09/05/18 第7回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会議事録 第7回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会議事録 日時:2009年5月18日(月) 17:00〜19:20 場所:厚生労働省 共用第7会議室(5階) 出席者:  委員   柏女委員長、松風委員、相澤委員、今田委員、大塩委員、大島委員、奥山委員   木ノ内委員、榊原委員、庄司委員、高田委員、豊岡委員、西澤委員、藤井委員   藤野委員、山縣委員  厚生労働省   藤原家庭福祉課長、杉上虐待防止対策室長、前河児童福祉専門官  オブザーバー   筒井孝子氏(国立保健医療科学院 福祉サービス部 福祉マネジメント室長) 議題:  1. 開会  2. 児童福祉法等の一部を改正する法律施行関係及び平成20年度社会的養護における施設ケ アに関する実態調査関係等について  3. 閉会 配布資料:  資料1-1  児童福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う政令・省令・告示の整備について (社会的養護関連部分)  資料1-2  社会的養護の現状と取組の方向性について  資料1-3  被措置児童等虐待対応ガイドライン  資料2   平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査(タイムスタディ調査 の実施状況(報告))  調査票  (様式1)  調査実施確認票  (様式2)  調査対象児童一覧表  (様式3)  調査対象職員一覧表(2日間タイムスタディ調査用)  (様式4)  調査対象職員一覧表(7日間タイムスタディ調査用)  (様式5)  調査対象職員の勤務シフト確認票(2日間タイムスタディ調査用)  (様式6)  調査対象職員の勤務シフト確認票(7日間タイムスタディ調査用)  (様式7)  調査員担当票  (様式8-(1)) アセスメント調査票(母子生活支援施設以外・就学前児童用)  (様式8-(2)) アセスメント調査票(母子生活支援施設以外・就学後児童用)  (様式9-(1)) アセスメント調査票(母子生活支援施設・就学前児童用)  (様式9-(2)) アセスメント調査票(母子生活支援施設・就学後児童用)  (様式9-(3)) アセスメント調査票(母子生活支援施設・世帯票)  (様式10)  突発事象等調査票  (様式11)  2日間タイムスタディ調査票(他計式)  (様式12)  7日間タイムスタディ調査票(自計式)  (様式13)  施設概況調査票  (資料1)  業務分類コード表(ケアコード表)目次  資料3-1  平成19年度社会的養護施設における実態調査のクロス集計  資料3-2  平成19年度社会的養護施設に関する実態調査中間報告書(平成20年10月31日第 6回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会提出資料)  資料4-1  施設設備実態調査(調査票)  資料4-2  平成21年度厚生労働省補正予算案の概要(雇用均等・児童家庭局所管分)  資料4-3  平成21年度補正予算案(子育て支援)の概要 ○藤原家庭福祉課長  定刻になりましたので、ただ今から「第7回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」 を開催します。委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、厚く御礼申し 上げます。本日の委員会の出席者は17名です。奥山委員、西澤委員は遅れてご出席いただける予 定です。また、本日は平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査についてご協力 をいただいている先生も同席されていますので、ご紹介させていただきます。国立保健医療科学 院福祉サービス部福祉マネジメント室の筒井孝子室長です。  それでは、議事に入りたいと思います。柏女委員長、よろしくお願いします。 ○柏女委員長  お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。昨年の秋に開催以来、久 しぶりの開催ということになるかと思いますが、今日はよろしくお願いします。  はじめに、事務局からお手元にお配りしています資料についての確認をお願いしたいと思いま す。 ○藤原家庭福祉課長  資料の確認をさせていただきます。まず、資料1です。枝番号で1、2、3とありますが、「児童 福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う政令・省令・告示の整備について」、これが枝番号の 1でございます。枝番号の2は横長のパワーポイントの資料で、「社会的養護の現状と取組の方向 性について」、枝番号の3は「被措置児童等虐待対応ガイドライン」です。  資料2は「平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査(タイムスタディ調査の 実施状況(報告)」という2枚の紙。それから調査票ということで、様式番号で1から13まで、お よび資料の1と付番をしたものを配布しています。  続きまして資料3です。枝番号で1と2がありまして、枝番号の1が「平成19年度社会的養護 施設における実態調査の追加クロス集計」という綴りです。枝番号の2は「平成19年度社会的養 護施設に関する実態調査中間報告書」ということで、枝番号の2は昨年10月の第6回委員会に提 出した資料と同じものです。  最後に資料4です。枝番号1、2、3とありまして、枝番号の1が「施設設備実態調査(調査票)」、 枝番号の2は「平成21年度厚生労働省補正予算案の概要」、枝番号の3は「平成21年度補正予算 案(子育て支援)の概要」という資料です。  なお、相澤委員からの配布資料といたしまして、「児童福祉施設における非行等児童への支援に 関する調査研究報告書」、こちらを委員のみに配布させていただいています。さらに木ノ内委員か らの配布資料として『里親家庭 私の体験』、同じく大塩委員からの配布資料として、鯉渕記念母 子福祉助成事業『母子福祉作文賞10周年記念作品集』という冊子です。こちらは委員及び傍聴の 方に配布しています。  お手元に資料がない場合には事務局にお知らせください。資料の確認は以上です。 ○柏女委員長  かなり大部の資料で種類も多いですが、ご確認いただけましたでしょうか。また委員の先生方 には、いくつかの貴重な資料をご提供いただきまして、ありがとうございました。これからの審 議の貴重な参考資料として活用していければと思っています。ありがとうございました。  それでは、今日の議題は一つということで、この6か月間のさまざまな動き、あるいは一番大 事な調査研究を続けてきたものの報告をしていただいて、さらにそれを細かく分析をしていただ くためのご意見を頂戴するというのが一番大きなテーマになると思います。従いまして、今日は 事務局案の報告の時間が長くなるのではないかと思いますが、できるだけ委員の先生方のご意見 を頂戴する時間も確保させていただきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いします。  まず、事務局から資料1、2、3、4に基づいて説明をいただいた後に、委員の皆さまからご意見 を頂戴したいと思います。それでは、事務局からよろしくお願いします。 ○藤原家庭福祉課長  それでは、最初に資料1の綴りについてご説明します。児童福祉法等の一部を改正する法律は、 おかげさまで昨年の11月に国会で成立し、その大方が今年の4月1日に施行となっています。そ の関係につきまして、法律のポイントおよびそれに伴う平成21年度の予算のあらましにつきまし て、ご説明します。お手元の資料1−2という枝番号を振りました横長のパワーポイントの資料を 中心に説明します。資料の右下の隅に通しページ番号を打っていまして、それを適宜引用します ので、ご参照いただければ幸いです。  まず表紙をめくりまして2ページが「児童福祉法等の一部を改正する法律概要」です。ローマ 数字のIとIIにありますように、「地域における次世代育成支援対策の推進」「職場における次世 代育成支援対策の推進」という大きな柱立ての中で、地域における対策の関連の(2)の部分ですが、 「困難な状況にある子どもや家族に対する支援の強化」ということで、社会的養護の関係の改正と いう内容です。  以下、個別のペーパーの方に進みますが、3〜6ページが全体の社会的養護部分の鳥観図になり ますので、それを特にご覧いただきたいと思います。まず、3ページをご覧ください。この社会 的養護関係の法律は、そこにありますように昨年の12月に公布されていますが、内容を白丸で七 つ、里親制度の改正、ファミリーホーム、要保護児童対策地域協議会などを掲げています。一番 下の次世代育成支援対策推進法の後期行動計画の策定は平成22年4月の施行ですが、それ以外の 項目は今年の4月に施行です。以下個別の内容です。  3ページ下段の資料からは、左側が法律等の具体的内容で、右側がその改正に関連した予算等 の内容というつくりになっていますので、そのようにご理解いただければと思います。  まず里親の関係です。「養育里親」と「養子縁組を前提とした里親」を制度上区別するという内容 です。具体的には同じ資料の9ページにその関係の整理表を付けています。9ページの「里親の 種類」ですが、左側にあります「養子縁組によって養親となることを希望するものその他これに類 する者として都道府県知事が適当と認めるもの」と右側にあります「養育里親」という区分で法律 上は規定していますが、さらに左側に分類されるものとして、親族里親があり、右側に分類され るものとして、専門里親という制度上の区別というものを導入しています。  3ページに戻りますが、この養育里親につきまして、研修等の義務化をするということで、お 手元の11ページにその研修の流れということで、フローチャートをつけています。新規に里親に 認定をされる方の基礎研修、またすでに今の制度で里親として登録されている方々につきまして も、認定前研修ということを行いまして、その上でこの新しい制度に基づく登録をするという流 れです。また5年ごとの更新講習も位置付けています。  3ページに戻りますが、手当の関係です。3ページの資料の右側にありますように、研修を受け ていただいた養育里親、専門里親に関しましては、そこにありますような手当の引き上げが平成 21年度から行われています。また、養育里親の研修カリキュラム等につきましても、テキストの 例、カリキュラムの例というものを今回厚生労働省で自治体に対して示しました。後ほど12ペー ジをご覧いただければ、その概要を掲載しています。  次に、4ページをお開きいただきたいと思います。ファミリーホームとあります小規模住居型 児童養育事業、これを制度として新しく創設しています。5人以上の子どもを養育者の住居にお いて養育する事業ということで、里親、施設と並ぶ子どもの養育の委託先ということで新たに位 置付けています。それにつきまして、施行の関係で、いろいろ要件・基準を設定しました。具体 的には16ページをお開きいただきますと、このファミリーホームの概要ということで資料を付け ていますが、その中の5番と6番が設備等、人員配置に関する要件です。人員配置につきまして は、養育者・補助者の関係で合わせて3名以上の者を配置するとか、実際の養育者の要件で、そ こにあります(1)〜(4)のいずれか及び(5)ということで定めているところです。このファミリーホー ムに関しましては、4ページの資料に戻りますが、平成21年度予算におきましては、児童1人当 たりの月額の単価につきまして、人件費、旅費、庁費、そこにありますものを合わせて15万円程 度という単価を設定しています。また、事務費とは別に、そこにあります一般生活費等がさらに 支給されるという予算形態ということです。次に4ページ(4)「家庭支援機能の強化」ということ で、児童家庭支援センターにつきまして、法律上の附置要件がありましたが、こちらを撤廃しま して、医療機関、NPO等における設置を可能にするとか、そこにあります児童相談所の指導委託 の関係などの改正を行っています。予算的には児童家庭支援センターにつきまして、特に平成21 年度予算におきましては、心理療法担当職員の常勤化というものを盛り込んでいます。また、保 護者指導支援事業などの児童相談所の関係に関しまして、19ページに関連の平成21年度予算の 内容を付けています。児童相談所の評価・検証委員会の設置促進や保護者指導支援事業等につい て予算を新規ということで盛り込んでいます。  5ページに戻ります。(5)「児童福祉施設等におけるケアの充実について」という項目については、 児童福祉法等の改正法の法施行に当たるものはありませんが、そこにあります現行の施設におけ る専門機能の強化を図る、人材育成を進めるというテーマに対しまして、右側にある施設の小規 模化、基幹的職員の配置、幼稚園費の創設など平成21年度の予算において取組をしているところ です。具体的には22〜26ページが児童福祉施設等におけるケアの充実のための平成21年度の取 組の内容です。特にご紹介しますと、23ページに「基幹的職員の配置」という資料がありますが、 この基幹的職員は一定の研修を終了した方について、そういう位置付けをして、福祉職俸給表8 号俸増加するという内容の改善を行っています。この研修というものが大事でございまして、こ れにつきましては都道府県が基幹的職員の研修事業を実施していただくという関係も予算として 対応しています。一番下にありますが、都道府県における基幹的職員研修の指導者の全国的な養 成も必要であるということで、今年度から国立武蔵野学院におきまして、具体的には25ページに 資料を付けていますが、五つの研修コースにつきまして、それぞれ3日間程度の研修を実施する 予定です。  また、その他にも平成21年度の予算におきましては、入所施設の児童や里親に委託されている 児童に対して、幼稚園費の創設や教育費、部活動費の拡充という内容を行っているところです。 また、後ほど別の資料で説明がありますが、施設機能見直しの検討のための調査・分析につきま して、昨年3月に実施しました施設の概況調査に加えまして、昨年秋のこの委員会でもいろいろ ご議論いただきましたタイムスタディを昨年末から今年にかけて実施しているところです。これ につきましては、後ほど状況の説明をさしあげます。  5ページに戻りまして、(6)自立援助ホームの関係の部分です。自立援助ホームにつきましては、 対象年齢の20歳までの引き上げや都道府県に対して事業の実施の義務を課するといった内容の 法改正をしています。また、より確実な財政的支援ということで、いわゆる負担金化ということ で、財政上の位置付けを強化するという内容の法改正をしています。具体的に自立援助ホームに つきましても、省令・告示等で要件を定めていますが、それに関しましては30ページに「自立援 助ホームの概要」ということで資料を付けています。そこにありますように、設備等の要件や人 員配置という点につきましては、自立援助ホームの入居児童数に応じまして、指導員・補助員の 数の要件を定め、また指導員の要件として、そこにあります児童指導員の資格、保育士などのい ずれかに当たるということ、および(5)の要件に該当することという要件を定めているところです。  5ページに戻りますが、予算的には自立援助ホームにつきまして、児童1人当たりの単価は定 員6名の場合の数字を書いていますが、月額で人件費、旅費その他で19万円程度。また、一般生 活費として概ね1万円程度という内容の予算の設計になっています。誠に申し訳ございません。 お手元の資料5ページの「事業費」と「事務費」の項目が逆になっています。上の方が事務費で、 人件費や旅費等です。それから一般生活費とあるところが事業費です。この場で訂正させていた だきます。  6ページをお開きいただきたいと思います。(7)「被措置児童等虐待の防止について」という項目 です。児童福祉法の改正によりまして、今回、被措置児童等虐待の定義やそれに関する通告・届 出の仕組み、また都道府県がそれに対してどのように対応するかという措置につきまして規定の 整備がされたところです。これにつきましては、本日お手元に資料番号1−3でお配りしています が、都道府県・行政向けの「被措置児童等虐待ガイドライン」を作成しまして、都道府県に通知 をし、都道府県としての対応についていろいろと支援をしているところです。また、お手元の資 料の36〜37ページにリーフレットの例を付けていますが、被措置児童等虐待に関しての法施行と いうのは、お子さんにきちんと知っていただくことが極めて大事ですので、このようなリーフレ ットの例を自治体にお届けして、子どもに対する、また当然施設の職員に対する周知も重ねて働 きかけをしています。  最後の項目、8番目は「社会的養護体制の計画的整備について」です。これに関しては、次世代 育成支援対策推進法の後期行動計画に社会的養護に関してしっかりと盛り込んでいただくことを 規定上明確化しました。この後期行動計画は平成22年度からの5年間ですので、それに向けて、 今、各自治体において取組を進めているところです。この後期行動計画の策定の指針を厚生労働 大臣告示で示すとともに、少し細かく策定に当たっての留意事項のようなものを、手引書として 配布しているところです。本日の資料では38〜41ページが、その関連の抜粋になります。38ペ ージをお開きいただきますと、全体の後期行動計画に関する法律上の仕組みの解説がありますが、 三つ目の白丸に、国が要保護児童の人数の算定の考え方や家庭的養護の推進、施設機能の見直し といった留意すべき項目の考え方をお示ししたということで、人数の算定の仕方につきましては、 本日資料が大部になりますので割愛していますが、それぞれ家庭的養護の推進のほか、必要な項 目につきましてポイントということで39〜41ページに手引書等の内容につきまして掲載してい ます。  大変多岐にわたる法改正でしたが、いろいろと自治体の関係のご協力もいただきまして、何と か進めてきています。今後とも円滑な施行、さらに実際に実効性のある施行ということで努力を してまいりたいと思っています。資料の1については以上です。 ○柏女委員長  続けてお願いします。 ○前河児童福祉専門官  引き続き、資料2と資料3の説明をさせていただきます。資料2の「平成20年度社会的養護に おける施設ケアに関する実態調査 タイムスタディ調査の実施状況」について報告させていただ きます。前回の委員会で大変貴重なご意見をいただきまして、調査の設計の変更をしていますの で、変更点も含めてご説明します。資料2と併せまして、続いて示しています様式1〜13と資料 1を一緒に説明します。少しお時間をいただきますが、よろしくお願いします。  1の「タイムスタディ調査について」です。(1)の調査対象施設につきましては、児童養護施設21 か所、乳児院4か所、乳児院につきましては、平成20年3月に2か所について、すでに実施済み で合わせて6か所です。情緒障害児短期治療施設3か所、児童自立支援施設2か所、母子生活支 援施設4か所において実施しております。  (2)の調査対象施設の選定条件等ですが、調査対象施設の選定については、施設種別ごとの職員 配置等の条件で抽出を行ったリストの中から、各施設協議会より推薦を受けた施設のうち、調査 の協力が得られた施設としております。児童養護施設につきましては、職員配置等の手厚い施設 については、ケア形態が大舎では11か所、調査対象となった総児童数は196人です。なお、ユニ ットを分割し、調査対象としております。同じく職員配置等の手厚い施設について、ケア形態が 小舎・小規模では7か所、調査対象となった総児童数は113人です。なお、各施設二つのユニッ トを調査対象としております。また、平均的な配置の施設については、ケア形態が大舎・小舎で3 か所、調査対象となった総児童数は52人です。なお、ユニットを分割し、調査対象としておりま す。  乳児院につきましては、職員配置等が手厚い施設を対象としており、ケア形態が小舎・小規模 では2か所、調査対象となった総児童数が24人で、各施設二つのユニットを調査対象としていま す。また、ケア形態が小舎・小規模では2か所、調査対象となった総児童数が31人で、各施設1 ユニットを調査対象としています。  情緒障害児短期治療施設につきましては、入所率が高く、80%以上、職員配置等が手厚い施設 を対象としており、ケア形態が大舎では1か所、調査対象となった総児童数が9人です。なお、 ユニットを分割し、調査対象としております。また、ケア形態が小舎・小規模では2か所、調査 対象となった総児童数が29人で、各施設二つのユニットを調査対象としております。  児童自立支援施設につきましては、入所率が高く、60%以上、職員配置等が手厚い施設を対象 としており、ケア形態が夫婦制で1か所、調査対象となった総児童数が12人で、1ユニットを調 査対象としています。また、ケア形態が交代制で1か所、調査対象となった総児童数が12人程度 としておりますが、これは、調査の実施が少し遅れている関係で、近日中に実施予定のためです。 1ユニットを調査対象としております。  資料をおめくりいただいて、母子生活支援施設につきましては、入所率が高く、70%、職員配 置等が手厚い施設を対象としており、ケア形態は本園のみで4人の施設で2か所、調査対象とな った世帯数が38世帯、児童数が71人で、入所世帯すべてを調査対象としています。また、ケア 形態が本園及び小規模分園で2か所、調査対象となった世帯数が74世帯、児童数が135人で、入 所世帯すべてを対象としております。  次に、(3)の調査の概要です。本調査は、「施設職員の業務量調査(1分間タイムスタディ調査)」 と「入所児童の状態調査(アセスメント調査・突発事象等調査)」の二つの調査により構成されてい ます。  1)の施設職員の業務量調査(1分間タイムスタディ調査)につきましては、入所児童に対し、どの ようなケアを、どのくらい(時間)、施設職員が提供しているのかを数量的に把握する目的で実施す る調査です。調査の内容としましては、児童を日常的にケアする職員が行う2日間タイムスタデ ィ調査(他計式)と、児童を日常的にケアする職員以外が行う7日間タイムスタディ調査(自計式) の二つを行います。なお、前回の専門医委員会でご意見をいただきまして、施設関係者と協議の 上、計測方法につきましては、ケアを行いながらの計測の負担の問題やデータの正確さの観点か ら、自計式から他計式に変更しております。  2)の入所児童の状態調査(アセスメント調査・突発事象等調査)につきましては、入所児童一人ひ とりの心身の状態や突発事象等を把握する目的で実施する調査になります。調査は、調査対象と する児童一人ひとりに対して行うアセスメント調査と、突発事象等調査になります。これは、ア セスメントでは把握できない、通常のケアと異なる状況の発生、例えば急病や事故、トラブル、 これらの発生を確認するための調査になりますが、これら二つの調査を行うことになります。  (4)の「調査に用いる調査票等(様式1〜13、資料1)」ですが、まず資料1をご覧いただきたいと 思いますが、これは調査の実施前に、調査担当者や対象ユニット、調査日程等を確認するための 調査実施確認票になります。  次に、様式2ですが、これは調査の対象児童の一覧表になります。  次が、様式3ですが、これは調査対象職員一覧表で、2日間タイムスタディ調査用の一覧表に なります。  次の様式4が、7日間タイムスタディ調査用の調査対象職員の一覧表になります。  次の様式5が、調査対象職員の勤務シフト確認票になります。  次の様式6が、7日間タイムスタディ調査用の調査対象職員の勤務シフト確認票になります。  次の様式7が、調査対象職員に対する担当の調査員を記入するための調査員の確認票になりま す。  次の様式8の(1)と(2)につきましては、母子生活支援施設以外のアセスメント調査票になりまし て、(1)が就学前児童用、(2)が就学後児童用になります。  次の様式9の(1)、(2)、(3)につきましては、母子生活支援施設の(1)が就学前児童用、(2)が就学後 児童用、(3)が世帯票になります。アセスメントにつきましては、前回の専門委員会でのご意見を 受けましての主な修正点になりますが、様式8の(1)をご覧いただきながらご説明させていただき たいと思います。様式8の(1)の就学前児童用の3ページの問11ですが、保護者対応の困難さを 反映するための指標として、少し項目を充実、あとは文言等の修正をしております。それから、4 ページの乳幼児期の状態像を、より反映するために、今までのアセスメント票では、年齢の高い 児童については、反映できていたのですが、乳幼児期はなかなか反映できないということで、問 12の出生時の状況や問13の身体、発育の状態、問14の栄養状態の項目について追加しておりま す。また、より客観的な指標を追加するために、5ページの問17に知能検査や発達検査の結果を 追加する項目を入れております。あと、7ページの問25の養育問題のある子どものチェックリス トは、既に開発されている標準化されたチェックリストになりますが、このチェックリストを追 加しております。様式9の母子生活支援施設につきましては、子どもだけではなく、母親や世帯 についてのアセスメントの項目の追加を行っています。以上が、前回の専門委員会のご意見を受 けましての主な修正点になります。  それから、様式の説明の続きですが、様式10をご覧ください。これは、児童の突発事象等の調 査票で、2日間タイムスタディ調査中の急病やトラブル等について記入するためのものです。  次の様式11が、2日間のタイムスタディ調査票で、調査員が調査対象者のケア内容、対象者を 記入するための調査票になります。  次の様式12が、7日間のタイムスタディ調査票で、調査対象者が自らのケア内容、対象者等を 記入するための調査票になります。  次の様式13は、施設の基礎的な情報や職員人数、運営、ユニットの構成等を記入するための施 設概況調査票になります。  次が、資料1の業務分類コード票(ケアコード票)です。これにつきましては、前回の専門委員会 でのご意見を受けまして、かなり追加・修正しています。その主な点としましては、ページをお めくりいただいて、ページ番号が下にあるのですが、全部1ページになっておりまして申し訳ご ざいません。一つは、それぞれの項目における「声かけ」や「見守り」のコード作成です。1ペ ージのところを参考に見ていただきますと、上のところに起床の声かけがあったり、就寝・午睡 の声かけ、洗面の声かけとあります。それぞれの項目について、声かけの項目が見守りについて も入れております。それから、3ページ目ですが、児童施設に特有の項目として、愛着やコミュ ニケーションに関するケアが多いということで、これらのコードの充実を図っております。また、 次の4ページですが、自立支援やアフターケアに関するコードの充実を図っております。それか ら、母子生活支援施設特有のケアコードの充実、家庭支援や関係機関等との連携の状況というこ とで、家族や施設外資源との関係のコードの充実を図っております。  6ページ目の真ん中より下のところに、権利擁護に関する項目の追加も行っておりまして、児 童施設特有のコードを充実しております。本日、提出しております業務分類コード票は、今回の タイムスタディ調査を実施した上で、タイムスタディ実施中に足りないコード等も追加しており まして、丸印や四角印がそれになります。例としては、心理検査や機能訓練やたんの吸引等の医 療行為等がございました。これらのコードについても追加を行っております。  資料2に戻っていただきまして、2の「スケジュール」ですが、(1)の説明会の開催につきまし ては、資料のとおり実施しておりまして、1月下旬を中心に、児童自立支援施設につきましては2 月下旬に実施しております。(2)の調査の時期につきましては、説明会終了後、施設内における準 備が整った後の2月中旬から3月中旬までに概ね完了しております。(3)の調査票の回収につきま しては、3月中旬から下旬の時期にかけて行っております。  次に、3の「グループインタビューについて」です。これは、タイムスタディ調査の実施後に、 調査時に調査施設において調査員となっており、日常的に児童への直接的なケアを従事している 職員を対象としまして、調査当時の児童の状態とケア時間・内容について、例えば「手が掛かっ ていると感じる子どもはどういう子どもなのか」等についてのグループインタビューの調査を実 施することとしています。グループインタビューの目的は、児童の臨床像、すなわちアセスメン トの結果と併せて、職員の実感による子どもの状態像と、ケア時間の多い少ない、多寡との関連 性についてグループインタビューで明確にすることになります。このグループインタビューにつ きましては、タイムスタディ調査の一定の集計後に行うこととしておりまして、現在、具体的な 実施に向けて調整しているところです。現在、タイムスタディ調査の結果につきましては集計中 で、グループインタビューの結果やこれまでの調査結果と併せて分析を行い、一定の結果が出次 第、専門委員会の場でご報告させていただきたいと考えております。  引き続き、資料3-1の追加クロス集計の説明をさせていただきます。お手元に資料3-1という 目次だけを抜粋しているものと追加クロス集計をご用意させていただいております。参考までに、 前回お示ししました中間報告書を資料3-2としてお配りさせていただきました。今回の追加クロ ス集計につきましては、前回の専門委員会でのご意見を中心に取りまとめたものです。集計結果 につきましては、詳細な分析はできておりませんが、今後も引き続き、タイムスタディの調査の 結果と併せて、施設機能の見直しに必要な項目について分析を行う予定としています。資料の分 量がかなり多くなっていますので、資料の構成と特徴的な結果が出ている点について、簡潔に説 明させていただきます。  資料3-1の構成ですが、少しめくっていただきますと、ローマ数字の小文字iからViiページ目 までは、社会的養護施設に関する実態調査の概要になります。ローマ数字の小文字iXからXiま でが調査票の回収状況になります。一般数字の1の方からがクロス集計の結果になります。目次 の方で構成について説明させていただきますので、ご覧ください。少し見にくいのですが、ロー マ数字の小文字xiiとxiiiが全体の目次になります。それから、ローマ数字の小文字xiv〜xxiペー ジが図表目次として、クロス集計の各図表番号を表記しております。目次の最初のページに戻っ ていただきまして、ローマ数字のIが乳児院、IIは児童養護施設、IIIが情緒障害児短期治療施設、 IVが児童自立支援施設。めくっていただきましてVが母子生活支援施設、VIは施設種別総括とな っております。I〜Vにつきましては、施設種別ごとに家庭支援専門相談員の配置の有無による 児童の状況、これは、母子生活支援施設以外。心理療法担当職員の配置の有無による児童の状況、 これは情緒障害児短期施設治療以外。被虐待児の状況。都道府県別施設数、児童数およびケアの 形態の状況、退所理由の傾向、情緒・行動上の問題状況の階層別施設数。母子生活支援施設につ きましては、情緒・行動上の問題状況については、児童、母親、母子関係のそれぞれについてで す。このほか、職員の平均経験年数の階層別施設数、職員の平均勤務時間の階層別施設数。また、 乳児院のみで長期入所児童および年長児童の状況について集計しております。それから、6の施 設種別総括につきましては、Iからこれまでの集計結果と重複する内容もありますが、施設種別 を一覧で比較できるように示したものです。  次に図表目次、ローマ数字の小文字のxivからをご覧ください。乳児院を参考に見ていただき たいと思います。他の施設種別も共通ですが、家庭支援専門相談員・心理療法担当職員の有無別 に、それぞれ家庭復帰の見通し、ケアの適合状況、現在のケアが適していない児童について考え られる他の施設等、ケア負担感別現在のケアが適していない児童について考えられる他の施設等 を示しています。また、図表1-15では、被虐待体験「有り」の児童における虐待の種類。図表 1-16〜31までの都道府県別施設の状況につきましては、施設数および在籍児童数、1施設当たり 平均在籍児童数、平成18年度入所児童数、平成18年度1施設当たり平均入所児童数、平成18 年度退所児童数、平成18年度1施設当たり平均退所児童数、平均入所期間(月数)、職員1人当た り児童数(直接ケア職種以外別)。また、乳児院では、小規模グループケアとそれ以外の形態別とし ておりますが、それぞれの施設種別に応じたケア形態の状況、ケア形態別のユニット当たり平均 在籍児童数、入所児童に対するケアの適合状況を示しています。  それから、図表番号1-32では、平成18年度退所児童数に占める各退所理由の割合。図表1-33 では、情緒・行動上の問題のある児童比率階層別施設数。図表1-34では、職員の平均勤務経験年 数階層別施設数を示しています。以上が、施設種別ごとに共通した項目になりますが、施設種別 ごとに特徴的に集計をしているところがございます。乳児院につきましては、長期入所児童数(入 所1年半以上)と年長児童数(2歳以上)について、図表と目次の方に白い星印を。図表1-35〜1-60 の問の集計を行っています。児童養護施設につきましては、黒い星印の図表です。図表2-43〜52 につきましては、都道府県別退所児童数に占めるそれぞれの退所理由の割合、図表2-55〜63には、 都道府県別職種別職員の平均勤務経験年数階層別施設数を示しております。以上が全体の資料の 構成ですが、特徴的な結果が出ている点について、かいつまんで時間が許す範囲で説明させてい ただきます。  まず、心理療法担当職員の有無別にみるケアの適合状況を見ますと、心理療法担当職員「有り」 の方が、ケアの適合状況が適していない割合が高くなっております。これは乳児院では5ページ です。施設種別ごとにページ数をお示しさせていただきましたが、児童養護施設では51ページ、 児童自立支援施設では143ページになります。これは、心理療法担当職員を配置している施設に は、対応が困難な児童が多く在籍していることと関連していると思われます。  次に、虐待の種類ですが、乳児院では9ページです。これは、「ネグレクトのみ」が最も多く6 割近くとなっておりまして、次いで「身体虐待のみ」が多くなっています。児童養護施設では55 ページになりますが、「ネグレクトのみ」が最も多く46%を占めております。次いで「身体虐待 のみ」が多くなっています。情緒障害児短期治療施設は113ページになりますが「身体虐待のみ」 が最も多く、次いで「ネグレクトのみ」が多くなっています。児童自立支援施設は147ページに なりますが、「ネグレクトのみ」が最も多く、「身体虐待のみ」が次いで多くなっております。ま た、母子生活支援施設は177ページになりますが「心理的虐待のみ」が最も多く、次いで「身体 虐待と心理的虐待」の重複が多くなっています。全体で見ますと、母子生活支援施設がDV被害 の目撃の関係で心理的虐待が最も多くなっているほかは、「ネグレクトのみ」の割合が高くなって いるのが特徴です。  次が、都道府県別職員1人当たり児童数です。母子生活支援施設は世帯数になります。乳児院 につきましては、18ページと19ページに表とグラフを出させていただいています。それから、 児童養護施設は64ページと65ページ、情緒障害児短期治療施設につきましては122ページと123 ページになります。児童自立支援施設につきましては156ページと157ページになります。母子 生活支援施設につきましては186ページと187ページにそれぞれ掲載しておりまして、比べるこ とができなくて申し訳ないのですが、どの施設種別においても、都道府県により職員1人当たり の児童数に、母子生活支援施設は世帯数になますが、かなりばらつきがあるという結果になって おります。  次に、職員の平均勤務経験年数の階層別施設数を職種別で示したグラフにつきまして、お示し させていただきます。乳児院が30ページ、児童養護施設が98ページ、情緒障害児短期治療施設 が138ページ、児童自立支援施設が172ページ、母子生活支援施設については207ページに掲載 しております。これらの結果について説明させていただきますが、直接ケア職種につきましては、 児童自立支援施設では13〜15年の階層が最も多くなっておりまして、乳児院と児童養護施設では 7〜9年の階層が最も多くなっています。また、情緒障害児短期治療施設と母子生活支援施設では 4〜6年が最も多くなっておりまして、施設種別によって階層がかなり異なっている結果になって おります。  また、心理医療担当職員につきましては、情緒障害児短期治療施設が4〜6年の階層が最も多く なっていますが、それ以外の施設種別につきましては0〜3年の階層が最も多くなっております。  また、家庭支援専門相談員につきましては、いずれの施設種別においても勤務年数が長い職員 から少ない職員までばらついているという結果になっております。  施設種別総括の児童に適しているケアを反映した都道府県別施設種別バランスにつきまして 209ページと210ページに都道府県別の一覧表を掲載しておりますが、上段が現在の在籍状況で、 下の段が当該施設に適していないとされた児童について適しているとされたケアを反映したグラ フになります。これにより、施設からみた児童に適していると考えられる施設種別の割合を見る ことができます。211〜226ページに都道府県別のグラフを掲載していますが、都道府県によって 異なるところはあるのですが、全体的に見ますと現在の児童在籍状況に比べて、児童に適した処 遇では乳児院と児童養護施設では少なくなっておりまして、情緒障害児短期治療施設、里親、知 的障害児施設で増加しております。現在処遇している児童について情緒障害児短期治療施設や里 親、知的障害児施設で処遇される方が適していると考えられていることがわかります。  次に、施設種別ごとの職員1人当たり児童数の階級別施設数につきましては、施設種別ごとに 227ページと228ページに職員1人当たり児童数の階級別施設数をグラフで表しています。それ ぞれの施設種別で最も人数の多い階級については、乳児院では1〜2名、児童養護施設では3〜4 名、情緒障害児短期治療施設では2〜3名、児童自立支援施設では1〜2名、母子生活支援施設で は2〜3名となっております。  時間の関係もありますので、あと1点だけお伝えさせていただきますが、施設種別ごとの児童 の情緒・行動上の問題状況について施設種別を並べて比較していますのが、230ページ以降にあ ります。これは情緒・行動上の問題の各項目につきまして、「疑いあり」と「確かに問題あり」の 児童比率階層別施設数の総施設数の占める割合について各施設種別を並べて示したものです。見 方としましては11〜15%の子どもがいる施設の割合を一番濃いもので示していますので、それよ り上の部分の割合を目安としていきますと全体に情緒障害児短期治療施設や児童自立支援施設で 問題があるという子どもの割合が多くなっていますが、児童養護施設でも同様に割合が高くなっ ている項目としましては231ページの「注意欠陥・多動傾向」「反社会的行動傾向」、232ページ の「学習障害傾向」、237ページの「知的障害」です。発達に課題がある子どもや問題行動がある 子どもの割合が高い傾向が出ております。以上が追加クロス集計の結果になりますが、今後も引 き続きタイムスタディの調査の結果と併せて施設機能の見直しに必要な項目について分析を行う 予定にしております。以上です。 ○藤原家庭福祉課長  資料4の関係を手短にご説明させていただきます。資料4-1という資料がございます。こちら は、施設の建物に関する調査を全国にお願いしておりまして、その関係の調査票でございます。 昨年の児童福祉法の国会でのご審議の際にも附帯決議を参議院の厚生労働委員会の方で頂戴して おりますが、施設で生活する子どものプライバシーが十分に確保できるように施設設備に関して も今後、検討していくべきだということもご指摘いただいております。施設のケアの今後のあり 方を考える上で必要な部分を考えています。お手元の資料は施設種別ごとの調査票になっており ますが基本は共通でございます。特に、耐震性の話もございますが、お手元の資料で「児童養護 施設調査票」の11ページをご覧いただきますと、各居室の実際の子どもの在籍状況というような ものも今回、施設のご協力をいただいて調査をさせていただいているところでございます。  資料1の関係でご報告いたしましたのは、平成21年度の当初予算の内容に基づいてご報告いた しましたが、現在、国会の方でご審議いただいております平成21年度の補正予算案の中でも、社 会的養護の関係の事項を盛り込ませていただいております。資料4-3の横長の資料をご覧いただ きたいと思います。「平成21年度厚生労働省補正予算案(子育て支援)の概要」という表題でござ いますが、安心こども基金は平成20年度の第2次補正予算で1,000億円の基金を都道府県に創設 するということをいたしましたが、そちらを今回の補正予算案では1,500億円拡充するという内 容でございまして、その中に下から2段目のところに(1)〜(4)とあります、「保育サービスの充実」、 「地域子育て支援の充実」、「ひとり親家庭等への支援の拡充」と並びまして「社会的養護の拡充」 ということで予算案の中に計上しているところでございます。具体的には後ろから2枚目の紙に3 の(2)「社会的養護の充実」ということで1枚紙を付けさせていただいております。安心こども基 金の関係は、全体といたしましては平成21年度と平成22年度の2か年で自治体の方で使ってい ただくということですが、就業支援関係につきましては3か年ということで平成21〜23年度とい う内容になっています。  最初の「児童養護施設の退所者等に対する就業支援」が3か年で使っていただく内容となって いますが、今の経済情勢の中で非常に退所児童等の就業が難しいということに対応するために、 実際に職場の開拓や就職後の職場訪問などを行って支援をするサービスを都道府県から、ノウハ ウがある法人・NPO・民間企業に委託して実施していただくという内容でございます。  それから、右側に「環境改善」とございますが、平成21年度と平成22年度の2か年の執行と なりますが、児童関係の老朽化した遊具の更新や簡易な改修で小規模化を図るといったことなど に使っていただくための予算です。  また、ファミリーホーム・自立援助ホーム・分園型施設等につきましては、立ち上げの支援と いうことで、立ち上げ時の賃貸料を2年間助成するという内容が入っております。  一番下は研修の関係でございます。短期研修、長期研修といろいろな研修がございますが、今 回の基金を用いることで平成21年度と平成22年度の2か年ではございますが、それぞれの研修 に職員が行くための経費を補助する。また、長期研修ということで小規模ケア施設あるいは障害 児施設で数か月間の交流研修を行うということを都道府県の方で、調整機関を設けて実施してい ただくという内容を入れさせていただいているところでございます。以上が資料の説明でござい ます。  最後に、これから本日の専門委員会での議論を頂戴するところでございますが、その先の進め 方について報告させていただきたいと思います。  まず、タイムスタディの実施をしていることなど、施設機能の見直しに向けた社会的養護専門 委員会の検討の状況につきまして、本委員会の上にございます社会保障審議会には児童部会、ま た少子化特別部会という部会がございまして、次世代育成の関係の議論をされているところでご ざいますが、社会的養護専門委員会の検討の状況について、事務局からご報告をさせていただこ うと考えております。児童部会、少子化対策部会それぞれ6月以降の部会の機会にご報告するこ とになると思っております。社会的養護に関する議論、施設機能の見直しに向けた議論につきま しては、引き続き当委員会でご議論いただきたいと考えていますが、スケジュールにつきまして は先ほど前河児童福祉専門官からも若干ご説明しましたが、タイムスタディの結果がある程度ま とまった後に、本格的にご議論いただきたいと考えておりますので、目途としましては夏の遅い 時期以降になると現在は考えているところでございます。いずれにいたしましても、本日これか らまたご意見等を頂戴いたしまして、事務局として作業を進めてまいりたいと思います。以上で す。よろしくお願いいたします。 ○柏女委員長  どうもありがとうございました。昨年10月以降、現在に至るまでの政策の動向とさまざまな自 治体での調査の状況についてご報告をいただき、さらに今後どのように進めていくのかというこ とについて簡潔にご報告いただきました。時間がタイトなものですから50分ほどの協議時間とい うことになりましたが、これらのことにつきまして、どれでも結構ですので特に今後、分析を進 めていく昨年の10月に出された中間報告の集計のあり方について、タイムスタディの分析が今後 進められていきますので、タイムスタディの分析についての分析の仕方はどうか、あるいはグル ープインタビューがこれから行われますので、そちらでの着眼点についてのアドバイスなども頂 戴できればと思います。  それでは、どなたからでも挙手をお願いできればと思います。 ○庄司委員  2点あります。一つは資料1-2の法改正に伴う点ですが、パワーポイントの9ページ目です。「里 親の種類」のところで「養子縁組を希望する者」となっていて、ここは養子縁組を希望する里親 となっていないですね。8ページのところでは「養子縁組を前提とした里親」となっていますが、 ここは親族里親と同等に養子縁組をするまでは里親ですので、「養子縁組を希望する里親」とする 方が良いのではないかというのが1点です。  もう1点は、資料3-1のクロス集計に関する表の19ページ目ですが、乳児院の「職員1人あた りの児童数(直接ケア職種)」となっています。乳児院は2歳未満ですと1対1.7という形で職員が 配置されています。2歳以上になると配置基準が低下していくわけですが、それでも2を超える のはおかしい。最低基準に反していると思います。これはたぶん回答した人が誤解している部分 があるのではないかと思いますので、確認していただければと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。一つ一つご回答いただいていると、かなり時間をロスしてしまうの で、もし何かあったらということで。あるいは、ぜひ回答を求めるということであればそのよう にさせていただくことにして、他に何かございますでしょうか。 ○大塩委員  2点あります。まず、1点目は訂正をお願いしたいのです。資料2の「タイムスタディ調査の実 施状況」の2ページ目の母子生活支援施設についてのタイムスタディの対象施設ですが、ケア形 態で「本園のみ」と「小規模分園」に分かれておりますが、この小規模分園のところは、本園と 小規模分園を調査してあるものですので世帯数が非常に多くなっております。一つ目は、「本園の み」ですが、74世帯の世帯数のところは「本園と小規模分園」の調査が実施してあります。その 訂正をお願いいたします。  もう一つは、母子生活支援施設からのお願いですが、母子生活支援施設は児童福祉施設の中で 唯一、福祉事務所が入所の窓口になっております。それでということだけではないのですが、こ のことが大きくて公設公営の施設と民設民営の施設とにかなりの施設間格差が出てきております。 社会的養護に関する実態調査の中でも少しお願いしておりましたが、公設公営の施設と民設民営 の施設とを調査を区別して実態調査の結果を出していただきますと、民設民営の施設ではかなり 手厚い支援を必要としていらっしゃる利用者の方々が多く入所されているということが浮き彫り になると思いますし、資料3-1の188ページの母子生活支援施設の都道府県別のケアの形態をご 覧いただくとかなり詳しくわかりますが、「1施設あたり平均世帯定員数」と「1施設あたり平均 在籍世帯数」がかなり隔たっているところがたくさん出ております。青森県ですと14.7世帯に対 して7.7世帯、岩手県ですと20世帯に対して6世帯となっておりまして、かなり定員を割ってい るという状況が出てきておりますが、これは公設公営の施設しかないからということになってお りますので、その辺のところを区別して実態調査の結果を出していただけると、民設の施設では より手厚い支援が必要ということが浮かび上がってくると思いますので、よろしくお願いいたし ます。 ○柏女委員長  公・民のクロスをかけてほしいということですね。特殊性があるのでということです。ありが とうございます。 ○木ノ内委員  先ほど庄司委員の方からお話がありました資料1-2の9ページの「里親の種類」ですが、大き くは二つ、中は四つということになっているのですが、養子縁組を希望する里親と親族里親とい うのは、必ずしも重ならないのです。別々に分かれているわけですが。養育里親と専門里親との 場合は、専門里親でありながら養育里親として子どもを委託される場合があるだろうと思います。 その辺のところが明記されていないということと、もし委託をした場合に、専門里親が養育里親 として子どもを委託する場合にわかりづらくなるのですが、里親手当が1人目、2人目となって いますが専門里親が養育里親として1人目、2人目という場合にはどうなるのかという説明が不 十分ではないかと思います。この種類のところで専門里親という里親をきちんと分けた形になっ ていますが、必ずしも分けられないという部分をうまくお伝えできるようにしていただきたいと 思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。今の件も、ご配慮お願いいたします。 ○藤野委員  膨大な資料ですが、児童養護施設の状況に関して、小規模ケアの二つの軸を考えているのです。 一つは小規模化です。児童福祉法改正で被措置児童等の虐待ということが盛り込まれましたけれ ども、今、入所児童にどのような子どもが入っているのかということです。そういう点では、被 虐待児が各種別ともかなり多い。どういう数字になっているのか。  それと、発達障害など障害を持った子どもの数字が上がっていますが、そういうものがどうな のか。そういう子どもたちというのは、どうしても個別ケアが必要な子どもたちです。それが、 施設形態の方でいうと児童養護施設だけに関していっても、大舎制の施設、かなりのケア単位を 持っている施設が90%以上という状況ですよね。それから、73ページに小規模グループケアの数 字が上がっていますが、例えば山梨県など15のところもあります。19という数字もありますし、 最近15までのケアを認めていたものを、3月の時点で大体6に絞るということになっています。 そうすると、例えば小規模ケアをやったけれども人の配置がない、大変だということで結局、職 員が持たないということで大舎に切り換えたというものがいくつかあります。それから、小規模 に手を付けたけれども、人手が足りず、子どもに手がかかりすぎて、とてもできないということ で後退する施設もあります。そういうことからすると、その辺の動向が統計上どうなっているの かということです。3月から4月にかけて、果たして小規模ケアが増えているのかどうなのか。 あるいは減っているのかということが一つのものとして出てくるだろうと思うのです。  そういう意味で今、全部の社会的養護の中で約4万1,000人の社会的養護の措置された子ども たちがいて、そのうちの3万1,000人ぐらいの子どもたちが児童養護施設で生活しているわけで、 そこでの状況というのは非常に大変な状況だと思うのです。待てない状況にきていて、それを何 とかしようということで、この調査の結果が小規模ケアの状況と子どもたちの中身の状況と職員 の配置がどうなのかというのが、かなり鮮明に分析の中で出てくるだろうと思いますが、どうも これを見る限りではあまり出ていないような気がするので今後、分析集計等でよろしくお願いし たいと思っております。 ○柏女委員長  ありがとうございます。ケアの小規模化ということを一つの方向性として、それをどのように クロスをさまざまかけていったり他の調査等を組み合わせることによって実証していけるのか、 その辺りを一つのポイントにおいて欲しいというご意見だったと思います。 ○西澤委員  今、藤野先生が言われたのは、今回のタイムスタディをどういう軸でと。結局、現状調査です から項目としては、この子どもに対して十分にケアができていると思っているとかいないとか不 十分だとかという項目があるわけですよね。それをどう使って、どのような形で適したケアの数 を推計するのかが一番大きなことなので、推計ということについての考え方をしっかりと固めて おかないと、単に現状が出てくるだけだというので、膨大な費用をかけて現状がわかったという 情けないことになるのは避けたいと思うので、その辺の計画はしっかり立てていただきたいと思 います。  それから、かつてのデータのクロス集計があまりにも膨大な量なので、例えば今、簡単にやっ てみると心理療法の担当職員がいる施設には、やはり適していない子どもが統計的にも有意に多 いのです。前河専門児童福祉専門官が言われたような心理療法を必要するような施設では大変な 子どもが多いということなのか。それとも、「心理療法の職員なんて要らないよ」と言っている施 設に関しては、子どもの大変さがわかっていないのか、それはわかりませんが、その辺の解釈が あると思うのです。ファミリーソーシャルワーカーの配置と家庭復帰の見通しというものを統計 分析をしてみると、今やってみたのですが有意さは出ません。ということは、ファミリーソーシ ャルワーカーの配置は意味がないというような結論になるかもしれない。ですから、もう少し加 工したデータを出していただかないと、同じ感じで数字が並んでいると皆さん頭が真っ白になっ て見ないということで、統計学で有意に言えることを項目として出していただくと、もっと全体 像が見えやすいと思います。たかだか15分でできることですから。今、私はやりましたので。そ のように、やれるものについて、やっていただきたいと思っています。以上です。 ○柏女委員長  おっしゃるとおりで、切り口をどういう切り口で進めていくのかというようなことだろうと思 います。例えば、職員の勤務年数を長く続けられることができる施設の子どもたちの特徴はどう なのか、短いところではどうなのかということ。  もう一つは、それをやるときに施設に長く勤められる環境をつくることが必要なのではないか ということを出していくためには、それを基にした分析をしていかなければならないということ で、幾つかのゴールを目指した分析軸というものを設定していかないとならないのではないかと は思いました。西澤委員のおっしゃったことはとても大切なことだと思いますし、また皆さま方 からどういう分析軸でやったらよいのかということについても、今回ご意見を頂戴できればと思 います。 ○吉田委員  統計のことがよくわからないので教えていただきたいのですけれども、タイムスタディ調査で 施設を選んでやっています。職員配置の手厚いところを選んで、今回の調査に協力してくれると いうことですが、このような方式を取らざるを得ないと思うのですけれども、実際に出てきた結 果に関しては、やはり相当良い、我々から見ると良好な環境でのタイムスタディ調査の結果にな るのではないかと思います。この結果をどこまで一般化できるのかという辺りを、どのように考 えておられるのか。場合によっては、何らかの修正する手だてがあるのかどうか、そこのところ を教えていただきたい。  それから、施設の設備調査は全件調査ですね。わかりました。  それからもう1点、最初に戻りますけれども、4月1日からの施行のお話がありました。まだ 日が浅いのですけれども、施行直後の状況などは、いつごろわかるのか。どういう問題があるの かなど、もし今後のスケジュールが立っておりましたら教えていただきたいと思います。以上3 点です。 ○柏女委員長  では、今の件についてお願いします。 ○藤原家庭福祉課長  全体を通して。まず、里親の資料を。 ○柏女委員長  吉田委員の質問に、お願いします。 ○藤原家庭福祉課長  わかりました。施行状況につきましては、例えば今回の施行によって里親の登録がどれぐらい 行われたか、研修がどれくらい実施されたかという点について、また把握したいと思っておりま す。今、実は粗々のところで自治体にお尋ねしかけているところですが、まだ問いかけとして設 問も増やさなくてはいけないかと思っております。例えば、今回の法律の改正に伴いましてファ ミリーホームの届出が全国的に何件出てきているか、それから小規模に関しまして、通常は実績 をきちんと取って公表していくわけですけれども、予定ベースで今後どれぐらい予定されている かとか、その辺はできるだけ早い段階で把握をしたいと思っております。いつ、どの時点でまと められるかという日程は、まだこの場ではご回答できませんが、できるだけ早くやりたいと思っ ております。 ○柏女委員長  他にはいかがでしょうか。今田委員どうぞ。 ○今田委員  乳児院の立場から、タイムスタディのことについてですけれども、我々の施設も対象施設にな りましたので、その経過も踏まえてお話しすると、結果にかなり期待をしております。ただ、乳 児院の場合に問題なのは、昼間と夜間にかなりのギャップがある。それがきちんと反映できるか ということ。それから、どうしても先ほどからお話が出ています見守りということ自体が、子ど もを抱っこしながら三つ四つのことをチェックしていくことがしょっちゅうございますので、そ ういうものが定量的にきちんとした形で表されるのか少し心配な面がございます。  それから、どうしても夜間にある程度ターゲットを絞ることを考えないと、子どもというのは どうしても夜間に熱を出しますし、いろいろなトラブルは夜間に集中する。ところが、ご承知の ように夜間はマンパワーの面でかなり寂しい状態にありますので、例えばSIDS一つ防ぐのでも 10〜15分に1回のバイタルチェックが求められているわけですが、現状ではとても難しいという ことを認識していただきたいということが一つあります。  それから、今インフルエンザが話題になっていますが、感染症は特に乳児院では特別なことで はないわけです。年じゅう何らかのものが流行ったりしているわけで、それがもしタイムスタデ ィのときにある種のものが流行っていると、恐らくデータというのは大きくというよりは180度 違ったデータになるだろうと考えておりますので、グループインタビューのときにそういったこ とを少し念頭に置いた形での調査をしていただければ非常にありがたい。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。分析の仕方ということでご意見をいただきました。他にございます でしょうか。  私から一つよろしいですか。資料2のタイムスタディ調査のところで、例えばこの児童養護施 設の場合は、手厚い配置の中で大舎と小規模で子どもの条件を合わせて比較をして、そして、そ れぞれの業務の時間の合計時間の差を有意差検定をしていった場合に、例えば「手厚い配置」の 中で大舎と小舎では直接ケア職員の業務で一体どこが違うのかということが出てきますよね。そ れをやっていただくと、大舎から小舎になることによって、どのような業務が増えてどのような 業務が減るのか、それから小舎から大舎になることによってどのような業務が増えるのか、そこ が詳しく分析できるのかなと思いました。それからもう一つは「手厚い配置」と「平均的な配置」 で子どもの条件をそろえてクロスで集計をして有意差を見ると、今度は職員の配置を増すことに よってどういう業務が増えていくのかということもわかると思うので、この辺は少し注意をしな がら分析できれば良いと思いました。  併せて、今田委員のご意見の中で、何かをしながら他のことをするという三つ四つの仕事をし ているということがあるのですけれど、そうしますとタイムスタディの中では、これはよくわか らないのですけれども、幾つかコード化していったときに一度に同じことをしていた場合は、そ れぞれ例えば1分間業務をした場合は主なる業務一つだけに1分と付けるのか、それとも抱っこ しながらお話をしていたとか、授乳をしていたという場合は二つの業務に1分と付くのか。そう すると業務時間が勤務時間を越えるということになるわけですけれども、そこはどのように集計 をしていらっしゃるのでしょうか。伺えればと思います。 ○前河児童福祉専門官  書いていただくときに重複する業務があったら、それは全部書いていただくことになります。 集計につきましては、それを割る形になります。 ○柏女委員長  極端にいえば1分間に四つの業務ということになれば、それぞれ15秒ずつという感じになるわ けですね。わかりました、ありがとうございます。他にいかがでしょうか。藤井委員どうぞ。 ○藤井委員  幾つか素朴なところで質問ですけれども、まず平成19年度の社会的養護に関する実態調査、資 料3-1の64ページですが、「職員一人あたり児童数」という一覧表を見ますと、6名を超えると ころがないという結果になっていますね。現実的に最低基準自体はクリアしているのかなという 感じがするのですけれど、実際の時間の流れ、ここでいうと「休日、夜間の対応も行われている ことに留意する必要がある」という説明だけでこの数字が出てきているのですけれども、実際に 施設の現場では勤務の交替などがありますから、一定の時間の中で何人の子どもを見ているかと いうデータの方が重要だと思います。この取り方ですと、そういう実態があまり表されないとい う感じを受けたのですが、その点いかがでしょうかというのが一つです。  それと、先ほどから出ているように考察のかけ方や分析の軸をどのように定めるかというのは 大きい問題だと思いますけれども、今後集計されるタイムスタディに関しましてはグループイン タビューが予定されていますね。このグループインタビューをどういう中身でどのようなテーマ あるいは何を主題にしてインタビューしていくのかという中身が出ているのかどうか。  それから、職員の勤務年数とか、細かくコード表を含む福祉の業務をそのときにやっていると いう実態が明らかになるのでしょうけれども、どこかに普通の職員あるいは職員であればこれは できますという基準といいますか、ある程度一定量の職員の基本動作や基本業務に関する標準を 定めておかないと、業務を複数こなしているということの意味もあまりよくわからない感じがす るのです。標準的な職員の動きはこうですよというものがあると、中身的にこれだけ大変な仕事 があるということが、もう少し説得力をもって説明できるようになる感じがいたします。いかが でしょうか。 ○柏女委員長  今のご質問については、いかがですか。 ○前河児童福祉専門官  最初の配置基準ところですが、委員がおっしゃるように時間帯によって見ている人数は当然違 いがありますので、今回の「追加クロス集計」の中では時間帯で、その時間帯に何人勤務してい て何人の子どもを見ているかというところまでは見ておりません。その辺りはタイムスタディの 調査対象施設につきましては、24時間の時間と職員の人数を測っておりますので、その中で明ら かにしていけると思います。  それから、グループインタビューにつきましては、今回の資料は簡単にしか出せていないので すが、実際にタイムスタディをし、子ども1人当たりにかかっていた時間が大体何時間何分だっ たかというものが出た上で、その調査対象となった施設の職員が普段子どもを見ている中で、ど のような子どもに実感として手が掛かっているのかということと、実際にかかった時間の間との 関係を見る中で、別に子どものアセスメント票も取っておりますので、それとの関係をより明確 にしていくことを目的としています。ですから、どういう子どもに手がかかって、逆にどういう 子どもがあまり手が掛けられていないのかもあるのですが、そういうものを臨床像と時間との実 際の時間の掛かり方を明らかにしていくといいますか、分析を行うことを目標としています。  基本動作の標準化は、今、施設職員がどれぐらいどういうケアをしているかというところが実 際に明らかになっていなかったり、スタンダードなガイドラインもないので、今回のタイムスタ ディ調査で量の実態のようなところは明らかにしていけると思いますが、どのようなケアが果た して適切なのかというところについては、分析の中で出していくものになると思います。 ○柏女委員長  では、高田委員が先でしたので、高田委員、西澤委員、藤野委員の順番で。 ○高田委員  今回のサンプリング自体が、「手厚い」とか「平均以上」という明らかに偏ったサンプリングを していますよね。今までいろいろな分析の仕方を聞きながら疑問に思っているのは、平均値では ないので単純に偏ったサンプリングの中で何かを比較してよいのだろうかというのがまず1点。 そこに何が言えるのだろうか。恐らくこれは、手厚いケアというのはこういうものだよというよ うな、ある種のモデルを示すにはとても適しているとは思うのですけれども、いろいろ検定など をされてどういう意味があるのかというのがわからなくなってしまうのではないかと少し心配し ています。子どもの数も細かく分けていくにはそんなに多くないので、全部きちんと考えてやっ ていただければと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では、西澤委員お願いします。 ○西澤委員  今の高田委員の話に関係しているのですけれども、分析するときというのは本当はデータを取 って分析してみました、有意検定をかけて有意差が出ましたというのではないですよね。こうい うふうに分析するためにこのデータを取っているという、調査設計というのですけれど、調査設 計がないときちんとした調査項目が立ち上がってこないし、これは前の委員会のときから調査設 計を教えてほしいとずっと言い続けたのですが、やはり分析に入るのであれば調査設計を示して ほしいのです。つまり、こういう結果を検討したいからこのデータとこのデータを比較しますと いうような。そうでないと、この「手厚いケア」のところも、本当だったら「手薄いケア」と比 較しなければいけないのに、なぜ「平均的」でやったのかということも実際ありますよね。ひど いケアと良いケアを比較するというのならわかるけれども、「平均的なケア」と比較しても。今ち ょっとアスペルガー的に言っています。当然そんなことは厚生労働省では口が裂けても言えない ことがわかっていながら言っているのですが。  そういう形で、どのデータを何に使うのだということ。恐らく下敷きになっているのは介護保 険のときの業務量調査だと思いますが、そういうのは全然フォーカスが違うので。要するに点数 化するというのとは全然違うと思います。このデータのうち何を使って、例えば今ざっと見てい て才村調査のときには小規模になればなるほど職員の負担が増えるということが出ているのです。 業務量や身体的負担は増えるのだけれども精神的な負担感は減るのです。では、その精神的負担 感が今回取れているかというと、多分ざっと見たところ取れていないということがあるのです。  私が考えるのは、例えば小規模になって子どものケアが充実していく指標は何かというと、日 常の衣食住の世話よりも子どもの問題行動への対応や子どもとの個別のかかわりが増えていくと 考えられるとしたら、この中では愛着関連とコミュニケーションの指標、それから日常生活に係 る指導・相談というところの数字になってくる。こういうものを使って比較しますとか、そのよ うなものが見えてこないと、このデータをどう使うのかがわからないし、もしかしたらこれが基 礎データになって、この上にもう一つ調査が必要になるかもしれない。その辺のことも判断した いので、もう少しそういった全体像を提示いただければありがたいと思います。そうすれば、先 ほど吉田委員が言われたような「一般化できるのですか」とか、あるいは高田委員が言われたよ うな「偏っているのではないですか」ということも検討ができる。今の状況では、このお二人の 質問にも答えられないと思います。少なくとも我々は考えられない。 ○柏女委員長  では、関連して藤野委員。 ○藤野委員  先ほど柏女委員長が大舎と小舎・小規模ケアとの比較という辺りのことも言われたと思います が、例えば児童養護施設における「職員一人あたり児童数」という64ページの表などを見ても、 東京都が一番低くて2.4なのです。1人の職員が2.4人の子どもを。それで鳥取県が2.5なのです。 あとは3のレベルなのですが、少ない大舎の中で小舎はかなり無理してやっていますよね。そう いう中で、例えば東京都と鳥取県は、6人の小規模ケアで3人の職員配置をしています。他にも あるかもしれませんが。ところが、例えばある施設では職員の勤続年数すごく短い。要は持たな い。例えば職員が2人でやっている、ひどい所は常勤は1人であとはぐるぐる交替してやってい るというような所であれば、かなり職員が持たないのです。それと子どもは小規模になればなる ほど、今まで抑えられてきたものを出しますから、そういう点ではかなり大変です。そういう中 から結局、小規模では無理だ、やはり大舎しかないということで小舎から大舎に戻しているとこ ろが結構あったりする。そのような実態があるのです。それで、1人当たりのケアの時間という か、子ども1人に対して職員がどれだけのケアをしているのかという辺りはやはり大舎と小舎、 個別ケアと集団ケアでは随分違ってきていると思います。鳥取県で分析したときの数字では、子 ども1人当たりに職員が手を掛けている時間ということからすると4倍の違いがありました。そ の辺の細かい分析が、せっかくこのデータを取ったので、クロス集計するのであればその辺の職 員の状態、労働時間の問題、その辺もやはり分析したらと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、相澤委員が先で奥山委員、榊原委員お願いします。時間もだい ぶ押していますので、少し手短にお願いできればと思います。 ○相澤委員  個別的な状況を知るのも大事なのですが、我々施設はグループケアなので、場の状況というか、 集団の状況がどうなっているかということは支援する上で非常に大きなファクターなのです。で すから、例えばグループの構成として、子ども一人一人のアセスメントをしたということですけ れど、性的虐待を受けた子どもが何人ぐらいいるとどういう行動上の問題が出るのかとか、構成 によって随分いろいろな問題の発生の仕方が違ってくるだろうし、逆に言うと同じようなグルー プでも、どういうケアをするとある程度きちんとコントロールされて良い支援が展開できるのか そうでないのか、その辺の比較ができると非常に施設ケアを考えていく上で大切であると思いま すので、その辺を分析できるならお願いしたい。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では奥山委員お願いします。 ○奥山委員  平成19年度調査でいうと、例えば養護問題の発生理由など常に取っているデータ分析と、どの ような子どもの問題があるかというようなものをクロスしてみるのもよいと思います。例えば虐 待を受けた子どもが増えてきているから大変さが増しているのだということのある程度のエビデ ンスを出すことはできるのではないかと思います。相澤委員がおっしゃったように、中間報告で 既に出ている性的虐待の頻度は、例えば情緒障害児短期治療施設などでは9%を超えているわけ ですよね。その大きさというのはかなり大きいのだと思います。そういうことに関してももう少 し突っ込んでいったらよいと思います。  それからタイムスタディに関しては、実は柏女委員長がおっしゃったことが私は最初からとて も気になっていました。生活というのは並列でいろいろなことをやりますよね。それを例えば1 分間に四つのことやったからといって四つに分けて分析してしまうと、これは直列的分析です。 例えばPDDの母親は一つの時間帯に一つのことしかできないですから、それをやるのと並列でや るのとでは全く違うのです。生活の中では。それをどう表現していくかを考えると、足して分け てしまうというのは少し乱暴すぎるのではないかと思います。並列でありながら、それだけのこ とをこなしているということが生活の中では非常に重要なことになるので、そこのところをもう 少しうまく分析していただきたいと思いますし、それが子どもたちにどういう影響を及ぼしてい るのか、それから相手が集団である場がどうなのかというようなことを含めて、PDD的分析にな らないように、ぜひお願いしたいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。貴重なご提言だと思います。では、榊原委員お願いします。 ○榊原委員  これだけの調査が児童養護の世界にきちんと入るというのは初めてだと伺っておりまして、大 変意味があるものだと思うし、意味があるものにしてもらいたいと希望しています。先ほどから 何人かの委員がおっしゃっていましたけれども、この調査で一体何を明らかにしようと思ってい るのか、どのように政策の見直しに反映させていこうと思っているのかということが、この段階 でお話を伺って、いまひとつ明らかでないのかなという気がしています。前回の会議のときにも 申し上げたのですけれども、どのような仮説を立てて、その上でどのような調査項目を立てるの か。仮説が外れることや若干ずれることあるかもしれないけれども、それで導かれた結果から政 策をどのように見直していくのかということが効果的に引き出されるというような流れがあると 思いますけれども、改めて、ではこの調査でどのような仮説を今の段階で立てて、結果に向けて 取り組みを進めていかれようと思っているのかというところを、恐らくこれだけの調査ですから 一つということではないでしょうし、今の段階で詳細にわたって伺いたいということではないの ですけれども、それでも一体何を仮説として置いていらっしゃるのかを確認させていただきたい と思います。 ○柏女委員長  では、最後に事務局から総括してお答えいただくことにして、豊岡委員お願いします。 ○豊岡委員  要望というかお願いになるかもしれないのですが、職員は児童養護施設を含めて全部ローテー ションで勤務しているわけですので、引き継ぎや情報の共有、あるいは会議とか、その辺がどの 程度うまく回っているのかとか、それはタイムスタディか何かで表に出てきませんでしょうか。 平成19年のクロスで出るのかどうかわかりませんけれども、できれば職員の育成という視点でお 願いしたいと思います。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございます。それでは、松風委員お願いいたします。 ○松風委員  調査についてですが、一つは先ほどから出ていますように時間帯によって必要な人数等が変わ ってくるということ。施設でいろいろなトラブルが起こってその解決策を考えますときに、夜間 の職員体制の強化を図った所において改善が非常によく見られているといったようなことがござ います。それから、もう一つは改善に向けて各施設で問題が起こったときの施設での対応システ ム、ベテランの方のSVのシステムがどのようになっているのかといったようなことが不明確で すと、かなり問題が長引いてしまうといったことがありますので、その辺りがどのように明らか になってくるのかは非常に興味あるところです。  もう一つは、先ほど小規模施設についてさまざまな課題があるという話でございましたが、地 域小規模をやっていただこうと思いましても、施設の反応は例えばベテランの職員がそちらに取 られてしまうので施設は組織として対応し切れなくなると。要するに地域小規模をやろうと思っ たら、ある程度のベテラン職員の確保がないとできないのだという話がございます。地域小規模 における職員の経験または力量と人数のバランスといったところについてもわかれば非常にあり がたいと思います。  それから、この社会的養護の整備計画を立てる自治体の立場から少しお願いをしたいと思いま す。来年までに整備計画を立てなければならないわけでございまして、大阪府でも年内にある程 度形を整えられるようにしたいということで進めていく予定にしております。その際に、今回の この専門委員会の方向性でありますケアの小規模化といったことについては、計画の中でも、あ る程度の目標を設定しないといけないと考えているわけですが、先ほどお願いしました条件とし て、どのようなことを考えていかなければならないかということと、それから今年度の協議も入 るのですけれども、来年度以降の地域小規模を各施設が実施しようとしたときの条件の緩和、あ とは例えば定員外ということをどのように考えるのか。これは今後の需要見込みを立てたときに、 どのようなバランスで大舎、中舎、それから地域小規模を考えていくのかといったことについて は必要な考え方の整理だと思います。  それから、新たな整備です。改築を含めまして整備されていくときに、整備の条件の緩和。例 えば施設の居室を今後どのようにしていくのかといったことについても、今後の小規模ケア、ユ ニットケア等を考えていきますと、かなり柔軟な整備の企画をしないといけないことになると思 います。そのときの整備補助に関するさまざまな要件の緩和といったことをご検討いただきたい と思っております。  そういうことをもって5年後までの計画を立てるわけですので、現在の条件でできることと5 年後に条件が変わっていたときに、どのようなことができるのかといったことを予測しながら、 法人の施設の先生方とは協議していかないといけないと思っております。そこでの柔軟性をどう 担保していくのかといったようなことが必要になってくるのではないかと思っていますので、よ ろしくお願いいたします。 ○柏女委員長  ありがとうございます。どうぞ。 ○藤野委員  30秒ほど。今、松風委員が言われたことで気になるのが、今のところ地域小規模というのは、 要は量を増やすという意味で外出しですので、今の質的な強化という面では私どもでもやってい ないのです。それは今の大舎なり、あるいは今のケアを強化するということであれば、やはり定 員外に出すのではなく定員内での小規模化、いわゆる「小規模ケア」の数が増えることが必要な のです。また、「地域小規模」の場合は職員の配置が難しい、孤立してしまう、次の職員育成がな かなか大変など、いろいろなことがあって、しかも専門的なケアが必要な子どもが中に入ってく ると、やはり孤立して地域でやる場合に非常に大変だというような別の問題もある。その辺をぜ ひ理解をお願いしたいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、大塩委員どうぞ。 ○大塩委員  タイムスタディ調査についてですが、母子生活支援施設は何をやっている施設かわからないと いうことを常々言われています。施設の中では母親を支えていく支援を非常に細かくやっており ますけれども、それを形として伝えていなかったところが、このタイムスタディ調査を実施して いただいたおかげで、やはり親を支えていくことがとても大事なのだということがかなり出てき ています。ただ、タイムスタディに私たちも慣れていませんでしたし、筒井先生にご指導を受け ながらだったのですけれども、まだまだケアコードの項目が足りないところもたくさんありまし た。グループインタビューの中で具体的なことを出させていただきながら、親子分離をしないで、 ぎりぎりのところで親を支えながら子どもたちの育ちを支援しているというところが出てきたら よいと思っておりますので、このタイムスタディ調査の結果が、子育て支援には親支援が必要と いう良い形で出てきたらよいと母子生活支援施設は思っております。 ○柏女委員長  ありがとうございました。まだまだご意見があるかと思いますが、時間が押しておりますので、 これまでのご意見を踏まえて事務局から今後の方向も含めてご回答いただければと思います。 ○藤原家庭福祉課長  ありがとうございました。まず資料の関係で、例えば里親の資料などのつくりをもう少し丁寧 にという点は、ぜひそのように対応させていただこうと思います。また、数字の分析について、 これは少し違うのではないかというようなご指摘もありました。そこの検証はきちんとしたいと 思います。特にお尋ねの点で、仮説をどう持つかという話と、なぜ比較的配置の高い施設で今回 やっているのかという関係のお尋ねが多くありました。なかなか現在十分な仮説というものは私 どもも研究中ということなのですが、今回は大きく3点を柱として、これまでも調査に入る段階 で施設などにもご説明してきましたのは、このタイムスタディ調査をやることによりまして、子 どもの状態の違いにより、ケアの内容、ケアの時間、傾向といったものがどのように違うのかと いうことをあぶり出す。それから職員構成の違いによるケアの内容、ケアの時間、傾向といった ものをあぶり出す。それからケアの形態です。先ほども小規模と大舎のケアの形態の違いが重要 だというご指摘をいただきましたが、ケアの形態が違うと、ケアの内容、ケアの時間の差、傾向 というものがどう違うのかということをあぶり出す。いうならば、今回やることによって、こう いうものに違いが出てくることを期待しているところです。  ただ、今も伺っていまして、実はたくさんの観点をいただきました。子どものグループ構成を どう見るのか、夜の問題に特に目を向ける必要がある、同時に複数のことをやっている場合の扱 いの考え方、それから施設としてベテランの職員がというシステムの問題、また施設の職員の経 験年数というもので何がどう違ってくるのか。そのような要素がまたいろいろと出てまいります ので、そういう話を踏まえて今申し上げましたようなところを深めてまいりたいと思っておりま す。  そして、今回特にレベルが高いといわれる施設でやっているというのは、これはいうならば、 実証したいというのが、今回の研究の成果としてはあるかもしれないとおっしゃってくださった ところですけれども、実証するデータが今までありませんので、きちんと実証したい。その上で、 やはり一定ケアのレベルが高い所をきちんと把握することが調査としては重要であると。では、 平均的な所との違いはどうかなど、そのような話はまたこのタイムスタディ調査だけでなくて、 いろいろな視点で補っていかなくてはいけないと思いますが、そういう関係で、例えば児童養護 施設については今回実際の選定においても、そういう点で参考になるような選定をさせていただ いているところですし、今後グループインタビューをやっていく過程で、またそういう視点が補 えたらよいのではないかと考えております。とにかく、これだけのケアが実際には実施できると いうことは、先ほど申し上げましたように今後さまざまな議論をする上でのきちんとした土台と いうことで、このタイムスタディ調査を通じて手に入れたいと考えております。  整備計画の関係についてもご指摘がありました。いろいろと小規模化を推進していく上で、先々 条件の緩和などの話でどういう方向性があるのかというご指摘だと思いますが、そこは少し今こ の場で総論としてこうするというだけのものは持ち合わせておりません。小規模化を推進してい く。しかも、それを全国的に推進して、全国的に小規模化というケアを、ある意味でこれは一部 の地域だけではなくて全国的にということが大事だと思いますけれども、こういうものを推進し ていく上で、例えば条件の緩和の問題につきましてもどのような工夫が有効なのかという点につ きましては、今後もいろいろな関係の方々から、具体的なご提案などもいただいて考えていくこ とが大事なのではないかと思っております。主立った点につきましては、以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。特に、ぜひこれだけはということはありますか。よろしいでしょう か。 ○大島委員  先ほど次回はこの集計を基に協議を何回か持とうということで、その集計が出るのがおよそ8 月の末か夏の終わりだろうというお話がありましたけれども、私たちの委員の任期が9月で終わ りになりますよね。その関係では、どのように調整するのですか。この委員会を継続して持とう とするのか、また新たにですか。というのは、なぜ聞くのかといいますと、私は全国自立援助ホ ーム連絡協議会の役員としてここに出ておりますが、4月の総会で役員を降ろさせていただいて おります。それが適当なのかどうか、協議会に持ち帰ることがありますので、そのようなことを。 ○柏女委員長  では、今の時点での考えが何かありましたら。 ○藤原家庭福祉課長  先ほどご説明しましたように、この社会的養護の議論は、この専門委員会で引き続きお願いし たいと考えております。その上で、委員方の任期につきましても、それぞれの団体のご事情など があるかと思いますので、今後個別にまたご相談をさせていただきたいと思っておりますが、基 本的な構成は、今ここにおいでの皆さま方、あるいは関係の団体で、引き続き議論させていただ こうかと現時点では考えております。 ○柏女委員長  よろしいでしょうか。 ○大島委員  わかりました。 ○柏女委員長  他は、よろしいでしょうか。どうぞ、大塩委員。 ○大塩委員  一言だけ。お手元にお配りいただいていますこの母子福祉作文集ですけれども、母子生活支援 施設で生活している母親と子どもたちの10年の歩みが載っております。藤原家庭福祉課長からも 榊原委員からもお言葉をいただいて載せさせていただいておりますので、母親や子どもたちの生 活がわかる作文集をぜひ読んでいただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○柏女委員長  他に木ノ内委員も。では短く。せっかく資料を提供していただいておりますので。 ○木ノ内委員  よろしいでしょうか。『里親家庭 私の体験』ということで作っておりますが、今1万部ぐらい 余裕がありまして、ぜひ興味のある人に読んでいただきたいので、勉強会など、いろいろな所で 読んでいただくなど、ぜひ使っていただきたいと思っております。お願いします。 ○柏女委員長  相澤委員、お願いします。 ○相澤委員  福祉医療機構の子育て基金をいただきまして、全国児童自立支援施設協議会で調査研究した報 告書です。内容は、子どもと職員や仲間とのかかわりについてのアンケート調査などを実施して、 その中間取りまとめなどを掲載したものです。職員や仲間とのかかわりにおいて楽しかったこと、 面白かったこと、うれしかったことや、うれしかった言葉、悲しかったこと、腹が立ったこと、 嫌だったことと思ったこと、心が傷ついたことや、心が傷ついた言葉。それから、入所前と退所 時を比較して子ども自身が変わった理由などについて、退所直前直後の子ども約50名ぐらい、退 所生が170名ぐらい、職員が700名ぐらいなどから自由記述による回答をKJ法により分析・検 討したものです。またこの研究を通しまして、日々の何気ない時間の中で子どもを褒めていくこ との大切さなど、子どもを支援する上での重要な課題などについて学ぶことができました。子ど もからの回答要旨なども20ページを見ていただくとわかりますけれども掲載してありますので、 社会的養護関係者が被措置児童等虐待を予防し、子どもの権利擁護を推進する上で参考になるの ではないかと考えております。その他の児童自立支援施設における生命尊重教育の実態や支援の 基本などについても掲載しております。各関係施設や機関に配布しておりますので、ぜひ皆さま ご一読いただきまして、ご意見をいただければ幸甚でございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○藤野委員  私どもでも児童養護施設と同じようなものを出していますので、また全国社会福祉協議会を通 じて。 ○柏女委員長  ありがとうございます。さまざまな資料を参考にさせていただきたいと思います。  最後になりますけれども、実は今日の午前中に、文部科学省の「幼児期教育の無償化」の報告 書を最終検討いたしました。恐らく今日か明日には出ると思います。そこでは幼児期の教育の無 償化として8,000億円の財源が必要であり、細かい仕組みもこのようにやった方がよいというこ とで提言しています。昨年の12月24日に閣議決定で、将来、消費税等で財源ができると、その 財源は社会保障制度あるいは少子化対策制度に充当するということが言われて以来、さまざまな 分野で自分たちの所はこれだけ財源が必要であると。保育もそうです。保育も今、制度改革をし て、そして制度改革のためには、これだけの財源が必要だという形でやっています。そのような 中で、この社会的養護の分野が遅れを取ることなく、このような姿を描きたい、そのためにはこ れだけの財源が必要であるから、その分を私たちにほしいといったようなことを早く、あるいは しっかりとまとめていかなければならないのだろうと思っています。そのためには、いわば「小 異を捨てて大同につく」ことも大切なのではないかと考えております。  そうしますと、私は二つのことが必要ではないかと思います。一つは、充実の方向性をしっか りと明らかにして、どのような方向を目指すのか、どこまで充実させるかということを、例えば 職員の配置基準もそうですけれども、何人までならよいのかといったところまで示し、そのため の財源は幾らになるのかといったことをまずしっかりとデザインしなければいけないだろう。そ のためにタイムスタディ調査やあるいは施設調査をどのように使えばよいのか。その知恵出しが 我々に求められているのだろうと思います。  もう一つは、財政希望を出したとして、それを社会的養護に充当することを国民の方が許して くださるかどうかという問題があります。つまり、社会的養護に充当してもよいと言っていただ くためには、先ほど大塩委員がおっしゃったように、私たちはこのようなことをしているのだと いうことを、やはり開いていかないとならないと思います。つまり社会的養護を地域社会の中に 開いていかなければならない。  この二つをセットでしていかないと国民の合意も得られないし、それから方向性がはっきりと しないで、どこまで出したらよいのかわからないところにはお金が出せないということにもなっ てしまいかねないと思います。そういう意味では、社会的養護のデザインはここで出せというこ とを少子化対策特別部会ではなく、ここで出すのだということを先ほど藤原家庭福祉課長がおっ しゃいました。そうだとすると、私たち一人一人がどのような方向性を目指し、どこまで目指す のかという合意を形成し、そして合意できるデザインを作っていかなければいけないのだろうと 思っておりますので、ぜひ皆さま方のご協力をお願いしたいと思います。また、事務局でもタイ ムスタディ調査を分析したり、あるいはグループインタビューでどのようなことを聞いていった らよいのかなど、疑問の点がありましたら、委員にお尋ねいただいたりしながら、良いものにし ていっていただければと思っています。  それでは、少し時間を過ぎてしまいましたけれども、今日の委員会はこれで終了とさせていた だきたいと思います。各委員におかれましては、大変お忙しい中遅くまでお集まりいただきまし て、ありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係 連絡先  03−5253−1111(内線7888)