09/06/24 第146回中央社会保険医療協議会総会議事録 09/06/24 中央社会保険医療協議会          第146回総会議事録 (1)日時  平成21年6月24日(水)10:16〜11:02 (2)場所  グランドアーク半蔵門 華の間 (3)出席者 遠藤久夫会長 牛丸聡委員 庄司洋子委員 白石小百合委員 森田朗委員       小林剛委員(代 貝谷) 対馬忠明委員 小島茂委員 勝村久司委員       北村光一委員 高橋健二委員(代 清水) 伊藤文郎委員       竹嶋康弘委員 藤原淳委員 中川俊男委員 西澤寛俊委員 邉見公雄委員       渡辺三雄委員 山本信夫委員       藤原忠彦専門委員 坂本すが専門委員 住友雅人専門委員       <参考人>       松本純夫保険医療材料専門組織委員長       <事務局>       榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官        小野保険医療企画調査室長 磯部薬剤管理官 上條歯科医療管理官 他 (4)議題  ○ 医療機器の保険適応について       ○ 先進医療専門家会議の報告について       ○ その他 (5)議事内容  ○遠藤会長  それでは、委員の皆様おそろいのようですので、ただいまより、第146回中央社会保 険医療協議会総会を開催したいと思います。  まず、委員の選任について御報告をいたします。6月15日付けで前田雅英委員の後任 として、森田朗委員が発令されております。  なお、事務局より、今回発令された森田委員から、みずからが公務員であり、高い倫理 を保って行動する旨の宣誓をいただいている旨の報告を受けております。  それでは、森田委員より一言御挨拶をお願いしたいと思います。 ○森田委員  森田でございます。この分野まだ勉強しなければ分からないことがいっぱいあるんです けれども、どうぞよろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。  また、4月22日の総会で、坂本昭文専門委員の後任として、藤原忠彦専門委員が発令 されたことを御報告させていただきましたが、本日、藤原委員が御出席されておりますの で、一言御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○藤原専門委員  このたび任命いただきました長野県の川上村長の藤原であります。またよろしくお願い いたします。 ○遠藤会長  よろしくお願いいたします。  次に、委員の出席状況について御報告いたします。本日は小林麻理委員、大島専門委員 が御欠席です。また、小林剛委員の代理で全国健康保険協会の貝谷伸理事が、また、高橋 委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになっておられます。  また、保険局長は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に移らせていただきます。まず、医療機器の保険適用についてを議題と いたします。  まず、C1(新機能)及びC2(新機能・新技術)について、保険医療材料専門組織の 松本委員長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○松本委員長  それでは、御説明します。今回の医療機器の保険適用については、C1が3つ、C2が 1つです。  中医協総1−1の資料をごらんください。販売名はVEPTR、ベプターシステムです。 本品は資料に記載されている骨格未成熟ないずれかの胸郭不全症候群患者における胸郭変 形を機械的に安定させるために使用することを目的としております。  ヒトでは一般的に肺の成長は胸郭の成長に依存すると言われているのですが、胸郭不全 症候群の患児においては、病態の進行とともに肺機能が急速に悪化することが知られてお ります。本品を使用することで、胸郭変形を機械的に安定させ、成長に伴い定期的に矯正 することで胸郭成長を促し、肺機能の改善が認めることが特徴です。  本品はさまざまな部品を組合せ、個々の症例の状況に応じ、製品概要の2ページ目のよ うに、肋骨及び腰椎、腸骨へ設置いたします。また、成長とともに定期的に少しずつ伸ば す手術を行う必要があります。  類似機能区分はありませんので、原価計算方式により価格設定をいたしました。価格調 整の資料の一番下をごらんいただきたいのですが。設置部位に合わせた3区分と、伸展術 時の交換部品1区分、計4区分に分けて考えさせていただきました。ごらんのとおり、肋 骨間用は150万7,000円、肋骨腰椎間用が147万2,000円、肋骨腸骨間用が 149万7,000円、固定クリップ(伸展術時交換用)が6万8,300円と設定させ ていただきました。  外国平均価格はその上にそれぞれ提示させていただいているとおりでして、設定価格と の比は1.3倍から1.4倍前後となっております。    続きまして、ONYX液体塞栓システムLDについて説明させていただきます。  本品は外科手術以外では治療困難な脳動静脈奇形の外科的摘出術に際し、術前塞栓術が 必要な場合に、その塞栓物質として使用することを目的としております。  3cmを超すような大きな脳動静脈奇形は手術的に切除することになるのですが、この動 静脈奇形には周囲から無数の栄養動脈が入っております。動静脈奇形が大きいと、その周 囲の脳組織にダメージを起こさずにすべての流入動脈を処理することが非常に難しくなり ます。本品を使用することで、手術前にその異常血管内部の何割かを詰めておくことで出 血の危険性を減らし、安全に手術が施行できるようになり、その後のリハビリ期間の短縮 も期待できるということが特徴です。  類似機能区分はありませんので、原価計算方式により、13万4,000円という価格 設定をいたしました。外国平均価格は15万1,444円であり、0.88倍となってお ります。  続いて説明させていただきます。C1の3番目は、PDA閉鎖セットです。本品は、記 載されている要件のすべてを満たす動脈管開存症に適用し、経皮的に動脈管を閉鎖するた めに使用する医療機器です。従来のコイルを用いたカテーテル治療では、3mm以下の動脈 管開存にしか対処できませんでしたが、本品ではより大きな動脈管開存への経皮的治療を 可能にし、従来手術適用となっていた事例に対して侵襲が小さく、安全性の向上や入院期 間の短縮が期待できます。  類似機能区分はありません。  本機器においては、その臨床適用性を高く評価し、原価計算方式において営業利益率を 10%上乗せ評価しました。これにより、33万2,000円という価格設定となってお ります。外国平均価格は34万507円であり、0.98倍となっております。  続けてよろしいでしょうか。 ○遠藤会長  よろしくお願いします。 ○松本委員長  続きまして、C2でございます。販売名は、メドトロニックReveal DXです。 本品は原因が特定できない失神を起こす患者に適応される。医師が必要と認めた検査で診 断できない患者の皮下に植込み、皮下心電図を記録、保存することにより診断を行う植込 み型診断用医療機器となっております。  失神の原因疾患には時として致命的で、中でも循環器系疾患が原因のものは最も死亡率 が高いことが知られております。原因不明で再発性の失神患者はその後検査を続けても診 断に至る確率は2割にも及びませんが、本品を使用することで、その診断率は5割前後に なることが特徴で、早期発見と適切な治療による予後の改善が期待されます。  また、皮下に植え込むので、ホルター心電図のような機材を持ち歩くこともなく、3年 程度連続で心電図をモニターすることが可能です。  類似機能区分が存在しないだけでなく、技術として評価する点数が存在しないため、C 2区分として評価しております。  原価計算方式により、42万2,000円という価格設定をいたしました。外国平均価 格は34万7,815円であり、1.21倍となっております。  C1及びC2について、以上、4つでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいま4件の御報告がありましたけれども、いずれも原価計算方式で算定されており、 外国価格調整の適用はないというものだということでしたけれども。いかがでしょうか、 内容あるいは価格の設定につきまして御意見、御質問ございますでしょうか。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  基本的に問題ございません。賛成なんです。ですが、ちょっとお伺いしたいのは、この 4件について為替レートの、外国価格と比較するときの為替レートの適用の期間がそれぞ れ全部違っちゃってるんですね。一番直近が3番目のもので、本年の3月までの1年間と いうこと、これは非常に直近に近いところでより現状、これから導入するときにはこうし た価格期間を参考にするのは適切かなと思うんです。中には2008年の8月ですか、あ りますので、そこのところ、今後検討していかれるのかどうか。 ○遠藤会長  私もちょっと今気がつきませんでした。申しわけありません。そうですね、この算定期 間、特に最近はそういう意味では円高になったものがまた円安になってと動いていますの で、どうしてこのレートの算定期間が動いているんでしょうか。説明お願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  医療課企画官でございます。保険医療材料の価格のルールとしましては、申請時から前 1年間の平均の為替レートを使うということになってございます。その材料によって非常 に以前のものもございますが、それは申請後の書類のやりとりに時間がかかったものがあ るということでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。ただいまルール上は申請時を時点にして過去1年ということだ ということですが。そのルール明らかになりましたが、それをこのまま継続してよろしゅ うございますでしょうか。何か御意見ございますか。  西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  今の算定期間はそれでいいと思うんですが、この諸外国の価格はいつの時点の価格を乗 せているのか。すなわち、今の一番直近のことなのか、あるいは申請時の価格なのか教え ていただければ。 ○遠藤会長  わかりました。その前に、まずそのレート計算の算定期間は先ほど現状どおりでよろし いですか。とりわけ変更する必要があるというお考えの方いらっしゃいますか。  では、まず渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員  基本的に、これから国内に導入するという、すなわち今時点で今後導入ということです のでね。この時期により近いところを考えるのが妥当かなと思いますね。それぞれの外国 におけるこの調査をした段階、その段階と今とで外国、同じアメリカならアメリカでの国 内での価格は大きな変動はないんだろうと思うんですね。しかし、為替レートで考えると 大きく日本国としては、日本にとっては大きな変化があると。特に最近も、きのうあたり ですと95円あたりまできておりますのでね。大きな動きがあるので、そういうところは やはり今後検討が必要ではないかなというふうに感じる。 ○遠藤会長  わかりました。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  西澤委員と同じ意見なのかもしれないですけれども。その参考にしている海外の価格が その為替レートの期間と一致しておるのならば、まだ納得がいくのかなと、と思うんです けれども、まだルールどおりでもいけるのかなと思うんですけれども、もし、参考にして いる価格の時期がそれぞれの為替レートの時期と違う時期ならばやはりちょっとルールを 変えることを検討したほうがいいんじゃないかなと思うんですけれども。 ○遠藤会長  わかりました。まず、為替の算定期間の話ですけれども、渡辺委員からは、現行のよう に申請時を起点にして過去という形ではなくて、導入時をベースにしたような形でより直 近の動きが反映できるようにするべきだという問題提起出てきたわけでありますので、も しそのことを議論するということであるならば、これは材料専門部会で議論をするという 形になりますが。これは実は薬のほうも同じ問題を抱えているわけですが。  いかがいたしましょうか。この申請時からさかのぼった一定期間の平均レートというの を修正することを検討するかどうかということですが。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  今会長からお話がありましたように、薬のほうはどうなっているかということの御質問 と。それからそのどちらもそうなんですけれども、このルールが入ったときの背景といい ますか、なぜそういうふうに決めたか、その理由みたいなものがお分かりになれば教えて ください。 ○遠藤会長  それでは、まず薬の算定ルールですね、お願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。今の御質問でちょっと答えにくいところもあるんですが。薬 のほうは、この中医協のお出しする直近の1年間でとらせていただいていますので、今の 材料のほうとちょっとずれた形になってございます。ですから、直近の1年間の平均値を とっているということでございます。 ○遠藤会長  なるほど。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  その背景ということについては、ちょっと現時点では把握してございませんが、先ほど の外国の価格についてはどの時点かというお話につきましては、やはり申請時に出してい ただいている価格ということでございまして、その点では勝村委員のおっしゃった時期の 一致はしておるところでございます。  それから、これは私が言うべきか、あるいは松本委員長に言っていただくほうがいいの かもしれませんが、材料専門組織の中でも、実は昨年の急激な為替レートの変更などを受 けて、今、今後の、来年の改定に向けてどういった材料価格制度の改革が必要かという議 論をしていただいているところでございます。もちろんこの総会のほうで、今後専門組織 あるいはその専門部会で議論すべきということになれば、当然そういった形で専門部会の ほうで御議論させていただくことになると思います。よろしくお願いいたします。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  まず、牛丸委員、よろしいですか。今牛丸委員の御質問によって、奇しくも薬と材料と では違う時点を起点として計算しているということが明らかになったわけです。  それでは、材料の話でありますので、材料につきましてこのレートの換算方法につきま して、検討する必要ありということでよろしゅうございますか。特に薬と違っているとい うこともあるものですから。  それと、今後の方法ですけれども、先ほど私は中医協の専門部会で行うと申し上げまし たけれども、もう1つのやり方としましては、専門組織がございますので、専門組織は、 過去のデータ等もお持ちなので、そこで原案をつくっていただくというやり方もあるかと 思います。原案をつくっていただき、それを専門部会で議論するというやり方が適切かと 思いますが、よろしゅうございますか、その方法で。  はい。それでは、専門組織のほうで原案をつくっていただきたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。松本委員長、よろしくお願いいたします。  勝村委員、よろしいですね。ありがとうございます。  では、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  2点ほど質問します。1点目は、今さら申し上げるのはちょっと恥ずかしいようなとこ ろあるのですけれども、この表題が保険適用決定区分案になっていますね。区分案という のは恐らくC1とかC2を決めるんだということなんですけれども、C1、C2を決めて いくということも重要ですけれども、ここでは保険償還価格を決めるということではない かと思う。もし特段の理由が何かあるのであれば別だが、ないのであれば、保険適用決定 区分及び償還価格とするなど、そのあたりはお任せしますが、いずれにしても表題と中身 がちょっと違うのではないかなという感じがする。  それから、もう1つは、PDA閉鎖セットでは、営業利益率を10%と見込んでいる。 平成20年度の改定でプラスマイナス50%の範囲内で調整する算定方式に見直しをした が、今回初めてなんでしょうか。今日の資料ではほかには多分ないのだというふうに思う んですが、薬価のほうでは必ずこれこれこういうことで10%とか20%とか、原価計算 方式の場合にはお示しいただいている。ここでも10%の理由についてお示しいただけれ ばありがたいと思います。 ○遠藤会長  それでは、新しい制度で原価計算方式でも営業利益率を多少幅を持たせることができる ということになっておます。今回はその適用で、多分材料では初めてではないかと思いま すけれども。その根拠と、それから今後その根拠も記載していただきたいという、その2 つの要望と質問だと思います。まず、その根拠をお知らせいただけますか。 ○対馬委員  決定区分案もお願いします。 ○遠藤会長  それともう1つ、忘れました。対馬委員のおっしゃったことは、もう1つはタイトルの 問題でありまして、審議している内容を正しく描写すれば、決定区分及び償還価格案とい うことになるだろうということですので。今後そのような形で修正いただきたいと思いま す。  すみません、お待たせしました。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  私のほうから説明させていただきますが。対馬委員御指摘のように、今回営業利益率の 加算がついたのは初めてでございます。前回の改定でこういうシステムになりましたが、 今回初めてということでございます。  その理由でございますが、9ページをごらんいただきたいと思いますけれども。9ペー ジの3番、構造・原理というのがございます。その3番の構造・原理の一番下のパラグラ フでございますが。従来のコイルを用いたカテーテル治療では3mm以下の動脈管開存にし か対処できず、その塞栓効果も十分ではなかった。本品は従来手術適用となっていた症例 に対して侵襲の小さい経皮的治療を可能とするものである。つまり、従来はいわゆる開胸 手術、胸を開いて手術をしなければならなかったようなものについても、今回のこの製品 が入ったことによってカテーテルを使って、そのような大きな侵襲のない治療が可能とな ったということでございます。また、経験の豊富な術者が行うことで安全性が高く、入院 期間の短縮も期待できる治療を可能とする画期的な医療材料であると。  こういう点が医療材料専門組織のほうで評価されまして、今回の10%加算となったと いうことでございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  対馬委員、よろしいでしょうか。  今後はそのようなことを簡便に書いていただきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  いずれにしましても、外国価格平均の0.98倍ということでありますので、それほど 高くなっているというものでもない。  ただ、おもしろいことに、このPDA閉鎖セットはフランスが非常に高いんですね。ア メリカが高くてフランスが安いというような何となくそういう頭があったんですが、これ に関してはフランスがダントツに高いということで。これは何か理由があるのでしょうか。 事務局、何か分かりますか。  お願いします。 ○松本委員長  いや、もちろん専門委員会でもそういう外国平均価格を出すときに、フランスがこの場 合高かったんですが、逆の場合もありまして。理由がどうしても分からないので、リスト プライスだけではなくて、実勢価格とかそういうものも調べなくちゃいけないなという意 見は出ていますけれども、まだ結論は出ておりませんので、調査の範囲を広げて、また専 門部会に報告したいというふうに思っております。 ○遠藤会長  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  以上、ほかに御質問ございますでしょうか。特に御質問ないようでしたら、本件につき ましては中医協として承認するということでよろしゅうございますか。  ありがとうございます。  それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。  松本委員長におかれましては、長時間どうもありがとうございました。 〔松本委員長退席〕 ○遠藤会長  次に、区分A2(特定包括)及びB(個別評価)について、事務局から報告をお願いし たいと思います。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  それでは、今年の6月1日、保険適用開始となったものについて御説明いたします。資 料、中医協総−1−2をごらんいただきたいと思います。  まず、1番の医科でございます。区分A2(特定包括)(特定の診療報酬項目において 包括的に評価されている区分)ということで、ごらんのとおり19件ございます。  1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、区分B(個別評価)(材料 価格として個別に評価されている部分)でございます。ごらんのとおり27件ございます。  続きまして、3ページに歯科がございます。まず、区分A2(特定包括)につきまして、 ごらんのとおり3件でございます。区分B(個別評価)につきましては、ごらんのとおり 8件ということで。歯科は合計11件。  以上で、医科と歯科合わせまして、合計57件ということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  特段説明を要するような案件はございますか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  今回特段ございません。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  ただいま御報告がありましたけれども、何か御質問等ございますか。  特にないようであれば、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。  次に、先進医療専門家会議の検討結果についてを議題といたします。事務局より資料が 提出されております。御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  それでは、資料中医協総−2をごらんいただきたいと思います。今回は2つの先進医療 について評価結果、適というものが出てきてございます。  まず、整理番号167番でございますが、大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術、 早期大腸がん、従来の内視鏡的粘膜切除術「EMR」では一括切除が困難な2cm以上の大 きさであって、拡大内視鏡または、長い文章書いてございますが、こういう技術が1つ目 でございます。  先進医療費用14万9,000円、保険外併用療養費17万2,000円ということに なってございます。  1枚おめくりいただきまして、2ページでございます。2ページのまず先進性のところ をごらんいただきたいと思いますが。消化管における腫瘍を内視鏡を用いて切除する方法 として、内視鏡的粘膜切除術、Endoscopic Mucosal Resecti on;EMRというものが広く普及してございますが。この術式ではループ状の金属ワイ ヤーでその腫瘍部分をくくって、そこを高周波電流で焼き切るというものでございまして。 この腫瘍が大きすぎる場合とか、あるいは隆起が十分でないような場合にはなかなかうま くとれないというようなことがございました。これに対しまして、今回の内視鏡的粘膜下 層剥離術、ESDについては、そういったものでも取れるということでございます。  資料5ページの絵のほうをまずごらんいただきたいと思います。参考としまして、ES Dの手順というのがございます。こちらに書いてございますように、まず内視鏡の先端を 病変部の周囲の部分に刺して、そこに専用の液体を注入して、病変部をまず浮かせると。 浮かせた上で、高周波ナイフを用いて少しずつ切開して、粘膜下層から剥離をすると。こ れによって病変部を取るという技術でございます。  2ページにお戻りいただきたいと思いますが。失礼しました、概要の上の先進性の2つ 目のパラグラフでございますが。このESDの技術は食道・胃・十二指腸では技術的に標 準化され、既に保険収載がなされております。しかし、大腸ESDを施行するためには、 大腸壁が薄いことなど解剖学的な理由により手技的に繊細な操作や高度な技術を要求され ること。つまり、胃や食道などのESDと比べて腸管穿孔、孔が開いてしまう危険性が高 いということから、経験豊富な専門医が施行すべき先進的な医療技術であると言えるとい うことでございます。  その下の効果でございますが、EMRと比較すると、病変を一括して切除できるため、 病変の大きさに制限がなく、正確な病理診断を行うことができ、適切な治療方針の決定に つながる、また、EMR後の遺残・再発病変やEMR時に病変の挙上が不良な病変など、 EMRが実施困難な症例にも対応できる。  また、外科手術と比較すると、非常に侵襲性が低いなど、QOLの向上に寄与するなど、 このようなメリットが書いてございます。  そして、3ページをごらんいただきたいと思いますが、適格性でございます。大体妥当 ということなんですが、安全性のところがC、問題ありとなってございます。これにつき ましては一番下にコメントがございますが、合併症として腸管穿孔があり、内視鏡的な処 置で対応困難な場合等は、緊急の開腹手術を要すると、この部分が安全性について問題が あるということでございます。  そのため、緊急手術の実施可能な体制が整っている施設で実施することが必要であると いうことで。次の4ページ目でございますが、医療機関の要件として、そのようなものに 対応するということを要件にしてございます。  Iの実施責任医師の要件としては、必ずしも外科でなくても、消化器内科あるいは内視 鏡内科でも可能ということになってございますが、IIの医療機関の要件のところで、3番 目の段でございますが、他診療科の医師数、こちらに書いてございますように、必ず外科 医が2名以上いなければならないということで、緊急時の対応ということがとれる体制で なければならないということでございます。  また、下のほうに下りまして、倫理委員会による審査体制として、届出後、当該療養を 始めて実施するときは、必ず事前に開催することとなってございます。  また、2つ下がりまして、その他で緊急時に対応するため、24時間の画像診断が実施 可能な体制であること。  それから、その下にございますが、6カ月間は頻回の実績報告が必要と、こういう縛り をかけているところでございます。  続きまして、次の技術でございますが、6ページをごらんいただきたいと思います。実 物大臓器立体モデルによる手術支援ということでございます。骨盤、四肢骨または関節に 著しい変形または欠損を伴う疾患または外傷に係るものに限るということでございます。  先進性のところをごらんいただきたいと思いますが、近年、治療方針の決定や手術の術 前計画の立案に際して、三次元画像が活用されている。しかし、この画像はコンピュータ グラフィクス技術を用いた影付け表現などにより、二次元表現を三次元様に見せた仮想空 間の上のイメージであるため、生体の複雑な立体構造を的確に把握し、正確に手術シミュ レーションを行うことはどうしても限界が生じると。特に、骨格に著しい変形または欠損 を伴う症例については、三次元画像のみで難易度の高い手術をシミュレーションすること が困難である。これに対して、本技術は患者の骨格と実物大であって、かつ実際の手術器 具を使用した手術シミュレーションが可能な立体モデルを作成するものであるということ で。  効果のところに書いてございますが、本技術を用いることにより、適切な治療方針の決 定、正確な手術シミュレーション、さらには複数のスタッフ間でのイメージの共有・補完 を行うことができる。その結果、当該領域における難易度の高い手術について、安全性及 び正確性が向上するということでございます。  次の7ページに適格性の評価がございますが、妥当あるいは問題なしということになっ ています。ただ、現時点ではまだ普及していないということでございます。適ということ でございますが。  次の8ページ、当該技術の医療機関の要件としまして、整形外科、整形外科の専門医が 行う、経験年数そちらに書いてあるとおりでございます。というこのような体制を要件と して適ということでございます。  以上でございます。 ○遠藤会長  ありがとうございました。  ただいまの2件の御報告ですけれども、御質問、御意見ございますでしょうか。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原(淳)委員  最初の158の技術のESDの件なんですけれども。術者についてはこの程度の経験を 求めるというのは分かりますけれどもそれにしても、この施設基準が非常に厳しいなと思 います。確か穿孔率は5、6%だと思いますけれども、これはしっかり連携で。穿孔率と いいましても、これはクリッピングとかそういうことをすれば1、2%という感じでござ いますので、全部これ5、6%といっても孔が開いてすぐ手術になっているわけではござ いませんので。連携がしっかりしていれば対応可能だと思いますけれども。その辺につい てはどういう議論でこういう施設基準を厳重にしたのか、教えていただければ。 ○遠藤会長  事務局、よろしくお願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  先進医療専門家会議の中では、特に連携施設でということではなくて、やはり緊急時の 対応は自施設でというような議論でこのような基準になったところでございます。 ○遠藤会長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原(淳)委員  実際に技術があるのに、また複数の医師でやれるところがある、或いは出てくるかと思 いますけれども、そういった技術が生かせるような形であくまでもこういったものは対応 するということでやって頂きたい。それでもちろん術後いろいろ合併症はありますけれど も、それは施設との緊密な連携の中でやれる範囲ではないかなと私は、特にこのESDに 関してはそういうふうに考えますけれども。  そういうことで、ほかのこれからいろいろな技術が入ってくると思いますけれども、こ ういうふうに縛りをどんどん厳しく設けるというのは専門医にとって意欲を大変そぐよう な面もありますので、その辺は考慮していただきたいと思います。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  先進医療につきましては、実際に現場で先進医療として認められてから行われた実績報 告をしていただきまして、その報告の状況を見ながら保険収載にする、あるいは施設基準 を変えていくというような対応にしてございますので、この技術についてもそのようなも のになると思われます。 ○藤原(淳)委員  よろしくお願いします。 ○遠藤会長  藤原委員、よろしいですか。 ○藤原(淳)委員  ええ。ただ、この価格については、必ずしも私高い設定ではないと思っていますし、材 料が、これESDなんかは8万円ぐらいはかかるかと思いますけれども、もうちょっと技 術を評価していただきたいなという部分もありますけれども。 ○遠藤会長  価格につきましても、あるいは施設基準につきましても、保険収載される段階でまた改 めてここでの議論になりますので、そのときの議論ということだと思います。ありがとう ございます。  ほかに御質問は。  勝村委員、どうぞ。 ○勝村委員  私、藤原委員とはちょっと反対の意見になるかと思いますが、非常に緊急の手術の可能 性があるということなので、自院で緊急の開腹手術ができる体制でやってもらうという、 そういう安全性に対して非常に慎重に取り組んで、先進医療だから、それを根付かせてい くためにもそういう形でスタートしていこうという配慮をしていただいていることのほう が僕はありがたいと思っておりますので、4ページの要件について厳厳し目にというか、 一定以上の自院で緊急手術ができるというところでまずやってほしいという要求をいただ いていることに賛成しますし、そういう方向でいってほしいと強く思います。  なお、質問なんですけれども。この件ではないんですけれども、一般に、4ページのよ うな要件の表に関してなんですけれども。以前にも、要件に書かれてある倫理委員会とい うのはどういう要件なのかとか、要件に書かれてある医療安全管理委員会というのはどう いう要件の委員会なのかということを以前にお聞きしたら、厚生労働省でガイドラインが 出ているということだったんですけれども。同じように、この要件に書かれている緊急手 術の実施体制というのはどういう実施体制のことなんでしょうか。例えば看護基準とか。 この件では、看護配置の看護基準に関しては全く不要というふうになっているんですけれ ども、緊急手術の実施体制というのは先ほどの外科医2名以上であるということとイコー ルということなのか、どういう要件なのか、教えていただければと思います。 ○遠藤会長  それでは、事務局、お願いします。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  緊急手術の実施体制というものについて、実際には細かくは基準を設けてございません。 と申しますのも、こういった消化器の場合の手術体制と例えば脳外科の手術体制とか、そ れぞれの疾患によってやはり状況がいろいろ異なると思いますので。ただ、こちらにござ いますような緊急手術の実施体制要ということで、この病気については大体どういう体制 かというのは通常であれば医療機関として大体お分かりになるのではないかと。念のため ということではございませんが、こちらでは他診療科の医師ということで必ず外科医が2 名以上というような縛りもかけて、その辺をある程度担保するというようなことで考えて いるところでございます。 ○遠藤会長  勝村委員、いかがでしょうか。 ○勝村委員  ある程度、明確になっていないとそれぞれの医療機関の判断になってしまうので、だか らこそ別のところで外科医2名以上と書かなきゃいけないという面もあるかとも思うんで すよね。そうとは言い切れないかもしれまんが。できれば、一定、ここの緊急手術の実施 体制という項目の欄にも、簡単でいいと思うんですけれども、どういう具体的なものなの かというのを、どれほど厳格にそれぞれしなきゃいけないか、それはケース・バイ・ケー スだと思いますけれども、何か一定の分かりやすい指標があったほうがいいのではないで しょうか。または、厚生労働省のほうでそういうことについては、こういうケースに関し てはこういうもんだというガイドラインが別途あるということならば、そういうものにし ておくとか。一応、書いているだけというか、名前だけという形でなってしまわないよう な形にできればいいかなと思いますので、ちょっと今後に向けて検討をお願いしておきた いと思います。 ○遠藤会長  合理的な御質問されていると思います。要するに実態が見えてくるような表記がないと よくないのではないかということですが、いかがでしょうか。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  先ほど説明でちょっと漏れてしまったんですが。またその他の項目のところでも24時 間画像診断が実施可能な体制ということで。手術をしてすぐに合併症が出るとは限らず、 ある程度時間がたってから腸の穿孔が分かると。腹痛がしたときに、いつでも画像を撮っ て、それによって穿孔したかどうかということを診断するとかそういうのも含めてこちら のほうに書かせていただいているつもりでございまして。そのように補足的なというかつ け加えるようなものについては、またその他の項目に追加ということで対応させていただ いているということでございます。  さらにもう少し細かい点でということであれば、今後もその他のあたりに書き足すなど で対応させていただければというふうに思います。 ○遠藤会長  勝村委員、よろしいですか。 ○勝村委員  この件に関しては、安全性の確保のために非常に御努力いただいていることに関しては 了解するんですけれども。それぞれの項目をつくっている限り、その項目の意味するとこ ろは何なのかということもやはり何らかの形で表現できているほうがいいと思いますので、 ちょっと御検討いただければと思います。 ○遠藤会長  ほかにございますか。  それでは、邉見委員、どうぞ。 ○邉見委員  藤原委員の言われることもよく分かるんですが、ただ今の時点ではやはり患者さんの安 全ということを第一義にしないといけないと思いますので、この要件でいいのではないか と思いますけれども。現状を見ますと、将来的にはそういうふうに保険収載のときには少 し緩めるということもあり得るのではないかというふうに思います。 ○遠藤会長  ありがとうございます。  これに限らず、根本的な問題なんですね。安全性を重視するとなると、技術の普及とい うのを多少阻害するというところもありますし、技術の普及を優先すると安全性が多少阻 害されるということもあるという、トレードオフの関係がありますので非常に難しい問題 でありますけれども。これにつきましては今回このような形でお認めいただけるかどうか ということですね。保険収載をするときにはまた別途議論ということで。  失礼しました、お認めいただけると申し上げましたが、これはあくまでも何がしかの意 見があれば先進医療専門組織に我々が意見を言ったということになるわけでありまして、 基本的にこれを先進医療にするかどうかという権限は我々にはないわけであります。  特段の意見はないといってよろしいですか。  小林委員。 ○小林(剛)委員(代理:貝谷氏)  結論的には特にございませんが、1点教えていただきたいと思いますけれども。この大 腸腫瘍は非常に国民的にも関心の高い疾病だと思っておりますが、御説明のように患者の QOLが非常に向上するということと、医療経済上も効果的だということで、方向性とし ては非常にいいかなと思います。先ほどの先進医療としての医療機関の要件がいろいろ厳 しいんじゃないかというお話がございましたが、要件を満たすであろう医療機関というの はどのぐらいの配置というんでしょうか、本当に各県で数が少ないものなのか、ある程度 要件というのは満たせるものはあるのかという、その辺の感じがもし分かれば教えていた だきたいと思います。 ○遠藤会長  事務局、どうぞ。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  現時点では届出が出ている医療機関についてしか分かりませんが、実際には先ほど邉見 委員のほうから御発言がございましたように、かなり普及性の高い技術ではないかという ふうに思ってございますので。この要件を出したことで、今後届出がけっこう出てくるの ではないかというふうに想像してございます。 ○遠藤会長  よろしいでしょうか。お名前間違えて失礼いたしました。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原(淳)委員  先程緊急手術について、勝村委員は非常に多いと言われたんですが、確かに多いのは多 いんですけれども、どの基準で非常に多いと認識されているのかちょっと気になりました。 実際に手術でやっても、縫合不全なんかで、結腸なんかでは1、2%、直腸では8から1 0%という数字があるぐらいですから、内視鏡的に言えば確かに多いということは言える かと思いますけれども、この内視鏡技術というのは本当に日進月歩、日々技術も更新しま すし、道具も更新するわけなので、この辺は適宜状況を見てやはり施設基準なんかもう少 し緩めていただきたいと私は思います。 ○遠藤会長  それはまた保険収載するときの議論としたいと思います。  ただいま、EMR、ESDの議論が随分されていたわけでありますが、もう1件のほう はよろしゅうございますか。もう1件のほうはよろしゅうございますか。特段の御質問ご ざいますか。  これは手術前のトレーニングとか手術の方針を決めるときのものですから、実際に保険 収載する場合は手術をしたときの加算かなんかになるという性格のものだと思ってよろし いわけですね。 ○事務局(宇都宮医療課企画官)  さようでございます。 ○遠藤会長  これ自体が治療ではないということでありますので。  それでは、説明のありましたただいまの2つの技術につきまして、保険給付との併用を 認めることについては、中医協としては、いろいろ御意見はありましたけれども、取り立 てて専門組織に対して意見を申し上げる内容はないということでよろしゅうございますか。  議論の内容はむしろ保険収載するときにどうするかという議論にかなり終始したと思い ますので、そのように理解させていただきたいと思います。  それでは、中医協としましては、特段の意見はないということにさせていただきたいと 思います。どうもありがとうございました。  それでは、本日の総会はこれにて閉会したいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局から何かございますか。 ○事務局(佐藤医療課長)  7月下旬を予定しておりますので、詳細決定次第、また御連絡をさせていただきます。 ○遠藤会長  それでは、本日の総会はこれにて閉会としたいと思います。  どうもありがとうございました。  引き続き、基本小委がございます。       【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)