09/07/13 第2回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録 第2回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録                    日時:平成21年7月13日(月)15:30〜18:38                    場所:航空会館7階702、703会議室 議事次第 1.要介護認定方法の見直しに関する意見等について 2.要介護認定方法の見直しに関するヒアリングについて 3.要介護認定状況の集計結果について(第一次集計) 4.その他 議事内容 ○鈴木老人保健課長 それでは、定刻より若干早うございますけれども、来られる予定の 方、遅れる予定以外の方は御出席のようですので、第2回の要介護認定の見直しに係る検 証・検討会を開催させていただきます。  本日の委員の先生方の御出欠の状況でございますが、高橋委員及び筒井委員が遅れて到 着なさるということでございますが、それ以外の皆様には全員御出席をいただいておりま す。  できれば、頭撮りはここまでにしていただければと思います。よろしくお願いします。 (プレス退室) ○鈴木老人保健課長 それでは、以後の進行につきまして、座長の田中先生にお願いをい たします。 ○田中(滋)座長 皆さん、こんにちは。お忙しいところ、お暑いところお集まりいただ きましてありがとうございました。  議事に入ります前に、事務局から資料の確認を最初にお願いします。 ○鈴木老人保健課長 それでは、お手元の資料を、ちょっと大部でございますけれども、 確認をさせていただきます。  議事次第、座席表、資料一覧表ございまして、その後、資料になってございます。  資料1は、検討会の名簿でございます。  資料2が、検討会の開催要綱でございます。  資料3以降が、本資料になっています。  資料3は、今回、要介護認定の告示を変えるに当たりましてパブコメをしたもので、こ れは既にウェブページに3月31日に載せたものでございます。  それから、資料4は認定調査員のテキスト、昨年末に自治体にお届けをいたしましたけ れども、その前に自治体に御意見をいただきました。すべての自治体にお送りをして戻っ てきたものをまとめたものでございます。  それから、資料の5は今年の3月19日に相談の窓口ということで、認定アットマークと いうものを我々の方で開設をいたしまして、ウェブ上で質問が寄せられた908件について の分析となっております。  資料6以降は、本日ヒアリングの中で御発表いただく参考人委員の先生方の資料でござ います。  まず資料6は、本日御参画いただいている高浜市長の森参考人のものでございます。  資料7が、石田委員からの提出資料です。  資料8が、木村委員の提出資料でございます。  資料9−1、9−2、それからこの赤いもの、これはパンフレットをコピーしたもので ございますが、これが高見委員からの資料でございます。  資料10が、筒井委員からの提出資料でございます。  資料11はヒアリングの最後でございますが、結城委員からの提出資料ということになっ ております。  次からはまた事務局の方で提出をさせていただいたものでございますが、資料12は今回 と次回の集計について、今回はどこを集計し、次回はどこを集計するかということを記し たものでございます。  資料13は、認定状況の調査結果の一次集計ということで、今回集計させていただいたも ののまとめでございます。  資料14は、調査項目の選択肢に係る自治体間のばらつきを見たものでございます。  以降は参考資料になっておりまして、参考資料1は、在宅の要介護・要支援の方々の給 付状況を要介護度ごとに見ております。  それから、参考資料2で、表は何回かお示ししたかもしれませんが、モデル事業、研究 事業で、それぞれ今回検証した場合に軽くなる、重くなるが、一次判定、二次判定、どう だったかという資料になっております。  それから資料3−1、3−2、これは後で申し上げようかと思いますが、認定支援ネッ トワークという市町村から我々の方に寄せられているもの以外に、各市町村から別途調査 をして上げていただいた様式でございます。  以上が資料一式でございます。もし落丁、不足等がございましたらお申出いただければ と思います。 ○田中(滋)座長 よろしいでしょうか。  では、早速ですが、議題の1、「要介護認定方法の見直しに関する意見等について」に移 ります。要介護認定の方法の見直しに際して行ったパブリックコメント、2番目に新たな 認定調査員テキストの案に関する意見聴取の結果、3番目に3月19日より開設してきた質 問窓口メールアドレスへの問合せ、この3つについて事務局から説明を伺った後、議論を 行います。 ○鈴木老人保健課長 資料3、縦長の資料でございます。これは既に3月31日付で厚生労 働省のウェブページに載っておりますので簡潔に申し上げますが、これは告知を改編、改 正するに当たりましてパブリックコメントをいたしまして、それについて寄せられた主な 意見と当省の考え方になっております。  今回、実際どうして基準時間の推計の方法が変わるのか。  それから次のページにいきまして、調査項目の変更がなぜ必要なのか、  一部の項目がなくなると認知症の方の認定が軽く出るのではないか。  買い物や調理が入ったことはいいのではないか。  3ページ目にいきまして、「自立」という言葉は介助について聞いている項目としておか しいのではないか。これは、修正をいたしました。  それから御意見として、樹形図といいますけれども、実際に逆転現象が出るケースがあ るのではないかということですが、最後のところは視力の障害のある方についてはちょっ と見ていないのではないかというような項目でございます。  それぞれ回答に書いてあるような形でお返しをし、掲示をしているということでござい ます。  それから、資料の4をごらんいただきます。これは、調査員の方に対するテキストを昨 年末に市町村にお配りしたわけですけれども、そのお配りをする前に原案について御意見 を各市町村から寄せていただきました。全部で2,000件弱の意見が200弱の自治体から寄 せられております。  その内訳は内容に書いてありますけれども、単なる誤字、修正等の指摘、質問確認事項 等々以外に点々で囲っているところが実施的に中身があったものでございまして、提案、 要望、それから内容の指摘、これが合わせて1,972件中777件ございました。  それについて中身はどうかということでございますが、次の2ページ目でございます。 ちょっと色を付けておりますけれども、こういった項目が多かったということでございま す。全体にももちろんございましたけれども、1から5群にそれぞれ身体機能、起居動作、 生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応と分かれていますけれども、1、 2、5に当てはまるものが比較的やはり多かったということでございます。  具体的には、拘縮、麻痺、移動、金銭の管理、薬の内服等とございますけれども、中身 を更に詳細に見たものが次の3、4、5、6ページにございます。個別によく中身を見て いきますと、あることに集中してというよりは、むしろ細かい、さまざまな異なる項目が 指摘としてあるということでございます。時間の関係もあるので個別には申し上げません が、ただ、4ページ目の移動(2群)の一番上、これだけ10件と少し数が多くなっており ます。これは、移動機会がない場合について移動をどうとらえたらいいのかということで、 これは若干指摘が多かったということでございます。  次に、資料の5でございます。これは先ほど申し上げましたように、3月19日に厚生労 働省のホームページに認定アットマークということで質問を受け付けるということでござ いまして、全部で908件の問合せがございました。それの内訳を見ましたのが下の表でご ざいます。構成比、問合せ件数が書いてございますが、青で書いてありますのは内数でご ざいますので、やはりこれも先ほどのテキストについての指摘事項と同様に、1群、2群、 5群に関するものが多かった。やはり麻痺、拘縮、排尿、外出、薬の内服、買い物、調理 等々に関するものが多ございました。  具体的な内容でございますけれども、3ページ目以降にまとめてございます。特に四肢 の欠損、なくなるというのがありますけれども、その欠損の部位に関するレベルに関する もの、それから麻痺と日常生活の支障に関係するものが質問としては多うございました。  それから、排尿については、排尿直後の掃除に関するもの、それからカテーテルを利用 している場合はどう考えたらいいかということでございます。  それから、外出について一番多かったのは過去3か月でと言っているんですけれども、 3か月で非常に外出頻度が変動する場合はどう考えたらいいのかということでございます。  それから、薬の内服については経管栄養、胃ろうなどから薬を内服している場合はどう 考えたらいいか。  買い物について、それから次の5−6の調理についてもそうですけれども、利用者御本 人のものと家族のものを一緒に買い物に行くとか、一緒に調理するというようなときに、 それを介助としてとらえたらいいのか、そうではないのかというところでございます。こ ういう質問が多くございました。  以上、簡単にまとめますと、いろいろな形で調査の項目について意見が寄せられており ますけれども、多くは1群、2群、5群、しかもかなりの程度、同じような項目に重なっ て質問等が寄せられているという状況でございます。以上でございます。 ○田中(滋)座長 説明ありがとうございました。  では、資料3から5についての御質問や御意見がありましたらお願いいたします。 どうぞ、結城委員お願いします。 ○結城委員 質問なんですけれども、例えば06年版の判断基準と09年版の判断基準の違 いについての問合せなどは結構あったのでしょうか。 ○田中(滋)座長 課長、どうぞ。 ○鈴木老人保健課長 個別の項目という点と、それから全体像ということと両方あると思 うんですけれども、例えば全体像ですと資料4をごらんいただいて5ページですね。全体 像の一番左の上でございます。「旧テキストとの変更点の明示についての提案及び要望」が 11件ございました。  それから、もちろん個別の項目について先ほどちょっと申し上げましたけれども、移動 についての移動機会がない場合にどう捉えるかということについても、これはある意味で 言うと個別にはまた後で申し上げた方がいいかもしれませんが、今までは必要と思われる 介助について丸を付けていただきましたけれども、新しいやり方では実際にされている介 助に丸をしていただいて、不足がある場合には不足をアナログ情報として書いていただく ということですので、恐らくこの10件というのは書き方に関する関係ですので、2006年 と2009年の違いに関するものととらえることはできると思います。 ○田中(滋)座長 ほかに、特に御質問はございませんか。  野中委員、どうぞ。 ○野中委員 わからない部分があるので教えていただきたい。  移動の部分についての質問で、要介護認定には移動をしているか、していないかは必要 と思いますが、その人のケアで移動をする必要があるかどうか、今はしていなくても将来 はしたいということもありますね。  そうすると、そういう質問でよいのかどうか。例えば、現状ではしていないことが、し ていないとして要介護認定をするのはある面ではわかりますが、本来はケアプランでこの 移動を介助するので、そういうことが発生するのが無視されるようにこの質問で思われる のではないかを聞きたい。  そこの辺のことをどのように判断されているかです。課長は訪問調査で質問する人では ありませんので答えにくいと思いますが、質問の意味をどう受け取るかによっては、要介 護認定に影響があります。私は要介護認定も大事ですが、本当はケアプランが最も大事と 思っておりますので、本来はケアプランと要介護認定が合っているかどうかを比較すべき だと思います。  ケアプランが適切に作成され実行できないから、要介護認定がおかしいというのであれ ばまだ理解できます。これから検証していくと思いますが、今の項目1つとっても、その 辺で立場の違いというか、現状の本人の評価において、単にしているか、していないかだ けで判断していいのかどうか、どのようにお考えになるか。その辺の御意見を聞きたいと 思います。 ○鈴木老人保健課長 お答えをしたいと思います。実は、すみません。先ほどちょっと説 明を飛ばしてしまいましたが、参考資料2の2枚目が今回の74項目の一覧でございます。 この中で評価軸というのがありますけれども、3つの軸がございます。能力と、介助と、 有無ですね。今、野中委員がおっしゃっておられるのは、その介助についての質問です。  今までは、介助について介助が必要と思われるところに丸を付けていただいていました。 新しいやり方では、実際にされているところに丸を付けていただいた上で、ただし、され ているものが不足であれば、その不足であるということをきちんと書いていただいて、そ れを審査会で勘案していただくというやり方、これは特記事項と言いますけれども、そう いうことになりました。  これはいろいろな御意見があるのは我々も承知しているんですけれども、1つあります のは、必要なレベルに丸をするだけであると、それが実際に提供されているのか、それと もされていないけれども不足だと考えておられるかの区別がつかないので、ケアプランに はそれはなかなか反映しづらいというところがあると思うんですが、実際にされているレ ベルに丸をして、かつ不足であるということを書いていただければ、それは少なくとも審 査会には必ず伝わります、それから、もちろん審査会が必要だと思った場合にはそれをケ アマネジャーに伝えるというやり方がございます。  そういう意味では、不足を伝えるという点では新しいやり方の方がメリットがある場合 があるのではないかと思っております。 ○野中委員 それは、訪問調査員と、ケアマネと、それから主治医の意見書にそのような 認識があるかないかによっても非常に差があるので、そのことに関しては今回の要介護認 定とどうやってリンクさせるかは、まだまだ疑問と思います。本来はその部分がもっと成 熟していないと、今回のことに関する疑問はなかなか解決できないとの印象をお話を聞い て思いますので、意見を述べました。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。御意見として伺います。  では、高見委員どうぞ。 ○高見委員 高見でございます。結城委員の質問とも関連するんですけれども、私はケア プランも大事ですが、やはり介護保険においては要介護認定というのが入り口ですから、 最も大事と思っているんです。  それで、今回の資料を見ますと、各項目の具体的な御質問が多いんですが、そもそもの 調査の仕方で、今までの能力勘案をしなくなって見たままでするとなったことであるとか、 それから今までですと日常生活に支障があるかどうかと書かれていたのが、社会生活上と いうふうに非常に大きくなった。それから、日常の状態でなくて、調査時点でさえできれ ばできるとなる。こういうふうに項目もありますが、基本的な考えといいますか、基本的 な判断基準が大きく変わったという点があると思うんです。  これらについて、各項目以外に基本的な考え方についての質問や御意見というのはいか がだったでしょうか。 ○田中(滋)座長 課長、お願いします。 ○鈴木老人保健課長 先ほどのお答えとかぶる部分があると思いますが、資料4のテキス トに対する意見からしますと、例えば今、高見委員がおっしゃった能力勘案に関する意見 ですけれども、それは5ページ目の左の上から3番目にございます。「旧テキストとの変更 点」が一番上にありますが、そこから1つ飛ばして「従来「能力勘案」としていた部分と」 というところが今、高見委員が御指摘のことだと思います。  あとは、細かく言いますと、下の方にある部分でも関係のあるところがあろうかという ことで、例えば何番目かにわかにはあれですけれども、真ん中から下にちょっと近いとこ ろに「「介助の方法」の考え方についての指摘」というのがありますが、これも一部関係す るものがございます。 ○田中(滋)座長 池田委員、どうぞ。 ○池田委員 パブコメで、1ページの一番下に「最新の高齢者介護実態調査のデータを基 に」と書いてありますけれども、施設にしても、介護の手間は介護保険が始まったときよ り随分丁寧になっている。つまり、介護の手間のかかり方は介護保険が始まってから随分 そういった意味では増えていると思うんです。  一方で、要介護認定基準時間というのは変わっていないんです。要介護5というのは、 たしか110分以上ということになっていたわけです。そうすると、最新の高齢者実態調査 のデータに基づけば、現実の要介護量というのは増えているわけですね。それを110分の ままにしておくと、従来、要介護4がたしか90分だったと思うんですけれども、それが実 際上110分になっているものだから、要介護4の人が5になってしまう。重度が、より重 度化するというようなことが論理的には言えるんですけれども、その問題とか、それを補 正する方法とか、それについての質問とか、そういうのはなかったですか。 ○鈴木老人保健課長 御指摘のように、今回基準時間については変更していません。それ から、全体のタイムスタディをしますけれども、タイムスタディをした結果、出てくる全 体的なケア時間ですが、これは一般的に言えば今、池田委員から御指摘があるように伸び ていますので、ある意味で言うと、ここの部分だけを見れば確かに一部重度化する人が増 える可能性はあると思いますが、今回それについて基準時間の110分を動かすということ はいたしておりません。 ○田中(滋)座長 どうぞ。 ○池田委員 誤解を避けるために言うと、軽度化するという議論が圧倒的に多いんですけ れども、実は論理的に言うと、重度は重度化するんです。だから、そこの2つの点がある ということは我々も頭の隅に置かなければいけないというつもりで発言させていただきま した。 ○田中(滋)座長 ありがとうございます。  それでは、木村委員どうぞ。 ○木村委員 まだ資料的、データ的にはまとまっていないのかもしれませんけれども、今 回聞いていく中で樹形図を見ていって、「はい」と「いいえ」で一次判定で結果的に軽度化 されたときに、特徴的に何かの項目で本来は右というか、時間がかかる方にいくはずだっ たのに、答え方で時間が少なくなっていくというような傾向値の項目というのはなかった んでしょうか。まだ、そこまではわからないですか。 ○鈴木老人保健課長 かなり専門的な話になってしまうかもしれませんが、いわゆる樹形 図である項目についてこういうお答えになるというのがずっと選択肢であって、最後はケ ア時間のところに到達するんですけれども、従来はある1つの項目の答え方が違うと、が らっと変わってしまうというような傾向が比較的ありました。  今回は、なるべく1つの項目だけに依存するのではなくて、むしろ同じような側面を色々 な項目で聞いている場合があるんですね。例えば外出と移動とか、いろいろ似ている項目 を総合的に勘案してどうするかということを調べさせていただいているので、以前に比べ ればある項目だけでがらっと要介護度、もしくは時間が変わるということは少なくなって いるはずです。 ○田中(滋)座長 三上委員、どうぞ。 ○三上委員 先ほどから出ております、今回のいわゆる能力勘案を介助の方法に変えた問 題について、実際には新しい方法だと場所によって同じ人でも要介護認定のあれが変わる 可能性がある。同じ人がどの場所にいてどういう環境におられても、同じ認定が出るよう にするということであれば、本来能力勘案が一番正しいんじゃないかと思うんですけれど も、環境が変わることによって介助の方法は変わってくるというようなことで、基本的に は支給限度額を決めるというものですから、能力を勘案しておけば限度額の中でその必要 なケアプラン、ケアマネジメントができるという範囲を決めるだけですので、環境によっ て変わるような方法というのはどうかと思うんです。  先ほど少しお答えがありましたけれども、もう一度その辺のところをお答えいただけま すか。 ○田中(滋)座長 では、御説明をお願いします。 ○鈴木老人保健課長 恐らく、今日の最後の部分のところでデータを御説明するところと 関連して御説明した方がいいのかもしれませんが、今、三上委員のおっしゃっておられる のは、施設と在宅で若干違う傾向が見られるのではないかということではないかと思いま す。  基本的に、理論として先ほど野中委員からもありましたけれども、能力を勘案して丸を していただいて、それがそのまま審査会に上がってくるという方式がいいのか。それとも、 その場でされていることに丸をした上で、でも、こういう部分が足りませんよというとこ ろを書いていただくのがいいのか。よりどちらがばらつきを少なくする点で正しいかとい う議論と、それから恐らく今、三上委員がおっしゃりたい一部としては、施設の場合と在 宅の場合、特に在宅の場合で、例えば独り暮らしであるとか、認知症の方と認知症の方が 配偶者としておられるところでどうかということですけれども、少なくとも今回独居の方 については能力勘案をすることに我々はしております。  そこはクリアできると思いますけれども、それ以外のところについてどうかという御議 論ではないかと思います。それは、データも含めて議論していただいた上で、今後の在り 方も含めて議論していただきたいと思います。 ○田中(滋)座長 その点は、議題3のところでもう一度触れることになっておりますの でよろしくお願いします。  樋口委員、お願いします。 ○樋口委員 本来は1回目にお伺いすべきテーマかもしれませんけれども、私はこの間、 大病をいたしまして、実は要介護認定を受けました。  そういう立場から是非伺いたいのですけれども、先ほど高見委員が御質問になりました、 そもそもこの要介護認定を変更していく大きなコンセプトとして、日常生活から見てとい うのが社会生活に変わったと承りました。この社会生活と日常生活について、私はぱっと 理解できませんので、どういう違いがあるのかということをまず1つ伺いたいです。  それから、第1回目に至るまでの御説明で、私は要介護認定の内容が変わるということ について誠に納得いたしましたのは、それがうまくいけばという意味でありますけれども、 第1はやはり全国的制度でありますから、だれがやってもできるだけばらつきをなくす。 これは、そういう内容に変われば誠に結構なことだと思いました。  それから、第2番目も感服したのでありますけれども、介護保険創設当初から見ると介 護の質というか、内容が実に向上している。いわゆるおむつの回数を何回変えるかから、 言ってみれば人間が尊厳を持って排泄行為が自ら行われるような介助に変わっている。そ こを計算した認定の仕方に変えたのだというふうに伺いましたものですから、私は全くそ れも納得で、そういうふうになればいいなと思っておりました。  1についても2についても私自身認定を受けまして、1はちょっとわかりませんけれど も、2についてそういう介護の質の10年間における向上や変化というものが、こういう質 問項目の中にどう反映されているかというのは遂にわからなかったので、概念だけで結構 でございますからお話いただければと思います。 ○田中(滋)座長 2点質問がございましたので、お願いします。 ○鈴木老人保健課長 先ほどの池田委員の質問とも関係するんですけれども、例えばおむ つでございます。恐らく平成13年、14年、もしくは介護保険ができたときは、施設の中 でもかなりおむつを付けておられた方が多かったんですけれども、最近はやはりおむつを 外してできるだけ排泄を介助するという方向に変換をしています。  もちろん施設によっても違いますし、夜間はまた付けておられると思いますけれども、 相当おむつ装着率が下がってきております。そうすると、当然ながらおむつそのものを付 けておられて必要に応じて換えるよりは、尿意なり便意を聞いて、必要があればお連れし てトイレで介助するということの方が時間がかかりますから、項目がどうか、もしくは聞 き方がどうかということよりは、むしろそういう介護技術の進歩が、基準時間についてや はり多くなる方向にいく部分もあるということだと思います。  逆に実は短くなる部分もありまして、例えば車いすは手動の場合は今までは必ず後ろで 押さなければいけなかったのですが、一部で電動車いすがかなり普及してくると、ある程 度のところまでは御自分で車いすを操作できる場合がある。もちろん全部ではないですけ れども、そういうことになると、その部分は介助が減る可能性があります。  ですから、そういう意味で言うと、より実際にかかる介助を正確に反映するという観点 からすると、データはやはり新しいものに更新していって、よりかかる部分、それからあ る程度介護の技術と進歩によってかからなくなる部分というのを正確にデータ時間として 反映するということではないかと思います。 ○田中(滋)座長 第1の方の御質問はいかがですか。 ○鈴木老人保健課長 すみません。それは、後でもしかすると高見委員のプレゼンテーシ ョンのときに教えていただければいいと思いますが、もしそれが認知症に関する項目でし たら、むしろその場でできるかどうかということ、それから通常はできるかどうかという ことが今回と前回の比較的大きな違いだと思いますが、一部、社会生活の適応に関する第 5群というのがありますから、そこのことを高見委員がおっしゃっているんだとすると、 その全体ということになりましょうか。  社会生活とは、個別の項目の中で具体的に書いているというよりは、むしろ、社会生活 上、例えば通常こういう言い方をしている部分には、それは変な回答ではないですよねと いうようなことは例に書いてある部分がありますけれども、全体としてこれが日常生活で はなくて社会生活なんだということを大枠として言っているわけでは必ずしもないのでは ないかなと認識しております。  もし違う理解を高見委員がしておられるのであれば、また教えていただきたいと思いま す。 ○田中(滋)座長 今のことはあまりよくわからなかったので、改めて専門家からヒアリ ングを伺った後で、もう一度樋口委員から取り上げていただければよいのではないでしょ うか。  時間の都合があるのでヒアリングに移りたいと思いますが、その前に何かよろしいです か。ヒアリング後も質疑の時間を設けてありますので、さかのぼっていただいても結構で す。  それでは、議題2、「要介護認定方法の見直しに関するヒアリングについて」に移らせて いただきます。  この要介護認定の新しい仕組みが実施されてから3か月経過しております。新しい方法 の課題なども、それぞれ現場ではわかってきたものと思います。それから、委員の中には 御自分で独自の調査をなさって発表された方もおられます。  本日はヒアリングの時間を設けて、現場の自治体を預かっていらっしゃる方、あるいは 学者、それから認定を受ける側、それぞれの立場からの意見をお聞かせ願えればと考えま した。御意見は、石田委員、木村委員、高見委員、筒井委員、結城委員から伺います。そ のほかに、福祉自治体ユニットの幹事でいらっしゃる愛知県高浜市の森市長にも御多忙の 中を参考人としてお越しいただいております。ありがとうございます。自治体としての御 意見をいただければと存じます。  順番は、森市長を最初にお願いしまして、あとはあいうえお順にまいります。万が一、 筒井委員が遅れた場合には結城委員に先に発言していただきます。  人数が大変多くて6人御発表いただきますので、お1人10分前後でお願いできますでし ょうか。質疑応答については、皆様すべての御発表の後にまとめて行わせていただきます。  では、早速ですが、森市長お願いいたします。 ○森参考人 愛知県高浜市長で福祉自治体ユニット代表幹事をしております森と申します。  先ほど樋口委員からお話がございました、介護保険創設当時からこの問題に携わってま いりました。まさしく介護保険は市町村にとって地方分権の試金石と言われましたが、あ る面では2000年から今日まで、それぞれ自治体は真剣に取り組んでやってきた。その成果 というのは、私は大変大きなものがあると確信を持っております。  そういう中でそれぞれの課題が持ち上がりますけれども、しかし、そのときに私どもは この問題に対して真摯に取り組むことによって問題解決というもの、特にこれを住民の皆 様方にどのように説明するか。これは、私ども自治体の大きな責務だ。そういう観点から、 とりわけ今回の要介護認定システムの見直しということがいろいろとマスコミ等で言われ ておりますけれども、まず基本的に先ほどもお話がございましたように、介護の質も含め て、あるいは量も含めて、保険発足当時から現在まで大きく変わってきた。  典型的な例は、認知症の問題でもそうです。先ほど、鈴木課長さんの方からおむつの話 も出ました。いろいろな意味で状態が変わってくる中で見直しをするということは、私は ある面では妥当な判断だと思います。問題は、それがどのように私ども現場に下ろされて、 そしてその現場の中でどのようにやっていくか。ここが、まさしく今、私どもに問われて いる。  典型的な例は、昨年の長寿医療制度、ある面ではその前の2年間、そういう問題につい て私ども自治体として現場でどのように説明をして、その制度が順調にスタートをするか。 そういうことで、介護保険がスタートするときにあそこで勉強したことがまさしくそれで 生きた。  ですから、長寿医療制度は大変マスコミ等では騒がれましたけれども、私ども現場では スムーズにそれが進行した。そういうことで、私は現場を知っていていただきたい。現場 に任せることは、現場に任せていただきたい。まさしく介護保険は自治事務であるという こと、これを是非とも皆さん方に御理解いただかないと、この制度はせっかくここまで定 着してきた。  今回、この介護の手間の問題で先ほど、例えば時間の問題は変わっていないけれども、 しかし、中身が変わっているということをお話されました。だったら、それは現場からや はり声を出していく、あるいは現場から是非知っていただく。このようなことをしていた だかないと、せっかく定着しつつあった、あるいは定着したものが崩壊をしていく。  私は先週、実は介護認定の委員会に同席させていただき、このようなところで皆様方の 議論を聞いておりました。当然、要介護の更新の方、そこには認定調査員の大変克明な調 査、そして主治医意見書などに基づいて、前回例えば要介護2だった方が今回はある面で は介護の手間ということからどのように変わったかということを含めて、委員の方たちに はまず配布された資料を真剣に読んできて、そこの中で御議論をしていただいてます。  まさしく現場で一番客観的なデータに基づいてその判断をされるのは認定審査会の委員 で、この方たちにある面では大きな権限あるいはそういう力を私どもは保険者として出し ているわけです。だから、ここに今回のこのような要介護認定を例えば御本人が自分で選 ぶことができるというようなことは、どういうことになるのか。これは実はこの前、私が 同席させていただいた委員会の中で、例えば、要介護2の方が一次判定では要支援2でし た。そして、二次判定では要介護1になりました。しかし、最後に経過措置の希望調査で、 御本人が選ばれた、要介護2で決定をする。  私が一番懸念することは、要介護認定審査会の権威、あるいは客観的なデータに基づい て私どもは保険者としてどのように介護保険制度を運営していくかが問われているわけで すので、そういう点から、例えばせっかく要介護認定の審査会がそれだけの権威を持って やっていっていただく。これをどのようにこれからも担保していくか。これは、まさしく 私ども保険者ももちろんそうですけれども、今回のこのような問題の中で皆様方が御議論 されていく。その中でも、例えば今回のこの委員会の中にはっきりと、客観的なデータに 基づいてということは、まさしく認定調査員を含めて、そこで積み上げてきた過去の経験 も含めたいろいろなものがそこにあるのではないかと私は思います。  そういう中で、例えば医師を含めた審査委員の皆さん方がそこで御判断をしていただく。 そのことによって、私どもはその方の最終的な要介護度が判定をされて御通知申し上げる。 そして、サービスの提供量がこうですということで、ケアマネジャーを含めていろいろな 仕組みの中でそれが提供される。そういう提供の仕組みそのものまでが、私は今回せっか く修正をしたものがある面では現場の中でどのように生かされていくかということがまだ まだ十分に徹底されていない。  しかし、きちんとこれを検証していって、より確かなものにする。そして、その確かな ものに対しては保険者である自治体、私どもはやはり責任を持ってこれをやっております。 また、トラブル、あるいは苦情も含めて私ども受けているわけです。そういうことに対し てきちんと私どもに権限を、ある面ではせっかく分権で、自己責任でやる保険者としての 使命を私はどんなことがあってもこれからもやっていくことが大事だという考え方を持っ ております。  ですから、今回のこの要介護認定審査の仕組みを含めて、是非ともいろいろと御議論し ていただいて、最終的により確かなものにしていただきたい、そのために、このようなた くさんの委員の皆様方が御議論をしていただける。これを早く、そして定着をする。そう いう仕組みを是非ともオールジャパンで考えていかないと、私は困ると思います。これは、 そのための委員会ではないかと思っております。  現場の職員から特に言ってほしいということは、やはりこのようなことで混乱をするこ とが、逆に言うと現場の認定調査員、審査委員の皆様方、あるいはケアマネジャー、ひい ては実はこれによってサービス提供事業者そのものがサービス供給体制をどのようにして いかなければいけないかということで混乱をする。  それは、実はサービスの恩恵を受けるべき、先ほど樋口委員は尊厳と言いました。この 方たちが自分たちが受けたいサービスを提供するのは、本当に保険者の私どもの責務だと 思っております。そういうことがきちんとできる制度をこれからも続けていくのが、私ど も保険者の責務だと思います。  そしてもう一つ、特に認知症の問題はそうでございますけれども、今までのフォーマル サービスだけではなくて、インフォーマルなサービスをどのように地域の中で提供してい くか、例えば、認知症の問題の中でキャラバンメイト、いわゆる認知症サポーター、国の 方は100万人を突破したと承りました。そういう地域で支える仕組みというのを、合わせ て私ども保険者と同時に自治体としてその役割を持っていかなければいけない。  ですから、今回のこの認定システムというのは是非ともきちんとしたことをやって揺る ぎないものにしていただきたい。もちろん、これからも進化をしていくと思います。そう いう中で、それは調整、修正をしていかなければいけないと思いますが、しかし、それに 対してきちんと事前に保険者である私どもを交えて十分御議論をしていただいたものにし ていただければ一番ありがたいと思っております。以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  では、次に石田委員、お願いいたします。 ○石田委員 稲城市福祉部長の石田でございます。私の資料は、資料7でございます。要 介護認定に係る経過措置の実施状況を踏まえた意見ということで述べさせていただきます。  資料の1ページ目をお開きください。上の表は稲城市での経過措置適用前、下の表は経 過措置適用後の結果を示すものであります。経過措置適用を希望する者は、4月以降更新 申請者200人のうち180人、90%でありました。そのうち、重度変更への希望者が153人、 85.0%、軽度への変更希望が1人、0.6%であり、ほとんどの方が重度への変更を希望され ていたということであります。  また、経過措置適用前の新認定方式の人数と、適用後の人数とでは、非該当者が皆減、 全員がなくなり、軽度者が3人、2.8%の減、中度者が6人の増となっております。また、 重度者の人数は変わっていないという状況でございました。  2ページ目をお開きください。稲城市での経過措置対象者のうち、在宅の方の利用実績 の状況であります。要介護認定者200人のうち在宅者は158人ですが、この方たちの本年 5月分のサービス医療実績の利用限度額に対する割合は上の表のとおりでありまして、い ずれも50%以下の状況でありました。  また、人数の分布は下の表のとおりであります。  また、実際に経過措置を適用した方、34人を調べてみますと、仮に経過措置を適用しな かった場合にサービスが不足すると試算された方の例は、軽度で3人、中度で1人という 状況でありました。  このように、全体としてサービス不足となる状況ではなく、新認定方式によるサービス 利用の不安はほとんどなかったのではないかと、そんな判断をしているところであります。  3ページ目をお開きください。稲城市での現場の事務担当者の意見であります。大きく 3点でありますが、まず1点目であります。窓口、電話、利用者宅への訪問の際に、新認 定方式や経過措置に関する苦情やトラブルはほとんどないというふうに聞いております。  2点目でありますけれども、経過措置を受けるための意思確認の際に、この趣旨などを 説明することに苦慮している。申請者や家族に対してうまく説明ができず、要介護認定制 度の信頼性が低いとの印象を与えてしまいかねないという不安を持っているということで ございました。また、経過措置の説明に時間が余分にかかっているという状況でありまし た。  3点目でありますけれども、中重度の施設入所者でも重度への変更希望をする例が多く 見られるということなど、本来の経過措置の目的であるサービス利用への不安解消と言え ない例も見られ、このことはむしろ給付の適正化の観点から問題があるのではないかとい う意見があったわけであります。  次に、4ページ目をお開きください。私どものこれまでの要介護認定に関する考え方で あります。私は、介護保険制度の信頼性を確保する上で、全国で一律の基準に基づき、公 平・公正に行われる要介護認定は極めて重要であると理解しております。  また、介護保険制度に対する国民の支持は高く、既に一定の信頼性を獲得していると考 えているところであります。  更に、保険者(市町村)としては、介護認定事務の効率化を図るよう、かねてから強く望 んでいるというところでありました。この点については、再三申し述べているところであ ります。  次のページをお開きください。さて、今回の経過措置が現場にもたらした状況でありま す。これも3点にまとめてあります。  まず、新規申請者と更新申請者との関係などで特に言えることでありますけれども、不 安解消と混乱解消を目的とする経過措置により、本来の原則に基づかない不公平な認定と なっているというものであります。  次に、利用者、家族のほか、認定調査員、介護認定審査会委員、現場職員などからは、 「利用者の希望に応じ、従前の要介護度とする」という経過措置に対して疑問視する意見 が多く寄せられ、経過措置は少なくとも介護保険制度の信頼性を増したとは思えず、むし ろ低下したものではないかと、そんなふうに思うわけであります。  また、保険者(市町村)が要望している「要介護認定事務の効率化」による事務負担の軽 減には全くなっておらず、申請者への説明、認定調査や審査会、資料の変更、二重データ の管理、介護事業所等の説明など、保険者事務がかえって重たくなったというものであり ます。  次のページをお開きください。「経過措置に対する要望」であります。現時点でも、経過 措置による現場の戸惑いは続いているということから、次の3点を要望するものでありま す。  まず第1点は、要介護認定制度に対する利用者の不安及び保険者における実務上の混乱 が生じていることについて、改めて国の見解を是非示していただきたいという点でありま す。  第2点目は、今回の経過措置は適切かつ速やかに終了させていただきたいということで あります。また、その終了時期を是非明確にしていただきたいという切実な願いでありま す。  3点目は、経過措置の終了に当たっては現場の混乱が生じないよう、保険者(市町村)と 十分な協議を行っていただきたいというものであります。  次のページをお開きください。更に次回以降の要介護認定の変更についてでありますけ れども、今回の反省を踏まえて、要介護認定の見直しを行う場合には、利用者の不安を生 じさせないよう、準備段階で妥当性の研修を行うとともに、直接国民への丁寧な説明を行 っていだきたい。  次に、制度見直しと最終データへの更新とは区別される事項であると思われます。最新 データの変更と、最新の介護状況を反映するといったデータの更新については介護技術の 進展を反映する観点から、例えば3年ごとに自動的にソフトを更新するなどの新たな工夫 を検討していただきたいというものであります。  また、最後でありますけれども、要介護認定等の方法が複雑化することを避け、できる だけ効率化、簡素化することを目指していただきたい。国民にわかりやすい制度となるよ うにしていただきたいというのが私の意見であります。  なお、8ページは「稲城市の位置、人口等」、また9ページは稲城市での介護認定の実施 状況についての資料でございます。御参考にしていただきたいと思います。  是非、現場で実際に運営している保険者、市町村の意見をしっかりと受け止めていただ きたいと思っているところでございます。以上、よろしくお願いしたいと思います。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  続きまして、木村委員お願いいたします。 ○木村委員 日本介護支援者協会の木村です。資料8をごらんいただきたいと思います。  まず、第1回目のときに、我々の会員の中で調査員をしている介護支援専門員がどのよ うな状況にあるかということの調査をしたいと考えているという内容の中間報告でござい ます。  1ページを開いていただきますと、今ほど言いました協会の会員の居宅介護支援事業所 に勤務していると登録されているメンバーにEメール登録のあるものと、それから未登録 のものとを分けて、期間はここに記載されているとおり、調査を今しているところであり ます。  それで、今日現在ここに記載のないものがありますが、1ページの(3)から(4)に かけてでございますが、メールを送った先は5,063件でございます。あとは、郵送調査を しているのは、5,954であります。  メールの回答のところは非常に少なく、120件ということでここに記載されております が、郵送のところは今日のお昼までで5,954分の395ということで、締切りは終わってお りますが、まだ届いているところであります。  そして、特に意見を聞きたかった認定調査員がEメールのところは40名で、今日その内 容をテキスト等で記載されているものを全くカットしないで全部載せさせていただきまし た。  また、今日の午前中までにきている郵送調査の認定調査員の結果は70件でございますの で、次回までにそのことはまたすべて明らかにしたいと思います。  では、どういう調査をしたかということで、44ページまで飛んでいただきたいと思いま す。介護支援専門医のプロフィールは当然聞くわけでございますが、44ページにあります 今日いろいろと今までの時間でお話がありましたが、問8からは認定調査員をしている介 護支援専門員に聞いているものです。調査結果の選択肢の選択に迷う項目、上位10項目と その理由を記載してもらいました。  また、問8−2は「認定調査員テキスト2009」の特記事項の例がわかりにくいというこ との上位10項目と、それからその理由を記載してもらいました。  問8−3は、特記事項を記載しないと状態を伝えにくい。要するにイエス、ノーだけで は伝えにくいという項目の上位10項目を聞き、理由を答えてもらうようにしました。  更に45ページにまいりまして問8−4は、特記事項を記載する際に工夫していることが あれば記入してくださいということで、これもテキストで答えてもらうようにしました。  それから、介護支援専門員自体が介護認定審査会の委員をやっているケースは非常に少 ないのでありますが、同じようなことを審査員の立場として、特記事項の記載がないと調 査結果がわかりにくい調査項目について上位10項目の理由、テキストの2009の特記事項 の例がわかりにくいもの上位10と理由、それから特記事項を記載するのに留意してほしい ことですね。こういう書き方をしてくれれば審査がしやすいとか、こういうことを記載し てもらいました。  更に、46ページにおきまして全員に聞いたところでございますが、介護支援専門員自体 は要介護認定の決まった後に状態の変化等々があったときに区分変更申請ができるように なっております。もしくは、結果に不服申立てがあると利用者から相談されれば不服申立 てができるようになっています。それらのことに関して今の手続きのプロセス、それから スピードが上がらないこと、そういうことがあるのであれば期待してほしいということで、 具体のことを記載してもらいました。  また、今回のトータルの要介護認定の見直しがあればということで、すべて意見を求め たところであります。問11に関しては、この本文の中に調査員の立場、審査員の立場、そ れからケアマネジメントする立場ということで分けて記載させていただいております。  テキストが非常に多いので、少し傾向を言います。先ほど資料の5で、質問窓口メール アドレスに寄せられた問合せについてということでありますが、やはり答えにくいとか判 定のしづらい項目は、先ほどの問合せのところとほぼ同じ傾向になっています。1群、2 群、5群がやはり多いという結果になっておりました。  それから、調査員が一連の仕事の中でペーパーレスというか、非常に紙に書く量を減ら すとか、紙を減らすとか、そういう動きもねらって今回の要介護認定の見直しがされたと 思っておりますが、今回のこのやり方で逆に特記事項できちんと書かなければ要介護度が 下がってしまうだろうというようなことがあるので一生懸命書く。その分、時間がかかっ ているということがあります。  また、今回の経過措置が入ったことで、調査員も審査員もモチベーションが落ちてしま って、認定審査会なんかやらなくていいじゃないかと、そういう意見もかなり多くありま した。  それから、これは後で参考にしていただきたいんですが、区分変更等をするときにやは り保険者側がスピーディーにそれを処理してもらわないと、暫定プランで確定したケアプ ランを提供できないなどの問題もあるということが浮かび上がってきたところであります。  あくまでも中間報告でございますので、次回までに更にその郵送調査のものを入れて精 査して一つの提案をしたいと思いますので、今日は表現が不適切なものもあるかもしれま せんが、時間もありませんのですべて入れてあるものでございます。そこのところは、御 了承いただきたいと思います。以上でございます。 ○田中(滋)座長 まず、調査していただきましてありがとうございました。  次に、高見委員からお願いいたします。 ○高見委員 高見でございます。  家族の会でも、会報の『ぽ〜れぽ〜れ』5月にアンケートを同封しまして、会員が認定 を受けた結果をファックスで回答を求めることをしました。91名から回答がありましたが、 そのうちの4分の1が要介護認定を知らない、あるいは説明を聞いていないという人であ りました。  個人が最終の要介護認定だけではなくて、途中経過の一次判定、二次判定のところを知 ろうと思いますと、市町村に情報開示請求をしないと聞けないという手間があります。そ れでも聞いてくれた会員がありまして、40名の人がそういう手続きをしてくれて回答をく れました。  そのうち、二次判定、経過措置前の段階で従来よりも軽度になったというのが34%、重 度になったというのが13%ありました。これらの数字は、後ほどの厚労省の資料とも突き 合わせて考えたいと思います。  家族の会は、もともと家族だけでは介護ができないということで、介護の社会化という のをずっと求めておりまして、そういう意味で介護保険ができたということを大変歓迎い たしました。その介護保険ができたときの厚生労働省の説明は、この制度は寝たきりで施 設の人をモデルにして制度設計している。認知症の方については、走りながら改善する。 こういう説明がありました。私たちは、そのことを了承して進んできました。  ただ、要介護認定というのは、やはり介護の困難さ、あるいは介護の手間、これを判定 するものであり、どれだけのサービスが使えるかということが決まるものでありますから、 そういう意味では介護保険のおおもとといいますか、基本といいますか、介護保険の入り 口であります。そういう意味で、私たちは介護認定を非常に重視してきました。  そういうことで、当初から私たちは寝たきり重視ということでありましたから、認定に 当たっては見た目の元気さで判断をするなということを言ってきました。つまり、元気で あるから介護が大変、あるいは一見元気そうに見えるから介護が大変ということが認知症 の特徴でありますから、そのようなことを要求してきましたし、それから会員や家族につ いては、調査に当たっては十分日ごろの状況をメモにして調査員にしっかり伝えないとい けないと伝えてきました。  そのような努力があって、厚生労働省もその後、認定調査項目の一部の改善をしていた だいたり、それからいわゆる動く認知症を表すレ点というのをつくってもらったり、レー ダーチャートのような形で状態を把握しやすくするとか、このような改善をしてきていた だいたと思っています。  そのような流れの一方で、認知症に対する理解、関心・対策が随分進みまして、先ほど も話が出ました「認知症を知り、地域をつくるキャンペーン」ということで既に認知症サ ポーターが100万人を超えたということになっていますし、昨年の「認知症の医療と生活 の質を高める緊急プロジェクト」の中では認知症に対する対策も随分出されまして、今年 度からもう既に一部が進んでいます。  そのように、私たちは今の流れを歓迎していたわけですけれども、今年の4月から始ま ったこの要介護認定については驚愕の一言、これは前回も申し上げましたが、そんなふう に思いました。  そこで、資料9−1をごらんいただきたいんですが、私たちはその「驚愕」の内容を、 1つは「非常識」、「軽度化指向」、「意味不明」、「かえって煩雑」、「認知症への無理解」、「不 思議」というふうに感じました。  例を挙げますと、「買い物」は買い物の適切さは問わないという非常識。  「座位保持」の目安を10分間から1分間にした軽度化指向。  “昔はもてた”というのは「作話」でなく、社会通念上冗談という意味不明。  「食事摂取」では、介護者が小さく切っている場合を「一部介助」から「介助されてい ない」にして、特記事項に書かせるというかえって煩雑。  認知機能を日ごろの状況でなく、調査時の状態で判断する認知症への無理解。  必要があっても介助されていない人と、もともと介助不要の人が同じ「介助をされてい ない」になり、能力があっても入院・入所で介助されれば「全介助」になるという不思議。  これらについては、資料9−1の4ページのところに更に項目を挙げて例を挙げていま すので、これはごらんいただきたいと思います。  このような状況の中で、厚生労働省は一部を見直したり、経過措置を実施したり、この 検証・検討会を開いていただいているわけでございます。そういう意味では、一定の誠意 を持って要介護認定基準の変更の問題に対応していただいているというふうに、この部分 については評価をしているわけであります。  ただ、問題は、今回の基準変更の問題を、これまでのデータであるとか、市町村である とか、委員の皆さんの意見を踏まえて、厚生労働省がどんなふうに総括をして、どのよう な見直しや改善の案を出していただけるのかということが大切な問題だと思います。  そもそも今回、市町村からもお話がありましたが、大変現場では混乱をしています。こ れは保険者もそうですが、利用者である家族や本人も混乱をしています。こういうふうな こんにちの混乱の責任は、私は挙げて厚生労働省にあると思います。  そして、この基準を改善したり、見直しをしたりする、これも厚生労働省に権限がある と思います。そういう意味では、厚生労働省の責任においてどのような改善や見直しをさ れるのかをお聞きしたいし、その内容を聞いて私たちとしては判断をさせていただきたい と思っています。  そもそも、要介護認定というのは先ほども言いましたように介護保険の入り口でありま して、例えば大学入試に当たるものではないかと思います。大学入試で、一方では裏口入 学がどんどんされていたり、試験問題に間違いがあったりしたら、それはその大学そのも のの信頼をなくしてしまうと思います。そういう意味で、この要介護認定も認定のやり方、 認定の内容に信頼が得られないというようなことであっては、介護保険そのものが信頼を なくすと思っています。  なお、資料9−2としてお渡ししていますのは、先ほども言いましたように、厚生労働 省の認知症に対する理解や関心が進んできている中で、私たちが期待する介護保険という ことで提言をしています。これの2009年版でありますので、参考までにごらんいただきた いと思います。  それから、真っ赤な小さなリーフレットをお配りしています。『死なないで、殺さないで、 生きようメッセージ』というものですが、これは昨今の介護心中や介護殺人が相次いでい ることについて、私たちとしても心を痛めて、同じ介護家族としてその人たちを食い止め るような、思いとどまらせるようなことができないかと思って、会員の中から死のうと思 ったとき、殺そうと思ったときに、どんなことで思いとどまりましたかということのアン ケートをとりました。その中から、10人の方の思いとどまった場面を抜き出したのがこの リーフレットです。  家族の会では、このリーフレットを40万部つくりまして、全国44の都道府県の支部で 今、例えばスーパーマーケットであるとか、信用金庫であるとか、商店であるとか、ある いは地域包括支援センターであるとか、そういうふうに不特定多数の方がお見えになるよ うな窓口に置いてくださいと言って届ける活動をしています。  こういうふうなリーフレットをごらんになって今、本当に極限の状況に追い込まれてい る家族が一人でも思いとどまっていただけたらありがたいというような思いでこれをつく りました。民間の私たちの団体が、こんなものをつくらなければならないほど今、介護は 切迫しているといいますか、非常に危機の状況にあると思います。  このような状況の中で、そもそも私たちがあてにする介護保険そのものが入り口のとこ ろで信頼をなくすようなことがあっては、一層こういう状況に拍車がかかるのではないか と思います。そういう意味からも、今回の要介護認定基準の見直し、改善を是非積極的に 誠意を持ってやっていただきたいと思います。以上です。 ○田中(滋)座長 どうもありがとうございました。リーフレットも読ませていただきま す。  次は、結城委員お願いします。 ○結城委員 では、資料11です。11の方は簡略版で2ページと、私の調査報告を後で添 付させていただきました。  一部の全国紙でも報道されましたが、私は独自にケーススタディとして更新申請者の人 の結果を調査いたしました。  しかし、今日は厚労省の全国データが出るということで、それは一応省いております。  データを見て、果たして今回の認定結果がどうなっているかというのは、今後、議論な さると思いますので、私がこれから全国データを注視するポイントとして、いくつか挙げ させてさせていただきました。  まずは、私はケアマネをやっているときに、介護度が下がった、上がったという高齢者 の問題意識は、更新申請者の介護度がどうなっていくのかというのがやはり一番関心があ るということで、ではその更新申請時の介護度は一次判定と、二次判定と、今回は経過措 置適用後の介護度になっていくと思います。  私のはケーススタディですからどうなるかわかりませんが、私の5,000件の調査では一 次判定がかなり軽度になるんですけれども、二次判定できちんと戻されて、大きく見積も れば極端な軽度化、重度化はありませんでした。  ただ、この一次判定と二次判定の差は、今後やはり注目していく視点だと私は思ってご ざいます。  あとは、在宅と施設の要介護度の差とか、地域間のばらつき、それから、特に、気にな っているのは、これは19の自治体にお願いいたしましたが、やはり非該当の出現率が、若 干、高目に出ているということです。確かに、ケーススタディですから、今は、何とも言 えませんが、全国データがどうなっているのか、私は、見ていきたいと思います。  私の調査データは、参考ということで、今日は載せませんでしたので、その点のポイン トだけ、挙げさせていただきます。  では、私が今日挙げさせていただいた調査は後で詳細を見ていただきたいんですが、私 はケアマネを都合6年やり、調査も06年版でやっておりましたが、まず自治体と要介護認 定調査員と審査員、主治医の先生方には一部しか聞けませんでしたが、一体この2か月間、 4月以降どうなっているのかということを、私の人脈と、私が入っている東京都社会福祉 会、もしくは千葉県の介護支援専門員協議会や、千葉県医師会の知人の協力を得て、少し 調査いたしました。また、全国的に、私が研究会などを催している関係のケアマネさんと か、実際に自治体へ訪問して聞いた結果です。特に、近隣でございますが、1つの自治体 には審査会を見学させていただきまして、じかに審査員の方からも御意見を伺いました。  それで、まず私の1点目は12、13ページをちょっとごらんいただきたいと思います。認 定調査員約100人弱の方からヒアリングで、これは紙で調査したのと、その中からちょっ と関心のある20名から直接ヒアリングをしました。調査は非常にわかりやすく調査しやす かったという一部の意見がここに載っております。06年版よりもかなりすっきりしたとい う調査員が一部いました。そういう意見を言う調査員も実際いたということは事実でござ います。  次の13ページからですけれども、しかし、多くの方は、先ほど木村委員も厚生労働省の 方の報告からもあったように、かなり調査に関しては戸惑っていらっしゃるということが 指摘できます。これが、制度以降の経過措置の問題なのか、慣れるかどうかということは また皆さんとの御議論が必要かと思いますが、例えば麻痺、拘縮の辺りでは06版に比べる と関節可動域が以前よりも評価が厳しくなったのではないか。13ページで、麻痺の下肢の 「挙上」ですね。その辺の該当者が、新しいバージョンではかなり厳しくなったのではな いかという、いろいろな意見がございます。  私の最初のレジュメの2ページに戻っていただいて、幾つか調査員に自由意見形式、も しくはヒアリングで私が直接聞いたんですが、100人弱の方からは1群、2群、3群、4 群、5群ということで、この74項目のうちやはり今、挙げさせていただいたところが一番 疑問点にあるし、06年版と09年版が変わったところで非常に問題点も挙げているという ところです。  一番わかりやすいのは、「座位保持」が、以前では10分だったのが1分になったとか、 後で、詳細のところを読んでいただければと思いますが、「立ち上がり」では自分の体の一 部を使って立ち上がる場合は、それがある程度、今回、厳しくなっているというところが ございます。あとは、2群の「食事摂取」とか「排尿」、「排便」のところも、やはり06 年版と比べるとなかなか厳しいという意見がありました。これについては、恐らく専門の 方々が昨年の検討会でずっとやっていていろいろ御議論なさっているんですけれども、現 場ではそういう意見が多いということでございます。  もう一つは、特記事項についての意見が非常に多く、調査員に関して非常に特記事項を 書く枚数が多くなってしまって、大体私が聞いた形では、調査がやはり1時間ぐらい余計 に増えてしまったのではないか。もちろん、丸付けに関しては、明解になった。けれども、 一方では、特記事項を書く時間が非常に多くなってしまって労力がかかるということでご ざいます。  次に、審査委員と自治体の意見を私は調査をさせていただき、実際自治体には訪問させ ていただいて事務局にも行きました。もちろん、事務局の方で一次判定ソフトの精度は上 がったという評価の声も一部にありました。これは事実でございます。  ただし、審査員とか審査会の委員の皆様は二次審査に行く前に非常に膨大な資料、特に 特記事項を読みこなさなければいけないということで非常に労力がかかっている。これは、 審査員の人が結構な対応をしているということです。あとは、審査会資料は先ほども委員 の方が挙げたように、レーダーチャートとか、資料が少し読みづらくなっているというこ とがございました。  私が訪問した自治体の事務局にすると、一次判定をかなり二次判定で覆しているという 傾向が挙げられるということでございます。自治体の方でも結構負担があるということで、 そういう意見があったということでございます。  主治医の意見書のところのお医者さんは、私がいつもいろいろ御指導いただいている先 生方を中心に11人ぐらい直接意見を伺ったんですが、やはり診察時と意見書記入時のタイ ムラグが課題ではないかと言っておりました。また、急性期の主治医の意見書の書き方と、 自分が近所で行っている主治医の意見書の書き方ではやはり差があるのではないだろうか と、これは審査員の方も言っておりましたし、急性期のお医者さんが果たしてどこまで介 護保険を知っているかということも今後課題であるのではないかということが御指摘され ております。  私は、2か月間、自分なりに、できるだけ足を運んで現場に行ったり、一人ひとりにで きるだけ意見を聞くような調査をしてまいりました。その意味では、これは自分の考えで ございますが、経過措置を解除して欲しいというのは、非常に大きな声でございます。自 治体職員、調査員、審査員が、これを非常に早く解決していただきたい。経過措置という ものが、もし、1年続いてしまうと、もう経過措置ではないのではないかということで、 やはり経過措置の早期の解除が必要ではないかというのが私の意見でございます。  しかし、国のデータから皆さんでこれから出てきて御議論なさるのかもしれませんが、 このまま何もなしで経過措置を解除するというのは、私は非常に危険ではないかと思って おります。もちろん、審査会の先生方は非常に一生懸命見ていらっしゃいますが、この一 次判定ソフトがもしかしたら、軽度化になるということが全国データでも指摘されるとい うことが、考えられますし、06年版の認定マニュアルと09年版認定マニュアルで同じ項 目が幾つかございますので、その点の判断基準をある程度緩やかにするとしながら解除を する方向が一番妥当ではないかと私は思っております。  もちろん、特記事項で拾っているのは拾っているのですけれども、特記事項で拾えない 可能性もあるので、その辺は判断基準を変更して、ある程度一次判定で拾えるような改善 策を打ち出すべきではないかと私は考えております。  ただし、長期的には、「在宅と施設」や「要介護度区分」のそういう議論はきちんとある かもしれませんが、それは長期的な別の検討会でまず御議論いただいて結果をきちんと出 していくということです。  経過措置解除をとるに当たっても、何らかの措置を講じるには、やはり調査員、自治体、 審査員らの周知徹底が重要かと思います。これがないと、また、2月や3月のような事態 になりかねないということがございますので、経過措置を解除するには、ある程度の説明 期間と十分な厚生労働省側の配慮と対応が必要だと思っております。  ただし、経過措置解除に当たって、皆さんで、不安のないような措置を講じる議論を、 今後していただくのが一番いいかと思っております。以上でございます。 ○田中(滋)座長 独自の調査と、それを踏まえた意見をありがとうございました。  筒井委員がお見えになっていないので、ちょっと休憩を入れて待ちましょうか。 ○鈴木老人保健課長 筒井委員が、5時10分頃になりそうだということなので。 ○田中(滋)座長 ひと通りヒアリングが終わったので、もし間に合わなくても皆さん同 士の質疑をしたいのですが、頭の整理で休憩を入れましょう。では、5分間程度、休憩を 入れます。 (午後4時50分休憩) (午後4時58分再開) ○田中(滋)座長 それでは、再開いたします。  筒井委員がまだお見えになっていませんが、5名の皆様から発表いただきました。発表 内容について、質問でも結構ですし、それに啓発された意見でも結構です。しばし私ども で議論したいと思います。森参考人もせっかくおいでですので、ほかの方に御質問、御意 見もまたお願いいたします。それでは、どなたからでもどうぞ。  では、田中委員、どうぞ。 ○田中(聡)委員 神戸から来て、一言もしゃべらずに帰るのは現場の皆に申し訳ないので、 ここで現場の生の声を届けたいと思います。  皆さんのようにアンケートを取ったりしたデータではなく、ごくアナログで、私は多分 皆さんと比べると一番現場に近い立場であると思いますので、周りで働いている現場の生 の声ということでお届けできればいいかと思っています。  まず、今回の要介護認定の経過措置についてですが、ほかの委員の方々からも御発言が ありましたように、現場の説明をする立場の地域包括の職員などは、とても手間がかかっ て理解もしていただけないし、時間がかかるし、煩雑になって大変だったという意見を言 っておりましたが、利用者さんの反応は、今のところ経過措置があって苦情が余り上がっ ていないというのが現状であるのかなと私は感じております。  これは決していい結果ではなく、多分要介護認定に対して何もわからなくて、とりあえ ず変化が嫌だからそのままにしていただけたらいいかな。訳もわからないけれども、とり あえず今のままでいけたらいいかなというような、そんな思いがあって利用者さんは経過 措置で満足していらっしゃるのかなと思います。それについては、やはりきちんと要介護 認定というのはどういうもので、介護度が変わってもサービスがきちんと受けられるんだ と説明するということをもう一度考え直した方がいいのかなと思いました。  それから、調査員さんの特記事項です。私の施設の中にも地域包括支援センターがあり まして、調査員さんもいます。私も審査会に参加しておりますので、調査員さんの特記事 項というのは本当に差がありまして、きちんと書いてくださっている方はそれだけを見た ら、この方は一次判定でこんな結果が出ているけれども1つ上げた方がいいんじゃないか とかというような意見を交わすことができるんですけれども、本当に忙しいんだろうとい うことがよくわかる片付け仕事のように書いてある調査票も正直ありますので、それを見 ますとそういう調査員さんに当たってしまったのは不運なのかと思ってしまうのが現状で す。  医師の意見書に関しても、審査会に出ていらっしゃる先生方にちょっと意見をお伺いし たんですけれども、開業医をされていて訪問診療などを積極的にやっていらっしゃる先生 方は介護保険のこともとてもよく理解されていて、意見書をきちんと書かないと介護度が 出ないということもしっかり理解してくださっているんですが、やはり大きな病気を抱え ていらっしゃってどうしても大きな病院でないと診察が受けられない方などは、先生は顔 も見てくださらない。パソコンの画面だけ見て、どうですか、大丈夫です。そうですか、 ではいつもの薬を出しておきます。それで診察は終わりみたいなケースもあって、実際に その先生方に意見書を書くということについて伺うと、本人さんの顔も浮かばない。やは り負担感を感じていらっしゃる中で、きちんと意見書を書いていただくことはできるのか なというふうに思ったのが正直なところです。  ケアマネジャーさんは、ものすごく大胆な意見だと思うんですけれども、医療保険は病 気が治るまで限度額なしにちゃんと見てもらえるのに、介護保険は何で困っても限度額が あるんだろうねと言われたのがすごく私は印象に残ったんですが、現場で働くケアマネジ ャーさんは、実際問題、老老介護の御家庭だったり、認知症の独居の方だったり、とても シビアなケースを抱えていて、限度額を超えてサービスを使わないといけない現状があっ てもお金がなくて使えなかったりとか、そういうことをやはり抱えていらっしゃるので、 認定調査で介護度がどれだけ出るかというのはすごく大きな問題なんですね。  その中で細かいことを言いますと、内容がたくさんほかの委員の先生方の調査の中でも 挙がっていましたけれども、例えばお買い物などは買ってお金を払えればできるとなって おりますが、ある日、私はAさんという認知症の方ですが、地域でサービスも拒否されて、 全然受入れをしてくださらない方で、地域包括と住民さんで支えているようなケースなん ですけれども、もちろん近くのおまわりさんだったり、お店の方だったり、いろいろな方 に協力してもらいながら、その方は独居で暮らしていらっしゃるんですが、その方のお買 い物に後ろからついて行きました。  野菜売り場で野菜を1つ取りました。そして、肉売り場に行って肉を1つ取ったかと思 うと、肉売り場に野菜を戻して、その後、お菓子売り場に行ってお菓子売り場に肉を戻し てみたいな、そういうようなお買い物をされていて、最終的にかごの中に自分が欲しいも のを入れてお金を払って、それで帰った。  では、これは買い物ができるのかと考えてみると、ちょっと矛盾というか、何となく違 和感があるといいますか、そういう項目が多いなと思います。やはりそういうことのでき る、できないというような判定の積み重ねで要介護認定が出るとしたら、そこでできると いうふうに判断されてしまったら、ぎりぎりのところで要介護2になるのか、3になるの か。そこができるから、では2になってしまったということをやはりどうしてもケアマネ ジャーさんは考えてしまうと思うんです。ですから、その辺りは能力勘案をしていただけ るということも必要なんじゃないか。実際問題だけで考えてしまっていいのかという項目 がたくさんあるように思います。  逆で言いますと、男性の方ですべて奥様がお買い物も調理もやっていらっしゃる方など は全介助になります。できるとか、できないというのは関係なく全介助になってしまう。 そうしたら、今の前者の認知症の方も同じように、その方はできるで、後者の男性の方は できないというのはちょっとおかしい感じがするよねというような意見が挙がっています。  あとは、要介護認定だけの問題ではなく、介護保険全体の問題になってくるのかなと思 うんですが、認知症の方などは特にやはりサービスが入って、どなたかが関わることによ って落ち着いてこられるケースもありますので、前回、高い介護度が出ました。更新申請 でサービスが入ってとても落ち着いていらっしゃるので、介護度が軽くなりました。そう なると、では次に同じサービスは使えませんよということになりますと、その方の生活が また元に戻ってしまうというようなこともあります。  あとは、意見として出ていたのは、施設入所の方などは本当に要支援になってしまうと、 では出てくださいという問題が出てきます。もちろんケースの中にはスムーズに施設を代 わってというふうにできる方もいらっしゃいますが、やはり御事情があって施設に入られ ている方が多いので、なかなか特養、老健に入っていらっしゃって、またグループホーム に入っていらっしゃって在宅に戻るというのは現実問題すごく難しいので、その辺りでや はり介護度が低くなるというのは問題というふうにとらえられているのかなと思います。  それから、これはたくさん出ていた意見で、直接関係あるかどうかはわからないんです けれども、ターミナルケアの方ですね。最終ターミナルにいらっしゃる方は、最初のうち は先生がターミナルというふうに判断されても、まだ御自分でできることもたくさんあっ て介護度が出ないことが多いんですけれども、やはり体が動く状態であっても病気が病気 なだけに気分が滅入ることもありますし、日によって倦怠感や痛みが強くてベッドがあっ たら助かることがあったり、元気な間にいろいろなところに出かけたいというような気持 ちがあって、車いすがあったら助かったりすることがあるので、その辺りでちょっと特例 みたいなものがあってもいいのかなというふうな意見も出ておりました。  うちも神戸市内で震災後の復興住宅を抱えていて、本当に独居の高齢者の方がたくさん いる地域ですので、介護保険は本当にありがたいことで、制度がそのまま続いていってく れることは本当に願うことなんですけれども、これはそうなのかどうかわかりませんが、 収支のバランスを考えることは必要であっても、やはり必要な方がサービスを受けられな くなってしまうと質の担保にはならないと思いますので、考えていただけたらありがたい と思います。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  筒井委員が駆けつけてくださったので、資料10に基づいて御説明をお願いいたします。 ○筒井委員 それでは、資料10の説明をさせていただきます。  資料10は、本院で都道府県及び政令指定都市の要介護認定調査の指導をするという方々 を研修しまして、その方々が現場に戻ってから研修した結果を踏まえてアンケートに回答 してくださった調査についてまとめたものです。  この調査の第一の特徴は、対象者が十分にこの要介護認定調査の調査方法、それから定 義の項目を熟知しているということであると思います。  第二の特徴といたしましては、この受講生の皆さんは当院で試験を実施しておりまして、 要介護認定の方法と、それから評価の項目についての試験の評価結果を持っているという ことといえます。  また、この受講生の方々は、受講前、受講の途中、それから受講後と3回の試験をやっ て、この3回の試験ですべて得点が有意に上昇しておられる方々でした。  結論でも申し上げますが、これまで研修を行ってきて、やはり認定調査委員に対しての 研修を行う方は、ある一定のレベルの方、こういった研修を受けた方でないと指導するの はちょっと難しいと考えています。  さて、それでは、調査結果について、御説明させていただきます。この報告書では、幾 つかの調査項目の回答において特徴的なものをお示ししています。  まず2ページ目、Q1というのは、今回認定調査員のテキストの構成についてです。こ れまで調査項目が非常にランダムに並べられており、これらの項目の選択の基準が項目ご とに異なっておりましたので、大変、理解が難しい状況となっておりましたが、この構成 を整理しまして、能力、介助の方法、運動麻痺、それから問題行動等の有無、あるいは頻 度に分類して、項目ごとに何をその項目の選択基準にするかということを明確に示してお ります。  調査の際には、カテゴリーの選択基準が調査項目ごとに異なっているということを理解 していただくということが一番重要なわけです。先ほどちょっと出ておりましたけれども、 これは何を評価する項目だったかなというのを十分理解していないと、調査自体が意味の ないものになってしまいますので、この混乱を防ぐために、幾つかの軸を明らかにして並 べなおしたわけです。おの調査は、この軸について、理解できましたかということをお尋 ねしておりまして、これについては、100%理解している。との回答が得られています。  その調査項目の選択をする際のフローチャートはわかりやすいですかというのは、どう いう場合にできる、できないかを選択するのかというところの基準を明確にしている。そ の基準に合致しないところは特記事項に書くということを徹底しているわけですが、その フローチャートをつくっておりまして、そのフローチャートについて理解できたか、わか りやすかったかということについても92.7%と、非常に高い値を示しています。  ただし、3ページの受講生からの自由記述の回答にありますが、先ほど「指導者には、 一定の研修が必要だろう」というふうに申し上げましたのは、「わかったつもりでも伝える ときは何度も繰り返し説明を要する」ということが回答されています。  これは、今まで、この項目だけは、能力勘案してよいとか、この項目は、してはいけな いとか、というように、いろいろなことを項目ごとに考えないといけないために混乱して しまっているというのがもっとも問題だったと思います。  それで、今回のテキストの改定にあたっては、選択基準を明らかにするということを繰 り返し説明してきましたが、現場の方々は、そもそも、この項目だけ能力勘案できるとい う意識ではなかったようで、この点がかなり曖昧になっていたというのが問題だったと、 「いいえ」と回答した方は書いておられたと思います。  それから、Q3は「認定調査員テキスト2009」の調査項目の選択基準は前回の2006よ りもわかりやすかったかということです。これは、難しいと答えた人が2割程度で、8割 ぐらいはわかりやすい、あるいは同じであると回答されています。  難しいと回答した理由ですが、先ほど田中委員の方からもずっとお話が出ておりました が、買い物ですとか簡単な調理というのは複合的な要因が絡むので、これを状況的にです とか、能力がどうかというふうに判断していくのは非常に難しいということをおっしゃっ ておられるのではないかと思います。難しいと回答した方々は、この「買い物」、「簡単な 調理」について難しいとの回答が多かったようです。  それから、麻痺の項目について黒丸の3つ目のところにありますが、これは下肢筋力が 低下しているため、つえ歩行している人でも動作ができれば「ない」を選択することに違 和感がある。つまり、これまでは筋力の低下とは何かということ、麻痺とは何かというこ とが生理学的な基礎知識も含めてほとんど説明されていなかったようです。単に、足が痛 いからということで、麻痺ありとしていたとの回答もございました、今回は、これについ て検査方法を示して、明確しましたので、これには違和感があるというようなことが書か れておりました。  それからQ4、これは指導者として使いやすいか。これもほぼ一緒でして、大体指導者 としては85%ぐらいは使いやすくなった。ただし、先ほどから出ております買い物、調理 についてはなかなか難しい。これは、やはり定義を相当細かくやったとしても非常に複合 的な内容であるということで、この項目の判定が難しいということはすべての内容に反映 してきているようです。  それから、逆に麻痺の有無ですとか、はっきりした検査方法を示したものについては、 90%以上が同じか、わかりやすくなったと言っている。関節可動域の制限については、若 干低くなっています。  それからQ7で、麻痺と関節制限の有無の調査対象者の実態に合った評価になっている かということについては、その実態というのが今までと大きく異なっているということで、 違和感があるということがこのQ7には示されているようです。  Q8は、「認定調査員テキスト2009」の感想を自由にお書きくださいというので、指導 者の方々の多くは、わかりやすくなったという意見が多かったです。これは、若干、これ までは、調査では何を評価しているのかよくわからなくなっていたというところがあるよ うなんです。それはどういうことかと言いますと、その人の生活を即して、判断すると言 っても、生活の考え方が対象者一人ひとりによって違う。調査員によっても、一人ひとり 違うわけですから、どこの生活に合わせたらいいのかというのがよくわからないというよ うな御質問をたくさん研修中にもいただきました。しかし、今回の調査テキストでは、3 番目の黒丸に書いておりますが、「基準がはっきりしており、調査員独自の判断が少なくな ったことは調査の平準化につながると思われます」という意見が大変多かったです。  下線を引いた部分がございますが、「研修中に見せていただきましたが、確認動作も含め、 ビデオ等を利用し、全国一律の目で見るテキストの配布があればより平準化した調査とな るのではないでしょうか」とございまして、私どもの研修会では、第1回目のときには実 際に確認動作のやり方ですとか、ここがここまでくれば麻痺がありますよとか、寝返りが できていると言えますよということをお示ししまして、それを基にビデオをつくっており ます。これを調査員に見せると、非常にわかりやすいというようなことをおっしゃってお られるということで、こういった研修をどのように広げていく仕組みをつくるかが、これ からの課題と思います。  それから、これは、ある受講生からのご意見ですが、「選択基準が明確であり、また評価 項目の考え方が示されており理解しやすい。しかし、テキストだけでは間違った基準で(個 人の思いこみ)で調査を実施する危険があるため、指導者が正確かつ的確に研修を実施し、 個々の調査員の理解度を確認することが必要である」と書いておられます。  つまり、テキストだけではまだ間違えた基準というのでどうも判定をしてしまう傾向が あるのではないかということを、この研修を受けられた方々はおっしゃっておられるとい うことですので、繰り返しになりますが、より質の高い研修の仕組みをつくっていくこと が大事だと思われます。  それから、この次の次の黒丸については後段、最後の「おわりに」のところでもう一度 引用しますので、後ほど御説明いたします。  今回、都道府県や政令指定都市の認定調査の指導に当たる責任のある立場の者という 方々を受講生としては、募集しております。したがって、彼らは十分この研修に入る前に 相当テキストの読み込みはやってきています。ところが、テキストについての質問、それ から認定テキスト2006についての質問、つまりこの両者のテストをしていますが、平均点 70点前後しか取れていません。ですから、相当熟知しているはずですけれども、それでも 完全ではなかったということのようです。  やはり、私ども研修をする立場から申し上げますと、テキスト自身は理解しやすい内容 であるとの回答が得られていますが、現実としては、すでに、これまでの調査方法がある 意味で調査員のばらつきをかなりの範囲で許してしまっております。この調査に、客観化 と公平性を担保するためには、なるべく同じことを伝えるような研修をやった方がいいと 私どもは考えております。  この9ページの下線部分は、調査員の研修を受けられた指導者の方、お1人の御意見で すが、「今回の調査は、客観視できるものになっており、本来あるべき調査であると思いま す。前回と比べて軽度になっているという感覚があるのは、あまりにも勘案しすぎで主観 的に見すぎていた(日常生活の支障ができるという定義であったため当然そうなる)結果 ではないかと思います。この際、この方式できっちり仕切り直しをする必要があると思い ます。利用者の方にご理解いただくことは大変であると日々感じていることでありますが、 公平公正に行うという意味では、絶対に必要なことと考えます」。  受講後の皆さん方からもこのような意見が多かったのですが、実際に県に帰られて研修 をされてからもこういう御意見をこちらのメーリングリストに出しておられるということ は、現場の方への研修を通して、相当、調査員の質に問題があったのではないかと予想し ております。  以上のことから、私の意見としましては、本検証委員会で是非全国一律の研修システム を構築するということを提案させていただきたいと思います。  いろいろな御意見をおっしゃっておられますが、前のテキスト、今回のテキスト、この 両者を本当に理解して調査をした結果が公で語られているのかということに若干、疑問が あると私自身は思っております。今後は、研修をきちんとしている自治体と、していない 自治体で、何か要介護認定の結果に差があるのかといった仕組みも今後、検討してもいい のではないかと考えております。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  では、引き続き、皆様方のお互いの質問や御意見をお願いします。  どうぞ、本間委員。 ○本間委員 認知症では複合的な認知機能の障害によって日常生活上の支障として現れま す。  買い物をすると言っても、買い物をするという行為を開始する、買い物の仕方とか内容 に関する計画を立てる、そしてそれを有効に遂行するという3段階のステップで行われま す。そういうことをきちんと見極められなければ、結果にばらつきが出るというのは当然 だろうと思います。これは別に買い物だけではなくて、簡単な調理にしても、銀行とか郵 便局の用事を足すとか、それこそ適切な洋服を選んで着るとかということに関しては全く 同様です。  認知症の場合、症状とそれによって引き起こされる普段の生活に対する支障をうまく結 び付けて考えることができない調査員はかなり多いだろうと思います。例えば軽度のアル ツハイマー病であっても、当然服薬管理はできないでしょうし、銀行とか郵便局の用事に も支障をきたします。きちんとした食事を自分で調理して食べるということにも恐らく支 障があるだろうということが予想できます。火の不始末もあるでしょうし、料理の味付け にも支障をきたしやすいからです。認知症の重症度が軽度であるということから、こうい う状況を考えることができるか、できないかは調査員の特記事項に反映されますので、結 果として二次判定のばらつきになります。  それから、先ほど日常生活とか社会生活がどういう場なのかというのが調査員によって 異なるというふうなコメントもございましたけれども、きちんと認知症ケア、認知症の人 たちのことを症状も含めて理解されていれば、多分そういうずれというのはほとんどない だろうと思います。どういう場面が一番その人にとっての生活なのかということに関して の食い違いというのは、恐らくほとんどないだろうと思います。  そういうふうなことを考えると、恐らくどんな一次判定システムといいますか、要介護 認定のシステムをつくっても、だれもが満足できる完全なシステムの作成はきわめて困難 ではないでしょうか。  調査員の教育がまず必要ではないでしょうか。先ほど筒井委員が言われたような、全国 一律の教育システムというのは大賛成です。その中には、是非認知症に関する講義も含め ていただきたい。今でも要支援、要介護認定者の2分の1弱は認知症があるという認識は 大きく間違っていることはないでしょう。このことはやはり主治医意見書の内容に関して も全くそのまま当てはまるだろうと思います。以上です。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。ほかはいかがですか。  どうぞ、池田委員お願いします。 ○池田委員 高浜市の森市長がいらっしゃっているので、お帰りになる前に幾つかお聞き したいと思います。  余り知られていないかもしれないですが、高浜市は要介護5ですとたしか41万2,300円 の支給限度額ですね。つまり、通常であれば36万8,300万円までしか使えませんけれども、 高浜の場合は条例で41万2,300円、つまり4万4,000円、上に積んでいる。こういう形で 地方分権の試金石だとおっしゃいましたけれども、自治体が支給限度額を上げるというの は条例で決めれば幾らでもできるわけで、法律で下げることはできないのですが、上げる ことはできる。  一方、片方で高浜の場合は、住宅改修ネットだとか、食堂レストランなどによる食事の 宅配だとか、余り該当者はいないようですけれども、リバースモーゲージ条例だとか、介 護保険を高くして、それを全体の地域で包むということが非常にうまくできている自治体 だと思うんです。  そういう観点に立ってこの認定の問題を考えると、介護保険は社会福祉じゃなくて社会 保険制度ですから、保険事故というのは非常に重要な概念になるわけですね。保険事故の 厳密な定義というものが行われているから初めて社会保険が成立するわけで、この保険事 故の概念がいい加減であったりでたらめであったりすると大変なことになるということで、 高浜市長は大変紳士的な方ですから余り声を荒げることはないんですが、今の経過措置が この保険事故の概念を壊してしまうというおそれが非常に強い。だから、早くやめてほし いということを森市長は言われていたのかなと、その確認的なことが1つでございます。  それともう一つは、やはりそういうシステムをつくったというのは、介護保険は何で市 町村が保険者なのか。国でもなければ都道府県でもないわけですね。それはなぜかという と、市町村だから介護保険を軸にしてさまざまな自治体施策を組み合わせることによって ケアができるからだということです。その辺の経験に立って、森市長にもうちょっとその 辺を展開していただけるとありがたいなということで御質問させていただきました。 ○田中(滋)座長 では、2点よろしくお願いいたします。 ○森参考人 この保険事故というものは、あくまでもその基準というのは全国一律という のが当然だと思いますけれども、しかし、もう一つ、私どもにとりましてはその運用とい うのは自治事務なんですね。この自治事務はどんなことがあっても、私どもは与えられた せっかくのことですので、それをどのように有効に活用していくか。それが、ある面で私 ども自治体に問われている。それは、ひいては、せっかくの保険制度というものがだれを 対象にしているかというと、広く言えばそこの住民、あるいはサービスを利用される方だ と思っております。  ですから、私どもが実際に提供するサービスとこれが乖離してしまったら、私どもにと ってはそれは大変なことになると思っています。ですから、先ほど来申し上げますように、 自治事務として保険者にゆだねてもらえるところは是非ゆだねていただきたい。  先ほど池田委員の方からいろいろおっしゃっていただきましたけれども、いわゆる保険 制度ですべて私はこの介護の社会化ができるものだと思っていません。だから、どういう ふうにして自治体でそのサービスをいろいろと組み合わせるか。そういう周辺のものをつ くり上げていくか。これによって初めて、ある面では先ほど申しましたインフォーマルも 含めたフォーマルと一体となってやっていくことによってまちづくりができるという視点 ですね。  私は、介護保険制度というのはもちろん介護の社会化ということ、これが大きなことだ ったんですけれども、それ以上に私は介護保険という仕組みを使ってまちづくりができる という視点で取り組んできた。それが一番大きいと思います。  確かに、私どもは恐らく全国で珍しいと思います。いわゆる上乗せ横出しを介護保険の 条例の中に、そしてもう一つ、私どもは介護予防ということまで含めてその条例の中でう たい込んでおります。ですから、ある面では珍しい条例ですけれども、しかし、それは先 ほど来申し上げますように、保険者としてどうしたらこれを自治事務としてやっていくこ とができるかという、その裏返しではないかと思っております。  ただ、いろいろな意味でサービスというものは、例えば私どもが御案内のように、また は先ほど委員がおっしゃっていただきましたように、特に軽度のところに手厚くして重度 化をしないというのが私どもの当初からの考え方でこの仕組みをつくっています。重度化 をすると、後々大変ケアがたくさん、いわゆるサービスの提供量が増えてしまう。こうい うことを少しでも軽度のところで抑えるというか、踏みとどまる。これがやはり大事では ないか。そんなようなことでやっています。  あるいは、横出しも当然そういうふうにして地域で生活できるということを視点に置い てつくり上げてきたということであります。以上です。 ○田中(滋)座長 どうぞ、高見委員。 ○高見委員 経過措置を早く終わらせるべきだという話が出ていますが、私もこれは当然 だと思います。大体、経過措置なんて行政の施策としてはまさに前代未聞というか、びっ くりするような措置ですから。  ただ、経過措置を早く終わらせるためには、この認定の変更をどう解決するかというの が先でありまして、その問題が解決しない限り、経過措置は終わらないというのがこの検 討委員会ができたときからの話です。ですから、やはりいろいろと介護保険は保険である とか、福祉ではないとかという話がありますが、もともと介護を支えるために介護保険と いう制度ができたわけでありますから、この介護保険が本当にその介護をしている者や、 認知症の人や、障害者の人たちに役立つかどうかというところを押さえないと、あまり制 度論でいくと話がややこしくなると思います。  先ほどの筒井委員の報告の中にも、客観視できるものになっているとか、わかりやすく なったとかというふうなお話がありましたが、私はわかりやすくなったということだけで 言うならば、基準が例えば厳しくなってもわかりやすくなったという表現はできると思う んです。ですから、むしろその中身がどうであったかということの議論が必要だと思うん です。  例えば、日常生活の支障があるかどうかという定義であったため、あいまいであったと 言いますけれども、今回の定義は場面や目的から著しく逸脱した行動があるかどうかで選 択する。場面や目的から著しく逸脱したかどうかなどということは、これもまた基準がな いわけです。  わかりやすくなったという意味で言うならば、今まで能力勘案で日常生活の中で支障が あるかどうかというようなことで調査員の判断がかなり重視をされていたところが、そう いう調査員の判断が狭くなったというところがやはり問題だと思います。  今回の問題は、私は介護保険全体の問題とか、社会でどう支えるかという、もちろんこ れは大事ですし、私たちもそう思っています。先ほどお配りしました私たちのアピールで も、最後には、この要介護認定の問題は認定基準だけでなくて、一次判定ソフトの仕組み の問題であるとか、医師の診断書の問題であるとか、認定審査会の在り方の問題であると か、こんなことは全部問題が関係しているということは言っています。  ただ、ここは、基準が変わったことに対してどんな影響があるかということを議論する ための検証・検討会だと思うんです。そういう意味では、余り話を広めて問題の核心から それないような議論が必要ではないかと思います。  そういう意味で言うと、後で厚生労働省からもデータが出ると思いますけれども、今回 の一番の問題は一次判定がどうなったかなんです。一次判定が今までよりも随分軽くなっ たのかどうかということが一番問題であって、二次判定で戻したとか、そのことは今回の 直接の問題ではないと思うんです。一次判定がどうなったかということをやはりよく見る べきであって、一次判定が軽くなったから調査員はたくさん特記事項を書かなければなら ないし、審査会でも時間がかかるしという問題が起こっているわけですから、ポイントを 絞った話し合いにすべきではないかと思います。 ○田中(滋)座長 高見委員が言っていただいたので、データを見てまた少し議論したい と思います。ここで課長から資料12、13、14について、まだこれは最終結果ではないです が、本年4月以降の申請に基づいた一次的な集計の御報告をしていただいた上で、更に議 論を進めていきたいと思います。  森市長はそのままお残りいただいて、どうぞ議論に参加していただきたいと思います。  では、お願いします。 ○鈴木老人保健課長 それでは、御説明をいたします。  まず、資料12をごらんいただきたいと思います。今回、一次集計というふうに申し上げ ていますけれども、今、高見委員の方からいろいろなデータをきちんと見ていくべきだと いう御意見がありました。そのとおりだと思います。  その中で、実は後でもうちょっと詳しく御説明した方がいいのかもしれませんが、4月 の新しいシステムで認定を受けた方、この方は平均処理期間が34日ですから、ほぼ5月に 認定を受けるということです。5月に認定を受けられた方は、6月10日までに国の方にデ ータを市町村から上げてきていただくというシステムになっています。  もちろん10日までに上がってこない場合もありますので、若干それは伸びる場合もある んですけれども、その中には具体的な調査項目がどうであったかとか、一次判定がどうで あったかとか、二次判定がどうであったかというデータは載ってきます。  ただし、今回、経過措置をしていますので、通常上がってくるのは最終的な二次判定と いうことになります。  実は、それだけでは足りないということで、今回それに付加して市町村に調査をお願い しています。例えば、最終的な経過措置適用前のデータはどうであったかとか、特記事項 はどうであったか、主治医意見書はどうであったか等々、もしくは研修はどうされている か。先ほど筒井委員からもありました。  そういうものを付加的に市町村にお願いをして、6月10日以降、順次締切りを設けて上 がってきておりますので、この図で言う緑の項目は今日これから御説明を申し上げますが、 白い項目は次回に説明をさせていただくことにしたいと思います。それが今回と次回、第 一次集計と第二次集計の違いということになります。  資料自体は資料13でございますけれども、その前に3点ほど申し上げたいと思います。  まず、資料14をごらんいただきたいと思います。A3の横長でございまして、これが今 回の新しい項目の74項目の自治体間のばらつきでございます。これについて、青っぽいも のは平成20年で、一部モデル事業でやらざるを得なかった6項目がありますけれども、以 前のばらつきと考えていただければいいと思います。赤い方が平成21年、今回の新しいも ののばらつきということでございまして、樋口委員からも御指摘がありましたけれども、 今回の目的がばらつきをなるべく小さくしていくということであれば、実際に目的をどの 程度達成したのかを見るべきだということを示したものでございます。  全体で74項目ございますけれども、これを統計学的に解析いたしまして有意にばらつき が減りましたのが33項目であります。ごらんいただければ、青っぽいものに比べて赤いも のが有意に小さいものがわかります。  逆に、青っぽいものに比べて赤いものが大きくなってしまったもの、これは本来の意図 とは違うんですけれども、それが9項目あります。ただし、1項目だけは明らかに基準の 変更がありませんので、これは何らかの統計的なばらつきによってなってしまったものだ と思います。  具体的にどういう項目が大きくなったかと言いますと、左の方からいきますと、赤い方 が出ている部分ですが、麻痺の左、右、これは同じように出ています。それから、「起き上 がり」という項目です。それから、ずっと飛びまして「立ち上がり」というものです。そ れから、「作話」です。それから、右に行きまして「外出して戻れない」、「物や衣類を壊す」、 「中心静脈栄養」、「レスピレーター」、以上の9項目が全体としてはばらつきが多くなって います。  ここの部分は、実は先ほど来、我々の方で例えばパブリックコメントなり、認定アット マークに寄せられた意見、それから先生方からヒアリング等で御指摘をいただいたさまざ まな項目についての意見とかなりの程度、実はばらつきが大きくなってしまった項目とい うのが重なっております。恐らく、これは調査員の方が丸を付けられるときに、ある程度 悩まれたりするような項目ということであろうと思いますので、高見委員がおっしゃった 実際の調査の項目についてどうしていくのか考える際に、これは1つの判断基準になり得 ると思います。  それから、参考資料の1です。これは池田委員もよく使っておられる図で、横長A4で す。これは、要介護度ごとに給付の単位、どの程度給付を受けておられるかということが 書いてございます。それぞれ下の方から上の方まで線が伸びています。平均的には先ほど 石田委員からありましたけれども4割程度、もしくは4割、5割程度の使用だということ です。  本当であれば要介護2なり、3なり、4なりで、もうちょっと真ん中のところでなだら かな部分があって、それぞれが一定程度差があるというのが、本来要介護度と介護の給付 を受けるべき介護の手間というのがある程度つり合っているのであればそういうことにな ろうかということでございますので、今回の1つの目的は、例えば要介護2でも上の方の 群の方については上にいっていただいて、逆に下の群の方については下にいっていただい て、それぞれ上下からきてというような目的があるかと思います。  それから、参考資料の2でございます。これは、先ほど一次判定が大事だということが 高見委員からございましたけれども、モデル事業と研究事業というのがございます。モデ ル事業で検証した場合、これは項目数の増減、それからデータ更新、審査会資料の改定を 見たものですけれども、これは見方にもよりますが、一次判定、二次判定とも重度になる 場合と軽度になる場合が余り差がないというようなことがあろうかと思います。  逆に右側の研究事業、これは先ほど来御議論いただいている、どこに丸を付けるかとい うような調査員のテキストの話ですけれども、これは逆に一次判定は軽度になっているが、 特記事項を書いていただいて、それが審査会で重度変更ということになって、逆に二次判 定では戻しているという姿です。実際に今回の4月からの認定というのは、この2つがあ る意味で言うと合わさった形になっている。  ここまでをある程度念頭に置いていただいて、資料を御説明させていただきたいと思い ます。資料13でございます。  資料13の、まず4ページをごらんください。今回、各年、大体5年間のデータを見まし たけれども、いずれも4月に申請を受けて4月または5月に判定を受けたもの、もしくは 5月に申請を行って5月に判定を受けたものということで、4月以降の申請で5月に判定 を受けたというのを各年で拾っております。したがって、対象についてはもちろん一人ひ とりが同じわけではないですけれども、ほぼ同じような群を対象にしているということで、 今回集まってきたのは1492自治体、23万6,000件強のデータでございます。  データの中身を申し上げます。まず、5ページ以降は一次判定の結果でございます。先 ほど申し上げたように、一次判定についてはある程度軽度化するということが織り込み済 みということでございますが、全体の図が6でございます。  通常は、非該当は別として、要支援1、2、要介護1ぐらいを軽度、それから2、3を 中度、4、5を重度ということで呼んでおりますけれども、もちろん各年によっていろい ろ動きがありますが、中重度のところは一次判定で大きな動きがないように観察しており ます。逆に軽度、特に非該当も含めて、そこのところが少し増えているというところが全 体として言えるのではないかと思います。  それを在宅と施設に分けてみたのが7、8ページでございます。在宅の場合に、特にや はり軽度、特に非該当が増えているということが言えると思いますが、上の方は余り大き な違いはないように思います。逆に施設ですと、重い方が若干増えているという感じでご ざいましょうか。中度は余り変わらない。けれども、若干増えているかもしれませんが、 全体としては在宅ほどではないということだと思います。  次に、申請の種類に分けてみたのが9、10、11ページでございます。それまで介護保険 を利用しておらずに新規に申請をされた方が9ページで、これはやはり非該当の方が増え ているということです。新規の方はやはり軽い方が多いということから、ある程度はそう いう結果になっているかもしれませんが、中度、重度の部分については余り大きな違いは ないように見受けられます。  区分変更申請が10ページでございますが、これはほとんど違いがないというよりも、む しろ重度のところは増えているというような形ではないかと思います。  更新申請、これも中度、重度には余り影響はなく、やはり軽度のところが非該当も含め て増えているということではないかと思います。  次に、今までは一次でしたけれども、二次判定結果の分析です。これは、もう一回申し 上げますが、経過措置適用後ですから、適用前については次回分析をさせていただきます が、これは全体が13ページです。それから、在宅が14ページです。それから、施設15ペ ージです。この3つを見ても、いずれも今までと大きな違いがないということになってい るかと思います。  それから、申請別に見ますと16、17、18というところで、新規については非該当が増え ていますけれども、中重度については余り違わない。むしろ、重度の方が少し増えている かもしれません。  それから、区分変更申請も若干重度が増えている傾向にあろうかと思います。  更新申請も、中重度を合わせると若干増えているということではないかと思います。  次に、二次判定で一次判定からどう変わったかということが19ページ以降でございます。 これは全体、それから在宅、施設ということで、居所単位で見たものが20、21、22ページ でございますけれども、在宅の方を中心にやはり重くなる方が増えて、軽くなる方が減っ ております。施設の場合は、ほぼ変わらない。若干、軽くなる方が増えているということ があろうかと思います。  それから新規申請、区分変更申請、更新申請という申請の種類ごとに見たのが23、24、 25ページでございますが、新規や区分変更は変わらないという方が増えているわけですけ れども、更新申請の場合には重くなった方が増えているということで、これは経過措置の 影響があろうかと思います。  それから、申請された方が今までの一次判定、もしくは今までの二次判定と今回の一次、 二次でどう違っているかというのを見たのが26ページ以降でございます。  27ページですけれども、これは前回の一次判定、今回の一次判定を比較したものでござ います。全体としては、一次判定が若干軽度に出るということを織り込み済みな全体の図 になっておりますけれども、在宅と施設を見ますと、在宅の方にその傾向がやや強い。施 設はむしろ一次判定から重くなっている方が多いということになろうと思います。  前回の二次判定と今回の二次判定を見ますと、在宅も施設もほぼ前回と軽くなる方は変 わらないけれども、若干施設の方は重くなる方が増えているというような形になろうかと 思います。  それから、先ほど高見委員の方から認知症の高齢者の自立度の話がありましたが、自立 度から見たものが30ページ以降でございます。これは、今の一次・一次、 それから二次・ 二次を認知症の自立度が自立化1、これは基本的には認知症がないタイプと思います。2 以上というのは認知症がある方ということですけれども、それを分けてみたものでござい ます。  これは3本グラフがありますが、全体、自立か自立度が1か、それから自立度2という ことですけれども、一次・一次で見ても、認知症が2以上の方については一次で見ても明 らかに重くなる方が多いというのが一次判定でございます。  それから、二次と二次の比較で見たものですけれども、ここでももともと重くなる方が 多いんですが、その傾向は特に認知症のある場合に顕著であるということではないかと思 います。  最後に、各要介護度別に二次判定で一次判定からどう変わったか、ちょっと切り方を変 えてみたものが33ページ目以降でございます。この最初のページは非該当のもので、これ は非該当ですから軽度変更というのはないわけですけれども、重度変更になる場合が多い。 それから、次の要支援1でも同じようなことでございます。  35ページは若干へこんだように見えますけれども、これは要介護1相当で、要支援2と 要介護1を分けて今、掲示しておりますから、これは同様に混ぜて掲示すると前回とほぼ 似たような傾向になるということでございます。  36ページが要介護2、以下3、4,5ということになっております。  一応、データの御説明は以上でございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  では、今のデータの説明と、その以前のヒアリング合わせて御意見や御質問を続けてい ただきましょう。お願いします。 ○結城委員 更新者で経過措置適用前の方がまだ出ていないので何とも言い難いとは思う んですけれども、新規申請者の非該当の方が若干二次判定で多いということは少し気にな るところだと思います。それで、今回は余り検証できないということなので、27、28のと ころでデータの出し方だけ私から御質問させていただきたいと思います。  更新申請時の介護度、前回の二次判定と今回の一次判定の比較が余りされていないよう に見受けられますが、その更新申請時の介護度が今回一次判定でどうなったのか。それで、 二次判定はどうなったのかという数字はなかなか難しいのかどうか。その点を御質問させ ていただきたいと思います。 ○鈴木老人保健課長 御質問をちゃんと理解しているかどうかあれですが、更新申請のと きに申請されたときの要介護度、これは二次判定後ですね。これと、更新申請の一次判定 を比較したものがあるかどうかという御質問かもしれません。  もしそれであると、2つの点があると思います。1つは、そこから何がわかるか、何が 分析できるかということですけれども、通常は一次判定から二次判定までは平均的に20% 以上重度変更されますので、二次判定と一次判定を直に比較してもなかなか難しい面があ る。  それからもう一つは、一次判定と一次判定の比較を既に出していますけれども、これで もやはり今回新しい方式が若干軽くなるという部分がありますので、そこをどう評価する かというのも難しいところがあると思いますが、更に大きいのは、今回はたまたま新しい データ集めのやり方ですと、前回の判定の一次判定も一緒に上げていただこうと思ってい ますけれども、今まではそれを認定支援ネットワークと言いますけれども、それで上げて いただくことになっていませんでした。  もしそれを例えば5年にわたって市町村にお願いするということになると、全部個別に 繰っていただかなければいけないということになってしまいますと相当手間になってしま うということで、1つは優先度の問題と、それから実際の現実性という問題から、今回は こういう一次・一次の比較をさせていただいたということでございます。 ○結城委員 過去5年分がもし無理であれば、例えば今年だけとかですね。  すみません。私は、現場感覚で言うと、更新申請の人が更新を出しました。それが果た して一次でどうなって、多分、今、持っている介護度が一次でどうなるかは、わからない と思うのですが、それで二次でどうなったのかで判断するんですが、今回、一次と二次の ところの重軽度変更率などで見るときに、もしそういうデータが出せるのであればそうい うものも少し参考にはなるかと私は考えたんです。  前回の二次判定と今回の一次判定がどう変わって、それで今回の一次判定と今回の二次 判定はこれで出ているんですけれども、その点がもし技術的に無理というのであれば、そ れはそれで仕方ないと思うんですが、その辺はどうでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 数字だけであれば、単年であれば出せないことはないかもしれませ ん。ちょっと検討させていただいて、次回以降にと思います。  ただ、正確に御趣旨を理解しているかどうかはあれですが、個人の方が個人の観点で御 自分の一次判定がどうであったかというのを知る。これは先ほどどなたかからもありまし たけれども、大事な面があると思いますが、それはマクロで国全体としてどうだったかと いうことを単年で知るということが今回の全体の検討の中でどういう意味があるかという のは、やはりよく考えないといけないと思います。 ○田中(滋)座長 では対馬委員、それから池田委員の順でお願いします。 ○対馬委員 調査項目の自治体間のばらつきの問題で資料の14ですけれども、今回見直し をされたということもいろいろな問題意識はあったんでしょうが、1つは当然ながら必要 な人に必要な認定をして給付を行う。必要なというか、適正な認定をして適正な給付を行 うということでしょうから、ばらつきというのは恐らく基本的には少なければ少ないほど いいんだろうと思うんですけれども、先ほどの説明がちょっとよくわからなかったんです が、麻痺とかの9項目ですか。この辺りは、そういう意図でもって一生懸命やったんだけ れども、結果的にはうまくいかなかったと、こういう理解になるんでしょうか。  それとも、これはある意味、調査員の付け方の問題だからやむを得ないと思うんでしょ うか。その辺りがよくわからなかったんですが、この辺りについて後ほどデータなり説明 なりあるんですか。それとも、これはこれで一応おしまいとなるんでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 こういうふうな形で、今までのばらつきよりもばらつきが大きくな ってしまった理由ですけれども、理論的には2つ考えられると思います。  1つは、今回の基準の変更自体が間違っていて、その結果、逆に意図とは別に大きくな ってしまったという可能性。それからもう一つは、先ほど筒井委員からもありましたけれ ども、今回の基準の変更の意図が、テキストの記載ぶりの問題なのか、研修の問題なのか、 何の問題なのかは別の問題として、きちんと現場の調査員の方に伝わらなかった、徹底で きなかったという可能性だと思います。  あとは、まさにこの場の御議論と関係すると思いますけれども、今までよりも意図と違 ってばらつきが大きくなってしまっている状態をこのまま放置するわけにはなかなかいか ないと思いますので、やり方はまさに御議論次第だと思いますけれども、1つは研修でも う少しこのばらつきが減るかどうかを見てみるというやり方も1つかもしれませんし、基 準自体をもう少し皆さんがわかりやすい、誤解の少ない形にしていくという考え方もある かもしれません。  それは、今日まさに御議論をいただいた上で、次回までに我々の方でこういうデータを やれということであれば、物理的な問題はあるかもしれませんが、そのデータについてで きる限りやらせていただいて、また検討の用に供したいと思っております。 ○対馬委員 そうですね、理由としては、可能性としてはそうですけれども、調査員に徹 底できなかったんだという答えが出るとすると、対応策の1つとして先ほどお話もありま したけれども、きちんとした教育をやっていくんだというのが1つの答えになってきます ので、そこのところの分析をもうちょっとやっていただければありがたいと思います。 ○田中(滋)座長 大変本質的な問題をありがとうございました。  池田委員、どうぞ。 ○池田委員 大きく2つのことで発言させていただきたいと思います。  全体としてこの委員会で改定の結果、要介護認定が余り変わってないからいいじゃない かというイメージで何となく落ち着きそうな感じがするんですが、私は疑問があります。 それは、サービスを利用していらっしゃる方に大きな変化が起きないから混乱が避けられ たという意味では理解できます。  しかし、前と同じでよかったというのは、前が正しかったということが前提になってい るわけです。しかし、前が正しかったなどという証明はどこにもないわけです。  先ほど結城委員の方から、過去のデータと検証するということが言われました。それに は私も大賛成なんですけれども、平成12年からやってほしい。実は私、平成12年度から 毎年度、高齢者人口に占める各要介護度認定者、つまり要介護度別認定率ですね。これを 全部、追いかけてずっと調べています。このデータ、グラフを出させていただいても結構 ですけれども、明らかに変なことが起きております。  たとえば、あることが生じた結果、重度化が急速に進むということが起きています。し かも、これは2回起きております。ということは、認定のばらつき及び、実は認定の恣意 性みたいなものが明らかに見られる。  そうすると、今回の改定はそういったばらつきや恣意性というものを排除するというこ とであれば、認定率が変わってくるのは当たり前なんです。その当たり前であるというこ とを納得するためには、平成12年度からずっと追いかけてみればその動きがわかるはずな ので、それを検証する必要があるんじゃないかという気がいたします。  簡単に申し上げますと2つあるんですけれども、平成17年度末から平成18年度末にか けて中重度の悪化率が急に上がっております。何で上がるんでしょうか。別にスペイン風 邪がはやったわけでもありませんし、後期高齢者がいきなり増えたわけでもない。普通、 こんなふうに悪化率がぽんと跳ね上がることはあり得ないはずなんです。跳ね上がってい る事由というのは1つしか考えられないんです。  それは、介護報酬が変わったからです。介護報酬で減算になった分、要介護度を上げれ ば収入は取り返せるというふうにしか読めないデータがあるわけです。そういったことを 踏まえた上で、要介護度改定の意味を議論しないと、前と変わらなかったからよかったね で終わる問題ではない。それが1点、私の意見であります。  もう一つ、コメントを付け加えさせていただきたいのは、参考資料の1でございます。 これは、私は毎年つくっておりまして、これは直近のデータですので大変助かるんですけ れども、私が一番重要なのはここだと思うんです。つまり、サービスがどのように利用さ れているかということが一番重要なわけです。  先ほど高見委員が、入り口の認定が一番大事だとおっしゃいました。とびらが閉められ て中に入れないというのは大変ですが、それについては不服申立ても再申請もできるとい う形で開けばいい。問題は、認定されてからどのようにサービスが提供されているかとい うことが一番問題なわけであって、そこを検証しなければいけないだろう。  そこで参考資料の1を見ていただきますと、これはわかりにくいかもしれませんが、縦 棒が一人ひとりが使っていらっしゃる在宅サービスの単位数です。  この図には実は私は不満がありまして、2つ足りないんです。1つは、支給限度額の折 れ線を引いていただくとわかりやすいということと、さらにその支給限度額の折れ線を要 介護度1分、前に押し進めてください。そうすると、そこから上にはみ出るのが、要介護 度が1つ下がったときに被害を受ける方たちなんです。どれだけいるかということが一目 瞭然になります。  もう一つは、実はこのグラフは厳密に言うと正しくありません。なぜかと言うと、利用 単位数ゼロの人が入っていないんです。利用単位数ゼロの人、つまり認定は受けているけ れども実際にサービスを使っていない人、これがどのぐらいいるかというと、要支援レベ ルで平成14年度からずっと私は調べていますけれども、大体36%は使っておりません。 だから、実はここにタテ棒のない空白がずっと横に出るんです。使っていない人がいる。 要介護1ぐらいで大体20%の人は使っておりません。ですから、そこは白い何もないとこ ろになる。そうした方が、全体が見渡しやすいということです。  そうすると、実はこのグラフは大変なことを意味しておりまして、さっき鈴木課長もお っしゃったように、要介護1以上は階段の踊り場がないんです。つまり、まとまりが全く 見られないということです。要支援1と要支援2はある程度まとまりが見られますが、こ れはサービスが包括払いになったからです。  ということは、要介護1、2、3、4、5というのは皆、同じ形をしていて、使ってい る金額がゼロ円から支給限度額、ほぼ皆、均等に分布しているということです。要介護度 というのは、介護の手間がかかるところで判定しています。したがって、要介護3ならば 3であれば、標準的にどれくらいのサービスが必要かということでまとまるはずなんです。  それで、この白い部分、つまり提供されていない部分は家族がやっているという話があ って、私はそれを信じたかったんですけれども、実はこれは筒井委員の方でかなり克明な 調査があって、家族の介護料と介護サービスの利用量とは全く相関関係がないということ が知られております。そうすると、要介護3、4、5と、この白い部分というのはネグレ クトの可能性が非常に強いとも考えられるわけです。  考えてみれば、人間1日3回御飯を食べなくても生きていけるんです。おむつは随時取 り替えなくても、1日2回か3回取り替えれば済むかもしれない。そんな状況が横行して いるんじゃないかと、私はここに危機感を持たなければいけないと思います。  もう一つ、これは本当にお願いなんですけれども、ここの認定された人の半分は認知症 自立度は2以上ですね。そのバランスはどうなっているんだろうか。それを出すともっと 恐ろしい結果が出るかもしれない。つまり、認知症が認定された人にサービスが行ってい ないとすれば、これは大変なことになるわけだし、実はこれは本間先生にもお聞きしたい んですけれども、現実の介護保険のサービスの中で認知症に本当に役に立っているサービ スというのは一体何だろう。  確かに、グループホームは役に立っている、短期入所も、デイも役に立ってかもしれな い。でも、それは家族の役に立っているのであって、本人の役に立っているんだろうか。 訪問系のサービスはどこまで認知症の人に役に立っているのか。その辺が検証されないで、 認知症にサービスがいっていない、きていない、あるいは使えないと言っても、これは無 意味なんです。使えるサービスをつくらなければいけないということです。  認定の技術的な問題から逸脱した一般論をするなと言われるかもしれませんけれども、 実はそこが一番重要なのです。もう一つ、そういった一番重要なことが解決されていない ということはある意味で非常に皮肉なことなんですけれども、要介護認定システムを助け ているんです。こんな利用の仕方だったら、認定が変わったところで何のそごも起きない んです。  だから、こういった状況であるうちに認定システムというのをいかに精緻化していくか。 そういった意味で時間はあるんだけれども、その時間はサービスを提供するという面から いってなるべく短くしなければいけない。  私は、そういう観点でこの問題というのは議論していただきたい。これは、意見でござ います。 ○田中(滋)座長 石田委員、お願いします。 ○石田委員 私は保険者の立場から、この要介護認定の見直しの結果、認定調査員や認定 審査員のレベルを上げるということだけに向かって、また自治体の保険者の認定事務の精 緻化のみを高めるということが問題解決にはならないんだろうと思います。  私の資料もそうですし、また、今の池田委員から御指摘の資料を見ても、利用限度額に 対する割合を見れば5割程度ということは一目瞭然でありまして、更に認定の精度をこれ 以上高めても、ある意味では本質的な問題解決にはなりにくい。  私の考えは、むしろ10年も制度がたっているわけですから、この際、簡素化、わかりや すいものに向かうのが本来の在り方ではないかと思います。そういった意味で、ケアプラ ンの質の向上とか、サービスの充足度とか、もっと幅広に問題解決の方向性を見出すとい うことが非常に重要であって、一点集中、結果的において自治体負担を増すということに ついては賛成できないと思います。 ○木村委員 池田委員がおっしゃった参考資料1の件で、要介護1から5のところが斜め 線というか、階段になっていくのは、やはり自己負担額の問題というのがすごく大きいと 思うんです。さっき田中委員がおっしゃいましたけれども、それと平成12年辺りのときは 標準サービスケアプランのようなものが示されて、週何回、要介護1の人だったらこれぐ らいと、いわゆるパッケージ的に示された時期があったんですけれども、今はやはり状態 像が要介護1の中でも家族構成にしても何にしてもさまざまですね。  その中で、こういうふうに契約で利用者と家族、またはケアマネジャーと話し合いをし てこういう形になっていくのは、まさに包括払いでない限り、常に階段になるのは当たり 前だと私は思うんです。  そこで必要なサービスが入っていないじゃないかというのは、それはもう一回検証しな ければいけないと思うんですけれども、そういうふうに私は自己負担額というのは結構大 きいんじゃないかと思います。 ○池田委員 この参考資料1のグラフは、私もつくっていろいろと考えることがありまし て、いろいろと関連して調べてみました。  まず、自己負担の問題です。これは、介護保険が始まってから2年目ぐらいに、かなり たくさんの自治体や団体が利用者のアンケート調査、住民のアンケート調査をしておりま す。私は200ぐらいの自治体、団体を調べて集計してみたんですけれども、200全部をや っているわけではないですが、基本的に1割自己負担について抵抗感がある、つまり、高 いと感じられる方は2割いらっしゃいました。  それで、次に自己負担があるから支給限度額を目いっぱい使わないというふうにお答え になった方が、たしか8%ぐらいいらっしゃいました。それで、1割自己負担が払えない からサービスを減らしているとか、サービスを使っていないというのは、わずか3%でし た。  したがって、自己負担の問題というのがあるということは間違いないんですけれども、 割合的にいけば小さい問題であって、何でこんなに使わないのかという理由はもっとほか に考えてみる必要があると思うんですね。  それから、今、木村委員から包括払いというお話がありましたが、包括払いは私は賛成 でございます。やはり包括払いに向かっていくべきだと思います。  でも、包括払いにしなければこれは当たり前だとおっしゃったけれども、実はそれはそ うではないんですね。なぜかというと、これもデータで実証できるんですが、地域ケア政 策ネットワークというところで、すべての保険者で国保連のデータシートを読むことによ ってこのグラフを保険者ごとにつくれる仕組みをつくりました。それを見ると、自治体に よって明らかに違います。  例えば、東京でいけば、M市というところは非常にケアマネジメントについて積極的に 取り組んでいろいろな蓄積があります。明らかに要介護度4と5、重度のところはまとま りが見られております。埼玉県のW市も、やはり同じ傾向が見られます。全然まとまりが 見られない自治体もいっぱいある。これは、実は保険者がケアマネジメントに対してどれ ほど考えているかということが1つあるということで、必ずしも皆こういうふうになるわ けではありません。  更に、私は事業者ごとに見られる仕組みもつくってもらいました。事業者ごとに見ると、 もっとはっきりします。つまり、明らかにまとまりを示している事業者がある一方、要介 護4、5が、3、4よりも利用量が少ないというのがざらに見られるわけです。これは、 要するにケアマネジメント、ケアプランの作成が標準化されていないところに最大の原因 があると思いますし、もう一つはやはり家族が家族介護の補完サービスというふうに在宅 サービスをとらえているということです。  それはなぜかというと、ちゃんと使えるサービスがないからです。そこのところを解決 しないと、実は認知症も重くなったら皆、施設という悲劇になりかねないので、やはり10 年先を考えた場合、その問題をどうするかということ、これが認定という始まりからサー ビスの利用に至る一連のプロセス、それそのものを見直すといいますか、考えなければい けない。そういうふうに私は考えるべきだと思います。 ○田中(滋)座長 三上委員、どうぞ。 ○三上委員 この検討会は、今回の新しいロジックがどうかということをまず早く検討し て、評判の悪い経過措置を早くやめるということが問題なので、その点についていいます と、基本的に従来の判定の方がよかったかどうかということはわからないと思うんですが、 一次判定ロジックが正しいかどうかというのは、恐らく二次判定の変更の比率が低ければ 低いほど、二次判定というのは主治医意見書であるとか、あるいは調査員がその利用者の 方それぞれの事情を勘案して細かく書いておられるので、それが正しいとして、二次判定 への変更率が少ないものがいいんだというふうに考えるべきではないか。  そうなりますと、資料13で言いますと19ページ以降の「二次判定での一次判定結果の 変更割合の比較」で見るのが一番正しいんじゃないかと思いますので、これで見ますと結 局は2009年の4月、5月の判定については一致率が減っておりまして変更率が多くなって おりますので、重度変更が全体としては増えているということは一次判定では軽度ぎみに なるんだろうと思います。  それで、今回の判定の方がばらつきが少なくなったということであっても、全体的に軽 度になってばらつきが少ないということであれば、それは本当にいいかどうかはちょっと よくわからないと思います。  それから、資料14の21年度の部分で9項目についてばらつきが大きくなったというこ とですが、これはモデル事業と研究事業を2つ合わせたのが21年度のれんが色の棒グラフ ということでいいんでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 はい。 ○三上委員 ということは、研究事業の部分が十分検討されていなくて、モデル事業とい うのは特記事項のいわゆるアナログデータは関係ない部分のことですね。このブルーの棒 グラフですが。  21年度の部分というのは、研究事業と合わせたいわゆる特記事項を詳しく書くというよ うな書き方をいろいろ変えた部分なので、その部分でばらつきが大きくなったと考えてい いのかなと思うんですけれども、それでよろしいですか。 ○田中(滋)座長 ブルーと赤の違いについて、もう一度説明していただけますか。 ○鈴木老人保健課長 これは、全体で74項目ありますけれども、以前のモデルと共通して いるのは68項目しかないので、残りの6項目を何と比較するかということになると、モデ ル事業と比較するしかないということですので、比較の相手が赤とモデル事業になってい るのが6項目についてはある。  それ以外の68項目については色が濃い青ですけれども、以前のものがありますから、そ れと比較しているということでございます。 ○田中(滋)座長 認定の問題点についてまとめていただいてありがとうございました。  それでは、結城委員どうぞ。 ○結城委員 先ほどの単年度のデータの件ですけれども、個人的な理由ともう一つ、更新 の人の場合は申請時の介護度を持っていますので、これはマニュアルにも書いてあるので すが、審査員がジャッジをするときに前に持っている介護度を参考にしてはいけないわけ です。ただ、もし前回の申請時の介護度と一次の介護度と、そのときに審査員の人たちが、 どうも私がヒアリングをしていると、申請時の介護度も気にして少し見ながら審査をして いるという声がやはりあるんです。その意味で、私はもし単年度でも出せるのであればと いう意味で言ったんですけれども、いかがでしょうか。 ○鈴木老人保健課長 データは先ほど申し上げたように物理的に可能であれば出したいと 思いますが、まず1つは今まさに結城委員がおっしゃったように、前回の要介護度を参考 に要介護判定をしてはいけないというルールになっていますから、それは原則的にはして はいけないということですけれども、自治体によって前回の要介護度そのものは出ている と思いますけれども、前回の一次判定の結果が出ているかどうか、ちょっと調べないとわ かりません。 ○結城委員 できる範囲でお願いします。 ○田中(滋)座長 委員はいろいろな要求を出しても、できるものはとしか答えようがな いと思いますので。  では、三上委員、どうぞ。 ○三上委員 先ほど、池田委員が言われた認定の恣意性というか、ばらつきに関すること をちょっとお伺いしたいと思います。  これは、要介護認定といわゆる必要なサービスとの兼ね合いと介護報酬で基本的に恣意 性がある、ばらついているということは、利用者にとっていいようにばらつかされたとい うか、恣意的に変えられた、重度変更されたとおっしゃったというふうに理解してよろし いですか。 ○田中(滋)座長 池田委員、お願いします。 ○池田委員 介護報酬と重度化の問題は、実は厚生省の統計情報部が毎年介護給付費実態 調査というものを出しています。毎月、例月報告をやって年度報告もやっているんですけ れども、そのデータを見ていただくとわかりやすいのですが、1年間継続して介護サービ スを使った人が1年後に要介護度がどう変化したかという全数が出ているんです。それで、 当然改善された人もいるし、一番多いのは維持された人、それから悪化した人というのが あるわけですが、それの変化を追いかけてみますとそうしか読めない。  平成15年のところでぽんと要介護度はそれぞれ上がっているのですが、これは認定シス テムが変更されて、認知症自立度が比較的認定に加味されて重くなるようになっているか ら、それは当たり前でしょう。そこから悪化率は下がり始めているのですが、18年度に ぽんと上がるんです。異常な上がり方をしているんです。だから、さっき言った介護報酬 との関連で見ると、その悪化度の変化が著しいという奇妙な問題があるということが1点 ありました。  もう一点は何かというと、実は要介護1が要支援1、2、要介護1に分かれたときがあ りますね。あのときも非常に奇妙な変化を起こしておりまして、要介護2、3、4、5の 認定率が上がっているんです。ということは、要介護1から2辺りのところは、俗語を使 うと明らかに蹴上げられている傾向が見られるということなんです。  これは、介護報酬とは関係ありません。認定システムが要支援1、2、要介護1という ふうに分けられた。その結果として起きた問題だったわけです。  これはどうして起きるかというと、一番考えられるのは、直営で調査員をやっていると ころは余りないと思うんです。これはデータを調べておりません。ただ、例えば施設で施 設のケアマネジャーが訪問調査等をやっていたりすると、これは非常にやりやすいという ことがあって、そこのところは私はそうだというふうに断定するつもりは全くありません けれども、検証する必要はあると思っております。  それから、さっき三上先生がおっしゃった、ばらつきが少なければ少ないほどそういっ た意味ではいいということですが、それは私は賛成なんです。ただ、今回のこれは経過措 置適用後の数字ですね。二次判定の変更ですね。経過措置でものすごくそこのところはバ イアスがかかっているということが一つあるから、次に出てくるデータはそれが見えると 思うのですが、もう一つはどうも要介護認定審査会の人たちが、これは世間智と言うべき なんでしょうね。利用者のことを考えて、大きな変化というものを避けるために現状のサ ービス利用に合わせたような形で認定にある程度ゆとりを持たせて見ている。その可能性 もあるので、今回のばらつきの大きさが果たしてどうなのかという問題は、もうちょっと 時間をかけて見る必要があるような気がします。 ○田中(滋)座長 時間の都合で、あと1人か2人になるかと思いますが、いかがでしょ うか。  では、筒井委員どうぞ。 ○筒井委員 資料14のばらつきの標準偏差を比較したという計算式が書かれていないの で、どういう計算式を使われたのか、簡単に説明していただきたいと思います。それによ ってはちょっとコメントができるかもしれないということです。  それから、2つ目は要介護認定というのはプロセスとして理解する部分と、結果として 理解する部分と2つあります。要介護認定というのは、要介護認定調査があって、それの データを入力した一次判定というプロセスがあって、このすべてのデータに主治医の意見 書と、特記事項と、概況調査を入れて二次判定ということで、二次判定というのを結果と して要介護認定と言っているんです。  ですから、要介護認定の検証と言ったときに、この一次判定にと言われると、一次判定 をどうこうという話ではないんじゃないか。要介護認定と言った場合には調査、それから 一次判定、二次判定、そのすべてをプロセスとしての要介護認定と定義すべきで、次の段 階として二次判定、すなわち要介護認定を議論するということになるんだと思います。  それで、今回基準が厳しくなったということをおっしゃられることが多いのですが、こ れは私は調査員の判断が狭くなったということとイコールだと、厳しくなったということ と調査員の判断が狭くなったというのはイコールではないと思うんですけれども、そうい うふうにとらえられるとすれば、調査員というのが持ってきたデータを判断するのが専門 家が二次判定をする専門家委員会と言うべきところで、一次判定というのはエキスパート システムとしての役割を持っているというふうに考えていただいた方がいいと思うんです。  ですから、一次判定と二次判定の変更率が少ない方がいいかと言われると、その人自身 の特性というか、個性というものを反映するのは二次判定で、個別の状況を反映するのは 二次判定ですから、必ずしもそうではないのではないかと私自身は考えています。  それで、一次判定がより公平性ということと、それから調査員についてのばらつきをな くすというためには、今このばらつきの標準偏差を比較しておられるようですけれども、 自治体間で、例えば本当にちゃんと研修をやったかどうかとか、テキストをきちんと理解 しているかどうかということも大きく今回は影響すると思うんです。  前回のままの基準では、問題があるといっておられる自治体もあるようだということが、 今回メーリングリストの調査からはわかりましたので、この選択率を、どのように解釈す るかというのはちょっと慎重にさせてもらった方がいいのではないかと思います。 ○田中(滋)座長 最初の質問については次回までに、数式を今ここで述べられてもすぐ 理解するのは難しいかと思いますので。  それでは高見委員、最後に高橋委員で終わりにしましょう。 ○高見委員 度々すみません。やはり、要介護認定の大切さですけれども、家族にしてみ るとうちで介護をしているおじいちゃんが要介護度4ならば4で、そういうふうに認定さ れることが、自分は本当に大変な人を介護しているんだと、こういう家族に対する一つの 評価になるんです。そういう面もあるんです。  その問題と、それから使う量の問題ですけれども、これもどこまで使えるか。三十何万 まで使えるというものがあるけれども、今はこれだけでいける。しかし、この後、まだ使 えるんだという余裕の気持ちも大切なんです。だから、必ずこの階段があるからこういう 分布がよくないということではなくて、それはやはり要介護認定という制度そのものが今 あるわけですから、要介護認定が必要か、必要でないかという議論はあると思うんです。  私も、要介護認定というのは本来なくて、自由に必要なサービスを利用できる制度の方 がいいだろうと思いますけれども、今は要介護認定があってその議論をしているわけです から必要だと思うし、こういう階段があってもそれは当然だと思うし、そのことは何ら問 題ではないと思います。  それから、資料14でばらつきの問題ですけれども、ばらつきというのは、つまりその解 釈がまちまちということでばらつきが出るわけですね。だから、解釈がまちまちというの は、ここに出ているのは家族の会がいわゆる軽度化指向として指摘した項目が多いんです。 そこのところで調査員の方が随分迷っているということだと思うんです。  では、そのばらつきが少ないからそれでいいのかというと、必ずしもそうは言えないと 思うんです。つまり、今までよりも認定の選択肢、その条件が厳しくなってばらつきが少 なくなったということもありますから、やはり中身そのものを検討しないとばらつきの多 い、少ないだけでは単純には判断できないと思います。  それから、軽度になった、重度になった。これは私は前回も言いましたけれども、軽度 になったのが20%、重度になったのが20%、とんとんだから問題でないという話にはなら ないと思うんです。軽度になっても、軽度になったことによって家族や本人にどんなよう な不便が起きているか。実際はこういうところを調べないと、数字だけではわからないと 思うんです。  ただ、数字だけではわかりませんけれども、もちろん実際に状態が軽くなって認定度が 軽くなる人もあれば、状態が重くなって認定度が重くなるという人も当然あります。しか し、そういうものがあったとしても、今までと比べて余りにも軽くなるのが多い。そうい うことになれば、やはりそこはそこの問題として考えていく必要があるし、さっきも言い ましたけれども、一次調査にどんな結果が出るかということがそもそも今回のこの検討会 の課題なんです。そこをやはり検証していく。そのために、今の設問でいいのか。こうい うことが課題でありますから、一次判定は二次判定で変えられるということはありますけ れども、そのことが問題ではないと思います。 ○田中(滋)座長 高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 どうも伺っていて、途中から来て全体の文脈をあれしていないのですが、や はり一次判定というのは先ほどプロセスだとおっしゃったことはきちんと理解すべきだと 思います。  一次判定で、日本の皆さんというか、厳密主義者が私は多過ぎるという気がして、1つ のツールというのは常に誤差が伴うわけです。とりわけ統計的手法というのをランダマイ ズするとリスクが必ず、100%推計できる予測方程式など私は見たことがないです。大体R の二乗でいくと0.8、0.7くらいだとすれば当然統計誤差が発生するんだから、それを補正 する仕組みを二次判定の中でビルトインしている。それを全体として見るべきである。  もう一つは先ほどから出ておりますけれども、要するに1つは社会的制度ですから重度 化指向がやはりあるんです。それをどうやって公正な仕掛けにしていくかという歯止めは 絶対必要で、そういう意味では高見委員がおっしゃったように要介護認定がされて自由に 使えるというんだったら、消費税を30%くらい負担しなさいという話になるわけです。そ ういうことには御反対のお立場のようですから、そういう意味で全体をある一定の資源が 有限の中でリソースをどう配分するか。それを公正なメジャーで測るという介護保険の要 介護認定の趣旨をきちんと理解をしていただいた上での議論をしないといけない。  それから、もう一つは介護の手間という議論ですが、やはり改善事例と、加齢に伴う改 悪事例と、それから状態像が一定であるにもかかわらず揺らいでいる事例、これは絶対基 準がない、要するに絶対ゼロ点のない世界です。これは医学の場合は異常値というものが きちんと決まっているわけですが、それがない世界ですから、それをどういう形で判定す るか。そこら辺の議論を、きちんと課題を整理した上で議論していただきたいと思います。 若干コメントでございます。 ○田中(滋)座長 ありがとうございました。  時間を多少オーバーしましたが、多様な意見で要介護認定の役割は何かとか、今回の変 更を評価する指標としては何が適切かとか、それぞれについて意見がまだばらついていま す。それから、もし改善するとしたらそれは項目なのか、テキストなのか、研修なのか、 まだとてもそこまではいかないくらい、今はいろいろな立場から意見が出ました。その意 見の一つひとつは非常に貴重だったと思います。  これを整理した上で更に、事務局には御苦労ですが、データをもう少し整備して、今度 は二次判定の経過措置前のデータが出るのですね。それから、幾つかばらつきが高まった ようなところの細かいデータなども御準備いただければと思います。  まだ意見を言い足りなかった方はおありかもしれませんが、3時間を超えましたのでこ れにて終了いたします。  では、事務局にマイクを返しますので、よろしくお願いいたします。 ○鈴木老人保健課長 ありがとうございました。次回に向けては今、田中座長におまとめ いただいたような形でデータを準備させていただきたいと思います。  次回の日程については、また再度調整をさせていただきたいと思います。  今日は、どうもありがとうございました。 ○田中(滋)座長 どうもありがとうございました。 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐  天本(内線3943)     介護認定係 青木、迫田(内線3944)