09/05/28 第8回高度医療評価会議議事録               第8回 高度医療評価会議 (1)日 時:平成21年5月28日(木) 13:00〜15:00 (2)場 所:主婦会館プラザエフ 地下2階クラルテ (3)出席者:猿田座長、山口座長代理、飯沼構成員、伊藤構成員、        金子構成員、川上構成員、佐藤構成員、柴田構成員、        関原構成員、藤原構成員、村上構成員、山本構成員 一色技術委員、出口技術委員        (事務局)        医政局研究開発振興課長        医薬食品局審査管理課長        医政局研究開発振興課治験推進室長        医薬食品局医療機器審査管理室長   他 (4)議 題 1 新規申請技術(4月受付分)の評価結果等について 2 高度医療評価制度の対象となる医療技術について 3 新規申請技術(10月受付分)の内容変更について 4 追加協力医療機関(5月受付分)について 5 その他 (5)議事録:以下 ○猿田座長 第8回高度医療評価会議を始めます。委員の先生方、お忙しいところ、ま た雨の中をご出席いただきまして、どうもありがとうございます。  本日の委員の出席状況は、田上構成員、田島構成員、竹内構成員がご欠席です。本日 は技術委員として、出口先生、一色先生にお出でいただいています。どうぞお願いしま す。  事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局 配付資料について説明します。まず「第8回高度医療評価会議議事次第」が あります。次に、座席表、開催要綱、構成員名簿があります。  資料1-1「新規申請技術4月受付分の評価結果」、資料1-2「高度医療評価表」、資料2 「高度医療評価制度の対象となる医療技術について」、資料3「新規申請技術の変更等(10 月受付分)」、資料4「追加協力医療機関(5月受付分)」、参考資料1「高度医療評価制度 の概要」、参考資料2「第3項先進医療技術及び医療機関一覧」、参考資料3は平成21年 3月31日付の通知として発布しているもので、「高度医療にかかわる申請等の取扱い及 び実施上の留意事項について」で、参考資料4「高度医療の運用についての治験」です。  メインテーブルの先生方には、そのほかに大阪大学医学部附属病院の新規申請技術の 実施申請書、北里研究所病院からの変更に関する事由書について置いています。  引き続き審議案以件の確認をします。検討対象となる機器の製造販売企業及び競合企 業に関して、特別に関与するような事例はありませんでしょうか。該当なしということ でよろしいでしょうか。 (異議なし) ○事務局 以上です。 ○猿田座長 議事に入ります。まず、4月受付分の新規申請技術の評価結果等に関して、 事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料1-1です。整理番号010番、高度医療名は「経カテーテル大動脈弁留置 術」です。適応症は「重症大動脈弁狭窄症」です。承認状況は未承認の医療機器になり ます。大阪大学医学部附属病院から提出されています。総評としては、「条件付き適」の 評価をいただいています。 ○猿田座長 資料1-1にあるように、審査は主担当を山本委員、副担当を山口委員、佐 藤委員、技術に関しては一色委員にお願いしました。山本先生からご説明をお願いしま す。 ○山本構成員 経カテーテル大動脈弁留置術ということで、現在国内では販売されてい ない未承認のデバイスです。重度の大動脈弁狭窄症患者に対して、径大腿動脈または経 心尖的に、カテーテルを刺入して、大動脈弁を開口した後に生体弁を留置すると。これ までは開心術でないとできなかった手技をカテーテルで行えるというデバイスです。米 国では承認がありませんが、欧州ではCEマークを取得しておられまして、すでにヒト でのある程度の実績は海外で積んでおられるようです。 ○一色技術委員 いままでは手術をして、大動脈弁を置換するしかなかったものが、例 えば手術の適応が非常に難しい患者が増えている現状の中で、カテーテルで広げる弁の 位置に、新しい人工弁の付いたリングを広げる形で付着させるデバイスです。通常のカ テーテルだけで行う方法と、手術と併用する方法が両方載っていますが、カテーテルだ けで行う場合は、よく行われる心臓カテーテルの手法ですが、大腿動脈等の太い血管か らカテーテルを刺していく手法を応用して、心臓の左心室の中まで針金を通し、然るべ き位置の確認をしたところで、デバイスを持っていって、それを広げることで、弁の狭 い所を人工弁が入った形にできるというものです。簡単に言うとそのような手技になり ます。 ○猿田座長 安全性そのほかについてはどうですか。 ○一色技術委員 安全性については、どうしても重症で心不全がある、あるいは生命の 危機がある程度ある患者が対象になるので、一定の事故はやむを得ない部分があるわけ です。それがアクセプトできるレベルにあるかどうかということになります。資料で拝 見する限りは、死亡例、太いデバイスを使うので出血性の合併症等が比較的見られます が、外科手術との比較で言えば、十分にアクセプトできるレベルにあるということです。 ○山口座長代理 私は専門ではありませんが、いろいろ見てみまして、いま一色先生が おっしゃったように、この実施は易しいものではなくて、技術的には開発途上にあると 理解されたほうがいいと思います。というのは、もしこの技術が確立したものであれば、 開胸して手術をしなくてもいいわけです。そうではなくて、いまの適応は、開胸手術が 大変危険な、非常に状態の悪い患者に対して、このようなものでできないかという位置 づけだと思います。  これがもしいろいろな施設で行われて、技術が高まってきた場合に、これが将来開胸 手術に取って代わる可能性はあるかと思いますが、いまのところは非常に状態の悪い患 者に対して適応されるところに、注意すべきだと思います。したがって、一色先生はこ こに書いておられますが、相当の技術力のあるところでないと、経カテーテルでやるか ら簡単だということではなくて、むしろ通常の施設よりも高い技術レベルのところでな いと危険だということを理解していただいたほうがいいと思います。 ○猿田座長 倫理のほうを佐藤先生からお願いします。 ○佐藤構成員 倫理面については、結論から言うと問題ないということです。1つは同 意文書で、拝読したところ大変によくできていました。補償内容としては、健康被害の 起こったときは治療するという内容になっていて、自己負担分については病院が負担す るということでした。こちらも問題ないと思いました。 ○猿田座長 全体的にもう一回山本先生からお願いします。 ○山本構成員 ほかの先生方からもありましたように、全体的に見て、もともと非常に リスクの高い患者に対して行うものであること、現在の研究計画では、ほぼ大動脈弁狭 窄の開心術が困難な方に対して行うことになっています。倫理的な面も特に問題はない ということです。  それですが、私がプロトコールの評価の中で2点ほど指摘したいところは、いまのと ころ大動脈弁狭窄の治療として、いちばん望ましいのは開心手術です。それに準じたよ うな成績が出ています。メディカルにそのまま診ているよりは、カテーテルを行ったほ うがよさそうであるというくらいの成績になっています。  ただ、手技を行っているときに死亡する確率が、いままでの報告では経大腿アプロー チで7.3%、経心尖アプローチでは16.7%で、比較的高率であろうと思われます。ただ、 開心術でもかなり死亡率は高率だと思いますが、予後不良で重篤な患者ということで、 この死亡率自体はアクセプトされると思いますが、予定手技であるということと、患者 自身に同意能力のある者が選定されると思われますので、同意のところに「一部代諾者」 という表現があるのですが、これについては必ず本人の同意が必要だと考えます。  もう1つは、モニタリングの実施方法の記載はあるのですが、「当大学未来医療センタ ーの協力を得て評価する予定」と書かれていますが、どう考えても重篤な有害事象が頻 発すると思われるので、特に安全性についての評価体制をもう少し具体的に記載してい ただいた上で、こちらで確認をして、その上で「適」と考えるべきではないかと思いま す。  そういうことで、総合評価としては「条件付き適」、実施条件としては、1つは技術委 員から指摘のあるトレーニング体制に関しての点、私が指摘したプロトコール評価につ いての点、この点を修正していただいた上で、実施いただけるものかと思います。 ○猿田座長 先生のお書きになっていた患者の決定というか、そこが重要なポイントに なるのですね。 ○山本構成員 そうです。私は心臓内科ではないのですが、私の勤務している病院に大 動脈狭窄の患者はたくさんおられます。ほとんどが動脈硬化で長年にわたって徐々に進 んでいきます。最初のうちは、あまり心不全症状は出ないものですから、手術を早期に 勧められてもしない場合がわりとあります。ある一定のところから急速に症状が出始め て、そこでしんどくなって、やはり手術をとなったときに、既に高齢であるとか、ほか の動脈硬化性の全身性疾患で手術が非常に危険になっている場合が多くありますので、 実際に手術をすることが危険な患者はたくさんいるのですが、その中には手術自体のリ スクを恐れて、いままで手術をしていない患者が結構いますので、これがその患者にと って魔法のように楽だし、安全ということではないので、そこは十分に理解していただ いて、ある程度のリスクをかけて受けていただく必要があります。そういう意味では、 しっかりした患者がご自分で理解した上で入っていただかないと、あとあと問題になる 可能性もあると思います。 ○猿田座長 委員の先生方からご意見をいただきます。お話がありましたように、技術 の先生、倫理、総合的に見て、一部修正で「適」でいいのではないかというご意見です。 いかがでしょうか。 ○関原構成員 先生から患者に対して「このまま放っておくと3カ月で駄目になるけれ ども、これがうまくいけば3年は大丈夫です。ただし、そのリスクは3割ある」とか、 そのような具体的な説明をした上での同意を求めているのですか。 ○一色技術委員 大体は外科手術であれ、カテーテル治療であれ、最近は必ずリスクと 現状の成績については開示して行うことが常識になっています。そういう意味では、例 えばこの大動脈弁狭窄症で重症となったときは、私たちの常識では余命1年以内という ことで、例えば狭心症、失神発作が出るなど、症状が出てきた方が必ず1年というわけ ではないのでしょうけれども、教科書的には1年ほどの余命ということで、私たちはそ のように理解していますので、そのような形でご説明して、このままではメディカルに 診ていくというオプションは厳しい。本来は手術だけれども手術も厳しいということで あれば、この方法はいかがだろうか、という話になっていくのだろうと理解しています。 ○猿田座長 開胸は難しいけれども、これでいければということですね。 ○山本構成員 心不全を起こすこのような弁疾患の中で、大動脈弁狭窄症の場合は比較 的自覚症状が出るのが遅いというか、出たときには余命が短い状況になっています。で すからそこのギャップがあるので、手術をするタイミングはもちろんあるのですが、ど ちらかというと、そのときには患者にとっては生活を障害するような症状が少ないので、 そこで逡巡している間に弁疾患が進行して、症状が出たときには、先ほど一色先生がお っしゃったように余命1年という話になってしまうことがあるので、どうしてもタイミ ングを逃す患者が比較的多いかもしれません。  ただ、どうしても動脈硬化で起こる疾患ですので、既にご高齢の方、腎疾患を伴う方 も多いので、ほかの弁膜疾患に比べても、開心術のリスクは高い場合が多いと思われま す。 ○猿田座長 ほかにございますか。 ○伊藤構成員 商品の部分が450万円かかっていて、患者の負担が150万円ということ です。そうすると、高度医療に係る積算の根拠が550万円とか、500数十万円とあって、 何で150万円になったのか、誰がその差額を負担するのかというのが読めないのですが、 そこがわかれば教えていただけますか。 ○事務局 この資料を用意している段階で費用の計算に関して仮の部分がありまして、 具体的な計算根拠をいま求めている最中ですので、それをもって保健局医療課にて内容 を確認していただくという整理にさせていただければと思っています。 ○伊藤構成員 大雑把にどのくらいですか。 ○事務局 この費用の計算書に関しては、いまの時点では仮の計算書とご理解いただけ ればと思います。 ○伊藤構成員 150万円という金額が、こういう手技を選択するかどうかのトレードオ フになると思うので、費用負担を無視して、同意説明文書だけの議論はならないのでは ないかという気がしたのでお聞きしました。 ○事務局 当方で確認させていただいて、それも併せて主担当の先生等と相談させてい ただければと思います。 ○猿田座長 いまお話がありましたが、これから出てくる高度医療の審査のときに、か なり高価になりますから、お金の問題が随分絡んでくると思うのです。それですので、 ある程度それをわかるようにしておいていただくようにお願いします。  ほかにございますか。 ○一色技術委員 私が質問するのもおかしいのですが、非常に専門性の高い技術を取り 扱うときに、昨今のマスコミの取扱いは非常に厳しくなっています。例えば青砥病院の 事件なども、十分な症例数の経験がなく行われている手技であったと。  私がコメントさせていただいたのも、そこを危惧してのことなのですが、今回のこの 案件については、経験者がすべて経験なしなのです。この手技に対して、ご覧になった 方は何人かおられるのかもしれませんが、書類上「経験症例数はゼロ」と明記されてい ますので、その手技を全くやったことのない方が、この高度医療に入る形になります。 私は「トレーニングをすることの内容による」と書かせていただいたのですが、トレー ニングといってもいろいろあると思いまして、デバイスに触って広げるのもそうかもし れませんが、どの程度のものかをきちんと記載していただきたいということがあります。  それと、高度医療と言いながら、経験ゼロの形でやることが、社会的にはどのくらい のものなのか。技術的にはそのとおりなのですが、そういう側面から、どなたかからご 意見をいただきたいと思っています。 ○猿田座長 いま先生からご指摘いただいたことは、この高度医療評価委員会でのいち ばん問題なところなのです。一体どの程度まで経験して持ってくるべきなのか、そこの 判断が非常に難しいのです。実は次の議論でそこも含めてもう一度議論しようと思って います。  ただ、非常に考え方が難しいのです。ですから、ここでは本当に安全性がしっかりし ていて、その技術を使うことによって、本当に国民のために役立つことが判断でき、い ちばん重要なことは経験がなくていいかで、そこはまた重要な問題ですので、そこはも う一回クリアにしておかなければなりません。今日議論させていただこうと思っていま す。  ほかにございませんようでしたら、一部修正ということで、通させていただくことで よろしゅうございますか。 (異議なし) ○猿田座長 ありがとうございました。そのような形で処理します。続いて次の説明を お願いします。 ○事務局 資料2です。今般久留米大学病院など、複数の医療機関から申請されている がんペプチドワクチン療法について、構成員の皆様に事前のご評価をいただいていると ころです。しかしながら、有効性・安全性についてのバックグラウンドがこれまでの申 請と異なるため、評価委員の先生方から、「評価困難」もしくは「評価不能」とのご意見 をちょうだいしています。そこで、本制度の対象とすべき医療技術の有効性・安全性の 要件について、整理したいと存じます。  資料2の1.ですが、高度医療に係る申請等の取扱い及び実施上の留意事項について、 平成21年3月31日付の通知によるところを抜粋しています。(1)「薬事法に規定する承 認または同法に規定する認証を受けていない医療品または医療機器の使用を伴う医療技 術」、つまり未承認医薬品あるいは未承認医療機器と呼ばれるものです。(2)「薬事法上 の承認または認証を受けて製造販売されている医療品または医療機器を、承認または認 証された事項に含まれない用量、用法または適応等と同一、または他の効能または効果 等を目的とした治療を伴う医療技術」、いわゆる適応外使用の医療技術です。  これまで申請された医療技術の多くは、海外で承認を受けているか、もしくは国内に 承認実績がないもの、または国内でほかの適応で承認実績はあるものの当該適応には承 認実績がないもので、下の参考で整理しています。  そういった医療機器のうち、これまでは上の白い部分のみを対象としていました。今 般久留米大学病院等から申請された癌ペプチドワクチン療法においては、従前申請のも のと異なり、国内外の両方で承認実績のないものとなります。医薬品、医療機器の開発 においてはさまざまな開発段階のものが存在し、国内主導で開発される医薬品、医療機 器を用いた新規技術について、高度医療評価制度における取扱いを検討する必要があろ うかと存じます。  今回のように、国内、海外ともに未承認であり、かつ有効性、安全性に関する権討が 必ずしも十分になされていない、もしくは評価が定まっていない技術の取扱いについて、 申請の技術の内容や適応なども踏まえながら、ご意見を頂戴したいと存じます。それに 先立ちまして、第6回高度医療評価会議で、藤原委員からお示しいただいたご意見も、 この議論に関係しているところから、参考資料4としてご提示しています。 ○猿田座長 非常に重要な点で、一番は資料の2の参考の図を見ていただくとおわかり いただけると思います。白いところがこれまでのはっきりしたところで、海外において、 有効性・安全性について評価が定まっているものです。これが1つです。そうではない 場合には、別の適応もしくは海外で有効性及び安全性について評価が定まっているもの。 問題は次で、国内外を問わず、有効性及び安全性についての評価が定まっていないもの が、今度のような状況ではないかということを踏まえて、今日ここにかかったというこ とになります。ここまでで何かご意見はありますか。その形で、村上先生からご意見を いただけますか。 ○村上構成員 ご説明していただいたとおり、いちばん議論しなければいけないのが、 国内・国外で未承認のものをどう扱うかについてです。この議論を始める前に、大事な のは、そういったものをどのように迅速な形で薬事承認につなげ、国内で実用化を図っ ていくのか。さらには、こういった遡上に上がってくるものは、アカデミアでのイノベ ーティブなシーズがほとんどであろうと思いますので、国際競争にも勝てる本邦発の医 薬品、医療機器として育てていくのかということが初めにあって、その中で高度医療の 役割を考えることであると思います。  そういった観点からすると、現制度からすれば、まずは治験のトラックに載せる。そ れも医師主導の治験のトラックができたわけですから、原則としてまず医師主導の治験 のトラックに載せるべきであって、医師主導の治験のハードルが高いからといって、初 めからほかのやり方を考えてはいけません。まず医師主導の治験をうまく動かす、また、 (治験の)支援基盤が本邦にできつつあるので、そういったものを活用しながら、何とか 迅速な薬事承認につなげることが大切だと思います。  だからといって高度医療で一部分たりとも役割を担うところがないかというとそうで はなくて、そこはこの会議でいろいろ議論していただければと思います。日本のアカデ ミアのシーズで、医師主導の治験でやれない正当な理由のあるものが、おそらく物によ ってはあると思います。また一方で、保険外併用療養費を使わないことには、臨床試験 がなかなかできないといったものも出てくるかと思います。そういうものに対して、高 度医療評価制度を企業に手渡すまでのデータ作りに活用することは、可能性としてはあ るのではないでしょうか。その可能性のところを、もう少し具体的に、きっちりと制度 として定めていただきたいと願っています。これが評価する側の立場として思っている ことです。 ○猿田座長 藤原先生からはいかがでしょうか。 ○藤原構成員 参考資料4は3月17日に私が欠席したときのもので、自分が担当した 品目がかなりひどかったので、それに併せていろいろ考えたことがあったので書きまし た。いま村上先生がおっしゃったように、この高度医療評価制度をどのように運用する かを考えたときに、世界的にどこにおいても承認されていない未承認品目をどう取り扱 っていくのかというのが、自分の頭の中でクリアになっていなかったので、それを確認 したいという意味で参考資料4の私見を書きました。  参考資料4の1)、2)、3)が高度医療評価制度の運用の中ではっきりしていないと私 は感じております。1番はFirst in man trialを高度医療評価制度で見たほうがいいのか どうかです。2つ目はもう少し簡単で、この高度医療評価制度がいちばん効力を発揮し そうな、適応外領域のいろいろな臨床試験についてなので、そこもはっきりと制度の中 でやると言ってくれればいいかと思います。3つ目は、よく企業と話をしていて問題に なるところなのですが、これはあまり今日の議論とは関係ないところです。  1番目のFirst in manの部分については、事務局が用意した参考資料の「通知」に、 現行の記載では、高度医療の運用のときに、「国内外の使用実績や有用性を示す文献等の 科学的な根拠に基づき、有効性及び安全性の確保が期待できる医療技術であることが大 前提」と書いてあります。私がこれを読んだときには、In vitroとか、動物実験の成績 でも、文献等の科学的な根拠があればいけると読んでもいいのか、あるいは大学病院な どでやっている研究費全額負担の診療の中で行った臨床試験でいくつか症例集積を積ん で、その上でこの高度医療評価に応募してほしいのかというのが書き込まれていないの で、どちらの解釈でもできると思っていたので、それを踏まえFirst in manでできるの か、そうではないのかの議論になったらいいと思って、この参考資料4は用意しました。 ○川上構成員 事務局にお伺いします。高度医療評価制度で評価がされたと判断された 場合には、保険収載されて、広く使うことができるとなり得るのでしょうか。 ○事務局 まず、高度医療評価制度で認可を受けて行われるのは、もちろん医療機関も 限られていて、症例数も上限を設けられているという、一定の条件下に行われ、そこで 得られた有効性や安全性に関する成績をもって、そこでのデータを直接薬事承認の申請 に使うことは、現時点では難しいと考えています。  その上で、そのデータをもって、治験に対しての準備を進めていただくという制度の 運用を考えています。 ○川上構成員 ということは、この高度医療評価制度で科学的に臨床評価をするという ことは、いま結局は治験をやらなければいけないとおっしゃいましたから、評価するこ とが無理なわけです。  それでは世界はどうやってきたかというと、1970年代から、薬は安全で有効でなけれ ばいけないということが言われ出してから、臨床試験(Clinical trial)というものが作 られてきました。そのためにPhaseI、PhaseII、PhaseIIIという長い道のりで、安全 性、認容性、有効性の評価をするようになったわけです。とりわけFirst in human、全 く新しいものの場合にはヘルシンキ宣言、GCPに基づいて人間を対象とした研究的診療 というものはやらなければいけないということで、いわゆるICHE6が作られてきたわ けです。  そう考えますと、全く新しいものを評価するということは、私はこの枠組みでは相応 しくないと考えています。すなわち治験という枠組みがあるわけでして、先ほど村上委 員もおっしゃいましたが、治験としてやらない限りは結局のところ評価できないと思い ます。アメリカやヨーロッパ、世界の多くの国々がやっているように、治験と臨床研究 を一体化しない限り、この国では医療開発は立ち行かないのではないかと真剣に憂いて います。  とは言いながらも、日本の治験というのはハードルが高い、治験としてやることは困 難で、お金も時間もかかると言われることも確かです。ですから、そこのハードルを1 回見直すことを一緒に考えない限りは、この議論は意味がないと考えます。すなわち GCPや治験の運用をどうしていくのかです。  さて、研究者にとって、あるいは事業者としても、混合診療を臨床開発で行っていく のは魅力的です。ただ、混合診療というからには、公的資金を導入して行うわけですか ら、やりっ放しでは困ります。国民に対する背任行為です。そう考えたときには、開発 の意図がしっかりあるのかどうか、つまりそれが将来国民に還元できるのかを考えなけ ればいけないということです。  この高度医療は意義があると思います。というのは、First in humanをおこなう以前 にバイオベンチャーもどんどん潰れていますし、新しいものをつくっても応用ゴールが 見えないようなところにあって、こういった制度は重要だと思いますが、2点だけ考え ていくことさえすれば、高度医療でFirst in humanを運用することは可能かと思います。  1点目が、将来的には必ず評価のための治験にすることを確約していただくことです。 これが開発の道のりとして行われることが1点目です。つまり、やりっ放しはしないと いうことです。  2点目は、IND制度を導入する準備をすることです。先生方よくご存じのように、 Investigater’s INDという運用で、大学であっても臨床試験がGCP下で行われることが 通例となっています。これを行わない限り、バイオベンチャーあるいは大学の先生方が 開発を行っていくことは困難だと強く考えます。ですから、GCPの運用あるいは治験の ハードルを、いまよりもう少し柔軟に対処していただくこととともに、IND導入を確約 いただくことの2点を並列して行っていくのであれば、現状で、tentativeで、高度医療 制度をFirst in humanで準用してもよろしいのではないかと限定的に考えます。 ○猿田座長 いま先生のおっしゃったことのあとの2つは、非常に大切なことです。1 つは、First in manを本当に高度医療でやっていいかどうか。それを考えて出してくる 施設が、しっかりと自分らのところで、GCPの下で検討して、安全性とある程度の効果 をみたから出してこようというところと、全くそのようなことをしないままに出してく るところ。ここは高度医療として取った場合に、保険診療と混合ですから、果たしてい いのかというのは重要な点と考えます。その辺りは非常に難しいところだと思います。 事務局から何かご意見はございませんか。 ○医政局研究開発振興課長 座長がおっしゃるように、非常に難しいところだと思いま す。どうやってお答えしていいか悩むところなのですが、1つの基本は安全性・有効性 をどう見るか。我々は「安全性・有効性」と言っていますが、それを具体的に、何をも ってどう評価するのかをどう考えるかを、整理しないといけないというところまでは、 我々も考え至っているのですが、それを具体的にどう具現化するかとなると、これだと いうところまで思い至っていないというのが、正直なところです。 ○猿田座長 いま川上先生からありましたように、新しいことをいかに早く治験に持っ ていくかの前段階のものとして、非常に重要だと思っています。この制度を、いかにう まく安全性をもって、高い評価をできるような形でやっていけば、この制度は大切だと 思っています。ですから、むやみに全く新しいものをポンとやって、いろいろな問題が 起こったら大変な問題になってしまいます。その辺りが非常に難しいのです。 ○山口座長代理 基本的には皆さん同感だと思います。具体的に、今回私も見たペプチ ドワクチンを見てみると、非常に進行したがんに対して行うスタディと、それと並行し て補助療法としてやるものと2つがポンと出てきているのです。例えば補助療法につい て100例くらいをやってみたところで、どのような結果が出ても、これは一体何のため にやっているのだろう、どのように解釈するのだということは全く不明で、すごく進行 して、ほかに手立てがないようなものについて、これだけ有望な結果が出ているという ことをもう少しきちんと示さない限り、それを並列して出してくるところに非常に違和 感を覚えて、審査の上で非常に困りました。  先ほどからご議論がありますように、海外で非常に実績のあるもの、あるいは国内で も、普通はこのような目的で使われるけれども、大して害はないからこれにも使ってい いのではないかと、これにも使っていいのではないかということをやるのが目的だった にもかかわらず、そうではないものまで混ざり込んできていると、それを我々がいかに 合理的に排除できるかというルールを作らないと、審査のときに、これだからあなたは 駄目で、これだからあなたはいいということは言えないということで、苦慮していると ころだと思います。  例えば藤原先生の資料の2番目に書いてありますが、補助化学療法の臨床的意義とい うのは、例えば他の臓器では非常に有望で、基本的には同じような効能の薬剤があって、 それを適用が取れていないからということで、治験に使えないものが実際にあります。 私はそういうものはやってもいいのではないかと思います。そのほうが早いですし、い い結果が得られる可能性は高いです。それはみんながわかるものであればいいのですが、 みんながわかるものとそうではないものをどうやって区別するかは大変難しいと思いま す。というのは、そういうものについては認めて、なぜペプチドでは認めないのだと言 われたときに、合理的に説明できることがないとまずいのではないかと思います。  いずれにしても、補助化学療法の成果を100例そこそこでやってというのは、誰が考 えても非常識なことで、一体何をしようとしているのかよくわからないということに尽 きると思います。 ○伊藤構成員 個人的には、高度医療評価制度というのは日本の新しい枠組みを新しく 作っていく方法だと思っていますが、国内外で未承認のものを認めていくことについて いくつかの問題点があると思っています。  本来は、医師主導の治験を含めて、治験でやるべきだと思うのですが、PMDAの審査 もきつかったり、GMPで研究者が生産物をつくるのは難しいでしょうし、現行でモニ タリングのdutyとか、監査のdutyをみたす費用が高額になっているので、それだけの 研究費を用意するのは難しいです。  また、今後出てくるであろう再生医療みたいに、治験が馴染まない領域というのがあ るので、高度医療のようにとしてきちんと評価できる枠踏みものができればいいと思い ます。  ただ一方で、いま山口先生がおっしゃいましたが、現行の高度医療の枠組みは、オー プン試験で医療の枠組みなので、試験として評価ができる枠組みにはなっていないです。 そこは変えないと難しいと思います。それと同時に、治験でも高度医療の枠組みでもな く、First in manが行われている可能性がなきにしもあらずとは思いますが、高度医療 の枠組みで承認したあとに、イギリスであった抗体医薬の悲劇のようなことが起きない という保証はないので、その可能性をどうやって除くのか。予測不可能なことが起きる かもしれないという懸念があると思います。  結論として、従来から行われていた適応外のものとか、海外で承認されているものを 載せるというトラックと、今後、国内外未承認のものを評価するトラックを分けて議論 を進めたほうが、すっきりするのかなと思うところです。 ○猿田座長 ほかにご意見はございますか。 ○山本構成員 いままで発言なさった委員の方々と大きな考え方の違いはないのですが、 特に開発方のFirst in manから始まる、国内で開発していく新規技術を最初から高度医 療評価の中だけで育てていかなくてはならないわけではなくて、お金の種類の整理とし て、現在は例えば再生医療とか、大規模な臨床試験を達するための研究費がありますの で、そちらが現状ですごく充実しているかどうかはちょっと問題があるかもしれません が、お金の入れ方として、最初から開発を目指して、それがわかっていて税金を使って 研究費を投入するという枠組みが1つはありますし、その上で、ある程度目処が付いて、 さらにある程度大規模にやっていかなければいけないというものがあったときに、それ が次にこの高度医療にかかってくるかもしれませんけれども、少なくともいちばん最初 の、リスクがある程度あって、なおかつFirst in man trialのときに、必ずこれが成功す るかというのは誰もわかりませんし、どこか企業が付いてやってくれるかも、その時点 では全くわかりませんので、有望な技術については、やはりそこに公的資金を投入して やっていくのが筋だろうと。  ただ、その公的資金というのは、この高度医療評価制度で使われている資金というの は、これはいわゆる直接の税ではなく、医療に使うためのお金ですから、そういう意味 では分けておく必要があると思います。ですから、この研究費をもうちょっと充実させ ていただいて、そちらでの評価での枠組みも充実していただくのは、どれも厚生労働省 がやっておられることですので、そちらも続けていただく必要があると思いますし、こ の高度医療の制度だけで、すべての臨床試験が網羅できるわけではないです。あくまで そのうちの一部をここで走らせるということだと思うので、そこには自ら区別があって 然るべきだと思います。 ○猿田座長 ほかにございますか。 ○藤原構成員 2点ほどあります。1つは川上委員のおっしゃったIND制度です。特に Non commercialとか、Research INDとFDAでは表現しますが、そのような制度が日 本にない中で、この制度の仕組みを日本に導入することは非常に大事になるだろうと思 います。  それから、先ほど伊藤構成員もおっしゃっていましたが、いままで高度医療評価制度 というのは、「医療」という言葉が入っていますので、研究的な診療部分をどこまで見る のかがはっきりしなかったのです。例えばアメリカの制度で言えば、保険を管轄してい るCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)の中に、Clinical trial policyとか、 Coverage with Evidence Developmentと言って、臨床研究の段階で公的保険を出して 研究的診療をサポートしますよという仕組みを持っているのです。今日は保険局は来ら れていませんが、日本にはそのような研究部分を公的な保険から出すというコンセンサ スがないので、高度医療評価制度が化けていけばいいのかと思っているので、高度医療 評価制度は「医療」と書いていますが、医療という中身は臨床試験とか、臨床研究であ るということをコンセンサスとして持てればなと思うところです。  先ほど山口先生もおっしゃっていたのですが、私もがんワクチンについて読んでいて、 既に日本の中でもオンコセラピーサイエンス社と扶桑薬品、GSK社などが、承認申請 を目的とした臨床試験を実施しています。clinicaltrials.govというNIHの臨床試験の登 録サイトや日本のUMINの臨床試験登録サイトを見れば、誰でも内容の概略を見れます が、非小細胞肺癌あるいは膵癌を対象に、プラセボ対照の大きなランダム化比較試験が やられているのです。そういう中で、今回高度医療評価制度になぜ、シングルアームの 計画内容が稚拙な申請を出してくるのかが、非常に理解に苦しんだところもあったので、 このような議論は非常に有益だと思います。 ○猿田座長 私の意見を言わせていただきますと、これは村上先生もご存じだと思いま すが、海外でもやっていないような最先端の医療を、いかに日本で育てるかということ で、トランスレーショナルリサーチで拠点をつくろうということで文科省にて始まった わけです。これはがん拠点に続いて、5年間のプロジェクトで始まりました。前にもお 話をしたように、たまたま私はいま拠点のディレクターをさせられているのですが、そ こでいちばん重要なことは、本当に最先端の医療が出てきています。それは国からのお 金が入っていますから、それできちんと検討して、まずそこの施設を選ばなければいけ ないということで、いま日本では、東京大学、大阪大学、北海道連合、東北、神戸、九 州大学の7施設が選ばれています。  そこで検討して、まず最初に、シーズを開発していったときに、これは本当に企業治 験へ持っていけるのか、そうではなくて医師主導型の治験に持っていくのか。もう1つ は非常に希な技術で、しかし非常に重要だということですと、それを高度医療に持って いけないだろうか。ただし、高度医療に持っていくためには、ある程度各施設でGCP に準拠した形で、2、3例でも検討して、安全性や効果を見た上で、ここへ出してもらえ ば、私としてはありがたいと。大体そのような方向に動きました。私はそう考えていま す。  そうすると、そこは公的資金である程度検討して、これは大丈夫だと見られたところ で、ここへ出てくれば、ここでは今度は混合診療ですので、効果と安全性の両方を見な がら、一部は保険、一部は自費でやらなければいけないという形で持っていけば、いい のかなと。そうなると、やはりきちんとした施設で、しっかりと検討をしていただいて、 出してきていただくと、こことしてはいちばんやりやすいのではないかと、私は一応考 えています。 ○村上構成員 いまのお話に補足させていただきます。大事なのは開発戦略で、迅速に、 効率よく薬事承認が取れるかは、その戦略があっての話だと思っています。その戦略が きちんと作られないといけません。まず出口の整備です。  それから、入口の評価も。今回いただいている情報だけでは、間違いなく不十分です。 特に、国内・国外未承認のものの評価をするに当たっては、情報としては足りません。 求めたいのは、当然のことながら試験製品の概要書です。非臨床試験のデータ、先行す る事例の臨床データも国内で実施されている情報をできるだけ収集していただいて、そ れらをきちんと取りまとめていただかないと、駄目ではないかと思います。  臨床試験が成り立つためには、安全性・有効性がある程度確保されないといけません。 この「確保される」という意味はどういうことかと言うと、概要書の情報に基づいて、 適切な臨床試験のデザイン、計画書ができることであると思っています。無駄な臨床試 験はやるべきではありません。有効性が評価できる、そして安全性が担保できる形で、 臨床試験が行われるようにする。ここにいろいろな知恵を出さないといけない部分があ って、この部分について、関係者が集って、知恵を出し合って、(安全性・有効性が)担 保されるのであれば、高度医療で認めていく1つの条件にはなるのかなと考えています。 ○川上構成員 入口の部分は座長のおっしゃるとおりです。高度医療評価というものが 臨床試験であると定義をするのであれば、安全性と有効性、生物統計の話も出てきます。 どのくらいのサンプルでこの優劣が言えるのかが必要だと思います。そうすると、限り なくこれはClinical trialなわけです。そうしなければ意味がないです。  そうだというのであれば、藤原委員にも言っていただきましたが、IND制度というか、 治験と臨床研究を一体化する。これは高度医療という制度を運用しようとしているのは 日本だけですから、日本だけのスタンダードを作ってしまうのがいかがかというのは、 以前から思っているところです。  世界の潮流とは逆行した臨床開発をやるならやるでいいです。日本らしいと皆さんが お考えなら、それでいいかもしれません。ただ、将来的には、それがシームレスに研究 と開発、産業化、日本の国力に結び付くように、しっかりとした枠組みを検討すること を必ず行っていただかないと、この高度医療を漫然と運用しているだけではいけないの ではないかと思います。 ○村上構成員 冒頭でも述べましたように、まずは治験のトラックを優先すべきであっ て、世界標準で薬事承認のプロセスを経ておかないと、国際的に通用する医薬品、医療 機器等にはなりません。たとえ高度医療が一部分の役割を担うとしても、その原則は共 通認識として持つべきだと思います。 ○猿田座長 高度医療の前身は先進医療の前の高度先進医療、以前座長をさせていただ いたときはある意味では同じような形、しかしながら非常に厳重に、必ず技術の方2人、 山本先生も一部関係していますが保険の面、両方から非常にしっかりと評価した上で認 可してきた。1年なり1年半やってみて安全性がどうだったか。常にチェックして、あ るところまでこれは非常に普及性もある、安全性もある、効果もあるということになる と、それを今度中医協にあげたのです。それにより保険適用をもらえる状況でした。  そういうことの制度としてやったのがだんだん先進医療に変わってきた。先進医療だ けではどうしてもうまく行かない。そこで、高度医療を設けて薬事法の適応外の案件を かけて議論することとなった。私から見ると、高度医療にかけたものが先進医療の委員 会のほうへ回ります。そういった連携も、いかにうまくやっていくかということがもう 1つ気になったところです。  高度先進医療から始まってこういう形で進んできて、確かに良い方向に来ているので すが、この制度は非常に良いですがどういうようにうまく運用していったらいちばん、 先生方もそうですが、いちばんは患者が助かるか。これも非常に大切な制度なのです。 それをいかにうまくやっていくか。たまたまこの間私の評価にまわってきた案件では、 たった2行なのです。「この技術を何人かにやって安全だった。効果はそれほどはっきり しないが副作用はなかった」、これだけで技術評価しろというのは無理です。やはり、も っと細かい形、1例1例がどういうように使われて、どういうような症例でどうだった かということを見て初めて技術評価できるのではないか。「これでは評価は無理です」と いうことで、それからいろいろな文献を調べて、またそこの施設から他に報告がないか 探したら、たまたま報告が出ていて、ちゃんと書いてあった。そういったものをちゃん と出してくれればいいではないかということを申し上げました。真剣に検討していかな いと、安全性と効果の面でこの制度を育てるためには非常に重要ではないかと私は考え ています。 ○猿田座長 ほかにありますか。 ○山口座長代理 前、高度先進医療というものがありました。いま、議長がおっしゃっ たようにそれなりの役割を果たしたわけです。見ていますと、ずっとエンドポイントな しに続けていたものがたくさんあって、それが今回再整理するための1つのフォローに なったと思います。今回も、見ていると同じようなことになってしまわないかという危 惧を持ちます。  本来はやはり、先進医療のほうでやるべきことだと思います。高度医療のほうは「落 穂拾い」と言うとおかしいですが、ひょっとしたら非常にいいのではないか。ある程度 根拠があるものを拾っていくはずなのに、評価が難しい、フェーズ1、フェーズ2どこ ろか、フェーズ3のスタディまで入ってきているということはちょっとおかしい。そこ ははっきり区別して、我が国が科学研究費を出して、トランスレーショナル・リサーチ を発信して、何とかこういうところで出来ないかというものに関しては、例えば振興し たものに対してある程度評価ができる症例をこれでやらせるという立場がいいと思いま す。  何回も申しますが、先ほど補助科学療法にまで行ってしまうというのはちょっとおか しいのではないかと感じました。我が国がサポートしてある程度の研究成果が出たもの、 薬事医療が通っていないものについては、適切な形できちんとゴールを規定して評価し てもいいのではないかと思います。 ○猿田座長 どうもありがとうございました。 ○柴田構成員 論点として2つあると思います。1つは、先ほどから村上先生や川上先 生がおっしゃっているようにまだ承認されていないもの、世界中のどこでも承認されて いないものをどのようにして開発していくか。もう1つは資料2にも書いてありますが、 既に承認されているものをどうやって広げていくか、どのぐらいまで広げていくか。こ れらの話には両方とも臨床試験が必要で、臨床開発が必要なものですが、それぞれ求め られるものというのは変わってくると思います。まだ承認されていないものでしたら、 先ほど村上先生がおっしゃったようにどういうものであるのか。例えば、CMCの問題 も無視できません。ですので、そこは少し毛色が違うものが一緒になって議論されてい るのだろうと思います。  薬事法上の製造販売承認を取得する、ということを考えて開発・臨床試験をするので あれば、当然、開発の戦略なしに行っても、そのデータを企業の方が受け入れてくれる はずもありません。そこの部分が曖昧なまま、漫然と臨床試験をやっても新しい治療法、 あるいは新しい薬剤、医療機器の開発を逆に阻害することになるのではないかというこ とを懸念します。将来、厳しいことが言われるのが明らかであるのに、いまこの段階で 厳しいことを言わずに甘く通してしまうというのは、新しい医療技術を開発するという ことに対する後押しと逆向きの判断をしてしまうことになると思うので、厳しくすべき 部分は厳しくすべきだと思います。  その上で、やはりきちんとした計画が立案できない状況で出されてくるというのは、 実施されている先生方の熱意であるとか、医療に対する思いというのは非常に理解でき ますが、それが中途半端なものであれば結局社会に受け入れてもらえない、企業に受け 入れてもらえないということであれば何のためにやっているのかわからなくなる。先ほ ど、猿田先生がおっしゃったようにそれなりに体制整備がされているところでやってい ただくとか、あるいは体制整備がされているところと組んでやっていただくとか、ノウ ハウがきちんと蓄積されているところとうまく連携しながらやっていくことが最低限必 要だろうと思います。  もう一方、既に承認されているものの適用拡大を目指すものについては少し別の論点 があると思います。先ほど藤原が申し上げましたように、米国のCMSなどの制度を見 ると、CMSが保険としてカバーする範囲を決めるというのは治験、あるいはFDAが承 認したものに限っていません。米国のCMSがカバーしている保険の範囲の3割ぐらい しかFDAは承認していません。つまり、がんの診療における標準的に使われている治 療の7割程度は、FDAが承認していないけれども、CMSがカバーするということを宣 言しているというものです。そういうものに対しては、それなりの臨床試験のやり方と いうのはあるかもしれません。  まだ誰も承認していない、安全性も有効性もわからないものに対するものと……確固 たる承認を得ていて、その範囲、線引きをどこまで広げるかという話とはちょっと違う だろう。そこのところは切り分けて議論が必要であるかと思います。  絶対にやってはいけないと思うのは、「日本で未承認薬がたくさんある」という漠然と した議論です。先ほど先生方が議論されているように、未承認薬には世界中のどこでも 承認されていない、最先端をいくものから、既に承認されているものの適用外使用が保 険診療の中で使えないという問題、いろいろさまざまな類型があるわけです。その類型 を一緒くたにして、「未承認であるから医療現場は困っている」という議論を続けている 限り、どのようにすれば医療現場の困っている問題が解決するかということが議論でき ません。未承認というのは、例えば今回資料2で分けていますけれども適応外で使えな いのか、あるいは物自体が製造販売承認を得ていなくて、誰も売ってくれる人、作って くれる会社がいないから使えないのか。そういう点、きちんと論点を整理する必要があ ると思います。 ○猿田座長 どうもありがとうございました。ほかにご意見はございますでしょうか。 要するに、いまお話がありました資料2の塗ってあるところ、特に全くやられていない ところをどういうように、この委員会としては評価していくか。山口先生がおっしゃっ たように2つをどう分けていくか。そこをどのようにやっていくかということだと思い ます。やはり、私としては少しでも進めたいので安全性をうんと検討して、プロトコー ルも検討して認可していくか。問題はfirst in manをやっていいか、どうですか。 ○藤原構成員 first in manを入れていいのか、入れていけないのか、自分では判然と しなくて出した1つの理由は、がんの医療の場合、既にいろいろな街中のクリニックで 世界の規制当局どこも承認していないような活性化リンパ球療法、細胞療法、ホールセ ルのがんワクチン、ペクチドワクチン投与をやっている施設があります。診療のほうで たくさん、自費診療でやっていらっしゃる施設があるこの現状に警鐘を鳴らしたかった のです。  これらに対しての評価というのは、患者さんの中では皆さんもものすごく期待をされ て、フェーズ1に入れないような体の弱った人たちはみんなそちらのクリニックの門を 叩いてしまうという現状があるくらいです。もし、高度医療評価の中でそういうものが 評価対象として挙がってきていただければ、第三者的な視点でちゃんと科学的、倫理的 な評価を受うけられ、その内容が公けになるのではないかと考えました。つまり、それ らを「駄目です」と判定したり、内容を修正して実施を許可すれば、もう少し診療に携 わっている人、あるいは患者さんに「この資料はあまり科学的なものではない」という ことをきちんとわかってもらえるのではないかと考え、first in manというトラックを 高度医療評価制度にのせるのもあるのではないかと考えた次第です。  ただ、自分の中で未承認、内外で未承認のものはやはり治験でやるというのが道理で あるようにも思います。ただ、治験でやるために、お金もかかるし、人手もかかるしと いうところはありますが、しかし臨床開発の王道が治験であるということはまぎれもな い事実です。  既に自由診療でたくさんfirst in man trialをやっている実態がある中で、first in man trialを一体どの仕組みで見たらいいのだろうというのはクリアにしておきたいところ です。 ○猿田座長 先生のおっしゃるとおりだと思います。first in manをここで皆様方とし っかり検討して、「これだったら大丈夫だ」ということで許可するような形がいいのでは ないか。しかし、それをどこでやっていくかというのが非常に重要な問題になると思い ます。いくら議論していても仕方ありませんから、私どもとしては一応、2つ分けられ ますがいまこのような議論をさせていただいて、本当に大切な技術なのですがそれほど たくさんできない。そういったものは企業も乗らないですから、そういったときにこち らとして受けてやっていくか、そこは十分に皆様方と議論していく。本当に大切な技術 であって、安全性も大丈夫だということであれば、そういった形で高度医療としてやっ ていくのかなと思います。山口先生、どうですか。 ○山口座長代理 私も藤原先生と同じような意見です。この会は国民のためにあると思 うのですが、一部の人にそういうものはどうしてちゃんと使えないのかというフラスト レーションがたまっている。しかも、それが評価されないままうやむやになっている。 むしろ、こういうところに全部引っ張り出してきちんと評価できるような形でお示しす る。うまく行くかもしれませんし、うまく行かないかもしれません。私がいちばん大事 だと思うのは、評価できないような形でダラダラとやりたくないということです。そこ さえ押さえれば、「ほかにどういう治療法があるのか」というものが提示できないような ものに対して使ってもいいのではないかと理解しています。 ○猿田座長 出してくるセットが非常に重要なのですが、その施設が持っている資料を 出してもらわないと、評価できない。その辺、しっかり資料を出していただいて、ここ でしっかり先生方と議論してやっていくということなのでしょうか。事務局、あと何か ございますか。わかりませんがそのような方向でいいですか。 ○医政局研究開発振興課長 いまいろいろご意見がありました技術の評価、例えば事前 にこの場で評価していただくわけではありますが、その上で実際に行っていただいた結 果としてどのようなものが出てくるのか。これもどこかの場で評価するというのが当然 必要だと思います。そういうような視点を持っていただくというのは、当然非常に重要 なことだろうと思います。  もう少し別の視点ではありますが、先生方がおっしゃっておられますように、あくま でも国内未承認の医薬品、それから医療機器、医療技術といったものについては国内で 承認を取っていただくということが基本である。そのための基本的なトラックとしては、 治験を実施していただくということがまず重要である。そのことはやはり我々も大切に 考えていきたいと思っています。その中で、高度医療機能評価制度がどういう役割を果 たしていくのかもおそらく、いま先生方がいろいろ意見をおっしゃっていただいたよう なことだと思っています。全体としては、いまご議論いただいたような方向で運用して いくということが我々もいいのではないかと思っています。 ○村上構成員 いまの話の中で気になることがあります。本邦のトランスレーショナル リサーチ、橋渡し研究そのものをどのような枠組みで推進するのかということをやはり きちんと議論しておかないといけないのではないでしょうか。いまの制度下では、治験 のトラックに乗せにくいものが現状としてはあります。例えば製造の問題があって、治 験のトラックになかなか乗せられない。だから、医師主導の臨床試験でまずはやって、 段階的にGMP基準に対応させていくわけです。そういう状況のものをこの高度医療評 価会議の中に情報として持ってきてもらって、いろいろなコメントをして推進を図ると かいうような話というのはある意味大事ではありますけれども、この高度医療評価制度 の枠組みからは少し外れた議論になってくるのではないかと心配します。  本邦では、開発に関して、治験のトラックがある一方で、臨床研究のガイドラインに 基づいて医師主導で臨床試験ができます。臨床研究のガイドラインですから、医療機関 の倫理委員会が承認すれば基本的にはできるわけで、その流れの中でトランスレーショ ナルリサーチ、橋渡し研究がどんどんと行われています。first in manもその中に含ま れます。これがいまの日本の現状としてある中で、高度医療評価会議が、その部分が適 正に行われているかどうかということを評価するという役割を担うのであれば、この制 度そのものを少しリバイスしないといけなくなるのではないかと考えます。役割として はそういう機能を持つことも大事かと思いますし、否定するものでは決してありません が、するのであればきちんと制度を整え明示していく必要があると思います。 ○猿田座長 どうもありがとうございました。いろいろご意見を伺いました。一応、い まの意見を私なりに事務局の方と検討させていただき、進めていく技術に関しては必ず 事務局と相談の上で先生方のところへかけさせていただき、ここでしっかり議論してい く。もう1回事務局と詰め、かけさせていただければと思います。  非常に貴重なご意見をいただきました。「この委員会がどう進むべきか」ということも 大体わかってきました。事務局と相談してやっていくということでどうでしょうか。事 務局、お願いします。 ○医政局研究開発振興課長 是非、今日、いろいろいただきましたご意見をもう少し、 私たちのほうとしても、自らの頭を整理する意味も含めて、かみ砕いて整理をする。そ うした上で、また座長ともご相談させていただき、場合によったら次回にでももう1度 考え方としてお示しすることも考えたいと思います。 ○猿田座長 いろいろな事例を遅らせてはいけませんから、その点も事務局と相談して、 「これは安全」というのは先に持っていく形を取り、必ずここにかけて進めさせていた だきます。一応、今日のところはご理解いただいたということでよろしいですか。出口 先生、技術委員ですが何かご意見ありますか。 ○出口技術委員 まさに今回の案件を検討するに当たって、この辺のところが非常に揺 らいでいます。私自身、軸足がかなり片寄っていたような気がいたします。今日のお話 を伺ってだいぶ整理できました、ありがとうございました。 ○山口座長代理 高度医療制度というのは、この制度に載せるためにまず評価しますよ ね。でも、この制度の最終的な目的というのは、高度医療と称されるものがどのような ものであるかという結論を出さなくてはいけないと思います。そのときに症例数をこれ だけやって終わりましたという評価だけでいいのか、あるいはこの委員会で高度医療を これだけ行ったが有用であったとか、有用でないとか、やはり評価をしなくては本当は 駄目ではないかと思います。それがこの評価制度だと理解しているのですが、そうでは ないのでしょうか。そういったことがあまり書かれていないのです。ただ、「何でやった」 ということを報告すれば済むという形になっていると思います。 ○事務局 一応蓄積された症例経験と有効性、安全性に関するデータは「高度医療評価 会議」のほうでご報告させていただきます。それを踏まえて、事務局と医療技術を実際 にしていただいている申請医療機関との相談の上で、今後どうしていくのかを検討させ ていただければと考えています。 ○山口座長代理 今回は評価しないということですか。つまり、最初、高度医療は有効 そうだからやりましょうということを言って、何例かやりなさいと言って、報告があっ たらそれで終わりという理解でいいですか。 ○事務局 その点について、事務局よりご説明させていただきます。参考資料3、「高度 医療にかかわる申請等の取扱い及び実施上の留意事項について」という、先般改正させ ていただいた通知の「11.高度医療の実施後の取扱い」というところをご覧いただけ ますでしょうか。この通知の中の11番目のところに、まさにいまご指摘のあった実施後 の取扱いについて書いていると思っています。そこでは、「高度医療評価会議で実施後の 報告等に基づき試験結果等について検討を行う」とさせていただいています。  その結果、最後のところ、その次の文章、非常に長い一文ですが、「申請医療機関の開 設者は公知申請を含め、治験を実施するのかを含め、研究開発振興課と相談をしていた だく」という形を明文化しています。どういう位置づけになるのか、その後どういうよ うに進んでいくのかは試験結果の結果によって変わってこようと思います。いずれにし ても、評価を受けた上で事務局と相談の上、次の展開については進めていきたいと思っ ています。以上です。 ○猿田座長 よろしいですか。それでは、一応、いまの議論はここまでとします。時間 の関係もありますので、次は「新規申請技術の変更届等」について、事務局から説明を お願いします。 ○事務局 資料3をご覧ください。この技術に関しては、昨年11月に開かれた「第4 回高度医療評価会議」で条件付き適用を受けた申請であります。その後の新たな治験に 基づき、適用基準を一部変更する旨、その根拠となる文献とともに変更届が提出されま した。この技術に関して担当していただいた先生方には文献を含め、内容確認をいただ いており、ご承諾をいただいてはおりますが、変更内容につきご報告申し上げるととも にご審議をいただきたいと存じます。以上です。 ○猿田座長 どうもありがとうございました。いま、事務局から説明がありましたよう に変更届が出されましたが、何かご意見はありますでしょうか。あまり問題はないと思 います。 ○柴田構成員 担当しました柴田です。ちょっと、補足の説明をさせていただきます。 先生方のお手元にございます資料の2頁目、下線が引いてある書類があるかと思います。 下線部分が変更点になります。なお、本件については、昨年11月27日の第4回会議に てご議論いただいたものですが、その後、そこで問題になりましたデザインに関する問 題、説明・同意文書の内容、経済的な負担の仕切りの問題などについてご対応いただい ていたところです。それに付け加えまして、今回、改正部分が修正されているというも のになります。こちらについては、既に猿田先生、一色先生からもご確認をいただいて いるところですので、何か、その他ありましたらよろしくお願いいたします。 ○猿田座長 どなたか、ご意見ありますでしょうか。一応、そういうことでいいですか。 よろしいですか、事務局の方。 ○事務局 そのように進めさせていただきたいと思います。 ○猿田座長 次、「追加協力医療機関(5月受付分)」について説明をお願いします。 ○事務局 資料4をご覧ください。「早期胃がんに対する腹腔鏡下センチネルリンパ節検 索」 という高度医療技術なのですが、早期胃がんを対応としています。申請医療機関は慶應 義塾大学病院となっています。  今回申請をしてきた追加申請医療機関としては、東京慈恵会医科大学の付属柏病院か ら提出がありました。この医療機関に関しては特定機能病院ではありませんので、施設 基準に照らして医療機関の確認をさせていただいて、追加の手続きを行うこととなって います。 ○猿田座長 ありがとうございました。この件もどなたか、ご質問ありますでしょうか。 よろしいでしょうか。そうしたら、これもお認めいただいたということにさせていただ きます。事務局から続けて説明をお願いします。 ○事務局 平成19年7月から平成20年6月にかけての高度医療を含めた、先進医療の 実施報告が集計されています。当会議の評価委員の皆様にもその結果をご報告させてい ただきますので、ご意見をいただきますようお願い申し上げます。詳細は本日以降ご連 絡申し上げますので、ご対応のほど、よろしくお願い申し上げます。以上です。 ○猿田座長 いまの事務局からのお話、これもよろしいでしょうか。非常に大切なとこ ろかと思います。それでは、これもお願い事項ということになります。事務局、あとは それをうまく処置してください。 ○事務局 次回以降の日程に関してなのですが、次回の日程としては平成21年6月19 日(金)、13時から15時、「第9回高度医療評価会議」を開催させていただきたいと思 います。場所に関しては追ってご連絡申し上げます。本日の議事録については作成次第、 また先生方にご確認をお願いし、その後公開させていただきますので併せてよろしくお 願い申し上げます。以上です。 ○猿田座長 どうもありがとうございました。今日は特に重要なことを議論させていた だきました。今日のところはもう1回、事務局ともよく相談し、詰めさせていただきま す。場合によっては、先生方にもう1回、そこのところのご意見を聞かせていただいて、 今日議論いただいたことを有効に活かしたいと思います。先生方が見てもフェアなやり 方だ、という形で高度医療を進めていくのが大切だと思います。次回、もちろん、もう 1回、いまお話がありました6月19日にはきちんと報告もさせていただきますけれども、 その前にもしある程度のことが出てくれば先生方には必ずご連絡申し上げたいと思いま す。あと、ほかにご意見ございませんでしょうか。 ○柴田構成員 先ほどの件、もうちょっと細かい話、ここでの議論のフォローアップの 仕方について補足のコメントをさせてください。先ほどご報告した、第4回のときに審 議いたしました案件についてちょっと時間がかかっています。時間がかかっている理由 は、きちんとした評価をしていただくために必要なデザインの変更とか、そういう点に 関しての詰めに少々時間がかかったということになります。その過程で、申請された先 生に対してはかなりしつこい事を申し上げましたし、場合によっては申請された先生方 が不快に思われた部分もあるかもしれません。ただ、そのようなものをきちんと詰めな い限り、先ほど山口先生もおっしゃいましたけれども、漠然とやって、その結果どう判 断するのかということができないことになります。  当初出されていた計画では、例えば抗体陽性と陰性の間で検定をして、比較をして、 有意差が付いていたらこの治療法が抗体陽性の方に非常にスペシフィックに効くもので ある、個別化治療が推進できるものであるということでした。しかし、そういうような ものは方法論上間違っているので、そのようなやり方ではまずいですという話もさせて いただきました。結果として、ランダム化中止試験という形のデザインをされることに なり、それであれば結論も評価しやすいものになるでしょうし、この治療法を日本に導 入していく上でも大きな一歩になるのではないかと思います。  実際、これは素晴らしい治療法であろうと思いますが、本日の資料の中にもあります が、ドイツでは「素晴らしい治療である」という米国心臓学会での発表のあとも、いま もまだ引続き、大規模なランダム化比較試験が継続中です。そのような、まだ開発途上 のものである。そういうものを先生方が一生懸命開発されているものであるという理解 が重要であろうと思います。 ○猿田座長 私も少し調べてきました。ドイツのほうで始まったもので、アメリカのほ うが遅れていたのです。あと、日本の循環器学会の議論も調べさせていただきました。 非常に効果的なものだし、先ほどのペプチドワクチンとは全然違うものだったものです から、私は技術としてはちゃんと認めていっていいものではないか。ただ、おっしゃっ たように、研究デザインその他のことで議論はあったと思います。 ○柴田構成員 かなり端折らせていただきましたが、このようなものがうまく進めばい いなと思い、きついことを申し上げました。そこの失礼はお許しいただければと思いま す。 ○猿田座長 ほかにご意見ございませんでしょうか。もし、ないようでしたら、ちょっ と早いですが以上で終わりたいと思います。今日は貴重なご意見をいただき、どうもあ りがとうございました。必ずこれを次までにまとめ、報告させていただきたいと思いま す。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局研究開発振興課 TEL 03−5253−1111 高度医療係 松本 内線2589