09/07/08 第137回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会議事録 09/07/08 中央社会保険医療協議会          第137回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成21年7月8日(水)10:28〜12:00 (2)場所  はあといん乃木坂 (3)出席者 遠藤久夫小委員長 牛丸聡委員 小林麻理委員 庄司洋子委員        白石小百合委員 森田朗委員 対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 高橋健二委員(代 清水)   伊藤文郎委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       坂本すが専門委員        <参考人>       池上直己慢性期入院医療の包括評価調査分化会長        <事務局>       榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官 磯部薬剤管理官       上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 基本診療料について       ○ 慢性期入院医療の包括評価調査分科会について       ○ その他 (5)議事内容  ○遠藤小委員長  それでは、委員の皆様御着席ですので、ただいまより第137回中央社会保険医療協議 会診療報酬基本問題小委員会を開催したいと思います。  まず、本日の出席状況について御報告をいたします。本日は、高橋委員の代理で全日本 海員組合の清水保さんがお見えになっておられます。  なお、保険局長は公務のために欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、初めに基本診療料を議題としたいと思います。  事務局から、幾つか資料が出されておりますので、説明をお願いしたいと思います。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長でございます。  それでは、お手元に資料がございますので、資料について説明させていただきます。  まず、中医協診−1−1と書いた資料でございます、基本診療料について。  本日の基本小委ですけれども、先般開催されました基本問題小委におきまして、検証部 会における検証結果を使って、入院に係る問題を議論していただきました。思い出してい ただきますと、例の医師事務補助加算の話でございますとか、入院時医学管理加算の話と かを題材にしてご議論いただいたわけですが、その際に救急とか産科、小児科について、 現状どういうふうになっているか、また診療報酬上どう手当てされているかについて、も う一度やっぱり深く議論しようということだったかと承知しております。  したがいまして、今日は診−1−1にお示ししました中では、入院基本料から特定入院 料まで、特に加算の部分と特定入院料、救急、産科、小児科に係ります加算と特定入院料 の部分について重点的にご議論いただくことで準備をしております。  めくっていただきまして、診−1−2ですけれども、今申し上げました入院基本料から 特定入院料までについて、3つあるわけですけれども、この点数のうち救急、産科、小児 科にかかわります部分、これ以外にも精神科などもまじってはおりますけれども、こうい ったことをご議論いただく上で、入院基本料、特定入院料、入院基本料等加算にどういう 診療報酬の項目が含まれているかというのをリストにした一覧のものがこれでございます。 ごらんいただきます。  それから、めくっていただきまして、診−1−3ですが、これは何度かお示しをしたん ですけれども、病院の機能あるいは診療報酬の支払い方、DPCのようないわゆる包括の 形なのか、それとも出来高なのか、あるいは今申し上げました加算があるものなのか、特 定入院料に該当するものなのかというものを、病院、病床の区別ごとに一覧にしたもので す。これをご参考にしてください。  それから、先ほど入院基本料、特定入院料、入院基本料等加算の形で、産科、小児科、 救急に係る項目の一覧をお示しをしたわけですが、この中でも特に救急、周産期、小児に 係るもの、またその中でも新規に点数設定されたものということが分かるような形で、診 −1−4の資料を準備しているものであります。これは一覧表ということですので、ご参 考にしてください。  それで、診−1−5は、その中でも特に、平成20年度の改定において重点的に評価を した部分であります。診−1−5の1ページ目は、地域の中核病院の勤務医負担の軽減、 それから病院勤務医の事務負担の軽減ということで、医師事務作業補助体制加算を入れた ということ。  それから、めくっていただきまして、2ページですけれども、病院の時間外救急負担の 軽減をするために、初・再診料に夜間・早朝等加算をつけたこと。それから、医師負担が 大きい技術の再評価ということで、そこにお示ししましたような幾つかの手術の項目、あ るいは麻酔管理、こういったものについても点数上の評価をしたということです。  3ページに行きますと、周産期対策ということで、周産期医療を担う地域のネットワー クの支援ということで、救急搬送の形になった妊産婦さんの受け入れについて、新しく妊 産婦の救急搬送に係る加算をした。それから、医療機関の連携ということで共同管理料、 そのほかその下にありますけれども、ハイリスク妊産婦管理の充実・拡大ということで、 妊娠管理加算あるいは分娩管理加算の充実、それからハイリスク妊婦の検査の充実という ことです。  それから、最後の4ページになりますけれども、小児につきましては、子ども専門病院 等の評価ということで小児入院管理料。それから、NICUに入っていらっしゃるお子さ ん方の、後方施設と呼ばれますけれども、NICUから転院・転棟する方の受け皿づくり というのが非常に重要だと言われておりますので、超重症児入院診療加算、準超重症児入 院診療加算というのを、前々回に引き続きまして、相当に評価を充実させたということで す。  このほか、病院、診療所の小児科医師の連携、あるいは乳幼児の外来診療の評価という ようなことをいたしました。  ここまでが、診療報酬に係るところでございます。 ○事務局(三浦医政局指導課長)  引き続きまして、医政局の指導課長でございますが、この資料の診−1−6を用いまし て、現在の救急医療等の医療体制に係る現状と課題について御説明申し上げます。  めくっていただきまして、スライドの番号で申し上げます、2ページ目でございます。 救急医療等の体系図というのが、表紙の下段のほうに書いてございますけれども、これは 左側が大人の方の患者さん、右側が子どもさんの場合の患者さん、こういうことで初期救 急医療、いわゆる外来で治療ができるような医療の体制、また入院を要する救急医療の体 制、これはよく二次救急などと言いますが、こういう体制。それから、その上に救命救急 医療、三次救急ということがございますが、こういうような体系が組まれておりまして、 その患者さんの状態などに応じてそれぞれ適切な医療機関で治療が行われる、そのための 体系を整えてきたというところでございます。  3枚目のスライドでございますけれども、私ども医政局では、これらの救急医療の体制 を整えるために、補助事業、予算上の手当てを行っております。一番上のところの四角の ところに書いてございますように、政策目的に照らして地域において必要な医療提供体制 の構築を促す観点から、奨励的な補助金として施設・設備の整備や運営費、人材確保等に ついて事業を行ってきたところでございますが、さらにということで、特に救急医療、小 児救急、僻地医療など、これらの医療提供体制の確保に係る費用のうち、診療報酬で賄い 切れない不採算部門について予算補助事業を実施してきたと、こういう2つの観点からの 体系というものがございます。  その下に、施設・設備の整備にかかわるものとして、救命救急センターをはじめといた しました、先ほど申し上げた体系の中に組み込まれた施設の整備にかかわる補助制度がご ざいますし、またその右側には運営費として、それぞれの施設の運営にかかわる費用のう ち、どうしても赤字が生じてしまうという部分についての運営の経費の手当てをするなど の対応をしております。  また、左の下のほうでは人材確保として、医療を行うに当たって必要な人材を確保する 観点からの、人材養成のプログラムなどに対する補助事業がございます。その右側は、そ の他ということで、それ以外の体制についての整備に係る補助事業ということでございま す。  それをさらに、4枚目でございますけれども、救急医療の確保のための主な施策という ことで、ちょっと小さい字で恐縮でございますけれども、救急医療を先ほど申し上げたよ うな、初期、二次、三次、またそれより前の病院前に行われる救護、こういうような観点 から制度上の措置、予算上の措置、また前回の診療報酬改定における措置ということで整 理をしたものでございます。  特に、最近の動きといたしましては、制度上の措置では、2つ目の段にございます消防 法に基づく救急搬送・受け入れルールの策定というふうに、ここで書いてございますが、 先般消防法の改正がございまして、救急搬送について各都道府県、さらにはその中の地域 において個別のルールを定めて、確実に患者さんが受けられる体制を整えていただく、こ ういう趣旨から法律の改正が行われまして、厚生労働省も消防法について所管をすること になりました。こういう観点からのものがございます。  それから、予算上の措置としまして、特に二次救急の2段目のところでございますが、 管制塔機能を担う病院ということで、これは後ほど時間がございましたら御説明申し上げ ますが、いわゆる救急の患者さんの受け入れを行うのが難しいという状況が生じた場合に、 必ず受け入れていただける病院を整備していただく、こういうような措置もございます。  また、予算上の措置の一番右側の上から3段目になりますが、医師等の医療従事者の関 係でございますけれども、救急勤務医の支援事業と書いてございます。要は、休日・夜間 などに勤務する救急医に対して、その手当を支給すると、その一部について国が助成する という制度が、21年度から新たな予算事業として始まったということでございます。  次のページでございますけれども、これは同じように周産期医療の確保についての施策 ということで、構造は同じでございます。制度上の措置、予算上の措置、また前回の診療 報酬改定ということで。横に書いてございますのが、いわゆる正常分娩、さらには地域周 産期母子医療センターと書いてありますが、異常分娩の中でもある程度の高度な医療が必 要な場合に対して、医療提供を行うセンターというのが全国にございます。さらにその右 側に、総合周産期母子医療センターというのがございます。これらの制度を構築する中で、 制度上の措置、予算上の措置等が行われているということでございます。  その右側には、医師等の医療従事者というところがございますが、その予算上の措置の 一番上の産科医等確保支援事業、また産科医等育成支援事業というのがございます。これ は、上の段につきましては、分娩に立ち会った産科医に対しまして、その分娩に立ち会っ たことに対する手当を病院が支給した場合に、その一部を国が助成するというようなもの でございます。その次の育成支援事業につきましては、臨床研修、初期研修が終わった後、 産科医を目指す方々に対する奨学金を提供すると、こういうような事業がございます。  次の6枚目のスライドでございますが、小児救急の関係でございます。ここも同じよう な分類でございますが、初期、二次、三次ということでございますが、重複するものを除 けば、例えば初期の小児救急の欄の予算上の措置の2段目、小児初期救急センター運営事 業というのがございます。ご案内のとおり小児救急においては、非常に多くの割合、9割 とか言われる数字が実は初期の方だということがございまして、初期の救急を対応してい ただくセンターを運営した場合に、その助成を行うというのが21年度から始まりました。  次の7ページ目でございますが、救急医療に係る課題とそういうことを必要と考えられ る評価ということでございますが、後ほど細かなデータをお示ししますが、全体を俯瞰し ていただきたいと思います。救急医療等に係る課題といたしまして、左側から救急医療の 需要の増加というのがございます。その需要の増加に対しまして、受け入れ体制の不足と いうものがございます。さらには、出口の問題というふうに書いてありますが、救急患者 をお受けした後に、その患者さんがどこに出ていくのか、後方病床あるいは在宅というよ うなところに出ていっていただくための連携というものが必要だということで、これらの 流れが滞ることなく回るということが、結果的により多くの救急患者さんをお受けできる 体制をつくっていくということになります。  例えば、周産期・小児というのがその欄の下にございますけれども、例えば最近の状況 で言いますと、低出生体重児などハイリスク分娩の方が増加している。さらには、その右 側に行きますと、分娩施設が減少しNICUが不足、また産科医・小児科医が不足・疲弊 する。出口の問題としては、後方病床の対応能力の不足などが、周産期についてはござい ますし、小児ついては、そもそも1歳から4歳児の死亡率が高い。また、重篤な小児患者 の受け入れ体制が不足している。また、出口の問題としては、病院間搬送の体制が不足し ている。こういうような課題があるということでございます。  それに対しまして、必要と考えられる評価というのが、その下の段にございますけれど も、円滑な搬送・受け入れ体制を構築していくということについて、しっかりと対応して いるというところに対する評価というのが要るのではないか。  また、その右側では、救急医療機関への支援ということで、さまざま書いてございます が、要は現場でしっかり対応していられる救急医療負担に対する体制の評価というものが 必要だと。その右側は、後方病床・在宅療養の機能評価ということで、後方病床などに対 する対応についての評価ということでございます。  そのほか、その下の段、これは全般にかかわるものとして、地域の医療連携というよう な課題、また、それらの全般にかかわる医師の勤務環境の改善というものも大きな課題で ある。先ほど来申し上げたような、予算で対応しているものもございますけれども、それ らについての評価というのを今後どのように行っていくのかということが、大きな課題で あるということでございます。  次のページは、救急医療体制の現状ということで、少しデータをごらんいただきたいと 思います。9枚目でございます。これは救急患者さんの発生状況ということでございまし て、この10年間ぐらいは傾斜が急になっておりまして、10年間で約1.5倍ほどふえ ている。大変、救急の搬送例が多くなってきているというものをあらわしたものでござい ます。  次の紙は、それらの方々、年齢的なもの、あるいは重症度がどのようになっているかと いうものを見たものでございます。色の青いほうが平成9年のデータ、赤いほうがその1 0年後、平成19年のデータということでございます。小児のほうは余り大きな変化はな いというふうに見ていいと思いますが、軽症例が若干ふえているということがございます。 それから、成人の例で言いますと、やはり軽症例・中等症の例がふえている。それより何 よりも、高齢者のほうで軽症・中等症がほぼ10年間で倍増していると、こういうような 状況が生じているというのが、最近の動きでございます。  11枚目でございますけれども、それではその受け入れ体制はどうなっているのか。先 ほど申し上げましたような、三次、二次、一次という分類の中で見ていただきますと、三 次のほうは、16年の170という数字に対しまして、40弱ふえていると、20年度の 段階でふえているわけですが、一方で地域医療のかなめといえます、現場での日常的な入 院医療を行っている二次救急が大分減ってきていると。こういうところも、二次救急の疲 弊というような表現をされることがございます。  12枚目でございますが、診療科別の医師の推移ということで、これは実数ではござい ません、指数でございまして、平成6年の状況での人数を1といたしまして、平成8年の 段階で数字がどうなっているか。一番上が総数でございまして、およそこの12年間で2 割ぐらいふえているわけですが、小児科の伸びはその半分ということでございます。それ ばかりか、産婦人科や外科は減っているというような状況でございまして、ここら辺にも、 中でも産科や外科の医師の不足というのが顕著にあらわれているということでございます。  また、13枚目でございますが、これは中医協でも一回提示された資料でございますけ れども、丸に囲まれた部分、左側が直近1週間の実勤務時間ということでございますが、 小児科、外科、脳外科、産科、救急と、こういうところが非常に勤務時間が長くなってい るということ。右側は平均の当直時間、同じように小児科、産婦人科、救急というのが多 くなっているということがうかがわれるということでございます。  14枚目、先ほど簡単に申し上げました、消防法の改正でございます。内容といたしま しては、救急患者の発生から病院への受け入れ、そこでの救急医療ということになるわけ でございますけれども、その紙で言いますと、右の半ばぐらいに「搬送・受入ルール」と いうところがございます。これを各地域で今後定めていくというものでございまして、傷 病者の状況に応じた搬送先となる医療機関のリスト、例えば頭が痛いと言っている方に対 して、どこの病院にお連れするかということについて、あらかじめリストをつくっていく。  [2]番目は、その傷病者の方の状況、先ほどもおっしゃった頭が痛いということを確認で きれば、その頭痛の患者さんを連れていく病院のリストの中から選定する。  [3]番目は、搬送途上において、その状況を伝達するためのルール。  [4]が、そうはいってもなかなか搬送先が見つからないというときにおいて、どこに最終 お連れするかということについて、これもあらかじめルールをつくっておく。こういうよ うな消防法の法律の一部改正が行われまして、今この具体の内容についてのガイドライン を策定すべく、専門家の方々による検討が行われているというところでございます。  続いて、周産期医療の現状ということでございます。周産期医療、16枚目のスライド でございますが、右側の下のところにございますように、一般の地域の医療機関で状況が 変化したということになれば、地域周産期母子医療センター、その左側にあるところの施 設に搬送する。それでもさらに手に負えないと、あるいはもっと重症だということになれ ば、総合周産期母子医療センターに搬送するということになるということでございまして、 例えば総合周産期の機能といたしましては、極めて高度な医療を提供すると同時に、例え ば地域のNICUの空床状況を把握する。そして、その施設自身もNICUを、つまり新 生児のICUを用意する。MFICUというのは、これはお母さんや胎児を集中治療でき る施設ということでございまして、MFICUの整備というようなものについても一定の 基準を置き、体制を整えていただいているということでございます。  17枚目でございますけれども、それらの総合周産期センター、あるいは地域周産期セ ンターの推移ということでございますが、数としては全体としてはふえているということ でありますけれども、地域周産期については若干減りつつある、減ってきているというよ うな数字もございます。  18枚目でございますけれども、分娩施設全体の推移をごらんいただきますと、施設の 中で分娩できる施設というのが数が減ってきているということが見受けられるということ でございまして、こういう中で、先ほど申し上げた総合周産期、地域周産期というような センターに、正常分娩の方も含めて集中せざるを得ない。そうしますと、そこにいる医師 がさらに厳しい勤務環境になってくるというような状況が生じております。  19枚目でございます。中でも、本来総合周産期あるいは地域周産期センターが対応す るべき低出生体重児の方々の例でございまして、この波線が、大体出生のうちどれぐらい の方々が低出生かということを示したものでございまして、かつて全出生の5%程度であ ったのが、今や10%近くになっている。つまり、割合としては倍増している、そういう ような状況と。出生数が減ってきておりますので、そういう中ではありますけれども、人 数的にもこういう形で変化しているということでございます。  次のページは、先ほど申し上げました、子どもさんのICU、それから母胎・胎児のI CU、これらの数字、どれぐらいの病床があるかということでございまして、今申し上げ たように、低出生体重児の割合がふえているにもかかわらず、NICUが数がふえない。 こういうような中で、実際になかなか受け入れができないというような例が生じておりま す。  21枚目でございます。21枚目は、そのNICUなどに受け入れられたかどうかとい うことについて調査を行ったものでございまして、ごらんいただきますように、下の左側 のグラフでございますけれども、既にNICUの病床利用率、9割を超えているというと ころが8割であるというようなところでございます。  その右側には、なぜ母胎や新生児の搬送・受け入れができなかったのか、その理由につ いて、総合周産期母子医療センターという最も機能が高い施設における現状でございます が、その主な理由として、NICUの満床またはMFICUの満床などが、母胎あるいは 新生児について指摘されているというところでございまして、特にNICUの満床という のは9割を超えているというような状況になっております。  続いて、22枚目でございますけれども、小児の救急。先ほど申し上げましたのは、生 まれてすぐの子どもさんに対する救急医療ということでございますが、今度は1歳から4 歳の死亡率の問題でございます。  23枚目のスライドをごらんいただきますと、日本というのが四角い括弧で、左側のグ ラフでございますけれども、横軸が乳児死亡率、縦軸が1歳から4歳の死亡率ということ で、ごらんいただきますように、日本では乳児の死亡率は世界的にも低いわけでございま すけれども、1歳から4歳の死亡率については、右側の表にもございますように、OEC Dの27カ国中17番目という数字になっている。  次のページをごらんいただきますと、ではそういう子どもたちの治療を行う場として、 24枚目の数字でございますが、全国で救命救急センターのうち、小児救急の専門病床を 持っているのは6施設ということで、全体からいっても19床という厳しい状況にござい ます。また、右側では、いわゆる子ども病院などにおける小児救急ということでございま して、全体として一番右の下でございますが、術後用も含めて160というような数字で ございます。  25枚目以降が、今後の課題ということでございます。これから、何をしていくのかと いうことが26枚目でございまして、例えば一番下の欄でございますけれども、初期、二 次、三次というこの構造の中で、例えば診療実績に応じた救命救急センターや二次救急機 関への支援、あるいは診療所・医師の救急医療に対する参画、救急医療を担う医師への手 当、院内トリアージを行う看護師等の配置などについてがございます。  それから、一番右の上のほうでございますけれども、先ほどの出口の問題ということで 申し上げますと、転院が可能な地域の体制を確保するということで、地域連携などそうい う体制が求められるというところでございます。  27枚目以降は、私どものところで行われたさまざまな検討会の結果でございまして、 27枚目は周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会ということで、これはご案 内のとおり、東京都内で妊産婦さんが死亡されるという事件が昨年秋に起きまして、それ を受けて大臣のもとで検討が行われたものでございます。そこで、例えば指摘されたもの としましては、3番目のポツにございますように、周産期のセンターについて診療実績を 客観的に評価すべき、あるいはその下の救命救急センター、二次救急の妊産婦の受け入れ を推進するための支援が必要だと。  4番目では、状態の安定した妊産婦・新生児の搬送元医療機関、つまりもともと送って いただいた医療機関への戻り搬送を促進すべき。  その下には、NICUなどの整備、GCUの支援と整備、その次はGCUという、NI CUを卒業したお子さんですが、まだ在宅やあるいは一般の病床には戻れないというよう な方々に対する手当て、それから重症心身障害児の施設などに対する整備というようなも のがございます。その下は、医師の手当という問題。  また6番目としまして、搬送体制としての、先ほど申し上げました搬送ルールなどの問 題というのがございます。  それから次が、救急医療全体の在り方についての検討会ということで、これは三次、二 次、また搬送の問題、重複することが多々ございますので、ここでは細かく御説明申し上 げませんが、こういう検討会で今申し上げてきた大きな骨組みというのが議論されたとい うものでございます。  次のページ、29枚目でございますが、先ほどごらんいただいたように、1歳から4歳 の子どもさんたちの救急体制というのを緊急に整備する必要があるということで、ここで は3つのテーマ、つまり1番目が搬送・受け入れの問題、2番目が重篤な時期での、つま り超急性期での救命の問題、3番目がそれを脱した子どもさんたちの体制ということで、 例えば2番目の2つ目のポツの括弧書きでございますけれども、小児の救命救急医療を行 う救命救急センターなど、小児救命救急センターとして必要な支援をしていかなければい けないというようなことが議論されました。  3番目のポツの1行目にございますが、ここでも先ほど見ていただいたように、小児集 中治療室がやはり不足している。こういうために、そこの整備を進める支援というのが必 要だというものでございます。  30ページがドクターヘリということでございまして、ドクターヘリの促進について、 平成19年6月に、一番上のところにございますように特別措置法が成立いたしました。 それを受けて全国に展開していくというような観点でございますが、特に3番目の一番下 のところでございます、ドクターヘリの運用の在り方の4つ目のポツ、一番下の行でござ いますが、安定的に運航を継続するために、運航費用の確保の在り方についてさらに検討 ということでございますが、これはそもそもこの特別措置法の附則で、診療報酬とのかか わりというのが指摘されておりまして、これについての検討をさらに進める必要があると いう指摘でございます。  31ページ以降は、予算の事業ということでございまして、例えば32枚目でございま すが、医師確保について予算を100億余り上乗せしてはおりますけれども、これら予算 の事業とあわせて、いろいろなさまざまな支援が必要になってくると。内容については多 岐にわたりますので、今回については中身を省略させていただきたいというふうに思いま す。  飛びますが、40枚目でございますが、救急医療の対策ということで、これについても 100億の予算増ということで、今後これらの予算を受けて、医政局としても体制の整備 に向けてその推進を図っていく必要があるということで努力してまいりたいと思います。  少し長くなりました。以上でございます。 ○遠藤小委員長  事務局の説明は以上でよろしいですか。まだ、ございますか。では、引き続きお願いし ます。 ○事務局(佐藤医療課長)  関連しますので、引き続きまして、いわゆる宿題としていただいていたものについてお 答えしたいと思います。  まず、診−2−1です。入院時医学管理加算届出医療機関における指定状況という資料 です。これは、対馬委員だったと記憶いたしますが、入院時医学管理加算の要件が見直さ れて、しかも点数も充実したものになったわけですけれども、設定されたこの入院時医学 管理加算の要件その他を見たときに、本来指定を受けるべき病院が受けているのかどうか という御質問がありました。特に地域医療、支援病院みたいなものがあるんだけれども、 そうしたところが入院時医学管理加算を取れているのか、算定できているのかどうかとい う御質問がありました。  そういうことで、指定状況について一覧表をつくってみました。左側に都道府県があり、 医療機関名があり、そして指定状況の中に4区分を設けました。最初の2区分、救命救急 センターと総合周産期母子医療センターまでは、入院時医学管理加算の要件になっており ますので、その2つの要件について調べてみました。  それから、4つ目の地域医療支援病院は、要件ではないんですけれども、質問の中で地 域医療支援病院との関係はどうかということでしたので、これはあえて調べてみたという ことです。結論はごらんいただきますように、全国的に分布をしておりますが、例えば秋 田や茨城のように、加算が算定できていない県があるということです。また一方で、地域 周産期母子医療センターが比較的よく加算の算定ができているということです。それから、 御質問のありました地域医療支援病院についても、比較的よく算定できているというのが 見てとれます。  診−2−1が以上です。  それから、診−2−2ですけれども、ハイリスク分娩管理加算届出施設における助産師 の人数の分布状況というものです。これは、先般、小島委員の代理で勝村委員が出席をさ れたときの宿題です。  これは、検証部会の検証結果を用いて、ご議論いただいていたときに、ハイリスク分娩 管理加算届出施設の要件であるはずの、助産師3名というものが満たされていない施設が あるんじゃないか、そういう答えが返ってきているんじゃないかということでありました。 そもそもハイリスク分娩管理加算の算定の施設基準の要件の中には、医療機関の中に常勤 の助産師が3名以上配置されているということになっているわけですから、一番下のグラ フで見ていただきますと、ゼロ人の施設が平成19年度にも10カ所、20年度にも9カ 所あるというのは、要するに算定の要件から考えるとおかしいんじゃないかと、こういう 御質問であったと思います。  私ども、個別に聞き取りも含めまして調査をいたしましたが、結論から申しますと、記 入上の誤解、間違いに相当するものということでございました。じゃ、なぜそういう記入 上の間違い、誤解が生じたかと申しますと、先ほど要件のところで申し上げましたけれど も、このハイリスク分娩管理加算の要件は、当該病棟とか病室ではなくて、医療機関内に 常勤の助産師が3名以上配置されていればいいということになっておりまして、ここでゼ ロ人などといって答えてきたところは、看護師と助産師をそれほど区別をせずに、全体と してローテーションや人事配置をしているということだったようです。  それで、聞いてみますと、助産師の資格を持っている人は、産科病棟だけでも18人い るとか、助産師が31人いるとかいう答えが返ってきておりますので、そういうことから 見ても、記入の際の誤解や間違いによるものだろうというふうに思われます。  宿題につきましては以上です。 ○遠藤小委員長  医療課長、指導課長ありがとうございました。  本日、御議論をするわけでありますけれども、少し整理をさせていただきますと、基本 診療料については議論するということが20年度の改定のときに決まっておりますので、 それについて議論をしているわけでありますけれども、同時に、そのことは診療報酬の改 定の方針というものと関連してくるわけであります。  ただ一方で、診療報酬の改定方針、基本方針というものは、社会保障審議会の医療部会 と医療保険部会でまず先行して議論されるということになっているものですから、我々が それをまたずに議論するということになりますと、重要な案件で、22年改定の中で避け られないと思われる内容について議論していくという形になるだろうということです。本 日はそういう趣旨で、救急、周産期及び小児に関しまして御説明をいただきました。、こ れが入院基本料の加算の部分と特定入院料と関連いたしますので、その辺と関連づけなが らの御議論をいただきたいと思います。  本日は、そのため昨年度の診療報酬の改定内容及び診療報酬以外の補助金を含めた、さ まざまな厚労省の施策及びこの3分野の実態、課題といったものについて、材料の提供を いただいたということであります。  それでは、まず2つのタイプの御報告がありました。2つのと申しますのは、宿題とそ れから救急、周産期、小児科の実態ということですが、宿題について、御意見、御質問が あれば承りたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。診−2−1と診−2− 2、これの御報告がありましたので。  はい、伊藤委員、どうぞ。 ○伊藤委員  私は愛知県から出ておりますが、この診−2−1、いわゆる入院時管理加算の病院であ りますけれども、8病院が今届け出をされていまして受けておるわけでありますけれども、 こうした病院というのは、実は私どもの愛知県内ではしっかりと診療してみえまして、診 療科を閉じたというお話もありませんし、診療制限をされたというお話もないわけであり ます。  この入院時管理加算が、本来勤務医の負担軽減につながるとか、医師の確保に大きな意 味でつながっていくということから考えますと、こうした病院に対しては、確かにそれは それで頑張っているところはいいんでありますが、本当はもう少しこの下で頑張ってみえ るところに行きませんと、アンケートにもありましたように、本当に加算になってこれが 支援になっていないんではないかなということを思うんであります。  それは多分、算定基準のハードルが高いとか、何かの算定の仕方が間違っているから、 こうした立派な病院は立派な病院として評価を受ける、これは間違いではないわけであり ますけれども、本来の意味の入院時の管理加算、いわゆる支援という面からすると、どう もちょっと首をかしげるものがあるんではないかな、何か案件が違うのではないか、ハー ドルの高さが違うのではないかなということを思うわけであります。それがどこにあるの かは、ぜひひとつ御検討を願いたいという具合に思います。  以上であります。 ○遠藤小委員長  算定要件の在り方についての御意見ということでありますので、22年度改定に向けて の議論の中で、またそれについて御議論いただきたいと思います。  ほかにございますか。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  今回、資料を出していただきましてありがとうございました。  具体的な名前が出ますと、各地域ごとに多少は傾向があるとか、かなり取れているとこ ろがあれば、全く取れていない地域もあるというようなことが分かるという意味では、よ かったかなと思います。  ただ、先ほど伊藤委員のほうから話がありましたけれども、最終的にはこの要件をどう 考えていくかということですので、またいずれかのタイミングで何が問題かということを 再整理していただければと思います。  あと、もう一つ、私自身非常に分かりにくいなと思っていますのは、入院時医学管理加 算が取れている病院というのは、昔で言う総合病院だという言い方もよくされるようです けれども、法令上とか一般用語上とかいろいろあるのかもしれませんけれども、似たよう な名前というのはいっぱいあります。例えば、今申し上げた総合病院もあれば、いわゆる 地域医療支援病院という言い方もあれば、がんや地域救急とか拠点病院という言い方もあ ります。それから、基幹病院という言い方もあります。また、中核病院なんていうことも あるんですね。さらに、最近ではマグネットホスピタルという言い方もあって、ありとあ らゆる日本語、英語でこういった病院を指しているような感じもしますので、そのあたり を、もう少し整理しながら検討していったらいいんじゃないかなと思います。  つまり、こういった病院を何と言うのかといったときに、入院時医学管理加算届出病院 と言うんでしょうかということです。先ほど言った、基幹病院とか拠点病院とか中核病院 との関係においてですね。今個別具体的な問題になっているわけじゃないんですけれども、 用語としてもできるだけ整理して議論していただければ、中・長期的な課題かもしれませ んけれども、ありがたいなと、思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  お2つのことをおっしゃったわけですけれども、1つは、要件についてもう一度検討し てみたいのでそのための材料をつくっていただきたいということです。これは検証部会の 結果からもかなり出ているわけですけれども、それ以外のものもあれば追加して、あるい は検証部会の結果をまた再集計等々して、何らかの形が見えてくるような材料づくりとい うのをお願いしたいと思います。  それから、ネーミングの問題でありますけれども、これは私もおかしなネーミングが随 分あるなということは思いますので。ただ、これは大きな話になりますので、中・長期の 問題というお話でもありましたので、今後の検討として考えていただきたいと思いますが、 ただ、入院時医学管理加算届出病院については何かいい名称があればということについて はここでも議論したいと思いますし、事務局としても検討いただきたいと思っております。  ほかに何か御質問ございますか。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  初めに委員長が方針というようなことにちょっとお触れになったんで、それに関連して。 入院時医学管理加算に関して、そこから見たいと思いますけれども、この入院時医学管理 加算というのは、今回の改正の中で注目された項目の1つだと私は認識しているわけです が、その中でも特に外来縮小計画ということ、これがけっこうハードルが高いから、なか なか当初は算定しにくいというような意見が挙がっていたところでございますけれども、 それはそれとしまして。  この基本的な考え方は、要するに病院は入院、で、外来は診療所と、そういった大きな 方針の中でこういったことが組まれたのか。私は今回最初といいますか、まだ1年少々で ございますので、これまでの流れをちょっと熟知していないところもあるかと思いますけ れども、そういった流れなのか。あるいは、単純に勤務医負担の軽減策として、そこまで 考えていないよということなのか。大きなメッセージが本当にあるのかどうか、その辺の ところについて、一番方針ということになるかと思いますけれども、ざっくりしたお考え を教えていただきたいと思いますけど。 ○遠藤小委員長  20年改定のときの、この加算をつくったときの基本的な考え方でありますけれども、 これは今すぐお答えできますか。  では、医療課長、お願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  両方だと認識しております。 ○遠藤小委員長  両方だということで、病院の外来と入院とのバランスの問題と、もう一つは勤務医を助 けるということで、2つの目的があったということだということです。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  両方だということは、一番大きく考えれば、やはりそういった方向で動きながら、当座 はそういった現状に対して対応していくということを言われたというふうに受けとめてい いんですかね。 ○遠藤小委員長  もう一度お願いします。その御発言の意味が……。 ○藤原委員  要するに、両方だということは、一番大きな方針は、やはり病院は入院だと、特注外来 は別にしましても、そして診療所は外来だと、そういった大きな流れの中で、当面はこう いった勤務医対策等があるから、そういったことを急激にやるのも何だから、少しずつ絞 りながらやっていこうよという考え方が2つあると言われたのか、じゃなくて、そんなこ とまで考えていないよということなのか、そこのところはまだ煮詰められていないのかど うか、そこを確認したいということです。 ○遠藤小委員長  では、医療課長、お願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  医療課長からお答えするのがいいかどうか分かりませんけれども、そこまで煮詰まって いないんだろうと思います。  ただ、細かな言葉遣いで言いますと、病院は入院だというのはやや乱暴かもしれないと 思っていまして、病院の中でも、例えばで言いますと入院時医学管理加算を算定するよう な病院はという、ちょっと枕言葉がつくのかもしれないと思っています。 ○遠藤小委員長  20年改定のとき、私は公益委員でありましたけれども、そのときで中医協の中で病院 は入院を中心にやり、外来よりも入院を中心にという合意は形成されたとは思っていない のですけれども、20年改定に参加された委員の方も多いと思いますけれども、そういう 見方でよろしゅうございますですね。  合意は形成されていないと、つまり確認しますと、病院は入院を中心にやるべきである というような形の合意の形成というのは必ずしもなかったというふうな理解をしておりま すけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。  合意が形成できなかったというよりも、むしろ、それが明確なテーマにはならなかった ということです。藤原委員は御参加されていらっしゃらなかったので、そのときの状態を お話し申し上げました。  ほかに何かございますか。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  先ほどから出ているように、要件の見直しはぜひやっていただきたいと思います。この 2−1の資料を見まして、病院名を見まして、私から見ると、どうしてあの病院が取れて いないのかなという病院がかなりあります。そういうことで、できれば今回の改定前に入 院時医学管理加算を取っていた病院のリストを出していただいて、それとの比較というこ とをさせていただくと、より何かが見えてくるのかなという気もしますので、もしこの次 でも出していただければと思います。 ○遠藤小委員長  事務局、いかがでしょうか。  医療課長、どうぞ。 ○事務局(佐藤医療課長)  恐らく御質問の趣旨は、前回取れていたんだけれども、20年4月の改定で取れなくな った病院というような形で、病院に着目をして取れた取れなくなったというのが分かるか どうかという質問だろうと思いますので、ちょっとできるかどうか検討させていただきた いと思います。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。  ほかには、よろしゅうございますか。  坂本専門委員、どうぞ。 ○坂本専門委員  勝村委員が宿題ということでいただいたものなんですけれども、2−2でございます、 ハイリスク分娩管理加算の届出施設における助産師の人数ですけれども、NICUを抱え たり複雑な分娩管理をしていく中では、3名という要件が決まっているというふうにおっ しゃられましたけれども、私は夜勤のときに最低1人いるような形であるならば、12人 というような形が出てくると思うんですが、そこについて今後どこかで議論していただき たいなというふうに思います。 ○遠藤小委員長  承っておきます。  ほかにございますか。よろしいですか。  それでは、先ほど大量の資料で御報告いただきました救急、周産期、小児に関連いたし まして、御報告いただいた内容についての御質問でも結構ですし、御意見等々ございまし たらば、御自由にどうぞ。  竹嶋委員、どうぞ。 ○竹嶋委員  今、座長がおっしゃられましたが、詳細な資料をご提示いただきまして、まず感謝申し 上げます。  そして、中医協の中での議論に沿うかどうか分かりませんが、やはり救急医療、小児科、 産婦人科も含めて、これは国の政策医療という分野で大きくとらえていかなければいけな いんじゃないかと、基本的に私は考えます。それで、幾つか資料の中で、そういうふうな ことを考えつつお尋ねもしたいし、また意見も述べたいんですが、救急医療体制の現状と いうところで、図11のところでお話しになられました二次救急、そう表現がここにして ありますが。要するに、私は救命救急の後の受け入れ、受け皿としての後方病院というふ うに私は位置付けておりますが、ここではっきりお示しになられましたように、この救命 救急センターは少しふえている、しかし、その受け皿のところは減ってきていると。これ を私ども現場でかなり問題にしているんですが、いわゆる救命救急センター、あるいは救 急病院に運び込んでも、そこで受け入れられないと。  あちこち飛んで悪いんですが、救急医療体制の実情というところの9ページのところで、 救急出場件数と搬送の人員の推移ということをお出しになられました。これともう一つ、 私どもがいつもいろんなところで出す資料といたしましては、搬入時間、110番してか ら。例えば東京都におきましては平均四十六、七分かかっているというデータがあるんで すね。  なぜそう時間がかかるかということは、その救急病院でもう受け入れられない状況があ るということです。人員もそうでしょう、ベッドもそうでしょう。やはり次に移していく という後方病院が整備されていないと。これはもう明らかなことだと思うんで、そこら辺 のところは、中医協の中で議論することではないかもしれないけれども、社会保障審議会 の医療部会、医療保険部会に、この中医協のメンバーからも、出ていますので、そういう ところでもしっかり確認し合っていく必要があろうかと思います。  それから、これは国民の今大きな関心事になっておりまして、私が言うまでもなく、安 倍元内閣のときに緊急に医師確保対策をとられまして、この手当てをされてきました。や っとこの2年ぐらいで動き出してきたわけで、いろんな補助もついてきておりますね。そ ういう中ですので、これは私たちとしても相当関心を持ってやっていかなくてはいけない のだろうと思います。  それにつきましては、周産期医療体制の現状というところで図が出ておりましたが、分 娩施設等の推移というのがございますね、18ページですか。その上には、地域周産期母 子医療センター数の推移と。これは一番直近のデータで平成20年のが出ているんですね。 下の分娩施設の推移のところは、これは2005年が直近のデータとなっています。およ そ3年ごとにされているから、2008年ということで2008年のはまだここに収録し ていないのかもしれませんが、だけど分かる範囲はできるだけ出してほしい。というのは、 この3年間というのは今非常に大きいですね、この2年でいろいろこのことが動いてきて いますから。そういうことで、このデータが新しいのが出せれば、次回でも出していただ きたい。  同じことが次のページの20ページ、新生児集中治療室(NICU)数云々というとこ ろも、平成17年のデータですから、このあたりが整備されてきているのかどうかという ようなことを、ぜひお願いしたい。  それと、1−4歳児の死亡率の国際比較、これは私、いささかびっくりしたんですが、 私たちはいつも、日本の高齢者は世界でも一番健康寿命を保っているということと、新生 児の死亡率が世界でも1位2位ぐらいに低いことを誇りにしています。ところが、ここに 出されたデータを見ると、1−4歳児の死亡率がこれだけ高いということ、その理由の1 つとして、そこに救急医療体制の整備状況ということです。  まさにこういうところは、中医協の中で診療報酬を云々議論する、その前の段階のこと だと思うんですね。だから、そういうところを我々はにらみながら、次期の診療報酬改定 で手当していく。いつも国がこれだけしか財源がないというところからどう持っていこう かじゃなくて、今の時点ですが、こういう点を中医協の中でも、それぞれの委員がしっか りこのちいき医療の実情を見ていくということをぜひお願いしたいと思います。 ○遠藤小委員長  竹嶋委員は、社会保障審議会の委員でもありますので、ぜひそちらのほうでまた御議論 いただきたいと思います。  それから1つ、事務局への要望がありましたので、直近データが把握できるかどうかと いうことですけれども、これはいかがでございましょうか。  それでは、指導課長、お願いいたします。 ○事務局(三浦医政局指導課長)  少しデータを探ってみます。もし、入手可能であればお示しをしたいと思います。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。  それでは、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  救急それから周産期、小児、今日は医政局の三浦指導課長もいらっしゃって説明してく ださって、本当に大事なところだなと思っています。  まさしく医療崩壊というところが一番あらわれている場所がここじゃないかなと思って います。そういうことでは、ここら辺は本当に、国を挙げて何とか対応しなきゃならない と。片方では、当然診療報酬ではどこを見るかということも必要ですが、その前にやはり、 もっとほかの施策だとかほかの財源というものと、総合的な議論をどこかでしていただく と。その中で、診療報酬の役割というものを明らかにすべきだと思っております。  それから、やはり救急に関して言えば、三次救急だとかそれから救急救命センターとか そちらのほうが大事だということで、特に診療報酬でも今までの施策でもそっちに力を入 れてきたと。結果として何が起きたかというと、そこにドクターが集中されることによっ て、逆にほかのところから吸い上げられた。それで、二次救急あるいはもっと初期救急あ たりがおろそかになったということがあるんじゃないかなと思っています。そういうとこ ろがおろそかになるから、要するにニーズと行く場所を間違ったといいましょうか、本来 であれば初期とか二次でいいものが、救急救命センターまで行ってしまって、そっちが疲 弊しているというようなこともあるんじゃないかなと思います。  そういうことで、救急というものをとらえたときに、やはり高度なところばかりに目が 行きがちなんですが、すべての段階をバランスよく見て、それに対する対応をしていくこ とがすごく大事じゃないかなと思っております。中医協ですから診療報酬で言えば、やは り救急にはもっと大きく金をつけるべきだと思っております。当然、三次だとか救命セン ターにはつけるべきですが、もっと二次あるいは初期のほうにもつけないとだめだという ことです。はっきり言ってしまえば、病院のほうの救急あるいは入院医療にもっと大幅に つけないと、ここは全部解決しないなと思っています。  また、今の救急という言葉を、周産期あるいは小児と置きかえても、全く同じだと思っ ております。そういうことで今後議論を進めていただければと思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  今後の議論の中で、また御発言いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  救急の財源の話になるんですが、救急すべて診療報酬で見るのか、あるいはもっとほか の例えば補助金であるとか、そういった国の対策あるいは都道府県の対策、そういったこ とを絡み合わせながら見ていくのか、そこのところがこれを考えていく上で重要な視点と なると思いますけれども、診療報酬でこれを全部救急医療を見ようとすると、かなり無理 があるような気もするんですが、その辺の、これも基本的な考え方になろうかと思います けれども、どうとらえたらいいんでしょうか。 ○遠藤小委員長  これは補助金事業として本日御説明がありましたので、救急に関する補助金事業等々で 何か御説明いただくことが、追加であればお願いしたいと思いますけれども、簡潔にで結 構でございますので。  三浦課長。 ○事務局(三浦医政局指導課長)  お手元の大量の資料の3枚目のスライドでございますが、私ども補助事業を行っている わけでございますが、その上のところで、先ほど申し上げましたけれども、やはり医療提 供体制の構築のためには、一定の補助金が必要だということはあるんだろうと思いますが、 それに加えて、やはり不採算の部門を支えている補助金は実態としてあるということは御 理解いただければというふうに思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  そういうことで、補助金の対象には当然なるということでありますけれども。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  ということは、診療報酬でどんどんここにつけていくと、非常に診療報酬体系もいびつ になるということも考えられますので、そこのところは総合的なやっぱり視点が必要かと 思いますので、それを忘れないというか、もっとここだけの議論でいいのかどうかという ことはさらに検討していただきたいと思います。   ○遠藤小委員長  わかりました。  対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  産科、小児科等を含めた救急ですけれども、私どもは、皆さんから保険料を預かってい る立場からすると、最終的にはこういった実際の給付がなされると、本当に必要な人が必 要な給付を受けられるというところで初めて医療保険は完結しますから、そこは非常に重 要なところだというように認識しています。  二、三質問と意見も若干入るんですけれども、1つは、3ページ目のところで、三浦課 長の説明は分かるんですけれども、「○」の2つ目のところですが、「診療報酬でまかな いきれない不採算部分等」は予算補助事業と、言い切ってしまうと、それでは診療報酬で 賄い切れれば要らないのかとか、逆に診療報酬で足りないときには予算補助が必要なのか ということになりますので、やはり基本的には役割、機能の分担関係があるが、ただ実態 的に見ればというようなことではないかと思うので、そこの見解をお聞きしたいというの が1点です。  それから、7ページ目、スライド番号です。救急医療等に係る課題と、必要と考えられ る評価ということで、上の課題は確かにこういうことだろうというふうに思いますが、そ の下のところがよく分からない。必要と考えられる評価といっていますのは、矢印が下か ら上に上がっていますから、今現在こういった疲弊した厳しい状況にある中では、今回の 22年度改定ないしはもっと先の改定も含めてでしょうけれども、こういったことをぜひ やるべきだ、強化すべきだ、ないしは新たな項目をつくるべきだと言っているのか。それ ともそうではなくて、こういった状況の中で我々としてはこれまでもやってきたし、また 一般的、普遍的な意味合いで、こういったことが必要なんだという意味合いで言われてい るのか、そこがちょっと分からない。  特に、もし22年度改定ないしはそれ以降の改定を含めてということであれば、後ろの ほうにたしか今後の課題についてというページがありますね。だから、そことの関係がよ く分からないというのが2点目です。  3点目ですが、多少意見も入りますけれども、スライド番号21です。これは例えばと いうことですけれども、確かに冒頭申し上げたことからしますと、92%ぐらいが満床と か、NICUによっては97.6%ということではとても私どもとしては被保険者に対し て安心してくださいと、我々が支えていますからとかなかなか言いにくい状況だというふ うに思います。  その要因というのは、恐らく1つ2つではなく、さまざまな要因があるのでしょうけれ ども、見通しの問題として、ここに書いているように、最近は高齢者の出産が多いとか、 低出生体重児の割合が増加しているなど、そういったことをよく見切れなかったというの が1つあるんでしょうか。  2つ目は、診療報酬としては、我々としてもここ3回ぐらいの改定では、まず、いの一 番に例えば平成16年度改定でも、小児、産科、それから救急、特にこの年はハイケアユ ニットなどが主体だったのですけれども、そういった議論をしました。18年度改定でも 随分全体のバランスの中ではつけたつもりですし、20年度もご承知のとおり勤務医対策 ということで、随分対処してきたのですけれども、それではやはり基本的に不足だったと いうことなのか。また、先ほどの話とも絡みますけれども、国の助成策としてもかなり不 足していたというあたりが影響しているのかどうか。  それから、3点目ですけれども、全体的に若い医師といいますか、教育の問題、大学教 育等々を含めてですけれども、俗に言う3Kというんでしょうか。いわゆる、きつい、汚 い、危険と、そういったところも影響があるのかどうか。こういったことが、いろいろと 重なって現状となっているのかどうか。特に、私どもの関心事としては、中医協として診 療報酬としてここ数年来、いの一番ということで随分つけてきたけれども、やはりそれで は不足だったといったことも影響しているのかどうか、そのあたりはどうみればいいのか。 ○遠藤小委員長  それでは、これは三浦課長ですね。大きく3点の御質問だったと思いますけれども、よ ろしくお願いします。 ○事務局(三浦医政局指導課長)  お答えいたします。  まず、3ページ目に戻りまして、上の括弧書きの2つ目の「○」。「診療報酬でまかな いきれない不採算部門等について」という記述についてのお尋ねでございますが、例えば 私ども、三次救急、救命救急センターの運営費の補助につきましては、それぞれの施設の 救命救急センターの経営状況をいただきまして、そして生じている赤字を一定程度埋める と、こういうような形での補助制度を持っておりますので、そういう意味では、不採算部 門を補助制度として埋めている部分があるということでございます。  それから、7ページ目でございますけれども、必要と考える評価と上の課題との関係で ございますが、私ども考えるに、上の課題というのがあり、それに対応するためには、下 の必要と考えられる評価、これはすべてがすべて診療報酬によって行われる部分ではない だろうとは思いますけれども、その中でも診療報酬の側面で対応いただけるというような ものがあれば、それはそれとしてありがたいということでございますけれども、いずれに せよ評価として、こういうものをさらに対応していく必要があるのではないかということ でございます。  また、先ほど御指摘もございました、最後のほうにございます、今後の課題との関係は どうなっているのかということでございますが、さまざまな検討会で議論がされているわ けでございまして、それをいわば集約すると大体こういう分野にある程度固まってくると こういうものでございまして、そういう意味では、このページは今現在の我が国が置かれ ている救急の問題を集約すると、この1枚にかなり荒っぽいものではありますけれども、 なってくるというものでございます。  それから、NICUが満床の理由ということでございますが、これはこの上の課題のと ころをごらんいただきますと、先ほどちょっと飛ばして御説明申し上げたんで恐縮でござ いますが、周産期というのが枠で囲んでございまして、それぞれ右のほうに記述がござい ます。  つまり、周産期、NICUの不足というもので考えられるときに、救急医療の需要の増 加という中では、先ほど高齢出産の話が出ましたけれども、低出生体重児の増加というの があるということ。  それから、救急患者受入体制の不足ということでは、分娩の施設が足りない、NICU の不足というのも自分で自分のことを言っているわけで、ちょっとここは当たらないかも しれませんが、産科医や小児科医の不足というのがあるということ。  また、出口の問題に関連しては後方病床。これは回復期の治療室、一般病床というふう に書いてありますが、このほか、重度心身障害児の施設の不足、あるいはそこに対応する ためのインセンティブの不足、こういうものがあって、全体として出口がいわば非常に細 くなっている。それがゆえに、NICUの中に多くの患者さんがそこにおられると、こう いうような状況が生じているということでございます。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  対馬委員、何かございますか。  それでは、また今後の議論ということになります。  ほかに、ございますか。  では、藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  今の説明にあった出口の問題、非常に大きな問題で、あるデータによりますと、救急搬 送の17%が入院期間30日以上ということで、それはとりもなおさず後方病院がその連 携がうまくいっていないという部分があるかと思いますので、そこのところの体制をしっ かりこれから構築するべきであろうと。どういう点数のつけ方をするのか、そこまで分か りませんけれども、そこのところの認識が必要だということを、ちょっと強調しておきた いと思います。 ○遠藤小委員長  御意見として承っておきます。  北村委員、どうぞ。 ○北村委員  救急医療の医療体制の補正予算などで、各種の体制整備とか運営助成がなされているこ とは大変評価できることだろうと思いますが、あくまでこれは補助事業ですから、まず事 業を病院経営の中で組み立てて、補助事業の対象の事業を組み立てなきゃいけないわけで すから、病院側にも3分の2の部分の財政基盤というのの御苦労が大変あろうかと思いま すが、そういう中でやはりその辺が成り立ちませんと、恐らくこの補助事業というのはス タートできないんでしょうから、これからの議論の中で、ぜひ今度は私どもの立場から見 ましても、予算措置と診療報酬とその役割分担といいますか、その辺の議論というのもこ れからやはりさせていただければというふうに思います。  以上です。 ○遠藤小委員長  補助金と診療報酬というのは性格がかなり違いますので、その辺のところが分からない と、診療報酬も合理的につけられないところもありますので、全くそのとおりだと思いま す。  ほかにも、多分御意見はあるかと思いますけれども、かなり時間をオーバーしておりま すので、本日まだ基本診療料の話にまでは踏み込めませんでしたけれども、非常に詳細な データを御報告いただきまして、問題意識につきましては、ほぼ皆様共有できたのではな いかというふうに思います。  したがいまして、今後はこれらの御報告内容等、あるいは皆様の御意見を踏まえまして、 診療報酬の改定につなげていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、指導課長、どうもありがとうございました。また、今後ともまたいろいろと 必要なデータ等もあるかもしれませんので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。  それでは、引き続きまして、慢性期入院医療の包括評価調査分科会についてを議題とい たしたいと思います。  本日は、同分科会の池上分科会長にもご出席いただいております。どうも長い間お待た せいたしました。本日は、池上分科会長から同分科会での議論の状況について御報告をい ただきまして、それを踏まえて皆様と一緒に議論していきたいと思います。  それでは、池上分科会長、よろしくお願いします。 ○池上分科会長  慢性期入院医療の包括評価調査分科会の分科会長である池上でございます。  お手元の資料の診−3をごらんになっていただければと存じます。これを読み上げさせ ていただきます。  1.背景。  平成15年3月に閣議決定された「医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方 針について」において、慢性期入院医療については、「病態、日常生活動作能力、看護の 必要度等に応じた包括評価を進めるとともに、介護保険との役割分担の明確化を図る」と された。  これを受けて、平成15年6月より、中医協基本問題小委員会において慢性期入院医療 に関する議論が開始された。その際、長期の入院患者に対する新たな支払方式を検討する に当たって適切な調査データを用いる必要があるとされたことから、新たに調査専門組織 を設置することとなり、当分科会が発足した。  当分科会は、中医協基本問題小委員会の付託を受け、平成15年から17年にかけて慢 性期入院医療の包括評価を行うための調査及び検討を行った。  そうした検討を実施していた平成17年に、医療制度改革に関する議論が開始された。 同年12月に発表された医療制度改革大綱において、「慢性期入院医療等の効率化の余地 があると思われる領域については、適正化を図る。」とされ、医療と介護の機能分化を推 進する観点から療養病床を転換・再編するとの方針が打ち出された。また、後述のとおり、 平成18年度医療制度改革関連法において、介護療養型医療施設が平成24年3月末まで に介護保険施設等に転換されることとなった。  当分科会が調査データに基づいて提案した医療区分等による患者分類は、平成18年度 の診療報酬改定における包括支払制度の導入にあたって採用されたものの、医療区分1に 関しては入院医療を必要としないという政策判断がなされ、診療報酬についても十分には コストが評価されていない点数が設定された。このことについて、各委員からは、―こ れは分科会の委員でございますが―当分科会の調査結果が適切に活用されなかったので はないかという疑問の声が上がった。そこで分科会長は、こうした声を分科会の総意とし て基本問題小委員会に報告した。  その後、平成18年から19年にかけて、当分科会は改めて実態調査を実施し、この9 区分の患者分類自体は妥当であることを再確認した。  2.平成21年度第1回分科会(5月27日)における指摘事項。分科会委員からの指 摘事項でございます。  分科会としての最後の開催である平成19年6月以来、当分科会は約2年間開催されな かった。その間、療養病床再編に関する全国目標数の発表や介護報酬改定、急性期におけ る平均在院日数の急激な短縮など、慢性期入院医療を取り巻く状況が大きく変化した。  急性期医療における平均在院日数の短縮傾向に伴い、慢性期医療を必要とする患者が増 加するのではないか。  同様に、介護保険施設において、医療処置を要する入居者が増加している。これらの方 々を今後どこで受け止めていくのか。  一般病床にも、療養病床と同様の慢性期の患者が入院している実態があるのではないか。  以上の議論を通じて、当分科会においても、「単に、医療療養病床における包括評価と しての患者分類を提案してその妥当性等を検証するだけでなく、一般病床等との関係を含 め、慢性期医療に係る中・長期的な課題についても幅広く議論すべきではないか。」とい う点で意見の一致をみた。  そこで、3.として、分科会としての御提案でございます。  分科会では、まず、本来の役割である患者分類の妥当性の検証とともに、各医療機関に おける分類の適切性及び提供されている医療サービスの質の検証を行う。  その上で、中・長期的な課題として、医療療養病床に留まらず、慢性期医療全体を横断 的に把握し、こうした実態を踏まえて議論し、その結果を基本問題小委員会に報告するこ ととしたい。  以上でございます。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  これまでの分科会の議論を簡潔に御説明いただきましたと同時に、提案というものがな されておるわけであります。提案は、1つは今後の調査でありまして、従来どおりのとい いましょうか、いわゆる患者分類の妥当性の検証及びそのサービスの質の低下が起きてい るかいないかについての調査と検証というもの。  さらにそれに加えて、ここでは医療病床にとどまらず慢性期医療全体を横断的に把握し、 こうした実態を踏まえて議論して、それを報告したいという、もう1つの提案があります。  まず、基本的には調査専門組織でありますので、基本問題小委の付託で調査分析作業が 行われるということです。この提案の中にございます、患者分類の妥当性の検証と医療サ ービスの質の検証ということについては、基本問題小委として調査分析をお願いするとい うお考えでよろしゅうございますでしょうか。  ではその点についてよろしくお願いいたします。  次に、中・長期的な課題で、医療療養病床にとどまらず慢性期医療全体を横断的に把握 し、そうした実態を踏まえて議論するというようなこと。ちょっと具体的によく分からな いところがあるのですけれども、これについてどのような対応をとるかということで、御 意見を承りたいと思います。御質問も結構でございます。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今、座長もおっしゃったように、ちょっとイメージとして今一つ分からないところがあ るんですが、慢性期医療全体と書いています。この慢性期医療全体というのをもう少し具 体的に説明していただければと思います。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いします。 ○池上分科会長  お答えいたします。  ただいま御報告申し上げました、診−3のところの2.のところに、指摘事項としてご ざいますところの上から4つ目の「○」でございます。「一般病床にも、療養病床と同様 の慢性期の患者が入院している実態があるのではないか」という点が大きな点でございま す。  一般病床の中にもいろいろな機能がございますが、この中で医療療養病床に機能が近い ところを中心として行うというのが、1点あるんではないかと思います。  それから、もう1点については、その上の「○」でございますが、「介護保険施設にお いて、医療処置を要する入居者が増加している」と。これをどのようにとらえていくべき か、今後分科会で議論する課題と、できればしたいと考えておりますが、いわば医療療養 病床の周辺のところを中心として調査を分析したい。例えば精神病床などは慢性ですけれ ども、そこは調査する意図はございません。あくまで医療療養病床に近接するところを調 査いたします。医療療養病床も若干減っておりますし、また急性期医療など一般病床にお ける状況も変化しているわけでございますので、そこの実態を踏まえて医療療養病床の今 後の在り方を調査を介して明らかにしていきたいと考えております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  かなり具体的なイメージがわいたわけですが、西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  ありがとうございました。  その調査対象として、療養病床だけじゃなくて一般病床それから介護保険施設まで及ぶ ということは分かったんですが、この慢性期医療という言葉なんですが、中医協において も急性期医療とあるいは慢性期医療の定義というのが余りはっきりしていなかったんじゃ ないかなという気もしております。そこら辺も含めて、分科会のほうでは議論していただ けるというふうに考えてよろしいんでしょうか。 ○遠藤小委員長  池上分科会長、どうぞ。 ○池上分科会長  この慢性期医療といった場合に、分科会の名称が慢性期の入院医療となっておりますの で、いわば慢性疾患の外来での管理ということは対象ではないと、私は個人的には考えて おります。  ただ、介護保険施設の中には一応外来扱いという位置付けもあるわけですので、そこの 辺になると微妙になってきますけれども、基本は慢性期の中の入院医療ということに限定 して考えております。  じゃ、急性期と慢性期はどこで線を引くのか、あるいは急性期がその中のどちらに位置 付けるのかなどの問題については、今後分科会で検討、もしお許しいただければさせてい ただきたいと存じております。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  ほかに御質問、御意見ございますか。もしないようであれ……対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  質問というよりは意見に近いかもしれませんけれども、医療療養病床の定義とか、慢性 期医療全体の定義の問題ともかかわるかもしれませんが、基本的にはこの提案でよろしい と思います。ただ、最終的にはかなり広範な分野なり、実際に検討している場ともかかわ ると思うんですね。例えば、中医協は当然そうですけれども、それ以外にも社会保障審議 会の医療部会、場合によっては医療保険部会、こういった場にもかかわってきますので、 できれば分科会の答えを出したので、それを報告するということよりは、もう少しやわら かい段階で中医協にお出しいただければありがたいかなと、こういうふうに思います。 ○遠藤小委員長  本日、特に池上委員長のほうから御指摘はなかったのですけれども、これを読む限りに おいては、解釈の仕方によっては、ある種の政策提言へとつながるようなことをされるの かなというイメージもわくわけでありますので、恐らくその関連で、対馬委員はただいま のようなお話をおっしゃったんだと思います。基本的には調査専門組織でありますから、 政策提言のためのエビデンスを集めていただくというのが基本ミッションであります。も ちろん調査した分析の結果がある種の政策を示唆するということは当然あり得る話ですけ れども、あくまでもミッションとしてはエビデンスを集めていただくということでありま すので、基本的に対馬委員のおっしゃったような考え方でお願いするのがよろしいかと私 は思っております。  そこで……藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  今の議論の中で、回復期リハとか亜急性の問題について、これまで地域の中の議論の中 で、これは慢性期に入るのか急性期に入るのか、その議論は余りされていないんですか。 だから、要するにもうここで、これは慢性期でやってもいいよということが結論が出るな ら、そういったことを今決めたほうがいいんじゃないかなと。あるいは、分科会でもうち ょっとそこを煮詰めたものを上げてもらうのか、そこをきちっとしておいたほうがいいか なと私は感じたんですけども。 ○遠藤小委員長  これは進め方なので、少し事務局、何かあればお願いします。 ○事務局(佐藤医療課長)  分科会長と深いところまで相談したわけではないんですが、あくまでもやっぱりこれは 医療療養病床を中心にして、その前後といいますか、入り口と出口を中心に御議論いただ くべきものと考えております。  また、御質問のありました亜急性期まで含めるかどうかについては、これはまだ現時点 では固まっていないし、議論もなかったと承知しておりますので、今後分科会の中の議論 の中で、どうしてもやっぱり亜急性期だとかあるいはお話に出ました回復期リハまで検討 しないと、やっぱり医療療養病床の話はできないんだということになれば、またその時点 で、相談もさせていただきながら調査が進んでいくものと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  御提案で、先ほど短期的なことと、それから中・長期的なものと2つあるということで、 それでこういう形でお願いすることになった場合に、池上分科会長としては、今後その分 科会はどのようなペースで開いて、そして基本小委にどういう期間で、短期、中・長期に 関する問題の検討状況というか、それを御報告いただけるのでしょうか。 ○遠藤小委員長  池上委員長、何か御意見があればどうぞ。 ○池上分科会長  提案のところに述べましたとおり、本来の役割に関しての分類の適切性及び提供されて いる医療サービスの質の検証ということは中心業務でございますので、これは21年度に おいて適宜開催して結果が出るように持っていきたいと考えております。  中・長期的な課題について、これは21年度に結論が出る問題と、あるいは中間報告で 出す問題とするのか、あるいはもっと年度をまたがる作業となるかについては、今後、事 務局及び分科会の各委員の御意見に従って考えていきたいと思います。 ○遠藤小委員長  ありがとうございます。  じゃ、西澤委員、手短にお願いいたします。 ○西澤委員  そういたしまして、大体慢性期医療のイメージがわきました。  それと、亜急性というのは慢性とも違って、やっぱり亜がついていても急性でございま すので、こちらのほうはその議論はこの基本問題小委のほうでさせていただきたいと。当 然慢性期分科会の中で、関連しますので、そこら辺のことは絡んではくると思いますが、 亜急性期入院医療管理科は基本問題小委のほうで、きちっと一回議論させていただければ と思っております。 ○遠藤小委員長  御意見として承っておきます。  ほかにも御意見あるかもしれませんけれども、ただいま分科会長から中・長期的課題の 具体的中身について御説明いただきまして理解が進んだところでありますけれども、いか がでしょうか、基本問題小委として分科会にお願いをするということであれば、今口頭で お話しされたようなことでも結構なんですけれども、もう少し具体的な内容で改めて出し ていただいて、中・長期的課題についてそれをお願いするかどうかをここできっちり議論 したいと思います。この文章の中では、包括的、横断的に把握して議論をするということ しか書いていないわけで、それに補足的に分科会長が御説明されたわけですけれども、も う一度文章にして、具体的な調査のイメージを出していただいて、改めてここで中・長期 的な課題としてお願いするかどうかを議論したいと思います。いかがでございましょうか。  よろしゅうございますか。  では、池上分科会長、大変申しわけございませんけれども、具体的な中・長期的な課題 について、どういうことを調査・分析されるのかという課題を具体的につくっていただき まして、またご提示いただきたいというふうに思います。 ○池上分科会長  承知しました。 ○遠藤小委員長  よろしくお願いいたします。  それでは、分科会には、現行の医療区分の妥当性の検証と、慢性期入院医療の質の評価 と、これは22年度改定にはどうしても必要なものでありますので、これをやっていただ くということで、大変お世話になるわけでありますけれども、ひとつよろしくお願いいた します。  それでは、池上分科会長、長時間どうもありがとうございました。  それでは、特に何かございますか。  なければ、本日の小委員会はこれにて閉会したいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局から何かございますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  7月中を予定しております、また、詳細は決定次第、御連絡させていただきます。 ○遠藤小委員長  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会したいと思います。  どうもありがとうございました。       【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)