09/08/28 平成21年8月28日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年8月28日(金) 16:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(13名)五十音順    飯 沼 雅 朗、○内 海 英 雄、 大 石 了 三、 加 藤 総 夫、    佐 藤 田鶴子、 清 水 秀 行、 成 冨 博 章、 西 澤   理、    野 田 光 彦、 林   邦 彦、 檜 山 行 雄、 本 橋 伸 高、    山 本 一 彦 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(6名)    千 葉   勉、 手 島 玲 子、○永 井 良 三、 古 川   漸、   ◎松 井   陽、 村 田 美 穂 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    成 田 昌 稔(審査管理課長)、    森   和 彦(安全対策課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    平 山 佳 伸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、    赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催さ せていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。現 在のところ、当部会員数19名のうち13名の委員の御出席をいただいておりますので、定 足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また、千葉委員、手島委員、永井委員、 古川委員、松井委員、村田委員からは欠席との御連絡をいただいております。したがいま して、本日の進行を内海部会長代理にお願いしたいと存じます。内海委員、以後の進行を よろしくお願いいたします。 ○内海部会長代理 ただ今事務局から説明がありましたように、本日部会長の松井先生が 御欠席ですので、私が進行を務めさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願いい たします。  本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品 目・競合企業リストについて報告を行ってください。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日は席上に議事次第、座席表、当 部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載のある資料No.1〜12をあらかじめ お送りしております。このほか、資料No.13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、 資料No.14「専門委員リスト」、資料No.15「競合品目・競合企業リスト」を配付しておりま す。また、資料No.8の「医薬品ワルファリンK細粒」の資料に一部誤記があったため、資 料8-2として正誤表を配付しております。過不足等がございましたら事務局までお申し付 けください。  続きまして、本日の審議事項に関する資料No.15「競合品目・競合企業リスト」について 御報告いたします。各品目の競合品目選定理由について、資料No.15を御覧ください。  1品目目は審議事項議題1、シムビコートに関してです。本剤は副腎皮質ステロイドと 長時間作動型β2刺激薬との吸入配合剤であり、効能・効果は気管支喘息です。ここに記 載のあるアドエアは本剤と同様の効能・効果を有し、かつ、現在唯一承認されているステ ロイドと長時間作動型β2刺激薬との配合剤です。またKRP-108も同様の配合剤として現 在開発中ですので、この2品目を競合品目として選定されています。  続いて2ページ、議題2、フエロンとレベトールカプセルについてです。本剤は「C型 慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」を目的とした併用療法です。このC型慢性肝炎に 関する標準的治療法であるリバビリン製剤との併用療法の適用を有するものとして、既承 認のものが3品目ございますが、ペグイントロン皮下注用とイントロンA注射用は、今回 の申請者であるシェリング・プラウ株式会社が製造販売していることから除外し、残りの 1品目であるペガシス、コペガス錠を競合品目として挙げてあります。  3ページ、議題3はベイスン錠です。本品目は耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑 制薬ですが、この効能・効果を有する薬剤は、現在、国内には存在せず、また、開発中の 薬剤に関する情報も入手できなかったということから、競合品目はなしとなっておりま す。  続いて4ページ、議題4、アサコール錠についてです。本剤は、潰瘍性大腸炎(重症を 除く)の効能・効果で申請された品目で、メサラジンを有効成分とする経口剤ですが、こ の申請品目と同様の効能・効果を有し、有効成分等が同一である品目としてペンタサ錠が ございます。また、同様の効能・効果で、かつ、この有効成分がメサラジンの誘導体であ るサラゾピリン錠を競合品目としております。併せて、本申請品目と同様の効能・効果、 有効成分及び投与経路を有するものとして、競合品目3として記載してあるAJG501が現 在開発中とのことですので、これら3品目が競合品目として挙げられております。  続いて5ページ、議題5、アドシルカ錠です。これは肺動脈性肺高血圧症を効能・効果 とする経口治療薬であり、その主たる作用機序は、ホスホジエステラーゼ5阻害作用です。 したがって、本剤の効能・効果及び投与経路、薬理作用等から見た競合品目の候補として、 レバチオ錠、トラクリア錠、ケアロードLA錠/ベラサスLA錠及びドルナー錠/プロサイ リン錠がございます。これらのうち、レバチオ錠については作用機序が同一であること、 トラクリア錠については、経口治療薬として使用頻度が高いこと、ケアロードLA錠/ベ ラサスLA錠は、もう1グループのドルナー錠/プロサイリン錠と同じ有効成分です。こ こには、企業からは最近承認された品目であるとあります。その理由はさておき、ケアロ ード/ベラサス錠、及びドルナー錠/プロサイリン錠は、いずれもアステラス、東レ、科研 製薬株式会社が関係企業ですので、結論としてはこれら3品目で妥当であろうと考えてお ります。  6ページ、議題6、プログラフカプセルです。本剤の今回の申請に当たっての効能・効 果は、重症筋無力症です。この申請は、現在の効能・効果である全身型重症筋無力症(胸 腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場 合)に対して、それ以外の重症筋無力症患者への適用拡大を目的としたものです。  本剤と同一の作用機序を持つ免疫抑制剤としてネオーラルが既にございますが、このネ オーラルの効能・効果は、胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、 又は副作用により困難な場合に限られておりまして、今回の効能追加に係るものは有して いないため、競合品目はなしとなっております。  続いて資料の7ページ、議題7、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンの希少 疾病用医薬品の指定です。今回の希少疾病用医薬品の指定につきましては、全身型重症筋 無力症(胸腺摘除術、ステロイド剤又はステロイド以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない 場合に限る)を予定効能・効果としております。この全身型重症筋無力症に関する標準治 療として、胸腺摘除術、並びにステロイド剤や免疫抑制剤による根治を目指すものです。 しかし、本剤はこれら既存の治療が無効な例に対して用いることを目的としております。 こういった場合は現在、血液浄化療法、静注用人免疫グロブリン製剤療法、あるいはメチ ルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法が施行されることとなっております。しか しながら、それらのうち血液浄化療法は薬物療法でないこと、また、ステロイドパルス療 法に用いられるメチルプレドニゾロンは現在、重症筋無力症の効能を有していないという ことから、競合品目はなしとなっております。  続いて8ページ、議題8、ワルファリンK細粒0.2%に関する毒劇薬の指定についてで す。本剤の有効成分であるワルファリンカリウムを含有する製剤は、エーザイ、ニプロフ ァーマ、大洋、富士製薬、日新が既に承認を取得しております。いずれにしても効能・効 果及び用法・用量は同一であり、細粒についても同一であるということから、これらの品 目のうち、2005年の報告を参考にして、売上高上位3品目が競合品目として選定されて おります。以上です。 ○内海部会長代理 ただ今の事務局からの説明について、何か御意見はございますか。よ ろしければ、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合リスト」については皆様方の御 了承を得たものとさせていただきます。  続きまして、委員からの申出状況について事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 各委員からの申出状況について御説明いたします。議題1、シンビコートター ビュヘイラーについて、退室委員は西澤委員、議決には参加しない委員は本橋委員です。 議題2、フエロン及びレベトールに関して、退室委員はいらっしゃいません。議決には参 加しない委員は林委員、山本委員です。議題3、ベイスンにつきまして、退室委員は大石 委員、西澤委員、議決には参加しない委員は野田委員、山本委員です。議題4、アサコー ルについて、退室委員は加藤委員、議決には参加しない委員は西澤委員、本橋委員、山本 委員です。議題5、アドシルカについて、退室委員は大石委員、西澤委員、議決には参加 しない委員は成冨委員、本橋委員、山本委員です。議題6、プログラフにつきまして、退 室委員は大石委員、西澤委員、議決には参加しない委員は成冨委員、本橋委員、山本委員 です。議題7、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンの希少疾病用医薬品の指定 について、退室委員、議決には参加しない委員、ともにいらっしゃいません。議題8、ワ ルファリンカリウムの毒劇物薬指定について、退室委員はいらっしゃいません。議決には 参加しない委員は西澤委員、山本委員です。 ○内海部会長代理 ただ今の各委員からの申出状況については、よろしいでしょうか。  本日は審議事項が8議題、報告事項が4議題です。それでは議題1に入ります。西澤委 員におかれましては、議題1の審議の間別室で御待機いただくことといたします。よろし くお願いします。 ── 西澤委員退室 ── ○内海部会長代理 議題1について、医薬品機構から概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料No.1、シムビコートタービュヘイラー30吸入、同60吸入の製造販 売承認の可否等について、機構より説明いたします。  本剤は、合成副腎皮質ステロイドであるブデソニドと、長時間作動型β2刺激薬である ホルモテロールフマル酸塩水和物を有効成分とする喘息治療用の新規の吸入用配合散剤 です。各配合成分につきまして、本邦では、ブデソニドの吸入製剤であるパルミコートタ ービュヘイラー及びパルミコート吸入液が気管支喘息の効能・効果で既に承認されてお り、ホルモテロールについては、吸入剤は承認されておりませんが、山之内製薬により開 発された錠剤及びドライシロップが気管支喘息等に係る効能・効果で承認されておりま す。  海外において、本剤は、2009年4月現在、気管支喘息の適応では105か国で承認され ております。本申請の専門委員としては、資料No.14に記載されている7名の委員を指名 いたしました。  主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書33ページ、(3)第III 相試験の項を御覧ください。第III相試験として、成人気管支喘息患者346例を対象に、本 剤、すなわち1吸入中にブデソニド160μgとホルモテロール4.5μgを含有する配合剤を 1回1吸入、1日2回8週間投与した際と、パルミコートタービュヘイラー200μg1回1 吸入及びテオフィリン徐放錠1回200mgを併用で1日2回8週間投与した際の有効性及 び安全性を比較検討する並行群間比較試験が実施されております。その結果、33ページ の表11に示すとおり、主要評価項目である朝のピークフロー値の平均変化量は、本剤群 15.2L/min、パルミコート・テオフィリン併用群6.5L/minであり、本剤群の併用群に対す る優越性が検証されており、機構は、気管支喘息に対する本剤の有効性は確認されている ものと判断しております。  次に、本剤の安全性について説明いたします。37ページの上から4行目(1)以降を御覧 ください。喘息症状のコントロールにおいては吸入ステロイドが薬物療法の中心的位置付 けとなっており、重症度に応じて吸入ステロイドの用量を増減し、必要に応じて気管支拡 張薬等を併用する治療が通常行われております。本剤の用法・用量は、1日量として、ブ デソニド320μg及びホルモテロール9μgを通常用量とした上で、症状に応じて、ブデ ソニド1,280μg、ホルモテロール36μgまでの増量を可能とすることが予定されており、 ブデソニドとともに、ホルモテロールの用量も増減することになること、ホルモテロール 単剤での国内第II相試験では、ホルモテロールの増量に伴いβ刺激薬の薬理作用に関連す る動悸・振戦等の有害事象の発現率が上昇する傾向が見られること、また、本邦ではホル モテロールの吸入剤としての投与経験が限られていることなどから、本剤の安全性につい ては、増量時のホルモテロールに対する忍容性を中心に検討を行っています。国内及び海 外臨床試験において、β刺激薬の薬理作用に起因する有害事象のため、投与中止、減量等 に至った症例の割合を検討した結果、通常用量で実施された本剤の国内第III相試験におい て中止に至った症例はなく、適宜増減しながら実施された長期投与試験では、中止又は減 量例は138例中11例(約8%)であったこと、また12行目以降、(2)として示している海外 試験においては、例えば投与期間が最長52週間の試験では、本剤の最高用量群で振戦・ 筋痙攣等が29.3%発現していますが、そのうち中止例は3.8%であったこと、また、増量 に伴いこれらの事象が重篤化する傾向は見られていないことなどから、個々の患者の状態 が慎重に観察される場合には、増量時の忍容性は許容できるものと機構は判断しておりま す。ただし、国内では最高用量が投与された症例が限られていることから、製造販売後調 査において、最高用量の長期投与時等の安全性を重点的に検討する必要があると考えてお ります。  4ページの表1を御覧ください。本剤の吸入器の基本的な構造及び機能は既存のパルミ コートと同様ですが、若干の変更が加えられたことに伴い、吸入器から放出されるブデソ ニドの量(delivered dose)に違いが生じておりまして、本剤では160μg、パルミコート タービュヘイラーでは140μgです。両剤間のdelivered doseの相違については、6ペー ジの2〜7行目に記載しておりますとおり、海外臨床試験により、有効性及び安全性に大 きな影響を及ぼすものではないことが確認されております。また、パルミコートのブデソ ニド用量は容器内で量り取られる量であるmetered doseに基づき200μgと表記されてお りますが、本剤ではmetered doseが測定できない構造のため、delivered doseに基づき 160μgと表記されております。この相違に伴い、両剤の切替え時等に用量が誤認される 可能性が懸念されることから、添付文書や医師向け資材に両剤の用量対応表等を記載する など、十分な注意喚起を行うよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御 審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新医療用配合剤であることから、再 審査期間は6年とすることが適当と判断しております。また、本剤は生物由来製品及び特 定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬・毒薬いずれにも該当しないものと判 断しております。薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い いたします。 ○内海部会長代理 委員の先生方から御意見、御質問等をお願いいたします。 ○山本委員 ホルモテロールの単独試験で、この用量依存性がよく分からないのですが、 その辺について御説明をお願いいたします。 ○機構 ホルモテロールの単独での試験成績は、報告書の31ページの(4)後期第II相試験 に記載しております。本試験は、主要評価項目として朝のピークフローに基づく評価が行 われております。この朝のピークフローに基づく評価では9、18、それから36μgの間で 用量反応性は見られておりません。いずれの用量も、プラセボに対しては有意差はついて おりますが、用量間での反応性は見られていないという状況です。  一方、36ページの表12として、副次評価項目も含めた結果を載せておりますが、副次 評価では、喘息コントロール日数、短時間作動型のβ刺激薬の使用頻度、無症状日数にお いて36μgでほかの用量に比べて有意な成績が得られています。これらの成績も踏まえて 検討し、用量依存性が認められるという評価をしております。 ○内海部会長代理 山本委員、よろしいでしょうか。 ○山本委員 はい。 ○内海部会長代理 ほかに、いかがでしょうか。 ○清水委員 表記の問題が一つ大きな問題になってくるかと思うのです。パルミコートか らこの製剤に切り替えて治療されるケースが今後増えてくるだろうと思うのです。説明に もありましたように、140μgと160μgの違いで臨床上大きな問題はないという報告がこ こになされているわけですが、実際に臨床でその切り替えdoseを考えるときに、先生方 が速やかに、間違いなく切替え量が判断できるようにすること。また患者自身も、もらっ たものの表記が違ってくると、薬が減ってしまったのかということで不安に思われるとい うこともあろうかと思うので、そこのところの教育資材等の手当については今後十分御指 導いただければと思います。  一点確認なのですが、英国での表記は200の60というような表記で市販化されている と思うのですが、それは英国ではデバイスが古いタイプのもので発売されているからなの でしょうか。 ○機構 デバイス自体は同じものが使われているのですが、英国の場合は、添付文書等で はパルミコートと同一の表記を行っているという状況のようです。ただ、EUは全体的に delivered doseに統一するという方向になっているようですので、ほかの国では、ほと んどdelivered doseで表記されていると思います。 ○内海部会長代理 清水委員、よろしいでしょうか。 ○清水委員 はい。 ○内海部会長代理 ほかに、いかがでしょうか。  ただ今から議決に入ります。本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づ いて、議決への参加を御遠慮いただくこととしております。本議題につきまして、承認を 可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ○内海部会長代理 議題2に入ります。議題2について、医薬品機構から概要を説明して ください。西澤委員はお入りください。 ── 西澤委員入室 ── ○機構 議題2、資料No.2-1及び2-2、医薬品フエロン注射用600万等の製造販売承認事 項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。  C型慢性肝炎に対しては、インターフェロン アルファ-2bとリバビリンの併用により、 インターフェロン アルファ-2b単独投与に比べてウイルス陰性化率が高くなることが確 認され、本邦においては2001年11月に、インターフェロン アルファ-2b及びレベトー ルカプセル200mgに対し、併用による「C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」の効 能・効果が承認されております。申請者は、インターフェロン アルファ-2bと同様にC 型慢性肝炎に対する効能を有するインターフェロン ベータについても、リバビリンを併 用することにより単独投与に比し高い有効性が得られることを期待し、本併用療法の開発 を開始いたしました。  フエロンは国内のみで開発、承認がされており、2009年6月現在、海外での承認国は ございません。また、リバビリンを有効成分とするレベトールカプセルは、2009年6月 現在、C型慢性肝炎に対する承認を87か国で取得しておりますが、インターフェロン ベ ータとの併用療法については、いずれの国においても承認はされておりません。  本併用療法の申請に係る専門協議では、本日の配付資料No.14に示されているような専 門委員が指名されております。以下、本併用療法の有効性及び安全性について、臨床試験 成績を中心に説明いたします。  主な臨床試験成績としては、投与期間を24週間とした01試験成績と、うつ病の既往歴 等によりインターフェロン アルファ製剤の投与が困難と判断されたC型慢性肝炎患者 を対象に、投与期間を48週間とした02試験の中間成績が提出されております。  まず、報告書15ページ中段の審査方針を御覧いただきたいと思います。01試験はイン ターフェロン アルファ-2bとレベトール併用群を対照とする比較試験として24週間の 投与期間で実施されましたが、現在、国内C型慢性肝炎患者の多数を占める「セログルー プ1かつ高ウイルス量」の患者に対するインターフェロン製剤の標準的な投与期間は48 週間とされており、インターフェロン ベータ・リバビリン併用療法の評価を行うに当た り、24週間投与で行われた01試験成績のみでは必ずしも十分ではないと考えました。  しかし、C型慢性肝炎は不可逆的かつ進行性の病態をたどり、また、本邦における主要 な患者層は高齢化しているため早急に対応が必要であるが、インターフェロン ベータ・ リバビリン併用療法の48週間投与時の有効性を確認するための検証試験を実施するには 長期間を要すること、PEGインターフェロン アルファ製剤やインターフェロン アルフ ァ製剤の投与が困難な患者に対しウイルス血症を改善する治療法はインターフェロン  ベータ単独療法しかない等を勘案し、有効性及び安全性に関する主要な評価は01試験に より行うこととし、補足的な情報として、うつ病等の既往によりインターフェロン アル ファ製剤の投与が困難と判断された患者を対象にした02試験における忍容性及び安全性 情報を使用することといたしました。この点については、専門委員の先生からも御同意を いただいております。  有効性に関してですが、01試験の対象とされた患者のウイルス量、ウイルスタイプ等 に係る内容については報告書10ページの表1、また、有効性の結果については報告書11 ページの表4を御覧ください。01試験において、主要評価項目である投与終了24週時点 におけるHCV-RNA陰性化率について、対照群であるインターフェロン アルファ・リバビ リン併用群の成績と比較した結果、インターフェロン ベータ・リバビリン併用療法の一 定程度の有効性は期待できると判断いたしました。  安全性に関しては、報告書の12ページの表5及び表6を御覧ください。01試験を評価 した結果、対照群であるインターフェロン アルファ・リバビリン併用群と比較して、イ ンターフェロン ベータ・リバビリン併用群において特異的な有害事象は認められていな いため、既存のインターフェロン アルファ・リバビリン併用療法と同様の注意を払うこ とで安全性上新たな問題が生じる可能性は低いと考えました。  報告書14ページの表9の下の文章を御覧ください。02試験において、うつ病等の既往 等によりインターフェロン アルファ製剤の投与が困難と判断されたC型慢性肝炎患者 を対象としておりますが、対照群を置かない1群のみの試験として実施されております。 主要評価項目である投与開始24週間後の投与中止率は8.6%であり、インターフェロン  ベータ・リバビリン併用療法は、多くの患者で投与を中止することなく24週間以上の継 続投与が可能であったことを確認いたしました。ただし、この成績をもって、うつ病の既 往等のあるC型慢性肝炎患者に対し、インターフェロン ベータ・リバビリン併用療法を 推奨することは困難であり、慎重な対応が必要であるということに変わりはないと考えま した。  なお、02試験は現在も実施中であるため、試験終了後、速やかに試験成績を報告する よう申請者に指示し、試験成績に応じ必要な対応をとることとしております。  報告書37ページ、表23を御覧ください。製造販売後調査に関してですが、臨床使用実 態下におけるうつ病、抑うつ状態等の精神神経症状などの副作用発現に関する安全性、有 効性を検討することを目的として、うつ病の既往歴等の問題を有する患者に対しては、精 神科の受診状況、精神症状の発現状況を重点評価項目として確認しておくことが計画され ております。  以上、機構での審査の結果、インターフェロン ベータ・リバビリン併用療法のC型慢 性肝炎患者に対する有効性は期待でき、安全性には既存の類薬と比較して特段の問題が認 められていないことから承認して差し支えないものと判断し、医薬品第一部会で審議され ることが適当と判断いたしました。なお、新効能・新用量医薬品であることから、再審査 期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定して おります。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○内海部会長代理 議題2につきまして、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいた します。 ○本橋委員 02試験についてはまだ途中ということかもしれないのですが、これは、現 在もうつ病で治療中の方も対象となっているわけですか。 ○機構 報告書の13ページを御覧いただきますと(2)の下に対象患者が記載されており ますが、対象患者としては、HCV-RNA量が高ウイルス量の患者で、うつ病の既往歴がある 患者、また、うつ病の合併症あるいはその疑いがある患者、さらにハミルトンのうつ病評 価尺度で対象患者を規定しております。ですので、現在もうつ病の既往がある患者さんも 対象としております。 ○本橋委員 治療中の方もいらっしゃるということですね。 ○機構 はい。 ○本橋委員 25ページの表19に、精神障害に関連した有害事象、発現状況というのが書 いてあるのですが、ここでは「うつ病」、「抑うつ気分」、「抑うつ症状」となっていて、 この辺が非常に混乱を招きそうな記載だと思うのです。それと、うつ病の既往のある人に 「うつ病発現率」というのは、新たにうつ病が発現したと考えたらよろしいのでしょうか。 この項目が、我々からすると分かりにくいと思うのですが。 ○機構 有害事象の項目に関してですが、まず、上がってきた有害事象をMedDRAに変換 してこちらに読み換えて挙げております。また、うつ病の患者にうつ病が起こった場合と いうのは、新たに起こった場合や症状がひどくなった場合にこういう形でうつ病と判断さ れていると理解しております。 ○本橋委員 項目については、工夫をした方が分かりやすくなるかなという気がします が。 ○内海部会長代理 ただ今の本橋委員の発言について、いかがでしょうか。表現として「新 たになった」とか、そういう表現をきちんとした方がいいのではないかということですが。 ○機構 今回このものに関しては臨床試験で上がって固定された事象名ですので、今回は こうなってしまうのですが、そういうものを明確に区別するようにするためには、試験前 にあらかじめ設定をしておけば、もう少し細かいものが分かったのではないかと思いま す。 ○内海部会長代理 「抑うつ気分」、「抑うつ症状」など、そこら辺が分かりにくいとい う御指摘もあったかと思いますが。 ○機構 そちらについては、臨床試験として先生方がCRFに記載していただいたものを MedDRAの基準に従って読み換えてこちらに上がっていると理解しております。 ○内海部会長代理 本橋委員、よろしいでしょうか。 ○本橋委員 今回はしょうがないとは思うのですが、この辺りはもう少し工夫して最初か ら試験を行わないと、余り意味がないのかなと。例えば、「気分変動」と「抑うつ気分」 の違いをどうとらえるのか。その辺をはっきりさせておかないと、出た結果が有効に使わ れないおそれがあるかなと思いました。 ○内海部会長代理 ただ今の御指摘は今回のことではなくて、今後そういうことが求めら れるということでよろしいでしょうか。 ○本橋委員 はい。 ○機構 先生がおっしゃることはもっともですので、今後こういったことを目的にする際 には注意していきたいと考えております。 ○内海部会長代理 ほかに、いかがですか。 ○成冨委員 うつというのは非常に判定が難しいのです。うつ病ないしは抑うつ気分の頻 度がコントロールと変わらないとしても、程度がどうであるか。例えば、ハミルトンのス コアで幾つ以上のものを「うつ」と判定しているのだと思いますが、このインターフェロ ンの治療で問題なのは、自殺までするような人が時々いますので、「うつ」の程度という のは変わりはなかったのでしょうか。 ○機構 臨床試験においては、自殺等は認められておりません。  02試験に関してはハミルトンの評価尺度も評価項目として入れておりました。ハミル トンの評価スコアの推移については、報告書26ページの表に記載しております。こちら については、今回インターフェロン ベータとリバビリン併用療法のものだけになってし まうのですが、投与することによってハミルトンのスコアが上昇していくというような傾 向は認められておりません。また、アルファとベータとの比較に関しては、重篤度に関し て今回の試験の中では特段目立った差があるというようなことは見えませんでした。 ○内海部会長代理 ほかに、いかがでしょうか。 ○清水委員 確認が一点なのですが、今回の併用の承認というのは24週までですか。そ れとも、24週は中位点であって48週までと解釈してよろしいのでしょうか。 ○機構 添付文書1.8を御覧ください。2ページの「使用上の注意」「重要な基本的注意」 の、右の段の4)においてリバビリンとインターフェロン ベータを併用する場合には、 24週間を超えて投与した場合の有効性及び安全性は確立していない、という形で注意喚 起しております。 ○清水委員 もう一度場所をお願いします。 ○機構 2ページの右の段の4)「本剤を長期投与する場合には」で始まる文章です。そ の中段辺りに、「C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善でリバビリンと併用する場合 には、24週間を超えて投与した場合の有効性、安全性は確立していない」という形で注 意喚起をさせていただいております。それで、今02試験が実施中ですので、48週間の成 績が出てきた後、こちらの記載について検討させていただければと考えております。 ○清水委員 平たく言うと、原則24週までで使っていただきたいということで解釈して いいわけですか。 ○機構 今の時点では、それ以上投与した試験成績は得られていないため、基本的にはそ のような方向で考えております。 ○内海部会長代理 清水委員、よろしいでしょうか。 ○清水委員 はい。 ○内海部会長代理 ほかに、いかがでしょうか。特に御意見がないようですので、ただ今 から議決に入ります。林委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づ きまして、議決への参加を遠慮していただくこととします。本議題について、承認を可と してよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。  続いて議題3の審議に入ります。大石委員、西澤委員におかれましては、議題3の審議 の間別室で御待機いただくこととします。 ── 大石委員、西澤委員退室 ── ○内海部会長代理 議題3について、医薬品機構から概要を説明してください。 ○機構 議題3、資料No.3、医薬品ベイスン錠0.2他の製造販売承認事項一部変更承認の 可否等について、総合機構より御説明申し上げます。  本剤は、糖質の消化・吸収を遅延させることによって食後過血糖を改善する糖尿病治療 薬として既に国内で承認されており、2009年5月現在、韓国、中国、フィリピン、タイ の4か国でも販売されております。  本申請に関して、本剤の投与対象とされている耐糖能異常(以下「IGT」)は、空腹時 血糖値と75g経口ブドウ糖負荷試験での血糖2時間値の結果から、糖尿病型と正常型のい ずれにも該当しない区分とされております。なお、本剤のIGTに係る効能・効果につい ては、いずれの国でも承認されておりません。  2型糖尿病の発症予防においては、糖尿病の家族歴、肥満、脂質代謝異常や高血圧を有 する者、血糖値が境界型の者等がハイリスク者と考えられており、中でも「境界型」に対 しては、十分な経過観察と積極的な介入治療を考えていく必要があるとされております。  本品目の専門協議では、資料No.14に示す先生方を専門委員として指名させていただい ております。以下、本剤の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明させてい ただきます。  本剤の開発においては、目標症例数を1群864例、合計1,728例、主要評価項目を2型 糖尿病移行までの期間としたプラセボ対照の国内第III相試験が実施されました。本試験に おいては、IGTから2型糖尿病へ移行した200例のうち約60%が観察された時点で中 間解析を実施することがあらかじめ規定されていました。  その結果、有効性については1,765例(プラセボ群875例、本剤0.6mg群890例)を対象 に中間解析が実施され、審査報告書10ページの表5に示しましたように、2型糖尿病へ の移行について、プラセボ群との間に有意差が認められました。最終評価時点における結 果は、11ページの表6に示しましたように、中間解析と同様の傾向が認められました。  安全性については、13ページの表9に示しましたように、胃腸障害及び肝機能検査に 関する有害事象はプラセボ群と比べて本剤群の方がやや高い傾向が見られているものの、 大きな違いがないことが示されました。  製造販売後調査については、本剤の重大な副作用とされている低血糖、胃腸障害、肝機 能障害等に係る安全性データを収集するための長期使用に関する特定使用成績調査を実 施する必要があると考えます。また、IGTにおける2型糖尿病の発症を抑制するという 観点から、適正使用を推進するために、本剤の有効性に対する2型糖尿病の発症リスクに 関連する背景因子、リスクファクターや、食事・運動療法が及ぼす影響を評価することも 必要であり、さらに、本剤投与中のみならず、正常型へ移行し投与が中止された後も十分 観察する必要があると考えております。このため、36ページ表23に示しましたような、 2型糖尿病の発症に関連するリスクファクターや背景因子を考慮し、また37ページの (4)投与中止後の経過観察についての項に示したような経過観察方法等に係るデータを 収集するためには、長期使用に関する特定使用成績調査に加えて、製造販売後臨床試験の 実施が必要と判断しました。さらに、これらの試験及び調査を速やかに行い、その結果を 報告するとともに、医療機関に対し必要な情報提供を迅速かつ確実に行う必要があるもの と考えております。  以上のとおり、総合機構での審査の結果、本剤投与中止後の追跡調査を含む製造販売後 臨床試験及び調査を速やかに実施し、医療機関に対し必要な情報提供等を行うことを条件 に、「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」を効能・効果として本剤を承認して差 し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしまし た。本剤は新効能医薬品であることから、再審査期間は4年が適当であると判断しており ます。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げ ます。 ○内海部会長代理 ただ今の医薬品機構からの説明につきまして、委員の先生方から御質 問、御意見をお願いいたします。 ○野田委員 これはここで質問することなのか分かりませんし、私自身が必ずしもそれに 異を唱えるわけではありませんが、耐糖能異常というのは、今まで糖尿病予備群とされて、 食事・運動療法の対象で、薬物療法の対象ではなかったわけですが、この薬剤を承認する ということは、その予備群に対する薬物療法を認めるという理解でよろしいでしょうか。 ○審査管理課長 臨床試験データ等に基づいてそれが認められるということであれば、薬 事法上も認めるということになろうかと思います。 ○野田委員 一つ細かい点の質問をさせていただきたいのです。この治験中の糖負荷試験 は、薬剤をその日は内服しない状態でやっているわけですか。75g糖負荷試験を行って正 常型への移行とか2型糖尿病への移行を見ていますが、それは、その日の朝は内服せずに 行っているのですか。 ○機構 服用しておりません。 ○野田委員 それで正常型になった場合のフォローアップを一定期間後にまた糖負荷試 験で義務付けるという形ですか。 ○機構 今のお話は実際にやられた試験のお話ですか。それとも今後の話ですか。 ○野田委員 販売後の話です。 ○機構 投与して正常型に移行する人であるとか、IGTのまま変わらない人、あるいは 糖尿病になった人、3種類の経過をとると考えますが、この審査報告には、投与後の観察 方法についての考え方を示しております。すみません。今のはOGTTだけの話ですか。 ○野田委員 正常型に復した場合、その後どういうふうに経過観察することを求められる かということです。 ○機構 少し整理したいのですが、製造販売後調査の話ではなくて、現場で使われた場合 という意味ですか。 ○野田委員 現場の話です。それは特に制約はないということでしょうか。 ○機構 正常型になった場合は、必ずしもOGTTを義務付けると難しいところもありま す。それから、明らかに、例えば空腹時血糖であるとか随時血糖あるいはヘモグロビンA 1C等で改善したと判断できる場合には、そういう指標で判断していただくということで す。 ○野田委員 わかりました。ありがとうございました。それからもう一点です。審査報告 書20ページの表14を拝見しますと、リスクファクターが2個以上とか1個でもいいとし ているところもある。人数が少ないからなのかもしれませんが、その辺りについて御説明 をお願いします。0では駄目で、1でもいいということですね。そうすると、1で切った 理由がよく分からない。この表だけから見ると、2で切った方が妥当なのではないかと私 は思ったのですが。 ○機構 この試験自体が、あらかじめ規定したリスクファクターが1つ以上ある人が組み 入れられているのです。実際に個々の被験者の数が違ってきますから、普通に考えれば、 リスクファクターが多い方が糖尿病のリスクも高いだろうと言えるのですが、この試験の 中で、数で分けたときにはどうだったかという形の表です。1個の場合は2型糖尿病の例 数自体が少ないので差がない。全体的に言いますと、審査報告の20ページの表の下に書 きましたように、表14から、リスクファクター数を背景因子とする被験者については、 本剤の有効性がプラセボに劣るような傾向は認められていない。言えることは、ここまで だろうと思われます。あらかじめ数できちんと比較できるような試験ではありません。そ こを厳密に比較するような試験は、かなり複雑になると思います。 ○野田委員 逆に言うと、1つだけの人はなかなか少ないということも言えるわけです か、1つ以上で集めた場合。 ○機構 そうですね。この試験の結果では2個持っている人、3個持っている人、それぞ れ数はばらばらですから。ただ、この薬物の投与が必要な人の臨床現場における数がその まま当てはまるのかどうかまでは分かりません。 ○内海部会長代理 野田委員には多岐にわたって御質問をいただきましたが、今の回答で よろしいでしょうか。 ○野田委員 はい。 ○成冨委員 糖尿病の場合は、糖が正常化しても、投薬を中止するとコントロール不良に なることが多いので、一般的に、投薬を続けることが多いのですが、このIGTの場合は、 正常化したらやめるという基本的な方針でいくのか、正常化してもやめないで続けるの か。どちらの方向に持っていくのでしょうか。 ○機構 現在の添付文書の形では、正常化したら投与を中止していただいて、その代わり、 その後の経過観察も重要ですので、放っておいて糖尿病になったら何もなりませんので、 そこは適切に経過観察をします。必要であれば再投与という場合もあり得ると思います。 ○成冨委員 IGTに対して適応が得られた薬剤は今まで他にないと思います。しかし、 この薬剤で適応が得られた後は、臨床家はIGTに抗糖尿病薬を使ってもよいと拡大解釈 してSU剤などをIGTでも使う可能性が多分にあると思います。あるいは、今後そのよ うな許可を得ようとする動きが出てくるだろうと思いますけれども、その辺はどう考えら れるのでしょうか。 ○機構 理論的には、必ずしもこの作用機序の薬剤ではなくて、恐らく安全性と有効性の バランス、つまりSU剤のように低血糖のリスクの高い薬剤であれば、糖尿病の一歩手前 の人たちに対して投与されることは恐らくないだろう。それから、開発されているという 話も聞いていません。ただ、低血糖のリスクの低い薬剤で、ある程度長期的な効果が見え ているような、つまり心血管イベントですとか、そういうデータがあるような薬剤であれ ば、開発に乗り出す可能性はないとは言えないと想像はしています。具体的に他の薬剤で 効能を取ろうとして開発しているという動きはないようではあります。 ○成冨委員 ボグリボースが低血糖発作をもたらす頻度は決して低くはないと思います。 ボグリボースがいいのならほかの薬剤も使おうという動きが出てくるのではないかと思 いますので、その辺の注意を喚起した方がいいような気がいたします。これは、単なるコ メントです。 ○内海部会長代理 これは、ベイスン錠というのを超えた議論になっていると思うので す。審査管理課の方で何かコメントはございますか。  今、「ベイスン錠を境界型、IGT型に認めるとすると、今後の治療の方向、あるいは 似た形での新たな展開が出てくることについていかがでしょうか」というふうに、私には 成冨委員と野田委員の御質問は聞こえたのですが、そういうことでよろしいでしょうか。 ○審査管理課長 基本的には臨床試験データに基づいて効果が認められるということで あれば、EBMの根拠があるわけですので、そこは認めていくという話ではなかろうかと 思います。 ○野田委員 今回、きちんとしたデータに基づいて議論が行われているわけですので、こ れが類推によって安易に他薬に広がるということがないようにしていく必要はあるかと 思います。 ○審査管理課長 ありがとうございます。基本的にはしっかりしたデータに基づいて御議 論いただいた上でお願いしたいと思っております。 ○内海部会長代理 ただ今の御意見は機構に対するものではないということでよろしい ですね。 ○野田委員 はい。 ○内海部会長代理 ただ今のは、これからこういうものが出てくることに対する、基本的 な考え方についての御意見である、コメントであるということです。 ○清水委員 境界型の患者に投与することになると、一番大事なのは患者教育の部分かと 思います。患者に、きちんと服薬しなければならないことを理解してもらうための教育資 材などについて、開発メーカーと協議された内容はありますか。 ○機構 具体的に先生がおっしゃるようなところまではいっていませんが、そもそも論と して、日本の実態は糖尿病と診断されても受診が低いところがあります。本来であれば、 まず糖尿病になってしまった人がきちんと受診して治療する、というのがまず打つべき手 だろうと思います。今回対象とする人たちも、放っておくと将来的に2型糖尿病になるよ うな人たちですから、おっしゃるようにまず自分の状態を認識していただいて、仮に一時 的に投与によって正常型にいったとしても、それで治ったというわけではないので、その 後も定期的に受診していただくなり、あるいは食事・運動療法に力を入れていただくなり、 それが最も肝要だろうと我々も考えております。そこは現場の先生方を含め、医療従事者 を含めて対応していただければと考えております。いただいた御意見を申請者に伝えて、 そこは徹底するように指導したいと思います。 ○内海部会長代理 ほかによろしければ議決に入ります。なお、野田委員、山本委員にお かれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこ とといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。 ── 大石委員、西澤委員入室 ── ○内海部会長代理 議題4に入ります。加藤委員におかれましては、議題4の審議の間、 別室で御待機いただきます。 ── 加藤委員退室 ── ○内海部会長代理 議題4について、医薬品機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題4、資料No.4-1及び資料4-2です。医薬品アサコール錠400mgの製造販売承 認の可否等について、機構より御説明申し上げます。潰瘍性大腸炎は、下痢、粘血便、腹 痛及び発熱等を伴い、再燃と緩解を繰り返す炎症性腸疾患であります。活動期には、重症 例に対してはステロイド剤、免疫抑制剤、血球成分除去療法等が行われております。一方、 軽症例や中等症例にはメサラジン製剤が広く用いられております。また、緩解期には経口 及び局所メサラジン製剤が用いられますが、ステロイド依存例ではアザチオプリン等の免 疫抑制剤も用いられております。  メサラジンは、病変局所で抗炎症作用を発現しますが、そのまま経口投与した場合、小 腸で多くは吸収され、潰瘍性大腸炎の病変部位である大腸への到達量が少ないため、製剤 的な工夫を施した製剤が開発されております。本邦では、経口メサラジン製剤として、時 間依存型放出調節製剤であるペンタサ錠が既に承認されております。  一方、本剤はメサラジンを有効成分とするpH依存型の放出調節製剤でありまして、90 %以上のメサラジンがpH7以上の回腸末端部以降で放出されると考えられるため、病変 が大腸に限局する潰瘍性大腸炎において、効果的な抗炎症作用を示すことが期待され、申 請者が開発に着手しました。  海外の承認状況ですが、本剤は1984年にスイスで潰瘍性大腸炎の適用で承認されまし て、2009年6月現在、潰瘍性大腸炎に対して、世界64か国(地域)で承認されております。 本品目の専門協議では、本日の配付資料No.14に示しますような専門委員が指名されてお ります。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていた だきます。  主な臨床試験成績としては、活動期及び緩解期の潰瘍性大腸炎患者を対象とした、国内 第III相臨床試験2試験の成績が提出されております。活動期における有効性に関してで す。報告書の18ページの表12です。軽症から中等症の活動期の潰瘍性大腸炎患者を対象 とした第III相緩解導入試験において、主要評価項目である最終判定時におけるUC-DAIス コア減少度について、ペンタサ錠2,250mg群に対し、本剤3,600mg群では優越性が、本剤 の2,400mg群では非劣性が示されております。  また、緩解期における有効性に関しては、報告書の19ページの表15です。緩解期の潰 瘍性大腸炎患者を対象とした第III相緩解維持試験において、主要評価項目である血便の非 発現率について、本剤2,400mg群のペンタサ錠2,250mg群に対する非劣性が検証されてお ります。以上の結果から、本剤の活動期及び緩解期の潰瘍性大腸炎に対する有効性は示さ れたと判断いたしました。  続きまして安全性に関してです。国内臨床試験の有害事象については、活動期について は報告書18ページの表13、緩解期に関しては報告書の20ページの表16です。  提出された各臨床試験成績から、対照薬であるペンタサ錠と比較して、特段の差異は認 められていないこと、活動期については、本剤の投与量が増加しても、有害事象の発現頻 度に大きな差異は認められないこと、緩解期については、本剤を長期投与した際も有害事 象の発現頻度が増加するような傾向は認められていないことから、現時点ではペンタサ錠 と比べて特段問題とすべき点は認められないと判断しております。  以上、機構での審査の結果、本剤の重症を除く潰瘍性大腸炎に対する有効性は認められ、 安全性には既承認薬と比較して特段問題が認められていないことから、承認して差し支え ないものと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。 なお、 本剤は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当せず、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該 当せず、また新剤形・新用量医薬品であり、用法・用量において既承認薬より高い通常用 量が設定されたことから、安全性の確認が必要であるため、再審査期間は4年とすること が適当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど よろしくお願いいたします。 ○内海部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。 ○清水委員 添付文書のその他の注意事項の中に、「便中に錠剤が見られる場合がある」 という記載があるのですが、これは下部回腸で90%溶出するようにという製剤設計にな っておりますが、場合によっては溶出不十分で排出されることが危惧される可能性はある ものなのでしょうか。 ○機構 溶出不十分ということで、便中に錠剤が見られる可能性というのは、実際臨床試 験の結果ではどうなのかというところが確認しきれていないのですが、見られる可能性は あると思います。実際に類薬のペンタサ錠では、時間依存型のものなので、より早く溶解 していきますが、実際に剤形の残渣が残る可能性もあって同様の注意喚起がなされている ので、今回はそれに倣ってというところかと考えます。 ○大石委員 添付文書のところなのですが、薬物動態のところにデータが出されておりま すけれども、これはn数が書かれていないので書いておくべきだろうと思いますので、追 加をよろしくお願いいたします。 ○機構 了解いたしました。申請者に指示させていただきます。 ○山本委員 腸管のpH7以上のというのはどのぐらい普遍的なのかを教えてください。 ○機構 pH7以上で溶解することについてなのですが、これについては海外の参考文献 を参考にしてそのような製剤を設計したということになっております。 ○山本委員 病態におけるとかというデータがあった方が本当はいいのです。そこまで求 められるかどうかは別にしても、海外のデータだけではちょっとね。 ○内海部会長代理 海外でのpHが、実際に疾患になったときに、そうでない健常な状態 で7というのはどのぐらい普遍的に担保されているかというのが御質問の趣旨だと思い ます。 ○機構 実際普遍的にこういう疾患の患者でpH7以上になっているかというと、先ほど 申し上げた海外の参考文献しかないと言えばそうなのですが、実際に今回幾つか非臨床試 験もやっておりまして、イヌでの非臨床での検討にはなってくるのですけれども、報告書 の10ページになります。7以上がどれだけこういう患者に担保されているかというデー タではないのですが、ペンタサ錠と比べても、大腸の方でメサラジンの粘膜中の濃度が高 くなっているという結果は得られているという状況です。 ○内海部会長代理 1984年に実際にアサコールが売られて、今、60数か国かで使われて いるということです。そういうものもかんがみて御判断いただきたいということです。 ○機構 補足させていただきます。これは本邦での開発に際してというわけではないので すが、過去に海外でティロッツ社という本剤の開発メーカーが、実際にメサラジンを含有 する製剤を患者に投与した臨床試験において、ほとんどの製剤が回腸末端から大腸で崩壊 するということを確認した試験成績があるという報告は受けております。 ○内海部会長代理 ほかにないようでしたら議決に入ります。西澤委員、本橋委員、山本 委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮い ただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ── 加藤委員入室 ── ○内海部会長代理 議題5に入ります。大石委員、西澤委員におかれましては、議題5の 審議の間、別室で御待機いただきます。 ── 大石委員、西澤委員退室 ── ○内海部会長代理 議題5について、医薬品機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題5、資料No.5-1、資料No.5-2、資料No.5-3医薬品アドシルカ錠について、医薬 品医療機器総合機構より御説明いたします。  アドシルカ錠の有効成分であるタダラフィルは、ホスホジエステラーゼ5の選択的阻害 薬であり、勃起不全治療薬として2002年に欧州で承認され、本邦ではシアリスの販売名 で2007年に5mg錠、10mg錠及び20mg錠が承認されております。一方、肺動脈性肺高血 圧症の病態にホスホジエステラーゼ5が関与することから、肺動脈性肺高血圧症の効能取 得を目的とした本薬の臨床開発も進められ、米国で2008年7月に、欧州で2008年10月 に申請され、米国では2009年5月に承認されております。  本邦では、2008年8月に、日本イーライリリー株式会社により、肺動脈性肺高血圧症 を予定効能・効果とする医薬品製造販売承認申請がなされました。  なお、同じホスホジエステラーゼ5阻害薬であるシルデナフィルクエン酸塩、ED治療 薬の販売名ではバイアグラ錠が、昨年1月に肺動脈性肺高血圧症の効能を取得し、レバチ オ錠の販売名で市販されております。本品目の審査に関しまして、専門委員として資料No. 14に記載されております委員が指名されております。本品目の臨床試験成績に関する審 査の概略について説明させていただきます。  有効性についてですが、日本人患者26例を含む国際共同第III相試験が実施されており、 試験全体の成績を審査報告書26ページ以降に、日本人患者の成績を28ページ以降に記載 しております。まず試験全体の成績ですが、26ページ表4を御覧ください。主要評価項 目とされた6分間歩行距離のベースラインから16週後の変化量で、本薬40mgのプラセボ に対する優越性が示されております。また、表5及び表6に示してありますように、副次 評価項目とされた肺血行動態パラメータの平均肺動脈圧及び肺血管抵抗係数においても、 本薬群ではプラセボ群と比較して改善を示していました。これらの成績より、本薬の有効 性は示されたものと判断しました。  次に日本人の成績については、表8〜表10に示してあります。本試験に組み入れられ た日本人患者は少数であり、各用量でばらつきも見られますが、日本人部分集団と、全体 集団の成績に明らかな乖離は認められておりません。以上の成績等から、日本人患者にお いても、本薬の有効性は得られるものと総合的に判断しました。  安全性については、審査報告書27ページ以降です。表7に国際共同第III相試験におい て、いずれかの群で発現率が5%以上であった有害事象を示しております。有害事象発現 率は、本薬の用量増加に伴って高くなる傾向が認められたものの、ほとんどの事象が軽度 から中等度でした。また、本剤は既承認時よりも高用量で、かつ長期間投与されますが、 認められた有害事象は、既承認時に報告されたものと同様でした。日本人の有害事象の発 現状況は、海外と大きく異なるものではありませんでした。以上より、本薬の忍容性はお おむね良好であることが考えられ、適正に使用されれば安全性に特段の問題も少ないと判 断しました。なお、強力なCYP3A4阻害薬による本薬の血中濃度上昇、強力なCYP3A4誘導 剤による本薬の血中濃度の低下、出血リスク等に懸念がありますが、これらについては添 付文書で注意喚起しております。  本薬の用法・用量については、審査報告書57ページ24行目以降です。有効性及び安全 性の結果を踏まえ、本薬の用法・用量を40mg1日1回とすることは妥当であると判断し ましたが、本薬は40mgを上回る用量の有効性及び安全性が検討されていないため、本薬 のばく露量が増加する可能性のある軽度及び中等度の腎機能障害患者では、20mg1日1回 投与とし、重度の腎機能障害患者では、臨床での投与経験がほとんどないこと、及び血液 透析で本薬を除去できないことを踏まえ「禁忌」としました。  また、軽度及び中等度の肝機能障害患者への投与経験は限られているものの、本薬20mg 投与時においても一定の有効性は期待できると考えられることから、医師がリスク・ベネ フィットの評価を行った上で、20mgを1日1回投与することは妥当と考えました。また、 重度の肝機能障害患者に対しては使用経験がなく、本薬は主に肝臓で代謝され、肝機能障 害患者において本薬のばく露量が増加する可能性を否定できないことを踏まえ「禁忌」と しました。  次は製造販売後調査についてです。本薬は、国内での治験症例が極めて限られているこ とから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、本剤が投与さ れた全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を 把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正 使用に必要な措置を講ずることを承認条件とする必要があると判断しました。  以上のような検討を行った結果、全症例の使用成績調査を承認条件と付した上で、本剤 を肺動脈性肺高血圧症の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一 部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は、毒薬、劇薬 に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。また、 本剤は新効能医薬品に該当することから、再審査期間は、本薬の既承認効能の再審査期間 (平成19年7月31日から8年間)の終了までの期間とすることが適当であると判断してお ります。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたしま す。 ○内海部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。 ○清水委員 腎障害、肝障害の患者への用量についての添付文書の記載なのですが、審査 報告書で内容は理解し、納得できるものではあるのですが、表記として添付文書案の用法 ・用量に関連する「使用上の注意」の1.のところで腎障害について、「本剤の20mgを超 える用量での投与経験が少ないことから、1回20mgを投与する」という表記になってい ます。その後2.で、「肝障害のある患者では、本剤の10mgを超える用量での投与経験は 限られていることから、リスク・ベネフィットを評価して、本剤を投与する際には1回 20mgを投与する」というのは、10mgを超える量の経験が限られているから20mgを投与せ よというふうに、字面を見ると読めるのは、少し理解がしづらいのではないかと感じるの ですけれどもいかがでしょうか。 ○機構 ここに関しては先生がおっしゃるとおり、腎機能障害患者が10mgを超える用量 の投与に限られているというのは、初めに何もなかった場合に理由が分かりにくいのでは ないかということもあり、投与経験がないということを記載させていただいたのですが、 読みづらいという御発言がありましたので、この記載に関しては今後検討させていただき ます。 ○清水委員 ほかの先生方の御意見はいかがですか。 ○内海部会長代理 腎機能についてのところは、今の記載に少し訂正を加えるということ ですが、ほかの先生方からも御意見、御質問、コメントをいただけたらと思います。清水 委員は今のような説明でよろしいでしょうか。 ○清水委員 はい。 ○成冨委員 これは参考までに聞かせていただきたいのですが、EDを適用とするシアリ ス錠と、今回のアドシルカは、薬価としてはかなり違ったものになるのでしょうか。今ま では抗てんかん薬として使用されていた薬剤ですが、最近、その少量がパーキンソン治療 薬と全く異なる商品名でかつ10倍以上の薬価で市販されるようになりました。臨床現場 ではこれに対する混乱が生じています。シアリス錠とアドシルカ錠にについても同様な混 乱が生じないか危惧します。 ○審査管理課長 先生から、薬価の関係についての御指摘があったということで、関係の 方にお伝えさせていただくということで御了解いただければと思います。 ○内海部会長代理 成冨委員、それでよろしいでしょうか。 ○成冨委員 はい。 ○内海部会長代理 ほかにないようでしたら議決に入ります。なお、成冨委員、本橋委員、 山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠 慮いただきます。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。大 石委員、西澤委員については、引き続き別室で待機していただきます。 ○審査管理課長 次の議題のプログラフの関係ですけれども、競合品目の取扱い等につい て、修正等の御議論をお願いしたいと思います。競合品目に関しては、今回の申請効能が 重症筋無力症ということになっております。関係のある品目はネオーラルというものがあ ります。それについては全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤 の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)ということで条件が括弧書きで付い ていました。この関係については、今回の追加効能の分には当たらないのですが、重症の ところとの行き来ということを考えると、競合品目にさせていただいた方がよろしいかと 思いますので、そのように取り扱わせていただければと思っております。  なお、この関係の会社につきましては、前回の部会で対象品目がありまして、そのとき に先生方の申出を確認させていただきますと、大変恐縮なのですけれども林先生が議決に は参加しない委員という取扱いになります。また、この競合品目の取扱いの変更に伴い、 先生方の申出につきましては、先生方御確認の上、こちらの方で改めて対応させていただ きたいと思います。大変恐縮ではありますがそのように取り扱わせていただければと思い ますがいかがでしょうか。 ○内海部会長代理 審査管理課長から、議題6に関する競合品目・競合企業リストについ て追加をする旨の御発言と、それに該当する先生として林委員が該当するだろうと。また 改めてほかのことがありましたら、それについても確認をするという追加の御提案があり ましたがそれでよろしいでしょうか。  特に御異議がないようですので、審査管理課長からの御提案は了承されたものといたし ます。  その上で、ただ今から議題6に入ります。大石委員、西澤委員については、議題6の審 議の間別室で御待機いただきます。議題6について、医薬品医療機器総合機構から概要の 説明をお願いいたします。 ○機構 議題、資料No.6、医薬品プログラフカプセル0.5mg、同カプセル1mg、同顆粒0.2mg 及び同顆粒1mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総 合機構より御説明させていただきます。  本剤の有効成分であるタクロリムス水和物は、免疫抑制剤として臓器移植後における拒 絶反応の抑制や種々の自己免疫疾患等に対する効能・効果で承認されており全身型重症筋 無力症につきましては、2000年9月に全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、 ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)(以下MG)を効能・効 果として承認されております。  当該効能・効果の承認後に実施されました製造販売後調査の結果から、胸腺摘出の有無、 及びステロイドの抵抗性の有無を限定しない重症筋無力症患者における有効性及び安全 性が示唆されたということを踏まえまして、2006年4月より、これらの患者を対象とし ました臨床試験を実施し、今般これらの患者に対する重症筋無力症に関する有効性及び安 全性が確認されたということで、承認事項一部変更申請が行われたものです。本申請の専 門委員として、資料No.14に記載されております4名の委員を指名させていただきました。  審査内容について説明させていただきます。有効性につきましては、審査報告書8ペー ジの上の表を御覧ください。ステロイド非抵抗性の重症筋無力症患者を対象としたプラセ ボ対照比較試験が実施されましたが、主要評価項目である治験薬投与終了前12週間のス テロイド平均投与量において、プラセボ群に対する優越性は検証されておりませんでし た。同8ページの下の表を御覧ください。一方で、副次評価項目であります時期別の平均 ステロイド投与量に関しては、投与開始20〜24週、24〜28週及び最終時において、プラ セボ群に対する優越性が示されています。  審査報告書9ページの上の表では、症状が不安定になった時期別の例数を提示しており ますが、本剤群と比較して、プラセボ群では、投与開始20週後以降に症状が不安定にな った症例の増加傾向が認められております。  以上の結果並びに本申請に関しましては、希少疾病用医薬品に指定されていることも考 慮し、ステロイド非抵抗性重症筋無力症患者に対する有効性は示されていると判断いたし ました。  審査報告書17ページの上の表を御覧下さい。ステロイド抵抗性で胸腺を摘出していな い重症筋無力症患者を対象とした臨床試験におきまして、主要評価項目である合計QMG スコアは経時的に減少しております。同ページの下の表は、ステロイド平均投与量につい ても、経時的な減少が認められていることから、当該患者における有効性は示唆されたと 判断しております。  次に安全性についてですが、審査報告書19ページを御覧下さい。既に承認されている 全身型重症筋無力症に関しての承認取得後に実施された製造販売後調査において、既承認 MGと比較して、本申請効能で有害事象及びその発現率に大きく異なるような傾向は認め られておりません。  また審査報告書20ページの上の表で、本剤の他の効能であるループス腎炎患者とステ ロイド非抵抗性重症筋無力症患者における安全性を比較させていただいておりますが、こ こでも特に大きな差異は認められておりません。また、他の既承認効能と比較しても大き な差異は認められていないことから、特に安全性上の大きな問題はないと考えておりま す。なお、ステロイド抵抗性の有無及び胸腺摘出の有無における安全性については、製造 販売後調査で引き続き検討させていただくことを考えております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会 で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本効能に関する再審査期間は4年とす ることが適切と判断しております。なお薬事分科会への報告を予定しております。以上で す。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○内海部会長代理 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。 ○清水委員 今回の申請に、顆粒剤についての適用を求める申請があったことの背景とい うか理由が分かりましたら教えてください。御承知のように、顆粒剤はカプセル剤の適用 の1番、2番しか今までに持っていないと思うのです。4番、5番、6番に当たる部分は 適用を持っていない。1番、2番については/kg doseで用量が設定されているので、細 かい用量調整が必要だということで顆粒剤の承認もということだろうと思うのです。今回 は、1日量が1回3mgという用量設定なので、ほかの関節リウマチ、ループス腎炎等々 と用量の設定の仕方が同じで、そちらについて今まで顆粒については適用を持っていない かと思うのですが、そういう背景の中でということですか。 ○機構 顆粒剤に関しても、2001年6月の段階で、全身型重症筋無力症に関して承認を 得ております。その際に1日1回3mgということで、カプセル剤と同じ用法・用量で通 しています。確かにこの同等性が示されていないというのもあるのですが、この適用に関 しては、重症筋無力症の患者においては嚥下障害等が起きるということもあり、顆粒剤と いう剤形がより好ましいという判断がありましたので承認しております。 ○加藤委員 眼筋型のMGのことがあって、26ページ、27ページの記載を拝見すると、 結論から言うと眼筋型MGに対しての有効性というのはエビデンスとしては確立してい ないけれども、否定する理由もないのではないかということで、全身型から重症筋無力症 へ移行するということが趣旨かと思うのです。27ページの上から8行目のところに機構 のコメントとして、さらにMGの病型によっての安全性及び有効性の差異は、販売後調査 でさらに検討となっております。添付文書の9ページの1.8の承認条件のところで、全身 型が承認された2000年9月の承認条件のところを見ると、これは全身型に関してだけの 承認条件が出ています。これが、全身型から、重症筋無力症になって、いわゆる眼筋型に 対しての有効性がまだないということをここで書いておいて、そこで販売後調査でエビデ ンスを集めるという努力はしなくてもいいのかどうかということを伺います。 ○機構 もう一度御質問の趣旨を教えていただけますか。 ○加藤委員 添付文書に、全身型重症筋無力症が付いたときの承認条件が書いてありま す。1.8の9ページですが、それは2000年9月に付けられたと書いてあります。このと きには全身型だけを対象として、十分な市販後調査をすることと書いてあります。今回の 報告書の議論を見ますと、眼筋型MGに関しては、そういう区別がなされていないとか、 あるいは症例の分別がされていないということで、エビデンスがないけれども、外す理由 はないだろうというちょっと消極的な形で説得されているように、報告書の26ページ、 27ページの議論が進んでいるように思うのです。これを新たに全身型を外して、重症筋 無力症全般に移行するに当たり、眼筋型のMGというものに対しての有効性に関して、十 分な市販後調査を行うということを、この承認条件に新たに今回加える必要はないのかど うかということです。 ○機構 製造販売後調査の中で、全身型重症筋無力症の承認を付したときに、全例調査は かけさせていただいておりました。その調査の中では、病型分類は取っておりませんで、 眼筋型及び全身型というところは聴取しておりませんでした。ただ製造販売後の調査の中 で、全身症状の有無というところは確認をさせていただいておりまして、その中でも有効 性に大きな差はないということは今回の中で確認ができております。 ○内海部会長代理 全身型と眼筋型の方についても。 ○機構 補足させていただきます。したがって、当時一番最初に付けたときには、重症筋 無力症に対して、非常に症例数も少ない中で、希少疾病だということで承認をさせていた だきましたので、その当時は全例調査をかけさせていただきました。今回のものについて は、全例調査の中でもある程度使用実態、使用経験があって、大きな問題は認められてい ないということ。そして、眼筋型を対象に臨床試験が組まれたわけではありませんが、こ れまでの市販後の結果等を踏まえると、今回の全身型のみから変更し、眼筋型も含まれる ような形で承認したとしても、そこで何か大きな問題が起こる可能性は我々としては低い ということで、いわゆる承認条件を付けてまでの全例調査というものを求める必要はない と判断しております。ただ、実際は長期の特定使用成績調査等は実施させていただきます し、その中で病型についても取らせていただきますので、そういうところで確認を進めな がら対応させていただきたいと思っております。 ○加藤委員 要するに、眼筋型に関しては有効だというエビデンスはまだないということ でいいわけですね。それを今後集めることを指導していただくということですね。 ○内海部会長代理 よろしければ議決に入ります。成冨委員、林委員、本橋委員、山本委 員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いた だきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、承認可とし、薬事分科会に報告させていただきます。 ── 大石委員、西澤委員入室 ── ○内海部会長代理 議題7について事務局から概要の説明をお願いいたします。 ○事務局 議題7、資料No.7、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンを希少疾病 用医薬品として指定することの可否について御説明いたします。  資料No.7の赤いタグの評価報告書とあるところを御確認ください。医薬品医療機器総合 機構が、そこで事前評価を取りまとめておりますので、この報告書に沿って希少疾病用医 薬品の指定要件であります対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点について御 説明申し上げます。1ページをご覧ください。本剤の予定される効能・効果は全身型重症 筋無力症、ただし胸腺摘除術、ステロイド剤又はステロイド以外の免疫抑制剤が十分に奏 効しない場合に限るとされております。申請者は、株式会社ベネシスです。  最初の対象患者数について御説明いたします。1ページ〜2ページに沿って御説明いた します。重症筋無力症の患者数は、全国で約1万5,000〜2万人程度と推定されておりま す。本剤の治療上の位置付けは、血液浄化療法と同様であると考えられておりますので、 そのうちの約15%となりますおよそ3,000人が本剤の対象患者数と推定されます。以上 より、希少疾病用医薬品の指定要件の一つであります5万人以下を満たすものと判断して おります。  次に、2の医療上の必要性について御説明いたします。いわゆる難病の一つである重症 筋無力症の病型には先ほどもありましたように、障害が眼筋に限局される眼筋型と、全身 に症状が広がる全身型に大別されますが、多くは全身型へ進展するとされております。全 身の筋力低下、呼吸不全に至った場合には、人工呼吸器管理や、感染症対策などの全身管 理が必要となります。そこで治療法といたしましては、胸腺摘除術、ステロイドや免疫抑 制剤による薬物療法が行われております。一方で、血液浄化療法や本剤による治療は、胸 腺摘除術や薬物療法が十分に奏効しない場合や、急激な症例悪化の場合に、速やかに症状 を改善させることができるとの報告があります。また、本剤は血液浄化療法よりも簡便に 点滴静注で使うことができるため、本剤の有効性、安全性が今後の審査で認められれば、 重症筋無力症に対する治療に貴重な選択肢の一つを与えるものと判断しております。  最後に、三つ目の本剤の開発の可能性について御説明いたします。2ページ〜3ページ になります。現在、国内で第III相の臨床試験を実施しております。したがって、本剤の開 発の可能性はあると考えております。以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、 この三点を検討した結果、本剤は希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断して おります。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○内海部会長代理 希少疾病用医薬品としての指定の可否について、ただ今の事務局から の概要説明について、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。 ○内海部会長代理 特にないようですので議決に入ります。本議題について指定を可とし てよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 議題8について事務局から概要を説明してください。 ○事務局 説明に入る前に、資料に誤記がありましたことをおわびいたします。内容です が、資料No.8の表紙をおめくりいただきまして、劇薬除外概要の1ページの2.の2行目 の「ワルファリンカリウム0.2mgを含有する細粒剤」と書いてありますが、正しくは「ワ ルファリンカリウム2mgを含有する細粒剤」ですので訂正させていただきます。どうぞ 御了承願います。  説明に入らせていただきます。同ページを御覧ください。本議題品目であります、ワル ファリンK細粒0.2%「NS」及びワルファリンK細粒0.2%「YD」は、1g中にワル ファリンカリウム2mgを含有する細粒剤です。これまでは、ワルファリンの医療用医薬 品として承認されておりますものは、錠剤のみでして、いずれも劇薬から除外されており ますが、細粒剤は薬事法施行規則の中で定められた劇薬指定の除外規定に当てはまらない ため、現段階では劇薬に指定されております。  一方、本細粒剤は、ワルファリンの錠剤を細粒化し、微量な用量調整を可能にしたもの であります。ワルファリン錠は0.5mg〜5mgまでありますが、いずれも劇薬と指定されて おらず、また薬物動態のデータについては、本剤は1mg錠と生物学的同等性が確認され ております。そのため、本細粒剤については、ワルファリン錠と同様、劇性は高いとは認 められないため、薬事法施行規則の別表第三で、(4)の除外規定を追加いたしまして、細 粒剤を劇薬から除外することが適切であると判断しております。  本件につきましては、薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしく お願いいたします。 ○内海部会長代理 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。特に御意見 がないようでしたら、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは議決に入ります。なお、 西澤委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加 を御遠慮いただくことといたします。本議題について、劇薬からの除外を可としてよろし いでしょうか。  御異議がないようですので、毒薬及び劇薬の指定は不要とし、薬事分科会に報告させて いただきます。  以上で審議事項の8議題は終わりました。ただ今から報告事項の4議題に移らせていた だきます。報告事項をまとめて報告していただきます。 ○機構 報告事項の議題1、医薬品ノボラピット50ミックス注 ペンフィル及び同50ミ ックス注フレックスペンの製造販売承認について報告いたします。資料No.9です。本剤は、 超速効型インスリンアナログであるインスリンアスパルト(遺伝子組換え)の超速効型画 分とプロタミン結晶性中間系画分を、5対5の割合で含有する二相性の混合製剤です。な お、インスリンアスパルト(遺伝子組換え)を有効成分とした製剤は、既に承認されており ます。  今般、ノボノルディスクファーマ株式会社から、インスリン療法が適応となる糖尿病を 効能・効果とする本剤の製造販売承認申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構 における審査の結果、インスリン療法が適応となる糖尿病における本剤の有効性及び安全 性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  議題2、医薬品インジゴカルミン注20mg「第一三共」、ジアグノグリーン注射用25mg、 スズコロイドTc-99m注調製用キット及びテクネフチン酸キットの製造販売承認事項一部 変更承認について報告いたします。  資料No.10-1〜資料No.10-4です。各薬剤は1アンプル中にインジゴカルミン20mgを含有 する注射剤、それから1バイアル中にインドシアニングリーン25mgを含有する注射剤、 1アンプル中に無水塩化第一スズ0.38mgを含有する注射剤、及び1バイアル中にフチン 酸ナトリウム2.9mgを含有する注射剤であります。  今般、インジゴカルミン注20mg「第一三共」及びジアグノグリーン注射用25mgについ ては、第一三共株式会社より、乳がん及び悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定 を効能・効果とする製造販売承認事項一部変更承認の申請が、スズコロイドTc-99m注調 製用キット及びテクネフチン酸キットについては、それぞれ日本メジフィジックス株式会 社及び富士フィルムRIファーマ株式会社より、乳がん及び悪性黒色腫のセンチネルリン パ節の同定及びリンパシンチグラフィを効能・効果とする製造販売承認事項一部変更承認 の申請がなされたものです。  なお、本申請は「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」(平成11年2月1 日付研第4号及び医薬審第104号、厚生省健康政策局研究開発振興課長及び医薬安全局審 査管理課長通知)に基づく申請であることを申し添えます。医薬品医療機器総合機構にお ける審査の結果、これらの品目を承認して差し支えないと判断いたしました。  議題3、医療用医薬品の再審査結果についてまとめて報告いたします。資料No.11-1か ら資料No.11-7で、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書になります。資料No. 11-1は、一般的名称は「トシル酸スプラタスト」、販売名は「アイピーディドライシロ ップ5%」のもの、資料No.11-2は、一般的名称は「カベルゴリン」、販売名は「カバサ ール錠0.25mg他」のもの、資料No.11-3は、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、 販売名は「ヒューマトロープ注射用6mg他」のもの、資料No.11-4も、「一般的名称はソ マトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ノルディトロピンS注5mg他」、資料No.11-5 は、一般的名称は「ロサルタンカリウム」、販売名は「ニューロタン錠25mg他」のもの、 資料No.11-6は、一般的名称は「塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化 マグネシウム、ブドウ糖」、販売名は「バイフィル透析剤」のもの、資料No.11-7は、一 般的名称は「炭酸水素ナトリウム」、販売名は「バイフィル専用炭酸水素ナトリウム補充 液1.39%」のものとなります。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられ ている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の 承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものになります。以上で す。 ○事務局 続きまして議題4、資料No.12です。議題4、医療用医薬品の承認条件の解除 について御報告いたします。1ページです。本剤は、次の一連の眼科手術における手術補 助、超音波乳化吸引法による白内障摘出術及び眼内レンズ挿入術を効能・効果とするビス コート0.5眼粘弾剤の承認条件解除です。承認取得者は日本アルコン株式会社です。  1ページの1.品目の承認条件の欄を御覧ください。本剤は、類薬との比較試験が実施 されておらず、本薬の特徴が示されていないことから、市販後調査において、手術の容易 性及び術後の眼圧上昇等の安全性を確認する調査を実施し、結果を報告することを承認条 件としまして、平成11年9月に承認された薬剤です。  現在、粘弾剤物質としては、様々な製剤が発売されておりまして、角膜内皮保護を作用 とする分散型の本剤と、手術操作の空間保持能を有する凝集型製剤を組み合わせて使用す るソフトシェル法という方法が主流となっております。そのため、本剤単独使用で計画さ れた特別調査、こちらでは当初の目標症例数には到達しませんでしたが、承認取得者より 自発報告を含みます提出資料について審査を行った結果、手術の容易性を含めた、有効性、 眼圧上昇を含めた安全性については、類薬との比較結果を含め、現時点では特に大きな問 題はないと判断しております。よって承認条件の内容を確認できたものとし、承認条件を 解除しても差し支えないものと判断しております。以上御報告いたします。 ○内海部会長代理 報告事項の議題1〜議題4について委員の先生方から御質問等があ りましたらお願いいたします。  それでは、報告事項については御確認いただいたものとします。本日の議題は以上です が、事務局から何かありましたらお願いいたします。 ○事務局 次回の部会は既に御案内のように、10月21日(水)午後4時から開催させてい ただく予定ですのでよろしくお願いいたします。以上です。 ○内海部会長代理 本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございま した。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線2746)