいは血圧が少し高い方、女性でも肥満ではないかと思いますが、ほかの項目も、 血圧、あるいはBMIで引っかかりますので、スクリーニングとしての胸部エックス線の価 値はあまりないと思います。  さらに頻度の少ない疾患で、無症状の拡張型心筋症は、やはりサルコイドーシスと同等 の頻度ですので、そういう方もスクリーニングとしてこの検査の価値があるかどうか、一 般的には私はないと思います。 ○相澤座長 どうもありがとうございました。循環器疾患についても、特別40歳未満の若 年者でやる意味は、それほど大きくないということだと思います。よろしいですか。何か ご意見はございますか。ありがとうございます。その他で過重労働についてお願いします。 ○中央労働衛生専門官 過重労働と結核の罹患の関連性について直接証明した文献等は認 められなかった。ただし、肺結核患者の発病要因に関する研究、これは1982年に米田先生 が実施されたものですが、肺結核の要因として、過労。過労の定義としては肉体的な激務、 勤務時間の長いこと、不規則勤務などが複合したときに、過労というように定義しており ますが、これが影響しているとする症例対象研究が認められております。また、Lower percentage of CD56+ cells associated with long working hours.ということで、「イン ダストリアルヘルス」に2001年で短報として安田先生のほうが投稿されたものですが、週 労働時間が長時間群、これは65時間以上ですが、短時間群55時間未満に比べ、細胞性免 疫を担うナチュラルキラー細胞に表現される、主たるCD抗原であるCD56が低下しており、 慢性的ストレスによる免疫力低下が示唆された。また、睡眠時間が6時間未満の群が8時 間以上の群に比べてCD56が低下しております。ただし、この研究は、週労働時間に通勤時 間が含まれている点、また対象者数も150人前後と、少ない点、CD56の割合の個人差や、 年齢、CD56と喫煙の因果関係があるのですが、この喫煙等が調整されていないということ で、過重労働そのものによる健康障害のエビデンスとしては、不十分であったと。  また、スウェーデンにおける3万人を対象とした死亡原因登録調査の結果などに基づく 研究では、女性で長時間労働群、これは週5時間以上の者の場合は、全死亡率が有意に高 かった。また、40歳未満の若年者を解析したものではなく、結核の感染リスク等の個々の 疾患別死亡率については不明でございます。  よって、これらの研究をもって、ある一定の週労働時間を超える者が、免疫力の低下を 来たし、結核等の感染リスクが高くなるとまではいえないが、一般に長時間労働による睡 眠不足等は、結核の感染リスクを高める場合があると考えられることに留意が必要である とされています。以上です。 ○相澤座長 ありがとうございました。甲田先生がお調べいただいたもので、熱心だった ものですから、急に文章が増えましたが、直接レントゲンの所見に現われるというもので はないですね。免疫が落ちるとか、全死亡が増えるとか、そういうことですので、これは どうするかですね。取り上げるべきなのか、こういった所見があったということですがい かがさでしょうか、何か。過重労働の方にレントゲンを撮るという、直接なエビデンスは ないですね。よろしいでしょうか。 ○土肥委員 特定業務従事者では、深夜業が入ってくることになりますよね。それと、深 夜業を入れて、過重労働を入れないという考え方を整理する際に、深夜業があっても、過 重労働でなければ問題ないのだという考え方でよろしいですか。直接の関係はないのです が、一般的に過重労働をすると深夜まで働いていることが多いものですから。10時が深夜 の定義でございますので、そこら辺との関係は別に特別なものを言わなくてもかまわない。 あとで判断すると、産業医としては多少、労働者から見ると同じようなものに見えてしま う可能性があるので。 ○中央労働衛生専門官 確かに深夜業については、省令45条の特定業務従事者ということ でレントゲンを毎年実施することになっておりますので、多少オーバーラップするところ はあるのかと思いますけれども、今回過重労働といったところで、では一律に何時間以上 だったら明らかにというのは、なかなかエビデンスとしては難しいということで。 ○土肥委員 直接のものではないということですか。 ○中央労働衛生専門官 多少それに近いような免疫力の低下とかそういったニュアンスが 少し。エビデンスとしては不十分かもしれませんけれども、そういったものがあったので、 観点として示すべきなのかといったところで、留意が必要であると。前のところと同じよ うな書き方になっています。 ○相澤座長 先生、産業医をやっておられて、長時間労働の方で、レントゲン上所見があ るとかそういうことはありますか。 ○土肥委員 ほとんど関係ないと思います。実感として感じるものはございます。 ○相澤座長 そうですね。深夜労働もどうなのか。 ○土肥委員 関係ないです。深夜労働は明確に入っていることになっているものですから。 ○労働衛生課長 いまの文献等の結果からすれば、過重労働単体でなかなか条件として判 断するというのはおかしいのではないかと思いますが、この資料4のいちばん最初にも、 自他覚症状とありますけれども、前回の健診から1年間の間に過重労働の実績というか、 既往があるような人については、特に入念に自覚症状を確認するとか、そういうことはい るのかなと思いますが、過重労働対策が全般として、レントゲンだけで、ほかの項目もか らめてやってみなければ、あまり意味がないというような判断です。ご意見があろうかと 思いますが。 ○相澤座長 土肥先生の実地の。 ○土肥委員 別に過重労働の方の胸部エックス線が必要だとは思わないのですが、整合性 の中で、一方で深夜業があり、一方で何もないということでいいのだったら、本当だった ら本心は深夜業務を外してほしいと感じるぐらい。ほかの粉じん作業については当然その とおりだと思います。深夜業が入ってくると大量な方々が入ってくるなということですか ら、そこで逆にエビデンスが本当にあるのかという気がしたのですが。過重労働について は、特に必要だと理解しているわけではございません。 ○相澤座長 ほかの先生方、何か過重労働でレントゲンをやるべきだとか、そういうご意 見はありますか。 ○山口委員 過重労働は検討したのですけれども、この中で優先順位が高いものを先に、 重点的にすべきというような考え方のほうがわかりやすいのではないですか。循環器系の ほうも。 ○相澤座長 ありがとうございます。ほかにご意見ありますか。よろしいですか。それで は生活歴ですね。 ○中央労働衛生専門官 生活歴、特に喫煙歴ですが、40歳未満の若年者において、呼吸器 疾患等に係る自他覚症状、既往歴がある者を除き、現に喫煙をしている者及び過去に喫煙 をしていた者で、一定の喫煙歴を要する者に関する文献等の検索を行ったが、特に結核の 感染リスクを初めとする、呼吸器疾患等の危険性が高いとするものは発見されなかったと いうことです。 ○相澤座長 喫煙歴については特に文献がなかったということでございます。いかがでし ょうか。生活歴だと喫煙と飲酒というのがありますが、特に喫煙の関係で調べたけれども、 何もなかったと。 ○坂谷委員 生活歴、喫煙歴ではないのですが、一般的にこの頃、事業所にも身体障害者 を雇いますよね。それで腎透析をやっている方、糖尿病の方、何らかの免疫異常とか、リ ウマチであるとかいうことで、ステロイドを飲んでいる方では肺結核の罹患率が高いです よね。そういう人たちには、そういうベースがない人と、区別というか差別するのはいい のか悪いのか。これはそれぞれの基礎疾患を見てもらっている診療のほうで考えるべきな のか、会社の健診で面倒を見るべきなのかわかりませんが、健康管理としては、ベースの ある労働者に対しては、特に注目してあげるべきだということは言えると思います。 ○相澤座長 先ほど既往歴というのがありましたが、いまの腎透析とかそういうのも入っ ているのですか。 ○中央労働衛生専門官 そうですね。資料によると、レントゲン上でわかるような疾患と なっていると思うのですが、ただし、坂谷先生がおっしゃったように、免疫力がもともと 基礎疾患で落ちている方へのリスクというところは、その点については定かじゃないです。 ○坂谷委員 安衛法上で面倒を見るべきであるという話ができるかどうか、ちょっとわか りません。 ○相澤座長 そうですね。 ○土肥委員 呼吸器疾患等、自覚症状及び既往歴の「呼吸器疾患」は「既往歴」にもかか っている言葉という理解でよろしいですか。 ○労働衛生課長 「それらの」というところで記載しています。 ○土肥委員 安衛法上は既往歴という言葉があって、現病歴という言葉はありませんから、 既往歴という言葉が入ってくれば、病歴全体を指しているものだという理解をするのでよ ろしいのかなと思うのですが、呼吸器疾患等に係るとは思わなくて、病歴を判断してやり なさいという意味かなと捉えていたのですが、これはそういう意味ではないのですか。 ○相澤座長 資料2の(1)の(1)。確かに「等」と書いてありますが、「呼吸器疾患、循環器 疾患等に係る」と。 ○土肥委員 資料4も、いきなりもう。これも係っているという意味なのですか。呼吸器 疾患等の自覚症状及び既往歴は。 ○労働衛生課長 これは18年のあり方検討会と19年の調査研究の流れで既に整理されて きたものとして記載していますので、以前の報告書ではどう想定してあるか、ちょっとい ま確認します。 ○中央労働衛生専門官 参考資料2の相澤先生のほうで主任研究者として実施されており ました、調査研究の報告書の抜粋の21頁の3行目ですが、「結核の感染も含めて、呼吸器・ 循環器疾患等の罹患を疑う自他覚症状(3週間以上続く咳や痰のほか慢性の呼吸器症状が あり微熱を伴うもの、又は胸痛、胸部不快感、息切れ、動悸、息苦しさ、倦怠感等)や既 往歴(胸部エックス線検査で異常所見が認められた疾患等に限る。)が認められる者」とい うことでご提言をいただいておりますので、それに基づいて記載をしています。 ○相澤座長 腎透析等は入らない感じですね。どうでしょうね。それ以外の疾患について も、安衛法の健康診断で見ていくかどうかですね。入れるのはいいのですが、またこれを 逃がしてしまうと責任というか、そういったこともありますし。患者さんが言わないこと もあるでしょうね。把握できないこともあるでしょうね。 ○労働衛生課長 一般的には先ほど挙げられたような、その基礎疾患で必要となってくる 検査は診療報酬でも必要な検査として当然認められるわけですので、健康診断として安衛 法を根拠にやることは、なかなか示しづらいのかなと考えられるところではあるのですが。 ○坂谷委員 そうだと思います。診療されているわけですから、保険で面倒を見ることで。 職場の健康診断が責任がある話ではないと私も思います。 ○今村委員 整理はそれでよいと思うのですが、産業医の先生は診療されている場所で、 そういう検査を受けていて、ご本人に異常はなかったとかあったとか、そういう情報は入 らないわけですよね。先ほどもご指摘いただいたように、働いている現場でそういう薬を 使っていて、当然リスクがあるから取る、取らないというような判断がある中で、診療の ほうではそういう情報があると、産業医はわからないということに結局はなるのですよね。 ○土肥委員 私は例えば結核感染リスクの高い人たちを産業医に判断させるというプロセ スを踏むのであれば、当然Aさんがもしも申告していれば、リスクが高い人だと考えてや るという選択肢があるべきだと思ったので、既往歴を考えてやってくださいという言葉で もいいのかなと思ったのですが、現状は入っていないということなので、何らかの形で「等」 とかリスクの高い方をするということについて、それはできるようにしておいたほうがベ ターではないか。例えばステロイドを飲んでいる方が外国人労働者と一緒に仕事をしまし たと。ステロイドを飲んでいる方が結核に感染しましたと。これは事業主は安全配慮義務 をちゃんと履行したのかと言われたときに、クエスチョンがつくことが出てくると思うの で、当然ご本人が申告されていて、病歴が明確であって、することが適当だと思えば、で きる範囲で入れておいたほうが、ベターではないかと考えます。確実に外していいかでは なくて、何らかの理由で判断できる方の中に、病歴によっても判断できるべきではないか と考えます。それをするかしないかは別ですけれども、絶対とか、絶対しなくてはいけな いとか、しなくていいというグレーの中には入っても、私はいいのではないかと思います。 ○坂谷委員 そもそも産業医の先生が、従業員のすべての持っている病気を把握されてい る。 ○土肥委員 すべてを把握していませんが、申告されることはあって、知ったとしたらそ こで安全配慮義務が働くというのが、いまの労安法の考え方だと思います。知ればリスク がある方も何らかの対応ができるという仕組みが、私はベターではないかと思います。 ○坂谷委員 本人が隠しておられることに対してまで責任が持てない。本人がちゃんと申 告されている場合には、それについて何らかの対応がされて然るべき。 ○土肥委員 べきではないかと。障害者雇用のほうは病気を明確にして入ってこられる方 がたくさんいらっしゃるわけですから、その辺は何かできるし、私はベターではないかと 考えます。 ○相澤座長 どうしましょうか。ご意見が分かれましたが。 ○労働衛生課長 いまのご意見をいただいて、少し法律上の整理と、例えば何らかのきっ かけで申告なり知った場合の対応というのはどう取るべきか、整理した上で結論的な文章 を考えてみたいと思います。 ○相澤座長 ありがとうございました。それでは、次が就業形態ということですが。 ○中央労働衛生専門官 資料3の7頁です。派遣や短時間労働等の特殊な就業形態の労働 者に関する文献等の検索を行ったが、結核の感染リスクをはじめとする、呼吸器疾患等が 高いとするものは発見されなかった。なお、フィンランドにおける約9万2,000人を対象 としたコホート調査では、非正規雇用群での総死亡が男性では1.61倍、女性では1.24倍 と高く、アルコールに関連した疾患と喫煙に関連した疾患の死亡が高かったが、両研究が 性や年齢のほかに、職や給与も調整していることから、非正規雇用の何が死亡に影響を与 えたかは不明であった、といったものです。 ○相澤座長 ありがとうございました。特にパートタイムあるいは非正規雇用者のリスク が高いのではないかということです。ただ、胸部エックス線の検査で引っかかる病気が高 いというのは、見つからなかったということです。これは土肥先生、よろしいですか。 ○土肥委員 健康状態ちょっと……派遣法と同じ、労働衛生安全法にかかりますし、短間 労働者についてもいまのガイドラインで2分の1や3分の2という基準がかかってくると いう前提でよろしいわけですよね。 ○中央労働衛生専門官 そうですね、あくまでも4分の3以上は実施の義務があって、2 分の1以上は指導ベースですけれども。 ○土肥委員 やったほうがいいよという前提でいるわけですね。 ○相澤座長 それではその次が受動喫煙です。 ○中央労働衛生専門官 資料3の8頁の(4)ですが、受動喫煙と結核の感染リスクの関連性 について文献等の検索を行ったが、結核の感染リスクが高いとされるものは発見されなか ったといったものです。 ○相澤座長 このとおりでございますが、よろしいですか。胸部エックス線の行政指導に ついてお願いします。 ○中央労働衛生専門官 (5)胸部エックス線検査が早期発見に有効な呼吸器疾患が疑われ る行政指導の健診ということで、特殊な業務における行政指導の健診で、胸部エックス線 検査が早期発見に有効な呼吸器疾患の障害が疑われるものの有無について検討したが、既 に胸部エックス線検査を規定しているもの以外については特に必要性は認められなかった。 ○相澤座長 ありがとうございました。これは振動とか、騒音とか、そういうものですか ね。特にレントゲンが必要だというのはなかったということですが、よろしいですか。あ りがとうございました。それではそのあとのこと。8頁の「なお」というのがありますが。 ○中央労働衛生専門官 これは、資料4の(1)の胸部エックス線検査の必要性が特に指摘さ れた対象者というところで、ご紹介したところです。 ○坂谷委員 「なお」以下の4が挙っているのは当然なのですが、じん肺に関しましては、 データを忘れてますけれども、実際40歳以下で、じん肺健診を省くわけにはいかないので すが、40歳以下でじん肺を発症した人というのは、いま、ないですよね。だから、もし粉 じん職場に18歳ぐらいから従事しておられて、40歳までにじん肺のような陰が出てきた ら、じん肺以外のことをまず考えるというのが当たっていると思います。ここに書くのは いいですけれども、中身はそういうことだろうと理解した上での記載だと思うのです。も し、じん肺を発生したとしたら、その事業所が非常にけしからんわけで、粉じん対策をち ゃんとやっていないということに問題がある。そっちのほうに問題があるわけだから。 ○相澤座長 これは決まっていますので、一応このままにしましょうか。ありがとうござ いました。いままで何かもう1回考えてほしいというご意見がありましたらお伺したいと 思いますが、よろしいでしょうか。事務局からご検討いただいた意見の集約について、確 認をお願いします。 ○中央労働衛生専門官 資料4を中心にご確認させていただきたいと思います。(1)につい ては、概ねご了承をいただいたものとして、ただし、土肥先生からご提案がありましたよ うに、呼吸器疾患等に係るもの以外で、既往歴等、免疫の疾患とか、そういったものが把 握できたものに対する対応については、こちらのほうでまた検討させていただいて、懇談 会報告書(案)のような形でお示しさせていただいて、ご確認いただきたいと考えており ます。  (2)の(ア)の部分の、業務についてと、事業場と地域の関係についてと、海外地域への 勤務歴、滞在歴等につきましては、なかなか一律にというところで示すのは難しいけれど も、結核の感染のリスクが高いという意味では、留意すべきといったところで、何らかの 形で観点等を示すような対応が望ましいのではないか、とされたところかと思います。(イ) の肺がん、(ウ)の慢性閉塞性肺疾患、(エ)の呼吸器疾患につきましては、特に疫学的特 徴等もなかったということでよろしかったと思います。  (オ)のサルコイドーシス、縦隔腫瘍については、確かに40歳未満でレントゲンで発見 されるということでは、割合としては高いものの、そもそもの罹患率等が10万人に1人あ たりといったところで、胸部エックス線検査を一律に実施する意義としては低いのではな いかと理解しております。ロ)の過重労働につきましては、一部免疫力の低下等を示唆す るような文献等もありまして、一律に一定の時間以上で、胸部レントゲンを実施すべきと いったところは、なかなか示すところは難しいのではないか。ただし、留意すべき観点と しては、過重労働というところもあるのではないか、といったところだったと思います。 ハ)の生活歴、特に喫煙歴、ニ)就業形態、ホ)受動喫煙の職場、ヘ)胸部エックス線検 査が早期発見に有効な呼吸器疾患が疑われる行政指導の健診につきましては、特にこれと いって一律に示すものはないのではないかということで、よろしいかと思います。以上で ございます。 ○相澤座長 ありがとうございます。全体にわたりまして、何かご意見がありましたらお 願いしたいと思いますが。 ○土肥委員 私が申し上げたのは、ここに書いてある文章以外に、産業医が判断する中で、 既往歴についても考慮すべきだという中に入れていただければいいので、この文章そのも のを特別変えることが必要だと申し上げているのではなくて、免疫抑制剤等も疾患によっ ては当然考慮すべきだということを、下の項目に入れてよろしいかと考えます。 ○中央労働衛生専門官 ありがとうございます。 ○相澤座長 よろしいでしょうか。 ○加藤委員 今回胸部レントゲン写真は省略ということになって、それには全く異存はな いのですが、若年層の結核がかなり、患者側から見ると胸部レントゲンで見つかった部分 はあるわけですね。発見効率からいってもレントゲンで発見するような状況ではないとい うことで、今回の改正は当然のことでありながら、実際は発生する患者がいますので、患 者発見のところとして、症状のある人は早く受診、あるいはその職場環境として、咳とか そういう自覚症状がある人は、受診できるような環境を整えるのは、非常に大事というこ とで、これは是非制度改正とともに、もう一度周知していただくようにお願いしたいと思 います。 ○相澤座長 大変貴重なご意見をありがとうございます。ほかにはありますか。それでは 今後の進め方について事務局からお願いします。 ○中央労働衛生専門官 先ほども申し上げましたように、本日のご議論を踏まえまして、 一旦事務局のほうで報告書(案)を作成させていただいて、後日、各委員にご確認いただ きたいと考えております。今後の対応等につきましては、課長よりお礼の挨拶も含め、改 めてご説明させていただきたいと思います。 ○労働衛生課長 当初予定しておりましたのが、2回の懇談会でしたので、ここで一旦お 礼を含めまして、今後の対応等についてご説明させていただきます。委員の皆様におかれ ましては、大変お忙しい中、この懇談会の委員としてご議論いただきましてありがとうご ざいました。また、一部の委員は、調査研究委員会のメンバーとしても、非常に短い時間 の中、夏休み期間をさいていただきまして、文献の収集や解析等に当たっていただきまし てありがとうございました。調査研究委員会から、この懇談会までの日数が若干少なかっ たこともありまして、最終的な調査研究委員会として報告書として提示することはできま せんでしたが、その確定版を提示するとともに、本日また新たにご議論いただきました内 容を含めまして、細かい修正、表現ぶりは、座長にご一任いただくとして、この懇談会と しての報告書(案)を作らせていただきたいと思っております。見ていただいて、特段問 題なければ、それで結論としたいと思いますが、もしさらなるご議論が必要ということに なった場合におきましては、3回目としてまた懇談会を開催させていただきたいと思いま すので、そうなった場合におきましては、またよろしくお願い申し上げます。また、その ようなことで今後の対応を考えておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとう ございました。 ○相澤座長 いま、課長から今後の進め方についてお願いがありましたが、そういうこと でよろしいでしょうか。もしかすると、3回目があるかもしれないということです。それ では異議がないようですので、事務局のご提案どおりとさせていただきたいと思います。 本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして、また、活発なご意見をいただきしまし て、どうもありがとうございます。これで終了いたします。 (照会先) 労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健班 03-5253-1111(内線5181, 5495)