09/07/13 平成21年7月13日薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録 1.日時及び場所    平成21年7月13日(月)16:00〜    厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(20名)五十音順    天 笠 光 雄、 石 井 則 久、 井 部 俊 子、 内 田 恵理子、   ◎笠 貫   宏、 川 原 信 隆、 木 下 勝 之、 許   俊 鋭、    釘 宮 豊 城、 佐 伯 晴 子、 佐 藤 景 二、○勝 呂   徹、    土 屋 文 人、 那須野 修 一、 西 島 正 弘、 西 田 輝 夫、    配 島 由 二、  古 幡   博、 松 岡 厚 子、  横 井 英 人 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    高 谷 節 雄、 宮 村 達 男     3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)    森   和 彦(安全対策課長)    倉 持 憲 路(安全使用推進室長)他 4.備  考    本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただ今から平成21年度第1回薬事・食品 衛生審議会医療機器安全対策部会を開催いたします。本日の部会は、従前の取扱いと同様 公開で行うこととしております。なお、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただい ておりますので、マスコミ関係者の方におかれましては、御理解と御協力をお願いいたし ます。  本日の御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠 にありがとうございます。本日は、現在のところ定数22名の委員中18名の委員に御出席 をいただいておりますので、定足数に達しております。なお、高谷委員、宮村委員からは 御欠席との御連絡を、横井委員、木下委員は遅れて来られます。  また、本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われ、この部会も新たに委員 の先生方の任命が行われました。つきましては、お手元の会議資料の中の委員名簿を御参 照いただき、事務局から委員の先生方を御紹介します。天笠委員、石井委員、井部委員、 内田委員、笠貫委員、川原委員です。木下委員は遅れて来られます。許委員、釘宮委員、 佐伯委員、佐藤委員、勝呂委員です。高谷委員は本日御欠席との御連絡をいただいており ます。土屋委員、那須野委員、西島委員、西田委員、配島委員、古幡委員、松岡委員です。 宮村委員は御欠席、横井委員は遅れて来られるとの御連絡をいただいております。  次に部会長の御紹介ですが、本年1月23日に開催された薬事分科会において、前回ま で部会長をお願いしていた笠貫委員が選出されておりますので、笠貫委員に引き続き本部 会の部会長をお願いします。また、部会長代理ですが、規定により部会長から御指名いた だくこととなっております。笠貫部会長から勝呂委員にお願いしたい旨御連絡いただいて おりますので、勝呂委員にお願いするということでよろしいでしょうか。 ○事務局 それでは、議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。 現在この省内は温度が暑く、軽装期間になっておりますので、上着を脱いで御参加いただ ければと思います。以後の議事の進行は笠貫部会長にお願いします。 ○笠貫部会長 先ほど御紹介がありましたように、引き続き部会長を務めさせていただき ますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。初めに、事務局から資料の確認をお 願いします。 ○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料として、順に座席表、委員名簿、議事次 第、資料一覧を配付しております。資料一覧に資料番号が振ってあります。資料1-1「平 成20年度の安全対策について(まとめ)」、資料1-2「家庭用電気マッサージ器の適正使 用に関する情報提供の実施について」、資料1-3「自動体外式除細動器(AED)の適切な 管理等の実施について(注意喚起及び関係団体への周知依頼)」、資料2-1「医療機器の不 具合等報告について(報告)」、資料2-2「医療機器不具合等報告」、資料2-3「医療機器 外国措置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」、資料3-1「感染症定期報告感染症別文 献一覧表」、資料3-2「感染症定期報告の報告状況」、資料4-1「医療機器の回収報告の 状況」、資料4-2「平成20年度医療機器自主回収一覧」、参考資料として「人工呼吸器 回路内のウォータートラップの取扱いに関する医療事故防止対策について(依頼)」までで す。過不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。  なお、本日の議題に審議事項はありません。すべて報告事項となっておりますので、よ ろしくお願いします。 ○笠貫部会長 先生方には資料の御確認をいただきまして、本日は審議事項はないという ことですので、報告事項から入ります。  議題(1)『医療機器の市販後安全対策について』、資料1-1〜1-3に基づいて説明をお 願いします。 ○事務局 それでは議題(1)「医療機器の市販後安全対策について」、資料1-1〜1-3に 基づいて御説明します。前年度である平成20年度の安全対策に関する報告件数等の状況、 及び昨年12月に開催した前回の本部会で報告している事項以降に取った医療機器の市販 後安全対策について御報告します。 今、木下先生がお着きになりましたので、説明の前に御紹介します。  それでは、資料1-1を御覧ください。最初に、資料1-1「平成20年度の安全対策につ いて(まとめ)」となっております。2ページ目からが、平成20年度に行った安全対策と して副作用等の報告数、安全対策上の措置数などの推移についてまとめたものです。本部 会は医療機器の安全対策について御検討いただくところであるため、医療機器の部分を中 心に御説明します。  「1.副作用等の報告数の推移」ですが、医薬品、医療機器等の製造販売業者は、医療 機器の不具合報告等を知ったときは、薬事法第77条4の2第1項の規定に基づき報告す ることが義務付けられております。また、医師等の医薬関係者の方についても、第77条 4の2第2項に基づき、国に直接報告することが義務付けられております。これらに基づ いて報告のあった件数は、(1)には医薬品の報告件数を記載し、(2)に医療機器の報告件 数を記載しております。  (1)の医薬品については説明は省略しますが、注釈が付けてあるように平成20年度の 数字は集計が前年度までと異なっており、平成20年度は医薬品医療機器総合機構の業務 報告からの引用で、3月末時点での数字となっております。その後取下げ等の出入りがあ り得ますが、大幅な変更はなく、医薬品はほぼ例年どおりの報告件数となっております。  (2)の医療機器の表を御覧ください。表の一番下に、平成20年度の件数が右から順に 不具合報告、研究報告、外国措置報告、感染症定期報告、医薬関係者からの不具合報告と 記載してあり、不具合報告が6,351件、研究報告が10件、外国措置報告が748件、感染 症定期報告が64件、医薬関係者からの国への直接の不具合報告(医療機関報告)が410件 となっております。  前年度の数字と比べると、不具合報告件数以外は例年と大きな変動はありませんが、不 具合報告件数は約1万件も減少しております。この報告件数が大幅に減少している背景に ついては6ページに参考資料を付けておりますので、こちらで説明します。  6ページを御覧ください。特に報告の多い医療機器の報告数の推移として、「オプチペ ンプロ1」、「オプチクリック」、「BDマイクロファインプラス」の3製品の報告数の 推移を表とグラフで示しております。グラフの方が分かりやすいと思いますので、グラフ で説明しますが、平成16年度から平成20年度までの報告件数をグラフにしております。  一番左のグラフが平成16年度の報告の内訳になり、順に17年度、18年度、19年度、20 年度と記載しております。まず平成16年度では、「オプチペンプロ1」というインスリ ンのペン型注入器に関する不具合が1万1,391件報告され、平成17年度も5,802件あっ たのですが、後継の「オプチクリック」に切替えを行い、平成18年度が最後で905件と 減少しております。後継の「オプチクリック」についても液晶のディスプレイに関する不 具合等が多く、平成17年度が1,732件、平成18年度が4,552件とあり、平成19年2月 に改良を行った結果、平成19年度は2,295件、平成20年度が1,392件と減少しておりま す。  次に、グラフでは一番濃い色で記載している「BDマイクロファインプラス」という医 薬品の注入針ですが、潤滑剤等による針詰まりの問題が発生し、平成18年11月に約1,660 万本の自主回収(リコール)を行っております。このため、平成18年度が2,543件、平成 19年度が9,710件の報告がありましたが、その後企業が製造工程の改善を行った結果、 平成20年度は261件と大幅に減少しております。  これらの3製品を除いた報告件数としては、グラフで見ると下の白い部分になります。 この部分を見れば分かるように、毎年その他の製品としては約4,500件程度となって推移 しております。こうした問題となった特別な事例を除けば、報告件数には大きな変動はな く、昨年度はこうした問題となる報告件数が多い品目の件数が少なかったために、合計 6,351件となり、平成19年度と比べると1万件以上減少しております。こうした傾向は 医薬品では見られず、医療機器の不具合報告の特徴となっております。  3ページにお戻りください。先ほど説明した医療機器の不具合報告がこれだけあったと いう中で、安全対策上の措置が取られたものについてまとめたものです。医療機器の平成 20年度のところに、実際に安全性情報に載せた件数と使用上の注意の改訂を行った件数 を、それぞれ1件、4件と記載しております。  4ページは「医薬品・医療機器等安全性情報への情報掲載について」ということで、平 成20年度の掲載情報で医療機器に関しては251号にある「2.加温加湿器の併用による人 工鼻の閉塞について」が該当します。5ページの「(2)その他」については、医薬品に関 する情報ですので、説明は割愛します。  資料1-2を御覧ください。「家庭用電気マッサージ器の適正使用に関する情報提供の実 施について」です。2ページ目に、昨年12月16日付けで発出した安全対策課長通知があ ります。本通知は、家庭用医療機器の業界団体である社団法人日本ホームヘルス機器協会 にあてたものです。  本文の内容ですが、家庭用電気マッサージ器については、添付文書又は取扱い説明書に おける注意事項に従い、正しく使用いただく必要があります。しかし、正しく使用してい れば防げた可能性のある死亡を含む重大な健康被害が生じた事故が報告され、厚生労働省 としても家庭用電気マッサージ器の適正使用に関する情報提供と事故事例の公表を行っ たとして、協会に対して同様の事故を防止するために、家庭用電気マッサージ器の適正使 用に関する情報について、誤った使用方法とそのリスクを含めて、広く消費者に向けて提 供するように依頼したものです。  本通知を発出することとなった実際に公表した事故事例については、3ページを御覧く ださい。こちらは的場電機製作所という埼玉県にある企業による報道発表資料になりま す。  「家庭用ローラー式電気マッサージ器の適正使用のお願い(注意喚起)」というタイトル で、12月16日に公表した資料です。当該企業は、厚生労働省内で本資料による記者会見 を行い、注意を広く呼びかけ、また翌日の朝刊各紙に社告を掲載して、注意を呼びかけて おります。  事故があった製品は「アルビシェイプアップローラー」というローラー式のマッサージ 器で、写真は5ページにありますので、御覧いただければと思います。3ページの中段の 2)にありますように、このマッサージ器の使用による事故事例として3例の窒息による 死亡事故が発生しております。4)事故原因ですが、3例とも布製のカバーのない状態で、 中の突起物がむき出しの状態で使用したことにより、衣服を巻き込んで窒息したという事 故事例です。注意として呼びかける事項として、5)の四角い枠の中にありますように、 「布カバーを外したり、破れた状態での使用は大変危険なため、絶対にしないでください」 と、使用説明書にはその旨の記載はあったのですが、改めて注意喚起をお願いしています。  4ページには販売台数等が記載されておりますが、12)にありますように、現在発売中 の同様の製品では、巻き込まれた際の安全装置が付いておりますが、この事故のあった製 品は昭和61年の販売で、安全装置は付いておりませんでした。現在、協会に安全装置の 設置について規格化等は依頼しておりますが、この製品は古くて安全装置がなかったとい う状況です。  8ページを御覧ください。今回の製品も布カバーを外さなければ安全に使用できるので すが、同様の事故事例として、マッサージ器内部に衣服や髪の毛が巻き込まれる事故は他 の製品でも見受けられており、家庭用電気マッサージ器に共通して正しく使用いただく必 要があります。初めに紹介した通知を受け、日本ホームヘルス機器協会が作成、配付して いる注意喚起文書で、布や革でできたカバーを外したり、破れた状態で使用することは危 険であり、絶対に使用しないように注意喚起しております。また、下の方では、同様に事 故の報告がありますが、子供がマッサージ器で遊ばないように注意し、使用後は電源を切 ることを呼びかけております。この注意喚起文書は各販売店に送付いただき、店頭で配付 しているほか、一部のマッサージ器の製品には販売時に同封して提供いただいている状況 です。以上が資料1-2の説明です。  続いて、資料1-3を御覧ください。「自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実 施について(注意喚起及び関係団体への周知依頼)」です。  2ページ目に、本年4月16日付けの医政局長と医薬食品局長の連名通知があります。 各都道府県に対して、AEDの適切な管理等について注意喚起と周知を依頼したもので す。  注意喚起をした内容については、4ページに「AEDの設置者等が行うべき事項等につ いて」にまとめてあります。一点目はAEDを点検する点検担当者の配置について、二点 目は点検担当者の役割として、1)日常点検の実施、2)表示ラベルによる消耗品の管理、 3)消耗品交換時の対応を依頼しております。3のところは点検を販売業者等に委託して も差し支えないという内容で、三点目の依頼内容が5ページのAED設置情報登録となっ ております。  それぞれの内容については、分かりやすく一枚にまとめた資料を別途作成しております ので、12ページを御確認ください。1枚紙で「AEDの点検をしていますか?」とのタ イトルの資料があります。  タイトルの下の文章ですが、「緊急時にAED(自動体外式除細動器)を正常にご使用い ただくために、日ごろからAEDの点検をお願いします。また、バッテリ等には使用期限 や寿命があり、設置してから日時が経過している場合には注意が必要です。いざというと きにAEDをきちんと使用できるように、AEDの設置者は特に以下の点に注意して日常 点検等を実施してください」と記載しております。こうした呼びかけを行った背景として は、平成16年7月に医政局から救命の現場に居合わせた市民によるAEDの使用の取扱 いが示され、これを機に医療機関内のみならず学校や駅、公共施設、商業施設等を中心に AEDが急速に普及しており、現在では約22万台が設置されていると推定しております。  AEDのバッテリや電極パッドの使用期限は、その製品や保管状態等によって異なるの ですが、既に期限が切れている事例も見受けられ、幸い期限切れが原因で救命に失敗した との報告はありませんが、そうした事例を未然に防ぐためにこのような呼びかけを本年4 月に実施しました。  設置者に対するお願いの内容としては、1点目はインジケータの確認です。AEDには 自動的に正常かどうかを点検する機能があり、その結果をランプや液晶画面(インジケー タ)で表示しております。この確認を、点検担当者を決めて日常的に確認・記録をお願い しております。2点目が電極パッドやバッテリの交換で、使用期限や寿命があることから、 これら消耗品の交換時期について表示ラベルを活用して交換時期を把握し、適切に交換す ることをお願いしております。御参考までに、これから表示ラベルのサンプルをお手元に お回ししますので、御覧いただければと思います。  また、下の方に記載しておりますが、「AED設置情報登録のお願い」として、AED がどこに設置してあるのかを広く国民が共有し、製品に問題が発覚した際にメーカーから 安全性情報を迅速・確実に提供できるようにするために、AEDの設置時や場所を変更し た際に設置情報を登録してくださいとの依頼をしてあります。なお、登録いただいたAE Dの設置場所情報については、下の参考として紹介している財団法人日本救急医療財団の AED設置場所検索ホームページや、一部の地方自治体において公開しております。こち らの内容は、医薬品医療機器総合機構からもPMDA医療安全情報として本年5月に作成 されており、13ページ以降に添付しております。14ページには、表示ラベルの記載や取 付けの例、15ページからは各社の製品ごとのインジケータの確認法を写真やイラストを 活用して紹介しておりますので、御参照いただければと思います。  2ページにお戻りください。この通知は、ただ今紹介したAEDの設置者に対するお願 い内容を各都道府県に依頼した通知で、都道府県が管理しているAEDの適切な管理等の 徹底と、各市町村や関係団体への周知等を依頼したものです。  6ページを御覧ください。こちらは、同日付けで安全対策課長からの各AEDの製造販 売業者4社に対する通知になります。内容としては、「1」として消耗品の期限管理を容 易にする表示ラベルを作成し、配付することであり、7ページの2)の「ア」としては、 新規に販売する際にはこの表示ラベルに消耗品の交換時期を記載して、取り付けた上での 販売を依頼しております。「イ」としては、既に設置されているAEDについては販売業 者や賃貸業者と連携して、購入者又は設置者に対して表示ラベルを提供するように依頼し ております。「ウ」としては、消耗品の交換時には、新しい交換する表示ラベルや上から 日付を貼るシールを提供するように依頼しております。「2」では、必要な情報の提供等 として、表示ラベルの記載や取り付方法、日常点検の重要性や実施方法について分かりや すく提供し、日常点検の記録シートの配付も依頼しております。  この表示ラベルについては、各社から既に順次発送いただき、現在製造販売会社から販 売店までの発送はほぼ終了したとの報告を受けている状況ですが、残念ながら、まだ駅等 に設置されているAEDでは表示ラベルが貼られていないものが多く見られる状況かと 思います。既に一部の駅等では表示ラベルが貼られている状態ですので、今後順次活用さ れていくものと考えております。  「3」としては、AEDの設置情報登録について、販売業者と連携して進めるように依 頼しております。  8ページですが、「4」としては、添付文書の改訂としてバッテリの使用期限の記載等 を指示したものです。「5」としては、改訂後の添付文書を医薬品医療機器総合機構のホ ームページ上に掲載することを指示し、「6」ではそれぞれの対応状況について報告を求 めております。  10ページですが、こちらの通知は、各省庁等に対して国が管理しているAEDの適切 な管理等と関係団体への周知を依頼した通知になります。11ページに宛先一覧が記載さ れていますが、全省庁と裁判所、国会に対して依頼した通知となっております。以上で資 料1-1〜1-3までの説明を終わります。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。ただ今の御報告事項は、日本で大変多く使 用されている医療機器という共通点があると思います。平成20年度の安全対策の中では 注入器について、非常に多く不具合が報告されていたものに対する成果の報告だろうと思 います。家庭用電気マッサージ器は、この会社の二つのものだけでも80万台という数字 が上がっていますし、AEDも22万台ということで、それに対する安全対策の報告でし た。ただ今の報告について、先生方から何か御質問、御意見等ございますか。 ○井部委員 資料1-2のマッサージ器の適正使用に関する情報提供の実施で、3名の方が 亡くなられているという説明がありましたが、死亡に至るような状況というのはどのよう な状況だったのでしょうか。もし分かるようでしたら教えていただきたいと思います。 ○事務局 資料1-2の3ページ目になりますが、これが企業が12月16日に会見したとき に使用した資料です。事故の概要としては、2)に書いております。平成20年12月、平 成15年、平成11年に、北海道、香川県、栃木県でそれぞれ女性が亡くなられているとい うことです。こちらに関しては、実際にはこの女性の方が亡くなられた状態で家族等に発 見されたということで、警察が入っております。ですから、詳細はメーカーも警察から又 聞きという状況で、警察からの情報でいきますと、それぞれ服がローラー部分に巻き込ま れていて、首のところが絞まって窒息の状態で発見されていて、亡くなられたということ です。  そもそも、このマッサージ器の使用については、使用説明書も付けておりますし、形状 を見ていただければ分かるのですが、この製品は本来は足をメインに使っていただくマッ サージ器です。また、6ページの「使用上のご注意」にもありますように、安全のために このカバーは外さないで使ってくださいとしっかり書いてあったのですが、外れた状態 で、しかも服を着た状態で肩の部分や首の部分に使っていたことによって、巻き込まれて 亡くなられたという報告がありました。 ○井部委員 足用のマッサージを首とか肩に当てたということですね。足なのにどうして 窒息に至るのかなと思ったのです。 ○事務局 御指摘のとおりで、本来は足向けに販売しているわけですが、肩がこるときに 使われている実態はあるようで、企業としても、布カバーを外さなければ安全に使用でき ますので、布カバーを外したり、破れた状態では使用しないでくださいと強く呼びかけて いる状況です。 ○許委員 今の事柄なのですが、最近のモデルでは安全装置が付いていると。どういう形 で安全装置が付けられているのか、あるいは安全装置が付いていないものがいつまで販売 されていて、今現在どれぐらい実際に使われているのか、それに対して新たなる警告をユ ーザーに出しておられるのか、その辺りはいかがでしょうか。 ○事務局 今この会社が売っている同様のローラー式マッサージ器については、巻き込ん だ際に負荷が強くかかります。そうすると、一定の力がかかったときにはモーターが停止 するといった過負荷の防止装置、布が外れたときに回転しないようにという、紐で結んで いるところが外れたときに電気が流れないようにする仕組みかと思いますが、カバーが外 れた状態では使用できないような、電源が入らない状態で販売されているということで す。  現状どうなっているかは、このマッサージ器については非常に製品も多くて、会社も中 小も含めてある中で、正直なかなか把握できておりません。ただ、こういう事故がありま したので、私どもから今回協会に注意喚起の文書の配付をいただいたと同時に、安全装置 の設置の義務化について、JISの規格に入れていただければ義務化になりますので、規 格の義務化について検討をお願いしている状況です。 ○佐伯委員 実は、私は今回この電気マッサージ器に一番注目したのですが、それは一つ は販売していたのがデパートやスーパーであったこと。販売者自身は、安全性をどこまで 伝えるべきかという職務としての義務とかそういったものが、ひょっとしたらないかもし れないのです。使う方は足用という意識がなくて、「シェイプアップ」というネーミング ですと、体のシェイプをよくするというイメージですので、ほかの所に使っても無理もな かろうという気がするのです。  とても不思議に思ったのは、平成11年に最初に亡くなられた事件があって、そのあと 9年間も何もなされていなかったのだろうかと。そのことを教えていただきたいというこ とです。また、こういう商品については、恐らく消費生活センターにもクレームというか、 死亡に至らなくても何かあったのではないかという気がするので、そういう所からの情報 と、厚生労働省がどのように連携していたのか、その辺りを教えていただきたいと思いま す。 ○事務局 何点か御質問いただきました。まず、マッサージ器の販売店の責務に関してで すが、御指摘いただいたように、今回問題となった製品はデパート等の催事場で、ある時 期限定で販売していた状況です。当時は、このマッサージ器の販売業の規制も強くなかっ た時代かと思われます。当然昭和61年からということで販売の記録も残っていないので、 今回、この企業も購入者に対する情報の伝達が直接は困難だったと。一部布カバーを追加 で注文したとか、直接問い合わせがあったお客様には、名簿があるので直接ダイレクトメ ールでの注意喚起を行ったのですが、ほとんどの使用者に関しては、どこで売ったのか、 だれが買ったのかも分からない状況だったということがありましたので、厚生労働省内で の記者会見や社告の掲載といった対応を企業としては取っております。ですから、今回は 当時の販売店は実態がなくなっておりましたので、企業が代わりに広く注意喚起をしたと いう実情です。  1例目が平成11年に発生していながら平成20年度の発表になった点については、私ど ももこの企業に関しては強く指導したところで、実は厚生労働省には事故が起こってから 3例まとめて報告がありました。そのために、国による公表のタイミングも、3例目が起 こってからという形になってしまったのが結果です。これに関しては企業に対して強く改 善を求めており、今回はこういった形で発表したということです。 ○佐伯委員 しつこいようですが、ある湯沸し器でそのようなこともありました。布が破 れても捨てることなくそのまま使ってしまっているケースも多いと思いますので、今後、 もう少しだれの目にも触れるような形で情報を流していただければいいのではないかと 思います。 ○事務局 すみません、先ほど先生からの御質問の中で、一つお答えするのを忘れており ましたが、消費者センター等からの情報ということで、今回この3例を重く見て公表した ときに確認しました。髪の毛が巻き込まれたという事故はあるのですが、死亡については 少なくともないと。この平成15年とか平成11年の事故事例も、消費者センターも把握し ていないことを確認しております。  消費者センターからは、日ごろからPIO-NETからの情報が私どもの省庁にも回ってきま すので、そこでも確認して、こういった重大な問題がある場合には、私どもも連携して広 く注意喚起は行っております。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。今の御指摘は非常に大事なことで、昭和61年以前 のものが今どれぐらい実際に使われているかは、記録がないので正確に把握はできないと いうのは分かるのですが、実際相当数あるという推定がつくならば、それに対する対応に ついてもう少し方策はないかという御指摘にも取れるのです。記者会見で広くやったから それが徹底できるかというのも大事なことだと思うのですが、長く使っている方はお年寄 りも多いかもしれませんし、お年寄りが多かった場合、使い方を間違える、あるいはもし 巻き込まれたときに即座に対応できない、動きが十分できないということはあると思いま す。  今のところで、昭和62年度以降の安全対策を取ったものについては、JIS規格を含 めて、今後の対策としては非常にいいと思うのですが、その中でもう一つ、佐伯委員から 御指摘いただいたのは、販売管理者制度がどのように現在運用されていて、それについて これから期待されるものがどうかということを御説明いただけますか。 ○事務局 この家庭用マッサージ器は、管理医療機器でクラス分類でいくとクラスIIに分 類されているはずです。現在は医療機器の販売業の届出業者が販売することになってお り、無届業者、いわゆる全く規制がかかっていない方は販売できないという規制体系にな っております。この辺りは、販売業者に対しては各都道府県が中心となって販売の管理者 講習等を行っておりますので、今回の事例もそうだったのですが、特にこういった医療機 関向けでなく家庭用医療機器は、どうしても購入者が一般の方ということで、ユーザーサ イドに対するお願いの伝達は限界があるので、販売店による情報提供、今回も最後に紹介 していますが、協会が作っている注意喚起といったものは、各販売店を通じて現在も注意 喚起をいただいております。また、今後も、各販売店もマッサージ器はメンテナンスを怠 ると危険な医療機器なのだということについて、広く注意を呼びかけていただきたいと思 っておりますし、指導していきたいと考えております。 ○配島委員 ペン型注入器についてですが、かねてよりペン型注入器の不具合がかなり多 いと。これは患者さん御自身が使う機械なので、不具合が多いのはしょうがない点があり ますし、ここに来て1万件ぐらいそれ関連の不具合が少なくなってきたのは喜ばしいこと ですが、いただいた資料の中でオプチクリック、これは前の商品からの改良品のようです が、あとの不具合情報で検討されると思いますが、資料2-2を見ても、この中にオプチク リックがかなり入っています。ディスプレイの故障等の不具合がまだ出ている状況がある のです。平成20年度の集計を見ても、少なくなったとは言っても、まだ不具合状況の中 の多くの部分をペン型注入器が占めているわけで、この不具合を減らすための行政的な努 力は何かしていらっしゃるのでしょうか。 ○事務局 御指摘のように、オプチクリックはオプチペンプロ1という製品の後継品だっ たのですが、オプチクリックになってからも不具合が多い状況です。企業も当然こういっ た状況を受けて改善は行っており、内部回路の交換等を行ってきた結果、件数自体は減っ てはきているのですが、まだまだ多いのが実情で、引き続き改善を求めている状況です。 これはサノフィ・アベンティス株式会社という会社の製品ですが、また別のイタンゴとい った製品や、ディスプレイを使わない注入器も開発され、販売されておりますので、企業 では順次そういった製品への切替えも進めていると認識しております。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ほかにはございませんか。 ○配島委員 AEDのことなのですが、今回注意喚起をやられたことはもちろん良いこと ですし、いろいろな施設にAED装置が設置されたことは大変メリットのあることだと思 いますが、それを使って実際に患者さんに適用されて、どのぐらいの方々が救命されたと いうデータの公開みたいなシステムはあるのですか。 ○事務局 厚生労働省ではなくて、総務省の消防庁がAEDの活用状況について集計して おります。手元にありますので、しばらくお待ちください。  御紹介します。一般の市民によるAEDで除細動が行われた件数は、2005年が92件、 2006年が264件、2007年が486件と増えてはおりますが、まだ20万台近く配置されてい る中で使用は500件弱ということで、総務省消防庁、あるいは私どもの医政局の指導課で は、AEDの使用促進についても広く講習等をやっている状況です。 ○笠貫部会長 AEDは2007年で500人にしか使われていないという状況ですが、これ から実際使用が増えてきた場合に、今日御指摘いただいたような適切な管理の指導をきち んとしておくことは非常に大事だろうと思いますし、今日のPMDAのカラフルな説明は 非常に大事だと思います。設置者のみならず、一般の市民の人たちにもいろいろな表示方 法で、これが見られるようにできたことは大変大きな進歩ですし、非常にいいことだと思 います。  議題(1)については、医療機器の安全対策の中では、最初の事務局の御報告にもありま したように、医薬品との違いが非常に際立って皆様に認識されたと思います。医療機器の 改良の意味付けだと思います。また、家庭用電気マッサージ器のようなクラスIIに対する 安全対策をどう取るべきかということも、今回我々に教えることが多かったように思いま す。AEDについては、これから一般の市民に広く普及する前に、適切な管理を徹底する ことも大変大事なことだと思いました。  議題(2)に移ります。事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 初めに、横井委員が見えましたので御紹介します。  議題(2)『医療機器の不具合等報告について』、資料2-1〜2-4に基づいて御説明しま す。資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」を御覧ください。2ページ目に、 不具合等報告の状況をまとめて報告するということで、薬事法の規定を記載しておりま す。薬事法第77条4の4の規定に基づき、当部会に対し報告をすることとなっておりま す。  3ページ目は、医療機器の不具合等報告について平成20年10月1日〜本年3月末まで の6か月間、すなわち平成20年度の下半期に報告を受け付けた分の件数をまとめたもの です。1)不具合等報告件数は3,321件となっており、前回の12月の当部会で報告した平 成20年度上半期の件数が3,030件で、今回はほぼ同数の報告となっております。画像診 断用機器などの八つの分類に分けておりますが、(3)の処置用・施設用機器等が1,662件、 (4)の生体機能補助・代行機器が1,298件と、この二つに分類される機器の報告件数が多い 状況となっております。  また、国内と海外の報告の内訳ですが、国内が2,118件ということで、国内の報告の割 合が64%となっております。そのほか外国措置報告として350件、研究報告として6件、 感染症定期報告として32件の報告がありました。医療機関からの不具合報告については、 199件が報告されております。以上が資料2-1についてです。  資料2-2「医療機器不具合等報告」を御覧ください。表紙の裏の見開きの部分に、医療 機器不具合等報告の集計結果の注意事項として、この不具合報告のリスト(ラインリスト) の見方が記載されております。  1)この報告については、医療機器との因果関係が不明なものを含めて製造販売業者等 から報告されたものであること。  2)報告に関する分類は1〜8までの8分類に分類されて記載されてあること。順番は、 国内、外国の別にして、一般的名称の50音順で記載しております。  3)件数は提出された報告書の件数を示したものであり、同一の症例で複数の医療機器 が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがあります。このよう な場合には、同一症例を重複してカウントすることとなり、報告件数がそのまま症例数に はならない場合があります。  4)表の右側の欄に当たる対応措置の項目については、原則として3月31日時点での措 置の内容を簡潔に記載しております。「回収」と記載したものは、製品を引き上げる「回 収」、又は修理や検査の実施等を行った「改修」の措置を取ったことを意味します。「情 報提供」と記載したものは、添付文書の改訂あるいは書面による注意喚起文書を医療機関 等に配付した等の措置を取ったものです。この中には、既に添付文書等で注意喚起をして いる場合も含みます。右端の対応措置の欄が空欄のものについては、措置が情報不足のた め不明なものや、対応について検討中のものが該当します。  目次を記載したページの次のところから、表の下にページ番号を記載しておりますが、 1ページと振ってあるところ以降が個別の品目ごとのラインリストになっております。以 下に簡単に御紹介していきますが、1ページを御覧ください。分類(1)として、X線装置や MRIなどの画像診断医用機器についての11件、2ページ〜4ページが分類(2)として血 液分析装置や内視鏡などの生体監視・臨床検査機器等についてで、こちらが45件となっ ております。  5ページ〜40ページまでが、分類(3)として注射器やカテーテルなどの処置用・施設用 機器等です。こちらの報告件数は1,662件で、全体の報告の約50%がこの分類になって おります。  この中では、議題(1)で報告件数を説明したときに話題があったように、インスリンの ペン型注入器に関する不具合が記載されており、5ページの54番〜8ページの107番ま で国内からの報告が続いております。インスリンペン型注入器の不具合報告が多いことは 例年のとおりで、ディスプレイの故障やピストン棒の不具合などの報告が多くなっており ます。  この分類(3)については、様々な種類のカテーテル類や輸液セットなど、製品数や流通量 が多いことから、例年報告件数が多くなっている状況です。  41ページ〜86ページまでが、分類(4)として心臓ペースメーカや人工呼吸器などの生体 機能補助・代行機器を記載しております。こちらは1,298件の報告となっており、全体の 約39%です。先ほどの分類(3)とこの分類(4)で、全体の報告件数の約9割を占めておりま す。不具合報告の多いものとしては、41ページの625番〜43ページの662番までの埋込 み型除細動器・ペースメーカのリードに関する断線などの国内報告、一般的名称が異なる ため離れた場所にありますが、54ページの中段の851番からも、心内膜埋込み型ペース メーカーのリードに関する不具合として57ページの911番まで国内報告が続いておりま す。このように、分類(4)は体内に留置するペースメーカやステントグラフト、あるいは人 工呼吸器といったリスクの高い医療機器が多く分類されているため、例年報告件数が多く なっており、例年どおりの傾向です。  87ページからは、分類(5)として手術用電気メスやドリルなどの治療・鋼製機器等で、 71件を記載しております。  91ページですが、分類(6)として歯科用機器・材料で10件、92ページは分類(7)として眼 科用機器で、眼内レンズなどの不具合が214件報告されております。  94ページが、分類(9)として衛生材料・家庭用機器で、10件の報告件数となっておりま す。この中には、先ほどの議題で報告した家庭用電気マッサージ器による窒息事例が3件、 1489番に記載されております。  95ページには、国内の報告件数が50件を超えていた製品上位5製品を、主な不具合の 内容とともに抜き出して掲載しております。今回一番件数が多かったのが、サノフィ・ア ベンティス株式会社のインスリンペン型注入器である「オプチクリック」で、先ほどから 取り上げている医療機器です。オプチクリックに関しては、ディスプレイの故障の疑いな どが計251件ありました。ラインリストですと、5ページの59番〜6ページの72番まで が該当し、単位設定ダイアルやディスプレイの故障に関するものが多くなっている状況で す。  95ページに戻りますが、2番目に多かった製品がボシュロム・ジャパン株式会社の「ハ イドロヴュー眼内レンズ」です。こちらは計187件の報告がありました。これは、埋め込 んだ眼内レンズが、時間が経ってカルシウムが沈着するという不具合を、92ページの下 から2段目の1476番から次のページの1483番まで記載しております。これは旧パッケー ジの製品の容器から由来する低分子シリコンが関与している可能性があるとして、現在は 包装の変更をしているのですが、旧製品を埋め込んだ患者さんからの報告が今後も続いて いくということになっております。  3番目の製品はCook Japan株式会社の大動脈用ステントグラフトで、「クックゼニス AAAエンド バスキュラーグラフト」です。こちらは止血弁からの血液漏れなどが計72 件となっております。ラインリストですと、62ページの981番〜65ページの1030番まで が該当しております。  4番目は、報告件数が3番目のものと同数の72件で、バクスター株式会社の「CAP D UVフラッシュセット」です。ラインリストでは、71ページの1143番〜1148番まで の計72件です。うち1143番と1144番にあるスパイク折れが計66件と、多くを占めてお ります。これは腹膜透析の際に使用する接続チューブで、スパイクというのは抜き差しを する針に相当する部分です。このスパイク部分が、抜き差しをしているうちに折れるとい う事例が報告されております。これについては、企業でスパイク部分の材質を変更して改 良することを検討している状況です。  5番目が、日本メディカルマテリアル株式会社の人工股関節の構成品である「臼蓋カッ プGA02」です。こちらは、人工股関節のうち骨盤側で大腿骨の受け皿となる部分で、主 な不具合がライナーの脱転(金属性シェルからのライナーの離脱)で、計51件となってお ります。ライナーとは関節の軟骨の役割をする部分で、強い負荷がかかる部分です。この 部分の不具合が発生するという報告となっております。ラインリストでは51ページの799 番〜809番までが該当しております。資料2-2については以上です。  資料2-3を御覧ください。「医療機器外国措置報告」です。医療機器に関する外国措置 報告については、企業が海外でも同じ製品を製造販売している場合、海外で取られた措置 について我が国の行政当局にも報告をする制度です。これも昨年10月〜本年3月末まで の分で、平成20年度の下半期分となります。報告は合計350件です。海外で措置を行っ た結果について、おおむね日本においても同様の措置を取っているといった状況が記載し てあります。中には、裏のページの3番目などが例になりますが、海外では改修(Repair) を行っておりますが、日本では改修対象となった対象製品の輸入実績がないので、この外 国措置報告書の提出のみで終了しているといった製品もあります。前回までは、こういっ た事例については日本は「対応なし」とのみ書いていたのですが、今回からは、日本が対 応を取っていない、あるいは海外は改修して日本は情報伝達で済ませている場合には、理 由を記載するようにしております。  こちらも件数が多いため、時間の関係上説明は簡単にして、クラスI回収を取ったもの を紹介します。4ページの77番、5ページの103番、104番、7ページの155番、13ペ ージの325番です。4ページの77番を見ていただければと思いますが、同じ製品で、日 本光電工業株式会社のAEDで「カルジオライフAED-9200シリーズ」です。これは充 電電源監視回路が誤作動するものがまれに発生する可能性があるということで、国内でも 昨年10月にクラスI改修(Repair)を行っております。これは、それぞれ米国、ドイツ、 フランスなど各国でも改修を行ったとの報告があります。  次に、4ページの86番と99番ですが、日本メドトロニック株式会社のAEDで、「ラ イフパックCR Plus」です。これは海外で電源が入らなくなるとの不具合があり、 米国とカナダで回収(Recall)があったもので、国内でも関係ロットの製品のクラスI回収 を昨年7月に行っております。  次に5ページの110番ですが、テルモ株式会社の人工心肺用システムで「サーンズ ア ドバンスト パーフュージョンシステム1」です。これは電源ユニットがショートする可 能性があるということで、米国で改修(Repair)となり、国内では点検を実施済みで異常は なかったとの報告となっております。こちらについては、この報告を受けたあと、日本で も12月26日にクラスI改修の届出を行っておりますが、11月に報告を受けた時点では 改修という扱いではなく点検実施となっていたため、資料では点検を実施済みとの記載と なっております。  続いて、8ページの185番ですが、ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社 の心臓用カテーテルイントロデューサーキット「ソフト チップ シース」です。こちらは、 国内では未承認の同様の製品で、先端部分が患者体内に残存するという不具合が海外で1 件発生したため、国内でも昨年12月にクラスI回収(Recall)を行ったものです。簡単で はありますが、資料2-3の説明は以上です。  最後になりますが、資料2-4「医療機器研究報告」を御覧ください。表紙の裏に表があ ります。医療機器の研究報告につきましては、企業が製造販売している製品に関連した文 献や研究報告について、行政当局に報告をするというもので、こちらも昨年の10月から 本年3月末までの分として、6件が寄せられております。前回の部会での御指摘を踏まえ まして、今回からは一番右の欄に企業による対応を記載しています。  まず1件目が、日本メドトロニック株式会社の振せん用脳電気刺激装置で、「DBSリ ード」に関する文献です。200例の治療の結果、自殺が2例、自殺企図例が4例発生した 等の報告の内容となっています。企業による対応としては、米国の本社と協議して、さら なる情報収集に努めて専門家等との意見を協議を行い、添付文書の改訂について検討を行 っている状況です。  2件目が、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社の薬剤溶出性ステント である「TAXUS エクスプレス2 ステント」に関する報告です。本ステントを留置した計 8,146症例についての調査で、192例のステント血栓症が確認され、4年経過した時点で の累積発生率が3.3%であったといったようなことなどが、報告されております。企業と しては、これらの内容については既に添付文書等で注意喚起済みですが、引き続き情報収 集に努めて、必要に応じた対策を講じていくとなっています。ちなみに、国内でのステン ト血栓症の発生率は、まだ2年間のデータですが、2年間で約1%となっております。  続いて3件目と5件目が同じ製品で、日本アルコン株式会社の網膜復位用人工補綴材の 「シリコン1000 ポリジメチルシロキサン」に関する学会での報告になります。いずれも シリコンオイルによる術後の影響等を指摘する内容でありまして、既に添付文書等で注意 喚起を行っているところですが、今後の情報収集に努めて、必要に応じて対策を講じてい くこととしております。  4件目が、ジェンザイム・ジャパン株式会社の癒着防止吸収性バリアの「セプラフィル ム」に関する文献で、異なる方法による細胞毒性試験を行ったところ、V79細胞を用い たコロニーアッセイによる方法で、細胞毒性が認められたとの内容です。企業による対応 としては、米国薬局方での試験方法や動物試験では、細胞毒性による大きな問題は認めら れておらず、今後も情報収集に努めて、必要に応じて対策を講じていくこととしておりま す。  最後に6件目が、日本メドトロニック株式会社の植込み型心臓ペースメーカ、「メドト ロニック EnPulse 2 DR」に関する学会での報告になります。フラットパネルディテクタ ー搭載X線透視診断撮影という、X線で透視しながら手術等を行うものですが、その際に ペースメーカのオーバーセンシングによると思われるペーシングの抑制による一時的な 意識消失があったとの内容となっています。他のペースメーカや植込み型除細動器におい て実験を行ったところ、数種類のペースメーカでは影響が見られたとのことです。これに ついては、ペースメーカとX線装置の業界団体で協議を進めておりまして、添付文書を改 訂する方向で対応中となっております。以上が、資料の2-1〜2-4の説明です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただ今の報告に御質問、御意 見はございませんでしょうか。大変ボリュームのある報告でしたので、どこからでも御質 問をいただけたらと思います。 ○配島委員 動脈用のステントグラフトについてお伺いしたいのですが、この機器は比較 的新しい機器で、今後ますます適用例が多くなってくると思うのですが、今回平成20年 度の調査でもかなり不具合件数は多いようで、Cook社のものだけで72件で、その他 もう一つジャパンゴアテックスのものを合わせると結構な症例数になると思うのですが、 過去の統計と比較して、平成20年度は、報告件数は増えていますか。 ○事務局 特段増えたという傾向はございません。 ○配島委員 毎年このぐらい出るものなのですか。 ○事務局 毎年そうです。普通に使用量の増加に伴って、報告件数も増えているといった ような状況だと思います。 ○配島委員 使用量自体は、平成20年度は今までと余り変わらなかったということです ね。 ○事務局 はい、そういう認識です。 ○許委員 医療機器の不具合報告ですが、これはたくさん数を集めていただいて大変だろ うと思っているのですが、以前はアウトカムと言いますか、不具合によって生じた損害等 も一緒に記載していたように思うのです。  例えば資料2-2の94ページの1489番に、先ほどの電気マッサージ器があり、これは件 数3という形です。健康被害状況は「窒息」ではなく「窒息死」だと私は思うのですが、 それが死に至るか死に至らないのかでは、とても違います。我々はそういう後遺症を残し たか、あるいは亡くなったか、あるいは特に問題なくそれをリペアーできたか、それが非 常に大事だと思うのですが、それについて、以前はあったように思うのですが、最近どう もアウトカムについてはなくなっているように思うのですが、これはどうしてなくされた のかと。 ○事務局 いわゆる転帰についての記載かと思うのですが、以前から出すべきだという御 指摘は先生方からいただいているのですが、やはり因果関係の評価が困難であったり、特 に外国の症例についてなかなか医療機関からの協力が得られずに、全く分からないで報告 だけが来るというものが多くて、転帰についてはなかなか示すことによって評価が難しい ということで、今のところここには記載していないという状況です。  先ほどのマッサージ器のことに関しては、確かに先生の御指摘のとおり今回は窒息死と してもよかったのかとは思います。  あと参考までに死亡例につきましては、医薬品医療機器総合機構のホームページ上で は、専門家による因果関係の評価を行った結果として公表は別途している所がありますの で、PMDAのホームページのデータベースの方を御確認いただければ、参考になるかと 思います。 ○笠貫部会長 よろしいですか。今1489番を窒息死にしてもいいのではないかというと、 ほかにもはっきりした因果関係があるものは、死亡として書くということになってしまう のですが、どちらかはっきりしておいた方がいいかもしれないですね。因果関係が非常に 難しいだろうと思うのですが、因果関係が分からないということで、ここでは死亡につい ては書かないとするのか、はっきりしている場合には書くことにするのか。御検討いただ いて、どの程度因果関係が明らかになるのかということを御検討いただけたらと思いま す。  PMDAのホームページに載っていることを、部会の中で共有しておくためには、ここ にもサマリーを載せていただくことも大事かと思います。ホームページを見るのは、言う は易く行うは難しと言いますか、この場で共有して、さらに議論をすることも必要かと思 いますので、それもお願いできたらと思います。 ○許委員 事の重大性を我々が認識するのは、死亡若しくは重篤な後遺症の発生です。こ れは何千件と言いますか、100ページ近くにわたっているものを御報告されて、我々委員 がその重大性を認識するのに、やはり重大な後遺症を残したか、あるいは死に至ったかと いうのは非常に大事なことで、それが因果関係があるかないかということは医学的検討が 必要だと思うのですが、それは別にして、ただ事実としてそういうことが起こっているか、 起こっていないか、これを認識するのは非常に大事なので、笠貫部会長がおっしゃいまし たように因果関係は別にして、結果としてこういうことが起こっているのだということは 記載していただいた方が、我々が事の重大さを認識するのに良いかと思います。 ○佐伯委員 質問があり過ぎてちょっと困っていたのですが、最初の2ページの13から、 しばらくカプセル型の撮影して追跡する装置というのが、体の中に残ってしまって外科的 手術による摘出を行うことがかなり多いように見受けられますが、これに対する情報が全 くないというのは、その後も全くない状態なのでしょうか。多分これは患者の立場として、 すごく受けるのに楽で、今はそんな検査が受けられたら魅力的だと思うものなので、それ が実は受けてみて後で手術が必要になることがあるというのは、しっかり教えていただき たいということです。それが一点です。あとはまだたくさんあるのですが、取りあえずそ の件です。 ○事務局 御指摘の資料2-2、2ページの13番〜20番までが、カプセル内視鏡に対する 不具合です。13番〜19番までが滞留、残って出てこないといったような不具合の報告が あります。これについては先生の御指摘のように、ちょっと右欄に情報提供という欄が書 いていなくて、何もしていないような形になってはいるのですが、これは間違いなく添付 文書の方には既に書いておりますので、情報提供とあってもよかったのかとは思うのです が、恐らく企業の方が別途の情報提供を何かすることを考えているのかで、特に書いてい なかったので空欄になっているのかと思います。  御覧いただければ分かりますように、13番のオリンパスの内視鏡の方には情報提供と なっていまして、ギブン・イメージングの方のカプセル内視鏡には書いていないという状 況になっていますが、こちらは治験のときから滞留という不具合があることは分かってお りますので、何も情報提供をしていないということではないということは、補足させてい ただきたいと思います。 ○笠貫部会長 企業の方にもきちんと指導はしていただき、患者さんサイドが選択すると きに、その情報をより何重にも徹底して知らせていただきたいという御指摘だと思いま す。  先ほどの死亡に関しては、どうするは今まで議論はされていますので、どういう形で示 していけるかということは、事務局の方で御検討いただいてどう処理するか、ここで対応 するかというのを考えさせていただきたいと思います。  先ほど御指摘がありました大動脈瘤ステントのような新しいものについては、学会等 で、あるいは企業がフォローアップを厳しくしているはずだと思いますので、こういう 72件が出てきたら、その企業ないし学会等での追跡調査、それも併せて付けていただい て、増加傾向にあるのか、それに対する対応、対策としてどういうことを考えられている かということも、これからの一つの課題かと思いますので、御検討いただければと思いま す。それ以外には、何かございますでしょうか。先ほど佐伯委員からたくさんあるという ことでしたが、何かございましたら御指摘いただくのでもよろしいですが。 ○佐伯委員 簡単なことですが、糖尿病の患者さんが使うものについて、かなりの数があ ると思いました。例えば28ページに血中ブドウ糖減少や増加という表現があったり、ほ かの所では低血糖、血糖値の上昇という言葉があったりするのですが、この辺りは用語は、 あえて分けなければならないものなのでしょうか。 ○事務局 こちらの不具合の用語につきましては、企業が報告してきたものをそのまま基 本的には忠実に分類して表にしておりますので、本当は恐らく同じような状況を言ってい るのでしょうが、表現が違うといったものが散見されている状況が実状です。  不具合の用語について整理するということは、実は今日いらっしゃる横井先生の研究班 の方でも、この辺の不具合の用語集の整理はお願いしておりまして、我々も課題の一つと いうことでは、認識している状況です。 ○笠貫部会長 よろしいですか。勝呂委員どうぞ。 ○勝呂部会長代理 最後の上位5製品、その中の一番下に、やはりインプラントで、金属 シェルからライナーが脱転というのが、51件あります。これを登録するときに、何か一 つの基本文があるのですか。例えば健康被害状況ということで、「人工関節の機能不全又 は機能低下」。51ページの799で見ますと、セラミックインレー部分の破損というと機 能低下なのでしょうが、機能不全でもあるし、多分報告をした段階では既に再置換されて いるのではないかと思うのです。高齢で再置換ができないという場合もあるのでしょう が、何か全部同じパターンで入ってきているので、破損したのと脱転、脱離では状況が違 うのかどうか。その辺をつかんでいたら、ちょっと。  多分分からないのだと思うのですが、ほとんど再置換しているのだと思うのです。しな い限り無理ですから、報告をこういうインプラントで、しかもファンクション、機能を持 ったインプラントの基点というところが必要になるのかなと。  通常人工股関節は、生体内に入れると、大体今は20年は問題ないはずなのです。そう しますと、ここだけ何か特殊な理由があったのかなというのも、いずれ調査を少ししてお いた方がよろしいのかなと思うだけです。 ○事務局 先ほど説明をしておけばよろしかったのかと思うのですが、臼蓋カップGA02 に関しましては、実は企業の方も強度に問題があるのではないかということは認識してお りまして、RecallではなくてRepairの方ですが、過去にフォローアップの改修の対象と なっております。医療機関に協力をいただいて、患者さんを長期フォローしていることも ありまして、これだけの報告が上がってきている状況になっています。 ○勝呂部会長代理 分かりました。 ○笠貫部会長 ほかにございますでしょうか。 ○横井委員 先ほど不具合事象の用語に関しては御指摘いただいたとおり、私は現在研究 しておりまして、低血糖と血糖低下など、同じ事象は同じ用語になるようにということで 業界を指導し、それができるような形の用語集を、今作っているところです。今年度中に 今あがっているデータが、どのくらいそれできちんとうまく集約できるかというのを検討 に入ろうという段階にあります。まだ何分機器というのは数が非常に多いので、その機器 の不具合のレパートリーというのはとてつもない数がありますので、ちょっとまだ完全に きれいに集約できるかと。先ほど部会長代理からもありましたように、集約し過ぎると今 度は用語がよく分からなくなるということもありますので、今の機能不全と低下という表 現を、ちょっと他山の石として考えないといけないなと、今正に思ったところです。  また関連して、カプセル内視鏡に関しては、実は事務局から御説明がありましたように、 治験の段階から滞留というものに関しては非常に注目しておりました。実は、私自身はこ の審査に関わったのですが、滞留というのは一応定義としては、全く出てこないわけでは なくて、2週間か3週間かは正確に覚えていませんが、その期間出なかったものを一応指 しております。ですから、健康被害が出ていないものというのは、いずれ出ましたという ものなのです。ただそういうことで、患者さん自体に非常に重篤な健康被害を及ぼす可能 性があるということは、初期の段階から分かっていました。これは逆に日本できちんと治 験したから分かったことで、それまでは実は、分かっていなかったのです。企業は既にア メリカ等で発売していたのですが、そのことは十分にデータは把握されていなかったので す。ですから先ほど御指摘があったように、きちんとインフォームドコンセントをとって からやるように、それは厳しく指導してから上市したという経緯があります。つまり最悪 の場合は外科的な治療になる可能性があると。だれでも飲むのは簡単ですが、その後にそ ういう重篤な不具合が発生し得るということ、ある程度の頻度で発生し得るということは 治験の段階で分かっていたので、それは十分に言って上市したつもりです。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。特にほかにないようでしたら、次の議題に移らせ ていただきます。それでは、議題(3)につきまして、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 引き続きまして議題(3)「医療機器の感染症定期報告」につきまして、事務局 より御報告をさせていただきます。お手元には資料3-1と3-2を御用意いただければと存 じます。こちらは薬事法第68条の8に基づきまして行われます、医療機器の感染症定期 報告の状況についての説明になります。3-1、3-2と二つありますが、3-1が、感染症ごと に今回報告されている文献を一覧としてまとめたもの。資料3-2が、実際にその報告が行 れる各医療機器、それに用いられる原材料としての生物由来成分を原材料ごとにまとめた 資料になっています。  資料3-2は、感染症定期報告の状況で、平成20年10月1日〜平成21年3月31日まで に生物由来医療機器の製造販売業者等から報告された感染症定期報告について、文献等の 調査状況について報告、登録順に表にして並べたものです。合計で32件のID番号を振 っていますが、報告が寄せられております。原材料については、毎回基本的には同じよう なものになりますが、牛の心嚢膜や豚の心臓弁、あるいはヘパリンに用いられる豚の腸粘 膜等がありますので、こういった動物由来原材料が、報告対象とされています。  資料3-2では、先ほど申しましたように製品並びに、それに用いる原材料ごとに報告さ れている関係で、同じ文献、あるいは同じ感染症に関する報告などが、それぞれの製品ご とに散らばって出てまいりますので、感染症ごとに文献を取りまとめて整理することを毎 回させていただいておりますが、これが資料3-1になります。  資料3-1につきましては、1番のBSEから始まり、E型肝炎、アナフィラキシー様症 状、インフルエンザという形で、感染症ごとにくくりまして、文献を一覧にさせていただ いております。  資料3-1では、今回は感染症等の名称としては、全部で15種類、文献等の数としては 45件取りまとめさせていただいております。毎回の傾向と今回も大きく変わりませんが、 数の多かったものについてはE型肝炎、あるいはインフルエンザ、またインフルエンザと は別に鳥インフルエンザがありまして、それぞれこの辺りが6件ずつありまして、数の多 かったところです。  今回報告されている内容につきましては、前回までと類似しています。豚において知ら れている人畜共通の感染症の発生状況や、豚から人へのウイルス、あるいは細菌感染等の イベントの発生状況などに関しての文献が中心です。  感染症定期報告に含まれる文献につきましては事前に、今回から新たに入っていただい ておりますが、石井委員、前回までもお願いしている内田委員と宮村委員に、御検討をお 願いしています。また石井委員と宮村委員には、所属の国立感染症研究所の各部の専門の 先生方の方にも、文献に関しては学術的なコメントをお願いする等させていただいており ます。今回安全対策上の措置を講ずる必要性等を含めて御意見をいただいておりますが、 医療機器の安全対策上の措置を講ずるということにつながる文献は今回特に見られず、ま た今回は宮村委員は御欠席ですが、御出席、御欠席の先生を通じて、特にコメント等が必 要な文献も見られなかったということです。簡単ですが、報告は以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。本件につきましては石井先生、内田先生、宮村 先生に事前に御意見をいただいているということですが、先生方から御意見、御質問はご ざいませんでしょうか。よろしゅうございますか。ほかに御意見、御質問がございません でしたら、議題(4)に移らせていただきます。議題(4)「医療機器の回収報告の状況」で すが、これについて事務局の方から御説明をいただきます。お願いします。 ○事務局 それでは、資料4-1と4-2に基づきまして説明します。資料4-1が、医療機器 の回収報告の状況です。1枚おめくりください。平成8年の薬事法改正から自主回収をし たときには、その旨厚生労働大臣に報告することになっています。  平成12年においては、医薬品等の回収に関する監視指導要領を発出し、すべての事例 についてインターネット上で公開をすることになっています。これらについては、すべて 公開されております。  1番は回収件数の年次推移ということになりますが、一番右の方に平成20年度の数字 が載っております。医薬品が153件、医療機器が396件、部外品が29件、化粧品が92件、 合計670件です。増えたり減ったりということは若干ありますが、特に大きな傾向はない と考えています。  2番は、平成20年度の医療機器の回収件数及びクラス分類です。クラス分類は下に説 明がありますが、クラスIが重篤な健康被害又は死亡、クラスIIが一次的若しくは医学的 に治癒可能な健康被害、IIIが健康被害の原因になることは考えられないという状況のこと を指しています。クラスIが9件、クラスIIが333件、クラスIIIが54件で、合計396件 の報告が出ています。  一番下の方に注が書いてありますが、医療機器の中に平成13年〜14年に自主回収をジ ャクソンリース回路がしています。その結果、回収したものが残っていた事例がありまし て、平成20年10月に石川県の病院において事故が起きております。再度その4社5品目 において、再度自主回収を徹底しろという指示をしておりますが、これは回収の再徹底と いうことでありまして、この件数には計上しておりません。以上が、資料4-1です。  資料4-2が、自主回収一覧で、それぞれクラスI、クラスII、クラスIIIごとに分けて、 一覧表にしています。クラスIについて説明します。  1ページ目にある番号1番の冠血管向けバルーン拡張式血管形成術用カテーテルと、9 番も同じようなものですが、バルーンカテーテルです。1番目がニプロ株式会社、これは 国内においてシャフトの部分の破損ということで回収しています。9番はカネカのもので すが、これは海外事例ですが、シャフトの破損で回収しております。この海外事例につい ては、先ほどの資料2-3の外国措置報告において説明したものと同じです。  2番のUltraカッティングバルーンはボストン・サイエンティフィックジャパンです が、これは国内でバルーンの収縮ができなくなったという事例で、回収をしています。  3番、4番、5番、6番が、それぞれ半自動除細動器ですが、3番、4番はメドトロニッ クで2件ありますが、2件とも電源が入らなくなるという事例、それから電気の早期消耗 ということで、回収がありました。これは、海外措置報告です。  5番、6番は日本光電株式会社ですが、5番の方がステータスインジケータが表示され て、使用できなくなるという事例で回収。6番は、容量誤差の大きいコンデンサの混入と いうことで、回収をしております。  7番が、心臓用カテーテルイントロデューサキッドでボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社のものでありますが、これは海外で、X線不透過性マーカーバンドの離 脱ということでの回収。8番が、テルモの人工心肺用システムですが、海外において電源 がダウンするという現象が確認されたということでの回収だということです。これも先ほ どの資料2-3の説明のときに申し上げたものと同じです。  42ページ以降がクラスII、クラスIIIになっています。これについては、説明は省略さ せていただきます。以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。それでは、ただ今の事務局からの御報告に、 御質問はございますでしょうか。 ○佐伯委員 今のクラスIの6番のものが、先ほどいただいたぶ厚い資料2-2の70ペー ジの1122と同じものですね。10月28日にホームページに掲載されたということですが、 この1122の事例は、それより以前に起こっていたということでしょうか。あるいはホー ムページに掲載されたが、AEDを管理するとか、メンテナンスで取り換えたりというこ とがスムーズにいかずに、本来回収されるべきものがずっと使われていて、このことが起 こったと。幸い何か健康被害はなしと書いてあるのでいいかもしれないのですが、そこら 辺をもし御存じでしたら教えてください。 ○事務局 確認ですが、日本光電のAEDは5番と6番がありますが、先ほど外国措置報 告で紹介したのは6番の方のものでありまして、5番の方につきましては、外国措置報告 は上がってきておりませんので、日本国内という認識です。  すみません、資料2-2ですね。失礼しました。外国措置ではなくて、不具合の2-2のリ ストの1122番かどうか、データベースの方で調べますので、お時間をいただければと思 います。 ○佐伯委員 と言いますのは、1122に書かれている不具合の状況というのが、回収の理 由とちょっと違うのではないかなと思ったものですから、いずれにしても回収していただ ければ、それでいいのですが。 ○機構 医薬品医療機器総合機構の方からお答えします。佐伯委員が御指摘の70ページ の1122の日本光電のカルジオライフ AED-9200シリーズの方と、自主回収の6番のカ ルジオライフ AED-9200は、全く原因が違うものでございまして、回収の件とこの不 具合の内容とは、別の話でございます。  不具合の方は、患者さんに装着したのですが、パットが貼られていないというように機 械からメッセージが出たという事例で、当該製品を引きあげまして、分析をした結果、回 収の原因とはまた違う事例でした。 ○笠貫部会長 我々が解釈の仕方として混乱したのは、不具合の方に出ていたのは国内の 事例で、パットが貼られていないと機械が誤認してしまったというものが入っていたと。 こちらの回収の方は、海外でのことで、これは全然メカが違うということですね。これは 「充電電源監視回路が誤作動するものがまれに発する可能性がある」と。 ○機構 こちらの自主回収一覧にある9200シリーズについては、すべての9200シリーズ を回収したわけではなくて、一部のロットや一部の該当する製品を回収したということで す。ですから9200シリーズのすべての製品を、全体回収しているというものではありま せん。説明が足りず、すみません。 ○事務局 先ほど変な説明をしてしまって、恐縮でございました。先生が御指摘の10月 28日のクラスI回収につきましては10月に実施しておりまして、こちらのものに関して は10月に回収に着手しておりますので、先ほどの不具合のラインリストにあった1122番 の事象とは別のものです。10月に回収したときの原因による不具合は国内では起こって おりませんので、1122番での報告というのは、別の事象として上がってきているもので す。 ○笠貫部会長 よく理解できないところがあります。海外のは誤作動という問題だとし て、国内で起こったのはパットが貼られていないと機械が認識したという誤認の話です ね。このシリーズが全体としては、「特定ロット」ということの疑問が生じると思うので すが、それは国内のものについては、回収しなくてもいいということですね。  6番の回収は特定ロットだけというシリーズの問題ではないとすると、この1122番は 回収に値しないものという判断になっていいのですね。 ○事務局 結果的には6番の方は、ロットの部分で関連する部分を回収したということで す。1122の方は、特にほかのロットに跳ねるということは多分ないだろうということで、 このままの処置だということになるのだろうと思います。 ○笠貫部会長 そうすると、パットが貼られていないと機械が認識したというのはなぜな のだろうということを、検討していただいて、また教えていただくということで、進めた いと思います。ほかにはございますか。いずれにしても半自動除細動器は、医療従事者な いしは救急救命士が使うもので、まだ一般市民の使えないものではありますが、これから こういったものを一般市民の方々も使うようになると、いわゆる広い意味のAEDという ものについての問題を生じ得るということでは、是非適正な管理というものを、徹底して 進めていただけたらと思います。ほかにはございますでしょうか。  ないようですので、最後の議題(5)に移らせていただきます。 ○事務局 それでは、議題(5)の「その他」について、参考資料の「人工呼吸器回路内の ウォータートラップの取扱いに関する医療事故防止対策について」御説明します。これか ら先生方のお手元に、ウォータートラップの現物と注意喚起のシールのサンプルを回しま すので、参考に御覧いただければと思います。  参考資料の表紙をめくっていただいた2ページ目になりますが、本年3月5日付けで各 製造販売業者にあてて発出した安全対策課長通知となっております。内容としては、ペー ジ番号が隠れていて見にくくなっていますが、8ページにPMDA医療安全情報を付けて います。こちらの方が分かりやすくなっておりますので、この資料で説明させていただき ます。  9ページの下の方に2/4という番号が振ってあります。このページを御覧ください。ウ ォータートラップは、人工呼吸器回路内の中にある水滴が、人工呼吸器本体や患者の方へ 流入することを防ぐための機械ですが、こちらは水がたまった後に外して水を廃棄するの ですが、その後にきちんと再接続ができておらずリーク、いわゆる空気漏れが生じる医療 事故やヒヤリ・ハットの報告が見受けられます。ウォータートラップは回路の下の方にあ り、見にくかったり、何度か水を抜いて再接続をするという作業が入ることから、注意が 必要な部分です。  ウォータートラップの添付文書等では、回路の接続時にはリークがないように注意する 旨が既に記載されてはいるのですが、やはり見落としやすい部位であり、ヒヤリ・ハット 事例が見受けられることから、注意を改めて促すために、注意のシンボルマークと「空気 もれ注意」等の文字を記載したシールを用意いただきまして、企業から配付し、医療現場 でこのシールを活用して注意を図っていただくといったものを依頼した内容となってお ります。以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。ただ今の説明に御質問、御意見はございま すでしょうか。注意ラベルは非常に分かりやすいということで私も見させていただきまし た。こういった注意ラベルを実際に貼るというのは、添付文書と違った意味で非常に大事 なことだと思いますので、さらに徹底すると効果があるだろうと思います。ほかに御質問 はございますでしょうか。 ○井部委員 質問ではないのですが、これは一番後ろのページに、財団法人日本医療機能 評価機構の医療事故情報収集等事業報告書などの事例を参考にして、このように注意事項 を現実的に役に立つように使っていただくのは、とてもいいことだと思います。 ○笠貫部会長 PMDAのこういった安全情報の進め方は、非常にすばらしく、さらに推 進してくださいということですので、事務局の方で、さらに進めていただけたらと思いま す。ほかにはございませんでしょうか。  それでは、本日予定していた報告事項は、これですべて終了になります。事務局の方か ら、そのほか何かございますでしょうか。 ○事務局 特段ございませんが、次回の部会の日程につきましては、例年毎年12月頃を 予定しておりますので、本年も12月頃の開催を、次回は予定しております。別途部会で の審議事項が必要な議題が生じた場合には開催予定が早まることもありますので、そのこ とについては御承知おき願います。日程調整につきましては、事務局より先生方の御都合 を伺って、決めさせていただきたいと思っております。以上です。 ○笠貫部会長 それでは、これで平成21年度の第1回医療機器安全対策部会を閉会しま す。今日も各委員の方々から幾つかの課題を御指摘いただいたものは、事務局を含めてさ らに医療機器の安全のために、この部会がその役割を果たしていきたいと思います。 どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課安全使用推進室 室長補佐 飯村(内線2751)