09/08/05 第3回今後の看護教員のあり方に関する検討会議事録 第3回 今後の看護教員のあり方に関する検討会               日時 平成21年8月5日(水)17:00〜19:00               場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) ○島田課長補佐 定刻より若干早い時間ですが、先生方がおそろいですので、第3回「今後 の看護教員のあり方に関する検討会」を開催します。委員の先生方におかれましては、ご多 忙のところを検討会にご出席いただいて、誠にありがとうございます。本日は羽生田委員よ りご欠席という連絡をいただいております。それから7月24日付で事務局に人事異動があ りまして、医政局長が阿曽沼慎司局長に変わっておりますが、本日は所用のため欠席させて いただいております。ご了承ください。  続いて配付資料の確認をさせていただきます。机に議事次第をお配りしておりますが、そ れ以下が資料になっております。資料1、これまでの委員の主な意見。資料2、主な検討課 題と論点。資料3、看護教員養成講習会実施要領の変更の経緯について。資料4、看護教員 養成講習会の実施状況について。資料5、これまでの議論の整理(案)。それから参考資料 として、保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正す る法律について(通知)をお付けしております。乱丁、落丁などがありましたら、事務局の ほうにお申し付けください。  それでは永山座長、以降の進行をよろしくお願いします。 ○永山座長 それでは本日も活発なご議論をよろしくお願いします。議事に先立ちまして、 資料1「これまでの委員の主な意見」について、事務局から説明をお願いします。 ○島田課長補佐 資料1と2を合わせて説明させていただきます。 ○永山座長 それでは、合わせてよろしくお願いします。 ○島田課長補佐 資料1ですが、これまでの委員のご意見をまとめさせていただいておりま す。これは前回までもお示ししておりますものに、斜めの文字になっている部分は前回の第 2回の検討会でいただいたご意見をまとめております。まとめの枠組みなどは変更がござい ませんので、特に読み上げることはいたしませんが、こういったまとめをさせていただいて いるところです。  続きまして資料2は「主な検討課題と論点」です。これも、ほぼ前回お出ししているもの と同じですが、1のいちばん下に斜めの文字で付け足している所ですが、前回の検討会で井 部委員から、質の高い看護教員を養成するとあるけれども、質の高い看護教員というのは一 体どういうものなのか、どういった資質を求められているのかといったことを議論すべきで はないかというご意見をいただきましたので、論点という所で付け足しておりまして、こう いったところも議論していただきたいと考えています。以上です。 ○永山座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の説明について、資料 を配付されておりますので、ご質問、ご意見等がございましたらお願いします。いかがでし ょうか。ないようであれば、議事に入ってまいりたいと思います。  それでは、本日は前回に引き続きまして「看護教員の養成について」の検討を行うことに しております。そこで、前回委員のほうからご質問がありました、看護教員養成講習会実施 要領の変更について、資料を事務局に用意していただきました。また、前回の参考資料「看 護教員養成講習会の実施状況について」の内容の一部を、今回は議論の材料としたいと思い ましたので、これも同様に事務局にまとめ直していただきましたので、その点から説明をお 願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○島田課長補佐 それでは資料3と資料4について、説明をさせていただきます。まず資料 3です。看護教員養成講習会を都道府県で実施していただくに当たりまして、実施要領とい うものを示しているところです。前回の検討会で、これまでどういった内容の変更があった のかといったことについてお尋ねがありましたので、まとめさせていただきました。まず、 上のタイトルの下に、ちょっと細かい字で恐縮ですが、昭和41年にこの看護教員養成講習 会という名称で講習会が開始されているところですが、昭和45年から都道府県への委託事 業ということでスタートしておりまして、平成2年からいまと同じような形での補助事業と いうことで、都道府県に対して実施要領というものを示しているところです。今回はその平 成2年以降の変更についてを、おまとめしております。  まず左側ですが、これが平成2年から平成7年まで使われていたものでして、右側には平 成8年以降のものをまとめております。その変更部分について、赤く斜めにした文字の所が 中心ですが、変更部分についてをクローズアップさせている所でして、まず開催の期間と実 施時間数ですけれども、平成7年までは6ヶ月間で705時間以上ということでしたが、平 成8年以降は8ヶ月で900時間以上と変更されているところです。  定員数は平成7年までは45名以上となっていたのですが、これでは少しハードルが高す ぎるといったようなこともございまして、そういった実情を反映して、これは平成12年以 降ですが、30人以上で実施をするというように、最低開催人数の数を下げているという変 更をしているところです。  そして、その下のほうですが、講習会で教育する内容の変更です。まず、基礎科目につい ては、平成8年以降は基礎分野となっていますが、内容が若干変わっておりまして、時間数 も75時間から60時間と変更されております。  その下ですが、平成7年までは教育に関する科目と看護に関する科目という区分になって おりましたが、それが平成8年以降は教育分野(教育に関する分野)となっておりまして、 看護に関する科目については専門分野(看護に関する分野)というように変わっております。  そして、専門分野についてですが、平成8年以降は看護教育実習が90時間という形で追 加されております。それから在宅看護論演習30時間、専門領域別演習90時間というよう に追加がされているところです。そして、研究方法については45時間であったものが60 時間に、全体で見ますと570時間であったものが690時間に変更されているところです。  そして、「その他」ということで、看護教員養成に必要と思われる教育内容についてです が、30時間となっていたものが60時間ということで、トータルで705時間から900時間 という変更があったところです。  続いて資料4です。先ほど座長からもご説明がありましたが、前回の検討会で教員養成講 習会の実施状況についての一部は、資料としておまとめをして、説明させていただきました けれども、それ以外の全体部分については参考資料として、前回お付けしていたところです。 それらのうち、今回は実施状況について議論をしていただきたいというところについて、再 度、資料としておまとめしたところです。  おめくりいただいて、まず1番です。1頁目ですが、直近の開催年度における看護教員養 成講習会の実施体制について、まとめたところです。これは過去5年間に看護教員養成を実 施した22都道府県と、それから厚生労働省の看護研修研究センターでの実施状況について、 まとめているものです。まず開催期間ですが、8ヶ月以上ということで実施要領にはお示し しているところですが、実際は8ヶ月、あるいは10ヶ月、12ヶ月という形で行われて、様々 な期間で行われているという状況です。  それから教育担当者、事務担当者の数ですが、これも1名という所もあれば、5名という 担当者で行っているといった所もございます。  それから真ん中辺りですが、講師数です。下のほうを見ていただきますと、48名、52名 という所もあれば、真ん中辺りにありますが、207名ですとか205名と、200人を超える講 師で実施しているような状況もございまして、様々な実施状況であるといったところが見て いただけるかと思います。  それから委託先についても、委託をせずに都道府県が直接実施しているというところもあ れば、都道府県看護協会ですとか、看護系の大学といったところに委託をして、実施してい るというところもあります。  2頁は、教員養成講習会の中で看護教育実習を実施するということになっているところで すが、その内容については「講義」・「学内演習」・「臨地実習指導」についての看護教育実習 をするということで、これらをいろいろな組み合わせで実施しているという状況がありまし た。  下のほうに、表の下にまとめている所ですが、「講義」・「学内演習」・「臨地実習指導」に ついて、全て3つとも教育実習を行っている所が9ヶ所。それから、これらの中の2つにつ いて実施をしているという所が9ヶ所、1つについて実施をしているというのが2ヶ所とい う状況でした。それから、それぞれの指導時間の設定についてですが、指導時間を決めてい るという所が8ヶ所、特に決めていない、不確定であるといった所が12ヶ所といったよう な状況でした。それから指導頻度ですが、毎日の所もあれば、定期的に開催している、ある いは不定期であるといったような所もあるという状況でした。  上の表を見ていただきまして、右側ですけれども、指導方法というのもまとめております。 面接指導というのもあれば、電話による指導、あるいはメール・FAXという指導方法、こ れらもいろいろな指導方法であるという状況でした。  おめくりいただいて3です。実施要領に規定する900時間を超えて授業が実際に行われ ているという所がありまして、その内容について、おまとめしております。様々な内容が行 われているところですが、例えばそのときの話題性のあるトピックスを特別講義として実施 しているといった所ですとか、千葉県にありますように看護管理、女性学というものを行っ ていたり、あるいは真ん中辺りにありますけれども医療安全、それから下のほうにあります が発達心理学というような、いろいろな内容について900時間を超えた部分で行われてい るという実態がありました。  4頁の4ですが、開催都道府県が独自に設定できる「その他」の60時間という部分がご ざいますけれども、そこでどんな教育内容があるのかというところをまとめております。看 護・医療の動向や倫理、医療安全といったものがありますけれども、先ほどのトピックスと も関連するところかと思いますが、そのときに必要な医療を取り巻く状況などについて、「そ の他」の時間でやっているというような所もあれば、例えば下のほうにはカウンセリングで すとかコーチングといった内容もありまして、より教育を深めるために必要な知識や技術と いうものを、「その他」の中でやっているという所もありました。  5頁の5は、この講習会を修了するための認定の基準についてです。実施要領の中では出 席日数を勘案して、というようなことで修了を認めるようにといったことが示されていると ころですが、その出席日数以外に基準を設定している場合についてをまとめております。例 えば宮城県では、いくつかありますけれども、[3]にあるように、受講生としての行動が良好 であることといったような基準を課している所もあれば、福島県にありますが、各科目時間 の3分の2以上の出席、それから受講状況において著しく到達目標に達しない場合は、修了 を認定しないことがあるといったような所もありますし、それから埼玉にあります4つのう ちの4番目に、専門領域別演習において、模擬授業を実施するといったことを要件としてい る所もあります。  それから東京都にありますが、[2]に授業科目の評価が合格点に達していることといった基 準がありますのと、それから[4]に、いくつかの科目については担当講師が行う試験、レポー トなどが合格基準に達していることといった基準を設定している所もあります。  それから下のほうに、大阪ですが[3]で、受講中に離職しないことといった要件、基準を設 けている所もあります。  それから、いちばん下の看護研修研究センターでは、認定試験を行うとか、評価表を使用 するといったようなことも実施している状況でした。以上です。 ○永山座長 ただいま資料3と資料4について、担当者から説明がありました。これに関連 したご意見、ご質問等をお受けしたいと思います。前回、経緯がよくわからないということ でしたので、ここに準備させていただきましたが、いかがでしょうか。 ○井部委員 資料を準備していただいてありがとうございました。資料3の冒頭に、昭和 45年に都道府県委託事業、平成2年に補助事業と変わっているのですが、委託事業と補助 事業はどのように違うのかということと、なぜここで変わったのかを教えていただきたいと 思います。 ○野村看護課長 委託事業も補助事業も、国が予算を補助するという形態は同じですが、考 え方の違いがあります。委託事業は国がやるべき事業ですが、それを他の団体に委託すると いう考え方ですし、補助事業という考え方は、他の団体が実施することに対して、主語が他 の団体ということになりますが、そこに対して国が補助するという形になります。結果的に は同じようなことになっているわけですが、考え方が違うということです。なぜかという辺 りは、詳細には承知していないのですが。 ○井部委員 そうしますと、国が予算としてこのために設ける金額というのが変わってくる わけですか。 ○野村看護課長 いま現在、詳細なところは調べないとわからない状況です。 ○後藤委員 詳細な資料をいただいたのですが、900時間を超えている事業内容は書いてあ るのですけれど、各都道府県が行った実際の時間というのは、例えば東京は12ヶ月でやっ ていますね。時間数というのは、おわかりになりますか。 ○永山座長 具体的な時間数はどれくらい。 ○後藤委員 900時間を超えている内容については、ここで詳細に調査をいただいているの ですが、例えば東京が看護教育実習を900時間を超えてやっている。ここには120時間と 書いてあるので、そうするとたぶん1,020時間というのがトータルなのかなという想像がつ くのですが。 ○島田課長補佐 今回の調査では、トータルで何時間ということを伺わなくて、900時間を 超えている場合の中身、教育内容だけを伺っておりますので、把握できておりません。 ○後藤委員 もう1つよろしいですか。資料4の2頁目に「看護教育実習の内容について」 というのがあるのですが、これは資料3の赤字の「看護教育実習」の90時間の中身ですね。 そうすると何か不思議な感じがするのですが、教育実習ですから何で講義と演習が入ってい るのかなという気がします。全部、実習ではないのですか。 ○島田課長補佐 すみません、ちょっと説明が足りませんでした。講義の教育実習をする。 学生、受講者が講義をする。 ○後藤委員 なるほど、わかりました。ありがとうございます。 ○永山座長 模擬授業ということです。それでは、他のご質問はいかがでしょうか。 ○石渡委員 資料3のところですが、新たに付け加えられた中身として、「専門領域別演習」 というのがありますね。あと、「在宅看護論演習」というのがありますけれども、この中身 はどういったものでしょうか。 ○野村看護課長 平成8年のときの看護教育のカリキュラムの改正との関係が、ここはござ います。平成8年の改正のときに在宅看護論が加わりました。このときに教員は、それまで は学年に1人という考え方だったのですが、このときから各専門科目ごとに1人という考え 方に変わりましたので、その専門科目ごとに教員が教えるという考え方です。それなので、 こういった専門領域別に、それぞれ教員が教育をしていくという考え方が入りましたので、 こういう専門領域別演習という科目を入れたということです。 ○石渡委員 実際にはどのようなことをやるのですか。 ○永山座長 具体的な授業の内容ですか。 ○石渡委員 はい。 ○島田課長補佐 具体的な内容は、それぞれ工夫してやっていらっしゃるところだと思うの ですが、いまお示ししている実施要領の中で、参考という形ですけれども各授業科目の目標 をお示しております。その中で在宅看護論演習については、在宅看護の基本的な考え方を学 ぶといったことを目標として、実施をするということになっております。  それから専門領域別演習については、先ほど看護課長が申し上げたように、各専門領域で の看護教育内容ですとか教育方法について、選択をして学ぶということが、このカリキュラ ムでの目標になっております。 ○永山座長 それではセンター所長がおいでですので、お答えいただければと思います。 ○岩澤看護研修研究センター所長 看護研修研究センターで在宅看護論演習を具体的にど のように進めているかということですが、1単位が30時間、いま補佐が説明しました科目 目標は具体的に在宅看護の現状と課題を明らかにして、今後の展望を明らかにするというこ とで、内容的には在宅看護の概論とか、地域で療養している対象と家族の現状、在宅看護に 関わっている看護師の現状と他職種との連携、それから資源とケアシステム、課題と展望と いう内容の中で、自分のテーマを決めて、それを明らかにするために訪問看護ステーション や病院等、あるいは地域にある施設にテーマにそって調査をして、文献等と比較しながら課 題を明確にしていくというような演習をしております。  領域対象別看護論演習といいますのは、ここではそれぞれの自分の領域、対象、例えば母 性看護学や小児看護学等を選びまして、その科目がどのように構成されているのか、その中 のキーワードについて自分たちで調べて、発表して深めていくということ。あるいは基礎看 護学や在宅看護については、必修で一部講義が入っているというのもあります。それ以外は 選択をして、自分の領域を深めていくという内容です。 ○石渡委員 そうすると教育実習の中でも模擬授業をやるということでしたが、専門領域別 演習の中でも、ほぼそこに至るまでの過程のところの模擬授業に近いような組み立てをやる というところなのですか。 ○岩澤看護研修研究センター所長 教育実習では模擬授業をしている所もあるかと思いま すが、センターの研修生の場合は実際に学生を対象にした授業をします。それをするために 教育方法論演習の中で、その授業をどのように組み立てるのかという準備をしますが、その 前の段階として、この領域対象別看護論で、基礎看護ですと基礎看護学は看護学全体の中で どのように位置づけられていくかとか、教育内容や教育方法はどのようなものがあるのかと いうことに取り組みます。 ○永山座長 たぶん教育方法論とリンクして行っているということでよろしいでしょうか。 それでは、他はいかがですか。ないようであれば、膨大な資料ですのでまたお目通しをいた だきたいと思います。  それでは本日の議論に入りたいと思いますが、看護教員の養成についてさらなる議論が必 要な事項を絞るという意味で、効果的に議論を進めたいと思います。今回、事務局に整理を 若干お願いしています。本日はその整理に沿って議論を進めていきたいと思いますので、ま ず資料について事務局より説明をお願いします。 ○島田課長補佐 資料5を説明します。先ほどこれまでの委員の意見を資料1でまとめたも のをご紹介しました。すでに示しています課題、論点などに沿い、前回ご指摘いただいたま とめ方についてのご意見なども踏まえ、「これまでの議論についての整理」を案として資料 5でまとめております。ここではいままで議論していただいた資質や能力についてと、教員 養成をどのように行っていくのかの部分についてのまとめをしております。まずIです。「看 護教員に求められる資質・能力に関して」のまとめをしております。○でまとめているもの が先生方からいただいたご議論、ご意見をまとめたものです。その下の点線で囲った部分が、 さらにこういった議論をしていただき、深めていただきたいというものについてまとめてあ ります。  求められる資質・能力についての○です。看護教育の充実のためには、看護教員の質の向 上が不可欠である。看護教員はどのような資質・能力を備えているべきなのか整理し、目標 を示すことが必要である。看護教員には看護実践能力と教育実践能力のどちらも必要であり、 そのバランスが重要である。その一方で看護教員が看護実践能力を維持することは困難であ り、臨床を離れている看護教員に一律に看護実践能力を求めるのは無理がある。看護教員に は、誰に学生を預けたら優れた臨床実践を指導してもらえるかを見極め、状況を説明できる 能力が必要である。教育的まなざしを学生に伝える技とコミュニケーション能力、その他多 様な学生に対応できる指導力やカウンセリング能力等も求められている。看護教員には時代 の要請に合ったカリキュラムを作成できる能力が求められているといったご意見があり、ま とめました。  そしてさらに議論していただきたいこととしては、1つ目が、看護教員に求められる資 質・能力とその目標はどのように設定できるか。また、その評価はどのように行うべきか。 2つ目が、看護教員にはさまざまな能力が求められているが、その中でも今後、看護教員と して強化すべき能力は何かといったことを議論していただきたいということでまとめてお ります。  IIは「看護教員の要件に関して」です。意見としては、看護教員には一定の臨床経験が必 要であり、看護系大学においても看護師養成所と同様に、臨床経験を求める必要があるとい ったご意見がありましたのでまとめました。  さらに議論していただきたいことについては、看護職員や看護教員の高学歴化が進む中、 また、看護教員の確保が困難である実情を踏まえ、専任教員の要件は現状維持とすべきかど うか、といったことを議論していただきたいと思っております。ここに小さく(*)で書い ておりますが、専任教員の要件については、第2回検討会の資料6でお示ししております。  次に、もし現行の専任教員の要件を緩和した場合、新任者の研修についてどのように考え るか。3つ目、大学で教育関係の4単位を履修して卒業した者についての研修の必要性をど のように考えるかといったことを議論していただきたいこととして、まとめております。  看護教員の養成の中で、1、2と大きくさらにまとめておりますが、まず1つ目が「看護 教員養成講習会について」です。看護教員養成講習会の(1)実施体制・方法についてです が、[1]現状と課題です。看護教員養成の約8割は、都道府県による看護教員養成講習会が担 っているが、実施する県は限られており、また実施状況にばらつきがある。受講希望者の減 少などにより、一県で開催基準を満たす受講者数を確保するのが困難である。講習会開催県 が限定的であることから、現在の実施方法では、受講を希望をしても物理的な問題や家庭の 事情により、受講できない者の状況は改善されないといったことがご意見としてありました。  [2]で当面の改善策をまとめております。看護教員が全国的にばらつきなく養成されるよう にするため、看護教員養成講習会をブロック単位に調整した上で開催するなどの仕組みが構 築されることが必要である。また、教育時間を単位制とし、受講者の状況に応じて、数年間 かけて断続的に履修できるようにしたり、放送大学等の活用も求められるといったご意見が あり、まとめております。さらにご議論していただきたいこととしては、全国的にばらつき なく養成される仕組みを構築するためには、どのような体制が必要かといったことをまとめ ております。  (2)は講習会の質の充実・確保についてです。まずはじめに[1]現状と課題です。現行で は8ヶ月で900時間の講習会を実施しており、つめこみ教育になっている。看護教員養成 講習会を受講することにより、教員としての姿勢や態度に変化が見られ有益である一方、教 員業務のすべてが含まれてはいないので、すぐに活用できることを教育することも必要であ る。看護教員には学生を育む教育学や教育論の視点が不足している。看護教員に求められる ものは時代とともに変わってきており、それに伴い教員養成講習会の教育内容にも変化が求 められている。看護教員の養成に必要な教育内容について、看護教員養成講習会の担当者は 理解する必要があり、講習会担当者への支援が必要であるといったことをまとめております。  [2]当面の改善策としては、教員養成講習会において十分な講習成果を上げるためには、教 育内容を整理するとともに、ゆとりのある期間を設定すべきである。講習会の質の確保・向 上のため、教員養成講習の教育内容を見直すとともに、受講者の評価やプログラムの評価な ども含めた教員養成のためのガイドラインが必要であるといったことをまとめております。 さらにご議論いただきたいこととしては、看護教員に求められている資質を踏まえ、現行の 実施要領に定められている教育時間・教育内容をどのように見直すべきかといったことを出 しております。  2つ目は「今後の看護教員養成のあり方について」、これは中長期的な視点に立った改善 策としてのまとめです。現在、看護学生を教育する者を育成する講習会には、実習指導者講 習会・看護教員養成講習会・幹部看護教員課程があり、これらを連動させることにより、看 護教員のキャリアパスとして示すことができ、看護教員養成講習会修了者の自信に繋がると 考えられる。そのため、これらの講習会を連動させ、さらには学位取得に繋がるようなコー スとして再構築することが必要である。受講希望者が就労を継続しながらでも受講できるよ う、通信制やeラーニングの導入について検討する必要がある。また受講者の利便性を高め るためには、近隣の看護系大学での科目履習を「教員養成課程」の一部として認定できるよ うにすることも考えられる。将来的には看護系大学の専攻科や大学院等に看護教員養成課程 を設置できるようにすることが望ましいといったご意見をまとめております。  さらにご議論いただきたいこととして、通信制やeラーニングの導入、大学や大学院等に 看護教員養成課程を設置するなど、看護教員養成の実施体制や方法を多様化する場合、それ ぞれの教員養成課程の質を保証する仕組みが必要と考えられるが、どうか。また、こうした 多様な方法を普及するためには、どのような方策が考えられるかといったことをご議論して いただきたいと思い、おまとめしております。以上です。 ○永山座長 それではまず、資料2の1に先ほど説明があったように、質の高い看護教員に 求められる資質とは何かというところから議論を始めたいと思います。この後、2点目の看 護教員の要件の議論にも関連するので、もう少しその点について議論を深めておきたいと思 います。それでは資料5を参考にしながら、この後議論を進めていきたいと思います。まず 1点目、「看護教員に求められる資質・能力に関して」ということで、ただいま事務局から 説明がありましたが、むしろ点線の中身について議論が必要と考えておりますので、それを 中心によろしくお願いします。どなたかお願いします。安酸委員、いかがでしょうか。 ○安酸委員 なかなか難しい点が何点かあると思います。教える者の能力で資料5に、看護 実践能力と教育実践能力のバランスのことが書いてありますが、例えば900時間という時 間を8ヶ月程度、それ以上の所もありますが、非常につめこみで習って、教わったように教 える傾向というのはやはり否めないところがあります。そういうときに教え方、方法論が、 どうしても一生懸命教えてもらうと、今度はまたつめこみに拍車を掛けるような傾向もある かなと思っています。どういう能力・資質が必要かというときに、看護をできる学生を育て たいわけです。そうするとやはりヒューマンケアの能力、人を尊重するなどという、少しゆ とりを持って人間的に関わる。ここにも「教育的まなざしを学生に伝える技」などとありま すが、そういうものは、どのように教師が教えられれば学生に伝えられるのかというところ が、900時間ありますが、本質的なディスカッションが必要かなと思っています。  人を育てるのか、専門家を育てるのかも前回の議論であったと思うのですが、どういう看 護師を育てたいのかに繋がっていくのだと思うのです。どういう看護師をというときに、や はり知識・技術がたくさんあるということをどんどん進めていくという、専門家養成のほう は、専門看護師、認定看護師などというように進んでいる部分が一部ありますので、基礎教 育課程を考えたときには、教師にはもう少し、ゆとり力、統合力など、いまは明確な話はで きないのですが、どのように教えるかという教え方のところで、内容、知識などを教え込む という傾向に拍車を掛けるような教育ではいけないと思っています。 ○永山座長 実際、福岡のほうで教員養成課程にも携わっておいでかと思いますので、そう いうお立場からのご発言ということでよろしいでしょうか。 ○安酸委員 はい。 ○永山座長 野本委員はいかがでしょうか。 ○野本委員 私も非常に難しい問題かと思うので、あまり軽々に答えられない部分もありま す。看護教員の質という話をいましているのですが、教員の質と言われると、私自身、自分 はどうなのかと考えたときに、ある意味、教員の質というよりは質の高い教育を展開できる 教員と考えたほうが、教員の質を問われたときに、自分だと何をどのように考えたらいいの かがよくわからない部分があります。教育の質を高められるように、教員を教育していくと いう考え方をするといいのかなと思います。  そのように考えると、やはり多様化する学生の状況を理解できる、先ほど安酸先生もおっ しゃっていましたが、自分が大切にされない学生は、やはり対象を大切にすることもなかな か難しいだろうと思うので、人権意識をしっかり持っているなどというのはとても重要だろ うなとは思っているのです。私自身はいまのところは、教員養成講習には直接関わっていま せんので、実際にどのような方が、どういう形で受講されているのかは経験がなく、学校に 来られた先生方を見てしかわからない部分があります。いまそのようなことを考えています。 ○永山座長 すみません資料5の2頁の見出しが抜けておりました。追加をお願いします。 ○島田課長補佐 申し訳ありません。資料5の2頁のいちばん上に本来IIとして「看護教員 の養成について」という1行が入っているところでした。看護教員の養成については1、2 と大きく分けて、「看護教員養成講習会について」と、3頁にある「今後の看護教員養成の あり方について」ということでまとめました。失礼しました。 ○永山座長 それでは議論に戻ります。ほかの委員の方からもご意見を頂戴したいと思いま す。 ○齊藤委員 看護教員と一口に言っても、その看護教員が受けてきた教育背景は非常にさま ざまなのです。私も厚生労働省の幹部看護教員課程の修了生なのですが、そのときに、いわ ゆる中学を出てから国家試験受験資格を得るまで、准看養成所から始まって、看護系の大学 まで全部含めて、どのくらいのコースがあるのかを調べたことがあるのですが、40近いコ ースがあったかと思います。そうすると教員になった人の中にもいろいろなコースの人がお り、そして臨地実習に行ったときに、実習指導者がいちばん困るのは、先ほど安酸先生がお っしゃったように、教えられたように教えるというところは、自分の受けた教育の機関での 教育しか知らないわけです。ですから、そういうところでの問題があるのかなと思います。  私も教員養成講座へ行ったり、そういう所で教えられたように教えていた自分に気づく機 会があり、やはり看護は実践するということがとても大事ですが、それを学生にどう教えて いくかでは、やはり教えていく力、教えていく能力、そういうものがとても必要なのかなと 思うのです。ですからこの資質・能力と言ったときに、看護ができるだけでは駄目で、やは り1つの場面を見て、学生のやったことが看護になっているのかなっていないのかを教え込 んでいく力というのも養える機関が必要だなと思います。 ○永山座長 そのほかいかがでしょうか。 ○岩本委員 資料3の講習会の実施内容を見ると、看護師としての経験があって、それに関 しての教育についての基盤の知識があって、実際に専門分野を見ると、ある意味で看護学に 関する授業が展開できるということが、いちばんの目的として、内容として構成されている と私自身は思うのです。ですけれども、いま求められているのは、やはりいまキャリアにつ いての教育は非常に大事だということで、諸学校あるいは看護学の中でも言われていますが、 教師としてどうあるべきか、看護教員あるいは看護教師としてどういうように自分が立つの だろうかなど、そういう内容が非常に少ない。この中で育っていくということですが、いま 科目としてそういうキャリア形成的な内容は、科目として位置づいているのは現実ですので、 逆にそういう教師としてのキャリア形成としての内容などです。  今回のカリキュラムの中で看護の統合と実践という分野ができましたが、それは自分の領 域だけの問題ではなく、全部の領域に関わってくる内容です。そうするとそこでの企画、運 営、あるいはマネジメントをするなど、そういう内容も必要になってくると思うのです。で すからある意味で学校管理という科目がありますが、もう少し大きな学校マネジメント的な 内容、全体を見渡すための内容などが、具体的な内容として必要なのではないかなと考えて います。 ○永山座長 ほかにいかがでしょうか。 ○澤本委員 教育のほうの考え方で言うと、先ほど安酸先生がおっしゃった部分に関わるの ですが、教師の専門性で、例えば授業の指導力という場合に、何をもってよい授業とするの かについては、いろいろな考え方があるわけです。イデオロギー、価値観によって全く正反 対の評価をすることにもなります。厳しく鍛えなければ駄目だと考えている先生は、あんな 甘い指導では駄目だと評価するかもしれないし、やはり子どもの人権をきちんと考えなけれ ばいけないと考えている先生は、あの対応が非常に適切だと判断するかもしれないわけです。 ですから校内研などで先生方が研修するときに、もちろんどういう授業がいい授業かという のは最初に口で言い合っても駄目で、実際の授業を見て、見たところで、そこに現われた具 体的な事象を対象として、それについてどう考えるかをきちんと根拠を明らかにして説明し、 意見交換することを通して、何をもってよい授業とするかの合意を形成していく。学校とし てある教育を徹底してやろうと考えたら、そういう合意が管理職も事務職員も含めて教師の 間で共有できないと、最終的には徹底した教育ができない。保護者も子どもも巻き込んでで す。  その考え方を鑑識眼、授業鑑識眼という、connoisseurshipというのですが、これはアイ スナーという美術教育の先生で、評価研究もやっている大変高名な方ですが、この方が connoisseurshipということをおっしゃられて、日本では上智大学の加藤コウジ先生が紹介 したということで、1980年代の日本教育工学会が中心になって出した授業研究事典にそれ が出ているのです。この考え方は非常に重要で、アイスナーは美術教育の専門家ですので、 名画を鑑賞するときに、その絵を見て少しも感動しない学生もいるわけです。その人たちと 一緒にその絵を見て、どこが美なのかということをみんなで考えるという指導を通じて、こ の考え方に達したそうなのです。やはり授業、方法などについてもやはり美というものがあ ると思うのです。ですから看護の世界のことはわかりませんが、やはり看護師としての美し いあり方というか、そういうものがおそらく合意形成がある程度できれば、そこから起こし て、そういう看護師を育てる教師の指導のありようとしての美というか、そういうものを想 定して考えていくという方法は1つあるかなと考えました。 ○永山座長 佐藤委員どうぞ。 ○佐藤委員 質の高い看護教員という視点から少し外れまして、教員一般論の方面からお話 申し上げておきます。教員というのは学生を学習に駆り立てる、マインド・コントローラー でなくてはならない。あるいはまた学生と一緒に泣いたり笑ったり、俳優みたいなことをや らなければいけない。いろいろと多面的な素養を持っていることがひとつあるかなというこ とです。それから人は自分が好きな人、尊敬する人から物事を学び取るようにプログラミン グされていると言われておりますので、そういう視点からいくと、学生に尊敬される、ある いは好かれる、そのような人にならなくてはならないのかなと。いわゆる魅力のある人、そ ういう素養が必要かなと。そういう視点からいくと、まず教員というのは教員である前に、 人間として魅力がなくてはいけないのかな。それから看護教員としては、看護職者、医療人 として尊敬される、魅力のある資質を持っていなければいけないのかなと。そして3点目に は、教員としての魅力というものを備えていなければいけないのかなというように思います。 そういう意味からいくと、私は失格になるわけですけれども。  それから先ほど教えられたとおりに教えてしまうというご意見がありましたが、これは看 護教員に限らず我々もそうです。小学校や中学校や高校で教えられたような、自分の恩師の 方法をいつの間にか真似てたりすることがあります。実はそういう意味では教員というのは 非常に責任のある、一挙手一投足が学生に与える影響は非常に重要なインパクトを持ってい るかなと言えると思います。以上です。 ○永山座長 教員の資質については、これ以降も継続教育等でもまた議論が出てくるかと思 いますので、1についてはこれぐらいでと思いますが、どうぞ。 ○安酸委員 もう1点、いま澤本先生の話を聞いて、特に実習の中で学生に何が看護なのか、 これは看護でないのかという、それを教えることのできる教師の目というか、それをなかな か言語化しにくいところはあるのですが、極めて高い能力を持っている先生が実習指導する と、学生が本当に変わります。だからそこをやはり求めていくべきだろうと思います。  その中で能力としたら、教材化能力だと思うのです。患者さんの状況も変わるし、いろい ろなことが変化する中で、学生が経験したことをどのように教材化して、学生に授業として 展開できるか。その能力がやはり未熟な場合は、この場合という、本当にこの場合に限定し たことに終始してしまって、学生がその後の学習の転移ができにくいということもあります。 ですから少し具体事例を表象化できる能力や、もちろん理論を持ってくる能力、それが自在 にできる教材化能力、ここの耕しというのがまだ不足しているのではないかなと思っていて、 そこがこういう教育の中でもう少し位置づけられるといいかなとは思っています。 ○永山座長 重要なところが出てきたのではないかと思っております。井部委員どうぞ。 ○井部委員 皆さんのご意見を伺って確認しておいたほうがいいなといま思ったのですが、 看護教員に求められる能力は、教育の質を高める能力が求められるという、そこは私もどな たかがおっしゃったのに賛成なのですが、看護教育の質を高める能力のある人が、看護教員 として適切だというように、そこを置かないと、すぐに人間論になってしまうので、看護教 員が立派であれというのではなくて、看護教育の質を高めることができる看護教員は、どう いう能力、準備状況があればいいのかという、そこははっきりしておいたほうがいいのでは ないかと思いました。 ○永山座長 よろしいでしょうか。 ○齊藤委員 看護教員は授業ができるということが、いちばん大事かなと思っているのです。 この授業というのは学内の講義だけではなくて、講義・演習・臨地実習、このすべての場面 で全部が授業であるということです。いろいろな場面で、先ほど安酸先生がおっしゃったよ うな、特に臨地実習は科学の知と言われるものを実践の知に落とし込んでいくときに、とて も重要な場面であるということで、とてもここの部分がいま疎かにされているのではないか という印象があります。ですから、資質と言いますと、授業ができる人というのが大事なの ではないかと思います。 ○後藤委員 ちょっと気になるのは、教員講習会のカリキュラムの名前です。全部、看護、 看護と書いてあります。もちろん看護教員ですから。しかし、お話合いの中で、人間を育て るのだという視点を絶対忘れてはいけないということが出ていると思います。例えば、人間 教育論とか、そのような観点で、つまり、子どもを育てるとか、看護師は患者をある意味で 教育するという場面は非常にあると思います。そういう意味からも看護教育ではなくて、人 間教育というのか、人間学、人間を教育するみたいな科目の名前があってもいいのではない かという気がします。  それから、いわゆる授業をやるときの教育の質を高めるための技術論がいろいろあります。 しかし、人間を育てるのだという視点を絶対失わないためにも、ともかく看護師になる学生 を育てる前に、この子が患者なり対象となる方に人間として接してもいいのか。つまり、自 分で学生を見ていて、こんな子が看護師になっていいのかと思う子がいたり、こんな子は是 非看護師になってもらいたいと思うが、少し学力が足りないから学校へ入れないとか。抽象 的な言い方ですが、看護師として必要な人間力と学習能力、知識とのバランスをとっていく ためには、すごく勉強ができるが、自分が入院したら、この子には見てもらいたくないみた いな子が育ってしまうといけないと思いますので、むしろ人間教育論など、そのような科目 立てみたいなことのほうがはっきりするのではないかと思います。 ○永山座長 カリキュラムについては、また後日議論する時間がありますので、次に進ませ ていただきたいと思います。  それでは、続きまして「看護教員の要件に関して」、いまも若干出てはきておりますので、 その延長線上でご議論をお願いしたいと思います。現在の看護教員の要件は、先ほど説明が ありましたように資料6に示されております。この看護教員の要件は養成所の教員にかかる ものですが、これまで具体的な議論はあまり進んでおりません。そういう点から、実際に養 成所で教員をされている先生方からご意見を伺いながら、ほかからもご意見を伺いたいと思 いますので、よろしくお願いしたいと思います。では、口火を切って岩本委員、いかかでし ょうか。 ○岩本委員 この2つというとおかしいのですが、3年以上の業務に従事して、大学で教育 に関する科目を履修して卒業という要件がありますが、それと研修を修了した者ということ が2つ並んだときに、同じ要件としてなり得るかというのが、すごく大きな疑問だと思いま す。5年以上の業務に従事して、専任教員として必要な研修を修了するという意味において、 臨床経験があって、いまカリキュラムが示されましたが、教育学と看護教育に関する研修を 受けたことにおいて、教員としての要件がそこにある。  もう1つはいま話をしましたが、3年以上の業務で、大学で教育に関する科目を履修する と言ったときに、そこでこれを一緒の要件とした場合に、看護教育に関する学習というので しょうか、それは全くしていない形で教員として教育の場にいらっしゃるわけです。私も実 際にそういう教員と対応したことがありますが、看護教育に関するそこで使われている言葉 とか、いろいろな内容について理解をするまでに非常に時間がかかりますので、それに関す るプログラムを作っていかないと一緒にディスカッションができないという状況もありま す。ただ、それについての資料を提供したり、そういうプログラムを提供したあとで一緒に 教員としてやっていけるということはありますが、最初の戸惑いが非常に大きいのではない かと考えています。ですから、これを同じ要件にすることに関しては、ちょっと疑問がある というとおかしいのですが、していいのだろうかということが現実にはあると考えています。 ○永山座長 現場からのご意見です。ほかにいかがでしょうか。 ○佐藤委員 いまの「3年以上業務に従事し、大学で教育に関する科目を履修して」という 条文が入った経緯は何ですか。 ○島田課長補佐 いまもどんどん看護系大学は増えていますが、そういった大学を卒業して 看護師になる方々かどんどん増えてくる中で、そういった方々に、こういった教育の場で活 躍していただくということも、どんどん進めるべきではないかということがあって、そうい うことを背景として、この条件が入ったという経緯があります。 ○永山座長 それでは、齊藤委員、いかがでしょうか。 ○齊藤委員 私もイに該当する教員にお会いしたことがないのです。都立の中では、いても 本当にごく少数で、現実的な要件ではないような印象を受けています。  それと、なぜ大学教育に関する科目を履修した人のほうが、専任教員として必要な研修を 受けた人より臨床経験が短くていいのだろうかという疑問があります。先ほどの臨床の知と いうか、実習を指導するときに、臨床経験がないと学生に自信を持って教えられない、そし て実習指導が授業にならないということがあるので、大学の科目に関する項目をもし残すに しても、臨床経験5年というのは必要ではないかと思います。 ○永山座長 それではそれに関連して、どなたかご意見ございますか。 ○石渡委員 いまのイのところでお聞きしたいと思います。教育に関する科目の合計4単位 以上ですが、ここの最後に「教育の方法・技術及び教科教育法に関する科目」になっていま すが、これは実習というわけではないのですよね。 ○島田課長補佐 特に実習なのか講義なのかを規定しているわけではありません。こういっ たものが含まれていればということです。 ○石渡委員 そうすると、教員養成課程の中では実習という時間が組まれていて、そこで実 際の学生と実習指導をしたり、模擬授業を行ったりという実践が必ず含まれているというと ころがありますが、イに関しては、実際的なそういう実習がないまま、そういう要件が入っ ていることになります。そうすると、その辺りは実際の場面で教師として学生に当たるには、 かなり大変な状況になるのではないかと推定されます。私も実際にそういう方にお会いした ことがないので、わからないところです。 ○林正委員 ここに問いかけとして「専任教員の要件は現状維持とすべきかどうか」という 文言があります。これに関してはっきり申し上げるのであれば、イに関しては、大いに改め るべきだと思います。あるいは、やめてもいいと思います。  なぜかと言いますと、看護学部の学生でこれを満たす人はほとんどいないはずです。実際 にこれができるのは養護教諭のI種を一生懸命やろうとする人たちで、この人たちは実習と か、そういうことをやりますし、これらを4単位以上、随分たくさん取ります。しかし、そ のような人は実際に私は助手、あるいは助教としては見ておりません。助手・助教として入 って来られる看護系の大学の卒業者は、最低限でも普通は5年以上の経験者を私たちは採っ ています。ですから、この3年というのはなぜ出てきたのか、ちょっと意味がわからないの です。 ○安酸委員 看護学校で、イの要件で入った人で優れた実践教育をしている人がゼロなのか どうかは私はよくわかりません。入った経緯はわからないのですが、イというのを私は外し てもいいのではないかと個人的には思っています。  年数というのは3年だから短いということもなく、それでも素晴らしい教育ができる人が 可能性としてはいるのではないかと思うので、5年と一応アで決めており、イで3年となっ ていますが、3年だから悪いとか、5年だからいいとか、5年でも駄目な人もいたりします ので、イを外し、ウで「アと同等以上の」というところを、もしかしたら3年あるいは4 年だけれども、極めていいということを採る側が判断できるような人がいた場合は、5年に 満たなくても採ることも可能性を残すということで、ウがいいとなるのでしょうが、イを外 してもいいのではないかと思います。数も少なそうです。 ○澤本委員 私は看護のことがわかりませんので、何年がいいかはちょっと言えませんが、 1つはそれはどのハードルを、どの辺に設定するかによって決まると思います。学校教員の 場合ですと、3年というのは、やっと1人で1年間のカリキュラムを自分で立てて、多少教 材を入れ替えたり、学校教員の場合は検定教科書があって、ある程度年間カリキュラムが決 まっていますから、あちらとこちらを入れ替えてとか、あれとこれとをつないでとか、その 程度のことですが、そういうカリキュラムの作り直しができるぐらいのところが3年目ぐら いです。  ですから、それで教えるとなると、先ほど安酸先生が言われたように、実際の演習や実習 の指導のときに、具体的にそこで起きている事象を取り出して教材化して、「こういう問題 のときにはどうすればいいの」と投げかけて、いろいろ考えさせて深めるという指導は3 年程度の経験ではなかなか難しいと思います。5年でもなかなか大変ではないかと思います。 私の感じだと、それは10年教員の水準ではないかなと。  ですから、教員になってからも成長すると考えて、若い先生が必要ということも学校の組 織の中ではあるでしょうから、そういうことも含めてということで、どの辺にハードルを設 定して、どう育てていくかという継続教育の問題とも繋がってくると思います。 ○永山座長 この件につきまして継続教育のところでも、また議論が出てくるかと思います。 ○野村看護課長 事務局から、資料5の点線で囲んである内容を書いた意図をご説明させて いただきます。いま非常に大学が増えてきているということと、大学院も増えてきていると いう状況の中で、イのように「大学で」としか書いてなくて、大学院について全く触れてい ません。実際にはウで読もうと思えば読めるわけですが、全然明示的に書いていないという 状況があります。例えば、養成所を卒業した後、大学院に入っている方もたくさんおられま すが、そういう所で教育のことを学んでも明示的には入ってこないで、ウでしか読めないみ たいなことになっていますので、看護の教育の変わってきた状況から、少しそういったとこ ろも広げて、要件を広げていくことも考えられるのではないかと思っておりましたので、1 頁の中で「現状維持とすべきかどうか」とか、例えば2ポツ目に「要件を緩和した場合」と 書いてありますが、そういう意図でこの辺は書いています。教員になってくる人の間口を狭 める方向よりは、広げる方向という考え方もあるのではないかと、こちらは考えていたとこ ろです。 ○井部委員 確認ですが、資料5には看護教員しか書いていないので、いま議論しているの は看護師等養成所の教員の話に限定しているように聞こえるのですが、それでよろしいので しょうか。看護教員は大学にもたくさんいるわけですが、それは除かれるているのでしょう か。 ○野村看護課長 教員の要件というのは指導要領に書かれておりますので、指導要領は養成 所が該当し、大学は該当しておりませんので、ここでの要件という言い方からしますと、養 成所の教員に限定をしております。大学の教員については別途、文部科学省のほうで定めて いるところによるかと思っております。 ○井部委員 そうしますと、次に資料を作るときには、この看護教員は養成所の看護教員だ ということがはっきりするように資料を作っておいたほうが誤解が少ないのではないかと 思いますが、いかがでしょうか。 ○野村看護課長 その辺はわかりやすくしたほうがよろしいかと思っています。要件という 言い方では確かにそうなのかもしれませんが、看護教員の入口としてどうあるべきかも含め て議論していただいてもよろしいとも思っておりますが、限定的な要件という言い方をした 場合には養成所だと思いますので、資料の作り方は考えたいと思います。 ○永山座長 それでよろしいでしょうか。 ○井部委員 はい。 ○後藤委員 私は看護そのものはよくわかりませんが、学校をやっている現場として考える と、5年ぐらい、5年以上ということで、教員として戻ってきたいという人よりも、3年ぐ らいの臨床経験のところで、教員として戻ってきたい、戻したいとか、むしろこの辺を、大 学で教育に関する科目を履修して卒業した者ではなくても。この前伺いましたが、業務の経 験というのは、いまは病棟勤務とか、外来勤務とか、病院とか診療所などは関係がないとい うお話でしたよね。ということは、看護師の免許を取ってから5年ということですから、む しろ3年として、しっかり病棟勤務をしたとか、内容について、看護師としてしっかり臨床 経験をやっていたのかというところを厳しくして、年限を下げていただくという考えも盛り 込んでいったら、少し門戸が広がると思うのですが、教員のなり手が少ないのが現状ですか ら。 ○佐藤委員 いまのイで、業務経験の是非は別にして、私はちょっと拡大解釈していたので す。最近、看護大学が非常に多くできていますから、看護系の大学で学んで卒業した場合、 講習会のカリキュラムの基礎分野と専門分野をそこで読み替えて、あと看護系大学では教育 系でないと教育分野がないので、その辺りを少し学んで、教員として採用できるのかなとい う解釈をしていたのです。こういう条文が増えてくると、いまは教員のなり手が少ないとい うこともあって、教員の量の確保からいくと、こういうところは残しておいていただきたい と思います。 ○永山座長 そういうご意見もあるということでよろしいでしょうか。 ○井部委員 先ほど言われたように、大学で養護教諭を取るときに教育に関する科目という のは決まっているのですが、それをもう少し開いて、養護教諭で決まっているような教育に 関する科目ではなくて、看護教育をするために基礎となるような科目を、大学でもう少し拡 大したらいいのではないかと思います。大学で、教育に関する科目について条件を広げると、 大学4年間で単に看護実践だけではなく、看護の教育的な側面も学習することにすると、該 当者が増えるのではないかと思います。 ○永山座長 ただいまの発言ですと、要件の拡大のための1つの方策としてということで承 っておいてよろしいでしょうか。 ○井部委員 はい。 ○石渡委員 先ほど「5年以上業務に従事し」というところを、もう少し下げてもいいので はないかというお話もありましたが、臨床の看護師の状況を見てみますと、いま3年ぐらい の方で新人教育のプリセプターをやっている看護師も多いと思いますが、資格を取って出て きた新人の看護師を教育するに当たっても、すごく悩んだり苦しんだりということで、3年 間の経験をもって学生を教育できるのかということを考えると、私は非常に不安な部分が多 いと思います。やはり5年程度の臨床経験は必要なのかと考えているところです。 ○井部委員 私たちはハードルを高くするのはいいのですが、それだけ高くして人材が確保 できるかというところをもう少し考えなくてはいけないのではないかと思います。養成所の 先生になれば、すぐに授業をしなければならない状況だというのも問題ではないかと思いま す。  教員になって、大学でやるいわゆるFDのような学習環境が養成所に全くなくて、突然授 業をやったり、突然臨地実習に行くというのは難しいことだと思います。また、外に講習会 に行くにしても、代わりの人がいないとか、時間が取れないということになるわけです。教 育環境そのものをもう少し改善する必要性があると思います。 ○永山座長 その件も継続教育との関連性で、また議論に出てくるかと思いますので、よろ しくお願いしたいと思います。  それでは、IIの「看護教員の養成について」に入っていきたいと思います。資料5で、い ま議論してきたわけですが、このような看護教員の養成講習会の解決すべき課題は、大きく 分けて、1点目は「看護教員養成講習会について」で内容、2点目は「今後の看護教員養成 のあり方について」ということで、少し整理をしていただきましたので、それぞれの項目に ついて10分程度、具体的な議論をいただければと思っています。先ほどからカリキュラム の内容、方法論でも議論も出ておりますので、そのほかの意見等ございましたら承りたいと 思います。それでは、看護教員養成講習会について、今回は資料等もたくさん用意していた だきましたので、その点からでもご指摘、ご意見、ご助言をいただきたいと思います。 ○石渡委員 看護教員の養成講習会のほかに、実習指導者講習会という3ヶ月程度の教育を どこの県でも行っていると思いますが、その教育内容とか、その辺りは各県で結構ばらつき があったりしているものなのでしょうか。その辺りのあり方はどのようになっているのでし ょうか。 ○島田課長補佐 実施状況について、特に今回、教員養成講習会について都道府県に聞いて、 まとめたりはしていないので、詳細はわからないのですが、教員養成講習会と同じように補 助をしている関係上、こういった方法で実施をするという要項は示しており、似たようなス キームになっております。ですから、そこから類推しますと、その範囲ではありつつも、実 施状況はさまざまという状況があるのではないかと思います。 ○石渡委員 話が流れてしまうのかもしれませんが、当院でも何人か実習指導者の養成講習 会に出ていまして、報告内容などを見ていると、教員養成講習会の中身とかなり似かよって いる部分で学習している内容もあるのかなと思います。  そうすると、教員を養成するに当たって、実習指導者の3ヶ月の講習と、さらに教員にな るに当たっては8ヶ月の講習を受けるという辺りで、内容にかなりダブりなどがあるとした ら、臨床の現場でまずは実習指導者の養成をすると考えると、3ヶ月の研修に出して臨床指 導者の養成をする。それを経験させてから教員養成の講習会に出すに当たっては、その3 ヶ月の内容を考えていただいてという段階的なところも考えることができるのかと思いま す。 ○永山座長 この件については、これまであまり議論はされておりませんので、一応入れて おくということでよろしいでしょうか。 ○石渡委員 はい。もう一点は、実際に厚生労働省の看護教育研修センターを受講した者が いまして、その人に内容を確認したのですが、臨床の場から1年間の教育を受けてきた彼女 の感想は、受講者の中には実際に教員になっている人で出てきている人と、自分たちのよう に臨床の現場から出てきている人がいて、レディネスが違うという辺りは相当感じて帰って きたようです。その辺りも、実際の現場で教員として動いていて、カリキュラムの構築とか、 いろいろなことに関して基本的なことがわかっている人と、臨床の場からいきなり行った人 とでは、その辺の教育内容は多少違えてもいいのかなということは、私も同感しました。 ○永山座長 その点についてはよろしいですね。それでは関連してどなたかご意見ございま すか。学生のレディネスというところですが。ないようであれば、ほかでも構いませんが。 ○安酸委員 8ヶ月以上の講習を受けていない人の先生の割合が多いということは、ここの 会に出て初めて知ったのです。みんな出ているものだと思っていたのです。出ていないとな れないという、それが望ましいみたいなことで、絶対にそうでなければ駄目という縛りにな っていないと前のときに聞いたと思います。入ってしまっても、自分として教員として通用 するではないかとなったあとで、よかったら出なさい、できるだけ出たほうがいいというこ とで出るわけです。そのときに今度はストレートでというか、病院から来た人とのレディネ スの違いがあるということなので、出ていないと駄目というと、数が圧倒的に足りなくなる という問題のほうが強いのでしょうか。 ○永山座長 いかがでしょうか、把握されていますか。 ○島田課長補佐 前回の資料で未受講者率なども出しているかと思いますが、実態として先 生が言われるように、受講していない方で教員をしている方がおられるので、それを一気に 一律受講せねばならないということには、すぐには難しいというのが現状だと思います。 ○安酸委員 看護教員になるための要件として、すぐにではなくても、長期ビジョンででも、 そのような姿勢を出すことは可能なのでしょうか。望ましいではなくて、こうでなければと いうことです。 ○永山座長 それこそ実施にかかわる要領の文言などが変わると思いますが、いかがでしょ うか。 ○島田課長補佐 そこは逆に通知などはいかようにでもなるので、実際面から見て、そうい ったことが必要なのかどうかをご議論いただき、もちろん先ほど確保の点からもというご意 見がありましたので、そういったことも含めて、どうあることが望ましいかといったことを ご議論いただきたいと思います。 ○永山座長 教育の質を担保しようというところから、この議論は出発しておりますので、 とても重要な要件かと思います。 ○澤本委員 現職の教員の研修ですよね。看護教員の研修が、いまの話では義務化されるべ きか否かというお話です。それでいうと、私はそれがなかったら恐ろしいことだと思います。 必要だと思います。  何が必要かというのは、看護の中身については何とも申し上げられませんが、教育に関し てでも、教育内容は日進月歩でどんどん変わっていますから、内容の研修も必要ですし、当 然、指導に関する指導観も劇的にいま変わっていますので、そういう時代に10年、20年前 に学んだ指導観のままで、学生が変わったからといって、それに付いていくだけでは後追い の指導にすぎません。先手必勝ではないですが、その時代の最先端のことから歴史的な問題 まで、何らかの形で研修は必要だろうと思います。ただ、どういう形でするのが現実的かと いうことはまた別の問題です。 ○井部委員 澤本委員の発言からすると、この講習会はそういう機能を果たしていないと思 います。日進月歩の質の保証をするためにブラッシュアップするための講習会というよりも、 教員になるために1回だけ受ければいいという登龍門のような位置づけですので。私も澤本 委員の考え方に賛成です。したがって、医師もそうですが、看護師も免許の更新はなく、一 生ものですが、でも臨床にいれば勉強しないと仕事ができない状況があるので、何らかの形 でみんな努力するわけです。教員も何かに追われて自発的に能力開発をしていくということ はやっていると思います。国の制度として看護教員の品質保証をどういう形でするかは、こ の講習会とは別な仕組みが必要ではないかと私は思います。 ○安酸委員 最初、私が言ったのは入口論の講習会の話でした。澤本先生が言われている FDの義務化に関しては別の議論だと思います。ただ、私も同感です。大学も大学院も、い まはFDは義務化されています。されたときは、大学教員に対する信頼がなくなったのだな という感じを受けたのですが、義務化されてでも、とにかく必要性はあるわけです。看護師 養成学校ではFDはいま義務化されていません。FDはすごく参加率が高いのは知っていま すが、義務化できたらそのほうがいいと思います。 ○林正委員 話を本体に戻します。「全国的にばらつきなく養成される仕組みを構築するた めには」というわけですよね。前回、お話がありましたが、滋賀県と京都府は共同開催が可 能だったわけです。それはそれぞれのいろいろな事情があって、両者が一致点を見出したわ けだと思いますが、単独で開催できない県の場合ですと、そのような共同開催ということを 厚生労働省から持ちかけてみるのも1つの方策ではないでしょうか、  例えば、私がいる山梨県はこの教員の研修を受けていない人が3割を超えています。しか し、1県で30名を超えるそういう講習会は絶対に開けないと思います。例えば、長野県が 苦労して、しておられますから、共同開催すると何とかうまくいくのではないかという感じ を、この間受けたのです。 ○永山座長 本論に戻していただいてありがとうございます。それでは、点線の中身につい て、ほかにご意見ございますか。 ○後藤委員 いまの「全国的にばらつきなく養成される仕組み」に関連すると思いますが、 放送大学や、e-ラーニングなりで、講習会の中身の知識の面については、そういう方法を 使って均一的にする。各都道府県でやるのは、実際の実習や演習に限るというように講習会 の仕組み自体を考え直せば、ばらつきがあまりなくなるのではないかと思います。実態とし て開催がちょっと少ないのですから、そういう点も看護養成所で講習を受けていない教員が 増えている1つの理由ではないかという気がしますので、是非、門戸を広げていただきたい と希望します。 ○佐藤委員 この講習会は、量の確保からいきますと、現状の方法を維持しつつも、大学と か、大学院でこれができないものかと。今日の資料にもありまして、何県か委託されている ようですが、北海道から九州まで1つのブロックに1つの大学という程度から始まり、この 講習ができないのかなということです。 ○永山座長 それでは、ご意見として承っておきたいと思います。時間がきておりますので、 2点目の「講習会の質の充実・確保」に移りたいと思います。そこでは看護教員に求められ ている資質を踏まえて、現行の実施要領に定められているカリキュラムの内容等はどうだろ うかというところに議論を進めていきたいと思います。先ほどからもたくさん意見が出てお りますので、そのほかのご意見がありましたら承りたいと思います。 ○安酸委員 1つは、時間縛りを単位というようにまずは切り替えるのはどうかと思ってい ます。大学とか、大学院でとするにしても、単位というようにこのカリキュラムを組み直す 検討をまずしていただけたらと思います。 ○永山座長 そうですね、それが1点あろうかと思います。そのほかにいかがでしょうか。 ○後藤委員 先ほども申しあげましたが、ここで申し上げたいのはカリキュラムの問題です。 いわゆる教育学の中にもちろん入っているわけですが、学生の行動変容を起こしていくため の方法論とか、教育と言ってしまうと、先ほどからお話が出ていますが、教え込むみたいな 話があるので、行動変容のための能力を高めるとか、具体的に言葉で出していただいたほう が分かりやすいと思います。  もう1つは、いわゆる学生の感性を育てるというか、これも教育学そのものの中にもちろ ん入っているわけですが、言葉として出していただいたほうが。教育というと、みんな教え 込む、どのように教えたらいいか、どのようにしていけばいいかというように議論が行って しまうので、具体的にそのように出していただいて、カリキュラムの中でもそういうものが はっきり分かるようにしたほうが分かりやすいのではないかという気がします。 ○永山座長 教科目名等の検討をということでよろしいでしょうか。ほかにいかがでしょう か。 ○井部委員 1つは、講習会をばらつきなく行うためには計画を立てて、その実施のための 予算が必要になるわけです。受益者負担でかなりお金を払っていますが、こうしたことがで きるような国の支援はきちんと確保していただいたほうがいいと思います。そうすると、も っと開催県が多くなるのではないかと思います。今回、予算の問題で開催を見送った所はな かったのでしょうか。 ○永山座長 先ほど配付された資料で、受講者1人当たりの受講料もちょっと差があるので すが、その辺りはいかがでしょうか。 ○島田課長補佐 先ほど資料4の説明のところで申し上げましたが、前回、参考資料として 実施状況について全貌を示しておりますが、その中で教員養成講習会の実施における課題で、 いくつか挙げられて、まとめられており、受講者の確保が最も多い課題になっていますが、 3番目には都道府県の財源の確保も挙がっていますので、そういうことも開催困難の要因の 1つにはなっているかと思います。 ○永山座長 そういう実態はありますということでよろしいでしょうか。ほかにいかがでし ょうか。 ○齊藤委員 教育実習の内容についてのことですが、この23ヶ所の中で、3つの教育実習 をしている所が9ヶ所もあると伺って、私もちょっと驚いたのです。いままで教育実習を受 けた経験で、講義と臨地実習の指導案を立てるので精一杯ではないかと思っています。例え ば、1つ実施という所はもう少し増やしていただいたほうがいいのかと思いますが、3つ実 施した所が、成果としてどうだったかということが、情報としてありましたら教えていただ きたいと思います。多すぎないかという印象なのですが。 ○島田課長補佐 本日資料4に出している限りで、それ以上の効果の辺りは、データとして 持ち合わせていません。 ○齊藤委員 ただ、90時間という実習時間は変わりませんよね。この中で3つ展開という のは、実習生にはすごく過酷な内容だなという印象を受けました。 ○永山座長 資料4の2では、たぶん○が3つ付いている所が9ヶ所あります。詳細はいま のところ即答はできないということでよろしいでしょうか。 ○島田課長補佐 追加で少し説明をさせていただきますと、資料4の2頁に教育実習の内容 についてありますが、例えば、3つやっていても、福島県の「その他」に「講義は必ず実施、 学内演習及び臨地実習指導は見学実習」というのもありますので、その内容もかなりいろい ろであるという状況かと思います。 ○齊藤委員 盛りだくさんに内容をやるということより、1つのことをじっくりとやる内容 にしたほうがいいのかと思います。 ○永山座長 ゆとりのところと関連があるということでしょうか。そのほかにいかがでしょ うか。 ○澤本委員 学習する内容は、受講する受講者の年齢も相当関係があると思います。ですか ら、例えば経験3年という場合に、高校卒業したら看護師になれるわけです。そうすると3 年ということは21歳で受講できるわけですね。24歳ですか、21歳ではできないのですか。 ○野本委員 21歳で看護師にはなれますが、それから3年です。 ○澤本委員 そうですか、失礼しました。そうすると24歳でなるということですね。24 歳でなる人と、例えば30歳近くまで経験して受講する場合とがあって、そう機械的にはい かず、個人差も大きいのですが、人間的にと先ほどから問題になっているところは、一般に そのように考えたときに、知識をつめこみで受けても、それを消化して自分のものにする、 身体知や暗黙知のほうに持っていく、そこの力がいちばん勝負なので、その咀嚼力、消化力 が違うと、同じ知識をやっても全然違うわけです。  そういうことで言うと、一律に指導する場合に、現状は指導する先生側がそれを配慮して バランスをとっておられるのかもしれませんが、本当に実質を高めようと考えた場合は、特 に人間的な人生経験というか、理解、特にコミュニケーション場面での、クライアントは言 葉で全部説明しないでしょうから、それを一瞬の出会いの中で了解して、どういう対処が必 要かということを読み取って、自分で対処行動ができなければいけないわけです。そこのと ころは教師の実践と同じですので、本当に出会った1秒か2秒の間に意思決定して対処行動 を繰り出す、そこのすごさです。そこはどの程度見えるようになっていくかということが最 終的には勝負になるわけです。それを指導するということですから、さらに高度な話なので、 カリキュラムの中にそういう指導内容が盛り込まれることが必要ではないかと考えます。  そうやって変更された先ほど説明のあった一覧表を拝見して、平成8年以降の改定の科目 を見ますと、フィールドワークをより重視した内容にも読み取れるのですが、そういう理解 でよろしいですか。つまり演習という名称が増えているのは、実践的な能力を高めるという 考え方で、そういう看護師を養成するという観点で、このカリキュラムが改定されたのかな と私は見たのですが、そういうわけではないのですか。 ○島田課長補佐 その結果として、どういう看護師を養成するかというところに影響するの だと思いますが、これ自体は教員を養成するというプログラムの変更なので、教員の教育実 践能力を高める目的で、教育実習とか演習を強化したということです。 ○澤本委員 いま私が申し上げたそういう能力は、教師としての能力としても必要です。教 師としての専門性と看護師としての専門性は違いますが、コミュニケーション過程で相手を 見て、身体情報を含めて一瞬のうちに全部を理解して、何が必要かを判断できて、それを専 門的な知見を踏まえて対処できる。教師もまさにそういう専門家ですので、そこは非常に似 た能力だと私は理解しています。  そう考えると、実践場面での意思決定から行動化して、自分のとった指導を即座に判断し 評価して、まずければもう一度指導し直すというのと同じで、おそらく看護場面での看護師 がする対処と非常に似ていると思います。これは藤岡完治先生も言っておられたことですが、 気づいて直すというセルフアウェアネスの能力を高めるカリキュラムをどのように明示的 に設定するかが大事ではないか。  私の場合は、自分の大学では授業研究論という科目を開設させてもらって、1年間かけて、 授業ですからケースを見に行って、5〜10時間ぐらい見学するのですが、その中から自分が いちばん感動した授業を選んで、グループワークで1年間徹底的に分析する。分析するため にはノウハウがわからないと駄目ですので、当然、授業研究の方法論の本も読まなければな らない。でも、そういう知識だけいくら読んでも駄目なので、自分が直に見たもの、いいと 感じたものが本当にいいのか、なぜいいのか、どこがいいのかを理論的にデータを分析して、 明示的に説明するという研究を1年させて、論文化して、それによって、感動した秘密はこ のように理論的に説明できることだったのだということで知的にも納得する。  だから情意的に感覚的に捉えた真実と、理論的なそういう研究を踏まえた学問的な方法で 整理したものとの知識がつながる。そのことによって授業が見えるということの基礎的な力 を育てるということをやっているのですが、それは非常に時間もかかることなので、もう少 し短いところでエッセンスを伝えるノウハウを先生方もお持ちだと思うので、そういうもの を明示的に位置づけることは必要ではないでしょうかということです。 ○永山座長 ありがとうございました。一つひとつやっていきますと、だいぶ時間がかかり ますので。 ○後藤委員 組み込んでいただきたい希望ですが、継続教育のことはこのあとですか。 ○永山座長 そうです。 ○後藤委員 それでは結構です。 ○井部委員 資料5の3頁の「当面の改善策」の2つ目の○に、「看護教員養成のためのガ イドラインが必要である」とありますが、これはいま澤本委員が言われたような内容につい て、単に授業科目を出すのではなくて、何を教育内容に入れてほしいのかというその内容を ガイドラインのように作ったらよいと思います。授業科目は示されていますが、実施要領に は、この授業科目の中で何を教育してほしいといった内容については、ガイドラインのよう なものは現在あるのでしょうか。 ○島田課長補佐 実施要領の中に「参考」という形で付けているものがあって、その中に各 授業科目の目標ということで、簡単な内容を付しています。例えば、看護教育方法では、目 標として「学習指導計画、教材作成について学び、これを活用して授業、実習等における展 開方法を学ぶ」といった目標が出されています。ただ、いま先生方からご議論いただいてい るような、何を身に付けるといった意味での目標は、いまのところは示せていない状況です。 ○永山座長 ということで、これはとても重要な中身になるだろうと。 ○安酸委員 教育分野で「教育の基盤」というところで、教育原理とか、教育方法、教育心 理学、教育評価で90時間なのですが、澤本委員が言われたような臨床的教育学、看護での 教えることから考えたら、いまのアウェアネスとか、経験をどのように持っていくとか、い ろいろ考え方の基本を、ここの教育分野というところで、いまは科目指定になっているので すが、内容指定にして臨床的教育学をベースにきちんと押さえるようにしたらどうかなとい うのが意見です。 ○永山座長 それでは、全体の区分ならびに科目の検討、さらにその内容の検討ということ で、全体の見直しをということで。あとは今年からカリキュラムは変わっておりますので、 その点も含めて今後検討ということでよろしいでしょうか。要するに、見直しを図るという ことです。  それでは、時間が押しておりますので先に進ませていただきたいと思います。「今後の看 護教員養成のあり方について」の議論をお願いしたいと思います。3頁で資料5の2です。 これは中長期的な形で、すぐ改善策に結び付かないかもしれないのですが、点線の枠にある こと等も勘案しながら、ご意見を伺いたいと思います。 ○野本委員 少し話を戻してしまうかもしれませんが、先ほど教員の要件という話をされて いたときに、たぶん私はイの条項に該当する教員で、1年間専門学校で教員をしたことがあ るのです。確かに非常に大変で、赴任した翌日から授業の案づくりなどに関わらなければな らなくて、大変戸惑ったことがありますので、あの条件が適切だとは私自身は全然思ってい ないところがあります。  しかし、私自身はそれもあって、教育ということについて学ばなければならないという自 分の目標というか、課題がすごくはっきり見えてきて、最終的には修士、博士という形で教 育についての学習を継続することに繋がったというところもあります。  先ほど単位制という話があったのですが、単位制のようなユニットみたいな形で履修でき れば、つめこみの900時間というよりは、学習の必要なときに、学びたいと思って学んだ ほうがすごく学びにつながっていくのかなと思います。何かもう少し柔軟な学習の方策みた いなものがとれないのだろうかと。  やはり女性がすごく多いですから、女性の場合、お金の問題もありますし、ライフサイク ル上の研修に出られないかとか、そのような問題も出てくると思いますので、そういうとき にもう少し分けて受講できないかとか、大学の先生方が教員講習に出かけているのであれば、 大学の授業を科目履習みたいな形にできないかとか、そういう話はかなり大きなポイントに なるのではないかと思いました。 ○永山座長 ほかにいかがでしょうか。この点については、継続教育のところでも再び議論 として出てくると思いますので、これだけは話しておきたいという方がいれば伺いたいと思 いますが、いかがでしょうか。 ○後藤委員 いわゆる教員講習会というのは、これに出ると教員が本当に変わってきますし、 学生に寄り添うということに気づいて、ちゃんと科学的に方法論として取り組んでいかれる ので、是非、講習会を広げる方向で、いろいろな方法論を取り入れるという形でお考えいた だきたいと思います。  もう1つは、教員の講習を受けてきた者が帰ってきて、現場で学生に触れ合ったときに、 問題が起こって、それを確かに自分の中で解決していかなければいけないのですが、そのと きにちょっとアドバイスがもらえるようなアフターケアというか、フォローの体制が教員の 中で仕組みとしてできないかなと思います。これは継続教育とつながると思いますが、是非 これもお考えいただければと思います。 ○井部委員 先ほど石渡委員が言われた、資料5の3頁の「今後の看護教員養成のあり方に ついて」の1つ目の○に、「実習指導者講習会・看護教員養成講習会・幹部看護教員課程が あり、これらを連動させることにより、看護教員のキャリアパスとして示すことができ」と あり、それを推奨するような文言にもとれるのですが、この3つの課程を存続させるのかど うかの検討があってもいいのではないかという点が1点です。「これらの講習会を連動させ、 さらには学位取得に繋がるようなコースとして」というのは、私は具体的にイメージできな いのですが、この3つを存続させて、繋いでキャリアアップとして、これらが終わると、先 ほどの単位制ということからすると、何らかの学位に行くようにするのかどうか。この文言 については、もう少し検討してもいいかと思います。そのように私が読み取ったのは間違い ではないのでしょうか。この3つの課程は存続させるということで考えていらっしゃるので しょうか。 ○野村看護課長 それぞれの役割があります。例えば実習指導者講習会ですと、病院での指 導を担当している方のものですし、教員の入口としての講習会、それから教務主任になる幹 部コースというそれぞれの役割がありますので、そういったところは教員の質を高める上で は非常に重要だと思いますので、これをなくすというご議論があればそういうことになるか もしれませんが、現在のところはそういったことは考えておりません。  ですけれども、今後の議論になるかと思いますが、継続教育という部分で、入口があって 突然リーダーの研修があって、非常に離れているので、本当にこういうあり方でいいのか。 それが本当に繋がって単位になるのかという辺りは、井部委員の言われるように想定をする のが難しいような言い方かなと思いますので、ここについては今後の継続教育の中でもご議 論いただければと思います。 ○永山座長 井部委員、継続教育のところでまた審議するということでよろしいでしょうか。 ○井部委員 検討したほうがいいと私は思います。 ○後藤委員 継続教育のところでお話したほうがいいのかもしれませんが、教員の養成講習 会を受けたときに、受けたというだけではなく、何か資格みたいなことで、そしてこれを更 新していく仕組みを何か考えたら、すごくやる気につながるのではないかと思っています。 私は教員講習を受けることを義務化するべきだと思いますし、いま申し上げた資格を付与し ていただけるとすれば、それを書き替える、更新するということが必要だと思います。  それから、そのためには民間の看護師の養成所としては、これに対する補助金なりの仕組 みを同時にお考えいただかないと、なかなかそこまで踏み切れないのだろうと思います。こ れは本当に教員講習も受けないで学校の先生をやっているというのはちょっと問題だと思 います。看護協会にお願いすることなのかもしれませんが、専門看護師の中に教育の専門と いうのがないのです。そういうところに繋がっていくようなこととか、ここにあるような大 学の教員の1つの要件として認めてもらえるとか、そういうインセンティブが必要ではない かという気がします。 ○永山座長 その点についてはいろいろな規則等との関連もありますので、少し中長期的に 考えていきたいと考えております。 ○澤本委員 いまの後藤委員のお話ですが、看護師の養成のところではメンタリングとか、 スーパーバイジングをやっていますよね。ある意味ではそれと同じようにというか、気づい て育つというのは教師の資質も同じですので、それを促進したり、サポートしたりする役割 としてメンターとか、スーパーバイザーという形で設定していくことは可能だと思います。 ○永山座長 いまのご意見もキャリアアップ等々で、継続教育で出てくると思いますので、 またお願いしたいと思います。それでは、次回の日程について事務局から連絡をお願いしま す。 ○島田課長補佐 次回は第4回会議になりますが、9月3日の15時からの開催を予定して おります。場所については決定次第、ご連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたし ます。 ○永山座長 それでは、本日はこれで第3回「今後の看護教員のあり方に関する検討会」を 閉会いたします。お忙しいところをご出席いただき、また活発なご議論をいただきましてあ りがとうございました。 照会先  厚生労働省看護課 島田(4167) 平賀(2595)