09/6/3 第53回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成21年6月3日(水)9:30〜11:50 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 牛丸聡委員 庄司洋子委員          対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 渡邊自修専門委員          <日本製薬団体連合会>          竹中登一意見陳述人 庄田隆意見陳述人 長谷川閑史意見陳述人          澤井弘行意見陳述人          <米国研究製薬工業協会>          関口康意見陳述人 アイラウルフ意見陳述人          <欧州製薬団体連合会>          マーク・デュノワイエ意見陳述人          <日本医薬品卸業連合会>          別所芳樹意見陳述人 松谷高顕意見陳述人 村井泰介意見陳述人                 <事務局>          榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○関係業界からの意見聴取について ○遠藤部会長  それでは、定刻になりまして、皆様御着席のようでございますので、ただいまより第5 3回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開催したいと思います。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は、保険局長は公務のため欠席されます。また、審議官は公務のため途中から出席 される旨の連絡を受けております。  薬価改定の前年の審議には、関係業界から意見聴取を行うということをこれまでやって まいりまして、今年度も意見聴取を行うということで、本日は関係業界から皆様に御出席 いただきまして、意見聴取を行うということにしております。  大変暑うございますので、クールビズで、もしよろしければ上着を脱いで、私も脱がせ ていただきますので、2時間長丁場でありますので、上着を脱いでいただきたいと思いま すけれども、本日御出席いただいております方を御紹介いたします。  日本製薬団体連合会、いわゆる日薬連から竹中登一日薬連会長でございます。よろしく お願いします。  庄田隆日本製薬工業協会、製薬協の会長でございます。よろしくお願いします。  長谷川閑史製薬協副会長でございます。よろしくお願いします。  澤井弘行日本ジェネリック製薬協会会長でございます。よろしくお願いします。  次に、米国研究製薬工業協会、いわゆるファルマから関口康ファルマ在日執行委員会委 員長でいらっしゃいます。よろしくお願いします。  アイラ ウルフ、ファルマ日本代表でございます。よろしくお願いします。  次に、欧州製薬団体連合会、エフピアからマーク・デュノワイエ、エフピア会長でいら っしゃいます。よろしくお願いします。  次に、日本医薬品卸業連合会、いわゆる卸連から別所芳樹卸連会長でいらっしゃいます。 よろしくお願いします。  松谷高顕卸連副会長でございます。よろしくお願いします。  村井泰介卸連流通近代化検討委員会委員長でいらっしゃいます。よろしくお願いします。  それでは、議事に移らせていただきたいと思います。  本日は関係団体からの意見聴取ということでございますので、流れについて簡単に御報 告させていただきますと、まず、日本製薬団体連合会、ファルマ、エフピア、日本医薬品 卸業連合会の順でお話をいただきたいと思います。時間でございますけれども、日本製薬 団体連合会におきましては20分以内で、それ以外の3団体におきましては10分程度で それぞれ御説明をお願いしたいと思います。質疑応答につきましては、一通りお話をいた だいた後にまとめて行いたいと思います。時間が限られて恐縮ですけれども、よろしくお 願いいたします。  それではまず、日薬連からよろしくお願いいたします。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  おはようございます。御紹介いただきました日薬連の会長を務めております竹中でござ います。  本日は、日薬連が提案しております薬価制度改革に関して、陳述の機会を与えていただ きまして、まことにありがとうございます。日薬連からの発表は私より薬価制度改革を提 案しました背景、次いで製薬協の庄田会長より未承認薬開発への取り組み、提案しており ます薬価維持特例について御説明をさせていただきます。続いて、日本ジェネリック製薬 協会の澤井会長より後発医薬品の使用促進に向けた取り組みを説明し、最後に私のほうで 総括をさせていただきます。  では、資料の第1ページを1枚めくっていただきまして、ごらんください。  製薬企業は、優れた医薬品を開発・供給することにより、人々の福祉と医療の向上に貢 献し、健康で質の高い生活の実現に寄与することを使命としております。使命を達成する ために多くの課題に取り組んでいますが、現在、患者さん及び医療現場から強く要望され ております5つの課題に対して優先的かつ精力的に取り組んでおります。  アンメット・メディカル・ニーズに対応した革新的新薬を研究開発、上市すること。患 者さん・医療現場からのニーズの高い未承認薬・未承認適応問題を解決すること。採算性 に乏しいが医療上不可欠な基礎的・伝統的医薬品を安定供給すること。高品質で廉価な後 発医薬品を安定供給し、その普及を促進すること。研究開発から市販後まで一貫した安全 対策に取り組み、医薬品の安全性を確保することであり、これらの課題につきまして製薬 企業はどのように取り組んでいるかについて御紹介をさせてください。  次の2ページをごらんください。  日本の製薬会社は約50年前より本格的な創薬に取り組み、日本が強い科学技術、有機 化学、発酵工学、薬理、生化学などを活用しまして多くの画期的新薬を創生し、グローバ ルに販売してきました。最近ではバイオ技術、ゲノム科学などの最先端科学技術を取り入 れて病気の原因を究明する基礎研究から国際的な臨床研究を行う、この図のような研究開 発を行っています。  しかし、新薬の研究開発に問題点がございます。研究開発期間が10年から20年と非 常に長いこと、臨床開発費が高騰した結果、研究開発費が一品800から1,300億円 と高くなっていること、さらに最先端科学技術を活用して創薬研究しているのですが、依 然成功確率は0.005%と低いことなどの問題点がございます。こうした研究開発での 問題点を改善するために、業界は官民対話の場を通じて関係省庁の御協力をいただき、革 新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略を策定し、実施しているところでございま す。5か年戦略では病気の原因分子を探求するライフサイエンス分野への公的研究資金の 投入、そして産学連携の促進、臨床治験の環境整備、承認審査体制の整備、イノベーショ ンを適切に評価する薬価制度などを重点課題としております。  次のページを御参照ください。  最近の新薬の研究開発動向を御紹介させていただいております。  満足な治療法や治療薬のない疾患をアンメット・メディカル・ニーズと呼んでいます。 今、製薬会社はこうした疾患に対して革新的新薬をつくることに挑戦しております。ヒュ ーマンサイエンス財団がいろいろな疾患に対して治療の満足度及び薬の貢献度を医師にア ンケート調査した結果でございます。左下のピンクで網かけしたボックス、治療満足度も 薬剤貢献度も低い疾患としましては、アルツハイマー病、肝がん、肝硬変などがあります が、調査に参加した医師はピンクのボックスの中に分類された疾患の治療薬の開発を望ん でおられます。  一方、右上のグレーの網かけしたボックスの中には、すなわちこれらは治療満足度並び に薬剤の貢献度が高いものと回答された疾患で、消化性潰瘍、高血圧、高脂血症がござい ます。こうした疾患の治療薬は有効性・安全性で満足度も完成度も高いので、特許満了後 には後発品に代替えされると予想できますので、このグレーボックスの中にある疾患に対 する新薬の開発は現在、減少しつつございます。一方、ピンクのボックス中の疾患、こう したアンメット・メディカル・ニーズに対応した新薬の開発は増加し、2009年では9 4品目行われております。なお、最近では医療現場と連携してゲノム科学を応用し、病態 解明の基礎研究から創薬が行われて、低分子化合物に加えて抗体などのバイオ医薬品の開 発も進展中でございます。  次の4ページをお開きください。  アンメット・メディカル・ニーズに対応して革新的新薬の研究開発を行い、上市した例 を御紹介します。  1988年に筑波大の柳澤先生は強力な血管収縮を起こす生体成分エンドセリンを発見 しました。国内の多くの製薬企業は、高血圧の薬になるだろうと考えてエンドセリン拮抗 薬を発明しましたが、有効性が認められなかったことから開発は中止されました。その後、 筑波大の内科の宮内先生が動物でエンドセリン拮抗剤が肺高血圧に有効であることを報告 しておりますが、製薬会社はこの適応症に興味を示しませんでした。理由は脚注に書きま したように、肺高血圧症は右心不全を来す致死的な病気でありますが、日本での患者数は 1,000人くらいで、患者数が少ないというビジネス上の観点からでございました。ス イスのバイオベンチャー、アクテリオンはボセンタンを肺高血圧症の治療薬としてグロー バル開発して上市しました。製品名トラクリアは肺高血圧患者の生存率を改善することか ら医療への貢献度が高く、その価値が世界各国で高く評価され、グローバルの売り上げで は円換算で約450億円に達しています。このように患者数の少ない疾患でもアンメット ・メディカル・ニーズを充足する薬がグローバルで高く評価されますと、医療への貢献と 同時にビジネスに貢献することのできる例といえます。  ページ5をごらんください。  医薬品の安全性確保は業界として最優先の課題として認識しております。各社は従来か らの社内の体制強化に取り組んでおります。昨年、厚生労働省は日本発の医薬品の薬害発 生を防止するための迅速な安全対策強化を提案しました。医療現場での適正使用の徹底、 研究開発から承認審査、市販後までの一貫した安全対策、そしてFDAや欧州の医薬品庁 などとの連携強化を目指しています。日本での安全対策は、医薬品医療機器総合機構、P MDAで現在39名の要員で行われていますが、本年度より民間の協力によりPMDAで の安全対策要員を増加させます。本年初年度では100名の増員を計画し、国の運営費交 付金に加え、業界からの拠出金で運営をいたします。  次をお願いします。6ページでございます。  本中医協の場におきましても、未承認薬・未承認適応及びドラッグ・ラグの問題につい てたびたび議論していただきました。未承認薬使用問題検討会で対応が必要とされた成分 は巻末の参考資料1に示しておりますが、本年2月で44成分あります。左図に示すよう に、このうち20成分は既に承認されていますが、24成分が未承認でございます。また、 右の図に示しますように、日本では研究開発に長時間かかる結果、先進国中で新薬の上市 が遅く、ドラッグ・ラグの問題も起こっています。こうした未承認薬・未承認適応及びド ラッグ・ラグの問題解決のため、業界では次のページのような取り組みを行っています。  7ページでございます。  未承認薬・未承認適応の対応としましては、製薬業界が未承認薬等開発支援センターを 設立いたしました。後ほど製薬協の庄田会長より説明をいたします。ドラッグ・ラグへの 対策は、革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略において、臨床研究、治験環境 の整備、承認審査の迅速化、質の向上などを官民で取り組んでいるところでございまして、 2011年度までには開発期間、審査期間の2.5年の短縮を目指しております。さらに 未承認薬及びドラッグ・ラグの両方を解消するための対策としまして、革新的新薬に対し て、その価値を評価し得る制度も提案させていただいております。  8ページをごらんください。  左の図を見ていただきますと、横軸に研究開発販売までの期間を、縦軸に金額を示して おります。研究開発期間中は研究開発投資だけが先行しますので、常にカーブはマイナス を続けます。約15年たちまして製品が上市されますと、カーブは初めてプラスに転じま す。その後、特許が満了しますと、後発品への置きかえにより販売額は低下してまいりま す。特許残余期間中の販売額面積Bが研究開発期間中の投資額の面積Aと少なくとも同等 か、あるいはそれ以上でないと研究開発の再投資はできません。右の図に示しましたよう に、日本の現行制度の特徴は薬価の循環的下落、後発品への緩徐な代替であるために研究 開発投資の回収が少しずつゆっくりで、長期間かかっております。今回提案しました薬価 制度では、特許期間中に研究開発投資を回収でき、ハイリスクイノベーションに挑戦でき る制度にすることにより、患者さん、医療現場のニーズであるアンメット・メディカル・ ニーズに対応した革新的新薬の上市並びに未承認薬、ドラッグ・ラグの解消を促進するこ とを目指しております。  なお、特許満了後は後発品使用促進により薬剤費の効率化を図ることを同時に提案させ ていただいております。  それでは、次いで製薬協の庄田会長より未承認薬等の開発支援センター及び薬価維持特 例について御説明をお願いします。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  製薬協の庄田でございます。  私からは未承認薬問題解決に向けました業界としての取り組み並びに提案をしておりま す薬価維持特例の概要についてお話をさせていただきます。  まず、未承認薬問題解決に向けました業界としての取り組みでございます。  9ページをごらんください。  未承認薬等開発支援センターにつきまして御説明をいたします。  冒頭、日薬連竹中会長より御説明がありましたとおり、私ども製薬産業はその使命に基 づき、必要な医薬品を患者、国民の皆様に提供するための努力を続けてまいっております。 しかしながら、これらの医薬品の中には患者さんの数がごく限られている、個々の企業で はなかなかその開発着手が困難なものも少なくありません。未承認薬等の開発に係る諸問 題を解決するためには、この未承認薬に取り組む個々の企業に対して、その研究開発から 製造販売までの各段階において業界横断的に専門的・薬事的・技術的な支援あるいは資金 的な援助を行い、当該企業の負担やリスクを分散・軽減することが必要であると考えまし た。そこで、製薬協加盟各社の参加のもとで非営利の団体として未承認薬等開発支援セン ターを立ち上げ、この問題の早期解消に新たな取り組みを進めることにいたしました。  具体的な事業内容並びに組織は、資料9ページにあるとおりでございます。この未承認 薬等開発支援センターは、一般社団法人として5月29日に法人登記を行いました。  10ページをごらんください。  この支援センターがどのようにワークをするかという図でございます。まず、上のほう に緑色がございます。患者団体あるいは学会からの要望につきまして、今後、厚生労働省 が設置をされる有識者会議におきまして、治験開発が必要と検討される、このような未承 認薬あるいは未承認効能に今取り組むことになります。未承認適応の場合には、既に当該 医薬品を別効能で販売している企業が存在します。また、外国で当該医薬品を販売してい る企業の日本法人がある場合もございます。このように開発企業が存在をするケースもご ざいますが、これについては当該企業が治験を促進されるための支援をこのセンターにお いても行っていきたいと考えております。  一方で、大変問題となっておりますのは、日本にそのような企業が存在しない場合、開 発企業を募集することになりますが、実際にはなかなか個別企業としては開発着手ができ ないということで応募が少ないのが現状でございます。この開発支援センターでは、募集 の時点から支援内容を示すと応募を促すことができると考えております。また、開発企業 が決まりましたら、開発治験あるいは申請に関する支援を業界横断的に行っていきたいと いうものでございます。未承認薬等の問題には、さまざまな日本の制度的な要因も含まれ ております。この支援センターと厚生労働省及びPMDAと、パートナーシップを結んだ 上で、特に行政には政策的な支援もお願いをしたいと考えております。  もう一ページ、さらに詳しい支援センターの機能がございます。11ページでございま す。  この未承認薬の開発企業の募集に際しましては、この支援センターと、さらには厚生労 働省、また実際に企業が決定しましたら、具体的な開発プロセス、条件、支援内容の協議 を行います。支援センターでは、例えばその未承認薬が海外の企業で開発をされた場合、 そのライセンス元との交渉の支援、あるいは開発戦略、あるいは治験のプロトコールの作 成などのノウハウ提供、あるいは申請時あるいは薬価取得時には業界全体での経験を生か した助言を行ってまいります。また、資金提供につきましても、柔軟に充てられるような 資金提供もこのセンターから行いたいと考えております。このように患者、国民の皆様が 望まれている未承認薬等の問題、これの解決を図っていきたいというものでございます。  次に、薬価維持特例の概要について改めて御説明をいたします。資料12ページでござ います。  既に当部会におきまして、専門委員より説明があった内容かと思います。薬価維持特例 の要旨をもう一度整理をさせていただきます。薬価維持特例は、特許期間中もしくは再審 査期間中の新薬の薬価を維持し、特許が失効した後、この引き下げを猶予された分を清算 するとともに、市場を後発品にゆだねると、こういう概念に立つものでございます。また、 一方で過大な薬価差を放置せず、かつ薬価差の拡大も招いてはならないという観点から、 収載全品目の加重平均乖離率を超えるものについては、この薬価維持特例を受けられない、 薬価維持をせず現行の調整幅2%によるルールに基づく改定を行うというものでございま す。  次に、この薬価維持特例の対象範囲について御説明をいたします。13ページでござい ます。  薬価維持特例の対象につきましては、新薬の薬価収載時点で、算定の中で一定の評価が なされるものに限定してはいかがという御意見もあることは承知をしております。しかし ながら、仮に収載時の算定時の評価のみに対象を定めた場合、販売後、医療の現場におい て新たなエビデンスが集積される、あるいは医療現場から高い有用性評価を得たものが薬 価維持特例からは除外をされてしまう、あるいは逆に収載時点では競合品がないというこ とで、その後に複数の競合品が参入することによって競争が激化したものが薬価維持特例 の対象となってしまう、こういう問題を生じることになります。したがいまして、医薬品 の評価はあくまでも医療現場で実際に評価をされる、このような原則に従って市場におけ る評価を反映できるという意味において、当該品目が乖離率、これを指標とすることが妥 当であると考えております。  乖離率を指標として市場の評価に基づく要件を課すことによりまして、結果として市場 が大きく競合が大変激しい領域の品目は、結果的には対象とはならず、実際にその医薬品 の競争優位性がある、あるいは希少性がある、例えばオーファンに代表されるような市場 の小さい領域、あるいはアンメット・ニーズが高い領域にかなった品目のみが薬価維持特 例の対象になると考えております。  この一定要件について過去の薬価改定結果を当てはめて検討をしてみました。その結果 をビジュアル化したものが14ページでございます。  先ほどお話を申し上げたとおり、まず市場が大きく、かつ競合が大変に激しい領域の品 目、たとえ特許中であっても、例えばARB剤あるいはスタチンなどは過去の改定結果に 基づきますと、その乖離率は加重平均乖離率を超えております。したがって、結果として このようなものは薬価維持特例の対象とはならない。一方で、HIV治療薬あるいは難病 治療薬、オーファンなどの市場の小さい領域、あるいは抗がん剤に代表されるように、ア ンメット・メディカル・ニーズも高く競合品が少ない、こういう領域については乖離が加 重平均よりも小さいため、薬価維持特例の対象となるであろうということが予測されます。  また、薬価維持の対象となる新薬につきましては、左下の図にございますように、特許 期間中の薬価が維持されることによって、特許満了までの販売額は増加をいたします。し かし、特許失効後は後発品へ置きかえが起こる。従来の制度よりも販売額が減じることに なります。すなわち、産業としては次の新薬創出に向けた研究開発への再投資分を特許期 間中に前倒しで得ることが可能になる、そのような制度である。また、結果として薬価維 持特例の対象にならなかった新薬につきましては、これまでと同様に2年に一度薬価が改 定されることとなります。販売額については、現行制度と違いはございません。一方で、 特許失効後はこれまでの国の方針のとおり、後発品の使用促進によってさらにこれまで以 上に大きく減少する。大変産業にとっても厳しい制度であるとも言えます。  15ページでございます。  製薬企業がアンメット・メディカル・ニーズに対応してどのような研究開発をこれから 促進されていくであろうかということの関係について見たものでございます。これまで製 薬企業の多くは、比較的既に市場の大きな領域を中心に、幅広く研究開発投資を進めてま いりました。特に大手企業、厚生労働省の産業ビジョンで言うところのいわゆるメガファ ーマにおきましては、一定規模の売り上げを確保するため、たとえ競合が激しくとも市場 の大きな領域への研究開発投資を続ける必要があったわけでございます。一方で、先ほど 竹中会長からもお話がありましたとおり、近年、創薬アプローチが変化し、高度化し、ア ンメット・メディカル・ニーズの高い領域へ研究開発投資をシフトさせてきていると。こ ういう状況の中で薬価維持特例を導入することは、このような大手企業の研究開発の方向 性、行動を後押しし、シフトを加速させるものにつながると考えます。  一方で、比較的規模の小さい企業、研究開発を志向している企業は特定の領域に強い企 業、厚生労働省の産業ビジョンで言うところのいわゆるスペシャリティファーマとして、 その企業規模とみずからが得意な領域に特化して集中的に研究開発投資を行うということ が可能でございます。薬価維持特例はこのようにアンメット・メディカル・ニーズに対応 した新たな薬への挑戦につながっていくものと考えます。決して薬価維持特例の導入は大 手の企業のみならず、研究開発を通じて国民、患者の皆さんの求めているアンメット・メ ディカル・ニーズにこたえていきたいと、そのような企業がこの新しい制度を活用し、研 究開発を促進いたしてまいります。逆に申し上げますと、そのような行動をとらない企業 にとっては、メリットはない仕組みとも言えます。  先ほど御説明しました未承認薬等開発支援センターは、このように大変患者さんが少な くて、個別の企業ではなかなか開発着手に取り組めない、このような領域についても補っ ていくと、このようなセンターであるということでございます。  私の御説明は終わらせていただきます。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  続きまして澤井さん、お願いいたします。 ○日本製薬団体連合会(澤井)  日本ジェネリック製薬協会の澤井でございます。  本日はこのような発言の機会をちょうだいいたしまして、大変感謝しております。  さて、我々人類が現在の文明を謳歌できますのは、特許制度によるところが大きいと言 われております。言うまでもありませんが、発明発見を奨励するために特許期間中は独占 的販売権があり、そして特許期間が満了いたしますと、その技術は国民共有の財産として 無料で開放されるというところに特徴があると思います。医療用医薬品の場合、特許期間 が満了いたしますと、同じ効き目で安いジェネリック医薬品が出てまいります。つまりジ ェネリック医薬品がその特許を完結する役割を果たしていると思います。そのため全世界 でジェネリック医薬品が出てきたために全世界の医薬品のコストは大幅に下がったと言わ れております。一説によれば70%平均下がっているのではないかという説もございます。 そのため、各国ではジェネリックの使用促進に普及を努めておられまして、現在世界では 60%以上のシェアを持つ国が多数出てまいっております。しかるに日本におきましては、 御承知のようにジェネリックのシェアはまだ低いままでございます。  その原因はいろいろあると思いますが、その一つにジェネリック医薬品に対する信頼性 が十分ではないという指摘がございます。そこで私ども日本ジェネリック製薬協会といた しましては、一昨年の10月に厚生労働省が策定されました後発医薬品の安心使用促進ア クションプログラムについて、ここに挙げられている安定供給、品質確保、情報提供にか かわる目標の達成に向けて業界一丸となって努力を払っているところでございます。時間 もございますので、資料に基づき御説明に入りたいと思います。  16ページがまとめになっております。  17ページから説明させていただきます。  業界としてアクションプログラムに示された次の3つの課題に取り組んでおります。1、 卸業者への納期の短縮、生産能力の増強など安定供給体制の整備を図っております。2、 長期安定性試験、無包装状態の安定性試験の実施、ジェネリック医薬品の品質などの問題 を指摘する文献を収集、評価するなど、品質確保体制の整備を図っております。3、生物 学的同等性試験等の添付文書への記載、ホームページでの情報提供などの充実を図ってお ります。以上につきまして、着実に成果が上がっておりますが、具体的に申しますと、卸 業者に在庫がない場合の即日配送は19年度末には達成率55%であったものが20年度 末には83%に上昇し、目標の75%をクリアしております。また、品質試験につきまし ても、承認申請上求められていない無包装状態の安定性試験の試験終了割合が19年度末 68%から20年度末91%に上昇しております。文献調査など継続的な実施が必要なも のもあり、今年度以降では品切れゼロ等の目標に向けて最善の努力を図ってまいる覚悟で ございます。  また、ジェネリック医薬品業界としてアクションプログラムに加えて、業界みずからも う一段の取り組みにも着手しております。この点に関しましては、資料の18ページ及び 19ページに図でお示ししております。  18ページでは、国民及び患者のジェネリック医薬品に対する理解を得るため、また医 療関係者からのジェネリック医薬品の情報提供の要望にこたえるため、情報のネットワー ク化を図り、情報提供体制のさらなる充実を図ることとしております。情報提供につきま しては、会員各社でも行っておりますが、あわせて一本化されたジェネリック医薬品情報 の窓口を設け、当協会のウェブサイトにアクセスすれば全会員会社の情報にアクセスでき、 必要とする資料や照会の回答がタイムリーに得られるという、患者さんや医療関係者のニ ーズに的確にこたえられるシステムの構築を進めております。  また、19ページにあるとおり、国民及び患者にジェネリック医薬品のメリット等を広 くアピールし、また、医療関係者にジェネリック医薬品の品質や安全性に関して理解を得 るため、積極的な広報活動を展開することとしております。  なお、広報に関しましては、私どもの業界側での取り組みもございますが、業界のみで はその効果は限られております。行政御当局の取り組みは極めて重要でございますので、 今後とも御配慮いただくようお願いいたします。  また、医療保険制度上の取り組みに関しましては、ジェネリック医薬品の使用促進がさ らに進むよう、薬局、医療機関における患者説明、備蓄等の努力に見合うような仕組みを 御検討いただければありがたいと考えております。  以上、政策実現のために業界として最大限の努力をしてまいる所存であることをお誓い 申し上げて、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  では、私から最後に日薬連の陳述を総括させていただきます。  20ページをごらんください。  革新的新薬の評価と後発品の使用促進を含めました革新的医薬品・医療機器創出のため の5か年戦略は、平成19年に経済財政改革の基本方針2007で閣議決定されています。 その中で、後発品使用促進につきましては政府目標が設定され、一方、革新的新薬の評価 としての特許期間中の新薬の薬価改定方式につきましては、2007年末における中医協 において継続検討されることが決定されております。後発品の使用促進は既に先行実施さ れていますが、先発企業はPMDAと協働して特許切れ成分に関する国内外の副作用の収 集及び一般開示などの安全対策において協力を行っております。未承認薬・未承認適応問 題は、未承認薬等開発支援センターを設立しました。今後はその進捗状況を適宜、中医協 にて報告させていただきます。  21ページをごらんください。  制度導入当初の後発品進捗と対比した財源手当についてまとめています。  薬価維持特例の導入に際し、後発品使用の政府目標に届いていないときには、財政影響 を緩和するために不足財源の一定部分を既収載品の薬価を引き下げることなどで対応する ことはやむを得ないと考えております。その際には、なぜ後発品の使用が目標どおり進ま なかったかを検証する必要がございます。そうした検証の上で、後発品のない新薬や後発 品のある先発薬、後発品など、さまざまな組み合わせの中で最も妥当な範囲を選定し、か つ薬価維持特例実施の財政影響と当該年度における通常の薬価改定の影響を勘案いたしま して、引き上げ率を決めるのが適切と考えております。  22ページをごらんください。  保険医療上不可欠な基礎的医薬品や伝統医薬品で、採算性に乏しいため安定供給が危う い品目も、薬価維持特例の適用対象といたします。こうした薬価維持特例の導入によりま して、革新的新薬の研究開発と上市を促進するとともに、採算性は乏しいが医療ニーズの ある基礎的・伝統的医薬品の安定供給を確保したいのが本提案の趣旨でございます。薬価 維持特例の実施は、医薬品流通当事者の意識を高め、総価取引などの不適切な取引慣行も 是正されると思われますので、医薬品の価値をより適切に反映した市場価格形成にも寄与 できるものと考えております。  以上で日薬連よりの報告を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。 ○遠藤部会長  どうもありがとうございました。それでは、時間の都合もございますので、引き続きま してファルマからお願いしたいと思います。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  米国研究製薬工業協会、ファルマの委員長を務めております関口でございます。本日は このような機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。  これから私どもといたしましては、薬価維持特例制度の必要性についてということと、 それから、市場拡大再算定ルールについて2つのお話をこれからお時間を使わせていただ きまして、御説明させていただきたいと思います。  お手元のファルマの資料をもとに御説明させていただきたいと思いますので、御参照く ださい。  まず最初のスライドでございますが、1のスライド、これは既に日薬連さんからも御説 明されておりますが、我が国においては治療満足度が低く、いわゆるアンメット・メディ カル・ニーズが高い領域はまだまだたくさんあるということでございます。説明は省略さ せていただきます。  次のスライドをごらんいただきたいと思います。  そして、次のスライドはこうした治療満足度の低い疾患に対する新薬の開発状況をフェ ーズ3に入っている製品数ということで日米比較したものでございます。これを見ていた だきますとお分かりと思いますが、例えばがんの領域、上から2番目でございますが、米 国におきましては、17の品目がフェーズ3に入っているのに対しまして、我が国の場合 は合計で4つ、この緑の部分は実はアメリカでは既に申請準備または上市されているとい うことでございまして、開発中ということで比べるのであれば、このブルーと、それから オレンジを比べるというのが適切でございまして、17に対して3ということになります。 一番上の神経系、そういった中枢神経系のところで言いますと、34対5ということで、 日本におけるこのアンメット・ニーズの高い領域での開発がかなり遅れているのではない かということが見てとれるのではないかと思います。  次のスライド、3番目をお願いいたします。  ここはさらにフェーズ3だけではなくて、もう少し開発の初期から、フェーズ1以降で これは2002年以降、主要各国で開発されている製品数がどういうような増加を示して いるのかを相対的に見たものでございます。これを見てお分かりいただけますとおり、ア メリカでは2002年から2007年に約1.4倍の化合物の数がふえておりますが、日 本では1が0.99ということで全くふえていないと、停滞状況にあるということが見て とれるのではないかと思います。  次に、4枚目のスライドをお願いいたします。  これは最近の新薬の開発状況というものを幾つかのデータで見たものでございます。棒 グラフが3つございまして、ちょっとかなり忙しい、ちょっとごちゃごちゃしたスライド になっておりますが、これは大きく言いますと、まず最初の左側の棒グラフが新薬開発の リスク、そのリスクを1つの物質が承認取得になるために必要な候補物質数ということで 示したものでございます。ですから、その1つの承認を得るために必要な候補物質はどん どんふえているということで開発の難しさ、リスクがふえているということを示してござ います。真ん中の棒グラフは新規化合物の開発期間、これがまたずっとふえておりまして、 2005年から2007年は13年以上かかっているということでございます。さらに一 番右端のものは、これはコストをあらわしておりまして、1つの新薬を開発するのに必要 なコストが2006年におきましてはずっとふえてきた結果、約13億ドル、1,300 億円にも達していると。これだけ新薬を開発するための環境が厳しくなっているというこ とが示されているというふうに考えます。  次のスライドをお願いいたします。  こうした厳しい環境の中で、製薬企業は現在研究開発の選択と集中ということに全力を 挙げ取り組んでいるということでございまして、そういう中で世界市場における日本市場 の魅力が減ってきているということが大変懸念されるわけでございます。そういう中で外 資系企業におきましては、開発拠点を本当に日本に置き続けることが妥当なのだろうか、 あるいは開発投資を今後どれだけ日本にしていくべきかということが今、検証されている というのが現実の問題でございます。  次のスライドをお願いします。6ページになります。  この6ページのスライドは、日米欧主要の12社にファルマ、私どものほうからヒアリ ングということでつくらせていただいたスライドでございまして、統計的に網羅したとい うことではなくて、一部定性的というふうにおとりいただきたいのですが、その結果とい たしまして、過去10年間に日本の非常に低い薬価制度が理由で開発上市を中止したと、 あるいは遅延したと言われる製品が約23個あったということでございます。やはりこれ が日本の薬価制度がドラッグ・ラグに関係しているということを1つ示す資料になってい るのではなかろうかというふうに考えます。  次のスライド、7ページ、これは既に日薬連さんのほうから十分説明されておりますの で省略いたしますが、私どもファルマといたしましても、日本の医薬品市場の魅力を取り 戻し、かつ新薬の早期上市を加速していくためにはこの薬価維持特例の導入が絶対必要で あるというふうに強く考えておるということでございます。  では、どういう薬剤を維持特例の対象とすべきかということ、先ほど日薬連さんのほう からも説明がございましたが、私どもはもうちょっと数字でそこら辺の御説明をしたいと 思います。  それが8ページのスライドになります。これは私どもで実際に薬価差というものと、そ の成分数等のことを見たものでございますが、今業界として提案しております薬価差の加 重平均乖離率、そこで維持特例に入るもの、入らないものを分けたときにどういうふうに なるかというものを見たものでございますが、この8ページでごらんいただけますとおり、 実はその加重平均乖離率に入ってくる、維持特例に入ってくるもの、規格数ではけっこう 多いのですが、一つ一つの製品の薬価差というものは非常に小さくて、売り上げも一つ一 つの規格当たりの売上高、それが下の棒グラフになりますが、それが小さいということで、 このグラフから規格数は多いが、規格当たりの売上高は非常に低い、ニッチな製品が多い ということが見ていただけるのではなかろうかと思います。  それから、その次の9ページのところで同じく見てみますと、オーファンドラッグ、希 少疾病用医薬品あるいは原価計算方式で算定された医薬品といったような競争が余りない ような製品においては、こういう加重平均乖離率の中に入ってございまして、加重平均乖 離率を使うということの意味が一つここで確認、検証されたのではなかろうかというふう に考える次第でございます。  それから、次に後発品の使用促進ということについて、ちょっとお話しさせていただき たいと思います。スライド10になります。  まず、これは日本とアメリカの後発品の発売前後での価格の変化というものを見たもの でございます。これを見ていただきますとお分かりだと思いますが、左側のグラフがアメ リカ、右側が日本でございますが、日本においては先発品と後発品の価格差がアメリカと 比べるとかなり少ないということが見ていただけると思います。御案内のとおり、アメリ カにおきましては現在、後発品の数量シェアは約66%ということでございまして、かな りの後発品が普及しておるわけでございますが、その普及の理由はこうした低い価格が患 者さんに経済的なインセンティブを与えているということ、そのほかにもございますが、 それが1つあるのではなかろうか。また、そのほかの理由といたしましては、保険者がフ ォーミュラリーという償還可能薬剤のリストというものを持っている、あるいは事前承認 制、そういったものを採用していることによって後発品への代替調剤の誘導を強く図って いる、あるいは後発品メーカーからのリベート幅が大きい等で薬局、医療機関に後発品の 代替調剤を行う経済的なインセンティブがある、こういったこともございます。ですから、 日本とアメリカでは医療制度も違いますし、アメリカの仕組みをそのまま持ち込めばいい ということではないというふうに考えてございますが、後発品の使用促進におきまして、 こういったアメリカでの状況というものを参考にするのも一つ意味があるのではなかろう かということで考えてございます。  次に、市場拡大再算定につきまして、ちょっとテーマを変えてお話しさせていただきま す。最後のスライド、11枚目になります。  ファルマは従来から市場拡大再算定、効能追加などによる再算定制度全般について一貫 して反対してまいりました。これらは革新的で成功した医薬品に対して薬価引き下げとい うペナルティーを課すものでありまして、イノベーションに適切に報いる、促進するとい う政府の考え方にも反するものではないかというふうに考えております。本日は市場拡大 再算定についてお話を申し上げさせていただくつもりでございます。  既に御案内であると思いますが、11ページの一番上の段に書いてございますが、この 市場拡大再算定制度は、ある医薬品の売り上げが当初の想定の2倍以上かつ年間150億 円以上、そして類似薬効比較方式ということで薬価が決められたものについては、効能追 加といった比較対象薬との類似性が損なわれたときに初めて使われてきているということ でございます。これに関する御当局の御説明といたしましては、当初薬価設定時の前提条 件が損なわれ、かつそれが保険財政に多大な影響を及ぼす場合に適用されるということで ございました。しかしながら、この制度というのはその創設以来、数度にわたり我々研究 開発型の製薬企業のイノベーションへの意欲を削ぐ方向で改悪が行われてきているのでは ないかというふうに思います。まず、2000年に導入されたいわゆる「共連れルール」 ということなのですが、これはある医薬品が再算定の対象になりますと、それを比較薬と して算定された薬剤はすべて再算定の対象となるというものでございまして、個々の医薬 品の価値やその革新性といったものに対する考慮がなされていない非常に非合理的なルー ルであると考えます。  さらに2008年、前回の薬価改定においてはそれがさらに拡大されまして、「共連れ ルール」がさらに拡大されました。そこにおきましては、ある医薬品の薬価が市場拡大再 算定の対象となった医薬品の薬価に全く無関係に算定された場合であっても、その医薬品 が対象薬と類似する薬理作用分類である限りにおいては、薬価が切り下げられてしまうと いうものでありまして、まさに個々の医薬品の革新性を全く考慮しない、著しく非合理な ルールであると言えると思います。  さらに今回、当局から平成22年度、次回の来年の薬価改定のときのことでございます が、薬価制度改革で検討する事項として、効能追加の有無にかかわらず、市場規模が新薬 として算定されたときの予測販売金額より大きく伸びた場合をもって、使用実態の著しい 変化があったと判断するということが提起されてございます。先ほどもお話し申し上げま したとおり、私どもファルマといたしましては、市場拡大再算定制度に対しては一貫して 反対してきておりますが、これまで当局からのこの趣旨に対する説明は当初、薬価設定時 の前提条件が損なわれ、かつそれが保険財政に多大な影響を及ぼす場合に適用するという ふうに理解しておったわけでございますが、これではその当初の当局の御説明に対しても 矛盾してくるということで、この効能追加の有無にかかわらず市場拡大再算定を適用する ということは、我々は到底これは賛成できない、受け入れられないということでございま す。  これはこうなってきますと、このルールそのものが保険財政上の施策で、すなわち単純 にたくさん売れた製品に関しては一定の貢献を強いる制度というふうに何か運用されてい くのではなかろうかということを大変懸念してございまして、我々といたしましては、こ ういった薬価ルールは単なる財政対策の発想ではなくて、医師や患者さんのニーズにこた えて、使用頻度が高く治療用途の幅広い成功した医薬品をどのようにこれから輩出してい くのか、患者さんのためにイノベーションをどう促進していくのか、そういった視点から きちんとあるべき制度を議論していくべきだということを常にこの場をかりましてお願い するということで、ファルマとしての意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうご ざいました。 ○遠藤部会長  どうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして、エフピアからよろしくお願いいたします。 ○欧州製薬団体連合会(マーク・デュノワイエ)  エフピア・ジャパンのマーク・デュノワイエです。日薬連提案の新薬価制度に対するエ フピア・ジャパンとしての基本的な考え方をお話しします。  日本の皆さんに革新的な医薬品をできるだけ早く届けるためには、日本国内の創薬環境 が整備され、研究開発投資が活性化されなければなりません。エフピア・ジャパンは以前 から製薬企業が新薬開発への努力を継続し、さらに増大するためには適切なインセンティ ブが必要であり、そのために抜本的な薬価制度の改革が必要だと訴えてきました。業界が 提案している新薬価制度の導入、特に新薬に関しての薬価維持特例制度を導入することに より、日本への投資の優先順位が確実に上がります。投資の優先順位が上がることにより、 国際共同治験が促進され、日本での新薬の承認時期が早まることと確信しています。そし て、日本における患者さんの新薬へのアクセスがさらに加速・促進されることになります。  イノベーションの適切な評価と後発医薬品の使用促進が薬剤に関してのキーワードにな っていますが、エフピア・ジャパンは、イノベーションとはごく一部の画期的な新薬のみ ではなく、新薬開発そのものがイノベーションであると考えております。海外を見ますと、 一定期間あるいは後発医薬品が市場に参入してくるまでは新薬の価格が維持されているの が一般的な実態です。日本のみが知的財産としての特許を有する期間においても、定期的 な価格の切り下げが行われる特異的な国と言えます。イノベーションの評価の観点からも、 この薬価維持特例の早期導入を強く訴えるものです。  次に、薬価維持期間終了後の先発医薬品の価格の在り方についてですが、一定期間価格 が維持された後、後発医薬品参入後は大幅に価格を引き下げることを既にエフピア・ジャ パンは提案してきています。しかし、それと同時に先発医薬品の価格と後発医薬品の価格 の関係を見たとき、エフピア・ジャパンは先発医薬品と後発医薬品との価格差は後発医薬 品使用促進の観点からも必要であると考えます。後発医薬品の価格帯はヨーロッパの国々 ではまちまちですが、おおむね先発医薬品の30%から70%の範囲になります。厚生労 働省は2012年には後発医薬品が数量ベースで30%を占めることを目標に掲げており、 財政的なシミュレーションもこの30%達成をベースになされております。後発医薬品と 長期収載品を合わせた数量シェアは現在約53%です。後発医薬品の市場により期待され る薬剤費削減の達成のためには、特許期間あるいは再審査期間が終了した先発医薬品と後 発医薬品の価格水準について引き下げ調整が行われることもあり得ると考えます。  最後に未承認薬・未承認効能についての取り組みについては、製薬協を中心に新たな組 織である開発支援センターが立ち上がりました。エフピア・ジャパンもほかの業界団体と 同様に、当局の指導のもと、引き続き取り組みを継続していきます。  参考として幾つかの数値を示します。未承認薬使用問題検討会議で検討されている最新 の情報では、未承認薬は44成分あります。うち29成分が外資系企業によって開発され ており、11成分がエフピア・ジャパン加盟企業にかかわるものです。エフピア・ジャパ ン加盟企業によって既に9成分が開発され、承認取得に至っています。  どうもありがとうございました。 ○遠藤部会長  どうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして卸連さんからお願いいたします。 ○日本医薬品卸業連合会(別所)  日本医薬品卸業連合会の会長を務めております別所でございます。本日はこのような機 会をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございます。  早速お手元の資料に従って説明をさせていただきます。  2ページでございます。  医薬品卸といたしましては、国民皆保険制度の基盤を支える医薬品流通の機能強化を通 じて国民皆保険制度の維持発展に貢献したいというふうに考えております。我が国の医療 用医薬品の流通の特色は、毛細血管型流通と呼ばれております。22万カ所の医療機関、 薬局に対しまして医薬品の多品種少量多頻度配送を行い、さらに不良品の回収、副作用情 報等の収集も行っております。ちなみに米国の医療機関・薬局数は合計6万カ所、ドイツ は2万カ所でございます。  また、お手元の資料にございますような事項につきましても、その充実を図るべく努力 をいたしておるところでございます。  3ページにまいります。  医療用医薬品の公定価格である薬価は、医薬品産業にとって事業運営の基本的な与件で あり、薬価基準制度の在り方や運用次第では医薬品産業に強い影響を与えます。公的医療 保険制度において重要な機能を果たしている薬価基準制度の適正運営のために薬価調査へ の協力など行政の施策に対しまして、可能な限りの努力をいたしたいと考えております。 薬価は市場実勢価格に基づき適正に算定されなければなりません。そのため早期妥結と、 それから総価取引の是正が必要でございまして、業界を挙げて努力をしてまいる所存でご ざいます。  4ページにまいります。  昨年度は流通改善懇談会の緊急提言を受けまして、卸業界は不退転の決意でその実現に 向けて積極的な取り組みを行いました。幸い未妥結・仮納入の改善、それから総価取引の 是正につきましては、一定の成果を上げることができたと考えております。本年度は流通 改善の2年目に当たりますが、卸業界といたしましては、継続して目標達成のために努力 を重ねてまいりたいと考えます。流通改善は薬価調査の信頼性を確保し、高めることを目 的とするものですから、中医協におかれましても、合理的な医薬品流通実現のために効果 的な方策の検討をお願いしたいと考えております。  5ページにまいります。  医薬品卸業界は、製薬業界提案の薬価維持特例制度に重大な関心を持っております。画 期的な新薬の継続的な開発は我が国の医療の発展を図る上で最重要事項の一つであると考 えまして、医薬品卸は新制度の実現に賛成をいたします。ただし、その前提といたしまし て、医療保険財政の健全性を確保し、合理的な医療を推進する観点から新薬と後発医薬品 のバランスある活用が望まれます。医薬品卸は後発品の使用促進にも協力する姿勢でござ います。  また、流通改善と薬価維持特例制度との関係につきましては、両者は表裏一体の関係に あると考えております。なぜなら薬価維持特例制度において、薬価調査で正確な平均乖離 率が計測されることが必要です。そのためには薬価調査の対象とならない未妥結・仮納入 の解消を図らなければならないと思っております。また、新薬の市場価格はその価値に見 合った評価が行われ、適正な価格が形成されなければ制度本来の目的を達成することがで きません。つまり総価取引で他の医薬品とまとめて価格づけされるというのではなくて、 単品単価取引によりその価値にふさわしい価格が形成される必要があると考えております。  6ページにまいります。  我が国の医療水準を向上させるために薬価維持特例制度はぜひ実現していただきたいと 思いますけれども、薬価基準の基本となる市場実勢価格主義は貫徹していただきたいと思 います。新制度の導入と引きかえに恣意的な特例引き下げには強く反対をしたいと思いま す。  また、新制度が的確に運用されるために制度導入の趣旨に関する流通当事者間の共通認 識が、制度導入前に必要であると考えております。国による啓蒙運動だとか、あるいは行 政上の指導を適切にお願いする次第です。  7ページにまいります。  薬価改定は、現行の2年に1回の改定から毎年改定など改定の頻度を上げようという議 論もございますけれども、近年のDPCの普及などを踏まえますと、薬価と診療報酬は公 的医療保険制度の中で連動性が高まっておりまして、薬価と診療報酬を切り離した時期に 改定することは不適切であると考えます。  また、このような頻回改定は多大な社会的コストがかかり、流通市場関係者に過大な負 担を強いるものでもございます。薬価改定に伴うコストは利益率の低い卸にとって極めて 重い負担でございまして、さらにメーカー、医療機関等においても卸との取引条件の変更 作業だとか価格交渉作業など、さまざまな作業を行わなければなりません。これらを合計 いたしますと、そのコストは極めて大きいということを御認識いただきたいと思います。 したがって、薬価の頻回改定には反対をいたします。  8ページにまいります。  調整幅につきましては、薬価基準制度の安定的運営の見地から現行の2%を維持するべ きであると考えております。そもそも調整幅は制度創設の際、銘柄内の包装間格差等によ る流通コストの違いをカバーすることにより、いわゆる逆ざやの発生を防ぐために制定さ れたというふうに認識をいたしております。その後、調整幅には医療機関、薬局の調剤管 理コストを含むんだというような意見も出てまいりましたけれども、医療機関、薬局の事 業コストは診療報酬、調剤報酬で措置されることが原則であるというふうに承知をいたし ております。調整幅につきましては、当初十分な議論がないままR幅に変えて設定された 経緯もあり、もう一度、今後その意義について基本的な議論を行い、関係者の納得を得る 必要があると考えております。  最後に9ページにまいります。  薬価改定により薬価がコストに見合わない水準に低下し、採算がとれなくなったために 医薬品としては有用でありながら生産中止になり卸が医療現場にお届けできない、そうい った事例がございます。医療に必要な医薬品について最低薬価制度の適正な運用を図り、 卸による安定供給と国民医療の確保に支障が生じないように御配慮を希望いたします。  以上、医薬品卸の立場から薬価基準制度に関する意見を申し述べました。ありがとうご ざいました。 ○遠藤部会長  どうもありがとうございました。ただいま4つの団体から御意見、御主張を承ったわけ でありますけれども、中身につきましては従来からの御主張を改めて主張されたというも のもありますし、あるいはより制度の中身を明らかにされたものもありましたし、あるい は未承認薬の開発支援センターのように新しい制度についての御紹介があったものもある ということでありますけれども、これにつきまして今後、御意見をいただきたいと思いま す。  ただいまの御説明につきまして御質問か御意見ございますでしょうか。もし御質問であ れば、どの団体に対する御質問なのかということを明確にしていただきたいと思います。 また、それに対するお答えをされる団体の皆さんも、できるだけ簡潔にお答えいただけれ ばと思います。  それでは、どなたでも結構でございますので、御質問、御意見ございますでしょうか。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  日薬連の最初の資料でございますけれども、2点あるのですけれども、重要な課題とし て5つ挙げられているかと思いますけれども、その中で3点目、採算性に乏しいが医療上 不可欠な基礎的・伝統的医薬品の安定供給ということを掲げられております。これは医療 現場としては非常に関心を持つテーマでございます。安くて有効な薬が次々と市場から消 えていると。その理由もよく分からないままに消えていく状況が現実にあるわけでありま す。このことについて、この資料の中で具体的にどういうふうにされようとしているのか、 新たな仕組みをどう考えられているのか、そのための例えば予算であるとか、あるいはど ういう品目をどういうふうに抽出してどうされるのか、そのことがちょっと今の話の中で は説明がなかったかと思いますので、それが第1点と、21ページでございますけれども、 これは総括−2でございます。この2の最初の丸の点でございますけれども、全部読みま せんけれども、「既収載品の薬価を引き下げることで対応することは止むを得ないと考え る」というふうに書いてありますが、この文言について、意味合いは分かりますけれども、 やはりこれも具体的にどうされようとしているのか。金銭であるとか、あるいは手法であ るとか、そして、もしこういうことであれば自主的にそういう判断をされるのか、あるい は行政にもうお任せして、そこの範囲の中で考えられるというのか、その2点について御 質問したいと思います。 ○遠藤部会長  分かりました。それでは、以上2点につきまして日薬連のほうで御回答をお願いいたし ます。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  御質問いただきました採算性に乏しいが医療上不可欠な基礎的・伝統的医薬品の安定供 給、これに関しましては、基本的には先ほど卸連のほうからあられましたように、最低薬 価というようなものを今後考えていかなければならないと、こう思っておりまして、これ について今後検討をさせていただきたいと、具体的なことにつきましては、このように考 えてございます。  2番目の質問につきましては、長谷川委員のほうからお願いします。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  それでは、私のほうからお答えさせていただきます。  1番目の質問についての補足でありますが、製造メーカーといたしましては、今、先生 がおっしゃいましたような安くていい薬を提供し続けたいという気持ちはやまやまでござ いますが、一方で私ども上場しておる株式会社でございまして、コスト割れのものをずっ と提供し続けていくということについてもなかなか我々のステークホルダーに対して説明 がしにくい部分がございまして、その辺をできれば行政と御相談の上で両方のニーズを満 たすという形が見出せれば一番いいのではないかと。我々の究極の目的は、やはり患者さ んのアンメット・ニーズをできるだけ安いコストで提供するということでありますから、 そういうことで検討をしていきたいと思います。  それから、2番目の一定引き下げの部分でございますが、ここに21ページ、御指摘を いただいたところで書いております、「一定部分を、制度導入に伴う財政影響の緩和策と して」というふうに書いておりますが、大きく分けまして、これは2つあるというふうに 私は理解しております。革新的創薬のいわゆる加重平均以内にとどまっているものの循環 的引き下げを見送るということを実施しました場合に、一方でジェネリックサイドのほう の促進との時間的なラグがあって制度の切りかえ時に若干のコストが上がることもあり得 るというふうに聞いておりますが、それについては業界としてその負担を考えなければい けないのではないかという点が1つと、それからもう一つの、ここに御指摘のあります後 発品の使用の成果目標の30%が達成できなかった場合の問題でありますが、これにつき ましては、本来この後発品の使用促進については今回の薬価制度の改定のパッケージであ ることは十分承知はしておりますが、新薬メーカーサイドから積極的な促進をするという ことは、なかなかその事業の性格上も難しゅうございます。  一方、これに関連するのはもちろんジェネリックメーカーを筆頭にいたしまして、プロ バイダーでありますお医者様でありますとか、あるいは処方を受けられて、それをジェネ リックにコンバートされるかどうかを患者さんと協議して決められる調剤薬局の皆様であ りますとか、いろんな関係者が関与しておるわけでありますから、それはこういう場でそ れぞれの役割と責任というものをよく御検討いただいた上で、行政のほうから打診をいた だければ我々もそういうことについて前向きに考えたいと、そのように現時点では考えて おるということを表明させていただきます。  以上です。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  最初の質問ですけれども、これは卸のほうから最低価格ということは一応言われました。 それはある程度理解できるのですが、これは日薬連のほうから提案されたことで、それに 対して余り具体的なものがないような感じもしました。やはり我々としては市場のニーズ をくみ上げる何かそういったことを考えていただいて、仕組みとして考えていただきたい と思うわけです。  2番目の話は、今お話をお聞きしても少しファジーな部分があって、それぞれの状況に 応じて対応するというような状況で、十分な本当のところはよく分からない部分もあるな というふうな、これは感じでございますので、私のほうはそれでいいです。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  今日のヒアリングをお聞きいたしまして、竹中さんの主張は恐らく薬価維持特例にそれ ぞれ賛成だということだと思います。お話を伺っていますと、少なくとも未承認の部分を 開発するための設備、機関をつくるとか、あるいは今のお話にありましたように、かなり 後ろ側を切ったというか、背水の陣と言えば格好がいいのでしょうが、そういうような体 制をとっておられると思うので、これまでの提案から比べれば、多分一歩も二歩も進んだ ものだという意味では、その部分は、私は評価をしたいと思うのですが、その上で幾つか お伺いしたいんですけれども、例えば特例の範囲ということについて確かに幾つか御議論 ありましたけれども、場合によっては無秩序に広がってしまう可能性もあるのではないか と。そのあたりをどうやって制限するのかというのが1点ちょっと気になります。それを きちんと仕組みどおりに動かすような仕組み、例えば薬価の問題にしましても、一定の乖 離幅の中に入っているのはどう確保していくのか。これは卸さんのほうの流通の問題もか かると思うのですけれども、そういった点が1つと、それからもう一点、研究開発に大変 費用がかかると。その部分をどうカバーするのか関口さんもおっしゃっておられましたけ れども、そもそも確かに研究開発は非常に難しくなっていることは理解いたしますが、し かし、薬価だけがその要因なのか、あるいはそもそもふやしている中身の部分の分析につ いてここでお示しがない状態、ただ金がかかるんだというのはいかにもサイエンティフィ ックなお話ではなさそうな気がしますので、そのあたりはどのようにお考えいただくのか ということを置いた上で、未承認の部分で言えば、いわゆる未承認あるいは効能追加とい った部分もありますけれども、現に医療現場で使われている薬の使われ方は、例えば用法 ・容量にしましても、新しいものをつくるというようなことも多分イノベーションにかか ることだと先ほどお話がありましたので、そんなことも御検討いただきたいのと、もう一 方、竹中会長のお話の中でパワーポイントの14ページもそうですし、関口さんもおっし ゃっていたのですが、いわゆるグレーの部分、アンメット・メディカル・ニーズの反対、 対極にある部分についてはグレーの部分で、そこは当然、後発品に移行するんだと、そう いうことを想定した上で今回の提案をされているということでありました。  あわせて、今、藤原委員の御質問にもお答えいただいた部分もそうでありますが、なか なか後発品の使用と先発、薬価維持特例がパッケージで進んでいるけれども、いわゆる企 業としてはなかなか後発品はみずから進んでものが言えない。しかし、それぞれの関係者 で進めて、そこで議論してほしいというお話でありますが、だとすると、昨今出てまいり ますグレー部分の配合剤はどのように考えたらいいのか。極めて皆さん方がおやりになっ ているのは論旨が合わないと私は思います。あの部分をグレーにするのであれば、今のよ うな配合剤の出し方というのはやはりいささか薬剤師としてもそうでありますし、使うも のとしてもどのように考えたらいいのかなと。本当にGEに移行させるおつもりがあって グレーという色を塗られているのか、それとも単に移さないけれども格好はそうですよと おっしゃっているのか、そのあたりがよく見えてこないのが1つ。ですから、そこはここ で答えを求めるというのは無理かもしれませんが、どうなのだろう、非常に疑問を私は感 じております。  その一方で、ジェネリックを促進しますと在庫は極めてふえますので、そういったこと も先ほど澤井会長のほうから大変ありがたいお言葉で、診療報酬上も評価しろというお話 がありましたので、できたら調剤報酬上も評価してほしいのでありますけれども、その中 で価格の問題を含めて広報をこれからしていくと。品質の問題について広報していく、そ れはよく分かりましたけれども、一体これまでの広報の仕方はどのような広報をするのか と。単純に価格の問題だけではなくて、後発品の持っている役割であったり、あるいは性 格であったり品質であったりというのがもう少し明確にテレビを使ったり、あるいはメデ ィアを使って広告するのであれば、もうちょっと明確に打ち出してほしいなという希望が します。そのおつもりはおありなのかどうか。  もう一点、ファルマさんのほうにお伺いしたいのですが、薬価維持特例は賛成だと。い わゆる市場拡大再算定の部分、私も賛成では、賛成というか好ましいとは思っておりませ んけれども、少なくとも明らかにその効追を待っていて出すようなケースも中にはあるの ではないかと。それは戦略的に。すべてが悪いとは申しませんけれども、そういったこと が以前にあったような気がしますので、そういったことをどのようにお考えなのかという のが1つ。  それから、流通の面で言えば、卸の方々にお伺いしたいのは、先発と後発のバランスを とることが大事だと。私もそう思いますけれども、では一体その先発と後発の流通をどれ ほど卸業として担保していただいているのかということからしますと、やはりまだまだメ ーカーさんのほうは安定供給を努力し、品質を上げる。それでもまだ十分ではないかもし れない。あわせて言えば、流通もやはりかなりタイトな部分がありますので、これも卸さ んと我々の話だけかもしれませんけれども、先ほどだれかがお話しになったように、いわ ゆる仕事をする上で収入を減らして在庫をふやすというのは多分皆さん方もおやりになら ないと思うのですね。それを今、医療費全体を考えてその方向に進むわけですから、流通 そのものがどのような形をとっていただけるのかどうも見えてこないというのがあります ので、その点をできたらお答えいただければと思います。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  ちょっとよろしゅうございますか。日薬連のほうで3つ、4つ御質問をいただきました ので、それぞれの者から発言。 ○遠藤部会長  よろしくお願いします。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  まず特例は庄田さんから、それからR&Dの費用に関しましては長谷川さんから、それ から私が配合剤をさせていただきます。それから、後発品に関しましては澤井さんから。 このような形でよろしゅうございますか。 ○遠藤部会長  結構でございます。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  それでは、先ほど薬価維持特例の範囲のお話がございました。陳述の中でもお話をさせ ていただいておりますし、これまでも専門委員が詳細制度について御報告をしております けれども、基本的には特許期間中のもの並びに再審査期間中のものであると。私どもの資 料の14ページで、先ほど山本委員のほうからグレーの部分について少し誤解がおありか と思います。このグレーの部分であっても、基本的に特許期間中は、後発医薬品はないわ けでございます。特許が終わった後、後発医薬品が出られるわけで、この薬価維持特例に、 残念ながら恐らく競争が激しいので、特許期間中であってもこの対象に入ってこないであ ろうと、そういう意味合いがまずグレーでございます。  それから、もう一つは特許期間中にその革新性がいかに評価されるかということは陳述 でも申し上げましたとおり、市場に承認薬価収載時にまだ分かっていないようなその医薬 品の価値というのが医療現場、市場で確認をされるものもあると。例えば事例で個別の製 品名を挙げるのが適切かどうか分かりませんが、統合失調症の治療薬でアビリファイとい う製品がございます。これは算定時点では加算はついておりません。しかしながら、この 薬剤は世界的にも大きく評価をされて、日本のみならず世界的に大きく使われている薬剤 でございます。したがって、承認薬価収載時の加算のみをもってその医薬品の評価が定ま るものではないと、このように考えております。したがって、特例の範囲という御質問で ございましたので、基本的に特許が存在し、後発医薬品がまだない医薬品、さらに再審査 期間中のもの、これが原則でございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  私のほうからR&Dについてお答えをさせていただきます。  そもそも私の理解では、薬の価格というものは既存品に比べてリスクベネフィットのバ ランスでどれだけのベネフィットを既存品と比べて提供できるか、そういったことが主眼 になるだろうと、判断基準になるだろうと思いますが、この中医協の場で産業政策論を論 ずる場ではないということは十分承知しておりますけれども、皆保険制度のもとで、ここ で薬価が審議され、ここで厚生労働省とともに薬価が確定されるという点においては、結 果として私どもの産業にも影響を与えるということは否めないことでありますので、そう いうことを念頭に置きながらちょっとR&Dについて申し上げたいと思いますが、基本的 に私どものような研究開発型の企業の使命は医療関係者の皆様とともに、患者さんのアン メット・ニーズにタイムリーにこたえていくと。そして、QOLを改善していくというこ とでございますが、その過程において、やはり外国と比べて遅れることのないようにぜひ したいという強い願望もあります。外国と比べて遅れることの要因が我々製薬メーカーの 力不足であれば、これはみずからの責任でありますし、それで競争に淘汰されることもや むを得ないと思っておりますが、制度上のハンディーでそういうことが仮にあるとすれば、 そこの部分についてはぜひ御考慮をお願いいたしたいと。  具体的に申しますと、研究開発型の企業はやはり革新的な新薬の創出というみずからが 得意とする分野にフォーカスし、特許が切れれば、今度はそういった特許切れの製品を患 者様に提供するということを得意とされるジェネリックメーカーの方に基本的に市場を譲 っていくという、こういうそれぞれが得意な分野に特化することによって、より医療の中 での薬剤のニーズにこたえていくということが最終的な形としてはいいのではないかと思 うわけです。投下した資金の回収をできるだけ早くさせていただくことで、基本的にイノ ベーションの促進につながると考えておりますが、それは具体的にどこまでどうなるかと いうことをお示しすることは難しい。特に私どものような大きな製薬企業にとっては難し いと思います。  ただ、日本の現状を見ますと、バイオベンチャーというのは極めて少ないわけでありま す。アメリカの場合ですと、新薬が承認されるもののほぼ半分はバイオベンチャーがオリ ジンのものでありますが、日本ではほとんど皆無に等しい状況であります。バイオベンチ ャーの場合は、やはりまだ財務基盤もしっかりしておりませんので、こういった新しい製 品にチャレンジをし、商品を出した場合にできるだけ短期に資本を回収して次の投資に向 かうと、そういう形で成長していくということも必要であるし、それがひいては日本にお ける国民の医療ニーズをより満たす方向に行けると思うのですが、そういった点も考えま すと、このR&Dをイノベーションをより促進するという方向に新しい薬価制度は、私と しては必ず寄与するものと考えております。  以上です。 ○遠藤部会長  ちょっとお答えの前に、山本委員もいろいろなことを同時におっしゃったものですから、 必ずしもやりとりが正確になっていないかなというところもあるものですから、まず最初 の特例の範囲についてということについては、そのとおりだと。つまり今のお話は、私な りに解釈をすれば、要するに特例の対象になるか、ならないかということは市場に任せる というような判断だと。つまりこれは価格を維持するという市場から乖離した議論のよう に見えるけれども、実はその判断を市場にゆだねますというのが多分この考え方のポイン トになっているんだと、そういう御主張をされたわけです。それでいいかどうかはまた審 議するわけですけれども、そういうお話だと思います。  もう一つの山本委員がおっしゃったことは、そもそも開発費がかかっているというよう なこと、特にファルマの資料などには書いてあったというわけですね。そこのところが一 体どういうようなことなのかということをもう少し説明してほしいと、そういう意味合い もあったのではないかと思いますが、いかがですか。 ○山本委員  ありがとうございます。そのとおりでございます。 ○遠藤部会長  というと、これは場合によっては関口さんという言葉も出ましたので、これはファルマ の関口さんからお答えになっていただいたほうがいいかもしれません。特にこの4ページ、 1個当たり新薬を開発する必要コストは急増しているという話があったと。これはどうい うことなのかということの御説明をお願いしたい。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  これは本当に一言で言ってしまえば、新薬を開発していくことの多くのところで既にか なりの部分での新規化合物が発見されてしまって、これからさらにそのアンメット・ニー ズがある領域での新しい薬剤を発見していくということそのもの自体が非常に難しくなっ ていると。ですから、昔は1万分の1の確率で新規化合物が見つかってきたものが今は2 万分の1とか、どんどん難易度が難しくなってくる。そうしますと、数多くの新規化合物 を使って試験をしないと薬になっていかないわけでございますので、そうなると、当然そ の確率は悪くなる。そうなれば当然時間もかかる。そうなると、当然非常に大量のお金が かかるということになってくる。それがここに示させていただいたように、統計的にもそ のようにあらわれている。こうなりますと、製薬企業がさらに新しい薬剤をアンメット・ メディカル・ニーズの多い疾患に実現していくということになりますと、さらに多くの費 用と時間がかかってくる。そういったことの中で、今の日本の薬価制度の中では、これか らのこういう非常に難易度の高い新薬開発というのをやっていくには極めて厳しい状況で あるということで、お答えになっていればよろしいと思いますが。 ○遠藤部会長  山本委員、どうぞ。 ○山本委員  アンメット・メディカル・ニーズの話で言えば、そもそもそこは開発が進んでいなかっ たのか、高いから開発ができないのか、そのあたりがいつもお話を伺うと、両者が入れ子 になって、あたかも高くかかるのだからお金をあげてもいいじゃないかというふうに聞こ えるのですが、そうではないのですよね。 ○米国研究製薬工業会(関口)  違います。 ○山本委員  それともう一点、先ほどの庄田さんと長谷川さんのお答えですけれども、だとすれば、 当然ジェネリックに移行しない戦略は皆様はとらないという理解でよろしいですね。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  結構です。 ○遠藤部会長  これは、いわゆる配合剤の問題と関連してという意味合いでよろしいのですか。 ○山本委員  それも含めて、後発品に移行することによって例のグラフを全体の面積を同じにしてい くという方法ですから、当然企業としては、企業を挙げて後発品が進む方向でさまざまな 製剤をつくる、あるいはそれに対応するという理解を私がここでしてよろしいでしょうか。 ○遠藤部会長  よろしくお願いします。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  後発品にスイッチされることについて全く異論はございません。ただ、企業としてそれ の促進に努力することをここでコミットすると理解していいかと言われると、ノーです。 それは我々の会社の存在の目的に反するわけでありますから、それをここでコミットしろ と言われましても、私は新薬メーカーの社長としてはできません。 ○遠藤部会長  それでは、どうぞ。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  少し先ほどの研究開発のところに戻らせていただきますけれども、日薬連の資料の2ペ ージにございます。先ほど、なぜ研究開発費にお金がかかるんだという御質問でございま す。  近年いわゆるレギュラトリーサイエンスが高度化をして、承認をとるために必要とされ るデータ、これが大変大きくなってきております。特に臨床試験、過去にないような大規 模な臨床試験をして、その薬剤の評価をする必要があると。1品目当たり先ほどのファル マの資料にもありましたし、日薬連の資料の2ページにもございますとおり、1品目80 0億円、1,300億円と。これは主として臨床開発のところに大変費用がかかるように なっています。まずこれがございます。  先ほどの、未承認薬は研究開発費がかかるのかという御質問が山本委員からあったと思 います。こちらはそうではなくて、もちろん開発費もかかります。しかしながら、患者さ んの数が少ない、販売後であっても企業としては投資したものが回収できないような疾患 が対象となるような薬剤のことを未承認薬と呼んでいるということでございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。まだ御質問の中身の御回答が残っているということで、では山 本委員どうぞ。 ○山本委員  分かりました。別にここでコミットしろと申しませんが、少なくとも後発品に市場がシ フトしていくというのが今回の御提案であれば、皆さんが進んで後発品を使えということ についてコミットしろとは申しませんが、少なくとも進む方向にはコミットしてほしいの ですね。もっと言えば進まないようなことにはコミットしてほしくないというのがここの 思いですから、そのような理解でよろしいかというのが1点。  もう一つは、庄田さんがおっしゃったように、私も臨床開発の部分と、それから未承認 については理解をした、よく分かりました。ですから、そういった意味で臨床開発にかか る費用がもし膨大にかかるのであれば、我々もそういったものの経費を下げながらよい医 療を提供しろと言われていますので、皆さん方もそのあたりをお考えいただきたいのと、 先ほどいわゆる未承認の部分で言えば、あるいは効追で言えば、だからこそ拡大再算定に ついて私は余り賛成ではないということですので、そこは御理解いただきたいのと、少な くとも後発品を使うことについて、この場では薬剤師がボトルネックだと言われています ので、そういった意味で言えば、後発品の使用について数値目標30%に行かなかった場 合はどうするかというのは、結果としてさまざまな施策の中で後発品が進むようなことを メーカーさんはお考えいただきませんと、そこはなかなか進みようがないのかなという気 がしますので、長谷川さんのおっしゃることはよく理解をしておりますので、ぜひそのあ たりはコミットしろとまではあえて。お答えは、もう結構です。少なくともお考えいただ きませんと、今のこれですと、何となくよく分からんなというので、こちらの質問が分か らないかもしれませんけれども、答えがどうも理解できないということがありますので、 お願いいたします。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  では、一言だけ。 ○遠藤部会長  はい、どうぞ。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  制度、仕組みでどういうふうにドライブされるかはこういう場で御審議をしていただい て、決定されたらそれに従います。後はもう市場の競争で決まるということが一番フェア だというふうに私は考えます。 ○遠藤部会長  分かりました。山本委員、よろしいですか。先ほど配合剤の話とか、あるいはファルマ に対して拡大再算定について、その趣旨がちょっと僕理解できなかったのですが、例えば 効能追加のようなものを後から出てくるとか、そういうようなこととの絡みで多分おっし ゃったのではないかと思うのですが。 ○山本委員  そこは結構です。後でまた。この場でというのは、それぞれ戦略もおありでしょうから、 なかなかおっしゃりにくいこともありましょうけれども、明らかにそうなのかなという、 はてなマークがたくさんつくようなことだけはおやめいただきたいというのが1点です。  あとは、いろいろお答えいただけたのですが、この配合剤につきましては、ここで議論 するべきなのは価格づけでありますので、配合剤の意味については別の部門ですので、こ こで議論するつもりはありませんが、仮にそうなった結果、価格づけをどうするかという のはやはり大きな問題だと思いますので、後発品の促進も含めて言えば、値づけに関して はここでもう少しきちんとしたルールがほしい。ただ、そもそもそれが製品としていいか どうかは、ここではないので、あえてここで議論するつもりはありませんけれども、メー カーとしてイノベーションあるいはその研究開発、あるいはR&Dとおっしゃるのであれ ば、もうちょっと知恵のある開発があってもいいのかなということだけは申し上げておき ます。 ○遠藤部会長  では、御意見ということで特に御回答は必要ないということで、特に何かなければ御回 答は必要ありません。  それでは、順番からいうと中川委員ですが、どうぞ。 ○中川委員  確認というか、質問なのですが、日薬連の方にお伺いしたいのですが、資料の8ページ の左下の概念図だと思いますが、このBのところの販売額面積とありますが、Aが研究開 発投資額面積、これは1品目ごとの概念図だと理解するのでしょうか。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  基本的には1品目ずつですけれども、研究開発すべてはトータルで計算しますので、そ れらも含めて見ていただいたほうがトータルの研究開発促進によるイノベーションを起こ すためには、トータル研究開発費として見ていただけたらと思っております。積算でござ います。 ○遠藤部会長  中川委員、どうぞ。 ○中川委員  Bの面積は、これは販売額で間違いないですか。利益とかというわけではないと。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  おっしゃられるとおり、利益になりますね。 ○中川委員  そうすると、2ページの研究開発費は高騰、1品目当たり800億円から1,300億 円というふうにあるのですが、これは1品目でなくてメーカーごとのトータルだとします と、成功確率が0.005%、99.995%の品目まで含めたAの面積なのでしょうか。 そうなると、Bの面積は巨大になりますよね。それでAをBが上回らなければ再投資はで きないという概念図になってしまうのですけれども、理解は違いますか。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  まず、研究開発費のところでございます。これは基本的に実際に承認を得て市場に紹介 できるようになった品目が、それまでの間に一体どれだけの研究開発費がかかったかと。 これは1品目のとらえ方でございます。先ほど申し上げたとおり、近年は承認要件が非常 に高まるということで、特に臨床治験関係でかかると、こういう意味合いでございます。 ○中川委員  では、0.005%の確率をくぐり抜けてきた薬に関してということですね。それでは、 現行制度でこのBがAを下回ったことがあるのでしょうか。 ○遠藤部会長  では、どうぞ。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  率直にお答えします。大変難しい質問で、今すぐお答えする例を持ち合わせておりませ ん。ただ、なりつつございます。それは事実でございます。 ○中川委員  グローバルメガファーマというのをある程度目指されているということだと思いますが、 では、国際競争力をつくるためにはAをBが大幅に上回る必要があるという認識でよろし いですか。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  はい、そうです。 ○中川委員  分かりました。 ○遠藤部会長  それでは、1号側お待たせしました。対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  日薬連さんのほうに1つはお願いと、1つは質問です。  お願いのほうですけれども、未承認薬等開発支援センター、これは前にお話を伺ったと きには、大変これは難しいのだろうなという感じをしたのですね。それが会員各社、合意 形成に大変御尽力いただいて、早くにつくっていただいたというのは大変敬意を表したい というふうに思うのですけれども、ただ、問題は実効が上がるかどうかということだとい うふうに思いますので、ぜひ実効の上がるように御尽力をまた賜りたいというのがお願い です。  それから、もう一点ですけれども、薬価維持の特例ですね。13ページ、それから14 ページあたりになるわけですけれども、この薬価維持の特例というのは中医協の場で随分 議論してきたのは、基本的には革新的な新薬をベースにして、念頭に置いて議論してきた のですね。それで、専門委員からの説明もあったときにも、こういった薬価維持特例につ いては加重平均の乖離率でもって見るんだと、こういうことですね。ちょっと私も技術屋 さんじゃない、事務員なものですから、よく分からないのは、革新的ということと平均値 をとるということというのは基本的には相反する概念じゃないのかなというふうに思うの ですね。革新的新薬、それは平均値でやりますということはどういう物の考え方なのか、 そこがよく分からないなというのが1点目です。  例えばですけれども、革新的な新薬というのはこれこれこうだと。特許中の医薬品と、 ここでは再審査期間中の医薬品と書いていますかね。その中でも、これとこれと、こうい うのは革新的だと一応みなしましょうやと。しかし、ただそれだけで概念規定をするのは ちょっと問題なので、やはり市場のチェックもかけましょうと。市場のチェックとしては 平均でやりましょうというのならまだ分かるのですけれども、そこが最初に革新的と言っ ておいて、すぐに市場の平均値だと、ここがよく分からないと。特に採算性に乏しいもの なのも入れましょうねといった途端に、また一段とよく分からなくなるなというところが 1つ。  それと、今の話とのかかわりですけれども、その次のページあたりに具体的に少し姿が 出ているのですけれども、これだけでは、例えば先ほど申し上げました革新的な新薬とい うのが目的ですよね。その手段として、この平均値的なものを使っていこうということで すけれども、目的がその手段によってきっちり確保されているのかどうか、そこはこれを 見ただけではよく分からないですよね。ですから、これから本当に本格的な議論をするの であれば、もう少し具体的な姿が見えるような形でもって提示いただけますと、もっと具 体的な議論ができますけれども、これだけではなかなか難しいなという、多少感想も含め てですけれども、お願いします。 ○遠藤部会長  ちょっと私からも補足いたしますと、最初の支援センターについてはその実効が重要で あるということで、実際の進みぐあいについては中医協で報告をするというふうになって おりますけれども、ただし、よくまだ分からないところがあると。例えば、日本に法人の ないような会社の薬を、一生懸命だれかが引き受けてくれるか探したと。努力はしたけれ ども、だれも引き受けてくれなかったという世界なのか、だれかが必ず引き受けるのか、 そういうようなところが見えてこないので、そこら辺のところは少しはっきりする必要が あるだろうというのが多分、最初の質問だということだと思いますね。  2つ目の質問は、確かに当初議論していたときに、やはりこの対象となる医薬品という のはある程度革新性のあるものということが議論の中でもされたわけなのですね。ところ が、最終的には本日の話ではっきりしましたのは、そこで革新性とか、そういうことの概 念は入れないと。基本的に特許を取っていれば、基本的には対象になると。ただし、その 乖離率がある水準以下ということは事実上、競合が少ないということなので、その中には 多分、革新性のものが含まれるだろうというような意味合いで、基準は基本的に特許を取 っていることと、それから乖離率が余り小さいという、この2つの基準に統一したという ことなので、それが今までの議論と多少違うので、もっと言うならば革新性ということと、 その乖離率との関係が本当にうまくマッチした議論になるのかどうかと、そこら辺の疑問 なのです。私も実は同じように感じておりますので、その辺をお答えできることがあれば お願いしたいと思います。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  最初の未承認薬の問題は御報告をするということでございます。この日薬連の資料の別 紙についておりますとおり、現在、実際に開発に着手をする企業がない成分が3成分ござ います。このように現時点での未承認薬、このようなものが課題であると、こういう認識 を持っております。先ほど要望といいますか、ございましたとおり、こういうものをしっ かりと開発を進める企業を求め、支援をしていくと、このような心構えでおります。  2点目でございますけれども、先ほどエフピアの陳述の中にもございましたとおり、革 新という言葉をイノベーションという言葉に直しますと、新薬開発そのものが私どもは革 新であるとまず思っております。これまでの新薬の研究開発の歴史の中で、例えば抗生物 質でいいますとペニシリンから始まってセファロスポリンあるいはマクロライド、その他 の優れた新薬が創出されてきたわけでございますが、最初に出たものはまず革新性がある。 ただし、残念ながらその企業にとってはその革新性を、市場に出た後、他の企業が損なう ということで、結果、市場においてはその革新性が市場において再評価されると革新性が ないと。したがって、先ほどから何度か申し上げましたとおり、承認薬価収載時のみ革新 性を求めるということではなしに、やはり医療現場で実際に使っていただき、競合・競争 優位があると。結果、加重平均乖離率以内であると、これが革新性のあかしであると、こ のような考えで対象を選定しているわけでございます。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  よろしいでしょうか。 ○遠藤部会長  はい、どうぞ。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  私どもファルマの資料の8ページ、9ページでお示ししましたものがこの手段が本当に 目的を満たしているかどうかということをひとつ検証するということでやりました。それ で、革新性というのはやはり競争が余りないと。競争がどんどん入ってくるというのは革 新性が失われてくるというふうに私どもは考えられるのではないかと思っております。非 常に革新性が高いという、すなわち競争が非常に少ないと言われています9ページのほう ですが、オーファンドラッグ、希少医薬品あるいは原価計算方式で算定された医薬品とい うもののデータをとりますと、すべてというか、ほとんどが加重平均乖離率に入ってござ いまして、加重平均乖離率をその一つの指標として考えることの妥当性がここで示された のではないかと思っている次第でございます。  それから、先ほど庄田会長からもお話がございましたとおり、最初のときに非常に革新 的であっても、競争がどんどん入ってきて薬価差が大きくなりますと革新性が失われてい くというふうに考えるべきと思いますので、市場のメカニズムにゆだねるという要素も絶 対必要なのではなかろうかというふうに考えます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。  それでは長谷川副会長、どうぞ。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  るる申し上げましたが、この中医協の委員の皆様の御質問、本点に関する御質問に必ず しも満足いく形でお答えできていないかもしれません。私どものサイドも再度検討して、 より明快にお答えできる余地があるかもしれませんので、我々サイドも、もう少し検討さ せていただけますでしょうか。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。対馬委員、今の一連の回答でよろしいですか。 ○対馬委員  はい。 ○遠藤部会長  では、よろしくお願いいたします。  小島委員、どうぞ。 ○小島委員  私は薬価特例制度のところについての質問であります。日薬連、製薬協の皆様に御説明 いただきましたけれども、日薬連の資料の14ページですね。それと、今のファルマの資 料では8ページというところでありますけれども、ここは薬価特例維持制度の対象のイメ ージを考えていたということで、この14ページのグレーのところは、いわばここは乖離 率が大きいのでここは対象になりませんということで、乖離率の加重平均以下のものとし て、そのピンクのところが対象というイメージになっておりますけれども、初め疑問に思 ったのは、特許が切れた後のこの対象の薬と後発品が競合した場合にはどう考えるかとい うことなのですけれども、思い切ってこの対象の薬の特許が切れた場合に下げるというこ とになりますと、該当する後発品というのは多分参入がなくなるのではないかというふう に思いますけれども、この基本的なコンセプトの中では、その特許が切れた場合にはこの 対象の薬についてはもう後発品に譲るということであれば、先発品としてはもう市場から 撤退するということ、多分そういう話なのだろうと思うのですけれども、そういうふうに きれいにいくかどうかということと、もしこの14ページでイメージしているようなもの がこの特例対象だということであれば、本当に後発品が参入するのかどうか、それ自体も 例えばこのピンクのところ、左側のほうの市場規模も小さいというようなところで後発品 が本当に出てくるのかと。多少その下にある市場規模は大きいというふうなところは確か にあるかと思いますけれども、そうすると、この対象になったものの薬の後発品というの は限られたものということかなというふうに思うのですけれども、この辺はどう考えるか ということであります。  もし後発品が出てこないのであれば、引き続きそこは先発品として市場に置いておくと いうことは必要になってくるだろうと思いますが、そのときにもし仮に対象の後発品があ った場合、では、後発品の価格をどう考えるか。一応、今は先発品の7掛けということに なっていますので、思い切ってこの先発品の対象になっていたものが価格を下げるとなる と、それよりも低い後発品価格というので、それで本当にまさにここで市場参入があるの かと、後発品というようなところがありますので、対象の薬の特許が切れた後の後発品と の関係をどう考えるのかというのが1つと、それから、もし後発品があるといった場合に、 その後発品の価格設定をどう考えるか。現在の、後発品の初めての値づけのときは7掛け というふうになっていますので、ここをどう考えるかというのと、そのためには先発品の 特許が切れたときの価格を、切れたときにどう値づけをするかというところについてどう 考えるかという質問なのです。 ○遠藤部会長  後者のほうの後発品の値づけについてどうするかは多分、業界の方に聞いてもあれです ので、これは中医協の議論という形で。先発品として特許が切れた後の価格設定ですね。 特例引き下げとの関連のような話でありますけれども、それについてどう考えるかと、こ ういう御質問が2番目の質問ですね。では、1番目と2番目をお答えできますでしょうか。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  今回、御提案をしておりますのは、維持特例期間中であっても市場実勢価をきっちり把 握をした上で、その間に累積された部分をもって特許失効、後発品が出現した段階で先発 医薬品特許が終わりましたので下げると、これが御提案でございます。  もう一つは、先ほどの14ページで本当に後発品が場合によっては出ないではないかと いう御質問かと思います。今回、私どもの提案で15年という、たとえ特許が切れて後発 品が出なくても15年でこの維持特例は終わると、これを御提案しておりますのは、まさ に御指摘のとおり、例えばこの14ページの左の一番下でございます。市場が小さく参入 している製品がない領域、少ない領域で後発品が出ないケースもあるだろうと。その際に 無制限に特許特例維持が続くことがないように、逆に期間を決めたほうがいいのではない かということで15年を御提案しております。 ○遠藤部会長  その特許切れ後の新発品の価格については、何か今お答えになられましたですか。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  累積を……。 ○遠藤部会長  累積を下げるということだけですね。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  はい。 ○遠藤部会長  分かりました、ありがとうございます。  それでは渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺(三)委員  2点ございます。製薬団体さんにお伺いしたいと思います。1点は要望で、1点は御質 問です。  私は歯科医療の立場で申し上げたいのですが、抗生剤等いろいろな新薬等が出てきた場 合に、歯科の医療の市場が小さいということでしょうか、適応症、歯科の適応がないもの が多々ございます。私たちは厚労省発の通知のもとに効能・効果をもって使用できるとい うことを一つの考えとして使うことはございますが、やはりはっきりと適応症がそこに入 るということが医療の現場として非常に重要なことでございますので、そういう点でよろ しくお願いしたいと思います。ある意味では、私たちはアンメットなのです。そういうこ とでお願いしたいと思います。  それからもう一点、今質問のあった小島委員と若干ダブる感じもいたしますが、8ペー ジのこの右下図で現行の制度と、そして左の新しい維持特例の考え方が出ておりますけれ ども、メーカーサイドとしての特許期間中に的確にその資金の回収というか、投資分の回 収、そして利益分の回収をしたいというお考えはよく分かります。しかし、このピンクで 示されている現行制度というのは、それは特許期間中は若干、徐々ではあるけれども価格 を下げながらも、特許期間が取れた後もその立場を維持しますよという考えのもとに現行 があると思うのですね。急激に下がらないということは。それに比べて、新しいこの特例 の場合に、特許期限が切れた段階で大幅な価格を下げるということでいくと。そこの言葉 として、後発品への急激な代替ということが記載されております。  それからまた、12ページのところでも書いてあるのですが、急速な代替が行われるの にはやはり市場での価格差があって初めてそういうことが行われると思うのですよね。や はり長年にわたって信頼と安全性を確保してきて、非常に名の売れた商品と、新たにでき た後発品との間には、やはり医療現場としては非常に気持ちの中にインプットされている 部分が多いわけですね。だから、そういう意味では価格差があって患者さんにとってもそ ういう価格差のメリットもありますよという話にもなると思うのですが、でありながら1 2ページのところで、後発品に対しての先発品の価格というのは、その後発品の使用状況 や水準によって決まると、明確なそういうことが明記されていないのですね。  同時にこの8ページのグラフの、急激に先発品を下げるということは、後発品として非 常にやりにくい価格になるだろうということが感じられるのですが、その点はどのように 考えるのでしょうか。先ほどの欧州製薬の方でしたか、相当数の価格差というのが必要で すというお話もされておりました。そういうことで、この制度の中でどういうふうにして その価格差が出てくるのか。先ほどのお答えの中に市場の競争でやるんだというお答えが ありましたので、競争でいくとなかなかそれは難しい。価格差のことをどのように考えて いるのかを、ちょっとお伺いしたいなと思います。お願いします。 ○遠藤部会長  ただいまの渡辺委員の、最初の1つは歯科領域にも薬の適用を考えてくださいと、こう いう御要望でありますね。もう一つは特許が切れたときの先発品の価格と登場してくるジ ェネリックとの価格差について、今まではだんだんと先発品の価格も下がっていって特許 が切れるという形になったわけですけれども、これが適用対象になりますと突然下がると。 その下がったときの水準と従来からある水準です。従来のやり方をやって特許が切れたと きの先発品の価格の水準、その関係がどういう関係なのかということで、渡辺委員が多分 お考えになっておられるのは、一気に下がったことによって、より従来よりも価格が引き 下がるのではないかと、そういうようなイメージなのでしょうか。  渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺(三)委員  というより、一気に下がることで後発医薬品の競争力が出てこないのではないかという ことを心配するんですね。 ○遠藤部会長  それは一気に下がったということですね。価格差が、価格が水準ではなくて。 ○渡辺(三)委員  はい。 ○遠藤部会長  分かりました。じゃ、その辺の御認識を。これはでも、もしかしたらジェネリック、そ うですね。  じゃ、澤井さん、お願いします。 ○日本製薬団体連合会(澤井)  先ほどの山本先生の御指摘もございましたので、ジェネリック医薬品をたくさん扱えば 扱うほど二重に在庫がふえると、分散しますので使用期限が切れるような不良在庫も出て くると、こういうふうなことで、やればやるほど経済的に不利益になるというような場合 には、ジェネリックの普及促進は難しいと思います。かつてジェネリックの国際大会でW HOの提言がございましたが、やはりジェネリック医薬品の使用促進には医師または薬剤 師のインセンティブを高めること。特にベルギーのシモンズ教授は、ヨーロッパのジェネ リックが伸びた実態を研究され、結論として薬剤師さんが調剤することによって不利益を こうむるということがないようにということも結論されております。そのようなことから、 そういう後発医薬品が伸びない理由の一つにあるのではないかと思っております。  そして、先ほどの広報のことにつきましても、厚労省は大変努力されまして、2006 年ぐらいから動画を出し、かつ2008年には品質や有効性、安全性は同等でありますと いうポスターを出されました。2009年、今年の2月にはリーフレットで品質とか効き 目は何ら変わりありませんと、そういうリーフレットを大量に出されております。  しかし、なかなか我々、皆さんにも目に入らないのではないかと、この辺に問題がある のではないかと思いますが、我々としてもアクションプログラムをきちっと実行して品質 の情報とか、そういうものをパンフレットとか添付文書に入れるという形で、アクション プログラムの実行に、これを努力しております。また、個々の企業はテレビコマーシャル などを通じて、同じ効き目で安いジェネリックというようなことで広報もしております。  先ほどの薬価特例の話でございますが、正直申しまして我々は、ジェネリックは新薬あ ってのジェネリックですから、新薬メーカーの新薬開発が難しい現在、薬価維持特例とい うものを出されることに対しては、基本的には賛成しております。しかし、特許が切れた 時点及びその過程におきまして、後発医薬品の30%という国の目標が一応セットになっ ておるということはあくまで崩さずに努力していただきたいと、我々も努力いたしますが、 そういうふうに思っております。  そして、もし現在の薬価特例で特許が切れたときの30%ダウンして、そしてそれが後 発医薬品にかわると。とにかく後発品が30%下の薬価で載って、その後、特例の分を引 き下げた後、またさらに下げるとかいうようなお話でございますが、私は現在の制度の中 では後発品に切りかわらないと、ますます切りかわらないというふうな判断は持っており ます。したがって、それなりの制度、変わるような制度が追加的になされない限り、薬価 上は私は変わらないと、こういうふうに考えております。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  すみません、よろしいでしょうか。 ○遠藤部会長  はい、どうぞ。 ○米国研究製薬工業協会(関口)  先ほどのお答えで一気に引き下がったと、後発品の価格差がなくなってしまうのではな いかということに関しまして、今、私どもの理解では、その場合は今度引き下がったこと をまた0.7掛けということで、後発品の薬価は再設定されるというふうに私どもは理解 しておりますので、そこにおいては一回引き下がっても、また後発品の価格も、それの0. 7に下がってきますので、その後発品との差がなくなってしまうということはないという ふうな制度の御提案になっていると思います。 ○遠藤部会長  渡辺委員、今のお二方からのは、いかがですか。 ○渡辺(三)委員  下がったさらにその7掛けだというお話ですけれども、そういう形で後発を開発してい こうというか、製造してやっていこうという形ができるのかどうか、何か非常に心配です ね。このピンクで示されている現行の制度は、それはそれなりに後発の部分もこのピンク のラインの7掛け、これなら会社としてこれをやって開発していけるなというところは出 てくるのではないかという、そういう気持ちがあるもので質問したところであります。 ○遠藤部会長  分かりました。御納得いただけるということであれば、それで。  中川委員、どうぞ。 ○中川委員  先ほどちょっと聞き忘れたことがございまして、また日薬連の方に、8ページに戻って 恐縮ですが、医療界で相変わらず薬品メーカーが一人勝ちという声はずっと続いているわ けですが、その上でちょっとお聞きしますが、面積Aは、これはほぼ国内限定ですよね。 それで面積Bは、これは国内限定というお考えでしょうか。これは非常に重要なポイント になるのだと思うのですが、やはりグローバルメガファーマを目指すというか、実質的に そうなっているメーカーもあると思いますが、そこでBが国内限定かどうかという考えは ぜひお聞かせいただきたいと思います。 ○日本製薬団体連合会(竹中)  御指摘、まずこの図をつくった背景には、そこまでの細かいことを個別に検討している 図ではなくイメージでございます。まずそれを御了解いただきたい。それから、現在では 研究開発投資は先ほど来御紹介させていただきましたように、国際的な臨床開発も全部や っておりまして、全部グローバルのお金を当然開発した場合は考えておりますし、それか ら、Bのほうもグローバルでその会社が販売する、あるいは他社に販売を委託したときで もグローバルから入ってくるものを考えてございます。また、そうすることがイノベーシ ョンをこの国に有効に活用することになると私どもは思っております。 ○遠藤部会長  中川委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  あと北村委員、どうぞ。 ○北村委員  私も製造業の業界あるいは協会にしばらくタッチしたこともございますので、ただいま 伺っておりまして、国民のアンメット・ニーズに対応する業界を乗り越えた大同団結と申 しますか、それから、あとは研究開発がますます厳しくなる状況の中で、みずからの産業 基盤の確立と同時に、日本経済は大変厳しいわけですが、国民の方々の医療費の問題、負 担の問題にまで思いをはせていただいているように私は思っております。  それから未承認薬、未承認の問題につきましても、みずからセンターを確立されるとい うことで、こういう業界の中でこういう大同団結の意見をここまで取りまとめられる御苦 労というのは、私は大変評価をしたいというふうに思うのですが、1つどうしても伺いた いのは、ではなぜ今なのかということを、なぜ今このような提案をなされてきたのか、日 本経済も大変厳しい状況ですが、それをぜひ伺いたい、そういうことです。 ○遠藤部会長  それでは、よろしくお願いいたします。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  医薬品につきましては、日本において後発品促進とイノベーションの評価、これを両輪 とすると、こういう考え方で始まっているわけでございます。私どもの認識は後発品促進 のみが先行して進んでいるのではないかと。まさにイノベーションの評価、確かに算定時 の算定加算のところで大変近年、改善がなされ、これは評価し、感謝を申し上げておりま すが、基本的に特許が存在するイノベーションに関して、日本においては循環的に医薬品 の価格は下がっていく。その状況でまさにセットであると、そういう意味で今、北村委員 の御質問でいえば、なぜ今かというのは、まさにイノベーションの評価と後発品促進が両 輪で行われることが正しいことであると、このようなことで現在提案に至っているわけで ございます。 ○遠藤部会長  ありがとうございます。北村委員、よろしいでしょうか。 ○北村委員  はい、結構です。 ○遠藤部会長  それでは藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  ただいまの意見に少し関連するかもわかりませんが、この薬価維持特例を考えるときに、 今、医療全体で大変疲弊している中にあります。これは医療費財源不足だと考えておりま すけれども、業界からこのように安定的に利益を早く得たいと、それはもちろん産業育成 という観点からもあるいは必要なことは理解できる部分はあるのですが、少し虫がよいか なという部分もあります。といいますのも、この研究開発費が本当にそれでは適正にそこ に使われているのか、使われるのかどうか、そういったところはあくまでも業界の判断で あって、それをチェックするシステムは全くないわけですよね。それで、この医療費のパ イの中で産業育成ということを考えるのか、あるいは、このことは一遍ちょっと言ったよ うに思いますけれども、やはり経済産業省とかそういったもう少し総合的な中で考えるべ き問題も多く含まれているというふうに考えますけれども、そういうことについて医薬品 業界はどういうふうに考えられているのか、お聞きしたいと思います。 ○遠藤部会長  産業の育成と薬価基準制度との関係をどういうふうにお考えか、そういう御質問だとい うことですね。  どなたでも結構ですが、どうぞ。 ○日本製薬団体連合会(長谷川)  基本的に上場企業でどのようなR&D投資をするかというのは、もちろん最終的には経 営者の判断ではありますが、業界のスタンダードというものもあります。大体ネット売り 上げの2割前後を研究開発に投資をしているわけでありますが、それを闇雲にふやしたか らといって結果が新しいものが出るわけではありませんので、それは私どもの場合は株主 の皆様、特に私どもの場合でも、ここに御列席の皆さんも大体4割ぐらいが海外の機関投 資家の方が保有しておられまして、そういうところでの厳しいチェックも受けておるし、 結果としていい加減な研究開発投資をして利益率を下げれば、それは株価の下落、市場価 値の下落ということで評価が下がり、経営者としての責任を問われるということでありま すので、そういう市場のメカニズムの中できちっと評価をされているというふうに少なく とも私どもは認識をし、それにこたえるためにビジネスをやっておるわけでありますから、 お気持ちは分からないわけではないわけですけれども、企業のR&Dの使い方がいいかど うかは第三者でチェックをするということは、ちょっと御勘弁いただきたいと思います。 ○遠藤部会長  そういう御意見です。藤原委員、よろしいですか。 ○藤原委員  これは非常に難しい問題だと思うのですが、株式会社という、そういった配当とか、そ ういったことを考える状況の中にあって、産業育成だけに、ある意味こういったところか ら資源を吸収して、それが適正にされているかどうかというところがやはり見にくいとい うところが国民にも理解が得にくい形になっているかなと。これは製薬業界だけの責任で はないと思いますけれども、一言そういったことで。 ○遠藤部会長  そういう視点も含めて、今後の議論ということだと思います。  牛丸委員、どうぞ。 ○牛丸委員  これに関する意見の12ページ、1つは患者への効果といいますか、その点でのお考え を聞かせていただきたいのです。薬価維持特例の概要は分かりました。患者への効果を考 えたときに特許期間中の価格を引き上げるということによって、仮にイノベーションの促 進ということが進められれば、新薬の開発等において患者への便益は上がるだろう。また、 特許の期間が切れた後の価格を下げること、これもまた患者への便益にプラスになると思 います。  ただ、今、患者と言いましたけれども、抽象的に患者ということでなく特定の患者を考 えたときに、明らかにこの特許期間中の従来のやり方を変えますと、この図でいいますと、 赤がグリーンになるわけですね。ということは、ここの期間中の薬を受けていた患者の負 担が上がるということになるわけです。もちろん、その患者は先ほど言いましたような将 来的なイノベーションによる新薬開発とか、あるいは特許期間が切れた後のそういう恩恵 を受ける可能性はあります。先ほど、どの薬にこれを適用するかということで説明があり ました。ただ、そこは私はよく分かりませんが、該当した薬に今のような特許期間中のこ れがあることによる患者への効果、これについてどのようにお考えになっているか、その お考えを聞かせていただきたいと思います。 ○遠藤部会長  お願いいたします。新薬を服用している患者さんの自己負担は今の制度よりも高くなる ということになるわけですけれども、それについてはどうお考えかと、そういうことで。 ○日本製薬団体連合会(庄田)  牛丸委員の御指摘のとおりですね。この維持特例の該当製品に関しては、患者さんの負 担がその期間ふえるという制度でございます。一方で、先ほどからこの制度導入がなぜ必 要かと。日本におけるドラッグ・ラグの解消あるいはアンメット・メディカル・ニーズ、 未承認薬、これに日本の患者さんに製薬企業が研究開発をしてお届けすると、そのために 必要な想定であると。基本的に患者さんトータルとして見ていただいた場合には、大いに メリット、便益のある制度であるという提案でございます。 ○遠藤部会長  牛丸委員、いかがですか。よろしいですか。  1つ、12ページを開いておりますので、先ほど渡辺委員の質問とも多少絡むのですけ れども、もしかしたら御説明があったのかもしれませんが、この薬価維持特例のもとで特 許が切れた後の先発品薬価が現行の先発品薬価よりも下にありますね。緑色。これは下に あるのは、何がしかの意味があるのですか。つまりこれでいくと、薬価維持特例を取った 場合には、特許が切れた場合は今よりも薬価が下がるということを前提に書かれているよ うですが、これは何か御説明はございましたか。 ○長野専門委員  それでは、専門委員から短くお答えいたします。  この時点での導入した後、特許が切れた時点での後発品の使用状況、3割に行っている のか、それ以下なのか、それ以上なのか、それによりまして、当然国の施策として中医協 の御議論として、先発品の薬価の在り方というのは再度見直されるだろうということも込 めまして、このようなラインを引いているところでございます。 ○遠藤部会長  あの提案を含めたあとのものということですね。なるほど、分かりました。ありがとう ございます。  ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいですか。  本日は各団体のトップの方がいらしたので、できるだけ議論をしたいということで、少 し予定をオーバーして申しわけございませんでした。いろいろな御意見が出ているわけで ありますけれども、時間の関係もありますので、このぐらいに本日はさせていただきたい と思います。  関係団体からただいまいただきました御意見、あるいは今ここで議論しましたさまざま なディスカッションの内容につきましては、今後、当部会として審議を進める上での重要 な参考にしたいというふうに思っております。  本日は日薬連、ファルマ、エフピア、卸連の皆様、長時間にわたりましてどうもありが とうございました。  それでは、本日の薬価専門部会はこのあたりで終了したいと思います。  次回の日程について、事務局から何かあればお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。次回の日程は未定でございます。 ○遠藤部会長  それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会にしたいと思います。どうもありがと うございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)