09/05/28 第2回新人看護職員研修に関する検討会議事録           第2回 「新人看護職員研修に関する検討会」                     日時 平成21年5月28日(木)                        18:00〜20:00                     場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○島田補佐 ただいまより、第2回「新人看護職員研修に関する検討会」を開催します。 委員の先生方におかれましては、ご多用のところ、ご出席いただきまして誠にありがとう ございます。本日は、前回ご欠席でありました社団法人全日本病院協会会長の西澤寛俊委 員が出席されていますので、ご紹介いたします。 ○西澤委員 全日本病院協会の西澤でございます。よろしくお願いします。 ○島田補佐 続きまして配布資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご確認く ださい。議事次第、座席表のほかに、資料1は「新人看護師研修ガイドラインに関する主 な意見」です。資料2は「新人看護職員研修に関する検討会年間スケジュール」です。資 料3は「新人看護職員研修体制における用語の定義(案)」です。資料4は「新人看護職員 研修に関する調査(案)」です。資料5は熊谷委員資料、資料6は庄野委員資料、資料7は 猪又委員資料、資料8は坂本委員資料、以上です。それからファイルは前回までの資料で す。乱丁、落丁などがございましたら事務局のほうにお申し付けください。それでは座長、 進行のほうをよろしくお願いいたします。 ○石垣座長 本日も活発な議論を、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、議事にあ りますように「新人看護職員研修の現状について」、そして「新人看護職員研修の到達目標 と評価方法について」の検討を行う予定になっています。議事に入る前に、前回、委員の 皆様から様々なご意見をいただきました。それをガイドラインの項目に沿ってまとめをし ましたので、それについて事務局より説明をお願いします。 ○島田補佐 お手元の資料1です。ただいま座長からお話がございましたように、前回、 先生方にいただきましたご意見を、前回、同じくお示しした新人看護師研修ガイドライン の素案ですけれども、その項目に沿ってまとめました。2頁以降に、先生方からいただい たご意見を、それぞれ新人看護師研修枠組みの、1)基本的考え方、2)研修体制、以下3)と いう形でお示しをしているところです。概要という形でまとめていますので、もしご発言 の趣旨と異なるといったようなことがございましたら、また後日でも結構ですのでご指摘 いただければと思っています。簡単ですが以上です。 ○石垣座長 ありがとうございます。委員の皆様からいただいたご意見を今後もこのよう にまとめていきながら、ガイドラインを作るにあたって参考にしていきたいと思います。 本検討会のスケジュールを確認させていただきます。前回、今後の進め方の案についてご 提案申し上げましたが、ガイドラインを完成するということがこの検討会に課せられた大 きな課題です。事務局と相談して具体的なスケジュールを作りましたので、これについて 説明してください。 ○島田補佐 お手元の資料2です。前回の会議でお示ししましたスケジュールは少し大ま かなものでしたので、ご議論などを踏まえ、もう少し細かいスケジュールをお示ししまし た。今回が第2回ですが、新人看護職員研修の現状についてと、新人看護職員研修の到達 目標、評価方法について、ご議論いただこうと考えています。第3回では、新人看護師研 修の研修方法についての議論と、研修の評価のフィードバック方法についての議論をして いただこうと思っています。第4回は規模に応じた多様な研修実施のあり方について、ご 議論いただこうと思っています。これらの事項につきましては、それぞれガイドラインの、 先ほどお示した素案の項目に沿った形での項目を挙げています。そして第4回では教育担 当者研修について、1回目のご議論をしていただこうと思っています。第5回は技術指導 の具体例について、これは新人のほうですけれども、ご議論いただこうと思っています。 それから教育担当者研修についての2回目の議論をしていただこうと考えています。10月 の第6回ですが、それまでの議論をまとめて、新人看護師研修ガイドラインの第1案をお 示しして、それの議論をしていただこうと考えています。そのときに新人看護師研修ガイ ドラインの普及方策についても、併せてご議論いただこうと考えています。第7回に新人 看護師研修ガイドラインのご議論をさらに深めていただき、ここで概ねガイドラインの案 を固めていただこうと考えています。その後、第8回は年をまたいで2月を目途としてい ますが、この検討会のとりまとめ(案)をお示しして、ご議論いただこうと思っています。 そして3月に予備日を設けたいと考えていて、年間スケジュールの案をお示しいたしまし た。以上です。 ○石垣座長 ありがとうございます。ガイドラインの完成に向けて、この検討会の大まか な道筋をここにお示ししましたが、このスケジュールについて何かご質問がございますか。 ○羽生田委員 このガイドラインですが、これがこの回数でやって、今年中に出来上がっ て、来年の4月から使うというスケジュールにはならないですか、早すぎますか。 ○石垣座長 この検討会としてはガイドラインの完成を目指すということで、いつから施 行するかというのは、また今後の検討課題だと思いますが、事務局は何かご意見がありま すか。 ○野村看護課長 11月にガイドラインの大枠が出るという予定で、実際には来年の4月に 新人が入りますので、そのときに活かしていただければと思っています。もちろん、まと まればというところですが。 ○石垣座長 よろしいでしょうか。そのほかに何かご質問、ご意見はございますか。それ では次に進みますが、先ほどの前回の検討会の主な意見のTの4で、技術指導の具体例を とりまとめることになっていますが、この作成にあたっては、ここの検討会全員で検討す るよりは、具体的に現場で進めておられる人たちでワーキングチームを編成して、作業を 進めさせていただきたいと考えています。 ○野村看護課長 Tの4というのは、資料1の1頁目をご覧いただければと思います。1 頁目のTの4.「技術指導の具体例」についての説明です。 ○石垣座長 失礼しました、よろしいでしょうか。このワーキングチームのメンバーは、 現在、新人看護師研修を実施する立場にある熊谷委員、庄野委員、猪又委員にお願いした いと考えていますが、いかがでしょうか。進め方はメンバーの皆さんと、また別途相談さ せていただきたいと考えていますが、このまま進めてよろしいですか。 ○坂本委員 技術の内容がどのような項目になるかということも考えなくてはなりません が、看護学校でやっている技術教育と、新人のときにやる技術教育との関連を、「新人教育」 という側面のみではなく,基礎教育からどのようにつながっていくかが重要だと思います。 もっと深く、看護師になって一年目から次の段階までキャリアパスとしてつながっていく ということを考えた形で、是非、作っていただきたいと思っています。 ○石垣座長 はい。基礎教育で習ったことを、新人の教育に活かすという視点で進めると いうことすね。 ○坂本委員 必ず関連性があるという形ですね。 ○石垣座長 とても大事なことだと思います。ご意見ありがとうございます。基本的には 先ほどのスケジュールに従ってガイドラインが完成するように、委員の皆様のご協力を今 後ともよろしくお願いしたいと思います。  では議事に入らせていただきます。「新人看護職員研修の現状について」ですが、前回、 委員の先生方から3点ほどご質問をいただいています。そのご質問に関連した議論を進め ていきたいと思います。前回、北村先生から、教育責任者、教育担当者、実地指導者など、 用語の定義についてのご質問がありました。これについて整理を試みましたので、事務局 よりご説明いただきたいと思います。 ○島田補佐 資料3をご覧ください。新人看護職員研修体制という形で整理をしています が、ご質問のあった用語について定義を案としてお示ししました。「教育責任者」ですが、 定義としては、「新人研修プログラムの策定、企画及び運営に対する指導及び助言を行う者」 と定義してはどうかと考えています。その下に「教育指導者」が置かれ、「新人研修プログ ラムの策定、企画及び運営を行う者」と定義してはどうかと考えています。その下に、こ れは各部署に配置というイメージかと思いますが、「教育担当者」ということで、「新人研 修の運営を中心となって行い、また実地指導者への助言及び指導等を行う者」という位置 づけとして整理してはどうかと考えています。「実地指導者」ですが、「新人看護師に対し て、臨床実践に関する実地指導、評価等を継続的に行う者」と定義してはどうかと考えて います。  これらの定義で位置づけをしたそれぞれの方々と、このガイドラインとの関係ですが、 右側に書いていますけれども、いま検討していただいているガイドラインでは、新人看護 師研修のガイドラインを作るのと、教育担当者の方々への研修ガイドラインを策定するこ とを考えてはどうかと考えています。以上です。 ○石垣座長 ただいまの説明で、何かご質問はございますか。 ○坂本委員 この「教育課長」という呼び方はあまり馴染まないのですが、看護部長では なくて一般的な名前で呼ぶとするならば、教育師長みたいなものでしょうか。いろいろあ るのですね。私が経験した病院の中では、看護師の教育責任者は看護部長になっているの です。病院全体は院長になっているのですが、例えば教育師長さんが1人出て行って教育 責任者になっている場合もあるし、副看護部長さんが看護部長から命を受けて教育をやっ ている場合もあるし、具体的に使われている言葉を入れたほうがわかりやすいと思います。 ○石垣座長 教育課長というのがどういう立場にある人か。これは新人研修プログラムの 策定や企画及び運営に関する指導及び助言で、かなり新人看護師研修の全体の責任を持つ 者という立場を想定したものなのです。 ○坂本委員 では看護部長ということですか。 ○石垣座長 はい。看護部長である所もありますし、いまおっしゃったように副部長であ る所もあると思います。院内全体の新人看護師研修に関する責任を持つ立場の者という想 定で使いましたが、教育課長というのは適切な表現ですか、誤解を受けやすいですかね。 ○坂本委員 「教育課長」という呼び名を使っている所はどこなのですか。 ○石垣座長 右側にある解説が、その立場を表しているのですが、いまおっしゃったよう ないちばん責任を持つ者ということで、よろしいでしょうか。 ○海辺委員 用語の定義そのものから外れてしまうのですが、前回のご議論のときには、 ある程度きっちりした研修を行う所は、ある程度の規模の病院になるというお話を伺いま した。病院によっては両方兼務という場合がほとんどになってしまうのかもしれませんが、 何となく私が医療の患者の立場というか受けている側からすると、そもそも普段の日常の 医療の責任を負っている看護師長といった方が、教育のほうの責任とかプログラム管理も するとなると、ちょっと比重が重すぎるのかなという印象があります。その辺はそうでも ないのでしょうか。 ○石垣座長 ここに示したのは、下のガイドラインというところで教育担当者あるいは具 体的にOJTで指導する人と、院内全体の企画をするというか責任を持つ人とは、立場がそ れぞれ違いますので、段階的に考えていて、そのいずれの対象にもこの研修を行っていく というか、それをどうするかというのはまた今後の検討だろうと思います。 ○猪又委員 いま坂本委員からご発言がありましたように、看護師の教育の責任者は看護 部長だと思います。しかし、この図で表現されているのは新人看護職員研修体制における 責任者と私は理解したので、名称は施設によって違うと思いますけれども、看護部長では なく副看護部長、あるいは教育担当の責任者という者を別に置くというイメージかと理解 したのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○石垣座長 それぞれの施設で、役割、責任を持っている立場というかポジションが異な るかもしれないのです。もちろん新人看護職員への責任を持つところは、課長であったり 副部長であったりという名前があるかもしれませんが、しかし、職員全体の教育研修に関 して最終的に責任を持つのは、看護職員については看護部長だろうと思いますので、そこ も含めて考えた案だと思います。ただ、新人看護職員の責任者が教育課長から始まります が、この教育課長のすることは、もちろん看護部長がその上で職員研修全体の責任を持っ ているわけです。 ○猪又委員 そのとおりだと私も理解しているのですが、いま、この図で表そうとしてい る教育責任者というのは、新人看護職員研修における教育責任者という理解でよろしいの でしょうか。もしそうであれば、看護部長の場合もあるでしょうし副看護部長である場合 もあると思います。 ○石垣座長 そのとおりです。 ○坂本委員 私はそのように理解しました。それでよく分かりました。 ○村上委員 実際、誰が責任者かというときに、どういう方がこの担当をするかというの は、たぶん条件があったような気がします。そのときに、卒後の教育研修は学生や臨床指 導研修を受講しているという条件の人が担当者という、そういう条件は付かないのでしょ うか。例えば看護部長でもいいし副部長でもいいし、教育担当の人でもいいと思いますけ れども、その時にそのことを表すとしたら、ここに教育担当副部長とか師長とか、何かそ ういうものにしたほうがいいのではないか。看護部長ですとそこがどうなのか。 ○石垣座長 前回も話題になりましたように、かなり大規模な病院ですと段階的にきちん となっていると思いますが、今回は中小、特に小規模の病院でも実現可能なということを かなり念頭に置いていますので、施設によっては必ずしもそういうポジションを置いてい ない所もあるかもしれません。私どもが狙ったのは、この右側の説明にあるポジションと いうか、右側の説明にある役割を担う人ということであり、ですから呼び名も、それから 施設によってはそのポジションも様々だろうと思いますが、いかがでしょうか。 ○北村委員 話がひとつ下にいって、「プログラム企画・管理組織」というところで伺いた いのですが、この緑色の四角は組織名、委員会名ですね。その隣の「教育指導者」という のは人の名前ですね。この図で言えば教育課長あるいは看護副部長の下にプログラム委員 会、あるいは研修管理委員会とか、教育委員会でもいいですが、そういう組織を置きなさ いと理解していますけれども、この教育指導者という方は委員会のメンバーと理解してよ ろしいのでしょうか。それとも教育に専念し、実際は看護そのものをやらないで教育を専 任にする人を置きなさいという意味なのでしょうか。普通、委員会となると、各部門の師 長さん、あるいは各部門の教育担当者の何人かがお集まりになって研修管理委員会を開い ているので、そうすると教育指導者という者はいなくなるわけです。 ○石垣座長 実際に運営しておられる施設の委員の方から、このことについてご説明いた だけますか。庄野委員、お願いします。 ○庄野委員 教育指導者のところですが、先ほど海辺先生も言われましたように、教育委 員会とすれば、現場で病棟の師長などを兼任して、役割を担っているところだと思います。 教育指導者として、ここの役割のところに書いてありますように、「新人研修プログラムの 策定、企画及び運営を行う者」とすれば、現場の師長がそれを兼務で行うと、どの規模の 施設においても非常に厳しいものがあるかと思います。これはすべての所で置くようには まだしていないと思いますし、どのぐらいの割合で置いているというのも分からないです が、先ほど言われたように、教育委員長という名前が付くと思いますが、研修に関しては できれば専任で置かれたほうがいいかと思います。でもその割合が今はどのぐらいという のは、ちょっとわかりません。 ○上泉委員 前回、規模に応じた多様な研修実態があるのではということで、調査のこと を提案させていただいたのですが、もしその調査ができるのであれば、この点について詳 細を把握した上で、これらの役割を担う人たちは一体どういう条件の人たちがふさわしい のかと言うことを、改めて出してくることでは、いかがかと思います。 ○石垣座長 大変貴重なご意見、ありがとうございました。各施設でこの実態というのは 非常に多様だと思いますので、一度調査をした上で、どういう人が担っているのか、ある いはどういう人がするのが望ましいのかも含めて、今後、検討の材料にしたいと思います。 よろしいでしょうか。  続きまして、前回、上泉委員よりご質問のあった、小規模医療機関の研修実施体制につ いてですが、現時点でお示しする資料がありませんでした。事務局と相談の結果、西澤先 生のご協力を得て、新人看護職員研修に関する実態調査を実施することになりました。調 査用紙の(案)が出ていますので、これについて事務局からご説明いただけますか。 ○島田補佐 資料4です。いま座長からお話がありましたように、西澤委員にご協力いた だけるということで、全日本病院協会の会員病院様を主とした調査対象ということで、し かもこの検討会の議論に資するという意味では、迅速に行っていただくことも非常に重要 かと考えています。簡便かつ網羅的に調査を実施することを念頭に調査項目を整理させて いただきました。  問1は病院の概要についてということで、1)は所在地、2)は許可病床数で、あれば何床 か。3)は看護職員総数を平成21年4月1日現在でお聞きします。4)は新規採用看護職員数 で、区分としては4月1日採用と、それ以降の年度内採用に分けていますが、それぞれ新 卒者と、既卒者で看護の実務経験がない方、既卒者で看護の実務経験のある方という区分 で調べたいと考えています。問2は、過去3年間(平成19年度〜21年度)の間に、新卒の 新人看護職員の採用があった施設のみにお答えいただくということで、採用がなかった場 合にはここまでの調査実施と考えています。  問2以下ですが、新人看護職員研修の実施状況について伺うことにしています。1)新人 看護職員への研修内容別の研修方法について、当てはまるものについて複数回答可で○を 付けていただくことにしています。看護師としての基本姿勢、態度について、1.院内の集 合研修、2.部署単位での集合研修、3.業務を通しての教育、4.その他、5.実施せず、とい う研修方法について、それぞれ該当するものに○をしていただきます。以下、研修内容と して、看護技術、機器・器械の取り扱い、感染管理、医療安全の項目を挙げて、それぞれ 研修方法について回答いただくようにと考えています。  2)新人看護職員研修は何ヶ月間で実施していますか。例えば6ヶ月とか12ヶ月といった ことが数字として入るかと思いますが、そういった問いになっています。3)新人看護職員 の研修体制について教えてくださいということで、プリセプター、ローテーション、チー ム指導体制、その他といった選択肢を設けています。4)看護部門に教育研修担当者を配置 していますか。1.専任で配置、2.兼任で配置、3.配置していない。5)病棟や外来などの各 部署単位に教育担当者を配置していますか。1.専任で配置、2.兼任で配置、3.配置してい ない。6)研修を企画する組織(委員会など)はありますか。1.ある、2.ない。7)新人看護 職員個人の習得・達成度を確認する評価表などはありますか。1.ある、2.ない。8)新人研 修の企画や研修を実施する担当者の教育はどのように行われていますか。1.院内研修、2. 看護協会や医師会、企業など主催の研修、3.その他、4.行っていない。9)他施設と連携し た新人研修を行っていますか。1.行っている、2.過去に行ったことがある、3.行っていな い。  問3は、新人研修について困っていること、改善したいことがありましたら教えてくだ さいということで、ご回答いただく項目を考えています。以上です。 ○石垣座長 ありがとうございました。この内容について何かご質問、ご意見がございま すか。 ○猪又委員 自分が、この調査を記入する場合を想定してお話を聞いていたのですが、問 1の3)の看護職員総数は、保健師・助産師・看護師・准看護師、すべてを含んだものかど うかが少し迷うところだと思いました。新人看護職員研修というところで対象にすべてが 入るということであれば、まとめてでもよろしいかと思いますが、そこが明確になってい るほうが答えやすいと思いました。  4)の新規採用看護職員数のところで、例えば准看護師としての実務経験があり、今年専 攻科等を卒業した場合は、どこに書くのかを迷うと思いました。  問2の1)の研修方法ですが、その他ので具体的に内容を聞きたいと個人的に思いました ので、書く欄があったらどうかと思いました。その下の2)の新人看護職員研修は何ヶ月で 実施していますかというところが、いろいろな方法があるので、少し答えにくいのではな いかという印象を受けました。少し皆さんのご意見もいただければと思います。 ○石垣座長 ありがとうございます。5つほどのご意見をいただきましたが、いまの猪又 委員のご発言について、ほかの委員の方からご意見がございますか。 ○庄野委員 1点、重複するのですが、問2の2)の新人看護職員研修を何ヶ月間で実施し ていますかというところで、以前、文献名は忘れましたが、そういうアンケート調査を大 規模にしていた文献があって、オリエンテーション期間を言うのか、採用時の合同研修な のか、1年間ずっと集合研修が、フォローアップ研修のようにポイント、ポイントである ところまでを言うのか、非常にばらついた結果が出ていて、せっかくお答えいただいたの に十分に分析できないということもありましたから、この2)の質問に関して、もう少し具 体的にお示しすればいいかなと思います。 ○石垣座長 そうだとすると、どのように聞くことがいちばん適切だとお思いでしょうか。 ○坂本委員 その病院が新人研修と呼んでいる時期を、書いてもらったらどうですか。そ れは難しいですか。 ○石垣座長 熊谷委員、猪又委員の所はいかがですか。 ○熊谷委員 先ほどもあったように、これは単純にこの研修のことを議論しているので、 こう聞かれれば12ヶ月とか書けるのですが、この文言だけを見ると、先ほどあったように オリエンテーションを言うのかというのは確かに迷うところかなと思うので、坂本先生が おっしゃるようなところを少し追加して、その病院として新人研修としてやっている期間 はどれぐらいですかとか、少し足されるといいかなと確かに思います。 ○坂本委員 オリエンテーションの言葉が皆さんから挙がってきているので、「オリエンテ ーションも含む」とか、そういうふうにせざるを得ないかもしれません。技術研修だけに 絞ると、少し複雑になってしまうと思います。 ○海辺委員 その細かい項目も次いでに聞いてしまえば、これは違うという感じで余計わ かりやすいのではないですか。それは(何週間)ではないですけど、0.何ヶ月でもいいで すから。ただ、アンケートって量が増えると答えるのが嫌になるという難しさもあるので。 あとは、よく私なんかが患者会で答えるときは、記入例があるとありがたいなと思ったり するのです。わからないことがあったら、こちらにお問合せくださいと電話番号を付けて おくみたいなのが、結構、鉄則みたいな感じがあったのです。 ○石垣座長 それもまた大変なことです。 ○海辺委員 次いでという感じで、いまとちょっと違うのですが、この間、出ていたもの で、新人看護のガイドラインがあることを知っていますかという項目があって、知らない ところがどのぐらいやっているのかというのを。 ○石垣座長 あの報告書ですね。 ○海辺委員 はい。それを知っていますかみたいな項目もあったらいいかなと思ったので す。 ○石垣座長 報告書がどこかにありませんでしたか。 ○海辺委員 これですね。指導指針でしたか。 ○石垣座長 問2の2)の新人看護職員研修の期間についての文言ですが、もう少し具体的 に考えてみたいと思いますので、オリエンテーションは研修の一部ですけど、オリエンテ ーションはオリエンテーションですので、ここで聞きたいのは、現実に新人看護研修のプ ログラムでどうやって研修しているかという期間だと思いますので、この文言について考 えさせていただきたいと思います。 ○福井委員 聞き方ですが、トータルとしての期間と実質何日やっているかという聞き方 と、2つが必要だと思います。1年間散らばっているけれども実質は20日間しかやってい ないとか、ある所は実質5日間で終わっているとか、実質何日費やしているのでしょうか。 ○石垣座長 いまの福井委員の発言からですが、看護としてはOFF-JTとOJTを含めた年間 の研修ですので、集合教育は先生のおっしゃるように実質何日間ということが言えると思 いますが、ほとんどがOJTで実地指導者が指導する形になると思いますから、それを含め た研修というふうに考えて、よろしいのですよね。いかがですか。 ○福井委員 OJTを研修とみなすのか、仕事とみなすかによってカウントが異なってくる ので、それも考慮しての話ですよね。 ○石垣座長 はい、そうです。 ○福井委員 それを新人看護職員の研修とみなす期間ということですので、それに加えて、 先ほどの委員の意見ですと、ポンポンと研修の日が散らばっている時もあるということで すから、それらを全部合わせてカウントすればいいのではないかと思います。 ○坂本委員 福井先生のおっしゃったことでいいと思いました。その病院が研修とみなす 期間ということを付けておけば分かりやすいですね。研修とみなしているのかいないのか、 1年生が2年生になったらもう新人が来ますから、いつまでも新人研修と言っているわけ にいかないので、みなす期間と仕事に入る期間があると思います。そのあたりはつくられ ているのではないかと思いますので、その病院に判断していただくということではいかが でしょうか。 ○石垣座長 いかがですか。 ○熊谷委員 私、石垣先生の意見と同じで、ONとOFFがすごく切り分けが難しくて、医師 の臨床研修もそういう考えで言うと1年間、365日となると思うので、看護師もそうかな と思います。新人看護職員の研修期間はどこですかという、その実質というのは非常に厳 しいかなと思って伺っていました。 ○石垣座長 いかがでしょうか。これは後の評価にも関わってくると思うのですが、後ほ ど説明していただく猪又先生ですか、6ヶ月、1年の評価の具体的な例をご説明していただ きますけれども、この研修の期間とか研修の内容とかはどのように評価しているか。ある いは新人がそれを習得したことの習得度を、どのように評価しているかということも含め て、期間というのはそれに非常に関係があると思います。研修と期間と、それをどのよう に習得したかという結果です。一般的には、集合教育と集合教育につなげるOJTとを合わ せて、結果的にその人がどれだけ技術や様々な知識を身に付けたかということを、ここに あるように1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年というふうにして評価しているわけですが、それ もここの施設は1年というふうにみなしているから、1年の結果が出ているのだと思いま すが、そういう意味で研修とみなす期間というか、そういう考え方で聞いてもよろしいで しょうかね。 ○羽生田委員 前回、どういった新人研修の形をとっているのが多いかと聞いたときに、 プリセプターを付けての研修がいちばん多いというお話でしたので、いつまで付けている か。1年間で終わっているのか、2年間付けているのかということを聞くのは駄目なのです か。 ○石垣座長 どうでしょうか。例えばある病院は、プリセプターは1ヶ月か2ヶ月だけれ ども、その後は教育プログラムでずっとフォローしているというのもありますので、必ず しもプリセプターの付く期間が研修というふうには、ならないところもあるのではないか と思います。いかがでしょうか。 ○庄野委員 今までの研究データの中から、プリセプターはたしか87%の施設が取り入れ ているということで、その期間を調べたデータもあったと思います。詳しい数字は覚えて いないのですが、準備週間でプリセプターの期間を定めている施設から、1ヶ月、半年、 あと、期限がないという施設もあり、1年後と何となく大まかな期限はあるけど、いつの 間にか終わっている、あるいはほとんど半年ぐらいで指導は終わるけど、一応、名目上は 1年間としているなど、非常に様々な期間だったような感じがします。  ここの答え方ですが、アンケートをいただいて答える側としたら、先ほどから議論され ている、研修とみなす期間というのが、それぞれ答える方によって捉え方が多様になって くるのではないか。そうなったときに、なかなかこういう均一的な量のデータが集まらな いところを考えると、もちろんOJTもOFF-JTも研修とみなすという意味はわかるのですが、 量的な集計をするとなれば、現場の意見として答えやすいのは、例えば集合研修は1年間 のうちで何日間行っていますかとか、オリエンテーションは何日間行っていますかと聞か れると、非常に明確なデータが集まるのではないかという気はします。 ○石垣座長 OJTを抜きにして ○庄野委員 OJTをどこまで、1年間と言われれば1年間なのですね、2年目に入ってくる までは新人なので。答える方の捉え方によって非常に幅が広がると思いますので、せっか く集まってきたデータを処理するときに幅が広がっていくと、もちろんそこを含めても別 に悪いことではないとは思いますが、追加するとすれば、集合研修は何日間行っています かというのは、明確に数字としては把握できるのではないかと思います。 ○坂本委員 例えばプリセプターを終わった時期を終わりとするなど、それぞれの病院で は明確にできるのではないか。新人に対して病院が何かを介入している時期を期間として 捉える、ということであれば出ますよね。 ○石垣座長 そうすると、例えば集合教育を月に1回とか2ヶ月に1回の割合で1年間ず っとやっている所は、1年間というふうに見ていいということですよね。これについては 表現を少し考えて、皆様方のご意見を参考にして、西澤先生、どうぞ。 ○西澤委員 私の協会でやるということですが、前回欠席して議論の内容もわからないま ま看護課長からくどかれて、思わず「はい」と言ってしまった結果ですが、実際は前回の 議論もありましたけど、小規模病院の実態を知りたいということだと思います。 ○石垣座長 そうですね。 ○西澤委員 ここにおられる方々は大病院で、このようなガイドラインを作らなくてもし っかりした教育ができていると思います。それでは中小病院はどうなのだということなの で、あまり難しくすると答えられない。結果としては、逆にきちんとやれていないという 結果が出るのではないかなと私は思っています。うちの協会の会員数は2,270病院ですが、 200床以上が3分の1ぐらいで、3分の2は200床未満です。ほとんどが民間病院です。で すから、例えばここの定義にもありますが、そんなに役割のはっきりした人が全部いるか どうかも分からない。そういう中でどのような現状かを調べるということだと認識してい ます。そうだとすれば答え方も、この場ではある程度の一致した水準というのがあります から同じ答えになるけれども、おそらく、まちまちなのが出るのだろうなと思います。そ ういうのが出ることも、ある意味での目的かなと思っています。  この研修の期間も、事務局の案にはなかったのを入れたらどうかと私が提案したのです が、これもいろいろな答えが出てくるということで、要するにこう聞いたところで、聞か れるほうの認識はそれぞれ違うのだという結果でもいいのかなぐらいの思いでした。ただ、 いま聞いていて、確かに実質ということを入れたほうがいいかなとは思っています。  いま中小病院は正直言いまして、しっかりした教育体制をとる余裕がないというのも実 態です。だからといって教育しなくてもいいというものではないし、そういうことではし っかりしたガイドラインを作って、是非、それは大病院ではなくて中小病院にも当てはま り、役に立つものを作っていただいて、中小病院に新人看護師さんが入ったとき、には、 しっかりした研修がされることが大事だと思います。そういうことで協力させていただき ますし、そういうことでの調査内容だと思いますので、若干、曖昧すぎるとか大ざっぱだ というあたりは、目をつぶっていただければありがたいと思います。 ○石垣座長 ありがとうございます。先ほどご意見のあった問1の3)の看護職員総数は、 資格を持ったすべての看護職員の総数と考えていいと思います。いわゆる進学コースを出 た人も、それは新卒としてカウントしていいと。経験があったとしても看護師としての新 卒というふうに考えていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○羽生田委員 看護職員総数に准看護師をカウントするのであれば、それは新卒ではない です。 ○石垣座長 先ほどの4)の新規採用看護職員数というところで、准看護師の経験のある人 をどうカウントするかという猪又委員のご質問だったと思います。 ○羽生田委員 ですから、職員総数の中に保健師から准看護師まで一緒にカウントするの であれば、既卒の実務経験ありに入らなければおかしいのではないですか。 ○石垣座長 新規採用看護職員数ですから、准看の経験があって進学コースを出た人も、 看護師としては新卒ですので。 ○羽生田委員 だけど、総数は准看護師をカウントするのだから、准看護師でカウントし ないとまずいのではないですか。 ○石垣座長 でも、その人たちは看護師になったわけですよね。 ○羽生田委員 だけども、新卒の看護師が何人、准看護師が何人という質問ではないわけ で、総数としては准看護師をカウントしているのであれば、それは新卒と数えるか既卒と 数えるかということですから、そういう意味では経験ありの既卒者になるわけでしょう。 ○石垣座長 3)は看護職員の全体数であって、4)は新規に採用した看護職員です。ですか ら、これはダブるかもしれませんが数は違ってくると思います。 ○羽生田委員 もちろん、総数ですから違います。だけどカウントの仕方とすれば准看護 師は進学コースに行ったときには、お勤めしながら行っているとすれば、既に准看護師の 資格を持って働いているわけですから。 ○石垣座長 4)の既卒で実務経験なしというのは、既に免許は持っています。卒業はして いるけれども実務経験はない人です。免許は取っても就かなかった人ですよね。次は実務 経験はあるけど中途で辞めた人です。ですから、あくまでもこれは新規採用看護職員のカ ウントなのですが、お分かりいただけませんか。 ○猪又委員 いま、羽生田先生がおっしゃったとおりだと私は思います。看護職員数とい うところで准看護師も入れるということは、看護職員としてみなすということになります ので、そういう意味では、その方は准看護師でもきちんと看護の経験のある人という意味 ですよね。とすれば准看護師を持って実務をしていれば、例えば進学コースをこの春に出 たとしても、既卒で実務経験のある人としてカウントしなければ矛盾があるとおっしゃっ ていると思いますので、そういう意味ではおっしゃるとおりだと思います。私はむしろ3) の職員のところを看護師と准看護師で数を分けたほうが、いいのではないかと思います。 ○島田補佐 ここの新規採用看護職員数を把握したほうがいいのではないかという、そも そもの考えは、この対象病院で、どのくらいの規模の新人看護職員研修対象者がいらっし ゃるのか、実態を知りたいと思ったのでこのような質問項目を設けています。ですから、 実態として、准看護師から実務経験を経て看護師になられた方々が、いわゆる新卒の看護 師と同じ新人研修プログラムをやるのが多いのか、それとも実務経験者として違ったプロ グラムが適用されるのか、その実情を反映させていただいて何人かということを把握した ほうが、どういった研修プログラムの対象者のボリューム感なのかが、把握しやすいかな と思っています。 ○石垣座長 施設によっては、新卒の中で新卒の教育をそのままする所は新卒に入るし、 そうでない別のプログラムを持っている所は、右のほうに入るということでしょうか。 ○島田補佐 ただ、それを施設ごとにすると非常に煩雑かと思いますので、もし、いまい らっしゃる先生方の中で、どちらにすることが多いかを決めていただけるのであれば、そ れはそういう仕切りとして区分していただければよろしいのかなと思います。 ○石垣座長 いまの事務局からの説明について、猪又委員はどのようにお考えでしょうか。 ○猪又委員 当院の場合ですと、准看の資格を持って、その後学校を卒業してきたナース に対しては、同じような教育をしています。ただ、対象が大学病院ではないときに、そこ の施設で准看として仕事をしていて、働きながら学校に行って卒業した後に、同じような 研修をするかについては、私はどうかなと思います。このような場合、先ほど3)を分ける と言いましたが、4)を分けるとか、何か分けないといけないのではないかと思います。い まの研修対象者の数を把握するという目的からすると、何らかの分け方をしないと正確な 把握にはならないのではないかと伺っていて思いました。 ○坂本委員 いろいろ病院があると思います。新規採用者の技術が高いのに、またさらに 技術の研修をするかどうかですがこの対象者を新人研修の対象者としたらいかがでしょう か。新人研修の対象者は何人ですかと。新卒が何人ですかと聞くと、それはいろいろな状 況があるので、新人研修の対象者は何人ですかと聞くのはいかがですか。 ○石垣座長 新人研修の対象になる人は、どのくらいかという聞き方です。 ○羽生田委員 このアンケートの目的を先ほど西澤先生が言われましたけども、研修をど うやっているか、実際にやっているかどうか。特に中小病院で小病院のほうは、この前の 資料にもありますように、研修をやらない所が圧倒的に多いわけです。ですから新卒であ ろうが既卒であろうが、何でも新人を対象に新人研修をやっている人が何人いるか。要す るに新人で入ったら、みんな研修しているかどうかが分かればいいのではないでしょうか。 ○石垣座長 というのは、いまの坂本委員の意見と同じですね。 ○羽生田委員 看護職員の総数も4種類全部含めてもいいし、その中での新卒者でなくて も何でも新人として来て、病院自体のオリエンテーションはみんなやるでしょうけども、 新人研修をやっていますか、やっていませんか、新人研修を何人受けていますかだけで、 何人はなくてもいいと思いますが、そのくらい簡単なアンケートにしないと、答えるほう が細かくなればなるほど大変になってきますので、そういう趣旨でやっていただければと 思います。 ○石垣座長 西澤委員は、その方向でよろしいですか。 ○西澤委員 ありがとうございました。おっしゃるとおりで、細かく言えば切りがなくて、 准看からのときだって、一旦、准看の免許で仕事をしてから資格を取った人と、免許は取 ったけど、すぐ進学コースへ行って全く経験のない人もいます。もっと言うと、保健師で あっても、看護師としての実務があって保健師を取った人はどうなるのかなど、そういう ことを言い出すと切りがないので、この枠の中で答えていただくということでいいと思い ます。 ○石垣座長 わかりました。時間が押してまいりましたが、この調査は6月ごろ実施の予 定になっていますので、また結果がまとまりましたら、この検討会でご報告させていただ きたいと思います。  もう1つ、新人看護師研修のニーズについて、委員の先生方に確認していただくことで、 当事者の意向に沿ったガイドラインが作成できるのではないかと考えています。このこと について、庄野委員と熊谷委員に実際に新人看護師のニーズを調べていただきましたので、 お2人にお話をしていただきますが、委員の皆様方にはお2人のお話を基に、今後、ガイ ドラインもしくはガイドラインの活用方略に反映でき、組み込まれるような内容を意識し ながら、是非、お聞きいただきたいと思います。熊谷委員からお願いします。資料5をご 覧ください。 ○熊谷委員 それでは当院でやっていることについて報告をさせていただきます。資料5 を見ながら説明させていただきます。当院では、基本的看護を身に付けた臨床看護師、そ してプロフェッショナルになるための新人看護師に対しての臨床研修をしています。資料 にありますように、基礎教育と専門職業教育の橋渡しのように位置づけを考えてやってい ます。  教育方法につきましては、成人学習者であることから、経験型学習として、集合教育に よる講義や演習、その後、現場で経験をして、またその経験を基に集合教育をするという ような方法でしています。  研修期間については次の頁をご覧いただくと、概ね急性期の看護の完成点としては3年 間を考えていますが、新人教育としては約1年間を目処にしながらやっています。まずは 3ヶ月目を1つの区切りとして、夜勤導入やローテーション研修を開始して、1年間はしっ かりと研修を受けられるシステムを構築しています。  今回、1年目、2年目、3年目の看護師が、臨床現場と基礎教育に乖離を感じているか、 どのような項目に乖離を感じているか、また、1年目の新人看護師は1年間で看護師とし て必要な能力がどの順序で育っていくのか。さらに看護能力を習得する上で障害となって いることは何か。そして、新人はどのような研修を望んでいるのかということを、当院の 1年目から3年目までの看護師に回答を求めました。  引き続き資料をご覧いただくと、私の資料の中の(資料1)がございます。ここにどう いう対象に聞いたかが出ていますので、それをご覧いただきながらお話をさせてください。 教育と現場の乖離はそれぞれ、1年目、2年目、3年目は感じています。しかし経験年数と ともに下がっています。乖離を感じる項目は、前回の会議の資料にもございました2002 年の日本看護協会の新人看護師の看護基本技術に関する実態調査とほぼ同様の項目で、生 体侵襲が高い看護技術について、乖離を大きく感じている様子があります。  1年目にどのような能力をどのぐらいの時期に獲得していくのかは次の頁の(資料2)を ご覧ください。看護師としてできるようになったと感じることを、3ヶ月、6ヶ月、1年に 区切って聞いています。そして、3ヶ月、6ヶ月、1年のときに、何が課題と思っているか を聞いています。大体3ヶ月では職場環境への適応がというところです。そして、6ヶ月 で業務の基本的な事柄、1年目を迎えるころにようやく通常の日常業務が行えるようにな ったと実感して、重症者等の看護について学ぶ必要を感じるようになってきています。  臨床研修の目標を「できるようになる」というふうに置いておりまして、まずはエビデ ンスに基づいた看護技術を一人でできるようになるまで反復練習できるような準備をしま す。次に意図的学習であるシミュレーション訓練をできるようになるために、そのときに は徹底的に臨床の場を再現した、何とかのつもりでやるとかそういうことではなく、リア ルなシミュレーションの準備が重要だと思ってやっています。  この研修の中身につきましては、身に付けておきたい技術で構成されていて、考えるこ と、判断することによってフローが進んでいくように仕組んでいるプログラムが必要だと 思って実施しています。行ったあとはリフレクションを行って、何ができるようになった のか、何が課題なのかを見出すことが非常に重要だと思っています。ほかの委員の先生が ご準備されているようなチェックリストによる自己評価を行って、そのあとグループワー クの中で、それぞれがお互いにシェアリングをしながら、自分の課題をまた見つけていく というような方法をやっています。  どのような臨床研修を望んでいるのかということについては、いまこういう研修をやっ ているということがベースになっているので、こうだ、ああだということは実際出てこな くて、例えば研究の方法とか看護理論を学びたいとか、さらにプラスで出てきていますの で、私が思ったのは、いま新人看護師の求めている研修と現行の研修には、そう大きな乖 離はないのではないかなと推察しました。  これらのことから、新人看護師の臨床研修は、1年間程度の期間の中で生体侵襲の高い 看護技術を中心に、研修・実習といったサイクルで学んでいけるような教育プログラムと システムが適当と考えています。  最後に(資料3)を見ていただきますと、これは前にご提示があった、学校側の先生方 とか看護部長さんに聞いている質問項目を、逆に新人たちに聞いてみますと、新人たちは 1番は常に医療事故への不安とか、日々高い能力を求められることへの焦りというものを いちばん感じていました。ですから、そういう新人看護師たちが日頃抱いている、それか ら起こっていることを大切にしながら、学びの過程をサポートすることがすごく重要なこ とだというふうに考えております。  そのようなサポートができるために必要な教育を受けた教育担当者を配置することが大 変重要だと思います。あとは、さらに技術研修の中では、やってみよう、ちょっと不安だ から練習してみようというような、いつでも自己研修ができるような教育環境の整備も重 要かと考えております。以上が当院での臨床研修の実態と評価でございます。 ○石垣座長 ありがとうございました。続いて庄野委員から発表をしていただいて、その 後にご質問をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○庄野委員 レジュメに沿って5分程度で話題を提供したいと思っています。レジュメは 2枚だけなのですが、もう1点、口頭で追加させていただきます。新人看護師がどういう 研修を望んでいるかということで話題を提供するのですが、先ほどから議論になっている ように、OJTとOFF-JT、あるいは新人研修をどう捉えるかによって、かなり深みに入って しまいまして、どのような集合研修を望んでいるのか、それともそれは例えばOJTも含め て、全部研修の捉え方が、新人看護師によって違うと思いますので、どういう研修を望ん でいるのか聞いてきてほしくて、実施ではどうなのかという点から言うと、こういう評価 しか出ませんでしたので、本当に一方向的な視点かもわかりませんが発表をします。  *のところで書いてありますように、新人看護師自身が経験した研修しか評価できない かと思います。同じときに2つの研修、あるいはいろいろな研修は絶対にできない、不可 能なので、自分が体験した研修というところで評価をしております。それと当院は8年前 からの卒後臨床研修制度をとっておりますので、その卒後ローテーションによる1年間の 卒後臨床研修を希望して入職した新人看護師の感想であるということが大前提になります ので、すごく偏りのあるデータかとは思います。  まず、当院の臨床研修の特徴なのですが、当該年度の新人看護師全員に臨床研修を受け ていただいています。大体、年間20名から30名で、現在までに117名の修了者がおりま す。熊谷先生の資料とよく似ているのですが、大学・短大卒の方が約半分、専門学校卒の 方が約半分いらっしゃいます。400床規模の中規模の急性期の病院です。ローテーション 方式による1年間の長期間が特徴となっています。ローテーションの部署はそこに書いて います。  ほかの施設と採用形態が違うところがいちばん大きな特徴かと思います。正採用ではあ りません。研修医師と同じように、臨時でもなく嘱託でもなく、研修看護師としての採用 としていますので、正採用ではありません。1年間の期限付きです。これは後々の議論に 加わってくると思うのですが、研修看護師という位置づけというのが非常に大きいです。 本当の正採用ではない、正職員ではないというあたりで、このメリットを簡単にポイント だけ申し上げますと、新人看護師本人にとっては、一人前でなくてもいい、自分は一人前 で、まだ、なくてもいい、研修生なのだというある意味安心感がございます。周りのスタ ッフにとっては、研修なのだからこの人たちには即戦力を求めなくていい、求めてはいけ ないというような双方の認識が、位置づけによって非常に明確になったと感じています。 それはこれから後々の議論になってくるかと思います。2年目から本人たちの希望を考慮 しながら正採用にしています。ほとんどの者が残っています。平成14年度、医師の臨床研 修より2年早く導入して、現在までに117名の修了者がおります。  この2番目の評価のところですが、これは去年29名の者が修了しましたが、毎年、中間 期と1年が終わるときにいろいろな自由回答で評価をいただいているのですが、1年後の 本人たちの評価です。ローテーションについては、そこにいくつか書いていますが、ほと んど7年間同様の傾向です。ローテーションのメリットをそこに書いています。単科では 得ることのできない知識や技術が幅広く学べると。深みは1つのところでの期間が短いの でできないのですが、基本的な看護技術の習得は1年間でできる。救急部門を4ヶ月する のですが、研修をすることで一般病棟では学べない、例えば挿管の介助であるとか、除細 動器の使い方であるとか、人工呼吸器の取扱いであるとかいうことは学べるということで す。一連の部署を5ヶ所ぐらい回りますので、周手術期も含めた一連のケアの流れが頭の 中でつながる。いろいろなスタッフと接しますので、それぞれの良いところを参考にでき る。物事をみる視野が広がる。多くのスタッフと知り合いになれる。これらはメリットに なります。  △の所は本人たちにとってのデメリットです。病棟や指導者によって、ローテーション によって変わりますので、業務の仕方や指導内容が異なり戸惑う。慣れた頃に環境が変わ るので非常にストレスフルだ、精神的につらい。人間関係を何回も何回も再構築をしなけ ればいけない。そして、1年間不安と緊張が続く。  研修看護師として正採用ではないという採用形態について、どう思うかというところで、 意見がありました。自分がどういう方向に進みたいのか、1年間かけて考える機会となる。 研修期間ということで、学ぶ意識が向上する。研修生という学ぶ立場というのを周囲が分 かってくれているので、先ほどの安心感とつながるのですが、一人分の責任が自分の中で 和らいで安心できる環境である。逆に研修生という立場から指導者に依存してしまって、 自分で最後の責任というのを、もちろん免許を持っていますので責任はかかってくるので すが、指導者とほとんど相談をしながら判断を最終的には委ねるというあたりで、責任感 がやや薄らいでしまう。2年目の一人立ちに向けての不安が非常に大きい。2年目のフォロ ーがちょっと大変にはなります。それが平成20年度の本人たちから見た臨床研修の評価に なります。これは毎年変わっておりません。  新人看護師がどういう研修を望んでいるかということで、集合研修に限って見ると、3 番目のところにポイントだけを書いています。先ほど熊谷委員のほうから言われた意見と 同様です。集合研修に関しては、6ヶ月後、11ヶ月後を毎年調査しています。実践に即し た現場ですぐに使える技術研修への希望が非常に多い。やはり免許を持つということで侵 襲的な技術が初めて可能になるというあたりで、非常に戸惑いが多い、そこでの技術研修 をしっかりとしてほしいというのが、7年間とり続けていますが、毎年同様の結果が出て います。そういうふうな技術研修以外に、先月の会議で上泉先生が言われたように、社会 化というあたりで、本当に周りの方々との職場に慣れる、組織人として自分が成長してい くというあたりで、同期生との意見交換会、あるいは先輩との交流会など、リアリティシ ョックなどを防止するというあたりで、そういう意味の研修、その2つのパターンの希望 が多いです。  次の頁にそのグラフを書いています。研修は単発で終わりますと、1時間、2時間の研修 が終わればその時点では評価はします。このデータはそれを受けて、6ヶ月後にどう思っ たか、あるいは1年後にどう思ったかという結果なので、1年後を基準に高いほうから低 いほうへと並べております。やはり技術研修の希望が非常に多いというのが先ほどの熊谷 先生のところの生徒と同じかと思います。  口頭で補足をさせていただきます。いままでの結果は当院の臨床研修を受けた新人看護 師の意見のポイントなのですが、それを当院の臨床研修という枠組みを除いて、いま2ヶ 月目の方にアンケートを取ってきたのです。その臨床研修のローテーションという枠組み を除けて、どういう研修を希望しますかと、それだけを聞いたときに2、3の意見がござい ました。看護師として必要な知識・技術を最初に学びたい。やはり基礎の技術研修、注射、 採血、清拭であるとか。あるいは4月、5月は集合研修を多くして、少しずつ臨床に慣れ ていくような研修方法がよい、これも意見が多かったです。  次にワンステップというか、こういう研修制度というのをとっていただけると、やはり ギャップが大きいので、急に現場に出る新人にとってはとても安心でき、心強い。やはり スタッフ一人分としてのプレッシャーが少ない。これには少し意見がありましたが、周り のスタッフが研修生であるということを受け入れてくれているのがいちばん大事だと思い ますという意見がございました。  あとは、どういう研修を望みますかという最後の1つなのですが、いろいろな部署、領 域を回り、多くの経験を積みたいという意見が非常に多かったです。いろいろな部署を回 ることで、看護師としての基礎的な力、観察力であるとか、技術力であるとか、人間関係 を通したコミュニケーション力が身に付くように思いますので、そういう多くの経験を最 初の新人看護師のときにしたいという意見が、自由回答でございました。以上です。 ○石垣座長 熊谷委員、庄野委員ありがとうございました。お2人のご発表に対してご意 見、ご質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○深田総務課長 我々の資料でないのでお伺いしたいと思うのですが、教育と現場の乖離 を感じた項目というのも、かなり技術的な項目に集中していて、看護協会がやった同じ項 目のものも、不安に思う面が非常に高いのは、その面ということになっていて、基礎教育 の面、ここは基礎教育の場ではありませんが、大いに関連をしていて、かつ、全体として の満足度というか、看護協会のデータだと、ちゃんと自分一人で、できますというのは4 項目しかないというふうになっていますので、ガイドラインを作るわけですから、どうい う人を対象にして考える新人教育なのか。  出口は、到達目標は次のところに出てくるのでしょうが、お作りになると思うのですが、 対象はどういう人なのかというところをしっかりしないといけないのではないかというこ と。私の疑問は、看護基礎教育の到達目標は、大体は達成されているという前提で作るの かなと思っているのですが、あるべき姿としてはですね。そうでないと病院にかなり多く の負担をかけることになると思うのです。それはいかがなものかというふうに思っていま して、その辺はどうなのでしょうか。 ○石垣座長 素朴な疑問が提案されましたが、臨床にいる皆さん方で、このことを、どう いう人を対象にするか、即ちそのレディネスをおっしゃっているのだと思うのですが、そ れをどのようにお考えでしょうか。 ○海辺委員 どちらかというと、私からも関連する質問に近くなってしまうと思うのです が、先ほどのアンケートなどにも通じるのですが、私などが非常に気になりました点は、 きちんとした教育プログラムが持てない所に、相当数の新人看護職の方がもし行っている のであれば、そこをきちんとしていかざるを得ないというか、していく。そこに関しては、 だからこの現状ではできないということであるならば、できない所にはお任せしないよう にしていくとか、いろいろなことをしていかないといけないのだろうなと。  いまこの会議自体がパラメーターがちょっとバラけていると言いますか、「もう現状この ままで、でも、どこでも使えるものを作るのだ」みたいのだと、ちょっとパラメーターが、 要するに対象軸が広すぎるのではないかと思います。基礎教育もバラけていて、いろいろ な雑多な方が出てきて、しかも受皿も雑多で、もうやりようがないというのだと、いつま で経っても問題が解決しないので、どこに軸を絞って、そこを今回は必ず解消するという ふうにしていくのかというのが、ちょっと曖昧だなと感じました。  例えば「安心と希望の医療確保ビジョン」の中でも、「医師と看護職との協働の充実」と 書かれていまして、そちらでも、「その際、これからの看護師には、医師や他のコメディカ ル、他の職員等や患者・家族とのコミュニケーションを円滑にする役割等が求められるほ か、在宅や医療機関におけるチーム医療の中で、自ら適切に判断することのできる看護師 の養成が必要であることなどから」とあって、基礎教育のことまでにも及びますが、要す るにそういうものを目指すのであるならば、先ほどのアンケートのところで、どのくらい の規模の所にどのぐらいの数の方がいて、そこでどの程度の新人教育が行われているのか というのを、きっちり把握した上で次に進むべきではないかというふうな気がしたのです。  例えば今回ご発表いただいたものの中で、患者の視点から言うと、これからすごくコミ ュニケーションスキルみたいなものも求められる中では、項目として全然出てこなかった のですが、いま新人の医師の研修などですと、コミュニケーションスキルがすごくたくさ ん取り上げられている中では、看護師さんはわりとコミュニケーションスキルに関して、 あまりご本人たちが苦痛に感じることがない項目だから挙がってこないのかなと。そうい うことも含めて、研修を終えた後で一定レベルの職員の方に仕上げることを目的とするな らば、ある程度、現状を踏まえた上で次のステップを考えていくというふうにしていかな いと、また議論が戻らないといけなくなるのではないかなという気がしたのです。 ○石垣座長 いま2人の方からご意見が出ましたが、それについていかがでしょうか。上 泉委員どうぞ。 ○上泉委員 基礎教育のゴールがどのようなものなのかということなのですが、それぞれ の教育機関がゴールを設定して、どの程度それが達成されたのか、あるいは経験したのか ということを作っているようです。ただ、学生を見ていくと、非常に差があるというのが 現状ではないかと思います。ですから、基礎教育が目指すところというのはある程度出て はいるけれども、その習得状況というのは、やはり差がある。先ほど坂本委員が言ってお られたように、臨床での新人研修と、基礎教育で習得したものをリンクさせて、継続して、 活用していくようなもの、そういうものが必要ではないのかなと思います。 ○石垣座長 そうですね。 ○上泉委員 私は、どこの大学でも、4年間で学生が習得したものを自分でセルフチェッ クをしていって、マネージしていくものを持って、できれば卒業後もそれを使いなさいと いうようなことは言っているのです。仕事についてもずっと持っていけるような、そうい う到達度を確認するものを必要としているのではないかなと思います。 ○深田総務課長 今日は非常にいいチャンスだと思いますので、現場の看護部長さんもこ こに何人も来られてますので、どうなのでしょう。これは、私は前から思っているのです が、新人看護師に乖離を感じていましたかというアンケートではなくて、使っている立場 にいる人間の評価を聞きたいと思うのですね。いまは感想しか言えないと思いますので。 どうなのでしょう、率直に言って、これは新人看護師の方々の乖離の実感度合いは、看護 部長から見ても同じなのでしょうか。 ○熊谷委員 前回の資料には、看護部長の立場で乖離を感じますかというのが出ているよ うに、私も生体の侵襲の高いものについては乖離を感じます。というのは、やったことが ないというのは事実です。つまり患者さんに注射をしたことがないというのは、これはも う限界で、それは学生が悪いとか教育の問題ではないと思っていて、それは臨床が引き受 けることだというふうな出発点にいますので、できないからやり直すとかそういうふうに は考えていないのですね。臨床が引き受けることと、学校が引き受けることがあるのでは ないかなと思います。  たまたま私が持ってきた資料は、これを聞いた時期が5月の初旬なので、いまの1年生 などは5月の初旬と言うと、まだやっと右はこっちと分かるぐらいのレベルで聞いていま すので、この1年目は、ほとんど「乖離を感じていない」と出てしまうのです。乖離かど うかもよく分からないのが現実で、2年生になって初めて「あれはずれていたよね」と、1 年経って思っているという現実がある。私もそれはそう思って、だから1年間が重要かな と思っています。使っている側としては、そこは乖離がしていると思います。 ○深田総務課長 もう1つ聞きたいのですが、大学とそれ以外、4年教育している所と3 年教育をしている所であまり違わないのでしょうか。 ○石垣座長 いかがでしょうか。  ○庄野委員 感覚的なものになるかと思うのですが、臨床現場とすれば、新人一年目では そんなに変わらないような印象を持っています。前回の議論にも少し出ましたが、基礎教 育で変わるというよりは、個人で変わると思っています。 ○猪又委員 今の発言に追加です。前回、私も変わらないとお答えしたのですが、看護の 実践能力という意味では、やはり個人の違いだと思いますので、学校によっての違いとい うのはあまり感じていません。ただ、2年目、3年くらいになったとき、レポートや研究を 実施したときに、その書く力、考える力というところに差があるのではないかと感覚とし て感じています。 ○深田総務課長 それも個人でしょうね。 ○猪又委員 大学では、看護研究などの科目があるので、その辺の訓練がされている時間 が長いと思いますので、その分の差ではないかと思います。 ○福井委員 看護師の免許を取るのにたくさんのルートがあって、それらの結果が同じと いうのは、何かおかしいのではないでしょうか。かなり違っていて当たり前だと思うので すが、それを皆さんが同じだ、同じだというのは何となく不思議に思います。もし同じで あれば、いちばん短期間で養成できるようなコースにしてしまえば、いいのではないかと も思われます。それはさて置いて、1つは卒業までにどれぐらいの看護技術が身について いるかを、例えば外部の人が行って、お互いに評価をして、日本全国あるレベルまでの技 術がついているということを保証するような、体制作りが必要ではないでしょうか。もと もとかなりレベルが違う人に同じものを押し付けようとしても難しいのではないかなとい う印象を持ちました。医学部ではOSCEを外部の第三者が評価しています。それで日本全国 の医学生の卒業時での最低限の診察技術などはホモジーニアスなものになってきていると 思います。そのような工夫をされるのも1つの方法かなと思います。 ○石垣座長 ありがとうございます。 ○上泉委員 教育課程による違いというものについて、よく議論がありますけれども、同 じであるべきところしか見ないで、差がないというのは、これは議論が違うのではないか と思います。例えば学士課程の教育の成果というものを、1年間だけのところで見ようと しても、それはもともと学士教育とそうではないところでの目指すところが違うわけです から、もっと違う視点で見るところだと思います。たぶんどこも同じ到達レベルを目指し て基礎教育ではやっているのではないかと思うのです。まず、教育課程による違いという ものをどこで見るかというのは、よく議論をしたほうがいいと思いますし、私は1年間だ けの状況で差がないというふうに決めてしまうのは早すぎると思います。 ○石垣座長 ありがとうございます。羽生田委員どうぞ。 ○羽生田委員 現実には差があるのです。前にもこの委員会だったかどこで言ったかはわ からないのですが、先ほどの話の新卒で、実際にいちばんできるのは、進学コースです。 進学コースの卒業生がいちばん実務はできるのです。これは実際に准看護師の資格を持っ て進学コースに行って、その間に准看護師で働いている人ですよ。これは卒業をした時点 を比べたら、いちばん実務はできます。ただ、いまいろいろお話が出てくるように、大学 教育でそれ以上の、その後のいろいろな研究などを学んできた人には、しばらくしたら必 ず追い越されます、もちろん個人差はありますが。いろいろな課程ではなくて、いわゆる 学生時代の到達度に個人差があってばらつきがある者を、すべて新人教育で同じことをや らせるということではなく、それぞれ違って当たり前だという観点から、学生のときには きちんと到達目標を作っていますよね、それがかなりできていないと。  私は、上泉委員が言われたように、その連続で、できるところはその個人の看護師は別 にそれ以上やらなくてもいいわけで、学生時代は先生が評価をした、資格を取ったら自分 で評価をして、自分でここをもう少し学んでいかなければいけないという姿勢にもってい く。それぞれの到達目標を、いま学生のときからかなりの項目数になりましたよね。それ がいかに達成できるかというものを、いかに自分で評価して、それを新人教育をする看護 師に教わりながら、自分で到達していくかというところに持っていかないと、個人差があ り過ぎますよね。ですから、全部に全部、同じ教育をする必要はないと私は思っています。 ○石垣座長 ありがとうございます。先ほど熊谷委員のご発表にもありましたが、看護基 礎教育と臨床との連携ということは、これからの大きな課題になると思われますが、この 中にもメンバーでいらした方がたくさんいると思いますが、この検討会に先立って、「看護 基礎教育の充実に関する検討会」がございました。そこで臨床で受け入れる側と、基礎教 育で育てる側との、非常に熱のこもった議論がなされました。臨床側は基礎教育でもっと ちゃんと育てよう、基礎教育は臨床でやってほしいというような議論が大変活発にあった のですが、その結果、ワーキンググループで看護基礎教育の今のマジョリティである3年 制の基礎教育に、どういうふうにすれば少しでも臨床につなげることができるかというの で、今年度から新しいカリキュラムがスタートいたしました。  それは先ほど熊谷委員、庄野委員からのご発表にあるように、侵襲のある看護技術に関 しては、全く基礎教育ができないわけです。それを現場と同じような、臨床と同じような 機械・器具とかシミュレーションを使って、できるだけ現場に近づけた、臨床に近づけた 教育を3年目になったら統合としてやろうとか、それから24時間の患者の生活を見ること が望ましいとか、さまざまな臨床の条件を考えながら、今のカリキュラムを検討会で考え たわけです。スタートしたばかりですので、これからそれがどのように成果が出るかとい うのは、これから見てみなければいけないわけですが、臨床の側も基礎教育の側もどうす ればいい看護師を育てられるかというところでは、共通の目標を持っていますので、そこ は相互に歩み寄りながら、双方に効率的な教育を考えていかなければいけないのだと思い ます。厚労省としては、もう既に「看護基礎教育の充実に関する検討会」で、その議論を 十分にしていたところですので、そのことも踏まえながら次に進めさせていただきたいと 思いますが、いかがでしょうか。 ○村上委員 思うのですが、例えば1つの病院で、大きな病院でなくても、たくさんの新 人さんが入って来るときの教育背景なのですが、例えば20校の学校から、あるいは多い所 で40校からたくさんの学生が入って来たときに、いま基礎教育でどこまでの技術教育がで きて、それを受けて臨床でどこから始めるかという、その接点はすごく難しいと思うので す。だから卒後の新人の研修制度はどこでもやらないといけないと思うのです。だから、 いまいろいろな現場からは、どんなに教育の背景があっても同じですよという言葉が出て くるのですが、分からないわけですね、臨床で実際に受けてみて。そうすると、その具合 を調整してみるために3ヶ月とか6ヶ月までを集中的にOJTでやる、あるいはそれぞれの 専門の方々の協力をいただいてやるという、その到達の目標を3ヶ月にするのか6ヶ月に するのか、1年にするのかということをきちんとしていくのが、たぶんこれからのガイド ラインの作成のところで大事かなと思っています。 ○北村委員 いまの議論を伺っていて、看護の新人研修があまりに技能教育に偏っている のではないかなと感じました。能力を知識と技能と態度みたいに分けると、例えば離職の 大きな理由に、最近の若者の精神的弱さみたいのが挙がっていました。それから患者さん が看護師に求めることは、点滴の技能も求めるのでしょうけれども、やはり自分の辛さが 分かってくれるとか、そっと手を置いてくれるとか、あるいは本当に死ぬということはど ういうことかというのを、1年目なんかに看護師さんに我々は考えてほしいと思うのです。 目の前で死んでいる人を、基礎教育では見るかもしれないのですが、無責任で見ていたの が、今度は自分が持っている患者が死んだときにどう感じるかとか。そういう態度の部分 を是非、これは、評価はしにくいので評価からあえて外すのでしょうし、チェックリスト を作る上では、これはチェックできないというのですが、実際はチェックリストでできる ことのほうが少ないと思っています。教育学でいう高度科学の弊害で、チェックできるこ としか教育しないみたいな風潮になっていて。むしろ心の面ですね、1年目で、熊谷委員 の、最初の目的に、看護のプロフェッショナルになるための教育というのを新人研修の目 標としたら、プロフェッショナルというのは何なのだろうというと、そういう技術の集合 ではなくて、やはり患者のことを考えるとか、死を考えるとか、あるいは生活と同時に病 気を考えるとか。  これは医者がいちばん足りないのですが、医者の最近の研修の目標に新しく地域医療が 入りまして、単なる独立した疾病を考えるのではなくて、患者の生活背景の中で患者の有 り様を考えて、生活全体から病気を捉えようというのが必修になっているわけですね。そ ういうことも考えると、技能以外のことのほうがむしろ大事で、そちらの研修をどうする かということ、あるいはそれこそが基礎教育とのギャップのように思うのですが、それが いまのディスカッションで感じたことです。 ○石垣座長 ありがとうございます。看護側の委員で何かご意見がありますか。 ○上泉委員 先ほど庄野委員の発表のところで、1年間不安と緊張が続き、2年目の一人立 ちの不安が大きいという報告がありました。このことで新人研修のゴールというのは一体 どこなのだろうと思います。もともと研修をすることで一人立ちして、何かしらの助けは 要るかもしれないのだけれども、一人でやることができるようになるというのが新人研修 のゴールではないのか。そうすると、研修をしてまた1年経った後に、同じような一人立 ちへの不安が出てくるというのは、やはりゴール設定のところでもう少し考えていかなけ ればいけないと思うのです。ですから、期間も必要なのですが、新人研修のゴールをどこ に設定するのかというのも必要ではないかと思います。 ○石垣座長 この検討会のガイドラインの基になる「新人看護職員研修到達目標」という ブルーのがございますが、これは必ずしも技術に偏重したものではありませんで、臨床で はもちろん看護職員として必要な基本姿勢と態度というところを、非常に強調して皆さん 方教えておられるようですし、先ほどの熊谷委員、庄野委員のご発表にもありましたが、 いまは3年くらいのスパンでそれを考えて、1年目ではどこまでできればいいかというか、 そういうようなスパンで考えていかないと、現実的にはならないというような印象を受け ましたが、庄野委員いかがですか。 ○庄野委員 1点補足させていただきたいのですが、先ほど北村先生から、態度の部分を もっと重要視というか、非常に大きいものがあるのではないかと。それはもちろんその意 見に同じなのですが、研修の中で例えば1年か半年の中で、そういう態度面での研修を現 場のほうももちろん重要視していまして、非常に多くの時間を割いてしています。けれど も、先ほどのデータですが、現在の新人看護師の素直な意見とすれば、その研修も大事だ とは思っていると思うのですが、やはり臨床現場に出たときに実際に注射ができる、採血 ができる、たちまち困る技術的な部分が、たぶん新人看護師にとっては大きいかなと思う のです。どちら側から見るかというものもあると思うのですが、臨床側のほうでも、その 態度面というのはすべての技術に通じるものであると思うので、非常に重要視して取り組 んではおります。事実としては、新人看護師はそのように捉えているというのが結果とし て出ているということで報告をさせていただきました。  2つ目ですが、いま上泉委員から言われましたように、2年目の不安が大きい、では1年 間の研修はどうなのかという辺りがありましたが、それについて詳しくデータを取っては いないのですが、2年目になぜ不安が大きくなるかというと、多分当院に限ってだと思う のですが、1年間は夜勤をプラス1でしていますので、3人夜勤をしている所であれば4人 目、4人夜勤をしている所であれば5人目となるのが1年間続きます。2年目になると一人 分の夜勤の人員に入りますので、その部分で非常に一人分という責任感を感じる辺りで不 安が大きいというのが、いちばん大きな意見です。 ○石垣座長 ありがとうございました。この大事な議論で、今回結論はなかなか出ないと 思います。今日はあとお2人の方のご発表を予定しておりますので、議論は今後も続けて まいりたいと思いますので、次に進ませていただきたいと思います。次は議事の2の「新 人看護職員研修の到達目標と評価方法について」です。まずお2人の先生から話題提供を していただきたいと思います。段階別の技術評価について、前回の検討会で猪又委員のご 発言がございましたので、話題提供を猪又委員からよろしくお願いいたします。資料7を ご覧ください。 ○猪又委員 前回の発言に関連した、技術に関しての資料だけを今回準備をさせていただ きました。これは当院で使っている資料そのもので、本日用にしたものではなくて、当院 でどのようにしていくかを検討するために作った資料です。  いちばん最初に、チェックリストの使い方について書いてありますが、そこの4行目に ありますように、5つの構成になっています。その段落の4行目ですが、5つの項目のうち の1、4、5は厚生労働省の「新人看護職員研修到達目標」のところからそのまま出してい ます。2と3のところは厚生科研で研究をしましたので、その結果を基に追加をした内容 になっているというのがこの構成になっています。  次頁を見ていただきますと、それぞれの技術の項目に関して、入職時に0ヶ月のところ に本人につけてもらい、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年のところで自己評価という形をとっ ています。評価の基準は1頁と書いてある所の四角で囲ってあるところにありますように、 未経験、一人でできない、指導があればできる、一人でできる、という評価基準になって います。知識を問う質問に関しては5頁に書いてありますが、文末が「知っている」とい うように、知識を問うものに関しては、知らない、聞いたことがある、大体知っている、 知っている、という基準でスタートをしています。ここに線を引いたり矢印で数字を書い てあるのが、今回見直して変更をした部分になります。  ここに書いてある数字になりますが、いちばん最後の頁を見ていただくと、たまたま基 本的姿勢と態度についての評価表がいちばん最後になっていますが、その下に書いてあり ますように、1年のところに書いてある数字が19年度に入職した新人看護師の集計として、 1年後に3、知識ですと「知っている」、技術ですと「一人でできる」と本人が回答をした 数字が、そこにパーセントとして入っています。そこが80%に満たないところに関しては、 その6ヶ月の欄のところに書いたのですが、「知っている・一人でできる」という割合と、 それから「聞いたことがある・指導があればできる」という割合を足したものをその左側 に数字として追加をしているというのが、この結果になっています。  水色に塗ってある部分は、1年後に3の評価になっていることを目指す項目としてはど うかとを、看護管理者、病棟で教育を、担当している者とでグループワークをしながら、 話し合い、最終的にこの水色の部分は1年後には3になることを目指して教育をしましょ うと確認し合ったところです。  水色になっていない部分に関しては、当院では厚生科研のときに新人看護師をどう捉え るかというところで、2年間を新人看護師として捉えたほうがいいと考えたので、2年目に 向けて3になってほしい、1年後には2か3であることが望ましい項目と共通理解をして今 年度使っているのが現状になります。時間もないようですので、簡単に見方だけ説明をさ せていただきました。 ○石垣座長 ありがとうございました。続きまして、坂本委員は平成20年度の新人看護職 員研修事業の評価、分析を、厚生労働科学研究として行っていただきましたので、事例に 基づいた到達目標の考え方についてご説明をいただきたいと思います。 ○坂本委員 39の病院の事例についての到達目標を1つのキーワードにしながら考えてみ ました。話の内容としては到達目標というのは一体何なのだろうということと、表わし方 と評価の方法を少し考えてみたいと思いました。  委員の先生方もお持ちの新人看護職員の到達目標の指針を、39の病院は大体参考にしな がら到達目標を作っております。39のモデル病院以外はわかりませんが、大体これに基づ いてきているということを考えていただければと思います。先ほど北村委員のおっしゃた ように、3つの枠組みが入っています。看護職員として必要な基本姿勢と態度についての 到達目標、看護技術についての到達目標、それから管理的側面からなっています。管理的 側面とは、例えば看護師が、物品に関してもただ使うだけではなくて、物品がどのように 配送されて,患者に使用され、廃棄される。一連の流れとして、どのように、安全に管理 され、使うかということです。その3つの枠組みで到達目標を決めております。ただ、こ の到達目標は項目を挙げているだけで、その到達目標ができたかできないかということ挙 がっていません。そこでこれを用いて各病院がご自分の病院の中で到達目標のような形に しているという事例が多くありました。  2頁ですが、到達目標の表わし方は、看護技術の到達目標が分かりやすいので、それか らお話しさせていただきます。輸液ポンプの準備と管理という到達目標のところですが、 この中では輸液ポンプの管理という形になっていると思います。まずA病院は輸液ポンプ の準備と管理ができるということで1つです。  B病院は輸液ポンプの準備と介助としましては、正しい輸液ポンプの使用方法が実践で きる。正しいシリンジポンプの使用が実践できる。ポンプアラームについて患者に説明し て協力を得ることができる。鳴った時には教えてくださいと、いうことまで入っています。 つまり、輸液の種類、方法などに沿ったポンプを選ぶことができる。微量注入ができるか、 などマニュアルのようなものまで含んでいます。それからアラーム時の対応ができる、ま ずアラームが鳴ったときにはどうすればいいかということが分かる。  C病院はさらにそれが多く入っています。輸液ポンプの準備と介助に関しましては、機 器原理が分かる。小児・成人のセッティングが分かる。どのような時に使用するか分かる。 ここまで少し似ています。ここからさらに、ドリップセンサーの取扱いができるとか、流 量変更ができる、それから気泡、液切れ、閉塞のアラーム対応ができるとか、詳細まで入 り込んでいる施設もございます。これは全部が到達目標なのか、それとも手順が入ってい るのか、という点と介入の種類、方法、知識をどのように表現するかというところは議論 が分かれるところだと思います。  もう1つ、インシュリンについても見てみました。インシュリンは大変複雑なことなの で、どのようになっているかと見てみましたら、やはりA病院は、インシュリン製剤の種 類用法を知って副作用の観察ができる、B病院は若干それに追加されたもの、C病院は大変 細かく示されています。  次に食事介助についてです。これは学生のときでも基本の技術としておこなわれている ものです。そんなに大きな差がなくて、A病院、B病院、C病院もある程度、少し表現は違 います。C病院は,病院の手順書を取り入れ,病院の特性も入れているように思います。  3病院の到達目標の示し方の特徴を比較しますと、A病院は到達目標のみ表記してチェッ クする際に別途マニュアルを併用している。単純に何々ができるという1つの項目だけで 仕事をしているのではなくて、それを補完する別途マニュアルを用いながらおこなってい ることが分かりました。それからB病院は、438床ですが、到達目標をやや詳細に評価し ている。C病院は600床ですが、到達目標と施設独自の詳細な手順が組み合わせられてい るということが分かりました。  今回,私は看護技術が分かりやすいので取り上げさせていただきましたが、猪又委員が 発表されたように、基本姿勢と態度と、それから管理的側面についても、チャートに表現 され、入っているということが分かりました。技術だけではなくて、態度も管理も同じよ うに到達目標を持ってチェックするような形になっていると言うことです。  5頁は、研修の方法と評価の時期をどのようにしているのかを見てみました。例えば、 OJTですと、実際側にいる指導者がチェックリストを用いて評価する方法。集合研修で、 本人だけがOJTのチェックリストを自己評価し、集合研修に持ち寄り、それをみんなで話 し合いながら確認し合う方法。集合研修でもさらに種類が分かれていて、シミュレーショ ンラボのようなところで、他の職種と一緒にやっている所もありました。それから看護だ けでシミュレーションをしている場合もあり、集合研修の指導者はベテランのナースが中 心であったり、医師も教えています。ペーパーでテストをしているところもあります。い ろいろな方法があるということがわかりました。  5頁の下ですが、では、それはどのように組み合わされているのだろうかということの1 つの例です。入社時、1週間目はオリエンテーションをします。グループワークも取り入 れ、仲間づくりを意識しておこないます。5週目からは看護師の役割を考えたり、看護の 基礎技術の演習をします。これは先ほども出ていましたがシリンジポンプの使い方である とか、心電図の見方とか医療安全につながる部分になってくるのだと思います。また、6 週目は、コミュニケーション研修とリフレッシュ研修といって、集合してこれまでの事に ついて話合っていくというようなやり方です。9〜11週目になると夜勤研修が入ります。 夜勤研修終了時にまた集合します。そして、最後に看護過程の展開や看護倫理に入ってい くということが見えてきました。13週を研修期間として、集合研修と配属部署の研修を繰 り返しスキルアップしていくということです。  39のモデル病院では本人がチェックリストで自己チェックするという形態がほとんど でした。それ以外に、誰がチェックリストで評価をしているかということですが、例えば OJTの病棟側の指導ナースが一人でチェックをしている病院があります。また、5人ぐらい でその新人のチェックをしているという所もありました。今後さらに詳細に分析し、どう いうふうな仕組みでやっているのかを見ていきます。  この評価の記載方法はチェックリストが主でした。指標は、一人でできる、助言があれ ばできる、できない、未経験、という形が多いようでした。  以上の事を分析しながら考えたことです。まず1つは、技術到達目標についてです。到 達目標のゴールは一体何なのだろうと考えると、例えば救急看護ができるとか、いろいろ あります。ここで新人たちの多様な考え方を見ていくと、ゴールは看護師を続けたいとい うか、これからもっと面白くなる、もっといろいろなことをしていきたいというようなと ころの考え方が出てきています。つまり、そのような気持ちがでてくれば、新人研修は全 てとは言いませんが、まずは成功かなと施設側が思っているようなやり方をしている。あ る意味では、あまりがんじ搦めにしないで、リフレッシュ研修を取り入れながら、自分の 意見と同僚が病棟で経験してきたことを話し合い学び合うということをしていました。で は、それは一体何なのかと考えてみると、全体からの印象ですが、技術が到達できること はいうまでもなく望むことではありますが、技術に関して全ての新人が全部同じようにで きる事を求めていないということも見えてきたような気がしています。到達目標を設定す るときに、方法としては、到達目標に技術を入れるけれども、そのさらに奥にある目標が 何かということを、これを道具として意識合わせをしながら進めていっているようなこと も感じました。  それから私も看護部長をしましたが、就職前の基礎教育とその後働いてからの乖離をみ てきました。この乖離というのは新人研修をする病院の負担も大きいです。それぞれの病 院がいろいろなやり方をしていいますが、その病院が新人研修をしないと安心の担保がで きないような気がしていました。では施設側は基礎教育に何を期待するかというと、やは り原理原則を学んでいてほしいと思いました。例えば静脈注射にしろ、輸液ポンプにしろ、 どういう理由があって、どの血管がいちばん使われたり、どの血管の所は危ないかと自ら のちからで考え、行動できることです。原理原則を考え、対応できる能力を養う、基礎教 育をしておく必要があると思います。現場に入ってそこでの方法と基礎教育で学んだ方法 と違うことが出てきたとき、現場で応用できなかったりすることがあります。例えば、こ れが何回言っても分からないね、というような評価になってきたりするのです。だから、 そこは基礎教育と必ずつながらせていくことが必要です。おそらく目的はちょっと違う。 それぞれが持つ最終ゴールは同じになったとしても、それぞれの役割がちょっと違うのか なと思います。  それから1年目に入ったときに医療安全のことをやると、不安、不安、不安という言葉 がいっぱい出てくる。不安というのは、これから生きていく中で、仕事をしていく中で当 然たくさんあるわけです。新人看護師や学生たちが何を支えに成長していくのかを考えな ければならないと思います。何がこれから起こるのかというときに、学んできたことをど う活かしていくか。それが、キャリアの中でどのように持たせるのかが重要だと考えまし た。  それは、初めて病院に入った時に、何も私たちは学んでいない、これから初めてのこと が起こるのだということではなくて、基礎教育ではこれだけのことは学んだのだ、という ことをキャリアの中に持っていく仕組み、違う病院に行ったときにも持っていく仕組みが あればいいのではないかと考えました。これについて、新人研修の中のキーワードは、「つ ながり」というふうに思いました。「つながり」をどのように使っていくかと考え、これを 少し導入して、行っている病院も出てきているように思っています。 ○石垣座長 ありがとうございます。これからお2人のご発表に対してご意見やご質問を いただきたいところですが、時間が迫ってまいりました。本日の議論をもう少し私どもで 整理をして、次回にまた追加の議論をさせていただこうと思います。いまお2人のご発表 からも、基礎教育のレディネスを踏まえて新人研修のゴールをどこに置くかというか、そ ういうご提言もいただきましたし、今日はガイドラインを作る上での貴重なご意見をたく さんいただきました。皆様方の活発なご議論に感謝申し上げますし、今日の議論をもう少 し整理して、また次回に深めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。次 回以降の日程につきまして事務局からご説明をお願いいたします。 ○島田補佐 次回は7月9日(木)17時から開催をする予定としております。場所等決ま り次第ご案内を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務的なご案内で すが、先生方に日程調整表を置かせていただいているかと思いますが、そちらをご記入の 上、事務局までお戻しいただきますよう、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○石垣座長 ありがとうございます。委員の皆様、お疲れのところ大変ご熱心にご討議し てくださいましてありがとうございました。本日はこれで閉会させていただきます。ご苦 労さまでございました。                      照会先:厚生労働省医政局看護課                      片山(2595)  島田(4167)                       (代表)  03(5263)1111