09/07/09 第8回社会保障審議会医療部会議事録 第8回 社会保障審議会医療部会 日時 平成21年7月9日(木) 10:00〜 場所 厚生労働省省議室 ○企画官 ただいまから、第8回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、またお暑い中をご出席くださいまして誠 にありがとうございます。  初めに新しい委員をご紹介いたします。がんと共に生きる会副会長の海辺陽子委員です。 全国市長会の大西秀人委員です。社団法人日本歯科医師会の近藤勝洪委員です。社団法人日 本看護協会の齋藤訓子委員です。社団法人日本医療法人協会会長の日野頌三委員です。社団 法人全国自治体病院協議会会長の邉見公雄委員です。本日はご欠席ですが、九州大学理事・ 副学長の水田祥代委員も新たな委員にご就任されております。  委員の出欠についてご報告申し上げます。本日は代理の方にご出席いただいておりますが、 上田清司委員、鮫島健委員が欠席です。また、尾形裕也委員、水田祥代委員、樋口範雄委員、 山本文男委員からご欠席の連絡をいただいております。  資料の確認をさせていただきます。大きな塊が3つありまして、議事次第の乗った塊に、 議事次第、座席表、委員名簿、それから資料1から資料9までと、参考資料1から参考資料 8まで付けてあります。2つの大きな塊は資料10です。事務局からは以上です。以降の議 事進行は齋藤部会長にお願いいたします。 ○部会長(齋藤) これまで、委員欠席の際には代わりに出席される方の扱いについて、事 前に事務局を通じて部会長の了解を得ること、及び当日の部会において承認を得ることによ り、参考人として参加し、発言をしていただくことを認めることにしております。本日は、 上田委員の代理として埼玉県保健医療部長の石田義明参考人、また鮫島委員の代理として日 本精神科病院協会副会長の山崎學参考人のご出席をお認めいただきたいと思いますがよろ しいでしょうか。 (異議なし) ○部会長 ありがとうございました。今回から新しく委員に就任された方々が複数おられる こと、それから本日の議題である平成22年度の診療報酬改定に向けた検討を行うに当たり、 まず本部会の位置づけや役割について我々の理解を共通にしておきたいと思います。つまり、 改めて社会保障審議会医療部会の所掌を確認しておきたいと思います。それについて、事務 局から説明をお願いいたします。 ○総務課長 資料はございませんが、当医療部会の位置づけについてご説明いたします。当 医療部会は、社会保障審議会の部会として設置されておりまして、社会保障審議会令第6 条第1項に部会を設置することができるということが定められております。平成13年7月 の社会保障審議会において設置が決定されたものです。  当部会の設置目的は、前身が医療審議会で、その審議会の目的を引き継いでおります。医 療を提供する体制の確保に関する重要事項の調査・審議がその目的とされております。これ までの活動の実績は、設置されました以降、医療提供体制制度改革要綱を作成していただい ておりまして、これが作成されて平成18年度の制度改正を経ました。その後、平成19年3 月から再開となり、再開後本日で第8回の開催となりました。これまでは、平成18年度に 行った医療制度改革の内容、施行状況、長寿医療制度の創設に当たって新たな診療報酬体系 の構築をすることになっていて、医療の確保の観点からの検討、平成20年度診療報酬改定 についても、設置目的に照らして医療の確保の観点からの検討などについてご議論いただい たところです。平成20年には、周産期医療と救急医療の確保と連携、新しい医療計画の実 施状況など、医療提供体制の確保、あるいは医療政策をめぐるさまざまな問題についてご議 論いただきました。  本日の議題は、診療報酬改定に向けた検討です。診療報酬改定にかかわる基本的な医療政 策を審議する場としては、当部会のほかに医療保険部会があります。医療部会が、医療提供 体制の観点から、医療の確保の面で調査・審議することになっておりますが、医療保険部会 は、医療経済あるいは医療保険財政の観点からの調査・審議ということになっております。 また、これ以外に中医協というのがあり、中医協はこういう基本的な医療政策を踏まえ、具 体的な診療報酬体制の設定から審議を行うこととなっております。このような役割分担とな っているものです。  医療部会におきましては、ただいま申し上げましたような趣旨でのご検討をお願いすると いうことですので、よろしくご審議、ご議論をお願いいたします。以上です。 ○部会長 ご意見、ご質問はございますか。 ○竹嶋委員 冒頭にこの会の趣旨の説明がありましたが、私もそのように認識しております。 いま言われたように、本会は社会保障審議会の中の、医療部会と医療保険部会ということで す。医療部会は、財源については横に置いて、いわゆる地域医療提供体制をしっかり議論し ていくことである。私も中医協のメンバーの1人ですが、それを受けて中医協では、その政 策を踏まえて診療報酬の中身を検討していくことは、平成17年に決められております。  中医協におりましていつも感じることは、社会保障審議会の医療部会、あるいは医療保険 部会の議論が十分なされていないという感じは否めません。それは実際にいまお話のありま した、平成17年から本日までで8回ということでした。財源の問題について本日は触れま せんが、既に6月3日に財政制度審議会が、平成20年度予算編成の基本的な考え方につい て建議を出しております。1月15日に第1回が開かれ、6月3日にその建議が出ておりま すが、この間に10回開かれております。その間、多いときには月4回、3回と開かれてい ます。  我々は、地域医療提供体制をいろいろ考えていくにしても、その後ろには財源手当てがな いと空理空論になってまいります。一方では、そういうところで早くからこれに取りかかっ て財政中立、財源中立、それからシーリングがなされています。それより前に我々はこうい う会を開いて、その中から地域医療現場から吸い上げたものをそういう所に出していくとい うのが順序ではなかろうかと、この2、3年、常々この席に出る度に考えています。  そういうことで、是非この会に重きを置いて、国民の医療のため、まさに生活と暮らしの 改善をいま国が抱えておりますが、その中の生命を預かる医療として地域医療のあり方を十 分議論し、財政指針をはっきり明確に出していくべきです。財政審ではまず財源のシーリン グから入っておりますので、本当にそれでいいのかということを私は議論していくことを冒 頭に強く申し上げさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 ○部会長 この医療部会で十分実質的な議論をするために、従来は2時間だったのですけれ ども、今回から2時間半取っていただきました。それから、事務局の説明もなるべく短くし ていただいて、委員一人ひとりの方々の発言する時間をたくさん取りたいと思います。いま のような共通理解で議論を進めるということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○部会長 ありがとうございました。議論を始める前に、この1年の間に医療・社会保障の 大きな方向性に関する政府の方針事業が示されております。既に医療部会で取り上げたとこ ろもありますが、改めて大きな流れを確認しておきたいと思います。そこで資料の最初のほ うにある、「経済財政改革の基本方針2009」、それから「地域医療再生基金事業等について」 を事務局から説明を受けます。先ほど言いましたように、意見交換に時間をかけたいので、 説明は簡潔にお願いいたします。 ○総務課長 資料1は、経済財政改革の基本方針、いわゆる骨太2009で、6月23日に取 りまとめられたものです。ポイントだけ絞ってご説明させていただきます。資料1の1頁は、 今回の骨太の方針については、危機克服の道筋をつくるということであり、安心社会を実現 するための方策として、いろいろな施策を講じていくことが旨とされております。  2頁で、医療に関係する部分についてご説明いたします。社会の現状と課題ということで の認識です。第1の課題の2行目に「年金・医療・介護など社会保障制度のほころびを早急 に修復するとともに、信頼構築のための制度・行政基盤を早急に整えていく必要がある」と いうことが大きな認識の1つです。さらに3頁で安心と活力の両立を目指してという(3)最 優先課題として、政府内における最優先の課題として捉えられたものです。4頁の[2]で「安 心社会の実現」が捉えられています。先ほどの社会保障のほころびのことですが、ほころび の修復なしに政府への信頼回復はないということで、抜本改革を通じた安定財源の裏打ちを 制度的に確保しつつ、社会保障の機能強化について効率化を図りつつも、緊急措置として前 倒しで「先行実施」を図ると謳われております。これが緊急的課題です。  何章かに分れておりますが、2章に成長力の強化ということで、今後の戦略的な投資とい うことで、資源の投資をしていく上で、成長分野に投資をしていこうということです。その 戦略として、6頁に健康長寿が捉えられております。こういう中で地域医療の強化、四角で 囲んだところで健康産業創出プラン、医療・介護福祉新技術イノベーションプランが捉えら れていて、主な施策の2つ目のポツのところに、地域医療の再生、大学病院の機能強化、拠 点病院の強化、医療機関に対する優遇融資などが掲げられています。  13頁は安心社会ということで、第3章「安心社会の実現」です。この実現のために社会 保障の機能強化等の取組みについて掲載されているものです。1の生活安心保障の再構築の (2)が安心社会実現の道筋ということで、再構築の局面ということで、2009年から2011年 ごろにかけての施策が取りまとめられております。14頁には、安心回復局面という2011 年以降の施策のポイントについて書かれています。(3)は2010年以降のものも書かれていま す。  特に、今回優先的な課題として捉えなければいけないのは、13頁の再構築の局面であろ うかと思います。これについては、中期プログラムを既に前回ご説明させていただきました ように決められていて、その中に示されております社会保障の機能強化・効率化が示されて おります。その中での重点的な課題ということで、資料3は「中期プログラム」ですが、そ の8頁に社会保障の機能強化の工程表というのがあり、これが前回ご説明したものです。こ の中に医療・介護が捉えられていて、重点課題として人材の確保、急性期医療の機能強化な どが謳われています。このプログラムに沿った施策の推進を図るというのが骨太の方針の中 にも取り入れられました。  具体的にはどういうものかというと、骨太の方針の21頁の別紙1、別紙2とありますが、 これが2011年までに実施するものとして、医療についてかなりの部分書かれているもので す。以上申し上げましたような点が、今回の財政政策的な重点項目です。  平成22年度予算については18頁にあります。「今後の財政運営の在り方」ということで、 平成22年度予算の方向ということで(2)があります。この中に、「基本方針2006」等を踏ま え、無駄の排除など歳出改革を継続しつつ安心・安全を確保するために社会保障の必要な修 復をするなど、安心と活力の両立を目指した対応を行うということです。  特に予算編成については、その下の括弧のところの2つ目のポツのところに、経済社会状 況への対応策として、先ほど申し上げました優先課題、第2章の成長力、第3章の安心社会 の実現といった取組みについて推進するということで、予算面においても所要の対応を行う ことを含め、予算配分の重点化・効率化を行うこととされたものです。  ちなみにこれに基づいて、先日シーリングも閣議決定されました。資料の23頁の次に1 枚紙でポンチ絵が付いていますが、平成22年度一般歳出の概算要求基準の考え方がありま す。平成22年度予算としてシーリングとして決まった額が載せられております。まず最初 に、医療・年金等の経費について、自然増はそのまま認める。これは財務省の資料ですが、 オールジャパンで1兆900億円、厚生労働省でいうと1兆800億円になるようです。他省 庁が100億円あるようですが、その分はそのまま認めるのだということで、無理のない範 囲で節約に努め、節約できた分は社会保障に充当するという方針が示されているものです。  隣のほうに裁量的経費の部分について、公共事業なり、その他経費なりについては3%カ ットするという方針です。3%カットした金額をベースに、25%要望していいということに なっていて、その分は要望できる形になっています。そのうちから3,500億円を「経済危機 対応等特別措置」として認めることになっていて、これは年末にどういうものが入るかが決 まっていきます。その中の施策の柱として、経済危機克服、これは最重点課題に入っていま す。それから安心社会実現成長力の強化といった項目がこの中で採用されるものです。  我々厚生労働省の枠でいいますと、要望基礎額は約2,000億円ぐらいになるのではないか と聞いております。その中から3,500億、オールジャパンですのでどれだけ入れていってい ただけるかということになろうかと思います。以上です。 ○指導課長 資料4「地域医療再生基金の概要」は、先般決められました補正予算に計上さ れた、地域医療再生基金の内容について概要を示したものです。いちばん右上にありますよ うに、総額として3,100億円です。その下の枠の中に目的が書いてあります。救急医療の確 保、地域の医師確保など、地域における医療課題の解決を図るということで、都道府県が策 定する地域医療再生計画に基づいて、都道府県の取組みを支援するものです。  その下の左側に計画があります。基本的には二次医療圏ごとにこの計画を定めるというこ とで、平成25年度までの5年間にわたる取組みを支援するということです。その下の○の ように、それぞれ地域の実情は異なるわけですので、その実情に応じた、自由な事業を決定 していただくということで、内容としては施設・設備のものでも結構ですし、運営費にかか わるものでも結構です。例えば、医師確保事業などについては、全県を対象とした事業とし て実施することも可能になっているといった柔軟な取組みができるものです。  右側に経費があります。10カ所の二次医療圏については100億円を基準として分配しま す。その他の地域については予算の範囲内で、30億円を上限として配分されることになり ます。都道府県の負担については、今般は一定の補助率があるわけではありません。一率に 新たな負担が必要になるというわけではありません。  その下に手続があります。都道府県でそれぞれ計画を練っていただき、計画が策定され次 第順次国に提出していただくということで、最終的には10月中旬頃には出していただくこ とになります。都道府県からいただいた内容について、厚生労働省では有識者による協議会 において審議をしていただき、最終的には11月下旬ごろまでには計画の審議を終え、交付 金を都道府県に交付する流れになっております。  次の頁に例示として、救急や周産期にかかわる事業を、もしある特定の二次医療圏で行わ れればどうなるかということで書いたものです。左側は現状で、右側は実施後です。実施後 のいちばん右上にあるA病院を見ますと、現状では特段の機能付けがないものを、この計 画において救命救急センターとして位置づけていくものもあります。いちばん下のE病院 については、従前の200床から250床に増床するとともに、地域周産期医療センター、あ るいは小児救急医療センターという形で位置づけていく。このような資源の再配分などを行 い、地域全体の医療の提供体制を強化していくということをご提案いただくものです。以上 です。 ○部会長 以上、骨太をはじめ大まかなことの次に、各論的な話として資料の説明です。安 心と希望の医療確保ビジョン具体化検討会中間まとめなど、各検討会の報告書において、医 療政策をめぐるいくつかの具体的な課題について、掘り下げて検討されております。これら につきましても、既に当部会において取り上げたところもありますが、もう一度事務局から 説明を受けます。 ○総務課長 最初に「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化検討会中間取りまとめについ てです。資料5で具体化検討会のポイントですが、その次の頁にあります平成20年6月に まとめた医療確保ビジョンに基づいた、その具体化方策について議論されたものです。前回 の審議会でもご説明いたしましたので、ポイントだけご説明いたします。これは、ポイント だけに絞った資料にしております。  まず、医療従事者の数と役割をちゃんとしなければいけないというビジョンに対し、医師 数の養成については、平成20年度、平成21年度については、過去最大の医学部定員を上 回る程度を目指すということです。平成21年度の医学部定員については、過去最大を上回 る8,486人の定員が実現したところです。将来的には、推計し直して増加を目指していくこ ととされています。  医師の偏在と教育の面についても、医師が魅力あるようなインセンティブを作っていくこ とが必要である。医師としては、専門医として総合医・家庭医を捉える、あるいは産科、救 急などのへき地勤務の医師に対する手当などについて具体化を図っていくということです。 医師に対する手当としては、平成21年度予算で新規事業、救急医療や産科医療、へき地医 療を担う医師に対する財政支援を行うことが取りまとめられました。それから、研修制度の あり方の見直しも先般出たものです。  3つ目は、コメディカル等の専門性を発揮したチーム医療ということです。これは、チー ム医療を推進していくということで取組みを進めていくものですが、この後にご説明いたし ます看護の質の向上と確保に関する検討会を設置して取りまとめたものです。今後さらに深 めた議論を進めているところです。  4つ目は、地域医療・救急医療体制の支援ということで、在宅医療、あるいは在宅医の専 門性の評価、訪問看護のあり方の見直し・検討といった点が指摘されました。これについて も、例えば業務負担の軽減、救急医療体制の整備についてのご議論などをいただいたもので す。  5つ目は患者・住民の参画ということで、必要な人が、必要な医療を受けられるよう、住 民共々地域医療を守ることが必要ではないかということです。以上です。 ○看護課長 資料7で、看護の質の向上と確保に関する検討会のご説明をさせていただきま す。1枚で概要です。これは平成20年11月に設置された検討会で、平成21年3月17日に 中間取りまとめを行ったものです。この検討会では、看護に関する現下の課題を1番、2番、 3番、4番に掲げてある4つについて、基本的な方向性を検討いたしました。  1番の看護教育のあり方については、看護教育の充実を図る必要から、教育年限を必ずし も前提とせずに、教育内容などの検討に着手し、さらなる充実を図るといったことや、「大 学化」についても動向を見極めて対応すること。  2番目の、新人看護職員の質の向上については、真ん中以下に書いてありますように、新 人看護職員研修の実施内容や方法、普及方策について早急に検討し、実施に移すことといっ た方向性が出されております。  3番目は、先ほどの医療ビジョンの続きといった部分もあります。ここでもチーム医療の 推進の観点から、看護職員と医師をはじめとする多様な関係職種の協働・連携といったあり 方を具体的に示し、普及を図ることとされたところです。  4番目は看護職員の確保についてです。現在、看護職員の需給見通しを立てておりますが、 今後この需給見通しを立てるに当たっても、必要な見直しについて検討することや、長期的 な見通しについての検討をすること。そして中ほどにありますように、多様な勤務形態の導 入など、職場の定着を支援するような対策を強化することが求められているという方向が出 されております。  現在はこの4つの課題のうち、1番と2番と4番については、それぞれの検討会を開催し ております。看護の質の向上と確保に関する検討会で示された方向に沿って、具体的な検討 を進めているところです。以上です。 ○指導課長 周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会報告書、重篤な小児患者に 対する救急医療の検討会中間取りまとめについてご説明いたします。いま申し上げました報 告書を含め、救急医療全般についての現状と課題についてまとめたものが資料8です。2頁 の下の図は、救急医療等の体系図です。これは初期、二次、三次という層を作った救急医療 の体系を示したものです。左側が大人の救急患者、右側が子どもの救急患者に対応するもの です。特に三次については、救命救急センター、また未熟児などについては地域総合のそれ ぞれの周産期母子医療センターが対応する。その下の二次救急においては、病院群輪番制の 病院、共同利用型の病院、小児については小児救急医療支援拠点などが対応するという絵柄 になっています。  3頁のスライドは、救急医療について私どもが行っている予算補助事業の内容です。その 下に施設設備の整備、運営費、人材確保、その他ということで、いま私どもが行っておりま す補助事業を4つに分類しております。そのいちばん上の四角に入っておりますように、ま ず政策目的に照らして地域において必要な医療提供体制の構築を促す観点から、奨励的な補 助事業を行っている点。次の○で救急医療、小児救急医療、へき地医療等の医療提供体制の 確保にかかる費用で、診療報酬では賄いきれない不採算部門等について補助事業を実施して います。  4枚目のスライドは、救急医療の確保のための主な施策です。左側は制度上の措置、次は 予算上の措置、そして前回改定の際、平成20年度の診療報酬改定における措置が分類され ております。救急医療は先ほど申しましたとおり、初期、二次、三次ということですけれど も、その前の病院前救護もありますし、また全般について医師等の医療従事者の確保がいち ばん右側に書いてあります。  最近の動きとしては、制度上の措置として上から2番目にありますように、消防法に基づ く救急搬送・受け入れルールの策定ということで、先般消防法の一部改正が行われ、救急患 者の搬送が、より円滑になるような制度改正が行われました。  予算上の措置の2つ目の二次救急の辺りに書いてありますが、管制塔機能を担う病院とい うことで、地域の中で救急患者を受け入れていただける最後の砦を設けていく観点から補助 事業を行っています。  その右側の医師等の医療従事者の、予算上の措置の上から3つ目の欄ですが、救急勤務医 支援事業というのは、救急で夜間あるいは休日に働いている医師に対して、その夜勤等の手 当をお出しいただいた場合に、国がその一部を支援するものです。  次は周産期医療確保のための主な施策ということで5枚目のスライドです。同じように制 度上の措置等の分類を行っているとともに、周産期においては正常分娩、また地域周産期母 子医療センター、総合周産期母子医療センターという形で、それぞれの機能に応じた制度を 持っております。この中で予算上の措置として、いちばん右側の医師等の医療従事者のとこ ろと、予算上の措置のいちばん上のカラムのところですが、産科医等確保支援事業、産科医 等育成支援事業と2つあります。上の段は、産科で分娩に立ち合った産科医に対する手当を 病院側が出したときに、その一部を支援するものです。その下の育成支援事業は、後期研修 で産科を選んだ方々に対する奨学金制度を設けたものです。  6枚目のスライドも同じような分類で、これは小児の救急ということで、初期、二次、三 次です。特に最近の動きとして、初期の小児救急医療について、これは実際に小児救急の患 者の9割は初期の方が多いということもありますので、この体制を充実させるため、小児初 期救急センター運営事業という、初期救急を行うセンターに対する運営事業を行っているも のです。  7枚目のスライドは、救急医療等に係る課題と必要と考えられる評価です。上の四角に書 いてありますが、救急医療については需要が非常に拡大していることがあります。それを受 けて右側へ行きますと、救急患者の受入れ体制が不足している。救急の処置が終わった方々 が出ていく出口の問題と書いてありますが、後方の病床等の不足があります。  それについて周産期、小児というのが課題として出ております。それぞれここにあるわけ ですが、例えばこの資料の27枚目のスライドを見ますと、先ほど冒頭で申し上げました「周 産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の報告書です。その中で3つ目のポツで は、周産期母子医療センターについて診療実績を客観的に評価する。その下で救命救急セン ターや二次救急医療機関の妊産婦の受入れを推進する。4つ目の事項で、状態の安定した妊 産婦・新生児の搬送元医療機関への戻り搬送の促進。5番目の事項としてNICUの整備、 GCUの整備、後方病床の整備が出ています。6番目の事項として、重症患者に対応する医 療機関を定めるということで、受入れ、搬送のルールの策定などが指摘されております。  29枚目のスライドで、重篤の小児患者、1歳から4歳の子どもたちの救急体制を充実さ せる必要があるという観点から、2つ目として発症直後の重篤な時期(超急性期)の救命救 急医療を担う体制の整備ということで、2つ目のポツのいちばん最後の括弧書きのところで、 小児の救命救急医療を担う救命救急センターなどについては、小児救命救急センターを設置 するということ。さらにそれらの急性期を終えた方々、急性期に移っていった方については 3番目の事項として、下から3行目に、小児集中治療室の整備のための支援と書かれていま す。  そのようなことを含め、7枚目のスライドに戻りますと必要な支援ということで、需要の 拡大については円滑な搬送・受入れ体制の構築、受入れ体制の不足については、救急医療機 関への支援、地域の医療機関等との連携強化、救急医療を担う医師の勤務環境の改善という 支援が必要である。  その右へ行きまして出口の問題に対応する支援として、後方病床・在宅療養の機能強化と いうことが、いま申し上げた報告書などで指摘されているものをまとめたものです。以上で す。 ○部会長 資料説明の最後として、平成22年度の診療報酬改定に向けた検討に当たり、診 療報酬改定の流れ、診療報酬改定のスケジュール、及び2年前の改定の結果検証部会につい て説明をお願いいたします。 ○医療課長 資料9は「中央社会保険医療協議会の新たな出発のために(抄)」です。これ は、いわゆる中医協改革の中で、平成17年7月20日に、中医協のあり方に関する有識者 会議から出た報告の抜粋です。ここでは何が書かれているかというと、診療報酬改定のプロ セス、特に改定率と、診療報酬点数の設定という大きな2つのプロセスがあります。(2)改 定率については、内閣の権限であると書いてあります。  (3)からがこの医療部会との関係が書いてあります。中医協においては、基本方針に沿っ て診療報酬改定を行うのだということとなっております。その医療政策の審議を行う場とし ては、社会保障審議会のこの医療部会、あるいは医療保険部会が考えられるのではないかと 書かれています。したがって、診療報酬改定に係る厚生労働大臣から中医協への諮問におい ては、内閣が決定した改定率を所与の前提とした上で、厚生労働大臣の下における他の諮問 機関において策定された、つまりここでいうと医療部会、医療保険部会になりますが、医療 部会、医療保険部会で策定された「基本方針」に基づいて、点数の改定の調査や審議を行う ことになっております。つまり、本日開催されております医療部会と、中医協の関係、ある いは中医協における議論との関係というものが、平成17年7月20日の有識者会議で規定 されていることになります。  いまのように役割分担とか位置づけが決まったわけですので、その役割分担や位置づけに 沿って、どういうタイムスケジュールで議論が進んでいくかを表にしたものが2頁です。下 の段は、平成20年度の診療報酬改定、つまり前回の改定のスケジュールです。私どもとし ては、上の段に書きましたような案という形で、今年度はこういう方向で、こういうスケジ ュールで進めていこうと考えております。ご覧いただきますとおりですが、11月ぐらいま でかけて、社会保障審議会のこの医療部会、あるいは医療保険部会で審議をしていただき、 その結果をいただきます。  並行して中医協の中では、秋に集中的に議論をして、厚生労働大臣に意見を提出しますし、 その結果を踏まえて改定率が決定するであろうと考えております。1月ごろには、まさに最 終コーナーと申しますか、具体的な診療報酬点数に向けての最終的な調査・審議・取りまと め等が行われ、2月から3月、例年ですと2月が多いと思いますが、厚生労働大臣に対し、 診療報酬点数の改定案を答申します。実際には3月ごろに告示通知を発出し、4月1日から 施行というスケジュールになっております。  何度も繰り返しになりますが、こういう一連の流れの中でも、社会保障審議会のご意見、 ご審議が非常に重要な役割を占めていることを示したものです。以上です。 ○保険医療企画調査室長 診療報酬改定の結果の検証についてご説明いたします。資料10 です。目次と書いてありますが、診療報酬改定の結果の検証については、平成20年度診療 報酬改定に関しては、全部で10項目行うことになっていますが、そのうちの5項目につい て平成20年度に調査を行いました。ここに掲げてある5項目のうち、病院勤務医の負担軽 減の実態調査については、大きい束の上のほうに積んである報告書でご説明申し上げ、残り の4つについては資料10のほうでご説明申し上げます。  それでは、大きい束の中の病院勤務医の負担軽減の実態調査という冊子をご覧ください。 34頁の図表37です。ここに掲げられているような病院勤務医の負担軽減策について取り組 んでいるかどうかをお尋ねしております。いちばん多かったのが「医師事務作業補助体制を 組んでいる」、その次は「連続当直を行わない勤務シフト」「医師・看護師等の業務分担」云々 とここの頁にあるような割合になっております。  45頁は、医師への経済面での処遇改善状況(施設基準の届出別)と書いてありますが、 この調査はここに掲げられている診療報酬上の点数の加算の届出をした施設に聞いており ますので、全体を表していないことにご留意いただければと思います。このうち45%が「医 師への経済面での処遇改善をしている」と答えています。46頁でその処遇改善内容につい て伺っています。図表49ですが、全体で見ますと75%の所が「手当を増やした」、「基本給 を増やした」が36%となっております。51頁では、手当を増やした中で、どこの診療科の 医師に手当を増やしたかということでいちばん多いのが「産科・産婦人科」その次が「小児 科」、以下ここに掲げられているようになっております。  90頁の図表105の下からは、「医師責任者」と「医師」という言葉が出てまいります。医 師責任者というのは、医師の中で管理職の立場にあるような方、何々科長であるとか、その 診療科を束ねているような方です。医師というのは、そのほかの現場で働いている医師に尋 ねたものです。直近1週間の実勤務時間を図表105で伺っておりますけれども、平均値の ところで「58時間」が責任者、「61時間」が医師となっております。91頁には診療科別の 直近1週間の実平均時間が書いてあります。医師の部分でいちばん多くなっているのが「救 急科」、その次が「外科」「産科・産婦人科」「小児科」の順になっております。  95頁は平均当直回数です。いちばん多いのが「救急科」、その次が「産科・産婦人科」「小 児科」以下ここに掲げられているような順となっております。99頁は連続当直数を尋ねて います。平成20年でいちばん多いのが「産科・産婦人科」、その次に「救急科」以下ここ に掲げられているとおりです。  111頁は、それぞれの診療科における医師の勤務状況の変化について、医師責任者に伺っ ております。左側の2つの帯が、「改善した」、「どちらかといえば改善した」ということで す。全体のところでいうと、5.3+11.5=16.8が改善したと答えています。右側の2つが「悪 化した」、「どちらかといえば悪化した」となっています。診療科ごとの回答はこの分布のと おりです。  123頁は、診療科ごとに取り組んでいる勤務負担軽減策の効果について、医師責任者に伺 っております。左側の2つは「効果があった」「どちらかといえば効果があった」です。「医 師事務作業補助者の配置」がいちばん多く、その次は「常勤医師の増員」「非常勤医師の増 員」「医師業務看護師等コメディカルへの移転」「連続当直を行わない勤務シフト体制」その 他このような割合となっております。  126頁では、医師個人にあなたの勤務状況はどうですかと聞いております。医師で見ます と、左側の2つが改善した、右側の2つが悪化した、真ん中が変わらないということで、「変 わらない」のところがいちばん多くなっておりますが、「悪化した」のほうが、「改善した」 よりも多くなっております。  139頁と140頁が、日常業務において負担が最も重いと感じる業務は何ですかと尋ねて います。医師責任者の場合いちばん多いのが、全体でいいますと「病院内の診療外業務」で す。その次が「外来診療」で、以下ここに掲げられている割合となっております。140頁で は医師に聞いておりますけれども、いちばん割合が多いのが「当直」、その次が「外来診療」 となっております。  142頁では、医師にとって負担が重いと感じる具体的な業務は何ですかと聞いていいます。 いちばん多いのは「診断書・診療録・処方せんの記載」、その次は「主治医意見書の記載」、 その次は「検査の手順やいろいろなことの説明」、その次が「検査等のシステムへの入力」 となっております。145頁では、業務分担の進捗状況について、医師責任者・医師に尋ねて おります。やっているで多いのは「診断書等への記載の補助」、その次が「主治医意見書の 記載の補助」、その次が「入力代行」、その次は「さまざまな者への説明」云々となっており ます。  これについて、個々の選択肢についての効果はどうですかというのを以下で尋ねておりま す。下の欄に掲げられております、さまざまな業務分担の中身のうち、効果があった割合が 高かったものが146頁の、静脈注射および留置針によるルート確保の効果があった、どち らかといえば効果があったの割合が高い。そのほかには148頁の[3]診断書、診療録・処方 せんの記載の補助、そのほかには150頁の[4]主治医意見書の記載の補助、これら3項目に ついては、「特に効果があった」という声が高く出てきております。以上が、勤務医の負担 軽減の話です。  残りのものについては資料10の7頁で簡単にご説明いたします。外来管理加算の意義づ けの見直しの影響調査です。これは、再診料の加算の外来患者点数の要件に、懇切丁寧な説 明を設け、その時間の目安として概ね5分を設定した点数ですが、これに関する調査です。 8頁で、この意義づけの見直しによる影響を、病院、診療所に伺っております。患者に対す る説明を、わかりやすく丁寧に行うようになったということについて、左側の2つが「当て はまる」、右側の2つが「当てはまらない」というものですが、ご覧いただいている項目で す。  下は、同じような質問を患者にしているものです。3月と書いてありますが、点数が入っ た4月以降との比較で、「3月以前とは変わらずわかりやすい」というのが最も多くなって おります。  9頁では、望ましい「懇切丁寧な説明」の内容として、病院、診療所に尋ねたもので、い ちばん多いのは「異なる項目ごとに、異なる頻度で実施するべき」という声が多くなってい ます。患者に懇切丁寧な説明について伺いますと、割合としていちばん多くなっているのが、 真ん中のしましまの「症状変化があったときのみ全項目」という答えがいちばん多くなって います。10頁の、時間の目安についての考え方で、「必要でない」という考え方のほうが多 いということです。  11頁は、後発医薬品の使用状況調査です。これは、後発医薬品への変更について、基本 的に医師の署名がなければ変更していいというふうに処方せんの様式を変更するような改 正をした影響です。署名なしの処方せん、これは薬局に尋ねておりますが、その割合が 65.6%です。その下の欄の図表20は、そのうち1品目でも先発品を後発品にしたのが6.1% です。右側に、後発医薬品調剤に関する考え方を薬局に尋ねております。33.5%の薬局で「あ まり積極的には取り組んでいない」、その理由としては図表47に掲げられているような品 質、安定供給、近隣の医療機関の消極性、効果に疑問といったところが挙がっています。  13頁、14頁では後発品について医師に伺っています。14頁の図表81で変更不可欄に積 極的に署名をされた理由ということです。いちばん多いのが「品質が不安だから」、その次 が「先発品を長く使用し、信頼している」、あるいは「患者からの強い要望」であるとか、 「効果や副作用の違いを経験した」ということです。  15頁、16頁は患者に後発品を聞いております。15頁の図表125です。全体としては、「で きれば後発品を使いたい」という答えが21%ですが、使用経験ありとなしでは差があると いうことです。16頁で必要なことを尋ね、「効果があること」という答えがいちばん多くな っています。  17頁は、後期高齢者にふさわしい医療の実施状況1、後期高齢者診療料です。これは、 いわゆる担当医制ですが、それについてのアンケートです。図表1-6は算定状況です。これ は届出をすることをルールで決めておりますけれども、その届出をしている所で算定ありだ ったのが10%です。なぜ算定していないのかを尋ねたのが図表1-30です。01の「患者が 理解することは困難」というのがいちばん多い答えとなっています。18頁では、算定後の よかった点を尋ねています。「今後のことがわかりやすくなった」「いろいろわかりやすくな った」という答えも多いのですが、いちばん下の「よかったと思うことはない」という答え も多くなっております。満足度に関しては、左側の2つ、1/4強の方が満足だと、真ん中の 方は変わらないということで、「変わらない」がいちばん多くなっています。  最後は終末期相談支援料に係る調査です。19頁に意識調査と書いてありますけれども、 これは無作為抽出の国民一般の皆様にお尋ねしております。終末期の治療方針の話合いをし たいかと尋ねたところ、84.7%の方が「話合いをしたい」と書いています。下の帯が年齢階 層別に見たその意向の調査です。  20頁は、話合い後の患者や家族の状況について、看護師を中心としたスタッフの方に尋 ねています。患者本人の様子でいちばん多い71.3%は、「本人は話合いに同席しなかった」 というのがいちばん多くなっています。話し合ってよかったというのが左の2つですけれど も、7.6%、4.8%となっております。ただ12.1%の「わからない」というのがその次に多 くなっています。話合い後の家族の様子については左側の2つで、「よかった」という肯定 的な答えが多くなっています。  21頁で意識調査に戻りまして、費用の支払いに関する意識です。公的医療保険から相談 料が支払われることの意識については、「好ましい」「好ましくない」「どちらとも言えない」 というのがほぼ1/3ずつで、「どちらとも言えない」がいちばん多くなっています。年齢階 層別の調査が下です。以上です。 ○部会長 以上の説明や資料を踏まえ、平成22年度の診療報酬改定に向けて、委員の皆様 からご意見を伺います。本日は基本方針に関する第1回の意見交換の場ですので、率直なご 意見を伺いたいと思います。なるべく多くの委員に発言していただきたいので簡潔にお願い いたします。 ○加藤委員 成育医療センターの加藤です。あらかじめ配付された資料を見た、まず総論的 な意見を述べさせていただきます。小児に関しては全体でもそうだと思いますけれども、医 療と福祉というものが少しバラバラになっているというような印象を受けております。例え ば少子化に対する行程表のいちばん下に書かれているところでも、これはほぼ福祉的なこと が書かれているように読み取れます。私は、医療と福祉はシームレスというように考えてお りますので、これは福祉だから駄目、これは医療だから保険にするという考え方は、少しい かがなものかと考えております。  前もっていただいた資料によりますと、ほとんどがんや難病というのが書かれております。 一般的に「がん」と言いますと、大人のがんを示すように捉えられておりますが、小児がん というのは小児の死亡率の中の4分の1を占めており、死亡者の多いものです。また、難病 も同じです。しかし、それらを治療することによって彼らは社会復帰する可能性が十分にあ ります。彼らに対する絶大なる支援をいただければ、それらが健常な成人として、この少子 化の社会に旅立っていくことができると私は考えております。  さらに述べさせていただきますと、周産期の件についてです。現在、周産期の母子医療セ ンターの指定基準の見直しが行われていると思います。この周産期母子医療センターの指定 基準が、非常に遅れているのではなかろうかと思います。もし、これが国の責務であるとす るならば、この基準の具体的な内容を明示していただきたいと存じます。これもまた、やは り福祉と医療はシームレスということにつながってまいるのではなかろうかと考えており ます。  それから、これは先ほども出ましたけれども、医政局長通知で医師ができることを、いろ いろな職種の方々がやるということになっております。しかし医政局長からの通知というこ とですと、現場としてはそう簡単にうまくいかない部分があります。もし国がそのような方 針をお立てになるとすれば、是非これを立法化して決めていただかないと、なかなか前に進 まないのではないかと考えております。特に電子カルテのオーダリングシステムの導入が図 られておりますが、この業務はほとんど医師がやっており、医師の業務が非常に詰まってお ります。したがって、これは医政局長の通知によっても、なかなか先には進みません。でき れば、もう少し拘束力の強い方法を採っていただければと考えております。いずれにしても、 福祉と医療というのはシームレスであるということを、是非お考えいただきたいということ です。  もう1点だけ言わせていただきますと、小児におけるDPCの問題です。現在のところは 年齢区分を撤廃することで、成人の出来高払いの恩恵を小児が被るという形で積み上げられ ておりますが、今後は是非、医療機関の機能ケースにおける小児医療の評価という面から、 DPCを見ていただきたいというのが私の意見です。 ○小島委員 これから平成22年度の診療報酬改定に向けての検討ということで、最終的に この部会としての基本的な考え方を取りまとめていくということですので、冒頭に福島委員 が指摘されたように、やはり十分な議論が必要だと私も思っております。この間、部会とし ても平成18年度改定と平成20年度改定という過去2回の診療報酬改定に向けて、基本方 針を取りまとめております。その際の基本的な視点として、4つの視点を示しております。 例えば、患者から見てわかりやすく、患者の生活の質を高める医療を実現する視点をはじめ、 そこを重点的に配慮するという視点で改定しております。  前回、平成20年度改定のときには特に緊急課題として、勤務医の負担軽減というのがあ りましたので、いわば過去2回、この部会で議論をして取りまとめた基本方針の結果が今ど うなっているかということです。まさにそこは評価検証がまず必要だろうと。その上に立っ て、次の平成22年度改定においては何が必要かということを取りまとめることが必要では ないかと。そういう意味では中医協のほうで検証し、部会のほうで示されているこの間の検 証結果も踏まえた上で、特に医療提供体制全体の視点から、この部会で取りまとめた基本的 な考え方がどうかという評価が必要ではないかということです。  4つの視点あるいは緊急対策として前回示したものに対して、この間の施策としては、ま さに診療報酬改定案、診療報酬の役割と制度上の役割施策、あるいは補助金等の予算上の措 置ということで、緊急医療体制に対する課題と現状論というのが資料8で示されております。 そこで示されているのは制度上の施策あるいは予算上の施策として、診療報酬上の施策もあ ります。そういう観点から、これまで示してきした4つの視点がどういう現状になっている かということを十分に検証した上で、診療報酬の役割、予算上の役割、制度上の役割という のをきちんと明確にした上で、改めて診療報酬で手当てすべきものという整理が必要ではな いかと思っております。とりあえずは次回以降、これまで示した4つの視点、あるいは緊急 課題の結果についての検証なり評価ということから、議論を進めていただければと思います。 ○海辺委員 私は、5点述べさせていただきたいと思います。まず最初に、竹嶋先生がおっ しゃったように、財源に関してはもう待ったなしで、きちんと手当てしていかなければなら ないということは明らかだと思うのです。ただ、国民にそれなりの負担を強いることになる のであるならば、やはり透明性の確保や質の担保という部分が、国民にわかりやすく改正さ れていく必要があるだろうと感じております。本当にOECDの平均を目指すというよりは、 もう先進国としての平均値を目指していただきたいと感じております。  2点目として、透明性の確保という点ではデータ収集などをして、国民にきちんとわかる ような可視化がされなければいけないと思います。そのためにもデータ収集は非常に大切で、 電子カルテの問題とか、いろいろな部分がきちんとわかるように、システマティックにやっ ていかないといけないと思うのです。ただ、その場合に医師の業務が圧迫されるということ は、非常に問題があると思います。喫緊の課題として医療セクレタリーのような制度を導入 して、そのセクレタリーの費用も診療報酬に反映されていくようにならなければ定着しない ということで、その部分も申し上げたいと思います。  3点目として、安心のためにはやはり医療の質の担保、そして安全性の確保という部分が 絶対に外せないと思います。「安心と希望の医療確保ビジョン」の具体化に関する検討会の 中間取りまとめを見せていただいても、その中では医療の質の担保と安全性の確保という部 分が、あまり具体的ではないというように感じました。ですから、そちらの具体化という部 分に関しても、もっと国民にわかりやすくしていかないと、国民には受け入れられないだろ うと感じております。  4点目は、資料2でしょうか。地域医療の再生の所です。産科や救急小児科がすごく大切 なのは、もうわかっていることです。ただ救える生命が救えないという点では、いろいろな 疾患の部分でも地域連携が機能していないために難民化するとか、いろいろな問題があろう かと思いますので、4疾病5事業に使えるということを、もうちょっとわかりやすく提示し ていただけたらと感じております。  5点目は、診療報酬そのものについてです。算定の根拠自体が国民の視点からすると、不 透明な感じがいたします。と申しますのは、例えば社会保険病院が、一旦は非常に病院の努 力によって黒字化したのに、その後、昨年度は一転して赤字化してしまっているというのを 見ると、その努力以上にはもうできないところまで頑張って黒字化したのに赤字化してしま ったというのは、その病院自体が努力を放棄せざるを得なくなってくると思うのです。やは りそれは、改定された報酬がどこかおかしかったと判断せざるを得ないと思いますので、そ ういう部分も根拠が、国民の目から見て今いちクエスチョンマークが残るところではないか と思います。  ですから診療報酬についても、やはりタウンミーティングをしたり、国民のコンセンサス を得られるような形を、もう少し検討していただいたほうがいいのではないかと思っており ます。密室でやっているというイメージがあると、どうしても国民のほうは、私たちの増や した負担が結局はブラックボックスに消えてしまって、現状は全く変わらないじゃないかと いう不安がある中では、負担増に応じられないという部分もあろうかと思います。そういう 合意形成についても、是非お考えいただければと思います。やはり評価や検証は国民にわか りやすい形でなされないといけないと感じております。 ○邉見委員 「医療崩壊」とか、いろいろ言われますが、何が崩壊しているかということを、 まずこの審議会で認識していただきたいと思っております。私は、やはり地域医療が崩壊し ているというのが、いまの社会現象としてはいちばん大きいのではないかと思います。特に 田舎のほうの中小の病院が、医師不足や看護師不足です。また、ハイリスク・ローリターン の救急や小児、あるいは産科、外科という部分が崩壊しているというのが共通認識ではない だろうかと思っております。  次に私は、やはり大学病院が大変だと思っております。大学病院には教育と臨床と研究と いう使命がありますけれども、DPCの導入や独法化により、臨床を中心にやらなければい けないという部分が非常に大きくなっています。あるいは研修医が大学離れをしたというこ ともあります。そのためにいろいろな別の制度からの助けも要るかとは思いますが、そうい う点で日本の医療のトップランナーである大学病院が、大変な危機に陥っています。これは 日本の医療全体にとっても、大きな問題ではなかろうかと思っております。  最後に病院の医療というのは、昔は医師、薬剤師、看護師という3つぐらいでしたが、今 は30ぐらいの職種によってなされているということです。この人たちの評価が今まであま りにも低くて、やっと昨年、医療事務作業補助者、あるいは臨床工学士の機器の中央管理等 が評価されましたし、MSWの退院時集団カンファレンスというものも評価されました。し かし、ほかに評価されない人たちの働きというのがたくさんあります。この辺のところを考 えないと、日本の医療というのはレベルアップ、底上げができないのではないかと思います。 ○中川委員 改定に向けての最初の医療部会なので、根本的なことを確認しておきたいと思 います。地域医療の提供体制がズタズタになったというのは、もう全員の共通認識だと思い ます。そのためにはやはり医療全体の底上げ、わかりやすく言うと診療報酬の大幅な引上げ が必要だという認識だと思います。「基本方針2009」では、「社会保障のほころびの修復な しに政府への信頼回復はない」と言っています。前回の改定を振り返ってみると、医療部会、 医療保険部会で基本方針が出され、改善しなければならない項目は山のようにあって、それ が中医協に報告され、中医協で議論をして「いざやろう」というときに、わずかな改定財源 しかないと。そこであろうことか、病院と診療所の対立構造にまでなってしまったという状 況がありました。  そこで「基本方針2009」から、7月1日に閣議了解された資料2のシーリングを見ると、 一体どこに改定財源があるのか。一応来年度予算の2,200億円はやめて、社会保障の自然増 は認めると言いますが、ここでの改定財源というのは「無理のない範囲で節約に努め、節約 できた部分は社会保障費に充当」というのしか見えないのです。しっかりした財源を持って 医療部会で議論をしないと、この議論はただのガス抜きか、それともまた変な対立構造に持 っていかれることになると思うので確認したいというか、認識を聞きたいわけです。事務局、 この資料2を見て、「無理のない範囲で節約に努め」というのは、大体何を想定しているの ですか。また、資料2以外の新たな財源を模索して改定に向かうのですか。医療課長から改 定率は内閣の所管だと言われたら、もうそれで終わってしまうのです。そうではなくて、や はり担当省庁としてのご意見を少しいただきたいと思います。 ○部会長 事務局、答えられますか。財源の問題は本来、この部会の主題ではないけれども、 やはり財源とは切り離せないところがあるので、答えられる範囲でお願いします。 ○総務課長 今日、この時点ではお答えできません。資料2は診療報酬というより、全体の シーリング、概算要求をするに当たっての基準額です。先ほどからご議論がありますのは、 改定をするにはということですが、改定はまさに政策像をどうするかということだと思いま す。実はこのシーリングの時点で、政策像をどういうように行うのかについては、議論は決 まっていないというのが今の姿です。ですから内閣で改定率を定めるということです。とい うことは、年末ということになると思いますが、そこまでの間にどういう施策を入れるのか、 診療報酬上の対応はどういうことをしていくのかというのを決めて、それに従ってやってい くと、どうなるのかという議論になっていくのではないかと思っております。 ○中川委員 わかりました。総務課長のご説明を、納得はしませんけれども、理解はしまし た。そこで私が言いたいのは、前回と同じように改善しなければならない診療報酬上の項目 が山ほどあって、改定率がわずかな時と、一定の財源ができた時という区分けが、やはり議 論では必要だろうと思います。その整理もしながら議論を進めていただきたいというのが私 の意見です。 ○山本(信)委員 診療報酬改定に向けた議論をする、考え方をまとめるというのが、この 部会のミッションです。透明性に関しては平成18年、平成20年と、エビデンスに基づい て、かなり透明性を増すことができたと思っております。その一方で今回の「骨太の基本方 針2009」を見ますと、社会保障のほころびを修復した上でということが謳われておりその 最もティピィカルなものとして示されているのが、小児を含む救急と周産期の問題というこ とになっているわけです。そもそも基本的な医師への負担をどう軽減していくか、勤務医の 負担軽減を進めるためどう機能分担をしていく、あるいは役割分担を明確にするというのが、 これまで何度か話された議論にもありますし、診療報酬上もそうした評価がされてきたわけ ですが、まだなお「基本方針2009」の中でそうした動きが謳われています。  例えば、地域医療をどう進めるか、医師、看護師、薬剤師といった専門職の役割をどう分 担して連携するかというのが、大きな問題でしょうし、救急などで言えば、その受け皿とし ての地域医療提供体制をどう確保するかです。ここでも当然、在宅医療を進める中でも役割 分担というのが、大きな問題になってまいりますので、「崩壊しつつある」あるいは「崩壊 してしまった」と言われている地域医療提供体制を、どう組み直すかという方向性も持った 診療報酬が必要だと私は考えます。  その一方で安心で安全な医療提供をどう受けるかと言えば、医療安全全体を考えてみます と、医療事故防止も含めて医療安全を確保する上で、医薬品をどうコントロールするか、あ るいはその提供体制をどう組むかというのは大変大きな問題です。適切な情報提供がなされ、 安全な管理が行われ、あるいは医療機関や在宅も含めて、適正な医薬品の使用が進められる ことも当然重要なことだと思います。医薬品をどう医療の現場に提供していくか、その体制 をどう組み上げていくかということも必要だろうと考えます。したがって医療の安全や質の 確保という意味で言えば、確かにそれぞれの職種がその中で働くことも大事ですが、デバイ スである医薬品をどう提供していくかということが十分担保されませんと、安全が確保でき ない場合もあります。医療の中で医薬品を提供する体制が確保できる方向性を持った診療報 酬体系、あるいは報酬改定の方向性というものを、ここでご議論いただきたいと思います。 ○村上委員 救急医療体制について、いろいろ財政的な補助を出していただいているという のはいいのですけれども、問題点が1つあります。これは全額ではないのです。国が何分の 何、地方自治体が3分の1以内というように付きますが、実質的には病院も出さなければな らないということで、厳しい財政の病院では出すのが難しいわけです。  もう1つは、前回、奈良県で産科医の判決が出ましたね、当直は認めない、要するに時間 外勤務であるという形で。これが今後ずっといった場合に、病院経営の中で相当影響するわ けです。そうすると救急医療を支えるのどうのこうのということではなくて、この場合にど のぐらいの医療費が必要になるのか、厚労省では考えていらっしゃるのか、この判決をどう 受けとめていらっしゃるのかをお伺いしたいのです。やはりそういうことになってきますと、 地域医療の崩壊というのはこういう形で、どんどん入院医療が崩壊していきます。先ほど、 社会保険病院が経営努力をしたのに駄目になったものもあるという話でしたが、これはまさ に入院医療の崩壊ですので、今度の診療報酬の改定では是非、入院基本料の増加ということ を確実に入れていただきたいと思います。あの判決について今後どう対応なさるのか、厚労 省の意見をお伺いしたいのです。 ○部会長 判決と言いますと。 ○村上委員 要するに当直体制は認めない、時間外勤務は払えということになった場合に、 どういう対応をしていくのか、当然問題になると思うのです。どうでしょうか。 ○部会長 いかがですか。 ○指導課長 医師の勤務の状況については、先ほど資料を使ってご説明申し上げたとおり、 大変厳しい状況があります。それぞれ個々の医療機関において、どのような勤務状況になっ ているかというのは異なるわけですが、そういう判決が出たという事実はあるだろうと思い ます。しかし、この段階ではまだ係争中だと聞いておりますので、私どもとしてはこの段階 でその判決や裁判についてのコメントは、差し控えさせていただきたいと思います。基本的 に勤務をしている医師の負担を軽減していくと、こういうことは、考えていく必要があるだ ろうと思います。 ○西澤委員 久々に医療部会が開かれて、テーマが「平成22年度の診療報酬改定に向けた 検討」ということですが、これは大事なので、是非これからやっていただきたいと思います。 ただ、最初に説明のあったこの部会の位置づけというのが、医療提供体制のことを議論する というのであれば、これは診療報酬と別なことも議論しなければならないと思っています。 今日、出された資料に診療報酬とは別に、いろいろな補正予算で付いたものなどがありまし た。それに関しての事を含め医療部会で、提供体制についてもっと議論をしていただくこと が必要だと思いますので、もう少し開催を多くしていただければと思っております。  2点ほど質問があります。まず1点目は資料4にありますとおり、地域医療再生基金とい うものができて、これに3,100億円付けていただきました。厚生労働省にはよく頑張ってい ただいたと思って感謝しております。これは県ごとに自由に事業を決定というように書いて あります。厚生労働省の担当の方からの説明等では、病院団体や医師会といった現場から、 我々が提供体制としていろいろな提案をして、県のほうでそれをまとめてもらいたいという お話がありました。しかし、県によっては全くそういう相談なしに、県自体が事業を決めて 進んでしまっている所があると聞いています。今回のこの意図に反していると思いますので、 そのような県にはこの基金のあり方をより具体的に示して、地域の医療提供体制がよりよく なる方向でやっていただきたいと思います。県単独でやっても、なかなかいいアイデアは出 ないと思います。是非、その県の病院団体と医師会と合同で検討していただき、あるいはア イデアを募集していただきたいと思います。  もう1点は、資料8の「救急医療等の医療体制に係る現状と課題について」です。周産期 あるいは救急で医師が大変だということで、ここにもいろいろな支援をしていただいてあり がたいのですが、この資料のスライド7にありますように、救急医療を担う医師の勤務環境 の改善ということで、医師に手当を支給となっています。しかし、これが実は現場のほうで は非常に困っております。医師に直接入るということで、給与規定や就業規則を変えなけれ ばならないという事態が起きます。病院というのは1つの組織ですし、見方によっては企業 です。そういう所にそのような基金が入ることで、規定等を大きく変えることは非常に困難 で、なかなかやりづらいという声も聞こえます。こういう所にお金を付けていただくのは非 常にありがたいのですが、もうちょっとフリーハンドで、病院が自由に使って救急を担う医 師の負担を軽減できる、そういう広い目的で使えるようにしていただければありがたいと思 っています。 ○近藤委員 歯科医療の立場から言いますと、歯科の地域医療提供体制は崩壊の危機に瀕し ています。特に平成18年度の社会保障審議会の「基本方針」の中で、歯科の部分が効率化 可能な部分に入れられたことが、大きな問題となりました。歯科はただでも逼迫していたの が、現在では崩壊の危機に瀕しているという状況になっております。本日の審議会の資料と、 事前にご送付いただいた資料を見ましても、歯科の部分はほとんど記載がありません。  唯一と言いますか、1つ大きな文章として出ておりますのは、今回の「骨太の方針2009」 の15頁の「安全・生活の確保等」の「生活支援等」の中です。そこの黒ポチの下から4つ 目に、「生涯を通じて歯及び口腔の健康を保持する社会を目指し、8020運動を推進する」と いう文言が入りました。この「基本方針」の中に歯科の文言が入ったのは初めてです。  日本歯科医師会としては、歯科医療の供給体制をどのようにしていくかということにつ いて、長い間議論をしてきたわけです。20年前に当時の厚生省と日本歯科医師会が共同し て、8020というのを歯科保健目標として掲げたわけです。当時は約7%でしたから、15人 に1人が80歳で20本以上の歯を持っているという状況でしたが、現在は約25%にまでな っております。4人に1人が、80歳で20本以上の歯を持つというところまで改善してきて います。こういう運動をこれからも推進していって、できれば3人に1人、2人に1人が歯 を持つことが、健康長寿につながると思います。いま平均寿命と健康寿命との間には乖離が ありますが、歯科医師会では歯科医療を通じて、健康寿命を平均寿命に近づけることが十分 可能になると考えております。是非、そういう手当ても今後の中で検討していただきたいと 思っております。  もう1点は、地域医療の中で医科、歯科、調剤という3つの連携体制が、今もできていな いわけではなくて、できてはいるのですが、特に在宅医療の分野においては、歯科医師の中 では十分に研修を行って、在宅医療に振り向ける歯科医師を研修しているわけです。ただ、 体制が整っても医科等のほうからのオファーがないと、なかなか出て行けないという現状が ありますので、今後の検討の中でその辺のところも十分ご検討いただければと思います。誤 嚥性肺炎の問題、あるいは低栄養の方々に対する歯科的なアプローチが、多くの方々を健康 の方向に導いていくということは、エビデンスでも十分に出ておりますので、是非ご検討い ただきたいと思います。 ○高智委員 本来ですと協会健保の方が隣にいてくれると、だいぶ助かるのですけれども、 健康保険の立場では私1人ということで、大変荷が重いわけです。私の立場からは、先ほど 来出ております地域医療の安定確保が、患者さんあるいは医療保険の加入者から見ても、非 常に大きな関心の的になっていると思います。また、関心どころか、非常に不安の的にもな っていると思います。今日お配りいただいた資料の中で、資料5の「安心と希望の医療確保 ビジョン」という具体化検討会の資料ですが、加入者あるいは患者の目線から見れば、ここ でお書きいただいた項目が順次実践されて、拡充されていくことによって、安心の度合が深 まるのではないかと考えております。  そして医療保険制度というスキームのほうから見ますと、現在はご承知のように、一般的 には7割給付3割負担ということで、公的なスキームとしてはもうギリギリのところまでき ていて、これ以上劣化させてはならないところまできているというように理解しております。 そこで私どもとしては、従来からやっている所もあるわけですが、総合的な視点に立った診 療を行う医師、あるいは医療機関を養成して確保していくこと、このタイムスケジュールを 密なものにして、確実に実行していくという視点が非常に重要になってくると思います。も う少し具体的に申し上げますと、地域の医療提供体制の入口になる総合的な視点に立って診 療を行う医師です。その存在については医療保険者のみならず、加入者にとっても指導や早 期治療、重症度の予防等にもつながるわけですので、私どもとの関係においても、非常に重 要なパートナーだと考えております。  次に、総合的な視点に立って診療を行う医師あるいは医療機関については、当然、地域の 医療の要として活躍することが、患者からも求められます。具体的な機能としては、今日は 省略いたしますが、私どもでは5項目挙げました。こうした機能を持つ医師や医療機関を育 成普及させるためには、全人的かつ診療科目横断的な医療を提供できる総合診療医(仮称) が必要です。いままでは家庭医とかプライマリーケアとか、話す話し手の位置等によって、 いろいろな意味が与えられてきたという経緯もありますけれども、私どもとしてはいま申し 上げた総合診療医を育成することが、最も重要であると考えております。  これを成すためには、まず医学部の教育、医師臨床研修におけるカリキュラムの充実、医 療機関が広告可能な専門医に総合診療医を加えること、広告可能な標榜診療科目に総合診療 科を加えること、さらには総合診療医養成のための医師臨床研修への財政的な支援も是非必 要ではないかと考えております。また、登録医制については、総合診療医の育成普及の状況 を見極めませんと、なかなかうまくいくことが難しい面もあると思います。モデル事業化す る等により、その実現可能性については多面的に検討検証することが必要だと思っておりま す。  国際比較の関係から申し上げますと、ヨーロッパのドイツにおいては、すでに医師の分類 で一般医という項目があります。これは本来の一般医のほかに、専門医としての一般医です。 専門医としての一般医は患者や国民各層から、非常に大きな信頼と期待が寄せられていると いうように理解いたしております。1点だけしか申し上げませんが、そのような国際比較論 の中でも、十分に役立つ事例もあろうかと思いますので、こうしたところにも目を向けて養 成がスムーズに行き、また歓迎される部分が非常に多くなるようにと思います。そして患者 が最も求めたものの1つに、適切な情報を迅速に行き渡わらせていただきたいということで す。ここにも非常に大きな関心と期待が寄せられていると思います。  それから現在、少子化と高齢化ということが言われておりますが、もう1つ多死という状 況もあります。いま前段で申し上げた医療システムをつくり上げていただく中で、看取りの 関係についても、さらに速度を上げて対応を深めていただきたいと考えております。 ○加藤委員 先ほど申し忘れました。たびたび重なって恐縮ですけれども、やはり医療と福 祉はシームレスであると考えております。ここでいただいたデータでも、すべからく在宅医 療又は介護というのが出てまいります。これらはすべて高齢者に対するものです。しかし、 いま私どもの国ではかなりの子どもたち、特に周産期の卒業生といった方々は、大体いろい ろな奇形を持っている方々が多うございます。また、重症心身障害者又は重度の病気の方々 に関して、これらの方々を長期に病院に入れて治療をするということは、もう福祉に近い状 況になってきております。医療はなくても福祉で行っているような状況です。したがって、 在宅医療又は介護ということに関しては、やはり小児というのも今後、保健医療分野の中に 是非入れていただく方向でやっていただきたいと考えております。  もし平成22年度にこれを導入するとすれば、レスパイトに関する保険点数に関しては、 まさにこれに該当するものです。レスパイトに関しては病院でやらなくても、もし在宅の医 療や看護というのが普及するのであれば、彼らは病院にいる必要はありません。彼らが病院 にいるために周産期病棟は満床になり、重病な母体を搬送することができず、いろいろな病 院を巡らなければなりません。周産期医療センターを持っている所がそういう患者さんでい っぱいになっているために回らないので、小児のそれらの病気の方々も在宅医療ができる、 又は在宅介護ができるような方法で。これはもっと長い先の視野のことだとは思いますけれ ども、そういった意味でも医療と福祉というのは、やはりシームレスであると考えておりま す。その辺のところは来年度というわけにはいかないと思いますが、レスパイトは来年度で もできるのではないかと私は考えておりますので、是非ご考量をお願いいたします。 ○渡辺委員 3点ほど申し上げます。1つは、先ほど西澤先生からもお話がありましたが、 いま小児科や産科の数そのものは、決して減ってはいません。それは増える女性医師が結構、 産科や小児科を選んでいるからだと思うのです。ただ女性医師の場合は、フルタイムで働く ことがなかなかできないという問題があって、現実問題として実数から言えば、現場では減 っています。つまり、こういった場合は診療報酬だけを上げれば医師が確保できるかと言え ば、そうではないという意味での象徴です。一部にありましたが、やはりそういった就労支 援を。いま新規国試を見ると、35%が女性医師です。診療報酬以外の面からも手助けをや らないと、女性医師の医師確保はますますできないのではないかと思いますので、そういっ た意味での議論も必要だと思います。  もう1つは言うまでもなく、先ほど邉見委員からもありましたけれども、地域偏在につい てです。特にへき地は若い医師であれ中高年の医師であれ、行きたがらないという問題があ ります。これもただ診療報酬を付ければいいというものではないので、地域の医師をどう確 保するかという対策も、まさに医療提供体制としてやらなければいけないのではないかと思 います。  2点目は、例えば診療報酬を産科、小児科、救急に回したとしても、現実問題としては病 院に行くわけです。先ほどの一部の調査で、「手当てを待つ」という病院の回答が結構あり ましたよね。これは事務局に質問も含めて伺います。地域再生基金もそうですが、いわゆる 病院の就業規則で、産科・小児科等の給料をちゃんとやるといった所には補正で、つまり診 療報酬ではなくて真水で出したというように私は解釈しているのです。そういったことが事 実なのかどうかを伺いたいと思います。  最後に、これはちょっと話が違いますが、6月の中旬に自民党の全国有床診議員連盟が意 見書を出して、有床診としては地域で5つの機能が発揮できると言っています。この意見そ のものは、私は前向きに評価してもいいのではないかと思います。それはたしか厚生労働大 臣及び官房長官に提出していると思います。それについて厚労省側はどのように受けとめて いらっしゃるのか。以上、この3点をお伺いしたいと思います。特に2点は質問です。 ○部会長 事務局、答えられますか。 ○指導課長 まず1点目の手当てなどの関係ですが、私どもは現在の段階で、各県でどの程 度取り組んでいただけるのかということを調査しております。各県は基本的に前向きで、各 県での取組みが今後進んでくるだろうと思います。それを受けて各医療機関で、その手当て を出すための対応というものが必要になってくると思います。現時点では申し訳ございませ んが、各病院でどのように就業規則を変えているかということまでは承知しておりません。 各県での取組みは進んでおります。 ○渡辺委員 それは補正での話ですか。 ○指導課長 今回の当初予算では、例えば産科医に対する手当てとか、休日夜間の救急に勤 務する医師に対する手当てという制度をつくっておりますので、その関係です。 ○渡辺委員 あと有床は。 ○総務課長 有床診については、議連のほうからご提言をいただいております。いわゆる地 域医療の担い手としての有床診ということで、5項目ほどいただいています。大きなポイン トは、診療報酬の改定なりにどう反映させるかということだと思うのですけれども、それら の地域医療の担い手として、どう位置づけていくのかというのが、提言のポイントではなか ったかと思っています。実は、我々のほうも医療提供体制の中で、いろいろな地域の中で小 回りの利く施設として活用できないかということは、検討する材料だと思っています。診療 報酬の改定も同じですが、今日のご議論にもありますように、我々もこれから医療提供体制 のあり方として、少し議論も必要ではないかと思っていますので、そういったものも含めて、 中で議論をしていきたいと思っています。 ○齋藤(訓)委員 資料6にあります平成20年6月に取りまとめられた、「安心と医療の 確保ビジョン」の中に、医療というのは、これからは治し支えていく医療だということが謳 われています。この「支える医療」というのが、地域の中で患者さんの暮らしを見ながら、 医療がそこにどういうように貢献できるか、ということを目指していくというように認識し ています。  そういう観点から考えますと、やはり先ほど加藤委員からも言われましたように、小児も 含めた在宅医療をこれからどういうように構築していくかというのが、大きな問題だと考え ております。それが急性期医療でいえば、出口のところの整備をきちんとするということで あったり、長期的に本当に在宅で暮らしを支えていくということであれば、現在の急性期、 慢性期、回復期、リハビリ、そして在宅といった流れの中で、長期的な在宅療養を支えてい くという観点で、ある程度は医療保険でのショートステイ的な医療の機能というものも、少 し大胆に踏み込んでいってもいいのではないかと考えています。  それから地域医療の崩壊の中で、医師不足等々が顕在化してきたわけですが、そこはさま ざまな報告等でありますように、きちんとした医療機能の役割分担、あるいは職種間の役割 分担というものが推進されていくべきであろうかと思います。この前提には安全で安心でき る医療提供体制というのがあります。安全性を確保した上で、それなりの役割分担を推進す るということが誘導されてもよろしいのではないかと考えています。その意味で、平成19 年度に医政局通知が出されております。先ほど、医師の負担がどれだけ緩和されたのかとい う調査内容がありましたけれども、やはり実力のある非常に優秀なナースのいる所について は、院内の約束の中でトリアージュを任せていったり、外来を任せていったりという方向性 は出ておりますので、そういったことも今後、評価の対象になっていくのではないかと考え ています。  産科・救急等に関しては、やはりハイリスクな方々が多くなってきているというのは、間 違いのない事実ですから、産科医はそこにしっかりと時間をかけて診療できる体制を構築す るということを、是非考えていただきたいのです。ノーマルなお産は助産師がちゃんと診る ことができますので、ハイリスクを診るような所については、是非とも助産師が外来で、き ちんとノーマルな方々を診られるような体制も進めていくべきだろうと考えています。  救急の入口のところについては、資料8を見ますと、成人も高齢者も非常に軽症な方々が 救急車で搬送されるというデータが明らかに出ています。小児については救急電話相談事業 というものがあって、#8000でかければ、いま病院に行かなければいけないのか、応急的 な処置は何なのかということを聞けるのです。大人については結局、自分の判断で行ってし まうことがあって、それで軽症の方々が救急車で搬送されるということも、一方であろうか と思います。大人についてもどこかにかければ、いま病院に行かなければいけないのか、救 急車を呼ばなければいけないのか、応急的な処置は何なのかといった辺りを相談できる場と いうのも、必要ではないかと考えました。これを診療報酬でどうするかということについて は、私の中に考えはないのですけれども、制度上か予算上の措置で何か考えていただくのも、 1つの手ではないかと考えています。 ○山崎参考人 本日の資料8で、救急医療の体制についてのご説明があったのですが、こう いう救急についての資料の中に、いつも精神科救急の部分というのが全く書かれていないの です。精神科救急というのは大きく分けて、重いほうからいって3つあります。1つは、医 療観察法による精神障害者の裁判というか、判定を通しての指定入院という制度があり、犯 罪を犯した障害者を指定入院で治療するというプログラムです。これは厚生労働省というか 国の整備の遅れで、現在、目標の病床数よりも300床くらい少ないのです。そのために結 果としてどういうことになっているかというと、鑑定入院で引き受けた普通の民間病院が、 今度は特定入院という違う緊急措置的な入院で、継続して受け入れているわけです。本来は 指定入院側の施設で、きちんと治療をしなければいけない患者さんが、鑑定入院の病院に留 め置かれていることになります。あとは精神保健福祉法の強制入院というか、措置入院で入 ってくる救急があります。もう1つは、急性の統合失調症やリストカットを含めた自殺未遂 等で普通の精神科救急で入ってくるものがあります。精神科救急についても、こういう救急 の体系図にきちんと書いていただきたいというのが1点です。  もう1つは、先ほど入院基本料が非常に低いというお話がありました。いちばん入院基本 料が安いのが精神科です。ちなみに、医師や看護師の人員配置が全く同じ結核病床よりも、 1日につき860円安いのです。診療報酬を考えるときに人員配置で決めていて、病床の構造 基準も含めてほとんど同じ状態なのに、どうして精神科の病床というのは結核病床よりも 860円も安いのかということを、今度の診療報酬できちんと検証していただきたいというの が2点目です。  3点目が、精神科に限らないのですが、恒常的に70時間、80時間という医師の労働時間 が実態としてあるわけです。こういうことが恒常的に続いている場合、労働基準法には抵触 しないのか、それが抵触した場合、管理者としての病院長の責任はどういうようになるのか、 ここのところをお聞きしたいと思います。 ○部会長 今の医師の勤務と労働基準法との関係というのは、ずっと以前からいろいろと問 題のある点ですが、事務局のほうで今の時点での考え方というか、今の時点での説明という のが、もしあったらお願いします。 ○指導課長 いまご指摘のあった労働基準法の関係ですが、それぞれの病院あるいは病院の 管理者は、勤務している従業者と契約を結ぶ必要があります。そういう観点から、契約が行 われていないとか、その契約が守られていないような例があれば、改善を求められることに なります。そういう意味では、先ほどご指摘のあった時間外労働の問題なども含めて、労働 基準法での取扱いというのは一定の枠組みができておりますので、場合によってはそういう 中で、病院側の改善というのが必要になってきます。 ○山崎参考人 その関連ですけれども、医師が少なくて恒常的にできないで、長期にわたっ て労働基準法に抵触するという話になったら、そこの部分については止めなければいけない ということでしょうか。というのは、病院の経営上の都合で医師を雇わないのではなくて、 実態数としていないわけです。そのいない状態をずっと継続しているということは、今度は 病院長として労働基準監督署のほうから何か責任を言われて、ペナルティーが付くわけです か。 ○指導課長 基本的には、必要な従事者を確保していただくことが必要になりますが、その 中で特別な規定を置いて、例えば時間外に一定以上勤務をすることについての合意が得られ れば、それについては一応ルールを守っているということになると理解しております。 ○竹嶋委員 いままでご議論があった中で、あまり深く議論がなかったように思いますので、 2つ感じたことと、わからないのでお聞きしたいことがあります。  まずは本当にありがとうございました。前回の診療改定に向けての本部会開催は9月が最 初だったのですが、今回は2カ月早くなりました。これは部会長、副部会長、厚労省の皆様 方に、厚生労働行政を預かるという立場からの意気込みを、私は大きく感じますので、感謝 申し上げたいと思います。その中で、先ほども出た地域医療再生基金の概要ですね。これも いきなりお金が3,100億円と出ましたので、何かしらお金がポーンという感じはありますけ れども、これもその前の社会保障国民会議でのいろいろなご議論、「安心と希望の医療確保 ビジョン」等のご議論を踏まえて、いろいろな地域医療体制の問題点を下から積み上げてき た中で、国がこうせざるを得ない。そうしないと、地域医療の再生はないよと、待ったなし ということで、私はこのようなことができたと考えます。  その中で、先ほどご説明がございました、まずは100億円を10カ所、それから30億円 を70カ所ですかね。いま二次医療圏ごとに大体一つの目的ですよね。そうなりますと、270 〜80、300になるのですかね、二次医療圏の数は。これ、チラッと聞いたときには3年間 の間に1兆円ということでの今年は一部ということの考え、その辺りはどうかということ、 答られたらですよ。もう答られなかったらかまいません。そこが1つということです。  まさにこの会は地域医療提供体制を論じるところです。そうするともう1つ、地域医療計 画がありますよね。やはりそういうところも我々のこの医療部会の中で議論をしていくのか なと思うのです。こういう再生資金を実際に有効に使うのにはどなたかもおっしゃったけれ ども、都道府県の医療現場と行政、それから地域住民代表の方々、そういうところが一緒に なって、これをどう使うかと、それぞれの都道府県の特徴に合わせてやっていかなければい けない。そのために、地域医療対策協議会がありますが、私は従来これはあまり生きてこな かったような気がするので、こういうときに、形が多少変わっても、これを生かしていくよ うになってくれればいいなということが1点です。  それからもう1つ、医療のいちばん代表されるところは、生命を救うということで、やは り救急医療ですね。その中で平成20年度の診療費改定の目的というところでどなたかが言 われたのですが、いくつかあったのですが、その中で小児科と産科は明解に記載されてあっ たし、それから地域医療でちゃんとした医療を受けられるということ。この地域医療の中で 救急医療というのは絶対に外せない。その救急医療のあり方、もっていき方、ここで私はは っきり意見を述べておきたいのですが、いまの社会保障国民会議等々では、「選択と集中」 ということを謳っています。要するに医師が足りない、看護職が足りない、コメディカルが 足りないならば、1カ所に集めてそこで機能を集中してくるとたぶんやりやすくなるでしょ うね。  これも邉見委員かおっしゃったけど、地方を考ますと、1カ所に作って、その周りから来 る。いうならば40分も50分もかかって通院しなければいけないというような所がありま すから、私はこれをいちがいにそういう考え方というのは、やはり47都道府県で長細い日 本の地勢から、地域の皆さんが、地域格差なく適切な医療を受けるということになった場合 は、我々としては、その提供体制を十分考えなければいけない。  何を言いたいかといいますと、「選択と集中」ともう1つ「分散」ですね。機能が分散す るということを考えなければいけない。つまり点ではなく面でやっていかないと、お茶をに ごすことになりかねない。そこだけに一気にお金を配分してもですね。だから、そのあり方 を、今度こそやっと国民の皆さんがこの2年ぐらい、医療だけではなくて社会保障もしっか り考えていくようになってきたので、この時期にそのシステムをしっかり作っていきたいし、 こういう中でこういうご提言をどんどん出していって、次の診療費改訂まで、そういう中で 精力的にまとめていっていただけたらと、そのようにお願いいたします。 ○石田参考人 地方行政の立場から一言。地域医療再生基金の話が先ほど出ましたが、これ をいま何とかものにしようということで一生懸命にやっています。5年間という取組みの中 でやっていくわけですが、この事例にもありますとおり、周産期とか救急医療をどう立ち直 らせるかということになりますと、究極的に人材確保とそれから診療報酬の見直しがどうし ても必要になります。現場の話をたくさん聞きますと、やはり周産期医療についての診療報 酬の見直し、例えば入院患者の長期化に対応したものとか、救急医療については待機の医療 に対する報酬とかいうようなものも含めて、是非見直しをしていただかないと、この基金を いただいて事業をしても、しっかりしたところの病院を核にしてしかできなくなってくると いうと、先ほどのお話のように集中してきてしまうということもありますので、その辺をパ ラレルに是非やっていただきたいなというお願いがございます。  それとやはり最終的に人材確保、特に医師、看護師さんが、特に周産期になると難しいと いう状況を聞いていますので、その辺の施策についても是非ご配慮をいただきたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○堤委員 何点か申し上げたいと思います。この医療部会はある意味、医療に従事される 方々で、医療提供体制の検討が出来る形になっていると思います。あえて申し上げたいと思 うのですが、医療の現場が疲弊しているということは、よくお聞きしますが、いまは医療の 現場だけではなくて、日本経済全体がもう疲弊していて、企業も家計も非常に苦しい状況に あるという事は、やはりきちんと状況の認識をすべきなのだろうと思います。  そういう中で、昨年来度重なる補正予算や、今年度の第一次補正予算では、社会保障に大 きな財源が与えられ、加えて来年度概算要求では、きわめて例外的な措置もとられたという 状況にあります。ただ、このお金というのは、やはり借金で賄われているものですから、き ちんと将来に向けてストックになるものに使わなければいけないのと思います。  そういう意味で先ほどどなたか「透明性の高い医療提供体制」と言われましたが、私もそ れが必要だと思います。そういう観点からは、やはり効果的でかつ効率的な医療提供体制が 必要になると思います。今回、この「地域医療再生計画モデル例」が提示されていますが、 こういう形になれば非常によろしいとは思います。例えば去年のNHKの特集で照会された 地方自治体、奈良県の取り組みは、地域住民のニーズに応じた医療提供体制の構築、病院の 適正規模、病院と診療所が連携するためのネットワーク構築のために自治体が努力しており、 頭が下がるような活動をされていたと思います。  ネットワークを作る段になったときに、それぞれの病院あるいは診療所の連携、ネットワ ークが本当に構築できるのだろうか、あの番組を見て、疑問に思ったわけなのです。こうい う形を、効果的で効率的な医療提供体制について、先ほど「選択と集中」かつ「分散」とい うのは、たぶんネットワークという意味合いをおっしゃったかと思うのですが、そういうよ うな形で、質が高く、しかも負担がなるべく低いというような提供体制の仕組みづくりをど ういうふうにしたらいいのかということを、この医療部会で議論をすべきなのではないかと 私は思います。以上です。 ○竹嶋委員 いま堤委員が大変大事なことをおっしゃったのですが、医療は医療提供者は当 然問題がないわけです。これは国民の皆さんのもので、当たり前のことなのですね。いま一 つ私はご発言の中で、日本の経済が大変だと、そのとおりなのです。私たちも国民の1人で すからよく分かるのですが、もう一つ考えてほしい。それは医療は消費ではないという考え 方ですね。これをご覧になったら分かります。平成20年版、初めて厚生労働省がこういう ことを出したなと思うのです。要するに「社会保障と国民生活」(第1章)に「社会保障と 経済」の項目の中で、社会保障分野における雇用、この誘発効果というグラフを出していま す。ここに持ってきていますが、これを見ますと、介護、医療、社会福祉、保健衛生、この 雇用効果がほかの職業と違って圧倒的に高い。  厚生労働省がこのデータを出しました。私は日本医師会の副会長をしていますが、すぐ日 本医師会の日医総研に指示をしまして、そこで資料を作りました。次回に資料を出させてい ただきたいと思います。その中で、仮に医療に税金の1兆円を投じた場合、そうしますと保 険料と患者負担もそれに伴って出てまいります。  そうしますと、雇用誘発数は52万人出るという計算になります。それから介護に至って はもう少し大きいので、税金1兆円と保険料利用者負担1.3兆円、相伴って出ると63万人、 合わせて100万人以上の雇用を誘発するというデータを私ども出しておりますので、従来 どおりの消費であるという考え方ではなくて、これは社会の再生産につながってく投資であ るということですね。無駄は絶対いけないと思いますが、そういう考え方でいくことはきわ めて大事ではないかというふうに考えています。 ○日野委員 若干いまの竹嶋先生の高邁なご論議に対しまして、ちょっと水を差すような話 をします。いままでずいぶん医療の質を高めるということで機能分担を進めまして、透明性 を求めてきたのですが、その結果は必然といいますか、現在抱えている問題が付随してきま した。裏と表の関係だというふうに理解しなければいけないのかと私は考えるのですが、こ れについては資料3の1頁目に書いてあります。これは「持続可能な社会保障構築とその安 定財源確保に向けた」という題ですから、若干私の論点とは違うと思うのですが、医療を財 源論で仕切ることはできないと認識しております。  その安心強化の3原則というのは非常にいいことが書いていまして、原則1の中福祉・中 負担という言葉です。私の認識ですが今提供されているのは中ではなくてむしろ高に近いと 思います。中または高福祉、これは医療も含んでいますので、介護・医療も入れてもいいと 思うのです。それで低負担というふうなことになっている現状、これを認識しないといけな いと思います。次に「中福祉・中負担」ということをこの会でテーマとして決めるのであれ ば、これについての検討をしなければいけないと思います。  3番目の「安心と責任のバランス」というのが非常に気に入りました。バランスはどうも 欠けてしまっているという現状であるという認識を私は持っています。安心という言葉は権 利というように読み替えてもいいかと思うのですが、権利と義務のバランスがどうもとれて いない。一方的に医療提供者側に義務ばかり押し付けられて、権利がほとんど保障されてい ないというのが、我々はちょっと被害者かなと思ってしまいます。医療に非常に期待を持っ ていただけるのはありがたいのですが、医師は人間でしかなくて、全ての期待に応えること ができにくいというところがあります。冒頭で述べました透明化を進めますと、いま要望さ れています総合医的機能ですね、それとジレンマを起こしてしまいます。すべてのことに精 通するということは非常にできにくい。専門性を増せばそちらのほうにどうしても特化して しまうものですから、他の領域の知識は浅くなってしまうのですね。  現在、中医協が行われていますDPCの分科会の話などになりますと、ごくわずかの本当 に数えるほどの医者しか分からないようなテーマで話をしています。医療はそこまでいって おります。したがって、そういうことを国民に透明性をもって説明しろといわれても、我々 医師が聞いても分からないことですから、とてもできないことなのですね。それとインフォ ームド・コンセントとの落としどころをみつけるバランスの問題です。すべてを要望されて も到底答えられない部分があるという認識を持っていただかなければいけないのではない かなと私は考えております。  もう一つ機能分担をしますと、シームレスではなくなるのですね。シームを作ってきたわ けです。そのところにシームレスという要望があって、そこに例えば先ほど話が少し出まし たが、メディカルクラークを入れてその役割を補填する形でというのはありますが、現実入 れますと何が起こるかというと、従前指示を受けていた看護師とかコメディカルが事態を受 け容れられない。薬剤師とか検査技師とかいう職種もあって、誰が指示を受けた、誰がそれ を実行しているのだというか、トラブルが起きてしまい、円滑にいくようになるのにはかな り時間がかかる。入れればすぐ解決するというような幻想を持たないでほしい。現場は非常 にこういう悩みがございます。  総合医の問題に返りますが、実は総合医の分かりやすい姿というのは、10年前、20年前 の民間の有床診療所であったり、診療所であったり、あるいは中小病院であったりしたわけ ですが、そこはほどほどの医療はできて、まあシビアであれば自分の伝手をたどって紹介先 を探さないといけないという弱点はありましたが、かなりの部分がそういうところで解決さ れていました。ここに信頼関係が成り立っていた。それが地域があった時代の話ですが、地 域が崩壊してしまうと、こういうものでは駄目になって、現在のようなものを模索してきた のだと思いますが、そのこともよく認識して、やはり落としどころを考ないといけないと思 います。  そのいちばん分かりやすい例が訪問看護制度です。制度そのものの理念は非常に素晴らし くて、訪問看護でずいぶん片がつく問題が多いと私は思って、力を入れてやってみたのです が、訪問看護ステーションは完璧に崩壊しました。  どうしてかというと、これも先ほどの役割分担のところで、現在問題として挙げられてい て、近々解決が期待できる医療行為とそうでないものの区分がないことによります。喀痰の 吸引などは、機能分担というよりも、むしろ技能を委譲していって、誰にでもできるように すべきです。これが決まっていないので現場は混乱し、バーンアウトしてしまいます。ちょ っとしたカリキュラムを作って、それを受けさえすれば許可をしてもらえるというふうな制 度に移行するべきか、あるいはダメなものはこれとこれというふうにきっちりと区分をする べきか、これもやはり落しどころを考ていかなければいけないと思うのです。すべてにわた って何か行き着くところがこういうところしかなかったのかなという感じがしまして、バラ ンスをとるというか、落としどころを考ていかなければいけないということも念頭に置いて、 この会議を進めていただけたらありがたいなと思います。以上です。 ○海辺委員 私は医療者ではございませんで、一般目線の発言と受け止めていただけると幸 いなのです。まず、こういう審議会自体に参加させていただくのは私初めてですが、いくつ か検討会を傍聴させていただいたり、実際委員として参加させていただいたりという経験か ら感じますのは、まずお医者様はそもそもは医者として患者を診たくてなられた方がなって いらっしゃる職種なので、こういう国の医療という医療全体のマネージメントというか、経 営みたいな視点から論じるときに、ちょっと経営感覚という点では違うのではないかなとい うふうに感じる部分が私ございます。  あと、現状の医療が非常にいろいろと多くの問題を抱えているということは、もう国民も 医療者の方々も皆さん一致していらっしゃると思うのです。その中ではやはりいろいろなミ スリードがあったからこそ、ここまできてしまったというところがあって、だから国民も反 省しなければいけないというところで、それぞれのみんなが反省して、現状こうであるのを 肯定しつつということで、何とかなる時代はとっくに過ぎてしまっていると私は感じており ます。  いますぐもう本当に本気でやっていって、やっと10年後なんとかなるかならないかだと 思うので、現状を踏まえた上でやれそうなところからやりましょうだったら、10年経って もこの形はたぶん変わっていないだろうなと感じます。たぶんこういうような議事録を一般 国民が読むかといいましたら、読まないと思うのです。それでも議事録を読んでいる人間が、 こんなことやっているから駄目なのだ、と思うようであってはならないと私は感じておりま す。国民全体が疲弊しきっているような中でも、やはりみんながそれぞれに努力をして何と かしていくという姿勢をきちんと打ち出していかないといけないだろうと感じます。  先ほどちょっと申し上げたかったのを申し上げそこなかったというか、落としてしまった のは、例えば診療報酬自体も、いま一律3割となっていますが、高齢者だけではなくて癌だ とかいろいろと本当に難しい病気を抱えていらっしゃる方は、働くこともできなくなった状 態なのに3割負担しなければいけない。しかもその高額療養費の上限は前年の年収から算出 されていますから、例えばそれまではちゃんと働けて、高額療養費が7万円まであなたは駄 目よみたいな世帯だったとしても、収入がなくなって、それで子どもを2人抱えてというよ うな方であったら、とたんに逼迫してしまうことが明らかであったりしますので、一律3 割負担の限界というのもいまきているなというふうに私感じています。その部分のあり方な どについても、本当はもう本気で考なければいけない時期にきていると思うのです。ただ、 いまのそういうふうな姿勢を伺うと、ここで果たしてそういうことがきちんと話し合えるの かなというのが、非常に不安に感じました。もし議事録を読む一般国民があったら、同様に 感じる不安ではないかなと感じます。以上です。 ○部会長 今日は時間を十分に12時半までとっておりますので、議事録を読んだ方が感心 するような活発な議論をお願いします。 ○小島委員 一つ私も制度上のこれからの課題ということで言わせていただきます。先ほど 邉見委員からいまの医療崩壊の課題として、地域医療の崩壊だという指摘をされています。 資料の中でも安心と希望の医療確保ビジョンの中でも医師の偏在という、2つの偏在、診療 科と地域偏在という指摘をされているのです。それをどうするかというのは大きな課題だと 思っています。これは単に予算あるいは診療報酬上手当をしたからといって、そう単純に解 決できる問題ではないと思っています。そういう意味では地域医療計画の中に、そこの医療 圏の中の必要な医師、診療科の医師といった視点から、その地域医療計画をもう一度見直す ことが必要ではないか。そういうことも念頭においた上で、まさに制度上のあり方、そして、 それに対する財政上の支援、そして診療報酬上の手当といったことが必要ではないか。そう いう観点で是非これからの診療報酬についても検討いただければ、あるいは制度上のあり方 も含めて検討すべきではないかと思っています。 ○部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○村上委員 いまの意見に関連してですが、資料5でも医師の偏在と教育のところに大変い いことがいろいろ書いてあるのですが、あまりこれ具体策ではないのです。これ作文でしか ないのかなというところが相当あります。実はちょっとお伺いしたいのですが、かつてこの 医療部会に管理者要件というのが出たことがあるのです。あれがすぐに引っ込められてしま いましたが、あれこそまさに地域偏在に関しては特効薬だと思うのですが、それについては 今後この会でも検討をしたらいかがかと思います。あるいは厚生労働省の中にそれについて どういうお考があるのでしょうか。 ○総務課長 管理者要件は18年改正のときに少し議論があったように記憶していますが、 当然、地域偏在なり診療科偏在なりの是正策は考えていくことになります。そのためにまず はインセンティブを付けてやっていくのが基本ではないかということで、格段の予算措置な どをお願いをし、成果としても産婦人科関係だったと思いますが、少し若いお医者さんがそ ちらのほうにも回っていくようになってきたということです。それなりの効果はあったので はないかと思います。ただ、特効薬が欲しいということで、いまのご発言だったかと思うの ですが、特効薬だけなのか副作用はないのかといったような点も含めて、よく考えていきた いと思っています。 ○部会長 ほかにいかがでしょうか。加藤委員。 ○加藤委員 小児科医、産科医が地域になくなってしまった。産科医はいろいろ急変する事 故があることが心配で減ってきていることもたしかでしょうし、また、小児科・産科医とも に約3分の1から3分の2ぐらいまで女性医師になっているということも影響しているかも しれませんが、小児科に限ってで申し訳ありませんが、ちょっとお話させていただきます。 ともかく病院小児科というもの、そのものが現在の診療報酬体制では不採算性です。そうな りますと病院長としては、病院の小児科医を削減するという方向にならざるを得ない。小児 科の医師を削減するとなりますと、その医師は非常に疲弊しますので、最終的にはその病院 の小児科は閉鎖されることになります。  先ほど竹嶋委員がお話になったとおり、そうすると集中的な大きな病院を拠点病院として もってきて、そこでやればいいではないかというこの発想ですが、先ほど竹嶋委員がお話し のとおり、大都市ではそれが有効だと思いますが、地域にいきますと1人の患者さんが大き な所に行くために3時間も4時間もかからなければ行けないというような状況も起きてく ることは確かであろうと思っています。  したがいまして、結論として申し上げたいのは、是非診療報酬改正に当たりましては、病 院小児科にとって手厚い報酬にしていただかないと、これは地域格差がどんどん深まってい くと考えまして、必ずしも集中化をすれば片付く問題ではないのではないかという のが、私の意見でございます。ありがとうございました。 ○部会長 ほかにいかがでしょうか。ご発言のない方はおられませんでしょうか。 ○部会長代理(田中) 第1回ですので会の進め方について最初に議論がありましたが、部 会長はこの会を活発にしなければならないと強い危機意識を持っておられます。医療部会が いままでのように、時折開かれて当局から説明をお聞きして、あとは委員から特に受け止め 手がないような、順番に放談して終わってしまう会にしてはいけないという強い思いがおあ りだと承っております。今日は各委員からそれぞれ重要な論点が提示されて、第1回目の意 見交換会としては意味のあるものだと感じました。しかし、大切なのは次の会だと思います。 先ほど竹嶋委員が言われたように、今年は7月から始められました。夏をはさんで9月にま た集まったときに、今日と同じそれぞれの主張をもう一度繰り返したらそれこそ海辺さんで はないけれども議事録はなんだったのかと言われてしまうでしょう。海辺さんではないけれ ども。1回目と同じことをみんな2カ月後に主張しているようになってしまったら、会の存 在意議がないので、今日の発言を踏まえて深化した形にならなければならないと思います。 例えば今日何人かの方、わりと多くの方が言っておられましたが、診療報酬に係わることと、 医療提供体制に係わる事柄は重なっているけれども、しかし、視点が違うので、この2つは 区別して議論をするようにしないと、一人ひとりが順番に別々なこと、交代で片方は診療報 酬にこれを入れたらどうか。次の方は提供体制はこうあるべきだと言っていると、結局政府 主催のシンポジウムみたいになってしまって、政策論にならないと感じました。次の会が大 切だと思います。いまのは部会長代理としてです。  もう一つは一委員として、先ほどご指摘のあった資料3の中期プログラムの話です。これ からは中負担・中福祉しにしていかなくてはいけないと書かれています。私は経済学者とし てこれ高く評価したいのです。ただし、この部会は財源の話ではないかもしれませんが、一 応言っておきますと、中負担の話は資料3の2頁の(2)に書いてありますように、「必要 な給付に見合った税負担を国民全体に広く薄く求めることを通じて」、この意味の負担増で して、決して患者負担の増ではないと、私たち認識しておかなくてはならないと思います。  今後の医療財源のあり方として、患者負担を増やす方向での中負担ではない、負担増では ない。WHOの統計によりますと、日本の患者負担は英・米・仏・独・北欧のすべてよりも 10%ポイントから5%ポイント高くなっています。先ほど海辺委員の言われたとおりです。 患者負担を高めるという意味ではなくて、医療を支えるために、あるいは福祉を支えるため に国民が広く薄く負担をする方向での中負担だと、私の立場からも強く言っておきたい。以 上です。 ○邉見委員 先ほど総論的に何が崩壊しているかということを申し上げましたが、私、外科 医の立場といたしまして、外科のことを1点だけ申し上げたいと思います。資料8の6頁で す。平成6年から平成18年のこの12年間に、医師は1.19倍、小児科も一応1.10倍、問題 になっております産婦人科が0.88倍ですが、外科は0.87倍です。いちばん減っている科な のです。これはなぜかというと、ハイリクス・ローリターンとか、チーム医療で1人で何も できないとか、潰しが効かないとか、修業年限が長いとかいろいろございますが、診療報酬 でいえば、あまりにも手術手技料が低すぎることに尽きるだろうと思います。外科学会は全 員挙げて外科崩壊を防ぐために、是非手術点数を上げてほしいということを申し上げており ます。よろしくお願いいたします。 ○部会長 全体を通じて何か、これだけは言っておきたいということがほかにございました らいかがでしょうか。まだまだご意見があると思いますが、予定の時間にそろそろなりまし た。今後の予定ですが、是非また日程調整をしていただいて、8月中にもやって、11月下 旬ですか、先ほどのスケジュールにありましたように、最終的な意見を出す前に数回開催し ていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。何か事務局から連絡事項があ りますか。今日はどうもありがとうございました。   (照会先) 厚生労働省医政局総務課 吉田、荒木 連絡先:03−5253−1111(2519)