09/08/26 第97回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第97回労働政策審議会雇用均等分科会 第97回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2009年8月26日(水) 15:30〜16:30 場所:厚生労働省 共用第8会議室(6階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、佐藤委員、樋口委員、山川委員  労働者代表委員   石川委員、小林委員、冨高委員、山口委員  使用者代表委員   川崎委員、瀬戸委員、中西委員、布山委員  厚生労働省   伊岐雇用均等・児童家庭局長、田河総務課長、堀井総務課調査官   定塚職業家庭両立課長、松本育児・介護休業推進室長   吉本雇用均等政策課長、美濃短時間・在宅労働課長   西村均等業務指導室長、大隈均衡待遇推進室長   議題:   1.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び雇用保険法の一部を改正する法律の経過及び今後のスケジュールについて 配付資料:   No.1 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律     及び雇用保険法の一部を改正する法律の経過について   No.2 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律     及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する修正案要綱   No.3 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律     及び雇用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   No.4 改正育児・介護休業法の今後の施行スケジュール   No.5 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律     の改正を受けて検討すべき事項(案)   No.6 育児休業の申出手続について 議事: ○林分科会長  定刻になりましたので、ただ今から「第97回労働政策審議会雇用均等分科会」を開 催いたします。本日は奥山委員、田島委員、小林委員、齊藤委員、山本委員が欠席さ れております。  本日の議題に入る前に、委員の交代がありましたのでご紹介いたします。使用者代 表委員の山崎克也委員が辞任されまして、新たに全国中小企業団体中央会理事の瀬戸  実委員が任命されておりますので、ご紹介いたします。 ○瀬戸委員  瀬戸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○林分科会長  ありがとうございました。また、事務局におきまして大幅な人事異動がありました ので順次、一言ずつご挨拶をいただきたいと思います。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  7月24日付で雇用均等・児童家庭局長を拝命いたしました伊岐典子と申します。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  総務課長の田河でございます。どうぞよろしくお願いします。 ○吉本雇用均等政策課長  8月5日付で異動になりました雇用均等政策課長の吉本でございます。どうぞよろし くお願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  短時間・在宅労働課長を拝命しました美濃と申します。よろしくお願いします。 ○西村均等業務指導室長  均等業務指導室長の西村です。よろしくお願いいたします。 ○大隈均衡待遇推進室長  均衡待遇推進室長を拝命いたしました大隈と申します。どうぞよろしくお願いいた します。 ○林分科会長  それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題に入る前に、雇用均等・児童家 庭局長から一言ご挨拶がございます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  あらためまして、皆さまどうぞよろしくお願いいたします。本日は大変お暑い中、 また月末で何かとご多用のところ本分科会にご出席を賜りまして、厚く御礼申し上げ ます。  ご案内のとおり、本分科会では雇用均等政策に係る重要事項をご審議いただいてお りますが、昨年8月から育児・介護休業制度の在り方についてご審議いただき、12月 には建議を、また本年4月には「育児・介護休業法等の一部を改正する法律案要綱」に ついての答申をいただいたところでございます。  本法案につきましては、おかげさまで本年4月に国会に法案を提出することができ、 審議が行われた後、6月16日には衆議院本会議で一部修正の上可決、そして6月24日に 参議院本会議で可決・成立ということで、大変順調に国会での審議を進めることができ、 当初の目的が前国会で達成できたところでございます。  各委員の皆さまにおかれましては、審議会での長い時間にわたるご審議、また建議の お取りまとめ、さらには要綱の諮問、答申に至るさまざまな場で大変なご尽力を賜りま したことを、あらためて御礼申し上げます。  今後は、改正法の円滑な施行に向けまして、私どもも万全を期してまいりたいと思 っておりますが、何段階かを踏んで施行してまいりますので、そのための省令や指針 につきまして、国会での審議経過も踏まえたご議論を賜りたいと思っております。大 変恐縮ですが引き続き、ぜひご協力賜りますようお願い申し上げまして、簡単でござ いますが私からのご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○林分科会長  ありがとうございました。本日の議題は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護 を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の経過及び今 後のスケジュールについて」です。  まず、育児・介護休業法改正法の国会における審議状況等について、事務局から説 明願います。 ○定塚職業家庭両立課長  説明の前に、配布資料の確認をさせていただきたいと思います。資料No.1として「法 律の経過について」、資料No.2として「修正案要綱」、資料No.3として「附帯決議」、 資料No.4として「施行スケジュール」、資料No.5として「改正を受けて検討すべき事項 (案)」、資料No.6として「育児休業の申出手続について」を用意しております。なお、 委員の先生方の机上には参考資料として四つの追加資料を置いております。今回の改 正法の修正を含めての「法律の概要」というポンチ絵の資料、修正を含めての「法律 案要綱」、修正後の「新旧対照表」、および改正前のものでございますが「育児・介 護休業法のあらまし」という緑色の冊子を置いておりますので、適宜ご参照いただけ ればと思います。  では、資料No.1から説明させていただきます。ただ今、伊岐雇用均等・児童家庭局 長が申し上げましたとおり、おかげさまで委員の皆さま方のご審議を経まして、法案 を無事国会へ提出し、可決・成立となりました。あらためて御礼を申し上げます。資 料No.1にありますとおり、昨年12月に建議、本年4月に諮問、答申をいただきました。 その後、4月21日に通常国会に提出いたしまして、6月の10日と12日の2回にわたりま して衆議院の厚生労働委員会で質疑が行われました。その上で、12日に一部修正の上 可決されております。なお、衆議院では後ほどご紹介いたしますけれども附帯決議が なされております。衆議院本会議では6月16日に全会一致で可決されまして、参議院 では6月23日の厚生労働委員会で質疑・採決。24日にこちらも全会一致で可決・成立 されております。7月1日に法律が公布されております。  国会の審議の過程での質問等は多岐にわたっておりましたけれども、主な点といた しましては育児休業などを理由とする解雇等の不利益取扱い、このような状況を踏ま えて雇用均等室でどのように対応しているのか。また、改正育児・介護休業法の下で どのような対応ができるのかという対応策の強化が議論の一番の焦点となったところ です。  次に、資料No.2をご覧いただきたいと思います。国会審議の過程で、衆議院で修正 となりました修正案要綱でございます。こちらは与野党の共同という形での修正案と なっておりました。内容としては紛争の解決、公表及び過料に係る規定の施行期日の 変更ということで、調停に係る部分を除く紛争の解決と、公表及び過料に係る規定の 施行期日を「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日か ら施行するものとする」とされております。また、調停につきましても、施行期日を 前倒しいたしまして平成22年4月1日からの施行とされています。このような修正につ きましては、先ほど申し上げました育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いな どに早急に対応する必要があるということで、特に雇用均等室を中心としてトラブル の解決をするという部分について前倒しを行ったものでございます。  次に、資料No.3をご覧いただきたいと思います。こちらは衆議院厚生労働委員会に おきまして附帯決議とされたものでございます。若干長いものでございますが、順次 ご紹介させていただきます。1番目が「本法の実効性を高める観点から、事業主に対 する周知徹底を図るとともに、育児休業請求等を理由とする解雇や職場復帰の拒否等 の不利益取扱い等が急増している事態に対応し、都道府県労働局は、事業主に対する 法令順守に向けた指導・監督を強化すること。その際、法令違反に対しては、新たに 設置される企業名の公表制度等を十分活用し、厳正に対応すること」というものです。  2番目は、「育児休業に係る紛争を未然に防止するため、育児休業申出書の提出及び 育児休業取扱通知書の交付の実態を調査するとともに、普及を促進すること。併せて、 休業を申し出た労働者の休業中の待遇及び休業後の労働条件等が明らかになるよう指 導を強化すること」というものでございます。こちらにつきましては審議の中で、現 行の育児・介護休業法の第21条第2項は「休業を申し出た労働者に対して休業中の待 遇や休業後の労働条件について事業主の方から明示して書面を交付する」ことを努力 義務として規定している条文でございまして、この条文に基づいて現在「育児休業取 扱通知書」が努力義務ベースでモデル様式として使用されているという実態でござい ます。この規定を義務化すべきではないかという議論もございまして、最終的には、 この育児休業取扱通知書の交付の実態、それから、その前に書いております育児休業 申出書の提出は法律及び省令に基づきまして労働者が使用者に提出することになって おりますが、この提出や交付の実態を調査し、普及を促進する。そして、指導を強化 することが盛り込まれております。  3番目は「育児休業の申出をした労働者に対して、事業主から、労働者からの書面に よる申出を受けた旨並びに休業開始予定日及び休業終了予定日を明示した書面の交付 を行うことを省令に明記すること」という点でございます。こちらの点は、先ほどの 2番目でご紹介したとおり、育児休業申出書が提出される一方で、事業主が書面によ る申出を受けたという何らかの書類と休業期間の最初と最後を明示したものを交付す るべきであるという議論がなされ、これを省令に明記することを国会審議の中で舛添 厚生労働大臣が約束し、かつ附帯決議に入ったという経過をたどっております。  4番目でございますが、「有期契約労働者についても、育児休業制度等の両立支援 制度が利用できるよう、制度の周知徹底に特段の配慮を行うなど取得促進策を講ずる とともに、有期契約労働者への制度の適用範囲の在り方について引き続き検討するこ と。また、育児休業等の取得等を理由とした派遣労働者に対する不利益取扱いを防止 するなど、非正規労働者が働きながら子育てができる環境の整備を促進すること」。 こちらにつきましては、非正規労働者・有期契約労働者・派遣労働者等は、どうして も育児休業等の両立支援策を利用しにくいという実態がありますが、これをきちんと 利用できるよう制度の周知徹底・取得促進を講ずるということです。また、前回の改 正時に盛り込まれた有期契約労働者への制度の適用範囲の在り方について、引き続き 検討するという事項でございます。  5番目は「育児休業等の申出や取得等を理由とする正社員から有期雇用への切下げ、 有期契約の雇止め、契約期間の短縮などの不利益取扱いが行われないよう、指導を強 化すること」。  6番目はひとり親家庭への配慮ということで、「ひとり親家庭の育児休業期間及び 子の看護休暇の日数の延長について、引き続き検討するとともに、病児保育を含む保 育サービスの拡充その他の支援の強化を速やかに検討すること」。  7番目は「仕事と生活の調和の実現に向け、『仕事と生活の調和推進のための行動 指針』に掲げられた男性の育児休業取得率を2017年までに10%にするという政府目標 を踏まえつつ、男性の育児休業について本法により新たに措置される事項を周知徹底 するほか、引き続き長時間労働の抑制や男性の育児休業取得促進に向けた社会全体の 気運醸成に取り組むこと」。  8番目が「出産を機に退職する女性が約7割に達するという状況が改善されていない ことを踏まえ、女性労働者の継続就業の実態を正確に把握し、継続就業率を実質的に 上昇させるよう努めること」。  9番目は短時間勤務と残業の免除のことでございますが、「所定労働時間の短縮及び 所定外労働の制限については、対象となる子の年齢を小学校就学前まで拡大すること を検討するとともに、認可保育所の大幅な定員増、放課後児童クラブの拡充など、保 育の質を維持しつつ地域における子育て支援施策を充実・強化すること」。  10番目が「労働者ができるだけ自らのニーズに即した制度を利用できるようにする 観点から、本法により選択的措置義務から努力義務となる始業時刻変更等の設置につ いても引き続き普及促進を図ること」。これはフレックス制度や事業所内保育施設等 の措置等でございます。  11番目は「子の看護休暇及び介護休暇について、その必要に応じて休暇を取得する ことができるよう、取得要件の緩和を行うとともに、取得しやすい手続とすること。 また、半日単位や時間単位でも取得できるような柔軟な制度とすることについて検討 を行うこと」。  12番目は「家族の介護を理由とする離職者が多数にのぼる状況を勘案し、仕事と介 護の両立を実現するために必要な働き方について介護サービスとの関わりも含め検討 を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること」。  13番が「育児休業中の労働者に対する経済的支援の充実について、速やかに検討す ること」。  14番目は「解雇等の不利益取扱いについて相談があった場合に、雇用均等室におい て的確かつ迅速に対応することができるよう、企業への適切な指導手法の検討や職員 の資質の向上を図ること」。  15番目が「改正後の法の円滑な遂行を図るため、雇用均等室の体制を整備すること。 また、雇用均等室をはじめとする都道府県労働局の組織の在り方については、国民サ ービスの維持、労働者保護の実効性の確保、事業所の実態把握や機動的な指導、都道 府県との雇用対策の一体的推進を図る観点から、現行の都道府県単位の組織体制の存 続も含め、慎重に検討すること」。  以上の15項目でございました。国会における審議状況等については、以上でござい ます。 ○林分科会長  ただ今の事務局の説明を踏まえて、ご質問等がありましたらお願いいたします。  分科会長という立場を離れまして、全く個人の考えとして申し上げますが、この育 児・介護休業法の改正案の国会上程や、その審議等については、村木前々雇用均等・ 児童家庭局長が大きな尽力をされております。この育児・介護休業法が社会の中で根 付いていくことを今後も見守っていただきたいと思います。  審議の本題に戻りたいと思います。続きまして、「育児・介護休業法改正法の今後 の施行スケジュール及び改正を受けて検討すべき事項」等について、事務局より説明 願います。 ○定塚職業家庭両立課長  ありがとうございました。それでは、資料No.4をご覧ください。「改正育児・介護 休業法の今後の施行スケジュール」でございます。第1次施行は公布の日から三月以 内の政令で定める日ということで、9月30日としております。第2次施行は平成22年4 月1日、第3次施行は公布の日から1年以内の政令で定める日としております。  1枚おめくりください。「第1次施行について」でございます。「施行される部分」 は、事業主による苦情の自主的解決及び都道府県労働局長による紛争解決の援助制度 の創設。また、法違反に対する勧告に従わない場合の企業名の公表制度、報告を求め た場合に報告をせず又は虚偽の報告を行った場合の過料の創設という点でございます。  「施行に当たり規定する事項」は政令事項でございまして、昨日の閣議で決定させ ていただきました。施行期日については政令で平成21年9月30日と定めております。 従いまして、平成21年9月30日以降は、上記の二つの部分が施行される予定であると いうことです。  続きまして、次のページの第2次施行分についてご覧いただきたいと存じます。第2 次施行分は、指定法人である21世紀職業財団に助成金その他の業務を行っていただい ていますけれども、この指定法人の業務につきまして、不要な部分については今回、 法律で削除しております。及び紛争に関する調停制度の創設でございます。こちらに つきまして平成22年4月1日から施行する予定です。  「施行に当たり規定する必要のある事項」としては、「調停に係る手続」を書き込 む必要がございます。基本的には雇用均等法で調停制度がございますので、その規定 を見習いながら規定することを考えております。  次のページの第3次施行分をご覧いただきたいと思います。こちらが残りの大方の 部分でございます。「施行される部分」の主な部分といたしましては、短時間勤務制 度の措置の義務化、所定外労働の免除の制度化、子の看護休暇の拡充、パパ・ママ育 休プラスなどの男性の育児休業取得促進策、及び短期の介護休暇の創設などでござい ます。  「施行に当たり規定する必要のある主な事項」も、これらに付随する省令と指針で ございまして、4ページの下から5ページにかけて書いてある事項が主なものとなって おります。  次に、資料No.5をご覧いただきたいと思います。主に今の第3次施行の省令と指針に つきまして、何を規定すべきであるか、何を検討すべきであるかということについて 盛り込ませていただいております。左側に「法の該当条文」ということで、改正後の 法律の該当条文で厚生労働省令で定める部分につきましては下線を付しております。 右側が昨年12月にいただきました建議の中に盛り込まれている該当個所を記述してい ます。  まず法律第5条2項では「育児休業をしたことがある労働者は、当該育児休業を開始 した日に養育していた子については、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を 除き、同項の申出をすることができない」ということで、こちらは「再度取得要件」 という育児休業が再度取得できる要件を定める規則でございます。こちらにつきまし ては、右側の建議にありますとおり、長期にわたる子どもの疾病が発覚した場合や、 現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事情により新たに保育所等に 入所申請を行ったが当面入所できない場合について、育児休業の再度取得を認めるこ とが適当である」という内容が盛り込まれておりますので、この内容を省令に書くこ とを想定しております。  また、3項では「1歳到達日後の期間で1歳6か月まで延長できる要件」を定めている 部分でございます。こちらにつきましては、建議では特段盛り込まれていませんでし た。  次の第5条4項ですが、「申出は厚生労働省令で定めるところにより」という部分が あります。こちらに基づいて、規則の方では「育児休業の申出方法」等、例えば申出 の際の事項や書面でもって申し出ることなどを現行でも記載しているところでござい ます。この点につきまして、育児休業の申出を受けて事業主側から書面の明示を行う ことについて、先ほどご紹介したような附帯決議がございます。  また、資料No.5の最後のページの別紙1「改正法案の国会審議における議論」を見て いただきますと、舛添厚生労働大臣の答弁がございますので、こうした内容について 検討した上で、省令に盛り込む必要がございます。後ほど、別の資料で詳しく説明さ せていただきます。  また、国会で議論になりましたのは育児休業の申出でございますが、同様の申出と して介護休業の場合はどう取り扱うかということも検討事項となります。  次のページです。法律の第6条「育児休業申出があった場合における事業主の義務 等」ということで、事業主は労働者からの育児休業申出があったときは、その申出を 拒むことができないとされておりますが、ただし書でここに書いてある場合は労使協 定で育児休業申出を拒むことができるとされています。その内容のうち、改正前の第 二号として「労働者の配偶者が専業主婦等の場合」という規定がありましたが、今回 の法改正で削除されております。また、その他「前号に掲げるもののほか、育児休業 をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働 者として厚生労働省令で定めるもの」という規定が法律上ございまして、こちらの規 則で現行では内縁の妻が常態として子を養育することができるという規定がございま すので、こちらの専業主婦除外規定の廃止とともに廃止すべきであろうということを ご検討いただく必要性があると考えております。  次に、第16条の2「子の看護休暇の申出」でございます。子の看護休暇につきまして は、ここに書いてある条文は既に改正されておりまして、従来は子どもの疾病又は負 傷の場合に子の看護休暇を取得することができましたけれども、今回の改正では「負 傷し、若しくは疾病にかかった当該子の世話又は疾病の予防を図るために必要なもの として厚生労働省令で定める当該子の世話を行うための休暇」と条文を改正していま す。これは右側にあります建議で「子どもの予防接種及び健康診断の受診についても 取得理由として認めることが適当である」という内容をいただいておりますので、省 令ではこの予防接種と健康診断の受診も書き込むのであろうと考えています。  次の「短期の介護休暇」は、今回新設したものでございます。こちらにつきまして も、「介護その他の厚生労働省令で定める世話」の内容が何であるかということを省 令で規定する必要がございます。建議におきましては「要介護状態にある家族の通院 の付き添いなど」という書き方をしています。  次の3ページの上段の2項ですが、こちらは介護休暇の申出の方法等です。  次の第16条の8は「所定外労働の制限」、残業の免除ですが、残業の免除が労使協定 で除外できる場合ということで、条文上は「引き続き雇用された期間が1年に満たな い労働者」と、それから二号として「合理的な理由があると認められる労働者として 厚生労働省令で定めるもの」。この内容を決めていただく必要があります。こちらも 建議には載っていませんが、ある程度議論があったところかと思っています。  また、2項は請求の方法等を省令で定めるということです。  3項におきましては、請求後、制限が開始されるまでに生じた場合に請求がされな かったものとみなす事由です。例えば子の死亡その他の事由ということで、各事由に ついて省令で記載をするというもの。  次のページの4項ですが、これは「制限期間の終了」として、子の死亡に類する事 由を省令で定めることとなっています。  次の第23条は短時間勤務です。2行目は短時間勤務の対象外となるもので、こちら は建議の中に盛り込まれています「勤務時間が1日6時間以下の労働者は対象外」とい うことを省令で書くことになると考えています。3行目の「厚生労働省令で定めると ころにより」は短時間勤務の措置の内容について書くというものです。例えば「1日6 時間を上回る分の短縮の措置を含む」ことをこの省令で書くことになります。それか ら労使協定で対象から除外するものとして第一号では「1年に満たない労働者」。第二 号で「厚生労働省令で定めるもの」とあります。こちらも審議会の中で、ある程度議 論いただいたところかと思います。  第2項では、短時間勤務を労使協定により対象外とした労働者に対する代替措置を、 どのような内容にするかということです。こちらも建議の方にありますが、「代替 措置として、現行の育介法第23条の選択的措置義務のうち他の措置を講ずることを 義務付けることが適当である」ということで、他の措置というのはフレックス制度で の始業・終業時刻の繰り上げ下げと、事業所内保育施設の設置運営等ですので、こ うした事項を盛り込むことになろうかと思います。主な省令事項については以上です。  次のページは「指針事項」ですが、建議の中では「不利益取扱いについて、均等法に おける取扱いも踏まえ、育介法の趣旨、目的に照らして必要な見直しを行うことが適 当である」とされていまして、この建議及び今回の改正事項を踏まえまして、指針を 見直す必要があるということです。  最後に、先ほど資料No.5の二つ目の項目で申し上げました育児休業の申出手続につ いて、参考までに現状の概要をご紹介しておきたいと思います。現状では育児休業の 申出は、一定の事項を記載した育児休業申出書を事業主に提出することによって行わ なければならないこととされています。これに対しまして、事業主からは現行では特 段書面で返すとか、返事をするということは規定していませんが、原則として労働者 が申し出た期間、育児休業をさせることとなっています。ただし、労働者からの申出 が遅れた場合等について一定の例外があります。一方、事業主に対しては、育児休業 と介護休業後の労働条件についてあらかじめ定め、これを周知する措置を講ずるとと もに、育児休業・介護休業を申し出た労働者に対して、これらの事項を書面にて明示 する努力義務が規定されているところです。  この資料No.6の6ページ目にモデル様式が付いています。6ページ目に付いている 「休業取扱通知書」は現行でも改正後でも努力義務とされています。次の7ページの 「育児休業申出書」が現行でも必ず労働者から休業申出の際に提出することになって いる書面のモデル様式です。今回の改正に当たっての附帯決議等を踏まえて、7ページ 目の育児休業申出書を受け取った場合に、事業主側が何らかの書面を労働者に渡すと いうことを、改めて新たに省令に書き込むことが求められているところです。説明は 以上です。 ○林分科会長  ただ今の事務局の説明を踏まえまして、何かご質問・ご意見等がありましたらお願 いします。  省令、指針の具体的な内容につきましては、次回の審議会で事務局より原案を示し ていただき議論したいと思いますので、本日は今後これらを検討するに当たっての総 括的なご意見をいただければと思っています。 ○樋口委員  質問をよろしいでしょうか。資料No.4の第2次施行の「指定法人の業務の改廃」につ いて、具体的に教えていただけますか。 ○松本育児・介護休業推進室長  改正法で削除しましたのは、現行の指定法人の業務のうち、育児等退職者に対し、 再就職のための援助を行うことなどです。  席上配布資料の25ページの下の段の四、五、六号に傍線が引いてありますが、この 業務を削除しました。この結果、現行の一〜三号は改正なく残っているのですが、改 正後の業務として一号は事業主に対する相談。二号は給付金の支給。三号は労働者に 対する相談。この三つについては、改正後も引き続き指定法人の業務として残すこと にしています。 ○樋口委員  そうしますと、これはもうやめるという話なのか。どこかがやりますという話なの か。 ○松本育児・介護休業推進室長  現行の削除になります四号の業務も五号の業務も、実は企画競争で実施している業 務で、指定法人の業務としてやる必要がないということから削除したので、事業とし てはやめるわけではありません。 ○樋口委員  六号は。 ○松本育児・介護休業推進室長  広報はまさに必要性を十分検証した上で、必要な周知・広報は随時やってまいると いうことです。 ○林分科会長  他に、ご質問・ご意見等がありますか。  それでは、議論等は次回に、具体的な原案ができてから、していただくということ で、本日の議題はこれで終了したいと思います。  最後に、本日の署名委員は冨高委員と瀬戸委員にお願いしたいと思います。お忙し いところ、どうもありがとうございました。これで終了します。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)