09/08/24 第3回再生医療における制度的枠組みに関する検討会議事録  日時:平成21年8月24日(月)14:58〜16:58  場所:はあといん乃木坂「フルール」  出席委員:阿曽沼委員、伊藤委員、稲垣委員、小澤委員、片倉委員、神山委員、       木下委員、木村委員、澤委員、鈴木委員、土屋委員、永井座長、早川委員、       前川委員、武藤委員、毛利委員、森尾委員、大和委員  オブザーバー:       三宅内閣府参事官、渡辺文部科学省研究振興戦略官(代理:永田)、       荒木経済産業省生物化学産業課長、       平山独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役  行政庁出席者:       岸田大臣官房審議官、木下経済課長、成田審査管理課長、       國枝監視指導・麻薬対策課長、宇津審査管理課企画官、       宿里監視指導室長、岸本経済課長補佐、山本経済課長補佐、        ○木下経済課長  それでは、定刻になりましたので、第3回の再生医療における制度的枠組みに関する検 討会を開催させていただきます。  初めに人事異動に伴いますオブザーバー及び事務局の交代につきましてご報告をさせて いただきます。まず、オブザーバーでございますが、文部科学省研究振興局、渡辺研究振 興戦略官に交代されておりますけれども、本日は所用により永田先端医科学研究企画官に 代理出席をいただております。それから、経済産業省製造産業局、荒木生物化学産業課長、 ちょっと遅れておられますけれども、に交代されております。それから、独立行政法人医 薬品医療機器総合機構、平山上席審議役でございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、事務局側でございますが、医政局長の外口に代わりまして阿曽沼が就任い たしております。ちょっと遅れております。それから、審査管理課長の中垣に代わりまし て成田が就任しております。監視指導・麻薬対策課長の熊本に代わりまして國枝でござい ます。監視指導室長の山本に代わりまして宿里でございます。  なお、本日欠席の連絡をいただいております委員の方は、ネットワーク医療と人権の理 事の花井委員でございます。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第がございまして、 それから座席図、それから委員の名簿でございます。  資料1につきましては「CPCの実態調査」、後ほど森尾委員の方からご説明いただく 資料でございます。資料2でございますが、「再生・細胞医療における共同での診療の位 置づけ」についてというものでございます。それから、資料3でございますが、「再生・ 細胞医療における共同での診療の論点」でございます。そのほかに参考資料1から9まで 資料を用意しております。ご確認をお願いいたします。  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、以降の議事進行につきましては永井座長にお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○永井座長  ありがとうございました。では、本日の議事に入りたいと思います。この検討会は再生 医療という新しい分野についての制度的な枠組みを検討する場であるということで設置さ れております。21年度の目標ですが、医療機関の間で行われる共同での診療のあり方につ いて、これについて条件を示すという予定でございます。これまでの議論、2回開催され ましたけれども、CPCの実態、運営上の留意点等についてのご意見をいただいたという ことであります。  本日は前回、CPCの実態調査について森尾委員にご説明をいただききましたけれども、 その結果について本日ご説明をいただいて、その後に意見交換を続けて行いたいというこ とであります。  その後で医療機関の間での共同での診療の条件について、具体的な検討を進めたいと思 います。では、まず森尾委員からこれまでの調査についてご説明をお願いしたいと思いま す。 ○森尾委員  森尾でございます。お手元の資料1をご覧ください。6枚の資料でしょうか。順を追っ てご説明を申し上げます。細胞調製センター、CPCと略させていただきますが、全国に 実態調査を行わせていただきました。  調査対象機関といたしましては、140機関にアンケートを送らせていただきました。かな りこと細かにお伺いしたアンケートでございますが、68機関から回答がございました。そ のうちCPCを保有しているというご回答をいただいた機関が55機関でございますが、そ の中では計画中の機関が7件含まれております。また、2つ以上のCPCを保有している 機関がございます。  機関の内訳でございますが、大学、大学付属病院が35機関、国立・公立病院あるいは国 立・公立研究所が7機関、民間企業あるいは民間病院が13機関の合計55機関でございます。  議論の1つになっておりましたが、医療機関の付属であるとお答えいただいたところが 5分の3の33機関でございます。大学等の医療機関以外であるというところが6施設でご ざいます。臍帯血バンクが3施設。計画中のところでいずれにするか検討中であるという ところが4施設。回答なしが9施設でございました。以上の55機関からいただいたアンケ ートを中心に結果をまとめましたが、今回は医療機関付属のCPCと、それ以外のCPC について分けてはございません。55機関すべてまとめて解析をしてございます。  まず施設について、でございますが、総面積が100平米以上というところが31ございまし て、100平米以下が20でございます。回答がないところがございます。中央値は125平米ぐ らいということになっております。  その中の施設についてお伺いいたしまた。ずらずらと7つほどの部屋についてお伺いし ておりますが、洗浄度ということについて、まずご説明申し上げます。一番下の※のとこ ろに書いてございますが、訂正がございますが、これはUSA連邦規格の旧規格に従った クラス分類でございますが、1ft3に存在する0.5μm以上の粒子の最大許容個数でございま す。ここには5μmと書いてありますが、記載間違いでございまして、0.5μmとご訂正をい ただければと思います。その粒子の最大許容個数がクラスいくつということになってござ います。一般的な外気ですと、100万ぐらいであろうと言われております。  各部屋についてご説明申し上げますが、細胞調整室で清浄度としてクラス10,000という ものを備えている施設は52施設中の46施設でございました。その他、着衣室が26、脱衣室 が33、細胞培養後室が23、細胞を検査するところが19、細胞管理室が18というふうに書い てございますが、クラスいくつというのがそれぞれ異なってございます。これはいくつが いいということではなくて、一般的な数値としてこれぐらいのものを備えている施設がど のぐらいあるかということで記載させていただきました。もちろんこういう部屋がないと いう施設もあるということでございます。モニター室でクラス10万の清浄度を備えている 施設は52分の11というふうな記載となっております。  次に移らせていただきます。バリデーションについてということが2番の項目に記載し ております。ここでのバリデーションというのはいわゆるGMP、Good Manufacturing Practice、GMP規格のものとは違っております。GMPになりますと設備、構造、手順 や工程が期待される結果を与えることを検証して、それを文書とすることによって目的と する品質に適合する製品を製造できることを目的として行なうような、そういう検証のこ とでございますが、このGMPとちょっと違いまして、いわゆる設備とか機器とかが期待 される結果を与えることを検証してこれを文書化することということで書いておりますが、 そういう検証が行なわれているかどうか、ということでございます。Good Manufacturing Practiceとは違うということでございます。  環境バリデーションというのはハコ、施設のバリデーションでありまして清浄度が保た れているかとか、室圧とかそういうところでございますが、年1回以上の点検を行なって いるところが46施設でございました。うち点検を行なっている者が業者であるというの が29で、自己点検が7、併用が9ということでございました。  機器のバリデーションとありますのは、CO2インキュベーターだとか遠心機だとか冷 凍庫だとか、そういうものでございますが、そういうものの検証を行なっている施設、年 一度以上検証しているというところは46施設で、同じ数の施設でございました。  続きまして環境測定という点でご説明申し上げます。環境測定はいわゆる細胞調製室、 クリーンルーム、CPCの中の環境の測定でございます。目標を設けまして、塵埃の測定 と、浮遊菌あるいは付着菌の測定という二つに分けられるかと思います。定期的に塵埃測 定を行なっているというものが40施設ございまして、なしが9施設でございます。未稼働 が5、回答なしが1でございました。頻度でございますが、理想的にはおそらく連続モニ ターでありますが、連続モニターを行なっているという施設が23、週1回以上が2、週1 回未満が13、未記入が2ということでございます。  定期的に浮遊菌を測定しているという施設が39施設でございます。なしが10、未稼働が 5、回答なしが1でございます。モニターに関しては、頻度が、週1回以上が2、月に1 度以上が7、月に1回未満であるというのが25、未記入が5でございます。  定期的にクリーンルームを清掃しているというのが47でございますが、していないとい うところが2、未稼働が5、回答なしが1でございます。定期清掃の頻度でございますが、 1日に1回あるいはそれ以上が7、週1回以上が12、週1回未満が21、未記入などが7と いうことでございます。これはおそらくどの程度CPCをつかっているか、どのくらい細 胞調製を行なっているかということでも大きく違ってまいりまして、ある施設によります と、細胞調製が始まれば週1回あるいは連日という回答もございましたので、ストレート には取れないと思いますが、ただ、測定頻度だとか清掃が少ないところがあるのも事実か と思います。  続きまして人員について、でございます。管理者でございますが、センター長が専任で あるというところは1施設だけでございました。管理責任者といいますのは製造管理責任 者、品質管理責任者を統括するようなかたちの立場の方でありますが、専任が8、併任が 38、記載なしが1という回答でございました。  製造管理責任者は製剤の製造だとかあるいは教育・訓練にも関わっていると思いますが、 そういう責任者に関して専任が9、併任が33、置いていないというところがおそらく何施 設かあるというかたちでございます。品質管理責任者、文字通り検査というところが主な ところでございますが、専任が11、併任が30、記載なしが4、未定・不在が10ということ でございます。できれば製造部門と品質管理部門というのは分かれているのが望ましいの でありますが、責任者併任というところも数施設あったという状況でございます。  続きまして、どういう方が担当しているかということであります。まず、細胞培養担当 でございますが、全施設の合計は246名でございました。内訳の合計と合ってございません。 合計数と内訳の合っていないところがございましたので、そのままで出してございます。 医師・歯科医師102名、薬剤師が培養担当しているという方が5名、臨床検査技師が45名、 その他が126名という内訳でございました。  培養にはどういう方を使っていらっしゃるかということで、言い方はアレですがどうい う方を採用して培養しているかというのを施設数で見てみますと、医師・歯科医師を培養担 当者として当てているという施設が24施設ございました。薬剤師という所は5施設、臨床 検査技師を使っているというところが21施設、その他の方々が培養担当しているというと ころが約半数の28施設でございました。その他の方々のバックグランドでございますが内 訳に書いてございます。大学院理系卒が13、大学理系卒16、バイオ系の専門学校卒が13、 その他が2という内訳になってございます。これはどういう資格が必要かというところか らも重要なデータではないかと思います。  続きまして細胞検査担当者でございますが、施設合計129名のご回答をいただきました。 内訳でありますが医師・歯科医師が担当するという方が23名、薬剤師が4名、臨床検査技師 の数が増えておりまして多くて49名、その他が68名でございます。どういう方を採用 していらっしゃるかという施設数でありますが、医師・歯科医師が14施設、薬剤師が4施設、 臨床検査技師が24、その他というところも23施設でございまして、内訳は記載通りでござ います。大学院理系卒、大学理系卒、バイオ系専門学校卒を、それぞれ12、12、11という かたちで採用してらっしゃるということであります。細胞培養と検査が完全に独立して役 割分担されているという理想的な施設は11施設でございました。また、専任の培養担当者 がいらっしゃって全ての種類の細胞培養を担当するという、例えば軟骨細胞も樹状細胞も 心筋細胞も皆、「培養担当者」という専任の方が実施しているところが4施設でございま した。  次に、どのくらいの製剤が今まで作られているかということであります。回答技術数の 合計が87件でございました。その件数を集計してございます。2006年、2007年、2008年で ございますが、2006年で年間投与数が100以上というところは投与件数が5技術でございま す。10〜99が13、1〜9が33、0が36。このトレンドはあまり大きな変化がございません。 大体このくらいの割合で推移しているというふうに思われます。ご覧になっていただいて 分かりますように、ゼロというところが大体4割ぐらいであります。1〜9が4割ぐらい であります。100人以上を年間投与しているというところに関しては、皮膚の培養が1件と あとはリンパ球、樹状細胞という、いわゆる免疫担当細胞の培養でございました。  分野としましてはさまざまなものが報告されております。皮膚、リンパ球、樹状細胞、 角膜細胞、骨・軟骨組織、間葉系幹細胞、そういうところが幅広く報告されています。そ の中で複数以上の種類の細胞を培養している、作っている施設は21施設でございました。 多くの施設においては倫理委員会の承認を得ているということでございますが、多くのと いうことは、得ていないところもあるということであります。  続きまして品質保証について、でございます。回答技術数が89と2つ増えておりますが、 これは遺伝子治療関連施設からの回答が加わって89技術となっているということでありま す。その中で、どういうものを品質保証として使っているかということでありますが、製 品の標準規格というものがあればこの細胞であるということの設定をしている技術は75で ありますが、なしが10、未記入が4というふうになっております。  そのほか、細菌培養、エンドトキシン、マイコプラズマという、いわゆるヒト由来細胞 ・組織加工品で必要なエスエックス製剤で認められる品質保証の1つでありますが、それ もなしというところがそれぞれ16、15、23というふうになっております。その他の微生物 を各培養細胞に応じて検討しているというところが23施設ございました。そのほか実験段 階で品質保証検査をしている、染色体検査とか変異原性ヒンデンセン試験ということであ りますが、しているところが記載まちがい間違いがあります。ここは80ではなくて50でご ざいます。なしが24、未記入が15ということであります。  患者さんが移動されるというところが4施設ございました。もう1つ、この検討会での 1つの議論すべき点でありましたが、製品搬送があるかないかという点で見ますと、ある というところが35技術ございました。これはちょっと聞き方が十分ではなかったという可 能性がありまして、大学内を搬送するということもありますので、すべてがいわゆる遠距 離搬送ではないのですが、あるというところは35ということでございます。  文書体系でございます。ずらずらと書かせていただいておりますのは、少しISO的な文書 体系になっておりますが、一番重要な標準作業手順書というものがあるかどうかという点 で、ありが44でございますが、用意されていないところが5施設ございます。そのほか はちょっと細かくなってまいります。製品基準書というのは製品標準を決めたようなそう いう基準書でございますが、決めていないところが12施設ございます。そのほか細かいと ころで、教育訓練とか記録管理、品質をどういうふうに管理していくのかというところの 基準がないところが10施設以上あるという状況でございます。細かくなりますので以下は 省かせていただきます。  最後に情報公開について、でございます。まずホームページを持ってらっしゃるかとい うところに関しましては、あるところが19施設、なしが29で未記入が2でございます。ホ ームページあるいはパンフレットなどかたちで以下のものを開示しているかというところ でお聞きしましたら、治療実績について開示しているというところが20施設でございます。 論文や学会発表について開示しているが23施設。人員についての開示が一番少なくて12施 設でございます。また、どのような設備を持って調整しているか、品質保証しているかと いうことを開示している施設は約半数の25施設ということでございました。若干駆け足で ございましたが以上で報告とさせていただきます。 ○永井座長  ありがとうございました。それではただ今のご説明を踏まえてご意見をお聞きしたいと 思います。 ○大和委員  ご説明の中では再生医療とガン免疫療法とそれから2つ遺伝子治療というお話があった と思うのですが、ちょっと確認なのですが、いわゆる美容整形というような、再生医療な のかもしれないけれども、必ずしも多くの人が再生医療と考えていないのも入っているか いないかというといかがでしょうか。 ○森尾委員  若干判断しにくいところもあるのですが、明らかに美容整形外科であると考えられると ころは一技術だけでございます。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。  遺伝子治療とか組織バンクを一緒におこなっているところもあると思うのですが、その 実態は同でしたでしょうかね。 ○森尾委員  実態は、さい帯血バンクが3施設が入っていまして、2件が公的バンクで1つが民間バ ンクでございます。遺伝子治療施設は1施設だけでございました。 ○永井座長  いかがですか。 ○早川委員  5ページのところなのですが、品質保証についてというのがありまして、製品標準規格 の設定、細菌培養、エンドトキシン等々があるわけですけれども、最終製品についてとい うふうに理解してよろしいかということと、それから例えば、細菌培養、エンドトキシン、 マイコプラズマ、その他の微生物というところでそれぞれ「なし」というところがござい ますね。この「なし」というところは、つまり例えば取扱環境においてまったく問題にな るようなものが入り込めないというような環境でやっているから良い、あるいはバリデー ションを何かのかたちでもう済ませていて、採取済み品では必ずしも試験する必要はない だろうということで「なし」なのかという、ちょっとその細かいところがもしお分かりに なれば、お教えいただきたいのですが。 ○森尾委員  2点目のところですが、いわゆるスパイク試験とかでというところまでは聞いておりま せんが、おそらく「なし」というところは行なっていないのではないかと思われます。た だそこまでお伺いしておりませんので、微生物が入り込む余地がないので検査していない のかあるいはただ検査していないのかというところに関してはちょっと不明でございます。  すみません、1点目は何でしたか。 ○早川委員  この試験、例えばエンドトキシン、マイコプラズマ、その他の微生物は最終製品での検 査ですかという点。 ○森尾委員  聞き方としましてはこういう検査をしておりますかということでしたので、中間産物で どうかとか入口でどうかという聞き方をしておりません。おそらく最終産物のことで答え られているのではないかと考えております。 ○永井座長  私の方から。運営のあり方について、組織の中でどう位置づけられているのか、運営委 員会がどのように開かれているか。あるいはそもそも運営費をどういうふうに賄っている か、その辺について。 ○森尾委員  重要なところだと思いますが、運営委員会だとか組織の中での体系図というのは今回質 問しておりません。大切な予算という項に関してはこれはオプションで未回答可というこ とで質問しております。これは公開してもいいのかどうかという点がありますが、ほとん どが、外部資金を中心とされているところが多いかと思います。バリデーションであると かいうところに関しては、大学あるいは大学病院からというところが半数ぐらいございま すが、わりと自己資金でやっているところが多いと思います。 ○永井座長  そういう研究費が、外部資金が取れていない場合にはほとんどまだ整備がされていない ということになりますか。そういう理解でよろしいでしょうか。 ○森尾委員  そうですね。それと外部資金が取れているところがおそらくリストアップされてきてい て、これは国公立だけに関してでございますが、というか大学・大学機関あるいは研究所 というところに関してだと思いますけれども、ほとんどが競争的資金だとかその他の自己 資金が多いような印象でございました。特に人件費に関しましては大学・病院で支えてい るところは少ないのだなという印象を受けました。 ○片倉委員  3ページですか、この人員のところなのですが、実際にCPCにかかわる医師・歯科医師 の先生方の割合がかなり多いと思うのですが、ここはずーっとCPCの常勤ということは 勿論ないと思っていて、通常の治療と兼任で、合間を縫って培養あるいはその品質管理等 にかかわっている、そういう先生方という理解でよろしいのでしょうか。 ○森尾委員  そのように推察をいたします。医師・歯科医師の数が多いのはおそらくさまざまの技術が あって、例えば軟骨培養であれば整形外科から5人係るというところで5人と。リンパ球 であれば血液内科から何人と。そういうことで合計の数としては多くなっているという解 釈だと思います。専任の方というところもおそらくあるのだと思いますが、マジョリティ ーではないというふうに考えます。 ○澤委員  全体像としてこういうデータが今までなかったので、非常に有意義な調査結果だと思う のですが、全体を通してみるとこういう感じですけれども、結局アクティブにやっている 施設とバイオ・スタートしていない施設との差があるのかなという気がするのですが、重 要なのはアクティブやっている施設はそういうのをつくって、基準をきっちりして行なっ ているというのと、やはり、やっていないところはまだ、未整理だろうというふうに、そ ういうふうに2つに分けられるのでしょうかね、大体において。かなり前からやっている のにまだ整理されていないところが目立つとこれは問題だと思いますので。  それからもうひとつは培養過程で問題があったときに、今回は調査されていないのかも しれませんが、あったときにどういうふうに中止しているのか。どういう問題があったの かとか、今やっている事が本当にいいのかどうかということが浮き彫りにされてくると非 常にありがたいのですが、いかがでしょうか。 ○森尾委員  澤委員のおっしゃるとおりでありまして、不適格ができたときどうするかとか、そうい う問題は重要なことなのですが、この点に関しては今回質問外となっております。1つ目 の問題も非常に重要な点でありますが、裏返して言いますと件数が多くてちゃんとしたC PCを持っているところに関してはほとんどのrequirementは満たしているということだと 思います。 ○鈴木委員  回答率がやはり140調べて68の回答ということですから、あまり多くないですよね。 で、その質問の聞き方といいますか、最初からCPCというふうに定義付けて聞いてしま うと実際は細胞治療をやっていても、回答しにくかったような施設があるのではないかと 想像するのですけれども、そのへんはいかがでしょう。 ○森尾委員  おっしゃるとおりであります。またパブリケーションバイアスではありませんが、そう いうバイアスがあるのかなと思いましたが、実際に確実にCPCを持っているのにご回答 がなかったところは10施設に満たないと思います。ほとんどが、大学とか大学病院関連を 中心に送らせていただきましたが、そういうところからは大概のところから返答を頂戴し ていて、逆に民間に関しましては再生医療学会からいただいた資料あるいはホームページ 上から探しての資料を基に聞いておりますので、おそらく網羅的なサーベイにはなってい ないというふうに考えます。 ○鈴木委員  ですから結局CPCがないと細胞治療をやってはいけないという前提ではないわけです よね。例えば、G‐CSFで誘導したような、CD34陽性細胞を濃縮したものを治療に 使うとか、特に培養を伴わないような細胞の調製の仕方でやっている場合なんかは今回の こういう対象になりにくかったのではないかと思うのですが。 ○森尾委員  いわゆるCD34とか輸血部みたいなところは行なうような、クローズドシステムに関 しての質問は今回はまったくございません。いわゆる細胞のバイオ加工を伴うような事に 関することということで、どこまでを加工かという、選別を加工とするかどうかという問 題があるかと思いますが、今回はいわゆる再生医療、細胞治療という枠組みの中での質問 というかたちであります。  ちょっと外れたことになりますが、いわゆるCPCという大きなクリーンルームを持た ずに、簡易型の、名前は忘れましたが、細胞プロセシングアイソレーターというのだった でしょうか、安全キャビネットとインキュベーターと遠心機が一体化したようなもの、そ こでやっているという施設あるいは計画している施設が3施設ございました。そこではC PCがある部屋は清浄ではないという回答でございます。 ○鈴木委員  CPCでなくとも、「加工」というふうにはならないけれども、細胞治療をやっている ところは多々あるだろう、ケースバイケースだというふうになっていくわけですよね、き っと。 ○森尾委員  おっしゃるとおりです。 ○前川委員  京大の前川です。今のご質問ですが、いわゆる骨髄移植とかは実際に細胞を分離したり して治療にも使っているわけですけれども、いわゆる細胞プロセシングという考え方から しますとその辺は加工の範疇に入らないと。以前にCD34の分離はそういう加工のところ に入っていたのですけれども、ISCT(International Society for Cell Therapy:国 際細胞治療学会)の見解ではCD34の分離はそういう加工に入ると以前は考えたのですけ れど、今は、minimally manipulatedの範疇として扱われており、GMP規制には縛られな いところまできているということだと思います。  いろいろなレベルの加工(more than minimally manipulated)あるいは加工に入らないよ うなもの(minimally manipulated)も含まれているのかもしれません。その両者を分けて考 える必要がありますが、技術の進歩やGMPのコンセプトの変遷により弾力的に判断する必要 が出て来ると思われます。 ○永井座長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○阿曽沼委員  1ページ目の調査対象の中で医療機関付属というのが33施設ございますけれども、この 規模でございますとか、施設要件ですとか、医療機関の種類など内訳などがもし分かれば、 例えば病院だと大学付属病院とか一般病院とか、また診療所はどのくらいだとか、お分か りになれば教えていただけますでしょうか。 ○森尾委員  今手元に資料はあるのですが、パッと集計はしにくい状況でございます。大学医学部・ 歯学部付属病院というところがほとんどでございますが、この中にはクリニックも含まれ てございます。これは本当に医療機関付属とするのかどうかというところはちょっとわか らないのですが、一応その中に入れてございます。 ○前川委員  3ページのところなのですが、人員について1つ気になったのが、製造管理責任者と品 質管理責任者が併任している施設が数施設あるということで、これは人員が少ないために こうせざるを得ない状況なのか、あるいはこういう意識がまったくなくてやっておられる のか、ちょっとそのあたりのニュアンスが分かるようであればお教え頂きたいのですが。 ○森尾委員  1つの施設は規模が小さくて置ける余裕がないという回答がございました。人員自体が、 総人員二人でやっていらっしゃるところであります。医学部の付属病院です。そのほかは 今計画中ということで、まだおそらくいろいろと勉強なさっていらっしゃる途中なのかも しれませんが、そういうところからこの予定であるということでいただいております。そ のほかは民間ですね。民間の施設で全て管理責任者、製造責任者、品質管理責任者は同じ と思われるところが2施設ございます。大学でも同様の施設があると思われます。と思わ れるというのは、例えば何とか学教室准教授と書いてございますので、准教授が3人いら っしゃるともしかすると別の准教授なのかもしれないのですが、おそらく同じではないか と判断するということです。 ○前川委員  おそらく、ここのところ製造管理者と品質管理責任者は原則的に分けないと、例えば力 士と行司が一緒のようなシステムになっているわけなので、やはり今後これを分けること が不可欠であると私は思います。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○小澤委員  5ページ6番、品質保証。森尾先生もおっしゃっていましたけれども、製剤搬送のとこ ろ、これをどういうふうに議論をもっていくのか私も興味深いところではあるのですが、 どういうふうにこの会として持っていくのか、ちょっとヒントをいただきたいなと思いま す。多分紐つけできちゃうんですよね。その辺どなたに聞いていいのかわからないのです けれども。 ○森尾委員  意外に製品搬送というところは多いなという印象でございまして、全て施設が分かって いるので、なかなか言いにくいところでありますが、多くは主治医の方が運ぶというかた ちが多くて、一部がやはり専用業者で運ぶかたちいなってございまして、さまざまなのだ なというふうに感じます。  もうちょっと詳しくお話したほうがよろしいでしょうか。 ○永井座長  また、いろいろ議論が進む中でこの辺の実態をもっと詳しくという話も出てくるかと思 いますが、今日はまずはこの辺までご報告いただいたということで、先へ進めたいと思い ます。  この後、これまでの議論を踏まえまして複数の医療機関の間での共同での診療につい て、望ましい姿をどういうふうに提示するかという問題でありますけれども、第1回でた たき台をご説明させていただいて、それをさらに膨らませた資料が事務局より提出されて おります。再生・細胞医療における共同での診療の位置づけ、それから再生・細胞医療に おける共同での診療の論点、この二つの資料についてご説明をお願いいたします。 ○山本経済課長補佐  事務局より資料2及び資料3に基づきまして再生・細胞医療における共同での診療の位 置づけと論点についてご説明させていただきます。まず資料2をご覧いただけますでしょ うか。併せて資料3の1.の1つ目の○のところをご覧いただけますでしょうか。資料2 の一番右のオレンジ色のところからまずご説明させていただければと思っております。  これは再生の医療に限らず、通常、医療現場で医療を提供する上で反復・継続して提供 される可能性のある製品として流通する場合には企業より薬事法による承認許可等のもの を受けたものを企業から医療現場に提供し患者に医療を提供する。通常、こうした枠組み で医療が提供されております。  次に、一番下のところを見ていただければと思います。薬事法法体系の中では薬事承認 のために承認許可等を得ていないものを薬事承認を取得するためにデータをとるという目 的で行う場合には治験として行われるのは皆さんご承知のところだろうと思います。  一方、資料2の一番左の医師と患者の双方向矢印の部分、また資料3の1.の1つ目の ○の「一方で」という文章を併せてご覧いただければと思いますが、医療機関の内部で細 胞の培養を加工を行って患者に提供していくことについては、薬事法の適用外とされてき ているところです。今回、まさにこの検討会でご議論いただいているのが、その中間の赤 の点線の部分になります。複数の医師、加工医療機関と依頼医療機関と、前回までの資料 でも呼ばせていただいておりますが、この複数の医師が共同で診療していく枠組みについ てご議論していただいているところでございます。  そういう中で資料2の「品質&倫理」というところで実施する上で医療機関が品質を、 もしくは倫理的な面をどのように担保してきているかといいますと、再生・細胞医療とい うのはまさに新しい技術でございますので、研究としてこれまで実施されてきていること が多かろうと思います。その場合にはヒト幹細胞を用いるものであればヒト幹指針、それ 以外のものであれば臨床研究の倫理指針等に基づいてやっていただいているものと考えて おります。  それ以外では、再生・細胞医療に限らない話でありますが、医療現場で一般に医療を行 っていく上では個別の医師がどういった治療方法が最適化というのを判断していくところ です。その上では関係学会等でさまざまなガイドライン等を出していただいて、それを参 考にしていただきながら現場で医療は行われているものというふうに認識しております。  その上で資料3をご覧いただけますでしょうか。今回、赤い点線の部分、共同での診療 の論点を事務局の方で整理させていただいていますので、その論点を個別にご説明させて いただければと思います。  1.の大きい2つの○の下に小さい点で3つ、議論の前提条件を書かせていただいてい ますので、まずこの点についてご説明させていただければと思います。1つ目のところで 再生・細胞医療と一口に申しましても、先ほどのようにさまざまなものがあろうと思いま すので、個別の技術というよりはなるべく各共通の事項について、さまざまな要件を検討 していければと思っております。  また、2つ目のところで医療法、医師法に基づいてやっていく場合にさまざまな規定、 通常の医療に関する規定というのは当然既に規定がございます。そのあたりについては、 議論をここで深めていくというよりは、再生・細胞医療を行う上で更に特化して検討すべ き事項についてご検討いただければと思っております。  最後の3番目のところでございますが、適切に再生・細胞医療を複数医療機関でやって いく上で2ポツ以降、2、3、4、5のその他まで書かせていただいておりますけれど も、議論の内容というのは行政において示すべき内容と関係学会、先ほど通常の医療では というお話をさせていただきましたけれども、そのあたりの役割分担というのは出てくる ものというふうに考えております。これが前提条件というか、議論の土台でございます。  資料3の2.以降、引き続き個別の論点についてご説明をさせていただきます。2.の 医療機関間の連携体制、これは資料2で複数の医療機関が連携してということを書かせて いただいていますが、どういう形の連携が必要か。(2)のところでまず個別の医師同 士、どういう連携が必要かということが1つ論点だろうと思っております。例示として書 かせていただいておりますけれども、依頼医療機関からすれば加工医療機関でどのように 細胞の培養が行われているか。また、加工医療機関からすれば実際にどういう患者に投与 されているのかといったことの情報の共有ですとか、その次に共同での治療方針の決定と 書かせていただいております。通常1医療機関でも一人の患者に対して治療方針を検討し ていく上ではケースカンファレンス等を含めてさまざまな議論の下で治療方針を検討され ているものと考えております。それを複数医療機関で行う場合にはどういう連携のあり方 が望ましいのかをご議論いただければと思っております。  そして、(3)のところで先ほどもご議論いただきましたけれども、今回、医療機関を またがりますので、出荷搬送に関してどのような取り組みが必要かということについても ご議論いただければと思っております。  (1)の責任の共有というのは、それぞれどういう連携をするのかと、表裏の関係かも しれませんけれども、そういった点についてもご議論いただければと思っております。  続きましてCPCの施設に関する事項で、(1)から(4)まで4点挙げさせていただ いております。まず施設と設備でございますが、最低限こういう再生・細胞医療というも のを行っていく上で有すべき施設や設備が一体どういうものがあるのか。また、(3)で それを実際に適切に使う上で必要な手順書というものは一体どういうもので、(4)とい たしまして実際にそれを適切にやっているかをどのように管理というか、見ていくかとい う点についてご議論いただければと思っております。  続きまして4の加工医療機関に設置されるCPCの人員基準でございますが、(3)で 今ご説明させていただきました施設基準を実際に使う人員として一体どういう方が必要な のか。先ほど、実際に培養される方とチェックする側が同じ人ではまずいのではないかと いうご指摘をいただきましたが、そういった点も含めてどういう人材が必要で、またそう いった人員というのはどういう知識や経験が必要なのか。また、研修等をどのように考え ていくのかということをご議論いただければと思っております。  最後にその他としまして3点論点を挙げさせていただいております。まず依頼医療機関 の医師の要件ということで、これは前回、第2回の会議でも実際に依頼する側の医師の方 に再生・細胞医療に関する一定の知識が必要ではないかという議論もあったかと思いまし て論点に加えさせていただいております。もし、本当に必要であればどういった知識や経 験が望まれるのかということについても併せてご議論をいただければと思っております。  続きまして、倫理という観点で倫理審査委員会の開催と書かせていただいておりますけ れども、通常、研究でやられる場合には実施する医師だけではなく、施設の長ですとか、 第三者の意見を伺う形で倫理審査委員会の開催等を求めております。そういう点について この再生・細胞医療を医療機関間で行う場合にどのように考えるかということについても 併せてご議論をいただければと思っております。  最後にインフォームド・コンセントと情報の公開、さまざまな施設要件、人員要件があ ります。これは再生・細胞医療に特化した話ではないかもしれませんけれども、患者が適 切に治療を選択していくという意味で情報公開やインフォームド・コンセントをどのよう に考えていくのか。また、関係学会等、先ほど資料2のところでも説明させていただきま したけれども、その役割というか、関与の方法ということについても併せてご議論いただ ければと思っております。以上でございます。 ○永井座長  ありがとうございます。なかなか複雑な話ですが、いかがでしょうか。これは位置づけ としては、共同での診療ということですね。共同での臨床研究ではない。診療という位置 づけになりますか。そうすると、連携して細胞をプロセッシングする場合には、細胞のプ レパレーションは医師でなくてもよろしいのでしょうか。委託された施設の要員というの は。 ○山本経済課長補佐  実際に培養・加工する者ということでございますか。それについては、必ずしも医師で ある必要はないと思いますが、資料3の2ページの4.の注釈のところを見ていただけま すでしょうか。加工医療機関における細胞の培養・加工というのは医師の監督の下でやら れる必要性はあると考えております。以上でございます。 ○大和委員  今の委員長のご発言ですけれども、この資料3では共同での診療という表現になってい ると思うのですが、資料2の方では「品質&倫理」という下から2つ目のところで臨床研 究と診療と2つ書いてあるということで、一応臨床研究も考えてよろしいんですね、これ は。 ○山本経済課長補佐  臨床研究としては実施される場合については、ヒト幹指針や臨床研究に関する指針も併 せて遵守することが求められるとは思っております。 ○大和委員  大事なところなので確認ですが、ここで議論するようないろいろ、例えばCPCがどう あるべきであるとか、人員がどうあるべきであるとか、そういったことに関しては少なく とも私としては、一委員としては診療とかものすごく細かく限定するのではなくて、臨床 研究であっても、あるいは医療として行うのであっても、ある程度共通のものとして議論 させていただきたいというか、出口をそういうイメージで議論させていただきたいという ふうに考えているんですね。そうしないと全部細切れになっていて、また治験は治験で別 の話があってみたいになるよりは、ある程度通底するようなものとしてまとめられる方が いろいろな意味でハッピーなのではないかと考えているのですが、ほかの委員の先生方は いかがでしょうか。 ○澤委員  大和委員がおっしゃったことは私も非常に同感ですが、我々がやる場合に臨床研究とい ってもやはり医療行為なんです。医師として患者さんを直そうという気持ちについては治 験であれ、臨床研究であれ、診療行為であれ、全く一緒である。そういう観点から言うと ある程度共通的なというか、ミニマムリクワイアメントと言うとまたあれかもしれません が、共通項でくくられる部分が非常に重要で、そこからあとは個々に疾患対象による場合 もあるし、求められるものもある程度違うかもしれませんが、ベースとなるものは同じと いう考え方で考えてよろしいのでしょうか。診療というのと研究というのと。 ○永井座長  いかがですか。 ○前川委員  今、澤委員がおっしゃったこと、私も資料2の赤の点線で囲んだ真ん中のところの共同 での診療という、その診療という言葉が少し引っかかって、むしろ私のイメージでは臨床 研究に近いところがあるではないかと思います。オレンジ色で書いているところは、結 局、例えばジェイスのようなものがここに入ってくるわけです。各大学で臨床研究として 行っているようなことを私はイメージをしているんですが、ちょっと違うんでしょうか。 その辺のニュアンスがおそらく各委員あるいは行政の方と少しずれているところがあるか なとは思うのですが。 ○阿曽沼委員  私も澤委員の意見に賛成でございますが、研究といっても治験的な研究から、実際の医 療における臨床研究というのもあろうかと思います。それから、医療法の枠内で言えば医 師と患者さんの契約に基づいてお互いの合意の下に行うのが医療というものであるわけで す。その医療行為1つ1つに細かい前提条件を入れて基準をつくっていくということは、 医療行為に新たな高いハードルを作ってしまう可能性もありますので、そうならないよう にきちっと議論をした上で、いわゆるミニマムリクワイアメントをきちっとつくっておく ことが必要と考えます。あとは、それぞれの医療の中で学会を中心として運用というもの を考え、きちっとモニタリングしていくという仕組みづくりが現実的には必要なのではな いかと、委員個人としては思っております。 ○永井座長  今の点はよく議論しておいた方がよいと思います。ただ、初めて人に使って効くかどう かも分からないという場合と、ある程度論文も出ていて実証されている場合、それを患者 さんにかなり数を増やして適用する場合とではちょっと状況が違うように思うのですが、 いかがでしょうか。 ○早川委員  おっしゃっていることは多分、皆様同じことをおっしゃっているのではないかと理解す るのですが。といいますのは、患者という立場に立ったときに、実際の治療を受ける、今 回の場合は再生医療製品ですね。一種の細胞製品というものに、少なくともこれは最初の 試みであっても、あるいは臨床研究であっても、あるいは治験であっても、少なくともこ れだけの最低限度のリスクが患者にとってはないというようなことは必要なのだろうと思 うんです。そのために当然、その製造工程というか、CPCというのにリスク管理基準が あって、そこのCPCの部分に関してのミニマムな部分は患者の立場から見れば、あるい はリスクという観点から見れば、少なくともこれだけは避けたい、これだけCPCの中で クリアしておいてほしいという部分は同じなのだろうと思うんです。  結局、そこを共通項としてプラットホームを決めて、あとは更に患者さんがいろいろな 形で広がっていくようなケースだとか、企業化するケースだとか、いろいろなケースがあ って、そこは医師もそれぞれの細胞の性質だとか、種類とか、疾病対象とか、患者さんの 層だとか、そういうことを考えながら、その後はいろいろな形で上乗せというか、必要な 事項が重なっていくのだろうと思うのですが、少なくともミニマムなプラットホームをつ くりましょうというところはCPCとの関係において同じなのではないかという気がしま す。 ○永井座長  どういう見方をするか、何について論じるかで大分考え方は違ってくるわけですね。  いかがでしょうか、今の点について。事務局、そういうことでよろしいですか。  ほかにご意見はいかがでしょうか。 ○前川委員  資料2ですが、確かにオレンジ色のところは行政サイドの規制というのでしょうか、あ るいは管理であり、ブルーで書いてあるところの下の3つの小さいポチの一番下に「学会 のガイドラインなどで対応」していくというふうに書いてあります。確かにここはまだ臨 床の研究、あるいは今、永井先生がおっしゃったように、もう既にある程度治療法として も期待されているけれど、まだ一般化したものではないレベルのものが含まれると思いま す。この範疇に含まれる治療法の開発に関しては、学会がある程度指導していくような格 好にならないと、ここを行政が指導するというのはなかなか難しいだろうと私は思うんで すが。  そういう意味で、資料1の7番目の文書体系について、完備されているところからない ところまで大きな差があります。実際、我々のCPCに対して、いろいろな施設から基準 書という様式集みたいなものをつくってほしいという要望が寄せられます。神戸の先端医 療センターと大阪大学の未来医療センター、それに京都大学の分子細胞治療センターの者 が集まって、少しそういうプロトタイプみたいなものを作成中ですが、あまり懇切丁寧な ものをつくりますと、全くCPCの管理やGMPといったことを知らずに入ってきたところは これを理解しないままコピーだけして申請に出すということになってしまいますので、や はり再生治療をするという医療機関、あるいは大学の研究者はこういうCPCやGMPのこ と、あるいはGCP(Good ClinicalPractice)もそうなんですが、そういうことに関する知 識をかなり勉強する必要があるだろう、私はそういうふうに思います。  だから、これをあとどういうふうにしてガイドラインへ持っていくかですが、各学会に 依頼してもなかなかできないだろうと思います。そこで、この検討会でたたき台を作成 し、各大学、学会で検討していただき、各学会合同のガイドラインあるいは指針へと持っ てゆく必要があろうかと思います。  実際、造血細胞治療学会と日本輸血・細胞治療学会では、末梢血幹細胞の凍結の方法、 凍結自体はminimally manipulatedと判断されますのでGMPを遵守する必要はないのです が、これについて統一したものを出そうということで来ております。実際、両学会合同で 作成した「同種末梢血幹細胞採取ガイドライン」はうまく機能しておりますので、同様の 方向で進めてゆくのが良いと考えます。 ○澤委員  今、前川委員がおっしゃったことに非常に同感でございます。この資料3にありますよ うに行政において示すべき内容と関係学会において検討されるべき内容というものがある ということをしっかり記載していただいておりますが、第1回の発表をさせていただいた ときに申しましたように、再生医療学会でも臨床研究ガイドライン委員会の方でこの点に ついては検討しております。先日の再生医療学会の理事会の方でも、ぜひこれは進めてい こうという話になりましたので、少なくともこういう施設、それから加工機関に設置され る人員の基準も含めて、そのあたりのガイドラインをしっかりつくっていくべきというふ うに考えます。再生医療学会としても、それは実際に実践していこうというふうに考えて おります。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。 ○阿曽沼委員  資料2の真ん中の部分、資料3の2点目の共同での診療というものの要件、これは研究 でも診療でもある意味オーバーラップするところがあるのだろうと思います。共同で診療 するという枠組みは今でも実際に行われていると認識しております。共同診療において必 要な要件は、患者さんの診療情報をきちんと医師及び医療機関がお互いに共有できること や必要に応じて連絡及び閲覧ができて協議ができるということは、最低限整わなければ共 同診療とは言えないと思います。  ただ、責任の所在をどうするかという問題があります。加工を依頼する医師とその患者 さんとの間での責任のあり方と、依頼を受けて加工する医療機関の医師との間での責任の あり方というものはきちんと分けて議論されなければいけないと思います。あくまでも患 者さんに対しては主治医の方の責任というのが基本ではないかと思いますが、これは法律 の専門家の先生にご意見を伺いたいと思います。この事はきちっと議論をしておく必要が あると思います。 ○永井座長  ほかにいかがでしょうか。 ○土屋委員  ここでよく議論されてきているのは人の関係といいますか、そういうことが多いと思い ますが、私はやはりブツの安全をどう保っておくのかという問題は極めて重要なことだと 思うんです。もちろん薬事法が直接適用できないということは分かっております。しか し、薬事法が適用されている医薬品ですら最近起きているのは何かといいますと、例えば ワクチンを作っていたところで基準以下の部屋でつくっていたとか。もちろんこれは全部 回収になっておりますが、世界的な企業になってきて、工場を変えたら品質が変わってし まっていた。それから輸入したら規格以外だった。長期に立ったら申請時の基準を保てな いということが確認できたので回収しますというような、みんな回収になっておりまし て、やはりそういった意味で薬事法というもので、いろいろ批判はいろいろあるにせよ厳 しい基準を持ってやっているものですらそういうことが起きている。そういう事例を考え ますと、こういったところで先ほどお話があった基準とかその他を見ますと、やはりきち んと学会等、それをどこでどう定めるかは別としましても見ておかないと、患者さんの安 全がやはり保てないだろうなという気がいたしますので、そこら辺はおそらくこの4とか 3の話になるのかもしれませんが、きちんと書き込んでおかないといけないのだろうなと いうことがあります。また、手順書その他になりますと、すぐどこまで備えているという ことに必死になるものですから、そういったことではなくて、本当に心の入ったところを やっていかないとこの場合はまずいだろうということが想定されますので、そこら辺をど う守らせていくかという観点でやっていかないといけないのではないかというように思い ます。 ○永井座長  まだ全体的な議論が残っておりますので、その中で今の問題もご議論いただければと思 います。事務局からのご説明を踏まえまして、この再生・細胞医療における共同での診療 の位置づけ、それから再生・細胞医療における共同での診療の論点ということで全体的な ご意見をお伺いしたいと思います。多少議論は重複するかもしれませんけれども、全体像 をとらえながら議論したいと思いますが、いかがでしょうか。 ○大和委員  先ほどの土屋先生のご意見、まさしくその通りだと思うのですが、それこそネットワー クであるとか、あるいは学会の役割で、せっかくこういう場ができまして、こういうガイ ドラインみたいなものが、澤先生は再生医療学会からということでしたが、関係学会から 出てくるような流れになってきて、多分少し参考になるのはアイバンクであるとか、ああ いう先行事例だと思うんです。僕は国内ことはあまりよく分からないのですが、アメリカ だと少なくともアイバンクは全部ネットワーク化されていて、相互監査というか、をやっ ておりまして、定期的にサイトビジットをアイバンク同士でやっていて、ちゃんと行われ ているか。行われていない場合にはこれこれこういうペナルティですよというのがしっか りできています。あれをモデルにして、そんなにCPCの数はあるわけではないですけれ ども、十分それができる程度にはあるのではないかと思いますので、ぜひ我々も織り込ん でいきたいと思います。 ○永井座長  論点はまさに今の加工機関の問題ですね。それから共同のチームの要件があります。学 会の役割。その辺の3つのところを今日はいろいろご意見を伺えればと思います。今の加 工機関の要件、ネットワークあるいは査察機関のようなところでOKすれば、ではどこで もいいか、どこまで許されるかというのはどうなのでしょうか。診療所でもいいのかどう かとか。どの辺まで範囲を広げてよいかという問題が出てくると思うのですが。 ○阿曽沼委員  この委員会での議論をベースとして、学会でガイドラインの案を提示頂き、それを基に 決められた要件を医療機関がそろえていれば、例えば施設要件や人員の体制、更にきちん としたモニタリングのあり方等の運用体制が整っている場合に関しては、病院や診療所な どの医療機関に差をつける必要はないと思います。 ○永井座長  いかがでしょうか。その場合にはきちっとした要件を満たしているということを条件と するわけですね。 ○早川委員  医療機関に差をつける必要はないという話は、多分、今、座長がおっしゃったようにあ る要件を満たすというか、条件つきの話と理解してよろしいですよね。何かもともと要件 があって、それを満たせば別にこの医療機関だからどうだこうだ、そういうことはない、 そういう理解でよろしいですよね。  それからもう1つ、医師の側ですね。医師としても、これは何を対象とするかによって もちろん多少変わると思いますが、先端的医療を行うということ。そこでは評価が定まっ た医薬品による治療というものとはちょっと違う性格があるのだろうと思います。ある意 味では非常に専門的な知識を含めて医師の資格といいますか、これが問われていいいのだ ろうと思います。医療機関のみならず。例えばイリノテカンという非常にいい抗ガン剤が ありますが、これはだれが使ってもまさにそのとおりの効果を発揮するかというとそうで はなくて、やはりそれは非常に限られた専門医の中で使っていただいてこそ初めて患者さ んに対する威力を発揮する。それと同じで再生医療というものを、それから未経験の部分 が非常に多いわけですが、そういう中で少なくとも先端医療として前に進めていくという 前提に立つならば、それを行うにふさわしい資格を持った医師、それから先ほどの医療機 関、そういう枠組みがどうしても必要なのだろうと思うんです。  そういうことがある程度ピチッとできていれば、先ほどの医療機関の連携体制というの もクリアできるのではないかなという気がいたします。 ○永井座長  その場合に具体的なイメージとして細胞のプレパレーションだけに特化した診療所のよ うなところを認めるかどうかという話が出てくると思うのです。ある程度、自分のところ でこういう医療を行っている場合と専属のプレパレーション診療所という場合に差をつけ るかどうか、その点についていかがでしょうか。 ○早川委員  それはステップが幾つかあって、採取をして、例えば細胞なら細胞ですね。採取するス テージと加工するステージと移植をするステージがそれぞれある。それぞれのステージに おいてきちっとしたそれなりの資格を有するということなのであれば、例えば採取すると ころのステージの医師が移植の専門家としてある種のクオリファイされた状態でなくても いい場合もあるだろうと思うのですが、その3つのセットで全体として考えた方が私はい いと思いますけれども。 ○神山委員  非常に難しいお話なので、ものすごく初歩的な質問をさせてもらいたいのです。今、共 同での診療の論点で加工医療機関に設置されるCPCの人員に関する事項とか、そういっ たお話が出ているのですが、そもそも共同ではなくて、資料1の調査結果のような現在あ る、あるいは計画しているCPCというものについて、清浄度の基準とか、人員の基準と か、バリデーションの基準とか、そういったものは存在していないのですか。 ○永井座長  それは存在していますね。幹細胞移植研究をする場合にはGMP基準に準じた形で一応 進められているわけです。 ○神山委員  そうすると例えば年1度以上の点検をしていない施設が4つあるとか、機器を年1度以 上点検していない施設が4つあるとか、定期的な塵埃測定をしない施設が9あるという、 こういう施設はどういう位置づけになるんですか。 ○森尾委員   おそらく休眠状態になっているところも入っているのだと思うのですが、逆に点検の数 が少ないというところが問題であれば、それは何かのガイドラインというか、その中で示 していくか、あるいは最終産物が正常である、問題がなければよいとするか。そこら辺は おそらく詰めていかなければいけない問題ではないかと思うんです。 ○早川委員  先ほどの5ページですか、そこでいろいろなテストをやったりやらなかったりというふ うにかなりばらつきがありますよね。ですから、私の解釈では各施設で施設としての基準 があるのだろうというふうに思いますが、要するにこの国全体においてというか、共通す るかくあるべしという基準の下でやっているわけではないだろうと思います。 ○永井座長  プロジェクトがなければ多分チェックもしないと思います。ヒトに投与する状況にまだ いっていない。基礎研究室として使っているところもあるのではないかと思います。そう いうふうに理解してよろしいですか。  先ほどの医療機関との連携のところはいかがでしょうか。ある要件というところをどう いうふうに考えるか。いわゆる細胞プレパレーションに特化したような施設でもよしとす るかどうかですね。あるいは、ある程度そこはそういう細胞を使った診療を行っている施 設に限定した方がいいのではないかという意見もあろうかと思うのですが。 ○小澤委員  非常に難しい話で、多分、細胞の種類、それから治療の種類によって違うと思うのです が、再生医療の難しいところというのは製品だけの問題ではないと思うんです。今回の議 論は加工する側の問題とか品質とかクオリフィケーションになっているのですが、現場の 先生たちお分かりのように、実際に移植をされる医療機関の前後の手技であったり、ノウ ハウであったり、それはものすごく患者様の治療結果に影響があると思われます。座長の 質問には答えていないかもしれないのですが、やはり依頼する側の資質というものも議論 のポイントかなという気が私もいたします。  委託される側、加工する側の議論だけではなくて、まさしく永井先生おっしゃるとおり 委託する方もそこの先生たちの移植の手技もしくはノウハウによってやはり患者様の予後 が違う。それが再生医療の難しいところだと私は考えております。 ○前川委員  今のご意見は非常に重要なところで、例えば膵島移植の場合などのように、非常に繊細 な技術が必要とされたりする場合は、実際に加工する作業を行う人と、研究者あるいは臨 床研究医が協力して行わないとうまくゆきません。一方、培地交換のみで済むような非常 に簡単な培養操作などの場合、いわゆる細胞培養という作業をする作業員の方だけでもい いかも分かりませんが、例えば先ほどおっしゃいましたように、問題は委託する側と加工 する側の間のコミュニケーションがなく、その協力体制が切れてしまうと、きわめて大き な問題が起こると思います。いわゆる丸投げみたいな格好になってしまって、外国の論文 ではこれこれこういうふうに書いてあるから、これを参考にして治療用の細胞を作製して 下さい、というふうな格好になるのを私は一番懸念します。再生医療の例えば培養1つで も微妙な操作や難しい方法、特殊な処理など、ファインなところが中に含まれているよう なものであると、作る方と依頼する方が本当に一体となった格好にならないと、全く依頼 する方も何も分かっていない、依頼された方も、これをやっておいてよと言われて良く分 からずに作って、どのように治療に使用するのか情報も共有されないというような状態で は、すなわち、臨床医、研究者、PhDやテクニシャンなどの間に良好なコミュニケーショ ンが形作られなければ、やはりこれはうまくいかないだろう。私はそういうふうに思いま す。言い換えれば、臨床も、医師とコメディカルスタッフの間、それに患者さんとの間の 良好なコミュニケーションが得られてはじめて望ましい治療効果が得られるのと同様、細 胞プロセシングは「究極のチームプレイ」であると言えます。あたらしい治療法を開発す るためには、臨床研究医は科学的基礎研究を追求するのみならず、臨床応用を実現させる ためのインフラストラクチャーに至るまで、幅広い知識と慧眼、それに見識が必要と思い ます。 ○阿曽沼委員  この問題は非常に難しくて、単純に患者の立場から考えれば、診療(治療)をしたこと もない、患者を診たこともない、ただ委託されたから機械的に加工している医療機関が本 当に安心かと言えば、それは大変不安だと感情的には当然思うだろうと思います。しかし 一方で医療機関連携という事だけでこの問題は語られるのではなく、そこには医工連携と いう非常に重要な要素もあるわけです。つまり、細胞培養という加工プロセス全体を安全 を担保しながら運営マネジメントしていくということが、本当に医師一人だけで全てでき るかというと、それは現実的には困難です。細胞培養の加工プロセスの人員は医師などが 併任するのではなくて、加工プロセスごとに専門のエンジニアが専任化した方がよりいい 訳です。加工プロセス全体をより高度に高質化していくということが重要なので、加工医 療機関の管理者としての医師の資質や、その配下で機能するエンジニアの資質をどう考え るかがポイントだと思います。当然ただ診療しているから良しとするような短絡的な議論 はできないと思います。そういう意味で総合的な基準づくりというものが必要だろうと考 えます。  もう1つは、こういう医療があるから自分でもやってみようか、という簡単な発想で治 療をやられても困るわけでありますから、細胞培養の加工を委託をする医療機関の医師が この再生・細胞医療というものをきちっと理解をしておくことが何よりも重要です。主治 医としての責任をどう考えるかということをきちんと認識することが非常に重要なのでは ないかと思います。 ○木村委員  一言だけ。お話を聞いていて、私どもはまだ1人の患者さんから取り出して加工して戻 しているというレベルの治療をしているのですが、これは加工施設と施行するところで分 けるとなると、原則的なお話ではなくて、こういうことができる移植再生医療というのは かなりみんなが認める、ある程度広く行き渡ったような技術でないと、2つの場所でそれ をやろうということはなかなか不可能ではないかと思います。例えば心臓の弁のようにホ モグラフといって、これは凍らせておけばいいわけですから、時間的な余裕も何も非常に あるわけですが、それでも非常に大変な状態だと思います。そうはいかなくて、ある条件 下で生きたままといいますか、こういう形のものがほしいんだというのを移植しなければ いけないのがこの移植再生医療だろうと思うんです。したがって加工医療機関と施行と基 本的に分けられるわけではない。考えの上では共同作業とか、連携というのがますます厳 しくなりますし、責任も共通で持っていなければいけない部分があるのではないかと思い ます。その辺、ある程度限られたガイドライン、こういう治療法に関してまず始めようと いうことが必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○木下委員  先ほど永井委員長がお話になりましたように要件というのが薬事法に基づくものでなく 医療法の枠の中で、医療機関における要件であろうと思います、本当にエスタブリッシュ された技術であるならば、おそらく起業化されていくだろうと思います。現在、最先端医 療への取り組みはおそらく研究段階であろうと思いますだけに、それはやはり大学であ れ、診療所の研究施設であれ、そういうところで積極的に取り組んでいくという段階です からあまり厳しくがんがら締めにすると、それこそ研究ができなくなるということになっ ては困ります。従って学会のガイドラインに準じてできる範囲であるならば、診療所であ っても、自分のところで使わなくても、他の施設へ提供されていいのではないかと思いま す。  大事なことは要件として、学会のガイドラインに則っていることだと思います。今回の 調査結果をみても、非常にバラエティに富んでいるというか、レベルがさまざまでありま して、おそらく今日ご出席の澤先生、大和先生あたりの施設では大学とはいえ、企業に準 じるような施設でやっているのではないかと思います。一方研究を始めた段階の施設では そうもいかないところがあると思いますが、学会のガイドラインに則って最低の要件をか なえられるのであれば、これは許していただきたいと思います。さらに具体的な考え方と してチームのことをお話しになりましたが、チームというのは加工施設と実際に使う施設 とでは研究者と医師同士の間でお互いに患者さんのことも情報を交換しながら、臨床応用 は本来できるはずはないだけに、あまり厳しい、行政でチェックなんていうことではなく て、学会のガイドラインに則った要件を満たしていれば、よしとする環境を整えていくこ とが現実的であると思います。これがその先の起業化に向かっていく一歩ではないかと思 います。 ○永井座長  まさに共同の診療というか、連携のあり方の問題にもかかわってくると思います。そち らの方に話を移したいと思います。 ○大和委員  木下先生のご意見、全く賛成なんですが、ある新しい技術があって、動物実験という か、前臨床レベルでは相当有効性が示唆されています。初めてファーストインマンでいき ますよというときに、この枠組みでいくかというと、やはりちょっと恐いですよねという 感じは皆さんお持ちだと思います。Aという医療機関とBという医療機関が共同でやりま すよという話をするときに、Aで移植すると考えたとき、Aの方で経験があるか。もしく はBの方で経験があるか。どちらかのパターンでないと、この枠組みはなかなかやりにく いのではないかなというのが正直現場の感覚なんですけれども、どちらも初めてで、しか し培養と移植がスプリットしているというのは現実にはちょっと……、ないとは決して言 いませんが難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○永井座長  ファーストインマンのは、まだ臨床研究の段階ですね。それは当面、同一医療機関の中 でということになると思います。それがもう少し一般化してきたときに診療としてどうす るかというところだと思うのですが。 ○大和委員  逆に言うとある程度いっているということは、AなりBなりで経験があって、それなり にプロミッシングな結果が出ている。その場合に例えば移植するAの方で経験があって、 しかしもっといい加工をしてくれる共同で診療してくれるBという病院が表れたので、そ ちらに動かしますよというのは、それほど抵抗がないと思うんです。  逆のパターンで自分のところでそれなりの成果が出ているので違うほかの病院にも出し ましょう、これはそんなに抵抗がないと思うんです。そうでないパターンでどっちもやっ たことがないのだけれども、Cという病院ですごくうまくやっているので真似しましょう というのはどうですかというとき、正直言うと、ちょっとそれはCの協力があればいいの ですが、Cの協力がなしでAとBだけでやるというのは何となくちょっと恐いかなという ふうな気がします。というのはノウハウの固まりになっていて、論文を読んだり、聞いた だけでは決して真似ができるようなものではないですし、書類1つつくるのでもどの適応 とか治療法においてもコモンになるようなシェアされる部分はいっぱいあるのですが、や はりどうしても細胞の種類であるとか、疾患の種類によって、かなり違ってしまうところ があるので、ほかの組織で経験があるからといって見よう見まねでCの真似ができるとも ちょっと思えないかなと思うんですが。 ○早川委員  結局、これは最後には、たびたび申しますが患者さんにとって、先端医療ではあるけれ どもなにがしかの恩恵を期待してやるということが大前提だと思うんです。それからもう 1つは流れ図で言えば、まず採取するという行為が必要なわけです、細胞を。それから加 工するという行為があって、それから最終的に患者さんに移植する。大きく分けるとこの 3つの行為があって、私はトータルとして目的を果たせれば、それはそれでいいのだろ う。1つ1つがどうだということにあまり拘泥しないで、少なくとも最後に目的を達すれ ば、それはいいのだろうと思うんです。  しかし、その最後に目的を達するためには、今、大和先生がおっしゃったように目的を 達せられるという状況がないと目的は達せられないわけであって、テクニカルな意味では そういうことだと思うんです。  それからもう1つは、この再生医療で未知、未経験のことを患者さんに施すということ において、それから最初の段階でヒトから細胞をいただくということにおいて、これはテ クニカルなこととはまた別に倫理上の最低限度のことはクリアしていかないといけないの だろうと思うんです。そのときに最初の機関で、そこが専門的にその治療をやっているか どうかは別にして、どこかで患者さんに対してきちっとなぜ細胞を採るのだ。どういう目 的で採るのだということに関しては、そこはきちっと説明できないといけない。これは移 植するときも当然そうなんですけど。移植するときに患者さんに対して、もし自己であれ ば同じ話になるんですが、少なくともそういう説明をするときに最初から最後までの一貫 した専門的なことを、それからプロセス的な、あるいはリスクのことを全部説明しなけれ ばならないだろうと思うんです。  そういうふうに考えれば、私の結論はトータルでよければよろしいという結論なんです が、トータルでいいと言ってもぷつぷつと切れてはトータルはあり得ないので、仮に最初 に採るところが、あるいは加工するところが別なところであってもいいんだけれども、先 ほどの3つのステップは完ぺきに連携してつながっていないといけないのだろうと。倫理 的にも技術的にも。 ○永井座長  そういう意味で共同の連携のあり方というところの要件が結構重要で、例えば倫理委員 会はどうするかとか、患者さんの適応をどうするかとか、情報共有をどうするか。そうい う要件が入ってくるだろうと思うのですが、その点についていかがでしょうか。例えば倫 理委員会は共同でやるべきであるとか、あるいはカンファレンスですね。診療のカンファ レンスを依頼機関と加工機関の両方で一緒に開くとか、いろいろな論点があると思いま す。  あるいはCという機関でうまくいっている技術をA、Bで実施する場合にはどうするか ですね。それも例えばCと連携しなさいというような要件は入ってくるかもしれません ね。全く初めてBがやる場合ですね。 ○森尾委員  今、Cが初めてAとBでやるということは、おそらく論文でアメリカの機関がやったこ とを日本で真似してやるという同じようなことではないかと思うんです。その場合、アメ リカの機関は一緒にやらないと思うんです。おそらくほとんどの倫理の審査委員会ではそ ういうプロトコルを出した場合には自分の施設で責任を持ってやりなさいという結論にな るのではないかと私は思うのです。 ○永井座長  それはCのみで行う場合ですよね。 ○森尾委員  CでやったものをA、Bでやるといった場合には、それはやはりAで自分たちが責任を 持ってやるべきだということになるのではないかと思うんです。 ○永井座長  今はそういうことですね。それは臨床研究に等しい。 ○森尾委員  AとBが一緒にやるということになった場合にはおそらくかなりの共同体制、先ほどお っしゃったように共通の倫理審査委員会を作るとか、そういう体制が必要になるのではな いか。 ○永井座長  私が言うのはCが日本の医療機関の場合です。 ○森尾委員  はい。でも、それは結局、アメリカでやっている場合と同じことですよね。日本でやっ ているかどうかという。 ○永井座長  でも、日本の場合には連携をとりやすいですね。 ○森尾委員  連携してしまえばいいかどうかということですか。 ○永井座長  ええ。とらないのであれば同一機関で、全く一からの臨床研究として行う。ただ、そう いう場合には同じ研究を繰り返して行うというのは考えがたいわけです。何かオリジナリ ティがそこに入っているはずです。そうすると、実施するとしたらAのみで行う。国内の Cという機関で行われて、一般的になったものを国内のA、Bが行うのであれば全くデッ ドコピーのような研究であり、そうであればCと連携すべきだと思うのですが。 ○森尾委員  Aが作るとすれば、Aが行う何か新しいものとかアドバンテージがあればAが行うとい うことになりますよね。 ○永井座長  委託せずにAのみでまず行うわけですね。 ○森尾委員  全く同じことを行うのであれば、Aと行う理由というのはないですね。 ○永井座長  例えばある地域でCが中心になって行っていることを別の地域で全く同じことを実施し たいと言って、Bと連携して行う場合というのはあり得ると思うんです。それはもう研究 ではなくて、ほとんど医療として広げたい、普及をしたいという目的だと思うのです。そ ういうときにはCと連携されたらよろしいのではないかと思いますが。 ○森尾委員  そのとおりですね。 ○永井座長  そういう倫理委員会とかケースカンファレンス、適応の決定、そういうときに依頼機関 と加工機関のコミュニケーションはある程度要件として求めてよいのではないかと思いま すが。 ○阿曽沼委員  資料2の中で今年度、議論しなければならない医療機関から医療機関の委託、来年度議 論しなければいけない医療機関から企業への委託、これを同時並行的に議論すると議論が 輻輳化するので、今年度はあまり企業への委託という観点の、つまり来年度の議論はしな いというのが委員会全体の1つの合意事項になっていると認識しておりますが、では医療 機関から医療機関に対して加工を委託するということと、企業に対して委託することのガ イドラインに大きな違いがもしある場合には、委託する側の医療機関からすれば大きな矛 盾を抱える事にもなりますので、委託相手先が企業であろうが、医療機関であろうが、先 ほど澤先生などがおっしゃった、ミニマムリクワイアメントといった考え方をここで議論 し整理しておく必要があるのではないかと考えます。  ところで事務局から配布された資料に書いてあるのですが、医療機関が企業に細胞培養 を委託する場合、それが反復継続して提供される可能性のある製品として流通する場合は 薬事法の枠内と書かれています。しかし自家細胞の場合は一身専属性が担保されており、 自分の細胞を自分に戻すというプロセスが反復継続して提供される可能性のある製品であ ると定義すべきかは非常に疑問です。細胞培養加工のプロセスの結果生成されたものが製 品と定義出来るのかも議論すべきです。資料2の来年度の議論は、これは薬事法の枠内と 整理されて書いてありますが、本来は薬事法でも医療法でもかまわないと思いますが、外 部に委託する場合に新たな枠組みを考えていく時に、その方向感をどう持つのかというこ とを来年度の議論もふまえて、今年度の議論の中できちんと整理すべきと考えます。そう しないと、対医療機関と対企業への委託に関してダブルスタンダードが出来てしまうとい うことにもなりかねません。 ○永井座長  もちろん共通の部分は同じ基準でいって、状況によっては違うところはあると思いま す。今年は共同の診療のところですね。ですから、診療となると適応の決定や倫理委員会 について論じないといけない問題が出てくると思います。 ○阿曽沼委員  医療法において、医療機関から医療機関に対して共同診療という枠組みを持つというこ とはいいわけですが、加工施設という意味で医療機関と企業とが存在するときに、企業だ からこうだ、医療機関だからこうだということでのダブルスタンダードがもしできてしま うと、これはまた大きないろいろな禍根を残す可能性もあるので、ここの部分はきちっと 議論をしておく必要があるのではないかと思います。 ○早川委員  それはダブルスタンダードということではきっとなくて、少なくともささやかな状態か ら非常に大きな状態に拡大していくという、そういうステージになっていくのだろうと思 います。とりあえず実験的・研究的にやるレベルで、しかし患者さんの身に立って最低限 度プロセスはここは守ってほしい。そうでないと製品として患者さんに投与できないとい う部分と、それを更に企業的に拡大していくという話のときに、先ほど申しましたように そこはそれだけのまた別の意味での上乗せの話が出てくるのだろう。  通底するものは、少なくともミニマムは同じであって、あとは次に治験あるいは薬事法 に移っていくときには、そのプラスαが上乗せされていって、大勢の人に安定供給でき る、たくさんの製品を供給できる。我々が狙っているというか、願っているのはこの再生 医療の、自己なら自己でもいいんですが、その技術の一般化、普及化ということである し、製品であれば、それがなるべく大勢の方々に渡るということで、その段階、段階で大 勢にディストリビューションされたときに、より厳密な意味で同じものがディストリビュ ーションされるというふうな上乗せの話が出てくると思うんです。だから、今年と来年あ るいはその議論自体は全くダブルスタンダードでは私はないと思います。 ○永井座長  ちょっとその点について、やはり医療技術というのはステージがあります。それから再 生医療を行っても効かない可能性は大いにあるわけです。そこを慎重に進めながら医療技 術としてしっかりしたものは薬事承認の下に企業が入って進めていけばよいわけです。そ れ以前のステージのものは実は山とあって、副作用だけ出て、効果がないということはあ り得るわけです。あるいは相当侵襲的なことを行いながら、実際は効果はなかったという こともあるわけなので、その段階のものをきちんと見極めていく。しかし、実際には患者 さんに使ってみないと分からないわけですので、そういうときの基準をどうしようかとい うことで、状況が相当ステージで違うということをまず認識しておく必要があると思いま す。 ○前川委員  これは米国のFDAが主張していることですが、フェーズI・GMPという考え方があ って、ステップ・ワイズ・アプローチ(step-wise approach)、要するに今、先生がおっし ゃったように100のプロジェクトがあって、うまくいくのが1つは2つぐらいしかない。 そういう段階でのレギュレーションと、それから一般的な治療法としてなった場合のレギ ュレーションとが同じレベルであっていいのかどうかということは良く考える必要があり ます。アメリカではフェーズI・GMPというステップ・ワイズ・アプローチですね。そ ういうふうな考え方をとっているわけです。これは私どもが以前にinstitutional GMP(iGMP)と呼んでいた考え方とほぼ同じコンセプトです。すなわち、このフェーズI、例 えば5人ぐらいの患者さんでやるというレベルと、それからこのオレンジのところはおそ らく何百人から何万人、もっと多い人数に多分対応するのだろうと思うのですが、その中 間的な例えばここを50人とか100人ぐらいのところは共同研究というか、幾つかの施設が 一緒になって行わないと、日本の場合(日本だけではありませんが)なかなか難しいだろ うと思います。日本のシステムでは今そうしなければ、必要な症例数も集まりませんし、 先ほど永井先生がおっしゃったように、いろいろなところと連携して同じカンファレンス をやるとか、そういうことを考えると、やはりある程度地理的に近くにある必要があるか と思います。いくらテレビ会議ができるとはいえ、顔を見て、一緒になってやる必要があ ると思います。具体的には、いくつかの大学で一緒にやりますというふうな申請を出し て、それで例えばその条件としては何か月に一遍ぐらいカンファレンスをやってください とか、そういうふうなこともある程度基準を決めておいた方がいいように私は思います。 ○永井座長  その辺の要件をどう書き出すかですね。 ○森尾委員  おそらく先ほどから出ている使用者側の、どういう方が認定されるかということが重要 なのかなと思うんです。細胞を投与された後、長い期間おそらく安全性、効果を見ていか なければいけない中で、そこがある程度しっかりした基準のある機関でなければそういう 共同体制は組みにくいのかなと思うんです。そういう枠組みを決めていく。それをどうい う基準にするかというのはすごく難しいかなと思うのですが、それが1つ重要ではないか と私は思います。  もう1点、今、前川委員から規模が大きくなってくるとだんだん企業が薬事法に近くな ってきて、ある程度製品化されてくるということになると、どこかのところでおそらく共 同研究ということが始まってくるんだと思うんです。企業の方が入ってきていただく。そ ういった場合にまで医療機関同士の連携というふうにしていただかないと、なかなか広が っていかないのではないか。企業の方に研究費を出していただく―実際、今回のアンケー トでも共同研究をしているというところはかなりの数ありましたが―、そういうところで も共同研究である、共同診療であるという形にできればな、と私は思います。 ○永井座長  企業が入った形での共同診療は治験ではないですか。 ○森尾委員  治験に行く前にいわゆる共同研究でいろいろなことを共同開発しましょうと言った場合 に、それが治験になる場合とならない場合があるのではないかと思います。 ○阿曽沼委員  すごく単純化して考えてみる場合、皆様からは全く議論の土俵が違うぞと言ってお叱り を受けるかもしれませんが、再生医療の場合1つの医療機関の中で医工連携が自己完結型 にすべて完ぺきに行うことは、人材の確保や財政的な困難を伴い、現実的には難しいと考 えます。再生医療の健全な普及を考えると、今後医療機関が外部に委託するということは 多くなると予想されます。その場合医療機関と医療機関の間でチーム医療を行うの場合も あれば、医療機関が専門の企業に委託するということがあるわけです。現状でも例えば医 療機関が検体検査を企業の検査センターに委託する、もしくは画像の診断を委託するとい ったことは普通にあります。その場合、委託先企業と合同カンファレンスをしているの か、それは共同診療という枠組みで診療情報まで全て企業と共有するのかどうかというこ とも本来は議論すべきなのかもしれません。現在ではそんな事はしていませんが、再生・ 細胞医療の議論の場合、今までの規制概念の中で議論するのではなくて、新たな枠組みを 議論しておくということが必要です。1つ1つの用語というものについても定義をしてお くべきです。それは再生医療学会などでガイドラインを作って頂く時にきちんとした定義 をするということも必要なのではないかと思います。 ○永井座長  いかがでしょうか。 ○澤委員  全体に先生方がおっしゃっている方向性は、やはりきっちりとしたガイドラインという か、基準を作って、きっちりそれを順守する中では小さなクリニックだとか、企業だと か、最終的に当然薬事法の範囲になるものと医療法の中でやるものとで違うとは思うんで すが、細胞を培養する過程においてはそこはもうある程度施設の基準とか、どうやってい るか。それから先ほど来のコミュニケーションですね。魂の入ったプロトコルで、しっか り診療をやっている中ではそういう企業の参加も含めてしっかりしたガイドラインに則っ てやっているということが最も重要だという全体のご意見ではないかなというふうに私は 思ったんですが。  そういう意味でも今日の議論というのは非常に重要で、再生医療学会で考えていた中で 今日のような話はぜひ取り入れさせていただいて、特にチェックとか、そういう学会内で のチェック、自浄作用的なものも含めて、ぜひ検討していきたいなというふうに考える次 第でございます。 ○永井座長  まだあまり話が出ませんでしたが、品質管理や事故防止ですね。汚染の可能性もありま す。取り間違え防止などの管理の問題もありますので、その辺は事務局でも少し議論を整 理して、次回いろいろな考え方を提示していただければと思います。最後に学会の役割で すが、どういう学会がそれを責任を持って行うのか。研修についてもお考えをお聞かせい ただきますでしょうか。 ○澤委員  私たち再生医療学会はこういう施設の基準ですとか、培養技術の技術者自身の基準と か、これは最終的に決定しませんが、その認定というものも非常に重要なのではないかと いうふうに考えています。ぜひこういうガイドラインを作って、そのガイドラインは当然 学会が独り歩きするのではなくて、行政の方と一体化した形で行政の方がやる先ほどの内 容の検討と我々がやる内容の検討というものが一体化した形でやるべきというふうな議論 をしています。ただ、再生医療学会だけではもちろんないかと思いますので、その他の関 連学会とももちろん連携する必要は非常に重要だろう。先ほど前川先生がおっしゃったよ うな造血細胞学会とか、そのあたりは実は非常に進んでおられるというふうにも認識して おりますが、血液以外の細胞全体オーバーオールの話ということからフィールド的には我 々再生医療学会というのはそれをカバーしているのかなという認識では我々はいるんです が。 ○永井座長  ただ細胞の専門家がいても、臓器や治療の評価になると分からないはずです。倫理の方 も必要です。ですから、これは相当総合的に意見を交わせる場を設定しないと、場合によ ってはバイアスがかかる可能性がありますので、その辺の枠組みも今後さらにご検討いた だければと思います。 ○澤委員  それにつきましては、モニタリングが非常に重要だろう。それからあと、治療を行った 後のデータベースも含めた評価、それは再生医療学会といえどもいろいろな領域のフィー ルドがございますので、それぞれの領域の、ある程度領域、領域に分けた評価というのも 重要だろうなというふうに。そうやってデータベースも作っていって、EBMに基づいた 正しい再生医療が普及されるのを望んでいるという状況でございます。 ○永井座長  再生医療というのはあくまでも手段ですので、大事なのはそれぞれの臓器なり個体、す なわちヒトをいかに健康に戻すかということです。 ○木下委員  学会の役割ということはとても大事だろうと思いますが、これはサイエンティフィック ベーシスにセルプロセシング、加工の条件に関しては基本原則は学会で作っていただき、 施設はその基本を守るとすべきです。先ほど大和先生がご心配になった、全く経験のない 施設同士が、セルプロセシングを行うことは学会のガイドラインとして認めないというこ とにすればよいわけです。つまり、もしほかの施設に細胞加工をお願いするとした場合に は、自分たちの施設では、ほかの組織あるいは細胞を調製しているので、新たに目的とし た細胞に関しては得意にしている施設にお願いしたいということはあり得るだろうと思い ます。そういうレベルを想定していたので、全く未経験のものというのは倫理的に認める わけにいかないと思います。そのときに先ほど先生はチームの話をされましたが、実際に 患者に返す段階では倫理委員会の承認は必要だろうと思います。例えば細胞は別の施設で 調製をお願いするとしたときに、当然、そこの施設の倫理委員会で検討していただく内容 としてはその施設で大丈夫かということも当然入るはずでありますので、基準に則ってい ない施設であるならば、それは跳ねられると思います。それぞれの施設でそれに学会のガ イドラインに準ずるということを大前提とする限りにおいては、他施設との共同研究は問 題ないと思います。  したがって倫理委員会は、先生が云われた調製した組織を患者に返すという段階で、患 者さんへの影響も含めて、学会のプロトコルに則っていれば問題ないはずですから、倫理 委員会は安全弁になると思います。従って、倫理委員会のあり方もぜひご検討願いたいと 思います。 ○永井座長  あとは評価だと思います。既存の治療法の何と比較するかをきちっと決めておかないと いけないわけです。既存の治療法との比較の中での問題点の洗い出しなどは、かなりいろ いろな立場の方が入らないと思い込みが強すぎてしまう場合があるのではないかと思いま す。 ○伊藤委員  大変難しい議論が続いているので、私は全く分からないでいるので、本当に失礼かなと は思っているんですが、患者の側としての1つの懸念ですが、共同研究ということでここ では議論を進められていると思うんですが、そこでのいろいろな問題があるのでしょう が、私の体験では同一医療機関だったらそういう問題は起きないのかということを考える と、同一医療機関内だけで完結することの方が少し懸念する材料がありそうな感じがして いて、ちょっとお話を伺ったのです。大変失礼かもしれないけれども、そこのところがよ く分からないということだけでも、意見だけ述べておきたいと思います。 ○永井座長  同一機関でも起こるときは起こるわけですが、違う機関で行う場合にはまた独自の問題 も起こり得る。そこをどうするかということなのだと思いますが。 ○阿曽沼委員  永井座長がおっしゃったように、いわゆる既存の治療法と新しい治療法をどういうふう に評価するかとか、倫理委員会の問題、これも大事であります。それから各学会がいろい ろ関与するということは非常に重要でありますが、一方で忘れてならないのは再生・細胞 医療というものを健全に普及・発展をさせていくという視点であります。そういう意味で いろいろなステークホルダーが入って議論していき、その議論が良い方向にいけばいいわ けでありますが、その議論の過程で素早く身近な医療にすることや国際的にもリードする などの新たな発展を阻害するような規制や規則が作られ、現場の医療者や患者さんに多く の負担を強いてきた失敗を今まで多くしてきた部分があるわけであります。そういったこ とのないように十分にバランスをとりながら議論をしていただくのがいいのではないかと いうふうに思っております。 ○森尾委員  ちょっと議論からそれるかもしれません。学会の関与の仕方ということですが、私は教 育という点でぜひ学会が中心になっていただきたいなと思っております。今、前川先生の ところでは先端医療センター等で幾つかのセミナーをやっていらっしゃるということは存 じ上げております。全国的に人材の育成ということが非常に重要だと思いますので、ぜひ 教育というところで部会なりスキームを立ち上げていただければと考えております。 ○澤委員  参考になる学会としては、日本人工臓器学会は体外循環技術士の認定というものをやっ ております。体外循環技術士の体外循環技術に関するセミナーというのをやって、かつ毎 年、技術士を認定しています。これはまだ国家資格ではないのですが、それは1つの基準 として、こういう人がカイシン術を行う体外循環を使った手術を行う施設基準になりつつ ある。  もう1つは、人工心臓の施設も認定と同時に人工心臓技術士の認定というのも、これは 学会が幾つか集まって機構というのを作る。学会機構というのを作って、そこで行ってい ます。ですから、そういう意味でも森尾先生がおっしゃったのは非常に重要で、教育、そ れから技術士自身のクオリティ・コントロールですね。これはやはり学会の役割かなとい うふうには思っていて、それはやはり同じ施設の基準と同時にやっていきたいというか、 やっていくべきというふうに考えております。 ○永井座長  よろしいでしょうか。では最後に。 ○片倉委員  私の方からも学会への要望ということで、先ほど澤委員からデータベースというお話が あったと思います。再生の場合、まだ製品1つという状況の中で新しい治療として、特に こういう移植治療になりますから、かなりのフォローアップをしていかなければいけな い。それは多分、臨床研究でかなり進んでいる対象もあると思うので。ただ、そこら辺の まとまったデータと言いますか、そこら辺がほとんど一般の国民の方には開示されていな いというのが現状だと思いますので、そこら辺も含めて将来医療としての再生医療につな がるようなデータベースをぜひともまとめて開示していただければと思います。以上で す。 ○永井座長  まだご意見はあるかもしれませんが、次回までに事務局から今日の意見をまとめていた だいて、取りまとめの方向の資料を出していただくということで、更に次回もご議論いた だければというふうに思います。  予定の議題は以上でございますが、何かございますか。  では、次回の日程について事務局からご説明をお願いします。 ○木下経済課長  本日は活発なご意見をありがとうございました。次回の日程は現在、調整しております が、10月ぐらいを目処に今調整を進めておりますので、詳細が決まり次第ご連絡をさせて いただきます。 ○永井座長  それでは、本日の委員会をこれで終了させていただきます。どうもありがとうございま した。 (照会先)医政局経済課     課長補佐 岸本(内線2524) 医薬食品局審査管理課 課長補佐 中山(内線2745) (了)