09/05/21 第17回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会議事録 第17回 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(議事録) 1.日 時:平成21年5月21日(木) 10:00〜12:30 2.場 所:厚生労働省 省議室 3.出席構成員: 樋口座長、伊澤構成員、伊藤構成員、上ノ山構成員、大塚構成員、小川構成員、 門屋構成員、佐藤構成員、品川構成員、末安構成員、田尾構成員、高橋構成員、 寺谷構成員、長尾構成員、中島構成員、長野構成員、広田構成員、町野構成員、 三上構成員、山根構成員、良田構成員   厚生労働省: 木倉障害保健福祉部長、福島精神・障害保健課長、塚本障害保健対策指導官、 林課長補佐、野崎課長補佐、井内室長(老健局 認知症・虐待防止対策室) 4.議 事 (1)身体合併症への対応・総合病院精神科のあり方について (2)認知症について 5.議事内容 ○樋口座長  おはようございます。時間になりましたので、ただいまから第17回のあり方検討会を始 めさせていただきたいと思います。  構成員の皆様におかれましては、大変御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありが とうございます。  まず、本日の出席状況等について事務局よりお願いいたします。 ○野崎課長補佐  おはようございます。本日の出欠状況等について御報告いたします。  坂元構成員、野沢構成員及び谷畑構成員より御欠席との御連絡をいただいております。  なお、本日は認知症についても議題となっておりますので、老健局の認知症・虐待防止対 策室、井内室長にも御出席いただいております。  また、木倉部長ですけれども、所用により遅刻しております。また、蒲原企画課長は所用 により欠席させていただきますので、あらかじめ御了承いただければと思います。  本日の出欠状況等については以上でございますが、今日はすごく暑いので上着を脱いでい ただければと思います。  では、本日もよろしくお願いいたします。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、議事に入りたいと思いますが、お手元の議事次第にありますように、本日のテー マは身体合併症への対応・総合病院精神科のあり方についてというのが第1でございまして、 第2は認知症についてでございます。  本日の進行でございますけれども、まず、身体合併症への対応・総合病院精神科のあり方 につきまして、事務局より説明をお願いいたしまして、その後に構成員の皆様に御議論をい ただきたいと思っております。  後半は認知症についてということで、これも事務局より資料の説明をいただいた後に議論 の時間を設けさせていただきたいと思っております。  それでは、早速ですが、身体合併症への対応・総合病院精神科のあり方についてというこ とで、資料1に基づきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○林課長補佐  それでは、資料1に基づいて身体合併症への対応・総合病院精神科のあり方、2つのテー マでございますけれども、オーバーラップする部分がありますので一緒に御説明させていた だいて、併せて御議論いただければと考えております。  1ページ目、論点整理でございますが、その中には精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者に 対する医療提供の在り方について、そして、いわゆる総合病院における精神医療の提供をは じめとした救急機能を含む一般医療と連携した精神医療の医療提供体制における位置付け について、議論するとなっておりまして、この部分についての資料でございます。  2ページ目、精神病床に入院中の患者における身体合併症の有無、これは、病床調査で精 神病床の患者さんを調べたもの、さらに、その中で身体合併症を理由として入院治療が適当 な程度の特別な管理を要するかどうかといったことを聞いた項目でございますけれども、約 14%の患者さんで入院治療が適当な程度の管理、そして、33%の患者さんで外来通院が適 当な程度の身体合併症の管理を要するというお答えでございました。これは主治医にお答え いただいたものでございます。  3ページ、統合失調症の患者に限って見ますと、特別な管理を要するとされている方が 10.5%、疾患別の内訳では内分泌・代謝疾患、糖尿病などの方が一番多く、次いで循環器疾 患、消化器疾患、筋・骨格系疾患などとなっておりました。  4ページ、この方々の入院期間あるいは年齢別に身体合併症の頻度を見ますと、入院期間 別では大きな差がない、やや長期入院の方が身体合併症の頻度が低いのに対して、年齢別で は高齢者になるにつれ、身体合併症の頻度が急速に増していくというデータでございます。  次いで、認知症の方のデータですが、身体合併症を持つ方の割合が統合失調症と比べて高 く、約25%の方が特別な管理を要するとされておりまして、内訳としては循環器疾患が最 も多く、内分泌・代謝疾患、神経系疾患、呼吸器疾患などの順となっておりました。  6ページ目につきましては、救急の議論のときにも提示させていただきましたが、救命救 急センターに来られる方の約1割程度に精神科医療の必要があるといったデータ、あるいは 精神疾患、身体疾患ともに入院水準の患者の発生が年間で人口10万対25件ぐらいの頻度 で発生している、このような研究の成果があるところでございます。  7ページの絵も何度かお示ししておりますが、救急において身体と精神の傷病の合併した 患者さん、いろいろなレベルの患者さんがいらっしゃるわけでございますけれども、一般救 急、精神科救急のシステムが分かれている関係で、この間の連携不足が問題になっていると いうことでございます。  8ページ目も以前にお示しいたしておりますが、この結果として救急車が精神疾患を背景 に有する患者さんを搬送する先がなかなか見つからないといった問題が生じておりまして、 精神疾患があるということを医療機関に伝えた場合には、全体と比べて断られる回数である とか、あるいは病院に到着できるまでの時間が大きくなっていくというデータでございます。  9ページ、精神病床における身体合併症に関する診療報酬と主な要件。看護職員の配置は ごらんのようになっております。また、報酬の体系としては、精神病棟入院基本料を算定す る病床では出来高で、合併症診療についても算定するとなっているのに対しまして、救急・ 合併症入院料、救急入院料、急性期治療病棟入院料については、手術・麻酔、精神科専門療 法、放射線治療については出来高で算定できるのに対して、それ以外のもの、例えば投薬、 注射処置といったものは入院料に包括されております。  また、認知症病棟、精神療養病棟入院料につきましては、原則として合併症部分は入院料 に包括されております。  10ページが実際の診療報酬に占める金額でございますけれども、精神病棟入院基本料は 出来高の部分がございますので、約2割程度は入院料以外の出来高の部分がございます。そ れ以外の入院料につきましては、大半を包括の入院料が占めておりまして、それ以外はほと んど精神科専門療法の点数ということになっております。  平成20年から救急合併症入院料という仕組みを導入いたしておりますが、精神科のスー パー救急の中で救急・合併症入院料を算定できるところは3か所、成田日赤、済生会横浜、 徳島県立ということで、これからも更に普及が求められるところであろうと思います。  12ページ目、精神病床を有する病院における他の診療科の標榜状況。これは精神病床だ けを持っている病院が精神科、神経科、心療内科だけを標榜されているのか、その他の科も 標榜されているのかというデータでございますけれども、いわゆる単科、ほかの科を標榜し ていない医療機関が294か所、27.3%。内科系のいずれかの科を併せて標榜しているとこ ろが68.1%、外科系のいずれかの科を併せて標榜しているところが6.4%となっております。  ここまでは精神病床のデータをお示ししてまいりましたが、13ページは一般病床で精 神・身体合併症の患者さんを診療する場合の取扱いでございますけれども、一般病床におい ても入院精神療法をはじめとした精神科専門療法の点数を算定することができることに なっておりまして、こういった形でリエゾン診療が行われることになっております。  また、救命救急センターに入院する患者さんに対して、精神保健指定医が診療を行った場 合には、3,000点加算をするといった仕組みを平成20年度から入れております。  14ページ、医療法施行規則におけるルールがございまして、精神病患者を精神病室に入 院させないこと、ただし、臨時応急のため入院・入所させるときはこの限りではないという ルールがございます。このことが一般病床における精神疾患患者の受入れの妨げになってい るのではないかという御指摘を受けることがございます。  なお、身体合併症については臨時応急の場合に含まれると解釈しておりまして、平成21 年4月に医療法に基づく立入検査要綱、これは都道府県に向けたマニュアルでございますけ れども、その中にそのような趣旨については新たに明記をさせていただいたところでござい ます。  15ページからは総合病院精神科についての資料でございます。総合病院精神科と一般に 精神科の業界では言われることが多いわけでございますけれども、公的な用語ではございま せんので、「いわゆる」とつけさせていただいております。  平成10年の医療法改正までは行政の用語としても総合病院という定義がございましたが、 その規定が廃止されて以降も総合病院精神科という呼称が一般に用いられております。  なお、現行の医療法施行規則においては、大学附属病院または100人以上の患者を入院 させるための施設を有し、診療科名にご覧の5つの科を含む病院は、一般病床と同じ医師の 配置定員とするという規定がございまして、行政のルールの中で総合病院の定義を探すとす ると、このようなものに近いものではないかと思われます。  16ページ、総合病院精神科の現状でございますが、大学病院以外では病床数の平均が86.7 床、精神科の常勤医師数の平均が3.7人、大学病院では45.1床で、常勤医師数の平均が16.1 人ということでございました。期待される主な役割としては、地域の基幹病院として総合的 な医療機能を果たす中での精神医療の提供、また、身体合併症対応、コンサルテーション・ リエゾン、教育、画像検査、m−ECT等々さまざまな機能が期待されているのではないか と考えております。  17ページ、総合病院精神科の病床が徐々に減ってきております。2002年には2万1,732 床であったものが、2007年には約92%、1万9,103床、施設数でも減ってきているという ことで、さまざまな原因が指摘されているところでございます。  18ページ、患者さんの疾患の分布でございますけれども、政府の統計で総合病院精神科 という統計がないものですから、ここは少し定義が異なっていて、右側の一般病床を有する 精神科病院ということで、いわゆる総合病院精神科よりはかなり広い定義の統計となってし まっておりますが、ごらんいただくと、一般病床を有する精神科病院においては統合失調症 の患者さんが精神病床のみの精神科病院と比べて少ないとか、あるいは症状性を含む器質性 精神障害、つまり主に認知症の患者さんが多い、あるいは気分障害の患者さんも多いといっ たことが読み取れるのではないかと考えます。  19ページ、精神科関係の入院料の算定患者とそれ以外の収入の比較でございますが、一 般病院において精神科関係の入院料の算定患者さんでは1,277点、それ以外では3,343点と いうことでございまして、収入にこのような差があるという御指摘をいただくことがござい ます。  特定機能病院においても、この傾向はほぼ同様でございます。ただ、これは単純に収入を 比較したものでございますので、実際のコストも違っているのではないかと考えられます。  21ページ、精神科専門療法が精神病床、一般病床のいずれで行われているかということ でございますが、全体では1か月の人数ということで約20万人実施されている中で、精神 病床だけを持つ病院で行われているものが16万人、精神病床と一般病床両方持つ病院で行 われているものが3万4,000人。その中でも一般病床で行われているものというのは6,700 人程度でございまして、全体の3%ぐらいは一般病床で行われているというデータでござい ます。  22ページはこれを回数ベースで見ますと、全体で190万件ぐらいございますが、その中 で一般病床で行われているものは約1万9,000件、1%程度でございます。  23ページ、課題と検討の方向でございます。今、御説明いたしましたように、精神科患 者の高齢化や自殺企図等の患者に適切な診療が求められる中で、精神・身体合併症に対する 診療機能のニーズが増大しております。一般病床、精神病床のいずれにおいても精神・身体 合併症患者への対応が十分ではなく、その原因としては従事者が不慣れであったり、手間が かかる、あるいは他科の医師のサポートが得られにくいといったことが指摘されております。 なお、平成20年の診療報酬改定では、精神病床における身体合併症管理加算の創設を行っ ております。  また、医療法施行規則の精神疾患患者を精神病床以外に入院させないとする規定のため、 精神・身体合併症患者を一般病床に入院させにくいとの指摘をいただくことがございます。 急性期の身体疾患の治療後等を含め、身体疾患を有する精神疾患患者の入院を受け入れる医 療機関が乏しいとの指摘がある一方で、精神科病院の入院患者の高齢化につれ、このような 医療のニーズが増大しております。  検討の方向として、一般病床における身体合併症患者の診療体制を確保する観点から、急 性期の身体疾患に対する精神科リエゾン診療の充実について検討するとともに、医療法施行 規則第10条第3号の規定の解釈の周知を図りつつ、規定の見直しの是非についても検討す べきではないか。  2つ目に、いわゆる総合病院精神科が精神・身体合併症への診療機能を発揮できるよう、 その確保・充実を図るべきではないか。  3つ目に、精神科病院においても身体合併症について一定程度の入院医療管理を行うなど、 その役割を一層発揮できるための方策を検討すべきではないか、このような点を挙げており ます。  次のページ、総合病院精神科につきましては、いわゆる総合病院精神科にはさまざまな機 能があるわけでございますけれども、総合病院精神科においてはこのような機能を発揮する ため、一般病床と同等の医師の配置を行うこととなっております。特に、急性期の身体合併 症対応機能の充実を図るために、平成20年度の診療報酬改定で救急合併症入院料の創設等 が行われておりますが、その普及がいまだ十分ではないところでございます。  総合病院精神科は、廃止や病床の縮小が相次いでおりまして、これは一般病床との収入の 差あるいは勤務の負荷が大きいことなどを背景とした精神科医の不足などが要因となって いるのではないかといった指摘がございます。  検討の視点といたしましては、総合病院精神科において総合的な機能を有することを踏ま え、精神病床の確保とともに、その機能の充実を図るための方策について検討すべきではな いか。  総合病院精神科の維持を図るためには、報酬上の評価だけではなく、事務補助者の拡充な ど従事者の負担軽減の方策や他の医療機関との連携の拡充についても検討すべきではない か。  精神科医師のキャリアにおいても、精神・身体合併症診療の経験が積極的に評価されるよ う、学会等との連携が必要ではないか。このような論点を挙げさせていただいておりますの で、こういったこと等を中心に御議論いただければと考えます。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  この後、御討議をいただくわけですが、本日は佐藤構成員の方から参考資料を提出してい ただいておりますので、まず、議論の冒頭に佐藤構成員の方から提出の資料に沿って御説明 をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○佐藤構成員  よろしくお願いいたします。日本総合病院精神医学会の方から身体合併症医療と総合病院 精神科について御説明させていただきます。  まず、精神科における身体合併症の定義ですけれども、精神疾患と身体疾患を合併してお り両方の治療が必要な状態を言います。精神疾患がほとんど寛解状態であれば合併症とは余 り言わないです。この場合、精神医療・身体医療双方の関与が必要です。したがって、精神 科医師と身体科医師の連携が必要になります。連携なしでは身体合併症診療はあり得ません。  身体合併症の治療の場ですけれども、精神症状が極めて安定しておれば一般医療ですから、 一般病棟あるいは一般病院で治療した方が、はるかにクオリティの高い医療が提供されるわ けです。あるいは生命的危機に貧している状態などのICUレベルであれば、精神病棟では 身体科のかかわりが不十分ですから、ICU等の一般病棟で治療を行うということになりま す。  他方、精神症状が活動性で精神科病棟での管理が必要な状態に関しましては、身体科医師 が関与できる精神科病棟での治療が必要になります。これは総合病院における精神病棟であ りますとか、あるいは精神科病院における身体合併症病棟というものが創設されましたら、 そういうところでもいいわけです。ですから、身体疾患の程度によって総合病院精神科病棟 あるいは精神科病院における合併症病棟というところで治療ができるということになりま す。  身体合併症と一口に言いましてもいろいろなタイプがあります。タイプ分類を我々はやっ ておりますけれども、精神疾患と身体疾患の因果関係といいましょうか、私たちは3つのタ イプに分けています。  まず、精神疾患が先行、精神疾患に起因した身体疾患といいましょうか、この多くは自傷 とか自殺企図に関連した急性薬物中毒から肺炎になってしまうとか、農薬中毒ですとか、あ るいは切創、あるいは飛び降りたための骨折や脊損、熱傷といったものがあります。  それから、精神症状に基づいて食事を食べないあるいは摂食障害というものがありますけ れども、そういうことによって低栄養の状態とか脱水症、これも放置しますと腎不全の状態 になり透析が必要になりますから重要な身体合併症です。  それから、事故や異常行動に基づくもの。自殺企図ということではなくても、少し落ち着 かなくなってしまって交通事故を起こしてしまったとか、あるいは認知症の人が転倒してし まったというものもこういうところに入ると思います。これには外傷とか骨折、脳挫傷と いったものが入ります。  それから、薬物の副作用、これも精神科の薬物を使用しますと、薬疹あるいは悪性症候群 に至る副作用が起こる。特に、最近導入が予定されているクロザピンという薬剤では顆粒球 減少症がかなり高頻度で見られるということで、総合病院での治療をやってくれと言われて おります。  次に、身体疾患が最初にあって、それに続いて起こってくる精神疾患です。これは症状性・ 器質性精神疾患です。代表的なものはせん妄です。術後とかICUに入室した後などに起こ ることの多い状態です。それから、膠原病に伴う精神病だとか、脳血管障害後の精神障害、 あるいは甲状腺機能亢進症や低下症に伴う躁状態、うつ状態といったものがあります。  それから、医薬原性の精神疾患。一般医療で使われている薬によって精神疾患が起こって くるものです。有名なのはインターフェロンによるうつ病あるいは精神病、あるいはステロ イド精神病というものもあります。これは当然、背景に身体疾患があるわけですから、身体 疾患と精神疾患の両方の治療が必要だということになります。  それから、疾病を告知した後に生ずる精神的な反応、主に悪性腫瘍などを知った後に起こ るうつ状態等、これも身体疾患がまず最初にあって、それから精神疾患が起こるということ になります。  3番目に、両者の因果関係が余り感じられないもの。精神疾患と身体疾患が偶発的に合併 したもので、慢性統合失調症の人が悪性腫瘍を合併するとか、あるいは消化管出血、眼科の 白内障で手術が必要になる、あるいは精神疾患をお持ちの方でも当然、妊娠・出産に至る場 合があるわけですが、そうしますと、両方の管理が必要な場合には身体合併症ということに なります。  これがどのくらいの比率で起こるかということに関しましては4ページですけれども、 2001〜2002年とちょっと古い調査ですが、障害保健福祉総合研究によりますと、精神疾患 が先行したものが30%、身体疾患に続発したものが11%で、偶発的な合併が約6割という 形です。これは救命救急とリンクしたところでは1のタイプのものが増えているといえます。 更に27ページに、関連資料で私どもの病院の具体例を参考までに出しておりますけれども、 大体135日間のうち身体合併症が36件です。この中では、匿名性の関係で提示できたもの は29例ありますけれども、タイプ1が14件です、タイプ3が13件、タイプ2は2件となっ ています。  続きまして5ページですが、総合病院精神病棟における身体合併症紹介元医療機関は、こ のように単科精神病院、精神科診療所、院内他科、一般病院、一般科診療所というところで、 広くさまざまな医療機関と連携して身体合併症の治療が行われていることがわかります。  それから、身体合併症発症時の精神症状は、慢性統合失調症が31%、急性精神病状態が 15%、うつ状態が19%ということで、うつと急性精神病を合わせて急性の精神疾患が約3 割、慢性の精神疾患が約3割、認知症、せん妄等、その他が3割という形で、急性精神疾患 を合併する確率はかなり高いといえます。  7ページですけれども、身体合併症の治療を行った病棟は、精神病棟のみが72%、精神 病棟から身体疾患が重症になったために他科病棟に転棟したというのが11%。他科病棟か ら精神症状のコントロールが困難になって精神病棟に移ってきたというのが16%でした。 身体合併症は精神病棟だけで完結しているわけではなくて、一般病棟と行き来しながら行う ということが必要になります。  総合しますと、8ページの5、精神障害者の身体合併症治療を十分に行うためには救命救 急センターを有する地域基幹総合病院等を中心に、急性期対応も可能な精神病棟が整備され ていくということになりますと、急性精神疾患を背景に持つ身体合併症にも対応することが できるということになります。  続きまして、総合病院精神科の在り方ですけれども、私たちの学会ではネクストステップ というものを発行していて、今改訂版を作成中ですが、2003年と古いんですが、総合病院 精神科の果たすべき役割として、一般医療における役割と精神医療における役割を分けてい ます。そうしますと、一般医療においては、先ほど事務局から説明がありましたように、主 に多いのがせん妄、自殺企図関連、がん診療関連、この3つが一般のコンサルテーション・ リエゾンで最近多いということです。  精神病床を有する総合病院精神科としては、1病棟、平均在院日数50日以下、16対1、 当時は2対1、今は10対1程度の看護配置が必要だろうということになります。  次に、二次医療圏における精神医療の機能分担という形で、総合病院については全県一区 では間に合わないんです。割と地域に密着した医療を提供できるというところが特徴だと思 います。入院のルートとしましては、自殺企図に関連したような病態は、総合病院精神科病 棟はどちらかといえば利用しやすいです。それから、一般病院と精神科病院というのは、先 ほどの事務局の資料でもありましたけれども、紹介が困難な場合があるわけですから、総合 病院精神病棟が介在しますと、精神・身体にかかわるあらゆる病態に対して柔軟な対応が可 能だということになります。このようにしますと、二次医療圏における精神医療の機能分担 がうまくいくのではないかと思います。  ちなみに12ページですが、当院は平成4年に開設したんですが、その前は千葉県の佐倉 保健所管内で人口50万人で精神病床が人口万対18対1ぐらいですね。このときは精神科 は救急医療機能に乏しく、医療事故・訴訟が散見されるという状態で、入院患者の自圏内の 完結率が低いという状況でした。現在は、市町村合併で若干、精神科病院が増えておりまし て万対20.9に増えておりますけれども、我々のところは精神科救急あるいは身体合併症医 療を担当するということで、周辺の単科精神科病院と患者を紹介し合う、身体合併症が発症 しそうであれば我々のところに紹介される。それから、やや認知症等長期療養が必要な方は 単科病院にお願いするというやりとりを行っておりまして、自圏の完結率が非常に高まって、 医療圏として体裁を整えるようになってきております。  そういうことで、総合病院の精神科が1つ入りますと、地域医療は非常に活性化する。周 辺の精神科病院もかなり活性化してきておりまして、入退院が活発になると。決して病床数 は減ってはいないです。総合病院精神科ができるだけでは病床削減にはつながらないのかも しれませんけれども、精神科病院の機能を活性化するという特徴があります。  次に、現在、総合病院精神科の医療崩壊が起こっておりまして、先ほど出ましたけれども、 3年間で13施設、2,000床ぐらい。これを医療費に換算すると、大体年間100億円の医療 費の節減に総合病院精神科が協力しているということになります。  収入がどれくらい少ないかというと16ページです。2008年8月の各科ごとの1人1日 の入院収入です。ほかの科は大体1人1日4〜5万円です。大学病院等では5〜6万円とい うラインですけれども、精神科は2008年8月までは1万8,000円、他科の2分の1〜3分 の1程度の非常に低い収入です。2008年9月に精神科救急・合併症入院料を取得しまして、 このような点数をいただきましたけれども、それでも1日3万円前後です。これは総合病院 における診療報酬レースにおきましては断トツのビリから普通のビリに変わったという程 度です。やはり依然として低い。  14ページに戻りますが、収入が低いために総合病院で経営改革的な院長が現れたり、改 築するというときには不採算ということで切り捨てられて、病棟閉鎖あるいは縮小されると。  それから、収入に応じてスタッフの配置も決まりますから、スタッフが少ないです。そう すると、仕事量が非常に多いということになります。特にいろいろな書類、自立支援医療の 書類は毎年書き換えなくてはいけないということ、それから、介護保険の意見書など物すご いプレッシャーになっておりましてペーパーワークが多いです。求められる役割が増加しま すと無理をします。人間は無理をすると疲弊して燃え尽きてしまい、病院を離れてしまいま す。  それから、最近は医師の偏在化ということもありまして、医者がいなくなりますと当然 やっていけませんから、3人のところが1人辞めて2人になったら、とてもやれないという 感じになってしまいます。離職する人が多くなってどこにいくかというとクリニックの開設 が多いように思います。  17ページですが、総合病院精神科にかかわる診療報酬障壁がありまして、総合病院の中 のほかの病棟は、一般病棟入院基本料というものを取っていて、大体1人1日4〜5万円の 収入を確保できるんですけれども、精神科は総合病院の中の一診療科でありながら、精神科 だけは精神病棟入院基本料で算定するということになっています。これは平均在院日数が ちょっと長いじゃないかと言っても、ほかに血液内科とか整形外科等少し規定の平均在院日 数を上回っている科もあるんですね。一般病棟はそれを合算して平均在院日数を計算します から、一般病棟入院基本料で取れるんですけれども、精神科だけは合算ができないというこ とです。精神科病棟を合算しても、大体1日延びるか延びないかくらいですから、整形外科 などとそんなに大きな変化はないと思います。  それから、精神病棟入院基本料でも10対1が取れればいいんですけれども、平均在院日 数の要件が25日以下ということになっておりまして、通常のシステムでは無理です。都立 の病院の精神科など精神科救急をやって翌日転送等を行っているところは可能ですけれど も。  また、精神科救急入院基本料に関しては、個室が半数以上という障壁があったんですけれ ども、これは前回の診療報酬改定で改正していただきまして、これは取れるようになりまし た。ありがとうございました。  18ページです。それにもかかわらず、新しい総合病院精神科が誕生しています。これは それだけ総合病院における精神科のニーズが高いということを意味しています。  亀田総合病院、「患者様」と最初に言い出した病院と言われていますが、民間の総合病院 です。ここで、2005年に一般862床のところに精神41床。横浜市におきましては、総合 病院精神科を中心とした精神科救急システムが構築されまして、このような形で大学病院2 か所と一般の総合病院に精神病棟が開設されています。  他方、公的な精神科病棟の一部あるいはそれをすべての公的な総合病院に統合するという ことがあります。宮崎県立精神科病院は、県立宮崎病院にこの4月から統合されたそうです けれども、一般619床に対して精神42床です。  PFIで有名な高知医療センターも、高知県立精神病院の一部を移されまして、約10億 円の予算をもらったと言われていますけれども、40床の精神科病棟が2012年にできると いうことになっています。  我々の要求としましては、当然、コンサルテーション・リエゾン、緩和ケア等々一般医療 における精神科診療にも十分人が配置できるような体制をとっていただきたいんですけれ ども、ここに書いてあります救命救急医療センターを有する地域基幹病院に精神科病棟を設 置していただくと、先ほど事務局の8ページの消防庁の資料でもありましたように、救急搬 送困難例のかなり多くに精神疾患あるいは急性アルコール中毒等の精神疾患絡みのものが 加わってくるわけです。それから、事務局の資料の7ページをごらんいただきますと、一般 救急と精神科救急の連携不足あるいは患者の紹介が困難だということで、こういうものがで きますと一挙にこうした問題は解決します。高知医療センターは10億円ですから、10億円 が高いか安いかというのがありますが、高知県としては決して高くはないという判断だと思 うんですけれども。  関連資料の21ページ以降は、私たちの病院が救命救急医療センターを要する総合病院精 神科で救急と身体合併症治療をどういうふうにやっているかという資料です。  それから、27ページは身体合併症の実例です。  32ページは、千葉県の二次医療圏と精神科救急基幹病院で、千葉県は平成20年9月から 千葉県精神科医療センター、これは精神科の基幹病院ですけれども、そのほかに地域基幹病 院といいましょうか、圏域の基幹病院として二次医療圏ごとに精神科病院あるいは総合病院 精神科を設置して、このような形で総合病院精神科が4か所、候補まで入れると5か所です か、現在稼働しているのは4か所という形で、役割を与えられると総合病院精神科は救急医 療の中で機能を発揮できるのではないかという例をお示しいたしました。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、これから約30分くらいをとって質疑応答に入りたいと思います。どなたから でも結構です、どうぞ。 ○小川構成員  これは佐藤先生に聞いた方がいいのかもしれませんけれども、精神科救急合併症入院料が 3件ですか、それは算定要件が厳しいとか、あるいは支援策が不足している等いろいろな原 因があると思うんですけれども、その理由をお聞かせ願いたいということが1つあります。 ○佐藤構成員  まず、地方におきましては、要件が医師が5名、精神保健指定医が3名となっております ので、まず精神科医師の5名が確保できていないです。精神保健指定医3名は更に難しいわ けですけれども、それがいないとできないということになります。  それから、精神科救急というものに十分に関与していないところがありまして、措置入院 をどのくらい圏域の中でしているとかの数値がありまして、これは精神科救急入院と同じよ うな規定になりますので、そこのところが措置入院に余り関与していないために低いです。  ただ、今現在、準備中のところは関西方面を中心に4〜5か所あります。大都市部の割と 医師が集めやすいところでは、今年から来年にかけて取得するところが増えてくるのではな いでしょうか。 ○小川構成員  ありがとうございました。  厚生労働省に幾つか質問と意見を述べたいと思いますが、佐藤先生のプレゼンでは必ずし も身体合併症という定義には当てはまらない問題かもしれませんけれども、今回議論されて いるテーマ、23〜24ページにかけて議論されているところで、いわゆる精神科病床の身体 合併症と総合病院精神科の合併症の2つがテーマに挙がっていますが、23ページには現状 と課題において2つ目で、一般病床、精神病床のいずれにおいても、精神・身体合併症患者 への対応が十分でないというふうに、一般病床における精神科の患者さんの問題が十分では ないと指摘されております。ただ、検討の中では精神病床のところが中心になっているとい うことでございます。そういう意味では体制の問題を含めて、あるいは人材の問題も含めて あると思っております。  1つ人材の問題でいいますと、医師の臨床研修でも精神科のローテが入っているというこ ともあったりしますけれども、看護師の方もいわゆる専門看護師ということで、そういうと ころでの活用とか支援というのもお願いしたいんですが、いわゆる専門看護師以外の一般の 看護師の方の一般病床で働く者の資質の向上という意味でも、卒後の臨床研修も充実する必 要性があると思っております。  新人の研修とかよく言われるんですけれども、新人だけではなくてトータルなキャリアの 中での研修で、一般病床に勤めている看護師の研修の中で、こういう精神科の患者さんに対 してどう対応するのかということも国としても支援をしていただきたいと思っております。  そのほかの精神病床における身体合併症までいかない方への対応もあると思っておりま す。こちらの資料の中でも2ページ目に日常的な管理を要する方が33%いらっしゃるとか、 そういうデータもありますけれども、身体合併症に至らないためにどう対応するかというこ とも必要になるかと思います。ある程度、総合病院精神科に行くとか一般病床に行くまでも ない健康管理の部分だとか対応というのは、最低限のこととして医療機関として体制は整う べきなわけですね。そういう意味で、くどいようですけれども、医療法の施行規則における 人員配置基準というものも一般病床と同じような基準に引き上げる、そういう方向性をきち んと考えていただけないかと思っております。  特に、精神科の患者さんは自ら自分の具合が悪い、痛いとかそういうことを訴えない方も いらっしゃいますし、逆に訴える方もいらっしゃるんですね。訴えない方は訴えないという ことでちょっと外れてしまったり、あるいは訴え過ぎる方はいつも訴えている方だというこ とになってしまって、身体的な病状の発見が遅れてしまうということもあって、やはりそう いうことで言うと、精神病床の病棟単位の病床の規模も含めて人員配置の問題にきちんと 真っ正面から向かっていただければと思っております。  要望・意見だけになってしまいましたけれども、以上です。 ○長尾構成員  身体合併症をめぐる問題というのは幾つか考えなければいけないと思いますが、1つは、 ここにも示されていますように、精神科病床に入院している人の高齢化、勿論、認知症の人 も高齢であるから合併症が多いということ、こういう合併症の問題とADLの低下に対して どのように手を打っていくかということが1つの大きな課題だろうと思います。  もう一つは、先ほどから問題になっています総合病院におけると言われていますけれども、 急性の身体合併症、どうしても一般科で十分診なければいけないような身体合併症に対して どうするかという問題があるわけですが、佐藤先生の方からも二次医療圏に1つずつ総合病 院の病棟を持てという話もございますけれども、理想的にはそういうものがあって十分に機 能すればいいかなと思いますが、現実問題としては総合病院であっても、佐藤先生のところ を含めて3か所、身体合併症の救急入院料を算定しているところがありますが、総合病院の 精神科と言いながらも、身体合併症にすべて十分に対応してもらえるかというと、そうでは ないところも結構あるということもあって、その辺が1つの問題。人員の問題とかいろいろ ありますし、総合病院と言っても、精神科のベッドを持たずに外来だけをやっているところ も相当数あるわけですね。現在の中で新たなベッドを総合病院に精神科を設けて、そこに十 分な医師を配置できるかというと、現在の医師不足、産科・小児科は言われていますけれど も、精神科も勿論医師が充足しているわけでは全くありませんし、そこへ新たに投入できる だけの人材が確保できるかというのは非常に問題だろうと思います。  それから、看護師の問題についても先ほど小川構成員が言われたように、基準がどんどん 上がれば非常にいいことなんですけれども、上げるだけの人員が十分確保できるかという問 題があると思います。  前回の7対1看護というのが出て、引き抜き合戦が起こっているのは皆さん御存じのとお りで、それによって看護師が充足しないで困っているところも結構ある。そういう問題を含 めて本当に人員をきちんと確保しながらどうやっていくのかということが考えられなけれ ばいけないと思います。  理想論と現実を踏まえてということと、23ページに医療法施行規則の身体疾患・精神疾 患を精神病床以外に入院させないという規定のために、精神・身体合併症患者を一般病床に 入院させにくいとの指摘があるということがありますけれども、現実はこれをもって入院を 断られるということはまずないです。我々のところで身体合併症で入院を一般科にお願いす る場合に何がネックになっているかというと、一般科におけるドクターの精神科に対する偏 見というのが非常に大きい。そのために、はなから精神科の患者さんというと断られるケー スも結構あるわけですね。こういう問題がやはり一番大きいので、その辺をきちんと対応で きなければいけないと思います。  ちょっと余談になりますが、精神科臨床研修制度で精神科も現在は必修で、今後も一応、 精神科の研修は残ることになりましたけれども、うちも臨床研修医を受けていますが、毎回 来る人には話をするわけです。おとといも4人来ている人にどうだという話をすると、やは り最初は精神科に来るのは怖かったとはっきり言っています。看護師の実習でもそうです。 それが来て、患者さんと接することによって見方が変わったという話をみんなするわけです。 今までの臨床研修を経ないで来たドクターというのは、結構偏見が強い人がいて、そういう ものをどう打破していくかという啓発をきちんとやらなければいけないというのは、まず必 要だろうと思います。  それと、現時点で、私の姫路という地区は総合病院はあるけれども、どこも精神科はあり ません。そのために身体合併症があれば、それなりの一般病院へ我々も何とかコネクション を使ってお願いしているわけで、一応の状況を脱すれば、またうちへ帰っていただくという ような形をとりながらやっているわけです。  もう一つは、そういった我々日赤病院ともタイアップしていますけれども、そこは今、が んの緩和ケア病棟をつくっている。精神科が必要だということで、うちからも出しています。 何か精神科的に問題がある場合には、うちが対診的に行っている場合もあります。そういう ときに、対診に行っても普通の診療であるとか、勿論、精神療法とかそういったものは全く とれないという状況があります。逆に、一般科の人が精神科に対診を求めた場合もそうだろ うと思いますので、そういうこともきちんと対応していくことによって、リエゾンも含めて 精神科と一般科との連携というものができていくのだろうと思います。現実的にはそういう ことからスタートしないと、やみくもにと言ったら怒られますけれども、病棟をちゃんと整 備して、医師や看護師がきちんと配置できればいいですが、現実問題としては今の段階では 非常に困難です。ですから、今の現実的な資源をどうやって活用し、どうやってやっていく のかということが非常に大きな問題になってきますし、前回の改定において精神科の病院に おいても、身体合併症について一般内科・外科医が診れば、ある程度の点数はつくというこ とになりましたけれども、そういったものをもっと拡大していくような形にすることが必要 だと思いますし、いわゆる包括病棟においても精神科は結構今は多くなってきていますから、 療養病棟等も含めて、そういった場合の身体合併症について診療報酬上どうするかというこ とも含めて考えていただかないと問題ではないかと思います。  理想的には総合病院の精神科があり、そこへ身体合併症の人が何かあれば入院していくと いう形が望ましいわけですけれども、現実問題としてはそれだけのことは非常に難しい。現 実を踏まえながらやっていただける手だてを講じていくことが必要ではないかと思います。  それから、総合病院もすべて重症の合併症だけを診ているだけでは先がないので、何かあ ればそういう診られる体制というものをきちんと確立しておくことが必要だと思います。  以上です。 ○三上構成員  身体合併症を診られる総合病院精神科が減ってきているというのは非常に大きな問題だ と思いますが、その原因は先ほど佐藤構成員から言われたように、診療報酬上の評価等が厳 しいということも大きな一因ではないかと思います。今後はこういった部分の改善が必要で すし、もう一つ言えば、医療計画等のいわゆる政策上の評価として、今現在、公益性の高い 医療として医療計画の中で位置付けられているのは、救急医療等確保事業ということが言わ れているんですが、その中にも精神科・身体合併症の治療というものも含めていただくと評 価が高くなってくるということで、減少に歯止めがかかる可能性があると思います。  診療報酬上の手当として現在、精神科救急の部分については先ほどお話がありましたよう に一定の評価がされたわけですが、身体合併症については7日間について200点あるいは 300点といった点数が評価として今回初めて入ったわけですけれども、先ほどの資料にもあ りましたように、身体合併症として一番多いのは偶発的なものということでございますので、 これは救急的なもの、あるいは急性期のものに限らず、慢性的な身体合併症が非常に多いと いうわけですから、7日間という評価ではなくて、もう少し長い期間での評価あるいは基本 料の中で評価していくということで、評価のやり方を考え直していただくことが必要ではな いかと思います。 ○長野構成員  数ある議論の中で、私たちが現場でやっていて一番急を要する問題が、この合併症の問題 ではないかと思います。偶発的な合併症は本当に多いんですけれども、数字に出てきていな いところで認知症がある、精神疾患があるということで、がん早期の手術をあきらめたとか、 白内障の手術をあきらめるという方は本当にとてもたくさんいらっしゃって、ここはとにか く早く手を打っていかなければいけない話題ではないかと思います。  また、更に、一般医療の中で合併症治療が受けられたとしても、完全看護と言いながら現 実的には家族が24時間つかなければ入院を受けられない、手術も受けられない。それでま たせん妄が起きてくると連れて帰ってくれと言われることが日常的に物すごい頻度で起き ているというのが今の現場ではないかと思います。なので、さっき10万人に両方の入院治 療が必要なのは25というデータが出ていましたけれども、実感としてはもう少しあるよう な気もしますし、徹底的にここは早く一般医療であったりとか、いろいろなところと合わせ た検討を早急に進めないと、路頭に迷っている家族・御本人がどれだけたくさんいらっしゃ るか。ここのデータが出ればいいなと思いますけれども、現場感覚から言うととにかく急を 有する話題だと思います。  以上です。 ○山根構成員  今、急を要する治療のことが話題になっていますが、身体疾患、それから、高齢化による 心身の機能低下に対しては治療と同時にリハビリテーションを行わないと、生活に大きな支 障を来し、ケアが大変になります。ある程度精神症状が落ち着いて、一般科とかリハ病院に 転棟あるいは転院して治療が受けられる、通院できる方はいいのですが、多くの精神的な病 理特性を考慮しないとリハビリテーションが難しい人たちが、十分な手当てがなされないま ま取り残されているような気がします。  精神科主体の総合病院での勤務、そして今、大学病院の精神科に関与している経験から ですが、精神科単科の場合は転院をしないと治療が受けられない場合でも、精神症状がある ままではなかなか転院・転棟ができない、引き受けてもらえません。総合病院であっても、 身障のリハビリテーションでは精神症状があるとなかなか受けてくれない。小川構成員や長 尾構成員が言われたように、スタッフの教育の問題もあるかと思いますが、もう一つ大きな 問題として認可基準と診療点数があります。精神科のリハビリテーションの一つである作業 療法では2時間を標準として220点です。これは精神障害におけるリハビリテーションの 特徴として生活に必要な技能を集団力動を利用して身につけるということをベースにした ものです。それに対して身体のリハビリテーションは20分単位で単価が決まっています。 したがって、精神科で合併症のリハビリテーションを受けようとすると、2時間で220点 です。しかも、身体の機能を見るのに精神科の処方で行うという矛盾があります。我々のと ころは施設に以前はゆとりがあったものですから、精神科病院の中に精神障害と身体障害の 両方の認可をとりましたが、かなり施設にゆとりがないと2つの認可基準をとるというのは 難しいんですね。  心身両面のリハビリテーションにかかわることができるセラピストがいながら、施設基準 とか診療報酬の体制上難しくなっているものもあるので、少し考慮していただくと変わる部 分もあるのかなと思います。  厚労省は例えば障害を越えて一元化をと言われる流れの中で、どのように考えておられる のか、少しお聞かせ願えればと思います。 ○長尾構成員  今の山根構成員の言われたこととちょっと関連してなんですけれども、精神科の患者さん もいろいろな面で身体的なリハビリテーションのニーズが非常に高まっているわけです。実 はうちも5年前から理学療法、PT室をつくって、PTが7人いるんですけれども、非常に ニーズが高いんです。ただ、診療報酬上は療養病棟とかはとれないので、はっきり言ってそ れはサービスでやっています。年間1,000万円以上は持ち出しという状況です。 ○末安構成員  関連して。今ほどお話があった点で、特に緊急を要するという患者さんのことで考えてい くと、以前行われた身体合併症の治療体制の整備に関する調査などを見てみると、精神科か ら転院していらっしゃる患者さんの36%が70歳以上で、60歳以上が64%。ほとんど高齢 化問題と同義語的に考えていかなければいけないと思うんですけれども、実際に先ほどから 出ているお話ですと、やはりある程度5年とか10年というスパンで先に向かって見ていく ということと、現実に高齢化は日々これまでも進行してきているわけですし、治療とかケア の集中化みたいなこととか、コストパフォーマンスを考えると、今すぐ打てる手は何かとい うことも1つ論点に置いてほしいと思っています。  それは先ほど言いましたように、60歳以上の方が64%の転院患者であるということを考 えて、その方たちが精神病床のどこにいるかというと、ほとんどの方が療養病床にいるわけ ですね。療養病床は医療的に見れば看護師の数も少なくていい体制にはなっていまして、そ ういう意味のコストパフォーマンスはいいんですけれども、医療を手厚くしていくという意 味で言うとパフォーマンスは低いわけです。患者が受ける利益と医療技術の利益ということ で言うと低いわけなので、これを療養病床60床を例えば漫然とやっているということでは なくて、そこの病床は私も実習などで伺っている病棟だと平均年齢が80歳過ぎているけれ ども車いすの人は1人もいない。だけれども、急性発症して合併症で総合病院に行かれるよ うな例というのは現実にたくさん起こっているわけなので、恐らく高齢化に伴うということ で対応すると考えるのであれば、療養病床を60床漫然と認めるというのではなくて、その 中のある一部分をユニット的に医療が濃い状態にするということを1つの案としては考え なければいけない時期に来ているのではないかと。それも、5年とか10年かけて考えてい くというのではなくて、すぐできるという範囲で病院の中でも体制が組めるわけなので、そ ういうことも診療報酬としても、それから、医療のシステムとしても認めていただきたいな と思っています。 ○伊藤構成員  統合失調症入院患者さんの高齢化に伴い、身体合併症の治療は喫緊の課題だと思います。  もう一点、それと並行して、なかなか議論の場がない点ですので1つコメントさせていた だきます。身体合併症になぞらえて言うと、いわゆる精神合併症です。身体疾患を有する患 者さんは、高い割合で精神障害を合併します。その割合は大体20%程度、5人に1人と言 われています。身体疾患に苦しまれているわけですから、不安や抑うつというのは、それ以 上の高い割合で見られます。重要なのは、この20%程度の方々は向精神薬などの精神科的 支援が効果的なグループであるということです。つまり、この20%の患者さんには精神科 的なスクリーニングと治療を試みることが有効と考えられているのです。例えば、アメリカ 心臓病学会ではうつ病のスクリーニングと専門家との連携に関するガイドラインを策定し ています。  我が国では、がん患者さんについては、がん対策基本法に基づいた精神科的な支援が始 まっていますが、循環器疾患や糖尿病についてはまだ十分に対策が進められているとは言え ません。精神障害を合併しますと入院期間が延びますので医療費が高くなります。自殺リス クも高まります。身体疾患患者さんの精神合併症は、精神科医療にとどまるものではない国 民的な課題であるという認識が必要と思います。 ○上ノ山構成員  総合病院精神科がどんどん減っているというのは、非常にゆゆしきことだと思います。今、 佐藤先生のお話を伺っていてつくづく思うんですが、やはりこれが減らないように是非対策 を講じるべきではないかと思います。  私も30年ほど前に総合病院に勤めていたことがあったんですが、同じような資料を提示 されて、おたくのコストパフォーマンスは非常に悪いと常に突き上げを食らうというような 状況でした。ですから、これをこのまま放置しておくというのは、やはりまずいのではない かと。先ほど佐藤先生の資料では、やっと3万点に上がったということでしたでしょうか。 だけれども、一般的にはスーパー救急をとっていないと、もっと低いわけですから、それが ごく当たり前の状態として認められていること自体が非常におかしいのではないかと思い ます。ですから、総合病院手当でも構わないし、何でもいいんですけれども、やはりこれを とにかく食い止めるということを施策の中に組み込んでほしいと思います。  今、佐藤先生のお話で非常に印象的だったのは、総合病院が活性化すれば、その地域の医 療圏が活性化するということですので、そういう意味で、総合病院の役割は非常に重要だと 思います。  以上です。 ○門屋構成員  私は医療から離れてもう20年ぐらいになりますが、最初に就職したところが総合病院で、 その病院が78床のベッドが15年ほど前に今の佐藤先生のお話のように、実は経営的な理 由でなくなりました。しかし、外来だけはやっておりまして、私たちは地域で支えて身体合 併症というよりは身体病を発病した場合に、大変困ることがたくさん起こるわけです。精神 科の主治医との相談の中でもどこに受診させようかということが日常的に起こっていると 考えています。  私は、総合病院の中の精神科がどんどん減っていったということについては、やはり日本 の医療政策の中で大変大きな失点だったと思っておりまして、これは改めて再構築すべき課 題なんだと常々思っておりました。  もう一点は、精神科医の方がさっきのお話の中にも外来クリニックに独立していらっしゃ るという話が一番でしたし、以前もそういう話がありました。いわば精神科医が不足してい るという事態ですが、でも、外来のクリニックの先生方は地域にいらっしゃるわけでして、 精神科の治療が一般病床の入院患者に対して精神科の患者ではあるので、そこに行って応援 する、連携するという新しい方式も生み出していかなければ、両方で診るというシステムを 幾つかのバージョンで考える必要があるのかと実は常々思っています。そのことも是非どこ かで御検討いただければと思います。  もう一点、どうしても精神科病院の中で身体合併症を治療しなければいけない、これは逆 に内科の先生にそこに来ていただくことは勿論、内科の先生が精神科の病院の中にいるとい うことであれば、それはそれで十分こと足りるのでしょうけれども、そういう場合の内科の 診療体制の条件といいますか、1人のドクターが48床ではやはり身体合併症をちゃんと診 ることはできないと思います。ですから、逆にちゃんとした条件整備ができている病棟を認 める、あるいは条件を認める幾つかのバージョンを考えないと、医療の質は担保されないだ ろうと思っていまして、その辺のことで命を守っていただくような安心・安全を地域にいる 人たちにも活用できるようなものを是非希望したいということで発言させていただきまし た。  以上です。 ○広田構成員  やっと目が覚めたんです。私は定時制高校卒業ですから難しい話はわかりません。救急隊 の現場、警察の現場を回って見ていると、「たらい回し」という言葉があります。どちらも 引き受けない。まずはそちらで治療、まずはそちらで治療ということ。その1点は、さっき 長尾先生がおっしゃったように、もしかしたら医師の偏見もある。それは前回、啓発のとこ ろでお話しさせていただいたように、医者もコメディカルもすべての教科書で精神疾患が正 しくポジティブに理解されるような教育が行われる必要があるということ。地域に暮らして いて、どんな病気になろうと、どんなけがを伴おうと安心して暮らせる医療であってほしい。  2000年8月7日、厚生省の時代に、公衆衛生審議会精神保健福祉部会の参考人になりま して、たしかあのときは精神科特例の話だったと思います。日精協さんが反対して特例が外 れないどころか、全然変な方向へ話が行ってしまって、記者会見も開きましたけれど、マス コミも何か事件が起きないと記事にもならず、今インフルエンザのこの騒ぎは全世界で日本 だけがこんな大騒ぎとしているということをテレビで言っていますが、本当に日本のマスコ ミらしいなということですけれど、総合病院の精神科が減ってゆく現状も本来は日本のマス コミを挙げて騒ぐほどの問題で、私はソウルに3回行っていますが、ソウルには総合病院の 中に精神科が25あるそうです。韓国は日本を見ていない。韓国は、もっと進んでいるとこ ろを見ているそうです。日本国民として100年に一度の不況と言いながらも、これだけ立 派な設備のあるところでお話ができているわけですから、余り騒がず不安神経症にならない 中で、誰もがどんな病気になっても安心してかかれるようにしていただきたいということと、 何でもかんでも、いつもスーパーマーケットというか、よろず屋というか、ごみ箱という形 で精神科病院が引き受けて、それをお金にしているという歴史がありますが、そうならない ような形で、いわゆる16対1になった段階でなぜ点数を上げられなかったのか。それこそ 大騒ぎして点数を上げなければいけなかったのに、上げられないから金子晃一先生のように くも膜下出血で倒れたままで、私よりも大変な状態にあるということなんですね。  いい仕事をすれば、本人がつぶれてしまうということがないような施策を、厚生労働省に やっていただきたい。少なくとも9年前の8月7日に私は参考人で出た、そのことが今ここ に悪い結果で出ているわけですよ。悪い結果で総合病院の精神科がどんどんなくなっていっ ているわけですから、何回か前に福島課長に言いましたけれど、厚生労働省の一貫したきち んとした施策が必要だということで、これからはそういうことがないように。  警察の現場に行きますと、野戦病院のようになっていて、「ここでベンチから落ちて何か 事件が起きたらどうしよう」と言うから、「どうしようじゃなくて、落っこちた人には気の 毒だけれども、少し大きなことが起きてマスコミが騒いで、何で警察の現場に、救急車の中 に行き先のない人が長時間いなければならないのかということを世の中に知ってもらわな ければ解決できないでしょう」ということがありますけれど、そういうことで部長も戻って 見えましたが、厚生労働省を挙げてどんな病気になっても、どんなけがをしても、安心して その人が必要としている適正な医療を受けられるような施策を打っていただきたいという こと、それに見合った点数をつけてほしいということで、何でもかんでも精神科病院が引き 受けるという形のせこい儲け方はしていただきたくない。きちんとした経営をしていただき たい。  以上です。 ○佐藤構成員  1点追加させてください。ドクターの偏見のことですけれども、身体科の一般科の医師が 精神疾患に対する偏見を最も持たれていますよね。1つの例ですけれども、私のところに 通っている患者さんが統合失調症で交通事故を起こしたんですね。精神科のない病院に運ば れたんですけれども、そこの整形外科の医師は統合失調症を持っていることがわかると、こ んなものはうちでは診られませんということで、手術が必要な状態にもかかわらず、ほかの 病院に送ろうとしたんですね。ところが、精神病棟がありますと精神疾患に対して一般科の 医師は別にアレルギーはありませんから、私のところに通っている患者は知らないうちに一 般病棟に入院していたりします。全然普通に対応してくれて、増悪すると困りましたと来る んですけれども、知らないうちに退院する人もいまして、一般病院で精神病棟がある方が一 般科の医師は偏見が減って、全体として精神疾患に対する偏見は減るのではないかと思いま す。 ○伊澤構成員  今日お配りいただいた資料の14ページにあります、医療法施行規則の第10条3号に対 するあり方検討会の評価と今後に向けての取り組みといいましょうか、投げかけといったこ とをしっかり確認しておいた方がよろしいのではないかと思っています。ましてや、今日お 示しいただいた医療法の第25条の要項、立入検査で除外規定を設けているという場つなぎ 的な、ある種屈辱的な対応がなされているということも含めて、しっかりとした検討会とし ての姿勢を持つべきではないかと思います。具体的に申し上げれば、この3号に関しては大 幅な見直し、もしくは削除という方向でいくことがよろしいのではないかと思います。 ○樋口座長  ありがとうございました。  まだまだ御議論があるかと思いますが、時間の関係で前半はここで締めさせていただきま して、後半、今度は認知症についてということでございます。それでは、資料2を元にまた 事務局から御説明をお願いします。 ○林課長補佐  先ほど山根構成員から御質問をいただきました。リハビリテーションに関しては、身体を 含め、近年は機能分化をして充実を図っていくということで、その結果として施設基準がそ れぞれ厳しくなっているという御指摘であろうかと思います。そこで、どういう問題が生じ ているのか。具体的にはもう少し先生にもお話を伺って、私どもも考えていきたいと思って おります。 ○樋口座長  よろしいでしょうか。それでは、資料2についての御説明をお願いしたと思います。 ○林課長補佐  認知症について、資料2を元に御説明いたしたいと思います。  1ページ目が論点整理でございます。論点整理の中で特にポイントとしては下の方になり ますけれども、認知症の専門医療の機能を更に明確化・重点化する観点、このようなことを どう考えるかということ。そして、精神病床や介護保険施設等の入院・入所機能の在り方を 含めた体制の全体像、この辺りのポイントを総合的に検討いただきたいということでござい ます。  2ページ目以降がまず、認知症の現状と求められる医療機能でございます。  患者数について、どのようなデータがあるかということを最初にお示しいたしますが、3 ページ目が要介護認定のデータを用いたものでございます。認知症高齢者の日常生活自立度 II以上という方が2002年の時点で149万人、日常生活自立度III以上という方が79万人い らっしゃいまして、これを人口で伸ばしていくと今後は2倍以上に伸びていくということで ございます。  4ページが具体的な定義になっております。  他方、医療機関側のデータから見ますと、5ページ目が外来患者数でございまして、平成 8年には6.8万人の方が通院されていたのに対して、平成17年には23.8万人ということで 増加をいたしております。  また、6ページ目、入院患者さんを見ますと、平成11年には精神、それから、一般療養 合わせて5万4,000人の方が入院されていたのが、平成17年には8万人ということで急速 に増加しております。  7ページ、現在、認知症の有病率は平成3年の推計以降、推計が行われていないというこ と。また、先ほどの日常生活自立度という定義ではあいまいなところもございますので、現 在、医学的な診断に基づく認知症の有病率の把握を進めたいと考えているところでございま す。今年度からの研究事業の中でこれを行いながら、今後の政策の立案に生かしていきたい と考えております。  8ページ目からが認知症に関する医療機能についての資料でございますが、認知症の経過 と医療の必要性ということで、発症からまず精神症状が出てきたところで鑑別診断を行う必 要がある。また、更に進んでいったところで、中核症状がだんだん増悪していく中で精神症 状が一時的に悪くなった場合には、精神・行動障害の急性期対応あるいは合併症の急性期対 応、こういったところにポイントがあるのではないかと考えております。  特に、BPSDにつきましては9ページにもございますように、行動症状、心理症状といっ た症状が出るものでございます。認知症の症状には物忘れ、判断力の低下など、脳機能の低 下を直接示す症状である中核症状と、中核症状に伴って現れる精神・行動面の症状である周 辺症状がございまして、この周辺症状の治療が精神科医療の中で扱っていかなくてはいけな いところでないかということが、これまでも指摘されているところでございます。  10ページですが、認知症患者に提供すべき医療を30項目挙げていただいた、これは厚生 労働科学研究の中で行われたものでございます。  更に、同一の医療機関で対応できるようなものを1つのカテゴリーに分けていくというこ とで、8つのカテゴリーに分けていただいております。鑑別診断あるいは周辺症状、身体合 併症の入院対応機能、かかりつけ医機能、往診・訪問診療機能、周辺症状に対する外来対応 機能、介護機関との連携機能、専門領域の身体合併症に対する外来対応機能といった類型化 が図られております。  11ページは、それらの機能に対応できる医療機関の数がどれくらいであるかということ を調べたものでございますけれども、鑑別診断であるとか、あるいは周辺症状、身体合併症 入院対応機能といったところは、対応できる機関がほかの機能と比べて少ないといった傾向 がございます。  これらを踏まえて12ページに、認知症疾患医療センター等に求められる機能として、研 究の中で御提言をいただいているものが専門医療機能、鑑別診断、地域連携、そして急性期 医療、それから、地域の保健医療福祉職に対する研修といったものを挙げていただいており ます。  13ページ以降は、身体合併症、ADLの障害の状況でございますけれども、認知症の方 で合併症が入院レベルの管理を要する方が約4分の1いらっしゃいます。また、ADLが直 接介助を要する方が62%いらっしゃいます。クロスに集計すると、このようなデータになっ ておりまして、右上は精神症状が軽めの方、右下が重めの方ですけれども、精神症状が重く なるにつれて身体合併症、ADL障害の頻度も高まるということでございます。  身体合併症の種類は14ページです。これは先ほどのデータと同じですが、循環器、内分 泌・代謝等の疾患が上位になっております。  これまで精神科医療の役割として政府のまとめている文章の中では、新健康フロンティア 戦略で認知症の方に対する医療の提供、また、緊急プロジェクトの中でもまとめられており ますけれども、この中で認知症鑑別診断、周辺症状への治療、身体合併症に対する医療といっ たものが専門医療の役割として記載されているところでございます。  16ページからは入院・入所の場について総合的な検討ということで資料をまとめており ます。  まず、医療側でございます。認知症患者が多く入院する病棟としては、精神病床の中に認 知症病棟、そして、精神療養病棟、精神病棟とございますが、認知症病棟は大半の患者さん が認知症の方、精神療養病棟や精神病棟につきましては1割から15%の認知症の方がい らっしゃるということでございます。  療養病床におきましても、一定の方が認知症で入っていらっしゃるということで、18ペー ジが内訳でございますけれども、全体の8万3,000人の中で精神病床に入られている方が5 万2,000人、療養病床に入られている方が2万6,000人、その他もいらっしゃいます。  19ページが精神病床に限った病名別の分析でございますけれども、平成8年には2.8万 人、平成17年には精神病床が5.2万人で、うちアルツハイマー病の方が1万8,600人とい うデータでございます。  20ページ、入院期間を見ますと、1年未満の方、1年以上、5年以上、10年以上という 方もいらっしゃいまして、比率はそれほど変わっておりませんけれども、長期入院の方が多 くいらっしゃるということでございます。  21ページ、認知症病棟の残存曲線でございますけれども、精神病床全体と比べてかなり 残存曲線が上の方にありまして、1年経って退院される方が6割、残存している方が41% という状況でございます。  22ページ、療養病床における医療区分でございますが、療養病床の主な対象として想定 されている患者さんは医療区分2〜3の患者さんでございます。ここに掲げてあるような合 併症を有する方に関しては、療養病床の主な対象患者さんだとお考えいただければと思いま す。  せん妄という状態もございますけれども、ここは急性のものでございまして、7日間に限 定されておりますので、せん妄があればずっと療養病床の医療区分というわけではございま せん。  23ページ、認知症による精神病床の入院患者さんの退院可能性と要因というデータでご ざいます。居住先・支援が整っても退院の可能性はないという主治医の御判断をなされた患 者さんが39.3%精神病床の調査でいらっしゃいますけれども、理由としてはセルフケア能 力の問題、あるいは迷惑行為を起こす可能性といったものが上位となっておりました。  また、24ページは逆に退院可能性がある患者さんの方が退院に結びつかない理由として 調査が行われたものでございますけれども、多い回答としては転院や入所の順番待ちである とか、家族や本人の了解が得られないといった回答が多くなっておりました。  25ページからは介護サービスについてのデータでございます。  26ページ、介護保険施設について、施設の類型として介護療養病床、老人保健施設、特 別養護老人ホーム、すなわち介護老人福祉施設、認知症高齢者グループホーム、特定施設と いったものがございまして、それぞれの職員配置基準、部屋の面積、定員数等はこのような 形になっております。  また、老人保健施設の中に介護療養型老人保健施設という類型がつくられておりまして、 介護療養病床からの転換を図る、また医療の機能を高めるといった形になっております。  27ページ、定員数の推移でございますが、計画的に整備が進められておりまして、平成 19年にはごらんのところまで伸びてきております。  28ページが介護保険施設入所者の認知症の状況でございますが、日常生活自立度でラン クIII以上の方が全体で見ても6〜7割を占めているということで、入所者の認知症の方は非 常に多くいらっしゃるということです。  29ページがユニットケアの御紹介でございますが、特別養護老人ホームを中心にユニッ トケアの整備が進められておりまして、小規模のユニットでリビングスペースを持って個室 で所遇するといったことで、在宅に近い居住環境を構築するといったことが行われておりま す。家庭的な雰囲気の中で、なじみの人間関係で暮らせるということで、認知症の高齢者の ケアにも有効だということが言われております。  その整備の状況でございますけれども、30ページにございますように、平成19年には定 員数別で特養で18.9%、老健で3.7%がユニットケアになっております。  31ページは認知症のグループホームの御紹介でございます。グループホームも個室と共 同生活住居ということで、家庭的な雰囲気の中で地域住民との交流のもとで日常生活のケア を行う場所でございます。対象としては認知症急性期を除く高齢者に対してとなっておりま す。  32ページが整備の状況でございますが、急速に整備が行われまして、現在、約13万人の 方が利用されております。  33ページ、介護保険事業計画についてでございますが、これらの入所施設等について、 どのような整備の計画がつくられているかということでございます。国が基本的な指針を定 めておりまして、市町村等が介護サービス量を見込むに当たり参酌する標準を定めておりま す。これに基づいて、市町村や都道府県が施設や事業所の事業量の見込みを立てていく、そ れに沿って、計画的に整備を進めるという形になっております。  34ページが参酌標準、国の基本的な指針でございますけれども、入所系の施設の利用者 数の合計は、当該市町村における要介護2以上の認定者数に対する割合を37%以下とする ことを目標とするということで、認定者数の伸びに沿って計画的に整備を進めるという形に なっております。  36ページ以降は認知症に関するさまざまな施策の御紹介でございます。  平成20年7月に認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトの取りまとめがなさ れました。その内容は37ページにあるとおりでございまして、実態把握、研究開発、医療 対策、適切なケアの普及と本人・家族支援、若年性認知症対策といった分野にわたる総合的 な対策を進めていくということを打ち出しております。  38ページは認知症疾患医療センターの運営事業、これは私どもの部の事業として行って いるものでございます。認知症疾患医療センターは、情報センターとしての機能、専門医療 の提供の機能、地域連携を強化するという機能を有するものでございまして、予算としても 前年度から大幅に伸ばして準備をいたしております。  39ページにございますように、認知症疾患医療センターは地域包括支援センターとも連 携をして、認知症の医療から介護への切れ目のないサービスを提供するための基盤として整 備を進めているものでございます。  40ページ、認知症に関する専門医の御紹介でございます。人数としてはまだまだ多くな いところでございますけれども、認知症学会の認知症の専門医あるいは日本精神科病院協会 が認知症臨床専門医といった制度を持っていらっしゃいます。  また、認知症を領域の一部としている主な専門医としては、老年病専門医、老年精神医学 界の認定専門医、精神科専門医、神経内科の専門医といったものがございます。この中で老 年病専門医と神経内科の専門医が広告可能となっております。  41ページ、認知症地域医療支援事業の御紹介でございますが、先ほどのページで見たよ うな専門医以外に草の根というか、地域での医療の体制が重要でございまして、認知症サ ポート医の養成研修事業、かかりつけ医認知症対応力向上研修事業といった事業を行いまし て、地域でのお医者様の日常対応能力の向上を図ることを行っております。  42ページが、平成20年診療報酬改定における認知症に係る医療の評価でございまして、 さまざまなことを行っておりますが、鑑別診断につなげるための紹介の加算、あるいは周辺 症状をより適切に診療するために90日以内の入院料の引上げ、あるいは身体合併症管理加 算の創設といったことを行っております。  43ページは、今年度の介護報酬改定の概要でございますが、認知症対策につきましては 大きく分けて6項目取り組んでおりまして、グループホームの相談援助や看取り対応に対す る評価であるとか、認知症短期集中リハビリテーションの拡充、BPSDへの対応の評価、若 年性認知症患者の受入れの評価、専門的な認知症ケアに対する研修をした者が介護サービス を提供する場合の評価、そして、認知症疾患、医療センターへの介護老人保健施設からの紹 介に対する評価、こういったことが平成21年4月から行われております。  44ページは、認知症対策の関連の予算概要でございまして、総合的にはこのような対策 を行って、予算も大幅に伸ばして対応しておるところでございます。  45ページが、これまで申し上げたような認知症の医療体制のイメージ、非常に単純化し て模式的に描いてございますけれども、全体として精神科医療等が主に担うであろう専門医 療の部分、そして、地域医療の部分、介護の部分がございます。専門医療の役割としては鑑 別診断から治療の導入、そのときに地域医療との連携あるいは介護との連携というものを 図っていくということ。そして、BPSDの治療法、急性期の身体合併症の治療といった役割 が主にあると考えております。  また、地域医療の中では早期発見をして、専門医の紹介をする。そして、鑑別診断が終わっ た後は、逆に紹介を受けて認知症の症状への医療的支援や身体疾患の診療を行っていくと いった機能があろうかと思います。また、入院を要する慢性期の身体合併症の治療をどう いった形で行っていくか、更にその後看取りまでどのような医療体制で臨むかといったとこ ろについては、さまざまな御議論があるところではないかと思います。  46ページ、課題と検討の方向でございます。求められる医療機能として現状と課題でご ざいますが、高齢化の進行に伴い、今後、認知症患者が増加することが予測されております。 認知症に対する専門医療については、次のような機能、すなわち[1]かかりつけ医からの紹介 等を受け、早期に鑑別診断・確定診断を行うとともに、地域の諸機関と連携して適切な医療 や介護サービスに結びつける。[2]BPSDに対する適切な医療を提供する。[3]特に急性期の重 篤な身体合併症に対する適切な対応を行う、このような機能が求められております。  認知症に対する専門医療とともに、相談・支援の充実や介護との連携を図るため認知症疾 患医療センターの整備が進められておりますけれども、現状では認知症に専門的に対応でき る医療機関や医師が十分ではないところでございます。  認知症患者は、急性期・慢性期の身体合併症を有する頻度が高いということもありますが、 医療機関等において対応するための機能が十分ではないといった問題もございます。  検討の視点として、鑑別診断、BPSDや急性期の身体合併症への対応を含め、認知症に対 する専門医療を提供できる体制の確保・普及を図ることが必要である。  このため、認知症疾患医療センターの機能の拡充を図るとともに、整備を推進するべきで はないか。  また、認知症に関する専門医療・地域医療を支える医師等の資質の向上を図るとともに、 認知症疾患医療センター等における専門医療と診療所等を含めた地域医療との連携の強化 を図るべきではないか。  47ページ、入院・入所の場についての課題と検討の方向です。現在、認知症患者の有病 率等について調査が進められております。認知症病棟を初めとする精神病床において、専門 的な医療機能を発揮するためには、人員配置であるとか、身体合併症に対応する機能等が十 分ではないとの指摘がございます。  認知症患者の入院は、BPSD等の症状の消退後の専門的な医療を必要としない状態でも継 続しているので、長期化しております。その結果、真に専門医療が必要な者への専門医療へ のアクセスが阻害されているという課題もございます。  慢性期の身体合併症の患者については、病状に応じて療養病床や介護老人保健施設等にお いて対応するものと考えられますけれども、そのための機能や実際に受け入れることができ る施設が十分でないという指摘もございます。  検討の視点といたしまして、調査を早急に進め、認知症の専門医療機関の機能を更に明確 化・重点化する観点を含め、精神病床や介護保険施設等の入院・入所機能の必要量等を検討 すべきではないかということ。  2つ目に、認知症患者の入院適応を明確化した上、BPSDや急性期の身体合併症を伴う患 者に対応できるよう、認知症疾患医療センター等の専門医療機関を確保し、認知症病棟等の 体制の充実、身体合併症を対応する機能の確保等を行うことが必要ではないか。  3番目に、専門医療機関を真に専門医療を必要とする者のために確保するためには、急性 期治療を終えた者が速やかに退院できるよう、在宅サービスや介護施設の計画的な整備とと もに、専門医療機関と地域包括支援センター、介護保険施設事業所、地域の医療機関等との 連携を進めるべきではないか。  4つ目に、慢性期の身体合併症については、療養病床や介護保険施設等において対応が図 られておりますけれども、認知症患者の身体合併症の頻度が高いことや患者の状態が変動す ることを踏まえ、認知症患者に対応する精神科病院においても身体合併症への一層の対応を 行うことが必要ではないか。  最後に、認知症と身体合併症を有する者の終末期の入院・入所の場について、どう考える か、このような視点を挙げさせていただいております。  入院・入所の場については、総合的な検討を行っていただくということがございますけれ ども、精神保健医療福祉の在り方等に関する検討会でございますので、特に精神医療に関連 する部分について中心的に御議論いただければと考えております。  以上でございます。 ○樋口座長  ありがとうございました。  それでは、認知症についての今の資料の説明に基づきまして、御質疑をいただければと思 います。 ○小川構成員  幾つか要望と質問をいたします。要望は、介護報酬の改定で居宅療養管理指導とか訪問看 護ステーションの複数名訪問なども認められたところですけれども、そういった介護報酬上 の評価も認知症との関係ではかかわってくると思いますので、引き続き活用や報酬上の評価 も、次回ではなく2年後になりますけれども、引き続きお願いしたいということと、診療報 酬上はステーションの問題は次回お願いしたいと思っております。  地域包括支援センターは、今回も認知症の対応で強化されておりますが、ややもすると待 ちの姿勢になってしまうようなところもございますので、さまざまな本当に地域包括という ことで介護予防だけではなくて、本当に幅広い課題がございます。若年性の問題とか独居の 方の問題とか、あるいは権利擁護、成年後見の部分とか、さまざまな問題があって、単に待っ ているだけでは十分機能が生かされないというところでは、出向くような体制ができるよう なものも今後考えていただきたいと思っております。  あと、認知症の専門医の話が出ましたけれども、看護の方も認知症の認定看護師も養成を 始めておりますので、是非その部分も活用とか支援をいただければと思っております。  質問ですが、1ページの検討の方向性ということで後ろから3行目に、精神病床や介護保 険施設等の入院・入所機能の在り方を含めた体制の全体像について総合的に検討を行っては どうかということで、こういう検討の流の中で47ページの資料が出てきていると思います。 精神病床の役割としてはBPSDとか身体合併症を中心とする専門的な医療機関ということ でこれから考えていくんだという方向性を示したと考えてよろしいのかどうか、これは質問 でございます。  以上です。 ○樋口座長  では、今の質問に対しては何かありますか。 ○林課長補佐  47ページに書かせていただいているとおりでございますけれども、そこが中心的な機能 だと考えております。それ以外に必要な機能があるかどうかということも含めて、ここで御 議論いただければと考えております。 ○長尾構成員  認知症の問題というのは非常に大きな問題であるというのは前半にも話が出たわけです けれども、現在、精神病床にBPSDを伴って入院してくる方が非常に多いと。これは資料 にも示されていますように、これからますます増えていくと。特に私も団塊の世代真っただ 中ですが、生きながらえればその中に入ってくるのだろうと。ただ、現在の状況では介護保 険云々という話がありましたけれども、残留曲線の図もありましたように、認知症の人の残 留曲線、1年経っても残っている人が非常に多い。これは何を意味するかというと、次の行 き場がないというのを如実に表している問題だろうと思います。  認知症の医療体制のイメージ図とか、地域の医療と介護の連携というようなことは、 シェーマとしてはきれいに書かれていますけれども、実際の次のBPSDがある程度改善し ても次の行き場がない。グループホームというのはある程度増えてはいますが、割と軽度な 人しか入所が困難であると。ある程度の認知症が進んでいる人の受け場としては、在宅でと いうのは今の段階では非常に困難であると。在宅でサポートする体制というのは、ほとんど ないと言っていいに等しいと思いますし、その場合に老健施設であるとか特別養護老人ホー ムの入所待ちが非常に多いということが示されていましたけれども、介護保険の今の状況で はこれらの施設をある程度規制されているわけで、これが今の段階でどんどん増える要素と いうのはほとんどないと言っても過言ではないと思います。  それを今の介護保険の財政状態でも相当の地方財政の中で介護保険の支出を行わなけれ ばできないという中で、今後これを増やすといっても、なかなか財政上も困難であるという ことが言えると思いますし、そういった中で、出口がきちんと用意されないと、ますます BPSDを伴って入院してきた人が行き場がなくてたまっていくと。高齢ですから、ある程度 の段階で最後にあるような終末期というものを迎えていくわけですけれども、そういったこ とを介護保険も含めて、どのように考えられているのか、これは精神障害福祉部だけで完結 する問題ではないので、その辺との連携を厚労省としてはどのように考えられているのか。 これは非常に喫緊の課題ですので、きちんとやらなければ、まさにどんどん滞留していくと いうことは否めませんので、その辺をどのように考えておられるのかを質問したいと思いま す。 ○樋口座長  今の段階で何かお答えいただけますか。 ○福島精神・障害保健課長  一番問題なのは、今、長尾先生がおっしゃったように終末期をどうするかという問題だと 思います。現時点でそれをどうするべきかということになると我々はまだ明確な答えを持っ ているわけではありませんが、先ほど言ったように、BPSDの急性期のところを精神科医療 が担い、その後については本来であればそれから戻れればいいわけですが、非常に高齢化を している中で、身体合併症の方が重くなっていく。身体合併症を診られる医療機関ないし体 制がないと、看取りの状況は難しいと。身体合併症の部分を診られる医療機関ないしは施設 があれば、看取りの場所になるであろうと考えるわけですが、それをどのような形で用意し ていくのかというのが課題であろうと思っておりまして、理想的にはそれが出せるようにす るべきとは考えています。そこについてどのような形がいいかどうかについては、まだ我々 としても明確な姿を持っているわけではありません。 ○長尾構成員  ちょっと追加させていただきたいんですが、医療制度改革のもとにこれは精神とは直接の 関係はないとは言いながら、一般の療養病床の24年に38万床から15万床にすると。介護 療養病床もそれでなくす、転換するという話が出ました。これも結局は医療費抑制の中で起 こってきたことですね。これは全体の総量を増やしていくのではなしに、それをただ転換す るだけの話で、全く数などは増やす要素はない、逆に押さえるような要素でしかないわけで す。特に、ここに示されているような医療区分1というのは、とてもこれで経営がやってい けるような状況ではないということははっきりしているので、こういう身体合併症も含めて、 こういったことをやれるところというのをきちんと担保していく必要があるのではないか ということを追加したいと思います。 ○三上構成員  認知症の問題をこの場で取り上げていただいて本当にありがたいと思いますが、日本が世 界一の長寿国になったということで、認知症の問題は最重要課題ではないかと思います。資 料の中にも認知症患者さんの数というのが出ておりましたけれども、2002年、2005年、 2010年のデータを出しますと、現在でも日常生活自立度III以上の方が100万人を超えてい る。II以上であれば200万人だということを考えますと、その中の約5%、日常生活自立 度IIIといいますと奇声を発したり、大声を出したり、火の不始末をしたり、不潔行為があっ たりということで、一般の家庭では見守っていくのがなかなか難しいところですけれども、 このうちの5%ぐらいの方、5万人強というのがBPSD等で精神科病床に入院されている。 2万6,000人強が療養病床に入られているという事実ですが、これが将来2025年あるいは 2050年という形になっていきますと倍増すると。III以上の方が200万人ぐらいになるとい うことになりますと、単純計算でも10万人ぐらいはBPSDで精神科病床に入院されるので はないかということですが、更にもう一つの問題は、世帯構造の変化というのがありまして、 現在でも65歳以上の世帯主で独居あるいは老老家庭、高齢者お二人だけが家庭におられる のが1,000万人近くありますし、2025年になりますとそういった方が1,900万人。75歳以 上という後期高齢者に限っても1,000万人を超えてくるであろうということが考えられる わけで、恐らく家庭介護力を期待した在宅といったことはなかなか難しくて、更に、精神科 病床への入院を余儀なくされる方が増えるのではないか。ですから、10万床以上のところ がそういった方に必要になってくるのではないかと思います。  療養病床の問題が先ほど出ましたけれども、介護療養型は廃止されて削減されるというこ とですが、現在、療養病床に入っておられるほとんどの方が認知症の診断があると。今現在、 介護療養型が12万床ぐらいあると思いますけれども、そのうち2万6,000人が認知症とい う判断ですが、先ほどの表を見ますと80%近くは認知症があると。日常生活自立度III以上 でも50%という形になりますと、本来もっと多いのではないかと思うわけです。  そういった中で、身体合併症を非常に持ちやすい高齢者、認知症の人たちをどうやって最 後まで看取っていくかということになりますと、先ほど佐藤先生から総合病院精神科で出た ように、そこの中には認知症疾患医療センターの機能が必要とされているということで、現 在全国に150か所の認知症疾患医療センターの設置が進められているわけですが、こういっ たところの機能を更に充実していくということが大切です。それにもまして、地域包括支援 センターの中で認知症対応型の地域包括支援センターの整備というものも更に必要なわけ ですけれども、それを老健局と社会・援護局という2つの違った局が力を合わせてやってい ただくということが、先ほど長尾先生も言われたように必要ではないかと思います。  以上です。 ○中島構成員  前半は私が思っていたように話が進んでいましたので黙っていましたが、ここにかけてお りました。  23ページの精神科病床入院患者の退院可能性と要因というのを見られたらわかるように、 可能性はないという39.3%のうち50.7%はセルフケア能力の問題なんですね。ですから、 本当に退院可能性がないものは恐らく20%になるんじゃないかと思います。特に、現在の 精神科病床は精神保健福祉法の法律の下で運用されるわけですから、一定の人権の制限とい うものを前提にした法律でございます。この法律を今からどんどん増えていく認知症の患者 さんに、とにかくほかに行き場がないからという理由だけで適用するというのは余りにもず さんなことではないか。時間的なゆとりとロードマップは要るとは思いますが、BPSDを伴 わない認知症については、精神保健福祉法の対象外とするということを明確に示すことがま ずは必要ではないか。この原則を立てた上で、どういう施設をきちんとつくっていくかとい うことを議論しなければ、大局を見誤ると思うんです。最後の47ページで、そのことは何 となく書いていらっしゃると思うんですけれども、明確に書いていらっしゃらない。ここも 明確にしていただきたいなというのが私の心からのお願いでございます。  以上です。 ○良田構成員  精神科医療に関してなるべくということだったんですけれども、ちょっと外れるかと思い ますが、私も認知症に関しては個人的な体験がそれなりにありまして、身内が認知症になっ て老健施設もグループホームも病院も体験いたしました。その中で、特に老健施設は一言で 言うと非常にひどかった。3〜4年前と変わっていないとしたら今も3か月間程度だと思い ます。慢性的な介護の人手不足ということがあったのだと思います。どこの施設でも人手不 足で、若い職員ばかりでした。そこで、内科的な疾患も多少持病はあったんですけれども、 そこで放置されることによって悪くなるんですね。放置という言い方は非常に申し訳ないん ですが、実際に余り面倒を見てもらえなかった。例えば、失禁があったとしても、すぐに変 えない、変えられない。それから、下着をとったままで放置するというようなことが何回も ありまして、実は何箇所か変わったんですけれども、そこでもやはり同じようなことが起 こったり、それから、幼稚園のように集団で扱うケアなんですね。個別にすると資料にもあ りましたけれども、皆さん自分のお名前が書いてあってもわかりませんから、デイルームに 出たきり自分の部屋には一日じゅう、寝るまで帰れないんです。でしたら、個別のお部屋が あるということに意味はないような気がしました。  あるところでは、本人が非常に愛用していた枕カバーだけでも使わせてくださいと言った ら、それもだめだと言われました。ほかの人が持って行ってしまうと問題が起きるからと。 個人を表すものは何もないんですね。真っ白なベッドとお部屋の名前を書いてあるものと、 それしかないんですね。それで家庭に近づいたような待遇と言えるのだろうかということを 非常に疑問に思いました。  問題は、形態ではなくて、やはりケアの中身だと思います。幼児はこれから自我が成長し てくるので集団性も大事でしょうけれども、老人は認知症といえども個が確立して自我もで き上がっています。その人たちを集団的にただ1日2時間ばかり、体操をしたり、歌を歌っ たりして何かやっているようになっているような、そんな施設の在り方というのは私はあっ てはいけないのではないかと思いますので、やはりケアの中身というのは大変重要であると 思います。  そして、やはり医療も重要で、老健施設に入っている方は、老健施設を転々と回っている んです。1つの老健施設に入りますと次の老健施設に申し込むんですね。順番待ちがありま すから。そして、転々と何年も老健施設を回って、やっと特別養護老人ホームに入れる、そ れを待っているんですね。入院の方ばかりではないです。そのうちに認知症は恐らく進むし、 体も悪くなって亡くなるパターンもきっと多いだろうなと思います。そういう状態を早くな くしていただきたい。人ごとではありませんので、そういう状態を本当に早く把握して、な くしてほしいと切実に思います。  以上です。 ○大塚構成員  少し皆さんと論点が変わるかもしれません。精神医療のことについてということですので、 認知症や合併症をお持ちの方々が次にどこに行かれるかという選択の背景に、先ほど三上先 生もおっしゃいましたが、実は家族構成の問題であるとか、その方の次の行き先に対して、 どなたがどういう立場で、またどういう思いで発言や助言をされたり、日頃見守りをされた りしているかということと、併せて経済的な状況というのは結構大きいと思います。今、高 齢者の多くに独居で生活保護を受けていらっしゃる方もあり、先般、東京都の方々が遠方の 施設で火災に遭うという事故もありました。例えば介護保険なのか、生活保護なのかという ことによっても、行き先の違いは現場感覚でいいますと実際には相当あるのだろうと思って います。  もう一つは、合併症治療を考えますときに、非常に身体的な急性の処置が必要だとして、 その手術をどうするかということの同意についても、成年後見制度の話も小川構成員から出 ましたが、現状としては難しいところもあって、そういうときに放置されるという言い方は 大変失礼ですけれども、やはり経済的状況があってのトリアージュというのもあると思うん です。その辺の因果関係というのは今回挙がっていませんが、実は現場としては大変大きな 問題だろうなと思っていますので、是非そういう資料も見ていただけると、かなり違う実態 も浮かび上がってくるのではないかと考えます。以上です。 ○田尾構成員  先ほどの長尾先生と三上先生のお話に続くんですけれども、まず、大前提のお話ですが、 認知症を精神病床の中で見ていくかどうかという点についてです。日本では当たり前のよう になっていますけれども、諸外国では精神病床の少なさから見て、認知症を精神科で診ては いないと想像されます。その場合はどのようなサービスを提供されているのか、当事者の方 たちや御家族の満足度はどうなっているのか是非知りたいと思います。  今回、諸外国のデータをできたら紹介していただきたいとお願いしたんですが、そうした データはないということで御提示いただけませんでした。今日は老健局の方もいらしている ということなので、もし、幾つかの例でも御存じでしたら、後でお教えいただきたいと思い ます。  認知症の問題について、私は直接そんなに経験はないですけれども、今回何人かの老人関 係のお仕事・研究をしている人たちに意見を聞いてみましたが、その結果、ほかの精神障害 と同じようなことが認知症でも言えるのではないかと、このデータを見ても感じております。 医療従事者からすると、認知症の症状面からいわゆるBPSDの症状が出てくる場合は、精 神科の入院が必要だということになるのでしょうけれども、福祉とか介護の経験をしている 人たちは認知症は一部のピックとかレビー小体のような病気以外は、大集団で隔離されて管 理されるような、先ほど良田さんがおっしゃったような精神科病院のような、良田さんは老 健のお話でおっしゃいましたけれども、そういう治療はむしろ不適切だと言っています。 BPSDはある日突然出てくるというよりは、環境の変化があったりとか、家族の介護疲れな ど、環境やケア上の理由から生じる場合が多くあると聞きました。環境を改善することで症 状が改善することが多いとも聞いています。家庭的で小集団のケアサービスが提供できると ころが、より理想的だと聞きました。  このBPSDの発生頻度なども調査して、精神療養所などの必要を確定しようというのが 今回の提案ですけれども、そもそもそういう症状を出すことに環境要因が関係しているわけ ですから、その結果出てきた症状面だけを見て隔離した環境で薬物で抑えるという考え方は、 必ずしも適切ではないのではないかと思っています。  そういう考え方をしていくと、先ほど三上先生もおっしゃったように、この先恐らく精神 病床の半分は認知症が占めるという状況がそう遠くないうちに出てくると思います。認知症 に関して言えば、そもそも病院という環境に置かれたことで、ますます不安定になってくる ということが考えられると思います。病院は患者さんをつくります。先ほど中島先生がおっ しゃいましたけれども、23〜24ページにあるような退院の可能性、23ページでは40%、 24ページでは55%ないと書かれていますが、私はこの数字はほかの精神障害と同様にわか には信じられない。  20ページにもありますように、入院期間はどんどん延びてきている。これはほかの精神 障害と同様の現象が起きていると思っています。今までの入院精神医療の轍を踏まないため にも、安易に入院を勧めるようにすべきではないと。もし、どうしても精神科病床を利用す るということであれば、急性期病床のような期間の縛りを入れるとかで、長期慢性化しない ような工夫をする必要があるのではないかと思います。これも中島先生がおっしゃったこと ですけれども、23〜24ページにあるような退院可能性がある中でも、転院・入所待ちとい う人が半分近くいると。  これは老健局の方に伺いたいんですが、今後絶対に高齢者の社会資源が足りないと思いま すが、今後の需要と供給の関係をどのように考えていらっしゃるのか、それから、精神障害 保健課が今後も認知症問題を考えていくべきなのかどうかという点、最後に、諸外国の状況 について、もしお知りのことがありましたら教えていただきたいと思います。 ○井内認知症・虐待防止対策推進室長  今、御意見をいただきましたけれども、私ども認知症への対応というのは先ほどから構成 員の方々がおっしゃっていますように、勿論医療と介護は一緒に対応しなければいけないと 思っております。BPSDが出る理由についても、薬が原因になっているような場合もありま すし、また、ケアの中身が中心的な理由になっている場合もあるかと思いますが、いずれに してもバランスよく対応していかなければいけないというのは確かでして、この資料の中に もありますけれども、現在の介護保険制度の推計で20年ぐらいには倍になっていくという お話もありましたが、認知症高齢者が増えていくのは間違いないわけですので、そのときに 介護保険のサービス、医療と一緒に連携しながら進めなければいけないわけでございますが、 介護サービス基盤というのは施設のサービスとか、地域密着型サービスというのは先ほどお 話があったグループホームですとか、小規模多機能型、できるだけ地域に近いところでのそ ういった居宅系のサービスもありますし、また、在宅で暮らし続けられるような訪問系の サービス、通所系のサービス、そういうものもあるわけでございます。こうしたそれぞれの 介護サービスをバランスよく整備していくことが大事だということでございまして、その基 本にありますのはそれぞれの地域地域にあるニーズでして、高齢者の方がどのくらいおられ て、その中で介護が必要な方がどのくらいおられて、入所の方がどのくらいおられてという ようなことに併せて、それぞれの自治体さんで介護保険事業計画を立てていただいて、その ニーズに合わせて必要なサービスを整備していくということが必要になってまいります。し たがって、現在これからの認知症の方の数だとか、有病率等の実態をこれから2年ぐらいか けて調査しようということで進めておりますが、そういったものも明らかにしながら、それ を自治体さんにお示ししながら、介護保険サービスの整備について進めていきたいと思って おります。  皆様御存じだと思いますけれども、自治体も財政的ないろいろな課題を抱えておりまして、 介護について使える財源とかいろいろな問題も抱えております。それから、利用者、保険を 受ける我々1号保険者、2号保険者についても、保険料がどうなるかという問題もございま す。また、自己負担の問題もございますので、そういったものを併せて今後考えていかなけ ればいけない課題だと考えております。 ○樋口座長  海外の状況について、何か情報はありますかということですが。 ○井内認知症・虐待防止対策推進室長  介護サービスはいろいろな種類があって、それが認知症の方にいろいろと利用されている というのはございます。例えば、グループホームなどというのは北欧の国々で始まったよう なサービスで、先ほどお話がありましたけれども、できるだけ少人数で家庭的な雰囲気の中 でスタッフと一緒に共同生活をする。お料理もしたり、できることはその方の力を発揮して いただいて、役割を持ってやっていただくというのはすばらしいやり方なんですけれども、 そういったサービス形態というものが北欧で開発されて、日本でも導入されていったという ことがございます。そういったいろいろな種々の認知症の方に向いた介護サービスがいろい ろ使われているのは私ども承知しておりますけれども、精神病床がどうなっているかという のは今は承知しておりません。 ○品川構成員  皆様の御意見とダブるところもあるんですけれども、認知症のことをこの場で話し合うと いうのは、最初のころは少しぎこちない、疑問が残ったんですけれども、先ほどの中島先生 のお話を聞いて、その辺がすっきりしたということで、やはり別立てで考えていただかない といけないなと感じました。  認知症の方も入院や診断とか薬の治療というのは必要だということは重々理解できます が、先ほど良田構成員のお話からも、認知症は介護の重要性が大きいと言われておりますの で、その分御家族の御負担もすごく大きいと思いますが、老健や特養、グループホームといっ た介護保険での対応が今まで図られてきた中で、この場に介護関係の方がいらっしゃらなく て、それを抜きにして話し合うというのもちょっとおかしな話だなと感じております。  終末医療に関してですが、障害者のグループホームに入っていらっしゃる方も本当に高齢 化を迎えて、障害のサービスを利用しながら介護保険のサービスを利用され始めた方も多々 出てきております。その先で、認知症が認められたから障害のグループホームから認知症の グループホームに移るというのは非常に困難で、数が少ないということもあるんですが、こ のまま障害者のグループホームで終末までいるのかということが見えてくるんですけれど も、そのときに介護保険対応のグループホームと障害者のグループホームでは、バリアフ リーの問題とか報酬の問題とか全く違ってきていますので、こういう差を持ったまま行って いいのかという疑問を持っております。 ○寺谷構成員  中島先生のおっしゃったことから触発されてお話ししたいと思うんですけれども、この件 に関しては、リエゾンですとかコンサルテーションということで、最初の身体合併症の対応 の資料の中にもございました。このことを出したことに関して、それぞれの精神科のお医者 さんたち、または他領域の各専門職員がリエゾンに焦点を当てながら、御自分独自のコンサ ルテーション、勿論当事者も一緒に入りますけれども、そのようなことをしていかないと、 縦割りの中では地域の中で自分らしく生きるということはできないと、実際、地域活動の中 ではそのことが実証されているんじゃないかと思います。このことに関してはACTJの報 告の中でもありますように、何でも包括的な生活または自立支援だというようなところは既 に普遍化した認識ですので、ACTJの中でもイトウ先生がおっしゃっているのは、家族負担 が増大することと危機状況になったときの支援の体制づくりを必須要件とする。家族支援の 増大を招かないこと、危機状態を招かないことと同時に危機状態への早急な介入、ですから、 これが早期支援だと私は認識しておりました。だから、そういう意味で、今は症状別に、診 断名別にお話しされていますけれども、すべての人たちに精神保健福祉のサービスが求めら れているんだというようなところで私は認識しておりました。  そして、在宅のサービスをどう領域の異なる専門家たちがネットワークをしながら、そし て、必要なときには精神科医のコンサルテーションを受けたりしながら、地域の中で危機介 入などもピアサポートの中で行われているのが実際なんですね。そんなことを考えて、アウ トリーチの中で在宅の医療だとか、在宅の福祉だとか、在宅の教育だとか、いろいろな領域 があると思うんですけれども、あらゆる性格の領域において在宅でサービスを提供できるよ うな仕組み、そのためのACTJの施行事業ではなかったんでしょうか。私はACTに物す ごく関心を持っておりましたし、これがどう地域の中に具現化されていく時代が来るのかな というところに今立っております。  いずれ自分もサービスの消費者になっていきますけれども、間もないことですけれども、 時間がないので早くそのことをしていただきたい。障害の有無や年齢にかかわらず誰もが自 分らしく生きられるような、自分たちの街をみんなでつくっていくと、ちょっと抽象化して 申し訳ないんですけれども、そんなところで認知症の対応に関しても考えました。  あと1分ほどですが、アメリカに日系1世テラスハウスというのがありまして、学生と毎 年のように行っておりましたけれども、そこにもたくさん認知症の日系の方たちが入所して おりまして、床屋さんが施設に来たり、いろいろな街の人たちが施設にいらっしゃるんです。 そこで相互に交流し合っていました。それをコーディネートしたりするのがソーシャルワー カーでした。お医者さんも勿論いらっしゃいます。そのような形で包括性を持つというとこ ろに視点を持って、それがアウトリーチの形態でいければと私は夢見ています。  以上です。 ○長野構成員  地域の中で10年以上かけて啓発から緊急受入れ体制、ありとあらゆる老人施設を包括支 援センターと連携しながら実践してきた者として感じていることをお話しさせていただき ます。  精神科医療が緊急の受入れであったり、BPSDのコントロールであったり、非常に大事な 位置だと思って取り組みを始めました。けれども、実際にやっていくと、今の私たちの精神 科病床では認知症の方の対応に限界があると感じています。一般病棟の中にユニットケアも どきをつくってみたりとかいろいろ工夫もしてみましたけれども、実際にそこで受け入れて しまうと入所待ちの方をたくさんつくってしまうという現状から、業を煮やしてというか、 必要だということで地域密着型サービスも立ち上げて、認知症対応型の通所介護と小規模多 機能を立ち上げて運用をここ数年始めております。そうすると、精神科の病棟でなければい けないなと思っていた方が、随分いろいろなところで対応できる、そこに精神科の経験のあ る看護師をきちんと配属していくことで随分カバーしてこれて、精神科の緊急入院も随分 減ってきたような実感を持っております。こういう取り組みが絶対に必要なんだろうなと思 います。  限界を感じている点というのは、やはり人員配置の問題もありますし、あと、認知症治療 病棟でいくと今度は施設基準の問題もあります。15年前に回廊ということがイメージされ ながらつくられた、だだっ広い病棟がまだまだ施設基準で残っていて、手すりと手すりの間 を伝う間に転倒してしまう、「あっ」と思って駆けつけようと走っていっても間に合わない、 そんな施設基準がしっかりある中で、本当に認知症ケアの環境がとても大切だと言われてい る中で、今の認知症ケアの概念に適切な施設基準になっているかとか、さまざまな問題があ るのだろうと思うんですね。  37ページの緊急プロジェクトは非常によくできた全体像だと思って老健局の方とも話を しながら、いいなと思いながらも、とても寂しいのが医療対策の部分の短期の目的と中長期 のところに精神医療の在り方の検討とあるんですね。現在、精神科病床が大変促進が進んで、 随分病床に余裕が出てきたところに、今現在も10年前から受け皿がない認知症の方がここ を選ばざるを得ない状況がどんどん起きていて、この対策が中長期でいいのだろうかという ことを一番疑問に思います。  先ほど品川構成員も少し言われましたけれども、老施協の方とかいろいろお話をしていて、 精神医療に対する誤解や偏見もとても強いし、精神科医療の問題もあるのだろうと思うんで すけれども、老健局精神障害保健課の管轄のところが本当に現場レベルでお互いきちんと話 し合えるような検討会が、介護保険の分野もお互いのブラックボックスを触らないように なっていたりとか、たたき合わせられないようになっていたりするので、もし可能であれば、 この検討会と例えば認知症のプロジェクトが合体するような検討会とかが早急に立ち上が らないかなと。合同であなたのところとこれをやろうよ、これをやろうよというようなとこ ろでやらないと、2015年はすぐそこです。2015年関係なくいろいろな問題が起きているの で、これも早くやらないと3年後だとか中長期と言っている問題では決してないと感じてお ります。  あと、さっきの合併症の問題とも少し関係があるんですけれども、精神科病院が一般の療 養病棟がどんどん削減されていく中で、かつての療養病棟の機能を担ってしまわなければい けなくなっている現状も実際にあると思うんです。その中で、精神科病床でも合併症が診ら れるにしよう、認知症も精神科病床できちんと基準をつけて、ちゃんと診られるようにしよ う、看取りのことも場として候補に挙がってくる。この体制がきちんと整えていければあり なのかなと思うんですが、小さな田舎でやって専門職がなかなか確保できない中で、そんな に何もかも質を上げた何でも屋は、とても精神科病床を基盤にはできないなと、現実的に。 それは全国的にも言えることではないかと思って、精神科病床のコアな機能とあるべき機能 というのは切り分けて、きちんと早急に検討しながら具体的施策にも即していかなければい けないんじゃないかと思います。  以上です。 ○末安構成員  もう時間がないと思いますので、1点だけお願いします。先ほど精神科の医療や看護の問 題の中で行動制限をどうするかという問題があったと思うんですけれども、ケアの立場から 言うと行動制限を最初からするということの必要性で診療報酬で今一つの形をつくっても らっているわけですが、それでできるだけ減らしていきたいと。しかし、現実にはある急性 期の状態が続いていくという場合、ケアの常識から言えば、行動制限の時間が短くなってい くんですけれども、開放観察とかある程度緩急をつけながら診ていくということをすると、 実はそういう人たちは行動制限の時間が相対的に長くなってしまうという研究データも あって、行動制限をどう考えるか、精神科医療でもし認知症の方を診ていくということであ れば、やはり行動制限をどう考えていくかと。先ほどは、それは一般医療と同等にという一 つの流れがあったと思うんですけれども、逆に一般医療でも認知症だけではなくて身体拘束 については問題があって、むしろ精神科医療よりも一般科医療の方が関節の拘縮とか変形に ついての訴訟とか起きるような、つまり、そこでは一体どういう身体拘束や隔離の状態があ るのかが見えなくなっている状況にあると思うんです。ですから、精神科がすごく悪く言わ れるときがあるんですけれども、そういうときもあったかもしれないけれども、今は厳密に 隔離身体拘束についてできるだけ少なくしていこうと、政策的にもう考えていますし、現場 でもそう考えている。だから、そうでない方がいいんだと安直には言えないんじゃないかと 私は思っています。  私どもは看護師の方も、今までは全体としては行動制限を最初からしていくという漠然と した、例えば認定看護師の養成なども今もやっているんですが、それだけではなくて、高齢 の精神障害者の方、先ほども退院の可能性がない人は39%、このデータを福祉の人と一緒 に見てもらったら観点が余りにも違うと。認知症の方について、本当に退院の可能性がない という人が40%近くになるのかということもありますので、やはりそれぞれがやってきた 技術といいますか、医療の中で患者の利益になるというところについては、ただ制度で改変 していくということではなくて、本当に必要なことは何なのかと考えた上で選択していくと いうようになってほしいと思っております。 ○上ノ山構成員  認知症の問題を精神科医療で扱うかという問題のときに、ちょっと混乱しているのは、今 現在、高齢化を迎えて、精神科病棟に入院している人がどんどん認知症を発症したり、それ から、空いているベッドに認知症の人がたくさん入ってきたり、つまり現在、精神科病棟に 入っている認知症の患者さんを、どのように出口を見つけて対処していくかという問題が1 つあると思います。それは先ほど来言っていますように、出口をちゃんと整理していく必要 があるということで大きな問題としてあると思います。  もう一つは、今度、認知症疾患医療センターを中心に新しい図をお描きになられたと。こ れはBPSDを中心に急性期の対応など、特に医療面にかなり配慮したシステムをつくって いこうというニュアンスではないかと思ってお聞きしているんですけれども、ここで特に言 われている早期発見ということも、ほかの統合失調症の問題にしても、あるいはほかの早期 発見・早期治療の問題にしても、結局は早期発見してその後どうするかというシステムが はっきりしていないと、全体が機能しないのではないかという問題があるんですね。精神科 医療だけで認知症を診ていくわけではないわけで、その場合はほかの科の人たちも含めて、 あるいは介護の問題も含めて、早期発見した後の体制をつくっていくということが非常に大 事になってくると思います。  もう一つは、ここではどうしてもBPSDに関しては周辺症状ということで位置付けられ ていますけれども、精神科医は周辺症状だけにかかわっていたらいいのかということがあり ます。中核症状に対して我々はどのようにアプローチできるのかということを、ちゃんとこ こに問題提起しておかないと、認知症に対して何をしているのかということになるかと思い ます。  ですから、例えば、MCIという軽度認知障害の段階から認知症に移行するようなときに、 どのようなサービスが我々に提供できるのかというところ、BPSDを発症しないために外来 機能をどのように充実させていくかとか、そういうところも議論しなければいけないのでは ないかと思うんです。そのためには、例えば薬物だけではない、薬物に頼らない医療という のもあると思います。例えば、心理教育的なアプローチだとか、認知機能リハビリあるいは その他さまざまな対処法だとか、その他音楽療法だとかいろいろあると思うんですけれども、 そのようなことをやっていくための配慮というのは、この図の中にはないわけですね。だか ら、結局は一旦発見するけれども、最終的には認知症が進行して、介護福祉サービスに落ち 着くところまで待っていなさいとしか見えない。だから、サービスに落ち着くところに来た ら、サービスを受けましょうと。その間、サービスを受けないでも済むように、あるいは BPSDが発症しないような、そのための外来医療の体制をどのようにつくっていくのかとい うところが1つ抜けているのではないかと私としては思います。  それから、もう一つ、外来医療に関して疑問点があるので言いますと、重度認知症デイケ アの問題です。認知症デイケアに関しては、心ある精神科医たちがきびしい施設基準を満た してデイケアをやって認知症対応してきたわけですけれども、それが大幅な点数ダウンに よって、きびしい施設基準を満たさず、専門職を配置しないデイサービスよりも低い点数に なってしまっています。要するに、外来での認知症対応をするなと言っているように聞こえ るわけですけれども、そういうことでは結局、外来で認知症の患者さんを抱えながら支えて いくシステムをつくっていくということにはつながらないのではないかと思うんです。その 点に関して御検討いただけたらと思います。 ○門屋構成員  たくさんの方が私の申し上げたいことを言ってくださっていますので、重ならないように したいと思います。基本は、良田さんが言ってくださったことがすべての認知症の方の基本 であろうと思いますし、今日私が聞いた中で「これは」と思ったことだけを申し上げれば、 中島先生が言われるように、認知症一般ではなくて、精神医療が担えるものは何かというこ との明確化は、やはり早急にすべきだと感じました。  長野先生のおっしゃるとおりだと私が思っている部分は、中長期というようなことではも う明らかに今までの中で問題が生じているということです。それは何かといいますと、それ だけ1点申し上げようと思ったんですが、やはり急がなければいけないということなんです けれども、前回の検討会の会議の中で宮城県の事例が報告されたと思います。猪俣先生がこ の検討会、病床を減らすことも含めた精神医療の今後の在り方を検討している最中に宮城県 でベッドが1,500床も増えた。ほとんどが全部老人であったという報告でした。これは、ど こを対象とするのかということの考え方を早く打ち出さないがゆえに、そういう問題が生じ 始めているし、今も私は起こっているという認識を持っている部分もあります。これはやは り国民が高齢化していっているわけですから、国民の不幸を精神医療が担ってしまうような こと、あるいは精神医療の中から不幸な場所だと国民から見られるような精神医療に私はし てほしくないと思っておりますので、老健局もこちらの方も含めて是非、早急に御検討をお 願いしたいと思います。 ○山根構成員  多くの皆さんと重なる部分がありますので簡単に申しますと、1980年代に当時の厚生省 から長寿研究を委託されて以来、生活とリハビリテーションという立場から認知症の方たち にもかかわるようになりました。中島先生たちもおっしゃいましたけれども、精神医療で認 知症を診ていいとか悪いという問題ではなくて、療養病棟にしても認知症治療病棟にしても そうですが、従来の慢性の精神病を扱っていた病棟をちょっと改造して精神病棟にして、そ のときの看護技術をそのまま持ち込んでいるわけです。もし、精神医療で認知症を扱っても いいが、このハードとソフトの面を抜本的に見直す必要があります。そうすれば、精神疾患 に対する病床数そのものの削減にもなるし、認知症の対策にもなるのではないでしょうか。 今、精神科病院のもっているいろいろなノウハウとか経済的なものを生かすとすれば、そう いうことを考えてもいいのではないかと思います。  それと、ソフトの面で見ますと、機能回復の訓練とか形の上では決まっていますが、何を どういうふうにするかという質がほとんどないんです。2時間とか4時間訓練をと言われて、 その時間をこなすためにやっていて、結果的には認知症の人たちのBPSDをつくっている ように見えます、診療報酬のためにね。これは早急に改善しなければいけないと思います。 特に、中等度以上になられると必ず生活を基盤にした治療が必要です。認知症の治療は必ず 生活を基盤にする、そのための病棟構造をどうするか、処遇をどうするかということを考え ないと進まないのではないかと思います。どこが受け持つという問題以上に、そこをまず しっかり考えていただきたいと思います。ハードとソフトの部分をもう少し明確にすること を厚労省にもお願いしたいと思います。我々専門家がどうしたらいいということを示さなけ ればいけないという課題もあるとは思うんですけれども。 ○広田構成員  この会議を一般の国民が聞いたら、恐らくわかりづらい話だろうと思うんですけれど、こ とは簡単な話なんですね。認知症が増えている。介護予防したらいいんじゃないか。そうい うときにすぐ小川構成員は包括支援センターと結びつけるんですが、何かここで出てくると いつも言っているように、営業の人がすごく多くて、それは仕方がないんですが、昨日も仲 間と話していて思いました。20年ぐらい前に私のおばが入院したときに、派出婦という制 度が病院の中にありまして、日本人の派出婦さんが少なくて日系の方が務めていました。そ うしますと日系人ですから、本国と日本を行き来するお金が必要ということで、1人の派出 婦さんが3人の患者を持つ。どういうことが起きるかというと、忙しいから「お手洗いに行 きたい」といっても付き添わないで紙おむつになっているということなんですね。これと似 たようなことがいろいろなところで起こっていると思います。そうしている間に、田尾構成 員が言ったように、ますます入院している間に患者になるし、患者は重くなるということで すね。  そういう中で、今は時間がほとんどないんですけれども、時間ができたら是非、私が暮ら しているところは四百何世帯ですが、その4分の1が自治会費を納めていないから、「生活 保護の私も納めているので是非納めてください」と言ったりして、いわゆる独り暮らしのと ころをお訪ねしたり、高齢者をお訪ねして話し相手になれば、何とか認知症を予防できるの ではないかと考えています。そういうことをこれだけマスコミ、国、地方自治体挙げてイン フルエンザで大騒ぎできるわけだから、認知症予防ももっと大騒ぎして、さっき「地方自治 体はお金がない」と、きれいなことを老健局はおっしゃったけれど、国そのものがお金がな くて、いつ破産宣告してもおかしくない、いつ国家が自殺してもおかしくない状況の中で、 どうやって少ないお金でより人間らしく生きるかということをすべての国民が各階層が考 えなければいけない時代で、私も近所の定年になったおじさんなどを見かけると、「一緒に 街をパトロールしましょう」と勧誘して歩いているんですね。皆さんの勧誘と違って私はお 金をもらわない勧誘です。  何か恩恵を受ける、サービスを受けるだけでは人間の尊厳はなくなります。人は人の役に 立つ、社会貢献できるということで非常にプライドも持てるわけだから、何かして差し上げ る制度ではなくて、高齢者がプライドを持てるように。例えばこの前、長尾先生のところに 伺って、「先生あそこの土地に是非フィットネスクラブを建てて、会員制にして、街の人も 入れて入院患者も入れれば、すごく患者もよくなる、退院できる。退院したその人が、入院 している人のボランティアをできますよ」というぐらい、精神病院は1週間に2回とか3回 しかお風呂に入っていない。でも、私はお手洗いに行くたびに、うちにいるときにはシャワー を浴びていますから、「赤ちゃんのような肌だ」とこの間若い娘が言っていました。そうい うことだから、お風呂の効能で、例えば睡眠薬を増やすよりもお水とお湯を交互に、例えば 10分間寝る前に浴びると安眠できるとか、いろいろなことがありますから、そういうこと も含めて、ただ単にリエゾンだか何だか横文字は全然わからない、定時制高校卒業ですから。 わかりやすい言葉で言っていただきたいし、国民が何をどう社会貢献したら、この国の一人 一人がお金がなくても心が豊かに、そして、派遣村はどんどん働けばいいと。外国からいろ いろな看護師を連れてきて、日本語が通じないとこの間も新聞に出ていました。そういうよ うな社会の有り様が物すごくギスギスしている中で、古来日本人はもっと知恵があったはす ですから、知恵を出し合い、金がない中でそれぞれがやることをやる。皆さんもセールスば かりしていないで、自分の地元でもっとボランティアをして、1人の地域住民としてどんな 形の地域がいいかということをやって、マスコミもインフルエンザばかりで騒いでいるので はなくて、記者もたまには自分の家の近所でボランティアをやるとか、いろいろな形で本当 に総力を挙げてやるときだと思います。  さっきちょっと言いのがしましたけれども、佐藤先生の資料の18ページに新しい総合病 院精神科とありますが、私が暮らしている横浜市の総合病院の精神科病床は50とか100 入っていますが、精神科救急はこのうちの恐らく3床ずつぐらいですから、さっき申し上げ たような救急車の中や警察のベンチで精神科の疾患でありながらほかの科を使えない、また ほかの病気がありながら精神科救急に行けなくなってしまっているということと、私は警察 や交番をしょっちゅう回っていますから、そこに迷い老人がどんどん来ます。そうすると、 ただ口で聞くだけではなくて、昔話をして歌を歌い、そして、ペンと紙を出して書いていた だくと、時には自分の電話番号を書けたりします。いわゆるBPSD、認知症の行動・心理症 状というのですか、ここに出てくる行動症状の徘徊というところに、私は昔アカシジアで、 いわゆる徘徊症、精神科の医療ミスの注射で大変な状態になって22時間歩き回って入院し た経験がありますが、ややもすると精神疾患とかいわゆる認知症の方をすぐ徘徊ととらえる んですけれど、内科でも何科でも向精神薬が出ていたら、歩いていたらまずはアカシジアと 疑ってくださいと言うぐらいなんですが、案外こういうものを見たときにそういう精神症状 を知らないで、素人の方がうまく認知症の人と付き合えるんですよね。わからない、知らな い幸せで。私は、家を忘れた高齢者とうまく話をしながら交番のお巡りさんに感謝されてた りしていますから、国を挙げてお金がない中でどうやって自分たちが力を出し合い、知恵を 出し合いやっていくかということ。  そして、一般国民はいわゆる一般療養病床を削減したことを物すごく怒っています。うち の母親は晩年、「隣の人が私を見張っている」と言いました。でも、私は母に付き添わない で昼間1人にしておいたから、もしかしたら認知症があったかもしれないし、なかったかも しれないけれども、悪化しなかった。最終的には病院で亡くなりました。  良田さんがおっしゃったような老健ではなくて、母は喜んで快適な老健に行っていた。私 もそこに行って会っていましたけれども、そういう中でうちの母はこう言いました。自分が 被害妄想とわかったんですね「姉ちゃん、でも精神病院だけには行かせないで」と。私は言 いました、母はおゆきちゃんです。「おゆきちゃん、精神病院の被害者は私だけで十分」。さっ き末安構成員が精神病院は随分よくなったようなお話をしましたけれども、一般よりも人権 があると言いましたけれども、やはりこの瞬間にも35万3,000人が入院していて、7万人 とも15万人とも20万人とも言われる精神科のいわゆる社会的入院がいる。そして、今こ の場で話し合っていることは、新たに何が必要だろうかということではなくて、何年か前に 精神病院の経営者、とても率直な方でしたが、「うちの病院は経営は安泰です。既に認知症 を抱え込んでいます。」つまり、日精協さんはズバリ言えば、認知症が出てくるのは時代の ニーズに応えたいという名の経営にしようとしている。そうならないようにきちんとみんな で考えて、また社会のよろず屋、ごみ箱にならないようにしないといけないと私は思います。  以上です。 ○樋口座長  ありがとうございました。  大分予定の時間を超えましたので、本日の質疑はこの辺で終了させていただきますが、事 務局から次回の日程等について御連絡をお願いします。 ○野崎課長補佐  次回でございますが、第18回は6月4日木曜日の15〜17時半。場所はこちらの省議室 となります。  また、正式に御案内しますが、次回からクールビズ励行期間ですので、軽装で来ていただ ければと思います。  以上です。 ○樋口座長 本日はお忙しい中、長時間にわたりましてありがとうございました。これをも ちまして第17回の在り方に関する検討会を終了させていただきます。  どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課企画法令係  電話:03-5253-1111(内線3055、2297)