09/08/05 第1回社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会議事録 日時:2009年8月5日(水) 17:00〜18:30 場所:厚生労働省 省議室 出席者:  委員   大日向委員長、飯塚委員、市原委員、川崎委員、木原委員、駒村委員   榊原委員、佐久間委員、佐藤委員、高橋委員、椋野委員、吉田昌哉委員   吉田正幸委員   岩渕委員、内海委員、篠原委員(少子化対策特別部会委員)  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   今里保育課長、朝川少子化対策室長 議題: (1) 委員長の選出について     (2) 社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会について     (3) 今後の保育制度の検討について 配付資料:   資料1  社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱   資料2  第1次報告を踏まえた今後の主な検討課題  参考資料1  今後の保育関係の検討の場の設置について(案)          (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料)  参考資料2  社会保障審議会少子化対策特別部会 第1次報告  参考資料3  経済財政改革の基本方針2009(抜粋)          (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料)  参考資料4  持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」          (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料)  参考資料5  安心社会実現会議報告          (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料)  参考資料6  社会保障改革推進懇談会報告【概要】          (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料)  参考資料7  社会保障改革推進懇談会報告          (第24回社会保障審議会少子化対策特別部会資料) 議事: ○今里保育課長  定刻になりましたので、ただ今から「第1回保育第一専門委員会」を開催いたします。保 育課長の今里でございます。委員長が選ばれるまでの間、議事進行を務めさせていただきま す。よろしくお願いいたします。  議事に先立ちまして、雇用均等・児童家庭局長の伊岐より、ご挨拶申し上げます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  雇用均等・児童家庭局長の伊岐でございます。委員の皆さまにおかれましては、日々日本 の子どもの健全な育ち、あるいは発達、未来の幸せな姿の実現に向けて、各界で尽力いただ いておりますことに、まず感謝申し上げます。また、雇用均等・児童家庭行政に対しまして は、多角的にご支援・ご協力いただいておりますことにも御礼申し上げる次第でございます。  さて、少子化対策につきましては、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に基づきま して、結婚・出産・子育てと就労の二者択一構造から脱却し、すべての国民が安心して子育 てと仕事を両立できるための社会的基盤の整備を目指して、社会保障審議会少子化対策特別 部会におきまして制度体系の設計についての検討を進めていただいているところでござい まして、本年2月には第1次報告を取りまとめていただいたところでございます。  この第1次報告では、すべての子どもの健やかな育ちの支援を基本とし、日本の中でも人 口減少地域などを含めた保育機能の維持、あるいは選択できるだけの「質」の確保がされた 「量」の保障、財源確保が不可欠であることなどを前提として、保育をとりまく近年の社会 環境の変化を踏まえて、今後の保育制度の姿を中心とした議論の中間的な取りまとめを行っ ていただきました。  また、政府におきましては、昨年末に「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向 けた『中期プログラム』が策定されたところでございまして、その中で、「少子化対策に係 る確立・制度化された対策については消費税を充てる」との税制抜本改革の基本的方向性が 示されたところでございます。  少子化対策特別部会では、第1次報告をまとめていただきました後、制度体系の詳細設計 のための具体的な検討を行うことになっておりましたが、保育は数々の次世代育成支援策の 中でも中核的な位置を占めており、その検討項目は専門的かつ分量が非常に多いということ でございます。このため、特別部会の下に二つの専門部会を設け、そこに特別部会の委員の 先生方にも加わっていただいて今後の保育制度に関する議論を進めていただくことになり ました。委員の先生方には、大変お忙しい中、このような経緯でできました専門委員会の委 員をお引き受けいただきましたことに、感謝申し上げます。  本日は、その保育第一専門委員会の第1回目ということでございます。新たな次世代育成 支援のための保育制度に関し、保育の提供の仕組みなどを中心にご検討いただくことになっ ております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。委員の方々におかれましては、新制 度体系が日本の子ども全体にとって、より良いものとなるよう活発なご議論をいただきます ようお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し 上げます。 ○今里保育課長  続きまして、委員の皆さまのご紹介をさせていただきたいと思います。資料1としてお配 りしております「社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱」の2枚目に 名簿を添付させていただいておりますので、ご参照ください。お名前の五十音順にご紹介さ せていただきます。  飯塚 浩委員です。鷲宮町福祉課の児童福祉係長でいらっしゃいます。  続きまして、市原勝彦委員です。三鷹市子育て支援室長でいらっしゃいます。  大日向雅美委員です。恵泉女学園大学大学院教授でいらっしゃいます。  川崎博子委員です。NTTドコモ人事部ダイバーシティ推進室長でいらっしゃいます。  木原克美委員です。全国私立保育園連盟常務理事・御池保育所園長でいらっしゃいます。  駒村康平委員です。慶應義塾大学経済学部教授でいらっしゃいます。  榊原智子委員です。読売新聞東京本社生活情報部記者でいらっしゃいます。  佐久間貴子委員です。株式会社ベネッセスタイルケア チャイルドケア事業部長でいらっ しゃいます。  佐藤秀樹委員です。全国保育協議会保育施策検討特別委員会委員長・こどものくに保育園 長でいらっしゃいます。  高橋英治委員です。日本保育協会理事・保育問題検討委員でいらっしゃいます。  椋野美智子委員です。大分大学教授でいらっしゃいます。  吉田昌哉委員です。日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局次長でいらっしゃいます。  吉田正幸委員です。有限会社遊育代表取締役でいらっしゃいます。  なお、本日はご欠席ですが、東京大学大学院法学政治学研究科の岩村正彦教授、淑徳大学 総合福祉学部の柏女霊峰教授にも委員へのご就任をお願いしております。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。ただ今、ご挨拶申し上げました雇用均 等・児童家庭局長の伊岐典子でございます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  よろしくお願いいたします。 ○今里保育課長  審議官の香取照幸でございます。 ○香取審議官  よろしくお願いします。 ○今里保育課長  総務課長の田河慶太でございます。 ○田河総務課長  よろしくお願いします。 ○今里保育課長  少子化対策企画室長の朝川知昭でございます。 ○朝川少子化対策室長  よろしくお願いいたします。 ○今里保育課長  よろしくお願い申し上げます。  続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第がございまして、資料1はただ 今ご紹介しました「社会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱」、資料2 が「第1次報告を踏まえた今後の主な検討課題」という紙でございます。そして参考資料1 として「今後の保育関係の検討の場について(案)」、参考資料2「社会保障審議会少子化対策 特別部会 第1次報告」、参考資料3「経済財政改革の基本方針2009(抜粋)」、参考資料4「持 続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」、参考資料5「安心 社会実現会議報告」、参考資料6、7としまして「社会保障改革推進懇談会報告」の概要と 本体という資料を準備しております。お手元にございますでしょうか。  それでは、議事に入らせていただきます。まず、議題1の「委員長の選出について」でご ざいます。本専門委員会の委員長でございますが、事前に各委員ともご相談させていただい た上で、本専門委員会の親部会である少子化対策特別部会の委員であり、部会長でもいらっ しゃる大日向委員にお願いしたいということを提案させていただきます。  いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○今里保育課長  ありがとうございます。ご異議がないようですので、大日向委員、委員長席への移動をお 願いいたします。  それでは、以降の議事運営につきましては、委員長にお願いしたいと思います。よろしく お願いいたします。 ○大日向委員長  それでは、改めまして、恵泉女学園大学の大日向と申します。よろしくお願い申し上げま す。  皆さまも、つとにご存じのように「子どもと家族を応援する日本」重点戦略が打ち出した 施策を具体的に制度設計を図るということで本少子化対策特別部会が設けられております。 昨年来、精力的に議論・検討を重ねまして、先般、主に保育に関して第1次報告をまとめた ところでございますが、まだまだ具体的な内容に関しては重要な課題が残されております。 その点に関しまして、少子化対策特別部会での議論に資するために、本日お集まりください ました皆さまに活発なご議論をお願いできるということで、私は委員長としては微力でござ いますが、皆さまのお力をいただきながら、進めてまいりたいと思いますので、よろしくお 願い申し上げます。  それでは、最初に幾つか決めておきたいことがございます。まず、審議会の部会の例に倣 いまして、委員長代理を決めておくこととしたいと思います。委員長代理は委員長がお願い するということでございますので、本日はご欠席ですが、次世代育成支援に大変知見の深い 岩村委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向委員長  ありがとうございます。それでは、岩村委員に委員長代理をお願いしたいと思います。  次に、委員の皆さま方がご欠席される際に、代わりに出席される方の取扱いをお諮りして おきたいと思います。これも部会の例に倣いまして、本専門委員会でも、委員の皆さま方が ご欠席される際に、代わりの方が出席される場合は、事前に委員長の了解を得た上で、当日、 専門委員会において承認を得ることにより「参考人」として議論にご参加いただくことを例 外的に認めるという取扱いとしたいと思います。  その場合は参考人として意見を述べていただくことを認めますが、定足数には算入せず、 議決権はないという取扱いとしたいと思います。  以上のような取扱いでよろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向委員長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  なお、本専門委員会は少子化対策特別部会における検討に資するため、専門的な議論を行 うものであるという性格に鑑み、少子化対策特別部会の委員につきましては、適宜、本専門 委員会に出席していただきたいと思います。  本日は、少子化対策特別部会から岩渕委員、内海委員、篠原委員が出席されております。 ありがとうございます。  以上が取り決め事ということでございます。ここから、議題に入らせていただきます。議 題2は「保育専門委員会について」ということですので、事務局より資料の説明をお願いい たします。 ○今里保育課長  議題2の「保育専門委員会について」ということで、資料といたしましては、資料1の「社 会保障審議会少子化対策特別部会保育専門委員会開催要綱」、それから参考資料1「今後の 保育関係の検討の場の設置について」に基づいて、簡単に説明させていただきます。  まず、参考資料1は6月25日の本専門委員会の親部会でございます少子化対策特別委員 会におきまして決定されたものでございまして、今後、保育関係の検討の場をどのようにし ていくかということについての事柄でございます。  1の「設置の趣旨」にございますように、少子化対策特別部会の第1次報告を踏まえて今 後検討を行っていく。その検討に向けては、特に保育関係の検討項目につきまして、専門的 かつ分量が多いという事情がありますので、少子化対策特別部会の下に二つの専門委員会を 設置するということを、この少子化対策特別部会で決定したわけでございます。それを受け まして、資料1の開催要綱という形でこの保育専門委員会が発足したということでございま す。  「目的」につきましては、先ほどの局長の挨拶、それから今の委員長のお話にもございま したように、第1次報告を踏まえて、その紙でいきますと2段落目辺りになりますけれども、 「少子化対策特別部会における保育に係る検討に資するため、専門的な見地から」この専門 委員会で議論を行うというものとして、少子化対策特別部会の下にこの保育第一専門委員会 と、もう一つ保育第二専門委員会を設置するという決めでございます。  そして、先ほどの委員の皆さまのご紹介のときに使いましたが、各専門委員会の構成員と いうことで、別紙が開催要綱に付いております。  「検討事項」は、当然のことながら「新たな次世代育成支援のための保育制度に関する検 討等」。それから4、5は事務的な取り決めということで、この専門委員会が開催されるこ とが決定されたということでございます。  以上が、保育専門委員会につきましての事務局からの説明でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。特別部会と少し勝手が違う思いましたら、いつもは両脇に局長 と審議官が居てくださるのですが、今日は私一人で。  次回も、このような位置で座るのですか。 ○今里保育課長  第1回でございますので、このようにしてみましたけれども、いかようにもいたします。 ○大日向委員長  申し訳ありませんが、孤独なのもですから。よろしければ次回からは戻っていただければ、 ありがたいと思います。  それでは、ただ今のご説明に関して、何かご質問・ご意見がありますでしょうか。  よろしいですか。では一通り、まずご説明を伺いましょうか。  それでは、続きまして、議題3の「今後の保育制度の検討について」に移らせていただき ます。議題3について、事務局より資料のご説明をお願いいたします。その後、委員の皆さ ま方に意見交換をお願いしたいと思います。 ○朝川少子化対策室長  それでは、説明させていただきます。まず、今日の専門委員会に至る経緯も含めて、若干 ご説明いたします。順番がいろいろ飛びますが、まず、参考資料4をお開きください。先ほ どの局長の挨拶にも出ておりましたが、昨年末に閣議決定されています「中期プログラム」 ですが、その8ページ目に「工程表」がありますので、見ていただきたいと思います。基本 的に、この工程表は一昨年末の重点戦略を踏まえて、さらに昨年1年間政府全体で議論して いました社会保障国民会議を踏まえて作られているものですが、この一番下の方に少子化対 策の項目がございまして、足元の取組としては「安心子ども基金」でありますとか「児童福 祉法の改正」、「育児・介護休業法の改正」などがございます。その下に、点線で「新たな制 度体系の制度設計の検討」とあり、そこから矢印がずっと伸びまして上の方の2010年代前 半の半ばぐらいのところに「新制度体系スタート」という丸が付してありますが、この辺の 制度のスタートをにらみまして、新しい次世代育成支援全体の制度づくりをしていきましょ うという検討をすることになっております。これは先ほどの局長の挨拶にもありましたが、 しっかりお金をかけてやっていこうということで、税制改革を踏まえながらやっていきまし ょうということになっています。この点線のところで、2月には少子化対策特別部会の第1 次報告をまとめ、その詳細の検討を今回、専門委員会としてお願いするというものでござい ます。  次に、参考資料3をご覧ください。これは今年6月にまとまりました骨太の方針でござい ますが、ここで保育に関係する部分のみを見ていただきます。1ページ目ですが、全体の大 きい項目としては「安心社会の実現」さらに「生活安心保障の再構築」というところにある わけですが、その(2)の一つ目のポツの2行目ですが「新たな費用負担を伴う施策について は、国民の納得が得られるよう税制抜本改革を実施する前までに、改革内容や費用額を具体 的に明らかにする」ということで、この「改革内容や費用額を具体的に明らかにする」とい う一環の中に、この専門委員会はあるということになります。「あわせて、格差の是正・固 定化防止等の政策で、少子化対策に含まれる政策については、『中期プログラム』の枠内で の確立・制度化を検討する」とあります。  そして、9ページに飛んでいただきまして、先ほど見ていただきました「中期プログラム」 の工程表の諸課題がありますが、一番上のところを見ていただきますと、その諸課題のうち 2011年度までに実施する重要事項というものが別紙1の表で整理されています。  もう1枚おめくりいただいて、10ページが少子化対策についてでございまして、少子化 対策の一番上のポツですが、1行目の後半の辺りから「新しい子育て支援制度の在り方の検 討を進め、税制改革の動向を踏まえつつ、必要な法制上の整備を図る」と、2011年度まで に実施する重要事項として法制上の整備を図るということが位置づけられています。  次に、2月の第1次報告以降の政府の動きを簡単にご紹介します。参考資料5をご覧くだ さい。これも今年6月に「安心社会実現会議」という、官邸で開かれておりました会議でご ざいますが、その報告書が取りまとめられています。その中の5ページ目ですが、項目とし ては「安心して子どもを産み育てる環境」という項目の中の一番上のところですけれども、 「『社会保障国民会議』が提起した『次世代支援新システム』の構築をすすめ、子育てを社 会全体で支援する制度条件の整備を急ぐ」とございます。  その上で、10ページ目でございますが、大きい4番で「取り組むべき優先課題」という 項目がございます。これの最初の段落の下から3行目の文末のところから「現役世代および 次世代を対象とした給付の比重を拡大していく必要がある」ということで、少子化対策の分 野への給付の比重の拡大ということが挙げられた後に、下の方で「10の緊急施策」が挙げ られています。そのうちの(1)〜(3)の辺りが関係するところですが、(1)は低所得世帯を支援 する給付付き児童・勤労税額控除を創設するということ。(2)は、子育て支援サービス基盤 の計画的整備を図るということ。(3)は、就学前教育の導入およびその保育や育児休業制度 との総合化ということが緊急施策として挙げられています。  駆け足で恐縮ですが、次に参考資料6をご覧ください。本文はその下に付いておりますが、 概要の参考資料6をご覧いただきますと、これも同じ時期に社会保障改革推進懇談会という、 これも官邸で開かれておりました会議ですが、もともとは昨年、社会保障国民会議で議論を してきていただいておりましたが、分科会が三つあったところの座長さま方にお集まりいた だいて開かれていた懇談会で、その報告でございます。この専門委員会に関係する部分につ きましては、この概要の1ページ目の下の箱の「さらなる改革の前進に向けて」というとこ ろで、「新しい子育て支援制度の下での給付・サービスの抜本的拡充」という項目が挙げら れております。その一つ目を見ていただきますと、「新しい子育て支援制度の目標」として、 「すべての子どもが支援サービスを受けることができるシステム」を目標にする。さらに、 利用者のニーズ、括弧書きにありますような多様なニーズに合ったサービスを提供するシス テムを目標とする。三つ目は、女性でも男性でもひとりで子育てできるシステムを目標とす るという整理がされております。  2番目の「守るべき3つの基本姿勢」の一つ目としまして、「サービス提供者中心の行政 からサービス利用者中心の行政へ」、二つ目として「サービス利用者のニーズに十分応える サービス提供体制へ」、三つ目として「これから子どもを産み育てる世代のニーズの正確な 把握に基づく政策へ」。  3番目の「具体的な制度設計」としまして、「利用者がサービスを選択し、サービス提供 者と直接契約」、二つ目として、「サービス提供者の多様化と提供主体ごとのイコールフッテ ィングの確保」、三つ目として「サービスの良し悪しを利用者が判断できるよう、サービス 内容、経理内容等の情報公開と第三者による評価を徹底」、四つ目として「地域の事情に応 じた規制緩和」、五つ目として「利用者保護のためのサービス提供者の廃業規制・破綻処理 制度の検討」といったことが、この懇談会でも指摘を受けているところでございます。  次に、第1次報告の関係で資料2と参考資料2をご用意いただきまして、資料2の方は、 第1次報告で整理していただいた保育に関係する部分の大項目を拾っているものでござい ます。今回、第一専門委員会と第二専門委員会の二つの専門委員会を設置させていただきま した関係で、それぞれ主にどのような分野を取扱っていただきたいかということを整理した ものが資料2でございます。今日初めてご参加いただいております委員の先生方もいらっし ゃいますので、参考資料2に若干目を通していただきながら、この第一専門委員会には今後、 どのような検討項目があるのかということを少しさらっていただければと思います。  まず、参考資料2の1ページ目の(2)を見ていただきますと、この保育制度の検討に際し ての前提として幾つか整理していただいたことがございます。まず第一に「すべての子ども の健やかな育ちの支援」を基本に置くということで、まず「子どもの健やかな育ち」である ということで、さらに「すべての子ども」であるということです。二つ目は、一般的なサー ビスの売り買いとは違う「保育の公的性格・特性を踏まえる」ということ。三つ目は、とか く保育の問題は都市部を中心とした待機児童の問題、これは深刻な問題としてしっかり解決 していく必要があり、そちらに議論が集中しがちですが、一方で地方にいきますと児童の人 口減少が既に始まっている地域もありますので、そういう地域も含めた保育機能の維持とい うこともきちんと考えていこうということ。四つ目は「量」の拡充・保障も重要でございま すが、その際に「質」を落とすことなく、質の確保された保障をしていきましょうと。五つ 目は、何よりも財源の確保が不可欠であるということで、そのような検討に際しての前提を 整理していただいています。  その上で、4ページ目をお開きいただきますと、「今後の保育制度の姿」ということでお まとめいただいているところでございます。まず、(1)はこの第一専門委員会の検討項目でご ざいますが、「保育の必要性等の判断」ということで、そのi)は基本的な仕組みです。現在 は市町村に申込みがあった後は、市町村がいわゆる「保育に欠ける」要件を判断し、優先度 も判断し、受入保育所先も保護者の意見を踏まえながら決定し、それを保育所に委託すると いう形を取っていますが、そこを変えて、市町村が必要性と優先度の判断をして、受入保育 所の決定は分離しましょうと。その必要性と優先度の判断については認定という仕組みを設 けましょうという提案をしているところでございます。ii)、iii)は、具体的な必要性の「判 断基準」でございますが、ii)は基本的なところで、どこまで保育対象範囲として考えるの か、あるいはどのような子どもを優先するのか、そういう基本事項は国が決めて、しかしな がら、就業構造が違うというような地域に応じた部分については自治体の方で決めていただ きましょうということです。iii)の判断基準の具体的な「内容」につきましては、まずパー トタイムは幅広く対象範囲として考えていきましょうということ。さらに、早朝・夜間は現 在でも対象になっていますけれども、実際には認可保育所になかなか入れないという現状が あるので、そこをしっかりと保障していきましょうと。求職者も同様でございます。さらに、 同居親族がいる場合について、同居する祖父母がいる場合は、現在は「保育に欠けない」と なっておりますが、それは必要性を認めてよいであろうということでございます。さらに、 専業主婦家庭につきましては、通常保育の保障というよりも一定量の一時預かりの保障をし っかりやっていきましょうという整理をしていただいているところでございます。iv)の「保 障上限量」につきましては、この第1次報告で提案している基本的な考え方は、個々の子ど もに対して保育の保障をしていきましょうという発想に立っておりますので、どこまで保障 するのかという上限量を決めていく必要があるということで、その上限量をどうするかとい うところですが、その際、フルタイムの共働き家庭と比較的短いパートタイムの人をまった く同じ保証をするのがどうかということもありますので、ある程度の区分はする必要がある であろうと。しかしながら、あまり細かく区分をしますと、細切れのサービスになってしま うということもありますので、2〜3区分程度に大くくりで決めていったらどうかというこ とでございます。v)は、優先受入義務の範囲としまして、第1次報告の段階では、母子家 庭、父子家庭、虐待ケースといったところが挙げられています。その具体的なところは、ま たこの専門委員会でも議論いただければと思います。vi)は、「保育に欠ける」という用語を 見直していきましょうということです。  (2)につきましては、これも第一専門委員会での検討の対象範囲でございますが、保育の保 障の基本的な仕組みとしましては、まず市町村の公的責任を後退させないという意味で、公 的保育は着実に保障されるための実施責務を法制度上課していきましょうと。具体的には四 つということで、一つ目は、しっかり必要な子どもには必要な保育を保障する地位を付与し ていきましょうということ。二つ目は、サービスがなければ実際には保育は利用できないの で、市町村にしっかり提供体制を確保する責務を担っていただきましょうと。三つ目は、利 用者と保育所が当事者同士で契約を結ぶ仕組みを提案していますが、その際に、当事者同士 だけに任せますといろいろな混乱が生じますし、障害児や虐待ケースなど利用の確保が難し いケースもありますので、しっかりその点は市町村で利用調整の責務を果たしていただきま しょうということ。最後のところは、お金もしっかりと負担していただきましょうと、その ような実施責務も課していきましょうというところでございます。ii)は、今ご説明したも のにも入っていましたけれども、利用者が保育所と公的な本契約を新たに締結する仕組みを 導入しましょうと。しかしながら、そこは当事者同士に任せるのではなくて、市町村が公的 責任を果たす。その三者の枠組みの中で締結する仕組みにしましょうというところでごさい ます。この専門委員会では、この辺の具体的な市町村がどういう実施責務を果たしていくか、 その具体像についても少しブレークダウンした議論をお願いしたいと思っています。  1ページおめくりいただきまして、(3)は「参入の仕組み」です。こちらは第二専門委員会 に分類していますが、客観的基準を満たした事業所については、指定制を基本として検討し ていきましょうということ。さらには、施設設備費について減価償却費相当分を運営費に上 乗せする仕組みを提案しております。iii)は、「運営費の使途制限」をどうしていくか。iv) は、多様な提供主体の参入を考えたときに、突然の撤退などがあってはいけない。あった場 合にもしっかり引き継ぎが行われるような何らかの規制が必要ではないかということでご ざいます。  (4)も、第二専門委員会の方で、最低基準で質を確保していきましょうということです。  (5)、(6)は、こちらの第一専門委員会で検討していただくことを考えております。まず、「費 用設定」については、公定価格でいきましょうというのが第1次報告の内容です。二つ目は、 利用量に応じた単価設定でございますが、その際に月額単価設定を基本としながら安定的な 運営に配慮しましょうということになっています。三つ目の保育料のあり方については、所 得に対する十分な配慮を基本に、具体的には今後この委員会でも検討していただければと思 います。  (6)は「費用の支払い方法」につきまして、まず一つ目は市町村が保育の費用の支払い義務 を負うとなっていますが、ここは誰に対して支払い義務を負うのか、そういったところが今 後の検討課題になっていますので、この委員会でもご議論いただければと思っております。 さらに、保育料の決定は、所得を把握しています市町村が行うということですが、その徴収 を実際には誰がどのようにやっていくかということで、市町村と保育所の役割の整理といっ たところが検討課題として残っています。  (7)も、この第一専門委員会の検討事項でございますが、「認可保育所の質の向上」という ことで、財源確保とともに詳細を今後検討していくことになっています。主な内容としては、 一つ目の丸にございますが、職員配置をいかに充実していくか、あるいは保育士の処遇をい かに引き上げていくか、さらにその際の専門性の確保をいかに図っていくかということでご ざいます。それに関連して二つ目、三つ目の丸では、そのようなステップアップの仕組みが 図れるようなことを考えていく、あるいはそのステップアップをした者に対してしっかり費 用の支払い上評価する、そうすることによって処遇改善を図っていくということが提案され ているところでございます。  (8)、(9)は、第二専門委員会の方で考えていますが、認可外保育施設の質の引き上げ、ある いは地方における保育機能の維持・向上といったテーマがございます。  (10)、(11)につきましては、これはものによって第一第二それぞれの専門委員会で検討してい ただくことになりますが、現行制度でいきますと通常保育以外に多様な保育類型として、休 日・夜間保育あるいは延長保育、特定保育、病児・病後時保育といったものがございますの で、通常保育を新しい整理をしていく中でこれらをどう組み換えていくか、あるいは充実を 図っていくかというところが今後、具体的に検討する論点でございます。  (11)は「情報公表・評価の仕組み」ということで、できる限り処遇の向上などにもつなげて いけるような情報公表の仕組みづくり、あるいは第三者評価の仕組みの充実といったところ を検討していくというものでございます。  資料2をもう一度見ていただきますと、今、ご説明申し上げましたようなことが第1次報 告にまとまっておりますので、この資料2でいきますと真ん中辺りに点線が入っていますが、 点線より上のところがこの第一専門委員会としてご議論を特にお願いしたい事項として整 理をさせていただいております。以上でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。以上、事務局からいただきましたご説明を基に委員の皆さまか ら、ご質問を含めて意見交換の時間に入りたいと思います。今日は初回ですので、どうぞお 一人ずつ、どなたからでも結構ですので、ご意見・ご質問をいただければと思います。吉田 昌哉委員、お願いいたします。 ○吉田昌哉委員  失礼します。この専門委員会では、保育というサービスの提供体制、市場という言葉はあ まり使いたくないのですが、市場も含めたサービスの提供体制について検討をしていくと理 解しているのですが、福祉・社会保障の制度を議論していく上で、往々にして忘れがちな分 野があると思うのです。それは、労働市場の分野、労働市場政策とでも言うのでしょうか。 この保育でもそうですけれども、人的サービスの提供体制を整備していく上では、一定の数 の質の高いその分野での労働者を確保していくことが、やはり必須条件であると考えており ます。その意味では、やはりこの分野の労働者の雇用の安定や適正な処遇、または適正な賃 金水準などの労働市場政策の分野の要素も、やはり検討の中では考慮していくべきであると 認識しております。例えば、介護の分野を見てみますと、こういう労働市場政策という観点 が欠けていたために、例えば法律を作ったり公費を投入したりして、現在やっているような 介護労働者の処遇改善をしなければならないような状態に至っていると我々は認識してお ります。そういう意味もありまして、先ほど言いましたような雇用の安定や労働条件につい て直接的ではないにしても、やはりこの専門委員会の検討項目であります提供の仕組み、ま たは情報の公表、あとは、主に第二専門委員会の方で扱う参入の促進というような検討にお いては配慮していくべきであるという認識に立って今回の専門委員会の検討に臨んでいき たいと考えております。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。今、ご指摘をいただいた点は大変大事な点でして、労働者と言わ れたのは保育者のことだと思いますが、少子化対策特別部会でも保育者の質のあり方が保育 の質に非常に大きな影響を持つという観点から、保育者の労働環境、あるいは研修の必要性 について議論をし、その重要性を大いに認識したところです。これからもどうぞ、その観点 からご意見をいただければと思います。  他に、いかがでしょうか。佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  先ほど、朝川室長から、これからの議論は第1次報告に出た検討に際しての前提を踏まえ てということがありましたが、その辺のところをまず確認させていただきたいと思います。  それから、これまでも私たち、保育所保育というものは、できるだけ健やかな育児支援、 つまり保護者の労働支援だけではなくて、子どもが健やかに育まれるということに果たして きた役割はとても大きいと思っているのです。ですから、そういう意味では、保育所が果た してきた役割、子どもが健やかに育まれるための支援というのは、これからもそうですけれ ど少子化対策には大きなプラスであったと思っていますし、効果的な役割を担ってきたとも 思っているのです。ですから、そのことは、これからの検討の中でも前提で話をしていただ きたいと思います。子どもを産み育むということ自体が個人の責任だというようにならない ような仕組みをつくっていただきたいということです。  今、2万3,000箇所ほどの認可保育所があるのですが、この検討は保育の営みに直接影響 を与えるわけです。ですから、そういう意味では、全国の認可保育所が、この制度改革をし っかり理解できるような議論を、慎重に時間をかけながら進めていただければということを、 まずお願いしたいと思っています。 ○大日向委員長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。木原委員、お願いいたします。 ○木原委員  スケジュール的には、先ほどご説明いただきました工程表を見ていきますと、2009年中 に、この保育専門委員会で今の、課題がかなりあるのですが、これを議論するということな のですが、その辺のところを少し聞かせていただけたらというふうに思います。 ○大日向委員長  朝川室長、お願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  今回初めて第1回を開かせていただいておりますが、先ほど、資料2でお示ししたような 検討項目は、それなりに多数ございます。従いまして、委員の先生方には大変恐縮ではござ いますが、今後月1〜2回は最低限開かせていただいて、議論を比較的集中的にいただけれ ばと思っております。その議論の状況に応じて、今後いつぐらいまでやるかというのは、今 は「中期プログラム」の枠組みで動いていきますので、その議論の状況に応じて加速したり、 もう少しじっくり慎重にやったりということだと思います。  一方で、現状の状況認識として、少子化対策は非常に追い風を受けている状況にはあると 思います。全体として、この少子化対策全般についてしっかりお金を掛けてやっていくとい うのは追い風ではあると思いますが、ともすると、やはり社会保障の中でも、医療・介護と いう目の前の課題が噴出しているものに目を奪われがちなところもありますので、積極的に こちらの議論を盛り上げていくということも非常に重要だと思っています。そういう意味で は、じっくりということも必要なのですが、ある程度スピード感を持った議論をしていただ く必要もあると思っております。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。榊原委員、お願いいたします。 ○榊原委員  2点あります。1点が、先ほど吉田委員から、労働面のことで言及がありました。若干近 いのですけれど、個々の労働者の保障という点だけではなくて、別の面からも労働政策との リンクというものは視野に置いてよいのではないかなと考えています。ここの専門委員会で の議論のミッションに入っているのかどうかはわかりませんけれども、今まで公共投資の方 に向けていた税や社会保障という公的資金を、これからはより社会保障に向けていこうとい う流れがもう政治の中でも明らかにある中でのこの保育制度の作り直しといったときに必 要なのが、保育で働く人たちの雇用というのが、これまでは公共事業を通して地方に送られ ていたお金のルートが今度は社会保障に変わって送られていく必要があるのではないかと も読めると思います。地方では今、公共事業が先細っている中で、雇用が崩壊状態にあると ころがあり、特に子育て家庭の人たちが都市部に流出してきているという状況があることを 考えると、こうした福祉の場・保育の場で働く人たちの雇用を、どのように保障し使ってい くのか。都市部以外の地域で特にどうしていくのかというような、産業というか雇用政策と のリンクの中で見ていくことを、ぜひ、厚生労働省は考えていく必要があるのだろうと思っ ています。労働政策と福祉分野を統合する必要があるということでせっかく省庁の統合もあ ったわけですし、少子化対策もその中に位置付けられているので、そういった視点を持って もらいたい。  例えばフランスなどでも、保育の政策の中に移民労働者をどう取り込むかという、移民労 働者が安定した職業を得るための政策が入っていると聞いています。移民労働者ですと、言 語とかいろいろなスキルでも欠けた点がある人たちが、例えば保育ママになるために、都道 府県のレベルで200時間ぐらいの無料の研修を提供していると聞いています。そのような 人たちが、例えば移民の女性たちがそういった研修を受ければ、まずはフランスの中で職業 を得て安定した市民となっていくといった政策も組み込まれているということを聞いてい て、これから保育のパイを増やしていく中では、日本でもそういった視点が地方の産業政策 というところであってよいのではないかと感じています。  もう一つ、これまでの少子化対策特別部会の中でされてきました「すべての子どもの健や かな育ち」の支援を基本に置いて、質を落とさずに保育のパイを増やしていくというこの方 向性を私は支持しています。せっかくここまで、すべての子どもを対象にした普遍的な政策 として保育を転換していこうと言っている議論になるのでしたら、認可外保育というものを 仕切った向こう側に置いておいてよいのかという気がしています。そうしたら、「すべての 子ども」の保育の保障にはならないであろうと。例えばフランスで子育てをしている日本人 の女性などが言うのは、どこに預けても安心できると。認可外などというような公的に責任 を持たない施設がたくさんあるような社会ではないことがとても安心だとおっしゃってい たのが印象に残っていまして、日本でも「すべての子ども」という場合には、中長期的な目 標でもよいので、認可外もいずれきちんとした公的な保障のある保育の中に入れていくとい う視点というのもあった方が良いのではないかと思っています。 ○大日向委員長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。どうぞ、今日は初回ですので、一言 ずつでもお声を聞かせていただいてお帰りいただければと思います。いかがでしょうか。で は、川崎委員、お願いいたします。 ○川崎委員  先ほども、他の委員からご発言がありましたように、保育の中で働く人たち、保育士の労 働環境を維持し高めていくこと、それから、子どもの健やかな育ちを確保していくという視 点は非常に重要だと思っています。しかし、その一方で子どもを預けて働く親が、働き方と 保育をどう両立していくのか、そういった視点もこの保育の専門の部会の中では視野に入れ た検討を進めていければと思っています。特に企業では、子育てと仕事の両立に向け、仕事 の面では、企業の中での支援策というものはいろいろやってきているわけですけれども、や はり子どもを安心して預けることができ、質も量もともに確保されているという環境がない と、なかなか働いていけない。仕事と子育てが両立できていけば、合計特殊出生率も上がっ ていくということも諸外国の中では見られることから、そういう意味では、少子化対策とい うのは、保育の環境を整えることと併せて仕事の両立もあるということを視野に入れた議論 を、ぜひ、皆さまで深めていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 ○大日向委員長  ありがとうございました。先ほどの榊原委員と今の川崎委員から、大変貴重なところをご 指摘いただいたと思います。保育の問題は労働施策との関連を抜きにしては語れないという のはそのとおりだと思います。川崎委員は、新たににお入りくださいましたが、企業の人事 部のダイバーシティを担当していらっしゃるということで、今後、どうぞその点からのご意 見も活発にいただければと思います。よろしくお願いいたします。  他に、いかがでしょうか。椋野委員、お願いいたします。 ○椋野委員  先ほどの榊原委員のご発言にも関連するのですけれども、「すべての子どもの健やかな育 ち」、すべての子どもと親を支援するという観点からいくと、保育の提供の仕組み自体はど うしても提供者サイドから考えていかざるを得ないと思いますけれど、それが本当にすべて の子ども、すべての親の支援になるかというのは、一度、その子ども、あるいは親のサイド に立ってみて考える必要があるのではないかと。そうすると、介護のときに週何回デイサー ビスを使って、ホームヘルパーに来てもらって、とやったような形で、本当にそのサービス が、それで子ども、あるいはその親の子育てを支援できるかという、そちらからの検証がど こかで必要ではないかと。つまり、認可保育所であろうと認可外保育所であろうと、集団的 保育なので、本当に子どもが少なかったり、あるいは病児のように集団的保育という形では 保育サービスが成立しないような場所、あるいは時があるだろうと思います。そういうとき は、集団的保育ができないから仕方がないですねという形ではやはり困るだろうと思います。 病児保育がそんなに数がないから、そこになかったらそれに代わる、ファミリーサポートが よいのか、家庭的保育がよいのか、そこは議論があると思いますけれど。今あるサービスで、 本当にすべての子どもと親を支援できるか、一度、目をそちら側に移して検証してみて、す き間がないように、保育所というサービスだけでないところも含めて考えていく必要がある のではないかというのが、一つお願いしたいところです。  それから二つ目は、やはりデータがいろいろ必要だと思っていて、前から気になっている ところが保育料の議論ですけれども、国は国としての清算基準として、例えば平均4割とい う数字をお持ちですが、保育料の場合、かなり自治体でそれを軽減しているところがあるよ うに思っています。データとしては持っていないのですけれども。そうすると、一体、実際 に親はどれだけ保育料を払っているのか。よくあることが、制度を国が変えたときに持ち出 していた自治体が財政状況が厳しいから、持ち出し負担をやめると。そうすると、国として は軽減したつもりなのに、実際は負担が増える人が増えるというようなこともあったりする ので、一体、自治体で実際にどれだけ保育料を負担しているのか。国の基準をそのまま使っ ているところもあるのですが。これもまた聞いた話ですけれども、実際に国の基準を使って いるところは、例えば保育を利用している人に最高の利用料を払うような所得の人がいない ところだという話も聞きます。あるかもしれないです。ですから、実際のそういうデータ、 これを調べるには時間がかかると思うので、早めにそういう調査に着手する。一例ですけれ ども、できるだけデータに即して、実態に即して議論ができるようなお手伝いを事務局にお 願いしたいと思います。以上、2点でございます。 ○大日向委員長  ありがとうございました。佐久間委員、お願いいたします。 ○佐久間委員  ベネッセスタイルケアの佐久間と申します。私どもは、民間企業として保育園の運営を行 ってきています。認可園、そして公設民営園、また、認可外園、そして企業内保育室も行っ ています。一人一人の子どもが健やかに育っていくようにということを考え、園の形態によ って保育者の育成のあり方や処遇体系を変えるということはしていません。認可外も認可園 も同じようにやってきています。ただ、それをやり続けていこうとするときに、やはり今の 制度体系では民間企業として、経営的には厳しい面も多く、待機児童解消に貢献をしていき たいと思っても、ハードルが高いです。先ほどから出ている労働問題ですけれども、やはり 処遇を変えざるを得ないという実態もあります。補助金の体系をどのレベルに合わせていく のかということはあると思いますけれども、これからいろいろな業態の参入があると思うと、 質の確保ということは必ず両輪でやっていかなければならないと思っており、補助金であっ たりお金の仕組みというところは、運営する主体によって変わるものではなく、平等な体系 になっていくといいなということを強く思っています。  また、私も企業で働いているので、子どもを育てながら仕事をしていくということの難し さを非常に感じておりまして、企業側の働く側の制度のあり方も非常に大きいだろうなとは 思います。しかし、やはり保育園に入れないから辞めざるを得ないという声はまだまだ多く ありまして、そこを早く解決していくためにもやはり量の確保ということは必要になってく るのだろうと思っています。この工程表では、今のところ2013年というところが新制度体 系のスタートということになっておりますが、今、2009年に直近の問題としても出てきて いるというところがあります。先ほど朝川室長からもありましたとおり、私たちの議論もテ ンポよく進めていくことが必要なのだと思いますが、少しでも早くいろいろな課題が解決し ていって、量の確保というところも動けていけばよいと思っている次第です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。市原委員、お願いいたします。 ○市原委員  私は三鷹市から来ておりますけれども、自治体にこの2月に第1次報告が出されまして、 新たな保育の提供の仕組みということで、公的保育契約を通しての利用者と保育所、または 市町村との三者関係ということで提案されているのですけれども、自治体関係者として直接、 肌で感じましたのは、やはりこの概念は正確に保育園を利用する保護者とか、また私立の保 育園の関係者の方になかなか正確な意味合いが伝わっていないということを実感しており ます。というのも、やはり公的保育契約を一般の市場原理でいう直接契約というニュアンス でとらえている方が多いという状況ですとか、また私立の保育施設につきましては、直接的 に利用者が、地位を付与された利用者・入所希望者が保育所を選ぶということに対しては、 やはり企業もしくは法人としての客の取り合い的な発想で、その運営や保育園の経営に危機 感を感じているという保育施設もございました。ただ、幸いにも、私どもの三鷹市長が少子 化対策特別部会の委員であるということから、市の側ではそういうご意見や問い合わせがあ るときには正確な情報として的確に対応できてはいるのですけれども、そういう意味で全国 の市町村がこの現状、出ている第1次報告の正確な理解・解釈と、それを地域に還元すると いうところがまず必要な要素の一つではないかということを感じております。  そしてもう1点は、同じく「保育の提供の仕組み」の中で謳われています「多様な保育サ ービス」ということで、休日保育、早朝・夜間保育など、就労の多様化に伴う保育サービス の提供形態を検討していく中で、そのサービスの提供主体が果たして市町村だけがメインで 今、議論されているというところが少し強いと思いますけれども、そういうときに、やはり 民間の事業者もしくはNPOという地域資源をいかに最大限活用して、保育サービスのメニ ューを多様化していけるかという辺りも、ぜひ具体的な議論の俎上に上げていただくことが できれば、非常に実効性のあるサービスメニューの拡大につながるのではないかという認識 を持っています。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。今、市原委員がおっしゃったことは、これまで少子化対策特別部 会を進行させてきた経過でも痛感してまいりました。部会の委員の皆さまの思いや議論の経 過が、必ずしも正確に伝わっていないことが多々あったかと思います。ただ、その点に関し て、昨年の末から今年のはじめにかけて、事務局が大変精力的に全国を回っていただき、そ のおかげで事業者の方々にご理解をいただき、第1次報告を取りまとめることができたこと を大変ありがたく思っています。引き続き、具体的な制度設計に関しては、さらに皆さまに 理解していただけるように、丁寧な議論をしていきたいと思っておりますので、お力添えを いただければと思います。ありがとうございます。  他に、いかがですか。駒村委員、お願いします。 ○駒村委員  私も少子化対策特別部会の委員ですので、今日、あまりお話しするのもどうかと思ったの ですけれども、少子化対策特別部会でもこの資料2については、検討課題の一つの例示だと いうお話だったと思います。この専門委員会は資料2のような検討課題をみんなで知恵を出 し合って回答を出すということだと思いますけれども、専門委員会の方で、新たにメンバー も加わりましたので、あまり項目が広がっていくと発散してしまうと思いますので、今お話 があったような新しい概念の公的保育契約をより現実的なものにするために、今考えられる 問題点を全部出して、この検討課題に沿って皆さまで今のうちに問題点・解決策を議論する というのが目的なのだろうと思います。そのためにはあまり発散するのも問題かもしれませ んが、今のうちに新しく加わった方に、検討課題に落ちているのではないかという点も上げ ていただくというのも大事かと思います。制度改革というのは、新しい制度をつくるのなら ば皆さまウエルカムだと思うのですけれども、今ある制度を組み換えとなると、今よりもす べての面で良くなっていないと、なかなか多くの方が納得してくれない部分もありますので、 今よりもなるべくほとんどの部分で、利便性も含めてより改善するのだという問題意識が大 事かと思いました。以上です。 ○大日向委員長  この委員会の今後の議論・検討の方向として、大変大事な点を示していただいたと思いま す。ありがとうございます。次回以降、どの辺りに焦点を絞って議論するかを明らかにした いと思いますし、それがないとスピード感を持った実効性のある検討はなかなかな難しいか と思います。本日は、新しく加わった委員の方々からも、新鮮な視点からのご意見を出して いただいておりますが、なおこの残った時間にも、どうぞどんどん出していただければと思 います。  高橋委員、よろしくお願いします。 ○高橋委員  日本保育協会を代表してまいりました高橋です。意見と質問と二つに分けてお伺いをした いのですけれども、意見としてはやはり保育団体の一員として、今の制度をより良い方向で 改善するということにおいては、保育団体、保育の現場の人間が納得できるような改革・改 善案でないと、なかなか難しいのではないかと、昨年来の議論をずっと見聞きしていて、実 感していますので、ぜひ「より良いものにするためには」という視点をもって、すべての子 どもたちのためにという視点で、議論していきたいと思っていますのが、一つです。  それから、今現場で直近的に非常に困っている問題も含めて質問ということで、事務局に も伺いたいのですけれども、「すべての子育て家庭に対する支援について」ということで、 通常、基本的な保育の部分以外のところで、一時預かりについて第2種社会福祉事業に位置 付けられていることで、その位置付けられたことによっての、ある意味弊害といいますか、 いろいろな意見が保育三団体から厚生労働省に届いていると思いますけれども、やはり一時 預かりについては、これからますますその制度をつくっていくときに、一定以上の利用保障 をしないといけない状況において、第2種社会福祉事業に位置付けられたことによって、な かなかそれが進みづらいような状況になるというのは、本末転倒ということになると思うの ですが、第2種社会福祉事業に一時預かり事業が位置付けられたことの今後といいますか、 一時預かりというものが、より有効に現場で機能できるような運用上の改善施策を何かお考 えなのかを、お聞かせいただきたいと思います。 ○大日向委員長  今里保育課長、お願いします。 ○今里保育課長  昨年の児童福祉法の一部改正によって、一時保育事業として今まで予算上実施していたも のが、第2種社会福祉事業として、法定の事業として位置付けられるということになったわ けです。この基本的な形としては、やはり一時預かりの事業というものを、「すべての子ど もの健やかな育ち」という観点の中から、充実していこうという形で制度上位置付けたとい うことから法改正を行ったものです。今、高橋委員がご指摘のように、現実の目の前の問題 として、この実施、法定事業として位置付けたことに伴いまして、事務的な煩瑣を取られる ような面が幾つか出てきたということがあります。  それからもう一つの課題として、その実施条件に関して、今まで例えば保育士の数といっ たことについて弾力的な運用について決定することが若干時間的にかかってしまったこと で、またいろいろと平成21年4月からのところで、進みにくいと受け取られるという面が あったわけで、これが現状です。  そして、今後の一時預かりの事業に関しては、第1次報告の中にもありますように、「す べての子ども」に対して「すべての子どもの健やかな育ち」を保障していくという観点から 見ますと、これを当然充実させていくという方向に疑いはないわけで、そのためにはいろい ろな形で、これが充実していく、そのために現実にこれがやりにくいという仕組みであって はいけないということであると思いますので、そこのところでそもそも一時預かりというも のの制度的な位置付けの検討を、こちらの専門委員会、それから少子化対策特別部会でご検 討いただくわけですけれども、それを制度化していく具体のところにあっては、実際にさま ざまな場所できちんとできるような形、進むような形にしていきたいと考えているところで す。 ○大日向委員長  ありがとうございました。よろしいですか。  他に、いかがですか。まだ、ご発言のない委員は、いらっしゃいますか。飯塚委員、いか がですか。 ○飯塚委員  今までの各委員の皆さまのご意見をいろいろと拝聴させていただきました。特に、市町村 という立場で今日まいりましたので、当事者の1人ということで、今回、まさしく市町村の 役割も検討課題の中に入っているということで、大きいというご発言がありました。例えば、 榊原委員からありましたとおり、認可外保育のあり方などについても、非常に現場でギャッ プを感じています。やはり実際に申請に上がられる方でも一番には料金の差が大きくて、そ れで諦めてしまっているケースを私も目の当たりにしていますので、その辺の改善というの がぜひ必要になってくるのではないか、この壁を取り払っていくというのは、一つの大きな 課題なのではないかと思っています。  また、椋野委員から保育料の話がありました。私どもも今、国基準の大体8割ぐらいで保 育料を設定していますけれども、隣の市はそれを細分化して、今、国の基準が7階層ですが、 例えば14階層ぐらいにして、料金はそのままでも細分化することで軽減するなど、自治体 によっていろいろな工夫がありますので、そんなには情報がありませんけれども、その辺も この場でご紹介しながら、いろいろな方法を検討していければと考えています。  また、補助金のあり方などについてのお話もあったと思いますが、まさしく同感で、特に 民間事業者のベネッセの話があったと思いますけれども、「安心こども基金」なども恐らく 民間事業者は適用除外だったのでしょうか。確か社会福祉法人しか適用にならなかったと思 いますけれども、そのように施設整備にしてもハードルが高いのではないかと個人的に思っ ているところがありますので、その辺も少しずつ改善していくことが必要かと感じていると ころです。意見になりましたが、以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございました。吉田正幸委員、いかがですか。 ○吉田正幸委員  なるべく静かにしていようと思っていたのですが、初回ということで、少し総論的なこと を申し上げて、次回以降の議論に期待したいと思います。  一つは、先ほどから出ていましたように、子ども・家族政策の側面とそれから労働政策の 側面の両面に渡って「質」を担保しつつ「量」の拡大を図るというのが、全部かかってきて いるのだろうと思います。特に、子ども・家族政策に関しては、再三「未来への投資」とい うことを議論の中で委員の皆さまがおっしゃっていまして、その意味では財源の問題をもう 一度きちんと押さえないといけない。特に、この新たな保育の仕組みに伴って、量的に拡大 すると同時に質の問題が大事ですので、抽象的な議論だけではなくこの仕組みをやったとき に、どのくらいの公定価格をどう設定するかということも出てきますから、その辺も含めて 少し具体的な財政の担保といいますか、財政的試算のようなものまで踏み込めればよいので はないかということが、1点です。  それから質の面でいうと、今日の朝刊でも出ていましたが、家庭環境が子どもの学力にか なり影響しているというニュースがありましたが、質の高い保育を行う、そして家庭を支援 するということが、そういう意味での質の面でも大変社会的メリットを生むだろうという側 面も詳細設計のどこかで意識していただけるとよいのではないかと思います。  それから、労働政策の側面では、先ほどお話が出ていたように保育者も労働者ですから、 当然その処遇の改善や配置基準の改善も関係すると思いますし、一番の利用者である保護者、 特に今回はその潜在ニーズをどうするのかという部分が大変大きな課題で、ともすると既に 認可保育所に入っている人だけの議論になりがちな面が私はあると思いますが、実は入りた くても入れない人が潜在的に相当あり、あるいは最初から諦めている方もいらっしゃいます。 そういう認可保育所を利用できていない、あるいは潜在化させられているというと言い過ぎ かもしれませんが、その辺にかなり思いをいたした制度設計を当然すべきであると思ってい ます。  あと2点申し上げますが、一つはこれもキーワードですけれども、「切れ目のないサービ ス、切れ目のない支援」ということが大事な観点ですので、もちろん就労による保育の必要 性・量等もあると思いますが、当然働いている方でも1年間育児休業を取れば、その間在宅 になるわけですから、そのように変動していく部分も視野に入れて、どのように詳細設計す るかということと、それから0、1、2歳児と3、4、5歳児が子どもの発達の連続性という 意味では一体的にとらえるべきだと思いますが、3、4、5歳児の幼児教育の無償化の議論は かなり具体的に出ていますので、当然これは制度設計に関係するので、その辺のバランスの 取り方ということも少し視野に置かなければいけないだろうと思っています。  それからもう一つは、実は私は「貧困と社会的排除」ということに最近非常に関心を持っ ているのですが、すべての子どもの最善の利益という観点から見たときに、例えば貧困も経 済面だけでなくて、例えば家庭にきょうだいが少ないことや核家族化が進んでいるというこ と、あるいは地域コミュニティがなくなって、子ども集団や子ども会が成り立たないという ことは、ある意味で豊かでない方向へかなり行っています。単に働く働かないというだけで はなく、子どもの環境としては大げさに言えば、貧困あるいは社会的排除という側面がある ので、その辺をクリアできるような、そういう意味での潜在ニーズも視野に入れた制度設計 になればと思っています。  その意味で、これも先ほど出ていましたけれども、いわゆる言葉や用語が、ともすればな かなか共通理解ができないので、重要なキーワード等についてはできれば確認をする作業も していただきたいし、場合によっては事務局の方で用語解説というと少し大げさかもしれま せんが、なるべく受け止め方のずれがないような言葉に関する丁寧な作業をしていただける と良いのではないかと思っています。以上です。 ○大日向委員長  ありがとうございます。これで一当たり、専門委員の皆さまにご発言いただいたと思いま すが、少子化対策特別部会から出ていらっしゃるお三方、岩渕委員、内海委員、篠原委員は いかがですか。内海委員、お願いいたします。 ○内海委員  この委員会は、特に現場の方がとても多いので、こんなことをされたら困るということを 本音で言っていただきたいと思います。少し変えることで津々浦々大きなひびが入ってしま ってというのが、有りがちなことなので、いろいろなお立場の方がいらっしゃって、一つの 方向に向かって日本の子どもたちのために動こうという意識は一緒でも、具体的なことにな ると、えっと思うようなことが多分起こってしまう可能性があるので、ぜひ現場のいろいろ な細かいことでもよいですから、細かいことが結構大きなひびになるので、現場が困らない ように。  それから、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれど、利用者の立場、親が何に困ってい るかということで、特に何に困っているか、どのように子育てと仕事を両立させたいと親は 思っているかということに思いを馳せて、労働の面、保育者だけではなくて、親の働き方に ついても、少し踏み込んだ議論をしていただきたいと思います。 ○大日向委員長  ありがとうございます。あと、お二方はよろしいですか。  では、他にもまだもう少しご意見がある方は、時間がありますが。佐藤委員、お願いいた します。 ○佐藤委員  幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。「保育の質」ということを随分言われ るのですが、その中で、昨年大臣告示され、今年4月から施行された「保育所保育指針」と いうのは、質を担保する上での最低基準であると思うのです。ですから、この保育制度を検 討するに当たっても、保育については保育所保育指針が保育の質における最低基準だと、も う1回確認していただいて、その前提にたって検討いただきたいと思います。例えば「保育 所保育指針」にはすべての子育て家庭への支援と地域の子育て支援が位置付けられています。 そこの中に「一時保育」という文言がありながら、こちらの議論や児童福祉法では「一時預 かり」という文言になっていて、すり合わせができていない部分が見られると私は認識して いるのですが、その辺のところもどこかで整理していただきたいと思っています。  それから、例えば質の確保・向上を図る上で大切なポイントは、保育の継続性ではないか と思います。何人かの委員が述べておられたように、保育を提供する側の保育者そのものが 就労継続できるシステムが今、結構危ないということです。特に、今回の委員会の中でぜひ 議論していただきたいことの一つが、公立保育所に関する問題もあるような気がするのです。 これまでは児童福祉法で定められている国および地方公共団体は、児童の保護者とともに、 児童の心身ともに健やかに育成する責任を負う、その責任を果たす一環として公立の保育所 が存在していた意味合いもあると思います。それが第1次報告でいくと、「公的保育を受け ることができる地位を付与する」ということが市町村の役割では課せられましたけれども、 例えば市町村そのものが保育を実施する責任、公立保育所を維持するという責任の部分が、 何となく曖昧なままになってしまっているような気がするのです。今2万3,000近くある認 可保育所の中の約半数が、まだ公立保育所なのですが、その公立保育所の存在証明そのもの も、この委員会の中ではぜひ課題も含めて議論していただきたいです。現状では、公立保育 所の運営費の一般財源化の影響により、公立保育所に非正規の職員がかなり増えています。  それから、私は青森県から来ていますが、青森県のようにもともと民間の保育所が多いと ころ、特に青森市には今年4月から公立保育所が1箇所もなくなりました。民間移譲の流れ が止まりません。その中で公的責任というものが、どこまでこの仕組みの中で位置付けられ るのかというのも、ぜひ慎重に議論していただきたいと思っています。  それから、昨年、保育に必要な空間的な環境について、社会福祉法人全国社会福祉協議会 の児童福祉部の方で調査しましたが、物的な環境だけではなくて、人的な環境もどれくらい 子どもに対して必要なのかというのも、科学的根拠をぜひ明らかにしていただきたいです。 私たち現場で保育している者からすると、例えば配置基準にしてもどうしてこの基準なのか というのは、それは科学的な裏付けがないから、ずっと捨て置かれているのかもしれないと いう危惧を持っています。これも委員会の中で、ぜひ人的な配置についても、これぐらいの 保育の質を担保するためには、これぐらいの人員が必要なのだというのを明らかにしていた だくための調査も、併せて行っていただきたいですし、そのような科学的な根拠に基づいて、 例えば先ほどの財源の問題やそういうことも含めてするべきではないかと思っています。こ の国の「すべての子どもたちの健やかな育ち」を保障する国の覚悟というのでしょうか、そ ういうものをこの制度設計の中で行っていただきたい。これは、規制改革や地方分権の側か ら言われているような視点ではなくて、この国の形として子どもをどう育てたいのか、子ど もの育ちをどう保障するのかということです。そういう意味では、他の視点から言われてい るような保育制度議論は、できればもう終えてほしいです。しっかりとこの国の子どもたち を健やかに育むための制度を、この仕組みの中で、委員会の中で議論していただきたいと思 っています。以上です。 ○大日向委員長  数々の大事な点のご指摘をありがとうございます。これまでも少子化対策特別部会や保育 事業者検討会でも、議論してきた点もたくさんあったと思いますが、新しい委員も加わって いただきましたので、改めて確認しながら議論を進めていきたいと思います。  他に、いかがですか。吉田昌哉委員。 ○吉田昌哉委員  財政という点で、先ほど市町村の各施設に対する財政負担責任について、佐久間委員から 平等性をより確保していくべきであるという趣旨のご意見があったのですけれども、今回の 第1次報告を見ていますと、市町村の責務というものが非常に増大していると感じています。 保育を必要とする子どもには例外なく利用保障して、提供体制を確保して、認定して、基準 に達した施設に対しては支払義務を市町村に課すというような案が、第1次報告に盛り込ま れているのですが、一方でその最低基準という面では、国の基準を維持していくべきである、 または強化していくべきであるという考え方も盛り込まれています。そういう面では、国の 市町村に対する財源保証・財政責任についても、もう一度、この専門委員会がふさわしいの かどうかは少し疑問なのですが、制度の持続可能性ということを担保していく上では、国の そういう財政責任についても、できれば配慮した議論を進めていきたいと考えています。 ○大日向委員長  ありがとうございます。他に、いかがですか。よろしいですか。  今日は初回ですので、皆さまからいろいろとご指摘・ご意見をいただきまして、今後の本 専門委員会の議論の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。  1点だけ、確認させていただきたいと思うことがあります。なぜ今、保育制度の改革を議 論するのかということの共通理解を持っておく必要があると思います。この議論はまず、日 本の保育がこれまで果たしてきた大きな役割に対しての評価と期待を出発点としています。 これだけ待機児問題が出てくるということは、取りも直さず、保育に、特に事業者、保育者 の方々が大変なご苦労を積み重ねて果たしてきてくださったことの結果だということです。 この点は、少子化対策特別部会でも大前提として議論を進めてきました。しかしながら、昨 今のいろいろな社会情勢・経済情勢の変化で、親の働き方も含めて保育需要の多様化、地域 の保育機能の維持の必要性、さらには急速な少子高齢化への対応の必要性の高まり等があり、 現状では子育て家庭のニーズに応え切れていないことは否めません。また、持続可能な社会 保障の維持という観点からも、労働力の確保の必要性は必須であり、親が安心して働けるた めにも、保育制度の改革がぜひとも必要ということで、少子化対策特別部会で議論を進めて きたわけです。  今後のあり方を考えるときに、先ほど駒村委員がおっしゃってくださった点が、私は大変 大事だと思います。というのは、少子化対策特別部会あるいは少子化対策特別部会の審議に 資するために本専門委員会の皆さまにお願いしております新たな保育の制度体系というこ とですが、駒村委員がおっしゃったように、ゼロから新しいものをつくるのではないわけで す。既にあるものをより良いものに変えていくということですので、現在までのことに関し て、お立場が変われば当然ご意見も異なると思います。皆さま全員が納得される方向で、こ の専門委員会のお考えを少子化対策特別部会の方にいただくことができるかどうかは、今後 の課題であると私は考えています。しかしながら、子どものため、そしてその子どもを育て ている子育て家庭の親のために何が一番良いかというところで、どうか心を一つにしてご議 論いただければと思います。痛みを伴う議論もこれからは展開していかざる得ないこともあ ろうかと、、駒村委員のお話を伺いながら改めて思ったところですが、次回以降、どうぞ活 発なご意見をいただきたいと思いますが、今の点をどうぞ含んでご参加いただければありが たいと思います。  それでは、次回以降の日程等について、事務局からご説明いただけますでしょうか。 ○今里保育課長  本日は、誠にありがとうございました。次回以降の日程については、追って事務局よりご 連絡させていただきます。お忙しいところ恐縮ですが、ご出席いただきますよう、よろしく お願い申し上げます。 ○大日向委員長  それでは、本日は少し早めですが、初回ですので、この辺りで閉会といたします。ありが とうございました。 【照会先】 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課企画法令係 代表 03−5253−1111(内線7920)