09/07/10 平成21年7月10日医療機関のコスト調査分科会議事録 第15回診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会 議事録 (1)日 時  平成21年7月10日(金)16:00〜17:42 (2)場 所  厚生労働省共用第7会議室(5階国会側) (3)出席者  田中滋分科会長 石井孝宜委員 猪口雄二委員         尾形裕也委員 小山信彌委員 佐柳進委員         椎名正樹委員 高木安雄委員 手島邦和委員         西岡清委員 西田在賢委員 原正道委員 松田晋哉委員         池上直己診療報酬調査専門組織委員          <事務局>         小野保険医療調査室長 早川保険医療調査室長補佐 他 (4)議 題  ・平成20年度医療機関の部門別収支に関する調査報告について         ・医療機関の部門別収支に関する調査の今後の方針について (5)議事内容 ○田中分科会長  それでは、始めさせていただきます。皆様、御出席いただき、どうもありがとうござい ました。  ただ今より、第15回診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会を開催させ ていただきます。  始めに、委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、井部委員と須田委員が御欠席でございます。また、松田委員は途中から出席さ れる旨の連絡を受けております。  なお、本日は診療報酬調査専門組織より池上委員に御出席いただいております。ありが とうございます。  では、早速ですが、審議に入らせていただきます。  本日は2つ議題があります。  始めに、平成20年度医療機関の部門別収支に関する調査報告についてを議題といたし ます。  事務局から説明をお願いします。 ○小野保険医療企画調査室長  保険医療企画調査室長でございます。よろしくお願いいたします。  診調組コ−1に沿いまして、本年度の部門別収支に関する調査報告(案)を説明させて いただきたいと思います。  まず、本年でございますけれども、昨年度までの実績を踏まえまして、試行的調査とさ せていただきましたので、調査の結果を中心に説明を申し上げたいと思います。  この冊子の1ページをご覧いただけますでしょうか。先生方には例年、お話をいただい て御審議をいただいているところでございますけれども、調査の種類でございます。一般 原価調査と特殊原価調査の2つから成っております。一般原価調査につきましては、病院 における診療科別の収支を算定するための調査でございまして、すべての病院に対して実 施でございます。特殊原価調査につきましては、中央診療部門における費用を診療科に割 り振るための係数(等価係数)を作成するための調査でございまして、一般原価調査につ きましては、190の病院に対して調査票を発送いたしまして、集計できたのが127病 院であったというところでございます。  2ページ、特殊原価調査につきましては、15の病院に調査票を出しまして、14の病 院について集計ができたというところでございます。  (2)にございます開設者・病床規模別で見ますと、ここにあるとおりでございます。 199床以下のところが32病院、200〜499床以下のところが71病院、500床 以上が24病院となってございます。また、DPC対象病院と準備病院の比でございます けれども、127病院のうち91病院がDPC対象病院、36病院が準備病院ということ になっております。  3ページ、特殊原価調査につきましてですが、全部で14病院を対象としております。 設置主体別に見ますと、5、3、6とここに書いてあるとおりでございまして、病床規模 別も3、6、5ということでございます。特殊原価調査につきましては、DPC対象病院 ・準備病院がそれぞれ9病院、5病院となってございます。  4ページ目でございます。計算方法でございますけれども、例年のように階梯式配賦法 ということでやっております。階梯式という意味合いにつきましては、まず病院の診療科 や部署を入院部門、外来部門、中央診療部門、補助・管理部門の4部門に分けまして、そ のうち補助・管理部門と中央診療部門の収益と費用を段階的に入院部門と外来部門のそれ ぞれに配分していくという手法でございます。  計算の単位といたしましては、本年度の調査の工夫といたしまして、それぞれのレセプ ト診療科での収支に加えまして、類似するレセプト診療科をまとめて診療科群というもの を設けました。といいますのは、レセプト診療科でやりますと、医療機関ごとの主観がど うしても入ってきてしまいます。それをできる限り排除するという形での集計を試みたと いうのが今回の工夫した一つのポイントでございますが、その診療科群というのとレセプ ト診療科との対応につきましては、5ページに出ているところでございます。従って、後 ほどの資料の説明の際には、この表につきましても御参照いただければ幸いでございます。  6ページにありますのは、医業収益・費用、医業外収益・費用、それぞれこれらが入っ ているというものでございまして、調査の種類、中身につきましては、この調査内容とい うところをご覧いただければと思います。  次に、結果でございますけれども、7ページにございますように、病床規模、開設者別 に結果をこのような形でまとめさせていただいておるところでございまして、8ページに 外れ値の処理の考え方について説明をしてございます。  早速内容のほうに移ってまいりますが、9ページからが主要なレセプト診療科別収支の 状況でございまして、主な診療科について、入院、外来、入院・外来計のレセプト診療科 での収支を見ております。これは医業収支に限ったものでございますけれども、見ており ます。  ちょっと字が見づらくて恐縮でございますけれども、収益、費用、収支差額と書いてあ るところの構成比というあたりが着目されると思います。パーセンテージが並んでおりま すけれども、これは例年、同様の傾向ですが、ほとんどの科で外来のほう、[2]に書いてあ りますパーセンテージのほうが、入院のほう、[1]に書いてありますパーセンテージに比べ て、パーセンテージの数字が小さい、すなわち赤字である、悪いというところが見てとれ るかと思います。  [3]のところに入院・外来計というので数字が書いてございます。収支差額というところ で見ますと、プラスになっておりますのが内科、ずっと右のほうにきておりますが、外科、 脳神経外科、泌尿器科、産婦人科、眼科というところが入院・外来計でプラスということ になってございます。  10ページが、先ほどの群でまとめました収支の状況でございますけれども、見ますと、 ほぼ同様な傾向になっておりますが、先ほどの主要な診療科では出てまいらなかった精神 科群のところでございますけれども、ここは入院・外来ともマイナスが大きく出ていると いう部分が見てとれると思います。  続きまして11ページでございますけれども、開設者別収支の状況でございます。まず、 入院、外来、入院外来計とございまして、国立公立、医療法人、その他で分けております。 医業収益と医業費用で収支差額、これに医業外収益と医業外費用で総収支差額というのを 出してございます。  (3)の入院外来計のところでご覧いただければと思います。国立公立と医療法人を見 ますと、収支差額で見ますと、国立公立は医業収支差額でマイナス2%、医療法人は3%、 その他0%ということになっております。  病院の規模も見ていただきますと、平均入院延べ患者数、一番下のところを見ますと、 国立公立は1万1,029人、医療法人は5,576人ということで、規模的に言います と、国立公立のほうがほぼ倍というのがこの調査の客体の性格でございます。  国立公立につきましては、入院、外来、特に外来のほうはマイナスが大きいわけでござ いますけれども、収支差額、医業収益、医業費用だけだとマイナス2%となっております が、補助金を含みます医業外収益というものでプラスを確保しているところが見てとれる かと思います。  病床規模別で見ます。これは全診療科合計でございますけれども、入院と外来で見ます と、病床規模別に見ましても、入院のほうがプラスが出ていて、外来のほうがマイナスと いうことになっており、入院外来計で収支はほぼとんとんという形になっているかと思い ます。  12ページが、DPC対象病院と準備病院別収支の状況を全診療科で見たものでござい ます。入院でございますけれども、収支差額のところが、DPC対象病院ですと、医業収 支差額が8%、DPC準備病院だと3%、合計で7%となっております。DPC病院の入 院につきましては、準備病院のほうが収支差が小さく、対象になっている病院のほうが収 支差が多く出ていることが見てとれるかと思います。  外来については、ほぼ同様の傾向、同じような傾向という形になっております。  次からが、個々のレセプト診療科につきまして、入院、入院外、それぞれのプラス・マ イナスをいったものでございます。細かくなっておりますが、14ページが入院、15ペ ージが外来、16ページが入院・外来合計と、14から16ページが1つのセットとなっ ております。  ざっと見てまいりますと、入院のレセプト診療科で見ますと、2けたのプラスが出てお りますのが小児科、外科、形成外科、呼吸器外科、産婦人科、婦人科、眼科、耳鼻いんこ う科となっており、2けたのマイナスが出ておりますのが精神科となっております。マイ ナスが出ておりますのは、ほかには呼吸器科、循環器科、麻酔科となっております。  15ページでございますけれども、外来でございます。外来はどこもほぼマイナスとな っておりますが、特に大きな2けたのマイナスとなっているのが精神科、神経内科、呼吸 器科、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血 管外科、皮膚科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、放射線科、麻酔科、リハビリテーシ ョン科と、ほとんどのところで2けたのマイナスとなっています。  入院・外来を合わせますと、2けたのプラスになっておりますのが呼吸器外科、眼科、 2けたのマイナスになっておりますのが精神科、呼吸器科、形成外科、皮膚科、放射線科、 麻酔科、リハビリテーション科となっております。  17ページ、18ページが診療科群で見たものでございますが、かいつまんで言います と、2けたのプラスになっていますのが入院で小児科群、外科群、産婦人科群、眼科群、 耳鼻いんこう科群、2けたのマイナスになっておりますのが精神科群、マイナスになって いるのが麻酔科群となっております。外来でいきますと、内科だけが1けたのマイナスで、 ほかは2けたのマイナスとなっております。入院・外来合計で見ますと、収支がとんとん のところもあれば、大きくマイナスが出ている診療科群もございます。  なお、一番ベーシックな、といいますか、大きな科と言える内科群につきましては、ど の指標で見ましてもほぼプラスマイナス0%付近のところに集まってきていることが見て とれるのではないかと思っております。  19ページからが開設者別、診療科別で見たものでございます。開設者別に見てまいり ますと、国立公立と医療法人立で比較をいたしますと、内科と皮膚科、眼科、耳鼻いんこ う科を除きますと、法人立が医業収支差額が比較的プラスになっているかと思います。同 じように、そういった比較できていますのが19ページから24ページまでございます。 12の診療科についてそれを見ております。  構成比のパーセンテージの差、収支の差が出ているのが、やはり内科と眼科を除きまし て収支の差が高く出ていることが見てとれるかと思います。  時間の関係ではしょった説明になって恐縮ですが、25ページにまいります。DPC対 象病院と準備病院との比較をしたものが25ページから30ページまで出ております。先 ほど、総括的には、DPC対象病院のほうが準備病院より入院において比較的いい数字が 出ているというふうに申し上げました。これは余り差がない、大きく言いますと、個々の 診療科でも同じように、対象病院のほうが準備病院よりいい数字が出ておりますけれども、 そうでもない数字、同じような数字で出ていますのが、入院のところで言いますと、内科、 内科であればDPC対象と準備病院はそんなに変わらないということでございます。  また後ほどご覧いただければと思いますけれども、28ページにございます(7)皮膚 科と(8)泌尿器科、あと29ページの(10)眼科と30ページの(11)耳鼻いんこう科 では、入院の収支差額のパーセンテージが、DPC対象病院と準備病院で余り変わらない という数字が出ているかと思います。  31ページでございます。これは再掲になりますが、透析部門と健診部門について収支 差額を見たものでございますが、透析部門に関して、それぞれ収支差額、医業収益・費用 でプラス27%、健診部門でプラス41%となってございます。これは、レセプト診療科 と同様の方法で収支を算定したものでございます。収支差のプラスが比較的大きく出てい るように見えるかと思います。  32ページからが、医業収益と医業費用のレセプト診療科ごとの患者一人一日当たりの 費用の分布を示したものでございます。横軸が医業収益、縦軸が医業費用となってござい ます。費用と収益の関係で言いますと、斜め45度の線より右下にありますのが、収益が 費用を上回っている、すなわちプラス、黒字でございます。逆に上がマイナス、赤字とい うことになるわけでございます。  32ページから37ページまでが、レセプト診療科で見ました一人一日当たり医業収益 ・医業費用分布でございます。ちなみに三角印が外来部門の収支、黒点が入院部門の収支 でございます。  32、33、34、35、36、37ページと、ざっと眺めていただければと思います。 少し間を置きたいと思います。  この分布図で見ますと、印象論になるのかと思いますが、視覚的に分布の傾向が御理解 いただけるのではないかと思います。総括的に我々が見ておるところでございますけれど も、例年どおりの傾向でございますが、病院におけます外来部門、三角につきましては、 先ほどの数字の資料でもそうでございましたが、赤字が多いと。これは線の上側が多いと いうところでございます。黒い点、入院のほうでございますけれども、これは診療科ごと にまちまちでございまして、斜め45度の線がちょうど回帰線のような形になっている診 療科もございます。内科などはそうかと思いますけれども、斜め45度の線よりも、例え ば黒点を楕円で囲みますと、楕円が右下に固まっている。すなわち医業収益が多くなると 黒字が多くなるような傾向にもあるかと思います。そのように見える診療科もあるかと思 います。それで、診療科ごとに斜め45度の線より右の点ばかりの診療科もあるかと思い ますし、どちらかというと斜め45度の線より上が多い診療科もあるように見受けられる ところでございます。  先ほどの数字の資料で、収益が費用を上回っている、平均でプラスが出ているような診 療科は、当然ながら斜め45度の線より下が多くなっているところでございます。  ページごとに見てまいりますと、主な診療科だけかいつまんでまいりますが、32ペー ジで見ますと、内科はほぼ回帰線的に線の上下になっているように見受けられるところで ございます。  33ページでございますけれども、小児科に関しましては、外来部門は比較的費用が上 回っております。入院に関しては、斜め45度の線より下の点が多くなっているように見 えます。外科につきましても同様でございます。整形外科につきましては、上下が割と均 衡しているわけでございますけれども、少し右に行けば上下の差が大きく出ている部分が あるようにも見受けられます。  35ページでございますけれども、皮膚科、泌尿器科といったところは、医業収益が、 比較的固まっているというか、斜め45度より右下が多くなっているかと思います。産婦 人科も右下が多くなっているように見受けられるところでございます。眼科は、黒い点に 関しましては、すべて右下にあるという状況でございます。耳鼻いんこう科は右下が比較 的多くなっております。放射線科でございますけれども、外来部門は非常にばらつきが多 くなっておるところが特徴的なところではないかと思います。  38ページから40ページまでが、同じものを先ほどの群で分類したものでございます。 入院、外来、それぞれ見ておりますけれども、今、私がかいつまんで申し上げましたよう な分布を見ていただければと思います。  次に、41ページから50ページまでが収支率の分布を棒グラフで示したものでござい ます。横軸の真ん中のあたりに、収支率で言いますと0%以上〜10%未満というのがあ ります。その真ん中の棒2つがほぼブレークイーブンのところになりまして、それぞれ左 側が赤が大きい、右側が黒が大きいということになります。  41ページから50ページまでを一括して説明したいと思いますので、ちょっと眺めて いただく時間を置きたいと思います。  これはN数の関係もありまして、分布に関しては、それぞれさまざまな形にはなってお りますけれども、見た感じ、非常に大ざっぱに言いますと、入院の分布に関しましては、 若干の例外はありますけれども、多くのところで真ん中よりちょっと右のところに山がで きているというか、そういう低い丘のような形の分布になっているのではないかと思いま す。例えば精神科の入院のように左が大きいとか、45ページの呼吸器外科のように右が 大きく出ている、例外はございますけれども、あと48ページの眼科のように右が大きく 出ている部分がありますが、何となくそういうふうに見えなくもないかと思います。  外来につきましては、収支率の関係で、先ほど来、余りよくないという数字を申してお りますけれども、左側のほうに棒が立っている部分が多くなり、左から右のほうに坂がで きているような形に見受けられるところでございます。  外来と入院と合わせますと、2つの傾向が合わさってできている図がございますので、 何となく山状に見えなくもないし、フラットに見えなくもないというのが多いのではない かと思います。非常に雑駁な説明で申しわけないんですけれども、そういったことがビジ ュアルに見てとれるのではないかと思います。  続きまして51ページでございますが、51ページから54ページ、同じものを群で見 たものでございます。群で見ていただくと、今申し上げたような傾向がより分かりやすい のではないかと思います。  入院で見ますと、小高いといいますか、ちょっと小さい山型になっているかと思います けれども、精神科が左側にピークが出ている。眼科は右側にピークが出ているというとこ ろでございます。  外来に関しましては、ほぼ同じように左側に一番高いところが集中しているかと思いま すけれども、例えば内科ですとか、次の53ページの眼科ですとかは、左側が多いわけで すけれども、そうは言っても左側の坂の傾きは低いように見えるところでございます。  それぞれ収支率で見てまいりますと、合計で見てまいりますと、内科や外科は山状でご ざいます。51ページでいきますと、小児科とか精神科は左側が高く出ておりまして、整 形外科はフラット、産婦人科もフラットですが、左側もあるという感じでございます。  53ページ、54ページでございますけれども、眼科群と耳鼻いんこう科群は、一番左 のところと右側の収支率が比較的高いところが、ピークが2つあるようにも見えます。皮 膚科群、麻酔科群、放射線科群は、左上から右下に引ける感じになっております。  55ページからが、それぞれの等価係数でございます。等価係数につきましては大変苦 労して算出していただいているところでございますけれども、ここに掲げられているよう に、それぞれの手術、Kコードごとに調べております。Kコードごとに細かく見ているわ けでございまして、それぞれの平均投入量と書いてございますけれども、医師数、麻酔医 数、看護師数、医療技術員数、執刀時間、麻酔時間と、それぞれを個々の特殊原価調査を するために算出したところでございます。  これは、それぞれの相対的な資源投入量というものを比率であらわしているのが等価係 数でございますが、今回の調査は、ちょっと飛びますけれども、62ページまで飛びます。 手術、検査、画像診断、それぞれ基準とした種類があるわけでございますけれども、等価 係数の存在する割合の表がここにございます。手術に関しては、実施件数比でいって90. 4%、総点数でいきますと91.6%のものについて等価係数があったというところでご ざいます。今回14病院について調べたわけでございますけれども、等価係数はかなり存 在していた、あるというところでございます。  63ページから68ページまでが材料に係る等価係数でございます。これについては説 明は省略させていただきます。  長くなりましたが、以上でございます。 ○田中分科会長  どうもありがとうございました。  では、ただいまの説明につきまして御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。  どうぞ。 ○小山委員  ちょっと教えていただきたいんですけれども、41ページのグラフの見方をもう一回、 とても字が小さくて見にくいんですけれども、これはどういうふうに理解したら。もう一 回説明していただけますか。 ○小野保険医療企画調査室長  失礼いたしました。41ページの、例えば一番左上、内科入院と書いてあるところでご ざいますが、収益率を階級別に10%刻みで見ております。横軸が収益率階級、縦軸が施 設構成比となっております。例えば内科入院でまいりますと、「〜−30%未満」という のが1と出ております。この1という意味合いは、そこの階級に当てはまる医療機関が1 つであったと。これは全体の構成比を100%としたときのパーセントとしては、何%か、 1%か2%か、それぐらいの割合であるというふうにご覧いただければと思います。です ので、内科の場合であれば、「−10%以上〜0%未満」というところに30病院あり、 それが約28%か29%か、それぐらいの構成比であるというふうに御理解いただければ と思います。 ○小山委員  それは結局、その下の外来と入院が一緒になった場合に、下の数字は入院と外来を足し た数字ではないんですね。 ○小野保険医療企画調査室長  数字はそうでございます。入院と外来の合計のパーセンテージの分布がこうなっている というものですので、足したものではございません。グラフを足したものではないという ことでございます。 ○田中分科会長  入院、外来を合わせると、すごくマイナスのところが減るわけですね、入院側に引っ張 られて。外来だけだと赤字が大きいところがけっこう数が存在するが、入院と合計すると、 一番左端はパーセンテージが減る、結果こうなります。  西岡委員、どうぞ。 ○西岡委員  全体の形で、外来はほとんどがマイナスであるということと、入院はプラスになるんで すが、その両者を合わせますと3つぐらいのパターンが出てくるのかなと思われます。1 つは、真ん中ぐらいの分布で、内科あるいは外科での分布と、それからもう一つは眼科の ようにほとんどプラスになってしまうのと、さらにもう一つは皮膚科のように完全にマイ ナスになってしまうという、そんな3つのパターンに分かれてくるという理解でよろしい んでしょうか。  それともう一つは、そうなってくる理由が本当は知りたいところなんですが、それに関 する何らかの調査結果みたいなものはあるんでしょうか。 ○小野保険医療企画調査室長  まず分布に関しましては、西岡先生が今おっしゃっていただきましたようなとおりで私 どもは見ております。真ん中に固まるものと、右に行くものと左に行くものかと思います。 分析に関しては、私どもとしては定見がないんですが、もし池上先生、何かありましたら お願いします。 ○池上委員  これはこういう収支の実態であると。現在の診療報酬点数の構成からするとこのような 実態となったということでございます。それについて、例えばどういう行為を行ったから プラスであるとかマイナスであるということまでの分析はできていません。 ○西岡委員  私は皮膚科の医者ですから皮膚科について言えるんですが、皮膚科の場合は、全体的に 入院患者の数はそんなに内科ほど多くないんですね。外来が主体になりますから、しかも 外来でマイナスがどっと大きくなってしまうというので、こんな結果になるのかなという ふうに私は理解していたんです。だから、同じ診療科でも入院がメインの科と外来がメイ ンの科で、これが分かれてくるのかなと、病院の医療に関してですね。そんなことも言え るのかなと思ったんですが、それは言いすぎなんでしょうか。 ○小野保険医療企画調査室長  それは、私どもといたしましてどうこうということでなく、そのような解釈の仕方もあ るんだろうなというふうに、今、私どもは西岡先生のコメントから勉強させていただいた というところでございます。 ○田中分科会長  では西田委員。 ○西田委員  私は2つ確認といいますか、教えていただきたいことがございます。  1つ目は、5ページの診療科群という形、大変関心があります。この中で1の内科群と 5の整形外科群のそれぞれにリハが入っているわけですが、これはどういうふうにして、 何か区別をされたんだろうかという点が1つ。  2つ目なんですが、開設者について、従来どおり国公立という分類があるんですけれど も、この開設者は独立行政法人化した国立病院とかの区別等はなされたのかどうか。  その2つをお聞きしたいと思います。 ○小野保険医療企画調査室長  1つ目のほうは、これは私が最初に申し上げるべきでございましたが、リハビリテーシ ョン科は整形外科群のほうに入れておりまして、内科群のほうにあるのは誤りでございま す。大変失礼いたしました。  もう一つ、独立行政法人のいわゆる国立病院機構の病院についてのお尋ねでよろしいで すか。それは国立のほうに分類させていただいております。 ○西田委員  その開設者のところで、従来言われていた国公立の分類でいいかどうかの疑念を持ち始 めています。独立行政法人化した国立の経営状況と、一方で大変困窮し始めています公立 病院群、これらは違う経営行動になってきたかなという懸念があるんですが、何か調べて おられますでしょうか。 ○小野保険医療企画調査室長  今御指摘の点については、私どもは分けて分析をしていないところでございます。 ○田中分科会長  重要な御指摘なので、これから考えたいところですね。  椎名委員、どうぞ。 ○椎名委員  お尋ねしたいことは、平成20年度調査と前回の平成19年度調査との同一病院、重な り合いの病院がどれくらいあって、その変化に関して検討されているかどうか、お聞きし たいと思います。 ○小野保険医療企画調査室長  数につきましては、今回、127病院計算をしたところがございますけれども、平成1 8年度、19年度に参加していたところが49病院ございます。新しいところが78病院 でございます。ですので、127病院のうち49病院は前回もやったところなのですけれ ども、それぞれの49病院について比較した分析はまだしていないところでございます。 ○椎名委員  平成20年度に診療報酬改定がありましたね。ですから、ぜひ同一病院に関して比較を していただいて、改定前後で変化があるのかないのか、診療科別あるいは診療科群別か、 その辺でいろいろな変化があるかどうか、ぜひ御検討いただきたいと思います。 ○田中分科会長  可能であれば、事務局にしてもらいましょう。  ほかに。どうぞお願いします。 ○手島委員  材料費の中に医薬品費は入っておりますね。これは各科ごとに使った医薬品が出ている んだと思いますが、医薬品を取り扱う薬剤部門の人件費というのは入っていないんですね。 ○小野保険医療企画調査室長  薬剤部門につきましては、薬剤部で働いていらっしゃる薬剤師のコストに関しましては、 中央診療部門というところで積み上げて、先ほどの階梯式配賦方法でそれぞれの診療科に 割り付けているということになります。 ○手島委員  もう一ついいですか。入院と外来でかなり収支状況が違うというんですが、外来の場合 に、院外処方が出ているところとそうでないところの区別はつきますか。 ○小野保険医療企画調査室長  申しわけございません。この調査では区別はつかないところでございます。 ○石井委員  もし可能であれば、2ページの一般原価調査の開設者別・病床別とDPC対象・準備別 を全体でマトリックスにしていただいたほうが良いのではないかと感じました。  このデータを拝見して、平成16年ぐらいからこの事業を始めていただいたのかなと理 解をしておりますが、今回のデータは、私が記憶している中で、前年度、あるいはそれ以 前との対比で見ると非常に精度があるというか、実感として理解がしやすいデータになっ ていて、すばらしいというふうに感じました。但し、先ほど西田委員の意見にも関係しま すが、11ページの病床規模別収支(全診療科合計)を見て、入院外来合計の病床規模別 の収支状況を見ますと、500ベッド以上の収支が一番よくて、199床以下はゼロ、次 の領域200床〜499床が1%、そして500床以上が2%という最終収支率になって いまして、500床以上の24の病院は、2ページの表で見ると開設主体が分かれており ますから、その大部分が国立公立、その他の公的病院となります。  つまり、医療法人は2つしかなくて、24のうちの22は国公立とその他の公的ないし は公益・社会福祉法人という領域で、これをざっと見ていきますと、例えば10年、15 年前に、民間病院が黒字で、どちらかというとパブリックセクターが赤字だという基本的 な判断とは全く逆の、非常に規模が大きくてパブリックセクターの病院群のほうが利益率 が高く、なおかつ売り上げ規模は、199床以下に比べると5倍はあるわけですから、率 が高くて当然のように黒字金額も多くなるという、収支の規模による違いというのが鮮明 化しているのかもしれないと非常に感じました。  本当は、ここに12ページのDPC対象・準備というマトリックスをもう一つつくって あげると、実はそれとのかかわりも当然出るんだろうと。再び12ページを見ると、DP C対象病院群が総収支差額プラス2%に対して、DPC準備病院がマイナス2%というこ とになっていますから、かなりはっきりとした形で、病院は規模と対処の仕方によって、 採算状態が決定的に違うというふうに理解できるのかなと、こういう気持ちを持たざるを 得なくなりまして、この辺のところの私のコメントが、全く解釈に誤解があるのかどうか ということも含めて、コメントをもしいただけるのであればいただきたい。 ○田中分科会長  どうぞ、お願いします。 ○小野保険医療企画調査室長  ありがとうございました。DPCも含めたマトリックスにつきましては、調査票上はで きるんですが、そういった集計をしておりませんので、少し工夫をして考えてみたいと思 います。  また、御指摘の点につきましては、今、先生が御指摘いただいた部分は、確かに数字で 見るとそういうものがございますし、10年、15年前の話ということであれば、私より も先生方のほうがよく御存じかと思いますが、そういった比較もできるのかもしれないと 感じておるところでございます。  DPCの対象と準備に関しましては、もちろん準備段階というのは、医療機関ごとの係 数を算定するためにいろいろ経営をしている部分がございまして、対象というのは、算定 した後の自分のところの係数が固まってからの数字ということがありますので、経営の方 針みたいな部分で何かあるのかもしれません。むしろ私は、この数字を素直に受けとめて、 中医協なりいろいろな先生方の御議論に資する立場でございますので、今の石井先生のコ メントにほかの先生からも御意見があればお伺いしたいと思います。 ○田中分科会長  質問だけではなくて、今の石井委員のように、こういう解釈ができるという御教示いた だく形の御発言でも結構です。先ほどの皮膚科に関する読み方もそうですけれども、委員 による読み方のみんなへの共有ですね、そういう御発言も歓迎いたします。  どうぞ。 ○猪口委員  11ページを見ると、病床種別の入院、外来が出ていて、これを見て感じるのは、本当 に外来はこんなに赤字でやっているのかなということです。特に200床以下というのは、 外来診療料が200床以上で、199床まではいわゆる初診料、再診料というのが算定さ れるわけですが、にもかかわらずマイナス13%というすごい赤字が出ている。どこまで これが信憑性があるかということもあるんですけれども、こんなに赤字なのかというのが 1つあります。  思うに、それは多科受診、多科受診しても1診療科しか点数が取れないというあたりが すごく影響しているのかなと思いますが、こういうことがどんどん世の中に出ていくと、 病院は外来をやめていったほうがいいんだという話にもなっていくと、どうなってしまう のかなという気がいたします。  それからあと、全体的なことを言わせていただければ、入院、外来合わせて経常収支の 段階で0、1、2というレベルですから、これはどういうことかというと、全く利益がな いということなんですね。全く利益がないということは病院再生産していけない。減価償 却を含んでいますから、その部分はできるにしても、恐らく医療の高度化とかそういうも のに、今の診療報酬で対応することはできないというふうに私には見えてしまうわけです。  以上、これを見ての感想を言わせていただきました。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  どうぞ、小山委員。 ○小山委員  私はまだ新参者でよく分からないので、外来のほうがマイナスという数字が出ています けれども、何が足を引っ張っているかというのは分かっていらっしゃるんでしょうか。 ○小野保険医療企画調査室長  事務局としては、特にこれというものは持っておりませんので、むしろ、先ほど猪口先 生がおっしゃられたようなポイントを、ほかの先生方からもいろいろサジェッションいた だければ幸いでございます。 ○小山委員  実際に病院の中で働いていて感じることは、あれだけの外来がないと入院の患者さんを 確保できないというバックアップなんですね。ですので、マイナスになっているというこ とは、今のお話の中でも、外来はやめたほうがいいんじゃないかという話が出ているんだ けれども、恐らく外来をやめたら入院がいなくなっちゃうというのが今の日本の現状の医 療だと思うんです。その中で、なぜマイナスなのかをもうちょっと追及してみないと、ど うしてここがマイナスになるのかというところの要素だけでも見ないと、単に比較して、 プラスだ、マイナスだというのでは、少し危険なことになるのではないかという感じを持 ちます。 ○松田委員  入院と外来のところなんですけれども、多分、一番大きな原因になってくるのが給与費 のところだと思うんです。給与費とか、もう一つは設備関係費ですね、ここのところでか なり差が出てきているんですが、この辺はどのように外来と入院を配賦するかという問題 になってくるので、例えば、今、池上先生ともちょっと話していたんですけれども、レセ プトの作成費とか事務の人件費を、患者数というか、レセプト数で案分してしまうと、ど うしても外来のほうが重くなってしまうので、そういう技術的なこともあるんだろうと思 います。  そういう意味で、同じ病院の中で入院が黒字、外来が赤字という議論もあると思います が、入院外来計で見たほうが、このデータとしては望ましいのかなと思います。 ○小山委員  本来感じていることは、病院の運営の中にいまして感じていることは、できれば病院と すれば外来は少ないほうがいいわけですね、入院に特化できますから。でも、入院に特化 してしまうと、外来の収益がないから病院は運営できなくなるというのが、一般的という か、僕個人かもしれないけれども、そういう印象の中で動いているんですね。だから、ど うしても外来の患者さんは余り減らせないという現状があるんですね。  だけど、出てくる数字を見ると、現場で本当に肌で感じている数字とちょっと乖離して いるかなという感じがするんですね。それが今、松田先生がおっしゃったみたいな、経費 の振り分けのやり方によって、もしもそういうことが出るとしたら、入院、外来を分けな くて、トータルの中で話をしたほうが安全なのかなという感じをいたします。 ○田中分科会長  どうぞ、尾形委員。 ○尾形委員  一般的なコメントを2点なんですが、まずサンプルなんですけれども、2ページのとこ ろの病床規模別の数字で見ると、500床以上が19%、200床から499床が56% というのは、日本全体の病院の分布から見ると、かなり大規模病院のほうにウエートがか かっている。500床以上というのは日本全体だと5%ぐらいだと思いますし、200床 以上でも3割ぐらいではないかと思うんで、大規模だということが1つと、それから一般 病床でDPC対象病院、あるいはDPC準備病院ですから、急性期医療を中心としている 病院だということ。ということは、中小病院で慢性期みたいなところは、ここには余り反 映されていないので、これはあくまでもそういう病院のデータだと見るべきだというのが 1つです。  それから、11ページの先ほど来出ているデータ、非常におもしろいと思うんですが、 入院に関しては規模の差が余り出ていなくて、規模の掲載が働いていないのかなというふ うにも思えますし、一方で、外来の落ち込みの程度によって全体としての収支が決まって きている面がある。特に、200床から499床のところの外来の落ち込みが大きいので、 この辺をどうしてなのかというあたりを分析すると、何か分かってくるのではないかとい う気がします。入院に関しては余り差が出ていない、病床規模別の差が出ていないという ところは、逆におもしろい点かなと思います。  以上です。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  どうぞ、西田委員。 ○西田委員  先ほど松田委員からも御指摘がありましたとおり、入院と外来、それぞれ収入があるわ けですが、費用の配賦の問題はついて回りますね。そのために、精緻にするための改善を 取り組まれたと思いますので、その説明が1点欲しいと思うんです。  その上で、病院が外来をとらないと入院患者として利用者を確保できないということは あるとは思うんですが、望ましくは、紹介の外来がどれくらいふえているか、それでいて 収支がとれなければこれは大問題だというふうな論旨で、紹介患者の割合とかも、こうい う表の中で反映の仕方があれば御検討願えないかと思いました。  2つ申しました。 ○田中分科会長  配賦をして入院と外来を出す精緻な統計をつくることが我々に与えられた課題で、その 結果改善してきてここまで来たと。それについてはいかがですか、作成の側としては。 ○池上委員  まず部門別調査といった場合に、最大の力点は診療科という部門で見ることでありまし て、必ずしも入院と外来を分けて見るということではありません。今回の調査は、レセプ ト診療科で見ると、ある病院はほぼ同じ内容であっても、循環器というレセプト診療科で 請求するし、別の病院は内科ということで請求して病院によってまちまちになるので、1 2の主要な診療科群にまとめました。このまとめ方は、各病院の判断で行い、レセプト診 療科をどのように主要診療科群に割り振りするかは、各病院の判断で行っていただいたわ けです。  例えばレセプト診療科としては脳外科であるけれども、実際に確認しましたところ、手 術はしていなくて、実態は神経内科と同じなので、病院として選んだ診療科群が内科とい うのは適切であったわけです。  したがいまして、私は、今後は診療科群の部門別の収支を見たほうが、全体像が把握で きるのではないかという気がいたします。  それからもう1点は、かなりレセプト電算化が進んでおり、特にDPC病院、準備病院 においては、こういった体制が整備されてきました。それでも3分の2の病院からしか調 査票を回収できなかったわけですね。逆に、規模の大きい病院のほうが調査への対応能力 があって対応していただけました。そういうサンプリングバイアスを克服するためには、 より簡素化する方法を考えていく必要があるのではないか。これは次の議題にも関係して きますけれども。  確かに入院、外来の相違を考えずに、事務職員のレセプト作成費を1レセプト当たりを 単純に案分するのは問題があります。ただ、人件費総体として見た場合に、やはり医師の 人件費が一番大きいわけでして、医師が外来に張りついている時間の病院の収支に対する 貢献として見た場合に、例えば外来を5時間やるのと手術を5時間やるのと、どちらが収 支にいいかということを考えますと、やはり手術をしたほうが大きいのではないか。より 精緻にしていかなきゃいけない、例えば事務職員の配賦の問題は確かにありますけれども、 医師の人件費という観点からすると、ウェートは小さいので、このような傾向は基本的に 正しいという気がいたします。  全体として申せますことは、診療科群という単位で今後比較して、また経年的に見るこ とによって、病院の標榜科目あるいはレセプト診療科との対応も、病院自身に選んでもら うことによって、より適切な、また均一性のある比較ができるのではないかという気がい たしました。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○小山委員  池上先生、ちょっと教えていただきたいんですが、今、外科医を言いましたけれども、 病院の中には内科の先生が多いですよね。内科でも同じような考え方をしてよろしいんで すか。いわゆる時間的な単位が、内科の先生が5時間外来をやるのと、内科の先生が病棟 を5時間やるのとの比較というところでは、外科と同じような考え方をしてもよろしいん ですか。 ○池上委員  内科でもカテーテルなど処置もあるわけですので、あるいは検査というものもあって、 それは個別に、個々の検査、処置に要する時間とその収支の関係は分析していませんけれ ども、入院全体としてそういう傾向が見られるということは、そういうことも考えられる のではないかという気がいたしました。 ○小山委員  そうなってくると、外来と入院だけを単に分けるということに対する危険性が出てくる と思うんです。先ほど西田先生がおっしゃっていましたけれども、外来で紹介患者という ことを言いましたが、紹介患者であっても1回外来へ来て、外来で検査をするかしないか 決めて、それから入院してくるわけですね。入院したところでもって、濃厚なというか、 少し費用のかかるようなことをやっているわけですね。ですので、単に収支だけのところ で、今までの話の中で、内科の外来の収支が悪くて入院の収支がいいということを言って もいいのかというのは、少し疑問に思うんです。 ○田中分科会長  これは今の配賦の数値を使うとこういう値になるわけで、ほかの数値を使ったものはよ り正しいかという話ではない。それぞれオプションの問題だと思います。特に病院経営者 の観点から見ると、経営判断に使うのは独自の配賦をした管理会計です。これは1つの管 理会計の特定の数値ですので、病院ごとに違う配賦の管理会計で経営者は判断する場合も あるでしょうし、医師の人件費は固定費だから、追加のキャッシュフローだけで判断する こともあり得ます。追加のキャッシュフローだけで見れば外来は黒字になります。当然、 医師はどっちみち月給を払っていると見れば。その判断もあり得るし、あるいは先生が言 われたように、収益部門が入院だとすれば、その集客を支えるために非収益、多少赤字の 部門を持つ、これはどんな組織でも、客集めのために赤字の部門を持つ形はごく普通であ りますので、経営の判断の指標ではないですね。今の精緻につくっていただいたさまざま な数値を使って分けてみると、このように読める。多少配賦を変えれば、明らかに入院、 外来の黒字、赤字は移ります。だから、それは合計で見てほしい。この委員会でつくって いる統計の意味は、主に診療科別であると御解釈ください。  時間がちょうど真ん中までまいりましたが、よろしゅうございますか。  どうぞ。 ○椎名委員  分科会として平成20年度調査を議論して、その結果を基本問題小委員会に分科会長報 告として上げなくてはいけないと思うんですけれども、その場合に、来年度診療報酬改定 が予定されていて、もう既に医療経済実態調査が6月に行われていると思うんですが、そ れとの関係といいますか、重なり合いといいますか、この平成20年度調査の結果をある 程度、次回改定に活用するのか、あるいはできるのか、その辺の整理という面はどういう ふうに考えたらいいんでしょうか。 ○田中分科会長  それは我々が決めることではないと思うので、そちらでお答えください。 ○小野保険医療企画調査室長  今、まさに御指摘いただきましたように、分科会長から御報告いただいて、この資料を もとに中医協の基本問題小委のほうでこのデータをどう解釈するかというのを議論してい ただくことになると思います。 ○田中分科会長  我々としては、立場上、使えとか使うなとか言えなくて、診療科別にこういうふうにな っていますというところまででしょうね、報告の中身は。 ○椎名委員  そのとおりなんでしょうけれども、この調査と医療経済実態調査とのかかわりとか重な りあいとか、その辺はある程度整理して基本問題小委に上げてあげないと、基本問題小委 でもきちんと理解してくれるかどうか、その辺が個人的にちょっと気になるところなんで す。 ○小野保険医療企画調査室長  ありがとうございます。  まず、これを今日議論していただきまして、近いうちに基本問題小委のほうに報告させ ていただくことになると思います。その後、医療経済実態調査は、今、調査の着手といい ますか、対象医療機関で調査票を書いていただいているような段階でございまして、集計 はかなり時間がかかるものでございます。その段階で2つがまな板の上に乗りますので、 どういうふうに見ていくかというものは、まさに基本問題小委の小委員長と御相談をして やってまいりたいと考えております。 ○田中分科会長  では、この報告に関する質疑はここまでとさせていただきます。  本日御議論いただいた調査報告については、先生方からいろいろといただきました御意 見も踏まえて、いずれ中医協の診療報酬基本問題小委員会の求めに応じて私のほうから報 告いたします。そのために、本分科会で基本的に、このデータ、この報告については了承 しなくてはなりませんが、いかがでございましょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  では、了承いただいたとして、基本問題小委員会の求めに応じて、私が会を代表して報 告してまいります。よろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  ありがとうございました。ではそのような取り扱いにさせていただきます。  2番目の議題に移ります。2番目の議題は、医療機関の部門別収支に関する調査の今後 の方針についてであります。  事務局から説明をお願いします。 ○小野保険医療企画調査室長  お手元のコ−2の資料と、「(参考)」と書いてあります横長の調査項目と病院の負担 に関するアンケート調査というものでございます。  まずアンケート調査のほうから説明させていただきたいと思います。これは、調査を今 後進めていく上で、現場実態、書いていただいた医療機関のほうでどのような実態が行わ れているかというのを少し突っ込んで調べさせていただいたものでございます。  見方でございますけれども、アンケートを依頼、回答した病院というところの小さいほ うの四角の左側、調査進捗の状況とございます。調査票を順調に出した病院、時間を要し た病院、結果的に算定できなかった病院(ただし大半の調査票は作成済)というように、 対象病院を3つに分けまして、その中から無作為でアンケート用紙を送付して、回収があ ったのがそれぞれ書いてございますように、一番上の順調のところが4つに頼んで2つか ら回答があり、同じように4つ・2つ、3つ・1つとなっておりまして、それぞれA、B、 C、D、Eと病院の名前を仮に置いております。  下の病院別の回答内容というものでございます。この見方でございますけれども、縦軸 に調査名がございます。調査名と書いてございますのが、今回の部門別調査をするために、 書いていただく調査がこれだけあるというものでございます。レセプト調査、データの項 目といたしましては、レセプトデータ・Eファイルでございまして、DPC対象病院はD ファイルも含みます。部門設定調査、これは病棟の標榜診療科とレセプト診療科の対応で あるとか、その他の部署の分類をするということ。これは何部何部といろいろ名前がつい ていますが、それをどこにするかという紐付けでございます。収支状況調査といたしまし て、病棟別延べ入院患者数、診療科別延べ外来患者数、1カ月分、1年分の損益計算書、 1カ月分の職種別人数総計と給与総額、診療科・部署別の保険外収益、中央診療部門の保 険外収益の診療科への対応づけ、医師以外の職種別職員数、延べ床面積というのが、収支 状況調査として調べるものでございます。実施場所調査といたしましては、手術、検査、 画像診断、それぞれにつきまして実施場所の割合を調べております。具体的に手術で言い ましたら、Kコードごとにいっぱい手術はございますけれども、それぞれどこでやってい ますかというもの、検査はどこでやっていますか、それぞれのコードごとに調べておりま す。医師勤務調査という中では、医師個人の月給と医師の勤務時間割合を調べているとい うものでございます。  次の提出までの作成状況のA、B、C、D、Eが書いてあるものですが、これはそれぞ れの調査項目につきましてどういうデータを出してきていただいたかというものでござい ます。既存のデータをそのまま利用というのは、特に加工せず出してきていただいたもの。 既存のデータを加工して利用は、まさに既存のデータはあるけれども加工して出していた だいたもの。別途病院内で調査し、新たに作成というものが、この調査のためにわざわざ おとりいただいて、新たにこの数字をつくってもらったものでございます。最終的に作成 できなかったという欄もありますが、空欄でございます。  ここで見ますと、既存のデータをそのまま利用したというのは、もちろんレセプト調査、 DPC対象病院であれ、A、B、Cというふうになっておりますけれども、若干加工して 出していただいた病院もあります。  部門設定調査につきましては、そのまま利用したというのは1病院。  収支状況調査、最初の2つ、入院患者数、外来患者数につきましては、そのまま利用、 加工して利用というのが多くなっております。損益計算書につきましては、加工して利用 と、あとは別途調査したというところもございました。職種別人数総計と給与総額につき ましては、ここにあるとおりです。保険外収益とその診療科への対応付けにつきましては、 別途調査したというものがそれぞれ3病院、4病院ございます。次の職種別職員数のとこ ろでも、この調査のために調査しましたというのがB、D、Eの3病院ございます。延べ 床面積は既存のデータを加工しての利用が多かったです。  実施場所調査につきましては、手術の実施場所の割合、B病院とE病院におきましては、 新たに作成したというものになってございます。  医師個人の月給につきましても、B病院、E病院は新たに作成したとなっております。 医師の勤務時間割合につきましては、既存のデータを加工して利用がA、C病院、別途病 院内で調査し新たに作成がB、D、E病院でございます。  それぞれ自由記入欄で作業負担についてヒアリングをしたところ、このような結果にな っておりますが、特に別途病院内で調査し新たに作成したというのが多い項目についての み説明いたしますと、右側の真ん中あたりにあります保険外収益の部分につきまして、保 険外の関係のものは負担が大き過ぎるとか、難しいという声が多くなってございます。  延べ床面積の部門別の詳細な延べ床面積は把握できず難しかったという感想がございま す。  あと、実施場所調査につきましては、Aのところでございますけれども、「また」以降 はシートのつくり方の問題かと思いますが、場所については、分かりにくいという答えで す。  医師の勤務時間割合というのは、Aのところでは、負担の大小以前に時間をかけること がもったいなく感じてしまうということ。Eは、人数が多いので非常に負担と。Dについ ては、病棟外来等の把握ができないので手間がかかったというお答えになってございます。  そういうようなことで、[2]、次の2ページでございますけれども、実はこの部門別調査 は大変詳細なものでございますので、先ほど127病院に最後まで参加していただいたと いうことになっておりますけれども、参加していただいた190病院のうち3分の1のと ころは脱落してしまっているということです。190に至るまでに、これは実際に調査に 携わった方が苦労していただいているのですけれども、調査参加を依頼した、声をかけた ところは597病院ございます。そういった調査でございます。そのような現状を踏まえ まして、また、今、御議論の中でも池上先生、田中先生からも御指摘をいただいたように、 管理会計の手法を用いておりますので、それぞれの病院ごとに管理会計の手法が異なるこ とから、わざわざとらなければいけない数字というものも結構あるというのが現状でござ います。  そこで、今後の方針(案)のほう、コ−2の資料にまいります。これにつきましては、 こういった方針で今後、当分科会で検討することでどうだろうかということを分科会長か ら基本問題小委のほうに御相談いただくためのペーパーという位置付けで御理解いただけ ればと思います。  経緯というところでございます。この調査は平成15年3月の閣議決定に基づきまして、 診療報酬体系にコストを適切に反映させるために、部門別収支の統一的な計算手法を開発 することを目的として始まったものでございます。閣議決定の抜粋を明朝体で示している ところでございます。  平成20年度調査につきましては、今ご覧いただきましたとおり、平成19年度までの 研究の結果とおおむね同様の傾向を示しているところもございます。調査結果は安定して おりますし、まさに精度の高い評価という御評価を多くの先生からいただいたところだと 思います。  その上で、課題というふうに書かせていただきましたが、調査客体となり得た病院が結 果的にDPC対象病院と準備病院に限られてきていると。今、議論の中でも御指摘があり ましたように、大きな病院で、しかも事務能力が高いところに限られてきております。調 査項目については、別途データをとるなど客体負担が大きいというところがございます。 管理会計の手法が異なるためにどうしてもそうなってくるわけでございますけれども、今 後、本調査は診療報酬改定の基礎資料としていく、と。これは15年閣議決定を踏まえた ようなやり方をしていくためには、これまでの成果を生かしながら、経営規模やDPC採 用の有無に左右されないような、可能な限り多様な医療機関のデータを用いることができ るように、参加する医療機関にとっての調査参加が容易なものにすべきではないかと考え られるということで、次の2ページに今後の方針(案)を示させていただいております。 そうしたことを踏まえまして、今年度におきましては、平成20年度の今回の調査に参加 して、最後まで調査に参加した病院であるとか、あるいは途中で調査を辞退した病院に対 して、この調査に関する負担や問題点につきまして、さらに突っ込んで調査をいたしまし て、その結果を参考に、今後の調査に向けた、まさに先ほど池上先生からおっしゃってい ただきました簡素化の方法というものについて検討をしてはどうかと考えているところで ございまして、先生方の御意見をいただければと思います。  この方針(案)で、分科会長のほうから基本問題小委のほうに御相談いただいて、どう でしょうか、としていただくことが次の議題でございます。よろしくお願いいたします。 ○田中分科会長  ありがとうございます。  方法の開発としては大体精度が高くなりました。それを用いた調査を行ってみたところ、 精度が高いことがよく分かりました。ただし、今のレベルの調査を日本のいろいろな病院 に行うことは大変難しいぐらい記入が大変なようです。椎名委員が言われたように、これ をどう使うかは、当然、方法としては確立したのだから、その骨格を残しつつデータは簡 素化したいということが原案でございます。そのための調査を今年度は行うことが原案に なっております。  では、この問題について先生方の御意見や、あるいは今の説明で分かりにくかったこと の御質問でも結構です。どうぞお願いいたします。  どうぞ、池上先生。 ○池上委員  1つ補足させていただければと思いますけれども、データを入手するために病院にかけ る負担と、そのデータが全体の診療科部門別収支に与える影響、インパクトですね、もう 少し精緻に分析して、病院側に大変な負担をかけた割には収支に対する影響は余り大きく ない、あるいは概算方法で机上の推計に基づいて行った場合にどの程度ぶれることになる かという、いわばデータベースを用いての解析も可能であるということをつけ加えさせて いただければと思います。 ○田中分科会長  ありがとうございました。  どうぞ、御質問、御意見をお願いいたします。 ○高木委員  基本的にはこれで私はよいと思いますけれども、参考資料のほうで、調査から落ちてい った病院の大きさとか開設主体とか、そのデータは分かりますか。多分、次のターゲット は、どんな病院が落ちていって、どういう病院がこういうコスト調査に応じないのか応じ られないのか、そこを少し追加的に説明してほしいと思います。 ○小野保険医療企画調査室長  今、手元に規模と調査、いわゆる設置主体についてデータがないので、今度この方針で 議論させていただくときがありましたら、それはその際にお出ししたいと思いますが、い ずれにしましても、今回お声がけをしたのはDPCの対象病院と準備病院でございます。 そういったところだけは今のところは、この場で御答弁できる範囲でございます。 ○田中分科会長  猪口委員、どうぞ。 ○猪口委員  このいろんな調査を最初から病院協会、四病協等で始めたころから比べると、本当によ くここまで精緻化されてきたなというのが最初の感想なんですが、ただ残念ながら、最初 はDPCは関係なくレセプトからつくっていたように思うんですが、途中からデータが整 理し切れないという理由で、DPC病院に限られてきたということも考えて、思うに、先 日、慢性期の分科会で、慢性期はDPCとは関係ないわけですけれども、それはそれでき ちっと収支が出せているわけです。  思うに、今、日本の診療報酬というのは、何かエビデンスがあるんですかという話をす ると、多分ないんだと思うんです。入院基本料は何であの値段なんですかと、多分答えら れないような状況で、そうすると我々はどうやっているかというと、これをやると幾らに なるから、それに合わせてやりましょうという形で必死にやっても、やっと0%の収支と いうのが現状の日本の医療でありますから、これはコストをきちっと計算されて、それに 基づいて診療報酬が構築されるという方向に進まないと、なぜだか分からないけれども、 診療報酬は実態ではなくて何らかの政治力学で決まってくるとすると、これはいい医療は 保証されないわけですから、私はこういうことをどんどん進めていって、きちっとしたデ ータに基づいた診療報酬を構築するという方向に進むために、このコスト分科会はあるん だろうと思っておりますので、ぜひそういう方法で進めていただきたいと思います。  以上です。 ○田中分科会長  ありがとうございます。  どうぞ、西田委員。 ○西田委員  今のお話に関して言えば、私は、まだ不足している部分として、地域性をどうとらえる かという点はあると思います。余りにも地域差があり過ぎる中で、日本全国の平均値をも って議論する無理があるのではないか。大まかにでも都道府県単位でこういうものが将来 検討可能なのかどうか、お考えいただければと思うところです。 ○小野保険医療企画調査室長  今、猪口先生と西田先生から御指摘いただきました。猪口先生の御指摘、まさにほかの 先生方、慢性期の分科会にも入っていただいている先生がおられますので、慢性期分科会 でのやり方というものも私どもは学びながら進めてまいりたいと思っております。  まさに今、猪口先生がおっしゃられたようなエビデンスのある議論をしていきましょう ということ。あとは、例えば西田先生がおっしゃられたような地域差を見ていくためにも、 調査客体数がある程度ないと、地域の傾向というものを見るためのサンプルの数としては 少なかろうということになってしまいかねませんので、多くの病院に参加していただける ようなやり方を考えてまいりたいと、そのためにまた御審議を進めてさせていただきたい と思っているというのが私どもの今の考えでございます。 ○田中分科会長  では原委員、どうぞ。 ○原委員  ちなみに、今回のNは地域差はかなりあったんですか。それとも万遍なく地域から出た データ、どちらですか。 ○早川室長補佐  室長補佐でございます。  地域性等は、今回、正直考えられなかった。まず結果的に、先ほど猪口先生からお話が ありましたけれども、当初、この調査研究を行うときには、DPC対象・準備に特化した ものではなかったのですね。ただ、精度を高めていくうちに、どうしてもついてこられる 病院がそこに限られてしまったと。それで、この見直しのところでも言っていますけれど も、幅広くということで、今後は、普通という言い方は変ですけれども、DPC対象・準 備以外のレセプトデータでデータをいただける病院も考えていきたいというふうに考えて ございます。  それと、地域性というお話がございましたけれども、今、見直しをやっていない段階で お話しさせていただきますと、集計等にもかなり時間がかかりますし、それだけ精度の高 い調査でございますので、件数を上げたところでも、恐らく200件いくかいかないかぐ らいが、期間も考えて限界ではなかろうかと。それは予算的なものと期間的なもので、大 体そのぐらいではなかろうかと考えてございます。また、それを地域に割ったときには、 地域の固まりが少なくなってしまいますけれども、そこはまた皆さんで御議論いただいて、 見ていきたいというふうに考えてございます。 ○田中分科会長  池上委員、どうぞ。 ○池上委員  まず、これは急性期病院だからこそ診療科という単位が意味を持ってくるわけでござい まして、慢性期の場合には診療科というのは余り意味を持たなくなってきます。例えば、 もしケアミックスの場合には、療養病棟部門を一つの診療科群に準じた扱いで考えないと いけないのではないかと思います。  したがって、結果的にDPC対象病院と準備病院と限られてきましたけれども、もとも との発想の根底にあった診療科群ごとに見ていくというやり方も、急性期の一般病床を主 体とする病院についての調査であります。慢性期についてはどうかというと、慢性期のほ うは、私が所属しております慢性期入院医療の包括評価調査分科会において行ってまいり ました。ですから、そこと補完する形で進めていく必要がありますので、慢性期について は慢性期がコストについても具体的に調査しておりますので、そこと急性期のこれまでコ スト分科会で報告申し上げてきた内容との補完性があります。そこで両者が重なるケアミ ックス病院についてはどうするかが残された課題ではないかと思います。 ○田中分科会長  ありがとうございました。このコスト調査で全部カバーするというものでもなくて、こ こに与えられた目的は急性期の診療科別であると。おまとめありがとうございます。  どうぞ。お願いします。 ○佐柳委員  急性期の病院でいけば、一番重要度の高いのが救急医療だと思うんです。多臓器にわた って障害されたケースで来ると。そういう本当の急性期の部分の評価というのは、この単 科の中でどういう分析をされているのかちょっと見えないんですけれども、これが1点。  もう一つ、これは本質的な話ですけれども、コストとそれに見合った収益のバランスを とるというのが現状分析でどう評価するかということがあるんですけれども、もう一つは 経営努力をどんなふうに評価していくのかという視点も必要ではないか。効率的な医療を 全体として進めていこうというのが一つの基本的な方向だとは思うんですけれども、コス ト計算をするときに、それを経過で見ていくのか、何かいろいろな方法があると思うんで すけれども、経営努力というのをどうやって評価していくのか。この2つがちょっと気に なるんですけれども、いかがでしょうか。 ○田中分科会長  救急と経営努力に関して、事務局、何か答えはありますか。 ○小野保険医療企画調査室長  救急部門という形では、今のところ確かにやっていないところでございまして、新たに それを付加するとなると、またちょっと難しくなってしまうという問題もあるかもしれま せんが、大事な論点だということで理解させていただいて、また先生方と御議論させてい ただければと思っております。  また、経営努力の部分も確かに見えにくいというのは、そうだと思いますが、それはな かなかこの数字からだけでは反映といいますか、見ていくことは難しく、いろんなデータ とか、またデータ以外にも先生方の御意見とかを踏まえて考えていくべき課題かなと思っ ております。 ○池上委員  救急については調査検討しましたが、どこまでを救急とするか、救急部がある病院にお いても、救急部が診療科に準じて病床を持っているという場合もあるし、ない場合もあっ て、ある場合でも救急部だけの病床で、救急患者の対応を全部行っているわけではないも のですから、救急部を1つの単位として把握することはなかなか難しい。まして救急部が なくて各科かそれぞれ救急対応している場合に、それをどこからが救急の患者であって、 救急の患者に限った収支を、それを1つの単位として把握し、分析するということは極め て難しい課題です。例えば救命救急センターについて、そこに限った分析をすることがで きても、より普遍的には救急全体を調査・分析するということは、検討してみたかったが、 現実的には難しいという課題で、結局、診療科部門として見た場合に、診療科において救 急が占める割合が多い診療科はどうなっているかという、割合定性的な分析しかできない のではないかという気がいたしました。  以上、感想を申し上げました。 ○佐柳委員  非常に難しい課題であることはよく分かるんですけれども、できるかできないかあれで すけれども、例えば各診療科群別に、縦割りでどこかに所属させるということで、とらえ たらこうなるというのと、もう一つ別の見方で、横割りで見ていった場合、例えば救急医 療でも、全体を見る医療という意味で、本当の急性期を診るものと、例えば内科に近い状 況かもしれませんけれども、ゆっくりとした救急という意味で、総合診療のベースで見て いくとか、そういった切り口を変えて全体を見直すというようなこともできるのでは。と いうのは、単にコストの問題ではなくして、これからの医療の一つの在り方として、一人 の個人が幾らも病気を持っているという高齢化社会の中での医療ということに対応してい かなきゃいけないわけなんで、そういった視点からのコストというのも少しは分析し始め て、そこも評価していくということが必要ではないかという気がするんですけれども。 ○田中分科会長  なかなか病院間で標準形がないので、一般化した調査は難しいかもしれませんが、病院 の経営上の考え方としては十分にあり得る話ですよね。  ほかはいかがでしょうか。  どうぞ。 ○猪口委員  今回ここまで精緻化されたということで、ある程度完成と考えた場合に、それをもう少 し汎用して、いろいろな病院が参加できるようにソフトを開発して、そこに数字をどんど ん入れていけば、ある程度近似値としてこういう結果が出てくるというようなソフト開発 については、可能性としてはいかがなんでしょうか。 ○田中分科会長  事務局、どうぞ。 ○小野保険医療企画調査室長  非常にアイデアとしてはおもしろいかと思います。ただ、実際いろいろお話を伺ってい ると、いろいろな病院でいろいろなソフトをお持ちで、管理会計の手法もさまざまでござ います。その中で、完成のそういったものが出ますと、官業と民業との関係とかそういう 問題も出てきてしまうかもしれません。そういったこともあると今思った次第でございま す。  ただ、やり方をこういうふうにお願いしますということが、実際、現場で採用されるこ とで、例えば昨年度のヒアリング調査をしたときにも、フィードバックさせていただいた 医療機関では、他病院の状況を見て、自分のところのベンチマーキングに非常に役立った という声も聞いておりますので、ソフトを開発して配布できるかどうかというのはまた別 の問題かとも思いますけれども、この手法が普及するということは、病院経営にとって何 かしらのプラスを生み出していくことができるんじゃないかと期待もしております。 ○早川室長補佐  先生がおっしゃられるように、民間でもソフトは出ているんですね。ただ、これはそれ ぞれの病院にカスタマイズした方法で病院が使っていらっしゃるので、恐らく今我々がや っているものをソフト化して配って、これに入れてくださいと言っても、入れる数字をつ くるのに困られて、難しいんじゃないかという考えがございまして、ソフトで配っても、 今の調査ということからすると、皆さんが逆に苦労されるのかなということも考えてござ います。 ○池上委員  これは私の私見でございますけれども、病院の経営戦略を立てる上では、カスタマイズ されたソフトを使うし、他病院と比較する上では標準的な手法を使うということが将来的 にできれば理想的ではないかという気がいたします。  そして、こちらが求めるデータを病院として入力しないと完成できないような、今の現 状はそうなっておりますけれども、先ほど申しましたように、データを入手する上での病 院の負担、コストと、そして全体に与える影響ということを改めて精緻に分析することに よって、必要最小限のデータを規定します。また、データがない場合にはデフォルト値と して標準値を入れて、粗く計算するという方法もあると私は思いますので、今後はそうし た調査研究をしていく必要があるのではないかという気がいたします。 ○田中分科会長  ありがとうございます。簡素化でデフォルト値を使うというのはあり得る方法ですよね。  ほかはいかがでございましょうか。  どうぞ、松田委員。 ○松田委員  僕は少し混乱しているんですけれども、この調査を何の目的のためにやるのかというこ とをもう一度確認しないといけないと思うんですが、いわゆる標準原価みたいなものを求 めるためにやっているのか、それとも、各病院における実際原価を計算して、経営改善の ために使っていくのかという、目的によって調査の仕方も違ってくるんだろうと思うんで す。  先ほどどなたかが言われたと思うんですけれども、もし実際原価みたいなものが出てき て、それに対して経営改善をやっていくとコストが安くなってくる、そうするとどんどん コストが安くなっていくわけですけれども、そういうもので本当に診療報酬を決めていい のかという議論が出てくると思うんです。人件費も病院によって違うわけですので、それ でもし標準原価みたいなものを決めるのであれば、人件費は固定し、給与なんかも給料表 をつくって固定していかなきゃいけないと思うんです。  同じような調査が実はフランスでやられているんですけれども、フランスの場合には、 標準給料表というのがございます、医師、看護師、いろんな事務職について。それに基づ いて標準原価みたいなものを計算してくるんですけれども、先ほどのソフトの話で言うと、 エコール・ド・ミンというところが、国立鉱山学校という経営学の大学校なんですけれど も、そこが方法をもう開発していて、参加する基準も決まっていて、それに参加したとこ ろは、データを出すと何ができるのかというと、全体の平均も出るんですけれども、そこ で自分の病院のものを比較することができる。そこでは経営改善にも使うし、経営改善に 使うときには自分たちのほうで実際原価を入れているわけですけれども、標準原価を計算 することによって国レベルでの診療報酬の決定にも寄与していると。これは何に使うのか ということをきちんと切り分けて考えていかないと、混乱してしまうんじゃないかとちょ っと思いました。 ○田中分科会長  整理をありがとうございました。  石井委員、どうぞ。 ○石井委員  もともとの御趣旨というのは、医療機関のコスト等の適切な反映を診療報酬サイドに行 うということのようなので、先ほどお話がちょっと出ましたように、各委員の先生方がお っしゃっているように、これだけデータが精緻化してきたわけですから、ぜひとも診療報 酬改定には活用いただくことが望ましいと思います。最初に出席したときに比べると非常 に価値の高いデータであると思います。  ただ、視点を少し変えると、実は病院の経営内容は、このようなデータによってかなり 透明化してきており、10年ほど前によく言われた、病院の経営は不透明で、効率的なの か非効率的なのかすら分からないといったような時代とは随分変化をしてきている。ある 意味、一般の企業に比べても決して不透明だとは言えない。こちらの部局ではこういうデ ータがありますが、同じ厚生労働省でほかの部局には病院経営管理指標等もございますし、 医療経済実態調査もおやりになるわけで、そういう意味では情報の透明性は大変図られて きている。  ただ、そうなってきたときに、先ほど猪口委員もおっしゃったように、ほとんど採算が 存在しないという状況をどうやって改善するのか。あるいは中を見ていくと採算が十分に 存在している領域もあるようだと。そうすると、医療費を適切に配分するということも考 え直しをしていくということに対しては、このデータは非常に活用性もあるんだろうと。 このあたりはぜひともお考えいただきたいと思います。  経営努力をしていっても、病院経営の中で管理できない部分、管理不能なコストという のがありまして、特に人件費の中で法定福利費と言われているものは、全く管理不能です から、雇用形態そのものを変えて、非正規就業者中心にするというようなことをすれば、 法定福利費の削減は可能かもしれませんが、我が国の医療システムはそういうものを前提 としていません。しかしながら、法定福利費はすべて上がるという傾向を持っていまして、 この20年間でとてつもない増加をし、給与費全体の10%ぐらいを占めています。ある いは今後もしかすると議論されるだろうと言われている控除対象外消費税等というような ものも、税率が変化すると自動的に負担がふえるわけですから、管理不能なんですね。  医療経営の中には、管理不能なコストというものがかなりあるという事実もきちっと認 識しながら、少なくともそういうものについては診療報酬において反映していくという考 え方が必要なのではないかというふうに理解をしておりますが、ぜひともその辺のところ はできる限り中医協サイドで認識をしていただければと思っております。 ○小野保険医療企画調査室長  今、石井先生から御指摘いただいたことで、私どもも大変勉強になったところでござい ますが、医療経済実態調査のほうで、先ほど御指摘いただいた法定福利費も含めた形で人 件費をとっておりますし、あと、消費税の額を計算する際にも、医療経済実態調査のデー タを使っているところでございます。それで、その反映された結果がこれかというのは、 いろんなお考えがあるかと思いますが、一応そうさせていただいているということは、指 摘だけさせていただきたいと思います。  失礼しました。 ○池上委員  先ほど松田先生から標準原価と実際原価の話をされましたけれども、私は二者択一の関 係にあるとは思いません。というのは、標準原価で給与費を、例えば昔の国家公務員給与 体系に固定して標準原価を計算しても、日本の医療の実態に適切に反映していないと思う からです。標準値は各病院の給与の実態を積み上げ、その中央値ないし平均値を計算する ことによって得られると考えるべきではないか。  それから、二者択一でないというのは、標準原価を限りなく実際原価に近づけようと思 えばできるわけですね。例えば特殊原価調査を行うことによって、実際に当該病院の各手 術ごとの手術時間、あるいはそれに対応する医師数、看護師数などが分かれば、その病院 固有の係数を用いて計算したほうが精緻になることは明白であります。しかし、こちらの 調査から計算した特殊原価調査から得られた等価係数という標準値を用いて、そして医師 が手術にどのくらい時間を割いているかということに基づいて算定したほうが、ただ単に 標準値を用いて計算するよりも、より精緻になってくるわけです。病院がこのデータをど う活用したいかという観点から、どれだけ負担をかけて、より精緻な数値を投入するかど うかということでございます。  公の調査の場合は確かに標準原価を用いる必要はありますが、それでも可能な限り実際 原価に近いものを積み上げて得るべきであると思います。 ○田中分科会長  両者の関係について説明ありがとうございました。  ほかはよろしゅうございますか。一応一当たり御意見を伺ったということで、よろしゅ うございますか。  では、こちらの議題についてもここまでとさせていただきます。どうもありがとうござ いました。  先ほどと同じことですが、本日御議論いただいた医療機関の部門別収支に関する調査の 今後の方針について、本分科会で了承いただいたということでよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  ありがとうございます。同じく、中医協・診療報酬基本問題小委員会の求めに応じて私 のほうから報告してまいります。これも御一任いただいてよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕  ありがとうございます。では、そのような取り扱いにさせていただきます。  また、いつもの報道の方々にお願いといいますか、伝達ですが、この分科会で議論され ている内容は、中医協・診療報酬基本問題小委員会の了承を得て初めて成案となるもので あります。我々はそれをこういう形で報告すると決めたまでであって、成案となるかどう かは小委員会のほうで決まることになります。その旨、御留意いただきますよう、よろし くお願いいたします。  以上で、本日予定しておりました議題については終了いたします。よろしゅうございま すか。  では、これにて本日の分科会を終了いたします。  次回の開催について事務局より説明をお願いします。 ○小野保険医療企画調査室長  追って連絡させていただきたいと思います。 ○田中分科会長  では、これにて第15回医療機関のコスト調査分科会を終了させていただきます。  本日はお忙しい中をどうもありがとうございました。                  【照会先】 厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室 03−5253−1111(内線3287)