09/06/24 第10回がん対策推進協議会議事録 第10回がん対策推進協議会議事録 ○照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室                末政(内線2946) ○日  時:平成21年6月24日(水)14:00〜17:02 ○場  所:法曹会館2階 「高砂」 ○出席委員:垣添委員、廣橋委員、天野委員、荒生委員、内田委員、       江口委員、川越委員、郷内委員、永池委員、中川委員、中沢委員、       野田委員、埴岡委員、檜山委員、本田委員、前川委員、南委員、       三好委員、門田委員、安岡委員 ○前田がん対策推進室長  それでは、定刻となりましたので、ただ今より第10回がん対策推進協議会を開催いたし ます。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとう ございます。  私は、厚生労働省健康局総務課がん対策推進室長の前田でございます。会長を選出いた だくまでの間、議事の進行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  大臣は、他の公務のため、15時30分めどで出席する予定でございます。到着次第ご挨拶 させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  続きまして、委員の皆様方のご紹介をさせていただきたいと存じます。  お手元の委員名簿に沿ってお名前を読み上げさせていただきますので、誠に恐縮ではご ざいますが、お名前を呼ばれた委員の方は一言ずつ自己紹介をお願いいたしたいと存じま す。  まず、五十音順でございますが、特定非営利活動法人グループ・ネクサス理事長、天野 慎介委員でございます。  山形県酒田市健康福祉部健康課主任、荒生佳代委員でございます。 ○荒生委員  こんにちは。山形県酒田市役所で保健師をしております荒生佳代です。どうぞよろしく お願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  天野委員、一言、よろしいですか。 ○天野委員  失礼いたしました。リンパ腫の全国患者団体の代表をしております天野と申します。私 自身患者でございまして、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植を受けた経験がござい ます。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、社団法人日本医師会常任理事、内田健夫委員でございます。 ○内田委員  こんにちは。日本医師会でがん対策を担当しております内田と申します。よろしくお願 いします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、帝京大学医学部内科学講座教授、江口研二委員でございます。 ○江口委員  腫瘍内科におります江口と申します。よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、財団法人日本対がん協会会長、垣添忠生委員でございます。 ○垣添委員  垣添です。私は、この前の第1期のがん対策推進協議会の会長を務めておりましたが、 引き続き委員として参加させていただきます。よろしくお願い申し上げます。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、医療法人社団パリアンクリニック川越院長の川越厚委員でございます。 ○川越委員  川越です。東京の下町で細々と主にがんの方の在宅医療に従事しております。よろしく お願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、カトレアの森代表、郷内淳子委員でございます。 ○郷内委員  東北大学病院婦人科がん患者会カトレアの森から参りました郷内淳子です。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、社団法人日本看護協会常任理事の永池京子委員でございます。 ○永池委員  永池でございます。日本看護協会ではがんに関する事業を担当しております。どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、国立大学法人東京大学医学部附属病院放射線科准教授、中川恵一委員でご ざいます。 ○中川委員  東大病院で放射線治療、それから緩和ケアを行っております。よろしくお願いいたしま す。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、神奈川県保健福祉部次長、中沢明紀委員でございます。 ○中沢委員  神奈川県保健福祉部次長の中沢でございます。全国衛生部長会から参りました。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、財団法人癌研究会癌研究所所長、野田哲生委員でございます。 ○野田委員  癌研の野田と申します。基礎研究者でございまして、日本癌学会の方の理事長を務めて おりますので、研究者の一人として参加させていただきます。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、特定非営利活動法人日本医療政策機構理事の埴岡健一委員でございます。 ○埴岡委員  埴岡でございます。医療政策に関する民間の中立的シンクタンクである日本医療政策機 構の理事をしております。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、国立大学法人広島大学自然科学研究支援センター長の檜山英三委員でござ います。 ○檜山委員  広島大学の檜山でございます。よろしくお願いいたします。小児がん領域を代表いたし ましてこの場に参加させていただきます。若輩者ですが、よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、国立がんセンター総長の廣橋説雄委員でございます。 ○廣橋委員  国立がんセンターの廣橋です。もともと病理学、病理診断学を基盤に研究をしてまいり ましたが、がん対策情報センターの設立の準備などに関わり、がん対策に広く貢献できれ ばと思っております。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、読売新聞社会保障部記者、本田麻由美委員でございます。 ○本田委員  読売新聞の本田麻由美です。私自身も乳がん患者の一人として、またマスコミの一人と しても引き続き参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、特定非営利活動法人周南いのちを考える会代表、前川育委員でございます。 ○前川委員  山口から参りました前川でございます。私は3度のがんを経験しておりまして、現状、 患者さんと触れ合う中で、緩和ケアの大切さというのを非常に感じておりますので、その 部分で一生懸命発言したいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、国立大学法人神戸大学医学部附属病院腫瘍内科教授の南博信委員でござい ます。 ○南委員  南博信と申します。大学現場におりまして、実際にはもう患者さんのケア、臨床と教育 と研究とに腫瘍内科医として従事しております。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、がんサポートかごしま代表の三好綾委員でございます。 ○三好委員  三好綾と申します。初めまして。鹿児島から今日は参りました。鹿児島のほうでがん患 者サロンという全部位のがん患者さんとご家族のサポートをしております。よろしくお願 いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、国立大学法人大阪大学理事・副学長の門田守人委員でございます。 ○門田委員  大阪大学の門田でございます。私は消化器外科出身で、ひょっとすると外科医1人かも わかりませんが、ということ、それから、ただ今、日本癌治療学会の理事長を務めている ということでメンバーに選ばれていただいていると思います。どうぞよろしくお願いいた します。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、特定非営利活動法人高知がん患者会一喜会会長の安岡佑莉子委員でござい ます。 ○安岡委員  安岡佑莉子でございます。高知から参りました。このような席に私がいていいのかなな んて思いながら今座っております。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  委員の皆さん、ありがとうございました。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  健康局長の上田でございます。 ○上田健康局長  上田です。よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  大臣官房審議官(がん対策担当)の安達でございます。 ○安達審議官(がん対策担当)  安達でございます。よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  医薬食品局審査管理課長の中垣でございます。 ○中垣審査管理課長  中垣でございます。よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  国立がんセンターがん対策情報センターセンター長補佐の若尾でございます。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  若尾です。よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  また、本日は、がんに関する研究などで関連のある文部科学省研究振興局研究振興戦略 官の倉崎様がご参加でございます。 ○倉崎研究振興戦略官  倉崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  また、文部科学省高等教育局医学教育課専門官の鳥居様。 ○鳥居医学教育課専門官  鳥居と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  続きまして、経済産業省商務情報政策局の医療・福祉機器産業室長の増永様にご出席い ただいてございます。 ○増永医療・福祉機器産業室長  増永でございます。よろしくお願いします。 ○前田がん対策推進室長  なお、委員総数20名の全員の方々にご出席いただいてございますので、定足数に達して いることをご報告申し上げます。  次に、資料の確認をさせていただきます。  まずクリップどめで左にとめてある「第10回がん対策推進協議会議事次第」から始まる 資料を配付してございます。  資料を1枚めくっていただきましたのが資料1−1、そしてもう一枚めくっていただき ましたのが資料1−2、そしてもう一枚めくっていただきましたのが資料1−3、これが 結構続いてございます。そして、文部科学省さんからいただいてございます資料1−4、 そして経済産業省さん提出の資料1−5、そしてその次のページが資料2−1、そしてそ の裏でございますが、資料2−2、そしてその右でございますが、資料2−3となってご ざいます。そして、その裏でございますが、相談支援センターのところが資料2−4、そ して緩和ケア研修会の関係が資料2−5、そして1枚めくっていただきまして資料2−6 となってございます。そして、資料2−7が市区町村の関係の資料でございます。  それから、その次に報告の順番では、この封筒の中に入ってございます資料でございま すが、「患者必携 がんになったら手にとるガイド」、そして「わたしの療養手帳」「地 域の療養情報」、そして女性特有のがん検診に関する検診手帳、がん検診無料クーポン券、 そして受診案内、こちらにつきまして封筒の中に資料として配布してございます。そして、 続きまして、こちらの本編のほうでございますが、資料の3−1が厚生労働省の健康局総 務課長通知、これが17枚ほど続きます。その次が資料3−2が1枚でございます。そして 資料4−1、そしてその1枚めくっていただきましたのが資料4−2、そして1枚めくっ ていただきましたのが資料の5、こちらも8枚ほど続きます。そして資料6−1、こちら が協議に用いていただく資料でございます。2枚めくっていただきまして資料6−2、横 になってございますが、中間評価の関係でございます。そして、3枚ほどめくっていただ きました後に資料7「平成22年度がん対策の推進について」ということでお入れさせてい ただいてございます。そして、それが20ページほど続きまして、参考資料1といたしまし て、がん対策基本法が2枚入ってございます。そして、参考資料2としましてがん対策推 進協議会令、そして参考資料3ががん対策推進基本計画、こちらが41ページ続きます。そ して、一番最後の資料でございますが、参考資料4、その裏が参考資料の5という構成に なっているところでございます。それからあと、当日配布資料で、こちら「患者必携につ いて」という資料も配らせていただいているところでございます。  資料の不足がございましたら、事務局宛てに申していただければと思います。  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  今回は委員改選後初めての協議会でございますので、簡単に協議会の概要について説明 をさせていただきたいと思います。  先ほど資料の紹介をさせていただきました5分の4ぐらいのところから、参考資料1、 2、がん対策基本法と協議会令などを入れさせていただいてございます。このがん対策基 本法の目的につきましては、第一条に記載してございますが、がん対策を総合的かつ計画 的に推進するということが大きな目的でございます。  そしてそのために、第九条でございますけれども、がん対策推進基本計画、こちらが平 成19年6月15日に閣議決定をされたところでございます。この第九条の4項のところでご ざいます。「厚生労働大臣は、がん対策推進基本計画の案を作成しようとするときは、関 係行政機関の長と協議するとともに、がん対策推進協議会の意見を聴くものとする。」と いうことと、あと第8項に準用規定がございますが、変更しようとするときも、このがん 対策推進協議会の意見を聞くという条項が第九条の中に記載されているところでございま す。  そして、がん対策推進協議会につきましては第十九条に記載がございます。「厚生労働 省に、がん対策推進基本計画に関し、第九条第四項(同条第八項において準用する場合を 含む。)に規定する事項を処理するため、がん対策推進協議会(以下「協議会」とうい う。)を置く。」と書かれています。  そして、第二十条で「協議会は、委員二十人以内で組織する。」そして「協議会の委員 は、がん患者及びその家族又は遺族を代表する者、がん医療に従事する者並びに学識経験 のある者のうちから、厚生労働大臣が任命する。」「協議会の委員は、非常勤とする。」 「前三項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定め る。」ということとなってございます。  その政令につきまして、参考資料の2でございます。がん対策推進協議会令ということ でございますが、アンダーラインを二条の部分に一部引っ張ってございますが、任期とい たしましては2年、そして再任されることができるということと、あと会長につきまして は、委員の互選により選任、そして会長は会務を総理し、協議会を代表する。会長に事故 があるときは、予めその指名する委員が、その職務を代理するという規定を設けていると ころでございます。  そして、その後でございますが、そしてこの会のご意見を聞いてでき上がりました基本 計画が参考資料3でございます。  そして、あと一番最後の資料のページの裏に、第1回の会議のときに決定されましたが ん対策推進協議会運営規程、これが参考資料4という形で、一番最後のページを1枚裏か らめくっていただきますと出てきてございます。  そして、この中の会議ということで、協議会につきましては、第二条及び第三条におき まして、会議及び議事録は公開ということでございますが、ただし公開することが公平か つ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるとき、その他正当な理由がある と認めるときは、会議を非公開とすることができるということなどの規定を定めていると ころでございます。  がん対策基本法及び推進協議会の概要については以上でございます。  それでは、本協議会の会長を選出していただきたいと思います。先ほどの参考資料2に ございます、がん対策推進協議会令第二条第1項におきまして「協議会に、会長を置き、 委員の互選により選任する。」と定められているところでございます。  選出の方法につきましては委員の互選によることとなってございますが、いかがいたし ましょうか。 ○中川委員  やはり座長は垣添委員がよろしいのではないでしょうか。個人的な立場ですが、理由を 申し上げますと、やはり第1期目の本協議会の会長を務められたということ、それからが ん対策推進基本計画、この成立の経緯、それから内容を一番ご存じだと思いますので、や はり私としては垣添委員を会長にふさわしい方だと思って推薦いたします。 ○前田がん対策推進室長  では、安岡委員。 ○安岡委員  今回、患者会、家族、多くの人員を選んでいただきましてありがとうございます。それ で、今回このような会が開かれることは、患者会とか患者の声を聞きたいという意味も込 められていると思いますので、患者会、家族の中から会長を1人選んでいただきたいなと いうことで、天野さんを推薦いたします。 ○前田がん対策推進室長  ただ今、中川委員から会長に垣添委員を推薦する旨、そして安岡委員から天野委員を推 薦する旨のご発言がございました。  そのほかご意見があればと思いますが、いかがでしょうか。  門田委員、お願いします。 ○門田委員  私、この準備会のときから参加させていただいております。この会は、先ほどもご発言 ございましたけれども、がん対策基本法の成立過程から、それから成立した後の協議会の 進め方、これ我が国にほかに例を見ないすばらしいものだと私自身思っておるんですが、 非常に特色あるもので、非常にうまくスタートを切っている段階ではないかというふうに 思います。今、患者の会の方からのということもございますが、こういう状況のものを非 常にうまく取りまとめていくということが今一番大切ではないかという意味で、私個人と すれば、今までやってきていただいた垣添先生に引き続きまとめていただいて、その中に、 内容の中にしっかりと我々の意見を、患者会の皆さんの意見も含めて上手に組み込む、そ のためには、多分中立的にやっていただいている垣添先生のほうが多分うまく表現ができ るんではなかろうかというふうな感じがいたします。  そういった意味で、私、垣添先生に引き続きやっていただけたらというふうに思います。  以上です。 ○前田がん対策推進室長  では、埴岡委員、お願いします。 ○埴岡委員  安岡さんの提案を伺って、がん対策基本法ができた経緯なども考えると、一考に値する アイデアであると感じました。ですから、急いで結論を出さずに、少しこの協議会の委員 の方々の意見を伺ってから決めていただければと思います。  また、今日も傍聴の方がたくさん来られていますし、その背景に国民の方々もがん対策 を注目されております。それから、後ほど厚生労働大臣もいらっしゃいますけれども、こ のような協議会のあり方も含めた議論を望んでいらっしゃるでしょうから、もう少し委員 の皆さんの意見を聞いてから決めていただければというのが私の意見です。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  その他ご意見はございますでしょうか。  では、本田委員、お願いいたします。 ○本田委員  私も、先ほど皆さんがおっしゃっているように、このがん対策推進協議会というのは、 日本の医療政策を考える上で、患者、住民を含めて、みんなで考えようという大変意義深 いものだと思っておりますし、第1期目の協議会もそういう形で進められてきたと思って おります。そういう形をさらに進めていくという上で、先ほどの安岡委員からの発言とい うものは大変意義深いと思っておりますし、そういう声が出るということが、議論される ということが一番すごいことだなと感じています。  ただ、一方で、そういう患者、住民、国民、様々な医療関係者の声を、全体を第三者と してまとめるという力もまた別個の、またもう一つの能力も必要なのかなと思いますし、 そういうことを考えると、これまでの垣添先生にというお声もありますので、そういうこ ともいいのかなと、そうお願いしたらいいのかなとも思っています。  一方で、様々な今日この後でいろいろ議論が出ると思いますけれども、新しく前回の予 算を考える際のワーキングとか、そういう新しい小委員会を設けてはどうかという動議も 出るかと思います。そういう際に、ぜひまとめ役に様々な方をチャレンジの場ということ で、将来の会長をも生み出すような形というものを考えていくというのも一つかなと考え ております。  すみません、長くなりまして。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  その他ご意見はございませんでしょうか。  じゃ、廣橋委員。 ○廣橋委員  このがん対策の推進というのは本当に広い分野をカバーしております。予防から検診、 そして治療、緩和医療まで、そしてもちろん患者さんの声を聞いて推進していくわけです。 そういった面で、これまで垣添会長がやってこられたわけですが、その垣添先生は、広い 範囲に精通しておられて、患者さんのいろいろな団体とも、実際に一緒に活動もされてお りますので、全体に配慮しながら進めていただけるのではないかと思います。このような 理由から垣添先生を会長にとに思います。 ○前田がん対策推進室長  では、内田委員。 ○内田委員  私も前期から2期目ということで、今期が非常にこの会議、大事な時期に来ているとい うふうに思っています。今、埴岡委員とか安岡委員とかご発言ありましたように、この委 員会、本当に厚労省の委員会としては画期的な取組で、患者さんの代表にたくさん入って いただいて、なおかつすごく活発に活動していただいたという実績は、前期ご一緒させて いただいて非常に強く感じています。今回、この会を進めていくに当たっては、やはりが ん対策の専門家である先生方と、それからこれまで患者さんの会という形で様々な活動を 展開されていた、患者さんの立場で活動されてきた方とほぼ半々、それからあとは関連団 体あるいは医療関係、医療の現場のほうで関わっていらっしゃる方が結構入っていらっし ゃるというふうに認識しておりますので、そのバランスといいますか、全体を俯瞰する形 でお取りまとめいただき、しかもこの非常に大事な2期目ということに当たってこの会を まとめていただくということを考えますと、やはり前期に、第1期目をしっかり仕切って いただきました垣添先生に引き続き会長はお願いしたいというふうに思っております。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  では、江口委員、お願いします。 ○江口委員  やはり2期目ということで、実際に離陸の段階から今度飛行の段階に移って、これから この協議会のいろいろな方針が政策に反映されていくという非常に重要な時期だと思いま す。やはり継続性と、発展性ということを考えて、垣添先生にお願いできたらと思います。  もちろん、患者団体の方々のいろいろなご意見もありますし、以前の段階でもワーキン ググループなどを通じてそのようなご意見が反映されていたと思います。これからも患者 の視点での意見をまた大いに提出していただくとよいというふうに考えております。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  では、郷内委員、お願いします。 ○郷内委員  安岡委員から大変勇気のあるご発言をいただきまして、同じ患者家族の立場としまして 一言だけ申し上げさせていただきます。  前期の協議会で垣添先生初め、たくさんの医療者の方々に患者家族とともに活発な施策 を推進していただいていることは、議事録等、いろんな場で読ませていただきまして十分 感じてもおりますので、改めて感謝を申し上げております。  今回、安岡委員がこのように思い切った発言をしているということも、逆に言いますと、 これまで2年間行われてきましたこのがん対策推進協議会が本当の意味での患者家族の参 加というものを実現していただきまして、そして目に見える成果というものもつくり上げ てこられたと、そういう意味で大変専門の医療の先生方にも十分なご理解をいただいた上 でやってこれたという、そういう思いもございまして、いずれは患者家族も何らかの形で そういった先生方に対するご恩返しの気持ちもありまして、もしそういうチャンスがある なら、いずれはそういう形で参加させていただくのもいいんではないかなと、そういうふ うな思いもあって安岡委員はご発言に至ったのではないかと推察しております。  今回、何が何でもということではございませんが、一応ご提案をさせていただいたとい うところでございますので、よろしくお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  中川委員、お願いします。 ○中川委員  安岡さんのご意見、非常に大事だと思うんですね。多分、この協議会の最大の特徴がそ の部分で、ただ私がご提案、垣添委員をご推薦したのは、やはり前回の、これまでのこと をよくご存じ。ただ、ですから、実は私、後でお話が出ますが、普及啓発懇談会の座長を やっておりまして、天野委員もそこの委員に加わっていただいて、いつも私のお隣で、お 人柄、見識、知識ともすばらしいんですね。ですから、この2年間でぜひさらにご経験を 積んでいただいて、もうそれこそ次は天野さんだとみんなが満場一致でなるように頑張っ ていただければという気がいたします。いかがでしょうか。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  では、天野委員、今手が挙げられましたが……。 ○天野委員  天野でございます。突然安岡委員から過分なご推薦をいただきしまして恐縮しておりま す。  多くの方々のご尽力によってがん対策基本法ができ、またこの協議会ができ上がったと 理解しております。この場にも、患者や市民の立場の方もいれば、医療者の方もいらっし ゃいますし、また有識者の方、行政の方、多様なステークホルダーの方がいらっしゃいま す。そういった中で、この協議会をまとめていただけるという意味では、継続性と発展性 という先ほど江口委員からのご指摘がありましたが、前期の会長を務めていただいた垣添 先生にやっていただくのがよろしいかと私個人は考えております。  ただ、私ども患者団体としましては、患者の視点、市民の視点というものを引き続きぜ ひご検討いただいた上で、協議会が運営されていければと願っておりますので、よろしく お願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  では、埴岡委員、お願いします。 ○埴岡委員  本当にこのがん対策推進協議会が本物だなと思うのは、こういう会長の選出自体がちゃ んと議論されることです。改めてこの協議会はいい会だと感じました。  これを踏まえて、分裂ということではなくて、また和をもって進めていければいいと改 めて思った次第です。 ○中川委員  全然分裂じゃないですよ。一緒に考えているんです。 ○埴岡委員  そうですよね、一緒に考えている。まさにそのものだと思いました。で、天野さんは次 回にという中川先生の意見に、私も今かなりなびいたところでございます。 ○前田がん対策推進室長  ありがとうございました。  今10名の方から12のご発言をいただいて、先ほど埴岡委員のおっしゃった十分なご議論 というふうなことでご意見を賜ったところでございます。  その他ご意見ある方いらっしゃいますでしょうか。  では、いろいろとご意見をいただいたところでございますが、ご意見の内容を大体総括 いたしまして、垣添委員に本協議会の会長をお願いいたしたいかと、私、今の段階で司会 進行をさせていただいている者でございますが、というふうにお伺いしたところでござい ますが……。(拍手)  安岡委員、そういった形でよろしいでしょうか。 ○安岡委員  はい。 ○前田がん対策推進室長  それでは、垣添委員、恐縮でございますが、会長席のほうにお移りいただきまして、今 後の議事運営をお願いいたしたいと存じます。 〔垣添委員移動〕 ○垣添会長  激論の末、会長に選出いただきました垣添です。大変僣越ではございますが、ご指名で すので、会長を引き受けさせていただきたいと思います。  私は、この協議会の基になっているがん対策基本法というのが、がんの患者さんや家族、 そして広く国民の声を背景にして成立したという事情をよく承知しております。また、そ の基本法の中に、第4章として、がん対策推進協議会というのが書き込まれていて、これ 自体極めて画期的な法律だと思いますが、その中に協議会の委員、20名以内の中に患者さ んや家族、遺族の代表も含めると。つまり、従来のこの種の協議会ががんの専門家とか、 あるいは有識者だけで構成されていたのが、がんの患者さんや家族、遺族も含めるという ことが書き込まれたということ自体、非常に画期的だったというふうに思います。  それで、実際にこの基本計画づくりでは、この協議会で非常な激論の末、一応取りまと めができて、それで今都道府県の基本計画がつくられ、我が国のがん対策の器ができ上が ったということであります。  ちょうどこの協議会は第2期目に入って、これから委員の皆さん方に2年間それぞれ委 員としてお務めいただくことになりますけれども、先ほどどなたかのご発言にもありまし たように、我が国のがん対策が入り口で、これから定常飛行に入れるか入れないかという 非常に大事な時期でありますので、この協議会の運営あるいはここで発言されるような内 容は極めて重要であるというふうに私自身も感じております。皆様方のご協力を得て、最 大の効果を発揮するべく努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  ただ、限られた時間の中で議論を進める必要があり、また今日の資料をご覧いただいて も膨大な資料があります。それから、委員は20名、非常にたくさんおられますので、全員 にご発言いただきたいと思います。したがって、内容によっては、挙手をしておられても 指し切れないということがありますので、それは誠に申しわけありませんがご了解くださ い。ただ、私は患者さん、家族あるいは国民、そしてがんの専門家あるいは様々な立場の 方でこの委員会が構成されているというのをよく承知しておりますので、公平に運営する ということをお約束申し上げて、今のような時間の制約とかその他の面のご理解だけはい ただければというふうに思います。  では、これから座って議事を進めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げ ます。(拍手)  それでは、まず報告事項で、1、平成21年度がん対策関係の予算案について、厚生労働 省よりまず説明をお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  代理の選任の件をお願いします。 ○垣添会長  会長に何か不測の事態が起きたときの代理を決めなくちゃいけないんですが、第1期の ときから引き続いて、国立がんセンターの廣橋総長に代理を務めていただければ大変あり がたいと思います。ただ、先ほど冒頭の議論をお聞きしておりますと、もちろん私自身、 この患者会あるいは家族の代表の重要性というのはよくよく認識しておりますので、少し 異例かもしれませんけれども、会長代理として、安岡委員からご指名の天野委員にも加わ っていただければどうかなというふうに思っております。(拍手)  それでは、廣橋委員、天野委員、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、報告事項、よろしくお願いします。どうぞ着席で進めてください。 ○前田がん対策推進室長  それでは、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、ご協力のほどよろしくお 願いいたします。  なお、15時30分より大臣が到着され次第、大臣挨拶がございますので、その間はカメラ 撮り可能となってございますので、よろしくお願いいたします。 (カメラ撤収) ○前田がん対策推進室長  では、座って説明をさせていただきたいと思います。  資料1−1から1−3まで私から説明をさせていただきます。  資料1−1、平成21年度がん対策関係予算ということでございます。がん対策予算、3 省で当初予算が524億円、そして補正予算が412億円プラス591億円の内数となっているとこ ろでございます。  そして、まず厚生労働省関係の補正予算が237億円でございますが、こちらにつきまして は、このがん対策推進基本計画への中に落とし込んでございますが、左上のがんの早期発 見、この部分に216億円、そしてこのがんの研究の部分に12億円などを計上しているところ でございます。そして、文部科学省におきましては、後ほど詳しい説明がございますが、 この重点的に取り組むべき事項の左側の放射線療法・化学療法の推進、これらを専門的に 行う医師の育成のところで152億円、そして経済産業省におかれましては、この右下のがん 研究のところの591億円の内数ということで計上されてございます。  それから、前回の2月のときの資料でも、この右下に地方交付税措置を記載してござい ますが、がん検診事業につきましては、この予算以外にも地方交付税措置として1,298億円 程度が計上されているというところでございます。  そして、資料1−2が、がん対策に関する三大臣会合ということで、文部科学省、厚生 労働省、経済産業省三大臣による会合が行われ、がん研究促進などの議論がなされたとこ ろでございます。  そして資料1−3でございますが、こちらは厚生労働省のがん対策の推進についてとい うことでございます。こちらも当初予算とほぼ同額の補正予算がこの5月29日に成立をい たしたところでございます。放射線療法、化学療法の推進等につきましては61億円、そし て治療の初期段階からの緩和ケアにつきましては7億円、がん登録につきましては0.3億円、 そして4点目のがん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促進につきましては 306億円と。このうち216億円プラス8億円の224億円が補正予算でついたところでございま す。そして、がんに関する研究の推進の部分につきましては、国立がんセンター臨床開発 センター経費の拡充というものがされたところでございます。  そして、その裏でございますが、2ページ目でございます。21年度補正予算で、女性特 有のがん検診に対する支援ということで、先ほど資料確認の中で、封筒の中にクーポン券 とがん検診手帳、そしてあとがん検診の通知をご確認いただきましたが、子宮頸がんにつ きましては20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、乳がんにつきましては40歳、45歳、50歳、55 歳及び60歳の女性に対して検診の無料クーポン券を配布するとともに、検診手帳を交付す るという事業を補正予算でお認めいただきまして、216億円でございます。  そして、女性の健康支援の拡充ということで、健康相談ですとか健康教育、そういった 子宮頸がん、乳がんの予防を初めとした女性の健康づくり対策に8億円、そして国立がん センター臨床開発センター経費としまして12億円、それ以外にも何点かがんに関連する補 正予算がついてございますが、237億円程度でございます。  そして、3ページ目が女性特有のがん検診推進事業のイメージでございまして、現在、 市区町村におきましてはその準備を進めておられるというところでございますが、この事 業の一番大事なところは、このクーポン券と検診手帳、それを検診対象者に対して直接送 付または配布するという点でございます。  そして、4ページ目ががん対策予算額の推移ということでございまして、対がん10カ年 総合戦略がスタートいたしました昭和59年から平成21年度までの予算の推移を掲載してご ざいます。  そして、その次に5ページ目に、これは厚生労働省の補正予算の概要でございますが、 この中にも、8ページ目でございますが、第2の地域医療・医療新技術の中に、地域医療 の再生に向けた総合的な対策、こちらにつきましては、都道府県に地域医療再生基金とい うものを設置して、地域医療の課題の解決のための2次医療圏単位の地域医療再生計画に 基づく医療機関の機能強化を進めるため等の予算が組まれてございます。こちらについて も、がん対策に関連する予算でございます。  それから、もう一点でございますが、15ページ目でございます。こちらは内閣府の地域 活性化推進担当室が関係する予算でございますが、地域活性化・経済危機対策臨時交付金、 こちらの中の下のほうの5番の事業例のところに、安全・安心の実現と記載しています。 この予算は1兆円の予算でございますが、その中に例示といたしまして、16ページ目でご ざいますが、安全・安心の実現の7番のところに、高度医療機器等整備事業ということで、 民間医療機関では対応困難な放射線治療装置等の高度医療機器の整備を行うと、こういっ たがんに関する経費がその内閣府の予算でも計上がされているところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  引き続きまして、文部科学省のほうから説明をお願いいたします。 ○倉崎研究振興戦略官  文部科学省でございます。資料の1−4に基づきまして簡単にご説明させていただきた いと思います。  まず、文部科学省全体としましては、がんに関する研究と人材育成中心に進めておりま して、資料の左側のほうに、がんの本態解明ということで、科学研究費補助金等によりま す基礎的な研究と、それをさらに基礎的な研究の中ですぐれた成果が出てきたものを薬と か治療法に向けて実用化あるいは臨床試験に向けて橋渡しをしていくということでの支援 の推進をしております。  補正予算の中でも、今回その体制整備のところの予算が12億計上されているところでご ざいます。  それと、その下に分子イメージング研究というのは、体の中の薬の動きとか分子レベル の動きを可視化することによって、創薬ですとか診断に役立てようということでの研究も 進めております。  それと、右側に革新的ながん治療法の研究開発ということで、放射線医学総合研究所に おけます重粒子線がん治療等の関連する研究を推進しておりまして、補正予算におきまし ても、そのがん治療装置のさらなる高度化に関しての研究開発経費が11億ついております。  それと、そういった粒子線のがん治療の施設を運用するに当たっていろんな人材が必要 になりますので、そういった人材育成のプログラムもこの中でやっております。  それと、人材育成に関しましては、下のほうの欄の左側で、がんプロフェショナル養成 プランということで、大学での取組を支援している経費がございます。  それと、右下のほうで、今回の補正で大学病院におけるがんセンターとの横断的にがん 治療等を行う診療組織ですとか、最新の治療設備の整備とか設置等による対応を図るとい うことで、152億を計上しているところでございます。  前年度203億に対しまして、21年度本予算では186億と若干ちょっと減額になっておりま すけれども、これは群馬大学におきまして重粒子線の小型装置の開発の建設がほぼ終了す るということによって若干減額がちょっときいておりますが、補正予算も含めて、全体と して文部科学省として対応していきたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○垣添会長  どうもありがとうございました。  引き続きまして、経済産業省、お願いいたします。 ○増永医療・福祉機器産業室長  経済産業省でございます。資料の1−5に従いまして説明をさせていただきます。  当初、経済産業省は主にがん研究を推進しております。大きく3つでございますが、医 療機器、それから創薬、あともう一つが研究基盤の強化ということでございます。  1枚目にございますけれども、1.左上でございます。医療機器でございまして、3つ ございますが、簡単にご説明をさせていただきます。  一番上でございますが、インテリジェント手術機器でございますが、外科的に低侵襲で がん細胞を治療するというロボット手術システム、これの開発というのが一番上でござい ます。  真ん中でございますが、がんなどの疾患に特異的な生体の分子の動きをとらえまして、 それをとらえることによって、超早期に発見する診断機器の開発、これが分子イメージン グ、真ん中でございます。  3つ目でございますが、これはがん細胞に抗がん剤を集積させるドラッグデリバリーシ ステムでございますけれども、こうすることによって、がん細胞のみを選択的に消滅させ る、これは治療機器でございますが、これが3つ目の機器開発でございます。  2.でございますが、これが基盤技術の底上げでございますが、基礎や基盤の研究の成 果を融合いたしまして、いち早く円滑に実用化に資するものにしたいといういわゆる橋渡 し研究というものでございますが、これを文部科学省、厚生労働省とともに進めておると ころでございます。3省連携でやっているところでございます。これが2.イノベーショ ンの創出・加速であります。  右のほう、これが創薬であります。  これも大きく4つございますが、ごく簡単にご説明をさせていただきますと、一番上で ございますが、これはがんなどの病気の仕組みを遺伝子レベルで実際に詳細に解説をいた しまして、疾患の仕組みの解明でございますとか、あるいはターゲットとなるようなたん ぱくを実際同定いたしまして、その治療薬を開発するというのが1つ目。  2つ目でございますが、糖鎖という部分があるわけでございますが、がんなどの疾患の 目印となるような糖鎖の機能を解明いたしまして、実際にマーカーのようなものを開発し て、超早期の診断に貢献をいたしたいというのが2つ目。  3つ目でございますが、これは抗体でございます。非常に副作用の少ない治療薬になり 得るという抗体でありますが、現状、非常に高価なものでございますので、これをコスト を安く効率的に作成できる技術の開発というのが3つ目。  最後でございますが、実際に非常に微細な加工技術を活用いたしまして、微量なサンプ ルから高効率、高感度に遺伝子レベルの異常を検出することによって、超早期診断を可能 にするという技術が4つ目でございます。  おめくりいただきまして、先ほど前田室長からもご説明ございましたけれども、がん対 策に資する三大臣会合というもの、厚生労働大臣、文部科学大臣、経済産業大臣で開催し たわけでございますが、その成果といたしまして、補正予算にがん対策の予算のパッケー ジが盛り込まれております。それがこの1枚紙でございまして、簡単に当省のところをご 説明をさせていただきますが、1.のがん研究の促進、これは先ほどございました、いち 早く基礎研究の成果を臨床研究に移行するという橋渡し研究というのがあるわけでござい ますが、これ3省連携のもと、当省といたしましても20億円計上しているところでござい ます。  2つ目であります。これは実際にもう研究の成果が実りまして、実際の事業の段階にな ったときに、特にバイオベンチャーでございますけれども、そのバイオベンチャーに対し て資金の援助を行う、リスクマネーの供給を行うということで、産業革新機構というもの が立ち上がりましたので、これを通したバイオベンチャーの支援ということで、出資とし て420億円、政府の保証枠ということで8,000億円を計上しております。  3つ目で、治験・臨床研究ということでございまして、当省といたしましては、大学と 特に民間の企業が共同でがんの治療技術の開発を行う、いわゆる拠点でございますけれど も、その整備のための予算を151億円計上しているところでございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  平成21年度の厚生労働省、文部科学省、経済産業省のがん関係の予算を一括してご説明 いただきましたが、何かご質問あるいはご発言がありましたらお受けしたいと思います。  それじゃ、どうぞ、三好委員。 ○三好委員  まず、患者の目から見たということで、1ページのがん対策の推進についてという一覧 表があるんですけれども、この項目がいろんなものに分かれているんですけれども、単純 に四角の中の合計が、右上の例えば一番上でしたら61億円に、足しても単純にならなかっ たりとか、ちょっと見づらいなという印象があります。これは議事録を見たら、前委員の 皆さんもおっしゃっていたようなんですけれども、もう少しこれを項目ごとにわかりやす い配置にしていただいたりとか、ちょっと工夫をしていただけたらありがたいというのが 1点です。  そしてもう一つ、今、国の予算についていろんな発表があったんですけれども、例えば がん対策予算の中に都道府県にも予算がたくさんついていると思うんですけれども、その 平成20年度の都道府県がん対策予算の開示というのがまだなされていないのではないかな と思うので、この平成20年度の都道府県がん対策予算の一覧表などの早期の開示をぜひお 願いしたいなというのがもう一点です。  以上です。 ○垣添会長  どうぞ、前田室長。 ○前田がん対策推進室長  この資料1−3につきましては、以前からそういうご指摘をいただきまして、それを改 善する形で基本計画と連関させるという意味で、資料1−1というのを2回ぐらい前から 作成させていただいているところでございます。  ただ、この資料1−3のがん対策の推進についてというところにつきましては、その (1)とか(2)、そういった部分を足し上げていきますと、例えば1番の放射線療法の ところも、がんの専門医療スタッフの7億円と拠点病院の54億円、足して61億円ですとか、 そして2番の治療初期からの緩和ケアも(1)の5.6億円と在宅緩和ケアの1.3億円を足し て約7億円というふうな形で書いてございます。ただ、その中でも新規に施策を予算化し た部分、そして拡充した部分、それを行間の中に入れているので先ほどのようなご指摘が あったかと思いますので、また資料の作成予算の可視化というか、分かりやすさにつきま しては、引き続き改善をさせていただきたいと思います。  それから2点目の、各都道府県の予算がどれぐらい、平成20年度と今おっしゃられまし たので、20年度の予算につきましては、昨年の11月28日に開催されました第8回のがん対 策推進協議会の資料として予算を提示させていただいてございます。それによって、各県 ごとに人口ごとですとか、分析いろいろされたりしてございますけれども、また21年度の 予算、今もう21年6月ですので、各県でも今年の2月とか3月の議会で決定されていると ころでございますので、その点の情報収集についてはまた引き続き行い、またこの協議会 の場で報告をさせていただきたいというふうに思っております。 ○垣添会長  ありがとうございました。  では、廣橋委員。 ○廣橋会長代理  がん検診に関する予算が大変充実してきたのはうれしいことですが、いろいろな施策に なっているんですね。地方交付税の措置が倍増し、非常に大きな増額があった。それから、 企業との連携によるがん検診の推進もあるし、今回の補正で女性のがん検診が非常に充実 する。一方では、特定健診が始まって、がん検診に逆風が吹いているという状況にある。 そういう中で、このがん検診に全体としてどこか穴がないのかとか、全体順調に進んでい るのか、あるいはこういった施策に十分な成果が上がっているのかどうかという評価、そ ういったことをするような仕組みというものがどこか予算に入っていて、これらの諸施策 がうまくコーディネートされて発展していくような仕掛けになっているのでしょうか。 ○前田がん対策推進室長  確かにがん検診につきましては、1年目、2年目に、この基本計画1年目が19年度、そ してこの21年度が3年目ということでございますが、21年度はかなり拡充をしたところで ございます。今までの19年度、20年度と省内で検討いたしました結果、やはり従来の国、 県、市町村という地域保健の流れでのがん検診事業というものは、昭和58年の老人保健法 に位置づけられてから進められてきたところでございますが、その検診の受診者が固定化 しているなどの問題点がございましたので、企業との連携を国レベルでも地域レベルでも 行っていくと、そういった新しい視点でのがん検診の受診率向上策、そして普及啓発策、 そういったものが必要ということを考えまして、そしてまた、昨年10月にがんに関する普 及啓発懇談会を設置し、もう4回ほどにわたりまして、がん検診についての検討を、いろ んなモデル的な事例なども集めていただきまして、それも中川委員にきちんと議事をおま とめながら進めていただいたところでございます。  そういった形で21年度の当初は進めていたところでございますが、やはりもう少し直接 的ながん検診の受診率向上対策は必要だろうということで、本日、お配りしてございます 中川先生に監修をしていただきましたこの手帳、そしてクーポン券、そしてこの通知、こ ちらを5歳刻みの方を対象に、乳がん、子宮がん検診の無料検診、それを進めていくとい うことをこの補正予算で組んだというところでございますので、まだまだ穴があるかもし れませんけれども、その穴を埋めるべく努力をしているところでございます。 ○垣添会長  天野委員。 ○天野会長代理  補正予算で女性特有のがん検診推進事業ということが採択されているわけですが、資料 の図にありますように市区町村が実施主体となって、受診者の利便性を確保するというこ とがうたわれていると思います。休日、夜間における検診の実施やマンモグラフィ車の活 用ですね。あとは連携強化ということがうたわれていますが、これは市区町村が実施主体 ということで、どこまでこの実効性が確保できるのかということが一つキーになってくる かと思いますが、この辺りは厚生労働省としてどのようにお考えいただいているのかをご 教示いただければと思います。  また、この施策における検診対象者ということで、例えば乳がんであれば40歳、45歳、 50歳ということで、今年当たり年になっている方であればもちろんこの検診の恩恵を受け ることができるのですが、これが例えば来年度以降どのような形で展開されていくのかと いうことがまだ不明確のままであると思いますので、機会の均等という意味で、この辺り を明確にしていかなければいけないかと感じております。  また、補正予算がおよそ237億円ある中で、この女性特有のがん検診に対して実に216億 という金額が投じられているわけですが、どのような経緯でこれが決まってきたのかとい うことについて、見える化が必要かと感じております。つまり、前回の協議会が3月にあ りまして、現在6月で協議会が開催されているわけですが、その間に協議会がたまたまな かったわけなので、施策を協議会で検討するのは難しいのかと思うんですが、どういった 過程でこの施策が策定されたのかということについて、見える化がぜひできればというこ とを思います。  また、それに関連しまして、この協議会で平成22年度予算に向けたがん対策予算提案書 が策定されまして、厚生労働大臣にも提出されているわけですが、その中で合計70本の施 策が出ていたかと思います。その施策が、少なくともこの補正予算を見る限りは十分に反 映されているとは言いがたいのではないかと感じておりますので、今後、平成22年の予算 に向けたその反映という意味でも、どういった考えで厚生労働省として当たられているの かということについてご教示いただければと思いました。  以上でございます。 ○垣添会長  たくさんありますけれども、どうぞ。 ○前田がん対策推進室長  4点の問いにお答えいたします。  まず1点目の市町村が行うことの実効性の確保ということでございますが、まずこの20 歳、25歳、30歳の方々のがん検診を受診していただくための台帳が作成できる、そういう 情報を持っているのはまず市町村でございまして、県でもないですし、国でもないです。 そしてまた、今まで昭和58年度以降、ずっと老人保健法に基づくがん検診のノウハウがあ るという点、そういった2点から市町村が実施主体となっています。ただ、市町村は通常 のがん検診ですと地方交付税措置によるものでございますが、こちらにつきましては国庫 10分の10で全額国費ということで行うという、補助金形式で行うという点が今回の特徴で ございます。  そして、来年度以降の点についてでございます。こちらにつきましても、この検診の事 業の効果、それを検診によってどれぐらい受診率が上がるか、そういったものの効果を見 きわめながら継続についての検討を行っていくということで考えているところでございま す。  そして3点目の、この216億の予算がついた経緯ということでございますが、4月10日に 決定されました経済危機対策、そちらの中で与党と政府との合意の中で編み出され、決定 された事項でございます。ですので、ちょっと、その動きが見えづらかったという点はあ ろうかとは思いますが、まずその決定事項に基づき補正予算を組んだと、そして5月29日 に国会で成立をしたというところまでしか今のところご説明として、回答として言える点 でございます。  それから、提案書の内容の点についてでございます。提案書の中の大きな考え方の一つ として、やはり地方財政が疲弊していると、そして地方負担をこれ以上求めるのはなかな か難しいというふうな考え方が一つの考え方にあったと思います。今回のこの216億円は全 額国庫負担ということで、地方の負担、県も市区町村も負担なしで実施できる事業でござ います。そういった点で、直接70本の推奨施策に合致するものではございませんが、その 考え方としてはこの予算はその路線に、考え方には基本的に合致しているというふうに考 えてございます。  それから、先ほど補正予算の説明の中で、地域医療再生計画の件ですとか、あと地域活 性化の基金の件ですとか、そういった既存のがん診療連携拠点病院の機能拡充、そういっ たものにも活用できる予算が組まれてございます。それは、そのうちがん対策としてどれ だけ確保するかどうか、それはもう各自治体の判断によるものでございますので、全く切 り分けることができませんでしたので、この237億の中には入れてございませんが、やはり 提案書の趣旨に沿った形の補正予算も一部含まれているということを紹介させていただき ました。  以上でございます。 ○垣添会長  まだたくさん手が挙がっているのは承知なんですけれども、誠に申しわけありませんが、 やっぱり全体の時間配分も考えないといけませんので、先に進ませてください。申しわけ ありません。  続きまして、報告事項の2、がん対策推進基本計画の進捗状況と患者必携について、事 務局から説明してください。 ○前田がん対策推進室長  では、簡潔に説明させていただきます。  資料2−1でございます。こちらにつきましては、主ながん対策推進基本計画の進捗状 況でございますが、がんによる死亡者の減少、医療機関の整備、相談支援センターの整備、 がんの早期発見で検診率、その4点について進捗状況を掲載しているところでございます。 主に医療機関、相談支援センター等につきましては100%を超えているという状況でござい まして、ハード面の整備はかなり進んできているという点ではございます。  それから、その裏の拠点病院の件でございますが、現在375病院ございますけれども、そ のうち新要件を満たしている病院が37病院、それから平成20年3月に健康局長通知の中で 2年間の経過措置を設けてございますが、その経過措置の病院が338病院という状況でござ いまして、現在375病院が指定されているところでございます。  そして資料2−3でございますが、がん診療連携拠点病院の現況報告をまとめた結果を 発表してございますが、現在、拠点病院の要件を充足率の低いものとして、病院において 緩和ケア研修を実施しているところ、この下の段の一番上でございますが、30%程度、そ して院内がん登録の集計結果をがん対策情報センターに情報提供している病院が46%程度 と、この2点が50%を下回っているというところでございます。  この10月の末までに更新申請で、その要件を満たしたものでなければ更新が認められな いという形で進めているところでございます。  そして、その次の資料2−4でございます。相談支援センターにつきましては、専従と 専任の相談員を、がんセンターの研修を受けた方を置けば、指定病院の要件が満たされて いるところですが、現況報告を見ましたところ、375病院のうち、都立駒込病院の3,186件 というのがこの2カ月間の相談件数ということで日本一でございます。上位3病院、聖マ リアンナ医科大学病院と埼玉県立がんセンター病院は上位3位でございます。そして、2 カ月間の相談の件数がゼロ件だったところが、市立旭川病院、むつ総合病院、県立大船渡 病院、京都大学医学部附属病院、市立奈良病院の5病院でございます。  そして資料2−5でございます。緩和ケア研修会、こちらは昨年の4月にプログラムを 通知しましたところ、このほぼ1年ちょっとの間に、一番右下でございますが、3,730人の 方が修了証書を交付されているという状況でございます。  ただ、まだ単位型という形で研修を分割して行っているケースのある県について、4県 についてはまだ修了証書を交付ゼロというところもございます。  そして、資料2−6でございます。こちらが地域保健・老人保健事業報告の抜粋でござ いますが、その1ページ目に、市町村の実施する5大がんの検診についての検診率、そし て2ページにその年次推移を掲載してございます。  そして、その次が資料2−7でございますが、市区町村におけるがん検診の実施状況の 調査ということでございますが、全国の1,818市町村に対する調査で、がん検診を実施して いるところ、この2の丸の2つ目でございますが、肺がんについては51市区町村、大腸が んについては2つの村においてがん検診を実施していないということが判明してございま す。その理由として、他に優先すべき事業があるとか、検診の有効性に疑問があるとか、 予算を確保できないというふうな理由が挙げられているところでございます。  続きまして、患者必携につきまして、若尾先生。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  国立がんセンターがん対策情報センターの若尾です。患者必携につきまして、とじてい ないカラーの資料と、あと封筒の中に入っていますこの「患者必携」などを使いましてご 説明させていただきます。  まず患者必携、一番初め、この推進協議会で取り上げられましたのが2年前の5月7日、 第3回推進協議会で、埴岡委員より、がんと診断された段階で400ページといった分厚さの 「がん患者さん必携」というものと「私のカルテ」のような薄い冊子の両方を、60万人で す、年間60万人の方ががんにかかりますので、60万人全員に届けるという提案がなされま した。これにつきましてその後の推進協議会で、本当にすべての方にそのような情報を渡 すことが必要であるかというような議論もありましたが、この資料の下の2番をごらんに なってください。がん対策推進基本計画におきましては、取り組むべき施策としまして 「インターネットの利用の有無に関わらず、得られる情報に差が生じないようにする必要 があることから、がんに関する情報を掲載したパンフレットやがん患者が必要な情報を取 りまとめた患者必携を作成し、拠点病院等がん診療を行っている医療機関に提供してい く。」そして、個別目標には「当該パンフレットや、がんの種類による特性等も踏まえた 患者必携等に含まれる情報をすべてのがん患者及びその家族が入手できるようにすること を目標とする。」ということが基本計画に掲載されました。  資料をめくってください。スライド3枚目です。その基本計画を受けまして、さらに平 成20年度、患者必携作成の予算をいただきまして、まず5月16日、それまでも運営協議会 のワーキンググループ等とも検討していたんですが、第7回推進協議会の後、推進協議会 の患者関係のメンバーの方等にいろいろ意見をいただきました。ただ、この時点で、冊子 がいい、バインダーがいい、あるいは各種がんの情報を含んだほうがいい、含まないほう がいいといういろいろな皆さんご意見で意見が割れておりました。そのような中で、私ど ものほうで患者・市民パネルというのが昨年度、60名の患者さん、あるいはご家族の方、 支援者の方などのグループがありますので、アンケートをとりながら、患者必携の構成に ついて検討を始めました。  その結果、その検討結果をまた推進協議会の方々と共有しながら、患者パネルの方々と 意見交換しながら作成を進めていきました。  スライド、右の番号が消えていますが、5枚目のスライドを見てください。がん対策情 報センター患者・市民パネルという四角がありますが、そこに企画・構成、ご意見をいた だいたり、あるいは項目についてご意見、ご提案いただいたり、それから実際の家族の方 あるいは患者さんに体験記を執筆していただいたり、あるいは専門家のヒアリングを経て ライターが書いた、そして内部のレビューを経た原稿をレビューしていただいたりしなが らこの「患者必携」の作成を進めてまいりました。  最後、「私のカルテ帳」というものがあるんですが、そこにつきましては検討会を2月 14日、約30名弱の患者さん方、パネルの皆さんに集まっていただきましてご意見をいただ きました。  患者必携の企画理念というのは、スライド、次にありますが、すべての患者さんと家族 が手にする「がん患者必携」により、がん難民ゼロを目指します。がん患者にとって必要 な情報を網羅することで、心と体の不安を解消します。多くの国民のがんに関する意識を 向上し、がんに向き合う社会を目指すということで、この患者必携の作成をしてまいりま した。  次のページのスライド7をごらんになってください。  この患者必携の三本柱として、その皆様のご意見を踏まえまして考えましたのが、その 3つのものから成っています。1つが、この「がんになったら手にとるガイド」、A4判 で最終的に250ページほどになりました。250ページほどのがんと向き合うための横断的な 情報を掲載した冊子、それから、ばらけているんですけれども、「わたしの療養手帳」と いう形で、書き込み式のバインダーとなっています。実際にはこのようなバインダーに挟 んで使っていただいて、それともう一つあります「地域の療養情報」という、今回は4県 分だけ作成しましたが、各地域の情報をこのバインダーに挟んで「わたしの療養手帳」と 一緒に使っていただく。この「わたしの療養手帳」には、医療機関にかかるときの注意、 メモなども書いていきながら、患者さん皆さんがご自身で自分の病気のことを確認しなが ら診療を進めていただくということを想定してつくりました。  その下にありますが、今まで国立がんセンターがん対策情報センターでは、この小さい 冊子ですね、各種がんの冊子を今まで39種類作成してまいりましたが、この冊子のほうに は医学的な情報が主に書いてありまして、この患者必携側には療養の情報が多く入ってい るということで、医療機関でがんと診断された直後に、この冊子と患者必携をセットでお 渡しすればいいんではないかと考えております。  その次のスライドにありますのが「わたしの療養手帳」の目次の部分です。本体のほう では目次が頭のところに6ページ、7ページにありますんで、こちらに実際のものがござ います。  第1部「“がん”と言われたとき」、第2部「がんに向き合う」で「自分らしい向き合 い方を考える」あるいは「経済的負担と支援について」、それから第3部で「がんを知 る」で、1章では「がんのことで知っておくこと」、2章で「療養生活のためのヒント」、 第3章「それぞれのがんについて知る」、第4章「がん医療のトピックス」という形の構 成でまとめております。  それから、次のページにありますのが、小さいほうの書き込み型の手帳、「わたしの療 養手帳」で、これは2月14日のパネルの皆様のヒアリングの意見等を反映しまして、大幅 に変更しまして、時系列に合った書き方の形になっています。診断されたときに必要な情 報、そして治療が始まるまでにまとめること、治療中にまとめること、イッタンの治療が トマって、その後の退院後、療養生活で必要な情報を整理するところ、それから長い間の ダイヤリー的なものと構成されています。  それから、「地域の療養情報」としましては、今回、静岡、栃木、茨城、愛媛の4県分 を、これもサンプルとして作成させていただいております。  課題事項としましては、今までこのがん対策推進協議会で患者必携ということをご議論 いただいていましたが、最終的にどのような形でどういう方に配るのかということがまだ 細かいところまでは決まっていないと思いますので、今回、私どもでこのような試作版と いう形でたたき台をつくりましたので、これを参考にしていただきながら、今後どのよう に患者必携を扱っていくかということを検討していただければと思います。  すみません、もう少し説明させてください。  次に、グラフがいっぱいございますが、この患者必携試作版ができまして、今年度のパ ネルも含めまして、パネルの方99名に対しましてこの実際にできたものを見ていただいて、 短い期間だったんですが、評価をいただきました。  Q1、このガイドは有効ですかということに対しては、98%の方から有効というお答え をいただいています。  Q20、だれからどのように受け取るのがよいと思いますかということでは、担当医、看 護師あるいは相談支援センターという医療関係者から受け取るのがいいという方が70%ほ どで一番多く見られました。  それからQ23、無料で配布するとした場合、この患者必携、どのような形で受け取るの がいいかということに対しましては、一番多いのが、本人の希望するものを受け取りたい、 それでその次に次いで多いのが、A、B、Cのセット、A、B、Cというのは、手にとる ガイド、療養手帳、地域の療養情報というようなものです。  それから次のページ、Q26、今回お届けした試作版の完成度についてどう思われますか ということで意見をいただいたところ、まだまだ試作版であり、もう少し修正したほうが いいというご意見を50%、半分以上いただいておりますので、我々もまだこれで完成品と は思っておりませんので、今後多くの方のご意見をいただきながら修正していきたいと考 えております。  その後、細かいのがありますが、やはり患者さん皆さんいろいろ考え方が様々でして、 これでは詳し過ぎるという方もいらっしゃれば、こんな情報はインターネットですぐ探せ るので、もっと詳しいのが欲しいという様々なご意見をいただいています。その一部の例 をこちらに紹介させていただいております。  スライド番号で28をごらんになってください。28、今年度の計画としましては、試作版 ができました。これを試験配布いたしまして、多くの方に使っていただいて評価をいただ いて、またこの推進協議会でどういう形で組んでいくかということも方針を決めていただ いて、その改善した形で最終版、確定版を作成したいと思っています。我々のほうで予定 していますのは、今月末を予定しておりますが、ホームページに本日お配りしている患者 必携の試作版のPDFを掲載させていただいて、同時にアンケートをとります。それと、 7月3日の都道府県がん診療連携拠点病院推進連絡協議会で配布させていただきます。  それから、ちょっと右側のページにポスターがついておりますが、7月11日に市民向け 講演会、これ全国テレビ会議で18カ所をつないで中継いたします。このような形で患者必 携について皆さんに知っていただいて、ご意見をいただきたいと思います。  スライドの29、これで最後になります。検討の課題としましては、この3つの構成をこ ういう形でいいのか。特に今までも議論がありました各種がんの部分、もう患者必携、例 えば胃がんの方が受け取るのに、肺がんの情報は要らないんではないかというような意見、 多く今回のパネルの方からもいただいております。ただ、それとはまた別に、やはりこれ は入り口なので、すべてのがんについて知ることも重要であるという、これもまたパネル の中でも意見が割れているところですので、最終的な方向性をご検討いただければと思い ます。  それから、ガイドの構成ですね。さらにこれではやはり多いというご意見もありまして、 この240ページでいくか、もう少しスリムなものをつくっていくか、あるいは配布対象とし まして新しい患者さん、今65万人ほどとこの前統計の担当の者から聞きましたけれども、 22年度65万人に配るのか、それとも希望者のみで、インターネットを使える方はご自分で ダウンロードしていただくような形にするのか。配布開始、これ22年度予算のことが決ま ってからの話となると思いますが、4月からもう配布する形で進められるのか、あるいは もう少し先になるのか。それから配布方法、今まで推進協議会の中では、拠点病院を通し て配るというようなディスカッションがされてまいりましたが、拠点病院以外で診断され た方も拠点病院にすぐ来ていただくような形でよろしいのか、その辺についてご議論いた だければと思います。  長くなり、申しわけございませんでした。 ○垣添会長  ありがとうございました。  がん対策推進基本計画の進捗状況と、それからずっと引き続き議論されてきた患者必携 がとりあえず暫定版ができ上がったということで、その両方のご説明をいただきましたが、 ご発言あるいはご質問等お受けしたいと思います。  埴岡委員。 ○埴岡委員  ありがとうございます。  資料2−3の1ページに、がん拠点病院が、相談支援を100%やっているとあり、一方で 1ページめくると、5つのがん拠点病院の相談件数がゼロだとあります。拠点病院の評価 は自己申告制に基づいていますが、本当に守られているのかをどういうふうに今後担保し ていけばいいのか、事務局のお考えを聞かせていただけますでしょうか。  2点目が、資料2−6の1ページです。がん検診を行った結果、表8のところで、がん であった者が、5つのがんに関してこれだけ見つかっています。ここで検診の効果を知り たいものです。この方々が検診を受けたことでがんが見つかったことが、どれだけの早期 発見と何人の救命効果にむすびついたのか、その数字が必要です。として何人ぐらいあっ たのかということに関して、例えばご専門の垣添先生にお尋ねすれば、概数でもいいので すが、効果が分かりますでしょうか。それが分かると、今日用が1,000億余りかかっている ことを考慮に入れて費用対効果が推定できるのかなと。例えば検診でがんが何万人か見つ かったことで、例えば1,500人の救命効果があったということであれば1人当たりの費用が 幾らかと分かる。例えば救命効果3,000人だと1人3,000万円余りといった数字が出るとい った風に。何かこのようなメルクマールがあるのかどうか聞きたいということが2点目で す。  3点目が、患者必携です。これは今日の資料にがん対策推進基本計画が添付されており ますが、そこに記載された理念であります、「がん患者を含めた国民ががんを知り、がん と向き合い、がんに負けることのない社会を目指す」ということに関して極めて有効な、 かつ象徴的なツールではないかと認識しております。また、2つの全体目標の中のひとつ である「すべてのがん患者及びその家族の苦痛軽減、療養生活の質の維持向上」に対して も有効であり、また他の策には想定しにくい効果が期待できる策だと考えます。また、い わゆるがん難民をなくすことが懸案となっていますが、情報が不足すると難民になりやす いわけで、患者必携はがん難民をなくすためのツールであるとして、このがん対策推進協 議会の第1期において作成配布が決定していたわけです。患者必携がこのように作成され たことは、かなり評価できると思います。これは協議会で決定したことをがんセンターで つくっていただいたわけです。今後の配布に関して、やはりこのがん対策推進協議会のほ うで決定をして、どのように実施していただくかをはっきりさせる必要があります。私は、 当初の方針どおり、毎年六十数万人の新規患者さんに、例えば5年間無料で配るというよ うな方針とすべきだと考えます。以前から出ておりますが、それによって患者さんの情報 力が上がり、患者さんと医療者の信頼関係とコミュニケーションも高まり、日本のがん診 療が大きく変わることに役立つと思っております。ぜひここまでで終わりではなくて、予 算化をして配布し終わるところまで進めていただきたい。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  事務局で言いたいようなこと。どうぞ、前田室長。 ○前田がん対策推進室長  まず最初の2点でございます。この相談支援センターの評価についてでございますけれ ども、今のがん診療連携拠点病院の指針上は、相談支援センターに専従の方、専任の方で がんセンターの研修を受けた方、そういった方が配属されていれば要件を満たすというこ とでございまして、実際に何人以上の相談がなければいけないとか、そういった要件は入 っていないところでございます。  ただ、今後はこういう相談支援センターが実際に機能しているかどうか、そういう点に ついては、2月に開催されましたがん診療連携拠点病院指定検討会の中においても指摘が ございましたので、今回この資料をつけさせていただきました。  今後、がん対策推進基本計画の評価をしていく中で、こういった拠点病院を評価する際 の一つのメルクマールとして、相談支援センターの相談件数が実際に数がそう増えていな ければ、その機能として弱いのではないかというふうな評価もできるんではないかという ことで例を挙げさせていただいてございます。ですので、これがゼロ件であっても、今の 現状では要件は満たしているということが1点でございます。  それからあと、がん検診、地域保健・老人保健事業報告で、このがんであった方が、ざ っと足し算しますと3万人弱の方が平成19年度にがんであった方が発見されていると。一 番多いのが大腸がんでございますし、大腸がんの検査は、標準方式でいきますと便潜血と いうことでございますので、一番費用対効果の面で見れば効率的なようなイメージはあり ますが、そこはまた研究班のほうでまたいろいろとご検討いただこうというふうに考えて いるところでございます。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  患者必携につきまして、まだ本当たたき台ができたという状態ですので、今後の方針を 決めていただくとともに、皆さんにもご協力いただいて評価していって、よりよいものを 早く届けるようなことができればと考えております。よろしくお願いいたします。 ○垣添会長  患者必携の配布先に関してご意見ありましょうか。  廣橋委員、それから本田委員。 ○廣橋会長代理  この患者必携、私もこれを読ませていただいて大変充実したものになっているとは思う んですが、だからこそ、逆に本当に広く配布するのであれば、先ほどの埴岡委員からの説 明の趣旨のとおりに、患者さん全員に配布する方向でやるのであれば、本当に読まれるも のにするということも非常に大事だと思います。そういう意味で、今のフルバージョンが いいのか、それともこの「がんになったら手にとるガイド」の内容も、パンフレットにし て、1冊のバインダーにとじ込める程度のものにして配っていくということのほうを考え るのか、どちらがいいのかを比較検討することが非常に大事なんではないかなと思います。  それから、その次の段階としてどういう配布の方法がいいのかということが重要です。 簡略化したものをなるべく広く全部に配っていくこととし、それからこういう詳しいもの を見たい方は、そういう方はインターネットにアクセスもあるだろうし、あるいはは有料 ということも考えることもできるかもしれません。いろいろ方法を考えて、併せて普及を 図ったほうが良いというふうに考えます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  本田委員。 ○本田委員  患者必携の部分なんですけれども、一つは大変充実したものが試作版ということで出て きたことをありがたく思っています。  ただ、まず配布の方法ということでしたけれども、私もそれにも関わるんですけれども、 この中身なんですけれども、一つはこのつくり方で、私自身も患者・市民パネルのメンバ ーとして「私のカルテ帳」検討会に参加して、一緒にかんかんがくがく、いろんな患者さ んとやったんですけれども、もっと早くやってほしかったと。既にもうこのがんに、この 手にとるガイドのほうはでき上がっていて、実はもうライターさんが書いちゃっていた後 にこういうことが開かれていて、いや、この構成じゃないよねとみんないろんな意見があ ったので、そこら辺ちょっと残念だったなということが一つあります。  それと、皆さんおっしゃっていたのは、この手にとるガイドのほうで大変皆さん好評だ ったのが、療養生活のときの社会的な制度、そういうものについてすごく詳しくて、こう いうのは便利だねという一方で、ここにある中のそれぞれのがんの内容が、こんなの辞書 的な内容じゃないよと。この程度の内容だったらその辺にいっぱいあると。どっちにしろ、 辞書的なものにするんだったらもう少し書き込んでほしいし、その辺のバランスをもう一 回見直してほしいという意見もたくさんあったので、その辺も考えた上で、だれに配るの かというところが変わってくるんじゃないかなと私は感じています。  もう一つだけ言わせてください、すみません。  この今までの議論という中で、このがん検診の資料2−6のところとか、先ほど埴岡委 員がおっしゃったように、これからの効果というものを見ていくというのはとても大事だ と思うんですけれども、一方でこの2−6の資料を見てみますと、これはがん対策のため にとったわけではなくて、この報告の概況のものなので仕方ないのかもしれませんけれど も、例えば1ページ目の一番下のほうを見てください。注として「乳がん検診にしては、 視触診方式及びマンモグラフィの併用者を計上。」なのか、これは視触診だけの人も入っ ているんですか。それに、この乳がんクーポン、検診クーポンも、これは国のガイドライ ンに基づいたようなちゃんとした検診がされるために使われるのか、市町村がやっている やり方だったら何でもいいのかとか、その辺をちょっと、それで効果という部分も変わっ てくるのかもしれませんし、そういうこともご説明いただければと思いました。すみませ ん。 ○垣添会長  乳がん検診に関して事務局から。 ○前田がん対策推進室長  こちらは視触診方式及びマンモグラフィの併用ということですので、今のがん検診の指 針どおり、両方やっていらっしゃる方ということでございます。  ですから、もう触診だけの方は入っていないということで、マンモグラフィもやってい る方ということです。 ○垣添会長  全体議論で、先ほど手を挙げた永池委員。 ○永池委員  私は、がん診療連携拠点病院の現況報告の中で、充足率の低い上位5要件の中の一番最 後の緩和ケア外来の設置状況に注目をしております。基本計画の中には、住み慣れた家庭 や地域での療養を選択できる患者数の増加とうたわれておりますけれども、そのためにも やはり緩和ケア外来の設置というのが大変必要不可欠であり、重要な位置づけにあると思 っております。前回はこれが43%と記憶しております。それが68%まで上がっているとい うことには、皆様方の尽力があったと思いますので、引き続き100%に向けてご尽力をお願 いしたいということと、もし何か特別な策をこの間とられたのであれば、具体的にどのよ うなアプローチをされたのかを少しご説明いただければと思います。  と同時にですが、設置数ということで、外来の数は増加してきていますが、その中で何 を行っているのかということが次に重要なところになるかなと思います。私どもが調べた 限りでは、こうした支援センターであったり緩和ケア外来に専門看護師、認定看護師、が ん関連の者がおりますので、こうした人たちの働きかけによってかなり患者さんの満足度 が高まった、また地域連携の中においても大変重要な活動をしているということがわかり ましたので、ぜひともこうしたところに専門性の高い看護師の配置をお願いしたいと考え ます。  そして、最後でございます、患者必携に関しまして先ほどご意見ということでございま したので、私は、一人一人のがん患者さんに手渡されるということは大変重要なことだと 思います。それで、これをどう活用するかをご検討いただくことも大変重要なことではな いかなと考えております。例えば今私が手にしている「わたしの療養手帳」、この点の12 ページをご覧いただけますと、ストレスが様々な症状の説明を受けたり、治療の過程の中 でも発生してくる、それによって不安であったり落ち込みがあるということが書かれてい る中で、がん診療連携拠点病院には緩和ケアチームもあります、相談してみましょうとう たっているときに、じゃその次にどう対応していくのかといった意味では、これを活用し ながら、必ずどこどこをご覧ください、又辞書のように、テキストのようにとただ記載し てあるのではなく、ではあなたの場合は、一緒に治療方針をここに記載しましょうかとか、 こういうことが効果があったとか、このケアが有効ではなかったのかとか、そういった経 過の記載がともに実施していければ、ただ単に紙面の手渡しではなく、患者必携の有効な 活用ができるのではないかなと思います。そういった意味でも、患者さんのことがよくわ かりケアができる専門性の高い看護職を配置について、また引き続きお願いしたいと思い ます。 ○垣添会長  どうもありがとうございました。 (厚生労働大臣入室) ○垣添会長  ここでちょっと中断させていただきまして、ただ今、舛添厚生労働大臣が到着されまし たので、一言ご挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○舛添厚生労働大臣  どうも皆さんこんにちは。座ったまま一言申し上げます。  国会日程の都合で遅れまして、大変申しわけございません。  皆さん方には、委員にご就任いただきまして、また今日こうしてお集まりいただきまし て、誠にありがとうございます。  やはりがんが昭和56年に死因の第1位になったということで、国民の命と健康を守ると いう観点から、非常にこのがん対策というのは必要なことだと思っております。  ご承知のように、平成18年6月にがん対策基本法が成立して、翌年の19年4月から施行 されております。  このがん対策協議会は、このがん対策基本法に基づいて、がんの患者、それからご家族、 それから医療の従事者、学識経験者の皆様を委員としてお迎えして、政府が策定するがん 対策推進基本計画についてご審議をいだだくということで特別に設けられたものでありま す。  19年6月に閣議決定でがん対策推進基本計画というものを策定いたしましたけれども、 この協議会において様々貴重なご意見を賜っております。また、この基本計画の策定後も、 こういうふうに今日も含めて、大変貴重な意見をいただいているところであります。さら に先般の3月には、基本計画策定当時の委員の有志が中心となって作成されました70項目 にわたりますご提案が「平成22年がん対策予算に向けた提案書〜元気の出るがん対策〜」 として協議会において取りまとめられました。私が非常にこれを高く評価いたしておりま すのは、これから政府というか霞が関というか予算編成というか、これを変えていくとい うときに、やっぱり現場の声が一番大切ですから、そういう形で現場の皆さんがまとめら れたものを予算編成していくという非常に画期的なものだというふうに思っておりますの で、ぜひこういう取組みを今後ともお続けいただきたいと思います。  当面は、今年度の末をめどにしまして、基本計画の推移状況を中間報告として取りまと めることにしておりますので、またその際に皆さん方のご意見を賜りたいと思います。本 当にがんに打ちかっていく、がんをよく知ると、そしてがんと闘って、がんに負けない、 がんに勝っていくと、これが今非常に必要なことなので、まさに国民すべてにとっての関 心事でありますから、政局も不安定でありますが、しかしながら、だれが政権を担おうと、 どの政党が政権をとろうと、現場の声をきちっと反映させた予算をつくるということが、 これからの日本の新しい政治のやり方だと思っておりますので、皆様方のここでのご議論 が、これからの日本のがんについての行く末を決める大きな推進力になるということで、 大変ご期待を申し上げております。様々な分野のご家族の皆さん含めてここにおられます ので、一番私が大事だと思うのは、どうしても私の立場だと、医療提供者の話はよく聞く んですよ。お医者さん不足で、緊急時大変でこうだよと。じゃ、家族はどう思っているん だろうかと。だから、医療を受益するほうの立場も必要ですし、それから大所高所に立っ て両方見る人たちも必要でしょう。ですから、現場の感覚を取り入れるということと、例 えば私が医療提供者だったら、医療を受ける側の声によりよく耳を傾ける。それから、医 療ミスなんていう話があったりするときに、家族の皆さんも気持ちはわかるけれども、し かしこのお医者さんや看護師さん、ここまで頑張ってくれたんだと、こういう相互の理解、 お互いの立場をよく知るということが、やはりこれからの日本を、がん対策だけじゃなく て、すべての分野においてよくしていく道だというふうに思いますので、ぜひ忌憚のない ご意見を自由に出していただいて、よりよい形でのがん対策を国民の代表としておまとめ いただければと思います。  マイクを握るといつまでもしゃべっちゃうんで、またすぐ別の公務で、もうこれでここ を失礼しないといけませんですけれども、ぜひ私の思いの一端をご理解いただきまして、 本当に自由にご議論、会長のもとでいただくことをお願いします。  どうも今日はありがとうございました。失礼いたします。(拍手) ○垣添会長  舛添大臣、どうもありがとうございました。大変ご多用中、とにかく大臣のご出席をい ただいたということはこの協議会にとっても極めて重要ですので、ありがとうございまし た。(拍手) (厚生労働大臣退室) ○垣添会長  それでは、先ほどの永池委員のご質問で、緩和ケアの率が上がったことに関して。 ○前田がん対策推進室長  まず、拠点病院におきまして、医師に対する研修、これをかなり行われてきたと。それ が資料2−5にございますが、3,730名の方が、もう2日間、12時間コースのプログラムを 修了されていると。そういった方が病棟だけではなくて外来でも緩和ケア研修を受けられ た方が配属され、それで専門的な緩和ケアを外来で提供できるようになってきたと思いま す。そういう各拠点病院、そしてまた各都道府県もこの研修を主催されてございますので、 そういう努力が実を結んで68.4%という数字になっているところでございます。  そしてまた、拠点病院としてあり続けるためには、この10月末までに各拠点病院でこの 研修をしないといけないというふうな要件がございます。ですので、これはもう100%に向 けて今後数字はどんどん上がってくるものと思います。  以上でございます。 ○垣添会長  江口委員、日本緩和医療学会の理事長として、今の緩和ケア研修に関してご発言いただ けますでしょうか。 ○江口委員  厚労省委託事業など日本緩和医療学会が主体となって実施している統一カリキュラムに よる緩和医療研修会の研修を受けた方が増えてきました。しかし、御指摘のようにがん診 療にたずさわるすべての医師が研修を受講する必要を感じています。今年度も全国各地で の研修会のプログラムをもっと充実させていかなければいけないと思います。  緩和医療外来の件数だけではなく、やはり地域の中で在宅ネットワークと拠点病院など の医療機関との連携が一番大事です。まだ国内では、数も少ないのですが、今後はそうい う地域ネットワークをもっと充実させていく必要があると考えています。 ○垣添会長  ありがとうございます。  では、郷内委員、手を挙げておられました。どうぞ。  で、誠に申しわけありませんが、この辺りで次の話題に進ませてください。 ○郷内委員  それでは、手短に。  がん診療連携拠点病院の現況報告という資料2−3のところで、ただ今永池委員のほう から、充足率の低い条件ということで5つほど挙げられておりますが、私はやっぱり地方 の病院にかかっている患者として、地域連携パスの充足率というのが実態としてはもう、 ここにあるような50%以下以前に、まだ全く確立されている地域がないやに伺っておりま して、充足率の低い筆頭として、本当はここに上がってこなければいけなかったんではな いかと思っております。それで、緩和ケアの、ただ今江口先生のほうからもお話がありま したが、やはり拠点病院単独ではなくて、地域での連携ということは、基本計画の大きな 柱であると思いますし、もう2年も3年も経過しておりますので、やはり一刻も早く各地 においてひとしく連携パスが確立されるということを願っております。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。  連携パスに関して何か事務局ありますか。 ○前田がん対策推進室長  この拠点病院の要件でございます5大がん、肺がん、胃がん、乳がん、肝がん、大腸が ん、その5つのがんについて、各拠点病院において地域連携クリティカルパスをつくると いう要件につきましては、こちらは平成24年4月1日施行ということでございまして、移 行期間が4年あるものでございます。ですが、やはり今のうちに何回かは、拠点病院です とか地域の医療機関、診療所、在宅療養支援診療所などをが集まり、パスをつくっていく ための議論というものは進めていかなければいけないということでございまして、来週、 7月3日でございますが、がん関係の主管課長会議及び各都道府県のがんの診療連携拠点 病院会議、そちらを私どもと国立がんセンターとで開かせていただきまして、そして地域 連携クリティカルパスについてのご議論もいただいて、早急に作成していただくようお願 いをする予定でございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。私は東京都のがん対策推進協議会の委員もやっているんです けれども、そこで聞いている議論では、東京都というような巨大なところでもやっぱり連 携クリティカルパスをいかにつくるかということで、各拠点病院と、それから協力病院だ ったかな、その病院の代表者がかなり熱心に議論されていて、ひな形が随分できてきてい ます。まだ不十分であることは私もよく承知していますけれども、動きは随分出てきてい るというふうにご理解ください。  誠に申しわけありませんが、先に進ませてください。  報告事項の3、各種通知について、事務局から説明をお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  資料3−1でございます。昨年1年間、3回ほどにわたりまして、各都道府県の作成し たがん対策推進計画、そちらのアクションプランというものを各県できちんと進行管理で きるようにすべきじゃないかというふうなご意見をいただきまして、そして2月26日の第 9回協議会で案を提示しましたものにつきまして、資料3−1のこの「「がん対策推進計 画を推進するための都道府県の主な取組」の作成について」ということで、10月31日まで に作成し、報告していただくよう技術的助言という形で提示をしてございます。  そして、がんの医療の均てん化、たばこ対策、がん検診対策、その3点についてのアク ションプランをつくっていただくということと、そしてこの17ページにございますが、報 告のイメージで、県の設置する協議会、そちらの開催回数とその協議会に占めるがん患者 や家族の割合、そういったものも報告をしていただくということで、県の協議会が休眠状 態にならないように、国としてもこういった方法を取り組んでいこうといたしてございま す。  もう一点が資料3−2でございますが、市町村のがん検診事業の充実強化についてとい うことでございます。こちらにつきましても、前回お諮りしたがんの検診の対象者の分母 の統一化というものを図る通知ではございますが、この後段にございますが、平成21年度 から地方交付税措置を拡充するということで、市町村がん検診事業の規模拡大について、 管内市町村に対する指導をお願いしているという通知を3月18日付で出しているところで ございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  何かご発言、ご質問等ありましたらお受けしたいと思いますが。  どうぞ、内田委員。 ○内田委員  今回、がん検診に対して、地方交付税のほぼ倍増とか、それから女性のがんに関する検 診費用ということで216億とか、かなり予算が大幅につけられているわけですけれども、実 際の現場、検診に携わる立場から申しますと、これが本当に予算はついたけれども使われ るのかという問題、それから、予算がついたけれどもできるのかという問題、そしてでき た場合に精度管理は本当に大丈夫かという非常に大きな課題を突きつけられている。これ が今年度予算がついたけれども、その検証の段階で様々な問題が出てくるというふうに考 えられています。私どもは7月12日に都道府県の医師会のがん対策の委員を集めて協議会 を開いて、垣添先生や前田室長の話も伺うわけで、これはテレビ会議でも全国の医師会の 会場に流す予定にしておりますけれども、それでかなり周知とか質の向上とかということ を図って取り組んでいきますけれども、まだまだ今年度こういういきなり倍増して、それ に対応するだけの体制が組めるかということで非常に危惧しているところがあります。こ れは、今後がん対策室のほうとも、またがんセンターの情報センターのほうとも連携を密 にしながら、また対がん協会や何かともぜひご協力をいただいて、その辺のところの取組 を充実していかなくてはいけないというふうに思っていますが、何しろ具体的な取組がま だ始まっていないというところで、様々な方からのご意見を伺いながら、これからどうや っていくかということで非常に大きな課題を突きつけられているというふうに感じており ますので、ぜひご指導のほうよろしくお願いしたいと思います。 ○垣添会長  今、内田委員のご発言は非常に重要で、つまり予算がついたのは大変ありがたいことで あります、補正予算と、それから地方交付税が倍増されたというのは。しかし、それが現 場では受け切れないんじゃないかという議論が今しきりに行われていて、この女性がんの 受診率を50%に上げ、しかもその精度管理がきちんといけるかいけないかというのは、今 後の我が国のがん検診を本当に左右する極めて重要な事業になってくるんじゃないかとい うふうに思いますが、今のご発言に関して何か。 ○前田がん対策推進室長  まず、予算の点でございますが、やはりがん検診受診率を50%と、5年以内に50%以上 というこの基本計画の目標を達成するためには、内田委員が指摘された点をすべてクリア しなければできないことだというふうに認識してございます。  そして、まずその予算がうまく使えるかどうかということにつきましては、やはり受診 者の利便性の確保、夜間ですとか休日でのがん検診の受診、そして居住地以外の検診機関、 医療機関での受診、そういった受診者の立場に立った受診環境の整備というものを各市町 村なり県が調整することによって進めていく必要があろうかと思ってございます。  そして、そのアクションプランの中にも、がん検診の点が精度管理及び受診率向上に向 けて記載してございますのは、市町村任せにするのではなくて、県も総合的にがん検診の 受診率向上策について様々な調整を行っていただくと、そういう必要があるということで、 アクションプランの中の一つの項目にがん検診を入れているところでございます。  そしてあと、マンモグラフィの整備などで、その台数の制限があることによって受診の 数が限られてしまうんじゃないかというふうなご意見もいろいろな自治体からも伺ってい るところでございます。そういう場合こそ、マンモグラフィの少ない市区町村にお住まい の方については、ほかの市区町村でも受けられるような、そういった委託契約先を増やす というふうな努力が必要かというふうな形で考えてございます。  また、検診団体さんにおかれましても、検診車の台数ですとか、あと検診を行う期間、 1月とか3月という冬の期間でも検診車をいろんな地区に派遣をしていただくなど、そう いう今まで以上の検診機会の増大というものに向けて、検診団体様のほうにも頑張ってい ただくよう、様々な働きかけを行っていきたいというふうに思っております。  そしてその上で、きちんとしたがんの発見につながる検診になるかどうかという精度管 理、こちらにつきましても、やはり各市町村が精度管理及び事業評価を行うという基本計 画の趣旨にのっとってございますが、県もこのアクションプランの中でも精度管理の部分 をかなり強く強調してございますので、そこをチェックしていただきながら、県の相談に 乗って、国としてもできるだけ技術的な助言はしていきたいというふうに考えてございま す。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  荒生委員。 ○荒生委員  女性特有のがん検診のほうの取組ということで、こちらの酒田市でも9月から実施とい うことで、補正予算のほうを組みまして今準備の方を進めております。  2点ほどちょっとお願いしたいと思いまして発言しますけれども、先ほどから、近隣の 市町村及び県域を越えた市町村との連携強化ということで、キャパシティーのほうの増加 について各市町村で取り組んでいただきたいというような要望がありますけれども、現在、 酒田市でも産婦人科の医療機関が減少しているということで、大変で隣の市の医療機関の ほうの協力を得ないかということで、一応協議はしているんですけど、なかなか近隣市町 村の医療機関を受診できないような形で今ちょっと難航しております。やっぱり相談とし て、こちらのほうとしては県のほうに一応要望とか取り入れているんですけれども、なか なか県の方のサポートももらえないというような状況もありまして、こちらのほう、県の 方のサポートのほうもぜひよろしくお願いしたいなということと、あと先ほどから、もう 1点ですけれども、実績評価の件ですけれども、単年の実施ではやっぱり評価のほうは難 しいので、できれば経年的にこちらの女性特有のがん検診の推進を進めていただきたいな と思っております。  以上です。 ○垣添会長  ありがとうございました。経年的事業にしてほしいという要望は皆さんお持ちだと思い ますが、ぜひ事務局としても、それから大臣が来られましたから、聞いていっていただけ るとよかったんですけれども、必ず伝えるようにしていただけると思います。  申しわけありません。先に進ませていただきます。  報告事項の4、がんに関する普及啓発懇談会の概要について、座長をお願いしておりま す中川委員から説明をお願いいたします。 ○中川委員  それでは、資料4−1をご覧いただきます。  このがんに関する普及啓発懇談会、前回の本協議会から2回、第3回と第4回が開かれ ました。この協議会のミッションは、まずはがん検診に関する啓発をし、そして受診率を 向上しようと、そういうものです。それについて、今、荒生委員からのご指摘もありまし たが、ちょっと資料2−1をご覧いただけますでしょうか。この基本計画の中で、大きな 2つの目標のうち1つが、75歳未満の年齢調整死亡率の20%削減という項目がございます。 これに当たって、どうしてもがん検診受診率を50%に持っていかなければこの目標は達成 できない。そのためにこの普及啓発懇談会を開催しているわけですが、しかし現状は、こ の平成16年から19年度を見ていただいて、この中で若干上がっている、例えば肺がんが 16.7から25.7。ところが、女性のがんの子宮頸がん、これは21%で変わらない。乳がんに 関しても20%で変わらない。むしろ対がん協会のデータなどを見ますと、ここへ来て減っ ているんではないか、そういうデータも出ております。したがって、これは大変憂慮すべ き状況であるということをまず共有していただく必要があると思うんですが、そういう意 味では、今回の女性特有のがんに関する取組というのは必要なことだろうというふうに思 っております。  その上で、資料4−1、第3回のがんに関する普及啓発懇談会ですが、これ、ご覧にな っていただければ分かるんですけれども、まずは評価されるような取組事例を第1部の公 開シンポジウムという形で行っております。第3回では、がんセンターのがん情報・統計 部長の祖父江先生から、韓国のがん検診受診率が50%になった。日本は2割、韓国は5割、 しかも韓国ではがん登録も同時に非常に進んでいるんですね。日本は完全に水をあけられ たというふうに認識せざるを得ない。この取組がご紹介されております。  その後、今日の委員でもあられる天野さん、それから一緒にお話しいただいた佐藤さん から、英国における「がん当事者の語り」ということをお話しいただいて、そのほか、対 がん協会の塩見事務局長、それから富山県の取組、この現場の取組も非常に参考になるん ですね。こういったことをお話しいただきました。  その後、懇談会では、ここにあるような議論、特に私からは韓国の翻訳をして、そして 第4回で配布し、ご説明していただきたいということを申し上げました。  それから、天野委員から、個人への受診勧奨の通知、それから検診費用の負担軽減につ いてのご発言がございました。  若尾委員からは、この事例について何らかのデータベース化を図れないかというご意見 がありました。  裏をめくっていただきまして、第4回、これは5月22日ですけれども、公開シンポジウ ムのほうでは、企業の取組として「BRAVE CIRCLE大腸がん撲滅キャンペーン」、これが1 つ、これはオリンパスの所属でもある山岡さんからご説明、それから、フジフィルムメデ ィカルの岡本さんから「乳がん検診率50%以上達成に向けた戦略的施策の概要」、ご説明 いただきまして、また本協議会の委員でもあられる荒生委員から「酒田市の取組につい て」、それからまたキャンサースキャンの福吉さんから「マーケティング手法を用いたが ん検診受診率向上の取組について」、こういうことをお話しいただきました。  そして、懇談会に移っては、対がん協会の塩見委員から、がん検診に関するインフラの 構築をするべきだ。  この後、この段階で補正予算、先ほどから議論のある216億円の補助金についての報告が 事務局からありまして、その後、この受診勧奨事業に関するキャッチフレーズ、それから ロゴ、それからイメージキャラクター、これは厚生労働省のホームページを通して公募い たしまして、これに関してキャッチフレーズ613作品等々の多数の応募がありまして、委員 の中で一次選考を行い、さらに二次選考を行って、各部門ごとの上位の作品を選びました。 こういったことを懇談会の中では行っております。  最後ですが、今までのご議論の中でちょっと私、この啓発懇談会に関係することで少し お話しできればと思っておりますが、まず先ほど垣添会長もご指摘になりました継続です ね。どういうやり方でするかということはともかく、これ、天野委員がお話しになった当 たり年、当たり年になるということが言われないように、やはり継続して行うべきかと思 います。  また、天野委員もおっしゃいました、それから廣橋委員もおっしゃいました、それから 内田委員もおっしゃいましたこの市町村間の調整、それから現場、あるいは検証ですね、 有効性の検証、あるいはQAの維持、これに関して、私はやはり今回216億円というのが10 分の10の補助という形で地方に行きました。これは大変結構なことなんですが、やはりそ の地方と中央とが連携するような、もっと言うならば、中央側にも少しこれを調整あるい は検証するための予算を今後やはり確保していく必要があるのではないかというふうに思 いました。  ついでにちょっとだけ申し上げますと、この検診についてが216億円という予算がついた 反面、がん登録が余り増えない。3,000万という、これはいかにもという感じがします。こ の辺を考える中で、特に先ほどからの患者必携についての議論、埴岡委員がおっしゃった、 これは65万人のがん患者さんに全員に配る、これは大いに賛成です。こういうところにお 金を使わなければいけません。内容については、本田委員もおっしゃったように、ぱらぱ らとめくるとちょっと怖い感じがしますね。もうちょっとやわらかいトーンで、患者さん ががんと告知をされてこれをもらったときに、やはりその立場でもう少しやわらかい感じ にできないかという気がしますが、しかしこれを全員に配る。これは拠点病院だけではな く、そのことは、今私ちょっと申し上げたがん登録と関連するような気がしております。 がん登録を推進する中で、これが、こういったツールが役に立たないのか。65万人の方が ほとんどこれを通して、がん登録的な情報が、また別の議論もあるわけですが、情報が収 集できるようなことができますと、結果的には患者さんが得をする。つまり、日本発のエ ビデンスというのががん登録からしか生まれませんので、ぜひこのデータを患者さん側が 享受していただきたいなというふうに思っております。  長々申し上げましたが、以上ご報告でした。 ○垣添会長  ありがとうございました。  続きまして、今の報告事項4の続きで、がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペ ーンイメージと、報告事項の5、平成22年度がん対策予算に向けた提案書について、事務 局から説明をしてください。 ○前田がん対策推進室長  まず、この第4回の普及啓発懇談会のプレゼンテーマの(3)の酒田市の取組で、荒生委員 の名前、「荒井」という誤字になってございます。「井」でなくて、荒生委員の「生き る」という字に訂正させていただきます。  そして、資料の4−2でございます。「がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペ ーンイメージ」ということでございます。今年度は、企業連携の推進、国レベルでも地域 レベルでもかなり進めていくということでございまして、そしてまた、先ほど中川委員か らもご報告ございましたロゴ、キャッチフレーズの選定なども行ったところでございます。  それで、まず本省といたしましては、がん検診受診率向上国民運動記念大会、まだ仮称 でございますが、それを開催しまして、受診勧奨の優良企業や団体、ロゴ・キャッチフレ ーズ、そして小中学生を対象としたポスター及び感想文の表彰、そしてまた、がんに関す る普及啓発懇談会による公開シンポジウムの開催、そして政府広報による普及啓発、そし て全国キャラバン・リレーフォーライフの実施などもできるだけやっていきたいというふ うに考えてございます。  そして、がん対策情報センターにおいては、がんに関する知識のインターネット、携帯 メール、パンフレット等による情報発信を行っていただくということを考えてございます。  都道府県におきましては、県の普及広報パンフレット、そして地域の特性に応じた普及 啓発活動の実施、そして住民に接する機会を持つ企業や特定健康診査との連携による受診 勧奨事業の実施、そして市区町村においては、無料クーポン券及び検診手帳の配布、そし て検診の実施、そして受診勧奨事業の実施を行っていただくということをまず自治体のラ インでの取組として考えてございます。  そして、左の関係団体等のところでございますが、患者団体におかれましては、集中キ ャンペーン期間による各種イベントへの協力のご依頼、そして社団法人日本医師会におか れましては、かかりつけ医からの受診勧奨の協力依頼、そして財団法人日本対がん協会に おかれましては、インターネット、イベント等による啓発活動、相談支援、そして様々な 特定非営利法人、任意団体において新聞広告、インターネット、イベント等による啓発活 動、そういったものを進めていただければというふうに考えてございます。  そしてまた、右のほうでございますが、今年度からスタートしましたがん検診受診促進 企業連携実施本部でございますが、がん検診サポート企業への集中キャンペーンに合わせ た受診勧奨事業の依頼、そしてウエブサイトでの公開などを行っていくことにしています。  そして、拠点病院においても、相談支援センター、外来窓口での受診勧奨事業の実施な どを行っていただくというふうな、時期を同期化させることによって集中キャンペーンの 効果を上げていこうという取組を進めていきたいというふうに考えているところでござい ます。  そして、続いて資料5でございます。先ほど大臣からも非常に高く評価されておられた 「平成22年度がん対策予算に向けた提案書〜元気の出るがん対策〜」ということでござい まして、この1ページ目に、提案の骨子でございます3点、がん対策予算を大幅に増やす 必要がある、そしてがん対策予算の作成プロセスを改善すべきである、そして70本の推奨 施策への取組を進めてほしいと、こういったところを骨子といたしました提案を3月19日 に舛添厚生労働大臣に会長から渡されたところでございます。  がん対策推進室といたしましても、この提案の中にございましたやはり県と国とのコミ ュニケーション不足、そういったものを解消する必要があるというふうに思いまして、3 月9日から3月23日の約2週間の間、ここ特に資料には載せてはございませんが、全都道 府県に対して、新しい新規事業ですとか既存の事業、そちらについて県がどういった取組 を行っていくのか、それぞれ各1時間ずつ予算の担当者が全都道府県からヒアリングを行 い、そしてアドバイスできるものはアドバイスをして、そして国としての役割を、この提 案書に書かれたことを少しでも実現できるような、そういった予算面、そして拠点病院の 更新の相談、そういった対応をいたした次第でございます。  以上、報告でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  ただ今の中川委員、それから事務局の説明に関して何かご発言いただきたい。  これは絶対埴岡委員はご発言いただかないといけないと思いますけれども、どうぞ。 ○埴岡委員  それでは、ご報告を兼ねまして、まず「元気の出るがん対策」についてコメントいたし ます。  3月19日に、垣添会長を初め、海辺元委員、富樫元委員とご一緒に大臣に提案を手交し てまいりました。  その際、今日、委員のお手元に資料を配布しました「施策70本、600億円相当」のものを 出しました。前回のこの協議会に提出した案の段階では「施策59本、500億円相当」であっ たのですが、前回の議論を受けまして、垣添会長により「施策70本、600億円」に増補改訂 をして成案となっております。  舛添大臣にそのときお渡ししたのは、本日配布されております提案書レジュメとともに、 改訂提案書本編、改訂した施策集、それから前回協議会にも出ておりましたアンケート回 答集とタウンミーティング意見集となっております。  今日、舛添大臣からもあのように評価のコメントいただきました。まだこの協議会に増 補改訂後の本編と施策集が出されておりません。ぜひこれを皆さん、マスコミの方あるい は国民の方に見ていただけるように、協議会資料として採用・掲載していただければとい うふうに思います。  この提案書の作成プロセスに参加された皆さんには喜んでいただいております。大臣に も、さきほどのように喜んでいただいています。だからこそ、これをやっても何も変わら なかったということではむしろ失望に変わってしまいます。我々とりまとめのお手伝いを した者といたしましても、本当に提案書の内容の実現に関しては全力を尽くしていただけ ればと思います。  それから、普及啓発懇談会について、一言だけコメントをさせていただきます。これは 質問です。がん対策は死亡率を減らすために、均てん化で5%ポイントほど改善させ、検 診で4%ポイントほど改善させ、たばこ対策で1.6%ポイント改善させる3つの柱がありま した。ところがこの普及啓発懇談会の対象範囲は、がん検診だけなのでしょうか。できれ ば3本とも普及啓発が大事ですから、すべてを対象としていただければと思います。  それから、今後がん検診に関しては、企業とのパートナーシップが増えていくとおっし ゃいました。パートナーシップを組むときの選定等プロセスの基準など、その辺の方針が あるのであれば教えていただきたいと思います。その2点は質問でございます。 ○中川委員  まず、私どもに関する2つのうち啓発の範囲ですね。これは当初、がん検診ということ にかなり特化していた印象を私持っていたんですが、ただいろいろ議論していますと、結 局日本人ががんのことを知らない、だから検診を受けない、そういう思いを持って、その ことはがん室の皆さんとも随分協議をして、ですから、今私の立場としては、もちろんが ん検診受診率を上げるということがファースト・プライオリティーではあるものの、がん 全体の啓発をここでしていきたいというふうに思っています。  2つ目の企業連携、資料4−2ですね。ここにがん検診受診促進企業連携実施本部と、 こういう長い名前がありますけれども、これが今おっしゃった企業連携に対する窓口とい うことになります。  ただ、これは実は0.9億円の予算が当初予算としてついていまして、これは評価委員会が あって、そして評価をいたしました。ただし、これはまだ公開されておりません、その結 果がですね。ですので、おいおいまたこれ出てくると思いますけれども、今後その企業、 決まった企業を中心に企業を巻き込むという形になるんですが、というのは、当初はこの 交付税の措置、倍増、それから補正予算による216億円というのは全く想定しないままこの 啓発懇談会が動き始めて、ですので、一般的に言うならば玉がなかった状態なんですね。 ですから、企業連携を唯一の、しかもそれが1億円以下と非常に厳しい中で、ただこうな ってきますと、現実に現場には、先ほどの議論にように現場は大変で、解決しなければい けない問題がたくさんあるものの、しかし玉がついたということは、それはいいことであ って、ですから今度逆にこの企業連携実施本部の役割が少し変わってきている。つまり、 今までは理念だけ言っておればよかったようなところが、今度はきちっと現場と連携する 必要があって、もちろん企業との連携がまず第一義なんですが、ですから今後は地方の現 場とこの実施本部とがうまく調整していく、その機能もここに必要だろうなというふうに 思っています。 ○垣添会長  ありがとうございました。  前川委員、どうぞ。 ○前川委員  手短に3点ほど発言させていただきます。  資料4−2で、厚生労働省の真ん中の辺りに、小中学生を対象としたポスター及び感想 文の表彰とありますけれども、この辺りで小中学生という言葉が出ております。小学生、 中学生にやはり学校でのがん教育、今までも協議会でたびたび出ているとは思いますけれ ども、まだ多分実現されていないと思います。文部科学省と連携をとっていただき、ぜひ 小中学生または高校生とのがん教育、命の大切さを話す機会を持っていただきたいと思い ます。  私が時々、命の授業というんですか、そういうのに行っているんですけれども、感想文 の中に非常にやわらかな感性、「初めて知った」、「がんについて学べてよかった」とい った感想文をいただいております。ぜひそういうふうながん教育をしていただきたいなと 思っております。  2点目、検診手帳なんですけれども、今ここにいらっしゃる方々はがんに関わっていら っしゃるので非常にもう分かっていることなんですけれども、普通の健康な人は何も分か りません。これを見まして理解しやすい。この検診手帳をきっかけに、健康な人たちがが んに対して、先ほど中川先生もおっしゃいましたように、関心を持つ一つのきっかけにな ればと思います。そして、これを送った場合、意外と郵便局から来た場合、封をあけない んです。だから、ぜひ封をあけたいように、封筒のところに、何かあけたいなと思わせる ような、市町村でやっていただければと思います。  3点目は、ここで言っていいかどうか分からないんですけれども、舛添大臣がおっしゃ った、医療受益者の声が大切だとおっしゃいましたので、ちょっと勇気を持って言わせて いただきます。  先ほどの冊子ですけれども、今まさに私の周りでがんセンターで4カ月入院している患 者さんがいらっしゃいます。そうすると、もう情報が欲しくて欲しくてたまらない。いろ んな情報を探し当てて、もう難しいものから簡単なものから、その中でおぼれておられま す。その方に、ぜひ見せてあげたいなと思いました。緩和ケアに関しても、これを見ると わかりやすく書いてあります。その方は、自分が緩和ケアもしくはターミナルに近いとい うことを認識されておりません。主治医もそのことを伝えていないんですね。その主治医 がなぜ伝えないのかと私がお尋ねしたら、もうちょっと悪くなって動けなくなったら伝え ますとおっしゃいました。それで、それを見まして、こういうものをぜひ彼女に見せてあ げたいなと思いました。この3点でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  最初の小中学、高校生に対する学校教育といいましょうか、がん教育に関して文部科学 省で、いつかもお尋ねしたかもしれませんけれども、一言ご発言いただけませんか。 ○倉崎研究振興戦略官  ちょっと前回も同じことをお話ししたと思いますが、担当部署がちょっと違いますので、 前回もそういう要望があったということを担当部署にはお伝えはしておりますけれども、 また引き続き、中でもちょっと働きかけをしたいと思います。 ○垣添会長  強い決意で臨んでくださいよ。これやっぱり毎回同じ問答を繰り返すのは大変ぐあいが 悪いと思いますので、ぜひよろしくお願いします。  検診手帳の送付の件はよろしいですね。お聞き及びのとおりで、よく考えてあれしてく ださい。  それから、医療従事者の声、情報の重要性。若尾委員。 ○若尾がん対策情報センターセンター長補佐  じゃ、一言コメントさせていただきます。  先ほどの資料、時間がなくて飛ばしたんですけれども、この患者必携は患者さんのため だけとは考えておりません。医療従事者にとって非常に役立つものと考えています。情報、 患者さんのどういうことを考えていらっしゃるかということをなかなか知らない医者が多 いというのが現実だと思います。それを知っていただくということと、やはり先ほどもご 指摘ございましたけれども、この手帳を書くことによって、今不足しているコミュニケー ションのきっかけとなる道具だと思っておりますので、患者さんだけじゃなくて、医療者 にもぜひ使っていただきたいと考えております。 ○垣添会長  お願いいたします。どうぞ。  発言いただいていない南委員、それから安岡委員。 ○南委員  今のターミナルを迎えつつあるのにそれを知らされていないということをお聞きしまし て、我々医療従事者は非常に反省しなければいけないとは思うんですが、今こういった枠 組みで、枠組みは整いつつあると思うんですよね。先ほど、がん相談の数字が出ました。 数も大事だとは思うんですが、やはりクオリティーをどう検証していくかというのは、早 急には無理でしょうけれども、近い将来、実際に枠組みの中で行われているクオリティー、 数だけではなくて、クオリティーをどう評価していくかということもやはり検証していく 必要があるということを1点指摘させていただきたいと思います。  それから、今がん検診の受診率を上げる必要があると。それはもっともなんですが、内 田委員からも先ほど意見がありましたけれども、受診だけ上げても、それを賄えるのかと いう点をぜひご考慮いただきたいということと、1つ確認なんですが、この検診に分けた 予算というのは、例えば機器の導入だとか、それを扱う人の予算に使えるかどうかという ところ、受診の費用だけを自治体に賄ったのでは、医療機関で賄い切れないと思いますの で、やはり柔軟な予算の運用ができるようなことを考えていただきたいということが医療 現場からの2点目です。  それから、またこの後出てくるのかもしれませんが、禁煙ですね、たばこ対策をもう少 し積極的に推進すべきだろうと。がんを起こさなければいいわけで、がんを早く見つける というよりも、がんをつくらないというような努力、たばこを本当に全面禁煙すれば、1. 何%なんていう小さな数字どころか、かなりの数字を期待できると思いますので、もう少 しそこらに力を入れるべきだろうと。そのたばこ対策に関しましても、私、関東から関西 に異動しまして、地域格差は大きいと感じています。 ○垣添会長  ありがとうございました。  検診の補正予算の使い方に関して一言だけ。 ○前田がん対策推進室長  まず、検診の補正予算につきましては、がん検診に係る予算ということでございますの で、基本的に機器購入は入ってございません。ただ、この検診手帳ですとか、あとこのお 知らせとかクーポンですとか、そういったものの印刷費、そしてそれを封筒に入れて発送 する賃金職員の人件費、そういったものは内容として交付要綱の中に組み込む予定でござ います。  機器などにつきましては、各市区町村でがん検診の予算として地方交付税化されていま すので、例えば市立病院で機器を購入する際とか、そういう場合には、ある程度購入する ことができることもあるかもしれませんし、また補正予算の中で地域医療再生計画の中で、 いろんながん検診の機器を購入することが地域医療の再生につながるというふうな形でき ちんとした計画ができ上がると、それは非常に質が高いものでないと結構厳しいというふ うに医政局から伺ってございますけれども、そのほかの補正予算などの活用などもできる かとは思います。ただ、それがすべて補正予算として採択されてうまく使えるかどうかと いうことについては、その地域の実情をきちんと把握した上で計画を練らないといけない という点はございます。  以上です。 ○垣添会長  安岡委員、どうぞ。 ○安岡委員  検診も大切だということはよくわかるんですが、地域なんかで見ていますと、検診、検 診とすごく検診のことを強く言うんですが、検診からはみ出したがん患者、確かに今すご い苦しんでいらっしゃる患者さんがたくさんおられます。緩和ケアは、今緩和と検診とい うことにすごく力を入れている部分というのが見えるんですね。けれども、中の部分、今 現在がん患者がどのようにして苦しんでいるか、クリティカルパスもできていませんし、 がん難民は確かに地方なんかに多く出てきているんですね。それをいかにどうするのかと いうところをもうちょっとこういう議会で話し合っていただきたいなと思いました。 ○垣添会長  時間が限られていますけれども、具体的に例えば1点だけとか何かご発言いただけませ んか。この点はぜひ議論いただきたいとか。 ○安岡委員  まず、拠点病院からおりるときに、普通の地域の病院に橋渡しができていないというこ となんですね。橋渡しをして、今度もう治療法がないといったときに、じゃホスピス、在 宅、そこのところの橋渡しもできていない。そこでいろんなあふれ出た患者さん、たくさ ん相談センター、相談に来るんですね。そういうちゃんとしたパスができて、初めてこれ ががん医療というものになっていくのじゃないのかなって、最初と最後だけなんですね、 今見ていると。そういう感じがすごくするんですけれども、その真ん中の部分をもうちょ っと充実してほしいということと、それからすみません、ちょっと余談になるんですけれ ども、拠点病院のあれなんですけれども、要綱の中に患者の満足度調査を入れてほしいと いうのがずっとありまして、専門医がいないとかいう項目がすごくたくさんあるんですけ れども、その中にどうして患者の満足度調査がないのかなって、それをまず第一に入れて ほしいというのを思いました。 ○垣添会長  どうもありがとうございます。  拠点病院と関連して、病診連携とか病病連携の必要性というのは既に何度かご発言いた だいていますけれども、まだまだ不十分であることはよく皆さん承知しておられると思い ます、これはやっぱり絶対に進めていかなくちゃいけない。がん難民をなくす上でも。そ れから、クリティカルパスの話も今の話とつながることだと思いますが、極めて重要なご 発言だと思います。ありがとうございます。  まだいろいろご発言あると思いますが、申しわけありません、報告事項はこれまでにさ せていただきまして、協議事項に移りたいと思います。  まず、協議事項の1、がん対策推進基本計画の中間報告の案について、事務局から説明 してください。 ○前田がん対策推進室長  では、資料6−1と6−2に沿って説明させていただきます。  6−1が「がん対策推進基本計画中間評価報告書(素案)」でございまして、まず1ペ ージ目、2ページ目をあけていただきますと、目次の段階でございますが、今年度末を目 途に国会に報告をする中間評価の報告書の目次の案でございまして、この基本計画の策定 の趣旨、そして評価の目的、評価の結果、今後取り組むべき課題、そういったものについ て、全体目標に関わる部分、分野別の施策に関わる部分、それぞれについて評価をしてい く必要があるということを挙げているものでございます。  また、これについてご議論をいただきたいと思ってございますが、中身といたしまして、 資料6−2でございます。分野別施策と個別目標がございます。例えば放射線療法ですと か外来化学療法の実施、そういったものについて、前回の2月26日のときには、この左の 2つの列、分野別施策と個別目標のところは記載がございましたが、この右側の3列は真 っ白の形で、こういう形式で個別目標の評価をやっていきたいというふうな形でご承認い ただいたところでございます。  今回、この評価の指標とベースライン、そして評価方法、そちらにつきまして事務局と して案を考えて入力いたしました。  まず、放射線療法の実施体制についてはリニアックがあるかないか。外来化学療法の実 施体制についてはその部屋があるかないか。それを病院から出される現況報告書で評価を することにしています。  そして県拠点、特定機能病院については、そういった放射線療法、化学療法の部門が設 置されているかどうかを現況報告書で評価することにしています。  そして、抗がん剤の医薬品の新薬の上市までの期間の2.5年短縮、こちらについては独立 行政法人の医薬品医療機器総合機構で把握して評価していくことにしています。  そして、放射線療法、外来化学療法の実施件数については、2カ月間のデータを現況報 告で評価をしていくことにしています。  そして、緩和ケアにつきましては、まず基本的な知識についての研修は、その研修の修 了者数で把握をしていくことにしています。そして、その指導者については、がんセンタ ーと緩和医療学会の発行する修了書数によって把握することにしています。そして、緩和 ケアチームにつきましては、医療施設調査で把握をしていくことにしています。そして、 医療用麻薬の消費量につきましては、医薬食品局が調査しているデータによって把握をし ていくことにしています。そういったことを緩和ケアの部分までで考えてございます。  そして、在宅医療でございます。こちらにつきましては、がん患者の在宅での死亡割合、 これを人口動態統計で把握していこうと考えてございます。  診療ガイドラインにつきましては、がん対策情報センターにおいて作成されているガイ ドラインを把握していくことにしています。  そして、医療機関の整備につきましては、2次医療圏に比べて拠点病院の数がどれだけ 整備されているか。そして、地域連携クリティカルパスを整備しているところを現況報告 書で把握をしていきたいと考えてございます。  そして、相談支援につきましては、相談支援センターの整備は拠点病院数で把握できま すし、そしてがんセンターの相談の研修を終わった方につきましては現況報告で把握して いくことにしています。そして、パンフレットの配布と、そしてパンフレットを配布する 医療機関、そちらにつきましてはがん対策情報センターで把握するんですが、3ページの 一番下に書いてございますが、配布する医療機関の数、そしてその情報を入手できる方に ついては、定性的な説明という形で考えているところでございます。なかなか定量評価は 難しいというふうなことで事務局で考えてございます。  そして、拠点病院の診療実績につきましては、現況報告書から診療実績の項目を把握す ることにしています。  そして、院内がん登録につきましては、まずがん対策情報センターの研修を修了した人、 その人がどこで勤務しているか、拠点病院以外の院内がん登録実施医療機関の数を把握す ることを考えてございます。そして、予後調査の実施率につきましても、院内がん登録に 関するがん対策情報センターの調査によって把握していくということを考えてございます。 そして、がん登録の実務を担う人の研修につきましても現況報告で把握をすることにして います。そして、がん登録の認知度は世論調査で把握することにしています。そして、が ん登録の課題・対応策は、研究班で検討するということにしています。  そして、たばこの話、先ほども出てございましたが、喫煙の健康影響についての知識、 そして禁煙支援プログラムですとか、あと未成年者の喫煙率、それぞれについては統計情 報部の調査ですとか研究班で把握していくことを考えてございます。そして、野菜の摂取、 果物の摂取、脂肪エネルギー比率、こちらは国民健康・栄養調査で把握していこうかと考 えてございます。  がん検診の受診率につきましては、国民生活基礎調査で把握をしていくことにしていま す。そして、精度管理・事業評価を実施している市町村数は地域保健・老人保健事業報告 で把握をすることにしています。そして、国の指針に基づくがん検診につきましては、が ん対策推進室が都道府県に対して調査を行うことにしています。  がん研究については、研究関連予算額等について厚生労働省、文部科学省、経済産業省 において評価をしていくことにしています。そういった形で評価指標と評価方法の案を考 えてございます。  こちらにつきましては、その次の資料6−3にございますけれども、平成21年度中とい うことでございますので、今年度開催される本協議会においてご意見をいただきながら、 年度末を目途に国会に報告をさせていただくというふうなことを考えてございます。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  がん対策推進基本計画の中間報告の案について説明いただきましたけれども、これに関 してご発言をいただきたいと思います。  天野委員。 ○天野会長代理  ありがとうございます。  ただ今、中間報告についてご説明いただいたわけですが、3つございます。  まず、評価尺度ということに関しましては、ただ今、定性的、定量的というお話をいた だきましたが、まず今年度使用できる評価尺度、短期的な視点からの評価尺度というもの と、研究班などで中長期的に検討していく評価尺度というのを分けて考えなければいけな いかと考えました。  また、この中間計画に反映させていくという点において、短期的なものということに関 して言いますと、協議会が今年度どの程度の頻度で開催されるかちょっと分からないんで すが、もし昨年度並み、例えば5月、11月、3月といった形で年3回程度ということです と、明らかに開催回数が足りないのではないかと感じておりますので、開催頻度を考慮し ていただく、もしくは別部会を開催していただくことなど、ぜひご検討いただければと思 います。  また、3点目ですが、中間評価ということ、本日の議題に上がっているんですが、今回 の議題に全く入っていないと感じましたのが診療報酬についての話でございます。診療報 酬については、ご存じのとおり改定に入っていますので、がんの領域について、このがん 対策推進協議会で議論があってはいいのではないかと感じております。例えば先ほどから 出ていますように、地域連携クリティカルパスの問題とその充足率の問題がございました。 診療報酬については、平成20年に脳卒中が加わったわけですが、例えば地域連携の診療計 画管理料など、がんを加えるかどうかという議論も含めて、この協議会で一定の見解を示 す必要があるのではないかと感じております。  以上、3点でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。診療報酬のことは大変重要ですけれども、何かこの場でご発 言いただくことはありますか。 ○前田がん対策推進室長  診療報酬の改定が来年4月あるかどうかということも含めて、まだ不透明なところでは ございます。ただ、そういう事務的な作業について、そういった声も様々なところから、 大腿骨頭壊死、脳卒中に続いて、がんもそういった地域連携クリティカルパスの診療報酬 でのインセンティブが必要ではないかというご意見は承ってございますので、真摯に考え て検討していきたいと思っております。 ○垣添会長  やっぱりこの会自体は時間も回数も限られていますから、前回、元気が出るがん予算を 有志の方がワーキンググループの形でまとめていただいたのと同じように、幾つかの重要 項目に関して、やっぱりそういうワーキンググループをつくって、恒常的に検討していく 必要が恐らくあるだろうと思いますので、ぜひこういうテーマに関してつくってほしいと かいうご発言を事務局のほうに寄せていただければというふうに思います。  多分皆さん方のご了解をいただけると思いますが、その重要性に順位付けをして、そう いうワーキンググループを次々つくっていくということも考えていかないといけないと思 います。よろしくお願いします。  ほかに。はい、どうぞ、内田委員。 ○内田委員  診療報酬についてですけれども、これまでの診療報酬改定というのは、財政中立という 立場から、財源の枠を広げないで、中でやりくりするという操作がずっと行われてきまし た。今やもうそういうやり方では医療が立ち行かないという状況に来ているのが現状だと いうふうに思っておりますので、単に何に重点的に配分するという話ではなくて、診療報 酬自体の枠を広げない限りは解決されない問題というふうに認識しておりますので、その 点も含めての提言ということでご検討いただきたいと思います。 ○垣添会長  ありがとうございます。  廣橋委員。 ○廣橋会長代理  この中間評価報告書というのは非常に重要だと思います。このがん対策推進基本計画は、 具体的な目標を定めて進捗管理するということが特徴ですから、中間評価は非常に重要な ことだと思います。しかもさらに、この中間評価の報告書を基に、次のがん対策の基本計 画が多分つくられることになるのでしょう。従って、決められた具体的な指標で中を評価 するばかりではなくて、最初の計画をつくったときに盛り込めなかった非常に重要な問題 が残っていると思うんですね。例えばがん登録、みんな重要だと思っているけれども、そ れを推進するのには法制化が必要だがそれが盛り込めなかったと。あるいは、喫煙率を2 分の1に削減しようということも明記できなかったと。そういったことをやっぱり今回の 機会にも強調していくことが大事ではないかと考えます。 ○垣添会長  ありがとうございます。そのとおりだと思います。  檜山委員。 ○檜山委員  今の廣橋委員のお話がありましたが、やっぱり登録の問題も非常に大きな問題だと思い ます。これ、私が、拝見させていただいて思ったのは、やはり小児のがん領域のは、大学 病院を除いて、がん拠点病院ではほとんど診療されていないという状況もあるので、ここ の中で小児がんをうまく評価するというのはかなり難しいんではないかなというふうに思 っています。  登録の話、厚生労働科学研究で検討ということになっておりますが、やはり今法制化の お話もありますし、どのようにしてこういうどちらかというと希少疾患をうまく悉皆登録 していくかというようなシステムをきちっと構築していくということに対しても何か評価 するところを、やはりきちっとした評価が必要ではないかなというふうに思っております。  そうした意味で、もう一つはQOLの評価の辺りも少し必要なのではないかなというふ うに思っていまして、小児がんはもうかなり治るような病気になってきたんですが、今非 常に問題になっているのは、治療後の晩期障害でありまして、特に今、二次がんの問題も 出てきていますし、いろんな問題が出てきているので、その辺りをきちっとサーベイする ようなシステムもこの中に入れていただければなという、予防もそうなんですが、やはり 晩期障害の評価というのも必要なんではないかなというふうに思って、ご意見を述べさせ ていただきました。 ○垣添会長  ありがとうございます。  本田委員。 ○本田委員  ありがとうございます。  先ほど天野委員もおっしゃっていたんですけれども、私は、皆さんおっしゃるように、 この中間評価はとても大事で、次の第2期計画に向けてのもう基礎の基礎だと思うんです ね。そういう中で、例えば今回事務局のほうで出していただいた評価指標のことですが、 個別目標、まあ個別目標は計画に沿っているのだと思うんですけれども、評価指標の在り 方も、私、前回も前々回も申し上げているんですけれども、拠点病院に何が整備されてい るとか、そういう外形基準で語るのはもうやめてほしいとずっと思っています。そうした ら、やっとこの相談支援センターの備えている病院が幾つではなくて、相談支援センター の相談件数というのが出てきたらこのありさまですよね。この現実をどうしていくのかと いうことが大事で、これをちゃんと見据えていくことが大事なので、この評価指標をどう していくかというようなワーキンググループなり小委員会なりをつくって、もう少し詰め て議論できる場を設けていただきたいと思います。具体的には、私、この緩和ケア、先ほ ども話題になりました資料2−3の外来において専門的な緩和ケアを提供できる体制を整 備しているというところは68%もあるというんですけれども、じゃどういう患者さんの外 来緩和ケアをやっているのか。既に病棟に入院されていて、経験のある方が出た場合にだ け診ているんではないかというような疑問もあります。本当に初期からの患者さんが外来 緩和ケアを使えているのかという疑問もあります。そういういろんな観点から見たときに、 指標はどうあるべきかというのをやはりもうちょっと詰めてやっていかないと、次、2期 計画に持っていく際に、また外形的な目標を立てるんではないかととても危惧しているの で、そういうことをお願いしたいと思っています。  もう一つだけ、すみません。さっき言えなかった、がん検診のこの集中キャンペーンの こと、とても前向きだということはわかるんですけれども、これどうしてもする側、検診 をする側の視点のほうが強いようにちょっと感じてしまって、例えば20代、30代、40代の 女性が検診を受けようとすると、子育てのこともある、いろいろなお仕事のこともあると なると、どうやったら受けられやすいのか。それはお金だけじゃないですよね。スーパー で6時、7時に買い物に行ったときに、ちょっとその駐車場で受けられる。私、アメリカ でそういうのを見て、なるほどこうやって受診率を上げたんだというのがいっぱいあるん ですけれども、そういう視点の対策は一体どこに入っているのか、そういう議論もされて いるのかというのをぜひご検討いただければと思います。すみません。 ○垣添会長  ありがとうございました。今の外形基準で充足されたかどうかという議論ではもう進ま ないというのは皆さん感じておられることだと思いますから、今のご発言をぜひ受けて、 場合によってはワーキンググループをつくるとか、そういうこともぜひ考えていただけれ ばというふうに思います。  申しわけない、中沢委員がまだご発言いただいていない。どうぞ。 ○中沢委員  この中間報告と都道府県に毎年書かせるアクションプランとの関連に関して確認をさせ ていただければと思います。 ○前田がん対策推進室長  基本的には、各都道府県からデータをいただくものもございます。例えば検診の実施状 況、がん均てん化と検診と、あとたばこの対策、そういったものについてどういった取組 をされているのか、そういったことをアクションプランでつくっていただいて、そして10 月31日の現況報告の時期に合わせてデータを出していただくということでございますので、 今年、各県でつくっていただいているアクションプランの結果もここに反映をしていきた いと。そうすると、今年度末を目途の中間報告にも反映ができるのではないかと考えてご ざいます。  ですから、まだこの事務局案は完全なものではございませんので、もちろんアクション プランの内容も反映はしていきたいと思っております。 ○垣添会長  ただ今各委員から大変貴重な意見をたくさんいただきましたけれども、これを事務局は 内容等、この中間報告の案ですね、これを修正して、次回の協議会において引き続き検討 いただければというふうに思います。  それから、今ご発言いただけなかった委員はぜひ事務局のほうにご意見をお寄せいただ ければ、それを取り入れて修正案を次回お出しするということにさせていただきたいと思 います。よろしくお願い申し上げます。  では、続きまして、協議事項の2、平成22年度のがん対策の推進について、事務局から 説明をお願いします。 ○前田がん対策推進室長  資料の7でございます。元気の出るがん対策で、70施策の提案を3月19日に大臣に出し ていただきましたものにつきまして、事務局のほうで4つの分類に分けてございます。  まず、既存の事業の枠組みで対応の可否を検討している施策が、このがん対策予算の100 %活用プロジェクトを初めとする24施策でございます。  そして、2ページ目の診療報酬の枠組みで対応の可否を検討している施策が、大規模在 宅ケア診療所エリア展開システムを初めとする3施策でございます。  そして、研究事業費の枠組みで対応の可否を検討している施策が、がん予算策定新プロ セス事業を初めとする13施策でございます。  そして4番目としまして、新規事業等の枠組みで対応の可否を検討している施策が30施 策ということでございます。  これで70項目についてはすべて検討は進めてございます。実際にこれを概算要求にどこ まで盛り込むことができるかどうかということにつきましては、今後また省内と、あとま た関係省庁とも調整をしながら報告をさせていただきたいということで、70本の推奨施策 については現在こういう状況でございます。  それからもう一点が、資料の7の後半の横になっている表でございますが、「「がん対 策推進基本計画」の目標達成へ向けて講じた施策」ということで、20年度と21年度の取組 の対照表をつけてございます。  主に変わったところをピックアップして説明いたしますと、5ページ目でございますが、 一番上の施設整備で、リニアックの緊急整備が20年度限りだったということ、そしてあと はこの右下のほうにございますが、5ページですね、国内未承認薬等を最優先で審査する 体制を構築していくということを取組で挙げてございます。  それから、6ページ目でございますが、文部科学省の策として、がんの根治的な治療が 行える最先端のがん治療機器を国立大学病院へ導入というのが新しい施策でございます。  それから、7ページ目でございます。こちらで(3)のところに、緩和ケア、指導者の育成 を目的とした研修会、がん対策情報センターの実績をこの20年度の施策で65名ですとか60 名記載してございますが、日本緩和医療学会における実施につきましても、緩和ケアに関 する指導者研修は285名ですとか、精神腫瘍に関する都道府県指導者研修133名、そういっ た形で20年度に緩和医療学会に努力していただいているところでございます。  それから、8ページ、9ページなどにつきましては、ほぼ昨年度と同様の施策でござい ますが、12ページでございますが、先ほど申しましたが、12ページの21年度の取組の(2)で ございますけれども、がん診療連携拠点病院の全国連絡協議会を7月3日に開催する予定 でございます。  それから、あとは15ページでございますけれども、院内がん登録の研修、ここは特に記 載ございませんが、今年度も21年度、精力的にがん対策情報センターにおいて、院内がん 登録、地域がん登録、それぞれについて研修会ですとか実務者講習会を行うということで ございます。  そして、17ページでございますが、検診のがんの予防の部分でございますが、たばこ対 策がアクションプランの一つに入ってございますので、17ページの(2)番のところに記載を してございます。  そして、がんの早期発見につきましては、先ほど来出てございますが、18ページの(6)番 でございますが、女性特有のがん検診、こちらにつきまして、国のがん検診の指針にのっ とった乳がん検診、子宮頸がん検診につきまして、一定年齢の女性についてのクーポン券 と検診手帳の配布、そして検診の実施を行っていただくという事業を加えてございます。  主に変わった点といたしましては大体以上でございます。  それから、あと22ページに、経済産業省に提出いただいてます産業革新機構によるバイ オベンチャーの有望な技術の大企業での活用を含む事業化支援で、(5)の大学と企業とが共 同でがん治療技術の開発を行う拠点施設の追加整備を実施、そういった形で21年度の取組 を進めていくということで、この対比表と先ほどの元気が出るがん対策の概要説明をさせ ていただきました。  以上でございます。 ○垣添会長  ありがとうございました。  ご発言をお願いします。  どうぞ、川越委員。 ○川越委員  がん対策基本法ができて、がんの全体、トータルな治療が進んだこと、非常に僕もうれ しく思って見守らせていただいておりました。  今日こうして出てみまして、一般の方々の意見というのがとてもあることをうれしく思 いました。先ほど安岡委員がおっしゃっていたことと関連するんですけれども、がん患者 がさまよっているということが盛んに言われております。もう治療病院でやることがなく なった患者さんが、行くところがなくてさまよっている。それは早く治療病院の治療を終 わらせるということ、それから、今病床が削減されているということが関係しており、比 較的元気な方がさまよっているということです。現場の話ですけれども私のところに来る 患者さんは、いわゆる末期の方で、ここにいらっしゃる患者さんとはちょっと元気の意味 合いが違うんですけれども、そういう方にどういう医療を行うのがよいのかということを 考えています。がん対策基本法はよくできているんですけれども、末期になったとき、地 域で支えるという観点が、少なかったんじゃないかなということを感じておりました。  そういうことを前置きにして話したいと思います。提案書には、とても関心を持ち、作 成は、本当に大変だっただろうなと思いながら見せていただきました。それで、それを厚 労省の方、非常にまたうまく整理されて、まとめていらっしゃると思うんです。ただ現場 の問題としては、今の既存の開業医の先生方が手を組んで、それでボトムアップして、そ れをネットワークを組んで何とかなるというようなものじゃないんですね。どういう診療 所がネットワークを組んでいくかというようなことが問われて、それがないと本当にいい 医療を提供できないんですね。  ですから、この資料7の2の29とか、そういうことを意識されてつくられたんじゃない かなと思います。  それから、3ページにある(4)の26ですね。ドクターネットということ、これも診療 所間の連携ということが非常に大事になってくるわけですけれども、ただそういうものが あればいいということじゃなくて、この内容の検討もしっかりやっていただいて、よりい い医療を提供できればなと望んでおります。検診も大事だし、治療も大事だけれども、先 ほどの話で、やっぱり60万人毎年がんの方が出ていて、34万人がんの方が亡くなっている んですね。それをもちろんゼロにすればいいわけですけれども、当面はちょっと望めませ んので、亡くなる34万の方に、さまようことがないようにいいシステムをつくっていただ きたいと。感想を込めて、それからこのまとめのところを含めて、ちょっとアクセントを 付けていただきたいなということを思います。これは現場の声です。 ○垣添会長  どうもありがとうございました。  埴岡委員。 ○埴岡委員  資料7についてコメントをさせていただきます。  これが70本の提案書、「元気の出るがん対策」への一つの回答かと認識します。4つの カテゴリーに分けてありますが、「既存の事業の枠組みで対応の可否を検討している」と いうのは、「特に何もしない」というふうに読み替えられると感じます。「診療報酬の枠 組みで対応の可否を検討する」というのは、「うちの局ではございません」と書いてある かのようです。「研究事業費」というのは「研究費でお茶を濁します」と書いてあるのか なと思ってしまいます。失礼な言い方であればお詫びいたしますが、ぜひ具体的にそれぞ れの施策について、内容と5億あるいは10億などの費用を提言したことに関して、それぞ れがどのような形でいくらぐらいの予算案で検討されているのかを知りたいのです。この ように分類整理はしていただいたのですが、具体的に何がどのようになされようとしてい るのかが分かりません。がん対策の立案プロセス自体をできるだけオープンにしていこう というのが提案書の趣旨だったのですが、これでは本当のプロセス変化になるのかなとい う感じを受けています。  焦点は、第4カテゴリーの「新規事業の枠組みで対応の可否を検討している」という枠 です。これが新規事項になるのでしょうが、特にこの中でどれを今検討されていて、何が 有力で、幾らぐらいの予算でどのような方法で実施されようとしているのか。言いにくい 部分もあるかと思うのですが、言える範囲でできるだけ説明していただくのが、この新し いプロセスを実施したという意味ではないでしょうか。 資料7についてコメントをさせていただきます。   ○垣添会長  事務局、私も全く同感でして、これは大変きれいに整理はされていますけれども、せっ かく上がってきた70項目、約600億円くらいの要求ですね。それは直ちに実現できるとは思 いませんけれど、具体的にこれとこれだけはやっぱり22年度に要求を掲げたいというよう な意見をこの協議会として取りまとめていくことが必要なんじゃないかと思うんです。せ っかく大臣もこの現場から上がってきた声を非常に大事にしたいと言っておられるわけで すから、ですからそういう意味で今の埴岡委員のご質問に対して答えられる範囲でお願い します。 ○前田がん対策推進室長  現在の状況と申しますのは、まさに省内の検討の状況でございますので、本当に言える 範囲としては、ここまで出すのがやっとだったというところも正直なところでございます。  ただ、(4)の中で、先ほど埴岡委員がおっしゃった話がございますけれども、やはり 行き場のないがん患者さんに対して、どういうふうに対応していくかは重要な課題です。 この何番というふうなことではなくて、やはり推奨施策の提案書をいただいた中の、横割 りに5つに分けていただいたがん難民対策ですとか、がん診療に係る医療従事者の確保と 育成ですとか、そういった切り口の中で言えば、やはりその切れ目のない医療の実現とい うこと、そういったことをどう進めていくかということを検討しているということは事実 でございます。  ただ、それが省内の調整、そして財務省との調整、そして概算要求として出るかどうか、 そういったことについては、今後私どもの努力いかんによるところではございますが、や はり今話題になってございますいわゆるがん難民をどう対応していくかということについ て、いろいろ国会などでもご議論いただいてございますし、検討は進めてございます。  これだけではなくて、ほかにもいろいろと検討課題がございますし、あと70本の推奨施 策以外の観点からもいろんな意見もいただいてございます。それを総合的に現在検討をし ているところでございます。  以上です。 ○垣添会長  ただ今各委員からたくさん意見をいただきましたけれども、平成22年度がん予算に向け た提案書を踏まえて、事務局において今の意見を取り入れて、平成22年度がん対策の推進 に取り組んでいただきたいというふうに思います。  これで一応協議事項は終わることになりますが、今日の議論を通じまして、ここの議論 だけでは到底片づかない問題がたくさんあると。例えば今の元気の出るがん予算の話も具 体的にはまだ全然動いていないわけですね。もちろん、厚生労働省の中の省内の調整とい うのは、室長以下大変な作業だと思いますけれども、しかし、こういうがん対策を患者さ んや家族あるいは国民の目で進めるという意味で、このがん対策推進協議会を本当に実質 的なものにしていく上では、上がってきた意見をやっぱり具体的にしていかなくちゃいけ ないと思います。この協議会が後押ししているという姿勢でぜひ省内調整を進めていただ ければというふうに思います。それから外形基準で議論するのはやめようというご指摘も ありました。それから、今の室長も言っておられましたけれども、行き場のないがん患者 さんとか亡くなる34万人の患者さんに対する配慮、そういうことも含めた検討もかなり進 めていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。  ここで座長からの提案ですけれども、参考資料の5をごらんください。昨年の11月に開 催されました第8回のこの協議会で、協議会の有志メンバーによって平成22年度の予算概 算要求に向けた対策を提案、検討していただきまして、それをこの協議会として3月19日 に取りまとめて大臣にお渡ししたということであります。  今年度以降も、この予算と人手がなければがん対策は進まないということで、これは最 も重要なポイントだと思いますので、同様な提案書の取りまとめをがん対策推進協議会と して行っていきたいというふうに考えますが、委員の皆さん、何かご意見はおありでしょ うか。  はい、どうぞ、郷内委員。 ○郷内委員  今年の2月に、宮城県におきましても、このワーキンググループの活動の一環といたし ましてタウンミーティングを開催していただきまして、大変宮城県におきましては、行政、 医療者、患者、家族、マスメディア、六位一体というような非常に画期的な取組で、それ ぞれの分野からの非常に貴重な意見も多々上がってきたということで、このようなタウン ミーティングを本当にあの場限りで終わらせるというのは大変もったいない。それから、 準備期間の関係で、引き受けたいという自治体もできなかったというようなこともござい ますので、このたびのワーキンググループが行ったような形をぜひ継続した形で、タウン ミーティングの開催なりワーキンググループの結成をぜひお願いしたいと思います。 ○垣添会長  ありがとうございます。  皆様のお顔付きを拝見していますと、反対の方はまずおられないと思いますので、皆様 のご賛同をいだたいたということで、この委員が第2期に入ってかわりましたので、この 提案書を作成するための有志メンバーによる協議会といいましょうかワーキンググループ を新たに決めておきたいと思いますが、こういう提案書作成に加わりたいという委員の皆 さんはおられましょうか。もしおられたら挙手を。  じゃ、事務局でこの皆さんを把握していただけますでしょうか。ありがとうございます。  それで、今挙手をいただいた方にお願いをしたいと思いますが、提案書を取りまとめる 責任者は、昨年大変あの短期間で有能な能力を発揮された埴岡委員に再びお願いをしたい と思いますが、いかがでしょうか。(拍手)  じゃ、大変な作業で誠に申しわけありませんけれども、どうぞよろしくお願い申し上げ ます。  それから、事務局、何かありますか。 ○前田がん対策推進室長  今ずっと事務局のほうで挙手された方を確認させていただいたところでございますが、 まずこちらのほうからですと、安岡委員、三好委員、南委員、前川委員、本田委員、檜山 委員、そして埴岡委員が確認できたんですが、こちらの列の方は、川越先生と、郷内先生 と、中川委員と、江口委員、内田委員と、天野委員。  では、もう一度申し上げます。もし漏れがあればお申し出ください。五十音順で言いま すと、天野委員、内田委員、江口委員、川越委員、郷内委員、中川委員、そして埴岡委員、 檜山委員、本田委員、前川委員、南委員、三好委員、安岡委員の以上の方々でよろしいで しょうか。 ○野田委員  すみません、私。 ○前田がん対策推進室長  すみません。では、野田委員も含めて……。 ○垣添会長  よろしくお願いします。それで、野田委員、せっかくですからご発言をいただければ。 初めてで、雰囲気にのまれてご発言いただけなかったといけないと思いますので。 ○野田委員  私のような基礎医学及び教育の畑ですので、今回のような、もうがん対策基本法そのも のがアクションプラン、つまり急性期治療ががん対策には必要だというために行われてい るものだというふうに理解いたしますので、大変なご活躍で、今行われていることは非常 に的確なものが多くて、あとは実行を待つということだと思います。  ただ、私たちの立場からもう一つだけ申し上げさせていただきますと、5年後、10年後 先のがん治療を変貌させるのには、基礎研究も決して忘れてはならないし、先ほど文科省 の戦略官がおっしゃらなかったので、文科省側のほうでちょっと足しますと、私たち、市 民公開講座を文部科学省の研究費をもらっている研究者がやっております。私のがん研で もやって、1,000人、市民公開講座申し込みがあると、若い方、大学生が20人か30人入って いるだけで、あとは皆さん患者さんの年齢の方です。ただ、出前授業というのをやってお りまして、研究者が各都市に行って、高校のを集めてやると、そういう若い方たちも非常 にがんを知ろうと。知ることは治すことだということが私たちの基本ですので、将来に向 けてだけではなく、がん患者さんの家族には必ず若い家族の方たちがおりますので、その 方たちがどのようにがんを知って、がんに向かう世の中の動きを理解していただけるかと いう、そういう底上げというのも非常に大事だというふうに思います。  という点からも、文部科学省にもぜひその辺の力を続けていただきたい。研究費のほう も、ここへ書いてありますけれども、ちょっと最後に触れますが、22年度から45億円のが ん特定予算の中が、これもう8億円にカットされて、残りは全くがんに特定しないものに するということになっていますので、この非常に先を見据える目というのが、こういう科 学研究費の面でも失われていくという点は非常に残念であります。なので、今目の前のこ とを片づけながら、やはり先に向けて教育を行い、研究を行うという、この両面を忘れず にやっていくということが大事だろうというふうに考えています。ただ、非常に感銘を受 けました。  最後に一つだけ。びっくりしました、この22年度のこの予算案のこれが。おまけにこの 2月というこの早い時期に22年度に向けたものがこれだけきちんとまとまっている。毎年 毎年省庁に行って研究費用を交渉する立場からすると、このように目的が明確で、そして 対策を要求している予算案をこの時期に立てられたということに本当に敬意を表します。 これは絶対継続していくべきものだと思います。 ○垣添会長  ありがとうございました。  それから、門田委員、一言。 ○門田委員  冒頭からすごいアクティビティーのあるディスカッションが進んで、特に患者会の皆さ ん方の準備されたご発言があり、聞かせていただいて、勉強になりました。最後まで聞い ていて、そして今後のことを考えていたときにやはり重要だと思うのが、見えやすいもの が話題になり易いけれども、基盤整備というのか、本当のベーシックなインフラの整備と いうことが重要だと思います。こういう形でディスカッションすると、ついなおざりにな らないのかなというふうな不安を持ちながら聞かせていただきました。今の野田先生の意 見もございますけれども、必ずしも基礎的な研究だけじゃなくて、データベース云々、あ るいはがん登録云々とか、あるいはその地域のネットワークの問題とか何回もここで話題 になって出てきておるんですけれども、ただ簡単にいかないからとついつい後回しになっ ております。しかしこれは非常に重要なことだと思いますので、分かりやすいテーマと同 時に、もう少し基盤的なことも力を入れるということを考えていったほうがいのかなと感 じて聞いておりました。  以上です。 ○垣添会長  どうもありがとうございました。  座長の不手際で大変大幅に時間をオーバーしてしまって……。   ○中川委員  野田委員もおっしゃったんですけれども、文科省とのパイプを協議会の中で少しつくれ ないかなという気がします。これはワーキングという形でもいいんですが、今後事務局で ご検討いただければ。 ○垣添会長  ありがとうございます。  30分ほどオーバーしてしまいましたけれども、一応本日の協議会はこれで終わりたいと 思います。  やはりこの協議会は、前回か前々回だかお願いしましたように、3時間かけないとこれ だけの議論は吸収できませんので、ぜひ2時間半ではなくて、次回は3時間でセットして ください。  では、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。 ○前田がん対策推進室長  次回の開催につきましては、昨年度と同様に、現在11月ごろに開催する予定で考えてご ざいます。委員の皆様におかれましては、別途日程調整をさせていただきますので、よろ しくお願いいたします。 ○垣添会長  では、これで終わります。どうもありがとうございました。 (了)