09/07/28 第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録 第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録                    日時:平成21年7月28日(火)16:28〜18:52                    場所:都市センターホテル5階オリオン 議事次第 1.要介護認定状況の集計結果について(第二次集計) 2.要介護認定に関する分析等について 3.その他 議事内容 ○鈴木老人保健課長 定刻より若干早目でございますが、委員の皆様はおそろいでございま すので、ただいまから第3回の要介護認定の見直しに係る検証・検討会を開催させていただ きます。  それでは、田中座長に進行をよろしくお願いしたいと思います。 ○田中(滋)座長 それでは、委員の先生方、お忙しい中をお集まりいただきましてありが とうございました。第3回を、早速始めます。  議題に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 それでは、お手元の資料を御確認いただきたいと思います。  議事次第の後に配付資料一覧、それから座席表がございます。  資料1が、名簿でございます。  資料2が、開催要綱です。  それ以降が実際の資料でございまして、資料3が第二次集計ということで「要介護認定状 況の調査結果について」です。  資料4が、「審査会における主治医意見書や特記事項の活用状況、自治体の属性について」 です。  資料5が、「認定調査員テキストの修正の考え方について」です。  資料6、横長でございますけれども、「調査項目の定義変更に係るシミュレーションにつ いて」です。  資料7は、結城委員から御提出をいただきました「要介護認定一次判定 調査項目定義の 修正に係る試行調査」でございます。  資料8が「今後の研修について(案)」ということでございます。  以降、参考資料でございまして、木村委員の方から御提出をいただきました「「要介護認 定方法の見直し」に関するアンケート調査結果報告書」という厚いものがあります。  そのほか、当日配付をさせていただいた1枚の「提言 日本介護支援員協会が実施した緊 急アンケートより」ということでいただいております。  参考資料2は、今年の4月から要介護認定の申請を受けて非該当になられた方が特定高齢 者候補ということで、地域支援事業の介護予防サービスの対象になったということをお示し しております。  資料3と4は、本資料の4の方にあります調査についての詳しい分析でございますが、今 日の御説明から省かせていただきます。  以上が、資料でございますので、過不足等がありましたらお知らせいただきたいと思いま す。  なお、頭撮りの方はここまでということでお願いできたらと思います。よろしくお願いし ます。 ○田中(滋)座長 資料はよろしいでしょうか。  では、早速ですが、議題の1、「要介護認定状況の集計結果について」に移らせていただ きます。配付された資料3、4に基づいて説明をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 それでは資料3、4に基づいて御説明をしたいと思います。  資料3は、少し厚くなっております。「要介護認定状況の調査結果について(第二次集計)」 となっております。前回の7月13日は、第一次集計についてお示しをいたしました。今回 の第二次集計はそれも含めて全体バージョンになっておりますので、重なっている部分につ いては省略をさせていただきます。  説明についてでございますけれども、基本的には同じ対象者の方について分析をさせてい ただいております。前回、お示しすることができなかった経過措置適用前の二次判定につい て中心に今回は御説明します。  13ページをごらんいただければと思います。13ページの下から2つ目、「経過措置適用前」 というところが今回新しく上がってきた資料でございます。二次判定のときに経過措置適用 前であると、適用後もしくは2008年までに比べてどうかということでございますが、重度 のところはほとんど変動がないように思います。中度のところも、2005年まで返ってみる と余り大きな違いはないということでございますが、特に非該当の方が増えているというこ とになるかと思います。  14ページ、15ページは、それを在宅、施設に分けてみたものでございますけれども、こ の2つを見ますと、施設の方は余り大きな変動はない。むしろ在宅の方に軽度が少し多くな るというところが見られるということでございます。  次の16、17、18は申請の方法によるもので、更新申請しか経過措置はございませんので、 経過措置適用前は18ページにしか載っていないということになります。  次に19ページ以降、二次判定での一次判定結果の変更割合でございますけれども、20ペ ージ全体が載っております。これを見ますと、一次から二次と重度に変更される方の割合は 余り大きく変わっていない反面、軽度に変更される方が減っているというのが経過措置適用 前ではないかと思います。これは在宅の場合も21ページで同じような状況でございますが、 22ページで施設の場合には若干重度に変更される方が減っているということになろうかと 思います。  次の23、24、25は申請のやり方、方法に基づく分析ですので、25ページの更新申請しか 経過措置適用前はありませんが、適用前は先ほど申し上げたのとほぼ同様の結果になってい るということです。  次に、前回との一次、一次、それから二次、二次の比較ですが、一次、一次は経過措置は 関係ございませんので28ページをごらんいただきますと、これが二次、二次について比較 をしたものでございます。全体としては、重度に変更された方は余り大きな違いはないとい うことですけれども、軽度に変更された方がやはり少し多くなっているということでござい ます。特に在宅と施設で拝見しますと、在宅において少しその傾向が強いということになろ うかと思います。  31ページ以降は、認知症の方を自立度で見た場合どうかということで、今回新たに加え ました資料が33ページ、それから34ページをごらんいただきたいと思います。33ページ は、認知症については自立している、もしくは自立度が1だということで、認知症が基本的 には非常に低いという方です。この方たちの場合には重度に変更されたというところは余り 大きな違いはありませんが、軽度に変更されるというのが以前より増えているということに なります。  その方たちと34ページを比較していただくと、2以上の方については相当程度、重度に 変更される方が多いということは今までと同じですが、若干軽度に変更される方が多いとい うことにもなっているかと思います。  それから、36ページは結城委員から前回御要望のありました更新時の二次判定と今回、 新しく判定された一次判定を比べるとどうかということです。これはなかなか意味合いを見 るのが難しいということでございますけれども、重度に変更されたという方がほぼ変わらな いという一方、軽度に変更されたという方が、一次判定は若干軽度に出るということでござ いますけれども、少し増えているということだと思います。  38ページ以降は、要介護度ごとに一次判定から二次に向けて重くなったか、軽くなった か、変わらないかを示したものでございます。38ページは非該当の方でございますけれど も、この方たちは基本的に軽度に変更されるところは非該当だからありませんので、変わら ないという方が2006年と同程度か、若干低いというようなことだと思います。  次に、要支援1が39ページで、これも変わらないという方が若干多いかもしれません。  要介護1相当というのが40ページで、この場合には少し重度変更が少なくなるというこ とと、それから軽度変更がかなり小さくなっているということでございます。要介護にも同 様の傾向、要介護3、4と同じような傾向で、要介護5はこれ以上重くなるという場合はあ りません。その場合、軽度変更されたという割合は以前よりも低くなっているということで、 これが経過措置適用前のデータを入れさせていただいた最終的な第二次集計ということに なります。  それから、引き続きまして資料4をごらんいただければと思います。前回も申し上げまし たけれども、例えば4月に申請をされた方たちの場合には平均の処理期間が34日でござい ますので、大体5月に判定をされるということでございます。5月に判定をされますと、6 月10日ごろを目途に、国に認定支援ネットワークという形でデータが上がってまいります けれども、今回その認定支援ネットワークというデータだけでは分析できないその他の状況 というのを市町村に御協力をいただいて調査をさせていただいたものでございます。中身は、 2ページ以降でございます。  2ページは、当該申請者について実際にケアプランを策定しておられる方が調査に関わる ということについて規制をしているかどうかということを在宅、それから施設について見た ものでございます。上の方をごらんいただくと、認めていないというところが約3割、在宅 でもございます。施設の場合でも、3割6分程度ということになりましょうか。あとは実際 の要介護の分布ですが、余り大きな違いはないかもしれませんが、若干認めていないという ところの方が軽度が高いという傾向にあるかもしれません。  次の3ページ目でございますけれども、これは研修でございます。実際に調査員の方にど ういう研修をしていただいたかということを自治体に聞いたわけですが、特に実際に新しい 認定ですとか、難しいケースは自治体が御自分でされる場合が多いですけれども、更新の場 合には委託事業者がやられる場合が多いようです。そこが上のiiの(1)のaのところの下 の方の棒グラフですが、ここでやはり課題になってくるのが一番右の33.0%、不明というの が3分の1ぐらいございます。つまり、自治体の場合、委託事業者にお願いをしているんだ けれども、研修をしているかどうかがわからないという状況でございます。  検証するとどうかというのがbのところで、重点的に説明するというところになると、こ れも大きな違いかどうかはあれですけれども、若干軽度のところが多いということになろう かと思います。  また、(2)のところでは2009年版の調査員のテキストをどういう形で調査をする方のお 手元に届けたのかを見たものでございますが、上の2つがいわゆる電子版ということでPD Fファイルとしてお配りをしたものです。下の2つが紙媒体ということで、冊子になってい るか、プリントアウトかは別ですが、紙媒体として調査員の方にお届けした場合です。白い ところが、おおよそ全員に配布をしたというところでございます。  1番目と3番目の自治体職員というところをごらんいただくと、92.6%の自治体では全員 に自治体職員について渡っていますし、23%の自治体ではPDFファイルでも配ったという ことですので、恐らく自治体の職員の方は全員が新しいテキストを持たれていると思います が、委託された職員の方の場合には、紙媒体ですと43.1%の自治体が全員、それから11.3% の自治体が電子版を全員にということです。これは、もちろん御自分でさまざまなページか ら厚生労働省も含めてダウンロードされてということはあると思いますが、自治体側でその 辺をされているということが余り多くない委託職員の場合という結果ではないかと思いま す。  次に、4ページ目でございます。今回の調査項目の選択について自治体の現場の方がどう 考えておられるかということですけれども、「選択がしやすくなった」が36.3%、「選択がし にくくなった」が35.4%で、この結果だけですとほぼ拮抗したことになっております。  特記事項については、45.2%が「充実した」、46.3%が「以前と変わらない」ということ ですから、これは充実したというお考えが多い。  逆にcのところですけれども、調査員の方の御負担は54.6%がやはり増加をしたというこ とでございますので、この辺のところにもやはり課題があるということになろうかと思いま す。  それから、5ページ目以降は二次判定をされる認定審査会についてお伺いをしたものです が、認定審査会にある意味で事前配付、次の審査会でいろいろ審査をする状況について事前 配付をしている自治体がどのぐらいかというと94.4%と、ほぼ95%の自治体が事前配付を しておられます。「常に行っている」、それから「行っていない」を比べますと、行っている 自治体の方がやはり重度変更が多く、軽度変更が少ないという傾向にあるように見えます。  それから、認定審査を行われる委員について、8割以上の方に研修をされたというところ が7割近く、69.4%ということで、かなり重点的に説明したbのところですけれども、ここ もどのぐらい違うかということはありますが、若干重点的に説明した方が重度変更が多く、 軽度変更が少ないというふうに見えます。  それから6ページでございますけれども、これは更新申請者について御希望に応じて経過 措置をということでございました。経過措置は必要ない、新しい認定のままでいいとおっし ゃった方が16.8%、軽くなった場合に従来の要介護度にしてほしいとおっしゃった方が 60.2%、重くなった場合に戻して欲しいというのが1.8%、それから重度になっても軽度に なっても元のとおりにしてほしいという場合が21.1%、これは実際の要介護度がどう動いた かということは別に、御希望としてはこういうことであったということだと思います。  また、審査会において、調査員の方が書かれるさまざまな情報や主治医の意見書等を基に、 実際に必要な療養についての意見を付してケアマネさんに渡すということができるわけで すけれども、これがされている割合というのが1.3%ということになりました。  最後に7ページ目、8ページ目でございます。7ページ目は、審査会において一次判定の 項目について修正があったものはどういう項目が多いかということでございますが、10%以 上あったのが下肢の麻痺、それから移動、短期記憶といった項目でございます。  逆に8ページ目でございますけれども、これは二次判定で一次判定を重度変更した、軽度 変更したということがあると思いますが、その場合にどの項目を用いて参考にしてやられた か。ここに多く特記事項が恐らく書かれているということだと思いますけれども、これもや はり10%以上のものを拾いますと1−7の歩行、2−2の移動、2−5と6の排尿、排便、 それから4−12のひどい物忘れというような項目でございます。  いずれにしろ、前回もちょっとお話申し上げましたけれども、例えばばらつきがかえって 増えてしまった項目、それから市町村やいろいろな方から御質問や御意見をいただいている 項目と、やはり重なっている場合が多いということでございます。  以上が、資料3、4の御説明でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。では、ただいまの資料3、4の説明について、 御質問や御意見があればお願いいたします。  結城委員どうぞ。 ○結城委員 資料をありがとうございました。28ページと36ページについて御質問なので すが、前回、私の要望どおり出していただき、過去の分まで出していただいてありがとうご ざいます。  それで、基本的には一次判定は少し前回より軽度に判定されて、二次で少し戻す傾向がや はり過去もあったということはこれから見られるというふうに理解してもよろしいのかど うか、1点だけどうでしょうか。それとも、そういう考え方は余りよくないのかということ だけちょっとお伺いしたいと思いました。以上です。 ○鈴木老人保健課長 御質問を正確に理解したかどうかですけれども、もし36ページのこ とをおっしゃっておられるのであればちょっと繰り返しになりますが、36ページは更新申 請をされた方について、更新申請をされた時点での要介護度と、更新申請に係る新しい一次 判定を比較したものです。  したがって、要介護度によって違いますけれども、通常は一次から二次判定には20%ぐ らいは重度変更される場合が多うございます。それと今回のこともありますので、一般的に 言えば今までも更新申請をされたときの二次判定と新しい一次判定を比べれば、それは軽く なっているというところが多いということになると思います。 ○結城委員 ありがとうございました。 ○田中(滋)座長 池田委員どうぞ。 ○池田委員 資料3の30ページで、2005年4月、5月、2006年4月、5月、2007年4月、 5月と時系列的に追いかけて比較されているのは大変ありがたいと思います。問題は、これ をどう読むかという点にあります。  前回も申し上げたとおり、私は2000年度から要介護度別の認定率をずっと追いかけてい ます。例えば2003年の時点で要介護2、3、中度の認定率は、高齢者の4.2%です。2004 年になりますと4.3%、2005年になりますと4.4%と、0.1ポイントずつ上がっていく。これ は、ある意味で後期高齢者の割合が増えておりますので、自然なことだと思います。  ところが、2006年になりますと4.4%からぽんと5.0%に飛び上がっているんです。更に 2007年には5.2%と、また上がっています。  前回も言いましたけれども、要介護1が要支援1、2、要介護1というふうに分類される ときに、明らかに軽・中度が異様な変化を示しているということです。どう考えても認定運 営上、蹴上げられると言いますか、本来よりも高目に修正するという傾向が全国的に見られ たようです。  前のものが正しい。したがって、今回が前のものと近づいていれば正しいんだという議論 には根拠はない。さらに、一体どこと比較するんだということを考えると、少なくとも、2006 年度レベルは異様なゆがみを示している。引き上げられているということがあるので、少な くとも2004年、2005年辺りと比較してみないと、本当は実はちゃんとした比較はできない んじゃないかと思います。そういった意味では、2005年の4月、5月という非常に微妙な ところなんですけれども、それが入っているので、これはある意味で参考になるかなと思い ました。 ○田中(滋)座長 ありがとうございます。  では、対馬委員どうぞ。 ○対馬委員 資料4の3ページのところに研修、指導についての結果が載っていますけれど も、先ほどの説明ですと委託の事業者のところでは必ずしも十分研修をしていないのではな いかという数字が見えているということと、認定テキストの配付も紙媒体、電子媒体といろ いろありますが、必ずしも十分ではなかったということは、やはり今回の改訂について十分 な研修とか指導、この辺りがやや不足したのではないかという理解でよろしいんですか。 ○田中(滋)座長 課長、お願いします。 ○鈴木老人保健課長 特に自治体職員の方というよりは、むしろ委託を受けておられる調査 員の方について、もう少し現場の方に情報が届くように我々は努力をすべきではなかったか ということだと思います。 ○田中(滋)座長 樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 いろいろ調査をありがとうございます。木村委員の方からもケアマネの方のデ ータが出ているようですけれども、私も今、対馬委員がおっしゃいましたように、やはり今 日調査に当たる人たちへの十分な研修とかPRが大変不足していたと思います。  それから、それ以上にこの認定を受ける本人や家族の側にどういうご説明があったのか。 あるいは、そのときに家族や、高齢者の側からどういう反応があったのか。これだけ調査な さったんですから、行政はじめここにいらっしゃる委員の方で、高見委員などの方でそうい う実態調査などをなさったものがありましたら教えていただきたいし、厚労省の方でつかん でいらっしゃらないでしょうか。 ○田中(滋)座長 いかがでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 少なくとも自治体の方については、テキストの部分ですけれども、前 回お示ししたようなさまざまな御質問とか御意見があったということはありますけれども、 大変申し訳ないのですが、実際の利用者の方に直接お伺いするということを我々は今回して いませんでしたので、次回以降いろいろ変えていくに当たっては、是非さまざまな声をお伺 いして、そういうところも含めて検討させていただきたいと思います。 ○田中(滋)座長 高見委員、今のことで関連があればどうぞ。 ○高見委員 関連ではないんですけれども、やはり判定の結果が今回大切だと思うんです。 前回のときは、一次判定の結果のデータを出していただきました。前回の場合は、一次判定 の結果を2008年度と比較すると、全体では3.4%の非該当が今回は7.6%に一次判定ではな ったというデータがありました。  その結果、今回の13ページの二次判定結果の全体ですが、2008年の場合は一次判定では 3.4%の非該当があったけれども、2008年はそれが0.9%になっていたと、この表はこういう ふうに見るんですね。それで、経過措置はいずれなくなっていくでしょうから、ここの議論 では経過措置後というのは余り意味がないと思うんですね。ですから、そういう意味で経過 措置適用前を比べますと、一次判定で7.6%あったのが2.4%に減ったと、こういうふうに見 るんですね。 ○鈴木老人保健課長 はい。 ○高見委員 わかりました。  ただ、私は、この認定調査でやる場合、一次判定でもそうですけれども、非該当が倍、も しくは倍以上になっていたというところが今回の調査方法の変更の問題点を象徴的に表し ていると思うんです。つまり、非該当というのは究極の軽度化なんです。そういう意味で、 今回も前回の二次判定結果よりも2倍以上、0.9%が2.4%になったという事実があるわけで す。  私は、やはり要介護認定をするのはどういう人なのか。私は1回目のときに言いましたけ れども、去年の夏に第1号被保険者になりました。委員の皆さん方や傍聴においでになって いる方の中にも1号被保険者はおられると思いますが、私は介護保険を申請しようという気 持ちは今のところ全くありませんし、そういう準備もしていません。  これはどうしてかと言うと、介護保険を使う必要がないからです。必要を感じないから全 く申請をしていないわけです。介護保険を申請した人というのは、いずれにしてもどこか体 の調子が悪いとか、介護のサービスを受けたいと思って介護保険を申請する人ばかりなんで す。そういう意味で言いますと、介護保険を申請したい、介護保険を利用したいと思ってい る人が、今回の二次判定の結果を見ても、去年よりも倍以上に増えているというところがや はり重大な問題ではないかと思うんです。  つまり、医療ですとこういうことはありませんから、介護保険を利用したいと思っている 人が今までの倍以上、使えなくなる。このことについて、やはりもう少しこの検討会では重 視をするべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○田中(滋)座長 池田委員、お願いします。 ○池田委員 ちょうどいいデータ分析結果がありますので御紹介しますけれども、要支援1 で認定されている方の36%はサービスを使っておりません。それから、要支援1から要介 護1まで3割の方がサービスを使っていらっしゃいません。  そういった意味では、サービスが必要な方のみが認定請求を出して認定されているわけで はございません。別に議論の流れと関係ございませんが、御紹介しておきます。 ○田中(滋)座長 課長、お答えになりますか。 ○鈴木老人保健課長 次の資料5、6で、まさに今、高見委員が御指摘していただいたよう な軽度の方について非該当が増えてしまうということについてどうとらえて、どう対応を考 え、その結果はどういうことと考えられるのかということを少し我々の方でも示しておりま すので、そのセクションになりましたら説明をさせていただけたらと思います。 ○田中(滋)座長 ほかにもしなければ5、6を伺ってから、更に3、4をめぐっての議論 をするのでよろしければ先にと思いますが。  では、その前にどうぞ、野中委員。 ○野中委員 すみません。資料4の4ページで、「新たな方式での認定調査についての意見」 ですが、特記事項の内容の記載について「充実した」、「以前と変わらない」とありますが、 「充実した」というのはどういうことで充実したのかがもしわかれば教えてほしい。  それから、その次の「認定調査の見直しによる調査員の負担について」というのも、何の 負担が増加したのか調査しているのであれば教えてください。ただ単に感覚的な答えなのか、 もし調査されているのであれば教えていただきたい。 ○田中(滋)座長 2点ありました。 ○鈴木老人保健課長 結論から申し上げると、ここは選択でやっていまして丸を付けている だけなのでそこは細かくは書いておられないんですが、ただ、一応考えられるのは、今回、 特に介助の項目について基本的には現在されている介助について丸を付けていただいて、不 足の部分について文章で書いていただくということになりましたので、そこの論理からしま すと、基本的には以前よりも特記事項の充実は図られた。  ただし、それは調査員の方にとって一定の負担となっているということではないかという ことは推測できると思います。 ○野中委員 確かに特記事項を書くのが負担に思うか、負担に思わないかは人によって違う と思います。私は医師ですからケアプランを想定しながら主治医の意見書を書きますが、そ の際誘導するわけではないが、何とか介護の手間を、わかってほしいとして主治医の意見書 を記載します。やはり特記事項の充実は今後の課題と思いますが、本来その記載については 負担に思うことではないと思いますので、一応意見として言わせていただきます。どうもあ りがとうございました。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  三上委員、どうぞ。 ○三上委員 資料4の3ページの(1)のbの「新たな方式での認定に関する研修内容」で す。先ほど、特に重点的に説明した場合だけ軽度が多かったというふうに説明されたと思う んですが、これは新しいテキストを熟知すればするほど、よく勉強すればするほど軽度者が 増えるということなんでしょうか。 ○田中(滋)座長 課長からお願いします。 ○鈴木老人保健課長 なかなか答えにくい質問ですけれども、少なくとも今回の調査で出て きた範囲においては、重点的に説明した自治体の方が軽度のところの、特に非該当の方が多 くなっているという結果にこの調査ではなっています。一次判定ですけれども。 ○三上委員 ということは、これは全体として十分に検証されたという感じではなくて、委 託業者の場合には不十分であるとか、そういうことなので、もっと徹底して検証すれば、今 回のデータよりもっと極端なデータが出た可能性があると考えていいですか。 ○鈴木老人保健課長 そこは、因果関係がこの2つの間にあるかどうかということとも関係 しますので、必ずしもそれが確からしいということではないかもしれませんが、少なくとも データ上は重点的に説明した自治体の方がそういう傾向になっているということではある と思います。 ○田中(滋)座長 推理はできるということですね。  筒井先生、どうぞ。 ○筒井委員 それはちょっと言い過ぎだと……。  自治体によって重点的に説明した内容をこの調査で聞いていないわけですから、今の課長 の御意見は正確とは言えないでしょう。どのような内容が重点的に説明されたかは、調査を していないと回答しておられます。したがって、三上委員がおっしゃっていることも推測、 鈴木課長がおっしゃったことも推測というふうに考えられますので、三上委員のご意見は、 このデータからはわからないというのが正しい回答だと思います。 ○田中(滋)座長 統計学的にはそうですね。いずれの推測も成り立つので、更に検証しな いとわからない。しかし、仮説は成り立つという御説明ですね。ありがとうございます。  では、どうぞ。 ○高見委員 しかし、今の御意見もおかしいように思うんです。調査の内容が変わって説明 したんですから、調査の変わったことを重点的に説明したのは当たり前の話じゃないんでし ょうか。何の説明をしたかわからないということではなくて、変更されたところを説明した ということですから、変更されたところをよく重点的に説明されたというふうに思うのが一 般的ではないんでしょうか。 ○田中(滋)座長 本間委員、どうぞ。 ○本間委員 今回のこの検討会の趣旨からして5、6、7の資料を説明していただいた後に 更に具体的にちょっと論議をした方が集中できるんじゃないかと思いますけれども。 ○田中(滋)座長 議事についてよろしいですか。  では、木村委員どうぞ。 ○木村委員 資料4の今の3ページの(2)ですけれども、これはこのまま読むとテキスト を持っていない人がいるということに読めるんですか。 ○鈴木老人保健課長 先ほどもちょっと御説明をしましたが、これはあくまでも自治体に対 する調査ですので、自治体の側から調査をされる方について紙媒体なり電子媒体で配りまし たかということを聞いていますので、注でも申し上げましたけれども、もちろん御自分で調 査員の方が電子的にダウンロードされてということも当然あり得るわけなので、むしろ持っ ているか、持っていないかということよりは、自治体として調査員の方にどの程度お配りに なったかというところを示しているというふうに見ていただければと思います。 ○田中(滋)座長 本間委員から議事の進行というか、もう少し資料を見てから更に議論を 続けたらどうかとの御提案がありました。よろしゅうございますか。  では、そうさせていただきます。資料5と6は、これまでのこの検証・検討会での議論を 踏まえて事務局において認定調査員テキストの一部修正について検討し、また、そのシミュ レーションを行った結果です。  それから、合わせて結城委員は独自の調査を行って、その結果を分析していただいている と伺っております。初めに事務局から資料5、6の説明をお願いし、その後、続けて結城委 員から資料7も同じ組み合わせですので説明していただいて、その後、議論をいたしましょ う。  では、課長、よろしくお願いします。 ○鈴木老人保健課長 それでは、横長の資料5について御説明をさせていただきたいと思い ます。  1枚めくっていただいて1ページでございます。前回も御説明をしましたけれども、今回 の認定の見直しの1つの眼目は、項目のばらつきについて小さくしていくということが目的 で、かなり達成された部分はありますけれども、幾つかの項目については逆にばらつきが大 きくなっていた項目がございました。  また、一定の項目については自治体から質問や意見が多く寄せられているということでご ざいますので、これはテキストの書き方等々、必ずしも素直に理解しやすいというものでは なかった可能性があるということではないかと思います。  また、今も御議論がありましたけれども、自治体に要介護度がどうなったかという検証に おいて、特に非該当、軽度の方について若干増加したという結果になっております。したが って、今回提案させていただきたいと思いますのは、そういうかえってばらつきが大きくな ってしまった項目、または要望や質問が多く寄せられた項目を中心として、理解がしやすく 現実的で、かつ自治体に大きな負担がかからないというような調査項目のテキストの変更を 提案させていただいたらどうだろうかと思っております。  具体的には、2ページ目でございます。2ページ目、3ページ目、それから4、5ページ にある横長の表ということで、あっちにいったりこっちにいったりいたしますけれども説明 をさせていただけたらと思います。  まず、恐らく4ページ目をお開きいただいた方がいいかと思います。A3の横長でござい ます。4ページ目と5ページ目はペアになっておりまして、全部の74項目について1群、 2群ということで、身体機能・起居動作というのが1群、生活機能が2群、5ページ目が認 知機能、精神・行動障害、社会生活への適応、特別な医療という項目になっております。  左の方からいきますと、調査項目の中身が書いてありまして、今回は評価軸を明確に3つ に分けさせていただきました。能力にかかる項目、介助にかかる項目、それから麻痺等の有 無にかかる項目でございます。  これから先、前回までの分析と合わせて、1つは統計的にかえってばらつきが大きくなっ てしまった項目というのがございます。これに丸が付いております。その次が、テキストに 対する問い合わせ等が多かった項目、具体的な数が書いてありますが、特に10件以上、そ ういった問い合わせがあったものに丸を付けております。それから、高見委員の認知症の人 と家族の会から御指摘をいただいた項目というのがその次にございます。更に、前回、結城 委員からこういうところを変えたらどうだとおっしゃっていただいた項目について丸がご ざいます。  その上で、今回ある一定の考え方で変えてはどうかということで、ちょっと2ページ目に 戻っていただきたいと思います。  変更の考え方ですけれども、4つの変更と具体的な個別項目に分かれております。4つの 考え方の変更を今、御説明をいたしますけれども、基本的には2006年までのテキストとい うのは、実は同じような項目でもいろいろな考え方が混ざっていたという実情にございます。 これが、もしかすると調査員の方の間、もしくは自治体の間で一定のばらつきの原因になっ ていた可能性があると思います。  2009年のテキストではどうすることにしたかというと、そのばらつきを減らすために、 定義を統一しようということでやらせていただきましたけれども、一定の定義の統一が特に 軽度、もしくは非該当の関係するようなところで少し軽く出てしまう可能性があるというの が検証の結果、出てきましたので、今回テキストの修正については、そういうところのばら つきを減らすという目的については、一定程度維持をさせていただいた上で、平均値につい て下がってしまう一部の項目については下がらないようにということを考えております。  具体的には今、御説明申し上げますが、考え方が次の3ページ目に載っております。これ は、全部ではなくて一部の項目についてこういう場合があったということを言っているわけ ですけれども、前回までの2006年のテキストでは、一定のばらつきはございました。その ばらつきを抑えるために、2009年のテキストでは一定の統一というものをしたんですけれ ども、一部の項目についてはその平均値自体が下がってしまうというようなことがございま したので、今回修正をさせていただくのはイメージでございますが、ばらつきを減らしてい くというところは維持をしながら、平均値については余り変わらないようにできないかとい うことでございます。  具体的にどうするかということで、すみませんが、2ページ目にお戻りいただきます。能 力や有無のところですけれども、以前は能力については実際にしてみていただいて、日ごろ の状況を見て、より頻回な状況で選択をしていました。麻痺・拘縮については、日常生活上 の支障という文言で判断をしていただいていたんですが、実はこれが非常に個々人、もしく は自治体間で判断のばらつきが多かったということでございます。  これを、2009年の当初のテキストでは実際に行ってもらった状況で選択という統一はし たんですけれども、先ほど申し上げたように若干、特に軽度の方について軽くなってしまう ということがありましたので、修正した後は今回提案させていただいているものですけれど も、実際にやってみていただいたものと普段の状況をよくお聞きして、より頻回な、よりそ の方の全般的な状況と合うような状況で選択をしていただくというのが第1項目でござい ます。  それから、第2項目は特にひざ等を持って立ち上がるというのがありますけれども、2006 年の場合には、それも「何かにつかまればできる」ということで選択をしていただいていた のですが、実はこれは調査員等の方から、「それは癖で手を付く場合もあるだろう。それと、 何かにつかまるのはどう区別すればいいんだ」というような御質問がかなりありましたので、 2009年の当初のテキストでは、自分の体をつかむものについては「何かにつかまればでき る」ではなくて「できる」ということにしてはどうかということで提案をさせていただいた んですけれども、やはりかなり加重をしながら立ち上がるような場合というものがあります ので、これは自分の体につかまった場合には「何かにつかまれば」ということで修正をさせ ていただいたらと思っております。  それから、下の方で「介助の方法」でございますけれども、これも項目によってさまざま でございました。実際に判断の根拠が頻回な状況であったり、もしくは調査対象者の能力を 勘案したりということが項目ごとに異なっていた場合があります。それを2009年の当初の テキストでは、実際に行われている介助で選択、もし不足があればそれを特記事項として文 章として書くということにしましたけれども、これは例えば家族の方、もしくは利用者の方 にきちんとその旨は言っていただく、調査員の方にきちんとその旨を特記事項として書いて いただく、それを審査会でくみ上げていただくという3つのプロセスが成り立った場合にき ちんとワークするということでございますけれども、特に在宅等の場合に一部、難しい場合 があるということでございますので、基本的には調査員の方が適切だと思われる介助を選択 していただいた上で、もし実際に行われているものがそうでない不適切なものである場合に は、その旨を特記事項に書いていただく。少し原則と例外を逆にするというようなことをさ せていただけたらと思っております。  それから、「介助の方法」の下の方でございますけれども、実際に生活習慣等によって行 為が発生しない場合どうするかということで、これもやはり能力を勘案していたり、類似の 行為を勘案していた場合と混在をしておりました。それを、発生しない場合には当初の2009 年テキストでは「介助なし」ということにさせていただいていたんですけれども、それでは やはり一部拾い上げられない部分があるということですので、今回提案させていただいてい るのは類似の項目、例えばズボンを履くというのがありますけれども、ズボンではなくてパ ンツ式のおむつを履いてズボンを履かないという場合もあります。その場合には、それを類 似の項目としてとらえて、それが御自分でできるかどうかを書いていただくということで、 この1、2、3、4という考え方の変更を導入させていただければと思っております。  それから、個別項目と申し上げました。それは4ページ目、5ページ目をごらんいただけ たらと思います。4ページ目、5ページ目、特に右から3つ目のコラムに「認定調査員テキ スト修正(案)」という色が付いているところです。この緑のところが今、申し上げた「日 頃の状況」、それから実際に調査に当たっての状況について食い違った場合に、より頻回に 見られる状況にしましょうというところにしていただくものです。  それから、「自分を支え」と書いてある紫のところですけれども、これは先ほどの立ち上 がりとか歩行について、自分のひざを持つような場合に、それを「何かにつかまればできる」 ということに変えていただく項目でございます。  それから、オレンジの項目は適切と思われる介助について丸をしていただいて、そうでな い場合には特記事項に書いていただくというところで、介助の項目に該当するということで ございます。  赤い項目については類似行為ということで、4項目挙がっておりますけれども、実際にそ の行為がなくても同様の項目で評価をするということでございます。  そのほかに「他」と書いてあります。この青いところですが、個別にさまざまないただい た御意見を基に変更させていただくところです。これについて御説明しますけれども、上の 4項目については、特に麻痺について、単にそこまでぽんと手が上がるだけでなくて、そこ で静止できるかどうかということで見させていただく。それから、5つ目の「麻痺(その他)」、 「拘縮の有無(その他)」については手指、それから足の指についての麻痺や拘縮について も評価をさせていただくということにしたいと思います。  それから1−5の「座位保持」については、もともとは10分だったんですけれども、2009 年当初で1分の姿勢の保持ということになっております。これは、リハビリの専門家が1分 であれば10分もできるということでさせていただいたんですけれども、やはり10分見させ ていただいた方がということがありますので、10分に戻させていただきたいと思います。  それから「つめ切り」、これは過去1週間の状況でしたけれども、1週間ではつめを切ら ない場合もありますので1か月ということにさせていただきます。  1−12の「視力」については、視力だけではなくて視野欠損等も含むということでさせ ていただきたいと思います。  次に、2−4の「食事摂取」についてはほぐす動作、特に目の前でほぐす動作については これを介助にさせていただくほか、中心静脈栄養については全介助を選択していただくとい うことにいたします。  それから、「排尿」、「排便」については、特に多かった掃除についてです。直後にできな くても、一定の掃除を行っている場合については、含んで評価をするということにさせてい ただきます。  それから「外出頻度」、一番下のところですけれども、自分の敷地、庭に出るものについ ては外出と言わないということにしたいと思いますし、以前は過去3か月になっていました けれども、3か月だと随分状況が動いていつの状況について言ったらいいかわからないとい う声が多うございましたので、1か月の間の状況を言わせていただくということにしたいと 思います。  次の5ページ目ですけれども、青のところですが、「物や衣類を壊す」については、実際 に壊れなくても壊そうとする行動が見られる場合には評価するということにしたいと思い ますし、物忘れについても何らかの行動が起こっているということだけではなくて、その行 動を防ぐために周りの方が、例えば火の不始末について対応するというときには、きちんと 介助だということでさせていただきたいと思います。  それから最後、「薬の内服」について、2009年当初版では特に書いてございませんでした が、経管栄養から内服薬を注入するような場合については、これも評価をするということに させていただきたいと思います。  これが大体の変更の御提案でございますけれども、これを私どもとしてはシミュレーショ ンで一部を変えた場合にどうかということを実際に試行してみました。それが、真ん中ぐら いに書いてございますシミュレーションという項目です。全部で9項目ございますけれども、 今回の提案の中の一部になっております。これは、シミュレーションする場合には、当然身 体の状況、それから前回の各項目の丸の付け具合等から見て、ここにするということが一定 程度以上確からしいということがわからないとシミュレーションができませんので、シミュ レーションをさせていただきました。ごく一部ですので、当然これ以外にも変更される項目 はあるということですけれども、そのシミュレーションの結果がどうかということをお示し したのが資料の6でございます。横長でございます。  2009年について、もちろん全例についてシミュレーションできればよろしかったんです けれども、なかなか全例はできませんので、二十数万件あるうち1万件を任意に抽出させて いただきました。その中から今、申し上げたような形でばらつきが多いとか、意見が多いと いう中でシミュレーションができる項目について、特に障害の日常自立度から見て、前回か ら見て維持、もしくは悪化しているにもかかわらず、ある一定の項目がかえって改善してい るというようなところについては元に戻すということをやってみたらどうだろうかという ことを9項目についていたしました。その結果が、次の2ページ目でございます。  これは一次判定の結果でございますけれども、2005年からずっときておりますが、2009 年の4、5月判定というのが全体での要介護度、それから1万件を任意で抽出した場合の要 介護度というものが載っておりますけれども、それについて今、申し上げたようなシミュレ ーションをさせていただいた結果、どうなるかということでございます。  重度のところは若干変わらないか、もしくは若干増えている。中度のところはほぼ同じだ ということではないかと思いますが、特に非該当のところを2005年からずっとごらんいた だくと、4、5月判定のところに比べれば相当程度戻しているということになろうかと思い ます。  したがいまして、全部での項目、今回御提案されているうちの一部についてシミュレーシ ョンをさせていただいた結果で、至急、非該当についてここぐらいまで減るのではないかと いうことをコンピュータ上でシミュレーションをさせていただいた結果でございます。  資料5と6の御説明は以上です。 ○田中(滋)座長 引き続き、一緒に伺ってから議論した方がいいと思いますので、結城委 員から提出資料の説明をお願いいたします。 ○結城委員 では、私の資料7をごらんいただいて、次の2ページ目をめくっていただきま す。  私は、前回の13日で判断基準と説明のところを少し変えた方がいいんじゃないかという ことを提案させていただいて、ではなぜ変えるのかということを私なりに自分で分析して、 それをある意味、述べたいということでこの調査を並行してやっておりました。その結果を、 今から御紹介したいと思っております。  では、3ページ目を開けていただきたいと思います。まず私の調査の目的は、「認定調査 員テキスト2009」の修正案の妥当性について検討する。修正前と修正後の一時判定結果の 違いについて分析・検証をしたいと思いました。  それで、協力自治体です。これは、実際に私はコンピュータ上ではなくて、やはりもう一 度再訪問という形をとって、実際の御利用者さんの状況を見て調査をしないと説得力に欠け るのかなと考えまして、ここで改めて協力いただいた自治体、8自治体には御礼を申し上げ たいと思っております。お忙しい中、もう一度訪問をしていただいた。私の研究のために行 っていただきました。  15自治体に協力を要請いたしましたが、8自治体から協力が得られた。それで、全体的 には7月9日から7月21日に行いました。  では、実施対象者はどういう方かということで、各協力自治体において4月1日以降に申 請を行って7月12日までに一次判定された、あくまでも更新申請者の人です。もちろん新 基準でやった場合ですね。私のこのレポートでは、基準が新基準と前回の旧基準、前回はも ともとの06年版の基準ですね。今回の私の検証用定義という基準があります。これは私の 結城案というので、私のものでやってみてどう変わるかということです。  それで、基本的に対象者としては06年版の一次判定結果よりも、今回の新基準でやった 更新申請者の人の方が軽くなった人を抽出していただいて、もう一回再訪問で私の案でやっ てみてはどうかということでお願いいたしました。それで、結果的には短い時間であり、再 訪問ということで個人情報の関係であったので、47人の方に実際に調査をすることができ ました。  17ページに飛んでごらんいただければと思います。御利用者さんはなぜもう一回来るの かということで非常に不思議がるということですので、やはりこれは各協力自治体が今、経 過措置をとっているので、その意味でも分析する意味で御協力いただけないかということで、 基本的には御利用者さんに了解をいただいて、協力いただいた方にお願いするという形をと らせていただいたので、御利用者さんにもこの場を借りて御礼を申し上げたいと思っており ます。  では、3ページに戻っていただきます。私の結城案という検証用定義、修正した定義は、 私は06年版時代の調査しかしていないので、やはり今回09年版と比べると能力の項目の ところは調査をしたときに判断するのではなくて、日ごろの状況もある程度考えながら丸を 付けられるのがいいんじゃないかということで、能力項目についてはここに米印で書いてあ ったところを、少し日ごろの状況も見られるような定義に私は提案をしておきました。  もう一つは麻痺・拘縮のところですけれども、現在では基本的には実際にやっていただく となっています。もちろん今後もそういう原則は変えない方がいいとは思いますけれども、 やはり利用者さんの中にはできなかったりとか、非常に拘縮とかがある方は調査員の方も怖 いという意見もあったので、その場合は必要に応じて日ごろの状態も考えながら丸を付けら れるようにした方がいいんじゃないかという定義で私はやってみました。  次のページは、先ほど鈴木課長の方で私の検証用定義のところの丸付けを言ったので、私 の定義は右側でございます。今は時間がありませんので一つひとつは御説明いたしませんが、 基本的には06年版の考え方に近く、少し類似しながら修正定義を協力自治体にお願いいた しました。  5ページも、そのところでございます。ですから、その辺も今は省きますが、そういうよ うな感じで私の定義ということで提案をさせていただきました。  6ページ目は実際の結果でございます。基本的に協力自治体の方から47名の対象データ が得られました。短い2週間近い時間で47人という少ない方だったんですけれども、これ は再訪問によって実際に調査をいたしました。  ただし、前回行った調査員と今回再訪問で行った調査員は違います。なぜかというと、前 回行ったのは委託のケアマネさんというか、調査員が行っていて、今回行った方は基本的に は市役所の直属の嘱託か職員かの調査員で、調査員が変わっているということは御理解いた だきたい。なぜかというと、これは委託料が発生いたしませんので、やむを得ず私の研究の ために行っていただいたということは御理解いただければと思います。  それで、ここに前回の一次判定と今回の一次判定と検証用定義を用いたということで、前 回の一次判定はちょっと省かせていただきます。ここは、今回の一次判定認定結果と検証用 定義ということだけ載せてあります。  左側が、今回の一次判定結果でやった場合の結果です。基本的に対象者は非該当から要介 護1までの方です。私の定義を用いた場合は「結城(案)テキスト見直し後の一次判定結果」 ということですが、一次判定結果は基本的に16人の方が挙がってまいりまして、私の定義 を使って再調査をすると11人の方が要支援1になっている。それで、要支援1が今回の一 次判定結果では18人の方が挙がってまいりましたが、私の提案した定義を用いて再訪問し て調査をした結果、7人の方、要支援2が4人、要介護1が3名となってございます。要支 援2の方は7名、対象が挙がっておりまして、要介護1の方が2名、要介護2の方が1名に なった。要介護1の方は6名挙がってまいりまして、1名だけ要介護2になっているという ように比べております。  この表は、何度も繰り返しますが、今回の一次判定認定結果と検証用定義を用いての一次 判定結果との比較だけしか記載しておりません。  それで、ここで表2をごらんいただけると、簡単に言うと47名中、私の提案した定義を 用いますと、22人の方が重度に介護度が一次判定は変更されている。変わらない方が25名 いらっしゃったというふうにここで御理解いただきたいと思います。  7ページ目をごらんいただければ、先ほど私が口頭で申し上げた人数が介護度別になって おります。右側は47人というサンプル数が少ないので、余りパーセントを出してもデータ 的に意味があるかないかはちょっとわかりませんが、参考までに68.7、38.8と重度化率を 出させていただきました。  ただし、[3]の7ページですが、25人の方は確かに介護度が変わらなかったのですが、基 準時間の変更について少し私は自治体に聞いてみました。その結果は、8ページをごらんい ただければと思います。  表4でございますが、25人の方は確かに私の定義を用いた一次判定でも介護度は変わり ませんでしたが、約7名の方は基準時間が若干伸びております。15名の方は、基準時間は 変わりません。3名の方は、逆に基準時間が短くなっております。  しかし、25名中7人の方が基準時間が伸びているということは、介護度は変わらなかっ たまでも多少なりとも介護の手間ということは評価されたのではないかと考えられるとい うことでございます。ですから、先ほど申し上げたように、22人の方が実際に介護度が重 くなる。それから、7人の方が基準時間が伸びるということで、47名中29人の方は介護の 手間が更に必要と判定されたと言えるのではないか。対象者が少ないのですけれども、そう いう結果を導き出しました。  では、実際に8ページの(3)で自治体の担当者、調査員の方から私は少しいろいろ聞い てみましたが、私の提案した定義を用いると、「麻痺等」の有無の選択基準が取れやすくな った。丸が付けやすくなったということです。それから、ここは後で読んでいただければい いんですけれども、9ページなどはB、Cと8自治体は一応述べておりますが、特にFなど は筋力低下等の側面では拾えないケースもあり、すべてが重度化するとは限らない。  もちろん私の定義を用いたからと言って必ずいいという意見があるわけではございませ ん。逆にFの[3]は、家族がいる場合や付き添っている場合などは、「能力項目」で普段の様 子が聞けてチェックができるようになったという意見もございます。あとは、Gのところは 書くところを少し変えてありましたので、御参考にしていただければと思います。  時間の関係で10ページ目です。では、私はこの47人の結果データから非常に乱暴な議論 かもしれませんが、13日に出た一次判定のデータを合わせて少し粗いシミュレーションを させていただきました。シミュレーションといたしましては、私の対象者が非該当から要介 護1までの方なので、全部の介護度をやることはできませんが、結果だけ申し上げますと 11ページをごらんいただければと思います。  一番わかりやすいのは、私が計算をしますと、この47人のデータ、非常に短いサンプル ですけれども、全国版の前回の第2回の検証・検討会の数値と合わせると、シミュレーショ ン後は非該当の方が2.1%、要支援1の方が16%、要支援2の方が12.2、要介護1の方が 22.4、私の計算ではそういうようなシミュレーションができると考えられます。  私のこの47人の調査から、確かに再訪問することによって1、2か月のタイムラグがご ざいました。しかし、1、2か月タイムラグがあるとはいえ、実際に訪問をしてもう一度私 の提案した調査をすることによって、かなり一次判定において重度化する可能性は考えられ ると私は申し上げられます。  最後のページをごらんいただきます。最後の「今後の要介護認定システムの方向性」とい うことについて、私はこの調査結果について提案を申し上げたいと思っております。前回、 私は本検証・検討会で認定テキストの判断基準及び説明文を修正するのが一番いいのではな いかということを提案させていただきました。それで、私はいろいろな調査員や審査員の方 に意見を伺って、必ずしも今回のコンピュータや判断基準が全部だめだという意見ではあり ません。一部にはわかりやすくなったとか、精度が高まったという意見もございました。  しかし、多くはいろいろ問題もあるし、課題もあるという意見もございました。ですから、 ある程度認定調査員のテキストを変えることによって、住民も安心して認定を受けて、ここ の2番のところですけれども、今の経過措置を早く解除しないと私は介護現場が非常に混乱 すると思います。  各自治体さん、調査員さん、審査員さんの多くの方が、もしかしたら5月初旬に認定され た方が期間が6か月であれば、今度は二巡目の経過措置を用いなければならなくなってしま う。そうすると、2度経過措置を使ってしまうということは、その自治体職員や審査員の方 の意見によると、実際に認定そのものは形骸化してしまうのではないかという非常に危機的 な意見をおっしゃっていました。  もちろん、私に協力いただいた8自治体の介護保険課の担当の係長、課長も、2度の経過 措置は是非とも使いたくないということを強く意見を言われました。その意味では、認定調 査員のテキストをある程度直して、今後の経過措置解除にできるだけ早く踏み切るべきでは ないかと私は考えてございます。  ただし、経過措置を解除したからと言って、もしかしたら安心できないのであれば、経過 措置解除を3か月くらいたってからまたこの場でそれなりの状況を検証するという方法も あると思いますので、できるだけ早い解決策を私はこの調査をもって提案したいと思います。 以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  もう一つ資料がございます。今の結城委員の調査結果や、それから厚労省で行ったシミュ レーション結果などによってテキストを修正する案が出ております。テキストを修正すると、 研修がますます重要になります。その研修についての資料が1枚紙でありますので、これも 合わせて説明をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 今の結城委員からの最後のまとめの中にも、きちんと調査員等に向け て研修を行うべきだという論点がございました。  それと関連して、資料の8、1枚の横紙でございますけれども、これから何らかの形でも し修正を図るとすれば、少なくとも資料4にありましたような調査員の方の手元に情報が届 いていないということはあってはいけない。それからまた、いろいろなメディアを通じて、 もちろん研修会というメディア、DVDというものの配布、もしくは動画配信ということも 含めて、紙媒体、DVD、動画配信、更には実際の研修会というさまざまな形を通じて現場 の方にきちんと情報が行き届いて、かつそれが全国できちんと同じ形で判断されるというこ とに寄与するということにさせていただけたらと思っています。  そこで、この案についてはテキストもきちんと今回については修正案が目立つような形で 配布をさせていただく。それから、いろいろな方が参加できるような研修会をブロック単位 でも実施をさせていただきたいと思います。それから、なかなか調査に当たる方、自治体の 職員の方も、それから委託をされる方もそうでしょうけれども、時間がない。お忙しいとい う事態もあると思いますので、これはDVDでありますとか、インターネットにつながって いるコンピュータであればどなたでもすぐダウンロードすることができるような動画なり、 もちろんPDFでも配りたいと思いますけれども、そういう形でできるだけ調査に当たる現 場の方はもちろん、自治体の方に情報が伝わるという形で、我々の方で努力をさせていただ けたらと思います。  以上、資料8であります。 ○田中(滋)座長 事務局及び結城委員、説明をありがとうございました。  それでは、後段の資料5、6、7、8のみならず、先ほどの3、4を含めてでも結構です。 御自由な御意見あるいは質問をお願いいたします。  では、木村委員どうぞ。 ○木村委員 今の関連で、日本介護支援専門員協会が調査をして、テキストですけれども、 それを今日お出しさせていただいておりますので、ここで説明してよろしいですか。関連す ると思いますので。 ○田中(滋)座長 お願いいたします。 ○木村委員 前回、インターネットでのメールでの調査の中間を御報告させていただきまし たが、その後、郵送調査でやったものを加えたものを今日、全部まとめて参考資料1という ことでここに届けさせていただきました。  参考資料1の表紙をめくっていただきますと、人数が出てまいります。少し表現が調査結 果と違うのではないかということがひとつあるので訂正をさせていただきたいのですが、調 査対象者は日本介護支援専門員協会の会員で所属別に本人の申請に基づいて登録しており まして、あくまでも居宅介護支援事業所に勤務していると届け出た中からこういう調査をか けた。つまり、事業所に勤務している。ですが、今は違うところに勤務しているというのも 後ろの方で見えてくるので、あくまでも本人の申請によって事業所に勤務している人である。  結果、調査員が222名、審査員が33名、それ以外に介護支援専門員として我々の調査に 協力してくれたのが340名ということであります。中には、先ほど資料の4の中にありまし たけれども、調査員と審査員がダブっている人間もいましたが、そこは表示しませんでした ので、それを前提に当日机上配布資料ということで5つの項目で提言をさせていただきます。  今日、ずっと説明を聞いていて、現場の私どもの方は委託されている調査員の声ですが、 さっきから市町村に所属している調査員の人たちはある程度理解されていて、委託されてい る人は余り研修もされていないというようなことが少し資料4で見えたような気がします けれども、その中でも特に5つの中で、これは優先順位内です。すべて並行してやっていた だきたいということであります。今ほど御提案がありました認定調査員テキスト2009の改 訂版を早く出してほしいということであります。  それで、2006と2009の違いということがよく理解されなく、前回もお話をしましたが、 その判定の判断に迷って、結果的に先ほど出ました手間時間が減っていく分に付けている可 能性もあるのではないかということが回答のテキストの中から見えてくるものがありまし た。それから、1群、2群、5群のところは先ほど御説明があったとおりで、そこでも迷い があるということは一致している。  更に、特記事項のところであります。はっきりわかるということで特記事項をきちんと書 いていただきたいという趣旨はわかりますが、昨年度来、介護サービス事業に係る作成に関 する書類を、本来業務支障を来さないようにするという趣旨からは少し逆行しているという ようなことも委託されている調査員の声から見えましたので、そこのところは判断を今回改 めるということであればもっとシンプルになるのかなと思います。このテキストの改訂版を 早く出してもらいたい。  更に、今、資料8で説明がありましたが、東京に県庁の方に集まっていただいて、それが 今度は県に帰ってまた伝達し、更に市町村に行ってまた違う方が伝達し、本来の趣旨から理 解しにくい結果としての研修になっているのではないかということが、やはりテキストから 見えてまいりました。  ですので、ここでお願いしたいのは、先ほどの資料の8の中で、やはり厚生労働省の担当 者が講師としてやったものを市町村で確実にやっていただくということのフォローもきち んとやっていただきたいと思います。  それから、3番目には我々ケアプランをつくっていく中で、要介護認定の結果の後のサー ビス利用の話である程度戸惑いがあるということもありましたけれども、その要介護認定の 状態像に合っているか、合っていないかのところで区分変更という仕組みがある。それから、 結果として出てきたものに不服申立てができるようになっている。こういうことを第1回目 のときに説明させていただきましたが、やはり現場は区分変更をするのはいいんだけれども、 暫定プランで月をまたいでしまって結果的に確定プランにならないので、そのレセプトを出 すタイミングというのはずれていく。ですから、区分変更は月内に処理ができるような仕組 みをやってもらえないかということであります。  また、不服申立ての場合は非常に手続きに手間と時間がかかるということで、なかなかや りたくないというような形に見えます。ですから、ここのところも事務の簡素化等々を検討 していただければと思います。  最後に4番と5番でございますが、やはり国民に対して要介護認定の仕組みというものの 説明をもう一回きちんとしなければいけないだろう。そのことでいったときに、今の経過措 置のこともよく理解されていないというようなことがあると思います。今回、提案されてい る内容のことを早く変更をかけ、そして経過措置の早期終了ということをやっていただきた いと思います。  最後の最後ですけれども、委託されている認定調査員の声をテキストの2009の改訂版の ところに反映していただければ、より精度の高い調査ができると思います。以上でございま す。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  資料に対する質問だけではなくて、今までの資料の説明に基づいて、今後の方向について の御意見を伺うことが趣旨ですので、どうぞお願いいたします。  では、どうぞ、田中委員。 ○田中(聡)委員 先ほどの木村委員の御意見に追加というような形になると思うんですけ れども、研修に関してのお願いということで、私たちが住んでおります神戸市は調査員、審 査員ともすべて委託で行っています。  いつもそうなんですけれども、制度が変わって私たち現場が研修を受けるのにちょっと時 間差があるように思います。それで、いつもぎりぎりでわからない状態でしているというよ うな形になっていると思いますので、できれば今回はきちんと理解ができて、きちんとした 形で進めていけるように、時間的な余裕を持って研修をしていただけたらうれしいと思いま す。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  本間委員、どうぞ。 ○本間委員 今、御説明いただいた資料で、調査員の研修テキストの改訂が必要ということ に関しては、委員の中で異論はないのではないかと思います。  あとはどういうふうな項目を具体的にどういうふうに改訂すればいいのかという話にな ります。しかし、項目を一つずつこの委員会で検討することは現実的ではないかと思います。  先ほども御指摘があったように、経過措置が継続すると、今、経過措置で認定された方は、 再度経過措置で認定されることになりかねません。認定審査会の役割にも関わります。でき るだけ早く経過措置を終わらせる必要があります。  そうすると、経過措置による認定を2回繰り返さないためには10月1日にこの経過措置 をやめる方向で検討するべきではないでしょうか。 ○田中(滋)座長 御意見、ありがとうございます。  三上委員、お願いします。 ○三上委員 結城委員の今後の進め方の提案、提言というのが一番現実的かと思うんですが、 事務局案でもテキストの項目の見直しについては44項目、半分以上の項目を2006年度版に 近付けるような形でテキストを見直すということです。  この形で、本来はそういうことをもう一度ちゃんと検証した上でゴーサインをするのが普 通なんでしょうけれども、10月までにやればいいということであれば、結城委員も割と短 時間で三十数項目の変更のものをシミュレーションされましたので、何とかその間に検証を 30項目から40項目、2006年度版に近付くような形で項目を変えて再検証していただいて、 その結果をもって10月から経過措置をやめるというふうな形に持っていくのが現実的では ないかと思います。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 第2回目の当検討会で、ある専門紙が、この会の議論はこれでいいんだという 考え方と、是非変えてほしいという意見と、真っ二つに分かれていて、さてどこへいくんだ ろうかというような記事がありました。これからどう着地するのかわからないけれども、私 はこの2009年案をおつくりになった方々がその時期の状況に合わせてできるだけよいもの をつくろうと努力してくださったことは全然疑っていないんです。  しかし、私どもは、実は高見委員もご一緒に、この3月12日に「介護保険の持続発展を 図る1,000万人の輪」と、名前だけは大変大きくて、実はささやかなネットワークで、ただ し、事業者、家族、利用者、専門家という非常に多様な人々が入ってネットワークの代表と して、厚生労働大臣に要望書を持って伺いました。  その一つが、この要介護認定システムの変更についてということでございまして、今回の 09年改訂では多くの要介護要支援高齢者がサービス給付から外されるという危惧があると いうことで、具体的な項目は高見委員が家族の会から見た問題点をおっしゃっていますが、 一言で言えば軽度化するんじゃないかというおそれをかなりの利用者が多く持ったことは、 これまた事実でございます。  そして、このときは国民が納得し得るまで一旦凍結するよう求めるという言葉でお願い申 し上げました。それが今、皆様のおっしゃる経過措置という形で反映したんだと思います。  ただ、皆様がおっしゃいますように、経過措置というのはそう長くするものではございま せん。役所の中では「当分の間」というのが30年続いてしまっているようなこともござい ますけれども、長期間の経過措置はやはり行政に対する信頼を損ない、さらに行政が退廃す る基になると思っておりますから、是非今回で決着をつけて方向性を出していただきたい。  私は、09年版も理由と大義名分があると思っておりますが、私の理解では3つ、一般の 利用者の側から見れば危惧があったと思います。  要するに、これは厚労省のせいではないと思いますけれども、全体の政治状況が社会保障 費削減・抑制という中で、介護保険も3兆円に始まったのが8兆円になってしまった。高齢 者はますます急激に増えていく。これから増大する介護費用を、私だってできるだけ節約し、 無駄がなく使おうということには全く異論はございません。  でも、この大前提が毎年2,200億の社会保障費も聖域とせずに削減していくという中で、 抑制方向に働いていたことは事実だと思います。結果としていろいろな表のデータの見方は あるようでございますけれども、私みたいな統計の専門家でも何でもない。ただ、統計や調 査を見るのが大好きという程度の人間から言えば、今回の認定は明らかに軽度化につながっ ている。これは、厚労省も決して否定なさらないと思います。こういう結果が出たのですか ら。ですから、軽度化するのではないかという危惧はひとつほぼ立証された。  それからもう一つ、ばらつきをなくすという09年の目標は、国がつくる制度ですからと ても大事だと思っておりましたので、ここに期待しておりました。ところが、実はばらつき が物によっては拡大したものもあった。だから、このねらいの一つはちょっとそれたわけで ございます。  3番目、ごもっとも様と思ったのは、この10年間に介護の質が向上している。例えば、 おむつ交換がトイレ誘導に変わってきている。私も時には介護の現場を見せていただきまし て、おむつを交換するよりも一人ひとりの顔を見ながらトイレへ誘導し、あるいはポータブ ルトイレで用を足していただいて、そしてその後始末することの方がどんなに時間がかかる か、それなりにわかっております。  だったら、結果は重度化していいはずなのが、この介護の質が向上したということがどこ に反映されているか見えてこない。そういうことからすると、私どもの要望書を出すときの 危惧はやはり当たっているというふうに私は解釈いたしました。  だから、今日の結論が、あれはあれでよかったんだ。ちょっと無神経な字句があったから、 その部分だけは改訂いたしましょうで終わるのだとしたら、私はこの中ではきっと少数派に は違いないけれども、少数意見としてこれのまとめには反対でございますという意見を申し 上げて、両論併記をお願いするつもりでした。  それが、本日このように74項目というシステムの枠組みは変えない。私はこの74項目で 認定を受けた身ですからよくわかっておりますけれども、そんなに多くない。ひとつひとつ を厚労省から説明してください。それで、この検討委員会が今日で終わるのか、どうするか はわからないけれども、このような場で74項目についてわかるように御説明いただく機会 を、逐条説明する場を是非つくっていただきたいと思っております。  結論を申し上げれば、この程度に内容が修正された質問項目ならば、システムはそのまま にして、そしてこのようにテキストを改訂し、やってみようじゃないかというところで、私 は少数意見を絶対書いてくれとは申さないことにいたしました。以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございます。よくわかりました。  では、石田委員どうぞ。 ○石田委員 保険者の立場からお話をさせていただきたいと思います。  市町村の現場では、現在も今日の今日までやっているわけです。経過措置を実施している という立場であります。本来、制度の信頼性を回復するために経過措置を実施している。そ ういった意味では理解できるということでありますけれども、私も前回、申し述べましたよ うに、経過措置というものはできるだけ早期に終了していただきたいという立場では同じで あります。  今日の意見を拝見していますと、全体として経過措置について終了すべきという意見が大 体集約されるのではないかと安堵しているわけでありまして、また本間委員さんの方からも スケジュール的なもの、10月を目途に終了ということについて具体的なお話もありました。  私も市町村保険者とすると、せいぜい半年経過措置を実施したということを住民に対して 説明し、また今回の経過措置はデータも出てきており、ある程度方向性を議論した上でまと められるという時期にきているのではないか。そんな説明ができるのではないかと思ってい るわけであります。  既に議論も方向性、着地点は見えてきているような感じもしますので、そろそろ会として 方向性を是非お決めいただきたい。どうしても現場の方では、仮に今日経過措置の終了とい うこことを方向性として決めたとしても、現場での研修があり、また考え方の公表、住民へ の説明など、さまざまな事務というものを想定しなければならないと思っているわけであり まして、是非早期の委員会での方向性というものを決めていただきたいと思います。 ○田中(滋)座長 高見委員、お願いします。 ○高見委員 今の石田委員も、それからケアマネ代表の木村委員も非常に上品な方ですので 上品に御意見を言っておられると思いますが、私が知っている限りでは、市町村もケアマネ も、それから審査会委員も皆、混乱させられて怒っているんです。そこが、やはり正直なと ころだと思うんです。非常に混乱したということで怒っていますので、私は石田委員さんに 成り代わって市町村は怒っている、あるいはケアマネの皆は怒っていると申し上げたいと思 うんです。  それで、木村委員のアンケート結果の中でも、要するに判断が難しい、判断に迷うことが ないように具体例をと書いてありましたけれども、今も言いましたようにケアマネの多くの 人はこういう調査の仕方では正確に反映しないという意味で怒っているのであって、判断に 迷うというふうな意見は私の知っている限りは聞いていません。  そういう意味で、私の知っているケアマネの皆さんと木村委員がおっしゃるケアマネの委 員の意見とは少し違うように思うんですけれども、いずれにしましても資料5で出されまし た修正内容ですね。これは、結城委員の調査でも数は少ないですが、かなり有効だというふ うなデータが出ていますし、私たちもさっき樋口委員がおっしゃった1,000万人の輪でもこ のことについては問題を指摘して要望しましたし、私が所属している家族の会でも前回説明 しましたように非常識であるとか、認知症への無理解であるとか、具体的に項目を挙げて問 題点を指摘してきました。  そういう意味で言いますと、私たちが本当に現場で介護当事者として感じてきた今回の調 査方法の変更の問題点について、おおむね厚生労働省案でもそれを受け止めていただいて、 修正の方向を示していただいたと思います。  それで、4月の段階で幾つかの項目について一部見直しをしていただきましたし、それか ら経過措置をしていただいた。これについても私は前回も言いましたけれども、本当に経過 措置というのは思い切った措置でありまして、あからさまに言いますと厚生労働省はここま でやってくれるかと思いました。そういう意味で、今回の修正案についても本当に今までの 4月の変更の経過とか、その時点での説明などを乗り越えて、私たちの意見にこたえていた だいた。そういう意味では、内容的に私は大変いい修正案だと思います。  ただ、一つひとつの項目について言いますと、例えば排尿、排便がポータルブルトイレの 一括で掃除した場合も含むということになりましたけれども、やはり認知症の方の場合など は排尿、排便で困っているのはトイレへの誘導でありますから、トイレへの誘導についても 排尿、排便の行為のうちの一つだと考えてもらわないと、少し物足りないといいますか、不 足ではないかと思うんです。  そういうふうに考えますと、樋口委員もおっしゃったように、本来ですとこの場で74項 目の一つひとつについて検討をする。私は、この委員になったときはそういうことをこの場 ではするんだと思って委員になったのですが、そこまでこの場ではされませんので、基本的 なこの4つの修正の方向については私も是としますけれども、個々の項目についてのテキス トへの書き方とか、あるいは選択の基準に入れる幅とか、こういうものについてはどうなる んでしょうか。今日、ここで決定してしまうのか。その辺のところはもう少しテキストをつ くっていく段階で相談とか、協議とかをしていただきたいと思うんです。  といいますのは、今回のそもそもの混乱の起こりは、やる前にその利用者とか現場の人た ちに意見を求めなかったというところに大本の発端があると思いますので、新しい調査員テ キストをつくるに当たって、またその二の舞いにならないように、テキストをつくるに当た ってもよく関係者の意見を聞いていただくことが必要ではないかと思います。  それで、さっきも言いましたように、市町村の人たちは大変怒っていますし、審査員も怒 っていますから、早く修正案を決めて、修正案を決めれば自動的に経過措置は終わるわけで すから、そんなふうなことでお願いしたいと思います。 ○田中(滋)座長 会の収束に向けての意見を言っていただきましてありがとうございます。  今、1つ質問が含まれていたと思いますが、いかがですか。項目一つひとつの扱いですね。 ○鈴木老人保健課長 先ほど本間委員からもございましたけれども、74項目、確かにそれ が多いか、少ないかという議論はあるかもしれませんが、一つひとつの項目について、書き ぶりについてやり出しますと、恐らく何日か費やさないとできない部分があります。  そこで、今日できれば私どもでお願いしたいと思っておりますのは、今日お話をした4つ の軸ですね。それから個別事項というのは青いところでございますが、そこについてそうし た方向で修正を加えていくということで委員の先生方のおおむねの御了解をいただけるよ うであれば、後々の細かい文言については、もちろんこれは具体的な日程も含めて市町村と もさまざまにお話し合いをさせていただかなければいけませんし、専門家の方、それから利 用者の方とも一定のお話し合いをした上で、こういう形でテキストを最終版にしましょうと いうことを具体的に詰めていきたいと思います。  まさに高見委員からありましたように、せっかくここまで御議論いただいたわけですから、 ここの最後のところでステップ踏み外して結局、元のもくあみということがあってはいけな いと思いますので、そこのところは一定の御議論の集約がございましたら、座長の方でお預 かりいただいた上で、個別についてはまた御相談をさせていただくということにさせていた だきたいと思います。  1点、先ほど三上委員の方からもう一度検証をしてということがございました。これは、 もちろん理想的にはそうするという選択肢もあると思いますが、実際に再度検証ということ になりますと、もちろん検証される方については今の認定のやり方で変えたやり方をした上 で、その違いがどうかということを調べなければいけないので、実質上、ある意味で言うと 第2次モデル事業をもう一度やるということと同じことになります。  これは数にもよりますけれども、第2次モデル事業は3万人をやりましたが、もしこれを やるということになると、もちろん個別のやっていただく市町村にもそれなりの研修をしな ければいけませんし、実際に対象になる方の御了解もいただかなければいけませんし、準備 もございますので、短く見積もっても数か月はかかることになります。  したがって、我々としてはもしこの検証・検討会のおおむねの御了解をいただければ、詳 細については先ほど申し上げたようなことですけれども、実際にその結果については先ほど ちょっと結城委員もおっしゃいましたが、今回そのままでということではなくて、実際にそ うした場合にきちんとこの会の御意図のとおりに最終的になったかどうかというところは、 一定の期間後にまた見ていただくということにさせていただければと思っております。 ○田中(滋)座長 結城委員、どうぞ。 ○結城委員 皆さんの意見は大体一致していると私は理解いたしまして、1点目はまずこの 場である程度そろそろ座長の方にまとめていただいて、具体的に文言をどうするかというの は各14人でもう一回拝見させていただいて、それで座長預かりで最終的に調整する。  先ほど本間先生からも言われたように10月1日というタイムスケジュールもありますの で、ひとまずここで座長さんと各委員のやり取りで事前に文言などを調整して、一回それで やってみて、その後数か月たってもう一回ちゃんとデータで検証する。そこに問題があった らもう一回やるというような形をとらないと、恐らく10月1日はなかなか難しいのではな いかと思いますので、そういうような筋道で文言は私も後でチェックしたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○田中(滋)座長 皆さん、おっしゃっていただくように10月1日を一応の目途にすべき 日だと私も考えます。  個別の74項目ひとつひとつで、1つでも意見が違うためにまとまらなかったら困ります ので、やはり大きい流れとして委員会は集約し、あとはそれぞれの個別の専門的な作業にな ります。そこは意見の違いではなくて作業上の違いもあったりするので、ここはそこまで下 りないことにさせていただいて、今日出た大きな修正案の流れですね。この方向でまいりた いと存じますが、おおむねそういう方向でまとまりあると理解してよろしゅうございますか。 樋口委員にも少数意見にならないと言っていただいて大変心強く思いました。  では、4月13日から3回にわたって行ってまいりました本検証・検討会での議論は一応 おおむねですが、まとまりが出てきました。御協力ありがとうございます。  ただ、私たちはここで合意しますと一言宣言するだけではちょっと間が抜けていますので、 まとめられるのではないかとの想定に基づき、私から事務局に指示いたしまして本検証・検 討会のまとめの骨子案を私も加わってつくってもらいました。その案を配付してください。                 (骨子案 配付) ○田中(滋)座長 今、お手元に配られた案は、事務局の言葉遣いではなく、私ども検討会 側から事務局といいますか、厚労省に対して物を言う形になっております。  それでは、一応朗読をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 それでは、読ませていただきます。  「   要介護認定方法の見直しに係る検証を踏まえた見直しについて(骨子案)  介護サービスを受けるには要介護認定を受けることが必要であり、要介護認定は介護サー ビスを受けるための「入り口」である。このため、要介護認定の信頼性が、国民の介護保険 制度に対する信頼に大きな影響を及ぼす。  要介護認定は、利用者・事業者・保険者のバランスをとりつつ、公正かつ的確に行われる ことが重要である。今回の要介護認定の見直しにおいて、要介護認定のバラツキを是正し、 最新の介護の手間を反映させるという目的自体は理解できるし、認定調査における評価の評 価軸が3つになったことも重要である。  一方、今回の見直しは、利用者・市町村の双方にとって大きな見直しであったにもかかわ らず、事前の検証や周知が十分に行われたとは言い難く、結果として現場の大きな混乱を招 いた。この点、厚生労働省に対し、猛省を促したい。  ただし、今回の見直し内容に係る検証は、見直しの導入に際しての厚生労働省の不手際に 対する批判とは切り離して、データに基づき冷静に行うべきである。  今回の見直しの結果、認定調査項目の選択肢に係る自治体間のバラツキが減少する傾向に あることは重要な変化と考える。  他方、要介護度別の分布については、今回の見直し後も中・重度者の割合に大きな変化は ないが、非該当者及び軽度者の割合は若干増加した。また、こうした変化は、在宅や新規の 申請者に多く見られている。この変化をどうとらえ、どのような対応を行うかが問われてい る。  検証・検討会としては、要介護度別分布のシミュレーションや市町村における試行結果を 踏まえ、今回の見直しにより自治体間のバラツキが拡大した認定調査項目、市町村から質 問・意見が多く寄せられている項目を中心に、認定調査員テキストを別紙のとおり修正すべ きと考える。  こうした措置により、今回の見直しに係る懸念・不安については、概ね対応ができるので はないかと考えるが、本検証・検討会としては厚生労働省に対し、上記見直し後の要介護認 定の実施状況について、必要に応じ、本検証・検討会に報告するよう求めたい。  さらに、経過措置については、利用者の不安に対応するという趣旨は理解するが、市町村 に大きな負担を課すとともに、要介護認定の趣旨にそぐわないものであり、上記の見直しと 同時に終了させるべきである。  上記の見直しに際しては、十分な準備期間を確保し、市町村への情報提供を着実に行うと ともに、厚生労働省の責任において修正の考え方や内容を自治体等に十分周知すること等に より、再度の混乱を招くことがないよう配慮すべきである。  検証・検討会としては、厚生労働省に対し、今後、要介護認定方法の見直しの際は、利用 者や市町村の立場に立って十分に時間をかけて事前の検証や周知を行うことを求めたい。ま た、将来的には、ケアマネジメントも含め、利用者に必要なサービスが公平に提供される仕 組みについて広く関係者の意見も聞いた上で、要介護認定がこうした仕組みに資するよう、 引き続き検討を行うよう求めたい。」  以上でございます。 ○田中(滋)座長 朗読ありがとうございました。  このようなまとめをつくってみましたが、これに対して御意見、御質問等はございますか。  どうぞ、本間委員。 ○本間委員 直接、要介護認定方法とは関連がないんですが、ただ、そのばらつきを少しで も減らすために、今回話題になりました調査員の研修を積極的に進めるべきであるというふ うな文言もどこかに入れていただけるといいかと思いました。 ○鈴木老人保健課長 その関係ですと、できれば下から2つ目のパラグラフに「市町村への 情報提供を着実に」ということがございますので、それと合わせて研修をしっかりやるとい うことを付記させていただければと思います。 ○田中(滋)座長 そうですね。研修を十分に行うことについては全員賛成だと思います。 ありがとうございます。  では、高見委員、どうぞ。 ○高見委員 さっきお話も出ていました、この修正をかけた調査方法でやってみて、何か月 後とか、半年後とか、そういう場合にまたこの検証・検討会を開きなさいという意味はどこ にあるんですか。 ○田中(滋)座長 下から4つ目の丸に、見直し後の実施状況について必要に応じ報告せよ とあるものがそれに相当すると思います。 ○高見委員 ということは、検証・検討会は継続するという意味ですか。 ○田中(滋)座長 私たちの中の意見としてはそうですね。 ○高見委員 わかりました。  こんなことを今更言わないでもいいんですけれども、6つ目の「非該当者及び軽度者の割 合は若干増加した」というところにいささか引っ掛かるものを感じます。本来ですと、非該 当者は倍増したというふうに書いていただきたいと思うんですけれども、そこは感想だけで 結構でございます。 ○樋口委員 感想だけでいいですか。「倍増した」まで書かなくてもいいけれども、「若干」 を取ったらどうですか。増加したことは事実なんですから。 ○鈴木老人保健課長 取らせていただきます。 ○高見委員 ありがとうございます。 ○田中(滋)座長 割合が増加したと、それは事実ですからね。ありがとうございます。  ほかに御意見はいかがでしょうか。修正ではなく、賛成であると言っていただくことも議 論を進める上で助かりますので。 ○高見委員 別の疑問というか、心配なんですけれども、4月からの人は経過措置を使って きていまして、その間、新規で申請した人は4月の見直しをされたままの調査方法でやられ ていますね。ところが、10月からは経過措置がなくなると同時に調査の方法も修正される。  そうすると、この4月から9月の末までに新規で申請した人は随分不利な目に遭ったとい うことになりますね。ここはしようがない。あきらめなさいというふうに考えたらいいんで しょうか。 ○鈴木老人保健課長 新規で申請された方、これは経過措置というのはもちろん以前の要介 護度がないとできませんので、新規の申請の方には適用されていないということになります。  それで、この方が例えば要支援1以上に認定された場合であって、かつその要介護度が御 自分の実際の状況と異なると思われる場合には、どこかにも書いてありますけれども、区分 変更申請なり、上級庁に対する不服審査という手がございます。  それから、非該当になってしまった場合については、実際にもし御本人の状況がやはり正 確に反映されていないということであれば、その段階で再申請をしていただいて、きちんと 反映されていないのであればそれが反映されるということであるとは思います。  また、もちろん今、高見委員がおっしゃったように、10月1日であれば10月1日以降に 申請をされた場合には2009年版のもともとのものではなくて、今回修正されたバージョン でされるということになると思います。 ○田中(滋)座長 高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 高見委員の御発言に私はコメントを何回もしておりますが、改めてやはりもう 一回コメントしないといけないと思っております。  不利になるという言い方は非常に不適切な言葉だと思っております。要介護認定というの はウォントに対して客観的なスケールでその必要性を認定するシステムですから、要求が認 められていないからと言ってそれをすべて受け入れるべきだという話は絶対になりません。  制度というのは客観的なスケールがなければ運用できないものですから、私は大学の授業 をする気は全くありませんけれども、要するにウォントの世界とニードの世界でありますと、 必要があるにもかかわらずサービスを利用しない方もいらっしゃるし、それから不必要にサ ービスを利用される方もいます。怒っていると言いましたが、私は幾つか私なりに怒りたい ことがたくさんございます。モラルハザートと言われることがいろいろなところで起こって いるのを現実に目撃しておりますが、それはここではあえて品のない議論をすることになり ますから言いません。  そういう意味では、その中で客観的なスケールで社会的な合意を持ってつくる制度ですか ら、ウォントが受け入れられないから不公正だ。そこで言えば、私はこのデータに基づき冷 静な議論というのは不適切な表現だと思っておりまして、客観的、科学的にあるいは統計的 な手法に基づいた実証的なデータ、思い付きとか願望ではなくて客観的なデータに基づいて 議論しなさいということですから、そういう形の少し穏当な表現をされた方がいいのではな いか。冷静というのは冷静でない議論があったということですから、そういうことを含めて コメントさせていただきます。 ○鈴木老人保健課長 「データに基づき、客観的に行うべきである」ということにしたいと 思います。 ○田中(滋)座長 正しいですね。冷静か、ホットかは問題ではないですね。  では、高見委員、どうぞ。 ○高見委員 高橋委員から名指しで言われましたので言わせてもらいますが、要介護認定に ついて私自身は軽くなるから不利だとか、重くなったから得をしたとか、そんなことは一度 も言ったことがありません。適切に認定されるようにということをずっと言っています。  それから、高橋委員がおっしゃったのは一般論でして、今回の認定については4月から今 日までやってきた認定の方法に問題があったということですから、再度今回修正されたわけ です。問題がなければ修正することはないわけですから、問題があった調査の方法でこの9 月まで新規の人はされた。それで、それ以降の人は修正された後の調査でやられるから、そ こに差があるということを申し上げただけで、それが不利とか、損とか、そういう話はして いません。そういう意味で申し上げました。 ○田中(滋)座長 結城委員、どうぞ。 ○結城委員 恐らく経過措置をとらないと、またデータは出てこないと思いますので、私は 最後から4つ目の必要に応じて本検証・検討会に報告するよう求めたいではなくて、やはり 一度やる。いろいろな議論をしていろいろな課題が出てくると思うので、もう一回必ずやる ということにした方が私はいいんじゃないか。やはりこの検討会で必ず経過措置適用後でも 一回データを見ながら基本としては本質的な議論をするべきだと思うので、そういうふうな 文言に変えて、今、問題になっていると思うんですけれども、いかがでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 今は下から4つ目のパラグラフですけれども、「必要に応じ」を削除 して「本検証・検討会に報告するよう求める」にしたいと思います。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  どうぞ、樋口委員。 ○樋口委員 文言はとてもきちんとまとめていただいたと思いますし、高橋委員が言われた とおり、「冷静に」は「客観的に」にする方がよいと思っております。  そして、文言の訂正ではないんですけれども、ここに書かれたことは是非確実に対応して いただきたいと思うことを述べさせていただきます。  6番目の「若干」を削除したところでございますけれども、私は自分で解釈できませんか ら皆様に教えていただきたいんですが、2行目です。「また、こうした変化は、在宅や新規 の申請者に多く見られている」。これは、いただきましたデータからも十分理解のできるこ とでございまして、第1回目のときに私は申し上げたと思うのですけれども、介護保険も 10年たった。厚労省はこの10年の間に実は在宅の実態というものがものすごく大きく変わ ってきているとは思うのですけれども、なおかつ在宅重視という政策は決して改めていない。 一人暮らしがこれだけ増えてどう対応するんだろうかと私は個人的には思いますけれども、 でも在宅とおっしゃり、現実に在宅でいる人の方が人数も多いわけです。  そうなったときに、やはりこの入り口である要介護認定に関して、在宅の要介護認定の基 準がないことがこの6番目のように在宅や新規の申請者に大変軽度化が目立つというよう なことがあるのではないかと推理いたします。せっかくこの変化をどうとらえ、どのような 対応を行うかが問われているこの時期に在宅の要介護認定というものができないかどうか、 その検討を是非実行していただきたいという要望でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございます。要望としてきちんと受け止めてください。  石田委員、お願いします。 ○石田委員 この座長のおまとめいただいた内容で、是非進めていただきたいと思います。 テキストの修正、また認定調査員の研修のある意味ではやり直しということは、市町村、現 場にとっては非常に大きな負担だろうと思います。  しかしながら、制度の信頼性というものをきちんと確保する。また、介護保険制度の役割 というのは非常に重要だと思っていますので、保険者としては是非こういった期待にこたえ られるようにしっかりやっていかなければならないと思います。  一方で、スケジュールというんですか、研修のスケジュール、またはテキストの周知など、 全国の市町村で消化できるように実務面でのスケジュール的な配慮、またはその説明資料の 提供といったものについては是非丁寧に対応していただきたいという要望をしたいと思い ます。 ○田中(滋)座長 先ほど説明されたように、今回はITを使った研修も重視して早くでき るようにして差し上げてください。  では、どうぞ。 ○結城委員 1点だけ、この素案のことではないんですが、今ちょっと認定調査員テキスト のことを言うんですけれども、もう一つ、審査員テキストも多分あると思いますので、それ も当然調整するというふうに御理解してよろしいですね。 ○鈴木老人保健課長 おっしゃるとおりでして、認定調査員に対するテキスト、それから審 査会の先生方に対するテキストがありますけれども、こちらの方も当然、調査員の方からこ ういう情報が挙がってくる。もしくは、こういう軸で評価をされているということがわから ないと適切な二次審査ということになりませんので、そこはおっしゃるとおり対応する部分 についてきちんと見直していきたいと思います。 ○田中(滋)座長 そういうことですので、確認しました。  野中委員、どうぞ。 ○野中委員 私は今の全文で賛成です。  特に、最後の部分に将来的には云々ということで、ケアマネジメントの充実ということを 入れていただいたので、そのことが本来の介護保険制度が適切に国民に理解されるためには 重要と思っていますし、その件に関しては是非関係部署や国民に周知していただきたい。  もう一つ、現場で患者さんたちと接していると、あるいは高見委員が前回提出された資料 にも、同居の家族がいる場合に訪問介護が提供できないというような誤解があります。厚労 省に問い合わせても、一律にそのような事はありませんと返事されます。しかし現場では同 居家族がいる場合には訪問介護は適用できないと認識されています。特に同居の家族が認知 症を抱えると非常に大変な負担をその家族は抱えますので、同居家族と訪問介護の課題に対 して周知徹底していただかないと、要介護認定も含めて介護保険制度全体がゆがめられてし まうと思います。是非その辺は一応国民への周知を是非重点的に実施され、適切なケアプラ ンが作成できるように発声していただきたいと思います。よろしくお願いします。どうもあ りがとうございました。 ○田中(滋)座長 どうもありがとうございます。ほかによろしゅうございますか。  どうぞ、本間委員。 ○本間委員 もちろん最終的なこの見直し案についてはこれで是非進めていただきたいと 思うのですが、1つだけ細かい話になって恐縮ですが、この認定調査項目のテキストの見直 しを考えるときに、これは前から触れていますが、今回の分類で第4群のさまざまな精神症 状がありますけれども、独居の方の場合というのは本人から情報が得られないわけですね。 御本人に昼夜逆転しますかと聞くことはできないわけですから、その場合にどうすればいい のかということが今までは余り明記されていなかったと思うんです。  ですから、極端な場合には全部この有無のチェックができない場合もあり得るわけです。 その場合にも、何かうまい手だてがないだろうかというリクエストです。これから独居の方 の割合がますます増えることは確かですし、そういうことは認知症の人たちの数も増えるわ けですから、やはり独居で認知症の人たちというのも決して無視できない割合で現時点でも 生活されているわけですね。ですから、その人たちへの対応ということにもなるかと思いま す。是非よろしくお願いします。 ○田中(滋)座長 きちんと研究会が検討して答えをつくれということですね。 ○高橋委員 一言だけ、私は今のことは大変大事な御発言だと思うんですが、これが介護保 険の給付として対応できるかどうか、はなはだ疑問だと思っていて、別途の補足的なシステ ムを考えざるを得ない。  これは私の個人的な意見ですし、これはまた別途いろいろな議論を少しした方がいいなと 思っていることでございます。介護保険の給付ですべてのサービスを覆い尽くそうとすると いうことは私は無理があって、それを補足する社会的な支援の仕組みをどうつくるかという のが非常に重要で、これはここの議論ではないと思っております。 ○田中(滋)座長 本間委員、どうぞ。 ○本間委員 今の高橋委員の御指摘というのは理解できますが、ただ、それを進めると認知 症のある独居の人たちは介護保険の対象にはならないということにもなりかねないと思う んです。 ○高橋委員 そういうことを言っているわけではございません。 ○本間委員 でも、御本人の症状を確認することができないということを敷衍すると、そう いうことにもなりかねないと思いますけれども。 ○高橋委員 だから、その場合、症状確認システムをどう設計するかという議論でしょう。 ○本間委員 ですから、それと介護保険でカバーすることができる、できないはまた別の議 論だと思います。 ○高橋委員 それはまた別の議論にしましょう。 ○本間委員 これだけ数が多いですからね。 ○鈴木老人保健課長 ちょっと要介護認定に戻って今、本間委員からの御指摘についてお答 えしたいと思います。  これは、実は2006年のときからも一緒ですけれども、独居で認知症の方の場合には、確 かに本間委員がおっしゃるように、この辺の項目は御自分の状況について記述することはで きないということがございます。  その場合には、前回でも今回でも同じですけれども、立ち会いの方に来ていただく。つま り、それはもちろん同居しておられない場合もあるんですけれども、家族であったり、サー ビスを提供されている方であるとか、その方の状況を御存じの方に立ち会っていただいて、 その方から情報を得ていただくということしか、もしお一人でお住まいの場合には今のとこ ろはないと思います。その中で、なるべく調査員の方に御努力いただいて客観的に情報を取 っていただくということを、これはまたきちんとさせていただきたいと思います。 ○田中(滋)座長 よろしいですか。  では、この見直しについての骨子案に対し4か所訂正がありました。  「冷静に」を「客観的に」とする。「若干」を取る。「必要に応じて求めたい」ではなく、 「必要に応じ」を取って「求める」とする。それから、下から2つ目に「研修」をしっかり 入れるとの修正を含めて、最終的な文章は座長預かりとさせていただいて、今、言ったとお りにいたしますけれども、この骨子案をもって本検証・検討会のまとめとさせていただきま す。よろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○田中(滋)座長 ありがとうございます。  それに基づいた認定調査員テキスト、それからさっき結城委員が御指摘になった審査会用 のテキストも、本日御議論いただいた内容を基に座長預かりで近日中に修正していただきま す。  事務局はこのまとめに従って利用者や市町村の立場に立ち、具体的には市町村などに協議 を行うなどした上で、できるだけ早く修正されたテキストを市町村や現場に配布して、更に その内容の周知が図れるよう研修を十分に実施してください。  今後、新たなテキストが十分に周知され、また一定期間経過した後に経過措置をできるだ け早く、10月1日が一つの目途かもしれませんが、それに持っていくようにしていただき たいと思います。事務局は具体的なスケジュール案はお持ちでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 やはり現場の方の声をお聞きしても、もし一定の修正をして経過措置 を解除するにしても、1か月ではなかなか難しいということでございますので、現実的に考 えますと10月1日を目途に、これは市町村ともいろいろお話し合いをさせていただきなが ら修正を図り、かつ経過措置を10月1日以降に申請された方については元に戻すというか、 新しい今回のやり方にさせていただくということを中心に市町村と協議をさせていただき たいと思います。  また、テキストについては先ほど申し上げたとおりで、個別にはいろいろ御相談をしたい と思います。 ○田中(滋)座長 10月1日以降の要介護認定の実施状況については、皆さんおっしゃる とおり一定期間がたった後、データがたまってから本検証・検討会に報告するよう求めるこ とにいたします。  では、更にさかのぼってやはりだめと言われても困るので、これについては以上でおしま いにいたしますが、それとは別にせっかく委員会で集まっているので、一言、言っておきた いという方もいらっしゃると思います。  早速、池田委員から手が挙がりました。どうぞ、お願いします。 ○池田委員 経過措置の早期収束に向けて、座長、委員の方々が努力されたことに敬意を表 したいと思います。そこで、全体的な問題として3つほど発言させていただきます。  1つは実務的なことなのですけれども、要介護認定の見直しが3年ごとにちょうど介護報 酬改定と重なります。これは仕事としても大変だし、全体として必ず介護報酬の方に目がい ってしまって、要介護認定システムの方が少し忘れられるというようなこともあるので、介 護報酬改定と要介護認定見直しの時期を1年間ずらすということが必要なんじゃないかと いうことです。  2つ目は、やはり要介護認定は国民的にはまだ理解が不足しているんじゃないかというこ とです。具体的に申しますと、基本的に要介護認定はケア投入必要量の測定ですけれども、 では測定すべきケアサービスというのは一体何なのかというと、これは家族介護ではなくて 社会サービスにならざるを得ない。これは当たり前です。  しかし、当然のことながら、家族の介護負担感と社会サービスを担っている、例えばホー ムへルパーさんの負担感は全く異質なものであるわけです。家族の負担感で見ると、社会的 サービスの負担量とは違うので、やはり不満が出てくる。批判が出てくる。この問題はやは り避けられない。そこのところは、丁寧に説明しなければならないと思います。  家族がこれだけ頑張っていて要介護3かと怒る気持ちは非常によくわかるし、大事にしな ければいけない。でも、要介護認定は介護をしている家族の勲章ではありません。そこのと ころをきっちり説明していく必要が行政、あるいはサービス事業者にあるんじゃないかと思 います。  同時に、社会サービスというものを基礎にしてケア投入量を図るとなると、現実に存在し ないサービスは反映し得ません。つまり、新しくサービスが開発されたら、それがまた自動 的に要介護認定システムというものを進化させていくという相互の関係を持っているわけ です。そうすると、前にも言いましたけれども、例えば認知症のサービスというのは本当に 役に立つのはどこまであるんだろうかという疑問は私の頭から離れません。  でも、せめてBPSDを緩和するサービスというものが在宅でかなり広まってくれば話は 随分変わってくるわけで、そういったサービスの開発というものとセットでこの問題という のは考えないと、どうしても話がちょっとゆがんでしまうという感じがいたしました。  更に3つ目ですけれども、これはこれからの話です。間もなく戦後生まれが65歳、1号 被保険者になり始めます。団塊の世代は、2012年から1号被保険者になっていく。2027年 には75歳以上の介護リスクの非常に高い世代に突入していく。余り時間がないんです。で きれば2011年、つまり団塊の世代が65歳になる寸前に介護保険というのはある意味で完成 を遂げていなければいけない。そういう時期ではないかと思います。  この委員会の議論をずっと聞いていて私が率直に感じたことなんですけれども、何で高齢 者を9種類に分けるのでしょうか。日本は高齢者を9種類に分けています。つまり、非該当、 特定高齢者、要支援1、2、そして要介護1、2、3、4、5です。お年寄りを9つに分け る必要はないと思います。3つに分ければいい。  1つは、介護を必要とする人たちです。もう一つは、生活介入が必要な人たちです。そし て、それ以外の人たちです。そうすると、介護を要する人は介護保険の役割です。生活介入 が必要な方というのは社会福祉の分野です。そして、非該当、自立の方たちというのは、本 人と地域の責任ということになるんです。  そういうふうにきちんと分けないと、一体どうなるんだろうか。皆が介護保険にぶら下が ったらどうなるか。かつて堤元局長が、介護保険は健康ぶら下がり器ではない。皆がぶら下 がったら壊れると言ったんですが、それと同じなんです。  率直に私は皆さんに聞きたいというか、考えてほしいんですけれども、世界で要支援1、 2を給付の対象にしている国がどこにありますか。少なくともドイツにしても韓国にしても フランスにしても、介護サービスを公的に提供しているところは基本的に要介護3、4、5 が対象です。2くらいまで伸びているという感じはしますけれども、少なくとも要支援1、 2、要介護1というものを給付の対象にしている国は北欧の一部、例えばスウェーデンとか デンマークを除いて私は知りません。あれば教えてください。  スウェーデンやデンマークの要支援クラスに対するサービスの提供量というのは、日本と 比べると少ない。はっきり言って日本が一番ぜいたくにできています。それでいいんでしょ うか。皆がぶら下がるんですかということです。  すべて介護保険にぶら下がった結果、すべてを介護保険に押しつけて、介護保険が肥大化 して、その結果何が起きるかを考えてほしいというと、必ずその反動がきます。あるときに 切り刻まれる恐れがあるんです。そうすると、中・重度や認知症の方にサービスがいかない。  要支援というのは介護を必要としない人です。そういう人たちを地域でどう支えていくか。 介護保険ではなくて、そういった構図はできないかということですね。それもまじめに考え なければいけないんじゃないか。この間の3回の議論を聞いていてそう感じましたので、あ えて意見として申し上げさせていただきます。 ○田中(滋)座長 この委員会で結論を出す話ではないと思いますけれども、介護の在り方 について御意見をちょうだいしました。ありがとうございました。ほかにいかがですか。  石田委員、どうぞ。 ○石田委員 今回の経過措置の結果ですけれども、導入に際して国民は不安があり、その不 安解消のために結果として保険者の負担が増して決着したという感は率直にどうしてもあ ると思います。  介護保険は10年たって、制度の信頼性が改めて求められたということは非常に大きなこ とだろうと思いますけれども、一方で制度の信頼性が更に高まり、本当に国民への安心の提 供ということであれば、本来は効率化、簡素化に向かうべきであって、認定そのものがサー ビスを規定するということではない。これは共通認識だったと思いますけれども、そういっ た意味では今回やむを得ない事情があったというふうには理解するものの、今後の大きな方 向性とすると是非効率化、簡素化ということに向かっていただいて、国民にわかりやすい制 度としていただきたい。これは保険者の負担ということも確かにあるわけですけれども、そ の制度を国民に市町村の現場から理解してもらうということを考えれば、是非そういったこ とを今後念頭に置いていただきたいというお願いであります。 ○田中(滋)座長 どうぞ。 ○高見委員 家族、あるいは介護をしている人の立場から少し言いたいんですけれども、私 たちからするとそもそも介護保険ができたときにどう言ってつくられたか。いつでもどこで も必要なときに必要なサービスを提供できるということで介護保険というものがつくられ たから、家族は介護保険に非常に期待したわけです。  だから、いろいろ言われるけれども、今ごろになって制度の側から国民や家族を見るので はなくて、やはり家族や利用者の側から制度を見ないと話が本末転倒になるように思うんで す。そもそも認知症の人の介護というのは、介護と生活は切り離せないんです。つまり、生 活の中で介護をしているわけですから。それで、施設へ入っている入院入所というのは2割 から3割ですから、圧倒的な人は在宅で暮らしている。それは介護だけではなくて生活も一 緒にしているわけですから、そういう暮らしをどう支えていくかということが私は介護保険 の趣旨であったと思うんです。  ただ、それ以後、利用者が増えたとか、財源問題が出てきたとかということでいろいろ制 度に見直しが図られてきましたけれども、国民や利用者の立場から言うと、介護保険という 制度であろうと、その他の制度であろうと、いわゆる福祉の制度であろうと、介護をしてい る者が安心して暮らせる制度が日本の国全体であるかどうかということが問題だと思うん です。  そういう意味では、確かに介護保険でどこまで見るかという話があるとしたら、一方では、 ではほかの制度をどこまで充実するかという話が同時にされないと、介護保険の制度の側か らだけ言うと話がややこしくなって国民の期待を裏切ることになると感じますので、一言申 し上げました。 ○田中(滋)座長 ありがとうございます。  このままずっと続けていると介護をめぐる大シンポジウムになりそうですので、よろしゅ うございますか。  それぞれのお立場からの真摯な意見を伺いました。また、この具体的なテーマと要介護認 定の見直しについては皆さんの御協力によって結論を得て、経過措置の終わりについてもめ どがつきましたので、その旨、事務局はきちんと進めてください。  介護保険、あるいは高齢社会の在り方についてはそれぞれのお立場から更に研究を進め、 あるいは議論をいろいろな場所で行っていただきたいと思います。私も参加してまいります。  では、これにて本日の検証・検討会は終了させていただきます。どうもありがとうござい ました。事務局から何か説明があればお願いします。 ○鈴木老人保健課長 テキストの中身については、先ほど申し上げたようにまた御相談をさ せていただきます。  それから、次回についても先ほど結城委員からおっしゃっていただいたように、一定程度 まとまった段階でまた御相談をするということにさせていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐  天本(内線3943)     介護認定係 青木、迫田(内線3944)