09/08/07 第54回独立行政法人評価委員会労働部会議事録 独立行政法人評価委員会労働部会(第54回) 開催日時:平成21年8月7日(金)13:00〜18:44 開催場所:厚生労働省専用第21会議室 出席者 :井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、今村委員、寺山委員、宮本委員、松田委員、      中村委員、川端委員 ○篠原部会長代理  定刻になりましたので、ただいまから第54回独立行政法人評価委員会労働部会を開催します。委員 の皆さまにおかれましては、お忙しい中、かつ快晴で非常に猛暑の中お集まりいただきありがとうご ざいます。井原部会長は約30分遅れるので、それまで私が議事進行を務めさせていただきますので、 よろしくお願いいたします。本日は、小畑委員と本寺委員が欠席です。中村委員が途中で来られるこ とになっています。  本日の議題は、お手元の議事次第通り雇用・能力開発機構の「平成20年度業務実績に関する個別評 価」を行い、その後休憩をはさんで高齢・障害者雇用支援機構の「平成20年度事務実績に関する個別 評価」及び「重要な財産の処分について」を行います。  早速、議事に入りたいと思います。雇用・能力開発機構の個別評価に入ります。最初に丸山理事長 からご挨拶と年度業務実績の概要のご説明をお願いします。よろしくお願いします。 ○雇用・能力開発機構理事長  雇用・能力開発機構理事長の丸山です。平素は、私どもの機構の事業運営にいろいろとご指導たま わりまして厚く御礼申し上げます。  今日は、今、部会長代理の篠原先生のお話のとおり、平成20年度の当機構の業績をご説明し、ご評 価をいただきます。よろしくお願いします。少し機構全般のことについてお話して、ご挨拶に代えさ せていただきたいと思います。  私ども雇用・能力開発機構は、国の雇用のセーフティネットの一端を担っていると自覚しています が、ご高承のとおり平成20年度は年度の途中におきまして、我が国の社会経済情勢が大変大きく変動 しまして、上期と下期とでは様変りの激動の1年間でした。  昨年度、上期はここ数年来と同様、まだ好調な雇用失業情勢が継続しておりました。それゆえか、 雇用のセーフティネットの切実性がやや薄らいでいたかと思われる面や、国から管理を任されてきた 一部の施設について、世間の非常に強い批判の声も重なって当機構の存在自体が疑問視される状況で して、行政改革、あるいは当機構のあり方検討会等の場で、私どもの存在意義が厳しく検証されたと ころでした。  下期に入りますと、一転して急激なグローバル経済の悪化とともに我が国の雇用失業情勢も大変大 きな落差を伴って悪化してまいりました。ちょうど評価委員の皆さまに埼玉ポリテクセンターをご視 察いただいたのは、昨年の12月ですが、あの前後からまさに釣瓶落しの状態で悪化してきたわけです。  現在でも、なお依然として深刻な状況が続いていますし、これから先もさらに悪化することが懸念 される状況にあります。そういった状況を皆さまがご高承のことと存じますが、悪化の状況を数字で 見てみますと、例えば直近の経済情勢の、最近の一番好調なピーク時における完全失業率、あるいは 有効求人倍率が現在どこまで落ち込んでいたかを数字で追ってみますと、完全失業率の一番最近のピ ークは、ちょうど2年前の平成19年(2007年)7月の3.6%でございました。それが、今年の3月では、 4.8%、5月には5.2%、さらに先週発表された6月の完全失業率が5.4%と、まさにどんどんと状況が 悪化しているのが数字でもはっきりしています。それに対応して、有効求人倍率が、これも直近のピ ークは、平成19年6月でしたが、1.06倍。今年の3月はその半分の0.52倍、5月には0.44倍、6月は 0.43倍とさらに下ってきている状況です。  失業者の激増とともに当機構への一方的な批判の声は少なくなりました。それどころか、当機構の 実施する公共職業訓練への需要が全国的に高まっています。例えば、施設内での離職者のものづくり 訓練に応募する倍率を全国平均で見てみますと、平成20年4月には1.6倍程度だったものが平成21年 4月には2倍を超えています。訓練コースによりましては、5倍から6倍というものも出てきている状 況です。この応募倍率が高いということは、セーフティネットという意味からは問題があるわけです が、特に施設内訓練においては、訓練のキャパシティーと効率性のバランスが難しいところがあって、 いろいろ悩んでいるところです。  もう1つの問題点は、その訓練効果でして、訓練効果を離職者の再就職率で見てみますと、お手元の 説明資料10頁に最近の離職者の再就職率の推移が出ていますが、機構の施設内訓練、ものづくり訓練 の再就職率は、後ほど詳しくご説明しますが、平成20年度は79.2%でした。目標の80%は残念ながら 今1歩のところで達成できなかったのですが、こうした雇用失業情勢の悪化を勘案いたしますと、かな り高い就職率が達成できたものと思っています。  平成21年度に入りますと、状況はより厳しくなっているわけですが、全国の私どもの施設の責任者 にはハローワークからの求人票のほかに、自らも今まで以上に自分の足で求人開拓に努力せよという ことを督促しているところです。ちなみに直近では、いちばん雇用失業情勢が悪かったのは、6年前の 平成14年度(2002年度)の後半でしたが、それを過ぎて平成15年4月の完全失業率は、5.5%という 史上最低の、最悪の失業率を記録したときですが、このときの有効求人倍率は、0.61倍、今よりも少 しよかった状況です。この平成14年度の私どもの施設内訓練を受けた者の就職率は、69.4%です。し たがって、平成20年度はそれよりも10ポイントほど向上した就職率になっています。これは、この5、 6年の間に私どもの機構の体制がいろいろと改善されました。システムが進化している結果だと思って います。  このような就職率を向上させている要因は2つあるのではないかと思っています。1つは、求職者の 能力、これは訓練で高めていくわけですが、求職者の能力を企業の求人側の人材ニーズにマッチさせ られるように、可能な限り企業の希望や将来動向等を常時把握し、訓練内容等を改善、見直しをして いる。詳しくは、後ほどご説明しますが、いわゆるPDCAの管理サイクルを確実に回していることの効 果があるのではなかろうかと思っております。  2つ目は、指導員とか事務職スタッフの約半数に近い1,400〜1,500名の者が平成20年度からスター トしましたジョブ・カード制度を推進する登録キャリア・コンサルタントの資格を身につけることに よって、よりきめの細かな就職相談を行える体制が充実してきているということが、大きな要因では なかろうかと思っています。平成21年度もこうした体制の充実を基盤に、厳しい中にも一層期待に応 えていく活動をしなければいけないと思っています。また、今回の経済不況の非常に大きな特色にな っているのですが、いわゆる非正規労働者からの大量の離職者の発生を見ているわけですが、国は平 成21年度の一般会計の補正予算において、雇用保険でカバーされない離職者への対応として中央職業 能力開発協会に基金を設けて、緊急人材育成・就職支援基金事業を創設したわけです。これは、平成 21年度の活動になりますが、その中の事業の1つである基金訓練のコーディネート及びキャリア・コ ンサルティングの業務を厚生労働大臣から実施するよう要請がありまして、7月29日から開始してい ます。  以上、最近の状況を若干トピック風に申し上げたのですが、当機構の中期目標期間における基本運 営方針は、お手元にお配りしているサマリーの「業務実績評価シート説明資料」でご説明したいと思 います。基本運営方針は、2頁の上段に表記してあります4点ですが、これは基本方針ですから昨年と 変わりませんので、説明は省略させていただきます。  この基本運営方針の中には、触れられていないのですが、2頁の下段の「主な取組状況等」という項 目の5番目と6番目に「財形業務」、「雇用促進住宅」という項目が挙げてありますが、これらも私ど もにとっては非常に重要な業務です。特に雇用促進住宅について一言申し上げますと、あとで資料の 37頁に「雇用促進住宅の譲渡・廃止」という項目で示してありますが、国の方針に従いましてその半 数程度の住宅について廃止決定を行うことは今までもご説明しているところですが、昨年度、1年間か けまして該当する廃止住宅に居住する住民の皆さまに来年(平成22年11月)までには退去してほしい 旨の説明会を完了したところです。かなり強い反発があるわけですが、説明会を行いました。一方、3 月の部会でもご説明したとおり、今回の雇用調整で解雇され住居を失った人の緊急避難的な住宅対策 が必要だということで、厚生労働省のご指示のもとに昨年12月の早い時期からそういった人たちを全 国の住宅に入居させております。 入居を承認した人はこの7月までに約7,000名に至っております。当初は、廃止決定をしていない住宅 に入居としていたわけですが、現在では、地域によっては、廃止決定住宅にも入居させる事態となっ ています。一方、廃止決定住宅の取扱いを理解して退去している人が、説明会後は既に1万所帯を超え ている状況でして、現場では苦情と混乱が出てまいりました。このような状況を反映して、厚生労働 省においては廃止住宅の入居者の退去については平成21年度以降、少なくとも3年間は実施しないと いう方針変更の指示をいただいております。  以上のような激動する環境の中で個々の事業を邁進してきたわけですが、その一方で中期目標で指 示されている効率化の推進にも努力してまいりました。お手元の説明資料の34頁で「経費の削減」を 示しています。概略を言うと平成18年度比144億円、15.6%の経費を削減しております。また、最終 頁の38頁ですが、常勤職員数は団塊の世代の大勢の定年退職者を出す一方で、新規採用を絞り込む等 を引き続き行っておりまして、平成18年度比282名の常勤職員を削減しております。  しかし、常勤職員の削減は数年代続けているわけですが、その結果年齢構成等にかなりの歪みが生 じております。今のところ、現有リソースで頑張れと各施設の管理職に言っていますが、現下の厳し い雇用失業情勢が数年先まで続くとすると十分な対応が難しくなることを懸念しています。また、中 長期的にもこの状況は憂慮されると思っています。  最後にもう一言、本日ご審議いただく当機構の平成20年度業績評価にかかわる私ども自身の自己評 価の仕方について、従来とやり方を変えましたのでご報告いたします。自己評価について、これまで よりもより一層透明性、客観性のあるものにしてこの評価委員会にお届けしたいと考えまして、平成 20年度評価からは外部の人による評価をベースにおいて自己評価を行うことにいたしました。具体的 には、当機構の活動について年に2回定期的に協議していただいている当機構の運営協議会の委員の皆 さんに評価をお願いすることにしました。本日、説明資料等に各項目の最後に私どもの自己評価をお 示しておりますが、それはその結果でして、私どもの理事会で確認したものです。ちなみに、私ども の機構の運営協議会の委員は12名でして、学界が3名、言論界1名、経営者団体4名、労働団体4名 という各界の有識者で構成されています。各評価項目ごとにご見解はいろいろでしたが、結論として このようになったものです。以上のことを前もって申し上げまして、これから詳しくご説明したいと 思いますので、よろしくご審議のほどをお願いします。以上です。               (井原部会長着席) ○井原部会長  ありがとうございました。遅れてまいりまして、大変失礼いたしました。これからの進め方ですが、 雇用・能力開発機構の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分けます。 そして、グループごとに評価を行っていただきたいと思います。まず、グループ1ですが、これは「雇 用開発」から「在職者訓練」までの項目についての評価です。所要時間は法人からの説明30分、委員 の評定と質疑30分の合計60分となっております。それでは、法人からの説明をお願いいたします。 ○雇用・能力開発機構企画部長   企画部の加藤です。どうぞ、よろしくお願いいたします。資料1-5というのがございます。先ほど、 理事長の説明に使った資料ですが、これに基づいて私のほうから説明をさせていただきます。1頁、雇 用・能力開発機構の法人としての概要です。右側にありますように機構が運営する施設としましては、 1つは職業訓練指導員の養成、再研修、調査研究を行います職業能力開発総合大学校、2つ目に求職者 の早期再就職、あるいは在職者の技能向上のための職業訓練を行います職業能力開発促進センター、3 つ目には高等学校卒業者等を対象といたしまして高度な職業訓練を行います職業能力開発大学校と短 期大学校、4つ目には昨年9月から民間に運営を委託してございます若年者のキャリア形成を総合的に 支援するための私のしごと館、5つ目といたしまして、雇用管理改善、あるいは能力開発のための相談、 助成金の支給等を行います各都道府県センターがございます。  2頁、ここにつきましては基本運営方針と取組状況です。先ほど、理事長からご説明を申し上げたと おりです。  3頁、機構の平成20年度の実績を全体的にまとめたものです。利用者の総数は中央の灰色のところ にありますが、約216万人です。これを労働者への支援、事業主への支援という2つの切り口から見て みますと、左側になりますが、まず労働者への支援では全体で約152万人が利用いたしました。このう ち機構のコア事業である職業能力開発業務、離職者訓練でありますとか、高度技能者養成訓練、在職 者訓練、指導員養成、キャリア・コンサルティングなど、142万8,000人が利用しております。その下 にございますように雇用促進住宅につきましては、9万2,000戸の利用となっております。  一方、右側の事業主支援のほうです。64万4000人が利用しております。やはりコア事業であります 職業能力開発業務、ここではキャリア・コンサルティング、能力開発助成金、中小企業事業主に対す る支援で、45万3,000人の利用です。左側の労働者支援と合わせますと、中央のグラフにございます が、188万1,000件の利用ということです。全体の利用の87%を職業能力開発事業が占めているという 状況です。  その下になりますが、雇用開発業務、ここでは相談・セミナー、それから雇用開発関係の助成金、 こういったもので18万9,000人の利用、財形持家融資等では2,000件という利用実績です。このほか、 一番下にありますようにホームページによる情報提供、こういった形で804万件という利用実績になっ ています。  次頁、個別の評価シートごとによるご説明です。資料の見方ですが、左の端にある青色の囲み、こ こが中期計画、あるいは年度計画の内容です。中でも数値目標が定められているものがありますので、 それにつきましては数値目標をピンク色で囲んで、お示ししております。青の括弧書きですが、これ は前年度の実績ということです。  5頁、評価シート1は「雇用開発業務」です。都道府県センターで実施をしております相談、セミナ ー等です。赤字で囲んでありますように、相談内容は募集、採用・配置あるいは労働条件など、人材 確保や職場定着に資する内容に重点化して取組を行いました。雇用管理相談を5万1,076件実施、雇用 管理改善セミナーを444回、1万5,791人の利用者に対して実施をいたしました。その結果です。左の ほうにありますようにアンケート調査によりまして、雇用管理相談では99.0%の方から、雇用管理改 善セミナーでは96.2%の方々から、雇用管理改善を進める上で大変役に立つ、あるいは役に立ったと いう評価が得られております。  さらに右側にございますように求人充足率25%以上、労働者の離職率15%以下にするという数値目 標があるわけですが、雇用管理相談を受けました事業所におきましては、求人充足率が39.5%、離職 率は11.6%、また雇用管理改善セミナーを受けた事業所におきましては求人充足率が29.7%、離職率 は11.7%、数値目標をいずれも達成しているところです。  中央にありますアンケート調査についてですが、これにつきましては所内でケース会議を行ってお ります。ここで分析・検討を行いまして、業務改善を図り、質の向上に努めているという状況です。  6頁、「建設事業主に対する雇用管理改善の相談等」です。前年度を超えます5万3,469件を実施い たしました。雇用管理研修は223回、利用者も前年度を超えます7,013人に実施したところです。その 結果ですが、相談を受けた後に雇用管理改善の取組を行った、あるいは行う予定であるという割合、 これは80%以上という目標ですが、実績といたしましては91%と、目標数値を大きく超えているとい うところです。  下のほうの沖縄県における離職者に対する援助です。ここでは100%の方々から就職活動を進める上 で役に立ったという、高い評価を得られているところです。以上によりまして、評価シート1の「雇用 開発業務」につきましては、雇用管理相談、あるいは雇用管理改善セミナーの満足度でありますとか、 求人充足率、労働者の離職率、建設事業主の雇用管理改善の取組を行った者の割合、さらには沖縄県 における離職者に対します相談援助の満足度、こういったものの数値目標のある項目につきまして、 すべてにおいて計画を上回ったということのほか、アンケート調査を実施いたしまして、これを活用 して業務の質の向上に努めました。以上のことから、自己評価Aとしているところです。  7頁、評価シート2「雇用開発業務関係助成金等の業務」です。ここにつきましては、申請者の利便 性を図るとともに申請内容の適正化、あるいは不正受給の防止を図る、こういった取組を実施したと ころです。まず、制度の周知のための助成金制度の説明会です。開催回数2,535回、参加者7万7,029 人、個別相談6万2,308件、ほぼ前年度と同様の内容の実績です。  左側にありますが、説明会終了時にアンケート調査をしております。86.6%の方々から、説明内容 が大変理解できたという目標値を超える評価を得られております。右側にありますが、不正受給防止 対策として、助成金担当職員への研修を730回実施いたしまして、審査能力の向上に努めております。 そのほか、支給要件に合致しているかどうかという確認のために、4,506件の事業所を訪問、このうち 疑義ある事業所270件については、すべて直接事業所を訪問いたしまして、確認を行った上で不正受給 の防止に努めております。この結果、不正受給の件数は平成20年度支給ベースですが、わずか1件で あったというところです。  左の下になります。建設事業主等に対します助成金の新規申請者数の対前年度増加率がございます。 平成18年度の実績2,908事業所が基準となっているわけです。平成19年度の実績が18年度と比べま して、40%増の4,070事業所、大幅に超えたところです。このため平成20年度の実績ですが、18年度 の基準を30%超えて、3,791事業所となっておりますが、対前年度増加率という目標値であるために、 達成率といたしましては対前年に比べまして、91.3%という達成率であったというところです。以上 によりまして、評価シート2につきましては、建設事業主に対します助成金の新規申請者の増加率、こ れは数値目標に若干至りませんでしたが、制度説明会の満足度の内容でありますとか、不正受給防止、 あるいは不正受給件数、こういったものがわずか1件であったというところですので、自己評価をAと しているところです。  8頁、評価シート3です。「連携及び効果的な訓練の実施」です。機構が実施いたします離職者訓練、 あるいは在職者訓練等につきましては、技術革新等に対応いたしました職業訓練を実施するために、 訓練修了者の就職率などの分析を踏まえまして、指導方法の改善を図るなど、PDCAサイクルにより訓 練コースでありますとか、訓練カリキュラムの見直しを行っております。こうしたことで、就職率の 向上や受講者の満足度に反映させて効果的な職業訓練の実施に努めているところです。  9頁の上段にありますように職業能力開発の実施に当たりましては、関係機関との連携が不可欠であ ります。47都道府県におきまして、それぞれ就職促進能力開発協議会を設置しております。述べ92回 会議を開催いたしまして、地域の労働市場の動向でありますとか、人材ニーズを踏まえた訓練コース の設定、こういったものにつきまして協議を行いました。都道府県労働局、都道府県事業主や事業主 団体、さらには民間教育訓練機関等との連携強化を図っているところです。  中段の下になりますが、訓練コースの見直しです。ここは地方運営協議会の下に訓練計画専門部会 を設置いたしました。例えば施設から40km圏内におきまして、他の教育訓練機関との訓練コースの競 合がないか、あるいは訓練コースの設定がニーズを踏まえたものになっているか、こういったことに ついて審査を行いまして、必要に応じて意見聴取なども行っているところです。見直しの状況につい てですが、下段にありますように離職者訓練につきましては、平成21年度の訓練計画に向けまして、 191の訓練科について見直しを行って、515科に設定をいたしました。  それから、右側の在職者訓練ですが、こちらのほうは1,478の訓練コースについて見直しを行いまし て、平成21年度には3,424コースとしたところです。こうした見直しの結果につきましては、ホーム ページにおいて公表しているところです。以上により、評価シート3につきましては職業能力開発業務 に当たりまして、就職促進協議会を92回開催いたしましたほか、都道府県が主催します各種会議へも 積極的に参加をしております。関係機関との十分な連携によりまして、人材ニーズを踏まえた訓練コ ースの設定等の検討を行いまして、効果的な職業訓練の実施に努めております。  訓練コースの見直しに当たりましては地域ニーズを把握し、訓練コースの案を作成して、カリキュ ラム検討委員会といったところで意見聴取を行うといったことを経まして、PDCAサイクルによりまし て、不断の見直しを行って、その結果につきましては、ホームページに公表するなどいたしまして、 質の高い効果的な訓練の実施により、高い就職率への実現に努めたことなどから、自己評価をAとして いるところです。  10頁、評価シート4、「離職者訓練」、ここは主として、職業能力開発促進センター、ポリテクセン ターと呼称しておりますが、ここで実施しております職業訓練です。施設内訓練では主に民間では実 施していないものづくり分野に特化して、実施をしております。また、その右にありますように委託 訓練ですが、民間の教育訓練機関等が対応可能な訓練につきましては、委託を積極的に推進して実施 をしているところです。非常に厳しい雇用失業情勢にもかかわらず、訓練終了後3カ月時点の就職率、 施設内訓練では80%以上という数値目標にわずか届きませんでしたが、79.2%、委託訓練では65%以 上という数値目標がございますが、これを上回ります69.9%という高い就職率を達成いたしました。 昨年来、雇用失業情勢は厳しさを増してきております。下の表の左側で、例えば緑色を有効求人倍率 で示しております。赤色は私ども機構の施設内訓練の就職率です。こちらの関係を見ますと、平成17 年度から資料を作っておりますが、有効求人倍率0.98倍、以降、1.06倍、1.02倍、0.77倍という形 です。その右になりますが、平成20年度を月別に見てみますと、今年の3月は0.52倍、4月には0.46 倍という右肩下がりの状況です。一方、施設内訓練の就職率、赤の線ですが、平成17年度、79.9%、 以降、81.6%、82.0%、79.2%、こういう高い水準を示してきているわけです。  なお、就職率につきまして、参考までに申し上げますと、ハローワークにおける年度平均の就職率 というのがあります。これにつきましては、濃い灰色の線です。平成17年度、31.6%、その次が32.4 %、31.8%、平成20年度は前年度比5.1ポイント減の26.7%という状況です。  職業訓練は都道府県も実施をしております。こちらのほうの統計といたしまして、昨年12月末まで に終了した訓練コースの就職しているのがございます。直接比較はできませんが、施設内訓練では都 道府県は72.3%、委託訓練では67.2%、こういう状況です。11頁にありますようにこのような厳しい 雇用失業情勢の中、機構では訓練受講希望者に対しまして、特にハローワークに設置しておりますキ ャリア形成相談コーナーにおきまして、前年度比10万2,000件増の44万995件のキャリア・コンサル ティングを実施いたしました。ジョブ・カードも交付いたしまして、本人の適性、あるいは意欲、能 力、こういったものを十分把握した上で、就職に資する適切な訓練コースの選定に資するよう支援を 行っているところです。  それから、就職支援における取組として、訓練生に対しましては、ハローワーク等の求人情報を提 供するほか、訓練生の詳細な求職情報を機構独自に作成いたしまして、求人開拓先に提供すること、 それから面接の際に指導員が同行いたしまして、訓練生の技能・技術の向上のための課題といったも のを持参いたしまして、習得度を説明する。あるいは内定者に対しましては、その企業において求め られております技能・技術の向上のための追加指導を行うなど、きめ細かな就職支援を行っていると ころです。  以上、離職者訓練につきましては施設内訓練、これにつきましては、特に民間では実施が困難なも のづくり分野に特化をして実施したというほか、地域において民間で可能な訓練につきましては、委 託を積極的に推進したということ。それから雇用失業情勢が厳しさを増しまして、有効求人倍率が過 去最低を記録するなど、雇用関係指標の悪化が続く中、キャリア・コンサルティングを増加して実施 するなどいたしまして、訓練生の適切な訓練コースの選定に資する支援を行った、それから施設内訓 練に止まらず、委託訓練の委託先に対しましても、就職支援、きめ細かく支援を実施いたしました。 その結果、施設内訓練にありましては、79.2%、ほぼ計画どおりの達成です。  委託訓練におきましては、目標値を上回る69.9%という就職率を達成いたしました。ということか ら、自己評価をAとしているところです。  12頁、評価シート5は職業能力開発大学校、短期大学校で実施しております高度な職業訓練です。 上段にありますように、まず教育内容の充実といたしまして、授業のシラバスの提示、学生による授 業評価を試行といったようなことで、PDCAサイクルによりまして、訓練の質の内容の向上に努める一 方、1年次から就職ガイダンス、あるいはキャリア・コンサルティングをきめ細かく実施するなどいた しまして、就職支援にも努めたところです。その結果、厳しい雇用失業情勢の中、数値目標を超えま す96.9%という高い就職率を達成いたしております。これは左の表で一般大学との就職率の比較をし ておりますが、これについても高い状況にあります。独法後の平成16年度から見てみますと、機構の 就職率は97.9%、98.4%、98.3%、98.4%、96.9%と数値目標を超える高い就職率を引き続き達成し てきております。  中段ですが、地域産業への貢献といたしまして、企業が抱えます技術開発の課題解決のために産業 界との共同研究、これを48件、受託研究を16件実施したほか、研究によりまして得られた成果につき ましては、高度技能者養成のための訓練教材としても有効に活用させていただいているところです。  13頁にありますように工業高校、高等専門学校、大学等も含んだ連携をいたしまして、職業訓練指 導員の派遣67件、教育訓練の実施56件などによりまして、高校生等にものづくり啓発を支援したほか、 左の下になりますが、全国の地域におきまして、ものづくり体験教室を218回開催いたしまして、2万 5,614人に参加してもらうなどして、地域に開かれた施設運営にも努めたところです。  以上によりまして、高度技能者養成訓練ですが、雇用失業情勢が非常に厳しいにもかかわらず就職 率については文科系大学の実績を上回りますとともに、第1期中期計画期間から引き続いて、数値目標 である95%以上を大きく上回っているということ、それからシラバスの提示でありますとか、授業評 価の試行実施など、教育内容の充実にも努めていること、さらには工業高校や高等専門学校などとも 連携いたしまして、ものづくり体験教室の開催など、地域に開かれた施設面運営にも努める取組には、 前年度以上に実績があったことなどから、自己評価をSとしたところです。  14頁、評価シート6ですが、「在職者訓練」です。上段にありますように、受講者の65%を中小企 業が占めております。ものづくり分野を中心に、真に高度なもののみに限定いたしまして、実施する よう努めております。左の表にありますように、アンケート調査では受講者の98.3%の方々から、ま た受講者を送り出しました事業主の97.7%の方々から「大変役に立っている」、あるいは「役に立っ ている」と、いずれも数値目標を超えます高い評価を受けております。  また受講者に対しましては、左の中段にありますが、訓練の開始時と終了時に習得度の測定、評価 を行っております。結果を分析いたしまして、カリキュラムの見直しに使うなどいたしまして、業務 の質の向上に反映にも努めているところです。さらにその右にありますように受講者からのアンケー トの結果、これを訓練コースごとに、「訓練カルテ」と称しておりますが、これに記録をすると。レ ーダーチャートなどによりまして、見えるようにする、あるいは共有化する、こういったことで訓練 の品質保証をしていく仕組みを構築いたしました。平成21年度から訓練コースの評価改善につなげる 取組を開始することといたしております。  15頁、ものづくり分野を中心に真に高度なもののみに限定して実施するため、外部専門家によりま す「在職者訓練設定基準に関する専門委員会」において基準を決定し、公表しております。当該基準 に該当しない訓練については廃止するなどの見直しを行っております。その結果、中央のグラフにあ りますように、在職者訓練コースにおけるものづくり分野の割合ですが、前年度から6.1ポイント増加 して、97.7%となっております。以上によりまして、在職者訓練につきましては、受講者、受講者を 送り出しました事業主双方からの満足度、これが数値目標を大きく超えていること、それから真に高 度なものの基準を公表いたしまして、この基準に該当しない訓練コースについて見直す取組を行って いること、さらに訓練の開始と終了時には習得度の測定を行いまして、訓練の質の向上にも努めてい る、それからアンケート調査等の結果を踏まえまして、訓練カルテといたしまして、品質保証をして いく仕組みを構築したということから、ここは自己評価をSとしているところです。業務実績評価シー トの説明は以上です。 ○井原部会長   ありがとうございました。ここまでの範囲で、委員の皆様には評価シートへの評価等をお願いいた します。また、ご質問があれば、その都度お願いします。 ○松田委員   受講者と事業主からの満足度が非常に高いですよね。これは満足度が非常に高いのはいいのですが、 その半年後どうなったのか。半年後はどうなったのでしょうか。つまり事後評価です。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長   在職者の満足度でしょうか。 ○松田委員   満足度がすごく高いですね。それが半年後にはどうなったのですかと聞いています。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長   在職者で説明させてもらってよろしいでしょうか。満足度ですね、事業主のほうにも調査をしてお ります。これは97%となっていますが、これは訓練修了後1カ月後に事業主にお尋ねするという格好 にしております。半年後の話をしますと、その下に「習得した能力の評価測定」というのがありまし て、こちらのほうが習得度の評価ということで、実際に企業の中でその習得したコース、その内容が 使われているかどうかということを尋ねております。大体半年後です。そのときに習得度の測定によ って、事業主は社員が習得した、そういう能力、受講内容が使われているといった率が大体8割ぐらい という報告を受けています。 ○松田委員   8割ぐらいだったら、ほとんど同じですね。特に高いわけではないでしょう。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長   例としまして、満足度の話をしますと、例えば事業主のほうの満足、これは1カ月ごと、それから半 年後の2つを調べます。報告として来ているのは、例えば社員がロボットの教育を受けてきたと。そう いうことがありまして、社員がロボット研究会を立ち上げたと。その後、生産設備の中にロボットの システムが組み込まれたということです。  また保全の関係のコースを受講したと。そうすると、今まで外注でメンテナンスや調整をやってい たのを社員がやり出したので、設備の稼働率が5%から10%上がったというような個別の報告を受けて おります。 ○篠原部会長代理   2点質問させてください。1点目はここでやるかどうかはちょっとあれなんですが、非常に重要なこ とだなと思います。理事長も先ほどの説明でもいろいろとあったように、当法人は世間というか、い ろんな所から非常にいろんな非難をされていて、私ども、こういう業務で6年もやっていると、中には いわれのない非難もあって、何が根拠かなというのもあるのですが、いわゆるコア事業というか、日 本にとっても重要な業務をやっていますね。そこのところで、特に今の不況の時代では、いわゆる職 員のモチベーションの確保というのが、ものすごく重要なような気がするのですが、それに対して、 どのような意を汲んだか。  2点目は今のご説明で着実にやっているなという印象はあるのですが、不況のときに柔軟性というか、 必要度から見て、どのくらい満足したと、その支援の成果はわかりづらいとは思うのですが、やはり 非常に離職者とか、世間のニーズというのは高くなっていると思うのですね。従来の計画は当然平常 時の計画だったと。平成20年度、21年度というのは非常時の計画になってきて、それに対する対応は どのようにやられたかという2点です。 ○雇用・能力開発機構理事長   理事長へのご指名ですから、私が申し上げます。まず、最初にモチベーションというのは、うちの 職員に対するモチベーションですよね。これは、なかなか難しいご質問なんですが、いつも申し上げ ますように、こういう公の施設に働く職員というのは自分のやった仕事の成果に対するインセンティ ブがほとんどありません。これは民間からくると、全く、よくこれでみんな元気出してるなと思うぐ らいですが、1つは仕事に対する興味、ここでいうと、うちの職員だと、非常に大きな部分は指導員で すから、仕事を教え、それは私も見ていて、6カ月でよくあそこまで習熟するなというくらい、素人を 本当に機械なり、旋盤なり、電気設備なり、いっぱしのベーシックなものができるようになるまで育 成する。そういうことに対する、指導していくことの興味、あるいは就職して巣立っていくことの満 足度、これしか実はうちの職員のインセンティブというのはないのですね。  だから、それは大変貴重なことですし、やはり私も全国の施設を回って歩いていますが、非常にそ ういう意味では、言うなれば教職員と同じで真面目なんです。それはそれで結構なのですが、やはり もう少し処遇にインセンティブを持たせるべきではないかということを言っているのですが、検討し てくれということを担当部門には言っているのですが、いまちょうど昇給、賞与ではなくて、減額の 時代ですので、なかなか実行は難しい。これは世の中の景気が上がり、人事院勧告も上がり、そうい うふうになって財源が生まれてきたら、少し考えようと言っているんですがね。そういう状況です。  ただ、今年から、20年度のこの業績結果から、全国100近い施設があるのですが、優秀施設賞とい う制度を設けまして、理事長が表彰するということを始めました。今年は6施設、表彰いたしました。 これも非常に成果を挙げた施設を表彰するというのも、この組織が出来て、もう40年経っているのに 初めてのことだという話を聞いて、これもまた民間からきた私にとっては驚きで、しかし業績の反映 とか、そういうものを、まずそのレベルから始めていくというような実状です。本来はもうちょっと、 インセンティブが利くことをやりたいと思います。  それから、不況のときのニーズ対応をどうするんだという、これもまた難しい問題ですが、いま企 画部長がいろいろご説明しましたが、まずは今一番よくやっているのは、キャリア・コンサルティン グなんですね。いきなり来たら、すぐ訓練にスーッとやるよりも、まずその人がどういう職業意識を 持ち、職業生活にどういう希望を持ち、何をやりたいか、そのためにはどういう訓練をやったらいい かというコンサルティングから、この後でも出てきますが、そういうことを大変充実させる、希望す る中で、ものづくりをやるというならば、うちの施設内訓練、あるいは委託訓練、あるいは別に公共 職業訓練だけが職務遂行能力を上げる唯一の方法ではありませんから、いろんな機会がいっばい世の 中にあるわけで、自分のキャリアをどう歩んでいくかということの動機付けはそういうキャリア・コ ンサルティングの充実でやろうというのがまず第1です。  それから、施設内訓練というのは、それでも先ほど申し上げましたように応募倍率が上がってきて いるんですが、これは非常に逼迫している所は定員2割増しぐらいで、膨らましてやっているのですが、 ものづくり訓練というのは設備能力とか、フロアーとか、いろいろ必要なので、もうそれが手一杯。 だから民間の委託訓練のほうは、ある意味では民間の教育施設を開拓するという余地がまだないわけ じゃないです。  先ほど申し上げました基金訓練などは、今まさにその開拓をやっているところで、こちらのほうは 状況に合わせて、まだ柔軟に膨らませられるという状況です。お答になっているかどうか、非常に苦 しい面もあるという状況です。 ○雇用・能力開発機構企画部長   事務的な説明になりますが、資料の10頁をご覧になっていただきたいと思います。評価シート4で、 離職者訓練をご説明いたしましたが、この左下のところです。平成20年度補正という形で水色で 4,936人ということです。国が補正予算を打ちましたので、私どもとしましては委託訓練ですが、訓練 の額、量を追加して実施をしたということが1つございます。それから平成21年度の実績になります が、理事長挨拶で申し上げましたように中央職業能力開発協会に緊急人材育成・就職支援基金という ものを積みまして、その中で訓練をするという部分がございます。ここにつきまして、企画競争で受 託業者を募集したところですが、ここの緊急人材育成支援事業というのは応募がなかったものですか ら、これにつきまして、国のほうは大臣が早くやらなければいかんということで、機構にご指名がか かりました。これにつきましては、新しい財源措置をするわけでもなく、従いまして、人員が増える わけではございませんが、現有のマンパワーと予算で対応しています。このような不況時の対応をし ています。 ○今村委員  評価シートはいくつかに飛びますが、最初に15頁に載っている在職者訓練の下半分に「真に高度な 訓練の実施」とありまして、「他の民間訓練機関でできないものづくり分野を中心に」と書いてあり ます。  先ほど指導員が高齢化しているというお話がありましたが、お聞きしたいことは3点あります。もの づくりに特化して教員を養成していること自体、硬直性を招かないのか。ニーズを的確に把握すると おっしゃっているのですが、この間お伺いした埼玉のポリテクセンターでも、ものづくり中心ではあ りますが、かなり幅広くものづくりには直接関係のないカリキュラムを用意されていて、それなりに 人材が、指導員がいたように思います。  まず1つ目の点は、教える側のアウトソーシングは実際にどこまで進んでいるのでしょうか。今後人 材が不足するといっても、直接雇用で雇う必要はなくて、アウトソーシングでニーズに応じた教官を 用意することが可能なのではないかというのが1点です。  それから、2点目は満足度が非常に高いという数字が出ているので、それを裏側から検証したいので す。機構に対して、これはやってくれていないとか、これは全然駄目だという苦情のような情報はな いのでしょうか。  それから、これはあとの問題と関連するのですが、23頁の評価シートの10です。総合大学校のカリ キュラムの65%がものづくり関係だということで、教員そのものをものづくりに特化していること自 体がニーズに合わないと言うと失礼ですが、全体として製造業離れしている状況の中で、教員をもの づくりに特化していること自体が、硬直性を持っているのではないかということです。 ○雇用・能力開発機構理事長  担当の部長からも申し上げさせますが、まず私が申し上げます。私が先ほど年齢構成の逼迫感の問 題があると申し上げた点は、うちの指導員がものづくりに特化していて、能力が陳腐化、硬直化して いるという意味で申し上げたのではありません。大量の定年退職者の出た後、新卒の補充がないので 減員化の大きな原因になっているのですが、労務構成に歪が出てくるのは当然です。それは能力の硬 直化と直接に結び付くわけではなくて、将来の職業訓練指導体制が危惧されるということです。もっ と深刻なのは、訓練のコーディネートをしたりいろいろやる人間です。これは新卒を投入していなく て、こちらのほうが人材が不足する問題を申し上げています。  現実には、総合大学校で再訓練を盛んにやっています。後でご説明しますが、うちの機構の指導員、 県の施設あるいは民間の教育訓練をする人の再訓練です。平均で、うちの指導員は5年に一遍ぐらいで リニューアル訓練として総合大学校に送り込まれます。だから、能力の陳腐化などは極力防ぐように なっていまして、先生がご心配なさる意味での硬直化は、1人もいないのかと言われると、中にはちょ っと硬直化しているのもいるかもしれませんが、再研修の中で防いでいます。  指導員のアウトソースというか、企業から来たりしていますが、その辺については担当部長から申 し上げます。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長  指導員のアウトソーシングということで、民間外部講師の活用もやっていまして、訓練時間の15% から17%です。ただ短期の時間で、長期というよりも必要な科目をお願いすることが中心になってい ます。  在職者訓練の満足度についてです。我々は今の在職者訓練に加えて、計画的な業務展開になじまな いのですが、事業主の個別の人材育成ニーズの相談を踏まえた訓練を行っています。対応できるもの については、事業主のオーダーに応じた訓練の提供、そういった在職者訓練以外の方式での訓練の提 供もやっています。  教員の高齢化についてです。我々のものづくりの特化というのは、2期計画のものでもあり、国の方 針でもあります。民間にできるものは民間に、その中で指導員については、職域拡大の研修をやって いて、そちらで研修を終えた指導員については、再度ポリテクセンターのものづくりの訓練も担当し ていただき、効率よく行っています。 ○雇用・能力開発機構大学校部長  補足させていただきます。今村先生からご指摘いただいた件ですが、ものづくり分野の捉え方とい うことがあると思います。私どもはものづくりと言っても、常に手足を動かして物を削っているだけ ではなくて、ものづくりの川上から川下の、設計の部分、ものをつくる部分、検査する部分までを含 めて、ものづくりという範疇で捉えているところであります。  23頁の、そもそも指導員の養成の仕方に問題があるのではないかというご指摘がありました。先生 がご指摘の65%というのは、ものづくり専門実技と専門学科を足した割合です。その図の左側に、工 科系大学の約2倍の5,834時間をやっていると書いていますが、それは芝浦工大や東京工科大学などの 約2倍の授業時間ということです。それは一般工科大学で習得するものプラス、指導技法などをやるた めに、これだけの時間数になっているわけです。  その下のほうの「ものづくり関係」という表に例がありますが、精密機械システム工学科は専門分 野領域が13種類です。いわゆる設計部門もやりますし、制御部門、加工部門、検査部門という、一般 工科大学でやっている基礎を幅広く習得するという点においては、しっかりと指導されていると考え ています。 ○宮本委員  高度技能者養成訓練にかかわって質問します。7月に文科省の中央教育審議会のキャリア教育・職業 教育部会が中間報告を出しました。その中で、今の職業教育のあり方を再検討する議論が進んで、高 等教育機関としての職業に特化した新しい学校種を作ることが中間で提案されて、今、パブリックコ メントにかかっています。  私はそれに出ていたのですが、何となく引っかかっているのは、機構はいくつかの種類の職業の専 門の学校をやっているのですが、そことかなり近いというか、経験的に言うと機構のほうが蓄積があ ると思いますが、省が違うということで、そこに全然連携も交流もない。このまま文科省レベルで新 しい学校種ができ、それと全然摺合せなく、こちらはこちらでやっているということはどこかおかし いように思います。その辺りは検討される必要があると思うのです。時間的にはかなり迫っているの で、今年のうちに何らかの話合いが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○職業能力開発局総務課長  今ご指摘の点ですが、キャリア教育等については、私ども厚生労働省と文部科学省の間で、これま でも政策連携なり、そうした今後のあり方についての意見交換は行ってきています。今ご指摘のあり ましたキャリア教育についての部会の中間報告、今後最終報告ということになっていくかと思われま すが、その間においても引き続き文科省と意見交換をしながら進めていきたいと考えています。 ○雇用・能力開発機構理事長  うちの機構の立場としては、今、課長がおっしゃったような省庁間の連携でお願いしたいと思って います。  私の感じでは、うちの能開大学校、短大校は全部で20いくつかあるのですが、おっしゃるように高 等教育レベルにおける職業教育の具体的な例として、全国各ブロックごとに置いてあるわけです。  私どもは、私どもの高等教育における職業教育を通して、得られる人物像を描いているのです。技 術もわかる、しかもスキルもある実践技術者としての人物です。これも総合大と同じくらいの授業時 間で、実技と学科といろいろなことをやっています。  職業教育のあり方というのはいろいろありますので、期待される人物像についても、いろいろな人 物像があり得ます。私どもが唯一無二のシステムだとは思わないし、文科系のそのような教育に劣っ ているとも思わないわけです。我々は我々で、もう20年近い実績をもってやっていて、学卒者訓練と 称しているものですが、すでにもう実行している、そういう経験を持っているという自負はあります。  それを全く無頓着に文科省がやっていくのはいかがなものかという気持は、マスコミ等でああいう ものを垣間見るとそのように思います。先生が委員になっておられるのは存じ上げているのですが、 いろいろな面でそのような意見をおっしゃっていただくと助かるわけでございます。 ○宮本委員  重要な問題だと思うのは、進路を選ぶ高卒者の問題です。いろいろな形で複雑にあちこちにできる と、その性格等がわかりにくい。そのようにならないためには整理が必要だということで、その辺り をお願いします。 ○井原部会長  あとはよろしゅうございますか。次にいきます。次はグループ2で、「若年者対策」から「公共職業 能力開発施設等」までです。所要時間は、法人が説明に20分、委員の評定と質疑に20分、合計40分 です。法人から説明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構企画部長  16頁です。評価シート7「若年者対策、キャリア・コンサルティング」です。フリーター等の若者に 対する訓練として、1つは機構などにおける訓練と企業での実習を組み合わせた日本版デュアルシステ ム、2つ目には、業界が求める採用条件に適した訓練コースを開発して実施する再チャレンジコース、 3つ目として、企業での実習を先行させ、必要に応じて座学を組み合わせて補完する企業実習先行型訓 練システム、これらを実施しました。受講者数はいずれの訓練でも増えています。前年度に比べて、 全体で9,698人増加しました。  18頁の「若年者への職業意識の啓発」についてです。東京、大阪の2カ所のヤングジョブスポット については、平成19年度末をもって廃止したこともありますので、若年者の参加が見込まれる場所に 出向いていく方法により、職業ふれあい事業、フォーラム事業などを実施しました。  下段には「私のしごと館」について記述しています。整理合理化計画を踏まえ、厚生労働省に設置 された「私のしごと館のあり方検討会」における検討の際に、機構は資料提供などの必要な協力を行 いました。私のしごと館は昨年9月1日から運営を包括的に民間に委託しています。その際の目標でも ある、委託後1年間の職業体験事業の利用者が26万人以上、これに対して7カ月分の実績で、14万 1,273人、93.1%の達成状況です。利用後の各種アンケート調査については、7カ月の実績で、満足度 など、いずれも80%を超える評価が得られています。  19頁の「キャリア形成支援」です。キャリア・コンサルティングの能力を身に付けたアドバイザー を各都道府県センターに配置するなどし、労働者に対するキャリア・コンサルティングの実施など、 98万4,395件、事業主に対する技術支援など6万6,966件を実施したところです。キャリア・コンサ ルティングを受けた利用者からは、前年度と同様、99.5%の方々から「大変役に立った」「役に立っ た」という高い評価を得ているところです。  キャリア・コンサルティング実施後、概ね3カ月経った時点でのフォローアップ調査を行っています。 85.4%の方々から、就職、転職あるいは職業能力開発、向上が図られたといった回答を得ています。  以上によりまして、若年者対策、キャリア・コンサルティングについては、フリーター等に対する 訓練は前年度より約1万人多く実施したこと、キャリア・コンサルティングについては前年度よりトー タルで26万件多い105万件の実施です。利用者の満足度は99.5%と目標値を超えていることから、自 己評価をAとしています。  20頁の評価シート8「事業主等との連携・支援、新分野展開」です。事業主等との連携による職業訓 練の支援として、訓練カリキュラム、テキストや教材といったものに関する相談などを行い、指導員 の派遣は延べ5,122人、施設設備の貸与延べ1万3,561件、訓練受講者数延べ35万6,451人を数えて います。中小企業等の能力開発を支援しています。  中央のピンクのところですが、政府の緊急雇用対策の1つである雇用調整助成金、中小企業緊急雇用 安定助成金といったものを活用する事業主への支援として、教育訓練に関する相談に積極的に取り組 み、398件の相談、情報提供を実施したところです。  下段ですが、東京、大阪に起業・新分野展開支援センター、北海道と福岡には支援スポットを設置 しています。中小企業の創業など、能力開発の面から支援するために、事業展開に必要な相談、情報 提供を実施するほか、人材育成のための在職者訓練や離職者訓練の実施、さらには創業に向けた問題 解決のための交流の場の提供を行っています。なお、アンケート調査等により、232人が創業したとい う回答を得ています。  以上により、評価シート8については、効果的に職業訓練を実施できるよう重要な支援を行っていま す。それから、政府の緊急雇用対策の1つである雇用調整助成金などを活用する事業主への支援として、 相談員等積極的に対応したことから、自己評価をAとしています。  21頁の評価シート9「職業能力開発助成金等の業務」です。これは既にご説明させていただいた、評 価シート2の「雇用開発業務関係助成金等の業務」と同様です。申請者の利便性を図るとともに、申請 内容の適正化、不正受給の防止を図るための取組を実施しました。  制度の周知のための助成金制度説明会は開催回数2,055回、参加者数5万8,038人、個別相談3万 697件です。説明会終了時のアンケート調査においては、87.6%の方から「理解できた」「大変よく理 解できた」という評価を得られています。  助成金を利用した事業主に対して、助成対象となった訓練等について、従業員のキャリアアップが 図られたかどうかの調査をしています。98.3%の方々から「キャリアアップが図られた」という回答 を得ています。  不正受給防止対策については、助成金担当職員の研修447回を実施し、審査能力の向上を図りました。 支給要件に合致しているかどうかの確認のために、976件の事業所訪問、このうち疑義のある事業所26 については、すべて直接事業所訪問をして確認をし、不正受給の防止に努めています。  22頁の「技能者育成資金」です。これは経済的な理由により職業訓練を受けることが困難な訓練生 に対する貸付制度です。中期目標期間の最終年度までには補助金が廃止され、返還金のみによる貸付 制度に転換することになっています。したがって、回収業務の強化を図っているところです。  取組としては、コンビニエンス・ストアを活用した払込制度を導入しています。左の黄色の囲みに あるように、滞納者に対しては、督促状送付1万933件、電話による督促7,866件、催告書送付53件、 このような形で回収業務を強化しています。その結果、雇用失業情勢が厳しい中にもかかわらず、平 成20年度新規返還者の初年度末の返還率は数値目標92%以上ですが、92.7%と高水準を維持して目標 値を達成しているところです。  下段にあるように、経済情勢の悪化に伴い、政府の緊急雇用対策の中で訓練期間中の生活補償の給 付ということで、雇用保険の受給資格のない方を対象に技能者育成資金の貸付要件を大幅に緩和した ということです。これについて迅速な取組を行っています。  以上により、助成金制度の説明会の満足度、技能者育成資金の返還率は数値目標を超えています。 また、不正受給防止対策に対して積極的な取組を行い、不正受給件数はわずか1件でした。さらには政 府の緊急雇用対策の中で、訓練期間中の生活補償のための給付制度として、技能者育成資金の要件緩 和に対しても、迅速に対応しました。こうしたことから、自己評価をAとしています。  23頁の評価シート10「指導員養成、訓練コースの開発等」です。ここは職業能力開発総合大学校に おける職業訓練指導員の養成についてです。産業構造等の変化に伴い、職業訓練の内容同様、これを 教える職業訓練指導員に求められる能力も常に変化していきます。このため、技能の指導ができるだ けでなく、訓練のコーディネートあるいはキャリア・コンサルティング、就職支援といった、幅広い 能力を有する人材を養成することを目的に、指導員養成に努めているところです。  平成20年度の取組としては、1点目は教育内容の充実です。インターンシップの実施、複数の訓練 科の指導員免許の取得です。2点目として、就職支援の教科です。指導員として就職するための支援セ ンターを設置、実務実習の3年次の実施。こうしたことから、指導員としての就職意欲の醸成、就職強 化に取り組んだところです。  この結果、指導員の希望者数は70人から95人になりました。指導員としての就職者数は、33人か ら68人と大幅に増えています。指導員としての就職率も、20.2%から39.1%と大幅に向上しています。  24頁です。総合大では幅広い意味での指導員養成として、公共職業能力開発施設、認定職業訓練校 の指導員、さらには民間企業の教育訓練担当者などに対して、指導能力の向上のための研修を実施し ています。左にあるように、研修課程というものがありまして、指導員の専門性の拡大とレベルアッ プを図るための研修です。156コースを実施し、1,618人が受講しています。都道府県の指導員の受講 者数が増加、民間企業からも一定数の受講者があります。適切な訓練コースの設定を実施していると ころです。  右の専門課程です。新しい職種、訓練職種を担当するために必要な指導員免許を追加取得するため の研修です。都道府県からの要請に応じ、平成20年度に再開したコースです。50人の受講がありまし た。  25ページの調査・研究です。ここでは厚生労働省あるいは機構がテーマを選定し、外部有識者を加 えた委員会を設置して進めているところです。調査・研究の成果は、ホームページで情報を発信して います。アクセス件数は110万2,203件で、平成19年度と比べて8%の増加です。ダウンロード件数 は3万7,429件で、こちらは36%の増加です。さらに作成した研究報告書については、民間教育訓練 機関、地方公共団体など、5,396機関に配付し、普及にも努めています。  25頁のいちばん下から26頁にかけてです。現在ISO(国際標準化機構)において、人材と非公式教 育サービス分野の国際規格化に向けての検討が進められています。総合大では、これまで機構が取り 組んできたこと、蓄積してきた訓練に関するPDCAサイクルによる実施方法などのノウハウを体系化、 明文化して、取りまとめて、訓練の質の維持、向上、説明責任を果たす仕組みとして、「機構版教育 訓練ガイドライン」の骨子を作成しました。  この教育訓練ガイドラインについては、ISO化に向けた国際的な議論の場において、「我が国唯一の 教育訓練に関する質の保証システム」であるという形で報告されています。  以上によりまして、評価シート10の「職業訓練指導員の養成」については、教育内容の充実、就職 の支援の強化に取り組んでいます。この結果、前年度の倍以上の職業訓練指導員の就職者数となった こと、再研修についても前年度を超える実績を上げています。さらには機構の教育訓練ガイドライン が国際的な会議の場において報告されるといった、先進、先導的な取組を行っています。自己評価をS としています。  27頁です。評価シート11の「公共職業能力開発施設等」です。ここはいわゆる見直しの内容です。 整理合理化計画を踏まえ、厚生労働省に設置された「雇用・能力開発機構のあり方検討会」における 検討の際に、資料提出など必要な協力を行っています。機構としては、昨年末に機構の廃止について 閣議決定されました。これを受けて、同日に機構本部に改革実施本部を設置し、閣議決定の実現に向 けて、厚生労働省に対して必要な協力を行うとともに、法改正を待つまでもなく、実施可能な事項に ついては、速やかに実施、実行に着手してきているところです。  2段目の職業能力開発促進センターについてです。雇用失業情勢等に配慮しつつ、ものづくり分野へ の特化の観点から、介護分野やIT分野の訓練について、実施規模の縮小を図っています。生涯職業能 力開発促進センターについては、閣議決定に基づき、平成20年度末をもって廃止したところです。  職業能力開発大学校、短期大学校についてです。訓練ニーズ、訓練実績を勘案し、平成21年度の訓 練から、訓練科数を109科から87科へ再編しました。訓練定員は2,380人から2,010人に削減しまし た。このような準備を平成20年度は行いました。職業能力開発総合大学校についても、平成21年度の 訓練から、訓練科を7科から4科へ再編します。養成定員を200人から120人に削減します。こういっ た準備を行ったところです。  セグメント情報の活用です。施設ごとに訓練の種類をセグメントの単位として、平成19年度におけ る訓練の実施経費、訓練生1人当たりの経費を算出し、あり方の検討の際に活用していただいたところ です。  以上によりまして、「雇用・能力開発機構のあり方検討会」における検討に十分な対応を行いまし た。職業能力開発促進センターの訓練内容の見直しや実施規模の縮小、あるいは生涯職業能力開発セ ンターの廃止、さらには職業能力開発大学校等の見直しを行いましたので、自己評価はAとさせていた だいています。以上です。 ○井原部会長  委員の皆様、評価シートへの記入をお願いします。その間、ご質問などがあればご発言をお願いし ます。 ○篠原部会長代理  1点目は、PDCAサイクルをやられています。これは厚生労働省が全面的に採用すると伺っているので すが、その際に私は2点ほど要望を出しています。きちんと関係者に教育を徹底しなければいけない。 不十分ではないかというときに、実施する人に対する教育が十分にできているかです。それと、その 上に対する人たちにも十分に教育していただきたいということです。皆さん嫌な顔をしていました。 地方公共団体では、ほかでもそうですが、新しい手法を入れるときに、幹部クラスに対する教育がさ れていない不満があるというのですが、これをやってどのような状況でしょうか。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長  我々は「教育訓練ガイドライン」を作りました。私どもの持っている訓練の仕組みとか、リソース を、ISO9001に合致するようにして、品質保証の仕組みとして作りました。これを今年度に各地に通達 して、これからやるということで、6、7月にかけて、所長以下幹部を総合大に呼んで説明会をやった ところです。この7月まで地方の職員研修会を開いて、この趣旨、やり方について周知徹底しました。  今やっているのが、我々の訓練の様々な場面で、実際に管理職が点検する必要があるのです。今、 点検法を作っていて、いつ何をやったか、どのような書類を残しているかを確実に記録に残せと。ニ ーズ調査についても、やった記録を残しつつ、どのようなニーズがあるかを客観的に説明できるよう にしなさいと指導している最中です。  具体的にもう1つやっているのが、労働安全衛生規則に基づく訓練がありまして、それは労働安全衛 生規則には職業訓練と別の基準がありますので、そういうものについては実際に適切に行われている かの内部監査をしていて、その指導なり監査に我々が出向いて、訓練が確実に、適切に行われている かをやっている最中です。まだ取り組んできたばかりということです。 ○雇用・能力開発機構理事長  PDCAサイクルにおける教育訓練のあり方も、PDCAサイクルにより見直しをするということです。 ○今村委員  評価シート10の23頁に関連して、このような数字があったら教えていただきたいのですが、指導員 で機構に新規で採用されて、定年まで勤める人の割合は、全体の中で何パーセントぐらいなのでしょ うか。  なぜそのようなことをお伺いするかというと、機構自身の人材育成システムについては自信を持っ ておられます。非常に高い教育能力があると。もしかしたら、そこに流動性を入れる余地があるので はないか。例えばデュアルシステムの企業の依存とか、そのようなことについても、もう少し柔軟な 発想があり得るのではないかという視点からの質問です。機構の中で再訓練を必死にやるということ は、定年まで雇わなければいけないという前提があるから、必死にやるのか。逆に教官たちが真に優 秀なら、民間企業で管理的な技術者として採用される余地があるのではないかとか、そのような機構 を巡る人材の流動性、機構自体のメリット、特徴でもあるのですが、強固な人材システムそのものを、 もう少し柔軟に時代に合わせて変わることができないかという視点から、そういった具体的な数字を 挙げていただきながら、入る人の柔軟化、教官の出るところの柔軟化に可能性があるかどうかをお伺 いしたいのですが。 ○雇用・能力開発機構総務部長  中途退職者は毎年相当数はあります。それについての累計的なデータは持っていませんので、どの くらいの割合が定年まで定着しているかは把握できていません。 ○井原部会長  退職した人はどのようなところへ行くかについてはわかっていますか。イメージとしてはいかがで しょうか。 ○雇用・能力開発機構総務部長  イメージとしては、民間企業あるいは都道府県の指導員へ再就職される方がかなりおられると把握 しています。 ○雇用・能力開発機構理事長  うちの機構の指導員の6割が総合大、県も合わせると、公共職業訓練所における総合大の出身者は4 割です。だから、うちが若干忸怩たるものがあるのは、平成20年度にだいぶ批判されたことで、うち の指導員をやめて、県の指導員の採用に何人かが応募していて、その面接官をうちの所長が行ってい たという話も笑えぬ話で聞いています。  うちの機構の指導員から県の指導員に行くというのは、若干の職場が変わるだけで職種は変わらな いですから、いま言ったように、私も民間の製造業の出身ですから、うちの指導員の特に20代、30代 の優秀な人材というのは欲しいです。引く手数多だと思っていたわけです。特に生産技術面の生産革 進活動なり何なり、生産技術面に使えると思う人材がいます。それを抜かれたら、公共職業訓練がだ いぶ停滞してしまうので、先ほど篠原先生がおっしゃるように、モラールというかモチベーションを しっかりしなくてはいけないというのは、そういうことなのです。  総合大の学生も、卒業生の4割近くが指導員で、一時は10名とか20名とか非常に少なくて、それが 総合大の存在の意味を問われた原因になったのですが、ようやくここまできました。  いまうちの機構も県も、若干名採用数を増やしていますが、基本的には認定訓練校になっている民 間の企業が、指導員として採用し始めた比率が大きくなってきたのが、この大きな要因です。民間も いよいよ技能の伝承に、だいぶ真剣さが出てきているのではないかと思います。そうなると、ますま すうちの人間がスカウトされる可能性があるのですが、いずれにしても総合大の意味というのは、だ んだん幅広く捉えられてきます。今年度の入学生から120名に定員を落としたのですが、これはなるべ く早めに修正したほうがいいと思っています。それは今日の話題ではありませんのでやめておきます が、そのような状況です。 ○雇用・能力開発機構総務部長  補足させていただきます。指導員について先ほど業務推進部長が説明しましたように、スポット的 に、ある特定のコマについて外部講師を使うことは多数行っていますが、それとは別に職員として、 民間企業から出向者として受け入れている指導員は、現在19名です。それとは別に、各能開大学校の 校長先生方は、文科系の大学から来てもらっている方が多数おられまして、そのような方が現在10名 ちょっとです。 ○篠原部会長代理  雇用保険を払っていない人たちというのはおそらく低所得で、それに対する対策は今回の選挙で各 党きめ細かくやっているのですが、もらっていない人というのは、一般的に情報がいかない人たちだ と私は見ています。通常のテレビもあまり見ないという人たちだと思っています。そうなると、認知 度というのがものすごく重要で、結果的に言うと、そのような人たちがいろいろな制度に対して、そ の辺の状況というか、何かあるのでしょうか。 ○雇用・能力開発機構理事長  窓口はすべてハローワークですから、厚生労働省でいろいろな対策をなさっていると思います。 ○職業能力開発局総務課長  今ご指摘のありました雇用保険の受給の対象にはならない方々、そうした方々を対象にして、何よ りも就職、再就職には技能の習得が大切ですから、そうした方々を対象にした訓練を本年度の補正予 算において、基金事業という形で実施することにしまして、7月末からそうした訓練を開始しています。  雇用保険を受給できない方々の場合には、そうした情報を得ることも難しかったり、そこがネック になっているというご指摘かと存じますが、私どもは職業についての総合窓口であるハローワークを 中心にして、関係の機関にも連携をお願いして、そういった周知・広報を行うとともに、新聞、イン ターネットも活用して、できるだけ多様なチャンネルを使って、そうした新たな訓練を実施する、そ うした訓練を受けていただくように、周知・広報の取組を行っていますし、そこについては今後とも 力を入れて行っていきたいと考えているところです。 ○井原部会長  雇用のミスマッチと言うか、摩擦的失業と言うか、そこがだいぶ高まっているようなので、その辺 について力を入れていただければと思います。よろしゅうございますか。次にグループ3に移ります。 財形から業績評価の項目についてまでの評価で、法人からの説明を15分、委員の評定と質疑に15分、 合計30分となっています。法人から説明をお願いします。 ○雇用・能力開発機構企画部長  28頁です。評価シート12の「財形業務」です。ここは勤労者の財産形成を促進するための業務とい うことです。利用者の利便性の向上、申請内容の適正化を図るために、財形制度の説明会を664回、事 業所訪問を3,948件、相談は9,317件を実施したところです。制度の趣旨、内容、手続などを十分に説 明するように努めたところです。  制度の周知に当たり、民間の広告代理店にインターネット等を活用した広報業務を委託して開始し ています。このために、ホームページのアクセス件数は12万9,546件、前年度と比べて23.9%の増加 です。その結果、説明会終了時のアンケート調査では、87.1%の方から「制度の理解に役立った」と いう評価を得ています。なお、アンケート調査については分析、検討を行い、業務の質の向上に反映 するよう努めているところです。  29頁です。「融資業務」についてです。職員に通信教育講座を受講させるなど、担当者の審査能力 の向上を図っています。なお、貸付金利の設定等については、住宅金融支援機構あるいは厚生労働省 との調整を毎月行い、適正な金利の設定を行っているところです。業務の効率化として、長期借入金 に係る業務について、これまでは随意契約で外部委託していたものがありましたが、これを見直し、 機構でソフトを開発し、これの運用を開始したことにより、業務の効率化と併せて、経費削減を図っ たところです。  以上によりまして、評価シート12については、説明会参加者の満足度は数値目標を上回っています。 アンケートの調査結果を活用し、業務の質の改善にも努めています。業務の効率化などにも取り組ん でいます。自己評価はBです。  30頁です。評価シート13の「助成金等の平均処理期間の短縮、特例業務」です。助成金の支給に当 たっては、審査段階における不正受給あるいは不適正支給の防止に取り組みつつ、支給申請の受付か ら支給決定までの処理期間の特に長い助成金について、期間短縮に取り組んだところです。  平成20年度の平均処理期間は、2日短縮の42日となりました。この結果、基準である平成18年度 の44日を5%短縮した41日にするという数値目標に対して、0.5ポイント低い4.5%の短縮にとどま ったところです。ただ、右下の参考にあるように、すべての助成金で見ると、支給件数は前年度に比 べて6,734件増加しています。それにもかかわらず、前年度と同じ20日間の処理期間でした。審査能 力向上のための職員研修等の成果が表れているものと思っています。なお、助成金の不正受給件数は1 件でした。  30頁に特例業務を掲げています。1つはジョブ・カード制度の実施、もう1つは国際技術協力への支 援です。特にジョブ・カードの交付件数ですが、制度発足の初年度は7万4,154件となって、我が国全 体の交付件数の98%を当機構が交付していて、制度の重責を担っているというところです。  以上によりまして、助成金等の平均処理期間の短縮については、ほぼ計画に近い実績を達成したこ と、特例業務ではありますが、ジョブ・カード制度への取組、技術協力など国の施策への積極的な取 組を行っているので、ここはB評価としているところです。  32頁です。評価シート14の「組織・人員体制」です。本部に設置している「組織体制の見直し等に 係る委員会」において、平成20年度末で廃止された生涯職業能力開発促進センター、ここに関係する 組織、人員体制について検討を行い、4月1日に組織の改編等を実施しました。また、新規採用の職業 訓練指導員、中堅層の事務職員、訓練を担当する管理職など、各階層に応じて求められる役割、能力 に応じたカリキュラムにより、延べ746人の職員に対して研修を実施しました。資質あるいは職務執行 能力の向上に努めたところです。  中段にあるように、特に職業訓練指導員についてですが、能力開発に対する信頼性、品質向上を図 るために、毎年度目標を設定して、PDCAサイクルによりステップアップしていく仕組みとして、「職 業訓練指導員人材育成システム'09」を作成しました。平成21年度から試行実施することとしています。  以上によりまして、評価シート14「組織・人員体制」については計画どおりに実施しました。その ほか職業訓練指導員について、新たな人材育成の仕組みを構築しました。B評価としています。  33頁の「業績評価」です。事業年度の業務実績については、業務改善検討会を経て、有識者の委員 からなる「雇用・能力開発機構運営協議会」において意見聴取をしまして、最終的に理事会において 自己評価を決定していたところです。  冒頭の理事長の挨拶にもありましたように、平成20年度においてこれまでの評価方法を見直しまし た。青い囲みにある運営協議会の委員である外部の有識者12名の方に個別に評価をしていただきまし て、その評価を踏まえまして、理事会で評価を決定する。いわゆる外部評価の仕組みを構築しまして、 今回の業績評価から行っているところです。  業務の見直しについてです。左下にありますように、当評価委員会からのご指摘ですとか、政策目 標と合致しているかとか、こういう視点から検討しろというフォローアップ調査などがあります。こ うしたことからアンケート調査とかフォローアップ調査を実施し、その結果、意見等を把握分析し、 施設におけるケース会議、ここを通じて課題解決のための検討を行いました。その結果を本部に設置 しております検討会において集約いたしまして、例えば、業務改善事例をとりまとめるなどして、施 設にフィードバックして情報を共有した上で、業務改善に努めているところです。以上によりまして、 評価シート15につきましては、外部評価導入のための仕組み作りを行ったということ、それからアン ケート調査における意見等を分析して、評価の高かった取組内容、改善事例を通知して、業務の質の 改善に努めているといったことから、自己評価をAとしているところです。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございます。それでは、委員の皆さま方、評価シートへの評定等の記入をお願いいたし ます。また、質問等がありましたらご発言いただければと思います。はい、どうぞ。 ○寺山委員  1点だけよろしいですか。33頁の業績評価のところなのですが、大変私ども評価委員としましても今 回やりやすかったというか、評価の透明度が上がって、評価しやすくなったような印象を持ちます。 外部評価の導入ということは非常に高く評価いたしますが、この自己評価とは別にやっている外部評 価ということで、これは統合したものがここに出てきているのでしょうか。それとも自己評価につい て、外部評価とかなり格差があるというようなことはなかったのでしょうか。ほかの機構との関係も あって、伺いたいと思います。 ○雇用・能力開発機構理事長  3段階を経て、今日の結果をこう申し上げているのです。1つは内部評価です。ここにおります各部 門の部長が、自分のところだけではなくてよその仕事の評価もする。外部の評価委員会の運営協議会 の人に、何の評価も目安もなしに、さあ見てくださいと言うのもあれなので、部長の内部評価をまず、 この外部評価委員会に投げかけました。今日と同じようにこういう資料を用いながらご説明をして、 各委員にご評価いただく。その結果と、さっき言いましたように私どもの役員会、理事会でそのギャ ップを検証して、この自己評価にした。結果としては、自己評価のAとかBとかのこの各項目の評価は、 外部委員会の運営協議会の先生方の評価と同じです。内部の、あんまり言わんほうがいいのかもしら んけれども、部長とどこが違うかと、やっぱりちょっと違うところがありました。その違いは、皆さ んの平均点を見ると、部長クラスのほうがもうちょっといいと思った評価と、外部の先生方のほうが、 いや、これはこうだ。違うのですけれども、結果としては外部の委員の先生方の評価、これが何を持 って正解かというのはわからないのですが、まあ、この評価でいいのではないかというふうに、理事 会で確認した結果がこれです。  もう少し言うと、何が一番違ったかとしたら、離職者訓練の評価です。離職者訓練というのは、我 々ものすごく各施設で努力したつもりでいるのですが、相当やりました。だけど、結果として遺憾な がら就職率は79.2%なのですね。実はこれはAランクになっているかな。離職者訓練は、評価4です ね、Aランクになっていますが、部長クラスはものすごくやったことの経過をよく知っているものです から、Sという評価になっていた。ここは外部の先生方も、もちろんSの評価をいただける先生方もい たのですが、経営者側と労働側の先生はSをくれないのです。やはり結果として就職率が至っていない ではないか、やはりこの機構は結果として再就職の比率を上げるべきではないかというので、1ランク 下げる。労使というのはまさに雇用問題を、もう1つ言うと、学識経験者の、学界の先生方は、大変高 い評価をいただきました。だけど、現場の労使の代表の人が、そういう厳しい評価をするなら、やっ ぱりこれはSではないのだなというような、そういう議論も実はあったのです。だから結果としては、 外部の評価委員のとおりです。 ○今村委員  もしかして十分わからないまま質問したりするかもしれませんが、32頁で、評価シート14の「組織 ・人員体制」の中で、「新しい」というふうに書いてありますが、人材育成する新たな仕組みって、 何が新しいのかというところがよくわからないのですが。先ほど来おっしゃっておられるように、中 途採用として、任期付きで21人の受け入れを行ったとか、そういう先ほど理事長がおっしゃっていま したように、これからの働き方というのは技術だけではなくて、人間性だと。組織の中でどうやって いくかと言うのですか、前向きに進んでいくかということの問題は、いわゆる日本のものづくりです よね。その摺り合せ型と言われるような、そういう人材をたぶん育てていらっしゃると思うのですが、 そういった部分の指導者側のインセンティブではなくて、働く側のインセンティブをどう養成するか という問題です。働く指導者側のそういうリレーションというのですか、指導者の間の関係というも のがどの程度開かれた組織になって、それが訓練生に伝わるかという問題です。その辺を考えていら っしゃるのかなと。例えば、後輩へのOJTのこととか、そういう部分なのかなというので、ちょっとこ の新しいというのはどこが新しいかということを教えていただきたいということです。  31頁に、政府間技術協力事業、これ2つ目の質問です。国外からの受入れ等に関して、人数が果た して多いのか、少ないのか。若干4名とか、20数名というのは決して多くはないと思うのですが、こ ういった部分については、開かれた組織として今後重視されるのか。あるいはこういうニーズという のはもちろんこの機構の本来の目的ではないかもしれませんが、国外とのこういった開かれた関係と いうのは、機構そのものの体質といいますか、組織的な様相を変えていく。この訓練システムがです ね、人間関係を変えていく可能性があると思うのです。その辺の部分について、国際協力の見通しに ついてお答えいただければと思います。 ○雇用・能力開発機構総務部長  まず32頁の人材育成システムの関係です。これについては、私ども雇用・能力開発機構の行ってお ります職業訓練というものはセーフティネットの確保だということをはっきり1人ひとりの指導員に意 識として持ってもらう。そういう観点からでして、単に技術・技能を教えるだけではなくて、キャリ ア・コンサルティングであるとか、あるいは1人ひとりの訓練生の方に対する就職支援のあり方とか、 そういうところも指導員の役割であるということをはっきりさせた上で、それぞれの役割について個 々の指導員がどの程度できているのか、あるいは不得手な分野としてどういうことがあるのかという ことを毎年毎年検証していこう。そういうことでシステムを構築したものです。なお、まだこれは試 行中でして、今後はこのシステムの中で研修を行い、またいろいろな人事制度、最終的には処遇とい うことにも結びつけていったトータルなシステムとして構築していきたい。その第一歩として、今年 度から始めることにしたというものです。 ○今村委員  あと、海外の受入れについて。 ○雇用・能力開発機構企画部長  国際協力につきましてですけれど、職業訓練の派遣4名が多いかどうかというのもありましたが、昔 はかなり多く、年間でいきますと、40〜50名を長期間にわたり現地に派遣いたしまして、例えば2年、 3年というスパンで教育をしていただく取組を行っておりました。独法化前後を契機として、私ども自 らやる仕事というよりは、厚生労働省等を通じまして、JICAですとかそういう外部の要請に基づいて 応援をしている。現在は指導員の派遣は短期で行っています。短期というのは1年未満の応援というこ とで、かなり諸外国もレベルが上がってきていますので、昔の訓練のやり方とちょっと違いまして、 訓練の成果を確認しに行くとか、現地でできない部分を補完してやる、こういうような応援をさせて いただいているところです。 ○雇用・能力開発機構大学校部長  さらに、政府間協力のことについて補足させていただきます。総合大学校の指導員を養成する課程 の中に、ASEAN各国から長期課程という4年間の課程に毎年16名ずつ受入れています。それから研究 課程といいまして、修士課程に毎年2名受入れています。それから1年生に入る前に、日本語研修を半 年間早く来て、日本語学校で日本語の勉強をさせております。トータル82名の国費留学生をASEAN各 国から受け入れております。これは厚生労働省からの委託事業として実施しているものです。そうい うことにも取り組んでいるところです。 ○宮本委員  31頁のジョブ・カードについてです。交付件数7万4,154件のこの数が多いのか少ないのかという ことの判断がよくできないということと、それからジョブ・カードの普及はかなり難航しているとい うことは聞いているのですが、その点でこの数字をどういうふうに評価するのか。それから98%を機 構がされているということですが、このこと自体がどうなのかということも、ちょっとこれだけで評 価できないのです。ジョブ・カードはまだ始まったばかりで、大変であるということを聞いているの ですが、これから今後、来年これを評価する場合にはさらに広がっていかなければいけないというこ とですが、何をやれば可能なのかというようなことについて、伺えればと思います。 ○雇用・能力開発機構企画部長  国全体として98%が多いかどうかはちょっと私のほうではお答えできないのですが、ジョブ・カー ド制度は先ほどご説明いたしましたように初年度でございまして、いわゆるオフィシャルな目標数値 はありませんでしたが、機構の中で、たしか10万4,000件という自分たちの目標を作って、全国で取 り組んだという結果です。スタートが6月ぐらいでしたので、10万4,000件丸々はできませんでした が、それにしても初年度としては一生懸命やったという評価をしています。結果的に、国全体の98% を機構が占めていたということになっています。  21年度については、基金事業といいまして、今年の補正予算でできました緊急人材育成・就職支援 基金の事業です。その中で私どもが関わる中で、先ほど来理事長もおっしゃっていましたが、キャリ ア・コンサルティングという仕事がありますので、その中でコンサルティングを通じてジョブ・カー ドの作成・交付に努めていくことにより、今までよりも数的にも広がりが出てくるのではないかと、 そういう取組も行ってみたいと考えています。 ○職業能力開発局総務課長  ジョブ・カード制度自体は、今、機構の企画部長からもお話申し上げましたように、20年度が初年 度でして、10万件の発行枚数の目標を立てていたところですが、そこには全体としてはちょっと達し ていなかった状況にあります。ただ、21年度に入りまして、たしか6月までだったと思いますが、そ の状況を見ますと、21年度の目標については順次途中での目標に追いつくような形で交付が進んでい るところです。全体の中で98%が機構と申しますのは、ジョブ・カードについては、キャリア・コン サルティングを行い、また訓練を行い、そして習得したものを成果としてカードにしていくという中 で行われてくるものですので、そうした中で実際キャリア・コンサルティングを受け、あるいは訓練 を受けた方が、そうした中で多く取得されるツールになっておったのかというふうに考えています。 ○井原部会長  それでは、よろしいですか。次に、第4のグループに入りたいと思います。「経費削減等」から「積 立金の処分」までの項目についてです。所要時間は法人からの説明15分、委員の評定として15分の合 計30分となっています。まず、法人からの説明をお願いいたします。 ○雇用・能力開発機構企画部長  それでは34頁、評価シート16、「経費の削減、情報提供等」です。上段にあるように、運営費交付 金、これを充当します一般管理費及び業務経費については、効果的な執行に努めました。その結果、 人件費の削減、施設の修繕、これを縮小したことなどにより、45億円を削減いたしました。右の上に あるように、基準となる18年度予算に比べて15.6%の削減を実施したところです。  中段にある人件費についてです。平成18年度に行った人事給与制度の見直し、これを引き続き実施 しているところです。基準とする17年度に比べて、中央にあるとおり14.5%の削減を実施しています。 ラスパイレス指数ですが、109.1、前年度に比べて0.7ポイント低下させています。  下段の随意契約の見直しについてです。競争入札等への移行にかかる行程表を作り、進捗管理を行 っています。移行時期の前倒し等を推進しているところです。その結果ですが、随意契約の件数は前 年度は78.5%でしたが、20年度12.2%、大きく66.3ポイント改善しているところです。それから人 件費関係、随意契約関係については、資料の別冊に「業務実績評価参考資料」があります。こちらに 詳細を載せていますので、併せてご覧いただきたいと思います。  35頁、情報提供です。ホームページを通じた情報提供ですが、アクセス件数804万件となりました。 18年度実績に比べて30%の増加となっています。施設の有効活用ですが、ここは業務に支障がない範 囲で3,100件の施設設備の開放を実施しています。決算情報、セグメント情報の向上の充実です。ここ では「平成19年度一般勘定における施設別・事業別支出経費の内訳」、「平成19年度財務諸表の概 要」、さらには「独立行政法人の会計処理」を作り、ホームページにおいて公表しているところです。 以上により、経費、人件費について大幅な削減を行っています。さらには、随意契約について実績を 大きく改善しています。ホームページへのアクセス件数も、目標値を大きく越えています。こうした ことから、自己評価をAとしているところです。  36頁、評価シート17「予算、収支計画、資金計画、短期借入金、剰余金」についてです。まず、財 形融資における調達金利と貸付金利、いわゆる逆鞘の発生によって生じていた欠損金についてです。 これについては平成11年度に措置を講じており、年々その解消に努めてきているところです。平成20 年度においても、利益を49億円計上しています。損失を埋めた結果、累積欠損金ですが、前年度の 225億円から175億円に減少しています。今後についても適正な貸付金利の設定を行い、貸付金の適正 な規模の確保に努めることにより、早期解消を図っていくよう努めることとしています。  2つ目の雇用促進融資の債権管理です。ここでは受託金融機関との連携強化を図りながら、債務者の 抵当物件に関する情報収集、現状把握、こういったことを行っています。それから貸倒れ懸念債権、 破産更正債権、いわゆるリスク債権と呼ばれるものですが、これについては受託金融機関に対して業 務指導を行い、債権の一部について法的措置を講じることなどにより、回収処理に努めています。そ れから財政投融資への償還ですが、これは約定どおり実施しているところです。  3点目の運営費交付金の収益化についてです。費用進行基準以外の基準の採用検討を重ねていました。 その結果、21年度からですが、一般管理費の一部の経費について、期間進行基準を採用することとし ています。4点目は短期借入金です。これは限度額の範囲内で、つなぎ資金として借入れを実施してい ます。  37頁の雇用促進住宅の譲渡・廃止についてです。下段の囲みのように、非正規労働者の解雇、期間 満了の雇止め等により、社員寮等の退去を余義なくされた住居喪失者等に対する住宅の貸与にも取り 組むこととなっています。3月末では5,438件の入居決定を行い、支援を行っているところです。上の ほうになりますが、住宅の廃止決定です。20年度に、新たに650住宅廃止決定をしました。これまで と併せて、全住宅の2分の1を超える廃止決定を行っています。それから住宅の管理についてです。委 託契約については、全国を7ブロックに分割し、民間企業も参加し、競争性のある企画競争を行いまし た。計画修繕の廃止等と併せて、86億円の削減を実施しています。なお、平成21年度分の管理委託契 約については47都道府県ごとに一般競争入札、総合評価落札方式ですが、これを行って、委託先を決 定しています。  以上により、財形融資や雇用促進融資の収支計画、資金計画については、計画に沿った取組を行っ ています。運営費交付金について、費用進行基準から期間進行基準を採用する検討を行っています。 雇用促進住宅については、目標を超える廃止決定を行ったこと、さらには、解雇等により住居を喪失 した方への支援に努めた、こういうことから自己評価をAとしているところです。  38頁、評価シート18、「人員、施設・設備、積立金の処分」です。20年度末の常勤職員数について は、平成18年度末に比べて、数値目標を若干越える282名の削減を実施しています。施設・設備につ いては、施設の老朽化などによる建替えのほか、地震災害等の予見しがたい事情によるもの、これに ついては計画を追加して、設備工事を実施し対応したところです。最後、積立金の処分です。雇用促 進融資業務については、支払利息が増えたことにより損失が生じています。これについては、積立金 を取り崩して業務経費に充てています。宿舎等業務費です。当期利益125億円が生じています。これに ついては経営努力によるものではないということですので、独法通則法第44条第3項の積立金として の申請は行っていません。第1項積立金としての整理を行ったところです。  以上、評価シート18については、常勤職員数の削減数が数値目標を上回ったこと、宿舎等業務につ いて、利益を積立金として整理を行ったことから、自己評価をAとしたところです。評価シートの説明 は以上ですが、引き続き、監事の取組について、総務部長からご説明申し上げたいと思います。よろ しくお願いいたします。 ○雇用・能力開発機構総務部長  それでは監査報告書について、簡単にご説明申し上げたいと思います。資料の1-4の監査報告書をご 覧ください。報告の中身に入ります前に、まず私ども雇用・能力開発機構で実施されます監事監査で すが、私どもの機構は多数の施設がありますので、各施設の業務の監査については、それぞれの施設 ごとに概ね3年に1回実施することとされています。また、本部の業務の監査、決算に関する監査につ いては原則毎年行うとされているところです。その結果、平成20年度においては、施設の監査につい ては全国33の施設について監査が行われ、また本部の業務監査、決算監査については毎年のことです ので、通常どおり行われたところです。  監査の結果です。資料1-4の監査報告書の「2 監査の結果」に記載のとおりです。「本部及び各施設 の業務監査において、法令あるいは業務方法書などに違反する重大な事実というものは認められなか った」ということです。また、本部の決算報告の監査においては法令や諸規程に従い、法人の財産状 態、運営状況等を適正に示していると認められたということです。2の監査の結果(3)にありますよう に、随意契約の適正化については、随意契約見直し計画に基づき、着実に改善されつつあると認めて いますが、引き続き一層の競争性、透明性が確保されるよう努めていく必要があるという指摘になっ ているところです。なお、監事監査の対象施設、実施方法及び監査結果の概要については、資料1-4の 2枚目以下、監事監査調書のとおりです。監事の監査報告については以上です。 ○井原部会長  それで全ていいですね。どうもありがとうございました。それでは委員の皆様は評価シートへの評 定等をご記入をお願いいたします。また、質問があればお願いします。はい、どうぞ。 ○篠原部会長代理  理事長にご質問させていただきたいのですが、篠原は毎年同じことを質問するという評判にめげず、 また同じようなことを質問させていただきます。業務実績は着実に目標管理されて、仕組みもいろい ろな形で入れているのですが、金に関して、今の報告で見ると、やはり全体的なものはきちっと削減 されているのですが、仕組みとしてちょっと疑問を感ずるということで質問します。昨年度は、制度 としての予算管理で質問をさせていただいたのですが、今年は、政・独委も推奨している内部管理、 経営管理としての予算管理ですか、それも併せて入れないと、やはり金の管理というのは十分な体制 ではないだろうということで、内部管理としての予算管理をどのような方針でやられているか、簡単 に教えていただければと思います。 ○雇用・能力開発機構理事長  篠原先生には毎年厳しくご指導をいただいておりまして、うちの経理部門も大分体制を、だんだん 仕組みを充実させていっていると実は思っております。私どもの機構の予算管理のあり方も、先ほど の話でありますが、PDCAの管理サイクルに乗った形で、実は20年度からその運用を始めたところです。 具体的には、簡単に申しますと、まずPはPlanですから、20年度の予算を各施設ごとに割り振るわけ ですが、それを考えるときに19年度の各施設の業務実績と各施設の19年度の予算執行状況等を勘案し て、言うなれば費用対効果的な分析をする中で、20年度の業務の目標、ボリュームですね、ボリュー ムに合わせた予算の付加をしていこう。こういうことをまず始めて、各施設ごとに設定したわけです。  Plan Do 、Doはまさに全国の各施設が、配賦された予算を効率良く執行する中で業務目標を達成し ていくということを実行してきたわけです。今度はPlan Do CのCheckは、そういうふうにして、どん と初めてそういう形でやってみて、年度の途中でもう一遍チェックしよう。業務計画の進捗と予算の 執行がバランスしているかどうかをチェックする、そういうことを行いました。  それで最後のActionのAのほうは、そういうチェックにおける点検結果から見て、何か必要な予算 的な変更、措置の変更をせないかんかということを、その見直しをしようということできていたわけ です。20年度はそういうActionのプロセスで、予算を修正する必要は実際にはなかった。各部門与え られた予算の中で、与えられた目標を達成するという、そういう管理サイクルで実は20年度からやっ ております。  この予算管理体制というのは当然21年度以降も、今年度以降も継続して行っておりますし、だんだ ん管理レベルをもうちょっと上げていかないかんというふうには思っていますが。そういう形でいろ いろな形のもの、費用進行基準と言いますか、使えば使っただけでやっていくという考え方から払拭 して、先生おっしゃる目標管理を予算管理にしっかり入れていこうということでございます。  それで昨年のこの場では、先生からは、期間進行基準的管理はできんかということで、あのとき私 も、できるところから一部入れることをお約束したわけですが、21年度から人件費と一部の物件費、 本部の費用ですが、これについては期間進行基準の形で4月から運用を始めているところです。まだま だ不十分なのですが、そういうところから始めて、だんだん管理レベルを上げていきたい。  ただ1つ、やはりこうやって効率良く実績を上げて、お金の使い方も効率良くやっていこうと思って いますが、できたら何かインセンティブが欲しいのですね。やったらやったで、あと何もないのとい うのも何か淋しいので。インセンティブって、独立行政法人のシステムではインセンティブがあるは ずなのですね、本来は。だけど実態には何もないので、その辺またいろいろご支援賜って、いろいろ なシステムがうまく改善されていくといいなと思っております。 ○中村委員  ちょっとお尋ねしたいと思います。36頁ですけれども、財形融資の債権管理というのがありますね。 この中で累計の、いままで累計で欠損金が175億円あるということなのですが、これに対していろいろ 業務指導で回収しようとした回数42回、あるいは法的措置が2回とあります。この175億円の今まで の累計が、例えばその債権の分類がありますね。一般の債権として考えていて、必ず回収の見込みが あるのか、あるいは貸倒れ懸念があるのか、もしくはもう本当に倒産してしまったり、再生になって しまってアウトになっているのか。それは、どのように今分類していて、その額はいくらなのかとい うのはわかりますか。 ○雇用・能力開発機構理事長  これはちょっとそういう類のものと違うのですね、どうぞ説明してください。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  財形融資に関するご質問なのですが、まず、先ほど業務指導回数42回、法的措置2回ということを 先生おっしゃられたのですが、これは財形融資とは違う雇用促進融資ということで、全く違う融資の ものです。それで財形融資については、現在約8,660億円ほどの融資残高を持っております。それで、 このうちほとんどが一般債権で、8,660億円のうち、8,650億円強が通常の一般債権になっています。 ですから、これはそういう意味ではリスク債権の割合というのは0.0%以下というような債権状況です。  この累積欠損金が発生した原因なのですが、実はこの財形融資は昭和62年から平成10年度の間、10 年の固定債券で、資金調達をいたしまして、貸付が1年の変動で行っておりました。ご存じのとおり、 バブルが崩壊して、かなり金利の低下が激しいときがありました。その結果、10年の高い金利で債券 発行をして、それで1年の変動金利で貸しておりましたので、回収がかなり金利が低くなってきたとい うことで、その当時の逆鞘が積み上がったわけです。その結果、平成11年度に制度を改正いたしまし て、5年の調達で5年の貸付金利ということで、調達と貸付の期間の、いわゆる金利のミスマッチをな くしたわけです。それにある程度の赤字解消のためのスプレッドを貸付金利に積みまして、それでい ま着々と累積欠損を解消しているということで、大体毎年50〜60億円の利益を出して、今、累積欠損 を解消しているところです。 ○中村委員  すると、あと数年後に消えると。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  目標は平成23年には累積欠損を消す目標でやっておるのですが、ご存じのとおり住宅需要が低迷し ておりまして、若干1年ぐらい延びるかなという状況です。少なくとも赤字解消は、平成24年までに はほぼなくなる、累積欠損はなくなるという状況です。 ○篠原部会長代理  今のに関連して、これは会計制度の悪いところがあると思うのですが、我々の基準というのは、今 のいわゆる我々のこの評価のとき、財務は経営者の努力がわかるようにという部分なのですけれども、 制度的なことによる赤字とか、外的要因の赤字って、当然あるのですね。それがわかるように、実は なってなくて。今回の、財務の関係で質問したというのは、それを中心に質問したのですが、やはり この表示の仕方が非常に疑問を持っていて、今後それをはっきりしていただければ、いろいろな形で 評価しやすいなと。だから、いわゆる我々ユーザー、財務省のオリエンテッドになっていなくて。こ んなこと言うとあれなのですが、メーカー・オリエンテッドで、何とか作ったと。正直言って、使用 にあまり耐えないような財務諸表ではないかと思っているのですが。これも、独法が悪いのではなく て、そういうのを作ったどこか上のほうだろうなという気がしているのですが。ここで言ったのは、 ここでそういうことを言うことによって、ちょっと圧力をかけたいという意味で、よろしく。 ○中村委員  ちなみに先ほど私が雇用促進融資のほうですね、そちらのほうの回数を一緒に言ってしまったので すが、そちらのほうの債権管理の具体的な、今ある債権というのはどのくらいで、そこの今問題にな っている業務指導に入ってきてしまっているこの42回、それから法的措置で2回入った、それの総額 はどのくらいになっているのですか。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  実は雇用促進融資は昭和37年度からスタートして、それで平成14年に当時の特殊法人の整理合理化 計画というのがありまして、新規融資をストップしております。従いまして平成14年度以降は私ども がやっているのは、既に貸したお金の管理・回収ということで、ニューマネーが出ていっていないと いう状況です。それで、現在雇用促進は106億8,000万円の債権残高がございます。ただ、この貸付先 が93%ぐらいが中小企業なのですね。昨今のこういう景気状況で、かなり民事再生あるいは破産とい ったのが増えておりまして、この106億円のうち、いわゆるリスク債権に該当しますのが大体50億円 程度ということで、48%程度がリスク債権の状況にはなっています。 ○中村委員  すると、それも前の上のほうの財形融資のそこと併せて、何らかの形で償却といいますか、してい かなければいけないのですね。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  それで、36頁に書いてあります、この業務指導42回というのは、毎年委託金融機関に対して行って いるものでして、この回収については、ほとんどのものが民事再生の申立あるいは破産申立という状 況ですので、いわゆる法的措置に則った回収になるというところです。 ○中村委員  回収不能になる可能性もあるという。 ○雇用・能力開発機構勤労者財産形成部長  回収不能になった分は、私ども抵当権の実行による競売等々を行っております。できる限りその回 収をするということで努めています。 ○松田委員  人件費について、お尋ねします。34頁、ラスパイレス指数が109.1、18年度が113、次が109.8、現 在109.1ですね。これ、高いですね、どう見ても。例えば、職員の年齢や経験年数をやめたとか、それ で昇給をさせたとか、それから大卒の割合が49.1%だ。理由はいろいろつきますが、まず109.1は高 いのです、どう見ても。102ぐらいがまあまあです。一体どういう手を下そうとしているのですか。例 えば、来年は104.8でしょう。これ高いですよ、来年度も。これ順次低くやっていくというものではな いですよ。どういうふうな手を打つのですか。 ○雇用・能力開発機構総務部長  給与制度ですので、毎年度いろいろな検討を行っていまして、順次改正を行ってきているところで す。もちろんまだ高いという認識はしておりますので、今年度も給与改定に向けて、現在検討を行っ ているところです。今後の課題としてはいろいろな手当のあり方について、さらに検討をしていく必 要があると考えているところです。 ○松田委員  それから管理職もちょっと多過ぎませんか。管理職の数が多過ぎますよ。 ○雇用・能力開発機構総務部長  はい。そこのところも認識がございまして、順次削減に努めてきているところではあります。ただ、 言い訳になって恐縮ですが、全体の人員削減幅が非常に大きゅうございまして、その関係で採用数を 非常に絞っているということがあります。従いまして、若い層の人数が大幅に減ってきていますので、 管理職の数も減らしてはいるのですが、比率という点で申し上げますと、なかなか管理職の比率が下 がってこないというところがあります。大変言い訳になって恐縮ですが、そういう事情があるという ことです。 ○松田委員  少なくとも来年中には102台に持っていってください。 それから次は随意契約は850件で、12.2% ですね。額としては大したことないのですが、81億ですか。ほとんどが職業訓練の委託ですよね。私 がずっと調べたら、ほとんど全部そうですよ。 ○雇用・能力開発機構経理部長  件数でいけば、ほとんど職業訓練の委託で4,300件がそれに該当します。 ○松田委員  皆さんのところの職員を、先ほどから教育訓練いろいろ出ていましたけれども、どういう職員に育 てたいのか、専門職にしたいのか、あるいは一般のその職業委託をしている団体さん、あるいは企業 の取次役なのか、どちらなのですか。どういう教育をやっているのですか。 ○雇用・能力開発機構理事長  もっと具体的に噛み砕いて言ってください。 ○松田委員  つまり職業委託を、これほとんどが外部の職業委託ですよね。 ○雇用・能力開発機構理事長  はい。 ○松田委員  そうしますと、皆様のところの職員の訓練は、この基礎的な教育、外部委託している基礎的な教育 をやるような職員を作りたいのか。あるいは、その外部の委託をしているところの取次役を作りたい のか、どちらなのですか。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長  委託の話をしますと、当然民間の教育訓練機関、こちらのほうにコースを提供するということで、 国の定めた計画があって、それを達成するよう取り組んでいくのです。そのときにやるのは、プロセ ス管理セミナーということで、新規参入とか再参入する教育訓練機関にはPDCAサイクルの回し方とか、 訓練運営の方法を提供していきます。併せて、我々が今までに培ってきたコースがありまして。コー スの提供もするということで、効率的な訓練運営ができるような、そういう後押しをするということ で、自らが訓練を行うということではございません。自ら行うのはものづくりの訓練で、これは施設 内の指導員が行います。事務職のほうについては、教育訓練機関を把握する、適正な訓練の競争をさ せる。そのときに、民間の教育訓練機関を育てるという意味で、このコースの提供とか運営の仕方、 これに関して教えていく。実際の訓練に入るとその訓練の進行状況、その辺りを巡回して指導してい る。去年だけでも延べ1万2,700件巡回指導しています。その結果が、現在の69.9%という民間の教 育訓練機関を活用した就職率につながっていると、そういうように考えています。 ○松田委員  少なくとも基礎教育は皆さま方でやればいいのですよね。なぜ外部に頼まなければいけないのか。 基礎教育は、皆様方の職員がやるべきですよ。 ○雇用・能力開発機構業務推進部長  その辺りについては、自らも実施し、自らのノウハウを外部に普及しています。基金の訓練、人材 育成事業で説明いたします。雇用吸収力のある訓練コースの中で、基礎演習コースというのがありま して、この中で職業意識の啓発とか、ビジネスマナー、また訓練ですね。本格的な訓練に進む前の基 礎的な能力開発、こういったワークガイダンス講習というノウハウを持っています。それについては 我々がコースを開発し、我々の施設ですべて研修を行いました。そういう施設の人間が、民間の教育 訓練機関の方々に、このワークガイダンス講習は伝えていくということで、この基金訓練の基礎演習 がうまく走れるように行っていこうと考えています。そういう部分では、自ら教育訓練をやっていく ということも考えています。 ○川端委員  今のラスパイレスもそうですけれど、それから私のしごと館についても、いろいろ批判を受けるも のが目に見える形でたくさんあるのですよ、残念ながら。ところが、今非常に状況が、皆さん方の仕 事が評価される。非常にいいことをされていますから、評価されるそういう良い時期ですので、です からそういう目に見えるマイナス要因を早く排除して、皆さん方がやっている本来の仕事がいかに有 用かと、もっといろいろな形で外へ、外の人にわかるようにアプローチしていくことです。職員に対 しては、やはり給料も本当はうれしいのですが、内発的動機を、やり甲斐とかそういう方向を高める ような工夫をされていかないと、給料は下がるは叩かれる。あれやこれやと、もう一般のモラールダ ウンしますね。そのモラールアップと言ったときに、内発的動機ということも十分お考えになってい るのだろうと思いますが、ある意味では、今皆さま方の存在価値を示す非常に良いタイミングである わけですからね。ここらで、やっていることの本来の、今お話されたような、良い仕事をどんどん外 に何らかの形でアピールして、存在価置を示し、一方で目に見えるマイナス要因をどんどん排除する、 そういう努力を是非していただきたいと。非常に重要な仕事であるわけですね。 ○井原部会長  ご意見ですね。あとはいかがですか。 ○中村委員  理事長様に最後にお尋ねしたいのですが、これだけ一生懸命努力をしているとおっしゃったのだけ れども、やはり何かインセンティブが欲しいというふうなことをおっしゃいましたね。これ、一般企 業ですと売上げを上げてコストを削減して収益が出ますと、それを、いわゆる株主と社員と内部留保 で分配するわけです。だけれども独法の場合には、ある程度規制があると思うのですが、理事長様ほ か、皆様方が考えるインセンティブというのは、ちなみにどういうふうなイメージでしょうか。 ○雇用・能力開発機構理事長  今、ラスパイレスの話もありましたけれど、総枠はどんどん押さえられているのですね。国家公務 員の人も減給、賞与減額だから、これラスパイレスをうちで多少やっても、ひょっとすると上がるか もしらん、頑張らないと、ということがあって、ラスパイレス指数の管理だけというのは本当に、私、 正しいのかどうかと、実は民間企業にいたときから思っているわけです。しかし、1つの指標としてそ ういうことがあるからなのだけれども。私が言うインセンティブというのは、一律では駄目だという ことに尽きるのです。ラスパイレスを下げるために一律給与の昇給幅を落とす、一律賞与額を落とす。 業績が上がる施設も、あるいは個人も、まあいかないのも、みんな一律的処遇ばかりなのです。それ ではインセンティブにならないでしょうと。やってもやらなくても変わらないのではならないでしょ う。だから、原資があるとしたら、人件費の原資があるんだったら、それを傾斜配分すべきなのだと、 こういうことを言っているのだけど。人件費の原資をもっとドンと増やせと言っている意味のインセ ンティブではないのです。 ○中村委員  わからないのですが、独法の場合には業績評価が、いわゆる個人の評価制度につながるような人事 制度の仕組みになっていないのですか。 ○雇用・能力開発機構理事長  総務部長が説明をしたほうがいいかな。 ○雇用・能力開発機構総務部長  例えば、賞与について勤勉手当というのがありまして、その中で勤務成績を反映させるという制度 にしています。ただ、実際の運用として、その勤務成績というものをどのように測っていくのか。そ れから、また各職員の間で不満が生じないように、どのように客観的に公平にその勤務成績というも のを測っていくのかというのが、なかなか難しいところがありまして、現状としては勤務成績の反映 というものは、大幅な形では行っていないというのが実情です。 ○中村委員  おそらくそこのところに手を着けないと、今後不満がたまっていくのではないかと思いますね。 ○雇用・能力開発機構理事長  雇用・能力開発機構だけではありませんから、公のこういう組織って、みんな大体多かれ少なかれ。 だからさっきも申し上げましたけれど、インセンティブをやりたいのだけど、減収減額、減給減額の ときにはものすごくやりにくい。だから、もうちょっといくと、民間の業績が上がれば、人事院の調 査も上がるでしょうし、公務員の少し昇給が上がると、うちも見直しをする。そういう原資が生まれ たときに、何らかの手が打てないかということを検討してくれと言って、今、頼んでいるのですけれ ど。 ○中村委員  頑張ってコスト削減したのを、人件費を常勤で取っておいて、それを頑張った人へのあれにはでき ないのでしょうかね。 ○雇用・能力開発機構総務部長  運営費交付金という枠の中では可能だとは思うのですけれども、それで手当をあげるということに なりますと、ラスパイレス指数には入ってまいりますので、ラスパイレス指数をまず下げるというこ とが至上命題の現状においては、なかなか難しいところがあるということです。 ○井原部会長  それではよろしいでしょうか。ここまでで雇用・能力開発機構に関する議題は終わりにしたいと思 います。それで事務局からちょっと説明をしていただきたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  評価シートのほうですが、記入が終わっていない委員の方については、本部会終了後に会場にお残 りいただいて書いていただいても結構ですし、また、お持ち帰りいただいて記入していただいても結 構ですので、お持ち帰りいただく場合には本部会終了後に事務局にお声をおかけください。次の法人 入室までちょっとお時間をいただきたいと思いますので、次の法人のほうは4時からとさせていただき たいと思います。それまで休憩としていただければと思います。 ○井原部会長  では4時まで休憩をとってください。            (法人及び法人所管課入れ替え) ○井原部会長  16時になりました。堺委員は遅れるとのことでした。高齢・障害者雇用支援機構の個別評価に入り たいと思います。最初に、戸苅理事長からのご挨拶と年度実績の概要の説明をお願いいたします。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  理事長の戸苅でございます。評価委員会の先生方には業務実績に関する評価を始め、当機構の事業 運営にご指導いただいておりますことについてお礼申し上げます。本日は平成20年度の個別評価をい ただくということで、どうぞよろしくお願い申し上げます。  高齢者及び障害者の雇用につきましては昨年の夏頃までは着実に改善が進み、昨年6月の時点におき ます65歳までの雇用確保措置の実施企業の割合は大企業では99.8%とほぼ全ての企業で実施済みとな り、51人から300人の企業でも95.6%に達しました。障害者の雇用率も4年連続上昇いたしまして、 同じく昨年6月には1.59%と過去最高の水準となりました。 しかしながら、昨年秋以降の世界同時不況の深刻化による雇用情勢の急激な悪化の中で、障害者につ きましてはハローワークでの就職件数が、平成20年度、7年ぶりに前年度比マイナスとなり、今年に 入り、解雇の届出数も昨年の2ないし3倍に増加している状況です。特例小会社あるいは作業所等の話 を聞きましても、仕事の確保に大変苦労されているということです。高齢者につきましても、平成18 年4月の高齢法の改正後一貫して上昇が続いてきた60〜64歳の就業率が5月、6月と前年同月比マイ ナスに転じるなど、障害者、高齢者の雇用にも影響が広がっており、先行きが懸念されるところです。 このような状況に対処するために、私どもとしては地域の就労支援機関との連携を強化してより効果 的な職業リハビリテーションサービスを実施するとともに、ハローワークと連携・協力して、企業に 対する障害者雇用の維持・促進のための助言・援助等の積極的推進に取り組んでいるところです。  今年は、団塊の世代の全員が60歳代になります。3年後の平成24年にはそのトップグループが65 歳に到達するということですので、65歳を超えて70歳まで、さらには年齢にかかわりなく働くことの できる職場づくり、あるいはキャリア開発、そういった条件整備を早急に進めることが重要と考えて おります。雇用情勢はなお厳しさを増しておりますけれども、労働力の減少と高齢化は着実に進行い たしますので、高齢者が十分に能力を発揮して、安心・納得して働き続けられる社会の実現に向けて、 より積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  平成20年度の当機構の業務につきましては、第2期中期計画の初年度であるということで、新たな 事業の早期立ち上げ、時代の要請に即応するための事業の見直し・改善に積極的に取り組みますとと もに業務運営の効率化・経費節減に努めました。さらに、昨年秋以降の景気・雇用の急速な悪化への 対応策を機動的に実施したことにより、訓練を修了した障害者の就職率、あるいは障害者納付金の納 付率もほぼ前年度並みの実績を実現し、目標を上回る成果を得ることができました。ただ、事業の一 部には、年度後半になってやや減速するものも見られましたが、総じて、目標を上回る、さらには前 年度をかなり上回るものが多く見られたところです。  20年度の業務実績につきましては、まず業務運営の効率化でありますが、中期計画に則り、継続雇 用定着促進助成金の廃止経過措置によって支給件数が減少することに対応した、職員1名の削減を昨年 4月に行いました。しかしながら、そういった中で審査事項が多岐にわたり、この給付金の1.5倍の処 理日数を要する中小企業定年引上げ等奨励金の利用が前年度に比べて5.7倍と予想以上に急増したため に、毎月毎月の申請件数の増減に対応し機動的に人員再配置を行い、年間を通じて迅速な処理を実現 するとともに、給付金システムを改修して受託法人、本部における進捗管理を強化する等の効率化総 合対策を実施いたしました。こうした取組の結果、19年度に比べて障害者の助成金も含め処理件数が 1.1%増加する中で、職員1名の削減を何とか維持しつつ、平均処理期間を3.9%減と。24年度におい て5%削減というのが中期目標ですが、1年目で大きく前進することができたと考えております。  また、せき髄損傷者職業センター、東京駐在事務所納付金部門の廃止、南東北、東海、四国の3地域 の職業センターの管理事務の集約化につきまして検討、準備を進め今年の4月に実施いたしました。高 齢者関係業務につきましては、希望者全員を対象とする65歳までの継続雇用制度の導入、「70歳まで 働ける企業」の普及・促進を重点に、雇用アドバイザー等による相談・援助を積極的に行って目標の3 万件を上回る3万2,456件を実施しました。特に、小規模企業への支援に重点を置きました。50人以 下の相談・援助の割合が一昨年の37.9%から昨年度は42.0%に高まったところです。相談・援助を受 けられた事業主に対する半年後の追跡調査を見ますと、具体的な改善効果が見られたのが86.9%で目 標の70%を大きく上回ったところであります。  もう1点、高齢期におきます職業生活設計等の助言指導業務ですが、これにつきましては独法整理合 理化計画にしたがって、これまで47県に設けておりました高齢期雇用就業支援コーナーの事業を利用 ニーズの多い都市部の14コーナーに重点化するとともに、他の33県においてはコーナーを廃止して会 場の借上げ、あるいは事業所への出張等によるセミナーに特化いたしました。地域の実情あるいは利 用者ニーズに応じた効果的な業務の実施に工夫を凝らして、相談件数やセミナー受講者が目標値の1.5 倍を上回る増加をみるとともに、後ほどご説明しますが、利用者アンケートでも大変高い評価を得る ことができました。  次に、障害者関係業務です。地域センターにおいては専門的支援を必要とする障害者を積極的に受 け入れて、職リハサービスの実施対象者数は2万7,435人ということで前年度を約1,000人上回りまし た。就業・生活支援センター等による身体障害者、知的障害者の支援体制が整備されていることから、 こうした障害者の方々の利用件数が減少しているわけですが、この減少部分を上回って就職の困難性 の高い精神障害者、発達障害者の方々への支援件数が大幅に増加したところです。また、精神障害者 に対する専門的支援につきましては、積極的な周知を図り、医療機関等とのネットワークの充実・強 化にも努め、職場復帰支援の対象者数が前年度比23%増となりました。復職率も80.2%になりました。 発達障害者の方々ですが、19年度から発達障害者に対する専門的な支援を試行しておりますが、20年 度は東京、大阪に加えて滋賀、沖縄において実施をいたしました。修了者23名のうち、10名の方が就 職したところです。こうした事業の実施にあたっては福祉、教育、医療、ニートの自立支援機関等と の協力・連携を強化しました。こうした取組によってすべての数値目標を達成するとともに、12指標 中11指標で前年度実績を上回ることができました。  所沢、吉備高原にある障害者職業能力開発校ですが、職業訓練上特別の支援が必要な就職の困難度 の高い方々の訓練機会の拡大に取り組みました。前年度比37%増、受講者に占める割合も41.0%で前 年度に比べると10.6ポイント上昇いたしました。景気が急速に悪化するということで、訓練を修了さ れた障害者の方の就職率の低下が懸念されたことから、本部と所沢校、吉備校三者で対策会議を設け、 就職率向上に対する対策を実施しました。就職率は89.4%で目標の80%を上回ることができました。 障害者の雇用納付金ですが、昨年の12月に、改正障害者雇用促進法がにわかに成立いたしまして、平 成22年の7月から中小企業に納付金が適用されることになりましたので、直ちに改正法の周知・広報 に取り組みました。加えて景気の急速な悪化による収納率の低下を防止すべく、今年の2月を重点督励 活動期間として、全国一斉に活動を行い、99.76%、昨年が99.78ですから、ほぼ同水準の収納率を達 成することができたところです。  昨年の10月に、千葉県において第30回全国障害者技能競技大会を開催いたしました。今回の大会か らは、新しい中期計画に基づいて、競技種目を障害者雇用が見込まれる職種に重点化することと競技 定員の見直しを行うこと、これを実施したところです。併せて新たな取組として、先駆的、あるいは 雇用拡大が期待される「清掃」「事務・販売」「IT」、3職種の技能デモンストレーションを実施しま した。併せて、30回目の節目を迎えたということで、国際アビリンピックのメダリストによる実演、 来場者の作業体験、シンポジウム等々の記念事業を実施したところです。当初、開催予定していた県 が、事情が生じて、急遽千葉県にお願いするということで準備期間に制約があったわけですが、来場 者アンケートでも94.5%の方々に評価される結果になったところです。  最後に予算、人事です。省資源・省エネルギーの全職場での取組の強化、一般競争入札の積極的実 施、複数年度契約の拡大に努め、一般管理費9.0%、業務経費10.2%の削減を実現いたしました。人件 費につきましては、ここ数年間の給与制度改革の着実な実施の効果があり、18年度から23年度までの 5年間で5%の削減が目標であったわけですが、20年度までで7.3%の削減となりました。ラスパイレ ス指数も19年度の114.6から111.6に低下したところです。予算管理による管理会計により、予算執 行状況を適時把握し、効率的・効果的な予算執行に努めました。これにより経費の節減を図るととも に、運営費交付金につきましては、期間進行基準による執行を早期に行うべく具体的な検討に取り組 んだところです。予算削減の中で業務が増えるということで、職員のモラールの維持・向上を図るべ く、各種の会議はもとより、メールマガジンによる社内報、出先機関に私が直接出向いての職員との 直接対話等、あらゆる機会を通じて、当機構のミッション、方針の浸透、意思疎通の向上に取り組み ました。特に、20年度はモニター制度の創設、全施設へのご意見箱の設置といった、利用者あるいは 国民の方々の目線に立った業務改善に取り組むとともに、内部統制の強化、法令遵守の向上を図るべ く検討を行い、内部監査の実施、公益通報に関する規程の整備をするとともに、本年4月にはコンプラ イアンス推進課を新設したところです。  厳しい経済・雇用情勢が続きますが、高齢者、障害者の方々の雇用の推進という当機構の使命を果 たすべく、役職員一体となって、さらに全力をあげて取り組んでまいりたいと考えておりますので、 先生方のますますのご指導をよろしくお願い申し上げたいと思います。 ○井原部会長  はい、ありがとうございました。これからの進め方ですが、高齢・障害者雇用支援機構の個別評価 については、評価シートの個別項目を3つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきた いと思います。  まずグループ1ですが、これは「業務運営の効率化」「業務の質の向上への取組」及び「高齢者事 業」の項目についての評価を行います。所要時間は、法人からの説明30分、委員の評定と質疑20分の 合計50分となっています。それでは法人から説明をお願いいたします。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  企画啓発部長の増田です。どうぞよろしくお願いします。平成20年度の業務実績につきまして、資 料2-6「平成20年度業務実績説明資料」に沿ってご説明します。この資料は資料2-1-[1]「業務実績評 価シート」をわかりやすく説明したもので、各評価区分ごとに自己評価及び業務実績を記載していま す。なお、当機構ではあとでもご説明いたしますように、業績評価を厳正・公正に行うため、この労 働部会の審議に先立って雇用、福祉、医療の専門家といった外部の有識者から成る外部評価委員会に おいて、労働部会と同様の方法、基準により評価をいただいており、その評価結果をそのまま評価シ ートの自己評価欄に記載しております。それでは評価シートの1〜7までを続けてご説明します。  2頁をご覧ください。評価シート1の「業務運営の効率化」です。まず、「効果的・効率的な業務運 営体制の確立」についてご説明します。平成20年度は第2期中期計画の初年度であることから、目標 の早期達成に向け、業務の一層の効率化と効果的な実施に年度当初から迅速な取組を行いました。1点 目は左上の高齢給付金体系の転換に伴う職員の削減です。高齢給付金体系の転換に伴う職員1名の削減 を4月に行ったところ、審査事項が多岐にわたり、処理日数が従来型の1.5倍を要する中小企業定年引 上げ等奨励金の申請件数が、前年度比で約6倍増と当初見込みを大幅に上回り、毎月の申請件数の増減 に対応した機動的な人員再配置、システム改修による進捗管理の向上など、新たに効率化総合対策を 実施することにより、処理期間の短縮と職員1名の削減を同時に実現いたしました。  2点目は左下になりますが、平成21年度末までの全駐在事務所廃止に向け、本部の業務実施体制・ 事務処理方法について検討し、東京駐在事務所の納付金調査部門を平成21年4月に先行して廃止し、 業務を本部に移管しました。  3点目は、せき髄損傷者職業センターの廃止です。せき損センター、総合せき損センターと廃止に向 け協議・連携して検討準備を行い、平成20年度末にせき損センターを廃止し、平成21年4月からせき 損センター業務の福岡センターへの引継ぎ、入・通院者に対する出張職業指導等を実施しました。4点 目は、地域障害者職業センターの管理業務の集約化です。平成20年度は青森、秋田、岩手の3センタ ーの事務を岩手センターに集約化し、集約化実施に伴う問題点の把握分析、解決方策の検討を行いま した。その結果、本部と地域センターの契約事務配分の見直し、経理システムの改修、事務処理マニ ュアルの刷新、担当者・所長への事前研修等を実施することにより、円滑・的確な管理事務を実現し た上で、平成21年4月からは新たに南東北、東海、四国の3ブロックを集約化しました。  次の頁は「業務運営の効率化に伴う経費節減等」です。左上の一般管理費・業務経費の節減ですが、 一般管理費は予算上、平成19年度と比較して目標を上回る3.1%を節減した上で、さらに予算執行の 経費節減として省資源・省エネ意識の徹底、深夜タクシーの利用基準の見直し・徹底等により6.2%の 節減をし、合わせて決算額で9.0%の節減を実現しました。業務経費も同様に、予算上目標を上回る 2.4%を節減した上で、さらに予算執行段階で、一般競争入札の積極的な実施等により7.9%の節減を し、合わせて10.2%と大幅な節減を図りました。  次に左下の随意契約の見直しですが、総合評価方式の拡充及び複数年度契約の拡大により、随意契 約見直し計画を着実に実施しました。さらにその下ですが、個々の契約について監事監査、会計監査 人による監査を受け、監事監査では合規性を損なう事象が発見されず、また、会計監査人監査では初 めて無限定適正意見を受けました。次に、機構では給付金・助成金の申請受付、相談援助等の業務を 受託法人に委託をしておりますが、この委託につきましては、企画競争への移行を決定し、契約の競 争性・透明性を確保するため、外部の学識経験者等による審査委員会を設置しました。企画競争を経 て、平成22年4月からは新たな契約により業務を委託します。  次は、右上にいって業務・システムの最適化です。最適化計画に基づいて新規システムの導入にあ たって、サーバーの集約化等のコスト削減、また、入力内容の関係帳票への一括登録機能の整備等の 業務効率化を実現しました。最後は、右下の高齢期雇用就業支援コーナーの市場化テスト導入です。 まずコーナーを、利用ニーズが多く効果が見込まれる都市部等の14都道府県に重点化しました。その 上で土日・夜間の相談・セミナー、出張セミナーの強化など、ニーズに対応した業務の見直し、強化 を行いました。その上で東京、愛知、広島の3か所で民間競争入札を実施することとし、昨年5月に実 施計画案を策定。その内容が反映された「公共サービス改革基本方針」が12月に閣議決定をされまし た。  次の頁は、「給付金及び助成金業務の効率化」です。給付金・助成金1件当たりの平均処理期間につ きましては、真ん中の吹出しにありますように、中期計画の最終年度である平成24年度に、平成19年 度比で5%短縮することを目標としております。これに対して、その左にありますように年間処理件数 が1.1%増加する中で、平均処理期間は49.8日と、1年目にして3.9%の短縮を実現しました。先ほど もご説明しましたが、高齢給付金につきましては中ほどの事務手続の効率化の所にありますように、 審査事項が多岐にわたるため、処理日数が従来型の1.5倍を要する中小企業定年引上げ等奨励金の申請 件数が約6倍に増加する中で、新たに月単位の機動的な人員配置、本部及び受託法人を挙げての進捗管 理の強化、期間厳守の徹底などを内容とする効率化総合対策を実施するとともに、給付金体系の変更 に伴い、職員1名の削減を実施しました。また、障害助成金につきましても、窓口での事前相談の徹底、 十分な説明によるムダな事務の削減、進捗管理の厳格化、添付書類の簡素・合理化などにより、平均 処理期間のさらなる短縮を実現しました。  以上が評価シート1ですが、業務運営体制の合理化・集約化の積極的な取組、経費の大幅な削減、給 付金・助成金の処理期間のさらなる短縮等が評価され、当機構の外部評価委員会よりSと評価されまし た。  次に6頁をご覧ください。評価シート2は「業務の質の向上への取組」です。さらに次の頁をご覧く ださい。まず、「関係者のニーズ等の把握・業績評価の実施及び公表」についてです。当機構では関 係者の皆様のニーズを幅広く把握し、業務の改善につなげていくため、関係各方面を代表される方々 による評議員会を開催するとともに、各種の支援サービス利用者及びその所属長に対して、サービス 終了時における有用度調査と、具体的な課題改善効果に関する追跡調査を積極的に行い、自由記述欄 を含めて結果を分析し、現場へのフィードバックと改善指導を行っております。  その下の業績評価の所をご覧ください。機構においては、内部評価委員会と外部評価委員会の2本立 てで業績評価を行い、PDCAサイクルの徹底を図っております。機構本部の部長を構成員とする内部評 価委員会においては、重点テーマの設定による業務進捗状況の把握分析を行い、進捗の思わしくない 業務の改善や、取組の遅れている地域センター、受託法人への指導の徹底を図っております。さらに 厳正・公正な業績評価の観点から左下にありますように、雇用・福祉・医療の専門家といった外部の 有識者5名で構成される外部評価委員会を設け評価をお願いしています。職業リハビリテーション業務 につきましては、より専門的な見地から評価を行っていただくため、別に、各種リハビリテーション 分野の学者・専門家8名による評価をお願いしております。外部評価委員会での評価の基準は、この労 働部会と同様となっており、外部評価委員会での評定結果を機構の自己評価とし本日提出させていた だいております。また、独法評価委員会の評価結果については、機構内LANにより全職員に周知をして おります。  以上の取組に加えて、真ん中の右のほうにありますが、平成20年度は夏に重要課題について、理事 長ヒヤリング(サマーレビュー)を実施して、目標達成の意識向上、効果的な業務推進を図ったとこ ろです。  次の頁は、「内部統制の在り方・高年齢者等及び障害者雇用支援業務の連携によるサービスの充 実」です。当機構では内部統制の向上に向けて意欲的に取組を進めました。まず、左上の図にありま すように、左側のコンプライアンスを担当する総務部、右側のコンプライアンスに関して厳正な監査 を行う監査室による2元構造のコンプライアンス体制を確立し、平成20年度から新たに内部監査を実 施しました。また、その下ですが、さらなる内部統制の向上を図るため、民間企業や他独法の取組に ついて情報収集、訪問調査を行い、コンプライアンス委員会の設置など、取り組むべき事項をまとめ た報告書を作成いたしました。これを受けて平成21年4月には「コンプライアンス推進課」の新設、 公益通報に関する規程の制定、通報窓口の設置を実施しました。さらにその下ですが、業務運営の参 考となる意見等を幅広く募集し、業務改善につなげるため、新たにホームページを活用したモニター 制度を導入し、76件の報告がありました。  次に、右側の高齢者業務と障害者業務の連携です。まず、高齢アドバイザーと障害アドバイザーの 連携ですが、いずれのアドバイザーが事業主相談を行っても、基礎的な事項については即時対応でき るようにするとともに、相談内容を担当者へ確実に伝達し、さらに担当者による専門的支援を実践し ました。このような取組の結果、退職した障害者の補充として新たな障害者の採用につながった等の 成果が得られました。次に、給付金・助成金業務の連携におきましては、連携会議の開催、給付金・ 助成金双方を簡潔に説明するリーフレットの作成、不正受給、未然防止事案の情報共有による不正受 給防止の徹底などの取組を行いました。また、さらに実践的手法の開発・提供の業務でも、新たに検 討会議を設置、検討し、高齢者と障害者がともに働きやすい職場づくりをテーマとした共同開発に着 手しました。  次の9頁は、ホームページによる「高年齢者等や障害者の雇用情報等の提供等」です。平成20年度 は月平均6回の更新、「70歳いきいき企業100選」の作成、職場改善好事例の拡充などコンテンツの 充実を図りました。また、視覚障害がある方のための見やすさ向上などの取組、問い合わせへの迅速 ・的確な対応等を重点に実施しました。これらの結果、右側ですが、ホームページへのアクセス件数 は1,040万件と、平成19年度比で50%増加しました。  次の頁は、具体的に「ホームページの利用しやすさの向上に向けた取組」です。まず右上のピンク の吹出しをご覧ください。弱視者が見やすくなるように、頁の背景色を白色化しコントラストを高め ました。また、その下にありますように、マウスでポインターを画像に合わせると注釈が表示される よう整備することで、パソコンの画面読み上げソフトを利用している視覚障害者の方に、画像の内容 が伝わるように工夫をしました。さらに、右下にあるように事業主の声を反映して、納付金申告書の ダウンロードの仕方を新設するなど、要望を踏まえた改善を進めてきました。以上が評価シート2で、 自己評価はAです。  次の11頁からは「高齢者事業」についてです。12頁をご覧ください。評価シート3、「給付金の支 給業務」です。次の頁をご覧ください。左上ですが、給付金の効果的活用に向けた周知・広報につき ましては、まず、ホームページ等による迅速な情報提供として、定年引上げ等奨励金の改正2日後にホ ームページに掲載し目標を達成しました。また、新規の取組として、助成金ごとに手続の流れ図等を 掲載した「申請手続」の項目の設定、創業支援に関連する国の助成金の案内へのリンクを行いました。 また、高齢アドバイザーと給付金担当者が一体となった積極的なPRや、中小企業事業主への周知を目 的にラジオコマーシャルを新たに実施しました。さらに確認書類の簡素化など、事務手続の簡素合理 化も進めました。  この結果、右にありますように支給件数は4万5,050件で、そのうち定年引上げ等奨励金は平成19 年度比で約6倍に増加しております。次は、不正受給防止対策の強化です。新たに、調査実施件数の目 標値を受託法人ごとに設定し、3,175件について厳正な調査を行いました。また、不正の経緯や手口を 解説した「不正受給事例集」の改訂、本部、受託法人が連携した不正防止対策の強化などに取り組み ました。以上が評価シート3で、自己評価はAです。  14頁をご覧ください。評価シート4、「高齢者雇用に関する相談・援助」です。次の頁をご覧くださ い。高年齢者雇用アドバイザー等による相談・援助につきましては、平成20年度は雇用確保措置の実 施が特に遅れている小規模企業に対する導入支援を重点に取り組みました。対象企業全体のうち50人 以下企業の割合を37.9%から42.0%に高めました。また、65歳までの希望者全員の継続雇用の推進も 重点とし、定着支援の割合を43.0%から50.1%に高めました。これらの相談・援助を効果的に実施す るため、新たに「高年齢者雇用アドバイザーご利用のおすすめ」を作成して事業主訪問に活用しまし た。さらに、「70歳まで働ける企業」の普及・促進を図るため、支援効果が見込まれる企業リストを 作成し、職業安定機関との連携のもと計画的な企業訪問を実施しました。  これらの結果、中央上にありますように平成20年度の相談・援助件数は、目標3万件に対し3万 2,456件、達成度108.2%となっております。そのうち「70歳まで働ける企業」に関する相談・援助は 1万812件と、平成19年度から倍増しました。さらに、左下ですが、アドバイザーのスキルアップの ための多彩な研修を、事例発表やグループ討議を強化して実施するとともに、ブロック別の経験交流 会におきましては小規模企業への具体的提案、「70歳まで働ける企業」に的を絞った事例検討を積極 的に行うなど、アドバイザーの資質向上に取り組みました。これらの結果、右上ですが、新たに実施 した相談・援助6か月後の追跡調査では、「課題改善に効果があった」との回答が86.9%と、目標の 70%を上回る高い評価を得ることができました。具体的には、「再雇用制度対象者の選定基準を労使 協定に円滑に切り替えることができた」、といった評価を受けております。企業診断システムの活用 につきましても、目標の1,800件に対し2,791件、達成度155.1%。職場活性研修も目標の260回に対 し351回、達成度135.0%と目標を大きく上回りました。右下の受講者に対するアンケート調査では中 高年の能力発揮にコミュニケーションが大切なことを実感したなど、95.3%から有効との回答を得ま した。  次の16頁は「高年齢者等の雇用に関する各種講習等」です。左中央の内容の改善・充実の囲みにあ りますように、「70歳まで働ける企業」の普及・促進の観点から、「高齢職員戦力化への条件整備の 流れ」等のテーマを設定するとともに、アンケート結果を各受託法人にフィードバックし、今後の研 修計画に活かすよう指導するなど取組を行いました。その結果、右側ですが、受講者数は目標の2万 4,000人に対し2万7,347人、達成度113.9%となりました。受講者に対するアンケート調査でも、有 用との回答が目標の85%を上回る90.7%となり、自由記述欄では、「これからの企業経営にあたり高 齢者活用の必要性が理解できた」、などの回答がありました。  さらに左下ですが、平成19年度に講習等を受講した事業所を対象に、雇用管理の改善状況について 追跡調査を実施しました。その結果、「改善が進んだ」「取組が進んだ」など、雇用管理改善に効果 があったとの回答が89.5%と、目標の80%を上回る成果が得られました。また、調査の結果、取組が 進んでない事業所につきましては、アドバイザーがフォローアップを行うなど、継続的な支援を実施 しております。  以上が評価シート4ですが、小規模企業への支援や、65歳までの希望者全員継続雇用の推進に重点 的に取り組み、各種の指標で目標を大幅に上回り、特に新たに実施した追跡調査で高い改善効果が見 られたことが評価され、当機構の外部評価委員会よりSと評価されました。  次の17頁は、評価シート5、「高齢者雇用に関する実践的手法の開発・提供」です。次の頁をご覧 ください。まず、左上の高齢者の雇用継続制度の実態と従業員の就業意識に関する調査研究です。政 府目標の実現のための方策の検討に資するため、高齢者雇用継続制度に関する総合的な企業アンケー ト調査を実施しました。約1万3,000社にのぼる多くの企業から回答を得、我が国における70歳雇用 についての企業の認識や、雇用実態等を明らかにすることができました。真ん中、上の囲みにありま すように、回答企業の3社に2社が、65歳以降の雇用の取組が必要と認識していること、また、65歳 以上の常用労働者が3人以上在籍する企業の55.3%で、実際に70歳以上の従業員が雇用されているこ となどが明らかになりました。これらは今回我が国で初めて把握できた知見であったことから、研究 機関やマスコミなどからも注目され、各方面から大きな反響がありました。  このほか右上にありますように、高年齢者雇用のための事業主支援手法の開発を行いました。次に 左下ですが、70歳までいきいきと働くことができる企業の先進事例を全国規模で収集し、70歳雇用の 取組に参考となる100事例を選定し、「70歳いきいき企業100選」を作成しました。また、このうち 先進的な20事例につきましては、具体的な取組内容を詳しく紹介するケースレポートとして「70歳雇 用先進事例集」を作成しました。さらに全都道府県でそれぞれ「地域版事例集」を作成しました。こ れらは身近な企業情報として地元企業の関心も高く、アドバイザーの必携資料として企業訪問に持参 し、相談・援助活動に活用されております。  こういった活用成果も活用して右下の枠にありますように、70歳雇用に向けたシンポジウムを開催 しました。経済情勢が厳しい中にあって、前年を上回る参加申込みがあるなど反響が大きく、満足度 につきましても92.3%と、前年を上回る高い評価を得ました。70歳雇用実現企業のイメージが大きく 変わったとの回答が寄せられるなど、70歳雇用に対する認識を深める一助となりました。  次の頁の共同研究は、高齢者が能力発揮しやすい職場づくりに向けて、先駆的なモデルを企業と機 構が共同で構築するものです。目標の10件に対して11件を実施しました。右側に例として惣菜製造業 の取組事例を示しております。ソフト面では、時々の体力や業務量に対応した変動型勤務制度、ペア 就労の導入、ハード面では、高齢者が操作しやすいタッチパネルを用いた作業指示、在庫管理のオン ライン化など、食品製造業に共通する高齢者就業対策のモデルを示しました。次に産業別ガイドライ ン策定支援ですが、平成20年度は目標どおり16団体に対して支援を実施しました。このうち、事業の 最終年度を迎えた6団体がガイドラインを策定し、企業への配布、団体主催セミナーの開催等により普 及を図りました。セミナー参加者へのアンケートでは97.5%が満足と回答しております。  以上が評価シート5でして、総合的企業アンケート、「70歳いきいき企業100選」など、70歳雇用 についての先導的取組が評価され、当機構の外部評価委員会よりSと評価されております。  次に20頁をご覧ください。評価シート6、高齢者雇用に関する「啓発事業」です。次の頁は、まず、 高齢者雇用フェスタ2008についてです。「現役力!−私も企業もいきいき元気−」をテーマとして、 超高齢社会の働き方や生き方を展望すべく、65歳を超えた働き方・生き方について、総合的な理解を 図る公開シンポジウム、高齢者を積極的に雇用し、業績を上げている企業事例に焦点を当てた高年齢 者雇用開発フォーラムを開催しました。特に特別企画として、「現役力とは何だ!」をテーマに新た な取組として、クイズ形式で高齢期の就業について様々な世代の回答者から生の声を引き出し、来場 者も一体となって高齢者雇用について理解を深める、全員参加型のイベントを実施しました。さらに 一番下にありますように、祖母ブロガーなどを講師とするセミナー等、多彩な手法による効果的な情 報提供を行い、高齢者の雇用確保の重要性を参加者に十分理解してもらえる総合的なイベントとしま した。こうした取組の結果、右上にありますように来場者数は過去最多の2,718人、「高齢者の活力が 社会の活力につながることが実感できた」など、理解度は93.6%と目標の80%を大きく上回りました。  次の頁は「エルダーの発行等と啓発広報活動」です。発行部数は目標の6万部を達成しました。左下 の囲みにありますように編集委員、読者アンケート等の広範な意見を踏まえ、企業先進事例や中高年 のキャリア開発、高齢者の安全問題など、高齢者雇用に関する具体的ノウハウを中心に紹介し、企業 が現実的な問題を解決できるよう取り組みました。その結果、右下にありますように読者アンケート では、「事例が自社とも比較ができ参考になる」など、92、93%から非常に役立つ、参考になるとの 評価をいただきました。また、右上の啓発広報活動として、新たにインターネット検索サイトでのバ ナー広告、企業経営者をターゲットに空港、機内誌への広告を実施しました。以上が評価シート6で、 自己評価はAです。  最後、23頁は評価シート7、「在職者を中心とした相談・援助」です。次の頁をご覧ください。左上 にありますように整理合理化計画を踏まえて、利用ニーズに対応した業務実施体制等の整備に取り組 みました。1点目は、従来47か所に設置した支援コーナーを、利用ニーズが多く、効果が見込まれる 都市部の14コーナーに重点化し、他の33県ではセミナー業務に特化しました。また、第2期中期計画 の重点である民間競争入札の導入につきましては、右上の吹出しにありますように、目標どおり東京、 愛知、広島の3コーナーを対象とする実施計画案を平成20年5月に策定し、12月に閣議決定されまし た。2点目は、支援コーナーに専任の室長を配置し、相談業務とセミナー業務との緊密な連携のもと、 一体的に実施運営する体制を整備しました。3点目は、相談・セミナーの一体的運営です。相談利用者 のニーズ把握によるセミナーガイダンス等に取り組みました。また、常設のコーナーを設置しない33 県では、利便性が高く低廉な外部会場の確保に努めるとともに、事業所への出張セミナー、交流会を 積極的に実施しました。さらに、右上のほうですが、利用者サービスの重点取組として、土日・夜間 相談が平成19年度比で185.0%、土日・夜間セミナーが同じく156.6%、出張セミナーが同じく125.0 %を達成するなど、ニーズに積極的に対応し、利用者の利便性の向上を図りました。  また、セカンドキャリア支援講習につきましては、新たに1日コースを試行的に実施して多くの利用 を得ました。そのほかにも、起業者やU・Iターン者などのセカンドキャリアサポーターによる支援、 ハローワーク等との合同相談会など、前年度を大きく上回る実績を上げました。以上の取組の結果、 左下ですが、相談・援助件数は4万1,784件、セミナー受講者数は13万9,992人と、いずれも目標の 1.5倍となり、前年度実績を大きく上回りました。利用者アンケートでは、相談・援助について、「効 果があった」が97.9%、セミナーについて「有用だった」が95.8%と、いずれも目標を大きく上回る 高い評価を得ました。また右下にありますように、「定年後の自立・開業が目標になり、準備の方向 が明確になった」「求職活動の心構えや応募書類について理解できた」などの声が寄せられておりま す。  以上が評価シート7でして、コーナーの重点化、利用者ニーズを的確にとらえた相談・援助サービス、 土日・夜間、出張対応など、利便性向上の積極的な取組により、目標を大幅に上回る相談・援助件数、 セミナー受講者数を達成し、利用者からも極めて高い評価を得ていることが評価され、当機構の外部 評価委員会でSと評価されております。以上でグループ1についてのご説明を終わります。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは委員の皆様は評価シートの評定等の記入をお願いします。質問 がありましたらご発言をお願いします。 ○松田委員  資料の18頁です。政府は65歳、50%、これは間違いなく大丈夫でしょうが、問題は70歳ですね。 70歳まで働ける企業の割合を20%にする。現在の雇用情勢を考えると、これは不可能ですね。これ、 2010年でしょう。現在は12.4%ですよね。この目標はちょっと高すぎるというよりも、いまのこうい う状況を考えたらこれは不可能です。よって、これは修正すると。例えば、2023年に65歳でしょう。 ですから、2012年に20%に持っていこうというように、この目標を変えるつもりはありますか。 ○職業安定局高齢・障害者雇用支援対策部企画課長  確かに現状からすると、ご指摘のような危惧がないわけではないというようには考えております。 一方で、少子高齢化が継続的に進展する中で、意欲と能力のある方が年齢にかかわりなく働くことと いうのは非常に重要であると考えておりまして、私どもで、政府で策定しております「高年齢者等職 業安定対策基本方針」において、70歳まで働ける企業の割合を、平成22年度末を目途に20%とすると いうことを目指しております。まさに機構の目標は、それに軌を一にしていただいている中身になっ ているものです。具体的には高障機構において、アドバイザー等を活用した形で、専門的・技術的な 支援を行っている。また、70歳まで働ける制度を導入する企業に対する奨励金の支給等々を行ってお ります。また、厚生労働省の側としては、ハローワークにおいて訪問指導等々という形で取り組んで おります。ご指摘のように非常に経済情勢が厳しい中です。ハローワークと、高齢者の雇用の専門機 関である高障機構とが一体となって、事業主の理解を得られるように努力していく必要があるだろう と思っております。  先生から、不可能な数字ではないかというようなご指摘がありますが、私どもとしては、確かに、 言い方を変えれば、チャレンジングな目標であるということは認識しているところですが、まさにチ ャレンジしていくべき指標であると考えたところですので、ご理解いただければと考えております。 ○松田委員   いくらチャレンジと言っても、できないものをチャレンジするということはあり得ませんよ。これ はもう初めからできないのだから。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  松田先生がおっしゃるように、これは安倍内閣のときの再チャレンジで出てきたのですね。当初は 11%強だったところが、12%半ばまで上がっているということで、我々も最初70歳雇用に取り組んだ ときに、政府の目標で、厚生労働省からも「やるべし」というお話があって取り組み始めたのですが、 最初は皆さんピンとこなかったのです。しかし最近は、先ほど説明したようにだいふ関心は高まって いる。ただ一方で、松田先生がおっしゃるように、雇用情勢が非常に厳しくなっているという両面が あるのですが、高齢者雇用が必要だと思っている企業が間違いなく多数あるので、そういった企業を 標的にハローワークと私どものアドバイザーで、いま一生懸命ぐるぐる回っているということです。 目標は再来年の6月の調査、あと2年ですが、2年でどこまでやるかということなので、あきらめるの はまだ早いのではないか、来年の結果も見て、厚生労働省と相談したいと。我々の目標というよりは 国の目標で、我々は国の目標の達成に向けていろいろな事業をやる。こういうことで、当独法の目標 にはなっていないのです。 ○松田委員  65歳でも再雇用がほとんどでしょう、85%でしょう。まして65歳、法律もないのに65歳をやる企 業の経営者はいない、有言実行、総論賛成、各論反対ですよね。いくわけがない。修正したほうがい いですよ。そんな無理なことをやる国はない。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  ただ実際には、定義の仕方もあるのですが、70歳の労働者を雇っている所が少なからずあるのです。 そういうのが、たまたま雇っているのか、会社の方針として、70歳まで優秀な人はいられますよとい う方針を立てているのかというのがあって、とにかく団塊の世代が、このままほうっておくとあと3年 で65歳に到達して、あと6年ぐらいたつと全員が65歳を超えてしまうものですから、その人たちが、 いまの65歳以上の人と同じ働き方をしていると、労働力がおそらく400万人弱減ってしまうかもしれ ないという危機感が、厚生労働省にも我々にもあります。ですから、あきらめるのは簡単なのですが、 あきらめずに、あと2年、頑張ってみようということだろうと思っています。 ○松田委員  あと2、3年を延長して、それから20%でもいいのではないですかと私は言っているのです。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  そこは国の判断です、最後は。我々はとにかく、せっかく盛り上がってきたので、このまま、あと2 年頑張ってみようと思っています。お話がわからないでもないですが。 ○職業安定局高齢・障害者雇用支援対策部企画課長  先ほど申し上げましたとおり、70歳まで働ける企業の割合を増やしていくことが非常に重要だと思 っております。あと2年ですので、まさに、いまチャレンジングな目標としてチャレンジしていくべき 課題だと思っているということで、現状では今年の4月に基本方針を定めておりますので、動向を今後 とも見据えながら、ご指摘のような点も踏まえて対応していくということだろうと思っております。 ○松田委員  大いに期待しますからやってください。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  我々も頑張りますのでよろしくお願いします。 ○寺山委員  24頁ですが、在職者を中心とした業務。この機構の前に雇用・能力開発機構があったのであえて質 問するのですが、そこでも在職者を中心としたキャリアコンサルティングを中心にした業務があって、 中身はちょっと違うのですが、この辺のところはどうなのでしょうか。役割分担というか、重複して も悪くはないのですが、その辺のところの経緯をお願いしますということが1点。  それから、『エルダー』の雑誌、なかなかいい雑誌ということですが、たしか何回か前から、これ はもったいないから有料にして市場販売をするように、というような委員からのご指摘もあったと記 憶するのです。その辺の可能性について探っていただいたかどうかについて、2点お願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  1つは、高齢期雇用就業支援コーナーです。これは中年、大体40代半ばになってから、60歳以降の 就業生活、それから地域での生活、家庭での生活、そういったものをどういうように、そのキャリア プランを立てていったらいいのだろうということについて、就業ということを軸にしながら年金の問 題、税金の問題、健康の問題、そういったことについて総合的に相談に乗りましょうと、こういうこ とでやっていまして、寺山先生ご質問のとおり、近年は、やはりキャリア形成のウエートが非常に高 くなってきているということはあるのですが、実態を見ていると、高齢者に対するアンケートをする と、高齢者で、自発的な自己啓発というか、能力開発をやっている人がほとんどいないというのが現 状です。雇用・能力開発機構がどういう話をしたかちょっと存じ上げないのですが、これからキャリ アアップしようかとかいう人よりは、むしろ自分が持っていた能力を棚卸しして、それを60歳以降ど ういうように活かしていこうかとか、あるいは働き方を柔軟化して、自分の能力を活かして一週間の うち一定時間働く、ほかの時間は別の生活をすると。どうしたらうまくいくのだろうとか、我々が相 談に乗る中でこういう質問が非常に多くなっています。正直言って、あまりキャリアカウンセラーの 人たちの世話にならずに、我々はやっているということだろうと思っています。  ですから、実態として、私は担当ではないのでよくわからないのですが、キャリアカウンセラーが やっているというのは、ひょっとしたら若い人たちを対象にやっているのと、実際に離職した人たち が再就職するのにどうしたらいいのだと言って、ハローワークへ行って、離職者に対する相談をして、 ここの訓練校へ行ったらいいのではないかと。こういうことが中心になるのではないかと思っていま す。そういう意味で、そんなにダブっていないのではないかという思いがしています。これは雇用・ 能力開発機構のほうに聞かないとわからないのですが、うちは正直言って、キャリアカウンセラーに はほとんどお世話にならずに業務をやっている状況になっています。  もう1つは、今年は是非実現させたいと思うのですが、去年から書店とか、取次店とか、これは松田 先生にも前からご指摘をいただいていて、いろいろやってわかったことが、本屋に置くとなると、 『エルダー』は実は背表紙がないものですから、平積みしてくれと言っても駄目なのです。平積みす るとスペースを取ってしまうので、縦に置くなら2、3冊置いてやるという話が、例えば、八重洲ブッ クセンターとかはあるのですが、この辺りをどうクリアするかということで、今年ぐらいには何とか なるだろうと。細かいことはわからないのですが。かなり詰まってはきているわけです。ただ、どう もうまくペイするところまでいかないなという感じで、まずやるだけやってみようかというところま できているという状況です。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  私のほうから補足をさせていただきます。ご指摘を受けまして、いくつか書店を回らせていただき ました。やはり、なかなか売れない雑誌だろうということで、断られる書店もあったのですが、まず、 試行販売という形で、どれだけニーズがあるのか。特に、両方とも専門誌ですので、そういう観点で、 専門的な本を扱っている書店の担当者からは、興味、関心があったところです。  先ほど理事長から申し上げたように、販売にあたって、いくつか書店側から見た問題点のご指摘も いただいておりますので、その辺をさらに書店側と詰めて、平成21年度中には何とか試行販売という 形でこぎつけたいと思っております。いい雑誌ですので、より多くの方に見ていただけるということ で、ホームページのほうでもすべてPDFファイルで見られるようにしているところです。これを見てい ただけるということを、さらに周知していくというのも1つの方法だと思っておりますので、そちらの ほうの周知も併せて、より多くの方に見ていただけるように、さらに進めていきたいと考えておりま す。 ○松田委員  1つ提案があります。『エルダー』と『働く広場』を合体させたらどうですか。そうしますと、部数 では約12万部以上になりますよね。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  おっしゃるとおりです。 ○松田委員  それを公共機関とか、大手の書店にやると。余分なものは、アドバイザーが全部宣伝用に使うので すよ。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  それぞれ6万部ずつ発行しているのですが、配る所がどのくらいダブっているかというのがあって、 どちらかというと、『働く広場』のほうの問題になるのですが、『働く広場』のほうは、就労支援機 関の方や、あるいは特別支援学級の先生方とか、障害者の雇用率未達成企業に重点的に配布して、ア ドバイザーがこうやったりというところがあって、問題は厚くなるという中で。 ○松田委員  ですから、再編集するのですよ。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  もう一度ですか。 ○松田委員  ええ。いまの『エルダー』も確かにいいけれども、余分なものがいっぱい入ってますよ。本当に。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  ここは、余分なものも結構面白いという評価も、一部にあるにはあるのですが。ちょっと難しいか なと思いますが。関係者がいろいろおられるので。確かに、建設的なご提案で、我々も1冊にすれば、 郵送料というか配るコストが浮くし、おそらく紙代も倍の紙になったとしても、印刷代とか紙代は安 くなるような気はするのですが。引き取らせていただいて、関係方面と相談してみますが。何となく 難しいのではないかと思いますが。 ○松田委員  ここに書いてあるではないですか。高齢者アドバイザーと、障害者アドバイザーとの連携でしょう。 これは生きますよね。8頁ですか。まあ、やってみることですね。成果は出ますよ。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  ちょっと検討してみて、余裕があれば1回出してみるというので、トライアル的にやってみる価値は あるかなと思いますが。予算的な余裕があるかどうかも含めて検討してみます。何となく、障害者団 体の方々とかのほうから、どうかなあという意見が出るのではないかという気がします。それだけ厚 いのを出せる余裕があるなら、もっと障害者の分のウエートを大きくしてくれとか、そういうのもあ るのではないかと思います。あちこちの先生、関係者の方々、支援者の方々のご意見も伺ってみたい と思います。にわかに私が「はい」というほど、簡単ではなさそうな気がしますので。 ○今村委員  ガバナンスに関する質問が2点ほどあります。ポンチ絵の7、8頁、24頁に関することです。むしろ、 高く達成していらっしゃるという点で質問させていただきたいのですが。  各種調査のその後のフィードバック調査という点で、非常にこれは積極的な試みだと思うのですが、 特に、24頁のカウンセリングに関しては、アンケート調査で非常に効果があったと。97.9、95.8とあ るのですが。このフィードバック調査については何も触れられてないのですが、これについてはどう なのでしょうか。  先ほど議論されていたキャリア相談という形でやられるのではなくて、もう少し幅広く、例えば、 ある研究だと、職域による社会参加というのは日本の労働者は非常に多いのですが、もっと地域に幅 広く、キャリアということではなくて、引退に向けてコンサルティングをするとか、ガイダンスをす るという幅広いやり方がもしかしたらあるのかなという感じがいたします。その辺のニーズのフィー ドバックみたいな仕組みが、ここだけできていないような感じがするのですが、それについての質問 です。  もう1つは、ガバナンスのもう1つのコンプライアンスというか内部統制に関して、評価官室に対す る質問でもあります。ここに「政・独委の評価の視点に関する対応一覧表」の5.内部統制(業務の有 効性及び効率性、財務報告の信頼性、業務活動に関わる法令等の遵守等)と書いてあり、非常に興味 深いのですが、機構によって理解の仕方が違っていて、高障機構さんの場合は、しっかりとコンプラ イアンスという形で受け止められまして、8頁のように内部監査の仕組みをしっかりと確立して、公益 通報者に関する仕組みもちゃんと明文化して用意されておられます。  ところが、どことは申しませんが、機構によっては、講習会を行って周知徹底をして、目標に向か って情報共有をしたという形で内部統制というふうに理解していらっしゃるところもあります。機構 が、これだけ意識を高くやられる理由というか、そういう背景を少し教えていただければと思うので すが、よろしくお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  まず1点目については、実は、なぜやっていないのかというと、今度民間競争入札を導入することに なっています。これは来年の1月からやるということですから、ここで民間の企業がこれを落札したと いったときに、この評価のためにやろうと思っています。民間競争入札になると、先ほど説明したよ うに我々だけでは決められなくて、内閣府の民間競争入札のところとか、かなり詳細なところまで詰 めなければいけないので、その中で、あまりここでやってしまうと、また市場化テストが始まったと きに変えないといけないということがあって、市場化テストの中でやることになっています。そうな ると、市場化テストの3カ所以外の14カ所でもやることになると思います。  ガバナンスは、 厚生労働省の担当者が代わってしまったので言うのですが、どうしたらいいのだと 厚生労働省に聞いたら、厚生労働省から明確な返事がなかったのです。ですから、それがバラバラに なっている原因だと思います。しようがないので、じゃあ本気でやるかと思ったのです。この際、雇 用・能力開発機構も当機構に移管されるということなので、模範的な取組をやってみようと思って、 会計監査法人と協議すると中期目標ではなっているのですが、会計監査法人と相談しても、会計監査 法人も困ったなというのがあって、しようがないので、民間企業に勉強に行ったのです。  民間企業に勉強に行ったら、民間は随分やっているのです。民間がこんなにやっているのだと、う ちもやろうかということで、遅ればせながら取り組み始めたということです。ただ、今村先生がおっ しゃるように、独法としては、結構先進的な取組らしくて、最近は、うちに、どうやってやるんだと 聞きに来るようになっていますから、割合モデル的にはなりつつあるかなと思っています。 ○中村委員  5頁の「給付金及び助成金業務の効率化」というところで、これを平均処理期間をさらに短縮したと ころが書いてあって、平均処理期間が49.8日と。平成19年度が51.8日ということです。これは申請 した側から見ますと、全く改善が見えないのです。51.8日が49.8日になったからといって、申請した 人が、うわっ、これはものすごくスムーズに、スピードを持って処理してくれたと感じる効率化では ないのです。  さらに、右の吹出しを見ますと、平成24年度に関しては、さらに5%短縮して49.2日にしますと。 これは民間企業から見ると、ほとんど効率化と思えない効率化なのですが、何らか、これ以上にでき ない理由があるのでしょうか。もっと10日間とか5日間で、それくらいの感じで短縮するという、そ れが働かない、あるいはできない理由というのはあるのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  これは、何でこんなに目標をはるかに超えたんだというご指摘が去年まであったのですが、第1期の 中期計画で、かなりこれに取り組んだのです。そのころは、60日とか70日とかあったと思うのですが、 それをここまでもってきて、正直言って限界生産力逓減の法則みたいなもので、ぎりぎりにきている なというのが正直なところです。  もう1つは、我々だけの努力ではなかなか難しいというのがあって、事業所の方が持って来られるわ けです。持って来られると、今度は、事業所の方に資料が不足しているとか、書類に不備があるから 直してくれとかということになるのですが事業所によって、迅速にやられる事業所と、従業員数が少 ないとか、あるいはほかの仕事もいろいろやっているからとか言って来るところとあるので、そうい う意味では、我々の努力もそろそろ限界で、本当は何かこういうものを目標に掲げるのはそろそろ限 界だなという思いがあるのです。ただ、目標に掲げられているので、このように。もうそろそろ限界 になってはいる。 ○中村委員  最も早い所ですと、何日ぐらいで下りるのですか。スムーズに書類が出てきて。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  これはもっと言うと、ちょっと誤解のある言い方で恐縮だったのですが、助成金の数が全部で20〜 30本あるわけです。ですから、かかるものは1年から2年かかっているのです。これは何かと言うと、 何億円も出るのです。例えば、障害者を多数雇用しますと、そのために、工場を新しく建てますとい うことになるのです。そうすると、工場を建てるのに、設計段階から竣工までの間に申請されてくる のです。その場合に細部が固まらない、額が固まらなかったりする、揺れてしまったりとか、要件に 合わなかったりとか。例えば、社長室にもお金を下さいと言われても、社長室なんかにお金は出せま せんよみたいな話もあったりする。短いものは、簡単な助成金があって、これは慣れている方だと、 おそらく短いと1カ月ぐらいで処理してしまうものもある。だから、助成金によって非常にばらつきが ある。  どういうことかと言うと、助成金ごとに、件数は毎年揺れますから、揺れてくると、時間のかかる 助成金がドンと出てくると、時間のかからない助成金をもっと早くやるとかしないと、なかなか目標 をクリアできないということで、正直言って、おっしゃることは、非常によくわかるのですが、もう ここまで来ると、1日とか2日短縮するのが非常にきつくなってきているというのが実情です。 ○中村委員  ちょっとあまりにも、これが効率化と言えるのかと感じたものですから。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  昨年までおられた先生方には、何でこんなに目標をはるかに達成してしまうんだということを言わ れて、何か目標が甘いのではないかと言われたのですが。人間が目標を掲げると、大体達成するもの なのだということではあるのですが。ただ、これ以上短くされると、達成できないのではないかなと いう感じにはなっているということです。 ○中村委員  わかりました。3頁、地域センターの管理事務の集約化となっていますが、これはなぜ3つぐらいの 所を1つのブロックにしたのでしょうか。これは5年後、10年後を見たら、こんな小さいブロックで はなくて、もっと大きな形でセンターにしておくということもあり得たと思うのですが、これは何か の限界なのでしょうか。この程度の小さいブロックに集約しているというのは。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  これは実は私の所も職員数が720人ぐらいなのですが、それを上回る非常勤職員がいるのです。それ も、例えばジョブコーチとか、カウンセラーのアシスタントとか、いろいろな方がおられて、当機構 の正社員であるカウンセラー、非正規社員であるジョブコーチの出張とかが頻繁にあるわけです。事 業所に出掛けていくものですから。  そういうことがあって、あまり一気に規模を拡大して広範な地域でやるということになると、どう いうことが起きるかというと、例えば、宮城に置いて、青森から山形から福島まで、全部見ますよと 言ったときに、きめ細かな対応というのができなくなってしまうのではないか。  実は、週に2回ぐらいは、現地に行っているのです。要するに、庶務をやる人間が全然いないのです。 ですから、例えば、物品の購入や出張の問題とか、例えば、宿舎が壊れてしまったので宿舎の修繕と か、いろいろな雑務が出てきて、そのたびに仙台から青森まで行くとか、仙台から秋田へ行くとか、 こういうふうになってしまうものですから、ブロック化に取り組んだ当初、あまり広範な地域のブロ ック化をやる勇気がなかったということです。  やってみた上で、さらに広域化ができるのではないかということであれば、さらに考えていく。い ちばんの理想は、事務処理は本部一括でやりたいのです。独法の定数をどんどん削れと言われるもの ですから、やるとすれば、庶務の仕事を本部一括で、あとはコンピュータで全部やるとか、インター ネットでやりたいと思っているのです。最後はそれを狙っているのです。とりあえずはこのぐらいで やってということで、今中期計画中はこれでやって、次の中期計画でさらに、これでうまくいけば、 さらなる大ブロック化を狙うとか。最後は、本部一括だと思っているのですが。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。 ○今村委員  評価官室からの質問の答が。 ○政策評価官室長補佐  内部統制とかについて、各法人で対応がバラバラだということですが、私も前任から詳しくは引き 継いでいないのですが、どうやら理事長がおっしゃったように、特別な基準を我々が示さなかった結 果であると思っております。  各法人の取組がバラバラなのは、もちろん法人の自由な運営の中で、何に重きを置くかに違いがあ る結果だと思っております。ただ、事務局としては、折角こうした場で評価官室のほうに各法人の取 組が集まってきますので、好事例として、これだけに限らないのですが、いろいろな取組で、今回高 く評価をいただいたものは、情報提供として各法人にお渡ししようと思っています。それを見て、法 人の中で選択をして活かしていっていただければいいかなと思っております。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。それでは次のグループ2に移ります。次は「職業リハビリテーション業 務」の項目についての評価です。所要時間、法人の説明が25分、委員の評定と質疑が20分、合計45 分です。それでは法人から説明をお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  評価シートの8から11までを続けてご説明いたします。26頁をご覧ください。評価シート8の「地 域センター業務」です。27頁、平成20年度の地域センターの専門的支援につきましては、上の青い囲 みにあるように、他の就労支援機関では対応困難な精神障害者、発達障害者に対する支援、事業主ニ ーズを踏まえた専門的支援に積極的に取り組みました。その結果、その下ですが、平成20年度は14の 数値目標をすべて達成し、さらに、12指標中、11指標で平成19年度実績を上回りました。以下、地域 センターの主要な業務についてご説明を申し上げます。  28頁、「支援を必要としている障害者の積極的な受入の推進、きめ細かな職業リハビリテーション 計画の策定」です。左側の平成20年度重点にあるように、ハローワークとの連携、職リハネットワー クの活用に加え、医療機関、ニート等の自立支援機関、教育機関とも連携強化を図ることにより、支 援を必要とする障害者を積極的に受け入れました。これにより、利用がさらに進み、職リハサービス の対象者は、2万7,435人と過去最高を記録し、就職や職場適応が困難な精神障害者、発達障害者が平 成19年度比で、それぞれ15.6%増、32.3%増と大幅に増加いたしました。特に、新規利用者におきま しては、精神、その他の障害者が初めて5割を超えました。  左下の帯グラフをご覧いただきますと、ピンク色の精神障害者や、青色の発達障害者を含むその他 の障害者の人数、割合が大きく伸びております。こうした利用実態を踏まえて、右上にあるように、 実際の作業場面を活用した職業評価の徹底により、個々の障害者の特性を的確に把握するとともに、 支援の各段階における状況、本人の意思等を確認し、きめ細かな職リハ計画を策定しております。そ の下の表にあるように、職業指導等の実施回数を見ますと、精神障害者、その他の障害者に対する回 数が、身体、知的障害者を大きく上回っており、就職の困難性の高い人たちにはより手厚く、きめ細 かな支援を行ったところです。  その結果、職リハ計画は、目標の1万7,000件を大きく上回る1万9,823件策定し、利用者へのアン ケートでは、「説明がわかりやすい」「本人の立場に立ってよく考えたプランだと思う」等、83.5% から高い評価を受けました。一方、不足や不満等の意見に対しては、該当地域センターに対し、分析 と改善策の実施を指示し、例えば、「計画の説明がわかりにくい」との意見に対しては、障害特性や 理解度などを踏まえながら、図式化等補助様式を活用したり、項目ごとに理解度の確認を徹底するな どの改善を講じました。さらに、すべてのセンターでも分析と改善策の実施を指示しております。  次の29頁は、「就職等に向かう次の段階への移行の促進」です。地域センターでは、基本的な労働 習慣の体得や、職業に関する知識の習得のための職業準備支援を行っております。中程、右側の緑の 囲みにあるように、精神障害者、発達障害者等への支援を効果的に行うために、[1]の模擬的就労場面 での作業支援。[2]の講話や事業所体験実習などによる職業知識の習得。[3]の対人技能訓練やグループ ミーティング等を通じた、精神障害者自立支援、という3つの支援を組み合わせて、個別カリキュラム を策定し、きめ細かな支援を行っております。  こうした取組によりまして、他の就労支援機関では支援が困難な発達障害者、精神障害者等の利用 が増加する中で、左下にあるように、就職等に向かう次の段階への移行率が80.1%。修了者の就職率 が52.2%と目標及び平成19年度実績を上回り、また、アンケート結果でも、「自分ができること、で きないことがわかり、良い目標を出してもらえた」など、93.5%から「効果があった」との評価を受 けております。不足や不満等の意見につきましても、先ほどと同様に具体的な改善を行いました。  30頁は、「精神障害者、発達障害者に対する支援力の強化」です。平成20年度につきましては、総 合センターが開発した技法を活用しての発達障害者に対する専門的支援の試行実施を、東京、大阪セ ンターに加え、滋賀及び沖縄の両センターに拡大いたしました。また、専門的支援プロジェクト委員 会によりまして、試行実施のバックアップ及び効果の検証、技法の改善に取り組むとともに、試行セ ンターでの効果的な支援方法、実施体制、関係機関等との連携等について報告書を作成し、各地域セ ンターに配布いたしました。各地域センターにおきましては、ニート等の自立支援機関や教育機関と の連携強化により的確な就労支援に取り組みました。  もう1つの重点は、支援ノウハウの蓄積・共有化です。職リハ業務研究会を開催し、試行センターが 実践を通じて得た改善・工夫、留意点の報告、意見交換などを実施しました。新たに、実践的な支援 技法の演習等を内容とする研修を実施し、発達障害者への支援力の向上を図りました。さらに機構内 LANを活用して、新たな教材、ツール、工夫例を広く共有・活用し、効果的な支援を実施いたしました。 いちばん下のOA講習につきましては、民間機関の訓練実施状況等について調査を実施し、廃止をして も、全地域で必要十分な訓練機会が確保されているとの結果を踏まえ、中期計画に則り、平成20年度 末で廃止をいたしました。  31頁は、「ジョブコーチ支援の推進」です。ジョブコーチを職場に一定期間派遣し、障害者・事業 主双方に支援を行うことで、障害者の就職、職場定着を促すことを目的としております。ジョブコー チ支援は、地域センターのジョブコーチによる支援と、福祉施設等のジョブコーチによる支援に分け られます。左上のグラフをご覧いただきますと、地域センターでのジョブコーチ支援につきましては、 黄色の知的障害者が減少し、ピンクの精神障害者、青の「その他の障害者」が増加し、全体の支援者 数は3,064人と、目標の2,500人を大幅に上回りました。  このように、職場適応の困難度が非常に高い精神障害者等が増加していることに対応し、個々の障 害者の態様に応じた支援や、ジョブコーチ支援終了後の職場適応指導にも積極的に取り組みました。1 人当たりの適応指導実施回数では、精神障害者、その他の障害者が身体・知的障害者を大幅に上回っ ております。これらの結果、定着率は84.5%と、目標の80%を上回る実績を上げ、利用者アンケート でも、「スムーズに仕事にも職場にも慣れた」など、92.7%から「効果があった」との高い評価を受 けております。  また、平成20年度には、右側の囲みにあるように、知的障害者など、福祉施設のジョブコーチで対 応可能な支援につきましては、できる限り福祉施設等に委ね、地域センターでは、精神障害者、発達 障害者等への支援に重点を置くこととしました。このため、「ジョブコーチ支援事業推進協議会」を 416回と、平成19年度から4倍に増加させるなど、支援方法に係る専門的援助、技法の移転を積極的 に行いました。その結果、右下の帯グラフにあるように、福祉施設等のジョブコーチによる単独支援 が2割近く増加し、ジョブコーチへのアンケートでも、目標の80%に対し、94.9%から「有用であっ た」との高い評価を受けたところです。  次の頁は、「精神障害者総合雇用支援」です。これは精神障害者、事業主、主治医の三者での合意 形成を図りつつ、職場復帰、雇用の継続、就職の実現に向けた総合的な支援を行うものです。平成20 年度は、中程の上のピンクの囲みにあるように、「精神障害者雇用支援連絡協議会」等の場を活用し、 約3,200機関への働きかけを行うとともに、労災病院との連携強化により約1,500の医療機関と連携い たしました。また、右側の経営者協会、商工会議所など事業主団体を通じて、広くリワーク支援のパ ンフレットを配布するとともに、新たに企業・医療機関等のニーズ調査を実施し、ニーズがある企業 等へは個別訪問を実施いたしました。  これらの取組の結果、左下にあるように、支援対象者は1,467人と、目標、19年度実績を大幅に上 回りました。また、リワーク支援開始者も874人と、目標の650人、19年度実績を大きく上回りまし た。リワーク支援につきましては、特に吹出しにあるように、大都市部で利用希望者が受け入れ可能 人数を上回る状況が発生したことに対応して、待機状態の長期化を回避すべく、作業体験、講座への 事前参加、個別相談による円滑なリワーク支援への移行などを実施いたしました。サービス提供の結 果として、復職・雇用継続率につきましては、80.2%と目標を上回りました。さらに右下の利用者ア ンケートでは、「実際に職場に戻りプログラムの効果が身についていることを実感した」など、96.3 %から「効果があった」との回答があり、目標を大きく上回る評価を得ました。  次の頁は、「障害者の雇用管理に関する専門的な支援の実施」です。左上にあるように、ハローワ ークが行う雇用率達成指導への協力、ジョブコーチ支援等により、平成19年度を上回る1万4,045の 事業所に対して支援を行いました。右上ですが、地域センターの助言の下、共通の問題を抱える企業 同士で意見交換等を行う「事業主支援ワークショップ」を130回開催し、企業の自主的取組を促進しま した。その結果、左下の支援計画策定数は7,120件と、目標の5,500件を大幅に上回りました。この支 援計画に基づきまして、右下にあるように、採用計画、受入れ準備、具体的受入れ、職場定着・適応 の各段階にわたる体系的支援を積極的に実施しました。  左下の支援終了3カ月後に実施した追跡調査では、「雇入れを円滑に進めることができた」「進め方 が的確で、問題時の対応が迅速だった」など、「効果があった」との回答が90.3%と、目標の70%を 大きく上回りました。以上が評価シート8で、数値目標をすべて上回り、しかも、12指標中、11指標 において19年度を上回るとともに、就労が困難な精神障害者・発達障害者の取組に大きな成果を上げ ていること、支援サービスを利用した障害者や事業主の評価が共に極めて高いことなどが評価され、 当機構の外部評価委員会よりSと評価されました。  次に34頁をご覧ください。評価シート9「職リハの専門的な人材の育成」です。次の頁、いちばん 上に、すべての研修につきまして目標の実施回数を達成するとともに、受講者総数は1,102人と、平成 19年度より12.2%増加いたしました。いちばん左の発達障害者就業支援セミナーにつきましては、発 達障害者への就労支援ニーズの高まりに対応し、新たに大学や障害者支援モデル事業を実施する高等 学校にも募集案内を送付するなど、周知を強化いたしました。平成19年度に募集を大幅に上回る応募 があったことに対応し、定員を90名から160名に拡大いたしました。受講者は200名となりまして、 平成19年度の5割増しとなったところです。19年度受講者アンケートの意見・要望を踏まえて、受講 者自身が提出した事例をもとに、ケーススタディを行う講座を新設するなど、内容の改善・充実を図 りました。  次に、「就業・生活支援センター職員研修」です。同センターに就業支援全般のマネジメントを行 う主任就業支援担当者が平成20年度から設けられたことに対応し、研修の必要性を比較検討して、新 任施設長研修に替えて、新任主任就業支援担当者研修を新たに設け、内容も討論重視、選択受講など 工夫をいたしました。新任担当者研修につきましては、同センターの増設に対応して4回に拡大すると ともに、アンケートの意見・要望を踏まえ、中程の下にあるように、ケーススタディの拡充等の改善 を行いました。その結果、受講者は312名と倍増いたしました。  その右の「ジョブコーチ養成研修」ですが、アンケートでの好評価を受け、平成20年度は同内容で 行い、受講者数は平成19年度を上回る154名となりました。いちばん右の「職リハ実践セミナー」に ついては、下の囲みにあるように、アンケートの意見・要望を踏まえ、「ハローワークの取組を理解 する講座」「チームアプローチを先駆的に展開する機関の担当者を講師とした講座」を新たに設定い たしました。これらの取組の結果、いちばん下にアンケート結果をまとめて載せておりますが、直後 アンケートにおいては97.8%、追跡調査においては93.8%、所属長アンケートにおいては93.3%から 「有用である」「役立っている」との評価を受け、それぞれ目標を大きく上回りました。  次の頁は、「地域における雇用、福祉、医療、教育等の関係機関による職リハネットワークの形成 ・整備」です。左側の「地域職リハ推進フォーラム」では、企業担当者の構成割合を平成19年度より 大幅に増加させ、企業も含めて職リハに関する共通認識を形成いたしました。また、関係機関に対し 職リハの基礎知識の習得を支援する「地域就業支援基礎講座」では、就労移行支援事業者等の福祉機 関の構成割合を大幅に増加させ、関係機関の人材育成を支援いたしました。以上が評価シート9で、自 己評価はAです。  次に37頁、評価シート10の「職業リハビリテーションに関する調査・研究」です。次の頁をご覧く ださい。職リハ研究につきましては、左上にあるように、幅広く関係者からニーズを把握した上で、 「発達障害者、精神障害者等に関する先駆的研究」「地域センター等での課題解決に資する研究」等、 4つの研究に重点を置いて実施をしております。平成20年度は、右側にあるように、新規6テーマ、 継続7テーマ、計13テーマの研究を行い、5テーマについて報告書を作成いたしました。研究成果に つきましては、外部の学者からなる研究評価委員会の評価を受け、4段階中上から2段階以上の評価を 得ることを目標としておりますが、終了5テーマ全ての報告書で目標を達成いたしました。うち4テー マでは、全ての評価委員から「優れている」との最高の評価を受けました。例えば、No.90の統合失調 症者の就労支援の研究では、「就労支援にとって多くの示唆に富み、第一線の担当者に有益」、No.92 の高次脳機能障害者の就業継続の研究では、「丹念にデータを分析・検証した優れた研究である」と いったコメントをいただきました。  さらにその他の調査・研究として、左下にあるように、現場の課題解決に資する資料作成など、9テ ーマの調査研究を行い、うち、1テーマにつきましては、農村工学研究所との共同研究といたしました。 なお、お手元に「研究報告書」を用意させていただいておりますので、後ほどご覧いただければと思 います。  次の頁は、「職業リハビリテーション技法の開発」です。発達障害者の就労支援技法の開発、精神 障害者の職場再適応支援技法の開発、高次脳機能障害者の就労支援技法の開発の3テーマにつきまして、 中程に示してある重点取組に沿って支援技法の開発を行い、報告書、マニュアル等をまとめたところ です。例えば、左の発達障害者の関係では、「作業」「個別相談」のマニュアル化、注意欠陥多動性 障害者のアセスメント技法の開発などを行いました。  次の頁、職リハ研究におきましては、その成果を福祉、医療、教育、NPOなど、実践現場において活 用していただくことが重要です。このため研究成果物を関係機関で配布するとともに、左上にあるよ うに、研究発表会を総合センターでの開催に加えて、アンケート調査の要望に応え、平成19年度より 1地域増やし、北海道、愛知、宮崎の3地域で実施いたしました。  また、左下にあるように、研究部門ホームページを立ち上げ、PDFで情報発信をしており、年間アク セス件数は約300万件に達しております。新たに研究成果の英文サマリーも作成・掲載をいたしました。 その結果、右下にあるように、研究成果が広域・地域センターや就労支援機関などで、どのように活 用されているかアンケート調査を実施したところですが、下のほうの円グラフにあるように、就業・ 生活支援センターの94.6%から「非常に参考になった」「参考になった」との評価をいただきました。 「チェックリストが個別支援計画の作成に大いに役立った」との報告が寄せられるなど、実践現場で 有効に活用されております。以上が評価シート10で、自己評価はAです。  41頁、評価シート11の「障害者職業能力開発校」です。次の頁をご覧ください。左上のほうにあり ますように、平成20年度は、「特別支援障害者の受講機会の拡大」「広範な地域からの受入れ」に向 け、まず、中央校で発達障害者の受入れを開始しました。また吉備校では、精神障害者の受入れ開始、 発達障害者の受入れ拡大を行い、また受入れに当たりましては、関係機関への協力要請、公共職業安 定所、福祉機関への積極的訪問、説明会・見学会の開催、地域センターの協力による対象者の把握な ど、定員充足への取組を強化いたしました。その結果、特別支援障害者の割合は、目標を大きく上回 る41.0%、定員充足率につきましても目標を上回る97.5%を達成いたしました。  次に左下にあるように、企業ニーズを把握するため、新たに[1]障害者雇用アドバイザーを通じて、 訓練ニーズを把握する仕組みの構築、また、[2]企業向け見学会、障害者雇用企業交流会の開催等を実 施しました。これらを通じて把握した企業ニーズを踏まえ、訓練科目の見直しや、「接客能力を高め る講座」の新設等、カリキュラムの充実を図りました。さらに右上の「就職促進への取組」として、 訓練生に対して、早期から就職支援を行うとともに、企業へのアプローチとして、訓練見学会や障害 者受入講座の開催、指導員等の面接同行による訓練修了者の職業能力の理解促進、雇用管理のアドバ イスなどを実施いたしました。このような取組の結果、厳しい経済情勢の中で、就職率は89.4%と目 標の80%以上を上回りました。  次は、「障害者に対する指導技法等の開発・普及」です。これまで指導技法が確立されていない 「上肢に障害を有する人達」に対する指導技法の検討を行い、成果を実践報告書に取りまとめました。 開発した技法につきましては、関係機関への配布、ホームページへの掲載等を通じて、普及促進を図 り、ホームページのアクセス件数は約30万件となりました。機構本部におきまして、職業能力開発校 を始め、専修学校、企業等において、障害者の職業能力開発に携わる者を対象に、指導者交流集会を 開催し、グループ討議を通じて、平成19年度に取りまとめを行った発達障害者及び重度視覚障害者の 訓練技法の普及を図りました。また、新たに中央校、吉備校におきましても、精神障害者に対する訓 練等をテーマに交流集会を開催して、実際の訓練場面を活用して、実践的な指導技法等の普及を図り、 93.8%から「有用であった」との高い評価を得ました。以上が評価シート11で、自己評価はAです。 以上で、グループ2についてのご説明を終わります。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、委員の皆様は評価シートへの記入をお願いいたします。また、 質問がありましたら、どうぞご発言をいただきたいと思います。 ○寺山委員  精神障害者と発達障害者への取組が、特に頑張っておられるという印象です。精神障害者について はリワークなどでは、うつの方が非常に取り上げられていますが、統合失調症とか、躁うつ症、てん かんの方とか、従来の精神障害者との割合とか、その辺のところはどのようになっているのですか。 非常に技法が違うと思うのですが。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  まず、割合についてご説明を申し上げます。平成20年度につきましては874名の方がリワークを受 けられたという状況です。そのうち700名が「躁うつ」という分類をしておりますが、ほとんどが「う つ」の方になっております。統合失調症の方が31名。その他の精神疾患が143名で16.4%。パーセン トで申し上げますと、躁うつが80%、統合失調症が3.5%、その他が16.4%という構成割合になって いるわけです。 ○寺山委員  男女比はわかりますか。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  手元に正確な数字は持っておりませんが、男性のほうが多い状況になっております。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  うつ病以外に精神障害者の人をやっているのでしょう。そっちはわからないのですか。 ○寺山委員  精神障害者、うつの方を含めて、就職支援をするのにいちばん大変なのは、精神科の病状が変化す るので、主治医とか精神科の医療機関の医療チームとのコンタクトが非常に必要だということですが、 それについてはなかなかあちらサイドの人たちから協力が得られないのは大きな問題があるというこ とです。これが発足した数年前にそういう議論がありました。その後、去年、今年と心配して伺った ら、だいぶその辺のところは精神科のお医者さんも、医療チームの臨床心理の人たちとか、精神保健 福祉士の人とか、そういうような方たちとの協業もできてきていると伺って安心したのですが、かな りまだ問題があるのかというのが1点です。  それから、私どもがやっている他の機構で、労災病院も管轄しているのですが、労災病院の仕事の1 つの大きな柱として、職場の中での勤労者の疾病、特にうつの方たちの早期職場復帰について、高障 機構と協力しながら、早く仕事に戻すように努力するのがうちの使命の1つだという話を聞いておりま す。その辺のところはいかがですか。ちゃんと連携がとれて、向こうも頑張っているのでしょうかと。 申し訳ないですけれども。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  まず、最初の主治医の先生方との連携なり、そういう部分につきましては、やはり、当機構におけ る支援の実際の事例とかも含めて、お話申し上げることによって、「ああ、なるほど」ということで、 ご理解等だんだんと広まってきており、最近は、特に主治医の先生との大きなトラブル等はないとい う状況になってきております。基本的に言うと、機構における精神障害者の復職支援とか就職促進と いう部分では、かなりご理解が広まってきておるのかなと感じております。  2点目の労災病院については、おそらくおっしゃっていたのは、今年度からメンタルヘルスの関係の 事業が、労災病院の中とも関係するのですが、産業保健推進センターに設置されるというような新た な展開も出てきております。従来から、労災病院の先生とかは、リワークの協議会の中に入っていた だいたり、現実的にリワーク支援が必要な方がいる場合には、先生のほうからご紹介いただいたりと いう連携を行っていますし、メンタルヘルスという部分を中心に相談という事業を今年度からまた新 たに展開されるということで、始めるに当たって我々のほうも事前に協議をさせていただいて、それ ぞれの役割分担を踏まえながら、お互いに連携協力しながら、精神障害を抱えておられる方の支援を やっていきましょうということで既に話をしておりまして、我々のほうで実際にリワークの支援を実 施する中で、企業の担当者からとりあえずリワークのほうはお願いするけれども、メンタルヘルス全 般としてどういう対応をすればいいのだろうかというお話があったときは、うちのほうからおつなぎ する。逆に、メンタルヘルスなりをやる中で、現実的に休職している人がいるけれどもというご相談 があれば、我々のほうにつないでいただくということで連携を取っているところです。 ○寺山委員  連携はできつつあると。労災病院はたくさんありますが、大体どこでも協力的ですか。裏情報を取 らないと、信用できない。やっている、やっているとおっしゃるだけで。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  特に、非協力的な労災病院があるというお話は聞いておりません。 ○宮本委員  28頁で2つほど伺います。1つは左下のグラフで、身体障害、知的障害は数でいって減っている、割 合ではなくて。その代わりに精神障害とその他が増えていることの解釈は、身体障害と知的障害は既 に何らかの対処ができて、次のステップに行っているから減っているということでよろしいのでしょ うか。精神障害、その他は掘り起こしがあって、絶対数が増えているということになりますか。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  身体障害なり知的障害の方については、従来当機構のほうも、過去を遡れば多くの方を支援申し上 げておったわけですが、そういう支援を通じて就職に向けた支援のノウハウというのを蓄積しており まして、最近の動向からいえば、就労移行支援事業者の方にもどんどん提供していまして、民間での 取組というところで、身体なり知的の方の就職の実現という部分が拡大してきています。その中で、 知的の方でもまだまだ難しい方が残っていますので、そういったのは当機構の地域センターでやって はおりますが、相対的には減少してきている。精神なりその他の障害者については、自立支援法の施 行等もありまして、障害を持たれた方自身の就労意欲の高まりという部分もあって、従来であれば、 言葉は悪いですが、諦めておられた方々もチャレンジしていこうということで、労働市場に出て来ら れようという方も増えてきております。そういった意味で、当機構のほうで就職支援しますよという ことで幅広く周知しておりまして、精神とかその他の部分については、まだ民間のほうが十分に対応 できていないという現実がありますので、その分、当機構にどんどんおいでいただくという状況とな っています。 ○宮本委員  もう1つ伺います。精神もそうですし、例えば発達障害の場合に、こちらの機構のほうの例えば職業 センターなどに来ない人の数が相当いると言われていて、認定できないとかグレーの部分がいるとい うことです。高障機構としてのお考えというか方針としては、そういう方たちも積極的に職業センタ ーとかに来所してもらって、そこで支援をするという考え方なのか、それ以外の考え方があるのかの あたりはいかがでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  発達障害の方の当機構における取扱いとしては、専門の医師の診断というのは当然ですが、それに 限らず現実的に過去において関係の機関に相談して、発達の疑いがあるというようなご指摘を受けた 方なども含めて、当機構ではご希望される方にはどんどん来ていただきたいという対応をしておりま す。そういう意味で若年者対策の中で、若年者自立塾とか若者サポートステーションに、発達障害の 疑わしい方々がかなり含まれておられる実態がありますが、そういう機関とは常に情報交換をしなが ら、必要があれば当機構のセンターにご紹介くださいというようなことで誘導もやっています。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  親御さんとか先生がホームページを見て、行ったらどうだというケースも結構増えています。それ から、都道府県によって随分違いますが、発達障害者支援センターが当方の障害者職業センターをか なり認知するようになってきて、そこから相当送ってこられているというのがあります。我々は、発 達障害をお持ちであると言えば、手帳の有無にかかわらず対応しますという基本的なスタンスでやっ ていますから、どんどん増えてきているということだろうと思います。 ○宮本委員  その点では、1年前よりもだいぶ進んだと評価していいのかなという感じがしますが。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  私は地方を回っていますが、職業センターに来る人が随分多くなった、前は、精神だと言って来る、 知的だと言って来る。いろいろ職業評価とかをしてみたら発達だったというケースがありましたが、 最近は発達だということで来られる人も増えてきているということですから、だいぶ認知されるよう になってきたということではないかと思います。 ○井原部会長  よろしいですか。次に行きたいと思います。次はグループ3、「障害者雇用納付金関係業務」及び 「予算、人事等」の項目についてです。法人からの説明25分、委員の評定と質疑20分の合計45分で す。それでは、法人から説明をお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  評価シート12から19までを続けてご説明します。まず44頁の評価シート12、「納付金制度」です。 雇用率未達成企業から納付金を徴収し、雇用率を上回っている企業に対して調整金、報奨金を支払う 業務を行っております。45頁の右上です。納付金制度に対する事業主の理解を促進するため、事業主 説明会の開催、パンフレット等の作成・配布等を実施しました。事業主説明会については、目標の250 回以上に対して279回開催をしました。平成19年度の参加者アンケートの指摘を踏まえ、説明会のパ ワーポイント資料の充実など新たな取組を行った結果、平成20年度は94.1%から「理解ができた」と の評価をいただきました。その下、2つ目の「調査の効率的かつ的確な実施」です。事業主訪問による 調査を1,148件実施しました。新たな取組としては、厚生労働省の職業安定局長と機構理事長連名の協 力依頼文書を作成しまして、調査に非協力的な事業主に対して示し、協力を促すことによりまして、 調査業務の円滑化を図りました。  3つ目は、インターネットバンキングで納付できる「電子納付システム」の利用促進です。新たに利 用促進チラシを作成・送付するとともに、東京、愛知、大阪の3大都市圏で「利用促進チーム」を編成 し、事業主を直接訪問して働きかけを行いました。これらの取組によりまして、利用件数は2.4倍に増 加をいたしました。4つ目は、「事業主の利便性の向上」のため、マクロ機能で記入誤り等を自動的に チェックいたしまして、従来より簡便に正確な申告・申請書を作成できるダウンロードファイルを新 たに開発して、ホームページに掲載いたしました。これらに加えまして、左上ですが、未納事業主に 対しましては電話、訪問での接触による働きかけに重点を置いて納付督励を実施し、さらに昨年秋以 降の急速な景気悪化によります収納率の低下を防止すべく、本年2月を「重点督励期間」として訪問督 励・電話等を全国一斉で行いました。これらの結果、左上にありますように収納率が99.76%となり、 厳しい経済状況の中で前年度と同水準を確保することができました。また、その下にありますが、平 成19年度以前の未収納分についても順調に収納を進めており、平成17年度以前についてはすべて納付 済となりました。  最後に、左下にありますように昨年12月に障害者雇用促進法の改正法が成立し、納付金制度につい ても平成22年7月から、201人以上300人以下の中小企業に適用拡大されるなど、大幅な改正が行わ れました。このため、新規適用となるすべての中小企業に対し、ダイレクトメールを送付するなど、 成立後直ちに周知に取り組んだところです。以上が評価シート12で、自己評価はAです。  46頁は評価シート13、「助成金の支給業務」です。47頁です。平成20年度については、「効果的 活用に向けた周知・広報」「適正な支給業務の実施」を重点に取り組みました。いちばん上の「ホー ムページの活用」では、申請様式のダウンロードファイルや障害者雇用リファレンスサービスの「助 成金活用事例」へのリンクを張り、利便性と迅速性を向上させました。また、事業主の満足度向上の ため、受託法人の窓口対応、制度周知・広報についてのアンケート調査を実施しました。「申請書の 書き方の指導・添削をしてもらい、書類を不備なく提出できた」など、窓口対応について高い評価を 得た一方、事業主説明会については事前の広報、説明方法等の改善を求める意見が多く見られました。 このため、受託法人を指導し、具体的な改善を図りました。このような取組によりまして、右側です が、経済・雇用情勢の悪化の中でも助成金支給件数は増加し、障害者雇用に貢献をいたしました。  真ん中の「適正な支給業務の実施」です。新たに「不正受給防止事務実施チェックリスト」を作成 し、窓口での不正受給防止を徹底するなど、不正受給防止対策を強化いたしました。また、厳正な事 業所訪問調査を、平成19年度比で3.6%増の260件実施しました。これらの結果、右下ですが、平成 20年度は不正受給発覚件数がゼロとなりました。以上が評価シート13で、自己評価はAです。  48頁は、評価シート14の「障害者雇用に関する相談・援助」です。49頁です。平成20年度の重点 として、左上にありますように雇用率未達成企業と雇用水準の低い中小企業等に重点化して、計画的 な訪問相談を実施し、障害者雇用の成功事例を含むマニュアルの提供、各種助成金、就労支援機器の 活用提案、先進企業の視察のアレンジなど、機構、受託法人が持っている支援ツールを組み合わせて 効果的な相談援助を行いました。その結果、右ですが、目標の2万2,000件を大幅に上回る2万6,453 件の相談を実施いたしました。相談援助を行った事業主に対し3カ月後に実施した追跡調査では、「課 題改善効果があった」との回答が目標の70%を大きく上回る87.4%と高い評価を得ました。  いちばん左下の「障害者雇用管理等講習」です。「実務に役立つ実践的講習内容」を重点としまし て、講習の中に事例発表、福祉施設や特別支援学校への訪問、先行企業の見学・ディスカッションを 組み入れまして、実践的な内容となるようにしました。また、アンケート等を踏まえ、企業に出向い て行う提案型のオーダーメイド講習を実施しました。右側ですが、これらの結果、講習実施回数は353 回、受講者数は目標を大きく上回る2万5,505人となりました。アンケート結果でも、「有用であっ た」との割合が93.3%と、目標の85%を上回りました。  次の頁は、「就労支援機器の貸出」です。左上の「機器の普及」ですが、新規貸出機器をトップペ ージの最新情報として掲載するなど、ホームページを充実いたしました。また、新たに事業所訪問の 際に、携帯型拡大読書器を持参してPRしました。さらに、機構で初めて個人の方から寄付を受けまし て、拡大読書器等を展示コーナーで展示をいたしました。次に、貸出機器の利用状況、利用事業主へ のアンケート結果の分析等によりまして、常に多様な品揃えを実現するとともに、メーカーの協力を 得まして簡便なマニュアルを作成するなど、事業主のニーズに対応いたしました。これらの結果、右 側ですが、利用率は目標を上回る63.6%となり、アンケート結果でも「役に立った」との回答が92.3 %と高い評価を受けました。さらに、貸出を受けた事業所の約6割で、機器の購入、賃借に結び付いて おります。以上が評価シート14で、自己評価はAです。  51頁は、評価シート15の「障害者雇用に関する実践的手法の開発・提供」です。これは、事業主の 雇用管理上の課題解決や、職域開発に向けた実践的なノウハウの開発・普及を目的とするものです。 52頁の左上の緑の囲みにありますように、事業主のニーズ、国の施策動向を踏まえた調査研究等を行 いました。まず、調査研究では中途障害者の継続雇用、事業協同組合における障害者雇用事例など、4 つの調査研究に取り組みました。また、「除外率設定業種事業主に対する支援」については、「鉄鋼 業」を対象といたしましてマニュアルを開発しました。さらに左下のマニュアル・好事例集について は、聴覚障害者のための職場改善好事例集、障害者の在宅勤務・在宅就業のケーススタディ、聴覚障 害者のスキルアップ等の中小企業の取組のDVDを作成しました。  右側ですが、各成果物についてはその媒体の特徴を生かしながら、利用者にとって「わかりやすい、 使いやすい、見やすい、実践的な工夫・編集」を心掛けました。例えば報告書ですが、問題解決に向 けた具体的ノウハウを提供するとともに、図を用いてわかりやすく解説を行いました。また、右下の マニュアル・好事例集については、職場改善の前後のポイントを明確化し、色の使い分け、写真や図 のふんだんな活用など、工夫を凝らしました。  次の頁は、これらの成果についての普及です。左上にありますように、成果の普及を目的にしまし てセミナーを開催し、大臣表彰企業等による取組事例の発表を行い、アンケートでの満足度が98.7% と大好評を得ました。また、右上の「ホームページを活用した普及」として、年度別・障害別の検索 の上、サマリー、PDFファイルの掲載によりまして、誰もがアクセスしやすいものとしました。これら の結果、事業主のほか、支援機関の相談場面でも活用されたところです。右側の活用事例の例1にあり ますように、「企業が好事例集を参考に職域開発を行い、知的障害者を新規に雇用した事例」、また、 活用例3にありますように、「支援機関がコミック版の雇用マニュアルを活用して事業主と相談を行い、 新規雇用を実現した例」などが報告をされております。右下の利用者アンケートにおいても、94.1% から「役に立った」との評価を得ております。以上が評価シート15で、自己評価はAです。  54頁は評価シート16「障害者雇用の啓発事業」です。次の頁の左側は、「障害者ワークフェアの開 催」です。平成20年度は、千葉市幕張メッセでこのあとご説明します第30回アビリンピックと同時開 催をしました。職業と福祉の総合的なイベントで、過去最多の163の企業・団体が出展しました。今回 の開催コンセプトは5点あります。1点目は、千葉県・各種団体・企業・障害者代表などの合同による 企画づくりと運営です。企画検討組織を設け、早い段階から企画プランの策定、出展参加の呼びかけ、 運営の協力、集客の働きかけなどを行いました。2点目は、アビリンピックと一体となった効果的な情 報発信です。3点目は、街並みをイメージした展示会場づくりです。「障害のある人もない人も、共に 働き暮らす街並み」のテーマの下、5つの街並みを区画し、街並み別に色分けしたのぼりを設置しまし た。4点目は、「誰もがアクセスしやすい情報提供とバリアフリーな会場」です。パンフレットに音声 情報が得られる音声コードを印刷したほか、車椅子利用者が移動しやすいアクセスマップの作成など、 バリアフリー化に努めました。5点目は、サテライト展示による障害者アートの紹介と、アビリンピッ ク及び障害者ワークフェアへの来場促進です。これらの取組の結果、来場者数は3万7,400人にのぼり、 アンケート結果では94.2%から「理解が深まった」との評価をいただき、目標の80%を大きく上回り ました。  右上です。全国6カ所で「ポスター原画入賞作品展示会」を開催するなど、支援月間に広く啓発活動 を行いました。真ん中のテレビ番組による啓発ですが、初めて「精神障害」「発達障害」をテーマに、 障害者がいきいきと働く様子を放映し、関東エリアだけで視聴率4.8%、約80万7,000世帯で視聴さ れました。  次の頁は、『働く広場』の発行です。目標どおり5万4,000部を発行いたしました。左下の編集委員 会、読者アンケートの要望・意見等を踏まえまして、タイムリーな話題を取り上げるコーナー 「NOTE」を新たに設け、精神障害者の雇用支援をテーマとした連載を開始するなど、誌面の充実を図 りました。また、右側の内閣府主催の「障害者週間連続セミナー」の一環として、『働く広場』の公 開座談会を発達障害をテーマに開催し、96.5%の方から「よかった」との評価をいただきました。右 上の読者アンケートにおきましても、9割弱の方から「参考になる」との評価をいただいています。以 上が評価シート16で、自己評価はAです。  57頁は、評価シート17「アビリンピックの開催」です。58頁です。平成20年度については、千葉 市幕張メッセで開催いたしました。今回の大会のポイントは3点あります。1点目は、競技種目の重点 化、定員の見直しです。第2期中期目標、中期計画において、「競技種目の重点化など一層効率的・効 果的な大会運営を行う」とされたことに基づきまして、今後の障害者雇用が見込まれる職種に重点を 置き、前回の32種目から20種目へ見直しを行い、参加選手は243人となりました。  2点目は、技能デモンストレーションの新たな実施です。先駆的又は雇用拡大が期待される「清掃」 「事務・販売等」「IT」の3職種で技能デモンストレーションを実施いたしました。企業、団体の協力 を得まして、実際に雇用されております知的障害者、重度身体障害者の方に実演をしていただきまし た。  3点目は、アビリンピック第30回記念事業の実施です。今回で30回目の節目の大会を迎えましたの で、開催効果をより高め、これまでの大会の成果を回顧・点検し、今後のさらなる発展に資するため、 「国際アビリンピックメダリストによる技能実演と体験」、「シンポジウム」、「サテライト展示」、 「記念ステージイベント」の4つの記念事業を実施しました。また、右上にありますが、開催に当たり ましては静岡での国際アビリンピック大会の経験を生かしまして、選手の移動負担の軽減、地元の協 力、連携によります準備・運営など、きめ細かな開催準備をした結果、一切の事故もなく非常に順調 に運営することができました。  次の頁は、来場者からの評価です。来場者のうち、事業主からは「共に仕事をしていけるような社 会が重要だと思った」、障害者の方からは、「自分も頑張れば技術を持って働くことができると思っ た」などの評価をいただきました。また、右側の参加選手からも、「たくさんの輝いている障害のあ る人たちに出会い、かけがえのない宝物になりました」といった評価や今後の抱負が、数多く寄せら れました。真ん中の来場者アンケートでも、「障害者の職業能力・雇用に関して理解が深まった」と の回答が、目標の80%を大きく上回る94.5%となり、満足度についても96.6%と過去最高の評価を得 ました。また、その右にありますようにNHKテレビ、地元テレビによります事前及び大会中の報道をは じめ、全国紙、参加選手の地元新聞など、全国規模で大会が紹介され、広く人々の関心と理解を深め ることができました。最後に、いちばん下の地方アビリンピックの開催についても、都道府県、障害 者団体等との連携を強化し、全国で合計314種目に過去最多の2,364人が参加をいたしました。  以上が評価シート17で、競技種目の重点化、定員の見直しなど、効率的な運営を円滑に実現し、そ の一方、きめ細かな準備、内容の充実によりまして、参加者の高い理解度、満足度を達成するなど、 従来以上の啓発効果を上げたことが評価されまして、当機構の外部評価委員会よりSと評価されました。  60頁からは「予算、人事等」になります。61頁は評価シート18「予算、収支計画及び資金計画」に ついてです。62頁の左のグラフについては、評価シート1の「効率化」でもご説明いたしましたが、 一般管理費、業務経費ともに目標を上回る水準で予算の節減を図った上に、さらに予算執行において も相当額の節減を図りました。両方合わせて、一般管理費で9.0%、業務経費で10.2%を節減いたしま した。右上の運営費交付金については、独立行政法人会計基準に定める収益化基準に則り、適正に執 行するとともに、期間進行基準の採用に向け、先行独立行政法人の実態把握、対象経費の選定、収益 性向上の判断基準の策定などについて、会計監査人とも協議を重ねつつ具体的な検討・検証を進めま した。また、予算管理による管理会計によりまして、効率的・効果的な予算執行に努め経費の削減を 図るとともに、随時適切に計画と実績の差異を把握し、発生理由を明らかにいたしました。計画と実 績の差異については、様々な取組による経費の節減、助成金の実績額が予算額を下回ったこと等によ るもので、合理的理由に基づくものです。  63頁です。整理合理化計画を踏まえた高齢期雇用就業支援コーナーの箇所数の削減及び業務の見直 し、受託法人への委託事業に係る職員数の見直し・削減等により、運営費交付金予算の節減を図り、 その執行においても近年取り組んでまいりました給与構造改革、業務委託費の効率的執行等に努めた 結果、左のグラフのとおり運営費交付金債務の増加となり、国庫負担の軽減に寄与しました。また、 右のグラフにありますように、経費節減に向け、一般競争入札の導入、複数年度契約の拡大に取り組 み、一般競争入札、複数年度契約の割合、件数・金額ベースいずれにおいても年々増加をしておりま す。平均落札率は85.2%となり、一般競争入札等の導入拡大により契約額は20.1%の節減となりまし た。さらに右下になりますが、随意契約は前年度比で約30%減少し、一般競争入札等に付した契約の 割合は56.6%に高まったところです。以上が評価シート18で、自己評価はAです。  64頁は評価シート19「人事・人員等」です。65頁の左上は、人件費削減の取組です。数次にわたり 給与制度改革を着実に進めてきた結果、右上にありますように平成18年度から5年間で5%節減の目 標に対し、平成20年度で7.3%の節減を実現しました。ラスパイレス指数についても111.6と平成19 年度より3ポイント低下し、地域・学歴勘案では102.8となっており、平成23年度には100.0程度に なると試算をしております。国に比べまして給与水準が高くなっている理由としては、事務職員の6割 が東京都区部勤務で、地域手当の高い者の割合が高いこと、大卒率が92.2%と高く、学歴による格差 が生じていること、当機構の事務職員は、企画・立案や受託法人に対する指導・進捗管理を行うため、 管理職の比率が高くなっていることなどによるものと考えております。  左下の「効率的な人員配置」ですが、大幅に業務量が増加する中、増員を行うことなく機動的な人 員の配置を行い、利用者ニーズに的確に対応いたしました。地域センター管理事務の集約化やせき損 センターの縮小・廃止等によりまして人員を捻出し、市場化テスト導入準備のための「公共サービス 改革業務室」、職リハ業務の効率的実施のための総合調整を行う「総括調整室」、内部統制の確保・ 向上のための「コンプライアンス推進課」に配置をしました。また、業務量の増加が続く中、定員の 据え置き、給与の思い切った削減を進めておりますので、障害者、事業主への効果的な支援サービス を実施するためには優秀な人材の確保、職員一人ひとりの能力の開発、モチベーションの向上がより 重要となっております。このため、右下の枠のとおり、人材の確保では採用説明会の前倒し実施、地 域センターでの体験見学会の新規実施に取り組み、面接重視で真に優秀な人材の採用に努めるととも に、職員研修を充実するべく、課題別カウンセラー研修及び新規採用職員の重度障害者雇用事業所で の職場実習を新設するほか、計画的なOJT実施指針の策定を行いました。  次の頁は、「モチベーションの維持・向上等のための取組」です。まず、左の「利用者の視点に立 ったサービスの向上」として、経営トップの理事長があらゆる場を活用して機構のミッションの浸透、 利用者本位のサービス提供の徹底を図るとともに、全国の施設に直接出向いて意見交換、指導を実施 しました。平成20年度はさらにホームページを活用したモニター制度の導入、本部・全施設にご意見 箱を設置するといった新たな取組を行いました。次に、真ん中の内部統制の向上についてはシート2で もご説明しましたが、監査室設置と内部監査の実施によります2元構造のコンプライアンス体制の確立、 内部統制確保のための調査、検討、「コンプライアンス推進課」の設置、公益通報規程の整備、通報 窓口の設置などを新たに実行しました。さらに右側の職員全員参加の職場活性化の取組としまして、 職場単位の職員による自発的な改善運動であるE Service運動を推進しました。利用者サービスの向上、 事務の簡素合理化などをテーマに全国で68件の報告があり、優れた取組11件を表彰し、全国会議で事 例発表を行うとともに、機構内LANで全職場で活用できるようにいたしました。  以上が評価シート19で、自己評価はAで−す。以上で、グループ3についてのご説明を終わります。 ○井原部会長  ありがとうございました。委員の皆様は、評価シートへの記入をお願いします。質問がありました ら、どうぞご発言をお願いします。監事監査報告書の説明がありますか。 ○高齢・障害者雇用支援機構総務部長  総務部長の代田です。資料2-4の「平成20事業年度監事監査報告書」についてご説明申し上げます。 平成20事業年度における業務及び会計の実施状況に係る監査については、独法通則法第19条第4項並 びに当機構の監事監査要綱に基づき行われております。平成20事業年度監査に当たっては、通常の業 務監査に加えて、独立行政法人整理合理化計画に基づく横断的措置の実施状況について、監査の重点 項目として実施されました。監査の方法は「記」の1のとおり、理事会その他重要な会議への出席、重 要な決裁文書等の閲覧、機構の各部、各施設から業務の実施状況等の聴取を行うほか、財務諸表、決 算報告書及び事業報告書、会計に関する部分に限りますが、これらについて会計監査人からの説明を 受け、検討を加えられたところです。  監査対象箇所及び実施期間は、「記」の2のとおりです。監査結果については、2頁4の監査の結果 のとおりですが、(1)の諸法規、機構の規程、達に基づく業務の実施状況については、本部及び各施設 における法令若しくは業務方法書等に違反する重大な事実は認められないとされております。(2)の中 期計画及び年度計画の達成状況については、機構の中期計画を達成するため策定された平成20年度計 画に基づく業務執行については、計画を達成しているとされております。(3)の組織機能の有効性及び 業務運営の効率化の状況については、機構は、顧客本位のサービスの向上、徹底したコスト削減、大 胆な組織改革を「改革の重点」として設定し、職員の意識の改革や業務の効率化などを推進しており、 平成20事業年度においては、駐在事務所を平成21年度末に廃止を決定したこと、利用者ニーズに的確 に対応するため、地域センターに配置するカウンセラー等の要員の再配置を実施したこと等、効果的 ・効率的な業務運営の進展に取り組んだことは評価されるところであるとされております。  6頁の(4)独立行政法人整理合理化計画に基づく横断的措置の実施状況については、冒頭申し上げま したとおり、平成20年度の重点監査項目として、契約の適正化、保有資産の見直し、給与水準の適正 化等、官民競争入札等の積極的な運用、内部統制に係る体制の整備の5項目について監査が行われ、横 断的措置の実施状況については、平成19年度から着実に実施を図っているとされております。  10頁の(5)平成19事業年度監事監査における指摘事項に対する改善状況の確認及び今後の取組につ いて、[1]の委託業務の適正性については、委託業務の適正性及び透明性を確保するため、PDCAサイク ルによる業務の進捗管理の徹底を図るとともに、年度当初に委託費執行の厳格な運用を通知、会計監 査の実施、委託費精算のための事前精査の実施をしたことは評価できるとされております。[2]の広域 センターの業務運営については、各般の取組の結果、平成20年度定員充足率は97.5%と、目標数を達 成したことは評価できるとされております。(6)の財務の状況については、財務諸表、決算報告書、事 業報告書に関しては関係法令及び業務方法書等に従い適正に処理され、機構の財政状態及び運営状況 を正しく示していると認められるとされております。以上、監事監査報告のご説明とさせていただき ます。 ○井原部会長  ありがとうございました。委員の皆様は、評価シートへの記入をお願いします。ご質問等があれば、 ご発言をお願いします。 ○篠原部会長代理  民間競争入札とか内部統制とか、かなり積極的に今後導入するということで、ほかの委員も評価さ れていますが、実はおそらく当面経費もかかるし、人員も投入しなければいけない。効果が出るとい うのは、特に民間競争入札は私もほかで経験していますが、敵に塩を送るというか、業界を育てると いう感覚もないというか、将来そういうものがいいという前提でやらないと。3年やって効果がないか ら元に戻すという感じも最近見受けられますから、そういう姿勢でやらないと駄目ということは、か なりこちらの負担もかかるなという感じです。当面、そういう経費増の状況を見通した上でやる覚悟 というのでしょうか、そういうことで当然導入されるのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  正直言って、競争的な契約方式を導入するというと、ものすごく手間がかかります。先ほどの市場 化テストもとんでもないことになっていて、職員は随分残業していますし、私も結構負担になってい て、最後は話をつけるのに、「理事長がこう言っていると言え。いざとなったら俺が行くから」みた いな話までいかないとまとまらなくなってしまったりしている。そのために何をやっているかという と、先ほどご質問がありました地方の職業センターの管理事務の統合で浮いた職員を、競争入札のた めの事務に、メンバーは違いますが数としては回しているということをやっています。予算的には正 直に申し上げると、先ほど増田部長が説明したように複数年度契約を導入してみたり、一般競争入札 を導入してみたりすると、業界の方がおられて失礼かもしれませんが、例えばコンピュータ関連の経 費はかなり浮いてきます。びっくりするほど浮きますから、一般競争入札を導入したことによって浮 いた資金で、なんとか回しているということがあります。それを超えてしまうと、いま篠原先生が言 ったようなことになりかねなくて、そのときはもうしょうがないので、「計画未達です。許してくだ さい。2、3年後には達成しますから」と言うしかなくなると思いますが、いまはなんとか凌いでいる 状況です。非常に苦況に陥りつつあることを是非ご理解いただければと思います。 ○松田委員  いまの説明によりますと、一般競争入札のメリットはありますが、これを見ますと随意契約70%で すよね。なぜこんなに大きいのですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  これは、例えば先ほどから説明しています雇用アドバイザー等を中心とするさまざまな事業所に対 する相談・援助業務、雇用納付金制度に基づく納付金の徴収、助成金の支給等々の業務を、いまは随 意契約で各都道府県にある雇用開発協会とか雇用支援協会に委託しています。先ほどの篠原先生のご 質問に重なってきますが、これを来年の4月から競争性のある入札方式に切り替えようということでや っていまして、いまそのための手続・準備を進めている。来年の4月になると、これが1割弱まで下が ると見込んでいます。 ○篠原部会長代理  各独法の理事長に質問させていただいていますが、62頁の管理会計で、いままでのほかの独法と比 べるとかなり先進的に内部管理、経営管理を導入されているなという印象で、これを見ると効果も出 てきているかなという気もしていますが、これのベストプラクティスではないですが、導入して、効 果とかいろいろな手間もかかります。その辺の感想を聞かせていただければありがたいです。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  各予算の費目ごとに進捗状況をかなり頻繁に点検していまして、点検すると先々不用の出そうな事 業とか、もっと予算が要りそうな事業とかがかなり明確になりますので、不用の出そうな部署の予算 は早めに圧縮する。あるいは、先ほど松田先生からご質問のあった地方に対する委託費の類いも追加 配布を止めるとかやっていますから、かなり浮いてきました。浮いてくると、新しい事業ができる。 先ほどから説明している障害者雇用促進法が改正されてPRする必要があるといっても、そこに回す金 が出てくるとか。意外に、管理しているとコスト意識というのがそれぞれの部署で出てくるものです から、ほうっておいても節約効果が出てくるということがあるかなと思っています。あまり自慢する と、ほかの団体に迷惑をかけることになるので。やってみると結構大変は大変です。担当者は、残業 時間が増えてしまっています。それから、コンピュータシステムをそれに合わせてやれるようなシス テムに変えていったりとか、いろいろな手間はかかりますが、経費的にというか予算的には篠原先生 がおっしゃるように、効果は出つつあるということではないかと思っています。 ○篠原部会長代理  去年あたりから目的積立金というのは、費用進行基準以外を採用した場合は財務省も目的積立金を OKして、費用進行基準だと認めないと聞いています。見ていると、かなり努力して経費節減をされて いるので、せっかく努力しているのだから目的積立金にして、従業員に報いたほうがいいのではない かという気もしているのですが、目的積立金にするにはものすごく資料も必要で手間隙がかかって、 みんな、大体の感想は面倒くさいという感じもあるのですが、そこをなんとか。独法も努力に対する 報い方はいろいろあると思いますが、目的積立金を通した従業員への報い方ということはどのように 考えていますか。 ○高齢・障害者雇用支援機構理事長  かねてから、篠原先生からは期間進行基準なりを採用すべしというお話があって、そのために私が お答え申し上げているのは、財務省とか厚生労働省とか、所管官庁の予算の組み立て方と当機構の予 算とのずれというのがあって、ここをどう解消していくのか。もう1つは、明けすけに言えば、財務当 局の理解がどれだけ得られるか。もう1つ申し上げると、これは先生の専門分野ですが、会計監査人の 理解・協力がどれだけ得られるかということだと思っています。そういう意味で、全面的に期間進行 基準というのはなかなか難しいのではないかと思っていまして、まずはやれるものから厚生労働省、 財務省、会計監査人の協力を得て取り組んでいくということではないかと思っていまして、なるべく 早くできるところは取り組んでみたいなと思っていますが、まだいろいろ悩んでいる状態です。 ○井原部会長  よろしいですか。それでは、このあとに重要な財産の処分についての審議があります。その前に事 務局からどうぞ。 ○政策評価官室長補佐  記入が終わっていない委員については、本部会終了後に会場にお残りになって記入していただいて も結構ですし、評価シート及び評定記入用紙をお持ち帰りになって記入していただいても結構です。 お持ち帰りになる場合には、火曜日までにご提出いただければと思っております。また、お持ち帰り になる際には事務局にお声を掛けていただければと思います。 ○井原部会長  それでは、重要な財産の処分についてに入りたいと思います。まず、政策評価官室からの説明をお 願いします。 ○政策評価官室長補佐  重要な財産の処分について説明させていただきます。高齢・障害者雇用支援機構から厚生労働大臣 に対し、重要な財産の処分に係る認可申請がございました。独立行政法人通則法第48条第2項で、 「(厚生労働大臣が財産処分の)認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴か なければならない」ことになっております。このため、今回委員の皆様のご意見を伺うものです。  なお、当該議事にかかる資料等の取扱いについては、申請書の処分要件の中に不動産の評価額が記 載されておりまして、その額が公開されてしまいますと契約に支障が生じてまいりますので、契約締 結までは非公開といたします。委員の皆様方におかれましても、資料の取扱いにつきまして、特段の ご留意をいただきますようお願いいたします。  それでは、処分を行う予定の財産について、法人から説明をお願いします。 ○高齢・障害者雇用支援機構経理部長  経理部長の若林です。資料2-7に基づきまして、当機構の重要な財産の処分についてご説明いたしま す。私どもから厚生労働大臣に、財産処分について認可申請を出しました。その写しが添付してあり ます。これに基づきまして、ご説明します。まず「記」の1は、処分に係る財産の内訳、内容等です。 所在地は、岡山市北区平田407番地にあります。JR岡山駅からバスで約30分の所に所在しております。 物は、建物、構築物です。建物約401平米ほどの平屋建てのものです。周囲は、岡山県が従前から地域 福祉の増進に努めていた施設が点在する一角に所在しております。なお、土地は岡山県の所有です。 評価額は、そこに記載してあるとおりです。  2は処分の理由です。当該建物等は岡山県有地の一部を借り上げ、昭和51年に旧雇用促進事業団が 建設。その後昭和63年に、当機構の前身である日本障害者雇用促進協会が岡山障害者職業センターと して承継し、平成15年10月1日に当機構が国から出資を受けた、承継を受けた財産です。同センター は、利用者にとって先ほど申しましたような所に所在しまして不便な状況にあり、また職業安定所か らも離れているということで、業務遂行上多大な支障を来していたところから、利便性等を考慮して 平成20年11月にJR岡山駅近くに移転いたしました。したがいまして、当該建物等は現在空いている わけで、今後当機構において利用する見込みが立たないこと。また、保有し続けることで生じます管 理リスク等も勘案して、土地所有者である岡山県へ取得の意向等を照会したところです。岡山県から は、隣接地で福祉事業を行っている社会福祉法人旭川荘への譲渡要望があり、当機構としては、岡山 県への土地の返還に当たっては原状回復をする必要があるわけですが、当該法人へ譲渡することによ り、そのための建物等の解体撤去を要しないということがあります。ちなみに、岡山県は、当該法人 への譲渡ができない場合は原状回復を要するとしております。そういったことで、随意契約で社会福 祉法人旭川荘へ譲渡しようとしているものです。  3は省略します。4、処分等の条件として、社会福祉法人旭川荘へ時価による有償譲渡とすることと しております。5以下はこのように書いてありますが、これまでご説明したことと重複しますので省略 をいたします。6は添付書類です。全部事項証明書、いわゆる登記簿謄本あるいは図面、写真、それか ら先ほど申しました岡山県からの回答書等を参考資料として添付しておりますが、ご説明は省略させ ていただきます。以上、簡単ですが当機構の重要な財産の処分についてのご説明に代えさせていただ きます。 ○井原部会長  ただいまの説明に関しまして、ご質問があればお願いします。 ○篠原部会長代理  随意契約なので、金額の妥当性を質問します。金額が小さいので、不動産鑑定は受けていないので すか。 ○高齢・障害者雇用支援機構経理部長  鑑定を受けました。ここに記載してある金額は、平成21年6月30日現在で鑑定を受けた金額です。 ○篠原部会長代理  そうすると、評価額は言えないかもしれないけれども、売却損は発生するのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構経理部長  これが鑑定評価額でございまして、売却は時価で、この鑑定評価額を基にして売却を考えておりま す。 ○篠原部会長代理  その場合は、売却損というのが多少発生するか、売却益になるか。この辺は言えないのですね。 ○高齢・障害者雇用支援機構経理部長  売却益を当然考えております。 ○篠原部会長代理  これは、当然出資に関わるというか、国庫納付の対象ですか。 ○高齢・障害者雇用支援機構経理部長  対象です。 ○井原部会長  よろしいですか。それでは本部会としては、本件について異存はないということを厚生労働大臣に お伝えすることでよろしいでしょうか。                (各委員了承) ○井原部会長  それでは法人におきましては、厚生労働大臣の許可を受けたあとは、手続きを進めていただければ と思います。  本日の議事は以上となります。次回の開催等については、事務局から説明をお願いします。 ○政策評価官室長補佐  次回の開催は8月11日(火)13時から、場所は省内の専用第21会議室となります。議題は、勤労者 退職金共済機構の個別評価、労働者健康福祉機構の総合評価となっております。また重ねてのご連絡 ですが、評価シートの書き込みが終わっていらっしゃらない方については引き続きご記入いただけま すので、よろしくお願いいたします。また、お持ち帰りになる場合には事務局まで声をお掛けいただ くようお願いいたします。提出期限を火曜日とさせていただいていますが、次回の会場のほうにお持 ちいただいても結構ですので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○井原部会長  それでは、これで今日の会議を終わります。どうもありがとうございました。                                           (了)      照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係     連絡先:03−5253−1111(内線7790)