09/05/21 第15回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会議事録 第15回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会議事録  日時:平成21年5月21日(木)10:01〜11:47  場所:グランドアーク半蔵門3階 光の間                             照会先                             医政局経済課 矢作、安東                             03-5253-1111(2536)   ○矢作流通指導官  定刻となりましたので、ただ今から第15回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会を開 催いたします。  初めに、委員の交代についてご報告いたします。稲垣委員が辞任され、日本歯科医師会 から中谷譲二様に新たに委員に加わっていただいております。また、鈴木良彦委員が辞任 され、日本製薬工業協会から西尾憲一郎様に新たに委員に加わっていただいております。  次に、委員の出欠状況でございますが、本日は、日本ジェネリック医薬品販社協会の江 口様、全国自治体病院協議会の宮川様からご欠席の連絡をいただいております。  なお、日本ジェネリック医薬品販社協会の江口様の代理として、名誉会長柳田武夫様に ご出席いただいております。また、日本医師会の飯沼様から、途中50分ほどでご退席との ご連絡をいただいております。  追って、医政局長でございますが、本日、新型インフルエンザ対策業務のため、急遽欠 席となりましたことをご了承ください。同じく、経済課長の木下につきましても、同業務 により1時間ほど遅れて参ります。誠に恐縮でございますが、重ねてご了承をお願いいた します。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料でございますが、 議事次第、ホチキスでとめられておりますが、座席図、懇談会名簿、資料1「平成20年度 価格妥結状況調査結果概要」、資料2「総価取引状況について」、資料3「平成20年度流 通改善への取組の総括」、資料4「今後の課題について」、資料5「医療用医薬品におけ る情報化進捗状況調査について」をお手元に配布しておりますのでご確認ください。  それでは、以降の議事進行につきましては嶋口座長にお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○嶋口座長  関係者の皆様、今日はありがとうございました。  それでは、早速これから議事に入っていきたいと思います。  新型インフルエンザがもう大変猛威を振るいそうで、事務局も大変だと思いますが、こ ちらのほうは粛々とやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日の議題は、今、資料の確認のところでもございましたように、大体この流れで進め たいと思いますが、平成19年に中医協からの依頼を受けて、この流通改善の形をひとつ作 ってもらいたいということで緊急提言が出たわけでございますが、しばらく間があきまし たので、今日は、その緊急提言を受けた実施状況についての総括と、それから、今後この 会でどういうふうな課題を扱っていくか、この辺りを中心に進めていきたいと思っており ます。いろいろご意見もいただきたいわけでございますが、時間の関係もございますので、 まず総括的な状況のご説明をいただいた後、その説明に関わる基本的な質問のみをまず最 初に、その直後に伺って、そして議論のほうは後半のほうでやっていきたいと思っており ますので、よろしくお願いいたします。  それでは、早速でございますが、初めに、平成20年度の最新の価格妥結状況調査結果と、 それから総価取引の状況について、事務局のほうからご説明をいただきたいと思いますが、 これは資料の1と2を中心でよろしゅうございますね。  それでは、早速お願いいたします。 ○五十嵐首席流通指導官  首席流通指導官の五十嵐でございます。  資料1と2を使いましてご説明いたします。  まず、資料1をご覧いただきたいと思います。未妥結仮納入ということで、平成20年 度価格妥結状況調査を卸連加盟の62社にご協力いただいて、その妥結状況を取りまとめ たものです。平成20年度につきましては、この中ほどに書いてございますけれども、6 月、7月、9月、10月、12月、3月の6回の妥結状況調査をさせていただいておりま す。  調査結果につきましては、四半期ごとに6月、9月、12月、3月取引分の四月分を掲載 してございます。妥結状況につきましては、11月の流改懇においても一部、9月取引分ま でご報告させていただいておりますが、9月取引分については全体で70.9%の妥結状況で した。この状況結果を踏まえて、ある程度改善がなされたのではないかというようなご意 見をいただいたかと思います。また一方で、まだ3割程度が未妥結ということで、年内の 妥結に向けて取り組んでいただきたいと、そういうご意見もいただいたかと思います。そ れを受けまして、経済課長通知を発出し、年内妥結に向けて取り組んでいただくよう要請 したところでございます。その結果、12月取引分につきましては、100%妥結というふう には至りませんでしたが、トータルで81.6%。医療機関と薬局の区分別でご覧いただきま すと、病院が61.5%で、ここが少し妥結状況が悪い結果となっています。  1ページめくっていただきまして、2ページでございます。設置主体別に妥結率をあら わしております。200床以上の医療機関でございますが、緊急提言におきましては、四半 期報告に合わせて3カ月以内での妥結というのが一つの目安として示されています。ま た、6カ月を超えるような取引については長期未妥結と明示されたところです。そういう 意味で、関係者の皆様方には、6月、遅くとも9月末までには妥結に向けて取り組んでい ただいたものと思っております。そういう状況下にありまして、この1年を振り返ってみ まして、6カ月たった時点で、比較的規模が大きくて、余り妥結が進んでいなかったとこ ろを申し上げますと、上から申し上げれば、4番の国(独法・労働者健康福祉機構)、次 に8番の日赤、9番の済生会、11番の厚生連、16番の共済組合、国共済といった公的医 療機関と、あと、20番の学校法人も全体的に継続して妥結状況が悪かったように見てとれ ます。  また、妥結状況を改定1年度目の前回調査と比較してみるため、3ページ目をご覧いた だきたいと思います。薬価改定1年目、平成18年度との比較でございます。平成18年度 は、7月取引分、10月取引分及び19年1月、三月妥結状況を調べております。対比する 関係上、10月でご覧いただきたいと思います。全体では、平成18年の妥結状況が54.2% だったと。昨年10月の妥結状況が71.8%ということで、トータルでの改善率は17.6%。 区分別でご覧いただきますと、この改善の大きな要因としてはチェーン薬局、もともとが 14.4%と非常に低かったわけですが、20年度は68.9ポイントということで、54.5%改善 しております。一方、200床以上の病院が、18年度は30.6%で、20年度は44.7%と、改 善は見られるものの7カ月たったところでも50%にいっていないと、ここら辺が課題では ないかと見ております。  妥結状況については以上でございます。  総価取引状況について、資料2をご覧いただきたいと思います。  総価取引状況につきましては、卸連広域卸5社にご協力いただいて取りまとめた資料で ございます。上段が200床以上の病院の取引状況、下段が20以上の店舗を有する調剤薬局 チェーンでの取引状況をあらわしております。左側が一昨年度、平成19年度、右側が平 成20年度の全体取引における契約状況を示しております。  200床以上の病院でご覧いただきますと、単品単価契約、これが売上高ベースで平成19 年度は6.4%ですが、昨年度は60.6%と改善しております。また、同じく単品契約という ことで、2の調剤薬局チェーンをご覧いただきますと、平成19年度が0.9%ということ で、ほとんどが総価契約であったと。それが昨年度は単品契約18.1%ということで、単品 契約が増えてきております。  一方、全品総価契約についてご覧いただきたいと思います。緊急提言においては、薬価 基準制度が原則銘柄別の収載ということを考えれば単品単価契約が望ましいというふうに 書かれています。また、総価契約を行う場合であったとしても、例えば、すべての品目を 対象とするのではなく、品目によっては総価契約から除外するような取り扱いも考えられ るとも書かれています。まず、200床以上の病院では、全品総価契約が平成19年度は 24.6%でしたが、平成20年度は6.4%と縮小し、除外ありが11.6%となっております。  また、調剤薬局チェーンについては、全品総価契約が平成19年度53.2%、半分以上が 全品総価契約でしたが、平成20年度におきましては、その全品総価契約は1.2%と、大幅 に減っております。ただ、除外ありが50.2%ということで、そちらに見直しが行われたの かなと思われます。本来であれば単品単価契約が望ましいということを緊急提言では言っ ておりますので、そういう意味では、もう一段の努力が必要なのかなと。また併せて、除 外あり品目というものが、必ずしもこの品目は除外になっているわけではないとも伺って おります。そういう意味では、除外ありについても改善の余地があるのかなと考えており ます。  事務局からの説明は以上でございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  それでは、先ほども申し上げましたように、まず、この資料についての基本的な、少し 分かりにくいから、もう少し説明してもらいたいとか、それから、ここはちょっと意味が 違うのではないか等、何かその辺りの事実に対する質問を受けたいと思いますが、何かご ざいますでしょうか。よろしゅうございますか。  はい。 ○大塚委員  総価についてですが、全品総価除外という意味がよく分かりませんので。 ○嶋口座長  そこをちょっと説明、お願いできますでしょうか。 ○五十嵐首席流通指導官  平成19年に取りまとめていただいた緊急提言においては、総価契約を行う場合であった としても、可能な限り個々の医薬品の価値と価格を踏まえた取引を進めることが望ましい と。このような観点から、全ての品目を対象とするわけではなく、例えば以下のような医 薬品について、総価の対象の除外ということを取り扱うことが考えられるんではないかと いうことが例示として挙げられています。一つとしては、法律で特殊な保管管理や取引の 方法が規定されていることによって、流通過程に特別なコストがかかっているような医薬 品。恐らくこういったものは、麻薬とかそういったものを指しているんだろうというふう に考えております。また、希少疾病用医薬品や競合品のない新医薬品、または採算割れに より安定供給に支障を及ぼすような、そういうおそれのある医薬品など、ほかに代替品が なく医療上重要な医薬品、こういったものについては総価の除外対象として取り扱うこと が考えられるんではないかということで、除外ありについて説明されております。  以上でございます。 ○大塚委員  結局、単品契約と総価契約のミックスということですね。 ○五十嵐首席流通指導官  そうです。総価契約がほとんどなんだけれども、この品目については除外ということで 単品契約をやっていると、そういう形だと思います。 ○大塚委員  はい。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  今回は卸62社に対して厚労省の経済課のほうから調査をかけた結果ですが、全体的に見 ますと、大分改善は見られたけれども、まださらなる努力が必要であると。特に病院関係 のほうについては、かなり取引当事者間のパワーバランスがありますので、それが進んで いるところと進んでいないところに幾らか差異が見られるかなと。それから、調剤薬局チ ェーンのほうについてはかなりの改善が見られたと。それから、一時、今ご質問が大塚委 員のほうからございましたように、総価取引については単品が望ましいんだけれども、し ばらく移行期でありますので、その除外を含めた総価が行えるかどうか、ここのところの データをとってみますと、そこのところはもちろんかなりの比率がまだありますよと、そ ういう状況であったわけですね。  ありがとうございました。  それでは、これについてはまた後ほど......、ご質問ございますか。  はい、どうぞ、お願いします。 ○小山委員  ちょっと教えていただきたいんですけれども、資料1の2ページ目のこの分類なんです けれども、20番に学校法人があるんですけれども、この学校法人の中には、中身はどんな ふうになっているんですか。医学部を持っている学校法人だけなのか、それとも、そうじ ゃなくて持っているところもありますし、それも全部入っているのか、どうなんですか。 ○五十嵐首席流通指導官  手元に資料を持ってきていないので正確なお答えはできません。 ○小山委員  聞きたいことは結局、医学部を持っていない学校法人が病院を持っているのがあります ね。それが入っているかどうかというのは分かりませんね、じゃ。今、幾つかありますよ ね。薬学部だけれども、病院を持っているというところ、ありますよね。それが入ってい るのか入っていないのか、ちょっと知りたかったんですけれども、ちょっとそれは分から ない。 ○五十嵐首席流通指導官  申しわけございません。 ○小山委員  はい、分かりました。 ○嶋口座長  じゃ、それはまた改めてご確認いただきたいと思います。  それでは次に、昨年1年間の流通改善の取組について、卸側とメーカー側、それぞれの お立場から、総括された資料が皆様方のお手元に来ておりますので、それについてのご説 明をいただきたいと思います。  最初に、卸連からご提出いただいた資料について、松谷委員のほうからご説明をお願い したいと思います。よろしくお願いします。 ○松谷委員  卸連の松谷でございます。それでは、取組についてご報告させていただきます。 ○嶋口座長  これは資料の3でよろしゅうございますか。 ○松谷委員  はい。  平成20年度において、医薬品卸業界は、平成19年9月に公表された流通改善懇談会の緊 急提言について、不退転の決意で総力を挙げてその実現のために取り組むことを宣言し、 メーカー、医療機関及び薬局の医療用医薬品市場関係者と真摯な交渉を重ねました。その 結果、もろもろの事情から、必ずしも満足すべきものになったとは言いがたいんですけれ ども、長年の商慣習により形成された問題であることから、短期間で解決することは容易 ではなく、流通改善というよりも流通改革とでも言うべき困難性を内蔵する問題でありま した。  緊急提言は、「医療用医薬品の開発には長い期間と膨大な費用が費やされ、そして、市 場において価値と価格が反映された取引が行われることにより新たな医薬品開発の原資に 当てられるという循環的サイクルが成り立って」おり、「公的保険制度下で医療用医薬品 を取り扱う取引当事者には、こうした循環的サイクルにより医療用医薬品が保健医療の向 上に貢献していることを強く認識し、取引に当たることを望む」としております。医療用 医薬品市場関係者は、改めてこのような問題意識に立ち、お互いに利害を異にすることが あるにしても、緊急提言実現という目標に向かい、継続的に、かつ真摯に取り組んでいか なければならないと考えております。  以下のとおり、この1年の流通改善・改革の取組の結果を流通改善懇談会に報告するも のでありますが、この懇談会におかれては、ご議論の上、本年度における取組の糧となる 方針のご提示をお願いしたいと思います。併せて、緊急提言にも記されております「国の 役割」に基づく国の指導助言をお願いする次第であります。  それでは、各項目について述べさせていただきます。  未妥結仮納入の解消について。妥結率については先ほどご説明がありましたので、この 特色について、ちょっと私どもの感じていることを申し上げます。従来から未妥結期間の 長い公的病院等の妥結が相変わらず遅れ、年度末に至って妥結したケースもありました。 なお、交渉が難渋した結果、妥結が年度を超えた病院・薬局数は67件で、200床以上の病 院の64件、チェーン薬局の3件がありました。交渉の長期化の主な理由は、病院経営が悪 化し、経営財源を薬価差益に求めるため、厳しい価格交渉となり、妥結が困難な事例が増 加しました。また、病院経営コンサルタントによる妥結水準情報の提供が活発化し、価格 交渉担当者の様子見姿勢が強化され、長引いてしまいました。また、一部の病院との価格 交渉では、市場価格が軟化したため、卸は値引き余裕がなくなった状態に陥り、市場水準 を超える値引きを要求する病院側と合意ができず、交渉が行き詰まってしまいました。  総価取引の是正については、数字は先ほどご説明がありましたので省かせていただきま す。病院側の価格交渉担当者について言いますと、個々の医薬品の価値に見合った価格と いう意識が大変乏しいのではないかというふうに感じました。総価契約除外品目について は、一部のメーカーが積極姿勢を示され、MRのバックアップがあった、そういう商品に ついては有効でありました。それから、総価契約除外品目の中で、特に競合品のない新薬 を入れることについては、病院側からの了解を得ることが困難でありました。結果として、 競合品のない新薬の総価契約除外品目とした事例は大変少なかったというふうにご報告申 し上げます。  それから3番目に、売差マイナスの改善というのが留意事項の中にありましたけれども、 現段階ではきちんとした数字は判明しておりませんが、売差のマイナス改善はできなかっ たというふうに私は思っております。仕切価水準は若干改善しましたが、次のような理由 により、販売価格がそれ以上に低下したため、なお、緊急提言を尊重して仕切価を引き下 げたメーカーがあっても、それよりも割り戻し・アローアンスの率がそれ以上に下がった ため、多くのメーカーの中で最終原価が若干上がったという先もありました。  卸側の要因として、早期の価格妥結に伴う価格低下ということで、信頼性のある価格を 早期に提示して早期妥結を図ろうとしましたが、価格水準についてユーザーの理解がなか なか得られず、最初に提示した価格からの交渉になり、価格の低下につながってしまいま した。  それから、購入側の要因としては、病院では経営状態の悪化を背景に、経営原資とする ための強い薬価差要求がありました。要求を卸に応諾させるため、コンサルタントの起用 による過去の取引条件を無視した厳しい交渉や、取引卸の絞り込み、さらには一方的な取 引停止等が広く行われるなど、交渉内容・方法がエスカレートし、例年以上の厳しい価格 交渉となりました。調剤薬局に関しては、調剤薬局市場において調剤薬局団体、グループ 組織等を中心とした価格情報等の交換が活発に行われ、規模の拡大によるバイイングパワ ーの増大、調剤報酬の減少による経営難を背景に、経営原資としての薬価差を求める厳し い値引き要求があり、交渉が難航いたしました。  メーカー側の要因として、仕切価水準についてですが、メーカー各社が流改懇の緊急提 言に即した卸との取引条件を設定する際に、それぞれのメーカーで基本的な考え方にばら つきがあったため、仕切価水準にもばらつきが生じてしまいました。卸として合理的な価 格設定を行うことが難しかったと。結果として、販売価格の低下を招き、売差マイナスの 改善はできなかったのが正直なところであります。  今後の卸の対応について申し上げますと、未妥結仮納入の解消については、ユーザーと の妥結価格の水準についての認識を共有することができるように努め、薬価改定2年目の 一層の妥結率の向上に努めます。  総価取引の是正については、総価契約の総価除外品目数、特に競合品のない新薬の拡大 を図り、単品単価取引の原則に近づくよう努めてまいります。  売差マイナスの改善については、メーカーと卸との取引条件の改善交渉を進め、仕切価 水準、割り戻し率、最終原価等の見直し交渉を積極的に行います。合理的な販売水準の実 現に努め、ユーザーとの価格交渉においても妥結価格水準について共通認識を深めるよう にしたいと思っております。  さらに、販売姿勢としては、処方に見合った販売に心がけ、売り上げ至上主義からの脱 却が卸としては必要ではないかと感じております。  以上でございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  基本的には、先ほどの事務局からのご説明と同じように、未妥結仮納入と総価取引のほ うはかなりの改善が見られたことは認めるけれども、まだまだこれを強化していく必要が あるだろうということ。しかし、もう一方では、売差マイナスの改善についてはかなり厳 しい状況にいまだにあるので、ここのところをさらに両当事者間で考えていただきたいと、 そういうお話だったと思います。  これについては、また後でいろいろ委員の方々からご質問、ご意見いただきたいと思い ますが、引き続いて、もう一方の当事者であります製薬協のほうから資料が出ております ので、禰宜委員からお願いしたいと思います。  よろしくお願いします。これは資料の、今の資料の続きですね。 ○禰宜委員  製薬協の禰宜でございます。よろしくお願いいたします。  医療用医薬品の流通改善につきまして、いわゆる緊急提言が発出されまして約1年半の 概況をメーカーの立場として振り返ってみましたのでご報告申し上げます。  メーカーと卸との取引におきます課題といたしましては、先ほど来説明がございますが、 一次売差のマイナス、割り戻し・アローアンスの拡大傾向の改善が求められております。 これらを踏まえながら、緊急提言に対するメーカーと卸売業の取引におきます留意事項と いたしましては、ここに書かせていただいております4項目がございます。まず、医療機 関・薬局の信頼を得るための取引。すなわち、川上と言われておりますメーカーと卸との 取引におきます透明性の確保。次に、一次仕切価、あるいは割り戻し・アローアンスの薬 価内示後等の速やかな提示、話合いの実施。そして、適正な仕切価水準の設定ということ で、仕切価に反映できる割り戻し・アローアンスの仕切価への反映。そして、割り戻し・ アローアンスの整理・縮小と基準の明確化。  これらに対するメーカーとしての取組を少し検証しておりますのでご報告申し上げます。  まず、医療機関・薬局との信頼を得るための取引でございますが、これにつきましては、 従前よりメーカーと卸売業者との取引は、取引基本契約書に基づいて、透明なものであっ たと認識いたしております。また、当業界は、緊急提言が通知されて以降、いろいろな機 会、すなわち製薬協の理事会とか、あるいは流通適正化委員会、日薬連の流通問題連絡会、 また製薬協等の業界の印刷物、そういうものを使いながら啓発活動をしっかりとやってき たということでございます。また、それを受けて、各社はそれぞれ真摯に今回の対応を実 施してきたと理解をいたしております。  それで、メーカー各社は卸売業者との取引におきます透明性に留意して、以下の対応を 行いました。  まず、仕切価等の速やかな提示という点でございますが、仕切価につきましては、薬価 告示後、速やかに卸売業者ごとに提示いたしております。また、割り戻し・アローアンス の提示につきましても、薬価内示後、速やかに概略を提示させていただいて、卸売業者と 話合いを行ったと認識をいたしております。結果といたしましては、医療機関・薬局への 早期の価格提示及び交渉につながった認識いたしております。  次に、適正な仕切価水準の設定ということで、相体的に見ますと、割り戻し・アローア ンスのうち、一次仕切価に反映可能なものは各社一次仕切価に反映させました。また、市 場環境の変化とか、あるいは製品の価値を踏まえた形で、各社で仕切価水準について見直 して、製品価値を見据えた仕切価を設定した上で、卸売業者に対し説明及び話合いに努め たものと認識いたしております。  次に、割り戻し・アローアンスの整理・縮小と基準の明確化ということで、これにつき ましても、各社見直しを行い、一層の基準の明確化に取り組み、高率なアローアンスはで きるだけ整理・縮小するとともに、仕切価修正的なアローアンスは割り戻しや一次仕切価 に反映させたと認識いたしております。また、期末の利益修正的なアローアンスにつきま しては、従前よりないものと認識しておりますが、重ねて周知を行ったと聞いております。  以上、今申しました取組によりまして、卸売業者は早期に医療機関・薬局に価格を提示 して交渉に臨めた結果、妥結率の向上につながったと認識しております。  また、総価取引につきましても、メーカーから卸売業者及び医療機関・薬局に対しまし て、これまで以上にいろいろな製品の価値について説明を行ってまいりました。さらに、 卸売業者及び医療機関・薬局の懸命なご努力の結果、それが交渉に反映されて、改善され たものと受け止めております。  緊急提言を受けまして、メーカーとしても流通改善に一定の貢献をできたものと考えて おります。しかし一方で、結果としてお互いの認識に齟齬が生じたケースも一部あったよ うに感じております。  今後の取組につきましては、あくまで業界団体として、一律に個別取引に踏み込むこと はできませんが、それぞれのメーカーの実情、製品構成を踏まえた卸売業者との真摯な話 合いによりまして、お互いの理解が得られるよう、さらなる努力をしてまいりたいと思っ ております。21年度につきましても、改めて流改懇の緊急提言の趣旨に立ち返って、再度 気持ちを引き締めて流通改善に挑み、20年度、成果の見られました未妥結仮納入の改善、 総価契約の改善の継続かつ進展とともに、医薬品の価値を反映した適正な価格形成がなさ れるように努めて、今後も医療機関・薬局の信頼を得るための取組を継続してまいりたい と思います。  以上でございます。 ○嶋口座長  禰宜委員、どうもありがとうございました。  基本的には、この緊急提言を受けた後のメーカーサイドとしては、全体としては、かな り改善努力がされたんではないかと認識しているというご指摘。しかし、なかなかメーカ ー間の中ではいろいろの事情があるので、一律にというわけにはいかない。その辺りにこ れからの課題があるのかなと、そういうご指摘だったような感じがいたします。  どうもありがとうございました。  今、卸、メーカー、両サイドからの提言に対するその後の実施状況についての概括を述 べていただいたわけでございますが、病院と、それから薬局などのユーザー側の委員から も、ちょっとこの20年度の購入者側の取組ということを振り返っていただいて、これはか なりまたばらつきがあると思いますので、個人的なご感想で結構でございますので、今日 ご出席の委員の方々から少しご意見を伺えればなと思いますが、大変僣越ではございます が、私のほうから代表的な委員の方を指名させていただきますので、その感想で結構でご ざいますから、ちょっとご意見を述べていただければありがたいと思います。  まず、直接のユーザーに当たるんでしょうか、日本保険薬局協会の柏木委員のほうで、 今のお話を受けた形で、あるいは自らのほうのお立場で、ご意見お願いします。 ○柏木委員  保険薬局協会の柏木でございます。率直な感想を述べさせていただきたいと思います。  私どもは、7割を超える医薬品の仕入れというのは経営に重大な影響を及ぼすというこ ともございまして、ともすれば薬価差益を当てにする、あるいは薬価差益に頼るというそ の経営体質があったことは否定いたしません。それがいいことでないということも理解し ていると思います。緊急提言を受けさせていただきまして、今回こそはという、特に卸さ ん側からの経済合理性に基づいた価格提示は不退転の決意のもと、ということを非常に感 じました。ですから、私たちも改めるところは改めていこうということを受けまして、そ ういったことに頼らない経営体質を、業界団体として、みんなで申し合わせてまいりまし たことは事実でございます。  現実的には、個々の企業が民と民の交渉ですから、そこまで立ち入るわけにいきません が、その期間中は、私どもの大手のチェーン店も経済課とのお話も直接させていただいて、 私たちの思いのたけも申し上げさせて頂きましたし、ご当局のほうの考え方も全部承って、 共通認識を持ってスタートしております。そういった意味では、前になかった風みたいな ものを私どもの中では起きたというふうに認識をしております。  しかしながら、緊急提言にもございますように、流通の基本というのは自由かつ公正な 競争のもとで行われたことと、私たちは認識しております、したがって売差マイナスとい うなじみのないフレーズについては知るすべもございません、またそれがどうであったか ということについて私たちは申し上げる立場にございません、あくまでも卸さんが提示し ていた価格は経済合理性に基づいた価格と受け止めさせていただいたところから、順次妥 結させていただいたというのが認識でございまして、その結果が胸を張って申し上げる内 容ではないということも、この数字を見て私も承知しております。  そういったことでは、どうも只今のご報告では、なにか私どもが価格情報などの交換を 活発に行った、そういったことでバイイングパワーがというようなことは、私たち側から 見れば大変不適切な表現ではないかという感じがしております。自己責任の社会で、まだ バイイングパワーというフレーズが出てくるということ自体、私は非常に理解に苦しみ残 念に思います。率直な感想です。  以上です。 ○嶋口座長  柏木委員、ありがとうございました。  それでは、日本私立医科大学協会の小山委員のほうからコメントいただけますでしょう か。 ○小山委員  今、松谷委員からお話を伺いまして、いかに病院が悪者なのかというような印象を受け て聞かせていただきました。我々はそんな悪者なのかと、そんなに理解がないのかという 思いをしながら、実は聞いておりました。  最初の松谷委員の指摘の中で、薬価差益を病院の経営に充てているというような言い方 をされておりますけれども、ご存じのように、今、病院の経営状況は非常に厳しくて、大 学病院80のうち黒字になっているのは半分もない。しかも、もうちょっと広くすると、日 本病院会のデータを見ても48%ぐらいが現在赤字経営を迫られているような状況にあると いう中で、薬価だけ別というわけにいかない。なぜならば、各医院・病院の総医療費の中 の半分が人件費で持っていかれていて、医薬品・材料費で約30%持っていかれています。 これで80%を支出しているわけですね。そのうちの、30%のうちの半分の15%ぐらいが薬 価に充てているわけですよね。どうしても病院を運営していくとなると、ここのところを 何とかしなきゃならないというのが今の病院の経営状況だと思うんですよ。ほかのものは もう絞れるだけ絞り、人件費も絞りという状況の中で経営しているので、決してそんなに 無理をしてどうのこうのということではないことをぜひご理解をしていただきたいと思い ます。ということで、経営手段の一つとして、どうしても薬価というものに対して目をつ けなければならないのが病院の状況であります。  価格交渉の中で、価格に見合った価値というようなことをおっしゃられましたけれども、 基本的にこれを交渉しているのは、医者でもなく薬剤師でもなく、ほとんど事務官であり ますので、どうしても価格中心になりますので、そこまで理解をしながら全ての取引をし ろというのはなかなか困難かなというふうに思っております。  もう一つの意見の中で、コンサルタントが入って大変だというお話がありましたけれど も、今まで病院は全く経営ということに関しては素人なわけですよね。そういう意味では、 いろんな情報が広がるようになりまして、皆さんの、隣の状況が見えるようになってきて、 そこと比較しながら自分の病院はどうかということを見る、いわゆるベンチマーク的なこ とをやりながら、何とか病院の経営をよくしようとしている中で、こういうようなことに なっているんだというふうに思っております。そういう意味では、確かに今まではそれほ ど困難でなかった価格交渉が、卸の方にとって非常に手ごわくなったということは事実だ と思うんですけれども、これはもう時の流れでしょうがないのかなと。  その代わり、不透明な部分はなくして、透明度を高くして、お互いに交渉をし合ってい く必要があるんだと思うんですね。前回の会でも述べさせていただきましたけれども、ど うしても交渉が後になれば後になるほど有利だというこの事実がなくならない限り、私は これ以上の改善はなかなか難しいのかなと思っております。アローアンスのお話あるいは 期末の戻しの話が出ておりましたけれども、ただ、これは、医療ということを外して、物 を売るという観点から立てば、年間でいっぱい売れて収益が上がれば、それを後で戻すと いうことはそんなに異常な行動ではないので、透明化されれば、そんなに悪者ではないん じゃないかなという感じも持って聞いておりました。  先ほどの統計から、まだ十分厚労省からお褒めのお言葉をいただけるような状況ではあ りませんけれども、全体とすれば、かなりこちらのほうに意識を持って、私立大学としま しては早期妥結に向かって、これからも、今年もやっていきたいと思っております。  以上です。 ○嶋口座長  どうも小山委員、ありがとうございました。  それでは次に、日本医療法人協会の大塚委員のほうから一言お願いいたします。 ○大塚委員  資料の2ページをごらんになっていただきますと、別紙の2ですね。別紙2ページ。20 年度の医療機関設置主体別価格妥結状況というのがございます。 ○嶋口座長  資料1の別紙ですね。資料1の中の2ページ目。 ○大塚委員  ああ、そうですね。 ○嶋口座長  事務局のほうからご説明いただいた資料ですね。 ○大塚委員  はい、そうです。  これを見ますと、開設主体別の医療機関、23あります。3月の妥結状況を見ますと、ほ とんど90以上、一部は90以下のところがございますが、経済基盤が影響していると私は考 えます。国による開設はほとんど100%に近い。自立を強いられている公的病院を初め、 医療法人等につきましても、国の施設よりもはるかに悪いということです。それでも80台 にはなっております。だから、医療機関の経営が開設主体別によってかなり影響している んじゃないかと私は思います。  それから、総価取引についても、かなり改善されておるようでございますが、やはり医 療機関がかなり努力をしているんだと思います。  売差マイナスについては、これは通常取引では考えられないことだと思うんですけれど も、私は前から言っておりますように、薬価算定式が市場実勢価格加重平均値に消費税を 乗せて、R幅2%で算定されておりますので、これを解消するためにはR幅をもう少し高 くしなければ、売差マイナスは解消しないんじゃないでしょうか。薬価算定による薬価の 引き下げを防ぐために、メーカーと卸の間に一次仕切価が非常に高く設定されているのが やはり原因だと思いますので、この点は非常に難しいんだろうと思いますが、何とかなら ないかなと思っております。  以上です。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。大塚委員、ありがとうございました。  それでは、ほかの委員の方々で、いろいろご意見あると思いますので、どうぞご自由に ご発言いただきたいと思います。  直接の当事者である卸連のほうと、それから製薬協のほうからのご説明がございました が、お互い同士また、メーカーサイドから言うと、いや、ちょっと違う、卸サイドから言 うと、ちょっとメーカーサイドのその意見は違うとか、いろいろご意見もあるかもしれま せんし、もちろんユーザーサイドから、いろいろの意味でまた、ちょっとここはどうかと いう多様な意見があるやもしれませんので、どうぞご自由にご発言願いたいと思います。  よろしゅうございますか。それでは、特にご意見ないようでございますので、一応こう いうふうな状況であったということのご説明とその確認ということで、このセッションの ところを終わらせていただきたいと思います。  それでは次に、今後の課題について、今までの状況をベースにしたことを踏まえて、事 務局のほうから少しご説明をいただきたいと思います。事務局の説明が終わりましたら、 またまとめていろいろ議論、ご意見をいただきたいと思います。  よろしくお願いします。 ○五十嵐首席流通指導官  それでは、資料4に沿って説明させていただきたいと思います。先ほどの流通改善の結 果と卸連の総括なども踏まえて、今後の課題として整理させていただいたものでございま す。  まず1点が、長期にわたる未妥結仮納入の改善についてでありますが、先ほどの改善、 妥結率を見ていきますと、やはり200床以上の大病院、特に公的医療機関における妥結率 の改善というのが求められるのかなというふうに考えております。また、卸連の松谷委員 からの総括にございましたけれども、まだまだ様子見というようなことも見られるという ようなことでございます。そういうことからすれば、経済合理性のある価格交渉に関して、 やはり卸・ユーザー間の信頼感の醸成というものがさらに必要ではないかなというふうに 考えております。  また、2点目の総価契約の改善についてでございます。先ほども申し上げましたが、緊 急提言では原則、薬価基準制度が銘柄別収載になっていることから、単品単価契約が望ま しいということで、これに向かって取り組んでいただく必要性があるのではないかなとい うふうに考えております。しかし、実態からすれば、やはりそうはいっても総価取引がな かなか改善できないということであれば、除外品目の設定ということも次善の策というこ とで書かれておりますので、それについては、除外品目の設定についても、例えばMRが ユーザーへ説明することによって理解され、総価除外品目の対象になったとか、そういう ご説明もありましたので、そういう意味では、さらなる改善の余地というか工夫が考えら れるのではないかというふうに考えております。  また、3点目の一次売差マイナスと割り戻し・アローアンスの拡大傾向の改善について ですが、メーカーの禰宜委員からの総括によれば、各メーカーとも改善に向けて見直しが 行われたということでありました。また、卸の松谷委員からの総括によれば、一次仕切価 の見直しはあったけれども、必ずしも全社が同じような対応を、当然ながら品目構成とか、 メーカーによって状況は異なるわけですけれども、やはり前向きに対応されたメーカー、 余りそういうふうな改善が見られなかったメーカーがどうもあったような感じを受けてお ります。そういう意味では、一次売差マイナスの改善に向けて、さらに卸・メーカー間で 協議をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。また、卸・ユーザ ー間で販売価格について、合理的な販売価格水準の実現に向けて、先ほど小山委員のほう から、やはり年末になって価格が安くなる、そういう実態があると、なかなかそこは難し いんではないかというようなご意見もございました。そういう意味では、そういうことの ないような取組というのが必要ではないかというふうに考えております。  今後の課題について、流通改善の状況や総括を伺いながら思ったところは以上でござい ます。  なお、参考までに、昨年11月5日に流改懇を開催させていただいた後に、国がどのよう な改善に向けた取組を行ってきたかというものをこの資料4の下段のほうに記載しており ます。後ほどご覧いただければと思います。  以上でございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  それでは、これまでの総括を受けて、さらに今後の課題ということで、3つのポイント をご指摘いただいたわけでございますが、ここで全く自由なディスカッション、セッショ ンで結構だと思いますが、これまでのご説明、それから今後の課題そのものを受けて、ぜ ひこれはちょっと言っておきたいと、あるいは、ぜひでなくても一言持論を述べたいと、 何でも結構でございますが、どうぞご意見をお願いしたいと思います。  じゃ、大塚委員、お願いします。 ○大塚委員  一昨年でしたか、公取委のほうからスケールメリットについてお話がありましたですね。 その後、この問題についてほとんど話が出てまいりませんが、これに対する対応はどのよ うにしたらいいかなと思っておりますが。 ○嶋口座長  これはご質問という形でしょうか。どこかに対して、例えば卸さんについてその辺りの 見解をとか、メーカーさんについて見解をとか、何かそういう辺りがありますでしょうか。 ○大塚委員  そうです。スケールメリットに対する対応をお願いしたいということです。 ○嶋口座長  今、大塚委員からスケールメリットという議論が出たんだけれども、この辺りについて どう対応するか。そういう、少し大きなテーマかもしれませんが、何かご意見がもしござ いましたら。  じゃ、松谷委員、お願いいたします。 ○松谷委員  経済合理性という意味で言えば、スケールメリットという、スケールというのはやはり 大きな要素だと思うんですけれども、医療用医薬品というのは一般の商品のスケールメリ ットとは私は違うというふうに認識しております。なぜかというと、医療用医薬品の需要 というのは処方が出なければ量が増えないという、そういうものですし、一般の商品でし たら、たくさん買って安く買えば消費者に安く売るという、そういう一つのメカニズムが 働くわけですけれども、医療用医薬品が、医療保険の中で動いているという意味で言えば、 その経済合理性のスケールというのは、本当に配送が少なくなっただとか、一遍にいろん なものが解決できる価格交渉の頻度が少なくなっただとか、そういうスケールはあるとは 思うんですけれども、量によるスケールメリットというのはそんなに働かない商品で、ま た、働かせてはある意味じゃいけない商品ではないかというふうに私は感じています。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  大塚委員、その辺りでよろしゅうございますか。 ○大塚委員  そうですね。なかなかそういう一面もあるかもしれないけれども、やはりユーザー側か ら考えた場合には、スケールメリットを有効にやはり利用すべきだと私は思います。 ○嶋口座長  スケールメリットの議論というのはなかなか多義的であれなんですが、買う側にとって は、大量に購入するならば、それなりの価格の低下があってもしかるべきじゃないかと、 そういう意味のスケールメリットということで大塚委員はおっしゃったわけですね。 ○大塚委員  そうです。 ○嶋口座長  分かりました。  その辺り、ぜひ。じゃ、よろしくお願いします。森委員、お願いいたします。 ○森(昌)委員  今、スケールメリットの話が出ましたが、医薬品の流通というものは他の商品とは異な ると思います。薬局の場合、非常に経営規模の小さい薬局が多く、そのような薬局にスケ ールデメリットが出ないような流通体制の確保をお願いしたいと思います。以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  それでは、スケールメリットの問題はあるかもしれませんが、そのほかに、今回のこの 緊急提言を受けてのその後の実施状況についての総括報告に対するご意見、あるいはご意 見などございましたからどうぞお願いいたします。  はい、お願いいたします。 ○加茂谷委員  製薬協の加茂谷でございます。お話をいろいろ承って、感想めいた話になろうかと思い ますし、かつ、この懇談会の議論の枠を多分超えてしまうような話になろうかと思います けれども、先ほど、柏木委員あるいは小山委員からお話もありましたように、薬価差が医 療機関の経営の大きな部分を支えている、原資になっているというのは、やはりこれは異 常な事態だろうと思っております。一定の範囲の薬価差というものは容認すべきとしても、 それが経営の支えになっているということは、医薬品流通にも大きな影響を与えるもので あります。  このような異常事態を惹起させないような環境整備というのがメーカーの立場としても 強く望まれているということをぜひ議事録に残していただきたいと思っております。併せ て、そもそも薬価調査の信頼性確保という議論が、今回の緊急提言の一つのトリガーにな っているところもあろうかと思いますけれども、逆に言いますと、薬価制度が医薬品流通 に大きな影響を与えているというのもまた事実かと思います。薬価差の問題、あるいは先 ほど大塚委員もご指摘されました調整幅の問題等々を含めて、現行の薬価制度が医薬品の 流通あるいは流通適正化に対してどのような影響を及ぼしているのかという点につきまし て、もし機会があれば、この懇談会の場で評価・分析し、懇談会として何らかの意見具申 なり表明ができないものかなということを考えているところでございます。個人的な見解 になろうかと思いますし、冒頭申しましたように、議論の枠を超える話かもしれませんけ れども、ご検討いただければ幸いです。  以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  じゃ、小山委員、お願いします。 ○小山委員  ちょっと僕の発言に誤解があったようなので、加茂谷委員から今お話がありましたが、 薬価差が病院の経営にというお話ですけれども、その薬価差のところが病院経営にいわゆ る貢献していた昭和の年代の半値のバイテンプみたいな話はもう今全くないわけですよね。 そういう意味では、病院経営に関しては、決してそんなに大きく関与はしていないという ふうに考えています。これ以上薬価差がなくなっちゃうと、今の薬価差という、我々が購 入するときはどうしても無駄が出ますので、その無駄のアローアンスと税金だけでほぼそ の差が持っていかれてしまうというぐらいのレベルなんですよね、もう。ですので、経営 改善に持っていくというんじゃなくて、経営悪化しているのを何とか下支えしているとい うような認識でありまして、決してこれが病院の運営を助けているというような認識では ないので、そのところはちょっと、かつてありました薬価差で病院を経営していた時代と は全く違う形態になっているので、そこは誤解なさらないようにしていただきたいと思い ますので、お願いします。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  卸サイドから何かご意見ございますか、その辺りについて。  松谷委員、いいですか。 ○松谷委員  また戻ってしまいますけれども、今回の価格交渉ということで言いますと、やはり強く 感じましたのは医療機関さんの経営問題、要するに今の診療報酬の在り方だとか医師不足 だとか、いろんなものが価格交渉に強く影響しているということを痛感しますし、そのこ と自体は私も、この業界にいる中で言えば異常事態だなということ。  また一般紙でも、今の診療報酬の在り方、病院の経営、いろんなものについて取り上げ られていること自体がそのまま価格交渉に反映しているという意味では、ぜひ、この中医 協からの流改懇での流通問題ということで、中医協自体が診療報酬も一緒に議論する場所 になります。そういう意味では、薬価の在り方自体も診療報酬の一部の形ですから、薬価 と診療報酬のバランスが必要だと思っております。  中医協でも一度議論されたときには、診療側も支払い側も薬価差ゼロということが、特 に平成の初めのころには皆さん断言されて、もう薬価差は要らないというふうに言われた んですけれども、それは、ああいう席では要らないとおっしゃるけれども、現場で要らな いとおっしゃる先生は一人もいらっしゃらないし、調剤薬局も、医薬分業するときには薬 価差要りませんと、それが医薬分業ですということだったんですけれども、調剤薬局でも 薬価差要りませんと言うところは一つもありません。取引は自由経済ですから、薬価差が 出るのは当然ですけれども、その一定範囲のものがどの程度なのか、先ほど加茂谷さんも おっしゃいましたけれども、医療用医薬品の保険制度の中の薬価差の問題というのは、も う少し広い幅で議論していただかないと、お互いの立場だけで言い合っていると、なかな か解決しないのではないでしょうか。中医協でも一回そういう議論をやったんですけれど も、要らないという言いっ放しで、その後、こんなふうになってからも、そういう話は一 回も出ていないというのが実情だというふうに私は感ずるんですけれども。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  じゃ、大塚委員。 ○大塚委員  薬価差は要らないと言ったことは間違いありません。ただし、附帯条件がついているん です。適切に診療報酬を行うと。これがきちっと守られておりません。薬価差をなくした ことだけは守られたけれども、診療報酬、きちっと適切に行われておりません。というこ とです。 ○嶋口座長  何だか、いろいろなすり合い的なところが少し出てくるような感じも出てきたかに思え ますが、いろいろの事情が確かにあることは事実だと思いますが。  今回の今後の課題で、先ほど事務局からご説明ございましたように、未妥結仮納入の改 善、それから総価契約の改善、それから一次売差マイナスと割り戻し・アローアンスの拡 大傾向の改善についてというこの3つがこれからのさらなる改善に向けての課題だと、こ の辺りについて何かご意見がございますでしょうか。  先ほどの特に売差マイナスの件につきましては、かなりメーカーさんと卸さんの問題が 中心になる。もちろんユーザーさんもそれに少し関わっているかもしれませんが、直接に はメーカーさん対卸さんの問題がかなりありますが、ここが卸連としてはかなり大きな未 改善であるというご指摘があって、そして、メーカーさんの立場から言うと、ここも概ね そういう努力をしておると。ただ、いろいろ事情が、同じメーカーサイドでも一律ではな くて、幾らか差異があるかもしれないと、そういうご指摘はあったんですが、そこのとこ ろについて何かメーカーサイドからもう一度、卸連さんからの総括に対してご意見いただ ければと思います。 ○禰宜委員  先ほどもお話ししましたように、業界団体として一律にどうすべきかというようなとこ ろは、非常に難しい問題があると思っております。ただ、この基本的な考え方につきまし ては、先ほどお話ししたように、3点セットございますので、それについては業界の幹部 にも説明をしております。また、木下経済課長とか五十嵐首席流通指導官からも業界に対 していろいろと指導もいただいております。  前もお話ししたように、やはりこれから卸さんとメーカーは対等の立場で、そして問題 のあるメーカーがあれば、個々にそれぞれ交渉していただければと思っております。我々 は当然流通改善にこれからも努力してまいりたいと思っておりますので、遠慮なくそのよ うな場を持っていただきたいと思っております。 ○嶋口座長  卸連のほうから、何かその辺りについてご意見ございますか。松谷委員一人でしゃべっ ても大変だと思いますが、ほかにもしご意見ございましたら。  渡辺委員から何かありますか。 ○渡辺委員  今、禰宜さんがおっしゃったように、この業界の中で議論をしていけばいいのかなと思 っております。  ただ、私も実はいろいろ医療機関を回っておりまして、先ほど大塚委員さんからありま したように、開設別の医療機関さんの要望がやっぱり違うというのはよく耳にいたします。 特にご指摘があるのが、民間というか、努力されている医療機関さんの意見は、国という 部分については、独立行政法人があって、資産があって、例えば補助金がある。民間とし て、ないものについては、それは、その中で競争するのは大変だという意見もやっぱり耳 にします。そういう部分の中で、技術料という問題もあるんでしょう。  今日もたまたま日経新聞に出ておりましたけれども、やはり1兆1,000億の医療費削減 がこういう問題を生んでいるということもありますし、私たちの医薬品卸売業も製造業も、 多分医療機関さんも、皆さん方も同じでしょうけれども、医療をきちっとやっていきたい ということは一緒だと思うんですね。ただ、その中で、やはりこういう問題のひずみが出 てきているのはどこなのかというのは、先ほど松谷さんもおっしゃったように、もう一度 諮り直していただく機会なのかなというふうに思います。  以上でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  それでは、大分意見も出て、まだ時間はあるんですが、今回の、ある意味では経過報告 に近いんでございますが、それの総括をしていただいたわけですが、少し学識経験者の話 を聞ければと思うんですが、せっかくでございますので、上原先生、今日ご出席いただい ていますので、ちょっとそういうの全体を見た上で、何かコメントいただければありがた いと思います。 ○上原委員  価格妥結問題は医薬品特有の問題です。普通の流通であれば価格決定と販売が同時に行 われますが、価格が決まらなくても国民の健康上商品を流通させねばならない、という特 殊な状況のもとでは、起きても仕方ない問題かもしれません。価格交渉というのは必然的 に生じるものであって、そうした交渉が流通を阻害してはならないことが特に要請される 医薬品流通では価格の設定と販売がずれざるを得ないかもしれません。このように考える と、よくここまで改善されたと私は高く評価しています。  さらに改善するためには、このような話合いの場を持ってじっくりとこれを継続してい くことが最良の方策ではないでしょうか。製造と販売とユーザーとの間で話し合って互い に事態の悪化を防ぐことが必須となります。  この問題を、長期的にせよ、よい方向に持っていくためには、まず、取引条件とか取引 スタンスに関する情報の公開が必要です。  次に、優越的地位の濫用と今回の問題を結び付けて社会から問題にされる恐れがある。 これについてどんな問題が生じ、それにどう対処するかを考えるなかで是正へのドライブ が効いてくるかもしれません。  それから単品管理も重要だと思います。かつてアメリカでボランタリーチェーンの卸と 小売との間で激烈な価格交渉があったのですが、そこをスムーズ化するために、とにアク ティビティベーストコスティングといいまして、単品ごとにどの程度コストがかかるかと いうことをある程度明示し、これを交渉の資料としたら、価格交渉は短時間で済んだとい うことです。  それから何らかのインセンティブを与えることも考えられます。早く妥結すれば厚労省 に表彰されるようにしたらどうでしょうか。これは冗談に近いと思われるかもしれません が、この方向は効果があるように思います。  それからもう一つ、取引を世界標準に近づけることも必要です。医薬品を超えた世界標 準の取引がどうなっているのか、この中で医薬品に簡単に導入できるのはどれか、という ことを明らかにする必要もあります。  先ほど、スケールメリットの話が出ましたけれども、アメリカの場合はもう、単なるス ケールメリットは重視しないという動きになっています。単に量の取引だけではリベート や割引に差をつけるのは不合理だとされます。たとえば、A社が100仕入れて、B社が500 仕入れたとき、100仕入れているA社が、これがトラック一台で仕入れ、500仕入れたB社 が10個ずつトラック50台で仕入れたとします。このとき売り手が、B社に取引量が多いか らといってA社よりも多くのリベートを与えたとしたら、A社が訴えることでき、A社は おそらく勝訴するでしょう。なぜならば、A社のほうが売り手のコスト削減に貢献してい るからです。  取引問題は一挙に解決することは難しく、腰を落ち着けて取り組むことが重要です。今 回までにこれだけ改善できたことは賞賛に値すると思います。 ○嶋口座長  お褒めの言葉と励ましの言葉をいただいたわけでございますが、ありがとうございまし た。  それでは、この議論を少し総括的に、副座長の三村先生のほうからお願いします。 ○三村委員  先ほど上原先生のおっしゃったとおり、非常に難しい中で、ある意味では、よくここま で数字は高まってきたかなと思います。  ただ、先ほどのお話にもございましたように、やはり後から決めたほうが得をするとい う状況が許されている限り、この問題の根本的な解決にはならないと思っております。  先ほど松谷委員からお話がありましたように、非常に交渉がタフであって、そのために 妥結が遅れたという事例が幾つかきっとあると思うのですが、その結果、その病院とか医 療機関にとって果たして得だったのかということについてもどうも疑問の余地がある。そ れは、やはり、後から交渉するほうが得だということがある限りにおいては、それがある ということでありますので、今回、どうあっても基本原則として早期妥結するほうが得で あるという状況を作る必要がある。インセンティブについても、やはり早く妥結した優良 病院とか優良医療機関として、どんどん発表していただいてもいいかもしれないなと。そ して、それをその病院のクオリティー評価の中に入れてもいいというぐらいの話も、将来 的にあってよいという感じがします。  制度の問題が大変大きいということは明らかですが、それでも、経営体質を改善してい くという方向性は絶対に捨ててはいけないと思いますし、制度が悪いから何もできないと いう議論に戻っては将来設計できないと思いますので、未妥結仮納入は基本的にはなくし ていく方向性を全体として合意しているということを今年度についても強く出していただ きたいと思います。  それから、除外品目の設定は、これは一つの改善策として提示されているのですが、必 ずしもそれがうまく使われていないところがあります。次善の策というよりも、むしろ、 私は、これは本当の意味での改善策に近いと考えています。先ほど上原先生がおっしゃい ましたように、単品ベースでコスト積算していく、これは一つの方法だと思います。しか し、今の医薬品全体でそれをやると、これは膨大なコストがかかりますし、それほど有効 性はないかもしれない。ただ、この除外品目は、特別の管理コスト、特別の物流コスト、 そういったものが必要とされる品目についての取り扱いは別であるべきだという趣旨で来 ております。したがって、この除外品目を設定することで、今の価格交渉をもう少し透明 化させる、あるいはコストベースでもう少し合意を容易にさせる方法として活用するとい う方向で工夫していただければありがたいかなと思っております。  今年度は、全体方針が後退するということであってはいけません。せっかく昨年度一生 懸命努力していただいたところに対して、それなりのことをちゃんと示す必要がございま すので、そういう意味において今年度の取組があるということをぜひお願いします。  以上です。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  いろいろの今後に向けてのさらなる改善の可能性について、お2人の学識経験者の立場 からお話しいただきまして、ありがとうございました。  それでは、これまでの総括的な現時点での状況についてのご報告と、それから、それに 対する疑問点、意見、伺ったわけでございますが、本日、もう一つ事務局からのご報告が ございますので、ここで資料5について、事務局よりご説明、お願いしたいと思います。 ○安東流通指導官  では、資料5で説明させていただきます。  医療用医薬品へのバーコード表示につきましては、平成18年9月に厚生労働省医薬食品 局安全対策課から通知された実施要項に基づいて、各メーカーによる取組が進められてお ります。そこで、経済課として昨年度、日本製薬団体連合会及び日本医薬品卸業連合会の 協力を得て、バーコードの表示状況や利用状況に関するアンケート調査を行いましたので、 当懇談会にその結果をご報告させていただきます。  資料5の1ページ目をご覧ください。メーカーに対する調査は安全対策課通知でバーコ ード表示の実施時期とされた昨年9月の時点、卸に対する利用状況の調査は12月時点とし ております。メーカーは215社に調査票を送付し、有効回答数157社で、回答率73%、卸は 87社に送付して、回答数68社、回答率78.2%でした。  初めに、メーカーの調査結果についてご説明いたします。2ページ目の表をご覧くださ い。  調査は、調剤包装、販売包装、元梱包装、それぞれの包装単位と、安全対策課通知で示 されている医薬品の種類―生物由来製品や注射薬など―ごとに、JAN商品コードの 取得、MEDIS−DCデータベースへの登録及びバーコードの表示状況をお聞きしまし た。  調剤包装単位については、実施時期が猶予されている内用薬と外用薬については調査対 象にしておりませんが、特定生物由来製品、生物由来製品、注射薬では、JANコード取 得がほぼ100%、データベースへの登録が約80%、商品コードのバーコード表示が75%前 後です。任意表示項目は、この網かけで示してありますが、任意表示である生物由来製品、 注射薬の有効期限やロット番号等のバーコード表示は10から20%ほどとなっています。  次の販売包装単位ですが、いずれの種類の医薬品もJANコードの取得はほぼ100%、 データベースへの登録は80%前後ですが、外用薬は少し低く70%強です。商品コードのバ ーコード表示は70から80%、外用薬では65%ほどで、有効期限やロット番号の表示につい ては、必須表示である生物由来製品などは75%ほどですが、任意表示であるその他の医薬 品では3から10%程度にとどまっております。  元梱包装単位でも、必須表示である生物由来製品などでは概ね70%以上の表示割合です が、任意表示であるその他の医薬品では4から15%となっています。  次に、卸への調査結果についてご説明いたします。3ページ目の表をご覧ください。  卸の物流センターでは、生物由来製品の取り扱いに関して、有効期限やロット番号を含 む新バーコードを利用している社は、いずれの包装単位でも10%にとどまっていますが、 新バーコード以外を利用しているとした社のうち、64%は新コードの利用を準備中との回 答でした。支店・営業所においてもほぼ同様の傾向にあります。  物流センター及び支店・営業所におけるバーコードリーダーの総数と新バーコードに対 応したリーダーの台数を聞いたところでは、新バーコードへの対応率は、物流センターで は15%、支店・営業所で20%ほどとなっています。  全体に、安全対策課通知で必須表示とされた項目については対応が進んでいますが、今 後は、流通機能の効率化・高度化に向けて、任意表示とされている項目についても表示を 進める必要があります。このため、今後とも継続して同様の調査を実施し、進捗状況を把 握するとともに、省内の関係部局とも協力し、業界団体のご理解とご協力を得ながら、早 期の取組を促していきたいと考えております。  以上です。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。  流通改善の中で、しばらくこの辺りの問題については触れてこなかったわけですが、や っぱり情報化推進の中で高度化の問題は大変重要なベースになると思います。そのご報告 をいただいたわけでございますが、何かこれはご質問がございましたら、あるいはご意見 ございましたら。  松谷委員、お願いします。 ○松谷委員  最初の流改懇でも、この流通のIT化ということが議論されて、私ども卸としては、ぜ ひバーコード化を進めて、そのバーコードも有効期限とロット番号を全部入れてほしいと いうお願いをいたしまして、その方向で進んでいるわけです。どうしても、任意表示とい うことになっている項目については大変それが遅れているわけであります。  先ほど、スキャンするリーダーの話が出ましたけれども、生物由来についてだけ言いま すと、卸にとって物流量及び伝票の行数で言うと3%前後なんですね。残りの九十数%が、 こういうふうにきちんと新バーコードが入らない限り、新しいリーダーを全部入れるとい うことについて非常に問題があるし、これは業界にとっても、また医療機関さんや薬局さ んにとっても、全部入ったほうが医療用医薬品は、お互いそのリーダーで読み合いっこが できて、きちんとした流通ができます。また、一たびメーカーさんで商品の回収だとかロ ット別の回収だとかいうことについても、非常に正確に早くできるという、非常に患者の 安全性だとか、いろんなものにも関係することなので、これは、私は、任意のものを早く 表示していただくというか、もう強制にでもして頂いて、医療用医薬品に関してはいいん じゃないかというふうにすら私は思っております。ぜひ皆さんで流通に関係しているメー カーさん、我々、それから医療機関さん、薬局さんを含めて、このことの推進に全力を挙 げること自体が流通の近代化であり効率化、また患者の安全性、信頼性、こういうものに つながっていくんじゃないかと思います。よろしくお願いしたいというのが切なるお願い でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  じゃ、渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員  先ほどのIT化の問題も、コストの問題がありますし、量の問題もあるんですけれども、 実は卸の方から見れば、結論から言うと、松谷さんがおっしゃったように、実は包装単位 とともに、PTP包装、要するに処方ベースの医薬品にコードが入ると本当に助かります し、こういう意見が調剤薬局さんにでもあるんですね。これはなぜかというと、今の流通 のなかで卸が非常に困っているのは、売りがどんどん上がっていって、量は増えるんです けれども、単価が下がっていっているんですね。分業されたことによって、5,000錠包装 で納品していたものを、100錠で50回納品してくれというように、配送ごとの納入単価の 下落になっていて、卸のコストはどんどん上がっているんですね。こういうことで、先ほ どどなたか委員の方がおっしゃったように、医薬品の管理のうえで無駄なものが出てくる んで、最低限無駄なもののないような管理をしても出てくるコストは、を薬価差で欲しい なというご意見があっても、もっともなんですね。  卸としては、売上金額をあげていても、例えば出庫をする、検品をする、先ほど言った 安全な医療を維持していくためのコスト増というのは、目に見えないうちに膨らんでいっ ているんです。こういう意味では、省力化できるものについて、松谷委員のおっしゃった ように、バーコード化というのは、是非これはもう、義務付けていただけるようになって いただくと助かると。それと、分割だとかいうようなことが出てきますと、少量のものを 管理するためにはPTP包装のバーコード化までいくと、誤投薬だとかそういうものまで 減るのかなというふうに思いますので、これはお願いでございますけれども、流通コスト を下げるための協力という形でお願いしたいなというふうに思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  製薬協のほうから何かこの辺りの問題ございますでしょうか。  禰宜委員、お願いします。 ○禰宜委員  現在、内服剤、外用薬の包装、調剤包装単位へのバーコード表示につきましても、日薬 連でプロジェクトをつくりまして鋭意検討いたしております。  先ほど来いろいろ話がございますが、我々にとっても、医薬品の流通コードにつきまし ては、トレーサビリティーの安全確保の観点から、製薬業界としても、これからも着実に 取り組んでいきたいというように考えております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。  ほかに何かユーザー側のほうからこの辺りの問題ございましたら、ご指摘ございました らどうぞ。  よろしゅうございますか。  この辺りの情報化、高度化の問題というのは、未妥結仮納入であるとか総価とか、余り 利害のないところで、みんなが一生懸命やればいけるのかな。ただ、なぜ少し遅れていた のかということが、何かあったんじゃないかと思いますが、しかし、もう環境は明らかに そういう方向に向いておりますし、ぜひこの辺りの問題は前向きにとらえさせていただい たほうがいいのかなと、そんな感じがいたします。  ありがとうございます。  上原先生、この辺りはもう、ほかの流通業界をほとんどよく知っていて、当たり前じゃ ないかというご意見だと思いますが、一言いただければと思います。 ○上原委員  先ほど、卸の方々から、強制的にもやってほしいという意見がでましたが、きわめて前 向きで高く評価できます。情報化をすればある程度コストも把握でき、これが取引の合理 化に結び付きますので、ぜひやっていただきたいと思います。   ○嶋口座長  問題なしということでの指摘だと思います。  それでは、ぜひその辺りもまた事務局、いろいろよろしくご検討をお願いしたいと思い ます。  時間がもう少しあるんですが、本日のご説明やご議論から、昨年度は多くのメーカーさ ん、卸さん、ユーザーさんの方々から、積極的に流通改善に取り組んでいただいた結果、 未妥結仮納入だとか総価取引の是正に向けての大きな前進が見られたのかなと、そういう 感じは私もいたします。よくやってくださったという感じがいたします。そういう意味で は、関係者の皆様方に本当にそのご尽力には敬意を表したいと思います。  ところが、既にご報告の中で指摘されましたように、まだ改善が十分でないところも相 当残っております。ですから、ややまだら模様のようなところで、非常に積極的にやって いるところとまだちょっと遅れているところ、こういう部分部分で見ますと差異があるの かなと。ですから、さらにこの改善を進めるための課題についても浮かび上がってきたと ころでございますので、よろしく当事者の皆様方はご協力をお願いしたいと思っておりま す。流通当事者の本日の委員の皆様方は、今日の議論を踏まえまして、ぜひそれぞれの立 場から、また新たな流通改善に向けて取組をお願いしたいと思います。  厚生労働省のほうでも、今、新インフルエンザのほうで大変な問題だし、どういうわけ か日々新たな問題が出ていて、そちらのほうにも相当のエネルギーを使わなきゃならない。 大変だと思いますが、この流通改善については、ぜひ定期的なフォローアップをお願いし まして、新しい課題解決に向けての力を尽くしていただければありがたいと思います。  ということで、本日の懇談会はこの辺りで終了したいと思いますが、今後のスケジュー ルについて事務局のほうから説明いただきまして、最後に木下課長から一言コメントいた だければと思います。 ○五十嵐首席流通指導官  今後のスケジュールについてでございます。  妥結状況及び総価取引の状況につきましては、近く開催されます中医協のほうに報告さ せていただく予定でございます。  次回の流改懇の予定につきましては、現時点では未定でございます。必要に応じて日程 調整をさせていただき、開催させていただくことになりますので、よろしくお願いいたし ます。 ○嶋口座長  それじゃ、最後に木下課長のほうから。大変、何か新インフルエンザのほうで重要な役 割を占めて、お忙しいようでございますけれども、よろしくお願いいたします。 ○木下経済課長  1時間も遅れてまいりまして、本当に申しわけございませんでした。  厚生労働省では、5月の連休前から新型インフルエンザ対策の推進本部を立ち上げてお りまして、私もその本部の事務局のメンバーとして、医薬品の流通確保のために、特にタ ミフル、リレンザ、マスク、インフルエンザの迅速検査キット、あるいは消毒薬について、 今回お集まりの皆様方には安定供給に多大なご協力いただきまして、本当にありがとうご ざいます。感謝を申し上げたいと思います。そういうこともありまして、今や経済課の業 務の8割ぐらいはインフルエンザの関係で費やしているものですから、手抜きをしている つもりはありませんが、どうしても時間的に割けないということもありまして、本当に申 しわけございません。  ただ、今日のご意見につきましては、後半部分しか参加できませんでしたけれども、日 々、メーカーの方、卸の方、あるいはユーザーの皆様方も含めて、経済課にお越しになっ たとき、あるいは私などがいろんな会に呼ばれて参りましたときに、今回の流通改善に積 極的にお取り組みいただいていることをよくお聞きしておりまして、先ほど来のご意見の 中でも、こういった形でメーカーと卸とユーザーが一堂に会して議論するというのは本当 に珍しいといいますか、今回の流通改善をみんなでやろうとしたことがマイナスになった ということは私は絶対あり得ないと思っております。  確かに評価については、恐らく時間はかかるかもしれませんけれども、医薬品の流通改 善については、流近協の時代からもう20年来議論がされている中で、今回は一定の進展が 見られたものと思っておりますし、例えば妥結率と価格の交渉、納入価がまさにトレード オフの関係で、妥結を早めたために売差が広がったとか、一部、確かにそういうご意見は ありますけれども、これは私は一時的な問題だと思っております。むしろ早期妥結という ことがそれぞれ交渉の場で当たり前の状態というのは、恐らく時間が解決してくれるもの だと思っています。今回も、通常であれば薬価が改定されてから、1年半ぐらいかけてや っと7割を超えるぐらいの妥結率が、半年もたたずに7割を超えたという状態というのは、 これはかなりの危機意識を持って関係者が取り組んでいただいた成果だと思っております し、その中でも、総価取引から単品単価の取引にシフトしたものも、調剤薬局あるいは医 療機関を始めとして、私はかなりやっていただいたと思います。  ただ、どうしても品目数が多いものですから、取引を効率的に行うのには総価が一番手 っ取り早いというのは、よく分かりますけれども、ただ、日本の医療保険制度においては、 それぞれの医薬品の価値を見ながら薬価を決めているわけでありますので、それを無視し た形での交渉というのはやはり決して望ましくありませんし、中医協の場、その前の薬価 算定組織で、新薬については1品ごとに時間をかけて協議をして決めている価格が、取引 の場においては全体で何割引きだという、これはメーカーにとっても恐らくやりきれない ものでありますし、価格を真剣に決めている関係者にとってみても、何だろうかなという、 非常に残念な思いだったと思いますけれども、それが今回徐々に改善をしているというの は、非常に大きな成果だったと思っております。  ただ、売差の問題というのは、これも全体としての流通改善が進む中で、私は徐々に解 決してくると思いますし、特に今回は、景気低迷という経済が非常に悪い状態の中で、卸 さんとユーザーさんが、非常に厳しい交渉であったかもしれませんが、それぞれの立場を 理解いただきながら臨んでいただいたと思っております。私も卸の方にお聞きしたり、ユ ーザーの医療機関や調剤薬局にお聞きをして、医療機関の先生方からも、卸が全然価格を おりないんだよと、こういう話を聞くと、卸、頑張っているなと、いいじゃないですかと いう話を言ったり、卸のほうからも、いや、なかなか足元を見られてと、そのときは頑張 れと、こう言っているんですが、先ほどの話にもありましたが、薬価差に頼る経営という のは基本的にだんだん変わってきているということだと思います。これはやはり、その裏 腹には、先生方にとってみたら診療報酬あるいは調剤報酬で対応してくれることがまさに その前提であるという、これは私もよく分かります。  ですから、この問題が中医協で議論されるということは、やはりそういうトータルの中 での位置づけにこの流通問題があるということは、恐らく共通の理解だろうと思いますし、 今回の結果につきましては、来週の中医協の薬価専門部会の中でご報告をさせていただき たいと思っております。そこには支払い側も診療側も公益側もおられますので、その中で 中医協の役割として、薬価だけの世界で見るということではなくて、全体として見るとい うような方向性に私は当然変わってきていると思いますし、そういう意識で各委員の方々 もご覧になっているんじゃないかなと思っております。  いずれにしても、この問題については、今年度は薬価の本調査がございますので、その 調査結果において、今回の流通改善の緊急提言を受けた対応がどうだったかということが はっきりすることになります。ただ、そのワンポイントだけがどうかではなくて、関係者 が同じテーブルに着いてこれだけやってきたわけでございますので、これからもぜひ引き 続きご協力、ご支援をお願いしたいと思っております。  それから、コード化の問題については、もうこれは避けて通れませんし、流通の効率化 の中でコード化というのは非常に大きなツールであります。これに関しては、反対をされ る方は恐らくおられないと思います。  私も卸の物流センターを見ても、せっかくメーカーからのコードが付与されている。そ のコードが確かに商品コードしかなくて、有効期限等がない状態の中で、卸が別のまたコ ードを付与していると、こういうような状態で、また卸から医療機関あるいは調剤薬局に 行って、また別のコードを付与していると。これもまた、せっかくコードというのが、一 気通貫がまさにコード化の意味だろうと私は思うんですけれども、それぞれが独自にとな りますと、せっかくのコードの統一化による効率化が阻害されますので、それが本当に一 気通貫になるにはどうしたらいいのかということに関して、メーカーだけではなくて、卸、 それからユーザーそれぞれのご意見を、私どもとしても積極的に議論の場を提供し、聞か せていただきたいと思っております。  そのためには、やはり生物由来だけではなくて、内服薬等を含めた医療用医薬品全体と して、まず付与されるということが大事だと思っております。ただ、これはメーカーサイ ドの体制の問題もあると思いますので、時間を一定程度見ながら、全体としてカバーする という方向に向かうべきだろうと思っておりますので、ぜひともその点に関してご協力を お願いしたいと思っております。  今日はありがとうございました。   ○嶋口座長  ありがとうございました。  少し時間が早目になりましたが、今日はいろんな意味で貴重な意見がたくさん出たと思 います。私も、先ほどの三村先生、上原先生からの意見と同じように、よくこれだけ短期 に、これだけの改善がよくできたなというのは、本当に正直に思っております。しかし、 逆に言うと、短期に何らの規制もなくこれだけ改善できたということは、この業界は、ほ うっておくと、また悪くなってしまう可能性がないかなということで、この辺は非常に危 惧しているところでございますから、最低限、今日のレベル以上にまた今後とも行ってい ただくという。  流通に関わる世界、ビジネスの世界といったら、日本は特に例外主義で動きますから、 一応原則としてこうやると言いながら、また後でぐじゅぐじゅっとなる可能性があるので、 そのところは、この委員の皆様方はぜひ、最低限ここまで来たけれども、これからさらに 上に行くんだと、それをやっていただく。  それからもう一つは、厚労省のほうから、これはだめだよということが公取その他の関 係ありますのでできませんが、インセンティブをつけて、やっぱりよいところに対しては 報いるという、何かそういう方向でこれからやることも一つの手なのかという、そんなこ とを今日の議論をいろいろ聞いていながら思った次第でございます。  それでは、本当にお忙しいところ、厚労省も非常に忙しい中でこういう会を開いていた だきましてありがとうございました。  それでは、以上で全て終わります。どうもありがとうございました。 (了)