09/06/03 平成20年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第13回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会議事録         第13回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会                     日時 平成21年6月3日(水)                        17:30〜                     場所 厚生労働省13階専用第16会議室 ○化学物質評価室長補佐(大淵) それでは、只今から「第13回少量製造・取扱いの規制等に係る小 検討会」を開催いたします。  本日は、唐沢委員が都合により欠席と承っております。それから、本日は通常の専門家に加えて、 特別の専門家ということで、何人か先生方にお越しいただいていますので、ご紹介いたします。  統計数理研究所から、椿先生です。同じく統計数理研究所から、藤田先生です。続きまして、東京 理科大学の加藤先生です。日本化学工業協会から、山口部長です。中央労働災害防止協会から、棗田 さんです。同じく中央労働災害防止協会の細田さんです。以上、出席者の方のご紹介でございます。  以下の進行については、座長の名古屋先生にお願いします。 ○名古屋座長 本日は「第13回少量製造・取扱いの規制等に係る小検討会」でございます。本日は、 ばく露実態調査評価のあり方の検討もしたいと思います。最初に事務局から、本日の議事予定、及び 資料について確認をお願いします。 ○化学物質評価室長補佐 それではご説明します。本日の議事ですが、少量製造・取扱い作業の把握 が可能なばく露評価手法についてということで、中心的にはばく露評価のガイドラインの案について ご検討いただきます。また、この小検討会の報告書についてもご議論をいただく予定としています。 これらの議論に使う資料として、2頁目の配付資料一覧をご覧になって、ご確認をお願いします。  まず、資料1として、「少量製造・取扱い作業の把握が可能なばく露評価手法の検討」ということで、 前回、第12回における主な意見です。資料2として、加藤先生の資料です。資料3-1「労働者の有害 物によるばく露評価ガイドライン(案)」です。資料3-2「新たなリスク評価スキームについて」です。 資料4「少量製造・取扱い規制等に係る小検討会報告書(案)」です。資料5「少量製造・取扱い規制 等に係る今後の検討予定」です。  以上の他に、参考資料として、1〜5があります。まず、参考1はNIOSHのマニュアルです。こちら については印刷物のため、傍聴者の分は入れていませんので、あらかじめご了解いただきたく存じま す。参考2「国内外のリスクアセスメントに採用される『ばく露評価モデル』の概要」です。参考3 「作業環境測定ガイドブックの抜粋」です。こちらについても傍聴の方の分は入れていませんので、 よろしくお願いします。参考4「リスク評価のための測定・分析手法確立のための検討内容」です。最 後に、参考5「ばく露調査におけるサンプリングの手法」です。本日の資料は以上でございます。 ○名古屋座長 ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。まず最初に、第12回 の議事概要について確認したいと思います。では事務局より、資料1について説明をお願いします。 ○化学物質評価室長(島田) それでは、資料1に基づいて説明いたします。前回、第12回の小検討 会の主な意見ですが、加藤先生のご説明を抜粋させていただいていまして、統計のものなので、場合 によっては間違いがあるかもしれません。その場合にはまた改めて指摘をいただけたらと思います。  まず、ばく露評価における統計的手法の活用については、「区間推定」のご説明をいただきました。 まずNIOSHの測定・推定手法については、母平均の区間推定なしに、平均値に標準偏差をつけているが、 ばらつきがわからない場合の母平均の区間推定にはt分布を使うのが一般的ではないか、という指摘で した。  ばく露実態調査における測定対象の選び方は、事業場、いわゆる組織を選んで、その中で作業者 (人)を選ぶ方法をとっていて、サンプリングでいうと2段階サンプリングになります。この場合、組 織の母平均のばらつきが違うため、サンプリングをする場合、非常にはずれたデータをサンプリング する可能性があります。組織ごとに母平均とばらつきがわかるのであれば、これを考慮してサンプリ ングすることが妥当であるというご指摘でした。  「抜取り検査の応用」ということで、私どもがいま、ばく露の評価値を超えるかどうかという議論 をしている部分については、抜取り検査の手法が使えるのではないかということで、そのご説明をし ていただきました。その指摘としては、抜取り検査は基準を超える比率を基に、合格としてよい状態 と不合格としたい状態を決め、例えば、基準を超えるものが1%以内なら合格、P0ということで1%と なります。10%以上なら不合格、P1が10%として設定することによって、これによってサンプルサイ ズなどが設計できることとなります。  リスク評価において、当該検査手法を活用する場合は、P0、P1及びαとして、良いロットを不合格 にしてしまう確率、βとして、悪いロットを合格にしてしまう確率をいくつにするのか、あらかじめ 決めておく必要があるわけで、この方式をとる場合には、今回この場でそのあたりの議論をいただけ ればと思います。それから、リスク評価において、βは評価値を上回る可能性があるのに、現行のば く露レベルが適切と認められてしまう確率、問題となるような事例になってしまいますので、βが重 要であるとのことで、βが10%では心配であるというご指摘がありました。  P0、P1の差を小さくするとサンプル数は大きくなるということで、P0、P1のうち、重要と思われる ほうを厳密に決めて、もう一方はサンプル数を減らすように、余裕をもって決めることも可能ではな いかというご指摘です。  現在のリスク評価では、評価値と比較しているのは最大値であって、それが評価値を超えていれば 問題と判断している。懸念しているのは、最大値が評価値を超えなくても、データのばらつきから判 断して、評価値を超える可能性があるということであって、統計的な手法の活用にあたっては、これ を考慮すべきである。  その次、一度、ばく露実態調査で実測結果を基に統計的な計算をしていただいたらもっとわかりや すくなるのではないか、というご意見をいただきました。  「事業場・作業者の選抜手法活用」です。ばく露実態調査の結果のように、事前情報でばく露レベ ルの高い層が特定できる場合には、層別サンプリングというやり方が一般的であると。推定したいの はばく露の高い値であり、このためには、層別サンプリングした中で、さらに選抜することが可能だ というご指摘でした。  現実のデータを調べるよりも、実験データから、ここまでの濃度が出るという評価の仕方もあると いうことでした。その場合には、違反となるような作業をしている場合を含めるかどうかは考慮すべ きである、というご指摘でした。  当該選抜手法の検証については、1つの事業場において、ばく露作業に従事した人をランダムに選ん だ集団と、意図的にばく露が高いと思われる人を選んだ集団について実測を行い、結果の比較を行う ことによって検証が可能ではないかということでした。  ばく露レベルが高い部分として、例えば上位の4分の1の作業者のデータをとっていることがわかれ ば、正規分布のどの部分のデータをとっているかがわかりまして、サンプル数を少なくすることも可 能ではないかということでした。  事前の予備調査で、少ないサンプルでも、全体のうち上位5分の1のデータで平均値やばらつきがど の程度か決まれば、一定の信頼率で推定するために、どのくらいのサンプル数を追加することが必要 であるかを決めることができる、というご指摘です。  NIOSHのデータはランダムサンプリングでありながら、高いデータが必ずサンプルの中に入るような 手法であって、サンプル数が増えてしまうと。一方、我々は意識的に高いほうを選んでサンプルする ので、サンプル数は少なくてすむのではないかということでした。  ただし、選抜により的確に高いデータを捉えることがこの場合必要で、それができない場合には、 この手法は採用できないと。本当に高いデータがとられているかを検証する必要があるということで、 後先になりましたが、検証方法についても先ほどご議論をいただいています。  何を根拠としてばく露レベルが高いと判断しているかが重要であると。これは回帰でいう説明変数 と目的係数であるということです。説明変数は、1個なら相関係数、2個以上だと重相関係数が指標と なり、この値が高くなる場合は、選んでいる根拠(説明変数)に間違いはないことがわかる。いずれ にしても、この分野の研究実施が必要ではあるということでした。  「選抜手法の検証」ですが、検証の方法としては、母集団について、ランダムサンプリングにより 選抜し、選抜したサンプルについてあらかじめ(一定の基準に従って)高いと思われる順に並べて、 それを実測値と比較する方法が考えられる。その際サンプル数はなるべく多いほうがよいというご指 摘です。  現在のサンプリングは、ばく露の高い工場を選び、その工場の中からばく露の高い作業者を選んで いて、検証作業を1つの事業場でやっても意味はないのではないかということで、もう少し広い、いく つかの多様な事業場でやる必要があるというご指摘でした。  ばく露評価のガイドラインに対するご意見をいただいた部分です。「有害物ばく露作業報告」につ いては、特に第1段階での報告では、母数を知るという意味で作業人員の概数を把握することが必要で はないか。その場合には第1次がシンプルな形で報告を求めるということもありましたので、作業者の 数について、一定の幅で選択肢を示し、回答していただくような方式が妥当であるというご指摘でし た。  作業者1人の作業場と、作業者が極端に多い事業場を統計上、同列に考えることができるか疑問であ ることが提起されました。  それに対して、有害物ばく露作業報告は2段階で報告する形にしていて、1次報告を見て、スクリー ニングをかけて、2次報告にいくという手続きになりますので、その段階で個々のデータを精査するシ ステムを確立しておけば、そういったことも確認できるのではないかということでした。  ランダムサンプリングについては、ばく露レベルが高い事業場の選抜が難しい場合には、NIOSHのや っているようなランダムサンプリングの手法を使えば、一定の確率でばく露レベルが高い所に入って くる確率を計算しているので、そのような手法は利用できる。  ただし、その場合の90%というものに関してご議論いただき、これは10回に1回は高いレベルのも のが取れないことを逆に意味しているので、90%が妥当か否かは改めて考慮する必要があるのではな いかということでした。  「調査の実施に際して留意すべき事項」です。調査実施上の留意事項について、特に秘密が漏れる ことに関する表現が、守秘がちゃんとされるというニュアンスを正確に書くべきではないかというこ とです。  サンプル数が大きくなれば、ばく露実態調査で対応できない可能性が出てきます。その場合には、 個々の物質の評価を減らすわけにはいかないので、評価対象物質を減らす等の対応が必要ではないか というご指摘もありました。  「非定常作業の規制」です。非定常作業については、例えばスポット測定等の値が評価値の100倍、 あるいは1,000倍を超えた値が出た場合の扱いについては、この場で検討する必要があると。例えば、 産業衛生学会の1.5倍と決めているのは低すぎているのではないかということで、評価値の5倍とか 10倍の基準を定めることもあるのではないかというご指摘でした。以上が前回の議論でございます。 ○名古屋座長 説明ありがとうございました。ただいまの説明について、ご意見等ありますか。修正 箇所等はないですか。よろしいですか。もしありましたら、また事務局のほうに連絡してください。  それでは、次の議題に入ります。本検討会では、これまでの検討を踏まえて、ばく露評価における 統計的な解説手法の活用を検討してきました。本日は、先ほどご紹介がありました東京理科大学の加 藤先生にまた検討をお願いしております。今日は加藤先生に、前回に引き続き、統計学の立場から説 明をお願いします。本日は、椿先生と藤田先生、また、中災防から棗田さんと細田さん、日本化学工 業から山口さんがいらっしゃっていますので、どうか積極的に参加していただければ有難いと思いま す。  それでは加藤先生、よろしくお願いします。 ○加藤(東京理科大学) 前回はあまりよくわからなかったのですが、あの後、データを送っていた だいて、少し見てみました。その中で、少し計算したものがあるので、一応報告いたします。  目的が、悪いものを取るというので、本当に悪いものが狙って取れるのであれば、理論も何もなし で、それでいいのですが、虫がよすぎるかなと。悪いものはできるだけ取っているとしても、そうと は限らないというので、基本に戻って考えて、一応計算してみました。  条件は、先ほど10%とか、90%でいいのかとありましたが、大きいほうの10%が、少なくとも90% の確率で含まれるのが基本になっているようです。もちろんこの言い方でも計算できるのですが、逆 にどういうことを言っているかというと、小さいほうの90%が、サンプルを取ってみたら、小さいほ うの9割のものが含まれている状態を全部なくそうということで、確率0.9の大きくないものだけにな る確率を10%以下にすればいいとなります。  実際に計算してみると、こんな計算がありまして、この計算からいうと、サンプルサイズは20、こ の条件を満たすならば、つまり、大きいとか小さいとかいう情報なしで、ランダムに選ぶのであれば 22になります。これは10%ですから、95%、つまり10%のものが含まれない確率は5%、20回に1回 ぐらいあってやるとサンプルは29、さらに、それが1%だと44、こんな感じでサンプルは増えていき ます。  ついでに、最初の条件では、母集団のサイズを無限大で計算しているのですが、もし母集団のサイ ズが決まっているならばというので、超幾何分布で計算をやって、50の場合は22ではなくて18でそ の状態が表われます。30ならば16。先ほどNIOSHの所に出ていたのは、32で16という数字が出てい たと思いますが、要するに根拠は、この辺で合っていると思います。さらに少なくて、20だったら14、 逆にいうと、取らないのが6というので、こういう場合は6を取らないのか、6を取らないで漏れてし まう危険を冒すのか、取ってしまったほうがいいのかは、現実問題ではきっと起こると思います。  ただ、統計的にいうと、確率でいうと、こんな数になってきます。サンプルのサイズはそうなので すが、今回はデータを送っていただいたので、実はデータを見せていただきました。やはりこのよう に正規分布ではないです。元々正規分布ではないと言われているのですが、こんなデータでした。こ れを見ると、かなり小さいデータがいっぱい取られているのですね。というと、平均値はずっと左、 右を見たいのにどうしても左に寄るという傾向があります。でも、目的が最悪値を見たいということ だと、単なる提案で、思いつきも入っているのですが、いくつかのやり方があって、その中から見る のかなということです。でも、データは対数変換して処理をするような話です。その中から、少なく とも先ほど言った、9割は上位10%が入っているという条件ですから、データの中の最悪値を採用する こともあるかなということです。これは、取ったデータをそのまま信用しようと、そこから……の中 の最悪値を使おうというものです。  それから、取ったデータがたくさんあるのだから、そこから平均とか標準偏差を計算して、それで 区間推定をして、それを見ようと。先ほど見ていただいたので、わかると思いますが、低いデータが あります。もしそれが平均値を引き下げていることになって、高いほうを見ようと思っているのに逆 効果を出していると困るので、小さいデータは切り捨てて、大きいほうだけで同じようなことをやろ うか、これは単に個人的な思いつきです。どのぐらいのデータならいいかというと、t分布の値を見る と、10ぐらいあればいいかと思ったので、一応10ということです。後で出てきますが、今回は一応こ の3つでやっていまして、どれを採用するというよりも、この3つを並べてみて、妥当なものを見るほ うが安全かと思いました。そういう意味では、Aにする、Bにする、Cにすると決めないで、一応この3 つにトライしてみて、少しこの中で大きな値を考えてみて、それが実現しないような離れた値であれ ば、また考えることもあるかもしれない、というようなことで考えました。  送っていただいたのが3つありましたね。実はこんなことになります。最初、コバルトですが、デー タが21個ありました。どんな分布というか、こんな分布でして、当然正規分布ではありません。特に 大きいほうのデータ分布ですが、最後がとことこと出てしまって、実際にはやはりここら辺のデータ と違う分布なのですね。これを対数変換すると、割とこのようになりまして、直線がいいわけではな いのですが、そんなに外れたデータにはならなくなったから、これでいくと案外計算は効くかなと思 います。  実際は、ここでエクセルを使って計算していまして、取ったデータそのままで平均値や標準偏差を 計算して、これで区間推定してみたり、対数変換したものについて平均値や標準偏差を計算して、そ の上で区間推定したとか、上位10のデータだけで平均標準偏差を取って、それで90%の区間推定の上 のほうを取ってみたとか、こんな値をそこに並べてあります。そうすると、結果は割と似たデータが 出ました。今回ここでは、実測値でいちばん悪いのが0.396という値だったのですが、対数変換して、 上位90%で区間推定したときの上の値は0.415なので、あまり違っていないのです。あとは、低いデ ータが全体の平均を引っ張っているかなというので、安全を考えてやったのですが、上位の10位だと ばらつきが小さくなるので、この場合は案外小さな値になりました。というので、☆を付けた所がい ちばん大きい所です。  あとのデータも同じような傾向になって、こちらもこんな感じですね。やはり対数を取れば何とか 塊ができまして、これを見ると、ときどき正規分布ではないと。一応ハコヒゲ図を作ってみました。 これは皆さんの資料にはないのですが、元のデータで、×になっているのは外れ値と、分布からはか なり外れているのがあるのですね。ただし、対数を取ると全部この範囲内に納まりますので、先ほど の図を見ると、凸凹が違う所も若干ありますが、あまり問題なく使えるかと思います。  これも同じようにやってみたら、データの最悪値は0.479だったのですが、計算結果は0.76です。 だから、もうちょっと先に、きっとこの辺を推定していることになるのですね。元のデータは最悪値 がここら辺までなのですが、実際に分布を見ると、上位10%だとこの辺までいく。実データよりはち ょっと大きめの推定値が出ました。今度は、上位10でも、この場合はこれよりもこちらが大きくなり ました。ただし、いちばん大きいデータが出たのはこちら、全体です。ばらつきが大きいのが効いて いるのですね。最終的にはみんなそうなりました。  次はこれで、逆にかなりいい、対数変換すると割といいイメージの図になっていますが、見てわか るとおり、極端な値が2つ入っているのです。ヒストグラムを書くとこの2つなのです。こんなデータ でも、対数を取ると、ここでポンポンとはねていますが、それでも、先ほどハコヒゲ図を見てわかっ たとおり、うまく入っているので、いいかと思います。この場合、計算してみますと、実データの最 悪値が5.9、90%で区間推定すると6.4、これよりはもうちょっと先に、このぐらいのデータは出る可 能性はあると言っています。これは、上位だとやはりかなりばらつきが小さくなっている。こんなに 小さいのです。これは実データよりはうんと小さいようなものになりました。ですから、これは実デ ータよりも小さいというのは、10%からいうとかなり外れ値なのですね。このデータは異常値だと見 て、この辺を推定しているので、実際に取られたデータよりも小さいという計算をしてしまうことに なります。今回も、この辺ですかね。  一応試しに、皆さんの資料にもつけていませんが。先ほどの資料1にもありましたが、90%がいいの か、95%がいいのかで、今回の資料はとりあえず90%で値を出していますが、これを95%にするとこ のぐらいの大きな値に増えますね。先ほど0.41と言っていたのが倍以上伸びます。ということで、デ ータを送っていただいて、見せていただき、こういうデータだというのがよくわかりました。  前の資料に抜取り検査というのがありましたが、抜取り検査よりはやはり取ったデータからの推測 だと思います。ですから、α、βよりは、この推測でどこまでの可能性を気配りするかですかね。取 ったデータよりも取っていないデータに、この辺までの可能性はあるというか、石橋を叩く意味で、 もっと、この辺もあり得るぞといって、大きい値を想定するかだと思います。ということで、以上で ございます。 ○名古屋座長 ありがとうございました。ただいまのご説明について、ご質疑、ご討議をしようと思 います。どうぞ、ご意見、よろしくお願いします。 ○山口(日化協) いま、いくつかの例を見せていただいた感じですと、物質によっては大きい企業 だけ取り扱っていて、きちんとある程度制御をされている場合は、先ほど言ったように、上の所がな いという可能性もありますので、具体的に扱っている事業場の背景等も含めて単純にいかない部分も あるかと。実際に扱っている状況、そこによってその判断をどこまで広めるかということも考慮して いただいたほうがよろしいのではないかと思うのですが。 ○加藤 これは背景は全く考慮していませんし、わからないです。 ○山口 いまは、ない状態での話ですよね。 ○加藤 したがって、最悪、全くのランダムサンプリングですから、少しでも悪いというのはわかっ て、できるだけ悪いほうは漏らさずに取るというデータが取れているならばということです。当然、 これは取れたデータに従ったものなので、例えばこの2つを取っていなかったら、えらくもっと小さい ことしか予測できないです。だから、ここが大きい会社だからなのか小さい会社なのか、または扱っ ている量が多いのか、私はそれが全くわからないのですが。ですから、こういうデータがもし、逆に これがなかったら、すごく小さな値しか、今回のこのデータからは予測できないということが起こり ます。 ○名古屋座長 いまのような取り方をしてくると、例えばBという形のものを取ると、それほど違った 危ない取り方ではないと。少し大き目のが出てきて、安全が少し担保されているという気はしますね。 ほかのAとCに比べると、Bのが合っているのかという気はします。 ○加藤 前回のものだと、もう少しこういう所がいっぱいあるのかと思ったのですが、案外2つで効い たり、これなどはここの1つがうんと効いている。だから、これがなければもっとずっと小さく推測さ れてしまうのです。ですから、こういうのは数がいくつであろうが、逃がさずに入れることが可能な らば、理論よりは小さいサンプルでも。 ○名古屋座長 いいですよね。 ○加藤 失敗はないという気はします。これなどもこの2つだけですから、これがもしここを取ってな かったらというと、結果はかなり違います。 ○名古屋座長 そういうことから考えると、上位は危険な部分もあるし、中央データも危ないけれど も、ここだとそれだけ離れてもそれほど問われないから、そこそこには入ると、思っているよりちゃ んとしているという気はしましたね。 ○加藤 もとの母集団が本当にこういう姿をしている中でこういうのが取れているなら、すごくしっ かりしたデータだと思います。狙って悪い所ばかり見るわけではなくて。 ○名古屋座長 現場で測定して見ていて、いまの取り方から考えて、それほど、もとのデータから違 わないし、いままでの取り方の様に、ランダムに取っても、それほどイレギュラーしていないと。分 布がそれほど均一ではないにかかわらず、うまいところに落ち着いている気はするのですが、どうで すか。選定されて遅れたときは、別段そろっているデータを出しているわけではありませんよね、向 こうから照会されているもので。 ○加藤 違います。 ○圓藤委員 教えてほしいのですが、これは一応サンプル数に関係なく全部上位10ですね。例えば、 ここの所をNの半分とかみんなそろえたら、変わる可能性もあるわけでしょう、このデータにとって。 ○加藤 そうです。 ○圓藤委員 どのぐらい変わる、ほとんど変わりますか。 ○加藤 そこまで全部入れたりはしてないのですが。逆に、せっかく30を取ったのだから、15使おう と。10よりはたくさん使ったほうがいいのはあるかもしれませんし、ここは単なる思いつきで上位10 だけ取ってみたのです。 ○圓藤委員 いくつ使うかによって相当変わるのか、あまり変わらないのか。 ○加藤 あまり変わらないと思います。最終的に全部取ればこれと同じになるので。 ○圓藤委員 そのうちの全部使ったのと上位10で相当変わるわけですよね。これは小さくしたら、逆 にもっと小さくなってしまうのですかね、nを。例えば、みんな3分の1ぐらいにするとかすると。 ○加藤 これは何で変わったかな、ちょっと待ってください。 ○圓藤委員 分布にもよるのでしょうが。 ○加藤 この辺までのデータで取ったので、きっとばらつきがうんと小さく見えてしまっているので す。 ○名古屋座長 分布のばらつきではないてすかね、数ではなくて。 ○加藤 きっとやったところで見ると、10というのはすごく本当に異常値があったとき、それを30何 分の1ではなくて、10分の1のパワーで少し外れ、うんと大きいのも貢献するようにということで上 位を入れる、考えるわけですね。平均してしまいますと、全体分の1になってしまいますが、少なくと もその1個のデータが1割は効く。並んでいる所1個だと、ほとんど同じですが、うんと飛び出たとき、 それをほかのデータで消されないようにと、実際、考えたのはそういうことです。だから、これが効 いてくる場合もあるかもしれないし、うんと離れたデータが1個、たまたま取れた場合は。 ○櫻井委員 今日見せてくださいましたサンプルでいくと、Cの場合には、AとBだけあればCは要ら ないかなどという気もしますが。 ○加藤 そうですね。今回は全然Cは。 ○櫻井委員 たまたま。 ○加藤 効かなかったですね。 ○櫻井委員 はい。Cが効いてくることもあるだろうとお考えがあったわけですが、そう考えておいて、 Cもトライしてみたほうがいいだろうと。今回、交換するだけですから。 ○加藤 別にあまり労力は使わないのです。先ほどおっしゃっていただいたように、半分でやったら と、これも実は時間さえあればそれほど難しくも何ともなくて、簡単にはできますので。 ○櫻井委員 ただ、誰もがわかる論理としては、AとBはよくわかるけれども、Cはいくつを取るかと いう恣意性が入ってきますので、わかりにくい。 ○加藤 そうですね。なぜ10かということに関しては、何となくというか、1割ずつの分担でという ぐらいのことしかないです。 ○名古屋座長 上位の所は飛び抜けているときは辛いかな。外れて上だけがひっかかったとき。それ が本来的には棄却するような濃度かもしれないけれども、ただ、それを入れてしまうと、引っ張られ てしまう可能性があって、だからAとBとCが違ってくると。 ○加藤 もし本当にそういうのだと、きっとそのもののデータの再悪値、こちらのほうでカバーはさ れる気がします。 ○名古屋座長 だから、櫻井先生が言われたように、Cを切り捨てても良いと。 ○櫻井委員 切り捨ててもいいかもしれないという気がする。 ○名古屋座長 もしかしたらAとBの場合、いままでのデータを考えると、AとBで評価すれば本当に いい。要するに、測定している所もある程度精査されているから、AとBがあればある程度評価はでき ていて、いままでとは違って、要するに危ない所を逃がして測定してないというう気がします。 ○加藤 きっとCが効くのは、対数変換しても、なお外れ値が出るような場合だと思います。 ○圓藤委員 相当ですね。 ○加藤 ただ、それがきっと元のデータでほとんどカバーされてしまうと思いますから。 ○名古屋座長 そのときはデータを見ると、作業性といろいろあるからわかりますものね、そのデー タが、本当のデータか個人的に高く出たデータかはたぶん違うから、そのときはそこのデータを使う かどうかというときには精査されてくるから、統計処理をするときの話だと思いますので、入れるか どうかの話になってくるのではないかということだと思います。 ○櫻井委員 スクリーニングの段階ですから、あとでもう1回精査して、事業場の特性とか、様々なこ とは考慮した最終判断といいますか。 ○細田(中災防) いまおっしゃっているように、1つは、極端な言い方ですが、私どもがサンプルを 選ぶときに、事業所を選ぶとき、例えば30社、30工場あるうちの10工場を選ぶときには、一応高い であろう所の事業所を選んだと、そういう意図でいます。それから、それぞれの事業所に行き、どう いう作業者を選ぶかというときも、たぶんばく露が高いであろう所を選んでいるつもりです。そうい う意図で言っていくと、高いほうから見ているから、上限を抑えるという意味ではいいのではないか ということですが、こういうふうに統計処理した場合に、その次の段階であるA社もB社もB工場も選 んで、例えばそこで何らかの基準によってここは3人選びましょう、ここは5人選びましょうというよ うな平準的に選ぶというか、うまいこと、一事業所について、例えば取扱い量に応じて人数を選ぶと か、そういう意図をしていませんので、ある会社で協力的な事業所だと、極端な話、10人がやってく れましたと。ところが、かなり大規模な工場だけれども、1人ずつしか測れませんでしたということが 起こり得るわけです。  同じように、今度、工場の中でも考えられる作業を全部やっている工場と、ある特殊な作業しかや っていない工場があるわけです。それも考慮しないで、取れるなら取りましょうということでやって いますので、そういう意味で、我々としてはお願いして偶然に出てきた答えてくれたのが、結果とし て、全体で見たら平準的にいってランダムサンプルになっているのかもしれませんが、心配としては 偏りが起こっている可能性があると思うのです。ですから、Cみたいな選び方をしたときに、ある協力 的な企業で、そこでばく露の高い作業が集中的にあったのか、その企業としてばく露が高い操業をや っていたのかわかりませんが、そこが協力的だと、上位10%か5%にその企業のデータばかりが入るこ とが多いわけです。あると思うのです。  そういうことが起こったときに、例えばいま工場側で見ると、ある一事業所のデータをもって我々 を規制するのかという意見を言った場合に、うちの企業では全然超えてない。ある一企業だけがそう なっているではないかという批判には、耐えられないのではないかと思うのです。そういう考え方は 間違いでしょうか。それとも、いまおっしゃっているように、こうやっていて、結果としてやってい るのだから。 ○加藤 私はそこはよくわからないのです。 ○名古屋座長 たぶんいまのはデータ処理の手法ですから、そこまで持ってくるときのところで検討 して、オーソライズされたものに対してこの処理に使ったらイレギュラーなのではないかどうかと。 ○細田 たぶん先生は、一工場のデータかどうかは関係なく大きい順に見られているからそういうこ とだと思うのですがね。 ○名古屋座長 そのときは精査したデータ処理する前のところで検討すべきことではないかと思うの です。 ○細田 これがサンプルを取るときに選ぶ。そういうことだと思うのです。 ○名古屋座長 そうすると、いまでも意外とそれほどのことはしなくても、いまの経過を見るとある 程度うまく入っているので、たぶんうまく使えるのではないか。だから、そういうときは、処理する ために少し検討する中で特異的なものかどうかを検討して処理されたということで、個人的には処理 できるかなと思いますが。 ○細田 結果論で言いますと、私の感覚的に言いますと、例えばコバルトだとか何かというのは、あ る企業がかなり高いというふうに集中しているので、その企業だけの分散を見ているのではないかと いう気がするのです。だから、きれいにそろっているみたいなね。 ○櫻井委員 だけど小さいほうの数字も出たでしょうね。それで、全体の、Bの場合ですよね。 ○細田 Bの場合はそうですね。私はCの場合で言っているのです。 ○櫻井委員 ところが、Cは横へ置いておいて、いまでもBがいちばん高くなっているでしょう。Bの ケース、我々は実際は高い所を一生懸命探して測っています。ということは、現実にはもっと低い所 がいっぱいある可能性があるわけです。そうすると、それを入れて、もし判断したとしたら、もっと 高い所へ行く可能性はあるかもしれない。要するに、先ほど10%取ったときと同じで、高いほうをす くって調べて推定しているわけです。だから、それでいいのではないですか。 ○細田 目的としては高いほうを抑えようとしているのだからね。 ○櫻井委員 それで、いちばん高い数字がいちばん高く出るかもしれない。最大値がいちばん高くな るかもしれないし、Bのケースでやった場合、それでもなおいちばん高いのが出るとしたら、やはりス クリーニングに引っかかったということで、詳細に調べればいいと思うのです。ただし、引っかかっ た所が高目の所に全部1カ所に集中しているかどうかは、あとで詳細に調べればわかることであって、 それはすべて規制しなくていいのかどうかは、あとで調べればわかる、判断できるわけです。要する に、いまスクリーニングの段階ですから。 ○棗田(中災防) もともとばく露作業報告自身が非常に限られたデータしか来てなくて、例えばこ こから我々が選んでいる方法としては、結局、作業量、使用量が多くて、作業時間が長い。作業は特 殊なものが含むという形にしていますが、そういった所で基本的にはばく露が多いという判断で会社 を選んでいるわけですので、そうすると1次スクリーニングとしては、そこで最終的な作業者は我々の 恣意は入っている可能性もありますが、基本的に事業場を選んでいる所は高いけれども、想像できる 情報から選んでいると。そこへ、いま先生もお話にありましたが、これは1次スクリーニングでするの であれば、こういったところで推計して、例えば1社だけど高い所が出てきたとしても、これは別に1 次でこういう所が引っかかっているのであるから、それ以上に、例えばBでもCでも推計値が行いもの があるとすれば、それだけの確率でまだもっと高い所があるかもしれないから、2次で調べてみるとい うのを十分説得性があるのではないかと。実際にやっている人間からすると、こう思えるかと。 ○櫻井委員 実際に高い所をサンプリングしているのだけれども、もし全くランダムサンプリングを やったとして、それでいまのようなBの計算をやったとしたら、どちらになるかわかりませんね、低い ほうに行くのか高いほうに。 ○加藤 もし本当にランダムサンプリングするとすると、この条件で22位ですから、ランダムサンプ リンミグしていて、例えばここでいっぱいデータ、これは30も取っているし、これぐらい取っていま すので、これはかなり確率で高いほうへ入っているはずです。 ○櫻井委員 そうですね。 ○加藤 高いほうもねらっているだろうし、ということです。 ○櫻井委員 あまり変わらないと思います。低いほうがいっぱい入っていて、さらに低いほうがいっ ぱい入ったとしても、それほど変わらないと思います。だから、これはいい線いっているのではない かという気がします。 ○名古屋座長 そう思います。思った以上に入っています。実感はそう思います。 ○椿委員 今回初めての参加です。今日、加藤先生にご計算いただいた話ですが、抜き取り検査で、 n=22という話がありました。そうだということは、ランダムサンプリングがきちんとできていて、22 個のサンプリングのデータの中の最悪値を取るということは、その最悪値以上という区間が、ちょう どこれを満たす区間になりますね。ですから、今日のデータからいくと、コバルトの例は大体21とか 22データの例ですが、これも0.396という数字が、90%の集団が加藤先生の先ほどの説明だと、9割ぐ らい入る、そういうものをむしろ分布系を想定せずに出したという位置づけになっております。加藤 先生が今日示していただいたもので非常に興味深かったのは、おおむねどのデータも対数変換をした ほうが落ち着いた分布になって、ヒストグラムも非常にきれいになっているということです。対数正 規分布を想定した値が非常に落ち着いた値として出せるのが、共通して言えるということです。  あとは、今日出していただいたのは信頼区間なので、信頼区間というのは、大体90%ぐらいの集団 が入ることが期待される区間ですが、その入ることが期待されるというレベルをさらに確率的に保証 するという許容区間という考え方があるのです。そこまでやるかやらないかという判断はあるものの、 いずれにせよBという方式はかなり安定しています。先ほどのお話を伺った限りは、許容区間という話 に進めることもあり得えます。それも一応よく規制値等で使われている考え方ではあります。  あと、Cはかなり特殊な考え方なので、AとBの中で見ていていいのではないかと考える次第です。 ○名古屋座長 あと1点、Bの所の信頼の上限値を、これは90、我々だったら5%でも、95といったと きに、少し変わるのですか。その辺はどうですか。 ○加藤 当然変わります。コバルトですと、これが90%が0.41ですが、これを95までいきますと 1.04で、かなり増えます。要するに、裾がずうっと延びるので、うんと延びるので。 ○櫻井委員 90ぐらいでいいのではないですか。 ○名古屋座長 どうですか、その辺は。 ○圓藤委員 n=20以上ないとまずいわけでしょう。 ○山口 対数で取って。B、自信のない部分がありますよね。 ○加藤 だから、変換したところで少しこうなのだけれども、元に戻ると、ピョーンとかなり大きな 値に飛んでいってしまうのです。ですから、数値で、こちらでそれほどではないのだけれども、こち らだと倍以上に。 ○名古屋座長 だから、作業環境などの評価を見ていて、95というのは、それと整合性を取ろうかと 思った数値ですが、データから考えても90のほうが。安心のところ、あえて95を選ばなくていいのか と少し思いますとどうします。行政としてはどちらが。90の上と90の安心感がないと、これはあとで 決めましょう。 ○櫻井委員 ただ、NIOSHなども90を採用しているというのが1つのサンプルになりますね。 ○名古屋座長 今回の統計学的処理を見ていて、すごく安心して、よかったなと個人的には思います。 データのいままでの取り方と、いままでの評価法を使っていくと、これは使えるなという気がしまし た。ほかにいまのうちに気になって聞きたいことがありましたら、どうぞ。よろしいですか。 ○化学物質評価室長 先ほど細田さんのほうからご指摘があったのですが、大企業と中小企業で、1人 の労働者、従業員の方と5人の方がいらっしゃった場合に、片方の所から5人取りますと、片方の所か ら1人いるから1人取りますという形のサンプリングとしていった場合に、その大企業の5人の部分の データが多くウエイトをかけられるという形になってくるというご指摘をいただいたと思うのですが、 本来、そういう場合にはどういうサンプリングの方法が考えられるのかということで、統計上何かご 示唆をいただけるものがあったらお願いしたいと思ったのですが。 ○圓藤委員 いまの大企業の5人というときに、全く同じ作業の5人なのか、作業が違う5人だったら、 別に企業が大企業であっても違うわけですよね。 ○細田 作業の同じ場合とそうでない場合があります。それもケースごとですから、結果としてはラ ンダムになっているのかもしれませんが、印象に残るのは、同じ作業のほうが。 ○圓藤委員 できるだけ違う仕事を選んでやっているのでしょうね。 ○細田 最低限はそうです。 ○圓藤委員 だから、それでいいのではないですか、違うものというデータとしては。見た目は同じ、 会社は1つですけれども、作業が違う。だから、ばく露が違うということでいいと思います。 ○化学物質評価室長 念のため聞かせていただきます。先ほどもう1つのご指摘は、ある企業は非常に 悪い環境でやっていると。企業としての単位でいい悪いというのが出てきていたものですから、その あたりのバイアスというのかウエイトというものの重要性はどうかと思ったのですが。 ○圓藤委員 それもあってもいいと思います。 ○化学物質評価室長 それも踏まえても作業者単位ということで、グループと事業所グループという のは、あまり見なくてもいいでしょうかということですね。 ○圓藤委員 ばく露実態ということで考えたらいいのではないですか。どのようなばく露があるかと いうことを、作業者がモデルになっていると思ったならば。 ○名古屋座長 いま取られているものも、それがコバルトならコバルトにしても、あえて選択してい るわけではなくて、作業で取っているわけですよね。要するに、先ほど言ったように、大企業が5人い て、小企業は1人いれば、その中でやっているわけではなくて、アトランダムにばく露として取ってい るわけですね。そうでもないのですか。 ○細田 アトランダムという言い方ができるかどうかですね。というのは、いまの話を聞いて私とし てはいまのでいいのではないかと思っているのですが、最後に規制を受けるときに、例えば受ける業 界がデータをよく精査したら、ある特殊な目的の作業だけでこのような高いものを出しているではな いかと。「私の所は別の用途で使っている。それがそのデータによって規制されるのはおかしい」と いう意見があるとしたら、そういう見方で見たときに、我々の思ったものが本当にその分になってい るだろうかと。みんなを代表しているのだろうか。もしくは、たまたま出てきたのが、いま言ったよ うに人数を多くした事業所のデータが代表していないか、ある用途が代表していないか、ある作業が 代表してないか。作業だったらいいと思うのですが、用途だとか、ある特殊な企業だけが代表してい た場合に、そういう歪があるのではないかどうかというのが私は心配だと思うのです。 ○名古屋座長 それは先ほど言ったように処理ではなくて、処理をする前のことでやればいいだけの ことであって、それはあとの処理に持っていくための、どういうふうにしてそのデータを括るかとい うことだけで。 ○細田 いまのはその処理をするという意味での質問で、そういうことがないようにサンプリングす るにしたらどうしたらいいのでしょうか、という質問だと私は理解したのです。 ○名古屋座長 下手したらそのようなことは関係なく全部処理してみたときに、OKだったら、それで もいいわけです。ただ、そのときにイレギュラーがあったときに、初めてそれはなぜ起こったかとか 原因を検討して、それは母集団の所の取り方が悪いのだということで戻ってもいいわけです。 ○細田 そうですがね。 ○名古屋座長 要するに、トータルしてOKだったときというのは、それはいろいろな作業とか企業と か、そういうのは関係なく本家が言っているわけだから、それは作業にかかわらず物質を取り扱った ときにOKだと。でも、もしそれが違ってあまりにも大き過ぎたときに、その母集団はなぜこれは起こ っているのか。それは統計的に入れるときの選別が悪かったから入ってくるのだと戻ってもいいわけ だから、そこはできるのではないかという気がします。だから、手法としてはこの手法は使えるいい 手法だと位置づけておけば、そこのところをうまく使うことによって処理ができるのかなと、個人的 には思います。 ○細田 最初から設計的に戻らないでいいように選ぶには、どうしたらいいのでしょうかということ ですね。 ○名古屋座長 それがいちばんいいですが、E2としては選ぶのは難しいかもしれない。現場によって 違いますし、協力する方も違いますから、企業さんがやっている事業を邪魔しない程度に測定しなけ ればいけないわけです。そうでないと実態と違うということを考えると、そういうことはあるのかな という気がします。 ○棗田 逆に、私は実態の調査をしていて、若干低いデータが多くなっている可能性はあるのかなと 思っています。これは企業の要望などをこちらで、ばく露がないかもしれないけれど、それを確認し たくて取っているデータも一緒に混っていますので、そういったデータが効いてきて、どちらかとい うと下のほうが多くて、上のデータのほうが少ないというのが実データ的にも反映しているのかなと いう印象を持ちました。 ○名古屋座長 先生がおっしゃったように、意外と下が入ってきても、分布に対する分解分布はあま り関係ないのではないかという気がしますね。 ○細田 A、Bについては少なくともあれですね。Cだけが私の言ったような心配が考えられるわけです ね。 ○名古屋座長 そうですね。 ○加藤 このデータが何なのかはあとからでも追えるので、先ほどおっしゃったように何か特別なと か、逆に言うとこことここが多じ会社の同じ所とか、そういうのも調べようと思えば調べられると思 いますので、そこはカバーできそうな気がします。それから、母平均を推定するのであれば総別比例 のようなことがあるのですが、目的が大きいほうを知りたいということだから、あまり気にされる必 要はないと思います。 ○化学物質評価室長 もう1点この場でご結論をいただきたいのが、当初我々は統計の専門家の皆さん が入られる前は、NIOSHのデータを使ってその手法をと。UCLという手法を使ってみたらどうだろうか ということでご議論をいただいたのですが、いまそれに関しては多少統計的に、本来母平均がわかっ ていないような状況の中でお使いになっているのではないかとのご指摘もあります。また、いま事業 場あるいは作業者という広がりの中での差を見ていただいている中で、NIOSHの場合には分析手法とい ったものの違いを基に差が出るのではないかということで使っておられる手法だと思うのです。これ を2つ並行して採用すべきなのかどうかということなのですが。 ○櫻井委員 要するに、1日の分割サンプリングでしょう。私は採用する必要はないと思います。 ○化学物質評価室長 いまこちらでご議論いただいた統計的手法を取っていただくということで、当 初予定したUCLやLCLは基本的に参考で、議論はしたということでよろしいですか。 ○櫻井委員 私はそう思いますが、皆さんはどうでしょうか。 ○名古屋座長 そう思います。アトランダムなデータがこれだけきちんと入ってくると、NIOSHの場合 は分析とかいろいろなことを入れなければいけない。ましてや、1つの固体の小さな単位の中でのばら つきしか見ていないし、分析手法と比べると、こちらも実際データを取ってみると、いろいろなばら つきの中でこれだけ入ってくると。こちらの手法のほうが合っているのかなと私も思いますので、こ ちらのほうがいいのかなと、個人的には思います。 ○櫻井委員 もう1つ言いますと、NIOSHは1日を分割サンプリングすることによって、同じ人を2日、 3日測らなくてもいいようにしようという、それだけのことなのです。 ○細田 データ数を減らすと。 ○櫻井委員 だから、本当は2日間連続で測るのがいちばんいいと思うのです。それは作業環境のとき と全く同じなのです。つまり、もし2日間連続でやると、そのばらつきが入ってくるわけです。 ○細田 企業内でやることを前提としていると思うのです。同じ事業所で。そうすると、私が昔やっ たのは、人に注目するのです。作業者が何人いるか、その中でグループをグルーピングして、高いほ うを3が近いグループの何人かを取って、それをさらに分割すると、同じ企業ですから同じ作業をして いるわけですし、労務管理も一緒ですから、それで精度が高く取れるということだと思うのです。事 業所が全部違っているのをそれでやるというのは、かなり難しいのではないかなと思います。 ○名古屋座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、本件につきましては本日 の意見を踏まえてもう一度事務局でまとめていただければと思います。  次の議題に入ります。本日は、前回「新たなばく露ポイント」ということで検討しましたので、ガ イドラインについて資料3-1について説明していただきたいと思います。 ○化学物質評価室長 それでは、いま現在議論をいただいたものも含めて、ばく露表価ガイドライン ということでまとめる方向で、事務局から案を提案させていただきます。資料3-1、資料3-2はそれに 対応したフローチャートですので、見比べながらお願いします。  時間もないようですので、ポイントだけご説明します。このガイドラインにつきましては、1頁に書 いてありますように、ばく露評価の手順の明確化をするという目的と、ご議論いただいたように「初 期リスク評価」と「詳細リスク評価」の2段階でやる必要があるということですので、その2つの手順 を含めるものであるということです。その下の1「初期評価」ですが、これについては基本的にはご案 内のとおり、最初に「有害物ばく露作業報告」ということで事業場から報告を求める段階と、それを 基に実際に調査に入るという2段階の対応をしているということが書かれております。  2頁です。「ばく露評価の具体的手順」ということで、データの収集ですが、これについては2(1)の 1)にあるような国の統計、既存文献、今日来ていただいている日化協を含め、関係業界団体からの情 報提供を踏まえて情報を収集するということです。併せて国の法律に基づく義務ですが、有害物ばく 露作業報告ということで、それに関する情報を入手するということでしたが、この場でご議論いただ いて、1つは事業者が報報するそれに関する負担の軽減と、500kg以下、あるいは少量の生産について も把握ができるようにということを考慮いただいたところ、1次報告、2次報告の2段階のスクリーニ ング方式を取ることの結論いただき、1段階目では製造・取扱い動向の報告、2段階目では作業実態の 報告ということでやっていただく形になっております。  第1次報告については、ご覧のようなスケジュールで進めていただくということです。3頁のいちば ん上に、具体的な報告事項ということで書いたものがあります。これについては、第1次報告では特に 使用動向の把握ということで、対象物質の取扱量・用途についての報告を求めるということですが、 具体的な報告項目としては、そこに大きく分けて3つほど挙げております。  「事業場にかかる情報」というのは、いままでどおり事業場の名称、所在、代表者名、労働者数等 を求めていくということです。「報告対象物にかかる情報」は、ごく簡単な情報を得るということか ら、用途情報、取扱量、これは年間の使用量です。また、報告対象物の性状、どのような物質かとい うことで、例えば粉状であるか一般的な固体であるかとか、ガス状のものか蒸気圧がどのぐらいかと いうことで蒸気になっているか等を、簡単に選択肢等で回答していただくようにしたいと思っており ます。3番目の「作業にかかる情報」については、作業の種類、それに関わる作業者数、年間・月間の 作業回数、1日当たりの作業回数、1作業当たりの作業時間、取扱い時の対象物の温度、発生抑制装置 の種類といった情報を取るということで提案をしております。  これについては、いままでのご議論の中で、モデルを活用したりすることを前提に、そういった情 報を集めるということもご議論いただいたので、5頁に「コントロール・バンディングの入力様式」を 参考までに付けております。それについては細かい資料ですので、参考資料のほうにも併せて付けて おりまして、参考資料2です。同じものが付いておりまして、上から3枚目の表ですが、これはコント ロール・バンディングのうちドイツの連邦労働安全衛生研究所で扱っているものです。例えば、液体 と固体ということで2種類のものが付いておりますが、固体の部であれば「粉塵の発生バンドの定義」、 性状ということでどのようなものを使っているか、2番目として「使用量のバンド」、グラム単位で使 っているものなのか、キログラム単位で使っているものなのか、トン単位で使っているものなのか。 また、短時間のばく露かどうかを確認する中で、8時間のシフト勤務の中でどのぐらいの作業をしてい るか、それは15分を超えているものかどうかを基準として入れていただいているようです。制御装置 については、全体換気、工学的な制御、これは局所排気装置、プッシュプルといったものが入ってく るようです。また、3番目として密閉化されているかが選択肢になっております。  こういったものを踏まえて、いちばん左下ですが、「ばく露の可能性のバンド」ということで、そ れぞれバンド分けをするという分類がされております。それを踏まえて制御手段を含めると、いちば ん下の右ですが、予測されるばく露のレンジということで、固体の場合には、このバンドに入ってく ると、その下に入ってくるのが実際のmg/m3の値のバンドだということですが、こういった形でそれぞ れバンド分けがされるということですので、こういったものの使用が有効ではないかと考え、そうい ったものを入力できるような項目を選んだ次第です。  先ほどのガイドラインの3頁に戻ります。報告対象者ですが、1年間の500kg以上の製造取扱いのあ る事業場だけを基準にするということです。これについては、ご議論いただいたようにその他のいろ いろな条件は一切なくして、機械的に出していただくということが趣旨ですが、500kgについては国の 義務ということもあり、それ以下のものを義務的に取るのは難しいという判断です。  次の2次報告については、1次報告で選抜をされた人たちに対して調査をする仕組みになっておりま す。選抜の手段については4頁に書いてありますが、先ほどのモデルを利用して取ることと、事業場の 数については一定の統計的な妥当性があるように取っておりますので、先ほどご紹介いただいた加藤 先生の情報等を勘案して決めていく必要があると思っております。  6頁です。選抜された2次報告の対象者に対して、今度は作業場の状況、作業実態についての報告を 求めることが1行目から書いております。その際の報告の項目に関しては、以下に関するようなものと いうことで、事業場にかかる情報、これは1次と同じです。2番目としては、作業にかかる情報として 作業室等の規模と、屋外・屋外、通気の状況を報告いただくこと。工程別の作業内容ということで、 工程別の概要、手作業、機械作業の別、工程別の作業従事者数、工程別の1日当たりの化学物質取扱い 量。工程別の作業頻度ということで、頻度の場合は以前にジョブアナリシスということで細田さんか らもご紹介いただいたように、月単位あるいは日単位、それぞれいろいろな形で頻度が違ってくると いうことがありましたので、月当たりの頻度、作業者1人当たりの頻度、これは労働のシフトも考慮し たいということで入れております。1日当たりの回数、年当たりの回数、1回当たりの作業時間、実際 の対象物の温度、あるいはどのような性状のものを使っているかを工程別に確認するということです。 発生抑制装置の種類についてはさらに詳しく、保護具の使用状況についてもさらに詳しく聞いていく ことになっております。併せて、作業環境測定の実績があれば報告していただく。また、一般的には 「作業主任者」と言いますが、規制対象になっていないものであれば「作業指揮者」の配置がされて いるか、作業手順書の整備がされているか、リスクアセスメント等が実施されているかどうかを聞い ていくようにしたらどうかという提案です。  それを踏まえたばく露調査につきましては、いま中災防でやっていただいている実際の実態調査に ついて、対象事業場の選定も同じようにモデル等を使って、実際にばく露の高い所を選定するような 提案をしております。その際に利用するばく露評価に活用可能なモデルについては、7頁の5行目から 書かれておりますが、そこに挙げたものは花井先生、その他の先生方からご提示いただいた自社方式 を初め、その他のものです。こういったモデルをうまく使いつつ、ばく露の高い所を選んでいく形に したらどうかということです。  ランダムサンプリングしかできない場合については、NIOSHがやっているような作業者のランダムサ ンプリングの手法を使うということで、ランダムサンプリングの実際の必要サンプル数は先ほどご紹 介いただいたとおりのものが書いております。  8頁です。ランダムサンプリングの方法としてNIOSHが乱数表を使うということでしたので、そのや り方を載せております。3行目に「乱数表の使い方」ということで書いております。これについては、 加藤先生とご相談しましたら、乱数表に関しては日本のものがいちばん優秀であるとも伺いましたの で、場合によってはそれをこれに代えて乱数表を使うことにしたいと思います。  ばく露実態調査については、実際には事前調査と実測の2段階でやっていただいておりますが、特に 事前調査では内容を把握する、ばく露の高い作業者、作業者の推定ばく露要因の分析が可能な形でや ったほうがよいとのご指摘がありましたので、9頁の6行目からそれに関する調査項目を書いておりま す。多少一般的な事項もありますが、調査項目は2次報告の内容の確認、作業環境の状況として作業環 境の概要、発生抑制装置等が実際に稼動されている状況、保守点検管理の状況、発生抑制装置がうま く配置されているかどうか、関連施設として洗浄設備や休憩施設の設備がなされているか、特に作業 者の作業体系は事業場によって大きく違っているので、勤続年数、勤務のシフトの状況、作業従事者 の状況として、1シフトにおける作業従事者がどのように作業しているかという従事作業の状況、作業 時間、保護具が適正に着けられているかといったものについても併せてお聞きいただくのがいいので はないかと。個人ばく露の測定対象者の選定、作業環境測定の実績もその項目に挙げておりますが、 これも提案ですので、ご検討いただければと思っております。  「調査実施上の留意点」ですが、これについては特に国の作業であることを明確化することと、守 秘義務、ノウハウ情報が公表されないことを保証すること、事前の調査ではいつ実測ができるかも調 整をするということが書かれております。  9頁の最後から次の頁にかけて、ばく露濃度の実測です。これについてはいままでと基本的には変わ らないということですが、実測をしていただくということで、実測の方法については10頁に手順とし て8行目からサンプラーを選定していただく、共存物質の有無の確認をしていただく、作業者に対する 説明をきちんとしていただく、呼吸器にサンプラーを装着していただいて、場合によって液体捕集等 で使われるインピンジャーのようなものについては、特に取扱いに関する注意喚起をするといったこ とについてお願いをしたい。  測定については、先ほどUCL等を改めてセットする必要はないということだったので、原則2分割方 式のサンプリングで、お昼等にサンプラーを交換していただくほうがいいのではないかということで す。これはUCLを取るという意味ではなくて、サンプラー自体がうまく機能していない場合には変なデ ータが取れてしまうので、2回に分けて取ったほうがいいのではないだろうかというご提案をいただき ました。併せて、測定の開始時刻、終了時刻を記録するということです。サンプラーの回収・保管を して、測定分析をしていただくということです。  Bの作業環境測定、A測定については、国の作業環境測定の基準に基づいてやるべきということです。 スポット測定については、いまやっていただいているようなものを、特にばく露の多寡を確認する目 的、ACGHI等で短時間のばく露、あるいは上限値が決まっているものについては、これとの比較ができ る形でスポット測定を行っていただきたいと書かれております。  精度要件ですが、過去のものについて、多少精度要件がきちんと守られていなかったものもあると いうご指摘をいただきましたので入れさせていただきました。これについては、前回ご指示をいただ いたように、作業環境測定のガイドブックを引用して作っております。12頁からですが、測定手法関 係では回収率は80%以上にすること、また27行目に書いてありますが、固体捕集の場合においては脱 着率が関係していて、現状の基準は80%としておりますが、回収率との関係でこの値がいいかどうか は改めてご議論いただければと思っております。それに関しては、脱着率の場合は直接添加法等が入 っておりますが、前回加熱脱着について精度の高いものを得るためには、この方法が必要であるとの ご指摘いただいたので方法を入れております。中身については私どもの能力を超えておりますので、 名古屋先生等にご相談をさせていただきたいと思います。  実際にサンプルしたものの保存性についても重要な意味があるということで、ここでは5日後に90 %以上となっておりますが、これは事務局が勝手に入れたものですので、改めてご議論いただければ と思います。いずれにしても、確認手法はいま中災防で行われている手法、11行目にある[1][2][3]でや っていただいているようです。  「分析手法の関係」ですが、検量線の直線性を確認する必要があるということで、特に有機溶剤に ついては0.999ぐらいの基準があっていいのではないかという提案を前回いただいておりますので、金 属と有機溶剤を分けた形でR≧0.999とかR≧0.99という形で入れております。  定量下限値は、基本的には我々が目的とする評価値の10分の1のレベルで測れるものということで、 それをガイドブックから参照したところ、あまり使われていないようですが、吸光光度分析法につい ては13頁から14頁の頭に図がありますように、吸光度が0.03の部分が標準液の濃度ということで、 定量下減値がSなので、これが10分の1になっているようにやったらどうかという提案です。その他 の分析法による定量下限値には10σが基本だと伺っているので、それを入れております。  ばく露シナリオの部分については、前回きちんとしたばく露シナリオを作成してやるべきとの指摘 を受けております。ばく露シナリオの概念が十分わかっていない部分もありますが、作業工程をきち んと確認して、どのようなばく露形態を取るかということだと理解しましたので、14頁の48行目にそ の手順として作業工程を確認し、作業工程ごとに対象化学物質の使用実態を分析することと、それを 使っている作業者の作業実態を分析すると書いております。具体的には15頁で、これはあくまで表の イメージですが、工程ごとにそれぞれどのような作業になっているかを確認していくような表を入れ ております。併せて細田さんからお話を伺っているように、いろいろな作業に就く可能性があると。 違う枠のシナリオを取る作業に就く労働者もいるということなので、作業者ごとの従事状況の表は別 途定める必要があるということで、ここに検討中のもの、項目だけ入れております。  次の頁ですが、TWAを算出することに関してはご議論をいただきましたので、TWAの算出ということ で入れております。そのTWAの整理表、あるいは算定式を入れております。  経皮ばく露の推定については、間に合いませんでしたが、先ほど見ていただいたモデルの中にいく つか、Risk of Derm等のモデル、経皮ばく露の評価の提案をしておりますので、そういったものをベ ースに作成したいと思っております。発がん性の確認については、一次評価、二次評価は有害性のリ スク評価の手法に書かれているものに従って、閾値があるかどうかを確認するということです。  17頁です。リスク評価ですが、一次評価、二次評価の2段階にするということで、ここでは一次評 価ではTWAの8時間の最大値が一次評価値を超える場合は二次評価に進むといういままでの流れを書き ました。整理表は、その下の20行目から書かれているものでイメージしております。  要因の解析ですが、二次評価なり高いばく露が確認された場合には、その要因の解析をする必要が あるということで、それに関するものは18頁に要因の表を入れております。それについては、事務局 の提案としてばく露シナリオごとに、高い判定が出た場合に、その判定の理由・根拠を、個別のデー タを先生方に確認していただいた上で書いていくという、どちらかというと個別対応ということで表 を載せております。  それを踏まえた詳細評価ですが、基本的な流れは同じで、詳細評価においては追加情報を取って、 さらに精査していただく形になっております。それについては、いままでご議論いただいたものをそ のまま書いておりますので、同じだということで割愛して、最終的なものは追加情報を踏まえて、そ れぞれのばく露シナリオの整理表が20頁、TWAの算定がその下に書いてありますが、同じ手続きを踏 んで要因を解析していくということです。  要因解析の結果ですが、21頁の20行目にあるように「解析結果を踏まえ、とるべき措置を判断する こととする」ということで、判断のものについては22行目に「作業工程に共通する問題と判断される 場合には以下の対応をとる」と書いてありますが、ばく露ガイドラインという意味からすると、ここ まで踏み込む必要はないという指摘を前の議論で唐沢先生等からもいただいておりますので、ここは 改めてご検討いただければと思っております。  ここに書いてある以下の対応というのは、22頁のフローチャートの中に入っております。下のほう の23行目、「規制又はリスク管理手法を検討する」という部分に4つ四角がありますが、「作業場の 指導・監督」、「必要に応じ具体的な措置を検討」、あるいは「リスクは低く、自主的な管理を要 請」といったものがそれに当たりますが、ガイドラインとしてここまで定める必要があるかどうかは 改めてご検討いただければということです。 ○名古屋座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明についてご意見をお願いします。 いままで議論してきたことをかなりまとめてあるので、よくまとめられていると思います。まだ若干 検討すべきところもあると思いますが、お気づきの点だけいただければと思います。 ○櫻井委員 10頁の上3分の1ぐらいに、「原則、2分割方式のサンプリング」とありますが、実際す べて2分割にするとしたら、NIOSHが言っているようにそれの平均値と分散を推定して、UCLを計算で きるわけですよ。つまり、2分割しても、今回は、実際は平均値を出してその数値を使うだけですから、 2分割を必ずするつもりならば、NIOSHを原則として採用は可能なのです。少し安全サイドに行くので すが。 ○棗田 基本的には2分割でやることは可能なのですが、1つ問題は、一次評価値が非常に低い値なの で、それをクリアするとなると採気量を稼がなければいけないのです。そうすると、全部2分割できる か確約できないところがあります。二次評価値の濃度であれば、おそらくほとんど2分割でいけると思 うのですが、10-5が一次評価値なので、この値だと厳しいかもしれないと思います。 ○櫻井委員 そうすると、原則というか、できるだけ2分割ということですか。 ○棗田 はい。 ○櫻井委員 2分割にする利点は何があるのですか。要するにNIOSH的な、つまりばらつきを考えて少 し安全サイドに持っていこうということでないなら、特段の利点はないのですね。 ○棗田 そうですね。単純に言うと、2分割にしている意味は基本的に昼食・休憩時に外したいという 要望が多いことと、最近OSHAなどでよく言われているのが、4時間以上サンプリングすると問題が発 生することが非常に多いことが指摘されていますので、そうすると早目に外してやったほうが、一度 取ったものが抜ける可能性があるという報告がありますので、その辺りはうちでやるものは8時間引い て検討しなさいというようにしているので大丈夫だとは思うのですが、そこまで検討していなければ4 時間で検討すると。 ○櫻井委員 当然、昼食時は外しますね。外したら新しいものに変えると。それだけのことだと。そ のほうが、いろいろな面で安全だということですね。 ○棗田 はい。 ○名古屋座長 だから2分割にこだわらないで、もともとここに持ってくる評価は、TWAの計算法は別 に2分割でなくても一緒なのだから、それにこだわらなくてもいいと。それだったら精度を担保するほ うがいいということですね。 ○棗田 そうですね。 ○名古屋座長 あとであれしてみましょう。 ○櫻井委員 もう1つ、「ばく露シナリオ」という言葉を使っているのですが、少し違和感があるので す。なぜかというと、ばく露シナリオというのは、いまの使い方はばく露シナリオに合わせて評価値 を決める、許容濃度とかばく露限界値。つまり、ばく露シナリオが労働環境だったら1日8時間、週 40時間ばく露であるとしたら、許容濃度は何ppmにしますと。もし、ばく露シナリオが一般環境で1 日24時間、連続というシナリオならば、ばく露限界値は労働環境よりも当然低い数字に決めると。そ ういう使い方なのです。例えば、一般環境ではなくて、製品のユーザーがどのようなばく露をすると したら、そのシナリオに合わせてユーザーを守るためのばく露限界値はいくつにするという使い方で す。ですから、この場合はばく露実態を明らかにして、ばく露シナリオに沿った換算をすると。つま り、1日4時間だけばく露しているのだったら、ばく露シナリオは8時間で決めてあるわけですから、 2分の1にすると。その換算をするためのばく露実態の調査ということになると思うのです。 ○名古屋座長 使い方ですね。 ○化学物質評価室長 細かな所はご相談させていただきたいと思います。 ○名古屋座長 あと、お気づきの点はありますか。 ○棗田 1つは、コントロール・バンディングをやるという話になっているのですが、3頁の1次報告 のところに、コントロール・バンディングの場合だと1回当たりの使用量が必要なので、別に1次報告 のところに作業回数等がどこまで要るかは別ですが、少なくとも1回の使用量がないとこの様式に入れ ることができないので、それは聞いていただかないといけないのかなと。  それに関連して、ここで折角EASEモデルをコントロール・バンディングでいっぱいやる形になって いるのですが、7頁で2次報告でもう一度やるところにコントロール・バンディングを持ってくる意味 はほとんどないのではないかと思います。すでにそこで高いところをあれして、細かい報告項目を見 て、ここでもしばく露をモデルで推定するとすればもう少し細かいモデルで推定しないと、もう1回同 じバンド幅が出てきても全く意味をなさないので、ここに自社方式も含めてEASEとコントロール・バ ンディングなどはEASEは別なですが、自社とコントロール・バンディングに関しては除外してもいい のではないかなと思います。 ○櫻井委員 ドイツ連邦安全衛生研究所の手引書もコントロール・バンディングではなかったですか。 ○棗田 そうですね。 ○名古屋座長 たぶん、事務局としては、1次のところにコントロール・バンディングの項目を持って きたほうがいいということで持ってこられたのだと思うのです。  ただ、もう1つお聞きしたいのは、従来の1次モデルとコントロール・バンディングを置いたときに、 何が付け加わったかがわかるとありがたいですね。いままでやってきた1次報告書の情報と、コントロ ール・バンディングを入れたことによって何が加わったか。要するに、いままでの1次報告の中で、ど うしてもこれがなかったらイレギュラーするというものがなかったら、逆に言うと現行のほうがいい のかなと。慣れているし、漏れていないのだったら。そこで漏れていなくて集まったものを精査して いく中で、2次のときにきちんといままで漏れていたものをコントロール・バンディングの中に入れて いくほうが、1次はなるべく楽にして集めるための情報を得ようということで2段階にしている部分を、 1次であまり厳しくしてしまうと、次の付いてくるときに大変かなと。まだ書いたことがないので変な のですが、ここでそんなにコントロール・バンディングで縛ることはなくて、ここはいままでどおり で、もし何もなかったらこのままで、いままでどおりで1次はいいのかなと。2次のところで調べると きに、少しその思想を入れて項目を増やしていくほうが、流れとしてはいいのかなと思うのですが、 どうでしょうか。 ○細田 この方式は1次で、予告のグループから候補を選ぶかを絞り込むために1次をやっているので す。 ○名古屋座長 ここまで細かいことは要りますか。 ○細田 要らないと思います。だから、おそらくいままでの1次で十分だと。必ずしも大きい所だけ選 べなかったのを、精度を高める意味があるのではないかと思うのです。 ○化学物質評価室長 初期の段階で有害物ばく露作業報告はいま1回して取っておりませんので、その 報告の内容はいまここにある1次のものと項目は違うのですが、1次の項目プラスアルファで取ってい るのがいまの1次報告です。いまはどちらかというと絞り込んできていると。ただ、統計的な処理をす るために、メルクマールとして公平な基準を設けなければいけないということで、その手法を探して いただくほうがいいのだろうとモデルを入れたわけです。いままで、物質の使用量とか従業員数とい う形の一部のファクターを利用して選んでいたものですから、併せてそのあと中災防で選んでいただ いているのは、いわゆるExpert Decisionというか、専門家から見てこれは高いだろうということでや っていただいたので、ある意味それは正しいのだろうと思うのですが、申請が入るということだった のでこのようなことを入れたのです。 ○名古屋座長 わかりました。これはどうなのでしょうか。ここをまとめるときに。 ○山口 これは最大の項目であって、場合によってはすべて求める必要がないものなのではないです か。「以下のとおり」だと、すべてやらないという意味ですね。「最大ここまでやることが望まし い」とか何かにしておけば。 ○名古屋座長 そういうことですね。項目を減らすのではなくて、書けるものは書きなさいというぐ らい。 ○山口 これは最大だよ、ということにしてもらえばいいのではないかと。 ○化学物質評価室長 そうしますと、事務局である我々が2次報告の選抜をしなければいけない状況に なったときに、どの項目で選ばなければいけないかということについてご議論いただかなければいけ ないと思うのですが。 ○山口 断定的に実施しないと。 ○名古屋座長 公平に入れる項目は必ず入れておいて、多かったら少し削ることにしないといけない ということですね。 ○化学物質評価室長 その辺りのご議論はあとでもいただけると思いますので。 ○名古屋座長 たぶん、次回は17日までありますので、それまでに意見をいただいてまとめるという ことでよろしいですか。 ○化学物質評価室長 一応もう1回予定しておりますので、細かな部分は書面でいただければありがた いと思います。 ○名古屋座長 それでは、特に現場を担当されている方が、いまのものと、この項目を見て、ここは1 次としてはつらいかなという部分があったら削る形でお願いできますでしょうか。それは17日までに 事務局にご意見をいただけるようによろしくお願いします。 ○細田 同じようにこの次の議論でいいのですが、TWAでシフト12時間交代というのが結構あるので す。そのとき自動的に計算すると、測った数値より高い数値になるのです。1週間のアサインメントが 同じ時間数なので、考え方によってはそのままでもいいではないかという見方もあるのです。1週間の 労働時間が決まっていますから、3分の1に分けて1週間でシフトを4回やるか、2分の1に分けてそ のシフトを3回やるかみたいな感じですから。 ○名古屋座長 その作業は意外と多いのですか。 ○細田 まあまああります。12時間ですから。 ○圓藤委員 3交代だから。 ○櫻井委員 週40時間が同じであるならば、いいのではないかな。どうでしょう。 ○細田 当然、その物質の副作用の表れ方も考えなければいけないとは思いますが。 ○圓藤委員 1回については、1.5倍を割っていたのですよね。12時間のときは、3分の2にしなさい とか。 ○櫻井委員 やはり1日で安全策を取っていたって出ますしね。 ○櫻井委員 現場のデータも、そんなに厳密でないのを1日8時間でやっていますから、完璧に数字で 割り切らないで、1日12時間だったら1日で勝負ということで1.5倍にしていますから。 ○細田 安全サイドで見ればそうですね。 ○櫻井委員 そうですね。 ○名古屋座長 これを持ってくるときに、たぶん困ると思いますので。 ○圓藤委員 8時間で。 ○名古屋座長 基本は8時間に直すということで。あとはよろしいですか。 ○棗田 スポット測定なのですが、ここで言っているスポットはいくつも読み取れるスポットになっ てしまっているのです。11頁ですが、個人ばく露の多寡の要因分析が可能というと、短時間の場合に はその作業時間等とするという形になりますが、これでSTELを測定しようと思うと、15分だか25分 だか、そういう形の計算にしなければいけないのです。そうすると、その分数を取らないと評価がで きなくなってしまいますので、どちらを主眼に置いてやるのか、それともそれも含めて別途STELを取 るのかというところがあります。上限値は瞬間だからいいとは思うのですが、どの取り方をしてどれ で比較するのか、この辺りが決まっていないと、実際に調査するときに、うちが指示を出すのに厳し いので。 ○細田 別の頁は、計算で15分に直すとなっているのですが。 ○名古屋座長 いまやられている手法のとおりに文章を直しては駄目なのですか。 ○棗田 それでよろしければ。 ○名古屋座長 いままでやられているのも、スポット測定をしているものを文章に書くとこうなって いるけれど、その文章の理解が違うのだとしたら。 ○細田 STELと比較するから15分なのだという感覚でいくと、いまの測定ですと実質作業時間でやっ ていますから、例えば7分35秒だと、15分に直すためには半分に評価すると。そういうことがいいか どうかという問題だと思うのです。 ○棗田 そのように評価するのであればそれでいいのですが、測定として7分35秒でやめていいかと いう。 ○細田 それをやった場合、測定のデータが精度を出せるかどうかという問題が出てくるわけです。 ○圓藤委員 STELと言わないで、高い濃度を検出するでいいのではないですか。B測定のような考え方 で。 ○細田 いまはそのように測定されているのですか。 ○名古屋座長 目的としてはそうです。 ○圓藤委員 それでいいと思います。 ○名古屋座長 現実にあるスポット測定でいままで評価してきているわけですから、ここの書きぶり を17日までに意見を出していただいて、検討しましょうという形でよろしいのではないかと思います。 そこでまた議論しましょう。 ○櫻井委員 あくまで、例えばACGIHで出しているShort Time Exposure Limitを使って、我々も本当 にそれを超えていたら引っかけてしまうのだとするかどうかという話なのです。いままではまだやっ ていないのです。 ○名古屋座長 ここではなくて上で決めるという話になりませんか。 ○櫻井委員 そこが問題なのです。 ○化学物質評価室長 前回はSTEL値なりシーリング値のみならず、産衛学会にお話をしていただいて、 スポット的なところで高い濃度が出ている場合に、5倍とか10倍の値でアクションレベルを作るかと いうご議論をいただいていたと思うので、ここでもご議論いただけるものと私どもは理解しておりま した。 ○名古屋座長 これは非定常作業ではなくて、スポットとして同じような形に考えてよろしいのです か。前の議論は、非定常作業の規制のときに100倍、10倍あったときにいやだねと、アクションレベ ルにするか1.5倍ということで、低い5倍か10倍にしようねということで、あくまでも非定常作業と いう形の評価を考えていたのですが、それをスポットにも入れる考え方にするのでしょうか。 ○化学物質評価室長 我々は特にそこにポジションを持っているわけではありませんが、この場でそ の辺りを安全性の観点から決めていただければ。 ○圓藤委員 これは1次評価値を超えても駄目なのでしょう。2次に行くのですよね。もっと数値が高 くても。 ○名古屋座長 スポットは発がんのとき。 ○櫻井委員 1次評価値ではなくて二次評価値で。だから、二次評価値は1日8時間のばく露シナリオ で決めてある2次評価値は超えない。超えないけれども、短時間ばく露は相当高い数値になる場合どう するかということです。STELが決めてあるのだったら、それを使うか使わないか。 ○名古屋座長 だから、STELが決まっているものについては、ばく露のときも10か15に決めなけれ ばいけないし、かかっていないものについてはいままでどおりとするかどうかですね。 ○櫻井委員 STELは一体何倍ぐらいか、いろいろですよね。我々もあまり使ってきていないですね。 その決め方があまり信頼できないですね。 ○圓藤委員 15分に意味があるかですよね。我々は、そのぐらいの時間で測ればいいという形は取っ ているのです。要するに、シーリングまではいかないけれど、2倍ぐらいですよね。 ○大前委員 そのぐらいですね。ただ、見ているものは違うので、影響が違うので同じデータができ やすいのですけどね。 ○櫻井委員 なぜそのようにしたかという面で、理由は明確に書いていないでしょう。 ○細田 ACGIHでも、あるものはあります。ほとんどのものがそれを特別に決める根拠はないという考 えていますね。 ○圓藤委員 だから、最近消していますね。 ○櫻井委員 消しています。 ○細田 だんだん絞っていますからね。だから、いまあるものを使うことはあまり気が進まないです ね。 ○圓藤委員 DMGのほうがはっきりしていますよね。局所刺激が1で前進影響が2になって。 ○名古屋座長 そうするとあまりこだわらなくて、先生方の意見を聞くとあまり短時間ばく露を使う 要素はないから、それほどそれに対して厳しく導入するのではなくて、従来どおりの形の決め方をし ておけばいいのかなと。スポットのものはきちんと直して評価していましたね。その評価方法でいい ということでよろしいですか。 ○櫻井委員 でも、それが100倍もあったらどうしようということはありますが。 ○名古屋座長 そこは、出ていたのは5倍か10倍ぐらいではないかと。そこは不安がありますね。 ○櫻井委員 どうしたらいいのかな。 ○名古屋座長 それは先生方もよくわからない。 ○大前委員 シーリングでも、これは影響を見たときも違いますからね。 ○櫻井委員 影響も3つに分けてあるのですね。 ○大前委員 そうですね。2次評価値はあくまでも8時間ばく露で決めているもので、シーリングは影 響が違うので、単純にそれを使えるということもないですから、どこかで新たな考えを。 ○圓藤委員 参考値で置いておいて……。 ○化学物質対策課長(榎本) 最終的に、リスクが高いといってそれが特化則のほうに行って規制対 象になるとしても、結局コントロールはいまの方式の中に入れてしまいますので、最後は作業環境測 定をやって、例えばB測定を取り込んで評価していくということなので、そこに収束してしまうのです。 だから、いろいろ議論しても、結局はそこが収束線になってしまうのです。あとはまな板の上に乗せ るときに、どれだけ大きな値が出たときに議論するかというところだけなのだと思うのです。 ○名古屋座長 これも櫻井先生、大前先生、圓藤先生に考えていただいて、とりあえず案を出してい ただくことにしたいと思います。この中だけで議論しても時間がありませんので、先ほどからお話し ていますように考えていただいて、ずっと流れてきてこの問題は残っているものですから、よろしく お願いします。何か根拠があるとありがたいと思います。あとはよろしいですか。 ○山口 細かいところですが、資料3-1の「リスク評価スキームの概要」ですが、企業のリスクアセス メントの自主的なものに使えるような流れだと思うのですが、要するにこれを国としてさらに細かく、 評価の対象を国全体として考えたものが、いちばん後ろの「新たなリスク評価のフロー図」という位 置づけで考えてよろしいですね。 ○化学物質評価室長 いちばん後ろの(参考)というのは、一応前のほうのガイドラインの全体版を 鳥瞰できるように図示をしたということです。 ○山口 ガイドラインになっていると、実際に自分たちが自主的にやる場合、企業も参考にすると思 うのです。こんなに詳細なことはできませんが、企業の大きさにもよりますが、自分たちの能力に合 わせた形で倣っていきますので、そういう意味では使う側も納得できるようにしていただければよろ しいのかなと思います。日化協内部でも、パブコメがあるかどうかはわかりませんが、意見が得られ れば聞いてみたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○名古屋座長 あとはよろしいですか。広い議論になって、まだまだ議論は尽くさないところだと思 いますが、時間の関係で、これで締めさせていただきます。先ほどお話しましたように、本件につい て次回検討したいと思いますが、追加の意見がありましたら6月17日までに事務局にご意見をいただ ければということです。  最後に次回のたたき台ということで、これは少し説明してもらって、持ち帰って検討していただけ ればと思いますので、資料4について若干説明をお願いします。 ○化学物質評価室長 これについては、いままで合計13回のご議論をいただいて、その結果として報 告書を出すという算段で作ったものです。基本的には、いままでご議論いただいたポイントを書き下 し文に直したものです。中身については、そういう趣旨ですのでもう少し詳しく、あるいは重点を置 いて報告書に入れるべきだというご指摘があれば入れますし、十分な書きぶりになっていないという ことであれば、その辺りをご指示いただければ直したいと思います。個別の説明は時間の関係ででき ませんので、これについても先ほどと同じように書面でご意見をいただいて、次回もっとファインチ ューニングをした上で、次回の会合で揉んでいただければと思います。 ○名古屋座長 先ほどのところとここと連動していますので、NIOSHの使い方や統計処理のところが若 干違っていますので、少し変える部分が出てくるかと思います。それを踏まえて、今日のご議論の中 でいただいた意見をここに反映させてご意見をいただければということだと思います。  それでは、最後に資料5についてお願いします。 ○化学物質評価室長補佐 資料5ですが、今後の予定としては、次回第14回を6月24日(水)に開催 する予定としております。場所は厚生労働省の建物ではなく、経済産業省の建物で予定をしておりま すので、よろしくお願いします。 ○名古屋座長 よろしいですか。統計的なほうで加藤先生をはじめ、椿先生、藤田先生、本当にあり がとうございました。少し明かりで見えたような気がしております。  それでは、本日は閉会させていただきます。どうもありがとうございました。また次回よろしくお 願いいたします。 照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                化学物質評価室  電話03-5253-1111(内線5511)