09/07/15 化学物質のリスク評価検討会の「第1回ばく露評価小検討会」                     日時 平成21年7月15日(水)                        10:00〜                     場所 中央合同庁舎第4号館12階                        共用1208特別会議室       (担当)厚生労働省労働基準局安全衛生部            化学物質対策課化学物質評価室 井上           〒100−8916 東京都千代田区霞が関1−2−2           TEL 03-5253-1111(内線5518)          FAX 03-3502-1598 ○大淵化学物質評価室長補佐 ただいまから、化学物質リスク評価検討会の第1回ばく露 評価小検討会を開催いたします。本日、先生方におかれましてはお忙しい中、お集まりい ただきましてどうもありがとうございます。はじめに、化学物質対策課長の榎本より、ご 挨拶を申し上げます。 ○榎本化学物質対策課長 おはようございます。先生方におかれましては本日、大変お忙 しいところ、またお暑い中、本検討会にご参加いただきましてありがとうございました。 私どもでは平成18年から、重篤な健康障害を引き起こす恐れのある化学物質等へのリス ク評価を行っており、労働現場でのリスクが高いと認められた物質について、規制対象と してきております。これまでにホルムアルデヒド、ニッケル化合物、砒素及びその化合物 について、特定化学物質障害予防規則等を改正して、事業場への対応を図っているところ でございます。  リスク評価については、本年度で4年目ということになるわけですが、過去3カ年の経 験を基にしまして、本年度から検討体制を見直して、リスク評価を行う検討会のほかに、 リスク評価の企画を行う検討会と、リスク評価結果を踏まえて、健康障害防止措置を検討 する検討会という3つの検討会を立ち上げ、リスク評価から管理まで十分な検討ができる ようにしたところです。なお、本リスク評価検討会については全体会合に加えて、有害性 評価小検討会とばく露評価小検討会という2つの小検討会を設けて、より詳細な検討がで きるようにしています。  リスク評価の手順についても、従来は単年度で評価を行って、問題のある物質について は大体半年後に法改正という対応を取ってまいったわけですが、過去のホルムアルデヒド 等の法改正については法令での改正を行った後、若干対応すべき課題が見つかったことか ら、初年度の評価で問題の見られた物質は翌年度に詳細なリスク評価を行い、規制導入の 要否については詳細リスクの評価結果を踏まえ、判断することにしたいと思っております。 詳細リスク評価を行うことにより、労働現場でどのような作業においてリスクが高いかと いうことを明らかにすることができ、規制導入の際に、より適切な規制をかけることがで きると考えています。  また、ばく露評価の方法についても、従来は現場でのばく露測定を中心にしてきたわけ ですが、今後はばく露評価のモデルというものも活用いたしまして、測定対象事業場の絞 込みや測定が困難なケースにおけるばく露の推定も、積極的に行っていきたいと考えてい るところです。  本日は、議題として3つほど考えております。「『少量製造・取扱いの規制等に係る小 検討会報告書』及び『ばく露評価ガイドライン』」、それから「平成21年度ばく露実態 調査の対象事業場選定方針及び調査方針について」、そして3つ目として「平成21年度 ばく露実態調査対象物質の測定分析法について」ということで、先生方のご審議をいただ きたいと思っております。今後、リスク評価がより適切に行われるよう、それぞれの先生 方の専門分野の立場から積極的なご発言をいただければ、大変ありがたいと思います。検 討会の冒頭に当たりまして、簡単ではございますけれども、ご挨拶といたします。よろし くお願いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 続いて、本日の出席者をご紹介したいと思います。資料1 に名簿が付いておりますが、本日の小検討会は最後の4頁にありますので、参考にしてい ただければと思います。まず、本日ご欠席の先生からご紹介いたします。京都大学名誉教 授の内山先生と、独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院産業中毒センター長の圓 藤先生です。お二方におかれましては、本日は所用のため欠席されております。  続いて、独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ主任研究員の 小嶋先生です。早稲田大学理工学術院教授の名古屋先生です。独立行政法人産業技術総合 研究所客員研究員の花井先生です。帝京平成大学地域医療学部教授の原先生です。委員の 方に加えまして、本日はリスク評価の委託事業を担当しております中央労働災害防止協会 から、細田様にもご出席いただいております。  続いて、事務局をご紹介させていただきます。ただ今、ご挨拶申し上げた化学物質対策 課長の榎本です。環境改善室長の半田です。化学物質評価室長の島田です。中央労働衛生 専門官の井上です。最後に、私は化学物質評価室長補佐の大淵でございます。どうぞよろ しくお願いいたします。  それでは、本日は第1回目になりますので、座長の選出を行いたいと思います。どなた か推薦がございましたら、おっしゃっていただければと思います。いかがでしょうか。も しないようでしたら、事務局としては早稲田大学の名古屋先生にお願いしたいと思います が、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○大淵化学物質評価室長補佐 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは名 古屋先生にこの小検討会の座長をお願いすることといたします。では名古屋先生、よろし くお願いいたします。 ○名古屋座長 ご指名により座長になりました名古屋でございます。よろしくお願いいた します。小検討会については先ほどから説明がありましたように、対象物質の測定方法あ るいはばく露実態調査というもので、かなり重要な位置づけになると思います。皆さんの 英知を借りながら、よりよい成果を挙げていきたいと思いますので、どうかご協力、よろ しくお願いいたします。それでは議事に入る前に、事務局から資料の確認をよろしくお願 いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 議事次第の次に、「配布資料一覧」というのがありますの で、それと照らし合わせてご確認をお願いいたします。まず資料1が、このリスク評価検 討会の開催要綱及び参集者名簿です。資料2として「平成21年度のリスク評価の検討体 制」です。資料3として「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平 成21年度)」です。資料4として「『少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会報告 書』(案)」です。資料5として「『ばく露評価ガイドライン』(案)」です。資料6と して「平成21年度のリスク評価の対象物質」です。資料7として「平成21年度ばく露実 態調査の対象事業場選定方針及び調査方針(案)」です。資料8として「平成21年度ば く露実態調査対象物質の測定・分析法(案)」です。資料9として「今後の予定」という ことで、1枚紙となっております。  以下は参考資料です。参考資料1として「平成20年度化学物質による労働者の健康障 害防止に係るリスク評価検討会報告書の公表について」という報道発表資料です。参考資 料2は机上のみ配布とさせていただきましたが、平成20年度に初期リスク評価を行った 物質で、今後詳細リスク評価へ移行予定の7物質の評価書です。こちらは傍聴者の方には 配っておりませんが、すでに厚生労働省のホームページで掲載されておりますので、そち らでご覧いただくことは可能です。最後に参考資料3として、「平成21年有害物ばく露 作業報告の書き方」というパンフレットです。本日の資料は以上です。 ○名古屋座長 資料の過不足等は大丈夫でしょうか。では議事に入る前に、検討会の開催 要綱と検討体制について、事務局より説明をよろしくお願いいたします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 資料の順番が若干異なりますが、最初に資料2をご覧いた だければと思います。先ほど対策課長の挨拶の中でもありましたとおり、本年度から検討 体制を少し見直すこととなりましたので、そちらをこの図でご説明したいと思っておりま す。従来はリスク評価検討会という1つだけの検討会でした。この図でいくと、上から3 つの検討会がありますが、2つ目の検討会が従来からのものです。それに加えて今年度は 評価対象物質の選定、あるいはリスク評価方針の検討を行うための企画の検討会を、まず 1番上に立ち上げております。リスク評価検討会自体についても機動的に開催できるよう に、有害性評価の小検討会とばく露評価の小検討会を、その下にぶら下げる形になってお り、必要に応じ、小検討会という形で開催したり、合同開催という形で開催したりという 予定にしております。そして最後の検討会が、健康障害防止措置に係る検討会です。リス ク評価の結果を受けて、どういった対策が必要であるかということを、こちらの検討会で 検討していく予定にしております。ちなみに、いちばん上の企画検討会については、昨日、 第1回目を開催しております。  続いて資料1、「化学物質のリスク評価検討会開催要綱」をご覧いただきたいと存じま す。1番の「趣旨・目的」から、簡単に読み上げさせていただきます。  職場における化学物質の取扱いによる健康障害の防止を図るためには、事業者が自らの 責務として個々の事業場でのばく露状況等を把握してリスクを評価し、その結果に基づき ばく露防止対策を講ずる等の自律的な化学物質管理を適切に実施することが基本である。 しかし、中小企業等においては自律的な化学物質管理が必ずしも十分ではないことから、 平成18年度から、国は、重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質について、労働者 のばく露状況等の関係情報に基づきリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが高い作業 等については、リスクの程度に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を講じ てきている。  このリスク評価を適切に行うため、学識経験者から成る検討会を開催し、有害性が認め られる化学物質について、有害性の評価及び有害物ばく露作業報告等を活用した労働者の ばく露レベルの評価から労働者の健康障害防止に係るリスクの評価を行うこととする。  2.検討事項。(1)リスク評価対象物質の有害性の評価について。(2)リスク評価対象物質 のばく露の評価について。(3)リスク評価対象物質のリスクの判定について。(4)その他。  3.構成等。(1)本検討会は、別紙1の参集者により構成するものとする。また、別紙2 の参集者により構成する「有害性評価に係る小検討会」及び別紙3の参集者により構成す る「ばく露評価に係る小検討会」を開催することとする。(2)本検討会及び小検討会には 座長を置き、座長は検討会又は小検討会の議事を整理する。(3)本検討会及び小検討会に は必要に応じ、別紙参集者以外の有識者の参集を依頼できるものとする。(4)本検討会及 び小検討会は、必要に応じ関係者からヒヤリングを行うことができるものとする。  4.その他。(1)本検討会及び小検討会は、原則として公開するものとする。ただし、個 別企業等に係る事案を取り扱うときは非公開とする。(2)本検討会及び小検討会の事務は、 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室において行う。(3)本検 討会は、平成21年度の検討事項に関する報告書をとりまとめた時点で終了するものとす る。  以上が開催要綱で、2〜4頁が参集者名簿になっております。2頁の別紙1が全体の名簿、 別紙2が有害性評価の小検討会の名簿、別紙3が本日開催しておりますばく露評価小検討 会の名簿となっております。  続いて、資料3についてもご説明させていただきたいと存じます。こちらの資料は、昨 日開催したリスク評価に係る企画検討会で決定された事項で、本年度、平成21年度はリ スク評価をどういう方針でやっていくか、それぞれの検討会で実施する内容等について、 簡単にまとめたものとなっております。まず1番として、「リスク評価の目的」です。こ ちらを読み上げさせていただきます。  職場における化学物質の取扱いによる健康障害の防止を図るためには、事業者が自らの 責務として個々の事業場でのばく露状況等を把握してリスクを評価し、その結果に基づき ばく露防止対策を講ずる等の自律的な化学物質管理を適切に実施することが基本である。 しかし、中小企業等においては自律的な化学物質管理が必ずしも十分ではないことから、 平成18年度から、国は、重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質について、労働者 のばく露状況等の関係情報に基づきリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが高い作業 等については、リスクの程度に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を講じ てきている。  2番が「リスク評価の現状」ということで、これまで実施してきた内容について書かれ ております。(1)として、平成18年9月からリスク評価を行っているということで、具体 的には(1)として、平成18年度には、5物質についてリスク評価を行い、このうちホルム アルデヒド、1,3-ブタジエン、硫酸ジエチルの3物質について平成19年度において特定 化学物質障害予防規則等の改正を行い規制の強化を図った。(2)、平成19年度には、10物 質についてリスク評価を行い、このうちニッケル化合物、砒素及びその化合物の2物質に ついて平成20年度において特定化学物質障害予防規則等の改正を行い規制の強化を図っ た。(3)、平成20年度には、44物質についてリスク評価を行い、このうちリスクの高いお それのある7物質について、平成21年度に詳細リスク評価を実施することとした(規制 強化については、詳細リスク評価を受けて、平成22年度以降に行われる予定)。  (2)として、このほか、平成18年度のリスク評価を受けて規制の強化を行ったホルムア ルデヒドについては、医療現場等における取扱いについては、特別な考慮が必要となった ことから20年7月に「少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会」を開催し、大学医学 部における解剖(正常解剖)、病理解剖、歯科医療等におけるホルムアルデヒドの規制の あり方の検討を行いリスク管理措置の適正化を図った。また、ホルムアルデヒド、臭化メ チル、シアン化水素を用い農畜産物の防疫のために実施される燻蒸作業にかかる規制の強 化を図った。さらに、労働現場におけるリスク評価において、重要となるばく露評価につ いて、その適切な運用を図るため、同小検討会において検討を進め、「労働者の有害物に よるばく露評価ガイドライン」が作成されたところである。  以上が昨年度、平成20年度までの取組みです。続いて3として、「平成21年度のリス ク評価の方針」です。(1)の検討体制の強化については、先ほどご説明したような形で体 制を見直しておりますが、その観点について、少しご説明をさせていただきます。1)リス ク評価対象物質選定手順、基準の明確化、透明性の確保。2)科学的判断が求められるリス ク評価検討会と政策的判断が求められるリスク管理の検討会の分離。3)リスク評価の2つ の要素である有害性評価検討とばく露評価検討の分離によるリスク評価検討の効率的推進。 4)リスク評価結果を受けた健康障害防止措置の検討における最新の健康障害防止技術開発 動向及び健康障害防止措置の導入が必要な事業場等の動向の検討の推進。5)リスク評価の 動向や評価結果の情報提供の推進。  (2)各検討会によるリスク評価検討の加速等。1)化学物質のリスク評価に係る企画検討 会。化学物質のリスク評価に係る企画検討会においては、平成21年度のリスク評価にか かる基本方針の策定を行うとともに、平成22年度の有害物ばく露作業報告を求める物質 の選定作業を9月までに実施し、12月には「労働者の有害物によるばく露評価ガイドラ イン」に沿って報告を求めることとする。また、国によるがん原性試験の実施が必要な物 質2物質の選定を行うこととする。このほか、前年度のリスク評価結果及び今後のリスク 評価の方針等の情報を関係者に提供するとともに、リスク評価に関する関係者間の相互理 解を促進するため、労働分野におけるリスクコミュニケーションのあり方を検討する。  これが昨日開催した企画検討会の本年度の実施事項に当たります。続いて2)、化学物 質のリスク評価検討会。化学物質のリスク評価検討会については、平成21年度から有害 性評価とばく露評価を並行して審議することとし、同検討会のもとに以下の2つの小検討 会を設け、効率的な検討を行う。(1)は有害性評価小検討会。有害性評価小検討会において は、国内外の疫学、毒性等にかかる情報をもとに、平成21年度に新たにリスク評価を行 う20物質の有害性評価を行うこととする。また、国によるがん原性試験の結果について 評価を実施する。(2)はばく露評価小検討会。ばく露評価については「労働者の有害物によ るばく露評価ガイドライン」に沿って、前年度のリスク評価において高いばく露が確認さ れた7物質について詳細なばく露評価を行うとともに、平成21年度の有害物ばく露作業 報告を求めた20物質について、優先度の高い物質からばく露評価を実施することとする。  3)として、化学物質の健康障害防止措置に係る検討会。化学物質の健康障害防止措置に 係る検討会では、リスク評価結果がとりまとめられた物質について政策ベースの検討が可 能となるよう、関係事業者、保護具メーカー等からもヒヤリングを行うなどして、最新の 技術開発動向や規制の導入にあたって考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な 健康障害防止措置の導入を目指すこととする。ただし平成21年度においては、詳細リス ク評価が実施されている状況であり、実質的な検討は平成22年度以降となる見込みであ る。また、国による試験において発がん性が確認された物質については、その取扱い等に かかる行政指導等の検討を行い、その方針をとりまとめることとする。このほか、近年健 康障害の発生が増加している一酸化炭素(CO)中毒の防止措置の検討を実施することとする。  (3)として、リスク評価にかかる情報提供等の推進。リスク評価にかかる情報提供等に ついても、規制措置の導入に際して、パブリックコメントを通じて、国民の意見を積極的 に募集するとともに、リスク評価の節目にリスクコミュニケーションを実施し、国民にわ かりやすい情報提供に努めることとする。このほか、リスク評価を通じて取りまとめられ た情報については、MSDSを作成し、提供するとともに、ばく露実態調査における個人ば く露測定のために策定された測定・分析方法についても、積極的に情報提供し、事業者自 らのリスク管理の導入を支援していくこととする。  こちらが昨日の企画検討会で決められた、本年度の方針です。事務局からの説明は以上 です。 ○名古屋座長 ただいまの説明に対してご意見、ご質問等はありますか。よろしいでしょ うか。では本日の議題に入りたいと思います。少量製造・取扱いの規制等に係る小委員会 の結果報告とばく露評価ガイドラインについて、事務局から説明をよろしくお願いいたし ます。 ○島田化学物質評価室長 少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会の報告ということで、 この検討会については昨年、平成20年の7月に立ち上げられたわけですが、実質的に少 量製造に関する横断的なご検討をいただいたのは、平成20年の10月以降で、今年の6月 までご検討いただいたものです。この場でご報告申し上げるとともに、ご意見等がありま したら、それを踏まえてこの検討会の報告書として報告させていただく予定にしておりま すので、よろしくお願いいたします。資料4に基づき、若干のご説明を差し上げたいと思 います。  まず1頁の「はじめに」です。ここではこの検討会の趣旨が書かれております。特に問 題となった内容が、22行目に書いてあります。(1)と書いてありますが、「当該報告の対 象」というのは、私どもが先ほどからご説明している、リスク評価のために行っている有 害物ばく露作業報告です。その報告の対象としては、調査対象年度1年間における対象物 質の製造量又は取扱量が500s以上の事業場としていて、報告が上がってくるのは500s 以上の使用・取扱いをしている事業場からの報告です。しかしながら実際の報告を受け、 リスク評価をした上で規制を導入する場合には、この物質を取り扱っているすべての事業 場に規制が及ぶということで、リスク評価あるいはその調査の段階でも、それを視野に入 れておかなければいけないということで始めたものです。  併せて25行目に、(2)というのがあります。この有害物ばく露作業報告というのは、労 働安全衛生法に基づく義務の報告になっております。とは言いながら、やはり個別の物質 について取扱いがあったかどうかということも含めて、事業場のほうでその報告対象とな っているという認識が十分伝わっていない場合もあり、報告率が低い場合もあります。そ ういう報告率を上げるための方策というのも、併せてご検討いただいたわけです。  3点目ですが、28行目に「さらに」というのが書かれております。私どもの実態調査と いうのは、個別の事業場自らがやる調査ではなくて、国による評価ということになります ので、そこで調査をさせていただく調査事業場数とその対象については、やはり制限があ ります。これは調査に入る労力、その他のもので、もちろん一部の事業場にしか調査に入 れないので、そういったものを踏まえて評価結果を国全体に反映させるためには、それを 推測するような方策も必要ではないかということで、その辺りのご検討もいただいたわけ です。以上のような趣旨で報告を取りまとめていただきました。  その下に行って、「我が国のばく露調査の現状」というのがあります。これについては 2頁の1行目に概略が書かれております。第1ステップとして、対象化学物質について事 業場から「有害物ばく露作業報告」を求めて、基本的な情報をいただきます。それを踏ま えて第2ステップというのが4行目から書かれています。特定された事業場を対象として、 ばく露実態調査をいたします。これはどういう作業をされているかという調査と、欧米等 では一般的な、個人の作業者の呼吸器の所にサンプラーを付けて、どのぐらい汚染された 空気を吸入しているかというのを測定する個人ばく露測定と、その作業場自体の環境が適 正かどうかということで、我が国が規制をかけている物質について、一般的に行われてい る手法である作業環境測定を実施して、現在の当該対象物質に関する作業が適正なものに なっているか、あるいはばく露が高くなっているかというものを調査していくような制度 です。  それに従って評価を進めるということですが、その中で出てきたのが、1つは先ほど申 し上げた少量製造の取扱いが把握できないという問題でした。2が「有害物ばく露作業報 告」、3が「ばく露実態調査」ということで、それぞれの評価の各ステップに関する現状、 改善の方向といったものをまとめていただいたわけです。  それぞれの大まかなところをご説明申し上げますと、2番の「有害物ばく露作業報告」 というのが、2頁の29行目から書かれております。概略を申し上げますと、この「有害 物ばく露作業報告」というのは、労働安全衛生法の下にある安衛則という規則の95条の 6の義務規定です。対象事業者については1年間の取扱量が500s以上と、そのほかに例 えば報告対象物のガス、蒸気、粉じんといった実際に労働者がばく露するおそれのある作 業が行われた場合に報告を必要とすると書かれております。これは事業場自体が判断する ような要件になっておりますので、場合によっては、報告を出していただける方とそうで ない方が、その事業場の判断で決まってくるというメリット、デメリットが生じてきます。  次の3頁に、少量製造・取扱いの把握ができないことによって生じる問題点というのが、 31行目に挙げられております。少量製造が行われているものは、基本的に報告の対象と なっていないことから、例えば比較的大企業で大量の物質を取り扱っている所からは報告 が上がってくるけれど、中小の事業場からは上がってこないということがあります。その 場合は大企業がやっている実態がベースとなって、評価がされるということが1つありま す。  2点目としては、平成18年度に規制を導入したホルムアルデヒドについては、500s以 下の比較的少ない量を使用している機関として、医療機関があります。医療機関において は特別な取扱いがされていたということで、そういう特別な作業については評価が抜けて しまったという状況があります。こういったものを解消しなければいけないということが ありました。その他の個々の問題は、併せてそこに書かせていただきました。概ねそのよ うなものです。  「改善の方向」というのが、4頁の29行目から書かれております。有害物ばく露作業 報告の改善については、基本的に報告率の向上、特に中小規模の事業場からの報告率の向 上のための報告スキームといったものを検討していく必要があるという基本的な考え方の もとに、個別のご検討をいただきました。その下に改善点ということで、合計4項目ほど 挙がっております。1つは、報告条件の簡素化です。いくつかの報告要件が輻輳してかか っていることによって、出すべきかどうか事業者が迷ってしまうことがあります。これに ついての報告条件は、基本的に500s以上使っていればご報告をお願いしたいということ でシンプル化をして、機械的に報告をしてもらうような仕組みに見直すほうが適当である というご報告をいただいております。  2点目ですが、5頁の26行目にスクリーニング方式の報告スキームの採用ということが 書かれております。1番でありましたように、機械的にできるだけ多くの方々や事業場か ら報告をいただくということになりますと、逆に報告をする事業場側の負担が増えること もあります。本来、この有害物ばく露作業報告というのは、ばく露の高い事業場を絞り込 んで、そこに対して問題があるかどうかを把握するというのが、基本的なスキームという ことになりますので、その前提として、もし引き続き調査をすべきようなものについては 絞り込んで、それ以外のばく露が低いと思われるものについては、第1次報告にとどめよ うというスキームにさせていただくというご提言をいただきました。  その中での第1段階としては、一般的な製造・取扱い数量やばく露の可能性などの有無 を把握させていただく最小限のものとして、報告をいただきます。その上で第2段階とし て、高いばく露が推定される事業場や、先ほど特殊な作業が把握できないという話があり ましたが、特殊な作業を行っている事業場を絞り込んで、より詳細な報告を求めていくと いうスキームにすべきであるというご提言でした。それから、その事業場の絞り込むスキ ームについても、公平性が欠けていると適正な評価にならない、あるいは適正な調査にな らないということでしたので、ばく露のモデル等の活用というものが必要であるというご 指摘もいただいております。最終的には一部のサンプル事業場の評価を基に、国全体を評 価していくということになりますので、適切なサンプル数を決めて、それに基づいて調査 をすべきというご提言もいただいたわけです。  3点目ですが、5頁の42行目に、報告対象期間の見直しということでご提言をいただい ております。現在の報告は、1年前の作業を遡及して報告をいただいております。例えば Aという物質について報告を求めたい場合には、Aという物質を昨年1年間使っている事 業場は報告をくださいという形になっております。そうしますと、それを使っている方々 については確かに使っていたけれど、詳細な作業報告というのは取っていませんという事 業場も出てきてしまい、少量製造のようなものについては報告漏れが起きてしまう可能性 も出てきます。そこで遡及ではなくて、今後1年間に使われた作業についての報告をお願 いするという形に見直しをすべきというご提言でした。  6頁の5行目ですが、4番として継続的報告方式への見直しです。特に中小の事業場に おいては、いわゆる受注生産という形を取っている場合があります。その場合は受注があ ればその段階で、その化学物質を使うという形になりますから、必ずしも毎年定期的に使 っていくという作業形態でない場合もあります。そういうことになりますと、数年に一度 の頻度で作業が実施される場合があるので、単年度にその作業をしたかどうかという評価 では、そういったものが把握できない可能性があります。3年ないし5年程度の長期間に わたり、製造・取扱いを継続して把握する必要があるというご提言をいただきました。  併せて報告内容の見直しについても、ご議論をしてご提言をいただいています。これは 同じく6頁の20行目に書かれております。いくつかの点については、報告者が報告しや すいような仕組みをご検討いただく必要があるというご提言でした。1つは選択肢方式の 採用です。できれば全部記述式というよりは、選択肢を作って、それを選ぶような簡易な 方法にすべきということです。  2番目として、対象物質について細かく含有量の記載を求める場合には、同じ物質の10 %溶液、20%溶液、50%溶液というように、いろいろな濃度を使っている場合には、それ によってすべて違う項目で記載しなければいけないような状況になります。本来、そこま での調査は必要ないのではないかと。とすれば、例えば平均含有量のようなもので報告を いただく方式のほうが、適当ではないかというようなご提言でした。  同じく3番目についても、できるだけ手間がかからないように平均含有率を採用して、 報告を容易にしていく必要があるのではないかということでした。  4番目として、ほとんどの事業場は今、作業報告みたいなものは全部電子的に処理をし ておられるような状況であるので、改めて手書きで記入するよりは、むしろ電子方式で入 力したものをうまく利用して、報告していただく形のほうが適当ではないかということで した。これが、有害物ばく露作業報告に関するご提言です。  次に「ばく露実態調査」ということで、ばく露作業報告の結果を受けて、ばく露の高い 事業場に対して調査を実施する過程での問題、それに対する改善の方向についてのご検討 をいただきました。7頁の7行目からです。「ばく露実態調査の概要」ということで、こ れについて簡単に申し上げます。まず事前調査ということで、実際に国から委託を受けて いる、現在であれば中央労働災害防止協会のほうで調査を担当していただいておりますが、 そちらがまず事業場のほうに事前調査をさせていただいて、どういう作業をしているかを 確認させていただく形になります。それを受けて本調査ということで、それぞれの作業に ターゲッティングをして、個人ばく露測定、作業環境測定をしていただいて、その結果を 基にとりまとめを行うという形になっております。  それに関する課題として挙げられたものが、8頁の20行目から書かれております。特 に実際に調査を受け入れる側の事業場のほうに企業ノウハウといったものがあると、こう いったものに対する配慮を適切にしていただかないと、十分な調査にならないというご提 言をいただいております。これはこの検討をいただく直前に、各事業場にアンケート調査 をさせていただいた結果、このようなものが分かったわけです。特に先端産業のような場 合には製造工程を報告いただくことが、そのまま製造特許、ノウハウというものにかかわ ってくることがあって、なかなかそういう報告ができない状況にあります。報告したくて も、なかなか報告できないということが分かったわけです。これを踏まえて、改善の方向 まで踏み込んでしまいますが、ノウハウに該当するような作業工程がある事業場において は、これらの漏洩に関する配慮をしなければいけないというご提言にもなったわけです。  2番目として、少量製造の取扱いの課題というものもあります。実際に調査に行く時期 に、そういった作業があるかどうかも分からない場合があります。少量製造についてはあ る時期、ほんの数日間、そういう作業があるという状況の場合は、なかなか日程が合わな いものもあるので、それに関してあまり無理をして、今年中に調査をしなければいけない というようなことになると、問題が起きるということです。  その改善の方向については、9頁の11行目に「改善の内容」というのがあります。こ れについては調査の目的・趣旨の明確化というのが13行目に書かれており、2点ほど挙 げております。アとしてばく露の高い作業の特定ということで、我が国の平均的なばく露 を確認することが目的か、ばく露の高い所を確認するのが目的かということでご議論いた だきました。やはり規制を導入する、あるいは問題となるようなものを特定することが趣 旨ですので、ばく露の高い作業を特定することに目的を絞るべきというご提言をいただい ております。  その際にご検討いただいたのは、アメリカの労働安全衛生研究所(NIOSH)で、こちらで もばく露の高いグループを特定することに目的を置いている、ということもわかってまい りました。併せて国の調査であることを明確化しないと、うまく調査が進まないというこ ともわかってまいりました。そういうことについては国が実施するものであるということ を周知・徹底する必要があるということでした。  調査手法の改善については、ともすると個人ばく露測定という測定行為が主体になるわ けですが、本来、事前調査の中でどういう作業をどういうように行っているかというのを 明確にする必要があります。そういったもので企業などで言うジョブ・アナリシスという 方法を、国としてもできるだけ取り入れていく必要があるということで、同一の作業グル ープを絞り、そういった作業でどういうことが行われていて、それがばく露につながって いるかどうかというのを、きちんとグループ分けしてやっていく必要があると。単に測定 値だけを比較するだけではいけないというご提言でした。  測定手法の改良についても、国はどういう測定手法を取ったかということを明確にする 必要があるし、適正な方法を考えて、そういったものを使っていくべきであるということ です。その次の頁以降、個人ばく露測定、スポット測定、作業環境測定手法の効果的組合 せについて、ご議論いただきました。適正な測定をするということと併せて、それぞれの 測定をうまく組み合わせて、評価に利用できるような形にしようということが重要である というご提言をいただいております。  11頁に「カ」というのが、いちばん最初の行にあります。これは、統計処理を前提と したサンプリング方法の明確化・公表です。ともすれば実際の作業上の制限や作業の労力 といったもので事業場が限られてしまうということは当然あるわけですが、国全体を評価 する、あるいは推測するということからすると、統計的な手法できちんとしたサンプリン グをすべきではないかということで、ご提言をいただいた次第です。  その他として、いま国内においての作業では、特に呼吸器系を通じた吸入ばく露という のが評価の対象となっておりますが、ものによっては経皮ばく露、つまり皮膚を通して吸 収される化学物質による疾病もあるわけです。いくつかの化学物質については、そういう 経皮ばく露を重視しなければいけないものもあるということで、こういったものについて も評価をしていくべきということでした。それから配慮すべき事項としては、調査の企業 情報の保護や調査結果の公表に関する取扱いの明確化、これも併せて重要であるという提 言がありました。  調査を踏まえたばく露評価の段階における現状及び改良・改善の方向については、38 行目以降で書かれております。ばく露評価の現状については、平成16年の12月に検討会 でまとめられたものをベースに、いま現在の評価が進んでおります。その考え方は12頁 にあります。これについての現在の考え方は、ばく露の結果、ばく露レベルというものが 出てきたとき、それと有害性情報から、これ以上その物質を吸入して摂取すると問題が起 きますというレベル、この2つのものを比較して問題があるかどうかというものを判断す るリスク評価をしており、そういったものをここに例示しております。  その上で、その課題及び改善の方向については、13頁以降に書かれております。現在 の考え方ではサンプル数なり何なりの制限の中でやっているので、調査としては正確なも のであってもサンプルが適正でない場合は、本来もっと高いばく露があった場合であって も、それを見逃してしまうことがあります。そういうことであれば、やはり統計的にそれ を見逃さないような、推測できるような手法を取っていく必要があります。それが13頁 の13行目ぐらいに書かれております。潜在的なばく露リスクを見逃してしまう可能性が 課題になるので、これに対する対応をすべきということです。  それに関してご検討いただいたものでは、例えば17行目に、NIOSHというアメリカの 機関では、統計学的な解析手法を活用しているということです。アメリカであれば国全体 というよりは、その事業場がどのぐらいのばく露レベルにあるかというものを推測する手 法を使っております。欧州、ヨーロッパで使われているばく露推定モデルなどについては、 既存の測定結果なり作業の部分を一般化してモデルを作って、それによっていくつかの作 業については、どの程度のばく露レベルになるかという一般化を図っている。そういった ものを参考にすべきではないかというご提言をいただいております。  具体的な改善の方向については、14頁の10行目以降にあります。ばく露評価の手法と いうのは、先ほど課題として出ていたサンプルから母集団を推測する手法の活用が重要で あるということと、ばく露濃度の統計解析手法の導入については、どの数値を比べるかと いうことが重要になりますので、労働現場で使われているTWA8h(8時間加重平均濃度) というものを採用して、きちんとやったほうがいいというご提言です。それを踏まえたリ スク評価なり、高いばく露が出た場合のばく露評価に関しては、要因解析手法を明確化す べきであるということをご提言いただいております。  14頁の37行目から書かれている部分ですが、ここで1つポイントとなるのが、国全体 としてどうかということを確認する上では、調査の結果問題となったばく露レベルが、そ の対象特定事業場における固有の問題であるかどうかというのを、まず明確にすべきでは ないかと。それが作業工程横断的に問題となるようなものであれば、国全体に派生するこ とになりますので、作業工程全般に由来するものなのか、あるいは特定事業場が適切でな い、場合によってはコンプライアンスの違反という形になりますが、そういった問題とな るような取扱いをしているものなのかどうかというのを、明確に押さえる必要があるとい うご提言です。  15頁の頭にある「ばく露推定モデルの活用」については、特にそのモデルを活用して いく上で、いくつかのモデルを比較して、うまく使っていく必要があるということと、21 行目に書かれているように、ばく露推定モデルの活用のための体制の整備ということで、 特に我が国においては、作業環境測定等の実測値を用いた確認が重視されており、モデル を活用することは一般的ではないという状況があります。そういう中で、事業者によるリ スクアセスメントにおいて、モデルを活用する程度にとどまっているということであるけ れど、ばく露評価という中で実際にその場でばく露が確認できないものがあるということ と、実際には評価をする対象になっていないようなものでも、モデルに入れてみると、あ る程度高いレベルのばく露が出てくる場合もある、あるいは将来、作業が行われる場合に おいて、こういう作業をする場合には高いばく露が出るとか、そういった推測にも使える ということで、今後はばく露推定モデルを活用していく体制の整備を図っていく必要があ るというご提言もいただいております。  16頁ですが、いままでは単年度のリスク評価をさせていただいて、規制の導入を図っ てまいったわけです。特に特殊な作業については、規制をしていく上で十分配慮をしなけ ればいけませんし、高いばく露が出た場合には、もっと対象事業場あるいは作業者を広げ て、丁寧な調査を実施し、より正確なばく露レベルを確認しないと、不適切な、過剰な、 不足する規制となってしまいます。適正な規制をかけていく上でも、その部分については 詳細評価というものに移行して、再度丁寧に評価をする必要があるのではないかというご 提言をいただき、初期評価から詳細評価というように、2段階の評価スキームを導入する ことが適当であるというご提言をいただいております。  詳細な評価スキームの中では、調査対象事業場の追加というのが、16頁の20行目に書 かれております。30行目にはばく露評価手法の見直しということで、先ほどいくつか出 ておりました要因解析をきちんとすべきということです。併せて規制の方針というのも、 きちんと確認する必要があるということで、16頁の46行目ぐらいにご提言をいただいて いる次第です。以上のような形で、それぞれのリスク評価の各過程における改善の方向を ご提言いただき、とりまとめをいただいております。以上が報告の内容です。 ○名古屋座長 小検討会で行われた報告書ということですが、ただいまの説明に対してご 意見、ご質問等はありますか。資料4です。よろしいでしょうか。特段ないようでしたら、 先に進めたいと思います。続いて資料5のガイドラインについて、よろしくお願いいたし ます。 ○島田化学物質評価室長 これは先ほどの資料4の報告書の附則書の2という形で、別添 の扱いのものです。先ほどのような改善の手続きをガイドラインとして明確化する必要が あり、その根本としていわゆる化学物質の中でも、作業によっていちばんばく露の程度に 影響が出るような労働場面での化学物質の評価というものについては、ばく露評価が最重 要なものであるというご提言をいただきました。それに基づいて、その手順についてはガ イドラインで定めるべきということをご提言いただいた上で、ご検討いただいたというこ とです。これについては先ほどの報告書のところで詳細なご説明を差し上げましたので、 特にそこで変わった点を中心にご説明申し上げます。  まず1頁です。2段階で評価すべきということでしたので、1頁の真ん中にフローチャ ートがありますように、初期リスク評価と詳細リスク評価の2段階に分けるという形で審 議をいただきました。初期評価については2頁の[ばく露評価の手順]ということで、有 害物ばく露作業報告と文献、業界からの情報収集というものを踏まえて、ばく露実態調査 を実際に行って、それを基にばく露評価をすると。  この流れは変わりませんが、ばく露評価の手順の下にある有害物ばく露作業報告につい ては、2段階の報告に分けるべきということでした。これは先ほどの報告書の中にありま したように、広く機械的に報告を求めるということがありますが、一方で事業所、事業場 の負担を軽減するために、高いばく露が見られた所については2次報告を行うという2段 階の報告にしてはどうかということで、27行目の有害物ばく露作業報告には、対象物質 の製造・取扱いの動向を報告いただく1次報告と、具体的な作業実態の報告を行う詳細な 2次報告とに分けさせていただきました。併せて1次報告については、3年から5年継続 して報告を求めるような仕組みに直すという形で、ガイドラインを作らせていただきまし た。  1次報告の項目については、3頁の10行目から書かれております。ごく簡単なものでは ありますが、その後に2次報告をする事業場を絞り込む上で、最低限の情報はここで把握 をさせていただこうということで決められたものです。  4頁の5行目に、2次報告についての記述があります。これについては、1次報告を2 次報告の対象事業場を選定をした上で、そこから2次報告を求める形です。2次報告の選 定の方針は、これまではばく露の高いことからすると、例えば使用量が多い事業場、それ から作業時間が非常に多いということであれば、当然作業所の方はばく露を高いレベルで 受けている可能性があるということで報告を求めていたわけですが、必ずしもそういうこ とではなくて、使用量が少なくてもばく露が高いケースがあることもありましたので、そ の手法としてコントロール・バンディングというイギリスが開発されて、現在はILO等で その使用が推奨されているものですが、そういったものを使ってばく露レベルを算定し、 2次報告を求める事業場を絞り込むという作業をご提言をいただいて、ガイドラインとし てまとめております。  具体的には、5頁の4行目からコントロール・バンディングに関する記述がありますが、 どうするかは、後ろに別紙1がありまして、33頁に入っております。これは、いくつか の選択肢を選んでいくと、最終的にどのぐらいのばく露レベルにあるかというモデルです ので、例えば33頁のいちばん下の右側に粉じんの発生のバンドの定義というものがござ います。これは固体のものについてですが、どういうものを扱っているかということで、 ペレット状で非繊維状の固体を扱っている場合には、粉じんの発生は低いですねと。それ から次の結晶、粒状固体については中程度ですねと。そして、微細、軽量パウダーを使用 している作業の場合は高いですという形で、それぞれこれを選択をしていって、頁の上で は右側の上になりますが、予測されるばく露のレンジ:固体という形でバンドが出てまい ります。そのバンドの中では、下に0.001とか0.0001と、どのぐらいの間にばく露のレ ベルがあるかというものが推定されますので、こういったものを使ってばく露の高いもの を絞り込んでいくという作業に変えた次第です。  ただ、このコントロール・バンディングについては、評価できない作業がいくつかある ということが5頁の14行目に書いてあります。例えば、研磨作業で発生する粉じん、解 放系での噴霧機の使用、ガス、殺虫剤、溶接及びハンダ付けによるフュームの発生、木質 系の粉じんといったものについては評価できないので、このモデルではなく別の手法でや らざるを得ないということであります。  その下にCMRという、例えば発がん性の物質、変異原性のある物質、生殖毒性のあるよ うな物質といった、重篤な疾病のリスクがある物質についてはCMR物質と申し上げますが、 こういったものについては評価はできないという制限がございます。ただ、これについて は実際に発がんなりを考えて、規制措置を導入する際のモデルの使用ということですので、 小検討会の中では、ばく露レベルがどちらが高いか低いかという形で、事業場を絞り込ん でいく作業には使えるのではないかということで、このコントロール・バンディングを採 用いたしました。それによって絞り込んでいく選定事業場数については、最終的な統計解 析ができるような事業場数を確保するということでした。  2次報告の内容については、6頁の12行目から報告事項ということで書いております。 実際の作業がどういうふうに行われているのかというものをできるだけ詳細に把握すると いうことでした。ものによっては回答できないような内容も入っておりますが、できる限 りこういったものについて、情報をいただく形にするということです。それを踏まえまし て、実際には作業場に調査に入るということで、8頁のいちばん最後からばく露調査につ いて記載しております。これにおいても、2次報告でばく露が高いということが推定され るようなところを中心に調査をかけていくということで、実際には最終的に評価ができる ようにということで、9頁に調査対象事業場の選定という項目がございます。選定に関し ては、選定条件として3行目に、ばく露が高いと推定される事業場、特殊な用途・作業の 事業場といったものを把握していくわけですが、その中で統計的な手法が取れるのが、20 名以上の方について個人ばく露測定を行うことが前提になるということですので、こうい ったものについても、そのための事業場数を確保していくということがここに書かれてお ります。  事業場の高いばく露を推定できないような場合には、ランダムサンプリングをすべきと いうことで、10頁にランダムサンプリングの手法が書かれております。ランダムサンプ リング手法は、乱数表を使ってランダムに事業場を選定するというやり方になっておりま す。それを踏まえたばく露実態調査については11頁から書かれておりまして、報告書の 中にも挙がっていましたように測定のみならず、事前の調査というものを十分にして、ど ういう作業が行われているかというのをきちんと把握する必要があるということでしたの で、その手続きについては11頁から書いております。  12頁はばく露の実測です。11行目からばく露濃度の実測ということで、その実測の方 法が書かれております。これについては見ていただければわかるかと思いますので、割愛 させていただきます。ただ、その測定方法というものが重要となりますし、そのあと規制 にもつながる場合には、その規制のための測定というものにもつながっていくことになり ますので、報告書の中にもありましたように測定方法をきちんと定める必要があります。 そのための精度要件というものも定めていく必要があるということで、15頁の4行目に 測定方法の精度要件というものを定めました。それについては、ばく露の測定の場合は測 定をするという行為と、その測定されたものを分析をするという行為がありますので、測 定手法については実際にサンプルを取ったときに、それを回収する率が高くなければいけ ないということで、回収率が90%以上と。その次に、具体的には脱着率ということで、 実際に溶媒なり固体で捕集したものについて、合わせて固体捕集のあとに溶液でその物質 を抽出するという分析の過程がありますので、こういった中での精度要件も90%以上と か、その手法について、直接添加法なり加熱脱着法についての細かなものを作っていただ きました。  ただ、これについては専門の方々にもお話を伺ったところ、精度要件としては主として GC/FIDの使用を想定したものになっている。微量な分析をする場合のGC/MSといったも のの使用の場合には適当でないような事実もあるので、そういったものの場合には別途検 討する必要があるということで、今後の検討も必要だということをご提言いただいたもの です。  分析手法の関係については、17頁の31行目から書かれています。検量線の引き方につ いては検量線の直線性が重要になってくるということで、それに関する精度基準。その上 で、推定をしていく際の定量下限値の設定の仕方、あるいは定量下限値を実際に評価をす る濃度レベルに合わせなければいけないということになりますので、その場合の定量下限 値の精度要件は、18頁の6行目以降に計算で出すような形のものを入れさせていただい ております。ものによっては比色ということで、吸光光度分析法に基づくものがあります し、それ以外の方法については19頁のその他の分析法という形で定めていただいたわけ です。それを踏まえた評価については、実際には19頁の35行目から入っております。 (3)のばく露調査となっているものは評価ですので、修正が終わっていません。「ばく露 調査」ではなくて、「ばく露評価」が書かれていますが、これについてはばく露のプロフ ィールの作成ということで、実際にどういう手順でどういう物質を使っているかというプ ロフィールをきちんと把握した上で調査を始める、評価をする。評価に当たっては、比較 するべき算定値については21頁の9行目にありますが、TWA8hという、8時間の個人ばく 露の平均濃度というものを比較する必要があるということで、8時間労働というものを前 提とした指標がアメリカのNIOSHで採用されていますので、我が国においてもそれを使う ということで算定式も定めていただいたわけです。  併せて、経皮ばく露の推定についても着手すべきということを報告書でご提言をいただ きました。22頁の8行目に経皮ばく露の推定ということで、これについては実測に基づ くものがなかなか出しにくい。ヨーロッパで採用されているREACHのもので、また最新の ものが出ているということですが、例示としてはそこにあるような経皮ばく露の推定方法 ということで、これについては接触をしたときに手のひらの面積がどのくらいで、何時間 ぐらいそれを触っていたかといったものを基に推測する手法と理解していますが、こうい ったものも利用できますということで書いています。その上でリスク評価をしていくには、 特に閾値があるかないかを確認した上で、実際には一次評価、二次評価の2つに分かれま すので、発がん性の確認をすべきと。それを踏まえてリスク評価で、特に閾値の発がんの ない物質については一次評価を行うと書かれています。一次評価の評価値のレベルよりも、 先ほど申し上げましたTWA8hの最大値を超えている場合についてはリスクが高いと理解で きますので、二次評価に進むようにしなさいというものです。それ以下の場合にはリスク が低いので、それについては良好な管理がされているという判断ができるということです。  同じように二次評価値との比較をする必要があるということで、二次評価値については 一般的には我が国において、1,000人に1人の確率で過剰発がんが起きるというレベルと 言われています。我が国においては、そのレベルを超えると問題となるリスクと理解され る二次評価値ですが、それとの比較をしていくべきとなっていまして、それを超えている 場合には規制を前提として考えなければいけないので、詳細なリスク評価に進むべきと。 それ以下の場合には要因分析をして、問題となるレベルがないにしても行政指導の範疇に なるというものです。  その[最大値の推測手順]ということで、24頁に書かれているものについては、実際 に測った最大値というのは制限された事業場数の中で、調査をした結果出てきた最大値で あるということですので、場合によってはそれよりももっと高いレベルのものがあるかも しれない。これについては、今回統計的な手法をご検討いただきまして区間推定をすると いうことで、母集団の推定がわからない場合はt分布を取るということを教えていただき まして、t分布を取る形の区間推定式を入れさせていただく。信頼率は90%の上側限界と いうことで、上位10%のばく露レベルの算定をいただいて、それによって推測最大値を 実際の基準値と比較して、問題かどうかというものを確認するということで、我が国全体 のばく露レベルを推測する手法も入れていただきました。その上で、問題となるばく露レ ベルかどうかを判断した上で、その問題となるようなばく露レベルが出た場合には要因解 析をすることになりますが、それは25頁の16行目に書かれています。これは報告書で申 し上げましたように、作業工程共通のものかどうか。それから、特定事業場に個別のもの であれば指導という形で、事業場に対する指導を行うことになりますので、対応が変わっ てくるということでその旨が書かれています。  26頁の「詳細評価」については5行目から書かれていますが、より丁寧に評価をする ということで追加事業場を選定するなり、その他不足しているばく露調査があれば、それ は事業場数を補うような形で追加事業場を選定して、調査をするということが書かれてい ます。これについては、500s以下の作業についても把握をしなければいけないというこ とで、関係業界あるいはそういった業界をお持ちになっている関係省庁の連携の下に、追 加調査をしていくということが書かれています。併せて、ばく露の場合には8時間値では 測れないような瞬間的に高い値が出るようなもの、短時間でばく露が出るようなものにつ いても評価をすべきということで、27頁に書かれています。以上がばく露作業の考え方 で、概ねこういった形で今後はばく露評価を進めたいということで、ご提案をさせていた だきます。以上です。 ○名古屋座長 長い説明でしたが、どうもありがとうございました。資料5のばく露評価 ガイドラインについて、ご意見、ご指摘等はありますか。 ○花井委員 確認させてください。例えば、いくつかの統計的な解析の手法とか、ばく露 プロフィールの作成とか、かなり詳しいことが書いてあって非常にいいと思いますが、こ れは実際に実施する、例えばいままででしたら中災防が請け負ってやっていたという意味 では、中災防の担当者というか実施する人がこれをきちんと理解し、かつ実施すればいい ということで、各事業者にこういう問題が行くということではないわけですよね。 ○島田化学物質評価室長 これは、実際に国あるいは国が委託した、現在では中災防です が、そちらがこのガイドラインに従ってやるということです。 ○原委員 この有害物ばく露作業報告書の書き方の中身が、もしこれを実施されることに なりますと変わるというふうに解釈してよろしいでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃるとおりです。 ○名古屋座長 あとはよろしいですか。そうしましたら、ここのところで一応検討が終わ ったということですので、パブリックコメントに持っていく形でよろしいですか。 ○島田化学物質評価室長 これについては年度を跨いでしまって恐縮ですが、平成20年 度の小検討会の報告であり、かつこちらのばく露小検討会の報告という形で、ここでご承 認をいただいたということですので、この場の皆様のお名前を拝借して報告をさせていた だきます。ばく露ガイドラインそのものについては、国のばく露ガイドラインであっても 事業場に影響のあることですので、パブリックコメントを取らせていただく。そのときに、 またご意見が出てご相談をさせていただくことはあるかもしれないということです。 ○名古屋座長 ありがとうございました。よろしくお願いします。  次に進めたいと思います。平成21年度ばく露調査の実態の対象事業場選定の方針及び 調査方法を検討していきたいと思います。事務局から資料6と資料7、よろしくお願いし ます。 ○大淵化学物質評価室長補佐 説明をさせていただきます。平成21年度のばく露の小検 討会で主にやっていただくことについての説明になりますが、まず資料6をご覧ください。 資料6は全部で4頁ありますが、「平成21年度リスク評価の対象物質(1)」ということで 資料を作らせていただきました。1頁は、平成20年度に評価した物質についての今年度 の動きということになりますが、平成20年1月〜3月に、有害物質ばく露作業報告44物 質について報告を求めています。このうち、報告があった物質が24、報告なしが20物質 ということで、実際に平成20年度にリスク評価を行いましたのは上の報告があった物質 のほうです。24物質中20物質については初期リスク評価の終了ということで、有害性の 評価とばく露の評価が一応一通り終わったものは20物質。ばく露の評価はできなかった けれども、有害性の評価だけ行ったものが4物質ということです。これらについてのこれ からですが、初期リスク評価の終了した20物質のうち、詳細なリスク評価が必要と判断 された物質が7物質ありましたので、これについては平成21年度に詳細リスク評価を行 っていく予定です。また、有害性評価のみ実施した4物質については、平成21年度にば く露のほうの評価を行いまして、初期リスク評価という形にまとめていきたいということ です。  一方、ばく露作業報告がありませんでした20物質については、平成20年度中は具体的 な作業が進んでおりませんで、今後有害性情報の収集あるいは業界団体から国内で本当に その取扱事業場がないのかどうかといったことを確認する予定としています。参考として、 いま申し上げた平成20年度のばく露作業報告の対象物質44物質の内訳を2頁に記載して おります。このうち、アンダーラインを引いてある物質が7つありますが、これが詳細リ スク評価を行う予定の物質です。  3頁は、平成21年1月〜3月にかけて、ばく露作業報告を求めた物質ということで20 物質あります。その内訳は、報告があったものが18物質、報告がなかったものが2物質 ということです。報告があった18物質について、初期リスク評価を7物質程度、有害性 評価に11物質程度をいまのところ考えております。これは、平成20年度に問題になった 詳細評価が必要だといった物質についてをまず優先的に評価しまして、今年度から新しく 着手する物質については必ずしも全部今年で終えるわけではなくて、半分ぐらいが今年度、 残りは次年度以降にやっていくという考え方です。作業報告の提出がなかった2物質につ いては、有害性情報の収集を行っていく予定としております。その作業報告をまとめた 20物質の内訳が4頁です。うち、初期リスク評価、ばく露も含めて評価をしていこうと いうものがアンダーラインを引いている7物質です。これが今年度の評価をしていく物質 です。  資料7は、いま申し上げた物質について具体的にどういう事業場を選び、また、どうい う方針で調査をしていくかということの案です。資料6と対応させながらご覧いただけれ ばありがたいと思いますが、Tは平成20年1月〜3月に有害物ばく露作業報告を実施し た44物質の関係の対応で、1は詳細リスク評価の対象物質7物質についての対応です。 少し補足をしておきますと、この表のいちばん左に8、10、11云々と番号を書いています が、最初の8から24までの6つの物質については、平成20年度のリスク評価の際に、基 準となる濃度に比べて労働現場の濃度が高かった物質です。最後の1物質、32の1,3-プ ロパンスルトンについては現場での濃度は低く定量下限以下という状況でしたが、物質の 有害性自体に問題がありまして、今日の参考資料2にも具体的な評価書をお付けしていま すが、動物実験でのことですが、たった1回のばく露によってもがんが発生するという非 常に発がん性の強い物質だということで、そういう観点から現場のばく露は低くても毒性 が強く、少し慎重な取扱いが必要だということで詳細評価の対象になったものです。前年 度の評価結果がそういう状態でしたので、今年どういう調査をやっていくかについても最 初の6物質と最後の1,3-プロパンスルトンでは、やや違いがあります。  最初の6物質については大体似たような考え方です。この表の真ん中あたりにある平成 21年度の対象事業場選定方針ですが、これから追加的な調査をしていきます。追加的な 調査をしていく事業場については、業界団体を通じて推薦をしていただく予定で、(1)と して少量あるいは特殊な用途での取扱事業場がないかどうか。それから前年度の調査で、 ばく露が高かった作業。例えば8の2-クロロ-1,3-ブタジエンであれば、合成ゴム製造工 程でのサンプリング作業とかストレーナー開放作業で、前年度の調査ではばく露が高かっ たので、これが特別な1つの事業場だけの問題なのか、ほかにも同じような作業をしてい る所では同様の問題があるのかということを把握するために、事業場を推薦していただく 予定としております。それから、2-クロロ-1,3-ブタジエンの場合には、もともとばく露 作業報告のあった事業場が全国で4事業場しかなかったということなので、事業場数とし ても本当にこれだけなのか、もう少し事業場があるのかどうかといった情報についても、 業界を通じて把握する予定としています。右側の調査方針としては、こういったことで事 業場を業界を通じて把握しまして、現場の事前調査を実施し、その後具体的な測定、個人 ばく露測定、作業環境測定、スポット測定等を行っていくということです。コバルト化合 物等の物質についても、基本的な考え方は同様です。  7つ目の1,3-プロパンスルトンの考え方が少し異なりますので、そちらについては別枠 で説明をさせていただきたいと思います。平成20年度にばく露作業報告が2事業場あり まして、2事業場とも現場の実態調査の対象となりました。平成21年度はどうしていく かということですが、平成20年度に実態調査を行った事業場について、もう一度調べを する予定です。平成20年度に調査をした事業場は、2つともユーザーさんの事業場でし たので、こういったユーザーさんだけではなくてメーカーも把握をしまして、ユーザー、 メーカーの両方について調べていくという考え方です。調査方法としては少し踏み込んだ 調査が必要かなと考えておりまして、私どもの出先であります労働局あるいは労働基準監 督署によっての調査ということを考えております。調査内容としては、近年の使用動向、 取扱い実態、労働者の健康状況、ほかの物質への代替化可能性というようなものを調べて まいりたいと思っております。そのあと、委託先、中央労働災害防止協会のほうで現場で の測定等が必要であれば、追加で行うという考え方です。また、必要に応じて、業界団体 からのヒヤリング等も行っていくことも考えております。こちらが、詳細リスク評価予定 の7物質についての事業場選定方針及び調査方針です。  4頁です。平成20年度に有害性評価のみを実施して、まだばく露を調査していない物 質が4物質ございます。これらについては、平成20年度に測定はしなかったけれども、 現場のヒヤリング等を実施したという物質もあるわけですが、それについて、できる限り 今年度は測定を行っていくという考え方です。ただし、前年度に測定ができなかった理由 としては、比較的量の少ない物質で、その年に製造あるいは取扱い作業がないということ で測定できなかったという物質ですので、今年もし製造・取扱いがあれば測定はできます が、場合によってはない可能性もあります。その場合には測定ではなくて、モデルによる 推測といったことも考えていきたいと思っています。  5頁は、ばく露作業報告の提出がなかった20物質についてです。こちらについては、 基本的には平成21年度は業界団体からのばく露情報の収集のみを行う予定で、具体的に はこれらの物質について業界団体を通じてアンケートを行う予定です。製造・取扱い事業 場が団体の会員の中にあるかどうかということの確認をしまして、もしそういった事業場 があるということであれば、団体等へのヒヤリングを実施していくということで、必要が あれば次年度以降現場測定などもやっていくことになろうかと思いますが、今年はまず国 内での製造・取扱いの事業場があるかどうかを中心に確認をさせていただきたいと考えて おります。  最後は8頁です。今年から調査を開始するような物質で、平成21年1月〜3月にばく 露作業報告を実施した20物質のうち、今年ばく露実態調査を予定している7物質です。 これらについては、ばく露報告事業場数というのがこの表の中にありますが、そのばく露 作業報告のあった事業場の中からそれぞれ一定の割合で事業場をピックアップして、実態 調査をしていく予定にしております。そのパーセントも書いてありますが、ばく露作業報 告の事業場数が少なめのものはパーセンテージを多めに書けるような形で、ある程度サン プルが取れるようにということを念頭に置いてやってまいります。そのときの事業場の選 定方法ですが、先ほども説明がありましたように、できればモデル計算というのをここで 活用して、その結果ばく露が高いと推測されるような事業場を実態調査の対象にしてまい りたいと思っています。  少しやり方を変えようかと思っているところは、5のエチルベンゼンです。ばく露作業 報告がほかより飛び抜けて多い9,724ですが、このうち9,000件ぐらいはガソリンスタン ドの関係で、ガソリン中に微量にエチルベンゼンが含まれているという報告がされていま す。ガソリンスタンドについては、事業場ごとの作業方法がそれほど大きく違うわけでは ありませんので、9,000件近く事業場があっても、それに比例して必ずしも事業場数を設 定する必要はないかと思っていまして、ガソリンスタンドについては5カ所ぐらいを選ば せていただこうかと考えております。ガソリンスタンド以外の業種なり用途での製造・使 用について、10事業場程度を選ぶ方向で考えておりまして、こちらはモデル計算を活用 したいと考えております。実際にこうやって選んだ事業場についての調査方法は先ほどの ものと同様で、事前調査をして作業方法などを把握した上で、実際の測定を行っていく予 定をしております。  補足で参考資料の2ということで、先生方のほうにお配りした資料をご覧いただければ と思います。参考資料の2は、物質ごとに今回から評価書を作ることになりましたので、 そのうち詳細リスク評価へ移行すべきとされた7物質について、今回資料としてお示しを しています。実際に、これからどんな評価がされていくかというイメージを持っていただ くためにも見ていただければと思いますが、例として2-クロロ-1,3-ブタジエンの資料を ご覧いただければと思います。初期リスク評価書については、本文ということで物性情報 や生産・輸入量、用途といった情報、2として有害性評価に関する情報ということで、こ れまでは発がん性物質を中心にやってまいりましたので、発がん性の情報プラスそれ以外 の有害性の情報といったものをまとめておりまして、リスク評価の際の判断基準となる化 学物質の濃度基準値というのを2頁に書いております。国内外の許容濃度等を参考にしま して、(4)に評価値がありますが、この評価値というのは検討会の中で定めた評価値です。 この評価値は一次評価値、二次評価値と通常は2段階で設定いたしまして、この値と現場 でのばく露濃度を比較する形になっております。そのあとに、ばく露実態の評価というこ とで、ばく露作業報告の概略、実際の現場での測定の結果というのを示しておりまして、 併せてグラフ、測定値の表も付けております。  2-クロロ-1,3-ブタジエンの場合については、3頁に測定結果のグラフがあります。個 人ばく露測定、作業環境のA測定の結果をそれぞれ示しております。個人ばく露測定につ いては11人の調査をしまして、このうち1人について8時間TWAが基準となる二次評価 値を超えていたということです。下のA測定については4カ所測定をして、4つの単位作 業場いずれも二次評価値は超えていなかったという状況です。  5頁以降は、参考資料ということになってまいります。5頁からは、有害性の表形式の 総合評価表、8頁はもう少し詳しい形の有害性評価書になりまして、ばく露に関係するよ うな資料としては28頁に飛びますが、ばく露作業報告の集計表ということで、どんな作 業でどのぐらいの事業場があり、どのぐらいの量が使われ、どのぐらいの方が作業に従事 し、設備や保護具の対策といったものがどんなふうになっているかを提示しております。 最後が29頁の参考4で、現場でのばく露実態調査に使いました測定分析法ということで、 簡単に1枚紙で測定分析方法を整理しております。2-クロロ-1,3-ブタジエンは今年度詳 細リスク評価に進むということですので、その際に用います測定分析法については、いま ご覧いただいている参考4の方法をまた使わせていただく予定としております。以上、長 くなりましたが、平成21年度の事業場の選定方針と調査方針です。 ○名古屋座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、ご意見、ご質 問等がありましたら、どうぞよろしくお願いします。たぶん、詳細評価の7頁の1の 1,3-プロパンスルトンについては、いままでの詳細評価と若干違う扱いをするということ ですので、それ以外のところで何かありましたらお願いします。測定そのものは従来とは 変わらないと思いますが、取扱いの中で、当然これは前回に出てきたトレースをもう1回 するのですか。そうではなくてトレースもするけれども、新しい事業場も探すということ ですか。 ○細田(中災防) できればそうあって欲しいのですが、ユーザーしかないからメーカー があるはずだという前提では。報告に引っかかっていないものですから、いまのところ見 付かっていないです。 ○名古屋座長 お気付きの点はありますか。 ○花井委員 最初に申し上げませんでしたが、私の所属が産業技術総合研究所客員研究員 ということになっています。もう1つは、日本化学工業協会の非常勤の嘱託ということで 仕事をしていますので、仕事の関係で団体というか機関と関係がありますが、ここの立場 はあくまでも個人として参加して、かつ個人として意見を言わせていただくということで 来ていますので、それを最初にお断りしておきたいと思います。  質問というか、古い話になって申し訳ないですが、既にこのリスク評価で化学物質が 70ぐらい取られていますが、これは何か選ぶ基準があって、ランキングして高いほうか ら出てきているという位置づけでいいのでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 実は昨日、企画の検討会で物質選定に関するご説明を差し上げ たわけですが、平成18年度からリスク評価を合計3年間やられまして、我々の本来職業 に起因するような疾病でいちばん注意すべきはがんということでしたので、発がん性とい うものに重点を置いています。もちろん細かなクライテリアがありますが、一般的に申し 上げればIARCという、WHOの付属機関である国際がん研究センターで、がんの可能性が 高いというようにランク分けがされていまして、1からいくつという形になっています。 併せて、欧州連合のほうで同じように発がんの可能性を分けているようなクライテリアが ありまして、2つを中心に見せていただきまして、そのがんの発生の可能性が高い物質を 選ばせていただいています。 ○花井委員 その基準というか考え方は、もう公開されていると考えていいですか。 ○島田化学物質評価室長 いままでもちろん公開はしていますが、昨日の企画の検討会で は明確にそのあたりの資料を出させていただいております。 ○花井委員 そういう意味では既に70ぐらいやって、あとどのくらい残っているという か、どういうことになるのですか。 ○島田化学物質評価室長 かなりがんの高いようなもの、一般の物質よりも特殊な物質に ついてはほぼ網にかけた状況で、もちろん発がん性物質というのはプロモーターも含めて、 通常のこのあたりにあるものでも発がん性はあるわけですが、それに近いような2B以下 のものになるということで、それについては今後はほかの疾病も含めて、それと比較検討 して物質を選定していく必要があるという状況です。ただ、もう1つ申し上げたいのは、 もともと有害物ばく露作業報告自体が、事業場においてその物質を使っていることを確認 できるかどうかというのが重要になりますので、そのためにMSDSを発行している対象に なっているようなものが前提になっています。その場合、実際にこの物質を使っているか どうかを事業場にお聞きしても、それが認識できないようなものだと基本的には調査対象 にならないということですので、場合によってはそのMSDSの対象から除かれているもの が新たにMSDSに加わった場合には、そういったもので発がん性の高いものが改めて出て くる可能性はありますが、基本的には日本国内で使われていて、問題となるような発がん の対象としているようなものについては、一応網にかけたという状況です。 ○花井委員 いまのお話で少しわかったような気がしますが、このリスク評価の流れが一 次評価で閾値のないがんについて評価して、それ以外を二次評価するという流れになって いますが、大前提として一次評価でオーケーならば、二次評価はしなくてもいいという流 れになっていますよね。ある意味では、そうでない場合もあり得るのではないかというか、 二次評価というのはそれ以外の一般毒性というか、そういうことも考えれば、そういう問 題があるのではないかという気がしますが、いままでの議論から言うと、いまの流れでや るということですか。 ○島田化学物質評価室長 おっしゃるとおり、職業の場合には労働現場はがんが中心的に 置かれておりました。ただ、一時期がんだけの毒性を見ればよろしいのではないでしょう かというご議論もいただいたわけですが、いまの花井先生のお話はおっしゃるとおりで、 その他の毒性というのは重要であるということで、いまお手元にお配りしている有害性の 評価書自身は、がんにとどまらず急性毒性から慢性毒性まで全部国内外で問題となってい るようなものについては把握しておりますので、場合によって特別なばく露なりに注意す べきようなものがあれば、そこは改めて調査させていただくことは可能だと思います。 ○花井委員 そういう意味では、いま例に出ていた2-クロロ-1,3-ブタジエンで、これは 例だけの話かもしれませんが、「一次評価値は設定せず」と書いてありますが、右の図を 見ると一次評価値というのは書いてあります。 ○名古屋座長 一次評価値で評価していますから、主体的にはここに書いてある数値がそ こに来るのだと思います。付属の参考資料に、ブタジエン0.0036と書いてありますが、2 頁には「評価せず」と書いてあります。 ○花井委員 これは、たぶん何かのミスというか。 ○名古屋座長 ほかもなっていますが、普通に設定しています。そこで、一次評価値より 下がったときには最終評価にいかないよとしていますので、設定はされていますよね。 ○島田化学物質評価室長 すみません。これは資料の前段の文章の「設定せず」が間違っ ていますので、修正します。 ○名古屋座長 ほかもそうなっている所があると思いますので、それはたぶん図のほうで 設定されていますので、設定されていると思います。 ○花井委員 あとは一般論的になりますが、こういう化学物質の情報を集めたり伝達する ときに、化学物質名でやっていますね。今回も、ばく露評価の報告書を出してくださいと いうときに、物質名だけでやっているわけですか。例えばCASの番号とか、構造式そのも のもきちんと書いて伝えたほうが、見るほうでも化学物質名だけというと、ベンゼンとか トルエンだったらいいですが、少し複雑になるとかなりの人でないとわからない。あるい は、別の名前で管理していれば見落としてしまうことがかなりあるので、構造式を書くと か可能なものにはCASの番号を付けるとか、別にこの小検討会だけの話ではなくて、法体 系全体がそうだと思いますが、化学物質というのは構造式をきちんと書いてやっていくこ とを真剣に考える時期ではないかなと思いますが、どうでしょうか。 ○島田化学物質評価室長 多少のそういう意識はありまして、今日お届けしている有害物 ばく露作業報告のパンフレットの中には、1つは、あまり目立たないかもしれませんが2 頁に表がありまして、物質名の下にCAS番号を入れているのと、主な別名ということで別 名があれば入れさせていただいていますが、ご指摘いただいたような構造式そのものは実 は入っていないような状況なので、そこはちょっと検討します。 ○花井委員 少し前と比べると、構造式をいろいろ書くパソコンソフトというか、そうい うのもかなり出てきていると思いますので、そういうのが可能だと思います。この間もび っくりしたのですが、化審法か何かで化学物質の名前の間違いがいままで60件ありまし たと。60件というのが、歴史的に言って多いのか少ないのかは議論があるところかもし れませんが、できるだけこういうミスはなくしたほうがいいし、判断するときに名前で何 かやるというのは面倒くさいですよね。そういう意味で、構造式を使うことは検討してい ただきたいと思います。 ○名古屋座長 前回に比べると、CASナンバーが書いてあるだけでも随分違うかなという 気はします。  この詳細評価の中で1点お聞きしたいのは、平成20年度に有害性の評価のみを実施し た40物質があります。資料の4頁に分析不能で結果的にはできなかったものがあります が、これは解決しているのですか。フェニルヒドラジンのところ。 ○大淵化学物質評価室長補佐 ヒドラジンについては、昨年度の分析法で不安定で分析値 が出るところまでいかなかったので、中災防さんのほうで測定方法をもう少し検討してい ただいて、きちんと今年度は分析までできるようにとお願いはしています。 ○名古屋座長 これも解決したとしてよろしいですね。 ○細田(中災防) しつつある。 ○名古屋座長 わかりました。ありがとうございます。あとはよろしいですか。事業場を 増やすということで、前回のことを踏まえて選定方法をはじめと、かなり詳しく書いてあ りますし、測定そのもの自体は従来と変わらずやると思われます。若干時間も迫っていま すが、資料6と資料7はよろしいですか。あと残っているのは、分析のところでCASナン バー等がありますが、若干説明していただいて終わりたいと思います。 ○大淵化学物質評価室長補佐 説明します。資料8をご覧ください。今年度から新たに測 定を開始する物質についての分析測定法で、簡単な表の形で整理しています。今年度から 新たに測定するのは、平成20年度の関係では4物質の測定が残っている。それから平成 21年度から新たに着手するということで、7物質です。ただ、平成21年度から着手する 7物質のうち、(2)のアセトアルデヒドについては、従来から中災防さんのほうで測定方 法は整理してあったのですが、最近になりまして問題点も見付かりまして、もう少し検討 をした上で実際の現場の測定を行うということで、今回は資料をお付けしていませんので、 全部で本日の資料としては10物質分の資料です。  簡単に順に見てまいりますと、1頁にオルト-ニトロアニソールがあります。時間があ まりありませんので、簡単にサンプリング方法のところと分析方法のいちばんの基本のと ころだけ見てまいります。左側にサンプリング方法がありますが、サンプラーとして silica-gel tubeというものを使う予定です。分析方法としては、高速液体クロマトグラ フのDAD法というものを使う予定としています。  2頁は、4-クロロ-2-メチルアニリンおよびその塩酸塩の測定分析法です。こちらにつ いては、サンプリングは硫酸含浸フィルターを使ってのサンプリングを予定しています。 分析については、高速液体クロマトグラフでUV法を用いる予定としています。  3頁は、1,2-ジブロモエタンです。1,2-ジブロモエタンについては3頁に個人ばく露濃 度測定の方法、4頁に作業環境測定の方法、若干違うということで書き分けをしています。 3頁の個人ばく露測定については、サンプリングには有機ガスモニターを使う予定として います。分析方法は、ガスクロマトグラフ質量分析法です。4頁は、作業環境測定です。 分析のほうは同じですが、サンプリングは違いまして、Anasorb CSCというものをサンプ ラーとして使う予定としています。  昨年の測定では必ずしも十分でなかったということがあるフェニルヒドラジンについて は、サンプリングは硫酸含浸の2層式グラスファイバーフィルターを使う予定としていま す。分析はHPLC法ということで、安定性を確保するためにどうするかという検討を今後 中災防でやっていただくことになろうかと思います。  7頁は、今年度から着手する物質のアクリル酸エチルです。こちらについては、サンプ リングは活性炭管を用いる予定としています。分析法はガスクロマトグラフで、FIDを使 う分析を予定しています。  8、9頁は、リン化インジウムの関係です。こちらについては、平成20年度にリン化イ ンジウムが評価対象でしたが、今年度からは少し範囲が広がりまして、インジウム及びそ の化合物という評価を予定しています。インジウム及びそれの化合物ということなので、 化合物の種類ごとに若干使う抽出溶媒等は変わってくることはあろうかと思いますが、基 本的な部分はこれが使えるかなということでご紹介をしますと、8頁の作業環境測定はサ ンプリングにメンブランフィルターを使いまして、分析はICP-MS法を使う予定です。個 人ばく露測定については若干直径が違いますが、同じくメンブランフィルターを使って、 分析法はICP-MSの予定です。化合物の種類ごとに、溶媒等はこれからまた検討していく ことになります。  10頁は、エチルベンゼンの測定法で、こちらはサンプリングに活性炭管を用いる予定 です。分析は、ガスクロマトグラフ/質量分析法です。11頁はカテコールですが、こち らのサンプリングはXAD-7というサンプラーで、グラスファイバーろ紙付というものです。 分析は、ガスクロマトグラフでFIDを用いる予定です。  12頁、13頁はコバルトとコバルトの化合物の関係で、平成20年度には塩化コバルトと 硫酸コバルトに限定した形で調査が行われましたが、平成21年度はそれ以外の化合物も 含めた形、あるいは金属コバルトも入った形での調査を予定しています。サンプリング方 法についてはメンブランフィルターを用いるということで、分析方法は黒鉛炉原子吸光法 を用いる予定です。  14頁は酢酸ビニルです。こちらは定点測定、いわゆる作業環境測定と個人ばく露測定 で、サンプリングで用いるサンプラーが若干異なっていまして、定点のほうでは、こちら に書いてあるのはCarboxen564、個人ばく露のほうは有機ガスモニターで、分析はいずれ もガスクロマトグラフィーを用いるということです。時間がなくて早口になってしまいま したが、今年度からの測定分析法はこのような形で予定をしております。 ○名古屋座長 ありがとうございました。これは、中災防さんが一応CASナンバーから持 ってきて、サンプリングと分析方法から脱着率をはじめ、そのパーセント、定量下限を求 めたと考えていいですよね。要するに文献だけではなくて、一応トレースしてあるよとい うことでいいですね。 ○細田(中災防) そうですね。 ○名古屋座長 これについて、何かご質疑はありますか。よろしいでしょうか。それでは 中災防さんにお願いして、この方法で測定をよろしくお願いします。 ○細田(中災防) 一部、測定法を新たに明確に開発するといった物質以外のもので、既 存にあるというのが日常的というか過去に分析していますが、実際のこの調査に合わせる ために、もう少し検討が必要というのもあります。 ○名古屋座長 ちょうど1分ぐらい過ぎてしまいましたが、本日の審議は以上で終了した いと思います。事務局から今後の予定について、よろしくお願いします。 ○大淵化学物質評価室長補佐 今後の予定は、資料9の1枚紙で簡単に説明します。本日 第1回を開催しましたが、第2回は9月ごろを予定しています。ばく露評価ガイドライン については先ほども申し上げましたが、これからパブリックコメント手続きを行いますの で、そこで出てきた意見等について、またこちらの検討会の場で検討させていただければ と思っています。測定分析法の関係では、本日アセトアルデヒドはペンディングというこ とにしていましたので、そちらの情報がもう少しまとまれば、またご議論いただきたいと 思います。第3回は少し間が開きまして、年が明けてからになろうかと思いますが、実際 に現場での測定、実態調査等を行いまして、そのあと測定結果等についてばく露評価を行 っていくということです。第4回も同じような議題で、3月ごろになろうかと思います。 最後は、ばく露評価小検討会と有害性評価の小検討会の全体開催のような形で、最終的に はリスク評価を行う方向でいまのところは予定しています。第2回の9月分については、 近々のうちに先生方のほうに日程調整をさせていただきたいと考えています。以上です。 ○名古屋座長 どうもありがとうございました。以上で、第1回ばく露評価小検討会を終 わりたいと思います。どうもご議論をありがとうございました。