09/08/24 第56回独立行政法人評価委員会労働部会議事録 独立行政法人評価委員会労働部会(第56回) 開催日時:平成21年8月24(月)13:00〜17:24 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、今村委員、寺山委員、宮本委員、小畑委員、 本寺委員、松田委員、川端委員 ○井原部会長  ただいまから、「第56回独立行政法人評価委員会労働部会」を開催します。委員の皆さまにおかれ ましては、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は、中村委員がご欠席 となっています。篠原部会長代理は、遅れてご出席です。初めに事務局から本日の議事についてご説 明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事は、高齢・障害者雇用支援機構、続いて勤労者退職金共済機構、労働政策研究・研修機 構、雇用・能力開発機構、最後に労働者健康福祉機構と法人ごとに行いますが、それぞれ平成20年度 の財務諸表に関する意見及び業務実績に関する総合評価を行ってまいります。この他、法人ごとに役 員給与規程の変更や役員退職に係る業績勘案率の決定の審議があります。また、労働者健康福祉機構 においては、中期目標期間中の最終評価の審議を行います。これに伴い部会の途中で法人及び所管課 の入替えがありますので、ご了承ください。  法人ごとの細かい進め方ですが、財務諸表に関する意見について説明します。各法人の財務諸表に ついては、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で厚生労 働大臣が承認することとされています。評価委員会としての意見(案)については、担当委員である 篠原部会長代理からご発言をいただき、それを踏まえてご審議いただきます。  次に、平成20年度業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づき、起草委員において起草 した総合評価の案についてご審議いただきます。各委員のお手元には、記入いただいた評定記入用紙 の原本及び評価シートと各委員の評定結果一覧表を置いています。個別評価における評定結果につい ては、今回の審議等を踏まえ修正可能です。後ほど評定を修正・確定させる時間を設けていますので、 よろしくお願いします。  また、本日の議題と直接の関係はありませんが、お手元に参考資料として「独立行政法人評価委員 会における『独立行政法人の役職員の給与等の水準(平成20年度)』の活用について(依頼)」をお 配りしています。これは昨年度も同様に送付がありましたが、評価に際しての参考となるよう総務省 行政管理局から各府省の独立行政法人評価委員会宛に送付があったもので、役職員の給与等の水準を まとめた資料となっています。これについては当部会においても前回までにご審議いただいた中で、 法人から特にラスパイレス指数についてご説明させていただいているところです。特にご留意いただ きたいのが、資料1「職員の給与水準」というものがあります。7頁目に当たりますが、右のほうにあ る欄を見ていただきたいと思います。対国家公務員指数(年齢勘案)として平成19年度と平成20年度 を比較した数値、対国家公務員指数(年齢・地域・学歴勘案)として、平成19年度と平成20年度を比 較した数値を整理したものとなっています。総務省において、全独立行政法人について一斉に整理し たものということです。  最後に報告事項です。勤労者退職金共済機構の前理事長代理黒田氏及び雇用・能力開発機構の前監 事渡部氏の退職手当に係る業績勘案率の決定についてのご報告です。黒田氏については、本年2月26 日第51回労働部会において、渡部氏については、本年3月6日第52回労働部会において、業務勘案率 「1.0」として決定いただきました。その後、政・独委委員長宛に当委員会の決定を通知したところ、 この度平成21年7月29日付で政・独委委員長から当委員会の決定に異議ない旨通知がありました。政 ・独委からの意見の内容に照らして業績勘案率の再計算が必要ないと認められる場合には、部会長に おいて業績勘案率を最終決定することができるとされており、8月14日に部会長から最終決定を得て 各理事長宛通知したので、ご報告申し上げます。  なお、政・独委からの意見は机上配布資料として配布しています。こちらになお書きが付いていま すが、このなお書きについては、他府省の委員会への通知にも同様の趣旨の文章が付いているもので す。 ○井原部会長  早速ですが議事に入りたいと思います。初めに高齢・障害者雇用支援機構についての審議をいたし ます。先に総合評価の審議を行いながら、篠原部会長代理が来られてから財務諸表に関する意見につ いての審議を行います。高齢・障害者雇用支援機構の起草委員を代表して寺山委員からのご報告をお 願いします。なお、議事運営の都合上、ご報告時間は概ね10分程度でお願いします。 ○寺山委員  お手元の「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の平成20年度の業務実績の評価結果(案)」が ありますが、それを基にかい摘んで起草委員として報告申し上げます。この機構の平成20年度業務実 績の評価概要を申し上げますが、第2期の中期目標の初年度の業務実績ということになります。  1-(2)です。全般の評価ですが、平成20年度は事業の見直し・改善に積極的に取り組み、組織体制の 見直し、業務運営の効率化、経費削減等に努めたほか、厳しい経済情勢への対応策を機動的に実施し たことなどにより、業務実績は年度計画にある数値目標をすべての項目において上回るなど、着実に 実績を上げているということで評価できます。  このように平成20年度は適切に業務を実施したと評価していますが、2点ほど今後の業務運営のた めに留意点を申し上げます。第1点は、ホームページや定期刊行物等の充実を含め一層効果的な周知・ 広報を検討することによって、高齢者及び障害者の雇用情報等へのアクセスの向上を一層図る必要が あるということです。第2点は、就職の困難性の高い障害者が増えていますが、その障害者の就業ニー ズに積極的に応えるために、職業リハビリテーションに関する助言・援助等の充実によって、医療・ 教育・福祉等の関係機関との一層の連携・協同・強化を図って、より幅広い職業リハビリテーション サービスの展開のために、一層努力をしていただきたいと思っています。  「具体的な評価内容」について申し上げます。1頁の下からです。業務運営の効率化については2頁 ですが、業務運営体制については、中小企業定年引上げ等奨励金の申請件数が、法の改正等により当 初見込みを大幅に上回った中で、処理期間を短縮しつつ職員を削減したということなど、一層の効率 化に取り組んでいます。今後も効率的・効果的な体制の確立に向けた取組を引き続き期待しています。  経費削減については、一般管理費・業務経費について目標を上回る予算を削減し、予算執行等にお いても経費節減を実行したこと、また高齢期雇用就業支援コーナーの重点化と、ニーズに対応した業 務の見直しや強化を行って、その一方で平成22年1月から3か所、東京・愛知・広島における民間競 争入札の導入を予定していますが、それに向けた準備が着実に進められたと思います。この他、給付 金・助成金の1件当たりの平均処理期間、これが約2日間短縮したということで、前年度実績をさらに 短縮したということも評価できます。  関係者のニーズ把握や雇用情報の提供です。2頁の真ん中辺りです。業績評価におけるPDCAサイク ルの徹底を引き続き図ったこと、また高齢者・障害者の支援業務や給付金・助成金業務の連携を図っ たことなどが評価できます。今後、この点については高齢者・障害者の連携ということは、数年前か らこの委員会で指摘していたところで評価しています。今後、高齢者・障害者支援業務の連携による サービスの一層の充実をさらに期待します。また、ホームページのアクセス件数が前年度比で約50% 増加するなど、高齢者や障害者の雇用情報の提供、これに効果が上がっていると評価しています。  高齢者等の雇用支援業務です。下のほうのパラグラフです。事業主等に対する相談・援助について ですが、この点については高年齢者雇用アドバイザー等の質的向上に取り組みつつ、小規模企業を重 点とした雇用確保措置の導入支援、65歳までの希望者全員を対象とした継続雇用制度の定着支援、 「70歳まで働ける企業」の普及・促進等に取り組んだ結果、相談・援助の件数は着実に増加して、利 用者の効果度も非常に満足のいくものということで目標を上回っています。今後は、相談・援助や講 習の、雇用面の成果が、より実際的・具体的に確認されることを期待しています。  実践的手法の開発・取組です。3頁に移ります。この点については、「70歳まで働ける企業」の効果 的な普及策を検討すべく、大規模調査を行うなど、積極的に取り組んだことは高く評価しています。 これはS評価になっています。今後は、厳しい経済情勢の中で先進事例の活用等、「70歳まで働ける 企業」の普及・促進へのさらなる努力が期待されています。70歳いきいき企業100選、70歳雇用先端 事例集などというものの普及・促進ということへの努力を期待しています。  高年齢者雇用に関する啓発広報です。この点については、高齢者雇用フェスタにおいて効果的な情 報提供に取り組んだほか、インターネットを活用したさらなる広報活動に取り組んでいる点、さらに 定期機関誌『エルダー』の内容の一層の充実に取り組んだ点は評価しています。今後は、こうした啓 発支援がより一層積極的に活用されるよう一層の広報活動の工夫が期待されます。  中高年齢者に対する相談・援助です。中高年齢者に対する相談事業に関しては、高齢期雇用就業支 援コーナーの重点化と土日・夜間、出張対応など、数年前から行われていますが、一層の積極的な取 組により目標を大幅に上回る相談・援助数、セミナー受講者数を達成して、また利用者から高い評価 も得ていると評価しています。今後も利用ニーズにさらに対応したサービスの実施を期待しています。  障害者関係ですが、3頁の真ん中辺り以下です。地域障害者職業センター業務については、他の就労 支援機関では対応困難な精神障害者・発達障害者に対する支援、事業主ニーズを踏まえた専門的支援 を積極的に実施することにより、すべての数値目標を達成して、これは高く評価できます。今後も引 き続き、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として関係機関との連携を一層深 め、精神障害者・発達障害者への支援ノウハウの普及を含め、サービスの一層の充実を図っていくこ とが期待されます。これもS評価だったと思います。  職業リハビリテーションの専門的な人材の育成に関しては、すべての研修について目標の実施回数 を達成するとともに受講者総数が増加して、地域におけるネットワークの形成、整備の強化が引き続 き図られたと評価しました。  職業リハビリテーションに関する調査・研究です。これについては先駆的な研究を幅広く実施して、 外部評価も高かったようですが、支援技術の開発を行い、それらの成果が幅広く普及・活用されるよ う情報発信が積極的に進められました。  3頁の最後のほうですが、障害者職業能力開発校については、職業訓練上、特別な支援を要する障害 者に対する職業訓練の受講機会を拡大したほか、企業ニーズの把握とカリキュラムの充実、就職の促 進に取り組んで、厳しい経済状況の中で修了者の就職率についても数値目標を大幅に上回っています。 今後、障害者職業訓練全体のレベルアップに一層貢献していただくことが期待されます。  4頁は納付金です。厳しい経済情勢の中で収納率は引き続き高水準の数値目標が達成されました。今 後は、平成22年7月から制度の改編があって、中小企業への適用拡大、これを前にして中小企業への 一層の周知活動等に取り組むことが期待されます。  障害者雇用に関する相談・援助についてです。雇用率未達成企業と中小企業とに重点化した計画的 な訪問相談をやっており、それに関して目標を大幅に上回る実施件数と事業者からの評価を得たよう です。  障害者雇用に関する実践的手法の開発・提供です。これについては、使いやすい実践的な工夫・編 集、成果の普及・活用が積極的に行われました。今後も引き続き、利用者により有用なものとなるよ うに内容の充実が期待されます。  全国障害者技能競技大会、パラリンピックですが、障害者ワークフェア、定期刊行物『働く広場』 などの啓発事業に続き、全国障害者技能競技大会については、今後の障害者雇用を見据えつつ、効率 的な運営を行うとともに内容を充実し、参加者の高い理解度・満足度を達成するなど、従来以上の啓 発効果を上げたと評価します。今後も引き続き来場者の評価等を踏まえた運営を行うことにより、障 害者の職業能力についての理解と認識が一層高まることを期待しています。  4頁の下のほうですが財務内容です。財務改善の点ですが、予算執行等については、第2期の中期目 標期間の初年度の節減目標を、一般管理費及び業務経費とも達成しました。  最後に、「『独立行政法人整理合理化計画』『独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点』等 への対応について」申し上げます。5頁の中ほど、財務状況、保有資産の管理・運用等に続き「人件費 管理について」です。給与水準のラスパイレス指数は111.6と前年度から3ポイントの減少、地域・学 歴勘案の指数は102.8と前年度から2.1ポイントの減少となっています。国に比べて給与水準が高くな っていることが毎年指摘されていますが、この理由として、地域・学歴に加えて職務手当を支給され る方たちの比率が高いことなどが考えられますが、これらを踏まえた近年の給与構造改革などの効果 により、先ほど申し上げたラスパイレス指数の減少を実現していることは評価できます。今後につい ては、地域・学歴勘案の指数は平成23年度には100.0程度になると伺っています。給与水準の適正化 の検証については引き続き進めて、適正な水準の確保に向けた努力を引き続き行うことが期待されて います。  6頁、「総人件費」については、平成20年度に基準年度である平成17年度の給与、報酬支給総額と 比較して、7.3%に相当する額を削減しており、評価できます。  契約です。随意契約見直し計画に基づき、総合評価方式の拡充や複数年度契約の拡大に努めるなど した結果、平成20年度の少額随契を除く随意契約は、前年度比件数ベースで29.6%の減、金額ベース で14.4%の減となったことは評価しています。  なお、各都道府県の雇用開発協会等への業務の委託については、平成22年度から競争性のある契約 形態へ移行すべく、いま取組が進められているところと伺っています。今後も取組を引き続き的確に 行うよう、よろしくお願いします。  「内部統制について」は、理事会における迅速な意思決定を図るとともとに、2元構造のコンプライ アンス体制を確立して、平成20年度から新たに内部監査を実施するなど、内部統制にかかわる他の独 立行政法人のモデルとなるような先進的な取組が着実に実施されてきています。  「業務改善のための役職員のイニシアティブ等について」は、7頁です。利用者の視点に立ったサー ビスの向上に努めたほか、経営トップによるミッションの浸透を図るとともに、国民のニーズに応え る業務改善に職員の積極的な取組を促すための能力開発、あるいは職員のモチベーション向上のため の取組を行ったことは、評価しています。 ○井原部会長  ただいまご報告いただいた総合評価書(案)について、ご意見等がありましたらお願いします。  修正意見がないようですので、平成20年度の業務実績の評価結果として、各法人及び総務省の政策 評価・独立行政法人評価委員会にこの結果をお伝えするとともに、これを公表したいと思っています。 なお、このあと誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応については、私にご一 任いただければと思います。 (各委員了承) ○井原部会長  そうさせていただきます。  最後に、法人からコメントをいただけたら、お願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  理事長の戸苅です。評価委員会の先生方には、当機構の平成20年度の業務実績について、8月7日 に個別評価、本日は総合評価をいただき、大変ありがとうございました。最近における雇用情勢の一 層の悪化に加え、新型インフルエンザの感染が、今後、万一拡大するということになると、障害者・ 高齢者・事業主の方々への直接的サービスが主体の当機構の業務への影響が懸念されるところですが、 委員の先生方からいただいたご意見、本日の総合評価書において示された課題を踏まえ、利用者の立 場に立ったサービスのなお一層の徹底を進めるとともに、中期計画の目標を達成すべく業務のさらな る改善、事業運営の一層の効率化に努めてまいりたいと考えていますので、今後とも引き続きよろし くご指導をお願い申し上げます。どうもありがとうございました。 ○井原部会長  ただいまの評価書の報告を踏まえ、個別評定の修正・確定を行いたいと思います。修正に当たりま しては、事務局から補足説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  修正については、赤鉛筆を机上に配布していますが、こちらで修正いただければと思います。評定 理由の修正・加筆も可能ですので、ご記入ください。机上配布している「個別項目に関する評価結果 (未定稿)」の書類は、現時点でいただいている評定を、「S=5点、A=4点、B=3点、C=2点、D=1 点」と点数化して平均したものです。なお、委員名は空欄としており、委員各自の皆さまにはご自分 の名前だけがわかる形になっているかと思います。作業に当たりこれまでの個別評価に係る資料をご 覧になりたい場合には、事務局に用意がありますので、お申し付けいただければお持ちします。よろ しくお願いします。 ○井原部会長  10分程度の間に確認・修正をお願いします。 (確認・修正) ○井原部会長  ほぼ修正が済んでいるように見られますので、これで修正の時間を終わりにしたいと思います。  それでは、これをもって高齢・障害者雇用支援機構の平成20年度業務実績評価に関する意見を取り まとめたいと思います。評価書には評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されておりま すが、本日、評価の確定を行ったことによって、SからDの評価が変更された場合、またコメントが修 正・追加された場合、これらを反映した評価シートの集約版を添付いたします。これらの修正が必要 になった場合の対応につきましては、私にご一任いただければと思います。場合によっては、個別に 各委員にご意見を賜ることもあるかもしれませんので、その際はよろしくお願いします。 (各委員了承)  次に、篠原部会長代理が参りましたので、財務諸表に関する意見について、審議を行います。篠原 部会長代理から、ご説明をお願いします。 ○篠原部会長代理  この作業は、財務に関する大臣の意見具申に関連して行いました。例年とちょっと違うのは、我々 はこの財務諸表を見るのは7月以降なものですから、なかなか修正ができないということで、今回は事 前、当法人においては4月28日だったと思いますが、2時間程度意見交換をさせていただきました。 その結果、比較的スムーズになりましたので、7月は通常の監事及び会計監査人の監査報告書、あるい はコメント等のコピーをいただいて見ると同時に、重点として臨時損失あたりがどのように上がって いるのかなということで、レビューさせていただきました。その結果、当法人においては適正だろう ということで、これは独立行政法人評価委員会の井原委員長名で厚生労働大臣に対しての意見書、こ れは独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の平成20年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項に 規定する財務諸表についての通則法第38条第3項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見を、 下記のとおりということで、ご報告させていただきます。  「平成21年6月30日付け21高障発第127号により承認申請のあった通則法第38条第1項に規定す る財務諸表については、承認することが適当である」ということをご報告します。  ちょっと関連して、口頭で要請というか、お願いがあります。去年もこの意見に添付資料で篠原名 で、よりわかりやすい財務諸表を作っていただきたいということで、4月28日の意見交換のときにも、 いろいろと工夫されていることは私どもも認めるのですが、いわゆる委員、あるいは一般のユーザー にとってのまだ工夫があるなということで、その辺のさらなる努力も明らかに当委員会の委員の方も お気付きというか、承認されていると思うのですが、財務諸表以外は、この6年間でかなり簡潔、わか りやすく改善されてきたのですが、財務諸表自体は、すごくこういう表現は適当かわからないですが、 骨董品みたいになかなか修正できないと。そういう意味では地道な努力がいるなと私は判断していま すので、さらにこれを努力していただければと思います。よろしくお願いします。 ○井原部会長  ありがとうございました。ただいまのご報告につきまして、いただいた高齢・障害者雇用支援機構 の財務諸表につきまして、何かご意見があればお願いします。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、平成20年度の財務諸表に関する意見としては、いまご報告をいただきました資料1-1の 案のとおりで修正意見はないようですので、これを取りまとめまして厚生労働大臣に提出したいと思 います。よろしゅうございますでしょうか。 (各委員了承) ○井原部会長  それでは、そのようにさせていただきます。  次に、役員給与規程の変更についてです。まず、政策評価官室から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  高齢・障害者雇用支援機構理事長から厚生労働大臣に対し、役員給与規程の変更について届出があ りました。独立行政法人通則法第53条第1項で、「厚生労働大臣は、届出に係る報酬等の支給基準を 評価委員会に通知する」こととされておりまして、同条第2項で、「評価委員会は、その通知に係る報 酬等の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、厚生労働大臣に対して、意見 を申し出ることができる」こととされています。つきましては、この度の役員給与規程の変更が社会 一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、ご意見を伺うこととしました。今回の変更の大 まかな内容を、事務局よりご説明いたします。  独立行政法人役員の特別給、いわゆる賞与につきましては、国家公務員の指定職俸給適用職員と同 様の規定となっています。今回、国において、この指定職俸給適用職員の給与の仕組みが、これまで 在職期間に応じて一律に支給する仕組みとなっていた「期末特別手当」というものがありましたが、 これを在職期間に応じて一律に支給する「期末手当」と、人事評価の結果等に応じて支給する「勤勉 手当」の2つに分けるという改正が行われました。これを踏まえて、高齢・障害者雇用支援機構の役員 給与規程も国と同様の改定を行うというものが、大まかな内容になっています。事務局からは以上で す。 ○井原部会長  それでは、役員給与規程の変更につきまして、法人から説明をお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  総務部長の代田です。役員給与規程の改正について、ご説明を申し上げます。具体的には、資料1- 3-[1]「役員給与規程新旧対照表」に沿って、ご説明を申し上げたいと思います。改正の要点としては、 ただいま政策評価官室からご説明がありましたように、私ども当機構の役員の賞与につきまして、国 家公務員の指定職俸給表適用職員同様に、右側に旧がありますが、第8条で期末勤勉手当としていたも のを、在職期間に応じて支給する期末手当、第8条で措置しておりますが、これと2枚めくった第8条 の2に、業績評価の結果等に基づきまして支給する勤勉手当という形に、改めることとしたものです。  併せまして1枚目にありますが、第5条に規定している特別調整手当、いわゆる地域手当です。この 名称を国家公務員の一般職の給与法に合わせることとしまして、地域手当としています。また期末手 当の支給水準に関しまして、指定職について適用されます支給割合と同じとすることとしていますが、 本年6月期につきまして5月の人事院勧告を受けまして、指定職についての支給割合が暫定的に引き下 げられたことを踏まえ、同様に措置することといたしまして、新旧対照表のいちばん最後の頁ですが、 改正附則の第3項におきまして、必要な措置を講ずることとしているところです。  その他、手当の名称変更に伴う必要な規定の整備を併せて行いまして、6月1日より施行していると ころです。以上、役員給与規程の改正の説明とさせていただきます。 ○井原部会長  ただいまのご説明に関しまして、何かご質問等がありましたらお願いします。 ○今村委員  単なる記述的な興味ですが、2頁目に書いてあります4から5への変更で、これは旧規程では基準日 以前、これは従来は何と読んでいるのでしょうか。6月以内というように書いてありますが、それを6 箇月とはっきり書き換えたということでよろしいのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  これは内容と言いますより、いまご指摘いただきましたとおり、6月以内のものを、左が「新」です が、内容の変更ではありませんで、6月を6箇月に書き換えたということでございます。 ○篠原部会長代理  つまらない質問で申し訳ないのですが、この規程を見ると、改定の経緯が附則でずっと出ていて非 常にわかりやすいのですが、これは本文を見ると、もうだいぶ違ってしまっていると。こういうもの というのは、ずっと永久にこんな形になるのでしょうか。それとも、附則を本文の中に入れたものと いうのは、作られているのですか。あまり真剣に考えないでいただいて結構ですが。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  恐縮ですが、資料1-3-[2]というのを、改正後の「役員給与規程」ということで付けさせていただい ておりますが、この後ろのほうに、いまご指摘いただきました附則について、制定時からそれぞれ施 行期日から始まりまして附則を付けておりまして、規程として、これを一体のものでお示しをするこ とにしています。 ○篠原部会長代理  何か私が質問したのは、こういうものをきれいにするということは、これが存在する限り今後永久 にない、というようなルールと理解していいのでしょうか。  というのは、私たちがここを見ると本文だけ見てしまって、附則というのはあまり大したことは書 いてないなと思ってしまうけれども、これを見ると附則のほうがいま現在見るとものすごく重要かな と思うので、ルールとしてそんなものかなという。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  ホームページとかは、全部附則を踏まえた発表にしてあるのです。どこかで大幅な変更をしたとき にバッと変えるということなのかもしれないですが、何となく法律と同じように附則、附則、附則で きて、抜本改正でもあったときに直すということかなと思うのですが、構造を変えずにきているもの ですから。  ただ篠原委員がおっしゃるように、これで見ても一体どこに書いてあるのかとときどき国会でも聞 かれたりして、どこで読んでいるのだというのがありまして、ですから外に出しているホームページ とかはもう改定したもので、現行でやるようにしているのですが、どうも規程の類というのは、相変 わらず中央官庁に準じてということなのかもしれませんが、どこかで思い切って、独立行政法人の役 員給与のあり方というものが抜本的に見直されれば、その際に全部一括して直すということかなと思 っています。 ○松田委員  資料1-3-[2]、本来の給与は、理事長で月額101万1,000円ですね。それを附則で見ると、94万 4,000円で、9.3%減額していますね。ところが、監事は1つも減額がない、100%のままだと。これは どういうわけですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  理事長、理事をどうするか、監事をどうするかというのはあるのですが、監事の給与も実は下げた のですが、これは本俸を下げるときに一緒に下げています。  それで理事、理事長のほうは、これもちょっと悩ましい話ですが、これは松田委員がご案内のとお り他の独立行政法人と比べていただくとわかるのですが、旧労働省関係の独立行政法人でいっても、 うちよりもかなり高い給与の独立行政法人があるのです。当機構もかなりそれに近い水準だったので すが、職員の給与を下げようということで、前にも一度松田委員から、職員の給与を下げても理事長 の給与は頑張っているのだから上げればいいじゃないかというお話もあったのですが、そのときに理 事長、理事の給与を附則で下げた。これは下げたときに厚生労働省と相談して、将来非常に困難な時 期を迎えて、理事長なり理事に、この給料ではなかなか困難な事態に理事長を受ける人がいない、理 事を受ける人がいないという事態が万一あるときがくるかもしれないということで、それでは本則は 残しておいて附則でやるかと、こういう感じでなってきたということで、下げるという意味では、実 は監事も下げているのです。 ○松田委員  ですから9.3%下げろとは言わないけれども、これ100%というのは、そもそもおかしいでしょう。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  いや、だから監事も下げてます。 ○松田委員  ですからね、下げてないではないですか。70万6,000円で1つも、同じじゃないですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  いや、監事は、独法設立当初は77万3,000円だったのです。いまは70万6,000円ですが、これは本 則を変える格好で、監事については下げてきているのです。 ○松田委員  だったら、その注釈をちゃんと書けばいいのです。これではわからないから。全然わからないので す。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  わかりました。ここは工夫します。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  本部会としては、この変更について認めたいと思います。  それでは、これで高齢・障害者雇用支援機構の議事は終わりです。ここで事務局の入替えを行いま すので、しばらくお待ちいただければと思います。 (法人及び所管課入替) ○井原部会長  次に、勤労者退職金共済機構についての審議をいたします。まず最初に、財務諸表に関する意見に ついての審議に入ります。篠原部会長代理から、ご説明をお願いします。 ○篠原部会長代理  これは財務に関する大臣への意見具申ということの意見書を出すための一環として、採用させてい ただきました。今年は例年とちょっと違いますのは、私どもは7月以降に財務諸表をいただくものです から、なかなか細かい修正等をいただけないものですから、5月に2時間ぐらい打合せというか、意見 交換をさせていただきました。その結果、財務諸表等については非常にスムーズにいきましたので、7 月以降の私どもの作業は、1つは監事及び会計監査人の監査報告書及びそれに関するコメント等があれ ば、いただいてレビューする。  今年は重点目標として、臨時損失辺りにどのようなものが計上されているかということで、その辺 りを重点的に見させていただきました。それと監事にも出席していただきまして意見交換をさせてい ただき、私どもが持っているいろいろな問題意識を、話し合わせていただきました。その結果、意見 書として、独立行政法人評価委員会井原委員長名で厚生労働大臣に意見書を出しますが、これの文書 を読ませていただきます。  「独立行政法人勤労者退職金共済機構の平成20年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項に規定 する財務諸表について、通則法第38条第3項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見は、下記 のとおりである」。  「平成21年6月30日付け勤退共発第67号により承認申請のあった通則法第38条第1項に規定する 財務諸表については、承認することが適当である」という報告をさせていただいています。  口頭で意見を言わせていただきたいのは、去年はこの意見書に添付資料として付けさせていただい たことで、財務諸表が比較的わかりづらいということでお願いしていたのですが、今年はかなりいろ いろと改善された部分もあって、ありがとうございます。だけれども財務諸表そのものというか、表 がなかなか我々というか、皆さんもおそらくわかりづらいと思いますので、その辺を着実に、もう少 しずつ直していただければと。やはりいまの状況での、おそらく委員の人たちの違和感というのは、 財務諸表以外は非常にわかりやすく、メリハリの効いた書類となっていると思うのですが、財務諸表 自体はどうも関係者というか、関係者でもよくわからないようなものなので、これは私ども公認会計 士協会で国際公会計基準概念フレームワークでも議論しているのですが、どこかの国の憲法みたいに 祭り上げられて、なかなか実質にいかないというように、私もその中で言わせていただいたのは、実 務ではなかなかわかりづらいということで、やはり評価委員や現場にいる関係者が少しずつ直してい くという姿勢も、制度自体からくるわかりづらさというのもあるのは私も認識しているのですが、そ ういう面をよろしくお願いします。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまご報告いただきました勤労者退職金共済機構の財務 諸表について、何かご意見があればお願いしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、平成20年度の財務諸表に対する意見としては、資料2-1はただいま読んでいただきまし たものですが、これで修正意見はないということにして、これを取りまとめて厚生労働大臣に提出し たいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。                (各委員了承) ○井原部会長  ありがとうございました。次に、総合評価についての審議をいたします。勤労者退職金共済機構の 起草委員を代表して、今村委員からご報告をお願いします。  なお、議事運営の都合上、ご報告時間を概ね10分程度でお願いします。 ○今村委員  それでは、報告させていただきます。まず最初に、資料2-2です。頁番号が打ってありませんが、表 紙の裏側から1頁目、以下順次8頁までありますので、報告の途中で1頁目、2頁目というように、報 告させていただきたいと思います。  まず1頁目の1の(1)「評価の視点」に従って、勤労者退職金共済機構の平成20年度業務実績の評価 概要を申し上げます。  1頁目1の(2)の「平成20年度業務実績全般の評価」です。機構は中小企業者の相互扶助の精神に基 づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もって中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の 振興に寄与することを目的とする中小企業退職金共済制度の運営主体として設立されたものであるこ とから、その設置目的に照らし、業績の効率化及び質の向上により得られた成果が、「退職金制度へ の着実な加入」及び将来にわたる「確実な退職金給付」にどの程度寄与するかという視点が、評価の 中心となります。  平成20年度の業務実績については、全体としては機構の目的である「確実な退職金支給」及び「退 職金制度への着実な加入」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、なお、以 下の点に留意する必要がございます。  2頁目以降ですが、[1]加入促進については制度の安定的な運営のため、第2期中期計画の達成に向け て、平成21年度以降も、さらに効果的な取組が求められます。特に加入者が目標に達しなかった清酒 製造業退職金共済事業については、事業活動の低迷等、固有の問題はあるものの、より一層の効率的 かつ効果的な取組が求められます。  [2]制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安定して加入できるものとなるためには、累積欠 損金を解消することが重要であり、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえ、今後の市場の推移の 中で、着実に解消を図ることが重要です。  [3]中小企業退職金共済事業における退職金未請求者、特定業種退職金共済事業における共済手帳の 長期未更新者に対しては、被共済者への直接の要請等を実施することにより、より一層の縮減を図る ことが求められる。  [4]「退職金共済業務に係る業務・システム最適化計画」の実施と併せた4事業本部一体となった、さ らなる事務処理期間短縮方策を検討するほか、区分経理を前提とした効率的かつ柔軟な資産運用体制 の構築、競争契約の導入による経費節減などの業務運営のより一層の効率化に努めることが重要です。  具体的な評価内容ですが、2番です。(1)「業務運営の効率化に関する措置について」です。[1]「効 率的な業務運営体制の確立」に関しては、退職金未請求者の縮減に取り組むため、中退共本部に給付 推進室を設置し、未請求者問題に特化した組織体制を整備したことや、契約締結及び退職金支給に係 る審査業務について、電子化を推進していることは評価できます。  [2]「中期計画の定期的な進行管理」に関してですが、役員等で構成する業務推進委員会において、 事業の進捗状況を定期的に把握し、年度計画の検証を行ったこと、加入促進委員会において、加入促 進対策の遂行状況の審議・検討を行い、積極的な加入勧奨につなげたことは評価できます。  3頁目の[3]「内部統制の強化」につきましては、職員一人ひとりに年度計画における各職員の位置づ け及び役割を明らかにし、職員の意識を高める取組を進めたことについては評価できますが、業務活 動における法令遵守を確保する体制の整備に向けて、さらなる取組を期待したいと考えます。  [4]「業務運営の効率化に伴う経費節減」につきましてですが、削減対象経費については、基準額に 対し9.4%削減することができ、さらに超過勤務の削減を行ったこと等により、大幅な人件費削減も達 成したことは評価できます。また、「随意契約見直し計画」に沿った競争性のある契約への移行が行 われていますが、「退職金共済業務に係る業務・システム最適化計画」の実施状況等を踏まえつつ、 随意契約によることが真にやむを得ないか否かを不断に点検し、今後の取組を行うことが重要です。  (2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について」です。[1]「確 実な退職金支給のための取組」として、中退共事業における未請求退職金については、今後の発生防 止策として、被共済者へ加入したことを通知する等、被共済者の意識を高める取組を強化したほか、 退職後3か月経過しても請求のないものについて請求を促す取組等を実施した結果として、未請求率を 着実に改善している点については評価できます。また、機構はこれまでの退職金未請求者に対する取 組として、未請求者のいる事業所に対して、未請求者の住所等の情報提供を依頼し、入手した情報に 基づき被共済者に対して請求手続を要請していますが、平成20年事業年度計画で対象としていた事業 所以外にも、対象を拡大して調査を行った点については評価できます。また、建設業退職金共済事業 における共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組として、これまで入手した住所等の情報を データベース化したほか、新たに手帳更新時に住所を把握するため、手帳の様式変更等、今後の取組 の強化に向けた環境整備を行っている点、清酒製造業退職金共済事業及び林業退職金共済事業につい ても、建設業退職金共済事業と同様の取組を進める等、対策の強化を行っている点は評価できます。  次頁の[2]「サービスの向上」ですが、加入者が行う諸手続や提出書類については、ホームページに 掲載する様式の充実、建退共事業において、退職金請求時の重複状況の確認システムの整備等合理化 を積み重ねることにより、その負担軽減を実施しており評価できます。  [3]「加入促進対策の効果的実施」についてですが、中小企業退職金共済事業においては、個別企業 訪問の実施等、機構としての加入促進に向けた積極的な努力により、加入者数の目標達成率が102.3% となったほか、前年においては目標を達成することができなかった建設業退職金共済事業及び林業退 職金共済事業についても、各種の取組により加入目標を上回ることとなったことは評価できます。し かし、清酒製造業退職金共済事業については、加入実績が目標に達しておらず、業界を取り巻く厳し い環境を考慮する必要はあるものの、一層の努力が求められました。  (3)「財務内容の改善について」ですが、[1]累積欠損金の処理については、平成17年10月に「累積 欠損金解消計画」を策定したところですが、平成20年度においては、中小企業退職金共済事業におい て1,929億円、林業退職金共済事業においては1.4億円の損失を計上しております。これは金融市場の 状況など外生的な要因が大きく影響しているものですが、累積欠損金の解消は、制度の持続的な運営 に当たっての重要課題であり、今後とも引き続き資産運用について、安全かつ効率的な運用を基本と しつつ、着実な解消に努める必要があると考えます。  [2]「健全な資産運用等」についてですが、米国の大手金融機関の破綻を発端とする金融危機の拡大 や、世界的な実体経済の急激な悪化を背景にした市場の低迷等により、金銭信託については、大きな 評価損を計上しましたが、資産運用評価委員会による運用結果の評価等、外部の専門家を積極的に活 用するなど、金融市場の状況を踏まえながら安全かつ効率的な運用を実施する体制の下、各事業とも に概ねベンチマーク並の収益は確保した点は評価できます。ただし、今後も確立された体制を適切に 運用しつつ、安全かつ効率的な資産運用の具体的な成果に向けて、一層の取組が求められます。  なお、建設業退職金共済事業における累積剰余金の発生要因については、労働政策審議会勤労者生 活分科会中小企業退職金共済部会において議論されているところであり、同部会においては、「将来 推計において見込んでいた運用利回りと実際の運用利回りとの差が考えられる」とされております。 この累積剰余金のあり方や退職金に係る利回りについては、制度のあり方の観点から同部会において 検討が行われるべきであり、当委員会が直接評価する対象でないと考えますが、当委員会としては制 度に基づき、資産運用が適切に行われているか等、業務運営の観点から引き続き注視することが重要 であると考えます。  (4)「その他業務運営に関する措置について」です。機構の保有する退職金機構ビル及び同別館につ いては、外部有識者で構成する「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」において検討が進められ ているところであり、今後、現在地に所在することが必要不可欠かどうかについて、経済合理性等を 考慮した十分な議論が行われた上で、早急に結論を得ることを期待いたします。  (5)「『独立行政法人整理合理化計画』等への対応について」です。[1]「財務状況について」です。 機構は平成20年度以降の市場環境急変への対応を検討し、長期的かつ安定的な収益の確保を目標とす る資産運用の基本方針から、リスクの拡大をすることなく基本ポートフォリオの資産配分を維持する と決定したところであり、緊急環境下においても必要な検討・対応が行われていると評価できます。  [2]「保有資産の管理・運用等について」は、退職金機構ビル及び同別館については、上記(4)で評価 したとおりですが、松戸宿舎及び越谷宿舎については、平成21年度中に入居者を退去させ、宿舎を廃 止することが決定する等、国の資産債務改革の趣旨を踏まえた措置が講じられていると評価できます。  [3]「人件費管理について」は、平成20年度における給与水準の検証については、対国家公務員指数 は97.7となっており、適切な水準と評価できます。また、支出予算の総額に占める国からの財政支出 の割合は2.0%と低い水準にあると評価できます。  [4]「契約について」は、「随意契約見直し計画」に基づき、平成20年度見直しとした契約について、 見直しを実施するとともに、随意契約によらざるを得ないとしていた契約についても再検討し、見直 しを実施した点は評価できます。契約事務手続に係る執行体制や審査体制の整備を進めた点も評価で きます。  [5]「内部統制について」は、事業本部において幹部会等を定期的に開催し、年度計画の達成状況、 その他の業務の遂行状況の把握を行っていることは評価できます。その他は、先ほど2(1)[3]で評価し たとおりの指摘があります。  [6]「業務改善のための役職員のイニシアティブ等について」は、これは理事会において、各事業本 部からの報告により、機構業務全般の状況を把握するとともに、業務運営方針などを審議・決定して いることは評価できると思います。以上、内容を報告させていただきました。 ○井原部会長  ありがとうございました。ただいま報告をいただいた総合評価書の案についてご意見があればお願 いします。よろしいですか。それでは、修正意見がないようですので、平成20年度の業務実績の評価 結果として、各法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公 表したいと思います。  なお、このあとに誤字脱字、誤認などの修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一 任いただければありがたいと思います。そのようにさせていただいてよろしいですか。                (各委員了承) ○井原部会長  それでは最後に法人からコメントをいただけたらと思います。お願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構理事長  今日は総括的なご評価をいただきまして、ありがとうございました。8月11日の個別評価の意見で ご指摘をいただいた点も踏まえて、今後、一生懸命機構の運営に当たっていきたいと考えております ので、引き続きご指導をいただきますようお願い申し上げます。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。それでは現在までの報告等を踏まえて、個別評定の修正・確定を 行いたいと思います。修正に当たりましては、事務局から補足説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  先ほどと同じですが、もう一度、補足説明させていただきます。修正は赤鉛筆でお願いします。机 の上に置かせていただいております。また、机上配布している「個別項目に関する評価結果(未定 稿)」については、現時点でいただいている評定を「S=5点、A=4点、B=3点、C=2点、D=1点」 と点数化し平均化したものです。委員名は空欄としておりまして、各人のお名前だけがわかるように させていただいております。  作業に当たりまして、これまでの個別評価に係る資料をご覧になりたい場合には、事務局にお申し 付けください。お持ちいたします。以上です。 ○井原部会長  それでは10分ほどの間に、評価記入用紙の確認や修正をお願いします。                (確認・修正) ○井原部会長  それではこれをもって勤労者退職金共済機構の平成20年度業務実績評価に関する意見を取りまとめ たいと思います。評価書には、評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されることになり ますが、本日、評価の確定を行ったことにより、SからDの評定が変更された場合、またコメントが修 正・追加された等の場合には、これらを反映した評価シートの集約版を添付いたします。これら修正 が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただければと思います。場合によっては、 個別に各委員にご意見を賜ることもあるかもしれませんので、その際はよろしくお願いします。よろ しいですか。                (各委員了承) ○井原部会長  次に役員給与規程の変更についてです。まず、政策評価官室からの説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  勤労者退職金共済機構理事長からも厚生労働大臣に対し、役員給与規程の変更について届出がござ いましたので、先ほどと同様に委員の皆様のご意見をお願いいたします。 変更内容は、先ほどと同様で、高齢・障害者雇用支援機構と同じく、国の改正に併せた変更となって おります。 ○井原部会長  それでは役員給与規程の変更の内容について、法人からの説明をお願いします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  退職金共済機構の総務部長の清川です。役員給与規程の変更につきましてご説明させていただきま す。お手元に資料2-3-[1]、A4の横長で、現行と改正後を表にしているものがありますので、そちらの 新旧対照比較表を基にご説明したいと考えております。  本年5月1日に臨時の人事院勧告が行われまして、その中で、指定職俸給表適用職員の特別給、いわ ゆる期末特別手当につきまして、勤務実績を適切に反映させるべく、現行の期末特別手当を廃止し、 在職期間に応じて一律に支給される期末手当と、人事評価の結果等に応じて支給される勤勉手当に改 めるという勧告があったところです。  当法人におきましても、これを受けまして、当機構の役員に支給する期末特別手当について、現行 の期末特別手当を廃止し、期末手当と勤勉手当に再編を行う改正を6月29日に行ったものです。新旧 対照表をご覧いただきますと、第2条で期末特別手当とあるものを、期末手当と勤勉手当の2つに分け たものです。期末特別手当を期末手当と改めるほか、新たに設ける勤勉手当については、見開きの最 後の頁の上のほうに、勤勉手当第8条の2ということで、新たに項を設けて定めたものです。勤勉手当 は6月1日、また12月1日にそれぞれ在職する常勤役員に対して、基準日以前6か月以内の期間にお ける勤務実績の評価等に応じて支給する。第2項、勤勉手当の額については、4行は、期末勤勉手当の 基礎月額ですが、下から3行、すなわち「機構の業務の実績を考慮し、かつ、職務実績の評価等に基づ く別に定める割合を乗じて得た額に、基準日以前6箇月以内の期間における常勤役員の在職期間の区分 に応じて、次の表に定める割合を乗じて得た額とする」。なお、ここで勤務地職務実績の評価等に基 づく別に定める額として、私どもの通達の中で、まず、理事長に対する勤勉手当の支給割合について は、厚生労働省独立行政法人評価委員会が行う業績評価の結果を参考に、機構の業務の実績、あるい は機構の人件費等を考慮し、その都度決定する。また、理事及び監事に対する勤勉手当の支給割合に ついては、先ほどの支給割合を参考に、理事長が当該理事及び監事の職務実績を考慮し、その都度決 定すると定めているところです。  なお、本年6月につきましては、期末手当、勤勉手当につきまして、人事院勧告で一定額の凍結とい う勧告があったことを受けまして、0.15月分を凍結して、1.475月の夏期一時金を支給したところです。 以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。ただいまの報告に関しまして、何かご意見等がありましたらお願いいた します。 ○松田委員  第8条の3項、業績評価の結果を参考にして、その額の100分の10、10%を増額し、または減額す る。これはどうして削除したのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  現行のですか。 ○松田委員  改正もですよ。削除になっているでしょう。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それにつきましては、第8条の2の勤勉手当のところで、「機構の業務の実績を考慮し、かつ、職務 実績の評価等に基づく別に定める割合を乗じて得た額」とした上で、先ほどご説明したように、具体 的な額の通達におきまして、理事長に対する勤勉手当の支給割合については、「厚生労働省独立行政 法人評価委員会が行う業績評価の結果を参考に機構の業務の実績や機構の人件費等を考慮し、その都 度決定する」という形で、そのまま記載しております。 ○松田委員  増額・減額というのは、あってもおかしくないですよね。どうして削除にしたのか。意味がよくわ かりません。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  期末特別手当を期末手当と勤勉手当に分けるというのに対して、期末手当については、勤務期間に 応じて決定すると。  一方、勤勉手当につきましては、従来は独立行政法人の役員全体について、業績評価の結果を参考 に増減をするということになっていたかと思いますが、それを今後、一人ひとりの業務実績を参考に して、業務実績を基に決定するという形で、勤勉手当を定めたものですので、勤勉手当につきまして、 具体的な定め方については、一人ひとりに個々に定めるということになってくるところから、ここに つきましては通達という形で決めさせていただいたところです。 ○川端委員  個別の勤務実績というのは、誰がどういうふうに決めるのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  理事長に対しての勤勉手当の支給割合につきましては、独立行政法人評価委員会が行う業績評価の 結果等を参考にして、やはり、理事長が決定すると。理事及び監事に対する勤勉手当の支給割合は、 先ほど申しました理事長の支給割合を参考にして、理事長が、当該理事及び監事の職務実績を考慮し て、その都度決定するという形で、独立行政法人、法人全体の業績評価と、個々の役員の業務実績の 双方を考慮して定めるという形に今回改正させていただいたところです。 ○川端委員  理事長が決めるわけですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。 ○川端委員  もう少し客観的な指標というのは、何かあるのですか。 ○勤労者退職金共済機構理事長  制度が変わったばかりで、いま勉強中でございまして、これから検討しようと思っております。た だ、ご承知のとおり、民間企業のように、例えば、新しい商品を開発するとか、新しい市場を開拓す るとか、あるいは新しい技術を導入するとか、いろいろな経営の自由度がたくさんある組織とは違い まして、私どもの組織は、やるべき仕事もやり方もほとんどが法令等によって、いわばがんじがらめ に決まっているわけです。そういう意味で、一人ひとりの役員の経営の自由度というのは、そんなに 多くない。そういう中で、どうやって業績を評価し、判定していくのかというのは、これから理事長 にとっては大変頭の痛い仕事になると覚悟しております。これからいろいろと検討していきたいと思 っております。 ○篠原部会長代理  すごい細かい話で申し訳ないのですが、前、ある独法で問題になったことがあるのですが、これは 基準日の給料をもとに計算すると。そうすると、昇給が1日前でもその給料になる。職務階級ですかね。 前の半年でやるのだったら、給料も「何とか平均」しないと。すごく細かいのです。これは実は、ほ かの独法で、突然1か月前に上がって、たくさんもらってしまうというのは変ではないかということで 検討したことがあるのです。こういう意見はあまり出てこないのでしょうか。大した金額ではないの ですが。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  基本的には、ご指摘のように基準日の俸給を基礎として行うということで、あまり期間内に増減す るということを考えていなかったので、そこまで考えは及んでいないのですが、そういったことも含 めて勉強させていただければと思います。 ○松田委員  この業績評価の決定を理事長が決めるというのは、どういう内容で、どういうことを決めるのか。 これは各理事長がバラバラですよね。何かひとつ尺度を設けたらいいのではないですか。 ○勤労者退職金共済機構理事長  できるだけ客観的な尺度を、当然持つべきだと思いますが、先ほど申したように、例えば売上実績 であるとか、あるいは利益に対する貢献度とか、数値的に表すのはなかなか難しいように思います。 その辺はこれからどういう尺度が可能なのか、よく勉強していきたいと思っております。 ○井原部会長  それでは変更意見というのはなかったので、本部会としては、今回提出された変更(案)について は、意見なしということでよろしいですか。それでは勤労者退職金共済機構の議事はここまでとしま す。ここで事務局の入替えを行います。 (法人及び所管課入替) ○井原部会長  次に労働政策研究・研修機構についての審議をいたします。最初に、財務諸表に関する意見につい ての審議に入ります。それでは篠原部会長代理からご説明をお願いします。 ○篠原部会長代理  財務に関する大臣の意見具申という、一環としていろいろと作業をさせていただきました。今年は 昨年と違うのは、やはり、7月以降財務諸表をいただくと、いろいろな修正が難しいということもわか りましたので、事前に意見交換をしようということで、2時間ぐらい5月にさせていただきました。そ のお蔭で、かなりいろいろな部分で、よりわかりやすい変換をしていただきましたので、7月以降のレ ビューでは、監事及び会計監査人の監査チェックのコピーの内容を見て、それ以外に、財務諸表をレ ビューして質問させていただきました。これは例年と違って、やはり、ほとんどのものがクリアされ ていますので、臨時損失を重点的に議論させていただきました。それと監事にも同席していただいて、 私が持っている問題意識等の意見交換もさせていただきました。  その結果、独立行政法人評価委員会井原委員長名で、厚生労働大臣に意見書を出します。その案と して、「独立行政法人労働政策研究・研修機構の平成20年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項 に規定する財務諸表について、通則法第38条第3項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見は、 下記のとおりである」。「平成21年6月25日付け労政研機発第29号により承認申請のあった通則法 第38条第1項に規定する財務諸表については、承認することが適当である」ということで報告させて いただきます。  口頭になりますが、今回もかなりいろいろとわかりやすく書いていただいたのですが、いま見ると、 今後、より一層努力していただきたいなと。正直、財務諸表以外のいろいろな書類を評価委員会に提 出いただくのですが、これはポイントを突いて、非常にわかりやすく工夫されているのですが、財務 諸表自体は昔のまま訳わからない、正直言うと、会計監査人のために作っているのかなという感じも しないでもなく、なかなか会計規程とか、そういうものに基づいて作るものですから、制度的な限度 もあるなということは十分承知しておりますが、できることもあるということで、その辺を努力して いただければと思います。よろしくお願いいたします。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。ただいまご報告をいただいた労働政策研究・研修機構の財務諸表につい て、何かご意見があればお願いします。よろしいですか。それでは平成20年度の財務諸表に対する意 見としては、いま説明をいただいた資料3-1の案のとおりで、修正意見はないということで、これを取 りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。それでよろしいですか。                (各委員了承) ○井原部会長  どうもありがとうございました。次に総合評価についての審議をいたします。労働政策研究・研修 機構の起草委員を代表して、私から報告をさせていただきます。資料3-2を順番に説明をさせていただ きます。(1)「評価の視点」は省きまして、(2)「平成20年度業務実績全般の評価」、4行目、「機構 の業務実績の評価に当たっては、業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、機構の業 務が、我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経 済の発展に資するものになったかという視点」を中心に評価を行ったということです。  機構としては、[1]から[6]まで書いてありますが、これを重点課題として業務運営が行われた。取組 が進められたということです。全体を評価した結果、引き続き適正な業務運営が行われていると評価 いたします。  次の頁、ただ、「今後も機構に課せられた使命を高いレベルで効率的に達成していくため、それぞ れの業務のバランスを考慮しながら重点化を進め、業務間の連携を密にして業務運営を行っていくこ とが望ましい」としております。  2番目として、具体的な評価内容ですが、(1)「業務運営の効率化について」は、全体として努力を されて、中期計画の目標値を確実に達成できるペースで実績を上げており、これは評価できるとして おります。  (2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について」。「業務全般に関する措 置」ですが、これは理事長のリーダーシップの下、経営会議において毎日の業務実績報告や、四半期 ごとの内部評価を実施する。経営会議主導で適切に対応されている。「総合評価諮問会議」について は、外部の人たちの構成による外部評価を行っている。「ご意見募集欄」を通じて、国民の意見の募 集も行っている。団体として、このような取組で事業の進行管理が適切に行われて、質の高い業務運 営が行われているということで評価するということになっております。  今後はこれらの評価や意見を機構の業務の改善にフィードバックすることについて、一層の取組を 進めることが望ましいとしております。  [2]「労働政策研究」については、この結果は、非常に研究課題は大変タイムリーなもので、そのた めに経済財政諮問会議や、社会保障会議等において多くの成果物が使用されている。今後も他の研究 機関における研究と重複しないように留意しつつ、労働政策をリードするような質の高い研究を期待 するとしております。  厚生労働省との連携につきましては、いろいろな形で密に連携をとっていて、厚生労働省の労働政 策の企画立案及び推進に資する質の高い労働政策を行うという目的に合致するものとして評価してお ります。  その下のところで、研究員1人当たりの研究実績数は、第1期の中期目標期間中の1.45を上回る 1.69件という密度の高い研究姿勢が感じられる。結果としても「優秀」(A以上)の評価を得たものは、 中期計画の目標値を上回っており、高い成果を上げているということです。これも評価できると。  [3]「労働行政担当職員その他の関係者に対する研修」については、研究部門と研修部門が一層連携 された結果、研修生からも高い評価を得ていることは評価できるとしております。  [4]、この結果は、情報の収集・整理については、広い範囲で白書等で使われている。プロジェクト 研究における有用なデータとして活用されているということで、世の中で役に立っている。有識者等 のアンケート調査でも高い評価を得ている。今後もより一層、情報収集・整理のあり方を工夫し、他 の研究や行政等にこれまで以上のインパクトを与え続けることを期待しております。  [5]「研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣」については、中期計画どおり実施されている。 [6]「労働政策研究等の成果の普及・政策提言」については、いろいろな媒体を通じて、積極的に成果 の普及・政策提言が行われている。アンケート調査でも高い評価を得ているので、評価もできます。 今後も成果の普及が幅広く行われることを期待するということです。  「財務内容の改善等及び人事に関する計画について」は、任期付きの研究員の育成や、人材の確保、 いろいろと努力をしております。研究の質の確保を図っていることは評価できますが、人員の削減が 引き続き実施される中で、職員の士気を維持し、活力を高めるための工夫を行うことが望ましいとし ております。  (4)「整理合理化計画及び評価の視点等への対応について」は、[1]「財務状況について」、I)、こ れは利益が発生していない。リース期間の後半では利益が発生し、欠損金が解消されることになって いるのが事実です。II)「運営費交付金債務」については、業務運営が適切に行われているというこ とです。[2]「保有資産の管理・運用等について」は、食堂、売店施設及び自動販売機設置の賃料を有 償化したことは妥当であり、評価できるとしております。  [3]「人件費管理について」は、給与水準を示すラスパイレス指数は、年齢差、地域差及び学歴差で 調整した後の指数が、事務・技術職員については104.8、研究職員については100となっており、引き 続き適正な水準の確保に向けた努力を必要とする。  II)「総人件費」については、5%を大きく上回る削減。これは評価できる。III)「その他」、これ はここに書いてあるとおりです。  [4]「契約について」は、随意契約の適正化等ですが、100万円を超えるすべての契約案件について、 契約担当部門以外の部門による内部審査の実施を行っております。一般競争入札については、応札が1 つしかなかった契約案件については、業者等から意見聴取を行った上で、改善方策の策定・公表等、 個々の契約についても確実な取組がなされている。また、随意契約案件については、契約担当部門以 外から構成される随意契約審査委員会を作りまして、そこで審査の実施、監事による監査やホームペ ージによる審査結果の公開等、契約に係る規程類の適切な運用、審査体制の実効性を確保する仕組み が構築されているということで評価しております。  II)「随意契約見直し計画」については、これは着実な進展があったと評価できるのですが、今後、 目標値の達成に向けて、なお一層の努力を必要とするとしております。[5]官民競争入札の活用につい ては、基礎的、一般的な知識やスキルの習得に係る科目については、外部講師の活用等を進めている ことは評価できる。[6]「内部統制について」、コンプライアンスの進捗状況に係るチェックリストを 用いた評価・点検の実施を行い、外部の専門家による職員の研修の実施等、定着を図る仕組みがなさ れていることは評価できる。関連法人はない。[8]「中期目標期間終了時の見直しを前提にした取組に ついて」は、平成20年度予算に対して13%の大幅縮減を図るなど、主体的な取組は評価できる。「業 務改善のための役職員のイニシアティブ等について」は、経営会議における業務実績や中期的な経営 課題の決定、全役職員に対する機構のミッションの訓辞等、職員のモチベーション向上のための取組。 「ご意見募集欄」で、国民からのニーズを集めていることは評価できる。  [10]評価について監事からの説明を承っております。[11]「国民からの意見募集について」、これは特 段の意見は寄せられなかった。[12]、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の指摘に対する答え ですが、これはいままで説明してきた中に、この部分はちゃんと答えているということです。以上で す。  ただいまの総合評価書についてご意見があればお願いします。 ○篠原部会長代理  4頁の(4)[1]のII)の「運営費交付金債務」の最後の「業務運営は適切に行われている」と書いてあ るのですが、上の文章を見ると、「業務運営は効率化を進めつつ、かつ、適切に」と文章を入れたい と思いますが、これは余分ですか。 ○井原部会長  もう一度おっしゃってください。 ○篠原部会長代理  「業務運営は効率化を進めつつ、かつ、適切に行われている」と。ちょっと弱いというか、もう少 し強くしたほうがいいかと。 ○井原部会長  「効率化を進めつつ、かつ、適切に行われている」と。 ○篠原部会長代理  1割を切っているから、ちょっと誉めたほうがいいかなと。 ○井原部会長  そのほうが、よく伝わりますね。あとはございますか。いまのご意見を入れるというのはいいです ね。そこは修正していただきたいと思います。あとはよろしいですか。  いまの意見を中に入れて、平成20年度の業務実績の評価結果として、各法人及び総務省政策評価・ 独立行政法人評価委員会にお伝えするとともにこれを公表したいと思います。なお、このあとで誤字 脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任をいただけれ ばと思います。                (各委員了承) ○井原部会長  最後に法人からコメントがありましたらお願いします。 ○労働政策研究・研修機構理事長  理事長の稲上です。ただいまは丁寧、かつ真摯なご評価をいただきまして、誠にありがとうござい ました。ただいまいただいたご指摘を踏まえまして、これからも私どもの社会的使命をより良く達成 することができますよう、役職員一同努力してまいりたいと考えております。引き続き、ご指導、ご 鞭撻くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○井原部会長  ありがとうございました。現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定の修正・確定を行いたい と思います。その留意事項はもういいですね。 ○政策評価官室長補佐  同じでございます。 ○井原部会長  それでは10分程度の間に評定記入用紙の確認や修正をお願いいたします。                (確認・修正) ○井原部会長  それではこれをもって、労働政策研究・研修機構の平成20年度業務実績評価に関する意見を取りま とめたいと思います。評価書には、評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されておりま す。本日、評価の確定を行ったことによって、SからDの評定が変更された場合、またはコメントが修 正、追加等がなされた場合には、これらを反映した評価シートの集約版を添付します。これらの修正 が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただければと思います。場合によっては、 個別に各委員にご意見を賜ることもあるかもしれませんので、その際はよろしくお願いいたします。 (各委員了承) ○井原部会長  次に役員給与規程の変更についてです。政策評価官室からの説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  労働政策研究・研修機構理事長からも厚生労働大臣に対し、役員給与規程の変更について届出がご ざいましたので、委員の皆様のご意見をお願いいたします。変更の内容は、左記の2法人と同様、国の 改正に併せた変更となっております。事務局からは以上です。 ○井原部会長  それでは役員給与規程の変更の内容について、法人から説明をお願いします。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  総務部長をしております友藤です。私のほうからご説明をさせていただきます。お手元の資料3-3- [1](案)をご覧ください。趣旨がIに書いてありますが、平成21年5月の人事院勧告におきまして、 国の指定職の俸給表の適用を受ける職員の特別給につきまして、勤務実績を反映させる仕組みを導入 することとされて、従来の期末特別手当を、在職期間に応じて一律に支給される期末手当と人事評価 の結果等に応じて支給される勤勉手当に改編する旨の勧告が出されて、6月から実施されているという ことです。  機構の常勤役員の特別手当につきましては、従来より、国の指定職俸給表の適用を受ける職員の期 末特別手当に準じて支給をしております。そうしたことがありますので、上記の改定に準じて、IIの 「一部改正の内容」を取り入れたところです。2にあるとおり、常勤役員の特別手当を、在職期間に応 じて一律に支給される期末手当と人事評価の結果等に応じて支給される勤勉手当に改編して、平成21 年6月1日より施行しております。説明は以上です。 ○井原部会長  ただいまの説明について、何かご意見、ご質問等がありましたらお願いします。 ○川端委員  勤務実績を反映させる仕組みで、例えば、国であれば指定職俸給表の基準がありますが、これから 勤務実績がどれぐらいの幅で上下すると想定されるのですか。うんと良くない人、うんと良い人の、 基準からの。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  お手元の資料にあるかと思うのですが、上限が全体で決まっておりまして。 ○川端委員  「理事長が別に定める割合を乗じて得た額」とありますよね。それがどれぐらいなのかということ です。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  全体の枠が、指定職の割合の総額で超えてはいけないという枠が決まっておりまして、その額内で あれば支給ができるという形になっております。 ○川端委員  ですから、それがどれぐらいなのか。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  お手元の資料の5頁の第8条の2の第2項に、「基礎額に一般職給与法第19条の7第2項第1号ロに 定める支給割合を乗じて得た額の総額を超えてはならない」と書いてあります。それが0.75までです。 ○川端委員  それは総額ですよね。個人ではどれぐらいの差が出るのですか。これはたぶん理事長の判断という ことになるのでしょうが、理事長が定めた率ということです。それがどれぐらい想定されるものでし ょうか。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  特段、私どもは現在そういうものは定めておりませんので、総額で押えるという形になっておりま す。 ○井原部会長  そのほかに何かありますか。よろしいですか。それでは本部会としては、この変更につきましては、 意見なしということでよろしいですね。次に、役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入りま す。事務局から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  労働政策研究・研修機構理事長から独立行政法人評価委員会委員長宛に、役員の退職に係る業績勘 案率の算定について依頼がございました。独立行政法人の役員の退職金につきましては、平成15年12 月19日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に0.0から2.0までの範囲内で定める業績勘 案率を乗じた金額とされております。  評価委員会での業績勘案率を決定いただきたいと思います。まず、法人からの依頼を受けまして、 事務局において、当評価委員会が定めている「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定 方法について」に基づいて、業績勘案率を試算しております。その結果を、まず、私から説明いたし ます。  次に皆様方に試算結果についてご審議をいただきたいと思います。また、今回決定した数値につき ましては、後日、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会(政・独委)に通知をして、同委員会 から意見があれば、厚生労働省独立行政法人評価委員会で改めてご審議をいただくことになっており ます。なお、意見がない場合には、部会長にご報告をし、最終決定をいただくという流れになってお ります。  それでは私のほうから、事務局において行った試算について説明いたします。資料3-4、こちらは退 職役員の方で宗岡和男様、役職は監事をされておられました。在職期間は平成17年6月28日から平成 21年6月25日まで、およそ4年間、在職月数でいきますと49か月間となっております。  2.「業績勘案率の算定について」は、委員会のほうで定めている決定方法に基づいて試算をしてお ります。(1)「役員の在職期間において法人の評価結果及び年度評価が実施された期間の評価結果に基 づく算定」です。平成17年度から平成20年度までの年度評価を下に掲げており、1.48、1.40、1.32、 1.38となっております。これをさらに平均値の分類として、委員会として定めている決定方法の場合、 さらにこの年度の評価の平均値をXYZと3種類の分類に分けており、その分類でいきますとY分類に当 たるというものです。XYZというのは、Xは年度業務勘案率が1.50から2.00の場合。0.51から1.49の 場合がY。0.00から0.50の場合がZとなっております。この分類に基づきますと、全ての期間におい てY分類となっております。このY分類となった場合には、それぞれ対応する率が決まっており、業績 勘案率は1.0とする、というのが委員会として予め決めている方法です。参考までに、在籍月数は49 か月、平成17年度においては10か月。平成18年度から平成20年度はそれぞれ12か月間。平成21年 度は3か月間となっております。  (2)「役員の在職期間のうち法人の年度評価が未実施の期間の実績に基づく算定」です。これは平成 21年度の3か月間は評価が未実施ですが、こちらについては資料3-4と同じクリップで留めてあった かと思います。(別添2)という形で、この3か月間の実績を法人から提出していただいております。 これと平成20年度の実績を比較考量しますと、ほぼ同水準とみなすことが適当かと思っておりますの で、平均値の分類でいきますと、同じくY分類。このY分類に対応する率として1.0か月。在職月数は 3か月となるかと思います。  (3)いままでの(1)(2)の計算をまとめてしております。平成17年度は1.0か月×10。平成18年度、 平成19年度、平成20年度は、それぞれ1.0×12を3回しており、それから平成21年度分は1.0×3と いうのを行った上で、それを49か月で割っております。すべて1ですので、当然結果は1.0になる形 になっております。  そのほか、考慮するものとして、(4)「役員の在職期間における目的積立金の状況」については、目 的積立金は積んでおりません。(5)「退職役員に係る職責事項についての申出」については、機構のほ うからの申請は上がってきておりません。(6)結論については(1)から(5)までによる業績勘案率の試算 の結果は1.0となっております。以上です。 ○井原部会長  続きまして、退職役員について、在任期間中の理事の担当職務等につきまして、法人から簡単に説 明をお願いします。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  宗岡和男監事は、監事を平成17年6月28日から平成21年6月25日まで、約4年1か月担当されま した。監事におかれましては、機構全般の監査を担当されまして、監査を通じて、業務の適正かつ効 率的・効果的な運営の確保にご尽力をいただくとともに、会計・経理の適正等の確保にご尽力をいた だきました。私からは以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。この報告につきまして、何かご質問等がありましたらお願いいたします。 ○松田委員  ちなみに、宗岡さんの額はいくらぐらいですか。 ○労働政策研究・研修機構総務部長  退職金の額ですか。委員会のご了解をいただいて、これから算定に入りますので、まだ算定のほう はできておりません。 ○井原部会長  そのほかにございますか。それでは申請のあった業績勘案率につきまして、原案どおり「1.0」と決 定することでよろしいですか。                (各委員了承) ○井原部会長  それではそういたします。なお、先ほど事務局から説明があったとおり、決定した業績勘案率につ きましては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に通知をして、意見の有無の確認を行いま す。総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から、意見のない旨当委員会に通知されたあとは、 「1.0」を当委員会として労働政策研究・研修機構理事長に通知することにいたします。それでは労働 政策研究・研修機構の議事はここまでといたします。事務局の入替えを行いますので、皆さんはしば らくお待ちいただきたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  事務局の入替えの都合上、3時半からの開始とさせていただきます。また、本寺委員も3時半ごろご 着席です。                (法人及び所管課入替) ○井原部会長  雇用・能力開発機構についての審議をします。最初に財務諸表に関する意見についての審議に入り ます。篠原部会長代理よりご説明をお願いします。 ○篠原部会長代理  財務に関する大臣への意見具申をするための作業をしました。今年は例年と違って、私ども7月以降 に財務諸表を入手してやるものですから、なかなか訂正していただけないということで、今年は意見 交換させていただいて、かなりわかりやすい方向で改善されたところがあります。ありがとうござい ました。  7月以降は例年と同様に、私が財務諸表を見て質問させていただき、監事を交えて3時間ぐらい議論 させていただきました。重点項目としては臨時費用の辺りを見させていただいて、その結果、適正で あるということで、独立行政法人評価委員会井原委員長から、厚生労働大臣への意見書として、以下 のものを提案させていただきます。  「意見書、独立行政法人雇用・能力開発機構の平成20年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項 に規定する財務諸表について、通則法第38条第3項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見は、 下記のとおりである」。「平成21年6月26日付け21雇能発第93号により承認申請のあった通則法第 38条第1項に規定する財務諸表については、承認することが適当である」。  あとは口頭でのお願いということで述べさせていただきますと、財務諸表以外のいろいろな資料は、 この6年間は非常にわかりやすく、ポイントを突いたものになっているのですが、財務諸表はいろいろ な規定でがんじがらめになっていることもありまして、古色蒼然というか、骨董品を見ているような、 おそらく関係者は見たがらないようなものを作っているということで、いつまでもということもあり ますので、規定の改訂も期待されるのですが、個々の独法で努力できる部分もありますので、その辺 をできる範囲でやっていただければと思います。その積み重ねがよりわかりやすいほうにいくのでは ないかということで、その辺はよろしくお願いします。 ○井原部会長  ただいまご報告いただいた雇用・能力開発機構の財務諸表について、ご意見はございますか。よろ しゅうございますか。  それでは、平成20年度財務諸表に対する意見として、資料4-1の案のとおりで修正意見はないとい うことで、これを取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。よろしゅうございますか。                (各委員了承) ○井原部会長  そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  次に総合評価についての審議をします。雇用・能力開発機構の起草委員を代表して、宮本委員から ご報告をお願いします。 ○宮本委員  雇用・能力開発機構の平成20年度業務実績の評価結果(案)をご説明します。1の(2)「平成20年 度業務実績全般の評価」についてです。平成20年度は、第2期中期目標期間の2年度目として、中期 目標・中期計画の着実な達成に向け、業務を効率的かつ効果的に実施し、併せて利用者へのサービス の向上を一層進めていくことが求められたところです。  主なものを見ますと、業務運営の効率的・効果的実施については、一般管理費及び業務経費の節減、 常勤職員数の削減、当委員会からの指摘を踏まえたアンケート結果を活用した業務改善など、着実に 取組を進めております。また、機構業務の中心である職業能力開発業務のほか、雇用開発業務等につ いても、目標を上回る評価や実績を挙げているといったことから、全般としては適切に業務を実施し てきたと評価しております。  一方で、今後の業務運営に当たり留意すべき事項として、委員からの意見の多かった2点を挙げてい ます。1点目は、助成金等の平均処理期間の短縮について一層の努力が望まれています。2点目は、ラ スパイレス指数の改善や随意契約の割合の縮減等、業務運営の効率化について一層の取組を進める必 要があるというものです。  次に2「具体的な評価内容」のポイントを申し上げます。(1)「業務運営の効率化について」です。 組織体制については、見直しによる取組を着実に進めており、また民間企業等幅広い層から職業訓練 指導員としての受入れを行い、積極的に活用しており評価できます。経費の削減については、人件費 の削減、契約の見直し等に取り組んでおり、目標を上回っています。  一方で、ラスパイレス指数についても、取組を進めていますが、職員のモラールに悪影響が出ない よう留意しつつ、一層の改善が求められます。また、随意契約については、大半を占めていた職業訓 練の委託契約について、企画競争入札を実施するなどの見直しを行い、件数を縮減したことは評価で きますが、より一層の見直しが望まれます。  (2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について」です。[1]「業務評価の実施 及び公表による業務内容の充実について」は、業務改善の取組としては、業務評価の方法を見直し、 運営協議会の委員である外部有識者から評価を受け、その結果を踏まえ、理事会で自己評価を決定す る外部評価の仕組みを構築するなど、評価できます。  [2]「雇用開発業務について」は、事業主等への相談等の業務については、アンケートによる満足度 調査が、概ね90%以上の者から「役に立った」等の評価を得ております。また、アンケートの調査結 果を業務の質の向上に反映させるなど、評価できます。  3頁です。助成金の支給等の業務については、説明会終了後のアンケートにおいて、目標を達成して います。また、不正受給防止対策に取り組み、平成20年度に支給決定した助成金の不正受給は「1 件」であるなど、評価できます。  [3]「職業能力開発業務について」は、効果的な業務実施については、地域の労働市場の動向や人材 ニーズを踏まえた訓練コースの設定等に努めるとともに、PDCAサイクルによる訓練コースの不断の見 直しを行っており、評価できます。  4頁です。離職者訓練については、厳しい雇用情勢の中、求人ニーズの把握、効果的な訓練の実施に 努め、高い就職率を実現しており、評価できます。高度技能者の養成訓練については、厳しい雇用情 勢の中、きめ細かな就職支援を実施し、就職率が目標を上回っており、評価できます。在職者訓練に ついては、受講者と事業主の双方から目標を上回る高い評価を得ているほか、「訓練カルテ方式」に よる訓練コースの評価・改善のための仕組みを構築するなど、高く評価できます。  5頁です。若年者の就業支援については、日本版デュアルシステム、再チャレンジコース及び企業実 習先行型訓練システムに取り組み、高い就職率を達成し、アンケート調査においても高い評価を得て おり、評価できます。  事業主との連携については、事業主の求めに応じた職業訓練、指導員の派遣による職業訓練や施設 設備の貸与を実施するなど、評価できます。職業能力開発に係る助成金の支給等については、説明会 終了時のアンケート調査や技能者育成資金の回収業務についての目標を達成していますが、今後も一 層の改善が期待されます。  6頁です。職業訓練指導員の養成等については、技能習得の指導ができるだけでなく、キャリア・コ ンサルティング、就職支援などに対応できる幅広い能力を有する人材を養成するため、関連の講座訓 練を実施してきたことは評価できます。  [4]「勤労者財産形成促進業務について」は、計画に沿って制度の周知・広報に努めるとともに、適 正な貸付金利の設定を行う等の取組を着実に実施していると言えます。  [5]「その他」です。雇用促進住宅については、譲渡・廃止等を進める一方で、緊急的な貸与にも努 めるなど、緊急雇用対策に寄与しており、評価できます。  (3)「財務内容の改善等について」です。中期計画に基づく予算の範囲内で執行を行うとともに、一 般管理費の一部について、期間進行基準を採用しており、今後も一層の改善が期待されます。  (4)「『独立行政法人整理合理化計画』等への対応について」です。[1]「財務状況について」です。 まず当期総利益は、業務収益が財務費用や業務費を上回ったことによるものであり、業務運営に問題 等があるものではないと認められます。また、宿舎等勘定における利益剰余金は、雇用促進住宅の譲 渡・廃止に伴い、決算上損失が発生した場合に充当することとしており、過大な利益とは認められず、 財形勘定における繰越欠損金も着実に解消が進んでいると思われます。他方、運営費交付金について は、効率的に執行が行われていると認められます。  8頁にいきます。[3]「人件費管理について」です。給与水準については国に比べて高いため、今後と も管理職の割合の縮減に努めるとともに、給与上昇スピードの抑制の取組により、適正な水準の確保 に向けて努めることが必要です。総人件費の削減については目標を上回っており、評価できます。  9頁の[4]「契約について」です。規程類、審査体制の整備など、適切に取り組んでおり評価できます。 随意契約の件数は大幅に減少し、契約に沿って適切に対応できているものと考えますが、より一層の 取組を進める必要があります。  [5]「内部統制について」です。計画に基づき内部監査を行うとともに、全施設に対して関係規程等 の遵守の徹底を指示しており、評価できます。  [6]「関連法人について」です。雇用振興協会への委託契約については、平成20年度は全国を7ブロ ックに分けて、民間企業も参加し、競争性のある企画競争が実施されており、評価できます。  [7]「中期目標期間終了時の見直しを前提にした取組について」です。年度ごとの目標のない事項に ついても、概ね適切に対応できています。また、昨年末の機構廃止の閣議決定に基づき、法改正を待 つまでもなく、実施可能な事項について、速やかに実行に着手することとしており、評価できます。  10頁です。[8]「業務改善のための役職員のイニシアティブについて」です。ホームページにおける 意見募集や各種連絡会議への出席、職員研修の実施等の取組を行っており、評価できます。  [9]「法人の監事との連携状況について」です。当委員会では、監事の監査報告書の提出や監事の行 った財務諸表、業務運営上の検討点について説明を受け、これらも踏まえて評価を行いました。  [10]「国民からの意見募集について」です。当委員会では、法人の業務実績報告書等に対する国民か らの意見募集を行ったところ、特段の意見は寄せられませんでした。  [11]「その他独立行政法人評価委員会による個別の指摘について」です。評価は政策評価・独立行政 法人評価委員会の指摘も踏まえて行ったものです。以上です。 ○井原部会長  ただいまの総合評価書(案)について、ご意見がありましたらお願いします。 ○松田委員  2頁の真ん中の「ラスパイルス指数については平成19年度から0.7ポイント減の109.1となってお り」とあって、次の「職員のモラールに悪影響が出ないよう」というのは要らないですね。この代わ りに、「給与水準の適切性の検証を引き続き進め、一層の改善が必要である」と直したらいかがです か。  109ポイントでも高いですよね。職員のモラールに悪影響が出たら困りますが、ここにそういうこと を書くのではなくて、「給与水準の適切性の検証を引き続き進め」と。そのように直したらいかがで すか。 ○井原部会長  この点について、宮本委員からいかがですか。 ○宮本委員  はい。おっしゃることは妥当ではないかと思います。結構だと思います。 ○井原部会長  それでは、ここは「職員のモラールに悪影響が出ないよう留意しつつも」を取ると修正しますか。 ○松田委員  はい。その代わりに、「給与水準の適切性の検証を引き続き進め」と、そのような文言を入れたら どうかと思うわけです。 ○井原部会長  そのほうがはっきりしますね。そのように訂正していただければと思います。そのほかにございま すか。 ○篠原部会長代理  この評価に直接関係ないのですが、前の評価のときに申し上げたのですが、雇用・能力開発機構と いうのは、このような不況のときに重要なことをやっていると。そのわりには世間からは叩かれる、 そのギャップというのは私なりにも感じていて、私も友人などに聞くと、マスコミのものをそのまま ということで、実態はなかなかわからないということです。  「広報活動」というと語弊があるような気がするのですが、実態を知ってもらう努力はここでは書 けないのかもしれませんが、どのようにされているのでしょうか。それも重要な気もするのです。 ○職業能力開発局総務課長  いま篠原部会長代理からご指摘のあった事項については、2つの点があるかと考えています。1つは、 これだけ雇用失業情勢が厳しくなってきている中で、失業者も増えていますし、そうした方々が早期 に再就職できるようにしていくためには、職業訓練がまず重要になるわけでして、今回補正予算にお いて、緊急人材育成・就職支援基金を造成して、3年間切れ目なく人材育成、職業訓練を行うとしたわ けですが、そうした政策を策定する中で、私ども厚生労働省としましても、そうした職業訓練の重要 性を関係者の方々にご理解いただくように努めているところです。  そうした面で、1つは雇用・能力開発機構が、こうした職業訓練に取り組む団体として活動している ことについて、世の中の理解を深めることは取り組んでいるところです。  もう1点は、そうした職業訓練を実施する雇用・能力開発機構自体が、実施主体としての雇用・能力 開発機構の活動なりについては、今後とも関係者の方々、社会一般の理解を深めるための活動を深め る必要があると考えています。 ○井原部会長  そのほかにございますか。よろしゅうございますか。それでは先ほど松田委員からご指摘がありま したように、2頁の2番目の(1)の下のほうの修正をしていただきます。その上で、平成20年度の業務 実績の評価結果として、各法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えする。そして、 これを公表したいと思います。なお、このあと誤字脱字、事実誤認などにより修正が必要になった場 合の対応については、私にご一任いただくことにします。よろしゅうございますか。 (各委員了承) ○井原部会長  最後に法人からコメントをいただけたらと思います。 ○雇用・能力開発機構理事長  ただ今、私どもの平成20年度の業績についてご評価いただきました。大変ありがとうございました。 本日いただきました評価結果は持ち帰りまして、私どもなりに内容をよく分析させていただきまして、 改善すべきものはできるものから、平成21年度の業務遂行に活かしていきたいと思います。  先日も申し上げましたけれども、先ほどの宮本先生の文書の中にもございましたが、平成20年度の 評価から当機構の運営協議会への外部の委員に参加してもらうことで進めてきましたので、その人た ちにも報告をし、今後の私どもの業務遂行のあり方を、より実りあるものにするよう協議していきた いと思います。どうもありがとうございました。 ○井原部会長  現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定の修正・確定を行います。その留意事項については、 省きます。10分程度の間に、確定や修正をお願いします。 (確認・修正) ○井原部会長  よろしゅうございますか。これをもって、雇用・能力開発機構の平成20年度業務実績評価に関する 意見を取りまとめます。評価書には評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されておりま すが、本日、評価の確定を行ったことによりSからDの評価が変更された場合、またコメントが修正、 追加された場合に、これらを反映した評価シートの集約版を添付します。これらの修正が必要となっ た場合の対応については、私にご一任いただきます。場合によっては、個別に各委員にご意見を賜る こともあるかもしれませんので、その際にはよろしくお願いします。                (各委員了承) ○井原部会長  次に役員給与規程の変更についてです。政策評価官室から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  雇用・能力開発機構理事長からも厚生労働大臣に対し、役員給与規程の変更について届出がござい ましたので、委員の皆様のご意見をお願いいたします。なお、雇用・能力開発機構については変更を2 回行っています。1つはこれまでの法人同様、国の改正に併せた変更となっています。  もう1つですが、平成18年に役員の本俸の月額を改定いたしましたが、その際に、改定前から在職 している役員については改定前の月額を適用することとした経過措置がありましたが、こちらを終了 するために改正を行っております。大きくは2点です。評価官室からは以上です。 ○井原部会長  役員給与規程の変更の内容について、法人から説明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構総務部長  総務部長の川口でございます。ただいま評価官室からご説明がありましたように、改正は4月1日施 行の改正と、6月1日施行の改正の2回があります。順番が逆になりますが、6月1日施行分から説明 いたします。  資料4-3-[1]の役員給与規程の新旧対照表です。6月1日の改正分については国の改正に準じたもので す。1枚目の下のほうに第8条がありますが、期末特別手当を期末手当に改正したものです。期末手当 と、後の条文に出てくる「勤勉手当」に再編する改正を行ったものです。  第8条はまず期末手当です。期末手当については、6月支給分について、100分の75、12月支給分に ついて100分の90という支給割合にすることとしています。なお本年6月については暫定措置という ことで、100分の75を100分の70としたところです。  8条の2が3頁ほどあとに出てきます。これが新しく設けることとした勤勉手当です。これについて は、8条の2の2項にあるように、その者の職務実績等を考慮して、理事長が別に定める割合を支給す るとしています。6月1日改正分については以上です。  次に4月1日施行分です。資料4-3-[1]の最後の頁です。簡単に申し上げますと、経過措置の終了と いうことで、平成18年6月30日に実施した役員の給与規程の改正についての経過措置規定を削除する 改正です。以上です。 ○井原部会長  ただいまのご説明について、質問などがありましたらお願いします。 ○今村委員  先ほどから別の独法でも出ている質問なのですが、勤勉手当の第8条の2の2のところに「理事長が 別に定める割合」とありますが、この場合の「別に定める割合」というのは、個別理事の業績評価は 関係しないのでしょうか。 ○雇用・能力開発機構総務部長  基本的には個別の理事ごとに職務実績を判断するという趣旨の規程です。本年6月分の支給について は、改正を行ったばかりであったということがありますし、また、必ずしもすべての業績が出揃って いたわけではございませんでしたので、その辺も考慮し、概ねすべての業績について、年度計画に定 めた目標に合致しているか、または上回っているであろうという判断の下に、全役員100分の75の支 給割合を理事長が定めたところです。 ○井原部会長  そのほかにございますか。よろしゅうございますか。それでは本部会としては、この変更について は意見なしということでよろしゅうございますか。                (各委員了承) ○井原部会長  次に債券発行及び長期借入金計画・償還計画の変更の報告及びその実績に関しての報告です。事務 局から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  資料4-4-[1]です。こちらに労働部会における長期借入金及び債券発行に係る意見の取扱いについて 部会で了承された考えをまとめていますが、年度当初に年度を通じた計画を了承いただき、それに沿 ったものであれば、部会長の了承で良しとすると。その代わり、了承したことは直近の部会において 報告するといった構成になっています。  平成21年度の計画は、本年3月に本部会のご了解をいただいております。また、その際、その後の 関係機関との調整で変更があった際には、事務局と部会長で調整をし、決定することとして各委員の ご了解を得ているところです。本日は、本年3月の債券発行及び長期借入金計画・償還計画の本部会で ご了承いただいたものからの変更点のご報告と、これら計画に基づく平成21年6月期の債券発行実績 及び長期借入金実績のご報告です。事務局からは以上です。 ○井原部会長  所管課から報告をお願いします。 ○労働基準局勤労者生活部企画課長補佐  雇用・能力開発機構が実施している債券発行と長期借入金の借入について、2点ご説明します。まず 財形融資の貸付資金の調達に係る平成20年度の年度計画(案)についてです。これについては、先般 3月6日開催の当委員会においてご了承いただいていたところです。その後、関係機関との協議を行っ た結果、ご了承いただいた計画案について変更が生じましたので、ご報告します。  変更内容は資料4-4-[2]、資料4-4-[3]です。すでにご了承いただいた計画案と、関係機関との協議後 の額を新旧対照できるようになっています。修正前が黒字で、修正後が赤字です。協議後の額は、雇 用・能力開発債券の発行額が1,511億円から1,483億円になって、長期借入金の借入額が1,342億円か ら1,299億円にと、それぞれ減少しています。  額の変更理由は、3月6日に当委員会に提出した計画案の段階では、委員会の開催の日程上、2月中 旬時点での実績値と、その推定値により作成したものでした。しかし、その後関係機関との協議の中 で、平成20年度3月末時点の実績値に置き換えて計画を作成し直すよう指示がありまして、修正を行 いました。そのため、当委員会においてご了解いただいた計画案から変更が生じたものです。なお、 関係機関との協議終了後に計画に変更があったことから、部会長にその旨をご報告いたしまして、変 更後の額でご了承いただいているところです。1点目の平成21年度債券発行及び長期借入金の年度計 画の変更に係るご報告は以上です。  次に資料4-4-[4]です。平成21年度の第1回目の第1四半期の資金調達のご報告です。雇用・能力開 発機構においては、毎年度、6月、9月、12月、3月の年4回、財形融資のために資金調達を行ってお ります。第1四半期においては、6月に債券により303億円、長期借入金により288億円を調達しまし た。なお、当初、認可を行うに当たり、予め年度計画額の限度内であることを部会長にご確認いただ いています。  借入条件ですが、債権については償還期間が5年で、金利は債券発行月と同一月の5年利付国債と同 一利率となりますので、5年利付国債の入札日である6月11日に確定しています。  長期借入金については、償還期間が1年で、金利は6月1日時点の短期プライムレートの業態平均で ある1.572%です。  下の参考の表ですが、これは平成21年度の計画と、第1四半期までの実績です。年度計画額の欄で すが、雇用・能力開発債券は1,483億円、長期借入金は1,299億円となっています。この年度計画額は、 先ほどご報告しました修正後の額です。平成21年度第1四半期の資金調達実績に係るご報告は以上で す。 ○井原部会長  ただいまのご報告について、ご質問などがあればお願いします。よろしゅうございますか。それで は雇用・能力開発機構の債券発行及び長期借入金計画・償還計画の変更及びその実績について、当部 会として報告を承ったことにします。雇用・能力開発機構についての議事はここまでとします。                (法人及び所管課入替) ○井原部会長  労働者健康福祉機構についての審議をします。初めに財務諸表に関する意見についての審議です。 これについては、8月11日の部会における篠原部会長代理のご意見等を踏まえ、さらに検討を重ねて いただいておりました。初めに篠原部会長代理より説明をお願いします。 ○篠原部会長代理  私の担当は、財務に関する大臣への意見具申に関する意見書の取りまとめです。去年と違うのは、 従来、7月以降にやると、なかなか財務諸表を変えていただけないことがありまして、今回は労働部会 はすべて事前に意見交換をさせていただきました。  その結果、7月以降に財務諸表を手に入れまして、レビューし、質問書を送り、8月初頭に財務部門 及び監事を交えて、3時間ぐらいの意見交換をしました。その際に、監事及び会計監査人の監査報告書 及びコメント等もレビューし、結果、以下のような意見書とします。これは独立行政法人評価委員会 井原委員長から、厚生労働大臣に提出するものです。  「独立行政法人労働者健康福祉機構の平成20年度に係る独立行政法人通則法第38条第1項に規定す る財務諸表について、通則法第38条第2項の規定に基づく独立行政法人評価委員会の意見は、下記の とおりである」。「平成21年6月25日付け労健福発第925号により承認申請のあった通則法第38条 第1項に規定する財務諸表については、承認することが適当である。ただし、財務諸表は当委員会にお いて評価を行い、国民に公表するものであることにかんがみ、今後、独立行政法人の理念と目標に沿 い、利用者に有効かつ理解し易い財務諸表の作成について、一層努めるよう望まれる」。という意見 書とします。  説明しますと、独立行政法人という制度は、かなり目標管理というか、経営管理を導入されたもの ですから、民間の企業会計とは相当違います。独立行政法人通則法には「企業会計原則を原則とす る」と規定されたものですから、私どもは独立行政法人会計基準を作成する際にいろいろな情報を入 手したときに、損益計算書の名前を変えたらどうかとか、いろいろと言ったのですが、やはり企業会 計原則を原則とすると言われたために、大枠としては非常に規制されながら、内容的には大胆な目標 管理を導入されています。それで独立行政法人会計基準は、当然民間のものを参考にしているのです が、独立行政法人会計基準はすべてを規定していないものですから、規定されていないものは民間の 会計基準を採用するということで書かれています。しかし、国際公会計基準は民間の会計基準を基に かなり書き換えて公会計基準になっているのです。そのままというわけにはいきません。  先ほど説明したように、独立行政法人は世界で見ても特異なものですので、この辺が非常に難しい と思います。私どもは設立以来8年見てきて、悩ましいところですので、あえてここに「独立行政法人 の理念と目標に沿い」という文章を入れさせていただき、かつこれはほかの労働部会に所属する独立 行政法人と同様なのですが、財務諸表以外はこの6年間非常にポイントを突いた平易な説明書になって いるのですが、財務諸表は規定に基づいているものですから、非常に理解しづらい状況になっていま す。特に当法人の場合は、自前収入の多いものと、運営費交付金と混在しているために、非常に複雑 になっています。これは海外の場合は、当然別に分けるのですが、当法人は非常に難しい状況である こともあります。そのようなことで、「利用者に有効かつ理解しやすい」という文章も入れさせてい ただきました。  そういうことで、制度を変えることによる、いま言ったようなことの前進もあるのですが、労福機 構においても努力できる範囲は、ある程度あると考えられますので、その努力をしていただきたい。 それと同時に、このようなことを書くことによって、制度自体も改正の方向に向かっていくかなとい うことを期待しつつ、このような文書を提出させていただきました。今回の打合せでは、理事長以下、 監事には相当の時間と負担、心労もお掛けしたと思います。議論した結果、私どもにとっては、制度 もいろいろな意味で前進するということで、無駄ではなかったというより、よかったと私は思ってい ます。その辺のご負担はご容赦いただければと思います。よろしくお願いします。 ○井原部会長  ただいまのご説明のありました意見書(案)について、ご意見がありましたらお願いします。よろ しゅうございますか。それでは法人からご発言があればお願いします。 ○労働者健康福祉機構理事長  ご審議ありがとうございました。私ども平成20年度につきましては、すでに評価を受ける際に申し 上げたとおり、費用計上した中にサブプライムローンの破綻に端を発したその後の経済的影響等によ りまして、厚生年金基金の資産の目減り分が相当発生しておりまして、これを費用計上させていただ きました。ただ、その点につきまして、私どもが独立行政法人としての理念と目標に沿って運営する 本来の営業活動を評価していただく上では、わかりにくさを残したというご指摘もいただきました。  その辺のご指摘につきましては、私ども真摯に受け止めまして、これから機構内でも十分に議論を し、また会計監査人とも協議を直接行いまして、今後わかりやすさも十分に念頭に置いた財務諸表の あり方、評価の視点に合わせたあり方というものを検討して、対応していきたいと思っておりますの で、またその結果につきましては、篠原部会長代理にもご報告をさせていただきたいと思っておりま す。ありがとうございました。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。平成20年度の財務諸表に対する意見としては、資料5-1の案のと おりで、厚生労働大臣に提出します。よろしゅうございますか。                (各委員了承) ○井原部会長  ありがとうございました。  次に労働者健康福祉機構の最終評価についての審議をします。法人から中期目標期間の業務実績に ついての説明をお願いします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  総務部長の楪葉です。資料5-2の別紙の真ん中の欄の「中期目標期間の実績報告」をご覧ください。 1頁の第1として、業務運営の効率化関係です。1の(1)の[1]です。すべての職員に対し、理事長から取 組指示文書を毎年度配布し、意識の高揚を図っています。  次に[3]、各種会議です。院長会議等で、中期目標・中期計画の達成に向けた取組を指示していると ころです。  3頁の下の(2)、新たな制度導入に向けての取組についてです。まず平成17年度では、医師以外の俸 給の2.5%カットを行っています。平成18年度は「個人別役割確認制度」の導入、勤勉手当について は施設別業務実績の反映を導入しています。また管理職手当の定額化を行い、年功的な要素を見直し ています。  4頁の上の表です。こうした中で、職員の満足度、看護師の離職率がどうなっているかを時系列で見 たものです。職員の満足度は年々高まってきています。看護師の離職率は10.2%あるいは10.3%です。  2の「一般管理費・事業費等の効率化」です。(1)「一般管理費削減率の推移」です。この表のとお り、平成20年度は対15年度比で、△15.1%で、中期目標である△15%程度を達成しています。  5頁の上の表の「事業費削減率の推移」です。これも平成20年度は△11.0%です。中期目標である △5%程度を大幅に上回る数字です。  いちばん下の表の、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターの運営交付金の割合の 低下についてです。これも平成20年度は△5.0ポイントで、中期計画を達成しています。  6頁の真ん中やや下の(3)「人件費削減及び給与制度の見直し」です。これも平成18年度に期末手当 の削減、平成19年度は人事院の勧告における給与引上げ改定の未実施、平成20年度にも期末手当の削 減を実施しています。  7頁の3「労災病院の再編による効率化」です。労災病院の再編については、中期目標どおり5つの 病院を廃止し、4つの病院を2つの病院に統合しています。  その下の4「休養施設等」です。労災保険会館の運営業務の廃止を行っています。8頁の第2として、 「国民に対して提供するサービス等質の向上に関する事項」です。1の(1)の[1]です。バランス・スコ アカードについて、平成17年度から1,000の部門にわたって本格実施をしています。また、[2]では、 公労使からなる外部有識者による業績評価委員会を立ち上げていまして、特に平成19年度から年間2 回の実施をしています。  具体的な改善効果は9頁の下のほうです。下から3つ目の表で、[5]「業績評価制度による具体的改善 効果」です。ア「財務の視点」、「キャッシュフローの改善」です。平成16年度の749億円から、平 成20年度には992億円へと改善しています。  また、イ「利用者の視点」では、患者満足度については、平成16年度は78.6%で、これが平成20 年度には82.5%となっています。改善効果が現れているものと考えています。  10頁の(2)「業務実績の公表」です。これはホームページで行っています。併せて意見の募集も行っ ています。  11頁の[1]「労災疾病に係る研究・開発及びその成果の普及の推進」です。労災疾病等13分野に係る 臨床データの集積、分析を行い、最終報告をまとめています。ここに数字は載っていませんが、学会 発表は国外54件を含む539件で、論文は英文53件を含む224件となっています。  25頁のイです。このように研究開発されたモデル医療等の円滑な普及にどのように取り組んでいる かです。真ん中やや下に、データアクセス件数の推移の表があります。平成16年度は1万4,000件で したが、平成20年度には21万6,000件まで増えています。これは中期計画を大幅に上回る実績となっ ています。  28頁の[2]「勤労者に対する過労死予防等の推進」です。勤労者の過労死予防対策の指導人数は合計 で64万3,000人、勤労者心の電話相談人数は合計9万4,000人、勤労女性に対する女性保健師による 生活指導人数の合計は1万7,000人で、各々中期目標を上回っています。また、利用者から職場におけ る健康管理に関して有用であった旨の評価は、大体90%前後の評価を得ています。なお、下のほうに2 つ表がありますが、これは利用者の利便性の向上を図るため、時間外、休日の指導あるいは出張講習 会の実績です。  30頁の[3]「勤労者医療の地域支援の推進」です。診療や産業医活動を実施する上で有用であった旨 の評価ですが、これはすべて70%を超えています。2番目、3番目の表ですが、地域医療支援病院ある いは地域がん診療連携拠点病院も着実に増えてきています。アの下に患者紹介率の表があります。こ れも平成20年度は53.1%で、中期計画の40%を超えています。  32頁の[4]、高度・専門的医療の提供です。「急性期医療への対応」で、平均在院日数の短縮を図っ てきました。また、次の表で、いわゆる看護体制の充実で7対1看護も導入してきています。  「救急医療体制の強化」ですが、救急搬送患者数も合計で33万1,000人で、中期計画を達成してい ます。36頁の上のほうの表で、患者満足度の表です。目標の70%以上に対して、平成20年度は82.5 %となっています。下から2つ目と、いちばん下の表ですが、医療の標準化の推進の関係の表です。ク リニカルパスあるいはDPC病院ともに導入が進んできています。  39頁の[5]「行政機関等への貢献」です。アの(ア)とありまして、特にアスベストに関しては、25 の労災病院に設置した「アスベスト疾患センター」において、相談、健診を精力的に行ってきました。 ここには記述はありませんが、新型インフルエンザに対応すべく、発熱外来の設置等も行っています。  41頁の(2)「医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営」です。社会復帰率が 指標になっていますが、ともに80%以上で、目標を超えています。  42頁には海外勤務健康管理センターについて記しています。(1)の[1]の「センター利用者の確保」で すが、真ん中やや下の施設利用者数は8万人を超えており、中期目標の6万5,000人を超えています。 有用であった旨の評価は90%を超えています。  46頁の4で、産業保健推進センターの関係です。研修、相談、評価が中期目標の指標になっていま す。47頁の上の表からそれを示しています。産業保健関係者に対する研修は合計で1万5,000回、相 談は合計で6万5,000回です。有益であった旨の評価も各々90%以上の利用者から得ておりまして、中 期目標を上回っています。  49頁の「産業保健に関する情報の提供その他の援助」です。産業保健推進センターのもう1つの柱 である情報提供関係です。産業保健推進センターのホームページのアクセス件数が指標になっていま す。合計で448万件の実績で、大幅に目標を上回っています。53頁ですが、産業保健推進センターで は助成金を2つ扱っています。小規模事業場産業保健活動支援促進助成金及び自発的健康診断受診支援 助成金です。受付から支給までの手続きの迅速化に努めているところです。  54頁の上の表に実績があります。小規模事業場のほうは、目標が45日以内で、それに対して44日 という成績を平成20年度は残しています。自発的健康診断の助成金については、25日以内の目標に対 して、平成19年度、平成20年度と予算枠をオーバーしてしまい、翌年度支給になったということで、 26日になっています。現在は22日程度で支払いを終わっています。  55頁の6「未払賃金の立替払業務」です。上の表の「支払期間の推移」です。請求件数が最近激増す る中で、平成17年度以降、30日以内を確保し中期目標を達成しています。  58頁の7番といたしまして、リハビリテーション施設の運営ですが、上の表にあります社会復帰率 が指標になっております。18年度に目標の25%を超えまして、20年度には32.6%となっております。 また、(3)「作業所の見直し」の関係ですが、北海道・広島の2つの作業所を20年3月までに廃止して います。  59頁をご覧ください。8「納骨堂の運営業務」です。真ん中の表の、評価ですが、90%以上の評価を 得ているということです。  続きまして60頁です。第3といたしまして、「予算、収支計画及び資金計画」、いわゆる財務の関 係です。収支相償に向けた損益の改善状況ですが、中期目標期間を通しまして、148億円の損益の改善 が行われました。下の表です。平成20年度の当期損益は△43億円となったわけですが、世界的な金融 危機に伴う厚生年金基金資産の減少という外的要因による影響がございます。こうした要因を除いて、 医業活動で限ってみますと、当期損益は△7億円まで改善いたしております。収支相償に向けた医業活 動上の努力は着実に成果を上げたものと考えております。  続きまして65頁をご覧ください。第7としまして、「人事に関する計画」です。上の表にあります ように、派遣交流制度、あるいは転任推進制度を活用しまして、職員の適正配置、活性化を図ってい ます。(2)の人員についてですが、交付金事業に係る人員につきましては、中期計画どおりの削減を行 っております。  また営繕の関係ですが、66頁の真ん中以降ですが、こちらにおきましては、いわゆる建物機能の向 上、あるいは長寿化、省エネ対策を実施しています。以上です。 ○井原部会長  続きまして労働者健康福祉機構の起草委員を代表いたしまして、堺委員からご報告をお願いいたし ます。議事運営の都合上、報告時間は10分程度でお願いします。 ○堺委員  それでは労働者健康福祉機構の第1期中期目標期間の業務実績について講評を行います。資料5-2で す。まず全般的な評価ですが、1、中期目標期間の業務実績についての(2)「中期目標期間の業務実績 全般の評価」の第1段落です。当法人は、労働者の業務上の負傷又は疾病に関する療養の向上及び労働 者の健康の保持増進に関する措置の有効な実施を図ることなどにより、労働者の福祉の増進に寄与す ることを目的としておりますが、この目的を達成するため、中期目標期間を通じて、いかに効率的か つ適正に業務を実施していくかを評価いたしました。  第2段落ですが、まず労災疾病等の研究・開発については、平成16年度に研究開発体制を整備し、 計画に沿った研究・開発を進めてきました。そして、アスベスト問題に即応し、労災病院グループの 蓄積された知見を踏まえ、アスベスト関連疾患分野を新たに立ち上げるなど、社会情勢への柔軟な対 応も行いながら、平成19年度においては、労災疾病等13分野のすべての研究成果を取りまとめました。 これらの研究成果については、学会・学術誌への発表や、行政機関等への情報提供により、広く普及 に努めるなど、当該分野における我が国のモデル医療等の発展に貢献していると、高く評価できます。 第2期中期目標期間においても、さらなる成果を期待するとともに、効果的な普及を図るべく、より一 層の努力を期待いたします。  2頁目の第1段落です。次に、産業保健関係者への取組として、産業保健推進センターにおいて、事 業効果を把握する実態調査に基づき、研修・相談の質と利便性の向上に努め、またニーズに応じた新 たなテーマの研修を積極的に実施するなど、産業保健関係者等の知識の向上を図る取組を進めました。 また、新潟県中越地震や能登半島地震などの災害発生時及びアスベスト問題発生時における相談体制 を整備するなど、社会情勢に適切に対応したことは高く評価できます。  その他、労災病院について、平成20年度は中期目標期間の最終年度に当たることから、年度当初か ら各病院との個別協議を重ね、投資的経費も計画的抑制を図るなど、取組を強化した結果、病院の収 支面においては大幅な改善を見ましたが、世界的金融危機に伴う厚生年金基金資産減少などによる外 的要因から、損益改善が小幅にとどまったところであります。ただし、外的要因を除いた医業活動に 限って比較しますと中期目標期間を通じて、着実に成果を上げたと言えます。  これらを踏まえまして、当法人の中期目標期間の業務実績を評価いたしますと、全般的に適正に業 務を実施したとして評価できると考えますが、今後に向けた取組として留意すべきことを2点申し上げ ます。  第1に、労災病院事業は、勤労者医療の中核的な役割を果たす医療機関であるとともに、地域医療の 中核的医療機関であることから、地域の医療機関等に、研究成果の普及を図りつつ、地域の実情及び ニーズを踏まえた地域医療連携を一層強化し、特色ある医療の提供を行うことを期待したいというこ と。  第2に労災病院の財務内容については、内部予算管理をより一層徹底しながら、財務内容を分析し、 収入確保・支出削減策を策定するなど、これまで以上の改善と工夫を行うことが必要であるというこ とです。  3頁にまいりまして、2の「具体的な評価内容」(1)「業務運営の効率化について」です。この第2段 落ですが、組織運営体制の見直しについては、理事長メッセージを全職員に対して配布するなどによ り、職員への経営方針の浸透を図る取組を行うとともに、経営改善推進会議を踏まえた、各病院への 経営指導を行うなど、本部指導のもと、抜本的な経営改善の推進を図り、業務運営の効率化を実施し た点は大いに評価できます。また、医師を除く職員給与カットの継続や施設別業務実績による勤勉手 当への反映など、人件費の削減を図りつつも、職員の総合満足度及び看護師離職率が中期目標期間を 通じて改善したことは評価できます。今後とも職員のモチベーション及びモラールの維持・向上に留 意しつつ、組織全体の効率化、活性化の実現に向けた取組を続けていくことを期待します。  この頁の第3段落目です。一般管理費については、対15年度比で15.1%節減し、事業費については 対15年度比で11.0%節減し、中期目標を達成いたしました。また、医療リハビリテーションセンター 及び総合せき損センターについても、交付金率を5年間で5ポイント低下させ、中期目標を達成したこ とは評価できます。  労災病院の再編については、地域医療の確保、受診患者の診療・療養先の確保、職員の雇用の確保 等に配慮しつつ、円滑に処理を行い、「労災病院の再編計画」における廃止・統合を完了したことは 評価できます。  4頁に移ります。(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について」です。[1] 「業績評価の実施、事業実績の公表」ですが、業績評価の実施については、外部有識者で構成される 業績評価委員会による、業績評価結果の公表及び電子メールによる意見や評価を募集し、業務の改善 に反映させたほか、バランススコアカードの手法を用いた、内部業績評価の一層の定着を図りつつ、 精度向上を図るために、SWOT分析を実施したことなどは、大いに評価できます。今後ともこれらの制 度を十分に活用しつつ、さらなる業務の質の向上につながる取組を期待します。  [2]「勤労者医療の中核的役割の推進」です。労災疾病等に係る研究開発については、先に述べまし たとおり、平成19年度に労災疾病等13分野すべてについて、研究成果を取りまとめました。その成果 の普及については、平成20年度を中心として、冊子・出版物の発行、国内外の学会・学術誌への発表 などにより、積極的な普及活動を行ったほか、インターネットアクセスについては、平成20年度にお いて、20万件を超える実績を上げており、研究成果について、社会に広く普及が図られたものと評価 できます。今後も外部研究費の獲得を図るなどにより、外部からより高い評価を得られるよう、一層 の努力を期待します。  4頁の第2段落です。勤労者に対する過労死予防、メンタルヘルス不全予防、勤労女性の健康管理対 策については、利用者ニーズに応えるため、勤労者の利用しやすい時間帯に相談を実施するなどの取 組を行った結果、中期目標の数値目標を達成するとともに、各勤労者予防医療センターを中心とした 調査研究を実施し、研究成果について、学会発表等の取組を行ったことは評価できます。引き続き機 構の過労死予防の推進について、社会における貢献度を明らかにしつつ、研究成果について国際的な 評価を得られるよう、一層の取組を期待いたします。  5頁の第1段落ですが、勤労者医療の地域支援の推進については、中期目標期間中に地域医療支援病 院を3施設から12施設に、地域がん連携拠点病院は、4施設から11施設にそれぞれ拡大し、地域にお ける勤労者医療の中核病院としての評価を高めたと言えます。  高度・専門的医療の提供につきましては、初期研修医集合研修や、労災看護専門学校における新カ リキュラムの導入等の取組により、優秀な人材の確保・育成に努めました。また、高度医療機器の計 画的整備による、専門的治療の積極的推進、DPC導入による、医療の標準化の推進、医療事故・インシ デント事例のデータの収集・公表などを中期目標期間中に行い、良質で安全な医療の提供に資する取 組を実施していることは評価できます。  第3段落です。行政機関等への貢献につきましては、アスベストによる健康被害に対し、アスベスト 健診や相談対応などの取組のほか、医師に対する研修の実施、労災認定に必要な石綿小体の計測など、 要請に応じて積極的に取り組み、この問題における我が国の指導的立場を維持・強化した点は、大い に評価できます。  新型インフルエンザについても、体制整備を図り、迅速に対応できたことは評価できます。今後と も、労災疾病等に関する研究・開発、普及事業等を通じて得られた医学的知見を最大限活用しつつ、 行政のニーズや社会的情勢に対し、積極的かつ迅速に行うことを期待します。  5頁の第4段落です。医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターについては、職場復 帰等の支援の推進を進め、中期目標期間を通じて、医学的に職場・自宅復帰可能である退院患者の割 合を80%以上確保するなど、中期目標以上の実績を維持し続けたことは評価できます。  6頁にまいります。[3]「健康診断施設の運営」です。海外勤務者の健康管理支援事業については、中 期目標期間を通じて、中期目標の数値を上回る実績を上げるとともに、利用者ニーズに応え、サービ スの向上を図ることにより、海外派遣者の健康維持管理に貢献しました。また、新型インフルエンザ 対策については、「海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイドライン」の策定、医師の派遣等 を行うなど、社会に対する大きな貢献を行ったことは評価できます。今後は整理合理化計画等に基づ く業務廃止決定を踏まえ、蓄積された知見の活用に向け、配慮された取組が望まれます。  [4]「産業保健関係者に対する研修又は相談、情報の提供、その他の援助」です。産業保健関係者に 対する取組については、産業保健推進センターにおいて、事業効果を把握するための実態調査を行い ました。利便性の向上を図ることにより、中期目標に掲げられた数値を上回る実績を上げました。ホ ームページアクセス件数についても、内容の充実により、中期目標期間において、約450万件の実績を 上げたことは評価できます。また、災害、アスベスト問題などの社会情勢に対し、迅速かつ適切に対 応したことも評価できます。今後も業務の一層の効率化等を図ることを期待します。  [5]「助成金事業」です。助成金事業については、小規模事業場産業保健活動支援促進助成金につい て、中期目標期間4年目にして、中期目標の目標数値を上回る実績を上げ、最終年度においてもその実 績を維持しております。また、自発的健康診断受診支援助成金についても、予算枠超過という事情を 除けば、中期目標期間を通じて、目標数値を上回っていることは評価できます。  7頁の[6]「未払賃金の立替払事業」です。未払賃金立替払事業については、審査体制の強化、審査事 務の効率化を図り、平成19年度の大型倒産事案の発生、平成20年度の経済情勢の急激な悪化による立 替払請求件数の急増という事態に直面したにもかかわらず、中期目標の数値を上回ったことは評価で きます。  [7]「リハビリテーション施設の運営」ですが、リハビリテーション施設の運営につきましては、平 成18年度以降、社会復帰率が中期目標の数値を上回るとともに、外部有識者の懇談会の提言を踏まえ、 北海道・広島両作業所の廃止を決定し、在所者の退所先の確保を図りつつ、計画どおり廃止したこと は評価できます。今後もは、整理合理化計画等を踏まえ、在所者の退所先の確保を図りつつ、縮小廃 止に計画的に取り組むことを期待します。  (3)「財務内容の改善等について」の労災病院についてです。労災病院の財務内容については、先ほ ど申し上げたとおりでありますが、今後も良質な医療サービスの提供に十分配慮しつつ、収支改善の ための具体的な方策を確保し、経営基盤の確立に向けた取組を一層強力に実施することが必要であり ます。  8頁の[2]「人事、施設・設備に関する計画」です。人事、施設・設備に関する計画につきましては、 職員の適正配置や活性化を図ったことや、院内保育所を14箇所の労災病院に置くなど、仕事と家庭の 両立のための支援体制の実施を図ったことなど、意欲的な取組が行われた点は評価できます。引き続 き職員の活性化を図る取組を図るとともに、優秀な人材の確保に、一層努力することを期待いたしま す。  以上、労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績について講評を行いました。 ○井原部会長  ありがとうございました。ただいまご報告いただきました業務実績の説明、最終評価書(案)につ きまして、何かご意見がありましたらお願いします。 ○今村委員  まず評価書(案)の4頁のいちばん最後のパラグラフ、勤労者に対する過労死予防のところですが、 20年度のときもちょっと話題になったと思いますが、下から2行目、「機構の過労死予防の推進につ いて」というところですが、例えばこのように書き換えたらどうかと思うのですが、「機構の」とい うのを取りまして、「過労死予防の推進については、機構の社会における貢献のあり方を解明しつ つ」というような形。例えばです。つまり、貢献度という量の問題ではなくて、ここは質の問題では ないかと思うのです。基本的にプロセス、あり方をいかに解明していくかということが、機構の存在 価値を考えるのに、とても重要なことだと思います。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、 別紙の33頁に13分野ありまして、そのうちの9、10、11、つまり業務の過重負担による脳・心臓疾患、 勤労者のメンタルヘルス、働く女性のためのメディカル・ケア、これら3つは全部過労死にかかわって くる、重要な業績だと思うのです。ではどういう研究業績があるかといいますと、別紙の12頁に、メ ンタルヘルス分野の研究業績がありますし、13頁の上から10行目に、「ワークライフバランスとメン タルヘルス」という講演会などもやっておられますし、14頁には、メタボリックシンドローム、ある いは「年間500時間を超える残業時間はメタボリックシンドロームのリスクを増す」とか、そういう研 究成果もあります。それから、先ほどありました産業保健との関係でいきますと、非常に重要な貢献 をしておられまして、50頁、51頁ですが、「産業医のメンタルヘルスとの関わりを中心とした研究」 ということで、6センターで既にやっておられます。さらに重要なのは、51頁の上から2つ目のタイト ルで、「企業での過重労働・メンタルヘルス対策に対して産業保健はどのようなアプローチを取りう るか」ということで、特に重要な指摘は、「『何をしたらよいのか』等企業担当者のマネジメント不 足が最も多く」と書いてあります。つまり、既にこの辺で拾ってみますと、非常に重要な貢献をして いるわけで、それを、このような「社会における貢献度を明らかにする」というのは、ちょっともっ たいないという気がいたします。これは最終評価ですから、次期の中期目標を考えるのは、とても重 要だと思いますので、この点は非常にはっきり明確に。私は労働をやっていますから、社会科学の分 野で過労死を予防しようと考えるのですが、絶対に、こういった医学の貴重なエビデンス、データ、 それから心理学などというものは相互にやらないと、過労死の問題は解決しない非常に広い問題だと 思うのです。そういう意味で、機構というのは重要な位置付けを持っていらっしゃるので、せっかく これだけのことを既にやっていらっしゃるから、もったいないので、もう少し前向きに書き加えたほ うがいいのではないかなと思います。  これは希望ですが、加えて言えば、5頁の下から2つ目のパラグラフに、行政機関等への貢献につい て、アスベストの問題とインフルエンザしか書いていないのですが、これを見ますと既にやっていら っしゃるということを考えると、これは厚労省の中でも労働省側の組織ですから、比較的やりやすい のではないかと思うのですが、行政に貢献しているというのは、特にこれからの中心分野ではメンタ ルヘルスと過労死の問題については重要かと思うので、中期目標のところにも28頁に、わざわざ「勤 労者に対する過労死予防等の推進」ということで、1項目立てて謳っているわけですから、もう少し全 体として工夫をされたらいいのではないかと思います。当面の問題としては、4頁のところを、もう少 し量の問題から質的な表現に変えると。私が申し上げたいのは、本当にマイナーな書換えですけれど も、現状に合った形で書き換えられたらいかがかなというのが提案でございます。 ○井原部会長  いまの文章を修正するという案は、過労死予防の推進について、機構の社会における貢献度のあり 方を明らかにする。 ○今村委員  貢献度ではなくて貢献のあり方です。 ○井原部会長  貢献のあり方を明らかにしつつ、そういうことでいいですか。堺委員。 ○堺委員   異論はございません。 ○井原部会長  ほかの委員の方いかがでしょうか。ではそのように修正をしていただきたいと思います。ほかに何 かありますか。 ○篠原部会長代理  いまの関連なのですが4頁の[2]「勤労者医療の中核的役割の推進」ということで、当然これに力を入 れて約2頁弱、パラグラフの数を考えると6あります。全部言っていることが違うわけです。私たちが パッと見たときの理解のしやすさは、小見出しなどを出していただいたほうが、よりインパクトがあ るのではないかなという気がするのですが、どんなものでしょう。パッと見ると長いなあと思って。 非常に重要なことが書かれているので、それぞれ小見出しを出すと、流し読みをしたときに、「こう いうことが書いてある」と印象に残るのではないかなという気がするのですが、どんなものでしょう。 ○井原部会長  いかがですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  事務局と相談して、また。 ○井原部会長  事務局と堺委員が相談させていただきます。そのほかに何かございますか。 ○篠原部会長代理  もう1点。2頁の[2]のところに、いろいろと改善策が書いてあるのですが、実際にはかなりBSCを導 入したりいろいろなことをやっているので、定性的分析と、定量的分析だと、かなり実態をつかんで いるのではないかなという気がするので、いままでここまでやっていましたということを書いたほう が、よりいいのではないかなという気がするのですが、何もなければこういう表現になるかなという 気がするのですが、実際、かなり進んでいるのではないかなという。 ○労働者健康福祉機構理事長  この点につきましては、機構としては。 ○篠原部会長代理   何かこう、いままでこういう程度のことをやっているのだと。 ○労働者健康福祉機構理事長  この点につきましては、私ども、独立行政法人として、厚くすると同時に、バランススコアカード を導入しまして、病院単位、医師の診療科単位、看護部門の単位、医療職の分野、それぞれの細かい 単位ごとにもバランススコアカードを展開して、言わばPDCAサイクルを動かしています。それはもち ろん予算だけではありませんが、医療の質等も含めたバランススコアカードですが、結果的には、予 算管理という面では、大きな機能を果たしてきているのです。これは先生にご指摘いただいた交付金 等の収益化等の基準をどこに置くかということについても、そうしたバランススコアカードの活用し ている姿が大きく貢献をして前進させることにもつながってきていますので、そうしたことを進めて いる点については、既に触れられていると思いますが、ご理解をいただければ、私どもとしては大変 ありがたいと思います。 ○井原部会長  何か提案はありますか。 ○篠原部会長代理  実態はわからないのですが、読んでいると、「進め」と言うと何かいままでやったのが弱いような 感じを受けるので、やはり「こういうことに踏まえて、より」と書いたほうが、実態がわかると思い ます。 ○井原部会長  「いまのものを踏まえ」というのは特にどの点を。具体的に指摘していただければ。 ○篠原部会長代理   そう言われると難しいのですが。 ○堺委員  いま理事長がおっしゃいましたように、医療の質の向上と、経営の改善の両方に貢献したというよ うな1文をここに加えられればと思いますが。 ○井原部会長  これも事務局と打ち合わせてということでよろしいですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  はい。 ○井原部会長  あとはよろしいですか。  いくつか修正点があります。それを整理いたしますと、1つは2頁の[2]、ここのところを言葉を入れ てよりインパクトを出す。もう1つは4頁の[2]、これを見ると、ちょっと長すぎるということで、ここ に小見出しを入れていただけると、ちょっと読みやすくなるのではないか。もう1つが下から2行目か らいちばん下にかけて、「過労死予防の推進について、機構の社会における貢献のあり方を明らかに しつつ」と修正するということにしたいと思います。  修正したことを前提にしまして、中期目標期間の業務実績の最終評価結果といたしまして、8月27 日に開催される総会に報告したいと思います。  去年、暫定評価を報告しましたよね。最終評価と両方やるのですか。 ○事務局  最終評価につきましても、井原部会長のほうから、27日の総会の場で。 ○井原部会長  わかりました。なお、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきまして は、私にご一任いただければと思います。 (各委員了承) ○井原部会長   それでは最後に法人からコメントをいただけたらお願いします。 ○労働者健康福祉機構理事長  ありがとうございました。私ども独立行政法人に移行しましてからの5年間、それぞれの事業年度ご との評価、そしてまた本日の最終評価と。私どもの事業実績につきまして、評価をいただき、またご 助言、ご意見をいただいてまいりましたことを、厚く感謝申し上げたいと存じます。お蔭様で、私ど も独立行政法人としての当初の5年間は、試行錯誤もありましたが、何せ私どもの柱になります事業が、 労災病院事業という医療事業でございまして、こちらのほうにつきましては、医療制度の改変、そし てまた診療報酬の大幅な削減など、制度面も、大変厳しく推移する年度でございましたし、環境面で も医師不足、看護師不足、これが相当進展してまいりまして、大変厳しい環境の中での、いわば中期 目標の達成に向けて、努力をしなければならない段階でございました。しかし、お蔭様で、そうした 厳しい環境の中で、大半の医療機関が経営状況を悪化させる中で、私ども労災病院としての特徴、ま たそれの果たすべき使命のレベルを落とすことなく、一定の経営状況の改善を進めてこれましたこと は、委員の皆様方のご助言のお蔭と受け止めさせていただいております。今後もそうした、いままで の経験を活かしつつ、厳しい環境ではございますが、一層の努力をしてまいりたいと思いますが、何 せこの医療関係につきましては、経営環境を取り巻くいろいろな要素というのは大変厳しい形で推移 していることは事実でございまして、他の医療機関のように、例えば行政への貢献、研究等々なしに、 患者確保を含めた経営対策に徹しろと言われれば、また一層進める可能性もあるわけですが、私ども、 それとの調和を図りつつ、忙しい勤務医の時間を割いて、研究あるいは行政への貢献等々の業務に時 間を割くということを、何といいましても、そうした相容れない姿で進むためには、モチベーション の維持・向上が何といいましても大変重要でございまして、そういう意味で、委員の皆様方からいた だいた評価、またご意見等もモチベーション向上のバネにして、こんなことを言うと厚生労働省から 叱られますけれども、願わくば、将来に向けて、そうした不採算部門を厳しい環境の中で支えていく ものに対して、もう少し光の当たるようなこともお願いをしながら、頑張ってまいりたいと思ってい ます。また、産業保健推進センターも、労災病院と車の両輪でございまして、いわば労災病院が車を 作るところだとすれば、その販売会社みたいなところでございまして、この関係を深めながら、メン タルヘルス等の問題が大変深刻な状況を迎えておりますので、なお一層の業務の推進に当たってまい りたいと思っています。また、立替払いのほうにつきましても、順調に迅速な支払いということに向 けて、成果を上げてまいりました。目下は、この社会的な経済状況の悪化の中で、大変な制度発足以 来の件数を抱えて、何とか30日以内ということを死守しておりますけれども、これも引き続き、業務 の効率化のために、職員で奮闘してまいりたいと思っていますので、今後とも、委員の皆様方のご指 導をお願いいたしまして、御礼に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。次に役員給与規程の変更についてです。まず政策評価官室から説 明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  労働者健康福祉機構理事長からも、厚生労働大臣に対し、役員給与規程の変更について届出があり ましたので、委員の皆様のご意見をお願いいたします。変更の内容は、これまでの法人と同様、国の 改正に併せた変更となっております。評価官室からは以上です。 ○井原部会長  それでは役員給与規程の変更の内容につきまして、法人から説明をお願いします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  資料番号では資料5-3-[1]です。左に役員報酬規程と入っております。まず、新旧ありますが、1頁目 の第2条、旧のほうをまずご覧いただきたいと思いますが、下線が引いてあります。期末特別手当、こ れを新のほう、左側をご覧いただきますと、期末手当と勤勉手当の2つに分けたということです。もと より、これは21年5月の人勧に基づきまして、国の指定職員等の特別給について、勤務実績に基づい て行うと、これに従ったものです。こうした2つの手当に分けて、さらに6頁ですが、新のほうですが、 左側、勤勉手当、第8条の2とあります。勤勉手当とありまして、そのあと云々書いてありますが、職 務実績等に応じて支給すると、このように改正したところです。8月7日より施行しております。以上、 役員報酬規程の改正のご説明です。 ○井原部会長  それではただいまの内容につきまして、ご質問等がありましたらお願いします。 ○篠原部会長代理  3頁の3、古いほうなのですが、最後から2行目に「その者の職務実績に応じ、100分の15の範囲内 で、理事長がこれを増額し、又は減額することができる」というのが、新しいほうにはないような気 がするのですが、これは勤勉手当に代替したということですか。 ○労働者健康福祉機構総務部長   従前は、いま委員がご指摘のように、100分の15を減ずることができたと。また6頁をご覧いただ きたいのですが、ちょっとここからは見づらいものがあるのですが、第8条の2の2、「勤勉手当の額 は」とあります。その下から2行目に、「100分の85を乗じて得た額の総額を超えてはならない」と いうことでございます。そちらと合わせたという形になるわけです。 ○今村委員 これは100分の85というのが最大で、その範囲内で個人の業績に応じて差を付けるということですが、 現状はいかがでしょうか。 ○労働者健康福祉機構総務部長 まだ8月7日施行ですので。ただ、いまほどご指摘ありましたように、 おそらく国との並びもあろうかと思っています。国の人勧の発表ものを見ますと、成績優秀者は100分 の92以上、100分の170以下です。標準が100分の80でございまして、良好でないものが100分の80 未満ですが、自ずと良好が、これが標準であるということからすれば、そうしたところに傾いていく のかなとは思っております。 ○井原部会長 そのほかよろしいですか。それでは、本部会としましては、この変更について、意見 なしということにしたいと思います。  最後に役員の退職に係る業績勘案率についての審議に入ります。事務局から試算結果について説明 をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  労働者健康福祉機構理事長から、独立行政法人評価委員会委員長宛に、役員の退職に係る業績勘案 率の算定について依頼がありましたので、労働政策研究・研修機構と同様に、事務局のほうで算出し ました試算結果についてご審議いただければと思っています。  資料5-4に沿って説明をさせていただきます。まず退職される役員の方ですが、井沢清さん、役職と しては監事をされておりました。在職期間は平成18年4月1日から平成21年6月30日まで、3か年と 3か月ほどとなっております。「業績勘案率の算定について」ですが、2以下、先ほどと同様に試算を しております。(1)「役員の在職期間のうち法人の年度評価が実施された期間の評価結果に基づく算 定」です。平成18年度、平成19年度、平成20年度の業績勘案率を示しています。1.50、1.47、1.33 となっていますが、こちらもあらかじめ、評価委員会として決めております算定方法に基づきまして、 3分類のXYZのどちらに入るかという平均値の分類をしております。平成18年度においてはX、いちば ん高い分類のほうに入りますが、ほかの2年度はYという中間の値になっております。各分類に対応す る率としましては、Xの場合は1.5、Yの場合は1.0となっています。  (2)です。「在職期間のうち法人の年度評価が未実施の期間の実績に基づく算定」です。平成21年度 分4月から6月までの3か月間は、年度評価が未実施ですので、当期間の実績を、平成18年度から平 成20年度までの実績と比較考量をして考えたいと思っております。平成21年度4月から6月までの実 績を別添2として付けています。こちらを見ていただければと思いますが、事務局のほうで見たところ、 平成18年度から平成20年度までの実績と、ほぼ同水準とみなすことが適当だと考えております。した がいまして、平均値の分類としましてはYに当たると思っておりまして、それに対応した率としては 1.0となっています。  (3)のほうで、いままでの(1)(2)で出したことを計算しています。まず、平成18年度は、平均値の分 類がXですので、1.5×12か月分としております。それに加えまして、平成19年度、平成20年度は 1.0×12を2回しておりまして、平成21年度については、先ほど申し上げたとおり、比較考量すると、 同水準とみなしていいだろうということでしたので、1.0×3か月分の3をしています。これを合わせ まして、それを在籍月数である、39で割ったところ、1.15という結果が出ております。  続きまして(4)ですが、評価委員会で決めております業績勘案率の決定方法においては、1.0を超え る業績勘案率を決定する場合には、当該退職役員の在職期間における目的積立金の状況等に照らして、 適切であるかどうかを考慮することとされておりますので、目的積立金の状況を書いておりますが、 機構のほうでは目的積立金は積んでおりません。  (5)「退職役員に係る職責事項についての申出」ですが、機構のほうからの申請はありません。  以上(1)から(5)までを勘案しました結果、数字的にいきますと、1.15と1.0を超える計算にはなる ところですが、目的積立金を積んでいないという状況を考慮いたしまして、部会としての業績勘案率 は1.0とすべきではないか、このような試算を事務局においてしております。以上でございます。 ○井原部会長  続きましてこの退職役員につきまして、在任期間中の理事の担当職務等につきまして、法人から簡 単に説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  井沢監事ですが、資料5-4にありますように、監事としての在職期間ですが、平成18年4月1日か ら、平成21年6月30日までの3年3か月です。監事といたしまして、本部をはじめとして、全国の労 災病院及び産業保健推進センター等の監査を行いまして、監事としての職責を果たされたというとこ ろです。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。  以上の説明に関しまして、何かご質問がありましたらお願いします。 ○篠原部会長代理  前にここの労働部会でも質問があったと思いますが、途中での退職で、いろいろと問題点を指摘さ れたと思うのですが、今回6月30日ということで、聞くと、6月30日がすべて業務が終わるので適切 であるということで、そういう方向に合わせているという話も聞いたのですが、今後、監事などは6月 30日ということになりつつあるのでしょうか。あまり関係なく。 ○労働者健康福祉機構総務部長  もちろん人事のことですので、今後ともそうやっていくというように、いま堅く言えるわけではあ りませんが、そういった、年度が終わってから3か月ということがあろうかと思います。したがいまし て、やはり6月というのが、年度の中でも大きな人事異動の柱ではなかろうかと思っています。それと、 3月、4月もあろうかとは思っています。 ○川端委員  目的積立金を積まない。積まないということは、いくら業績がよくても、加算しないということに なるのでしょうけれども、これは何か、どういうお考えで積立金をしなかったのですか。 ○労働者健康福祉機構出納課長 利益が発生しておりませんので、目的積立金を積めないということです。 ○川端委員  積めないのですか。 ○労働者健康福祉機構出納課長  利益が出ないと積めないということになっております。 ○篠原部会長代理  その関連で、赤字の組織を担当する理事長以下は、大変だなという気がして。だいぶ収益が改善さ れてきて、やはりそういうのも評価するという方向にいかないと、くたびれもうけみたいな感じもす るのです。おそらく担当した人はこんな努力をしても、赤字では。黒字のほうを担当したほうがいい かなという。その辺は、制度的な不備のような気もしないではないのですが、やはりその悔しさとい うか、何か感じるものでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  ありがとうございました。励みにさせていただきたいと存じますが、労災病院の会計を見ますと、 残念ながら先ほどお話がありましたように、20年度の時点で、外的なサブプライムローン、その後の 金融危機の影響を除きますと、医業活動面では、7億の欠損と。独立行政法人発足時の191億に比べま すと、相当改善されてきたわけですが、それについてそれなりに減価償却費分を出し切れるところま で近づいたという意味でもあるので、その分内部留保といいますか、いわばキャッシュフローの改善 が進んだことは間違いありません。したがいまして、こうしたキャッシュフローの改善が進むという ことは、私どもにとって、特に医師から見た場合に、必要な、高度医療機器やシステム化、そして施 設の整備等に対応していくための一定の体力ができてきたということでもあるわけです。やはり医師 がいちばんモチベーション向上にとって、喜ぶのは医療機器の整備でございまして、これを通じてい い医療ができる、そういう姿を作ってやることが、組織全体のモチベーションになると思いますので、 いま篠原委員がおっしゃられたような、いわば励みをそういう形で計画的に実現していく方向で、我 々、工夫をしていきたいと思っています。 ○井原部会長  あとはよろしいですか。それでは、申請のありました業績勘案率につきましては、原案のとおり 「1.0」と決定したいと思いますがよろしいでしょうか。                (各委員了承) ○井原部会長  なお、先ほど事務局から説明があったとおり、決定した業績勘案率につきましては、総務省の政策 評価・独立行政法人評価委員会に通知をいたしまして、意見の有無の確認を行います。総務省政策評 価・独立行政法人評価委員会から意見がない旨当委員会に通知されたあとは、この「1.0」を当委員会 として、労働者健康福祉機構理事長に通知するということにいたします。  それでは、本日の議事は以上です。なお、本日ご審議いただいた総合評価と、財務諸表についての 意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づきまして、当部 会の決定が、評価委員会の決定となります。また、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会への 通知、公表の手続きが行われることとなります。さらに、労働者健康福祉機構の最終評価結果につき ましては、27日に行われる総会に私から報告をいたします。  事務局から今後の予定等の連絡事項がありましたらお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今後の予定等についてご連絡いたします。本日ご審議いただいた法人の総合評価書につきましては、 事務手続を進めさせていただき、後日、委員の皆様に確定版を郵送させていただきます。また、労働 者健康福祉機構の最終評価書についても、総会での決定次第お送りいたします。なお、総会は、今週 木曜日、27日午後1時から、ここと同じ専用第21会議室となっています。以上でございます。 ○井原部会長  それでは本日は長時間にわたりありがとうございました。これで終わります。                                            (了)       照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係      連絡先:03−5253−1111(内線7790)