09/08/17 第40回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録       第40回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会          日時 平成21年8月17日(月)       15:00〜       場所 厚生労働省職業安定局第1会議室14階 ○大橋部会長 定刻になりましたので、ただいまから第40回労働政策審議会職業安定分科 会雇用対策基本問題部会を開催いたします。議事に先立ちまして、当部会に所属されます委 員の交代がございましたのでご報告申し上げます。労働者代表委員、原委員に代わりまして、 情報産業労働組合連合会政策局長、杉山委員です。使用者代表委員、木本委員に代わりまし て、社団法人日本建設業団体連合会常務理事、福田委員です。  次に、本日の委員の出欠状況を報告させていただきます。公益代表の白木委員、公益代表 の宮本委員、公益代表の森戸委員です。次に、労働者代表の古市委員、使用者代表の荻野委 員です。審議に先立ちまして、森山職業安定局長よりご挨拶をお願いいたします。 ○森山職業安定局長 ただいまご紹介に与りました森山でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。一言だけご挨拶をさせていただきたいと思います。  皆様方におかれましては、日頃から私ども職業安定行政に御指導、御鞭撻を賜っておりま す。厚く御礼を申し上げるところです。また、本日は大変お忙しいところ御参集いただきま して、重ねて御礼を申し上げます。  後ほど説明させていただきますが、本日は介護労働者の雇用管理改善計画の改正について ご審議を賜るわけですが、最近の介護労働を取り巻く状況を拝見させていただきますと、介 護サービスのニーズが増大する中で、介護労働者を安定的に確保していくことが、一層求め られているわけです。その一方、現状におきましては、介護労働者の賃金や介護業務に対す る社会的評価が低い、あるいはキャリアアップの仕組みが構築されていない等々の多岐にわ たる問題を背景としまして、介護関係職種の離職率は18.7%、人手不足の介護事業所は63% で、最近はやや緩和されてきているものの、依然として介護人材の確保は厳しいという事業 主が少なくないわけです。また、近年の介護サービス分野におけるこうした状況を踏まえま して、平成20年5月には、議員立法で「介護従事者の人材確保のための介護従事者等の処 遇改善に関する法律」が制定されました。これは、皆様方、既にご案内のとおりですが、こ のような状況を踏まえまして、各種の介護関係対策が平成20年度の補正予算、本年度の本 予算、また補正予算等々で拡充されてきており、順次実施されてきているところです。  今後におきましては、本日、まさにご審議いただきます事業主と関係者による介護労働者 の雇用管理改善の取組みのための新たな計画を定めることにより、一連の政策のより効率的 な、効果的な実施を促進することが不可欠であると考えているところです。この内容につき ましては、後ほどご説明させていただきます。  公労使の皆様方には、十分なご審議を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではござ いますが、冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○大橋部会長 それでは議事に入ります。本日の議題は、「介護雇用管理改善等計画の改正 について」です。前回2月23日の当部会におきまして、介護雇用管理改善等計画の改正に 向けて、今後、議論をしていく必要性について、ご了承をいただいておりました。本日、厚 生労働大臣より「介護雇用管理改善等計画の改正案」について諮問がなされていますので、 事務局からご説明の後、ご議論いただきたいと思います。なお、本件につきましては、職業 安定分科会の運営規定により、当部会の専決事項となっております。それでは、事務局より ご説明をお願いいたします。 ○志村介護労働対策室長 介護労働対策室の志村でございます。皆様方のお手元に何種類か 資料がございます。資料1、「介護雇用管理改善等計画の改正案について(諮問)」というも のがあります。これは現行計画をこのように改めるというような資料の内容ですので、現行 計画をどのように改めるかということの説明を主にさせていただきたいと思います。それが 資料2の関係です。3種類あります。  資料2-1が介護雇用管理改善等計画の改正について(概要)ということです。今回の計画 はどのようなことを主な改善ポイントとしているのかというカラーのA4の紙が2枚ありま す。これが資料2-1です。順を追って説明いたしますと、資料2-2のところに介護雇用管理 改善等計画の一部を改正する告示新旧対照表というものがあります。A4で12枚ほどあり ます。もう1つ、資料3ということで、一部はカラーの統計資料があります。資料2-3につ きましては、基本的には、本日、説明は割愛させていただきます。ご参照いただきますのは、 最後の16頁のところの雇用管理改善計画の目標関連資料のところで一部言及させていただ きたいと思います。  資料2-2、介護雇用管理改善等計画の一部を改正する告示の新旧対照ということで、まず カラーの資料の鳥瞰図のところでいきますと、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律 の第6条におきまして「厚生労働大臣が介護労働者の福祉増進を図るため、介護労働者の雇 用管理の改善、能力の開発及び向上等に関し、重要な事項を定めた計画を策定する」と規定 されていることに基づく計画です。本年度からの介護報酬の改定等、介護労働に関する新た な動きを取り入れまして、国、事業主等、関係者による介護労働者の雇用管理改善の取組み の新たな指針たるものとすることを目的としております。カラーの資料ですが、主な改定の 内容としまして、計画自体が「第1 計画の基本的な考え方」「第2 介護労働者の雇用の 動向」「第3 計画の目標」、次の頁ですが、「第4 施策の基本となるべき事項」「第5 そ の他」と構成されております。これが大体、介護労働者法が要請している計画の内容です。 それでは、現行の計画案と照らし合わせながら、今回、どのような改正を行いたいかという ようなことの説明をさせていただきたいと思います。  新旧の1頁、「計画策定の目的」というところです。計画策定の目的の部分に関しまして は、新旧の最初のところです。この計画の間、経済情勢が非常に厳しくなっており、その中 で介護分野が新たな雇用機会として期待されるというようなこと、そういった中では未経験 者等に対しても一定の職業訓練を効果的に実施して人材のマッチングを強力にやっていく 必要がある、といった改正内容が1頁目の真ん中にあります。1頁目に関しましては、こう いったことを改定内容としております。  2頁目をご覧いただきたいと思います。こういった内容の中で、介護労働の中でマッチン グ等をやっていかなくてはいけないという中にも、介護労働者に関しましては、皆様方にも ご案内のとおり、処遇改善ということが注視されております。といったようなこともありま して、2頁目の最初のほうの改定のポイント、第2パラグラフのところですが、平成21年 度の介護報酬改定、あるいは平成21年度の補正予算における従事者の処遇改善に対する資 金の交付を3年間行うというようなことについても、計画の基本的な考え方で位置づけてお ります。計画の第1の基本的な考え方については、大体こういったことを改定のポイントと しております。  あと、2頁目の下のほうに「計画の期間」を明示しております。現行計画は、平成17年 度から平成21年度までの5年間という計画です。これにつきましては、平成21年度まで のところを前倒しということです。8月21日と明記しておりますが、これは目安ですが、 平成25年度まで、これも大体このような労働者の関係の計画、5年程度の中期計画という のが通常ですので、今回も、平成25年度までの5年間の計画としたいと考えております。  3頁目をお開きいただきたいと思います。第2の「介護労働者の雇用の動向」です。これ につきましては、1の「介護労働者の需要の見通し」と「介護労働者の供給の見通し」から 構成されています。介護労働者の需要の見通しが高齢者に対する介護需要、障害者に対する 介護需要と、それぞれ分けて記載しております。これは、基本的には現行法の枠組みとあま り変えておりません。この間の雇用等の統計データの更新、あるいは新たな推計等のやり直 しによって数値を差し替えていっているというような程度です。3頁目の(2)の「障害者に 対する介護需要」に関しましても、この間、障害者自立支援法等も制定されていますので、 そういったものを念頭に置いた記述文にしております。これが3頁目の改正の内容で、4頁 目にも続いています。  4頁目の真ん中、「介護労働者の供給の見通し」ということです。これにつきましても、 介護福祉士の供給の状況等も、最新の状況を踏まえて数字をリバイズしていっているという ようなことです。4頁目の下のほう、今回の計画の主な改定のポイントですが、「計画の目 標」といったところです。計画の目標に関しましては、4頁目と5頁目と6頁目にかけてご ざいます。  ここで、資料2-3のいちばん最後の16頁目をお開きいただき、これは計画の目標との関 係で数値を列記しておりますので、そちらと併せて見ていただければと思います。計画の目 標につきましては、新旧を見ていただきますと、現行の計画は介護労働者の離職率について、 それから介護労働者の教育・研修の実施率について、それから介護労働者の仕事の満足度に ついてということで、シンプルな3本の構成です。これに関しましては、そもそもの介護労 働者の雇用管理改善というものを定性的な目標から定量的な目標と組み合わせて、現行の介 護労働関係の統計で追える有効な目標を立てようというような検討をいたしました。  4頁目から5頁目にかけまして、(1)のところで「雇用管理体制の整備」ということで、 適切な雇用管理ということで、労働関係法令の遵守を始めとした適切な雇用管理がなされる ように、事業主が、施設長の責任者がというような主体の明示、特により具体的に書いてい るということです。あと、労働保険とか社会保険の加入ということも特出しして、労働関係 法令の周知・徹底と書いております。具体的な定量目標としては、雇用管理責任者の選任事 業所は50%を上回ることとすることです。これは、16頁のこちらの目標の資料に選任状況 が出ています。あまり企業規模間で差が、企業規模が大きいと、その選任している状況がわ りとあるのですが、全体として50%程度を目指すということで考えております。  (2)定着促進ということですが、実質的な内容は現在もあります離職率と同じです。この 間、離職率について結果が出ています。離職率の推移を見ていただきますと、介護職全体と いうところで、平成20年度で18.7という数字があります。20%下回る目標ということで あれば、達成している感もありますが、継続的にこの目標を追うことができるかどうかとい うことは、まだ不確定なところもあります。ですから、こういったようなことで、継続的に 20%を下回るものとするというような目標を替えて入れております。  (3)のところは全く新しいことです。定量的な目標というものはなかなか難しいのですが、 処遇改善が問題になっていく中で介護労働者自体の職場内でのキャリア管理をはっきりさ せていくというようなことで、キャリア管理の推進ということを入れております。  (4)の仕事の満足度については、整理の関係で従前にも同様のところが入っているという ことです。  5頁目の下の介護労働者の能力開発に関連しましては、現在の計画自体が教育・研修、正 規、非正規であまり差がないことにしようというようなことでしたが、やはりもう少し能力 開発、どういった局面で必要になるか、介護労働者の経験年数に応じて、また、6頁にかけ てですが、介護保険制度等の制度変更、新技術の導入に際して能力開発が求められるという ことを明らかにしながら意識的な能力開発を推進する。意識的な能力開発を推進するという ことをどうやって裏打ちしていくかということですが、教育・研修計画を立てていくという ことです。これも、統計資料の16頁を見ていただきますと、教育・研修計画を立てている 事業所は、雇用管理者の選任に比べますと、企業規模において非常にばらつきが見られます。 そういったこともありまして、これを全体で60%にするということを目指すというような 形で目標を改定していったらどうであろうかというようなことです。  6頁目の第4のところです。介護労働者の雇用管理の改善、能力開発について、施策の基 本となるべき事項です。これは、非常に簡単に申し上げれば、いま介護労働の分野で行政が 予算措置を講じている施策について着実に書いていくというようなことです。6頁目の下の ところで、今回改定していっているところは、従来、介護労働者の健康確保措置というよう なことであっさりとした書き方でしたが、いま介護職場で問題になっている腰痛対策、ある いは感染症対策、あるいはメンタルヘルス等につきまして記述振りを充実させていく、とい うことが6頁目の改定です。  7頁目をお開きいただきますと、ここで1カ所、いちばん上のところに深夜業に従事する 女性労働者の指針があります。これは従前から定められていたわけですが、やはり介護労働 者の職場環境、特に女性労働者を中心として、夜、何があるか不安であるというような声も いろいろ聞かれますし、そういったことに対して事業主が認識していただきたいというよう なことで、1つ新たに入れているというところです。  7頁目の真ん中の(1)の[2]です。比較いたしますと、特に感染症対策につきまして、職員 のみならず利用者に対する予防対策が重要である、高齢者に対する罹患防止という観点から も、各施設、運用基準というものを定めておりますので、これについて注記しているという ことです。  8頁目にまいりますと、8頁目の関係は、特にこの間の予算の変化と言いますか、平成21 年度は、平成21年度の通常予算、あるいは平成20年度の補正予算からですが、介護労働 者の雇用管理改善に係る助成金等新しいものもメニューとして入っています。最初のほうに は基盤人材の雇入助成とかが[1]です。[2]では未経験者の雇入助成、[3]では機器助成というこ とで、移動用リフト等で、やはり介護従事者の負担軽減というもので魅力職場をつくってい く観点からの助成。[4]が個々の事業主が雇用管理改善をしていったその導入に対しての助成、 [5]につきましては、介護関係事業主団体等に対して委託として事業を実施しているような、 こういった予算措置につきまして改めてということ、さらにそこの改善を周知していくとい う観点から記載していっております。  8頁目の2、介護労働者の能力の開発及び向上ということです。介護労働者の能力開発に つきましては量的に充実させていかなくてはいけないということもありますので、この間、 画期的に新しい事項が付記されているというわけではありませんが、9頁目の(3)でジョブ・ カード制度等もスタートしております。こういったことにつきまして、介護労働に関しても 位置づけているということです。  9頁目の第5のところです。これにつきましては、各般の連携とか雇用管理改善に直接関 係は薄いのですが、やはり重要な事項について、第5について記載しております。  10頁目の最初の「介護分野における労働力需給調整機能の整備」ということです。いわ ゆる労働力の需給調整の整備につきましては、平成の1桁代の最初から福祉重点ハローワー クということで専門の人員等も各県に1人ずつ要求してやっていたところですが、平成21 年度の新施策として、福祉人材コーナーというものをスタートさせております。ここでやっ ているきめ細かな職業相談ですとか、あるいは求人者に対して就職につながるような求人条 件にするような指導をするとか、あるいは普及・啓発セミナー、あるいは見学会をやってい くとか、そういった内容で記述を充実させていっております。  あと、ハローワークの関係もありますが、都道府県の社会福祉協議会等が無料の職業紹介 事業の許可を得て実施しております福祉人材センター事業というのもあります。そういった ことの位置づけも、ハローワークと福祉人材センターの連携を促す観点から位置づけを充実 させております。  11頁目にかけては、介護分野への学卒就職者等、若年者の理解促進ということを新たに 項目を立てて記載させていただいております。専門の養成施設に関しましては定員割れです とか、あるいは、専門の施設ではないのですが、高等学校の普通科において、なかなか介護 分野への就職は勧められないなど、懸念の事態が生じています。そういったことについて、 進路選択期あるいは就職期で、まさに安定所、あるいは福祉人材センターが連携しながら若 年者に対する働きかけをしっかりやっていくというようなことを、新たな項を設けさせてい ただいております。3番目と4番目、介護労働者の福祉の増進、関係機関の連携については、 基本的には同様です。  11頁目の5、これは新規に入ったところです。給与等につきましては、まさに介護労働 者の雇用管理、その中でもやはり処遇が重視されるという中で、この計画におきましても、 現在の施策動向も踏まえながらいわゆる介護労働者の給与についてのできる限りの位置づ けを明らかにしていく、というのがこの文章です。給与等につきましては、基本的には事業 者と介護労働者等の間、労使間で決められるものです。しかし、11頁目から12頁目にかけ てですが、「人材確保やキャリア形成の視点といった観点に立ち、介護労働者等の従業者の 給与について、キャリアと能力に見合う給与体系の構築を図るとともに、他の分野における 労働者の給与水準、地域の給与水準等を踏まえ、適切な給与水準を確保していく視点が重要 である」ということです。併せて、個々の介護事業所の中での処遇の実態といったようなも のについてできる限り明らかにして、処遇改善に取り組んでいただきたいというようなこと を位置づけて書いております。  12頁目の6は、経済連携協定ということで、EPAに基づきまして外国人介護福祉士候補 者が受け入れられていますが、それにつきましても同様の雇用管理が求められるということ を簡潔に記載しております。  最後に、その他のところです。介護についての国民全体の認識を普及・啓発していくとい う観点から、11月11日、介護の日が設けられています。こういったことについても、その 他に位置づけております。今回改定しようといたします介護雇用管理改善等計画についての 内容の説明については以上です。 ○大橋部会長 本件につきましてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○久保委員 内容と言いますか、改正案の中で教えていただきたいところがあるのですが、 現状がわかればということで。5頁の(2)の定着促進のところで離職率のところが触れられ ていますが、その3行目辺りに「介護サービス別、就業形態別の離職率の要因等を分析する こと等により」と書いてあるのです。現状、やはり介護サービス別とか就業形態別の離職率 というのは違いがあるのかということと、考えられる要因がもしわかれば、教えていただけ ればと思います。 ○志村介護労働対策室長 離職率に関しましては、全体が18.7%ということです。就業形 態別の状況としましては、例えば正社員、非正社員で見ますと、正社員が18.5%、非正社 員が18.9%となっております。職種別の状況ということで、訪問介護といわゆる施設の職 員、大きく分けて2つあるわけです。訪問介護員につきましては、13.9%、介護職員につき ましては、施設ですが、21.9%というのが最新のデータです。 ○久保委員 いまの説明だと、就業形態別の正社員か非正社員かということですね。 ○志村介護労働対策室長 そうです。 ○久保委員 いまのお話だと、データとしては介護サービス別の訪問介護と施設でかなり離 職率の差があるように見受けられるので、その辺りも分析していただければと思います。 ○志村介護労働対策室長 はい。 ○大橋部会長 ほかにいかがでしょうか。訪問介護は非正規社員の方がほとんどですよね。 ○志村介護労働対策室長 そうですね。 ○大橋部会長 施設のほうはどうなのですか。 ○志村介護労働対策室長 資料2-3の3頁目の労働者の属性といったようなところですが、 訪問系の事業所では非正社員の労働者が多いというようなことです。 ○大橋部会長 ということは、正社員でも結構離職されているということですね。 ○志村介護労働対策室長 はい。離職につきましても、結構二極化しているというか、雇用 管理改善の非常によい事業所は定着もいいのですが。8頁目のところも1つの資料なのです が、結構離職率が高い所とそうでもない所があり、おしなべて高いかと言うと、そういうわ けでもなくて。やはりこれは、ちょっとその取組みの差異が現れているのではないかという ことで考えているのですが。 ○杉山委員 よろしいですか。 ○大橋部会長 はい、どうぞ。 ○杉山委員 質問を1つさせていただきたいのです。これは、介護労働の現状についての資 料の14頁に、運営上の問題点ということで出されています。おわかりでしたら是非教えて ほしいのですが、そのいちばん上のところに、「今の介護報酬では十分な賃金を支払うこと ができない」ということで比率が出ています。訪問系、施設系とそれぞれあるのですが、こ れは、「払うことができない」が68か77なのですが、逆に、それぞれ3割から2割は払う ことができているという所が存在しているわけで、その払うことができている所とここに挙 げた68、77と答えた所の大きな違い、特徴的な違いというのは何かあるのでしょうか。も しおわかりでしたら教えていただきたいのですが。 ○志村介護労働対策室長 基本的には、調査の構造としては、こういった選択肢を示して聞 いていた回答結果ということですが、個々の事業主を局とかそういったところを通じてヒア リングとかをいろいろやったり、モデルを作ったりする事業とかもやっていく中では、経営 の問題でしょうが、実際にほかのところに、賃金のところに回すことができないという場合 もあるでしょう。まさにモデル賃金ではないですが、まだそういうキャリアパスとか、どこ が適正なキャリアの階段かというところもまたあるのですが、それは、能力に見合った給料 を払うための賃金体系とかそういったものがまだ整備されていないが故にうまくいかない とか、そういういろいろな要因があると考えられます。ただ、何が何割でそういうことにな っているというような分析までは進んでいないというのが現状です。 ○杉山委員 この調査自体は何年に1回ぐらいやっているのですか。 ○志村介護労働対策室長 これは、毎年実施しているものです。本年も、7月31日に介護 労働安定センターから記者発表させていただいております。 ○大橋部会長 ほかにご意見はありますか。 ○月野委員 資料2-3の3頁の労働者の属性のところに労働者の平均勤続年数、平均年齢、 平均賃金についての表があります。男女差ですが、平均年齢も勤続年数も概ね女性のほうが 高かったり長かったりするわけですが、決まって支給する現金給与額は女性のほうが低いと、 介護の現場でキャリアや経験がその給与に反映していないという数値ではないかと思うの ですが、この辺の分析はどのようにできるのでしょうか。ほかの要因があるのでしょうか。 ○志村介護労働対策室長 ここの分析が。 ○月野委員 つまり、雇用管理の問題以外に、税制の問題とか配偶者間の扶養の範囲内で働 きたいというような要因が働いてこういう結果になっているのか、この賃金の差というのは どのように見たらいいのか、受け取る額の違いというのはどのように見たらいいのか。 ○志村介護労働対策室長 まさに月野委員がおっしゃっているように、いわゆる労働者が意 識した、もしかしたらそれは女性というほうに特徴が見られるのかもしれませんが、そのよ うな選択のところで実際に賃金の水準自体が低く出ているということもあるのかなとは思 いますが、やはり全体に、勤続年数ですとか、それ以外の要素を除いたとしても、どちらか と言うと、賃金の支払原資を高くは回しにくいという状況がやはり複合しているのかなとは 思っております。 ○月野委員 勤続年数というのは同一の事業所に続けて勤続したという。 ○志村介護労働対策室長 そのとおりです。 ○月野委員 では、別の事業所に移ると、また勤続年数はゼロからに。 ○志村介護労働対策室長 そうです、いわゆる介護業界20年とか、そういうことではなく て、A、B、Cと渡り歩いたので、そのAの事業所ということで回答をいただいております。 ○月野委員 それでも、年齢が上でも勤続年数が長くても、やはり女性のほうが支給される 現金給与額は低いわけですよね。その辺は今度の改善計画の中で何か活かされる、改善され るような方向で何か盛り込まれている点というのは、すみません、計画を詳らかに読んでい ないのでわからないのですが。 ○志村介護労働対策室長 それは主には、新旧で言えば、目標のところに関連しまして5 頁目の (3)のキャリア管理の推進というところで、「個々の事業所に応じて、就労ニーズに 対応した多様なキャリアパス構築のために評価基準を策定し、人事諸制度との関連づけを行 い、労働者の配置・処遇に結びつけることを促進する」というのは一応、全く新規に入れて おります。やはりキャリアパスというようなことは時代の流行語みたいなところがあります。 ただ、これをどうやって個々の、特に介護分野の事業主指導につなげていくかというところ を、いまのところはこういったようなことで規定させていただきたいと考えています。 ○月野委員 ありがとうございました。 ○大橋部会長 男女の差というのは、例えば職業病として腰痛が非常に多いのですよね。 ○志村介護労働対策室長 はい。 ○大橋部会長 腰痛などが出てくるということは、やはり重い物の移動とか、そういう点で は男女で差があるとか、あるいは深夜業ですよね。やはり深夜では男性が多く働いていると か、という仕事の内容が違うということで。単純に男女だけで違うということになると問題 がありそうですので、やはり仕事が結構違うのではないかと思うのですが、その辺はデータ には出ていませんね。 ○志村介護労働対策室長 女性労働者でも、その辺の夜勤の話とか、そういったものを比較 しても、差異が出ているとも出ていないとも言えないですが。ただ、基本的には、賃金の差 というのは、まさに部会長がおっしゃっているような要素で色濃く出てくるものではあると 思います。 ○大橋部会長 その他、ご意見はありますか。 ○長谷川委員 意見なのですが。今回の改正案の中では、前回よりはいろいろな所で書き込 んであるので、そういう意味では、この告示を活用しながら介護労働者の雇用の安定や労働 条件の改善を図っていただきたいと思います。重要なのは、今回のこの案の中にも、5頁で 「介護サービス別、就業形態別の離職率の要因等を分析すること等により」となっています ので、なぜ定着しないのかということについて、もう少し分析をしっかりさせながら定着さ せることが必要なのではないかと。  私の周辺に施設介護をやっている方とかヘルパーをやっている方がいらっしゃるのです が、3年とか5年ぐらいで辞めていて、福祉系の大学を卒業してきた人でも5年ぐらいで辞 めて、辞めたあと1年ぐらい海外に行って戻ってきたりとか。何かそういうのが意外と介護 労働者の特徴であるのですが、そのようにさせている要因は何なのか、そういう分析をきち んとやって定着させるということが必要だと思いますので、是非、ここは努力してほしいと 思います。  7頁の[3]の中で、事例を集めてモデルの更新を図るということなので、是非、これをきち んとやってほしいと思うのです。何で社会全体で定着しないのか、何で処遇が低いのか、そ ういうことをみんなできちんと捉えて、よくなっているところなどの事例をいっぱい出しな がら、どうしてその事業所はうまくいっているのかと、そのようなことを普及させることが 必要なのです。介護労働者の話をすると、賃金が低い、労働条件が悪い、定着率が悪いと、 悪い話ばかりなので、事例をいっぱい拾ってきて、うまくいっているところを広げるという ことが必要なのではないかと思います。  もう1つは、介護の、訪問も施設もそうなのですが、事業として成り立っていくという、 そういうモデルをきちんと示すことも必要なのです。いつも、駄目、駄目、駄目、ない、な い、ないだけではなくて、できる、できるというようなものをもう少し拾いながら、できた ところは何でできるのかという、そのような努力をしてほしいと思います。やはり情報を開 示することだと思いますので、今回、ここに書かれていることを行政としてきちんと出して いただきたいと思います。 ○大橋部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。特にないようでしたら、当部会 としましては、厚生労働省案を妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会長にご報告申し 上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いいたします。                 (報告文案配付) ○大橋部会長 お手元に配付していただきました報告文案により、労働政策審議会長あて報 告することとしてよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○大橋部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。そ の他、何か御意見等はございますか。よろしいですか。 ○熊谷高齢・障害者雇用対策部長 本日は、皆様にはお忙しい中ご参集いただきまして、ま た、きちんとご審議をいただきまして、誠にありがとうございました。今日のご指摘にもあ りましたように、介護の問題はいろいろございますが、本日、ご審議いただきましたこの計 画を踏まえまして、私どもとしても、介護労働者の雇用管理の改善に向けて事業主等の取組 みを支援していくということをしっかりとやってまいりたいと思います。委員の皆様方には、 引き続きご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。本日は、誠にありがとうご ざいました。 ○大橋部会長 それでは、本日の部会はこれで終了いたします。本日の会議の議事録の署名 委員につきましては、労働者代表の久保委員、使用者代表の福田委員にお願いいたします。 どうもありがとうございました。 【照会先】   厚生労働省職業安定局雇用政策課介護労働対策室   〒100-8916   東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL:(代表)03-5253-1111(内線5785)      (直通)03-3502-6770   FAX:03-3502-2278