09/7/15 第54回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成21年7月15日(水)10:55〜12:30 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 牛丸聡委員 庄司洋子委員 森田朗委員          対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 小林剛委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 松谷高顕専門委員 <参考人>          加藤薬価算定組織委員長                          <事務局>          水田保険局長 榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○薬価算定組織からの意見聴取について          ○特許期間中の新薬の薬価改定方式について ○遠藤部会長  それでは、時間が多少押しておりますので、ただいまより第54回中央社会保険医療協 議会薬価専門部会を開始したいと思います。  まず、委員の出欠状況について御報告をいたします。  本日は、全員の方がお見えになっておられます。  また、6月10日の総会で渡辺自修専門委員の後任として、松谷高顕専門委員が発令さ れたことを御報告させていただきましたが、本日は松谷専門委員が御出席されていますの で、一言ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○松谷専門委員  専門委員に任命されました松谷と申します。  医療用医薬品の流通の現場の経験を生かして発言をさせていただきたいと思いますので、 どうぞよろしくお願いいたします。 ○遠藤部会長  よろしくお願いします。  それでは、議事に移らせていただきます。  本日は、まず薬価算定組織から、薬価算定の基準に関する意見聴取を行いたいと思いま す。薬価算定組織の加藤委員長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いい たします。 ○加藤委員長  薬価算定組織委員長の加藤でございます。  私から、これまで実際に新医薬品の薬価を算定した経験を踏まえて、薬価算定組織とし ての薬価算定の基準等に関する意見を述べさせていただきたいと思います。  資料、中医協、薬−1をごらんください。最初に新薬の算定方法について記載してござ います。まず1の算定に用いる比較薬の選定のうち、(1)用法・用量を変更した新薬の取り 扱いについて説明をさせていただきます。  現行では、薬理作用類似薬が多数ある場合には、補正加算の対象とならないと類似薬効 比較方式IIにより薬価が低く算定されることになっております。このため6月に薬価収載 されましたクラビット錠500mgのように、既収載品の用法・用量を変更した新薬につい て考えてみますと、薬理作用類似薬が多く、かつ補正加算が適用されない場合、同一成分 の既収載品が最類似薬であるにもかかわらず、類似薬効比較方式IIにより、より低い薬価 の類似薬を比較薬とした算定が行われ得る状況にあります。  しかしながら、この算定方法のままでは企業の開発意欲をそぎ、より適切な用法・用量 への変更が進まない可能性があります。このため医療上の必要性から、既収載品の用法・ 用量を変更した新薬については、補正加算の有無にかかわらず、最類似薬である同一成分 の既収載品を比較薬として算定することを検討してはどうかと考えます。  次に、(2)の最類似薬が複数ある新薬の取り扱いについて説明します。単一成分の新薬に ついて最類似薬を1つに絞り切れない場合には、これら複数の類似薬を最類似薬として薬 価を算定してはどうかという意見がございました。  続いて、次のページの2でございますが、配合剤の取り扱いについてでございます。2 つの既収載品の配合剤については、これら2剤の1日薬価を合計して、1日薬価合わせと する算定を行うことが多くなっております。しかしながら、配合剤は製造経費等の節減が 見込まれると考えられることから、資料に記載した4つの条件すべてに該当する配合剤に ついては、既収載品の1日薬価の合計の一定割合を基本として算定し、加算可能とする算 定ルールを検討してはどうかと考えます。  すなわち、4つの条件とは、ここに記されておりますすべての配合成分が単剤として薬 価収載されていること。  2番は、既収載品と同様の効能効果を有すること。  3番目として、既収載品と投与経路が同一であること。  4として、内用の配合剤であることでございます。  なお、この場合、配合されている単剤の薬価を下回らないようにするために、1日薬価 が最も高い既収載品の1日薬価を下限とする必要があります。  ただし、抗HIV薬については、多剤併用療法が推奨されており、欧米では単剤の合計 価格と配合剤の価格がほぼ同額であることを考慮し、このルールの対象外としてはどうか と考えております。  また、算定に用いる「一定割合」とは、0.9倍から新規後発品の算定に用いる0.7 倍の間が適当と考えております。  次に、3番の国内で研究開発された医薬品に対する評価についてでありますが、日本人 の研究データが充実している医薬品については、補正加算の対象として評価してはどうか という意見がありました。  また、次の4、小児加算につきましては、まだ小児領域の医薬品開発については十分と 言えないことを考えると、より高いインセンティブを付与してはどうかという意見もござ いました。  次に、原価計算についてでございますが、これは運用の問題でございますが、単価査定 の考え方等について再整理すべきではないかとの意見がございました。  続いて、次のページ、6でございますが、ファーマコゲノミクスあるいはプロテオミク ス等の活用により、対象を絞った特定の患者群において最適な薬物療法を行うことを可能 にしたものについては、薬価算定上十分な評価を行うべきではないかという意見がござい ました。  次の7でございますが、規格間調整についてです。内用薬については、高用量の規格の 算定の際に用いる規格間比に上限を定めていますが、さらなる価格差の縮小を検討しては どうかという意見がありました。  次に、8番目について説明しますが、患者負担を考えますと、長期間投与される薬剤に ついては、通常より安い加算率を適用するようにしてはどうかという意見がありました。  続きまして、次のページ、2の既収載医薬品の取り扱いについてを説明します。まず1 の市場拡大再算定時の補正加算についてでございますが、現行では市場拡大再算定の対象 品について、市販後の成績等から真の臨床的有用性の有無を検討し、補正加算の適用の可 否を判断しております。  よって、対象品について有用性が認められると、すべての類似品について対象品と同じ く補正加算率が適用されますが、逆に対象品に有用性がない場合、すべての類似品につい て加算されないルールとなっております。しかしながら、各企業は、それぞれ独自に市販 後臨床試験などを行っており、その結果は一律でないことから、補正加算の適用の可否に ついては、個別の医薬品ごとに判断することを検討してはどうかと考えております。  次に、2についてでございますが、市販後に最適な薬物療法が可能な患者群を明らかと し、投与対象を大幅に絞り込んだ医薬品については、薬価を引き上げてはどうかという意 見がありました。なお、その場合でも、外国価格の水準は参考にすべきとの意見もあわせ てありました。  最後に、3の臨床的有用性がある医薬品について説明いたします。長期間収載され薬価 が低くなったが、臨床的有用性が高い医薬品については、不採算品再算定を適切に行うべ きであるとの意見がございました。  以上で、薬価算定の基準等に関する薬価算定組織の意見の説明を終わります。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  事務局で何か補足がありますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  事務局のほうから、少し補足をさせていただきたいと思います。  資料が中医協、薬−2でございます。今の算定組織の意見書をつくるに当たりまして関 係する資料でございますが、最初見開いていただきまして、配合剤の関係でございます。 事務局のほうにおきまして、過去にどのような配合剤があったかをまとめさせていただい た資料でございまして、薬価算定基準が明文化された平成12年4月以降の新薬のものを ここにまとめさせていただいております。  最初、加藤委員長のほうからお話がありましたように、配合剤と一くくりに言いまして もいろいろなタイプのものがございまして、それについて一応大きく2つに分類をしてま とめさせていただいております。  最初の上の部分が、すべての配合成分が単剤として既収載されていると、それから、単 剤の有する効能効果、投与経路が配合剤と同様である。そういったものが、上の1番から 10番までのものでございます。それ以外のものが11番から20番のものということで ございまして、下のほうから少し御説明いたしますと、例えば11番をごらんいただきま すと、これはHIVの薬でございますが、配合されておりますが、1つはまだ未収載のも のと既収載のものを配合にしたようなものがございます。12番もそのようなものでござ いまして、また、13番では、両方未収載のものを配合したようなものもあるということ でございます。  14番をごらんいただきますと、ルナベルというものでございますが、これは両方既収 載のものを配合しておりますが、もともと単剤で収載されているものの適応が、ここにあ りますようにエチニルエストラジオールというものが、前立腺がんや閉経後の末期乳がん という適応で効能を持っておりますが、配合剤としては右にございますが、子宮内膜症に 伴う月経困難症ということで、大きく違う適応で配合剤としては承認をとっているものが ございます。  15番も既収載と未収載の組み合わせの内容でございますが、注射のほうに行きますと、 同じような未収載、既収載の組み合わせが続きまして、18番でごらんいただきますと、 ジオンという薬でございますが、これについては硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸 というものでございますが、どちらもこれは外用剤、張り薬で既収載をされているもので ございまして、それを注射剤にしたというもので、効能効果的にも大きく違う内痔核の治 療剤ということでございます。  それから、一番最後20番の外用剤、メノエイドコンビパッチ、これも今の投与経路が 違うものということでございまして、酢酸ノルエチステロンというものが、同じ成分の内 用剤は既収載でございますが、これは外用剤、張り薬として開発されたものでございまし て、投与経路が違うものというものがあるということでございます。  上のほうに戻っていただきまして、1番から10番のものをごらんいただきますと、先 ほど意見書にございましたけれども、1番から3番までのもの、これが内服のHIVの薬 でございます。これをごらんいただきますと、このデータで右側のほうに配合剤の価格と 単剤の合計の価格を見ておりまして、日本の場合多くは足し算をしているわけでございま すけれども、外国ではどうかというのを、データをここにおつけさせていただいておりま して、HIVをごらんいただきますと、リストプライスで見ますとアメリカ、イギリス、 ドイツ、フランスと見ておるわけですが、大体100%、単純に単剤の合計価格とされて いるものが多いという実情がございます。  それから、4番から7番でございますが、これについて特に中医協でこれまで大変な御 議論をいただいているもの、そういうものでございますが、高血圧症の薬でございますが、 これについてはアンジオテンシンII受容体拮抗薬とヒドロクロロチアジド、利尿剤の組み 合わせの薬剤でございまして、これにつきましては右側をごらんいただきますと、外国で も必ずしも足した薬価になっていないという状況が見られるところでございます。  中には利尿剤、このアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と、ヒドロクロロチア ジドの薬価の差が非常に大きいこともございまして、イギリスやフランスでは、配合剤と このARBとが同価格になっているという国もあるような事情でございます。  それから、注射剤では1品目だけでございまして、アトワゴリバースというもので、こ れはネオスチグミン使用時の、ムスカリン作用のアトロピンを併用ということで、作用を 拮抗して緊急投与、用法投与する必要があるということでなされたものでございます。  外用剤も事実上1銘柄でございます。アドエアという薬で、これもぜんそくの薬でござ いますが、それについても外国ではこのような状況でございますが、事例がまだ事実上1 銘柄しかないと、注射と外用については事例がまだ少ないというのが内用剤と違うところ でございまして、このようなデータを見て先ほどの意見書になっているということでござ います。  それから、次をごらんいただきまして、先ほど特に一番最初のデータで用法・用量が変 化した新薬の場合について、若干類似薬効比較方式IとかIIとかそういう議論が出ていま したので、少しその辺の解説をしておきたいと思いますが、類似薬効方式でやる場合にI とIIという方式がございまして、基本的には新規性が乏しいかそうでないかということで 整理をしております。  通常の場合には類似薬効比較方式Iが多いわけでございますが、同様の効果を持つ類似 薬がある場合に、その中で最も類似している薬、これを最類似薬というふうに申し上げて おりますが、これを比較薬ということで薬価算定上、1日薬価合わせをする対象の薬とし て1日薬価を計算しまして、その1日薬価合わせで薬価を算定するということでやってい るのが通例でございます。  ただ、その裏のページ、3ページをごらんいただきまして、新規性の乏しい新薬と、過 去に非常に似たような薬がたくさん承認され薬価収載されるというようなことから、新規 性に乏しい新薬については、最類似薬よりもより低い薬価の類似薬を比較薬として薬価を 算定すると、こういうルールができ上がっているわけでございます。  ここに書いてございますように、補正加算の対象になっていない類似の薬で既に3つ以 上あると、それから、最も古い薬理作用類似薬から3年以上たっているという場合につい ては、必ずしも最類似薬が1日薬価合わせの比較薬にならないというようなルールをつく って、より低い薬価を算定するというルールになってございます。そういうことから、先 ほどの用法・用量を変更した新薬の取り扱いの議論が出てくるということでございます。  それから、最後4ページでございますけれども、一番最後の市場拡大再算定の補正加算 のお話でございます。これにつきましては、前回の改正のときにここに書いてございます 高血圧症の薬で、ARBと言っているものがございまして、これだけの製品がございまし たけれども、特にこの場合についてはブロプレス錠が対象品になり、それの類似薬、類似 しているものということで、ディオバン錠からプレミネント錠が市場拡大再算定の対象に なったわけでございますけれども、このケースにおきましては、ブロプレス錠について市 販後の大規模の臨床試験結果が出ておりまして、それの評価を行った結果、市場拡大再算 定で引き下げたものを7.5%、実際には3.75%になるわけでございますけれども、 この分を戻したという結果になってございます。  先ほどお話がありましたように、対象品が決まりますと、ディオバン錠以下については 個々に市販後のデータのあるなしにかかわらず、また、内容にかかわらず一律にすべて7. 5%つくと、こういうことがございまして、このときにもたしかディオバン錠にもデータ はありましたが、それ以外にはあったりなかったりと、こういったことがございまして、 そういった点が薬価算定組織の中でいろいろ議論がありまして、このような形にまとまっ ているということを補足で御説明させていただきます。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  ただいま御報告がありました薬価算定組織からの御意見及び、事務局から提示されまし た資料に関しまして御意見、御質問ございますでしょうか。内容はどの分野でも結構です。  小林委員、どうぞ。 ○小林(剛)委員  配合剤について、薬−2の4、5、6、7、この配合意義に単剤より高い効果、副作用 軽減とありますが、これは単剤を別々に服用する場合に比べて、当該薬剤については、効 果や副作用の軽減効果に相乗効果が見られるということかどうかというのをまず確認した いと思います。  それから、配合剤についてはこれまで薬価が高い先発品と薬価が低いもの、この組み合 わせになっておりますが、医薬品の承認の動向から見て、今後薬価の高い先発品同士の配 合剤が出てこないかどうか、この辺の見通しと、その場合における諸外国での薬価の取り 扱いについてお伺いしたいと思います。  また、配合剤については、特許だとか再審査期間が切れる前に出てくるということで、 そのときになって配合意義と言われても、ジェネリック医薬品を阻害するものと言わざる を得ないと考えております。どのようなルールにするかというのは、これからの具体的な 議論の問題ということですが、中医協として配合剤を促進させるような薬価の算定ルール にすることはいかがなものかというふうに考えます。  以上です。 ○遠藤部会長  最後は御意見ということで、今後の中医協で議論していくということでありますので、 質問事項がありましたので、これは事務局にお聞きしたほうがよろしいかと思いますので、 もし加藤委員長が何か御意見があれば。  では、事務局からどうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  最初の御質問が、この今の薬−2の資料の4番から7番のものが、単剤より高い降圧効 果、副作用軽減ということでございます。降圧効果につきましては、当然複数の作用機序 の違うものが併用というか、配合されるということでございますので、当然単剤同士より は効果が上がると。ただ、それが相加か相乗かというのは、ちょっとデータを見てみない と分かりませんので、今お答えできるものがございません。  副作用軽減についても、もともとこの理解をしておりますのは、ここで言いますとAR Bのほうの特有の副作用、それから、ヒドロクロロチアジドの普通の副作用、こういった ものをある意味で補うという効果が両方にあるというようなことを聞いておりますが、相 加か相乗かというのは、今データの手持ちがありませんのですぐにお答えできるものでは ございません。申しわけないと思います。  それから、あと配合剤の今後の開発、承認状況ということでございますが、我々もいろ いろなサーベイをしておりますけれども、今後は今回のこの4番から7番のものについて は、特にヒドロクロロチアジドが日本では非常に安い薬価のものでございましたけれども、 今後は相当程度の、同じぐらいの薬価のものが組み合わされるというものも、実際には各 企業では開発なり承認申請されてきているものというふうに理解をしております。そうい ったものが出てくる可能性が、極めて高いだろうというふうに思っております。  海外については、今のところではまだ十分な調査が行われておりませんので、当然今後 出てくれば、そのときに海外ではどうなのかということもちゃんとお示しをして、御議論 をいただくような形になろうかというふうに思っております。  一応、質問は以上かと思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  小林委員、いかがですか。よろしいですか。ありがとうございます。  ほかにどうぞ。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  配合剤にこだわって申しわけないんですけれども、1つ質問がございまして、先ほどの 御説明、単剤として薬価収載をされているというのが条件にたしか入っていたと思うんで すが、薬−1の(2)の黒ポツの2つ目のi)「全ての配合成分が単剤として薬価に収載 されている」という、その点なのですけれども、今回今まで議論があった中の配合剤につ いて、一定の考え方を示されたわけですから、そこは評価したいと思っておりますけれど も、それを今i)のところで「全ての配合成分が単剤として薬価基準に収載されているこ と」というのは、どういう理解をすればよろしいのですか。 ○遠藤部会長  では、内容の説明ということですので、事務局、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  資料の薬−2をごらんいただきたいと思います。薬−2のこれをごらんいただきますと、 ちょうど左側のほうのカラムで「配合成分→薬価収載に関する情報」というのを、この1 番から20番までの配合剤について情報を入れさせていただいております。  例えば1番でいきますとコンビビル錠、これはHIVの薬でございます。これについて は配合成分が、ジドブジンというのとラミブジンというものがございます。これについて は、単剤でしかも内服剤として収載されているものがあるという意味でございまして、以 下同じような形で既収載と書いているものは、同じ内服なら内服のものというものがある という意味で書かせていただいております。  それに比べまして、11番以降でごらんいただきますと、カレトラ・ソフトカプセルと いうものは、ロピナビルというのとリトナビルというのが配合成分でございますが、この 配合剤が承認され薬価収載された時点では、ロピナビルというものが単剤でHIVの薬と しては薬価基準に収載されていないと、そういうものがあるということをここに記載させ ていただいておりまして、その辺をちゃんと区分けして書くために、先ほどの記載になっ ているということでございます。 ○遠藤部会長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  そうしますと、薬−2のほうの表で言えば4番から7番の部分ですけれども、これは次 回は規格がそろえられるという理解でよろしいんですか。  例えばプレミネントで言えばロサルタンの既収載で、ヒドロクロロチアジドも既収載、 ただし片方は同じ規格の製剤はない。つまり薬価には載っていないという意味ですから、 ここの1ポツでいけば、すべての配合成分が単剤として薬価基準に収載されているという ことからすると、単に成分比が入っているのではなくて、物もいずれ載るという理解でよ ろしいんでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の御質問に関して、今の薬−2の資料でいきますと4番から7番の部分でございます。 一応成分としては収載されているけれども、同じ規格のものがないと、こういうものをど う扱うのかという御質問かと思いますが、この場合にこのヒドロクロロチアジドを配合さ れているものが、これの配合されている量が、確かに単剤で出ているものより低い量が配 合されているというものでございまして、その低い用量での単剤での承認の用法・用量は ないというケースがこれになってございます。  これについてどう扱うかということで、薬価算定組織では、実はその用法・用量まで同 じということまで縛らなくてもいいであろうと、つまりこの配合剤の言ってみれば一定割 合の確保を基本とする、言ってみれば厳しいルールの対象としては、用法・用量の問題は 考えずにでもいいのではないかということがここに記載されているわけでございまして、 ですから、ここでいう例えばこのようなARBとヒドロクロロチアジドの組み合わせにつ いて、ヒドロクロロチアジドの用量は違うわけでございますけれども、こういったケース については、今度の薬価算定組織の意見では、今度の薬価改正ルールでは、これは厳しい ルールのほうの適用を考えてはどうかという意見が、ここに記載されているというふうに 理解をしております。 ○遠藤部会長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  わかりました。  それで、今の御説明でよく分かったんですが、さはさりながら、相変わらず、先ほど小 林委員もおっしゃったように、この配合剤そのものが後発品の使用という意味では、今管 理官の御説明があったように、仮に2つの中で使おうと思うと、片方は適応症がないわけ ですから使いにくい部分が出てきますので、そういった意味でこうしたものを今後開発さ れるんであれば、少なくとも価格づけについてはここの問題でしょうけれども、後発品の 使用そのものが阻害されてしまうおそれがありますので、どんな方向で進むのかは、企業 としてもきちんと考えていただきたいと思います。  例えば今の部分で言えば、適応症を改めてとるということもきっとあるだろうと思うん ですね。そうすれば分けて使えますから。そういうこともぜひお願いをしたいのと、そも そも配合剤として、医薬のほうで医薬品としての適格性というのはきっと評価されている んだろうと思いますけれども、果たして医療上、あるいは保険の上で妥当なのかどうかと いう議論は当然ここの議論ですので、今後確かに今一定のこれまでなかった基準がきちん と決められたわけですから、そこはそこでよろしいと思うんですけれども、むしろ医療上 なり、あるいは保険上の必要性のようなものもきちんとお示しいただければ、ここで議論 するときに必要であればやはりここではきちんと通さなくてはいけない。評価しなくては いけない。ただ、他のものでかえられるというんであれば、それはまた別の議論でありま すので、そういった部分を明確にお示しいただけるようなことを、薬価算定組織のほうで もお考えいただければありがたいなと。  それとあわせて、先ほどクラビットの例もございましたけれども、用法・用量は同じで はなくなって変わったということでありますけれども、これはやはり後発品なんかにする と、使用についてはけっこう阻害する要因になりますので、私は薬剤を担当しております ので、常にここで言われるのは、「後発品が進まないのはおまえが悪い」という議論にな りますので、その要因が常にそうした製剤に由来するものであれば、これは私どもがどれ ほど頑張ってみても進まない議論でありますので、そうしたところは企業の方々もそこは お考えいただくなり、あるいは薬価算定組織でもそのあたりについてもぜひ御検討いただ ければと思います。 ○遠藤部会長  加藤委員長、何かございますか。 ○加藤委員長  よくその辺は検討させていただきます。ありがとうございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  実はちょっと一つ今のに関連して私は、事務局にお尋ねしたいことがあるのですけれど も、そうすると既収載薬2つが配合された場合には、この配合剤の取り扱いということに なるわけですけれども、そうではなくて片方が未収載の場合のケースは、これは従来どお りやるという、こういう意味合いなのでしょうか。確認させていただけますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  一応薬価算定組織の意見書上は、それについては従来どおりという意見であるというふ うに私は理解をしております。  ただ、これについては当然薬価部会で、こういう資料を出させていただいておりますの で、こういったものを例えばこういう方法で変えたほうがいいんじゃないかという御議論 は、この薬価部会では当然あろうかというふうに思っております。 ○遠藤部会長  未収載と既収載の組み合わせについては、とりたてて専門組織のほうでは御意見がなか ったので薬価部会で議論する話だと、こういうことなんですね。ありがとうございます。 失礼しました。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  2点、1つは確認なんですが、先ほど小林委員が質問された、特許が切れるときに出て くるというような御発言があったかと思いますけれども、これについて御回答がなかった。 特に薬−2の4から7について、実際にそうであるのかどうかということを確認したいと いうことと、それから、これは薬−1の(2)の配合剤の取り扱いについてのところの、 ポツの3つ目になるんですけれども、「なお」のところの箇所なんですが、「1日薬価が 最も高い既収載品の1日薬価を下限とする」と、この辺の意味合いが私はちょっと理解で きない部分があるんですが、例えばこのARBについて薬−2の先ほどの4から7の中で、 これはそれぞれ成分、プレミネントについてこのARBのロサルタン、これはニュールタ ンですけれども、これと6番目のバルサルタン、両番とのもともとの薬価というのはかな り違いますよね。多分160円と130円台ぐらいだったと思いますけれども、これを一 緒にするというのか、その辺のところはちょっと分かりにくい表現なので御回答いただき たいと思います。 ○遠藤部会長  それでは、事務局ですか。お願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  細かいところでございますので、私のほうから回答させていただきます。  最初の御質問の薬−2の資料の4番、プレミネント錠からミコンビまでのやつが、いわ ゆる単剤の特許がほぼ切れる段階で出してきたのかという御質問でございますが、これに ついていわゆるARBの群については、まだ少なくとも後発品が出たものはございません。 何年に切れるかというのは、私どもも余り情報を持ち合わせておりませんが、まだそうい った後発品の話は聞いてはおりません。  ヒドロクロロチアジドのほうについては、これは非常に古い薬でございますので、先発 品も後発品もこれは出ているという状況でございます。ARBのほうはまだ出てくる気配 がないといいますか、今のところ私どもいつ出るというふうには聞いているものではござ いません。  それから、薬価算定組織意見書のほうの2ページの(2)、配合剤取り扱いの3番目の ポツのところで、「配合されている単剤の薬価を下回らないようにするため、1日薬価が 最も高い既収載品の1日薬価を下限とすることが必要である」と、これの意味はどういう ことなのかということでございますが、実は今の薬−2のまた同じプレミネントからミコ ンビまでの話で申し上げますと、プレミネント錠で申し上げますと、ロサルタンカリウム とヒドロクロロチアジドを比較しますと、ヒドロクロロチアジドは非常に安い薬価になっ てございます。たしかこのときも3円程度、ロサルタンが百何十円だと思いますが、ヒド ロクロロチアジドのほうがたしか足したのが3円程度だったかと思うんですが、そうしま すと、先ほどの一定割合を掛けますと、ロサルタンよりも安くなってしまうということが 生じ得ますので、外国でもそうなんですけれども、片一方が非常に安い薬価のものを配合 したようなケースについては、高いほうの薬価と同じにすると、こういうようなケースが ございまして、ここに書いてございます例えばロサルタンとヒドロクロロチアジドで、例 えばこれを0.9掛けをするというようなケースの場合に、単剤のロサルタンカリウムよ りも安い価格が配合剤の薬価になってしまうというようなことは、ちょっと分かりにくか ろうということを申し上げているだけで、文書で言いますと例えばほかのバルサルタンと かロサルタン、少しずつ値段が違うわけでございますけれども、そういう類似薬の中で高 い低いを見ながらやるということではございませんで、あくまで配合されている薬剤の高 いほうを一応下限にして、それより安くするのはちょっとさすがにひどかろうということ で、ここに記載をされているということでございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございました。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  一応ただいまの御説明で分かったんですが、ただこの表現では、薬−1の部分では誤解 されかねないと思うんですが、それと、特許が切れるときに出てくる、これは市場に出た ときがどのぐらいで、例えばロサルタン、ニューロタンとすればもう何年になるとか、そ ういったところのあれは出せると思いますので、もう恐らく十数年ですか。それを見たら そろそろ切れるなとか見当がつくわけなんで、それのところが資料として…… ○遠藤部会長  そうしますと、それは今すぐでなくてもよろしいですか。今すぐ分かりますか。 ○藤原委員  分かるんですか。 ○遠藤部会長  すぐ分かるんですか。上市されてからの期間を知りたいということです。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ちょっと時間をいただければ分かるかもしれません。 ○遠藤部会長  では、もし間に合えば部会の会議の後のほうでということで、じゃ、よろしくお願いし ます。  ほかにどうぞ。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  加藤委員長、内容じゃなくて読み方みたいな話で、ちょっと申しわけないところもある んですけれども、この中に意見があると書かれているところ、意見があったということを 書かれているところと、検討してはどうかということで書き分けているような感じがする んですね。「検討してはどうか」というのが用法・用量の1ページ目がそうですし、あと 2ページ目の配合剤のところも「検討してはどうか」と、あともう一つは4ページ目の既 収載品の市場拡大再算定、これも「検討してはどうか」と、それ以外はすべて「意見があ った」と、こうなっているんですけれども、これはあえて書き分けているんですか。つま り「どうか」と言っているのは、この算定組織のほぼおおむね全員の意見だったと、そう じゃなくて「意見があった」というのは、お1人とか2人とかいうことで大勢の意見では 必ずしもないと、こう読めばよろしいのでしょうか。 ○遠藤部会長  加藤委員長、お願いします。 ○加藤委員長  2つの意味合いのことを書いてしまったんですが、そういう意見があったと、そういう ふうに考えていただければいいと思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ほかにございますでしょうか。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  2点教えていただきたいと思います。  1ページの一番下、(2)の最類似薬が複数ある新薬の取り扱いというところです。1つに 絞り切れないんで複数の類似薬を考えたらどうかという、その考え方自体は分かりますが、 その場合には、1つでないとすると2つ、3つ、4つとかいろいろありますが、その辺に 関してはケース・バイ・ケースを考えてしまうのか。というと、薬によっていろいろ違っ てくるとその辺の不公平というか、その辺のことはどうなっているのでしょうか。ルール として1つでないとすれば、3つとか4つとか決めてしまうのかどうか、その辺のことに ついては御意見どうであったかということが1つです。  それから、3ページの(7)の規格間調整の中に、いわゆるフラットプライスのことが 書いてありますが、このフラットプライスの考え方自体は全く価格づけとしては違う考え 方だと思います。欧米でやられているので、ここの内容もよく分からないんですが、この フラットプライスの考え方を我が国の薬価の中に導入しようとする、そういうおつもりな のかどうか、根本的な考え方が違うものだと思うんですけれども、その辺のことはどうな っているのか教えていただきたいと思います。 ○遠藤部会長  これはどちらに……加藤委員長、お願いいたします。 ○加藤委員長  これはそんなに深く考えていただかなくてもこの表現どおりでございますけれども、例 えば複数ある新薬の扱いは、どうしても1つに絞られないようなときには複数の最類似薬 の薬価の平均としてという、そういう算定をしたらどうかというような意味でございます。  それから、もう一つの規格間調整のフラットプライスという導入のことでございますけ れども、用量が倍になったからそれを倍にしようというような、そういうのではなくて、 やはりそれは価格の縮小を考えたほうがいいんじゃないかということでございます。やは りこれも薬価の抑制ということを考えてこれを導入したいというふうに、そういう意見が あったということですね。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  よろしいでしょうか。 ○遠藤部会長  じゃ、何かあれば、どうぞ。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の委員長のお話に、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  最初の薬−1の最類似薬が複数ある新薬の取り扱いについてでございますが、一応ここ については最類似薬が複数あるということで、基本的にこれの平均値をとると、相加がい いのか、加重平均がいいのかと、いろいろ議論はあると思うんですが、そこまで絞り切れ たものでございませんで、もうサイエンティフィックにはどちらとも決めようがないとい うケースが確かにありますし、今のルールでも別にできないわけではないというふうに理 解をしておるんですが、余りケースがないので、もう少しそういうことも含めて柔軟に考 えたらどうかというのがこの意見だというふうに理解をしております。  ですから、そういう意味で、どうしても絞り切れないのが3つあれば3つの平均ですし、 4つあれば4つの平均と、こういった議論かというふうに理解をしております。あくまで 運用の考え方の問題でございます。  それから、3ページのフラットプライスの関係でございますけれども、正直事務局的に は、完全ないわゆる規格が例えば用量が倍になっても薬価を同じにすると、ここまでのも のはちょっとなかなか難しかろうと。実はこのフラットプライスについて、薬価部会でも 過去にいろいろ議論がございまして、実は外国平均価格調整をかけるときにこれが入ると 何か非常に変な形になるとか、外国ではフラットプライスをどんなふうにやっているのか とか、大分調査もして薬価専門部会で御報告もしたりしているケースもありますけれども、 なかなか導入とまでは難しかろうというのがこれまでの薬価部会での感じかなと。  外国でも、フラットプライスといってもすべてのものがフラットプライスになっている わけではございませんで、なっているもの、なっていないもの、似たような薬でもなって いるもの、なっていないもの、いろいろございますので、自由薬価の国でございますので、 なかなか一緒に同じような形で見られないということで、事務局的にはなかなかこの辺ま でやるのは難しかろう。ただ、ある程度規格間比をもう少し縮めるというようなことがも う少し考えられないかということについては、もう少し検討の余地があろうというふうに も思っておりまして、このような意見書に入っているという理解をしております。  それから、先ほど藤原委員から御質問がありましたものが分かりましたので、この場で 御回答したいと思いますが、薬−2の資料でいきますと、4番から7番のARBとヒドロ クロロチアジドの配合剤の、単剤のほうの収載がいつかということでございます。  1番、4番のロサルタンカリウムでございますが、これが平成10年8月の薬価収載で ございます。  次のエカードでございます。これはカンデサルタンシレキセチルのほうでございますが、 これの薬価収載が平成11年5月であります。  それから、次の6番のコディオ、これはバルサルタンの収載が平成12年11月でござ います。  それから、ミコンビ配合錠、これについてのテルミサルタンの分については、平成14 年12月の薬価収載になってございます。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  まず牛丸委員、よろしゅうございますね。  藤原委員、いかがでございましょうか。よろしいですか。ありがとうございます。  ほかに、どうぞ。 ○長野専門委員  専門委員の長野でございます。  加藤委員長からただいま御説明をちょうだいいたしました算定ルールの見直しについて、 次回のこういう算定ルールの見直し時期に向けて、さまざまこれから御議論がいただける ものと承知しております。しかるべき時期に業界代表トップの、最終まとまったものに対 する意見聴取という場をぜひおつくりいただければと、このように思います。  ただ、私から1点追加をさせて、この場で申し上げさせていただきますと、配合剤でご ざいます。私は今企業経営トップではございませんので、6月3日に経営トップが代表と してこの場で意見を述べさせていただいたものを超えるものは、なかなか発言は申しわけ ありませんができません。たしかあのとき業界代表は、ルールが決まればそれに当然従い ますと、そのルール下で競争してまいりますと、こういう趣旨の発言をされました。  この場は薬価専門部会ですし、私も薬価専門委員を拝命しておりますので、この場での 私が申し上げる範囲で申し上げますと、配合剤につきましては、これまでのさまざまな御 批判につきまして私は十分承知をしておりますし、私自身理解をさせていただいておりま す。その立場からも、加藤委員長のほうから御説明のございました方向で、薬価の算定ル ールを御議論いただきたいと、このように思います。  一方、いろいろな掛け率幅につきまして記載がございました。これにつきましては、専 門委員としてさまざまなデータ分析が可能だと思いますので、しかるべき時期にお求めい ただければその分析データを御提供して、どういう掛け率が妥当なのかという御議論を進 めていただければと、このように思います。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  加藤委員長、どうぞ。 ○加藤委員長  大変貴重な意見をいただきましてありがとうございます。その御意見を参考にして、今 後大いに検討したいと思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  今のお話、しかと承ったんでありますが、先ほどのお話で、前回トップを超えられない というお立場は十分理解して申し上げれば、ルールに従うというのを申されたという理解 はあるんですけれども、ただ、後発品の使用に関しては、当該のところの責任ではないと いうお話でありましたので、それは従うこととは全く違うのでは。とりわけ今日の表、薬 −2に載っている一覧表を拝見しますと、その上のほうの1から10までと11から20 までを比べてみると、少なくとも11から20までは比較的工夫をされた配合剤だと思い ます。1から10まではそれぞれに工夫はされているんでしょうが、とりわけ4から7と いうのは、筋目としては必ずしもよい子ではないと私は思います。  そういった意味で、それが確かに値づけのルールには従っていただくことについては了 解をいたしましたとお話がありましたけれども、ではそもそも問題となっている後発品の 使用促進、先ほど小林委員もおっしゃっていましたが、そこについてはどうかというと、 それはなかなかできないですよというお話だったと私は理解をしているんですが、そうい う理解でよろしゅうございますか。 ○遠藤部会長  長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員  6月3日の業界トップの発言は、そのルールを遵守する前提で、その後は自由な競争を やっていきますというような趣旨だと理解しています。 ○遠藤部会長  よろしいですか。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  そのときに申し上げたのは、ルールはルールですから、ルールの中でおやりになるのは 構いませんけれども、むしろ邪魔をしないでいただきたいというお話を申し上げたはずな んですが、そのことについてお答えがなかったと思うんですが、それはいかがか。今お伺 いするのは何ですから、またもしそういう機会があればお伺いしたいと思いますけれども、 ただ、今のお話を伺っていると、この価格には従うけれどもあとは知らないよというふう に聞こえるので、そこはなかなか承服しかねるんでありますが。 ○遠藤部会長  長野専門委員。 ○長野専門委員  私は後発の使用促進賛成派でございます。当然です。  そういうことで、企業経営決定に基づいて御説明ができるところと、私がこの場で御説 明できるところはかなりギャップがございまして、お許しいただきたいと思います。 ○遠藤部会長  あくまでも業界を代表してというお立場ではありませんので、実質的にそのような機能 を果たしていただいていますが、そういうお立場ではありませんのでこれ以上はというこ とで、山本委員のおっしゃることはよく私は理解できますので。  ほかにも御議論はあるかと思いますけれども、本日結論を出すということではありませ んので、薬価算定組織から出していただきましたこのような御提案を基本に考えながら、 今後当部会として審議を進めていきたいと思いますけれども、それでよろしゅうございま すか。  ありがとうございます。  加藤委員長におかれましては、長時間ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、特許期間中の新薬の薬価改定方式についてを議題といたし たいと思います。  前回6月3日の当部会におきましては、関係業界からの意見聴取を行いました。日本製 薬団体連合会が提案している特許期間中の新薬の薬価改定方式について、いろいろと議論 を行ったわけでありますけれども、これに関連しまして、事務局及び専門委員から資料が 提出されております。まず事務局と専門委員から一とおり説明を聞いた上で議論を始めた いと思います。  では、最初に事務局から御説明をお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  最初に私のほうから、中心としては薬−3の資料で御説明したいと思いますが、薬−4 の資料で、一応前回ヒアリングがございました。その前の議論もございました。そういっ た中での主な意見を整理した資料もおつけしておりますので、適宜ごらんいただければと いうふうに思います。  薬−3の資料でございますが、一応事務局のほうで、これまでの議論を踏まえまして異 論のあった意見、それから、それに関して事務局なりの例えば解決方策の案といいますか、 考え方の案みたいなものを含めて、ある程度書けるものは書き込んだ論点としてまとめさ せていただいております。  まず最初に5回の審議を行ってきましたけれども、必ずしも説明についてはまだ今のと ころ十分とは言いがたいであろうと。現時点ではまだ、その導入の可否について判断する 材料が不足しているということを書かせていただきまして、ただやはりこれから議論をし て、これまで5回も審議もしてまいりましたし、業界のほうと中医協委員のやりとりだけ では、なかなか議論として何がどこでどうだと詰めていくのが、なかなか難しかろうとい うこともございますので、事務局のほうでどこがどうでという話を、整理をさせていただ いた紙でございます。  最初に、論点案といたしまして1番でございます。まずそもそも論として薬価維持特例 を導入する必要があるのかということでございますが、それについては企業の経営状況で すとか、新薬の研究開発や供給の状況、それはどうなっているのかと、これをやらなけれ ばどういう不都合があるのか、こういったことについてまだきちんと説明がなされていな いんではないかと、こういう御指摘が前回もいろいろあったわけでございますけれども、 そういう点についてきちんと確認した上で検討を進めていくべきではないかと、こういっ た点がまず最初にあろうかというふうに思っております。  それから、続きまして、じゃ、この薬価維持特例の導入が、患者へのメリットはどうい うことがあるのかということでございますが、(1)でありますけれども、特に業界のほうは 未承認薬・未承認適応、特に未承認適応についてはかなりの数が多く想定されるわけでご ざいますけれども、こういったものをこの開発・上市を速やかに目指していくということ をおっしゃっていただいているわけでございますけれども、それについて定期的に中医協 に進捗状況を報告することで、その実効性を担保したいということのお話がありますが、 それでいいかどうかと。  加えて言えば、例えば報告を受けるという場合のどういう対応をするかというのを、も し仮に中医協で議論をするとすれば、もし適切に進めていないような企業については、そ の薬価維持特例の対象品目があっても、当該品目の薬価維持特例の適用について厳しい対 応を考えざるを得ないんではないかというのを、事務局のあくまで一つの考え方としてお 出しをさせていただいております。  それから、今のは実際に、言ってみればドラッグラグを起こして未承認になったり、未 承認適応になったりしているというものでございますので、逆にそういうことを起こさな いように、未然防止をするためにドラッグラグを起こさないようにして、開発・上市を非 常に適切なタイミングで行っていることや、それから、前回業界のほうから、採算性が悪 いやつでも一生懸命やっているんだというお話もありまして、それはどうやってやるんだ という御意見もあったわけでございますけれども、そういった薬の安定供給を適切に行っ ていると、こういったこともやはり医療を混乱させない大事なことであろうということか ら、こういうことについては、例えば薬価維持特例の適用を考える上で、特段の評価とい うことが検討できないかという視点もあろうかというふうに思っております。  それから、その下でございますけれども、対象品目や期間の考え方ということでござい ますが、これについてはまだまだ御議論がいろいろあろうかというところでございまして、 ほかのところもそうでございますけれども、市場の加重平均乖離率を使うのか、それとも 革新的新薬の評価というほかの視点があるのかと、こういった議論があったかと思ってお ります。  裏のページでございますけれども、じゃ、その期間については後発品が薬価収載される までか、それが出なくても最大15年としておられるわけで、そういう意見でございます が、長すぎないかという指摘もありまして、今後整理が必要ではないかということでござ います。  それから、製薬業界の御提案の中には、不採算品再算定品目も薬価維持特例の対象にす べきということが資料に記載されているわけでございますけれども、まだそれの財政影響 のシミュレーションなども提出されていないことも考え、また、新薬の場合とこういった ものの不採算のものと、なかなか同じ土俵で検討しにくいということも考えますと、当面 これまでの議論からいきますと特許期間中、または、再審査期間中の新薬を、中心に検討 してはどうかというようなことがあろうかと思っております。  それから、後発品使用促進との関係でございますが、特に前回この薬価維持特例の導入 によって、特に特許が切れて後発品が出た後の薬価改定で、先発品の薬価がかなり下がる ということもございますので、それが後発品使用促進にマイナスの影響を与えないかどう か、また、後発品が過度に安い薬価で収載せざるを得ずに供給不可能とならないかどうか、 こういった御意見がいろいろあったわけでございまして、そういった場合この薬価維持特 例の中で後発品の薬価算定は、どういうふうなことがし得るのかということについて、そ れについては考え得る案として案の1と案の2を、一応事務局でお示しをしております。  文章では、ここに書いてございますように、先発品薬価からその薬価改定猶予分を引き まして0.7掛けで収載し、その直後は市場実勢価で改定するか、または先発品薬価の最 初0.7倍で収載をいたしまして、その直後の改定で先発品薬価の薬価改定猶予分の率に 加えて、その実勢価による引き下げ分を加えて薬価にすると、こういった案でございます。  これについては、ちょっと文章で言っても分かりにくい点もございますので、薬−5の 資料をごらんいただきたいと思います。今の文章を図示いたしますとこのような形かと思 っております。  まず先発品がA円でずっと薬価が例えば維持されたということで、特許期間満了で後発 品が上市される期間を経て後発品が出てくるわけでございますが、それ以後先発品はその 直後の改定時に薬価改定が猶予された部分と、先発品の市場実勢価の引き下げ分が引き下 がっていくと、こういう形の経過をとるはずでございますけれども、第1案につきまして はもし薬価維持がなされない場合は、この下の先発品の下に点線でございますが、点線の ように薬価改定ごとに少しずつ下がるというケースになり、一応想定ではB円という想定 が理論上は出てくるわけでございますが、ここから0.7倍するということで、理論上は 今の後発品の薬価算定と同じという案が案の1でございまして、薬価収載後は、あとはこ の後発品の市場実勢価分の引き下げを通常どおりやるだけでいくという形でございます。  案の2のほうについては先発品の薬価が維持されておりますので、これをあくまで薬価 としてあるわけでございますので、これから0.7掛けをしてA掛ける0.7円という形 になりますが、これが先発品が直後の薬価改定で、薬価改定猶予分が先発が引き下げられ ますので、それと平行移動でその同じ率を引き下げしまして、それに当該後発品の市場実 勢価による引き下げをして行っていくと、こういった大きく分けますとこの2案が考え得 るんではないかということで、この案もおつけをさせていただいております。  それから、また薬−3の資料にお戻りいただきまして、2ページ目の4の(2)のところで ございます。後発品の使用促進が計画どおり進まない場合に、製薬業界は、制度導入に伴 う財政影響を補てんする方策として、既収載品の薬価を引き下げることはやむを得ないと、 こういう御意見をいただいているわけでございますが、これについては余り具体的なこと がお話がありませんでしたけれども、少なくとも資料から読み取りますと、このような案 も議論の対象であろうということだろうと思っております。  案の1が後発品のある先発品のすべてで一定率を引き下げると、それから、案の2が後 発品のある先発品と、それから、その後発品のすべてを一定率下げるということ、それか ら、そういった下げはしないで、薬価維持特例の対象となる先発品について薬価維持まで の水準まで戻さなくても、それを少し縮めて一定率の引き下げでとどめると、こういうこ とがあろうかと思っております。言ってみれば、案の1は、先発メーカーのそういう形で ございます。  それから、その他でございますけれども、こういった大きな変革でもございますので、 こういったもし仮に導入するというようなことになった場合であっても、これが財政影響 はどうかとか、先ほど言った未承認・未承認適応がちゃんと解消していくのかとか、こう いった点をきちっとフォローをして、例えば試行的実施ということも含めて検討もしては どうかということでございます。  当然、そのほか事務局でこのような形でまとめておりますが、当然いろいろなほかの項 目もあろうかと思います。そういった点についても御議論をいただきたいということでご ざいます。  あとのおつけをした資料は、薬−5は先ほど申し上げたようにまとめた資料でございま すし、それから、薬−6については前回の医薬品業界の意見の概要をまとめたものでござ いますので、個別の説明は割愛をさせていただきます。  以上でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは、引き続きまして専門委員から、大変恐縮ですけれども、ちょっと時間が押し ておりますので、ポイントを絞って御発言いただきたいと思います。 ○長野専門委員  6月3日の業界代表意見陳述の折に、さまざまな御意見、御指摘をいただきました。本 日は、時間の関係からそのときにいただいた御意見、御指摘の中で、いわゆる薬価維持特 例の対象品目の考え方について補足的に、番号が付してございませんけれども、横長のタ イトルがブルーの薬価制度改革案について補足説明、専門委員名が付したもので補足説明 をいたします。  6月3日、あるいはそれ以前維持特例の対象範囲について、特許期間中の新薬であって 市場の平均乖離率以下のものというのが、日薬連業界提案でございました。一方で、革新 性というキーワードと平均乖離率というのは全くマッチしないんではないかと、こういう 御指摘を多々いただいております。それにつきまして着目して、専門委員として補足をさ せていただきます。  表紙をあけていただきまして、表紙の裏には、これから御説明をさせていただきます、 そもそも薬価維持特例、あるいは維持特例される品目とはどういう意味があるんだという ところ、それから、仮に意味があるとしたらどういうものが対象になるのかと、その切り 口、それから、あと過去薬価改定でどういったものが、仮にそういう制度を導入したら対 象になるんだろうかといったものを、少し分析したものを御説明いたします。  その次に、ページ1と右下に付したところをごらんください。今さらでございますけれ ども、医薬品の価値を2つに分けてみました。医療上の革新性という、どちらかというと これは新薬の薬価算定時の基準を主体にしたものでございます。それから、医療上の必要 性は、さらにそれに加えまして、実際に実地診療の場で先生方にお使いをいただいた結果 の価値が、どのぐらいあるのかなといった切り口、この2つに分けてみました。  今、薬価算定ルールがございますし、上市前の新薬はそのルールに基づいて薬価を決め ていただいています。原価計算であるもの、あるいは有用性加算がつくもの、つかないも の、さまざまでございます。一たんその薬価で発売をされます。その後の価値というもの は、医療現場の先生方が実感をされておられるところはあると思います。だめなもの、い いもの、しかし、それは薬価改定ルール、つまり上市後の薬価改定ルールの中にはござい ません。それを一定条件つきで改定時にルール導入を検討していただけないかというのが、 いわゆる維持特例でございます。  次のページに、切り口を2ページ目にまとめてみました。中段に(1)から右(5)まで5とお りを並べてみました。業界団体が提案をしておりますのは一番右側の(5)、上市後改定のと きに乖離率が判明するわけですから、その乖離率に基づいて実際に販売した後の評価を基 準にしてみたらどうかと、日薬連はこれを平均と称しております。  一方で専門委員的にいろいろ考えますと、この左の(1)から(4)が仕分けできました。(1)審 査上の取り扱い、例えばオーファンでありますとか、優先審査でありますとか、あるいは (2)薬価算定時の分類でいかがか、あるいはさらに患者数でありますとか、市場の規模で対 象を決めてみたらどうかとか、あるいはそもそも病気の種類、いわゆる薬からいえば薬効 群でその対象を決めてみたらどうかというのがございます。しかし、いずれも(1)から(4)は、 実際に発売後先生方の御評価という点がここには入ってきません。一応5分類でございま す。それぞれメリット、デメリットございます。以前お話のございました、例えば国際共 同治験とか、あるいは未承認薬、あるいはドラッグラグの解消というのは、おおよそ(1)の ところに分類されるのかなという気がいたしております。  最後でございます。次のページでございますが、業界提案は中段右側のブルーのバック のところでございます。つまり、平均乖離率よりもその乖離が小さいものを対象にしてい ただけないかと。今私が御説明しました(1)から(4)の中で1つ絞ってみますと、それが左側 でブルーのところでございます。薬価収載時に高く評価された品目に仮に限定してみては どうかと、それとそれ以外というふうなところでございます。  仮に薬価収載時に高く評価されたものを原価計算加算取得というふうにしますと、新薬 のトータルの金額の中の平成9年から平成17年の収載分としておりますが、これがおお よそでございますが、大体新薬の中の4割、その中で平均を下回る乖離の小さいものは、 大体4割の7割ですから全体新薬の28%、3分の1以下になります。  それから、あと下のほう、収載時に余り評価されなかったけれども、実はお使いになっ て先生方に高い評価をいただいているようなもの、これを市場乖離率で見たときに平均以 下というふうに見ると、6割のうちで大体3分の1ぐらいがございまして、全体新薬の2 割になります。これをどう見るかというところもございます。  それ以下4ページ、5ページ、6ページでございますが、今のような考え方を4ページ で平成20年度の薬価改定で見てみます。あのときは平均乖離率が6.9%と公表されて おります。横の赤いバーでございます。それで下のほう、横軸に各病気・疾患別の、ある いは薬効群別のものを整理してみました。そうしますと、やはり一番目は、非常に革新的 だったけれども、どんどん企業が相次いで発売しているような、いわゆる高血圧治療薬の 先ほど来出ておりますARBとか、コレステロール低下剤のスタチン系、こういったもの は当然平均乖離率であっても入ってこないと、それ以下やはりアンメット・メディカル・ ニーズとか患者さんの小さいところが、平均乖離率以下で入ってまいります。この丸の大 きさはその患者さんの数の多さ、少なさ、いわゆる売り上げの多さ、少なさも反映してお ります。  最後5ページ、6ページに、実は、じゃ、いろいろ話題になっているARBといったも のに、このルールがもし入ったらどうなんだというところを、過去の4回の薬価改定で見 てみました。ピンクのところがいわゆる市場平均乖離率以下の時期であります。  しかし、灰色のところ、つまり2番手が出て3番手が出てくるとこういうルールが、業 界の主張のルールが適用されても論外になってしまうというところが、ARBあるいはス タチンという大きな市場の結果でございます。  最後6ページでございますが、HIV治療薬でございます。これはほとんどピンクでご ざいます。過去の何回もの薬価改定を受けましても、結局患者さんの数が少ないというこ とと、やはり購入される医療機関の先生方につきましても、先ほどの製品とは違う位置付 けでこの製品を見ていただいているところからか、平均乖離率を下回るものの領域でござ います。ただ、市場は先ほどの5ページとは全く比較にならないような結果でございます。  以上、御説明申し上げました。時間の関係で、これで終わりにさせていただきます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ただいま事務局からこれまでの議論をまとめていただきまして、あるいは事務局案がそ こに述べられていたというわけであります。  それから、専門委員から追加的なデータが提出されたということでありますけれども、 時間の関係でその両方についてで結構でございますので、どの分野でも結構です。御意見 いただきたいと思います。  中川委員、どうぞ。 ○中川委員  長野専門委員が、業界トップ以上のことは言えないとくぎを刺されたんで、質問するの もちょっと力が落ちたんですけれども、薬−3の論点の1ポツ、これがクリアされていな いんですよ。なぜ薬価維持特例を導入するかという説明が、6月3日のヒアリングにおい ても甚だ説明が不十分だったなと私は思っているわけです。  地域医療が崩壊して地域医療の全体の底上げということが求められている中で、医療費 財源を充てるんですから、国民が納得するような説明がないとこの特例は認められないと 私は思います。  もう一度お聞きしますが、現行制度のままで国内メーカーが近い将来経営難に陥るとか、 新薬の開発能力が低下するというエビデンスのある説明をしていただきたいんですよ。そ れと、外資系メーカーだけになったときに、どういう不都合が日本の医薬品提供に起こる のかという説明も明確でないんですよ。  それから、グローバル・メガ・ファーマシーを目指すというのは、これは本音だと思い ますから、私もその上で申し上げますが、販売はグローバルにするわけですよね。各国の 医療制度の中で、そのルールに沿って販売をしていくわけですよね。そうすると、日本国 内のこのルール、今こういうルールですけれども、これを薬価維持特例を導入しようと、 こういうことを各国でするのかどうかという。答えは違うと思うんですよね。  6月3日の資料の8ページのこの図ですけれども、今日もう一度お出しいただいていま すが、そのときのこの前の経営トップの出席のときに私は質問しました。この8ページの Aの面積とBの面積の話です。これは1品目なのか、メーカー全体の品目なのかというこ とも含めて、まだそれがはっきりしない。非常にぼやっとしたイメージ図だと思うんです よ。AをBが上回らなきゃならないと、そのときも私は、販売額と書いてあるからこれは 利益じゃないかと言ったら、そうだというふうに言いかえましたけれども、やっぱりこう いう申しわけないけれども、ずさんに近いイメージ図ですよ。これが大事だから薬価維持 特例を導入しなければならないんだとずっと説明なんですけれども、そのどうも納得でき る説明をいまだにいただいていないというのが本音です。  時間がないということでもう一つ言いますが、この薬−3の論点案の2ポツ以下は、こ れは私は議論のすりかえだと思います。例えば未承認薬・未承認適応の解消とドラッグラ グを起こさないようにすることは、薬価維持特例の条件ではなくて、これは製薬メーカー として、医療に携わるメーカーとして当然やらなければならない企業の姿勢だというふう に思うんです。それを条件というか、この書き方は薬価維持特例を導入する国民へのメリ ット、患者へのメリットというのはちょっと論点整理として違うのではないかと思います。  以上です。 ○遠藤部会長  今中川委員がおっしゃられた内容で、やはり不明なところがたくさんあると、今すぐお 答えできないものもありましょうけれども、数字である程度出せるものもあるかもしれま せん。したがって、そういうような意見があって、それに対して何らかの御対応を業界と してしていただきたいと。また、今もし長野専門委員が一部でも結構ですけれども、お答 えできるものがあれば、手短にお願いしたいと思います。  それと、もう一点、中川委員がおっしゃられたことに関連しますので、確認をしたいの ですけれども、この未承認薬の開発支援センターという非常にすばらしい構想があるわけ ですが、これは薬価維持特例とセットになった話なんですか。つまり、薬価維持特例が通 らなければこの話もなくなると、そういうふうに業界は考えておるのかどうか、そこのと ころは確認したいと思います。 ○長野専門委員  まず中川先生から御指摘いただきました、内資の今経営状況はどうなんだというところ、 それから、内資が本当に困窮し始めているのかと、その後日本市場に外資だけになっちゃ うのかというような御指摘に対して、端的に私からお答えします。  まず私がお答えできるのは口頭でございますけれども、昨年の9月に出させていただき ました4社、内資系の売上高4番手まで、武田さん、アステラスさん、エーザイさん、そ して第一三共、4社はまず売上高営業利益、これはグローバルでございます。日本で約半 分弱売り上げを上げております。半分以上、50%以上は海外で売り上げております。ト ータルで営業利益率、利益額はこの2年間激減してきております。その理由でございます。 研究開発投資額が急騰しているということでございます。その理由は、何とか早くいいも のを出したいし、海外の大きな企業をキャッチアップしたいという思いでスピードアップ しているところにあります。それで研究開発投資額が結果的に多くなっている。これは後 日、必要であればできる限りの資料を出させていただこうと思います。  仮に日本企業がつぶれる、今維持特例を入れなかったらつぶれるのかというお話でござ いますが、この二、三年でつぶれることはありませんが、とにかくキャッチアップするた めに研究開発投資を続ける覚悟をしております。そうしますと、5年先、10年先は、今 のままの制度ですとなかなか日本では立ち行かなくなるだろうと私も思います。  その際、じゃ、日本企業がつぶれて外国企業だけ残ることになったときにどうなるかと いうことでございますが、多分日本企業がつぶれるようなことになりますと、海外の外国 企業の皆様も、いわゆるグローバル・マネジメントをしている中で、日本の優先順位をな かなか上げづらいんじゃないかという気がします。私は今産業に位置する者ですが、この 場では本当に保険医療に資する、あるいは患者さんのドラッグラグの解消を一念に今発言 をしております。  そういうところからいきますと、やはり2年後、3年後に、ぜひこの維持特例を一定の 原則で、一定のルール下でスタートさせていただいて、今私が申し上げているような、あ るいは企業経営トップがこれからも申し上げることが、偽りのないということをぜひ確認 をしていただきたいと思います。全く詭弁でも方便でもございません。  よろしゅうございますか。 ○遠藤部会長  では、手短に。いいですよ。 ○長野専門委員  未承認薬のセンターでございますが、もう実際に登記を済ませて事業を始めております。 当然、私たち専門委員は、業界団体代表に向かいまして維持特例を何とか御承認いただく ように頑張りますということで、会員各社を募りスタートしております。維持特例がなか ったらそれを、じゃ放棄するかというと、企業も経済行動と社会的スタンスでの行動がご ざいます。今さら引けません。ここは一生懸命やるしかないというところでございます。 ○遠藤部会長  わかりました。ありがとうございます。関係が明確になりましたので、どうもありがと うございます。  また、この一番最初の論点1という極めてベーシックなところで、まだ十分な説明がな いという中川委員の御発言がありますので、それに対応できる資料等々があれば御準備い ただきたいと思います。  ほかにございませんでしょうか。  中川委員、どうぞ。  じゃ、中川委員、山本委員の順で。 ○中川委員  今の御説明は、5年後、10年後という、そういう表現だとなかなかエビデンスになら ないんですよ。やっぱり素人でも分かるような経営状態の数字だとか、いろいろなものを 出していただいて説明してください。  それと、もう一つ重大なことを言われたと思います。支援センター、これは会長が、セ ットなのかという質問でそうだとおっしゃって、もうこっちが進んでいると、何か中医協 に対してもうすごく進んでいて引くに引けないんだ、どうするんだということで、今の発 言は、薬−3の論点の2ポツ以下は、これは非常にもうできた話になっているのかなと考 えてしまいますね。これは重大な発言だと思いますけれども、それはどうですか。 ○長野専門委員  言葉足らずで誤解を…… ○遠藤部会長  いや、多分違う意味合いで言われたと思います。  どうぞ。 ○長野専門委員  開き直っても全くいません。もう法人登記で事業をスタートしております。これは一生 懸命やってまいります。 ○遠藤部会長  ですから、薬価維持特例が仮に通らなくても、それはその事業としてお進めになると、 そういうふうにおっしゃっているわけ。 ○中川委員  わかりました。 ○遠藤部会長  では、山本委員、どうぞ。 ○山本委員  今回のまとめの薬−3でありますけれども、中川先生の御指摘もありますが、目的、必 要性云々についてはまだまだ十分に理解がいっていないというのは、これは私も薬を扱い ながら甚だ恥ずかしいんですが、必ずしも十分に理解できているわけではないので、そこ はまた資料なりの御説明が要ると思うんですが、2ポツ以下をどうとらえるかということ からすれば、これまでに比べれば随分と踏み込んで、さらに踏み込んだという形になって いますし、2ポツの中では1番と2番、まさによい会社と悪い会社というか、行いがよい 会社と悪い会社をきちっと明確に分けて、どう評価するかというところまで踏み込まれて いるので、それはそれでよろしいかと思っているんですけれども、そもそもそれを進める のについても、やっぱりこの場所で今までも言われていた、例えばセンターの問題にして もそうですし、きちんと販売していきますということもそうなんですけれども、そうした ことがまだまだやはりトップの方々から、いや、今のお話はトップじゃないから言えない よというお立場は分かりますけれども、もう一度皆さんの前できちんと担保ができないと、 なかなか理解が進まないのかなという気がします。  この仕組みが、確かに将来的にいろいろ財政的にも影響が出てくる問題なので、そう軽 々には判断できません。それはよく分かりますけれども、もしお進めになりたい、あるい は進める気持ちがもしあるのであれば、もし可能であればこうした場所でもう一度きちん とトップの方々から、こういう方向で進むぞというのを説明していただきたいなと。  もう一点、余分な話ですが、外資ばかりが日本に入ってくると、これは経済の専門家に お任せすればいいんでしょうけれども、少なくとも保険医療で使うお金がみんな外へ出て いってしまうということですから、それは決してこの日本としては好ましいことではない と思いますので、ある程度は十分に国内のメーカーというか企業が、きちんと医療の中に 貢献する形は必要でしょうし、さらに言えば社会的貢献をするということでこの仕組みが どうであれ、アンメット・メディカル・ニーズを含めた適用外であれ、あるいは未承認と いうものについては努力をするということであるならば、それをもう少し明確にしていた だかないと、海外でもうかっているんじゃないのというところが、多分皆さんの一番の不 安事項だと思いますので、ここまで踏み込まれたわけですから、ぜひこの制度をもし通す とすれば、もう少し御説明していただいたほうが皆さん納得できるんじゃないかという気 がするんで、そこはぜひお願いをしたいし、その場をつくっていただければと思います。 ○遠藤部会長  ともかくまだ十分理解できるだけの材料が足りないということは、共通した御意見だと 思います。  北村委員、どうぞ。 ○北村委員  私もこの論点案を見させていただいて、もう5回も審議をされてきて、3年ぐらい論議 されているようですが、こういう論点をまとめていただいたということが私は評価できる と思うのは、実はせんだっての6月3日のトップの方々のあれを伺っていて、外資系の方 の御発言を聞いていて私は大変将来を心配になったのは、やはり国家間で経済のルールが 違うと、どうしても外国から見て不利益に思えるようなルールの国というのは、パッシン グする傾向が非常に出てくると、こういうことを大変危惧いたします。  ですから、そういうことから考えますと、この論点案をまとめていただいているんです が、やはりこの席におられる方々がこれを理解しなければこの問題というのは前に進まな いわけで、本来中医協というのは非常に技術的な、あるいは今の役割からいけば非常に狭 い範囲の論議に本来ならせざるを得ないんでしょうが、今中川先生がおっしゃったような この1の問題というのは、やはり皆さんでよく理解して共通認識を持たなければ、私はこ の問題というのは進まないんだろうと思います。  ですから、事務局と長野専門委員なんかにも、ちょっと出すぎたお願いかもしれません けれども、もっとどなたかトップの方にも出ていただいて、もう一度やっぱり両先生の質 問なんかにもお答えいただけるような御検討、御配慮というのが、いただければというふ うに思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  先ほど山本委員からも類似の話がありましたので、もし皆様が後で合意が得られれば、 そのような形で少し検討してみたいと思います。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  今のお話のとおりですが、ただ、やっぱり議論をしていく上においては、仮にというこ とであくまで書いていますので、そういった前提に立って3点ほどお話しさせていただき たいというふうに思うんですが、1つは、先ほど来議論が出ている薬価維持特例の導入に 対する患者へのメリットの還元ですね。特に未承認薬・未承認適応、この問題ですけれど も、この事務局の思いとしてはよく分かるんですよね。今現在もいろいろな問題があるわ けですから、それをもしこういったことをやるんであればぜひそのときにというのは分か るんですけれども、若干論理的といいますか、やや「江戸のかたきを長崎で」みたいなと ころがちょっとあるような感じがして、ここはもう少し整理なり工夫なりが必要じゃない かなという感じがいたします。  それから、3の対象品目、期間の考え方で、これは専門委員のほうからもお話があって 今までよりは少し理解は進んだんですけれども、ただ、これを見たからといって、先ほど の数字でいいますと48%ぐらいでしたか。ですから大体50%だと、こういうんですけ れども、やはり単純に市場でそこは評価される、それは先生方の評価でもありますと、こ ういうことに行くんだろうかというのは、あれだけ相加取引とか、そういった日本の市場 の実態の中ではなかなかという感じがしますんで、やはりここも仮にの話ですけれどもや るんであれば、もう少し革新性との関係は、もう一回やはり、先ほど5つぐらいの項目を 整理していただきましたけれども、例えばですけれども、そういったものの組み合わせな んかもあり得るのかもしれないなと、こういうふうに思うんですけれども、今後工夫なり 議論が必要だろうと。  それから、3点目です。2ページ目の一番下のその他のところですけれども、ここは再 度必要性の議論というのを十分やった上でという前提が、これは2度も3度も申し上げな いといけないと思うんですけれども、そうした上でですけれども、仮にそこがクリアされ ても、この5のその他の(1)のところに書いていますように、非常にメーカーにとっても大 変重要ですけれども、我々中医協、薬価を預かっている立場にしても非常に重要なわけで すから、やはりここに書いているように試行的とか、足を仮に踏み出すんであれば恐る恐 る石橋をたたきながらと、こういうことが必要だというふうに思いますので、御議論をお 願いしたいというふうに思います。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  ただいま3点とも、基本的に今後の議論の一つの視点ということで理解させていただき ます。ありがとうございました。  それでは、松谷専門委員、どうぞ。 ○松谷専門委員  先ほど中川先生からのお話で、この制度の必要性という意味で、この環境の問題で申し 上げたいんですけれども、私も薬業界の人間として外資やそれから、PMDAなんかの開 発の問題、それに医療、医師のかかわり方、いろいろなことを聞いていますと、この日本 での開発ができなくなって新薬が出なくなってくると、日本での臨床開発そのもののパワ ーも衰えてくるし、東洋人であるとそれが韓国や台湾や中国にみんな行ってしまうという 意味で、私は新薬の開発と日本の医療の発展とか技術のアップというものは、一緒になっ ているというふうに思っております。  一番それを感じますのは、日本で外資が日本に研究所を持っていたところが、ほとんど が日本じゃなくてシンガポールや中国に研究所を移転しているこの事実で、ほとんどつく ばにあった研究都市から外資系メーカーはいなくなっちゃうと。それから、日本のメーカ ーさんもボストンだとかあちらのほうにどんどん移っているという意味で言えば、日本自 体がこの開発力を落としていくということ。新薬が外資からいい薬が入ってくるのはいい ですけれども、日本で開発できなくなってくれば、日本の技術が衰えてくるということに なっていくんじゃないかと思います。  先ほどの医療材料でも話がありましたけれども、イノベーションを評価してそういう産 業に医薬品をと、医療機器をしようというのが政府の一つの考え方なんで、それをバック グラウンドにしてこの提案がされているということを、私は薬業界の人間として強く感じ ますので、御理解をいただきたいなと、こう思っております。 ○遠藤部会長  その種のお話は、前回のトップからの発言の中でもその趣旨で御発言されておりまして、 いわばもう少し具体性のあるようなデータでその話を裏づけてほしいというのが今回の話 と、こういうことでありますので、今後ともよろしくお願いします。  それで、まだまだ当然この議論はあるはずですけれども、非常に大きなシステムの変更 でありますから、慎重な議論を我々はやってきたということでありますので、まだまだ十 分ではないということでデータもそろえていただきたいということですが、ただいま議論 の中で、やはりこれは業界提案であるので、業界のトップに当たる方からまたお話を承れ るようなことがないと、なかなか質問に責任を持って答えていただけないというようなこ とがありましたので、今後の薬価部会におきまして、またトップあるいはそれに該当する ような方をお呼びして質疑をするという場を設けるという、そういう流れでよろしゅうご ざいますでしょうか。  ありがとうございます。それでは事務局と相談をしまして、そのような方向で検討した いと思います。  それでは、本日いただきました御意見を踏まえまして、事務局あるいは専門委員で資料 等をまた整理をしていただきまして、次回以降の薬価専門部会でさらに議論を進めたいと 思います。  事務局、何かございますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  特にはございません。 ○遠藤部会長  それでは、本日の薬価専門部会、このあたりで終了したいと思います。  次回の薬価部会については、何か予定は立っておりますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今日の話もございましたので、どういう形で対応できるかも含めて調整して、また追っ て連絡させていただきたいというふうに思います。 ○遠藤部会長  よろしくお願いします。  それでは、本日の薬価専門部会、これにて閉会としたいと思います。どうもありがとう ございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)