09/08/11 第55回独立行政法人評価委員会労働部会議事録 独立行政法人評価委員会労働部会(第55回) 開催日時:平成21年8月11日(火)12:58〜17:40 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、今村委員、宮本委員、小畑委員、本寺委員、 松田委員、川端委員 ○井原部会長  定刻になりましたので、ただいまから第55回「独立行政法人評価委員会労働部会」を開催いたしま す。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 本日は、寺山委員と中村委員が欠席です。  本日の議題は、お手元の議事次第のとおりで、勤労者退職金共済機構の「平成20年度業務実績に関 する個別評価」を最初に行います。そのあと休憩を挟んで、労働者健康福祉機構の「平成20年度業務 実績に関する総合評価」、それから「長期借入金の報告」を行います。  それでは、まず勤労者退職金共済機構の個別評価ですが、最初に樋爪理事長からのご挨拶と年度業 務実績の概要の説明をお願いします。 ○勤労者退職金共済機構理事長  私ども勤労者退職金共済機構は、平成20年度から第2期の中期計画に基づいて業務を執行しており ますが、本日はその初年度の業務実績について報告を申し上げ、評価のご審議をいただきたいと存じ ます。  平成20年度は、改めて申すまでもなく、年度後半を中心に世界的な金融危機が一段と深刻になり、 経済が激しく落ち込んだ1年でありました。このため、機構の資産運用は極めて難しい舵取りを余儀な くされました。内外株式相場の急落や為替の円高進行など、市場環境が急変いたしましたため、資産 配分やリバランスルールの見直しを検討いたしましたが、それらの変更は平常時以上にリスクを増大 させ、運用収支の振れを大きくすることになると判断し、各本部とも基本ポートフォリオの資産配分 を維持し、リバランスもルールどおりに実行いたしました。その結果、市場の実勢に即したほぼベン チマーク並の運用実績を上げることができましたが、中退共の運用損は多額に上り、累積欠損金は平 成19年度に引き続き、大幅な増加を余儀なくされました。  経済活動の急激な落ち込みは、機構の加入促進や退職金給付にも影響を及ぼしていまして、特に退 職金請求や解約の増加が目立ってきています。平成20年度の加入については、各事業本部の努力によ りまして、何とか目標を上回る増加をみましたが、雇用情勢の悪化は平成21年度に入ってからも続い ているため、今後とも十分注視して対応に努めてまいりたいと考えています。  次に、第2期中期計画の大きな課題であります「確実な退職金支給のための取組」については、中退 共の退職金未請求者対策、及び特退共各事業の長期未更新者対策とも順調な進捗をみており、総じて 計画をやや上回る成果が上がっています。ただ、未請求者や長期未更新者への連絡については、努力 が報われないケースも少なくなく、今後とも粘り強い取組みが必要であると感じています。  以上のように、平成20年度は厳しい経営環境の下、中退共の累損増大など苦戦を強いられましたが、 比較的冷静に対処し得たのではないかと考えています。こうした経験の積み重ねを糧に、平成21年度 以降の努力によって、第2期中期計画を達成してまいりたいと考えておりますので、ご指導いただきま すようよろしくお願い申し上げます。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、これからの進め方ですが、勤労者退職金共済機構の個別評価 については、評価シートの個別項目を4つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきたい と思います。まず第1グループですが、「効率的な業務実施体制の確立」から「業務運営の効率化に伴 なう経費節減」までの項目についての評価です。所要時間は、法人からの説明が20分、委員の評定と 質疑20分の合計40分となっています。それでは、まず法人からの説明をお願いします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  お手元の資料1-6を基にして説明させていただきます。資料1-6「平成20事業年度業務実績に関す る事業報告補足資料」です。1枚めくっていただきまして、「事業の概況」及び「平成20事業年度の 業務実績の概要」です。2頁に、本事業の概況について簡単にまとめています。既にご案内のことかと 思いますが、改めて若干ご説明させていただければと思います。  当機構においては、右側の上に書いてあります共済契約者、事業主の方々と契約を結びます。事業 主の方々は、下に56万7,354所と書いてありますが、一般の中小企業を対象とする中退共、それから 期間労働者を対象とする建設、清酒、林業という、いわゆる特退共の3つの事業に分かれております。 そして、この共済契約者に雇用されている被共済者、いわゆる従業員ですが、この方々が退職したと きの退職金を支払うというのが基本的な業務です。被共済者の方は、現在579万人おられるところです。  機構は、共済契約者の方々から掛金をいただくわけです。中退共については、事業主から毎月銀行 引落しという形で掛金を集めさせていただきます。建退、清退、林退においては、それぞれの従業員 の方々が持っている手帳に、働いた日に証紙を貼り付けるという方式で、掛金をいただいています。 平成20年度は4,600億円の掛金をいただいています。  退職金ですが、中退においては、基本的には当該事業所を退職したときに退職金をお支払いするこ ととなっています。また、建設、清酒、林業については、事業者を変えながら、会社を転々としなが ら働いておられるというのが一般的ですので、個別の企業を退職した時点ではなく、当該業界を引退 したときに退職金をお支払いするという形となっています。平成20年度は合わせて5,124億円の退職 金を支払っています。平成20年度は、景気が非常に悪かったこともありまして、倒産、廃業、あるい は退職者の増加というようなことがありましたので、収入を退職金支給が上回るという状態になって います。そして、この掛金を集めたもの、現在の資産残高4兆1,890億円について、各事業本部におい て資産運用し、退職金の支給に用しているということです。  3頁は、平成20事業年度の業務実績の概要です。私どもの業務の2本の大きな柱として、「将来に わたる確実な退職金給付」と、制度を持続的に発展させていくために「退職金制度への着実な加入」 という、この2本の大きな柱の下に業務を進めているところです。個々の点については、個別評価のと ころでご説明させていただきますので、割愛させていただきます。大きな流れとしては、将来にわた る確実な退職金給付のために、業務運営の効率化を図ることによって、財務内容の改善を図る。また、 確実な退職金給付ということで、退職したにもかかわらず被共済者から退職金請求がないというよう な、いわゆる未請求問題、あるいは1年ごとに証紙を貼られた手帳を新しい手帳に替えるという、いわ ゆる更新作業を行っているわけですが、それがなかなかなされないというような未更新問題に対して、 適正に取り組んでいくことを通じて、将来にわたる確実な退職金給付を進めているところです。一方、 着実な加入を図るために、加入促進対策の効果的な実施と併せて、サービスの向上に努めているとこ ろです。  4頁は業務実績の評価項目です。まず最初に、第1の「業務運営の効率化に関する事項」の中の1〜4、 評価項目にすれば1〜5に当たるわけですが、こちらについて説明をさせていただきます。  まず、業務運営の効率化に関する事項として、評価項目1「効率的な業務実施体制の確立」です。1 枚めくっていただきますと、「業務・システム最適化計画の円滑な実施体制の確立」です。この「業 務・システム最適化計画」は、平成20年3月に策定したものですが、大きな目標が2つあります。1 つは、システムの機能統合と構成を見直すことにより、これまで特定のメーカーに依存した技術で構 築していたことから、保守・運用やプログラム改修などでどうしても委託先が限られてきて随契にな らざるを得なかったというようなものに対して、汎用的な技術で構築し直す、いわゆるオープン化を 図ることにより、そういったものの調達に透明性・公平性を向上させ、経費の削減を図るというのが 目的です。  一方、それを基に業務の効率化、合理化を図ることを目的としていまして、このオープン化につい ては、平成22年10月までに実施するという計画になっているところです。こういったシステムの最適 化計画を円滑に実施するために、私どもは体制の整備を図っているところです。この表の左側の緑色 の部分は、機構内部の組織で、右側のオレンジ色の部分は外部の専門家の力をお借りしている部分と お考えいただければと思います。まず左側の内部ですが、CIOは、私どもの総務担当理事が責任者とな りまして最適化を進めています。その下に、実際の業務に携わる最適化推進室、及び関連する各本部 業務・システム関係部課長が業務・システム最適化推進連絡会議というものを構成しています。  その下で、システムの最適化を進めているわけですが、中退共マイグレーション分科会、特退共再 構築分科会という形で2つに分かれております。これは経費面で効率的にこの最適化を行うために、中 退共については、現行システムを汎用言語に置き換えることによってオープン化するというマイグレ ーション作業を実施することとしています。一方、特退共においては、これまで別々になっていた建 退、清退、林退のそれぞれのシステムについて、証紙貼付方式という業務の共通性があるということ で、システムの統合、再構築を行う形で進めているところです。  なお、その下に「次期システムにおける共通基盤会議」とありますが、この中退、特退はそれぞれ システム上は異なるわけですが、いわゆるハードウェア部分、共通基盤部分について統合して一元的 に管理運用することにより、ハードウェア資源を有効活用するとともに、稼働率を向上させるという ことで、効率的な管理運用を実現する。組織的にも、このシステムの管理業務については、これまで 各業務本部別々であったものを、最適化後は一元化を図るということで計画を進めているところです。  右側ですが、外部の力をお借りするということで、まず民間の専門家による知見・ノウハウを活か した各種助言をいただくということで、CIO補佐官をお願いしています。また、実際に最適化を進める うえでの工程管理を工程管理事業者にお願いしています。このCIO補佐官、及び最適化工程管理事業者 は、平成20年度に企画競争で選定しているものです。  それから、次期システムの設計・開発、いわゆる中退におけるマイグレーション、共通基盤の構築、 および特退におけるシステムの統合・再構築についても、9月30日に業者を決定しています。これは 一般競争入札で、それも費用だけ安かろう悪かろうでは困りますので、技術面も加味した総合評価方 式による一般競争入札で決定しています。これによって体制を整備しまして、10月から最適化を実際 に進めているところです。平成20年度から現在においても、ほぼ順調に実施が図られております。  組織体制の整備では、大きな問題の退職金未請求者の縮減に取り組むため、中退共本部に給付推進 室を設置したところです。また、最適化計画の円滑な実施を図るため、中退、特退の課長職を1名ずつ、 最適化推進室の調査役に併任としました。  続いて、評価項目2「中期計画の定期的な進行管理」です。1枚めくっていただいて、まず進行管理 で大事なのは、私ども職員一人ひとりの意識の向上が大きなポイントではないかと思っています。こ の評価委員会における評価結果、あるいは各種の進捗状況の検討結果を職員一人ひとりに周知を行い、 部内会議などにおいて各認識の共通性を図ること。それと合わせて、職員に毎年一度、人事評価を行 っているわけですが、この人事評価に際しては、年度始めに各人がそれぞれ目標を定めることになる わけです。まず、課室長が部長あるいは理事と調整のうえ、中期計画あるいは年度計画に基づいて、 当該課室における目標管理表というものを作成します。その各課室の目標管理表を基に、各職員がこ れに基づいて、自らの評価をするための業績評価シート、それぞれ各人の当該年度に行うべき目標項 目、それぞれの業務ウェイト、それからどこまで達成するのかという達成目標を期首面接において定 めさせていただいて、年度が終わったところでその業務評価シートによって達成度の評価を実施する。 その評価については、勤勉手当等に反映するというような形で、機構全体の中期計画、中期目標の進 捗とリンクする形で、各人の業務の取組み、位置付け等について認識をしていただく取組みを図って いるところです。  こういった意識の向上と併せて、機構全体の進行管理ですが、左側に機構全体の進行管理について 書いています。四半期に1回、業務推進委員会を設けて、平成20年度は5回開催、1回は機構全体の 前年度の事業実績についての取りまとめ、あとの4回は四半期ごとの各事業本部の業務の進捗状況の把 握検証、あるいは業務運営の方針を指示するということで、中期計画、年度計画に応じて、それぞれ の本部の進捗状況はどうかを確認する委員会を開催させていただいています。また、理事会を毎月開 催しまして、業務運営全般の遂行状況の把握、あるいは重要事項の決定等を行っているところです。  それから右側は、各本部の進行管理ですが、当機構の重要な項目であります加入対策に関しては、 中退共、建退共がそれぞれ四半期に一度、理事長以下、加入促進対策委員会を開催しまして、その進 行状況について審議を行っているところです。例えば中退共においては、その委員会の中で出てきた 取組みとして、適年移行の取組みの効率徹底に加えて、今後増大が見込まれる医療福祉分野等の企業 に対する取組みの強化や、建退においては、未加入事業主に対するダイレクトメールによる加入勧奨、 あるいはラジオ等の効果的なマスメディアを通じた広報活動の拡充等を実施したところです。また併 せて、各本部内でも、それぞれ取組みの再検証という意味で、会議を実施しているところです。  続いて、評価項目3「内部統制の強化」です。内部統制については、先ほどの中期計画の進行管理、 職員の意識向上や、機構全体での進行管理と重なる部分が相当あるわけです。基本的な考え方として、 私どもはPlan Do Seeのサイクルで業務の進行、内部統制を考えております。理事会において業務運営 全般の遂行状況の把握、あるいは運営方針の決定等をPlanする。それにより、各事業本部でそれぞれ 会議等を実施しながらDo、実行を行う。それを、四半期ごとの業務推進委員会で検証するという形で、 事業の適正な管理を行っているところです。  併せて、下の所に「内部統制の強化に向けた方策の検討」と書いていますが、従来行っている会計 監査人による監査や公益通報者保護制度などに加えて、法令遵守の取組みをさらに徹底するための方 策について検討するために、監査法人と理事長以下役員、及び管理職との間で研修を行っていただき、 そのあとディスカッションを実施するということで、今後の取組方針、今後どういった形で取り組む かについての議論を行ったところです。  続いて、評価項目4「業務運営の効率化に伴う経費節減」です。経費については、運営費交付金が充 てられる一般管理費及び退職金共済事業経費の削減、節減が目標になってくるわけです。毎年、一定 の変動が生じる退職手当を除きまして削減対象が定まっているわけですが、平成19年度の削減対象経 費予算額34億1,600万円に対して、平成20年度予算は31億円で、実際の平成20年度決算が30億 9,500万円ということで、目標の平成19年度基準額に対して、第2期中期計画が終了する平成24年度 の時点で18%以上削減するという目標に照らし、初年度1年間で、その半分の9.4%の節減が図られた ところです。なお、これについては、例えば一般競争入札の拡大や福利厚生費の見直し等々、経費削 減に取り組んだところです。  一方、経費削減のもう1つの大きなものとして人件費があるわけですが、人件費については平成17 年度基準で毎年1%を削減していくという削減目標があります。平成20年度については、平成17年度 比3%減が目標になっていますが、平成17年度21億4,500万円あったものに対して、平成20年度は 19億6,200万円ということで、目標の3%を大幅に上回る8.5%の削減がなされているところです。要 因としては、平成18、19年辺りに、団塊の世代の退職もあり、定年退職者が非常に多く、2年間で約1 割程度の定年退職者が出たということもありまして、賃金構成が少し低くなったことがあるわけです。 それと併せて、超過勤務時間の削減に向けた取組みを実施したことがあります。これについては、や はり超過勤務時間が一定の人に偏っていくというような傾向がどうしてもあるわけですので、そうい った職員の健康管理への配慮という面も含めて、毎月勤務時間が45時間を超える職員に対して、総務 部でそういった職員の勤務時間を把握し、その月が終わったところでその所属の課室長に来ていただ きまして、その原因が一過的な問題でない場合には、事務分担の見直し等々によって超勤を削減する ようにという強い取組みをしたところ、昨年度に比して29.5%の超勤額の削減、金額にすると2,500 万円ぐらいになるわけですが、そういった効率化が成し遂げられたということです。  なお、職員の給与水準の検証ですが、そちらにありますように、いわゆる国家公務員指数、ラスパ イレス指数ですが、地域勘案指数で97.7、学歴・地域勘案指数では99.2ということで、100を下回っ ています。また、いちばん下に書いてありますが、類似の業務を行っている民間事業者である保険・ 金融業との比較では、88.6%と低く抑えられています。  最後に、評価項目5「随意契約の見直しについて」です。随意契約の適正化を推進と書かさせていた だいていますが、私どもが平成19年12月に作成した「随意契約見直し計画」に基づいて、その見直し を進めているところです。システム関係の契約については、最適化後の平成22年10月より後に一般競 争入札に移行するわけですが、それ以外の契約については、原則的に平成20年度から一般競争入札へ 移行するということで、この計画に従って平成20年度の競争契約3件、公募56件、企画競争1件、具 体的にはその下に書いてありますが、そのような見直しを計画どおり行ったところです。  併せて、計画においては随意契約によらざるを得ないとしていた契約についても再度、見直しを行 いまして、一部について企画競争・公募を実施しました。まず、金融情報サービスの提供業務、資産 運用情報統合サービス提供業務で合わせて5件です。私どもは資産運用を大きく行っているわけですが、 そういった機関投資家向けのサービスの提供というのは提供事業者がかなり限られるということ、ま たその中で必要な情報内容を私たちが精査して、いちばん適当だと思われる事業者と随意契約により 契約しておりましたが、やはり公平性、公正性の担保という観点から、これも企画競争という形で見 直したところです。併せて、タクシーの供給に関する請負契約においても、タクシーは認可運賃で競 争原理が働かないという面もあってやむを得ないかと思っていましたが、やはりこちらについても公 平性の観点から、契約先を公募し、応じていただいた複数の業者にお願いするという形をとっていま す。  これらの取組みによる随意契約の割合ですが、平成19年度は件数にして59%、金額にして79%であ ったものが、平成20年には件数では約半分以下の27%、金額では4分の1の20%に抑えられていると ころですが、引き続きシステム関係の最適化計画の実施と併せて、随契の見直しに努力してまいりた いと思っています。なお、これらの取組状況等については、ホームページに公表しております。  一方、真ん中の段ですが、競争性・透明性の確保ということで、先ほどシステム開発のところで申 し上げましたが、価格のみによりがたいものについて、技術点をプラスする総合評価落札方式を導入 し、そうした総合評価方式、企画競争及び公募における調達要領を作成するとともに、必要な公告期 間の下限等を定める会計規程等についても、国と同様の基準になるように改正を行っています。また、 一者応札・一者応募の改善方策についても取りまとめ、本年6月に公表したところです。  また、随意契約と一般競争入札が適正なものであるかどうかについて監査を実施するということで、 まず監事監査を四半期ごとに実施しまして、随契にする場合にはその理由、あるいは価格の適正さに ついて判断していただくとともに、透明性・公平性が担保されているかどうか等についても、一般競 争入札等についても監査を行っていただいています。また、会計監査人による監査を財務諸表の監査 によってお願いしているところです。  以上、評価項目1〜5、効率的な業務実施体制の確立について、私どもが取り組んだ状況です。 ○井原部会長  ありがとうございました。委員の皆様は評定記入用紙へ評定等の記入をお願いいたします。その間、 何かご質問等がありましたらご発言ください。 ○篠原部会長代理  説明書の7頁の、一般管理費及び退職金共済事業経費人件費等の節減についてなのですが、基本的に 費用進行基準ということをお伺いしています。それ以外のものを採用する利点というのは、差異の分 析が大変重要だと思っているのですが、ここのところの差額をそれなりに分析されているのでしょう か。  というのは、例えば予算が甘いとか入札によってやったとか、内部的にいろいろな努力だとか、い ろいろな部分があると思います。削減額というよりはもう1歩、私は内部監理というか、政・独委等が 要求しているレベルだともうちょっと高くなってきたと思っています。その辺、どのような作業をや られているのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  予算については、ご指摘のように予算管理の手法として重要であると考えています。当機構におい ては業績管理の一環として、年度当初に予算総額に対し費目別に支出見込額の執行計画を立て、また 四半期ごとに進捗状況というものを把握し、業務推進委員会等で報告するととともに、実際に予算が 適正に使われているかどうか、あるいは目的とした計画が実施されているかどうかについて見させて いただいているところです。また、平成20年度下期からですけれども、より精緻に事務・事業別のコ ストを取られるということから、費目別の見込額だけではなくて各課室別に経費を把握し、予算との 対比等に取り組んでおります。  なお、今回、予算に対しまして、8,000万円近い削減が出ていますが、そこの最も大きな部分は、先 ほど申しましたようないわゆる人件費で平成19年度比5,700万円減となっています。この削減のかな りの部分が人員構成の変化によるもの、それから超過勤務の削減による人件費の減で出ておりますが、 併せて、一般競争入札を行ったことにより、当初予定していた価格を下回ったものなどにより、予算 の削減がなされたものと考えているところでございます。 ○井原部会長  おそらく、いまのご質問の本質は、途中で照査しますよね、それにより計画どおり、最初の予算ど おり進んでいないような場合、そういうことがわかったときにはどういう処置をするのですかという 話でしょう。そういう例とか、こういう時にはこうしましたという例があると非常にわかりやすいの ですが。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  あとから報告させていただきますけれども、むしろ私どもは未更新対策などにおいて、本来、平成 20年度の当初計画で予定していたものよりもかなり前倒しで早く進んだものなどが出てきました。そ の部分の経費をどうするのかという議論があったわけです。一定部分、平成21年度の部分を前倒し執 行して、その代わり平成20年度分をほかで充てるということをやったわけです。私の記憶にある範囲 では、当初計画で想定していたものよりも、計画上できなかったというのは、あまりなかったと記憶 しています。 ○井原部会長  ないということですね、わかりました。その他にいかがですか。 ○今村委員  評価項目3の9頁、10頁、「内部統制」のところで、これは単純に印象で申し上げます。「研修、 ディスカッションを実施」というように書いてありますが、民間で進められているいわゆる法令遵守 の取組みとは明らかに遅れている印象を受けますし、同じ独法の中でも前回の高・障機構の「具体的 に組織づくりをしている」という進行状況に比べると、やはり遅れているような印象があります。そ れについて今後、ディスカッションを実施したで終わらないで、具体的な計画とか、そういったもの があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  監査法人とのディスカッションにおいて、私どもの取組みについてもご説明いたしました。職員へ の組織目標の徹底、内部の業務監査等、あるいは公益通報者保護制度等、規定の整備については一定 の評価を得たところです。一方、今後、コンプライアンスを強化していくという観点から1つ、実施し ておくことが望ましいのではないかというご指摘を受けたのは、いわゆる組織の目標の達成に影響を 与えるようないろいろなリスク、例えば情報システムの不具合が仮に起こった場合にどうするのか。 あるいは、私どもは金銭を取り扱いますので会計処理の誤謬、もっといけば不正等についての可能性、 起こった場合の影響にどのようなことがあるのかというような、各業務におけるリスクの可能性、影 響の大きさをきっちり把握、分析した上で、それらのリスクへの対応策というものについて、私ども はやはり経営体でありますので、当然、その対応についてはコストパフォーマンスを見ながら考えな ければいけないと思っています。そういったコスト面も含め、リスクへの対応策を検討していくべき ではないかというご指摘をディスカッションの中でいただいています。  私どもとしてはリスク対応策、洗い出しから始まるわけですが、そういった手法などについて研究 しつつ、できるだけ早く各部門におけるリスクの棚卸しなどに着手していきたいと考えているところ です。 ○今村委員  ということは、現状では具体的な計画はないということですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。できる限り今年度、平成21年度に取り組んでいきたいと思っています。まだ、具体的な年度 進行表というようなところまではできていない状況です。 ○篠原部会長代理  いまの内部統制に関連してちょっと質問させていただきます。一昨年あたり、私も内部統制を入れ るべきだと。私どもの労働部会の5つのうち、資産運用でいちばん強く求められるのではないか。政・ 独委も導入を予定しているのですが、いまの民間のものを見ていると非常に手間暇がかかるというこ ともあって、きちんと検討して自分に合った内部統制をする。ということは、いままでのチェックと か、いろいろな部分を検討して足りない部分を入れていく。大きく違うのはやはり理事長まできちん と報告が行くような体制を組むところだと思います。当然、いろいろな費用削減、人員削減をした上 でこれはプラスだと思うのですが、その辺の見積りとかはされていますか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  内部統制をどういった形で行っていくかを考えた上で、1つは組織づくり、内部統制を担当する組織 を作るという点が方策の1つとして考えられると思っています。ただ、先ほど申しましたように、私ど もは法人の規模としてあまり大きなものではありませんし、また組織定員的にも最近減少してきてい ます。なかなか、内部統制に特化した組織を作るということは正直難しいのかなと判断しています。 そこで、組織面での取組みという以外に、実際に各事業の効率的な執行にも資するという観点から、 まずリスク管理、リスクの把握・分析あたりから今年度できるところとして取り組んでいければと現 在のところは考えているということでございます。 ○篠原部会長代理  いちばん最初の評価項目の「業務・システムの最適化計画の円滑な実施体制の確立」ということで、 競争入札でCIOを導入したということでした。一般的にいま、コンピューターというのはどうもだんだ ん費用が高くなって、入札するとだいぶ安くなるという状況がある。最適化というのはわかるのです が、金額的には多少でも安くなったのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  まだ、ハード自身の入札は平成21年度に実施ということで、現在、いわゆる入札に向けての仕様書 作成のための意見調整を行っている段階であります。まだ外部ハードが入っていないので、いまの段 階では金額的になかなかお示ししにくいのです。ただ、計画策定時に試算したところによると、この 最適化計画を実施したことにより、年間約2億6,000万円の経費削減が見込まれるのではないかという 試算がなされています。こういったこともあり、当初、平成20年、21年、22年の実施時期には初期コ ストがかかるわけですけれども、22年、23年以降、実際に走り始めますと、ランニングコストが毎年 2億円強、削減されるということで、かなり大きな経費削減効果を持つのではないかと私どもは思って います。 ○篠原部会長代理  「内部統制の強化」のこの説明書を見るとPlan Do Seeになっている。今回、5つの法人のうち、確 か2つぐらいPlan Do Seeを導入する。厚生労働省も今後、全分野で導入するという計画なのですが、 これを見ると当法人もPlan Do Seeを導入する計画なのですか、それともたまたまこういう説明をされ ているのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  私どもは昨年も同じような形でご説明させていただいたかと思います。基本的な業務の進行に対し ては、いわゆるPlan Do Seeのサイクルで行っていくということで取り組んでおり、今年初めてという ことではなくて、継続的にこういった形での取組みを進めているところです。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは次のグループ2に移らせていただきます。グループ2は「確実な退職 金支給のための取組」についての評価です。法人からの説明20分、委員の評定と質疑20分、合計40 分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  評価価項目6「確実な退職金支給のための取組」の中の「一般の中小企業退職金共済事業における退 職金未請求者に対する取組」の部分についてご説明させていただきます。資料をご覧ください。  まず、平成20年度の取組み結果全体を数値的に見たものが、いちばん左の上のところです。これは 「未請求率の縮減」ということで、中期計画においては脱退後2年を経過した時点での未請求率を平成 24年度、中期計画の最終年度までに1%程度に削減するという計画、中期目標・中期計画を私どもは持 っているところです。  目標達成率の状況ですが、そちらの表にありますように、取組みを始める前の平成15、16、17年度 での脱退者については、それから2年経過したあとの未請求率が3%に近い数であったわけです。平成 20年度に取組みを始めたわけですが、平成18年度に退職した方についての20年度時点での未請求率 は2.0%ということで、1%の改善がなされております。これを平成24年度までに何とか1.0%までに 縮減したいというのが、私どもの今後の目標であります。  縮減に向けた20年度の取組みとして、まず右側が、未請求になってしまった方々についての調査・ 請求手続きの要請です。先ほど申し上げましたように、ここは計画以上の取組みを行ったというとこ ろでございます。平成20年度の当初計画の15、16、17年度に退職した未請求者のいる事業所に加え、 その前後、平成13、14、18年度の未請求者のいる事業所、及び退職金額が200万円以上の未請求者の いる事業所に対して、住所情報の提供をお願いし、返答のない所には電話などでさらに聞くことによ り入手した情報をもとに、未請求であった方々について退職金を請求するよう、手続きをお願いした ところでございます。平成20年度は2万5,294事業所に対して調査・請求手続きを実施し、対象未請 求者7万2,000人のうち、実際に住所が私どもに判明して請求手続きを行った方が1万9,523人、請求 を受け付けて退職金をお支払いできたのが1万1,344人となっているところです。  併せて、こういった未請求退職金を縮減するための対策として、右側の真ん中のところに「周知の 徹底」ということで、既に辞めておられた方々に対し、過去、自らがいた事業所がこういった退職金 共済制度に加入していたかどうかがわかるようにするという観点から、加入事業所、現在加入してい る事業所、及び過去に加入していて、現在は脱退したのだけれども、昔加入していた時代の従業員に 未請求者がいる事業所について、すべて機構のホームページに搭載し検索できるよう、そのための準 備を20年度に行ったところでございます。これはやはり、特に個人事業所については個人情報の観点 がありますので、事業所に対して掲載の可否を問う通知を出すとともに、ホームページ検索のための システムの構築の検討等、準備を進めたところです。  なお、ホームページ掲載については、法人事業所については本年7月に掲載したところであります。 また、個人事業所については、個人の名前ではなく屋号で載せてほしい、「清川ケイゾウ」ではなく て「清川鮮魚店」とか、そういう名前で載せてくれたほうがわかりやすいし宣伝にもなるのでありが たいということもあり、屋号で載せられるようなシステム改修を行いました。そういうこともあり、9 月には個人事業所についても載せられる運びになっております。それからホームページでの注意喚起 文、「中退共だより」への記事掲載などを行ったところでございます。  一方、今後、新たな未請求退職金の発生を防止するという観点で、まず入っていることを従業員の 方に知っていただくのが第一であることから、「加入通知書」を発行しています。まず、平成20年度 に新規加入した事業所の加入従業員に対し、「あなたは中退に加入しました」という通知書を事業主 を通じて通知する。また、退職金について、退職後3カ月経過後も未請求である方がいる事業所に対し まして、事業主から請求を促してもらうよう依頼したところでございます。  なお、下のところで「調査・分析」と書いておりますが、私どもはいろいろな調査等により、どう いった対策がこの未請求を縮減するために効果的であるかについて把握し、それを対策に活かすよう 努力しているところです。まず、「中退共だより」で調査しました。そこに「掛金納付状況票及び退 職金試算票」と書いてありますが、私どもは各会社、事業所に対し、加入している従業員が中退共に どれだけの期間加入しているか、もし、いま、仮にお辞めになられたとしたら退職金はいくらぐらい になるのかというような試算票を毎年送付しております。ただ、従業員の一覧表という形で送付して いますので、個々の従業員の方にはなかなか見せにくいというようなお話がありました。そこで、退 職金の掛金の納付状況の部分のみについては、1人ひとりの従業員の方にお渡しできるように切り離せ る、ミシン目を入れるような様式にして、これと加入通知書とを合わせて従業員の方に配布できるよ う検討しました。  また、「中退共制度加入企業の実態に関する調査」ということで、今後の対策に反映すべく、集計 結果を取りまとめたところでございます。この調査結果については、またのちほどご説明したいと思 います。  いちばん下のところに、「未請求者への調査」ということで、事業所より得た情報をもとに未請求 の方に請求手続きを要請するわけです。その際、本人が制度に入っていたということをちゃんと認識 していたかどうかをお聞きしています。実際に未請求になって、お願いして請求していただいた方々 の54.7%、約半数を超える人が「自分が中退に加入していたことを知らなかった」というように答え ています。加入においては、本人の自筆の署名、あるいは押印が必要となっていますので、加入時に は当然わかっていたのだと思いますが、中退共は息の長い制度ですので、実際の退職時には忘れてし まっていたということなのだろうと思っています。そういうことがないように、毎年送ります掛金納 付状況票を従業員の方に渡していただくことにより、従業員の方が「自分は入っているんだ」という ことを認識していただくことが今後、未請求事案を発生させないための大きなポイントではないかと 考えております。  次に評価項目7「確実な退職金支給のための取組」、特定業種退職金共済事業でございます。特定業 種、建設・清酒・林業のそれぞれの事業においては、中退とは異なり、各事業所を退職したときに退 職金をお支払いするということではなく、例えば当該業界を高齢のために引退なさるというような、 業界から脱けるというときに退職金をお支払いするという制度設計になっていますので、なかなか未 請求ということにはならないわけです。  ただ、最初申しましたように、働いた日については証紙を貼っていく。それが1年分たまったところ でその手帳を送っていただいて新しい手帳をお送りするという更新手続きを行っていただくわけです。 それが3年間、手帳更新がなされていないという方については、例えば退職というか、引退したのに手 帳を持ったまま忘れているという可能性がある。あるいは、もう手帳に1年分を貼り終わったのに更新 がなされていない可能性もあるということもありますので、過去3年間、手帳の更新のない被共済者に ついては、最後に更新があった事業所に問い合わせをし、その被共済者の住所を調査・把握して、手 帳更新、あるいは退職金請求の手続きを取るよう要請したところでございます。また、こちらについ ても、郵送で回答のない事業所に対しては電話によって再度お聞きし、住所を把握するよう努めまし た。その結果、建退共事業においては、平成20年度に3年目として長期未更新になった方々3万4,000 人余に対してこの要請を行った結果、1年分たまっていたということで手帳更新をしていただいた方が 3,930人、退職金を請求した方が2,184人出たわけです。  併せて下のところに書いていますけれども、建退共はこの未更新調査を平成10年度から実施してい るわけですが、従前は退職金額が多くなっている方々、一定以上の退職金が払われる方々についての み対象としていた時代が少しありました。実際、3年間未更新になっているにもかかわらず、長期未更 新調査の対象になっていなかった方々が存在していました。そのため、今回は、いままでの長期未更 新調査において対象とならなかった被共済者を把握するシステムを開発し、調査対象として5万2,000 人を抽出し、まず平成20年度、第一次調査として事業主を通じて、これらの方々の住所の把握を行う ための調査を行いました。本年度はこれにより、二次調査として、従業員本人に対する手続更新、手 帳更新、あるいは退職金請求の手続きをお願いしているところです。  一方、清退、林退においては平成19年、20年から長期未更新調査を行っているところです。清退に おいては3年以上共済手帳の更新がなく、かつ24カ月以上の掛金納付実績を持っている被共済者が全 体で3,821人いるわけですが、これらの方々に同じような住所調査及び請求の手続きを取るよう要請し、 更新17名、退職金請求801名に結びついているところです。また、林退も同様の調査を行い、5,697 人の対象に対して手帳更新399人、及び退職金請求1,848人というところです。  なお、林退においては長期未更新調査の取組みの一環として、いわゆる国有林野事業を受託してい る事業体、あるいは林業労働者各助成金等の認定事業体について履行状況を把握し、例えば証紙を購 入していない、あるいは当該事業所において手帳の更新がなされていない事業体については実態調査 を行い、私どもから指導を行うとともに、その名簿を林野庁に提供いたしまして、加入促進等につい てのご指導についての協力を要請したところです。  一方、新たに長期の未更新になる方の発生を防止するための対策といたしまして、平成20年度新規 加入の被共済者に対して、直接、被共済者に対して加入したことを通知する「加入通知書」を発行し たところです。この建退、清退、林退につきましては、先ほど申しましたように事業所を変わってい くような就労形態であることから、直接、従業員に対して、共済制度に加入したことを通知したとこ ろです。  併せて、共済手帳の様式の変更をいたしまして、共済手帳に住所欄を設けて、今後、更新する際に、 この住所欄に書かれている住所をデータベース化する取組みを行っていきたいと思っています。  なお、右側に書いていますが、このような新規加入の共済者、被共済者につきまして、私どもが住 所をいただきまして、建退においては平成20年度に新たに入った被共済者、及び16年から19年に加 入した被共済者につきまして、データベース化を行いました。また、清退、林退につきましても同じ ように、20年度の新規加入被共済者のデータベース化を行ったところです。  なお、清退共におきましては、この事業のみに関しては、かつて入ったときに住所情報を把握して ありますので、かなり古くから入った方々につきまして、24月未満で受給資格のない方についても、 現況調査を実施することでデータベース化を行いまして、もう古いことなのでかなりご高齢になって 業界から引退されているというような方々につきましては、例えば手帳返納処理等の適切な処理を行 いました。  一方、長期未更新者を縮減するための対策としまして、共済手帳の更新、あるいは退職金の請求な どの手続きを行うよう各種の注意喚起を行いました。また、共済契約者に対しても、各従業員の方々 に退職時に引退するかどうかという意思の有無を確認し、引退の意思を有する場合には退職金を請求 するように指導するようにということで、文書により要請を行ったところです。  もう1つの問題としまして、建退共事業における共済証紙の適正な貼付に向けた取組みです。事業主 が証紙を購入するわけですが、その購入した証紙をきちんと働いた方々の手帳に貼っていただくよう にという、適正貼付に向けたお願いをしています。契約はしているものの、当該事業所において2年間 手帳を更新していないというような共済契約者に対しては、手帳更新を行うように要請をしたところ です。なお、送付した要請文書2万2,604件のうち、2割は年度内に履行を確認し、4割近くは「履行 の意思あり」というご回答を得ています。  なお、この取組みは従前から行っておりまして、この履行の意思があるという確認をいただいた所 について、その2年後に本当に履行をしているのかどうかのフォローアップ調査を行うという取組みを 行っていまして、18年度にこの要請を行って、「履行の意思あり」と回答した共済契約者におきまし て、その大部分は履行をされているわけですが、依然として履行への改善が見られないような共済契 約者に対しては、更にお願いするとともに、どうしても履行されない所には解約を行うというような 取組みをいたしております。  「加入履行証明書」ということで、例えば公共事業の受注に際して、建退共に加盟していることが、 資格審査における加点要因となるということで、事業主の方におかれましては、加入しているという 証明書を私どもに求めてくるわけですが、その際に、共済手帳、あるいは共済証紙を、きちんと受払 簿に書き適切に実施しているのかを厳格に審査するということ、また、就労日数に応じた共済証紙の 貼付を行うよう指導を徹底したところです。   併せて、実際の貼付状況について把握するため、平成20年度は、調査対象の事業所の決定及び調査 委託業者の決定を行いまして、21年度に実態調査を行う予定です。  いちばん下ですが、この中期目標期間中の目標としまして、制度発足以来、これまで私どもが販売 しました共済証紙の販売額の累計と、毎年実際に貼られて、それが手帳更新の際に私どものところに 来ますので、手帳更新によりまして実際に貼付されたという確認ができた枚数、売られた枚数と確認 された枚数の差額をできるかぎり減少していくようにということがありまして、第2期中期目標期間中 に、これを130億円程度減少させることを目標として、いただいているところです。これについて、平 成20年度におきましては、共済証紙の販売額と貼付確認額の差額を前年度と比較して約24億円、目標 額の約5分の1ですが、減少させたところです。以上、確実な退職金の支給に向けての取組みに関しま す、私ども機構の取組みでございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは委員の皆様は評価記入用紙へ評定等の記入をお願いします。ま た、質問がありましたらご発言をお願いします。 ○川端委員   以前にもお伺いしたと思うのですが、手帳に証紙を貼る、もう少し何か新しい現代的な方法はない のかなと。いろいろとご検討をされているのだろうとは思うのですが、やはり長期にわたると、どう してもなくすし、年をとるとウーンというのがあるから、電子情報を何か、かえってお年寄りには無 理なのかもしれませんが。原始的な方法で、これがいちばん着実なのかもしれませんが、これとプラ ス何かもう1つを組み合わせるとか。相当数が損をしていますよね。これを防ぐために、いまやってい ることを緻密に、着実にやっていくということのほかに、もう少し何か複数の方法を組み合わせると か、そういうことが可能ではないのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長  建設業事業部長をしております伊澤から、建設業事業に関しまして、検討の結果についてご説明を 申し上げます。委員ご指摘のように、ICカード等を導入すれば効率化が進むのではないかということ で、19年度までに複数年度にわたりまして、内部検討をさせていただいたところです。その結果です が、全面的にICカードを導入した場合には効率化が進むということについては、間違いないわけです が、ICカードを導入した場合に、そのICカードの中味を読み取る装置、あるいはパソコン等の周辺機 器を、建設業事業の場合には、各現場レベルで備えなければいけない。しかも労働者さんが現場を転 々と移動なさるということなので、一部の所にモデル的に導入するわけにはいかないということがあ りまして、コストが非常に多額に上るということで、ICカードの導入については種々検討をしたとこ ろですが、断念をしたという経緯があります。 ○川端委員  ICカードは多分そういうものであると思うのですが、例えば個人でどこかにアクセスすると自分の 情報が見られるとか、時々、個人がチェックをしていれば忘れることはないと思います。だから、こ れが絶対間違いないという方法はなかなかないと思うのですが、複数の方法を組み合わせるのはどう でしょうか。 ○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長  いわゆるIT化ということ以外に、委員ご指摘の各被共済者から貼付状況について問い合わせるとか いうことにつきましても、通常、働いている時には手帳を共済契約者が預かって、それで毎日働いた 日ごとに貼付をするという事務を行っている場合が多いかと存じます。共済契約者に対しては、適正 に貼付するように、それから被共済者については、貼付状況をきちんと確認するようにとか、そうい った意味での指導やアドバイスを、私ども本部からもいろいろな手段を使用してやっておりますとと もに、各都道府県に支部がありますので、支部のほうでもいろいろな機会を捉えてお問い合わせに答 えたりとか、あるいは確認してください、適正に貼付をしてくださいというような指導とか助言、あ るいはお願いをしているところです。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  もう1つ補足させていただきます。建退共の場合には事業所を転々とするということから、1つ問題 になるのが、ある会社で手帳を発行し、また別の会社に行って別の所で発行するということで、複数 の共済手帳を持ってしまうというような、いわゆる重複の問題があります。  これは加入時においても重複の問題があり、また特に退職金を支払う場合に、何冊か持っています と、本来ならば例えば10年分支払えるものが、5年分しか支払えないというようなケースが出てくる ことがあります。  私どもはそういったことがないようにシステム開発をいたしまして、共済手帳には名前と生年月日 が書かれていますので、その名前と生年月日をデータでぶつけまして、重複した場合、例えば加入時 にもう既に加入しているような可能性がある場合、あるいは退職時に実際にほかの手帳で更新がなさ れているような場合、そういった重複がないように、加入時と退職時に重複チェックをするシステム を開発いたしました。実際に重複している可能性があるところにつきましては、被共済者の方に「あ なたは別の建設業の会社に勤めていた記憶はございませんか」、あるいは退職時においては、「ほか の所で働いていた実績はありませんか」という確認を始めています。それは平成20年度にシステムを 開発いたしまして、21年度よりこの重複のチェックを始めて、現実に退職時に何パーセント重複をし ているということで、追加等支払いをすることができるようになっています。そういった形で、でき るかぎり貼付された証紙に見合う退職金が確保されるように、私どもも取り組んでいるところです。 ○川端委員  社会保険庁の年金もそうですが、途中で忘れたりいろいろあっても、全部その記録がそちらにデー タとして入っていて、そういえば私はああいうことがあったなと問い合わせれば、全部それを積算し たものがすぐ分かるような仕組みにはなっていますか。  ○勤労者退職金共済機構総務部長  なっております。問い合わせればという前に、まず退職金支払いの請求が出てきたところで、当該 者に同じ名前、同じ生年月日で手帳の記録があるかどうかということを支払い時に確認していまして、 こちらのほうから、そういった記憶はありませんかと問いかけをするようなシステムを作っています ので、その辺りについては、できるかぎり確実に退職金を支給できるように取り組んでいるところで す。 ○井原部会長  ほかに何かございますか。あとはよろしいですか。それでは、次のグループ3に移らせていただきま す。グループ3は、「サービスの向上」から「加入促進対策の効果的実施」までの項目についての評価 です。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑20分の合計40分となっております。法人 からの説明をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  評価項目8から11までにつきまして、ご説明をさせていただきます。評価項目8「サービスの向 上」ということで、業務処理の簡素化・迅速化です。事務処理の改善につきましては、「機構内事務 処理に関すること」また「加入者が行う手続に関すること」ということで、改善に取り組んでいると ころです。  まず、「機構内事務処理に関すること」ですが、例えば返還金の振込先データの伝送化ですとか、 あるいは共済手帳振出簿をPC管理するというような内部的な事務の効率化と併せて、確実な退職金支 給ということで、被共済者住所をデータベース化すること。あるいはいちばん下に、先ほど申し上げ ましたが、退職時の重複チェックシステムを構築する形で、事務処理の改善を行っております。  一方、「加入者が行う手続に関すること」で、契約者の要望を受けまして、例えば退職金の試算依 頼書様式に決算月の登録欄を追加することや、事実上婚姻関係にあった証明書のダウンロード化等々、 利用者の便宜に資するよう努めたところです。  処理期間の短縮ですが、退職金請求があってから支払いまでの処理期間について、中退共事業にお きましては、目標どおり受付けから支払いまで25日以内で確実に支払っております。また特退共事業 におきましては、例えば証紙貼付という方式をとるということ、また、支部で受け付けてそれを本部 に転送するということから、中退共より時間がかかるわけですが、建退共においては目標どおり30日 以内に支払い、また、清退共、林退共におきましては、小規模なためにシステム化が遅れていたこと もありますが、この両事業におきましても30日程度で支払うことができたところでございます。  なお、現在実施中のシステム最適化によりまして、清退、林退、建退の特退3事業のシステム機能が 統一され、帳票の統一、OCR化がなされた後は、清退、林退におきましても、確実に30日以内に支払 うことができる予定です。  評価項目9です。「サービスの向上」の中で、「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な 対応」です。情報提供については、21年度にホームページのリニューアルを行うことに向けた準備と いたしまして、手続様式、Q&Aの見直し、あるいは利用者が利用しやすいようなタブ表示の変更などに ついての検討・準備を行いました。また、先ほど未請求対策で申し上げましたが、ホームページ上で 制度加入企業名を検索することができるようなシステムを掲載するための準備を行ったところです。  一方、情報提供の充実で、これはサービスの充実とも関係するのですが、企業を訪問して未加入企 業へ無料相談を行う。従前、関東地域を対象に行っていたわけですが、これに愛知、大阪を加えて拡 大し、相談申込書をホームページに掲載しました。また、外資系企業からの資料請求に対応するため、 英語版の「あらまし」を作成し、ホームページに載せたということもあります。  なお、経費削減の観点から、年2回共済契約者向けに出していました「中退共だより」のうち1冊、 秋の部分について廃止したわけですが、その代りにホームページで共済契約者に対する情報提供を充 実させるという観点から、掲載内容の検討を行い、充実させるべく平成21年度から各種のものを掲載 しております。  また、私どもは各事業といろいろ提携いたしまして、加入者が優待されるような割引をいくつか持 っているわけですが、そういったものはオープンサイトでは提供できないということから、パスワー ド設定によるクローズドサイトで優待サービスはどういうものがあるのかを提供することができるよ うにいたしました。右側は、ホームページに掲載しているものについての主な更新情報ですが、各書 かれているものについて、できるだけ可及的速やかに更新を行うようにしております。  「照会・要望への適切な対応」ということで、ホームページ上の「ご意見・ご質問」、「ご利用者 の声ハガキ」などにつきまして、適切に対応するとともに、満足度を集計し、苦情等がありましたと きは、そういったことがないように、組織的に職員に注意喚起を行う等々、今後の業務に活かしてい るところです。  いちばん左側で、ホームページ上のご意見・ご質問は全部で1,410件あったわけですが、大体その 90%ぐらいは制度についての質問でして、全ていただいた即日、あるいは翌日には回答いたしており ます。ホームページ上のQ&Aにつきましては、「参考になった」というものが85%となっています。 アンケートでは、問題解決については「非常に役に立った又は役に立った」が100%、また職員の対応 は「非常によかった又はよかった」が97%あったわけですが、「よくない又は全く良くない」という ものも1%と、少しですがありますので、そういったものがあったところについては、当該部署に注意 するとともに、各組織全体として接遇のなお一層の向上に取り組んでいるところです。  また、その一環として、全国各地に退職金相談コーナーを設けまして、電話等の相談にお答えいた だいているわけですが、そこで目標管理ということで、対応についての目標を徹底するためにヒアリ ングを実施する。あるいは、清退共事業におきましては連絡会を開催し、相談に適切に応えられるか どうかを検証し、結果を踏まえて応答マニュアルを充実させる取組みを行ったところです。  評価項目10です。「サービスの向上」の、「積極的な情報の収集及び活用」です。まず、情報収集 として、私どもは外部の有識者にご参集いただき参与会を設けまして、中退共については主に労使の 代表の方々、特退共におきましては各業界の代表の方々に、それぞれ年1回、また合同で年1回お集ま りいただきまして、そちらで事業の概況、当評価委員会の評価結果、あるいは未請求・未更新対策の 取組状況等々についてご議論をいただき、いろいろご意見をいただいているところです。  そこで出た要望としては、適格年金からの移行を進めているところですが、法律上の問題等々、零 細企業に対して積極的に取組みを進めてほしいとか、未請求対策をより積極的に実施してほしいとい うこと。また、建設業界については厳しい状況にあるけれども、やはり従業員にとって大事な制度で すので、引き続き加入促進に努めてほしいというような声が聞かれたました。  なお、そこには書いてありませんが、従前いただきました加入通知書を送付していただきたいとい う要望も、こちらの参与会で出まして、これについては実現させたところです。  左下ですが、「退職金制度の実態調査」ということで、先ほど少し申し上げましたが、加入企業に おける退職金制度に関する現状及び今後の方向性について調査をしました。制度加入企業を対象に 10,000社を調査しまして、回答5,900社ということで、私どものような法人の調査としては、59%の 高い回収率を得ることができたと思っています。  そこでお聞きした調査結果を右側に書いています。中退共制度に加入したことを従業員に通知する 義務があると、法律上なっているわけですが、その通知義務について認識しているという方が86%で す。ただし、従業員全てに通知しているかというと、実際に知らせている方が79.4%で、2割の方が知 らせていないということで、今後、未請求を発生させないための重要なことであろうかと思っており ます。  一方、退職した場合には、事業主は退職金の請求書を交付することが法律上義務になっているわけ ですが、その交付義務については、必ず渡しているという方が73%、まだ退職者が出ていないという 方が17%ありましたが、未回答の方を除きまして、8%の方が退職金請求書を交付しない場合があると ご回答いただいています。そういった8%の事業所に、「では、どういった場合に退職金請求書を従業 員に渡さないのか」とお聞きしたところ、交付しない場合の理由として、事業所といろいろなトラブ ル、あるいは非違行為がありまして、懲戒解雇を行った場合には渡さないという所が50%強です。  もう1つは、事業所ごとに退職金規定がありまして、例えば3年以上勤務した方は退職金を支払うと いうような規定がある場合に、私どもは1年加入していただきましたら退職金が発生しますので、例え ば私どもの退職金は発生しているのだけれども、その事業所における退職金規定上は、まだ退職金を 出さないというような方々については、退職金請求書は渡さないとしている所も、やはり4割程度あり ます。こういった懲戒解雇の場合、あるいは各会社の退職金規定に達しないような場合について、い わゆる未請求事案を発生していく大きな要因であろうと、この調査から私どもは思っております。こ の辺りをどう解消していくのかというのは、法制度的な問題もありますので、大きな課題なのかなと 思っているところです。  一方、未請求の場合につきましては、私どもは会社の退職金を外部でお預かりしている制度である と認識していますので、基本的には、例えば住所などを聞くにも、まず、事業所に第一義的にアクシ ョンをしようと、そこで教えていただいたものについて、従業員にアクションするというふうに考え ていますが、機構から直接従業員の方に連絡することについて必要だと思うかと聞いたところ、6割の 方は「必要」とご理解いただいたのですが、やはり4分の1の方は、会社としては好ましくないと答え ておりまして、今後、未請求対策を進めていく上で、これも1つの考慮しなければいけない要因なのか なと思っております。  「履行状況等の調査」で、建退共事業においては、先ほど申しましたように21年度に状況調査をす るということで、調査対象を決め、調査委託業者を決定いたしました。また、統計資料等のホームペ ージへの掲載を行ったところです。  次に、評価項目11「加入促進対策の効果的実施」です。これは私どもの機構の業務の大きな2本柱 のうちの1つの「加入促進対策」です。取り巻く環境は各退共ごとに書いていますが、やはり景気の後 退とか、建設、清酒における業界自身の低迷という厳しい環境がある中で、真ん中に書いてある加入 促進対策を重点的に取り組みました。  まず中退においては、いわゆる適格退職年金からの移行促進ということで、特に24年3月までとい うことで移行限度、移行の時期が迫ってきていますので、これまでの集合説明会に加えまして、これ まで集合説明会に参加していただいた所、あるいは資料要求のハガキがあってお送りした所、相談を1 回受けたような所で、まだ私どもの機構に移行していただいていない所に対しては、フォローアップ ということで、その後どうなりましたかということで、個別に当たっていく取組みを強化していくこ ととか、あるいは機構主催の制度説明会、個別事業主に対する加入勧奨、福祉関係の事業者へのアプ ローチなどを行ってきたところです。  建退においては、未加入である事業主に対してダイレクトメールを発して加入勧奨を行うほか、マ スメディア、ラジオ等を活用した広報、あるいは建退共各現場ごとに、「建退共現場標識」を掲示し ていただく取組みの徹底によりまして、事業主及び現場労働者への制度普及を図っています。  清退におきましては、清酒製造業者、醸造業者のほぼ100%が現在清退共に加入していただいている という状況もありますので、新規に醸造許可を取った所であるとか、あるいは現在入っていただいて いる所での新規雇用労働者、雇い入れを行った場合には確実に入っていただくよう、文書による加入 勧奨を実施したところです。  林退共においては、緑の雇用対策事業との連携と合わせて、林業関係の関係事業主団体の協力を得 まして、未加入事業所についてのリストをもらい、それと私どもの加入事業所のリストを突き合わせ、 未加入事業所リストを作成して、加入勧奨を行うとか、既加入事業主に対して、新規雇い入れの場合 には事業加入を確実に行うよう、加入勧奨を実施したところです。  こういった加入促進対策の結果として、いちばん下の所に加入目標数、及び加入実績を書いていま すが、中退共においては41万1,561人で、目標に比べて達成率が102.7%、建退においては13万 7,431人で、達成率約101.1%ということで目標を上回っています。清退共におきましては、業界の会 社はほとんど入っているというような状況で、また、最近の清酒離れ、あるいはこういった景気の状 況の中で、新規に雇い入れる従業員が少なかったということも実際にありまして、164人ということで、 目標を若干下回っております。林退共においては、「緑の雇用」の問題、また環境対策から林野事業 への発注も増えてきたことから、110.8%ということで、目標を10%以上、上回る加入がなされており ます。機構合計としては、55万1,704人ということで、目標に比べて102.3%の加入を得たところです。 以上、第3グループの「サービスの向上」及び「加入促進対策の効果的実施」に関します、私ども機構 の取組みです。 ○井原部会長  ありがとうございました。委員の皆様は評定用紙への評定等の記入をお願いします。ご質問があれ ばご発言をよろしくお願いします。 ○松田委員  加入実績についてお尋ねします。18年度と19年度は、中退共は約15%伸びていましたよね。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。 ○松田委員  それが実際は、いま102.7%でしょう。これはいろいろな理由、経済情勢が非常に悪くなったという こともあるでしょうけれども。それともう1つは、確定拠出年金が3割増えていますよね。税制適格年 金がなくなるのは、2012年の3月に廃止になるのですが、ボンボンボンボン401Kが増えているのです よ。それにどういうふうに対抗していこうとしているのですか。去年も同じ質問をしましたよ。お答 えください。   ○勤労者退職金共済機構総務部長  中退共制度につきましては、中小企業にとりまして、ある意味では非常に簡便と申しますか、事業 所にとっては利用しやすい制度であろうと思っているところです。  実際、数字的に見ましても、いわゆる適格退職年金制度につきまして、企業年金へ移行させるとい う取組みが厚生労働省でも進められているところですが、平成14年に廃止が決定されましてから、平 成20年度までの移行が実際にどういった形でなされたのかという数字を見ますと、例えば厚生年金基 金は70、確定給付企業年金に移行したのが4,400程度、先ほどお話にございました確定拠出年金へ移 行したのが4,900程度に対しまして、私ども中小企業退職金共済制度には1万5,000事業所余りという ことです。私ども中小企業だけが対象になるというような面があるにもかかわらず、こういった確定 給付企業年金、あるいは確定拠出年金の3倍、あるいは4倍以上の移行を、私どもが受け入れていると いう実績もございます。  もちろん、私どものサービスは、これからどんどん改善していくところが多々あろうかと思ってお りますが、中小企業にとりましては、外部への退職金積立制度として、かなり使いやすいものになっ ているという面もあるのではないかと思っているところです。 ○松田委員  もう1つ質問します。建退共の場合、パンフレットを4万4,250部配布していますよね。これに対し て中退共は3,500、清退共は460、林退共は940です。とてもこの建退共は多いですよね。それで実績 はたった101%、これは配布の仕方をちょっと間違っているのではないですか。 ○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長  私からご説明を申し上げます。ほかの事業との比較ということでは、材料を持っていませんが、私 どもの加入促進対策として、発注者それから元請事業者に対する周知というかお願いをするのと、そ れがいちばん効いているかと思うのですが、発注者というのが公共事業に限って見ましても、全国で 国、都道府県、それから全国の市町村ということで、中退共の場合に比べますと、非常に多くのお願 いをする方がいらっしゃるということが1つ挙げられるのではないかなと思います。  それから、元請事業者あるいは一次下請等の事業者さんも、建設業者は事業者数で50数万社ありま すので、そういった方々へのお願いということも含めますと、それも10月の加入促進月間だけに限ら ず、年間を通じて加入促進のお願いをしていますので、このパンフレット等の数が多くなってくると いうことはあるのかなと考えているところです。 ○松田委員  昨年も、予算の使い方が間違っているのではないかというようなお話をしましたが、これは実際に どうなのですか。 ○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長  私どもは実際に共済契約に加入をしていただくときに、加入申込書を出していただいているのです。 その加入申込書の中に、どういったきっかけで加入の申込みをされましたかということを、記入して いただく欄を設けていまして、その中で多かったのが発注機関の指導、あるいは元請からの指導、あ るいは勧誘というようなことが多かったものですから、そういった情報等を踏まえて、委員がご指摘 の、周知措置を図るにもコストパフォーマンスを考えるべきというのは、大変重要なご指摘かと思い ますので、例えば加入申込書のときの情報を活用するなどして、重点的、効率的な加入促進策に今後 とも努めてまいりたいと考えています。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  付け加えさせていただければ、先ほど中退共と建退共のパンフレットの数の比較がございましたが、 例えば中退共におきましては、逆に業種が定まっておりませんので、パンフレットで周知徹底をする といっても、なかなか難しいという面がございまして、むしろ、中退共については、例えば社会保険 労務士さんとか、税理士さんの団体と協力をして、パンフレットより社労士、税理士との連携を深め て加入促進を行うというようなことですとか、あるいは保険会社との連携を深めて中小企業に当たっ ていただくというような、個人というか、人のつながりを重視した加入促進を行っていまして、そう いったことを契機として加入したというのも、アンケート等を見ますとかなり上がっているというと ころはございます。  一方、建退共の場合は、やはり業種ということで、かなりターゲットを絞った取組みができますの で、建設業界などの会合とかで、パンフレット、ちらしを配布させていただくことによりまして、加 入促進が図られるということがございますので、業種の業態に応じて、私どもがそれぞれ効果的だと 考える加入促進対策を実施しているとご理解いただければと思います。 ○川端委員  蒸し返すようで恐縮です。25頁の、退職金請求の場合に、「機構より直接連絡することは好ましく ない」というのが24%もあると。これはどういう理由が多いのかお分かりでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  その理由というのも難しいわけですが、私どもが1つ推測いたしますのは、事業所にとりましては、 掛金を支払っているのは当然、事業主ですので、あくまで、当該事業所内の退職金制度であるという 認識を、かなり強く持っておられる事業所が多いのではないか。  つまり、外に掛金は支払っているけれども、それで中退の退職金というよりも、あくまで事業所の 退職金であるというふうな認識を強く持ち、かつ従業員に対してもそういうふうに思ってほしいとい うことから、そういう事業所を飛ばして、私どもが直接、被共済者とコンタクトを取ることについて、 若干消極的なのではないか。これは外部の私どもへ、退職金を外部に積立てるというような発想が、 やはり加入契約者には多いということを反映しているのではないかと思っております。 ○川端委員  それは事業所をよく教育する必要がありますね。もう1つ、ホームページにしろ、いろいろなパンフ レットにしろ、直接見るというのは、そういう意思がないと見れませんよね。だから、例えば正月に 政府広報か何かで、テレビで、これこれこういうような仕事の人で、退職金をもらっていない人はい ませんか、いたら連絡してくださいと。それを本人が見たり家族が見たりする可能性があります。そ ういうような一般にテレビでお知らせをするとかいうことは、おやりになっていますか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長   それは1つは、やはり経費との見合いというのがあるわけです。昨年度、この未請求問題がかなり 大きく取り上げられたときには、全国紙を使いまして、請求をしていない方につきましては、ご請求 くださいということで、PRを行ったところです。現在、全国紙やテレビというのは難しいので、電話 がございますので、個々に一つひとつ積み重ねていく方式を取っていますが、今後、更に費用対効果 という面も考えながら、そういった全国的な周知をどうやって行っていくのかということを、更に検 討をしていかなければいけないと思っています。 ○川端委員  政府広報というのは、それぞれの所がお金を出すのですか、政府のお金ではないのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  いや、政府のお金なのですが、なかなか。 ○川端委員  あれを、何か交渉をして。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  いろいろお願いは今後していく必要があろうかとは思いますが、なかなか難しい面もございますの で、また、担当課にもお願いしていきたいと思っております。 ○篠原部会長代理  「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応」、「積極的な情報の収集及び活用」と の関係で、おそらく中小企業というのは、いま外国人を大勢使われている所が多いと思うのです。ひ ょっとすると退職規定が違うと外交問題になってしまいますよね。だから、その辺で外国人を雇用し ている所に対する、特別な配慮というのはされているのでしょうか。あまりこちら側としては気にし ない。  ○勤労者退職金共済機構総務部長  ちょっと今の段階ではあまり。外国人を雇用していた場合。 ○篠原部会長代理  そうです。外国人を使われている。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  英語版のパンフレットは設けておりますが、ただ、外国人を雇用したために、そういったトラブル なり何なりが退職金上、起こっているという話は、あまりまだ私どもは聞いていないところです。 ○篠原部会長代理  2番目で、先ほど懲戒解雇の場合は払わないとか。2年、3年の勤務では払わないということは、そ ういうものはいわゆる企業主が請求できるのですか。そうすると、私が心配するのは、例えば外国人 とか無知な人の退職金を払っておいて、自分のポケットに入れちゃうという可能性があるのではない か、そういうことはあまり気にしていないですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  そういう意味で、退職金は直接、従業員に私どもから振り込むということで、退職金の支払い自体 は、直接、従業員に支払うようにしております。ただ、それを支払うためには、退職金請求書を辞め る際に会社が従業員に渡していただいて、従業員がそれをもって請求するわけです。  例えば懲戒等の場合には、そもそも退職金請求書を渡さない。そうなりますと、従業員としては知 らなかったという方が半分以上を占めているというような状況では、何らかのトラブル等があって辞 めた方におきましては、そもそも入っていることすら知らないということで、請求しなくなってしま う。その場合には未請求ということで、当然、会社にも支払われませんし、従業員にも支払われない という状況になるわけです。そういうことがないように、今後、入っているということは、少なくと も従業員の方に認識してもらうように、毎年、これまで納めた退職金の納付状況をお知らせして、毎 年、認識を新たにしてもらえば、このようなケースも請求に結びついてくるかなと思っています。 ○今村委員  いまの質問に関連して、言葉の問題ですが、果たして英語のパンフレットだけで十分かどうかとい う質問なのです。日系ブラジル人とか、そういった人たちの場合には言葉の問題で非常に苦労をして いるということをよく聞くわけです。そうすると、もう少し多様な言語で、つまり、日本語で本人宛 に周知徹底したからといって、全員がそれを受け止めるということはないわけで、現状でこの業種が、 建築とか中小企業とか、外国人労働力がもしかしたら多いという業界において、英語だけのパンフレ ットで事足れりという姿勢は、ちょっと不十分ではないかという印象がするのですが、いかがでしょ うか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  ご指摘はまさにそのとおりの部分があろうかと思っております。私どもも全ての言語というのは難 しいところはございますが、例えばブラジル人の方が多いとか、そういう状況も確かにあろうかと思 いますので、今後どのような形でそういった方々に、この中退共制度の存在、及び加入しているとい うことを知ってもらえるのかということにつきまして、もう少し勉強、研究をさせていただきたいと 思います。 ○今村委員  これは貼付額の差額の減額とか、未請求者の減額と、ダイレクトに結びつく重要な施策である可能 性がありますから、その割合を調査して、効果をきちんと定めれば、多少の費用を出してもかまわな いのではないかなと思いますので、よろしくご検討をください。 ○井原部会長  そのほかに何かございますか。それではグループ4に移りたいと思います。グループ4は、「財務内 容の改善に関する事項」から「積立金の処分に関する事項」までの項目についての評価です。所要時 間は法人からの説明15分、委員の評定と質疑15分の合計30分となっています。法人からの説明をお 願いします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  第4グループの財務諸表の「財務内容の改善に関する事項」以降についてご説明させていただきます。 まず、評価項目12の「累積欠損金の処理」についてです。この問題につきましては、冒頭、理事長の 挨拶にもございましたように、金融危機の拡大、あるいは世界的な実体経済の悪化などによりまして、 内外の株式市場が大幅な悪化をしております。私ども、国内外の株式のリスク資産につきましては、 他の機関投資家よりも少ない部分はございますが、やはりこの影響を免れないというところでして、 委託運用をしています金銭信託につきまして、大幅なマイナスが生じています。  この資産運用全体で1,699億円が、中退共ではマイナスが出たということで、いちばん右側の平成 20年度末のところに書いていますが、当期損失1,929億円を計上してしまいました。その結果といた しまして、累積欠損金が3,492億円ということで、ほぼ法人承継時のレベルにまた戻ってしまったとい うことで、この削減計画がなかなか達成できなかったということです。  なお、付け加えれば、平成21年度については、内外株式が少し上昇してきている兆しがございまし て、日経平均も1万円を越えているということもございまして、4月から7月、直近の4カ月の速報で 申しますと、この運用益が4月から7月で、当法人は1,100億円の運用益を得ておりますので、昨年度 の運用損の3分の2は取り返したというところではありますが、株式市場等々、市場が今後どうなるか は分からないということもございますので、これから注視していきたいと思っております。  1枚めくりまして、林退においてもやはり同じ状況でして、運用収益が1,600万円のマイナスで、当 期1億3,900万円の損失が出たために、累積欠損金が14億9,500万ということで、こちらにつきまし ても、解消目安額どおりの解消がなされていないということで累績決損金が増加したところです。  これらの資産運用の状況ですが、評価項目13にまとめさせていただいています。この資産運用につ きましては、私どもは外部の有識者による「資産運用評価委員会」におきまして、既に平成20年度の 運用実績につきまして、お願いしているところです。資産運用評価委員会の報告につきまして、32頁、 33頁で概要をまとめていますので、その評価結果についてご紹介させていただきたいと思います。  まず、「評価に当たって」ということで、評価委員会が資産運用の基本方針に沿った運用がなされ ているかどうかを中心として評価をすることとしたということで、「運用目標の達成状況」としまし て、2つ目の○ですが、「運用に際しては他の法令を遵守するとともに、制度の安定的な運営又は健全 性の向上に必要な運用収益の確保を達成するため、運用の基本方針に定めた最適な資産の組み合わせ である基本ポートフォリオに沿った資産配分を行っている」ということ。  4つ目の○に赤字で書いてありますが、収益の状況等は自家運用、委託運用全体で見れば、概ねベン チマーク、これは市場平均ですが、ベンチマーク等と同等のパフォーマンスとなっている。ただ、自 家運用、委託運用別に見れば、ベンチマーク等を下回っている経理もあるということで、これらの経 理を所掌する事業本部においては、各経理の実情を勘案した上で、こういったベンチマークをはじめ とする指標の動きを十分踏まえるとともに、パフォーマンスの改善に向けた取組みを行う必要がある。  総じて、「リーマン・ブラザーズの破綻を発端とする金融危機の拡大や世界的な実体経済の急激な 悪化を背景にした内外株式市場の低迷及び為替の円高進行の影響から金銭信託評価損を計上している。 中期的に制度の安定性及び健全性の向上に必要な収益の確保に引き続き努力する必要があると考えら れる」ということです。  「基本方針の遵守状況」につきましては、赤字で書いていますが、「各共済事業とも、全般として 運用の基本方針に沿った運用に努めていると評価できる」という評価をいただいております。  一方、本年度は市場が非常に荒れている時期でございましたので、リーマン・ショック以後の運用 面の対応についても、特別に評価をいただいております。  まず、中退共経理につきましては、リーマン・ブラザースの破綻以後、あるいはAIGの信用不安問題 等に対応して、これらを相手方とした売買取引等について、特段の問題がなかったことを確認したと いうこと。3つ目のポツですが、市場環境が急変したことから、ポートフォリオ、いわゆるアセットア ロケーションやリバランスルールの見直しを検討したが、市場環境の急変時に変更することは平常時 以上にリスクが増大し、短期的に収支を大きく振れさせることになると判断して、基本ポートフォリ オの資産配分を維持し、ルールどおりにリバランスすることに決定したと。建退共事業についても、2 つ目のポツですが、受託運用機関に対して提示したアセットアロケーションを維持するように指示を したと。  また、下から3行目、「委託運用先の見直し」です。委託運用において、評価の低い委託先について 解除・減額を実施したと。全体として、金銭信託評価損が決算運用利回りに大きく影響したものの、 金融市場の状況を踏まえた運用が行われていると評価できると、外部の有識者からなる資産運用評価 委員会でご評価いただいています。  次の頁で、ベンチマークとの比較ですが、それぞれの経理別に、平成20年事業年度の資産運用につ いてのパフォーマンスの状況を書いています。全体の7割強を占める中退共事業の資産運用の状況です が、資産残高が3兆3,000億円で、決算利回りは4.88%のマイナスです。冒頭申し上げましたように、 リスク性資産が比較的低くて、国内債権が8割を占めることもあって、他の機関投資家よりマイナス幅 は少なくなっていると思いますが、決算運用利回りとして4.88%の大きなマイナスになっています。 ベンチマークとの比較におきましては、委託運用において、超過収益は市場と比べると0.54%のプラ ス、自家運用についても0.12%のプラスということで、双方ともベンチマークを上回っています。  建退共事業におきましては、決算利回りは-2.33%、委託運用は-0.05%で、若干のマイナスです。 また、自家運用においても-0.19%となっています。これは下の※の所に書いていますが、自家運用資 産に関しましては、独法化に際して時価で承継した国債・政府保証債につきまして、毎年度、その時 価と額面との差額を運用収入から償却していることから、決算運用利回りは参考指標に劣後する傾向 があるということで、参考指標に準じるように、額面加重平均利率を出しますと、下の※3に書いてあ るように、1.61%ということで、参考指標を若干上回っています。清退、林退についてもその数字の とおりでして、主なベンチマークよりも若干低かったり、同等であったりというところです。35頁は、 平成19年度運用実績に対する評価結果の概要ですが、こちらについては平成19年度のものですので、 割愛させていただきます。  次に、評価項目14「その他業務運営に関する事項」です。まず、「保有する資産についての措置」 ということで、退職金機構ビル及び別館に関してです。中期計画の中で、退職金機構ビル及び別館が 現在地に所在することが必要不可欠かどうかについて十分吟味し、移転の可能性について検討を行う とされているところから、私どもが日頃行き来している委託運用機関とか、加入促進にご協力いただ いている団体、また、ビルの有効活用ということから、不動産の業者、また、関係団体など、外部の 有識者に参集を求めまして、この退職金機構ビルのあり方に関する検討会を設置して、検討を開始し たところです。  平成20年度は2回開催しまして、第1回では、この機構の保有資産に関する指摘事項について説明 し、今後の検討内容・方法についてのご意見を伺っています。また、第2回としまして、各業務の外部 機関との関わりについて、現在地にあることのメリット、デメリットなどについて意見を聴取したと ころです。今後、平成21年度、既に関係団体からのヒアリングを2回行っていますが、機構ビルの所 在地、あり方について、さらに意見を聴取した上で、とりまとめに向けた論点整理を行っていきたい と考えています。  続きまして、私どもが所有している、松戸と越谷の2つの宿舎ですが、これも中期計画におきまして、 売却等の方向で早期に検討を行うとされたところです。そのため、平成21年度中に廃止を行うと、昨 年10月に決定いたしました。その上で入居者に対して、平成21年度中に退去するように説明会をして、 お願いすることと併せまして、この両宿舎とも、厚生労働省、あるいは雇用・能力開発機構と土地、 あるいは建物を持合いにしていますので、この処分に当たっては、今後この両者と調整していくこと が必要になってくることから、調整を開始したところです。  続きまして、評価項目15の「予算、収支計画及び資金計画」です。平成20年度の予算・決算を見て いただきますと、運営費交付金については、35億円の予算に対して決算34億円と、主に人件費で節約 がなされています。一方、給付経理も含めた全体としては73億円の予算で、平成19年度より3億円増 になっています。これは平成20年度より開始した、いわゆるシステムの最適化の関係、また、未請求 ・未更新対策の関係、これらは合わせて4億円程度ありますので、それが平成19年度にのっかってい ると考えていただければよいかと思いますが、73億円の予算に対して、決算ベースで70億円というこ とで、一定の削減がなされています。その要因としましては、既存の経費の見直しを行ったこと、ま た、最適化あるいは未請求・未更新対策は、すべて競争入札で行ったこととか、あるいは、四半期ご とに予算の執行状況を把握したというようなことがあろうかと思います。  それから、下の第7「重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画」です。従 前から宿題になっていた、川越職員宿舎の跡地の処分です。これは現在、土地の市況が非常に悪くな りまして、なかなか買い手がつかなかったわけですが、平成20年度において売却公告を2回実施して、 結果的に一般競争入札により売却することができたところです。  最後に、評価項目16「職員の人事に関する計画」です。「研修の充実」ということで、機構の課題 に対応するための研修の実施ということで、先ほど申し上げました、内部統制に関する研修、ディス カッション。それから、独法会計基準の見直しが私どもの大きな課題であると思いまして、管理職以 上を対象に独立行政法人の会計基準についての研修を行い、認識の向上を図ったところです。一方、 研修については、私どもは受講者からそれぞれ評価をとっているところですが、その評価を踏まえて、 研修計画に反映を図っていると。例えば、新任係長研修においても、若手リーダーの心構えと企画す る能力の向上を図るためのカリキュラムの拡充などを行ったところです。右側に書いてありますが、 平成20年度研修は88講座、392人参加の下に能力開発を行ったところです。このほかの能力開発支援 として、業務に関する資格取得があります。例えば、財務プランナーとか、そのような資格の取得を 支援するために、資格取得した職員に受講料あるいは受験料について補助したところです。  以上、財務内容の改善等に関する事項、その他についての機構の取組みの説明を終わります。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは委員の皆様は評定記入用紙へ評定等の記入をお願いします。質 問等がありましたらご発言をお願いします。 ○篠原部会長代理  まず1点目は、健全な資産運用等の評価がBで、繰越欠損金がCとなっています。資産運用の結果が 繰越欠損金にいくと思うのですが、なぜ片方がBで、その結果としてのCかということ。それから、資 産運用評価委員会等の平成20年度運用実績の評価結果を見ると、規定どおりやられたと。反省という のはなかったわけですか。例えば、リーマン・ブラザーズ対処で早目に手を打ったとか、最近はいろ いろなものがあるのですが、そういう柔軟な運用をすれば。これを見ると、また従来と同じように出 てしまうという感じもしないではないのです。ある人は、今後もバブルで必ずくることは予想しなけ ればいけないと思いますが、その辺はどんなものでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  まず、私どもの自己評価におきまして、資産運用に関するものと累積欠損に関するものがBとCと、 異なっていることについてです。正直いって、ここは私どもも内部でかなり議論したというか、悩ん だところですが、資産運用については、外部の委員会からも指摘されているように、基本的には定め られたポートフォリオに従って運用を行ったわけで、また、ベンチマークとも同等の水準になってい て、ここは普通ということでBでよいのではないかと感じて、Bにしています。  一方、累積欠損に関しては、私どもは累損解消計画を立てていまして、基本的には中期計画期間中 にいくら解消するという問題ですが、やはり年度ごとの解消の目安を設けているところです。やはり 運用環境が悪かったことによって、結果的にこの累損が拡大したことは事実かと思いますが、解消計 画が達成できなかったという結果に対しては反省すべきといいますか、その結果についてはやはりC評 価にならざるを得ないかということで、評価項目12については自己評価Cとしたところです。  一方、こういった、非常に上下動が激しい市場環境の中で、今後どうしていくのかということです。 ミクロで見れば、リーマン・ブラザーズのようなところについて、もう少し早い手を打てなかったの かということについては、私どもは基本的に外部の専門家に委託運用していますので、そちらのほう でいろいろな手を打った結果として、直接の損害額はそんなに大きくなかったわけですが、むしろリ ーマン・ブラザーズの破綻によって、それ以外の、経済全体に与えた影響がかなり大きかったことが、 結果として委託運用において相当の損失が出たのではないかと思います。  それでは、こういった中で、基本的なポートフォリオ、あるいはリバランスルールを変えるかどう かという点に関しては、ここにも書いてあります。私どもは中長期的な観点から、効率性であり、確 実な資産運用を行うという点で基本ポートフォリオを定めているわけですので、それを短期的に変え てしまうとかえって、例えば損失が嵩んだり、あるいは、本来上昇局面で受け取れるべき収益を確保 できないという面も出てくることもあって、結果的には、基本的なポートフォリオの資産配分を維持 するという方針を貫きまして、それについては資産運用委員会、評価委員会でも一定の評価は得てい ます。また、まだ途中経過ではありますが、平成21年度は4カ月で1,100億円ということで、逆にか なりの評価益を得ていることもありますので、やはり資産運用については中長期観点からやっていく ことが必要ではないかと思います。そういう委託運用機関との連携を密にして、情報交換等をきっち りやっていって、齟齬がないように、そこは引き続き努めていきたいと思います。 ○勤労者退職金共済機構理事長  ちょっと補足してよろしいですか。委員のご質問の第1点であります、資産運用のほうで自己評価B としておきながら、累損解消の問題についてはCとしたのは何故かというご質問ですが、いま部長が言 いにくそうに申しましたように、部長の原案ではBでいこうということで、我が機構の職員のほとんど は、一生懸命やったのだからBでいいではないかと、資産運用がBなら累損もBでいいではないかとい う考え方があったわけです。私は、目標で掲げた累損解消計画にこれだけ大きく外れた以上、これは 未達と言わざるを得ないので、Cでいこうということで、ある意味でかなり独断的に説得をしたという 経緯があります。  2点目の、資産運用のほうで、もう少し柔軟にやったらうまくいくのではないかという趣旨の質問だ ったと思います。柔軟にやってうまくいく場合もあるのですが、大きな痛手を被るケースも多いわけ です。一般に民間で、アメリカやヨーロッパも含めて、大きな組織で立派な専門家を集めた運用機関 があのような大きな損を出した実績を見ますと、我々素人が専門家と相談しながら一緒にやる以上、 いまのところはコンサバティブな運用もいいのではないかと考えています。ただ、経済の仕組みが大 きく変わる、構造的な変化が確実に起こるのであれば予定運用利回りも見直さなければいけませんし、 それにともない基本ポートフォリオも見直さなければいけないと考えています。まだその時期ではな いと思います。 ○篠原部会長代理  ハーバードが4兆円ぐらいの資金運用をして、あれは運用の定評があると思いますが、かなり損を出 したのであれば仕方がない気もします。ただ、我々はこれを評価するときに、自己努力というか、経 営努力のできる部分と外部要因と、どう見るかが、かなりあるのですが、やはりその辺を見極めない と評価しづらいものがあって、ある意味で、逆に情報をきちんと提供してくださいという感じもある のです。これは2点目ですね。あるメーカーなのですが、昨日社長からそういう実績評価が、同じよう に、第1四半期はすごく業績がいいと。ところが、いまの景気対策で、おそらく後半はこうなるだろう という予想があって、かなり慎重になってきています。ですから、これはどうなるかという予想なの ですが、落ちるだろうというのが多いようですね。だから、先ほど言った感じだと、その辺はあまり 対応はできないのかと。ただ、せっかく1,000億円儲かったから、それを確保してもいいのかなと、マ イナスにもっていかないでくださいという感じがしますが、それも難しいのですね。 ○勤労者退職金共済機構理事長  ええ。例えば来期以降、経済が少しダレてきて、市況も悪くなるのではないかというのが1つの有力 な見方ですが、いまそういう見方をベースにして資産運用の方向を決めてしまうと、我々は責任説明 を求められますね。先々のことについて、お前はそんなに確実に知り得る立場にあるのかという質問 に対しては、十分な答えはできないのではないでしょうか。やはり経済は生き物で、なかなか読めな いというのを前提に考えていくべきではないかと考えます。 ○今村委員  評価項目16「職員の人事に関する計画」に関して、2つ質問させていただきたいと思います。まず、 資料の41頁にある、内部統制研修と独法会計基準研修で、新たな課題に対応して迅速に研修制度を導 入された点は評価できます。ただ、ここに内部統制とガバナンスという言葉があるのですが、法令遵 守という言葉がないのが若干気になります。この研修の項目内容について、先ほどの説明では、公益 通報者保護制度等の準備をされているということがありましたが、こういった組織の中で法令遵守と いう問題は非常に重要だと思いますので、それについて研修が十分行われているかどうかを確認した いわけです。  評価シートの資料で、2点目は研修の効果についてです。先ほどから出ている、外部へ資金運用を委 託する際の選定とか、結果に対するフィードバックとかに関しては、やはり内部人材の資金運用能力 というか、確かにそういうものの強化というか研修は重要だと思います。結果の所で、例えば45頁で す。これはあくまでも一部分だと思います。第9の[2]の下の半分で、「業務に関連する分野の資格取得 を資金面等から支援するため、以下の受験料等への補助を実施した」と書いてあるのですが、それぞ れ1名ですし、資格そのもののレベルもそんなに高くないです。実際に研修が行われていることは評価 できるのですが、結果について、十分高い、つまり、世間一般に通用するような資格を職員が取得し ているかという点について、これは十分な説明になっていないと思います。その点について質問した いと思います。2つお願いします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  まず、法令遵守についての研修の徹底ということです。ご指摘のように、私どもは昨年度、内部統 制の研修という中で、ガバナンスの強化という意味で、内部統制をどうやっていくことが必要なのか という観点から研修を行ったわけで、対象も、理事長、理事、それから、各部課長という、管理職中 心でしたので、法令遵守を取り出した研修という意味では実施していないところです。ただ、それぞ れの階層別の研修、例えば新任研修とか、あるいは新任管理職、新任係長等の研修におきまして、当 然のことながら、コンプライアンス重視という項目は研修内容の中に折り込むようにしています。  第2点目で、業務に即応する分野の資格取得を支援するということですが、特に資産運用に関しては、 私ども法人内部の人材で確実にこういった専門的な人材を養成することがなかなか難しい面があるの は、そのとおりかと思います。とりわけ、私どもは必ずしも専門職として採用、配置、昇進するとい ような人事体系ではないわけです。やはり資産運用鑑定の企業等のように、一生そこだけをやってい くというような人材の育成はなかなか難しいこともありまして、内部職員においては、研修、あるい は能力開発と、努めてはいますが、一定の限界があるのはご指摘のとおりかと思います。その代わり、 外部というか、金融関係の業務、あるいは、投資関係の業務を行っている方々を中途採用しまして、 そういった方々を課長クラスの調査役ということで複数名採用しまして、その方々に能力を発揮して いただくと。それと併せて、それをサポートする、あるいは管理する立場の私ども内部の人材が、一 定の資産運用についての知識を身につけることができるように、という観点からの能力開発に努めて いくのが私ども機構の実態に合った姿かと正直思います。 ○井原部会長  資金運用するとき、外部に委託運用するでしょう。そのときの外部に対する報酬は成功報酬なので すか、固定なのですか。それから、どのぐらいの程度で、機構が外部の運用者に対して口が出せる契 約になっていますか。そういうことです。 ○勤労者退職金共済機構中退共事業本部資金運用部長  成功報酬ではなくて、テーブルで決めていますので、成功したかしないかに関わらず、あらかじめ 定めている手数料体系でお支払いするものです。 ○井原部会長  運用金額に応じた、一定比率ですか。 ○勤労者退職金共済機構中退共事業本部資金運用部長  はい、そういうことです。 ○井原部会長  わかりました。 ○勤労者退職金共済機構中退共事業本部資金運用部長  私どもは、外部に委託する場合、法律で縛られていまして、投資一任契約に限ることになっていま すので、私どもが、それぞれの資産配分であるとか、あるいは、どの株を買って、どの株を売りなさ いとか、どの債権をというようなことは、口出しは一切できないことになっています。したがって、 すべて私どもの選定した運用会社に任せることになります。 ○本寺委員  選定のときはちゃんと委託会社のパフォーマンスとかを見て、それで決定されているのですね。 ○勤労者退職金共済機構中退共事業本部資金運用部長  そうですね。 ○本寺委員  それで、委託の期間はどのぐらいなのですか。 ○勤労者退職金共済機構中退共事業本部資金運用部長  通常3〜5年間ぐらいを見て評価して、定量的なものは見ていきます。ただし、定性的なものは突然、 例えば、配置されている人たちがコロコロ変わったりしますと、そういった所には運用を任せられな いということで、定性的なもので評価して、ただちに解約ということはあります。定量的な評価とい う意味では、年度によって多少、今年の相場についてはこういったスタイルの方法をとっている運用 機関が有利に働く、ということがありますので、ただちに1年で評価してしまうと、翌年にそのスタイ ルに合ったときには逆に出てきますので、一応3〜5年ということでやっています。 ○本寺委員  41頁、人事に関する計画です。リーダーシップの能力研修なのですが、これを見ると、課室長とか 係長には研修をされているようです。組織におけるリーダーシップで、いちばん影響力を持つのは役 員とか部長なのですが、その人たちに対するリーダーシップの研修とかはやっていないのですか。た またま平成20年度はやっていないが、既にやったと理解してよろしいですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  役員に対してのリーダーシップ研修というのも内容的になかなか難しいかと思います。例えば、こ ちらに書いてあります、内部統制研修とか、あるいは、独法会計基準の研修とか、あるいは、識見を 高めるという意味で、外部の講習会といったものに参加するとか、そういった形で個々に研修をやら れていますが、役員になったらリーダーシップ研修をするとか、そういうような性格のものではない のかと。個別に必要な場合、対象を決定して、役員の方、あるいは部長も研修するという形をとって います。 ○篠原部会長代理  2年か3年前、資産運用のレベルが高いときに、目標を超えた場合は退職した人と半分ずつ分けると いう話を聞いたのですが、今度、損をするとどうなのか、その辺は広報というか、説明責任をきちん とやられているのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  まず、加入者の方に支払う退職金の利率の関係ですが、法律上、決まった利率プラス付加退職金と いう制度になっていまして、1%が原則で、さらに利益が出た場合には、先ほど委員のご指摘のように、 利益の半分は付加退職金に回すことになっていまして、利益がかなり高いときには付加退職金が2%と か、そういったことで、合わせて3%ぐらいになったこともあります。ただ、法律上の定めとして、付 加するという考え方ですので、平成20年度のように非常に低い場合でも、定まった1%は確実に、共 済契約者の方、利用者の方にお支払いすることになっていますので、損失によって利率を下げること はしていません。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。それでは、事務局から説明を申し上げます。 ○政策評価官室長補佐  記入が終わっていない委員の方につきましては、本部会終了後、会場にお残りになって記入してい ただいても結構ですし、また、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入していただい ても結構です。お持ち帰りになる場合には、13日(木)までに事務局にお送りいただければと思いま す。また、お持ち帰りになる際には事務局まで声をおかけください。 ○井原部会長  では、勤労者退職金共済機構に関する議題についてはここまでで終わりでございます。 ○政策評価官室長補佐  次に入りますので、少し休憩をいただいて、法人と法人所管課の入替えを行いたいと思います。次 の開始時間は3時半とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。                (法人及び所管課入替) ○井原部会長  労働者健康福祉機構の総合評価についての審議をいたします。まず、事務局から総合評価の進め方 についての説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  労働者健康福祉機構の総合評価につきましては、前回(7月29日)の個別評価における評定結果に 基づきまして、起草委員の方において起草していただいた総合評価の案についてご審議いただきます。  なお、各委員のお手元には、記入いただいた評定記入用紙の原本及び評価シート、それから各委員 の評定結果一覧表を置いてございます。個別評価における評定結果につきましては、今回の審議等を 踏まえまして、修正が可能でございます。のちほど評定を修正・確定させる時間を設けておりますの で、よろしくお願いいたします。 ○井原部会長  では、労働者健康福祉機構の起草委員を代表いたしまして、堺委員からご報告をお願いいたします。  なお、議事運営の都合上、報告時間は概ね10分でお願いいたします。 ○堺委員  それでは、資料2-1の評価結果についての概要をご説明いたします。  2頁の(1)の部分からです。今回の評価は労働者健康福祉機構が平成16年4月1日に独立行政法人 として発足して以降、第1期中期目標の最終年度にかかるものであります。  (2)の全体的な評価ですが、当法人は、労働者の健康保持増進に関する措置の有効な実施を図ること などにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的としていますが、この目的を達成するため、 病院の運営をはじめ、さまざまな事業について効率的な運営が求められています。  まず、労災疾病等13分野の研究開発について、全ての分野について学会・学述誌への発表を実施す るとともに、行政機関等への情報提供、産業保健推進センター等と連携しながら研究成果の普及に努 め、当該分野のモデル医療等の発展に貢献したことは評価できます。とりわけ、平成18年度に立ち上 げたアスベスト関連疾患分野は、この分野における我が国の指導的役割を果たしたと言えます。  産業保健関係者への取組みについては、産業保健推進センターを中心に、専門性を有する相談員の 配置体制を図り、関係機関と連携しながら地域のニーズに応じた研修事業や相談事業を行い、事業の 質及び利用者の利便性の向上に向けた取組みを講じているものと認められます。  3頁の第2段落ですが、中期目標期間中に収支相償を目指すこととされている労災病院については、 平成20年度は、中期目標期間の最終年度に当たることから、年度当初から各病院との個別協議を重ね、 投資的経費も計画的抑制を図るなど、取組みを強化した結果、労災病院の収支面においては大幅な改 善をみました。しかし、世界的な金融危機に伴う厚生年金基金資産減少などによる外的要因から、損 益改善が小幅にとどまったところであります。ただし、外的要因を除いた医療活動に限って比較する と、中期目標期間を通じて着実に成果を上げており、今後とも、一層の経営の効率化等による経費削 減を図り、経営基盤の確立に向けた取組みを実現することが必要であります。  これらを踏まえまして、当法人の平成20年度の業務実績全般を評価いたしますと、概ね目標を達成 し、あるいは、それ以上の実績を上げているものもあり、適正に業務を実施したと評価できると考え ます。  なお、平成21年度以降においても、効率的、かつ、効果的な事業の運営を行う観点から、次の点に 留意した運営を行う必要があります。  [1]ですが、まず第1に、労災病院事業は勤労者医療の中核的な役割を果たす医療機関であるとともに、 地域医療の中核的医療機関であることから、蓄積された研究成果の普及を図りつつ、地域の実情及び ニーズを踏まえた地域医療連携を一層強化することにより、特色のある医療の提供を行い、事業を進 めることが必要であります。  第2に、労災病院の財務内容については、内部予算管理をより一層徹底しながら、財務内容の分析、 収支改善に向けた具体的な収入確保・支出改善策を提示するなど、これまで以上の改善と工夫を行う ことが必要であります。  4頁の2の(1)で、個別の評価について、今後の事業運営に当たっての留意点をいくつか述べます。  組織・運営体制の見直しについては、経営改善推進会議の隔週開催、4月及び5月の実績に基づく年 間収支推計の実施及び年度計画達成に懸念のある病院との個別協議を行うなど、経営指導体制を強化 するとともに、各病院での経営課題の明確化等を図ることにより、抜本的な経営改善などを推進し、 業務運営の効率化を推進いたしました。その中でも、医師確保を図りつつ、職員賞与0.35月分のカッ ト等の人件費削減を実現する一方で、職員の総合満足度と看護師の離職率が目標期間を通じて改善し たことは評価できます。今後も職員のモチベーション及びモラールの維持・向上に留意しつつ、経営 改善の取組みを強固に続けていくことを期待します。  (2)の[1]、業績評価の実施については、管理職に対する個人別役割確認制度の実施、SWOT分析による バランススコアカードの精度向上、上半期評価による通年成績向上の試み等、プロセス管理を適切に 行い、サービス及び業務の質の向上に取り組んでいると言えます。今後も、これらの制度を十分に活 用し、更なる取組みを行うことを期待します。  5頁の第1段落です。労災疾病に係る研究開発については、先に述べましたとおり、国内外で高い評 価を得ており、インターネットアクセスは、平成20年度においては20万件を超え、中期計画以上の実 績を上げたことは評価できます。今後は、外部研究費の獲得を図るなどにより、当該分野の研究開発 の成果について、なお一層の取組みを期待します。  勤労者に対する過労死予防、メンタルヘルス不全予防、勤労女性の健康管理対策については、利用 者満足度調査で高い評価を受け、中期目標を上回る実績を上げたことを評価します。今後は、社会に おける過労死予防の貢献度を明らかにしつつ、研究成果については国際的な評価が得られるよう、今 後の取組みを期待します。  勤労者医療の地域支援の推進については、新たに3施設の地域医療支援病院、1施設のがん診療連携 拠点病院の承認を得る等、地域における勤労者医療の中核病院としての評価が認められていると言え ます。  6頁の[3]です。海外勤務者の健康管理支援事業については、施設利用数、利用者満足度及びホームペ ージアクセス件数とも中期目標を上回る実績を上げたことは評価できます。また、新型インフルエン ザについては、蓄積された知見を活用し、発熱外来の設置、医師の派遣等を行うなど、積極的な役割 を果たしました。今後は、整理合理化計画に基づく業務廃止決定を踏まえ、蓄積された知見等の活用 について配慮することが望まれます。  [5]の助成金事業については、特殊事情を除けば支給事務処理期間の目標を達成しているほか、未払 賃金立替払事業については、経済状況の悪化による立替払い件数の急増にもかかわらず、審査体制の 強化、審査事務の効率化等により、請求書の受付日から支払日までの期間を、中期目標である30日以 内を達成したことは評価できます。  7頁の[7]、リハビリテーション施設の運営については、社会復帰率が中期目標の25%に対して、32.6% と大きく上回り、退所者の受入れ先を確保しつつ、作業所及び在所者数の縮小を行っていることは評 価できます。今後とも、整理合理化計画等を踏まえ、在所者の退所先の確保を図りつつ、縮小廃止に 計画的に取り組むことを期待いたします。  (3)の「財務内容の改善について」です。先に述べましたとおり、今後も良質な医療サービスの提供 に十分配慮しつつも、収支改善のための具体的な方策を提示し、経営基盤の確立に向けた取組みを一 層強力に実施するように期待します。  8頁の(4)「『整理合理化計画』、『独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点』(平成21年3 月30日政策評価・独立行政法人評価委員会)等への対応について」でございます。[1]の「財務状況」 でございます。第1に、労災病院の繰越欠損金については、今後の景気動向などによる外的要因を除い た医業活動により収支改善を計画的に進めることによって、第2期中期目標に定めている平成28年度 を目処とした繰越欠損金の解消に向け、取り組まれたいと存じます。  第2に、運営費交付金収益化基準については、平成20年度から労災看護専門学校事業及び勤労者予 防医療センター事業の業務経費について期間進行基準を採用したことは評価できます。  次に[2]「保有資産の管理・運用等」については、個人の未収金について、未収金回収マニュアルに 基づき回収を行っていること、平成21年10月からは整理合理化計画に基づき市場化テストを実施する こととしており、着実に取組みが進められております。  9頁の[3]「人件費管理」については、第1に事務・技術職員の給与については、国家公務員の水準を 下回るなど改善が認められたことは評価できます。また、病院医師及び看護師の給与については、優 秀な人材の確保の必要性や医師・看護師不足を考慮しますと、適切にその改善が進められております。 ただし、年功的要素の見直しや、職務・職責に応じた給与体系の見直しについて、今後の取組みに期 待いたします。  第2に、福利厚生費については、今後とも、職員のモチベーション維持に留意しつつ、適宜必要な見 直しが行われることを期待します。  [4]「契約」については、「随意契約見直し計画」に基づき、着実に随意契約から一般競争入札に移 行している点は評価できます。引き続き「随意契約見直し計画」の達成に向けた取組みを期待します。 一方、1者応札率については、医療業務の特殊性や一般競争入札への移行を増加させた影響などから、 依然として50%を超えており、今後は、競争性・透明性確保の観点から、機構で実施した1者応札の原 因把握のためのアンケート調査結果を踏まえ、個々の契約について検証を行うなど、1者応札率の確実 な減少に向けて、一層取り組むべきだと考えます。  10頁の[5]「内部統制」については、就業規則、役職員倫理規程等の諸規則の整備、倫理委員会の設 置などによる法令遵守体制等の整備が図られているとともに、医療事故等発生時のマニュアルなどを 策定することにより、報告体制も確立されていることは評価できます。  [6]の「業務改善のための役職員のイニシアティブ等」については、外部有識者による業績評価委員 会を開催するとともに、事業実績の公表、電子メールによる意見・評価を事業に反映させる取組み、 各事業等の利用者満足度調査におけるニーズを踏まえた取組みのほか、バランススコアカード等を活 用したプロセス管理を図るなど、業務改善のための役職員のイニシアティブ等の発揮について積極的 に取り組んでいると評価できます。  以上、評価結果の概要についてご説明させていただきました。 ○井原部会長  それでは、ただいまのご報告をいただいた総合評価書につきまして、ご意見等をお伺いいたします。 ○松田委員  9頁の「人件費管理」のところで、「事務・技術職員の給与については、国家公務員の賃金を下回る など改善が認められる」。というのは、昨年(19年度)はどうだったのですか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  上回っております。103か104だったと思います。いまご指摘なのは平成19年度の数字ですか。 ○松田委員  そうです。 ○労働者健康福祉機構理事長  数字で申し上げますが、100をちょっと上回るぐらいのラスパイレスです。 ○松田委員  そうですか。この文章では「事務・技術職員」は必要ないのではないですか。これは当たり前のこ とですものね。100%で比較するということは。事務・技術だけ取り上げて、改善が認められるという のは、その下に書いてあるとおり、医師や看護師はそうではないでしょう。この上の上段の2行目は要 らないですよ。削除したらどうですか。 ○労働者健康福祉機構総務部長   これは私どもが申し上げるべきものではないのではないかと思います。委員の皆様の中でご議論さ れればと思います。 ○松田委員  これは必要ないと思います。当たり前の話ですものね。 ○井原部会長  この点に関していかがですか。これは最初は相当高かったのでしょう。 ○労働者健康福祉機構総務部長  100を超えておりまして、平成20年度では。 ○井原部会長  計画が始まったときはいくつでしたか。それが計画目標に掲げているかどうかの話ですよ。 ○労働者健康福祉機構理事長  我々の事務職等については、ラスパイレスを超えていることを改善していくという、いわば責務が 課されて取り組んできた課題でもあります。 ○井原部会長  それは書いてあるのですね、目標として。 ○松田委員  ですから、19年度の数字を言ってくださいと言っているのです。 ○井原部会長   その前に、この総合評価書というのは、5年間の評価ですから、問題は、最初の計画が、目標が、こ の5年間に達成されたかどうかでしょう。 ○労働者健康福祉機構理事長  はい。 ○井原部会長  ですよね。だから今年の話ではなくて。そういうことなんです。 ○松田委員  でも、達成されたのは当たり前の話ですからね。わざわざ事務・技術職だけ改善されたなんて、こ れは必要ないですよね。 ○井原部会長  目標になっているかどうかの話なのです。 ○労働者健康福祉機構総務部長  すみません。19年度の数字がすぐ出ないのですが、16年度の数字でよろしいでしょうか。仮に16年 度の数字を申し上げますと、102.8でございました。20年度には99.2という数字になっています。 ○労働者健康福祉機構理事長  これはすでに総務省をはじめ、行政改革の視点からも、ラスパイレスを国家公務員と比較した場合 の100を下回ることは、かねて求められてきたことでして、それを達成したという。 ○井原部会長 それをただ書いただけの話ですよね。だから、そこが普通のことだったら、書く必要 がないよというのも1つの見解だし、目標にちゃんと掲げられていて、実際にそれは達成しましたよと。 これも1つの考え方です。ご意見をいただきたいと思います。 ○本寺委員  目標として、それをやるべきだということで掲げたのであれば、それに対しての実績として、記述 としては残しておいたほうがいいと思います。ちなみに、事務・技術職員は、機構の職員のうちの何 割ぐらいなのですか。機構の全職員のうち、たしか割合でいくと。 ○労働者健康福祉機構理事長  どのぐらいになるだろう。10%程度。もっといるか。医療職と呼ばれている人たちの、レントゲン 技師から検査技師、そしてリハビリ技師等も入ってくるのではないかと。入ってこないですか。事務 職のほうは。 ○労働者健康福祉機構総務部長   事務職では、平成20年度が約1,114名でございまして、常勤職員が大体9,000名でございます。 ○労働者健康福祉機構理事長  事務職は少ないですね。1割満たないと思います、事務職に限ればですね。 ○労働者健康福祉機構総務部長  いま申し上げたのは事務・技術です。 ○井原部会長  いまのご意見は、目標として掲げたことが達成されたから載せておくべきだということですか。 ○堺委員  確かに、全体をご覧になられてそういうご意見もおありだと思うのですが、病院の運営の特性はあ まり言ってはいけないのだろうと思うのですが、とは言え、現在の日本における病院の経営状況は、 非常に厳しい状況にあるということは、やっと社会全体に知られてきて、これがおそらく来年度、あ る程度是正される状況になってきているのではないかと思います。その辺を勘案するということは、 これまではそういうことは言えなかったのです。でも、やっと社会に認知されてまいりましたので、 勘案すべきであるということを、もう申し上げてもいいかなと思っております。 ○井原部会長  そうすると、この文章はそのままでいいというご意見ですね。ということなので、どうでしょうか。 私も、目標に掲げてある以上は、評価を出しておくべきだ、というのが私の考えです。そうすると、 そちらのほうが多数のような気がするのですが、申し訳ございません。その他に何か。 ○松田委員  書く必要はないと思います。 ○篠原部会長代理  7頁の(3)「財務内容の改善等について」で、[1]「労災病院について」。ここの1行目で、「世界的 な金融危機に伴う厚生年金基金資産減少という外的要因」という文章があるのですが、これは内部で 運用しているのか。一般的に、こう書いてあれば外部で運用とわかるのでしょうか。「外部へ運用委 託をしている」とか。この言葉でその差がわかるのか。いきなり「外部要因」というのも。僕らもほ ぼ外部要因で、評価としては、経営人の責任というのは、お金は1割か2割かなという気がしているの ですが、0ということはないような。こういう書き方でいいのですが、「厚生年金基金資産減少」とい う部分で、この文章でいいか、外部へ運用委託をしているというか。実際はしているのですよね。 ○労働者健康福祉機構理事長  厚生年金基金について申し上げれば、私どもを含めて27団体が加盟している厚生年金基金がありま すので、これはまず私どもが主体的に運営をするわけでもないし、別法人の厚生年金基金が、ほかの 団体の分も含めて運用しているという意味で、まず1つ外的になるのかと想像しています。それと同時 に、資産が減少した理由が、サブプライム、あるいはその後の金融危機等による経済的影響の中で減 少したという意味での外的要因、そのように受け止めさせてはいただいておりますけれども。 ○篠原部会長代理  上から4行目に、「これらの外的要因を除いた医業活動」とあるのですが、医業活動というと、ここ の意味は、我々説明を受けているからわかるのですが、損益計算書に、退職給付にいま言った部分は 入っていますよね、世界的危機の損失が。そうすると、意味はわかるのですが、通常の財務諸表的に 見ると、医業活動も退職金も含めた活動に入るから、給与だとかね。ちょっと文章が変かなという気 もしないでもないのです。わかるのですよ、意味は。だけれども、このように書いたときに、例えば 最初の案で、類似費用の中に医業があれば意外とわかりやすいのですが、それを含めてしまうと、 「異常項目を除いた」と書いてあるから医業活動で、その中から変なものを除いたという意味なのか なと思うのですが、ちょっとわかりづらいような気もするのですが。それほどの違和感はないのです が。やはり内容を知っているがために、いろいろな部分が何とかならないかなという気がします。 ○労働者健康福祉機構理事長  これは、私どもが前回ご審査いただいた際にご説明申し上げる資料の中で、こんな形の表現をさせ ていただいて、それを評価結果の中でお使いいただいているだろうと思いますが、私どもの気持とし ては、通常の医療活動を展開して、入院収入等を中心に診療報酬によって、圧倒的収入を得る。それ を、もちろん医療諸費、医師・看護師を含めた人件費で見ていく。それを順調に展開していれば、そ んなことにならなかったと。順調に展開してきて、相当改善をさせたのですけれども、ほぼ損益が均 衡するところまできたのだけれども、厚生年金基金の資産目減り分があるので、この評価委員会の私 どもの医療活動がきちっと活発に的確になされているかどうかという意味の評価の際の物差しとして は、そうした医療活動の部分を浮き彫りにした形で、経済的影響による厚生年金基金の資産の目減り 分は脇に置いて評価をしていただければという願いを込めて、こういう表現をさせていただいており ます。 ○篠原部会長代理  財務担当で、大臣に対する財務諸表承認に関する意見具申にかかわりがあるもので非常に興味があ って、通常のサブプライムローン等がなければ、▲7億になりましたよと。その部分がこの文章ではっ きり出たほうがいいかなという気がしないでもないが、これで何となくわかるからいいかなという気 がしないでもないですよね。ただ、やはり最初これを見たときに、40何億も赤字だと。特殊な要因を 除けば、▲7億だ。この労働部会の前の評価のときも、意見としてはかなり経営責任があるとかいって 分かれるところなのだけれども、おそらく外部要因であることは確かだ。やはり分けたほうがいい。 先ほど言いましたが、私が個人的に見れば、内部要因の部分だって、責任はゼロではないと。多少あ るかなというけれども、外部要因とくくってしまってもいい。 ○井原部会長  表現が、気がつけばいいのですね。 ○労働者健康福祉機構理事長  私どもも医療活動を展開する医療機関としての評価については、先生のいまのお話からすると、や はり外部要因は別として、いろいろ評価の基準を、物差しを置かなければいけないという私どもの気 持ちはご理解いただいていると思います。ただ、誤解を生みやすいという点につきましては、財務諸 表につきまして、厚生労働大臣の承認等を得た段階で、ホームページ等に掲載するとか、外部へ出す ときは、きちんと財務諸表は財務諸表として、同時に、労災病院の損益概要というような形で、きち んとそこは誤解が生まれないような解説を付記しながら外部へ出していく、というような工夫はきち んとしてまいりたいと思っています。 ○篠原部会長代理  これは通常の医療活動という言葉だけでよいのではとの気もするのですが、影響を除いたとかは余 分かなという気がしないでもないのですが、ほぼわかるなという気もします。 ○堺委員  医療にかかわることを2、3申し上げたいと思います。いずれも5頁に記載してあることです。まず 5頁のいちばん上の「研究開発」のところですが、確かにアスベスト以外にもいろいろな分野で多くの 成果を上げられまして、今後については、外部研究費の獲得あるいは国際的な更なる評価ということ で、今後の発展ということでは期待をいたしますが、平成20年度の評価ということになりますと、こ れは非常に大きな成果だと私は思います。外部研究費の獲得や国際的な評価ということになりますと、 もしこれが達成できると一流大学の医学部と同じということになってしまうので、そこまで一気にい くということを求めているわけではございません。目指してほしいという意味なので、平成20年度の 成果としては、ここのところは高く評価したいと考えます。  2つ目は、5頁の真ん中ですが、「勤労者医療の地域支援の推進」についてですが、地域医療支援病 院が3施設、がん診療連携拠点病院が新たに平成20年度に認可を受けておられますが、実際に私は病 院群を運営しておりますので、そう簡単に取れる資格ではないということはよく知っておりますので、 平成20年度の成果としては、これは高く評価したいと思います。  3番目です。同じく5頁のいちばん下の段落ですが、「行政機関等への貢献」ですが、これは病院関 係者の間では、労災病院というとアスベストについて我が国でとても大きな貢献をしてくださったと 思っておりまして、研究あるいは診療について、我が国をリードする実績を上げてくださいましたの で、この部分も病院関係者から見ますと、高い評価をしてよろしいのではないかと思います。  以上、医療に関する3点について、これは私の私見でございますが、高く評価されてよろしいのでは ないかと考えています。 ○今村委員  いま抜かされたところなのですが、5頁の2番目のパラグラフなのですが、過労死に関する記述のと ころで、ちょっとわかりにくいかなと思うのが、そのパラグラフの下から3行目の「今後は、社会にお ける過労死予防の貢献度を明らかにしつつ」の主語というか、誰が貢献するのかというのがちょっと わかりにくいと思います。これは評価シートの後ろのほうの34頁以降に、委員の判定理由というとこ ろにまとめられているのですが、2つほど同じような意見で、過労死予防の評価をするときに、そもそ もこういう満足度というレベルでやるよりは、もっと情報伝達をすればそれで足りるということでは なくて、もう少し過労死予防の効果の測定については評価の仕方が別途あるのではないかと記述をさ れているわけです。34頁の下、「各委員の評定理由」の1番目と2番目にそういうことが書いてあり ますが、おそらくこれを受けて表現されたのだと思いますが、それにしても、そもそも雇用労働とか そちらの面から考えて、単に精神病理学的な部分ではなくて、もっと組織的な要因とかいろいろある と思うので、社会的要因も含めて、もっとネットワークを広げて、国際的な標準語である「過労死」 ということの研究センターになるという、そういう趣旨は賛成なのですが、もう少しそれに対して 「社会における過労死予防の貢献度」という1行の表現というのは、ちょっと物足りないような印象な のですが、ここをもう少し。「今後は、社会における過労死予防の貢献度を明らかに」というのを、 単純に「過労死予防の本機構の貢献度を明らかにしつつ」とか、「本機構の施策の貢献度を明らかに しつつ」というのがいちばん簡単な書き変え方だと思いますが、そうすると少し因果関係が明らかに なると思います。 ○堺委員  委員の先生方よくご存じのように、過労死というのは大変複雑な現象でございまして、メンタルヘ ルスもありますし、労働条件もありますし、非常に複雑な現象の結果としてこういうことが言われて いるわけです。私は専門ということではありませんが、臨床をやっている者の一般的な意見といたし ましては、過労死というのは大変複雑な現象で、さらに今後の日本の社会のために研究を推進してい ただくことは、非常に意義がある。まだ、過労死の原因とその対策を完全に解明するという状態には、 これは今回の機構だけではなくて、日本の医学界として、まだそのレベルには達していないというこ とだと理解しております。ですからさらに、複雑で、しかも社会的な影響力が大きい現象についての 研究活動を期待するということかと思います。以上です。 ○井原部会長  ここは読んでいるうちに私も変な気になった。 ○今村委員  機構の社会における位置付けということです。 ○井原部会長  過労死予防の貢献度を明らかにするという話よりも、貢献度というのは因果関係を明らかにすると いう意味ですか。 ○今村委員  機構の特徴はそこですよね。 ○井原部会長   そうですね。だから過労死予防の因果関係の話ですか。 ○労働者健康福祉機構理事長  私どもとしては、予防医療センターを各病院にセクションを設置して、そこで企業向け、勤労者向 けに保健指導・栄養指導・運動指導等々をやりながら、あるいは職場に行って過労死予防に関する講 習会をやったりしながら、いわば予防医療なのです。 ○井原部会長  ここの言いたいことは、要するに機構の貢献度という意味ですね。 ○労働者健康福祉機構理事長  予防医療と同時にメカニズムを研究する。ここの業務上外の認定、労災の補償請求が出て、業務上 か否かという判断になったときには、個々の医師が臨床の立場から意見書を作るという。また、行政 への貢献の1項目ですが、これは1つの具体的な事案を見ながらやる。その前の研究と予防医療の展開 を進めてきている。例えば貢献度でいうと、それをやったから何人の過労死が予防できたかという統 計的なことは、なかなか実際上は難しい。 ○井原部会長  だから、そこのところがちょっと引っかかったのですが、「貢献度を明らかに」。今村委員の話と いうのは、それよりも社会的に。 ○今村委員  いまおっしゃったように機構の特徴というか、いちばんの競争力というか根源は、いま言ったよう な予防を病理的に貢献するということ。おそらくそうすると、職場にフィードバックされて職場改善 とか、そういうことに影響力としていくのだけれども、そこは機構の守備範囲では必ずしもない。 ○労働者健康福祉機構理事長  労働時間の短縮等につながったり。 ○今村委員 そうですね。社会的なインパクトの大きい仕事をされているわけですから、 そういう 意味では貢献度ということをもうちょっとわかりやすく書かれたら。 ○井原部会長  社会にとっていろいろいいことをしたのだよ、という話を1行加えてほしいという話ですね。 ○今村委員  アスベストと同じですよね。 ○井原部会長  だから国際的な評価を得られるより、そっちのほうが先だよという話ですね。 ○今村委員  そうですね。過労死というのは確かにカラオケと同じで、国際的な標準語になっていますから、そ ういう意味では注目度が高いと思います。 ○井原部会長  わかりました。ということをここにうまく表現として、社会に対する貢献みたいな話ですね。 ○今村委員  そうですね。アスベストの次にこういう貢献ができるのだという意味では重要な。 ○井原部会長  それをここに入れたいということなのですが、それはよろしいですか。これはどこで直すのですか。 ○政策評価官室長補佐  この評価書自体は評価委員会の場ですので、もし細かい話であれば、起草委員の方と部会長とご相 談をさせていただきながら直していくのがよいかなと思っています。その方向性だけこの場で確認い たしまして、案文のほうはまた事務局が間に入りまして。 ○井原部会長  ではそのようにお願いします。 ○篠原部会長代理  当法人発足時に感じたのは、ほかの公的病院と比べるとかなり自立性を求められていて、具体的に いうと、公的病院はいろいろなことをやらなければいけないと。この前の評価のとき、堺委員が補助 金等が少ないよと。私なども少ないという感覚で、いま▲7億当期損益になってきたから、かなり努力 しているのだけれども、赤字まで消せるだろうかと実は心配があって、経営管理としての予算管理を きちんとやって、最終的には下駄を履かなければいけない、あるいは補助金というのを、もっと予算 制度をきちんとやりながら明確にしていけば、今後、外部に対して、この分はもっと補助金がほしい とか要求していかなければ駄目なのかなという気がするので、その前として、やはりどんぶり勘定的 なものよりは、きっちりこれとこれをやって、これはどうという。だから次の期というのは、そうい うのを明確にする目的かなと。それでやって、赤字もすごく効率化して、その上でも、やはりどうに もならない部分というのは出てくるのではないかと予想しているのですが。そういう意味では、今後、 内部の体制というのは、財務的にきちんと把握する体制を作っていただきたいという要望です。 ○井原部会長 要望ですね。文章を変えろという話では。 ○篠原部会長代理  ではないです。 ○本寺委員  要望ということでいくと、実は今期のいちばんの損益に影響を与えたのは、厚生年金基金の損失に 伴う給付金の拠出ですよね。例えばですが、民間でこんなことが起こったら、いわゆる総合型の厚生 年金に入っていたら、脱退して、将来は楽になろうということも考えたりするとか。特にこちらの機 構は、年金基金は25,000人とかおっしゃったので、かなり年金基金の中でも影響力があるはずだから、 将来の予定利率を下げるだとか、そういうような活動をすることによって、少しでも退職金の負債を 小さくするような動きを取ることもできるのではないかなという気がしているのですが、根拠はこう いうことで、この評価を変えるということはないのですけれども、来期に向けて、そういったことは どのように取り組まれるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。 ○労働者健康福祉機構理事長  先ほどちょっと申し上げましたように、27団体が加盟をしていて、確かにウエイト的には私どもの 団体が相当大きいわけです。私どもの団体が、もしここを脱退するということになると、重大な影響 を与えることになるのだろうと思います。ご指摘があったように、私どもの経営基盤という損益の結 果として現われてくる数字にこれだけ影響を与えるわけですから、もちろん経営環境といいますか、 日本の経済状況の回復等々があれば、またその辺の環境が変わってくることを、大いに期待している のですが。ただ、こういう状況の中で、おっしゃられたように、将来に向けての職員の年金制度のあ り方について研究をしなければいかん、という認識は持っています。ただ、私どもだけというわけに はいかないものですから、ほかの団体等といろいろ話もしていかなければならない。このようなお話 があったことについては、厚生年金基金の担当のほうに伝えて、将来に向けて年金の有り様をどう考 えていくのかということは、問題意識を持って取り組んでいきたいと思っています。 ○篠原部会長代理  いまの質問に関連して、損が出たというのですけれとも、これは確定しているのではなくて、将来 経済情勢が良ければ、我々に説明した損よりずっと小さくなると考えていいのですか。それとも、も う確定してしまったものなのですか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  いまの段階では確定していると。ただし、今後利益が出てくる可能性があるわけです。それが上に 乗っかかってくると。それで相殺していくこともあり得ると。こういった状況でございます。 ○井原部会長  財務諸表上は確定しているということですね。ほかに何か。  ちょっと気がついたことなのですが、「期待する」という表現が非常に多いのですけれども、ただ1 つだけ、5頁の真ん中のパラグラフ「勤労者医療の地域支援の推進については」、そこだけが「期待さ れる」なのですよ。「期待する」でもいいでしょう。 ○堺委員  能動型の「期待する」で結構です。 ○井原部会長  だから、「ニーズに対する更なる対応を期待する」、それでいいですよね。そのほかに何かありま すか。よろしいでしょうか。  それでは修正が何箇所か出ておりますので、そこだけを確認したいと思います。1つは5頁の真ん中 ごろに、今村委員からの指摘なのですが、「今後は、社会における過労死予防の貢献度」云々のとこ ろに、社会的な貢献の意味合いの文章を1つ入れてください。それと、ちょっと下のところの「期待さ れる」を「対応を期待する」という形に直してください。よろしいでしょうか。  なお、このあと、誤字脱字、事実誤認により修正が必要となった場合等の対応につきましては、私 どもにご一任いただければと思います。               (各委員了承) ○井原部会長  では、そのようにさせていただきます。最後に法人からコメントをいただけますか。 ○労働者健康福祉機構理事長  大変お忙しい中、私どもの評価を通じまして、大変貴重なご意見等を賜りましてありがとうござい ました。特に平成20年度は、独立行政法人中期目標の最終年度ということで、大変重要な年と認識し ながら、いろいろ取組みを重ねてきました。それだけに、更に、もっとという部分も含めまして、い ろいろなご意見を賜りましたことを、これからの取組みに十分活かしてまいりたいと思っております。  私ども中期目標の数値目標はほぼ達成しておりますけれども、何せ、主力が労災病院という医療機 関でございますので、環境が厳しいわけです。また、独立行政法人という課題とも、ジレンマを抱え る場面も多々ありまして、やはり、そこの最大の問題は、労災病院がそれぞれの地域でしっかりした ポジショニングを固めて、医療機関としての足腰を強めていかないと、政策・目的・使命等々に回し ていく余力が生まれないと。そういうことが我々の立場になるだろうと思いますので、その辺を肝に 銘じながら、先生方のご意見を、そういう方面で前進させるための糧にさせていただきたいと思って います。本当にありがとうございました。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。それでは、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定の 修正・確定を行いたいと思います。修正に当たりましては、事務局から説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  修正でございますが、評定記入用紙の原本をお配りしていますので、そちらに赤鉛筆で修正いただ きたいと思います。また、S、A、B、C、Dだけではなくて、評定理由の修正や加筆も可能です。  また、机上に配付してございます「個別項目に関する評価結果(未定稿)」とさせていただいてい る資料ですが、こちらは現時点でいただいている委員の方々の評定を、Sを5点、Aを4点、Bを3点、 Cを2点、Dを1点と点数化させていただきまして平均したものです。なお、委員名は空欄としており まして、委員各自にはご自分の名前のみしか分からないような形で配付させていただいております。  また、個別評価に係る資料をご覧になりたい場合には、事務局のほうに数部用意してございますの で、お申し付けいただければと思います。 ○井原部会長  それでは、ここでちょっと時間を取りまして、評定記入用紙の確認や修正をお願いしたいと思いま す。                (評定の修正・加筆) ○井原部会長   それでは、今日の修正された部分を含めまして、労働者健康福祉機構の平成20年度業務実績評価に 関する意見を取りまとめいたします。  評価書には、評価結果の別添といたしまして、評価シートの集約版が添付されますが、本日の評価 の確定を行ったことによって、S〜Dの評定が変更された場合とか、コメントが修正・追加された場合 は、これらを反映した評価シートの集約版が添付されることになります。  これら修正が必要となった場合の対応につきましては、私にご一任いただきたいと思います。                 (各委員了承) ○井原部会長  なお、通例、評価書の審議と併せて財務諸表の承認に係る意見についての審議を行ってまいりまし たが、財務担当委員である篠原部会長代理において、まだ検討する余地があるというご意見を伺って おりますので、後ほど、その点については触れたいと思います。  先に、長期借入金の実績報告について法人からのご報告をいただいた後で、その検討状況について、 部会長代理から報告をお願いします。  では、労働者健康福祉機構の平成21年3月及び5月の長期借入金の実績についてのご報告をお願い いたします。これについて、まず、政策評価官室から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  まず、資料2-2-1、資料2-2-2が関連する資料です。ご確認ください。資料2-2に沿って説明をさせ ていただきたいと思います。  本部会における労働者健康福祉機構の長期借入金等に係る意見の取扱いについてまとめたものです。  年度を通じた「長期借入金計画」については部会の了解事項とし、当該計画に基づく長期借入金の 個別の認可については部会長一任事項としておりまして、部会には事後報告をすることというのが、 現在の整理です。  つきまして、平成21年度計画は本年3月に、平成20年度計画は昨年3月に本部会のご了解をいただ いております。本日は、これらの計画に基づく平成21年3月及び5月の長期借入金実績のご報告とい う形になっております。  それでは法人のほうからご報告をお願いします。 ○労働者健康福祉機構経理部長  経理部長の鮫島でございます。それでは、当機構の長期借入金の実績につきましてご説明します。 資料は2-2-1でございます。  平成20年度の第4四半期分、平成21年3月の借入実績についてです。この借入れにつきましては、 これまでもご説明しているとおり、当機構が独法化する前の、労働福祉事業団が行っておりました、 労働安全融資の原資として、平成6年まで借り入れていた財政融資資金の償還と、この融資を受けた中 小事業主への貸付債券の回収との間にタイムラグが生じることによる、財政融資資金の償還金の不足 金に充てるために、民間金融機関から資金の借入れを行うこととしているものです。  平成20年度長期借入金計画に関しましては、先ほどもご説明がありましたように、平成20年3月 27日の第45回労働部会におきまして、既にご説明申し上げ、ご了承いただいているところです。  平成21年3月の借入実績につきましては、項目の1に記載しているとおりです。平成20年3月借入 金の償還に伴う民間からの借換額1億4,081万7,000円と、16億1,488万3,000円の2件で、合計17 億5,570万円となっております。  この結果、項目2に記載しているとおり、平成20年度の長期借入金の実績につきましては、43億 1,582万円でございます。年度当初に計画しました、49億1,275万8,000円の範囲内で対応できました ことをご報告いたします。  次に、平成21年5月の借入実績についてご説明をいたします。お手元の資料の2枚目になります。 平成21年度の長期借入金計画に関しましては、項目4に記載しているとおりです。平成21年3月6日 の第52回労働部会におきまして、年度計画の全体につきまして、既にご説明申し上げ、ご了承いただ いているところです。  長期借入金の借入れにつきましては、財政融資資金の償還時期に合わせまして、5月、9月、11月、 3月の4回を計画しておりまして、平成21年度計画額の範囲内で借入れを行うこととしています。な お、財政融資資金の償還時期につきましては、21年度は5月と11月であり、本年度で償還は完済いた します。  平成21年5月の借入実績額につきましては、項目の3に記載しているとおりです。当年度新規借入 金として1,053万7,000円、また、20年5月借入金の償還に伴う民間からの借換額として4億8,754万 4,000円。合計で4億9,808万1,000円借入れを行っているところでございます。  以上のとおり、平成21年度計画の範囲内で借入れを行っておりますことを、併せてご報告いたしま す。私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。 ○井原部会長   この点に関しまして何かご質問があればお願いします。 ○篠原部会長代理  当年度新規借入額というのは、2億とかいくらかずつ増えていますよね、借換え以外に。借入金が増 えているのですが、その理由は。 ○労働者健康福祉機構経理部出納課長  財政投融資に返済をしなければいけない、償還をしなければいけないということですので、その時 期時期に合わせて回収額と償還額との差額、不足分を書いているわけですので、一時的に増えている ということです。 ○篠原部会長代理  2番目は、財務諸表を見ると3月26日に借り換えているから、現預金が約700億円弱で、有価証券 等が200何億円、長期性預金など、多少はそちらでできるという。去年も質問したのですが、法律上で きないとか言ったのですが。いまは持っている資金を預金しても大した運用はなくて、1%近く借りる のだったら、多少右のポケットから左のポケットに移したほうが、利益が出るのではないかと思うの です。それは法律上完全にできないのか、ややこしいから止めているのか。 ○労働者健康福祉機構経理部出納課長  省令により、交付金で行う事業の本部等勘定と、自前収入で行う病院勘定、それと労働安全融資の 管理を行う債権管理勘定というこの3つの勘定により、明確に区分経理をしなさいという規定になって おりますので、勘定間運用はできないのです。 ○井原部会長  そのほかに何かございますか。よろしゅうございますか。それでは、労働者健康福祉機構の平成21 年3月及び5月の長期借入金については、当部会として報告を承ったということにしたいと思います。  次に、「労働者健康福祉機構平成20年度財務諸表の承認に係る大臣への意見について」です。篠原 部会長代理から、検討状況についての説明をお願いいたします。 ○篠原部会長代理  例年と同じように、7月中旬に財務諸表を送っていただいて、私が前もってメールで質問事項を書い て、3月5日に約3時間近く、監事も交えて説明を受けると同時に、いろいろな質問事項を議論させて いただきました。その限りにおいては問題はありませんでしたが、実はこの前の評価のときに、私は2 つの質問をさせていただきました。まず、積立金が運営費交付金からきた部分は、国庫納付しなくて はいけないのではないかということで、私も調べさせていただいたのですが、いまの労働者健康福祉 機構の法律を見る限り、返還する必要はないということで、そのままになるかと思います、法律に則 って処理をするという意味では。これは多少、法律上の不備という感じもしないでもありません。た だ、その後の15億円ぐらいの運用というか、対応が難しいのではないかという気がしています。です から、それは適正であるし、我々としても別に問題はないと思います。もし問題とするならば、我々 が制度や何かの改定でお願いするしかないということです。  2番目に、先ほどの評価でも出てきた当期の損失です。労災病院勘定が40何億マイナスで、金融危 機によるサブプライムローンの影響が約35億円ですか。そうすると、平常のマイナスが▲7億円とい う説明を受けたわけです。この前の理事長の説明では、法人の最初の予定では損益計算書の臨時損失 に30何億円を計上すると。ただ、会計監査人の指導で、上の経常費用の医療事業費の退職給付費用に 含めてしまったということです。  我々としては、この財務諸表だけではその辺の経緯がわからないということで、独法にお願いして 検討いたしました。その結果、この財務諸表等についてはいじらないけれども、ホームページ等いろ いろな所で財務の関係の解説等がありますので、そこで対応したいという回答を得ています。それと、 会計監査人は「私どもは適切に監査をやったから」という回答でした。  いまの私の感じであれば、評価あるいは国民の目線で見たときに、やはり30何億円はこの前の評価 のときに、委員によって自己責任、外部要因の頃合いというのは違うと思っているのですが、やはり 財務諸表上明示すべきであるというのが私の意見です。通常であれば▲7億円に対して▲35億円という のは、金額が大きいです。監査の場合、これは圧倒的に大きいです。それでどういう対応をしてくれ ということは、私は一切言っていないのですが、やはり財務諸表上、それが分かるようにしていただ きたいという意見です。 ○井原部会長  それでは時間ですので、次回の開催等について、事務局から説明してください。 ○政策評価官室長補佐  次回の開催は8月24日の月曜日、1時からです。場所は省内の専用第21会議室となっております。 議題は今回の件が加わりますが、それ以外に「高齢・障害者雇用支援機構、労働政策研究・研修機構、 雇用・能力開発機構、勤労者退職金共済機構の総合評価」、それから、「これら4法人の財務諸表の承 認に係る意見について」、「労働者健康福祉機構の最終評価」、「法人の役員給与規程の改正につい て」となっております。  また、第1部と言いますか、前半のほうで勤退機構の個別評価をお願いいたしましたが、評価がまだ お済みでない委員は残っていただいても結構ですし、お持ち帰りいただいても結構です。お持ち帰り になる場合には、事務局のほうに一言声をおかけいただければと思います。 ○井原部会長  それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり、熱心なご審議ありがとうございま した。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)