09/08/27 第33回社会保障審議会医療保険部会議事録            第33回社会保障審議会医療保険部会 議事次第                   日時:平成21年8月27日(木) 16:00〜18:06                   場所:全国都市会館 3階第1会議室                      (東京都千代田区平河町2−4−2) ○糠谷部会長 それでは、まだお見えになっておられない委員が若干おられますが、定刻になり ましたので、ただいまより第33回「社会保障審議会医療保険部会」を開催いたします。  委員の皆様には、御多忙の折、お集まりをいただきまして、御礼を申し上げます。  本日は、神田委員、見坊委員、齊藤委員、横尾委員より、御欠席の連絡をいただいております。  続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。  神田委員の代理として、岩田参考人。  齊藤委員の代理として、藤原参考人。  横尾委員の代理として、馬場参考人の御出席につき、御承認をいただければと思いますが、い かがでしょうか。よろしゅうございますか。 (「異議なし」と声あり) ○糠谷部会長 では、そのように取り計らせていただきます。  前回の医療保険部会以降、厚生労働省保険局幹部に人事異動がございましたので、事務局より 御紹介をお願いいたします。 ○神田総務課長 それでは、御紹介をさせていただきます。  保健局長の外口でございます。  医政、医療保健、医療・介護連携担当審議官の唐澤でございます。  保健課長の吉田でございます。  国民健康保険課長の伊藤でございます。  医療費適正化対策推進室長兼保険医療企画調査室長の城でございます。  保険システム高度化推進室長の矢田でございます。  それでは、保険局長から一言ごあいさつをさせていただきたいと存じます。 ○外口局長 改めまして、7月24日付で保険局長を拝命いたしました外口でございます。どうぞ よろしくお願いいたします。  皆様方には、医療保険部会の運営に関しまして、御尽力をいただいておりますことをまず御礼 申し上げたいと思います。高齢化の進展や経済情勢など、我が国の医療保険制度をめぐる環境は、 非常に厳しいものがあります。このような状況にあっても、国民皆保険を堅持し、将来にわたり 持続可能な医療保険制度を構築していくことが私どもに与えられた使命であると思っております。  平成22年度には、診療報酬改定や制度改正が予定されており、この場で御議論いただくことに なろうかと思います。私どもも事務局として、精神誠意取り組んでまいりたいと思っております。 どうぞよろしく御指導を賜りますよう、お願い申し上げます。  ありがとうございました。 ○糠谷部会長 それでは、議事に入らせていただきます。  本日の議題は「平成22年度の診療報酬改定に向けた検討について」でございます。特に本日は、 議論をより効率的に進める観点から、次期診療報酬改定の基本方針に盛り込むべき基本的な視点 等に加えまして、前回御指摘の多かった救急、産科等の体制強化や勤務医の負担軽減等の具体的 内容についても御議論をいただければと考えております。そのような観点から、事務局に資料を 準備していただきました。  このため、その他の分野につきましては、資料が必ずしも十分でないところもあろうかと思い ますが、この点については、別途、日程を設けて御検討いただこうと考えておりますので、御承 知おきいただければと思います。  それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。できる限り多くの委員に御発言をいた だくため、説明は簡潔にお願いいたします。 ○佐藤医療課長 医療課長でございます。今、部会長からもお話がありましたように、資料は大 変大部にでき上がっておりますので、できる限り簡潔に、要領よくお話をしたいと思います。  まず、資料1と資料2をごらんください。  先般も御説明いたしましたように、現在の診療報酬改定というのは、社会保障審議会、具体的 には医療部会と医療保険部会とで基本方針を策定していただき、これを通常冬に御報告をいただ きまして、これに基づき中医協で改定を行うという仕組みになっております。  そうは申しましても、こういう仕組みになって、まだ2回の改定しか行われておりませんので、 今回は3回目ということになります。3回目のこういう基本方針の検討・策定をお願いするに当 たって、たたき台のようなものをつくってみました。今「たたき台」という言葉を使いましたよ うに、何もないと御議論は進まないだろうということで、事務局で簡単に書いてみたものでござ いますので、細かな文言や構造的なものについては、後ほど忌憚のない御検討をいただければと 思います。  まず「総論」でございます。  これまでの診療報酬改定の基本方針においては、前回も説明いたしましたけれども「改定の視 点」というものを定めるとともに「視点」に沿った改定の「方向」のようなものを定めておりま す。  具体的には、少しフォントが小さくなっておりますが「改定の視点」で書きました(1)〜(4)まで の視点を決めておりまして、この中で更に方向を定めているわけです。  簡単に紹介しますと、  (1)患者の生活の質を高める医療の実現  (2)医療機能の分化・連携を推進する視点  (3)今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の在り方  (4)効率化余地があると思われる領域の評価 になります。  平成20年度改定の基本方針の際は、当時の状況で、特に産科、小児科あるいは病院勤務医が問 題になりましたので、この4つの視点に加えまして「産科や小児科をはじめとする病院勤務医の 負担軽減」が緊急課題として位置づけられまして、具体的にはハイリスク妊産婦への対応に係る 評価や、病院勤務医の事務負担の軽減に係る評価等の「方向」が定められたところです。  また、長寿医療制度の施行をにらみまして「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」というも のが特別部会でとりまとめられまして、改定の基本方針の中には、この骨子の趣旨を踏まえた中 身が盛り込まれたところです。  いよいよ平成22年度改定の話になるわけですけれども、ほぼ同様の構成ということになろうか と考えられますが、前回改定、つまり平成20年度改定における実施の状況、結果的なもの、昨今 の医療現場の実態、あるいは別な視点では厳しい保険財政、最近の閣議決定等における社会保障 の機能強化の必要性の指摘、また長寿医療制度の見直し等が指摘されていること等もありますの で、基本方針に盛り込むべき「視点」や「方向」については、こうしたことを踏まえて御検討い ただくことになるだろうと思います。  2ページ目「論点」になります。  今、申し上げましたことの繰り返しになりますが、前回までの4つの「視点」あるいは緊急課 題というのは、昨今の状況を見ますと、引き続き、基本方針の中に位置づけることとするのかど うかということが1つのポイントでございます。  特に「救急・産科等の体制強化」や「勤務医の負担軽減」を求める声が多かったわけですけれ ども、恐らく次期改定においても、こういう部分は重要視するべきポイントであろうかと思いま す。その場合に、具体的にどのような方向で改定を行うことが考えられるのかということになり ます。  これまでいろんなところで御意見があった内容を「考えられる『方向』の例」として列挙して みました。当然ですけれども、この例にとらわれることなく、恐らくは追加あるいは修正があり ましょうから、御意見をちょうだいできればと思っております。  これ以外にどのような「視点」・「方向」が考えられるかということについても例を挙げており まして、※を4つ書いております。  先ほどのQOL、医療機能の分化・連携、重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の 在り方、効率化余地があると思われる領域ということで、たたき台としての例を挙げております ので、御議論をいただければということでございます。  資料2をごらんください。こちらは、今、申し上げました総論や論点の議論の基礎になるだろ うということで準備いたしました。  平成20年度の診療報酬改定の基本方針が一番左のカラムに書いてございまして、真ん中のカラ ムが改定で実際にどういう対応をしたのか。右側が実施の状況、実績はどうなっているかという 形で、いわゆる3段組みのような構造でお示ししております。  たくさんありまして、ページ数が多うございますから、これを全部説明していくわけにはいき ませんが、例示としては、1ページ目を例にとりまして、簡単にこの表を説明したいと思います。  まず、今も申し上げましたように、一番左には「産科・小児科への重点評価」ということです から、基本方針の中では、ハイリスク妊産婦や母胎搬送への対応が充実するよう、また、小児医 療については、特に手厚い体制の専門的な医療が必要だということを検討しろということで御提 言をいただいております。  これに対して、改定の中ではポツが3つ並んでいますが、例えばハイリスク妊娠管理加算やハ イリスク分娩管理加算の評価の充実を行いましたし、妊産婦の搬送という点では、緊急搬送入院 加算を新設したり、あるいはNICUのお子さんの問題では、超重症児(者)入院診療加算のよ うなものについても増点しております。  こうした診療報酬改定での成果をどう推し量っていくのかというのは、なかなか難しいところ ですけれども、差し当たり、届出医療機関数あるいは算定状況という形で右側にお示ししており ます。  これはどういうことかといいますと、診療報酬の中には、ある診療報酬点数を算定しようとす ると、届出が必要であって、その届出をするためには一定の施設基準が必要ということになって おります。そういうこともありまして、届出医療機関数がどれくらいかということを書いており ます。例えばハイリスク妊娠管理加算では1,722施設。ハイリスク分娩管理加算では623施設とな っております。  この状況だけを見ていただいてもなかなかわかりづらいかと思いますので、その下に参考を付 けております。  ごらんいただきますと、産科・産婦人科を標榜する病院数が1,616施設ということです。先ほど のポツの上から3つ目のハイリスク分娩管理加算を見ていただきますと623施設です。つまり 1,616分の623施設がこういう加算を取っていることになります。  なお、一番下の注に書いてありますように、括弧内の数値というのは、その前年の数値という ことになります。したがいまして、1,616施設中623施設と申しましたが、その前年は708施設だ ったということになります。  いずれにしても、こういう形で、以下、左側に基本方針、真ん中に改定の状況、右側に実施状 況という形でずっと並んでおります。  全部説明している時間がありませんので、簡単に流していきますけれども、通常の診療報酬の 点数とはちょっと違った部分ですが、例えば7ページをお開きください。  「イノベーション等の評価」がありまして、ここでは医薬品とか医療機器については、革新的 な新薬等を適切に評価できる薬価制度等を見直す一方で云々とあります。ここでは必ずしも診療 報酬点数の設定によらない薬価制度等の改善、下の段の後発医薬品のところでは、処方せん様式 を見直し、処方医が処方薬の後発医薬品の変更に差し支えがあると判断する場合にのみ処方せん に署名するというような、必ずしも診療報酬の点数の算定に限らない内容についても書き込んで おりまして、それらの実施状況についても右側に書いたということです。  また、これ以外にも、例えば10ページをお開きいただきますと「薬歴管理」の部分では、外来 医療を受ける後期高齢者は、服薬している薬の種類数が多いこと云々とありまして、真ん中のカ ラムですけれども、療養担当規則等において、医師が診察する場合や保険薬剤師が調剤を行う場 合に患者の服薬状況や薬剤服用歴を確認することを規定した等々の内容とされております。  14ページです。やはりこれも少し通常の診療報酬とは意味合いの違う内容かもしれません。「居 住系施設等における医療」となります。  居住系施設を含むさまざまな施設等を利用している後期高齢者について、その施設等の中で提 供されている医療の内容や施設の状況等も踏まえつつ、外部からの医療の提供に対する適正な評 価の在り方について検討するべきであるとなっておりまして、真ん中のカラムでは、居住系施設 入居者等への在宅患者訪問診療料の新設をしたり、特定施設入居時医学総合管理料の新設を行っ ております。  また、ここには書いておりませんけれども、これまで必ずしもきちんと整理がなされていなか った介護系の施設に対する外部からの医療の提供についての取扱いについても整理をしたという ことであります。  非常に駆け足でございましたけれども、資料1と2につきましては、こういう状況です。  資料3以降は、今の資料1の議論を進めていただく上で極めて重要であるものを抜き出して準 備いたしております。一部はもう既にごらんいただいたものも含まれておりますので、ポイント を絞ってお話をさせていただきます。  資料3が「救急医療、周産期医療等の現状について」でございまして、これも前回お示しした もののエッセンスになっています。  ポイントだけかいつまんで申し上げますと、3ページにありますように、救急搬送件数は、こ の10年間で約1.5倍、年間500万件まで増加をしているということですが、4ページでごらんい ただきますように、この10年間の伸びの原因を見てみると、軽症や中等症、それも成人や高齢者 における軽症、中等症の伸びが大部分を占めていることが言えます。  5ページは、救急医療体制の整備の状況です。順調に増えているとは言えるんですけれども、 二次救急が3,253件から3,175件と一部減っているようなところもありまして、今後の推移が懸念 されます。  6ページは、消防法の一部を改正する法律の概要をお示ししておりまして、事前に搬送受入れ のルールを決めるということが決まりました。5月1日の公布でございます。  周産期医療の現状も前回お示ししましたので、簡単に言います。  出生数は、御存じのように微減傾向にある。一方、病院や診療所も減少傾向にあるということ が見て取れます。  9ページも御存じのとおりでございまして、出生時体重が2,500g未満の出生割合の推移ですけ れども、棒グラフで見ていただきますように、実は出生時体重2,500g未満の出生割合は増えてい ることがわかります。  10ページは、母体や新生児の搬送受入れということですが、しばしば問題になっております新 生児集中治療管理室(NICU)の病床利用率が90%ちょっと。つまり10個ベッドがあるとする と、そのうちの9個は埋まっているという状態でございます。例えば救急車がやってきて母体や 新生児を受入れてくださいといってもNICUが満床だと回答するセンターが多いということで すが、その理由を聞いてみますと、そういうことになっております。  11ページからは小児救急医療の現状です。  これも前回説明がありましたので、簡単に申し上げますが、左側の散布図のようなグラフをご らんください。日本の位置を見ていただきますと、出生対1000の乳児死亡率は比較的低い位 置にある。つまり、高いレベルにあるわけですけれども、1〜4歳という年齢区分だけは、むし ろ高いグループにあるということでございます。  その理由は、今、厚生労働科学研究でもいろいろ分析をされているところですけれども、その 1つとして、13ページにお示ししますように、小児救急医療体制の整備が十分でないからではな いかという意見もあります。例えばここではA〜Fまでの6つの施設を例にとって、救命救急セ ンターの病床数が幾つあるのか。高度な小児の受入れのできる専門病床はどのくらいあるのかと いう数をとっておりますけれども、ごらんいただきますように、必ずしも多くないということが 言えます。仮にあったとしても、そういうところでは、例えば術後患者用の病床のみありとか、 必ずしも十分ではないということが示されております。  15ページです。資料3に関するまとめに相当する部分になります。  救急医療等に係る課題と必要な支援を大項目ごとに分けております。  救急医療の需要が増加したこと、受入れ体制が不足したこと、出口の問題とそれぞれ分けまし て、それぞれにどんなことが必要かということを15ページの下の段に書いております。勿論ここ に書かれましたことは、診療報酬ですべてやってしまうというわけではなくて、補助金もありま しょうし、先ほど法律の話をいたしましたが、法律やルールの改善あるいはPRのようなものも あるかもしれませんが、いずれにしましても、診療報酬を含めた幾つかのツールでもってこうい う対応をしていく必要があるということがまとめられております。  次は、また毛色の違った資料になりますけれども「社会保障国民会議最終報告(平成20年11 月4日)」です。これも前回お示ししましたが、違う視点からエッセンスとして抜き出しまして、 御説明いたします。  社会保障国民会議の最終報告の中にも(4)として書きましたが、診療報酬体系・介護報酬体系の 見直しは重要である、それも基本骨格の在り方にさかのぼった検討が必要であるということが書 いてあります。  (5)が非常に重要ですけれども、医療・介護に関する将来試算を実施しております。ここではそ もそもあるべきサービスの姿はどのようなものなのか。高齢化が進んでいく中で、どういう医療 サービス、介護サービスが必要なのかということを想定した上で、それを実現するためにどれだ けの費用が必要なのかということを推計したわけです。  ここでは、費用の中にはお金も勿論ありますし、人的な資源もありますし、そういう資源につ いて試算をしているということです。  2ページは、あるべき姿を考える上での具体的な改革の方向はこのようなものではないでしょ うかということが示されております。  例えば急性期医療につきましては、2つ目の○になりますけれども、現在の一般病床を急性期 病床と亜急性期・回復期病床とに機能分化していく。特に急性期病床については、人的・物的資 源を集中的に投入していくということが書かれております。  また、慢性期医療においても、地域における病院・診療所の連携強化や在宅医療サービスの充 実強化を図るということが書かれております。  時間も限られておりますので、相当端折りますけれども、その推計なり、あるいは費用負担の シミュレーションは、4ページの下の図に集約されております。  一番左下のカラムですけれども「現状」と書いてありまして、一般病床は103万床、長期療養 が23万床、介護施設が84万、以下居住系25万人分となっております。2025年という時点をとら まえまして、Aシナリオというのは、基本的には現状のまま推移していくととらえているんだろ うと思いますけれども、現状推移型。  それに対しまして、一定程度の機能分化や連携を図っていくとしたのがB1〜B3までのシナ リオでございます。例えば一番強烈といいますか、かなり大胆に推計をしているB3シナリオで いいますと、高度急性は26万床でいい。そのかわり一般病床の職員は116%増やす。また、一般 急性については49万床増やしていく。更に亜急性期は40万床、長期療養は23万床とするんだと いう推計がなされております。  これに対しまして5ページをごらんいただきますと、現在亜急性期、回復期リハビリテーショ ン病棟の入院料が設定されておりますけれども、単純に比べられるかどうかはわかりませんが、 先ほどのB3シナリオやB1シナリオを見ますと、40〜52万床必要とされておりますが、ここを ごらんいただきますと、今は全部合わせましても3〜4万床というレベルで、圧倒的に足りない ということが示されております。  資料4全体を通じて、診療報酬の世界あるいは現行の病院の種別のバランスということで考え ますと、いわゆる選択と集中という言葉が言われますけれども、これは単純に例えば病院と診療 所の住み分けという話ではなくて、病院の中でも急性期、亜急性期あるいは慢性期、これは療養 病床と 言い換えるのかもしれませんが、そういう病院の住み分け、機能分化が必要だろうという ことが書かれております。  なお、これは内閣で行われました、あくまでも大胆な仮説、仮定、前提を置いた推計でござい ますので、これをこのまま厚生労働省が引き写して実施していくわけではないという理解でいい と思います。例えばでいいますと、急性期から亜急性期、長期療養という形で、どうもシームレ スに、段階を踏んで流れていくという構想になっておりますが、脳卒中のような場合には、かな りそれに近いような流れ方をすると思いますけれども、ある疾患においては、いきなり在宅に変 わる、あるいはいきなり介護系施設に変える。つまり、亜急性期や長期療養病床を経由せずに、 いきなり在宅や地域に変えるということもありましょうから、これはどちらかというと、脳卒中 のような疾病を念頭に置いたモデル的なパターンと御理解いただきたい。いずれにしましても、 こういうことが言われているということです。  資料5は、前回藤原委員から御質問があったことに対する簡単なお答えになります。  藤原委員からは、医療の提供体制の向上、改善というときに、すぐ診療報酬というお話が出て くるけれども、診療報酬だけではなくて、補助金というものの活用もあるのではないかという御 質問だったと思います。  そこで、まず1ページ目に、診療報酬と補助金を対比いたしまして、どう差があるかというこ とを書いております。  診療報酬は、まず(1)に書きましたように、診療行為に着目して支払われるということです。  また、(2)に書きましたが、必ずしも厳密な原価計算ではなく、近似的な原価計算で設定してい るものです。  さらに、(3)に書きましたが、実は診療報酬は、単に支払われるだけではなくて、保険料あるい は窓口負担という形で影響を与えますということです。  同時に、被保険者間の公平を図る観点が重要でございますので、地域加算や離島加算といった 差はあるものの、原則は全国一律に点数を設定していることになっております。  一方、補助金は、診療報酬とほぼ対比する形で書いておりますが、特定の事業の促進を期する ために団体や個人に交付する金銭給付になっております。政策目的に照らして、地域において必 要な医療提供体制の構築を促すことから、奨励的な予算補助事業を実施しているものです。  補助金には、国の負担分のほか、都道府県の負担分や事業主の負担が存在します。  以下、(1)、(2)、(3)と次のページにつながっていきますけれども、診療報酬のところで説明しま した(1)と補助金の(1)とは対応する関係になっております。例えば(1)で見ますと、小児救急に関す る電話相談事業があります。これは読んで字のごとくでして、小児救急と言っているものの、医 療そのものではありませんで、お母さん方の不安に関するテレフォンサービスのようなものにな るわけですが、こういうものは診療行為と直接関連しないですが、こういうものも結果的には小 児医療に資するだろうということで必要な費用が出されているところです。  (2)救急医療等の医療提供体制に係る費用で、個々の医療機関の特性、例えば特別に高度の救急 患者を受入れているという医療機関の特性などによって、診療報酬では必ずしも十分に見ること ができなかった費用というものを補てんしています。  (3)は、読んで字のごとく、僻地医療などということになります。  少し時間が限られておりますので「(3)その他」にまいります。  その他は○が2つ並んでおりますけれども、先に下の○から御説明いたします。  先ほど、補助金と診療報酬とを並べて御説明しましたが、この話は、基本的には厚生労働省か らの補助金を念頭に置いております。実際には、厚生労働省以外からの広い意味での補助金がご ざいます。近年、三位一体改革や病院群輪番制病院に関する補助金、公立の救命救急センターに 関する補助金などは、国から地方への税源移譲、あるいは一般財源化が行われております。つま り、総務省から交付税という形で交付されることになっています。これも広い意味では補助金と 言えるかと思います。  一方、1つ上の○に戻りますけれども、公立病院の場合は、診療報酬や、今申し上げました補 助金のほかに、救急医療、精神科など、特定の部門に要する経費のうち、単純に診療報酬や補助 金だけでは充てることができない場合には、地方公共団体の一般会計からの繰入れが認められて おります。これも広い意味では補助金ということになるかもしれませんが、ここでは詳しくは御 説明いたしません。  以下、2ページ目の後段からは具体例がありまして、どういう場合に診療報酬で対応している、 予算補助ではどうしているということを、縷々羅列しております。  3ページにも続いておりますが、勤務医負担軽減関係が典型的ですので、ここだけ例にとって 説明させていただきますが、勤務医負担軽減計画を策定する等の要件を満たした医療機関につい て、入院料加算を設定しております。  それに対して予算補助事業では、個々の医師に対する分娩手当や救急勤務医手当などに対して 助成を実施しております。  追加で、事業規模についてだけ御説明をさせていただきます。  実は、診療報酬は34兆1,000億円が直近の医療費の数字でございまして、これは例えば医科医 療費にだけ限定をして数字を挙げますと26兆円となっております。病院が18兆円、診療所が8 兆円となっています。  これに対しまして、補助金の方は、厚生労働省からの国費ベースで847億円となっております。 先ほども申し上げましたように、設置者負担や自治体負担がありますので、大体この2〜3倍。 そう考えますと、大きく見積もって2,000億円前後かと見ております。  そういうことですので、金額の差という点では、2,000億円対34兆円ということで大きな差が あるということを御理解いただければと思います。  以下、ここからは参考資料になりますので、この参考資料の簡単な説明だけさせていただきま す。  参考資料1は、平成20年度の診療報酬改定の基本方針が何であったかということですので、検 討の合間にでもまたごらんいただければと思います。  参考資料2は、先ほど御説明しました特別部会が設置されたときの後期高齢者医療の診療報酬 体系の骨子です。  参考資料3は、先ほども申し上げましたが、診療報酬を算定するに当たり、施設基準の届出等 が必要となるものがあると申しました。そういうものにつきまして、各年7月1日現在で届出状 況をとりまとめておりますので、これらを一覧表の形に整理したものです。  参考資料4、5は、これまで長い長い診療報酬の歴史の中で、診療報酬改定を行うんだけれど も、その改定の効果とかについて、必ずしも十分分析されていないのではないかということもあ りましたので、近年はこういう形で中医協の中に検証部会というものを設けまして、検証を行っ ております。今日はたまたまですけれども、病院勤務医の負担軽減の実態調査と後発医薬品の使 用状況調査についてということで、病院に対する、あるいは病院に来た患者さんに対するアンケ ートという形で実態調査をしまして、前回改定が実際にどう受け止められているかというアンケ ート調査をしております。  勿論、これはアンケート調査でございますので、経済的な側面、確かに算定されているかどう かというのは、社会医療診療行為別調査になりましょうし、届出施設の数という意味では、先ほ どの届出調査になるかもしれませんが、最近はこういう形で、主要な項目についてはできる限り 早急に検証を行う仕組みができ上がっているということでございます。  参考資料6は、前回の医療部会における主な御意見。  参考資料7は、同様に医療保険部会における主な御意見で、項目ごとに再編成をして並べたも のですので、御高覧ください。  説明は、以上でございます。 ○糠谷部会長 大変いろいろな資料の御説明をいただきましたが、かなり内容が広範にわたって います。いろいろ御質問等もあろうかと思いますので、自由に御意見をお出しいただければと思 います。特に次期診療報酬改定の基本方針に盛り込むべき基本的な視点や、救急、産科等の体制 強化、勤務医の負担軽減等の具体的な内容について、お考えがおありの委員の方は、是非積極的 に御発言をいただければと思います。どうぞ御自由にお願いいたします。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員 まず、大局的なことから申し上げたいと思います。  前回話題の中心になりました選択と集中は、社会保障国民会議でも大きなメインテーマであっ たかと思いますけれども、これは格差社会の継続であり、選別と切り捨てという意味も包含して いると理解しております。  首相も、行き過ぎた至上原理主義の決別を宣言しておられるし、野党も言わずもがなの状況に あるのに、いまだにこの路線の延長線で考えることは、本当に国民の視点に立っているとは言え ないのではないでしょうか。今、大きく政治が変化しようとしているときに、この審議会としま しても、そういった風を敏感に読み取って、基本方針を立てるべきではないかと思います。  選択と集中により医療連携は寸断されているというのが現場の感覚でもあります。具体的にこ れはどういうことを意味しているか、1つ例をお示ししたいと思います。  ある県を例に挙げて見ますと、8医療圏で構成されております。1医療圏が10万人を切る程度 のところでありますけれども、それなりの中核病院があり、小児科医師3、4人でやりくりをし ていました。人口が少ないから受診者数はそれほど多くもなく、何とかやっておりましたけれど も、県が集約化の大号令の下に、1つの病院に医師を集める。8人から12人程度に集めるという 政策がとられました。小児科医は、県内において数に限りがあるわけで、その結果、その3、4 人の医師が中核病院から引き上げることになり、その2次医療圏においては、病院に小児科医が いないことになります。  一方、集約化された病院も、医師が10人に増えると、確かに病院勤務医は楽になりますけれど も、それに見合って患者が増えるわけでもなく、ただでも不採算のところがより悪化することに なるわけであります。では、それに見合う診療報酬をつければよいかといいますと、診療報酬体 系が非常にいびつなものになってしまうということは、容易におわかりいただけるかと思います。  観念的に医療政策を推し進めると、特に地方は過疎化が進むことになります。医療崩壊たるゆ えんは、身近で適切な医療が受けられなくなったことにあるのではないかと思います。要は、地 域に合った医療提供体制づくりが必要であります。  過去3回の診療報酬改定を振り返りましても、急性期病院、救急、産科、小児科、そして病院 勤務医への対応はそれなりになされてきたと思います。特に2006年、2008年は、病院勤務医への 支援ということが骨子であったはずであります。それは配分の見直しでもありました。診療所か ら病院へ想定外ともいえる財源移譲がなされ、基幹病院、大病院を中心に手当がなされてきまし た。それでも急性期病院、救急医療が十分でないとしたら、もっと根本的な原因を探す必要があ るのではないかと思います。  今日の資料にもありますけれども、中医協の平成20年度診療報酬改定結果検証の調査における 勤務医の実態を示す基礎的データについては、前回の審議会で一部申し上げましたので繰り返し ませんが、これは厚労省が行った大規模調査で、次回改定の手がかりとなるものであり、全体像 ではないかもしれませんが、それなりに実態を表していると思います。  しかし、それを見ましても、明確には、いわゆる医療崩壊と言える状況が浮かび上がってこな いと言えるのではないかと思います。もっともこの調査対象が、検証部会の評価にあるように、 比較的医療支援が豊富であると思われる施設が対象であるとすれば、それなりに理解できます。 医療の現場は複雑であり、医療の一部を手当しても、医療はよくならないどころか、地域医療に 混乱と不安を与えます。現場にそぐわない医療政策は長続きしないのが、過去の例から見ても明 らかであります。  まず、全体の医療システム、構造的問題がどうかであります。救急病床だけを見るのではなく、 今、必要なのは、流れをよくするための後方病床、後方施設の充実であります。それはまさに医 療連携であり、基幹病院を含めて、中小病院、有床診療所、無床診療所また在宅医療の充実、推 進といった総合的対策ではないかと思います。ある意味、地域の中核とも言える診療所、中小病 院、慢性期病院について、これまで触れられていないのは、全く遺憾であります。ただ、今日の 資料を見てみますと、その辺も少しずつ出てきているようには思います。  また、夜間対応などをしておる地域住民に密接した医療提供を行ってきました有床診の激減は、 厳しく受け止めるべき問題であると思います。国民皆保険制度を堅持し、バランスのとれた医療 提供体制の構築を求めるものであります。  以上です。 ○糠谷部会長 ただいまのような御意見で、特に何かということではないですか。 ○藤原委員 今、申し上げた中に、今日お示しいただいた厚労省の基本方針の検討の中の一部が かなり入っていると思いまして、そういった意見を申し上げました。 ○糠谷部会長 わかりました。  それでは、そのほかの委員の皆様方で、御意見がおありの方は御自由に御発言ください。  逢見委員、どうぞ。 ○逢見委員 資料1でたたき台をつくっていただきましたので、それをベースにして意見を申し 上げたいと思います。  前回、平成20年の診療報酬改定においても、4つの視点と緊急課題を掲げているわけですが、 まずはこの4つの視点なり緊急課題が、この2年間でどの程度改善したのか検証する必要がある と思います。今日の参考資料にも、一部載っておりますが、基本的には、まだ課題の解消には至 っていないだろうと思いますので、今度の基本方針にあたっても、その状況を検証した上で、こ の4つの視点なり緊急課題を継承していく必要があるのではないかと思います。  ただ、これまでの政府の方針の中には、医療費の伸びを厳しく抑制するという方向があって、 これは政府自身もその方向について見直しをしているわけですから、そういったものは診療報酬 改定の中にも取り入れていく必要があると思います。ただし、それは効率化という視点をなくし ていいということではなくて、効率化の余地のある部分については、しっかりと効率化を図る。 本当に必要なところにしっかりと評価していくということだと思います。特に救急医療、小児、 産科の急性期医療については、医師不足、看護師不足、病床不足が深刻な状況になっているわけ ですが、ここは補助金の充実と合わせて、そういうものが提供できる仕組みをしっかりつくって いくことが必要だと思います。  その上で、これは診療報酬で加算することによって、提供体制の充実を促すという意味合いよ りも、むしろしっかりした体制を整えた医療機関に対して、診療報酬の部分で適切な評価をして いくという視点が重要なのであって、そこの前後が入れ替わることがあってはいけないというこ とだと思います。本末転倒にならないように、あくまでもしっかり求められる体制を整えたとこ ろに診療報酬上の評価をしていくという視点を持つ。そういうことを基本方針の中に組み込む必 要があると思っております。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかの委員の方、御自由にどうぞ。  岡崎委員、どうぞ。 ○岡崎委員 高知市長の岡崎でございます。全国で一番療養型病床群が多い高知市、また高知県 でございますので、それに関連しまして、少し意見を申し上げたいと思います。  資料4の3ページに記述されておりますように、療養型病床群の見直しの答申がずっと出てお りまして、新型老健等へ一部移っていく部分とか、いろんな形で移行の方針が出されておりまし たが、提案当初のような極端な療養型病床群を廃止していくという方針ではなくて、現在では緩 やかなソフトランニングの方針に切り替えられてきておりますが、我々が見る限り、やはり医療 分野に療養型病床がかなり残っているのが現状ではないかと思います。新型老健への移行も余り 進んでいないように見られますし、この部分の方向性というのが、またはっきり見えてこないよ うな感じがしております。  我々が特に心配しておりますのは、「病院から追い出されて、医療難民にならないように」とい うことで、地域を守る立場としては、我々はそこをしっかり守っていかなければならないです。 この部分の方向性が今後どうなっていくか。ドクター側からしますと、現在は医療機関の方にと どまっているというのが現状でございます。この部分の方向性が今後どうなっていくかというこ とは、我々も気をつけて見守っていきたいと思っているところでございますので、医療難民を出 さないという観点でそこは慎重な取扱いを今後とも要望するところでございます。これは意見と して申し上げておきたいと思います。 ○糠谷部会長 渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員 資料1の方向性に基づいて、歯科医療の現場の実態を踏まえて、次期改定の提案を させていただきたいと考えます。  前回も触れましたが、国民の求めている安全で安心な生活、また医療のために、歯科医療は、 この生きがいとまさに生活の基本を支える医療であると考えております。  閣議決定の「骨太方針2009」の中で、安全社会の実現の中において、生涯を通じて歯及び口腔 の健康を保持する社会を目指して、8020運動を推進するということが記載されております。 御存じのように8020運動というものは、80歳で20本の歯を保とう。それによってしっかりと 食事をし、会話を楽しむことができる。口腔機能を保とうという運動ですけれども、これは平成 元年以来、これはその当時、厚労省と歯科界とが一体となって提案してきたものですが、私たち 歯科界も懸命にこれに取組み、国民の皆様にもその大切さを強く訴えてきました。  当時は、8020運動の達成者はわずか7%だったんです。しかし、今はそれが25%まできま した。実は平成12年にスタートしました国民運動の「健康日本21」の中でも、歯の健康の項目の 中でその目標値を20%としまして、来年その検証が始まるわけですけれども、既にその目的を達 成しているところまできている状態であります。  私たち歯科医師会は、80歳以上の方でこの達成者を50%にするということを目標に、「802 0社会」、QOLの高い社会を目指して、努力してまいる所存でありますが、こうした8020を 達成した方の一般医療費を調べてみますと、データとして、達成されていない方に比べて、非常 に一般医療費が低いというデータがいろいろと出てきております。  生涯を通じて全身の健康に寄与するこうした歯と口腔の機能と、健康を保持する社会を目指し た8020運動を更に確実に進めるためには、実はヘルス面からだけのアプローチでは当然だめ でして、歯科医療面からの充実を図ることが重要でございます。歯の保存と口腔の機能を維持す るための有効な歯科医療、しかも安全な歯科医療を提供することが重要でございます。当然そこ には、この重症化予防なども踏まえていかなければならないと思っております。  前回の改定において、そういう意味で歯科医療の充実ということが挙げられております。その 実施もいろいろと行われておりますけれども、まだまだ不十分なところはございます。そのため に、更に次期改定において、歯科医療の特性と臨床実態を踏まえて、こうした歯科医療技術など の十分な評価を検討する必要性があると提案したいと思っております。  この8020運動は、御存じのように、80歳で20本の歯ということでございますが、決して成 人期や高齢期において対応すればよろしいものではございませんで、小児期から高齢期まで、ラ イフステージに沿って健診し、しっかりと診療し、管理していく。かかりつけ歯科医がそれを常 に行っていくことが重要でございます。御存じのように、小児期においては、今、食育の推進が うたわれておりますけれども、この中でも口腔の正常な発育を支えるということ。それは少子社 会の中において、子どもたちの健全な発育を支援するという意味では、非常に重要だと考えてお ります。  また、高齢社会の中で在宅の患者さんに対しての歯科医療の充実は、更に求められるものでご ざいまして、前回の報告の説明の中にもございましたが、20年度改定でも、例えば在宅療養支援 歯科診療所を新設し、口腔機能の管理あるいは在宅医療のための医師、歯科医師あるいは関係者 との連携を推進しようということが導入されたんですけれども、現場からの声としましては、そ うした連携がなかなかうまくいかない。また、患者の家族あるいは患者さん、医療関係者への在 宅歯科医療に対する周知が、まだ不足していると思います。その結果、訪問歯科診療のニーズが 我々の方としてなかなか把握できないということがございます。在宅診療の診療体系の項目は内 容的にもなかなか複雑ところもございますので、そうしたところを明解にしていくことも必要だ ろうと考えております。  ということで、在宅歯科診療の非常に困難な環境の中での診療を行うという特性を踏まえた評 価を今後検討していく必要があろうと考えております。  是非次期改定において、より適切な在宅歯科医療の推進を図ることが、これらの問題点を解決 する意味で必要であろうということで、在宅歯科医療の充実、現実また実状を踏まえて見直しが 必要だろうということを提案したいと思っております。これはまさに20年度改定で項目として挙 げられたものを更に推し進めるという意味において重要であると考えております。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかの方、どうぞ。  まず、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員 先ほど逢見委員が発言されましたけれども、基本的には私も全く賛成です。特にこ の4つの視点ないしは緊急課題については、引き続き基本方針に盛り込み、いついかなる時代な り状況であっても、めり張りをつけていくこと本当に必要だろうと思いますし、特に今日の状況 からしますと、前回も申し上げましたけれども、保険者は本当に厳しい財政状況にあり、また国 民の方から見ましても、今の経済状況は本当に厳しいわけですので、やはりめり張りをつけるこ とは基本だろうと思うんです。  個別で申し訳ないんですけれども、2つほど申し上げたいことは、2ページ目のところに例示 のような形でもって、4つの視点と緊急課題について書いていますが、特にここに書かれていな い2つについて申し上げたいです。  1つは、あらゆる項目に関わってきますけれども、いわゆる医療の見える化といいますか、I T化の推進は欠かせないだろうと思いますので、ここは是非この部会でもって合意が得られれば ということが1点です。  もう1点は、前回中医協の中で相当議論したんですけれども、最終的には、私どもからします と不満が残ったんですが、同一の医療サービスをすれば同じ点数というのは基本だろうと思うん ですが、それがまさしく※の1点目の「患者から見てわかりやすく」ということだと思うんです。 再診料について、病院と診療所の間の統一ができなかった、あまり進まなかったということでご ざいますので、そこはこの部会でもって、是非同じ医療サービスをやっていれば、それに対して 同じ診療点数が付くということは当然であるということ、またそのことが患者の納得性が得られ ることを確認できればと思います。  この2点をよろしくお願いしたいと思います。 ○糠谷部会長 では、山本委員、どうぞ。 ○山本委員 確かに、書いてある4つの課題点はそのとおりかもしれませんが、現実的なところ が少し欠けているのではないかと思います。例えば救急医療でも、皆さん御存じだと思いますが、 私どもの地域では、救急医療そのものを実施するだけの医師が不足しているんです。救急医療を どうしますかということになって、大議論になっているんですけれども、いまだに解決はしてお りません。  というのは、救急医療に出て行くだけの医師がいないという状況です。これが地方の実態です。 医師は一体どこに行っているんだろうと思うんですけれども、どこかに偏っているのではないか という感じがします。  地域によっては、救急医療でさえうまくやれないというところがあるという認識もしてもらわ なければなりません。  もう一つは、お互いの基幹病院があるんですけれども、そこだけでは受け持ってくれないんで す。例えば具体的なことを申し上げますと、私の地域で子どもの病人が発生した。ところが、そ の子どもを治療するだけの施設がある病院が私どもの地域にはない。ですから、隣の診療圏のあ るところへ連れて行かなければならない。そのためには、その診療し得る病院と我々のところと の協定が要るんです。それで私は行きました。ところが、簡単にはやりましょうとは言ってくれ ないんです。せめて患者が発生したときに、我々のところでは治療が不可能だが、少しレベルの 高い治療をやらなければならないものですから、それを受入れてくれないかという相談に行った んです。  ところが、私の方もそうゆとりのある医師配置状況ではないと言うんです。私が言っているの は大きな地域ですよ。小さなところではないんです。隣の地域には四十二、三万人いるんです。 そこでもそういうことを言っているわけですから、私はもっと小さな、言うなれば人口の少ない 地域では、そういうことはもっとひどいのではないかと思います。特に産婦人科などはほとんど いません。あそことあそこしかおりませんよという程度しかいないんです。医師の配置が十分で ないところがあるんです。そういう状況を踏まえて、診療報酬のことだけ考えてやったら、そう いうことは解消するのかなと、先ほどからじっと話をお聞きしながら考えておりました。もう少 し医師の配置が順調にいけるようにすべきではないかと思います。  その前の大学病院が医師を派遣していた時代は、大学に言うと大学から出してくれましたけれ ども、今はもうそれをやっていないものですから、なかなか医師の補充が不可能という状況下に あるんです。  私は救急医療の委員長をやっておるものですから、どうするんだとみんなから言われるけれど も、私の力ではいかんともし難いのです。そこの辺りの配慮が、どうもこれを見ると、言葉は違 うけれども、確かに皆さんが喜ぶような医療体制をつくりましょうとは書いてありますが、現実 はそれに合っていないというところをお考え願いたいと思います。  それから、この診療報酬を決めることは大変難しいと思います。こんなことを言ったら笑われ ますけれども、私は診療報酬の委員になれと言われたんです。お断りしました。なぜならば、私 は注射1本が幾らするのか、薬が幾らするのか知りません。また、その薬は何の効果があるのか、 どういう人に効くのかということは知りません。知らない者がそういう委員になるのは適当でな いと思いましたから、お断り申し上げました。  何かバランスをとるために、私どものような無知識な人間に診療報酬の審議会の中に入ってく れというのは間違っているのではないでしょうか。その辺りも考えていくとするならば、今のこ の診療報酬の決め方が、そういう人たちで議論したとするならば、適切な診療報酬を見つけ出す ことは難しいのではないかと思います。  今でも我々のところから1人出ていますから、彼もそれは十分知らないはずです。人数さえ合 わせればいいというやり方はやめてほしいと思いますので、是非この辺りはお考えを願いたいと 思います。もしこの中にその委員の人がおられたら、お許しください。皆さんは専門家でしょう から大丈夫だと思いますけれども、私は事実をそのまま申し上げております。  診療報酬の審議会の委員の先生方は、オールマイティな先生たちでないと、そういう審議はで きないのではないかと思います。恐らく厚労省の方でそういう点はお考えの上で決められている と思いますけれども、まだまだそういう欠けているところがございますので、そういう点を御配 慮願いたいと思いますので、是非お願いします。  最後にもう一つ。これは大事なことですが、お医者さん来てくださいということです。みんな が笑うんですけれども、町立病院を止めました。持っておりましたが、全国で公立病院を廃止し たのは私だけなんです。ほとんどいないんです。どうしたら止められますかと尋ねてくる市長さ んやいろんな方がいるんです。それは止めれば止められるではないかと言うんですけれども、な かなか難しいです。  だから、私が止めたために、みんなから、お前はよく決断して止めてくれたのでよかったと言 われます。というのは、我々のような公立病院というのは、ほとんどが赤字経営なんです。赤字 経営でやっているものですから、止めたいけれども、地域の皆さんたちが承知をしてくれないと いうことがありますね。だから、簡単に止め切らない。どうしたら止められるかとみんな思って いるんですけれども、小さな公立病院というのは、もうやっていくだけの力がない。患者さんは いるんです。田舎に行くほど高齢者は多いんです。それは御承知のとおりです。ところが、十分 な診療するだけのものを持っていないものですから、どうしても大きな病院へ行ってしまう。地 域の小さな町立病院や私立病院では、皆さんが安心して行けないということになるわけです。そ この辺りの問題があります。  それから、医師の派遣がスムーズにいくように考えていくことこそ大事なのではないでしょう か。医師が今のようなやり方で、どういう関係でやっているかはよくわかりませんけれども、前 のように大学病院から派遣する、そして一定の年数が経ったら交替を出してくれる。救急医療だ って、大学病院から出てもらえば実施できたんです。ところが、先ほど申し上げたように、私ど ものところでは医師不足で、救急医療をどうするかと言われています。私は責任上、どうしたら いいかわかりませんけれども、何とかやらざるを得ないので、大学に行って、三拝九拝してお願 いをしているんです。  しかし、医療というのはそういうものではないと思うんです。誰かが頭を下げてやってくださ いというものではないと思うんです。それは制度が悪いからそういうふうになっていくんだと思 いますから、この辺りもこういう機会に是非皆さん方に御認識をいただいて、うまく運営ができ るよう、常にそういう医師が偏在をするような地域が生まれないように考えてやることが大事で はないでしょうか。ここできれいなことばかり言って、そして調子のいいことばかり言っても、 日本の医療がよくなっていくとは思いません。ですから、実際に困っていること皆さんがどんど ん意見として出して、それをどう是正していくかということを考えることの方が、私は大事では ないかと思います。私が言っていることに、ひとつ格別な御理解をいただいて、国側の方も十分 それに対して配慮をしてください。お願いを申し上げておきたいと思います。 ○糠谷部会長 それでは、西村委員、どうぞ。 ○西村委員 大変恐縮です。実は、山本委員がおっしゃった話とほとんど同じような趣旨の話を 2つ申し上げたいと思います。言葉は加えます。済みません。  細かい話で恐縮ですが、先ほど補助金の説明がありました。できましたら、次回までとは言い ませんが、10年ぐらい前はどうだったかという数字が是非欲しい。というのは、10年ぐらい前は、 地方自治体は相当の額を医療につぎ込んでいたと思います。最近、せんだっての地方財政健全化 法の成立に伴って、一方で法的な総論、一方で財政需要の悪化、その2つが相まって相当医療に 対するお金が減っているという実態があるかと思いますので、その話はやはりもっとわかるよう にしていただきたいと思います。  それとの関連で本論に入ります。1つは、申し訳ないんですが、今日の議題にふさわしいかど うか私の意見も山本委員の意見と似ていて、ちょっと躊躇するのですが、実はこれから申し上げ るような議論は、ほかの場ではほとんど議論ができないような状況にあると思って申し上げます。  先ほどの藤原委員の御指摘は、いちいちごもっともと思いましたが、実は藤原委員の底にはも っと根深い問題があると考えております。それは過疎化とか高齢化が主に地方の小さい都市で起 きているという現象があって、恐らく私の推測では、今、医師を1.5倍にしても、10年後にもっ と過疎化が進んだり、あるいは地方都市の雇用機会が減少したりということがあれば、1.5倍にし ても恐らく足りない。だから、今の数字は国際比較の上で少ないという議論をしておりますが、 実は日本の実態に即した医師数というものを検討していると思えません。むしろ、あえて藤原委 員に少し反論させていただきますと、医療だけの事情を見ていて、この問題を解決しようとする と、無理なのではないかと推測しております。先ほど、選択と集中の結果がとおっしゃいました が、一方でやはりいろいろな工夫をして、例えば救急医療は本当に例外であって、むしろそれ以 外に関しては、選択と集中をどのように行うかということは、やはり10年先を見越して手を打つ べき時期が来ている。それは過疎地域の住民にとっては、今でさえ不便なことではありますが、 しかし、何かいろいろな工夫をして、もっと大きな不便にも耐えるぐらいの工夫をどうするかと いうことを考えないと、日本全体の産業構造がすごく大きく変わっておりまして、余り指摘され ないんですが、実は企業がもうけることと雇用がちゃんとあるということは、かつてですと、も うかっているところにはたくさん雇用があったという関係があったんですが、今、必ずしもこれ は対応していません。つまり、東京でもうける企業はたくさんいて、しかし、雇用はほとんど東 京に集中しているというような、雇用と利益とは必ずしも対応していないわけです。  ですから、日本全体の産業構造が変化する中で、どういうふうに大きな産業構造の変化に対し て、あるいは雇用構造の変化に対して、医療をどのように位置づけるかということを考える必要 があると思います。  山本委員とちょっとニュアンスは違いますが、やはりこれは例の社会保障国民会議が出したよ うな試算をもうちょっと小さいレベルで、そういう数字をいろいろ将来的に、例えば県ごとに病 床数がどうなる、あるいは雇用がどうなる、医師数がどうなる、これだけ足りない。そうしたら、 うちの県にはもうちょっと医師を回してくださいという数字を詰めて議論しないと、10年後もっ と深刻になると思っております。それが1点です。  あとは小さい話で恐縮ですが、今回の論点に関して、先ほどから出ているようなわかりやすく、 生活の質を高める医療の視点等々の議論がございます。これに関してはいちいちもっともですが、 これも山本委員がおっしゃった意見とほとんど同じ意見を持っておりまして、大変失礼な言い方 ですが、こういう通り一遍の委員会で厚労省が出した資料をベースに、あるいは中医協でも同じ ようなことでありまして、割とそのとき、その場、その場で問題になったことだけをちょっと取 り上げて、これをどう解決するかというやり方で、今後も維持できるだろうかということに関し て、私は非常に不安を持っております。やはりもう少し思い切ったお金をつぎ込んで、例えば医 療の評価あるいは機能分化の在り方ということを、少なくとも今よりも、厚労省にこれをみんな やれというのは酷だと思います。お金のかけ方を今の1けた違うお金をそういうことにかけて、 例えば中医協でいろいろ検証しておられますが、そういうものをもうちょっと詳しく重点的にや ることを考える必要があるのではないかと思います。  いずれも大きな話で大変恐縮です。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 私は、この部会では大変新米でございますので、とんちんかんなことを申し上げる ことも多いと思います。ただ、3日後に大きな変化があるということを踏まえて、今日審議会を やって、本日の意見がきちんと継続されるのか、危ぶみながらおりますけれども、大丈夫でござ いましょうか。  つまり、大前提が変わりつつあるところにおりまして、今までは医療費、社会保障費抑制とい うことが、こうした審議会に臨む場合にも大前提だったと思うのですけれども、社会保障国民会 議は、私も委員をさせていただきましたし、お隣にいらっしゃる西村先生は、介護・医療の専門 部会委員でいらっしゃいました。そこで提出したものを本日は会議資料としてお出しいただいた わけですけれど、改めて認識しましたとこは、抑制、抑制と言われて、確かに医療費に無駄があ ることはよく知られております。無駄遣いは絶対によくないとは思うんですけれども、日本の医 療費は決して諸外国と比べて、対GDP比などで決して高くないどころか、むしろ低い方に属し ているということと、社会保障費全体が低い。これは負担も低いんだからしようがないというこ とも言えるんですけれども、負担も低ければ、医療費及び社会保障費も大変低い。しかも、高齢 者になれば、どこかがたがきて、医療費やメンテにお金がかかっていくのは当たり前で、65歳以 上人口が20%を超えている国は、私の知る限り、世界中で日本のみでございます。しかも、右肩 上がりで高齢者が増えていくことが明白に推計できるのも日本のみでございます。  このような日本において、社会保障費ひいては医療費がこんな低いままですむはずはない。こ れは勿論国民の負担があるということ、私は負担すべきだと当然思っておりますけれども、やは り本当に考え直さなければならないと思っておりました。  ですから、恐らくこの審議会も、そのような変化を踏まえながら、これから嵐みたいな変化の 中をやっていくのだと思います。ただ、新米でございますから、皆様方がこの前までにお出しに なった4つの改定の視点というものを素直に読ませていただきまして、しかしやはり考えました。  4つの視点のうち、患者から見てわかりやすく、患者のQOLを高める。これは具体的に一体 何なんだろう。医薬品の情報提供、その他、確かにここのところ医療機関に行きますれば、一つ ひとつの薬剤について、しかもカラーコピーできれいにした薬剤の説明をくれて、そして薬剤師 さんがまた説明してくれるようになりました。これが悪いとは言いません。でも例示の2つのう ちの1つにして、これで患者から見てわかりやすくということの代表になるのでしょうか。  私はきっと本日、薬学系の方からは袋だたきか目の敵にされるだろうということを承知の上で、 ほかにこうした問題を言う場がございませんので、今日言わせていただきます。  医薬分業になり、薬学の専門性を高めて、医学と同じように6年間の就学期限になり、薬剤師 の地位が高まっていくことに、私は御同慶の至りでございます。医者よ薬よという言葉があるぐ らいに、医療の中には「医」と「薬」は対等だと思っております。ですから、薬学の地位が高ま ることは御同慶の至りなのですけれども、一方で我々高齢者とか、体の不自由な人は、どれだけ 医療機関にかかりにくくなっているか。これは新聞の投書にもみたことがあまりないので、声を 大にして言わせていただきます。  私はかかりつけ医が国立国際医療センターでございますけれども、あそこで受診いたしまして、 お金を払いまして、処方せんをもらいまして、そして道1つ隔ててずらっと処方薬局がございま す。元気ならば3分で行けます。しかし、私のように、ひざが悪くなったり、大きな病気をいた しますと、のろのろと歩きますので、6〜7分かかります。炎暑の夏、風雨の日あるいは非常に 寒い日、どれだけ患者の負担になっているか。患者のQOLを考えての医療の提供だと簡単にお っしゃっていただきたくないと思います。どうぞひとつ屋根の下で薬がもらえるようにしてくだ さい。  そうすると、処方せんを持って自宅の杉並の方に行ってもらえばいいんですよと言われます。 期限は3日か4日で切れます。※の2番目の高齢者の心身の特性を踏まえた医療の提供などとい いましても、高齢者の特性、要するに体が弱っている、足も痛くなっている、歩みも遅くなって いる、息切れをするようになっている。薬剤もそこまで行かなければ手に入らないという方向が 強まっているように思います。  それから、介護の世界はそれなりに目配りがあると思うんですけれども、是非高齢者の心身の 特性を踏まえた医療の提供とおっしゃるのだったら、高齢者を囲む家族や地域の環境の変化を踏 まえた医療の提供。そのぐらいにもう少し幅を広く、そうした地域や家族の生活の中で、本当に 独り暮らし高齢者が、今や500万人に迫る勢いであるということの中で、高齢者の特性を踏まえ たというのでしたら、心身だけではなくて、環境、地域、家族の変化を踏まえた政策であってほ しい。私は止まりませんから、今日は一応これでやめます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、坂本委員、どうぞ。 ○坂本委員 私は少し現実的な話をさせていただきますが、資料3の15ページにあります「救急 医療等に係る課題と必要な支援」の中で、救急医療の流れとして、入り口と出口、その中の病院 での治療においてこの流れをスムーズに、それから患者さん自身が安心して自分が選択していけ るようなサポートシステムをきちんと持っているところを評価していただきたいと思います。  なぜかと申しますと、今、樋口委員がおっしゃったように、患者さんは御自分で選べる方もい らっしゃいますけれども、大変悩んで、そして救急車を呼んだり、御自分で歩いて行ったり、ど うしても行きつかないときはタクシーで行ったり、いろんな方法をとって行きます。そこで、こ んなだったらすぐ来なくていいと言われたり、労力を大変使わせるシステムになっているような 気がします。  そういう意味では、入り口から出口をきちんと整えることと、その中は恐らくリスク管理をし っかりしなくてはいけないのではないかと思います。例えば入院治療をしている患者さんが転ん で骨折ということになると、またその負荷が大きくかかってくるわけで、二重の負担をさせるこ とになってきます。形としては、入り口の整え方は、来院する患者さんを見ていくということで はなくて、悩みとか相談を受けて、そして適切に、効果的な来院を促すような仕組みをとってい る病院。過疎地におきましても、医師不足によって搬送時間が長い場合、次に行く病院をシステ ム化させて、コーディネーターをおいている病院。  出口に関しましては、今、この出口のところはまだ大変不明確で、退院できない患者さんがた くさんいらっしゃるということですので、やはり自宅へのつながりを持てる仕組みを持っている 病院。そのようなところに大変エネルギーを注いで、それをシステム化している病院に対して、 きちんと評価をしていくべきだと思います。  ここは何となく継ぎはぎになっていて、何をやっているのかわからないと思いますけれども、 この入り口、出口と中をきちんと整えて、そしてそれを支える。患者さん自身がお一人で悩まな いで、戸惑わないで、それを支える仕組みをしっかり整備することを是非お願いしたいというこ とと、それに対して、看護師をフルに活用、それらのことに対応していくような仕組みを是非つ くっていただきたいと思っております。  それから、訪問看護におきましても同じで、最近聞いた話ですけれども、骨折して、腕にギプ スを巻かれたら、そのまま帰ってくださいと言われた。そして自宅に帰っても、御飯の食べ方が わからず大変苦労したということを言われたことがあります。そういう意味では、骨折した御老 人に対しては、それはどのようにしていけばいいのか。一晩泊まって生活訓練を受けてから退院 すればいいのかというところも、まだまだうまくいっていないと聞いております。そういう生活 指導をきちんとしていくというところも、是非システムとして持っているところを評価していた だきたいと思います。  訪問看護は、今、おいでになる患者さんを待っている状態ですが、実はもう少し病院の中に入 り込んでいって、病院の中に部屋をもらって、そこの中で患者さんと連携をとって、在宅にお連 れするというような、新しい方法にも評価をしていただきたいと思います。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、岩月委員、どうぞ。 ○岩月委員 先ほど、樋口委員から袋だたきにしても構わないというお話がありましたけれども、 袋だたきにするつもりは毛頭ありませんので、御不便をかけていることがあるとすれば、それは また後ほどかかりつけ薬局というものを私どもは持っておりますので、個人的に御案内させてい ただきたいと思っています。  今のお話を伺っておりまして、医師が足りない。では医師を増やそう。確かに医療というのは、 世界中どこに行っても医師が頂点で仕事をしておられますし、指示があったりとか、我々の方で 処方せんをもらって仕事をしている職種がありますけれども、今日のここの場で話しているのは、 実は医療が複雑化、高度化してくると、お医者さんだけがいればいいのかという話ではなかった はずだと思うんです。いろんな職種の人がそれぞれ専門性を発揮して、お互いに連携をとると、 初めて効率のいい医療が提供できるのではないか。昔のように、単純に患者さんを診て、1つの お薬を出して、それで話が終わったという時代と今、少し様相が変わってきておりますね。飲み 合わせがどうだとか、あるいは健康食品がどうだったか。私どもで言えば、薬に関して言うとそ れぞれの専門分野があって、それについて患者さんに効率のいい医療を提供するという役割を担 っているつもりであります。  したがいまして、人数がたくさん増えたり、いろんな人間が絡んでくると、それは非効率的で あるとか、医療が逆戻りするのでないかという御指摘をいただくと、そこは薬剤師でなくても、 今日の議論から言うと、そこは少し違うのではないかということは、あえて申し上げたいと思い ます。  以上です。 ○糠谷部会長 小林委員、どうぞ。 ○小林委員 保険者の立場から一言申し上げたいと思います。  前回の基本方針の中で、診療報酬改定に関わる基本的な考え方では、保険財政の状況とか、物 価賃金等のマクロ経済指標の動向といったものを踏まえて改定を行う必要があるとされておりま す。現在の経済状況というのは、前回の基本方針をとりまとめた平成19年当時に比べましても、 非常に悪い状況にあると認識しております。  これを反映して、私ども協会けんぽの財政状況も、非常に深刻な状況が予想されます。医療保 険部会の基本方針の検討に当たりましては、こうした保険財政の状況を十分踏まえて改定を行う ことについて、きちんと位置づけるべきと考えております。  また、前回の部会でも申し上げましたが、協会けんぽの極めて厳しい財政状況等を考えますと、 保険料負担の増大につながるような、診療報酬全体を引き上げるような状況にないと考えており、 選択と集中の観点から、補助金といったものも活用しながら、メリハリをつけていくことが必要 であると考えております。  それから、資料1の考えられる視点と方向の例の中で、効率化の余地があると思われる領域の 評価のあり方についてというものがあり、この中に後発医薬品の使用促進があります。前回の改 定で処方せん様式の変更とか、後発医薬品調剤体制加算が新設されておりますが、参考資料5に ありますように、まだ十分進んでいると言えない状況にあることから、今回の改定においても、 後発医薬品の使用促進を更に進めていく追加的な対策を行っていく必要があると考えております。  以上です。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  それでは、多田委員、どうぞ。 ○多田委員 なかなか医療の構造そのものが僻地をうまくさばけなくなったり、救急医療をさば けなくなったりという、非常に厄介な状況を生んでいると思います。ヨーロッパ諸国を見てみま すと、やはりプライマリーケア医というのは、本当にしっかりして、そしてそこが相当な機能を 果たしている。日本でも実際に医療が必要な人の中で、プライマリーケア医が対応することで、 十分対応ができる程度の患者さんが相当いるに違いない。それが今、どんどん大病院の外来へ、 しかも救急車を使って殺到するような状況をつくっている。この基本の体系をもう少しきちんと つくり直していくという工夫が要るのではないかと思います。それには、本当に開業医さんは頑 張ってほしいし、それに関連する診療報酬の定め方も、もう一回本気になってつくり直してもら いたいと思います。  特に高齢化がどんどん進めば、しょっちゅう何か具合の悪いところが出てくる患者さんがわん さと生まれるわけでありますから、これをみんな大病院の外来などに殺到させてはいけないので はないでしょうか。それはひとつ是非診療報酬の面だけでは片付かない問題だとは思いますけれ ども、診療報酬の面でも、前向きに、積極的に取り組んでいただきたいと思います。 ○糠谷部会長 それでは、齊藤委員の参考人、どうぞ。 ○藤原参考人 齊藤委員の代理で藤原と申します。よろしくお願いいたします。  4点申し上げたいと思います。  まず、1点目は関連的なお話ですけれども、資料1の総論の最初の○に出てくるところを見て いきますと「視点」と「方向」が出てくるわけですが、多分ここに足りないのは「量」だと思う んです。診療報酬改定は、いろいろと努力をして、足りないところにつけていくということをや っているわけですが、結局それはその供給サイドをどうするか。またはその結果として、供給サ イドがどうなったかというところで止まってしまっていて、ニーズを本当に満たした、または満 たすところまでいっているのかどうかというところ、またはいくのかどうかという推定も本当は 必要なのではないか。  そういう意味では、先ほど西村先生がおっしゃったことも大賛成でございまして、地域のニー ズに合わせた医療提供体制というのはどれぐらいの量が必要なのか。現状はどうなるか。そこの 足りない部分は何で補っていくのかということを考えていく必要があるのではないかと思います。  そういう意味では、2点目に移ってしまいますが、十分な医療提供体制を整理していくために、 やはり診療報酬だけで何とかしようということは、かなり限界があるのではないかと思います。 やはり診療報酬というのは、患者さんが来て、診療行為をして、初めてつくものですから、あら かじめ用意していくものについては、やはりなかなか効力を発揮しにくいものなのではないかと 思います。  したがいまして、ここでは「補助金」という言葉を使っていますが、むしろ「公費」というこ とで、先ほどの西村先生のお話にもありましたように、補助金という厚労省からのお金の流れだ けではなくて、地域、自治体の方で使っているお金も視野に入れながら、本当はその提供体制の 整備をしていかなければならないのではないかなと思います。  3点目は、改革の視点をどう考えるかということで、ここで4点挙げられておりますが、これ は継続していくべきと思っております。選択と集中の考え方は、やはり今後も必要になってくる のではないか。特に今後、地方の過疎化が大きく進んでいく中では、そういうものがますます必 要になってくるのではないかと思います。当然、地域における医療機関同士の連携強化もそこに 入ってくると思います。  4点目は、先ほどの小林委員の御発言と趣旨は同じですが、後発医薬品の使用促進というもの は、更に進めていただきたい。その際に、現在中医協でも議論されておりますけれども、画期的 な新薬、革新的な新薬の評価についても、合わせて御議論いただきながら、この後発薬の促進を 進めていただきたいと思っております。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。  岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 前回の部会での発言と若干重複する部分はありますけれども、今回、資料1という 形で基本方針の検討の材料と、参考資料にあります前回の改定の基本方針を見比べて感じたこと です。いろいろとよい医療を実現していくための改定の視点というのがあるんですが、そのため の財源については特に触れられていなくて、前回の基本方針でも、具体的なものが書かれていな かったということで、これについては、マクロの診療報酬改定はもう少し高度な政治レベルで決 まるということになっているわけですけれども、そのことによって、そこでどう決まるかによっ て、この基本方針がどこまで実現するか大分違ってくることがあると思います。これは前回も指 摘したと思います。要するに、削り込むことが非常に難しいわけですから、充実させるというこ とであれば、総額が増えていれば、財源を回しやすいんですが、そうでない場合、この充実のと ころにいかに財源を回すのかということが問題になってくるわけです。それについて触れていな いということであれば、これは総額でどれだけ増えるかということ次第によって、この基本方針 がどこまで実現するかということでがらっと変わってしまうという形になってしまう。前回と同 じような形になれば、今回もそういうことになってしまうことになってしまうことが予想されま す。  大きくマクロの総額が増えれば、充実されていくんですけれども、そうならなかった場合に備 えて、財源についても基本方針である程度踏み込んで考えていくことをしてはいかがかと思いま す。そうしますと、選択と集中という言葉がどこまでいいかどうかわかりませんけれども、やは りめり張りをつけていくということで、削り込むことも必要になってくるということをはっきり と基本方針のところで書くことが必要ではないかと考えております。  この辺りは難しいんですけれども、財政全般のとき、歳出削減とかをやっているときは、マイ ナスシーリングということで、とりあえずシーリングをかけて減らしておいて、それで付けると ころには付けていくということをやりますので、ベースはマイナスシーリングということもあり 得るという状況も、厳しい保険財政という言葉がありますけれども、その中に、持って回った言 い方ではなくて、もう少し具体的に出すようなことも必要ではないかなと思います。  そうすると、いろいろと御批判もあびるかと思いますが、最初に藤原委員から冒頭にかなり厳 しい御意見がありましたが、それに対して中和するような形で申し上げたいです。行き過ぎた市 場原理主義がどうかということですけれども、そもそも診療報酬の制度自体は、外国から見ます と、身の毛もよだつ社会主義の世界なわけです。このすべてのサービスの定価を役所の方で決め ている。34兆円にも及ぶものの資源の配分も、価格メカニズムではなくて、政府の方で決めてい るという社会主義そのものの仕組みでありまして、決して市場原理主義でもないように思います。  これは言葉の方でやりとりしても何だと思いますけれども、先ほどの行き過ぎた市場原理主義 からの決別とかということが、この診療報酬の話のところに余り持ち込まれないようにした方が いいのかなという意味で、中和する意味で申し上げた次第です。特に厳しく論争するということ ではございません。 ○糠谷部会長 論争でなく、余りこれはあれですからね。  先ほどから御発言のあれがあるようですから、そういう観点でどうぞ。 ○藤原委員 私、前回エビデンスに基づく議論をしたいとこの場で申し上げました。先ほど、多 田委員の方から開業医がプライマリーケア医の役割を果たしていないというお話があったかと思 います。しかしデータを見てみますと、これは医療機関、メディアスからとったものでございま すけれども、入院外の受診延べ日数を見てみますと、医科で平成12年から見てみますと、年間18 億7,031万日来られているわけであります。それが20年になりますと17億4,089万日です。これ は実は医科で見ますと93%となり少し減少しております。病院で見てみますと、平成12年が6万 216万日で、20年が4万6,384万日となっており、77%に減少しております。これで見ますと大病 院志向とは必ずしも言えません。これは大学病院、公的法人、個人病院が出ておりますけれども、 大学病院をとりあげてみると96.8%ですからそこそこだと思いますが、それでも全体的には随分 減っております。これと診療所を見てみますと、平成12年が12億6,815万日で、20年が12億7,705 万日で100.7%であります。これで見ますと診療所は減っていないんです。よく大病院志向と言わ れるけれども、診療所はそこの地域でゲートキーパーというとちょっと語弊があるんですが、し っかり頑張って、地域でも認められた存在として活躍しているわけであります。  そういった観点で、やはりデータをきちんと見ていただきたいということと、もう一つ、これ は前回もお話ししましたが、老人の方を見てみますと、現在本当にはしご受診ということは殆ど ないといっても良いと思います。これも厚労省のデータでございますけれども、老人医療受給対 象者217万人の名寄せをされて、88%が2医療機関、1医療機関だけということでみますと60% をちょっと切るぐらいだったと思います。ということは、はしご受診でもない。でも、観念的に 評価されて、それがこういうところでの骨子になるのは、私は非常に不本意なので、データをき ちんと見ていただいて、それで議論をしていただくことがまず基本ではないかと思っております。  それから、いろいろ話がありましたけれども、今回、厚労省が社会保障国民会議の報告につい て、この場で方向性を示されて、出されたということは、まだこれは荒削りだと思いますが、そ のことについては評価したいと思います。そして、西村委員が言われたことに対して、かなり理 解できる部分もあります。  日本のこれまでの医療制度というのは、本当に優れた世界に冠たる医療制度であったと思いま す。非常に国民にやさしい。しかし、今の集中と選択という表現を使われる国民会議の報告とい うのは、結構厳しいものがあるわけで、やはり状況を見ながら、もし進めるとしても、ちゃんと ステップを踏んでやっていただきたいと思います。  もう一点。先ほど対馬委員が、再診料の話をされました。こういう場で個別のこういったこと が出るとは思っておりませんでしたけれども、以前に中医協で、キャピタルコストについて質問 しましたが、これは何を思って言ったかというと、病院にはキャピタルコストというものがある ということの確認であり、それは薄く広く載せられているもの。これは厚労省の佐藤医療課長か らの御説明でありましたけれども、ところが診療所にはそれに相当するものはない。だから再診 料は、診療所は少し高くなっているということです。これは医師会が強いからでも何でもないわ けで、そこにはそれなりのリーズナブルな理由があるということでございますけれども、ただ、 これは個別の議論でございますので、ここで議論するつもりはありません。 ○糠谷部会長 多田委員、どうぞ。 ○多田委員 開業医さんが非常に頑張ってくださっているということは、大変ありがたいことだ と思います。そう思いますけれども、どうでしょうか。やはり患者の立場になって、今、周りを 見渡すと、ほとんどがやはり信用できるには、大病院の外来に行きたいなと思っているという現 実をお医者さんの方は全然認識していないということでは、大変なことだなと思います。  論争する気はありませんけれども、その辺をあれして、むしろ患者を教育して、開業医のとこ ろにまず来て、そして開業医が適切に判断して、必要ならば病院に紹介をするというシステムに 直していくんだということでないと、高齢者は非常に多種類の不都合を持って生活するわけです から、そのたびに医療機関を訪ねる。そうすると、それが大病院とは言いませんけれども、専門 診療所でもいいです。そういうところへどんどん流れていく。しかし、それは全身を見て、そし てあなたの場合は、今このぐらいのところでやられるのがいいよというアドバイスをするような、 そういうお医者さんとの関係というのをもう一回つくっていく。これが恐らくこれからの世紀の 日本の医療の構造でないと、これだけ高齢化が進む中で、医療はもたないと思います。 ○糠谷部会長 ほかの話題でも結構でございます。  岩本委員、どうぞ。 ○岩本委員 藤原委員がおっしゃったデータに基づく議論というのは、非常に大事なことなので、 それは全く賛成ですけれども、そのときに医療費データを見るときはちょっと注意しなければい けないと思います。医療費データというのは、患者さんがそこへ行って、医療サービスを受けて、 その費用が付いているということで、とりあえずサービスを受けたという結果になっているわけ ですけれども、ここであるところを手厚くするとか、そういう話というのは、医療資源が足りて いるかどうかという議論になりますので、幾ら使ったかというデータでは、必ずしもここで考え ていることは読み取れない気がいたします。  すなわちそこで満足しているのか、それとも不満足なのかということは、使った金額だけでは わからないと思いますので、データは非常に大事だと思うんですが、我々が議論したいこと、こ れから決めたいことに関わるデータというものは、もっと注意していろんな角度から集めなけれ ばいけないように思います。事務局としてもそういうデータを整備するということであれば、そ の点に御配慮いただいて、我々の議論の参考になるようなデータをつくっていただきたいと思い ます。 ○糠谷部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。  岩村委員、どうぞ。 ○岩村委員 今日はいろいろな議論を伺っていて、全体として見ると診療報酬の話と、医療の提 供体制の話と大きく2つがあったと思います。実は、診療報酬と医療の提供体制というのは、勿 論関係をしていることはたしかで、診療報酬の体系の中でも、今日いろいろ御紹介があったよう に、いろんな加算をつけるということで、医療の供給体制に影響を与え、医療機関などの行動に 影響を与えるということで、医療の提供体制を整備するという部分があるわけです。  ただ、恐らく今までとそれとの関係でいったときに大きく変わったのは、地方分権が進んで、 もともと医療計画は都道府県がやっているんですけれども、その中で地方分権が進んで、今日も 御紹介があったように、例えば従来補助金でやっていたものが一般財源化されて、結局都道府県 の方で一般財源をどう使って医療提供体制を整備するかという話に、実はそこが変わっているん だと思います。  そうしたときに、診療報酬体系の中でどこまでできるか、あるいはやるべきかということは議 論の余地があるんですが、そういう医療の供給体制の責任主体の在り方というのが、この近年で かなり大きく変わっているということとの関係で、もう少し診療報酬の中での医療供給体制への 影響をどうするのかということについて、ちょっと条件が変わったということを前提に少し考え てみる必要があるのかもしれないという気もいたします。それは最終的には、診療報酬と一般財 源、特に都道府県に一般財源化されているものと補助金をどういう形で配分して組み合わせるか によって、それぞれの地方の状況に一番合った医療供給体制を考えていくのかということになる んだと思いますが、今までと前提が違うというところで、少し診療報酬と医療供給体制の関係を 考えてみる必要があるのかなという気がいたしました。  以上でございます。 ○糠谷部会長 岩田参考人、どうぞ。 ○岩田参考人 都道府県の立場からでございますが、基本的には視点の方向については賛成でご ざいます。  今、一番困っていることは、一見医師が潤沢にいると思われている愛知県でさえ、全国平均に 比べて勤務医が少なく、全47都道府県中36位という現状でございます。やはり我々が一番困っ ているのは、病院勤務医の負担が非常に過重になっているということで、今回医療クラークの制 度を診療報酬の方でつけていただいたのは非常に評価しているのでございますが、更にこれを使 いやすい制度にしていただけると非常にありがたいと感じております。  以上でございます。 ○糠谷部会長 ほかどなたか御発言はございますか。  岡崎委員、どうぞ。 ○岡崎委員 手短に申し上げますが、少し論点の切り口を変えて申し上げますが、実は生活保護 の方も全国市長会の方でいろいろ数値を見ておりますので、今の生活保護所帯が急激に増えてお りますのは、いわゆる大都市部でございます。樋口委員のお話を聞いていて思っていたんですが、 実は東京都でも、今、非常に生保が増えておりまして、その大きな原因は単身高齢者の増加です。 ということは、この医療の問題は、どちらかというと、地方の医師不足がいつも論点になります が、都市部のこの生保の動向を見ていても大体わかるのですが、ボリューム的に言いますと、65 歳以上の高齢者が爆発的にまた増えていくのは、都市部、埼玉、千葉、神奈川辺りも含めて、大 都市部でそのボリュームが急激に増えますので、実は決して地方の問題ではなくて、これから全 体のボリュームをどんどん押し上げていくのは、大都市部の問題だという認識を持っております ので、その点も踏まえて認識をしておいた方がいいのではないかということを感じたところでご ざいます。 ○糠谷部会長 ほかにございますか。  坂本委員、どうぞ。 ○坂本委員 医師を増やそうという話もよくわかりますけれども、人の数には限界があると思い ます。それから、すぐというわけにはなかなかいかないので、是非、薬剤師、栄養士、看護師等 のそれぞれの役割分担を明確にして、協力してやっていくということを是非入れていただきたい。  それから、医療職ではない人たちもいろいろなところで役割を担っていただくという意味も方 針として入れていただければと思います。そして、いろんな人たちが役割分担をして高齢社会を 支えていくという方向性を出してやっていかなければ、ただすぐお金がかかるというだけの話を していくと、なかなか改善できないものもあります。○糠谷部会長 逢見委員、どうぞ。 ○逢見委員 幾つか個別の論点について、申し上げておきたいと思います。   1つは、診療報酬は急性期病院においての一部の包括化が進んでおりますけれども、基本的に は個別医療行為の出来高算定でベースになっている。これは患者の視点で見ると、依然としてわ かりにくいということがあって、我々は明細のわかる領収書を発行してほしいということで、こ れは普及してきたところですが、逆に患者は自分の受けている医療の単価が非常に複雑になって いるということを改めて知ることになるのではないかと思います。その意味で、医療が標準化で きるという部分については、積極的に包括化を進めていくことが必要ではないかと思います。  それから、対馬委員も指摘された病院と診療所の再診料格差の問題ですが、これは患者の受診 行動の整理、あるいは医療の機能分担の明確化ということから考えると、やはり是正が必要であ ると思います。  高額療養費制度についても、患者にとって算定の仕組みが非常にわかりにくい内容になってい るということがありますので、今回の視点の中に患者から見てわかりやすくとありますから、高 額療養費制度についての見直しも図るべきだと思います。  後発医療品の使用促進は非常に重要だと思いますが、まだまだ後発品に対する安全性とか効 果・効能について、その問題がないということのメッセージあるいは広報、周知ということが不 十分ではないかと思います。これは更にそういった点について政府がメッセージを発することに よって、後発医薬品の使用促進を図る必要があるのではないかと思っております。  以上です。 ○糠谷部会長 時間も少しずつなくなってきていますが、あと御発言はいかがでございますか。  多田委員、どうぞ。 ○多田委員 1つ論議ということではないんですけれども、伺っておきたいことは、薬効を拡大 したときに、その薬の薬価というのはどういうふうに扱われることがルールになっているのか。 どうもこの前、ある種の薬が適用拡大になった途端に、どんと価格が上がったと。恐らく表面を 変えてあるので、見分けがつくから、成分が同じでも、こちらに使うものは高値なんだという説 明だろうかなと思うんですが、何となく釈然としない。もう既に長年使われた薬で価格は随分下 がった薬が、今度は適当になった途端に包装を変えて、どんと高い値段で採用されるというのは、 何となく釈然としないので、一体どういうルールになっているのかなということをお聞きしたい と思います。 ○糠谷部会長 何かお答えはありますか。 ○磯部管理官 後ろから失礼いたします。薬剤管理官の磯部でございます。  今の多田委員の御質問は、昨日の中医協でもお話があったんですが、トレリーフという薬で、 もともとてんかんで使っていた非常に古い薬を、パーキンソン病にも効くということで、別製剤 にして薬価収載を決めた薬でございます。100mg当たりの用量で100倍ぐらい上がって、1日薬 価で見ますと7倍ぐらいの引き上げでございますけれども、この薬につきましては、確かに類似 薬効比較方式でどう扱っていくのかといった課題の提起でもございましたので、中医協ではこれ からどういうふうに薬価を設定していくかという議論をしていくことにしております。  ただ、この薬の場合には、物が同じだから同じ値段というよりは、パーキンソン病に効くかど うかということ。どのぐらいの用量であれば副作用が少なく効果が出るのかということで、かな りの治験をやっております。このケースについては、日本国内で患者さん900人ぐらいにおいて 治験の本数としまして4〜5本やっているんですが、かなりの時間をかけ、実際に審査の段階で も用法・用量の設定をどうするのかということで大分議論がありまして、治験の追加などもして、 かなり手間をかけて開発をしております。そういった医薬品のコストを考える場合には、その要 素をどの程度加味するかということがございますので、単に物質は同じだから同じだろうという 話でいきますと、いい薬が世に出ないということがございますので、そういう部分でかかったよ うなコストをどのように評価していくのかという課題でございます。  ただ、先ほど申し上げたように、今後どういうふうにしていくのかということもございますの で、中医協では議論をしていこうとなっているところでございます。 ○糠谷部会長 多田委員、どうぞ。 ○多田委員 よくわかりました。  ただ、恐らく古い薬で、薬効拡大をすれば、かなりいろんなものに効くであろうものはたくさ んあるだろうと思いますので、それらがみんな7倍だ、10倍だといって価額になってこられると、 ちょっと保険者としては納得しにくいなということもありますので、ひとつ慎重な御検討をお願 いしたいと思います。 ○糠谷部会長 そろそろ終わりに近づいてきましたけれども、特に御発言はございませんか。  では、簡単にどうぞ。 ○藤原委員 先ほど簡単に西村委員が言われたかと思いますが、補助金については、今度整理し て、また数字を載せて出していただけるんですか。 ○神田総務課長 それは検討して、どのような数字があるのか確認の上、整理ができたものにつ いては御提出させていただくということで検討しております。 ○糠谷部会長 それでは、よろしければ。  大内委員、どうぞ。 ○大内委員 高齢者医療が専門という立場から、一言申し上げさせていただきます。  診療報酬体系を考える時に、もう少し強調しておくべきことというのは、疾病の治療だけでは なくて、疾病の予防にもう少しインセンティブをつけいただきたいということです。今までは例 えば肺炎を起こして、抗生物質を使ったら幾らという診療報酬の体系なんですね。ところが、口 腔ケアをきちんと行うと高齢者の誤嚥性肺炎が半分になるということは証明されているわけで、 そこで口腔ケアにインセンティブを付けるといったことです。病気の治療に幾らということも勿 論必要ですけれども、それだけではなくて、病気にならないような方策をするにはどうしたらい いか。そういうエビデンスのあるものについては、診療報酬を付けていただけるような、予防と いう視点をもう少し強調された方が、より21世紀にふさわしい診療報酬の体系になるのではなか ろうかと思います。  後期高齢者医療制度では、その思想がかなり取り入れられているのですが、もう少し若い方を 対象にした診療報酬体系でも、是非そういう考え方をもう少し強調して、前面に出されたらいい のではないかと思っております。 ○糠谷部会長 渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員 ただいま大内委員のご発言ですが、口腔の専門的な管理をすることで、確かにその 有効なデータが多々出ておりますね。  高齢者は誤嚥性肺炎という形で起こし易いわけですけれども、それ以外でも、例えば静岡県の がんセンター等では、手術する前にしっかり口腔管理をしてから手術をしている。そういう形で のもろもろの併発を予防しようという動きがあって、効果的であるということも出てきておりま すので、今の御発言は、決して歯科だからということではなくて、その必要性を感じております ので、大変いい御指摘だったと思います。 ○糠谷部会長 それでは、もしよろしければ、予定の時間になりましたので、本日はこれまでと させていただきたいと思います。  次回は、本日の御議論を踏まえるとともに、本日必ずしも十分に議論ができなかった事項につ いても、皆様方に御議論をいただく予定でございます。  次回の開催でございますが、先ほど樋口委員でございましたでしょうか。3日後には大きく変 わるのではないかというお話がございましたが、部会の議論にはあまりとは思いますが、どうい う動きになるか、厚労省の方でも、当然のことでウオッチなさることだと思いますので、そうい った状況も見ながら、また開催の日が決まりましたらば、事務局から御連絡をさし上げることに したいと思います。  では、本日は御多忙のところ、大変活発な議論をありがとうございました。これにて終了いた します。                                          (了)                                【照会先】                                 保険局総務課企画調査係                                     TEL:03(5253)1111                                       (内線3218)