09/06/18 第19回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第19回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事 録) 1.日時:平成21年6月18日(木) 10:00〜12:30 2.場所:航空会館 702+703会議室 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、伊藤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、小川構成員、 門屋構成員、坂元構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、 高橋構成員、寺谷構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、野沢構成員、 広田構成員、町野構成員、三上構成員、良田構成員   厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、蒲原企画課長、福島精神・障害保健課長、 林課長補佐、野崎課長補佐 4.議事  ○ 地域医療体制のあり方・入院医療体制のあり方について 5.議事内容 ○樋口座長  おはようございます。時間になりましたので、第19回の今後の精神保健医療福祉 のあり方等に関する検討会を始めさせていただきます。構成員の皆様におかれまし ては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。  まず、事務局から、本日の出欠状況等についてお願いいたします。 ○野崎課長補佐  本日の出欠状況等について御報告いたします。  谷畑構成員、山根構成員より、御欠席との御連絡をいただいております。また、 伊澤構成員より少し遅れるとの御連絡をいただいております。また、御連絡はまだ いただいていませんが、野沢構成員、町野構成員におかれては、少し遅れていらっ しゃるようでございます。また、本日は、末安構成員が途中で退席をされるという ことで、事前にお知らせをいたしたいと思います。  本日の出欠状況等については、以上でございます。 ○樋口座長  どうもありがとうございました。  それでは、早速議事に入りたいと思いますが、本日のテーマは、お手元の議事次 第にございますように、「地域医療体制のあり方・入院医療体制のあり方について」 でございます。  本日の進行でございますけれども、お手元の資料は、中が大きく3つのテーマに 分かれておりますけれども、まず、資料は全体通して事務局から説明をいただいて、 その後、分けて少しディスカッションしてまいりたいと思っております。  それでは、「地域医療体制のあり方・入院医療体制のあり方等について」資料に基 づいて、事務局から説明をお願いいたしたいと思います。 ○林課長補佐  ありがとうございます。  資料に基づいて、まず冒頭に説明をさせていただきたいと思います。長い資料で ございますので、かいつまんで概要のみ御説明をさせていただきます。  1枚めくっていただきまして、論点整理でございます。論点整理の中のこれは概 要ですけれども、「入院医療、通院・在宅医療について」病気や疾患に応じて、入院 医療をはじめとする医療機能のあり方を明示した上で、将来的な病床の機能分化や 医療体制の姿を提示するというもの。そして、「医療体制・連携について」相談体制、 入院医療及び通院・在宅医療のあり方に関する検討や、医療計画制度の見直しを踏 まえ、今後の精神医療体制のあり方について検討を行うべきと。そして、3つ目に 「人材の確保をはじめとした精神医療の向上について」ということで、医師・看護 職員・精神保健福祉士・作業療法士等の医療関係職種については、人員基準の見直 しや、人材確保や資質向上のための方策について検討すべき。このような論点整理 になっております。これまでの数回にわたって、様々な今後充実すべきサービスに ついて御検討いただいてきたところでございますけれども、それぞれの御検討も踏 まえた上で、今回は「地域医療体制のあり方・入院医療体制のあり方について」と いうことで、ある意味で総合的な議論をお願いしたいと思っております。  まず、おめくりいただいて「入院医療における病床等の機能(総論)」でございま す。  医療法の人員配置標準ですけれども、一般病床では16:1、看護師3:1となっ ておりますけれども、精神病床においては、総合病院等の例外を除いて、医師は 48:1、看護師が4:1で、当面の間は5:1でよいという形で、緩和された人員 配置でよいことになっております。診療報酬上の入院基本料の点数については、下 にありますとおりで、精神病床においては、10:1が最高の評価となっております けれども、ここは25日以内という平均在院日数の要件がございまして、なかなか算 定が行えないところでございます。15:1、18:1、20:1といった評価がなされ ております。一般的には、平均在院日数が短く、重症度の高い病棟において高い看 護配置が評価される。このような体系となっております。  その次の「精神病床の現状」で、少し古い資料で恐縮ですけれども、特定入院料、 精神病棟入院基本料のそれぞれ算定している病床がどの程度あるかというものでご ざいます。一番多いのは、入院基本料の中では15:1、特定入院料の中では、精神 療養病棟となっております。特定入院料の精神療養病棟や救急入院料、急性期治療 病棟入院料等については、この後も徐々に増加しているという傾向になっておりま す。  6ページ、7ページは、診療報酬の主な要件でございます。今までにも御説明を させていただいたことがございますので、御説明は割愛させていただきます。  8ページから少し話題が変わりまして、入院の状況、そして、それと状態像との 関係についての資料でございます。8ページの資料は昨年もお示ししたことがござ います。精神病床入院患者の入院の状況で、「生命の危険は少ないが入院治療を要す る」あるいは、「受け入れ条件が整えば退院可能」といった患者さんがどの程度いら っしゃるかという、これは主治医の評価によるものですけれども、「生命の危険は少 ないが入院治療を要する」という患者さんが全体で62.6%、「受け入れ条件が整えば 退院可能」という患者さんが33.6%いらっしゃることになっています。  少し聞き方を変えて、「居住先・支援が整った場合の退院の可能性」をお尋ねした ところ、「現在の状態でも、居住先・支援が整えば退院可能」という方が9%、「状 態の改善が見込まれるので、居住先・支援など新たに用意しなくても近い将来退院 可能」が5.8%、「状態の改善が見込まれるので、居住先・支援が整えば近い将来退 院可能」という方が45.6%、「状態の改善は見込まれず、居住先・支援を整えても近 い将来退院の可能性なし」という方が39.6%となっております。「近い将来」は、記 入要領上は約6か月ということで調査をしております。  このような退院の可能性と患者さんの状態像との関連がどうであるかということ、 9ページ以降のデータは今回初めてお示しするものでございます。ADL、IAD L、身体合併症等、予想されますとおり、重い方の方が近い将来退院の見込がない と評価される割合が高くなっております。また、「統合失調症患者の状態と退院の可 能性(2)」の資料で、症状、特に陽性症状と退院の可能性はかなり関連がございま して、自傷他害、奇妙な姿勢、幻覚、罪業感、あるいは緊張抑鬱気分、こういった ものが重度であると退院の見込がないと評価される可能性が高く、また、薬物療法 の必要の認識についても不十分である方の方が退院の見込がないという評価をされ ている方が多くなっております。  これをまとめたものが12ページでございます。身体合併症、特に特別な管理、す なわち入院治療を要する身体合併症をお持ちの方で、近い将来、退院の見込はない と評価される可能性は約60%程度、精神症状も、この分類の定義の下に書いてあり ますような症状が中程度、高度以上というような方を抜き出してみますと、このよ うな方で近い将来退院の見込はないと評価されるとうい方が6割ぐらいになります。 ADL、IADLの援助を要する方、ただし、1、2の部分に含まれる方は除いて 集計をしておりますけれども、身体合併症や重い精神症状がなくて、ADL、IA DLの援助を必要とする方を取ってみますと、約4割ぐらいが近い将来退院の見込 はないというふうに評価をされております。こういった方をすべて除いて、それ以 外の方を取ってみると、近い将来退院の見込はないという方が約2割いらっしゃい ます。右側の患者数の割合は、全体を100%として、それぞれのカテゴリーに当ては まる患者さんがどの程度いらっしゃるかということをお示ししたものでございます。  13ページは、これは少し違った切り口で状態像の分類をしているものでございま すが、看護・介護職員のケア時間の相対値を使って、患者さんの状態像ごとにどの くらいケアの時間が違っているかというものを見たものでございます。状態によっ て大きく違っておりまして。一番下0.76から、一番高いところでは4.10というこ とで、実際の病棟での看護・介護職員のマンパワーがどれだけ使われているかとい うことは、このようなことになっております。  14ページは、統合失調症等の入院患者の状態を評価する主な尺度でございます。 GAFやPANSS、BPRSといった尺度で統合失調症の入院患者さんの状態が 重い・軽いかが評価できるとされております。  15ページから少し話題が変わりまして、今度は高齢者を中心に、その年齢と状態 像との関連を見たものでございます。15ページの図は前にもお示しをしております が、年齢が上がるにしたがってADLの支援のレベルが上がっていくというもので す。IADLについても、これは若い方でもかなり支援を必要とする方が多くなっ ておりますが、年齢を追うに従って、とりわけ一層困難な方が多くなってまいりま す。  17ページ。身体合併症についても、年齢を追うに従って、入院治療、あるいは日 常的な管理を必要とする身体合併症の方が多くなってまいります。その身体合併症 の内容としては、内分泌・代謝疾患、恐らく糖尿病等が多いと思われますが、次い で循環器疾患、消火器疾患、筋・骨格系疾患の順となっております。  こういったことを踏まえて、医療機関側に退院後の適切と考えられる「居住の 場」はどこでしょうというのを伺ったのが、19ページのグラフでございます。若い 方では「家族と同居」というお答えが多いのに比べて、65歳以上になりますと、「家 族と同居」というお答えは減っていき、変わって、9番の「介護老人保健施設」、あ るいは10番の「介護老人福祉施設」、こういったお答えが多くなっております。  これまでの資料を踏まえまして、20ページに精神障害者の治療・生活の場につい ての検討として、模式図を示しておりますが、医療ニーズとして身体合併症のある 方、そして、精神症状で入院の治療を要する方、生活のニーズとして、ADLの支 援を要する方、IADLの支援を要する方、あと年齢といった5つの切り口で見て おります。それぞれの状況、身体合併症でも精神症状でも入院治療を要するような 方、あるいは片方だけで入院治療を要するような方、あるいは、身体合併症や精神 症状のために入院治療を要するわけではないけれども、ADLやIADLの介護・ 支援を要する方、こういった方について、状態に応じてどのような治療の場、ある いは生活の場を確保すべきか。こういったことを本日ひとつ御検討いただきたいと 考えております。  21ページがここまでのまとめでございまして、「現状と課題」としては、医療法上 の人員配置標準は一般病床よりも低くなっているということ。診療報酬においては、 在院日数の短い病棟など、急性期を中心に高い人員配置を評価する体系となってい るということ。3つ目に、重症の者を含め、入院患者に良質の医療を提供し早期の 退院を促すためには、手厚い人員配置を確保することが望ましく、医療の質を高め るためには、現在の人員配置基準では不十分であるという指摘があるということ。 4つ目に、同一病棟においては、診療報酬が、患者の状態像によらずほぼ一定であ ることから、様々な状態の患者の入院に対するコストを適正に反映しておらず、重 症患者を積極的に受け入れる医療機関ばかりではなく、重症患者を回避しようとす る医療機関があるとの指摘があること。5つ目に、精神病床には、精神症状は落ち 着いているが、ADLの低下した患者や、身体合併症を有する患者も多く入院して おり、長期入院患者の高齢化に伴い、今後このような患者の増加が予測されるとい うことがございます。  そのことを踏まえた検討の視点としては、精神病床の医療の質の向上を図るため に、段階的に人員基準の充実を目指すべきではないか。このため、まず、患者の状 態像や病棟の機能に応じた人員基準と、その診療報酬上の評価について検討するべ きではないか。また、精神病床数の適正化等を図りながら、将来的に、医療法にお ける人員配置標準見直しにより、精神科全体の人員配置の向上を目指すことについ て、どう考えるか。  2つ目に、患者の心身の状況に応じ、入院の必要な患者の入院治療の場の適切か つ優先的な確保を図るべきではないか。このために、重症度に応じた評価の体系の 導入を検討すべきではないか。その際、医学的観点による入院の必要性、ケアにか かる医療従事者の時間等のコストを勘案するべきではないか。また、そのために必 要な分類・評価方法の開発を進めるべきではないか。特に、統合失調症については、 患者数の将来推計や、状態像ごとの患者の人数を踏まえ、将来の病床数のあり方を 検討すべきではないか。この具体的な病床数については、次回御検討いただきたい と考えております。認知症については、前々回に御検討をいただいたところでござ いますけれども、精神病床や介護保険施設等の入院・入所機能の必要量を検討すべ きではないかということでございます。  3つ目に、高齢精神障害者の退院促進に当たっては、現にその多くが介護を要す る状況であることを踏まえて、生活の場を確保することが必要ではないか。  このような視点について御検討をいただければと考えております。  2番目に、「地域医療体制と精神科医療機関の機能」についてでございます。  これまでの検討において、精神科医療体制に関連して、様々なサービスを、どの ようなところを伸ばし、どのようなところを今後充実を図っていくべきかといった 観点から御検討をいただいてまいりました。23ページは、外来あるいは在宅に関す る医療の論点、そして、24ページは、入院医療の中でどういったところを充実させ ていくべきか。救急、身体合併症、認知症等について御議論をいただいてまいりま した。25ページは、専門的な分野、気分障害、児童・思春期精神科医療、依存症、 こういったところについても御議論をいただいてまいりました。こういったことを 踏まえた上で、また、疾病構造の変化等も踏まえて、どのような地域医療体制を構 築していくかということがこの2番目の論点でございます。  その下のページは入院患者の疾病別内訳。これは何度もお示ししておりますが、 統合失調症の入院患者さんが平成8年から平成17年の間に約2万人減り、認知症、 すなわち、ここで見ると、アルツハイマー病と血管性及び詳細不明の認知症の入院 患者さんが合わせると2万人程度増えてきております。外来患者さんを見ますと、 急激に増えているところは、気分[感情]障害(躁うつ病を含む)ということで、 平成17年には896,000人にまで患者さんが伸びておりますし、アルツハイマー病に ついても、これまで少なかったものが急激に伸びております。  精神病床の入院患者さんの年齢分布が28ページにございますが、昔と比べて高齢 化が急激に進んでおり、また、今後も高齢化していくことが予想されます。  29ページは初めてお示しする資料でございますが、精神病床の統合失調症の入院 患者数の将来推計でございます。平成8年〜平成17年については、患者調査のデー タを掲載しております。この平成14年〜17年のデータを活用しまして、平成14年 〜平成17年に、同じ世代の入院患者数がどのくらい増減したかという、その増減率 が将来にわたっても一定であるという仮定において、25歳以上の患者さんの数を推 計しております。また、25歳未満の患者さんの方については、人口当たりの入院率 が一定であるという仮定で、人口減に従って減っていくというモデルとしておりま す。統合失調症の入院患者さんも、過去の入院患者さんの数が将来の入院患者さん の数を予測しているということで、これまでのデータに当てはめてみると当てはま りが比較的よいということで、このようなモデルにしております。平成17年には 196,000人の方が入院をされていますけれども、例えば平成26年には、このモデル に基づくと172,000人程度まで減っていき、平成38年には124,000人といったとこ ろまで減っていくことが予想されます。また、年齢分布を見ますと、白いところが 60〜69歳ですが、60代の患者さんが今後さらに増えていき、その後、70代の患者さ ん、80代の患者さんも増えてまいりますが、50代以下の患者さんは今後急激に減っ ていくという予想となっております。  30ページ、精神病床数については、平成10年から以降の数字を出しておりますけ れども、少しずつ減っているという状況でございまして、大きな変化は見られてお りません。  31ページ、精神科診療所についての検討でございます。診療所数の推移をごらん いただきますと、平成17年には診療内科・神経科・精神科を合わせて2,936か所と いうことで、急激に伸びてきております。  32ページは、往診に関するデータでございます。これまで訪問看護についてはデ ータをお示しして御検討をいただきましたけれども、往診については、今回初めて データをお示しいたしますが、精神科病院・精神科診療所で往診を実施していると ころは、それぞれ13%と16%、1か月の1か所当たりの延べ実施人数を見ますと、 多くのところは1〜10人ぐらいということで、その医療機関数の分布をお示しをい たしております。  33ページは、往診を実施する精神科医療機関の割合を都道府県別に見たものです。 近畿地方等、西日本で比較的その割合が高い傾向が見られますが、都道府県によっ ては、ほとんどの医療機関で往診を実施していないといった都道府県も見られると ころです。  34ページ、「精神科診療所の救急業務への協力の可能性」ということで、これは診 療所へのアンケート調査でございます。今後、条件つきでなら参加してもよいとい う診療所が約半分ぐらいあったということで、例えば対応不可ケースのバックアッ プするとか、電話で助言するとか、そういった形でなら参加できるというような御 回答が多くなっておりました。  次から少し話題が変わりまして、医療計画制度についてでございます。この資料 もこれまでから何度かお示しをいたしておりますけれども、医療計画制度は、今般 の見直しで医療連携体制を構築して、一つの医療機関だけで完結する医療から、地 域の医療提供者が医療連携によって、患者の治療を分担、完結医療を進めるといっ た体系になってきております。下の図に示しておりますように、患者、御家族を中 心に、その近くにいらっしゃるかかりつけ医がいらっしゃり、また、それ以外の 様々な機能についても確保して、地域で医療連携体制によって完結できる医療を推 進するというものでございます。37ページにありますように、4疾病5事業、5事 業の方は、救急医療等確保事業と申しますが、こういった疾病・事業については、 特に必ず都道府県がその計画を記載するということが定められております。5事業 としては、救急・災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療とな っておりますが、これらの医療は、地域において確保する必要性が特に高い医療と して選ばれているということでございます。38ページ、医療計画によって医療連携 体制を構築するに当たってどのようなことが行われているかということでございま すけれども、継続的に医療が行われるよう医療体制を構築する。構築するに当たっ て、従来の二次医療圏にこだわらず圏域を設定する。各医療機能を担う医療機関名 を記載する。各医療機関等の情報の共有を図る。そして、医療提供体制について、 数値目標を設定する。このようなことが行われます。  39ページに、その医療計画にはどんなことが書かれるかというイメージでござい ます。都道府県の医療計画においては、どのような機能を担うべきかということを まず記載し、それを担う医療機関、そして、機能ごとの目標や求められる体制、こ ういったものを記載するという形でございます。  40ページは、脳卒中におけるイメージ図でございます。脳卒中は、救急医療から 始まって、入院からだんだんリハビリテーションして、ステップダウンしていくと いう医療の体系でございますけれども、このような形になっております。統合失調 症も脳卒中に近い形で御説明していることがこれまでは多かったかもわかりません が、今後、地域で生活していながら、増悪したときには高次な医療に結びつけると いう意味では、41ページの糖尿病のような例がより近いかもしれません。糖尿病に おいては、初期安定期の治療として、専門治療、急性増悪時治療、慢性合併症治療、 こういった位置づけで医療連携体制が構築されることになっております。  「精神科医療の医療計画上の位置づけ」につきまして、その下のページからです が、救急医療の中で、精神科救急医療も救急医療の中に位置づけがございます。そ れ以外の精神科医療については、都道府県における疾病の状況等に対して特に必要 と認められる場合に記載するという形になっております。43ページは、救急医療の 中で精神科救急医療がどのように位置づけられているかということをお示ししたも のでございます。  その下、まとめのページでございます。「現状と課題」として、地域で生活する精 神障害者の増加や、高齢化、疾病構造の変化等により、精神科医療へのニーズが変 化しつつある。  「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念に基づいて、地域で生活す る精神障害者を支えるための医療機能が求められる。  これまでの検討から、精神科医療において、ここに記載しておりますような様々 な機能の確保・充実が必要と考えられる。  精神科診療所が急速に増加する中で、地域医療において、精神科診療所が他の医 療機関と連携して役割を果たすことが求められる。  「検討」は右側でございます。  精神疾患患者の地域生活を支援するための、地域医療体制の整備・確保を図るこ とが最も重要ではないか。各々の医療機関が、在宅・外来医療を含め、患者の地域 生活を支える機能を充実することにより、患者の身近な地域で、医療提供体制を確 保する必要があるのではないか。このための体制を、精神科病院、診療所、訪問看 護ステーションが連携して構築するべきではないか。診療所による在宅医療・救急 医療への参画についても、促進を図るべきではないか。  このほかに、大まかに次のように類型化された機能を担う精神科医療機関が必要 ではないか。なお、これらの機能は、地域医療体制との連携において適切に発揮さ れるのではないか。1つ目に、高次の精神科救急を行う精神科病院。急性期の身体 合併症に対応する機能についても確保が必要です。いわゆる総合病院精神科。精神 病床での身体合併症治療のほか、一般病床へのリエゾンの機能等がございます。高 齢者の診療を行う精神科病院。認知症のBPSD・身体合併症対応や高齢統合失調 症患者の身体合併症対応の機能が必須であり、単なる単科の精神科病院ということ よりは機能の強化が必要だと思います。極めて重症な患者の療養を行う精神科病院。 病床数は限られた数であろうと思います。その他の専門的な医療機能(児童思春期、 依存症等)を有する精神科医療機関。こういった類型でございます。  高齢精神障害者の退院促進に当たっては、現にその多くが介護を要する状況であ ることを踏まえて、生活の場を確保することが必要ではないか。そういった生活の 場の確保があって、その上記にあるような医療機能が十分に発揮できるということ でございます。  45ページは、今御説明したことをイメージ図として列挙したものでございます。 46ページは、地理的な概念を含めたイメージ図ですけれども、身近な地域で病院・ 診療所・訪問看護ステーション等が連携をして、基本的な地域生活を支える医療を 確保するということ。そして、医療圏域、あるいは都道府県単位でそれよりも高次 の医療機能を確保する。こういうイメージ図でございます。  47ページは、このような体制をどのように確保していくかという手段でございま す。「現状と課題」として、医療計画においては、主要な事業ごとに医療機関の医療 機能や医療連携体制について明示することとされております。  医療計画において、精神病床数については都道府県ごとに基準病床数を定めるこ ととなっておりますが、精神科医療は医療計画に必ず記載すべき「4疾病5事業」 に含まれておらず、都道府県における疾病の状況等に照らして特に必要と認められ る場合に記載すべき事項となっています。  5事業の対象は、地域において特に確保する必要性が高い、次に記載しておりま すような医療となっております。  医療計画に位置づけられることにより、必要な医療機能や、医療提供体制におけ る個々の医療機関の役割が、数値目標とともに明確化されるとともに、都道府県の 医療計画を基礎として、その実現のために様々な政策的誘導が図られる等の効果が 期待されます。  検討の視点として、精神保健医療体系の改革に当たって、地域のニーズに応じて、 精神科医療の様々な機能に関する提供体制や、医療機関の連携体制を構築するため、 精神科医療の医療計画の「救急医療等確保事業(5事業)」における位置づけについ て検討すべきではないか。  この場合、医療計画に明示されるべき医療機能、医療連携体制及び圏域設定の具 体的なあり方について、さらに検討すべきではないか。  このような視点について御議論いただければと考えます。  3番目に、「精神科医療機関における従事者の確保について」でございます。  まずは、医師数でございますが、平成6〜18年の間に、全医師は1.19倍に伸びて いる一方、精神科医師は、それを上回る1.28倍というペースで伸びております。た だ、50ページにございますように、伸びているのは診療所の方が多く、平成6〜18 年の間に、診療所では125%増加している一方で、病院では、増加率は15%にとど まっております。  51ページが、年齢の分布でございますが、平成8年と18年を比べて、これは新設 医大の開設の時期が昭和40年代に集中している関係で、どの科でも見られる傾向で ございますけれども、50代を中心にその世代の医師が増加しているということでご ざいます。  52ページは、精神科医師の業務種別を、医師免許取得からの年数別に見たもので ございます。黒いところが診療所、白いところが病院でございます。上の段が精神 科、下の段がすべての医師でございます。左上の平成8年を見ますと、精神科の特 徴と比べて、下の全医師と比べて、診療所にお勤めの医師の方が少ないという特徴 がございました。これが右の平成18年になりますと、免許取得後から20〜30年、 この辺りの方々の診療所にお勤めになる割合が増してきて、だんだん全医師の傾向 に近づいてきているということが言えるのではないかと思います。  53ページが、各世代の医師の業務種別ごとの従事者数の変化という図で、平成18 年の従事者数を、平成16年の2歳若いお医者さんの従事者数と比べておりますので、 その世代のお医者さんが、どの時期に、どこからどこに業務の場を移したかという ものが見られるものでございます。実線になっておりますのが診療所でございまし て。診療所に勤務の場が移る時期は、卒後10〜15年、あるいは15〜20年、すなわ ち、30代後半から40代前半の時期が一番多くなっております。右側は全医師の傾向 でございまして、傾向としては、精神科医師と全医師では、大きな違いはないもの と思います。  下のページが、医師免許取得後3年目の精神科医師数でございまして。3年目の 医師の中で、約5%が精神科に行かれるという状況でございます。近年、増加して いるような傾向も見られておりましたが、平成18年のところ、制度も少し変わって おりまして、統計の取り方も若干変わっているということで、今後も、さらにその 動向を注視していく必要があるのではないかと思っております。  55ページは、地域別の動向でございます。全体で、2割程度10年間で精神科医師 が増えておりますが、地域によっては、大きく増えているところ、余り増えていな いところがございます。精神科医師の数が減っているという都道府県はないようで ございます。  全体的な医師の確保のために、56ページにありますように、医学部医学科の入学 募集人員を、平成20年度以降「早急に過去最大程度まで増員する」ということで、 21年度は8,486人まで医師の養成を増やしているというところでございます。  57ページ以降は、コメディカルについてでございます。看護職員の就業者数は、 全体ではごらんのように非常に伸びてきて、平成18年には848,000人の看護師、そ の他の職種についても、ごらんのような人数が就業していらっしゃいます。  58ページは、精神科に従事される方でございまして、下の段、常勤の方を取って 見ますと、平成11〜18年までございますが、看護師は徐々に増えてまいりまして、 准看護師が若干減っているというような状況でございます。この伸び方を見ますと、 平成11年には、就業する看護師、上のグラフの全体の数と比べると、8.1%であっ たものが、平成18年には7.6%ということで、増えてはいるものの、全体の増え方 と比べると伸びが緩やかでございます。58ページの右側は、作業療法士、精神保健 福祉士、心理技術者のコメディカルの就業者数でございますけれども、こちらも大 きく伸びてきております。  看護職員の確保のためには、厚労省として様々な施策を講じておりまして、その 概要をお示ししております。その下、60ページが、伊藤弘人構成員に御提供いただ きました資料でございますけれども、これまで精神科病院の人員の再配置、その経 営の改革等の場合には、認知症病棟を増やすとか、あるいは精神療養病棟を増やす とか、そういった入院医療の中で病棟の種別を変えていくというような形での再配 置が行われてきている例が多かったのではないかと思います。61ページが、将来あ るべき精神科病院の人員配置ということで御提供いただいたものですけれども、入 院・外来を含めて、ダイナミックに配置転換をしていくべきではないかということ。 そして、入院医療の中では、病床の削減と、その配置の向上を同時に行うことで、 資質の向上も期待できるのではないか。こういったイメージ図であると理解してお ります。  62ページが、「精神科医療機関における従事者の確保について」のまとめでござい ます。  「現状と課題」として、精神科(神経科を含む)に従事する医師数は、他科の医 師と比較して、高い割合で増加をしてきております。  病院に勤務する医師の増加のペースが鈍い一方、精神科診療所に勤務する医師は 急速に増加しており、他科と同様、免許取得から10〜20年程度で、病院等から診療 所への勤務に移行する医師が多くなっております。  精神科に従事する看護職員等のコメディカルの数は徐々に増加しております。し かし、全科の看護職員の総数と比較すると、精神科に従事する看護職員の増加のペ ースは鈍い傾向にあります。  医学部の定員増等、医療従事者の養成や確保の取り組みが進められておりますが、 全体として従事者数は有限であり、養成数の増加が実際の従事者数の増加に効果を 及ぼすには長い時間がかかることも留意する必要がございます。  右側、検討の視点でございます。  国民のニーズ及び若手医師のキャリア形成の双方に資するよう、学会・医療機関 等が連携して、若手の医療従事者の養成の充実を図ることにより、精神医療への魅 力を高め、精神科の従事者の確保を図ることが求められる。  精神病床の医療の質の向上を図るために、段階的に看護職員等の人員基準の充実 を目指すべきではないか。こういった医師の確保、看護師の確保といった取り組み をまず進めることが重要でございますが、その上で、医療従事者数が有限であるこ とを踏まえ、精神科医療の中で最も必要な分野に重点的に医療従事者を確保する必 要があるのではないか。  具体的には、在宅医療、救急・急性期医療、精神・身体合併症、各領域の専門医 療等、今後需要が見込まれる分野に勤務する医療従事者が相対的に増加し、長期入 院患者の病棟等に勤務する医療従事者が相対的に減少するよう、施策を講じるべき ではないか。その際、新たな分野に従事する者の研修等についても考慮するべきで はないか。  確保の難しい医師・看護師の業務を軽減する観点も踏まえ、他の職種の従事者の 資質の向上やさらなる活用についてどう考えるか。  このようにまとめさせていただきました。  長くなりましたが、まとめて資料の説明をさせていただきました。  以上でございます。 ○樋口座長  どうもありがとうございました。  それでは、今の資料の説明がございましたが、これから議論に入りたいと思いま すけれども、先ほど、大きく3つのテーマで説明されました。1つは、入院医療に おける病床等の機能ですね。2つ目は、地域医療体制と精神科医療機関の機能、3 番目が、精神科医療機関における従事者の確保という、この3つでございました。 一括で説明していただきましたが、議論の方は、この3つをそれぞれ少し分けてや っていきたいと思います。ただ、途中退席される構成員に関しましては、場合によ っては、後ろの方のテーマに関して御発言があれば、その場でやっていただいて結 構だと思います。  それでは、まず最初の入院医療における病床等の機能という総論的なお話でござ いますが、ここについて、これからめどとしては約30分程度の時間を確保して、御 議論をいただきたいと思います。どうぞ。 ○田尾構成員  いろいろ盛り沢山なんですけれども、まず12ページの退院可能性(まとめ)とい うところで、可能性が最も低いというか、難しいのは精神症状によるものだという ふうになっていますけれども、私たちのところで退院する人たちの中では、始終独 語を言ったり、ときどき大声を出したりする人もいますし、話し始めると妄想の世 界にどっぷり浸かっていて、現実とかけ離れた世界に住んでいるという人もいます。 「人が部屋に入って来る」と言って、私のところに始終電話をかけてくる人もいま す。多種多彩な精神症状を持っている人たちがたくさんいる。でも、精神症状があ るということが、その人の退院の可能性を狭めることには全くならないというのが 私の経験上の印象です。  そのことと、生活をする、生きていくということは全く別問題だと。日常生活に 追われるようになれば、精神症状はなくなりはしませんけれども、相対的に目立た なくなります。電話をかけてくる人も、最近では全く電話はなくなりましたし、会 えば、相変わらず「誰か部屋に入って来る、入って来る」と言います。言いますけ れども、その比率がどんどん少なくなってくる。私も最初のころは、対象者を選別 していたときは、精神症状の有無とか、それにどれぐらい左右されているかという ことを基準にしていましたけれども、今は、そういうことを全く基準から外してい ます。徐々にそうなってきたわけですけれども、どんなに精神症状があろうとも、 地域で生活することは別問題、これは声を大きくして言いたいと思っています。生 活がどういうものかというのを知らない方が、こういう基準を考えていらっしゃる のではないかなというふうに思っています。  それから、16ページですけれども、IADLですけれども。入院生活をしている 患者さんには、基本的に、ここにあるような項目を判断できる機会はないです。一 体どうしてそれが困難かどうかがわかるのでしょうか。入院では、食事は三度三度 出てきますし、家事をする機会もありませんし、昔は部屋とかホールの掃除、配膳 等を患者さんがしていましたけれども、今は、そういうことをやらせている病院は ほとんどなくなってきていると思います。金銭管理は、たまに外出するときに2000 〜3000円と渡されるだけで、それを全部使ってしまう人は、金銭管理ができないと いうレッテルを貼られてしまうんですね。薬も並んで飲まされる中で、管理ができ るかどうか、誰が判断できるのでしょうか。  これは私個人の問題ですけど、血圧の薬を飲んでいるのですけれども、日に2回 処方されていたときは、どうしても余ってしまって、先生に2回はどうしても飲め ない、1回にしてくれというふうに頼んだ。日に4回も飲む投薬を守れる人がどこ にいるんだろうと思います。逆に、そういう意味では、私の知っている利用者の方 たちは、非常に几帳面で、薬を飲むのが一般の人よりもきちんと飲める人が多いぐ らいだと思います。電話はかける相手もいなく、人間関係が制限されているのに、 どうしてかける必要があるのか。買物も然り、入院生活では、自分で買物に行かな ければならないことは非常に少ないです。交通も、どこに行くという目的もなく、 利用する必要もないのに、できる・できないという判断はできない。人は合目的的 に生きるものだと私は思っています。夢とか希望とか、自己実現の可能性もないま まに、ただ流されるままに送っている日常生活を評価されて、その人の本当の意味 での評価に私はならないと思います。人間は、目標に向かって生きるときにものす ごく大きく変わります。このデータは、そうした人の本質とおおよそかけ離れたと ころで判断されているものだと思います。第一、生活がない入院生活の中で、生活 能力の評価などできるわけがない。ここにも基本的に考え方の違いがあるのではな いかなと思います。  それから、身体合併症についてもデータがありますけれども、以前、私は通算で 20年近く入院している人の主治医に、なぜ退院できないのかと聞いたときに「糖尿 があるから」と言われて、耳を疑いました。早速、私はそのインシュリンの自己注 射を練習してもらって退院してもらったのですけれども、退院後、糖尿病が悪化し て、今は白内障もかなり進んでいる。ただ、日常生活は安定して保たれていて、本 人が絶対に入院はもうしたくないと言っています。糖尿が原因で亡くなる方は一般 の方でもいるのに、精神障害を持つと、どうして強制的に精神科に入院させられて 治療を受けなければならないのか。心疾患を持っていて、やはり20年以上入院して いた人がいましたけれども、彼女は退院後、結果的には、部屋で一人で心筋梗塞で 亡くなりました。ただ、亡くなる直前まで私に退院できたことを非常に感謝し続け ていた。彼女のあの「ありがとう」の声を思い出すたびに、やはり私は病院で生涯 を終えるよりは、地域で暮らせてよかったのではないかと思っています。  入院している方たちの将来を考えるときに、あたかも専門家が選択したことが一 番理想的なように考えがちですけれども、一体誰の人生なのか。専門家の人生では ないです。彼らの当事者の人生なんですね。主体的に生きる権利は彼らにあるはず です。このことは社会資源が増えることの必要性を否定するものではありません。 社会資源をもっと豊かに準備した上で、しかし、退院できないと専門家が決めるの は間違いだと思っています。もっと勇気を持って、本人の希望に沿う選択を私たち はしていくべきだなと考えています。  あと、資料に沿って、簡単に幾つか。これ2ページ目ですか、3ページ目ですか。 人員配置基準のところの48:1とか、150:1とか、4:1は当然おかしいです。是 非直していただきたい。  それから、点数の基準のページですけれども、例えば7:1とか、13:1が精神 科にはない。精神科だけにないというのは、何かおかしいのではないかなと思いま す。7:1は難しいのかもしれませんけれども、13:1ぐらいだったらば頑張れる 病院はあると思います。  それから、「特別」の20:1未満がまだ残されていて、これも期限つきだというこ とですけれども、早く制限をして、きちんと最低20:1までに上げてもらいたい。  それから、先ほどの社会資源とつながりますけれども、8ページの45%が、居住 支援等の支援があれば退院できると専門家も言っているのだとしたら、一層その資 源をつくるという努力をしていただきたい。  それから、同じことが19ページにもありますけれども、グループホーム、介護老 健の施設ですね。この辺のニーズが高いわけですから、これは、なければ退院でき ないというふうには私は思わないですけれども、あればもっと進むだろうなという ふうには思います。  今までのところでは、以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  では、門屋構成員。 ○門屋構成員  田尾さんの今の話は、私とほぼ同じような経歴を持ってきた田尾さんの話として、 全く同感なんですね。二十数年精神科の病院でいて、20年近く外で仕事をしてきた わけですが、重複しませんが、田尾さんがおっしゃっていることは、そのとおり私 も実践してきた現実があります。そういう意味からいくと、ここに書いてある基準 というか、IADLはこれだけできない人はいる、できる人がいると、こういうよ うなものをもって判断の基準にしていくことそのものに私は少々疑問を持つんです ね。これは誰がどんな状況の中にいて測られたものか、あるいは誰が測ったものか によって相当変わることを前提にこれらのデータを読むべきだと思っています。  もう一点、きょうはこの資料を事前に見せていただいて、医療の状況について、 これは全体状況のことになりますが、医療の状況については、こういうデータが始 終出てくるといいましょうか、勿論、統計が蓄積されていることもありますので、 そういう形で出てきますが、厚労省は16年9月にビジョンを描いたわけですね。ビ ジョンの大きな柱の退院促進とか、病床削減とか、様々な幾つもの課題は今も引き 継がれているわけですけれども、それとこういう実態との関連性について、この検 討会の中に示すべきだと思うんですね。どういうことがビジョンと関連があって、 実はこのことはビジョンを遂行する上では、少々役に立っていないとか、あるいは このことはビジョンを遂行する上で実はねらった政策というか変化であったと。し かし、それはうまくいったのかどうかと。ここのところを実は私は非常にたくさん 聞きたいわけですね。この検討会は、少なくとも10年のビジョンの半分のところで、 それを検討し、なおかつ、今後どうするのか、ここのところで集められたかと思う んですね。少なくともきょうの話も、議論が終わって時間があればでいいですし、 しょっぱなにその辺りのことについて厚労省として、どんな位置づけでこれを提案 し、なおかつ、そのビジョンとの関係についてはこういう考えでいますということ についての現時点での考え方だけでも是非お示しいただきたいと思います。 ○樋口座長  はい、長尾構成員。 ○長尾構成員  医療法上の人員配置は今ここに示されているとおりですけれども、ただ、5ペー ジの現状ということで、15:1が7割ぐらいあるということは、これは現実の問題 としてあるわけですし、何も病院としては人員配置を上げるという努力を怠ってい るわけではない。人員があればどんどん上げてきて、なおかつ、十分な医療を行い たいということは勿論のことであると。ただ、地域によっては、看護人員を獲得す るというか、集めることが非常に難しい地域があることは、これは現実問題として あるわけなんですね。何もそこは努力を怠っているわけではなくて、努力しても集 まらないところもあるという現実は踏まえなければいけないし、そこでも頑張って やっているということはあるんだと。そういうところは少ないから悪いんだという 決めつけはいけない。それなりの人員をきちっと集めたくても集められない地域が あることを知っておいていただきたいと思いますし、人員基準的に言えば、看護配 置が15:1は、精神科の領域でもごく普通に診療報酬上でもなっているという現実 もあると。なおかつ、より高く持っているところももっとあるわけですし、それな りの十分な人員を供給できる体制がまずあって、そこで上げていくことが必要にな るんだと。先に目標だけがあって、そこの足らない中で、ただ単に基準を上げてい くという話はおかしい。その現実を踏まえながら、きちっとした供給と需要のバラ ンスをとっていただきたいと思います。  それから、21ページにこういう人員配置のいろいろな適正化を図るというような ことがありますけれども、ある部分、重症度とかそういった観点、コストを考えて いくことで、少し急性期のところと、ケアの時間差というものも示されていました けれども、時間だけですべてを測れるものではないと。これは障害程度区分等のこ とでもいろいろ問題になりましたように、すべて時間で測れるものではなくて、精 神の質的なものを、時間で測れないものがあるということをどのように評価してい くかということも観点として加えるべきだろうと思います。ただ、ある程度重症度 別のそういう評価は、非常に慎重に、十分な方法を用いて考えていかなければいけ ないので、これは慎重にやっていくべきだろうと思います。  それから、もう一つ、そういう重症度別の人員配置、それは現在でも傾斜配置と か、それから、病棟の機能によっても人員配置はある程度はあるわけですけれども、 余り重症度別だけで決めてしまうと、重症ばかりをそこに集めるとかということも、 人員の中では病状とかそういったことの中では非常に難しいこともありますので、 ある部分は人員配置に対するコストをきちっとベースに置きながら、それにプラス して考えていくという形にしないと、ただ重症度別だけである部分を決めてしまっ てやっていくということについては慎重でなければならないと思っています。  確かに田尾構成員が言われたように、精神症状があるから地域生活ができないこ とはあり得ないということは、これは事実ですし、以前も話が出たように、これは 相対的なものであろうと思いますから、どれだけ地域的に家庭的に許容できたり、 いろいろな観点が複合的に絡まってこれは判断されているものだろうと思うので、 1つだけの観点でこれを取り上げて云々ということはおかしいのではないかと思っ ております。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、小川構成員。 ○小川構成員  田尾さんや門屋さんの意見に賛同いたします。質問と意見なんですが、1ページ になるのでしょうか、「精神保健医療体系の再構築に関する今後の方向」ということ で、ここでは、将来的な病床の機能分化や医療体制の姿を提示するという形になっ てはおるのですけれども、一番最後の21ページですね。これは目指すべきではない かというふうにしていて、一方で「検討するべきではないか」とか、「どう考える か」とか、あるいは「開発を進めるべきではないか」とか、そういう言い方が、「検 討する」とか、「どう考えるか」ということで、なかなかすっきりと「すべきであ る」というふうに言い切れていない部分があるのですけれども、我々は、この辺は どういうふうに考えたらいいのかというのをちょっと教えていただきたいと思って おります。例えば「どう考えるか」というのは、もう余りやる気はなくてというふ うに考えるのか。あるいはこの中で考えてくださいというふうに、厚生労働省とし ての考えはありませんというふうなことなのか、そこのところについて教えていた だきたいと思います。  というのも、改革ビジョン自体は、厚生労働大臣を本部長とする。そして、副本 部長を副大臣とか、事務次官の方々が担っている、その対策本部で決めた改革ビジ ョンですよね。改革ビジョンは、厚生労働省組織を挙げて取り組みますということ で決めたものについて、この検討の場で、要するに厚生労働省としてはこういうふ うに考えるんだということがどうして出せないのかなと思うんですね。ここは、厚 生労働省、省を挙げてつくった改革ビジョンについてきちっと今後どういうふうに していくのかというのを、もう少しわかりやすく示していただけないものなのかと 思っております。まず、それが質問というか、今後の検討の方向性にもかかわるこ とではないかと思います。  あともう一つ、政策評価についてどういうふうに考えているのかですね。改革ビ ジョンの中で、いろいろ数値目標も盛り込んでビジョンをつくったわけですね。こ こで出されている資料はすべて「現状はこうです」という資料が大体ほとんどなん ですね。しかし、政策評価という観点から、これまでのビジョンがなぜ進まなかっ たのかとか、そういうところの検証というんですか、そこも含めてきちっと考えな ければ、きちっと今後の後半のビジョンをどういうふうに考えるかということがう まく進まないのではないかと思うんですよね。次回の検討にも出されると思います けれども、基準病床数の算定式がどう効果を奏したのか、しなかったのかとかです ね。その辺の評価のあり方、評価の手法というんですかね。そこのところをもう少 し何か考えていただけないのかなと思います。  あとは、具体的な中身のところで言いますと、3ページになるのでしょうか。人 員配置の標準でございます。精神科という一つの診療科が、一般科とは違うのでは なくて、一般医療の一つの診療科として考えていくべきではないかと思います。そ ういう意味では医療法における人員配置の基準も、本当に精神科という特別な医療 ではなくて、一般医療の中に入るんだというようなことも考えてきちっと格差のな いような、そういうことをまず考えていただけないかと思っております。当面の間 の5:1ですね。これも速やかになくしていただくことも含めてあります。多くの 精神科の病院がこの間努力をしてきたのは私はわかります。10年以上前は、看護の 場合4:1が現状であったのが、今はもう3:1が主流になっています。新しい表 記の仕方では15:1ということでしょうけれども。そういう意味では、看護の場合 は、既に主流は3:1になっているということも是非御理解をいただきたいと思い ます。  また、4ページ目にありますように、7:1とか、13:1という入院基本料の区 分がないわけですね。少なくとも13:1ということをつくるだけで、さらに努力を していく病院も出てくるというふうに思います。  以上でございます。 ○樋口座長  今のところでの質問についてはありますでしょうか。 ○福島精神・障害保健課長  ビジョン全体についての評価ということだと思います。ビジョンの達成目標は、 その当時つくったのは2つで、1つは、国民意識の変革の達成目標と、これが精神 疾患は誰もがかかり得る病気であること、日常の90%以上。それから、もう一つは、 精神保健医療福祉体系の再編の達成目標としては、平均残存率1年未満群を24%以 下、それと、退院率の1年以上が29%以上にすると、このものしか実はないんです ね。72,000人は、目指すというものであって、実はここの中では達成目標としては 入れていなかったというのは事実です。ただ、ビジョンが目指したもので、この評 価そのものについては、国民意識の変革については、かなりそれに近くはなってい るものの、現実にはなかなか実際の意識は変わっていないという評価をしておりま す。率の方については、今、手元に数字がございませんが、従前よりも改善してい ることは、特に1年未満群の平均残存率については下がってきていることは事実で はありますけれども、全体として、これが本来であれば、そういう状況になれば、 全体の病床数の変化、患者数の変化につながってくるはずなんですが、そうなって いないことからすれば、総論的に言えば、ビジョン全体としては、当初目指してい た姿になっていないというふうにやはり評価をせざるを得ないだろうと思っており ます。  各論的に細かく見れば、かなり急性期医療の診療報酬料の手当をしたり、いろい ろしてきて、全体として急性期化してきているという評価はできると思いますけれ ども、ただ、一方で、オートロングステイのところについての対応が全体としては 不十分であって、そういうことの中で、全体の評価としては、私どもはまだまだ取 り組みが足りなかった。特に医療に関する議論が、前回のときも、どういうふうに してやっていくか。あるいはそこら辺の議論が十分ではなかったのではないかとい うことと、もう一つは、オートロングステイのフォローを含めて、退院後の受け皿 づくりのところがまだ十分ではないということ。それから、病床を減らしていくた めの例えば道具ですね。あるいはどういう方向性でそれを実現していくかというこ とについての議論が十分ではなかったのではなかろうかと思います。それともう一 つ、ビジョンをつくったときにもちょっとは議論をしましたけれども、認知症の問 題は、その当時はまだ大きな問題になっていなかった。今後これが大きな問題にな っていくということで、そのときからの、ビジョンをつくった以降の状況の変化を 踏まえたものをさらに議論する必要があるというふうに総論的には思っています。 各論の細かいスタッフかどういうふうにやったか、やらなかったかということにつ いては、これは第1回目に、全体図を細かくはお示しをしておりますけれども、総 論的な評価は、私どもはそういうふうに考えておるということでございます。  ですから、この場で議論をいただきたいのは、そういう認識のもとに立ってどう すべきかということで、今、論点としては、例えば先ほど20ページでお示ししたよ うなものによって、従来、精神科医療機関が医療ニーズ以外の部分も含めて担って いたものについてもっと再編すべきではないかということも含めて御議論をいただ きたいということでお話をしているつもりでございまして。全体として不十分とい う認識の上にこの議論をしていると私どもは思っております。そういうお立場で御 議論をいただければと思います。 ○門屋構成員  今の認識は、私ちょっとおかしいと思うんですね。その2点であることについて は異論はないんですが、2点目の24%、29%は、実は、それによって72,000という ものが導き出されたと考えているわけですね。結果はそうなりますよと、成果物は そこにありますよということを示したわけでして。それを行うことによって行ける ということはわかるんですが、72,000床を減らすことも含めて、それは将来展望と いうか、今の課長の話だとかなり弱い。それがちょっとわからないのが1点ですね。  それから、認知症に関しても、何回か前に猪俣委員のお話を私ここで申し上げた かと思いますが、あのときにも既に実は大変話題になっていたわけですね。今のお 話からはその認識の違いがよくわからないのですが、もう一度ちょっと確認させて いただいていいでしょうか。 ○福島精神・障害保健課長  目標は、精神科医療体系の再編の達成目標である平均残存率、退院率が実現すれ ばそれが減るというふうにその当時は考えていたわけですね。しかしながら、現実 的に見ると、そうなっていない。ターンオーバーが激しくなって、平均残存率は確 かに減っていますけれども、本来もしそうであれば、普通はベッドが減ってくると 考えられるわけです。それが現実に減ってきていないということは、それ以外のメ カニズムが働いていると考えるべきであって、ですから、この目標設定そのものが、 つまり、ほかのファクターの十分考慮していなかった目標設定ではなかったかと思 っています。  もう一つ、認知症について言うと、確かに御議論があったことは、前も門屋構成 員から御指摘がありました。議事録等その当時の昔のものを見ても確かにそうでは ありますけれども、結果として、ビジョンをつくった段階においては、それが十分 にその中に反映されていなかったと認識をしておりまして。そうではいけないとい う認識のもとに、今ここで改めてきちんと議論をしておかなければだめだと思って いるということでございますから、門屋構成員と私どもの認識にそれほど違いがあ るとは思っておりません。 ○樋口座長  それでは、末安構成員。 ○末安構成員  今の話を聞いていまして、この場で議論をしなければいけないことは、国民がど ういう精神科医療を望んでいるかということをこの時点で考えなければいけないん だなと改めて思ったのですけれども、先ほど、国民意識の変化についての達成目標 は意外と達成できているけれども、実質的にはそう変わってないのではないかとい うお話を課長がされたのですけれども、ここでは出されてないと思うんですけれど も、内閣府の調査とか見ると、かなり綿密にやっている。例えば中学生や高校生や、 その父兄たちが、「もし精神科の病気になったときに、誰に相談しますか」というよ うな調査をかなり綿密にやっていらっしゃいますけれども、ああいうものを見ると、 精神科が一番遠いんですね。精神科は相談したくないところのトップに出てきたり とかしていますよね。そうすると、ここで議論をしていることは一体どういう意味 を持ってくるのかと。私たちが精神医療体制ということで今考えているわけで、そ れは疾病構造の変化や医療経済の変化にどう対応して一番望ましいものをつくろう かと議論をしているのですけれども、実際は、国民の目から見て、精神科が、私も そうですが、従事している者から見たら甚だどう反省していいかわからないような ものを突きつけられていて、では、今までやってきたことはどうだったのかという 一つ一つのエビデンスも重要なんですけれども、やっている人たちの意識や、それ から、それを受けている人たちの意識まで掘り下げていくような議論がされないと、 いくら数字で目標出しすることも、それから、ビジョンを立てることをやっても、 5年後にはまた同じようなテーマで話さなければいけないのではないかと私には思 えてまいります。  私、すみません、ちょっと退席しなければいけないものですから。私ども、きょ う机上の資料で配らせていただいた、岡山で、精神科に来てくださいと、潜在看護 師さんに岡山の地域限定でやったんですけれども。この話は実は前段がありまして、 全国紙に、精神科はこんなところだという記事じゃなくて広告です。きょうは持っ てきていませんけれども、私どもの主張として展開させてもらいました。なぜ、そ んなことを私どもがやるかというと、私どもみたいな会員4万人ぐらいの小さな団 体で、全国紙に広告を打つのは、本当に清水の舞台から飛び下りるというか、そう いうつもりでやっております。そうまでしてでも精神科というところはこういうと ころだということや、そこで働く人を求めているんだということを自らが言わなけ ればいけないような状況は何だろうかというふうに、きょうのお話を聞いていても やっぱり思いました。この中にもありますけれども、看護師の従事者数は相対的に 増えていますけれども、精神科への充足率は高まってないんですよね。勿論、個々 に努力しているとは言うんですけれども、努力していてもうまくいかないのはなぜ かということを考えないと、そのことをまた繰り返していくだけで、そうすると、 国民の側から見れば、精神科の中で何が行われているのかと、病院の中でどういう 変化が起きているのかというようなことは、我々の目から見れば疾病構造の変化な んですけれども、国民の意識の方の変化に全然結びつかない。だからこそ、誰が何 をどの順番で言うかということを考えていかなければいけないのではないかと思い ます。  私は東京にずっと住んでいるのですけれども、東京でも、精神病院といっても、 多分23区で精神科というふうに思うイメージと、多摩地区にいる方が病院がたくさ んある中で考えることは全く違うのではないかと思うんです。精神科だけを特別に 切り分けることは難しいという議論がずっとあるのですけれども、でも、精神科で しか起こり得ないことがあるので、精神科でしか起こり得ないことは何かというこ とを、私どもは今改めて考えて、ビジョンとか目標も重要だと思うのですけれども、 こういうあり方があるんだということを強く言っていくような政策を出していきた いなと思います。看護は何か狭い意味の仕事だけをやっているようによく思われる のですけれども、患者さんの生活全般とか、今回の提案でも、在宅に移行していく には、どういう生活の場が必要なのか。この立て方だと、今やっていることは余り うまくいってないというふうにもう断定しているのか、それとも、それよりまた別 に新たなものが、こういう方法だったら患者さんの暮らしをもっとうまく後押しで きるというようなものをつくっていけるのか。あるいは、その一つのモデルみたい なものをここでつくるというところまで言っていけるのかどうかを考えてみたいと 思っております。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、大塚構成員お待たせしました。 ○大塚構成員  私も福島課長の発言に大変納得し難い思いがあります。具体的な達成目標は2点 だとおっしゃいましたが、その結果、72,000人の退院促進を目指すということです けれども、今のは非常に重みを感じない発言だったんです。当初、72,000人を10年 間で退院させると出たときに、本当に10年間も待っていられない、みんな亡くなっ てしまうという思いがありながら5年が過ぎたわけですよね。この間、地域移行支 援とかいろいろ手を打たれてやってきておられますが、40年とか30年とか入院され ていた方々が、そういう事業の中で退院をされて、何でもっと早くこの事業をやっ てくれなかったか。どうしてもっと早く手を打ってくれなかったかと皆さんがおっ しゃるわけですよね。それを考えると、本当にビジョンは将来の姿を描くだけでは なくて、そこを目指していくための具体的な政策の方法とか、遂行のビジョンが合 わさってないと意味がないと思うんですね。  そういう意味で考えると、門屋さんとか、小川さん、末安さんもおっしゃいまし たけれども、政策評価について、課長は不十分だとおっしゃるんですが、厚労省と して、どこがどう不十分というふうにお考えになっていて、そのデータをどういう ふうに出されるかということが残念ながら毎回出されてくるデータを見ると足りな い気がします。客観的事実のみデータで示しますとおっしゃいますけれども、客観 的事実の出し方自体が何か非常によくわからなくて、現状についての実態、何か毎 回地図のみが出されてくる感じがするんです。その地図をどういうふうに歩んでい て、目指していたのはどこで、そこの距離を埋めるためには何を考えなければいけ ないかということの材料を、厚生労働省としてはどうお考えなのかというのを出し ていただきたいです。すべて「どうお考えになりますか」という投げかけになりま すと、大変時間が足りないと思うんですね。そういう意味では72,000人の話は国会 でも出されたと思いますし、私たちは真剣に目指してきていますので、そこのとこ ろはきちんと考えていただきたいと思います。  そういうことを考えたときに、今回の資料の中でも、例えば統合失調症がいずれ 減っていきます、だから、そこの病床について次回考えましょうと書かれていたり、 重症度も、統合失調症じゃないところについて少し人員の配置基準を考えましょう というふうに読めるんですが、例えばIADLの話も、判断基準がよくわからない ですけれども、少なくともこのデータを仮に少し信頼するとすると、40〜60%ぐら いの人たちは退院できるというデータになっているわけですから、なぜ退院できて いないのか、退院するためには、後期5年間で何をしなければいけないということ を、もう少し明確に盛り込んで考えていくような方向があるべきではないかと思う のと。  高齢精神障害者についても、今後どこで暮らすのがいいかという、生活の場の確 保とありますが、何か政策的に今までやってきたことがうまくいってなくて、次の 政策のところに置き換えのような感じがしていて、例えば介護保険施設が足りなく て、介護保険系の施設のところの場を確保していくことを整備していくこともとて も大事だと思うんですが、全員が全員介護保険の施設の中に生活の場を持つことが 妥当だというふうにも思いませんし、地域とか、ケアホームとか、そういうところ で暮らしながら、介護保険であったり、障害福祉サービスであったりをもっと活用 できるように、そのシステムや使い方をうまくしていくことも大事だと思いますし、 もっといろいろな観点から考えられると思うんですが、もうちょっとそこをしっか り議論する時間と材料が欲しいなという気がします。  以上です。 ○樋口座長  これからの進め方ですが、おおよそ最初の予定の時間はかなりオーバーしてきて いますが、このままもう少しこの議題に時間かけてよろしいですか。 ○福島精神・障害保健課長  勿論、結構でございます。 ○樋口座長  では、もう少し時間をもらって。あと10分ぐらいこれに取りたいと思います。中 島構成員からいきましょうか。 ○中島構成員  厚生労働省に対する厳しい意見が続いておりますが、私も厳しい意見を言いたい とは思うんですが、しかし、この今日出された資料は、非常に意欲的で前向きな資 料だと僕は思います。読み方の問題なんですよ。どう読むかです。精神科医療は、 人手と環境ですよね。あと薬や認知行動療法とかいろいろなものがありますけど、 ベースは人手と環境。そして、退院していくためには住居の確保と、これがないと どうにもならないわけです。住居を確保した上で、行政による薄く広い精神保健の ケアシステムと、そして、民間や様々な人たちが提供するしっかりした具体性のあ る福祉、そして、医療がそこへ入っていく。こういうシステムをつくり上げていこ うということは、ちゃんとそういう目で見たらそう読めるんですけどね、僕には。  特に人手という点で言えば、最初に施設の区分を挙げられているのは、非常に勇 気ある資料だと僕は思います。特に精神については、13:1もなければ、7:1も ないと。10:1については、日数制限がついている。これは精神科に合わない。こ こはちゃんと60日にしなさいと。そして、7:1については、専門病院の13:1が 36日ですから、36日にしなさいと。13:1についても、60日から90日というよう な数字を入れていって、精神科における医療も、人手をつけて上へ上へ上がってい くということをちゃんと示してあげることが必要なんです。今は、日数制限がない ところだけで何とかやろうという、こんなやり方では絶対医療はよくなっていかな いと僕は思います。これは非常にいいデータを出していただいたと思います。  それから、終わりの方の「検討」のところですけど。ここは、精神病床の医療の 質を向上を、段階的に人員基準の充実を目指すべきではないか。まさにこのとおり ですよ。このところを、良いところを読まないとだめです。いいところを読んで、 悪いところは消してもらうようにすればいいわけで、皆さん方の御意見に反対じゃ ないですよ、反対的な発言になってしまいましたけれども、厚労省の御意見は全く ごもっともというふうに思います。以上。 ○門屋構成員  先生、それはそのとおりだと思うんですよ。そこのところの議論をやりませんか と言っているわけですよね。 ○中島構成員  時間をかけてね。 ○門屋構成員  はい。要は、問題は、どれだけ質を上げるかということについてで、これだけの 数字を出したということは、結局、これだけの人員でみれる人しか入院できてない じゃないですかということなんですよ。先生がおっしゃっているとおりなんですよ ね。そこのところを何で議論しないのか。今までそこを避けて通っているんですよ。 ○中島構成員  そこをね。それは最後のでしょう。 ○樋口座長  それでは、発言者を限らせていただきますので。佐藤構成員、広田構成員、上ノ 山構成員に、短くお願いしたいと思います。 ○佐藤構成員  私も中島構成員と同じように、かなりよくできている資料と評価いたします。た だ、間違いがございまして。それを指摘させていただきますけれども、6ページで すね。「精神科入院に係る診療報酬と主な要件」です。精神病棟入院基本料の医師の 配置で、医師48:1だけしか書いてありませんけれども、3ページを見てもらえば わかるように、「いわゆる総合病院」は16:1になっていますから、右側の方に細い 線を入れてもらって、総合病院は精神病床は2万床ですので10%弱ですけれども、 この部分は16:1に訂正していただきたいと思います。  そうして見てみますと、これは16:1で、これはほかの一般病院の一般病床と同 じなんですけれども、このように平均在院日数は、今、中島先生がおっしゃられた ように、7:1じゃなくて10:1ですね。5ページの表ですか。10:1を取れてい るところを計算してみましたら、21万床の0.4%ぐらいしかないですね。総合病 院・大学病院の2万床に限っても、これは4%ぐらいしかないですね。一般病床の ところは、10:1以上、7:1までは大体6〜7割くらいを占めていると思います ね。ですから、この一般病床の10:1、7:1の平均在院日数は、ほとんどの病院 が取得できるようになっていますから、リーズナブルだと思うんですけれども。 16:1の総合病院・大学病院に関しては、25日以内は非常に不合理で、今の状況で は無理なんですね。今のような状況だと、4ページの表で見ると、一般病棟と精神 病棟とそれほど大差ないように見えますけれども、一般病棟は、このほかに薬剤費 とか、検査料とかどんどん積み重ねられて、精神病棟は入院基本料だけしか取れな いので、そうすると、何とその差が3分の1ぐらいになってしまう。一般病棟は大 体4〜5万円で、安いところは4万円で、大学病院では6万円となっていますけれ ども、総合病院精神科では2万円以下ですね。ですから、3分の1になってしまっ ている。3分の1以下だと、病院の管理者の方は、不採算だから精神病床はやめろ と。日赤病院でも、我々のところがかなりがんばっていて、経営的にも問題ないは ずですけれども、日赤の本社は「精神病床を経営合理化のためにやめたらどうです か」なんて、こんなことを言われるんですね。院長がちゃんと「そんなことはあり ません。うちの精神科はしっかりやっていますから」と言って守ってくれたんです けどね。一般的に、精神病床は不採算だと、医療経営の足かせになると、こんなよ うな評価がございまして。ですから、ここの25日以内ということを、是非、中島先 生が言われたように、一般病棟の15:1と同等の60日ぐらいに延長していただけれ ば、かなりの総合病院・大学病院精神科が人員の強化をできるのではないかと思い ます。  国民のニーズから言うと、最初に精神病状態になったときに、どこにかかりたい かというアンケートを我々の学会でやったことがあるんですけど、そうすると、総 合病院の精神科がまず第一に上がってくるんですね。最初はそこに行きたいと。ず っと長く療養するのにはいいかどうかはわかりませんけれども、まずそこに行きた いということですから、一般医療と精神医療の連携は悪いというようなことを言っ ていますけれども、前々回も言いましたけれども、総合病院の精神病床を適正に配 置していただければ、そこの問題はほとんど解消できるわけですから、その後は、 精神医療、地域サポートの分野を充実していただければ、国民にとっても、いい医 療が構築できるわけなので、是非、精神病棟入院基本料を、10:1の平均在院日数 規程を見直すことと、それから、13:1の精神病棟の入院基本料を、13:1は以前 あったんですが、なくなったみたいなので、これを復活していただくことと、7:1 入院基本料を新設していただきたい、こういう要望でございます。よろしくお願い します。 ○樋口座長  それでは、広田構成員。 ○広田構成員  きょう、とても盛り上がって、前半もこのぐらい盛り上がっていたら、社保審の 障害者部会で、「長期入院患者」などという言葉ではなくて、「社会的入院」をきち んと入れずには厚生労働省もいられなかったと思っています。本当に田尾さんの言 うとおりで、ある意味では精神病院に入院している中で認知症になってしまったと いう調査がこの項目になぜ入ってないのかなと。7月10日に出る『精神医療』とい う本の中の座談会で、古屋隆太さんというPSWが「社会的入院の6割の家族は、 退院させてもらいたくないという統計がある」という話が出ていますが、それは家 にいるときの関係だけではなくて、病院に入院している間に、いわゆる施設症にな って、それで引き受けられないというような深刻な問題があるわけですよね。私、 その本の中で日精協と刺し違えたいと発言していますが、精神病院悪、地域医療善、 地域福祉善ではないともずっと思っています。是非、長尾先生に次回、病床が出て きますから、長尾先生のお話はこの前も伺った。病床を削減して、マンパワーを増 やして、診療報酬を上げる。日精協全体ではどうなのかということを私は本音で伺 いたい。明日も瀬野川病院へ行きます。日精協の幹部の方の病院は、日本全国へ行 ってますけれど、是非、本音でみんな語らないと、もう建前の時代は終わった。寺 谷さんは「謝ってと言うと、みんなが傷つく」と言っていますが、傷つく以上の人 権侵害を三十何万人が受けているわけですから、国の謝罪。それから、末安さんが 何を反省したらいいのかわからないと帰ってしまったけど、もういいかげんにして と。医師もすべてのコメディカルも、謝罪でしょう。勿論、マスコミも煽ったわけ だから謝罪でしょうという気持ちがあります。  本当に精神医療の中で傷つき、本人がトラウマを持ち、そして、私のようなサバ イバーがいて、家族関係を不幸にしている。この1点取ってみても、まさに人権侵 害が続いているわけですよ。昨日、樋口先生がここの座長をやるよりももっと明る くNHKに9時まで出ていた。寿美花代も出ていました。それを厚労省で見ていて、 新橋まで歩いて帰ろうと思って、ここの地下に魚八ってあります。安いからちょっ と寄ってみようと思って1人で入って、鯖の味噌煮を頼んだら、すごい大きなのが 出てきた。「あら、大きいわ」と言ったら、隣に座っていた人が新聞記者2人で、社 会的入院とベッドの削減の話をしていたら、閉店の11時までになってしまった。そ れから、また新橋まで歩いて帰って、家に着いたのは夜中です。でも、ここにきょ う朝10時にぴたっと来れたのは、フィットネスクラブに行っているからなんですね。 かつて12時間寝ていた広田和子が、8時間になり、今日なんかは6時間ぐらいでこ こへ来ているわけです。体重もこの2年半で9キロ落としているわけです。こうい うセルフコントロールができるのは、街の中に暮らし、自分で判断して、みんなか ら見れば63歳で、派手だろうなと思われる洋服を着れるのもひとり暮らしだから。 病院の中にいたら、看護師に「きょうはそんな赤い服だからそう状態じゃないの」、 「黄色だからおかしいんじゃないの」と言われた患者がいる。私が国民に対して啓 発を嫌うのは、ある意味で何でもかんでも病状にしてしまうこの業界があって、そ して、患者の可能性を医者やコメディカルの人が奪ってきたという歴史があるわけ ですよ。そういうふうな総決算のときに、福島課長は、当初、着任早々は威勢のい い話をしていたけど、だんだんトーンダウンしてきて、さっき認知症のお話をして いましたけど。  それから、その本の中でこう言っていました。中島先生が、「日精協は、なんとか 団体の中では鼻にもかけてもらえない」と。そういうことですから、と三上先生、 精神科医療が普通にお金がもらえるように応援してあげて下さい。いい医療で、み んなが安心して利用できるように。私、さっき末安さんの話を聞いていて、国民が わかっていないのではない。国民は精神医療に期待できない。私自身も「精神医療 に依存しない方がいい」と言っています。そういうことなんですね。是非、みんな で、次回のことですが、病床を削減して、2000年の8月9日、前にも言っています。 厚生労働省の精神保健福祉部会で、精神科特例を外してくれということを私たちは 言ったわけですよ。東京と大阪の精神医療人権センターの小林信子さん、山本深雪 さん、そして広田和子が。ところが、日精協が反対して、当時の日医は、精神科医 だから、揃って日医と日精協が反対して、精神科特例が外れなかった。そういう意 味で日本の91%を担う民間病院がどう思うかということを反映して、福島課長があ あいうふうなトーンダウンした話をしているんじゃないかと私は思っています。そ ういうことですから、長尾先生。次回、本音を。もう建前の時代は終わった。とい うことで、謝罪すべきは国、精神病院関係者、そしてマスコミです。 ○樋口座長  それでは、最後に、上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  あんまり時間がないと思いますので、簡潔に言います。精神科特例に関して、き ちんと見直すスケジュールを教えていただきたいと思います。これは私が医者にな ってからずっと疑問に思っていることですし、いつかは改めなければならない問題 なので、せっかくビジョンで書かれて、そして、ここで改めて資料を出していただ いているのに、その具体的なスケジュールが明らかにならないのは困ると思います。 だけど、これはいろいろ困難な事情があるのは、私も存じ上げています。各地によ って看護師さんも足りないし、医者も足りないし、いろいろな事情があるのはわか りますけれども、その困難を克服して、どのようにこの課題を達成していくのかと いうことをスケジュール化してほしいということですね。  今、福島課長が、啓発に関しては100%近いというふうなことでおっしゃられまし たけれども、この問題に関しては、明らかに精神科差別があって、この問題に関す る心のバリアフリーを是非達成していただきたいと思います。それだけです。 ○樋口座長  ありがとうございました。  まだまだ御議論があるかと思いますけれども、時間の関係もありますので、次の 2番目のテーマですね。「地域医療体制と精神科医療機関の機能」というところで御 議論をいただきたいと思います。これについては、約40分程度の時間を取りたいと 思っております。いかがでしょうか。 ○長尾構成員  機能のところで、確かにこのような高次の救急とか、いわゆる総合病院、高齢者 の診察、極めて重症とか、いろいろなことで機能をある程度分けていくことはこれ からは必要だろうとは思いますけれども、すべてこれが分化してやってしまうとい う形では、なかなか難しいところもあるし、この地域で、各病院ごとに、ここはこ うだというような決めつけをしてしまうということは、病院の機能を逆に落として しまうようなことにもなりかねないので、そういうことについてどのように考えて おられるのかということは、ちょっと厚労省にお聞きしたいと思います。  それから、先ほどとも関係あるのですけれども、この1番目に、地域の医療体制 の整備確保は、これは非常に大切なことですし、先ほども中島構成員も言いました ように、在宅をするための居住の場、それに対する支援ですね。それから、サポー トの体制、医療の体制、そういったものが複合的にきちっと揃うことが、これは第 一の大切なことなので、そういったことがまず統合失調症を始めとする人たちには 必要である。  それから、一番最後の○の高齢者の精神障害、これは介護の云々はありますけれ ども、いろいろな在宅では十分できない人たちへの施設の体系、これが本当にどの ような形を考えていかれるのか。現行の老健施設とか、特養とか、そういったもの も今は完全に数が足りない。今後も、現状の介護保険制度の中で、それが十分これ から増える要素は、今後の消費税とかそういった財源がどうなるのかということが あるでしょうけれども、現状では、とてもできない。  それと、もう一つは、先ほども出ていましたように、認知症の問題をどうするの か。BPSDで入ってくる人たちはたくさんありますけれども、これは統合失調症 の減少を補ってあり余るほどの状況になってきている。その人たちの行き場が十分 でない。そういったすべての問題をどのように考えていくかということによって、 これはこういう機能の分化を考えていかなければいけないと。先ほどの根本的な問 題は、そういう出口をいかにきちっと社会資源として用意できるのか。そういった ことがまず第一にあって、次にいろいろな病床がそれによって減っていくのではや むを得ないと思いますし、それによって機能が分化されていくことがあるべきなの で。まず第一のことがほとんど用意されない中で、ただ単に機能をどうするのか、 病床をどうするのかという話ではない。根本的なことをきちっとやって、それの中 で選択していけることが大事なんです。それが第一なんだということは、これは、 半分広田さんへの回答にもなっています。 ○林課長補佐  御質問の部分だけお答えをさせていただきたいと思います。  46ページの一番下のところにも書かせていただいていますが、一つの医療機関が 複数の機能を有することは当然あるわけでございまして。どの医療機関をどこか一 つの機能に押し込めて、それ以外はやってはいけないという形での機能分化の図を イメージしているわけではなくて、45ページにも、特にその輪が交わっているとこ ろがたくさんあると思いますけれども、こういった重要な機能を必ず有する。場合 によっては機能が複数になることは当然あるべきだと思います。ただ、総合的な機 能を担うという名のもとに、重要な機能を担っていないというような医療機関は、 ないとは思いますけれども、そういうところはきちんと重要な医療機能を担ってい ただくという方向になっていくとよいと思います。 ○長尾構成員  いわゆる総合病院精神科のところで、一般病床へのリエゾン機能、身体合併症と いうことがあるんですけれども、これは先ほども佐藤構成員とかも随分総合病院の 大切さは言われましたけれども、総合病院のところは、十分にそういう機能を担っ ていただきたいと思います。十分担われてないところもあるということと。  それから、リエゾンに関しては、我々から一般科へ行くことも結構あるわけです よね。そういったときには、往診とかそういったことも今は算定できない。そうい う実際に精神科から一般科へのリエゾン的に行くような要素も十分に評価をすると いうようなことも必要ではないかと思います。 ○樋口座長  三上構成員。 ○三上構成員  精神科医療の機能の問題ですけれども、44〜47ページまでに様々なことが書いて ございます。精神科医療の特殊性を考えて、こういった機能をいろいろ書いていた だくのは非常にありがたいのですが、書き上げるだけではなくて、これをいかに評 価するかということが大切ではないかと思います。4疾病5事業ということで、5 事業の方は「救急医療等確保事業」という名前になっておりますが、もともとは公 益性の高い事業ということで、地域に非常に必要とされている事業ということであ りましたけれども、その中に、是非ここに書いてある精神科医療の機能を、4疾病 6事業という形で入れていただき、そして、それを入れていただくことによって何 らかの評価をしていただきたいと思います。今のところは、救急医療等確保事業に ついては、社会医療法人等の要件等にも入ってくるわけですけれども、そういった 形で推進していただきたいと思います。  それと、もう一つは、きょうの議論もそうですが、統合失調症中心の議論という ことですけれども、認知症の問題は、まだまだ研究が十分ではなくて、認識が十分 統一されてないと思います。その背景には、1つは人口構造とか、世帯構造につい ての認識がまだまだされていなくて、本日の資料にも統合失調症の数は非常に減っ てくるであろう、入院患者は減ってくるであろうということで、病床を削減するこ とが可能であるというようなことが出ておりますが、認知症については、日常生活 自立度3以上の人は現在100万人ですけれども、将来200万人を超えるわけですか ら、その人たちをどうするのかと。そして、もう一つ上に言えば、現役世代の人た ちが半分に減ってくる中で、大家族から核家族化がどんどん進むわけですから、そ ういった中で在宅が難しくなるというようなことも背景に入れながら、精神科病床 を認知症の治療にどのように使うかということも十分検討した上で、病床削減の問 題については考えていただきたい。認知症を考えずに軽々にそのようなことを議論 されるのは私はどうかと思いますので、一応つけ加えさせていただきます。 ○樋口座長  それでは、長野構成員。 ○長野構成員  全体の流れとちょっと違うんですが、1点だけどうしてもこだわりたいところが あって、23〜25ページの精神科医療体制に関する主な論点というところで、前回も 発言をさせていただきましたが、ここはすごい大事な一覧表になるという観点のも とでお話しすると、依存症のところなんですけど。ここに絶対に予防の観点を入れ ていただきたい。ほかの精神科の疾患、残念なから認知症にしても統合失調症にし ても、完全に予防できる疾患がない中で、依存症だけは、薬物を使わなければ絶対 薬物依存にならない、アルコールを飲みさえしなければアルコール依存症にならな いというところがありますので、ここに予防の観点が是非1文字入らないかなとい うふうに思います。  あと、ちょっと本筋に戻ってきたんですが、32ページの往診のところです。私ず っとここをこだわりたいと思うんですが、精神科医療機関で往診を実施していると ころがもう既に13%、この内訳をまた調べてみるといいかなと思うんですが、往診 を実施している医師の年齢層を調べてみると、随分高齢化しているのではないか。 高齢化と言うと、とても失礼な言い方ですけど。若い世代に往診をちゃんとしてい るというか、往診を経験する医師がどれぐらいいるのだろうかと思います。という ことは、だんだん年がたってくると、この往診を実施しているという病院は減って くる可能性があるんだろうと思うんですね。先ほど、田尾構成員から、生活で、で きる・できないを評価する、それを知る機会がないところで評価のしようがないと いう話がありましたけど。実際、生活の現場にそんなに頻度高くなくても、精神科 医がきちっと往診で診させていただくことは、精神医療の構造を根本から変えてい く可能性が十分あるんだと思うんです。往診を是非推進していくような教育であっ たり体制がとれないものか。長尾先生からも、一般医療、リエゾンに行ったときに 取れない。診療報酬を取れる・取れないは別にいいんですけど、私たちもいつも責 任の所在がどこにあるんだということで、一般科の先生とすごく悩むことがありま して。報酬を取れないということは、コンサルだけにいっていると。精神科の薬物 を一般科の先生から出していただくにしても、責任の所在は一般科の先生にあるの ではないかというところもあったりして、診療報酬が発生するということは責任を 取るということなので、往診リエゾンの辺りに関しては、もっと推奨していくこと で、医師の意識が随分変わってくる中で構造が変わっていくという草の根的なとこ ろも必要なのかなと思います。  以上です。 ○樋口座長  それでは、坂元構成員。 ○坂元構成員  医療計画についてちょっと意見を申し上げたいんです。今医療計画というものの みが取り上げられているのですが、自治体側からすると、これ以外にも地域福祉計 画とか、国から策定を求められる計画が多くあって、それぞれの所管部署がそれぞ れの計画をつくっております。私がいる自治体でもいくつかの策定すべき計画があ ります。この中でいつも思うのは、国から計画策定の指示が下りてくるとき、それ ぞれの計画相互の連携性を考えて指示をしているのかなというふうに思えるところ があります。さらに自治体も場合によってはそれぞれ別の所管部署ごとにつくって いくので、お互いにうまく連携がとれないこともあります。特に医療計画と福祉計 画の中において非常に密接に関係するのは、病院を出られた方が介護福祉施設など に入所する場合が多いにもかかわらず、そういう細かいお互いの計画の連携性がと られていないという批判もあります。  例えば神奈川県にも、神奈川県医療計画がありますが、実際にはその医療計画を 見たことがない方も多いのではないかと思います。ここの皆さんもほとんどの方が 地元の医療計画をごらんになってないのではないかと思います。多分、医療関係者 の方も、住まわれているところの都道府県の医療計画をじっくり見られて、なるほ どと思われた方は余りいらっしゃらないのではないかという気もします。私も医療 計画の策定委員で出ているとき、行政側と市民側の意見との差は、市民側は、例え ばこの病院はこういう専門の先生がいるとか、どのような治療が得意とかの現実的 で具体的な情報を求めるところにあります。ところが、医療計画の策定においては、 例えば医療機関の宣伝規制等々があって出せる情報が限られております。精神科の 患者さんについては、この医療計画だけではなくて、その他の例えば福祉計画、障 害者福祉計画等々も深く関与することになります。つまり精神科の患者さんが病院 から出られて、地域でどうやっていくかというのは医療の問題だけではないので、 福祉計画等との整合性もこの中で図って記載されるべきだと思います。以上でござ います。 ○樋口座長  それでは、どうぞ、品川構成員。 ○品川構成員  皆さんの御議論に、田尾構成員とか大塚構成員の中でも出てきたんですけど、居 住の場、暮らしの場ですね。そこが44ページの検討で医療とは別で一番下に載って いるんですけど。この辺りが本当に一番入口の先の受け皿的なものとして、是非重 く考えていただきたいなと思います。高齢の精神障害者の退院促進に当たっては、 19ページにありますように、いろいろな住まいの場が望ましいという、これは病院 側の御希望なんでしょうか、そういったものが記載されているのですけど。一番率 の高い家族との同居の50歳未満の方も、年齢とともに支援する家族側の高齢化で同 居が難しくなるケースが多くあります。地域での住居の場は早急に必要となってお ります。現実、65歳以上になりますと、介護サービスが優先となり、介護保険の認 定基準の生活の動作が可能かどうかという判断では、精神障害者の介護度は低くな っております。介護保険の、介護老人保健施設や介護老人福祉施設の利用は本当に 難しくなっておりまして、利用が可能となっても、費用の負担が大きくなっており ます。認知症と診断されれば、介護保険での認知症対応のグループホームが利用で きますが、まだまだ量的には不足していると聞いております。福祉サービスの住居 の場として、ケアホームやグループホームが挙げられているんですが、勿論、ここ でのグループホーム、ケアホームは、障害者自立支援法の中の共同生活援助とか、 共同生活介護のことだと思うのですが、介護保険のグループホームとは全く設置基 準が違うものです。福祉サービスでのケアホームやグループホームでは、バリアフ リーといったような高齢者に対する設備や介護要員は整備されておりません。要す るに、ケアホーム、グループホームを居住の場として暮らし始めても、65歳の介護 保険の第1号の被保険者になっても、介護保険での居住の場の選択は、現状ではす ごく厳しいということです。それまでと変わらず、障害福祉でのサービスの居住の 場で住み続けることに現状なっております。グランドデザインで示されてから、本 当に長期入院の後、地域に移って住んでいらっしゃる方も大勢いらっしゃいます。 その方たちも65歳という一つの段階を迎えて、その先どうなるのかという本当に現 実が迫っておりますので、この辺は、いろいろな施設を含めた大きな目で先を考え ていただきたいと思っております。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、伊藤構成員。 ○伊藤構成員  医療計画に関連して1つコメントをします。日本の医療制度の特徴に、国民皆保 険制度と自由開業制があります。誰でも、どこの医療機関にも行けるというメリッ トがあり、立派な制度ですが、一方で、地域責任制と申しますか、この地域でどう いう方々を支援しなくてはいけないかという意識が強くないという特徴があります。 そういう意味で医療計画、福祉計画と連動するのはとても大事な点です。精神科の 中で特に重要なのは、重度継続の精神障害の方々です。退院した後、この方々が医 療を中断せず継続して地域で生活できる支援をするためには、この地域の患者さん に対して責任を持つという医療圏という考え方。また、そのような意識を高めさせ る施策がとても大事だと思います。そういう意味で医療計画と連続性を持っていく ことに賛成です。 ○樋口座長  それでは、大塚構成員。 ○大塚構成員  46ページの医療機能の確保のイメージ図ですが、わかりやすい図だと思います。 ただ、作成途中なのかなと思っているのです。40〜41ページに糖尿病とか脳卒中の 流れがありました。ここが、現在うまくいっているのかどうかということをちゃん とわかっていないのですが、こういう図を見ますと、途中に「転院・退院時連携」 とか、「紹介・治療時連携」が入ってきています。もう一回戻って、46ページを見ま すと、今、伊藤先生もおっしゃいましたけれども、一定の圏域の中に、本当に身近 な地域で、それなりの機能がきちっと確保されていくことはとても大事なことだと 思うんですが、現状では、診療報酬が縁の切れ目みたいなことがちょっとありまし て。ある機能のところが保証される診療報酬制度のところで、これ以上診ると報酬 が低くなってしまうとかそういうことがあると、やっぱり退院とか転院ということ になってきます。そういうところをぶつ切れじゃなくて、きちっと継続的に適切な 医療確保をしていく、機能を確保していくことになると、ここの中につなぎ方とい うか、連携がどういうふうになっていくかという機能についても、併せて今後考え ていかなければいけないことなんだろうと思うんですね。それが各病院や医療機関 の中における地域連携室なのか、そうではなくて、地域包括支援センターみたいな ことなのか、そういうことがちょっと私もまだすっきりわかりませんが。一方で、 一般医療のようなかかりつけ医体制とかそういうものが果たして診療所が担うよう なことになっていくのだろうかとか、その病診連携がどうなっていくのだろうかと いうことも併せてこの図の中に盛り込んで描いていけることが必要なのかなと考え ました。 ○樋口座長  それでは、良田構成員。 ○良田構成員  前のときにも申し上げたのですけれども、居住の場ですが、先ほど品川構成員の 方からも言っていただいたのですけれども、家族のもとに退院が、この調査だと50 歳未満になっています。50歳というと、家族はもう70過ぎているわけですね。この 50歳はどういう意識で区切ったのかなというのはちょっとわからないのですけれど も、必ず、結局は引き受けられない状況になるわけですから、50歳未満が家族のも とに帰るという意識を変えていただきたいと思います。できるだけ若いうちに本人 が自立をしていけるような方向で対策を立てていただきたいと思うんですね。そう でないと、社会的入院の問題をずっと引きずられていってしまう。  もう一つは、早期介入の話が日本でも出ていますけど、病気になった人が早いう ちに治療を受けることもあるんですけど、これはどういうふうに日本で実現してい くかはこれからの課題だと思います。そのときに、一番大事なのが、家族を含めて のしっかりとした支援、ケアをしていかないと、大事な時期ですので、ここで家族 は何もわからないままに病気に対応せざるを得ないという状況がないようにしても らいたいと思うんですね。ここのところはしっかり家族を含めた支援体制をつくっ ていただきたいなと思います。  もう一つはイギリスでの話ですが、イギリスは三大疾患として、社会的リスクが 非常に大きい疾病として、ガンと心臓疾患と精神疾患の3つを挙げているのですけ れども、日本でも、若いうちに発症して、その人たちがいろいろな社会的な活動の 場に行けなくなってしまうような、非常にリスクの高い疾病でありますし、受診者 も年々増えて、数も増えていますので、これは国としてしっかりと取り組む体制を とっていただきたいと思います。  以上です。 ○樋口座長  それでは、佐藤構成員。 ○佐藤構成員  三上構成員の「4疾病6事業」を支持したいと、僣越ながら思います。できれば 5疾病5事業でもいいのかなとか思うのですけれども。今、良田構成員が言われま したように、イギリスでは三大疾患となっておりますね。ですので、ガンとか循環 器系の疾患に勝るとも劣らないぐらいの重要性がある病気だろうと。昨日の党首討 論でも、鳩山代表は言っておられましたね。20歳代の自殺がこんなに多い国は先進 国でどこにもないと言っていましたから、政治家の間でも、そういった精神疾患に 対する重要性の認識が高まっているのではないかと思いますと、4疾病5事業では なく、5疾病6事業という形で、精神疾患の重要性は国民的な関心事であるという ふうなこともありますので、是非、見ていただけたらと思います。  それから、46ページの図ですけれども、これは以前に、精神医療は都道府県単位 という形だったのですけれども、厚労省の方でこういう図を提示していただきまし て、ありがとうございます。千葉県では、これに近い形で9つの二次医療圏ごとに 精神科救急基幹病院を設定しておりまして。これは私の理想から言うと、二次医療 圏ごとに高次の救急を担う精神科病院と、救急機能を持った総合病院精神科が2つ あると、こういうふうになるととてもうまくいくと思うんですけれども、2つ持っ ているところは少ないのですけれども、どちらか一つが救急になるというふうにし ているのですね。そうしますと、以前に比べて、精神病床をいくら500床あっても 800床あっても、1床も空いていないというようなことがよくあるんですね。本当に 入院が必要なときに入院できないということがありまして。こういう機能分担をし ますと、その地域で入院できなくて、はるか松戸の方から館山まで何十キロも移送 しなければいけないというようなことは減ってきまして、その地域で入院が可能に なるということが増えておりますので、こういうふうに機能分担をしていくこと、 その患者さんが遠く離れた地域で入院治療を受けなくて、その住んでいる地域で入 院治療を受けることができて、また,身近な地域でのサポート体制は千葉県では不 十分だと思いますけれども、この辺りのことが充実してくれば、身近な地域で診療 を受けて、それから、その住んでいた地域に戻りやすくなるというふうなシステム が構築できると思いますので、是非こういうイメージを大塚構成員が言われたよう に、さらに肉付けをつけていただけたらと思います。 ○樋口座長  それでは、今、手を挙げていらっしゃる5人に限って残りの時間を。それぞれ短 く、あと10分程度で。門屋構成員。 ○門屋構成員  二次医療圏の話ですが、これは30年ぐらい前から、何で精神科だけが都道府県圏 域なんだということですね。前回のときにも、実は二次医療圏に向けての発言がど なたかにあったかと思うのですが。これは、現状で二次医療圏で決めるなどという ことは、とても無理だということを承知十分しているわけですね、偏在があります から。それとは別に今の救急のことに関して評価されるように、二次医療圏という ことを精神科医療の中でも求めるべきではないか。あるいは計画上、きちっと位置 づけるべきではないか。それを工夫すれば、もっときちっとできるのではないかと 思っているのですが、この辺の働きかけは厚生労働省は、精神の方から医療計画に ついてどんな御意見をお持ちなのかをちょっと聞かせていただきたかったんです。 ○福島精神・障害保健課長  二次医療圏は既に医療法の中ではなくなっておる概念でありまして、病床規制の 圏域としては残っていますけれども、それよりも機能ごとにどういう圏域をつくっ ていくかというふうに整理をしているわけで、精神もそういう面で同じような発想 で、地域生活を支える医療という、ベーシックな考え方は、それに基づいた圏域設 定をまず考えていくべきではないかと。その上で、高次なものについてはもう少し 広域なところでというふうなところを目指すべきということで、今イメージ図でお 示しをしているつもりでございますので、今、御指摘の方向性は踏まえていると思 っております。 ○樋口座長  それでは、坂元構成員。 ○坂元構成員  いつも医療圏で問題になるのは、これも最初の方で、保健医療圏、それから自治 体との複雑な関係について議論が出されたと思うんですけれども、保健医療圏を超 えてと簡単に言っても、保健医療と自治体との整合性の問題もあり、自治体を跨ぐ 場合には、自治体にはそれぞれ独自の予算と、議会もあって、そんなに簡単にはい かないということなのです。議論としては、自治体側の人間にとっては、それぞれ の独自の予算とそれぞれの独自の議会があって、保健医療を跨ぐ場合、他の都市と どのように連携をとっていくかという体系的法整備も何もない中で、医療圏を超え る議論は一見簡単には聞こえるのですけれども、現実的には、それが自治体を超え る場合には、一つの指針とか、そういうものがある程度ないと非常に難しい部分も あるということをつけ加えさせていただきたいと思います。 ○樋口座長  それでは、上ノ山構成員。 ○上ノ山構成員  今の医療圏の話にしてもそうですけれども、現実には、ある医療圏があって、そ の中でうまく調整してやっていくようなことができれば、その地域が非常に機能的 になっていくと思うのですけれども、それを調整する人がいないわけですよね。結 局は、いつもこういう現状があると。だから、どうするんだというときには、民間 にそのまま任せてしまうと。あとは勝手にやってくださいと。失敗したら民間の責 任ですというふうな形になってしまうことは、これまではあったのではないかと思 います。私が、先ほど、精神科特例について改めていくタイムスケジュールに関し てちょっと強調したのはそういうことで、結局、これをずっと放置してきた側の問 題といいますか、これをどう改めていこうとしているのか。どのようにして改めよ うとしているのかということが明らかにならないと、それだけ言われても、なかな か先に進まないということなんです。この図をそのまま読んでいくと、例えばいい 精神科医療従事者の数が少ないとか、機能が充実していないのは、そのやっている 医療機関ないしは担当者の努力が足りないから充実しないのだというふうに受け取 られがちだと思うんですね。残念ながら、これまではこういうシステムを動かして いくときには、ほとんど民間に丸投げをして動かしてきたということが事実として あります。ですから、公的な機関がこの問題に対してどのような役割を果たして、 どういう方向性を出していくのかということをまず見本として出していただきたい。  例えばいろいろ課題として挙がっていますけれども、何ページかの早期支援の問 題にしても、具体的にどういうふうにしていくのかとかということは課題としてあ ります。救急医療に関してもあると思います。我々も勿論やりたいわけですけれど も、実際にやろうとして、丸投げされても、なかなか責任を取れないということが 現状としてあります。ですから、それがやれるような体制を是非考えていただきた いと思います。  往診の話が先ほど出ていましたけれども、先ほど長野先生がおっしゃったように、 多分、往診されている先生は年寄りの先生ばかりだろうと思います。私も若いころ はよく往診しましたし、開業当初はよくやりましたけれども、最近はほとんどそう いう余裕がない状況ですね。往診はしたらいいのですけれども、それから、そうい うふうに勧められるのですけれども。だけど、それができる体制にないというのが 現状かなと思います。時間も余裕もない。  それから、診療所がこのように増えてきているということですが、実質的な数字 を挙げていただいて、これはありがたいと思います。前回の資料だと、これの3倍 ぐらいの診療所があるような資料が出ていましたので、これはどういうふうな修正 がかかったのかちょっとわからないのですけれども、実質に近いような数字が出て います。精神科診療所協会の構成員は、これの半分の1,500です。  それから、増えていると言っても、これでもなおかつ少ないというのが現状です。 つまり、日常の精神科医療の救急体制がこれでも追いつかないと。非常に心苦しい のですけど、我々は救急に対応したくてまちなかに出て行ったはずなのに、そのま ま患者さんを受け入れていくと、午前様の診療になってしまう。それがこちらにも 大変だし、スタッフにも大変だし、患者さんにも大変だということで、仕方なく予 約制を導入したりしてやっていると。そういう中で、その当日の需要に関して、す ぐに受けられないようなことが起こったりしています。だから、気持ちとしてはそ ういう形で救急対応したいと思っても、なかなかできない現状があることも理解し ていただきたいと思います。  それから、「かかりつけ医」という言葉が出てきますが、これは精神科の場合はど ういうふうな位置づけになるのかということをちょっと確認しておかなければいけ ないなと思います。我々はかかりつけ医なのか、あるいは専門医なのかというのは、 我々の中でも揺れ動くところでありましてね。認知症の場合は、かかりつけ医とい うのは、いわゆる内科の先生、地域の開業医ですね。それに対して、認知症サポー ト医が神経内科医あるいは精神科医がサポートしてそういう体制をつくっています。 例えば、ここにうつ病の場合のかかりつけ医というふうなことになってきますと、 うつ病のかかりつけ医は内科の先生ということになるのでしょうか。あるいは我々 精神科の医師を想定してかかりつけ医ということを考えているのでしょうか。我々 もかかりつけ医的な側面もあれば、専門的な治療を行うという側面もあって、この 図ではちょっとわからない。この図は、今の私の話の中では若干被害者的なところ もありますが、結局、精神科診療所の医者の働きが足りないから、もっとかかりつ け医的な機能を果たせと。24時間365日働いて、その地域で支援しろというふうな 訴えをされているかのように見えるわけですね。これは非常に被害者的に極端に言 いましたけれども、そのかかりつけ医の位置づけと、そして、現在の精神科診療所 の医師の働きぶりに関する現状に関して認識していただければなと思いまして、発 言しました。 ○林課長補佐  かかりつけ医は特段の定義があるわけではございませんけれども、ふだんからか かっているということですから、うつ病の例を挙げていらっしゃいましたけれども、 そういう場合は精神科の医師がかかりつけ医ということが多いのではないかと思い ます。  診療所数について1点御指摘があったので、釈明をさせていただきますと、第3 回目ぐらいの資料で、診療所数のもっと多い数字を出してしまっていたことについ ては御指摘のとおりでございます。そのときは、複数の標榜をしていらっしゃる診 療科について足し上げておったために多くなっておりますけれども、今回は、純粋 に主たる診療科とするもの、それから、単科のものだけを抜いておりますので、御 指摘のとおり、今回の数字の方が実態に近いと思っております。  以上です。 ○樋口座長  それでは、中島構成員。 ○中島構成員  精神科医療体制を整えていくに当たって、1つは救急体制の確保ということで、 今までかなりやってこられたわけですが、そこへ地域へ向けての訪問看護からケア マネジメント・ACT、危機介入、一般救急と精神科救急の連携と、こういう辺り ですね。23〜24ページでございますけれど、この辺りは、広い意味での精神科救急 体制に入ってくると思うんです。ですから、初めのうちは、一つ一つの訪問看護と か、ACTとか、危機介入というふうに分けないで、将来的には分けていく方がい いかと思いますが、当初はこれらを一体的に運用しながら、何とか地域を支えられ る体制をつくっていくことが大切なのではないかと思います。  それから、もう一つは、往診をするところが、病院もですけど、診療所も減って きているということで、救急に参加するだけではなくて、往診等、危機介入、こう いうアウトリーチのところへ病院の方々と一緒に診療所の先生も出て行くと、こう いうことが協力体制が組めるようになると、随分変わってくるのではないかなと感 じております。  それから、先ほど佐藤構成員が言っていましたけれども、4疾病6事業にした方 がいいと。精神疾患は、非常に多くの患者さんの労働能力を奪っている、あの前回 出た表から見ると、一番大きいところを占めているわけですね。ですから、これは 必ずここへ入れて、何らかの形で組み込んでいくという方策が、是非、精神だけ別 ではなくて、一般科の中でちゃんと認識されていくためには必要なのではないかと 思っております。  あとのことは、皆さんがおっしゃいましたので、結構でございます。ありがとう ございます。 ○樋口座長  それでは、残り大分時間が迫ってまいりましたが、3つ目のテーマであります 「精神科医療機関における従事者の確保について」ということで、49ページ以降に 関しての御議論をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  伊藤構成員。 ○伊藤構成員  事務局資料が出ていますので、若干コメントさせていただきます。  一般的に申し上げて、入院中心の医療から地域精神保健医療福祉に移行するため には、国際的にも言われているのですが、新たに地域における社会資源を創設する か、入院医療資源や職員を地域医療へ移行するしかありません。最適の言葉かどう かは別にして、いわゆる「脱施設化」が進められてきた海外諸国の入院医療施設の ほとんどは、公的病院でありました。そのため、入院医療資源とスタッフの地域へ の移行は、公的財源の配分の変更と公務員の人事異動で対応できました。  しかし、日本の場合は、民間病院が80%以上を占めるという特徴があり、ある意 味単純ではありません。それぞれの入院医療機関が地域型の医療機関に転換できる 道筋を示して、移行を安心してできるビジョンを示す必要があると思います。病院 の立場から考えますと、先ほどの医療計画のイメージにもありますが、「地域が病院 である」という意識・考え方を進めていく施策が必要だと考えます。以上です。 ○樋口座長  それでは、長野構成員。 ○長野構成員  伊藤先生の資料を見て、資料を一部出させていただきましたので、説明を。これ は私たちの町での精神科医療機関、私たちの十数年の取り組みということになるん ですが、地域への再配分というところが、何よりも苦労もしてきましたし、まだ道 半ばではあるのですけれども、その道筋のノウハウがいっぱい詰まってきています。 これを少し紹介しながら、きょうこれを話し出すと、数時間話してしまいそうなの で、簡単にですが。  まず、将来構想という中で、これは第4回か何かのときに提示させていただいた ものです。平成8年に将来像を明確に提示しながら、道中いろいろありましたけれ ども、進めてきているという図です。その次が、月末患者数と認可の精神科病床数 と、さらに看護配置の数を書き入れてみました。こんなふうに退院促進であったり、 地域の支援を充実させながら、入院患者さんが減ってきたところを病棟を閉じてく るという道筋でございます。この中にはいろいろな工夫がありますけれども、また、 機会があれば紹介をしたいなと思います。  この中で肝と言えば、平成8年当時、政策的にまだ何も出てなかったと思うんで すが、それから、着々とダウンサイジングを進めてはきたのですけれども、そうし ながら、あるところで止まっています。これは、院長としては3代にわたっての取 り組みであります。初代から2代、私が3代目になりますけれども、平成16年に出 た「改革ビジョン」は非常に後押しになりました。「改革ビジョン」が出たから、こ の方向性で間違いはないんだ、よし、やろうというふうにして、それからでも、今 の70まで来るのに5年かかりました。前回の話題提供のときにはまだ80だったと 思うんですが、この1年間で70というふうにやっとなってきましたけれども、とて も時間のかかることでありました。平成8年の職員配置を見ていただけると、ナー スも、精神科病院ナースとPSも1名、あと医師という一般のところから、現在の 配置が、こういうような配置になってきています。病棟のスタッフをそのまま単純 に地域にボンと配置することはどうやっても不可能でありまして。退職、採用の調 整であったり、職種の調整、再教育、あとは、経営的なロスをどれだけ少なくする かというところで、ここまで来るのにも課題はいろいろありましたが、何とかやっ とらしくなってきたかなと。ただただまだ道半ばで、これから5年計画ぐらいで、 また将来像を今描いているところですので、少し実例として紹介させていただいた らと思っております。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、ほかに。  小川構成員。 ○小川構成員  看護職員の状況について、ちょっとお話をさせていただきます。  看護職員の多くが女性でございまして。家庭を持ったりすると、子育て等の問題 があったりとか、退職する理由も様々でございまして。ナース・バンク事業のデー タなども見ますと、通勤時間が結構マッチングがうまくいかない理由として出てく るんですね。先ほど、身近な地域で、住み慣れた地域で地域医療をやっていこうと いう話もございましたけれども、精神科病院の所在地も通勤時間との関係でいくと、 結構ネックになっていくと思います。この間、4:1から3:1ぐらいに、看護職 員の配置も、精神科病院でも非常に努力をされてきたわけですけれども、山中にあ る精神科病院は、通勤時間の問題からなかなか確保できないこともございます。た だ、単に地方が確保はできないのかというと、そうではなくて、どういう医療をや っているのか、どういう看護をやっているのかという、その中身で看護職員が辞め てしまう離職理由にもなるわけですね。単に労働時間とか、給与とか、通勤時間だ けではなくて、積極的に、例えば認知症の専門治療をやるとか、救急医療をやって いるとか、あるいは退院促進を頑張ってやっているとか、そういう医療や看護の内 容にみんな共鳴してその病院に就職をしたり、あるいは定着をしていくことも、実 はデータからも出ています。納得いく看護ができるというようなことで、定着を図 っている。逆に、納得いく看護ができないということで辞めていっていることも現 実にあるんですね。そこも、人員配置をきちっと引き上げて、質の高い看護を提供 していくことが、看護職の確保にもつながっていくということも、是非御理解をい ただければと思っております。  以上です。 ○樋口座長  それでは、広田構成員。 ○広田構成員  上ノ山先生、被害者的にならないでください。先生も、医者同士支え合ってピア サポートをやらなければ。だって、うつ患者を呼び込んで自殺防止させると言った けれど、自殺が一番多いのは医者の中で精神科医だから、まずは自らのメンタルヘ ルスです。予防の話がさっき出ましたけど、うつも予防ですよね。  それから、私、あるとき親しい精神科医に「先生、精神分裂病は予防できるのか しら」と言ったら、「さあ、それは難しいと思いますけど、うちの子どもたちはなら ないと思いますよ」ということでした。これは参考までに。  それと、早期受診、早期支援、絶えず出てくるんですけど。とにかく精神医療に 安心してかかれて、行ってよかったと思えば、そんなに騒がなくても、戦争じゃあ るまいし、そんな覇権主義に走らないでも来ますよ。「あそこの○○がおいしいよ ね」と言えば、買いに行くのと同じで、不二家さんがちょっとおかしくなったとマ スコミが叩けばつぶれるような騒ぎになるのに、精神医療の被害者がいっぱいいて、 どうしてほかの医療の医療過誤の本は出て、精神科は出ないのかなと思っています。  そういう中で、クリニック365日24時間やれるはずはありません。私の相談者で クリニックの患者はいっぱいいます。私が彼から相談を受けたときに、1種類の薬 でした。ところが、生活保護になったら、非常に多量多剤が出ています。1週間に 1度通院しているそうです。この間会ったら「2週間に1度になった」「理由は」と 聞いたら「先生がぐあいが悪くなった」ということで、患者の都合ではなくて、医 者の都合で頻度が減ったということです。クリニック、いろいろな人が言っていま す。「1部屋あって、1つ机があれば、内科のように聴診器もいらない、体温計もい らない、何もいらない。誰でもやれる。」福島課長がここでこれだけ叩かれて、いや だなと思って、精神科医でもやろうかと開業すればやれる。そのぐらい手軽なんで すね。  そういう中で、さっきのかかりつけ医じゃないけど、私の内科のかかりつけ医は 歩いて2分です。もし、その先生のところに行っていて、「これは市大に行って」と かと言われるんだけど、精神科は抱え込んでいるという話を絶えずしています。こ ういうこともいっぱいありますよ。リスパダールが出たり、ジプレキサが出たり、 精神安定剤がそのほかにたくさんあって、眠剤がついて、診断名が「うつ」なんで すね。それは、医者が相変わらず告知できてないのか、見誤っているのかわかりま せんけど、そういう例がいっぱいあります。ですから、そういうことを持ち帰って、 一人で被害者意識に陥っていないで、ピアサポートして、次の回に出てきていただ きたいということと。  精神科救急で言えば、この間ずっと、小川忍ちゃんが、「精神科も一般と同じよう に」と言っていますけれど、普通に救急車で行けばいいんですよ。何も犯罪者じゃ あるまいし、警察が出てこないで、全国の患者みんな、医療保護入院も措置入院も 嫌いですから、精神科の患者もほかの医療と同じように救急車で行ける。それがま ず第一。そのときに安心してかかれる医療が必要。そのときに、クリニックの先生 が、PSWのところでも言っていますが、是非、精神科の病床に月に何回か行く。 そうしないと、机一個で、質の向上にもなんにもならない。精神科救急ということ によって、国民の精神科医療に社会貢献し、結果的にお金ももらえ、結果的に質の 向上になる。協会で、是非これを検討していただきたいと思います。半数は入って ないと。それはよく存じていますが、そういうことをやっていただきたいというこ とと。  それから、多量多剤の中で、最近こういう話を聞きました。薬物依存症の原因は、 どうやらシンナーとか、トルエンとか、そういうふうなものだけではなくて、向精 神薬もあるらしいという研究を国立精神神経センターがやっているそうです。薬物 依存症原因別何たらかんたらと言うそうですから、是非この検討会に出していただ きたい。そして、私が今減らしているように、薬を減らして、軽く生きられるよう にしないと、多量多剤が相変わらず続いていて、早期発見・早期支援じゃなくて、 早期いじくり回し。例えば私、不登校のイベントの実行委員長をやっていたときに、 ボランティアで来てくれたJRに入社した青年のことで、電話がかかってきました。 「広田さん、○○君が大変だ、大変だ。」と言って大騒ぎしています。私は○○君に 電話して「○○君、広田さんは六本木のベルファーレへディスコ踊りに行く」と言 ったら「自分は連れて行ってくれるんですか」「連れて行くよ」と言って、2回連れ て行きました。そうしましたら、ディスコにはまって、見事に立ち直って、「今度は 同僚と来る」ということですから、昨日の樋口先生の話では「うつが途中までよく なったら運動」という話だけど、うつで医療機関に行く前に、いろいろな運動をや って、私は多くの医療機関へ行って、見ていると、シーンとした待合室で待ってい るけど、ここにちょっとヒップホップか何かかけて、何か踊ったら、先生に診ても らう前によくなるのではないかなと、こういうふうに思うときもありますから、音 楽療法とか、運動療法とか、いろいろな形で予防するということ。それこそが国民 に対し大事なことで、何でもかんでも医療機関に行くということが大事ではないの ではないと私は思っています。  往診も、ただ行けばいいんじゃなくて、本当に必要な人のところへ行かなければ いけない。私が骨折して薬を取りに行けなくなったとき、「家族に行ってもらいたく ない」と思った。さっき家族の方がお話しされていましたが、家族のところに帰っ てもらえない家族の御事情もあるけど、帰りたくない本人の気持ちもあるわけです。 私はタクシー会社にお願いして薬をもらってきてもらった。そういうふうな経験も あります。往診というのも、本当に本人が往診を必要としているときに使うのであ って、家族の安心感のためとか医療側のお金になるからということでは困るという ことと。デイケアの話が前回出ていましたが、私、精神病院を回っていたらこうい う話がいっぱい出てきました。「今、いろいろな現代病で精神科にかかってくる人は、 障害者というルートにならないで、病院のデイケアを通って会社に戻っています よ」と。そういう事例がたくさんあるそうです。そういうものもいろいろな職能団 体の人に把握していただいて、幅広い観点から、これからの精神医療、これからの 地域で暮らしていくときはどうしたらいいかということで発言していただきたいと いうことで、是非皆さん現場に帰って、いろいろな人の意見を聞いて、自らの専門 性があるかどうか知らないけど、専門家同士ピアサポートして、孤独にならないで ここに臨みたいと。よろしくお願いします。 ○樋口座長  ありがとうございました。  上ノ山構成員、今のことについてのコメントですか。簡単にお願いします。 ○上ノ山構成員  ピアサポートしてまいります。  精神科医師数が若干増えているということで、これは喜ばしいことなんですけれ ども、果たしてその実感としてはそんなふうなことは感じないので、どこかに偏っ ているのではないかなという気がしますのと。それから、増えたと言っても、もと もとが少ないことをまず押さえておいてもらわないと困ります。今、全国の精神科 医が幾らいるのか知りませんけれども、精神神経学会員の数から言うと1万幾らな んでしょう。そうすると、その数で35万床を支えているわけですよね。そういうの が現状です。ここで数字的に出ているのは、卒業生の5%が精神科医になっている。 つまり、5%の人がそういう多くの患者さんを診ているという現状で、全くの医師 不足です。だから、産科・小児科に関してはよく言われますが、まず少ないことか ら出発しないと、増えたと言って喜んでいるわけにはいかないというのが1つです。  それから、精神科の医師の開業の年度を書いていただいていますけど、これも意 図がわからないのですけれども、皆さんと同じような時期に開業なさっているとい うことで、精神科診療所をそんなに差別してはいけないというふうな意味で書かれ ているのか、普通に診療所が増えていることをあらわしているのかよくわかりませ んが、大体同じような10年ぐらいの経験の人が開業なさって、そして、専門性を発 揮しているということなんですけれども。それがいわゆるかかりつけ医としての位 置づけということになっていくと、若干位置づけが違ってきますのでね。認知症の かかりつけ医は、最終的にはみとりというところまで含めた位置づけがあるような 気がするので、精神科医のかかりつけ医はどういう位置づけなのかということを、 この図だけではなくてちょっと書いていただきたいなと思います。  そして、最終的には人員の配置の問題になるわけですけれども、民間にこの人員 配置を任せてしまって、民間の工夫でこれが成り立つようにしなさいというのは、 これはおかしいと思いますので、国の制度として、ベッド数を削減して、スタッフ が充実し、診療報酬も上がるような、そういう具体案を提示して、こういう移行が しやすい体制を本当に具体的に提案していただかないと、議論の空回りになってし まうということです。  それから、最後は、この絵を描いていただいた伊藤先生が「地域が病院である」 と考えたらいいということをおっしゃられたので、非常に有意義な発言かと思うん ですけれども、そういうふうに体制を組んでいくためには、病院も診療所も、ある いは福祉も医療も連携していくというか、助け合っていくようなことが必要で、そ れを調整する機関がどうしても必要なんですね。そうでないと、圏域単位での配置 とか、システムがつくられていかないと。それを誰がするのかということをしない と、圏域が大事ですよとかということを言っていても話は進まないと思います。で すから、その辺を御配慮いただけたらと思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  では、長尾構成員、簡単にお願いします。 ○長尾構成員  従事者の確保ということで、これは非常に大切な問題ですけれども、医療圏であ ることを踏まえながら、どういうふうにやっていくのかということをしっかりと議 論していかなければいけないと思っていますが。最後の、確保の難しい医師・看護 師の業務を軽減云々とありますけれども。医師の立場から言いましても、現在の医 療業務以外の業務は非常に多いんですね。例えば外来にしても、どれだけ書類があ るかといいますと、自立支援医療の書類ですね。それから、手帳もあるし、それか ら、年金の書類、各種意見書ですね。介護保険の意見書もあれば、今はほとんど障 害者自立支援法によって、知的障害の部分も随分新しい自立支援法に変わりつつあ ると。それがすべて今度医師の意見書を求められるわけですね。そういうものを私 も書いて1週間たったら、またボックスに詰まっているというような状況ですね。 書いても、書いても、減らない。これに加えて、入院であれば、定期病状報告書。 私は幸い入院は持っていませんから、その分は書かなくて済んではいますけれども、 非常に書類が多いんです。こういうものはもっと簡便にやれるような形を是非とっ てもらいたい。書くことは非常に大変なんですね。私もなるべく早く書こうとする と、汚い字がはるかに汚くなって、自分でも読めないときがあるんですけど。そう いう状況が本当にあるということを知っておいてもらって、是非、簡便にしていた だきたい。  もう一つ、ちょっとここの話とはあれですけれども、救急とか、地域の部分とか ですね。これもどれだけの人手とお金をかけるかということが非常に問題であって、 救急の輪番にも、今回、福島課長のお力で少し上げてもらったとは言いながら、東 京は特別として、地方では、どんどん救急の輪番のお金を減らされているんですね。 だから、そういうことでは本当に救急でも持たない。そういうものにもきちっと手 当できるような形、それから、救急も小さな部分でやれればそれにこしたことはな いですけれども、これも人手が非常にいることになるわけなので、そういったこと も十分配慮しながら、地域差が随分ありますから、そういうことを踏まえながら、 きちっと形作っていくことは大事になると思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  ほぼこれで時間を少し過ぎたので、終了させていただきたいと思いますが、きょ うは幾つかいろいろな今後の検討会の進め方についても御意見をいただいておりま すし、宿題も幾つか出ているようでございます。次回以降、その点もどういうふう に進めるか、また検討をしながら、次は7月になるのでしょうか、進めさせていた だきたいと思います。  それでは、事務局の方から次回。 ○野崎課長補佐  次回第19回は、7月9日(木)10時〜12時半で、場所は、本日と違います、「は あといん乃木坂」を予定しております。また、地図等をお送りしたいと思いますの で、本日と場所が異なりますので、御留意いただければと思います。  本日は、お忙しい中を長時間にわたりありがとうございました。  それでは、本日、これをもちまして、今回の検討会を閉会したいと思います。ど うもありがとうございました。 ○樋口座長  ありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)